約 2,982,448 件
https://w.atwiki.jp/magoriatcg/pages/997.html
ベナウィ ベナウィ キャラクターカード 属性:知 使用代償:[白白] MHP:500 [武]:400 [敏]:300 [知]:400 [器]:300 [穏]:200 作品名:うたわれるもの 特殊能力1:侍大将 使用代償:[0] このキャラが攻撃しているバトル中、味方「うたわれるもの」キャラが3体以上登場している間に使用する。 このキャラに攻+100する。あなたは白を支払うことができる。支払った場合、バトル終了時まで、相手キャラ全てに知-100する。(1ターンに1回まで宣言可能) 特殊能力2:補佐 使用代償:[赤] 味方「ハクオロ」が登場している間に使用する。 「うたわれるもの」キャラ1体の好きな能力値1つに+100する。(1ターンに1回まで宣言可能) 「聖上が必要として下さるなら、この命尽きるまで供をいたしましょう」 Version/カード番号 Ver8.0/0664 レアリティ R コメント コメントの入力。必須ではない。 エースにする時は エース使用時の使い方を入力。必須ではない。
https://w.atwiki.jp/marurowa/pages/136.html
【名前】ベナウィ 【出典】うたわれるもの 【種族】人間 【性別】男性 【口調】一人称: 二人称・三人称: 【性格】 【備考】 以下、マルチジャンルバトルロワイアルにおけるネタバレを含む 対応するregion、endregionプラグインが不足しています。対になるようプラグインを配置してください。 ベナウィの本ロワにおける動向 初登場話 0040 あり得る事、成し得る事、求め得る事…… 死亡話 0086 黄金の精神は男の信念を打ち砕く 登場話数 4話 スタンス 奉仕マーダー 現在状況 一日目早朝に死亡 キャラとの関係(最新話時点) キャラ名 関係 呼び方 解説 初遭遇話 エルルゥ 元仲間 元の世界の仲間だが、ハクオロをトゥクスクルに戻すため殺す覚悟 アルルゥ 元仲間 元の世界の仲間だが、ハクオロをトゥクスクルに戻すため殺す覚悟 カルラ 元仲間 元の世界の仲間だが、ハクオロをトゥクスクルに戻すため殺す覚悟 トウカ 元仲間 元の世界の仲間だが、ハクオロをトゥクスクルに戻すため殺す覚悟 ハクオロ かつての主人 聖上 絶対に死なせない 桜田ジュン 敵対 殺害した 0051 残されたものは一つ モンキー・D・ルフィ 敵対 戦闘の末に逃亡 0073 想いは簡単に届かない 広瀬康一 敵対 戦闘の末に殺害 0086 黄金の精神は男の信念を打ち砕く ヴァッシュ・ザ・スタンピード 敵対 激戦の末、ヴァッシュの放った弾丸が眉間を貫き殺害される 0086 黄金の精神は男の信念を打ち砕く
https://w.atwiki.jp/multiple/pages/118.html
【名前】ベナウィ 【出典】うたわれるもの 【種族】人間 【性別】男性 【口調】一人称: 二人称・三人称: 【性格】 【備考】 以下、マルチジャンルバトルロワイアルにおけるネタバレを含む 対応するregion、endregionプラグインが不足しています。対になるようプラグインを配置してください。 ベナウィの本ロワにおける動向 初登場話 040 あり得る事、成し得る事、求め得る事…… 死亡話 086 黄金の精神は男の信念を打ち砕く 登場話数 4話 スタンス 奉仕マーダー 現在状況 一日目早朝に死亡 キャラとの関係(最新話時点) キャラ名 関係 呼び方 解説 初遭遇話 エルルゥ 元仲間 元の世界の仲間だが、ハクオロをトゥクスクルに戻すため殺す覚悟 アルルゥ 元仲間 元の世界の仲間だが、ハクオロをトゥクスクルに戻すため殺す覚悟 カルラ 元仲間 元の世界の仲間だが、ハクオロをトゥクスクルに戻すため殺す覚悟 トウカ 元仲間 元の世界の仲間だが、ハクオロをトゥクスクルに戻すため殺す覚悟 ハクオロ かつての主人 聖上 絶対に死なせない 桜田ジュン 敵対 殺害した 0051 残されたものは一つ モンキー・D・ルフィ 敵対 戦闘の末に逃亡 073 想いは簡単に届かない 広瀬康一 敵対 戦闘の末に殺害 086 黄金の精神は男の信念を打ち砕く ヴァッシュ・ザ・スタンピード 敵対 激戦の末、ヴァッシュの放った弾丸が眉間を貫き殺害される 086 黄金の精神は男の信念を打ち砕く
https://w.atwiki.jp/ps2_utaware/pages/24.html
ベナウィ ステータス 技上昇:Lv13、Lv16、Lv19(Max) ポイント:攻撃力70 防御力40 術防御力40 特徴 DVD版では育てれば要塞と言える最強キャラだったが、PS2版でも相変わらず強い。 技ポイントがないため、最初から集中して育てられるためDVD版よりもさらに強力になったと言える。 最初から防御&術防御が高いため、しばらくは攻撃に振りまくって上げると良い。 能力も非常に優秀で2マス分攻撃可能、 ハクオロさんと同じ「戦術指揮」能力で隣接するユニットの気力を上げられるので、誰かに引っ付いて行動すると良いだろう。 その他にも「弓回避」「護身呼吸法」などの防御能力や「会心の技」でのクリティカル、 「貫通攻撃」での敵貫通など能力面でもまったく穴がない強力キャラ。 攻撃も万能なアルルゥと言えるのでアルルゥよりも 戦闘では強力なキャラになるはず。 特に「会心の技」を覚えるのが嬉しい。 連撃回数が5と多い分クリティカル発動率も高く、カルラに匹敵するほどのダメージを連撃で与えることも出来る。 中でも強力な能力である「明鏡止水」を持っているので、気力を消費してもすぐにMAXになるのは非常に心強い。 練気の鉢金や練気の兜を装備しておくと鬼になる。 さらには、行動順も速い方なので攻撃をしやすく、連撃や「戦術指揮」の能力を生かしやすい。 このように、単体ユニットとして考えれば最強と呼べるほどのキャラと言える。 欠点と言えるのは協撃がクロウとしか行えないことぐらいである。 「明鏡止水」があるので気力は必殺技に使ってしまっても良いだろう。 「いらない!」と言わずに使えば非常に強力なキャラなので、 オボロ同様前半のうちから鍛えれば、味方内でも最強と呼べるほどのキャラに成長するだろう。 能力名 習得Lv 効果 闘志の瞳 初期 隣接する四方に対して停止させる領域を常に発生させる 弓回避 初期 弓攻撃を低い確率で回避する 気力が多いほど発動率は高まる 戦術指揮 初期 隣接する自軍ユニットの気力を増加させる 貫通攻撃 Lv12 隣接箇所にいる敵を攻撃する時その背後にいる敵にも攻撃を加える 会心の技 Lv15 クリティカルが低い確率で発生する 気力が多いほど発生確率は高まる 明鏡止水 Lv18 必殺連撃使用時の消費気力量を75%に抑える 護身呼吸法 Lv21 気力により防御力が増加する 気力が多いほど防御力は高まる
https://w.atwiki.jp/chaos-tcg/pages/188.html
侍大将「ベナウィ」 読み:おむつぃける「べなうぃ」 カテゴリー:Chara/男性 作品:うたわれるもの 散りゆく者への子守唄 属性:地 ATK:4(+2) DEF:5(+1) 【登場】〔自分のキャラ1体を【表】から【裏】にする〕 『相手選択』 聖上の御心のままに illust:AQUAPLUS AP-083 U 収録:ブースターパック 「OS:アクアプラス1.10」 現状では騎兵前へ「ベナウィ」&「クロウ」にする以外に存在意義は薄い。 相手選択というスキルの弱さが問題である。
https://w.atwiki.jp/chaos-tcg/pages/187.html
ベナウィの腹心「クロウ」 読み:べなうぃのふくしん「くろう」 カテゴリー:Chara/男性 作品:うたわれるもの 散りゆく者への子守唄 属性:火 ATK:4(+1) DEF:4(+2) 【登場】〔自分のキャラ1体を【表】から【裏】にする〕 『貫通』 大将、出陣の準備が出来やしたぜ illust:AQUAPLUS AP-084 U 収録:ブースターパック 「OS:アクアプラス1.10」 騎兵前へ「ベナウィ」&「クロウ」のエクストラ元。 侍大将「ベナウィ」に比べると単体でも使いやすいが、それでもまだカードパワーは低い。 せめて補正値が攻撃力寄りであればなんとかなったのだが。
https://w.atwiki.jp/phanta_asahi/pages/171.html
誰?ホモ?
https://w.atwiki.jp/chaos-tcg/pages/200.html
騎兵前へ「ベナウィ」 「クロウ」 読み:きへいまえへ「べなうぃ」 「くろう」 カテゴリー:Extra/男性 作品:うたわれるもの 散りゆく者への子守唄 属性:地火 ATK:6(+1) DEF:4(+1) 【エクストラ:「ベナウィ」 「クロウ」】 【登場】〔目標の相手のフレンド1体を【表】から【裏】にし、自分の手札1枚を控え室に置く〕 我らが前に敵はなしっ! illust:AQUAPLUS AP-096 R 収録:ブースターパック 「OS:アクアプラス1.10」 相手のフレンドを裏にする代償を持つエクストラキャラ。 肝試しを内蔵していると考えられ、それなりに強力なキャラである。 代償によるものであるため対策し辛いが、1ターンに複数回は裏にできない。 複数回使用するためにはキャラの張り替えが必須となる。 攻撃力はそれなりであるため、攻撃要員としても運用できるか。 2010年2月12日付けで、2月20日適用のエラッタがかかった。 エラッタ前のテキストは以下の通り。 【登場】【レベルアップ】〔目標の相手のフレンド1体を【裏】にする〕 レベルアップ時にも裏にでき、手札コストが必要なかった。 エラッタ前のゲパルトM1アンチ・マテリアル・ライフルとの併用が危険視されたのだろう。
https://w.atwiki.jp/hakarowa4/pages/245.html
泣けない貴方の為に、私が出来る事 ◆auiI.USnCE ――――私が貴方の為に、涙を流せるのなら。 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 「……………………あ……う」 眩い夕日の光が差し込める病院のロビーで。 純白のケープを纏っている少女の指先は虚空を彷徨って。 何かを手にしようとして、何かを求めようとして。 結局、何もつかめやしなくて。 細くて白いしなやかな指は、そのまま少女の胸元に静かに置かれた。 とくんとくんという心臓の鼓動が感じられて。 ああ、生きているんだと少女――長谷部彩は実感する。 「ああ……あぅぅぅ」 そして、温かい涙が溢れてくる。 先程流れてきた放送が、哀しいことを教えたから。 彩の友達が、仲間が、命を終わらせてしまったと言う事。 温かくて、やさしくて、親切な人達が簡単に命を散らしてしまった。 なんで、どうして、こんな事って哀し過ぎる。 そんな思いが彩の心の中を廻って。 死んでしまった由宇も、詠美も、玲子も、郁美も、あさひも、こんな事で死んでいい人じゃない。 きっと死んでしまった人達、皆そうだろう。 なのに、なんで、なんで。 「うわ……あぁぁぁぁ」 ああ、涙が止まらない。 泣く事で、彼女達が救われる訳じゃないのに。 泣く事で、彼女達が喜ぶ訳じゃないのに。 それでも、長谷部彩は泣く事は止めなかった。 誰かを喪った哀しみを隠そうとしない。 誰かの死に涙を流せる事はきっと、悪い事ではないから。 亡くなった人の為に、弔うように、泣いて。 それが今を生きている自分の救いになるなら。 哀しみの先に、続く未来があるなら。 そして、涙の先にある沢山の想いが伝わるのなら。 「あぅぅぅ……あぅぅうぅあぁぁぁぁ」 長谷部彩は泣き続けよう。 祈るように、惜しむように。 ずっと、ずっと、ずっと、ずっと。 病院で、哀しみ、泣く彩の姿は切り取られた絵画のようで。 とても美しくて、まるで天使のようで。 その光景を彼女の同行者であるベナウィはずっと見つめていた。 何故だろう、泣いている彼女を見ていると何処か不思議な気分になるのだ。 こんなにも、こんなにも誰かの為に涙を流せる彩に。 こんなにも、儚く壊れそうな少女に。 こんなにも、罪にまみれた自分が触る権利などあるのか。 こんなにも、手を真紅の血で自分が言葉をかける権利などあるのか。 答えは出なかった。出る訳が無かった。 だから、不浄のものを寄せ付けない、純白の少女をベナウィはただ見るだけだった。 そして、泣いてる彼女を見て、ベナウィはやっと気付く。 ああ、やはり自分は泣けなかった。 大切な仲間が、家族が死んだというのに。 自分は泣けていないのだ。 予想した通りのままだった。 哀しいという感情はあるだろうに。 いや、自分の感情なのに、確証をもてない時点で恐らくダメなのだろう。 だから、ベナウィという人間は何も変わらない。変わっている訳が無い。 何故ならば、ベナウィは主君に忠誠を尽くす武士なのだから。 ああ、やはり、私と彼女は違う。 あんなにも純粋に涙を流せる彼女と。 哀しんでいる事さえ解からない自分は、こんなにも違う。 ふうと、ベナウィは大きく息を吐いて。 ゆっくりと病院の壁に身を預けた。 これさえ、ただの感傷にしか過ぎないのかもしれない。 でも、それでもいいと諦観にも似た考えを持ちながら、ベナウィは彩が泣き止むのを待っていた。 けれど、ベナウィは気付かなかった。 ベナウィの一瞬見せた憂いの表情を。 彼女が泣いている時、彼の表情が戸惑いに変わった瞬間に。 長谷部彩がじっと見つめていた事に、ベナウィは気付いていなかった。 そして、それは―――― ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 「………………」 夕陽が、静かに歩き続ける二人を照らす。 病院を後にして、ベナウィ達は、歩き続けていた。 ベナウィを前にして、彩がちょこんとベナウィの服の袖を掴みながらの隊列だった。 元々、ベナウィは必要な事以外あまり喋らないし、彩も無口と言ってもいいくらい口数は少ない。 だから、この沈黙は必然で、当然ともいえる光景で。 ベナウィはそれでいいと思い、彩もそうなのだろうと思っていた。 今まで、亡くなった人の為に祈るように泣いていたのだ。 色々思うところがあるのだろう、静かに考える事も必要なのだろう。 それはベナウィにとっても一緒で、なにより。 今、彼女の言葉を聞いたら、更に戸惑いそうで、嫌だったから。 だから、これでいい。 そう、思っていたのに。 ――――くいっ。 今まで一番強い力で、袖を引っ張られる。 言葉は無いけど、間違いなく、強い意思表示で。 複雑な思いを抱えながら、ベナウィは、ゆっくりと振り返る。 其処には、とても脆くて、儚くて、でも、とても澄んでいて、優しい、瞳があった。 「………………哀しいんですか?」 それは、問い掛け。 とても小さな囁きで、けれどすっと耳に入ってくる言葉。 「さあ、どうでしょうか」 まるではぐらかす様な言葉。 けれど、それがベナウィの本心だった。 哀しいのか、哀しくないのかの判断さえ、よく出来ない。 哀しいや、苦しいという感情を捨て去って、武士になったのだから。 「……………………いいえ、きっと哀しい筈です」 けれど、はぐらかしの言葉をかけらながらも、彩は視線を外さない、外しはしない。 強い意志で、ベナウィをただ見つめ続けていた。 その瞳はまるで、ベナウィの心を見透かすようで、ベナウィはとても嫌になって。 「何が、何が解かる。私の心が貴方に解かる訳が無い」 そうだ、簡単に解かってたまるものか。 逢って六時間しか立っていない少女に理解されてたまるものか。 何もかも見透かされてまるか。 だからこそ、強い言葉で拒絶したのに。 きっと、彼女は怖がって言葉を紡ぐのを止めると思ったのに。 「…………でも、これだけは解かります」 彼女は、ベナウィを見つめながら。 「――――家族が死んで、哀しまない、人間がいると思いますか?」 長谷部彩は、言葉を紡いだ。 優しく、残酷で、温かい言葉を。 当たり前の事を、自然に。 そして、その言葉は、ベナウィを戸惑わせ、心に沁み到らせていく。 「ベナウィさんの仲間……家族ともいえる人が死んで、それで哀しまない人なんて……居ません」 彩は何かを思い出すように。 辛い過去を思い出しながら。 それでも、言葉を紡ぐ。 「ベナウィさんは哀しみ方を、泣き方を、忘れただけなんです」 人を失う時の哀しみを。 人が涙を流す感覚を。 ベナウィは、きっと、命が沢山失われていく中で、磨耗し、忘れていった。 「………………きっと……いつか、思い出せる時があると……思います」 でも、何時かは思い出せる。 だって、哀しまない人なんていないから。 「けれど……今は――――」 そっと伸ばされる彩の温かくて、優しくて、小さな手。 ベナウィの頬に、静かに添えられて。 「――――――私が泣けない貴方の為に、貴方の代わりに……泣きましょう」 ぽろぽろと、彩の瞳から雫が落ちた。 泣けないベナウィの為に。 彩は静かに、涙を流し始めた。 その彩の行為は傲慢かもしれない。 単なるエゴでしかないかもしれない。 けれど、ベナウィは、添えられた手を、払う事など出来なかった。 出来るはずもなかった。 だから、ずっと、立ち竦むしかなかった。 そして、純白の少女の涙が、夕陽に照らされて。 ずっと、ずっと輝いていた。 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ また、その瞳だった。 私を射抜く瞳が其処にあって。 ただ、真っ白な純白の心が、私を包んでいた。 堪らなかった。 私の心を何時までも揺さ振り続けて。 苦しくて、この温もりを突き飛ばしたかった。 けれど、私は出来なかった。 あの瞳が、私を捉えて離さなかった。 日向のような温もりが私を包んでいる。 まるで、武士の自分を忘れさせるような、そんな涙で。 きっと武士を辞めるのなら彼女の言う通りにになるのかもしれない。 けれど、武士を辞める自分なんて考える訳も無くて。 それは自我を捨てると同じ事で。 だから、突き飛ばせばいい。 傲慢な彼女を突き飛ばせば、全てが終わる。 こんなのが嫌なら、其れで終わるのだ。 こんな堪らない気持ちから、こんな苦しみから、解放されるなら、それでいいのだ。 でも、私は立ち竦むしかなかった。 終わらせたくなかった自分が居て。 この日向のような暖かさに。 真っ白い羽根のような心に。 私は、救われてるような気持ちに感じてしまう。 それが、どんなに、自分を裏切る事だとしても。 止める事が出来なかった。 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ………………きっと、私のやってる事は出過ぎた事だと思う。 私はベナウィさんの事を詳しく知らないのに。 知ったような事を言って、ベナウィさんを苦しめているだけなのかもしれない。 でも、けれども。 其処にある哀しみを。 泣けない人を見たら。 私は、身体が動いていた。 怖かった、拒絶されるんじゃないかと思った。 嫌われるんじゃないかと思った。 踏み込んではいけない所まで踏み込んでしまったかもしれないと思った。 けれど。 哀しい瞳をした、貴方を護りたかった。 あんなにも切なそうにしていた瞳が、私を捉えて離さなかったから。 私に出来る事は少ないけど、たいした事無いけど。 貴方の為に、無くなった人の為に。 涙を流す事は、祈る事は……出来たから。 だから……これでいいんです。 誰かの哀しみが少しでも癒えるなら。 誰かを護る事になるなら。 私は涙を流そう……と思う。 それが、私が出来る事なのだから。 涙の温かさを、頬に感じた。 きっと、この温もりが、想い合う事なのだろうかと思いながら。 私は、温かい雫を流し続けた。 【時間:一日目 午後6時50分ごろ】 【場所:F-1】 ベナウィ 【持ち物:フランベルジェ、水・食料一日分】 【状況:健康 彩と共に行動】 長谷部彩 【持ち物:藤巻のドス、救急セット、水・食料一日分】 【状況:健康、ベナウィと共に行動】 127 紅い紅い夕陽が沈む中で 時系列順 120 絶望と希望のリーインカーネーション 134 レクイエムは誰がために(前編) 投下順 136 終わった世界で何もかも終わる 085 天使の羽の白さのように べナウィ 148 遭遇は光の中で 長谷部彩
https://w.atwiki.jp/multiple/pages/145.html
黄金の精神は男の信念を打ち砕く◆EHGCl/.tFA 「サカキさん、まだかなぁ。ヴァッシュさんもヤケに遅いし……」 淡い朝日が差し込む森の中、広瀬康一は木に寄り掛かるように座っていた。 右手には巨大なカタツムリを、左手に食糧として支給されたサンドイッチを持ち、鬱蒼と生い茂る森林を見つめる。 数分前森の奥に消えた仲間は未だ帰っておらず、もう一人の仲間からも連絡は来ない。 心の中で、不安という名の風船が急激に膨張していく事を感じつつ、康一はサンドイッチを口に詰め込んだ。 「サカキさんなら大丈夫だと思うけど……なんか不思議な貫禄がある人だったし。でもあのメイドさんも普通じゃなかったからなぁ……」 全く躊躇う事なく拳銃を撃ったメイド。 その動きは、銃に関して素人である康一にも分かる程に無駄のない動きであった。 対するサカキも素人には見えないが、拳銃と比較すると武装が心許ない。 拳銃に剣で対抗するには、多少腕に自信がある位じゃ全く足りない。 説得に成功すれば良いが、失敗したらどうするのか―――康一の心配は尽きることがなかった。 (あぁ、杜王町のみんなも心配してるんだろうな。由花子さん、荒れてなければ良いけど……) 自分と仗助が突然消えた杜王町。 仲間達はスタンド使いの所為だと思い、調査を始めているのか。 超が付くほど短気な恋人―――山岸由花子は錯乱し、暴れ回っているかもしれない。 八つ当たりで、大量の髪に縛り付けられた親友の姿が目に浮かぶ。 ため息一つ。 早く元の世界に帰らなくてはと、再度決心する康一であった。 ――ガサリ 丁度その時、森の奥から葉と葉が擦れ合うような音がした。 音源はヴァッシュが用を足しに行った方向とは正反対の森林。 (誰か居る……!) 止まる事なく、ゆっくりとながら徐々に近付いてくる音。 康一は直ぐさまエコーズACT.3を発現し、警戒心と共に立ち上がる。 魅音と名乗った少女、三つ編みに眼鏡のメイド―――この殺し合いが始まって僅か数時間の間に二人もの危険人物と出会った康一が油断することはない。 ガサリと一際大きい音が鳴った次の瞬間、一人の男が現れる。 整えられた黒色の髪に、理知的な雰囲気の凛々しい顔立ち。 手には朱色の槍を握り、青色の外套と和服のようなで和服でない不思議な服を着ている。 女の人にモテるんだろうなぁ、と場違いな事を考えつつ康一は相手を観察し終え、そして 「ACT3! 奴を重くしろ!!」 躊躇いなく攻撃を開始した。 横で傍観に勤めていたエコーズが動き出し、男に向けて連打を放つ。 「ッ!!」 だが男は弾幕に触れる寸前で後方に大きく跳び回避、同時に槍を構え康一へと向ける。 「……穏やかじゃありませんね」 「その……その返り血は何だッ!?」 康一が相対する男――ベナウィを敵だと判断した理由。 それは甲冑に付着した夥しい量の返り血――桜田ジュンを殺害した際に噴出した血液が甲冑を汚していたからだ。 康一はエコーズを側に戻し、相手の出方を窺うようにベナウィを睨む。 「バレてしまいましたか……まぁ隠すつもりも有りませんしね」 「ッ! エコーズ!!」 『SON OF A BIIIIICH!!』 一歩、エコーズの射程距離に踏み込む為に康一がベナウィへと近付く。 だが距離を詰めに掛かったのは康一だけではない、ベナウィもまた然り。 康一よりも何倍も鋭い速度で自身の得意とする距離へ移動し、槍を振るう。 交差する拳の連打と槍の連突。 一瞬の攻防を制したのは――――あらゆる魔を無効果する槍であった。 「ぐわっ!」 エコーズの拳は器用に動かされた槍に全て防がれ、対する槍はエコーズの頬と左の腕を切り裂く。 そのダメージは康一へと伝達し、康一の身体の頬と左腕に切り傷が現れ、少量の血が滲み出た。 「不思議な魔獣を扱うようですが、速度は大したことがない。その程度の動きなら防ぐのは他愛もない事です」 明らかな余裕を含んだ言葉を吐きつつ、ベナウィは、裂傷により僅かな怯みを見せた康一へと槍を突き付ける。 穂先は康一の眉間を薄皮一枚の所で捉え、離れない。 あと数センチでも押し込めば確実に命を奪うであろう位置に止められた槍。 ―――だが、それを見て康一は微笑んだ。 「何故、笑っているのです?」 「……お前は致命的な勘違いをしている。僕は「防がせる」だけで良かったんだ。そりゃお前自身に当てられれば一番だったけどさ」 康一の表情には、敗北感や死への恐怖というものが寸分も宿っていなかった。 逆に自信と確信に満ち溢れた微笑みが映っており、その態度がベナウィに疑問を植え付ける。 「……何を言っているのですか」 「僕の勝ちってことさ……『3・FREEZE』!」 『Let's kill DA HO!』 瞬間、ベナウィの表情に驚愕が生まれ、周囲にズンという重い音が響き渡った。 音の先には、地面にめり込む長細い物体―――宝具・破魔の紅薔薇(ゲイ・シャルグ)。 急激に重量を増したそれは、ベナウィの手から離れ地面を陥没させていた。 とっさのことにベナウィの意識が康一から破魔の紅薔薇に向く。 そして、その隙を見逃す康一ではなかった。 「今だ! ブチのめせッ、ACT3ッ!!」 「くっ!」 残像を映しながら迫る拳の壁をバックステップとダッキングを駆使し、何とか回避するベナウィ。 エコーズの射程距離外へ身体を逃げ込ませ、大きく息を吐く。 「……やっぱりエコーズが見えてるみたいだな。お前もスタンド使いか……」 だが休ませる暇を与える事なく、康一は槍を拾い上げ、ベナウィへと一歩一歩接近していく。 ある勘違いの為に警戒を解くこともせず、その佇まいからは一縷の隙も見いだせない。 段々と距離を詰めてくる康一を睨み、ベナウィは思考する。 (撤退か、抗戦か……) 謎の能力に武器は奪われ、依然敵には魔獣が付き従っている。 魔獣のスピードに付いていく事は可能だが、素手ではこちらから攻撃することが出来ない。 何らかの策を弄さない限り不利は明確。 (……またコレの力に頼りますか) だが打開策は直ぐに考え付いた。 百発百中で成功するとは思えないがリスクは低く、試す価値は充分にある。 失敗したら逃走すれば良いだけ――そう考えベナウィは康一へと意識を戻す。 そして、懐から取り出すは一つの巻物。それを口にくわえると康一に背を向け、その場から走り出す。 「逃がすかッ!」 相手が逃亡を図った――康一がその思考に行き着くのも無理はない話であった。 唐突に背中を見せ、隙だらけの姿で走り去る男。逃げを選択したとしか思えない。 だが男は十メートルと走る事はしない。 一本の木の下でピタリと立ち止まり、再度康一へと視線を戻した。 (止まった……? 何をする気だ……) 理解仕切れない男の行動を不可解に思いつつ、何が起きても対応できるよう、エコーズを前方に待機させる康一。 エコーズは康一を護るように立ち塞がり、両の手を合わせ捻りながらベナウィへと向ける。 (ACT3……奴が射程距離に入ったら一気に勝負を掛けるぞ) 『了解シマシタ、康一サマ。アノクソッタレ槍使イヲ、ボコボコノメタメタ二、ブチノシテヤレバイインデスネ』 康一の視界の中では、謎の巻物を口にくわえたベナウィが真っ直ぐにコチラを見詰めている。 康一はベナウィの一挙手一投足に集中する。 攻め込まれても、逃げられても、スタンドを発現されても……どう動いても反応できるよう身構えていた。 「なッ!?」 ―――だがそれでも、予想外の事態とは発生するもの。 視界の中、男が動く。康一にとって予想外だったのは男の動いた方向。 男は、前でも後ろでも横でもなく、真上に跳んだ。 まるで縄跳びをするような軽い動作で、三メートル程その身体が宙にに浮く。 そして空宙で前方に90度ほど体を傾けると、先程地面を蹴った両の脚を枝に当て―― 「ッ、エコー……」 ――弓矢の如く一直線に、エコーズですら反応不可能な速度で、ベナウィは康一へと突進した。 康一の前に立つエコーズに突き刺さったのはベナウィの両脚。 勢いはそのままにドロップキックの要領で放たれた脚がエコーズの胴体にめり込み、本体である康一にダメージを与える。 「うげぇっ!」 肋骨が音を立ててへし折れ、康一の小柄な身体がエコーズごとぶっ飛ぶ。 右手に持っていた電伝虫は何処かに飛んでいき、左手に持っていた破魔の紅薔薇(ゲイ・シャルグ)も宙を舞う。 だが、破魔の槍が地面に落ちる事はない。 それより先にベナウィが空中で掴み取ったからだ。 そしてベナウィが着地、息つく間もなく疾走し、康一の鳩尾、心臓、左右の肺を槍で刺し貫いた―――。 もう動かない康一を見下ろしベナウィは軽く息を吐く。 『忍術免許皆伝の仮免』を使用しての跳躍、そして木の枝を利用して斜め前方に再び跳躍。 「バッタの術」により強化された跳躍力と重力とが組み合わさり、引き出された神速とも言える速度。 その速度は、康一へ会心の一撃を叩き込むには充分すぎる速度であった。 「……あなたは素晴らしい精神を持った戦士でした」 ベナウィは純粋な感嘆を口から出し、康一へと近付いていく。 そしてデイバックを手に掛けると、口と口を合わせ中身を全て自身のデイバックへと流し込んだ。 (一旦、休息を取りますか……) 先のルフィとの戦闘、そして康一との戦闘により身体には疲労が溜まっていた。 行動に支障が出る程ではないが念には念を入れるべきだろう、と考えベナウィは康一に背を向ける。 そして、気付く。 自分と康一の死体を見つめ、茫然と立ち尽くす一人の男に。 漆黒に髪を染め、漆黒のコートを纏った、黒づくめの男に。 あまりに遅すぎる帰還を果たした男――ヴァッシュ・ザ・スタンピードの存在に、ベナウィは気が付いた。 □ それは訳の分からない光景だった。 つい数分前まで仲良く話していた少年が血の水たまりに沈んでいる。 その傍らには見知らぬ男が一人、血に染まった鎧と槍を持ち、佇んでいる。 何が、起きた? 自分が居ない数分の間に、何が起きたんだ? 「あなたは……」 振り返った男が自分の存在に気付く。 整った顔に僅かな驚愕が現れる。 コーイチの返り血かそれとも他の誰かのものか、その顔は血に濡れていて、そしてそれを見た瞬間、俺は――― □ ベナウィがヴァッシュに気付いて数秒後、パンという渇いた、それでいて暴力的な音が轟いた。 ベナウィにとって幸運だったのは、音がする数瞬前にヴァッシュ目掛け駆け出し、槍を振るっていた事。 誠に偶然だがヴァッシュが放った弾丸とゲイ・シャルグが激突し、互いの攻撃が逸れる。 ヴァッシュの腹部に突き刺さる筈だった槍は脇腹を掠めるだけに終わり、ベナウィの右腕を貫通する筈だった銃弾は何処にも命中することは無かった。 「お前がコーイチを殺したのか……」 「……あの少年はコーイチと言うのですか。仕留めるまでに少し手こずりましたよ」 ヴァッシュへ冷静に言葉を返しながらもベナウィは焦燥を感じていた。 ヴァッシュが持つ拳銃――ベナウィからすれば謎でしかない兵器に、ヴァッシュが見せた超速の抜き打ち。 どちらも最大限の警戒するには充分すぎる要素であった。 「何故コーイチを殺した……」 「あなたもギラーミンの言葉を聞いていたでしょう? この殺し合いは一人しか生き残れないんですよ」 (あの黒筒は遠距離武器ですかね。不可視にして高威力の矢、と言ったところか……あの穴から矢が発射されるようですが……) 会話の間に現状を打破する為の思考を進めるベナウィ。 破魔の槍が朝日に照らされ朱色に光る。 「お前は、あんな言葉を信じ、従うのか……?」 「はい、その通りです。私は聖上を守り抜ければそれだけで良い……」 (矢は相当な速度で射出されるようですが、黒筒の正面に立たなければ回避は可能なはず……勝機は充分にある) ヒュン、という高い音と共に槍がヴァッシュに向けられる。 ベナウィの中で兵器の把握は完了していた。 あとは優勝という名の頂を踏破する為に、眼前の男を殺害するのみ。 「聖上?」 「……これ以上の会話は不要のようですね。私は道を違えるつもりは有りませんし、それはあなたも同様でしょう」 その締め括りと共にベナウィは槍を掲げ、次いでヴァッシュがゆっくりと拳銃を構える。 地を蹴る音が銃声に掻き消され、それを合図にガンマンと槍兵の戦いは始まった。 相手を殺すため自身の技量の全てを用い連撃を振るうベナウィ。 相手を殺す事のなく無力化しようとするヴァッシュ。 瞬間、轟音。 命中を目的としていない威嚇の為だけの発砲を一回。 この角度では当たらない―――そう分かっていても、銃と存在に馴れていないベナウィは反射的に回避行動を取ってしまう。 その刹那の隙を見逃さず、ヴァッシュは半歩だけ距離を空ける事に成功。 次いで義手の隠し銃を起動し、ベナウィへと狙いを付け引き金を絞る。 勿論、弾など装填されていない。だが、それがベナウィに判断できる訳がなく、隠し銃の射線から逃れようと横に跳ぶ。 そしてそれこそがヴァッシュの狙い。 ベナウィの両脚に銃口を向け、弾丸を射出する。 「甘い!!」 ―――が、当たらない。 射線から逃れたベナウィの身体が真上に跳ね上がったからだ。 「バッタの術」を発動と共に頭上の木を利用して再びの方向転換――康一に活用した策を再度用いる。 支給品と重力と脚力による超加速。同時にゲイ・シャルグを突き出す。 予想外の攻撃だったが、異能集団やそれ以上の怪物を相手にしてきたヴァッシュは問題なく反応する。 「……良い反応です。」 ヴァッシュの後方に着地したベナウィが槍を構え、淡々と告げる。 「いやいや、そちらこそ。まさかそんな動きをするとは思わなかったよ」 ヴァッシュも、直ぐさま銃を向け直し口を開く。 「そこの彼は同様の攻撃で仕留められたのですがね」 「……そうかい」 瞬間、轟音。 持ち主の感情を表すかのように放たれた銃弾が音を切って走る。 が、引き金を引く寸前に標的は疾走を開始しており、銃弾は後ろの木を穿つに留まった。 消えぬ轟音の中に鈍い着弾音が響く。それが耳に入ったと同時にベナウィは一直線にヴァッシュへと駆ける。 そして、刺突一閃。 風切り音と共にゲイ・シャルグが紅色の線となり―――しかし、黒金の銃身により軌道を曲げられる。 頬の数センチ横を通り抜けるゲイ・シャルグ。 二人の男の視線がぶつかり合う。 「……他の全てを殺してまで、その『聖上』って人を優勝させたいのか?」 「ええ、彼が死ねば国は滅びたも同然です。私や仲間達の命を賭してでも生還させなくてはいけない」 「皆と協力してギラーミンを打倒する道を――聖上も、仲間も、全てが助かる道を、選ぼうとは思わないのか?」 「一番確実な道を選択しただけです……それに私はもう二人の人間を殺した。今更、戻る気など毛頭ありません」 「……そうか、分かったよ」 言葉と共に一歩で大きく後ろに下がったヴァッシュ。 常人では考えられない距離だがヴァッシュ自身の超常の能力を持ってすれば容易い。 そして手に持っていた拳銃をホルスターに仕舞い、挑発的な笑みを浮かべてベナィを睨む。 ベナウィはベナウィで、ヴァッシュの取った、武器を手放すという奇怪な行動に動きを止めている。 「何の真似でしょうか?」 「……んー、大した意味はないんだけどね。『ハンデ』だよ」 ヴァッシュの言葉に、ベナウィの眉がほんの少し吊り上がった。 心無しか槍を握る力が強まっているようにも見える。 「ま、御託は良いでしょ。早く掛かっておいでよ」 「……分かりました」 続く挑発の言葉を聞き終えたと同時にベナウィが動く。 疾走し突き穿つ狙いは、銃の収まっているホルスターから最も距離のある頭部。 不愉快極まりない微笑みを宿す顔面に向け、朱色の槍が進撃し、 ―――そして、ベナウィは体験する事となった。 己を貫く銃弾が醸し出す灼熱の痛みを。 野獣の歯や爪による一撃とも、槍や刀での斬撃ともまた別種の痛みを。 ベナウィの世界には存在しない痛みが身体を包み、そして意志に反して身体は倒れていた。 「ごめんよ……」 ベナウィが地面の冷たさを身体全体で実感していたその時、頭上から声が降り懸かる。 その声は何処までも悲しそうで、今にも泣き出しそうであった。 □ 足元には一人の男が、両脚から血を流し倒れている。 自分が「本気の」早撃ちで戦闘不能にした男。 自身の兄弟にも、兄弟を狂信する最凶の化け物にも知覚される事はなかった「本気の」早撃ち。 それはこの男にも当たり前だが知覚される事なく、両脚を撃ち貫いた。 言葉で阻止したかった。 だが男の決心を目の当たりにしてしまった。 だから、撃った。 止める為に、これ以上の犠牲を――コーイチのような犠牲を出さない為に。 「コーイチ……」 救えなかった名前。 自分が彼を一人にしなければ、あと十秒でも早くコーイチの元に帰っていれば確実に救えた命。 自分は何をしているのだ。 さっきの騒乱で後悔をした筈なのに、同じミスを、いやそれ以上に愚かなミスをした。 「すまない。本当にすまない……」 血だまりに沈むコーイチへと歩み寄り、手を乗せる。 出血はいまだ止まらず、身体中の熱を奪い尽くしていた。 傷跡は殆どが急所を貫いており一目で致命傷だと理解できる。 おそらく即死だったんだろう。 「すまない、すまない……」 ただ謝罪だけを続ける。 許されない事を知りながらも謝罪の言葉を止めることは出来なかった。 ―――俯き、まるで壊れたラジオのように謝罪を続けるヴァッシュ。 罪悪感に支配された彼は自身の危機に気付くことが出来ない。 その後方で、血塗れの槍を支えにして一人の男が立ち上がった事に。 両脚は血を流し続けており、貫通した弾丸により骨も折れている。 歴戦のヴァッシュから見ても動ける筈がない傷。しかし男――ベナウィはギラついた瞳を宿し、立っていた。 一歩一歩、気配を悟られぬよう足音を消しながら漆黒の背中に近付き、そして槍を振りかざす。 ベナウィの足が康一の血液が作った水たまりに入り、ピチャリと些末な音を立てた。 それを合図とするように、ベナウィは槍を突き出す。 ベナウィの視界の中では、何を理由に気が付いたのか、信じられない速度で銃を抜き身体を向けるヴァッシュが居た。 だがベナウィは怯まない。 先の戦闘によりヴァッシュの攻撃に殺気が含まれていない事を、ベナウィは気付いていた。 手足にどれだけ攻撃を受けようと構わない。絶対にこの男を始末する―――ベナウィの胸中にはどす黒い執念と殺意が居座っていた。 そしてベナウィの予想通り、穂先が標的に喰らい付くよりも早く銃声が鳴り響く。 「え?」 間の抜けたヴァッシュの声がベナウィの耳に届いた。 それを最期に、男は後頭部から血を撒き散らし―――康一と重なるように倒れた。 □ ――ピチャリと音がした瞬間、ヴァッシュは無意識の内にホルスターから銃を取り出していた。 そして無理矢理に身体を捻り、槍を振り被っていたベナウィに銃口を向ける。 躊躇いを見せる暇すらない刹那の時間。 意識せずとも照準は男の急所から外れ、右肩に定まっていた。 引き金を引く。 もはや身体に染み付いてしまった一連の動作を、ヴァッシュは反射的に行っていた。 「え?」 ―――そして銃弾は吸い込まれるようにベナウィの『眉間』に命中した。 糸の切れた人形のように脱力し、康一と折り重なるように倒れるベナウィ。 離さないと決心していた槍は呆気なく手から零れ落ち、血だまりに沈む。 「せ……ょ……」 意識など有る筈のない口から漏れた音。 ヴァッシュは目を見開いたまま動かない。 そして数秒後、自身がした行為を理解し―― 「う、わぁぁぁぁああああああああああああああああ!!!」 ――全力で森林の中へと駆け出していた。 自分の成した罪から逃亡する様に、漆黒が駆ける。 数十年の長きに渡って課していた不殺という名の信念は、余りに容易く、唐突に破られた。 □ 何処からか聞こえた「すまない」という言葉の雨に、彼の意識は引き上げられた。 本来ならそのまま死に向かうだけであった「魂」は、自身が持つ「黄金の精神」の恩恵を受けてか、身体の中に戻っていった。 覚醒する意識。だが、視界はぼやけており言葉を発する事も出来ない。 その視界の中、彼は捉える。 自分の死に涙する「仲間」へと忍び寄る、朱色の槍を握った「死神」を。 ――死なせない。 ――「仲間」は、絶対に、死なせない。 彼は文字通り死力を振り絞り最後の力を発現した。 死の間際、解毒剤を能力に乗せ仲間に届けた少年のように。 死の間際、仲間に敵の能力を伝えるため時計台を破壊した少年のように。 死の間際、敵の手掛かりを仲間に残すためデスマスクを形成した青年のように。 ―――死の間際、彼は自分の能力を使用した。 触れた物を重くするという彼の能力により、「死神」は体勢を大きく崩す。 「右肩」があった位置に「眉間」を晒すように大きく―――。 (ヴァッシュ、さん……これが僕、の……最、後の…………) そして「仲間」が放った弾丸が「死神」を貫き、「仲間」は走り去っていった。 仲間の無事を確認し、彼は満足気な笑みを浮かべ、力尽きる。 「仲間」を護れきれた―――それを誇りに彼の「魂」は天に昇っていった。 【ベナウィ@うたわれるもの 死亡】 【広瀬康一@ジョジョの奇妙な冒険 死亡】 【B-2 森/1日目 早朝】 【ヴァッシュ・ザ・スタンピード@トライガン・マキシマム】 [状態]疲労、黒髪化、身体中に浅い切り傷、左肩に刺突による傷 [装備]S W M29 6インチ 0/6@BLACK LAGOON [道具]支給品一式、不明支給品0~1、予備弾丸32/32 [思考・状況] 基本:殺し合いを止める 0:人を殺して、しまった…… 1:この場から離れる 2:ウルフウッド、リヴィオとの合流。 3:ウルフウッドがいるかもしれない……? ※原作13巻終了後から参加 ※サカキ、ロベルタの名前はまだ知りません。 ※詩音を『園崎魅音』として認識しています。 ※口径などから、学校の死体を殺すのに使われたのはロベルタの持っていた銃ではないかと考えています。 ※康一と簡単な情報交換をし、仗助、吉良、スタンドの事について聞きました。 仗助を協力者、吉良を危険人物だと見ています。 ※義手の隠し銃には弾が込められていません。弾丸を補給すれば使用可能です。 ※何処に向かうかは次の書き手に任せます。 B-2・森にベナウィの死体、広瀬康一の死体、破魔の紅薔薇(ゲイ・シャルグ)@Fate/Zero、忍術免許皆伝の巻物仮免@ドラえもん、電伝虫@ONE PIECE、和道一文字@ONE PIECE、 康一のデイバック(支給品一式、不明支給品1~3)、ベナウィのデイバック(支給品一式、シゥネ・ケニャ(袋詰め)@うたわれるもの、謎の鍵)が放置されています。 時系列順で読む Back 炸裂―エクスプロード― Next 第一回放送 投下順で読む Back 炸裂―エクスプロード― Next 第一回放送 本気のココロを見せ付けるまで 僕は眠らない ヴァッシュ・ザ・スタンピード 審判-Judgement- 本気のココロを見せ付けるまで 僕は眠らない 広瀬康一 死亡 想いは簡単に届かない ベナウィ 死亡