約 967,460 件
https://w.atwiki.jp/apgirlsss/pages/1506.html
会議室で再会 「うわ…」 坂上あゆみはおもわず口に出してしまった。50人ものプリキュアが続々集まってくる様子は壮観だった。もちろん、みな変身前の普段の姿ではあるが、知ってしまうと、プリキュアとしての姿を重ねてしまうのは当然だった。 春が近づいてやっと暖かくなりかけたある日、四葉邸に集まれ、と星空みゆきから連絡があった。みゆきも何か慌てているようだったが、今日の午後、という急な話にあゆみは驚いた。いつものお花見というわけではなさそうだった。 それは今の雰囲気でもわかる。これだけの人数がいるというのにおしゃべりに花が咲くこともない。あったとしても、隣と小声で、というのがせいぜいだった。グレルもエンエンも、トートバッグから顔を出しはしたが、あたりを見回して察したのか、何も言わなかった。 (授業みたいだな…) ここは会議室のようだった。あるいは、テーブルを並べ替えて飾ればパーティ会場にできるのかもしれないが、今は、正面に演壇があり、机はそれに向かって整然と並べられていた。 あゆみは、誰かに聞いたりもしなかった。そういう空気でないのも事実だが、昨日あたりから体調がよくない、ということもあった。何をするにも億劫で体が重く感じる。今日だって、単なるお花見だったら断ったかもしれない、という気がする。 「お待たせしました」 四葉ありすが入ってきた。皆の視線がそれに注がれるのは当然だったが、空気が冷たくなったような気がした。セバスチャンが、今入ってきたドアを静かに閉めた。 ありすは演壇に立つと全員の顔を見渡した。視線があゆみに来たときに一瞬、動きが止まったような気がしたが、勘違いかもしれない。 「現状からご報告します。 四葉の科学チームが解析を続けておりますが、まだ仮説を得るにも至っておりません。 情報取集の段階で足踏みしています」 何人かが頷く。あゆみはその様子を見ていた。やはりだ。自分が知らないことがあるようだ。億劫さが消えたわけではないが、友人たち、プリキュアたちが真剣な顔をしているのが、何かが起こっているせいだとしたら、このままではよくないような気がした。 「あの」 手を上げる。やはり何人かが振り向く。咎める視線はなかった。むしろ、何か知っているのか、という期待だった。 「今日の目的は何なんでしょうか」 眉を顰める人がいる。 「わたし、何か知らないことがあるみたいで――」 さすがに声が途切れる。ありすは あゆみを見ていたが、わずかに首を傾げた。 「なんか、ごめんな――」 「昨日、あゆみさん、あるいは、キュアエコーと一緒だった方はいらっしゃいますか?」 声はない。首を横に振った者はいた。昨日、とは。 「あゆみさんかキュアエコーを見た、という方は?」 同じだった。手を上げる人もいない。 「やはりそうでしたわね。さっき、あゆみさんと目が合ったときにそんな感じがしたのです。 では、状況の整理を兼ねて、私からご説明いたします」 それは想像したよりも短く終わった。 昨夜、ほぼすべてのプリキュアが突然、異次元空間に引きずり込まれたのだという。 「おそらくあれは、『ワームホール』あるいはそれに類するものだと思います。 その先では、プリキュア・アラモードの六人、HUGっとプリキュアの五人、名称不詳のプリキュアが四人、戦っていましたが、わたしたちがそれに加わる前にワームホールは閉じ、わたしたちはそれぞれ元の世界に戻されたのです」 「…」 「すでに戦っていたプリキュア、それに後から呼ばれた形のプリキュアがいたのに加え、あゆみさんのように、ワームホールに引きずり込まれなかったプリキュアもいたわけですね。その違いが何によるものなのか、ということも解明しなければなりませんわ」 そういうことか。 複数のプリキュアが一緒に戦う大きな事件はこれまでに何度も起こっているが、今回は性質が異なるらしい。 「…。 え」 あゆみは突然、立ち上がった。 「リコちゃん?!」 が、すぐに座り込んだ。いや、倒れたのだった。 「あゆみちゃん!」 客室で目覚めへ
https://w.atwiki.jp/apgirlsss/pages/783.html
いっしょ ~ プリキュアオールスターズ NewStage 3.0a 第4話:夢の世界へ 〈あゆみ〉 「なに?」 〈バクのお母さんは、バクの子供のためにやっている〉 「え?」 「フーちゃん、どうしたって言うんですの」 リボンは、慌てている、という様子を隠して言った。 〈バクの子供が、たくさんの友達を作れるように、人間の子供たちを夢の世界に閉じ込めている〉 「まぁ、フーちゃんったら突然おかしなことを」 〈そして、プリキュアも〉 「よさないか!」 〈プリキュアもみんな捕まっている!〉 大きな声が交錯した後、一瞬の沈黙。 「みゆきちゃんたちも…?」 〈うん〉 「助けに行かなきゃ」 「どうやって」 「友達が困ってるんです。助けに行かないと」 《…》 そのとき、聞いたことのない声が胸に響いた。また誰かが強い感情を持ったのだろう。だが、何を言っているのかはわからない。あまりにかすか過ぎた。 「君は夢の世界に行くことができるのか」 〈ブルーはプリキュアを夢の世界に送り届けることができる!〉 「どういうつもりですの?」 リボンが鏡の前に立ちはだかった。 「そんな余計なことを言って。あゆみさんが危険な目にあうかもしれないのに!」 〈フーちゃんは、あゆみに嘘はつかない。隠し事もしない!〉 「だからって」 〈あゆみは、大事な子供達を助けたい。困っている友達を見捨てたりしない。 それを邪魔する人は、あゆみの敵! 邪魔したら、リボンもブルーも、フーちゃんの敵!〉 その剣幕にさしものリボンも怯えた。ブルーは小さくため息をついた。 「フーちゃん」 あゆみは再び鏡を抱きしめた。 「ありがとう。フーちゃん」 〈あゆみ…〉 「でも、フーちゃんに心配かけちゃうね」 「本当に行くつもりなのか」 ブルーが訪ねるとあゆみは、今度は力強く頷いた。 「友達を助けたい。 子供たちを助けたい。 そして…。 お母さんも助けたい」 「お母さん?」 「私も前に、お母さんとケン力して…それで、あんな事件を起こしました。今だったら、それがとてもつまらない原因だったことがわかります。 多分、バクのお母さんと子どもも、気持ちの些細なすれ違いが原因だと思うんです。 その思いを私が届けることができたら…」 「だが、君はプリキュアではない」 「…」 あゆみは唇をかんだ。 あの時は、フーちゃんにどうしても会って話をしたかった。 そして今は、自分が行くことで助けられるかもしれない人が大勢いる。 あの時と今とで思いの強さに違いがあるとは思わない。 だが、ふたたびキュアエコーになれるのかどうか、その方法は。それはわからなかった。 〈フーちゃんが手伝う〉 「え? フーちゃんも一緒に行くの?」 〈違う。あゆみをキュアエコーにする〉 「どうするの?」 〈キュアデコルを作る〉 「キュアデコル…」 みゆきたちが変身するために使っていた小さなアクセサリー。あゆみ自身はそれを使ったのではないし、後で「キュアデコルはないの?」と聞かれて、それは何? と聞いたほどなのだが、フーちゃんは見た記憶があるらしい。 フーちゃんがそれを作る? そうだ。フーちゃんはキュアハッピーたちと戦って、その力を吸い込んだことがある。だから、それがどういうものかを知っているのだ。 「そんなことできるの?」 〈できる〉 「それだったら…」 あゆみは、希望を見つけた思いで顔を上げた。しかし、ブルーもリボンも難しい顔をしていた。 「それではフーちゃんが」 リボンの言葉に、あゆみは鏡の中のフーちゃんを見た。 そうだ。フーちゃんは、バクの妖精のために弱っているのではなかったか。 〈フーちゃんは平気だ〉 「フーちゃん」 〈みゆきたちもフーちゃんの友達。フーちゃん、友達を助けたい。でも行けない。だから、あゆみにキュアデコルを渡したい〉 「でも」 〈でも、フーちゃんは夢の世界に行けない。みんなを助けられない〉 「だから、私が」 〈だから、あゆみにお願いする。 あゆみがまたキュアエコーになれるように、キュアデコルを作るから、フーちゃんの代わりにプリキュアみんなを助けてほしい〉 「フーちゃん…」 初めて聞いた。 フーちゃんがあゆみにお願いをするのを。そして。 「僕は賛成できない」 ブルーが低い声で言った。 「僕はその『キュアデコル』というのものがどういうものかは知らない。 だが、誰かをプリキュアにする、というのは大変なことだ。この世界のすべての存在とコンタクトを取り、この世界に満ちている愛と勇気を自分の中に誘導し、光をまとう。それがプリキュアになる、ということだ。そのために必要なアイテムを自ら作り出そう、というのも同じように大変なことの筈だ。 今の状態を見る限り、フーちゃんには相当の負担がかかることになると考えざるを得ない」 「そうですわ。バクの妖精のことは、ハピネスチャージプリキュアにお任せくださいな」 「フーちゃんは」 あゆみが、鏡の中を見つめたまま言った。 「プリキュアのみんなを助けたいんです」 「それはわかる。しかし」 「フーちゃんがそんなことを言ったのは初めてなんです!」 「…。 どういうことだい」 「初めて出会ったとき、私たちはたぶん、一緒だったんです。 私は、転校したばかりで、友達がいなくなって、新しい街に新しい学校にもなじめなかった。 フーちゃんも、プリキュアの攻撃でバラパラになって、仲間と離ればなれになってしまった。 だから…。 あの事件で私たちは友達になって、その時はたぶん、お互いのことしか考えてなかった。 そのあと、たくさん友達が増えたけど…フーちゃんが、誰かのために何かをしたい、って言ったのはこれが初めてなんです」 「そうでしたの…」 「だから私は、フーちゃんの願いをかなえてあげたいんです」 「そのことによってフーちゃんが苦しむことになってもかい?」 〈あゆみ。 あゆみがフーちゃんのことを心配してくれたのと同じ。 フーちゃんは、みんなのことが心配〉 「うん。 私、フーちゃんのキュアデコルでみんなのところに行く。 フーちゃんと私の友達のプリキュアを助けてくるよ」 ブルーは、やむをえない、という顔で息を吐いた。リボンも心配げな表情が抜けない様子である。 「フーちゃん」 〈うん〉 フーちゃんは鏡の中で目を閉じた。その小さな体が輝き始める。 (?) ブルーは眉をひそめた。自分でもなぜかはわからない。だが、かすかな疑問がそうさせる。 鏡の中から滲み出した光があゆみの顔を照らし出す。 ブルーは自分の疑問の正体に気付いた。それは確かに「プリキュアの光」だった。めぐみがキュアラブリーに、ひめがキュアプリンセスになるときに発するのと同じ光である。なぜ、フーちゃんがその光を発することができるのだ。それはどんどん明るさを増し、あゆみは目を細めずに鏡を見ることはできなくなっていた。 光は回転し、うねり、波打った。フーちゃんの体の色を反映したものか金色だった光はやがって白色光となったが、まもなく薄いピンク色と緑色が混じるようになった。 「そういうことか」 ブルーが立ち上がった。 光の渦はまったく唐突に消えた。あの明るさに慣れた目が室内の光景をとらえられるようになるにはしばらくかかった。 鏡の前に白いリボン。 「これがキュアデコル…」 あゆみはそれを両手に乗せた。暖かい。 「フーちゃんは、妖精になったんだね」 ブルーが言うと、あゆみの大きな目がブルーを見た。 「何がどう影響したのかはわからない。 だが、フーちゃんは、キュアエコーのパートナーであるために妖精になる必要があった。 プリキュアと友達になった、ということはその妖精と友達になったということでもあるだろうし。君がさっき言ったように、プリキュアの光を吸収したことがあるのなら、それも関係があるかもしれない。 まさにフーちゃんは、自分の夢をかなえたんだろう。自分の手で」 「え、フーちゃん?」 鏡の中に誰もいない。この部屋の壁と、不安そうなあゆみが映っているだけである。 「フーちゃん?!」 「妖精には、リボンのようにアイテムを管理したりプリキュアをサポートしたりする種類と、自分自身が変身アイテムである種類とがあるようだね。 フーちゃんは、後者を選んだんだ」 「どういうことですか?!」 「そのキュアデコルがフーちゃんだ」 「え?!」 〈あゆみ…〉 「フーちゃん!」 〈キュアデコルを作るより、フーちゃんがなったほうがずっと楽。これでいつもあゆみのそばにいられる〉 「フーちゃん、大丈夫なの?」 〈フーちゃんはちょっと疲れた。だからおやすみするけど、大丈夫。キュアデコルがあれば、あゆみはキュアエコーになれるから〉 「おそらくフーちゃんが、あゆみ君の内側の力を引き出す。この世界の愛と勇気をあゆみ君の中に誘導するには、また別の妖精の力がいる。そういうことだね?」 〈うん。 でも、大丈夫。 あゆみはきっとプリキュアになれる。フーちゃんがー緒だから…フーちゃんが…〉 「フーちゃん!」 声が途切れる。あゆみは目に涙をためて、何度もフーちゃんの名前を呼んだ。 ブルーは、キュアデコルを乗せたあゆみの手の上に自分の手をかざした。 「心配ないよ。フーちゃんは眠っているだけだ」 「本当ですか?」 「あぁ。ただ、目覚めるまでにはちょっと時間がかかるとは思う」 「バクの妖精に、悪夢をなんでもかんでも吸収するのをやめてもらえばいいんですね?」 「そうだね」 あゆみは涙をぬぐった。そうしてあげた顔に、リボンが「まぁ」とつぶやいた。 なんという強さだろう。この少女は本当に、友達と一緒に、友達を助けるために異世界へ行こうとしているのだ。プリキュアになれる、という確証もないのに。 「その心配はないようだ」 リボンの驚きを見抜いたのか、ブルーが言った。 「あゆみ君、聞こえたね」 「はい」 《僕らの友達を、絶対に守るんだ!》 はっきりと聞こえた。あれは妖精の声だ。妖精たちが、同じように自分の友達を守ろうとしている。 さっきの気配はこれだった。あの時は、何だったかの見当もつかなかったが、今はわかる。それはおそらく、あゆみがキュアデコルを得たからであろう。 あゆみはフーちゃんのキュアデコルを胸に付けた。眠っているフーちゃんのぬくもりが伝わってくる。大丈夫だ。心配ない。 フーちゃんと一緒にキュアエコーになってプリキュアたちを助け、子供たちを夢の世界から救い出す。バクの妖精には、それが正しくはないことを分かってもらう。 「行きます」 「お気をつけて」 「はい」 ブルーが大きく手を振ると、鏡の中に夢の世界への通路が生まれた。 「行くよ、フーちゃん」 あゆみは口元を引き結ぶと、鏡の世界へと踏み出した。 坂上家へようこそへ
https://w.atwiki.jp/apgirlsss/pages/1389.html
プリキュア ドリームスターズ Ver.0.9 -Quartet Branche- カルテット ふいに、足元が揺れた。 「エコー!」 キュアエコーが巨大な狛犬を必死で止めている。その腕も足も震えていた。 「プリキュア ミュージック・ロンド!」 キュアリズムが振り下ろしたベルティエから光のリングが飛んだ。それはブーメランのように狛犬の顔面をかすめていった。狛犬は、怯えたような声を上げると慌てて引っ込んだ。まるで猫のように自分の鼻先をさすっている。 「エコー、手伝って!」 「はい」 キュアリズムはキュアエコーの手を握った。そして確信した。できる。 キュアエコーが真剣な瞳を向ける。この、熱くて強い思い。それは彼女たちプリキュアが等しく持っているものだ。 「私たちの『光』であの繭を壊すの」 「それは、どうやって」 「わたしに合わせて――あっ!」 狛犬が突っ込んできた。ふたりはそれを避けるように後ろにジャンプした。着地。カッ、カッ、カッと靴音が響いた。キュアリズムが、まるで狙いをつけるように狛犬へ鋭い視線を投げた。 合わせろ、と言われただけだ。キュアエコーには何をどうすれぱいいのかわからない。 だが、強くつないだ手から、力が伝わって来る。それはキュアエコーの中の光を呼び起こし、増大させる。同じことがキュアリズムの中でも起こっている。 ふたりは、違う。キュアリズムが、キュアメロディ、キュアビート、キュアミューズとするのと同じ技を繰り出すことはできない。 だが、ふたりは同じプリキュアだ。それは決定的な問題にはならない。 つまり、新しいことができる。 「行くわよ!」 「はい!」 つないだ手から、小さな、しかし純白に輝く光の輪が生まれた。それは二人の前で回転しながら大きくなり、光を強めていく。 輪の成長が止まる。しかし回転速度ばますます上がり、巻き込まれた空気が風になって、キュアエコーとキュアリズムの長い髪を暴れさせた。 光の輪が辺りを照らす。強すぎる光に風景が白く染まった。 「プリキュア ハートフル・ハーモニー!」 それははじかれたように飛び出すと、二つの繭に向かって行った。白い風景が切り出されて移動していく。リングは繭を中に取り込むと天に向かって上昇を始めた。繭は花びらのようにリングの中で回っていたが、突然、弾けた。 「…」 「え」 「どういうことだ」 「なんだ、これぇ!」 当のキュアエコーとキュアリズムがあっけにとられている。エンエンは何も言えない。グレルの大きな声の後、烏天狗の悲鳴が響いた。 眉が割れ、その中から飛び出したのは、雪城ほのかと美翔舞ではなかった。 パラシュー卜でもつけているかのようにゆっくりと降り立つふたり。 「ありがとう、エコー」 「ありがとう、リズム」 「えーーーー!!」 烏天狗がまた悲鳴を上げる。 「変身できないんじゃなかったのか!」 キュアホワイ卜が静かに笑った。 「そんなことは言っていない筈よ」 「だって。 だって!」 「世界に光がある限り、私たちはいつでも現れるわ」 「ホワイト! イーグレッ卜!」 パートナーがいなければ変身できないはずのキュアホワイ卜とキュアイーグレッ卜が目の前にいる。烏天狗だけではない。誰もが驚いていた。 キュエコーとキュアリズムの、新しい光が奇跡を起こしたのだ。 四人が並んだ。 「繭の中でいろいろ考えてわかったわ。 何もかもこの烏天狗の仕業なのよ」 キュアホワイトが言った。 「何もかもは言い過ぎだろ!」 烏天狗の抗議を相手にしない。 「どういうつもりか知らないけど、烏天狗は『白いもの』をコレクションしようと考えた。 まずは雪」 「そうか。 だから今年の冬は雪が少なくて暖かったんですね」 キュアイーグレッ卜も、すべてを理解したようだった。 「桜が咲かなかったのもそのせい」 桜だけではない。春に咲く花は、一定の寒さを経験しなければ花をつけられない。烏天狗が雪を奪ったおかげで気温が十分に下がらず、桜は蕾を成長させることができなかったのだ。 「そんなの僕の知ったことじゃない!」 「自然のリズムを壊すなんて、絶対に許せない!」 キュアリズムが激しく指を差して責め立てる。 「行くわよ、みんな!」 「はいっ!」 「光の使者、キュアホワイ卜!」 「煌めく銀の翼、キュアイーグレッ卜!」 「爪弾くはたおやかな調べ、キュアリズム!」 「思いよ届け、キュアエコー!」 「こ、こ、こ、狛犬!」 烏天狗は狛犬のお尻を蹴りつけた。狛犬は、四人の白いプリキュアから発せられる、彼らにとっては不快極まりない光に毛を逆立てて唸り声を上げた。 「はぁぁぁぁ――」 プリキュアの体から光が滲みだす。それは陽炎のようにゆらゆらと上昇すると、辺りを包み込んだ。 やがて、四人の中央に集まり始める。プリキュアたちが指差す先の一点に凝集した白い光は、さっきとは逆に、どんどん小さくなっていく。グレルとエンエンは眩しさに小さな手をかざした。 次の瞬間。 「プリキュア ホワイ卜・レインボー!!」 光の点が爆発した。その、光の爆風は、彼女たちが広げた手に従い、狛犬と烏天狗に殺到する。 烏天狗は慌てて狛犬の体の下に潜り込んだ。 「うわぁぁ、ぁぁぁ、ぁぁ!」 それは爆発であると同時に吹雪でもあった。光の吹雪は、狛犬と烏天狗の力を奪っていく。狛犬も、その下に隠れた烏天狗もまばゆい吹雪の中でガタガタと体を震わせていた。 永遠に続くかと思われた光の吹雪がふっと消える。そこにいたのは、小さな二匹の狛犬と、その下でぐったりしている烏天狗だった。 キュアイーグレッ卜が小さく息を吐き、キュアリズムと微笑みあった。グレルとエンエンがキュアエコーに駆け寄る。 「すごいミポ!」 「びっくりしたチョピ!」 と、キュアホワイ卜が足場を固めた。 「お前たち…」 烏天狗が体を起こそうとしている。なかなか起き上がれないのは狛犬が上に載っているせいだと気付くと、乱暴にそれをどけた。狛犬はその陰に隠れるように身を縮めている。 「お前たちなんか…。 あっちへ行けーっ!」 烏天狗は怒りに任せて、どこから取リ出したのか大きな扇を振った。その息も絶え絶えの様子とは裏腹に強い風が吹き荒れる。プリキュアたちの体が浮いた。 「あっ」 「グレル! エンエン!」 キュアエコーがグレルとエンエンを抱きかかえる。そしてキュアホワイ卜達もお互いに手をつないだ。 「みんな、しっかり!」 「手を放さないで!」 プリキュア ドリームスターズ Ver.0.9 -Quartet Branche- お花見をしようへ
https://w.atwiki.jp/twitterlive/pages/58.html
【分類】 作品解説 フレッシュプリキュア! 毎週日曜朝8時30分~9時00分 本項ではテレビ朝日系列で放送されている番組、フレッシュプリキュア!について解説する。 フレッシュプリキュア!はプリキュアシリーズ6作品目であり、前作とはキャラが一新されている。 第一話では酷過ぎる作画と関節技で戦うプリキュアの姿が実況クラスタに人気であった反面、一年間これをやるのかという不安も見られた。 しかし現在(2009年11月現在)ではそんな不安も見られず、いつものプリキュアとして実況クラスタからは人気のようである。 実況においてはラブとせつなの「おまえらもう結婚しちゃえよ」的な空気が百合属性のある実況クラスタ等から人気がある。 しかしこの作品の実況において一番注目されるべき部分はシフォンであろう。 詳しくはシフォンの項で解説するが本作品の実況で一番の火種となっていることは間違いない。 また、せつなの敵幹部時代であるイース様も人気キャラであったため度々再登場を望まれている。 参考動画 用語集に戻る 最終更新09/11/17 【関連するページ】 ニチアサ ニチアサキッズ フレッシュプリキュア! 西さん
https://w.atwiki.jp/apgirlsss/pages/1513.html
ラボで出発 「プリキュア ラブリンク!」 ゆりのアドバイスの通り、空から星が消え始めるころにマナたちは変身した。四葉タワーに移動する。 何が起こっているわけではない。だが、地上から光が失われていく。空には、「ヘビ」の毒々しく鮮やかな節だけが見える。人々は絶望し生きる意志を失い始めていた。 あゆみには、連星の状況を監視しろ、という役割が与えられていた。ありすがキュアロゼッタとなった今では、四葉のラボで連星の位置を示すことができるのは一人しかいない。 「数値を確認させてください」 あゆみは技官のディスプレイをのぞき込んだ。さっきと同じ。 (うん) 変わるはずがない。連星は移動するわけではないし、観測できないのだから、そもそも満足な数値が得られない。あゆみには、その光が暗くなっていく一方だということはわかるが、ここに張り付く必然性はなかった。 「わたし、ちょっと」 あゆみは、小さな声で言うと、グレルとエンエンをトートバッグに入れ、ラボを出た。 「坂上様、どちらへ」 セバスチャンがいた。いや、立ちはだかっている。 「ありすお嬢様より、坂上様はきっとそのようになさるので、気を付けるよう申しつかっておりました。 危険でございます。ラボにお戻りください」 あゆみは、しっかりと首を振った。 「坂上様」 「黙っているなんてできません」 「ですが」 「わたしもプリキュアなんです!」 「しかし、今は」 「変身できなくてもプリキュアなんです!!」 言葉に詰まるセバスチャン。 グレルはあゆみのトートバッグから飛び出すと剣を抜いた。 「どけ! 俺たちだってプリキュアだ! 邪魔するな!!」 「セバスチャンさん、お願い!!」 エンエンも身を乗り出して叫ぶ。 「行かせてください。 ありすちゃんには後でわたしから話します。 それに」 あゆみはきっと顔を上げた。 「きっとわかってくれると思います」 「プリキュアだから…でございますか」 頷くあゆみ。 セバスチャンは、三人の目を順番に見つめた。 わかる。わかりすぎるほど。 「承知しました」 「セバスチャンさん!」 「二人ほどおつけします」 「いえ、それは」 「四葉も大変なんだろ?」 「それがわたしどもの役割でございますので」 実際のところ、それぞれの町にプリキュアたちを送り届けたメンバーはここに戻ってきている。人が足りないわけではない。なにより、この三人は絶対に守らなければならない三人だった。 「どちらにいらっしゃる予定ですか」 「四葉タワーに」 セバスチャンの目が細められる。 「…。 理由をうかがってもよろしいですか?」 キュアロゼッタをはじめ、ドキドキ!プリキュアの五人がそこにいる。それに合流しようというのか。 「わたしが今行けるところで、一番、あの星に近いところだから」 「プリキュアの光を届けに行くんだね」 エンエンの言葉にあゆみが頷いた。 今、光を失ったも同然の あゆみには、届けられるものは何もない。だが、二手に別れ、意思の疎通もできない状態になっているとはいえ、50人ものプリキュアがそれぞれに活動している。そのおかげで事態が改善されたとき、できる限り、あの星に近いところにいたい。 「承知しました。 メンバーをこちらに呼びますので少々お待ちください」 「ありがとうございます。 あ、ありすちゃんにはわたしが」 あゆみがスマートホンを取り出すのをセバスチャンが止めた。 「わたしがいたします」 「でも」 「いえ、それがわたしの役目でございますので」 四葉タワーで応援へ
https://w.atwiki.jp/apgirlsss/pages/929.html
140文字SS:フレッシュプリキュア!【20】 1.ラブ&イース(せつな)「ずっと言いたかったの」/ねぎぼう 「イース、会いたかったよ」 (え、ラブ。泣いてるの?) 「せつなはね、今、貴女が見つけた幸せをつかみとって、一生懸命頑張っているんだよ」 (そうね、一つ一つやり直しているわ) 「いつか、イースと笑って一緒にドーナツが食べられる日が来たらいいなあ」 (私もいつか、ありのままの姿でラブと……) ※【19】-10の続きの話。 2.ラブせつで【 たたかう理由 】/ねぎぼう 「せつなの幸せは何?」 へらへらと笑って訊いてくるあいつがプリキュアに姿を変える。 「貴女がたたかう理由は何?」 「私はただメビウス様のために……」 「それが……貴女の幸せ」 あいつは悲しい顔をする…… 「夢か!?」 いい夢のはずなのに寝苦しい。 早く奪ってしまえば、こんな夢など見ずに済む。 3.ラブせつで『甘やかせる権利』/ねぎぼう 「無理しなくていいんだよ、せつな」 「ううん、大丈夫。ラブに迷惑はかけられないから」 あたしも、せつなを甘やかせる権利、持ってるはずなんだけどなあ。 だから、もっと甘えてくれても…… 「でも、疲れたら少し胸を貸してね?」 「ふふっ、今でもいいんだよ」 「……馬鹿」 顔が赤いのは熱のせい? 4.ラブせつで【 ふりむかないで 】/ねぎぼう 門出の時。 「では、行ってきます」 「行ってらっしゃい」 ラブたちが精一杯の笑顔で見送る。 せつなは家族に背を向けて歩きだした。 もう一度皆の姿を…… 「ふりむいちゃダメ!」 ラブが叫ぶ。 「前を見て歩いて!」 せつなは再び歩き出す。 (ふりむかないで、お願い。せつなに涙は見せたくないよ……) 5.ラブせつで『未練たらしい』/ねぎぼう ”しゅわしゅわ~” ドーナツはすべてダメになったが、落ち込んだ姿は見せないカオルちゃん。 「また明日ドーナツ作るか~」 ―― 「ドーナツ食べたかったなあ……」 「いつまでも未練たらしいこと言わないの」 でも体を張って店を守り抜いたのはキュアピーチ。 ちゅっ 「それ、もっと食べたい!」 「……馬鹿」 6.ラブ美希で【こっちを見ないで / 無自覚な色気】/ねぎぼう ラブ、ダレかの幸せのために一生懸命になるだけじゃなくて、 ダレかの幸せを守るために強くなったのよね。 相変わらずよく凹むけど、凹んだ分ずっと強くなるわ。 あの子のおかげね。 「大丈夫だよ」 そんな顔でこっちを見ないでよ……アンタとは友達。 その無自覚な色気にドキドキするのは心が痛いから。 7.ラブせつで【手をつないだまま / 秘密だよ】/ねぎぼう 一つのシーツの中でずうっと手をつないだまま、夢のさらにその先に思いを馳せる。 「あたし、世界中でダンスを踊るんだ。そしたら……」 「私は、ラビリンスをこの街のように笑顔でいっぱいにしたいの。そして……」 握ったその手に誓いを込めた。 「それまではね、ふたりだけの秘密だよ」 「うん、約束ね」 8.ラブせつで【手をつないだまま / 秘密だよ】2/ねぎぼう ベランダでふたりはずっと夜空を見ていた、その手はつないだまま。 「そろそろ戻ろうか」 「うん」 でも手のぬくもりが名残惜しい、明日になればまた会えるのに…… 「じゃ、おやすみ」 ちゅ 「二人だけの秘密のあいさつ、だよ」 「お、おやすみ」 せつなは自分の部屋で唇に手をあてる。 「二人だけの……挨拶」 9.ラブせつで【 ゆびきりげんまん 】/ねぎぼう 「あたしもいなくならないから」 「本当?」 「うん、約束。小指をこうして」 「こう?」 「で、こう!と」 二人は小指を絡めた。 「♪ゆびきりげんまん……」 ―― 「私が……針千本呑むのよね」 「でも、今こうしているじゃない? もし、せつなが呑まないとダメならその半分あたし呑むよ」 「ラブ……」 10.ラブせつで『名字を捨ててあげようか』/ねぎぼう テレビでは 「名字を捨ててあげようか?」 「それって、逆プロポーズ!?」 ―― ラビリンス人には名字はないって言ってたなあ。 せつなも向こうではイースと言う名前に戻したってことだし。 あれも名字を捨てちゃったのかなあ? ううん、そんなことない! せつなは私の親友で家族で…… ラブの一人思い。
https://w.atwiki.jp/apgirlsss/pages/755.html
One Step Beyond ―キュアエコーの方法― (5) 「おっと」 みゆきたちの体が本棚から飛び出す。勢いに思わず声が出てしまったが、みゆきの口をあかねが塞いだ。 「ううっ」 「静かに。 ここ、本屋さんやんか」 通路には誰もいない。たまたま人のいないタイミングだったのだろうか。 「いい匂いがするね」 「コーヒーの香りだね」 そういう本屋も少なくないらしい。なおとやよいは棚の角を曲がった。 「えっ」 「どうしたんですか――これは」 客はテーブルに突っ伏して、店員は座り込んでいた。誰もが黒い波動をにじませている。 「バッドエンド王国の仕業でござる!」 「行くよ、みんな!」 本屋を飛び出す。 「ここ、横浜よね」 「そうだ。 あゆみちゃんと初めて会ったのもこの街」 本の扉は正しい場所を選んだようだ。 「でも、ここでバッドエナジーが集められているっていうことは」 「あゆみちゃんも襲われてるっていうこと?!」 「急がな!」 走る。 場所は簡単にわかった。バッドエナジーが集まっている場所を見つければいい。 「あそこクル!」 「幹部が三人、揃ってるでござる」 「どないなってんねん」 「あゆみちゃん、無事でいてね」 「急ぐよ!」 「待ってください。 あれは」 れいかが立ち止まると、四人も揃って足をとめた。 三人の幹部と、三体のアカンベー。その前で光を放っているのは。 「キュアエコー!」 やよいが叫んだ。 キュアエコーはウルフルンに接近しては離れるということを繰り返していた。アカンベーはそれを妨害しようとしているようではあるのだが、キュアエコーは身軽にそれをかわしている。 「何してるんだろう」 「説得しようとしてるのではないでしょうか」 「説得?」 「あいつら、説得なんかできる相手ちゃうやん」 「でも、彼女は『キュアエコー』ですから」 声の届かない相手になってしまったフーちゃんに思いを届けるために、あゆみはプリキュアになった。おそらく、それと同じことをしている。 「それに、技もなかったよね」 やよいが言った。あゆみがキュアエコーだった時間はごく短い。技がない、と断言することもできないが、あのときの様子から言って、それは正しいだろうと思われた。 「あれが『キュアエコー』でござるか」 ポップが飛び回るキュアエコーを見つめている。 「どうかしたの?」 「…。 いや、ここはひとまず、アカンベーを退治するのが先でござろう。 プリキュアの衆、よろしくお願いするでござる」 「うん!」 「プリキュア スマイル・チャージ!」 〈Go! Go! Let s Go!!〉 「キラキラ輝く未来の光! キュアハッピー!」 「太陽サンサン、熱血パワー! キュアサニー!」 「ピカピカぴかりん、じゃんけんポン! キュアピース!」 「勇気リンリン、直球勝負! キュアマーチ!」 「しんしんと降り積もる清き心。キュアビューティ!」 「五つの光が導く未来! 輝け! スマイルプリキュア!!」 「はっ!」 アスファルトを蹴る。五本の光のラインが鈍い色の街を切り裂いていく。 「げっ、あいつらも来やがった!」 ウルフルンが叫ぶ。 「ほら見るオニ。 やっぱり助けが必要オニ」 「いらねぇ!」 「『げっ』って言ったわさ」 「アカンベー、あっちのプリキュアどもを倒すオニ!」 「アカンベー、遅れを取るんじゃないよ!」 ハンセンアカンベーとムーンアカンベーが向かってきた。 「三方向に別れましょう!」 「サニー、行くよ!」 「やったるで!」 「ピース、私と一緒に」 「はいっ!」 「エコー! 遅くなってごめんね!」 「ハッピー!」 みなとみらいの上空で三組の火花が散った。 キュアマーチがハンセンアカンベーの下から蹴りこむと同時に、キュアサニーが上から拳を叩き込む。 キュアピースがムーンアカンベーの攻撃を払うと、その先にキュアビューティが待ち構えている。 キュアハッピーは、キュアエコーの前に出てかばう。そして、ツーロアカンベーの胴体に体当たり。 「エコー、あの人たちを説得しようとしてるんだね」 「うん。 みんなにエナジーを返してほしくて」 「あたしも手伝う。 集めてたのは誰?」 「狼の人です」 「よし、一緒に行こう!」 キュアハッピーはキュアエコーの手を取った。ツーロアカンベーがくねらせる体の隙をぬってウルフルンの元へ。 「何度言われても返さねぇぞ」 「どうしてですか! こんなにたくさんの人を苦しめて」 「ぜーん然、気にならねぇなあ」 ウルフルンはバカにするように笑った。 「なんだい、こいつ」 マジョリーナが覗き込んだ。 「バッドエナジーを返せってうるせぇんだよ」 「馬っ鹿じゃないかね。 あたしたちはバッドエナジーを集めに来てるんだ。返すわけないじゃないかね」 「そんなこと絶対にさせないもん!」 「もうやってるオニ。 邪魔はさせないオニ」 「アカンベー!」 三体のアカンベーが一斉に吠える。キュアハッピーとキュアエコーの危機に気を取られた四人はアカンベーの反撃を受けて、同じように弾き飛ばされた。 「集まってください!」 飛ばされたのは公園のようになっている区画だった。キュアビューティの声で一ケ所に集まる。 「丸見えじゃない?」 「こちらからもよく見えますから」 なるほど、とつぶやくキュアピース。キュアエコーはウルフルンを探していた。 「それにしても三体はちょっと」 アカンベーがゆっくりと迫ってくる。幹部たちはその背後に浮いていた。 「どうしてわかってくれないんでしょう」 「無駄や。 あいつら、どないしてもピエーロとやらを復活させる気なんやから」 キュアエコーの呟きにキュアサニーが答える。キュアピースが続いた。 「そのためにバッドエナジーを集めてるんだから、アカンベーを倒すしかないの」 「でも」 「来たよ!」 ツーロアカンベーの口からコンクリートの塊が飛び出した。一斉に宙に舞うプリキュアたち。 「やめて!」 キュアエコーが叫ぶ。ウルフルンに向かって飛ぼうとすると、ハンセンアカンベーが立ちはだかった。 「危ない!」 キュアハッピーとキュアビューティがその体を抱えて脇へ逃がす。なんとか地上にたどり着いて距離をとる。 「今は落ち着いて話ができる状態ではありません。 先にアカンベーを倒すことを考えないと」 「それじゃ…。 私は一体、何のためにプリキュアになったんでしょう」 「エコー…」 「私も、エコーが正しいと思う」 キュアハッピーがキュアエコーの前に立った。まっすぐに目を見つめる。 「ハッピー」 「ビューティ、なんとかして狼さんに近づくタイミング作れないかな」 「難しいですね」 「でも、そのほうがいいよ。 ちゃんと話をしてやめてもらえるんだったら、絶対にそれがハッピーエンドにつながるよ」 「…」 確かにそれはその通りだ。 だが、そもそもウルフルンたちは耳を貸さないだろう。現実としてこの三体のアカンベーもどうにかしなければならない。 「アカンベーは怪物だというだけでなく、中にキュアデコルが閉じ込められています。 浄化して取り戻す、というステップは必要です」 「そんなことが…」 目を伏せるキュアエコー。彼女の知らないことばかりだった。 ふたりの言うことはわかるが、思いを届けるために、あの怪物たちと戦わなければならない、ということに釈然としない気持ちが残る。 「一体ずつでも倒すよ!」 しびれを切らしたキュアマーチが飛び上がった。 「プリキュア!」 キュアマーチの両手からほとばしった光が、彼女の前で凝集する。 「マーチ・シュート!」 鋭く蹴りこむと、球体となった光が唸りを上げてハンセンアカンベーに飛んでいった。 「やった!」 ハンセンアカンベーは動きを止めたかと思うと、マストにかかっている帆を一斉に畳んだ。マーチ・シュートの光は、そうしてできた隙間を通過、はるか上空で消えた。 「嘘!」 キュアマーチはその場に座り込んだ。シュートはキュアマーチのエナジーを大量に消費するのだった。 そこへ帆を広げたハンセンアカンベーが遅いかかかる。キュアマーチは、疲れている上に、気づくのが遅れ、逃げる体勢を取れなかった。 「マーチが。 プリキュア!」 キュアピースが、ピースサインにした右手を高く掲げる。すると稲妻が走り、キュアピースは自分で「ひゃぁっ」と悲鳴を上げた。 「ピース・サンダー!」 両手を振ると辺りを明るく照らす雷が発生する。 「あかん。間に合わへん」 ハンセンアカンベーは信じられない速度で宙を滑っている。打ち出したばかりのピース・サンダーが当たるよりも先に、ハンセンアカンベーがキュアピースを跳ね飛ばすほどの勢いだった。 「ピース!」 キュアエコーは恐ろしい想像に、届くはずのない手を伸ばした。キュアビューティも叫ぶ。 「ピース…え」 見間違いだろうか。ハンセンアカンベーは突然、何かにぶつかったかのように速度を落とした。 〈アッ、カン、ベッ〉 その隙にキュアピースは体を翻す。その直後、ピース・サンダーが炸裂した。しかし、後ろのマストが折れただけで、倒す事はできなかった。 「今のは…」 誰もが首をひねる。ハンセンアカンベーはなぜあそこでブレーキをかけたのだ。 しかし、考えている余裕はなかった。今度はムーンアカンベーが襲い掛かってきた。顔を満月にして威嚇している。 「ハッピー、エコーをお願い。 プリキュア!」 キュアハッピーがキュアエコーを伴ってその場を離れる。同時に、キュアビューティの周囲に時ならぬ雪が舞った。その白い世界を六つに切り裂く。 「ビューティ・ブリザード!」 ムーンアカンベーはさっきまで満月だった顔を三日月に変化させた。そうしてできた空間を、ビューティ・ブリザードが通過していく。 「そんなのあり?」 キュアマーチがつぶやく。キュアビューティが膝をついた。 ムーンアカンベーは止まらなかった。キュアビューティに襲い掛かる。 「危ない!」 またキュアエコーが手を伸ばしながら叫んだ。 すると、どういうものか、ムーンアカンベーは何かにぶつかったように、ボヨンと音を立てて、後ろに倒れこんだ。 キュアビューティは目の前の景色を呆然と見ていた。波打って歪んでいる。そこに何か、幕の様なものがあるように見える。 幕は上のほうから消えてゆく。気配に振り向くと、キュアエコーが腕を下ろしかけているところだった。 「…。 まさか」 「ビューティ!」 「大丈夫ですか?!」 キュアハッピーが駆け寄り、キュアエコーが泣きそうな顔をして走ってくる。 「あれは、あなたの技だったんですね、エコー」 「え?」 「さっきアカンベーの動きを止めたのも、今のアカンベーを跳ね返したのも」 「私の…」 キュアエコーは自分の手を見た。キュアハッピーも覗き込む。 「私に、そんなことができるなんて」 One Step Beyond ―キュアエコーの方法― (6)へ
https://w.atwiki.jp/apgirlsss/pages/1688.html
140文字SS:HUGっと!プリキュア【12】 1.ハグプリ小咄 秋のツインラブ/かおす 「えみる、秋の味覚ですが」 「秋味噌ラーメン、秋の味覚盛り合わせ、秋のサラダに秋のスイーツ、色々あるのです!」 「…なんでも秋をつければよいように思えますが」 「秋がつくだけで飽きられない気がするのです!」 「では、秋の小咄…」 「それはダメです」 2.はぐっと小咄 シャウトするのはまだ早いです/かおす 「えみる、来年の春映画がなくなるそうです」 「聞いたのです!」 「秋映画は再来年、20周年アニバーサリーの前夜祭でしょうか?」 「それでは来年のプリキュアがおろそかになるのです」 「案外、来年は全チームの続編が..」 「毎週ですか?」 「それもアリかと」 「ぎゅいーんとソウルが...」 3.はぐっと小咄 ハロウィン/かおす 「ハロウィンなのです! るーるー!トリックオアトリート!」 「とりーとおあとりーと」 「はい?」 「トリートorトリート」 「それ、どっかおかしくないですか?」 「全部おかしです」 「いとをかしですね」 「あはれと言って下さい(笑)」 4.はぐっと小咄 丼よくばーる/かおす 「今日は半ドンなのです」 「コレはカツ丼です」 「一日お仕事すると全ドンなのです」 「ウソです。コレは天丼です」 「お仕事がおわらないと」 「青天井ですね」 「あおてんどん…」 「いきなりトロピカりますね」 「ドンと故意なのです」 「えみる、収拾がつかなくなりました」 「ちらし丼なのです」 5.はぐっと小咄 後回しの魔女/かおす 「勤労感謝の日なのです」 「そういえば文化の日はしませんでした」 「文化祭の日とかアニメ文化の日、マンガ文化の日やロック文化の日やアイドル文化の日なら、見逃しませんでしたが」 「なのです! ただ 文化の日 といわれてもピンと来ないです!」 「あ、勤労感謝が…」 「もう無理なのです!」 6.はぐっと小咄 オシャレの季節/かおす 「えみる、師走ですね」 「そうですね。もうマフラーと手袋なのです!」 「あったか帽子にイヤーマフ」 「ショートブーツやふつーのブーツもいいのです!」 「ショールにヒザかけ」 「こたつにミカンなのです!」 「ストーブにお餅」 「えっと...」 「おいしい季節です」 「やっぱりそっちですね」 7.はぐっと小咄 ハイテンション/かおす 「えみる、ローテーションから行くとそろそろ私たちかと」 「ろ、ローテーション?」 「はなならハイテンションですが」 「呼んだー?」 「はな先輩! 久しぶりなのです」 「歯が痛くってはいてーしょん!」 「…………」 「こー、こーゆーオチもアリなのです!」 「テンションが落ちました」 8.はぐっと小咄 ぶたですよね?/かおす 「うまかっちゃん..インスタントラーメンですね」 「馬ですか」 「博多豚骨です」 「豚かっちゃんですねー」 「えみるは、ぶたしいというのでしょうか?」 「はいー?」 「説明するのが恥ずかしくなりました」 「おいしいネタだと思ったのですが」 「後ろめたいだけです」 「牛だけに!」 「うまです」 9.はぐっと小咄 冬至なのです!/かおす 「ルールー、今日は冬至なのです!」 「温泉ですね」 「湯治ではありません!」 「いつのことでしょう」 「当時でもないのです」 「みんな、ありがとう」 「答辞ですか」 「このツボは…」 「陶磁…よく出てきますね」 「ゆず、頂きます」 「カボチャをお風呂に入れるのです!」 「それは違います」 10.はぐっと小咄 年の瀬の衝撃/かおす 「ルールー!一大事なのです! キムチがおせちに駆逐されてしまいましたー!」 「落ち着いて下さい」 「冷蔵食品コーナーはおせちだらけで、大手の物をのぞいてお気に入りのキムチミニパックが見当たらないのです!」 「..デリシャスパーティでは縁遠そうなネタですね」 「ごはんの友がああー」
https://w.atwiki.jp/twinkletimeprecure/pages/123.html
第2話「つなぐ手ふれる心 ふたりはプリキュア!」 「一人でずっと歩くのは辛いけど二人ならあっという間だよね、つむぎん」 「そうね ・・・あゆむん」 「いつの間にあのふたり仇名で呼び合うようになったの?」 前回の事件でプリキュアへと変身したあゆむ 朝の登校時に紡の姿を見つけ、あいさつと共に駆け寄る しかし紡の表情は浮かなく、何か言いたげな様子 あゆむが昨日の事について話すとその表情はますます曇っていく 授業中でも紡の様子はどこかおかしく、不思議に思うあゆむやクラスメイトたち すると放課後あゆむは紡に呼び出され、キュアリオを返して欲しいと打ち明けられる どうして?とあゆむが尋ねると、紡は何か言い出しかけて走り去ってしまう 翌日、あゆむがお弁当を食べていると 紡に屋上へ呼び出され、再びキュアリオを返して欲しいと言われる しかしあゆむは返したくないと答え、なぜ返して欲しいのか理由を教えてと言う 紡は口ごもるが、意を決して口を開こうとする するとそこへ再びガイが現れ、胸から取り出した黒い懐中時計を投げ 怪物、ヤッテラレッカーを召還し襲い掛かってくる 紡はすかさず変身するが、あゆむはキュアリオを教室に置いてきたままだ それを見逃さずあゆむ目がけてヤッテラを突撃させるガイ 紡はあゆむをかばい、ヤッテラを受け止める キュアリオを取ってくるから待ってて!とあゆむが教室へ戻ろうとすると紡は 戻ってこなくていいからそのまま逃げるようにと言う どうしてまだそんな事を!?そうあゆむが返すと紡は自分の気持ちを叫ぶ これは私の使命なの これ以上こんな危険なことにあなたを… 大事な友達を巻き込む訳にはいかないの! 私が全部うまくやって見せるから だから早く逃げて! 紡の本心を聞いたあゆむはその場を後にし 紡はやっと分かってもらえたと安心する そのやり取りを見てあざけり笑うガイは 身動きの取れない紡に止めを刺すべく砲撃を仕掛ける するとそこにラピスが現れ紡を救出、砲弾はヤッテラに命中する 驚く紡、どうして戻ってきたの!? だって大事な友達を危険な目に合わせたくないのは…私も同じだから! だから…ふたりでプリキュアやろう! その言葉を聞いた紡はあゆむを受け入れ、立ち上がると 必殺技 ラベンダー・スプレッドを放ちヤッテラを撃破 ラピスも必殺技を放ち、ガイはそれを避けるように撤退していく 放課後、話しながら家路につく2人 途中あゆむは少し急な段差によじ登ると、紡に手を差し出し引っ張りあげる その場所から見える綺麗な夕日を見つめながらあゆむは紡に話す 一人だとつらい道だって二人なら楽しいと思うんだ だからこれから一緒に頑張ろう! 笑顔で頷く紡、そしてあゆむは最後に これから紡ちゃんのこと、つむぎんって読んでいい?と提案する 翌日 つむぎん、あゆむんとあだ名で呼び合い、お弁当を食べる2人 そんな2人の距離の縮まりようにクラスメイト達は顔を見あわせるのだった 出撃幹部スレッジ・ガイ ボールヤッテラレッカー ストーリー設定メモ 2話関連案 2話は冒頭であゆむに対して紡が微妙な態度になって 中盤でキュアリオを返して!ヤダ!な流れに そこに敵が来て紡はあゆむを逃がそうとする それを見たあゆむが紡の心理を理解して改めて参戦を表明 最後は仲良くあだ名で呼びあってシメ 具体的セリフ案 あゆむが紡に 「一人でずっと歩くのは辛いけど二人ならあっという間だよね」的な台詞で プリキュアより紡個人が大切、と言う事を伝える つむぎ「プリキュアはそんな簡単な事じゃないんです!怪我をしたりもっと酷い事にも…だから…」 あゆむ「だったら!私は絶対紡ちゃんだけにさせたくないよ!!」 みたいな感じでどうか? しかし此処で終わりにすると あゆむが素人プリキュアだという自分をわかっていない、無鉄砲キャラに見えかねないから 「そりゃ私に出来ない事ならしないよ、でも出来るなら私はやりたいよ」 という言葉を後で入れることでフォローすると良いかも 2話あらすじ案 アバン 冒頭~1話ラストの続き、「やったね!」と笑うあゆむに「ええ…」と歯切れの悪い紡 タイトル後 翌朝登校時、「おっはよー!」と駆け寄るあゆむに「あの…」と何かを言いたげな紡 あゆむが昨日の事を持ち出すと紡は言葉に詰まってしまう 授業中もプリキュアの事を知りたがるあゆむを避けてみたり何かを言いたげだったり あゆむとクラスメートは心配するが… 下校時に思い切って「キュアリオを返して!」と切り出す紡にあゆむびっくり ついヤダ!と言ってしまい紡は駆けだしてしまう 夜、あゆむはポコに「紡が無理をしている」、と言われ何となく理解 紡はエトから無理しないで、と言われたり祖母に相談しようとして出来なかったり… CM明け 翌日、改めて「返して欲しい」という紡にあゆむは、 「返したくない」ときっぱり断る つい紡が声を荒げようとした時敵が出現!! 紡はあゆむに「逃げて、貴女を危険な目に遭わせたくない」と言って一人で敵に向かう 真意を知ったあゆむは意を決すると変身! 協力して戦う中、「プリキュアは危険な事だ」と諭す紡にあゆむは 「だったら尚更紡を一人で行かせたくない!」と宣言、協力して勝利する 夕暮れ、あゆむは「一人だと辛い道でも2人なら楽しい」と語る その言葉に紡はあゆむを受け入れる 翌朝、あだ名で呼び合う2人にクラスメートはびっくり あらすじに追加シーン案 昼休みにお弁当のおかずを取り換えっこする2人 ポコとあゆむが話していると家族が来て大慌て! 珍しい動物でしょ?飼っても良いでしょ??とあゆむ (ポコはペット扱いにがっかり?) 祖母に相談しようとして出来ない紡に微笑む祖母、 今度友達を連れて来て、の言葉に驚き、うつむく紡 等々
https://w.atwiki.jp/apgirlsss/pages/1732.html
140文字SS:デリシャスパーティ♡プリキュア【2】 1.デパプリ小咄 らんらんってどんなコ?/かおす 「マリちゃんの上着ってさー、どーして肩からはおってるだけなのに走っても落ちないんだろ」 「あれはもう入っているのだ」 「入ってるって?」 「腕に決まってるお」 「えー?」 「まりちゃんは、実は腕が4本あるのだー」 「…というよーなコじゃないかなー?」 「ゆい、先走り過ぎよ」 「だってー」 2.デパプリ小咄 わかんなくなったー/かおす 「オープン!♡」 「ポムポム」 「おーぶん?」 「パンを焼くからじゃない?」 「なるほどー」 「オープンよ おおぷん! 開くの!」 「ゆい、ここねがご立腹よ」 「怒ってないわよ」 「ぷんぷん」 「パムパム? いまの」 「3人目の妖精じゃない?」 「だから勝手に作っちゃダメだっていうのに」 3.デパプリ小咄 エイプリルフールー!/かおす 「まりちゃん,はらぺこったー!」 「なによいきなり」 「エイプリルフールだよー」 「ゆい,だからなに?」 「トリックオアトリート!」 「あら、こんなところにひなあられが…」 「ひなあられのレシピッピだー!」 「うそおっしゃい」 「あら、アレそうね」 「え?」 「引っかかったポム」 4.デパプリ小咄 エイプリルフールー!/かおす 「パムは、パムパムなの? ポムポムっていってない?」 「パムパムポム」 「はい?」 「ポムポムパム」 「え?」 「ちょっと脚本見たいわね」 「ぱぺぴぷぺぽぱぷ…」 「ぱぺぴぷぺぽぱぽじゃなかったかしら?」 「そっちにいかないで」 5.デパプリ小咄 おさらい/かおす 「やっと放送再開だってねー^^」 「よかったわね ゆい」 「次の日曜日はおさらいだってー」 「さらあらいポム?」 「みんなでやったらすぐ終わるよー」 「ここね、アレ無理があると思わない?」 「私にふらないで」 6.デパプリ小咄 かぶる/かおす 「パムパムはなんでポムってゆーの?」 「ゆい、考えてご覧なさい。もし、パムだったら」 「パムパムパムー!」 「ね、ポムの方が似合うでしょ」 「今しゃべってるのはマリちゃん? ここね?」 「やだ、かぶるわね」 「かぶるわね」 「だからどっちなのよー」 7.デパプリ小咄 ぶんどるぶんどるー!/かおす 「ぶんどるぶんどるー…ねえ、これ1年ずっとやるの?」 「あたりまえじゃない 何いまさら」 「はずかしくない?」 「誇りよ」 「………え?」 「誇りよ」 「………え?」 「恥ずかしいから何度もいわせんじゃないわよ」 「………え?」 「あんたいい性格してんわね」 「....いえ」 8.デパプリ小咄 まんざらでもないポム/かおす 「地図によると、ここね、あなたのおうちはここね?」 「怒るわよ」 「ポム」 「わー、今のここねが怒った音ー? かわいー^^」 「え」 「ねー、もう一度やってー」 「おこるわよ」 「ポム−!」 「かーわいーー!」 「/////」 9.デパプリ小咄 禁断の領域/かおす 「ウバウゾーって出てくる必要あるのかしら?」 「まりちゃん、あれってプリキュアを倒さないと持って帰れないんだよー」 「まあ、そうだったの」 「たぶん」 「説明してくれればいいのにポム」 「ねー」 「…...考えてないんじゃない?」