約 4,135,316 件
https://w.atwiki.jp/bamboo-couple/pages/786.html
837 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/12/18(木) 12 30 51 ID 1IvlwbSs タマ「タマちゃんはもうやめてほしいな。もう大学生だよ?」 タマ「タマちゃんはもうやめてほしいな。もう社会人だよ?」 タマ「タマちゃんはもうやめてほしいな。もう夫婦だよ?」 タマ「タマちゃんはもうやめてほしいな。もうお母さんだよ?」 タマ「タマちゃんはもうやめてほしいな。もう30だよ?」 タマ「タマちゃんはもうやめてほしいな。もうおばあちゃんだよ?」 タマ「タマちゃんはもうやめてほしいな。もう還暦だよ?」 タマ「・・・結局最期まで・・・『タマちゃん』だったね・・・ユージくん」 故ユージ(結局最期まで『ユージくん』だったね、タマちゃん) 838 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/12/18(木) 16 53 25 ID Jzeu/4h8 そのうち息子にまでタマちゃんと呼ばれるように 839 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/12/18(木) 17 10 05 ID EST1fSiD 当然、娘にもw 840 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/12/18(木) 19 12 07 ID q6LVX12G 837 なぜか感動して涙が出た ユージが先に逝くのかよ…… 841 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/12/18(木) 23 39 54 ID uA7RzVwg 息子&娘「タマちゃんただいまー!」 タマ「・・・その呼び方はいい加減やめてほしいな」 息子「えぇ~?めんどくさーい。じゃあなんて呼べばいいの~?」 娘「それじゃあね、それじゃあねぇ~・・・ママちゃん!」 タマ「・・・」 ユージ「・・・ねえタマちゃん、なんで怒ってるの?」 タマ「ユージくんが全部悪いんです#」 ユージ「???」
https://w.atwiki.jp/shibumakubungei/pages/119.html
羽ばたかせてほしい タイトル:羽ばたかせてほしい 作者:渡名 すすむ 掲載号:2014年新歓号・2014年初夏号 神様は僕を監禁したのだろうか。 天井からぶら下がるひとつの心細い豆電球は、もったいぶるようにあたりを照らしていた。僕がいたのは、四メートル四方のトイレだった。何者かがはさみをもって記憶の糸を切断してしまったように、僕は最初からこのトイレにいたことしか覚えていなかった。男子用の小便器だけが四メートル四方の空間に並べられているのだ。ひとつひとつ白い墓石のようにグレータイルの上に立っていた。僕しかいない。アンモニアの臭いがする。 ** ** 「ええ。兄が少しおかしくなっていたのはわかりました」 少女の前に座っているのは、世界のあらゆる不安をかかえてしまっているような目をした刑事だった。くたびれた白いワイシャツと薄いピンクのネクタイを身に着けていた。手をダイニングテーブルの上で組んでいた。ためていた空気を鼻から吐き出した、なるべく少女にさとられないように。元来下がっている眉毛を更に下げて、両目の下のくまを更に濃くした。 少女はときどき刑事の顔を見ては、何か気の毒なものを拝察したとでもいうふうに視線を右下にずらした。刑事と少女の視線が交わったのは今のところ、玄関で会った時だけだった。 「それは――お兄さんがおかしくなったというのは、いつ頃のことでしょう……?」ダイニングテーブルの上のティッシュボックスが世界の真理を握っているかのように、刑事はそれを見つめながら質問した。まばたきも何度かした。 「あまり正確には覚えていませんが……。あの日かなあ」少女は顔を右に向け、手のひらを顔にあててひとりごとのように言った。 「あの日、ですか」上目がちに刑事は聞き返す。 「あの日、ですね」少女はあごをこくりと引く。 刑事には「あの日」が何の日かわからなかった。 少女はひじをテーブルに乗せ、右手の手のひらの中でしばらく考えていた。少女はダイニングテーブルのしみを見つめ続けていた。 行きの電車の座席で、僕はうとうとしながら幕張駅に着くのを待っていた。イヤホンから聞こえるのは美空ひばりの「川の流れのように」だった、その曲は名曲に違いなかったが、僕を更に眠くした。座席の暖房熱が尻から伝わってくるのも眠気を誘っていた。 車内は会社員でいっぱいだった。いつもどおり、みんな競うようにつまらなそうな顔をしていた。僕は文庫本から顔を上げて正面に立っている男を見た。 男は平凡なグレーのスーツを身につけていた。左手には革製のブリーフバッグが握られていた。ブリーフバッグの革はまだはつらつとしていて、僕が普段から見ている中年のサラリーマンのそれと比べてまだまだきれいだった。たぶん、入社してまだ間もない人だと思った。ムースか何かの整髪料で、男性のファッションモデルらしく整えられた黒髪。彼が右の手のひらの中でずっと操作しているスマートフォン。スマートフォンも、真新しく見えた。 車内の人はとりあえず、みな携帯電話をいじっていた。左の座席に座る、クリーム色のダウンを着ている若い女性は、たぶん彼氏とメールでもしていた。 「まもなく、幕張駅です。左側の扉が開きます」美空ひばりの声を貫いて、女性のアナウンスの声が聞こえた。 文庫本をバックパックにしまって、僕は立ち上がって、電車を降りた。 鼻で冷たい外気を吸った。冷気が僕の鼻腔をつついて、すっかり眠気は去って行った。そして息をはいた。 電車は駅から出て行った。今日もまた、学校での一日が始まってしまうのだった。改札口へと向かった。 改札口を右に出て階段を下ったところに、タクシーが溜まる広場のような場所がある。一人のタクシードライバーは、これから始まる長い勤務に備えてか、タクシーに寄りかかってたばこを一服していた。彼は五十代くらいで、細身で中背だった。顔の半分くらいありそうな大きな眼鏡をかけて、その奥にある目尻にはしわが刻まれていた。ふう、と彼は口から一息、煙を出した。煙は空をみだらに愛撫するように上がっていった。その広場を通ったせいで、煙の臭いが鼻の中に残っていた。僕は眉をしかめて、咳き込むフリをした。壮年のタクシードライバーはまた一服した。 一日が疲れるとはいえ、学校に行く楽しみはあったから嬉しかった。僕は《彼》のことを思い浮かべた。彼の笑顔がまた見られるのかと思うと、頑張ろうかという気になれた。彼の笑顔にはそういう力があった。駅から学校まで、徒歩十五分。その間、ウォークマンでスピッツのベストアルバムを聴くことにした。「君が思い出になる前に」が流れ始めた。 教室に着くと僕はウォークマンを止めた。中に入って、一度教室を見渡す。机で鉛筆を走らせている人もいれば、数人で集まって談笑しているクラスメイトもいた。僕は《彼》の座席を見た。まだ来ていないらしかった。 彼の左隣は僕の席だ。一月の席替えのときに、彼が隣にくるとは思ってもみなかった。棚からぼたもちだった。あの時はひとり、嬉しさにひたっていた。 彼は始業時刻ぎりぎりにクラスにやって来る。だから、僕はそれまで文庫本を読む。 教室の掛け時計は始業時刻の八時二十五分を示していた。担任の先生が教室に入ってきた。後退した前髪を機嫌よさそうに撫でていた。彼の癖なのだ。その癖が災いして髪の毛が薄まっているのではないかと僕は疑っていたが、口に出したことはなかった。 「さあて、今日はいいお知らせがあるぞー!」教卓の端に両手をおいて前のめりになりながら。 相当いいお知らせがあるらしい。 「それじゃあ日直号令よろし――」教室の引き戸の開く音が、先生をさえぎった。 「あー、すいませんすいません!」引き戸を背後で閉めながら。 入ってきたのは、《彼》だった。僕は思わず笑顔になってしまった。この教室の中の空間の明度が、一段だけ上がった気がした。ラケットバッグを背負った彼は、教室のせまい机の間を器用に通り抜けて、僕の右に座った。 「おはよう」「ああ、おはよう」僕と彼は目を合わせて挨拶を交わした。 まったく、と鼻で笑ってから担任は、「もっと早く学校に着けと言っているだろうが……。まあとにかく、日直号令よろしく!」処置なしというふうに髪をかいて。 「起立。気を付け。礼」「おはようございます」 「今日は連絡がひとつある! なんと、宮野がフルートの全国大会で最優秀賞をとったらしい。いやー、すごい! みんな拍手!」 教室は拍手と、「すごい!」「さすが」と喝采にあふれた。《彼》は「宮野すげえなー」と言って拍手をして。前のほうに座るナノハは真後ろの男子からちょっかいをされて、照れくさくあしらって。 僕も拍手をしていた。いたつもりだった。 僕の中には黒い何かが醸成されていた。またお前か、そう思った。あまりにも厄介なこの黒い物体。自分が情けなかった。僕は空中の一点を曖昧に見つめた。自分には何があるのだ、何かあるか、僕には。僕も、ナノハみたいに、何か賞をとらなければ意味がない、何らかを達成しなければ僕には価値がない。焦りにも似ていた。まわりは囲碁やサッカーや作文で実績をあげているというのに、どうして僕は腐ったままなのだ。 「宮野、何か、コメントでもあったら」と遠くで聞こえて 「あ、はい、わかりましたじゃあ……」僕は、無視をした。 静かな契約を自分と結んでいた。いつもいつも、僕は腐ってばかりいる。どうしてなのだ? それは僕が怖いからではないか? 何が怖いのか? わからない。とにかく、僕は美術部長だ、美術部で、部全体をあげて素晴らしい作品を作って美術コンクールに応募しよう、そして賞をもらおう、そうすればいい。そうすれば、僕は僕の黒い物体と決別できるはずだ。 「いつも、放課後とか、うるさいとは思っていた人もいると思うんですけど」 僕は今、終業式にいた。 終業式での表彰。名前を読み上げられて、表彰状を受け取る。生徒全員から送られる拍手と、手の中の表彰状の感触。いつも僕が席から見ていた光景を自分で体験できる。 「それでも、文句を言わないでいてくれたり、あと、悩みとかを相談させてくれて」 想像はこぼれた牛乳のように広がって行った。 「お前らも、宮野みたいに頑張れよ!」――情けないと思いながらも、僕はその言葉にいらつきを覚えた――「そういうことで、朝のホームルームは終わりだー」 「気を付け。礼」「ありがとうございました」 一日は、ほんとうにいつもの繰り返しに過ぎなかった。もし昨日と今日と明日の順番を何者かが入れ替えたとしても、何の問題もなかった。なぜならば、僕はどの日でも彼を見ることができるはずだったのだから。 放課後、僕は美術室へと向かっていた。長い授業から解放された僕は自由の身だった。すでに消耗した自分をひきずりながら、階段をのぼり、廊下を歩き、美術室を目指した。 一応、僕は美術部の部長だった。とはいっても、どうして自分が高校一年生で部長になってしまったのか、ほんとうにわからなかった。高二の先輩がいなかったから、といっても、僕が部長である必要はなかったのだ。しかし、誰が何を言おうと僕が部長であることには変わりなかった。 美術室に入ったところで、「こんにちはー」後輩のあいさつ。僕はうなずいて返事を。 各自、絵の具や墨がこびりついてしまった机に向かっていた。美術部には特に決まった活動はなかった。 僕は自分の作成途中の作品を棚から出して、折りたたみ式の鏡も見つけた。美術の時間では、自画像が課題になっていた。美術部長として、僕は自分が先生から高い評価をもらわねばと自負していた。妙な、人工的な感情をもって、作品に取り掛かることに僕はうしろめたさを感じることが多々あった。しかし、作品自体が今週の土曜日までに提出であったから、文句も言っていられないのだ。 今日は月曜日で、土曜日提出なので、六日間の猶予はあったけれども、ここは気を緩めずにとりかかろうと思った。 とにかく、僕は鉛筆をもって、鏡と作品を交互に睨んだ。鏡に映る自分の顔はやはり好きではなかった。男性は女性よりもナルシシズムは強いらしいが、どうやら僕は弱い。鏡を見るのをできるだけ最小限におさえて、記憶から自画像を描くようにした。 自画像が完成してからも、自分との契約を実現させるために僕は毎日のように美術室にこもっていた。 今月二月末は高校生の美術コンクールの応募締切だった。僕は応募するための作品を作っていた。一応、部全体にもコンクールに応募するように呼びかけた。どれくらいの部員が反応してくれるかはわからなかったが、同学年の坂上ヒロトは応募する意思を伝えてくれた。 「面白そうじゃん」と猫背ぎみのヒロトは言っていた、「それで入賞でもできればもっと部の予算ももらえるだろうし」 ヒロトとは部活帰りによく話す仲だった。ヒロトは僕のことを信頼してくれていたと思うし、僕もヒロトのことを信頼していた。僕はヒロトならば自分のすべてを打ち明けても大丈夫な気がしていた。そういった信頼からか、ヒロトは僕の考えに賛同してくれることが多く、今回のコンクールの参加もきっと同じことだと思う。 もしコンクールで最優秀賞・優秀賞をとれば……。 僕は表彰状を受け取るために、再び舞台の上に立っていた。高校一年生の終業式、講堂の舞台で校長先生から表彰状を渡される。僕はその表彰状を、礼をして受け取って。座席の生徒から拍手をもらって―― 「宮野先輩の、すごく上手だねー!」 美術室の前の廊下から、ナノハの後輩らしき声が聞こえた。僕は耳をそばだてることは忘れなかった。 「宮野先輩だってすぐわかるね!」たぶん、別の後輩の声だ。「やっぱり、フルートが上手なだけあって、芸術センスあるんだねえ」 「この人も上手じゃない?」僕は僕が会話に集中しはじめたのがわかった。 「松野スグル……。宮野先輩と同じくらい上手だねー」 会話は途切れた。宮野先輩と同じくらい。その言葉がいやしくも僕の耳の中でこだました。宮野先輩と同じくらい。 僕は机の上の自分の絵を見た。アクリル絵の具で完成させる予定の、未完の絵を。 ** ** 「私は傍観者でした」 刑事は、自分も傍観者なのだろうなと思いながら少女の話の続きに耳を傾けた。刑事の目線は少女の首あたりにあった。 「あの日が……兄を変えた気がします。私も、母親も変わったと思います。でも、兄が一番変わったと思います」 少女は姿勢を直して、両手を膝の上に乗せていた。少女の目は、まるでダイニングテーブルに過去の残像が映っていて、それをつぶさに観察するようにして。 「兄は美術部の部長でした。ときおり開催されるコンクールのようなものにも応募していたらしいです。兄の作品を見たことがあまりないのですが、最後に見たのはあの日です。 「作品の名前は、『羽ばたかせてほしい』でした。はっきり言うと、兄の絵を描く技術は未熟だったと思います。それでも、どうしたことか、『羽ばたかせてほしい』には心惹かれるものがありました。理屈では言い当てられない何かを絵から感じました。 「青空を、二人の男子が抱き合いながら飛んでいるんです。それでも、二人の男子の片方は泣いているんです。もう片方は泣いている男子の顔を全く見ないで、空のかなたを望んでいました。何かを待っているような目をしていました。 「とにかく、兄の書いた、その作品の紹介文が問題になりました」 刑事はメモをとっていた。顔を一度も上げず、何度か話の途中でうなずく程度の反応だった。 「その絵を、高校絵画コンクールか何かに応募しようとしていたらしいのです。しかし、その絵の内容と紹介文とが問題になったか何か……」 ** ** 宮野ナノハは、男勝りな性格の持ち主だった。もちろん、彼女は女子としてかわいい部類だったし、努力家にちがいなかった。朝のホームルーム前には何人かの男子と楽しそうに話している。何かいたずらっぽく茶化されると、男子のすねを蹴って反撃に出る。 「みんな、あのー、早く手紙を書いてください」 リーダーシップのある彼女は、このクラスの記念としてタイムカプセルを作ろうと提案した。今は二月で、もうこのクラスも二か月ないのだ。タイムカプセルには、十年後の自分と(もし書きたければ)十年後のクラスメイト宛ての手紙を入れる。 僕はもうすでに十年後の自分に宛てた手紙を書き終わっていた。しかし、あまり筆の早くないクラスメイトはまだ手紙を書けていなかった。宮野ナノハは、困った局面で女子らしさを発揮するところがあった。 「あのぉ……、すごく困ってるので、早く、書いてね」両手を合わせて、かわいらしいようにその合わせた手を頬に付けながら言った。男子のすねを遠慮なく蹴る割には、女子の面も活かすとは世渡り上手この上ない。 僕は、手紙がなかなか提出されない状況をひそかに喜んでいたことに気づいた。 《松野スグルから松野スグルへの手紙》 拝啓 いかがお過ごしでしょうか。僕は今、いろいろなこと、あなたなら察しのつくようなことについて、思い悩んでいます。 十年も経ってしまえば、きっとどうでもいいことで思い悩んでいたなと笑っているでしょう。けれども、忘れないでほしいのです。あなたは、十年前、相当に思い悩んでいたことを。 あなたは今、どうしていますか。現実に打ちのめされていますか、好きなことをやれていますか、人生を楽しんでいますか。あなたにとって、生きやすい社会ですか。それとも、やはり生きづらい社会のままでしょうか。 僕は不安です。けれども、あなたがこれを読んでいるということは、きっとその不安を乗り越えたということだと思います。紙面上でまるでタイムスリップでもしているようですね。きっと、生物学の分野ではiPS細胞やSTAP細胞などの研究が進んで、素晴らしい技術が作られていることだろうと思いますが、量子力学などは発展していなければいいなと思います。たぶん、量子力学が発展してしまえば、タイムマシンも作れるようになってしまいますから。そして、紙面上でのタイムスリップだなんて、バカらしい話になってしまいますから。 そういうわけで、十年後まで、たぶん、さようなら。 敬具 荷物をまとめて、美術室を掃除し、僕は学校をあとにした。日の入りの時間は、確実に後退していた。それでも、六時半を回った時間になると、さすがに暗かった。夜空は鬱屈として、透きとおった、不思議な魔力のある群青だった。 僕はれんがの階段を下りながらダッフルコートのジッパーを上まであげた。ウォークマンを取り出して、イヤホンを耳に入れた。曲を流した。ポケットに手を入れ、首をなるべくコートの襟の中に入れて寒さから逃れた。寒気の層がコートの上に感じられた。寒さの重みを肩に感じながら、校門を出た。しばらく歩いた。 京成線の踏切の遮断機が軽やかな警告音を鳴らしながら下ろされた。幕張駅までもうすぐそこだった。踏切で悠長な京成電鉄の車両が去っていくのを待っていると、たばこの臭いがした。 見回すと、たばこを吸っている人がいた。僕の高校ではないようだったが、吸っているのは髪を茶色に染めた高校生だった。俄然、たばこは気にならなかった。僕はたばこの臭いを好きだと思ったことはない。これからもないとは思う。しかし、茶髪の高校生のたばこの臭いは例外だった。反発と憧れの匂いだった。 京成電鉄の車両が去ったところで、遮断機があがった。 踏切から五分程度歩くと幕張駅前に着いた。幕張駅の階段をのぼり、改札口を通ってホームに降りた。ホームのベンチに腰かけた。そうしたとたん、体中の力が抜けてしまいそうになった。はあ、と大きく息を吐いた。白かった。イヤホンからは、何かが聞こえた。しかし、いったい何の曲なのか、いったい誰の曲なのか、考えることができなかった。 幕張駅から、水道橋駅まで、総武線でだいたい四十分。水道橋駅で階段を下り、乗り換えをして、千石駅、僕の家の最寄駅に着いた。ホームからエスカレーターに乗って改札口に。 そこには、しきりにICカードをタッチさせては、自動改札機に止められている会社員がいた。会社員は二十から三十代くらいの、若手に見えた。 僕は彼を横目に改札を出て行った。 《松野スグルの遺書》 未成年だから、遺書を書いたところでひとつの法的効力ももっていないことはわかっています。わかったうえで、ただ純粋な気持ちの発露として読んでくだされば幸いです。 たぶん、思春期の最中にある中高生はみんな自殺願望をもったことがあるかとは思いますが、実行に移すのはまれだと思います。それは、いいことだと思います。それなのに、僕がこのたび実行に移すことにした経緯を、ここに記していく次第になります。 僕は劣等感の塊です。そして劣等感は、嫉妬です。僕は嫉妬心でいっぱいです。 いつも、僕の嫉妬の矛先には、誰かしら優れた人がいます。僕には歪んだところがあって、自分がたぶん、「優れた人」の一人に分類されると思っています。そして、僕より優れた人は、僕の中で存在が許されませんでした。何かしらの弁明をしては、自分を慰めていました。 嫉妬といっても、僕のような臆病者には、直接手を下すなどといったことはできません。代わりに、僕の関知できる範囲でのその優れた人の不幸は、僕にとっての幸福でした。人の不幸は蜜の味とはよく言ったことだと思います。 嫉妬のほかに、僕には変身願望がありました。これは、僕にはとても書きづらいことですし、読んでいるあなたにも読みたくない事柄だと思います。なので、もし読む自信がありませんでしたらこのままやめてください。そしてこの遺書は見なかったことにして、元の場所に置いておくか破棄するかして下さい。 あなたは、男の人が男の人を好きになることと、女の人が女の人を好きになることをどう思いますか? きっと、気持ち悪いというか、不自然というか、そういう感情があると思います。 僕もそう思います。だから、僕は気持ち悪いし、不自然だなと思います。僕は同性愛者なのです。ごめんなさい。 いつも、人と接していて苦痛でした。僕には妙な義務感をいつももっていました。それは、誰にでも偽りなくありたいという義務感です(願望は、義務感と表裏一体なのでした)。しかし、僕はその義務感に常に苛まれていました。 人は誰しも、何も言わなければ異性愛者扱いです。僕もそうでした。男子同士で恋愛について話したり、女子の魅力的なところについて話したりします。これは当然のことなのです。けれども、僕にとっては嘘なのです。全部、僕の口から出る言葉は、一言一句、そのテーマに対して嘘だったのです。それは、せっかく恋愛について楽しそうに、真剣そうに話している友達に対して、大きな不誠実な行為をしているように思えてなりませんでした。というよりも、実際に不誠実な行為だと思います。 しかし、その不誠実を取り除く勇気が僕にはありませんでした。僕には何のとりえもありません。僕には何の特技もありません。僕には、誠実であるという矜持を守ることで生まれる自己満足しか救済がありませんでした。 普通に生きていて、僕は自分が不誠実をはたらいているという意識をもつことは少なかったのです。けれども、日常での些細な出来事や会話で、僕は自分の不誠実を自覚していきました。 不誠実だと勝手に思い込んでいるだけで、そんな妙なプライドを捨ててしまえばよいと思われるかもしれません。しかし、それは無理な話でした。僕の不誠実から生まれた不幸が、自分にだけふりかかればよい話でした。しかし、不誠実から生まれた不幸は僕以上に他人にふりかかってしまいました。それはとりかえしのつかないことです。 自分が異性愛者であれば、こんな不誠実な生き方をしなくてもいいのに、と思っていました。 死のうと思ったきっかけがあなたにとって最も気がかりだと思います。遺書だから臆面なく書けるかと思いました。しかし、そういうものでもないようです。ですから、僕はいくつかのことだけ記しておきます。 ひとつは、恋愛です。きっと異性愛者の恋愛とは大差ありません。普通の男子でも、好きな女子とは決して結ばれず、かなわない恋愛はあるでしょう。その点はフェアです。僕も、クラスのある男子が好きでした。しかし、もちろんそんな結果の分かり切った片思いは、一人将棋のようなものです。僕には、母親がこう生んでしまったからいけないんだという感情はありません。僕はこう生まれるべくして生まれたわけですから。それでも、異性愛者として生まれたかった。 結果の分かり切った恋愛では、むしろ苦しかったのは、いつもいつもいつもいつも、自分の中で勝手な期待を膨らませていたことです。好きな人と目が合う時間が何度かありました。それは僕にとっては特別な意味の時間でした。もしかすれば、彼も同性愛者なんじゃないか……。そんな妙な期待をしました。僕の中でその期待が何度醸成されて、何度裏切られたか(彼は何も悪くなく、僕が悪いですが、「裏切る」以外の適切な言葉が見つかりません、すいません)。期待がふくらんでは潰されることは、思いのほか苦痛でした。結果がわかっているのに、それを忘れてみせて、期待を膨らましたりしているのは愚行の極みでしょう。最初は、達観したふうに、彼と一緒のクラスにいるだけで幸せじゃないかと楽観していました。けれども、だんだんと僕は悲観に傾いてしまいました。 もうひとつの原因は、おかしな話ですが、また恋愛です。僕は馬鹿でした。それはもうこの冗長な遺書を読んでいるあなたには容易に想像できることだろうと思います。僕は嫉妬深いと言いました。と同時に、僕は変身願望も強いと言いました。僕は、不誠実な生き方をしたくないなどと言っているそばから、不誠実な生き方をしていました。しかも、今度は相手にも不幸をもたらす不誠実でした。 僕は、今現在も、あるクラスの女子と交際関係にあります。ほんとうに、僕は何がしたいのか、おわかりにならないと思います。 …… 僕は、ただ女性関係が少ないだけで、彼女と付き合えば一種の転機として、僕は異性愛者ないし両性愛者になれるだろうと期待していました。また勝手に期待してしまっていたわけです。彼女は、たぶん、僕のことを好きです。最悪です。高校生の恋愛なんて、たかが表面上のものだろうと僕は思っていました。しかし、彼女は……どうなのかわかりません。真剣じゃない恋愛だから、彼女をどう扱おうと関係ない、という結論にも至れるわけがありません。すでに僕は不誠実をはたらいているわけです。今までの不誠実と比べて、はるかに罪深いものだと思います。 なんだか、書けば書くほど、遺書に書かねばならないことがたくさん出てきてしまいました。 死にたい理由……、美術部の部長としての力量のなさもあります。劣等感もあります。 最も大きい理由を最後に書いてしまって、さっさとこの、あなたにとってどうでもよかろう遺書を終わらせようと思います。もう少しだけのご辛抱ですが、もう疲れてしまいましたならば読むのをやめていただいて全く結構です。 …… 僕には親友がいません。 もしかすれば、僕のことを親友と思ってくれている人はいるかもしれません。しかし、少なくとも、僕から親友だと思う人は誰ひとりとしていません。 親友がいなければならないというわけではないと思います。そうではなくて、わかりあえる人が欲しいのです。 どうしてかはわかりませんが、僕はひたすらに人に対して疑り深い性質をもっています。いつも人の行為には、自己満足や企図が潜んでいると断じて生きています。意識しなければよい話なのですが、いざとなってみると、僕は寂しさを感じます。孤独、なのでしょうか。僕は信頼できる人がいません。まるで、夏目漱石の「こころ」の先生です。ほんとうに、ほんとうに、ほんとうに、ほんとうに信頼できる人がいないし、僕のことを信頼してくれる人もいないし、僕のことをほんとうに理解してくれる人もいないし、僕がほんとうに理解できる人はいない気がします。 この疑り深い性格は、きっと僕のどんな恋愛でも適用されます。悲しいです。僕は、ひとつの疑いもなく、全幅の信頼を寄せられる人に将来出会える自信がありません。全く自信がありません。虚しくなります。ものすごく、虚しいです。 僕は、永遠とひとりのままで生きて、死ぬのかなと思うと、今死んでも変わらないのではないかと思います。 遺書は、やっぱり、明るいものにはできませんね。すみませんでした。これは僕の最後の自己満足であり、僕の懺悔と受け取って頂ければ幸いです。 二月二十一日 松野スグル バレンタインデーが明日に迫っていた。 僕は、念のためにコンビニでそれなりに立派な包装のチョコレートを買ってあった。当然だけれど、彼に直接渡すという勇敢なことを僕ができるわけがなかった。だから、僕は最終下校時刻ギリギリに彼の机の中にチョコレートを忍ばせておこうと企てていた。 最終下校時刻まで、学校の図書館で勉強をしていた。数学の問題集をやっていた。途中からは、時計をちらちらと気にしているだけだった。時々刻々と時計の針が十八時半に迫るのを見守っていた。 周りの僕と同様に図書館で勉強していた人たちは、すでにノートや筆箱などの荷物をまとめはじめていた。そろそろ潮時かと僕も席を立った。図書館を出て、僕は教室に向かった。教室がある四階を目指して、階段をのぼる。 階段の一段一段をしっかりと足で踏みしめた――一段目、二段目というふうに。各段を必要以上に意識していた。まるで、階段をのぼるのがはじめてのような錯覚に陥ってしまった。僕は、下を向いたまま、自分の足を見つめ続けた。スタ、スタ、と、足音が響く。 四階に一生着かなければいい、そう思い始めた。永遠に階段をのぼり続けることになってしまえばいいと思った。上履きの底がすり切れて、そのまま僕の足もすり切れて、自分が消えてしまえばいい。 けれども階段は永遠ではなかった。僕は四階に到達していた。 教室には明かりがついていなかった。僕は急いでバックパックからチョコレートを取り出した。チョコレートらしい茶色に包まれた長方形くらいの箱だった。リボンもついていた。きっと、ひと目でバレンタインチョコだとわかる。 僕は毎朝のように、自分の机に向かう足取りで、彼の机の中に箱をほうった。ため息をついた。そして箱を再び机の中から取り出した。僕はその箱を見つめた。彼の顔が浮かんだ。僕は、鼻から深呼吸をして、箱をやさしく机の中の教科書の上に、ついに、おいた。 それから学校をあとにした。 翌日、バレンタインデー。クラスの女子は、自分の作ったチョコレートを交換し合っていた。おこぼれとしてクラスの男子も、チョコレートをもらえた。 しかし、僕の関心はほかのところにあった。右隣に座る彼にあった。彼は果たして僕のチョコレートに気づいてくれただろうか。心なしか、彼はいつもよりも少し笑顔が多い。僕にはそれが嬉しかった。たとえ僕の勘ちがいであったとしても、嬉しかった。 「スグルはチョコレート、もらえた?」帰りにそう聞いてきたのは、ナノハだった。 「本命ってことだよね? まさか。もらえたわけないでしょ」ナノハの言葉には特に嫌味は込められていなかった。純粋に知りたかったらしい。 「そっかあ」ナノハはショートヘアーの頭をかしげて、ぼりぼりと、やってしまった、というように掻いた。「あのさ、このあと、用事はあったりする?」 「用事?」 僕には意図がわかっていた。 「うん、」上目使いで僕に続ける、「用事がなかったらさ、私が掃除終わるまでちょっと待っていてくれない?」 僕には意図がわかっていた。 「いいよ」僕には意図が分かっていた。「じゃあ美術室にいるね」 「わかった」 そうして僕は教室をあとにした。 美術室に着くと、絵の具の匂いの漂う中で、何人かの美術部員が黙々と作業していた。西の窓からは夕日の空が見えた。はさみの紙を断っているのが聞こえた。 僕は棚から自分の作品を取り出した。美術コンクールに応募する作品も、完成が間近になっていた。この作品には、誇りを持っていた。はじめてだった。 雲の散らばった大空の中に、抱き合っている二人の男の子たち。彼らの背中からは、翼が生えていた。太陽の金色のような、優しい金色をしている翼だった。男の子たちは、だいたい僕と同い年くらいだ。一人はしがみつくようにもう一人に抱きついていた。抱きついているほうは、少し泣いていた。抱きつかれているほうは、どこか遠くを見ていた。 コンクールに応募するのにあとは、作者からのコメント・解説が必要だった。ナノハが来るまでに、書いてしまおうと思った。 《高校美術コンクール 作品カード》 作品名:羽ばたかせてほしい 〈作者の解説・コメント〉 どうしても、男子が抱き合っているのはおかしいと思う人もあるかもしれません。しかしながら、僕はそれに疑問を呈したいのです。僕らのような若者には、誰しも羽ばたいて旅立つ権利があると思うのです。 そして、知ってほしいのです。若者にはたくさんの人々がいます。それぞれ、個性があるのです。たとえば、僕は、この絵の男の子たちのように、男子が好きです。 でも、何もおかしくないはずなのです。悪ふざけでも、前衛気取りでもありません。純粋な気持ちです。純粋な願いのもとで描きました。よろしくお願いします。 一年C組 二十一番 宮野スグル ** ** 「私はもしかすると、いや、もしかするのではなくて、確実に、自分よりも優れていないものを愛してしまうところがあったかもしれません」宮野ナノハはショートヘアーを指の間でとかしながら言った。ダイニングテーブルを挟むように座る刑事は何度かうなずいていた。 刑事は、宮野ナノハの目を見られなかった。彼は自分にない眼光を宮野ナノハに見出していた。そして、それに劣等感のようなものを覚えていた。だから、刑事は宮野ナノハの口を見ていた。大の大人が何をしているのだろうか、と年甲斐なかった。 「彼を――」と、宮野ナノハは語気を強める、「私は、好きだったはずなんです、彼を。ですが、聞かれて改めて振り返ると、なぜか自信がなくなってくるのです」 松野スグルの妹との話が、刑事の頭をよぎった。松野スグルを変えたのは、この目の前の宮野ナノハと付き合いはじめてからだろうか。 「あ……、すいません、勝手に話をそらしてしまって……。ご質問は何でしたっけ?」 「いや、別にいいですよ。構いません、自由に話してもらっても」 「そうですか」 「ところで、どういうことなのでしょうか、自分よりも優れていないものを愛してしまう、というのは」刑事は記憶から言葉をピンセットで拾うような調子でたずねた。 「これを人に言ったことはないのですが……。つまり、私が優越感を感じていられる人を好きになっちゃう、ということです」 刑事はその返事を咀嚼した。 「つまり、君が付き合っていた相手、松野スグル君が……」 「私よりも弱い存在だから、惹かれたのかもしれない、ということです」「はあ、なるほど」 高校生時代に、この宮野ナノハのように複雑なことを考えていただろうか。刑事は少しぼうっと考え込んだ。 ** ** 「スグル君ってさ、好きな人はいるの?」 僕は彼女の意図をわかっていたつもりでいた。 「わからない」嘘をついた。 僕は彼女の意図をわかっていた。しかし、それは当然のことだったのかもしれない。普通の男子にとっては。 「わからないかあ。でも気になっている人くらいはいるんじゃないの?」となりを歩くナノハは、僕の肩を見上げる。 「うーん。いるのかなあ」嘘をついた。 「じゃあさ、これ」そう言って、ナノハは制服のポケット(だと思う)から、ピンク色のビニール製の小さな袋を取り出した。 「はい」 ナノハは僕にその袋を握らせた。ナノハの手が僕の右手を包むようにして、袋を握らせた。入っているものとしては、少し小さなチョコレートだろうか。 「あ、ありがとう」 僕は、何を言えばいいのか、どう反応すればいいのか、まったく見当もつかなかった。これは嘘ではなかった。 「それで……さ」 僕は沈黙した。 「スグル君……」 僕は逡巡した。 何を言えばいいのだ? これは僕だからわからないのか? 「いきなりで、ごめん。ええっと……それじゃあ、また、明日ね!」 早口気味のナノハは、そのままスタスタと先を行ってしまった。僕と「また明日」という言葉は、ナノハに置いてきぼりにされた。 ナノハがいなくなってしまうと、僕はウォークマンを取り出した。何を聞こうかと迷った末に、サカナクションのAoiを選択した。 翌日の火曜日も学校。 《彼》とは、こころなしかいつもより目が合ったり、話したりすることができた。それは少しだけとはいえ、感情の混濁を清めてくれるような気がした。しかし、そんな気分の紛らわせは本質的な事態を何も変えてくれない。 僕は昨日、ナノハからバレンタインチョコレートらしきものを渡された。それだからには、何かしらの返答をしなければならなかった。何かしらの返答をしなければ、という意識はあったのだが、昨日の今日でナノハは僕のことを避けていたし、僕は僕で懸案を抱えていたのだった。 「親と ……相談、ですか」 「そうだなあ。さすがにこれはまずいと思うんだ、先生は」 僕と担任はかびくさい暖房の面談室で、長テーブルをはさんで対面していた。 「これは、ホントのことなんだよな」と担任は、机の上の作品カードをバツが悪そうに指す。 「はい」はっきり返事をする。 「あのな、このコンクールに応募したからって入賞するかはわからないが、もし入賞すればこの作品カードも公に出るんだ。それはわかるよな?」 「はい」 「それなら、親と相談した方がいいんじゃないか? それとも作品カードを書きなおすか?」 先生と話しながら、ひとつの場面が脳裏にこびりついているのを僕は発見した。 確か、あの日は、五か月前のこと。9月くらいのこと。 ダイニングテーブルで僕はヨーグルトを食べていた。そして、母親はソファでテレビを見ていた。 「お母さん?」 「何?」 どうして、あの日に母親にカミングアウトしようと思ったのか覚えていない。ただあの日の印象、感情の流れ、そういうことしか覚えていない。 「あのさ、大事な話があるんだけれど」 「何? そんな真剣な顔して。何?」 「うーん ……」ほんとうに、わかっていないのか。 「もしかして、妊娠させちゃった?」 「は?」何をとぼけているのか、この母親は。そう思った。 「じゃあ何? 何かいじめ?」 「違う。違う違う」僕が自分の口で言わねばならないのか。改めて自分と母親が疎ましく感じられた。 「じゃあ、何よ」 「あのね」 「うん」 もうなるように、なってしまえばいい。 「僕さ、ずっと言いたかったんだけれど」、と一呼吸をおき、「僕 ……同性愛者なんだ。ゲイなんだ」 「ふうん」 そうあっさり言われた。 「あ、そう」と母は言われたことを咀嚼するように言った。 僕は、ものすごい拍子抜けをした。なんだ、カミングアウトは簡単なことじゃないか、と。 「スグルは、スグルでしょ」そう母は言った。 その言葉を思い出した。 僕は作品カードを書きなおすつもりがないこと、応募をしたいこと、たとえ作品カードの内容が公の場で公表されたところで、僕には問題がないことを話した。 そうか、そう諦めたように言って、担任は話を切り上げた。僕は一階の面談室からじぶんの居場所である美術室へ向かった。 一階の面談室から五階の美術室まではかなりの距離で、無駄な時間をとられたな、と思った。 とはいえ、無駄な時間をとられたと言っても僕は美術室には用がなかった。ほんとうに。コンクールに応募するための作品は描き終えたし、今の美術の授業で提出課題は出されていなかった。傀儡師が僕を美術室へ誘導していても、なんら不思議はなかった。僕は美術室の扉を開けて入った。 見回すと、部員数名のなかにヒロトがいた。 「よお、松野」、こちらに気づいたヒロトは僕に手招きした。彼の手は、墨で汚れていた。 「それがコンクールの作品?」机の上に置いてある、墨の塗られた木版を指す。 「まあね」 木版には、天使のような姿の二人の人物が彫ってあった。勢いのある彫刻刀運びで浮き彫りになった翼。繊細に彫られた口や鼻や目などの顔のパーツ。僕の『羽ばたかせてほしい』と似ているかもしれないとは思ったが、片方の天使は女性だった。木版画なのに、女性の天使の艶かしい体の線はわかった。そして、もう片方の若い男の天使は空から落ちるような恰好だった。 「松野、イカロスの話は知ってる?」 「イカロス?」 イカロスという名前を聞いて、僕は漠然と思い出した。たしか、イカロスの絵は国語の教科書にも掲載されていた。塔から脱出しようと、イカロスとその父が蝋で作った羽で空を飛ぶ。高く飛び過ぎると太陽によって羽が溶けてしまう、という父親の忠告があった。しかし、それを忘れて、イカロスが意気揚々と飛んでいたところ、案の定、羽が溶けてしまってイカロスはそのまま海の藻屑となった、という話だ。 「俺、あの話好きでさ」ヒロトは木版を持って、製版機に向かった。僕はついていった。「でも、男二人だと面白くないじゃん? だから悲劇のカップルみたいな感じにした」 「ふうん」と少々ぶっきらぼうに返した。僕はヒロトの言葉に戸惑っていたのだった。 「あー、松野の作品は男二人だったわ、ごめん」 この会話になって、僕は自分の中である欲望が芽生えているのに気づいた。それは、ヒロトにカミングアウトしたいというものだった。なぜか、今が好機のように感じられたのだ。今ならば、ヒロトにカミングアウトしても、うまくいきそうだ、と。今ならば、自分が何者であるのかを知ってもらえるのではないか、と。 しかし、僕は一旦、押しとどまることにした。 ヒロトはそのまま木版を製版機に通した。色付けは明日やるよ、そうヒロトは言っていた。 ヒロトは京成線、僕は総武線で通学していた。ただ、京成幕張駅の前を一旦通って総武線の幕張駅に行けたから、たいていの場合はそこで別れた。いつものように、それじゃあ、と手を振ろうとしたところで、僕は疑問がふと浮かんだ。 「美術の意味は何なんだろう」と僕は聞いた。「どうして僕たちは絵を描いたりしているんだろう」 僕はすでにその問いに対する自分の回答を知っていた。それは不純なものなのだった。 「意味なんてないんじゃないの」とヒロトは言った。「結局、自分が描きたいから描いているだけで。少なくとも、俺はそうだけど」 僕は心の中でヒロトのことを称賛した。彼の一種の無気力さは、同時に無欲さも彼に与えてくれていた。そして、称賛と同時に僕は後ろめたさを感じた。 「そうしたら、どうして高校美術コンクールに応募しようと思ったの?」 「松野に言われたから、かな。いや、厳密に言えば、松野に言われなければそんなコンクールの存在も知らなかったし、応募しようとも思わなかった」 「そっか……」 ヒロトの目に、僕はどう映っているだろう。名誉がほしい愚人、哀れな劣等感の奴隷? 僕の視線は自然と地面に向けられてしまう。 「だから、俺は松野に感謝している。コンクールの話とかを出して、美術部を盛り上げようとするのはすごくいいと、俺は思う」 僕は思わぬ言葉に、最初は何の感情も浮かばなかった。ふうん、と流す程度に。 「僕は何もしていないよ」 そうやって、僕は謙虚さを装う。実際は、人に感謝されることほど嬉しいことはないのに。本当は、自分の功績をたたえられたいと思っているのに。 「そもそも、意味のないものの方が、この世は多い。少なくとも、俺はそう思う」ヒロトはきっぱりと言った。 「たとえば?」 「たとえば、ホモの人とか」 そう言った瞬間、遠くで総武線快速の電車が走り過ぎていった。その電車はうるさかった。僕とヒロトの会話は途切れた。そのおかげで、僕は思考する時間を与えられた。 「どうして、ホモの人は意味がない?」僕は少し気になっっていたのだった。いや、かなり気になっていた。ヒロトは、僕のような同性愛者について、どう思っているのかということに。 「だってさ、考えてみ? 人間、いや、生物全般は、子孫を残すことをプログラムされている。そのおかげで、何百万年も人間は生きてきた。つまり、人間は子孫を残すことに意味があるんだよ。それなのに、ホモって子どもを産めないじゃん? ほんとうに、不思議だよな」 僕は、少し考えてみた。もしここで、僕がカミングアウトしたとしたら? ヒロトはどういう反応を見せるだろう。これまで、僕とヒロトは色々なことについて話してきた。信頼関係は築かれていると思った。ヒロトなら、僕のことを受け入れてくれるのではないか、と。話題も、ちょうど切り出しやすい。今こそ、ヒロトときちんと、友人として向き合えるかもしれない。 しかし、僕の中の一部分は、即座に却下した。 「そうだね、不思議だね」僕は同意した。その同意は空っぽだった。ある日に扉すべてが開放されて、囚人が嬉々として逃げ出してしまった収容所よりも、よほど空っぽだった。 突然、ダッフルコートの上から寒さがのしかかってきた気がした。 「寒くない?」僕は聞いた。 「そう?」ヒロトは首をかしげた。 「僕、帰るね」 「了解、それじゃ」 僕は足早にそこを去った。急いでウォークマンを取り出して、再生ボタンを押した。世界の終りの、生物学的幻想曲が流れた。 幕張駅のホームに着いて、僕はベンチにどんと座った。深くため息をついた。 いつになったら、本当の僕をわかってもらえるだろう。 頭をかかえた。 駅のホームを冬の風が突き抜けていった。 電車がまもなく到着することを知らせる放送が流れた。 電車の席は、端がすべて埋まってしまっていた。端の席はいつでも居心地がよかった。首をもたげる仕切り板もついているので、寝るにも快適だった。 あいにくだったが、僕は真ん中の席に腰をかけた。 正面の車窓に映じた自分の姿があった。 車窓の僕は、ずいぶんと思い詰めた顔をしていた。 「水道橋、水道橋。お出口は、左側です」 僕は降りた。 そこから都営三田線に乗り換えて、家に着いた。 ** ** 「兄とは、あまり話さなくなりました」 刑事は、少し疲れたふうに目を少女に向けた。もちろん、目は合わせないように。 「母親からは話を聞きました、兄が、男子が好きな男子だと。そして、たぶん、偶然ではなく、その日以降、兄は家でもイヤホンをつけるようになりました。何を聞いていたのかわかりません。とりあえず、いつもイヤホンをつけて部屋にこもっていました。だから、話す機会も少なくなってしまって ……」 夕飯には会うのではないのか、と刑事は思ったが疑問は慎んでおくことにした。現実で人と会っていても、心の中で会っていなければ、なにもかもが違うのを、刑事は一番わかっていたつもりだった。 「母親とお兄さんは一言も口をきかなくなったのですか?」 「いや、そういうわけではありませんでした。ごはんのおかわりがほしいとか、どいてとか、そういう会話はありました。ただ、最低限の会話でしかなくて、家での兄の口数はガクンと減りました」 はあ、と刑事は合点の言ったように息を吐いた。 「刑事さんは、兄弟はいますか?」唐突な質問。 「えっ」、刑事は自分が質問される側になるとは思いもしなかった、「います。いや、いました」 「いました ……?」 「もう亡くなっています」 「あ ――そうなんですか」松野スグルの妹は、後ろめたそうにダイニングテーブルを眺めた。 「別に気にしなくても大丈夫ですよ」 「いや、すいません」そう言って少女は刑事の目を見た。幾世紀かぶりに見た気がした。そして、驚いた。少女は、刑事が少し微笑んていることに気づいた。刑事の微笑み方は、密かな殺人者のようなものではなく、すべての悪事、後ろ暗いことをも受け入れてくれる慈父のようだった。 こういう表情も作れるんだ、少女はそう思った。 ** ** ヒロトにカミングアウトすべきだったのかどうか、僕は自分の部屋でぼんやりと考えていた。回転式のいすの背もたれに体重を預けたりして、いすを前後に揺らしていた。帰宅してからもイヤホンは付けっぱなしだった。 もうごはんだよ、妹の声が聞こえた気がした。 僕は特に答えずに、イヤホンを外して食卓に向かった。 「先生から、電話をいただいたんだけど」 夕食後のことだった。僕は夕食から席に座ったままで、母親はダイニングテーブルをはさんで僕の正面に立っていた。妹は自分の部屋で勉強しているらしく、居間にはいなかった。妹も僕が同性愛者であることは知っていたが、だいたいの場合、母親は彼女がいない時を選んでこの手の話題を出してきた。 「ふーん」 「美術コンクールに作品を出すそうね」 「うん」 「もう少し考えないの?」 「何を?」 「作品カードの内容」 「そこまで大げさになることでもないと思うけど」僕は目をそらした。 「でも、もし入賞したりすれば公になるのよ」どうしてくれるの、とでも言うような口調だった。 「それが問題なの?」僕は母親の口から、僕を傷つけうる言葉を引き出そうとした。もう、いっそのこと、すべてから突き放されてしまいたかった。 「まだ早い気がするの。スグルは別に、自分がゲイだって知られてもいいのかもしれないけど、それで迷惑がかかるって考えないの? クラスの男の子も、着替える時に気にするかもしれないし、それで先生も気を遣わなくちゃいけないでしょ?」 僕の存在が、迷惑。 「それに、誰もいないでしょ? 私は女の人が好きです、とか、男の人が好きです、とか、わざわざ表明する人は。だから、スグルもする必要性はないの」 僕は何も指摘するつもりはなかった。 僕の中で再び蘇ってきた記憶は、五月前の九月、母親にカミングアウトした時。 「スグルは、スグルでしょ」 あっけらかんとした母親の答え。 あの時、僕は安心感、安堵感、解放感を感じていた、と思う。 しかし、あのあっけない応答は単純に無知に由来するのだと僕は確信した。何もわかっていなかったのだ、母親は。なにひとつ。 僕は、落胆した。 「そうだね」 僕は、反論するのも億劫だった。そのまま、美術コンクールには作品を応募しないことにした。 ** ** 刑事は宮野ナノハを前にしていた。それを彼もわかってはいた。しかし、「私よりも弱い存在だから、惹かれたのかもしれない」という彼女の言葉がどうしてもひっかかった。だから、考え込んだ。 自分は、今まで強い存在であったことはあったろうか? 大学受験で失敗して、中堅以下の大学に落ちこぼれた。そこでもろくに勉強にもはげまずに、結局、それなりの頑張りでもって刑事になった。今まで生きてきたなにもかもが成り行きや運命という主体性のない言葉に還元できる気がした。すいません、手違いがありまして、そのあなたの人生は実はあなたのものではなくて他人の人生でした、と言われて今までの私の生きた道を交換されてしまっても、何も問題はないとさえ思えた。まったく強い存在ではないな、と思った。 「刑事さん? どうかしました?」 宮野ナノハは刑事の目をじっと覗きこんで訊ねた。 宮野ナノハは話すのが心苦しくなっていたが、言葉にすることで初めて自分も救われるような気がした。だから、目の前の鬱屈した雰囲気の刑事に話すことにした。 「刑事さん、突然すみません、高校生の時はつきあっていましたか?」 最近の高校生は大人のプライバシーを探るのが好きになったのかと一瞬、刑事は思った。それでも、ほんとうのことは答えた。 「好きな人はいたと思いますけれど」 「その好きは、ほんものでしたか?」 「ほんものだった、とは思いますよ」 宮野ナノハはため息をついた。 「私は、ほんものではありませんでした。スグル君が弱い存在だから、というのもありました。あとは、『経験』を積みたかったんです」 「経験?」 「高校生のうちに、『付き合う』という経験を一度作っておきたかったんです」 刑事にも、自分が高校生のときにそんな感情をもったことがあったろうかと振り返った。しかし、何年も前のことだった。記憶の土は掘るのには固すぎて、すぐにあきらめた。 「それほど焦ることはないとは思いますよ」 「それはわかっているんです、いや、わかりました。焦りとか、変な自己肯定のための恋愛なんて、ほんものじゃないとわかりました」 《松野スグルから《彼》への手紙》 拝啓 どうして、僕から手紙があるのか、不思議かもしれません。いや、もう十年も経っていては、僕のことすら覚えていないかもしれません。それはそれで構いません。また、もしこの時点でどうでもよかったら、この手紙はそのまま捨ててしまってください。どうせ、くだらないことしか書かれていませんから。 僕らが高校一年生だった頃から十年、タイムカプセルを開けた今、日本はどのような社会ですか。どんな人も住みやすい社会なのでしょうか。同性愛者は、社会ではどんな存在でしょうか。 突然ですが、僕は、同性愛者です。つまり、ホモです。 そして、僕はあなたのことが好きでした。 タイムカプセルを開けたとき、僕はいましたか? もしいたら、そっと無視してしまってください。もしいなければ……そういうものだと思ってください。 すいません。僕はただ、あなたに僕の気持ちを知ってほしかっただけです。それ以上もそれ以下も求めません。ここまで読んでくださって、ありがとうございました。 敬具 朝の電車の中で、僕は仲睦まじい男女のカップルを見つめていた。朝の早い電車にしては珍しい光景だった。あまり気づかれないように、サラリーマンたちの陰からそのカップルを覗いていた。 男の方は、鼻が高く二重瞼で、明らかに顔の整っている部類だった。《彼》も成人したらこんなかっこよい人になるのだろうか、と少し想像を膨らました。 おそらく、二人はディズニーランドにでも遊びに行くのだろう。そう思わせるおしゃれな服装をしていた。彼らが西船橋駅で降りるまで、僕はそのカップルを観察していた。不思議なことに、二人は言葉を交わすことはほとんどなかった。その無口さは険悪さを生むようなものではなく、むしろ二人の愛の深さを象徴するようなものだった。また、席のちょうど真ん中で、二人は手を繋いでいた。男の方は右手を、女の方は左手を。 僕は電車に揺られながら、その二人から幸福感を得ていた。また、幸福の予感のようなものも、胸の中にあった。 案の定、西船橋駅で降りるときも、二人は手を繋いだままだった。沈黙から生まれる愛が、なんとも崇高で、清涼で、純粋かを知った。 「まもなく、幕張駅です。左側の扉が開きます」 僕は電車を降りた。 僕はいつも通り席に着いた。もちろん、右の席にはまだ《彼》がいなかった。今日もやはり、始業時刻ギリギリにやってくるのだ。そんなところが彼らしくて、僕は思わず微笑みたくなるのだった。 しかし、そんな感情も今日でさようなら。 僕は決めたのだった。昨日は何も言えなかった。しかし、このまま何も言わないのはいけない。だから、僕は自分の好意を表明することにしていた。ナノハに。 始業時刻。 「日直ー、日誌を忘れてんぞー」 「あ、すいません」 「明日も日直よろしく。というわけで、号令!」「起立」 そこで、教室の引き戸が開かれて、 「あー、すいません」 《彼》がやってきた。でも、もう世界の明度は上がらない。それは、過去の話なのだ。もう。 「おはよう」 ラケットバッグを床に置きつつ、僕に挨拶してくれた。 「おはよう」僕は思わず答えてしまった。彼と目が合った。目が合った時に、僕は勝手に救われた気分になってしまった。きっと、僕の目は輝いていた。 「気を付け。礼」「おはようございます」 僕はナノハがこちらに向いていることに気付いた。 「気を付け。礼」「さようなら」 放課後。 なんだか、全てのものの現実感ともいうべき感触が、僕の五感から遊離していた。 僕はナノハの机に行った。 帰ろう、僕はそう言った。 うん、いいよと言う彼女。 付き合うということは、はっきりとした言葉で始まるとは限らない。僕はそれを知った。 おそらく、バレンタイン・チョコを渡した後に一緒に帰ろうと誘ってきたら、それは当然、付き合うことに承諾することだと解釈されるだろう。事実、ナノハはそのつもりだった。 僕はダッフルコートを着て、昇降口を降りた。いつもと違うのは、イヤホンをつけていないことと、隣にはナノハがいるということ。 「今日はどうだった?」ナノハは右手でカバンを嬉しそうに振りながら、僕に聞いてきた。 近づいてくる校門を見ながら、僕は答えをぼんやりと探した。 「普通かな」僕はナノハを一瞥して言った。なんだかあまりにそっけない答えだったかな、と僕は気になったが、ナノハは嬉しそうに、 「そっか、普通が一番だよね!」と返してきた。 翌日水曜日、僕はいつも通り幕張駅の改札口を抜けて、地上階に降りる階段を目指そうとしたところで、イヤホン越しに声をかけられた。 「スグル君、おはよう」 ナノハだった。彼女は僕の右腕に一瞬だけしがみついてきた。ナノハも確かに幕張駅から通学していた。普段は僕よりも二本くらい早い電車に乗って来ていたから、おそらく僕のことを待っていたのだろう。 彼氏がイヤホンをつけているカップルは見たことがなかった。したがって、僕もイヤホンを外すことにした。 「待たせちゃった?」 「ううん、全然!」そうしてナノハは白い歯を見せた。僕は申し訳なく思った。 学校に着くまで時々会話は途切れて、他の生徒の声が僕らの隙間を埋めた。それでも、ナノハは幸せそうな目をして歩いていた。それならば、僕も幸せだということにして、無理に話題は振らなかった。 僕とナノハが一緒に教室に入ってきたのを見て、こちらをちらと見たクラスメイトが何人かいた。彼らは少し驚いたふうな目をしていた。ナノハは僕の方をもう一度だけ見て、胸元で小さく手を振って自分の席に行った。僕の目には、どうも不純な何かが含まれている行動のように映った。 それでも、僕自身、ある種の優越感を感じている部分はあった。ほら見ろ、僕も青春しているんだ、というふうな。 始業時刻ギリギリに、《彼》はやってきた。いつものように、薄い髪を手で撫でる担任は彼をいじった。いつになったら、彼は時間に余裕をもって登校するようになるのだろう。 不思議なことに、僕は少しだけ腹立たしくなっていた。おはよう、と言われても聞こえないふりをした。 「お前らー、今日はいいお知らせがあるぞー!」 その担任の言葉を聞いて、走馬灯のような記憶が何度か脳裏を弾いた。フルート全国大会金賞。宮野ナノハ。僕の静かな決意。嫉妬。僕の中で、再び黒い物体がいきいきと動き始めた。しかし、その黒い物体も、続く担任の言葉によって沈静した。 「――がバドミントンの県大会に出場するそうだ! 拍手!」 《彼》が県大会出場。 僕は右を向いた。照れくさそうに笑う彼。照れくさそうに髪を掻く彼。 彼の笑顔、彼のいちいちの動作は、教室と僕の世界を、明るくしていたことに気づいた。 僕はそれに気づいて、途方もない空虚感に襲われていたのだった。 《松野スグルの遺書2》 追伸 僕は人生的に未熟です。いや、それはわかっていました。自分が中学生、高校生、と大人の階段を昇っていくにしたがって、僕は自分が未熟なのは自覚していました。 そんな未熟な僕は傲慢ながら、人間についての考え、ひとつの仮説、をもっていました。一種の自己正当化にすぎませんでしたが、理にかなっていたように思います。 苦労が多ければ多い人ほど、その苦労の代わりにある程度の悪事は許される。もしくは、ある程度の非を受けなくても済む。そんな仮説です。 僕は、自分が同性愛者であるということが「苦労」に該当すると思っていました。 また、自分は他の人に誠意をもって接している、ものごとに真面目に取り組んでいるつもりでした。学校の行事にも積極的に参加しているつもりでした。 少なくとも、普通の人に比べれば、僕の方が苦労は多いのだ、と。そう思っていました。 だから、少しくらいの悪意は許容の範囲内だ、少しくらいの過ちは、黙認される。 でも、違いました。 僕は自己中心的に生きてきたつもりはありませんでした。しかし、僕は改めて認識させられました。 僕の考え方は、きわめて自己中心的で、自己正当化につとめていると。 僕は避けてきた問いにぶちあたりました。 僕に、生きている資格はあるんですか? 僕は、女性が好きになれません。だから、結婚して子どもを作って、親に孫の顔を見せる、という最大の親孝行(親孝行をしたいかしたくないかは別として)ができません。もちろん、好意を偽って結婚してしまうこともできます。しかし、それで果たして僕は満足するのでしょうか? そもそも、子どもを作ることができないというのは、子孫を残すこと、人間という種としての基本的な務めを果たせないのです。 僕に、生きている資格はあるんですか? 漠然とした答えは出ていました。 残された道は、「善人でいる」こと。それだけでした。 善人なら、存在自体は否定されない、そう思っていました。だから、僕は誰とでも分け隔てなく接して、善人でいよう、そう考えていました。 しかし、僕は自分で自分を悪人ならしめました。 それならば、僕に生きている資格はありますか? もう、答えは出ていました。 ここまで読んでくださり、ありがとうございました。 これは燃やしてしまってください。 二月二十一日 松野スグル 《彼》が県大会への出場権を得たというのを聞いて、僕は本来、妬むはずなのだった。しかし、僕は違うことに嫉妬の矛先を向けることになった。 それは、ナノハ。 僕は前方の席に座っているナノハを見ていた。ナノハは彼のニュースを聞いて特段驚いている様子もなく、淡々とファイル整理をしていた。たぶん、一時間目の準備をしているのだ。 「そういえば――君、県大会に出場するんだってね」 僕とナノハは幕張駅に向かっていた。僕は美術部、ナノハは吹奏楽部があったために、帰る時間は六時半を回ってしまっていた。空は黒に染まり、空気も冷え込んでいた。 「僕もそれくらいすごいことをしたいな」一応、本音だった。 「その話なんだけどさ」ナノハは間をおいて、「――君が今日、私に告ってきたの」 僕はなんて反応をすればよいのか見当がつかなかった。普通の人ならば、自分の彼女が寝取られてしまうと怒るのだろうか。 しかし、僕の場合は、怒りはナノハに向けられてしまった。 ナノハは続けた。 「だけど、もちろん断った。もう付き合ってるって」 本当は好きじゃないのに。 「誰って聞かれて、教えない、って拒否してたの」 どうしてもっていくんだ。何もかも。 「でも、凄まれたから、言っちゃった。スグル君と付き合ってるって」 僕は深呼吸をした。ナノハは何も悪くはないのだ。それは、僕の理性が理解していた。なのに、僕の胸の中では黒い物体が絶えずうごめいていた。不快だった。 翌日。木曜日。 朝から、関東地方は数十年に一度の大雪に見舞われていた。ナノハと僕は、ほぼ文字通り手を取り合いながら学校へ向かったのだった。 教室に着いた。大雪で電車が遅れているからか、教室の人はまばらだった。しかし、いつもとは違って《彼》は既に座っていた。 僕とナノハが一緒に教室に入るのを、彼はちらと一瞥した。 僕は彼の席の左隣にある、自分の席に座った。いつもであれば、僕と彼は目を合わせて、おはよう、と言うはずだった。 しかし、おはようという言葉も、視線も交されることはなかった。 胸に穴が開いたような気持ちだった。 放課後、美術部。 まだしつこく降り続ける雪が美術室の窓の外から見えた。外が真っ暗なだけあって雪の舞うのがよくわかった。 「松野、先に帰っちゃっていいよ、宮野が待ってるだろうから」ヒロトは美術室を掃きながら言った。 僕は、ここ数日、ヒロトにカミングアウトする機会をうかがっていた。最も理想的なのは京成幕張駅前だった。ヒロトととりとめのない話をして、しかるべき時に切り出す。そういうふうに。 ところが、既にタイミングは失われていた。帰りはいつもナノハがいたから。 「そうだね……。ありがとう。じゃあ、また明日」そう言って僕はヒロトを残して美術室を出た。 下駄箱のあたりで僕はナノハと合流した。 「まだ雪が降ってるね」 「そうだね」 こんな会話に意味などないことを僕はわかっていた。 降雪の勢力があまりにも強すぎて、傘を差していても白色の精は傘の中に潜り込んできていた。僕とナノハはほとんど身体を寄せあった状態だった。わざとなのかわからなかったが、ナノハは僕の身体にやたらと胸をあてがった。僕の被害妄想だったかもしれない。 それでも、僕は特に興奮することもなかった。身を寄せたまま、京成線の踏切を越えて、総武線幕張駅の駅舎までたどり着いた。 ところが、 「ちょっと来て」 ナノハは僕を引っ張って、駅舎の裏側の駐輪場に連れて行く。 「どうしたの?」ほとんど見当はついているくせに、僕は訊ねた。 ナノハは何も言わずに、手袋を外した両手で僕の顔を包んだ。ナノハの指は温かった。 「寒いね」「うん」 ナノハの手に、僕の冷たい手を重ねた。 「幸せ?」「うん」 ナノハの顔は、輝かしく微笑んでいた。 「もっと顔を近づけてよ」ナノハはものほしそうな目で見つめていた。 僕は見回した。ここは駅舎の壁の死角で、タクシー広場の人通りも見えなかった。僕とナノハは二人きりだった。僕はナノハの手にしたがって、顔を近づけた。 ナノハは目を閉じた。 僕は顔をかたむけた。 二人の唇が重なった ――重なることは、なかった。 僕は顔を離した。最後の良心だった。 「ごめん」僕はつぶやいた。 「どうして?」ナノハは僕の顔から手を離した。「私のこと、好きじゃないの?」 「ごめん」僕は繰り返した。 「私のこと、好きなんでしょ?」 「……」僕は目をそらした。 ナノハは、わずかに泣いていた。 その瞬間、僕は恐怖に襲われた。 僕はナノハをおいて、逃げた。 間もなく来る電車に乗ろうと階段を駆け上がった。 ** ** 僕は総武・中央線の千葉行きを降りた。僕以外には、水道橋駅で降りる人は、ひとりとしていなかった。ダッフルコートのポケットに両手を突っ込んだまま、僕はホームの階段を下って改札口を出た。 あのあと、僕は電車の中で寝てしまった。何が原因かはわからない。とにかく、とてつもない眠気に押しつぶされた。その結果、何度も何度も寝過ごして、いつまで経っても水道橋駅に着けなかった。何度目かの千葉行きで、やっと着いたのだった。 水道橋駅の東口側は、改札口正面の六、七メートルのところで外に大きく口を開くような構造になっており、駅の上にはちょうど線路が架かっていた。線路が雪を防ぐと思いきや、二十年に一度と言われる東京の大雪は、一切の、遠慮らしい遠慮もなく、駅の中に踊りこんできていた。幾度もの寝過ごしのせいで、時刻は既に十一時を回っていた。 ここから都営三田線に乗り換えなければならなかった。 僕は傘を差して、水道橋駅を左に出た。人の姿も車の形もうかがえない横断歩道を渡り、左手には雪の粉の隙間から東京ドームホテルが見えた。五十階、六十階、それくらいの高さのホテルは、ひときわ雪の中で巨人らしい風貌をしていた。 僕は、賭けをすることにした。 携帯電話を開き、メール送信画面を開いた。ナノハからの着信と数十件のメールは無視した。送信先は、《彼》。おそらく、彼への最初で最後のメールだった。 「以前のチョコ、僕が入れました」 文面はこれだけだった。 僕は水道橋駅から歩いて帰ることにした。そうすれば、歩いている間に返信があるだろう、と。 ここ水道橋駅から僕の家まで、徒歩でだいたい三十分、こなせない距離ではなかった。僕の心の中は、いまのところ、空っぽだった。傘の中に滑り入ってくる雪に、不思議な愛着を覚えた。 白山通りをずっと、歩いていけばいい話だった。それだけ。いたってシンプルで、たとえ電車がなくとも帰れないというわけではなかった。だから、何も不安はなかった。唯一の不安としては、母親がドアのチェーンをかけてしまうことくらいだった。そして、その不安は、直感的に、無用なものだと思った。 ずっと雪の中を歩き続けた。 他に歩いている人はいなかった。店もほとんどが閉まっており、通りは光を失っていた。 僕を愛してくれる人も、僕が愛せる人も、この世にはいない。いや、もしかすれば一人だけいるかもしれない。僕は雪の中を進みながら、携帯電話の画面をしきりに確認していた。返信はない。 このまま雪の中で凍死してしまってもいいかもしれない。寒い中での死体は、腐らないらしいし、醜い死にざまではないと思った。 それでも、生への惰性のようなものをもって前進し続けた。そして、家に着いた。家といっても、社宅なので、自分の号室に上がらなければならなかった。十階。 家の扉にはチェーンはかけられていなかった。僕は鍵を開けて家に入った。もう、誰も起きていなかった。家の中は暗闇だった。 そこで、携帯電話がふるえた。 送り主は、《彼》だった。 僕は、そっと携帯電話を開けた。 彼のメールを開封した。 「俺、そういうの興味ないから」 僕にとっては十分だった。 「わかりました。ごめんなさい」 十階のベランダは、強風にあおられた雪で視界が悪かった。 僕はその手すりに座っていた。 僕はイヤホンをつけていた。 ベン・フォールズのブリック。 羽ばたくには、あまりふさわしい曲ではなかった。 でも、いかんせん、僕は羽ばたかなければならなかった。 自分が同性愛者なのも、自分が何の役にも立たないのも、自分が誰からも愛されない存在なのも、自分が何の実績もあげられないのも、もはや関係なかった。 僕は羽ばたくことにした。 ** ** ** 僕はアンモニアくさい小部屋にいた。小便器が墓碑のようにいくつも並んだ、四メートル四方の小部屋だった。
https://w.atwiki.jp/mediaskin/pages/47.html
ADPコンセプトモデル一覧 選択肢 投票 INFOBAR2 (284) cypres (77) vols (936) kaos (123) MACHINA (52) HEXAGON (35) ichicoro (36) GRAPPA (17) GRAPPA002 (451) rotary (12) wearable (22) apollo (12) apollo02 (419) コメント。adpに対する想いをぶちかまそう 名前 コメント すべてのコメントを見る 13個の写真がズラっとならんだ画像とかないすかね。 br() br()俺はイシコロに投票っと -- (かんりにん) size(80%){2007-04-03 21 29 03}
https://w.atwiki.jp/coharu/pages/525.html
夏奈と千秋は買い物に出かけていて春香さんと二人きり。 オレは春香さんが入れてくれたお茶をすする。 「おいしいです、春香さん」 「そう? 良かった」 と春香さんが微笑む。 そしてオレがお茶を飲み終えると春香さんが話しかけてきた。 「マコちゃん、お願いがあるんだけど……」 「なんですか? 春香さん」 「実はね、またブラが合わなくなってきて……」 思わず固まってしまった。 「ちょっと測ってくれないかな?」 「え…ぁ…」 ど、どうしよう! 測りかたなんてわかんないよ! それに春香さんの胸を見るなんて! 「ダメ?」 手を合わせてお願いされる。 「あの…測り方とかわかんないですけど……」 「大丈夫、メジャーで測るだけだから」 なら、大丈夫なのかな…… 「はい……」 直接見る訳じゃないからいいよな…… 「良かった、じゃあ私の部屋に来て」 立ち上がって春香さんの後ろに付いて行く。 なんか…とんでもない事になっちゃったな…… 部屋に着くと、春香さんはすぐに服を脱いでブラだけになる。 顔が熱くなっていくのが自分でもわかる。 「ど、どうすればいいんですか?」 なるべく胸を見ないようにして訊く。 「えっとね……まずこれを持って……」 と言ってメジャーを取り出してオレに渡す。 「胸の一番大きいところで測るのよ」 オレは言う通りにメジャーを春香さんの胸に巻く。 勿論なるべく肌に当たらないように。 「で、出来ました」 「じゃあ、どのぐらいか見て?」 えぇ!? じゃあ、どうしても胸を見なくちゃいけないじゃないか! 仕方なく胸に顔を近づけて目盛りを見る。 もう頭の中が爆発しそう…… 「えっと……○cmです」 オレは測り終わるとすぐに顔を離した。 もう天国にいるような気分だ。 「ありがとう、マコちゃん」 「ぁ…は、ハイ…どういたしまして…」 と返事はするものの、さっきの光景が頭から離れない…… 白だったな…… 「…ちゃん、マコちゃん?」 気がつくとすぐそこに春香さんの顔があった。 「うわぁ! ど、どうしたんですか、春香さん!?」 「ついでにもう一つ、測って欲しいんだけど……」 胸よりはマシだろうと、OKを出す。 「いいですよ、どこですか?」 「ありがとう、よろしくね。測り方はさっきと一緒だから」 さっきと一緒? 胸以外に巻き付けて測る場所? ……! いや、流石に…… と思いながら春香さんの方を見るとスカートを脱いでいた。 「えぁ! ハ、春香さん!?」 「どうしたの?」 「も、もしかして、測る場所って……」 「ちょっとショーツも小さいのよね……」 ずっと見ないようにしてきたけど、もう無理だった。 「うぁ…ぅ…」 自分の腰が急に熱くなって思わず屈み込む。 すると春香さんが駆け寄ってきた。 勿論、下着姿で。 「どうしたの? 立てる?」 頷きながら立ち上がろうとして異変に気がつく。 やばい! このままじゃオレが男だってバレる! 前を手で隠しながら立ち上がる。 腰は伸ばせない。 「大丈夫? お腹が痛いならちょっと見せて?」 春香さんに悪気はないのだろう。 が、見せる訳にはいかない! 「だ、大丈夫です。す、少し休めば……」 ヤバイ! 興奮で息が…… 「とにかく、手をどけて? 苦しそうよ?」 と言ってオレの手をどけようとする。 抗おうとしたが力が入らない。 あっさりと手を退かされてしまった。 「!!!」 春香さんがびっくりする。 オレは自分の股間を見てみた。 するとスカートの真ん中がポコッと出ている。 もう誤魔化せない。 「ご、ごめんなさい! 実はオレ…」 と言いかけると口がいきなり塞がれた。 オレの口を塞いだのは春香さんの唇だった。 離れると春香さんが 「なにも言わなくていいのよ。私にも責任があるんだし」 と言った。 何も考えられず、頷くだけになってしまう。 「とりあえず、ここに座って?」 春香さんは自分のベッドを叩きながら言う。 オレはゆっくりとベッドに座った。 「責任は取るから…ね?」 春香さんはそう言うとオレのスカートを脱がせた。 「ハ、春香さん!? 何を……」 と言ってる間にオレのパンツは脱がされ、性器が向き出しになった。 そして次の瞬間には春香さんの口の中に入っていた。 「うぁ…ぅ…ハ、春香さ……」 刺激に耐え切れず春香さんの頭に手を置いた、その時。 射精してしまった。 春香さんは口の中に射精されたものを全て飲み込み口を離した。 「春香…さん…」 「私だけ見せないのもズルイね。」 と言ってブラとショーツを脱いだ。 全裸の春香さんを見て、またオレの性器は元気を取り戻した。 「元気ね。最後まで、やろっか。」 オレは頷くしかなかった。 オレはベッドに横になると春香さんがまたがってきた。 「じゃ、いくね…」 頷くとオレの性器に向かって腰を下ろし始めた。 先っぽが入ると春香さんは一気に下ろした。 「あぁん!」 春香さんが声を上げる。 しばらく動かなかった。 オレは自分が動かしたらどうなるんだろう、とちょっと腰を突き上げてみた。 すると 「ひゃあんっ!」 春香さんがまた声を上げた。 「ご、ゴメンなさい!」 「ううん、大丈夫よ、気持ち良かっただけだから……」 今のようにすれば気持ちいいのかと思い、どんどん腰を突き上げる。 すると春香さんは喘ぎはじめた。 「はっ…あんっ…あ!」 オレも気持ちいい。 だから腰をどんどん動かす。 「ひゃ…あぅ…あぁ!」 オレもなんか変な気持ちだ。 「あぅ…ああっ…はっ…ああああぁっ!」 「うぁあ!」 春香さんとオレは同時に果てた。 後日、みなみけを尋ねるとまた春香さん一人だった。 オレを見ると笑って手招きした。 ついて行くとそこは春香さんの部屋だった。 ……みなみけに来るのが楽しくなった。 名前 コメント 9-779氏 9スレ目 保管庫
https://w.atwiki.jp/ningenbyouin/pages/70.html
症状 共感を求めるような話し方をしておきながら、相手の共感が強すぎた時に引いてしまう。 キャンプファイアーを始めた時、火が大きくなったら逃げてしまう。 番組 第009回 「今のメンバーの前で前のメンバーのこと褒めちゃう病」、「共感してほしいレベル超えると引いちゃう病」
https://w.atwiki.jp/flightglide/pages/664.html
標準型重戦車コムサック Comsuck heavy tank 基本情報 種別 重戦車 設計 トダ工廠 所属 アーキル連邦 製造 X台 世代 第三紀 性能諸元 機関 マクランD65 1基 機関最大出力 750ps x1 最高速度 50km/h 走行装置 トーションバー式 武装 12fin戦車砲 1門1finナバンカ機関銃 同軸1門タンキ・パンパン砲 砲塔後部1門 装甲(前/横/背) 90mm/70mm/20mm 乗員 6名 - 概要 戦後に登場した重戦車。 ノイナ中戦車の車体パーツを流用した拡大型である。 帝国との戦いで、アーキル戦車隊は小型、中型、大型戦車の役割分担の重要性を思い知らされており ノイナの開発のメドが立つとその重戦車型の書類にゴーサインを出したのだった。 コムサックには全体的にこれと言った新機軸は盛り込まれておらず、保守的な設計で、悪く言えば地味である。 他国がMBTのような走攻守の揃った新型戦後車両を開発する中、コムサックは生まれながらの重戦車であり時代遅れの産物であった。 しかし、他国がその新機軸に頭を悩ます中アーキルはノイナとともにコムサックを大量生産し、その数で大きなプレゼンスを得た。 大柄な車両が幸いして対空型や重自走砲型など派生型も多く、結果としてはこれも名車両と認めてもよいだろう。 主砲は空軍で使用されていた12fin艦砲を改良したもので、12finの大口径である。 旧来の砲戦型艦船が次々と退役していく中、取り外された大量の艦砲はコムサックの主砲に流用するのにぴったりだったわけである。 仮想敵は帝国のエマーリアン重戦車であり、2000mltからの射撃で装甲を貫通することができた。 だが精密射撃には相性が悪く、アーキルはこれを複数台のコムサックによる同時攻撃で命中率を補うものとした。 パンノニア事変では20両あまりが投入されており、大戦中の兵器が大半を占めるパンノニア陸軍に対して無敵の強さを誇ったが、 彼らの単純な罠に嵌ってしまい、橋ごと爆破されるという笑い話を持つ。 戦後のパンノニアで再建され名所となっている"コムサック大橋"はミリタリーマニアの間では有名。 + Description Description must be less than 300 words - 兵装 ADJUSTMENT + Armament ADJUSTMENT
https://w.atwiki.jp/hyakukami/pages/1130.html
依頼主 アーサー 出現条件 アーサー解放 クリア条件 7/17 12 00までに以下の神様を解放するマーリン 成功報酬 白身魚のソテー 依頼時 マーリンを封印しているのは、きっと私の存在を疎ましく思う者だ。このままでは私たちの国もきっと危ない。マーリンを救い出してほしい…! クリア時 君には本当になんとお礼を言えばいいのか…!感謝している。これはほんの気持ちだが、受け取ってくれ。
https://w.atwiki.jp/bjkurobutasaba/pages/288.html
ユグドラル暦【73年】の流行語 ブリ女渾身のギャグ 星とスター(star)を掛けており、おしゃぶり女の語彙の豊富さを匂わせる 一例として、何か困った事が起きた時に 「~は勘弁してほしぃーすたー」 とスマートに発言出来れば非常にCOOL! ウコン[NOTウンコ] サブリナが素晴らしく新鮮な笑いのネタを仕入れたと聞いて (五条 7/21 21 54) サブリナ[★国務秘書] 勘弁してほしぃーすたー。 (海底都市ルルイエ 7/21 21 58)
https://w.atwiki.jp/dq10_dictionary/pages/1765.html
概要 【ジュレットの町(ストーリー)】?の外伝クエスト。 ジュレットの町で家から食べ物が無くなる事件が発生。犯人は【キャット・リベリオ】の部下【ミャルジ】であった。 リベリオは【猫島】を追放されて以来、食べ物に困るほど落ちぶれてしまっていた。 落ちぶれた暮らしに耐えられなくなったリベリオは【キャット・マンマー】?に許されるために策を弄し、【ソーミャ】までも動かす事に。 マンマーは、リベリオの本気を確かめるため、猫島を乗っ取ろうと企む者を倒すよう依頼する。 見て分かる通りジュレットの町に関わることはほとんどなく、猫島外伝クエストとも言える内容である。 またクエストの受注にあたり、ルーラ地点から非常に遠い【ラーディス王島】の小屋まで行かなければならないのが面倒である。 クエスト一覧 話 タイトル 第1話 【ネコババはダメなのニャ】? 第2話 【ネコにゴハンなのニャ】? 第3話 【ネコかぶりでGOなのニャ】? 第4話 【借りてきたネコなのニャ】? 第5話 【ネコの手も借りるのニャ】?
https://w.atwiki.jp/potyolove3/pages/50.html
入れてほしいなMOD 入れたいMODがありましたら MOD名 MODの説明 MODのURL を随時書き込んでください ExpandedRedstone MOB感知センサーやプレイヤー感知センサー レーダーブロック探知などなど イベントに使えそうなブロックが数々入ってます https //sites.google.com/site/reikasminecraft/expanded-redstone -- ポチョ (2015-01-26 20 44 16) 名前 コメント