約 2,494,878 件
https://w.atwiki.jp/ukwindom/pages/27.html
シェリル&ランカ http //loda.jp/ukwindom/?id=38
https://w.atwiki.jp/sheryl/pages/71.html
ナレーション 巨人族ゼントラーディ。太古にプロトカルチャーによって生み出された、文化を知らない戦闘種族。 遡れば可変戦闘機Variable Fighterシリーズは、彼ら巨人族との遭遇、戦闘を念頭に開発されたものであった。 人類を滅亡の瀬戸際まで追い込んだ不幸な出会いを経て、やがて彼らは人類と融和し、 現在では共に歩む者になっている。 その架け橋となったのは、一人の歌姫の歌だったという。 ランカ あぁーっ! コック ん!? ランカ ごめんね、ナナちゃん。 ナナセ どうしちゃったんですか?ずっと上の空で。 ランカ ん?うわー。やったやったぁー! ナナセ ちょっ、ランカさん。 ランカ やったの私。 ナナセ ん、何を? ハハハハハ。やりましたねぇ! ランカ やったー。 ナナセ ミス・マクロスフロンティアの予選通過。おめでとうございますランカさーん! アルト っん!くっ…。 ああ!?うわぁあっ!! ミハエル 25回目の死亡、おめでとう。アルト姫。 アルト はぁ…。 トライアングラー(オープニング) ミハエル それで格納庫を25周。EXギアのパワーを入れたら倍だぞ。 アルト 覚えてろよ、ミハエル! ミハエル 少尉殿、だ。プラス一周! アルト くっそぉー!ぐぉおおあっ!っぐ!うぁ、ぐああ! モニカ あの子でしょ、新入りさんて。 ラム そうです。現在17歳。 ミーナ うわお♪なんか結構…。 ボビー 美形~♪ ルカ 悪人ですね。ミシェル先輩。 ミハエル あぁ? ルカ シュミレーターの難度設定。 ミハエル 普通じゃすぐにクリアされちまうからな。あの高慢ちきな鼻っ柱を叩き折るには、あれぐらいで丁度いいんだよ。 ルカ ンッフフッヒヒ。 ミハエル 何だよ、その笑いは。 ルカ いやぁ、さすがによく分かってるなぁと思って。 ランカ 『ねぇ聞いてアルト君。私ミス・マクロスの予選に通ったの。 駄目元だったけど応募して良かった。これもみんなアルト君のおかげだよ』 オズマ 下手糞! アルト ぐあっ! ランカ 『でね、今度の日曜日が本選なの。お願い、見に来てね。そしたら私がんばれるから』 アルト ったくまぁ。 ミハエル ほほう。 ルカ 先輩、いつの間にランカさんと。 ミハエル あ?ランカちゃんのミス・マクロスの方は驚かないのか? ルカ それはナナセさんに聞いてます。 ボビー ん~~。 ルカ あ、でも隊長には内緒ですね。 ミハエル 当たり前だろ。もしそんなことが。 あっ。 オズマ 何が内緒だ? ミハエル い、いえ!何でもありません! オズマ で、どうだ、新入りは。 ミハエル はい。見ての通りです。 ミハエル&ルカ え!? オズマ ……で、どう思うんだ。 ミハエル あ…は…。 オズマ こいつの入隊に一番反対していたお前らから見てだ。 ミハエル あー言いはしましたけど腕はありますからね、このお姫様は。 オズマ なら、そろそろやるか。 実施は今度の日曜12 00だ! ルカ えー!?その日はミス・マクロスの……。 ミハエル おいっ! オズマ あぁ?伝統だか何だか知らんが、あんな低俗なイベントが見たいのか。 ミハエル いえ、もう全然。 オズマ あんなものにホイホイ出る娘達の気が知れん。 ミハエル まったく。ハハハハハ。 CM ミス・マクロスフロンティア。スペシャルゲストにシェリル・ノームを迎え、本日開催。 ランカ 私、何か凄い場違いみたいな気がする。 ミランダ あらナナセじゃない。ジュニアハイ以来よね。まさか出るの? ナナセ いえ。私はお友達の付き添いで。 ミランダ ん?ふ~ん。よろしく♪フッハハハハ。 ランカ ……。 ナナセ 大丈夫!サイズなんか問題じゃありません。ランカさんはかわいいですから!じゃがんばってください。 ランカ あ!ふぅー。 出場者 使わないならどいて下さる? ランカ あ…。ごめんなさい。 出場者 あぁニキビ出ちゃってるよぉ。 出場者 そこに立たれると邪魔なんだけど。 ランカ あ、はい! アルト ……。 ミハエル ボビー大尉呼ぼうかぁ? アルト あの不気味野郎に言っとけ!次やったらタダじゃ置かないって! ミハエル 新入りは弄られるのも仕事の内さ。で、めかし込んでデートか? アルト 違う。約束があるんだ、義理で。 ミハエル お~。 アルト ……義務と言ってもいい。 ミハエル ま、せいぜい楽しんで来るんだな、お姫様。 オズマ オズマ・リー、入ります。 ジェフリー どうだね、仕上がりは。 オズマ ウチの連中に50。フ。 ジェフリー 受けよう。 クラン フフ…。 関係者 相変わらずお美しい~。さすがは第8回の準ミスですなぁ、ミス・キャサリン。 キャシー 昔の話です。若輩ですが、今日は父の名代をしっかり務めさせて頂きます。 レオン 遅れて申し訳ありません。我々が最後ですか? 関係者 お一人、早乙女先生がまだ。 キャシー …早乙女? ランカ やっぱ無理だよね、私なんかじゃ。 ケータイ君 メールだよ。メールだよ。メールだよ。メー。 ランカ え? シェリル あら、迷子? ランカ 違います。私は…あ。 シェリル なら早く行きなさい。ここは夢の入り口。でも階段に足を掛けただけよ。私を追いかけたかったら迷わず進んでくるのね! ランカ はい! 司会 これより第12回ミス・マクロスフロンティアを開催致しまーす。 ランカ はぁー。よし! ルカ あ~あ。生で見たかったな、ランカさんの晴れ姿。 ミハエル 嘘付け。お前の目的は違うだろ。 ルカ え? ミハエル 時間だ。 司会 それでは審査員のご紹介を。 アルト 悪い。すぐ戻る。 ナナセ え?早乙女君? オズマ オズマだ。これより貴様の入隊最終テストを行う。 アルト 俺は非番…。 オズマ 非常講習だ。お前に拒否権は無い。 アルト ……。 関係者 もう紹介が始まってますのでお急ぎください、早乙女先生。 アルト あ、親父…。 オズマ どうした、返事は! アルト うっ……! 関係者 お知り合いですか? 嵐蔵 知らん。 SMS隊員 EXギアシステム、コンタクト。 SMS隊員 模擬弾だ。間違えるな! SMS隊員 スカル3は電子戦装備。2はロングレンジパックだ。急げ! SMS隊員 スカル4の装備は?。 アルト す、スーパーパックを! ミハエル あ?フ。 デートは途中で切り上げか? アルト とっとと終わらせて戻るさ。 ミハエル スカル小隊、出るぞ! アルト そうさ。すぐ終わらせて……見てろ。 ラム グッドラック、スカル4。 アルト サンキュー。 司会 それではこれより第4次選考を。 ナナセ はぁー。 ルカ テスト内容は模擬戦闘です。相手はピクシー小隊。クァドラン・レアの3機で編成されています。 アルト クァドランか。 ルカ この宙域の先行偵察任務にあたっていたのもピクシーですし、かなり手強いですよ。ね、ミシェル先輩。 ミハエル ノーコメント。 ルカ その先行偵察で、このM217アステロイド群がゼントラーディの古戦場であることが確認されています。 アルト 今まで予定航路の偵察なんて、軍がやってると思っていたよ。 ミハエル 新統合軍を動かすには手続きが面倒だしコストも高い。なのに士気と錬度は低いときてるからな。 ルカ だから僕らみたいな軍事プロバイダーが重宝されるんですよ。 アルト 資本主義ってやつか。 ん?あっ! ミハエル 7000年ここを漂いっ放しか。朽ちる事も無く。 ルカ 10-9に熱源3!クァドランです! ミハエル こっちも向こうも模擬弾さ。ビビんなよ、姫! アルト ぬかせっ! ミハエル ブレイクっ!! 司会 では続いてエントリーナンバー7、ミス・ランカ・リー! ランカ あ……エェ!? あ…あの、ランカ・リーです。よろしくお願いします! (ゴンッ)つ~~。 観客 ハハハハハ。 ナナセ ランカさん……。 アルト ちっ! クラン ネネ。後ろに着かれてるぞ! ネネ あっ! アルト ……今だ! クラン ネネ! ネネ キャア~~! アルト スカル4、一機撃破! ボビー ホ~~。バトロイドに乗せても絵になるのね~、彼。 オズマ 馬鹿が。打ったらすぐに次の索敵だって言ってるだろ! 司会 リーさんの特技は歌だそうです。 ランカ は、はい。 司会 さて、リーさんが歌う曲。皆さんご存知のあの伝説の曲。ではどーぞー! ボビー 派手な戦闘だこと。 ジェフリー 若い頃の誰かのようだ。 アルト うあぁっ、くっ! ミーナ かわいい。力み過ぎね。 ラム そのくらいの方がうけますよ。 モニカ 訓練中よ! ミーナ 堅いなぁモニカは。 ラム どうせ模擬戦の……。 ミーナ デフォールド反応! ランカ あ、え?ああっ! モニカ ビクターです! ミハエル 何だってこんな所に。 アルト バジュ…ラ。 オズマ 今から11年前の第117次大規模調査船団の遭難事件は知っているな。 アルト フォールド断層に巻き込まれて、1000人とか死んだやつだろ。 オズマ 表向きはな。だが実際は連中、バジュラに壊滅させられたんだ。ランカはその生き残りだ。 ミハエル とっとと逃げろ!こっちは模擬弾しか積んでないんだ! アルト お前らなんかに……お前らなんかに。ぬああああああ!! ミハエル 馬鹿野郎!! ルカ アルト先輩! クラン 下がれ新入り!こっちは偵察代わりだ。実弾も積んでる。 アルト ……、ん? クラン 浅いっ! アルト どけぇ!ぐあああああーーー!! そこだっ! ルカ ……。 ミハエル ……。 ルカ アルト先輩。 アルト はぁはぁはぁはぁ……。 ミハエル ったく。無茶しやがって。 委員長 いやぁ実にかわいい子でしたね。 審査員 えぇ。最後に転んだのもかわいらしいですな。 キャシー どう思われます?ランカさん。 シェリル 審査前よ。コメントは控えるわ。 レオン 委員長。 委員長 はい。何ですかな。 レオン ……。 司会 では続いてエントリーナンバー9、ミス・ミランダ・メリン。 オズマ 貴様!俺達がなぜ高価な装備を与えられているのか分かってるのか! アルト 戦うためだ。 オズマ 生き残るためだ!あんな骨董品が無事使えたからいいものの。 クラン ゼントラーディの武器は優秀だ。何千年経とうがつまらん動作不良など絶対に起こさん! オズマ どうだ?お前から見てこいつは。 クラン 馬鹿だし無謀だが、センスは悪くない。今後の教育次第だろ。 オズマ 協力感謝だ。クラン・クラン。 では早乙女訓練生。最終入隊試験の結果を言い渡す。 シェリル 発表します。本年度のミス・マクロスフロンティアは。 一同 かんぱ~い! ルカ おめでとうございます。これで学校でも会社でも一緒ですね。 ミハエル ったく。かわいげないぜ。抜け抜けと入隊しやがって。 クラン 今日から我々の一員だ。しっかり働け、少年。 アルト 何で子供が? クラン 子供ではない!クラン・クラン大尉だ。 アルト く、クラン!? ルカ マイクローン化すると、大尉はなぜかこうなっちゃうんです。 ミハエル 遺伝子が不器用なんだよ。な、クラン。 クラン なんだとぉ。私よりちょっと背丈が伸びたからと、いい気になりよってぇぇぇ! ミシェル!今日こそ成敗してくれるぅ!! オリャオリャオリャオリャオリャオリャオリャオリャオリャオリャオリャオリャオリャ!!! ミシェルッ!! ミハエル おおっとぉ。 クラン 待て!逃げるか卑怯者ぉ! ランカ お客様。娘娘名物まぐろ饅はいかがですか? アルト ランカ。 ミーナ あ~この子?今度のミス・マクロス。 ラム え? モニカ あの子よ、ほらほら。 アルト 残念だったな。 ランカ え? アルト 最後まで見られなくて悪かった。 ランカ ううん。最初から無茶だったんだもん。みんなの前に出たらバリバリあがっちゃったし。やっぱり私なんか。 そ、それよりびっくりしたよアルト君。S.M.Sに入るなんて。でも大変なお仕事なのにどうして? アルト チャンスだと思ったんだ。 ランカ え?チャンス? アルト だからお前も諦めるな。伝えたいんだろ、みんなに。 ランカ うん。 ミハエル 助けてー、ランカちゃん。ハハハハハハハハ。 クラン 待てミシェルーー! ミハエル おぉっと。 アルト お、おい! ランカ きゃあーっ! クラン 捕まえた! 学園生 おはよう。 学園生 おはようっす。 アルト ったくあいつら。朝まで馬鹿騒ぎにつき合わせやがって。ふぁ~~。 おわぁ~っ!何しやがるてめぇ!! シェリル はぁ~い♪ アルト ? シェリル ウフ♪ ダイアモンド クレバス(エンディング) 予告 シェリルに振り回されるアルト。一方ランカもアルトを探し、三人は思わぬ場所で遭遇する。 次回「スター・デイト」ときめきの歌、銀河に響け。
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/3553.html
マクロスなのは 第1話その1←この前の話 『マクロスなのは 第1話その2』 (*) 同時刻 時空管理局本部ビルの近くの喫茶店 その喫茶店の席の一角では1人の女性が携帯に耳を当てていた。 『こちらエコー7、爆弾の設置完了しやしたぜ!』 『エコー3も同じく!』 『こちらエコー12。設置は完了したんですが、住民の抵抗に会ったため彼らを捕縛。指示をくだせぃ』 無線より届く物騒な報告を表情1つ変えずに彼女は聞くと、 「その辺に転がしておきなさい。騒がれると面倒だから」 とまるでゴミを扱うように指示する。続いて彼女はすべての工作員に1つの命令を発した。「即時撤退」と。 彼女は携帯電話代わりにしていたストレージデバイスをポケットへしまうと、店内に展開されたホログラムのテレビ画面に目を向ける。 そこでは時空管理局本部ビルのデモの様子が生中継されていた。 どうやら予想通り首相はあのプランも譲歩も却下したようだ。デモ隊と防衛隊が開戦。双方発砲を始めていた。 (首相、あなたの唯一の間違いは私達次元海賊を甘く見たことよ) 彼女はあの邪魔だった地上部隊がいなくなると改めて考えると、静かに笑った。そして店を出て人の雑踏へと紛れていった。 (*) 時空管理局本部ビル正門前 そこにはバリアジャケットに換装した3人の姿があった。 そして事態は首相の思惑通りに進行していた。 はやてが拡声器で自分のプランが完全に却下されたこと。そしてデモ隊が自分達の仕事生命すら人質にして願った譲歩すら得られなかったこと。そして無条件で即時デモ隊を解散せよと伝えた。するとデモ隊のタガが外れるのは一瞬だった。 自棄(ヤケ)になった1人の陸士隊員がデモ隊リーダーが厳重に科していた発砲規制を破って発砲。推定Bランクの魔力砲撃は時空管理局本部ビルの強力なシールドに阻まれ四散する。しかしそれに神経が敏感になっていた防衛隊が反射的に応射してしまうのは仕方ない事だった。 数本の魔力砲撃、数十の魔力弾が発砲した陸士隊員の周囲に着弾。彼と周囲にいた十数人に非殺傷の魔力ダメージを与えた。 するとデモ隊は倍近い数の火砲で報復。それに防衛隊が―――――と言うように友軍同士で撃ち合い、あっという間に全面的で壮絶な撃ち合いへと発展してしまった。 最早一刻の猶予もない。 全体数がデモ隊より少なく火力がほぼゼロである治安隊の比率が高い防衛隊が破られるのは時間の問題。今はまだ双方とも非殺傷というタガを外していない。しかしデモ隊、防衛隊に関わらず追い詰められればあるいは――――― それはなんとしても防がねばならなかった。 「行くよ!なのはちゃん、フェイトちゃん!」 頷く2人。そして彼女達は、実力行使のために各々魔法の詠唱に入った。 デバイスに連続ロードされるベルカ式カートリッジ弾。その数は半端ではない。あちらのシールドは人数が多い分、そして非殺傷でぶち抜かねばらなぬ分、かの暴走した闇の書防衛プログラムより強大だ。手加減など出来ない! 「全力全開!ディバイン―――――!」 「雷光一閃!プラズマザンバァ―――――!」 「響け!終焉の笛―――――!」 桜色、金色、そして白色の眩い魔力光を放つミッドチルダ式、ベルカ式両魔法陣。 そしてそれらを解き放つまさにその時、それは空から降ってきた。 時系列は30分前に遡る。 (*) VF-25 アルト機 「畜生!どういうことだ!?」 彼の機体はまだフォールド空間を航行しているが、どうもおかしい。見えるべき僚機は見えず、機体も不規則に激しく揺られ、計器もめちゃくちゃだ。 バックミラーを流し見てランカの無事を確認すると、自機の安定を保とうと制御に集中する。しかし、一向に事態は好転せず、更に悪いことが重なった。 ギシ・・・・・・ それが機体上部に接続されたスーパーフォールドブースターの止め金の音と気づくのに1秒かからなかった。 (おいおい、嘘だろ!?) 内心舌打ちする。本当はこの程度の揺れで壊れるようなものではないはずだが、現実はそうでもないと否定している。 「整備不良かよ・・・・・・」 揺れにうめきながら整備員を呪った。そしてそれと同時に視界に、あるボタンが入った。 (えぇい、一か八か!) 迷わずそのボタン―――――緊急デフォールドボタン―――――を押し込む。このままフォールド空間にいても、フォールド機関の剥離、喪失によって機体が空間の圧力に押しつぶされるだけだったからだ。 眼前にフォールドゲートが開き、そこを通り抜ける。その際、一際大きな衝撃が機体を襲った。その衝撃にスーパーフォールドブースターが根底から外れ、ゲートに吸い込まれていった。 そして、悪いことは重なるものだ。ブースターは外れる拍子に、VF-25の推進剤(燃料)が入ったメインタンクに大穴を空けていったのだ。 VF-25の装備する熱核バーストエンジン(ステージⅡ熱核タービン)は大気圏内では無限の航続能力を誇るが、やはり何もない宇宙空間では作用反作用を利用するため、推進剤を使うのだ。 振動は収まったが、燃料計が急激に減っていき、遂に無くなった。残るはFASTパックのブースター一体型のタンクと、エンジンナセル(バトロイド時の脚)に装備された装甲兼用のコンフォーマルタンクのみ。 これでは長い時間宇宙に留まれないだろう。そう思い周囲を見渡すと、そこには〝地球〟があった。 (変だな?フォールドは途中でやめたはずなのに・・・・・・んだがあれは南アメリカ大陸だよな・・・・・・?) 軌道を半周してみても大陸の位置など知識としてある地球と寸分変わらない。しかし軌道上に常備されているはずの地球絶対防衛圏の防衛衛星や艦隊もなく、フォールド通信で呼びかけても応答はなかった。(この時アルトは月が2つ以上あることに気づいていたが、天体としての地球をよく知らなかった彼はおかしいとは思わなかった。) だが現状迷っている暇はないと判断したアルトは、デッドウエイトになるFASTパックのブースターをパージ。即座に降下シークエンスに入った。この分なら半周して〝日本らしき所〟の上空に着くはずだ。 大気摩擦でプラズマ化した外気がVF-25を包む。 (何度見ても飽きないな・・・・・・) そのプラズマの尾が織り成す美しさにしばし緊急時を忘れた。 VF-25のエンジンが推進剤を必要としなくなったのは高度が1万メートルになった時だった。 「ふぅ・・・・・・」 水平飛行でようやく人心地ついた。そして作動させていても仕方ないと目前の多目的ディスプレイに指を走らせ、ランカのコールドスリープを解除。続いて彼女が起きるまでの間に自機の位置を知ろうと機器を操作する。 しかし驚いたことにわからなかった。 機器に異常はなかったが、銀河内であればフォールドクォーツのおかげで、タイムラグなしで繋がるはずのGPS(ギャラクシー・ポジショニング・システム。全銀河無線測定システム)からの応答がなかったのだ。 また、フォールド通信機など相手がいて初めて意味のある各機器も軒並みブラックアウトしていた。 仕方ないので少しでも状況を知ろうと、機体の高精度カメラを下に向ける。するとそこには都市があった。それも広大な。 「わぁ、きれい・・・・・・」 起き抜けのランカが座席のベルトを外したのか、後ろから座席越しにのぞき込むようにして画面を見て言った。 確かにその都市は、かつて地球にあった大都市や、現代のどの都市とも違う洗練された機能美があった。だが――――― 「・・・・・・あれ? なんだろう、この光?」 ランカの指差す先には群衆が1000メートル程の大きさのビルの前に大挙していた。そこでは光の筋の様なものが飛び交っている。 「・・・・・・レーザーだな。 ここでも戦争か・・・・・・」 まったくいやなものだ・・・・・・と、ため息をつく。その時ランカが大きく身を乗り出してきた。そして何事かと振り返った自分を真っ直ぐな目で見つめると、言い放つ。 「止めよう、アルトくん」 そう言う彼女の赤い瞳には意志の力がみなぎっていた。 「・・・・・・わかった。それじゃあ行くぞ!」 言うと同時に機体を水平に保つため機体を旋回させながら降下を開始する。緊急時の武装と翼下のフォールドスピーカーのチェックを済ませた頃には高度は2000メートル程になっていた。 後ろを見るとランカはすでに宇宙服を脱いで、下に着ていたステージ衣装に衣替(ころもが)えしていた。 (まさか本当にミシェルと同じことをするはめになるとは・・・・・・) と苦笑すると、ランカはにっこり微笑み返してくれた。 その微笑みに一瞬我を忘れてしまうが、すぐに目的を思い出す。急いで外気圧を確認してキャノピーを開き、スピーカーの電源を入れ――――― 『私の歌を、聞けぇーーー!!』 そこに彼女の声が響き渡った。 (*) ここで時系列は戻る。 はやて達にとって変化は突然だった。 「え!うそ!?」 隣のなのはの困惑の声と同時に詠唱中で集束されていた魔力がコンマ数秒の違いがあれど3人とも一瞬で霧消した。 彼女達にはこの現象によく似たものに覚えがあった。 「「「AMF!?」」」 しかし低ランク魔導士ならいざ知らず、リミッター解除の自分達がこうも一瞬で魔法を解除させられるはずはない。 しかもあれは空気中の魔力素の結合を阻害するもの。つまり結合して既に魔力と化した魔法には手が出せないはずなのだ。 だが魔法は幻だったかのように霧消し、新たに魔力を発生させることも出来ず、もはや各人のデバイスはただの鉄の棒と化していた。 デモ隊やはやて達を含む防衛隊がこの状況に唖然とするなか、空から大音量で音楽が流れて来る。 「あれは―――――?」 なのはが空の一点を指差す。そこには戦闘機に足が生えたような小さな航空機。刹那、大音量のイントロが放たれた。 『みんなぁ、抱きしめて!銀河の、果てまでぇー!』 荒んでいた人の心という名の水面が揺れて、大気に輪を広げていく。 それは魂を震わせる青い電流。 彼女の歌声が周囲を満たしていく。誰かを暖かく思う気持ち、心の底から幸せを願う気持ちがハートに響き渡る。 そして防衛隊とデモ隊との間に着地した航空機から1人の少女が舞い降りて歌い続ける。 それは後の人々も語る奇跡のようなひとときだったという。 ・・・・・・こんな時、これほど早く事態が沈静化してしまうとは思っていなかった者達の時限式置き土産が発動した。 大地揺るがす爆音と共に時空管理局本部ビルに近い一軒家やマンションなど民家十数棟から爆炎が上がる。 これにはさすがの少女も歌い続ける事は出来ず、爆発の衝撃波に煽られペタンと座り込んでしまった。 本来戦闘中であれば混乱の中でこの爆弾テロは無視されて地上部隊の失態となっただろう事柄だが、幸運にも歌によって正気に戻った以上に、自らの使命を思い出した彼らにとってこれは任務以外の何物でもなかった。 地上部隊全員は再び杖で武装。 どうやら魔法妨害は解除されたらしく問題なく魔法が行使できた。 そしてデモ隊、防衛隊関係なくすぐに指揮系統を確立。あるものは突入班として炎上する民家に突入して救助にあたり、あるものは救護班として負傷者の応急治療に当たり、空戦魔導士達は病院へと重傷者を空輸し、またあるものは消火のために水や冷却属性の魔法を行使したり、延焼防止のため安全確認後魔力砲撃で家を最小限の被害で吹き飛ばした。 これほど早く、的確に動けたのは日頃の訓練の賜物と言えよう。対テロ・対武力・災害救助に特化した部隊。それがこの地上部隊の真価であった。 先ほどまでの敵味方が瞬時に結束し、民間人を必死に救おうとする姿はマスコミに余すところなく撮影、生中継された。 一方治安隊は何が起こったのかわからずしばらく思考停止していて、見かねた地上部隊隊員から「早く交通整理と犯人の捜索を手伝え!」と怒鳴られてようやく動き始めたというのだから、それを見た視聴者達の反応は時空管理局本部ビル内の会議室を含め、言わずもがなであった。 (*) 事態の推移に着いていけず唖然とする人は治安隊だけではない。ランカもまたその場を動けずに15分ほど眺めていた。 そんな時、ようやく余裕が生まれたのか、1人の女性が地面に座り込む自分に近寄ってきた。 彼女は長髪の金髪を持つ美しい女性で、先ほどまで空を飛んで炎上する家に突入して人命救助に貢献していた。どうしてその身1つで空を飛べるのかわからなかったが、地球ではアルトくんのEXギアの進化系が開発されているのだろうと考えた。 (アルトくんなら知ってるのかなぁ・・・・・・) 推進排気すら出さずに空を飛ぶ飛行原理についてアストロノーツ(宇宙移民者)としての好奇心が騒ぐが、事態はそんな単純ではないようだ。 彼女を制止する声が主観で上から聞こえる。見ると、バルキリーの操縦席のアルトが拳銃をぴたりとその女性を照準していた。 「アルトくん!?」 自らの非難する声に彼は応える。 「すまないがランカ、言い忘れてたことがある。ここは地球じゃないんだ」 「え!?あれって演出じゃ・・・・・・」 「あんなマジな演出あるかよ!」 アルトは怒鳴りつけるように言ってため息をつくと、その女性に向き直る。 「待たせたな。それで、ここはどこで、お前は誰だ」 「ごめんなさいね。自己紹介が遅れて。私は時空管理局、本局所属のフェイト・T(テスタロッサ)・ハラオウン執務官です」 アルトの拳銃を向けるという威嚇行動にも全く怒った様子を見せず、その女性はむしろ手慣れた様子で自己紹介をした。 「それと場所ですが・・・あなた達の言う地球は太陽系第3惑星の地球でしたか?それと、この星によく似ていませんでしたか?」 「全く同じだ。珍しいこともあるもんだな」 「なるほど・・・・・・大体の事情は飲み込めました。ともかくあなた方の安全は私が保証します。今は少し取り込んでいますので、しばらくお待ちください」 どうやら事情はわかってくれたようだ。彼女はニコリと笑うと、安心させるように言う。アルトも元より丸腰にしかみえない相手に銃を向けることに抵抗を感じていたのか、すぐに構えを解いた。 すると、心に1つの不安が生まれた。ここが地球でなかったのなら自分がやったことが正しかったのか?という不安に。そう思うと居てもたってもいられなかった。 「あの・・・私ってお役に立てたのでしょうか?」 するとフェイトと名乗った彼女は大きく頷いて、 「ええ、もちろん。私達はもうお互いで戦うことは無いでしょう。あなたが、そう教えてくれたから」 と、それこそ満面の笑みを見せて答えた。 (*) その後初期動作が早かったため事態発生からたった30分で収束。首相も報道によって地上部隊隊員達の献身に心動かされたのか、予算問題についてあのプランを含めて前向きに検討し、1週間以内に対応するとデモ隊と国民(カメラ)の前で確約した。 続いて彼はその足で着陸したバルキリーに近づき、そこで待機していた自分にマイクで呼び掛けてきた。 『ああ、ランカ君・・・・・・と呼んでいいかな?』 「は、はい!」 『君は私の凝り固まった目を覚まさせてくれる手伝いをしてくれた。本当にありがとう。・・・・・・そこでどうだろうか?彼らの新たな第1歩を記念して、もう一度歌ってくれないか?』 その提案と同時にデモ隊と防衛隊(フェイトに簡単な事情を説明してもらった)が一斉にアンコールを始めた。その中にはあのフェイトの姿も見つかった。 なんか内心恥ずかしいが、こうも熱烈に求められては断れなかった。 「えっと、アルトくん」 「ああ、わかってるよ」 答えると同時に流される音楽と、開きゆくキャノピー(風防)。そして――――― 「よっしゃぁ!みんな行くよ!私の歌を、聞けぇ!!」 「「「うぉぉぉーーー!!」」」 その後ランカのファーストライブは半時にも渡った。 次回予告 魔法の世界に飛ばされた事に驚愕するアルト達。 しかし敵はすでに行動を開始しようとしていた───── 次回マクロスなのは、第2話『襲撃』 今、禁じられた道具の火蓋が切られる・・・・・・ シレンヤ氏 第2話へ
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/3737.html
マクロスなのは 第29話『アイくん』←この前の話 『マクロスなのは』第30話「アースラ」 『誰かいませんか!?』 数台のエンジン音と共に、拡声器を介したティアナの声が耳に届く。 彼女の後ろにはEMPで立ち往生してしまった自動車を路肩に除けて、後方の輸送隊に道を作っていくバトロイド形態の消防隊所属VF-1C。 ここは先の防空戦闘によってめちゃくちゃになってしまった、三浦半島の南端に位置する町だ。 ―――――いや、だったと言った方が正確か。 ティアナの声に続いて上空からは消防隊のヘリとガウォークのVF-1Cの爆音が轟き、抱えていた水をぶちまけていく。救助活動が開始されてから今までの数時間に、数千トン以上の水を投下したと聞く。しかし完全に焼け石に水。周囲どこを見ても炎の壁が家だったものを包んでいた。 その中の一軒に大量の水が降り注ぎ、その延焼の度合いを弱める。そこでスバルは気づいた。 (あの家、ビーコンが発信されてない!) そこには救助隊が突入して、生存者の有無の確認を行ったというビーコンの発信がなかった。どうも周囲の火災の度合いが強すぎて、先遣の救助隊が近寄れなかったようだ。 『(ティアナ、ちょっとそこの家の中を確認してくる!)』 『(わかった。5分以内に戻ってきなさい。ここにそう長く留まれそうにないから)』 ヴァイスのバイクに跨りながら小回りを武器に、バルキリーを含む輸送隊の先の方で誘導するティアナは、少しだけ速度を緩めながら念話で返してきた。 『(了解!)』 輸送隊から離れたスバルは、その民家の玄関を拳撃で吹き飛ばし、内部に突入する。 周囲の温度は極めて高く、バリアジャケットなしではとても入れなかっただろう。そして同じように、この家の住人が簡単な魔導士であってくれたなら、対煙、対熱のシールドを張って未だに救助を待ってくれている可能性があるのだ。魔力反応はまったく感知できなかったが、あのEMP(電磁波ショック)の後では機器は信用できない。 もっとも、だれもいないことに越したことはないのだが――――― 「誰かいませんかぁ!?」 返事はない。 それに肉が焦げるような嫌な臭いが鼻につく。 (でも!!) 踏み抜きそうな脆くなったフローリングの廊下をさらに奥へ。 倒れた家具が道を塞ぐ。・・・・・・家具?いや、家の支柱だ。どうやらそれを隠していた壁は崩れたか、燃え尽きたかしたようだ。 本来壁だったのだろうその場所を、さらに奥に進んだ彼女が見たのは、1人の焼死体だった。全身炭化し、もはや性別もわからないその遺体に思わず歯がみする。 しかしその時、パチパチと家が焼ける音以外の〝声〟がした。その声は幼いを通り越して赤ん坊の声だった。それはどうやら遺体近くの金庫から出ているようだ。ドアの前には入っていたのだろう貴金属の姿。代わりに中に何か入っているのは明白だ。しかし開けるためのダイヤルの数字など知ったものでない。 (壊すか・・・・・・でももし中身が生き物なら、衝撃が危険すぎる) 加えて、天井から聞こえる建材が折れる音はまだ断続的なものだが、だんだんとその間隔は連続的なものになってきている。この家がその重量に耐えられない時が来ようとしているのだ。 猶予はない。ダメもとでノブに触れる。 「熱っち!」 素肌の部分が焼けるような痛みを訴えるが、この皮膚は人間のような脆弱なタンパク質ではない。戦闘機人の強靭な人工皮膚なのだ。 熱さに耐えてノブを捻ると、その強力な筋力を―――――使うまでもなかったようだ。それは何の抵抗もなくするりと開き、同時に泣き声のボリュームが上がる。 「よ~しよしよし・・・・・・」 スバルは水でぐっしょり濡れたタオルに包まれたその子を抱き上げると、対熱シールドで包み、自分のバリアジャケットの生命維持システムに組み込んだ。 「もう、持たないか!」 崩壊の音はすでに爆音に近い轟音を放っている。これに崩れられたらさすがに助からない。かといって来た道を戻って脱出するには遅すぎる。 こんな時どうするか? スバルは1つしか回答を持ち合わせていなかった。 「最短を一直線に、抜く!」 右腕のリボルバーナックルのカートリッジが数発ロードされ、そのフライホイールが高速回転する。 「ディバイィン、バスタァー!」 よく制御された魔力砲撃は六課に入る前のそれとは違い、ムラなく直線的に進路上のものを吹き飛ばした。 元から崩れそうなものをさらに壊したのだ。モタモタできない。砲撃を放った次の瞬間にはウィングロードを展開し、自ら切り開いた道を進む。その間も雪崩の如く建材が頭上に降り注ぎ、その進路を妨害する。 それらを撥ね退け、すすむ! ――――― ススム! ――――― 進む! しかし、あと5メートルというところで再びその道は瓦礫によって埋め戻されてしまった。 (畜生!) この崩壊の度合いでは退ける暇も、砲撃をする暇もない! やはり軽率だったと思わずにはいられない。一人ならともかく、救助した者の命も預かっているこの身なのだ。 あの時砲撃で壊さず、来た道を戻っていればあるいは――――― 後悔の念に押しつぶされそうになったその時、行く手の道に巨大な〝手〟が差し込まれた。そしてその一掻きは瞬時に脱出ルートから障害物を消し去ってくれた。 「脱出!」 煙と粉塵を払いのけて屋外へ。そのままウィングロードは上空まで伸びていく。 助けてくれたバルキリーは消防隊のVF-1Cではなく、フロンティア基地のVF-11のようだ。バトロイドの機首には獰猛なサソリを思わせるノーズアートが見えた。 すれ違いざまコックピットのパイロットに片腕を上げて礼を言う。 ここまで来ると助かったと油断するのが人の性。だがまだ終わってない。 「か、瓦!?」 向き直った目前には降り注ぐ無数の瓦。一時期ブームになった建材だが、今は勘弁してくれ。それにその後ろには倒れ掛かってくる家本体。 バトロイドの人はコックピットでコンソールを叩いている。どうも武装が動かずに悪態をついているようだ。 反射で頭と、抱いている形で確保されている赤ん坊をそれぞれ両腕で庇う。そして魔力障壁を展開。PPBSを最大出力! 数十を超える無駄に重い瓦で叩かれ、息つく暇もなく、倒れ掛かってくる家の屋根という物理的な圧迫力を前に、どこまで耐えられるか自信はない。しかし、それが己にできる精いっぱいの対策だった。 (どうかこの子だけでも!) ・・・・・・衝撃! 自身の上昇速度と、瓦の自由落下とで弾丸並みに重い衝撃が魔力障壁に降りかかり、フィードバックが体力と魔力を、そしてカートリッジを削っていく。しかし屋根はこんなものではないはずだ。瓦が割れていく轟音の中、覚悟を決める。 (あと屋根1つくらい・・・・・・このまま押し返す!) 根拠ゼロの覚悟の中、目標である屋根を見据えようと頭上に振り返ると一転 「あれ?」 そこには瓦とともに倒れてくる屋根など存在せず、大きく抉られた屋根だけが存在していた。 (あの抉り方は砲撃・・・・・・?) 角度から砲撃ポイントと思しき公道付近を見ようとすると――――― 『(スバル遅い!もう10分以上経ってるわよ!)』 バイクのアイドリング音と共に付近の公道から放たれた相棒の念話は、スバルに今度こそ、助かったのだという事を実感させた。 (*) 「まったく、フロンティア基地の人に気づいてもらえなかったら、どうする気だったのよ!」 「いやはや、面目ない」 2人乗りするバイクの前部で運転する、相棒の叱責すら心地よい。 あのフロンティア基地航空隊の人は防空戦からそのまま救助活動に参加していたそうで、今回は魔力砲撃の魔力を探知して、単体だった事から応援に来てくれたそうだった。 消防隊は魔力を探知する事はともかく、どのような魔法なのか、場所及び個数など、そんな分解能のいい装置なんて持ってない。そのためまさに幸運と呼ぶにふさわしい生還劇だったようだった。 「・・・・・・もっとも、スバルが1人で行くなんて言い出した時に、念話で周囲に展開してた部隊へちょっと口添えはしといたけどね」 前言撤回。 幸運なんかじゃない!やっぱりこの相棒は最高だ! 「やっぱりティアは凄い!大好き~!」 「こ、こら!いくら私でも事故る!お腹を必要以上に押さえるのはやめなさい!私達2人だけじゃないのよ!」 「そ、そうだね」 今背中には、あの火事場から救出した小さな命がある。この命を救えたことこそ、自分達がここに来た甲斐があったというものだった。 「・・・・・・それにしてもアルト先輩大丈夫かな?」 「そうねぇ。ライアンさんも他の同僚の人から撃墜されたとしか聞いてなかったみたいだし・・・・・・やっぱり通信網が回復しないとなんとも言えないわね」 「・・・・・・うん。でも今回の攻撃、何かおかしい。通信が遠隔地のどこにも繋がらないなんて・・・・・・」 今回の通信途絶問題、EMPによる通信機器破壊だけがその原因とは考えられなかった。事実、EMP範囲外で故障していないはずの自分達の機器も、1キロを超える電磁波無線通信を完全に断たれていた。 ミッドチルダ全域に有線網を持つMTT(ミッドチルダ電信電話株式会社)による調査では、自分達が知る限りでもこの現象は関東全域に及んでいるらしく、未確認だがそれ以上の範囲に及んでいる可能性があるそうだった。 おかげで現状使えるのは念話、半径1キロ未満の電磁波通信、あまり広まっていないためほぼ管理局のJTIDS(戦術統合分配システム)に限定されるフォールド通信。そしてMTTの有線通信網だけという、新暦100年とは何だったのかと突っ込みたくなるようなお粗末なことになっていた。 それに問題は通信だけではない。 「追いついたわね」 先ほど誘導していた輸送隊のトラックが見えてくる。大部分がコンテナ設備を積んだ大型トラックだ。 後方の中型トラックには道すがら回収した避難民が乗りこんでいるが、それはバスのようなものではなく、〝ディーゼル駆動〟の中型コンテナトラックだ。別にバスなどの車が徴用できなかったわけではない。 先のEMP攻撃は、この町を含めた半径10キロメートルにわたって軍用でないすべての電子機器を破壊しつくした。しかし、被害はそれにとどまらない。通常EMPはマイクロ秒単位で発生して瞬時に消えてしまうが、今回はそれの後、継続して被害を与えていた。先ほどの電磁波による通信と、次世代型大出力大容量バッテリーだ。 このバッテリーは従来の物と違って化学反応を用いないことで、一つで最大数百ボルトの電圧を得たり、充電することができる。 最近では原料から、どこかの世界の呼び方を踏襲して「フォールドカーボンバッテリー」と呼ぶそうだが、このバッテリーはクラナガンではシェア70%に及ぶ電気自動車に搭載されてる。具体的には民衆車、バス、通常2輪などの馬力を要求されない車だ。 ここで本題だが、今回、このフォールドカーボンバッテリーがこのEMP範囲内に入ると、たった数分で使い物にならなくなる現象が起こっていた。 おかげで災害出動した陸士部隊の輸送隊は軒並み立往生を喰らい、代わりに水素・石油など化石燃料車に依存する民間輸送業者が各地からかき集められていた。そのため目前を列を組んで走るトラックには「クール特急便」やらド派手な電飾を施した族仕様のトラックなど、シュールな光景が広がっている。自分達が乗るこのロータリーエンジン式バイクも現在水素で稼働しており、ヴァイスの趣味が功を奏した結果となっていた。 「前の方が騒がしいわね・・・・・・」 ティアナが言う通り輸送隊の前の方で人と救助ヘリの行き来が激しく起こっている。どうやら目的地だった小学校に到着し、先遣隊との合流を果たしたらしかった。 先遣隊は消防隊の大部分のVF-1Cとともに本職の消防救助隊が初動で動いたもので、本格的な病院設備は自分達がこのトラック達のコンテナ設備として持ってきた。 「先遣隊には転送でシャマル先生達も先に来ているはずだし、行ってみましょう!」 「うん。この子も預けなきゃいけないし!」 「そうと決まれば!」 アクセルを吹かして小学校への道をひた走る。そこに地獄が待っているとも知らずに――――― (*) 5時間後 三浦半島緊急避難指定小学校 楽しい休日になるはずだったこの日は、スバルにとって忘れられない地獄となった。 最初に言おう。はっきり言って自分の無力さを痛感させられた。 意気揚々と小学校に踏み入れてみれば、当然だが校舎が野戦病院と化していた。普段子供たちが学友達とともに学ぶ教室は集中治療室になり、「ろうかは走らない!」と書かれた廊下は、患者達の病室と避難民の収容設備となった。そして体育館は遺体安置所としてその機能を果たしていた。 空調がEMPでやられていたため形容しがたい悪臭がそこかしこから漂い、阿鼻叫喚の悲鳴がどこからともなく聞こえた。それでも合流したシャマルさん曰く、自分達が麻酔を始めとする様々な医療物資を補給して、改善された結果だというから二の句がつげない。 私達が来る前は一体どうだったというのか・・・・・・ 自分はその身体能力を買われて救助隊の手伝いをしたが、その仕事はなのはさんがデパートでの火災の時、自分を助けてくれたように、劇的で感動を呼ぶような憧れていた物では到底なく、ひたすら、ただひたすらに泥臭い仕事だった。名目こそ生存者の捜索と救助だが、実質遺体の捜索と鎮火への協力だった。 時間が経ち過ぎている。 それは痛いほどわかってる。だが、もっと他に、何か、こうならない方法がなかったものなのか? そう自問せずにはいられない。 『ガジェットは用がなければ家の中まで入ってくる可能性は極めて低いので、家の中で待機するようお願いします』 これは管理局が民間人に向けて行った行動指針だ。まぁ、その理屈はわかる。事実最前線で戦ってガジェットが理由なく故意に民間人の家を襲撃したりしたことはない。 今日自分達が少女を助けるために陸戦型ガジェットと召還魔導士と交戦したのは、ここから十数キロの地点。 次善の策として民間人が家の中に閉じこもるだろうこともわかる。 だが、その結果がこれだ。 防空ラインが少しずつ後退して、ついにはこの上空が戦闘空域となり、ガジェットとゴースト、バルキリーの墜落で発生した火災は、当たり前だが局所集中していないため鎮火には膨大な人手を要した。職務を離れる前に見た集計表によれば、他の避難所も足すと死者200人超、重軽傷者6000人弱、焼け出された避難民は約10万人らしい。 それにEMPによって通信網がマヒしていることが悔やまれる。あれがなければ発覚が速まって初動から大規模転送で救助隊を緊急投入できたはずだし、火災で有線通信網がズタズタになったここでも、リアルタイムで情報を共有することができたはずだ。バッテリーにしても陸士部隊などの災害出動した部隊が立ち往生せずに来てくれたらなど、ifは尽きない。 頭がこんがらがり、フラッシュバックする救助活動時の凄惨な現場のイメージを頭を振って振り払う。しかし簡単には離れてはくれない。助け出した人は十人以上。だけど――――― 「結局、命まで助けられたのは最初の1人だけだったな~」 思い出すは金庫に入っていた赤ん坊のこと。 今思えば金庫の前にあったあの焼死体は、あの子の母親だったのだろう。おそらく火災にまかれて進退極まった彼女は、子供だけでも助けようと思い、あの中に入れたに違いない。 赤ん坊が酸欠にならなかったのは奇跡に近いが、状況が状況だけに最善の策だっただろう。 救えたのはたったの1人だったけど、その存在はスバルにとって大きな救いとなった。 「なのはさんも、こんなこと思ったのかな・・・・・・?」 以前自分が被災した火災について調べたことがある。確か店側の避難指示が功を奏して死者はなく、避難時の混乱で骨折などのケガ人を数十人出す程度だったと記憶している。だが彼女のキャリアの中には、他の次元世界での時空震に対する災害派遣など、今回の都市災害を凌駕するような経歴が存在する。自分と同じとは言わないまでも、同じような経験をしているのは間違いなさそうだった。 「それでもなのはさんは、あんなに笑顔でいられるんだ・・・・・・やっぱり敵わないよ・・・・・・」 思わずため息が口をついて出る。 自らが憧れる人物の器の大きさに改めて感嘆し、自らが志望していたレスキューという仕事をこの心境で改めて六課を卒業した時、志望できるか不安になった。それどころかこの管理局という仕事に関しても、だ。 そう考えると意図せず頭が真っ白になり、その視線が外に向く。 小学校の屋上というロケーションは、残暑の暑さを感じさせぬ涼しげな風で額をなで、意識をその視界に集中させる。周囲は未だ所々で火災の跡がまだくすぶっており、先ほど交代した陸士部隊と、消防団のVF-1C。4時間前にやってきたフロンティア基地航空隊のバルキリー隊が生存者の救助、もしくは焼失・倒壊した民家からヒトを探していた。 ここから見るとバトロイド形態のバルキリーしかその姿を確認できず、暗い中をサーチライトで照らしながら作業する姿は孤独に思えた。 そこで、背後の扉を開く音に振り返る。 「ティア・・・・・・」 この最高の相棒は、今は珍しい化石燃料式バイクという小回りのきく乗り物を持ちこんでいたことから、伝令を行わされ、それぞれの避難所と救助活動の最前線、そして管理局地上本部のあるクラナガンとを繋いでいた。 「伝令はもういいの?」 「うん。治安隊の白バイと交代してきた。でもバイクは傷だらけにしちゃったし、燃料はすっからかん。ヴァイス先輩怒るだろうな~」 そう笑いながら隣に座る。 「・・・・・・それでさ、あんた、なんでこんなとこにいるの?何とかと煙は~って―――――!」 〝煙〟と聞いた瞬間、こちらの表情が曇るのがわかったのだろう。冗談は通じないと努めて明るく接してくれていた相棒はその表情を深刻にして、正面から両肩を掴む。 「ねぇスバル?まさかとは思うけど、バカな真似は―――――」 「大丈夫だよ。なのはさんが、ティアが、みんなが生かしてくれた命なんだ。粗末になんかできないよ。でもね・・・・・・でも、これからどうしたらいいのかわからないんだ。ねぇ・・・・・・わたし、何になりたかったんだっけ?」 「そんなの、私にはわかんないわよ」 「・・・・・・え?」 「私が知ってるのは人を助けよう、守ろうって努力するあなたの後ろ姿だけ。そりゃ今まで一緒にいてレスキューに携わりたいとか、なのはさんみたいになりたいとか、いろいろ聞いたわよ。でもね、それって私がちっちゃい時に『お兄ちゃんのお嫁さんになる!』って言ってたのと大して変わらないのよ。何になるのか、そういうことを考えるために、憧れのなのはさんがいる六課という研修所を選んだ。違う?」 「そう・・・・・・なのかな?」 「うん!まだ私達は何にでもなれるんだから!」 「そうだね・・・・・・これから、考えていけばいいんだ」 そう考えると、少し心が軽くなった気がした。 「・・・・・・そう言えばティアって昔の夢、お嫁さんだったの?」 「う、うっさいわね!そうよ!悪い!?」 「ううん。全然」 やってしまったという顔になって頬を赤らめるティアの姿に、いつの間にか笑顔にさせられていた。 救助活動を終えてからようやく笑えた気がする。本当にありがとう、ティア。 (*) 「そう言えばね、伝令やっている間に分かったことなんだけど、アルト先輩、やっぱり見つからなかったんですって」 あれからすぐ打ち明けられた真実に、スバルは思ったより冷静でいられた。 「そっか・・・・・・結局、あの時の恩返しできなくなっちゃったか」 「―――――意外ね、あんまり驚かないの?あんな殺しても死にそうになかった人なのに」 「まぁね。今回痛いぐらいわかったけど、人間って簡単に死んじゃうんだよ。「奇跡の生還」なんてのはアニメやドラマみたいなもんだけ。大抵はよほど準備してた結果であって、奇跡なんかじゃないよ」 「なんだ、醒めてんのね。弄りようがない」 ティアの肩をすくめる様子に一気に頭が過熱する。 (まさか死んだアルト先輩をダシにしようと?いくらなんでもそれは!!) 「ティア、いくらなんでもそれは酷いと思う。アルト先輩はそんな悪い人じゃなかったし、私達、何度も助けてもらって―――――」 言い終わらないうちにティアの右手が優しく左頬に添えられる。しかし肌に感じたのは相棒のぬくもりではなく、冷たい金属的な何か。 「ごめんなさい。そういう意味で言った訳じゃないの」 気付いてみればティアの顔には、自分に付けたのと同じであろう耳に掛ける方式のインカムがあった。 「ティア、これ・・・・・・?」 「JTIDSの端末機よ。陸士部隊の備品から貰ってきたの。これがないと、電磁波通信できない今の状態じゃ私達の座標を掴めないからね」 「??・・・・・・それって?」 どうも状況を上手く理解できない自分がもどかしい。頭を冷やさないと・・・・・・ 「まぁ、ちょっと待ってなさい。―――――はい、私です。―――――はい、もう見つけました。JTIDSの端末をつけさせたので、座標はえっと・・・・・・JMG00658の端末で固定してください。―――――はい、それでは転送2名、お願いします」 そうしてティアは、私の耳に掛けたインカムの番号を再確認しながらインカムの通話ボタンから手を離すと、面白そうに言う。 「スバル、じっとしてなさいよ。じゃないと〝何か置いてきちゃう〟かもしれないから」 「へ?」 (ただの転送魔法にどんな危険があるの?) 回転が遅い頭で疑問に思ったが、すぐに理由を知ることとなった。 突然体を包むように展開される円筒状のシールド。それに反応する間もなく、自らの体が青い粒子となって分解していく。 (え、えぇ!?) もはや喋る口もない。数瞬後には視界と意識は閉ざされていた。 (*) スバルとティアナ〝だった〟光の粒子達はシールドの内部で徐々に不可視の波へと変換され、シールド展開から1.5秒後、この世界から消滅した。 2人がいた場所は何事もなかったかのように、静けさに包まれていた。 (*) あれからどれぐらい時がたったのだろう? スバルは気づくと、光の粒子になった体は再生され、しっかり光るパネルの上に立っていた。 (パネルの上!?) 周りを見回す。そこは辺りが見渡せる開放的な小学校の屋上ではなく、無骨な隔壁が覆う、少なくとも室内だった。 「どうやらちゃんと揃ってるみたいね」 ティアナが後ろから肩を叩いて言う。 「え、ティア、これは─────」 「見ての通り〝転送機〟よ」 狼狽する自分を見て面白がるティアナは、足元の床と天井に付く丸い小さなパネルを指差して言った。 ただの転送魔法ならスバルはこれほど狼狽しなかっただろう。転送魔法は科学的には空間歪曲による〝空間の置き換え〟がその原理であり、最初から最後まで意識と実体を保ったまま転送座標の空間と自分の空間が置き換えられる。そのためほとんど自覚することなく転送は終始する。 エレベーターを想像してもらえばわかりやすいだろう。我々は階数を映すディスプレイと重力加速度の変化によって移動を自覚するが、それらが全くない場合、完全に自覚することなく移動を果たすだろう。つまり、エレベーターの高さ(Z軸)移動だけでなく、平面(X,Y軸)移動を可能にしたものが転送魔法だ。 しかしこの「転送機」は第6管理外世界が発案、製作したものだ。彼らは魔法が使えないため、まったく別の方法を編み出した。それにはフォールド技術である次元航行技術が用いられた。 転送シークエンスとしてまず、気流による物質欠損をなくすため円筒状の気密シールドを展開。次に分子レベルにまで転送物を分解する。そして構成情報をフォールド波に変換し、それを再物質化点に送る。再物質化時にはフォールド波の次元干渉する特性を使って、無から元素を生み出し再構成するという方法を採っている。 つまり転送魔法のように実体が行き来するのではなく、構成情報が行き来するためエネルギー量は圧倒的に少なくてすむ。 これは当に革新的な技術であった。 この技術があったからこそ第6管理外世界の住民、ブリリアントは恒星間戦争を有利に戦えたと言えよう。 しかし管理局では特定の次元航行船しか採用していない。なぜなら魔法が使える彼らには、どこでもある程度手軽に使える転送魔法の方が使い勝手がよかったためだ。 この転送機の真価は3つ。1つは情報の行き来のため転送可能距離が次元空間を介してさえ数千キロ単位であること、2つ目は魔法でないためAMF下にも対応できること、そして最後に、最大一括転送可能人数が20人を誇るため、部隊の高速展開ができることと言えよう。 「それで、ここはどこなの?」 その質問に答えたのはティアではなかった。 「L級巡察艦の56番艦、『アースラ』や」 「や、八神部隊長!?」 部屋の外から突然現れた上官に、ティアとともにあわてて敬礼した。 「うん、なおれ」 はやての許可に腕を降ろした。するとティアは物珍しそうに周りを見渡す。 「しかしL級巡察艦なんてまだ運用されていたんですね」 自分が知る限り、L級巡察艦は40年以上前に設計された次元航行船だ。 当時警察としての側面が強かった次元パトロール部隊(時空管理局・本局の前身)は、乗員が20人程のパトロール挺しか配備していなかった。しかしロストロギアを狙う次元海賊の勢力は強大になっていき、人数も艦自体に武装がない事も問題になってきた。 そんな背景から作られたL級巡察艦は、150メートルを越える当時としては大船だった。この艦は初めて常時2個小隊(50人)の武装隊と乗員を1年間無補給で養える空間が設けられており、当時輸送船に任していた武装隊の輸送と展開を円滑に行えるようになった。 そのため当時初めて採用された転送機と相俟って〝事実上の強襲揚陸艦〟と呼ばれ、海賊達の恐怖を誘った。 またこの艦には様々な魔導兵器が搭載されている。特に有名なのは『アルカンシェル』と呼ばれる魔導砲だ。この殲滅兵器は現在も管理局で最も高い威力を誇り、最新鋭のXV級戦艦でもこの砲は踏襲されている。 また、このL級巡察艦は全部で56隻が造られたが、ロストロギアに侵食・汚染されて自沈処理された1隻以外は対外攻撃によって撃沈された事はなく、生存性の高さは折り紙付きだった。 確か20年前より老朽化から、順次退役していったはずだった。 「違うんよ。本当ならアースラは、1カ月前に廃艦になる予定だったんや」 「じゃあどうして?」 この問いにはやては微笑むと、 「その辺の事は食堂に行ってから話そうか」 と告げ、廊下を歩いていった。 (*) はやてに連れられ来た食堂は、艦内とは思えぬほど広い空間に作られていた。 すでに席には、どんな理由か知らないが、今回の救助活動に前半しか参加していなかったなのはを初めとする隊長、副隊長陣にヴァイスや〝ふくれている〟ランカ、そして〝早乙女アルト〟がいた。 「アルト先輩!?」 「・・・・・・いよぅ」 どうやらすでに、ここにいる者の誰かから〝手厚い歓迎〟を受けたらしい。彼の左頬には真っ赤になった平手打ちの後があった。 「大丈夫ですか?」 「ああ、撃墜寸前にはやてに転送されたんだ。それで『死後の世界って案外に俗っぽい所だったんだ』って無駄に感心したりして─────」 「いえいえ、そうじゃなくて、〝ここ〟の事です。」 自分の左頬を指差す。 アルトは左頬を抑えて押し黙ると、ふくれている緑の髪した少女を見る。しかし彼女は 「アルトくんなんか、大っキライ!」 とそっぽを向いてしまった。 (*) 幾何学模様に変化する空。 次元空間内に設けられた巨大な空間には、中規模の次元航行船用停泊ドックが浮いていた。 以前は本局の前身である次元パトロール部隊が母港としていたが、組織の格上げと船体の大型化に伴い、20年前から管理局は使っていなかった。 今では第1管理世界に2番目に近い大型次元航行船の受け入れ港(1番目はミッドチルダ国際空港)のため民間船の多く停泊するこの港には、久しぶりに管理局の艦船が入って来ていた。 胴体に2本の腕を着けたような意匠のこの艦は、20年前まで造船されていたL級巡察艦という型だ。1番艦からの運用期間が40年以上という非常に息の長いこの型は、ここにある改修用ドックで運用できる170メートルにギリギリ収まっており、往年は軽快艦として活躍した。 そして今、このドックに停泊しているのは、この型の最後の船、56番艦『アースラ』だった。 (*) 「・・・・・・それで、なんでここに集めたんだ?」 アルトが少し不機嫌に、はやてに問う。 スバル達が来てからも、まだフロンティア基地航空隊のヴィラン二佐やミシェルなどの上級士官が、このアースラの食堂に集められていた。 アルトとしては戦死騒ぎで、来る人来る人の悪い意味での〝手厚い歓迎〟に辟易していた。 「うん、まずはレジアス中将の話を聞いてくれるか?」 はやてはそう告げると席に着いた。 レジアスは食堂に併設されている小さな舞台に上がるとスピーチを始める。 「あー、諸君。こんな大変な時になぜ突然、こんな所に呼び出されたか疑問に思っていると思う。だがそれだけ重要なことであると考えてくれ」 レジアスは公聴者達を見渡すと続ける。 「知っての通り、我が地上部隊はミッドチルダを守護するために設立された組織だ。しかし最近の情勢は良くなく、六課と、フロンティア基地航空隊のおかげで地上の治安は維持されている。だが諸君、あと〝たった半年〟で双璧の1つである六課は解体されてしまうのだ!残念ながら地上部隊には、今まで通り、現在の戦力をクラナガンに〝釘付け〟にし、維持させることはできない」 現在六課戦力はクラナガンに釘付けになっているが、他の方面部隊も強力な戦力である彼女らを必要としており、一点集中には限界であった。 「そこで、我々地上部隊は半年後をめどに、地上部隊の保有する六課戦力を合わせ、〝本艦〟をベースに特別部隊を編成する!」 レジアスの宣言に動揺が走る。これまで地上部隊は艦艇を採用したことはなかった。しかし問題はそれだけにとどまらない。六課と合わせる特別戦力。ここにフロンティア航空基地の面々がそろっているといことは───── 「特別戦力にはバルキリー隊を使う。そのためアースラは今から1カ月の改修をもって、バルキリー隊の〝移動航空母艦〟として運用する!」 ─────もはや誰も止められないところまで事態は進行していた。 (*) 「しかし、よくこんなお誂え向きの船を見つけられたな・・・・・・」 アルトの呟きに、隣りに座るランカが耳打ちする。 「この船はね、出張中私の艦隊の旗艦だったの」 かいつまむとこういうことらしい。 第6管理外世界へのランカの貸し出しを決定した本局は、ランカ座乗艦はいざ危険になった時に、安全に戦線離脱できる次元航行船がよいと考えた。しかし大型フォールドスピーカーやフォールドアンプ、ステージの設置などを行うサウンド仕様への新鋭艦の改装は元に戻す時に困難を極めるため、解体寸前のこの艦に白羽の矢がたったのだ。 そうして何事もなく戦争が終結し、最後にランカをミッドチルダまで輸送する任務を達成した後、このドックで解体される予定だった。しかしレジアスがランカを招待した会食の折りに、彼女が 「古くなったからって、解体されてしまうのはやっぱり寂しいですね。機関長さんが『まだ十分動けるんだ!』って座り込みをやってました」 という話題を提供したという。するとレジアスは食い付き、本局からアースラに残りたいという乗員込みで破格の値段で買い落とし、今に至るという。 (なんて大胆な男なんだ・・・・・・) アルトはある意味感心した。 彼が視線を舞台に戻すと、今度は技術士官が改装の概要を説明しているところだった。 「─────アースラにはディストーション・シールド(次元歪曲場)、サウンドシステム、航法システムなどがすでに完備されており、この辺りの改装は行いません。主な改装部はバルキリー用の格納庫の増設で、現在10~14機程度の運用を想定しています。また既存の対空魔力レーザーCIWSに加え、自己完結のブロック型ミサイルランチャーを─────」 そんな中、ミシェルが話しかけてきた。 「おまえ、これからどうする?俺としてはおまえには3期生の教導に回ってほしいと思ってる。そうすりゃあのヒヨコどもでも2~3週間ぐらいで─────」 ミシェルはそこまで言ってアルトの放った鋭い眼光に、言葉を発せなくなった。 「・・・いや、ミシェル。俺は前線を退くつもりはない。確か格納庫には予備の〝ワルQ(きゅー)〟(この世界でのVF-1の愛称)があったはずだ。あれを貰う」 アルトの視線が、隣に座る少女に注がれる。 彼女は壇上で、復活に涙するアースラ機関長の話に夢中らしい。まったく気づかない。 「俺はコイツを─────ランカを守ってやらなきゃいけないんだ。今日の事でよくわかった。俺はできる範囲でもいいからコイツを他人任せにしたくない。この手で守ってやりたいんだ。も─────」 〝もちろん、なのはやさくら達だって同じだ。〟と言おうとしたアルトだが、ミシェルの手が肩に置かれ、言えなかった。ミシェルはかつてないほどの笑顔を作る。 「そうか、やっとお前も〝心を決めた〟ようだな。あのプレイボーイが、うん、うん」 なんだかわからないが、ミシェルはしきり感心する。アルトにとっては、ただ自らの手で大切な人〝達 〟を守る事を、新ためて決意しただけなのに。しかしミシェルは、両方が勘違いしていることに気づかないうちに話を続けた。 「よし、お前の一世一代の決断に俺は乗ったぞ。今日、基地に帰ったらすぐ、技研の田所所長に連絡を入れろ。『例の計画の件で、ミシェルから推薦されました』って」 「そうするとどうなるんだ?」 「まぁ、見てからのお楽しみだ。とりあえず、(ランカちゃんを)しっかり守ってやれよ」 「なに言ってるんだ。当たり前だろ。(みんなを守っていくなんて)」 色恋に関して天然バカの早乙女アルトと、勘違いしてしまったミシェル。まったくもってお似合いの相棒だった。 (*) その後、今後の計画についていろいろと話し合われ、地上時間2200時をもって終了。 各自部隊へと帰還していった。 (*) 2314時 聖王教会中央病院 そこにはなのはとランカの姿があった。 2人の目的の1つは突然幼生化したアイくんの精密検査。そしてもう1つは保護された少女に関するものだった。 この時間の病院は消灯後であり、通常静かなもののはずだ。しかし三浦半島の市街地で出た重篤患者がここに集められて治療が行われていたため、今も忙しく人が行き交っていた。 「こんなに怪我人が出たんだ・・・・・・」 ランカは病院のロビーで全身に包帯を巻かれた人や、虚ろな目でベンチに寝かされながら点滴を打たれている人、etc、etc・・・・・・を見て呟く。 皆顔は暗く、項垂れていた。 「ランカちゃんがいなかったらもっと被害が出てた。だからランカちゃんのせいじゃないよ」 だがなのはのフォローもあまり効果ない。 確かにアルトが生きていたことは言葉に表せないほど嬉しかった。しかし今回の事件で200人以上の死者が出たことには変わりなかった。 ランカは俯こうとして自らの抱く緑の物体と目が合った。 それは愛らしく 「キュー?」 と鳴く。 「アイくん、励ましてくれるの?」 「キューッ」 アイくんは喜色をあらわに、肩に飛び乗ると、頬をすりつけた。 「にゃはは、かわいいね」 なのははアイくんだけではない。そんな緑色の1人と1匹を見てそう言った。 (*) アイくんは精密検査では異常は何も発見されず、ランカの持つバジュラの幼生に関する科学的データと比べても同じだった。唯一わかっているのは、縮んだのは元素分解による質量欠損であること。これは体表面にエネルギー転換装甲を物質操作魔法した時と同様の特殊な反応があったためだ。しかし『魔法を介さない元素操作は不可能』なはずだが、ランカには物質操作魔法の素養もなく、デバイスもシャーリーによると対応していないそうだった。 謎を呼ぶアイくんだが、〝動く生物(質量)兵器〟が無害化したのと同意のため、周囲は無条件で受け入れていた。 (*) 清潔な白一色の部屋。 俗に病室と呼ばれるその場所は、通常ベッド数が4の広い病室だったが、今ベッドは中央に1つしかなかった。 そしてそのベッドにも、不釣り合いなほど小さな女の子が1人、眠っているだけだった。 その部屋の唯一の扉が開かれ、2人の人影が部屋に入る。しかしそれでも少女は目を覚ます様子はなかった。 「・・・この子がそう?」 ランカはなのはの問いに頷くと、アイくんを伴って少女をのぞき込む。 医師によれば衰弱の度合いは低く、今日、明日にでも意識を回復するという。 まだ精密検査は行われていないが、この子が通常とは違う人の手によって作られたという可能性が第108陸士部隊のギンガ・ナカジマ陸曹からもたらされていた。現場から1キロ離れていないところで輸送業者の事故があり、そこで密輸されていた生体ポットの主が、あの少女だと言うのだ。 ギンガはベルカのボストンで唯一生体ポットと関係のある「メディカル・プライム」が〝何らかの事情〟を知っていると見て調査しようとしたが、それはなのはによって止められていた。なのはにはメディカル・プライムとの独自のパイプがあり、「公式の調査で相手を硬化させるより、そこから聞いたほうがよい」との判断であった。 まだ向こうとは通信していないが、なのは自身は〝恩人〟であるあの企業を疑いたくなく、少女が人造であるとはっきりするまでは聞かないつもりだった。 閑話休題。 アイくんは寝ている少女が心配なのか「キューッ」と鳴きながら張りついた。 そんなアイくんのぬくもりを感じたのだろうか?少女が口を開いた。 「ママ・・・」 だが意識が戻ったわけではなく、目を閉じたまま手が宙をさまよっている。なのははそんな少女の手を握り、 「大丈夫、ここにいるよ」 と呼び掛ける。 すると少女の腕の力は抜け、また眠りの底に沈んでいった。しかしその少女の顔は、なのは達が入ってくる前よりいくぶんか微笑んで見えた。 ―――――――――― 次回予告 VF-25という翼を失ったアルト しかしそれは新たに手にする力への序章に過ぎなかった! 次回マクロスなのは第31話「聖剣」 その翼、約束された勝利の剣につき――――― ―――――――――― シレンヤ氏 31話
https://w.atwiki.jp/k2727324602/pages/482.html
関連ページ:超時空要塞マクロス <鑑賞備忘録> 2010年5月以降に鑑賞した分。 ◆TVアニメ(視聴中) 話名 人物・出来事メモ 主要メカ スパロボ対照表* 第1話 第2話 第3話 第4話 第5話 第6話 第7話 第8話 第9話 第10話 第11話 第12話 第13話 第14話 第15話 第16話 第17話 第18話 第19話 第20話 第21話 第22話 第23話 第24話 第25話 第26話 第27話 第28話 第29話 第30話 第31話 第32話 第33話 第34話 第35話 第36話(Fin) ※全く同名or原作再現が一定程度行われているシナリオを記載(「一定程度」の匙加減は完全に管理人の感覚に拠っています。ご了承下さい)。
https://w.atwiki.jp/anime_wiki/pages/21183.html
超時空要塞マクロス 河森正治デザイナーズノート MACROSS7 BASARA EXPLOSION 2022 from FIRE BOMBER at Zepp DiverCity (TOKYO) 発売日:11月7日・7月15日 今回の書籍は、既存の設定収録書籍や雑誌などでは省略されるか、 小さく扱われることが多かった無数のラフスケッチを可能な限り収集、 これをできる限りの数、しかも大きく掲載することを目指した。 およそ600ページ(予定)にも及ぶ本書は、 準備稿のみで構成された書籍としてはおそらく空前のものだ。 ここを編集 1995年10月公開。マクロス7の劇場版。2016年1月29日Blu-rayが発売。 監督 アミノテツロー 原作/脚本・スーパーバイザー 河森正治 演出 下田正美 キャラクター原案 美樹本晴彦 アニメーションキャラクター 桂憲一郎、古賀誠 作画監督 古賀誠 メカデザイン 宮武一貴、河森正治 アニメーションメカデザイン 前田明寿、名和宗則、小川浩 メカ作監 滝川和男 作画監督補佐 田中誠輝 美術監督 太田大 色彩設計 関本美津子、川上善美 撮影監督 斉藤秋男 セルエフェクト 太田憲之、榊原豊彦 編集 西山茂 ネガ編集 後藤正浩 音響監督 鶴岡陽太 音響プロデューサー 本田保則 音響効果 蔭山満 録音 浅倉務 録音助手 山田利陽 アニメーション制作 ハルフィルムメーカー、スタジオ・ジュニオ ■関連タイトル Blu-ray 劇場版 マクロス7 銀河がオレを呼んでいる! Blu-ray MACROSS7 BASARA EXPLOSION 2022 from FIRE BOMBER at Zepp DiverCity TOKYO 超時空要塞マクロス 河森正治デザイナーズノート マクロス音楽証言集 1982-2018 マクロス7 Blu-ray Box Compelete FIRE 1 ねんどろいどぷち マクロスヒロイン マクロス7 ULTRA FIRE!! マクロス30周年記念 マクロス・シリーズトレーディングストラップ やまと 1/60 完全変形 VF-17D with スーパーパック 塗装済み完成品 やまと 1/60 完全変形 VF-19F エメラルドフォース 一般機仕様 塗装済み完成品 MUSIC SELECTION FROM GALAXY NETWORK CHART RADIO FIRE!! FUKUYAMA FIRE !!! ~A Tribute To Nekki Basara~ ジス・イズ・アニメーション マクロス7アニメーション資料集 バンドスコア マクロス7/FIRE BOMBER BEST SCORE BEACH QUEENS マクロス7 ミレーヌ・ジーナス バンダイ VF HI-METAL VF-19改 ファイヤーバルキリー rakuten_design= slide ;rakuten_affiliateId= 053df7e0.7c451bd1.0c852203.190c5695 ;rakuten_items= ctsmatch ;rakuten_genreId=0;rakuten_size= 468x160 ;rakuten_target= _blank ;rakuten_theme= gray ;rakuten_border= on ;rakuten_auto_mode= on ;rakuten_genre_title= off ;rakuten_recommend= on ; 随時更新! pixivFANBOX アニメ@wiki ご支援お待ちしています! ムック本&画集新刊/個人画集新刊/新作Blu-ray単巻/新作Blu-ray DVD-BOX アニメ原画集全リスト スタッフインタビューwebリンク集 最新登録アイテム Switch ゼルダの伝説 Tears of the Kingdom Switch 世界樹の迷宮Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ HD REMASTER Switch ピクミン 4 大友克洋 Animation AKIRA Layouts Key Frames 2 小説 機動戦士ガンダム 水星の魔女 1 ONE PIECE FILM REDデラックス・リミテッド・エディション 4K ULTRA HD Blu-ray Blu-ray 劇場版 ソードアート・オンライン -プログレッシブ- 冥き夕闇のスケルツォ 完全生産限定版 Blu-ray 映画『ゆるキャン△』 Blu-ray 【コレクターズ版】 Blu-ray ウマ娘 プリティーダービー 4th EVENT SPECIAL DREAMERS!! Blu-ray 天地無用!GXP パラダイス始動編 Blu-ray第1巻 特装版 天地無用!魎皇鬼 第伍期 Blu-ray SET 「GS美神」全話いっき見ブルーレイ Blu-ray ソードアート・オンライン -フルダイブ- メーカー特典:「イベントビジュアル使用A3クリアポスター」付 ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 5th Live! 虹が咲く場所 Blu-ray Memorial BOX 宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち Blu-ray BOX 特装限定版 地球へ… Blu-ray Disc BOX 完全生産限定版 神風怪盗ジャンヌ Complete Blu-ray BOX HUNTER×HUNTER ハンター試験編・ゾルディック家編Blu-ray BOX BLEACH Blu-ray Disc BOX 破面篇セレクション1+過去篇 完全生産限定版 MAZINGER THE MOVIE 1973-1976 4Kリマスター版 アニメ・ゲームのロゴデザイン シン・仮面ライダー 音楽集 テレビマガジン特別編集 仮面ライダー 完全版 EPISODE No.1~No.98 MOVIE リスアニ!Vol.50.5 ぼっち・ざ・ろっく!号デラックスエディション ヤマノススメ Next Summit アニメガイド おもいでビヨリ アニメ「魔入りました!入間くん」オフィシャルファンブック 『超時空要塞マクロス』パッケージアート集 CLAMP PREMIUM COLLECTION X 1 トーマの心臓 プレミアムエディション パズル ドラゴンズ 10th Anniversary Art Works はんざわかおり こみっくがーるず画集 ~あばばーさりー!~ あすぱら画集 すいみゃ Art Works trim polka-トリムポルカ- つぐもも裏 超!限界突破イラスト&激!すじ供養漫画集 開田裕治ウルトラマンシリーズ画集 井澤詩織1st写真集 mascotte 鬼頭明里写真集 my pace 内田真礼 1st photobook 「まあやドキ」 進藤あまね1st写真集 翠~Midori~ 声優 宮村優子 対談集 アスカライソジ 三石琴乃 ことのは 亀田祥倫アートワークス 100% 庵野秀明責任編集 仮面ライダー 資料写真集 1971-1973 金子雄司アニメーション背景美術画集 タローマン・クロニクル ラブライブ!サンシャイン!! Find Our 沼津~Aqoursのいる風景~ 機動戦士ガンダム 逆襲のシャア 友の会[復刻版] 梅津泰臣 KISS AND CRY 資料集 安彦良和 マイ・バック・ページズ 『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』編 氷川竜介 日本アニメの革新 歴史の転換点となった変化の構造分析 Blu-ray THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS 10th Anniversary Celebration Animation ETERNITY MEMORIES Blu-ray おいら宇宙の探鉱夫 ブルーレイ版 Blu-ray 映画 バクテン!! 完全生産限定版 アイカツ! 10th STORY ~未来へのSTARWAY~ Blu-ray BOX 初回生産限定版 はたらく細胞 Blu-ray Disc BOX 完全生産限定版 Blu-ray 長靴をはいた猫 3作品収録 Blu-ray わんぱく王子の大蛇退治 Blu-ray 魔道祖師 完結編 完全生産限定版 魔道祖師Q Blu-ray Disc BOX 完全生産限定盤 にじよん あにめーしょん Blu-ray BOX 【特装限定版】 Blu-ray 鋼の錬金術師 完結編 プレミアム・エディション Blu-ray付き やはりゲームでも俺の青春ラブコメはまちがっている。完 限定版【同梱物】オリジナルアニメ Blu-ray「だから、思春期は終わらずに、青春は続いていく。」
https://w.atwiki.jp/crfmacross/pages/18.html
報告 検証依頼、確認、指摘、wiki記載内容に対する指摘など、 気になった点を投稿してください。 test -- 名無しさん (2009-12-09 02 12 55) マクロス主砲リーチ、1,9Wは、確確ではないでしょうか。 -- 名無しさん (2010-01-25 23 42 57) ↑当たりですらないよ。 -- 名無しさん (2010-01-26 17 41 33) ミサイル⇒煙消えた瞬間ダイダロスアタックで777確認 -- 名無しさん (2010-01-29 08 04 21) 通常時に時短の一条機になったんだが・・・あたって昇格したけど確定? -- 名無しさん (2010-02-01 22 55 33) ↑熱いけど確定ではない。自分と隣台でリチすらならず確認>< -- 名無しさん (2010-02-04 23 15 30) 通常ラウンド中に娘娘の中華娘が出てきて昇格したんだが・・・これは?? -- 名無しさん (2010-02-08 01 31 24) 確変時、ラウンド終了後の1回転目に、マクロスが宇宙にいる背景になりましたが、2/2で確確でした。 -- 名無しさん (2010-02-10 23 11 13) ↑これって、マクロス地球帰還背景 ですか? -- 名無しさん (2010-02-10 23 26 06) ガンポッドSU1(回転して発射)から疑似連がせりました -- 名無しさん (2010-03-26 23 59 28) 擬似2から主砲いきましたよ、手前はずれで終わりましたが。 -- 名無しさん (2010-03-30 01 23 41) 確変時、ラウンド終了後の1回転目に、マクロスが宇宙にいる背景になりましたが、2/2で確確でした。 -- 名無しさん (2010-03-30 12 26 04) ↑これは強攻型マクロスではないでしょうか、地球帰還背景は時短突入の画面のことです -- 名無しさん (2010-03-30 12 26 48) 疑似2 からスカル大隊いきました -- 名無しさん (2010-04-01 12 51 19) ミンメイイントロ予告のライブステージ、ガセ無しって書いてるけどガセあるよね?今日ライブステージ演出後、ミンメイのシルエット出ず、そのままノーテンで終わったよ。 -- 名無しさん (2010-04-18 21 36 12) 警報予告後 マクロス主砲ダブルに発展しましたが普通に外れました?バーミリオン小隊リーチ以上に発展してると思うのは気のせいでしょうか? -- 名無しさん (2010-05-05 19 24 48) ↑警報予告はバーミリオン小隊以上リーチに発展することが確定であって、バーミリオン小隊リーチ以上にいけば当確という意味じゃないよ。 -- 名無しさん (2010-06-02 23 20 05) 2↑ライブステージは、ガセあるよね。僕も確認した。 -- 名無しさん (2010-06-02 23 21 01) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/utamacrosswiki/pages/18.html
超時空要塞マクロス 楽曲名 属性 難易度(ES-NR-HR-VH-EX) 追加日 愛・おぼえていますか 愛 02-07-12-16-21 初期曲 天使の絵の具 命 02-07-12-17-21 初期曲 小白竜 全 02-07-13-17-23 初期曲 私の彼はパイロット(Part1) 2018年1月9日 シルバームーン・レッドムーン 2017年10月7日 マクロス7 楽曲名 属性 難易度(ES-NR-HR-VH-EX) 追加日 TRY AGAIN 突撃ラブハート MY SOUL FOR YOU POWER TO THE DREAM DYNAMITE EXPLOSION HOLY LONELY NIGHT(Duet Version) PLANET DANCE マクロスF 楽曲名 属性 難易度(ES-NR-HR-VH-EX) 追加日 アナタノオト ダイアモンド クレバス 星間飛行 アイモ 私の彼はパイロット ねこ日記 What` bout my star? トライアングラー ニンジーン Loves you Yeah! インフィニティ Welcome to my Fanclub`s Night! ユニバーサル・バニー ノーザンクロス ギラギラサマー(^ω^)ノ ライオン 射手座☆午後九時Don`t be late 星間イヴ サヨナラノツバサ~the end of triangle pink monsoon マクロスΔ 楽曲名 属性 難易度(ES-NR-HR-VH-EX) 追加日 ルンがピカッと光ったら 不確定性☆COSMIC MOVEMENT いけないボーダーライン 一度だけの恋なら 恋!ハレイション THE WAR AXIA ~ダイスキでダイキライ~ ジリティック♡BEGINNER Silent Hacker 僕らの戦場 Walküre Attack! Gog Bless You Hear The Universe
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/3341.html
マクロスなのは 第9話『失踪』←この前の話 『マクロスなのは』第10話「預言」 アルトとなのはが技研から帰還した翌日。 2人は報告書を読んだはやてに呼び出されていた。その理由はバルキリー配備計画についてだ。 「─────つまり、レジアス中将がこの計画を立案したんか?」 2日前からよく寝たのか、はやての顔色はよく、しっかりしていた。しかし彼女の顔は今、苦悩に歪んでいる。 「うん、そうだよ。はやてちゃんも聞いてなかったの?」 「そうや、ウチは聞いとらん。管理局の殉職者が12人って報告は受けとったけど・・・・・・」 重たい沈黙 その時2人の背後のドアが開き、小人(こびと)が飛んできた。 「はやてちゃんそろそろ行く時間ですよぅ~」 リインは頭上をしばらく旋回飛行していたが、返り見ると、なのはの肩にどこかの〝竹を取る〟物語に出てくる小人のようにとても可愛らしい様子で座っていた。 「ああ、もうそんな時間か・・・・・・いきなりで悪いけど、これから2人ともちょっと付き合ってな」 はやてはイスに掛けられた上着に袖を通しながら告げる。2人は事態か読めず、顔を見合わせた。 そこに新たに部屋に入ってきた者がいた。 「はやて、車は用意したからいつでも行けるよ」 と、フェイト。どうやら彼女もこの件に1枚噛んでいるようだ。 「フェイトちゃん、どこ行くの?」 「あれ?まだはやてから聞いてなかった?昨日、聖王教会から連絡があってね。新しい預言が出て、ついでに『はやての友達に会いたい』って言われたんだって」 「ああ、なるほど。えっと・・・・・・カリムさんだっけ?」 「そうや、前々から会わせたいと思っとったんやけど、機会がなくてな。ほな行こか」 はやて達が部屋から出て行く中、アルトは話についていけず、ずっと頭を捻っていた。 (*) フェイトの私用車に乗ったフェイト、はやて、なのは、アルトの4人は一路、高速道路を北上する。 窓の外の景色が近代的な街並みから山と森へとシフトしていく。 しかし目的地にはまだ1時間ほど掛かるようだった。 そのためその間、3人から聖王教会に関する説明を受けることができた。 まず聖王教会とは、聖王を主神とする宗教団体で数多くの次元世界に影響力をもつ大規模な組織であること。 教会はミッドチルダ国の領内にありながら独立しており、税金などの面においても名実共に聖域であること。 財源は基本的には寄付で成り立っており、その額はミッドチルダの国家予算の半分程度という莫大な規模になっている。そのため教会自らが当時のミッドチルダ政府に設立を要請した時空管理局の、現在ですら予算の半分近くを握る最大のスポンサーであること。 このような歴史的事情から必然的に時空管理局と繋がりが強く、ロストロギアの管理、保管はそこが担当しているらしい。 しかし今は教会自体は関係なく、そこに所属しているはやての友人であるカリム・グラシアという人に用があるらしい。 なんでも彼女は『プロフィーテン・シュリフテン』という未来を予知する古代ベルカのレアスキルを持っているという。 「なんだそれ?未来がわかるなら最強じゃないか」 アルトはそう言ったが、そうでもないそうだ。 はやて曰く、カリムの預言はこの惑星を回る月の魔力の関係上、1年に1度しか使えず、表記も古代ベルカ語の、さらに解釈の難しいことで有名な詩文形式で書かれている。 また、期間も半年から数年後のことがランダムに書いてあるため、実質的な信頼性は『よく当たる占い程度』だという。 本局と教会はその内容を参考程度に確認するが、地上部隊は当たらないとして無視するらしい。 「そんな胡散臭いもの信用できるのかよ」 アルトも疑うが、はやては1歩も引かない。なのはやフェイトも『はやてが信用しているなら』と、まったく疑いはないようだ。 そうこうしているうちに、100キロ近い距離を走破した車はそこに到着した。 教会はその名に恥じぬ壮大な造りで一瞬アルトに中世の城をイメージさせたが、最新の科学技術と見事に調和したそれはよほど近代的だった。 車を駐車スペースに停めた4人に玄関から近づいてくる人影がある。 「お待ちしておりました」 彼女は一礼すると品よく笑顔を作った。 「おおきに、シスターシャッハ」 「はい。みなさんもお元気そうで・・・・・・あら?そちらの方は?」 「彼は次元漂流者の早乙女アルト君。今は六課の隊員をやってもらっとる」 はやての紹介にシャッハはプライスレスのスマイルを作り、 「聖王教会にようこそ」 と告げた。 (*) その後シャッハに連れられて教会に入り、いくつもの装飾品の並ぶ玄関を横切り、廊下を歩いていく。 (なんか鳥ばっかだな・・・・・・) 玄関に入ってすぐにあった床の塗装も鳥が大きく翼を伸ばした姿が描かれていたし、各種置物も翼を伸ばした鳥という案配(あんばい)だ。 後でわかったことだが、聖王教会では鳥がモチーフになったシンボルマークが使われており、よほど好きらしい。 (ん?・・・あいつら、なにやってんだ?) 続いてアルトが見たのは1組の男女。しかし男の方は前時代的な切断器具である〝ノコギリのように削られた1メートル程の木の棒〟を女性に突きつけていた。 それで女性が恐怖に怯えているなら話は簡単であり、アルトも助け出すことを躊躇しなかっただろう。 しかし女性の方は喜んでいたようだった。 そのことから特に危険なわけでもないようなので、別段考えもせずどんどん歩を進めるシャッハ達を追った。 (*) しばらく歩くとシャッハは1つのドアの前に立ち止まった。 こん、こん 広い廊下にノックの音が反響する。 『どうぞ』 内から聞こえる女性の声。シャッハはドアを開けると直立する。 「時空管理局の八神はやて様ご一行がいらっしゃいました」 『ありがとう』 シャッハは一礼すると、はやて達を部屋に招き入れ、自分は出ていった。 部屋はなかなか広くカリムという人の重要さを物語る。 しかし物見遊山している暇などなかった。なのはとフェイトは部屋に入ると突然直立不動となり敬礼する。アルトも慌てて続いた。 「便宜上やけどカリムは管理局の少将ぐらいの階級を持ってる〝お偉いさん〟なんよ」 と、先ほど何気も無くはやてが言っていたことを遅まきながら思い出す。 「失礼いたします。高町なのは一等空尉であります」 「フェイト・テスタロッサ・ハラオウン一等海尉です」 「早乙女アルト准尉です」 すると奥から、長いストレートな金髪に紫のカチューシャを着けた25歳ほどの女性が現れた。 彼女は 「いらっしゃい」 と告げると、名乗った。 「初めまして。聖王教会、教会騎士団騎士、カリム・グラシアと申します。どうぞ、こちらへ」 カリムに周囲がガラス張りになったテラスへと誘導され、彼女とはやてはイスに腰を掛ける。 なのは以下3人は 「失礼します」 と一礼してイスに腰を掛けた。 するとカリムはこれまた品よく笑う。 「3人とも、そんなに固くならないで。私たちは個人的にも友人だから、いつも通りで平気ですよ」 「・・・・・・と、カリムが言うてるし、いつもと同じで平気やで」 カリムとはやての許可に、なのはとフェイトは即座に友人モードにスイッチングし、普段通りの口調に戻った。 「改めてこんにちは、私のことは〝なのは〟って呼んでください」 「はい、なのはさんですね。ハラオウンさんと早乙女さんはなんとお呼びすれば?」 「私はみんなからフェイトと呼ばれています」 「俺は、アルト─────」 「〝姫〟やろ?」 「ど、どうしてお前がそれを知って─────!」 「なのはちゃんの報告書に書いてあったで」 なのはに向き直る。すると彼女は少し面白そうに両手を合わせ 「ごめ~ん!あんまりにもぴったりな表現だったから・・・・・・」 と謝罪した。 続いて 「こんないいセンス持ったお友達ならウチともいい友達になれそうやわ~」 とはやて。 (いかん・・・・・・遊ばれるモードに入っている・・・・・・) しかしアルトは怒って否定するまねはしなかった。彼は〝大人〟になろうと努力していたし、彼の望む大人像には短気は入っていなかった。 「・・・・・・なるほどな。確かにチビダヌキって愛称を持つお前ならアイツともいい友達になれそうだな」 反撃に転じたつもりだったが彼のマニューバ(空戦機動)は稚拙すぎ、老獪なはやてには無力だった。 「やろ~タヌキってキツネよりもユーモラスやし、チビってのが愛嬌あるみたいで結構気に入っとるんよ~」 (しまった、上手くかわされた・・・・・・!) 青年は己の経験不足を嘆くしかなかった。 「えっと・・・・・・とりあえず、なのはさんにフェイトさん、それにアルトひめ―――――」 ジロリ アルトの敗者の哀愁を漂わせる視線にカリムは空気を読んだ。 「―――――コホン、アルトさん。これからもよろしくお願いしますね。・・・・・・それから私のことはどうぞカリムと呼んでください」 全員の自己紹介が終わったところで、はやてが仕切り直す。 「それじゃあいい機会だから改めて話そうか。機動六課の設立目的の裏表。そして、今後の事をや」 極めて真面目な顔をして言い放った。 (*) 周囲のカーテンが閉め切られ、先ほどとはうってかわって密会の雰囲気が出たテラスではやては説明を始める。 「六課設立の表向きの目的は、対応が遅く、練度の低くなった地上部隊の支援と治安維持。そして時代の変遷によって不具合が出てきた管理局の非効率なシステムの刷新や」 はやてが端末を操作し、ホロディスプレイを立ち上げていく。 「知っての通り、設立の後見人は騎士カリムとフェイトのお母さんのリンディ・ハラオウン総務統括官。そして、お兄さんのクロノ・ハラオウン提督や」 アルトは隣のフェイトに念話で耳打ちする。 『(この前本部ビルにいたクロノって、お前の兄さんだったのか)』 『(うん)』 『(へぇ・・・・・・、あんまり似てないんだな)』 そこで少しフェイトに陰が落ちる。 『(・・・・・・リンディ統括官もクロノ提督も義理のお母さんとお兄ちゃんなんだ)』 『(え、あぁ・・・・・・すまない・・・・・・)』 ただならぬ雰囲気を感じたアルトはそれ以上詮索しなかった。 「―――――あと非公式にレジアス中将も初期の頃から設立に賛成して、協力を約束してくれとる」 (はぁ?中将は地上部隊の指揮官じゃなかったか?なんでまた本局所属の六課なんかに?) 同じ疑問が浮かんだらしく、なのはとフェイトの顔にも〝?〟マークが浮かんでいた。 今でこそガジェットの度重なる出現で六課の重要度は増すばかりだが、それより前から賛成していたというのは理解できなかった。 普通なら地上のことなのだから、身内(地上部隊)で解決しようとするはずだ。 こちらの疑問に察しがついたのだろう、カリムがはやての説明を継ぐ。 「レジアス中将が設立に賛成したのには理由があります。それは私の能力と関係あるんです」 カリムの説明によると、彼は優秀な部下として可愛がっているはやての勧めで、地上部隊最高司令官として預言に耳を傾けているらしい。 しかしそれだけではまだ六課の味方をする理由がわからない。 そこで立ち上がり儀式魔法を展開。準備を始めるカリムに、はやてが補足する。 「実は最近のカリムの預言に、1つの事件の事が徐々に書き出されとるんや」 どうやら準備ができたらしい。カリムが浮いていた紙の内1枚を手に取り読み始める。 『赤い結晶と無限の欲求が集い、かの翼が蘇る 閃光と共に戦乙女達の翼は折れ、中つ大地の法の塔は虚しく焼け落ちる それを先駆けに善なる心を持つ者、聖地より鳥を呼び覚まし、数多(あまた)の海を守る法の船も砕き落とすだろう』 その預言が聞く限り悪いことのオンパレードであることに、初めて聞いた3人が絶句する中、はやてが更に補足する。 「ウチらはこれをロストロギア『レリック』によって始まる時空管理局地上部隊の壊滅と、管理局システムの崩壊だと解釈しとる。レジアス中将もそれを鑑みて、比較的自由度と拡張性の高い、六課の設立に賛成してくれたんや」 その説明に3人は納得した。しかしはやての顔が優れない。 ここは喜ぶところではないとは思うが、失望したような表情をするところでもないはずだ。 そんなカリムを含めた4人の心配が伝わったのだろう。はやてが訥々と、理由を口に出し始める。 「・・・・・・レジアス中将には、わかってもらえたと思ったんやけど・・・・・・なぁアルト君、なのはちゃん、あの配備計画は本当なん?」 突然話をふられた2人は (ここでこの話が来る?) と驚きつつも頷く。 「すみません、あの配備計画ってなんでしょうか?」 カリムとフェイトが話についていけないので、なのはが速成で説明する。 「昨日レジアス中将が話してくれた計画で、『バルキリーを量産、低ランク空戦魔導士に配備して被撃墜率を下げよう』って計画です」 その話を聞いていなかった2人は 「レジアス中将ならやりそうなちょっと強引な計画だ」 と納得した。 「確かにちょっとギリギリな計画だとは思う。・・・・・・んだが撃墜率は減るだろうし、悪い計画じゃないんじゃないか。どうしてお前はそんなに嫌がるんだ?」 そう言うアルトをはやては見つめると、1つの事を聞いた。 「アルト君、あなたの飛行機の通称は?」 「?なに言ってるんだ。バルキリーに決まって・・・・・・あっ!」 言いながらアルトは気づいた。 〝バルキリー〟この読み方は英語式の〝ヴァルキリー〟に端を発し、日本語では〝ワルキューレ〟と呼ばれる。 意味は昔の地球の北欧神話に出てくる半神の名で、戦乙女という意味だ。 確かアルトの調べた限りこの世界にも偶然か、はたまた必然なのか、その呼び名を持つ同じような神話があった。 それではやての悩みは理解できた。預言の戦乙女の記述が、心配なのだろう。しかし――――― 「バルキリーは戦乙女という意味だ」 アルトの言にカリム、フェイトが驚愕する。しかしなのははわかった風に静かだ。どうやら彼女も自分と同じ考えに行き着いたらしい。 「どうして2人は冷静でいられるん!?レジアス中将は戦乙女=バルキリーなんてわかってるはずやのに!?」 はやてが珍しく語気を荒げる。 「はやて、」 「はやてちゃん、」 2人の声が見事にハモる。なのははジェスチャーで『お先にどうぞ』と送りだした。 「お前はどうして六課があるか忘れてるんじゃないか?・・・・・・いや、俺たちの報告書がマズかったかもしれないな。〝つまらん例外〟以外あれは客観的事実しか書いてなかったはずだ」 その〝つまらん例外〟を書いた本人であるなのはは、投げられたアルトの視線に『テヘへ』と頭を掻いた。 アルトは続ける。 「だがあの時中将は俺達に、『ミッドチルダをよろしく頼む』って言ったんだ。今ならわかる。あの重さが!」 アルトに変わり、なのはがその先を継ぐ。 「レジアス中将は私達に期待してくれてるんだよ。『きっと六課が、預言を阻止してくれる!』って。・・・・・・それにね、戦乙女って六課とも取れるんだよ」 そう、どちらかと言えばそちらの方が可能性としては高い。 昨日見た設計段階のバルキリーは、反応エンジン、航法システムなど武器以外は魔法や魔力結合に頼らぬほぼ純正のものを踏襲していた。 そのためバルキリーはランカレベルの超AMF下でも十分飛行と戦闘が可能だった。 またその他の要因にしても、魔導士にあってバルキリーにない機構などほとんどない。逆に優秀なものならいくらでもある。 大規模センサーなど電子機器しかり、魔力の回復の早い小型魔力炉しかり、圧倒的な馬力や装甲しかり・・・・・・ はっきり言って脆弱ななのは達魔導士方が簡単に、預言の文句と同じく〝翼は折れ〟た状況になるだろう。 「・・・・・・その時、誰が私達を助けに来てくれるのかな?」 なのはの決め台詞はこれだった。 とりあえず現状の魔導士部隊には不可能だ。しかし、バルキリー隊なら?またこれは逆に、バルキリー隊が危険なら六課は?とも言える。 両方無力化されるとは考えにくい。しかし、どちらかが機能すれば預言を阻止できる可能性は失われず、助け合える。 レジアスの言っていた『君達1部隊に地上の命運を任せる訳にはいかない』とはこの意味があったのだ。 「じゃあ、レジアス中将はウチらの心配もしてくれてたんか・・・・・・」 自らを犠牲にしてでも預言を阻止しようと決意していたはやては、感極まった様子で俯き、声に出さず呟く。 『ありがとうございますレジアスおじさん。言ってくれないだけで、ずっとウチらの事も心配してくれとったんだね・・・』 はやてが再び顔を上げた時、一同は暖かい笑顔を彼女に向けていた。 (*) 「さて、実は新しい預言が出た話だけど─────」 カリムの一言に、彼女を除く全員が 「「「あっ!」」」 と声を上げた。 「・・・・・・そういえばそのために来たんだったね」 「にゃはは~完全に忘れてたのですぅ~」 フェイトとなのはの会話が驚いた人達の気持ちを最も端的に表しているだろう。 「でもカリム、預言は1年に1回じゃなかったんか?」 はやての質問にカリムも困った顔をする。 「それが月とは関係ない、別の力が作用したみたいなの」 彼女は言いつつ預言書を出し、読み上げる。 『月と大地の交わる所運命(さだめ)の矢が放たれる』 顔を上げたカリムが、どういう意味がわかる?と一同を見渡す。 「運命の矢ってのは攻撃かな?」 と、なのは。 「月と大地ってことは、宇宙か空だよね。・・・・・・まさか衛星軌道兵器なんてことは─────」 と、フェイト。 「どうやろう・・・・・・戦時中の軍事衛星は耐久年度を超えてるか叩き落とされとる。それに軌道付近なら管理局のパトロール艇が監視しとるはずや。この場合、まず悪いことなんかがわからんな・・・・・・」 腕組みしながらはやてが言う。 「なんかどこかで聞いたような文句だな・・・・・・」 とアルト。 その後議論を1時間近く続けたが結論は出ず、カリムの用事のためそのままお開きになった。 (*) 聖王教会から帰るとすでに日は落ち、ヴィータ教官率いるフォワード4人組も既に訓練を終え、宿舎に引っ込んでいた。 「ほんならなのはちゃん、フェイトちゃん、それにアルト君、わかってもらえたかな?」 自らの声が広い空間を波紋する。 ここは六課の隊舎の玄関前にあるロビーだ。ここからは私室のある部隊長室と、なのは達の宿舎とは反対方向となるのでお別れとなる。 「うん」 「情報は十分。大丈夫だよ」 2人は 「じゃあ」 と言って一時の別れを告げると、宿舎へと続く渡り廊下を歩いていく。 しかし、ラフに壁にもたれたアルトは動かなかった。 「・・・・・・どうしたん?」 「いや、『何か言いたそうだなぁ~』って思ったから待ってるのさ。なのは達行っちまうぜ、いいのか?」 はやては去っていく2人の後ろ姿を見て少し逡巡したが、すぐ首を 「うん」 と力強く縦に振る。 「・・・・・・いや、ありがとうな。本当は言おうと思ったんやけど、よく考えてみれば2人には言わなくてもわかってくれとると思う。」 2人を見送るその横顔は確信に満ちていた。 「そうか」 「でも、アルト君には確認しておきたい」 「なんだ?」 アルトはもたれた壁から離れると、腰に手をあてがい聞き耳をたてる。 「六課が、これからどんな展開と結末を迎えるかわかれへん。だけどこのまま六課で戦ってほしいんやけど、ダメ・・・・・・かな?」 「・・・・・・そうだなぁ、六課設立の目的が最初聞いた時と圧倒的に違うからな。実は『壊滅するかもしれない?』『単なるテスト部隊でなく管理局の切り札だった?』と来たもんだ。おまえの覚悟は立派だし、その気持ちには同情する・・・・・・だが、こんな〝危険〟なとこに俺らを引き込んだのか?」 アルトの口から出る痛烈な言葉にはやてはシュンとなる。 「・・・・・・やっぱり、いやなんか?」 「ああ、嫌だね」 アルトはにのべなく切り捨てた。 「危険なのは俺だけじゃないんだ。ランカだって関わってる。もしアイツに何かあったら、アイツの〝兄さんズ〟に反応弾(物質・反物質対消滅弾頭)か重量子ビームでスペースデブリ(宇宙の塵)にされちまうんだ。本当のことを知らされないで、そのことへ覚悟がないのに危ないのは御免被る。」 アルトの言葉にはやてはどんどん肩落とし、泣き出さんとまでになってきた。 「ごめん・・・・・・アルト君がそんなに嫌がってるなんて知らへんかった。気づけなくてごめんな。なんなら今すぐランカちゃんと一緒に─────」 部隊長室へ歩き出そうとしたはやてだったが、アルトの手が肩に触れて立ち止まり、彼を振り返った。 (*) アルトは「やりすぎたか・・・」と胸の内で呟いた。こちらを見上げる小さな少女の目には大粒の涙が溜まっていたからだ。 「あぁ・・・・・・俺はそういう事を言ってるんじゃないんだ・・・・・・。つまりだな、危険な事でも下手(したて)に出て「ダメか?」とか頼むようじゃ人は着いてこない。たとえ俺たちのような〝友達〟でもな。そう言ってるんだ」 ここではやてはアルトの真意に初めて気づいたようだった。 「いじわるやね、アルト君・・・・・・」 アルトは破顔一笑。 「ほんとにな。よく言われるよ」 するとはやては涙をさっと拭うと、大仰に決めていい放つ。 「じゃあ、アルト〝くん〟とランカちゃんに〝どうしても〟手伝ってもらいたいんや!いいんやろ?」 「仕方ない、付き合ってやるか。・・・・・・お前もいいんだろ?」 アルトは壁に話しかける。そこはロビーに隣接するように作られている自販機コーナーの入り口のドアだ。 気づけば、さっきアルトがもたれるのをやめた時、彼は何気なくそのドアを少し開けていた。 はやてがその行為にタヌキ・・・いやキツネに摘ままれたような顔をしていると、緑の髪した少女が「てへへ」と笑いながら出てきた。どうやら偶然最初からいたようだった。 「うん。もちろん。私、このみんなのいる街を守りたいの!」 彼女の赤い瞳には強力な意志の力がみなぎっている。 「こんな2人だが、これからもよろしくな。」 アルトとランカが手を出す。 はやては2人の手を掴み「ウチこそ!」と、100万W(ワット)の笑顔で応えた。 シレンヤ氏 第10話 その2へ
https://w.atwiki.jp/gamemusicbest100/pages/6806.html
超時空要塞マクロス スクランブルバルキリー 機種:SFC 作曲者:山根昇 開発元:ウィンキーソフト 発売元:ザムス 発売年:1993 概要 アニメ『超時空要塞マクロス』を原作とした横スクロールシューティング。 ゲームバランス・グラフィック・音楽とどれもハイレベルで、スーファミのシューティングの中でも出来はかなり良い。 音楽はウィンキーソフトの山根昇氏が担当。BGMはほとんどゲームオリジナルだが、1部でミンメイの歌が流れる箇所がある。 収録曲(仮曲名) 曲名 作・編曲者 補足 順位 OPENING 山根昇 アニメのOPテーマ「マクロス」のアレンジなおサビまで聴けず途中で終わる SELECT PLAYER STAGE 1 BOSS 1 ステージ1・3・4・5ボス STAGE 2 BOSS 2 ステージ2・6ボス STAGE 3 STAGE 4 STAGE 5 私の彼はパイロット ステージ5後半 STAGE 6 STAGE 7 愛・おぼえていますか ステージ7中ボス LAST BOSS ステージ7ボス ENDING エンディング~スタッフロール