約 3,177,134 件
https://w.atwiki.jp/freegamebr/pages/22.html
【寄生ジョーカー】 【D.】 【E.】 【カノウセイ】 【Gu-l】 【絶対的人狼】 【Ib】 【奥様は惨殺少女】
https://w.atwiki.jp/2982/pages/3.html
更新履歴 取得中です。 ここを編集
https://w.atwiki.jp/freegamebr/pages/36.html
【作品名】寄生ジョーカー 【DL先】なし 【参考動画】実況なし、ゆっくり実況 怖いのが苦手だと言う人はゆっくり実況の方がお勧めです(編集やらで怖さが減っているため) 各キャラ参戦時期 藤堂晴香 未登場 水瀬優 未登場 柏木翔子 未登場 国府千尋 未登場 葉山弘司 END12『自由』 茂木冴子 END12『自由』 松山那雄宏 不明
https://w.atwiki.jp/freegamebr/pages/38.html
【作品名】E. 【DL先】ここ 【参考動画】実況なし 各キャラ参戦時期 カイン=ガリアン 未登場 エキドナ=エニアック 未登場 ヨハン=ジューダス 本編死亡後 ベロニカ=ナンバーナイン 未登場 ミハエル=マクベイ 未登場
https://w.atwiki.jp/2982/pages/5.html
まとめサイト作成支援ツールについて @wikiにはまとめサイト作成を支援するツールがあります。 また、 #matome_list と入力することで、注目の掲示板が一覧表示されます。 利用例)#matome_listと入力すると下記のように表示されます #matome_list
https://w.atwiki.jp/freegamebr/pages/40.html
くそっ、誰も信用できない みんなして俺を殺そうとしている あの野郎だって優しそうな顔して自分のクラスメイトを 何のためらいもなく殺してきた だから俺はそいつを殺ったんだ そして気が付けば真っ黒な空間にいてなんか金髪の女が現れた ちっ、これもあいつの仕業かよ なんか殺しあえとか言ってたけど、俺は騙されねぇぞ どうせ怪物ばっか出して俺を殺すに決まってる そこまでして俺を殺したいのかよ そこまで言うならと俺はその女の首を絞めようとして…… 気がつくとヘリポートにいた 俺は周りを見ながらゆっくり歩く 余りにひらけ過ぎている 怪物はどこからか俺を見ていて舌なめずりをしていると言うのか ふと学生服を着た女が目に入る 彼女は一種の美しさをもっている黒くて長い髪をたなびかせながら 戸惑っている辺りを見渡している 心臓が高鳴った あの女…… あの金髪の女とは違うが…… あの女は……あの女は…… 人間? 近づこうとしてふと足をとめる もしかしたら戸惑っているふりをして 俺を油断させようとする怪物もいる可能性が…… いや、可能性ではない 確実に紛れ込んでいる あの女はそういう怪物に違いない くそっ、危うくだまされるところだった でもいずれあいつは俺に気が付く その時すぐ襲いかかるかもしれないし、 油断させたところで一気に襲いかかるかもしれん そうなったら俺に勝ち目は万に一つもない 幸いなことにあいつはまだ俺に気が付いてない しかし、逃げたところで勘付かれてしまう 得てして怪物は逃げる者には敏感なものだ ならば………油断している今のうちに…… 俺は一気に距離を詰め、肩に手をかけそいつを押し倒す 足音に気付いたあいつが俺を見る頃には既に手を首にかけていた 驚いた顔で動けなくなっているあいつの首にかけた手に力を込める 込める 痕が付くくらいに力を込める 込める……込める…… 青筋が付くくらいに力を込める あいつの美しい顔はどんどん恐怖へと崩れていき それと共に生気を失っていく やがて震えていた唇は動かなくなっていた はぁ……はぁ……怪物は………くたばったか まだ心臓が高鳴っている 何とか鼓動を落ち着かせようとして…… ……空腹を感じる ん?あの怪物の近くに なんとなくだが俺はそれを開ける なんか機械とかナイフとか…… いくらかの食料や水が入っていた … …… ……… いや、待て これは罠ではないのか きっとこれには毒が含まれてるに違いない でもこのまま食うものがなければ 力も出ねぇし、いずれ野垂れ死にだ 俺はいったいどうすりゃいいんだよ ん?いや、待て…… 目の前に立派な『食料』があるではないか さっきまで動いてたんだし毒なんて持ってるはずがない 念には念を入れそのナイフを服で拭った後、 俺はそいつの体にナイフを突き立て肉を割く 手始めに腕、太股の肉を割く 臍の中心にナイフを立て、 一気に引き裂く 複雑にうねり絡み合う小腸、 小腸と対称的に絡み合うことなく真っ直ぐな大腸、 肝臓、胃、膵臓 そして生きる者の核となる心臓と 何度も何度もナイフを突き立て切り分けていく 俺は死にたくない ……だから怪物を殺さなきゃいけない 俺は死にたくない ……だから力を出さないといけない 俺は死にたくない ……だから腹を満たさなきゃいけない 俺は死にたくない ……だから食べ物がなきゃいけない 俺は死にたくない ……だから食べ物を集めなければいけない 俺は死にたくない ……だから ………だから 肉を切り分けなければいけない そして切り分けた『食料』をそのバッグに放りこみ 影を伝いながら俺はヘリポートを後にした 【鈴木月絵@Gu-L 死亡】 【一日目/朝/F-3 ヘリポート】 【神林亜深@カノウセイ】 [状態]狂人、極度の疑心暗鬼、思考力低下 [装備] アーミーナイフ@現実 [所持品]鈴木月絵のデイバッグ(基本支給品)、切り分けた人肉 [思考・行動] 基本:誰も信じるもんか! 1:殺れる前に殺る 2:俺が狂ってる?そんなわけ無いだろ! [備考] ※疑心暗鬼END(誠死亡)からの参戦です ※殺し合いのルールを把握していません ※参加者全員が自分を殺しに来る怪物だと思い込んでいます ※地図や名簿は確認していません、というより確認する発想には至りません ※切り分けた人肉の量は後続の書き手にお任せします ※神林亜深のデイバッグ(基本支給品 ランダム支給品(1~3))がヘリポートに落ちています Mission Interfere 時系列順 裏切りの朝焼け Mission Interfere 投下順 裏切りの朝焼け START 鈴木月絵 GAME OVER START 神林亜深 [[]]
https://w.atwiki.jp/2982/pages/9.html
@wikiにはいくつかの便利なプラグインがあります。 アーカイブ コメント ニュース 人気商品一覧 動画(Youtube) 編集履歴 関連ブログ これ以外のプラグインについては@wikiガイドをご覧ください = http //atwiki.jp/guide/
https://w.atwiki.jp/freegamebr/pages/25.html
名前 投下数 代表作 ◆/V8bBq73EA 4 ◆FreeEP00/U 3 ◆wb/kX83B4. 1 ◆fRBHCfnGJI 1 ◆k3fZfnoU9U 1 ◆Wue.BM1z3Y 1
https://w.atwiki.jp/freegamebr/pages/37.html
【作品名】D. 【DL先】ここ 【参考動画】実況あり 各キャラ参戦時期 アベル ループ最中 セス=ケイオス 未登場 ニケ=ニィ 未登場 皿井戸菊 菊ルート、主人公失踪後~菊死亡までのどこか ローゼン=クランツ 未登場 キリエ・フューラー 未登場
https://w.atwiki.jp/freegamebr/pages/27.html
――――わたしの”夢”の話をしよう。 わたしはついこの間、美術館へと家族で行った。 確か、画家の名前はゲルテナ。 難しい漢字が多くて全部の作品の名前を覚えたりとかは出来なかったけれど、なかなか新鮮な経験が出来たな、と思っている。 おかあさんと。 おとうさんと。 そして、大事なもう1人の家族のメアリ―。 結局わたしは1人で美術館を回ってしまって、そのせいでおかあさんにはちょっぴり寂しい思いをさせてしまった。 たくさんの作品があった。 大きな、深海の光景を描いた絵画。 それよりもっと大きな、絵空事の光景を描いた絵画。 散っていく薔薇の花の彫刻。 どうやったらこんなアイデアが出るのだろうと、不思議に思ったりもした。 見ている人たちも、それぞれ違う感想を持ちながら真剣に作品の世界へと入り込んでいた――もちろん、比喩だけれど。 おかあさんやメアリ―と一緒に回っていたら、もしかするともっと作品の意味とかを深く知ることが出来たのかもしれない。 それはそれで、ちょっと残念だったなぁと思う。 あの何ともいえない雰囲気を、きっとわたしは一生忘れないだろう。 でも、分からないこともある。 自分でもどうしてこんなつまらないことで悩んでいるのか分からない。 なのに、わたしの頭の中で時―、不思議な世界が生まれるのだ。 それは、壁から突き出てくる手だった。 それは、絵画から上半身だけを突き出した女の人だった。 それは、首から上のないどこか無個性な彫刻だった。 わたしの夢だとは思うんだけど、我ながらすごい夢を見たものだ。 映画にして発表でもしてみたら、きっと結構な怖い映画に仕上がる。 そういうこともあってか、わたしはもう美術館にはあまり行きたくない。 行きたくない――のだけど。 わたしはどうしても、気になっていることがあるのだ。 もちろん夢の中の話だから、全部を正確に思い出すなんて出来ない。 ときどき、おもむろに頭の中に――そう、パズルのピ―スみたいに少しずつ怖い光景が蘇ってくる。 もう一つの美術館。 動く作品のさまよう美術館。 けれど、わたしはたまに、何かを忘れているような錯覚をする。 それはとても大切なことで、忘れちゃいけないことだといつも思う。 対応していないテレビのチャンネルに変えたときに画面に映る砂嵐のようなぐちゃぐちゃに紛れて、『誰か』の姿が見えるのだ。 1人は分かる。 1人は、メアリ―だ。 夢の中の彼女は恐ろしかった。 どこかの部屋に入った瞬間、あの明るくて人懐っこいメアリ―からは想像もできないような迫力で、襲いかかってくる映像。 だから、わたしはこの話をメアリ―にはしていなかったりする。 だって、自分が悪い存在になる夢なんて見たくないでしょ? …………ちがう。 ちがう、そうじゃなくて。 そうじゃないんだ。 そうじゃない。そうじゃ、ない。 夢の中のわたしは、赤い薔薇を持っていた。 花びらの数は五枚。 なら、夢の中でメアリ―が持っていたあの青い薔薇は? 彼女は花占いをしていた。 子供らしい、メアリ―らしい遊びだ。 なのにどうしてか、わたしにはそれを邪魔しなきゃいけないように思えてしまう。 そんな意地悪を、正しいと思ってしまう。 ――ちがう。 正しいとかじゃなくて、そうしなきゃいけないと思ってしまう。 そうしないと、わたしの大切ななにかが無くなるから。 失わないために、止めないといけないって、思ってしまう。 これが、わたしの見る夢の話だ。 わたしにはこの夢がなんなのか分からない。 寝ている時じゃなくて、昼間にも見える夢なんて聞いたことがない。 そしてわたしは――こんな時にも、その夢のことを考えている。 あの美術館の悪夢を、思い出している。 まるでアルバムでもめくるかのように、思い出している。 「――――……どうして?」 わたしが、いちばん分からないことを最後に言おう。 わたしはどうして――この夢を見ると、こんなに悲しくなるのか。 こんなにも切なくて、寂しくなるのか。 大切な大切なメアリ―のことより先に、どうしてあの悪夢を想うのか。 わたしの前で。 わたしの前で無惨に殺された。 わたしの前で無惨に殺されたおかあさん。 わたしの前で無惨に殺されたおかあさんとおとうさん。 大切な二人の家族のことを悲しむよりも先に想ったのは、あの悪夢のことだった。 それがいったいどうしてだか、わたしにはわからない。 わからないまま―――― わからないまま―――― わたしは、自分の手の中の青い薔薇をじっと見つめていた――――。 ◇ ◇ ――――わたしの”夢”の話をしよう。 わたしには、大好きな人がいる。 優しくて格好良くて、出会ったその時に人目で恋に落ちた人がいる。 最初の出会いは、中学校の入学式。入学式なのにいきなり盛大に転んでしまったところを、あの人が手を差し伸べてくれた。 それからいろいろあって、わたしたちは付き合うことになった。 幸せだった。 お母さんが死んでしまってから、初めて心から笑ったかもしれない。 たくさんの邪魔があった。 わたしの義姉となった1人の女が、いつだって理不尽な暴力でわたしを従わせてきた。 それでも、あの人を渡すことだけは出来なかった。 下僕同然の扱いばかりを強いられてきたわたしがあの女に反旗を翻したのは、紛れもなくあの時が初めてだったと言えると思う。 何度も何度も殴られて、何度も何度も蹴りつけられた。 地獄のような苦痛と天国のような甘い幸福が同居する、そんな毎日。 歪なバランスの上ではあったものの、確かにそれは成り立っていた。 ――――”あの日”までは。 あの日、わたしはただ一つ抱いた願いさえも踏みにじられた。 彼さえ居てくれるのなら、他のすべてがわたしを憎み、虐げ、痛めつけたって耐えられる、だから彼をわたしから奪わないで下さい。 ささやかな願いだった筈だ。 それさえもわたしには許されず、剥奪された。 あの人はわたしのところから消えた。 帰ってこない伴侶を待ち続けて、いつからか勿体ないので食事は最初から彼の分しか作らないようになっていった。 冷めたご飯を、彼が褒めてくれたご飯を、1人で食べる。 日に日に瞳は紅く紅く変化していった。 わたしの心を蝕む狂気と同じ色が、わたしを染めていった。これがすべてを染めきった時、わたしはきっと終わってしまう。 あの人を、あの女を、どちらも×してしまう。 だからわたしは最後に願った。 せめて最後だけは、愛するあの人との幸せなユメを―――。 そこにはすべてがあった。 一番幸せだった中学生の時のわたしと、愛するあの人との暮らし。 それでもあの女の呪縛はいつまでもあの人を縛り付けた。 それは帰宅後のやり取りだった。 それは夕暮れの観覧車だった。 それは――結婚記念日だった。 みゆき――――みゆきみゆきみゆきみゆきみゆきみゆきみゆきみゆきみゆきみゆきみゆきみゆきみゆきみゆきみゆきみゆきみゆきみゆきみゆきみゆきみゆきみゆきみゆきみゆきみゆきみゆきみゆきみゆきみゆきみゆきみゆきみゆきみゆきみゆきみゆきみゆきみゆきみゆきみゆきみゆきみゆきみゆきみゆきみゆきみゆきみゆきみゆきみゆき―――――――― その名前が出る度にわたしは彼を刺した。 真っ赤な湖の真ん中で、わたしは刃を振り下ろす。 殺し屋という職業は、熟練になると指先と脳が完全に切り離されて罪悪を感じなくなると聞いたことがある。 でもそれは嘘だった。 何度も何度も彼を×した。 ×しただけじゃだめだった。 もう一度幸せな夢を繰り返すためには、彼を『分け』なければならない。 切り分ける。何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も。切って、分ける。 それから、人類の禁忌を犯す。 愛する彼を食べる。 食べることで、わたしの一部とする。 そうしなければ、もう幸せな夢は戻らないから。 何度も繰り返した。 何度も彼を食べた。 カニバリズム――タヴ―を犯して。 終わらない螺旋をぐるりぐるりと回って廻って。 そしてその幻想の終わりは、あの人が持ってきてくれた。 「二度と――――浮気なんてしない、か」 いま、わたしは確かに此処にいる。 ここは夢じゃない。武器の入ったデイパックもちゃんとある。 質の悪い夢だったなら良かったのだけど。 しかし、わたしは不思議と穏やかだった。 以前のわたしなら、迷わず他人を殺していただろう。 ほんの一瞬さえ迷うことなく、愛するあの人の為に全員を斬って刺して叩いて潰して絞めて――― 「ううん、それはだめ」 ―――否定する。 わたしは否定する。 殺すのはもうやめだ。 あの夢の中で、わたしは数え切れないくらいの禁忌を犯した。 でも、これからは未来を見よう。 白く輝く未来の世界を。 わたしの物語はここから始まる。 ――――――未来への、白の目覚めから。 ◇ ◇ 白い女がいた。 長く艶やかな黒髪を伸ばしていて、服はそれとは対照的に白い。 その手には、いつも持っている銀の包丁はない。 彼女は不思議そうな表情で、何かを思うような表情で、一枚の肖像画をぼうっと見つめていた。 時を忘れる、という感覚を久―に味わったような気がする。 女の名前はさゆり。 さゆりのこれまでの人生で、思えばこうやって1人でゆっくりと美術品を鑑賞したことなどなかった。 その絵画の名前は――”忘れられた肖像”。 描かれているのは紫色の髪をした、男性の姿だった。 こういった肖像画など別に珍しいわけでもないし、それこそ学校で使った美術の教科書でも見ればいくらでも鑑賞できる。 だが、この絵にさゆりは見入っていた。 ”ゲルテナ”なる画家によって描かれたらしいこの作品から感じるのは、やはり底抜けに香る寂しさだ。 ただの肖像なのに、どうしてこんなに目が離せなくなるのか。 そう、理由付けをするなら、まるで魂が宿っているようだった。 絵の中にいる男性が偽りのそれに見えないというか、何というか。 絵画とはこんなにも魅力的なものだったろうかと考え直させるくらいには特別な意味を持っているような。 「……とと、こうしてもいられない」 さゆりは慌てて絵から離れる。 美術の可能性に気付かされた有意義な時間だったが、ここは殺し合い。 まさか呑気に美術展を見ていたら後ろから刺されてしまいました―、なんてことになったら笑い事では済まない。 彼女は1人では非力だ。 いやまあ、確かに夢の中での経験則がある程度頭の中にはある。 けれどもう誰かを殺したりするのは御免だったし、同じことを延―と繰り返していてはいつまでたっても未来へ進めない。 だからまずは、誰か参加者を捜すことにしたのだ。 初期地点の美術館の中を巡りつつ参加者を捜すことにしたのだが、いざこうして見ると、誰もいない美術館とはなかなかに不気味なものがあった。 下手なお化け屋敷なんかよりも、ずっと雰囲気がある。 (それにしても、凄い作品……どうやったら、こんなものが) 作者であるゲルテナという人物の才覚は、美術には精通していないさゆりでさえも十二分に感じ取れるほどのものだった。 床に広げられている”深海の世”といい、さっきの”忘れられた肖像”といい、いったい何をどうしたらこんな世界が考えつくのだろうか。 探索の傍らで作品に一通り目を通しながら、さゆりは人を捜す。 無事に帰ることができたら、あの人と美術館に行ってみるのも悪くないかなぁ――なんてことを考えながら。 幸せな光景を幻視しながら歩いていると、一枚の大きな絵画の前に出た。 大きい。 さっきの”深海の世”も大概だったが、これはまるで絨毯のようなサイズで、それでいて絵の全面にぎっしりとエネルギ―が詰まっている。 タイトルは”絵空事の世界”。 絵空事――確かに、そんな光景だ。 これは現実じゃない。 (けど、”絵空事の世界”から見たらこっちの世界だって”絵空事の世界”に見えているのかしら) なんだか哲学者の気分になってくる。 そんなことを考えているせいで、気付くのが少し遅れた。 絵の前で、1人の少女が俯いていた。 背丈は小さい。小学校中学年くらいだろうか――まだ子供のようだ。 なのにその佇まいはどこか大人びて見える。 なんと言えばいいのだろう。 そう、あれは”知っている”ような存在感。 彼女の二倍は確実に長い人生を生きているだろう自分であっても、未だ知らないだろう何かを知っている。 そういうものが、その少女にはあった。 「………っく、っ」 小さく嗚咽を漏らす少女の手には、一本の美しい薔薇が握られていた。 人間が苦悩の果てに作り出したといわれるその青き薔薇はとても美しく、この美術館に相応しい雰囲気を持ち合わせていた。 大事そうに薔薇を抱える少女へと、さゆりは駆け寄っていく。 見たところ怪我はしていないようだし、きっと殺し合いの重圧に耐えられなくなってしまったのだろう。 こういう悪質なやり方には、さゆりの宿敵である女の姿が重なる。 自分と夫・大志の幸せな日―を引き裂き、あまつさえ年端もいかない子供までも巻き込む主催者へ、さゆりは確かな怒りを抱いていた。 「……ねえ、大丈夫?」 なんと声をかけるべきか迷ったが、怖がらせないように努めて優しく、笑顔を浮かべて話しかけることがちゃんとできた。 すると少女は、三秒ほどの間を置いてさゆりへと振り向く。 嗚咽を漏らしてこそいたものの、大泣きをしていたというわけではなく、瞳から静かに液体を流している様子だった。 その表情は恐怖ではない。不安でもない。 悲しみだった。悲しみと寂しさが、彼女の瞳には同居していた。 (――……この子は) さゆりはこの目を知っている。 これは、あの頃の自分の目だ。 愛する人を奪われて、毎晩のように泣き続けていたあの頃の自分だ。 たかが十歳前後の少女がするには、あまりにも辛すぎる目。 思わず言葉を失っていると、少女は静かに口を開いた。 その声もまた、齢二桁に満たない少女のそれにしては落ち着いていた。 「おかあさんとおとうさんが、死んじゃったの」 「…………」 それはこの殺し合いの主催者に殺された、という意味だろう。 さゆりに用意された見せしめは見知らぬ男で、だから不謹慎ではあるがそれほど大きなショックを受けるようなことはなかった。 だが、この少女は大切な両親を目の前で殺されたのだ。 幼い彼女にとって、両親の死をまざまざと見せつけられる絶望感は一体どれほど大きなものだったろうか。 さゆりにも、覚えがある。 彼女の母親は、自分があることを願ったせいで死んだ。 首を吊って、自ら此の世から去った。 しかし少女は更に続ける。 「でも、分からない。 ――わたしは、おかあさんたちのことよりも、自分の夢のことを考えてる。それが分からない。この美術館に来た日から、おかしいの。 なにかすごく大切なことを忘れているような気がする」 ”夢”。 その単語はさゆりにとっても、決して覚えのない語ではない。 あの幸せだけを再現した幻想を思い出す。 結局、あの幻想の中で幸せになることは出来なかったけれど。 「夢はね、いつか醒めるものなのよ」 残酷なようだが、それが真実だ。 夢へと逃れ続けたところで、それは決して現実にはならない。 それをさゆりはよく知っている。 「……あれは、ゆめだったのかな、ほんとうに」 少女はぼうっと、手の中の青い薔薇を見て呟く。 十枚の花弁を持ったその薔薇は、とてもとても綺麗だった。 ◇ ◇ 「ごめんね、さゆり。その……変なこと言って」 少女の名前は、イヴというらしかった。 このゲルテナ美術展にも来たことが一度あって、それから時たま蘇る悪夢の欠片によって悩まされてきた――と彼女は語ってくれた。 美術館の作品が牙を剥いて襲ってくるだなんて、確かにそれはトラウマものの悪夢だ。 「ううん、いいの。で、え―と……メアリ―ちゃんだったっけ、イヴちゃんの家族の名前って」 イヴはもう大分落ち着きを取り戻していて、現在はさゆりと簡素ながら情報交換を行っているところだった。 イヴの姉妹である、メアリ―という少女。 主催者に受けた説明の中で、イヴはメアリ―もこの殺し合いへと招かれていることを告げられた。 あざ笑うようにして、告げられた。 目の前で両親を殺されただけでなく、その後すぐにもうたった1人しかいなくなった家族の存在まで告げられた。 主催者の悪辣なやり口も、ここまで来ると最早清―しくさえある。 怒りを通り越して明確な嫌悪を抱きながら、さゆりは参加者の名前が記された名簿を読んでいき――その名前を見つけた。 「……ある。残念だけど、メアリ―ちゃんもやっぱりいるみたい」 「…………――――」 イヴはさゆりの名簿をのぞき込んで、沈黙していた。 やはり、大人びていてもイヴは幼い。 親の死を受けても泣きわめいたりせずにいるだけでも立派というものだ。 続けて大事な家族の存在まで突きつけられて、ショックを受けたとしてもそれは責められることではなく、至極当然のこと。 どう言葉をかけるべきかさゆりが迷っていると、イヴはメアリ―ではなく、違う名前を凝視しているのに気付いた。 さゆりも彼女の視線を追ってみると、そこには四文字の、イヴやメアリ―と同じく外国人と見られる名前があった。 ”ギャリ―”。 「――――……わたし、この名前、知ってる……」 「え?」 ギャリ―。 その名前は、イヴにとって見知ったものではない筈だった。 にも関わらず、とても懐かしい名前。 「夢の中で……一緒にいた」 青い薔薇へと視線を落とす。 メアリ―は黄色い薔薇だった。 ギャリ―。その人物こそが、この青い薔薇の持ち主……! メアリ―によって散らされたこの薔薇の、本当の持ち主。 記憶がつながる。 虫食いだらけでまだ完全とは言い難いが、思い出せた。 どうして忘れていたのだろう。 一緒にあの怖い美術館の中を冒険したオカマ言葉の青年、ギャリ―。 どうして彼のことを忘れていたのかは分からない。 どうして彼の名前がここにあるのかも分からない。 もしかしたら、同姓同名の人違いかもしれない。 それでも、イヴにとって此の名前は特別だった。 「……じゃあ、捜そうか」 「…………いいの!?」 イヴは、さゆりの言葉にぱぁっと笑顔を見せる。 さゆりにしても、彼女の気持ちは痛いほど分かるものだった。 会いたい人と会えない苦しみは、どんな痛みよりも辛く苦しい。 それを知っていてもなお、こんな小さな女の子にその苦しみを押しつけるようなことができるほど、さゆりは冷血ではない。 「ギャリ―さんにメアリ―ちゃん。さっさと見つけて、早いとここんなゲ―ム終わりにしちゃいましょ」 それこそ、絵空事のような叶わぬ夢かもしれない。 現実がそんなに甘くないことも、壮絶な人生を送ってきたさゆりは知っている。 でも、やれることをやるのは悪いことじゃない筈だ。 「…………うん」 照れたように笑うイヴを見て、さゆりも穏やかに微笑む。 そこに、どこかの並行世界で恋敵を惨殺したような狂いの色はまったく見られない。 (待っててね、大志。必ず、二人で――ううん、みんなで帰ろうね……!) 絵空事の世界が飾ってあった間を抜ける。 どうしてか、もう二度とあの絵は見られない気がした。 それでいい。 絵空事に希望を求めるのはもうやめだ。 決意を新たにして、惨殺少女は立ち上がる。 傍らに小さな少女を連れて、彼女もまた戦うのを決めたのだ。 ◇ 青い薔薇の花言葉は――――”奇跡”。 ◇ 【一日目/朝/E-7・美術館】 【イヴ@Ib】 [状態]健康 [装備]なし [所持品]基本支給品一式、青い薔薇@Ib、ランダム支給品1~2 [思考・行動] 基本:殺し合いには乗らない。脱出を目指す 1:さゆりと行動する。 2:……待ってて、ギャリ―、メアリ―。 3:おかあさん、おとうさん…… [備考] ※ED『いつまでも一緒』後からの参加です ※彼女の場合、見せしめはイヴの両親だったようです ※美術館での記憶を、断片的にですが所持しています 【さゆり@奥様は惨殺少女】 [状態]健康 [装備]なし [所持品]基本支給品一式、ランダム支給品1~3(武器はある模様) [思考・行動] 基本:殺し合いはしない。”みんな”で帰る。 1:イヴちゃんと行動する。 2:大志を捜す。彼の為であっても、罪は犯したくない 3:メアリ―ちゃん、ギャリ―さんを捜す ※ED『未来への白の目覚め』からの参加です ※美術館ではゲルテナ美術展と同じ作品が展示されています ※忘れられた肖像@Ibの存在が確認されました ※絵空事の世界@Ibの展示場所へ他の参加者が入れるかどうかは後の書き手さんにお任せします 【支給品説明】 【青い薔薇@Ib】 イヴに支給。 作中でギャリ―が所持していたもので、作中ではこの花びらがHP代わりとなっていた。 余談だが、青い薔薇の花言葉は”奇跡”である。 愛と勇気と戦友(ともだち) 時系列順 Crazy Murders 愛と勇気と戦友(ともだち) 投下順 Crazy Murders START イヴ [[]] START さゆり [[]]