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それは、いつものようにラブと愛をかわした夜の出来事。 愛し合った後、お互いに裸のまま抱き合って眠るのが、わたしは好きだ。 抱き合いながら、汗ばんだ肌をラブに撫でられていると、満足しきったはずの身体に再び火が点くこともしばしばだった。 いつもなら、わたしを昇らせることに集中し過ぎているために、自分の快感には無頓着なことが多いラブ。 だけど、今夜のラブはどこかおかしかった。 「せつな…お願い、あたしにも…ちょうだい、もっと、もっと。せつなを一杯ちょうだい――――」 いつも求めさせてばかりのラブが自分から求めてくるなんて、滅多にない嬉しいことだ。 そんなラブが可愛くてたまらなくて、今夜はわたしがリードする場面が自然と多くなった。 攻めるのって、とっても体力がいるのね。知らなかった。だけど、いつもラブはそれをしてくれてる。それは、わたしが愛されてる証…なのかしら。 そう考えて、わたしは頬が熱くなる。ラブからの大きな愛を実感して、気恥ずかしさに襲われたから。 そんなわたしの横では、何度となく達しては果てたラブが、心地良さそうに眠っている。 なんて愛らしい生き物……ラブ、貴女が大好きよ。 その可愛いくちびるに口づけようと、顔を近づけたその瞬間、ラブの眉間が急に険しくなったかと思うと、突然に彼女は喋り出した。 「い…や…いやだよ…いかないで…いかないでっ…せつな…」 「ラブ?行かないでってどして? わたし、どこにも行かないわよ?ここに、貴女の隣にちゃんといるわよ」 必死に答えるが、ラブから返事はなく。 しばらく考えて、ようやくそれが寝言だと気づいたのだったが。 悪い夢でも見ているのか、うなされているラブの額には玉のような汗が吹き出している。 「可哀相なラブ……わたしならどこにも行ったりしないのに。貴女を置いてどこかに行くなんて、わたしに出来るはずないのに……」 そうひとりごち、ラブの額に浮かんだ汗を、ティッシュでそっと押さえ拭く。 それに嫌々をするように首を横に振りながら、ラブはわたしの名を呼んだ。何かを掴むように右手を高々と挙げ、きつく閉じられた瞳から涙まで流して。 「せ…つな…」 わたしは思わずラブの右手を握った。 一体ラブはどんな夢を見ているというのだろう。こんなに苦しむ程だ、わたしに関するとてつもなく不幸な内容に違いない。 ハラハラする想いで一杯になり、胸が苦しくなる。 ああ――――ラブの夢が覗けたらいいのに。 「キィ!!」 わたしの想いに反応したのだろうか。紅い鍵が、キラキラ輝きながらリンクルンから飛び出してきた。 「アカルン?――――そうか!あなた、ラブの夢の中へ連れて行ってくれるのね!?」 「キィ、キィ!」 そうだと言うようにうなづくアカルン。 「ありがとう!!じゃあ急いで服を着て…と。OK!出発よ!」 「キィ!」 服に着替えたわたしが深紅の光に包まれ向かったラブの夢の中、そこには待っていたのは……。 この時のわたしはまだ知らなかったのだ。そこに、とんでもない光景が待っていたなんて。 わたしがいるのは、さっきまで居たラブのベッドではなく、公園だった。 「ここがラブの夢の中…なの…?」 「キィ!」 アカルンが自信満々に答える。 いつもと変わらない、クローバータウンの公園。しばらく歩いてみると、ステージの近くにラブを見つけた。 「ラブ!」 大声で叫んだわたしの声には気づきもしないで、ラブは茂みに隠れる。 茂みの陰から誰かをのぞき見ているようだ。 ラブの視線の先にいるのは、ベンチに座る美希と、彼女にしな垂れかかる黒髪の少女……わたし?! 「ありがと美希。今日はとっても楽しかった。服を選んでくれて、それからこんなに素敵な指輪まで……」 「やっぱりルビーにして正解だったわね。せつなにスッゴク似合うわ」 「だけど、こんなに高価なもの貰っちゃって――――ホントにいいの?」 「当然。アタシがあげたいの。だってせつなはアタシの彼女なんだから。アタシのだっていう印、つけとかなきゃね」 「嬉しい…美希」 「可愛いせつな…」 見つめ合うふたり。そのままふたりはくちびるを重ね合って……。って、えええっ!!ラブの夢の中ではわたし、 美希の彼女なの!?どして!? ふたりのキスには次第に熱が入り、美希の手はわたしの胸を揉みはじめ…んー、ややこしい。 便宜上、夢の中のわたしをセツナと呼ぶことにする。 美希に胸を揉まれながら、まるでもっともっととねだるように身体を押し付けていくセツナ。 そんなセツナのスカートの中に、美希の手が伸びていき……。 一方、熱いキスを茂みからのぞき見るラブは、涙を浮かべている。 「セツナ…あたしこんなの嫌だよ…」 ラブ…あれはわたしじゃない。セツナよ。わたしならここにいるわ。せつなは貴女だけを愛してる。 わたしはラブのそばに駆け寄り、抱きしめようとした。 だけど、駄目だった。いくら力を込めて抱きしめようとしても、腕がするりとすり抜けてしまうのだ。 どうやら夢の世界では、わたしは半実体の存在らしい。 そうこうしてるうちに、風景が急に暗転していく。 どうやらここは、喫茶店らしい。奥まった席で、ブッキーとセツナが座っている。 ラブを探すと、ついたてを挟んだ隣の席に、彼女はいた。聞き耳を立てているようだ。 「セツナちゃん、ここ?」 「んっ…ふ…あんっ…」 微かに聞こえる喘ぎ声。テーブルの下で、ブッキーの手がセツナのスカートの中をまさぐっている。 こちらでは、セツナの相手はブッキーなのね。 セツナは顔を赤く染め、陶然とした表情を浮かべている。 「くすくす…そんなに気持ちいい?あんまり声出すと、他のお客さんに聞こえるよ」 「だって…祈里が…んっ…あんまり上手いんだもの…ふあっ」 セツナはびくびくと震え、達してしまったようだった。 「ほらもう私の指、セツナちゃんのでびちょびちょだよ…どうしてくれるの?」 「ごめん…なさい…」 「罰として、ココから下着は脱いで帰るのよ。電車の中でもたっぷりと可愛がってあげる…」 これがブッキーなの!?いつもの彼女とはまるで別人だわ…… って、別人なのよね。いけない、いけない。つい間違えそうになっちゃう。 隣の席では、ラブがまた涙を流している。 「セツナ…ひどいよ…」 だから!あれはわたしじゃないってば!! 抱きしめられないとわかっていても居ても立ってもいられなくなり、わたしはラブを抱きしめる。 すり抜けてしまうけれど、包み込むように、そおっと。 だけど、再び世界は暗転して…… 行く先々の世界で、セツナは様々な人に抱かれていた。 ミユキさん、レミさん、由美にまで……。 中にはとても言えない相手までいた。 「アカルン!もういい。こんなの無意味よ!帰りましょう」 「キ、キィ…」 申し訳なさそうに、うなづくアカルン。アカルンが悪い訳じゃないのに、わたしったらアカルンに当たってる。 「ごめんなさいアカルン…、貴女のせいじゃないのに、あんな言い方」 「キィ」 アカルンは優しく微笑んでくれた。分かってるよ、と言うように。 再び深紅の光に包まれて、わたしは現実世界に舞い戻った。 見慣れたラブの部屋。ベッドの上では、ラブがまだうなされている。 「嫌っ…せつな、いかないでよ…」 「ラブったら…あれは夢なのよ。起きて!!」 ラブを悪夢から覚ますため、わたしは彼女を精一杯揺り起こした。 「う…うぅ…せつな…?」 目を覚ましたラブが、涙を擦りながらわたしを見つめ、強く抱きしめてくる。 「せつな…どうしていっちゃうの!?」 「やぁね、あれは夢、わたしは何処にも行かないわよ」 「だってアタシ以外の人達から、いっぱいイかされてたじゃんか…」 … …… ………はーーー。がっくり。 そっちの「イかないで」だったわけね。 「もう!勝手にあんなエッチな夢見ておいて、何なのよ!ラブなんて知らない!!」 「あれっ…?何を怒ってるのかな、せつなは。 あ、アタシだけ気持ちよくなったから怒ってるのか。ごめんね、今からいっぱいせつなもイかせたげるから。 ――――ってか夢の中身、何で知ってるの?」 「知りません!!」 その日からしばらくの間、エッチをおあずけされて悶絶の日々を過ごしたラブだけど、それはまた別のお話。
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玩具連動アイテム フェアリートーン 玩具 商品名 発売日 価格 変身ブローチ キュアモジューレ 2011年2月5日 4,950円(税込) 奇跡のメロディ♪ ミラクルベルティエ 2011年3月12日 4,180円(税込) 大いなるリズム♪ ファンタスティックベルティエ 2011年4月16日 4,180円(税込) 愛のビート♪ラブギターロッド 2011年7月中旬 5,390円(税込) 不思議なタッチ鍵盤♪ ヒーリングチェスト 2011年9月17日 8,800円(税込)
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140文字SS:映画プリキュア○○スターズ【1】(10話保管) 140文字SS:映画プリキュア○○スターズ【2】(10話保管) 140文字SS:映画プリキュア○○スターズ【3】(10話保管) 140文字SS:映画プリキュア○○スターズ【4】(10話保管) 140文字SS:映画プリキュア○○スターズ【5】
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百合勢とは植物のユリを好む美しきデュエリストたちの勢力である。 概要 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【分類】ユリ目ユリ科ユリ属 【学名】Lilium spp. (学名の由来)Lilium→ケルト語で白+花といわれるが、ラテン語その他の古い言語由来とも 大輪の筒状の花を咲かせる。その美しさは多くの人々を魅了し、古来から世界各地の文化に深く関わってきた。 本属の全ての種が鱗茎(球根)植物で、根は食用として栽培される(ゆり根)。大抵のユリの根には苦味があるので、栽培されているほとんどが、苦味のないコオニユリ(L. leichtlinii var. tigrinum)である。ゆり根は関西、特に京都で好んで食べられている。ネコに食べさせると毒があるっぽいので注意! 品種によって多種多様な花を咲かせ、園芸植物としても人気である。幕末には日本のユリがイースター・リリー(復活祭のシンボル)としてヨーロッパで大人気を博し、日本の生糸(絹)に次ぐ二番目の主要輸出品となった。 (某笑顔動画記事より引用) 関連項目 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆敵対する勢力一覧 コング勢 麻雀勢 もふもふ勢 非変態勢 ぺろぺろ勢 imageプラグインエラー ご指定のURLはサポートしていません。png, jpg, gif などの画像URLを指定してください。 ─やぁ─ 百合勢とは、女性と女性の[禁則事項です]が大好きな者達による勢力である。 本当の概要 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ こちらの「百合」の意味は、すなわち「女性同性愛」のことを指す。 しかし同じように女性同性愛をさす「レズビアン」と「百合」の言葉の間に ニュアンス的な意味の違いがあることも事実であり、 百合の方がよりプラトニック性を重視しているいう意見もある。 また、百合の中でも性的な感情に発展しているものを特に「ガチ百合」とすることもある。 百合勢 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 要は女性同士のカップリングを愛してやまない人々のことである。 ◆メンバーリスト 一度でも百合好きといったら・・・・フフフ 関連項目 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆敵対する勢力一覧 コング勢 麻雀勢 もふもふ勢 非変態勢 ◆派生(?)勢力一覧 ぺろぺろ勢 ◆元凶 変態勢
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SOU氏が制作したオリキュアです。 プリキュア設定 チーム変身台詞 全員「プリキュア! ジュエルシャイニングアップ!」 変身アイテム キュアジュエルコンパクト キュアジュエル 戦闘スタイルや能力は、変身用とは別にあるスキル系ジュエルをキュアジュエルコンパクトにセットして装備することで能力が追加されたり、新たな武器を使用できるようになったりする。スキル系のジュエルは最大2つまで装備可能。また、変身用は使用者固定だが、スキル系は使用者の制約が無いため全てがどのメンバーでも使用可能。キュアジュエルコンパクトにはジュエルをセットするスロットが3つあり、1つは変身用、残り2つはスキル系ジュエルをセットするスロット 作品のあらすじ 異世界に存在する宝石の国・ジュエルピア。 今から約1000年前、ここでは大量に産出される宝石資源を奪い合う大規模な戦争があり、それを終結させるため、当時の錬金術師達団結してはキュアジュエルを作った。その力で人々は戦意を喪失し、戦争は終結、戦争によって発生した負のエネルギーはとある場所(=現在では流刑地になっている場所)に封印された。 そして、錬金術師達の女リーダーが初代女王となり、ジュエルピア王国が誕生。 それから時は流れ、現代、ジュエルピアの流刑地にある監獄から囚人達が脱獄。 彼らは1000年前の戦争で発生したマイナスエネルギーの封印された場所に偶然たどり着き、封印を解き、悪の軍団・マイナスを結成し、ジュエルピア本土を襲撃。ジュエリア女王の指揮の元、ジュエルピア兵団が戦い、勝利するが、兵団は相当な痛手を負い弱体化、マイナスメンバーは異世界に逃亡。 それから2年後、逃亡したどり着いた地球でマイナスはジュエルピアを滅ぼすため人々を苦しめてマイナスエネルギーを集める活動を開始。 弱体化した兵団では太刀打ちしきれない、そこで、ジュエリア女王は、初代ジュエルピア女王が死に際に残した「2つの世界に危機が迫りし時、12の誕生石の乙女の戦士・プリキュア現る」という予言に出てくるプリキュアを探すことに…。 登場人物 プリキュア 紅城みな/キュアルビー イメージCV 平野綾(涼宮ハルヒ) おてんばで少し気が強く、身勝手な奴を許しておけない正義感の強い性格の主人公。 宝石が大好きで、趣味はビーズアクセサリーを作ること(宝石の部分を天然石ビーズ、それ以外の部分をを普通のビーズで作る)。 両親は宝石店を経営していて、同店では天然石ビーズも扱っている。 将来の夢は宝石職人などと言った宝石関連の仕事に就くこと。 毛虫が大の苦手。 宝石に関する知識も豊富で、会話の中でも宝石用語や石言葉を多用するほか、「キラキラに~」「キラキラな~」なども口癖。 身長155cm 名乗りは『勇気と情熱の赤き宝石! キュアルビー!』 武器は「ルビースティック」 必殺技は「ルビーレーザー」(出力調節可能なレーザー光線) 勉強:D 運動:B 精神:S 器用:S スキル:ビーズアクセサリー作成・宝石に詳しい パワー:C ディフェンス:D スピード:C テクニック:A 戦闘タイプ:火力重視型 蒼沼なみ/キュアサファイア イメージCV 竹達彩奈 もう一人の主人公。みなの赤ん坊の頃からの幼なじみで、家も隣同士。 おっとりした性格。 宝石に限らず、キラキラしたものなら何でも好きで、自室では熱帯魚とニジイロクワガタを飼っていて、好物も寿司の光り物。そして自身の部屋のタンスにも玉虫の標本を入れている。 自身の母とみなの母は中学時代の同級生。宝石用語は多用しないが、みな同様、「キラキラに~」「キラキラな~」が口癖。 身長155cm 名乗りは『慈愛と誠実の青き宝石! キュアサファイア!』 武器は「サファイアスティック」 必殺技は「サファイアウォール」(防御だけでなく飛ばして相手にぶつけたり、空中に水平に張り、落として相手を押しつぶしたりすることで攻撃にも使用でき、同様に空中に水平に張って足場として使用可能。一度に出せるのは6枚まで。 勉強:C 運動:D 精神:S 器用:C スキル:生き物の飼育 パワー:C ディフェンス:S スピード:C テクニック:C 戦闘タイプ:防御重視型 翠が丘らん/キュアエメラルド イメージCV白石涼子 陽気で天然かつほぼ常にテンションの高い性格。 新体操をやっているため体は柔軟。 メンバーの中で一番小柄。 自身の身長が低いのを気にしていて、「チビ」とか「小さい」とか言われるのを嫌がっている。 兄が二人(20歳と高校2年生)いる。 身長143cm 名乗りは『希望と幸福の緑の宝石! キュアエメラルド!』 武器は「エメラルドリボン」 必殺技は「エメラルドスプラッシュ」(宝石状のエネルギー弾を打ち出す。「ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース」に登場する同名の技をモチーフとした。効果はほぼ同じ) 勉強:D 運動:S 精神:E 器用:S スキル:体が柔軟 パワー:E ディフェンス:D スピード:A テクニック:S 戦闘タイプ:トリッキー・アクロバティック型 黄原ねね/キュアトパーズ イメージCV豊崎愛生 みな達のクラスの委員長。 大人びており、真面目でしっかり者で慎重な性格。みな同様、正義感も強い。 弟と妹がいる(小学4年生の双子)。 メンバーの中で一番背が高い。 身長163㎝ 名乗りは『友情と潔白の黄色き宝石! キュアトパーズ!』 武器は「トパーズヨーヨー」 攻撃はトパーズヨーヨーを巨大化させて敵にぶつける。その威力は出力最大だと大地に15m級のクレーターを作るほど。 勉強:A 運動:A 精神:C 器用:A スキル:文武両道 パワー:S ディフェンス:A スピード:D テクニック:C 戦闘タイプ:パワー重視型 金沢せいら/キュアディアー イメージCV宍戸留美 穏やかでおとなしく、お淑やかな性格で無益な争いや暴力を好まないが、戦う勇気は十分にあるため、戦うことは問題ない。 家は喫茶店。 身長155㎝ 名乗りは『純潔と不屈の無色の宝石! キュアディアー!』 武器は「ダイヤレイピア」 必殺技は「ダイヤコーリングカッター」(エネルギーで作った刃のついたソーサーを投げる技。自分の意志で飛ぶ方向をコントロールできる) 勉強:B 運動:D 精神:A 器用:C スキル:コーヒー・ティーマスター パワー:E ディフェンス:A スピード:A テクニック:A 戦闘タイプ:斬撃・刺撃型 評価 S:誰にも負けない A:得意 B:やや得意 C:普通・平均レベル D:やや劣る E:劣る F:誰にも負けない(悪い意味で) 妖精 妖精は16世紀にスペイン人が南米で目撃したという額に赤い宝石状の器官を持つUMA・カーバンクルで、宝石の妖精です。 3匹がプリキュアのメインサポート役で3匹は兄妹。 語尾は全員「〜キラ」。名前は宝石用語に由来。 モースとカラットは双子ということでお互いを名前で呼びあっている設定。 モース イメージCV斉賀みつき 長男。カラットの双子の兄で、シャトーの年上の兄。 正義感と責任感が強い性格で、シャトーによく懐かれているカラットをうらやましがっている。 年齢は人間換算で14歳程度。 一人称は「僕」。 名前は宝石の硬さを示す「モース硬度」から。 ストーリー本編
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「ラブ、今度の日曜日買い物に行かない?」 「ごめんせつな、その日は大輔とデートなんだ。 ...なーんて、エイプリールフールでしたー。」 ちょっとせつな、何してるの? 何書いてるの?お世話になりましたって何? ちょっと、エイプリールフールだってば。 何で荷物まとめてるの? ねぇ、もしかしてエイプリルフール知らなかったっけ? えっとね、うそついてもいい日なの。 え?言っていい嘘とそうでない嘘がある? たはー私バカだからさ、その辺のさじ加減っていうの?全然解らなくて... って、ホホエミーナ来ちゃったじゃん! 冗談だってば!機嫌直してよせつな! あー、せつなが帰るって言うのは嘘だったんだ。 逆に騙されちゃったよ。失敗失敗。 あ、美希たん。よーし、今度は……。 「みーきたん」 「あら、ラブ。どうしたの?……さてはエイプリルフールだから嘘でもつきに…… 言っておくけど、あたしはラブに騙されたりなんかしないわよ?」 わ。さすが美希たん鋭い。手強そう……。 でも一応……。 「違う違う。あのね、ブッキーに相談されたんだけど、もう美希たんと別れたいんだって ……なーん……てウ……」 あれ?美希たんどうしたの? 肩がブルブル震えてるけど。唇ぎゅって噛み締めてるし……。 あ、なんか目がどんどん潤んでいくような……。 「う……く……ヒック……」 あーついに顔を覆って泣き出しちゃった……。 どうしよう……。 「あ、あはー。え、エイプリルフールでしたー」 あ……な、何?み、美希たんの周囲が歪んで見える。 も、もしかして相当怒ってらっしゃる?怒りのオーラ? 顔つきも美鬼たんモードに変わってるし……。 それになんでバッグを振りかぶって―――――……。 スパーン!!! あいたたた。 美希たんったら、バッグの角で殴るんだもの。 懲りずにいくよ! 「あらラブちゃん、いらっしゃい。どうしたの?」 「うん、実はね...せつなが美希たんと キスしてるとこ、見ちゃったんだ...」 「ええっ!そんな...」 「しかも、ぎゅーっと抱き合いながら」 「そうなの...」 「...なーんて、エイプリルフールでしたー!」 って、ブッキー何で上目遣いなの? そんなに下から寄られると、服のすき間から、その、 おぉぉ谷間くっきり、いやそうじゃなくて、えっ?何? これで私も気持ちを解放できる? 何の気持ち?どうしてあたしに寄ってくるの? 顔近い、顔近いよ!エイプリールフールだって! 知ってるでしょ!うそついてもいい日! 私の気持ちは嘘じゃないって何? はわわわわ、唇近いよ!くちびr...んんっ!んっ! んっ... ふあ……ブッキーの唇やーらかい……。 押し付けてくる身体もふわふわで……。 もう……抱きしめたくなっちゃうよ。 ぎゅ……。 あ、あれ?なんか背後から殺気が……。 「ラ~ブゥ……!!」 「何やってるのよ……!!」 ふぇ?こ、この声は!? 「せ、せつな!?美希たん!?」 「随分と熱いラブシーンね……覚悟は出来てるの?ラブ……」 「ブッキーの唇はあたしだけの物なんだから……」 い、いや違うんだって!二人とも!! こ、これはあたしが誘ったんじゃなくて、ブッキーが―――。 「ふぇ~ん!!ヒドイわ!ラブちゃん!!」 「え!?ぶ、ブッキー?」 「嫌がるわたしの唇を無理矢理奪うなんて……あんまりだわ……」 は、はあ? な、何言ってるのよブッキー。 キスはそっちの方から――――――。 「ラァ……!!」 「ブゥ……!!」 ちょ、ちょっと二人ともあたしの話を――――――!! ポカッ!バキッ!ボスッ!ドカッ! た、助け……て……。 「うふふ」 え?な、何でブッキー笑ってるの?ぺロッと舌まで出しちゃって。 「エイプリルフール、でした♪」 そ、それはあんまりだよ……ブッキー―――――……。
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「あれ?タルト。どうしてそんなところにいるの?」 庭の隅で少年にもらったパンを食べていたタルトは、その聞き慣れた声に、ぱっと顔を上げた。生垣の向こうに、こちらを覗き込んでいる少女の姿が見える。 日はもうとっぷりと暮れている。だから服装まではよくわからないが、彼女の髪は、門灯の光で銀色に輝いている。そのことに少し胸を痛めながらも、その声の様子が朝と同じく穏やかなのに気付いて、タルトは密かに安堵のため息を付いた。 「パッションはん!無事で良かったなぁ。サウラーと戦ってる間、気になって物陰から見とったんや。」 「そうだったの。心配かけてごめんなさい。あのあと偶然、桃園家にお世話になることになって・・・この時代でも。」 タルトは門の隙間からちょろりと外に出ると、少し伏し目がちなせつなの顔を覗き込み、目を細くしてニコリと笑った。 「知っとるで。実は家まで付いて行ったんや。あ、でも、さすがにあゆみはんに見られたらあかんやろか、と思って、中には入らんかったけどな。なんや、中学生のあゆみはんって、エラいキュートやなぁ!わっ、別に、普段がキュートやないって言うとるわけやないで。」 タルトのいつも通りの語り口に、せつなも少し、頬を緩める。 源吉の畳が自分たちのせいで被害を受けたと知り、手伝いを申し出たせつなだったが、今日はもう遅いから、という理由で、作業場に入るのは明日ということになった。そこでせつなは、夕食の後、急いでタルトの様子を見にやって来たのだった。 「ところで、どうして庭なんかにいるの?あの子は?」 そう言って小首をかしげるせつなに、タルトは少し心配そうな顔で、屋敷の方を振り返った。 「それなんやけどな。あの子のお父さんっちゅう人が、さっき戻って来たんや。こーんなでっかい車に送られてなぁ。それでわいも遠慮して出て来たんやけど・・・なんやあの子の方は、微妙な雰囲気やったで。お父さんがやっと帰って来たっちゅうのに、嬉しそうな顔ひとつせぇへんのや。」 せつなは、父の話をしたときの、何だか妙に寂しげだった少年の様子を思い出し、眉根を寄せた。 桃源まで、東へ五分 ( 第3章:一生懸命ということ ) 「そうかぁ。マシンの部品が、何かなくなっとるんか・・・。」 頼りなげな街灯のともる公園のベンチで、タルトがぼそりとつぶやく。 「まぁ、まだマシンがこの時代にあるっちゅうのは、ありがたいことやけどなあ。ナケワメーケを倒したときに、どこか壊れたんやろか。」 「それはないわ。現にこの時代までちゃんと来てるんだし。壊れたとしたら、この時代へ来てからね。おそらく、トラックの上に落っこちたとき。」 「やっぱりあんときかい・・・だとしたら、あの現場の近くにあると考えるんが普通やな。探しに行こか、パッションはん。」 タルトの言葉が、勢いを取り戻す。が、せつなはうつむいて、膝の上に重ねた自分の手をじっと見つめた。 「私・・・明日は源吉おじいさまのお手伝いをしたいの。私たちがこの時代に現れて、トラックの積み荷を滅茶苦茶にしちゃったでしょ?あれは、源吉おじいさまの畳だったのよ。」 「何やて?」 驚くタルトに、せつなは今日あゆみに聞いた一部始終を説明する。 「そうかぁ。そういうことなら、パッションはんはそっちを手伝ってや。探し物は、わい一人で何とかやってみるわ。」 「大丈夫?タルト。」 「任せときい!わいも、あんさんは源吉はんの手伝いをした方が、ええと思うわ。ひょっとしたら・・・」 「ひょっとしたら・・・なに?」 せつなが不思議そうに尋ねると、タルトはハッとしたように口をつぐんで、慌ててかぶりを振った。 「な、何でもないんや。とにかく、明日はそれぞれのやるべきことを、精一杯がんばるで!」 「タルトったら。どうしてそこで、私の台詞を取っちゃうわけ?」 クスリと笑ったせつなに、自分もにんまりと笑みを返しながら、タルトは心の中で呟く。 (ひょっとしたら、わいらがこの時代の歴史と関わってしまったことって、そのことなのかもしれへん。パッションはん、頼んだで。あんさんのその“精一杯”で、歴史の歪みを、元に戻してや。) 「よぉし、明日は張り切って、宝探しやぁ!」 タルトが思い切り拳を振り上げた時。暗がりから何かが近づいてくる気配を感じて、せつなが身構える。と、そこへ・・・。 「タルト、こんなところに居たのかぁ。宝探しって、何?」 ひょっこりと現れた少年の思わぬ言葉に、せつなは目を白黒させた。 (えーっと・・・これは、どういう未来の技術ってことにすればいいのかしら。) 必死で言い訳を考えるせつなに、 「おねえちゃん、お帰り。何かヒントになるもの、見つかった?マシンを暴走させた危ないヤツ、まだこの時代に居たの?」 少年が相変わらず、無邪気に質問を浴びせる。 「ちょ、ちょっとごめん!」 せつなは少年の言葉を遮ると、タルトの襟首を掴んで、脱兎のごとく少年のそばから離れた。 「タルト!一体どういうことよ。」 「す、すんまへん。わい、あの子の前でうっかりしゃべってしもたんや。家の中で、しばらく二人きりでテレビ見とったら、急に当たり前みたいな顔で話しかけてこられて・・・つい油断してな~。」 「全くもう・・・」 深いため息をつくせつなに、タルトも肩をすぼめる。 「せやけど、あの子あんまり驚かへんかったで。へぇ、やっぱりしゃべれるんだ、って喜んどったわ。」 「今朝、声が聞こえたとか言っていたから、ひょっとしたらと思っていたのかもね。まさか、正体まで明かしてないでしょうね。」 「そんなことしてへん!まぁ・・・イタチやないとは言うたけどな。この時代では、フェレットっちゅう動物は、あんまりメジャーやないんやな。」 「そこはどうでもいいんだけど・・・あの子にちゃんと口止めはしたの?」 「もちろんや。」 うなだれるタルトを前に、せつなはもう一度ため息をつくと、厳しい目でタルトの顔を覗き込んだ。 「いい?しゃべってしまったものは仕方ないけど、くれぐれも、あの子に余計なこと言わないで。私たちの時代のことを教えるなんて、論外よ。」 「わかっとるがな。」 「それから、私たちのこともむやみにしゃべらないで。私たちは、いずれは未来へ帰っていく通りすがり。それだけの存在でいなくちゃ。」 「う・・・自分の名前だけは、言ってもうたわ。」 「そう言えばさっき、呼ばれてたわね。全く・・・」 「えろうすんまへん。」 ひたすら小さく身を縮めるタルトの様子に、せつなはやれやれ、といった調子で、やっと少し表情を緩めた。 元居たベンチのところへ戻ってみると、少年はベンチに座って、長く伸びる街灯の影を、じっと見つめていた。そして二人がやって来たのに気付くと、ぽんとベンチから立ち上がり、せつなに向かってニヤッと笑って見せた。 「ごめんなさいね。タルトがあなたにしゃべったって聞いたから、びっくりしちゃって。」 「ああ、心配しないで。俺、タルトのこと誰かにしゃべったりしないからさ。それより、宝探しって何?」 せつなは少し考えてから、タイムマシンの部品が何か無くなっているらしいこと、この時代に最初に現れた橋の上を探してみようかと考えていたことを、かいつまんで話した。 「その部品って、どんな部品なの?」 「わからないわ。私はマシンの構造には詳しくないから。とにかく探してみるしかないと思う。」 「もしも見つかったら、どうするの?今マシンを持っているのは、その危ないヤツなんだろ?」 「まずは見つけることができたらの話だから、それから作戦を練るしかないわね。」 サウラーとの交渉――確かに一筋縄ではいかないだろうが、まずは一歩一歩足場を固めるしかないだろうと、せつなは思っていた。 それに、ただ元の時代に戻るだけでは駄目なのだ。もうひとつ、未来を元に戻すという、大きな仕事を成し遂げなければ。それこそ何の手掛かりもない、雲を掴むような話だが、こちらもとにかく、今出来ることをやるしかない。 「ふぅん・・・。」 そう言ったまま、なんとなく押し黙ってしまった少年の様子に、せつなは少し違和感を覚える。が、さっきのタルトの言葉を思い出して、ああ、と密かに頷いた。 「そう言えば、タルトに聞いたけど、お父さん帰って来たんだって?早く家に戻らなくていいの?」 せつなが優しい口調でそう問いかけると、 「別に・・・。俺が居ても居なくても、父さんは気にしやしないよ。」 少年のそっけない答えが返って来た。 「そんなこと無い。子供を気にしない親なんて、この世界には居ないと思うわ。」 思わず身を乗り出したせつなに、少年は今朝初めて会ったときの、ちょっと背伸びしたような表情を見せた。 「大丈夫だよ。俺だって小さなガキじゃないんだ。父さんには心配かけないように、うまくやってるからさ。」 さてこの話はもうおしまい、と言いたげな少年の様子に、せつなは密かに唇を噛む。 (そういうことじゃないんだけど・・・。) 何だろう。伝えたいことは確かにあるのに、うまく伝えられない。少年の心が、自分の心のすぐ近くにある気がするのに、すんなりと寄り添えない・・・。 せつなは、再びタルトを預かって家に帰っていく少年の後ろ姿を、もどかしい気持ちで見つめることしか出来なかった。 表に傷の付いた畳を作業台の上に据え付け、縁を留め付けた糸を手早く切っていく。縁を外し、畳表を丁寧に剥がすと、傷の無い床の部分を源吉の作業台のそばに立てかける。 迷いの無いその手元を、源吉はさっきから鋭い目で見つめていた。 (不思議な子だ・・・。) 最初は、畳を見るのすら初めてなのかと思えるほど、おっかなびっくり畳に触っていた彼女。だが、ひとたび作業の手順を教えると、その手つきは見る見るうちに確かなものへと変わっていった。 源吉は、これまで弟子を取ったことはない。仕事の仕方を人に教えたこともないし、自分だって、懇切丁寧に説明されて仕事を覚えたわけではない。 習うより慣れろ。技は見て盗め――徒弟制度の昔ながらの厳しい修行のやり方。それを知っているかのように、少女は真剣な面持ちで源吉の言葉足らずな説明を聞き、その指先を見つめて、いとも簡単にコツを掴んでしまう。 (記憶がねえと聞いているが・・・。) 一体今まで、どんな人生を歩んで来た子なのだろうと、源吉は内心舌を巻いていた。 せつなは、ただ無心で畳と向き合っていた。 まっすぐ丁寧に縫い込まれた糸にスッと刃を当て、縁と畳表を取り外す。職人の手で心を込めて作られた畳が、傷付けられた箇所を取り払われ、再び命が吹き込まれるのを待つ。 源吉は、せつなに言葉少なく指示を与えるだけで、ほとんど口をきかず、ただ黙々と手を動かしている。 夏だというのに、ひんやりと涼しい板の間。鼻をくすぐる爽やかないぐさの匂い。作業の物音しか聞こえない、しんと静まり返った空間――。 無駄口を叩かず、無駄な動きをせず、作業を効率的に進めていく様は、ラビリンスで何度も見たことがある。いや、ラビリンスの職場という職場が、そのような様相を呈していると言っても、過言ではない。 しかし、同じ静かな職場でも、この場の持つ雰囲気は、そんな無味乾燥なものとは正反対と言っていい。 作業場の至るところに、材料や道具の全てに、そして扱われている畳の全てに、源吉のあたたかな目配りが感じられる。源吉が作業場の全てのものを慈しみ、大切にしている様子が伝わってくる。 ここは単なる作業場ではなく、源吉にとっては聖域。自分のありったけの技と心を、畳に送り込む場所なのだ。それを肌で感じながら、そんな場所でお手伝いをさせてもらっていることを、せつなは心からありがたく、恐れ多いとさえ思った。 朝から懸命に作業を進めて来た甲斐があってか、あんなに山積みにされていた畳の解体作業も、夕方には全て完了した。あと残っているのは畳表や縁を縫いつける作業なので、さすがにそれは、せつなには手伝えない。 「いやぁ、お前さんに手伝ってもらって、本当に助かった。先方の希望には到底間に合わねえと諦めていたんだけどよ。お陰で何とかなりそうだ。ありがとうな。もうここはいいから、ゆっくりしてくれ。」 源吉は畳を縫う手を休めずにそう言うと、せつなに穏やかに笑いかけた。 「・・・もう少しだけ、ここに居てはいけませんか?」 せつなが遠慮がちに問いかける。 「そりゃ構わねえが・・・もう手伝ってもらうことは、特にねえぞ。」 「もし良かったら、ここでおじい・・・おじさまのお仕事を、少し見ていたいんですけど。」 「ああ、そりゃあもちろん構わねえよ。」 せつなは源吉の作業台の向こう側に、膝を抱えて座り込む。そして、源吉が畳を縫い上げていく力強い手さばきを、一心に見つめ始めた。 実はそれから十年と少し先。源吉の孫娘に生まれた幼いラブが、今のせつなと同じ場所に同じ格好で座り込み、目をキラキラさせながら源吉の仕事ぶりを眺めることになるのだが・・・せつなも源吉も、今はもちろん、そんなことは知らない。 「なんだかねぇ・・・。」 あゆみはテーブルに頬杖をついて、ぼんやりと宙を眺めていた。 目の前には数学の問題集。夏休みの宿題だ。しかし、開かれたページは真っ白で、さっきからちっともはかどっていない。 「あゆみ。今度は何?」 向かいの席に座って問題を解いていた尚子が、そのつぶやきを聞いて、顔を上げた。 「おじさんの畳は、何とか目処がつきそうなんでしょ?昨日のあの子がおじさんのお手伝いをしてくれてるって・・・」 「うん。とっても器用みたいで、お父さんも助かってるって。」 そう言ってまた、はぁっとため息。 あゆみの隣りで、問題集ならず爪を整えるのに夢中になっていたレミは、ひょいと首をすくめて、尚子と目を合わせた。 ここはレミの家のダイニング。このところ、三人は毎日のようにレミの家に集まっては、一緒に宿題をしたり、連れ立って遊びに出かけたりしていた。 これだけいつも一緒にいるのだ。ただでさえわかりやすいあゆみの気持ちは、レミと尚子の二人には、なんとなくわかる。 (ひょっとして今度は・・・あの「Kちゃん」のこと?) 「Kちゃん」とは、昨日あゆみたち三人を助けてくれた少女のことを指す、三人の間だけの呼び名だった。彼女が落としていった野球帽の内側に、マジックで「K.T」とイニシャルが書いてあるのをレミが見つけて、誰ともなしにそう呼び始めたのだ。帽子の方はあゆみが預かっていて、後で本人に渡そうと思っていた。 「もしかして、Kちゃんのことが気になるの?」 尚子の問いに、あゆみは素直に頷いた。 「うん。やっぱり彼女、なんだか寂しそうなのよね。」 「まあ、記憶が無いって言うんじゃあ、色々と不安に思うのも無理ないわよぉ。」 レミはそう言ってから、心なしか声のトーンを落としてこう続ける。 「ねえ、Kちゃんの髪・・・あれってやっぱり、何か相当苦労したとか、恐い目に遭ってああなったのかしら。ほら、よく聞くじゃない?とっても恐ろしい思いをした人が、一晩で白髪になっちゃうことがあるって話。」 「でも、あの髪はどう見たって白髪じゃなくて、銀色よ。レミちゃんの蒼い髪と一緒で、生まれつきなんじゃないの?」 あゆみが口を尖らせる。 「生まれつきって・・・あんな髪の色、見たことある?」 「確かに珍しいけど、居ないわけじゃないんじゃないの?現に、Kちゃんがそうなんだから。」 尚子が問題を解く手を休めもせずに、あっさりと言い放つ。 「尚子、それって理論的なようで、理論的で無いような・・・」 「レミに言われたくないわよ。」 何がそんなに問題なの?と言いたげな尚子の口調に、レミもしぶしぶといった調子で押し黙った。 「それより、あゆみ。寂しそうだと思うんなら、話をするなり、遊びに連れ出すなりすればいいじゃない。」 一段落ついたのか、尚子がカタンとシャーペンを置いて、うーん、と伸びをしてから言った。 「そうなんだけど・・・。なんか、深入りして欲しくないっていうか、出来れば放っておいて欲しいっていうか、そんな雰囲気を感じるのよね。」 「クスッ。フフッ、ハハハ・・・。」 「・・・尚ちゃん?何がおかしいの?」 突然笑い出した尚子に、あゆみが怪訝そうな、少し不機嫌そうな声で問いかける。尚子は微笑を浮かべたまま、いたずらっぽい目つきで、そんなあゆみを見返した。 「だって、あんまりあゆみらしくないこと言うんだもの。あの頃私に、あんなに親身におせっかいを焼いてくれた、あなたとはとても思えない。」 言われてあゆみは思い出す。あれは、中学一年生の三学期。四つ葉中学校に転校してきた尚子が、一月も経たないうちに、クラスから少々浮いた存在になってしまった頃のことを。 見た目の女の子らしい可愛らしさとは裏腹に、理路整然とした理屈を、ストレートに口にする論客。そのギャップがいけなかったのか、まだ親しい友人も出来ないうちに、級友たちの大半が、彼女を遠巻きにするようになっていった。 尚子自身、そういった状況を、あまり悲観的には受け止めていなかった。元々彼女の家は転勤家族で、尚子も小学校を四回替わっている。だから、学校ではやりたいことをやり、言いたいことを言い、またすぐ別れてしまう級友たちには何の期待もしない・・・そんな処世術を、彼女はいつの間にか身につけてしまったのだ。 別にいじめられるわけではない。誰も話しかけてこなくても、休み時間には教室で本を読んでいればいい――そう思っていた尚子だったが、あゆみだけは、他の級友たちとは違った。 いくらつっけんどんな言葉を浴びせても、そっけない態度を取っても、休み時間の度に、ニコニコと話しかけてくる。一緒にお昼を食べようと誘いに来る。彼女につられて、幼なじみだというレミまでも、尚子の元に頻繁にやってくるようになった。 そして決定的だったのが、ある雨の日の放課後。学校帰りの空き地で怪我をしている子猫を見つけ、どうしたらいいかとうろたえていた尚子と一緒に、あゆみは寒空の下、動物病院を探して駆け回ってくれた。結局、商店街から少し奥まったところにある山吹動物病院を見つけて、子猫は一命をとりとめた。 その日から、あゆみと尚子は、本当の意味での友達になった。今ではレミも含めた三人がいつも一緒にいるのは、級友たちにとっても、ごく当たり前の光景だ。 「私ね、あゆみ。」 真面目な表情に戻った尚子は、じっとあゆみの目を見つめて言った。 「あの頃、あゆみやレミが話しかけてくれても、無愛想な返事しかできなかったけど、本当は凄く嬉しかったのよ。放っておいてなんて口では言っても、独りっていうのは、やっぱり寂しいから・・・。何か事情があるのかもしれないけど、あの子も本当は、独りでいたくはないんじゃないかな。」 尚子の目を見つめ返すあゆみの顔に、ゆっくりと笑みが浮かぶ。 「あ~あ、珍しく尚子が素直だから、喉渇いちゃったぁ。二人とも、麦茶飲むわよね?」 レミがガタンと乱暴に椅子を引いて立ち上がり、二人から顔をそむけて、冷蔵庫へ向かう。きっと、その目にうっすらと光る涙を隠しているんだろうなと、あゆみは尚子と顔を見合わせて、クスクスと笑った。 「よぉし、今日の分はこれで終いだ。」 源吉が、出来たばかりの畳の縁を、そっと手でしごく。源吉の手元をずっと見つめ続けていたせつなは、その声にほぉっと息を吐き出して、肩の力を抜いた。 「ずいぶん熱心に見ていたな。畳作りは、面白いかい?」 「ええ。本当に一針一針、大事に作られているんですね。」 せつなに素直に頷かれて、源吉はとても嬉しそうに相好を崩した。 「そうとも。一針一針、ちゃあんと愛情を込めて一生懸命作りゃあ、使ってくれる人にも、想いが伝わるってもんだ。それに、お天道様にもな。」 「お天道様?」 不思議そうな顔をするせつなに、源吉は静かに頷く。 「何事もな。目立たなくったって、上手くいかなくったって、諦めずに頑張ってさえいりゃあ、お天道様は必ず見ていて下さる。今度のことだって、俺はもう駄目かと諦めかけたけどよ。そんなときに、お前さんという強力な助っ人が現れた。やっぱり、俺が毎日真心込めて畳を作っているのを、お天道様はちゃあんと見ていて下さったんだなぁと、そう思った。」 「い、いや、私は別に、お天道様とは何の関係も・・・」 「はぁっはっはっ!」 源吉は豪快な笑い声を上げると、うろたえて赤くなったせつなの顔を、優しく覗き込んだ。 「人と人との巡り合わせってことを言ってるのさ。俺にとっちゃあ、お前さんとの出会いは、まさに天の助けだったんだ。今までコツコツ頑張って来たご褒美に、お天道様が助けて下さったんだって、俺は思ってる。」 「私が・・・おじさまにとって?でも、私は・・・」 眉を曇らせてうつむいたせつなは、しばらく逡巡した後、意を決したように口を開いた。 「私はきっと、そんな褒められるような人間じゃないんです。お天道様に罰を当てられても仕方の無いような・・・。だから、私との出会いなんて・・・」 「本当に悪い人間はな。そんな風に、悩んだり苦しんだりしねえよ。」 低く深みのある声が、頭の上からやわらかく降ってきて、せつなは思わず顔を上げた。源吉の、あゆみに似た優しい鳶色の瞳が、目の前にあった。 「悩んで、苦しんで、それでも前へ進もうとあがくのが、真っ当に生きてくってことだ。そんな人間に、お天道様は罰なんか当てたりしねえ。むしろ、みんなが顔を上げて歩けるように、あったけえ光で照らして下さる。そのお陰で、俺たちは気が付きゃほんの少し、前へ進めてるんだ。だから、そんな風に思わなくていい。俺にとっちゃお前さんは、紛れもねえ、天の助けさ。」 「・・・・・・。」 嬉しさなのか、哀しさなのか、恥ずかしさなのか・・・自分でもよくわからない熱い塊が胸にこみ上げて、せつなは耳まで真っ赤になってうつむいた。源吉は、そんなせつなの様子を愛おしそうに見つめると、ぽんぽんと二回その頭を軽く叩いて、よっこらしょ、と立ち上がった。 「夕飯まで、まだ間があるだろう。後は片付けだけだから、家に戻ってな。」 「片付けなら、私も一緒に・・・」 そう言いかけたとき。作業場の引き戸の隙間から、そっと手招きしている小さな動物のような手が、せつなの目に飛び込んできた。 「パッションはん。大変やぁ!」 せつなが作業場から出てくるのを待ち構えて、タルトが慌てふためいた様子で駆け寄って来た。 「落ち着いて、タルト。ここじゃまずいわ。こっちに来て。」 人目につかない家の裏手にまわって、何があったのか、せつなは改めてタルトに説明を求める。 「今日は一日、あの橋の上やら周りやらで、マシンの部品を探しとったんや。そしたらさっき、サウラーが現れてな。」 「サウラーが!?タルト、見つかったの?」 「いや。わいはそのとき河原におったんで、向こうは気付かへんかったはずや。そのまま隠れてやり過ごそうって思ってたら、あの男の子がやって来たんや。 あの子はサウラーにすたすた近付いていって、何やら二人で話しとった。そのとき・・・あの子がなんか、小さな光るものを手に持っとったんや。」 「それって・・・まさか!」 驚きに目を見開くせつなに、タルトは力強く頷いて、はっきりとした口調で言った。 「タイムマシンの・・・部品やと思うわ。」 昨夜の公園で、少年に感じた違和感を、せつなは鮮明に思い出していた。あのとき、彼はもうマシンの部品を手に入れていたのかもしれない。もしかしたら、昨日の朝初めて会ったときには、そうとは知らず、あの河原で部品を拾った後だったのかもしれない。 (それを・・・私たちに黙っていたということは・・・) 「タルト!二人はその後、どうしたの!?」 「・・・街外れの、森の方へ歩いて行ったわ。」 聞くが早いか、せつなは全速力で走り出した。 「あら?あれ、Kちゃんじゃないのぉ?」 レミの家の前で帰宅の途につこうとしていたあゆみは、レミにそう言われて、慌てて後ろを振り返った。 道路の向こう側を、飛ぶように駆けていく少女が見える。 軽やかな足の運び。力強い意志を感じさせる、煌めくような瞳。夕陽を浴びて、銀色というよりはむしろ、金色に輝く髪・・・。 しなやかな獣のような美しいその姿にしばし見とれていたあゆみは、ハッとしたように、その後を追って走り出した。 「ちょっと、あゆみ!どこに行くのよ。」 尚子が慌ててその後を追う。 「えーっ!?ちょっとあなたたち。追いつこうなんて無理だってばぁ!」 レミの悲鳴を聞きながら、あゆみは次第に遠ざかっていく少女の背中を、懸命に追いかけていた。 せつなは、焦る気持ちを必死に押さえながら、日の暮れかかった商店街をひた走っていた。足元には、タルトがしっかり、彼女のペースに付いてきている。 何かとてつもなく、嫌な予感がする。少年の大人びて見える寂しげな瞳と、サウラーの氷のような瞳が、頭の中でぐるぐると回っている。 (間に合って・・・。今度こそ、あなたに伝えたいことを、精一杯伝えてみせるから!) 目指すは街外れに広がる森――この時代から二十五年後に、占い館と呼ばれる古い洋館が出現する、昼なお暗い、森の中だった。 ~第3章・終~ 新-859へ
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なあシフォン、聞いてくれるか。 今日の話やねんけどな。 兄弟から連絡があってな、またドーナツ食べ放題にしたるから 芸やって客集めてくれと。 ワイも男や。兄弟の頼みは二つ返事や。 そんで意気揚々と公園に向うたら、なぜかピーチはん、 パッションはん、ベリーはん、パインはんも居ててん。 何や、あたしらも手伝うからドーナツ食べ放題にさしてくれ言うて、 兄弟もノリノリで、じゃあ100人にさばいたら食べ放題にしたるわって。 そしたらまあ、やることがえげつないわ彼女ら。 ベリーはんがブルン呼んで、みんなに制服着せたってん。 ピーチはんはピンク、パッションはんは赤、ベリーはんは水色、 パインはんは黄色、それぞれの色と白のストライプで、 同じ色の帽子もかぶって、白のエプロンやねん。 めっちゃかわいいねん。 で、とどめが超ミニスカやねん! 四つ葉中の制服なんか比べものにならへんねん! それで客呼び込むもんやから、客がわらわら来ますねん。 パッションはんなんか礼儀正しいもんやから、 ドーナツ渡すときに深々と頭下げはんねん。 パンツ見えてるっちゅーねん。 男衆みんな背後に回ってるっちゅーねん。 そのうち、調子にのったピーチはんがはしゃいで みんなのスカートめくり始めましてん。 そこからはもう、みんなでスカートのめくりあいや。 え?シフォン何?パンツの色? あんさんも結構お好きでんなぁ。 ピーチはんはピンクで、パッションはんは白やってん。 ベリーはんは水色やってんけど、問題はパインはんや。 これがもう、ほんまに...ワイの口からは よう言えんくらい...その...ごっついやつで。 ピーチはんは鼻血出すし、パッションはんは精一杯 参考にするわなんて言うてはるし、ベリーはんは ブッキーこの後ウチにおいでなんて誘ってはるし、 えらいことになりましてん。 まぁこうして、100人どころやないくらいの客さばいて、 めでたくドーナツ食べ放題になってんけど、 彼女らは着替えもせんと、みんなでベリーはんの家に 行きましてん。何や女同士の大事な話があるっちゅうて、 ワイだけ先に家に返されましてん。 ...そうやなシフォン。 ピーチはんもパッションはんも遅いなあ。 今頃、違うもん食べ放題してるんちゃうか?
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暗い 怖い 誰か助けて……! 「っ……」 悲痛な嘆きに応える者はない。 だってそれは夢だから。 美希はのろのろと冷たいコンクリートの床から起き上がった。 薄暗い中正確に手を伸ばしてペットボトルを掴む。何の気まぐれか、イースが昨日置いていったものだ。 喉を潤すと、少しだけ気分も晴れるようだった。 (夢まで犯されるとか……) 夢の中に光はなかった。 ズキズキと痛む下腹部をさすりながら、壁にもたれかかる。今日はいつもより長く寝ていたかもしれない。 ここに時計はない。地下で外の様子を窺うこともできない。だからここにいるとき美希にとって時間というものはないに等しい。 唯一時間がわかるのはイースに連れられ上に行ったとき。 そのとき初めて、美希は一日を感じることができる。 太陽にさらされない肌は日増しに白く透明度を増す。 美希が見ることのできたのは、殆どが月だった。 コツ コツ……コツ…… 酷くゆっくりで、不規則な音だった。 コツ …………コツ 「おはよう。目覚めはいかが?」 朱い瞳を見た瞬間、美希は顔をしかめ俯く。それに怒るわけでもなく、イースは牢屋に一歩近づき彼女を見下ろした。 「何?自分の血の色でも思い出した?」 「うるさい……」 消え入りそうな声で美希が応える。 暫く美希を見下ろしていたイースは、かちゃりと鍵を開けた。 行くわよ と、ただ一言声をかける。 無言で美希は立ち上がった。 大きなベッドと少ない家具。 全く生活感のない部屋で唯一色を持っているのは、イースだけだった。 美希が床に座りベッドにもたれ掛かる。イースはベッドの上に寝転がり美希の髪を梳いたり、引っ張ったりといつもと違いぼーっとしているようだった。 「いたっ」 「ねぇ……」 ぐっと強めにイースが髪を引っ張った。美希は髪が絡まないようゆっくりと後ろを向く。 「純潔を女に奪われるってどんな気分?」 かぁっと美希の頬が朱くなる。昨日の事がフラッシュバックのように頭に過ぎった。 血に濡れたイースの細い指。 暗く微笑む彼女の瞳はきっと忘れることはない。 「大事なことなんでしょう?」 「……だから?」 上がって 甘えるような声に美希はとまどった。機嫌がいいのか何か企んでいるのか、イースは美希を自分の上に跨がらせる。 「占いは好き?」 「?……普通」 「へぇ、まぁそれぐらいが調度いいのかもね」 一つ美希のシャツのボタンを外す。 「最近毎日のように同じ女がお客で来ててね」 プチッ 二つ目を外す。 「この先の恋愛を占って欲しいって。分厚い眼鏡をかけてる暗そうな人。今付き合っている人と結婚してもいいのかって。相手がセックスを求めてくるけど結婚する人に純潔を捧げたいって」 プチッ 三つ目を外す。 「私は結婚すべき人じゃないって言ったの。でもね、結局彼女聞き入れなくて、やり逃げされたって泣いてきたわ。みっともなく鼻水たらして。ねぇ、私の占い信じる?」 「……半分」 「半分?」 探るような目つきでイースは笑う。イースにあまり体重をかけないように注意し、居心地の悪い思いをしながら美希は続ける。 「科学の発展してるラビリンスにいるあなたが占いを信じてるとは思えないし。水晶からオーラとか、何かが見えるような力もないと思う。でも、人を見る才能は優れてる気がする。見るっていうより観察する……かな」 「ふふっ」 ブチブチッ イースは残りのシャツのボタンを全て引きちぎった。 「それで?」 「あなたはその人が占いには来ているけど他人の言葉に耳を貸さないことに気づいた。だから自分に有益な情報を与えた。もし外れても彼女が結婚して幸せになれば、占いなんて信じないで終わるだけ。でも結婚できると言って外れたら、占いのせいにされるかもしれないから。商売がしにくくなるし」 「名推理だこと。でも少し違うわ」 シャツを脱がせ、自分も半身を起こし美希に顔を近づける。 「彼女には、女の魅力がないって言ったの。だから結婚できない、すべきじゃないって。相手はあなたを一生かけて抱かないって」 クスクスと美希の耳元で笑う。 「一人ぐらい壊しても問題ないもの。もっともプライドの高い彼女が人に言わないのもわかったけど」 「…………」 「案の定慌ててセックスして、やり逃げされた。哀れよねぇ。純潔を奪われて酷く落ち込んでた。初めての人だからその人のことを忘れることはないって」 イースは美希の細い腰に手を回す。 そして、彼女の顔を見て小さく安堵の表情を見せた。 それを悟られないようすぐさま不敵に笑う。 「泣いてるの?共感した?不本意に純潔を奪われたことに。でもあなたと彼女じゃ大きく違うわ」 「……やめて」 「あなたは望まぬ相手から奪われたのだから」 美希の瞳に涙が溢れる。 どれだけポーカーフェイスを装おうとしても涙は止まらない。 美希の中にイースが刻まれた。 その事実を受け入れなければいけないことが酷く悔しくて……悲しかった。 「あんたの泣き顔は飽きないわ」 イースは美希に口づける。舌を入れ美希のものを絡めとる。 右手を秘所にもっていくと、そこはまだ渇いていた。 ゆっくりと刺激を与えれば、だんだんと湿り気をおびる。 イースが唇を離したときには下からはくちゅくちゅと音がした。 「反応してるわよ。入れて欲しいの?」 「んっ……っ」 望まぬ快楽に反応する身体。 まだ中学生という幼さの残っていた美希を、イースは無理矢理開花させていく。 ひどく優しく表面だけを撫でるイースの指。シーツを握る美希の指がさらに強くなる。 美希 イースの声が耳に甘く入り込んでくる。 背中をなぞっていた指が軽く爪をたてる。 「………離し……て」 「何?」 「お願いだから……」 掠れた声で美希が囁いた。 。ズズッ……とイースの爪が美希の背中に朱い線をつける。痛みに呻く美希を、イースが楽しそうに眺める。 「私なしではいられなくしてあげる」 ぐちゅり 軽い抵抗を受けながらイースの指が美希の中に押し入る。 「私の指を締め上げようとしてるわ。気持ちいい?」 「あ、んっ、―――っ」 必死に声を押し殺す。反応する自分の声が忌ま忌ましい。 声を出さなければ聞こえてくるのは粘液の音。 ピストン運動を繰り返すイースの指が中から愛液を掻き出そうとする。 ぐちゅぐちゅと頭に響く卑猥な音。イースの指が速くなり、彼女の声にも熱がこもる。 「あっ――――」 ぎゅううう とイースの指を締め上げる美希。 本来なら相手を果てさせ、終わりを導く機能。 しかし相手が果てぬなら、それは終わりなき行為。 自らの体力、精神を徐々に貪っていく。 イースが美希の胸に顔を埋める。僅かに開いた口で軽く甘噛みを繰り返す。 「イー、ス、っもう……あたし」 イースは指を再び動かす。 イッたばかりのけだるい身体にさらなる快楽が注ぎ込まれる。 身体に朱い痕が散らばる。モデルだからと痕がつかないよう気をつけていたあの頃が懐かしい。 時折歯をたてられる。それだけで身体が更なる刺激を求めだす。 「あーあ、モデルの身体がだいなし」 「あっ……お願……もう、やめて」 「もっともその身体と顔なら幾人もの男を虜にできるわよ」 美希の哀願にもイースの手は止まらない。 連日の疲れでとっくにキャパオーバーな美希の身体。抵抗の意思すら取ることができなくなる。 薄れゆく意識の中、美希の瞳にはイースが映される。 いい?あなたは私のものなの 逃げることも拒むことも許さない あなたは私のためだけに生きるの――――― 意識を手放し、崩れ落ちるようにベッドへ倒れ込んだ美希をイースは覗き込んだ。その顔には少しばかりの汗が浮かんでいる。 イースは美希から引き抜いた濡れた指を嘗め蜜を味わった。 「どんな状況なら、あなたは終わりを望むのかしら?」 聞こえないことがわかっていて、微かに色づく頬を優しく撫でて語りかける。 「監禁されたら?こんな風に凌辱されたら?」 焦れるように自身の服を脱ぎ捨てる。 そして美希の脚を少し持ち上げ自分の片脚と交差させた。 「でもね、終わりは望むものじゃなくて……訪れるものよ」 脚が乗っているだけとはいえ、いつもなら軽く感じる美希の身体が重い。 意識がないだけでこうも違うのかとイースは不思議に思った。 身体を前に移動し、彼女の秘所と自分のモノを触れ合わせる。ひくり、とイースの身体が震えた。 「忘れることはない……か」 それは誰に語りかけたものだったのか。 イースは自虐的に笑った。 少し腰を動かしただけで、くちゅくちゅと音がする。それは美希だけではなくイースも濡れている証。 「はっ……あ、んん、はぁ」 腰の動きが早くなり、擦れ合う音と抑えるつもりのない声が静かな部屋に響く。 ん……と小さく美希が唸った。起きる気配はない。 一気にラストスパートをかける。汗で顔についた髪も気にせず振り乱す。銀髪から美希のお腹に滴が落ちた。 駆け巡る快感に抗わず、イースは美希を欲望で濡らした。 彼女は愛玩具でしょ? いつかサウラーに言われた言葉。意識のない美希を見つめながら、イースは思い出して苦笑する。 「不確かなものほど、怖いものはないわ」 終わりも 始まりも 彼女の想いも。 ばさっと美希にシーツを被せると、イースは美希の着ていたシャツを羽織りベッドを離れた。 簡易キッチンでお湯を沸かし、紅茶の準備をする。 お湯の温度もミルクを入れるタイミングも、飲み方も。 「染みついてる……」 バシャ 飲みかけの紅茶を捨て、珈琲の準備を始める。乱暴にインスタント珈琲を作り、砂糖もミルクも入れず飲み始めた。 「まずい……」 それでも最後まで飲み干した。 閉め忘れたカーテン。窓の外から月明かりが入り込む。 「イー、ス……?」 足音に美希が気づき、ゆっくりと目を開ける。 今日は満月だった イースが窓に近づいてカーテンに手をかける。 朱い瞳が蒼の少女をとらえた。暗闇でイースがふっと笑う。 「朱い月は不吉だって」 「……知ってるわ」 終わりなき宴など存在しない。 終わりがあるから儚い。 「刹那……」 「どうしたの?」 美希が訝しがる。 彼女が偽りの姿の時の名前、『せつな』と口にしたから。イースは美希の頬に指をはわせる。 「あなたは一生逃げられないわ」 寒いのだろう、と美希は思った。 イースの手が少しだけ、震えていたから。 END
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暑い日差し。抜けるような青い空。そして、棚引く飛行機雲。 例年より少しだけ早い梅雨明け。 たっぷりの雨を吸収した草木が、強い日差しを浴びて生き生きと生え広がる。 柔らかい若葉が力強い緑に姿を変える。命輝く季節の到来だ。 「どうしたの、せつな? なんだか嬉しそうね」 「そうね。街全体が生き生きしてるみたいで、今日はいいことがあるような気がするの」 「天気がいいものね。この分なら今年は見られるかもしれないわね。七夕の星空を」 「七夕って?」 「はい、お待たせ。カオルちゃん特製、七夕ドーナツセットだよん」 「えっ? カオルちゃん、あたしたち頼んでないよ」 「いーのいーの。七夕なだけに棚ぼた。なんちゃって、ぐはっ」 「もう、ぼたもちじゃなくてドーナツでしょ。でも、中の穴が星形になってて面白いわね」 「外はちゃんと丸いのがいいね」 「見て、氷が星形になってる」 「いつもありがとう。カオルちゃん」 『いただきま~す』 わいわいお喋りしながら、カオルちゃんにご馳走になった。さっき中断された質問を口にする。 「ねえ、ラブ。七夕ってどんな日?」 「えーとね、――七夕はね」 「せつなって、妙に詳しかったり全然知らなかったりするわね」 「去年の今頃は、色々忙しかったよね」 「えーっと、うーんと――――ブッキー……お願い」 「はいはい。七夕はね、逸話を元にして生まれた五節句の一つなの」 それは古い中国のお話。 織女って天女と牽牛という牛飼いの青年が恋に落ち、結ばれて新しい生活を始めた。 ところが、もともとは働き者であった二人が、結婚したことによって浮かれて仕事をしなくな ってしまった。 それが天帝の怒りに触れ、天の川を隔てて別々に引き離されてしまう。 そして年に一度、七月七日のみ会うことが許されるようになったのだとか。 「今日は天の川を渡って二人が会える特別な日。それにちなんでお祝いしたり、お願い事をし たりする日なの」 「ずっと――許しもらえないままなのね」 「いや、せつな。これは本当のお話じゃなくて教訓を含んだ御伽噺だから」 「ええ、わかるけど、悲しいお話ね」 「そうだよね! あんまりだよ」 「ラブちゃんは忘れてたんじゃ……」 去年の今頃はまだイースだった。敵同士だった。四枚のカードを使っての命を懸けた死闘。 それも大事な記憶。大切な思い出の一つ。ようやく受け止めることができるようになってきた。 自分のせいで、去年はお祝いどころではなかっただろう。申し訳ない気持ちでいっぱいになる。 「せつなちゃんは、お願い事何にするの?」 「そうね。すぐには決められないわ」 「今夜は笹に短冊をつるしてお願い事をするの。考えておいた方がいいよ」 「あたしはね~」 「ラブのは聞かなくてもわかるわよ」 「口ぐせだものね。美希ちゃんはモデルで活躍かな。後は和ちゃんの健康とか」 「そうね。ブッキーは人と動物がもっと仲良くなれますように、よね。毎年だもの」 みんなの楽しそうなお話を聞いていて思う。本当に――この世界はお願い事が多い。 色々な行事や自然現象。何か理由を見つけてはお願い事をする。 幸せになりたい。幸せであってほしい。そんな想いが強いからだろう。だからこの世界には幸 せが満ちている。 くだらない、とは思わない。例え叶わなくても、想い、願うことには大きな意味がある。 人々の想いや願いを、翼に変えて戦った私達にはそれがよくわかった。 「せつなっ、今日はお買い物して帰ろう。七夕にぴったりの夕食思いついちゃった」 「そうね、私たちで作りましょう。美希、ブッキー。またね」 今日は――ううん、今日も精一杯楽しもうと思った。 織女と牽牛の再会を祝いながら。 大切な人と別れて暮らしている人達の再会を願いながら。 大きなお鍋にたっぷりのお湯。ぐつぐつ煮立ったらそうめんをほぐしながら―― 「待って、せつな。今夜は束のままで茹でるの。端っこを紐でしばってね」 「バラバラにならないように片側だけを縛るのね。わかったわ」 茹で上がったらすぐに流水で熱を取って氷に浸す。くくっている紐の部分を切り落としたら、 綺麗な束のそうめんが出来上がった。 広いお皿に束の形を崩さないように盛り付けていく。色取り取りの野菜とたっぷりの氷で飾り 付けたら完成だ。 そしてメインは鮎の塩焼き。香ばしい匂いが鼻をくすぐる。 「おとうさん、おかあさん、お待たせ! ラブとせつな特製の七夕スペシャルだよ」 「カオルちゃんのお店のメニューで思いついたらしいの。私は手伝っただけよ」 「これは綺麗だなあ」 「七夕をこんな風にお祝いにしちゃうのは始めてね。楽しくなっちゃう」 『いただきま~す』 型崩れしてないそうめんは天の川のイメージ。 スライスしたオクラは星の形。スティック状に切ったキュウリとニンジンが美しく彩る。 縦に長く切った焼きなすびと玉子焼き。流れるような盛り付けはせつなのセンスだ。 メインディッシュの鮎は代表的な川のお魚。そして健康的なタンパク質。見た目や意味だけで はなく、栄養のバランスも申し分ない。 もちろん味も美味しくてさっぱりしてて、大好評だった。 「お母さんのお願い事叶っちゃったわね」 「おかあさんのお願いって?」 「ラブの生まれた翌年の七夕にね、優しくて料理の上手な子に育ってほしいって書いたのよ」 「そんなこともあったね、料理ってところがおかあさんらしいなあ」 「だって、お料理は食べるのも作るのも大好きですもの」 楽しい家族の団欒。穏やかな気持ちで静かに聞いていたせつなを、あゆみが優しく抱き寄せた。 優しい手のひらから伝わる温もり。 大切な娘はあなたのことでもあるのよ。そう言っているのが感じられる。そっと目を閉じて体 を預けた。 「さあ、せつな。飾りつけ終わらせちゃおう」 「ええ、笹に結んでいけばいいのね」 おとうさんがもらってきてくれた笹に、折り紙で作っておいた飾りを付けていく。 あみかざりに、ふきながし、いちまいぼしに、ひしがたつづり。ちょうちんに――たんざく。 「後は短冊ね。これは――私は後にするわ。まだ決めてないの」 「たくさんありすぎて迷っちゃうとか?」 「どうかしらね。たくさんあるような。ひとつもないような」 願いはある、それは凄くたくさん。 私の願いは―――― チクリ――と胸が痛む。心の奥底から湧き上がる黒い感情。 それは寂しさ――それは乾き――それは欲望――それは渇望。 首を振って、その想いを飲み込んだ。得られる間は享受してもいい。だけど、自ら望むのはい けないことに思えた。 自ら望み、願えば、私にも罰が下るような気がした。 「せつな、お星様が綺麗だよ。あれが天の川かな」 「本当ね。どれが織姫と彦星なのかしら?」 「あれだよ。わかるかい、天の川の中心に大きく光る二つの星があるだろう」 「三つあるわ。おとうさん」 「あたしも三つに見えるよ」 「左の一つは白鳥座のデネブだ。織姫と彦星を加えて、夏の大三角形と呼ばれているんだ」 「天の川を挟む二つがそうなのね」 「上が織姫で、下が彦星よ、せっちゃん。織姫の方から会いにくると言われてるの」 幸せに溺れ、成すべきことを見失って処罰された二人。だけど、引き離され、胸を焦がしなが ら勤めに励む人生が正しいとも思えなかった。 今は――ゆっくり考えようと思う。そのための時間でもあるのだろう。 私は――間違えずに歩みたいと思う。今までが間違えだらけだったのだから。 「せつな、あたしは年に一度なんて嫌だからね。幸せは一緒にゲットするって決めてるんだよ」 「ええ――そうね。ずっと一緒に居られたらいいのにね」 こちらの気持ちを見透かしたかのようなラブの言葉。きっとラブは知っている。 私の迷いの――答えを。 それでも、自分で見つけなければならない気がした。 星空を見上げる。 どれが織姫と彦星か見失った。そう――織姫と彦星も無数の命の輝きの一つでしかない。 この世界には、ううん。色んな世界に無数の命があって、その全てが精一杯に輝き、幸せを求 めている。 なんだか、その全てがとても――愛しくなった。 「私の願い、決まったわ」 「えっ、なになに? あたしに見せて」 「恥ずかしいから嫌よ。見たらしばらく口きかないわよ」 「え~ひどいよ、せつなぁ」 「さっ、明日も学校よ。宿題と予習済ませるまで寝かさないんだから!」 「宿題だけでいいよ~。せつな、厳しいよ」 「「おとうさん、おかあさん、おやすみなさい」」 「おやすみなさい。ラブ、せっちゃん」 「おやすみ、夜更かしするんじゃないぞ」 ラブの手を引いて部屋に駆け上がっていくせつな。あゆみと圭太郎は嬉しそうに見送った。 少し前までは、誰かの手を自分から引いて行動するような子じゃなかった。 本当に、明るくなったと思う。 ラブとせつなの短冊を手ですくうようにして読んでみる。 七夕の短冊は、子の夢や願いを知る大事な意味もあった。 “みんなで幸せゲットできますように” ラブ “みんなの願いが叶いますように” せつな 「二人とも良い子だな。双子みたいに同じことお願いして」 「違う……同じじゃないわ。――せっちゃんのお願いには、自分の幸せが入っていないの」 あゆみの表情に、悲しそうな影が差し込む。 ずいぶん明るくなった。自分から楽しいことを求めていくようになった。 だけど――変わってないんだ。 必要なら、あの子はいつでも自分の幸せを手放すことが出来る。――全く、惜しむことも無く。 そんな――覚悟なんていらないのよ、せっちゃん。 人は誰だって、まず一番最初に自分を幸せにしなくちゃいけないの。 他の誰より、自分は自分の味方でなきゃいけないの。自分を愛してなきゃいけないの。 圭太郎があゆみの肩を抱いた。 「焦ることはない、僕らは家族だ。ゆっくり伝えて行こう。そして、僕らの願いは決まったな」 「ええ――そうね」 “二人の娘が、幸せになれますように” 圭太郎・あゆみ 風に吹かれて、せつなの短冊が大きく揺れた。 どうか“みんなの願いが叶いますように”そう言っているかのようだった。 11-244へ