約 4,279,229 件
https://w.atwiki.jp/wiki6_680/pages/92.html
イニシアティブの居場所 「なぁ、神田。念のため一つ確認したいんだが・・・。」 と、上空1万フィートで栗原がそう切り出した。 もちろんそこはファントムのコクピット内で、会話はマイクロフォン越しだ。 「何だ?」 と、神田が返す。 「・・・ルートはこれで合ってるんだろうな?」 キャノピー越しに見える景色は丸い水平線だ。上は空、下は海、地上からは随分と離れてしまっている。 訓練項目の関係で、めずらしく栗原が前席に居て、後席には神田が入って航法を担当している。 「お前は俺が信用できんのか。そっちからでも方位計を見ろ、方位計を。」 「方位計もレーダーも全部確認してるさ。でもなぁ・・・なんかルート選択がイマイチ・・・。」 「るせぇ、栗。ごちゃごちゃ言ってないで、言われた通り飛べばいいんだ。それに勝手に高度下げてんじゃねーよ。」 「だって、ほら。今朝のウェザーブリーフィングだと、この辺りは高高度だと乱気流が・・・。」 「乱気流なんざ、出くわしから対処すりゃいいんだ。」 どうやら二人入れ替わると、パワーバランスが狂うらしい。 「神さんこそ、ごちゃごちゃうるさいんだよ。もうちょっと俺を信用できんかねぇ。」 「栗こそもうちょっと腕上げてから言うんだな。ほれ、旋回練習に入るぞ。ブレんように頼むぜ。」 旋回には理想のラインがある。そのあらかじめ決定されたライン上をいかに完璧になぞる事ができるかで腕の良し悪しが決まるのだ。 それを神田はほとんど本能と言うべき勘の冴えでやってのけるのだが・・・。 「こら、栗。考えて動かすんじゃねぇ、理屈じゃなくて体で覚えろ、体で。」 「ムリ。あんたと一緒にすんじゃないよ、ったく。ほんとうるせぇ女房役だ。」 人には向き不向きがある。体より先に頭脳がフル回転するタイプの栗原には難しい問題だ。それでもなんとか半日の訓練を終えて地上に戻って来た後、神田はこう言ったのだった。 「へへへ、ここまで栗をヘコませられんなら、たまには女房役も悪くねぇな。」 と・・・。 だが、その日の夜になってから、神田はその言葉に対する報復をたっぷり食らうことになるのだった・・・。 「く・・・栗原っ、お前一体何しようとしてるんだっ。」 「何って・・・。イイ事?かな?」 布団を敷いて、電気を消したら、栗原のほうから神田の隣にすべり込んで来た。めずらしい事もあるもんだ、と神田がその体を引き寄せて唇を重ねようとすると、これもまためずらしい事に、栗原のほうからそれを奪ってきて、そして神田が違和感を感じる頃にはもう、栗原に上から圧し掛かられて、押さえつけられていた。 首の後ろのあたりがチリチリとして、そして頭でその状況を理解する前に冷や汗が流れる。 怖くて確かめられないが、それでも聞かずにはいられない。 「・・・あのさ、栗原・・・?いつもと立場が逆じゃないか・・・?」 「あぁ、何か問題あるか?」 「いや、その・・・。うわっ、ちょっと本当にやめろってばっ。」 栗原の体を押し返して、思いとどまらせようとするが、意外に強い力で抑え込まれていて、気がつけば外されたボタンのパジャマの合わせ目から手を滑り込まされていた。 それを嫌って、神田は声を荒げたのだが、 それに対して栗原の冷ややかな声が返ってくる。 「嫌なんだ・・・、ふぅん・・・。」 「嫌に決まってんだろっ。」 言いながら全身の力を振り絞って神田は栗原の体を引き剥がそうとしたが、それより一瞬早く、栗原が神田の首の下に腕を差し入れて動けないようにその頭ごとしっかりと押さえつけてしまう。その顔が神田の耳元に近づけられて、そして囁いた。 「嫌なんだ?あのさぁ、神さん。俺だって一応心身ともに健全な男なワケよ。それを毎度毎度、当然のように足開かされてちゃ、いい加減ストレスもたまるってもんじゃない?そこんとこ、どう考えてくれてんのかな?」 「・・・・・・。」 言われて神田は言葉もない。 「何?何も考えてなかったってワケ?ホントいいご身分だねぇ。」 栗原の声はますます冷ややかになっていた。 「ごめん、栗。ほんと悪かった・・・。」 「今更謝られたってさ・・・。今日、相当機嫌悪いのよね、俺。」 声だけでなく、その目も表情も冷ややかになってきて、覗き込まれた神田は背筋に冷たいものを感じて、ほとんど泣き顔だ。 「どうやったら機嫌直る・・・?」 と、おそるおそるそう訊ねる神田に対して栗原は、口元をゆがませて神田に告げたのだった。 「神さんさぁ、たまには女房役もいいって言ったよね?・・・なら身体できっちり落とし前つけてもらおうじゃない?」 と。最後の方は、ほとんど耳元で囁くようにして。 それから数秒後・・・。 「・・・冗談だよ。」 と、栗原はいつもの調子でそう言ってから、抱きつくようにして神田の身体の上に崩れた。 神田にとっては、その数秒間が永劫の絶望の時間だったようで、それからまた数秒してからようやく、クスクスと可笑しそうにしている栗原に、 「冗談にしちゃ・・・性質悪すぎるぞ・・・。」 と、抱きしめ返す余裕も出てきたのか、その背中に腕を回しながらそう言い返す。 「もうちょっと虐めても良かったんだけどなぁ。」 「よしてくれ、再起不能になるわ、俺・・・。」 「そう?そうは見えないけどなぁ・・・?」 そう言って、栗原は神田の身体の一部に触れながらクスっと笑った。 栗原の言いたい事が神田にはすぐ伝わった。さっきの言葉責めにきっちりと身体が反応してしまっている事を見抜かれているのだ。 「で、どうするの、コレ。どうしたい?」 栗原から布越しにふわっと撫でられて、神田は言葉に詰まった。 「いいよ、俺は。神さんのためなら、ね。」 そう誘い込まれて、神田に抗えるわけもなくて。 「是非、お願いします・・・。」 と、そう答えていつもと同じ夜が始まるのだった、が。 寝床での立場が変わらなかったにしても、その日から主導権が100パーセント栗原の物になった事は言うまでもない。
https://w.atwiki.jp/keroro00innovator/pages/6012.html
君の居場所(Have a Good Time Here) 君の居場所(Have a Good Time Here) アーティスト 竹内まりや 発売日 2023年12月20日 レーベル ワーナー CDデイリー最高順位 2位(2023年12月20日) 週間最高順位 5位(2023年12月26日) 月間最高順位 22位(2023年12月) 初動総合売上 6552 累計総合売上 9708 収録内容 曲名 タイアップ 視聴 1 君の居場所(Have a Good Time Here) ポケモンコンシェルジュ 主題歌 2 Brighten up your day! 3 すてきなホリデイ 4 The Christmas Son CD/総合ランキング 週 月日 CDシングル 総合シングル 順位 週/月間枚数 累計枚数 順位 週/月間枚数 累計枚数 1 12/26 2 6552 6552 5 6552 6552 2 24/1/2 9 1069 7621 27 1156 8289 2023年12月 7 7621 7621 22 8289 8289 3 1/9 6 418 8039 418 8707 4 1/16 10 244 8283 244 8951 5 1/23 11 231 8514 231 9182 6 1/30 131 8645 131 9313 2024年1月 21 1024 8645 67 1024 9313 7 2/6 107 8752 107 9420 8 2/13 111 8863 111 9531 9 2/20 177 9040 177 9708 関連CD ハロ
https://w.atwiki.jp/blackcat9605/pages/48.html
XBOX360所持タイトル一覧(50音順) ※×〇は所持数 2014 7/24現在71本 ダブリあり79本 2010SMACKDOWN VS RAW FIFA10ワールドクラスサッカー FIFA12ワールドクラスサッカー NBAストリート ホームコート WWE LEGENDS OF ERESTLEMANIA Xブレード アーマドコア4 アーミーオブツー×2 アイドルマスター アイドルマスターライブフォーユー アサシンクリード アサシンクリード2 アルティメット マーヴルVSカプコン3 インフィニットアンディスカバリー ヴァンパイアレイン ウイニングイレブン2010 エースコンバット6 エスプガルーダⅡ ブラックレーベル エム~エンチャント・アーム~ オトメディウスG ギアーズオブウォー キャサリン キングダムアンダーファイア:サークルオブドゥーム ケツイ~絆地獄たち~EXTRA ゴーストリコン アドバンスウォーファイター ゴッドファーザー ザ・キング・オブ・ファイターズ12 シュタインズ・ゲート 比翼恋理のだーりん スーパーストリートファイターⅣAE スターオーシャン4×2 スプリンターセル二重スパイ セインツロー(北米版) ソウルキャリバーⅣ ダークセクター ダンテズ・インフェルノ~神曲地獄篇~ テイルズオブヴェスペリア×2 デススマイルズ デススマイルズⅡエックス テストドライブアンリミテッド デッドオアアライブ4×3 デッドオアアライブエクストリーム2 デッドライジング トゥーヒューマン ドリームクラブ ドリームクラブZERO ナインティナインナイツ ナインティナインナイツ2 ニード・フォー・スピード モスト・ウォンテッド ニード・フォー・スピードシフト ノーモアヒローズ パーフェクトダークゼロ バイオハザード5 バレットウィッチ ビューティフル塊魂 フェイブル3 プリンス・オブ・ペルシャ プリンスオブペルシャ 忘却の砂 ブルードラゴン×2 フロントライン(アジア版) ベヨネッタ×2 マーヴルVSカプコン3 マグナカルタ2 モンスターハンターフロンティアオンライン ビギナーズ×2 ラストレムナント レインボーシックスベガス2 レフトフォーデッド レフトフォーデッド2 旋光の輪舞 リビジョンエックス 虫姫さまふたりver1.5 鉄拳6×2 怒首領蜂大往生ブラックレーベルEXTRA
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/3933.html
『きめぇ丸の居場所』 13KB 観察 飼いゆ 野良ゆ 現代 独自設定 (投稿)やっちゃうよ?やっちゃうよ!? ・これもう(何が書きたかったのか)わかんねぇな… ・感想&批評アニキアリシャス!悪文なのはさ、作者の頭が可哀相って事でもう、いいんじゃない?(小学生並の誤魔化し) 少女の住む家、その裏手にある室外機に繋がるダクトと屋根の隙間は、何時頃からか一頭のきめぇ丸の住居になっていた。 それを最初に見つけたのは少女の父親だが、彼はきめぇ丸を追い立てる事はしなかった。 ゆっくりの生態について少し明るかった彼は、きめぇ丸は人間に対してコミュニケーションを図る事が少ない種である事を知っていたからだ。 市井におけるゆっくりの狼藉を知っていた母親は夫の決断に苦い顔をしたが、 しばらく観察してみればなるほどきめぇ丸はただの鳥と生態に関して大した差が無い事を実感し、 寝床を提供するくらいならと干渉するのを控えるようになった。 「きめぇ丸ー」 両親に反して、少女はその物珍しさからかよく構った。 とはいえ、きめぇ丸がそれに対するリアクションを起こした事は一度も無い。 ふだん少女が声を掛ける機会のある登校時間前から下校時間後までいずこかへと出払っており、 それ以外の時間は狭い暗がりの中でじっと息を潜めて佇んでいるだけである。 「ご飯だよーきめぇ丸ー出ておいでー」 だから少女は週末になると、こうしてきめぇ丸に呼び掛ける。手にある物を見れば野良ゆが目を剥くだろうお菓子の数々が握られていた。 が、暗がりの中の饅頭のシルエットは微動だにしないままだ。すわ死んでいるのではないかと少女が勘違いした事も何度かある。 しかし呼び出された母親が手を伸ばすたびに、ゆっくりらしかぬ速度でひょいとかわして飛び去ってしまうのだから、もはや少女の呼び出しに母が応じる事は無い。 「なんで言う事聞いてくれないのかなあ?ゆっくりってお菓子が好きなんでしょ?」 「こら!」 「うわっ!」 全く反応の無いきめぇ丸を前に訝しむ少女の後ろから、強く咎める母親の声が掛かった。 「野良ゆっくりに餌やるのはやめなさい、って、いつも言ってるでしょうが!」 「野良じゃないよきめぇ丸は。飼ってるんでしょ?」 「そんな訳無いでしょ、勝手に住み着いてるだけ!邪魔にならないから置いてるだけよ」 「おんなじじゃん…」 持っていたお菓子を取り上げられてしまい、恨みがましい目を母親の背に向ける少女。 勝手口が閉じるのを見届けると、またきめぇ丸の潜む暗がりへと視線を戻した。 そこには相変わらず微動だにせず、こちらを何とも思ってなさそうなきめぇ丸のふてぶてしい表情が僅かに見えた。 「おお、うまいうまい…」 翌日、早朝に寝床を後にして、街中へと腹ごしらえに繰り出したきめぇ丸は、 すぐに住宅の壁に張り付いていた蛾を目ざとく捕らえ朝食としていた。 住人の顔も知らないおうちのベランダを借りているのは、自らを捕食しようとする存在から逃れる確率を少しでも上げる為である。 ふと、きめぇ丸は公道を見下ろした。 「ゆぶぎ、ゆぎぎぎぎぎ……」 「ゆ!がんばってねまりさ!もうすこしでやぶれるよ!そしたらいっぱいごはんさんをむーしゃむーしゃできるよおお!」 二頭のゆっくりが、朝食にありつく為だろうかゴミ集積所で尽力している姿があった。 二頭は今、どんな気持ちでビニールに包まれた生ゴミと戦っているのだろうか。 いっぱいごはんをむーしゃむーしゃして、しあわせーな気分になる為か。 それとも、ああするしか生きる方法が他に無い為か。 それともその両方で、あの生ゴミをむーしゃむーしゃしてしあわせーな気分にならなければ生きていけないと考えているからなのか。 いずれにしても、あまり頭の良いゆっくりでは無いだろう事はきめぇ丸にも想像はついた。 「ゆぐぎいいいいいいっっ!!ゆふぅ、ゆふぅ、や、やったよ…!やぶれたよ…!いっぱいむーしゃむーしゃするよ…!」 「やったよ!やったよまりさ!ごはんさんいっぱいだよおおおおぶぢゅ!?」 「………ゆ?」 まりさは、希望が開けた矢先に眼前で餡子の染みとなってゆん生を終えたれいむを見て、思考が停止した。 なぜ?どうして?なんでれいむはずっとゆっくりしちゃってるの? それを見下ろしている青年は、忌々しげな表情のまま、足を再び持ち上げた。 そしてまりさはようやく、全てを悟った。何もかもがゆっくりし過ぎていたまりさは、眼前に迫る青年の靴底を見ながら涙を流した。 「もっとゆっくりしたk」 今際の言葉も語り終えられずに、まりさのゆん生は幕を閉じた。 「ちっ」 がりがりと靴底の餡子をアスファルトに擦り付けながら、青年はもう一つ持ってきていた空のゴミ袋に二頭の死骸をトングで放り込んだ。 「おお、こわいこわい…」 始終を見ていたきめぇ丸は、ふるふると顔を振動させる。 人間と深く関わってはいけない。人間に深く立ち入らせてはいけない。それはきめぇ丸の餡子深くへと刻まれた本能である。 他のゆっくりと違って並の鳥くらいには敏捷で、容易くその手から逃れられる事は出来るきめぇ丸だが、 決してかれらは侮ってはいけないし、許してもいけない存在であると強く認識していた。 それはこのきめぇ丸だけの本能であるのか、それともきめぇ丸という種全体の特徴たる知性の高さに由来するものなのかは判別する事は出来ない。 ともかく、きめぇ丸はこの街で生きていた。 関わってもいい距離と、立ち入らせてはいけない距離を保ちながら、今日もきめぇ丸はダクトと屋根の間で佇んでいた。 「ゆっくりしていってね!」 「はい、ゆっくりしていってね、まりさ」 少女のきめぇ丸に対する一方通行な思い入れは、親にせがんで飼いゆっくりを購入させる事でひとまず鳴りを潜める運びとなった。 しかし、何しろ購入したのは銀バッヂとはいえまりさ種なのだから、母親が眉を顰めるのも仕方ない。 夫に対して憂慮する心中を漏らすのも、当然である。 「ま…責任とって面倒見る、って言うんだからね」 「でも、甘やかすとすぐ付け上がるって言うじゃないの。野良のみたいなのになったら…」 「だからだよ」 「え?」 「幻想なんて直に触れれば消えてしまうものなんだよ。餡子の詰まった饅頭相手ならなおさら…」 「そんなの…」 「そうならなければ、それで良しって事じゃないか」 自分の夫の、酷薄とも言える計算高さに、母親はわずかに嫌悪を抱いた。しかし、娘の為を思えばという考えも等しくあった。 「ちゃんと責任とるから」 その言葉の重みを、愛する娘が理解する事は決して悪しようにはならないだろう、と。 少女はまりさの面倒をよく見た。 やがて暗がりに潜むきめぇ丸に声を掛ける事も無くなった。 もちろん、それだからと言ってきめぇ丸のライフサイクルに何らかの影響がある筈も無く、 きめぇ丸はいつものように日の出に出かけ、日の入りに帰るのを繰り返す毎日を過ごしていた。 そんなある日、相変わらずダクトの上でじっとしていたきめぇ丸は、家の中から響く声を暗がりの中で聞く機会にあずかった。 「ゆふんっ、おねーさん、まりさおなかすいたよ!はやくごはんもってきてね!」 「はぁ…まりさ、おやつはさっきあげたでしょ。今日のご飯は晩御飯だけだよ。わかるでしょ?」 「な゙に゙い゙っでる゙の゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙!?!? あれだけでたりるわけないでしょおおおおおおおおおおお!!!?? まりさのおかげでおねーさんはゆっくりできてるんだから、 もっとまりさをゆっくりさせなきゃだめでしょおおおおおおおおおおおおおお!!?!??」 「もお…なんでこうなっちゃったの…あんなに良い子だったのに…」 少女は泣きたくなった。普通、こうした子供の我侭で買われてきたペットの面倒とは、子供の監督不行き届きの尻拭いを親がするのが常である。 だが、このまりさの場合はそれが一切無かった。 まりさの躾はすべて少女が行い、まりさの行動の後始末もすべて少女が行う。それが父親の提示した条件だった。 少女は容易い事だと思った。種が違えど所詮同じゆっくり、少し能動的に動くようになったきめぇ丸程度の代物だと思っていたのだ。 決められた食事の時間以外にもお菓子を与え、多少の横柄さともとれる振る舞いも可愛い我侭のうちだと許容した。 果たして銀バッヂのまりさは、見事に自分と人間の力関係を勘違いした、典型的なゆっくりと成り果てた。 「それとねえ!まりさ、この前また遊んでて食器割ったでしょ?おもちゃならここにあるんだから、家のもので遊ばないで! お母さんに怒られるのは私なのに、何で何度も同じ事繰り返すのよ! このままわがままばっかり言ってたら、あんた、捨てちゃうわよ。分かってるの?」 「ゆへっ、おねーさんはほんとうはそんなことしないよ!こんなにゆっくりしてるまりさがすてられるわけないよ!」 少女とまりさの間で交わされる不毛な会話は、きめぇ丸に自らの立場を再考させる一助となった。 少女がまりさに怒り、悲しんでいるのは、まりさの不始末の責を自分が負うから、という理由だけではないのだろう。 少女はまりさが自分を裏切った、と思っているのだ。 まりさは少女に飼われている。それは、まりさが少女の所有物であるという事だ。まりさが認めるか如何にかかわらず、少女にとってはそうなのだ。 だから少女は失望するのだ。自分の一部となった物が自分の意にそぐわない行動をとる。それが耐え難い事だと感じる。 まりさの居場所は、少女の暮らすこの家ではなく、少女の心の中にこそ存在するのだ。 きめぇ丸は生まれてからそれ程長く生きている訳ではないが、人間の最たる奇特さとはまさにこの点だと思っていた。 人間は、実際に存在する物と、その人自身にしか触れる事の出来ない、心という概念に等しく重きを置いている。 そこにあるだけの物と、自分の心の中に居場所を作った物とでは、価値がまったく違うものとみなすのである。 だから、きめぇ丸は、少女との同化を拒否した。施しを受け入れられる機はあったのに、だ。 それは野生の矜持などではなく、純粋な打算に他ならない。 人間は物質的な損得だけで動く生き物ではないから。自分の心に居場所を与えた相手に、そこを汚される事を強く嫌うから。 きめぇ丸の居場所は、今ここにある暗がり以外に存在しないのだ。 それは、この暗がりが無くなろうとも、この街のどこへでも飛んで行けるきめぇ丸だからこそ思い至れる理屈なのだろう。 そしてきめぇ丸は、その新たな住処で今と変わらない生活を送るのに違いない。 だが、疎まれ、屠られ、甚振られ、それでもなお地を這い生にしがみつくこの街のゆっくり達を見てきたきめぇ丸は、ひそかな望みを抱いていた。 それはきめぇ丸一頭だけでは決して叶えられないものだが、それほど悲観的な望みだとは思っていなかった。 「はあー。あのまりさもあんたみたいに大人しければいいのにねえ」 きめぇ丸が腹ごしらえをする時は、自らを付け狙う空の住人達から逃れるために、人間のテリトリーで獲物を探す。 歩道を人の手の僅かに届かない高さで浮遊する姿は奇異のまなざしを集めるが、あからさまに排除しようと働きかける者は居ない。 彼らが嫌悪するのは路地裏に蠢き、廃棄物を荒らす饅頭達であって、建造物の隅に張り付く虫達を食む奇妙な鳥もどきなど歯牙にもかけない存在だ。 今日もそこでの狩りを終え自分の居場所へ戻って来たきめぇ丸は、その場に居た母親による返答を期待していない愚痴を聞かされている。 「バッヂなんて言っても、所詮あんなものよね…まぁ…しょうがないわよね…」 あれから数日、まりさの態度に改善の見込みは無い。 少女の必死の躾もむなしく、昨日における狼藉は遂に母親による最後通告を引き出させた。 『またやったわね!ちゃんと躾けてるの?全然変わらないじゃないの!!』 『う、ちゃ、ちゃんと言ってるよ。でも…まりさ!やっちゃ駄目って何度言ったらわかんのよ! あと!こういう事したらきちんと謝るって、教えてるでしょ!?』 『ゆぷぷぷ、おねーさんもおばさんもぜんぜんゆっくりしてないのぜ。まりさはあやまるようなことなんてしてないのぜ』 『こいつっ!』 『待って、待ってお母さん…あと一回だけ!一回だけ!お願い…』 『…次はないからね』 もちろん、本気の怒りをぶつけたわけではなかった。最初からこうなるのは予想できた事なのだ。 わかってて放置したのである。罪悪感を感じない筈は無い。 しかし、母親はまりさの事を娘より可愛いとは思わなかったし、これからも思える事は無いだろうと確信していた。 それは、子供が縁日で取ってきた金魚に対して母親が抱く感情と同じだった。 ただそれに比べて少し煩く、癇に障る饅頭。母親にとってのまりさはその程度の存在だった。 母親の心の中に、まりさの居場所など最初から無かった。 結局夫の想定どおりになってしまっているのは少し気に食わなかったものの、何かを覆そうという気など毛頭無い。 精々、事の済んだ後には娘のサンドバッグ役を引き受けてくれればいいと考えていた。 「ま…あんたに言ってもしょうがないか」 肩をすくめながら母親は、勝手口の方へ戻っていった。 きめぇ丸は相変わらず、暗がりの中でじっと佇んでいた。 「ゆっふふ~ん、きょうはおでかけなのぜ!こんなにゆっくりしてるまりさはもっとひろいせかいでけんしきをひろめるべきなのぜ! そんなこともいままでわからなかったおねえさんはおばかなのぜ!ちっともゆっくりしてないのぜ!」 「…」 「おねえさんきいてるのぜ?みみがばかになっちゃってないのならさっさとこのせまいかごからだすのぜ! こんなせまくるしいばしょはゆっくりしてるまりさにはにあわないのぜ!」 「うん…もうちょっとだけ…我慢してね…まりさ…」 「ゆふん!おねえさんはいっつもそうなのぜ!まりさはいっぱいおねえさんをゆっくりさせてあげてるのに、 まりさのことをぜんぜんゆっくりさせてくれないのぜ!おねえさんはどうしようもないおんしらずのおばかさんなのぜ! こんかいだけはゆるしてあげるけど、こんどまりさのことをおこらせたらせいさいなのぜ!」 「…」 少女はもはやまりさの言葉に応答する事は無かった。 何も言わないまま、ケージを抱えて車に乗り込むのを見届けた父親は、アクセルを踏んだ。 「おお、つかれたつかれた…」 肌を茜色に照らされたきめぇ丸はその日も暗がりへと戻って来た。 何も変わらない日々。きめぇ丸はそれに格別な不満も無かった。 しかし、それは前触れ無く唐突に終わる。 それはきめぇ丸の小さな望みが叶う時だった。 「あー!あー!」 「!」 「あー!あー!あー!」 西の空から響く奇妙な鳴き声。それを聞いたきめぇ丸は弾かれたように暗がりから抜け出て、屋根の上から夕日の方角を見やった。 「おお…」 きめぇ丸は、嘆息した。 そこには、空飛ぶ饅頭の奇妙なシルエットが、数十頭もの編隊を成していた。 空に在っては捕食者として地位の低いきめぇ丸だが、だからこそ数の力の持つ意味を知っている。 若く力の足りない個体達は、群れて互いの安全を保障しあうのだ。 きめぇ丸が一頭で生きるのを悪しく思っていなかったのは確かな事だ。 だがその事と、自身の望みを捨てるかどうかという事は、まったく別の事だ。 きめぇ丸は、わき目もふらずに飛び立った。 「あ…」 少女はガレージからそれを見た。後ろには、車を降りた父親と母親が控えていた。 少女が言葉を口にする間も無く、それに手を伸ばす暇すら与えられないまま、 きめぇ丸は、そこを目指して飛び去った。 今まで暮らしていた、自分の居場所を振り返る事無く。 今まで抱いていた、ほんのささやかな望みを得る為に。 もしも最初に、少女とその家族が、その暗がりからきめぇ丸を追い立てようとしていれば、きめぇ丸はそれに従ったに違いない。 しかし、そうはならなかった。 そして、きめぇ丸はかつての居場所に、何も残す事は無かった。 きめぇ丸は、去って行った。 新たな、自分の居場所へと。 少女は何も言わずに、それを見つめていた。 やがてその影が、沢山の空飛ぶ饅頭達の一粒に埋没して、夕日に照らされる街を後にするまで。 母親と父親も、何も言わずにそれを見つめていた。 「ただいまーっ」 学校から帰って来た少女は、家の扉を開けようとすると、そのまま立ち止まった。 そしてしばらくすると、その場を離れ、家の裏手へと歩を進める。 少女は、そこで足を止めると、視線を上へと向けた。 室外機へと繋がるダクトと屋根の間にある、小さな隙間。 「…」 その暗がりには、何も無かった。まるで、家の建った時から、今に至るまで何も無かったかのように、ただ暗がりがあるだけだった。 少女はしばらくそれを見つめていたが、やがて振り返ると玄関へと戻っていった。 夕日の入らない暗がりは相変わらず、ただそこにあるだけだった。
https://w.atwiki.jp/gamemusicbest100/pages/4548.html
かめおか なつみ フリーで活動している作・編曲家。かつてはプロキオン・スタジオに所属していた。 オーケストレーションを得意としており、『テイルズオブレジェンディア』や『戦場のヴァルキュリア』のオーケストレーションや、 ゲーム音楽コンサート「Press start」などのオーケストラコンサートにおける採譜・写譜の仕事を行っている。 2009年にプロキオン・スタジオへ入社。主に光田康典氏と共にイナズマイレブンシリーズの音楽を担当。 ゲームだけでなくアニメ版、劇場版といった多くの作品を担当しており、イナズマイレブンシリーズのサウンドの立役者の1人となる。 2013年にプロキオン・スタジオを退社しフリーとなるが、その後もイナズマイレブンシリーズのサウンドに関わり続けている。 ゲーム以外でもドラマ・アニメ音楽のオーケストレーションやレコーディング、アレンジアルバムの編曲など活動の幅は広い。 近年ではアニメ版『艦隊これくしょん -艦これ-』の劇伴を担当した。作曲者の違うゲーム版の音楽は使われていないが、オーケストラを使用した豪勢な劇伴は好評である。 参加作品の一例 テイルズオブレジェンディア (オーケストレーション) 戦場のヴァルキュリア -Gallian Chronicles- (オーケストレーション) ラストレムナント (オーケストレーション) イナズマイレブンシリーズイナズマイレブン2 脅威の侵略者 イナズマイレブン3 世界への挑戦!! イナズマイレブンGO イナズマイレブンGO2 クロノ・ストーン イナズマイレブンGO ギャラクシー ゼノブレイド (“Beyond the Sky”編曲) ゼノブレイド3 (編曲、ピアノ・ハープアレンジ) エースコンバットX2 ジョイントアサルト (オーケストレーション) Wizardry Online BLACK WOLVES SAGA 新・光神話 パルテナの鏡 (オーケストレーション) 剣が君 百年戦記 ユーロ・ヒストリア (編曲) インペリアル サガ (編曲) ファイナルファンタジー ブレイブエクスヴィアス (オーケストレーション) ポップアップストーリー 魔法の本と聖樹の学園 (編曲) ドラマチックRPG 神つり (編曲) サガ スカーレット グレイス (編曲) ヴィーナスランブル (編曲) GOD EATER 3 (オーケストレーション) キングダムハーツIII (オーケストレーション) チョコボの不思議なダンジョン エブリバディ! (編曲) CODE VEIN (オーケストレーション) エンゲージソウルズ (編曲) ファイナルファンタジー クリスタルクロニクル リマスター (オーケストレーション) キングダムハーツ メロディ オブ メモリー (編曲) パラノマサイト FILE23 本所七不思議(編曲) スーパーマリオRPG(Switch) (編曲) 外部リンク KAMEOKA NATSMI
https://w.atwiki.jp/udk_tips/pages/50.html
☆ 題名 ☆ ☆☆☆☆☆ RPGMOD(仮) ☆☆☆☆☆ 選考1 ラストガイア・ダークミレニアム 選考2 セブンスブレード 選考3 ザイラギレオス ☆ 概要 ☆ unreal development kit を使ったRPGMODプロジェクト 強い的を倒すと、少しづつ強くなる 強い的が強い武器・防具を落とす ジャンプ・ダッシュがあるアクションRPG 最初はダンジョンだけにする。最終的には街や広いフィールドも構築する ☆ スタッフ ☆ wideboxP 担当 CharacterDesign、 MonsterDesign、 Modeling、 Mapping 使用ツール 六角大王SUPER5、 SAI、 (XSImodtool) イマノブ 担当 MonsterDesign、 ItemDesign、 Modeling、 Mapping、 Programing、 Music 使用ツール XSImodtool、 photoshop、 MusicMaker ☆ 進渉状況 ☆ 1st. SET 構成・方向性 100% 主人公モデル 60% 剣 20% モンスター 22% 回復アイテム 0% ダンジョン1階マップ 90% 1階洋BGM 100% テーマBGM 100% メニュー 0% ☆ IRCチャット ☆ 未定 ☆ 連絡 ☆ コメント及びimanobucsdアットgmail.com ☆ 元スレッド ☆ http //pc11.2ch.net/test/read.cgi/gamedev/1257586779/ 604 :名前は開発中のものです。:2010/01/26(火) 15 03 37 ID pr+Yrjrk ラストレムナントみたいなRPG作ってみたいが 605 :名前は開発中のものです。:2010/01/26(火) 15 36 43 ID lH95JYe7 604 imanobuと申します。いつできるかわかりませんが一緒にRPG作りませんか? 606 :名前は開発中のものです。:2010/01/26(火) 16 23 36 ID pr+Yrjrk 六角大王s-パーしか使ってないけど、いい? 608 :名前は開発中のものです。:2010/01/26(火) 16 32 27 ID lH95JYe7 606 良いですよ。 607も、もしよろしければ参加しませんか? 609 :名前は開発中のものです。:2010/01/26(火) 16 42 04 ID pr+Yrjrk じゃあ・・・ UDK TIPSのWIKIと、したろばに板作ってそこで コメント欄(誰でもコメントを残せます) test -- 名無しさん (2010-01-29 19 28 15) 今も作ってるかわからないけど期待 -- 名無しさん (2012-04-28 09 14 40) 名前 コメント トータル - 今日 - 昨日 - ~~~~~~~~~
https://w.atwiki.jp/ps3-cs/pages/168.html
トップページ > ソフトウェア > 発売済みリスト > アンリアルトーナメント3 アンリアルトーナメント3 公式サイト http //unrealtournament.jp/ 製品名 アンリアルトーナメント3 発売日 2008年3月19日 価格 7,329円 ジャンル FPS 発売元 エレクトロニック・アーツ 人数 1人 オンライン最大 16人 メディア Blu-ray Disc 対象年齢 CERO D 17才以上対象 Amazon商品紹介より 世界水準のFPS「アンリアル」シリーズの最新作「アンリアルトーナメント3」がPS3に初登場! PC版で全世界累計600万本の売り上げを誇る大ヒットシリーズの最新作です! 超一流FPSメーカー「EPIC GAMES」開発による最新FPS! 全世界450万本以上のセールスを記録した「ギアーズオブウォー」で有名なEPIC GAME社開発の最新作。 「アンリアルエンジン3」による圧倒的美麗なグラフィック 「ギアーズ オブ ウォー」「ロストオデッセイ」「ラストレムナント」などで使用されているゲームエンジン「アンリアルエンジン3」による圧倒的なグラフィック。 16人まで対応のオンライン対戦 協力モード! 「デスマッチ」「チームデスマッチ」「キャプチャー・ザ・フラッグ」「ビークル・キャプチャー・ザ・フラッグ」(乗り物に乗ってフラッグを奪い合う)「ウォーフェア」 (チーム単位の対戦モード。相手チームの基地を侵略し、フラッグを奪う。自陣にフラッグを持ち帰ると勝利)「デュエル」(1vs1対戦モード。まさに決闘!)の 6種類の多彩なオンラインモード! 迫力満点のシングルプレイヤーモード! シリーズ初「キャンペーンモード」の実装があり、一人でも安心してゲームを楽しむことができます。高精度AIにより1人プレイ時でもオンライン対戦さながらの 戦略的バトルを実現! 攻略サイト 他にもありましたら追記をお願いします。(作りかけで更新停滞/終了しているサイトは除外) 簡易ゲーム評価(5点満点。) 選択肢 投票 5 (4) 4 (0) 3 (0) 2 (0) 1 (1) ゲームの感想を一言お願いします。 コメント オンライン人かなり少なくない? ちょーおもしれー! top
https://w.atwiki.jp/okajitei/pages/123.html
'21.7 現時点で想定しているゲームシステムでは、NPCデータの簡素化を図ることが望ましい。 エリアに絡めて 戦闘マップは、エンゲージ1つを基準とする、エリア型を採用する。となると、1つのエリアに存在する敵データは、トループ/モブ状に纏まったデータであると、処理が楽になる。 データを纏める方法はいくつかあるが、ラストレムナントの仕組みを取り入れた、モンスターレート(MR)を作成する方法をとる方向で考えている。 敵データに絡めて 今作では、スーパーロボット級とリアルロボット級、どちらも戦闘ユニットとして存在可能にすることを実現テーマに含めている。その際、スーパーロボット級が戦闘する相手は軍団級の数であることが好ましく、そのデータを1対1体作成することはほぼ不可能。するとトループデータを作成するということになるが、これにMRを採用すると、処理がとても楽になる。 カンパニーデータに絡めて プレイヤーユニットに様々な恩恵を与える、カンパニーという案の導入を考えているので、これを、敵側のMRにも適用するときにはどうするか、を考えてみる。 MRにもカンパニーの恩恵がある、とするには、カンパニー関連のパラメーター数が多すぎる。そこで、リーダーユニットという代案をあげてみる。カンパニーでバフを担当するユニットの立ち位置を代用するものだが、リーダーユニットが存在するMRは、存在しないものに比べて単純に戦闘データが強くなる(&ひとつくらいは特殊スキルを行使できる)とする案。 カンパニーで扱う恩恵の範囲に比べ、リーダーユニットの存在によるMR上昇値は、限定的なものになるだろうけど、まぁ、そこは、簡素化の結果として許容範囲かな。。。
https://w.atwiki.jp/agu-agu/pages/108.html
1- セッ! ハッ! フッ! ヤァー!! まだ辺りに霧が立ち込めているなか、アグリアスは早朝から剣の鍛錬をしている。 毎日の朝起きたら素振りをする。 誰に言われたわけでもない。 自分のためだ。 特に最近は鍛錬をより厳しくした。 ――まだ、足りない ――――もっと強くならなければ だというのに、なぜだろう…? 最近、剣を持つ手が重いのだ…。 ある国(またはそれに準ずる地域)と別の国(同)との間で行なわれる商品の売買のことを貿易いう―― このイヴァリースにもいくつか貿易都市があるが、その一つにドーターと呼ばれる街がある。 陸路による貿易の中継地として発展した都市で、様々な人々が行き来する活気にあふれた町だ。 町人、商人、貴族、従者、護衛、農民など様々な身分の者達が行き来するが、当然その中には身分を明かせない者もいる。 闇商人や盗賊など・・・。それは好ましい状況ではないが、だからこそ彼らも街に入ることもできる。 「気分転換に儲け話でも行きましょうよ」 そう言ったのは元部下のアリシアだ。 「…無理に決まってる。私が儲け話に行ったら隊の守りが薄くなる」 誘いを断るのは元上司のアグリアス。 「え~、良いじゃないですか。アグリアス隊長が抜けったって大丈夫ですって。オルランドゥ伯もいらっしゃいますし…」 ――痛いところをついてくる。 シド=オルランドゥが仲間になってから、アグリアスはあっさりNo1アタッカーの座を奪われた。 そのためアグリアスはさらに剣の鍛錬を厳しくしている。 「それに依頼って意外と良い訓練になるんですよ?ほら、以前の儲け話の時には――」 確かに話に聞けば、ゴーレムだのキマイラだの普段の戦闘では相手に出来ないような敵が居る。 「そうだな。確かに己を鍛えなおすいい機会かも知れん」 「ホントですか!?やったー!!」 「だが、ラムザに許可を取ってからだ。許可がでなければ――」 「なんの許可ですか?」 突然背後から声をかけるラムザ。 「な!…ラムザ、居たのか」 「居たのか?なんて酷いなぁ」 笑いながらアグリアスの隣に座るラムザ。 「で、何の話だったんですか?」 「あぁ、実は――」 依頼についての話をするアグリアス。 己を見つめ直すため、再び更なる高みを目指すため、依頼に行く事を許可してもらうよう話した。 ラムザは話を聞き、すこし考える。 やはり無理なのだろうか。 確かにアグリアスはシドよりは劣る。だが、いまだ主力メンバーの一人だ。 そう簡単に許可が出るわけが―― 「良いですよ。許可します」 「ありがとーラムザ隊長~☆」 「い、良いのか?私の居ない間隊の守りは大丈夫か?」 喜ぶアリシアを余所に、意外にあっさり許可された事に動揺をするアグリアス。 「はい。どのみち4日間程度休養をしようと思っていましたし」 確かにここ最近は移動ずくめで皆つかれてい居るだろう。 だが、4日とは異例だ。今まで最長で2日だったものを大きく上回る。 きっと私の心情を読み取っての決断だろう。 「そうか。ありがとうラムザ。4日で終わるよう全力で頑張るよ」 心の中でもラムザに感謝をする。 「はい、頑張りましょうアグリアスさん」 ―――は? 「僕も行きます。アリシアと3人で行けば何とかなるでしょう」 「ラムザも来るのか!?」 「はい、一度依頼に行ってみようと思ってたんですよ」 2- チョコボ車に揺られドーター~ゴルランド間の交易路を移動するアグリアス。 ラムザも一緒に依頼に出るという、異例の事態となった。 ドーターに残してきたメンバーが気になるが…まぁ、大丈夫だろう。 隊を離れてはや3日―― 早く終わると思っていた依頼も意外に時間がかかっている。 話を受け、依頼者のもとに行ってみればそこはバッカス酒造。 囮のために襲われた時と同じ荷物を貸してもらい、ドーターへと向かっている最中だ。 ゴルランドは雨季乾季に関わらず雪が降る土地なので、現在荷台の布を締めきっている。 そのため景色も見れないので、なんとなく依頼書に目を走らせる。 依頼名:交易路に現われる山賊団を撃退 内容 :最近、ドーター~ゴルランド間の交易路に山賊が現れるようになりました。 しかも、狙われるのは我が社のチョコボ車だけなのです。これ以上被害の出ない内に山賊を退治してください。 ―――バッカス酒造 締め切っているおかげでチョコボ車の荷台には甘いアルコールの香りが立ち込めている。 出発した時はそうでもなかったが、時間がたち香りが強くなってきた。 初日は真剣な顔をしていたアリシアは積み荷の香りに機嫌を良くし、酒の詰まっている樽に凭れかかっている。 聞こえるのは地面をはしる車輪の音と、ゴルランドの寒風が荷台の帆を叩く音…それと寝息? 「アリシア、寝てるのか?」 一応確認をするアグリアス。 「ぇ……そんな事無ぃですょぅ……?」 スースーと寝息を立てるアリシア。 寝る前に酒を飲むと良く寝れると言うが、香りといえども油断できないものだ。 酒造からずっと御者をしているラムザに声をかけるべく外に出た。 外の空気は少し冷たく、いまだゴルランドの寒風が肌をさす。 雪は降っていないが、長時間外で御者をしているラムザは辛いだろう。 「ラムザ、そろそろ替わるぞ」 「大丈夫ですよ、アグリアスさん。防寒用のマントを3枚も羽織ってるんです。意外に温かいですよ?」 「そうか。だが、3枚も羽織っていたらだいぶ動きずらそうだな」 「そうですね。こんなところをモンスターに襲われたらちょっと危ないですね」 「ははは。確かに」 「アリシアはどうしてます?」 「アリシアは寝てるよ。中は酒の香りで充満してるからな」 「あはは。それじゃあ酒好きのアリシアは良い夢見てるでしょうね」 そんな他愛無い話を交わす。 そういえば、このところ教会やルカヴィ達との戦闘であまりゆっくり話している時間が無かった。 といっても今もあまり気を抜く事は出来ないが…。 少し沈黙が流れた後、アグリアスが言を発する。 「ラムザ」 「何ですか?」 「その…私のために無理に隊を休ませたのだろう?」 「ははは。やっぱりバレてました?」 笑みをこぼすラムザ。 「ありがとう、ラムザ」 「お礼を言われる事ではないですよ。それに、今までがちょっと急ぎ過ぎたかなて思ってたんです」 確かに気の休まる事のない長い旅だ。だが、ゆっくりもしていられないのも事実だ。 まだオヴェリア様のお傍に戻る事も出来ないし、アルマ殿もルカヴィ達に攫われたままだ。 きっとラムザは急く心を必死に抑えているのだろう。 「でも、依頼に行きたい言っいったのも事実ですよ?」 「…お前は強いな」 「いえ、そんな事は―」 「いや、お前は強いよ。常に自分以外の事にも目を向け、気を配り、戦ってきた」 ―だと言うのに私はどんどんと弱くなっている。 あまりの自分の不甲斐なさに涙が出そうになる。 「すまん。愚痴を言ってしまったな」 やはり少し酒に当てられたのかもしれない。 「もう直ぐクルス山にさしかかる。クルス山の入り口で夜まで待つだろ?」 「はい、そのつもりです」 「では私は後ろに戻るよ。交代したくなったらいつでも声をかけてくれ」 「アグリアスさん」 「何だ?」 「僕はいろんな人に支えられてここまでやってこれたんです。ラッドやアリシアやラヴィアン…。 でも一番支えられたのはアグリアスさん、貴女に支えられました」 「私にか?」 「はい、ゴルゴラルダ処刑場でアグリアスさんが僕を信じてくれたから…」 ゴルゴラルダ処刑場でアグリアスが言った言葉。 あの時は必至だったが、今思い出すと少し恥ずかしい。 「あ、あの…アグリアスさ――」 ガゴン! ラムザの言葉を遮るようにチャコボ車が少し揺れた。 どうやら小石の上に乗り上げたようだ。 と、同時に荷台からゴッ!と音が鳴る。 『ぃった~ぃ。……あれ、アグリアス隊長は?』 荷台から場違いな声が聞こえてきた。 「どうやらアリシアが起きたようだな」 「…の、ようですね」 真剣な顔からいつもの笑顔に戻るラムザ。 「で、何だ?」 「は?」 「何か言い掛けていたではないか」 「い、いえ、何でもないんです!何でも…」 「?」 「まだ、寒いですから荷台に入ってください」 「あぁ、そうさせてもらうよ」 先ほどまでの真剣な顔はいったい何だったのだろう。 気にしながら荷台に戻るアグリアス。 ラムザと話をして少しすっきりした。 到着まで少し寝よう。 地面を走る車輪の音と、ゴルランドの寒風が布を叩く音が聞こえる。 こころなしかさっきよりチョコボ車のスピードが上がったようだ。 3- クルス山の麓にはすでに商用チョコボ車が何台か停まっていた。 ドーターの北に広がるゼクラス砂漠。昼間は摂氏50度にもなるかと思えば夜間は一気に氷点下まで下がる『死の砂漠』。 そのため、商人たちは商品の傷まないように日の入り~日の出の間に移動する。 ラムザ達は他のチョコボ車をまきこまないように少し時間を置いてから出発する事にした。 盗賊と戦闘するため、チョコボ車の布を全部空ける。 運のいい事に風も弱まり、空も晴れた。 ラムザ達の乗るチョコボ車を後ろから照らすように月も出た。 おかげで月の光が道を照らしてくれるので、戦闘になってもある程度は動けそうだ。 「しかし、意外に強い物だな」 「―え?何ですか?」 酒の香りで少し呆けていたアリシアが聞き返す。 「いや、香りがな。布を上げておいてもまだ香る」 「まぁ、天下のバッカスシードですから」 「バッカスシード?」 アグリアスは聞いた事のない言葉に興味を持った。 「はい。バッカス酒造の主力商品でバッカスリキュールと言う物があるのですが、そのリキュールに使われる果実がバッカスシードです。 バッカスシードは決まった土地でしか採れないうえに、その香りは豊潤にして強烈な甘匂を発するんです」 「ほぅ、ではこの香りもバッカスリキュールから香っているのか」 「いえ、この香りはバッカスリキュールと言うか…きっとコレだと思います」 そういうとアリシアは背にしている木箱を叩いた。 「これはバッカスの酒と呼ばれる幻のワインなんですよ」 バッカスの酒…聞いた事がある。 たしか上級貴族ですら飲めることも稀だと聞く。 ―だとすると、このチョコボ車が狙われるのはそこにあるのかもしれない アグリアスが盗賊の傾向について思案していると、急にチョコボ車が止まった。 「アリシア、アグリアスさん」 御者をしていたラムザが言を発する。 「前方にミノタウロスと…ゴブリンが3体だな」 「盗賊の姿が見えませんね」 アリシアが辺りをキョロキョロを見回す。 「暗闇に紛れている可能性が高い。アリシアはチョコボ車を護衛しろ。私が前方の敵を倒してくる!」 「僕はアグリアスさんの援護ついでに、召喚獣を呼び出して盗賊を威嚇します」 「よし、では行くぞ!」 チョコボ車から飛び降りるラムザとアグリアス。 ラムザが召喚獣を呼ぶならばゴブリンは無視しても構わないだろう。 アグリアスは目標をミノタウロスに定め、夜の山を疾走した。 「風、光の波動の静寂に消える時 我が力とならん… シヴァ! 」 シヴァの放つ氷河の結晶がゴブリンとミノタウロスを凍らせていく。 『ゴブー!!!』 『モ゛!』 モンスター達は堪らず悲鳴を上げる。 ゴブリンはこれで倒せただろうが、ミノタウロスはまだ動けるだろう。 その体躯は見せかけではなく、繰り出される攻撃、攻撃に耐えうる体力量は脅威に値する。 実際この下位種である牛鬼と戦ったときも、初めはその体力量に軽い恐怖を覚えたくらいだ。 だが、それも簡単には倒れないと判っていれば、それに合わせて戦えばいいだけのこと。 アグリアスの予想道理、氷を砕きミノタウロスが動き始めた。 夜間の戦闘は普通ならば避けた方が良い。 何故なれば視界が悪いため、敵との距離を把握し辛いからだ。 だから、ナイトやモンクのように近距離から攻撃をするジョブには夜間はきつい。 また、周りの状況も判らないため自分の置かれている状況もわからない。 そういう意味ではアグリアス達は幸運だった。 月明かりが周りを照らし、昼までとは行かずともある程度、周りの状況を把握できるからだ。 そしてアグリアスは近距離からの攻撃をしなくとも相手を討つ事が出来る。 「命脈は無常にして惜しむるべからず… 葬る! アグリアスの不動無明剣が敵を討つ。 『ブモ゛ー…』 一声を上げ、地面に倒れるミノタウロス。 同時に背後からアリシアの悲鳴が聞こえてくる。 「きゃー!」 ―新手!?…いや本命の盗賊か! 踵をかえしてチョコボ車に向かおうとするアグリアス。 それを待っていたかのようにミノタウロスが立ちあがる。 さすがにしぶとい。 アグリアスは再び聖剣技を繰り出すために体制を整える。 ふいにミノタウロスの体が大きくなった―そんな感覚がした。 ――まずいッ!! アグリアスは咄嗟に盾を構える。と、同時にミノタウロスがツルハシを振り回し始めた。 ギンッ!ガガガッ! ミノタウロスの全力を持って振り回されるツルハシは嵐のように、その範囲に居る者を薙いで行く。 ギリギリ範囲内に居たアグリアスは何とか盾で防ぐ。 これがもう少し近ければ暗い森の中に飛ばされていただろう。 またギリギリ範囲内にいると言っても少しも後退する事は出来ない。 アグリアスの全力を持って盾を支えなければ今にも飛ばされそうだからだ。 ガガガッ――!!ガッ! こうなっては攻撃が止むまで耐えるしかない。 盾が削り取られているような不安を覚える。 昔、嵐が過ぎるまで怯えていた自分を思い出す。 ガッ!ガッ!ガッ!―ガッ! 少しずつ嵐が弱くなった。 ラムザの攻撃に、不動無明剣を受けているのだ。 残りの体力も少ないだろう。 それなのにこれほどまでの力を繰り出すとは、流石と言わざるを得ない。 この好機を逃すアグリアスではない。 防御から攻撃に転ずるため盾に伝わる音と衝撃に神経を集中させる。 ガガッ!―ガッ!―ガッ!――ガッ! 確実に遅くなってきた事を確認し、次の攻撃に備え剣を握る手に力を入れる。 ―――ガッ! ツルハシが盾に当たった瞬間、攻撃と同じ回転方向に体を翻す。 その反動を持って側面から攻撃をするアグリアス。 勢いを持った剣はミノタウロスの体に深々と沈む。 『グモゥ…』 アグリアスを横目に力尽きるミノタウロス。 ある意味モンスターだからこそ使えた手である。 人間が相手なら相手がタイミングを図っているのも判っていただろうし、またそれに合わせフェイントを繰り出してくる可能性もある。 ミノタウロスから剣を引き抜き、チョコボ車へと向かった。 4- (ちょっとラムザ視点です) チョコボ車に駆け寄ると、馬車の近くで座り込んでいるアリシアがいた。 盗賊が近くに居ないか気を張り、アリシアに声をかける。 「アリシア、大丈夫!?」 「エヘヘ、ケーキかったらモルボル味でしたよ~?」 ――は? 戦闘中に何を言ってるんだろう?っていうかモルボル味って?? もしかすると盗賊に襲われて軽い混乱状態なのかもしれない。 正気に戻すため、とりあえず揺すってみる。 「しっかりしてよ、アリシア!」 「いやん、ラムザ隊長ご~いん♪私はイイですけど、皆が見てますから――」 ……駄目だ。完全に混乱してる。 ムスタディオやラッド相手なら殴ってるところだけど、相手はアリシア。 正気に戻すためとはいえ、殴ればあとで何を言われる(or 要求)されるか判らない。 ラムザは少し手間をかけてエスナを唱える事にした。 詠唱中にアリシアが騒いだり、殴ってきたりとなかなか詠唱が終わらない。 「―そを与えたまえ!エスナ!」 やっとの事で完成したエスナがアリシアを包み込む。 「この間、夜中にアグリアス様が一人で――アレ?」 正気に戻り、状況が判らないとばかりに目をパチパチさせるアリシア。 アリシアの話の続きが気になったが、今はその時ではない。 「ラムザ、賊は!?」 遅れてやってきたアグリアスが、盗賊の居場所を聞いてきた。 "―ゴトッ! バキッ!!" 荷台から物音が聞こえた。 アグリアスは荷台に乗りこみ、酒を飲んでいる人影に向かって斬りつけた。 「盗賊め、覚悟しろ!!」 が、剣は空を斬り、影は跳躍し荷台の屋根を突き破る。 影を追い表に出ると、月を背に酒をラッパ飲みしている女。 「キャっ」 「な、ななな…!!!」 「うわッ」 思わず声を上げる一同。 それもそのはず。その女はほぼ裸。胸と腰だけを隠す布を付け、手と足は黒く闇に融けている。 豊満な胸を隠す布も隠し切れているとは言えない状態で、下乳が見えている。 なにより一同を驚かせた事はその女の背中には黒い羽が生えていた。 「あーッ!私のお酒ぇ――ーッ!!!」 目の前で消えていく幻の酒に悲鳴を上げるアリシア。 いや、アリシアのじゃないし。 「ゴメンね。もう全部飲んじゃった☆」 空になった瓶をアリシアの前に投げる。 とうのアリシアは目の前で酒が消えた事に衝撃を受けて動けなくなった。 アグリアスも目の前に現れた女に動揺を隠せない。 「き、貴様!は、恥ずかしくないのか!?」 「ん~?何が恥ずかしいの?」 酒を飲んでいた女は首をかしげる。 「その格好だ!」 「あぁ、コレ!」 そういうと、完全に胸を隠し切れていない布を引っ張る。 「わ、ば、馬鹿者!そんな事したら…」 「私はこんな布いらないんだけど、こっちの方が燃えるらしいのよね。なんて言うの…チラリズム?」 「破廉恥な!女なら慎みというものを―」 「アグリアスさん、落ち着いてください。アレは人じゃないですよ」 「人だろうが、モンスターだろうが、慎みは必要だろう!!」 その考えだと、チョコボやウッドマンも服を着ろと言う事なのだろうか? 「とにかく落ち着いてください。アレは多分リリスですよ」 「リリス?―あの妖魔リリスか!?」 アカデミー在学中に読んだ文献によればそれは生命の母とも、最初の悪魔とも云われ、男性に対して害をなす存在だとか。 「あら、意外に物知りね。それに――」 フッと目の前から消えた。 「可愛いだけじゃない。…イイ男☆」 ラムザの側面に現れたかと思うと、突然抱きついた。 「き、きき、貴様ッ―!!ラムザに抱きつくとは命が惜しくないようだな、色魔め!!」 「私の名前はサロメ。そこら辺に居るサキュバス達と一緒にしないで」 「リリスってサキュバスと違うんですか?」 「そんな事も知らないの?失礼ね。…食べちゃうわよ?」 「何を平然と会話をしているのだ、ラムザ!」 「いぇ、そんなつもりは…」 「言い訳は良いから早く振りほどかんかッ!!!」 「は、はい!――あ、アレ?腕が」 リリスはただ抱きついただけでなく、左腕と剣を握っている右手を抑えていた。 「ダ~メ~。貴方の事気に入っちゃった☆」 それでもどうにか振りほどこうとするラムザ。 しかし流石は悪魔種。抑え込む力はとてつもなく、ビクともしない。 せいぜい動かせるのは肘くらいだが、しっかりくっつかれているため肘打ちもほとんど意味がなく、さっきから豊満な胸にポヨポヨと当たるのみ。 「あん☆私のおっぱい好きなの?直に触ってみる?気持ちイイよ~☆それとももっと気持ちイイことする?」 「な―!」 ラムザが驚愕の声を上げる。 当然、リリスの誘いを断ろうとするラムザ。 だが、その言葉が発するよりも早リリスがある言葉を紡ぐ。 「青き海に意識薄れ、沈み行く闇 深き静寂に意識閉ざす… 」 ―これは夢邪睡符!? 気付いた時にはもう遅く、ラムザの意識は遠のいていった。 その2へ
https://w.atwiki.jp/obbligato207/pages/537.html
リギノス古王朝 西方暦620年頃、旧王朝諸国にリギノスが興る。 この国の元首デリマナ聖王?は、リギノスは古王朝の末裔であると宣言して国号に用いているが、記録は残っていないので真実のほどはわからない。 ダカイト・ラズマ帝国が南下戦略で警戒するほどの力ある古操兵を保有していたが、ラズマ戦役の最中、帝国随一の軍略家ロート・ブレイドゥに封じられた。 首都シラク? 騎士団 狩猟機シュードラ