約 4,982,224 件
https://w.atwiki.jp/83452/pages/13808.html
LOSTHIGHWAY前 律「ここだな……」 唯「う、うん。誰かエレベーターの前に立ってるよ?」 律「店番みたいなもんだろ? オドオドしてちゃダメだって。こういうの は、ナメられたら終わりだからな」 唯「ん……そうだね」 律「よし、行くぞ」コツコツ …… 店番?「ん~」 律「イベント、よろしく」 店番?「……」カチッ ウィィィイイ 唯「エレベーターを使って地下に行くんだね……」 律「どうもっ」 ガタン 店番?「……」 LOSTHIGHWAY 律「……なんか、初めてこういう場所入ったけど」 ドゥ ドゥ ドゥ ドゥ 唯「なんかすごい音楽流れてるね~」 律「……テクノってやつだっけな。今日のイベントに書いてあったのは」 唯「そうなんだ、私は音楽のジャンルはさっぱりだよ~」 律「まあ、私らはイベントのために来たんじゃないからな」 唯「まず誰に聞こっか?」 ドゥ ドゥ 律「ん~……やっぱりここの店員か?」 ドゥ ドゥ 唯「あ、じゃあ受付の人に聞いてみるよ。すいませ~ん」 ドゥ ドゥ 受付男「ん、なに?」 ドゥ ドゥ 唯「あの、ここで起こった事件の事なんですけど……」 ドゥ ドゥ 受付男「事件? さあ、俺今日ここに来たばっかだから……」 ドゥ ドゥ 唯「あれ、そうなの?」 ドゥ ドゥ 受付男「イベントのバイトでさ。俺、ここはエリアじゃないんだよ」 ドゥ ドゥ 唯「は、はぁ……どうも」 ドゥ ドゥ 律「どうだった?」 ドゥ ドゥ 唯「ん~、知らないってさ。結構スタッフの人は入れ替わりになるみたい」 ドゥ ドゥ 律「ん~……じゃあその辺にいる人かな。すんませ~ん」 ドゥ ドゥ 地味な女「……なに?」 ドゥ ドゥ 律「あの~、このクラブで起こった事件の事、知りませんか?」 ドゥ ドゥ 地味な女「事件……知ってるよ」 ドゥ ドゥ 律「えっ、本当に!?」 ドゥ ドゥ 地味な女「焼身自殺があった時の事でしょ……私、その時ここにいたから」 ドゥ ドゥ 律「な、何か知ってるのか!?」 ドゥ ドゥ 地味な女「……」ジーッ ドゥ ドゥ 律「?」 ドゥ ドゥ 地味な女「あなたになら、話してもいいかな。ベッドの上でだけど……」 ドゥ ドゥ 律「なっ……」 ドゥ ドゥ 地味な女「私、誰でもいいんだ。死んだあの人にも誘われてた……」 ドゥ ドゥ 律「死んだあの人って……さわちゃんに?」 ドゥ ドゥ 地味な女「カッコよかったよ、あの人。すごい目で私の事見てた……」 ドゥ ドゥ 地味な女「あなたもかわいいわね、どう……私、誰でもいいんだ……」サワッ ドゥ ドゥ 律「ひ……っ!」ゾワッ ドゥ ドゥ 地味な女「……あら、意外とあるのね」クスッ ドゥ ドゥ 律「し、失礼しました~……!」ザザッ ドゥ ドゥ 地味な女「……」 唯「……りっちゃん、どうだった?」 ドゥ ドゥ 律「……怖かった」 ドゥ ドゥ 唯「え? 何かあったの?」 ドゥ ドゥ 律「……」カァァ ドゥ ドゥ 唯「……」 ドゥ ドゥ 律「でも、この店ってさ……」 ドゥ ドゥ 床に寝ている男「……」 ドゥ ドゥ 天井を見ている女「……」ボーッ ドゥ ドゥ 唯「危ないお店……かもね」 ドゥ ドゥ 律「……だな」 ドゥ ドゥ 律「唯、この上にバーがあるみたいだ。そこで話聞こうぜ」 ドゥ ドゥ 唯「そこなら、店員さんがいるかもね」 ドゥ ドゥ 律「あ、すいませ~ん」 ドゥ ドゥ バー店員「……いらっしゃい」 ドゥ ドゥ 唯(あれ、もうバーにいたんだっけ?) ドゥ ドゥ 唯(まあ、いいや) ドゥ ドゥ 律「あの~、ちょっと前に起こった事件の事で聞きたいんだけど……」 ドゥ ドゥ 店員「……」スッ ドゥ ドゥ 唯「ん、メニュー?」 ドゥ ドゥ 律「いやいや、私たちは注文に来たんじゃなくてぇ……」 ドゥ ドゥ 店員「……」スッ ドゥ ドゥ 唯「りっちゃん、りっちゃん」 律「ああ、そういう事か……」 ドゥ ドゥ 店員「……」スッ ドゥ ドゥ 律「はいはい、わかったわかった。唯、何飲む?」 ドゥ ドゥ 唯「ん~、お酒が入ってなければなんでもいいかな~」 ドゥ ドゥ 律「どれどれ……」 ドゥ ドゥ リバーオブサマー ドゥ ドゥ スリーアイランド ドゥ ドゥ ジオ・カタストロフィー ドゥ ドゥ 律「なんじゃこりゃ……あの~、これ何味ですか~?」 ドゥ ドゥ 店員「……」 ドゥ ドゥ 唯「アルコールは入ってないんですよね?」 ドゥ ドゥ 店員「……」コクッ 唯「……それならまあ、私はなんでもいいよ!」 ドゥ ドゥ 律「ん~、じゃあ私はリバーオブサマーを!」 ドゥ ドゥ 店員「……」コクッ ドゥ ドゥ 律「唯はどれにするんだ?」 ドゥ ドゥ 唯「う~ん、私は……」 リバーオブサマー スリーアイランド ジオ・カタストロフィー 唯「……私は、いいや。いらない」 ドゥ ドゥ 律「ん、そうか。じゃあ店員さん、以上で」 ドゥ ドゥ 店員「……」スッ ドゥ ドゥ 律「来た来た。うへぇ、なんか濁ってるな……」 ドゥ ドゥ 唯「だ、大丈夫かな?」 ドゥ ドゥ 律「……えいっ」ゴクッ ドゥ ドゥ 唯「どう?」 ドゥ ドゥ 律「……ニガーイ、なんだよこれ?」ゲホッ ドゥ ドゥ 律「うう、なんて味だ……ゲロマズ……」 ドゥ ドゥ 店員「それ、今日でメニューから外れるんだよね。不味すぎてさ」 ドゥ ドゥ 律「なんだよそれっ! うう、気持ち悪い……」 ドゥ ドゥ 唯「りっちゃん、大丈夫……?」 律「……ちょっとトイレ行ってくるよ」 ドゥ ドゥ 唯「あ、うん。いってらっしゃ~い」 ドゥ ドゥ 唯「……」 ドゥ ドゥ 唯「……」 ドゥ ドゥ 律「ふ~、ただいま唯」 唯「あ、おかえりりっちゃん」 律「はぁ、なんだか疲れたな」 唯「ちょっとここで休憩してく?」 律「そうだな~……ちょっとな」 唯「うん」 律「……あ、そう言えばさ唯」 唯「んっ?」 律「昨日部室で話してた会話、覚えてるか?」 唯「ああ……あの、太った人の話だっけか?」 律「そうそう、ムギがナンパされた話でさ。首からTB-303ぶら下げてて……」 唯「いくらムギちゃんが変なの好きだからって、あれは……ねえ?」 律「私も一緒にいたんだけどさ、レア物のレコード持ってるからお付き合 いしましょう、だなんてさ~……」 唯「それはキツいね~」 律「だろっ。しかも私には何にも声かけないでさ! 結局はお嬢様好きか よ、チクショーって」 唯「あははっ、大変だったねりっちゃんも」 律「ふぅ……唯、ちょっとダンスフロアに行ってみようぜ?」 唯「ん、もう休憩はいいの?」 律「ああ、いいんだ。なんかあのドリンク飲んでから元気になっちゃってさ!」 唯「へぇ……そういう成分が入ってたのかな?」 律「かもな~」 唯「じゃあ調査再開だね!」 律「お~!」 ……。 数十分後……。 律「ん~、やっぱり噂は知っていても詳しいことはわからない、か」 唯「……」モジモジ 律「んっ、なんだ唯?」 唯「私、ちょっとおトイレ行ってくるね~」 律「ああ、いってらっしゃい。私はこのフロアで待ってるよ。ちょっと… …疲れた」 唯「うん、じゃあまた後でね」タタタッ 律「あぁ……疲れた。よいしょっと」 律「……」ウトウト ドゥ ドゥ 律「すぅ、すぅ……」 ドゥ ドゥ ……。 13
https://w.atwiki.jp/83452/pages/13812.html
開扉 KAIBYO 教室 紬「あれ?」 紬「私、いつの間に……? 確か電車に乗っていたはずなのに」 律「よっ、部活行こうぜムギ」 紬「あ、りっちゃん」 律『ムギがいないとケーキが食べられないからな』 律『あ、もちろんキーボードがいないと困るってのもあるけど』 律『まあ、あれだ。せっかくくれる物なんだから、貰わないと損って感じでさ』 紬(りっちゃんまで……) 律『ああ、早く部室行かないかなムギの奴』 律『私だけ行ってもどうしようもないじゃないか』 紬(……信じらんない) 紬「私、もう行くね」 律「あ、おう。私も一緒に行く~」 律『やった、ケーキケーキ』 紬(来ないでよ……) ガララッ 部室 紬「えっ?」 紬(また……飛んだ?) 梓「あ、こんにちはムギ先輩。早いですね」 紬「あ、梓ちゃん?」 紬(時間の感覚がないからよくわからないけれど……) 梓「はい。梓ですよ」 梓『当たり前じゃないですか、もうムギ先輩っては。何言ってるんですかね~』 紬「また、聞こえる……」 梓「はい? 何がですか?」 紬「う、ううん。なんでもないわ」 梓『はぁ……絡みにくいなぁ。ああ、早く澪先輩たち来ないかな』 梓『……なんでよりによってムギ先輩なんだろう』 紬「……」 紬(だんだん、慣れるものね) 梓『あ、でもお菓子だけでも出してくれないかな』 梓『そうすれば、ちょっとは時間潰せるのに』 紬(お菓子を食べるのは、時間潰しのためなの?) 梓『……早くしてくれないかなぁ』 紬「……」イラッ 紬「……」ガタッ 梓「あれ、ムギ先輩。どうしたんですか?」 紬「……私、帰る」 梓「ええっ、な、何でですか?」 梓『あんたが帰ったら、ケーキもお茶も無しじゃないですかぁ!』 紬「そうよ、だから帰るのっ!」 梓「い、いや……だから理由を聞いてるじゃないですか……」 梓『何怒ってるの? 最悪……』 紬「話す事なんてないわよっ!」 ガラッ……バンッ 唯の家 唯「あ、ムギちゃん。いらっしゃい」 紬「……今度は唯ちゃんなんだ」 唯「えっ、何が~?」 紬「……」 唯「ま、ま。上がってよ。今お茶持っていくからさ~」 紬「お邪魔、します」 紬「……」 唯「ふふっ、お待たせ~」カチャッ 紬「唯ちゃん、今日は部活どうしたのかしら?」 唯「えっ。今日は日曜日だよ……?」 紬「あら、そうだったかしらね」 唯「う、うん……」 唯『どうしたんだろうムギちゃん。具合でも悪いの、かな?』 紬(ほら、聞こえた) 唯「もしかして体調悪い? 大丈夫?」 紬「……大丈夫よ」 唯「そっかよかった~。あ、でも無理しないで、今日は帰る?」 唯『ムギちゃん、明日学校大丈夫かな?』 紬(……学校行かないとケーキ食べられないもんね) 紬「まだ来たばかりじゃない。そんなに私を帰したいのかしら~?」 唯「えっ!?」 唯『そ、そんなつもりじゃないよ~……』 紬「そうなんでしょ? 私が学校休んだら、ティータイムが無くなっちゃうものね」 唯「……え?」 唯『違うよ、ただムギちゃんが心配なだけで……』 紬(え……) 紬「唯ちゃん、心配してくれてるの……?」 唯「? そりゃあ心配するよ~」 紬「ケーキのためでしょ?」 唯「ケーキ?」 唯『ケーキ?』 紬「そうよ……私、みんなにお菓子を配るしか役割が無いんですもの。学校休んだって何も……」 唯「そんな事ないよ!」 唯「そんな事ないよ!」 紬「……」 唯「だって私、ムギちゃんがいないと寂しいもん」 唯『別にケーキやお茶は無くてもいいけど……部室で誰かがいないのは寂しいんだよ』 紬「唯……ちゃん」 唯「具合が悪いなら言って。お家の人呼んだり……あ、ちょっと家で休んでく?」 紬(……)ウルッ 紬「で、でもそんなの悪いわよ……」 唯「悪くなんかないよ~。辛そうなムギちゃん見てると、私が悲しくなるんだもん……」 唯『顔色悪い、心配で心配でたまらないんだよ。無理しないで、ね?』 紬(……泣いちゃいそう) 唯「ほら……布団で休もうよ……」 唯『元気になって、一緒に学校行こうよ、ね?』 紬「っ……!」ギュッ 唯「……あはは、どうしたのムギちゃん」ナデナデ 紬「ぐすっ……うっ、うっ……」 唯「よしよし、大丈夫。大丈夫だから」ナデナデ 唯『ムギちゃん、何か辛い事があったんだ……』 紬「そうなの、わ、私。もうお友達が怖くなっちゃって……」 唯「え?」 唯『怖いって……私もなのかな?』 紬「違う……! 唯ちゃんだけだったの……」ギュッ 唯「ム、ムギちゃん?」 唯『まるで、私の心の中聞かれちゃってるみたい……』 紬「唯ちゃん……」ギュッ 唯「……落ち着いた?」ナデナデ 唯『ムギちゃんの髪、いい匂いがする』 紬「……うん。ありがとう唯ちゃん」 唯「もう大丈夫?」 唯『いつまででも、髪の毛クンクンしてたいな~』 紬「……まだ、ちょっとダメかも」クスッ 唯「じゃあもう少しこうしてよっか」ナデナデ 唯『ふふっ、まだムギちゃんと一緒』 紬「うん……私、唯ちゃんが友達でよかった……」 唯「私もだよ。とても嬉しいよ!」 唯『でも、残念だなぁ……』 紬(え……) 唯「これからも、ずっとずっと友達だよっ!」 唯『もうこの夢は、終わりなんだもん』 紬(え……) 唯「えへへ、ムギちゃん大好き~」ギュッ 唯『おはよう、ムギちゃん……』 紬「あ……」 ……。 ガタン ガタン 紬「ここは……また電車の中?」 ふふっ、どうだった? 人の心の中を覗き込んだ気分は 紬「あなたの仕業、なの?」 そんな事どうでもいいじゃない。 刺激的な遊び……気に入ってくれた? 紬「……私、あんな風に思われていたんだ。ちょっとショック」 くははっ、違うよ、違う。 あれはね、みんなの本音だけど本音じゃないんだよ。 紬「え……?」 ボクが勝手に、みんなの気持ちを代弁してあげたんだよ。 あはは、きっとみんな紬ちゃんの事をあんな風に思っているって……ひゃ、面白かった~。 紬「な、何よそれ。全部君のイタズラだったのね!」 紬「ひどい、私……唯ちゃんとわかり合えたと思ったのに……」 ……ああ、唯だけはね、ボクの行動は関係ないんだよ。 紬「え?」 唯が何を言ったのか、ボクは知らない。 ボクはただ、紬をここに呼んだだけだから。 紬「私を……呼んだ?」 そうだよ、ほら。あの光が見えるでしょ ボーッ 紬「光……」 紬はあの光の中に行かないといけないんだ。 君は選ばれた人間なんだから……。 紬「……唯ちゃん」 あははっ、唯の事は呼んでもだよ。唯はここにはいないんだもの 紬「……」フラッ そう、そうだよ。 一歩、また一歩。 そう……遮断機をくぐって、そのまま…… カンカンカンカンカン カンカンカンカンカンカン…… 「……おい君。何やってんだ、危ないぞ」 紬「唯ちゃん……」フラフラ カンカンカン 「お、おい。止まれ、電車が来てるんだぞ、おい!」 カンカンカン カンカンカン 紬「光……」 「だ、誰か! 緊急停止ボタンだ、早く!!」 紬「ふふっ、私……よかった、お菓子だけの存在じゃなかった」 プァァァァアアアアン 紬「唯ちゃん……ずっとともだ」 グシャッ 17
https://w.atwiki.jp/83452/pages/13810.html
休み時間 律「はぁ、やっと終わった~。まだ1時間目か」 唯「ねえねえりっちゃん」 律「んっ、どうしたんだよ唯」 唯「あのね、さっきちょっと聞いたんだけど……いちごちゃんがね、誰か と付き合ってるみたいなの」ヒソヒソ 律「えっ、マジで!?」ガタッ 唯「し~! 声がでかいよ」ヒソヒソ 律「す、すまん。そ、それで……?」 唯「うん、実はね……最近休み時間にどこか人気のない場所で、彼氏と電話してるんだって」ヒソヒソ 律「へ~、意外とやるなぁ」キョロキョロ 律「……確かに、今教室にはいないな」 唯「でしょ~。ちょっと気になるよね?」 律「また……ちょっと興味はあるよな」 唯「ねね、今からいちごちゃん探しに行かない? こっそりお話聞いちゃおうよ」 律「ええっ!?」 唯「ね、決まり。私は下の階を探すからさ、りっちゃんは上の階をよろしく」 律「ま、ま、待てよ唯。ちょっと……」 唯「見つけたら、あとで話聞かせてね。じゃあ!」タタタッ 律「……お~い。って、もういないか」 律「唯ってあんな噂好きな性格だっけ?」 律「昨日のイベントではっちゃけたのかな……」 律「まあ、私は普通にトイレに行くんだけどな」スタスタ 律「……にしても、付き合ってる彼氏が、ねえ」 ドゥ ドゥ 律「まあ、全く興味ないわけじゃないけどさ」 ドゥ ドゥ 律「人の恋路を邪魔するのは野暮だよな~」 ドゥ ドゥ 律「ま、唯が見つかって怒られない事だけを祈ってるよ」 『本当は自分だって聞きたいくせに』 律「……!?」 律「だ、誰……?」 ドゥ ドゥ 律「なんだよ……また耳鳴りかよ……」 律「はぁ……」スタスタ ドゥ ドゥ 律「早く教室戻るか。うたた寝してよっと」スタスタ 『……ねえ、田井中さん』 律「んっ?」クルッ 壁 律「……」 律「なんで壁の中から声がするんだよ……」 律「きもちわる……」 ドゥ ドゥ ドゥ ドゥ 律「くそっ……」 ドゥ ドゥ 2時間目 律(まだ2時間目か……なんかもう帰りたいなあ) 『……を見てると、いつもハートドキドキ』 律(んっ?) 『揺れる想いはマシュマロみたいに……』 律(あれっ、なんで授業中にふわふわが聞こえるんだ?) 『ああ、神様、お願い。二人だけの……』 律(????) ドゥ ドゥ ドゥ ドゥ 律(あ、おさまった) 律(なんなんだよ……一体) ドゥ ドゥ 休み時間 律「はぁ……」 紬「りっちゃん、ちょっといいかしら?」 律「んっ。どうしたんだよムギ」 紬「実は……この前街を歩いていたらね、梓ちゃんを見かけたのよ」 律「まあ、梓も街には行くだろうしな。それで?」 紬「その梓ちゃんがね……街行く人に、ペロペロを売っていたのよ。私、 驚いちゃったわ」 律「……は?」 紬「だってペロペロよ。梓ちゃん、そんなに生活に困っていたのかしら… …」 律「あの、ちょっと意味がわからないんだけどさ」 律「あの、間違ってたらごめんな。ペロペロってもしかして……え、援交 とか?」 紬「まっ! りっちゃんペロペロはそんな汚れた行為じゃないわよ!」 律「……じゃあ一体なんなんだよ?」 紬「それは、とても私の口からは言えないわ……でも梓ちゃん。ああ、心 配だわ」 律「はぁ……」 律(ペロペロってなんだろう。ちょっと、気になるな) 律「……わかった、私がちょっと梓に聞いてくるよ」 紬「まあ、本当に!?」 律「まあ……一応部長としてな。大変な事なら、心配だし」 紬「ふふっ、お願いねりっちゃん」 律「……」 ガラッ 律「はあ、ペロペロねえペロペロ」 ドゥ ドゥ 律「なんだよ、ペロペロって。まあ梓に聞けばわかる事か」 ドゥ ドゥ 律「ん~、梓かあ……」 『……寒くはないかい?』 律「……またかよ」 ドゥ ドゥ 律「誰なんだよ、さっきから」 ドゥ ドゥ 律「はぁ……早く梓に話を聞いて戻るかな」 ドゥ ドゥ 律「……」スタスタ 梓「あ、律先輩。どうしたんですか~」 律「あ、ああ。実はちょっとムギに話を聞いてな……」 梓「ああ、あの話ですか。実はですね、蛇口をひねったら命令が来たのですよ」 律「……は?」 梓「律先輩にはお話しますが……私の家族は衛生犯罪のトリコじかけなん です。今度、ビラをまきに行くんです」 梓「あ、これはムギ先輩たちには内緒にしておいて下さいね」 律「梓、お前……」 梓「ふふっ、ウソモ星人が市民プールで泳いだときにですね」 梓「赤羽のゴミ屋敷の人たちと食事をして……デスパンダを企画したのです」 梓「これは誰にも言わないで下さいね」 律「……」 梓「あ……」 律「?」 梓「呼んでる……」タタタタッ 律「あ、お、おい梓。ちょっと待て……」 律「……」 律「なんなんだよ」 ドゥ ドゥ ドゥ ドゥ 律「また耳鳴りはするしよ……」 3時間目 律(ああ、眠い……) トこの゙訳ゥは、熟語にきを つトけでゥ 律(この先生なら、寝ても大丈夫だよな) そしトで次ゥの訳文 をドゥ 律(……すぅ、すぅ) ド最後ゥ トに゙ゥ 律(くぅ……)ドゥ ドゥ ドゥ ドゥ ドゥ ドゥ 律「……んっ?」 LOSTHIGHWAY 律「今、授業中じゃなかったっけ……」 ドゥ ドゥ 律「おかしいな……なんで?」 ドゥ ドゥ 律「ええっと……私は確か今日。唯とここに調査のために、来て……来た?」 ドゥ ドゥ 律「それから、色々話を聞いて。この机で寝ちゃった……か?」 ドゥ ドゥ 律「うん。多分そうだ」 ドゥ ドゥ 律「で、確か唯はトイレに行ってて……行った?」 ドゥ ドゥ 律「唯、もしかしてまだトイレか? それとも何か悪い事があって……唯!」ダダダッ ドゥ ドゥ 律「唯~、どこだ唯!」ダダダッ ドゥ ドゥ ドンッ 律「いてっ……」 さわ子「あ、いたいた。もう、どこ行ってたのっ?」 律「あ、あれ……え? え?」 さわ子「探したのよ~。全く、急にいなくなっちゃうんだもの」 律「な、な、な……なんでさわちゃんが生きているんだよ……」 さわ子「なんでって……りっちゃんが誘ってくれたんじゃない。ここがいい場所だって言って」 律「えっ……」 さわ子「まあ、誘われた時はびっくりしたけどね」 律「私が……誘った?」 さわ子「唯ちゃん、こういう場所は苦手みたいね。後でちゃんと、詫びの メールしておく事」 律「唯……いたの?」 さわ子「あなたが誘ったんじゃないの」 律「そう、だっけか?」 外 さわ子「今日はありがとう。じゃあ、また学校でね」 律「……」 …… 律「……はぁ、不思議な空間だったな」 ドゥ ドゥ 律「結局手がかりは無し……か」 ドゥ ドゥ 律「しっかし、ああいう場所ってのはいつもああなのかな」 ドゥ ドゥ 律「さっきから耳鳴りが止まらないや……ははっ」 ガチャッ 律「ただいま~……」コソコソ ドゥ ドゥ 律「よかった、バレてないバレてない、と」コソコソ ドゥ ドゥ 律「……今日はもう寝ちゃおう寝ちゃおう」 ドゥ ドゥ 律「はぁ……疲れた……」ゴロン ドゥ ドゥ 律「澪……」 ドゥ ドゥ ドゥ ドゥ ドゥ ドゥ ドゥ ドゥ 律「……」 ピガーギィィィィィ 律「もうっ! なんだよこの耳鳴りは!」 ドゥ ドゥ 律「これじゃあ全然寝付けないじゃんかよ……」 ドゥ ドゥ ドゥ ドゥ ドゥ ドゥ 律「……」 律「あれ、これ前にもなかったっけ?」 ……。 つドまりゥ このト部分゙はゥ 律「……?」 律(あれ、教室) 律(……夢?) ドゥ ドゥ 律(リアルな夢だったな~。耳鳴りもまだ止まないし) ドゥ ドゥ 律(さわちゃん……) ドゥ ドゥ 律(これ終わったら、保健室行くか……) ドゥ ドゥ 律(澪……) 保健室 律「失礼しま~す……」 先生「あ、田井中さん。具合が悪いの?」 律「はい……なんだか」 先生「ふむ、どこが悪いの?」 律「実は、あずにゃんペロペロが……」 先生「はい?」 律「え、い、いや。ちがうんです、むぎゅうむぎゅう」 律「それで、ういのアイスペロペロ。TZW、TZW、TZW、TZW」 先生「落ち着いて……田井中さん」 律(あわわわ、何言ってるんだ私は) 律「先生、私はういちゃん葉なんですが。どうして先生は信代ちゃん派なんですか」 律「それを考えると私……あずにゃんペロペロで……」 グラッ 律(あ……) キィィィィィ…… ドンッ グチャッ 先生「……田井中さん? 田井中さん!」 律(……あれ?) 15
https://w.atwiki.jp/83452/pages/13799.html
……ゴロンゴロン ガサッ ヤヨイ「あ~あ、中身がはみ出ちゃった。全く、さわ子は乱暴なんだから」ガサッ ヤヨイ「よしよし」ナデナデ さわ子「な、な、生首を撫でて……お、おかしいわよアンタ!」 ヤヨイ「さわ子なら知ってるでしょ。この袋の中が首だって事、忘れたの?」ナデナデ さわ子「……もしかしてその首は。唯ちゃんにそっくりなあの……」 ヤヨイ「ほら知ってた。それを投げるなんてひどいよ。こんなに可愛い顔 してるのに」ポンポン さわ子「……アンタおかしい。確実に変よ」 さわ子「その首……唯ちゃんと何か関係があるの!?」 ヤヨイ「……」ナデナデ さわ子「答えなさい!」 ヤヨイ「もう、知ってるくせに」 さわ子「またそれ……私は何も知らないの。それが唯ちゃんと関係がある事だったら、私は……」 さわ子「私は一刻も早くそれを唯ちゃんに教えてあげないと」 ヤヨイ「唯ちゃんに? それは無理よ。だってあなた、ここで死んじゃうんですもの」 さわ子「……は?」 ヤヨイ「あなたは全てを知りながら。唯ちゃんは何も知らないままに」 死ぬの さわ子「死ぬって……ちょっと!」 ヤヨイ「残念、もう時間みたい」 ?「……」カチッ さわ子「えっ」 ヤヨイ「さよなら、さわ子」 ボオオォォ! ぎゃあああああぁぁぁ ヤヨイ「ふふっ綺麗な炎」 ヤヨイ「でも、やっぱりスミオが一番綺麗に燃えた……」クスクス ……ーポー ピーポー ピーポー ヤヨイ「唯……」 ……。 ―――― 『……こちら現場です。身元の確認が終わっております……』 『焼死したのは冬葉スミオさん、今回のイベントを主催していたとの情報がはいっておりますが、詳しい事はまだわかっていません』 『また、イベントに参加していた他一名も死亡が確認されていますが、まだ身元はわかっておりません』 『証言によると、女性のようですが……詳しい事がわかり次第お知らせします。以上、中継現場からでした』 憂「……ボヤ騒ぎで死んじゃったなんて、怖いね」 唯「結構近くだもんね。夜の繁華街の辺りだからあまり馴染みはないけど……」 唯(さわちゃん大丈夫かな。なんだか不安だよ……) 憂「お姉ちゃん?」 唯(ううん、さわちゃんならきっと大丈夫だよ) 唯(大丈夫……だよね) 憂「……」 次の日、さわちゃんが死んだというニュースを学校で聞きました。 死因は焼死。 昨日のニュースの中継現場で死んでいたのが、さわちゃんでした。 そして、ニュースと同時にこんな噂も聞きました。 証言をしていた人は『生首が袋に入っているのを見た』とも証言していたみたいですが……。 いくら現場を探しても、そんな物は見つからなかったという事です。 ああ、怖いなあ。 帰りの空には、満月がちょっと欠けた月が浮かんでいました。 月の狂気は、まだ終わらないのでしょうか? 私には、まだ何もわかりません。 ……。 唯「あ、あずにゃ~ん!」ギュッ 梓「にゃあ」 律「相変わらず仲がいいな~お二人さんは」 唯「えへへ~、あずにゃんあずにゃん」ギュッギュッ 梓「にゃあにゃあ」 律「もう将来は結婚だな結婚」 梓「にゃあ」 唯「えへへ~、ありがとう……あれ、名前なんだっけ」 梓「にゃあ」 唯「でもあずにゃんがいればいいや!」ギュッ 梓「にゃあ~」 ~~~~ 澪「唯!」 唯「わっ、いきなりどうしたの澪ちゃん?」 澪「唯のために詩を作ったんだ! 聞いてくれ」 唯「えっ、本当に!?」 澪「ああっ。これを書いている途中、窓から火吹きドラゴンの群れに襲われてな」 唯「え……」 澪「燃えないパピルス印が施された紙だったからよかったものの、危うく詩が灰になるとこだったよ」 唯「あ、あの~……澪ちゃん?」 澪「あ、でも安心しろ! 使ったインクは大悪魔会でも評判の虹色インクなんだ!」 唯「……はぁ。それはすごいねぇ……」キョトン 澪「ふふっ、愛しい愛しい唯のために、498年間眠らずに作った甲斐があったというものだ」 唯(澪ちゃん、今日は寝てないのかな? それとも、言葉は詩の影響かな?) 澪「じゃあ読むぞ、聞いて下さい!」 澪「еЙφΡΓゐゐゐΦλАА」 ~~~~~~ 純「あっ、お姉ちゃんおかえりなさい!」 唯「ただいま純。今日のご飯はな~に?」 純「ふふっ、お姉ちゃんの大好きなカレーとチーズケーキの甘辛焼きだよ」 唯「やったあ!」 純「早く手を洗って来てね。お料理冷めちゃうからさ」 唯「は~い」 憂「お姉ちゃん、アイス食べる?」 唯「うん、食べる食べる~」 憂「えへへ、やっぱりお姉ちゃんはアイスだよねはい」 憂「美味しい?」 唯「美味しい~」モグモグ 純「よかったぁ、お姉ちゃんのために朝から頑張って料理してたんだよ!」 唯「えへへ~、私は幸せ者だな~」 唯「ねえ純」 憂「違うよ、私は憂だよ?」 唯「あ、ごめんね憂……」 純「は? なに言ってるのお姉ちゃん。憂ちゃんはクラスメートでしょ」 唯「ああ、そうだったね……あれ、そうだっけ?」 純「そうだよ」 憂「そうだよ」 純「お姉ちゃんに近付くあんな奴なんて」 憂「死んじゃえばいいんだよ」 唯「う~ん……あ、ねえ」 「な~に、お姉ちゃん」 唯「妹の名前って……何て言ったっけ?」 「ふふっ、それはね」 ~~~~~~ 唯「……あれ。ここ、どこ?」 唯「……そっか。家に私帰る途中だっけ」スタスタ 唯「ん、あれ~。あずにゃん、こんな所で何してるの」 梓「あ、あはははっ。唯先輩、今お帰りですか、あははっおかえりなさい」 唯「ん~……あずにゃんどうしたのその格好。なんか赤黒い液体みたいなのが付着してるげと」 梓「何でもない、何でもないですよ。あはははははっ」 唯「ずいぶん楽しそうだね~」 梓「あはははっ、そりゃあもう」 唯「でもあずにゃん、私の家の方から来たよね?」 梓「あははっ、それがどうかしましたか? しましたか?」ケラケラ 唯「えっと……あ、もしかして憂と遊んでた?」 梓「遊んでたわけじゃないですよ、あはははっ。むしろ、助けてあげたんですよ」 唯「? どういう事?」 梓「唯先輩自分で言ってたじゃないですか。妹にばっかり頼ってちゃ自立出来ない~って。あははっ」ケラケラ 唯「う、うん。確かに言ってたけど……」 梓「あははっ、だからね。そんな唯先輩の手助けですよ。あははっ、いやあ大変でしたよ」 梓「とにかく抵抗が激しくてね、私もちょっと傷になっちゃいましたよ。あはははっ」ケラケラ 唯「傷に……?」 梓「ええっ。ほら、ここ。引っ掻かれちゃいましたよ、痛い痛い痛いあはははっ」ケラケラ 梓「まあ、三、四回刺したら大人しくなりましたけどね。あははは」 唯「え……」 梓「いやあ、意外と奥まで刺さんないもんですね。憂の奴、痛い痛いって叫んでましたよ」ケラケラ 唯「あずにゃん、もしかして……」 梓「あはははっ。まあ、これで唯先輩も晴れて一人暮らしですよ。よかったですね~あはははっ」ケラケラ 唯「あず……さ……」 梓「あ、ついでにね。隣のおばあちゃん……なんて言いましたっけか、あはははっ」 唯「ま、まさか……」 梓「まさに骨と皮でしたからね、あははっ。干物に包丁いれてるみたいで、アレはアレで楽しかったですよ」ケラケラ 唯「……」 唯「よくも私の大切なモノを……」 梓「あはははっ、言ったじゃないですか。手助けだって」 梓「これで唯先輩は立派な大人になったんですよ~」ケラケラ →殺す 殺さない 唯「……殺してやる」スッ 梓「あはははっ、あははははっ」ケラケラ 唯「お前なんか……こうして……!」ザクッ 梓「痛い、痛いですょぉ……唯先輩ぃ……」ケラケラ 唯「うるさい! 死ね! 私の大切なモノ……返せっ!」ドスッ 梓「うっ……」ガクッ 唯「……」 ~~~~~~ ……リリリリ ピリリリリ ピリリリリ 唯「う、う~ん……」 ピリリリリ ピッ 唯『も、もしも~し……』 梓『唯先輩。今何時かわかりますでしょうか~?』 唯『う、う~ん。誰……?』 梓『寝ぼけないで下さいよ。梓ですよ梓』 唯『ああ~、あずにゃん~……むにゃむにゃ』 梓『ハァ。約束の時間、とっくに過ぎてますよ』 唯『んむ……やくそ……ハッ!』ガバッ 唯『うわあぁぁ! 完全に寝過ごしたよぉ!』ワタワタ 梓『ハァ……そんな事だろうと思ってましたよ』 梓『で、あとどれくらいで来れますか?』 唯『さ、さんじゅう……いや、20分で行くよ!』ワタワタ 梓『全く、人がどれだけ待っているかわかってるんですかね……ブツブツブツブツ』 唯『わ、わかったよ~。何か甘いもの奢るからさ!』 梓『デザートだけじゃなくて、ランチも奢ってもらわないと納得出来ませんね』プイッ 唯『わかったぁ! それでいいからあ!』 梓『ふふっ、約束しましたからね。じゃあ20分後に……』 唯『うん! あ、じゃあ駅前にある洋服屋さんで待ってて?』 梓『はい。では洋服屋「にゃんにゃん」で待ってます。失礼』プツッ ツーツー 唯「……にゃんにゃん? 私、そのお店知らないんだけどなぁ」 唯「と、とにかく! 駅に向かってダッシュ!」タタタッ ―――― 唯「……」コツコツコツ コツコツコツ 唯「……」コツコツコツ コツコツコツ 振り返る 唯「……」クルッ 唯「誰もいない……」コツコツコツ 唯「……」コツコツコツ コツコツコツ 唯(ううっ、無視無視……!) ホームレス「ようお嬢ちゃん。どこ行くんだよ」 唯(ひいっ! なんか来たぁ!) ホームレス「俺も一緒に連れてってくれよ、なあ。いいだろ?」 唯(し、知らんぷり知らんぷり)タタタッ ホームレス「……ちっ」 唯「はぁ、はぁ……」 唯(なんだろう、怖いよこの街。前はこんなんじゃなかったのに……) デブ男「ふ、ふひゅひゅひゅ。女子高生だぁ~。き、きみ、か、かぁわいいね~」 唯(うわぁ……) デブ男「ね、ねぇねぇ。これから一緒にデートしなぁい?」 デブ男「ボクお金いっぱい持ってるんだあ~。な、なんでも好きな物食べさせてあげるよ。ど、でふゅふゅふゅ」 唯(こ、怖い。また逃げ……) デブ男「……逃げようなんて思わない方がいいよ。ボク、怒ったら何するかわからないから……」 デブ男「なぁ~んちゃって。うひゅ。うひゅひゅひゅひゅ~!」 唯「……」ガクガク 唯(ど、どうしよう……) 唯(そういえば憂が言ってたっけ。護身術の一つで……よしっ!) 唯「あ、あの……」 デブ男「うっひょ~。か、可愛い声えぇ。いいねえ、ま、ますます気に入っちゃった。デュフ」 唯「ど、どこに連れていってくれるんですか?」 デブ男「ど~こでもいいよぉ! ぼ、ボクお金たくさんだから……」 唯「そ、そうですか。とにかく行きましょう、ね?」ニッコリ デブ男「うっひょ~! デートだデートだ!」 唯(とりあえず、足の届く位置をキープしてと……) 唯「あ、あの~」スッ デブ男「んっ。な、なんだい~」 唯「え……」 デブ男「え?」 唯「えいっ!」 キーン! デブ男「う、ううっ……な、何するんだよぉ……ぐっ」ドサッ 唯「ご、ごめんなさいっ!」 デブ男「ち、ちくしょう。待て……待てよぉ……ううっ」ピクピク 唯(よかった。ちゃんと当たったみたい) 唯(やっぱり最近おかしいよ……)タタタッ 4
https://w.atwiki.jp/83452/pages/13809.html
ダンスフロア 唯「?」 唯「りっちゃんが……いない?」 唯「……」 唯「どこかで休んでるのかな?」 唯「りっちゃん、りっちゃん。お~い」 唯「……おかしいなあ。見当たらないや」 唯「どこ行っちゃったんだろ、お~い」 ……。 ドゥ ドゥ 律「……はっ、寝ちゃってた。今何時、って……結構時間経ってるな」 ドゥ ドゥ 唯「あ、おはようりっちゃん。起きた?」 ドゥ ドゥ 律「……唯? ずっと付き添っていてくれたのか?」 ドゥ ドゥ 唯「当たり前じゃない。りっちゃんだもん」ニコニコ ドゥ ドゥ 律「そっか、ごめんな~。ありがとう唯」 律「……そろそろ帰るか。もうおしまいみたいだし」 ドゥ ドゥ 唯「そうだね」 ドゥ ドゥ 律「結局、たいした事はわからなかったな……」 ドゥ ドゥ 唯「あ、でもね。一つわかった事があるよ。あのね、DJヤギハラさんがかっこよかったんだよ!」 ドゥ ドゥ 律「は? 何がだよ?」 ドゥ ドゥ 唯「りっちゃん待ってる間にパフォーマンスが始まってさ、ちょっと見ちゃったんだ」 ドゥ ドゥ 律「そう……なのか。唯がかっこいいなんて言うなら、よっぽどなんだろうな」 ドゥ ドゥ 唯「うん、男気を感じたよ~。ねえりっちゃん、事件が落ち着いたらまた来ようよ! ね?」 ドゥ ドゥ 律「ん……ま、まあ。落ち着いたらな」 ドゥ ドゥ 唯「えへへ、約束だよ!」 ドゥ ドゥ 律(唯がハマるなんてな~……意外だ) ドゥ ドゥ 律(将来は意外と、イケイケギャルになったり、とか?) 外 唯「は~、空気がおいしい」 律「ふぅ、付き合わせて悪かったな唯」 唯「いいんだよ~。手がかりが見つからなかったのはアレだけど、ちょっ とだけ元気にもなったし」 律「……ん、そっか」 唯「うん。じゃあまた学校でね」 律「ああ、遅いんだから気をつけて帰ってな」 唯「うん、バイバ~イ」 タタタッ 律「……私も帰るかな」 ドゥ ドゥ 律 律「……はぁ、不思議な空間だったな」 ドゥ ドゥ 律「結局手がかりは無し……か」 ドゥ ドゥ 律「しっかし、ああいう場所ってのはいつもああなのかな」 ドゥ ドゥ 律「さっきから耳鳴りが止まらないや……ははっ」 ドゥ ドゥ ガチャッ 律「ただいま~……」コソコソ ドゥ ドゥ 律「よかった、バレてないバレてない、と」コソコソ ドゥ ドゥ 律「……今日はもう寝ちゃおう寝ちゃおう」 ドゥ ドゥ 律「はぁ……疲れた……」ゴロン ドゥ ドゥ 律「澪……」 ドゥ ドゥ ドゥ ドゥ ドゥ ドゥ 律「……寝れないや。さっき寝ちゃったからかな~」 ドゥ ドゥ 律「でも寝ないとな。明日が辛くなる」 ドゥ ドゥ 律「……」 ドゥ ドゥ 律「……」 ドゥ ドゥ ドゥ ドゥ ドゥ ドゥ 律「……」 ピガーギィィィィィ 律「もうっ! なんだよこの耳鳴りは!」 ドゥ ドゥ 律「これじゃあ全然寝付けないじゃんかよ……」 ドゥ ドゥ ドゥ ドゥ ドゥ ドゥ 律「……」 翌日 律(ああ、もう朝か……)フラッ ドゥ ドゥ 律(結局うとうとするくらいでまともに眠れなかったな……) ドゥ ドゥ ドゥ ドゥ 律(でも学校いかないと) ドゥ ドゥ 律「……ふぅ。いってきま~す」 ガチャッドゥ ドゥ ドゥ ドゥ 律「うぅ、頭いて~……」 教室 律「……なあ唯」 ドゥ ドゥ 唯「ん、あ、おはようりっちゃん」 律「その様子だと、唯はなんともないのか?」 ドゥ ドゥ 唯「んっ、なにが? どうしたの?」 律「いやあ、実は昨日から耳鳴りが止まないみたいでさ……」 ドゥ ドゥ 唯「あ~、確かにあそこはうるさかったもんね~」 唯「でも昨日、帰って寝たらなんともなくなったよ?」 律「そっか~……唯は大丈夫だったんだ」 ドゥ ドゥ 唯「うん。また時間が経てばおさまるんじゃないのかな?」 律「……そうだな。うん、気長に待つ事にするよ」 ドゥ ドゥ 唯「うん、それがいいよ~」 唯『あんな場所で寝るからだよ、バ~カ』 律「……はあっ? 待てよ、唯。お前今なんて言ったんだよ?」 唯「えっ? 何って……もう少し時間が経てば治るって……」 律「……いやいや。もっとなんかこう、キツイ事言いませんでしたか? 私の事バカって」 ドゥ ドゥ 唯「えっ? 私そんなの言ってないよ」 律「……」 唯「ほ、本当だよ。私がりっちゃんの事そんな風に言うわけないじゃん……」 律「……まあ、そうなんだけどさ」 ドゥ ドゥ 律(おかしいな、絶対唯の声でバカって聞こえたのに……) 唯「もう、変な事言わないでよ~」プンスカ 律「う、うん。悪い悪い……」 ドゥ ドゥ 紬「ふふっ、おはよう、二人とも。なんの話~?」 唯「あ、おはようムギちゃん。実はね、昨日調査のためにクラブに行ったんだよ」 律「お、おい唯……って。まあ、調べた後だから言ってもいいのかな」 ドゥ ドゥ 紬「あらあら、なんのお話?」 唯「実はね、ロストハイウェイっていうクラブに調査に……」 律「……」 ドゥ ドゥ ……。 紬「そうだったんだ、そこが先生の……」 律「結局、あまり有力情報はなかったんだけどな」 ドゥ ドゥ 唯「あ、でもね。そこでイベントやってたDJヤギハラって人がかっこよくてね……」 律「おいおい唯。ムギにそういう話をしたって……」 ドゥ ドゥ 紬「まっ! あ、あのDJヤギハラがイベントやってたの~!?」 律「えぇ~……」 ドゥ ドゥ 唯「あっ、ムギちゃん知ってるね?」 紬「当たり前じゃない! 彼の全裸パフォーマンスは一部のコアなファン には大絶賛なのよ!」フンス 律「ぜ、全裸って……唯。昨日もまさか……」 ドゥ ドゥ 唯「うん。普通にブースの上で脱いでたよ~、もう歓声の嵐だよ~」 紬「ふふっ、でしょうねでしょうね。ああ、もう……私も一度生で見てみたいわ~」 律「はぁ……生で、ね……」 ドゥ ドゥ 唯「いや~、私含めて若い子は大パニックだったよ~。キャ~キャ~言っ てたよ~」 律「……はぁ、もしかしたらそのせいかもな」 ドゥ ドゥ 紬「あは、りっちゃんどうかしたの?」 律「ああ、昨日から耳鳴りが止まらなくてさ。なんか痛いんだよな~……」 ドゥ ドゥ 紬「あら、それは大変ね……病院は?」 律「ん~、行ってない。まだなんとも言えない感じでさ……」 ドゥ ドゥ 唯「私は大丈夫だったんだけどね~」 律「ははっ、一緒になって騒いでたからじゃないのか?」 ドゥ ドゥ 紬「ふふっ、なんだか二人ともちょっと元気になったわね」 律「……まあ、ちょっとした気分転換にはなったよ。変な場所だったけど 、独特の雰囲気はあったからな~」 紬『変なのはりっちゃんの頭の中でしょ』 紬「ふふっ、よかった。最近のりっちゃん、なんだか元気がないみたいだ ったから……私心配で」 律「はぁっ? ムギ、今なんて言ったんだよ?」 紬「えっ……し、心配してた、って」 律「いやいや。その前だよ、前」 ドゥ ドゥ 紬「え、えっと……元気になったみたい、かしら?」オドオド 律「だから……そうじゃなくて!」 唯「ど、胴したのりっちゃん。なんだか頭変になっちゃったみたいだよ……?」 律「あん? 唯も同じこと言うのかよっ!」 ドゥ ドゥ 唯「な、なにが?」 紬「……大丈夫? りっちゃん」 律「……そんな目で見るなよ」 ドゥ ドゥ 紬「りっちゃん、一緒に保健室いく?」 律「……平気だよ」 キーンコードゥ ドゥンカーンコーン 唯「あ、授業始まるよ」 紬「りっちゃん。何かあったらすぐ言ってね?」 律「……ああ」 ドゥ ドゥ 律(なんだよ、なんでこんなイライラするんだろう……) 律(くそっ……) ドゥ ドゥ 紬「……」 授業中 律(ああ、授業だる~) 先生、こドのゥ ト問題゙なんですかゥ 律(はぁ、なんでかな。集中できないや) ドこれはゥ昨日 教えたト公式の応用を゙使いましょうゥ 律(……寝ちゃおうかな~) トね゙ゥえ トみであの子ゥ 律(んっ?) ドゥ ドゥ 律(唯が、何か言った……わけじゃないか?) トで゙はゥ ドつぎの問いをゥ紬さんにドやゥってもら トい゙ますゥね 律(だる~……)ウトウト 14
https://w.atwiki.jp/83452/pages/13803.html
律「せめてリルって子の部屋がわかればな~……」ブツブツ 梓「あ、律先輩!」 律「おっ、梓。ずいぶん早かったんだな」 梓「ええ急いできましたから。それより……大丈夫でしたか?」 律「いやあ、中学生に脅されて、死体チョーク発見しちゃったりで……さんざんだったよ」 律「ほら、そこ。梓が立ってるとこ」スッ 梓「……に、にぎゃああああ!」 律「な?」 梓「な、生々しいですね……ああビックリした」 梓「あ……それより。大変なんですよ律先輩!」 律「えっ、今日自殺する子に会ったって?」 梓「はい、そうなんですよ。今日がその順番だって言ってて……」 梓「急がないと、リルに連れていかれるって……」 律「リル?」 梓「はい。すごく怯えてる様子でした。私、見ていてとても可哀想で……」 律「ん~。こっちの中学生もさ、言ってたんだよ」 律「リルにバレたらヤバい、ってさ」 梓「……鍵を握ってるのは、そのリルって子みたいですね」 律「……みんなから連絡は?」 梓「いえ、まだ何も。ちょっと遅れてるみたいです……」 律「ったく。澪のやつ、私にあんだけ文句言っておきながら」ブツブツ 梓「ねえ律先輩。何にしても急ぎましょうよ。そのリルっていう子がナナちゃんを迎えに行ったら……終わりです」 律「ナナちゃん? その自殺する子か?」 梓「ええ、ナナちゃんです。部屋で待ってるって言ってました」 律「……さて、どうするかな?」 ナナを助ける リルを探す ※助ける ○ナナを助ける リルを探す 梓「その子、両親が音楽家なんですって。今、ツアーで全国を回っているって言ってました」 律「梓。それって……」 梓「はい、私のお家とそっくりなんですよ。だから私も他人のような気がしなくて」 梓「あの子も楽器とか、興味あるのかな~って。ふふっ、ちょっと思ってみたり」 律「……そっか。そうだな、じゃあその子を助けよう」 律「助けてから、リルって子の部屋に案内してもらえばいいな」 梓「はいっ!」 梓「えっと、C棟って言ってましたから……向こうですね」 律「よし。じゃあ行くか!」 梓「はいっ」 タタタタ…… C棟803号室 ナナ「……」ガタガタ ……ピンポン 『ナナちゃん……私、梓だよ~』 『助けに来たから開けて、ね』 ナナ「本当にきてくれたの……」スッ 『当たり前です。私は嘘はつきませんからね』フンス 除き穴からは、先ほどまで一緒にいた梓の姿が見えた。 ナナ「本当、本当にアズサちゃんだ……ああっ、よかったあ」 『さ、早くここを開けるです』 ナナ「うん……ありがとう、アズサちゃん」ガチャッ 「……」 ナナ「え、嘘……」 ナナ「どうして。助けにきてくれるって言ったのに……」ガタガタ 「……」 ナナ「いや、いや、いやぁ……」 ナナ「いやあああぁぁああああっ……!!」 C棟入り口 律「ここがC棟か……あれ、何号室だっけ?」 梓「ちゃんと覚えてて下さい! 803号室ですよ、律先輩!」 律「わわっ、あんまり大きな声出しちゃまずいっての! ここのガキに気付かれたら厄介なんだからさ……」 梓「はいはい。とにかく部屋に向かいましょうよ、ナナちゃん待ってますよ」 律「ったく……」スタスタ 梓「ふふっ」スタスタ C棟8階 梓「……静かですね。これだけ部屋があるのに」 律「不思議な場所だよな、この団地ってさ」 梓「……」 律「さて、803だったな」 梓「はい」 律「……ん。梓ほらっ」 ドア 梓「……」オホン 梓「ナナちゃん。梓だよ~」 シーン 梓「約束通り迎えにきたよ。開けて開けて」 シーン 律「……」 律「反応ないな」 梓「……」 梓「コホン、ナナちゃ~ん。助けにきたよ~。出てきていいんだよ~」 ピンポン シーン 梓「いないの……?」 梓「ひょっとして……」 ガチャッ 律「鍵が……開いてる」 梓「……ナナちゃん」 梓「どうして開けちゃったの?」 梓「ねえ、どうして……」 律「梓……」 律「そのリルって子を見つけるしかないな。行こう、梓……」 梓「……はい」 梓「ナナちゃん」 律「……」 C棟入り口 スタスタ 律「んっ」 男「……」 律「さっきのガキんちょだな」 男「まだウロウロしているの?」 梓「……ねえ、ナナちゃん知らない?」 梓「ナナちゃん。リルに連れていかれちゃったんだよ」 男「ナナが……? リルの奴、なんでナナを!」ピクッ 律(おっ……) 梓「ナナちゃん、どこいったかわかる?」 男「……」 梓「ねえ!」 男「俺だって、ナナを助けたいさ。でも、リルには逆らえないんだよ……!」 梓「そんなの……おかしいよ」 男「あんたら外の人間には解らないよ。わかってもらうつもりもない」 梓「……」 律「なあガキんちょ。お前リルの部屋知らないのか?」 男「……誰も知らないんだ。だけど」 梓「何? 言って!」 律「梓。興奮するなって……それで?」 男「……A棟からよく出てくるって、噂は聞いた事あるよ。あそこに行けば……」 梓「急ぎましょう、律先輩!」ダダダッ 律「あ、ま、待てよ梓……」 男「……」 律「なあガキんちょ。お前さ、ナナちゃんの事守りたいんだったら行動しないと」 律「そうじゃないと、なにも始まらないって。リルを恐れていても何も……」 男「……わかってる」スタスタ 律「……」 律「ふふっ、今のはちょっと部長っぽかったな。結構イケるな、私も」フンス 律「さて、梓はっと」 シーン 律「……いるわけないか。興奮してたもんなあ、梓」 律「ここからは私一人で動いた方がよさそうだな……よしっ!」 律「えっと……」クルッ 律「部屋から電気が漏れてるのは……と」 律「210と307と」 律「701……」 律「801と、809、902と……」 律「1009か」 律「暗記に自信がないから、これを携帯にメモしてっと」ピッピッ 律「……よしっ。早速調査開始だ!」ダダダッ 律「ふふっ、こうやって効率的に調査をするりっちゃん、なんて頭がいい ~……」カチッ 律「……あれ?」カチッ 律「おかしいな~。エレベーター反応しないぞ?」 律「もしかして、故障中?」 シーン 律「わ、私の……効率的な調査の第一歩がっ!」ガーン 律「頼むよっ、動いてくれよっ!」カチカチッ シーン 律「はぁ……仕方ない」 律「階段かぁ、階段。はぁ」トボトボ 律「一番上は1009号室かぁ……長いなぁ」 律「はぁ、ため息しか出てこないや。あはは~……」 律「はぁ、行くか……」トボトボ ……。 夜、団地前 澪「や、やっと着いた」 紬「ここまで長かったわね~」 唯「ね~」 澪「まったく、梓のやつ……家で待ってたら急にコンビニまで来いだなんて」 唯「でも肝心のコンビニが見つからなくって……困ったよね」アハハッ 紬「梓ちゃんたち、大丈夫かしらね。無事ならいいけど……」 唯「だいぶ遅れちゃったからね。急ごうよ」 澪「そうだ……な。えっと、梓に聞いていた話だと自殺があったのは確か この先の……」 紬「あそこの棟ね」 ……。 唯「……」ハッ 澪「んっ、どうしたんだ唯?」 唯「……」 唯「?」 スタスタスタ ヤヨイ「……」 唯「やっぱり……」 澪「んっ、唯。知り合いか?」 ヤヨイ「お久しぶり、唯」 紬「あらあら、唯ちゃん、お友達?」 ヤヨイ「私たちはそんな生易しい関係じゃないわ。部外者の方は、黙っていてくれないかしら?」 紬「ぇ……」 ヤヨイ「そうよね、唯?」 唯「……やっぱり、あれは夢じゃないんだね」 ヤヨイ「さあ、どうかしら。私にとっては夢よりも楽しい一時だったわよ」 唯「……私はあなたを知らないよ」 ヤヨイ「ふふっ、私は知ってる。親友ですもの」 紬「唯ちゃん……」 澪「ムギ、ここは唯に任せよう」 紬「ん……」 ヤヨイ「あれからどう? 元気みたいで安心したわよ」 唯「……どうしてあなたがここにいるの。これも、夢なのかな?」 ヤヨイ「やっぱり、彼には気付いていないみたいね。うん、いいよ唯。知らなくてもいい事だから……」 唯「彼って? 誰の事? 前に私を襲いそうにしてた変な人?」 澪「……」 ヤヨイ「ふふっ、やっぱりわかってない。それでいいんだよ唯」 唯「わからない……なにも解らない……ねえヤヨイちゃん」 唯「どうしてヤヨイちゃんは、ここにいるの……?」 ヤヨイ「……私はいつでも中立だから」 唯「……解らないってば」 ヤヨイ「でも安心して。私は唯の親友だから……大丈夫だから」 澪「唯、そろそろ行こう。梓たちが」 紬「……唯ちゃん」 ヤヨイ「くすっ。私意外のお友達も大切にするんだもん、唯ちゃんは優しいよね」 唯「……ヤヨイちゃん」 ヤヨイ「大丈夫、私はそれを解っているから。唯ちゃんの事は偽善者だなんて思っていないから」 紬「……」 澪「……」 唯「ねえヤヨイちゃん。一つだけ聞かせてくれない?」 ヤヨイ「なに? 親友の頼みだもの。何でも聞くわ」 澪(いちいち、カチンとくる言い方だな……)ヒソヒソ 紬(まあまあ……)ヒソヒソ 唯「すごく気になった……ヤヨイちゃんの言っている『彼』って」 唯「誰……?」 ヤヨイ「あなたは知らなくていいの。でも、一つだけ教えてあげる」 ヤヨイ「見ているわよ……彼」 ヤヨイ「いつでも私たちの事を、ね」 唯「……」 澪「二人とも、一体何を話しているんだよ……」 ヤヨイ「あら、部外者は気にする必要なんてないって言ったばかりなのに。でしゃばるんだ」 ヤヨイ「やっぱりバカな存在よね、あなたたちってさ」 澪「な……!」 唯「ヤヨイちゃん! 私の友達バカにしないで……あなた、私の親友なん でしょ?」 ヤヨイ「……」 唯「だったらもう少し、澪ちゃんたちにも優しくさ……ねっ?」ニッコリ 澪「唯……」 ヤヨイ「……澪ちゃん」 バチッ 澪「!!」 澪(なにこれ、彼女の体が……光って……) ヤヨイ「あなた、邪魔よ!!」 バチバチッ! 澪「えっ……」 紬「澪ちゃん!」 唯「ヤヨイちゃん……なにを……!」 ヤヨイ「……」 バチ、バチッ ……。 8
https://w.atwiki.jp/83452/pages/13800.html
駅前 唯「はあ~っ。やっと着いたよ、も~」 唯「あずにゃんはどこだろう。探さないと……」 ピッピッピッ プルルルル 『……ただいまこの電話は、電波が届かない所にあるか、電源が……』 唯「あれっ。おかしいな……出ない」 唯「……まあいいや。なんとかなるよね?」タタタッ ショップ、にゃんにゃん前 梓「もう、完全に遅刻ですよ! もう30分も経ってるじゃないですかっ!」プンスカ 唯「ご、ごめんね~。ちょっと来る前にトラブルがあってさ~……ホントごめん」 梓「もう、あらかた買い物し終わっちゃいましたよ。お腹すいちゃいました」グウウ 唯「ご飯……食べよっか?」 梓「はいっ」 唯「あれっ、そう言えばさ……」 選択肢 律ちゃんは来てないの? 澪ちゃんはどこにいるの? ムギちゃんはどこ? ※律ちゃん 唯「律ちゃんは来てないの?」 梓「律先輩? さあ、さっきまで一緒に洋服を見てましたけど……いつの間にか」 唯「ええっ!?」 梓「まあ、あの人なら大丈夫ですよ。それよりご飯ご飯~」 唯「そ、それはちょっと気になっちゃうよ~。私、探しに行ってくるよ!」 梓「つ~か~れ~ま~し~た~」イヤイヤ 唯「……もう。あずにゃんはそこのファミレスで好きな物食べてていいからさ」 梓「本当ですかっ!」 唯「うん。待っててね」 梓「えへへっ、じゃあ……私行ってますね~」タタタタッ 唯「……あんなにワガママだったかな~。あずにゃんて」 唯「まあ、遅刻した私が悪いんだけどさ。さ、りっちゃん探さないと」スタ スタ スタスタ スタスタ 唯「……」 唯「あ、りっちゃん。お~いお~い」 律「……」 唯「よかった、見つかって~。楽器屋さんにいたんだね~」 律「あ、ああ……まあな」 唯「遅れちゃってごめんね~。あ、あずにゃんならあそこのファミレスでご飯食べてるよ」 律「梓……? ああ、あの梓か」 唯「えっ?」 律「ファミレス、行くか」 唯「う、うん……」 唯「あ、ま、待ってよりっちゃ~ん」タタタタッ カランカラン 律「……梓いないじゃん」 唯「あれ~。おかしいな、そんなはずは無いんだけど」 シーン 律「というか……誰もいないな。お客も、店員も」 唯「そんな……」 律「はあっ。ここにいても仕方ないな、出ようぜ」 唯「う、うん。どこ行っちゃったんだろうね」 カランカラン ……。 律「なんか、疲れちゃったな。私、今日はもう帰るよ~」 律「じゃあな唯。また明日、学校でな」スタスタ 唯「あ、うん。バイバイりっちゃん~」 唯「……りっちゃん、やっぱ遅刻したの怒ってるのかな」 唯「……」 唯「今日また、メールで謝ろう」 ヤヨイ「……ええ、それがいいわね」 唯「わっ!」ビクッ ヤヨイ「何をそんなに驚いているの?」 唯「だ、だっていきなり声をかけるから……」 ヤヨイ「ああ、ごめんね」 唯「ところで……どちら様ですか?」 ヤヨイ「私、逸島ヤヨイ。こうやって直接会うのは初めてね、平沢唯ちゃん」 唯「へっ、私の事知っているの?」 ヤヨイ「ええもちろん。お会いできて嬉しいわ」 唯「わ、私って有名人なんだ~」ニヘラッ 唯「あ、もしかして同じ学校の人?」 ヤヨイ「ううん、友達にあなたの話を聞いてただけだから。学園祭でいい演奏をしたグループがあるって」 唯「ああ、そうなんだ~」 ヤヨイ「ええっ」クスッ 唯「……」 ヤヨイ「……」 唯「あ、あのっ……」 ヤヨイ「間が持たない?」 唯「いえ、別にそういうわけじゃ……」 ヤヨイ「いいのよ無理しないで。困ってますって、顔に書いてあるもの」 唯「べ、別にそんな……」 ヤヨイ「あ、そう言えばね。梓ちゃん、あなたの事呼んでたわよ」 唯「えっ、嘘。あずにゃんが!?」 ヤヨイ「ええ。通販で買い物しすぎちゃって、荷物が家にいっぱい届くんですって」 ヤヨイ「だからお家に帰るって」 唯「あの子ならあり得るなぁ……」 ヤヨイ「ねえ、どうする。私と一緒に梓ちゃんの家に行かない?」 唯「ん~……」 ヤヨイ「私も用事があってさ。いいじゃない、仲良くお話しながら行きましょう、ね」 唯(どうしよう……) 一緒に行く? 行かない? ※逝く 唯「そう……だね。じゃあ一緒に行こっか」 ヤヨイ「そう。じゃあこっちよ」クルッ 唯「あ、ま、待ってよ~」スタスタ ヤヨイ「……」スタスタ 唯「……」スタスタ ヤヨイ「……」スタスタ 唯「……」スタスタ 唯(ううっ、沈黙重いよぉ) ヤヨイ「……また困った顔してる。他人はやっぱり苦手?」 唯「そ、そういうわけじゃ……ないですけど」アタフタ 唯「な、なんだかごめんね」 ヤヨイ「いいのよ無理しないで。唯は唯なんだから、そのままでいいの」 唯(なんだか、和ちゃんみたいな事言う人だな~……) シーン 唯「……って、あれ。ヤヨイちゃん? どこに行ったの?」 唯「おかしいなぁ、見失うような道じゃないのに……」 唯「まあ、いいや。あずにゃん家に行けば大丈夫だよね」コツコツコツ コツコツコツ 唯「……」コツコツコツ コツコツコツ 唯「……」ピタッ ピタッ 唯「……」クルッ 眼鏡の男「はぁ、はぁ、はぁ……」ハァハァハァ 唯「誰……?」 眼鏡の男「ふ、ふひひゅっ」ダダダダッ 唯「っ!」 唯(追いかけてくる!)ダダダダッ 眼鏡の男「……」ダダダダッ 唯(怖いよ。誰か助けて、誰か……) 眼鏡の男「つ、つかむあえたよ~。ふふっ」 唯(誰か……)ガクッ 眼鏡の男「ふ、ふひっ」パチン 唯「……」 眼鏡の男「た、たっぷり楽しんでから、こ、殺してあげるからね~」 唯「……」 眼鏡の男「じ、女子高生の生足、ふ、ふふっ」 唯「……」 眼鏡の男「い、いっただきまぁ~す」 唯「……」 ~~~~~~~ 唯「……はっ!」ガタッ 梓「……あ、やっと起きました?」 唯「……?」ボーッ 律「大丈夫か~唯。ファミレスで寝ちゃうなんて、よっぽどお疲れだな~」 唯「ファミレス? え、あ……あれ?」 ワイワイ ガヤガヤ 唯(あずにゃんと約束してたファミレスだ、あれ?) 唯(おかしいな、ヤヨイちゃんやあの男の人。どうしたんだろ……) ボーッ 梓「んぐんぐ」モグモグ 律「梓~、唯の奢りだからって少しは遠慮しろよな~」 梓「いいんですよ。人の事87年間も待たせておいて」 唯(……?) 律「そりゃあ確かに唯が悪いけどさ~……」 梓「待っている間に私が食べたのは~~~だけでしたから」モグモグ 唯「そ、そうだよね。ごめんねあずにゃん」 梓「わかればいいんですよ。わかれば」モグモグ ……ポー ピーポー 律「また警察か~。最近多いよな~」 梓「軒並み、この界隈で事件が起こってますからね」 梓「唯先輩も気をつけて下さいよ。何かあってからじゃ遅いんですからね」モグモグ 唯「……うん」 律「そうだな~。唯は特にボーッとしてるからなぁ心配で心配で……」 唯「う、うん。気を付けるよりっちゃん。だから泣かないで、ね?」 律「おうっ」グシッ ……ウウゥゥー 梓「ほら、またパトカーが通りますよ」モグモグ スッ 唯「……」 私は、見てしまいました。 そのパトカーの中から、こっちを向いてニヤリと笑っていたあの眼鏡の男の姿を。 梓「……」モグモグ 梓「いや~、本当に唯先輩の甘辛煮物が」 律「唯ちゃん唯ちゃ~ん」ウルウル 唯「……」 唯(あずにゃんはさっきからずっとご飯を食べていて、りっちゃんはいつのまにか泣いています) 唯(もう、疲れちゃったな) 唯(こんな場所でも、疲れちゃうもんなんだね) 梓「んぐんぐ」モグモグ 律「唯にゃ~ん」モグモグ 唯(でもそろそろ、そろそろだから)モグモグ ガチャッ 憂「お姉ちゃん、朝だよ~。起きて~」 月がまた、少しだけ小さく見えた夜でした。 ~~~~~~ 放課後 唯「んん……ふわああぁ」 澪「唯、お疲れか?」 唯「ちょっと最近寝不足でね~。憂に起こしてもらうまで、完全に熟睡状態なんだよ~……」 澪「へえ、それでまだ眠いのか? 何か原因があるんじゃないのか?」 唯「うん……実は最近ロープレにハマっちゃってさ」 澪「はっ?」 唯「あはは、これがすごい面白くてさ~。気付いたらコントローラー持ちながら寝てるんだよね」 澪「……呆れた」 唯「今日も、これから帰ったらすぐに寝るのです!」フンス 律「そんなんだから、夜寝れなくなるんだよっ」ポカッ 唯「いたっ……あ、りっちゃん」ヒリヒリ 澪「律」 律「まったく。帰ったらも何も、これから部活があるだろうが」 唯「それはそうだけど~……疲れちゃったんだよ~」ワタワタ 紬「唯ちゃん。今日は大きなイチゴが乗っかったショートケーキよ」クスッ 唯「じゃあケーキだけ食べにいく~」 律「……いい性格してるよ」 澪「まったくだな」クスッ 廊下 唯「あ、みんなちょっと先に行ってて?」 紬「あれ、どうしたの唯ちゃん」 唯「ちょっと憂に渡す物があるんだ。だから」 律「そっか~。じゃあまた後でな」 澪「あんまり遅いと、唯の分までケーキ食べちゃうからな」 唯「もう~、澪ちゃんの意地悪っ!」 澪「あははっ、まあ早く来いよな」 唯「うん! じゃあ、また!」タタタッ 1階教室前 唯「はい、憂~」 憂「ありがとうお姉ちゃん。これから部活?」 唯「うん。今日はイチゴのケーキなんだよ!」 憂「ふふっ、あまり食べ過ぎちゃダメだからね」 唯「は~い。じゃあね唯、もう行かなくちゃ~」タタタッ 憂「うん」 唯「ケーキ、ケーキ……ふふっ」 タタタッ 4階、階段前 唯「……あれ?」 唯「おかしいな。なんで一階からここに来ちゃうんだろ?」 唯「まだ寝ぼけてるのかな~……」 唯「……まあいいや。早く部室に行かないと」 唯「ケーキぃ~」 タタタッ 1階、玄関 憂「あれ、お姉ちゃん。部室に行ったんじゃなかったの?」 唯「あ、あれっ。憂? どうしてここに……」 憂「どうしてって。帰るんだから玄関にいるのは当たり前だよ~?」 唯「お、おかしいなぁ……」 憂「ふふっ、じゃあね、お姉ちゃん」スタスタ バタン 唯「……」 唯「なんか……気味悪いや」 唯「私も、今日は帰っちゃおうかな……うん」 唯「みんなには後で謝っておこう」 唯「憂~。待ってよ憂~」ダダダタッ ガチャッ 5
https://w.atwiki.jp/83452/pages/13811.html
LOSTHIGHWAY 律「夢……か?」 シーン 律「これも夢なのかなあ……」 シーン 律「もうわかんないや……」 シーン 律「私、誰とここに来てたんだっけ……」 シーン 律「唯?」 シーン 律「さわちゃん……?」 シーン 律「……」 澪「こら、律。こんなところにいた!」 律「ひゃあっ!」 澪「な、なんだよ……そんなに驚くなよな……」 律「み……澪? 澪なのか?」 澪「はぁ? 何当たり前の事言っ……」 ギュッ 律「みお、みおぉ……」ギュッ 澪「バ、バ、な、なにくっついて……」 律「う、うっ……」ギュッ 澪「律? もしかして、泣いてる……のか?」 律「だ、だってぇ……グシッ、み、みおがいるんだもん……」 澪「……おかしな奴だな。当たり前だろ、私はここにいるんだから」 律「みお、みお、みお……」ギュッ 澪「……よしよし」ナデナデ 律「澪、一緒。一緒にな……帰ろう」 澪「ははっ、当たり前だろ。律とはずっと一緒だよ」 律「うん……うん……」 澪「ほら、泣くなよ。手繋いでやるからさ」ギュッ 律「澪……冷たい手してるんだな」クスッ 澪「お前が暖かすぎるんだよ」クスッ 律「ふふっ、澪……」ギュッ 澪「ずっと一緒だからな、律」 澪「ずっと……」 ドゥ ドゥ ドゥ ドゥ ……。 律の部屋 律「……あれ」 律「頭がボーッとする……」 律「なんだか、ずいぶん長く寝てたなぁ……」 律「……あ、今日は金曜日か。学校行かないと」 律「いってきま~す」 タタタタッ ……。 教室 律「ああ、頭いて~。寝すぎたな……」 唯「おはようりっちゃん」 澪「律、おはよう」 律「ああ、おはよう二人とも」 唯「りっちゃん、なんだか顔色悪いよ?」 澪「また夜更かしでもしてたんじゃないのか?」クスッ 律「うるへ~。私だって具合の悪い時ぐらいあらぁ」 澪「ははっ、そんだけ喋れればとりあえずは大丈夫みたいだな」 律「ふんだ」プイッ 紬「ふふっ、みんなおはよう~」ワクワク 唯「あ、ムギちゃんおはよう~」 紬「うふふ~」ワクワク 澪「どうしたんだ、随分楽しそうじゃないか。何かあったのか?」 紬「実はね~、ちょっとすごい物が手に入ったの~」 律「?」 唯「え~、なになに~?」 紬「ふふっ、じゃ~ん」ピラッ 澪「なになに……LOSTHIGHWAY? イベントのお知らせ?」 律(あれ、これって……) 唯「ん、一体何?」 紬「クラブのイベントなんだけどね、もう。これがすごい興奮するイベントなのよ!」 紬「確か、DJ……なんだっけ。カシマシじゃなくて、マスラオでもなくて ……」 律「……ヤギハラ」 紬「そうそう、それよ! りっちゃんよく知ってたわね!」 澪「へえ、意外だな。律がこういうクラブの事に詳しいなんて」 律「ん……いや、まあな」 紬「でね、みんなでこのイベントに行かない?」 唯「なんだか面白そう~」 ドゥ ドゥ 澪「ふふっ、たまにはこういうのもいいかもな」 ドゥ ドゥ 紬「あとで梓ちゃんも誘ってみるから、みんなで行きましょう。もちろん 、りっちゃんもね」 ドゥ ドゥ 律「あ、ああ……そうだな」 ドゥ ドゥ ドゥ ドゥ ドゥ ドゥ 紬「ふふっ、決まりね。じゃあ日曜日、10時に駅前に……」 ドガラゥ トラッ゙ゥ さわ子「はいはい、みんな席について~」 ドゥ ドゥ 澪「あ、先生だ……」 ドゥ ドゥ 唯「みんな、また後でね~」 ドゥ ドゥ さわ子「じゃあ出席を~……」 ドゥ ドゥ 律「……なあムギ」 ドゥ ドゥ 紬「ん、な~にりっちゃん」ヒソヒソ ドゥ ドゥ 律「……あとでさ」 ドゥ ドゥ 律「さわちゃんも誘ってみないか?」 ドゥ ドゥ 紬「まあ、いいわねそれ」 ドゥ ドゥ さわ子「田井中さん、琴吹さん!」 ドゥ ドゥ 律「は、はい!」 ドゥ ドゥ さわ子「丸聞こえよ、喜んで私も行くわ」 ドゥ ドゥ 律(あ、頭痛い……) ドゥ ドゥ 律(ああ、早く授業終わんないかな) ドゥ ドゥ 律「さわちゃんも一緒か~」 ドゥ ドゥ 律「……ニガー。なんだよこの飲み物 ドゥ ドゥ 律「あれ? 澪……なんでここに……」」 ドゥ ドゥ ああ、もう私。 何が夢で、今どこにいるのかもわかんないや。 ドゥ ドゥ ドゥ ドゥ 秋山澪 中野梓 田井中律 琴吹紬 ※紬 駅 まもなく、電車が向かいのホームから……。 紬「遅いなあ、澪ちゃん」 紬「約束の時間を30分も過ぎてる……」 紬「電話も出ないし、大丈夫かなぁ……」 紬「……」 タタタタッ 紬「あら」 澪「ご、ごめ~んムギ! 待ち合わせの時間間違えてたよ!」 紬「澪ちゃん。よかった、心配したのよ~」 澪「本当にごめん! せっかくムギが時間作ってくれたのに……私が遅れるなんて」 紬「大丈夫よ。こうやって来てくれたんだし、気にしてないわ」ニコニコ 澪「ムギ……」 紬「……それにね、今電車が事故でしばらく出発しないらしいのよ」 澪「え、そうなのか?」 紬「だから、気にしないで大丈夫よ」 澪「ん……ありがとうムギ」 澪「私、ちょっとトイレに行ってくるよ」タタタタッ 紬「いってらっしゃ~い」 ……。 ……。 間もなく、2番線の電車が出発します。 駆け込み乗車は大変危険ですので…… 紬「あ、あら。もう直ったのかしら?」 タタタタッ 澪「ふう、お待たせ」 紬「あ、澪ちゃん。電車もう出るみたいよ~」 澪「え、もう? 随分早いんだな」 紬「ね~」 澪「じゃあ、乗りますか」 紬「うんっ! ふふっ、澪ちゃんとお出かけ~」 プシュー ……ガタン ガタン ガタン ガタン ガタン ガタン ガタン 【}=事/$の\%~%%停あ% 止さー゙[)##+`{|^ な= 「」\%・・】 ピーーーーー ガタン ガタン 澪「ふう、落ち着いたな」 紬「ね。あ、今日はこれからどうする?」 澪「ん~……ムギが決めた通りでいい。私は合わせるよ」 紬「えっ? わ、私何も決めてないわよ。澪ちゃんが誘ってくれたからつ いてきただけで……」 澪「私が? 電話をくれたのはムギだろう?」 紬「ええっ?」 紬「わ、私電話なんかしてないわ……」 澪「私だって……」 紬「き、きっと澪ちゃん忘れちゃったのよ。遅刻だってしちゃうくらいだ から、ね?」 澪「ん~、そうなのかな~……」 紬「……」 澪「……」 紬「でも私」 澪「私さ」 「「電話した事なんて覚えていないの」」 紬「おかしい……よね」 澪「おかしい、な」 ガタン ガタン ザザザザザッ ザザザザザッ 澪「……なんだか、眠くなってきたな」 紬「え、澪ちゃん大丈夫?」 澪「け、結構ダメかもしれない……」クラッ 紬「ま、待って澪ちゃん。せめて目的地を決めてから」 ザザザザザッ ザザザザザッ ザザザザザッ 澪「ん~……そもそもこの電車って、どこ行きだっけ?」ウトウト 紬「えっ……」 ザザザザザッ 澪「……くぅ」 ザザザザザッ 紬「私も……眠い」 ザザザザザッ 澪「すぅ、すぅ」 ザザザザザッ 紬「くぅ……すぅ」 ザザザザザッ ザザザザザッ ガタン ガタン 紬「……あら? 私、寝ちゃってた?」 ふふっ、こんにちわ。 紬「きゃっ!」 そんなに、怖がらなくていいよ。 ボクはただ話がしたいだけなんだから。 紬「ご、ごめんなさい……あの、君は?」 ボクの事なんてどうでもいいよ。 ボクはただ……。 ガタン ガタン 紬「……あら?」 紬(今のは……夢?) 紬「妙にリアルで、変な夢……。ねえ澪ちゃん、今どの辺りかしら……」 シーン 紬「澪……ちゃん?」 ガタンガタン ガタンガタン 紬「澪ちゃんが、いなくなっちゃった……?」 紬「う、嘘でしょ?」キョロキョロ キョロキョロ 澪「……」 紬「あ、いた。澪ちゃ……」 澪『はぁ』 澪『なんで、こんな所来ちゃったんだろうなあ』 紬「え……」 澪『ムギにはああ言った手前、嫌な顔出来ないしな~……』 紬(え、な、なによこれ) 紬(どこから……聞こえてくるの?) 澪『重いなあ。席に戻ったら、何話そう』 澪『大体、ムギって絡みにくいんだよな……』 澪『そりゃあケーキやお茶をくれるのはありがたいけど。逆に……なぁ』 紬(これは……澪ちゃんの) 紬(心の声、なの?) ふふふっ、扉の奥へ行ってごらん。 紬(……) もっと面白い声が聞こえるよ、こんなに楽しい遊びはなかなかないよ。 紬「……」 澪「あ、ムギ。起きてたんだ。ちょっと行き先を見ててさ……」 紬「……」タッタッタッ 澪「ん、どっか行くのかムギ? ……なあ、聞いてるのかムギ?」 紬「……」タッタッタッ 澪「ムギ……?」 紬「ついてこないで」 ガラッ……ビシャッ! 澪「……ムギ?」 16
https://w.atwiki.jp/83452/pages/13801.html
3階、階段前 唯「……」 唯「おかしいよ、こんなの」 けいおん部、部室前 唯「結局、来ちゃった……」 唯「なんだかずいぶん色んな階段を昇り降りしたけど」 唯「まあ、着いたんだからいいか……」 唯「えへへっ。みんな~」 ガチャッ シーン ユイ「……アレ?」 ユイ「ココハドコ? ミンナハドコ?」 ユイ「ナンダロウ、コノバショ。マエニモキタコト、アルミタイナ……」 目の前には、何もない森林が広がっている。 ユイ「……」 澪「……ふふっ、それでさ。唯のやつったらさ~」 律「あはは、やっぱり唯は唯だよな~」 梓「あ~ん」パクッ 紬「はい、梓ちゃん。お茶のおかわりよ」 ユイ「ア、ミンナ」 ユイ「ウワア、ケーキオイシソウダネ。ワタシニモチョウダイチョウダイ」 アレ、カラダガウゴカナイヨ 律「あ~、それにしても唯の奴、早く来いよな~全く」 ユイ「ナニイッテルノ。ワタシハココニイルヨ」 梓「本当に唯先輩は、遅刻してばっかですよね」モフモフ ユイ「ミンナ……ワタシヲミテヨ」 澪「本当にな。あ~唯の分もケーキ食べちゃおっかな」 ユイ「ヤメテヨ、ヤメテ。ワタシハココニイルノニ……」 紬「ふふっ、はい。澪ちゃんどうぞ、唯ちゃんの分のケーキよ」 アッ…… 澪「美味しいなあ」モグモグ 律「さて……今日はもう帰るか~」 ア、イヤダヨ。 ミンナ、トオクニイカナイデヨ。 ヒトリニシナイデヨ。 ワタシハココニイルヨ、ソッチニハイキタクナインダヨ。 ネエ マッテヨ、ミンナ……ミンナ…… ワタシ、ヒトリボッチ 唯「私だけ、ひとりぼっち」 唯「それならいっそ……みんな殺してやる」 ……キーンコーンカンコーン 唯「……はっ!」 1階、玄関前 唯「……あれ? 私……」 律「おっ、唯~。こんなところで何やってんだよ」 唯「りっちゃん、みんな……あれ?」 唯「部活はどうしたの。まだ終わる時間じゃない……よね?」 梓「備品の入れ替えだかで、今日は部活が出来ないんですって。さっき唯先輩にも電話したんですけど……出なかったから」 唯「え? あっ、本当だ」パカッ 澪「しっかりしてくれよな、全く」クスッ 律「じゃ、みんなで下校と行きますか~?」 唯「えっ、ケーキは?」 紬「冷蔵庫に入れておいたから、一日なら大丈夫よ。明日の部活で食べましょう」ニコニコ 唯「えっ……」 唯「ケーキは?」 澪「だから、明日の部活でみんなで食べようって……」 唯「……」 梓「唯……先輩?」 唯「やだ、ケーキ食べる」 律「おいおい唯。だから部室には今入れなくて……」 唯「そうやって。みんな私を除け者にして、私の分のケーキ食べちゃったから、そんな嘘言うんでしょ」 澪「何言ってるんだよ唯、ケーキはちゃんと……」 唯「澪ちゃん。人のケーキ食べたくせによく笑っていられるね。また太っちゃうよ?」 澪「はあっ! お前なっ、なんだよその言い方!」 唯「ほら図星だ。バレたくないから逆切れしてる」 澪「……呆れた。みんな帰ろう」 梓「……唯先輩、ちょっと言い方がひどくないですか? 澪先輩はケーキなんて食べてないですよ」 唯「へ~っ。あずにゃんもそっちの味方なんだ。まあ、どうせ私はひとりぼっちだもんね~」フンス 梓「何ですかその言い方……ムカつく」 唯「なんでも結構。早く帰ってよ、うっとおしい……」 律「唯……いい加減にしろよっ!」 紬「唯ちゃん。ちょっと落ち着いて。ほら澪ちゃんも」 澪「……ふん」 唯「ふんだ」 律「いいか唯、澪は唯のケーキなんて食べてないんだから。安心しろよ、な?」 澪「何言ってもムダだよ、律」 梓「そうですよ。こんな頭悪い人に説明なんかしたって」 紬「二人とも」メッ 唯「……」 唯「……証拠」 澪「はっ?」 唯「見せてよ、私のケーキ食べてないっていう証拠をさ」 澪「……お前な、ガキみたいな事言って……!」 律「まあまあまあ! 唯、証拠があれば満足するんだろ、な?」 唯「……」コクッ 律「じゃあちょっくらみんなで部室行こうぜ。冷蔵庫のケーキを見せれば、唯も澪も仲直り、な?」 唯「……」 律「澪」 澪「……」 梓「仲直りの前に、謝ってほしいですね。そうしたら折れてやらない事も ないですよ」 律「梓、お前なぁ……」 唯「いいよりっちゃん。証拠が見つかったら私ちゃんと謝る」 律「唯……」 澪「……ふん」 律「よ、よ~し。じゃあみんなで部室行くか~」 紬「お~」 澪「ふ、ふん。ケーキ見たらちゃんと謝れよな唯」 唯「……」 梓「唯先輩、部室行きますよ、ほら」 唯「は? 部室? なんで? どうして?」 澪「どうしてって、お前な……!」イラッ 澪「お前が証拠を見たいって言うから、今からみんなで部室に行くんだろうが!」 唯「どうして部室なの?」 律「唯……お前……」 紬「……」 澪「ケーキが部室の冷蔵庫にあるからだろっ!」 唯「……」 ユイ「チガウヨ」スッ ユイ「ケーキナラ、ココニアルジャン」 ザクッ 律「あ……」 紬「あ……」 梓「あ……」 澪「……えっ」グチャッ ユイ「ウフフッ」グチュグチュ 澪「う……うわあぁぁああああ!」ザクッ 澪「ち、血が! お腹から血がぁぁぁああ……!」 ユイ「フフッ、ケーキケーキィ」グチャグチャ 澪「痛い……痛いよ……痛いよ……」ガクガク ユイ「アー、イチゴタベタカラ、オナカノナカ、マッカダネミオチャン」 ザクッザクッ 澪「あ……ぁ……」ピクピク ユイ「フフッ、ケーキドコカナー」グリグリ グリグリ 律「ゆ、唯やめろっ!!」ガチッ ユイ「ハァ、ナニ? ヤッパリアンタモグルナンダ?」 律「ム、ムギ。早く救急車……それに、先生に連絡を!」 紬「あ、あ、あ……だ、ダメ。立てないの……」ガクガク 律「ちっ、梓っ!」 梓「ぁ……」ザクッザクッ ユイ「アズニャーン」ザクッザクッ 律「ひっ……!」 ユイ「ケーキドコカナー。アズニャンガタベチャッタノカナ?」 ユイ「イマナラマダオコラナイヨ? ハヤクダシテ」グチャグチャ 梓「……」ビクン 律「う……お、おええっ……」ビチャビチャビチャ ユイ「リッチャン、ナニソノケーキ」 律「はぁ、はぁ……こ、これはさっき食べた私の……」 ユイ「ソッカア、リッチャンモカクシテタンダネ」 ユイ「ユルセナイ」ヒュッ ザクッ 律「あ……喉……」ザクッ ユイ「コウスレバ、モウハキダサナイデスムカラネー」グリグリ 律「ヒュー……ヒュー……」ガクガク ユイ「フフッ、モウシャベレナインダネ」 紬「ぁ……あ……」ガクガク 紬「に、逃げなきゃ。逃げるのよ私……」ガクガク ユイ「フフッ、ムギチャン」 紬「!!」 ユイ「ドコイクノ? ワタシヲヒトリニスルノ?」ユラリ 紬「あ……あ……」 紬「ぶ、部室に……ケーキを取りに」 ユイ「……」 紬「ゆ、唯ちゃんのためよ。今から大急ぎで持ってくるから、ね! ね!」ガクガク ユイ「ソッカー、アリガトウムギチャン」ニッコリ 紬「う、うん。それじゃあ……」 ザクッ 紬「あ……」ドロッ 紬「ゆ……い……」 ユイ「シンデ」 紬「……」ザクッザクッ 梓「……」ザクッザクッ 澪「……」ザクッザクッ 律「……」ザクッザクッ ユイ「……」 ザクッザクッ ザクッザクッ ザクッザクッ ザクッザクッ 唯「……あれっ、みん……ヒイッ!」 唯「し、死んでる……う、うっ。オエッ……」ビチャビチャビチャ 唯「はぁ、はぁ」 唯「……ナイフ? これ、私のせい?」 澪「……」 唯「ねえ、澪ちゃん。どうして、どうして……?」 律「……」 唯「りっちゃん起きてよ。目覚ましてよ、ねえ」 紬「……」 唯「ムギちゃん。ケーキなんてもういらないから、ねえ……」 梓「……」 唯「あずにゃん……」 唯「……」 唯「ああ、また私、ひとりぼっちだ」 唯「みんな……」 ……キーンコーンカーンコーン 3階、教室 ……キーンコーンカーンコーン 唯「はっ……」 『下校の時刻になりました。まだ校内に残っている生徒は、すみやかに… …』 唯「あれ、ここ」 唯「教室?」 唯「血もついてない……」 唯「……」 唯「もう、帰ろう。なんだか疲れたよ……」 タタタタッ 帰り道 唯「……」 ……ピーポー ピーポー 唯「あ、救急車だ」 唯「学校の方に向かってる……何かあったのかな」 ピーポー ピーポー…… 唯「……」 唯「……帰ろう」 また少し、今夜の月は薄く頼りない光を放っている。 団地の屋上 ヒュウゥゥゥ 男の子「……」 男の子「……」チラッ 瞳 瞳 瞳 瞳 瞳「……」 男の子「……」 スッ 男の子「う、うわあああぁぁぁっ…………!」 ヒュウゥゥゥ…… ……グシャッ 6
https://w.atwiki.jp/83452/pages/13807.html
団地前 澪「……どうしてすぐにナナちゃんを助けに行かなかったんだよ。まった く、救急車まで来ちゃってさ」 救急車 梓「し、仕方ないじゃないですか。律先輩もいないし、誰もいないから… …私一人で……」 澪「冗談冗談、仕方ないって。それにナナちゃんも助かったんだから。終 わりよければ、ってな?」 梓「……ですね」 紬「ふふっ」 澪「あの子……さ」 澪「ごめんねアズサって、言ってたよ。うなされながら……」 梓「ナナちゃん……」 紬「……」 梓「……着きましたよ.澪先輩」 梓「ここが、残りの棟になります」 澪「ここに律と唯が……?」 梓「多分、そのはずです」 澪「……よしっ」 ……ヒュゥゥゥゥゥゥ 梓「えっ……」 グシャッ 梓「どうして……」 リル「……」 梓「どうしてなんですか、澪先輩」 紬「梓ちゃん……」 澪「梓……」 リル「……」 澪「リルちゃん。まだ生きているよ、幸せそうな顔して……ほら」 梓「……」 タタタタッ! 律「リルちゃん! リルちゃん……どうして……!」 澪「……律」 律「どうしてなんだよ、どうして」 ―――― リル「……」 男「……」 唯「……」 ヤヨイ「あの子の父親よ」 唯「ヤヨイちゃん。また……」 ヤヨイ「リルの話を聞いたでしょ。ここの団地の磁場がイタズラしたの」 ヤヨイ「リルの父親が、リルの飛び降り自殺の下敷きになって、その代償となったのよ」 唯「そんな……そんなのってありえないよ!」 唯「飛び降りたら、お父さんが下敷きになるなんて……偶然でもあるはずないよ……」 ヤヨイ「唯は甘いね。人の意思で、なんでも現実に転じる事ができる」 ヤヨイ「意外と強いのよ、人っていうのは」 唯「……ねえ、どうして私につきまとうの?」 ヤヨイ「傍観してるだけよ。いいでしょ、それくらい?」 唯「でもっ! 澪ちゃんをどこかに消しちゃったじゃん!」 ヤヨイ「見ているだけじゃあ……つまらないから」 唯「それだけで……」 ヤヨイ「他に理由なんてないわよ」 唯「そんな理由だけで澪ちゃんを……!?」 ヤヨイ「そんなに、怒らないでもいいんじゃない?」 唯「怒るよ……いくら私でも!」 ヤヨイ「唯なんて怖くないわよ。なんたって私の親友なんだから」 唯「……リルちゃんの代わりに、ヤヨイが死ねばよかったのに」 ヤヨイ「私が消えても……彼は」 唯「うるさいよ……!」 唯「消えて、今すぐ。私の前から!」 ヤヨイ「唯、本当に怒ってる」 唯「ねえ、消えてよ! お願いだから……じゃないと私、本当にヤヨイを この屋上から……!」 唯「……誰もいない」 唯「……」 唯「リルちゃん」 唯「ヤヨイ……ちゃん」 唯「こんなの絶対おかしいよ。絶対、絶対に……」 唯「……」 唯「満月、綺麗……」 唯「街の光、リルちゃんも、毎日こんな綺麗な景色を見ていたのかな」 唯「……」 唯「リルちゃん……」 団地 部屋 子供「……」 シャキーン シャキシャキーン 子供「……」 シャキーン シャキーン 子供「……」 シャキーン 子供「……」 ウッ…… ……。 子供は誰も、外の月と人影に気付かない。 誘 浮 秋山澪 中野梓 田井中律 ※澪 深夜 団地屋上 澪「……あれっ?」 澪「どうして私こんなところに……しかも、パジャマじゃないか!」 ヒュー 澪「ううっ、寒い」 澪「は、早く帰ろう」 帰る? どこに帰るっていうの? 澪「どこって、家に決まってるじゃないか」 ふ~ん。 澪「ははっ、空から声が聞こえるなんて……すごい夢だな」 澪「起きて覚えてたら、ちょっと歌詞にしてみようかな……」 夢じゃないよ。 ガシャン ガシャン 澪「あれ、おかしいな。今日来た時はこのフェンス……ここが開いていたはずなのに」 澪「これじゃあ、屋上の外周から……中に入れない?」 ヒュゥゥ 澪「……夢だ」 夢じゃないよ 澪「寒い、寒いけど……これは夢なんだ」 澪「空から人の声がするから、これは夢……」ブルブル リル「……澪ちゃん」スッ 澪「へっ? リルちゃん……なんでここに?」 リル「私、私……」 澪「ああ、そっか。夢だもんな、リルちゃんも一緒に遊びたいんだよな」 リル「私と……」 澪「ふふっ、いいとも。せっかく友達になったんだからさ……一緒に遊ぼう、な?」 リル「うん、うん……! 嬉しいな」ニコッ 澪「えへへ~」 リル「じゃあ澪ちゃん。一緒に以降!」ガシッ 澪「手、冷たいな……暖めてあげるよ、ほら」スリスリ リル「ううん大丈夫。絶対暖かくなんてならないから、いいんだ」 澪「そ、そうなのか?」 リル「うん。それより澪ちゃん、こっちこっち」グイグイッ 澪「ま、待ってよリルちゃん。そんなに引っ張ったら……!」 リル「引っ張ったら……なに?」グイッ ヒュッッ 澪「ひっ……あ、遊ぶまえに、お、落ちちゃうよ!?」 リル「……」 澪「ほ、ほら。もっと安全なこっちで遊ぼう、な? な?」 リル「違うよ、そこは遊ぶ場所じゃないよ。私はそこから落ちたんだから」グイッ 澪「リル……くっ……」ズッズズッ リル「嬉しいなあ、澪ちゃんが来てくれるなんて。最初は寒かったけど、 暖かい澪ちゃんがいればもう安心」 澪「や、やめて、リルちゃん……リル!」グイッ リル「ふふっ、選ばれたのが澪ちゃんがでよかった」グイッ 澪(あっ……足場が……) スカッ もう、ない リル「あ……でもそっか」 ヒュゥゥゥゥゥゥ…… リル「澪ちゃんがこっち来ちゃったらさ。もう暖かくならないんだよね」 リル「……失敗しちゃったなあ」 グシャッ リル「もう、聞こえないよね、澪ちゃん?」 澪「……」 リル「まあ、いいや。これで澪ちゃんとはずっと一緒。一緒、一緒」 リル「一緒だよ……」 ……。 澪(ああ、これは夢なんだ) 澪(身体中がものすごく痛いけど、これは夢なんだ) 澪(いつかみたいに、事件が起こっても夢の話ですんだしゃないか) 澪(だから今回だって、きっと) リル「澪ちゃん。よかった、やっと会えたね」 澪(夢……) リル「これからは、ずっと一緒だよ。ここで、一緒にいようね」 澪(ああ、夢の中ってのは結構寒いんだな) 澪(律と唯に、あったかい物でもお供えしてもらおうかな) 澪(ああ……) さよなら、みんな アラマタ手帳 澪ちゃんが死んだ 放課後 部室 唯「……」 紬「……」 梓「律先輩、今日は来てませんでしたね」 唯「無理ないよ。だって澪ちゃん、澪ちゃんが……」 紬「なんだか……夢を見てるみたいね」 団地の屋上から、澪ちゃんが飛び降りて死んだ。 ああ、死んだんだ。 最初は、いつもの夢だと思っていた。 紬「なんなんだろうね、最近の……事故は」 最近……。 ここ数日、さわちゃんがあるクラブで死んでいるのが確認される。 そして昨日の澪ちゃんの自殺。 梓「……澪先輩、どうしてあんな場所にいたんでしょうね」 唯「……」 梓「おかしいじゃないですか、だって。深夜に家をわざわざ抜け出して、 パジャマで飛び降り自殺なんて……ううっ」 紬「……何か、悩んでいたのかな?」 梓「悩んでいた? ムギ先輩、本当にそう思うんですか?」 紬「それは……」 梓「あんな事件の後ですよ!? 澪先輩だって、その……呪いで殺されたに決まってますよ!」 唯「呪い……」 紬「でも、原因になっていたリルちゃんはいなくなって……」 梓「……確かに、あれ以来団地での飛び降り自殺は止まりましたけど」 梓「でも、どうして澪先輩が死んだのか……私は理解したくないんですよ……」 唯「あずにゃん……」 唯「割りきれるもんじゃ……ないよね」 梓「……」 紬「……今日はとりあえず解散しましょうか。ね?」 唯「んっ」 梓「……」 それから、澪ちゃんの葬儀も終わり何もない日々がニ週間程経ちました。 そんなある日、私の元にりっちゃんから電話が来たのです。 プルルルル 律『唯か?』 唯『うん、どうしたのりっちゃん?』 律『なあ唯、いきなりこんな事を頼むのもあれなんだけどさ……一緒に来 て欲しい場所があるんだ』 唯『ホントいきなりだね~。で、どこに?』 律『LOST HIGHWAY』 唯『ロストハイウェイ……?』 律『ああ、さわちゃんが焼身自殺をした……あの店だよ』 唯『!?』 律『な、頼むよ唯。迷惑なのはわかってる……でも……』 唯『……澪ちゃんのため、だね?』 律『澪が自殺なんてするわけない……あの元気だった澪が』 唯『でもあの後の団地には……』 律『ああ、団地には何もなかった。そこで私は、一番最初の事件に注目したんだ』 唯『さわちゃんの?』 律『ああ……澪の事件と関係あるかはわからないけど、何かがあると思うんだよ』 唯『……』 律『それくらい、私は必死なんだよ。どんな小さな事でもいい、何かを……』 唯『わかった、私もついていくよ』 律『ああ、ありがとう唯』 唯『あずにゃんたちには、この事言うの?』 律『……今はまだ、秘密だ。余計な心配もかけたくないしな』 唯『ん、わかったよ~』 律『じゃあ明日の夜10時。駅前に集合だからな』 唯『うん、遅れないでね』 律『ああ、唯もな。じゃあ……』 ピッ 12