約 3,137,229 件
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/1171.html
4月第1週 今日から高校生。 本が好きだから文芸部に入る。 でも部員はわたし一人。 暇だから部室にあったパソコンで小説でも書く。 恋愛小説。登場人物はわたしと一目ぼれした5組の男子。 「長門好きだ。」 「私も好き。」 あとが続かない。才能のなさに絶望する。 4月第3週 わたしの好きな人のあだ名はキョンというらしい。 本名はわからないけど、それでいいかなと思う。 小説もわかりやすく名前を入れてみる。 キョン「長門、好きだ。」 わたし「わたしも好き。」 ちょっと心が温かくなった気がする。 5月第2週 恋愛小説なのに感情が無い。 ためしに顔文字を入れてみる。 キョン「長門、好きだ!( ゜д ゜) わたし「私も好き(///)」 ちょっとは感情が入ったかな? 6月第2週 いろんな本を読んで私なりに小説の勉強をしてみた。 その場の説明や雰囲気なんかをセリフの合間に入れる、 「地の文」というのが足りなかったみたい。 ちなみに本を図書館で借りてくる時、キョンに偶然助けてもらった。 やっぱり私はキョンのことが・・・・・・ ある日の放課後、わたしが物質で本を読んでいた。、 5組のキョンが訪ねてきた。 いきなり多くな声で言った。 キョン「長門、好きだ!」 わたしは嬉しかた。わたしは言った。 わたし「私も好き。」 いつも読んでいる本たちにちょっと近づけた気がして嬉しい。 7月第1週 今更タイトルが無いのに気付いた。 でもいいタイトルが思いつかない。 しょうがないから「無題」としておく。 あと、見直してみたら誤字があった。 直さなきゃ。 「無題」 ある日の放課後、わたしは部室で本を読んでいた。 5組のキョンが訪ねてきた。 いきなり大きな声で言った。 キョン「長門、好きだ!」 わたしは嬉しかった。わたしは言った。 わたし「私も好き」 9月第1週 夏休みが終わった、久々の部室。 夏休みの間にいっぱい本を読んだ、 いろんな本を読んでみて気付くことが山ほどある。 今までわたしは読んでいなかったみたい。 あんなに多くの本を読んだというのに。 「無題」 ある日の放課後、日は大分傾きかけ、部室の中を赤く染める。 その中で一人私は本を読む。 それが私の部活動。 いつもと変わらぬ一人での部活。 でも今日は少し違った。 突然部室の扉が開き、一人の男子が顔をのぞかせる。 「長門、今時間いいか?」 その男子の名はキョン。私の好きな人。 キョンは周りに誰もいないことを確認して、 私を見つめ、そして決心したように大きな声で私に言う。 「長門、俺はお前のことを好きになってしまった」 嬉しい、夢のような言葉。上手く返事が言葉に出来ない。 やっとのことで返事を口から取り出す。 「私も好き・・・」 そして二人の影は一つになる・・・・・・ 10月第4週 さぁ、この小説を完成させよう。 タイトルはいろいろ迷ったけれど、 「無題」のままに決めた。 「無題」 私には好きな人がいる。 高校生になったばかりの私が、入学式の時に見かけた一人の男子。 ――ひとめぼれ これが「ひとめぼれ」であることに気付いたのは入学式が終わり、HRが終わり、家に帰り、布団に入った頃。 その人の名はキョン。本名は知らない。でも本名以上に知られた名前。 わたしは彼のことをいつも思っていた。 でも彼はわたしのことをどう思っているのだろう? 一度図書館であった時も優しくしてくれた。 でもそれは誰にでも見せる優しさ? 不安―― わたしはその不安を消すために、本の世界へと没頭する。 本の世界なら誰もがヒロインになれる。 でも内心は……このままじゃいけないと思っていた。 誰かにわたしの固く閉まった扉を開けてもらい、 広い世界へと飛び出したいと思っていた。 でもわたしにはその勇気がなかった。 今日も一人私は本を読む。 それが私の部活動。 いつもと変わらぬ一人での部活。 突然部室の扉が開いた一人の男子が顔をのぞかせる。 キョン――? 「長門、今……時間いいか?」 私の好きな人がぐるりとあたりを見渡したかと思うと 私を見つめ、そして決心したように大きな声で私に言った。 一生記憶に残るほどの大切な言葉を。 「長門、俺はお前のことを好きになったみたいだ」 今まで固く閉ざされていた心の扉は開かれた。 その鍵となる夢のような言葉。 上手く言語化できなかったけれど、やっとのことで返事を口からつむぐ。 「私も好き……」 あとはまるで自動的に決められていたかのように、 自然に二人は引き寄せられる。 赤く染まった部室の中で二人の影は一つになった…… 「キス……」 「いきなりだったか?」 「ううん」 本当は遅すぎたくらいだ。 「もう一度」 キスをする。二人の気持ちを形に変える。 「長門、これからはずっと一緒だ。いろんなことをしよう。いろんな所に行こうな」 今度はわたしが主人公。 Fin 書き終わって満足感とひとかけらのむなしさが横切る。 これが現実になったら…… 12月18日 キョンが部室にやってきた。 小説が現実化したかとびっくりしたが、キョンの様子がおかしい。 わたしが宇宙人?世界が変わってしまった? 理解できない。でも何か頭の片隅でチカチカと引っかかるものがある。 わたしは何かを知っている?でも今は何もわからない。 でもキョンの力になりたい。協力したい。 キョンはパソコンを見せて欲しいといった。 わたしの恥ずかしい小説がいっぱい入ったパソコン。 なんとか待ってもらって、古いものは消したけど、 見られやしないかと気が気でない。 結局私の小説は見られなかったけど、キョンも収穫がなかったみたい。 肩を落として帰ろうとするキョンをとっさに呼び止めた。 ここで何も言わずに別れたら一生会えなくなると思ったから。 私はキョンに渡した。白紙の入部届。 少しでも近くにいられるように、少しでも力になれるように。 わずかな期待を込めて。 12月19日 今日もキョンが部室にやってきた。純粋に嬉しい。 しばらく部室を眺めていたけど、キョンが部室にある本に興味を持ってくれた。 本を見ながら私に「小説は書くのか?」と聞いてきた。 心臓が止まるかと思ったけど、つとめて冷静に「読むだけ」とだけ答えた。 でも動揺が隠せられたかは知らない。 その後は微妙な沈黙が部室を覆う、いつもの一人だけの沈黙とは違う、張りつめた沈黙。 でもちょっとだけあたたかな気がする沈黙。 その沈黙を破ったのはキョン。「これ書いたのはお前か?」 『プログラム起動条件・鍵をそろえよ。最終期限・二日後』 確かに私の字に見える。でも何か違う。まるで違う世界のわたしみたい。 キョン君は必死に何かを考えているみたいだった。 わたしは読書に戻ろうとしたができない。 昨日と一緒。このまま放置したらキョンは違う世界に行ってしまう。 帰宅のとき、わたしは最大の勇気を振り絞る。 「来る?」「わたしの家」 その晩は途中邪魔さえ入らなければ最高の夜。 少しだけ距離が近づいた気がした。 少しだけ、少しだけ―― その思いを小説に込めよう。この消えない不安を吐き出すためにも。 「無題」 ある日突然世界が変わる。 そんなこと現実には起こるはずがないと思っていた。 わたしがいつも読んでいる本の中だけの出来事。 そんなことが起こるわけないと思っていた…… わたしが高校生になった時、微かに変わる予感がした。 それはあまりに突然で、でもとてもゆっくりで。 それはとても新鮮で、でもなぜか懐かしい。 不思議な気分で一日が過ぎて、夢の世界へ旅たつ直前。 わたしはわたし自身が何を感じとったのかを理解した。 ひとめぼれ―― そうだわたしは恋をしたんだ。 でもわたしは恋をしたとわかっていても、 それを打ち明けることなど出来なかった。 世界はやはり変わらない…… 例えそれが苦しくても、悲しくても、辛くても。 わたしは世界を変えることが出来なかった。 キョン―― わたしの好きな人の名前。みんなが彼を呼ぶ名前。 それが本名なのか、あだ名なのか。 そんな事はどうでもよくて。 ただ彼のことがわかることが、嬉しかった。 世界が少し変わる気がして。 彼とわたしはたびたび出会う。 通学路で、学校で、グランドで。 でもわたしは遠くから見ているだけだった。 ある日、図書館で出会ったときも、 わたしは何も出来なかった。 でも彼はわたしに優しくしてくれた。 そう優しくしてくれた。 でも。 彼は誰にでも優しい。 その優しさはみんなと同じ。 不安、不安、不安。 わたしの心はかき乱される。 結局私は何も出来ない。 本の中のヒロインにはなれない。 今日もわたしは本を読む。 それがわたしの部活動。 一人で寂しく本を読む。 いつもと変わらぬ部活動。 ヒロイン達にあこがれながら。 決して変わらぬこの世界を生きる。 ある日突然世界が変わる。 そんなこと現実には起こるはずがないと思っていた。 わたしがいつも読んでいる本の中だけの出来事。 そんなことが起こるわけないと思っていた…… 真っ赤になった部室の扉が開く。今まで勝手には開くことのなかった扉。 それは夕日に照らされながら、そこにいる人を包み隠す。 そこにいた人の顔はなかなか見えなくて。 誰かわかったあともなかなか信じられなかった。 キョン――? そこにいる彼はとても不安そうで。迷っているようで。でも力強くて。 ふと、わたしは彼がわたしが欲しかった物を持っている気がした。 「長門」 彼はわたしをまっすぐに見つめる。 「今、時間いいか?」 それはとても力強い声。世界を変える力を持つ声。 「長門、俺は長門のことが好きだ」 ある日突然世界が変わる。 そんなことが現実に起こる。今現実に起こっている。 わたしがいつも読んでいる本の中のようなことが。 そんなことが起こるわけ無いと思っていたのに…… 沈黙が世界を包み込む。 キョンは不安そうにわたしを見つめる。 このままだと――世界は再び元通り。 返事を――言わなきゃ――何を――言うのか――? 「わたしも好き」 やっとの事でそれだけが口からこぼれ落ちる。 キョンはわたしの返事で180度表情が変わった。 心の底から光る笑顔。 そのままキョンはわたしに近づいて…… わたしもキョンに近づいた。 それはまるで磁石のように。 まるで決まった運命のように。 二人は互いに引き寄せられる。 「キスしてもいいか?」 「うん……」 二人の愛が形に変わる。 一生変わらぬその愛を。 世界を変えてよかった。 わたしはこんなにも幸せだ。 キョンとわたしだけが ――キョンとわたしだけが この世界にいる。 キョンはわたしを選んでくれた。 ――キョンはわたしを選んでくれる。 世界を変えて、キョンを手に入れる。 ――世界を変えて――キョンを ――わたしと一緒に ――永遠に キョン――大好き―― ――2月下旬 生徒会の圧力により文芸部の機関誌を作ることになった。 わたしの担当は「幻想ホラー」小説など初めて書く。 でも―― パソコンを開いたら、何かとても懐かしい気がした。 ずっと昔、必死に小説を書くために頭を悩ませた記憶。 存在しないはずの記憶。 わたしは書き始める。 ――わたしは書き始める。 タイトル「無題」…… END
https://w.atwiki.jp/wzj77fp63/pages/3.html
カウンター 今日 - 人 昨日 - 人 合計 - 人 現在-人が閲覧中。 更新履歴 取得中です。
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/5816.html
あとがき この作品は、『涼宮ハルヒの憂鬱』の舞台が兵庫県西宮市であることを知った時に着想を得ました。 舞台が西宮ということで、キャラクターの台詞をいわゆる「関西弁」にしたSSはないかと思い、色々とSSを読んでいましたが、単発の雑談ネタで原作の一場面を「関西弁」に訳した例があるくらい。二次創作で「関西弁」を使ったものはありませんでした。 「ないんだったら作ればいいのよ!」とは原作のハルヒの弁ですが、ちょうど担当者は大阪府出身で、兵庫県下にある西宮の近くの街に住んでいた時期もあるし、北口駅のモデルとなった阪急西宮北口駅も行ったことはある。加えて、身近には西宮市出身の友人もいる。条件は揃っていました。 もっとも、後に「関西弁」を使ったSSが皆無な理由を痛感することになりますが。 また、当時職場で大量の文書を校正する必要に迫られていて、校正の練習にもなって趣味と実益を兼ねられるかもと、軽い気持ちで書き始めました。ちなみに、こちらの目論見は成功したと思います。 Report.01 記念すべき第一作目。当時は読み切りのつもりでした。「関西弁」という表記があまり好きではないので、この時から「現地語」と呼称しています。 単に台詞を「現地語」に置き換えただけでは、単発の雑談ネタとあまり変わらないような気がするし、わざわざ「現地語」で書く理由をもっともらしく捏造した方が面白いかと思って、ネタを探していました。 そんな時目に留まったのが、当時繁忙期に入っていた職場で大量に目にしていた報告書。 ちょうど長門をメインにしようと思っていたので、報告書の文章の書き方が長門の語り口によく似ていると思い、『長門有希の報告』という題名が決まりました。報告書はどれも似たような書き出しだったので、それらを分析して導入部分を書きました。内容からではなくて、本当に題名、最初の部分、と順番に思い付きました。 作中でキョンが「(ハルヒは)新たな属性に目覚めたんじゃないか」と言っていますが、後に担当者自身が、この作品で新たな属性に目覚めることになるとは、当時は知る由もありません。 Report.02 読み切りのつもりで投稿した一作目が、意外に反響があったので、調子に乗って急遽書いた二作目。ネタを探していたところ、職場に新聞記者が来て、何やら金切り声を上げているのを聞いたのがきっかけです。 直接取材を受けていなくても、使えるコメントが取れなかったからといって恫喝したり、執拗に怒鳴り声を上げられたりすると、本当に仕事の邪魔になります。そこで、週刊誌の取材による被害などを思い出し、そこに『涼宮ハルヒの溜息』の映画撮影の話を合わせて、こんな内容になりました。 思いがけず話が続いたので、話数を付ける必要が生じましたが、メインタイトルは変えずに連作短編にするつもりだったので、『GS美神 極楽大作戦!!』から採りました。何の因果か、ネタ元と同様に、長く続く話がほとんどになりましたが。 Report.03、04 本当は前後編で終わらせ、現地語表記も終了する予定でした。しかし、まず話が長くなって中編と後編になりました。 そして、まとめの方にも掲載されたのですが、そこの注意書きに、台詞が一部現地語で書かれていることが記載されていました。それで引っ込みがつかなくなった……もとい、わざわざ注意書きまでしてもらったのに、今更やめるのもどうかということと、ここでやめたら他に例を見ないユニークさが失われてしまうということに気が付き、今後も現地語で通すことを決めました。 また、この頃になると、書いた作品に誘導されるように、話のネタが沸いてくるようになり、もうしばらくこの作品に付き合おうと決めました。 Report.05 この作品での長門のキャラが固まった、また、言い換えれば、長門のキャラが壊れたのが、この話。 SS読みの立場としては、担当者はどちらかと言うと原作重視派に属するのですが、実際に書くとなると大変で、また生来のお笑い好きも影響して、話としての面白さを優先するようになり、こんな長門になってしまいました。長門、ごめん。 長門とハルヒが精神的に急接近するなど、その後の話の方向性を決定付けた、この作品の転換点となった話です。 また、この頃はまだ抵抗していますが、担当者自身、何かに覚醒し始めています。 Report.06 ……やらかしてしまいました。当初は前の話を受けて「エロス×ワロス」を目指していましたが、筆が滑ってどうにもエロスが強くなり過ぎました(現在はエロスの部分はかなり省略して改稿しています)。プリンスレのコンセプトである「甘い」作品に仕上げたつもりでした。そして頂いた感想は、 『甘いってかエロいww』『長門暴走しすぎだろwwwwww』『素晴らしいエロww』 長門が完全にぶっ壊れました。そして担当者も何かが吹っ切れました。 Report.07 路線を明確に自覚した話。担当者は完全にユキハル及び百合に目覚めました。長門の現地語会話、解禁。頂いた感想を総合すると、『和みながら勃つ百合布教作品』だそうです。 途中の「流布された情報に付加情報を付ける」のくだりは、学術論文を想定しています。様々な事象について研究が進んだ現代社会においては、全く独自の理論や研究というものは、そうそうありません。何かしら、先行する研究が存在するものです。 論文を書くに当たっては、そういった先行研究や類似研究の調査はとても重要です。やろうとしていることが既に研究されてしまっていれば、内容の修正を迫られますし、少しでも違っていれば、先行研究を踏まえた上で、自分の独自の考察を追加することになります。 そういった人間の営みを、長門に語らせてみました。 Report.08 基本的にこの作品は『現地語』、担当者は『現地語の人』として認識されていますが、とうとうこの話で『百合作者』とも呼ばれるようになりました。筆のおもむくままに書いていたらこうなった。今は反省も後悔もしていない。 Report.09 仕事の繁忙期も終わり、ハルヒと有希のデートを書きました。そして第2話から続いていた話もようやく完結。ハルヒがSOS団団長職に復帰しました。最後のキョンの台詞には、ようやくSS書きに復帰できたという担当者の喜びも表れています。シリーズを終わらせるつもりもなくなっていました。 ちなみに、駅前のショッピングモールの様子は、西宮北口駅前に実在する店舗のフロアガイドと、実在する店舗のメニューに従っています。 Report.10 インターミッションとなる実験作。 エロパロスレのハイテンションユッキーと、まとめにあるリスペクト・ザ・ハイテンションユッキーに触発された話。 とにかく色々やってみたくて、原作でも出てきたSQLと、コマンドプロンプトのメッセージを組み合わせています。声については、アニメ版の中の人の地声を想定。 この時の長門の台詞「人形にも人間にもなれない半端者」は、思わぬ伏線となって、後に第20話の朝倉の台詞と、第25話の長門の台詞で回収されました。 この頃から、「誰か(女)×長門」という構図が定着しました。 Report.11 第二部導入。後になってみれば、ですけど。当時はそこまで考えていませんでした。 話を考えている時期と前後して、プリンスレではちょうど朝倉のターンが来ていました。その時流に乗って、というわけではありませんが、何となく朝倉を出したいと考えていました。しかし、朝倉が復活する理由が弱くて考え込んでいたところ、その前段として、この話を思い付きました。 第2話でもそうでしたが、話の基点がオリジナルキャラになる傾向があるのかもしれません。 Report.12 ある意味TFEI端末編、の第二部開始。第一部で一気に距離が縮まったハルヒと長門が、今度はぶつかり合うような話。ハルヒの浮気現場を目撃してジェラシーな長門とか、ハルヒと長門の痴話喧嘩とか、痴情のもつれとか。そんな雰囲気が出せればと。 初めて全体の構成を考えて書き始めた話。この時点で既に、最終話の骨格は出来上がっていました。 また、この辺りで『長門有希の報告』シリーズ全体の長さを2クール分(全26話)にできたら面白いかな、と意識し始めています。 Report.13 議事録形式がやりたかった話。ただ話を書くだけでは物足りなくて、何かしら変わった要素を入れようとしています。特に文書構造での遊びが顕著ですね。 Report.14 じわじわと盛り上げていく回。三人称だからできる、ハルヒの様子の描写とハルヒ以外の人物たちの会話との対比や、複数場面の多元中継に焦点を置いています。それから、投稿時には外しましたが、思わせぶりな繋ぎが入っています。一度やってみたかった。 Report.15 やはり戦闘ものが好きなのでしょう。書かずにはいられませんでした。消失した長門が復活するお膳立てにも使っています。 朝倉の頭脳戦が好評でした。本当に書いていて楽しかった。 Report.16 できる限り全員の視点で書きたいと思って書いた、朝倉視点。原作での登場期間が短かったせいか、キャラクターに色が付いていなくて書きやすかったです。思えば、朝倉は本当に物語を引っ張ってくれました。 また、当時はプロバイダ規制が頻繁かつ長期で、投稿したくてもできない状態が続きましたが、続きを待っていると言ってくれる人がいて、プロバイダ規制に耐える力をもらいました。 Report.17、18 みんなの視点で書こうシリーズ。長門がいなかった喜緑隊の話をみくるに報告してもらいました。もう本編とは思えないほど、ネタ盛りだくさんです。鶴屋さんまで登場して、もう。 Report.19 ちょうど『涼宮ハルヒの分裂』が書店に並び始めた頃で、その内容に戦々恐々としていた頃に書いた話。第二部を書き始めた時には既に構想にあった展開ですが、実際の肉付けは困難を極めました。 ついにハルヒが長門に告白しますが、長門は立場上、ハルヒの告白を受け入れられません。でも長門の個人的な意思としては、ハルヒの告白を受け入れたい。そんな「許されざる恋」を書きたいと思ったのでした。 Report.20 この作品で一番苦労した話。本当に、寝ても醒めてもこの話のことを考えていましたから。 物語をぐいぐい引っ張ってくれて、本当に大活躍してくれた朝倉の、花道を作ろうと頑張りました。 終わり3分の1で雰囲気がガラッと変わります。読者の感想が、『やっぱりエロい』に始まり、『これは泣ける……』、そして『非常にエロ哀しいお話だった……』と変化していく様に、「計画通り」と担当者がほくそ笑んだかどうかは、定かではありません。 Report.21 長門とみくるが急接近。というのは本筋ではありませんが、この二人ももっと仲良くなってほしいなと思い、第10話以来の描写です。第19話の締めに当たり、相当早い段階で話は出来上がっていました。しかし、第20話が難航したため、なかなか投稿できなかった話。 『笹の葉ラプソディ』でハルヒが短冊に書き、原作で重要な場面に登場する言葉、「私は、ここにいる」に呼応して、長門に「あなたがここにいる。だからわたしもここにいる」と言わせることは、ずっと前から決めていました。 結局、第20話の難航のおかげで担当者は生みの苦しみを味わい、熟成の進んだ第21話にも良い影響を与えたと思っています。 Report.22、23 みんなの視点で書こうシリーズ、いよいよ観測対象本人の視点による報告です。全員の視点で書こうと思った時から、ハルヒ視点はこの形式しかないかなと思っていました。 しかし、そういった文書構造いじりだけではなく、書きたかった話も詰め込んでいます。それが、『涼宮ハルヒの手紙』と、第21話を受けた『追伸』。ハルヒの告白と、ハルヒ版の「長門は俺の嫁」宣言です。 Report.24 「最終話まで、あと2回!」な話。最終話までの投稿予告を打っての投稿でした。ここからの話は特に、『機械知性体たちの輪舞曲』の影響がとても強いと思います。 最終3話は、TFEI端末たちの「独立宣言」になっています。 Report.25 第二部『長門有希の憂鬱』完結編。喜緑江美里の心に革命が起きました。 担当者は、朝倉は原作で復活すると思っています。たとえそれが、ただの夢であっても。 Report.26 『長門有希の報告』最終話。 挿話自体はずっと前に書き上げていて、後はどこに入れるか、という段階でしたが、入れる場所がなくて最終話まで持ち越しました。おかげで所見に入りやすくなりましたが。 すべての始まりである第1話が、完全に「報告書」の形で始まっているので、すべての終わりである最終話は、やはりそれを受けた形にして、「報告書」として完成させたいと思っていました。報告書の締めは「所見」です。 この話を書いている時に、『情報統合思念体は、この報告を読んでどう思ってるんだろう』という感想があって、びっくりしました。やばい、展開を読まれてる、と。 Extra.01 『古泉の関西弁がおかしいw』とか『西宮はこんな言葉じゃねえw』とさんざん言われていたので、釈明というかボヤきをノリで書きました。まさかこの番外編もシリーズ化するとは思いませんでしたが。 Extra.02 最終回予想その1。原作の「宇宙人と未来人が仲良くお茶を点てている光景」というくだりを読んで思い浮かんだ話を、形にしてみました。 現地語訳は、いくらネイティブの人間でも、実際には相当疲れます。その理由は、第1話の冒頭に書いた通り、書き言葉が方言の表記に適していないからです。 そういった鬱憤を晴らすかのごとく、全編共通語で書いていました。本当に楽です。 とはいえ、この作品の肝はやはり「現地語」。夢オチということで現地語世界に帰ってきます。その結果、「夢の中は共通語」という裏設定が生まれ、番外編第3話にも採用されました。 Extra.03 最終回予想その2。これを念頭に、本編第7話が出来上がりました。 番外編第2話と同様、夢の中の話なので全編共通語です。 Extra.04 みんなの視点で書いてみようシリーズの端緒。 ハルヒとみくるの熱い女の友情を書こうとしたら、なぜか肉弾戦になってしまいました。なんでやねん。 『HERO‘Sを見ながらこれを読む。リアルだwww』『カカオ99%だなw』『これ、何てHERO‘S?』との感想を頂きました。 Extra.05 番外編第4話の長門視点と、その後の話。何か鼻血ネタが多いですね。 Extra.06 『方言表記は読む気がしない』という意見や、担当者自身も他の方言圏の人には意味が通じない箇所が多々あるだろうと思っていて、いつかは出そうと思っていた共通語版です。 『まるで吹き替え版を見ているような』という意見や、その他に色々頂いた意見やアイディアを元に、現在の「現地語・字幕併記」の形が生まれました。 Extra.07 みんなの視点で書いてみようシリーズ。 ある日ふと思った、『なぜ古泉一樹ら「機関」の人間は、何の見返りもなく閉鎖空間に向かうのか』という疑問を掘り下げてみました。 世界を守らなければならないという義務感とか、そういった辛いものではなくて、「機関」や超能力者も、ちょっとした『いいもの』をハルヒから受け取っている、という関係ならいいなと思います。 『ますます古泉が好きになった』という感想を頂きました。担当者は基本、登場人物は全員好きです。カップリング話などではしょっちゅう他のキャラを貶す発言が出ますが、そのような発言を見ると、とても悲しくなります。この作品を通じて、キャラクターの魅力が再発見されて好きになる人がいたなら、幸いです。 Appendix 感想で既に先を読まれてしまっていた、情報統合思念体視点の話。 「情報統合思念体=父」というネタは特に長門スレでよく見掛けますが、「情報統合思念体=母」というネタは見たことがなかったので、天邪鬼な担当者としては、当然母バージョンなわけで。独白であれだけ硬いことを言っておきながら、端末に入ると極めてファンキーなのは、仕様です。 この作品の、特に後半が思いっきり影響を受けた『機械知性体たちの輪舞曲』では、情報統合思念体と長門有希との関係が「父と娘の和解」として描かれていますが、この作品では、「母と娘」になっています。しかも母親の方は最初から分かっててやってるということで、ある意味「娘」を手玉にとっています。朝倉の「家出」さえも織り込み済みです。母は強し。 ほんの思い付きで始めた「現地語」による記述。それがあれよあれよと回を重ね、終わってみれば本編26話、番外編7話、後日談1話、連載期間10ヶ月という、長い旅になりました。担当者の筆の遅さと、珍しい「現地語」表記による読みづらさ。それにもかかわらず読んでくれ、また応援もしてくれて、いろいろとネタを提供してくれた読者さんたち。刺激を与えてくれた職人さんたち。本当に、ありがとうございました。 そして、そのような情熱を人々に与える作品を生み出した谷川流先生に、万歳。 |目次|
https://w.atwiki.jp/sazae_yaruo/pages/106.html
。 *゚ '・*。+ み __ .. `*。 *・ ん `ヽ, `ヽ ☆* 。.* 。.:.。*゚ な ,.' -─-ヽ┃ `*。 平 < イ fノノリ)∩> 。 *゚ 等* '``・* ...ル(リ_゚ -゚ノl/ 。*・ に ゚* 。 **。⊂ 。.* 。/.。.* 。. な / /( ヽ/ +゚ ぁ 。 *゚*。し(_)+。*・ ゚ れ 平等党派閥【長門】 ♪
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/43.html
「あーあ、なんか退屈ね。どこかにおもしろいことでも転がってないかしら」 さっきからパソコンで2ちゃんねるを覗いていたハルヒが実に退屈そうにしている!いつもならば聞き流してしまうところなのだが、最近のハルヒのいらいらは相当ひどいらしく、閉鎖空間の発生が件数、規模共にこれまでの記録を1桁上まわっているだとか、次の閉鎖空間の発生が世界の最後になってもおかしくないとかいう話を古泉から聞いた直後だった俺は、焦って古泉と朝比奈さんに目配せした。 朝比奈さんの方を向くと、自分のメイド服とハンガーに掛けてあるナース服を見比べて、頭を振る。さすがにもうコスプレではハルヒも満足しないだろう。古泉もちょっと思案顔をしていたがお手上げのポーズをしてため息をつく。いくら機関でも準備なしにイベントは用意できないのだろう。二人ともネタなしか、ここは一つ、俺が何とかしなければ…そうだ! 「長門、お前友達いるのか?」 「…いる」 「SOS団以外には?」 「…」 「俺たちはお前のことを友達だと思ったことはないぜ。お前友達いないんじゃないのか?」 唐突に長門につらく当たり出した俺を、ハルヒは何も言わずじっと見ている。古泉が何かを察したのか会話に加わってくる。 「たしかに長門さんはいつも本ばかり読んで僕らと遊んでもいませんしね。海に行ったときもそうでした。本当は僕らが邪魔なんじゃないですか?無論、僕らもあなたのことをそう思っているわけですが」 よし、みんなその調子で長門を責めろ。 「私も長門さんのことがよく分からなくて…何を考えているんですか?ちょっと不気味で、怖いです」 朝比奈さんもちょっと震えながら、かなり恐ろしいことを言ってくれる。長門はそれでも本から眼を離さない。 「おい、聞いてるのか!」 俺はつかつかと長門に近づくと、読んでいた本を奪って投げ捨てた。長門は顔を上げたが、その表情からは何も読み取れない。 「目の前の受け入れたくない現実から逃避するために本の世界にのめり込む…まったく引きこもりの典型的な自己防衛行動ですね」 「そんな人が同じ部屋にいると、こちらまで気分が滅入っちゃいます」 古泉と朝比奈さんが追い打ちを掛ける。 「いつも本を読んでるくせに、反論できるくらいの知恵もないんだな。お前本当は本を読んでる振りして、俺たちのこと観察してるんじゃないのか?気持ち悪い」 長門は少しずつうつむき、完全に頭を垂れると小刻みに震えだした。 「何だ泣いてるのか。辛気くせえ、出てけよ!」 手近にあったトランプの箱を投げつける。長門の頭にヒットして札が散乱する。長門は手で顔を覆い、小さく声を上げて泣き始めた。調子に乗って椅子を蹴る。 「オラ、早く消えろ、この陰気な文芸部員がよぉ」 「お茶あげますから早く消えてくださ~い」 朝比奈さんがポットから出したばかりのお湯をぶっかける。 「あつっ、ああっ、熱い…」 耐えきれなくなったのか、長門はやおら立ち上がると鞄をつかんで部室を出て行った。 「二度と来ないでくださいね~、次は僕のセカンドレイドをお見舞いしますよ」 ドアを開けて古泉が叫ぶ。俺は長門が座っていた椅子にどかっと腰を掛けた。 「はぁ~、せいせいした」 「あんな無表情な長門さんでも泣くんですね。正直ちょっと気持ち悪かったですけど」 「明日もしまた顔を出したらどうするか、対策を練っておきましょうか…涼宮さん?」 それまでずっと黙っていたハルヒがこちらを見る。 「…ちょっと…私…」 おもむろに近づいてきたハルヒは、次の瞬間、満面の笑みを浮かべて言った。 「おもしろそうな拷問のたくさん載ってるウェブサイトを見つけたのよ、明日から一つずつ試してみましょう!」 やった、俺の読みは見事に当たったのだ。いじめは古今東西、人類最高の娯楽として君臨してきたのだからな。 「仰せの通りに」 古泉が笑顔で礼をする。パソコンのディスプレイを覗いてみると、テキストだけで精神的にも肉体的にも参ってしまいそうな拷問の数々が、写真入りで紹介されている。これは朝比奈さんには見せられないな。 「あまり派手にやっちゃうと教師にばれてまずいことになるわ。精神的なものからやってみましょ」 「これなんかどうですか~、ずっと水を頭に流し続けるっていうのがありますよ~」 朝比奈さんは俺の心配をよそに喜々としてサイトを見ている。 「じゃあキョン、帰りにホームセンターに行くわよ!ホース買わなきゃ」 ハルヒも楽しそうに言う。 「もし明日長門さんが来なかったらどうします?」 古泉の心配ももっともだ。 「大丈夫ですよ~、私が迎えに行きますから。学校に来ていなければおうちに乗り込んで引っ張ってきてあげます」 確かに朝比奈さんなら長門を無理矢理連行しても通報されることはあるまい。 「あー、なんかわくわくしてきたわ。明日が待ちきれないわね」 ハルヒは最高の笑顔で俺の腕にすがりついてくる。そんなハルヒをどうしようもなくかわいいと思ってしまったことは俺だけの秘密だ。 ホースを買ってから家に帰ると、門の前に長門が立っていた。 「よ、元気か」 小さくうなづく。 「ハルヒはいじめに期待してるぞ。明日もいい反応しろよ」 「…わかった」 「お前にはちょっとくらい手荒なことをしてもすぐ回復するよな?血が出たりすれば盛り上がるだろうから、そっちもよろしく頼む」 「肉体的なダメージは平気…でも」 珍しく言いよどむ長門。しかし俺は無視して続ける。 「あとな、こんなところハルヒに万が一見られたら、すべての計画がパーだ。今後俺には一切話しかけるなよ。もちろん古泉や朝比奈さんにもだ」 長門は目を大きく見開いて俺を見つめる。その目に涙が光っているように見えたと思った瞬間、ぽつぽつと雨が降ってきた。 「んじゃ、また明日学校でな。逃げるんじゃねえぞ」 次第に強くなる雨の中で立ちつくす長門に追い打ちをかける。 「早く消えろよ、もううちには来んな」 長門は降りしきる雨の中を走って帰っていった。その後ろ姿を見送りながら、明日以降どうやっていじめてやろうかと考えるとじんわりと笑いがこみ上げてきて止まらなかった。 あんなに素直でかわいいハルヒと、長門を思う存分いじめられる。これでもう、ハルヒは退屈なんかすることはないだろう。そしてもちろん俺も。 以上
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/1132.html
キョン「おう」 長門「・・・」 スッ キョン「もう・・・いいのか?」 長門「(コクッ)」 キョン「・・・」 ナデナデ 長門「?」 キョン「・・・」 長門「何」 キョン「あっ・・・いや、なんとなくだな・・・」 長門「?」 キョン「か、帰るか?」 長門「(コクッ)」 ハルヒ「はぁはぁ・・・!」 ハルヒ「あ、あれは・・・」 みくる「ひぃひぃ・・・す、涼宮さん、早すぎですよぉ・・・はぁはぁ・・・」 ハルヒ「な、何よアレ・・・」 みくる「えっ?・・・は、はわわ!キョン君たち、大胆・・・」 ハルヒ「・・・バカキョンッ!!!」 みくる「あっ!す、涼宮さん!?どこ行くんですかぁっ!?」 キョン「・・・」 長門「・・・」 キョン「・・・もう寒くないか?」 長門「(コクッ)」 キョン「そう・・・か」 ピタッ 長門「・・・着いた」 キョン「お、おぉ」 長門「今日は・・・ありがとう」 キョン「あぁ」 スッ 長門「これ、濡れてしまった」 キョン「え?ああ、気にすることねぇよ、じゃ俺は帰るな」 長門「・・・あの」 キョン「だからホント気にすんなって。じゃあまた明日な」 長門「・・・あ」 長門「・・・お茶・・・」 次の日 キョン「よぉハルヒ」 ハルヒ「・・・」 キョン「おいおい、いきなり無視か?」 ハルヒ「・・・っさい」 キョン「え?」 バンッ ハルヒ「うるさいっ!」 キョン「うぉっ!な、なんだよ急に!」 ハルヒ「何よ・・・もう」 キョン「お、おい?」 国木田「・・・キョン、取り込み中悪いけど、古泉君が呼んでるよ」 キョン「え?あ、あぁ・・・わかった、すぐ行く」 ハルヒ「・・・ふんっ」 キョン「なんだ古泉、俺に用か・・・って長門も?」 古泉「とりあえずここで話すのは危険ですので、場所を変えましょう」 キョン「?どういうことだ?」 古泉「涼宮さんに聞かれては困ることなのです」 キョン「・・・わかった」 長門「・・・」 屋上 キョン「・・・古泉、一体何があったんだ?長門まで呼び出して」 古泉「いや、昨日のことでしてね」 キョン「・・・それがどうした」 古泉「まぁ、簡潔に言いましょう」 キョン「?」 古泉「閉鎖空間が・・・昨日の夕方から異常に増大しています」 キョン「・・・っな!?」 古泉「このままでは非常に危険です」 キョン「ど、どういうことだ!?」 古泉「理由は・・・朝比奈さんの話から大体判明しました」 キョン「あ、朝比奈さんの・・・?」 古泉「ええ。昨日の夜、閉鎖空間の話をしたらですね、朝比奈さんが心当たりがあるとおっしゃってました」 キョン「・・・どういうことだ?」 古泉「僕の口からは言いにくいことなのですが・・・」 長門「・・・あなたと抱き合っている姿を目撃された」 キョン「っ!?」 古泉「えぇ、そういうことなんです」 キョン「そ、それでハルヒは・・・」 古泉「まぁそうなるでしょう」 キョン「そんな・・・」 古泉「涼宮さんは、少なからずあなたに好意を持っていました。これは間違いないです」 キョン「・・・」 古泉「しかし、言い方が悪いでしょうが、あなたは涼宮ハルヒを裏切った」 キョン「俺がか!?・・・そ、そんな気はないぞ!」 古泉「いえ、涼宮さん本人にとっては大きな精神的動揺に繋がっています。その証拠に閉鎖空間が増大しているのです。」 長門「これ以上閉鎖空間が増大すると・・・危険」 キョン「な、長門・・・」 古泉「機関は大騒ぎですよ。まさかここまで悪化するとは想定していませんでした」 キョン「・・・俺はどうすればいいんだ」 古泉「涼宮さんは、長門さんとあなたの関係に激しい嫉妬感を持っています」 キョン「・・・」 古泉「簡潔に言いましょう・・・もうなるべく長門さんには近付かないで下さい」 キョン「っ!」 ガシッ! キョン「長門がいじめられてるのを・・・見逃せってことかよっ!」 古泉「キョン君、落ち着いてください、冷静に話しましょう」 キョン「俺は何度も長門に助けられてるのに・・・こんな話あるか!」 長門「・・・」 古泉「長門さんに関しては、機関が全力でバックアップするつもりです」 キョン「・・・っ!」 スッ 古泉「あなたの気持ちもわかります。しかし、状況が状況です。協力してください」 キョン「・・・」 長門「・・・そういうこと」 キョン「な、長門・・・」 古泉「しばらく長門さんは学校を休みます。今日も部活には出ません」 キョン「そ、そこまでしないとダメなのか!?」 古泉「・・・これは長門さんの意思です」 キョン「長門の・・・くそっ!」 長門「・・・」 古泉「僕は、機関にこのことを報告するので・・・失礼します」 長門「・・・」 キョン「長門は・・・これでいいのか?」 長門「何が」 キョン「・・・」 長門「仕方のないこと」 キョン「すまない・・・」 長門「・・・謝らないで」 キーンコーンカーンコーン キョン「・・・じゃあな、長門」 長門「(コクッ)」 長門「・・・」 キョン「・・・」 ハルヒ「どこ行ってたのよ?」 キョン「トイレだ、別にかまわないだろ」 ハルヒ「・・・有希のところじゃないの?」 キョン「っ!」 ハルヒ「ほら?図星ね、何してたのよ」 キョン「違う、俺は・・・」 ハルヒ「何よ?あたしに嘘ついても無駄なんだからね!」 キョン「・・・」 ハルヒ「ほら、何してたか話しなさいよ?どうせまたいやらしい事でもしてたんでしょ?」 キョン「!!て、てめぇっ!」 ガタッ! 谷口「お、おいキョン!何やってんだよ!落ち着けって!」 ハルヒ「な、何なのよバカキョン!!!」 キョン「クソッ!」 国木田「キョン、とりあえず落ち着こうよ!?皆も見てるし・・・」 キョン「はぁはぁ・・・」 ハルヒ「・・・」 キョン「・・・帰る」 谷口「おいキョン、どこ行くんだよ!?」 キョン「ついてくるな」 国木田「ちょ、ちょっと!?」 ~部室~ キョン「ハァ・・・今さら戻ったら、めちゃくちゃ怒られるだろうな」 キョン「長門・・・」 キョン「あいつ・・・いつも一人ぼっちで・・・本読んでたんだな・・・」 キョン「・・・」 バタッ キョン「っ!」 長門「・・・あ」 キョン「な、長門?なんでここに?」 長門「忘れ物」 キョン「も、もう帰るのか?」 長門「(コクリ)」 キョン「・・・そうか」 長門「あなたは、なぜここにいるの?」 キョン「え?あぁ、ハルヒと・・・少しな」 長門「・・・そう」 キョン「・・・」 長門「涼宮ハルヒとは・・・仲良くして」 キョン「な、長門・・・」 長門「そうしないと、この世界は終わる」 キョン「あぁ、わかってる」 長門「それに・・・私のことは気にしないで」 キョン「・・・わかったよ」 長門「・・・じゃ」 キョン「・・・ちょっと待てくれ」 長門「?」 キョン「長門、寒くないか?」 長門「別に・・・!?」 ギュッ キョン「・・・暖かいか?」 長門「・・・」 キョン「ごめんな、俺のせいでこんなことになって」 長門「・・・あなたのせいじゃない」 キョン「いや、俺のせいにしといてくれ」 長門「・・・(コクッ)」 スッ キョン「じゃ・・・またな」 長門「・・・また」 ガラッ 谷口「お、おおキョン、何してたんだよ?もう昼休みだぞ?」 キョン「ハルヒは?」 谷口「あいつか?またどっかに消えてったな」 キョン「わかった。すまなかったな、心配かけて」 谷口「いや、気にするな!しかしお前があんなにカーッとなるな・・・っていねぇし」 中庭 ハルヒ「・・・はぁ」 キョン「おいおい、どうした?そんな深い溜め息ついて」 ハルヒ「キョ、キョン!!いつ帰って来たの!?」 キョン「ついさっきだ。部室で頭冷やしてたんだよ」 ハルヒ「何よそれ・・・あたしに言うことあるんじゃないの!?」 グイッ キョン「っと!お、おい!ネクタイは引っ張るなっ!」 ハルヒ「いいから早く言いなさいよ!」 キョン「・・・すまなかった、反省してるよ」 ハルヒ「・・・(ぷいっ)」 キョン「何だよその態度は・・・謝っただろ?」 ハルヒ「・・・うっさいわね」 キョン「・・・」 ハルヒ「・・・あたしも少し言い過ぎた・・・」 キョン「・・・そうだな」 ハルヒ「でも、殴ろうとすることはないでしょ!?」 キョン「い、いやあれはだな、ついカーッとなって・・・」 ハルヒ「団長を殴るなんて二千億年早いのよ!」 バシッ キョン「いでっ!わ、わかってるよ!だから叩くな!」 ハルヒ「・・・本当に反省してる?」 キョン「あぁ、悪かったよ。めちゃくちゃ反省してるさ」 ハルヒ「・・・」 キョン「だから許してくれよ?な?」 ハルヒ「・・・わかったわ。でも今度あたしを殴ろうとしたら、SOS団強制脱退よ!?いいわね!」 キョン「わーったよ!(俺は別に構わないが・・・)」 ハルヒ「今なんか言った?」 キョン「い、いや言ってない!」 ハルヒ「怪しいわね・・・まぁいいわ、罰として今度何か奢りなさい!」 キョン「あー、はいはい、わかったよ」 ハルヒ「じゃあ、あたしはお昼食べに行くから!キョンも早く食べちゃいなさいよ?」 キョン「言われなくてもわかってる」 キョン「・・・」 キョン「(・・・長門、これでいいんだよな?・・・)」 放課後 キョン「朝比奈さーん、入りますよ?」 みくる「・・・どうぞ」 ガチャ キョン「こんにち・・・って朝比奈さん!なんで泣いてるんですか!?」 みくる「ぐすっ・・・わ、わたしのせいで・・・長門さんが・・・ふぇぇぇん!」 キョン「い、いや、朝比奈さんのせいじゃないですよ?」 みくる「古泉くんに・・・ぐすっ・・・あのこと話したのが間違いでしたぁ・・・まさか機関があそこまで動くなんて・・・」 キョン「朝比奈さん、落ち着いてください」 みくる「キョン君・・・怒ってるでしょ?」 キョン「・・・」 みくる「キョン君は・・・長門さんのこと・・・」 キョン「朝比奈さんっ!!」 みくる「ひっ!」 キョン「これは、誰のせいでもないです」 みくる「・・・」 キョン「それに・・・俺は誰も責める気はありません」 みくる「・・・はい」 キョン「これは・・・俺とハルヒの問題です」 みくる「キョ、キョン君・・・」 古泉「よく理解してくれていて、幸いです」 キョン「・・・古泉」 古泉「どうやら涼宮さんとは復縁できたようですね。閉鎖空間が減少してきています」 キョン「・・・」 みくる「古泉君・・・長門さんは・・・」 古泉「今日は早退させました。涼宮さんが長門さんの顔を見てどういう反応をするか・・・最悪のことを考えての配慮です」 みくる「そ、そこまでするこ・・・」 ハルヒ「やっほーーー!うわっ、やっぱ寒いわねー!みくるちゃん、お茶ちょーだい!」 みくる「えぁっ!?は、はい」 ハルヒ「あれ?みくるちゃん目赤いよ?どうしたの?」 みくる「た、ただの寝不足です!」 ハルヒ「・・・ふーん」 キョン「・・・」 ハルヒ「あれ?有希は?」 古泉「・・・長門さんなら、海外に行っているそうです」 ハルヒ「海外?何で今頃・・・」 キョン「・・・」 古泉「親族の方がエクアドルにお住みで、どうやら長門さんの祖母が危篤らしいのです」 ハルヒ「・・・そうなの」 古泉「ですので、しばらく学校には来れないそうです」 ハルヒ「ふーん」 キョン「っ!(なんでそんなに冷静なんだよっ!)」 ギュ キョン「・・・朝比奈さん?」 みくる「キョン君、落ち着いて・・・今は・・・我慢しないと・・・」 キョン「・・・わかってます」 みくる「・・・キョン君・・・」 キョン「・・・」 ハルヒ「・・・」 みくる「・・・」 古泉「・・・」 ガタッ ハルヒ「?」 みくる「あ、あの・・・わたし、今日ちょっと用事があるので・・・これで失礼してもいいですか?」 ハルヒ「え?あぁ・・・じゃあ今日はこれでお開きにしましょ」 古泉「わかりました。キョン君、帰りましょう」 キョン「・・・あぁ」 古泉「じゃあ涼宮さん、僕たちは先に失礼します」 ハルヒ「うん・・・じゃあね、古泉君、キョン」 キョン「・・・じゃあな」 古泉「・・・」 キョン「・・・」 古泉「キョン君?どこに行くのですか?」 キョン「・・・少しな」 古泉「長門さんのところですか?」 キョン「・・・だったら何だ」 古泉「フフ、僕に止める気はありませんよ」 キョン「・・・」 古泉「と言うより、僕にはあなたを止める権利がない」 キョン「・・・」 古泉「しかし、その行動があなたと長門さんにとってに正しい選択とはいえません」 キョン「・・・わかってるよ、古泉」 古泉「キョン君、よく考えて行動してください。僕が言いたいことはそれだけです」 キョン「あぁ」 古泉「では、また明日」 キョン「・・・」 3話
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/2939.html
おまけ NG集 ---- 「車まで運んだはいいが、後どうしよう?」 「……わたしが運転する」 「長門、運転できるのか」 「……理論はわかる」 理論って、長門なら学科試験は簡単に通るだろうが……。しょうがない、完璧を期する長門の力学的正確さに任せよう。 俺が助手席に座り、後ろの三人の膝の上に谷川氏を寝かせた。長門の、おそらく生涯初であろう車の運転をハラハラしながら見守った。 「……左右確認。アクセル、発進」 「うわあああ、長門そりゃバックだ!」 「……問題ない」 バックのまま高速走行する長門。 ---- 俺は目を疑った。あ……朝比奈さんが、「朝比奈さんが十一人いる!」 「長門、ちょっと状況を説明してくれ」 「……次元断層によって複数の分岐が同時に生まれた。複数の未来軸が発生」 なんてこった。 「つまり、調査に訪れた朝比奈さんが十一人いる結果に」古泉が肩をすくめた。 「キョン君」「困った」「ことに」「なっちゃい」「ましたぁ」 「お願いです、誰かひとり代表してしゃべってもらえませんか」 「代表なんていないわ!我は個別の十一人!」 みくるちゃん、それって別のアニメやろ。 「えへっ。ちょっと言ってみたかったんですぅ」 ---- 部室棟の階段を上がると、文芸部部室がやたら静かだ。ハルヒが新人勧誘をおっぱじめるわけはないよな。 ドアを開けるなり「……!」と聞きなれた無言がエコーして聞こえた。 なんだこのスタジオの壁並みの吸音効果は。 俺は目を疑った。な……長門が、「長門が十一人いる!」 「長門、ちょっと状況を説明してくれ」 「……今のは、量子飛躍」 それがやりたかっただけか。 ---- 「ねえキョン、見て見て。神人がハレ晴レユカイ踊るわよ。しかもスペシャルバージョンよ!」 「なにやってんだお前」 「これは貴重な映像ですね」 「って古泉、ビデオカメラ回してるんじゃない」 「……閉鎖空間、絶賛拡大中」 長門ピース。 ---- 「そっちのわたしはえらく無口なのだな。もっと意思表示したほうがいいぞ」 「……あなたこそ、まだメガネをかけているの」 あたりに暗雲が立ち込めそうなくらい緊張した空気が漂ってきた。怒ったαの顔が紅潮した。 「こ、これはファッションなのだ!レノマだぞレノマ!」 「……プッ。わたしにメガネ属性はない」 「メガネ属性って何だ、教えろ」 「……教えないもん」 ぷいと横を向く長門。 ---- 「なぎ払え!」 ── うぼああぁ 「どうしたのよ!それでも世界を焼き尽くした神人なの!?」 ── うぼ……うぼぉぁ? 「ちょっと古泉君、なんとかして」 「別のアニメと間違えてないかって言ってますが」 「チッ、腐ってやがる」 (保守で貼ったやつ) ---- 「……谷川、話がある」 「何か用かな有希ちゃん」 「……わたしを主役に匹敵する活躍をさせないと、あなたを情報連結解除する」 「だ、誰か助けて、朝倉さん!」 「さあてね。わたしをヒロインにしてくれたら助けてもいいと思うのね」 「なにをおっしゃいますか。主役の座はわたくししかいませんわ」 「次回、主役の座を巡ってTFEIの全面戦争、お見逃しなく」 「ねえよ」 ---- 「谷川、ジョンスミスって実はあんたでしょ?」 「え……なんでそんなことに」 「やっぱりね。隠さなくてもいいのに、うふふっ」 「だ、だめだよハルにゃん。僕は今年38歳なんだから」 「いいのよ、あたしは中年が好みだから」 なにこのフラグ。 ---- 「えーっとタバコタバコ、っと。あれ、マッチどこやったっけか」 「谷川さん僕の力でよろしければどうぞ」 「ああ、ありがと」 ボン! 「……」 「す、すいません。火力の加減を間違えました」 ぷすぷす。 ---- 「……たぁかぁさぁごぉやぁ、このうらぶねにぃほぉあげて~」 「……」 「……ま~いおりた、あいわずすのぅ~」 ---- 「そこで浮かんでるの古泉君なの?」 「実は僕はラマ僧でして、空中浮遊ができるんです」 宙に浮いていた古泉がマヌケ面をして降りてきた。これは困ったことになった。どう説明したらいいのか。長門もフォローのしようがないという顔をしていた。 「ラマ僧って頭剃ってるんじゃなかったかしら」 「そのとおりです、ほら」 ってお前、ヅラだったのかよ! ----
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/1134.html
妹「キョーンくん!朝だよー!」 キョン「・・・あー」 妹「ほらー!早く起きてー!」 キョン「いって!わかったわかった!」 妹「はぁやぁくー!」 キョン「ふぁー・・・」 キョン(長門のこと考えてて・・・よく寝れなかったな) 妹「キョン君?目真っ赤だよ?」 キョン「あー、なんでもない。それよりほら、朝飯だ」 妹「うんっ!」 学校 キョン「うーす、ハルヒ」 ハルヒ「・・・」 キョン(また機嫌悪そうだな・・・いつものことか) ハルヒ「・・・ねぇ、キョン?」 キョン「ん、何だ?」 ハルヒ「有希、いつになったら帰ってくるんだろ」 キョン「長門か?確か2、3ヶ月って言ってたぞ」 ハルヒ「・・・ふーん」 キョン「なんだよ突然」 ハルヒ「う、うるさいわね。あんたには関係ないのっ!」 キョン「っと、はいはい」 ハルヒ「・・・ふんっ」 ガラッ みくる「はぁはぁはぁ・・・キョ、キョンくぅん!」 キョン「・・・朝比奈さん?」 パタパタ みくる「ひぃひぃ・・・」 ハルヒ「ちょ、ちょっとみくるちゃん!?こんな時間にどうしたの?もう授業始ま・・・」 みくる「と、とにかくキョンくん!一緒に来てください!」 キョン「へ?なんで俺が・・・ってて!」 みくる「はやくしてくださぁい!」 キョン「わ、わかりましたからそんなに引っ張らないで下さいよ!」 ハルヒ「みくるちゃん!?どういうこと・・・」 バタン ハルヒ「・・・なんなのよ」 みくる「はぁはぁ・・・」 キョン「えーと、なんですか?こんな所に連れ出して」 みくる「た、大変なんですよぉ!緊急事態です!」 キョン「へ?緊急事態?」 みくる「その、朝倉さんが・・・」 キョン「え?」 みくる「だから朝く・・・わわっ! キョン「あ、朝倉!?ちょっと、今何て言いました!?」 みくる「ひっ!ちょっと落ち着いてキョンくん・・・ひゃ!」 キョン「朝倉が何なんですか!?」 みくる「えと、その・・・こっちに戻ってきたみたいなんですよぉ!」 キョン「な・・・マジですか!」 みくる「マジです・・・大マジです」 キョン「なんで朝倉が・・・」 みくる「前に長門さんから話は聞いてました・・・キョンくん殺されそうになったって・・・」 キョン「その情報は誰から?」 みくる「えと・・・その、禁則事項ですぅ・・・」 キョン「アレですか?未来の偉い人とかそんなのからですか?」 みくる「そ、そんなところです・・・」 キョン「くっそ・・・今朝倉がどこにいるかわかりますか!?」 みくる「それはちょっと・・・ってキョンくん!?どこ行くんですか!?」 キョン「朝比奈さんは古泉にこのことを伝えてください!俺は長門のところに行って来ます!」 みくる「そんな!一人じゃ危険すぎますよ!キョンくん!!」 キョン「くっそ!」 キョン「はぁはぁはぁ・・・」 ピンポーンピンポーンピンポーン キョン「くっそ・・・出ろよ!長門!」 ガチャ キョン「!」 長門「・・・」 キョン「長門!俺だ!」 長門「何」 キョン「とりあえず中に入れてくれ!」 長門「・・・なぜ」 キョン「いいから!」 長門「・・・」 ガーッ キョン「はぁはぁ・・・」 長門「何」 キョン「あ、朝倉はこなかったか!?」 長門「・・・朝倉」 キョン「そうだよ、朝倉涼子! 長門「・・・来てない」 キョン「そう・・・か・・・ハァー・・・」 長門「朝倉涼子は消えた。私が情報連結を解除したはず」 キョン「朝比奈さんがな、戻ってきたって」 長門「・・・朝比奈みくるが」 キョン「ああ・・・理由はよく分からないけどな」 長門「・・・理由」 キョン「ふー、とりあえず安心したよ・・・無事でよかった」 長門「・・・」 ヴーヴー キョン「なんだ?」 長門「・・・電話」 キョン「あ、ああ。俺か」 パカッ キョン「なんだこの番号?」 長門「・・・っ!」 キョン「もしも・・・」 長門「出ちゃダメ」 キョン「へ?」 ?「・・・ふふ、見ーつけた」 キョン「!」 バチッ! キョン「いでっ!」 長門「・・・特定された」 キョン「な、なんだよ突然」 長門「・・・来る」 キョン「来る?何が来r」 ドォォォオオオォオオオンッ!! キョン「うおぉぉぁっ!」 長門「っく・・・」 オォォォ・・・・ 長門「・・・なぜここへ」 朝倉「ふふ、お久しぶりね。長門さんに・・・キョン君♪」 5話
https://w.atwiki.jp/kagakyon/pages/965.html
七誌◆7SHIicilOU氏の作品です。 空耳、というと 聞こえてないのに聞こえる幻聴というような意味合いがあるのだが 今日のSOS団でその言葉を使うと違う意味に取られる では一体どんな意味になるのかというと…、説明に困るが 近い言葉は聞き間違いだろうか 外国の音楽の歌詞を無理やり日本語にしてしまう事だ でなぜいきなりこんな事を言うのかと思えば、理由はある 「へぇ…色々あんのねぇ」 ハルヒが今机に肘をかけながら弄ってるパソコンで 更にいうなればそのパソコンの両脇のスピーカーから流れてる曲だ この場で聞く限り普通の音楽なのだが ハルヒの見ている画面の向こうには珍妙なキャラが動き回り 変な歌詞が流れてることだろう まったく、こなたも変なもんを教えやがって 俺はハルヒの後ろで一緒にみてるこなたを睨む こなたは俺の視線に気が付いて、無垢な笑みで手を振って答える あいつ、純粋に現状を楽しんでる 「はぁ」 ため息をついて俺もこなたの方に歩き 窓に背を向けてパソコンの画面を見てみる ハルヒはそれに気付いて一回再生中だったそれを停止させて最初から再生させた マーシェリーマーシェリーうるさい曲だ、同じのばかり繰り返してまるで『運命』みたいだ あれも確か曲を脳に浮かべる能力が足りなくて同じ節ばかり繰り返す単調な曲だった と、記号で書かれたキャラが画面内を文字通り動き回ってる 「…日本くらいある餃子をつくる材料ってどれくらい必要かしらね?」 ハルヒがぽつりと、空耳歌詞をながめて言葉を落とす …おいおい、作り出すとか言わないでくれよ頼むから 「んなわけないでしょ、ちょっとした興味よ興味」 お前のそのちょっとした興味でいままで俺達がどんな目にあったか逐一言ってやろうか? その度に長門に助けてもらったりだ 「…どうした長門、お前も興味あるのか?」 長門に見たら目があった、本から顔を上げてこちらをじっと見てる長門に 俺が声をかけると長門は本をしまってゆっくりとした足取りでこっちにやってきた よかった長門がなにかに興味をもったのを発見できて 感情はいくら読みやすくなっても、積極的からはやはり程遠いからな 俺とこなたはちょいと長門に場所を譲り ハルヒはもう一度最初からそのよくわからんものを流す …えぇい、気が付くと頭の中で流れてて、気が付くと口ずさんでそうだぜ 俺は長門の様子を眺めながら、無理やり違う歌を頭の中で反芻して どうにか耳に付かないように苦労していたが、途中であきらめた これを言うのも何度目かわからないが、人間諦めが肝心だよな 「……わかった」 長門は最後までその映像を瞬き一つせずに見つめた後 小さくそういってテテテと自分の椅子に戻り 自分の多分授業用のノートを取り出した 「…ペン貸して」 「あいよぅながもん」 こなたから黒の細いマッキーを借りた、何をする気だろうか もしかしてノートにマジックでさっきの絵を描いてそれが動き出すなんてことは無いよな? 長門だったらやらないだろうが、不可能でもないだろうから不安だ キューとマジック特有の音を立てて、硬いノートの表紙に書かれたのは 俺の想像通りさっきのよくわからん猫とかの絵だった 俺の想像とは違って動きはしなかったが、非常に上手くかけていた そう、"上手く"描けていた つまりそれはそのまま同じものではなかったということ 長門なら完璧に同じものをかけるだろうに、ノートに描かれていたのは さっきの記号の絵ではなく、普通の線で描かれた絵だった そっくりだけど、少し違う絵 非常に上手くてきれいだけど、そのままじゃない やっぱり変わったんだな、長門もさ 「上手くかけてるよ、長門」 「…そう」 「へぇ、有希って絵の才能もあるのね~さすが万能少女ね」 長門はそれには答えなかったが心なし楽しそうに嬉しそうにしてるように見えた 次の日、俺のノートの表紙全てに色々な絵が描かれていた 確かに学校に置きっぱなしでわあるが 全てにこんな事をするような暇人はいないだろうし 少ししかみなかったが長門のあの絵と同じなのは理解できた 好きなものを見つけるのはいいことだが…… さて、今日はノート提出があるんだよな
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/41.html
「あーあ、なんか退屈ね。どこかにおもしろいことでも転がってないかしら」 さっきからパソコンで2ちゃんねるを覗いていたハルヒが実に退屈そうにしている!いつもならば聞き流してしまうところなのだが、最近のハルヒのいらいらは相当ひどいらしく、閉鎖空間の発生が件数、規模共にこれまでの記録を1桁上まわっているだとか、次の閉鎖空間の発生が世界の最後になってもおかしくないとかいう話を古泉から聞いた直後だった俺は、焦って古泉と朝比奈さんに目配せした。 朝比奈さんの方を向くと、自分のメイド服とハンガーに掛けてあるナース服を見比べて、頭を振る。さすがにもうコスプレではハルヒも満足しないだろう。古泉もちょっと思案顔をしていたがお手上げのポーズをしてため息をつく。いくら機関でも準備なしにイベントは用意できないのだろう。二人ともネタなしか、ここは一つ、俺が何とかしなければ…そうだ! 「長門、お前友達いるのか?」 「…いる」 「SOS団以外には?」 「…」 「俺たちはお前のことを友達だと思ったことはないぜ。お前友達いないんじゃないのか?」 唐突に長門につらく当たり出した俺を、ハルヒは何も言わずじっと見ている。古泉が何かを察したのか会話に加わってくる。 「たしかに長門さんはいつも本ばかり読んで僕らと遊んでもいませんしね。海に行ったときもそうでした。本当は僕らが邪魔なんじゃないですか?無論、僕らもあなたのことをそう思っているわけですが」 よし、みんなその調子で長門を責めろ。 「私も長門さんのことがよく分からなくて…何を考えているんですか?ちょっと不気味で、怖いです」 朝比奈さんもちょっと震えながら、かなり恐ろしいことを言ってくれる。長門はそれでも本から眼を離さない。 「おい、聞いてるのか!」 俺はつかつかと長門に近づくと、読んでいた本を奪って投げ捨てた。長門は顔を上げたが、その表情からは何も読み取れない。 「目の前の受け入れたくない現実から逃避するために本の世界にのめり込む…まったく引きこもりの典型的な自己防衛行動ですね」 「そんな人が同じ部屋にいると、こちらまで気分が滅入っちゃいます」 古泉と朝比奈さんが追い打ちを掛ける。 「いつも本を読んでるくせに、反論できるくらいの知恵もないんだな。お前本当は本を読んでる振りして、俺たちのこと観察してるんじゃないのか?気持ち悪い」 長門は少しずつうつむき、完全に頭を垂れると小刻みに震えだした。 「何だ泣いてるのか。辛気くせえ、出てけよ!」 手近にあったトランプの箱を投げつける。長門の頭にヒットして札が散乱する。長門は手で顔を覆い、小さく声を上げて泣き始めた。調子に乗って椅子を蹴る。 「オラ、早く消えろ、この陰気な文芸部員がよぉ」 「お茶あげますから早く消えてくださ~い」 朝比奈さんがポットから出したばかりのお湯をぶっかける。 「あつっ、ああっ、熱い…」 耐えきれなくなったのか、長門はやおら立ち上がると鞄をつかんで部室を出て行った。 「二度と来ないでくださいね~、次は僕のセカンドレイドをお見舞いしますよ」 ドアを開けて古泉が叫ぶ。俺は長門が座っていた椅子にどかっと腰を掛けた。 「はぁ~、せいせいした」 「あんな無表情な長門さんでも泣くんですね。正直ちょっと気持ち悪かったですけど」 「明日もしまた顔を出したらどうするか、対策を練っておきましょうか…涼宮さん?」 それまでずっと黙っていたハルヒがこちらを見る。 「…ちょっと…私…」 おもむろに近づいてきたハルヒは、次の瞬間、満面の笑みを浮かべて言った。 「おもしろそうな拷問のたくさん載ってるウェブサイトを見つけたのよ、明日から一つずつ試してみましょう!」 やった、俺の読みは見事に当たったのだ。いじめは古今東西、人類最高の娯楽として君臨してきたのだからな。 「仰せの通りに」 古泉が笑顔で礼をする。パソコンのディスプレイを覗いてみると、テキストだけで精神的にも肉体的にも参ってしまいそうな拷問の数々が、写真入りで紹介されている。これは朝比奈さんには見せられないな。 「あまり派手にやっちゃうと教師にばれてまずいことになるわ。精神的なものからやってみましょ」 「これなんかどうですか~、ずっと水を頭に流し続けるっていうのがありますよ~」 朝比奈さんは俺の心配をよそに喜々としてサイトを見ている。 「じゃあキョン、帰りにホームセンターに行くわよ!ホース買わなきゃ」 ハルヒも楽しそうに言う。 「もし明日長門さんが来なかったらどうします?」 古泉の心配ももっともだ。 「大丈夫ですよ~、私が迎えに行きますから。学校に来ていなければおうちに乗り込んで引っ張ってきてあげます」 確かに朝比奈さんなら長門を無理矢理連行しても通報されることはあるまい。 「あー、なんかわくわくしてきたわ。明日が待ちきれないわね」 ハルヒは最高の笑顔で俺の腕にすがりついてくる。そんなハルヒをどうしようもなくかわいいと思ってしまったことは俺だけの秘密だ。 ホースを買ってから家に帰ると、門の前に長門が立っていた。 「よ、元気か」 小さくうなづく。 「ハルヒはいじめに期待してるぞ。明日もいい反応しろよ」 「…わかった」 「お前にはちょっとくらい手荒なことをしてもすぐ回復するよな?血が出たりすれば盛り上がるだろうから、そっちもよろしく頼む」 「肉体的なダメージは平気…でも」 珍しく言いよどむ長門。しかし俺は無視して続ける。 「あとな、こんなところハルヒに万が一見られたら、すべての計画がパーだ。今後俺には一切話しかけるなよ。もちろん古泉や朝比奈さんにもだ」 長門は目を大きく見開いて俺を見つめる。その目に涙が光っているように見えたと思った瞬間、ぽつぽつと雨が降ってきた。 「んじゃ、また明日学校でな。逃げるんじゃねえぞ」 次第に強くなる雨の中で立ちつくす長門に追い打ちをかける。 「早く消えろよ、もううちには来んな」 長門は降りしきる雨の中を走って帰っていった。その後ろ姿を見送りながら、明日以降どうやっていじめてやろうかと考えるとじんわりと笑いがこみ上げてきて止まらなかった。 あんなに素直でかわいいハルヒと、長門を思う存分いじめられる。これでもう、ハルヒは退屈なんかすることはないだろう。そしてもちろん俺も。 以上