約 4,279,229 件
https://w.atwiki.jp/agu-agu/pages/109.html
5- ぐったりとリリスに凭れかかるラムザ。 「貴様、ラムザに何をしたッ!?」 「暴れたら面倒だから、寝て貰っただけ。―今夜は良い夜ね」 「何!?」 「お酒の匂いでまた来てみれば、お酒の他にオ・ト・コ付き☆」 「ふ、ふざけるなッ!だいたい、逃げられると思うか!」 聖剣技を繰り出す。 リリスはラムザを離し、回避する 「聖剣技が使えるのね~。感心感心」 「ああ。神の加護より繰り出される剣技だ。ラムザは渡さんぞ、妖魔!」 「"は"…って。何?貴女、仕事よりラムザちゃんが大事なの?」 「む…つ、積み荷も渡さんぞ!」 「! は~ん、貴女、彼のこと好きなのね?」 「そ、そんな事は―」 「そう、そうなんですよ!隊長は――」 「アリシアァ!」 「………ゴメンナサイ。何デモナイデス」 「ラムザは隊の長だ。…尊敬はしている」 「それだけ?」 「それだけだ!」 「ふ~ん、そう」 少し思案した後、リリスは予想外の言葉を発した。 「ねぇ、貴女のしぶとさに免じてお酒、置いていってあげる」 「何?」 「お酒も良いけどたまには男も良いな~って☆」 「ふ、ふざけるな!それに貴様を倒す事がそもそもの目的!!積み荷は消えても、貴様をかえすわけにはいかん!」 「あ、そう。馬鹿ね貴女。折角私が見逃して上げるって言ってるのに」 リリスはヤレヤレと肩をすくめた。 「私ね。リリスの中でも結構好き嫌いない方だけど、どうしても我慢できないものがあるの。それが―」 高スピードで跳躍してくるリリス。 「―貴女みたいに自分の気持ちに嘘をついてる人よっ!!」 アグリアスに爪攻撃を仕掛ける それをを左後方に転がり避ける。 起き際に聖剣技を繰り出そうとするが、見当たらない 「鈍~い♪」 右後方から声がし、咄嗟に盾で防御 リリスの回し蹴りをもろに食らい吹っ飛ぶアグリアス。 「ホーリー!」 アリシアが唱えたホーリーがリリスに直撃する 「うふふ♪私には聖魔法なんて効かないわよ?」 「青き海に意識薄れ、沈み行く闇 深き静寂に意識閉ざす… 夢邪睡符!」 アリシアが力なく倒れる。 「ホーリーが駄目なら、これならどうだ!」 アグリアスの乱命割殺打がリリスに向かって放たれる。 しかしリリスはさっと飛び去り、聖剣技を避ける。 「はい、ハズレ」 「チッ!」 「貴女はだいぶ鍛錬を積んでるわね」 「何だと?」 「剣技を見てれば判るわ。所々鋭く、綺麗な剣線をしてるもの」 「――何が言いたい」 「リリス族って、相手の心が読めるの。心に隙のある人は特にね。だから貴女の攻撃も避けれた」 心が読める?―剣を極めて行くと相手の心が読めるようになると聞くが・・・。 「そんなんじゃないわ。例えば…ふ~ん、貴女、今の隊に居場所がないようね。強い人が入って居場所がなくなったってところかしら?」 ――! 本当に自分の心が読まれている事をしり、動揺を隠せない。 「その人が入るまで自分は腕のたつ剣士だ~、そこら辺の騎士より優れている~って思ってたでしょ?そう言うのをね、慢心って言うのよ!」 リリスの爪がアグリアスに迫る。 「クッ!」 アグリアスは迎撃するように剣を振る。 しかし、驚いた事にリリスの爪はアグリアスではなく、剣をしっかりと掴んでいた。 「貴女より強い人間なんて沢山いるわっ!―自分の慢心に気がつかない限り、貴女の居場所は見つからないし、自分より強い人にも勝てない! どんなに鍛錬を積んだってねッ!!」 言い終わるや、もう片方の爪がに迫る。 アグリアスはそれを寸前のところでかわす。 だが避けた直ぐ後、爪を追うように回し蹴りが迫って来た。 「心が影響を及ぼすのは剣だけじゃないわ。当然動きも鈍る!!」 ――避け切れない! アグリアスは咄嗟に盾で防御をする。 「そんなヘタれた盾じゃ防げないよ!」 リリスの回し蹴りをもろに受け盾が砕ける。 衝撃で吹っ飛んだアグリアスは山の岩肌に叩きつけられた。 「グハッ!」 拙い―!予想よりダメージが大きい。 だんだんと口の中に血の味が広がるのを感じる。 「あはは☆――動きも鈍い、剣も鈍い、そして自分の気持ちにも鈍い!ホントにイライラすわ、貴女を見てると!!」 確かに自分は慢心していたのかもしれない。 以前から雷神シドの噂は聞いてたし、騎士として尊敬している人物である。 騎士団時代はそのオルランドゥをも超えるよう鍛錬を怠らないようにしていた。 だから、聖剣技を自在に駆使し、ラムザと一緒に旅をするようになってからも頼りにされていた。 多種多数のモンスターを倒し、伝説に詠われるルカヴィとも渡り合った。 それがため、「もはや自分はオルランドゥ伯に並んだ。いや、超えたかも知れぬ」と慢心に繋がっていたのだ。 6- アグリアスは重い体に鞭をうちなんとか立ちあがる。 「まだ戦うの?シブトイわね」 戦況は確実に不利。 敵にこちらの攻撃はあたらなく、盾も壊れてしまった。 叩きつけられた影響で、体も重く感じる。 ケアルで何とか出来るだろうが、唱えている間にやられるのがオチだ。 「ねぇ、最後に教えてよ。何のために剣を振るうの?」 剣を振るう理由、戦う理由―― 「名誉を挽回したいから?」 そうじゃない違う。 「アハハ!騎士って人種は本当に哀れね。民を守るとか言いながら、心の中では卑下している。貴女が騎士になったのも地位と名誉が欲しかったからなんでしょ?」 私は―――― 「サヨウナラ、騎士さん」 リリスの爪がアグリアスに伸びる。 その攻撃を剣で弾くアグリアス。 「―確かに私は弱い。慢心し、守るべき君主の側にも居ず、今も貴様にやられそうだ」 突然のアグリアスの言葉に怪訝な顔をするリリス。 だが、止めを刺さんと再び回し蹴りを繰り出す。 「だが、どんなに弱くても、どんなに鈍くても譲れないものがある」 回し蹴りをしゃがんで避けるアグリアス。 「権力や地位など関係ない」 右斬上に剣を振り上げる。 「助けを求められれば助けたい」 (早い―!?) 予想外のスピードに避ける事も出来ず慌てて爪で受け止める。 「大切な人を守りたい」 リリスはいったん距離を取ろうと翼を羽ばたかせる。 「私は、私を必要としてくれる者の為に戦う!それが私の戦う理由だ!!」 アグリアスは逃げようとするリリスの手を掴む。 「死兆の星の七つの影の 経路を断つ! 北斗骨砕打! リリスはアグリアスに掴まれ避ける事ができず、放たれた北斗骨砕打が体を貫いた。 「あ…」 小さく呻き崩れ落ちた。 暫く倒れたリリスの様子を伺うアグリアス。 リリスからは殺気も戦意も感じ取れない。 北斗骨砕打が綺麗に決まったから良いようなものの、決らなかったらやられていたのは私の方だった。 妖魔リリス――、破廉恥で心を読む厄介な敵だった。 だが、おかげで自分の間違いに気づく事ができた。 それに忘れれかけていた戦う理由も。 きっと止めを刺そうとすればいつでも刺せたのだろう。 何のためにリリスがあんな無駄口を叩いたのかは判らない。 そういう性格なのかもしれない。 ――だが、もしかすると自分を諭すために? もしそうだとするなら相当な御節介者だ。 「…!」 突然、眩暈がし思わず片膝を付く。 やはり叩きつけられたダメージがそうとう効いているようだ。 ケアルラを唱え、体力の回復を図る。 癒しの光が体を包み、次第に体も軽くなって行く。 積み荷も完全な状態とは言えないが、なんと守る事も出来た。 ラムザとアリシアも夢邪睡符で寝ているだけだから、問題あるまい。 しかし、依頼とはこんなに大変なものなのだろうか? だとすればいつも儲け話に行っているラヴィアン・アリシアの評価をもっと上げる必要があるな。 ケアルラをかけ終わり、体に力が戻って来たのを確認するアグリアス。 ふと視線を上に戻すと、そこに倒れているはずのリリスの姿がない。 「逃げた――か?」 そう思ったが、倒れていた場所に掌大の石像が落ちている。 それは羽の生えた女性像で先ほどまで倒れていたリリスに似ている。 「あぁ、そうか。リオファネス城で倒したアルケオデーモンも倒したら石になったな」 悪魔種とはきっとそういうものなのだろう。 アグリアスは地面に落ちているリリス像を手に取った。 ――フフフ。私を倒すなんてやるじゃない。これからは自分の気持ちに正直になりなさいよ そんな、リリスの声が聞こえた。 少し驚いたアグリアスだが、直に苦笑する。 「本当に御節介だな、貴様は」 7- ハッー!ヤッ!フッ! ラムザ一行が宿泊する宿の裏手で、アグリアスはいつものように鍛錬に勤しむ。 依頼を受けてから4日目でドーターに戻った。 酒場では異例の速さに報酬にイロを付けてくれ、休暇を楽しんでいたメンバーも称賛の言葉をかけてくれた。 だが、夜間戦闘からの帰還で眠さがピークに達していた為、直ぐに寝てしまった。 そして今日にはドーターを発たなくてはいけない。 だから、朝から鍛錬に勤しんでいるのだ。 そんなアグリアスを心配して、ラムザが声を掛けて来た。 「アグリアスさん、大丈夫ですか?昨日帰ったばかりなのに休まなくて」 「なに、心配するなラムザ。今日は素振りだけにするよ。あと300回程で止める」 (300回のどこが軽いんだろう?) ラムザも鍛錬をするが、300回と言ったら普通の鍛錬と変わらない気がした。 「おぉ、今日も鍛錬をしておるのか。結構結構」 「あ、伯。おはようございます」 「おはようございます、オルランドゥ伯」 「うむ、二人ともおはよう」 一旦、素振りを止めたアグリアスだが、挨拶を終えると直ぐに素振りを始めた。 そんなアグリアスをじっと見るシド。 「―うむ。迷いがない良い剣線だ。迷いが吹っ切れたようだな」 「はい!ですが、まだまだオルランドゥ伯の足元には及びません」 「なに、儂は長い年月を経て今の力を手に入れたのだ。きっと貴殿と同じ頃の儂なら負けておるよ」 「ご謙遜を」 「ときにラムザ。報告書は読ませてもらったよ、妖魔リリスとはなかなかの相手だっただろう」 「いえ、僕なんか直ぐに眠らされちゃって戦ってないんです」 「ならば、君もアグリアスを見習って鍛錬に勤しむがよい。 君はどこか自分の命を軽率に見ている感がある。 己が死んでしまったら、多くの人が悲しむことになる。そうならないようにな」 「はい」 シドの言葉をおもおもしく受け止めるラムザ。 「とこで、リリスを倒したとなれば、リリス像が手に入ってのではないか?」 「あ、はい。あの像ですか。他の財宝と一緒に管理してありますよ?」 「うむ、昔からリリス像は持つ者の力を高めると云われ、歴代の武人が好んで収集したものなのだよ」 「へ~」 「でな、少し儂に貸してくれんか?」 「え?構いませんが――」 「そうかそうか。ではさっそく―――」 上機嫌に去っていくシド。 「ねぇ、アグリアスさん」 「何だ?」 「伯が言っていていたように依頼を終えてから、 特にリリスを倒したあとから以前のように何か吹っ切れたような気がするんですけど、何があったんですか?」 「ん―知りたいか?」 アグリアスは素振りを止め、ラムザに向き合う。 「ラムザもアリシアも眠らされた後も、あのリリスは色々な罵声を私に浴びせて来たんだ。 その中でリリスは私に戦う理由を詰問してきた」 「戦う理由ですか?」 「あぁ。だから言ってやった。私は私を必要としてくれる人のために戦うのだと」 「―なるほど。でも、リリスも何でそんな事を言ったんでしょうね」 「さぁ、私にも判らない。だが、おかげで自分を再認識する事が出来た」 少し間が空いた後、アグリアスが真剣な面持ちで言う。 「ラムザ、これからも――私を必要としてくれるか?」 それはとても深くて、重みのある言葉。 だけど、ラムザはいつもの笑顔で答える。 「もちろんです。僕にはアグリアスさんが必要です」 「ありがとう」 ラムザは出発の準備をすると言い、その場から離れて行った。 それを見送り、アグリアスは鍛錬を再開する。 正直にいえば、自分の気持ちを伝えたかった。 リリスは自分の気持ちに正直にと言っていたが、今はその時ではない。 ラムザはその身にアルマの事、ルカヴィの事、隊のメンバーの事などたくさんの重荷を背負っている。 そこに自分の気持ちを伝えれば、良いにしろ悪いにしろ私はスッキリするだろう。 だが、それはラムザにまた一つ重荷を背負わせる事に他ならない。 ならば、今は言う時ではない。 今は側にいてラムザを支える――― それが最善の方法だろう。 剣線は 黒珊瑚の海から吹きあげる風を切っていく。 その剣の鍛錬に一層の気合が入る。 以前のように己のためではなく―― ―――――その剣で自分の大切な人を守るために。 次の朝――― 「あれ~、フェニックスの尾が減ってる…。おかしいな~?昨日確認した時はもっとあったのにな」 「ラムザ!」 「あ、アグリアスさん。丁度良かった―って、どうしたんです?そんなに怖い顔して」 「見てくれ、これを!」 「あぁん、返してくださいよ!私のお酒ぇ~」 「あ、これって依頼で運んだ―」 「そうだ。幻の酒と言われるバッカスの酒だ!」 「でもあれってリリスに全部飲まれたんじゃ?」 「たしか もう飲んじゃったって」 「ヘッヘー、このアシリアがちゃんと手を打っておいたんですよ♪」 「お前が隠しておいただけだろうが!!」 「良いじゃないですか一本くらい。私達のおかげでイヴァリース中においしいお酒が届くんですから」 「だからと言って積み荷を盗ってしまっては盗賊と同じだろうがッ!!」 「む?なんの騒ぎかね?」 「あぁ、伯、見てください。アリシアが―って風呂あがりですか?」 「うむ。昨日の夜は少し鍛錬に気合が入りすぎての、朝までヤってしまったわい」 「朝まで鍛錬とは…私も頑張らねば」 「イイ汗かいたおかげで若返ったようだ!」 「そうそう、ラムザ。フェニックスの尾が必要だったのでちょっと使わせてもらったぞ」 「あ、伯だったんですか?でも、鍛錬でフェニックスの尾なんて何に使ったんです?」 「レイズでも良いのだが、それだとかなり手間がかかるのでな。体力がギリギリの状態で生き返ってた方が、鍛錬に勤しめるのだよ」 「?」 おしまい
https://w.atwiki.jp/fukumotoroyale/pages/104.html
心の居場所(前編) ◆uBMOCQkEHY氏 「そうだ・・・!怪我、治療しなくっちゃ・・・!!」 零は傷を負っている涯を治療するため、 今いる場所から少し離れた森の中に沢田という仲間がいることを告げ、そちらへ足を向けた。 涯もそれに従う。 零は同世代の仲間が増えたことが素直に嬉しかった。 自身でも、気分が高揚していることが分かるほどに・・・。 しかし、この時、零は冷静な思考の淵に、一種のわだかまりを感じていた。 それは警告にも近く、一歩、一歩前進する度に、膨らみを増していく。 零にはその理由が分かっていた。 零は涯の衣服を見た。 涯は腹部を刺されているらしく、そこを中心に血が滲んでいる。 しかし、それとは別と思われる血が付着していた。 ――この不自然な返り血ができる場面は限られている。その場面は・・・。 零は理解していた。 涯は信用するに値する人物であるということを。 また、その返り血が生じてしまう場面のことを口に出してしまえば、この場の空気が変わってしまうことを。 しかし、零にとって、このわだかまりは異物といってもよかった。 異物を吐き出す手段として、零はある考えにたどり着いた。 ――仲間なら・・・事実を明かしあうべきじゃないのか・・・! お互いに信用しあうために・・・! 零は足を止め、涯の方へ振り返った。 「涯・・・もしかして、誰かを殺してしまったこと・・・ある?」 涯は大きく目を見開き、足を止める。 「なぜ・・・」 ――なぜ、分かった・・・? 心の中がざわ・・・ざわ・・・と動揺している。 涯は心臓の鼓動が大きくなるのを感じながらも、それを押さえつけ、頭を動かした。 すぐに否定すれば、この場は収まる。 「いや・・・ない・・・」 零は一瞬、言葉を呑むような戸惑いを見せるも、すぐにおどけたような軽い笑みを浮かべる。 「あ、ゴメンゴメン・・・!今のことはオレの勘違いだから・・・!」 さあ、行こうと涯を促すと、零は再び、足を進め始めた。 涯もその背中を追うように歩き出す。 もし、この時、この光景を第三者が見ていたら、問題は解決したかのように見えていただろう。 確かに涯も零からの追求を逃れることができたという安堵感を覚えていたが、同時に、その心はざわついていた。 ――零は・・・オレが人を殺したことを感づいている・・・! しかし、すぐに自分に言い聞かせる。 ――零に知られたって構わない・・・このゲームでは当たり前のこと・・・。 “だが、人を殺したことには変わりない・・・この人殺しが・・・!” この直後だった。 何者かが涯の首根っこを掴み、涯を押さえつけ、地面に叩きつけた。 「がっ・・・!」 何者かが涯の背中に手加減なしにまたがり、体重をかける。 重圧が体全体にかかり、気管は押しつぶされ、呼吸が詰まる。 「っ・・・!」 ――なんなんだ・・・!これは・・・! 涯は体をわずかに持ち上げ、その背中の主を見上げた。 「・・・えっ・・・!」 涯は愕然とした。 その主は、自分であった。 もう一人の自分は涯に顔を近づけ、その耳元で囁く。 “殺人を犯したという点では、今、お前はあの平田と同類・・・。” ――ふざけるな・・・! かつて涯に殺人という無実の罪を着せた平田家の人々の顔が頭を過ぎる。 涯は言葉を発することが出来ない代わりに、目にその怒りを浮かべ、もう一人を睨みつけた。 ――オレが犯した殺人は生きるための選択・・・!正当防衛・・・! 欲に目がくらんだ平田とは立場が違う・・・同類の訳が・・・ そこまで思考を働かせた所で、涯は言葉を失った。 目に飛び込んできたもう一人の自分の顔は、初めて応接間に通された時の平田家の人々と同じ笑み――欲の皮が突っ張るという言葉を文字通り表したかのように、口元をだらしなく上げた笑みを浮かべていた。 自分が忌み嫌っているあの笑みを自分が今、浮かべている。 涯は悟った。 もう一人の自分は自分の内に潜む心――殺人という愚かな行為を犯した自分を責め、その現実を見せつけようとしている、“人間として”の倫理観であることを・・・。 かつて平田事件の時は、自分は無実であるという確証があった。 自分が自分を信頼できる支えがあった。 だからこそ、人間学園においての非常な仕打ち、その逆境を越えることができた。 ところがどうだ。 このゲームで、ある男――安岡を殺した時、その心に過ぎったことは、 『弱者は助からない、殺さないのは偽善、生きるために・・・殺す』 本来、涯が嫌うはずの考えであった。 その後は 『死にたくなければ・・・生きてここを出たいのであれば、殺し続けるしかないのだ・・・!』 という考えを信条に、ケモノのごとく、涯はその拳を振るい続けてきた。 ――そう・・・それまでオレはケモノだった・・・だが・・・。 それは零との出会いで変わり始めてしまった。 零と出会った時、零は今にも急斜面から滑り落ちそうになっていた。 その時の零の姿は、まさにボンクラ――弱者であった。 零の存在を無視すれば、涯が生き残る確率が上がるはずであった。 しかし、その時、涯に人間にしか持ち合わせていない心――慈悲が芽生えてしまった。 結果、零を助けるという選択をしてしまった。 そして、大泣きする零に呆れ、言葉を交わし、感謝の気持ちを抱く――人間にしかできない行為によって、 “人間として”の倫理観を取り戻していった。 今、“人間として”の倫理観が涯を苦しめている。 ――オレは、平井家と同類・・・醜悪な罪人なのか・・・! 背中の重圧は、もう一人の自分の体重ではなく、今や罪の重さとなっていた。 ――軽くなりたい・・・言えば楽になる・・・楽に・・・。 ――・・・どうした?涯・・・どうした・・・?」 涯は零の言葉に、ハッと顔をあげる。 零の顔が目の前にあった。涯をきょとんとした表情で見つめている。 「さっきから暗い表情で・・・何か考えていたのか?」 涯はあたりをキョロキョロと見渡す。 辺りは暗闇が広がり始めている森の中であった。 「い・・・いや・・・なんでもない・・・」 「そうか・・・じゃあ、行こうか・・・」 零は再び、涯に背中を向けようとする。 涯が言葉を発したのは、それと同時であった。 「・・・人を・・・殺した・・・」 零は動きを止める。 周囲の木々がざわめく。 涯は一呼吸置き、口を開いた。 「なぜ、分かった・・・?」 「それは・・・」 零は少し逡巡しつつも、その訳を話し始めた。 「服と腕の返り血だ・・・」 涯は自分の服と腕を見つめた。 返り血は、ズボンの左側はつま先から膝、右側は膝より上の太ももにかけて、右腕は小指周辺を中心に肘辺りまでのびている。 「まず、ズボンの返り血だが、どうしたら、こんな返り血ができるのか・・・分かるか?」 「えっ・・・」 零の問いに涯は戸惑う。 ――確か、この返り血を浴びた時は・・・。 「しゃがんでみて・・・右ひざを地面に付けるようにして・・・」 涯は言われるがままに、その場に屈みこむ。 「・・・!!」 ここで涯は気づいた。 左膝をたて、右膝を地面に付けてしゃがむと、 左側の太ももは脛で隠れ、右側の脛は太ももに覆い隠され、地面に触れる、 つまり、返り血を浴びた部分が正面から見て晒された状態となることを・・・。 零も涯と同じようにその場にしゃがみこむと、ポケットからペンを取り出した。 「多分、その時の凶器はこんな感じの小型のもの・・・例えば、ナイフとか・・・」 零はこのペンが仮にナイフだとして、インクが出る先の部分が刃、その反対側であるペンの尻が柄であると説明した。 右腕の小指側にペン先、親指側にペンの尻が来るようにグーで握る。 「君の右腕の返り血は親指側にはほとんどついておらず、 代わりに小指周辺を中心に肘の辺りまで広がっている・・・ しゃがんだ状態で且つ、こんな腕の返り血ができる方法とは・・・・」 零はペンを振り下ろした。ペン先が地面に突き刺さる。 「相手が身を屈めた時より、低い位置・・・横たわっているような状態・・・ 確実に相手を仕留められる状態だったという訳だ・・・」 ここで零は涯をちらっと見ながら、その様子を伺った。 ここから先のことは少々言いづらいことらしい。 涯は先を話してかまわないと促した。 「ただ、正直、状況証拠だけじゃ、確信はなかった・・・ だから、尋ねた・・・“誰かを殺してしまったことがある?”のかと・・・ そこで、君はこう答えた・・・“なぜ”と・・・ “なぜ”は“なぜ分かる?”の省略形、 つまり、経験があるということ・・・この言葉が決定打だった・・・」 「・・・そうか・・・」 涯は零の言葉を終始黙って聞いていた。 零はいくつかの状況証拠から、涯の殺人のありさまを察してしまった。 さっきまで、生への安堵から大声で泣いていた少年がである。 この少年は泣きながらも涯がどのような人間であるかを、観察し続けていたのだ。 涯は正直、初めて零とあった時、零が今まで生きてこられたのは運が良かったからだと解釈していた。 しかし、ここで涯は悟った。 彼の武器は、自分の拳のような相手を傷つけるものではなく、その洞察力、推理力――頭脳であると。 しかし、同時に今度は涯の心に一種のわだかまりが生まれていた。 ――なぜ、零は・・・ 「・・・尋ねる必要があった・・・?」 「えっ・・・」 零はその時抱いた感情を振り返りながら、言葉を探す。 「・・・不快にさせたことは謝る・・・! だが・・・仲間なら・・・今まで、どうやってこのゲームで生きてきたのか・・・ 腹を割って話しあうべきだ・・・そうしなければお互いに信用しあえない・・・! だから・・・」 ――仲間・・・。 零の口から飛び出した言葉に、涯は神経を逆撫でされるような苛立ちを覚える。 ――仲間なら・・・何でもかんでも表沙汰にしていいものなのか・・・! 零の推理は、それまで涯が直視することを避けていた殺人への罪を涯自身に見せ付けるものであった。 ただでさえ、推理が核心に迫るにつれ、心がもろく崩れていく感覚を覚えていくのに、 その晒された原因が、仲間なら当然であろうという集団であることを押し付けるようなものであったことが、涯の苦痛を悪化させる。 それは疑問を問いただすという形で表に現れてしまった。 「・・・このゲームでは殺人が許容されている・・・。 殺人を犯した経験があったとしても不思議ではない・・・。 むしろ、零、お前が尋ねたのは・・・殺人への生理的嫌悪からじゃないのか・・・?」 「そ・・・それは・・・」 零は無意識に肩を震わせた。 ドクドクと不規則な早鐘が、零の心の奥から響いてくる。 涯が口に出した言葉は零自身でさえ気付かない、零の暗部の感情であった。 人は死体を触れたくない忌み物として見てしまう傾向がある。 それを生み出す殺人ともなれば、尚更である。 零の質問は、そんな不浄を嫌う潔癖的な部分が現れてしまった結果だった。 涯は更に言葉を続ける。 「・・・誰しも汚いものには触れたくはない・・・! だから、知りたかった・・・思った通りの結果が出て満足だったか・・・零・・・!」 「分かってくれ・・・!オレは・・・涯をそんな目で・・・!」 「黙れ・・・!零っ・・・!」 「が・・・涯・・・」 その頃、赤松は涯を追いかけてひたすら走っていた。 周囲は森の中ということもあり、木々はざわめき、光は月明かりが木漏れ日のごとく、木々の間から洩れてくるものが頼りである。 赤松は幅の広い直線の道を駆けていた。 途中、分岐点がいくつかあったが、赤松はそちらへ曲がることはなかった。 精神的に混乱しているであろう人間が、わざわざ曲がるという選択をするだろうかという計算もあったが、実際は直感以外の何ものでもなかった。 その時だった。 「黙れ・・・零っ・・・!」 「えっ・・・零・・・?」 赤松は声の方に顔を向ける。 赤松の視界に二人の少年が入った。 一人の少年ははじめて見るが、もう一人は、あの逃げ出した少年である。 赤松の脳裏に、赤松の元から逃げ出した時の涯の後姿が蘇る。 どちらの少年が零であるか、どうして、少年達がここで一緒にいるかは分からない。 しかし、今できることは一つである。 ――ここで、また、見失うわけにはいかない・・・! 生前、標がこのゲームで見たことを書きとめていたメモ帳が入っている左胸のポケットをぎゅっと握ると、喚声のごとき声をあげた。 「ぜ、零君!聞いてくれ!私は・・・標君と共に行動していた・・・!」 「えっ・・・標・・・!」 零と涯は重い沈黙を破るその声の方向へ顔を向ける。 涯は自分達の方へ向かってくる男の姿を見て、戦慄を覚える。 「あいつは・・・オレの首を絞めて殺そうとした男・・・!」 「えっ・・・」 零はその言葉で戸惑いを覚える。 ――ここは逃げるべきかもしれない・・・しかし・・・ 涯は零の腕を引っ張る。 「逃げるぞ・・・!零・・・!」 「待ってくれ・・・!」 涯は呆然と立ち尽くすも、苛立ちを込めた瞳で零を睨みつける。 「ふざけるな・・・!あいつは・・・!」 「あの人は、オレのことを知っている・・・!標のことも・・・!」 零にとって、走ってくる男は初見である。 しかし、自分のことや標のことを知っているということは、おそらく、標が自分からその情報を話したであろう。 標は自分以上に頭が働く少年である。 信用できない相手には、必要以上の情報は話さないはずである。 その少年が心を許した男なら・・・もしかして・・・。 「多分・・・悪い人じゃない・・・!」 「えっ・・・!」 心の居場所(後編)
https://w.atwiki.jp/rasyed/pages/1663.html
『連携攻撃』 プレイステーションゲームアーカイブスに「サガフロンティア」が追加されました。ようやくでス。 容量が180MBとこれまた随分スクナイのは、ムービー入ってないだろうからか。 とにかく。 サガシリーズはスーファミ時代がよかったーとか、色々あるけれど、サガフロンティアおもすろいゼ。なんか難しい気がするのはオレダケカ? デモまあ、サガシリーズってムズイ時はムズイしナァ。ゲームボーイの1とか。チェーンソーウマー というわけでダウンロードしてプレイ。 というか、もうすっからかんにわすれてもーた。 全キャラクリア特典のオールボス戦楽しいんだけど、やれる気がしネェ…。 さてまぁ、そんなサガシリーズのスタッフが終結したとかなんとかで話題の「ラストレムナント」。 サガ的要素が戦闘にあるようで面白い、らしい…。 マァ、そのうちヤッテミルカ。中古で安くなってから。 エースコンバットの協力ミッション。 ムズスギ。補給できないのかなぁ、落ちないと…。 最大4人までだが、4人だとやっぱ一人電子戦機とかか。うーむ。 一人囮になるってのもあるナァ。 つーか、イージス艦つぇえ。現実のイージスもあれくらいの性能だとは思うけど。…とんでもない速さで撃ち続けるミサイルってのは納得いかないけど…。 協力ミッションもう少し出して欲しいけど、無理なんだろなぁ。…てか今まであのミッション一つの為に金払ってる人いたと思うと、ボッタ…。 …。 風邪引いたかも!!
https://w.atwiki.jp/gravity_daze/pages/25.html
概要 謎の夫婦の居場所一覧 マンホールの場所一覧オルドノワのマンホール プレジューヌのマンホール インダストリエのマンホール ヴァン・ダ・センタリアレのマンホール 概要 世界各地にいる謎の夫婦からは話を聞く事ができ、全ての話を聞くとトロフィーを獲得する事が出来る。 マンホールは、全て発見するとトロフィー獲得となる。 謎の夫婦の居場所一覧 旧市街オルドノワ 1.地図中央最南端の下層エリア 2.地図中央右下層の公園 地図中央、最初のマンホールから出てすぐ歩いて占いの館方面に行く途中 繋がって真ん中にミッションが出る方じゃない繋がらない橋から落ちて真下あたり 歓楽街プレジューヌ 1.右側の学園エリアにあるマンホールの下。 最下層の骨組みの上。 2.左側のエリアの左上のマンホールから少し右下にいった場所。(下層) 工業地区インダストリエ 1.インダストリエ駅の屋根の上 エナジーゲットレースのミッションのすぐ北 2.地図左下の飛行船乗り場付近 ダウンタウン ヴァン・ダ・センタリアレ 1.中央のマンホールのすぐ右上の橋から真下に降りた場所。 最下層の骨組みあたり。 スカイシップレースから降りても探しやすい 2.スイーパートライアルミッションのすぐ左のビル頂上。 最下端の街 ボゥトヌ 1.地図北にある黄色い花の左下の花びら。 木の一番上。 2.ボゥトヌの家と黄色い花の中間地点。 高さは下のほう。 異次元世界1 遺跡の道 1.中央の塔の頂上。 2.ボス直前の花の真下。 異次元世界2 炎獄の道 1.1つ目の花の真上。 2.3つ目の花がある場所から少し下に降りた狭い足場。 異次元世界3 眩惑の道 1.1つ目の花から少し左方向の奥200y付近にあるキノコの上。 2.3つ目の花がある土星のような足場の下の蓮の上。 マンホールの場所一覧 青い丸の中に三角形のマークがマンホール オルドノワのマンホール 噴水近く 重力スローバトルに出てくる広場の近く シドーと初めて会う場所,教会の近く プレジューヌのマンホール 学園長の像の前 女神像の周辺 観覧車の周辺 インダストリエのマンホール 重力制御メインタワーの近くの橋の上 新・重力制御タワーの周辺の桟橋の先端 斜面エレベーターのふもと、重力タンクがたくさんあるところの周辺 ヴァン・ダ・センタリアレのマンホール 壁面モニター周辺 ロープウェイ乗り場の上 摩天楼広場 「くの字型」ビルの手前 自由と開放の広場前 時計塔のふもと 環状線3番駅の屋上広場 えーと、画像を貼るのはこれでいいのかな?できたかな? -- (名無し) 2012-02-10 22 49 28 おつだぜ -- (名無しさん) 2012-02-10 23 14 53 スレから夫婦の画像拾って編集しときました。問題あれば消して下さいお願いします。 -- (名無しさん) 2012-02-11 15 42 34 夫婦の画像みれないなぁ ヒントは得たし探すか -- (名無しさん) 2012-02-12 21 18 44 どっとうpはねえよ… -- (名無しさん) 2012-02-13 18 05 09 最下端の街 ボゥトヌの夫婦の説明が上下逆になってる -- (名無しさん) 2012-02-19 22 51 06 ダウンタウンのマンホールの説明がマンホール7個あるみたいでわかりづらい -- (名無しさん) 2012-02-24 21 58 10 確かに、最下端の街ボゥトヌの夫婦の説明が逆。 上の写真が「ボゥトヌの家と黄色い花の中間地点にある木の一番上」で、 下の写真が「地図北にある黄色い花の左下の花びら。高さは下のほう」です。 -- (名無しさん) 2012-03-09 20 21 01 異次元世界1 遺跡の道の画像が左右反対だね。1が右、2が左 -- (名無しさん) 2012-09-10 00 56 23 最下端の街ボゥトヌと異次元世界1遺跡の道の画像修正しました。 -- (名無しさん) 2012-11-03 22 31 29 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/sukige/pages/142.html
配信者名『ロスオデ主』 この名前は決定ではありません ゲーム名から取りました ロストオデッセイで配信を始めた PV4と比較的小さい配信画面 500kという中々良い感じのビットレートで 凄く綺麗な配信を提供してくれる 声は比較的早口だけど聞き取りやすい声 配信したゲーム ロストオデッセイ テイルズオブグレイセス calling 黒き着信 ラストレムナント 現在実況しているゲーム 零~月蝕の仮面~ 備考 PCスペック OS WindowsXP HomeEdition SP3 CPU Core2Duo E8600 Memory 4GB VGA NVIDIA GeForce 9600GT Sound 玄人志向Envy24 ビデオキャプチャ PV4 音声入力 C-Media USB sound device 配信URL http //ex-blet.ddo.jp 8777/ 実況方法 キャプチャー画面をSCFHDSFにて取り込み レスはバルーンで読み込んでます 配信者からのコメントなど まず、こんな新参にwiki作成していただきありがとうございます。 基本的に時間不定期のまったり配信を行ってます。寝落ち推奨でご覧になっていただければと思います。でもレスは欲しい、あれ矛盾。 どうも配信時は緊張したままなので、早口になってしまいがちのようで。落ち着いて喋れる様になりたいです。 これからもどうぞよろしくお願い致します。 視聴者からのコメント 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/hora_ch/pages/15.html
マルチ言語対応のアジア・北米版ソフト(自己責任で) HALO3 Left 4 Dead PGR4 Too Human アーマードコア4 インアン(Japanese language Version) エースコンバット6 ヴァンパイアレイン ウイイレ2008 ウイイレ2009 エロバレー2(北米本体のみ、アジア版は言語記載なし) オペレーショントロイ カメオ キングダムアンダーファイヤ サークルオブドゥーム クラックダウン(ライオットアクト) スターオーシャン4(Japanese language Version) ストリートファイター4 スマッシュコートテニス3 旋光の輪舞 真・三国無双5 戦国無双2withもうしょうでん ソニック アンリーシュド テイルズオブヴェスペリア(Japanese language Version) ニンジャガイデン ニンジャブレイド バイオハザード5 バトルファンタジア バンジョーとカズーイ ガレージ大作戦 ビューティフル塊魂 ピニャータ1 ピニャータ2 フラクチャー ブルドラ(Japanese language Version) 無双OROCHI:魔王再臨 ラストレムナント(Japanese language Version) ロストプラネット 音声だけ日本語 Eternal Sonata (English language Version) Naruto Raise of Ninja(DLCで対応) Naruto The Broken Bond TENCHU Z ソウルキャリバー4 ブルードラゴン ロストオデッセイ XBLA ロックマン9
https://w.atwiki.jp/baragakuen-highschool/pages/502.html
私は学校が嫌いだった。 いや、違う、学校が私を嫌っている。 私の名前は真紅、一応帰国子女だ。 それなりに裕福な家庭に生まれ何不自由なく育った私は一際自尊心が高かった。 それが災いして私はいつも学校では孤立している。 最初は何とも思わなかった、庶民が私に着いて来れないだけだ。と誤魔化していた。 けれども、最近はどうして私は此処にいるのか分らなくなった。 真紅「私は…どうして此処にいるの?」 思わずこんな愚痴をこぼしてしまう。 今日も独り昼休みに自分の席でお弁当を食べている。 周りを見てみたらみんな何かしらグループを作ってはお喋りしながら一緒に食べていた。 真紅(別に羨ましくなんてないのだわ…食事中にお話するなんて無粋なのだわ…) なるべく周りを見ないように真紅は俯いて食事をする。 その後は決まって持って来ておいた文庫本を読む。 それで昼休みが終わるのが日常だった、だが今日は違っていた。 「何読んでるんだ?」 急に声をかけられて驚き視線を本から声の主の方へと向ける。 其処には眼鏡をかけた見知らぬ顔があった。 真紅「貴方誰なの?」 「ああ、僕は桜田ジュンだ。」 桜田ジュン?そう言えばそんな男子がクラスにいたような気がする。 あまりぱっとしない容姿なのに一部の女子には結構人気がある… 真紅「それで?その桜田君が私に何の用なの?」 J「いや、だから一体何の本読んでるのかなぁーって…」 真紅「別に貴方に教える義理なんてないのだわ。」 いつもどおり素っ気無い態度で相手を突っぱねる。 それでもジュンは何処からか椅子を持って来て向かい側に座って本を読んでいる真紅を見ていた。 突っぱねられてもジュンは無言のまま真紅を見ていた。 真紅はそんなジュンを無視してずっと本を読み続けていた。 どうせすぐにいなくなる。そう思って放っておいたがジュンは一向に何処かへ行く様子がない。 真紅「貴方、一体何なの?黙ってずっと見てて…」 J「いや、君とは一回も話したことないから気になってさ。」 真紅「私は貴方とは話すことなんて何もないわ。」 J「あるだろ、君の名前とか何が好物なのかとか好きな色とか何が好きなのかとか色々さ。」 帰国子女を珍しがって興味本位で聞いてきてるのだろうか? そう思って苛立った真紅は抑揚した口調で一気に言い切った。 真紅「私の名前は真紅、好きなものはハンバーグで好きな色は赤色、それで好きなものは本よ。 生憎と帰国子女と言っても中身は普通の人間なのだわ、珍しくも何ともないの、わかった?」 J「そ、そっか…」 真紅「分ったら何処かへ行って頂戴、読書の邪魔なのだわ。」 ジュンは困った顔をしていた。 そのまま何処かへ行ってしまえばいいと真紅は思っていた。 どうせ一時の興味だけなら誰にも相手にされたくない、何時しか真紅はそう考えていたのだ。 しかしそれでもジュンは椅子から腰を上げない。 真紅「……どうして貴方はこんな私を構うの?」 J「え、そうだな…特に目的とかはないんだけど…」 真紅「目的もないのに付き合わされる私として迷わ…」 J「だってさ、友達になるのに目的なんていらないだろ?」 私は黙った、彼は今なんと言ったのか理解に苦しんだ。 私なんかと友達に…?どうかしてるとも思った。 けれども、不思議と不快ではない。 真紅「いいわ、けれども庶民の貴方が私と対等だなんて思わないで欲しいわ。 貴方はこれから私、真紅の下僕になるというのなら傍にいることを許してあげるわ。」 J「下僕って…まぁ、それでもいいか。ヨロシクな。」 最後の距離を置くための虚言でも彼は退かない。 真紅「そ、そう…なら好きなだけ傍にいなさい(///)」 結局引き返せなくなった真紅はそのまま彼と昼休みを過ごすことになった。 その日の夜、自室のベッドで真紅は頬杖をついて横になっていた。 其処で昼間のジュンという少年のことを考える。 変わった人だった、普通なら下僕なんて呼ばれたら不快感を覚えるのに。 どうして私につきあってくれたのだろう? こんなに性格の悪い私なのに… それでも、これからは昼休みを独りで過ごさなくて済むと考えたら明日が楽しみに思えた。 お気に入りの犬のぬいぐるみを持って来て真紅は毛布の中に入る。 真紅「ねぇ…くんくん、私『友達』が一人出来たのだわ。 今までは貴方だけしかいなかったのだけど…私、少し嬉しい…」 犬のぬいぐるみを抱いて真紅は眠った。 今までは寂しそうな寝顔が今夜は少し嬉しそうだが困惑した寝顔だった。 そして翌日の昼休み、真紅はまた自分の席でお弁当を食べていた。 其処へ昨日の少年ジュンと他に二人の女子が来ていた。 J「今日はコイツ等も一緒なんだけど…いいかな?」 真紅「ま、まぁ別にいいのだわ…(こんな大人数でお昼ご飯…(///)」 蒼「僕は蒼星石、よろしくね真紅さん。」 翠「翠星石です、しゃーねーからヨロシクしてやるです。」 真紅「む…別に仕方なくあら仲良くなんてしなくてもいいのだわ。」 思わず翠星石という女子の高圧的な言い方に反感を覚え言い返してしまう。 言われた本人も少し呆けていた、もしかして嫌われてしまったかもしれない…。 翠「な、な…」 蒼「ゴメンね、翠星石はこんなこと言ってるけど本当は君と仲良くしたいって思ってるんだ。 だからちょっと口が悪いけど見過ごしてやってくれないかな?」 真紅「だったら別にいいのだわ、気をつけて頂戴。」 和やかな昼休みの空気に反して此処は少し緊張した空気が流れていた。 J(やっぱり行き成りこの二人を合わせたのは失敗だったかなぁ…)(汗 取り合えず後から来た三人は弁当箱を開けてそれぞれの昼ご飯をつつき始める。 J「お、その煮物美味しそうだな。」 翠「とーぜんです、翠星石が作ったから美味しいに決まってるです。 しゃーねーからジュンに一個恵んでやるです。」 それを契機にお弁当のおかずの交換が始まった。 私も参加してみたい…そう思ったのだが真紅の弁当はサンドイッチでもう後一つしかなかった。 仕方なく三人がおかずを交換しあう様子を見てることしか出来なかった。 一人だけもう食べ終わった真紅はすることもなく本を読み始める。 蒼「何の本読んでるの?」 真紅「…ドストエフスキーの『罪と罰』なのだわ。」 蒼「ああ、あれか。あれを読んでると世界を動かす人って何なんだろうって(ry」 少しの間蒼星石という一見男の子っぽい女子と小説の話で会話が弾んだ。 こういう話題を共有しあえる人のことを『友達』と言うのだろう。 真紅はジュンと蒼星石とは上手く付き合っていけるような気がした。 翠「ジュン、今日の放課後暇ですか?」 J「別に暇だけど?」 翠「じゃあ、しょーがねぇですから翠星石の買い物につき合わせてやるです。」 J「何だよそれ…けど断る用事もないしつきあっても…」 駄目よ!突然大声を出す真紅に蒼星石も翠星石もジュンも驚いた。 真紅「ジュンは私の下僕なのだから私の許可もなしに勝手に何処かへ行っては駄目なのだわ!」 真紅自身も驚いていた。自分は何を言っているんだろう? ひょっとしてとんでもないことを言ってしまったのではないか? 翠「な、何ですって!?ジュン、それは本当なのですか!?」 J「えーと…まぁそういうことになってる…(汗」 今やクラスは普段は静かな真紅の言った爆弾発言にざわついている。 真紅は顔中が火照ってくるのがわかった。 翠「ちょっと待つです!そんな勝手なこと許さんですよ!?」 真紅「勝手も何もジュンが自分からそれでいいって言ったのよ? だから私の了承もなしに下僕を連れ回すのはやめて頂戴。」 翠星石はジュンの方を睨む。 ジュンは引きつった笑みを浮かべざるをえなかった。 それを見て翠星石はワナワナと震えだす。 翠「そんな人のことを下僕と言うなんてお前はとことん性悪です!」 それを聞いて真紅の堪忍袋の緒が切れた。 真紅「いいわ、だったらもう三人とも私のところには来ないで!!」 真紅は席を立ってそのまま教室を出て行った。 ジュンにはわかっていた、去り際に彼女が泣いていたことを。 翠「全く、どうしてジュンはあんな奴の下僕になったですか?」 J「…あの子さ、ずっとクラスに馴染めてなかったんだよ。」 翠「え?」 J「いつも昼休みは俯いて弁当食べてるか本ばっか読んでて… でも、たまに不安そうに寂しそうにみんなを見てたのをこの間見つけたんだ。 本当は寂しがり屋なのに…いっつも我慢してたから…ッ」 次の瞬間、ジュンも席を立って真紅の後を追った。 残された翠星石と蒼星石はそんなジュンの後ろ姿を見ていた。 翠「………」 蒼「僕らも行こうか。」 翠「はいです…」 真紅は当ても無く校内を走っていた。 やがて中庭の人気のない木陰に一人座り込んでいた。 もう誰も傍に居て欲しくない、誰も私に近付かなければいい。 しかしこの時期の外は予想以上に寒く走って温まっていた体もすぐに震えだした。 かじかんだ手を自分の吐息で温める。白い吐息は口から出てはすぐに消えていった。 自分もこの白い吐息のように消え去りたい。そう思っていたら背中に何かが被せられた。 J「こんな所にいたのか、風邪ひくぞ?」 ジュンが此処に来ていた。背中を見ると彼の上着が被せられていたのだ。 真紅「…それはお互い様なのだわ。上着を着てないと貴方も風邪をひくわ。」 J「お前がちゃんと校舎の中に行くまで僕も此処にいる。」 自分の隣にジュンは腰掛けた。 見るとジュンの手も冷えて赤くなっている。 真紅「もういいのよ、下僕なんてやらなくても…貴方はあの二人と居れば…」 J「じゃあお前はどうなるんだよ。」 真紅「私はいいのよ…また元に戻るだけ。」 J「でも前だって寂しそうにしてたじゃないか。」 寂しそうにしてた?私が…? 真紅「甘く見ないで、今までそうして来たのだからこれからだって…平気…よ…」 そうだ、寂しくなんてない。 今までだってこうして生きてきた私は独りでも大丈夫…。 J「だったら…どうして今泣いてるんだよ?」 真紅「………ッ」 ジュンに言われて初めて気付いた。 頬を生暖かい涙が伝う感触…涙の痕は凄く冷たかった… J「本当はずっと寂しくって泣きたいのも我慢してたんだろ?」 真紅「…うん…ッ」 J「だけど意地っ張りだったから素直になれなかったんだよな?」 真紅「うん…ッ」 J「僕はお前がなんと言おうと下僕であり友達だ。これだけは本当だからな。」 真紅「うんッ」 涙が止めどなく溢れる。 ジュンは真紅の頭をぶっきらぼうに優しく叩いた。 手は冷たいけれども、心は温かい… 暫くすると翠星石と蒼星石がやって来た。 真紅は思わずジュンの後ろに隠れる。 少しの間四人に沈黙が流れる。 真紅&翠「「あの…」」 二人は同時に喋りだす。 翠「そ、そっちからどうぞです…」 真紅「いいえ、貴女から言って頂戴…」 翠「あのですね…さっきは、ごめんなさいです… 真紅のこと、ちっとも知らないであんなこと言って…」 翠星石は頭を下げて謝っていた。思わず真紅は焦る。 真紅「あの、そんなことないのだわ… 私の性格が悪いのは合ってるし… あの時は初めて出来た友達のジュンが他の人と仲良くするのが嫌で…ごめんなさい。」 翠「そのことなんですけど…真紅も来るですか?」 真紅「いいの?私なんかが行っても…」 翠「何言ってるですか、翠星石と真紅はもう友達です。遠慮なんてすることねぇですよ。」 真紅は困惑した顔でジュンと蒼星石を見る、二人とも笑って応えてくれた。 真紅「ありがとう…みんな…」 真紅達は放課後にスーパーに行った。 翠星石がジュンを誘ったのは米を買うから持って貰うためだったらしい。 初めての友達との買い物に真紅は嬉しくもあり何故か緊張もしていた。 J(本当は上がり症でもあるのかもな…) そして買い物も終わり皆はそれぞれの家へ帰宅した。 夜になり真紅は自室のベッドにまた犬のぬいぐるみを持って横になっていた。 真紅「くんくん、今日はね。ジュンと翠星石と蒼星石で買い物に行ったのよ。 色々あったけど…私はやっと自分の『居場所』が見つかったわ。今までありがとう…」 やはりぬいぐるみを抱いて真紅は眠りの世界へ落ちる。 その寝顔にはもう困惑も寂しさもない、ただただ幸せを噛み締めている。 自分は独りだと思っていても誰かがきっと自分を見ていてくれる。 『居場所』というのは案外その辺に転がっていて気付かないでいるだけかもしれない。 貴方は貴方の『居場所』を大切にしてあげて下さい。 The END 俺も今居場所見付けた -- ナンブ (2006-11-24 01 45 25) 居場所って確かに際どい… -- ヒーロー?ヒロキ (2006-12-16 19 24 31) 俺の居場所は蒼の子の傍wwwwww(台無し) -- 夕クシー (2007-01-08 20 53 44) じゃあ俺は翠星石な -- 名無しさん (2007-04-15 21 25 21) 蒼星石の膝枕が俺の居場所ww -- 名無し (2007-04-16 15 41 45) させるかよwww -- 名無しさん (2007-04-28 01 55 47) 我はドコから來てドコへ行こうとしているのか…居場所なんてあるのか -- 永遠の旅人 (2007-06-07 20 50 57) 俺は俺がいるところにいる。それだけだ -- ロック (2007-06-13 10 12 45) 私の居場所なんてどこにも無い -- 名無しさん (2007-06-30 12 23 20) どうして私は此処に居るの? -- 椎羅 (2007-07-01 20 00 12) このSSはいい -- 名無しさん (2007-07-07 17 26 19) 薔薇水晶と雪華綺晶の間をもらうわwwwww -- 名無しさん (2007-07-11 01 38 50) 私も居場所が無いわ・・・・・ -- 蘇芳 (2007-07-15 15 47 07) 誰が作ったの?作家になるといいよね。 -- ンゴゴ (2007-10-06 16 08 13) 私も無いなぁ… 不器用だし… -- ユリ (2008-03-01 23 14 15) 居場所があってもそこに物語(ロマン)はあるのかな? -- レーゼ (2008-12-26 16 08 54) 居場所は昔はあったんだが今はもう...まぁ、生きてる内に見つかると思うが -- レイ (2009-05-04 20 31 29) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/xboxarmy/pages/20.html
TOP>メンバー一覧>もる Moltros(モルトロス)/ もる ゲーマータグ Moltros 性別 男 居住地 千葉 所持ハード FC、SFC、PS2、GC、Wii、XBOX360、PS3、DS、PSP1000 どれも生存してますw 所持ゲーム(XBOX系) ロストプラネット、FARCRY2、ラストレムナント、CoD-WaW、ゴーストリコン2、 BFBC、Halo Wars、キングダムオブアンダーファイア 好きなゲームジャンル ギャンブル系以外 ゲーム以外の趣味 ザンネンながら無い、無いのか! 本人から一言 うまいとか下手は二の次で、楽しめれば何でもOK 練習的なページ もるっともるもる コメントには「他のメンバーから見たこのメンバーの印象」などを書いて下さい。(名前の無いコメントは削除対象とします) 会話を混乱させる天才ですwwそのくせに物知りだったり、かと言って話をはぐらかしたり・・・おかげでいつも楽しく混乱してますww -- (水城) 2009-07-14 11 38 28 俺の中では、ミサイルのモルさん。話しが面白くて困ります! -- (リオ) 2009-07-18 02 14 13 あのささやき声はすばらしい。たまに聞こえないw -- (うれしいRED) 2009-07-25 10 32 09 会話がとても面白いです。で、話してる所を後から。。。 w -- (うげぴ) 2009-07-29 23 58 48 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/gods/pages/45516.html
レギノス グノーシス神話に登場する人物。
https://w.atwiki.jp/jinaoji/pages/13.html
痔治し方ボラギノール こちらがチューブ軟膏のボラギノール 内痔対策のボラギノールです ボラギノールは出血やはれ、かゆみを プレドニゾロン酢酸エステルという成分で抑えます そして 痛みやかゆみを止めるのは リドカインという成分 ですが ボラギノールで完治することはそんなに多くないです 痔は水虫と同じで なかなか治らない病気です まだある 痔の治し方とは>>>こちら