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見つからない ――医学とは、事実の蓄積である。 それは医学だけでなく、すべての学問に言えることだ。 何をどうすれば、どうなるのか。そうした因果関係を収集し、整理する。 そうしてできた体系が、今日までの学術を形成しているのだ。 ゆえに、学者はまず、事実を受け入れねばならない。 それは、医者も例外ではない。 宮田司郎は曲がりなりにも医者である。 思想や動機、目的が人命救助とはかけ離れていても、 医学の知識を修めた人物に変わりない。 彼は、この状況をまず、事実として認識することにした。 自分がいた場所が激変しても、見知らぬ土地に飛ばされたとしても、 取り乱さず、その事実を事実として受け止めている。 (これが儀式、か……?) その上で、彼は考える。自身の住む羽生蛇村、そこに古くから伝わる秘祭が今日行われるはずだ。 明確な時刻を確認することはできないが、少なくとも、もう始まっているだろう。 だが、儀式といってもそこまで大それたものではない。生贄を伴うが、所詮ただの行事だ。 幸福を祈りはするが、超常現象を発生させるものではない。 では、この現象はいったい……? 白衣の男は周囲に視線を走らせる。見たことのない景色、深く立ちこめた霧……まったく原因がわからない。 判断材料が少なすぎる。儀式の効果か、それとも別の何かか。あるいは幻覚か……。 恋人の殺害が、予想以上に精神を疲労させているのかもしれない。 宮田は近代化の進んだ街並みを眺めながら、歩きはじめる。妙に霧が濃いので、その速度はかなり遅い。 まず、儀式に関連性があるかどうか調べよう。これには確かめる方法がきちんとある。 牧野慶、八尾比沙子。求導師と、その補佐役である者なら、儀式でないかどうかわかるはずだ。 何せ、眞魚教の儀式は彼らが主動で行うのだ。知らない方がおかしい。 ここはおそらく、自分のいた村ではないだろう。 こんな外観をしていなかったのはもちろんのこと、空気や雰囲気が、どうにも違う。 そうした情報のほかにも、判断する材料はある。自身が殺害した、恩田美奈の亡骸がどこにもないのだ。 『突然彼女の遺体が消えた』より、『突然自分が移動した』の方が、まだ信憑性はあるだろう。 まさか死体がひとりでにいなくなったわけではあるまい。 霧深き道を医師は歩く。目的地があるわけではないが、その場でじっとしていてもしかたがあるまい。 ならば、人のいそうな施設を探した方がマシだろう。あの臆病な求導師様のことだ、どこかに閉じこもっているかもしれない。 それか、求導師の補佐役である、あの女性に縋っているか……。どちらにしろ、積極的に動くことはないはずだ。 霧の中から、特徴的な建物が現れた。宮田はそれをじっと見てから、わずかに落胆の息を漏らす。 「教会だが……これは違う」 一瞬自身の知るそれかと思ったが、意匠に差異がある。これは別の宗教による教会だ。 羽生蛇村で信仰されている眞魚教とは違う。 「やはり儀式のせいではないのか……?」 儀式が原因だとすると、疑問が残る。他宗教の教会がありながら、不入谷の教会がないのは不自然なのだ。 宗教とは往々にして他のそれとなじまない。あのキリスト教でさえ、解釈の違いから内部分裂を引き起こしたくらいだ。 そんなリスクを負ってまで、こんなものを設置する理由はないだろう。 「では、いったい……」 『自分がいつの間にか移動した』という事実に対し、明確な答えがでない。 因果関係を構築できない――それは識者にとって、不快かつ不安であった。 「“声”も聞こえない、か」 日頃自分を悩ませる幻聴がないのはありがたいが、五里霧中の状況では、あまり嬉しくはない。 宮田は憂鬱そうに首を振り、教会の扉に手をかけた。 「調べるしかないな」 ――学問にしろ医学にしろ、その本質は探究だ。 医師が病原を調べるため、患者を解剖するように、彼もまた、この“異変”の解明に動く。 たとえそれが、人智の及ばぬものであったとしても。 【C-2/教会前/一日目夕刻】 【宮田司郎@SIREN】 [状態]:健康 [装備]:特になし [道具]:懐中電灯 [思考・状況] 基本行動方針:状況を把握する。 ※原作OP直前、恋人・恩田美奈を殺して埋めた直後より参加。 back 目次へ next Retry? 時系列順・目次 笑う死神 ディアハンター 投下順・目次 笑う死神 back キャラ追跡表 next ― 宮田司郎 罪物語‐ツミモノガタリ‐
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Creep 蛍光灯の白々とした光が狭い階段を照らしていた。明かりに照らされた壁は血とも錆ともつかない汚泥にまみれていて、正視に堪えない風景を作り上げている。地下へと延びる階段は、あたかも冥府へ導く黄泉路のようだ。三つの足音が、物寂しげに続いていく。 怖気が奔る壁を出来る限り視界から外し、先行するケビンの大きな背中をただ見つめる。拳銃を構えながら進む彼は、早すぎず、遅すぎず、適度な速度を保ってくれていた。ベルトに差した刀が、彼の歩みに合わせて無造作に揺れる。 「外と違って、ここは電気が生きてるのね」 不快感を散らすために、ともえは独りごちた。「駅」そのものに興味があったのだが、この状況で見ても面白くもなんともない。灯りのせいで、世界の変異がはっきりと見えてしまっていた。 「全くもって有難いね。灯りの嬉しさが身に沁みる。神に感謝だな。抱きついて、熱っついキスをかましまくってやろうぜ」 「……そこまで感謝するの?」 「勿論。そのまま関節全部砕いて、唾吐きかけた上で埋めてやる。ここから生還出来たら、クソったれた神に悦んでケツ差し出すさ。イピカイエーって叫びながらな」 下品な内容だが、それはどこか懐かしい響きが含まれていて、ともえは小さく顔を綻ばせた。ケビンの台詞は、漁師たちのそれを彷彿とさせる。彼女を前にしてそんな会話をする者はいなかったが、彼らの声は大きい。自ずと耳に入って来ていたものだ。 「淑女が二人いるのに、使う言葉じゃないと思うけど?」 後ろのジルが呆れたように鼻を鳴らした。 「一人の間違いだろ? 銃をぶっ放す女は阿婆擦れって相場が決まってる」 「つまり、私はベル・スターってわけ? 上等じゃない」 階段を降り切り、ケビンが半開きだった扉を押し開ける。彼が周囲の安全を確認し終わるのを待って、ともえはついに駅構内へと足を踏み入れた。 そこは想像していたよりも狭い空間であった。幾つかの電灯は壊れているらしく、中は薄暗い。また呼吸をしたくなくなるような異臭が薄く漂っていた。 「……ここ見覚えがあるんだが。気のせいか?」 「たまたまじゃない? どのみち、こんな風に変わっていては確かめようがないわね」 「……あそこだとすると、そこまで変ってねえと思えちまうのが悲しいとこだけどよ」 「あなたたち、あそこに立ち寄ったの?」 二人の会話を聞き流しながら、ともえは「駅」というものを見渡した。 改札口以外は鉄柵で遮られており、設置された券売機の画面は血糊のようなもので覆われてしまっている。二つの階段に挟まれた詰所は無人だが、割られたガラスが"何か"が起こっていたことを物語っていた。もっとも、そういった個々の名称を、ともえは何一つ知らなかったが。 三つ並んだ改札口だけは煌々と照らされていて、単なる入口以外の意味を有しているようにともえには感じられた。改札口の上部には何かしらの表示があったが、錆に浸食されていて全く読めない。 改札口の向こうから吹いてくる風が、彼女の髪を撫でて行く。その向こうにも、ケビン以外に動く影は無い。最初に襲われた人型以外、怪物はずっと現れていなかった。 足音に振り向くと、詰所の中を調べていたジルが懐中電灯を二つ手にして戻って来た。他に使えるものはなかったらしい。改札口へと歩き出すジルの背に、ともえは語り掛けた。 「ここにも化け物はいないのね」 「みたいね。拍子抜けした?」 「……少し。もっと何か起こると思ったから。周りも……その、こんなことになっちゃったでしょう?」 「そうね。私達の運がいいのか。それとも、この変化に怯えて、何処かに隠れてるのかしらね」 「あいつらが?」 「天災の前には動物は逃げ出すって言うじゃない? さすがにああいうのは動物園に入れられないけど。子供が泣くし」 ジルに続いて、ともえは改札機を通った。塞いでいたバーが軋りを上げながら回転する。彼女らが来たのを見てとり、ケビンが、トイレの中を調べると告げて中に消えて行った。 「もしくは、あいつらを怯えさせる何かが、この辺りにいる……とか?」 「それがトモエかもね。ニッポンジンなんだし、ニンジャ、サムライ、ヤクザと、怖がる要素一杯よ」 「既に襲われてるのに?」 「誰にでも間違いはあるわ。化け物でもね。それとも、逆にあなたに惹かれてきたって説も有りか。後顧の憂いを絶つ、上手い断り方の練習をしておかなきゃね」 ジルに釣られて、ともえは小さく笑った。ただし、ジルは頬を緩めてはいるが、その引き締まった身体は、いつでも即座に動けるように適度な緊張を保っている。それは、ともえの眼から見てもはっきりと分かった。 一般人が落ち着けるようにと、気を遣ってくれている。それは心地よくもあり、悔しくもあった。 己には、この状況で何もできない。銃は勿論こと、土地勘もない地で上手く立ち回る器量もない。隣に居る女性に、対等に渡り合えるものを何も持っていない。 微かな水音がした以外は、駅は心がざわつくような静けさを湛えていた。 「その拳銃で、ばんばんって断り方が一番いいのかしらね」 「それがベストでしょうね。一挺、渡しておきましょうか?」 「……遠慮しとく。私じゃ、自分の足撃つのが関の山だもの」 「そう? 男にも効果覿面なのに」 「おい、ジル。渡すのは良いが、素人に銃押しつけて、化け物がうろつく夜の学校で二手に分かれて人探しーなんて馬鹿やらかすなよな」 会話が聞こえていたらしく、扉を開けながらケビンが言ってきた。排泄物の臭いが一瞬だけ空気に混じって消える。ジルが大仰に溜息をついた。 「そんな馬鹿、誰がやるのよ。……無駄に具体的なのが、すっごく気になるんだけど?」 「気にすんな。それより、ここは本当にラクーンの駅のようだぜ」 「アメリカの町は、トイレに特徴でもあるの?」 「そうだったなら面白えんだがな。個室に、駅員の死体があってな。俺の知人の同僚だ。間違いない。ラクーンシティで確認した時のままだ。そっくりそのままな」 「……それはつまり、私たちみたいに駅そのものがここに来たってこと?」 「そう考えるより他にねえな。ここが、本当にサイレントヒルって町なのかも怪しくなってきたぜ。少なくとも、こんな町は現実にはありえねえってことだろ」 「そう、なるでしょうね。悪い夢でも見ているみたい……ところで、手、洗った?」 「水が出なかった」 ジルは嫌そうな顔をして、懐中電灯をケビンに手渡した。 サイレントヒルという町は、ケビンたちの町ではない。しかし、この駅はケビンたちの町のものである。その理由も仕組みも分からない。 しかし、そのことよりも、ともえには気になることがあった。ケビンは、"死体"があると言ったのだ。 太田家の伝書にある一文が、否応にも浮かんでくる。 ともえは、ケビンに尋ねた。 「ちょっと待って、ケビン。そこに死体があるの? 人間の死体が?」 「ああ。ちゃんと死んでる。気味は悪いだろうがな。それとも、何か気になることでもあるのか?」 "人死にの際には、葬儀において滅爻樹を用いること忘れるべからず"――用いなねば、死体は"死体"でなくなる。 しかし、ここは夜見島ではない。想像もつかない、遠い外国の地だ。最初の、ケビンのたちの言葉に依るならば。 だが、もしこれが加奈江に由来する出来事だったとしたならば、話は違ってくる。 もし、そうだとしたら、そうである可能性があるのならば、彼らにも伝えておく必要があるのではないか。夜見島に伝わる伝承と、昨晩己たちの身に起こったことを――。 「……いいえ。ごめんなさい。その、気味が悪かっただけ」 結局、ともえは口に出すことが出来なかった。 ケビンとジルが訝しそうに見ているが、それを笑って誤魔化す。今、滅爻樹の枝は手元にない。伝えた所で、対処できないのならば無意味だ。徒に彼らの不安を煽るだけになる。 それに、これが加奈江の仕業と決まったわけではない――。 いや、そうではない。ともえの中の胸騒ぎは消えていない。全部ではないにしろ、何らかの形で古の者は関与していると、確信に近い予感がある。 己は伝えたくないのだ。伝承はともかくとも、己の身に起こったことに関しては、加奈江や三上家への仕打ちに触れなくてはならなくなる。そしてそれは、外部のものたちに決して理解はされない。 島では受け入れられることであっても、ここは"外"だ。ここにおいては、己が"他所者"なのだ。 理解されないだけならばいい。話したことで、ケビンたちに拒絶されることが怖かった。島の外からすれば、己たちがした行為はただの人殺しだ。そうとしか見られない。 「そんじゃ、気味が悪い所からは離れて、プラットホームに行くか。ラクーンと同じなら、こっちの階段だ」 表情を沈めたともえを気遣ってか、ケビンが明るい調子で言った。疑念は消したわけではないだろうが、踏み込んではこなかった。 同じようにケビンが先頭に立ち、更に地下へと続く階段を降りていく。吹き上がってくる風には、血と腐敗の臭いが混じっている。それは、一段一段降りる度に濃くなっていった。 プラットホームに降り立った時、ともえは思わず呻いた。壁や床が赤い汚れに覆われているのは上と同じだが、その上に本物の血肉が散乱していた。擂り潰されたような肉片が、床に赤黒い線を形作っている。壁を覆うタイルは、大きな力で殴りつけられたように何か所かが爆ぜ飛んでいた。破壊された監視用カメラからは、小さな火花が散っている。 噎せかえるような血肉の臭いに、ともえは思わず袖で鼻と口を覆った。 固まりかけた血を踏んで、ケビンの赤い足跡が床に刻まれていく。 プラットホームに列車の姿は無かった。 「全部が同じってわけでもねえらしいな。トモエ、離れるなよ」 ケビンとジルは眼光を鋭くして、周囲を確認している。割れた蛍光灯の欠片をブーツが踏み砕く音が静かに響いた。機能していない電灯の方が多く、上に比べて、陰となっている部分が圧倒的に多い。二つの懐中電灯の光が、心許なく闇の中を移動する。ジルが一言告げて、プラットホームの反対側へと離れて行った。 草履が、何か柔らかいものを踏みつけた。それが人間の腕だと分かり、悲鳴を上げそうになるのを無理やり噛み殺す。 ケビンが、知り合いの者らしい名前を呼んでいた。彼の声は、木魂のように反響しながら闇の中に吸い込まれていった。しばらくしても、それに対する応答はなかった。 「……あなたの知り合い、いないみたいね。残念って言い方も、この場合はおかしいのかな」 「俺にも分からんね。ここも向こうも、状況的にゃ大して変わらねえしな」 言いながら、ケビンは線路を覗きこみ、懐中電灯を当てた。白い光の輪に照らし出されるのは、人の残骸だ。一人や二人の量ではない。中には、襲ってきた化け物のようなものの一部も混じっている。 呻いて、ともえは顔を背けた。蹲って、胃液がせり上がってこようとするのを必死にこらえる。気がつくと、ケビンが背中を擦ってくれていた。段々と気持が落ち着いてくる。涙を拭って、深く吸わないように注意しながら呼吸を整えた。 礼を小さく告げて、ともえはよろよろと立ち上がった。 「余計気味が悪くなっちまったな。この有様は列車に轢かれたのかね……。ま、運行しているなら、俺たちにツキはあるってことだ。そう考えようや」 「電車って……そういうものなの? ……あんなことにしてしまうものなの?」 「そういや、おまえさんの島には電車ないんだっけか。轢かれりゃあんな風になるんだ。普通は、その後"救助"するために列車は止まるもんだけどな。ま、どう見てもここは普通じゃない。モラルなんぞ期待する方がアホさ」 「……だから、あなたは手を洗わないの?」 「ロックだろ? 分からないか?」 「いいえ、分かりたくないけど」 「ま、本当に水出なかったんだがな」 轟と響く風籟は、死者の怨嗟のように駅全体を震わせている。 少し離れた所で、ジルも線路を覗きこんでいた。彼女はプラットホームの縁から何かを拾い上げ、ぽつりと呟くのが聞こえた。 「……電車のせいだけじゃないかもしれない」 「何か見つけたのか?」 ジルに近寄ると、彼女は摘まんでいたものを差し出した。それは拳ほどもある、一枚の鱗だった。澱んだ深い緑色が、懐中電灯に照らされて艶めかしく光る。 「それって……鱗? 蛇みたいに見えるけど……」 「ご名答。ホームの角で削れたんでしょうね。線路の方は分からないけど、プラットホームを荒らしたのはこいつで間違いないと思う。下水道の巨大ワニならぬ、地下鉄の巨大ヘビってところかしら」 手渡されたケビンが鱗を透かして見、そして大きくため息をついた。 「おいおい。これの持ち主は恐竜か何かか? 見たことねえぜ、こんなでっかいの。そんなのがいるってのか?」 「似たようなのは見たことあるわ。例の洋館で、リチャードを殺した奴よ。全長は30フィートぐらい。あいつは、それでも頭や横幅にしたら短いぐらいだったけど。この持ち主も、それぐらいはあるんじゃない? この地下鉄は、塒には最適でしょうね。下水道への抜け穴とかが複数あるのかもしれないし」 「でも、おまえらはそいつをやっつけたんだ。そうだろ?」 「ええ。フォレストとリチャードの遺品のお陰でね。M3もアーウェン37も、どっちもラクーン警察署の中よ」 「……くそったれ。地下鉄はデカいノミだけで勘弁してほしいぜ。電車に乗ってるときに襲われたら、一たまりもねえぞ」 ケビンが鱗を床に叩きつけた。鱗は跳ねて、線路の闇へと落ちていく。それを視線で追いながら、ジルが小さく肩を竦めた。 「襲うのならとっくに電車を襲っているでしょうよ。ヘビって耳は悪いけど、振動には敏感らしいから。後は運次第よ。まずは、電車が無事に動いているか。そして、ヘビが私達の臭いを嗅ぎつけてこないか。どこかでレールが歪められていないか……徒歩も電車も、どっちもリスクは似たようなものね」 「ちょっと待って。あっさり言われて聞き流したんだけど、大きな蚤までいるの? アメリカって全部が巨大ってわけ?」 「最近はそうなんだよ。小型化が得意なニッポンとは真逆さ」 「そう……。アメリカ人じゃなくてよかったわ」 「……私もアメリカに生まれたことを心底後悔したい気分よ」 ジルが苦笑し、髪を掻きあげた。 「さて、最初の問題。電車は動いているか否か。10分ぐらい待ってみる? 時刻表が見えなくなってるけど、あんなのは元から当てにならないし」 「ここで? 蛇や蚤の話を聞いて、じっと待っていられるだけの度胸はないわよ」 「俺も同感。上で待とう。列車が来れば、音で分かる。ここに来て、もう10分かそこらは経ってるだろ。合計20分だ。それでなんもなけりゃ歩いていくしかねえ」 ケビンが背後の階段を指差した。ともえとジルが同意し、三人は階段へと足を進めた。その途中、こつこつこつと、階段を下りてくる音が響いた。怪物が来たのかと思ったが、それとも違う。足音はたどたどしくもなく、しっかりとしたものだ。意思の存在を感じさせる音だった。 ケビンたちもそう思ったらしく、銃を手にはしているが構えはしない。ジルの指示で、一行は階段からすぐには見えない位置に移動した。 「警察です! 一度立ち止まって、返事をしてください!」 ジルが叫んだ。しかし、足音は止まらなかった。規則正しい音が、淡々と刻まれていく。 「警察だ! 返事をしろ!」 ケビンが怒鳴った。しかし、応答はない。 ――いや、違う。来訪者の声は聞こえる。うめき声ではない。何かを一人でぶつぶつと呟いている。 「――だよな。まったく、ジムの奴はさ、こういうときに運よく夜勤じゃねえんだもんな。腹が立つぜ。しかしまあ、夜の暗さってのはいいもんだ。ようやく分かったよ。なんて俺は馬鹿だったんだ。夜の闇はいい。本当さ」 ケビンは舌打ちし、階段の降り口に向かって銃を構えた。それを知ってか知らずか、階段を蹴り上げた音が響く。たんという軽い音と共に、人影が階下に降り立った。 「そう思うだろ? あんたらも」 そこには、幾重ものシーツをマントのように頭から被った男が不気味な笑みを浮かべていた。眼から黒い涙を流しながら――。 【A-2/地下鉄駅プラットホーム/1日目夜】 【ケビン・ライマン@バイオハザードアウトブレイク】 [状態]:身体的疲労(小) 、T-ウィルス感染中、手を洗ってない [装備]:ケビン専用45オート(装弾数5/7)@バイオハザードシリーズ、日本刀、ハンドライト [道具]:法執行官証票 [思考・状況] 基本行動方針:救難者は助けながら、脱出。T-ウィルスに感染したままなら、最後ぐらい恰好つける。 1:男(闇人)に対処する。 2:電車を10分だけ待つ。来なかったら徒歩で警察署へ向かう。 3:警察署で街の情報を集める ※T-ウィルス感染者です。時間経過、もしくは死亡後にゾンビ化する可能性があります。 ※闇人がゾンビのように敵かどうか判断し兼ねています。 【ジル・バレンタイン@バイオハザード アンブレラ・クロニクルズ】 [状態]:健康 [装備]:M92Fカスタム"サムライエッジ2"(装弾数12/15)@バイオハザードシリーズ [道具]:キーピック、M92(装弾数15/15)、ナイフ、地図、ハンドガンの弾×2、携帯用救急キット、栄養ドリンク、ハンドライト [思考・状況] 基本行動方針:救難者は助けながら、脱出。 1:男(闇人)に対処する。 2:電車を10分だけ待つ。来なかったら徒歩で警察署へ向かう。 3:警察署で街の情報を集める ※ケビンがT-ウィルスに感染していることを知っています。 ※闇人がゾンビのように敵かどうか判断し兼ねています。 【太田ともえ@SIREN2】 [状態]:身体的・精神的疲労(小) [装備]:髪飾り@SIRENシリーズ [道具]:なし [思考・状況] 基本行動方針:夜見島に帰る。 1:ケビンたちに同行し、状況を調べる 2:事態が穢れによるものであるならば、総領の娘としての使命を全うする ※闇人の存在に対して、何かしら察知することができるかもしれません。 ※A-1兼A-2駅はラクーンシティの地下鉄駅のようです。 ※駅の水道が壊れています。 ※ヨーン@バイオハザードシリーズが、地下鉄構内及び下水道を塒にしているようです。 ※闇人は、トイレで死んでいた駅職員(リッキー)です。駅の構造について熟知しています。 【クリーチャー情報】 名前:ヨーン 出典:『バイオハザードシリーズ』 形態:唯一存在 外見:全長10メートルほどの大蛇。全長の割に頭部が大きく、横幅も太い。 武器:牙、全身 能力:巨体に似合わない速度で移動する。蛇腹により、壁や天井も縦横無尽に這い回れる。牙には猛毒があり、噛まれたら専用の血清を打たない限り5分以内で死に至る。巨体を活かした体当たりは木造の壁や天井を容易くぶち破る。また、巻きついて全身を砕いたり、成人男性を一呑みにしてしまうこともできる。 攻撃力:★★★★☆ 生命力:★★★★☆ 敏捷性:★★★★☆ 行動パターン:ほぼ蛇と同じ生態。地下鉄構内や下水道を通して町中を移動している。 備考:実験体だった毒蛇が逃げ出し、T-ウィルスの影響で巨大化したもの。アークレイ山地の洋館では、通気ダクトを通って神出鬼没に捕食行動を繰り返していたらしい。表皮を鱗で覆われているため、対抗策には相応の威力を持った銃火器や作戦が必要。硫酸弾が弱点。 back 目次へ next クローズアップ殺人鬼 時系列順・目次 悪鬼がとおる 錆びた穽 投下順・目次 DEEP RISING back キャラ追跡表 next 暗闇通り探検隊 ジル・バレンタイン Vicious Legacy 暗闇通り探検隊 太田ともえ Vicious Legacy 暗闇通り探検隊 ケビン・ライマン Vicious Legacy
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サイレントヒル アメリカ北東部に位置する田舎町。 かつては先住民族の聖地であり、町の持つ力は邪悪なものではなかったが、 伝染病の流行や刑務所での処刑などによって、その場の持つ力が大きく歪んでしまった。 更にサイレントヒル1で発生した大規模な異世界化によって、町は無意識を具現化する大きな触媒へと変貌してしまう。
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見ぃつけた ■ ◆ ■ B-1の何処か。 名も無き亡骸が、そこで横たわっていた。 本来ならそこで役目を終える筈だった殻。 ここで朽ち果てるのを待つだけの存在。 もう、動かない。 …………ピクリ。 ―――動かない「筈」だった。 ◆ ■ ◆ 「……………みんな……………」 牧師――牧野慶が、霧に覆われた道を弱々しい足どりで進んでいた。 「………何処にいっちゃったんだ……………」 ……みんな、居なくなってしまった。 見慣れた村人も、住宅も、森林も、何もかも。 自分は、言われた通りに儀式を行なっただけなのに。 ―――どうして? どうしてこんな事に? 消えた羽生蛇村の代わりに現れたのは、西洋風のおかしな町並み。 見知らぬ町並み、見知らぬ建造物。 何もかもがかつて居た場所とは違う、異形の世界。 ―――まさか、こんな事になってしまったのは自分のせいなのか? 牧野は、自分の義理の父―――牧野怜治の姿を思い浮かべる。 怜治もまた、牧野同様、羽生蛇村の求道師だった。 儀式を失敗させてしまった彼の行く末を、牧野はよく知っている。 ―――もしも自分が儀式を失敗に終わらせたら……。 体中から血がサァーッと引いていくのを感じる。 住民から後ろ指を指されながら生きていく人生。 そんな惨めな目には遭いたくない。 ―――でも、どうすれば…………。 「八尾さん…………………」 彼は自分の理解者である、八尾比沙子の名を呼んだ。 村人の重圧から自分を救ってくれる唯一の存在。 それが、彼女である。 ……勇気も、力も無い彼には、彼女に救いを求める事しか出来なかった。 それが惨めな事である事は彼も薄々理解している。 だが、それでも、彼は彼女に頼るしかなかったのだ。 ―――こんな時、八尾さんなら………………。 八尾さんなら、なんと言ってくれるのだろうか。 きっとあの優しい顔のまま、励ましてくれるに違いない。 そして言ってくれる。 「またやり直せばいい」と。 …………やり直す? 「そうだ…………!」 ―――そうだ、それがあるじゃないか! 失敗したのならもう一度やり直せばいい。 美耶子様は逃げただけであって、死んだ訳ではない。 探し出して、もう一度儀式を行なうのだ。 そうすれば、儀式は成功し、この変異も終わるに違いない。 「よし…………!」 この事は、牧野の恐怖心を和らげるには十分な物だった。 彼は再び儀式を行なう為に、前よりも軽い足どりで道を進み始めようとした。 だが、その瞬間。 ザザ―――――ザザッ―――― 「なっ………………!」 彼の視界が、まるで「壊れたテレビ」の様に変化したのだ。 映っている景色も、ついさっきまで見ていた所ではなくなっている。 「これは……………………!」 牧野は自らの身に起きたこの現象に戸惑いを隠せないでいた。 何故なら、今自分の目の前に広がっているこの光景は、 「つい先程彼が見た場所」にそっくりだったのだから。 ザザ――ザッ―――ザザ――――― 意志とは関係無く、視界は前へ、前へと進んで行く。 まるで、誰かの視界を支配して自分で見ている様だ。 ザッ――ザッ―――――ザザザザッ―― しばらくして、霧の中から人影らしき物がぼんやりと現れた。 牧野と良く似た体格をしたそれは、頭を抱えているようにも見える。 視界の移動する速さが急激に落ちていった。 前方の影に気づかれないように、慎重に進んでいる。 近づくにつれ影はその全貌を露にしていく。 それは、その影の正体は――――――――――。 「私…………………………?」 ――――――自分だった。 目の前の人影は、―――牧野慶その人だったのだ。 あの修道服は、あの体格は、紛れも無い自分自身。 良く似ているのではない。 あれこそが自分だったのである。 「…………………………!!」 自らの姿を見た瞬間、彼の視界は元の世界に戻された。 変化した時と同様に、一瞬で。 「あれは…………………!」 ……理解出来なかった。 どうして目の前に自分の姿があったのか。 そもそもあれは何なのか。 考えれば、考えるほど、意味が解からなくなっていく……。 ――――――…………待て。 あの光景はまるで自分が今まで来た道を辿っているようだった。 あれが、仮に他人の視線だとするのなら? ―――まさか。 ……そんな筈が無い。 いや、そんな事があってたまるか。 「誰かが自分を付けている」なんて。 ―――有り得ない。 ゆっくりと、恐る恐る振り返る。 ―――有り得ない筈だ。 視線の先にいたのは………………。 「………………………見たなぁ…………?」 その、「まさか」だった。 真っ黒な服装……。 人間にしては青白すぎる体色……。 眼球から流れ出る血液……。 その姿は、まるで……まるで……まるで… まるで…まるで…まるで…まるで…まるで… まるで、まるで、まるで、まるで、まるで、まるで、 まるでまるでまるでまるでまるでまるでまるでまるで―――――― 「化け物…………………………!」 牧野はすぐさま前方に視線を戻し、全力で前へと走り出した。 後ろも振り向かずに、全力で、走る、走る。 ―――殺される!! ―――あいつ、自分を襲ってくるに決まってる!! ―――嫌だ! こんな所で死にたくない!! ―――私は帰るんだ! 元の世界に! 八尾さんのいた場所へ! ―――だから……お願いだ! 誰か………誰か……! 「助けてくれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」 【B-1/犬小屋周辺の道/一日目夕刻】 【牧野慶@SIREN】 [状態]健康 怯え ヘタレ 疲労(中) [装備]修道服 [道具] [思考・状況] 基本指針:もう一度儀式を行ない、変異を終わらせる。 0:助けてぇぇぇ!! ※ここが羽生蛇村でない事に気づいているようです。 ※儀式を行なえば変異は終わると思っています。 ■ ◆ ■ 「あらら、行っちゃったよ」 逃げていく影を見つめながら、化け物――闇人が呟いた。 「………まぁ、いいや」 隙を突いて襲ってやろうと思ったが、相手が気づいてしまった。 自分では完璧に気配を消せたと思っていたのに、予想外。 追いかけようもとしたが、少し考えてから、やめた。 自分の今の脚力では、走り去った男に追いつく事は不可能だろう。 それに、この「殻」に憑依してからものの数分程度しか経っていないのである。 まだ器用に走る事は出来ない。 まずは自分を殻に馴染ませなければ。 彼は、傘を揺らしながら牧野の走って行った方向へ歩き出した。 「舞~え舞~え 巫~っと ……ヘヘッ」 陽気に歌を歌いながら、ゆっくりと。 ゆっくりと。 back 目次へ next 邪神達の胎動 時系列順・目次 夕闇通り探検隊 少年は見た! 投下順・目次 探し人 back キャラ追跡表 next ― 牧野慶 DOG
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雛見沢病 正式名称は雛見沢症候群 雛見沢症候群とは精神的な負担が大きくなると症状が表れる病気で レベル1初期~5末期(表記はL1-~L5+)まであるL1-~L3-までは特に問題は無く L3+から些細なことをオーバーに、かつ悪い方向に考えるようになる。 L4から極度の疑心暗鬼と人間不信状態に陥り L5+では、喉などのリンパ管の痒みにより管が破れるまで自分で掻き毟って死ぬ。 治療法については治療薬があるがL5から戻せるのはL3-までであるとされている。 稀に説得などでも回復するようだ。 感染経路はキャリアまたは発症者からの感染は粘膜感染が主 また『ひぐらしのなく頃に』本編で圭一やレナなどが超人的な能力を発揮するが それについて雛見沢症候群発症者はいわゆる「火事場の馬鹿力」的な 人体リミッター解除の閾値が低いのではとの見解もある。 女王感染者と呼ばれる人物の死によってもL5となると言われているが 本ロワでは考慮しないものとする。
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ペンダント@サイレントヒル3 本来はヘザーが父ハリーから誕生日にもらったプレゼント。 中には赤い宝石のような、液体が入っている。 赤い液体の正体はアグラオフォティス。
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アンブレラヌードル アンブレラ社は食品も手掛けている。味の方も上々との評判。
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◆Q65Npbnq3U 話数 タイトル 登場人物 004 零を視る者 雛咲深紅、ヨーコ・スズキ、ゾンビ 名前 コメント
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赤の祭祀@サイレントヒル2 ある古き神について書かれている。 Rebirthエンドを見る為の必須アイテム。 語れ。 我は真紅のものである。 嘘と霧は、彼らではなく、また我である。 汝らは我が一人であることを知っている。 そう、一人は我である。 おお、信じる者よ。 四百の僕、七千の獣と共に 言葉を聞き、そして語れ。 太陽の下にあっても、 それは忘れてはならない。 無限の盲目と降り注がれる矢、 それは我の復讐である。 枯れ行く花の輝きと否定される死者、 それは我の祝福である。 汝らは我と我の司る全てを 沈黙のうちに称えよ。 赤き心臓の四方へ放つ誇り高き香りよ。 白き酒を満たす杯、全てはそれに始まる。
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ショットガンの弾@現実 12ゲージ口径の各種ショットガンに使用する弾薬。 幾つかタイプがあり散弾とスラグ弾が代表的な物。 外見は緑色の厚紙箱かスチール製の軍用弾薬ボックスに入っている。