約 925,916 件
https://w.atwiki.jp/deruze/pages/255.html
悪鬼がとおる 地獄だった。 誰1人として成仏できず、 全ての骸が得体の知れない力に怯え、 何故こんな事にと私を訊ねて群れをなし、 行きどころの無い憎しみをぶつけてくる。 ――――そんな地獄。 『悪鬼がとおる』 (ギャアアアア!!) 長い石造りの廊下に苦悶と憎悪を織り混ぜたかのような悲鳴が響き渡る、彼女はかつてこの場にいた巫女の1人であった。 霧絵が初めてその霊に遭遇した時、彼女は目を疑い困惑した。 自分が門を封じた時確かに全員天へと登って逝った筈だ、それは朧気ながら記憶しているし確かに見たはずなのに・・・・・ 何より攻撃してくるということは既に治まったはずの障気がいまだに存在するということなのだが、門からは漏れていなかった、あの怪物が抑えているし・・・・・ おかしい、全てがオカシイ、ただ判るのはまた人を殺してしまった事だけ 「ごめんなさい・・・・・」 彼女は霊体だった、だから『殺した』ではなく『封印した』なのだが、それでもついこの前までの自分と同じ存在を消した事に変わりはない。 正当防衛だったとはいえ言い様の無い悲しみが込み上げ、ともかく屋敷を出たくなった。 井戸の外に出ると、漂って来るのはやはり障気ではない、それどころか懐かしき我が家の空気ですらない。これこそ、この異質な霊力こそが異変の理由だと直感した。 それは今まで感じた事の無い邪悪の気配。 自分の知らない外界、異国の空気。 「どうか、これ以上は誰も出てこないで・・・・・」 しかし、そんな想いとは裏腹にまだ苦痛は追いかけてくる。灯籠の灯った薄暗い廊下を逃げ出す途中に様々な人を見た、目の潰れた者もいた、首の折れた者もいた、もはや人としての原形を留めていない者もいた。 それぞれがそれぞれの敵意を持って此方に向かって来る。その度に縄を振るい、彼らを極力傷つけぬよう退け、やっとの想いで門の入り口までたどり着いた。 目の前に、鳥居が見える。・・・・・そして。その下にあの男は立っていた。 すぐにどれほどの悪意の塊かを理解することになる、あの最悪の男が・・・・ 「大丈夫ですかお姉さん、こんな夜道に一人じゃ危ない。今そっちに行きますから!」 鳥居にも灯りが取り付けられ一応相手の顔が見える程度には明るい。 眼鏡の下の知的な目、いかにも人が良さそうな表情 普通の人間から見た彼、日野貞夫は、とても優しげな好青年にしか見えないだろう。 だが霧絵はその青年に何か嫌な既視感を覚えた、初対面のはずなのに幼い頃から知っているような・・・・・ 「待って!それ以上は近寄らないで」 気がついたら声が出ていた自分でも何故こんなに彼が嫌なのか解らないがともかく近くにいたくなかった。 「ん?あぁ、こんな状況だし、警戒するのも当然だよな。それじゃ、このまま情報交換します?」 「・・・・それくらいなら」 すると彼はにっこりと笑みを浮かべ深々と礼をし、そして英国紳士の様に丁寧な口調で話し始めた。 「まず自己紹介から始めましょう、俺の名前は日野貞夫。貴女のお名前は?」 「霧絵、氷室霧絵です」 「霧絵さんか、いい名前だ。さて本題に移りましょう、霧絵さんはコレを見聞きしましたか?」 日野と名乗った青年は学生鞄からラジオを取り出し霊石を入れる。するとラジオからもはや聞き慣れてしまった霊の声が聞こえてきた、しかし内容は聞きなれない単語ばかりが飛び出してくるばかり。 サイレントヒル? 新たなルール? 殺し尽くせ? 「『この街から生きて帰りたいのなら、皆殺して最後の一人になれ』だ、そうですよ。全く、馬鹿げてる・・・・」 日野は片手で眼鏡をクイと上げ、憎々しげに何かのチラシを読み上げ首を横に振り、これまでの経緯を話し始めた。どうやらこの知らせを聞いて仲間を集めて脱出する事を決意したらしい。 最初に感じた違和感も気になるが、その後もいくつか質問をして、その身振り手振りや口調から本気でこの異常事態を解決しようとしているという気概を読み取り、歩み寄ろうとした。 だが、どうしても譲れないことがある。それはこの氷室邸の管理、そして自分自身の過去。 「私は・・・・一緒には行けません、この家を放ってはおけないし。それに既に何人も・・・・」 自分にこの地獄から抜け出すような資格は無い。 過去、この氷室邸で故意にではないにしても門を閉じる際に既に何人もの命を―――― すると男は鼻歌の1つでも歌い出しそうな清々しい声で言い放った。 「あ~殺しましたか、人を!」 うつ向きながら暗い表情をしていた霧絵はビクリと身体を震わせ、硬直する。 「どんな方法で殺したんだ?毒殺か?銃殺か?あぁわかったぞ、その縄で絞め殺したのか!いいよなぁ、特に首を締め上げてから死ぬまでの苦しみの表情は感動物だ」 何が起きているのかまるで解らず混乱するしかない。一体なんだこれは?さっきまで勧善懲悪をうたっていた人間は何処へ行ったのか?日野は休まず話し続ける 「溺死させたり、焼き殺したり、感電死を眺めたり、スタンダードに撲殺もいいよな。殺しは実に面白い、中でも俺は刺殺が好きだ、刃を向けられた哀れな犠牲者の命乞いは魂が震え心が踊る」 大袈裟な仕草で雄弁に語るその姿、それはまるで地獄の軍団長が語る大演説を思わせる。 「いったい・・・・何を・・・・!」 霧絵は顔を上げ日野の顔を直視し、そして確信した。これこそがあの男の本性、 すべてを引き裂く野獣のような、あの嫌な目。 頬の肉を無理矢理引き上げたかのような、あの嫌な口元・・・・ とても先程まで普通に話をしていた人間には思えなかった。 「やはりね、反応を見ておそらく、と、思ったが。目を見て確信したよ、やはりお前は人殺しだ。しかもまだまだ罪悪感なんてモノに振り回される尻尾もとれないオタマジャクシだ。ヒャハハハハ!」 この男は歪んでいる、それは明らかであり、この一触即発の空気の中ではきっとあっという間に殺し殺されになるだろう。霧絵は命の重みを知っている、沢山の人々の嘆きをあまりにも長い年月聞き続けてきたから。それもこの様な障気モドキの充満した中で死ねば相手も自分も碌な事にはならないことも重々承知していた。 だからどうしても目の前の鬼畜生にすら見える男を改心させたかった、もしかしたら最初は何か理由があって外道に落ちたのかもしれない。もしそうなら説得できるかもしれない 「・・・・何故人殺しなんて」 「よくぞ、聞いてくれた。人間はな、ストレスというものがたまる。だけど、エリートはストレスが溜まってはいけないんだ。そのためには、どうする?そう。ストレスになりそうな存在を排除する。 腹の立つ人間は一人残らず殺してしまうのさ。そうすれば、ストレスもたまらないし、自然とストレスも解消できる。楽しいぞ。こんなに素晴らしい方法、他にあるか?」 「けれど人間には魂があります、それが肉体から離れればもう二度と人生を送ることはできないのですよ。一寸の虫にも五分の…」 「それがどうしたというんだ?人を殺すのに、深い理由が必要か?」 日野は喫茶店でウェイターに珈琲を頼むように落ち着き払った態度で言い放った。霧絵にとってそれは完全に理解の外、止める言葉も見つからず、もはや呆気にとられるしかない。 日野は更に続ける。 「その様子じゃ無理だろうが。どうだい、俺の仲間にならないか?殺人クラブの」 「な・・・・・!」 「俺ならあんたを苦しみから解放する事ができるかもしれない。何、案外殺人を許容するなんて簡単さ、受け入れるだけでいい、恐怖心を、傲慢を、狂気を、卑屈さを、残忍さを、理不尽を、愛しい恋人を受け入れるようにだ。それで人生はもっと楽しくなる。さぁ・・・・・どうする?」 一瞬の空白、気味の悪い夜風と共に、何処からか警報の音が響いてくる。そういえば目覚めてからずっと聞こえている。この音の意味も、自分の知らない邪悪な空気も、目の前の人物の言うことも どれ1つとして理解不能、何もかもが不可解。 しかし1つだけ判別のつく事がある。この男の持っている空気は既に普通の人間のそれではなくなっている。 障気だ、この禍々しくて残酷な気配は小さくても紛れもなく、障気。 問いに対する答えは出ている、相手が障気に近しい者ならば縄の巫女として逃げる訳にはいかないだろう。 「お断りします、貴方の仲間にはなりません」 「・・・・残念だ、これからでも殺っていけば、きっと理解してくれると思うんだが。それに、一人で街1つ潰すのは楽じゃないからな、どうだ考え直さないか?」 なおもしつこく聞いてくる日野にため息と共に答える。 「貴方は考え直す気はないのですね・・・・これからも人を殺していこうというなら。私は貴方を・・・・・」 そう、門を閉める事もまた人々の驚異を取り去るためのものだった。ならば日野貞夫についても同じことが言えるのではないだろうか?霧絵は覚悟する。命をかけて目の前のドス黒い悪意を止める事を。 「強情っぱりだなぁ。ま、仕方ない。諦めよう。さて、それじゃそろそろ終わりにしようか」 言うが早いか日野がアイスピックを取り出し一直線に此方に向かって走り出した。しかし霧絵も黙ってはいない、手に持つ縄を振るい応戦する。が、日野はそれを悠々と避けるが――――― ボゴァッ!! 「何ぃ!?なんだ!?」 土煙と共に石畳が弾け飛ぶ。とはいえ少し抉れた程度なのだが縄を当てた程度でこれ程の威力を出すことは日野に衝撃を与えた。 彼女の持つ縄はただの縄ではない。目隠しの儀を経て17年の歳月を座敷牢で過ごし果てには自らの肉体を引き裂き死をもって完成する彼女の世界において最強の神器。 本気を出せば人間一人程度の四肢をバラす事など造作もない。 「面白い。獲物はやっぱり暴れてくれないとな」 そこで日野は作戦を変え、アイスピックを三本ほど投げた後行動に移る。 霧絵は縄で撃ち落とすが、それが仇となり捕まえるべき対象を見失ってしまった。黒のシルエットが不気味な木々が四方でざわめき、その中から声が聞こえてくる。 「姿が見えなきゃご自慢の縄は当てられないだろ?ちょっと特別な物を持ってるくらいで、あまり調子に乗るなよオバサン!」 木の間で声が反響し音はすれども姿は見えず。だがきっと不意討ちを狙ってくるはずだ。 何処にいる?何処に・・・・・ その時、カツンッと石畳の音がした。 即座に反応し攻撃するが誰もいない、靴が片方置いてあるだけ・・・・・ 「そこまでか?」 背後から声が聞こえるも時既に遅し巨悪の高笑いが木霊する。 「ヒャハハハハ!!喜べ!お前が記念すべき殺人ゲームの餌食一人目だ!!」 そして無惨にも腕は振り上げられ、目の前は真っ暗になった。 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ………………? なんだ?お次は何が起こった? そうか!分かったぞクソめ!あの一瞬のうちに縄で俺を後ろに引っ張り、ついでに鳥居の灯籠を全て消したって訳だ。 してやられたぜ、霧絵。まさかここまでできるとは・・・・ だが条件は同じはず ヤツもこの暗闇では何も見えはーーーー 『ハァ゙ッ、ハァァァァーーーー 見 え な い 』 「ぐっ!?」 いきなり首を絞められ空中停止する、それと同時に視界がハッキリした。目の前にあの女が困惑した顔で突っ立っている、という事は後ろにいるのは第三者。最初から仲間が援護していたわけだ。 「貴様・・・・・謀ったな!」 それには答えずあの女は生きた蛇のように蠢く縄で手足を縛り始めた。いつの間にか後ろのヤツも消えているようだ、いくらじたばたしても縄はウンともスンとも言わない。きっとこのまま有無を言わさず殺されるに違いない。まだ殺し足りないというのに・・・・・!! 「・・・俺の・・・殺人クラブ・・・・選ばれし者達の・・・・・・・」 そう呻くと、辛そうにも哀しそうにも、または怒りも混じっているような複雑な表情であの女は言った。 「貴方には・・・・本当に選ばれてしまった人々の気持ちなんて、理解できない・・・・ッ」 そうすると俺を思い切り屋敷の中へと放り投げた。受け身も碌にとれず、地面に衝突しトタン板に重い石を落としたような音が辺りに響いた 「ぐえぇっ!!」 体の何ヵ所かにヒビが入ったのか身体中が痛い。奴め中途半端な事しやがって・・・・しかし家の中に入れたのは好都合だ。奴等が全て持って行ったかもしれないが銃や刀があるかもしれないからな。 この殺人ゲームに招かれた事といい、階段の下にいた気の効いたオモチャといい、確実に運は此方に向いてきている。この程度の怪我ならなんとかなるだろ、案外主催者に気に入られているのかもしれないな。まぁいい、思うように埒を開けようじゃないか! 『これからも人を殺していこうと言うのなら、私は貴方を・・・・・』 「ククク、グッ・・・・!こんなに楽しい事を、止められるか・・・・」 しかし彼は気が付かない、自分の手首に刻まれた刻印の意味に・・・・・ 【C-4氷室邸中庭:夜】 【日野貞夫@学校であった怖い話】 [状態]骨にヒビ、興奮状態、殺人クラブ部長、縄の呪い [装備]:学生服 [道具]:学生鞄(中身は不明)、アイスピック数本@現実、霊石ラジオ@零~赤い蝶~ 薄赤茶色に光る鉱石@オリジナル、チラシ [思考・状況] 基本方針:殺人クラブ部長として、殺人を思う存分楽しむ。 1:とりあえず武器と治療具の収集 2 皆殺し 3 霧絵に復讐 ※裂き縄の呪いに架かっていますいつ死ぬのかは分かりません 裂き縄の呪い@零~zero~ 霧絵が怨霊だった頃(零~zero~本編)に使っていた呪い。時間経過と共に縄のアザが腕から足最終的には首に表れ、首にアザが出た後しばらくすると四肢を縄でバラバラにされ死に至る。 さて、ピンと来た人もいるかもしれないが日野を押さえ付けたのは目を隠された霊である。しかし何故視界の閉ざされたしかも自縛霊である彼女がここまで来れたのか? それには二つの理由がある。一つはサイレントヒルの魔力によるものが大きかった、これにより彼ら自縛霊は呪縛から解かれ氷室邸から出ていってしまえるからだ。 もう一つの理由はなんということはない、騒ぎすぎたのである。 目隠し鬼はここにいる、氷室邸の玄関口に、苦しそうに鳴きながら元仲間だった者へとすがり付く。 「ありがとう・・・・・助けてくれて」 たとえ助けるつもりが相手に無くとも、言わずにはいられなかった。過去に自分のせいで天に還れなかった人がそれでも助けてくれたのだから。しかしどうあれ鬼は鬼、ここで何とかしなければきっとまた自分の意思を歪められ、あの男と同じように人を殺すだろう。この場所では成仏もさせてやれないならばこの裂き縄に封印してしまえばいい。その方がまだうかばれる。 「人が、自分のせいで死ぬのは辛いと思う・・・・・だから、ごめんなさい・・・・さようなら」 縄で思い切り締め上げると、聞くに耐えない音を立て断末魔をあげて化け物は消えた。霧絵の頬に、一筋の雫が流れた---- しかし悲しんでいる暇はない、こうなっては何時までも霊がここに留まっているはずはないのだから。 鳥居から一つ提灯を取り、霧絵は走る。 「急がなくては、一人でも多くの人に危険を伝えるために」 【C-4氷室邸玄関前階段】 【氷室霧絵@零~zero~】 [状態]健康、使命感 [装備]浴衣、裂き縄@零~zero~ [道具]童話の切れ端@オリジナル、提灯@現実 [思考・状況] 基本行動方針:雛咲真冬に会いに行く 1 まずは周囲の人々に霊と日野の危険性を伝える 2 いなければ霊を封印しつつ真冬を探す ※チラシの内容を聞きました ※アイスピックが玄関口に三本落ちています ※氷室邸から自縛霊@零~zero~が大量に解き放たれました それにしてもオバサンか・・・・・私はこう見えても17なのだけれど(生前は)・・・・・浴衣が古くさいのだろうか? そんな事を考えながら階段を降りて行くと一番下の所に何か見える。なんだろうアレは?蛇にしては頭が大きすぎるのだが・・・・・ 近寄って提灯で照らすとソレが何か理解できた、それと同時に吐き気を催す邪悪を感じた。それは自分の行動は正解であったと心から理解できる光景。もし、あの時日野が止まらなければ、もしかすると自分もこんなふうにオモチャにされていたかもしれないと思うとゾッとする・・・・・ そこにはもはや、ゾンビとすら呼べない内臓と骨と頭だけになった音の鳴る腐ったモノがあるだけだった----- ※氷室邸の階段下にゾンビだったモノが落ちています back 目次へ next Creep 時系列順・目次 咆哮 Significant Commitment 投下順・目次 咆哮 back キャラ追跡表 next 笑う死神 日野貞夫 Deadly Belief 怪物と縄の巫女さまの童話。 氷室霧絵 菊花の約
https://w.atwiki.jp/deruze/pages/399.html
じぇいむず -- 暴犬 (2011-04-15 23 54 43) 名前が微妙に間違われるのは仕様ですかジェイムスさん。気合い充分な格好ですがあなたは見せしめですよ! -- 名無しさん (2011-04-16 00 20 35) 名前など飾りです。いつしか、このマッスルボディが炸裂すると信じております -- 暴犬 (2011-04-16 11 06 12) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/deruze/pages/445.html
ラクーンポリススーツ 出典:バイオハザードシリーズ 防弾機能付きの半袖つなぎタイプのラクーン市警の制服。 服は厚手の綿製で、胸、肩、上腕部を防弾防刃繊維で防護されています。 前後にR.P.D.のロゴ、両肩にR.P.D.記章があります。 備考 機動性を考慮したためか、背中や防弾素材の隙間など防護されてない場所があります。 防弾性能に関して、ハンドガン程度は防げると考えられますが、貫通は防げても衝撃によるダメージは防げません。
https://w.atwiki.jp/deruze/pages/289.html
ギャンブル・トランプ 外見は普通のトランプだが、カード背面のイラスト部分が半分人間半分骸骨の絵柄になっている。 男女対になっており、分岐によって効果が変わるがこれは『骨董品屋』で買った使っても『特に実力の変わらなかった』時のトランプとしてください。 その際のトランプの効果は女の方は『幸運を呼び込む』 男の方は『単体では普通のトランプだが、女の方と一緒に持つとこれまでトランプで得た幸運をそれ相応の不幸をもって支払わなければならない』 というものです。
https://w.atwiki.jp/deruze/pages/311.html
雛城高校美術室 現在、paint_bbsプラグインはご利用いただけません。
https://w.atwiki.jp/deruze/pages/377.html
四天王(笑) -- 暴犬 (2011-04-09 18 37 05) ナイフ持って考え事。「今日の夜は誰を殺そうかしら?」 鋏抱えた少年が吉と出ております。 -- 名無しさん (2011-04-09 19 44 10) 今度はトルネードしながらショタに襲い掛かります。そしてレインボー的にばらばらにされます。やっぱり! -- 暴犬 (2011-04-09 21 26 57) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/deruze/pages/299.html
ジェノサイダー 「グギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャ」 軽快な爪音で金属と化した地面を蹴り、風を切り裂き、闇を駆け抜ける協力者の背中の上で、 園崎詩音はとびっきりの笑みをこぼしていた。 「ギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャ」 笑みを向ける相手は、彼女が狂おしい程の愛しさを抱いている『北条悟史』。 その悟史が今、詩音を呼んでいた。 悟史の『声』が、今の彼女には聞こえていた。 「ギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャ」 初めは些細な『音』だった。 十字路に差し掛かった時、詩音の耳が拾ったのは、気のせいにも感じる程度の微かな『音』。 空耳だろうと捨ておいて協力者の為に東のルートに向かう事も出来たが、 念の為に、と音の方角――――南へと進み、そして進めば進む程、 その『音』は徐々に明瞭に聞こえてきた。小刻みに。断続的に。 何者かの悲鳴を伴って。何物かの破壊音を伴って。 「くけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけ」 その『音』は紛れもなく、銃声だった。 おそらくはマシンガン。もしくはそれに近い銃火器。 それらの類の武器で、化物やら何やらを破壊している音だった。 呼ばれし者――――殺すべき獲物が奏でている音だと詩音はすぐに認識した。 認識と同時に、『音』に『声』が重なり合う。 銃声と想い人の声とが混ざり合う。 「こっちだよ、詩音」と、想い人の声が脳内に響き渡る。 「けけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけ」 彼女は狂った思考で、瞬時に、冷静に、こう導き出したのだ。 獲物を皆殺しにすれば、ご褒美で悟史くんを生き返らせる事が出来る。 つまりは――――獲物を1人殺せば、その分悟史くんに近づける、と。 つまりは――――殺す獲物が奏でる音に近づけば、その分悟史くんに近づける、と。 つまりは――――悟史くんが、生き返る為に獲物の居場所を教えてくれてるも同然だ、と。 つまりは――――悟史くんが呼んでいるのだ、と。 「けけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけ」 協力者をそのまま南へとまっすぐ走らせていると、二つ目の十字路に辿り着いた。 銃声はまだまだ南側から聞こえてくる。 だが、これ以上彼女達が南下する必要は無かった。 (あそこだ!) 通り右前方の闇の中。テンポよく響く銃声に合わせて閃光が生じていた。 獲物の姿は視認出来ない。 閃光は闇の奥で、銃弾を撃ち出すほんの短い瞬間だけに生じている為、距離感も掴めない。 だが、今の詩音にそんな事は大したマイナスにはならなかった。 獲物はその辺りに居る。と、それだけ分かれば充分だ。 「ワンちゃん、止まって!」 協力者が徐々にスピードを落とし、道の真ん中で停止する。 詩音は跨ったままウィンチェスターを構え、暗視スコープを覗き見た。 緑で描き出される、円に繰り抜かれた世界を、ゆっくりと動かしていく。 閃光が走っていたのは、1軒の家の塀の中だった。 どうやらこの獲物は住宅の敷地内で戦っていたようだ。 (は~ん、だから光がここまで見えなかったんだ。別にまあどうでもいいけど!) 先程、下に居る協力者を狙った時よりもその住宅までの距離は遠く、 暗視スコープ越しとは言え決して鮮明な視界が得られている訳では無いが、 大体の状況は分かった。 通りには、多くの怪物共が閃光の走る住宅へと群がっている。 獲物はあの怪物共に追い詰められでもしたのか、逃げずに抵抗しているらしい。 (だったらしばらく高みの見物としゃれこみましょうか) 獲物が怪物と戦っているのなら、これ以上近づく必要は無い。 怪物に殺されるのを待てば良いし、もしもあの怪物の群れを殲滅させるようであれば、 殲滅したと思い込んで油断したところにこのライフルの銃弾をブチこんでやれば良いのだ。 暗視スコープの中で、怪物共は次々に住宅に押し寄せる。 閃光、銃声、更に咆哮――獲物のものだろう――が、殆ど止まる事なく響き続けている。 そして、状況に変化が起こるまでにはそれ程の時間はかからなかった。 押し寄せる怪物の数が明らかに減り始めている。 塀の中の閃光が徐々に通り側に寄り始めている。 どうやらこの戦いは獲物側が優勢。怪物が殲滅されるのは時間の問題のようだ。 「ふぅん…………なかなか、やるじゃない」 遂には、通りにいる怪物の身体が弾け飛んだ。 1体、また1体と銃弾に撃ち抜かれ、倒れていく。 瞬く間に、通りに残る怪物は片手で数えられる程度の数となった。 (それじゃあそろそろ出て…………来た!) その数体が崩れ落ちると、1人の人物が小走りで門の奥から出てきた。 やはり距離が遠く、スコープに映るのは不鮮明な映像。 それでも朧気に分かるのは、その人物が迷彩服らしき着衣を身につけている事と、 体格からして男であろう事。 顔は――――何かを被っているのか、またはペイントでもしているのか、 この暗視スコープ越しにはのっぺらぼうの様にも見えた。 (自衛隊? それともサバイバルゲームマニアかな? どっちでも構わないけど、よかったね! こんな戦場で死ねるなら本望でしょう? ね、悟史くんもそう思うよね!) 頬の肉が限界以上に吊り上がる。 とびっきりの、そのまたとびっきりの笑みを作り、詩音は引き金を引いた。 反動で浮き上がった銃身を直ぐ様まっすぐ戻すと、見えたのは弓形に仰け反った男の姿。 悟史への想いが込められた弾丸は、男の背中に命中したのだ。 続け様に詩音は銃の機関部下側に突き出たレバーを素早く操作し、次弾を装填。 動きの止まった男に、駄目押しの銃弾を撃ち込んだ。 「グギャ、ギャ、ギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャ!」 1人片付けた。これで悟史に1歩近付いた。 そう思えば、自然と笑いが込み上げてきた。 地面に倒れ込む男を見届けてやろうと、詩音は再び銃身を男へと戻す。と―――― (……は?!) 緑で描き出される、円に繰り抜かれた世界の中では、 地面に倒れる筈の男が平然と向き直していた。 手に持つ銃器が、詩音に向けられていた。 黒く染まった顔には、やはり黒い涙のようなものが流れていた。 黒い涙――――いや、違う。 男が足を止め、しっかりと顔をこちらに向けている今だからこそ、気付いた。 あれは、あの死なない亡者が流していた、赤い涙――――。 『うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおオオオオオオオオォ』 亡者が、吼えた。 まずい。詩音がそう思った時には銃声が轟いていた。 怪物共を殺戮してきた銃弾が、詩音の方向を目掛けていた。 詩音の上体が、大きく後ろに反り返った。 ウィンチェスターが宙に放り出される。 特徴的な色の長髪が、銃弾に絡め取られていく。 背中と後頭部が、地面に叩きつけられた。 意識が、混濁し―――――――。 詩音の身体は、十字路の曲がり角の先――亡者からは死角となる位置で横たわっていた。 すぐ側に居るのは、協力者。 感情の読み取れない目で、協力者は横たわる詩音を振り返っていたが、 その視線を気にしている余裕は彼女には無かった。 (あ、危な、かった…………) 今の一瞬で、全身から冷や汗が吹き出していた。 呼吸すらもままならない程に、心臓が喧しく動いていた。 間違いなく今、詩音は死んでいただろう。 この、彼女を見下ろしている協力者がいなかったのなら。 そう、詩音は被弾したわけではない。 男――――いや、亡者がマシンガンを撃ち出すよりも速く、 この頼れる協力者は回避行動を取ってくれていた。 ある程度は落下を避ける為に、と足に協力者が纏う布を巻きつけていた事が幸いした。 急に走り出した協力者の上でバランスを保てず、大きく反り返り転倒はしたが、 協力者が止まらずに走ってくれたおかげで詩音の身体は倒れた状態のまま地面を引っ張られ、被弾だけは免れる結果となったのだ。 打ちつけたり引きずられたりした為に背中や頭は痛むが、 命を失う事に比べればそれも安すぎる代償だった。 『おおおおオオオオオオオオォォォォォォォおおおオオオオォ!!!』 間近に迫っていた死への恐怖で放心気味だった詩音の耳に、亡者の叫びが届けられた。 来る――――考えると同時に身体が勝手に飛び起きた。 「ちくしょう! 化物かい! ちくしょう! 騙しやがって!」 騙された――――溢れんばかりの怒りが詩音の中で渦巻いていた。 しかし、確かに怒りはあるが、最早アレを殺す事に意味はない事にも詩音は気付いていた。 呼ばれし者ですらなく、あれ程の銃器を持つ化物など、戦う必要は無いのだ。 悟史を生き返らせるという目的を遂行する上では、あんな化物の相手はリスキーなだけ。 時間と弾丸、自身の命の無駄使いでしかない。もう悟史の声も聞こえない。 詩音は協力者に跳び乗ると、この場を早く離れる為に命じようとして―――― (待てよ……) ふと思い止まった。 確かにあの化物と戦う事は、リスクが高い。 だが、勝利する事で得られるメリットも存在する。 あの化物に勝てば、あの銃器――マシンガンが手に入る。それに気付いたのだ。 他にも何かしらの武器を持っているかもしれない。 持ち運べる武器に限界はあるが、今よりも強力な装備になるなら今後の戦いは益々有利に運べる。だったら――――。 詩音は逡巡する。 戦うか、逃げ出すか。 答えを出すまでの制限時間は、咆哮と共に近づいてきていた。 【B-2南側の十字路付近/一日目夜】 【園崎詩音@ひぐらしのなく頃に】 [状態]:肉体疲労(小)、後頭部に軽い打撲と擦り傷、背中に打撲、L5 [装備]:レミントンM870ソードオフVer(残弾6/6)、 ショルダーバッグ、ヘッドライト、トレンチコート、弾帯×3 [道具]:羊皮紙の名簿、ハンティングナイフ、30-30Winchester弾(46/50)、 12ゲージショットシェル(47/50)、携帯ラジオ、栄養ドリンク×3、携帯用救急キット、地図 [思考・状況] 基本行動方針:名簿の人間を皆殺しにし、北条悟史を生き返らせる 1:あいつを倒す? それとも逃げる? 2:『時計塔』を目指す 3:獲物を探す ※詩音の目指す『時計搭』の位置には灯台があります。 ※ケルブの纏っている布を自分の足に巻きつけて最低限の落ちない工夫をしています。 ※ケルブはT-ウィルスに感染しています。今後どのような変化があるのかは不明です。 ※詩音の近くにウィンチェスターM1894暗視スコープ付き(残弾5/7)が落ちています。 拾うかどうかは次の書き手さんに一任します。 【B-3北部/一日目夜】 【永井頼人(屍人)】 [状態]:胴体に銃撃による2つの怪我(再生中) [装備]:迷彩服2型、MINIMI軽機関銃(86/200)、ライト [道具]:89式小銃(30/30)、89式小銃(30/30)、MINIMI箱型弾帯(200×2)、89式小銃用弾倉×12 TNT高性能炸薬×4本、9mm機関拳銃(25/25)、06式小銃用てき弾×5、89式小銃用銃剣×2 9mm機関拳銃用弾倉×6、TNT用着火信管 [思考・状況] 基本行動指針:眼に入るもの全てを殲滅 1:目標(呼ばれし者及びクリーチャー)を探し殲滅する ※攻撃対象は無差別です。特別な目標として詩音やケルブを追う事はありません。 ※MINIMI箱型弾帯を2つ消費しています。 ※B-3北部ゴードン家、或いはその付近の家の敷地内に大量の怪物の死骸があります。 具体的な位置は後の書き手さんに一任します。 ※永井屍人が戦っていたクリーチャーが何かは後の書き手さんに一任します。 back 目次へ next 咆哮 時系列順・目次 噛み合わない「世界」 クローズアップ殺人鬼 投下順・目次 Sensible solution = Realistic Conception back キャラ追跡表 next 魔弾の射手 園崎詩音 罪物語‐ツミモノガタリ‐
https://w.atwiki.jp/deruze/pages/195.html
愛と罪が集う街(後編) 何が起こったのか、ゆっくり整理してみよう。 あの時あたしは、キリサキとユカリが乗った車を、後ろからバイクで追っていた。 霧は深かったが、車のライトは濃霧の中でもはっきりと視認できたため、後ろをついて行くことはさほど難しいことではなかった。 しかし、先行していたキリサキの車が突如急ハンドルを切り、道路を大きく回転しながら横滑りして行ったのだ。 あまりに突然の出来事に、驚いてこちらまで手元が狂いかけたものの、何とか転倒は免れた。 そしてほんの一瞬遅れて、霧の中を眩い光と共に雷鳴が轟き――そして、辺りはそれまでの白い霧の世界から、見覚えのあるおぞましい景色に変わっていたのである。 漆黒の闇の中を、シビルのライトの明かりが照らし出す。 ライトに照らされて円形に浮かび上がる景色は、まさに直視に耐えない代物であった。 以前ならコンクリートやレンガで作られていた塀は、血の色にも似た赤錆に侵食された金網と化し、建築物のそこかしこが、赤い血肉で構成された気色の悪いオブジェで彩られている。 この街、今でもはっきりと覚えている。血と錆に支配されたこの禍々しい景色、間違いなくここは――あのサイレントヒルだ。 前回は霧に包まれた、ここに比べれば格段に穏やかな景色の中でスタートしたが、今度のスタートは最低最悪の形となってしまった。 シビルは全身を襲う絶望感をなんとか押さえつけ、今はキリサキとユカリの安全を確保すべしと、警官である自分を奮い立たせた。 この街に跋扈する怪物は光と音に敏感だが、ここは止むを得ない。 「キリサキー!ユカリー!無事なのー!?」 シビルはひとまずバイクを適当な壁の傍に停め、危険を承知でライトをあちこちに向けながら、闇に向けて何度も声を張り上げた。 すると、しばらくして小さく「こっちだ」とキリサキの声が聞こえ、シビルは自分でも驚くくらい安堵した。 キリサキの声を頼りに、シビルは震える足を叱咤しながら闇の中を慎重に慎重に歩いて行った。 シビルがバイクを停めた数十メートル先に、キリサキの車があった。 車は真正面から太い鉄の柱に受け止められ、酷い有様となっている。 その太い鉄の柱には、外部の者を歓迎するための看板が取り付けられており、すっかり赤く錆び付いたそれには、『サイレントヒルへようこそ』という死刑宣告が綴られていた。 垂れ下がる赤錆が血のようにも見え――いや、本当に血なのかもしれない――、ただの看板なのにグロテスクであった。 ああ、また来てしまった。もう二度と、ここには来たくなかったのに――シビルは深く溜め息をついた。 不幸中の幸いか、運転席と助手席ははかろうじて人ひとりぶんのスペースを保っていた。 その潰れかけた運転席の中から、頭部から出血したキリサキがよろよろと抜け出してきた。 「大丈夫?」 「まあ、なんとかな…」 キリサキは車体の感触を手で確かめながら後部座席のドアを開け、シビルのライトの明かりを頼りに、荷物の中から自前の懐中電灯と救急キットを取り出す。 シビルは車の反対側に回り、助手席でぐったりしているユカリの様子を確認した。 ユカリは頭部から出血しており、鮮血がアジア人特有の真っ直ぐな長い黒髪を濡らし、青褪めた肌を赤く染めている。 首筋に指を当ててみると、若干弱弱しいが確かに脈が感じられた。 鼻腔からも出血が認められるが、その他は特に怪我はなさそうだ。 シビルはユカリの応急処置を引き受け、キリサキが持っていた応急セットで手早く傷の手当てを施していく。 幸い彼女の傷は見た目ほど酷くはなく、頭皮が数箇所裂けている程度であった。 ユカリの頭に包帯を巻き、顔にこびり付いた汚れを丁寧に拭ってやる。 掠り傷など他の箇所の手当てもあらかた終えた頃には、キリサキは自身の手当てを済ませており、この状況下においても紫煙をくゆらせているのか、暗闇から煙草の香りが漂ってきた。 キリサキは頭部に包帯を巻いており、多少の出血が窺えるが、意識ははっきりしているようである。 そしてこの悪夢のような景色にもかかわらず、今までの飄々とした態度を崩さずにいた。 「長谷川は?」 「命に別状はないみたい。じきに目が覚めるわ」 「そうか」 「…ちょっとは動揺したら?」 「そりゃあ多少はな。だがむしろ今は興奮してるよ。俺がわざわざアメリカまで来たのは、まさにここに来るためなんだからな。…それにしても、予想していたより随分とゴアな眺めだな」 そういえば、この男はシビルの元へ戻ってきた際(この現象もサイレントヒルのせいかもしれないが)、この街に身内の命がかかっていると言っていた。 ユカリもバリケードで初めて出会った時、この街で友達が待っていると懇願していた。 ――魔女や邪神が消えてもなお、相変わらずこの街は誰かを引き込み続けているらしい。 「とにかく外は危ないわ。…中も安全とは言えないけど、ひとまず安全な場所まで行きましょう」 「案内よろしく頼むぜ、センパイ」 失神したままのユカリをキリサキが背負い、暗闇を跋扈する“何か”を避けながら、二人は一番近くの骨董屋に避難した。 幸い中に危険なモノはおらず、ユカリをアンティークのソファに横たえてから、シビルは瀟洒なアンティークチェアに、キリサキは年代物のチェストに腰掛けて、事故を起こす直前に起こった出来事を語った。 彼曰く、突然霧の中から小さな少女が現れ、慌てて急ハンドルを切ったのだという。 その少女の特徴を聞いた時、シビルは心臓が縮むような感覚を味わった。 ――黒髪を後ろに束ね、紺色の制服を身に付けた、白人の少女。 ただでさえ事故の衝撃で頭がくらくらするのに、その少女の姿が頭に蘇った途端、失神寸前まで視界が揺らめいた。 なぜだ?あのハリー=メイソンの娘が、ダリア=ギレスピーという狂った母親によって人生を狂わされた不幸な娘が、なぜ今になって!? 彼女はハリーの奮闘によって赤ん坊に生まれ変わり、彼の娘として新たな人生をスタートしたはずだ。 それなのに――サイレントヒルに一体、何が起こっているというのだ!? 恐るべき事態に打ちのめされ、シビルは言葉を発することができなくなっていた。 「大丈夫か?顔が真っ青だぞ」 キリサキが気遣う言葉をかけてくれるが、それに返す言葉が見つからなかった。 「…何か知ってるな?詳しく話してくれ」 ただごとではない空気を感じ取ったキリサキが、鋭い目つきで詳細を求める。 シビルはいったんユカリの様子を確かめてから、あの少女の身に起こった悲劇、そして彼女の身に降りかかった不幸の源である、サイレントヒルを支配する“神”についてを語った。 学者に対し、この荒唐無稽な話を信じてもらえるかという懸念は頭の隅にあったが、それでも、話さずにはいられなかった。 誰かに話さなければ、頭の中がどうにかなりそうだった。 過去の忌まわしい記憶が完全に甦ったシビルにとって、一言も口を挟まず、黙って悪夢の話を聞いてくれるキリサキの存在が、この上なく頼もしく、ありがたかった。 「なるほど、やはり実際に起こった事件があったというわけか…」 全てを聞き終えたキリサキは、深く息を吸って煙草の煙を杯に溜め込むと、一息にそれを吐き出した。 ライトの明かりに浮かび上がる煙草の紫がかった煙が、黒い景色の中に消えていく。それを眺めながら、シビルは彼の次の言葉を待った。 「土着信仰がキリスト教の影響を受けながらも、異界の存在を召喚するほどの力を持つというのはなかなか面白い展開だ。そういえば、この付近の土地はかつて先住民の聖域だったという話もあったな…」 「こっちにしてみれば、面白いどころの話じゃないんだけど」 「ハハハ、悪い悪い。…さて、こうして俺達が再びサイレントヒルに迷い込んだということは、そのアレッサ=ギレスピーがいなくなっても、街が持つ異質な力はまだ失われていないということになる。これは調べ甲斐がありそうだな」 キリサキの三白眼が、子供のようにキラキラと好奇心で輝いている。 シビルからしてみれば、この男の脳内も異世界のように感じられた。 そもそも第一印象からして胡散臭いとは思っていたが、こうして話してみると胡散臭いどころのレベルではない。 邪神を召喚しようとする魔女の話を淡々と受け入れ、こうして怪異に巻き込まれても動揺するどころか、むしろ喜々として首を突っ込もうとするとは、相当な変人である。 『胡散臭い民俗学者』から、『シビルの物差しでは到底計りきれない、凄まじく変わり者の民俗学者』へ――シビルの脳内では、彼のデータはそんな風に更新された。 「それにしても、なぜ今になってアレッサが…?あの時全て解決したはずなのに」 「今のところは何とも言えないな。ま、少なくともここでじっとしてても解らんのは確かだ」 話が終わると、キリサキはほぼ半分の長さになった煙草の灰を指で叩き落とし、短くなったそれを再び口元へ戻した。 「出血してるんだから、煙草は止めなさい」 「悪いな。コレがないと落ち着かないんでね」 キリサキはにやりと悪びれない笑みを見せた。 シビルは呆れる反面、彼のその何事にも動じない飄々とした態度によって、わずかな安心感にも似た余裕が心に生まれたのを感じていた。 しかし、その余裕はすぐに消えることとなる。 にわかに空気が和らいだその時、壁に奇妙なチラシが張られているのにキリサキが気が付いたのだ。 キリサキはチラシを破り取ると、それを懐中電灯で照らしながら興味深そうに裏表を確認したのち、実に意外なことを尋ねてきた。 「…シビル、あんたパラレルワールドって言葉を知ってるかい?」 「え?…聞いたことはあるけど、それが何か?」 「パラレルワールドを題材にした創作は数多く存在する。日本では、数年前に近未来の日本を舞台にした小説が映画化されて大ヒットしてな、そのショッキングな内容が社会現象になったもんだ」 「へえ、どんな話?」 「中学生が政府によって修学旅行と称して孤島に集められ、殺し合いをさせられるんだ。生き残ったたった一名の生徒は、政府から手厚い保護を受け、将来が約束される」 「モメそうな内容ね」 「ああ、大モメだったぞ。丁度その頃、青少年の凶悪犯罪が世間の注目を集めてたから、公開にあたっては年齢制限がかけられてな。肝心なターゲット層の中学生が見られなかったというオチが付いた」 「そう…で、それがサイレントヒルと何の関係が?」 本題になかなか入らないキリサキに苛立ち、詰問に近い口調となる。 そんなシビルの前に、キリサキは先程まで読んでいたチラシをかざして見せた。 差し出されたチラシを受け取り、裏表両方に目を通したシビルは、その内容に思わず目を見開いた。 そこには、先程キリサキが話した映画のように、この街での殺し合いを推奨し、最後に生き残った一人に望み通りの褒美を出す旨が書かれていた。 これだけなら、誰かが戯れに作った悪趣味なジョークチラシで済むが、問題はその裏面に載せられた名簿だった。 シビルを驚かせた原因は、その名簿に記された50の名前の中にあった。 それは、かつて共に修羅場を乗り越えたハリー=メイソンの名と、地獄に落ちたはずのマイケル=カウフマンの名、そして――たった今サイレントヒルに辿り着いたばかりの、シビル達の名であった。 名簿には東洋人の名も数多く連ねられており、恐らくこの中にキリサキが探している人物の名もあったのだろう。 キリサキの三白眼は刃物のように鋭く光り、白煙を吐き出した唇が、低く挑戦的な声音で言葉を紡いだ。 「このご大層なイベントの主催者に、是非とも会ってみたいものだな」 【E-1骨董屋店内/1日目夜】 【長谷川ユカリ@トワイライトシンドローム】 [状態]頭部と両腕を負傷、全身に軽い打撲(いずれも処置済み)。現在失神中(あと数分で覚醒) [装備]なし [道具]ショルダーバッグ(パスポート、チサトからの手紙?、オカルト雑誌@トワイライトシンドローム、食料等、他不明) [思考・状況] 基本行動方針:チサトとミカを連れて雛城へ帰る 1:起きたらチサトとミカを探す 【霧崎水明@流行り神】 [状態]精神疲労(中)、睡眠不足。頭部を負傷、全身に軽い打撲(いずれも処置済み)。現在軽い興奮状態 [装備]無し [道具]謎の土偶、紙に書かれたメトラトンの印章、自動車修理の工具、食料等、他不明 [思考・状況] 基本行動方針:純也と人見を探し出し、サイレントヒルの謎を解明する 1:サイレントヒルは実在したようだ 2:長谷川とシビルは異世界の人間だが、今は黙っておく 2:人見と純也を見つけたら、共に『都市伝説:サイレントヒル』を解明する 3:とりあえず長谷川が目覚めるまで待つ 4:そろそろ煙草を補充したい ※ユカリの話により、チサトとミカにも興味を持ったようです ※シビルと情報交換し、サイレントヒルの詳しい知識を得ました 【シビル=ベネット@サイレントヒル】 [状態]健康 [装備]10連装変則式マグナム@サイレントヒル210/10 [道具]旅行者用バック(武器、食料など他不明)、警察手帳、サイレントヒルの観光パンフレット(地図付き) [思考・状況] 基本行動方針:サイレントヒルにいる要救助者及び行方不明者の捜索 1:事件は解決したはずではなかったの…? 2:とりあえずユカリが目覚めるまで待つ 3:前回の原因である病院に行ってみる 4:怪物に襲われた場合、二人の安全を最優先とする ※バイクはE-1の路上に停めました。鍵は付いていないので、道具とスキルがないと動かせません back 目次へ next 愛と罪が集う街(前編) 時系列順・目次 罪と罰 愛と罪が集う街(前編) 投下順・目次 罪と罰 back キャラ追跡表 next 愛と罪が集う街(前編) 霧崎水明 神隠し 愛と罪が集う街(前編) 長谷川ユカリ 神隠し 愛と罪が集う街(前編) シビル・ベネット 神隠し
https://w.atwiki.jp/deruze/pages/31.html
須田恭也 出典「SIREN」 年齢/性別:16/男性 生年月日:1987年7月26日 外見:身長170cm 体重60kg 細身で中背、黒みの強い茶髪の日本人。 環境:2003年の高校生。ちなみに年号は昭和。 性格:好奇心旺盛でオカルトに興味有り。ただ、普通の学生と同じくらい興味を持っているだけで余り詳しくはない。 元来の行動力と適応性で異常な状況でも何とか落ち着きを保ち、体力は並より頭一つ出るくらいである。 また明るく勇敢な性格の持ち主であり、ゲーム中盤では新たに出現した屍人にも果敢に立ち向かった。 コミュニケーション能力はそこそこ高い。 能力:幻視。自分を中心に周囲の生物の視界を自分の視界の如く見られる。遠ければ遠いほど視界と音声は雑に。近ければ近いほど鮮明になる。 口調:一人称→俺 二人称→アンタ。君。 親しい人間に対しては名前を呼び捨てにする。 基本はハッキリ話す。動揺している際は大声になり、順序だてて話せない。 交友:学校での交友は不明だが怪異の中で長時間を共にした神代美耶子とは心を通わせた。 備考:須田恭也は美那子から印を貰っていません。というより神代美那子とは会っていません。そのため不死身では無く、屍人化が徐々に進行している状態です。
https://w.atwiki.jp/deruze/pages/327.html
ブロンズ像型貯金箱 『七不思議の呪い』こと美術教師・際田の個人的な持ち物。 何故か美術準備室に置いてあり、そこで小銭を貯めている。 この貯金箱は原作でミカにブチ割られたので、本編に出てきた方は2代目だと思われる。