約 3,372,553 件
https://w.atwiki.jp/oyasirotrpg/pages/79.html
リリカル☆魔法TRPG ii.jpg 新暦115年に発生した謎の次元振。それにより次元の割れ目より無数のロストロギアが噴出、世界に散在した。 時空管理局は特務課という形でロストロギア対策課を設置。ロストロギアの捜索、回収にあたる…… 新暦1400年。特務課は3つの部署に分けられる 情報処理と回収したロストロギアの封印、管理を行う【第一課】 回収作業の援助と他部署からの支援要請、協力支援を主に行う【第二課】 そして回収作業時の障害排除、オートセキュリティ突破などの実力部隊。多数の武装局員を擁する【第三課】 新暦117年。ロストロギア:ダム・ドライバの暴走発動により、高町なのは一等空佐・フェイト・テスタロッサ執務官をはじめ多数の武装局員が次元振に巻き込まれ行方不明。現在も捜索が続いている 120年……再編成された第三課課長に八神はやて准将が就任 指揮の元、ロストロギアの回収をすすめるも難航を極める そして、新暦175年……世界に飛散したロストロギアの回収は現在も続いている。 PCは 時空管理局の局員となります。 特務機動第三課に所属し、ロストロギア事件を解決するのが目的になります システムルール キャラクター作成 NPC紹介
https://w.atwiki.jp/itapura/pages/31.html
有限会社モデルアート社 刊。 モデルアート2010年3月号増刊No.793 痛車☆プラモを楽しもう http //www.modelart.jp/special.793Itasha.html 2010/02/18発売。A4判、全96ページ。¥2,286、税込¥2,400。 特別付録として、「1/24痛車デカールNo.01 とある魔術の禁書目録<インデックス>」の特製オリジナル仕様。バイナルグラフィックスが、通常版の唐草模様に替わり、御坂美琴の発する青白い電撃をイメージしたものに。 6~15ページ、李昌慶制作「1/24痛車シリーズNo.12 魔法少女リリカルなのはStrikers フェイト・T(テスタロッサ)・ハラオウン FD3S RX-7 RE雨宮feat.ART FACTORY」を使用した、製作及びデカール貼付講座。 他、16~43ページ、63~68ページに渡り、プロ・アマ問わず多数のモデラー陣による作例。殆どが説明書の指示を越えた、独自の作風。同様に69~71は痛単車キット作例。 44~62ページ、刊行直前までに発売された、全ての関連商品カタログ。 72~75ページ、グッドスマイルレーシング・PANTHER★PINKによる、GSRレポート掲載の作例郡。 88~93ページ、「痛車作品投稿ギャラリー」。本誌において読者に向けて募集された痛車キット完成作品が掲載。 名前 コメント - -
https://w.atwiki.jp/loversroyale/pages/257.html
支給品 は~わ行 は行 はーれーだびっとそん@ あに支給。 破壊の鉄球@ドラクエシリーズ ポコ美に支給。 バトミントンのラケット@銀魂 鬼塚一愛に支給。 バルディッシュ@魔法少女リリカルなのは 別名「閃光の戦斧」。 フェイト・テスタロッサ用に作られたインテリジェント・デバイス。 小型の金の台座に乗った三角形の黄色い宝石型の待機状態『スタンバイフォーム』、 基本形態である斧型『デバイスフォーム』、魔力光を刃のように展開した鎌型 『サイズフォーム』、一つの魔法に全てを駆けるための形態である 槍型『シーリングフォーム』の四形態を持つ。 白兵戦の得意なフェイトのためのデバイスなので、近接戦闘に特化している。 チルノに支給。 ピーチパイ@現実 アリス・マーガトロイドに支給。 ピーヒョロロープ@ドラえもん 笛、ロープ入りの籠、楽譜の三点セット。楽譜にある様々な曲の通りに笛を吹くと、 ロープがそこに記された通りの行動をする。(勉強を代わりにやってくれるなど) ジュジュ・クー・シュナムルに支給。 袋竹刀@ 疋田文五郎に支給。 ペイルドラグ@ ヴェイグ・リュングベルに支給。 ペロリポップキャンディ@SKET DANCE 赤まむしドリンク&スッポンの血味。 舐めると性 欲 を 持 て 余 す 。 バズ・メディル・アスクレピオスに支給。 べんつ@ ケットシーに支給。 ま行 ムーンライト@ロマサガ2 フラウ・ニーに支給。 鞭@現実 アリス・マーガトロイドに支給。 無銘の刀@ 疋田文五郎に支給。 物干し竿(刀では無く本物)@現実 佐々木小次郎に支給。 物干し竿(長刀) 竜宮レナに支給。 や行 破れたウエディングドレスの切れ端 ナユタのランダム支給品であったウェディングドレスの切れ端。 ナユタ、ローラ・ニューフィールドが所有。 ら行 霊薬「嫌悪」入りチョコレート @ 女性に不快感を与える薬の原液が入っており、口にした者は女性に酷く当たられる。 ただし、その薬の効果は口にした者の体臭となって現れるため、 対象の鼻がつまっていたり臭いが嗅げない状態であれば問題は無い。 安骸寺悠に支給。 わ行 ワンダーバングル@ロマサガ2 フラウ・ニーに支給。
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/184.html
登録日:2010/06/27(日) 21 36 27 更新日:2023/06/30 Fri 22 07 53 所要時間:約 7 分で読めます ▽タグ一覧 CAPCOM Fate PSP TYPE-MOON Zero Zeroへの救済 うぱー☆ アッパー カオス カプコン キャビア ゲーム タイころ続編 タイガーころしあむ ネコミミ菌 ファンタズムーンはかんなぎの番宣 フルボイス 会話パートは神ゲー 公式が病気 戦闘はクソゲー 月姫 生物(なまもの) 続編希望する? 迷作 魔法少女因子 2008年、再びお騒がせなヤツらが帰ってきた。 フェイト/タイガーころしあむ発売から一年、ドタバタストーリーが再び! ●あらすじ その夜、街に流星が降った。 音速を越えて 冬木市南深町(藤村雷画さん宅)に 直撃する謎の物体ー 人的被害は奇跡的にゼロであるものの、 町はオレンジ色の、 夜なお明るい炎のトーチに照らされた。 一瞬で焼け野原と化した藤村組。 一夜にしてホームレスと化したお天気教師。 そしてクレーターからひょっこり現れる、 奇怪なシルエットをした謎のネコガタ生物。 「我々 ハ インベーダー ダヨ」 バーチャルシンガーっぽい声で喋る 魅惑のセクシーキャット。 虎聖杯という奇跡を無くした無情の大地に、 最強の敵が降臨する。 更なる混乱に 今度こそはと浮き足立つサブキャラたち。 そして誰もが思った。 『もう虎聖杯関係なくない?』 新たなる世界崩壊の危機がいま訪れる………かもしれない。 ●概要 上記の通りフェイト/タイガーころしあむの続編的PSP用ゲーム作品。 前作同様の『Fate』シリーズからのキャラに加え『月姫』シリーズからもキャラが参戦している。 カオス度は前作を軽く上回りフルボイスによって恐ろしい迷作具合に仕上がっている。 ●制作にあたって 型月スタッフ以外に、 磨伸映一郎、タスクオーナ、邪武丸、武梨えり、たぽ他、 型月外部顧問と呼ばれるきのこと友達の人がネット会議でストーリーを考えたらしい。 ●ゲームシステム 前回と同じく、アドベンチャーパートとアクションパートに分かれる。 アクションパートでバトルに勝利すると、次のステージに進める。 追加要素として、仲間がいる時に防御低下の代わりにダメージUPの共闘。 三回限り、能力を上げる『虎令呪』。 コスチュームの追加や一部キャラクターの虎力の改正など、前回できなかったことを全力でやっている。 今回も、完全にやりすぎている。 【登場人物】 衛宮士郎 ご存知主人公。 今回は暴走気味のキャラたちのツッコミ役に徹する。 基本巻き込まれキャラだが似たような存在二人と喧嘩したりも。 セイバー 獅子の姉。 セイバーライオンの姉として厳しく接する。 遠坂凛 あかいあくま。 冬木市に落ちた謎の物体を調査するが、謎の黒幕の手で…。 アーチャー 黒シェロ。 ついに壊れてしまった人。 魔法少女たちに振り回される。 間桐桜 頑張る後輩。 凛からの不審な電話。 彼女を心配する桜に、魔の手が襲いかかる。 ライダー 我らが眼鏡っ子。 桜を華麗にサポートする。 そして、ネコのミミ。 イリヤ ロリブルマ。 狂化が解けたバーサーカーを元に戻そうと、キャスターに助けを求めるが…? バーサーカー やはり紳士。 キャスターの態度を変えさせ、魔法少女因子をも所持する英霊。 バゼット やはりダメットさん。 今回の事態をアヴェンジャーと解決に向かうが、魔法少女の在り方に涙したりする…。 ランサー やはりナンパ師。 セイバーライオンに魚あげたり、人妻をナンパしたりする。 キャスター 目指せ魔法少女。 魔法少女の甘い言葉に騙されたり、ファンタズムーンに振り回される可哀想な人。 アサシン ナンパ師にジョブチェンジ。 人妻をナンパしたり、キャスターによく殴られたりする。 葛木宗一郎 よい夫婦。 前回より柔らかくなり、ネタもやったりする。 キャスターから忘年会の芸を習っていた。 真アサシン やはりいい人。 やはり巻き込まれ要員。 良識人なのに見た目が良識人じゃないお方。 間桐慎二 やはり最弱ワカメ。 にゃんこ先生と協力する。 すべての女性の居場所がインプットされた最強の脳の持ち主。 言峰綺礼 マーボー神父。 なぜかいまだに現界しており、セイバーライオンのナレーションを勤める。 誰かさんの父親。 黒桜 黒いヤンデレ。 桜と音速で入れ替わったりできる。 前回より戦闘力が上がった気がするのは気のせいか…? ギルガメッシュ 我らが金ぴか。 キャスターにセイバーの人形を作らせたり、セイバーライオンを手懐けようとして簡単にのされたりと完全なネタキャラと化してしまった。 カレン ゴスロリッシュ!(意味不明単語)。 とある魔法少女の思惑をぶち壊しに向かう。 しかし、一瞬の隙をつかれ…。 誰かさんの実娘。デレ具合が可愛い。 セイバーオルタ 黒い騎士王。 第三のセイバーとして現界している。 悪食ぶりに変化はない…。 藤村大河 お天気教師。 ネコガタ生物と共に宇宙の危機を救いに、様々な惑星のアルティメット・ワンの力を借りに宇宙を駆ける。 衛宮切嗣 Zero的な時空のじいさん。優しい、親バカ。 切ちゃんキャラ変わってね、と言われた。 愛しのアイリを助るため、魔法少女たちと戦う。 アイリ プリヤ的な時空の人妻。夫の隠し子?も受け入れるみんなのお母さん。 魔法少女に狙われたり、邪魔者排除に利用されたり。 そして、腐女子。 オマケボイスは…… セイバーライオン 前回の虎聖杯によって誕生したセイバーの妹。 魔力が足りなくなり、とあるお姉さんにそそのかされて魔力を求めて町を駆け抜ける。 相変わらず台詞は全て「ガオガオ!」。 ネコアルク 最強の生物(なまもの)。 ネコミミ菌をバラ撒き混乱をもたらす元凶の一匹。 記憶混乱中に出会ったワカメ髪の少年と…。 アヴェンジャー モニョモニョの青年。 なぞの生物に興味を示し、追い回す。 カレイドルビー 愛と正義と魔法少女。 シェロを引き連れ、わるいやつらを叩きのめす。 ファンタズムーン (CV.柚ねぇ) 白き月姫。 誰も正体を知ってはいけない、自称正義の味方。 とゆーかお前は武梨えりのアンソロジーのキャラだろ! マジカルカレン はめられたシスター。マジカル紙袋。 ラブアースディザスターを振るい、都合よい世界を作ろうとする。 変身の影響で体が回復しており、いつもより若干快活。 マジカルアンバー 割烹着の悪魔。 マジカル四天王の立て役者、アマゾンで商品が届かず、地球へ受け取りに向かうが…。 カレイドステッキ 愉快型魔術礼装。 大好きな凛とプリズムメイク、平行世界を利用して複数のカレイドルビーを生み出す。 前回以上にネタに力が入り、カオス度が上がっている。 声優陣よ、慣れてしまったのか……? 以下、やっぱりカオスなやりとりや名言や迷言や 「ワ、我々ハ、インベーダーダヨ?」 「士郎!でかくなったなぁ………」 「お母さんは、強いんだから!」 「いけ、セイバーライオン!噛み噛み攻撃だ!」 「ジャーマンナッコォ!」 「げふぅ!」 「ジャーマンスープレックス!」 「ゴッチ!」 「ジャーマン一本四の字!」 「いがりぃぃぃぃぃぃっ!」 「メガネッコナッコォ!」 「うほっ 良い聖杯」 「アン、アン、アーチャー♪」 「絶ぼ……」 「いつか 言うと 思った」 柚「はい、これフォークです。」 力「スプーンと言わざるをえない」 さぁシェロ! 追記・修正をするわよ♪ △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 続編でねえかな。アクション糞のままでいいから、extraから赤剣とキャス狐と女白野、プロトから男剣と綾香、氷室の天地から主役3人参戦とか -- 名無しさん (2014-09-11 00 49 18) そういやアッパーってプリヤが出る予定があったんだっけ? -- 名無しさん (2014-10-29 15 06 27) 型月のカオス、その集大成と言っても過言ではない。 -- 名無しさん (2015-04-25 00 27 17) 存在がエイプリルフールだよな・・・いつみても腹筋が死ぬw -- 名無しさん (2015-04-25 07 36 44) このゲームのみ、何気に衛宮さん一家が全員(切嗣、アイリ、イリヤ、士郎、サーヴァントも含めればセイバーとバーサーカー)揃ってるwwwww -- 名無しさん (2018-02-24 22 01 48) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/1690.html
参加者 現在:57/60 ※並びは参加人数の多い順です。 【魔法少女リリカルなのはStrikerS】 ○高町なのは(sts) ○シャマル ○ザフィーラ ○スバル・ナカジマ ○キャロ・ル・ルシエ ○ルーテシア・アルピーノ ○ヴィヴィオ ○クアットロ ○チンク ○ディエチ 【リリカル遊戯王GX】 ○遊戯十代 ○早乙女レイ ○万丈目準 ○天上院明日香 ●ティアナ・ランスター 【NANOSING】 ○アーカード ○アレクサンド・アンデルセン ○インテグラル・ファルブルケ・ウィンゲーツ・ヘルシング ○シェルビー・M・ペンウッド 【コードギアス 反目のスバル】 ○ルルーシュ・ランペルージ ○カレン・シュタットフェルト ○シャーリー・フェネット ○C.C. 【魔法少女リリカルなのは マスカレード】 ○天道総司 ○相川始 ○キング ○金居 【魔法少女リリカルなのはA's】 ○高町なのは(A's) ○フェイト・T・ハラオウン(A's) ○シグナム ○ヴィータ 【仮面ライダーリリカル龍騎】 ○八神はやて(A's) ○浅倉威 ○神崎優衣 【デジモン・ザ・リリカルS&F】 ●エリオ・モンディアル ○アグモン ●ギルモン 【リリカルTRIGUNA's】 ○ヴァッシュ・ザ・スタンピード ○クロノ・ハラオウン ○ミリオンズ・ナイブズ 【なの☆すた】 ○泉こなた ○柊かがみ ○柊つかさ 【なのは×終わクロ】 ○新庄・運切 ○ブレンヒルト・シルト 【リリカルなのはStrikerS 片翼の天使】 ○セフィロス ○アンジール・ヒューレー 【魔法妖怪リリカル殺生丸】 ○殺生丸 ○ギンガ・ナカジマ 【L change the world after story】 ○L ○ユーノ・スクライア 【ARMSクロス『シルバー』】 ○アレックス ○キース・レッド 【仮面ライダーカブト】 ○フェイト・T・ハラオウン(sts) ○矢車想 【ゲッターロボ昴】 ○武蔵坊弁慶 【魔法少女リリカルなのは 闇の王女】 ○ゼスト・グランガイツ 【小話メドレー】 ○エネル 【ウルトラマンメビウス×魔法少女リリカルなのは】 ○ヒビノ・ミライ 【魔法少女リリカルなのはFINAL WARS】 ○八神はやて(sts) 【主催者】 ○プレシア・テスタロッサ バトロワまとめへ TOPページへ
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/3551.html
「久々にこっちに戻ってきたと思ったらこんなことしてたのね」 はぁ……とため息をつきそうな顔をしてフェイトが嘆息する。 「まぁまぁフェイトちゃん、そんな顔しないで手伝ってよ」 「それはいいけど……」 シグナムとジルグが模擬戦を行った日の夕方、フェイトは本局への出張を終え 数日振りに六課に戻って来ていた。 もっともフェイトは本来本局の執務官であり、六課には出向中という形になっているため 他の職員と比べ六課をあけることが多い。 当然何かしらの連絡が入らなければ六課内で何をしているかなどの情報は伝わらないわけだが 帰ってきて早々、ジルグとの模擬戦を頼まれるとは思ってもいなかったのだ。 「これが昨日のヴィータちゃんとの模擬戦映像で、こっちがシグナムさんとの模擬戦映像ね」 なのはから渡されたデータを早速モニターで再生するフェイト。 まぁ模擬戦を行うこと自体は構わない。 自分も出向中とはいえ六課の隊長を務める身だ。 なのはの訓練をサポートする義務もある。 フェイトはこれまで個人的にジルグと接触した事は皆無と言っていい。 もともと他の隊長陣に比べて六課にいる時間が少ないと言うのもあるし、 以前のヴォルケンリッターの面々ほどジルグを毛嫌いしていたわけでもない。 なのはは教導官と言う立場上ジルグと接するための時間が発生するが フェイトには特にジルグ個人と接する理由はなかったのである。 朝食の時間にジルグがなのはをスルーして逃げるところや ヴィータがジルグに喧嘩を売っているところを見たことはあるが そういうことに関してはあくまで見ているだけで、 特に接する理由もそのつもりもなかった。 さすがにジルグの件でストレスの溜まったなのはの相手をさせられるのは勘弁してほしかったが それもわざわざ本人に苦情を言うようなことでもない。 エリオやキャロから断片的な情報は聞いていたが、 直接ジルグの本格的な戦闘を見るのはこれが初めてのようなものだった。 映像を見る表情が徐々に真剣になってゆくフェイト。 一回見終わった映像をもう一度再生して見直す。 なのははその様子をじっと見つめている。 2回目の再生が終わり、フェイトは軽く息を吐き出す。 「すごいわね、特に二回目の模擬戦」 ヴィータとの模擬戦は昨日なのはがフォワード陣に話したように 得意な戦闘レンジかかぶっている上に戦闘スタイルの相性が最悪だった結果だという感想を抱いた。 だが、シグナムとの模擬戦。 前半は明らかにシグナムが主導権を握っているにもかかわらず それを凌ぎきって反撃に転じた。 シグナムは詰めが甘い戦士ではない。 その証拠に何度かジルグが距離をとろうとするところを何度も先手を打って潰している。 だが、恐らくはとっさの機転なのだろうが あんな方法でシグナムを引き離すとは……そしてその後のシグナムの行動を完全に抑制した射撃のコンビネーション。 自分がシグナムと戦った時、スピードでは勝っていたからこそ 自分より技量の高いシグナムと互角に戦えた部分もある。 だがこの男は「あの」シグナムが主導権を完全に握った後 とっさの機転で見事に虚をつき、後半は完全に自分が主導権を握って見せたのだ。 「これは強敵ね」 「でしょ? でもそれだけじゃないんだよ」 なのはの嬉しそうな声に怪訝な顔をするフェイト。 「昨日からの模擬戦を見学することでフォワードの子達はすごく色々なことを吸収している。 きっと明日のフェイトちゃんとジルグさんの模擬戦もあの子達にとってすごく参考になる戦いになると思うよ」 「まったくもう……やるほうの身にもなってよ。 でも努力はするわ」 そう言ってフェイトは自室に戻っていった。 次の日の訓練場。 アサルトフォームのバリアジャケットを纏ったフェイトと エルテーミスを装着したジルグが相対していた。 ジルグの武装は昨日の模擬戦でボロボロになってしまったために新しいものに変えてあるが ライフル型デバイスがロングライフル型からショートバレルの物に変わっている。 恐らく機動力に勝る相手に取り回しの悪いロングライフルでは不利と感じたのだろう。 「こうやって直接ちゃんと話すのは初めてかな?」 「そういえばそうだな」 フェイトの問いかけに、どちらかと言うとどうでもよさそうな声で答えるジルグ。 なるほど、これはなのはにストレスが溜まるわけだ。 自分は大して気にはならないが、なのはに同情をおぼえる。 「それじゃ二人とも用意は良いね? はじめ!!」 なのはの声を合図に空中に飛び上がり、ジルグから距離を取りつつ高速で旋回するフェイト。 そのスピードにまず眼を慣らすためか、ジルグも距離を保ちつつ小刻みに跳躍して移動する。 先手を打ったのはジルグだ。 挨拶代わりとばかりにライフルを空中のフェイトに向かって数射する、がフェイトはそれを軽々と回避する。 「さすがに空中をあのスピードで飛び回られると射撃を当てるのは難しいだろうな」 昨日の模擬戦でジルグと戦ったシグナムが珍しく訓練場に姿を現している。 「そうですね。ただ、ジルグさんは誘導弾を使っていないですし、まだ様子見だと思います」 シグナムの言葉にティアナが答える。 自分だったらどうするか? やはり直進型のシュートバレットを直撃させるのは難しいだろう。 ならばクロスファイアシュートで追わせるのがセオリーかもしれないが あのスピード相手だと追いきれるかどうか…… ジルグの射撃をかわしたフェイトは高速で移動しながらジルグに向かってプラズマスラッシャーを放つ。 向かってくる雷を前方に跳躍して回避するジルグ。 普段より移動距離が大きいのは放電によるダメージを危惧したためだろう。 プラズマスラッシャーを回避されたフェイトは様子見は終わりとばかりにギアを上げる。 さらに加速しつつ、ジルグに向かって無数のプラズマランサーを放つ。 「チッ」 雷の雨が地上のジルグに向かって降り注ぐ。 不規則な動きでそれを回避しつつ、かわしきれない分はシールドで防御する、 だがフェイトはその防御動作を見逃さず、一気に接近してジルグに斬撃を浴びせる。 「ハーケンスラッシュ!!」 バルディッシュから放たれる鋭い一撃をかろうじて受け流すジルグ。 シールドとバルディッシュが直接接触し、激しい火花を散らす。 ジルグがダガーで反撃に出ようとする前にフェイトは向かってきた勢いのまま離脱、ダガーは空を切る。 「さすがに速い……六課最速は伊達ではないか」 さらにフェイトはプラズマランサーを放つと、連続してハーケンセイバーをジルグの左右に放つ。 プラズマランサーをかわしつつ、左右から頭部と足に襲い掛かってくるハーケンセイバーを ジルグは姿勢制御デバイスを微出力することで体を水平に浮かせ、間一髪で回避することに成功。 そのまま跳躍補正デバイスを出力し、距離をとりつつ姿勢を整える。 だがフェイトのスピードの前にはそれは無意味だ。 自在に距離を取って間断なく雷を降らせ、時折斬撃を交えてくるフェイトに、ジルグは完全に翻弄されているかのように見えた。 「どうやってもスピードではかなわないか、ならば」 フェイトと見学している面々が眼を疑う。 ジルグは移動をやめて回避を捨て、その場に姿勢を固定した。 そしてフェイトに向かって凄まじい速度でライフルを連射しだした。 「何を……!?」 フェイトのスピードに対して射撃を当てることは困難である。 それは先ほどの攻防でもわかったはずだ。 だが…… 「くっ!?」 まるでフェイトの移動先を読んでいるかのようにジルグの射撃が『置かれて』いる。 完全に先読みのみで射撃を行っているのだ。 いかにフェイトと言えど、速度に特化したジルグの魔力弾より速く飛べるわけではない。 直進する先に魔力弾がある事で、フェイトは急激な方向転換をせざるを得ない。 当然スピードは落ちるため、さらにジルグの射撃が正確さを増し 魔力弾がフェイトの体を掠める。 「す……すご……」 キャロが呆れたように呟く。 「ジルグさんてニュー○イプじゃないよね?」 「それが何なのかは知らんが、テスタロッサがいかに速く飛べるといってもそれはあくまで直線移動だ。 加減速や旋回も行えるが軌道を読むこと自体は不可能ではないだろう」 スバルの疑問に答えるシグナム。 だが理屈上では可能と言っても、それを実際にやってのけるところにジルグの射撃能力の非凡さがあるのだろう。 エルテーミスのように瞬間的な加減速とは違い、飛行魔法はあくまで段階的な加減速である。 確かに速いとはいっても、目が慣れれば予測撃ちをすることはできる。 フェイトはジルグの攻撃を回避しながらプラズマランサーを放つが 不安定な姿勢から放っているため射線が安定しない。 ジルグは直撃コースのものだけをシールドで防ぎ、回避行動を捨てて射撃に集中している。 状況的にはさっきと真逆の状態だ。 さらにジルグはライフルの連射に誘導弾も交えはじめる。 「そう簡単にっ!!」 まるでサーカスのようにそれをかわしまくるフェイト。 体を回転させ、時にはあえて誘導弾に近づくことでホーミング前に弾をすり抜け そして雨のような弾幕をすり抜けながらさらに加速し、誘導弾を振り切る。 シグナムをも封じ込めた射撃のコンビネーションを全て回避しきるフェイト。 まさに撃つも撃ったりかわすもかわしたりである。 「やっぱり手ごわいわね……」 体を掠める魔力弾にジルグからの圧力を感じつつ、フェイトは呟く。 長引けばその分スピードに慣れられて不利になる。 そう判断したフェイトは 「バルディッシュ!!」 『sonic move』 フェイトのスピードがさらに増す、まるで瞬間移動をしているかのようだ。 ソニックムーブで速度を増したフェイトは四方からジルグに一撃離脱の斬撃を浴びせる。 「グッ!?」 それを驚異的な動体視力と反応速度で奇跡的にギリギリで防ぎ続けるジルグ。 だが、このままではいずれ直撃を貰うだろう。 ジルグの背後に回ったフェイトはジルグの背中をバルディッシュで斬りつける、が ジルグは腰から抜いたソードでそれをなんとか受け止める。 そのままこれまでのようにジルグから距離をとろうとするフェイトだったが…… 「………え?」 目の前にライフルを構えたジルグがいる。 ソニックムーブを解除したわけではない。 一撃を加えて離脱しようとしたはずだ。 なのに何故……? 「詰めが甘いな」 そう呟くとジルグは一瞬の隙を見せたフェイトに躊躇なくライフルを至近距離から連射。 避けようのない距離から放たれた魔力弾は次々とフェイトを打ち抜いた。 「そこまで!!」 声を出すと同時に、倒れたフェイトに向かって飛んで来るなのは。 「………ップハ~!!」 溜め込んでいた息を吐き出すスバル、他の3人も同様だ。 余りの高速戦に息をするのも忘れて魅入ってしまっていた。 「テスタロッサの慎重さが裏目に出たな」 「どういうことですか?」 エリオがシグナムに疑問をぶつける。 「テスタロッサのソニックムーブを併用した攻撃にジルグは完全に対応し切れてはいなかった。 ならば多少強引にでもそのまま押し切るべきだった、結果論に過ぎんがな」 ジルグの反撃を警戒したフェイトは完全に優位な状態になっても、 より確実にジルグを仕留められる機会を作るために牽制気味の攻撃を続けていた。 それを見抜いたジルグはフェイトの攻撃後の離脱にあわせて跳躍補正デバイスを最大で出力し 瞬間的にフェイトのスピードに並んだのだった。 二人の相対速度はゼロとなり、まるで自分とジルグがその場に止まっているかのような錯覚を起こしたフェイトは その一瞬思考が停止してしまい、ジルグはそこを見逃さずに魔力弾を集中連射してフェイトを仕留めたのだった。 戦いが長引くと不利になると考えたフェイトの判断は正しかったが、 そこからの詰めを誤ってしまった。 急変した速度についていけなかった状態のジルグならば 全力の攻撃を行う事で強引にねじ伏せられたはずだ。 本気の攻撃であればジルグは防御に徹するしかなかっただろう。 勝負の詰めに対する嗅覚が今回の勝負を決めたと言える。 「イタタタタ……やられちゃったわね」 「大丈夫? フェイトちゃん」 駆け寄ってきたなのはに苦笑を向けるフェイト。 さすがに今はジルグが何をしたかをわかっていたが、 「わたしもまだまだね」 シグナムとの模擬戦を見た後でも心のどこかに自分の方が実力が上、 という油断があったことは否定できない。 特にソニックムーブを使用した直後は、それが行動に出てしまっていたと思う。 そこを見逃すほど甘い相手ではなかったと言うことだろう。 こちらを見ているジルグに声を掛ける。 「やっぱり強いわね、今回は完敗だわ」 「たまたまですよ、フェイト隊長殿」 言葉と表情が一致していない。 なるほど、これははやてやなのはが手を焼くわけだ。 「過度な謙遜は嫌味になるってわかってて言ってるのよね?」 ジルグではなくなのはに言うと、苦笑しながらなのはが答える。 「まぁ、ジルグさんだしね」 一事が万事この調子なのだろう、ヴァイスなどはよくこの男と話していて疲れないものだ。 やっぱり男と女では感覚が違うのかな、とフェイトは考える。 「わたしは大丈夫よ、それよりミーティングを始めたほうがいいんじゃないかしら?」 「そうだね。じゃあ、フェイトちゃんは少し休んでて」 そう言うとなのははフォワード陣の方へ走っていった。 「わたしの機動ってそんなに読みやすかったかしら?」 地面に座り込んだままフェイトがジルグに尋ねる 「速度は驚異的だったがそれに頼りすぎていたんじゃないか?」 「なるほどね、これからは気をつけるわ」 確かに自分のスピードには自信を持っていた。 誘導弾すら振り切るスピードに過信して、知らず知らずのうちに動きが単調になっていたのだろう。 「参考になったわ、ありがとう」 例を言われたジルグは涼しい顔をしたまま「どういたしまして」と答える。 「ところで、模擬戦も終わったことだし助け起こしてはくれないのかしら?」 「もう自分で立てるだろう?」 そっけないジルグの言葉にフェイトは苦笑する。 「こういう時は女性の意見を尊重するものよ」 そう言ってジルグに腕を伸ばす。 すごく面倒くさそうな顔でフェイトの腕を取り、引っ張り上げて立たせるジルグ。 「ありがとう」 なんだか言い回しがリンディみたいだったかな? 自分の言った言葉に対し内心で笑うフェイト。 その様子を見ていたなのはがまた「なんで~!?」と騒いでいたのはまた別の話である。 前へ 次へ
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/443.html
スレ住人の皆様 テーマ曲系ネタ 二代目スレ90氏 無題(仮) キャラ:闇の書の意思 二代目スレ104氏 無題(仮) キャラ:フェイト 二代目スレ124氏 次回作OP(仮) 二代目スレ159氏 無題(仮) キャラ:なのは 四代目スレ29氏 オープニング改変 ◆Gb6P9gjLww氏 リリカルなのは偽キャラソン 四代目スレ160氏 なのは様のお料理地獄~お好み焼き編 四代目スレ204氏 無題(仮) 四代目スレ394氏 メカナノハをやっつけろ 五代目スレ441氏 リリカルなのはRPG 八代目スレ30氏 リイン二世 八代目スレ561氏 リリカル幻想(ファンタジー) 九代目スレ508氏 守護獣ザフィーラ リリカルスクリーム氏 無題(仮) 元ネタ:超神マスターフォースのテーマ 十四代目スレ58氏 今週のシグナム ネオシャドームーン氏 高町なのはの歌 ネオシャドームーン氏 レッツゴー! スターライトブレイカー ネオシャドームーン氏 魔光超人なのは (元ネタ:電光超人グリッドマン) 230氏 無題(仮) 電王TAROstrikerず氏 替え絵 魔弾戦記リュウケンドー 反目のスバル氏 マッハキャリバーのテーマ 二十二代目スレ453氏 高町なのはのうた ネオシャドームーン氏 魔導神なのは(元ネタ:鋼鉄神ジーグ) 反目のスバル氏 戦斧王誕生!~第三期(ストライカーズ)ヴァージョン~(元ネタ:勇者王誕生!~神話(マイソロジー)ヴァージョン~) 二十三代目スレ132氏 アタック!スカリエッティ(元ネタ:ギャグマンガ日和) ネオシャドームーン氏 超魔導師 高町なのは(元ネタ:超電導 カンタム・ロボ) ネオシャドームーン氏 ウルトラマンフェイト (元ネタ:ウルトラマンレオ) ネオシャドームーン氏 戦え!ウルトラマンフェイト (元ネタ:ウルトラマンレオ) ネオシャドームーン氏 戦え! 機動六課 (元ネタ:ウルトラ6兄弟) なのウタ氏 純白の悪魔のテーゼ (元ネタ 残酷な天使のテーゼ) 反目のスバル氏 札(ふだ)、無音、砂漠にて(元ネタ:雪、無音、窓辺にて。) なのウタ氏 空色のアルカディア(元ネタ:銀色のアルカディア) ネオシャドームーン氏 戦え! フェイト・テスタロッサ (元ネタ:戦え!仮面ライダーV3) ネオシャドームーン氏 アモン 悪の企み (元ネタ:ブラックアクション) ネオシャドームーン氏 なのは 魔法少女空中決戦 伝説 (元ネタ:神話) 四十三代目スレ254氏 オレの家族だめだこりゃ (元ネタ:未来ロボ ダルタニアス) 反目のスバル氏 超魔戦隊リリカルブレイバー (元ネタ:バンブーブレード) ネオシャドームーン氏 高町なのは 目覚めの歌 (元ネタ:キングシーサーの目覚めの歌) ネオシャドームーン氏 天才ナンバーズ (元ネタ:天才ドロンボー) 六十四代目スレ424氏 一度だけの魔法 (元ネタ:『ペットントン』ED) 67代目スレ155氏 A’S Flowers (元ネタ:ZOIDS OP) TOPページへ このページの先頭へ
https://w.atwiki.jp/ironrow/pages/49.html
ゲーム終了までの死亡者 時間 名前 殺害者 死亡作品 死因 凶器 昼 はちまの人刃の人THE ジャン柊つかさ田村ひより桜藤祭主人公セイバーセイバーオルタアーチャーバーサーカーランサーライダーインデックス白井黒子一方通行打ち止めイカ娘ドクロちゃん高町なのはフェイト・テスタロッサ八神はやてユーノ・スクライア モヒカン 大決戦 Part2 Heavenly fire 焼殺 ラピュタの雷 昼 夜神月 大決戦 Part3 Beautiful World vol.1 転落死 (ダクト) 昼 剛田武(アニメ版)巴マミ野比のび太T-880味吉陽一堺一馬中江兵太劉虎峰柊かがみアサシン鹿目まどか暁美ほむら桂言葉源静香骨川スネ夫剛田武(漫画版) 大決戦 Part3 Beautiful World vol.1 圧死 (ラピュタ) 順位 該当者 人数 生存状況 スタンス 1位 ニャル子 56名 生存 ラスボス 2位 モヒカン 28名 生存 ヒャッハァ 3位 夜神月泉研天野河リュウセイケンシロウ巴マミ 8名 月、マミ死亡 正義 4位 野比玉子 7名 死亡済 不明 5位T 村田源二郎 4名 生存 食う 5位T THE ジャン 4名 死亡済 不明 7位T 剛田武(漫画版) 3名 生存 歌う 7位T 剛田武(アニメ版) 3名 生存 歌う 7位T ディアボロ(安価スレ) 3名 生存 安価 10位T ディアボロ 2名 死亡済 バグる 11位T 柊かがみ(六期) 1名 生存 無双 11位T イチロー 1名 仕事中 野球 11位T 吉良吉影 1名 死亡済 負けて死ね
https://w.atwiki.jp/girlwithlolipop/pages/179.html
ALL HAZARD PARANOIA/オール・ハザード・パラノイア Ⅳ ◆EAUCq9p8Q. ☆フェイト・テスタロッサ まさに急展開に次ぐ急展開だ。 何故か空に現れた円盤型の飛行物体に突如救われた。 かと思えばフェイトを掴んでいた腕が破壊され、森に放り出され。 どことも知れぬ森のなかに墜落し、気づけば遭難同然の状態だ。 森に投げ出されて無傷で居られたのは、握りしめていた巨大な手のひらのおかげだった。 かなりの耐久力を誇っているらしく、木々に衝突する衝撃からフェイトの身体を守りぬいてくれた。 だが、気力体力ともに消耗が激しい。 よろけて手を木につくと、小学校で受けた肩口の傷から閃光のように鮮烈な痛みが走る。 深手もおってしまった。しばらくは、戦闘は無理そうだ。 よろめきながらも歩いて森の外を目指していると、木立の奥から人影が飛び出した。 一瞬アーチャーが迫ってきたのかと思い身構えたが、その姿はあの異形とは程遠い、貧相なものだった。 「サーヴァントを霊体化させて武装を解除しろ」 その貧相な体つきの男こそ、あの時フェイトと同じように巨大な手のひらに掴まれていた胡散臭いキャスターだった。 小学校で彼が口走った名前のこと。霊体化すれば即座に逃げきれるだろうに捕まったままで居たこと。 また、開口一番のこの言葉も加えて、フェイトの中での彼への猜疑心はやはりとどまるところを知らない。 聞く耳など一切持とうとせずに、バルディッシュを構えて、キャスターにつきつける。 「何を―――」 「あのアーチャーが円盤自体ではなく腕を狙った理由も分からないのか。奴の狙いはお前だ、フェイト・テスタロッサ」 猜疑心に任せて声を荒げようとしたがぐ、と声を飲み込む。 声を上げれば敵に見つかるという可能性に遅まきながら気づいた。 傍にいたランサーを霊体化させ、言われたとおりにバリアジャケットも解除した。 胡散臭いキャスターは武装を解除したフェイトを見て、鼻を一度鳴らし、悪態をついた。 「フン。最初からそうしていればいいんだ。行くぞ」 キャスターはフェイトの手を取り、ずんずんと歩いて行く。 木々を縫うように、UFOの進行方向とは全く別の方向へ。 徒歩で逃げられるのかという心配も有ったが、宝具と思われるUFOが空を飛ぶ中で魔力反応を極限まで抑えれば、件のアーチャーが索敵能力を持っていないかぎり見つかることはないだろう。 あまりに乱暴な扱いで、矢に貫かれた傷が痛むが、必死に声を抑える。 あのアーチャーは、チェーンソーのバーサーカーすら超えた難敵だ。交戦に入れば一方的に蹂躙されるだけだ。 ◇ いつまでたっても霊体化という安直な逃げ方を選ばない(やはり胡散臭い)キャスターに手をひかれ十数分。 山林部を抜け、住宅街になんとかたどり着き、そこからは舗装された道路をしばらく走り。 アーチャーが襲ってくる気配が全くないのを確認して、キャスターはようやく立ち止まった。 「どうやら撒いたようだな」 キャスターが背後を振り返り、追手を確認する。 音も姿もない。追手は完全にフェイトたち二人を見失ったようだ。 フェイトもそれを確認し、無事が確保できたことを確信すると、キャスターの握っていた手を跳ね除けた。 また、肩の傷がズキリと痛み、思わず顔を歪めてしまう。 そんなフェイトの様子を見て、キャスターはとても面白そうに口角を釣り上げた。 「結局はこうなるんだよ、フェイト・テスタロッサ。俺を妨げられるものは居ないんだ」 何を指しているのかが全くわからない一言。 出会い頭から思っていたが、このサーヴァントは一方的なコミュニケーション以外行おうとしていない気がする。 ならば相手の望む会話をすることはない、と。 フェイトもまた、一方的に、キャスターに向かって問いを放った。 「一つ聞かせてください」 「なんだ」 「何を知っているんですか」 「何を?」 沈黙が流れる。 フェイトの視線は、まっすぐにキャスターの瞳をとらえたままだ。 キャスターは目を細め、口を三日月に裂き、それはそれは楽しそうに言い放った。 「よく知っているよ。お前のことは。 いつも一緒の犬ころはどうした? 主催者に刃向かって殺されたか?」 あまりの言い草にかっと頭に血が登った。 だが、この場に居ないアルフのことをズバリと言い当てたキャスターの『全てを把握している』という言葉に、登った血はたちまち引いていった。 キャスターの『よく知っている』というのは、決してハッタリではない。 プレシアについて。アルフについて。他の何かについて。キャスターはフェイトについてを把握している。 キャスターはフェイトの混乱など気にしていないような様子で、言葉を続ける。 「これ以上下らない問答を続ける気はない。もう一度聞かせてもらう。 聖杯が欲しいか、フェイト・テスタロッサ」 繰り返される問いは、三度目の問い。 小蝿も、バーサーカーもこの場には居ない。答えを遮るものは消えた。 フェイトは息を呑み、そして答えを口にする。 「……欲しい」 当然だ。 母のため、聖杯を勝ち取ると誓ったのだから。 この胡散臭いキャスターと出会う少し前、屋上でのエプロンドレスのキャスターや幼いアサシンとの問答の時から、その心は変わっていない。 「ならば俺に協力しろ。俺は聖杯を望んではいないが、やらねばならないことがある。そのためには、お前が居ると都合がいい。 お前が俺に協力するというならば、俺もお前に協力しよう」 フェイトの答えを聞くと、キャスターは待ちわびたと言わんばかりに、言葉を続けた。 『協力』。 それは何気ない、どんな時でも使われる単語。 だが、キャスターの口からその単語が出た時、フェイトは思わず身震いをしてしまった。 その身震いの感覚を、フェイトは知っている。 それは、フェイトが時折母に覚えるものと同じだ。 目の前のキャスターは何か、『大きなもの』を抱え込んでいる。そんな気がした。 「私に、何をしろって言うんですか」 尋ねれば、キャスターはすぐに手の内の一部を晒してみせた。 そんなところまで、母によく似ていた。 「簡単なことだ。俺は今から図書館へ向かう。お前はそれについてくるだけでいい。 報酬の令呪は俺のマスターではなくお前に譲るよう掛けあってやる。協力の証としてな」 それは、唯一与えられた『主催者』の手の内の情報。 ルーラーから突如言い渡された討伐令に、自ら飛び込むという暴挙の誘い。 風が吹いた。 嵐の前触れのような、強い、強い、風が。 フェイト・テスタロッサという少女の分岐点は、ひょっとするとここかもしれない。 【D-2/北部の道路/一日目 夕方】 【フェイト・テスタロッサ@魔法少女リリカルなのは】 [状態] 疲労(中)、ストレス、魔力消費(極大)、右肩負傷(中) [令呪]残り三画 [装備] 『バルディッシュ』 [道具] [所持金]少額と5000円分の電子マネー [思考・状況] 基本行動方針:聖杯戦争に勝利する 1. 木原マサキの提案に―――? [備考] ※ランサー(姫河小雪)、キャスター(木原マサキ)、大道寺知世&アサシン(セリム)、バーサーカー(チェーンソー男)、輿水幸子を確認しました。 ※木原マサキがプレシア・テスタロッサやアルフについて知っていることを知りました。 ※小学校に通うつもりでいます 【ランサー(綾波レイ)@新世紀エヴァンゲリオン(漫画)】 [状態] 健康、霊体化中 [装備] [道具] なし [所持金] なし [思考・状況] 基本行動方針:マスターに従う 【キャスター(木原マサキ)@冥王計画ゼオライマー(OVA版)】 [状態]健康 [装備]なし [道具]なし [思考・状況] 基本行動方針:冥王計画の遂行。その過程で聖杯の奪取。 1.フェイト・テスタロッサをダシにして主催者に探りを入れる。 2.予備の『木原マサキ』を制作。そのためにも特殊な参加者の選別が必要。 3.特殊な参加者が居なかった・見つからないまま状況が動いた場合、天のレイジングハートを再エンチャント。『木原マサキ』の触媒とする。 4.ゼオライマー降臨のための準備を整える。 5.余裕があれば、固有結界らしき空間を調査したい。 6.なのはの前では最低限取り繕う。 [備考] ※フェイト・テスタロッサの顔と名前、レイジングハート内の戦闘記録を確認しました。バルディッシュも「レイジングハートと同系統のデバイス」であると確認しています。 ※ランサー(姫河小雪)、バーサーカー(チェーンソー男)、輿水幸子を確認しました。 ※天のレイジングハートはまあまあ満足の行く出来です。呼べば次元連結システムのちょっとした応用で空間をワープして駆けつけます。 あとは削りカスの人工知能を削除し、ゼオライマーとの連結が確認できれば当面は問題なし、という程度まで来ています。 ※『魔力結晶体を存在の核とし、そこに対して次元連結システムの応用で介入が可能である存在』を探しています。 見つけた場合天のレイジングハートを呼び寄せ、次元連結システムのちょっとした応用で木原マサキの全人格を投影。 『今の』木原マサキの消滅を確認した際に、彼らが木原マサキとしての人格を取り戻し冥王計画を引き継ぐよう仕掛けます。 ※上記参加者が見つからなかった場合はレイジングハートに人工知能とは全く別種の『木原マサキ』を植え付け冥王計画の遂行を図ります。 ※ゼオライマーを呼び出すには現状以下の条件のクリアが必要と考えています。 裁定者からの干渉を阻害、もしくは裁定者による存在の容認(強制退場を行えない状況を作り出す) 高町なのはの無力化もしくは理解あるマスターとの再契約 次元連結システムのちょっとした応用による天のレイジングハートへのさらなるエンチャント(機体の召喚) ※街の裏に存在する固有結界(さいはて町)の存在を認知しました。 ※アサシン(ウォルター)の外見を確認しました。が、『情報抹消』の効果により非常にぼんやりとしか覚えていません。 ☆アーチャー 随分と出遅れてしまったようだ。 遠くからも確認できていた戦闘の光は、聞こえてきていた戦闘の音は、すでに止んでしまっている。 アーチャーが付く頃には、遠くに視認できた小学校での戦闘はもう一区切りしてしまっていることだろう。 つまらない。 こんなことならばあれこれ歩きまわらず、図書館の周辺を貼りこんでおけばよかった。 後悔しながらビルの屋上に腰掛け、ため息をこぼす。 アーチャーのため息が風に乗り、橙に染まり始めた街に溶ける時、そいつは現れた。 どるん。 聞き慣れない音。 アーチャーが振り向けば、腰掛けたビルの屋上の入り口付近に、一人の大男が立っていた。 異様な出で立ちだ。 フードですっぽりと覆われて窺うことのできない顔。手に持ったのはおおぶりなチェーンソー。 不思議な事に、その男の出現にアーチャーの類まれな聴力を持ってしても気づくことができなかった。 導き出される答えは一つ。 「……ああ、良かった。ここまで来て何もなしだと、興が冷めてしまうので」 どるん。 男は答えない。 ただチェーンソーに命を吹き込むように、何度も、何度も、エンジンをふかす。 ここまで露骨な殺意を受けるのは、アーチャーとしては久しぶりだ。 少しは楽しめるだろうか、と心を踊らせながら一歩を踏み出す。 チェーンソー男も一歩を踏み出し、お互いがお互いのリーチに相手を捉えるまで歩み寄っていく。 しかしそこで、問題が発生した。 歩き続けて数歩。アーチャーはすでに、チェーンソーの間合いギリギリまで接近している。 だというのに、チェーンソー男は戦闘態勢に移ろうとしない。 「そうですか」 アーチャーの類まれな経験と五感は、ただの一目で目の前のチェーンソー男の習性を見ぬいた。 目の前のチェーンソー男には殺意はあるが戦意がない。 令呪か何かによって戦うことを封じられているのか、あるいはスキルか。何か理由があって、チェーンソー男は『戦いたいが戦えない状態にある』。 そこに至ってのアーチャーの思考は、とても単純だった。 ならばその殺意に火をつけて、チェーンソー同様、エンジンを掛けてやるだけだ。 戦うきっかけを作れば、戦わざるを得なくなる。 「さあ、始めましょう」 数歩分の間合いを、魔法少女の身体能力で一気に踏み込んで拳撃を放つ。 チェーンソー男は、まだ黙って立っていた。 男の顔面にアーチャーの拳は、当然のように鋭く突き刺さった。 殴られた勢いで男が宙を舞う。 フードの奥に隠された無貌と、アーチャーの視線が一瞬だけ交わり、そしてまたすれ違う。 どる、る、る、る、る。 空中を舞いながら、チェーンソーのエンジンが音を立てて回り出す。 それがきっかけだった。 瞬間、空気が塗り替わった。 殺意の方向が、まっすぐにアーチャーへと向いた。ようやく敵意が現れた。 チェーンソー男が空中で一回転を決め、階段へと続くドアを地面代わりに着地する。 大柄な身体からは想像できない曲芸師のようなそのその身のこなしに、アーチャーが感嘆の声をあげようとした時には、すでに戦闘は始まっていた。 構えたチェーンソーで屋上を削り、火花を散らしながらチェーンソー男が駆けてくる。 魔法少女とはいえ今は英霊。なんてことはなさそうなあのチェーンソーでも今のアーチャーは容易に傷つけられてしまうだろう。 倒すのは簡単だ。遠距離から破壊音波を打ち続ければいい。そうすれば、近接攻撃しかできなさそうなあの男を一方的に倒してしまえる。 だが、それの何が面白い。 アーチャーが望むのは、闘争だ。不完全燃焼な勝利ではない。 チェーンソー男に向かってアーチャーも駆け出す。徒手空拳故、リーチはチェーンソー男に分があるが、そんなものでこの戦闘への高揚は止まらない。 瞬きするよりも早く、お互いの射程距離が重なった。 地面を跳ねていたチェーンソーが跳ね上がる。狙いはまっすぐに、走っているアーチャーの正面だ。 振り上げられたチェーンソーを、飛び上がって回避。そのままチェーンソー男をも飛び越え、背後に回る。 振り向きざまに拳を突き出す。先ほどのような戦闘を始めるための軽いジャブではない、殺すための一撃だ。 しかし、想定していた場所にチェーンソー男の顔はない。 彼もまた、アーチャーの回避を見たうえで攻撃を察知し、身を屈めていたのだ。 どるるるるるるるるるるん。 地鳴りのような音とともにしゃがんだままのチェーンソー男がぐるりと体を捻る。 それに合わせて、チェーンソーが大回りでぐるりと回り、がら空きのアーチャーの腹部を横断しようと迫る。 体勢の維持ができていないので単独での回避は不可能。 ミリ秒にも満たぬ時間の中魔法少女の思考能力でそう判断したアーチャーは、突き出していた拳で、振り向こうとしているチェーンソー男の頭に突き出したままだった手を乗せた。 そして、チェーンソー男の頭を支えに、大きく飛び上がる。 ぢゅん、と響く切断音。 魔法少女の可愛らしい靴の底が数ミリ吹き飛ばされた。 そのチェーンソーの一撃がやはり魔法少女を傷つけられる一撃だということを再確認しながら、アーチャーは飛び上がった勢いで足を動かす。 空中で振り上げた右足が、チェーンソー男の左肩を踏みしめる。 足が乗ったのを確認したなら、今度は左足。 右足と、その下にあるチェーンソー男の身体を支えに、チェーンソー男の頭に置いていた手を離し、軽業師のようにチェーンソー男の肩の上で立ち上がる。 そしてそのまま、左足を、彼の顔めがけて振りぬいた。 クリーンヒットとは行かない。 攻撃を察知したチェーンソー男が、寸前で左肩を大きく落とし、アーチャーのバランスを大きく崩したからだ。 しかし、多少軽減されたがその一撃の威力は完全に死んではいない。 顎を蹴り飛ばされたチェーンソー男がよろける。 先に体勢を整えたのはアーチャーだった。 チェーンソーの重量に振り回され、二歩、三歩とよろけているチェーンソー男に、今度はアーチャーの方から距離を詰める。 男が体勢を立て直すよりも早く、チェーンソーの間合いを駆け抜け、拳の間合いに入り込む。 息を吐きながら拳を突き出す。 助走の勢いの上乗せされた魔法少女の拳が、男の胸にめり込む。 男は軽々と吹き飛んだ。 「あ」 それは、アーチャーにしてはマヌケな声だった。 チェーンソー男の身のこなしについつい楽しくなってしまい、勢い余って、場所のことを忘れて思い切り殴り飛ばしてしまった。 宙を舞う。 その形容がぴったりだった。 チェーンソー男は屋上から放り出され、弧を描きながら飛んでいってしまった。 「ああ……なんてことを」 少しだけの後悔。だが、切り替える。 身のこなし。身体能力。反応速度。そして言葉をかわすことのできない特性。間違いなくバーサーカーだ。 狂戦士の名を冠するクラスの英霊が、屋上から落ちたくらいで死ぬはずがない。 魔法少女だって、殴られて屋上から落ちたくらいでは死なないのだから。 屋上のへりに足をかけ、チェーンソー男の姿を探す。 ついでに周囲を見回す。小学校方面に人が集まってきていた。 決着を急いだほうがよさそうだ、と結論をつけて飛び上がる。 そのまま飛ぶようにビルの壁面を駆け、突き落としてしまった強敵の元へと急いだ。 ◇ 吹き飛ばしてしまったチェーンソー男を追って、大通りに降り立つ。 すると、そこではすでに元気を取り戻したチェーンソー男が暴れていた。 電柱が切りつけられている。 ガードレールが切り裂かれている。 人が血の海の真ん中で倒れている。 予想以上に大事になっている。すぐに人が集まってくるだろう。 再び楽しむような時間はなさそうだ。 靴音を鳴らしながら一歩を踏み出す。 音に敏感に反応し、チェーンソー男は凶刃を振るうのをやめて振り返った。 そして、今度は見つめ合いで過ごすこともなく、臨戦態勢に入る。 「ああ、覚えていてくれたんですね」 少しだけ嬉しくなったのをおかしく思いながら、アーチャーもまた拳を構える。 人に見つかるよりも早く、次の一撃で勝負を決するために。 どぉるるるるるるるるるるるる――――――!!! チェーンソー男が、怒号の代わりにエンジン音をばら撒きながら駆けてくる。 五メートル、四メートル、三メートル。 チェーンソーが振り上げられ、間合いを詰める最後の一歩が踏み出される。 凶刃がアーチャーのもうすぐそこまで迫り、ようやくアーチャーは動き出した。 ぱちん。 指を一度弾く。 生まれた音が空中で衝撃波の壁になり、チェーンソーを弾きあげる。 またもがら空きになったチェーンソー男のボディに拳を叩き込み、そして今度は、追撃も放つ。 「『内部破壊音(スフォルツァンド)』」 殴ったことでチェーンソー男の体内に発生した音を、一気に増幅させる。 人間ならば瞬間でミンチになると断言できるほどの威力の音が、男の体の中で木霊した。 倒れ伏すチェーンソー男。見下ろすアーチャー。 勝敗は決した。だが、アーチャーの顔には高揚感よりも別の感情のほうが多く現れていた。 予選でのサーヴァントとの戦闘で内部破壊音を使ったこともあった。その時の相手は食らった瞬間仁王立ちのまま消えていった。 文字通り内部を侵食し霊核を破壊し尽くすほどの攻撃だが、チェーンソー男の身体に変化はない。 自前の変装用フードをかぶり直し、観察を続ける。 するとチェーンソー男はがばりと起き上がり、アーチャーには目もくれず飛び上がり、屋根を伝いながら走って行ってしまった。 「……『不死』ですか」 その光景を見て、ようやくアーチャーには合点がいった。 思い出すのは、アーチャーの知る魔法少女の一人。 『ハードゴア・アリス』。アーチャー最後の試験の参加者。不死の魔法少女。たとえ致命傷だろうと即座に治癒し、復帰できる魔法を持っていた。 彼女の魔法と同じような特性を、あのチェーンソー男は持っていたということだろう。 倒れたままだったのは復活の時間稼ぎだったのかもしれない。 だとすると、とアーチャーはその先のことを考える。 不死の相手を殺すにはどうすればいいか。 聖杯戦争のルールに則るならマスターを攻撃するのだが、それではあまりおもしろくない。 できることなら正面から、不死をぶち抜いて殺したいが。 再度の戦闘に備えて、自身の経験した闘争の中からあれこれと情報を整理する。 あの男との戦闘は、もう少し楽しめそうだ。 そんな、高揚感と寂しさが綯い交ぜになったアーチャーの視界に、一つの死体が飛び込んできた。 「おや」 傷口は見えないが、あのチェーンソー男に襲われたのだろう。 不用意なものだ。攻撃しなければ襲いかかって来ないのだから、おとなしくしていればよかったものを。 ただ、彼女の命がけの足止めがチェーンソー男を引き止めてくれていたのかもしれない。 そう思うと、少しだけ感謝の気持ちは湧いてきた。 ただ、それだけだった。 それ以上の感情はない。 「逃げられてしまった以上、次の戦闘まではもう少し間が空きそうですね」 死体への興味はすぐに失せ、またチェーンソー男について考えだす。 逃げたということは、もう今日は戦う気がないということ。 追ったところでどこか遠くで霊体化して、アーチャーをやり過ごすことだろう。 となると、アーチャーの方針はまた少し変わることになる。 別の闘争を探さなければならない。 図書館周辺はもう望み薄だ。 小学校での戦闘、先ほどのチェーンソー男の暴れる音、この死体、すぐにNPCが押し寄せてくる。公の場所で戦闘は起こらない。 ふと、視界の端に見慣れぬ何かが映る。 何事だろうと見上げた先、小学校の向こうの裏山に、マントを靡かせる巨人が立っていた。 その大きさは、エリアにして二つは離れている場所からでもはっきりと視認できるほど。 いつかの試験の時、巨大化する魔法少女チェルナー・マウスが30mほどに巨大化したことがあるが、あれよりもさらに大きいかもしれない。 また、熱が回りだす。 飽くなき闘争への欲求が疼きだす。 あんな大物が立ちまわっている。 相手はどんな強敵だろう。 どれほど強いのだろう。 次は間に合えばいいのだけれど。 影に隠れて大きく飛び上がり、屋根を伝って走りだす。チェーンソー男が逃げていったのとはまた別の、小学校の裏山の方へ。 この舞台は、まだまだアーチャーを楽しませてくれそうだ。 【D-2/屋根の上/1日目 午後】 【アーチャー(森の音楽家クラムベリー)@魔法少女育成計画】 [状態] 健康、気分やや高揚 [装備] 黒いフード付きコート [道具] なし [思考・状況] 基本行動方針: 強者との闘争を求める 1. 裏山地区(D-1)へ。 [備考] ※木之本桜&セイバー(沖田総司)、蜂屋あい&キャスター(アリス)、高町なのは、バーサーカー(チェーンソー男)を確認しました。 ※チェーンソー男のスキル:不死を確認しました。 ※フェイト・テスタロッサを見つけてもなのはに連絡するつもりはありません ※小学校屋上の光の槍(フェイト)を確認しました。 ☆大井 緊急事態により少し早い放校となった。 聞くところによれば、小学校の屋上で爆発事故が起こったらしい。 教師の慌てふためいた様子を尻目に、心のなかで笑う。 その爆発は、おそらく大井のサーヴァント・アーチャーのしわざだ。彼が敵を発見し、強襲したのだろう。 素晴らしい速さだ。これこそ、重雷装重巡洋艦の戦争だ。 相手が気づくよりも疾く駆けつけ、相手が気づくよりも疾く仕掛ける。相手が気づいた頃には蹂躙を終え、意気揚々と帰路につく。 戦争とはすなわち速さなのだ。先手を取る勝負なのだ。決して相手の出方を伺いながら後手後手で行うものではない。 少し情報が伝わるのが早い気がするが、個人レベルでさえスマートフォンのような情報伝達機器があるのだから、学校間での情報交換はもっと迅速に行えるのかもしれない。 成程、技術発達かくの如くか、と一人で頷きながら、NPCとしてのルーチンを乱さないように帰路につく。 歩く途中で、ふと、小学校のほうが気になった。 アーチャーが帰ってくる気配はない。 なにか手こずっているのだろうか、と思うが不安はない。 大井は、自身のサーヴァントのパラメーターの強さをしっかりと理解している。 更に宝具の開放まで許可しているのだ。 余程のことが起こらないかぎり、一方的に負けるようなことはないだろう。 もし負けて帰ってくるようなことがあれば……その時はその時だ。 作戦を練り直し、今度はこんな突発的なものではなく万全の状態を整えて挑めばいい。 そうすれば、負けることなんてない。 通い慣れた大通りを歩く。 人影が見えない。 遠くからがやがやと声が上がっているのを聞くに、皆、小学校方面に野次馬に行っているようだ。 NPCに扮しているのだし、大井も野次馬に行くべきかと思ったが、やめておいた。 近づいていいことなんてなにもない。戦闘に巻き込まれ、負傷でもしたら後悔してもしきれない。 それに、教師の指示に従っているという形のほうが、よりNPC然として振る舞えている、といえるはずだ。 大井はこの聖杯をめぐる戦争の大局を見て動いている。 目先の情報に踊らされ、あわや敗北というところまで追い込まれるようなへっぽこ艦隊とは本質的に違うのだ。 人目がないのをいいことに、左手を出し、お守りを握りしめる。 愛が通い合う。北上を思えば、負ける気なんてしなかった。 愛を語らうことはできないが、それもまたしばしのこと。 すぐに取り戻すことを再びお守りに誓いながら道を歩いていると、突如空が陰った。 見上げれば、大通り目掛けて空から何かが降ってきた。 猛スピードで降ってきた何かは大井の目の前で大きく跳ねる。 道路にたたきつけられたことで勢いが失せ、それでようやく、大井は落ちてきたものの正体がわかった。 『バーサーカー』と書いてある。予選を勝ち残った参加者の英霊だ。 ひょっとしたら、アーチャーが戦っている相手かも。 そこまで考えて、大井の思考は急停止した。地面をバウンドしたバーサーカーが、大井に衝突したのだ。 勢いはだいぶ死んでいたし、大井自身が艦むすとしての恵まれた耐久力を誇っていたことが幸いし、怪我を負うことはなかった。 だが。 「な、ない!」 弾き飛ばされて、何事かと起き上がってみれば、手に持っていたはずの北上のお守りがない。 倒れていた周辺を見ても、落ちていない。 気が動転しそうになる。 ないわけがない。 数秒間血眼で探し続け、そしてようやく見つけた。 お守りは、大井と同じように投げ出されていたバーサーカーの左手の下に潰されていた。 マグマもかくやという怒りが、髪の毛の一本一本まで巡る。 そのお守りに触るな。 そう叫びながら、駆け寄り、その大男の左手を弾き、お守りを広い上げる。 ぐるんと、虚ろな顔が大井の方に向いた。 ぎゃり ぎゃり ぎゃり ぎゃり ◇ 足音が去っていっている。 現れた誰かが、あの忌々しいバーサーカーを撃退したらしい。 大井を助けないところを見ると、大井のアーチャーではなかったのだろう。 身体から熱が抜けていく。 大事な何かが、体中から抜けていく。 熱を帯びていた傷口からはもう何も感じない。 有無を言わさぬ理解が頭のなかに訪れた。 大井は、死ぬ。 怒鳴る力もなかった。 ほとほと、この世界に嫌気が差した。 大井の胸を埋め尽くすほどの愛は、どの世界でも羽毛よりも軽い。 どいつもこいつも、この一変の曇りもない愛を、軽んじている。 ようやく理解した。 世界は、愛を求めていないのだ。 あの時の長門と一緒だ。下らぬ屁理屈を並べ、大井の愛を無下にしたいだけなのだ。 力を振り絞り、左手を少しだけ浮かせる。 これでお守りが血に濡れることはない。 大井の心は決まった。 世界すらも大井の愛を求めていない。 愛に生きた北上を殺し、次は愛に生きる大井を殺しに来た。 ならば、望み通り、死んでやろうじゃないか。 大井だって、そんな世界はお断りだ。 北上という概念の存在しない退屈な世界に別れを告げる時が来た。 大井は、世界の望むままに、愛という大海原に溺れて、死んでやる。 「がほ、ご、は……れ、れいじゅを……」 だが、ただでは死んでやるもんか。 愛を馬鹿にした代償をきっちり払わせる。 全てを破壊し尽くす。 この世界の全てをだ。 この聖杯戦争の舞台も。 大井と北上の幸せを奪った鎮守府も。 大井の愛を利用し、踏みにじった聖杯も。 できることならばこの地球すらも。 大井の死とともに、消滅させてやる。 大井には―――大井のサーヴァントにはその力がある。 断りを入れる必要はない。 アーチャーの願いはプレゼンターに出会うことなのだ。この宝具を発動して、喜びこそすれ、悲しむことなんてありえない。 「令呪を、持って、命じるわ……」 脳裏に浮かぶのは様々な人の顔。一様に笑っている。北上を救えなかった大井を笑っている。 駆逐艦共、軽巡洋艦共、重巡洋艦共、戦艦共、提督。 双葉杏、コシミズサチコ、チェーンソーのバーサーカー。 お前も。 お前も。 お前も。 お前も。 愛に溺れて死んでいけ。 大井のために死んでいけ。 「アーチャー……ね、かは、ネビュラ、ゲートを」 お守りを握りしめ、なけなしの力を振り絞って左手を更に振り上げる。 あと六文字で世界が終わる。 その瞬間、世界はようやく、大井の愛の深さを認めた。 「おおい―ち――――――大丈夫―――」 大井の声を遮り、左手が誰かに握りしめられる。 お守りよりもあったかい何かが、大井の心に流れてくる。 倒れた大井に手を差し伸べた人物の姿は見えない。 大井に見えているのは、先程から、時化の海のような灰色と燃えるような赤の混ざった地面だけだ。 でも。 懐かしい声。 懐かしい響き。 その笑顔はもう見えないけど。 そこに居る、貴女のことを間違えるはずがない。 続けるはずの六文字は、頭から消え去った。 握られた左手のぬくもりで、世界への破壊衝動はすぐに霧散した。 ―――ああ、北上さん。 そこに居たんですね。 危なかった。 もう少しで、世界ごときのために、また貴女を死なせてしまうところでした。 「き、たか―――み、さ―――」 胸は喜びでいっぱいなのに、言葉はうまく出てくれない。 血が喉に絡んで、わけもないのにどもってしまう。 ―――駄目ですよ。北上さん。 私今、汚いから、汚れちゃいますよ。 大変だわ。 すぐにお風呂に入って、綺麗にならなくちゃ。 「大丈夫、大丈夫―――」 最初に一度、そしてもう二度、大丈夫と繰り返される。 やはり、北上は北上だ。大井に優しくて、大井を愛してくれている。 それでいい。それだけでいい。 世界程度が愛をどれだけ軽んじようと、大井には北上がいればそれでいい。 ―――嬉しい。 ようやく会えた。 聖杯なんていらなかった。 結局。 私が望めば、それだけで。 もう一度、会えたんですね。 無事でよかったです。北上さん。 さあ。 ここは危ないですから。 早く逃げましょう。 今度は。 二人で。 手を離さずに。 ちゃんと。 …… ☆ 「おーい、ちょっと、大丈夫!? 救急車呼ぶから、気をしっかり持って!!」 「き、たか―――み、さ―――」 震える手。 何かを求めて差し伸べられた手。 「大丈夫、大丈夫だから! すぐ救急車来るからね!」 差し伸べられた手を反射的に握り返す。 そのことに、血まみれの少女は気づいただろうか。 NPCの少女にそれを知る術はもうない。 ◇ 「……誠に残念です」 「……ごめんなさい、私がもう少し早く連絡してれば」 「いえ、怪我の大きさから言って、致命傷です。たとえ斬られた瞬間に通報していたとしても、死亡は免れたかったでしょう。気に病まないでください。 傷跡を見るに、最近目撃情報が寄せられていたチェーンソー殺人鬼かと。物騒なので、気をつけてください」 「はい……」 血まみれの少女の死体は、運ばれていき。 NPCの少女は、手を合わせて祈りを捧げたあと、自身の務める店から花束を持ってきて、血だまりの側に添えた。 これは、なんてことのないNPCの日常に起こった、奇妙な物語の一つ。 誰にも語られず消えていく、なんてことない物語。 ただひとつ。 そんな物語に奇跡があったとするなら。 大井に駆け寄ったNPCが、聖杯によって学生ではなく花屋の店員として再現されていた『北上』本人だったということだけだろう。 それは、きっと意味のない奇跡だ。 死力を尽くし戦い消えていったライダー、星輝子にとっても。 戦い、再び戦場に消えていったアーチャー、バーサーカーにとっても。 嵐に巻き込まれ、傷ついた多くの人びとにとっても。 死んでいった大井にとっても。 彼女の手をとったNPCにとっても。 駆けつけた救急隊員にとっても。 何の変化ももたらさず、何事も無く通り過ぎて行くだけの無意味な奇跡。 でも。 誰にとって意味がないものでも。 誰にとっても意味がないからこそ。 それはきっと、聖杯の起こす作られた奇跡ではなく。 世界が大井を思い、大井に向けて放ち。 大井の強い愛が掴んだ。 大井だけの奇跡だったはずだ。 【大井 死亡】 ☆雪崎絵理 小学校側に出ていたチェーンソー男の反応は、絵理が到着するよりも早くに消えた。 消えた頃に何事かと小学校の方を見れば、見上げれば遠い空にUFOが飛んでいた。 もしかして、チェーンソー男はキャトルミューティレーションされてしまったのだろうか。 意味がわからなかった。 とりあえず、来た道をただ引き返すというのも癪に障ったので人垣越しに小学校を確認してみた。 校門を過ぎた向こう側には、明らかにチェーンソー男と何かが戦った痕跡が残っていた。 誰かが絵理よりも早くチェーンソー男を発見し、倒した、ということだろうか。 今朝の事件を思い出す。 金髪のアシメヘアの少女、白坂小梅が『バーサーカーさん』と呼んでいた男は、特に理由を説明するまでもなくチェーンソー男と戦い、彼を退けた。 ひょっとすると、彼と彼女がこの周囲に偶然居て、もう一度チェーンソー男を倒してくれたのかもしれない。 だとしたら、お礼を言わなければ。 お礼とともに、正式に協力を依頼してみようかなんて考えていた時、不意にまた嫌な感覚が絵理の身体を包み込んだ。 チェーンソー男の反応だ。 場所は丁度来た道の方。まさかこんなに早く気た道を戻らなかったことを後悔するなんて思っても見なかった。 駆け出し、胸騒ぎの向かう先を感じ取る。 場所は近くのマンションの屋上のような気がした。 どうやって移動したかは分からない。 それに、再度出現する速度が早過ぎる。 だが、疑問を胸に立ち止まっている暇はない。 一歩でも早く辿り着いて、倒さなければ。 マンションに向かって走っていると、急にチェーンソー男の反応が一気に近づいてきた。 どうやら、屋上から飛び降りたようだ。 周囲を確認する。 人はまばらにしか居ない。いや、まばらに『いる』。 暴れだせば、被害者が出るかもしれない。 足に力を込めて走りだす。 速く。 速く。 まだ速く。 少しでも速く、奴のところへ。 ◇ 絵理が現場にたどり着いた時、全ては終わっていた。 チェーンソー男の撤退。それは現場にたどり着く直前に絵理も感じていた。 嫌な胸騒ぎが消えた。しばらくは出ない……はずだ。 だが、絵理がその事実に喜ぶことはなかった。 絵理が数十秒遅れて辿り着いた時、現場は無残な状態だった。 壁が破壊され。 電柱が切りつけられ。 ガードレールが切り裂かれ。 そして、道路に力なく横たわる『チェーンソー男の被害者』と、彼女の手を取る一人の少女が居た。 詳しい経緯は分からない。 横たわっている少女が誰かも知らない。 だが、はっきりと刻み込まれた烙印が一つ。 雪崎絵理は初めて、チェーンソー男に敗北し、世界にまた悲しみを刻ませてしまったのだ。 【D-2/大通り/一日目 夕方】 【雪崎絵理@ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ】 [状態]魔力消費(?)、ショック(大) [令呪]残り三画 [装備]宝具『死にたがりの青春』 、ナイフ [道具]スマートフォン、制服 [所持金] [思考・状況] 基本行動方針:チェーンソー男を倒す。 0.――― [備考] ※チェーンソー男の出現に関する変化に気づきました。ただし、条件などについては気づいていません。 ※『死にたがりの青春』による運動能力向上には気づいていますが装備していることは知りません。また、この装備によって魔力探知能力が向上していることも知りません。 ※白坂小梅&バーサーカー(ジェノサイド)を確認しました。真名も聞いています。 ※記憶を取り戻しておらず、自身がマスターであることも気づいていません。 ※もしかしたらルーラーも気づいてないかもしれません。 ※聖杯戦争のことは簡単に小梅から聞きました。詳しいルールなどは聞いてません ☆バーサーカー 足音が聞こえる。 地獄へと続く黄泉路へ導く、荒くけたたましい足音が。 どるるん。どるるん。どるるるん。 足音は再びどこかに消えていく。この世界のどこかにある、この世界のどこにもないどこかへ。 彼の正体を知るものは、世界のどこにもいやしない。 因縁深い雪崎絵理だって、その正確な内容は理解していない。 ただ、彼についての逸話だけは、聖杯に残されている。 絶対に死なないということ。 襲ってきた相手は襲い返すということ。 そして、『雪崎絵理が希望を抱けばその分弱くなり、絶望すればその分強くなる』ということ。 消えぬ傷跡が刻まれた。 次に出会うときは、もはや先刻の彼ではない。 異界の底で、チェーンソー男は再び機会を待ち続ける。 【???/???/一日目 夕方】 【チェーンソー男@ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ】 [状態]復活まで時間が必要。 [装備]チェーンソー [道具]なし [思考・状況] 基本行動方針:雪崎絵理の殺害 [備考] ※雪崎絵理がマスターだとかそういうことは関係ありません。 ※雪崎絵理の絶望に呼応して、戦闘能力が向上しました。 ※聖杯戦争中、チェーンソー男は夜以外にも絵理がサーヴァントの気配を感じた場合出現し、当然のように絵理を襲います。 ※致命傷を受けての撤退後、復活にはある程度の時間を要します。時間はニュアンスです。 ※アーチャー(森の音楽家クラムベリー)、ランサー(姫河小雪)、フェイト・テスタロッサ&ランサー(綾波レイ)、 キャスター(木原マサキ)、白坂小梅&バーサーカー(ジェノサイド)、輿水幸子を確認しました。 ☆ 日が傾き、少女たちの楽園が赤く染まる。 儚くも美しい日常たちは、黄昏を纏い闇に落ちる。 嵐の訪れを告げる鬨の声は上げられた。 夜の闇が広がりだす舞台の上で、危険な妄執たちが蠢きだす。 ALL HAZARD PARANOIA/オール・ハザード・パラノイア ☆ 【追記】
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/3035.html
我思う、故に我有り』。彼女が垣間見たとある世界の思想家の言葉。 存在する物について他者と自分は同じ物を同じ物として認識しているとは限らない。 だが、対象を認識した自分の意識、思考を否定することはできない。否定できないものが我であり、自我そのものである。 自分が存在することは理解できる。今、ここにある存在が自分だ。自分自身だ。 では、ここにいる自分はいったい何なのか? 人でもない。動物でもない。機械でもない。兵器でもない。植物でもない。 自分として認識する存在が、いったい何なのか、何になるのか、何になるはずだったのか。 分からない。何でもないにもかかわらず、存在だけは確立された。 だからこそ悩む。彼女は思考する。『自分はいったい何であるのか』という答えを知るために。 正解をくれる創造主はない。自分を創造した存在は、もはや過去の存在になってしまった。 自分は『過ち』。本来なるはずだったのものから、かけ離れている。けれど、本来なるはずだったのものも分からない。 彼女は、胎内に納められた虚数空間跳躍能力を使い世界を回る。 目的は2つ。『自分が何になるはずだったのか』『過ちとはなにか』。 世界に『過ち』を起こす。自分がいなければ起こる『そうなるはず』だった事象をゆがめ、『過ち』というものを観測する。 気が遠くなるほどの時間、彼女は答えを知るため、思考と試行を繰り返す。 どこかにある正解を求めて、今日も世界に『過ち』を呼ぶ。 新たな世界への虚数空間跳躍の最中、彼女はあるものを見つけた。 漆黒の闇と、容赦なく熱を奪う風が吹きすさぶ時空間の狭間。周囲の闇に決して溶けず温かな光を放つ何か。 寄る辺もない彼女は、何を思うわけでもなくそれに近付き、そっと眺めてみた。 「これ、は……」 宝石のように輝く、カッティングされた輝石が9つ。数字を刻まれ、膨大な魔力を秘める物質たち。 だが、その場にあったのはそれだけでなかった。黒い闇にまぎれて、一人の女性の遺体が何かを掻き抱くように漂っていたのだ。 虚数空間では、長時間いれば体の時間軸がずれることがある。 女性の体は頭部などはまだ瑞々しさを保っていたが、体は穴が開くように朽ちた部分が点在していた。 女性が掻き抱いていたものを見る。2m以上はある円筒の中は培養液で満たされており、金色の髪をした幼い少女が漂っている。 次元の狭間に落ちた母親と、医療ポッド。彼女はそう最初は考えた。 だが、すぐにその考えを改める。 女性のそばにあったこの異常な魔力塊9つの理由がつかない。 これほどのものをわざわざ肌身離さず持っていたとは考えずらい以上、何か特別な理由があったのだ。 そう考えれば、このポッドの意味は大きく変質する。治療でない、とするならばこのポッドの中に浮かぶ少女はなんなのか。 生き物で言うのならば、『好奇心』と呼ぶべきものが彼女の中で首をもたげた。 期待するわけではない。 だが、もしも、もしもこの少女が『作られたもの』であるならば。 それも、『破棄されたもの』であるならば。 自分の答えを探す一端になるのかもしれない。 ありえないような可能性を胸に、彼女はその場にあったもの全てを回収した。 この日の出来事により、彼女の行動は変化することになる。 のちにJS事件と呼ばれる出来事があった、少しあとの10月末。 彼女は、動き出した。 ◇ ◇ ◇ 多くの方向で波紋を呼んだジェイル・スカリエッティの起こした事件は、無数の禍根、そして憂いを残しつつも一応は解決した。 管理局最高評議会の死亡。レジアスにより露呈した、管理局が事件に関与していた現実。壊滅した地上本部。 しかし、それらは管理局の崩壊を意味するものではない。 予言で記された破滅の未来は、多くのストライカーの尽力もあり、別のものへと変化した。 だれもが、これで全てを終わらせないように力をあわせ、平和の維持に務めている。 機動六課の隊舎もまた復旧され、通常の業務も可能になった。 「なのは、本当にもう大丈夫?」 復旧した隊舎で、心配そうな声でフェイトはなのはに声をかけた。 事件で「ブラスターシステム」を開放し、数年の療養を薦められるほどの後遺症を抱えているにもかかわらず、 相変わらずフォワード陣の指導などを精力的に行なっているなのは。 頑固というより、一度決めたら無理でも無茶でも一途に突き通す同棲相手に、もう一度確認する。 「大丈夫だよ、フェイトちゃん。もう少ししたらヴィヴィオも帰ってくるんだから、このくらいでまいってられないよ」 「そう、そうならいいんだけど」 「みんなもがんばってるからね。私もそうだよ」 相変わらず心配そうなフェイトの顔を見て、なのはは笑う。 お互い幼いころから一緒の仲だ。向こうも自分のことは分かっているのだろう。 それに、ヴィヴィオがもうすぐ退院だ。 あの事件ののち、正式に自分たちが引き取ることなった娘を頭にフェイトは思い浮かべる。 正式に家族の一員となるヴィヴィオ。ヴィヴィオも喜んでくれていた。 それにしても、と少し諦観のこもった息を吐く。 フォワード陣の皆が頑張るのはいいが、少し心配になる部分もどうしてもある。 訓練中のティアナの一件もあり、しっかり訓練の意味も理解して頑張ってくれるのは嬉しい。 しかし、あれだけのことをしたのだ。少し、休みを増やして疲れを抜いてもいいんじゃないかとも思ってしまう。 エリオは、特にそうだ。シグナムにも実戦式の訓練をお願いしていたり、根を詰めているように見える。 もちろん、エリオとキャロの意思を確認してよければだが、フェイトとしては学校に行ってほしいな、と考えていた。 やはり自分の経験からしても、学校に行くというのはいいものだからだ。 なんとも子供に心配症なフェイト。ヴィヴィオの時など、なのはに「フェイトママは甘すぎ」と言われる所以だ。 保護者として……母としてどうしても子供が心配なのは、おかしなことでもないとフェイトは思っているが。 「そういえば、フェイトちゃん。はやてちゃんに呼ばれてたんじゃなかった?」 首肯。朝の仕事をしたあと、フォワード陣の朝の訓練を終えたなのはと朝食をとっている最中だった。 険しい顔で部隊長のはやてがこちらに連絡を寄越したのだ。曰く、ロストロギア関係の事件で話があるということだった。 機動六課は、本来の設立理由は別にあるとしても、表向きはレリックなどロストロギア絡みの事件を受け持つ組織。 専門として追っていたレリック事件が解決しても、それで終わりというわけでない。 つまり、そういう事件が舞い込んでくることもおかしくないわけだが……いったいどんな事件なのか。 小さく手を振り、テスクワーク行くなのはと分かれて、部隊長室へ向かう。 「フェイト・テスタロッサ・ハラオウン執務官です」 ドアを軽くノックし、そう告げて部屋に入る。そこには、見知った親友であり、部隊長の八神はやてが座っている。 彼女もまた、大切な親友の一人だ。お互い、気安い仲だと思っている。 外を見ているようだったが、こちらに気付いて椅子をこちらにはやては向ける。 はやては、少し戸惑うような仕草を見せ、黙っていた。 機動六課を作ろうとフェイトとなのはに打ち明けたときのように、こちらに何か遠慮しているように見える。 しばらくフェイトも黙っていたが、彼女が小さく笑いかけると、はやても少し表情を柔らかくした。 それでも、かなり硬いものだったのだが。 「昨日、封印するため運送していた『ジュエルシード』が強奪されたんや」 指揮官として、背筋を真っ直ぐに伸ばしはやてが言った。 「ジェイル・スカリエッティが盗み出したものや。それも、ただ襲われただけやない。 犯人グループは、かなりの戦力を使い、一気に盗み出した後、空間転移で撤退してる。 その戦力量も問題なんやけど、その一味が使用した兵器は……」 空間に浮かぶウィンドウをはやてが叩く。 一、二度操作したところで、フェイトの前に、おそらく襲撃時のものと思われる映像が投影された。 何気なく視線を落とす――絶句する。 「これ……!?」 映し出されていたのは、細部が違い、動きも俊敏になっているが間違いなく傀儡兵。 かつて、とある人物が使っていた、自立駆動型の魔法兵器だ。 フェイトの表情を見て、察したはやてが僅かに目を伏せた。 「やっぱり、そうなんやね」 さらに、はやてがキーを叩く。さらにポップアップする映像。 そこに写っているのは、管理局員の魔導師たちと……小さな男の子だった。男の子に向け、管理局員たちはデバイスを向けている。 その子を見て、フェイトが真っ先に連想したイメージは、青いエリオ。 としかさもちょうどそのくらいだったし、髪の長さも同じくらい。瞳の色は分からなかったが、髪の色は紫に近い青。 そして、その手に握られているのは、群青色の槍。髪の色よりも青みが強い。ストラーダに比べると随分無骨なフォルムだ。 デバイスを向けられているというのに、まったく男の子は動じない。構えるわけでもなくうつむいて立っている。 管理局員による呼びかけ。 「なぜ、こんなことをする!? 運送されているものがどれだけ危険か知っているのか!?」 少しの静寂ののち、男の子が口を開いた。 「知ってますよ。 でも、僕を造ったお母さんが、アルハザードに行くためには、9個じゃ駄目なんです。 本当の自分を取り戻すにはジュエルシードがもっともっといる。 こういうの、好きじゃないですけど、渡してくれないなら……すいません。いくよ、ヒュポクリシス」 男の子のもつ長槍の正体は、デバイス。『ヒュポクリシス』はデバイスの名だろうか。 独特の機械音声が流れ、その足元に青い魔方陣が展開される。 構える護衛の管理局員たち。食い入るようにフェイトはその映像を見るが、次の瞬間、眩い光が溢れ、映像は途切れてしまった。 「異変を知って後続の部隊がついたときには……もう、ジュエルシードは奪われた後やった」 はやての声を、ほとんどフェイトは聞いていなかった。 『傀儡兵』 『僕を造ったお母さん』 『アルハザードへ行く』 『本当の自分を取り戻す』 『ジュエルシード』 「な……ぜ?」 昔、フェイトがハラオウンの姓を名乗ることになる前にあった、とある人物の起こした、とある事件と一致しすぎている。 とある人物とは、プレシア・テスタロッサ。とある事件とは、P・T事件。 そう、フェイト・テスタロッサの母であるプレシア・テスタロッサが『あるはずだった本当の幸福』を求め、 『アルハザードへ行く』ため『彼女が作った』フェイトを使い、『ジュエルシード』を収集しようとした事件だ。 だが、この事件ははるか昔に終わったはずだ。 フェイトが伸ばした手をプレシアは取らず、そのまま9個のジュエルシードともに虚数空間へ落下していった。 事件の顛末はこれで間違いない。フェイト自身、その瞬間を見ている。 なのに、今になって何故、こんなことが。これでは、まるで母が生きているかのようにしか見えない。 現実味があまりになかった。一瞬、今自分が硬い地面の上に立っていることすら信じられなかった。 頭が揺れて、まっすぐ立つことができない。 「フェイトちゃん!」 はやてが椅子から立ち上がり、フェイトの肩を支えてくれていた。 そこで、やっとフェイトは我に帰った。きっと、今の自分の顔は信じられないほど青ざめていただろう。 動悸がする胸を押さえ、机に手を突き、どうにか立つフェイトが、 しっかりと自分の足で立てるようになるまで、はやては何も言わずに待ってくれていた。 「……とにかく、こんな事件が起こったんや。残りの封印処理をしてあるジュエルシードを守らなあかん。 それで、この一味の捜査とジュエルシードの護衛任務が六課に回ってきたんや」 はやての言葉にフェイトも頷く。 この事件を追えば、自然この集団の謎は解け、首謀者が露わになるだろう。 この母の起こした事件と酷似した事件を起こした理由もまた、同じこと。 「戦力が戦力でな。気絶してた局員に聞いてみたんやけど……相手の戦力は大きく分けて3つ。 傀儡兵。子供の姿をした魔導師。あと、大型の傀儡兵を元に改良したと思われる巨大な質量兵器」 彼女自身、傀儡兵のことは知っている。母が作ったものは、一騎一騎がAランクの魔導師に匹敵する。 はっきり言ってその他の量産兵器の枠に収まるレベルではない。陸戦魔導師は平均してB程度。 つまり、同数でぶつかり合えば、戦術その他でいくらでも結果はかわるだろうが、単純な攻防に限れば傀儡兵に軍配が上がるほどだ。 そして、P・T事件のころの自分と同じように魔導師としての力を持つ子供。造られた、人造生命。 映像はないそうだが、大型の質量兵器のもととなった傀儡兵にも心当たりがあった。 かつて、なのはとフェイトがともに力を合わせて撃破した、あの大型をベースに改造したのだろう。 「これは、機動六課向けの事件や」 機動六課向けというその言葉は多くの意味を含む。 ロストロギアがらみの事件で動くことを創設目的とし、 Aランク魔導師と同等の実力をもつ傀儡兵を分散しても叩けるだけの実力を持ち、 何より過去それらと酷似した存在と戦った経験者が所属する。 確かに、これ以上はないだろう。 だが、しかし。 自分なりに、母のことを含めあの事件のことは受け入れたつもりだ。 だというのに、抑えきれない様々な思いが体を駆け巡る。フェイトは、全身を覆う不安、懸念をかき消そうとした。 それでも、消しきれぬ悪寒。 首謀者が、もしも母だったら? 母だったら、どう自分は向き合えばいい? もう二度と会うことはないと思っていたもう一人の母が、『死者』が再び自分の前に現れたとき、 自分を冷静に保てる自信は、フェイトには……まったくなかった。 ◇ ◇ ◇ 「ラリアー、デスピニス……御苦労でした」 彼女は、ジュエルシードを手に戻った自分の娘と息子に声をかけた。 彼女の前には、槍を持つラリアーと呼ばれた青い髪の男の子と、杖を持ちデスピニスと呼ばれる長い巻き毛の髪を揺らす女の子。 どちらも、まだ10歳になるかならないかという外見だ。 「体に異常はありますか? 『ヒュポクリシス』と『エレオス』の調子に変化は?」 「大丈夫です、怪我してません。デバイスの調子も特に」 「私も、疲れていますけれど、平気です……」 子供たちとそのデバイスの調子を聞き、彼女は小さく目を瞬かせる。 「ティスの『テュガテール』と『パテール』は不調の気配があるとのことでしたが、お前たちは問題ないのですね?」 「あの、ティスは、どうしてもデバイスの扱いが荒くなるから……だから、だと思います……」 デスピニスがおずおずとそう言うと、暗闇の影からもう一人、誰かが姿を現した。 肩までより少し短い、桃色の髪の少女。やはり、デスピニスとラリアーと同じくらいの年だ。 不機嫌そうに腕を組んでいる。少女の姿を見て、ラリアーは、声をかけた。 「ティス、君も今、帰ったの? 怪我はない?」 「当たり前だよ、あんな連中あたいの前じゃ……ってじゃなくて!」 ピシリとデスピニスのほうを指差す。びくりと体を小さく振るわせたデスピニスに、ティスと呼ばれた少女は言う。 「あたいのは、いつも全力で殴り潰しと体当たりなんだから扱いが荒くなるのは仕方ないだよっ!」 「ご、ごめんなさい……」 明るく快濶なティスと、消極的で大人しいデスピニス。 二人のやり取りはおおむね毎回こんな調子だ。それを知る彼女は、何も言わずに静かに収まるのを待つ。 すぐにこのやり取りは終わる。なぜなら、 「二人とも、そんなこと言ってもしょうがないでしょう。それに、お母さんの前ですよ」 ラリアーが必ず仲裁に入り、場をおさめるからだ。 日頃の押しは弱いが、家族が傷つくようなこと、争うようなことを極端に嫌うラリアー。 姉妹の喧嘩――というかティスがデスピニスにほとんど言いっぱなしになっているが――を一人息子が止める。 三人を作ってもう何年も経つ。いつもの光景を今日も彼女は見守っていた。 静かになってから、彼女は口を開いた。 「体の調子が悪くはないようですが、全員調整ポッドに入りなさい」 「え、デバイスの整備は……」 「そろそろ『テュガテール』と『パテール』はフルメンテナンスが必要でしょう。 その時、お前たちの『ヒュポクリシス』と『エレオス』のメンテナンスも私がすべてやっておきます。 貴方たちは今日の晩に備えて休むのです。特にデスピニス。疲れが残っているとのことだったので」 その言葉で、顔を見合わせた後、彼女の前へデバイスを差し出す三人。 三人の顔を見回し、彼女は言う。 「昨日のように運搬部隊を襲うのではありません。保管場所を襲撃する以上、万全の準備を怠らないように」 彼女の言葉を聞き、嬉しげにティスが手のひらを拳で叩く。 「やっとあたいの出番だね!」 彼女の言葉を聞き、デスピニスは、曇った顔でつぶやく。 「私は、痛いのも、痛くするのも本当は嫌……」 彼女の言葉を聞き、ラリアーは芯の通った声で宣言する。 「戦うのは、好きじゃないけど……それが皆を守ることになるなら」 彼女の言葉―― 「これからが、始まりなのです。私が生まれた場所へ……生まれた意味を知るための、本当の始まり」 これは、二組の親子の物語。 目次へ 次へ