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「ねえ、美希ちゃん?」 祈里は机の上にある雑誌をめくりながら、 片手に持つリンクルンの向こうの話し相手に尋ねた。 「なあに?」 「ラブちゃんと、せつなちゃん、あの後、どうなったと思う?」 「そうねえ……」 電話の向こうのから聞こえてくるのは、んー、一瞬考え込むような声。 「……別に何も起きなかった、かな」 「そうなの?」 やけに自信たっぷりに言い切る美希に、祈里が尋ね返す。 「ラブは行動力があるように見えて、 自分のことになると誰かに背中を押されないと踏み出せないところがあるし、 せつなは結構積極的だけど、アピールの仕方というか、 上手い迫り方?そういうの知らないでしょ? ……だから、何にもない、っていうのがアタシの分析」 「そっかぁ、美希ちゃんがそういうなら、その通りなのかな」 心底残念そうに呟く祈里。 「はあ……『キスを見せ付けて二人の仲を進展させてみよう作成』失敗っと…… ねえ美希ちゃん、次はどんな手で行く?」 「そうね……今度はダブルデート、なんてどう?」 「うん、いいね、それ。それでラブちゃんの背中、どーんって押してあげたりとか」 「せつなに相手のハートを射止める仕草を伝授してあげるとか?」 アハハ、と声を重ねて笑い声を上げる二人。 ひとしきり笑った後に、ところで、と美希が切り出す。 「それ、ちゃんとあたし達二人きりの時間もあるんでしょうね?」 「勿論!デートなんだから最後は二人っきりで……ね。 今度は誰も見てないところで、キスして欲しいし……」 「……言うようになったわよね、ブッキー」 返事に一瞬、沈黙が挟まれたことで 多分、美希が照れているのだと察する祈里。 (……美希ちゃんの照れ顔、可愛いのよね) それが電話越しで見えないのを残念に思いつつ、言葉を返す。 「えへへ、それは美希ちゃんのおかげだよ。 好きな人と気持ちが通じあえたことで、私、変わることが出来たんだと思う。 ……だから、ラブちゃんもせつなちゃんも、 私達みたいに上手くいって欲しいなって」 「……そうね」 美希から返ってくる声も、肯定。 二人にも幸せになって欲しい、その気持ちは共通のものだから。 「それでね、美希ちゃん、デートコースの設定、お願い出来るかな? 出来ればラブちゃん達の様子をこっそり見ながら、 ちゃーんと二人っきりで過ごせるのがいいな」 「……無茶言うわね、ブッキー。 でもまっかせなさい!オーダー通りの完璧なデートプラン、作ってみせるわ!」 自信たっぷりに応える美希の声。 彼女の好きな人はこんな時、絶対に期待を裏切らない。 二人と二人のダブルデート、楽しいものになるのは間違いなさそうだ。 だから、祈里の返事も決まっていた。 「うん、素敵なデートになるって、私、信じてる」
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ラブせつ1号館 40話保管 ラブせつ2号館 40話保管 ラブせつ3号館 40話保管 ラブせつ4号館 ラブせつ別館
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皆が寝静まった部屋。戦いの余韻で何となく眠れずにいたせつなは、おもむろにメールを打ちはじめた。 『寝た?』 『寝れないの。せつなも?』 文面を見てせつなは微笑んだ。可愛いわ…すぐに返信があるところが、やけに素直で。 せつなはトイレに立った振りをして個室でアカルンを起動する。 紅い光を浴びて、驚いた美希が叫ぶ。 「もう!びっくりするじゃない!」 嬉しさを隠しながら怒ったふりをする美希だったが、本当は逢いたかったので顔がにやけている。 「美希…何か顔がやらしいわよ」 「しし失礼ねっ!もーホント、モデル捕まえて何言うんだか…」 ぶつぶつ言っている美希を尻目に、無言で美希のベッドに入り込むせつな。 「ちょ、ちょっと!いきなり入ってこないでくれる?」 「だって…この部屋、沖縄に比べて寒いんだもの。美希の身体…あったかい」 フローリングで冷えた脚を美希の脚に絡め、せつなは彼女の腹部に頭をくっつけた。 「しょうがないわね…」 せつなの頭をいい子いい子しながら、美希は考える。 アタシ、ペースを完全に乱されてる…。全然完璧じゃない。なのに、それがこんなに嬉しいなんて。 「すーすー」 「ちょっ、せつな!?さすがに寝ちゃったらヤバイわよ!点呼もあるかもしれないし…起きなさいよ!」 「くっくっくっ…」 声を抑えながら笑うせつな。はめられたわ…悔しいっ! 「もう知らない!せっかくひとが心配してあげてるのに」 美希はプイっと背中を向けてしまった。 「ごめんなさい、怒らないで美希」 「イヤ!」 「…こっち向いてよ」 背を向けたままの美希を、せつなが抱きしめる。 「今日、来てくれて嬉しかった。それが言いたくて。怒らせるつもりなんて無かったの。…ごめんなさい、もう帰るわね」 「待って」 帰ろうとするせつなを、美希の上ずった声が遮る。 「アタシも言いたいコトが…あったかも」 「…なあに?」 「逢いに来てくれて…嬉しかったわ」 ハニカミながら美希はせつなの額にくちづけた。一瞬の出来事でせつなは呆然としている。 「黙ってないで何か言ったら?照れるじゃない!」 「…違うわ」 「え?」 「キスは…ここにするものよ」 ちゅっ 今度は美希が呆然とする番だった。 「じゃ、ね。おやすみなさい美希」 再び深紅の光が部屋を照らし、彼女は居なくなる。 「まったく…」 くちびるを指でなぞりながら、さっきの記憶を辿り、胸に刻みこむ。 あのコといると、振り回されっぱなし。 アタシ、完璧にはまってる。
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ラブ「もーすぐ七夕っ!」 美希「浴衣の季節よね」 祈里「夜空もきれいだしね」 せつな「花火、今年もやりましょ!」 あっと言う間の一年。 中学生最後の夏。思い出作りに余念が無いクローバー。 ラブ「また来年も一緒に」 美希「違うでしょ」 祈里「ずっと…」 せつな「四人でね」 光り輝く星空と少女たち。 夏はまだ、始まったばかり。 せつ「七夕と言えば織姫と彦星、でしょ?」 美希「1年に1度きりの逢瀬か…ロマンチックだけど、あたしには絶対無理!」 ブキ「こう見えて美希ちゃん、寂しがり屋さんだもんね」 美希「ま、まあね……(ブッキーにはバレバレね……なんか照れる)」 ラブ「せつな、アタシ達ってまさに今そんな感じだよね」 せつ「ちょっとラブ!失礼しちゃう!こんなに何回も会いに来てるじゃない」 ラブ「だって……!だって全然足りないよぉ!!」 せつ「……ラブぅ」 ラブ「せつなーーーッ」 むぎゅう!! 美希「ったく!アンタたちもう結婚しちゃいなさいよ」 ブキ「せつなちゃんこの前ね、ラビリンスの法律を同性結婚OKにしたんだって」 美希「!!!」 ブキ「わたし、美希ちゃんならウエディングドレスも着こなせるって信じてる……」 美希「ももも勿論よぉ!」 せつ「あーあ、しどろもどろじゃない」 美希「い、いーじゃない別に!!」 ラブ「こーゆーとこが美希たんの可愛いトコなんだよ。ね?ブッキー」 ブキ「うふふふ」
https://w.atwiki.jp/fleshyuri/pages/839.html
ザアァァァァァ―――――。 路面に叩きつける激しい雨粒。降り頻る夕立の中を駆ける夏期講習帰りの2人の少女。 ようやく雨宿り出来そうな店の軒下に飛び込み、乱れた呼吸を整える。 「たはー!参っちゃうよねぇ、いきなり降ってくるんだもの!」 「そうね・・・。」 あんなに晴れてたのにさぁ、と空を見上げながら恨めし気に呟くラブに応じながら、 せつなは取り出したハンカチで髪や腕を拭っている。 「まぁでも通り雨だと思うからさ、ちょっと待ってればすぐ止むよ!」 「だといいけど・・・。」 雨が止むまでの暫くの間、他愛もないお喋りをしながら時間を潰す事にした。 今日受けた講習の内容や進路の悩み等、進学を目前に控えたこの時期特有の 会話が続いて。 「・・・でさー。せつなは・・・。」 会話の途中で何気なくせつなの方を向くラブ。すると、視界に入ったせつなの姿に ラブの目が大きく見開かれる。 (えっ、ちょっと、ヤバいよせつな!) そこには、雨に濡れた所為で夏服が体に張り付き、胸の谷間やお臍が識別可能な程 素肌が透けてしまったせつなの姿。 走って来た事で、色白い肌はほのかに上気しており、それがより一層透け具合を 強調している。 また、髪先や顎を伝って落ちる水滴が何とも言えぬ艶かしさを醸し出していて。 せつなの一糸纏わぬ姿は幾度と無く目にしてきたものの、普段あまり露出が多い 格好を好まない彼女を良く知る身としては今の状態がとても新鮮に映り。 (わはー・・・。) まさに水も滴るいい女、という言葉を当て嵌めるのが適切なせつなの姿に、 ラブは声も無くただただ見入ってしまっていた。 「・・・どしたの?」 「あ・・・。」 急に会話が途切れたのを不自然に感じたのか、ラブの方を向くせつな。 固まってしまっているラブの視線を辿って己の姿をまじまじと見やり。 状況を把握したせつなの頬がかぁっ、と朱に染まる。 「・・・あのねぇ、ラブ。」 「ご、ごめん・・・。」 何も言わず見惚れていた事を詰問されると思い、ラブは謝罪の言葉を口にする。 しかし、返ってきたのは意外な言葉で。 「・・・私もそうだけど、ラブも結構酷い事になってるわよ?」 「へ?」 せつなにそう言われ、ラブは己を見やる。―――すると。 するとそこには、素肌はもとより胸を覆う薄桃色のブラジャーまで透けた悲惨な 姿があった訳で。 「―――――!!!」 声にならない声を上げて、ラブはその場にしゃがみ込んでしまい。 「なっ、何でもっと早く言ってくれないのよぉ!」 「それはこっちのセリフよ!」 「ふぇーん、こんな状態じゃ家に帰れないよぅ・・・。お願いせつなぁ、 アカルン使ってよぉ・・・。」 「馬鹿な事言わないで!家まであと少しなんだから、走って帰るわよ!」 「そんなぁー!」 ―――そして、夕立が上がった後。 先程を遥かに上回る勢いでクローバータウンストリートを駆けるラブとせつなの 姿があったそうな。
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公園の片隅に、一人の少女が立っている。 時折、腕にはめた時計を眺めては、辺りを見回している。誰かがその姿を見ていれば、待ち合わせをしていると 容易に想像が付いただろう。だが同時に、首を傾げるかもしれない。どうして、こんなところで、と。 公園の、片隅。誰も来ないような場所。しかも彼女が立っているのは、公衆トイレの前なのだから。 少女自身、早くここを立ち去りたいと思っているのだろう。そわそわと落ち着きが無い。 やがて、彼女に取って永遠にも感じられる程に長い時間の後。 「お待たせ――――美希」 かけられた声に、しかし、美希は顔をしかめる。その表情に、待ち焦がれていた人間が現れたことによる安堵や 喜びは無く、ただただ嫌悪ばかりが溢れていた。 それでも、声をかけた少女は、嬉しそうに微笑む――――その微笑みの中には、妖しくも暗い感情が透けて見えていたのだけれど。 「さ、見せて?」 主語を省いたのは、それでも美希には伝わると知っていたから。その言葉に、彼女は顔を屈辱に歪める。気の強い 少女がわずかに涙目になっている様を見ながら、少女は――――東せつなは催促をする。 「ほら、早く」 彼女の台詞に、美希は仕方なく、ロングスカートの裾をつまみ、ゆっくりと持ち上げる。露になる真っ白な膝、 太もも、そして――――秘所。彼女の髪の色と同じ濃い蒼色の恥毛が、吹く風を受けて微かに揺らぐ。 「ちゃんと、言いつけは守れたみたいね」 言いながらせつなは、美希の太ももをそっと撫でる。ビクッ、と美希は体を震わせるが、何も言わない。 下着を着けてくるな。 呼び出しと共にメールに書かれていた命令に、美希は愕然とした。だが、すぐに諦める。ある意味で、想定の範囲内 だったから。 もう何度、せつなに抱かれたか。彼女自身、わからない。 ことあるごとに、彼女は美希を呼び出す。呼び出して、その体をいたぶる。飽きるまで、あるいは美希が力尽きるまで。 徐々にエスカレートしていく要求に、何度、心が折れそうになったことだろう。もう許してと言いそうになっただろう。 それでも、美希は決して、負けなかった。 未だ嬌声は、口にしていない。体がどんなに熱くても、何度、絶頂を経験させられても、決して。 無論、それがせつなをさらに過激な行動に走らせているのだと、美希もわかっている。 それでも、負けるわけにはいかないのだ。ラブと、祈里の為に。 だからこそ、下着をはかないで街を歩き、ここまで来た。 そして感じたのは、いつも身に着けているものが無いことが、こんなにも心細く思えるのか、ということ。誰かに 気付かれるかもしれないと恐れおののき、そしてそんな心配をしなくてはならない自分が情けなくて、悔しかった。 今日もまた、辱められるのか。この少女に。 「さ、行きましょうか」 そんな彼女の葛藤をよそに、スカートの中から手を抜き出したせつなが歩き出す。 「どこに、行くの?」 低く、冷たい声で尋ねると、彼女は振り返りもせずに言った。 「いつも通り、私の部屋よ」 その答えに、美希はホッとする。このまま、街に出る等と言われるのではないかと思っていたから。もしもこんな 姿をしているところが見つかったら、どんな噂が立つか。 「ほら。早く」 苛立つようなせつなの声に、慌てて美希は彼女を追いかける。無駄に逆らう必要は無い。今はただ、虎視眈々と 逆転の機会を待てばいい――――思いながら、隣に並び、せつなの顔を見て、美希は。 息を、飲む。 思いつめたような、横顔。目の下に隈があるのは、眠れていないのだろうか。余裕の一つも感じられない少女の 様子に、美希は思う。 一体、彼女に、何があったというのだろうか。 Eas of Evanescence VI 女性同士の睦み合いは、異性のそれとは違う。男が果てれば終わりなのに対して、女性は幾度でも高ぶることが 出来ると云う。無論、普通ならば、元々少ない体力が削られていくから、限度というものはあるけれど。 だがせつなことイースと美希のそれは、普通ではなかった。 イースは、時の許す限り、何度も美希の体を貪った。幾度も幾度も美希を果てさせ、それでも飽き足らぬかのように、 責め続けた。それは彼女がラビリンスの兵士として育てられ、体を鍛えられていることもあったかもしれない。 だが一番の理由は、イース自身が達することが無いからだろう。 少女の体を支配しながらも、彼女は決して、美希に自分を触れさせない。 そのことが、美希には少し、意外だった。自分の言葉に従うように、と命令された時から、奉仕させられることも 覚悟していた。想像して、嫌悪感を抱いたけれど、逆らうことは出来ないだろうから、と。 だが、彼女の予想とは異なり、イースは一度もそれを求めてきたことは無かった。 感じていないわけではない。彼女が自分を責めている時に、その目が愛欲に曇っているのを、美希は何度も見て いる。それでも、イースは自分の体を高ぶらせることを、美希に命じたりはしなかった。 だからいつも美希を責めるばかり。その分、責めは苛烈なものになるのだけれど。 そして、今日もまた。 「――――――――っ!!」 唇を噛みながら、美希は体を跳ねさせる。シーツを掴んだ手が、ギュッと強く握り締められて。 何度も何度も、繰り返し襲い来る波。その度に口から溢れそうになる声を、彼女は何とか抑え込む。 「フフ。またイッちゃったの? 感じやすくなってきてるのね、美希の体」 そしてイースの笑い声に、腸が煮えくり返る程の苛立ちと、その言葉が事実だということに悔しさを覚える。 普段ならば。 そう。普段ならば、だ。今日のイースは、少しおかしかった。 「――――――――――――」 彼女は、何も言わなかった。いつものように陵辱を始めてから、ひと言も口にしていない。 そしていつもより、その責めが荒々しかった。いつもは強弱を付けながら胸を揉む手も、今日はまるで掴み取るか のよう。痛みすら覚えるその責めに、美希はさすがに悲鳴をあげてしまうが、それでも彼女は止めようとしない。 まるで抱くことよりも、美希を壊すことの方が目的のようにも感じられて。 それでも。 「――――っ!! ――――っ!!」 数え切れない程に肌を重ねたことで知られてしまった弱点を巧みに責められ、その粗暴とも言える扱いにすら、 彼女の体は反応してしまう。催淫効果のある香りを使わなくなって、もうだいぶ経つというのに、だ。 「――――――――――――」 だが、それにしても。 今日の彼女は、明らかに普段と違っていた。開発されてしまった美希の体、そのの許容範囲を越えて、責め続けて くる。 敏感過ぎる体をまさぐられても、嫌悪感すら抱かない。これまでのイースは、それをわかっていたからだろう、 美希が限界まで果てれば、少しの休みを挟んでいた。だが今日の彼女には、それすらない。 果てても、果てても。 波がひかぬ内から、責められて。 狂いそうになる。 それでも美希は、声を殺し、殺し続け。 その行為が、余計に自分の体力を削り、イースの嗜虐心をそそっているとわかっても、決してやめることなく。 結果、意識を保っていられる限界を越えて、暗い闇の世界へと沈み込んでしまったのだった。 それは、泥のような眠りだったのだろう。 目を覚ました時、美希は疲れが全く取れていないことをすぐに悟った。 だから、半分だけ目を開けて、辺りの様子を窺う。 眠い。とても、眠い。 今は、だから彼女の相手をしている余裕はない――――だから、もう一度。思いながら、重い瞼を下ろそうとした瞬間。 「うん、そうね。そう思うわ」 『でしょ? やっぱり、せつなもそう思うよね~』 耳に飛び込んできたのは、親友の声。電話の向こうにいるからだろうか、少しくぐもってはいるが、その声を聞き 間違う筈も無い。これは、ラブの声だ。 薄く目を開けて、もう一度、辺りを見回す。ぼんやりとしていたせいか、さっきは気付かなかったが、せつなが 椅子に座っていた。こちらに横顔を向けながら、電話を握っている。 『や~、やっぱりアタシ、せつなと話してると超タノシイ!! 幸せゲット、って感じだよ』 あまりに静かな部屋だから、だろうか。あるいは、ラブがはしゃいで大声になっているからというのもあるかも しれない。ともかく、携帯から漏れるラブの言葉が全部、耳に入ってきて。 何、お気楽なこと言ってるのよ。美希は横になったまま顔をしかめる。ラブ、貴方が話してる相手は、あたし達の 敵よ。イースなのよ。 思いながら、彼女の横顔に目を向けて、美希は。 「ふふ。そうね。私も、ラブと話してるの、とっても楽しいわ」 また、息を飲む。 せつなは。 穏やかに、笑っていた。微笑んでいた。 けれどそれは、とても悲しそうで、苦しそうで。 まるで、涙を我慢しているかのように見えて。 『あーっと、そろそろお母さんのお手伝いしなきゃ。それじゃあね、せつな』 「うん、わかったわ、ラブ」 見たことのない、彼女の顔。イースの面影を全く感じさせない程に、切なさに満ちていて。 声は、楽しそうなのに。その唇は、悲哀に満ちていて。 『あ、せつな』 「なに、ラブ?」 『へへへ――――大好きだよ、せつな』 その言葉を聞いた瞬間、彼女の目は、大きく見広げられて。口を何度も、開けて、閉めて。 何か、言いたそうな言葉がある筈なのに、それを我慢して。 最後に、ようやく彼女が答えた言葉は。 「ありがと、ラブ」 ただ、それだけだった。 そして通話が切れた後、せつなはぼんやりと手に持つ携帯を見下ろしている。 長い髪が、微かに流れ落ちて、横顔にかかり。 窓から差し込む夕焼けの光に、少女は赤く染まり。 美希の心が、震える。 敵の筈の、異世界ラビリンスから来た彼女が、まるで。 まるで。 弱い少女に、見えてしまったから。 5-566へ
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ラブ「雨ばっかでつまんないなー」 せつな「そう?私は好きよ」 ラブ「どうしてさー。遊びに行けないしダンス練習だって出来ないじゃん!」 せつな「ふふ。相変わらず子供なんだから。」 ラブ「へ?」 せつな「こうして二人っきりになれるじゃない。」 ラブ「あ…」
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「せつなとね、付き合うことになったの」 今まで本を読んでいた彼女がふいに顔をあげてそう言った。今日は暑いわねとでも言うように。だから私の頭はその言葉を処理することができなかった。 「へ?」 「告白したら返事もらえたの」 私は口に半分頬張っていたドーナツをぽとりと落とす。蒼い瞳がそのドーナツを追い、行儀が悪いわねと苦笑した。 私はハッとして表情を作る。 「びっくりしちゃった。美希ちゃんとせつなちゃんが付き合ってるなんて」 「うん。ずっと好きだったから」 「そうなんだ。いつから付き合ってるの?」 「3週間くらい前。ごめん……黙ってて」 「ううん、女の子同士だしそりゃあ、すぐすぐ言えないよね」 驚いて、でも味方だよと彼女を安心させるように言葉を紡ぐ。 スラスラと出てくる心にもない言葉たちに気づかず、彼女は照れ臭そうにありがとうと言った。 その笑顔に、私のどろどろと濁る心に少しだけ光が差し込んだ。 3週間前。 ああ この間二人で遊びに行った時にはもう恋人だったのか。 彼女が自身の趣味とは違うアクセサリーを見ていた時に気づくべきだっただろうか。 無理に決まってる。 あの時、彼女にゲーセンでぬいぐるみを取ってもらっただけで一日中幸せな気持ちだったのだから。 「やっぱり祈里とラブには言わなきゃって思って。昨日せつなと話してね、せつなはラブに伝えてると思う」 こういう時だけ「祈里」。それでも嬉しいと感じてしまう。 「電話で」 「ん?」 「昨日せつなちゃんと」 「ああ、せつな泊まったの」 きょとんと、私の質問の意図がわからない彼女が首を傾げた。慌てて私は話題を変える。 昨日の夜メールしてた時には、彼女の隣には黒髪の美少女がいて。私のメールの内容といえば、動物の話、学校の話、彼女を褒める内容。 滑稽過ぎて笑えてしまう。 「ラブちゃんも驚いてるかな」 「多分。あの……あたしたちその、まだキ、キス、しかしてないから」 私の先ほどの質問を誤解したらしい彼女は、クールな見た目とは裏腹に、吃ってそんなことを言い出した。彼女がそんな風にやるとツンデレに見えてしまうのは私だけだろうか。 「キス、したんだ」 「あ!?や、その、うん」 余計な情報を与えた彼女に、私はもう少しで阿呆と怒鳴るところだった。 「美希ちゃんってさ、初恋だよね?」 「あ、そうかも」 小さい頃からその容姿と大人びた物腰で告白されることが多かった彼女。誰一人として振り向かせたものはいないけれど。 その彼女を振り向かせ告白までさせる人が現れるとは。 「初恋って実らないって言うのにね」 悪戯っ子のように笑って嫌みに聞こえないように。彼女は案の定からかわれたと思い、もぅと頬を膨らませた。 「叶ったんだからいいの」 「せつなちゃんに女王様は扱えるかな」 「女王って誰よ」 そんな風に形容したけど、ほんとは女王様とは程遠い。 見た目はクールビューティで澄ましてみえるのに、蓋を開ければ、頑張り屋で優しくてフェミニスト。 完璧じゃないところが可愛くて仕方ない。 「もう。ブッキーも好きな人とかいたら応援するから」 「ほんと?」 「うん」 ありがとう そう言葉をかけて私は微笑む。 カランとコップの中の氷が小さく音をたてた。 「そろそろ、帰りましょう」 「そうだね」 彼女が立ち上がり鞄を手にした。私は立ち上がった瞬間よろけてしまう。思った以上に脚にきていた。 「わっ、大丈夫?」 ふわりと抱きとめられ、私はきゅっと制服を掴む。 「ブッキー、大丈夫?」 「ん、へーき」 俯き続ける私を彼女が覗こうとして………… んちゅ 「応援しなくていいから」 ドンッと身体を押して私は走る。 きっと彼女は呆然としているだろう。 好きだから ずっと好きだったから 「くっ、ひく、ばぁか……」 流れる涙を拭うことすら忘れて、私は走り続けた。 END
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「せつ……な……」 また、せつなを呼ぶ自分の声で目覚める。 時々見る、まったく同じ夢。 せつながあたしから離れて、遠くへ行ってしまう夢。 それは夢なんかじゃなかった。まごうことのない、現実。 あたしは確かにそれを受け入れたんだ。 お互いがんばろうねって、笑いもした。 けどそれは、ふり。受け入れた、ふり。 頭では理解していても、心では納得ができないでいる。 あたしはせつなを想う。夏になった今も、なお。 「ラブ、おはよ」 「おはよ、由美」 「放課後、昨日言ってたケーキ屋さんにみんなで行くの。七夕スペシャルパフェ。ラブも行くでしょ?」 「そうだね」 「蒼乃さんや山吹さんも誘う?」 「どーかな、ふたりとも忙しそうだから」 「そっか、残念だね」 予鈴を合図に、あたし達は席に着く。 あたしは授業に没頭する。 この春、著しく成績が下がって、お母さんは学校から呼び出しを受けた。 けど、お母さんは何も言わなかった。それが、かえって辛くて、あたしはお母さんに八つ当たりをした。 そんなあたしに、お母さんは言った。 「ラブ、せっちゃんの所に行きたいなら、構わないのよ」 「えっ……」 あたしは言葉を失った。 「ラブの気持ちくらいわかるわ。これでもあなたの母親だもの。 けど、約束して。いつかせっちゃんとまた会える日のために、自分を磨いておいてほしいの。 あなた達が再会した時、せっちゃんがもっとラブを好きになるように」 お母さん、ありがと。あたし、ちゃんとするよ。 いつか、せつなと一緒に居られるようなあたしになるために。 それからだ。あたしの成績はぐんぐん伸び、気づけば勉強が面白くなっていた。 せつなと暮らしていた頃の特訓で、基礎は叩き込まれていたらしい。 両親や先生だけでなく、美希たんやブッキーにも誉められた。 それでも、相変わらず夢は見た。 離ればなれになったばかりの頃は、毎晩のように見ていた夢。 回数こそ減ってはいたが、時々思い出したように定期的に見てしまう。 まるで彼女の居ない現実を、目の当たりにさせるかのように。 せつなの夢を見た日は、なかなか寝付けない。 朝の夢の残滓を引きずるように、ベッドの中で悶々とする。 せつなの声を、指を、舌を、あたしの身体は痛いくらいに覚えてる。 今夜もそうだった。 あたしは、パジャマにそっと触れる。 せつなのとおそろいの、ピンクのパジャマの中に、優しく手を差し入れた。 これは、せつなの指。 胸の突起を転がす。物足りない。唾で指を湿らせ、もう一度つまびいた。 これは、せつなの舌。 「ふ……」 愛しい人を思い出し、声がもれる。 胸への刺激は続けながら、もう片方の手を下着の中に差し入れる。 熱い潤いを感じ、塗り広げていく。中心に息づいた芯を、中指で左右に押しながら揺さぶる。 快感が全身に伝わってゆく。 「せつなっ!せつなあっ!」 何度も腰が跳ね上がり、あたしは果てた。 せつなを感じ、せつなをなぞる行為に夢中になった。 だから、気づかなかった。一瞬、赤い光が部屋を満たしたことに。 「はあ……はあ……」 まだ息の荒いあたしの脚に遠慮がちに触れる、誰かの細い指。 余韻に震えるあたしに生まれる、驚きと戸惑い。 その指は、ぴんと突っ張るように伸ばしていたあたしの脚を開く。 暗闇であたしの中心を探り当て、忍び込む。 馴染みのある感覚。この感じ、あたしのここは覚えてる。 愛しい指は、ノックするように抜き差しを繰り返した。 「ううっ、あん!あん!」 声を押し殺し、啼く。叫ぶ。大きくなる確信。沸き上がる歓喜。こぼれ落ち、シーツに染み込む涙。暗かった世界は、真っ白になった。 ぐったりしたあたしに、せつなはキスの雨を降らせる。 「帰ってくるなら連絡してよ……」 「恥ずかしいラブの姿を見たかったから」 「もう!」 「ふふ、驚かせた?ごめんなさい。けど連絡はできなくて。何故かメールも電話も繋がらないの。今、原因を調査中」 「今日は休暇?初めてだね、会いに来てくれるの」 「ええ。今日だけは絶対帰るって、行く前から決めてたから。ウエスターやサウラーも呆れてたけど」 せつなは楽しそうに笑った。 たくさん話した。せつなの仕事、ラビリンスの様子。 復興を最優先にするために、リンクルンを鍵のかかる場所にしまいこみ、その鍵をサウラーに管理してもらっていたこと。 復興が一段落し、いざリンクルンを取り出してみると、電話もメールもできなくなっていた。 けど、せつなはがんばれた。 七夕には帰る。あたしに会いに。そう決めていたから。 そして……。一人寝の夜のこと。あたしを想い、せつなもひとりで苦しんでいたんだ。 あたし達って、似た者同士なのかな。 「これからもっと忙しくなるの。でも、必ずまた来るわ」 「あたし、せつなが」 「待って。わたしに言わせて。いつか、いつか大人になって、ラブが自由にどこにでも行けるようになったら……ラビリンスに来てほしいの!」 「……」 「返事は?」 「……ずるい」 「何が?」 「あたしが先に言うつもりだったのになー。いつかラビリンスに、せつなの側に行かせてほしいって」 「ラブ……約束よ?」 「もちろん!せつなの側がいい。せつなの側じゃなきゃ、いやなの」 抱きしめたせつなから、想いがあふれてる。たぶん、あたしからも。 たとえ住む場所は離れてても、心は離れない。 誓いの口づけ。七夕の夜に、将来を誓い合う恋人たちのシルエット。 織姫と彦星も、きっと天の川から見てる。 あたしはこの夜を、一生忘れない。
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「おやすみなさい、ラブ」 部屋に戻りカーテンを閉める。電気を消す。 訪れる静かな暗闇。 かつては私の心の象徴だった闇も、今は、こんなに優しく温かい。 ラブが選んでくれたパジャマと枕。 おかあさんが干してくれたんだろう。布団がぽかぽか温かく良い匂いがする。 愛情に満ちた部屋。調度品の一つ一つが語りかけてくる。 ――幸せになりなさい――って。 名も無き少女時代、ただ震えて泣き叫ぶばかりの毎日。 私はここにいるわ。 誰か気がついて! 誰か私を――私を見て! ただ抱きしめて欲しかった。必要だと言って欲しかった。 ひとりきりで生きていくには、私の心は――弱すぎた。 どうしても必要なのに、手に入らないのなら、憎むしかないじゃい。 悲しくて、苦しくて、辛いのなら、考えるのをやめるしかないじゃない。 「我が名はイース! ラビリンス総統メビウス様が僕」 不安を忠誠に、寂しさを憎しみに変えて戦い続けた日々。 信じていた。いつか、きっと、お前が必要だって、そう言ってもらえると信じていた。 結局与えられたのは、凄まじい苦痛と、苦悩と、孤独なままの死。 アカルンがくれた新しい命と、そして知る本当の絶望。 何も持っていなかった私が、唯一持っていたもの。持っていたはずだったもの。 無垢な心と、人を愛する資格。それすら失ってしまったこと。 あるはずのない希望の光。その先にあなたが居た。 生きる資格も、優しくされる資格もない私に、溢れるばかりの愛情や喜びを与えてくれた。 ラブ、あなたが好き。 あなたに出会えてよかった。 とても感謝してるの。そして、愛しているわ。 「せつな、いいね?」 「ええ、もう大丈夫よ。何があっても後悔はしないから」 緊張した面持ちで話す私に微笑みかける。そんなに固くならなくてもいいよ。寂しさをまた一 つ埋めるだけだからって。 恥ずかしさに震えている、薄明かりに照らされたラブの裸身。 引き締まって張りがあって、生命力に満ち溢れていて。そして、美しかった。 ラブも怖いんだ。恥ずかしいんだ。そして不安なんだ。 本当に、こんなことをしていいのかって。 ラブの覚悟を感じる。 分かち合うつもりなんだ。私の寂しさも苦しみも。自分がこれから掴んでいく喜びも幸せも何 もかも。 一緒に生きていこうって。一緒に幸せを掴もうって。これはそのための儀式。 「せつな。綺麗だよ」 自分の容姿に興味を持ったことなんて無かった。でも今は感謝しよう。ラブにそう言ってもら える姿に生まれたことに。 優しさと思いやりに満ちた眼差しで見つめられる。体から力が抜け、ラブの体に吸い寄せられ る。 ラブの瞳が迫ってくる。均整の取れた美しい顔。ラブの匂いは太陽の香り。 おかしいわね、太陽に匂いなんてない、でもそう感じるの。 唇が触れ合う。それだけで体に電流が走る。 何度目かのキス。そこから伝わる想い。 愛してる――愛してる――大好きだよ――いっしょに幸せになろうねって。 ラブの舌が唇を割って入ってくる。そっと差し出した私の舌と絡み合う。繋がっていく。 二人の想いが溶けていく。 夢中になって求め合った。何かに急かされるように。足りない、足りない、まだ足りないのっ て。 互いの肌を頬でなぞる。滑らかさを確かめる。匂いに浸る。体温を感じあう。 指で、舌で、敏感な部分を刺激しあう。 「せつな。心臓の音、すごく激しくなってる。ドクン、ドクンって」 「ラブだってよ。ずっとこうして聞いていたいくらいに」 ラブの唇が私の胸の先を捉えた。吸って、歯で軽く転がして、もう片胸をつまんだり、爪で軽 く引っかいたりした。 「うっくっ、つぅぅ――――あっ、あっ、んん~~くぅぅ」 行き場の無い快楽が蓄積し、切なさと共に苦しみに変わる。その手前でラブは動きを止める。 荒れる呼吸を静めながら、今度は私が責める。同じように。優しく、奏でるように。 「あっ、いぃ、せつなっ、そこっ、うっ、あっ、あ、あっ」 精一杯膨らんだラブの小さな突起。唇で引っ張り、舌で嬲り、指で弾く。その都度、ラブの体 はしなり、仰け反り、悶える。 ラブの体はラブのもの。本来はラブが意識し、動かすもの。 今は私が動かしている。私の意志がラブの中に入りこんでいる。互いの意識が交じり合い、結 び合い、一つになる。 私の体はラブのもの。ラブの体は私のもの。 もっと繋がりたい。もっとくっつきたい。溶け合って一つになりたい。二度と寂しさなんて感 じないくらいに。 知識なんて無い。テクニックなんてあるはずもない。 でも互いに同じ年の女の子。感じた場所をすぐに相手の体に返す。伝え合う。 喘ぎ声が漏れる。体に眠る本能が呼び起こされる。夢中になって感じた。感じさせた。 もっと、もっとって。 空気は冷えているのに、体はどんどん熱を帯びる。その熱を奪い合うかのように激しく求め合 った。 まるで――そう。まるで、どっちが相手のことをより好きか――競い合っているみたいに。 ラブの真剣な視線に、一瞬我に返る。 「ねえ、せつな。あれから――自分で――した?」 「えっ、ええっ――――。そんなこと、しないわ」 この前教えてもらったこと。それは……自分ですること。 女の子の体は、刺激を繰り返すほどに敏感になっていく。感じやすくなって、昇り詰めやすく なるんだってこと。 でも、私はできなかった。自分の中の何かを汚してしまうような気がして。裏切ってしまうよ うな気がして……。 私の体はラブのもの。だから、ラブだけが自由にしていいんだって。 「しょうがないな、せつなってば」 「ごめんなさい……」 怒られてしゅんとなる。また迷惑をかけてしまったのかもしれない。一緒に感じようって約束 したのに。 「大丈夫だよ。だけど、荒療治するよ?」 「うっ、うん、頑張るわ」 ラブの体が私の体を滑るように下がっていく。ベッドから落ちるんじゃないかってくらいに。 「何をするの?」 「せつなの、大事なところにキスをするんだよ」 「えっ、嫌っ、ダメよっ! それはダメ、嫌っ、汚いもの!」 ラブが構わず舌をすべらせる。下腹部からあそこに向けて。 嫌悪感と恐怖感で気が変になりそうになる。 嫌っ――嫌っ!――やめてっ! 私がっ――私がラブを汚しちゃう! おへそから走った舌は、私の大事な部分を避けるようにふとももに下りていく。そこだって、 濡れていたはずだ……。 再び上がり、焦らすように、また下りていく。 羞恥で顔が、意識が真っ赤に染まる。頭を、体を振って懸命に逃げようとする。 ダメッ、やめてっ、それだけはダメッ。抵抗したい気持ちと、しちゃいけない義務感。 意識の葛藤とは裏腹に、期待を込めて秘部は蜜を溢れさせ、まだかまだかと待ち構える。 ついにラブが動いた。割れ目の下の部分から、溢れる蜜を吸い取るように動く。 丁寧に丁寧に舐めていく。 『つぅぅ――むぅぅ――いやっ! あっ、あっ、あん、あん、あん』 「柔らかいね、せつな。こんなに……柔らかいんだね、女の子のここって」 優しく、丁寧に、だけど容赦なく私を責める。指でぴっちり閉じたつぼみを開き、舌を差し入 れてくる。 与えられる快楽だけでも壮絶なのに、私のあそこがラブの口を汚している。そう考えると、罪 悪感が更に私を苦しめる。 「もうっ、もういいっ、やめて、ラブ。もういいの、もういいからっ」 私の嘆きに反応するように、さらにラブは激しく舌を動かした。割れ目の上に到達して包皮を めくり、核を舐めた。 上から下に。あるいは押し込むように。咥えるように。 全身に何かが走る。今まで感じてきた電流のような、そんな生優しいものじゃなくて。 真っ白な閃光。あるいは槍のような、巨大な何かが私を串刺しにする。 まぶたの裏が眩い光にあてられたかのようにチカチカする。 もう何をしているのか、何をうめいているのかも認識できない。 全身を溶かされて舐められてるような気がした。快楽と呼ぶには激しすぎる衝撃。 頭がおかしくなり自分が壊れてしまう気がした。 突然、上空に放り出されたような感覚に襲われる。次の瞬間には奈落の底に落下していく。 巨大な快楽の嵐の通過に、体が狂ったように痙攣し、あそこはビクンビクンと勝手に動いてい る。 「どうだった?」 ほんの一瞬だけど、意識を失っていたのかもしれない。気がついたら心配そうに私を見つめる ラブがいた。 「今のがね、イクってことだよ。ごめんね、無理させちゃって。びっくりしたよね」 優しくラブが私を抱き寄せてくる。私の髪を、頭を撫でてくれる。 「今夜はもう、このくらいにしておく?」 ラブの瞳に吸い込まれそうになる。優しい目。私の幸せへの願いに満ち溢れていた。 それに安心して、やっと状況が理解できた。 ラブは、イッたことのない私のために、あんなことをしてくれたんだ。 一緒に感じようって約束したのに。 「大丈夫よ、ラブ。まだ頑張れるわ。今度は一緒に、そう約束したもの」 「うん、そうだね、そうだったよね」 力の入らない体に鞭を打ってラブを愛でた。敏感になった肌がこすれあうだけで喘ぎ声がこぼ れる。 そしてラブが動いた! 自分のあそこを私のあそこにくっつけるようにして位置を合わせる。 お互いにまだほとんど生えてもいない。濡れてやわらかくなった剥き出しの粘膜がこすれあう。 胸の先が互いにぶつかり合い、倒しあい、固く尖る。 ひだがひだを割り、複雑な形の秘肉が刺激しあい、想像を絶する快楽を生み出した。 「うぅ、くぅぅ、いぃ、くぅ。ラブぅ、ダメっ、もうダメッ!」 「せつなっ、あん、あっ、あん、あっ、あっ、うぅ~~~~!」 何も考えられない。ただ迫り来る快楽に身を任せる。ただ一つ確かなこと、それは私がラブの 腕の中に居ること。 体が震える、自分の意志と関わらず。 来る! 快楽の槍に全身を突き上げられ、投げ出され、突き落とされる。 ハァ――ハァ――ハァ――ハァ 荒い呼吸が、静まり返った部屋に響き渡る。 でも、落ちた先にはラブがいた。いつだって側に居てくれる。私の――大好きな人。 ラブの体も震えていた。痙攣していた。お互いの震えを抑えるかのように、力の入らない体で 抱きしめあった。 「どう……だった、せつな。良かった?」 「馬鹿――――もう、疲れたわよ」 二人で笑いあった。そして、初めて肌を合わせた時のように、全身を寄せあって寝ることにし た。 心地よい疲れと充実感。愛しい人の火照った体に包まれた、これまでの人生で最も幸せな眠り だった。 「おはよう、せつなっ!」 「おはよう、ラブ」 手を繋いで登校した。肩や頬を寄せ合うことが多くなった。見つめあう時間が増えた。 これまでと少しだけ違った毎日の訪れ。 「どうしたのラブ、せつな。なんだか様子がおかしいわよ」 「いつも本当に仲が良いよね、うらやましくなっちゃう」 美希やブッキーにもからかわれた。本当のことはもちろん内緒だけど。 「ねえ、ラブ。私たちって恋人同士になったってことかしら?」 「そうだね。でも、せつなの思うように考えてくれたらいいんだよ」 「私の思うように?」 「愛し合ったと思ってくれてもいいし、いけない遊びだったと思ってもいいんだよ。 あたしの、あたしたちの想いを伝えあっただけ。せつなは何も失ってないんだからね!」 なら、私の答えは一つしかない。真っ直ぐ見つめて、言葉をつむいだ。 「私はラブが好き。愛してるわ。ずっと一緒に居たいの」 「あたしもせつなが好き。せつながいいんだ。もちろんずっと一緒だよ」 ラブの最高の笑顔を心に刻みながら思った。 私はもう寂しくない。 愛している。愛してくれる人がいる。 手を取りあって、生きて行きたいと思える人がいる。 本当にずっと――いっしょに居られたらいいのにね。 先のことはわからない。だから、今を精一杯生きよう。そして愛していこう。 私は心の中でそう誓った。 避2-176へ