約 3,213,093 件
https://w.atwiki.jp/fleshyuri/pages/190.html
この部屋は時間が止まっている。秒針すら動かない気がする。 頭の上で祈里の息遣いが荒くなる。せつなは舌の動きを速める。 祈里が甲高い声を上げ体を跳ねさせると、蜜がせつなの唇の端から溢れ、流れた。 「次は、せつなちゃんの番ね。」 祈里は自分の愛液で汚れたせつなの唇を指で拭うと、そのまま乳房に手を伸ばした。 「…ねえ、好きって言って?」 いつもなら、虚ろな瞳で心の籠らない台詞を繰り返すせつな。 しかし、せつなは祈里の手首を掴み、自分の胸を弄ぶ指を引き剥がした。 「……もう、止めましょう…」 せつなは顔を上げ、祈里の眼を真っ直ぐに見つめた。 あの日以来、せつなはラブの眼も祈里の眼も見られなくなっていた。 ラブに対しては後ろめたくて。祈里に対しては…… 見たく、なかったのだ。 親友だと思っていた少女が、自分の体を恣になぶっている。 その顔にどんな表情が浮かんでいるのか。 そんなものは、見たくなかった。 情事の最中の祈里をはっきり見るのは、これが初めてだ。 上気した頬に、熱っぽく潤んだ瞳。でも、その顔は相も変わらず 聖女のように清らかで…… とても同い年の少女に自分の秘所を舌で奉仕させ、達したばかりなどと思えない。 「……ふぅん、ラブちゃんに…」 バレてもいいんだ。そう続けようとすると…… 「…ラブに、話すわ。」 祈里は少し目を見開き、探るように問う。 「なんて?祈里に騙されて強姦されました…って? わたしの事、悪者にするんだ。」 あんなに感じて、何度もイッた癖に。そのあとも、ずっとラブちゃんを 裏切り続けた癖に。 祈里の言葉はいつも、一番せつなが言われたくない事を正確に突いてくる。 いつもなら、ここで項を垂れ、また人形のように祈里のおもちゃになるはずだった。 「そんなことは……、言わないわ。」 だってラブが哀しむもの。 恋人に裏切られ、しかもそれは親友が罠にかけたから。 そんな事を知ればラブはどんなにか傷付くだろう。 ラブ……その名前を聞いた途端、柔らかな微笑みを浮かべる祈里の瞳に すっと氷の膜が張るように醒めた光が宿る。 「じゃあ、なんて?どちらかが無理矢理手を出さないと、 こんな事にはならないでしょ? 誘惑されて、ついフラフラと?」 こんな時までラブの事しか頭にないせつなに祈里は苛立つ。 どうすれば、もっとせつなを追い詰められるのか… 「…じゃあ、わたし、せつなちゃんに誘惑されたって言っちゃおうかな? ラブちゃん、どっちを信じるかな。幼馴染みで親友のわたしと、 出会ってまだ一年と経ってない、しかも最初はラブちゃんを騙して 近づいたせつなちゃんと。」 それは、せつなだろう。と祈里には分かっている。 せつながどれだけラブを愛しているかは誰が見たって明らかなんだから。 事実なんて、どうでもいい。ただせつなの心を揺さぶる事が出来ればいいのだ。 「……ラブは、気付いてるわ。」 せつなは臆せず祈里を見つめ返す。 ……知ってる。祈里もとうに気付いていた。ラブが、サインを送ってきたから。 最初は左乳房の脇にあった。 次は右乳房の下に。そして内腿の付け根、足を広げなければ見えない場所に。 花弁のような、赤い痣。 普段は見えない、けれど、その体を愛でようとするものには、嫌でも目に付く場所に。 『これはあたしのモノ』、所有権を主張する、印。 それは、日を追うごとに増えていった。 祈里がせつなを抱いた、その翌日でも。 せつなが自分に体を開いたその日まで、夜はラブを受け入れている。 その事実は祈里をこれでもかと、打ちのめした。 祈里との情事があった日くらいは、気まずくてラブを寄せ付けられないのではないか。 そう、思ってたから。 だから、せつなをますます言葉でいたぶる。 『せつなちゃん、エッチね。一日に一人じゃ満足出来ないの?』 『淫乱って、せつなちゃんみたいな子の事いうのね。』 『本当は、まだ足りないんじゃないの?欲しいって言ってごらん。』 「ずいぶん自信、あるのね。許してもらえると思ってるの? 言い訳なんて出来ないと思うよ。」 いっそ、心配そうにすら聞こえる声で祈里は言う。 無駄に、傷付くだけよ……。 「……許してもらえなくても、いい。軽蔑されたって……」 せつなの声が震える。 「このまま、嘘を続けるよりは、いいもの。」 泣くのかな?そう思った。 でも涙はせつなの瞼の淵にとどまり、目をそらすことなく見つめている。 「……側にいるって決めたの。」 「どうやって?」 意地悪く、祈里は続ける。 「ラブちゃんが、顔も見たくないって言ったら?出ていって欲しいって。 せつなちゃん、あの家追い出されたら行くとこなんてないのよ?」 「惨めよね、せつなちゃん。泣いてすがるの?『捨てないで』って。 恥ずかしくない?」 「……惨めなんかじゃないわ。」 せつなの瞼から塞き止められなくなった涙が溢れる。 「恥ずかしくなんて、ないもの。祈里は、違うの?」 泣いて、すがって、それで好きな人の側にいられるなら、いくらでもそうする。 他に欲しいモノなんてないのだから。 どう思われたって構わない。 ラブがどう思おうと、好きなのはラブだけだから。 「…祈里のことは、好きよ。でも、ラブより好きになれる人なんていないの。」 祈里の神経がささくれ立つ。好き?馬鹿にしてるの? 「……ここまで来て、取り繕う事ないのに。」 これ以上嫌いになりたくない。せめてそう言えばいいのに。 嫌いなんて言ったら、わたしが傷付くとでも思ってるのかしら?今さら? 「そこまで、いい子ぶらなくてもいいのに。自分が何されてきたか分かってる?」 殺したいほど憎まれても仕方ない。その自覚はあるもの。 「………本当よ。不思議だけど。」 酷い、と何度も思った。 それでも、祈里を憎む気持ちは湧いてこない。 ただ悲しかった。祈里の気持ちが。 「………嘘つき。……わたしのこと、考えたことなんてないくせに。」 「もう……、ここにはこないわ。」 祈里の呟きには答えず、せつなは鈍い動きでボロボロの体を引き摺るように、 のろのろと身支度をする。 いつもの光景。 違うのは、目をそらしているのが、せつなではなく祈里だと言う事。 赤い光に包まれて、せつなの気配が消える。 薄暗い部屋に取り残された祈里に、もう微笑みは浮かんでいなかった。 3-644へ続く
https://w.atwiki.jp/fleshyuri/pages/1058.html
最近、美希ちゃんの態度が少し変わったみたい。ワンテンポ遅いっていうか、何か考え事をしてることが多いみたい。それと、目が合った時にそらすのが早くなった気もするの。 これが、わたしに対してだけだったら傷つくところだけど、ラブちゃん、せつなちゃんにも同じような状態だから――。何か困ってることがあるなら、わたしたちに話してくれてもいいのにな。 4人でいるときの雰囲気がおかしい。それぞれに様子見というか、探りあいの様相を呈している。 最初に変わったのが美希で、少しばかり反応が遅かったぐらいだったし、ただ調子が悪いのかと思っていた。しかし、それが続くようになると、次にブッキーが、続いてラブが、お互いの注視をはじめた。 会話に気をつかうせいか、気持ち間延びしたようにもなっている。私は元より、ラブたちの流れを眺めているところがあったから、何か変わったところはないと思う。 みきたんの態度がおかしくなるのはたまにあることだから、特に気にしていなかったんだ。ほっといても大抵のケースは、すぐ元に戻るんだよね。 けど今回は長引いていて、ブッキーも随分と気がかりになっているみたいでさ。せつなも心配な顔してるし、あたしの知らないところで何かあったのかねえ。そろそろ相談してくれてもいいんじゃないかな。 でも頑固だからなあ、美希。 思い返せば、ブッキーのアタシに対する態度は、そのように見えなくもない。でもあの子は恥ずかしがり屋、はにかみ屋だから、別に不思議に思うことはなかった。 でも身近なところで、ラブに対する態度とは違うことがわかった。それは、どことなく染まった表情だとか、目が合ったときの瞳だとか、から見てとれた。 美希ちゃんがこうなったのはいつからだったっけ。 そう、あの日、美希ちゃんとわたしの二人が先に、カオルちゃんのお店に来て、ラブちゃんとせつなちゃんを待っていた。私はその前の夜に、読書でついつい夜更かししたせいで、うたた寝をしていたみたい。気付くと、もう二人は来ていたけれど、わたしを起こさないように静かにしていたらしいの。 今思えば、あのときからだった気がする。美希ちゃんが変になったのは。 ブッキーは美希を、美希はラブを見ていることが多いと感じる。ラブは特にそういった印象はない。私は、同居もあって、結果的にラブを見ていることになるだろう。一足早く、美希の変化を気にしだしたのが、ブッキーなのも道理だ。ラブはふたりを見ていて疑問に思ったのだろう。 それともブッキー、本当は美希がこうなった原因を知っているのだろうか。ブッキーは結構、自分の感情を表に出そうとしないから、はじめのうちは知らない振りをしていただけ、なんてね。ラブは今回のことを、全く知らないから気にしているといった様子だ。 あたしは昔から、みきたんの妹みたいなものだった。きっと、危なっかしいあたしをほっとけなかったんだろう。実際お姉ちゃんだし、面倒見がよかったんだよね。今でもあたしを叱咤してくれることが多い。でもこれはあたしが、もっとしっかりしなきゃダメってことなんだよね。 私は、この世界の小説を読むようになって、これまで縁がなかったことを知った。そう、恋愛についてだ。 しかし、知れば知るほど、自分が異常に感じるようになった。どうやら、わたしの好意も、身の回りで向けられている好意を見る私の認識も、普通ではないものとして捉えられるものらしい。 私は異常だと思われたくない。ラブたちに迷惑をかけたくない。けれど、相反して想いは確かなものになる。そうきっと、もう好きになったから――。 きっと偶然だわ。意味が違うのよ。部分的にしか聞こえなかったってこと。発しなかった部分にもっと別の言葉があったの。 聞こえなければよかったのに。どうしたって意識してしまう。それまで別になんとも思ってなかった人に、告白されてから気になるようになったって話は、アタシも聞いたことがある。でもまさか、自分の身に降りかかろうとは。どうすることもできない。意識があって言われたものではないから、返事は必要ないし。 それにアタシが、好きなのは――。 あたしは知ってる.みんなの想いを. あたしは知らない.あたしの想いを. 美希ちゃん、美希ちゃんの好きな人、わたしは気付いてるよ。 でも美希ちゃん、わたしの好きな人、美希ちゃんは気付いてるのかな。 うたた寝するブッキーから零れた寝言が、美希の心に波紋を広げた。 美希ちゃん……好きなの―― Fin
https://w.atwiki.jp/fleshyuri/pages/440.html
―――幸せの一時はどうして過ぎ去ってしまうの――― 私はラブの愛を望んでいた。 けれど私は…ラブに……何も… 「嫌っ!私だけ…。一人だけなんて……」 間違いに気付いた。 私だけ幸せになっても嬉しくない。 いつも一緒に。 ずっと一緒に。 (勝手ね、私って) 望んでいた事をラブはしてくれただけなのに。 それに事足りず..... 「ラブも………気持ち…良く…」 恥ずかしくて言葉を濁す私。 臆病者。 許してね、ラブ。 ―――愛してる せつなの言葉に、あたしのカラダは過敏に反応する。 お腹の下が凄く熱くて。 (これが〝濡れる〟って事なのかな) 「カラダ、冷えちゃうね…」 そう言ってあたしはまた、せつなを抱きしめる。 恋しくて。 愛おしくて。 せつなの手で――――気持ちイイ事を..... でも…言えないよ。 だって 「あたし、女のコだから。」 恥ずかしくてせつなの顔は見れなかったけど、掴んだその手をそっと………招き入れて。 「ん....だ、…だめ……」 声………出ちゃうって思った。どんなにガマンしても。 大好きなコに触られてる。それもお互い裸で、指はあたしの一番大切な所を……。 再び、せつなはシャワーのレバーを降ろす。二人だけの世界を作るために。 ラブも自分と同じ女の子なんだ。気持ち良ければ感じる。哀れもない姿であろうとも。 甘味でとろけそうな蜜の味。 口に含んだまま、小振りな胸の頂点を舌先で虐める。 「んぁぁはぁ!!!せ、せつ…」 明るくて優しくて素直なラブが―――― ついさっきまで私を愛してくれていたラブ。 そんな彼女を………汚してしまっているかのように。 今の私に出来る事。 ―――それは 「我慢しなくても………いい…から。」 耳元でも聞こえないくらい小声で呟いて。 耳たぶを柔らかく噛みながら、ふっと息を吹きかける。 今にも崩れ落ちそうなラブを壁に押し付け、濃厚な口付けを交わす。 「くぅはっ.....」 「私だけのラブ。これからもずっと…」 「お…、おねが……い。ぅ、んっ!」 もう立ってるのも辛くて。 せつなの唇。息。胸。足。 あたしに触れてる全部が熱くて溶けてしまいそうだった。 次第に早まる指の動き。込み上げてくる欲情。 このまま朽ち果ててしまうのではないかと思う程の感情。 「―――ダメ!!!イっちゃ―――ぅう!」 「なって!気持ち良くなって!!私の―――私だけの―――ラブ!」 「ん―――イヤぁぁぁぁ!あぁぁぁ―――!!!!!」 快楽はこうも人のカラダを蝕むのか。 甘味と言うにはあまりにも危険すぎる果実。 14歳の少女に神が与えた――――運命。 出会えた事の喜び。 分かち合えた幸せ。 一人じゃない。いつも一緒。 そう… 二人なんだ。 「今度は……ベッドで…ね?」 「…えぇ。」 夢なら覚めないで。 だって、二人はずっと―――――愛し合っているから。 ~END~
https://w.atwiki.jp/fleshyuri/pages/786.html
祈里「この時期に運動会やるんだね。」 美希「アタシたちの頃は10月だったのに。」 空はあいにくの曇り空。 それでも子供たちは一生懸命、競技に・応援にと白熱している様子。 それを見守る親もまた、一心不乱に。まるで自分が参加しているかの如く。 美希「ほらっ!ガンバレ!!諦めちゃダメー!!!」 祈里(くすくす…。美希ちゃんママだね) 教育ママと呼ばれてそうなイメージ。そんな姿を想像した祈里。 自然と笑みがこぼれてしまう。 わたしは優しいおかあさんを目指そう。 でも、運動会や授業参観はおめかしをちゃんとしてね。 もちろん、黄色いフリルの付いたお気に入りのお洋服を着て。 いつになるのかな? それもまた楽しみだし、しあわせだよね? 美希「ブッキー?ちょっとブッキーってば」 祈里「あっ、なになに???」 日中のほんの一時。 通りすがりの少女たち。 ―――しあわせのかたち―――
https://w.atwiki.jp/fleshyuri/pages/204.html
「暑さ寒さもお彼岸までっていうけど、 イヤー今日は、涼しいを通り越して、寒いくらいだよ。」 「そうね、今日はちょっと肌寒いわね。」 あたしとせつなは、いつもお風呂上がりに ベランダに出て、おしゃべりしてる。 あたしは、あたしの話にうんうんとうなずくせつなの横顔や、 あいづちを打ってくれる少し低い声が大好きで、 ついつい長話をしてしまう。 でも、あたしとせつなは学校が同じで、登下校も一緒。 しかも、ダンス練習も一緒となれば、 あたしがせつなのことで知らない事、 せつながあたしのことで知らない事を見つけることの方が難しい。 あたしの話は、せつなだって知っていることがほとんどなのに、 それでも、嫌がりもせず、むしろ喜んで聞いてくれるのが嬉しい。 今日も話に熱が入りすぎたらしい。 気がつくと、せつなの肩は震えていた。 「もう部屋にもどろう」 そう言ってあたしは、せつなの右肩に右手を置き、肩を抱くようにすると、 せつなはあたしの右手に自分の左手を重ね、首をふるふると横に振る。 「ど、どうしたの?」 あたしは慌てて顔を覗き込むと、 あたしの肩口に顔をうずめ… 「も……、すこしこのままで…」 せつなが囁く。 寄り添う二人を見つめるのは、中天にかかる今宵の満月のみだった。 了 4-60同じ刻を感じて
https://w.atwiki.jp/fleshyuri/pages/441.html
美希「う~ん…」 せつな「美希、どうしたの?」 美希「最近、枝毛とかが多くて大変なのよ…はぁ…」 せつな「アルシンドになっちゃうわよ。気をつけないと。」 美希「えっ?アルシンド?」 せつな「ええ。アルシンドみたいな頭になるわ。」 美希「その前にアルシンドって誰?」 せつな「アルシンドはね、サッカーの選手でね… 熱弁中… という人なの…」 美希「へぇ……そうなんだ。」 せつな「だから気をつけてね。」 美希「わっ…分かったわ…ありがとうね。せつな」 せつな「友達なら当たり前よ♪」 終
https://w.atwiki.jp/fleshyuri/pages/454.html
せつな「・・・・・・」 美希 「・・・ん・・・」 せつな「・・・・・・」 美希 「んん・・・」 せつな「ふふっ」 美希 「・・・何よ」 せつな「美希、可愛い」 美希 「それはどうも」 せつな「何を怒ってるの?」 美希 「何も怒ってません」 せつな「綺麗、って言ってあげればよかった?」 美希 「そうですね」 せつな「可愛いから可愛いって言ってるの ふふ、もうほっぺたこんなに真っ赤」 美希 「(突っつくなって) んもう! 昨日顔をトマトみたいにしてた子に言われなくないって!」 せつな「・・・・・・」 美希 「・・・!! ちょっ・・・! こらっ!!」 7-279は二人の情事を描いてます(18禁閲覧注意)
https://w.atwiki.jp/fleshyuri/pages/136.html
小さな土鍋の中が、くつくつと煮えている。 卵を回し入れ、軽く混ぜる。 刻んだネギと海苔を散らす。 「これでいいですか?」 「バッチリよ。せつなちゃん上手じゃない」 めずらしくラブが熱を出したので、 お母さんに教えてもらって、卵雑炊を作った。 土鍋と器を盆にのせ、ラブの部屋に入る。 「ラブ、ご飯食べる?」 「うーん...あんまり食欲ないかな...」 「私が作ってみたんだけど...」 「えっ?嘘!今の嘘!あー何かお腹すいちゃったー!」 額に濡れタオルを乗せ、辛そうにしていた ラブの声が1オクターブ以上あがる。 「ふーふーして!」 起きる気配も見せず、きらきらした目で私を見る。 食べさせてもらう気満々だ。これが目的か。 「はいはい、わかったわ」 スプーンですくい、2、3度息を吹きかけてから ラブの口に運ぶ。 「んー、おいしいーん」 満面の笑みで、ラブが口をもぐもぐさせる。 この笑顔を見ていると、多少のわがままも 許せてしまう。 残暑も過ぎ、夜は過ごしやすくなった。 開けた窓の外から、小さく虫の声が聞こえている。 ゆっくりと、ラブにスプーンを運ぶ。 静かで、穏やかな時間。 「にははー、風邪ひいて良かった。 せつなの笑顔ひとり占めだよ」 「そんなこと言ってないで、早く治してね。 明日は一緒に洋服を見に行く約束でしょ。」 顔を上げ、部屋の鏡を見てみる。 鏡の中の私の顔は、あのときのラブの顔に よく似ていた。 ...... スタジアムの医務室で、私が目を覚ましたときに そこにあったラブの顔。 全てを受け止め、包み込んでくれるような その笑顔を見て、闇の底に封じ込めていた 私の本当の気持ちが、抑えきれないほどに 動き出すのを感じていた。 次の瞬間、闇が、心を縛る。 あの時の私は、ラブがくれた水を払いのけ、 医務室を飛び出し、自棄のように 最後のカードを天井に向けて放った。 死んでもいい。 どうなってもいい。 死ぬなんて嫌。 ラブとお別れなんて、嫌。 ふたつの思いが、音を立てて交錯する。 心に、体に、激痛が走る。 心の激痛は涙になり、 ナキサケーベの力は増大する。 増大した力は棘となり、 さらなる激痛として私に襲いかかる。 なすすべなく、蝕まれる。 そんな闇の底に、ラブは両手を拡げ、 再びあの笑顔で舞い降りてきてくれた。 ...... 風邪薬を飲ませ、電気を消して ベッドの横に座る。 布団の中に手を入れ、ラブの手を握る。 「寝るまで、こうしててあげる」 「うん。ありがと、せつな。」 薬が効いたのか、ほどなく ラブの規則正しい寝息が聞こえてきた。 薄闇の中、もう一度、鏡の中の私を見る。 大切な人を見つめるときって こんな表情になるんだね。 私は、しばらくラブの寝顔を見つめた後、 ラブの夢にこの想いが伝わるように、 こっそり口づけをした。 3-33はラブ視点です。どうぞ!
https://w.atwiki.jp/fleshyuri/pages/230.html
ラブ「せつな、愛してる…」 せつな「愛してるってどういう意味なの?」 ラブ「大好きってことだよ」 せつな「わかったわ」 ◇◇◇◇◇ 美希「せつな、髪が跳ねてるから直したげる。――――――はい、おしまい。完璧よ!」 せつな「ありがとう美希。愛してるわ」 美希「!?」(いきなりっ) ◇◇◇◇◇ 祈里「せつなちゃん、練習着がほつれてるよ!今直すね。――――――はいどうぞ!」 せつな「ありがとうブッキー、愛してるわ」 祈里「えッ」(やだ…) ◇◇◇◇◇ 美希&祈里「は~~…」 ラブ「どしたの?ふたりとも、ため息なんかついて」 せつな「遅くなってごめんなさい」 ラブ「せつなの好きなドーナツ、取っといたよ!」 せつな「ありがとうラブ、愛してるわ」 美希&祈里(誰でも言ってるの!?)
https://w.atwiki.jp/fleshyuri/pages/1147.html
「ねぇねぇ!コワイ話しようよ、コワイ話!」 「何よラブ、突然」 「まあ夏の風物詩だものね。いいんじゃないかな?」 「ふうぶつし……?」 「あ、えーと、お決まりみたいなものよ、せつなちゃん」 「お決まり……ルールみたいな物?こちらの世界にはおかしなルールがあるのね……あ、でも怖い話と言えば…」 「ななな何!?何かあったの、せつな!?」 「美希ちゃん…物凄く震えてるけど……」 「ええ……実はね、こないだの事なんだけど…部屋で寝てる時、ふと違和感を感じて目を覚ましたら、私以外には誰もいない筈なのに、人の気配がしたの……」 「えっ!?詳しく聞かせて聞かせて!」 「ブッキーってそういう話好きなんだー、ちょっと意外ー」 「……ね、ねえ、せつな、やっぱり止め……」 「気のせいだって思って、もう一度目を閉じたんだけど、開けていた窓から生ぬるい風が吹き込んで来て……」 「お、なんか本格的になって来たよー」 「う……うう……止める気は無いのね……」 「ワクワク…!」 「突然!!柔らかい何かが私に覆い被さって来たの!!」 「ひ!と、急に大きな声出さないでよ、せつな!!」 「あれー?いつも完璧な筈の美希たんが怖がってる~?もしかして~、今のでチビっちゃ…」 ゴン! 「…それから、何が何だか分からずに、まるで金縛りにあったみたいに身動きも出来ない私の身体に、ねっとりとその何かがまとわりついて来て…」 「ね、せ、せつな、お、お願いだから、も、もう違う話を―――」 「美希ちゃん、少し静かにして!!今からいいとこなんだから!!」 「ぶ、ブッキー…」 「やーい、美希たんブッキーに怒られたー♪」 「……」 ゴン!! 「……その何かは…最初は優しくパジャマの上から触れるだけだったのに…やがてその中にまで侵入してくると…そ、その…わ、私の身体を貪るかのように激しく……」 「あれ?何か話の内容が怖い話からズレて来てない?怪談というかワイ談というか…」 「それで!?それでせつなちゃんはどうだったの!?」 「…そこからはあまり覚えてないんだけど…恐怖と…そ、それと感じたような事もない、き、気持ち良さから気を失っちゃって…気がついたらパジャマも脱がされて裸同然のあられもない姿で、朝になってたのよ…」 「……なんか何があったか大体予測できたわよ…ラブ!」 ゴン!!! 「い、痛ー…な、何!?美希たんいきなり!?今度はあたし何も言ってないでしょ!?」 「何、じゃないわよ!単にアンタがせつなの部屋に忍び込んでイタズラしたって話じゃないの!!」 「は、はあ!?あ、あたしそんな事してないよ!!大体、イタズラしたきゃ普通にするもん!!」 「ラブ…それも威張れたような事じゃないわ……でも、確かにあれはラブじゃなかったと思う…ラブなら…そ、その…私が分からない筈ないもの…か、触る感触とか癖とかで……」 「ホラやっぱり~。それにあたしなら、朝になったりしても止めないもんね。美希たん謝ってよ!?」 「何偉そうに言ってるのよ!!アンタのそんな生々しい話なんかどうでもいいの!!……で、でも待って……ら、ラブじゃないとすると…や、やっぱり……」 「うふふ……」 「?ブッキー、どうして笑ってるの?私の話どこかおかしかった?」 「ううん!た、ただ、気持ち良かったか聞く訳にもいかなかったから安心……じゃなくて、わ、悪いお化けじゃなかったんじゃないかなって!最初は強張ってたせつなちゃんの身体から力が抜けていったから、そうじゃないかとは思って……こ、コホン。きっといいお化けさんだったのよ!!その人!!」 (ね、ねえ美希たん、これって……) (……道理で興味津々で聞いてたワケよね……あ、あたしは何より……) (あ、あたしもどんなお化けより……) 「もしかしたら…またそのお化けさん、せつなちゃんのところに来るかも……楽しみにしててね?」 ((ブッキーが怖い……!!)) おしまい。