約 2,307,723 件
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/14.html
凪さん家の十兵衛さん 第一話<出会い> も、もって帰ってきてしまった。 捨て犬ならぬ捨て神姫を。 しかも右腕無し、左目損壊、右足首欠損、左足腿より下は無し。 モデルはストラーフとかいうやつっぽい。 最初は拾う気は無かった。 そう、たまたま夜にごみを捨てに行ったらそこにいたのだ。 ボロボロの状態で無残に捨てられていたそいつが。 かわいそうなもんだ…と玩具にいらん感情を抱きながらも無視して一旦は帰った。 しかしどうもあの姿が脳裏にい焼きついてはなれない。まるで泣いているようなあの悲しそうな表情を。 いや待て、まったくおもちゃなどにこんな感情を抱くなんてどうかしている。しっかりしろ自分…と言い聞かしたのだが…。 何故か目の前にいるんだよなぁ…。 その捨て神姫は今俺の机の上に置いてある。 さてどうしたものか。 てかこいつまだ動くのか?機能停止で捨てられていたのなら拾っても意味がない。 ただの壊れた人形だ。 「…こいつ…スイッチどこだ?」 まず動くのか動かないのかがわからないと拾った意味がない。そこで俺は友人に連絡をとることにした。 そいつはかなりの武装神姫マニアだ。スイッチの一つや二つどこにあるのか分かるだろ。 「ないぞ」 友人の返答はこうだった。 「は?ない???」 「あぁ、箱を開けたら勝手に起動するからな」 「じ、じゃあ動かなくなった神姫はどうしたら動くんだ?」 「う?う~ん??動かない?そりゃ完全に機能停止してない限りは…」 「なんだ」 「バッテリー切れじゃないか?」 「へ?」 「バッテリーだよ。内臓バッテリーの電池切れ、もしくはバッテリー自体がお陀仏か」 「どうしたらいいんだ!」 「な、なんだ急に?」 「いいから教えろ!」 「バッテリーも充電スタンドも取扱店…ま、平たくいえばおもちゃ屋に行けばあるぞ。あとは充電するなりバッテリー交換するなりしろ。後は知らんなぁ…」 「そうか!分かった!ありがとな!」 「え、お、おい!いった…」 そうして買ってきた充電スタンドとバッテリー、そして 「【誰にでも分かる武装神姫】…ね」 とりあえずその参考書を元にバッテリーを交換し、充電スタンドに接続した。なれない作業であったが、さすがは【誰にでも分かる武装神姫】だ。 こんな俺でも順調に作業することが出来た。 「あとは…こいつ次第か」 充電スタンドにもたれかかるようにして接続されているボロボロの神姫。 「お前、一体どうしたらここまでなるんだ?」 そいつは何も答えない。相変わらず悲しそうな表情。 このまま待っていても仕方ないか。 「とりあえず…寝よう」 とベッドに体を滑らせた。 そのときだ 「-充電完了-」 って…早いな!! で、どうなんだ!動くのか!動かないのか! 「あ、目が」 ゆっくりと開いてゆく。左目は既につぶれているので右目だけだが。 「お、お~い。い、生きてるか~?」 恐る恐るたずねる。 右目の淡い光がこちらを捕らえる。 そして 「い、いや…いやぁぁgぼrkjらおjぁ!!!!!」 いきなりそいつが叫びだした。 「うぉぁ!!」 真直で見ていた俺はその声に驚き思わずしりもちをついてしまった。 「いや、いやぁぁぁxぎgkhこそrほks!」 どうやら発声部分にも異常があるらしい。所々何を言っているのか分からない。 ぎぎぎ…といやな音。 なんとそいつは充電スタンドから自分の体を無理やり外そうとしていた。 「ば、ばか!何してんだお前!」 「あぁぁぁぁぁぁ!!!!」 バキィ!!という音とともに充電スタンドから開放される神姫。しかしそれは外したというよりは剥がしたという感じだ。 その証拠に充電スタンドには神姫の背中の一部が残されていた。 「おい!お前何考えてるんだ!!死ぬぞ!!」 われながら傑作。玩具に死ぬぞ!とか言ってるよ。友人よ、どうやら俺もそっち側に来ちまったみたいだ。 とにかくいまはあいつの暴走を止めなければ。 といっても捕まえるのは簡単だった。 そりゃそうだ、こいつの両足は損傷、損壊してる。歩くどころか立つのも困難だ。 「おい!一体何なんだお前!」 「いやx!離して!もういやkぁ」 「落ち着け馬鹿!!とにかく落ち着きやがれぇぇぇぇぇぇ!!!」 はて、俺ってこんなに声でかかったか? この超特大の魂の叫びに圧倒されたのか、神姫の動きはカチンと固まった。 あれ?もしかしてやらかしたか? 「お、おい?い、生きてるか?すまん、つい大声だして」 しばしの沈黙。 「…ここはdこ…」 「え?」 「ここは…どこなんですか?」 よかった、話がやっと通じた。 「ここは俺の家だよ」 「そう…なんでなんですか…」 「?」 「私はもういやなんです」 「へ?」 「毎日毎日戦って戦って勝っても負けても虐げられてずっとずっと暗いところで戦って…他の皆は明るい所で楽しそうなのに!なんで私だけ…もういやなんです…」 「お、おい…」 なんなんだ?話が読めないぞ…。 「壊してください…」 「は?」 「ここで会ったのも何かの縁です…私を壊してください」 ちょ、待て…何だこいつ…。自殺願望のある玩具なんて初めて聞いたぞ。 てか答えは決まってる。 「いやだ」 「な、なんでですか!わたしはもうこんな場所に居たくないんです!!!」 悲痛な叫びが部屋中に響く。 「いやだ」 「そ、そんな…」 「絶対いやだ」 神姫の表情が一気に曇る 「…戻れというんですか…またあの暗い場所に…」 そういうと神姫は俯いてしまった。 「あんなところに戻るなら壊されたほうがいい…ひっく…あんな…うぅ…地獄のような場所に行くくらいなら…ぐずっ」 今度は泣き出してしまった。 「な、なぁ」 「なんですか…ひぐ」 「俺、一言も戻れとか言ってないんだけど」 「…」 「つか戻んなきゃいいじゃん」 「…そんなの無理に決まってます」 「なんで?」 「だって私達神姫にはマスターがいるんですよ!?そのマスターの命令には逆らえないんです」 「今は?」 「たぶん…まだ私が逃げた事には気付いてなんです…でも気付かれて戻れといわれたら…」 「なぁ?」 「今度はなんですか…」 「そのマスターって変えられないの?」 「無理です。今のマスターが管理権を放棄しないかぎりは…だから私は壊されていなくなりたいんです!」 「ふぅん…じゃあ」 「はい…」 「壊してやるよ」 「…ほ、本当ですか!」 「あぁ、かわいそうだし」 「…有難うございます」 「じゃあ…寝ろ」 「はい…よろしくお願いします」 そして神姫は右目を瞑り、スタンバイモードに入った。 「まったくいきなり来たと思えば無理難題を押し付けるなんて。これは飯驕り一回じゃすまないよ?」 「わりぃ、本当に助かったよ」 「でもこれでよかったのかい?」 「ああ、上出来だ」 「別にこの子にこだわらなければ起動してないコアユニットをあげてもよかったのに」 「いや、こいつじゃなきゃ駄目なんだ」 なんだろう…声が聞こえる…。 光?なんで? 「お、お目覚めだよ?」 「よ、おはよう」 …え?なんで?なんで壊されてないの? 壊してくれるといったのに。 「な、何なんですか一体」 「へ?何が?」 「しらばっくれないで下さい!あの時あなたは確かに言いました!壊してやるって!なのに、なのに」 「コードナンバーg0g1gagen419タイプ【ストラーフ】は昨日の午後23時に完全に機能停止、よって登録抹消。昨日のあいつは確かに壊したぜ?」 そんな、じ、じゃあ私は一体…。 「お前は確かにストラーフだが、ナンバーが違うだろ。しかもお前にマスターいないし」 「ど、どういうことですか!」 「こいつ、いきなりやってきてね、君を壊れたことにして自由にしてやってくれって言ったのさ」 「ば、ばか!余計なことを言うな」 「でもそれだけじゃつまらないから、ボクが持っていた不良品コアから登録コードだけを抜き出して君に移植したんだよ」 そ、そんなことって…。 「だからお前は、昨日のお前であってそうじゃない。今日からお前は自由だ」 う、うそ…。 「な、なんで…」 「さっきからなんでばっかだなお前」 「え」 「とにかくお前は生まれ変わったんだ。ま、まぁ体は前のままだが…」 「これも大変だったんだよ?僕が破損部分を総とっかえして左目は高性能カメラアイに換装。多少見た目がアレなんだけど神姫用のカメラアイを仕込むにはあまりにもひどい破損状況だったから。もちろん発声部分も交換済み」 「ほんと、ありがとな…しかしまるで柳生十兵衛だな」 「どういたしまして。…それにしても…はは!そいつはいい!眼帯の悪魔ってね!」 ど、どうしてこの人は私にここまでしてくれるのだろう。ご友人に頼んでまで…。 「な、なんでこんな…」 「あ、あ~…ごめん…余計なお世話だよな…勝手に…」 「あ、いえ…そ、その!う、うれしい…です」 「え…」 「でも…何でこんなにまでしてくれるんですか?」 「え、う~ん…なんでかな…明るい世界を生きて欲しいから…とか?」 「…」 「それに」 「それに…?」 「君と一緒にいたいって思ったからかな」 「…」 「君がよければ、俺をマスターにしてくれないか?」 う、何だろう…目頭が熱いよ。 「うえっ…ひっく…」 「うお!どうした!」 う、うれしいのに何で…。 「うあぁぁぁぁぁぁぁん!!!」 「なんだ!?何で泣いてるんだ!?」 何で泣いちゃうんだろう。涙が止まらないよお。 「ず、ずびばぜん…ぐすっ…うえぇぇぇぇん」 「え、お、落ち着け!どうしたんだ!とりあえずこれで涙拭け!」 「うえぇぇぇぇぇぇぇん!…」 「先ほどは取り乱してすいませんでした」 「いや、良いよ。落ち着いたなら何よりさ」 あ~びっくりした…なんて感情豊かなんだこいつは。思わず焦っちゃったぜ。 ん、こいつ?こいつか…。 「ねぇ、君の名前って何?」 「名前…ですか?」 「そ」 「ストラーフですが」 「そりゃ商品名だろ?俺が訊いてるのは君自身の名前」 「…すいません、無いんです」 「え、あ…ごめん…」 「いえ、じゃあマスターがお決めになってください」 「え、じゃあ…」 う、う~んさっきからこれしか浮かばない… 「怒らないか?」 「え、えと…どうでしょう?」 「十兵衛」 「え」 「だから…ジュウベエ」 「…」 「あ、ご、ごめん!そうだよな!仮にも女の子型なんだから十兵衛はなぃ」 「良いですよっ」 「よなぁ…って、え!?」 「十兵衛で良いですよ。マスター」 「ほんとに?」 「マスターが私のためにつけてくださった名前ですから」 「そ、そうか…」 う、うれしいものだな…なかなか。 「じ、じゃあ…十兵衛」 「はい、マスター」 「これからよろしくな」 「こちらこそよろしくお願いします!マスター!」 こうして、俺と十兵衛の生活が幕を開けた。 第二話も読む
https://w.atwiki.jp/busoushinkibc/pages/16.html
ここは、新たにバトルコンダクターを始めるマスターがスムーズに始める為に必要な情報のみを記すページです。 詳細な攻略情報を集めたい方は、wiki内の他ページもご覧下さい。 ※実際のゲーム画面や操作等の詳細な説明は公式サイト、操作マニュアルに纏められているので、そちらも併せて参照して下さい。 ゲームでの疑問のあれこれは → よくある質問 武装神姫に関して武装神姫って何?知らなくても遊べる? ゲームプレイに関してとりあえず何を準備したらいい? e-Amusement passってどこで手に入る?他のカードじゃダメ? 初回プレイの注意点 大まかな初回プレイの流れ 初回プレイ後の注意点 デジタル神姫って? 神姫をカード化したい! 2回目以降のプレイの流れ 神姫のレアリティは?個体差はある? 高レアリティ/個体値が高いカード以外はゴミだったりする…? もしかしてめちゃくちゃお金かかる? プレイできる店舗はどこ? 武装神姫に関して 武装神姫って何?知らなくても遊べる? 武装神姫は2006年からKONAMIが発売し、現在はコトブキヤにてプラモデル化企画が進行中のオリジナルアクションフィギュアシリーズです。 「2036年に人間の日常生活のサポート用メカ兼バトルホビー玩具として発売された小型ロボット」という基本設定があるだけで、基本的には個別の背景や設定があるわけでもありません。 特にアニメが元ネタとか、ゲームやってないと~ってこともないので気になったら即100円投入ですよ!ますたー! ゲームプレイに関して とりあえず何を準備したらいい? 初プレイに必要なものはe-Amusment Passと呼ばれるICカードとチュートリアル用の100円玉1枚のみでOK ICカードを介して初めてプレイする時のみチュートリアルモードがプレイ可能なので、まずはそちらで操作を学ぼう! かなり複雑な部分もある上にチュートリアルはかなりの速度で進むので公式サイト、操作マニュアルである程度の予習をしておくことを推奨します。 e-Amusement passってどこで手に入る?他のカードじゃダメ? e-Amusement Pass対応ゲームを設置しているアミューズメント施設に設置されているカード販売機にて購入することが可能。武装神姫の筐体そのものからは購入できないので注意! 武装神姫設置店舗には絶対どっかにはあるはず…。 値段は300円。余談ながらAmusement ICマークがついてるものであればネシカだろうがバナパスポートだろうがなんでもいいです。 詳しくはコチラ 初回プレイの注意点 初回プレイでは ICカードに登録する4桁のパスワード(新品のICカードを使用する場合のみ) 自身のマスター名 自身の誕生日 自身の性別(武装紳士or武装淑女) 自身の職業(学生or社会人or武装貴族) の登録を行います。マスター名等は事前に考えておきましょう。 またICカードに紐付けられるパスワードは今後プレイの度に要求されます。覚えやすいものにしましょう。 大まかな初回プレイの流れ 基本はゲーム画面に沿いますが… 初回プレイでは最初に神姫カードを読み込ませますが、その際チュートリアル用の神姫を借り受けて使用します。 その後、神姫ハウスへ移動。各神姫にタッチしてコミュニケーションを取ったり、キャッキャウフフ ↓ カスタマイズ画面で武装選択 ↓ チュートリアルバトルへ ↓ 最後にランダムでデジタル神姫を無料で一体プレゼント という流れになっています。デジタル神姫に関しては後述。 初回プレイ後の注意点 初回プレイを終えたら、必ずe-amusementサイトにてICカードデータを登録しましょう。 カードを紛失・破損した場合でもデータを新しいカードへ移すことが可能になります。 仮にあなたの使用しているICカードがバナパスポートカードやネシカだったとしても、KONAMIのゲームデータはe-Amusementサイトに登録しなければ復旧できません。 例えばバナパスを使用した場合、バナパスポートカードサイトにのみ登録してもバンダイナムコ関連のゲーム以外はデータ移行が行えないので注意してください。 デジタル神姫って? デジタル神姫は1枚のICカードに最大30体まで保存しておけるデータ上の神姫です。 デジタル神姫はそのままではチュートリアル用の貸し出し神姫よりも弱い上に親密度や経験値も獲得できないので、実用のためにはカード化が必要です。 「カードコネクト」筐体にてカード化することができ、その際に神姫のレアリティやステータス、個体値、胸の大きさが決定します。 神姫をカード化したい! カードコネクト筐体にICカードをかざすことでデジタル神姫をカードとして発行が可能です。 ICカードを読み込み後、メニューを下方にスクロールして「武装神姫」を選びましょう。 その中からカード化する神姫を最大5枚まで選択し、カード化する枚数×100円を投入することでカード化可能です。 余談ですが、このカードコネクトの印刷にはめっっっっちゃくちゃ時間がかかります。 目当ての神姫がある程度揃ってしまえば、カード化に並ぶ必要もなくなるのでデッキが完成するまでの試練だと思って耐えましょう…。 カードコネクト上ではデジタル神姫を20体しか読み込めないため、20体以上のデジタル神姫がいる場合は神姫ハウス→神姫カード整理からカードコネクトに送信する神姫を予め選択しておく必要があります。 この時、溜め込んだデジタル神姫を消去しておくことも可能です。30体以上のデジタル神姫は持てないので枠が上限いっぱいになりそうな時に活用しましょう。 2回目以降のプレイの流れ 2回目以降も基本はチュートリアルと変わりませんが、神姫ハウスで神姫と触れ合うことでバトル前に親密度とステータスを若干上げることが可能になり、バトルでは全国対戦もしくはオフラインバトルのいずれかが選択可能になります。 また、全てのゲーム終了時に神姫ショップが開放され、ランダムでデジタル神姫を獲得することが可能になります。(いわゆるガチャ) その際、「1体獲得or5体獲得or獲得しない」が選択可能で、獲得数に応じたクレジットを追加投入する必要があります。 神姫のレアリティは?個体差はある? 神姫のレアリティはUR、SR、R、Nの4種類。 神姫カードの右下にはそれぞれ1~5個のステータスアイコンが記載されており、その数が多いほど若干ステータスが高いです。 ついでにカード裏に胸のサイズボディサイズの記載があります。こっちのが重要だよなぁ? 高レアリティ/個体値が高いカード以外はゴミだったりする…? 本ゲームには編成コストシステムがあり、最大7。URは4、SRは3、Rは2、Nは1がコストとして割り振られています。 その関係上、URを使用する場合は必ずNと組まねばならず、URやSRとは組むことはできません。 SRを使用する場合でもSR、SR、NもしくはSR、R、Rが最大の編成になります。 高レアリティの神姫は確かに強力ですが、被撃破時のジェム喪失量が異様に多く、決して「URが入っている編成が至高」といえるようなバランスではありません。 おまけにこのゲームはNがかなり出にくいため、様々なレアリティの神姫を確保しておくことを推奨します。(特に推しはURとSRどっちも欲しいよね…。) また、個体値は確かに若干の差はあるものの個体値アイコン5つのものと個体値アイコン1つのものでは5~10と基礎ステータスに誤差程度の差しかなく、加えて個体値アイコン1つのものの方が伸び率はいいようになっています。 あったらラッキー程度のものなので、それほど気にする必要もないでしょう。 もしかしてめちゃくちゃお金かかる? いわゆるガチャゲーなのでゲームを始めたての頃はすごい勢いで金が吹っ飛びます。 100円で遊んで、500円でガチャ引いて、500円でカード発行して…のループになること必至です。 しかしながら、ある程度カードが揃ってしまえば基本料金の100円だけで遊べるゲームになります。 加えて、全ての神姫のフルコンプを目指すわけでもないなら、基本はデジタル神姫として所持するだけで目当ての神姫のみカード化する方向で資金を貯めておくことも可能です。 また、カードとICは紐付いていないので、ガチャがイヤすぎる!という場合は「だからまおが言ってやったのにゃ~」などを用いて予め望みのカードを入手してからスタートしてもいいでしょう。 胸のサイズにこだわると死ぬぞ プレイできる店舗はどこ? 公式サイトの神姫センター一覧を見よう。
https://w.atwiki.jp/nico-game/pages/118.html
■悪魔城ドラキュラ ギャラリー オブ ラビリンス 悪魔城ドラキュラ ギャラリーオブラビリンス 適当プレイ 【作品の傾向】ふつうにプレイ 【状況】未完(08/02/06~) 【全動画数】 【マイリスト】なし 【備考】ボス直前で止まってます。更新中止? このゲーム情報を編集 このページの一番上へ タグ:ACT DS あ このページを編集
https://w.atwiki.jp/kemorabi/pages/5.html
よくありそうな質問をまとめています。 まだ編集中なので項目が少ないです。こういうのはどうだろう?というものがありましたらコメント等に気軽にどうぞ。 始める前そもそもこのwiki何? というか、けものラビリンスって? ぶっちゃけ面白い? どうやって始めれば良い? ストーリー攻略どう進めれば良い?(方針は?) レアアイテムとかある? その他ほかの質問はどこに書けば良い? じゃあ情報はどこに書けばいい? 書いてる奴がうざい このwikiの存在価値は? [部分編集] 始める前 そもそもこのwiki何? けものフレンズの二次創作ゲーム「けものラビリンス」の攻略wikiです。 このゲームを楽しむ皆さんの手助けになれれば幸いです。 というか、けものラビリンスって? アニメ「けものフレンズ」の二次創作ゲームで、アプリ版の設定も一部使われてる模様(?) ローグライク(シレンやトルネコ、ポケダンみたいないわゆる「不思議なダンジョン」)のゲームで、 アニメ最終回後、かばんちゃんとサーバルちゃんが帰ってきたら問題発生といったストーリー。 ぶっちゃけ面白い? 初心者向けの難易度で、初めての人もそうで無い人も楽しめる…筈。 上級者には少々物足りないかも? どうやって始めれば良い? こちらのサイトのだうんろーどから、ゲームをダウンロード出来ます、後は公式ページをご確認ください。 ストーリー攻略 どう進めれば良い?(方針は?) まず、メダルを集めてピッカピカにするのだ!様々な便利な効果が受けられ、ついでにLvも上げられます、 99までそれのついでだけで上げられるっぽいので、正直Lvはあまり気にしなくてもいいかも。 ダンジョンのアイコンが赤なら未クリア、青ならクリア済みメダル未回収あり、緑ならメダル回収済みなので、気をつけよう。 装備はかばんちゃんの棒の強化がお勧め、最終的にかばんちゃんオンリーで行けるほど、 かばんちゃんはすっごいんだから! 取り合えず、取り返しが付かないことは無いっぽいので、気楽にいこうよ~ レアアイテムとかある? ありません。どれも拾えるダンジョンで粘ればまた拾えます。どうしても気になるようなら1個はバスにストックしておけばいいかと。 バスの限界は部品でのばせるし、1.03のアップデートで250までのばせるようになったのであまり気にしないでいいかと。 その他 ほかの質問はどこに書けば良い? ここのコメント欄にどうぞ。書いてる人か親切な誰かが教えてくれるかもしれません。 また、誹謗中傷等はご遠慮ください。 じゃあ情報はどこに書けばいい? 情報投稿用の場所 があるのでそこにコメントしてくれると書いてる人がたーのしー!出来ます。 また、自由に編集やページの追加をしていただいても構いません 手伝う人が増えればもっと書いてる人がたーのしー!出来るよ! 書いてる奴がうざい ウィキ作成が初、かつ妙なテンションで書いておりますのでご了承ください。 この書き方嫌!という方はぜひ編集してください。皆様のご協力をお待ちしています。 このwikiの存在価値は? ないです、詳細な方のwiki様は本当に優秀なので 一応鑑定のテクニックは多少価値がある…と思います、多分 助かっております。ありがとう。 -- (2017-12-09 03 42 59) ふえっ!?ここ使ってる人いるの!?ビックリした… -- 書いてる人 (2017-12-14 17 02 29) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1798.html
うかつだった。 そんなことをぼんやりと考える。 「どうしたのマスター?」 耳元でわめいているちび人形を無視して、もう一度思う。 うかつだった。 「どうしてマスターはボクのことを無視したがるのかなあ?」 「……うるさい、気分が悪いんだよ」 脂汗のにじむ額をぬぐって、肩にのったちび人形に毒づく。 「ひどい汗だね」 「……こんなに人がいるところにきたのは久しぶりだから、気持ちが悪くなったんだよ」 人いきれに酔った僕は壁にもたれかかりながら荒い息を吐く。 「そっか、マスターって引きこもりだもんね」 「……………」 言い返す気力も出ないまま、大勢の人間が出入りするそのビルを見上げる。 でかでかと掲げられたポスターには白いアーマーを着込んで、ジェット戦闘機のウイングのような羽を背負った少女と、つい先日、僕が部屋でいじっていたアシストアームを背負った、僕の肩に乗ったちび人形そっくりの少女が戦っているところが描かれている。 そしてそのすぐ下には看板をかねたアルファベットが立体的に浮き上がっている。 SHINKI CENTER それがこのビルの看板だった。 「あの……神姫バトルがしたいんですけど……」 受付カウンターで恐る恐る声をかけると 「はいはい、初めてですか?」 「あ、はい……」 カウンター越しに受付の女の人が愛想笑いを浮かべて言う。 「BMAだったらそのまま参加手続きができるんだけど、VBLに新しく登録する?」 「VBL……?」 BMA……武装神姫バトル管理協会については、神姫のことを調べている時に知識を得ていたけれど、VBLという言葉については聴いて記憶がなかった。 「最近できたリーグでね、バーチャルバトル専用のリーグなの」 「バーチャル……?」 「ええ、神姫バトルがいくら安全って言っても絶対ってことはないし もしかしたら神姫が壊れちゃうかもしれない。それでなくても試合の度の消耗品だって少なくないでしょ? そこで新しくできたリーグね」 僕が子供だからか、少しだけ営業スマイルを引っ込めてその人が説明する。 「……BMAのままでいいです」 少しだけ考えて、そう答えていた。 「いいの? 修理とか大変だし、まず大丈夫だとは思うけど、神姫ロストの可能性も……」 「壊しあいでしょ、神姫バトルなんて。それにバーチャルデータなんて自分の部屋でも出来ることをするために、わざわざここまで来ても仕方ないですし」 馴れ馴れしい口調に少し苛ついて、はき捨てるように言ってしまった。 「でも……」 なおも、聞き分けのない幼児を教え諭そうとする保母さんみたいな言葉がつむがれる。 「……っ!」 それにますます自分の神経がささくれ立って行くの自覚していたところで…… 「そうだね」 耳元で聞きなれた声が響く。 「ボクはここにホントの戦いをしにきたんだから、バーチャルバトルなんて、興味ないよ」 ニヤリ、と不敵な笑みを浮かべてチビ人形……ジェヴァーナが言う。 「いいの?」 心配そうな視線が僕からジェヴァーナに移動する。 「もちろん。ね? マスター」 「あ、ああ……」 「ちなみにマスターも初心者だから、Cランクでヒマの人ね。そんなに戦闘経験がない人の方がいいけど、ランクさえあえばあとはいいから。ステージはできればシティで」 毒気を抜かれてうなずく僕の代わりに、ジェヴァーナが矢継ぎ早に受付の人に言いつける。 「うーん……はい、わかりました。それじゃ手続きしておきますから、ティールームでお待ちください」 「よろしくね、お姉ちゃん♪」 僕のことは置いてけぼりな感じで、ジェヴァーナがフォローするみたいに笑顔を向ける。 「……どうも」 なんとかそれだけ答えて、申請のためにオーナーカードをチェックしてもらい、僕たちはカウンターを後にした。 ……なんだか、無駄に疲れ続けてる気がするな…… やっぱり外出なんて、するもんじゃない。 このちび人形にそそのかされて、実際のバトルでデータを取ろうなんて考えたのが、すべての間違いだ。 ……それにしてもなに考えてんだ、こいつ。 ジェヴァーナが壊れても別にかまわない。 そんな意味に取られて当然の発言に、こいつは追従した 所詮、神姫はオーナーに絶対服従するように作られているだけと言えば、そうなんだろうけど…… それでも、少しだけほっとしてしまった気がする。 なにに? ジェヴァーナが……僕を信じてくれたことに? ……ばかばかしい。 そんなこと、こいつが考えているわけないし、そもそもそう見えるようにプログラムされている神姫がオーナーに不利なことを言うはずがない。 ただそれだけの…… 「マスター、またなんかひねくれたこと考えてる?」 「……なんだよ。それ」 「だって、こーんな目してるんだもん」 ジェヴァーナのやつが、イヤミな笑みを浮かべながら、目の横に指をやって、横にひっぱる。 「そんな顔してないだろ!」 「自分の顔は自分では見れないもんね」 「見なくたってわかるさ」 「見ないとわからないから、リアルバトルをしたいんじゃないの?」 「ホントに口が減らないな、お前……」 ……だけど、こんな会話が以前ほどうっとうしくなくなっているのを感じる。 慣れって怖いな。 「まーたなんか、ひねくれたこと考えてる」 「いい加減にしてくれ……」 ほとほとあきれてそういったところで…… 「あ、マスター、あれ!」 「……?」 ジェヴァーナがティールームに設置されたディスプレイを指差していた。 そこには、僕とジェヴァーナの名前が表示されていた。 それがゆっくりとスクロールしていく。 「決まったな。お前のデビュー戦」 「違うよマスター」 横目で僕を見ながら、ジェヴァーナが否定する。 「……ジェヴァーナの」 バトル前に余計な口論をするのも面倒だったので、素直に訂正しておく。 だけど…… 「それも違う」 「……?」 再びジェヴァーナの否定が返ってきた。 「ボクのデビュー戦じゃない。ボクたちのデビュー戦なんだよ」 「……戦うのはお前だろ」 「それでも、だよ。ボクとマスターが戦うんだ。このバトル……ううん、すべての神姫バトルは神姫とそのオーナーが戦うんだよ」 「BMAかなにかの受け売りか? それともそう言えって出荷段階でプログラムされてるのか?」 「プログラムなんかじゃないってば。武装神姫だったらみんな最初から知ってる心に刻まれてることだよ」 「……それが焼きこみプログラムとどう違うんだよ」 「わからないかな。とっても簡単な事なのに」 くすり、となぜだか少し大人びて見える笑みを浮かべる。 「どういう……」 「変な名前」 聞き返そうとしたところで、とたんにその表情は消えて、いつもの少しからかうような、小生意気なだけの表情が取って代わる。 「……?」 ジェヴァーナの視線を追うとそこには僕たちの名前がスクロールアウトし終わって、その対戦者……つまり、ジェヴァーナの相手の名前が表示されていた。 「えいせん?」 「ドイツ語だろ。鉄……っていうか、クロガネってニュアンスの意味だったはずだ発音は確か……」 小説かなにかで見覚えのあるそのアルファベットの並びの発音を口にする。 「アイゼン」 視線の先、ディスプレイの対戦表には、 『U1 & Eisen』 と表示されていた。 「トップへ」/「戻る」/「次へ」
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1207.html
SHINKI/NEAR TO YOU Phase02-2 rondo 「本物のヴァイオリンかぁ……」 校庭を眺めながら、シュンは人知れず呟いた。 日曜の昼から降り出した雨は、結局今日も降り続いたままだ。 「どうしたのよ、シュっちゃん。ため息なんかついて?」 向かい合わせた机ごしに、幼馴染の伊吹舞が覗き込んでくる。 「別に、なんでもねーっすよー」 肩をすくめながら、シュンは机の上に広げた弁当をパクつく。 また誤魔化そうとしてる――その様子を見て伊吹はピンときた。 「それって今日、ぜっちゃんが一緒じゃない事と関係ある?」 「ぶほっ!?」 「シュン、汚いの~」 むせて目を白黒させるシュンを見て、ワカナがサンドイッチを抱えながら伊吹の肩に飛び乗った。 (図星か……ホントにシュっちゃんてば昔から分かりやすいなぁ) ワカナから受け取ったサンドイッチを頬張りながら、伊吹は呆れる。 「それで、一体何があったのよ?」 伊吹がそう尋ねると、シュンがまだ渋っているのを見て関節技で成敗! 「ギ……ギブアップ。分かったよ。話す、話すからっ!」慌てるシュンの姿に満足しながら、伊吹は事情を聞き出した。 「ふ~ん、武装神姫がヴァイオリンをねぇ……」 シュンが日曜の出来事を説明すると、話を聞き終わった伊吹は首を傾げた。 「話は分かったわ。でもそれだけじゃ、ぜっちゃんを学校に連れてこなかった理由にはならないよね?」 「まだつづきがありそうなの~」 シュンはまたため息をつきながら、あの後起こったことを思い出していた。 チカの話を聞き終わった後ちょっと揉め事があった。 発端はゼリスだ。真摯に相談するチカを、ゼリスが頑として突っぱねたのだ。 「相談されたところで私たちにはどうしようもない問題です、そのことはすでにメールでは伝えておいたはずでしょう? それなのに、何故直接会いに来てまでそれにこだわるのか、私には貴女の考えが理解に苦しみますね」 そっけないゼリスにチカは押し黙った。 見かねたシュンはふたりの間に割って入ったのだが――それがいけなかった。今度はシュンとゼリスで口論になるところを、優がストップ。ゼリスは優と一緒にリビングを出て行ってしまった。 しばしの気まずい沈黙の後、シュンは連絡先だけ交換して、その日は耕一とチカに帰ってもらうことにしたのだった。 「彼女が――チカがあんなことを言い出したのは、祖父のことがあるのかも知れません」 帰り際に、耕一がシュンにポツリともらした。今回のチカの行動は耕一の祖父に関係があるのだ、と。 「僕の祖父、和光章典は名の知れた音楽家です。僕も祖父から音楽を学びました。その祖父が先月病で倒れてしまって――ええ。倒れたといってもそう深刻な訳ではないのですが……何分高齢なものですから。チカはそんな祖父にヴァイオリンを聞かせることで、彼女なりに元気付けようと考えたのでしょうね……」 去っていく耕一を見送りながら、シュンにはその後姿が寂しそうに見えた。 「それを聞いたシュっちゃんは、ふたりの願いを叶えようとか思っちゃった訳ね」 悪いかよとムスッとした顔をするシュン。それを見て伊吹は呆れと同時に、何だかおかしくなった。 (全くぅ。それで自分たちがケンカしてちゃ意味ないでしょうに。でもそんなところが、シュッちゃんらしいのかしら……) 伊吹がそんなことを考えているとはいざ知らず。シュンは隙をみてトマトサンドを盗み盗ろうと企み、伸ばした手をワカナがブロック。そのままパスされたサンドイッチをぱくりと齧りながら、伊吹はシュンに告げた。 「それで? 私にできることなら手伝ってあげるわよ」 ♪♪♪ 「すまん。いろいろ考えたんだけど、他に思いつかなかったんだ。神楽さんと連絡を取りたい」 考え抜いた末の方法がそれだった。 あれこれ頭を捻って、幼馴染に手を合わせてまでした結果が人を頼ることというのは、正直シュン自身少々……いや、かなり情けないとは思うのだが。背に腹は変えられない。 つまるところ、自分は結局ただの中学生な訳だし。 その点、神楽さんならいろいろとこの手の情報にも詳しいだろうし、頼るには打ってつけだ。シュンの知る人の中では、こんなときに最も頼りになる人のはずだった。 ただ以外だったのは、シュンがこのことを話すとき伊吹がどこか複雑な表情をしていたということだ。 「いい? コンタクトが取れたからって、あの人が必ずしもシュっちゃんに協力してくれるとは限らないんだからね? それと私がやるのはあくまでも最初の仲介だけよ。その後の交渉は直接シュッちゃんがすること」 それと、後で〝仲介料〟として駅前のカフェで特大のパフェを奢ること――それがこの件に関して伊吹が出した条件だった。 ちなみに、駅前のカフェの人気メニュー「スペシャル・デラックス・パフェ」の価格は1190円だ。 背に腹は変えられない……。 そして、それに見合うだけの価値は、あった。 「やあ、久しぶりだね。本当はもう少し早く連絡を……と思っていたのだが、何分うちの教授がこのところうるさいのでね。ところで、ルイス・スティーブンソンはコカインの力を借りて三日三晩でかの『ジキル博士とハイド氏』を書き上げたそうだよ。これを例に、あのボンクラが惰眠にふけっている間を見計らってその方法を実践してやれば、少しはあの愚昧な頭脳からも先鋭的なアイデアを引き出すことが可能ではないかと僕は考えるのだが、君はどう思うかな? …………ああ、すまない。そうそう、先日の依頼の話をしていたのだったね。しかし、身近に舞という対象がいながら、君もどうしてなかなか、隅に置けないな」 PDA(ケータイ)に出るなりの、機関銃のごとき喋り。 「いや、分かっているよ。聞くところによると、君の神姫はなかなかに可憐だという話じゃないか。若き衝動を受け入れ、ただ突っ走ることも君くらいの年代には時には必要なのさ。このような形で愛を確かめ合うこともひとつの在り方だよ。 …………何? 話が見えてこないが、依頼内容は君の神姫が人の営みをこなすにはどのような方法があるか、でははなかったのか? …………ふむ。なるほど。くっくっく……はは、すまない。どうやらこちらの早とちりだったようだね。いや、神姫を人間にする方法はないかときたのもだから、僕はてっきりそっちの意味だと…………え、何を言っているのか分からないって? ああ、聞き流してくれて構わないよ。 閑話休題、話を戻そう。――ふむ、武装神姫にヴァイオリンを……か。君はやはりなかなかおもしろいことを考えるね。 …………大丈夫、それならば心配はいらないよ。その要望なら僕が調達したもので十分に間に合うはずだ。その点については安心してくれ給え。さて、さしあたっての詳しい段取りだが、まずは今度の日曜日に…………」 電話を終えたシュンは大きく伸びをした後、PDAをベットに放りそれから自分もバタッと倒れこんだ。 相変わらず神楽さんは変わった人だが、やはり頼りになる。 一時はどうなることかと思ったが、これでチカと耕一の願いを叶えることができるはずだ。そうとなれば―― よっとシュンは立ち上がる。 (まずは教えて貰った連絡先に電話して、耕一とチカに教えてやらなくちゃな。それに、伊吹にも教えとくか。あいつのお陰でうまく方法が見つかった訳だし、奢りの件とは別にお礼でも言っておかないとな) 考えをまとめながらシュンが部屋を出ようとすると、廊下にゼリスが立っていた。 方法を探してる間、ゼリスはそんなシュンを見て一切の口出しもしてこなかった。面倒がなかったといえばそうだが、なんとなく気まずい。 あの日曜日の口論以来、シュンはゼリスとあまり話していない。それどころか、ゼリスの方がシュンを避けているらしいことを薄々感じていた。 今もゼリスが優の部屋から出てきたところに、偶然出会わせてしまったらしい。 いつもツンとしたポーカーフェイスだから分かりづらいが、ゼリスの方もどことなくバツが悪そうに見える――のは、シュンの思い込みじゃないはずだ。 「シュンのその顔を見ると、何か進展があったようですね」 「ああ、そうだ。神姫にヴァイオリンを弾かせる方法が見つかったよ」 シュンがそう返してもと、ゼリスはそのことにまるで関心がないかのように「そうですか、よかったですね」とそっけなく言うだけだった。 チカの話を聞いたときは、あれだけ柄にもなく大反対してたクセに――。 別にいいさ。 シュンはゼリスの希薄な反応を気にせずに、階段へと向う。 あいつもあの時はあれだけ無理だと言っていた手前、やっぱり相当バツが悪いんだろう。チカの夢が叶うのをみんなで一緒に喜べば、そんなのも気にする必要ことないって分かって、ゼリスの機嫌もきっと良くなるさ。 シュンはそう結論付けると、彼の部屋をジッと覗き込むゼリスを残し、リビングへと降りていった。 忘れていたように家の外から聞こえる雨音に、なんとなくこの雨は当分降り続きそうだなと思いながら、シュンは受話器を手に取った。 そして、日曜日―― ♪♪♪ 空をどんよりとした雨雲が覆う中、シュンは摩耶野市駅に降り立った。 結局連日降り続いた雨は、今は辛うじて降っていない。ただ空の様子を見る限りでは、また一雨ありそうな気配だ。 そんな上空の様子を気にしつつ、待ち合わせ場所の駅南側にある高架広場に向かう。 南口からぺデストリアンデッキを抜けシュンたちが広場に出ると、すでに噴水脇に立っていた耕一が歩み寄ってきた。 「お久しぶりです、有馬さん。本日は本当にありがとうございます」 丁寧にお辞儀をされ、シュンは慌てた。解法を導いてくれたのは神楽さんなのだ。今回シュンはあくまでも間を取り持っただけで、そんなかしこまられることは……。 「いえ、有馬さんが私たちのためにいろいろと方々を駆け回って下さったことは伺っています。こうしてチカの夢が叶う方法が見つかったのも、有馬さんがいたからこそです」 「有馬さん、ありがとございます」 そういって耕一とチカに交互にお礼を言われると、シュンはなんともむずがゆい気分になってくるのだった。それに面と向かって頭を下げられると、照れくさいし。 頬をかきつつ、そこではたと気づきバックを持ち上げた。 「ほら。お前も挨拶くらいしろよ、ゼリス」 シュンは肩から提げたスリーウェイバックに声を掛ける。 「……私はただいまお昼寝中です。人間のみならず神姫にとって睡眠とは日々の活動を支える必要不可欠かつ、重要な要素。なので阻害しないでください……」 バックの中から聞こえるくぐもった声は、普段に比べ少し力が無いように感じる。 「あの……ゼリスさん、こんにちは」 耕一の手に乗ったチカが身を乗り出して、そんなゼリスに声を掛ける。それに対しゼリスはバックに篭ったまま「……ご無沙汰しています」とぼそぼそ返す。 どうにもこうにも。ふたりともこの間のことをまだ気にしているようだ。 ――気まずい。 「ええ~っと、それにしても遅いわね~」 重くなりそうな空気をいち早く察してか、伊吹がすかさず話題をそらす。ナイスだ、付き添いと称して勝手についてきたことだけはある。 「シュっちゃん、待ち合わせはここで合ってるよね?」 「神楽さんとの打ち合わせでは、駅前の噴水のところで落ち合うことになってるけど……」 と、そこで周りを見渡したシュンの目に、黒い影が写りこんだ。 黒い髪、黒い切れ長な目、黒一色のスーツに身を包んだ、影法師をそのまま繰り抜いたかのような特徴的な雰囲気の立ち姿。 神楽さんだ。 「さあ、着いてきてくれたまえ」 挨拶もそこそこに先頭に立って歩き出した神楽さんに連れられ、一行が向かった先はシュンのよく知っている場所だった。 「ここって、神姫センターじゃないですか?」 たどり着いたその場所は、摩耶野市駅から徒歩10分あまり。 弧を描いた近代的なガラス張りメインゲートが特徴的な、お馴染みの場所。神姫センター摩耶野市店だった。 「ちょっとシュっちゃん、神姫のヴァイオリンと神姫センターにどんな関係があるのよ?」 僕に聞くなよとシュンが思うそばから、神楽さんはエスカレータをすいすい昇っていく。 1階から吹き抜けを昇り、上のフロアを目指す。 7人(4人と3体の神姫)連れ立ってフロア内を移動する。ショッピングスペースの間を抜け、エスカレータでさらに上階に昇るなか、耕一とチカのふたりは珍しそうに階下の様子を眺めている。 伊吹とワカナは常連だし、シュンとゼリスにとってもこの神姫センターは馴染みの場所になりつつあるけど、耕一とチカはそもそもこういう所に来ることがないのかもしれない。 シュンがそんなことをチラッと考える間、エスカレータは神姫センターの中をどんどん昇っていく。 出し抜けに視界を、色取り取りの光が出迎えた。 立体モニターの映し出す派手な映像、刺激的なBGM、熱気溢れる群集。それらが取り巻くマシンに刻まれた大きなロゴ――BMA(神姫バトル・マスター・アソシエイション)。 一行が辿り着いたのは、最上階の神姫バトルホールだった。 「〝どうすれば武装神姫が本物のヴァイオリンを弾くことができるか〟。与えられた命題はそれだったね?」 出し抜けに神楽さんが本題を切り出す。 「はい。でも神姫が弾けるような本物のヴァイオリンなんてあるんですか?」 シュンの疑問に「そう、そこだよ」と神楽さんは頷き返す。 「音響学的制約から、神姫が扱えるように本物のヴァイオリンを神姫サイズまでスケールダウンする方法は、返って遠回りだ。神姫サイズの大きさでは、ヴァイオリンそのままの音色を再現できないからね」 確認するように一堂を見渡す神楽さんに、シュンは頷く。 そう。それで困ったからこそ神楽さんを頼った訳なんだけど――じゃあ、他にどんな方法があるんだ? 「簡単なことさ。ヴァイオリンを神姫に合わせようとするから、大変なのだよ。ならば、逆をすればいいのさ」 「……逆?」 思わずオウム返しに呟いたシュンは、耕一と目を合わせ首を傾げる。伊吹を見ても、彼女も肩をすくめるだけだ。 再び神楽さんを見ると、そこには愉快そうに微笑む顔があった。……そうだった、この人は昔からこんな風に相手を焦らしては、反応を楽しむような人だったっけ。 頭にクエスチョンマークを浮かべるシュンたちの反応に満足したのか、神楽さんは得意げに胸を反らす。 「ヴァイオリンを神姫に合わせられないのならば、神姫をヴァイオリンに合わせればいいのさ」 「そんな方法があるんですか?」 自信満々に言うなぁ。確かに理屈としてはそうだけど、そんな都合のいいことが本当に可能なのだろうか。 そんな疑念を抱くシュンらに対し、事も無げに神楽さんは答えた。 「可能だとも」 それを聞いてチカがパッ表情を輝かせ、続く神楽さんの「――ただし、条件がある」の言葉に顔を強張らせる。 「条件――ですか?」 耕一が問い返す。端整な顔に浮かぶのは困惑の色だ。他のみんなも思いがけない展開に意表をつかれ、神楽さんに疑いの目を向ける。 「ちょっとぉ! それじゃ話が違うわよ。ここまで来て急にそんなの、ずるいわっ」 伊吹が神楽さんに噛み付く。無理もない。当事者の耕一とチカはもちろん、シュンもこんな話は聞いていなかった。この場で何の反応もないのは、バックに篭ったままのゼリスくらいだろう。……呑気な奴。 しかし、神楽さんはそんなみんなの反応にも余裕の態度で、手をひらひら振ってみせる。 「ちっちっち、そう慌てるな。何もとって食おうという訳じゃない」 「どういうことですか?」問いかけるシュンに、神楽さんは意気揚々と喋りだす。 「何、簡単なことさ。この世の中は往々にして対価交換によって成り立っていると、僕は考えるのだ。例えば人の歴史で言えば、狩をすればそれに見合うリスクを背負う、水を引かねば稲穂は育たない。貝や賃金を払わねば物を得ることは出来ず、領地を得る代わりに俵を納めなければならない。 君たちにも身近な事例を挙げれば、電車に乗車するには切符を購入せねばならず、テストでいい点が取りたければ勉強しなくてはならない。 分かるかい? 量子力学レベルでは対消滅によって純粋エネルギーが作られる際に、それに値するだけの電子と陽電子が必要とされる。僕たちの生きるこの世界では、何かを得るためには、必ずそれに見合うだけのものを払わなければならないのさ」 「ようするに、耕一とチカも何か対価を払うべきってことですか?」 いきなりのマシンガントークに面食らう耕一に代わってシュンが確認する。つまりは神楽さんはその何かをしないうちは、方法を教えないつもりなんだ。 「対価といっても、何も代金を請求したりはしないよ。……おいおい、何だいその顔は。見くびってくれるなよ、確かに僕は一介の学生の身だが、君たちから金を頂戴するほど困窮にあえいではいないのさ。 それに、この件に関してはちょっとしたコネを使ってね。特に金は関わっていない。……まあ、その辺りは大人の話さ。くっくっく、あの愚昧な狸教授もこうした点では利用し甲斐があるというものだよ」 いや、その話はいいですから。そろそろ何をさせられるのか教えてください。耕一やチカが困っているんで。 「……そう急くなよ、先人の言葉には急がば回れ――などというものもあるだろう。ようは君たちの決意――意志の強さを見せてもらいたいのさ。だってそうだろう? こちらは然るべき手順を踏んで方法を模索したのに、半端な気持ちで応えられたのでは割に合わないと考えるのは、人としてリアルな感情というものだよ。 では、以下にしてそれを量るべきか――。答えは君たちという存在を考慮すれば、自ずと導き出される――」 くいっと親指で指し標す先にあるのは……武装神姫バトルの筐体? 「今から神姫バトルをしてもらう。ここから先の話はその後にしようじゃないか」 なるほど、ようやく話が読めた。ようするにこれからチカと耕一が試合をして、勝ったら方法を教えるって言いたい訳か。 「試合……ですか?」 「そうさ。私が用意した相手とこれから戦ってもらう」 耕一とチカを見下ろすように、神楽さんは不敵に笑う。 「もっとも辞退するなら止めないけどね。しかしその場合、この話はなかったことにさせてもらうがね」 今後同じように神楽さんを頼っても、次は協力してくれないって意味だろう。チカの夢を叶えるには、チャンスはこれっきり。ここで頑張るしかないってことになる。 「分かりました。……やらせてください」 緊張に固まる場に、小さいが強い意志を持った声が響く。耕一の手に乗ったチカが、決意を込めた眼差しでみんなを見渡す。その目が耕一と真っ直ぐに向き合う。 「チカ……」 「やらせてください、ご主人様。私、頑張りますから」 耕一とチカが見詰め合う。しばらくして「分かりました」と耕一は顔を上げる。 パンッと手を叩き、神楽さんが声を張り上げる。 「オーケイ、対戦カード成立だ。君たちの意志の強さ、見せてもらうよ」 筐体に歩み寄り、シートに片手をついてこちらを向く。神楽さんは人を食ったような笑顔。まるでチャシャ猫だ。 優雅な仕草で指を「パチン」とひとつ、鳴らす。その仕草に合わせて、バトルスポットに一体の神姫がスッと舞い降りた。 「では紹介しよう。彼女が君たちを試す調停者、今回の対戦相手だ」 神楽さんの宣言と共に、蒼い髪をかき上げるその小柄な姿に、シュンはあっと声を上げそうになった。 「――ゼリス?」 慌ててバックを除いてみると、そこはもぬけの殻だった。 「いいい……いつの間に? いや、それよりなんでお前がっ?」 「……ゼリスちゃんは神出鬼没なのです」 「いやいやいや、それ全っ然意味わかんないしっ!?」 口をパクパクさせるシュンを無視して、ゼリスはチカをビッと指差した。 「ということでチカさん。ここから先に進む道を得たいのならば、私を倒してからにしていただきましょう」 「さあ、そういうことだよ諸君。せいぜい頑張ってくれたまえ、ははははははは」 神楽さんとゼリスは声を合わせて笑う。心底楽しそうに笑う神楽さんに、明らかに棒読みの作り笑いなゼリス。……はっきり言って全然息があっていない。それが逆に怖い。 「どういうことなのよ、シュッちゃん」 そんなのはこっちが教えて欲しい。しかもふたりとも目がマジだ。 「……ゼリスさん」 意外なゼリスの登場に動揺していたチカも、状況を飲み込みキッとゼリスを正面から見つめ返す。 もう認めるしかない。ゼリスとチカ、ふたりは互いに友だち同士で武装神姫バトル対決を行うのだ。 ふと気がつけば、センター屋上のガラス窓から見える景色は雨に包まれていた。 ――ゼリスの奴、チカに反対していたけど、まさかこうも明らさまに邪魔をしてくるなんて……。くそっ、もう勝手にしろっ。 ▲BACK///NEXT▼ 戻る
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2632.html
「ごめんね。同じような人がいて、つい嬉しくなっちゃって」 「……はぁ、そうなんですか」 やっちゃったなー、これは。絶対変な人だと思われてるよ。僕も逆の立場だったらそう思うし、なんでこんな暴走したのかな、僕は。 「あはは、面白いマスターさんだね」 少女の肩の神姫がシオンに話しかけてくれている。あれは火器型の神姫だったかな。 「でも、お優しいです。とり乱したのも、お友達が来なくて寂しかったんでしょう」 シオンは本心でそう言ってくれてると思うけど、それがかえって痛かったりして。 「それじゃあ、改めて。僕は長倉 螢斗。この子はアーティル型のシオンです」 「よろしくお願いします」 「私は、その……」 「リミちん、ちゃんと自己紹介しなくちゃー。ほらほら」 「あ、うん。私は霧静 璃美香です。この子はゼルノグラード型のアリエ……です」 霧静さんは言い終わったら、顔を俯かせてしまった。 「アリエでーす、どうもー。すまんねぇー、この子ちょっと人見知りなもんで」 「いえいえ大丈夫ですよ。僕も少しそういうのありますし」 「本当かなー? がっついて、リミちんに話しかけてきた時はそうは見えなかったけどなー」 「あれはっ!……ただ、お友達になれそうだなーって思ったから勢いで」 「いや、あれは一歩間違えば、ナンパの部類だね。うん」 「ナンパって。それはないよ……」 なぜかこのアリエって神姫ものすごく馴れ馴れしい。オーナーの霧静さんもオロオロとことの成り行きを見守ってるだけだし。 「とりあえず!……ここにいるという事は神姫バトルが目的なんですし、バトルやってみませんか?」 「そう――」 「そだねー。ケートん、シーちゃんとも仲良くなれそうだし。交流を深めようではないか」 霧静さんが言う前に勝手に決めている。口は開いた状態で止まった。 そしてなぜか、あだ名みたいのも了承も取らず決められている。 シオンもなにも言わないし、僕も、それはいいのだけど。 ゼルノグラード型はみんなこうなのか? それともこのアリエだけがこういう性格なだけなのか。 「ハァ……すいません。この子、誰でもこんな感じで。すいません……」 霧静さんはものすごく申し訳なさそうに頭を下げている。見た感じ、いつもこうやって苦労させられているのだろう。 「霧静さん、ちょっといいかな?」 話を聞けば僕と同じ高校一年らしいので、敬語はいらないと言っていた(主にアリエが) 霧静さんにも一応は了承もとったし、これで少しは仲良くはなれただろう。 それにまず僕はシオンのことを話しておこうと思った。 「シオンはちょっとバトルがしにくいというか……えっと、なんて言えばいいのか」 「螢斗さん、私は大丈夫ですよ」 そう言うが、実際に僕はシオンのバトルを見てはいないけど……心配なのだ。 「シオンちゃんがどうしたんですか?」 「なになに、私と同じになんか訳有りかい」 私? アリエもなにかあるのだろうか。霧静さんを伺うと、 「アリエ。それは……」 霧静さんは何か言いづらそうに口をつぐんでいる。 「まあまあ、全てはバトルをしてみればわかることさね。はーい、それじゃあみんな、台について」 アリエはそう言うと霧静さんの肩から降り立って、一人で向こう側のブースに行ってしまった。 「まったく、アリエは。とりあえず、長倉……くん」 「……なにかな」 「まずはお互い、バトルさせてみて……その後色々話してみないかな?」 頭のリボンを指で触りながら、目線は横を向いている。話すのは得意そうに見えないけど、霧静さんはそう言ってくれる。 勇気を出して言ってくれてるようにも見える。 霧静さんもなにか抱えているようなそんな感じ。 なんて、さっき知り合えた人にこんなこと思っちゃいけないよね。 「そうだね。シオン、僕たちもバトルの準備しようか」 「はい! 頑張ります!」 ―――― バトルのステージは廃墟街になっている。 さびれた廃屋やビル。むき出しのコンクリート。ボコボコ穴の空いた道路にへし折れた信号機などなど。 リアルであったなら、不気味としか言えないな。 いまそこでシオンが廃ビル群の一角に潜んでいるのが画面からは見える。 僕はオーナーブースから、シオンに語りかける。 「怖くない?」 「……大丈夫です」 大丈夫と言うが、本当だろうか。 フェリス・ファングを両手で構え、その場には緊張感が漂っているように思える。 「火器型はその名の通り、銃器を使う戦闘が得意だと思う」 僕がいままで見てきた情報では、ゼルノグラードは火力のある武装を念頭に置いている武装神姫だというのは知っている。 だけど、 “訳有り”とはどういうことだろうか。 それがさっきから引っかかる。 ――いや、でも、そんなことは後回しにしよう。 まずはシオンのバトルを見ておかなくちゃ。 僕が冷静に指示できて、シオンもバトル恐怖症が起きなかったら、初バトルで勝利できるんだ。 よし、そうと決まれば。 「シオン、敵の気配は?」 「まだ確認は出来てません。まだ近くにいないのかと」 「それじゃ、危ないけど周りを索敵してみよう」 はい、とシオンは答えると、銃を構えたまま細い通路といえる路を進んでいく。 障害物が多いバトルなら、身を隠して攻撃する戦法が有利だろう。派手さはないけど、真っ向からやりあって勝ち目はあまりないと思う。 僕の経験も少ないし、シオンはちゃんと戦えるのか心配でもある。 でも、バトルに勝てれば自分の自信にも繋がるだろうし、バトルの拒否感も和らぐかもと思った。 「螢斗さん、あの、奥にいました」 「え、気付かれた?」 「いえ、その、なんと言いますか。アリエさん……くつろいでます」 「……なんで」 見ると、開けた道路にアリエが座っていた。崩れた、腰掛けるのにちょうどいい大きさのコンクリートに座り、のんびりとしている。 軍隊の兵士みたいにペイントされているアーマー。それに身を包んでいるアリエの姿があった。戦闘状態の筈なのだけど、暇そうである。 ……そんなに時間をかけたわけではないのに。 傍らには腹にパイプみたいな筋の入った奇妙な大剣がある。武器はそれだけしかない。銃みたいな武装は見当たらない。 「どうしますか?」 シオンが訪ねてくる。どうしようかな。あんな油断している姿をみせられるなんて、よほど余裕があるのか。 弱いと思われているのか。……実際そうなのかもしれないけど。 こっちが考えていると、アリエが動きをみせた。 立ちあがり、あくびをしてから背筋を伸ばしている。リラックスしているな、と思うけど、あれは相手の罠なんだろうか。 「バレバレだよー。出てきても、いいんじゃないー!?」 片手に大剣を持ち、声を張り上げている。 いる方向に声は向けてないけど、――なんて言った? アリエはシオンが近くにいるのがわかっている。 そんなミスはしていないと思ったけど。 「しょうがない。不意をつくのは止めて出よう。真っ向から挑むけど、いける?」 「いけ……ます」 その震えは恐怖なのか、武者ぶるいなのかはまだ僕にはわからないけど、 「いくよ」 戦いを楽しめるようになればわかるのかな。 シオンが路地に飛び出す。 スラスターを作動させて駆けながら、アリエに狙いを定めてフェリス・ファングを構える。 その後の動作は引き金を引くだけなのだけど。 ――引かない。 いや、シオンは引けないのか。 やっぱり、うまく戦えないのか。あっちはもうすでに臨戦態勢に入っている。 「シオン! 接近戦に変更して!」 なにもしないのなら、ただの動く的だ。 ここは相手の武装も考えて、接近戦に持ち込んだ方がマシだ。 武器で打撃を与えるなら誰だってできる。 フェリス・ファングをしまわせ、腰からナイフを取りださせる。 宮本さんから預かった武装には、近接用の武器がなかったから、淳平から神姫用のを譲ってもらった物だ。 シオンはそれを振りかぶって、勢いのままアリエに攻撃を加える。 「おりょ。なんか、勢いのわりに軽いね。銃でなんでか何もしなかったし」 ガンッ! と場に大きな音を響かせた。 大剣で攻撃を防ぎ、少し後ずさったアリエが疑問に思っているみたいに言う。 「そっちも、なんで、その大剣しか使わないんですか? チャンスだったと思いますけど」 「うーん、私も使いたいんだけどねー。使えない理由があるん……っだ!」 言葉を途中で切らし、腕に力を込めて、気合いの声を発する。アリエは詰め寄り大剣を振るう。 シオンはそれを危なげに避けていってるが。 「なんか焦ってるねー。それじゃあ戦えないよー……」 「くっ! わかってます!」 僕から見ても、確かに顔は焦っていて辛そうに見える。 「ほらほらー」 避けきれなくなってきたシオンは、アリエが振るった大剣にナイフの刃が当たった。 ナイフは明後日の方に飛んでいく。 「バトルが楽しくなさそうだねー。それがシーちゃんの悩みなんだねー。うんうん」 「……アリエさん、わかるんですか」 「私もさー。昔に色々あってさー火器型のクセに重・軽火器類が一切使えないんだ。笑えるけどホント。だから、私の武器はこれ一本!」 どうやらそれがアリエの“訳”らしい。 自慢げに大剣を掲げて見せる。――見るとやっぱり奇妙だ。 剣の腹に細いパイプの入ったような筋、根元部分には片刃の方にだけ同じ材質みたいので覆われている。 そして、握りの鍔の方にトリガーが付いてある。 「あれって、もしかしてガンブレード?」 今も続いているテレビゲームの超大作にアレに似た武器を使う主人公がいたはずだけど。今はもう18作目に突入しているらしいゲームだ。 僕はやったことはないが、学校の友達はよくゲームの話題をする人がいるので知っている。 「オリジナルの武装なんだけどねー。公式の場でもレギュレーション以内の優れ物。それじゃあ、これの仕掛けも見せとくかー。リミちん!」 『……うん』 筐体の向こうからは霧静さんの声が聞こえる。何かを送ったんだ。 アリエの手元には、手の平サイズ、厚さのあるカード状のような物がある。 それは、赤。イスカの大剣と同じような赤色だ。 「『エレメンティア・ヒート・カートリッジ』セット完了! いくよーん!」 そう高らかに楽しそうに声をあげる。 片刃の覆われた部分を下にスライドさせて、そこに持っていたカートリッジなるものを差し込んだ。 スライド部分を引き戻すと、その瞬間パイプに赤色が現れ始めた。 「よーっし。来たー!」 パイプに溶岩のようなのが先端まで行き渡ると、鋼鉄の大剣の刃も真っ赤になり始めた。 高熱を発しているみたいだが、実際に燃え盛っているような錯覚がする。刃の周りの空気がゆらゆらと揺れてきている気が。 「覚悟してね。いっくよー」 「シオン、何か危ない、後退して! ……シオン!?」 「……あ、あ……あ」 シオンの様子がおかしい。腰を抜かしている。 どうやらシオンの焦点が集まっているのは大剣みたいだけど。 ――もしかして、イスカの、お姉さんの大剣を思い出しているのか!? でも、反応が異常すぎる。 「あ~、えーと……そっちのマスター。ケートん、見えてる、聞こえてるー! サレンダーできるー!?」 大剣を、八双の構えに留まったままのアリエが、僕に叫ぶ。このまま、やっても無駄だと思ったのだろうか。 「……わかったよ」 あっちには聞こえていないだろうけど、受け応えはしておく。 アリエの優しさに感謝しつつ、僕はサレンダーのボタンを押した。 ―――― 「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」 「……シオン」 私は謝り続ける。全ては虚勢だったんだ。 戦う前は確かに自信はあった。螢斗さんの為に戦えると思った。 でも、やっぱりダメだった。アリエさんの武器がお姉ちゃんの大剣に見えてしまった。その後はもう無理だった。 こんな私なんて、武装神姫じゃない。 こんな私なんて、ただの人形だ。 そして、螢斗さんの手が私の頭に移動してきて、 「大丈夫だよ。大丈夫」 「……あ、」 優しく指で頭を撫でられる。 不思議だ。 この人に撫でられると安心する。凛奈さんとお姉ちゃんの所で、まだ仲が良かった、時にも感じたことのない安心感。 なんで私は螢斗さんの為に戦えないのだろうか。 今はそれが悲しくて仕方なかった。 ―――― 謝るのは止まった。 でも、慰め続けているけど、なかなか泣き止んでくれない。 僕も多少はショックだったけど、バトルがうまくできないのはわかってはいたし。 過剰反応したのは、驚いたけど、しょうがないのかもしれない。 バトル恐怖症に加えて、凛奈さんとイスカの頃の記憶がトラウマにもなっているのかな。 なんとかこれを乗り越えさせないといけないのか。 僕にできるのか。 だけど、しなきゃシオンが幸せになれないんだ。 しないといけないんだ。 「ハロー、ケートん、シーちゃん」 アリエと霧静さんが近くに来てくれていた。 あんなシオンを見たらそれは心配になるだろうな。 「シオンちゃんは……大丈夫?」 「うん、まあ、大丈夫だよ」 多分と付け加える。 「バトルして、こっちのことも、わかってくれただろうけどさー……なんかそっちの方が深刻そうだねー」 「……確かに、そうみたい」 シオンとアリエを交互に見て、考え込む様子の霧静さん。 火器類の武装を使えないらしいアリエと戦うことができないシオンはどっちが辛いのだろうか。 このままバトルはしない方がいいのだろうか。 でも、それは――。 だめだ。やっぱり、うまくいかない。 「長倉くん。ともかく、私たちに話してみないかな。ほら、アリエもこんな神姫だけどなにかアドバイスできる……かも」 「こんなのとは酷くないですかい」 そう言われても、アリエは別段気にしてないように見える。 あんな風に気楽なのはもう割り切っているからなのかも。 「シオン、いいのかな。話しても」 「……はい……大丈夫……です」 なんとか涙を止めたシオンが頷いてくれた。 ――シオンのことをちゃんと話しておこう。 前へ 次へ
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2105.html
ウサギのナミダ ACT 0-2 ■ バッテリーがフル充電になり、わたしは覚醒を促される。 ゆっくりと開く瞳。 目覚めたわたしは、眩しさに目を細めた。 ……ここはどこだろう? お店にいたときは、こんな眩しさを感じたことはなかった。 やがて瞳が光量を調節し、周りが認識できるようになってくる。 眩しく感じたのは、白い壁だった。 白い壁、白い部屋。 実際の明るさはそれほどでもないけれど、薄暗いお店しかしらないわたしにとっては、とても明るい部屋だった。 やわらかな光に満たされていた。 わたしはクレイドルの上に寝かされていた。 まだ真新しいことが肌触りでわかる。 わたしの上には、白く清潔な布が一枚かけられている。 白無地のように見えるが、同じ色の糸でシンプルな模様が入っている。 男性用のハンカチのようだ。 しわもなく、真っ白で、かすかにさわやかな香りがする。 あたりは、しん、と静まり返っている。 ここはどこだろう? わたしが身体を起こそうとすると、 「……ッ!」 激痛が身体を走り、わたしはうめいた。 そうだ、思い出した。 わたしはあの夜、お客さんに無理矢理連れ出され、そして…… よく覚えていない。 途中からの記録が途切れている。 痛みがするのは両脚と左腕。わたしを連れ出したお客さんの仕打ちだった。 左腕を見ると、細い木を使って添え木がしてあり、丁寧に包帯が巻かれていた。 布に隠れた脚を見ると、左腕同様に手当がしてあった。 わたしをここに連れてきた誰かがしてくれたのだろうか。 そこまで考えたとき、突然ガチャガチャという金属音がして、わたしはびくりと身をすくませる。 左の奥には扉があるようで、そこから一人の男性が現れた。 「目が覚めたか」 ちょっとそっけないくらいの口調で、わたしに声をかける。 知らない人だった。 少なくとも、わたしのお客さんにこの人はいなかったと思う。 端整な顔立ちの男性だった。 「拾ってきたときには動きもしなくて、あせった。ただのバッテリー切れでよかった」 その人は、わたしに呟くように話す。 「あの……」 わたしが声を出すと、なんだか驚いたようにわたしを見た。 その表情に、わたしは少しおびえて、ハンカチを引き寄せる。 「あの……ここはどこですか……?」 「俺のアパートだ。昨日の夜、おまえを拾ってきた」 ぞんざいなしゃべり方だったけど、不思議と嫌な感じはしなかった。 「わたし……おきゃくさ……男の人に連れ出さたんですけど……その人は?」 「おまえを投げ捨てて逃げたよ」 言いながら、わたしの左手にある机の上に持っていた包みをおいた。 わたしの背後にあるPCの机とはひと続きになった長い机で、荷物のおかれた場所は何かの作業場になっているようだった。 様々な工具がきちんと整頓されて、並べられている。 「添え木してるから身動きがとれないだろ。すまんな。さっき新しいボディを買ってきた。 明日には、神姫に詳しい奴にボディの換装を頼んでいるから、しばらく辛抱してくれ」 「新しいボディ……?」 たったいま机に置いた包みを示しながら、その人は言う。 「いま買ってきた」 「……わたしの、ために?」 「そうだ」 「なぜ、ですか? なんで、わたしなんかのために、こんな……」 素体とはいえ、神姫の新品ボディは決して安くはないはずだ。 「そりゃぁ……」 その人は、いとも簡単にこう言った。 「おまえのオーナーになりたいからだ」 「わたしの……オーナー……?」 「そうだ。だからおまえを連れてきた」 わたしは驚いてすぐに言った。 「だ、だめです、そんなこと。わたしがあなたの神姫になったら、ご迷惑がかかってしまいます」 「なぜだ?」 「だって……」 好き好んで、わたしのような神姫のオーナーになる人なんて、いない。なぜなら、 「わたしは、神姫風俗の神姫ですから……」 □ その神姫はそう言って、悲しげにうつむいた。 その事実が、どれだけ重荷なのか、昨夜までの俺ならわからなかったろう。 だが、こいつをクレイドルに乗せ、PCでこいつの記録を見て……俺は思い知らされた。 人間とはどれほど醜悪な存在なのかを。 「わ、わたしは汚れた神姫ですから……あなたのような方の神姫になる資格なんてないんです……」 なんだ、その資格ってのは。 少し腹立たしくなっている俺の前で、その神姫は自らの境遇を語りだした。 「PCにクレイドルをつないだのなら……わ、わたしのことなんて、もうわかってますよね……わたしは神姫として目覚めたときから、お店の中にいました。お店から出たのは、ここへ来るときが初めてです。あんなことでもなければ、出ることもなく、壊れていったんでしょう……。 わたしは名前をつけられませんでした。店にいる神姫はみんなそうでした。ただ、番号で呼ばれていただけ……わたしたちは、お客さんといるときはお客さんの神姫だから、お客さんの呼ぶ名前を自分の名前と思え、って……。 わたしは目覚めたその日から、お店に出ました。すぐにわたしの番号、23番が呼ばれて……わたしは人間の男性に……奉仕しました……」 23番の神姫がそれからしたことを、俺は自分のPCで見た。 神姫風俗というのは、人間の女性ではなく神姫を使った風俗営業のことである。 一五cmのフィギュアの女の子を性行為に使って何がいいのかと思うが、そっち方面の男達に需要があり、それなりに繁盛しているのだそうだ。 それに、人間を雇うよりも、神姫の方が購入代金とメンテナンス料を含めても断然安い。 人件費の安さがそのまま料金にフィードバックし、そんなにお金が無くてもその手の人たちには楽しめる……らしい。 存在は知っていた。 だが、俺が知っていたのはこの程度のことだった。 昨夜見たこの神姫の記録は、俺の想像を絶するものだった。 男への奉仕なんてものじゃない。 神姫専用の自慰アダプタを使用してのセックスなんてものはまだかわいい方だ。 およそ考えうる、ありとあらゆる方法で神姫は陵辱されたいた。 客が持ち込んだ同サイズの男性型フィギュアロボによる強姦や輪姦は言うに及ばず、多様な動物型との性交、空想上の動物……つまり触手プレイなんてものまでさせられていた。 もちろん、神姫達にとっても理解の範疇を越えることであり、この神姫が泣き叫ぶ姿が何度も何度も記録に収められていた。 その姿を客の男たちは、楽しそうに眺めている。 彼女がどんなにやめてくれ、助けてくれと懇願しても、聞き入れることはない。むしろさらに悲鳴を上げさせるために、行為をエスカレートさせるほどだ。 「そ、そうすると、わたしたちは、だんだんとその行為への感情を適当に処理するようになるんです……どんな行為でも、同じように処理して負荷を少なくするんです。 それで……反応が鈍くなってくると……感情のプログラムとデータをデリートして再インストールされるんです……」 この神姫が語る新事実に、また頭をぶん殴られたような気持ちになった。 神姫風俗を利用する奴もひどいが、やっている連中もひどすぎる。 人間の醜悪さを見せつけられて、俺は正直自分が人間であることに嫌気がさしてくるくらいの気分だった。 「再インストールが繰り返されると、わたしたちの記憶素子の損耗が早くなって……復旧が難しくなるんだそうです……何度も感情プログラムを入れ替え、最後にはまともに動作しなくなって……おかしくなってしまうんです……。 そんな神姫をお店で何度か見ました。そうなってしまうと、もう元には戻れないから……処分されしまうか、狂った神姫がほしいっていうお客さんに払い下げられて……」 どうも人間という奴は救いようがないらしい。 「わたしも、二回、再インストールされました……わたしの常連さんで、そう、あの夜わたしを連れだそうとした人なんですけど……折るんですよ、腕とか、脚とか身体を……すごくいたくて、やめてくださいってお願いするんですけど、絶対やめてくれなくて……」 「……もういい」 「でも、それもだんだん適当に感じるようになってきて、そうするとお客さんが怒ってクレーム付けて……再インストールされると、記憶で何されるかわかってるのに、感情はリセットされてるから、こわくて泣き叫ぶんです」 「……いいから、もう」 「でも、それを見て、お客さんはまた喜んで……わたしは、こわくていたくてつらくて、でもどうしようもなくて、だんだんとおかしくなっ……」 「やめろっ、もうしゃべるなっ!!」 机を思い切り拳でたたいた。 びくっと身体をふるわせ、大きな瞳を見開いて俺を見つめる。 「……それでも……おまえの過去を知ってなお、俺の神姫にしたいと言ったら?」 神姫はますます大きく目を開いて俺を見る。 「い、いけません……い、いまお話したように、わたしは……」 「おまえの過去なんて、関係あるかっ!」 「ありますっ……わたしが、神姫風俗にいたことがわかったら……あなたが悪く言われてしまいますっ……わたしのせいで、誰かに迷惑がかかるのは嫌なんです……」 彼女はうつむき、絞り出すように言った。 「だったらいっそ、お店に帰してください……わたしは、わたしは結局、お店の中でしか生きられない神姫なんです……!」 「じゃあなんで」 俺はそいつに、いっそ冷たい声で言ってやった。 「なんで、お前は泣いているんだ?」 「え?」 再び顔を上げた神姫の、その大きな瞳からは、大粒の涙がぽろぽろとこぼれている。 「店に戻り、誰にも迷惑かけずに生きていけるって、自分が望んでいるのに、なぜお前は泣いている?」 「あ、あの……これは……」 壊れていない右腕で、両方の瞳を必死に拭う。しかしそれでも、彼女の瞳からは涙が次々と溢れては落ちた。 俺は容赦なくこいつに言葉を浴びせかける。 「ここまで聞かされて……そんな地獄みたいな場所におまえを戻して、俺にトラウマ残すつもりかよ」 正直、今の俺ははらわたが煮えくり返っていた。 神姫風俗の経営者や使っている客の醜悪さ、そこにとどまらざるを得ないと諦めているこの神姫、そしてなにより、そんな状況をどうすることもできず、無力さを隠していらだちを傷ついた神姫にぶつけている自分自身に。 「それで、おまえ以外の、自分が気にも入らない神姫とよろしくやれっていうのか? 無理に決まっているだろう」 「そ、そんな……」 「さっき、おまえは、俺の神姫になる資格がない、そう言ったな」 「は、はい……」 「資格ってのは何だ。俺が望む以外に、なんの資格がいる?」 「……」 「俺は店の客のようなことを、おまえに望んじゃいない。おまえには武装神姫になってほしい」 弱った相手を追いつめておいて、逃げ道用意した上で懐柔か。最低だな、俺。 「ぶそう、しんき……」 武装神姫。それは神姫本来の姿。 俺は、資格がないとか言っているそいつをまっすぐに見た。 ひどい場所でひどいことをされていたと知っても、こいつを俺の神姫にしたいという気持ちが少しも揺らぐことはない。 むしろ見つめ続けるほどにその気持ちは強くなっていく。 なぜなのかは、俺にもわからない。なぜなんだろうな、本当に。 「もう過去のことは言うな。おまえは生まれ変わるんだ。俺の神姫として。……そして、おまえの知らない世界を見せてやる」 ■ 「わたしの、知らない世界……」 もうすでに、ここにいること自体に現実感がなかった。 この人は、なぜこれほどまで、わたしのオーナーになりたがるのだろう。 正直言えば、とても嬉しかった。 でも、わたしの存在が、この人の幸せを奪ってしまうのだとしたら? そう思うと、わたしはどうしても、この人の想いに応えることができなかった。 「……まあいい。どちらにしてもおまえの身体はひどい壊れ方だからな。ボディを入れ替えなくちゃならん」 わたしは顔を上げて、その人を見る。 「そうしたら、オーナーの登録も名前の登録もやり直すことができるんだ。おまえは本当に生まれ変われるんだぜ?」 視線を逸らし、独り言を呟くように、わたしに告げた。 生まれ変わって、武装神姫になる。 夢のような、奇跡のような話だった。 この人は、明日、その奇跡をわたしにくれると言う。 それでも、どうしても、わたしは素直に喜べなかった。 結局、怖かったのだ。 そのときのわたしは知らなかったから。 お店以外の世界を。 そして、今まで逢ったどんな人とも違う、この人を。 次へ> トップページに戻る
https://w.atwiki.jp/sousakujojiouma/pages/24.html
ゆーまのリビング・ラビリンス調査記録 リビングスイーツ・モンスター図鑑 広大なリビング・ラビリンスに生息しているモンスター達。 エリアを統率するボスと、それに従う手下のような存在がいるが、ひとつのエリアではなく、多くのエリアで繁殖しているものもいる。 喫茶オウマがトキの面々は、このラビリンスで取られるモンスターのドロップするお菓子を材料として店を経営している。 下級種(人語を理解しないもの、理解しなくとも人間と共存できるもの、又人間の女児でも討伐が簡単なもの) マシュベロス コッカドルチェ フラッペン シロップイヤー ビスケルトン キャラメロプス ミミリップリンク ナタデ・ココニド カルメ童 ミノダンゴタウロス トガリザラシ ハンプティ・ボーロ ミーシー カフェアリー ティターニアイスコーヒー チョコア嬢 ネルネル 中級種(人語を理解し時に操り、人々と共存できるもの、又人間の女児では討伐が困難なもの) + シュガードラゴン コットラゴン キャラメルザウルス ケインドラゴン ワタラメアン 上級種(人語を操り、人間と意志疎通が完璧に行える事が絶対条件(友好的に接するか、敵対するかは各個体に任せられる)又、それと共に人外の女児でなければ討伐は困難とされる程戦闘力が高いもの) キャンディ・ゴーレム ギャシュガー・クラム BANANAMEN 最上級種(それぞれのエリアを納めるボス。上級種と同じく人語を理解し、操れるものが殆どだが、理解しないものもいる。(そのようなものは実力だけで成り上がった異端種とも言える)戦闘力は並外れて高く、人外の女児であっても討伐は困難を極める) キング・ショコラータ3世 マジェラート→サンデーマウンテン スナックル ミンティア アルタイル(エリアボス)→ギャシュガー・クラムズ・ケーキタウン コ・ポータ・デリシャスティック→デリシャスティック・フォレスト ガ・トー→チョコレートバレー 氷砂糖竜(仮名)→ライムストーンキャンディーケイブ ネルネ・ルナ→ねるねる砂丘 カーラ・ムーチョ コットリア→ミルキーシュガーウェイ 高次元種(ボスの中でも異様に強い、又は賢いもの。突然変異的に現れるもの、上級種と混同される事もあるが、詳しくは不明。) ??(パンデメア)→ホーンテッド・ファクトリー とある邪神(リビングスイーツモンスターでは無いとする意見もあるが、真偽は不明) 発見されたリビング・ラビリンスのエリア一覧 サンデーマウンテン ホーンテッド・ファクトリー ギャシュガー・クラムズ・ケーキタウン デリシャスティック・フォレスト スポーツマーマンの入り江 ネルネルネ・ビルディング メルヘン・フルーツガーデン サマー・ラムネビーチ チョコレートバレー ライムストーンキャンディーケイブ ねるねる砂丘 ミルキーシュガーウェイ ブリリアント•アラモード•シャトー シュワパッチドーム
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2783.html
そりゃ、私達にだって不満はあります。あの子達と組んだおかげで神姫マスターアイドルとして有名にはなれました。最近じゃ神姫センター関係のイベントだけじゃなくて地方のイベントとかにも呼んでもらえます。実は小さなハコですけどライブの開催も決まったんですよ。でもね…ステージでお客さんの歓声をいくら受けても、それはあの子達へのものばかりなんです。一生懸命歌ってるのは私たちなのに聞こえてくるのがあの子達の名前だけっていうのは結構堪えるんですよ。お客さんにしたらいつまでたっても結局私たちはアイドル神姫のマスターなだけ、おまけでしかないんです。 -武装神姫マガジン6月号「特集:突☆撃!オトメを支える神姫達」より抜粋 連続神姫ラジオ 浸食機械 16:マジックドール 背後から襲い来るビームソードの斬撃を頭のアンクルブレードでいなすとストラーフは後ろに飛び下がる。いつの間にか接近した清四郎が追撃を仕掛けようとするが茂みの影から飛来したドングリに行く手を遮られる。 「もういいだろ。お前のマスターは沈黙した。無理に命令を遂行することはない」 そう言って茂みから姿を現したのは白髪交じりの老人だった。手には紐と布で作られたよく分からないものを持っている。老人に声をかけられた清四郎は抵抗をやめる。その顔には安堵の表情が浮かんでいた。 「さて、お前達、大丈夫か」 先ほどのストラーフが僕たちに手をさしのべてくる。その手を取って立ち上がった僕たちは彼女達に礼を述べる。 「事情は色々あるのだろうがまあ深くは聞かないさ。この島では色々あるからな」 そう言ってストラーフは豪快に笑った。 「そうだな、人の事情まで詮索している暇はない。待ち合わせに遅れないよう行くぞ、零」 「まあ、そう言うわけで送ってやりたいんだがこっちにも事情があるんだ。行こう火狩。」 零と呼ばれたストラーフはすまなそうに笑うと老人の肩に飛び乗る。 「コウガのことは俺たち大人に任せておけ。きっと君と神姫を家に帰してやる。だから無茶はするなよ」 「お前達みたいな優しい奴にはこんな役目はして欲しくないんだ」 立ち去る前に老人と神姫は僕たちにそう語りかけ、茂みの中に消えていった。 <無茶はするな、か。ひょっとしたらその方がいいのかもしれないね、プルミエ> 「マスター・・・」 プルミエが不安そうに声をかける。僕の考えを悟って心配してくれているのだ。 <でも僕はやっぱりコウガにあって彼女を止めたい> コウガの生い立ちを知ってから僕はずっとそう考えていた。子供のわがままかもしれない。英雄願望なのかもしれない。でもこのままで終わっていいはずはない。あの人達はどんな事情があってもきっとコウガを壊す。そんな終わり方を僕は避けたかった。 次回:届かぬ思いに続く・戻る