約 1,678,917 件
https://w.atwiki.jp/fleshyuri/pages/306.html
~月曜日~ 美「やっほーブッキー、ん?それ何編んでるの?」 祈「美希ちゃん!…あ、あのね、マフラーなの」 美「自分の?それとも誰かの?」 祈「その、えっとぉ…プレゼント用…かな」 美「そっかー。綺麗な蒼色ね。こんなの貰える人、うらやましいな」 祈「そうかな…」 ~水曜日~ ラ「あれ~ブッキー、何してるの?」 祈「ラ、ラブちゃん…ちょっと編物なんかしてて」 ラ「うわ~上手だよ~可愛いピンク色!ねぇねぇコレ誰の?」 祈「プレゼント用なの」 ラ「いいな~あたしも欲しいな~」 祈「えへへ…」 ~金曜日~ せ「ブッキー、それなあに?」 祈「せ、せつなちゃん…えと、編物っていって、この針で毛糸をこうすると、色んなものが作れるの」 せ「ふぅん、初めて見たわ。毛糸っていうのね。綺麗な赤…。何を作ってるの?」 祈「マフラーよ」 せ「こんな毛糸からマフラーが出来るなんて!編物ってすごいのね…。ねぇブッキー、今度わたしにも教えてくれない?」 祈「もちろんいいわよ!」 せ「ところでコレは誰のマフラーなの?」 祈「プ、プレゼント用よ」 せ「そう。こんなの誰かに上げられるなんて素敵ね」 祈「ありがとう…」 ~そして日曜日~ 祈「みんな、コレ私からのプレゼント」 美「あら!この蒼いマフラー、アタシのだったの?嬉しいー」 ラ「ワハー!ピンクのマフラーゲットだよ!超可愛い~」 せ「真っ赤なマフラー、素敵…」 祈「それぞれにクローバーのモチーフが編みつけてあるの」 美ラせ「ありがとうブッキー!」 祈「どういたしまして!」 美「ゴニョゴニョ…お礼はやっぱコレよね…」 ラ「それしかない!」 せ「みんなで一斉に?…わかったわ」 美ラせ「せーの!ちゅっ」 祈「きゃ!…みんなありがとう~」 せ「ブッキーったら、わたしのマフラーみたいに顔真っ赤よ」 ラ「ホントだ!ゆでダコみたいだね!」 美「ちょっとラブ!それはNGワードよ!」 祈「アハハハッ…」 美「ところで、ブッキーの分はないの?」 祈「毛糸は準備してあるんだけど、みんなの分だけで手一杯だったの」 せ「じゃあそのマフラーはわたしに編ませて」 ラ「せつな、編物なんて出来たっけ?」 せ「いいえ、でも今度ブッキーに教えて貰う約束してるの。そうよねブッキー?」 ラ「じゃああたしも編物する~」 美「もうラブったら!ふふ」 祈「私、みんなに会えて良かった!」
https://w.atwiki.jp/fleshyuri/pages/715.html
「はい、せつなちゃん。これで直ったよ。前より丈夫に補強しておいたからね」 ここは、わたしの部屋。せつなちゃんはほつれてしまったダンス服を直してもらいに来ていた。 ラブちゃんと美希ちゃんも付いてきている。 せつなちゃんはちょこんと正座して待っててくれた。美希ちゃんはアロマの瓶の補充をしてく れた。 ラブちゃんは退屈なのか、色々部屋のものを弄りだした……。 「ありがとう、ブッキー。ほんとうに器用なのね。こんなことが出来るなんて不思議」 わたしは、手際よく服を畳んで紙袋に入れ手渡した。 待たせちゃってごめんね。そう謝って椅子から降り、みんなの向かいに座って話した。 「そんなことないけど、昔からピアノ習ったり、裁縫したり、指先は鍛えてきたの。 だって、不器用な獣医さんて……怖い、でしょ?」 「そりゃまあ、確かにね。なら、ブッキーは名医間違いなしね」 「うんうん、ブッキーなら凄い獣医さんになれるよ」 そんな簡単なものじゃないと思うの。でも――ありがとう。そう言って恥ずかしくなってうつ むいた。 「ねえ、ブッキーならお料理も凄く上手なんじゃないかしら? 私も色々作れるようになって きたけど」 わたしの部屋に居るからか、話題の中心はどうしてもわたしのことになる。 「料理ならラブって思ってたけど、そう言えばブッキーの料理ってごちそうになったことない わね。アタシは簡単なものしか作れないから、憧れるな~」 「そうだね、一度食べてみたいな、ブッキーの手料理っ! ねえ、ブッキー。お食事会しよう よ」 ラブちゃんの提案にしどろもどろになりながら、首を振って後ずさる。 「え、えっと、あのね、そんなには得意じゃないと言うか、期待されても困るというか、どう しよう……」 「謙遜しなくていいわよ、ブッキー。あ~美味しい料理作れる人良いな。アタシ料理好きじゃ ないから得意な人と一緒になりたいなぁ~」 ラブのハンバーグは捨てがたいけど、せつなのコロッケも良いわね、と流し目を送る。 「くすっ、意外と食いしん坊なのね、美希って」 「量は食べられないからね、質を大事にしたいのよ」 「あっ、あのっ、あのね」 頑張れ、わたし。美希ちゃんのお嫁さんの座は譲れないっ! 「やってみる。美味しい料理、作ってみせるもん」 「決まりだね! 今週末の夕ご飯で、おとうさんやおかあさんたちも呼んでパーティーしよう よ」 「いいわね、期待してるわ、ブッキー」 「アタシもすごく楽しみ、頑張ってよね、ブッキー」 あ……あのっ、今すぐってわけじゃ――――もう、遅いよね、どうしよう……。 「それで、ワイが味見役に呼ばれた。ちゅうわけやな」 キッチンでエプロンをつけて腕を組むタルト。正と尚子は診療所の方に居て、当分戻ることは 無い。 「ごめんね、タルトちゃん。わたしはあまり味覚が鋭くないみたいで、味見には向いてないの」 「まあ、まかせときいや。これでもスイーツ王国の王子やで、味覚にはちょっと自信あるんや」 「さっそくこれから食べてみて。カレーライスよ」 「ちょい待ちぃな……。なんでカレーやのに赤いんや。近寄っただけで何か涙が出てきたんや けど」 パクリ。 「ぎょえぇぇーー辛いぃぃ、水~~!」 「はい、お茶」 ゴクゴク 「みぎゃぁぁーー熱つっっ、これは熱湯やぁぁーー」 「はぁはぁ、ワイを殺す気かいな。もう辛いのは勘弁やで」 「ごめんなさい、タルトちゃん。唐辛子とタバスコ入れすぎたみたい。今度は甘い玉子焼きよ」 そもそもカレーにそないなもん、そうそう入れへんやろ……ぼやきながら卵焼きを口に入れる。 ぶぅぅーーーーーー! 「甘いなんてもんやないで、スイーツ王国のお菓子にもこないな甘いもんあらへんわっ!」 パインはん、もうあきらめ。これで帰らせてもらうわ。 「くすん。すん。えっえっ」 「……わかった。ワイも男や、こうなったらトコトン付き合うで」 (アズキーナはん、ワイは生きて帰れんかもしれん……) ――――ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、まだや、まだワイは倒れとらへんで。 「なあ、パインはん、ちゃんと分量守ったらそないな味にならへんのと違いますか……」 「最初は守ってるのよ、でも味見したら物足りなくて。 それに、マニュアル通りに作ってラブちゃんやせつなちゃんに敵うとは思えないし」 (食べられるもん作るんが先やと思うんやけど……。ちゅうか、根本的に味覚音痴なんとちゃ うやろか) 「ごめんね、タルトちゃん。もういいよ。明日、美希ちゃんたちにちゃんと事情話して謝るか ら」 「まだや、まだ諦めへんで、プリキュアたる者が泣きなんていれたらアカンのや。ワイらは心 と体を共有した仲やないか。一心同体で行くで!」 二人は思い出す。あの時の感覚を。気持ちを一つにした時のことを。 「よし、パインはん、最初からや」 ――食材の加工! 「うん、できた」 ――煮込みのタイミング! 「うん、こうだね」 ――調味料の分量! 「うん、マニュアル守ったよ」 「よし、味見はまかせてや!」 「うん」 ドキドキドキドキ 「美味い、これはイケルで!」 「やったーーー」 「よし、この調子でメニュー増やしていくんや」 「うん、頑張ろうね」 特訓は数日間に及んだという。 「みなさん、集まってくださり、ありがとうございます。 お粗末ではありますが、わたしの料理の品々、召し上がってください」 パチパチパチパチ 「あ、ブッキー、このスープ美味しいよ」 「さすがね、ブッキー。どれも美味しいわ」 「このお肉の焼き加減、アタシも大満足」 「いつの間に上手になったの、祈里。頑張ったわね」 「お父さんも鼻が高いぞ」 お父さんもお母さんも、おじさんもおばさんも和希ちゃんも、みんな喜んでくれてる。 良かった。 あれ? 美希ちゃんが手招きしてる。どうしたんだろう。 「ブッキー、本当に美味しかったわ。素敵よ」 「えへへ、料理も得意なんだよ」 良かった。誉めてもらえて。タルトちゃんのおかげだよ。 「でも、本当は料理は苦手だったんでしょ、お疲れ様」 「えっ? えぇ~~!?」 美希ちゃんが困ったような顔で見てる。 「美希ちゃん――――いつから気がついていたの?」 「わりと最初からよ。ほら、手の傷見せなさい。無理しちゃって。 昨日までずっと料理の匂いプンプンしてたわよ」 美希ちゃんは頭を撫でて労ってくれた。わたしは情けなくなって涙が出てきた。 「やっぱり、わたしは美希ちゃんみたいに完璧にはなれないもん」 「何言ってるのよ。ブッキーは今のままで完璧に可愛いわよ」 自信たっぷりの声で宣言されると、本当にそんな気持ちになる。 やっぱり、優しい。かっこいい。すてき。 わたしの王子さま――なんて言ったら怒られるよね。誰より素敵な女性だってこともわかって る。 「美希ちゃん、まっててね。きっといつか、お料理も完璧になってみせるから」 「ええ、ブッキーなら出来るって、アタシ信じてる」 木の陰に隠れて、ふたりはそっと唇をあわせた。ちょっと料理の残り香があった。 それは幸せの味だった。
https://w.atwiki.jp/fleshyuri/pages/62.html
作者様のブログへ http //ikomaru.blog76.fc2.com/blog-entry-21.html
https://w.atwiki.jp/fleshyuri/pages/1059.html
とある日の放課後の、クローバータウンの通学路。 アスファルトに静かに響くローファーの靴音とともに、爽やかな秋風の中をひとりの少女が歩いていた。肩にかかる艶やかな黒髪と、柔らかな眼差し。穏やかな表情からは、今の彼女の心情が透けて見えるよう。 色づき始めた並木道がやけに眩しく映るから、いつもよりゆっくりと歩いては、次々と目に飛び込んでくる秋の風景を楽しんでいた、そんな時。 ふと、どこからともなく甘い薫りの風が流れて、彼女の鼻孔をくすぐって、消えた。 匂いに気づいた少女は、脚を止めて周りを見渡してみる。 「この匂いは……?」 匂いの元を探り当てようとした矢先、後ろから少女を呼ぶ声がした。 「せつなちゃん!」 「あ、ブッキー」 ブッキーと呼ばれた少女・山吹祈里が、数メートル先にいた黒髪の少女・東せつなに追いつき、隣に並ぶ。 ふんわりとした柔らかな栗色の髪。優しい顔立ちと、丸みを帯びた身体つき。その背丈はせつなより少しだけ小さく、見る者に可憐な印象を与える。いつも付けているトレードマークの緑色のリボンが、今日もよく似合っていた。 「偶然ね。今帰り?」 「そうよ。ブッキーもでしょ?」 「うん。ふふっ。なんか嬉しいな」 「何が嬉しいの?」 「だって、約束もしてないのにせつなちゃんに会えたんだもん」 「あ……ありがとう」 「どういたしまして」 躊躇することなく放たれる祈里の言葉に、せつなは顔を赤らめた。そんな彼女の反応を、祈里は楽しそうに眺めた。 「あ、ちょうど良かったわ。今ね、ブッキーに教えてほしいことがあって」 「わたし? いいわよ。わたしでお役に立つなら何なりと」 「あ、ほらまた、この匂い……。どこから来てるのかしら?」 せつなが不思議そうに辺りを見渡す。 「そっか。この匂いのこと知りたいのね。せつなちゃん、こっち」 祈里は、そんなせつなの手を引っ張って、少し離れた木立まで連れて行った。 そこには、オレンジ色の小花を一面に咲かせている木が、真っ直ぐにすっくと伸びていた。 「あ……さっきよりも香りがうんと強くなったわ。この花からしてるのね」 「金木犀、よ」 「キンモクセイっていうの……いい香り。見た感じも可愛いけど、名前も可愛いのね」 「わたしも大好きなんだ。秋にしか咲かないの」 「なんだか、この花……ブッキーに似てるわね」 「え? わたし? どんなところが?」 「色もそうだけど、ちっちゃくて、可愛くて、いい匂いのするところが」 せつなの言葉が、祈里の頬をほんのり紅く染めた。 「せつなちゃん、それ、褒めてる?」 「もちろんよ」 「に、匂いは、美希ちゃんにもらったアロマをいつも付けてるからだし、ち、ちっちゃいのは……生まれつきだし……」 「可愛いのは?」 「し、知らないっ」 「ごめんなさい。ブッキー、怒らないで」 ちょっとだけむくれたふり。恥ずかくて、嬉しくて、やっぱり恥ずかしくて。 心配そうに覗き込んでくるせつなの視線は、かえって祈里の羞恥心を助長させていくようだった。 「ねえ、ブッキーったら」 「……怒ってないよ」 「ホントに?」 「うん。恥ずかしかっただけ」 「良かった」 にこっとはにかむせつなの笑顔。見つめながら祈里は思う。ああ、わたし、この顔に弱いなあ。 「けど、ブッキーのおかげで匂いの正体がわかって、何だかすっきりしたわ。ありがとう」 「どういたしまして。わたしも褒めてもらえちゃったし、得しちゃった。――――ところで、今日はラブちゃんは?」 「ああ、ラブなら……」 「補習?」 祈里が継いだ言葉に、せつなは声を立てて笑った。それはまさに、せつなの言おうとした言葉だったから。 「よくわかるのね」 「そりゃあ、幼なじみだもん」 「幼なじみ、か……。何かいいわね、そういうの」 「けどわたし、せつなちゃんのことだってよくわかるよ」 「あら、私は幼なじみじゃないわよ?」 「幼なじみじゃなくても、親友、でしょ?」 祈里は、隣に立つせつなの腕を取り、優しく組んだ。 「親、友……?」 「そうよ、親友。とっても仲のいい友達のことよ。幼なじみにだって、負けないくらい仲良しなんだから!」 「私とブッキーは……親友?」 「もちろん!」 真っ直ぐに見つめる祈里の瞳の力強さに、せつなはほんの少し気圧される。 そんなせつなの指に、安心させるように自らの指を優しく絡めて、祈里は言った。 「幼なじみもいいけど、親友だってなかなかいいと思わない?」 「親友、か……。いいわね、それも」 「うん。いいよね、すごーく」 「うん。すごーく」 ふたりは顔を見合わせて、ふふっと笑う。そんなふたりの鼻先を、金木犀の香りを乗せた柔らかな風が撫でていく。 「せつなちゃん、今、カオルちゃんのドーナツ食べたいんでしょ?」 「ど、どうしてわかるの?!」 「だって、親友だもん」 余りにも近づき過ぎて、せつなのお腹の虫の鳴き声が聞こえてしまったことは、祈里の心の中にそっとしまわれた。 「行こ?今日はわたしがおごるね」 「悪いわよ」 「いいの。だって記念日だもん」 「何の記念日?」 「親友記念日」 秋風の中を、腕を絡めたふたりの少女が歩き出す。 今日の学校での出来事や、昨日の夕食のメニュー。何でもないことを話しながら、せつなは心に誓う。このひと時の幸せをしっかりと胸に焼き付けておこうと。 ずっと後になってもくっきりと思い出せるように。大好きな親友との時間を、決して忘れないように。 新-481へ
https://w.atwiki.jp/fleshyuri/pages/897.html
「この子のお友達になってくれる?」 「うん!!」 満面の笑みを浮かべ、母親の元へ駆け寄る少女。 その手には、ラブから譲り受けたかわいいクマのぬいぐるみ。 「幸せ、ゲットだよ!!」 子供達の笑顔と幸せを守るため、少女たちは懸命に戦った。 四人の伝説の戦士、プリキュア。 そして――― バザー会場から帰宅すると、せつなは一人、部屋に閉じこもった。 特に理由も無く。 ベッドに横になると、少し前のあの〝言葉〟を思い出した。 (この子のお友達になってくれる?) 幼き頃の記憶が自分には無い。ましてや思い出など皆無。 だからこそ、今が楽しくてしょうがない。毎日がとても幸せで、充実している。 それは――――あの犠牲があったから。国民番号ES4039781、イースの――――〝死〟 ラビリンスで産まれていなければ、ラブたちと同じように泣いたり笑ったり、踊ったり歌ったりしていたのだろう。 沢山の思い出に囲まれ、幸せな生活を送っていたはずだ。勿論、そこには〝友達〟も存在したであろう。 「ぅ…うっ…」 東せつなとして。やり切れない想いが、胸を苦しめる。あの子を―――イースを幸せに導いてあげたかったと。 自分はイースの生まれ変わりだなんて、そう容易くは割り切れない。過去との決別は出来ても、イースその物を否定はしたくなかった。 命の重さ。 生きる事の大切さ。 もっと早くに気付いていれば、違う人生を彼女は送っていたのかもしれない。 命は管理される物では無いのだから。 一滴の涙。 人間は後悔をしてまた、強くなる生き物。 強き者は弱き者を守らなければいけない。その強さに決して溺れる事無く。 お前は今…幸せなのか? えぇ、とっても うらやましいな どして? わからない。ただ… ただ? …寂しい じゃあ私たちと一緒に踊りましょ?さぁ――― 私は―――私は―――イース… 差し伸べた手が少し、あと少しで届く。届くはずだった…。 暗闇の中で射し込んだ眩い光。彼女にはあまりにも眩しすぎた。 運命(さだめ)の矢は解き放たれ、か弱き心に突き刺さる。 生命尽きるとも、魂ここに宿りけり イース=東せつな でも。 彼女と彼女。二人なのだ。 だから。 だから手と手は繋ぎ合わせる事が出来る。 絶対に―――夢は叶うのだから 「私の……友達になって…くれないか?」 「もちろん!私は東せつな。あなたは?」 ~END~
https://w.atwiki.jp/fleshyuri/pages/297.html
お父さんは仕事、お母さんはパート。 台風による警報が出たために、あたしとせつなは休校。 昼間なのにすごく暗くて、夕方みたい。 風が窓をガタゴト震わせている。 ガタン。 突如大きな音がした。 何かが家の外壁に当たったのだろうか。 あたしは思わずせつなにしがみつく。 「怖いの?ラブ」 せつなは優しくたずねる。 「ごめん、怖いワケじゃないけど何となく…」 せつなは薄く微笑みをたたえ、あたしを抱きしめる。 「台風っていいものね」 「なんで?せつなは怖くないの?」 「だってラブとこうしてると、まるで世界中に誰もいなくて、私たちふたりっきりみたい」 「せつな…」 あたし達は、どちらからともなく顔を近づけ、くちづけた。
https://w.atwiki.jp/30royal/pages/53.html
お遊び テクニックの項に書くほどのことでもないが、こんな遊び方もあるよと紹介したい。 Youtubeには多数の「ラッシュ動画」がアップされているので見たほうが早い。 しかし、実際にプレイするともっと楽しいかもしれないものなのだ。 説明 フレンドバトルを利用して、なにかひとつのテーマに絞り、通常の対戦では不可能なことをやる。 主に何かのユニットを大量生産することが多いので●●ラッシュと呼ばれる。 ①ラッシュする側のデッキはエリポン、スケルトン、ザップ、ミラー、レイジ、フリーズ、クローンとしてラッシュしたいカードを積む。建物ラッシュの場合のみクローンは外す。 ②ラッシュを受ける側のデッキはエリポン、スケルトン、ザップ、ミラー、墓石、ジャイアント、フリーズがあればいい。 ③まずはお互いタワーを両方折って、キングタワーだけにする。 ④お互い同じ側にエリポン→ミラー→レイジを繰り返し、スケルトンとザップでデッキを回す。 ⑤2倍タイムに入り、エリポンがレイジから溢れ始めたらいつでも開始できる。 ⑥エリポンを出したらミラーせず、ラッシュしたいユニットを出してミラーしてクローン。 ⑦エリポンとレイジは相変わらず出し続ける。 ⑧相手はジャイで受けながら、フリーズで止める。 ⑨リプレイの一時停止等を利用して何体出たか数える Youtubeで確認されたラッシュ動画の一部 アイスウィズ プリンセス メガナイト スパーキー インドラ ペッカ 巨大スケ 受ける側は丸太、竜巻や矢の雨等で一掃して楽しむ ボウラー ファルチェ ネクロ スケルトン ゴブリン ハンター マスケ ウィズ ホバ砲 ザッピー バルキリー バーバリアン アイゴレ など。 ラッシュ動画に適さないのは建物をタゲるユニット。ジャイ、ロイジャイ、ゴレ、ホグなど。アイゴレはダメージ低いので割といける。 そして足が速いユニットも不向き。 攻撃が強いユニットも不向き。 空ユニットのラッシュだったらスケルトン部隊や墓石で受けるのもあり。 ナイトやアーチャーはそんなに見ない。
https://w.atwiki.jp/fleshyuri/pages/358.html
あたしとラブ、祈里。 三人の中で、せつなと一緒に過ごした時間が一番長いのは、あたしかもしれない。 そのほとんどは、イースでもある彼女の言いなりになって、ただ責められるばかりだった。 けれど。 一緒の時間を過ごすことで、見えてくる部分があった。 彼女の隙を――――弱みを見つけようとしていたあたしだから、なおさら。 あの日。せつなが、ラブからの電話を切った後の、寂しげな顔。 しばらく、忘れられなかった。 本当ならば、あたしは、そこを攻めるべきだったのかもしれない。初めて見つけた、彼女の弱点だったのだから。 だけどあたしは、そうしなかった。出来なかった。 人間なら誰もが持つ、触れられたくない、純粋な気持ち。せつなの横顔に見たのは、それだったような気がしたから。 きっと、その時からだろう。 あたしがイースを、せつなという人間だと認識し出したのは。 それまでは、ただ、敵としか思っていなかった。この世界を無茶苦茶にしようとしている、敵だとしか。 それだけじゃない。ラブを抱き、祈里を堕とし、あたしの体をいたぶっている。 彼女は、あたし個人にとっても、憎むべき存在だった。 なのに。 あんな顔を、されたら。 Eas of Evanescence VIII 「答えろ!!」 睨み付けてくるイース、だが、泣きそうなイース。 彼女の切羽詰った問いかけに、美希はしかし、声が出ない。 理解したくなかった。イースが、こうまでもラブに拘るその理由に。 「どうしてラブは、あんなにバカみたいに、私を信じることが出来るんだ!!」 それでも、わかってしまう。 イース、いや、せつなにとって、ラブの存在は心をかき乱すものなのだと。 「自分が辛い時でも、私の体のことを気遣って!! 私が戦いに巻き込まれなったことに、あんなに安心した顔を見せて!!」 イースの手は、もう動いてはいなかった。ただ美希の裸の胸に顔を埋め、震えるばかり。その声も、言葉も、彼女に 向けられたものではなくなっている。 あの時のことか。美希は思う。 ダンス大会に向けて、プリキュアとダンスの両方に目いっぱい頑張ったせいで、彼女達は倒れてしまったことがある。 その直前の戦いで、ラブはせつなが戦いの場にいないことに、安堵の溜息を付いていた。そんな彼女とイースを見て、 美希は複雑な想いを抱いたものだったけれど。 「私は、あの子を騙しているのに!! それにも気付かないで、私のことを、好きだなんて――――大好きだなんてっ!!」 顔を上げた彼女が発した、悲痛な叫びが。 美希の心に突き刺さる。 それでも、イースの瞳からは、涙は零れない。 まるで泣くということを、知らないかのように。 再び、胸に顔を埋めてくる彼女の震える体に。 美希は、そっと手を回そうとして。 「教えて......美希......どうして......どうして」 弱々しい声に、動きを止める。 「うまくいった筈なのよ――――ラブの心を篭絡して、私に夢中にさせて――――プリキュアを倒そうとした」 ポツリ、ポツリと溢れる言葉が、部屋の中に響く。外の日は、もう落ちたのだろうか。カーテンから差し込んでいた 光は、徐々に薄れてきて。 静寂と闇に、二人の体は包まれる。 ドクン、ドクンという鼓動の音を、美希は感じる。 それが自分のものか、イースのものか、わからない程に二人の体は密着していて。 「そう、うまくいってる筈だった――――なのに――――なのにっ!!」 ばっと頭を上げる、イース。 顔を近づけて、彼女は答えを乞う。 「どうして私は、こんなに苦しいのっ!?」 安堵したのは何故? 心の中に生れる問いかけ。 それは今日、ついさっきのこと。せつなが、最近はラブと祈里と会っていないと聞いて、彼女は確かに安堵を感じていた。 二人が心乱されることが無くなったから。また仲良くなったから。だから安心した。 せつなが自分という、プリキュアに残された最後の砦を打ち崩そうとやっきになればなるほど、二人から彼女を離 すことが出来るという思惑がうまくいっているから。だから安心した。 それは、しかし、上辺だけだった。本当は。 本当は、せつなが自分以外の子に目を向けていないことに、安堵した。 その独占欲を、綺麗な言葉で隠していただけだった。 素顔の彼女は、ただの女の子だった。 勿論、その全てを知っているわけではない。何故なら、彼女と美希の間には、脅すものと脅される者、犯す者と 犯される者という関係しかなかったから。 それでも。 物憂げな彼女の横顔が、気になった。 何かに追い詰められるように責められれば責められる程、何をそんなに焦っているのかが気になった。 ナキサケーベを操るようになってから、彼女の体に残るようになった傷が、気になった。 気になって、仕方なくなっていた。 どうして? どうしてそんなにも、ラビリンスに尽くすの? 尽くせば尽くす程、貴方の心は傷付いていっているのに。 戦いの最中、イースとしてプリキュアと闘っている時でさえ、貴方は心の中の何かを抑えつけるかのようにしていた。 その様を、闘っている時に、あたしは見ていた。 そして、その視線が向かう先をも。 気付かないようにしていた気持ちに、美希は向き合う。 そして認める。 あたしは。 あたしは、せつなが、好き。 体を支配されているからではない。これは、体からは生れない感情だもの。 この、愛と言う気持ちは。 そして、愛しているからこそ。 「答えが欲しい?」 美希の言葉に、顔を上げるイース。 「教えろ!! 私は、どうしてっ!!」 「それはね、イース、貴方が――――ラブのことを、好きだからよ」 愛しているからこそ、真実を伝える。 愛した人が、自分で気付いていない、想いを。 「私、が――――?」 驚愕に目を見広げる彼女。その目を、じっと美希は見つめる。 長い、長い沈黙。 やがて彼女は肩を震わせ始める。唇から零れるのは、 「フ、フフフ――――」 笑い声。 「フフフフフフ、アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!!」 体をのけぞらせ、イースは笑う。高い声で、笑う。 「私が!? ラブのことをっ!? アハハハハッ、そんな、そんなことなんてっ!!」 笑う彼女。まるで、狂ったように。 いや。 本当に、狂いそうになっていることが、美希にはわかった。 高らかな声と裏腹に、彼女の眼はまるで笑っていない。 むしろ、苦しんでいた。 その笑いは、壊れそうな心が、きしむ音。 「私がラブを好きだなんて、そんなこと、ありえないっ!! 私はラブを利用してるだけ!! 邪魔なプリキュアを排除 しようとしてるだけっ!! だから私が、ラブを好きだなんてありえないっ!!」 ずっと側にいた美希だから、彼女の気持ちがわかる。 二律合反。アンビバレンツな感情に、少女の心は引き裂かれそうになっている。 彼女は、愛することを知らない。 だから自分の感情にも、気付いていない。 そして、だから。 愛されることに、戸惑っている。 その癖。 自分の行いが、ラブを傷付けていることには気付いていて。 愛する人を、傷付けているのは自分。 なのに、その傷付けた自分を、彼女は愛してくれている。 無論、せつなは、自分がイースだということを話していない。 それでも。 彼女は、いたたまれない。 そんな風に愛されている自分に、イースは。 罪の気持ちを、抱いている。 美希は、不意に悟る。 彼女の願いを。 「安心しなさい、せつな」 イースの姿をした彼女に、美希は呼びかける。 苦悩に満ちた顔で、こちらを見てくるイースに、彼女は言った。 せつな。好きよ。 「あたしは」 大好き。愛してる。 「貴方のことを」 とても愛してる。愛してるから。 こう、言うの。 「憎んでるわ」 「そう――――なら、もっとひどい目に合わせて、屈服させてあげるわ」 言ったイースが見せた笑顔は、いつもの暗いものではなく。 とても、とても。 安堵に満ち溢れたものだった。 そうして美希は、愛する人の心を救った。 もしも彼女が愛を囁いたなら、イースの心は壊れてしまっただろうから。 イースに必要なのは、憎まれることだった。 何をしても許され、愛されることは、それに慣れていない彼女からアイデンティティを奪おうとしていた。 無邪気な好意ほど、その前に立つ者が自責を覚える物はない。そしてイースは、それを乗り越えられる程に強くは 無く、非情に徹することも出来なかった。 そう。 だから、彼女の本当の願いは。 憎まれたかったのだ。罰して欲しかったのだ。 嫌悪されて当然のことをしている、自分なのだから。 けれど。 憎まれたいと思っても、せつながイースだと知らないラブや祈里は、彼女を憎んだりはしないだろう。 なにより彼女達は、せつなを大好きだから。 憎むことなんて、しないだろう。 そしてせつなを、無意識に追い詰めてしまうだろう。 心を、壊してしまうだろう。 だから。 愛に気付いた美希は、心に決める。 せつな。 あなたの欲しいものは、あたしがあげる。 ただ一人、自分だけが。 イースを憎む。 憎み続ける。 それであなたの心が、救われるなら。 そうして美希は、イースに体を差し出し、蹂躙される。 憎まれている相手に、彼女は容赦をしない。 常よりも激しく、厳しい責めで美希を追い詰める。 勿論、彼女は一声も発しない。 発したら、自分が感じていることに――――愛する人に抱かれて、喜んでいることがバレてしまうから。 だから。 「――――――――っ!!」 今日も彼女は、唇を噛む。 愛する人とのまぐわいに、美希は、幸せで。 けれど、とても悲しかった。 そして彼女達は、運命に導かれる。 最後の一枚のカードを持ってきたせつなと出会ったのは、トリニティのライブの開かれるスタジアム。 憔悴し、消耗しきった彼女の体に、自然と彼女はこれが最後の戦いになることを予測した。 現れる、ナキサケーベ。 変身する、プリキュア。 キュアピーチに抱きしめられながら、イースは苦痛に絶叫する。 体、だけではない。 敵である自分ですら守ろうとする彼女の優しさに、心はきしんでいた。 そして明かされる真実。 イースは、少女達の前で変身して見せる。彼女達の親友、東せつなへと。 その時、キュアベリーは気付いた。せつなの悲愴な決意に。 せめて最後は、キュアピーチ――――ラブの手にかかって。 だからこそ、美希はラブをけしかけた。愛する人の最後の望みを、かなえてあげたい。 そう思ったから。 そう。 蒼乃美希は、東せつなを愛していた。 自分が彼女に求められていなくても、構わない。 彼女が親友を愛していても、構わない。 愛しているから。 だから心を鬼にする。 自分の本当の願いを、押し殺す為に、彼女は。 心を、鬼に。 ふと、目が覚める。 お昼ごはんを食べた後に、少し、うたた寝をしてしまったらしい。時間にしては、五分か十分程度だったけれど。 鏡の前で、寝癖が付いていないかをチェック――――よし、大丈夫。あたし、完璧。 ピンポーン チャイムが鳴ったが、インターホンに出ることもせず、美希は玄関に駆ける。その扉を開ける前から、誰が来ている かはわかっていた。 「いらっしゃい、せつな」 「こんにちは、美希」 笑いながら靴を脱ぐ彼女の名前は、東せつな。またの名を。 キュアパッション。 避-70へ
https://w.atwiki.jp/fleshyuri/pages/611.html
「うっわ!だらしなっ!」 部屋に入ってきたラブの第一声がそれ。 まあ、仕方ないわね。 アタシときたらブルーのスウェットの上下、ロクに梳きもせず 弛く束ねただけの髪でベッドに寝そべってんだから。 ローテーブルには食べかけのクッキーと、蓋を開けたままのペットボトル。 ベッドの下には読み散らかした雑誌類が重ねもせずに放り出してある。 さすがにこの頃ママから苦情が出るようになった。 そりゃ、美意識の高いママにしたらイヤよね。 こんなダラダラボサボサの娘なんて。 「ノックくらいしなさいよね。」 ラブは返事もせずドッカリと座り込み、アタシが出しっぱなしの お菓子をガサガサやりはじめた。 「なんか用があってきたんじゃないの?」 「んー。ちょっとばかしクレームをねー。」 「はあ?」 「分かってんでしょ?こないだの。アレはないんじゃない? せつな、沈んじゃって大変だったんだから。」 ま、あたしの愛の力で何とか浮上したけどさ。 「友達付き合い初心者マークのせつなに、アレを見て見ぬふりしろってのは ちょっとハードル高過ぎだよ。」 「冷たいわね、アタシの心配はしてくれないワケ?」 「知らないよ。美希たんがブッキーの事となるとグッダグダになるのは 今に始まった事じゃないし。」 悪かったわね!アタシだって大人げないって分かってるわよ。 でも、さ。イヤになる時くらいあるのよ、アタシにだって。 「まぁ、二人がどうなってるかなんて聞く気もないけどね。 けど、あたしのせつなを悲しませるのは例え美希たんだって 許さないんだから!」 口いっぱいにクッキー頬張って、食べカスだらけの口元で何言ってんの。 でも……『あたしのせつな』か………。 「結局、ノロケに来ただけ?」 「そーでもない。」 「じゃ、何よ。」 「まぁ、愚痴の一つくらいは聞かないでもないよ?」 クスリ、と苦笑いともつかない息が漏れた。愚痴、ねぇ? 「コレ、飲んでいいの?」 「もうぬるいわよ。」 気にしない気にしない。 そう言ってラブはアタシの飲み残しのジュースをごくごく喉を 鳴らして飲んでる。 ペロリと唇を舐めてアタシの様子を窺うラブ。 こう言う時、なまじ付き合いの長いのも考えものよね。 空気読んで、そっとしておいてくれる時はいいんだけど、 いざ突っ込むと決めた時の情け容赦無さったら…。 マッタク、癪に触るったらないわね。何よ、その『何もかもお見通し!』 と言わんばかりの顔は。 「ブッキーからはいまだ何のアプローチもナシ?」 「あるわけないじゃない。」 「そう思ってる癖に何であんな事すんの?」 「……………。」 「ま、気持ちは分かるけどね。そこまで落ち込むならもうちょい考えれば?」 「………何が分かるのよ?」 「んん?」 いつもいつも自分が先回りするのが馬鹿らしくなったんでしょ? そんで、ちょっと拗ねてみたらブッキーガン無視。 ちょっとはフォローがあるかと期待しちゃった分、落ち込み度急加速。 だけど今さら自分から仲直りも癪に触る。 で、結局なーんにも手立てがなくてナメクジ生活。 「だいたい合ってる?」 「……パーフェクトね………。」 「あのさぁ、あたしブッキーはスゴくイイコだと思うんだよね。」 ちょっと、遠くを見る目でラブが呟く。 「優しいって言うか、すごく人の気持ち考えるよね。」 人がして欲しい事、言って欲しい事。サラッと押し付けがましく無く 出来ちゃうんだよね、ブッキーって。 せつなだってさ、ダンスやろうって決められたのもブッキーの 練習着のお陰だし。 もちろん、いずれは仲間に入って来たかも知れないけど、 あんなにすっと溶け込めたのはブッキーがいたからだと思うんだよ。 「あたしね、友達としてのブッキーは大好き。 でもね、……親友の恋人としては、ちょっと……うーん、って感じ。」 「どう言うトコが?友達としては大好きなのに?」 「美希たんに甘えてるんだってのは、分かる。でもさ……」 これ言ったら美希たん、怒るかも知れないけどね。 ブッキーの為に必死になってる美希たん、ちょっとカッコ悪い。 美希たんはさ、お姫様の願いを叶える素敵な王子様のつもりなんだろうけどね。 あたしから見ると、お嬢様のご機嫌取ってるじいやさんだよ。 だってさ、どんなに完璧にやったって次のハードルが高くなるだけだし。 何か進展するわけでもないし。 「『アナタの笑顔さえあればそれで幸せ。他には何もいりません。』 そんなの嘘だね。」 ちょっと、ムッとした。 じゃあ、ラブは?せつなの笑顔、見たくないの? せつなの幸せの為に、何かしてあげたいって思わないわけ? 「じゃあ、ラブは下心ありまくりなんだ。 せつなに何かしてあげる時は、見返り期待してるんだ?」 「当たり前だよ?」 「!?」 「あたしがせつなに好きって言うの、 せつなにも好きって言って欲しいからだよ。 せつなを抱き締めるのは、せつなにもあたしを抱き締めて 欲しいからだよ?」 もちろん、それだけじゃないけどさ。 せつなが嬉しいならあたしも嬉しい。せつなが幸せならあたしも幸せ。 でも、それだけじゃ、あたしは嫌。 せつなにもあたしを幸せにして欲しいもん。 「せつなも分かってくれてる。だから、恥ずかしくても 好きってちゃんと口に出して言ってくれる。 その方が、あたしが喜ぶから。」 だから、美希たんから欲しがるばっかのブッキーは、あたしなら無理。 「ハッキリ言ってくれるわねぇ。」 「ブッキーはさあ、自分が必要以上に人の気持ちを読み取ろうと するから、美希たんにもそれを求めちゃうのかねぇ?」 「さあ、どうかな。」 「なまじ、美希たんが頑張っちゃうもんだから…。」 「アタシが悪いの?」 そうじゃなくって…… 素で、気付いてないのかな?って。美希たんが頑張ってるの。 「……今、ラブが言ったじゃない。自分が出来るもんだから、 そう大変な事じゃないと思ってるのかもね。」 「………。」 「アタシから……謝った方がいいのかな…?」 「だから、好きにすればいいよ。」 「もう、ラブ冷たい。」 「まあ、どうせ嫌でもいずれ顔合わすんだから。 ブッキーだって今ごろ悶々としてるでしょ。 もうちょい待ってもいいかもよ?」 「何か進展あると思う?」 「進展させたいの?」 「そりゃ………!」 どうなんだろ?アタシ、ブッキーとどうにかなりたいのかしら。 好きだけど…、ずっと好きだったけど。 ブッキー…祈里は、本当にそれを望んでるの…? 「ねーえ、美希たん。美希たんは、ブッキーがヤダって言ったら 何でも諦めるの?ブッキーがいいって言う事しかする気ないの?」 ブッキーがお友達でいましょう。って言ったら、ハイ分かりました。って それでいいの?美希たんの気持ちはどうなのよ? 「分かってるわよ!分かってるけど、そう簡単な事じゃ…、ーーっ!」 ヤバ…、これは言っちゃダメでしょ…。 簡単な事じゃないなんて、ラブはとっくに知ってるんだから…。 じゃなきゃ、付き合えないわよ。女の子同士なんて……。 「………ゴメン…。」 「いーよ。でも、せつなには言わないでね。」 「ホント……、ゴメン。」 「だからいいって。分かってるから。」 変なトコで真面目だねぇ、美希たんは。 笑って言うラブに胸が痛い。 当たり前じゃない。簡単じゃないなんて。 だからアタシ達は何年も何年もグズグズしてるのに。 「ね。一つ聞いていい?」 「どーぞ。」 「後悔とか…、してない?」 「今のところは。」 「素っ気ないわね。」 「先の事なんて分かんないよ。」 「気持ちが変わることも、あるかも?」 「絶対なんて、いい加減な事は言えないよ。」 「……恐く、ないの?」 「んっ、恐い。すごくね。………でも…」 仕方ないね。好きなんだもん。 「シンプルね……。」 「あたしバカだからねぇ。難しい事は考えられないの。」 ラブはバカなんかじゃないわ。 そのシンプルな答えに行き着くまでに、何度も苦しい思いをしたって 事くらいアタシにだって分かるわよ。 結局、アタシは中途半端なのよね。 祈里の気持ちがって言いながら、自分が傷付くのが恐くて逃げてるんだから。 「ありがとね……。」 「何がぁ?あたしなんにもしてないよ。」 「いーのよ。アタシがそう言いたいんだから。」 ブー……ン…… リンクルンのバイブが鳴る。 え?ブッキーから?このタイミングで? あっ、ラブが見てるし…って、この狼狽えっぷりじゃブッキーからって バレバレ? ちょっ、何顎でしゃくってんのよ!早く出ろって事? もうっ、わかったわよ! 「……もしもし?」 『あ…、美希ちゃん。今、いいかな?』 受話器越しの声は何故かいつもより大人びて聞こえる。 随分久しぶりな気がして、少し鼓動が早くなるのを感じた。 「あ、うん。…どうしたの?」 『あのね…、謝りたくて……』 「!!!」 『この間は、ごめんなさい。メール、返事もしなくて… それに、ダンスレッスンで変な態度取っちゃって……』 やだ…!どうしたのよ、ブッキーったら! 『ホントはね、用なんてなかったの。この間も、その前も。』 「……!!」 『わたしが…、わたしが勝手に、ヤキモチ妬いてたの。 美希ちゃんが、せつなちゃんと仲良くするのが何だか悔しくて…。』 「…ブ、ブッキー…、あの…」 『拗ねてれば、いつもみたいに美希ちゃんが構ってくれるんじゃないかって…』 どどどどどどどうしちゃったの?!ブッキーってば! ヤキモチとか、悔しいとか…ブッキーそう言うの、 いつも絶対言いたがらないじゃない。 そう言う顔見せるの、一番嫌なはずじゃない! ああ!でも、ちょっと、かなり、嬉しいかも。 初めてじゃない?こんな風にブッキーが自分の気持ち伝えてくれるのって。 『本当に、ごめんなさい。』 「ううん!いいよ、いいの、そんなの!アタシも大人げ無かったって言うか! アタシこそ、ゴメンね!」 なんか、ちょっと泣きそう…。 でも良かった。これで元通りよね? ギクシャクしちゃったけど、アタシ達にはアタシ達のやり方があるよね? 進展……とかはまだ難しいかも知れないけど、ゆっくりやってけば…。 ううん、少しは前に進んでるじゃない!こうやって、ブッキーが 素直な気持ちを自分から言葉で表してくれるようになったんだもの。 ブッキー、すごく勇気出してくれたのよね? アタシ、それで十分よ! ってか、ラブ!ニヤニヤしてんじゃないわよ。 折角イイ雰囲気なのよ!分かってるなら遠慮しなさいよ! 『……ーー、…なの…。』 え?今、何て言った? もう、ラブがニヤニヤするから! 聞き逃しちゃったじゃない。 誤魔化したり、いい加減に話流したりしないから! ちゃんと報告だってするから今は勘弁してよ! イイ感じなんだからさ! 『美希ちゃんが、好きなの。』 「……………………ふっ…へっ…?」 『ずっと、好き、でした。……エヘヘ、とっくに知ってると思うけど……』 …………………ハイ…………? 『あの…、それでね。お付き合い…とか、して貰えたらなぁっ…て。』 オツキアイ、シテモラエタラナ…ァ…? 『……美希ちゃん?あの…今、すぐでなくていいから。 次に会った時でも……お返事、聞かせて?』 「……ふぇ?……あ、」 『じゃあ…、いい?また……。』 「……あ、……ハイ……」 「…美希たん?どしたの?」汗、びっしょりなんだけど。 それに、なんで正座してんの?瞳孔開いてるし……。 「……こっ…!」 「コ?」 「ここここここここここ…っ!!」 「ニワトリ…?」 「ーーーっ!!こくっ!はくっ!?」 「…わは?」 「すすすすす好きって!アタシの事!!ブッキーがっ!!!」 「!!!!!」 「……付き合って、欲しいって…。次に会った時、返事、ちょうだい…って…て」 コレ、夢?聞き違い? ブッキーが、祈里から、アタシの事を……。 勘違い?でも、確かに好きって… アアアー!!どうしよ?どうしたらいいの? これって!これって! 「行けっっ!美希たん!」 ラブがぐいっとアタシのコートを差し出してる。 「い行けって、どこに……」 「ブッキーんとこに決まってんでしょーーっ!返事っ!すぐ返事っ! まかさ断んのっ?!」 「まさかっっ!ああっ、でも、どうしよ?!アタシ!」 「いいから行け!とにかく行けっ!こう言うのは勢い! 今すぐゴー!だよ!」 「そっそうね、そうよね?ーっ髪!着替え…」 「だぁああ~っ!もうっ!」 「イタイっ!」 ラブがパシンっ!と勢い良くアタシの頬を両手で挟む。 「お化粧なんかしなくていいっ!」 お洒落な服じゃなくたって、髪型キメてなくたって、美希たんは可愛いの! いつだって、王子様みたいにカッコ良くてお姫様みたいにキレイ! 「ア…アタシ、完璧?」 「完璧でなくたっていいのっ!」 「ーっ!」 「美希たんは、いつだって美希たん!あたしの自慢の幼馴染み。 そのまんまで、じゅーっっぶんイイコなんだからっ!」 「……っ、行って、くる!」 アタシはボサボサの髪で、スウェットのまま飛び出した。 背中にラブの声が聞こえる。 「行っけぇぇぇーーっ!美希たん、ゴーっ!だっ!」 何でもいいや!とにかく祈里に会わなきゃ。 会って、アタシも言わなきゃ! ずっとずっと、好きだったんだって。 避-846最終章へ
https://w.atwiki.jp/eldersign/pages/296.html
清浄なる領域を作り出し、あらゆる者の状態異常を治癒する技法 ステータス 効果 回復 属性 物理 タイプ アクティブ ターゲット 遠全自味敵 ソース 固定値 対象 HP 起動条件 - レベル 係数 反復 命中 クリティカル ディレイ 隙 リキャスト Lv1 200 1 0 0 2400 100 99 Lv10 300 2000 属性強化 状態変化 毒 石化 眩暈 睡眠 魅了 恐怖 封技 封術 解除 ファミリー 所持モンスター トレント(潜在) コメント 名前 コメント 固定値 封技解除 封術解除 恐怖解除 毒解除 物理 眩暈解除 睡眠解除 石化解除 魅了解除