約 454,636 件
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/3236.html
前ページ次ページ魔法少女リリカルルイズ 窓から顔を半分だけ出したタバサは、階下をぐるり見渡した。 下にはたいまつがいくつか。 特に襲撃者が集まっている様子はない。 よく見ると襲撃者達の装備はまちまちだ。統一性という者に欠けている。 つまり、彼らは傭兵なのだろう。たまに山賊になるかも知れないが。 それのほとんどが正面に集まっているようだ。 「あれやって」 「あれ?」 タバサの最小限の説明がギーシュにはわからない。 わかるのは少し遅れて来たキュルケの方だ。 「あんたのワルキューレよ。人数が減ってるのがわかったら囮にならないでしょう」 「あ、ああ。そう言うことか。まかせたまえ」 ギーシュが杖を振ると、舞い落ちるのは赤い花びら2つ。 床に落ちた2枚は、わずかの間に2体の青銅像になった。 「これで本当にあの二人の代わりになるのかい?」 作っては見た物のいささか不安だ。 青銅の乙女はどう見てもワルドとルイズの二人には見えない。 「暗いから」 そう言ったタバサは小さい体を窓の外に飛ばす。 「そう言うこと。あ、ワルキューレはちょっと遅れてから下ろしなさいよ」 続くキュルケも窓の外に身を躍らせる。 小さく呟いたレビテーションの呪文が効果を現すと、キュルケは地面に激突するようなこともなくふわりと地面に降り立つ。 その後はギーシュ、最後に2体のワルキューレが壁を砕いて飛び降りた。 タバサとキュルケは間をおかずに再びレビテーション。 ワルキューレは金属音を立てずに、地面に降りた。 フーケに雇われた傭兵達が、壁を破って降りてきた5人に気づかないわけはない。 近くの傭兵達は5人組に燃えるたいまつをかざす。 「いたぞ!学院の貴族どもだ」 「なに?」 「捕まえろ!!」 怒号が飛び交い、傭兵達は5人組に殺到する。 「ひ、ひぃいいいいいいっ」 ギーシュ達は走り出した。 囮なのだから宿屋からなるべく離れなければならない。 任務としてはごくごく正しいものだ。 だが、ギーシュはそんな役割なんか忘れて全力疾走をしていた。 貴族としての誇りも、平民は貴族の相手にならないという常識もすでに吹き飛んでいる。 「ば、ばれた方がよかったぁあああああ」 傭兵達は殺気立った目をギーシュ達に向けている。 さらには、たいまつにあぶられ、顔をしかめている。 それが炎に照らされてゆらゆらと揺れているのだ。 理屈なんか超えて怖い。 一回、怖いといったくらいじゃ足りない。 怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い これくらい怖い。 「いたぞ!」 「追え!」 「逃がすな!」 追いつかれては終わりだ。そんな予感がひしひしとする。 「来るなぁああああああああああああああああああ」 ギーシュは必死に走る。 そして叫ぶ。 その叫びがより多くの傭兵達を引きつけていた。 同じ頃、ワルドはユーノを肩に乗せたルイズを抱いて、ギーシュ達と反対側の窓から飛び降りていた。 「うまくいったようだな。あの三人、思った以上によくやる」 時間差で降りた窓の下に傭兵は誰もいない。 ギーシュ達を追って行ってしまったのだ。 「今の内に桟橋まで行こう」 「ええ」 ほとんどの傭兵の目がギーシュ達に集まっている。 逃げるなら今の内だ。 ワルドはルイズを下ろし、小さな手を引いて走る。 だが、引きつけられたのはほとんどだ。 全ての目ではない。 「こっちにもいたぞーーー!」 目端の利く者というのはどこにでもいる。 ギーシュ達を追っている傭兵に比べれば遙かに少ない数であるが、幾人かの傭兵がルイズ達を見つけ、後を追ってくる。 「そううまくはいかないか」 ワルドは足を速めようとしてやめた。 ルイズでは訓練された魔法衛士隊の足についてこれるわけがない。 ワルドは少しずつ差を詰めつつある傭兵達を見ると、腰に差した杖に手を伸ばした。 ユーノが走るルイズの肩から飛び降りる。 壁際の闇の中を走り、路地に飛び込んだ。 (ユーノ!?) ルイズはユーノを止めようとした。 だが、その暇もなくワルドに手を引かれ走り続けるしかなかった。 傭兵達とルイズの距離はさらに縮まる。 明らかにルイズより傭兵達の方が速い。 まもなく追いつかれてしまう。 「そろそろ迎え撃つしかないようだな」 ワルドは足を止め、ルイズを背中に隠した。 剣のこしらえをした杖を迫る傭兵に向けて構える。 「ワルド……」 「大丈夫。僕は魔法衛士隊の隊長だ。武器を持っているとはいえ、たかが平民。あのくらい蹴散らしてやるよ」 ワルドはルーンを唱える。 風が杖の先に集まりつつあった。 そのとき傭兵達は驚きの声を上げ、足を止めた。 それは、ワルドの魔法がもたらした結果ではなかった。 空から降りてきた少年を見た傭兵達は、もちろんわずかに逡巡を見せた。 だが、それもすぐに無くなる。 少年はマントを着けている。 つまりメイジだ。 メイジが空を飛ぶのは当たり前だからだ。 それより、わざわざ剣の間合いに入ってきた愚かさを笑う。 この距離ならば魔法より剣の方が速い。 ためらうことなく邪魔な少年に刃を振り下ろす。 そして、剣は傭兵の手を離れた。 地面に剣が落ち、金属が石畳を叩く音が響く。 ユーノが斬りつけてきた傭兵の剣をデルフリンガーで跳ね上げたのだ。 ユーノは傭兵達の前に立ちはだかり、両手を広げ、精一杯の声で叫んだ。 「ここから先は行かないでください!」 とても人を脅せるような声色ではないが、傭兵達は足を止める。 そして、ある者は剣を構えなおし、ある者は剣を弓に変え、その目標をユーノに移した。 「君は!ユーノ君か?」 「はい」 背中にいるワルドに答えてもユーノは後ろを見ない。 デルフリンガーが教えてくれていた「絶対に目を離すな」と。 「ワルドさん。ルイズを任せていいですか?」 「無論だ。ルイズは僕の婚約者だ。言われるまでもない」 「お願いします!」 ワルドは構えた剣を腰に戻す。そして、ルイズの手を引いた。 「ワルド、本気?ユーノは……!」 「わかっているよ。彼が普通の子供ならこんな事はしない。だが、彼はそんな者じゃない。わかるだろ?それに君には任務がある」 「でも……」 ルイズはユーノを見た。それからワルドを見て、もう一度ユーノを見る。 どうすればいいのかわからなかった。 ここでユーノを守ればいいのか。それともワルドの言うとおりに、任務のために走ればいいのか。 どちらを選べばいいか、全然わからない。 「ルイズ!早く行って」 その一言がルイズの決心を決めた。 たいまつの炎に照らされ、背中を見せるユーノがどんな顔をしているのかルイズにはわからない。 けれど今まで一緒にジュエルシードを集めてきたユーノなら、この危険もどうにかできると思えた。 「ユーノ、危なくなったら……わかっているわね」 「うん。前と一緒だね」 ルイズは走った。 ユーノに背を向け、ワルドの手を握り、桟橋に向かってひたすら走った。 前ページ次ページ魔法少女リリカルルイズ
https://w.atwiki.jp/mugenshoko/pages/309.html
自然の中で 作者:+LSusK05 目を閉じれば耳に入るのは渓流の音、木々の囁き、鳥の歌。鼻に届くのは緑の匂い。 澄んだ空気が満ちた空間で意識は一点に向ける。 ほんの僅かな兆候すら見逃さぬように手元に集中し、反応を待つ。 「釣れないねー……」 そんな中で隣からの声。目を開けてそちらを見ると、麦わら帽子を被った1人の少女。 自分と同じ岩場に腰掛け、釣り竿を流れに垂らす愛娘の姿がある。 「ユーノパパー、お魚さん、いないのかな?」 「そんなことはないよ」 困ったような顔で問いかけてくるヴィヴィオに、ユーノは優しく応えた。 「じゃあ、いなくなっちゃったのかな? ユーノパパがぜんぶ、釣っちゃった?」 「そこまで釣ってはいないんだけどなぁ……」 再度の問いに、ユーノは苦笑1つ。ここへ竿を垂らしてからユーノが釣り上げた魚は2匹のみ。 これで打ち止めということはないだろう。 「ヴィヴィオ、竿を上げてごらん」 「あい」 こちらの声に従って、ヴィヴィオは竿を上げた。 竿から伸びた糸の先には、Jの字をした小さな金属だけがある。 「エサ、ない……」 「それじゃあ、釣れないね。貸してごらん」 ユーノはヴィヴィオの釣り針をたぐり寄せると、側に置いてある小さな木箱を開けた。 そこに入っているのは、小さな虫。それを手に取り、釣り針に付ける。 さすがのヴィヴィオも、まだこういった虫を手で触る度胸はなかった。 「はい、いいよ」 「ありがとう、ユーノパパ」 えいっとヴィヴィオは竿を振り、釣り針を川面へ投げ入れた。 その目はじっと竿先へと注がれている。今度こそ、と気合い十分だ。 連れてきて良かったな、とユーノは思う。 そもそものきっかけは、ちょっとした昔話だった。 ユーノとなのは、ヴィヴィオと揃った食事の席で、海鳴時代の話をしていた時のこと。 友人の家族達と一緒に小旅行をした時の話をすると、 ヴィヴィオは目を輝かせて色々と質問を投げかけてきた。 山へ行った時のこと、海へ行った時のこと等々、 その全てがヴィヴィオには新鮮で興味をそそられるものだったらしい。 考えてみれば当然で、ヴィヴィオの活動範囲は狭い。 ミッドチルダ首都クラナガン、旧機動六課の隊舎周辺、 そして今通っている魔法学院周辺、と限られてしまうのだ。 これはよくない、とユーノは思った。 割と緑が多いクラナガンだが、それでも「自然」が多い、と言えるほどでもない。 郊外へ出れば話は別だが。 放浪の一族の出としては、娘にもっと見聞を深めてもらいたいと思った。 直接目にし、肌で触れてこそ分かる物は多いのだ。 だからユーノはちょっとした旅行を企画した。 数泊のキャンプ――せっかくだから自然と触れ合える機会をヴィヴィオに与えようと思ったのだ。 幸いヴィヴィオは好奇心の旺盛な子だ。提案に大喜びで飛び付き、なのはもまた賛成してくれた。 しかしここで1つ問題が。 ユーノ自身は出身のこともあって本格的な野外泊―― 必要最低限の道具のみを持っていく――にしようと思ったのだが、 さすがにサバイバルのレベルは今のヴィヴィオにはきついのではないかとなのはが反論。 本格志向のスクライアと、段階を踏むべきだとの母。 あーでもないこーでもないと熱い議論と肉体言語(夜的な意味で)を交わし、 結局第1回野外教育は設備の整ったログハウス付のキャンプ場、という形に落ち着いたのである。 始まってみるとユーノの独壇場とも言えた。 キャンプ場周辺は「作られた自然」ではなく、 人の手がほとんど加わっていなかったのだ――場所選びの際にこれだけは、 と思い、ユーノがなのはを誘導したのだが。 結果は大成功。 ヴィヴィオは遊びながらもしっかり学習――動植物の知識や道具の使い方等を吸収していったのだった。 「ユーノくーん。ヴィヴィオー」 背後からの声に振り向くと、なのはがこちらへと歩いてきていた。 白いワンピースと、ヴィヴィオとお揃いの麦わら帽子を被ったなのは。 設備があるキャンプ場だからこその恰好だ。 「お弁当持ってきたよ。そろそろご飯にしない?」 バスケットを持ち上げながら言うなのは。 そんな時間か、とユーノは時計に目をやった。ちょうどお昼時。いいタイミングだ。 「ヴィヴィオ、お弁当だよー」 「ちょっと待ってー」 なのはの言葉に、しかしヴィヴィオは振り向くことなく竿先を見つめている。 首を傾げたなのはがこちらを見る。 「ユーノ君、ヴィヴィオ、どうしたの?」 「実はまだ、1匹も釣ってないんだ。今度こそ、って意気込んでてね」 「にゃはは。晩ご飯のおかず、釣り上げてみせるって燃えてたもんね」 優しげな笑顔をなのははヴィヴィオの背に向けた。 「ヴィヴィオ、ここに来てすごく元気だもんね。何もかもが珍しいみたい」 「うん。普通ならあまり縁のないことではあるからね、こういう機会は」 「そりゃあ、釣り竿から手作りだもんね。糸と針は既製品だけど、普通の家じゃまずないよ」 「本当なら針と糸も何とかしてみたかったんだけどね」 自然が豊富といえどもないものはないのだ。 糸や針の代わりにできる植物は、この近辺には生えていなかった。 「スクライアの娘なら、できて当然?」 「そこまで言うつもりはないけど、こういう知識や経験はあって困るものじゃないよ」 いつどこでどんな経験が活きるか分からないのだ。 だったらヴィヴィオには多くの選択肢を与えてやりたいと思う。それがユーノの考えであり、 「将来のためにも、ね。ユーノ先生、ヴィヴィオをよろしくね」 なのはの考えでもあった。 「あ……!」 その時、ヴィヴィオが声を上げた。 見ると緊張した面持ちで竿先を睨むようにする娘の姿。視線を移すと竿先が小刻みに振れている。 「ヴィヴィオ、さっき言ったこと、覚えてる?」 小声で問うと、表情を変えぬままヴィヴィオは頷いた。 ぴん、と張りつめた空気が広がっていく。そして―― 「やっ!」 気合いの声と共に、ヴィヴィオは釣り竿を引いた。 ばしゃんっ! 水面で跳ねるものがあった。それは1匹の川魚。 「大きい……!」 なのはがそれを見て声を上げる。言葉どおり、それはかなりの大物だった。 少なくとも、ユーノが釣り上げた2匹よりは大きい。 「う、うう……っ!」 暴れる釣り竿を必死でヴィヴィオは抑え込んでいるが厳しそうだった。 これがもう少し小さな魚なら問題なかったのだろうが、こいつは今のヴィヴィオには強敵だと分かる。 ここは手を貸そうとユーノは自分の竿を引き上げて、ヴィヴィオの竿へと手を伸ばし―― 「なのは……?」 それをなのはに止められた。 こちらの手を掴んだまま、なのははもう一方の手を握り締めてヴィヴィオの奮闘を見守っている。 あくまで最後まで、ヴィヴィオにやらせようとしているらしい。 少なくとも、ヴィヴィオから手伝ってと言われない限りは。 ユーノは頷いて今も川魚と戦う娘を見つめる。 ヴィヴィオは竿を保持したままゆっくりと立ち上がった。ゆっくりと数度深呼吸し、 「ええいっ!」 一気に竿を持ち上げた。勢い余ってヴィヴィオは後ろへ倒れ、麦わら帽子が宙を舞う。 しかし魚は確かに川から陸へと引き揚げられた。 ヴィヴィオを飛び越えた魚が落ち、バタバタと岩の上で暴れる。 「ヴィヴィオ、よく頑張った!」 「すごい! すごいよヴィヴィオ!」 賞賛の言葉を贈りながら、ユーノはなのはと共に手を差し出す。 状況が飲み込めないのか、しばらくヴィヴィオは目を瞬かせていたが、 「やったーっ!」 倒れたままで両腕を天へ突き上げ、そのままこちらの手を取った。 「ユーノパパ、なのはママ! ヴィヴィオやったよ!」 「うん。見てごらんヴィヴィオ。僕が釣ったのより大きいよ」 糸をたぐって川魚を針から外し、差し出す。立ち上がったヴィヴィオは恐る恐るそれを受け取り、 「ばんごはんげっとーっ!」 誇らしげに掲げた。そんな娘の頭に、なのはは落ちた麦わら帽子をかぶせてやりながら言った。 「よかったね、ヴィヴィオ」 「うん!」 満面の笑みを浮かべるヴィヴィオを見ながら、 ユーノは自分が釣った川魚を入れた容器と釣り竿をを持ち上げる。 「よし、ちょうどいいからお昼にしようか。それが終わったら、今度はなのはママが先生かな?」 「え? うん、そうだね……ねぇ、ヴィヴィオ。 ヴィヴィオが釣ったお魚さん、今晩のおかずにするけど、どうする? ちょっと難しいかもしれないけど自分でお料理してみる?」 「うんっ、やるーっ!」 魚を持ったまま、ヴィヴィオは駆けていく。心はもう料理へと向いているようだ。 「ヴィヴィオ!? お弁当はこっち――もうっ! そんなに浮かれてると怪我するよーっ!」 バスケットを持って、なのはがそれを追いかけていく。 そんな二人の背を見ながら、ユーノは一度大きく頷くと、ヴィヴィオの竿を拾って2人を追うのだった。 29スレ SS なのは ユノなの ユーノ・スクライア ヴィヴィオ 高町なのは
https://w.atwiki.jp/mugenshoko/pages/160.html
総受け野郎なんて呼ばせないッ(罠でした。) 作者: ID sj7FOMk1 15-897から派生 きぃぃ、と鍵の掛かっていない部屋に入る。 予想通りに少しインク臭い部屋と原稿やら資料(何故か大半が紙媒体)で散らかっている。 手元のポケットライトを頼りに手当たり次第に探していく。 (こういう時に検索魔法が使えたら便利だけどな……流石に条件がわかんないから仕方ないよね) もしかしたら適当な隠語を条件にすれば見つかるかもしれないが、無意識に選択を拒否する。……認めたら男として最後だし、元々は言葉攻めは苦手だから。 内心でユーノらしくない愚痴をつきながらも捜索を続ける。 古典的だけど本棚の裏か、机の裏の隠し板の中とか……とりあえず目標をベッドの下に。する。 手探りで布団の上をなぞったりして探してみるが…… もみもみ、もぞもぞ……もみもみ。 (……でも、変だな?羽毛布団ってこんなに指に心地よい弾力などしていたっけ?) 疑問が浮かびつつも探る手を強めてみる。 うん、やっぱり柔らかい。しかもホットミルクのように人肌しかも何処かで触ったことのあるような、ないような……いやいやなのはとアリサの中間くらいの大きさか、あれ? 「そんなわけないよね、まさかね……あははは、ひゃううぅぅぅ!!!」 脳裏に走るイメージ、同時に首筋に感じる冷たい雫と同時にバランスを崩してベットに倒れこむ。 今度は顔全体にかかるハリのある弾力と感触……急に部屋に灯りがつく。 「うおっ、まぶし!! でも一体何が……あっああああああ!!!!」 ユーノは目の前の光景を疑いたくなる。もうお分かりだろうけど…… 「ああんもう、もっと続けてもよかったのに……ワイルドなユーノ君も素敵やけどな」 ……裸Yシャツ装備のはやてを押し倒していました、ありがとうございます。 「は、はやて?今日はクラナガンの方で泊り込みのお仕事じゃなかったの?」 「それがな――捜査協力の直前に犯人つかまったもんやから急に暇になったんや」 黒下着の上に裸ワイシャツ(しかもユーノのお下がり。微妙に染み付き)のまま、ユーノの顎を手に取るはやて。 完璧に嵌められた、という絶望感がユーノにいやおう泣く襲い掛かってくる。さらに…… 「もう、ユーノ君ったら、そんなに欲情していたなら最初に言ってくれればよかったのに!」 「まったくだな。男ならば色欲はもって当然……待て、ヴィータ抜けがけは許さんぞ」 「きこえねーです~あたしは先約があるからいいんだよ」 手足は瞬時にバインドで固められ3人に乗っかられてマウントを取られる始末。 ちなみにシグナムはバスタオル一枚の格好で後ろから、たゆんたゆんな凶器で拘束。 シャマルはやけに豪華なレースのネグリジェで囁き。 ヴィータは白ハイレグに振る装備のバニーガールという始末。 「ねぇ、ユーノ君。女の人の部屋に無断で入るのは夜這いのときだけやで?」 「主の言うとおりだ。敵の手中に収まった不埒者の末路をとくと学習させてやる」 「おめーら、何で顔がにやけてるんだよ……別にいいじゃねぇかよ、痛くしなくてもよ」 「甘いなヴィータ~そんなら、恨みっこ無しでみんなではんぶんこしようか?」 「僕はものじゃな―――い!!!!っていうか、やめてやめてズボンに手は不味いって!擦るのNG!剥くのはダウトだからね!ちょっやめ―――!!」 もはや草木さえも起こしかねない肉林の開幕。 ちなみに……この一連の模様は何故かユーノのポケットに入っていたレイジングハートそっくりな紅い宝玉により監視かつ放映(しかもデバイスで見れるワンセグ機能付き) 公開●●●●を目撃した悪魔一堂が、八神家ぶんなぐり艦隊で殴りこむまで……もう間も無く。 15スレ SS はやて シグナム シャマル ユーノ ヴィータ
https://w.atwiki.jp/mugenshoko/pages/280.html
電波北よー\(^o^)/ sihxPTz4 「ユーノくーん!」 「ヴィヴィオ?どうしたのかな?なのはに付いて来たの?」 「んーん!今日はお願いがあるのー!」 「僕に?」 「うん!……これっ!」 「『にっきちょう 3ねんせい たかまちなのは』……これって」 「あのねー」 なんでも、なのはが海鳴の自宅にヴィヴィオを連れていって、 なのは自身が使っていた部屋で寝泊まりしたという。とっても楽しかったそうだ。 アリサやすずかにも会ったらしい。 何かどんどん脇道にそれていくヴィヴィオの話を微笑ましく聞き続ける。 「それでねそれでね!アリサおばちゃんとすずかお姉ちゃんがね! 『なのはの秘密を教えてあげる』って!んでこの本をくれたの!」 何でアリサはおばちゃんですずかはお姉ちゃんなんだ?……何か寒気がするから考えるのはよそう。 「そっか……ヴィヴィオは日本語読めないからね」 「みっどとべるかは読めるもん!」 「ははは……でも、なのははさすがに無理だろうけどさ、フェイトやはやては読めるよ? 無限書庫まで独りで来るの大変じゃなかったかい?」 「アリサおばちゃんとすずかお姉ちゃんが『必ずユーノに見せろ』って」 「二人が……?なんでだろ?」 なんでわざわざ自分なのか……疑問に思うが「はやくはやくー」とヴィヴィオに急かされる。 「じゃあ読んであげるね……『〇月×日……』」 ジュエルシードのこと、フェイトとの戦い、はやてとの出会い、夜天の書について…… たくさん思い出が詰まった『にっきちょう』。 心なしか、自分のことが一杯書いてあったのはちょっと嬉しかった。 その『にっきちょう』も、とうとう最後のページ。 「つぎでお話終わっちゃうの?」 目を輝かせて聞いていたヴィヴィオは、本当に残念そうだった。 「残念だけど、ね。……こほん…… 『今日は、ユーノくんと、おわかれする日でした。 昨日からとてもかなしくて、なみだがとまらなくて、だいじな日なのにずっとねむたかったです。……』」 ああ、そうだったっけ。必死で僕に気付かれないようとしてたなのはのくしゃくしゃな顔を思い出した。 普段とは全然違う様子に、不謹慎だけどドキリと心臓が鳴ったのを覚えている。 「『……ユーノくんは、これからむげんしょこというところでおしごとをするんだ、と言っていました。 もっと一しょにいたかったけれど、かならず会いに来るよ、 とユーノくんが言ってくれたから、がんばろうと思います。……」 ちょうどその時だった。ユーノの耳に書庫の扉が開く音が聞こえたのは。 「『……もっと大きくなって、かわいくなったら、ゆ』」 「ダメええええええええええええっ!!!?」 「うわぁっ!?」 「きゃあ!……なのママ!?」 フェイトもかくや、という速度の暴走なのはさん機関車は、 そのままひったくりさながらユーノの手から『にっきちょう』を奪取し、 10メール近くの制動距離を経てようやく止まった。 「はぁっ……は……ぁっ……ヴィヴィ……オ……これ……誰からっ……?」 「あ、アリサおばちゃんと、すずかお姉ちゃん……」 「はぁ……はぁ……あの二人め……後で頭を……冷やしてあげないと……」 海鳴にいるであるう幼馴染みの身を案じつつ、ユーノは最後のページの言葉の意味をかみ締めていた。 「なんだ……意外に簡単だったんだ……ははは」 「ユーノくん?」 「ユーノ君……ごめ……久し振りに全力全開で走ったから……へとへと……」 「……うん、転送魔法か車で送ってあげるよ」 「……ありがとう」 にっこり笑う彼女の顔は、出会った時からいつも変わらず魅力的だった。 心臓を鷲掴みにされるような感じがした。 ヴィヴィオが「おくるまが良い!!」ということで、時間はかかるけど車で送ることになった。 言い出した張本人は、後部座席でもう寝てしまっているけど。助手席に乗るなのははまだ不服そうだ。 「……もう……アリサちゃんもすずかちゃんも……後で必ず」 「ははは……まぁ抑えて抑えて……」 「ぶー……なんでお母さんもよりによって二人にアレ見せるかなぁ……」 どうやら原因は桃子さんのようだ。 「……なのは?」 「ん?」 「……もう遅いかい?それともまだ……間に合う、かな?」 「何?」 多分、これを言ったら彼女は真っ赤になるだろう。それが今から楽しみで仕方が無い。 今までは僕の一方通行かと思っていたけれど…… 何のことは無い、最初から『ありえない』と思っていた、最高の形に、僕が気付こうとしなかっただけだ。 これなら多分……いや絶対に、うまくいく。 なのはの『にっきちょう』の、最後のページ。普段の倍は書いていたその最後の一言。 『ユーノくんの……』 ――1年後、栗色の髪と、澄んだ翠の瞳を持ったきょうだいが、ヴィヴィオにできましたとさ。 おしまい。 20スレ SS なのは ユノなの ユーノxなのは ユーノ・スクライア ヴィヴィオ
https://w.atwiki.jp/mugenshoko/pages/315.html
遊乃堂奇譚九話特別編?「迷宮のユーノ」今度がその2かな Bl+g0puO ここは海鳴町の片隅にある古びた佇まいの古書店『遊乃堂』―― いつも静かな古書店の入り口に今日は一枚の張り紙が貼られていた。 『急な用事により暫くお休みを頂きます。 遊乃堂』 その張り紙を読んだアリサ・バニングスはその怒りのはけ口を親友のすずかへと代えて、 彼女を近所の喫茶店へ呼び出し、すずか相手にパフェを肴にさんざっぱらユーノの悪口を言いつのっていた。 「急にお休みして何日も店を空けるなんて、 経営者としての自覚ないんじゃないかしら、あの馬鹿フェレットは! 黙って店を閉めたらお客さんが困るでしょうに。……だいたいアタシに黙ってってどういう了見よ!」 売上がほとんどないあの店で休みになって困るのはお客ではなくてユーノの“身内”だけかも知れないが。 「“何日も”って、その張り紙は今日見たばっかりだと思うんだけど……」 すずかの言葉はパフェと貪るアリサには届いていないようだ。 ――たしか、こないだ夕飯食べに二人で押しかけた時にアルフさんがそのこと言ってたんだけどな。 彼女は目の前で二つめのパフェに手をつける親友をちょっとだけ生暖かい目で見守っていた。 ――そのときのアリサはユーノさんばっかり見てたから憶えていないのかもしれないけれど。 その頃、悪口の主たる“馬鹿フェレット”は従業員達と従業員候補(?)1名と共に地下迷宮を歩いていた。 「あ~、じれったいね! 壁ぶち抜いて突っ切っちまった方が速くないかい」 アルフはくねくねと曲がる迷路にしびれを切らしてきていた。 「だいたいどこへ向かうかわかってるのかい? それにこの迷路自体がものすごく強力な防御魔法の固まりだ。 なのはのゼロ距離でのエクセリオンバスタークラスじゃないと壁1枚でも貫通しないんじゃないかな」 「じゃあ、壁の薄いところを探してから私のザンバーフォームで……」 「ザンバーフォームを展開するにはここじゃあ狭すぎないかい? それに貫通できるかどうか」 「じゃあ、サンダーフォールのつるべ打ちで……」 「フェイトぉ、こんな室内の狭いとこでそれじゃ、うまくいったら、まるでピカチュ○だよ~。 で、失敗してアタシ達の頭に当たって全員アフロとかは勘弁だよ」 『いや、それピカチュ○じゃないから。単なるギャグアニメとかだよ』と心の中で突っ込みを入れるユーノ。 「ここからはしばらく一本道みたいだね」 しばらくいくと彼らの目の前に狭いが手元の明かりで見える限りずっと一本道に見える通路が現れた。 「これだと飽きてくるよぉ」 アルフ達が何分か歩けども歩けども彼らの視界が届く限りはずっと一本道だった。 「アルフ、ぶつくさ言わない」 「だって……」 『ゴリッ』アルフが手をついた辺りの石のブロックがスイッチのようにくぼんだ。 「あれ?」 それを合図とするかのように通路の前後から響く地響き。 「ユーノ、ごめん……、アタシ、なんかやらかしたみたいだね……」 ユーノが目をこらすと丁度通路と同じ大きさの石の車輪が迫ってくるのが見えた。振り向くと後方からも……。 「別にいいけど……、印をつけ損なった僕が悪いんだし。……しかしまったくベタなものを」 ユーノとアルフがバインドで動きを止めようとするが強力な防御魔法の前に減速させることしかできない。 「やっぱり、私がザンバーフォームで……」 「しかし壁の薄いところを調べている時間はなさそうだし、 それにこの狭い通路じゃ、難しいんじゃないかな」 「でも」 「お待ちください。撃ち抜くのでしたら、私の方が適任かと」 言い争いになりそうな二人を制してからアインスは手近な壁に手のひらを当てた。 「お下がりください。壁に対してゼロ距離でのエクセリオンバスターを使います」 「それって“あのとき”のなのはの……」 何故アインスが“エクセリオンバスター”を使えるのかにユーノは思い当たった。 「はい、“記憶”にありましたので」 「大丈夫なのかい?」 「ほぼ完璧にコピーは出来ているはずです。力も十分にあります。そして高町なのはの力を信じてください」 「いや、そうじゃなくて……。わかったよ、でも……」 ユーノは彼の声に驚いて振り向いたアインスの目を真剣なまなざしで見つめた。 「僕は今目の前にいる、リインフォース・アインス、君を信じるよ」 「ハイ、我が主、ユーノ・スクライア」 ――必ず壁を貫通させて、主ユーノと、その想い人お二人をこの身にかえてもお助けしてみせます! 間近に迫る石の車輪達をバインドで減速させつつエクセリオンバスターの衝撃から身を守るためバリアをはる3人。 「全力全開、エクセリオンバスター、参ります!」 ……なおも続くけど今はここまで。 35スレ SS アリサ・バニングス アルフ フェイト・テスタロッサ・ハラオウン ユーノ・スクライア リインフォース・アインス 月村すずか
https://w.atwiki.jp/mugenshoko/pages/64.html
「すずかさんルート→月村家」 作者:15-498 家族水入らずに邪魔するのも悪いかな、と考えたが行く宛ても無かったので適当に―― rァ・海鳴駅前商店街 ・海鳴市内 ・クラナガン で幸せそうなカップルをぼんやりと観察していると―――ぽんぽんと肩を叩かれた。 「久しぶり!ユーノ君……だよね?」 「あ――うん。こちらこそ久しぶり。すずか」 「誰かと待ち合わせしてるの?なのはちゃん……とか?」 お邪魔になっちゃいそうだから退散しちゃったほうがいいかなとすずかはおずおずと訊ねてくる。 「あー、いや。今年はちょっと色々あって、別行動なんだ」 あはは、と寂しげに笑う。 するとすずかはキョトンとして、驚いたように目を見開く。 「……え、もしかしてもしかすると、一人?」 「う、まあ、ありていに言えば……そう、なります」 「あはは、なあんだ、心配して損しちゃった」 「うう、そういうすずかはどうなんだよ」 ユーノががっくりと肩を落としながら恨めしげな目で反撃する一方、すずかは手を合わせて暖かい笑みを漏らした。 「さっきまでは予定がなかったかな。こんな日にも研究で忙しいのは理系学生の悲しいところだよね。でも……」 「でも?わっ」 すずかはえいっとユーノの腕に飛びつき、彼女にしては珍しく、からかうような悪戯っぽい目で楽しげに見上げてくる。 「もう決めた。家にお持ち帰りして寂しい寂しいユーノ君を慰めてあげる」 「え、そ、それは」 「寂しい独り者の私たちでもクリスマスを満喫して罰は当たらないでしょ?」 それとも私じゃ不足かなと一転して不安げな様子になるすずかを見て、 ユーノはかなわないなあと思いながら、ゆっくりと月村家へ歩を進めるのであった。 15スレ SS すずか ユノすず ユーノ
https://w.atwiki.jp/mugenshoko/pages/19.html
10スレ 10-240 ナンバーズ的概念における『兄弟』 11スレ 178-182 予算がほしいか、欲しければ己が全能を持ってその力(根拠)を示せ 13スレ 13-203 アルフルート電波 16スレ 121-188 令和にまさかの6番目 18スレ 18-903 クビ司書長の設定 21スレ 21-804セクハラ司書長と不遇部隊長の愉快な日常 23スレ 20-32妄想野郎司書チーム 24スレ 556-568何時代でも家焼くな 25スレ 300-311魔道+書物=斬魔大聖が鉄板だった 30スレ 30-53幼女ギンガドリル 30-126ユーノTSネタ 31スレ 31-305第一次戦闘機人突撃合戦 39スレ 39-416生モノでも格好良かったと思う 40スレ 40-252最初に摂取したカワカミン成分(個人的に) 43スレ 43-441勇気も無い弱い女()からの精一杯のアプローチ 50スレ 50-149 メタルギアフェレット1 60スレ 60-99 還暦 - にっぷし 60-138 空の境界ネタ 60-184 ユーノは王様 60-232 無限書庫に作業用BGMが流れていたら 60-481 ユーノ先生 60-514 無限書庫 ~輝く季節へ~ 60-669 ジュエルシードのエピソード捏造 60-941 ピコピコ天使だよユーノ君 61スレ 61-76 なのはが撃墜時に… 61-94 三日の掟 61-151 後にはくすんだ翡翠色の宝石が一つ *死ネタ注意 61-190 スーパーキャロタイム 61-219 光の巨大フェレット 61-234 ユーノの正体 61-241 スーパーキャロタイム再び 61-389 司書長の膝をめぐるたたかい 70スレ 70-127 検索(さが)すのは僕のスタンドだ! 89スレ 89-447 掟破りのユーノ×フェイト(試作版) 146スレ 146-441司書長と彼女のゲーム戦争 149スレ 149-733 スプリ〇ン・ユノヴァース
https://w.atwiki.jp/mugenshoko/pages/179.html
作者:◆kd.2f.1cKc 「スバルがいけないんだよ!」 「今度という今度は、なのはさんの横暴を許すわけにはいかないっ!」 深い青の閃光と桜色の閃光が、交錯し、正面から激突する。 『Devine』 『Buster』 レイジングハートが、マッハキャリバーが術式を発動させる。 レイジングハートの先端から、リボルバーナックルの手甲から、強烈な魔力弾が放たれた。 乱射される砲撃魔法の流れ弾が、ドカドカと着弾し、ミッドチルダ市街の地形を変えていく。 この近辺は、管理局の武装隊関連の施設がある場所だったが、廃棄区画ではない。 だが、2人はそんなことは構わないという様子で闘いを続けている。 ────そう、物理的破壊を伴うリミッター無しの全力全開、マジバトルだ。 2色の魔力弾がもつれ合って、地上本部の訓練施設が使用するオフィスビルに直撃。 「どうして、こんな事になったんだろう……」 崩壊するビルの屋上から投げ出されながら、2人の闘いの原因はそんなことを呟いていた。 事の始まりは、1月半ほどさかのぼる。 「防御魔法と、飛行魔法を教えて欲しい?」 無限書庫司書長、ユーノ・スクライアの元に、スバル・ナカジマが現われたのは、そんな理由だった。 「はい! スクライア司書長は防御魔法のエキスパートだと聞いておりますので」 「そんな、6課の面々に言われるほどじゃないよ」 昼食時に押しかけてきたスバルに、ユーノは不快と言うわけではなく苦笑して、そう謙遜した。 「それに、飛行魔法って……6課の隊長たちだって、飛べるだろう?」 「その、自分たちはフィーリングで覚えたので、上手く教えられない、とか言うんです」 スバルの答えに、ユーノはああそうか、と納得した。 「呼吸するように飛んでるもんね、なのはたち……」 なのはとはやては己の技術として覚えるのではなく、いきなりデバイスに“飛ばせて貰った”のが最初だし、 ヴォルケンリッターに至ってはそれ以前、プログラムされた段階で高い飛行戦闘能力を与えられているだろう。 唯一、自己学習したのはフェイトだけだが、早い段階で覚えさせられたのだとしたら、 就学前の年齢の記憶なんかほとんど無いだろうし、 その時期の記憶はアリシアの記憶をオーバーライトされてしまっている可能性も高い。 加えて、魔導師の高等飛行技術とは、飛びながら別の魔法を操ることが前提だ。 飛行魔法そのものをいちいち意識しているようでは、役に立たないのである。 なるほどこれでは、改めて他人に教えろ、などというのは不可能である。 「でも、スバルは陸でしょ? わざわざ飛行魔法なんか使わなくても」 小首を傾げるような仕種をしつつ、言ってから、ユーノは手に持っていたチーズバーガーにかじりつき、 咀嚼する。 「機動6課、あと3週間で解散になるのは、ご存知ですよね?」 「まぁ、そりゃあね」 スバルの言葉に、頷く。 「私、その後、陸の災害救助部隊を希望してるんです。 けど、そうなると、多少なりとも飛行技術を持っていた方が、有利でしょう? なのはさんのように、1人でも多くの人を助けられるようになりたいんです」 「なるほどね」 ユーノは、納得が行った、というように、頷いた。 「それに……」 「ん?」 「あ、いえ!」 言いかけて、スバルは慌てたように、自分の言葉を遮った。 「何でもありません!」 ばたばたと両手を振って、スバルは誤魔化した。 「まあ良いけど……」 ユーノは、そう言って苦笑する。 「それと、防御魔法ですが、出来れば範囲形のを使えるようになりたいんです。 それと、出来れば結界も」 気を取り直して、スバルは右手の指を振る仕種をしながら、言った。 「それも救助活動の一助になるもんね」 「はい」 ユーノの言葉に、スバルは明るい表情で即答する。 「でもそう言うのは、シャマルさんも得意じゃなかった?」 「シャマル先生は、古代ベルカ式ですから。 一応、教えては貰ったんですけど、展開に時間がかかりすぎて……」 スバルは少し俯きがちになって、困惑気に言う。 「あ、そうか」 近代ベルカ式は、ミッドチルダ式にエミュレーターを被せてベルカ式を再現するものだ。 シューティングアーツに使うような瞬発魔法なら構わないが、 範囲系の魔法の展開には処理がかかりすぎる。 スバル自身、なのはのディバイン・バスターをコピーするなど、ミッドチルダ式への適正もあるのだから、 屋上屋を重ねるような真似をするより、ミッドチルダ式の結界魔法を展開した方が早いだろう。 「まぁ、いいか。JS事件の後始末の煽りで、逆にここはあまり忙しくないしね」 ユーノは、苦笑気味に言った。 次元航行艦隊がロストロギア収集や次元環境観測に活発に活動していると、 その資料や過去の記録の捜索・参照要求がひっきりなしに来る。 だが、管理局全体がJS事件の後始末に追われている為、 皮肉なことに、無限書庫はむしろ普段より舞い込む作業が少なかった。 ユーノなど、自分のことをいまだにフェレットもどき呼ばわりする、 バリアジャケットと同じくらい腹も黒いんじゃないかと思う某提督と、 3時間おきに顔をあわせる事が無くなって、どれだけ楽になった事か。 ……閑話休題。 「それじゃあ」 スバルが、ぱっ、と顔を明るくする。 「うん、僕で出来る範囲でよかったらね、空き時間に少しずつ、になっちゃうけど」 そう言って、ユーノは手を差し出した。スバルはそれを、両手でぎゅっ、と握る。 「よろしくお願いします!」 「こちらこそ、よろしく」 力強く言うスバルに、ユーノは返事する。握手。 「いてて……」 握手が離れると、ユーノは紅くなった右手を振った。 「あ、ご、ごめんなさい!」 スバルは、慌てて言い、心配そうにユーノを覗き込む。 「あ、うん、大丈夫だよ」 ユーノは左手で右手を擦りつつ、苦笑気味に優しく笑って、そう言った。
https://w.atwiki.jp/mugenshoko/pages/114.html
「フェレットモード発情期-なのはさんの場合」 作者:D KDq6qWU9 早朝のお風呂場で木霊する二つの声。流石に昨晩の激しい情事の匂いをヴィヴィオには嗅がせたくないの。 「ごめん、なのは。いつもの事とはいえ、また……」 「それ以上言うと本当に怒るから駄目だよ。私も望んで遣っている事だし気にしちゃだ~め」 昨日の夜の荒々しく私を求めた彼とは大違いの声。もう呆れるくらいに数を重ねた筈なのに、何時までも終わった後はユーノ君は始めての時のように体を気遣ってくるの。 付き合い始めて発覚したユーノ君の秘密―――――フェレットモード時の発情期が人間になってもフィードバックされる。 先天的に変身魔法が使える人に置きやすい現象を私が知ったのはユーノ君との三度目のデートの時に私の目の前で発症した時。 最初はすごく驚いてユーノ君も押し倒した事を攻めたけど、今ではそれを出汁にして本日は両手で二人で楽しんでいるの。 最近ではヴィヴィオが『おとうとかいもうとがほしい~』なんておねだりしてくるから余計に――――背中から抱きしめられると感じる何時もとは違う暖かさ。 「……ゆーのくんのえっち。まだ足りないの?」 「うっ……でもなのはには言われてくないよ。なのはだって同じでしょう!昨日何回出したと……」 「女の子にだって色々あるんだよ、もう!」 体制を変えて向かい合うとすごく真っ赤になって俯くユーノ君の姿。 ――――病気の人に対して不謹慎なんだけど、熱に浮かされたユーノ君の顔はすごくそそられる。 ちょっと女の子っぽい顔なのに、欲求はすごく男の人のそれ。そのアンバランスさに加えて普段はあまり自分の欲求とかを前に出さないから、余計に受け止めたくなっちゃうの 「いいよ。我慢なんかしなくていいからね。もうユーノ君ので染めちゃっていいんだよ……」 言葉はキスで塞がれて、降り注ぐシャワーの音が余計な雑音を消してくれる。 ……ヴィヴィオが起きるまでの時間までお風呂場でもしっぽりとすごしたのでした、まる 12スレ SS なのは ユノなの ユーノ
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/291.html
<ジュエルシード>―――! 我々は、この宝石を知っている! いや! この禍々しい輝きと忌まわしい魔力の淀みを知っている! この奇妙な物語の始まりを司り、中核を担う遺失物。 『願いが叶う』宝石。 その正体は、次元干渉型エネルギー結晶体である! 全部で21個あり、シリアルナンバーが各個に1~21と振られている(この数字は、実際にはローマ数字が使われている)。 能力的には、ナンバーに関係なく、全てほぼ同等だと思われる。 ジュエルシードは、遺跡探索を生業とするスクライア族によって発掘された。 この発掘作業の指揮をとっていたのがユーノ=スクライアで、発掘後の輸送中に原因不明の事故により、海鳴市近辺にばら撒かれてしまったのだ! 輸送時の管理に直接ユーノは関係していなかったが、それでも責任を感じたユーノは、独力でジュエルシードを回収しようとしたが、暴走したジュエルシードは手に負えず、傷を負って倒れたところでなのはと出会うことになる―――。 それが、『高町なのは』とその相棒『レイジングハート』が紡ぐ、長い戦いの歴史の……全ての始まりだった。 「アイツを……ジュエルシードを解き放ってはいけない!」 深夜。不吉で生暖かい風が吹きすさぶ中、なのはと、その傍に立つフェレットの姿をしたユーノは、眼前に聳え立つ巨大な影と対峙していた。 「アナタには素質があります! 『魔法』のパワーを行使する為の才能が! ボクに力を貸してください!!」 「……」 自らの無力を噛み締めながら、ユーノは出会ったばかりの少女の背中を見上げていた。 なのはの手には、つい先ほど渡したデバイス『レイジングハート』が待機モードで収まっている。未だなのはと契約も済ませていないこの状態で、デバイスの能力はほとんど発揮できないだろう。 しかし、奇妙な事になのはは怯えてはいなかった。 武器もなく、目の前には陽炎のように揺らめく黒く大きな影の化け物が蠢いている。そんな異常な状況下に立たされながら、しかしこの少女は、怯えて震える事もなく佇んでいるのだ! (なんだろう……この娘には、魔力の素質以外にも、言葉では言い表せない『凄み』がある!) ユーノは奇妙な感覚に捉われていた。 警戒すべきは、目の前で暴走するジュエルシードであるのに、意識はソイツと臆す事無く対峙するこの不思議な少女に吸い寄せられてしまう。 一般人を事態に巻き込んだ迂闊さを呪いながらも、『この少女なら何かを仕出かしてくれる』という、そんな妙な期待感があった。 「……ねえ」 「! ……な、何ですか?」 怪物と真っ向から睨み合っていたなのはから唐突に声を掛けられ、ユーノは思わず身構えた。 「この子、目とか口みたいなのがあるけれど、生き物なのかなァ……? ご飯とか食べるの?」 「え……ええ!?」 あまりに唐突で予想だにしなかったなのはの言葉に、思わず一瞬呆けてしまう。 「ねえ、アナタ……口があるんだから言葉は喋れないかなー? ハロォ~~」 この状況下で一体何を言ってるのか……? 混乱するユーノを尻目に、なのはは動物園で初めて見た動物と接するような態度で無防備に歩み寄っていた。 この状況下で一体何をやっているのか……? ついに少女の正気を疑い始めたユーノの錯乱振りをやはり気付かず、なのはは明るい身振り手振りのジェスチャーで蠢く影の化け物とコンタクトを取ろうとしていた。 「ご機嫌いかが~~~? ハッピー、うれピー、よろピくね―――♪」 「あ、あのぉ……?」 「ジュエルシードさん。さあ、ごいっしょに……さん、し―――ハッピー、うれピー、よろピくねー♪」 ……この少女は、ひょっとしてちょっぴりネジの緩い子なのではないだろうか? この緊迫した状況下で、全く事態を把握できていないとしか思えない程気楽な声でリズムを取るなのはの姿に、ユーノは別の意味で戦慄した。 ジュエルシードの暴走体がなのはの行動に律儀にも沈黙する中、ユーノはしばらくてようやく我に返った。 「―――って、君! 一体何してるの!?」 「いやぁ~、ひょっとしたらこの子いい子なのかもしれないと思って。ちょっと探りを入れてみてるの。 雪男やネッシーとかにも、出会った時悪い者と最初から考えるのは良くないと思うの、わたし」 「何をバカな! アレに考える能力なんてない、ただ暴れるだけの危険なモノなんですよ!」 「うーん、でも何事も最初はお話する事で歩み寄れると思うんだ。大切だよ、お話って」 「無理だよ! アレには会話するだけの思考力も―――来るッ!?」 なのはの独特のペースに巻き込まれそうになっていたユーノだったが、とうとう動き出した暴走体に感付き、警告を叫んだ。 黒い塊が空高くジャンプし、全身を使ってなのはを押しつぶそうと落下してくる。 これには結構呑気してたなのはもビビった! 「うわぁああああーーー!?」 慌ててその場から飛び退れば、一瞬遅れて黒い巨体が岩石のようにアスファルトへ激突する。地面と共に自らの体も弾け、暴走体の欠片が炸裂弾のように周囲に飛び散った。 ブロック塀は無数の弾痕を刻み、電柱はへし折れて倒れる。 「何、アイツすごく危険なヤツだよ!?」 「だからそう言ってるんです! さあ、早くレイジングハートの力を解放して! まず呪文を……」 一国の猶予も無い事を理解したユーノはなのはを急かす、が、しかし! 「……」 その時、なのはが意識を向けていたものはユーノの言葉などではなかった。 「……『アレ』……『アレ』はッ!」 「君、一体何を見て……!?」 なのはを叱責しながらも、視線を同じ方向に走らせてユーノはようやく彼女の注目する物を発見した。 それは、ついさっきまで『生物』だった『物』だった―――。 猫が一匹、死んでいた。 弾けた暴走体の破片を受け、首を抉るように吹き飛ばされたその仔猫は、どう見ても確実に死んでいた。 首輪も吹き飛んでしまったのか確認できない。あるいは、あれは野良猫だったのかもしれない。 しかし、重要なのは―――今ひとつの犠牲が出てしまったという現実だった。 「……急ぎましょう。これ以上犠牲を増やさない為に」 惨い死に様から思わず眼を逸らし、ユーノは苦い口調でなのはを促した。 猫とはいえ、この犠牲は自分のせいで起こったものだと言えた。 体を四散させた暴走体は、すでに再び集まり、形を取り戻しつつある。再び攻撃が可能な状態になれば、封印は更に難しくなるのだ。 ―――だが、ユーノが促すまでも無くッ。すでにッ! 「……戦いたくなったよ。アイツを博物館にかざってやる!」 ┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨ ┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨ 高町なのはは戦闘態勢に入っていたッ!! 先ほどの間の抜けた行動から一切を切り替えた『覚悟』に満ちた表情。 内に煮え滾る『怒り』を宿したなのはの横顔を見て、ユーノは全身に鳥肌が立つのを感じた。 今のなのははさっきとは違う。何らかのスイッチが入ってしまっている。 「この世で最も大切な事が『信頼』であるのなら、最も忌むべき事は『侮辱』する事なの。アイツは、あの無関係な猫の命を、たった今『侮辱』したッ! 『レイジング・ハート』!!」 『stand by redy.set up―――!』 「バ、バカな……! 正式な手順を踏んでもいないのに、レイジングハートが起動した!? それに……なんて魔力なんだ……っ」 なのはの手の中で赤い宝玉が光を放ち、ユーノはその有り得ない光に驚愕する。 レイジングハートがなのはの戦いの意思に呼応したものか、彼女の怒りの精神の波長がデバイスの何かに影響したのか……とにかく、デバイスはなのはを主と認めたのだ。 同時に告げる無機質な声。なのはは純白の光に包まれた。 その光の中でなのはの服は徐々に光と同化し、やがて光の粒子となって消え去る。 それとほぼ同時に別の何かが身体を覆い、新たな服を形作る。 デザインは装着者のイメージを基に―――完成する。なのはだけの『鎧』が! 「これは……?」 光がおさまった後には、その身をバリアジャケットに包んだなのはと、本来の杖の形状に変化したレイジングハートが佇んでいた。 「それが『魔法』です! どういうワケか、今アナタはレイジングハートの使い手として認められました。それによって、アナタを守る力が、その衣服になったんです」 「『魔法』……そう、わたしは『魔法少女』になったんだね」 さすがのなのはも驚きを隠せなかった。 漠然としていた未来の目標が、今唐突に自分の手に飛び込んできたのだ。 しかし、すぐに我に返った。 なのはの魔力の放出と光に、暴走体が反応し、ついに彼女に明確な意識を向けたのだ。虚ろな二つの眼球が、なのはとユーノを捉える。 「いけない、目を付けられた! とりあえず、何処かに隠れましょう。基本的な魔法の使い方も分からない今じゃ、真正面からアレに立ち向かうのは危険すぎる。まず様子を見て……」 「―――ううん、そんな事はしない! これが『いい』の!」 睨みつける敵を警戒しながら忠告するユーノに対して、しかしッ、なのはは逆にレイジングハートを構えた。 『え?』と呆気に取られるユーノを尻目に、視線を敵に向けたまま、先ほどの僅かな戸惑いを既に無くした凛々しい横顔でなのはが答える。 「この『敵に見つかった』状況。隠れるなんてとんでもない! これがいいの! アイツがわたしに意識を集中してくれる、この状況が『いい』んじゃないッ!」 「な、何を言っているんですか!? このままだとアイツはアナタだけを執拗に狙って……ハッ!!」 笑みさえ浮かべそうななのはの横顔を見て、焦ったユーノは引き攣った声で言いかけ―――その途中でなのはの意図に気付いた。 今度こそ、なのはは笑みを浮かべる。少女らしい無垢なそれではなく、牙を持った獣が歯を剥くような、闘争心に満ち溢れた微笑を。 「そう、それが『いい』―――アイツがわたしを狙う限り、これ以上無関係の犠牲が増える事は少なくなるからなの」 「……~~~ッ!」 ユーノ全身を冷たい感触が走り抜ける。それは戦慄だった。目の前の少女の、己の命を賭す程の『決意』に対する畏怖だった! 無謀と言えば、それまでかもしれない。 だが、そんな言葉で言い表せない『凄み』をなのはが持っている事を、ユーノは理解した。 いや、自分に彼女の決断をどうこう言う資格など無い。 自分が、自らの失敗に対する後悔や罪悪感でジュエルシードの封印に躍起になっていた時、彼女はすでに自らの意思で戦い守る事を『決意』し、『覚悟』していたのだ。確かな勝利へのビジョンを持って! ユーノはなのはという少女に圧倒され、愕然とした。 何も知らない少女を戦いに巻き込んだ、と気に病んでいながら、その実何も分かっていなかったのは自分ではないか!? 「アナタは……ッ、覚悟の上だというんですか……? 何故、そこまでして……」 「……この高町なのはには、正しいと信じる夢がある!」 なのはの発した曇りの無い言葉に、レイジングハートの輝きが応える。 その輝きは、ユーノにはまさに『黄金の輝き』に見えた。彼女の精神が放つ光と同じように! ┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨ ┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨ 「『ジュエルシードは封印する』『この町も守る』 『両方』やらなくっちゃあいけないっていうのが、『魔法少女』のつらいところだね」 (か……彼女は、やっぱり違うッ! ただの女の子じゃない。 この娘……アイツを『倒す』気だ! ちょっと前までただの小学生だったのに、突然現れた得体の知れない怪物を倒そうとしている! 本気だ! 彼女には、『やる』と言ったら『やる』…………) そして、不気味に蠢くジュエルシードの暴走体に対して、なのはは自ら駆け出した。 (『スゴ味』があるッ!) 「―――『覚悟』はいい? わたしは、出来ている」 バ―――――z______ン! リリカルなのは 第一話、完! to be continued……>(各小ネタへ) <次回予告> CV:田村ゆかり わたし、高町なのは。 極々平凡な小学三年生のハズだったのですが……何の因果か運命か『魔法少女』に任命されてしまいました! 待ち受けるのは、どんな運命? でもどんな『運命』だろうと『覚悟』があれば幸福です。『覚悟』は『絶望』を吹き飛ばすからですッ! (ズギュゥゥ――z___ンッ!) あと、まだ名前も聞いてないこのフェレット君は家で飼っても大丈夫なんでしょうか? 次回、魔法少女リリカルなのは! 第二話『魔法の呪文は燃え尽きるほどヒートなの』 リリカルマジカルがんばります! 前へ 目次へ 次へ