約 2,183,260 件
https://w.atwiki.jp/rpgrowa/pages/107.html
現実からの支給品 アイテム名 効果・説明 所有者 拡声器 死亡フラグ。声を周辺一帯に響き渡らせることができるが……。 アキラ→リン→セッツァー 工具セット 基本的な工具一式だと思われる。金槌など武器として使えるものがあるかどうかは不明。 アリーゼ→ルカ・ブライト→焼失 双眼鏡 小さな望遠鏡。光の反射を利用し遠方の像を拡大して見ることができる。 ロザリー→ピサロ スーパーファミコンのアダプタ 正式名称『ACアダプター』。黒くてゴツいコンセント付きのアレ。実に0.5kgもの重さがあるので振り回して遊ぶのは危険です。 マッシュ→ルカ・ブライト→焼失 老酒 ラオチュウ。狭義には中国製の醸造酒を指す。中華圏との縁が浅いファンタジー世界勢には物珍しいかもしれない。 セッツァー→消費 海水浴セット 水着、浮き輪などのセット。 アナスタシア→ちょこ 白いコート たぶん何の変哲もないコート。出典が書いてないので此処に入れておく。 アティ
https://w.atwiki.jp/gods/pages/113852.html
アナスタシアニコラエヴナ(2)(アナスタシア・ニコラエヴナ) ロシア大公の系譜に登場する人物。 関連: ニコライッセイ (ニコラ1世、父) ミレナヴコティッチ (ミレナ・ヴコティッチ、母) ゲオルギーマクシミリアノヴィチレイフテンベルクスキー (ゲオルギー・マクシミリアノヴィチ・レイフテンベルクスキー、夫) セルゲイゲオルギエヴィチロマノフスキー (セルゲイ・ゲオルギエヴィチ・ロマノフスキー、息子) エレナ(21) (娘) ニコライニコラエヴィチ(2) (ニコライ・ニコラエヴィチ、夫) 別名: スタナペトロヴィチ (スタナ・ペトロヴィチ)
https://w.atwiki.jp/gods/pages/82303.html
アナスタシアニコラエヴナロマノヴァ(アナスタシア・ニコラエヴナ・ロマノヴァ) アナスタシアニコラエヴナの別名。
https://w.atwiki.jp/rpgrowa/pages/197.html
時間帯 日中 午後 夕方 定時放送 No. タイトル 作者 登場人物 場所 【一日目 日中】 088 有限世界の少女たち昭和の男とエルフの願い ◆SERENA/7ps マリアベル、ロザリー、ニノ、無法松 B-7 089 空虚の輪郭 ◆6XQgLQ9rNg ユーリル、ルカ・ブライトクロノ、マッシュ、高原 D-01、E-01の境界D-01 港町西部D-01 港町 090 グリーン・デスティニーBLAZBLUEDARKER THAN BLACK ◆iDqvc5TpTI アシュレー、ゴゴ、トッシュトカシャドウ G-3 フィガロ城G-3 フィガロ城制御室G-3 砂漠 091 ジョウイ、『犠牲』に操られる ◆Rd1trDrhhU ジョウイ、ストレイボウ G-8 森林 092 迷い子 ◆iDqvc5TpTI ケフカビッキー I-9 西I-9 宿屋 093 悪魔みたいに、アイツは立ってた。 ◆KGveiz2cqBEn ジャファル、シンシアミネア、リン、アキラ A-6 村 チビッコハウス寝室?-? 094 銀の交差 ◆SERENA/7ps ピサロ、セッツァー C-6 森林 096 僕は泣く ◆iDqvc5TpTI ヘクトルブラッド、イスラ J-7 東I-7 東 ▲ No. タイトル 作者 登場人物 場所 【一日目 午後】 095 ですろり~イノチ~(前編)→(後編) ◆iDqvc5TpTI ルカ・ブライトユーリル、クロノ、マッシュ、高原ちょこ、アナスタシア E-2荒野とE-3森林の境界E-2平野H-2平野 097 妖星乱舞→(後編)壊れた心に貫く想い ◆6XQgLQ9rNg ケフカ、ビッキー、イスラ、ヘクトル、ブラッド I-8 南西 100 トカ、『楽園』を望む ◆Rd1trDrhhU ゴゴ、トッシュ、アシュレー、トカ G-3 フィガロ城 101 原罪のレクイエム ◆SERENA/7ps ジョウイ、ストレイボウ E-8 ▲ No. タイトル 作者 登場人物 場所 【一日目 夕方】 098 Fate or Destiny or Fortune?Famille?Throwing into the banquet ◆SERENA/7ps ちょこヘクトル、リン、ニノ、ジャファルアナスタシア、ユーリル、ピサロ、カエル、魔王、アキラ、イスラ、ブラッド、マリアベル、シンシア、ロザリー F-1 教会付近C-7 西側の橋より少し西C-7 橋の近く 099 戦友へ ◆jtfCe9.SeY シャドウ E-2 中央 102 アシュレーのパーフェクト首輪教室 ◆iDqvc5TpTI アシュレー、トカ、トッシュ、ゴゴ G-3 フィガロ城 103 飛行夢 ◆6XQgLQ9rNg セッツァー C-6 104 red tint ◆SERENA/7ps ルカ・ブライト F-2 中央 ▲ No. タイトル 作者 登場人物 場所 【第三回定時放送】 105 第三回定時放送 ◆xFiaj.i0ME オディオ ??? INDEX 時間順 ~第一放送 ~第二放送 ~第三放送 ~第四放送 ~第五放送 ~第六放送 ~第七放送 投下順 000-050 051-100 101-150 151-200 ▲
https://w.atwiki.jp/rpgrowa/pages/236.html
夜雨戦線 -Cross Battle- ◆6XQgLQ9rNg 雨は降り止まない。 更けていく夜を濡らす大粒の雫は、ひたすらに世界を冷やしていく。 ざあざあと、ざあざあと。 大声を上げて雨が降る。 天が流す涙のような大雨に打たれ、人ならざる容貌をした騎士が飛び跳ねる。 異形の騎士――カエルにとって、大雨は悪天候などではない。 それを証明するように、カエルは人の身では容易に到達できない高さまで跳躍する。 立ちはだかるブラッドとジョウイを飛び越えて上昇を終え、刹那の停止時間で虹色の刀を振りかぶった。 降りそぼる雨と共に、降下する。 虹の軌道の先、顔を顰めたのは夜の支配者マリアベル・アーミティッジだった。 緑の斬撃を見切り後ろに跳ぶ。 直後、目の前に落ちてきた七色の刀は、マリアベルに傷一つ与えなかった。 既に夜が訪れているのだ。ノーブルレッドを簡単に仕留められるはずがない。 「ロックゲイザーッ!」 マリアベルが手を翳すと同時、地面が隆起を始める。ぬかるんだ土は硬質の牙となり、着地するカエルを貫くべく伸長する。 雨音を押しのけて衝撃音が響く。 着地の衝撃を足腰で吸収していたカエルが、刀を土の牙に叩きつけた音だった。 牙は砕けない。 されど、陽光を浴び続けた鉱石より生み出された業物もまた、折れはしない。 土の牙とせめぎ合うカエルへと、長髪の巨体が詰め寄り拳を握り込む。 スレイハイムの英雄ブラッド・エヴァンス。 隆々とした体躯から繰り出される拳打は重く、直撃すれば馬鹿にできないダメージを受ける。 直撃すれば、だ。 ブラッドは、構えた拳を下げざるを得なくなる。 尖った耳をした細身の男――魔王が、巨大な鍵をブラッドの側面へと突き込んできたからだ。 攻撃のために握った腕を引き戻し、左右の腕を交差させる。 ランドルフを受け止めたブラッドの脇を抜けるのは、回転する鎖が上げる暴虐的な鳴き声だ。 鎖上に並ぶ細かい無数の刃が、雨粒を散らして斬り上げられる。 別たれた始まりの紋章を両の手に宿す少年――ジョウイ・アトレイドの攻撃は、突如生じた激流によって阻まれる。 激流を生んだのは、雨を全身に浴びたカエルだ。 大雨の勢いを得て、激流がジョウイへと迫りくる。 地面を削り土砂を飲み込み雨水を吸った水は津波に酷似していて、避け切れるような遅さではなくやり過ごせるような矮小さではない。 このままでは押し流される。 訪れる危機を直感し顔を顰め、左手を掲げようとしたジョウイの前で。 雨粒が、凍りついた。 中空に顕現した氷の粒は急激に気温を下げ、降り注ぐ雨を次々と凍らせていく。 「シルバー、フリーズ」 魔法使いの囁きが、雨音を縫うように響いた。 直後、激流の前に巨大な氷の結晶が形作られる。 結晶はジョウイを守るように、水を押し留める。 雨粒を用いて作られた間に合わせの氷壁が、津波に等しい水量に勝る道理はない。 故に結晶はすぐに皹割れ押し負け砕け散り、水は流れを取り戻す。 しかし、激流の先にジョウイの姿はない。 脆い結晶が作り出した僅かな時間は、ジョウイにとって充分な時間だった。 「助かったよ、ありがとう」 水から逃れたジョウイが告げると、魔法使い――ストレイボウは首を横に振る。 「礼を言うのは、俺の方だ」 ストレイボウは横目でジョウイを伺うと、照れくさそうに笑んで告げる。 「俺を――俺なんかを、仲間だと言ってくれて、本当に嬉しかった。ありがとう」 「ジョウイだけではないぞ」 ブラッドがストレイボウの側に立っていた。 「こうして肩を並べ戦ってくれるのなら、わらわたちもお主の仲間じゃ」 マリアベルがストレイボウの隣で微笑んでいた。 その事実が、言葉が、ストレイボウの胸に沁み込んでいく。 まるで、よく冷えた身を心地よい湯に浸らせた瞬間のように、じんわりと沁みわたっていく。 ゆっくりと話をしている場合ではないと分かっている。こんなときに言うべきことではないのかもしれない。 そう思いながらも。 言わずにはいられなかった。 「ありがとう……」 体は雨に打たれてびしょ濡れでも、心は毛布に包まれたように温かかったから。 「ありがとう……!」 三人が、深く頷いてくれた。 雨脚は衰える様子を見せず夜を湿らせていく。広がっているのは、暗く冷たい現実だ。 だとしても、だからこそ。 なんとかカエルと向き合わなければならないと、ストレイボウは震えながらも思い直す。 そんな彼の意識を汲み取ったように、ブラッドが、魔王とカエルを見据えたまま口を開いた。 「ジョウイ、ストレイボウ。尋ねたいことがある」 その声を聞き逃さないよう、ストレイボウは耳をそばだてる。 手短に告げられたのは、紅の暴君と呼ばれる魔剣を所持しているか否か。 ストレイボウが首を振る隣で、ジョウイが呟く。 「今は持っていませんが、心当たりなら――」 だが彼の声は、 「――作戦会議はそこまでにして貰おうかッ!」 雨の加護を受けた騎士の突貫によって、遮られた。 密集していた四人が、散開する。 ジョウイが右へ。 マリアベルが左へ。 ストレイボウが後ろへ。 そしてブラッドが、前へ。 「持っていないのならば今は構わない! ジョウイ、ストレイボウ! お前たちは、向こうで戦っている俺たちの仲間の手助けに行ってくれッ!」 カエルの剣を潜り抜け、迎撃するブラッド。その巨体を狙い、魔王が闇を炸裂させる。 その炸裂を阻むのは、別の闇だった。 レッドパワー、シャドウボルト。 生じた闇は、炸裂する闇と食い合い侵食し合い飲み込み合い、相殺する。 闇が消えた後に、カエルの姿はない。深追いせず、一度距離を置いていた。 「カエルたちの相手はブラッドとわらわが引き受ける、だから――」 「――止めさせてくれ」 マリアベルの言に割り込んだのは、ストレイボウの一言だった。 顔を上げ、マリアベルとブラッドに視線を向けた後、敵である騎士を真正面から見据え、魔法使いは続ける。 「カエルを、止めさせてくれ」 濡れそぼった姿から、確固たる強さを持って放たれた声は、雨音にもかき消されることなく夜闇に伝播する。 「ぼくからも、お願いします」 続けたのは、ジョウイだ。 「道を違えてしまっても目指すものが同じなら、確かな目的を抱いていられるなら、歩いて行ける。でも」 ジョウイは目を細め、何かを確かめるように、左手を強く強く握りしめる。 「でも、目的地まで違えてしまったら、それはきっと、哀しいことだと思うから」 「……分かった。ならばジョウイ、お前だけでも頼めるか? 魔王とは因縁があるようだが……」 気遣うようなブラッドに、ジョウイは首を縦に振る。 「構いません。あなた方にも、魔王を討つ理由がある。 奴はルッカと――リルカの仇ですから」 「心得た、確かに心得たぞ。ジョウイよ、お主の無念、わらわたちが晴らそう。 代わりと言っては何じゃが――」 マリアベルが、肩越しに後方を見る。 そこはもう一つの戦場であり、ジョウイが向かうべき場所だ。 「わらわの友を――アナスタシアを、守ってやってくれ」 憂いと心配を帯びた眼差しの向こうでは、轟音と絶叫が響いている。 覚悟を決めるように、ジョウイは湿った空気を深く吸い込んで、頷いた。 「……分かりました。皆さん、どうか、無事で」 「ジョウイ、死ぬなよ!」 ストレイボウの激励に片手を上げて応え、ジョウイ・アトレイドは駆け出した。 ◆◆ 幾度目かの剣戟の音が、響く。 振り下ろされた天空の剣を受け止めたのは、魔界の剣。 かつては世界を救った者――ユーリルと、世界に呪詛を吐き続けてきた者――イスラがせめぎ合う。 「邪魔を、邪魔をするな――ッ!」 絶叫するユーリルを前に、イスラは歯噛みする。 馬鹿げた膂力から繰り出される攻撃は、まともに受けるには重すぎた。 だからイスラは刃の角度を変え、一歩引く。 天空の剣に乗せられた力が持て余され、ユーリルがバランスを崩した。 そこに、魔界の剣を突き込む。 貫きの一撃はしかし、ユーリルを捉えない。 ふわりと浮かびあがるようにして避けたユーリルは、着地と同時に再び疾走する。 ユーリルの目が見ているのも行く先も、イスラではない。 「アナスタシア、アナスタシア、アナスタシアぁ――ッ!!」 ゾッとするような咆哮を上げ、一途なまでにアナスタシアへと向かう。 イスラは舌打ちをし、ぬかるんだ土を蹴りつけてその進路を阻む。 立ちはだかると、ユーリルの顔にあからさまな嫌気が浮かぶ。 「なんでだよッ! なんで、なんで邪魔をするッ!?」 「色々あるんだよ。説明するのが億劫なくらいにね。個人的には、アナスタシアを守りたいわけじゃあないさ」 「だったらどけよッ! 殺させろよ――ッ!」 泣きじゃくり駄々をこねる子供のように喚き散らし、剣が振るわれる。 威力は高いが、感情の濁流に突き動かされた行動と攻撃パターンは単調で分かりやすい。 故に、見切るのも阻むのも容易い。 問題は。 相手に退くつもりがなく、体力の限界を完全に突破し振り切っていることだった。 このまま戦い続ければ、強引に押し切られる可能性が高い。 アキラはピサロの足留めで手一杯になっているし、ブラッドたちがいつ戻ってくるかも分からない。 更に加えるならば、守るべき対象のうちの一人――アナスタシア・ルン・ヴァレリアは、信用できない。 そう、アナスタシアよりもむしろ。 分かりやすいだけ、共感できる点があるだけ、ユーリルの方が信用できる。 「キミの気持ちは分からなくはないよ。僕だって、アナスタシアは大嫌いだ。 教えてはくれないか? アイツがキミに、どんな酷いことを言ったのか」 「うるさいッ! そんなことを言いながらアナスタシアの味方をするんだろ! 僕の邪魔をするんだろッ!!」 ユーリルが、手を掲げた。 応じるように、応えるように、雨雲の中で稲妻が猛る。 「シンシアだって僕のことを分かってくれてなかった。ずっと一緒にいたのに。小さな頃から、ずっとずっと一緒にいたのにッ! 必死になって救った世界だって、今は、僕に優しくしてはくれないッ!!」 細長い稲光が、夜空を食い荒らして這いまわる。 「それなのに、お前が。アナスタシアを守ろうとしているお前なんかが」 ユーリルの声が熱を増す。 その無尽蔵な感情を原動力にしているかのように、雷光が夜を照らす。 「お前なんかがッ! 僕のことを分かってたまるか――ッ!!」 青白い光に照らされたユーリルの顔は、びしょ濡れでぐしゃぐしゃで震えていた。 真っ黒な感情をこね回して作った土台の上で、真っ黒な感情を削り取った杖を握っていないと立てないほどに、ボロボロだった。 そんな、憐れみを感じることすらできないほどに崩れ果てた少年を前にして、イスラは、得心する。 ――はは、何言ってるんだ。分かるさ。だって、瓜二つじゃないか。 ユーリルの手が、勢いよく振り下ろされる。 その挙動を黙ってみていることしかできなかったのは、きっと。 ――こいつは、この汚くて無様で醜い顔は。 かつて呪いを怨み自分を恨み世界を憎んでいたイスラ・レヴィノスは、この場にいる誰よりも深く強く、ユーリルに共感してしまったから。 ――他の誰でもない、この僕に、そっくりなんだよ。 手に取るように、分かる。 こうなってしまった人間には、小手先の戯言も表面的な慰めも綺麗事の説得も届かない。 深く暗くどす黒い感情の沼の奥底に届くのは。 全てを知り、理解し、受け入れ、その上で道を正してくれる、痛みすら感じるほどに強く、優しい想いだ。 それでも、分かったとしても。 与える術を、イスラは持ち合わせていなかった。 そんなイスラを、罰するかのように。 雷撃が、天から降り注いだ。 ◆◆ 頭が痛く息苦しく体が気だるい。 雨に濡れた服は重みを増し、全身に纏わりついて体温を奪っていく。 まるで、寝不足時に風邪を引いたかのような不快さに耐えながら、アキラは雨の向こうに意識を傾けていた。 美しい容貌に憤怒を刻む魔王――ピサロが、濡れそぼった銀髪を振り乱し突っ込んでくる。 雨粒が地面を叩く音と皮膚を伝い落ちていく水の感触と鼻孔をくすぐる湿っぽい香りを無視し、集中力を高めていく。 疲労を訴える脳に鞭打ち、鮮明なイメージを描画する。 ピサロが、速度を殺さず踏み込み斬撃のモーションに入った。 刀が雨を切り裂いて迫るよりも、少しだけ早く。 練り上げていたイメージを、アキラが解放する。 アキラを中心として具現化したのは、四つの黒の球体だ。 鎖のように連なった球体は低く唸り、ピサロの身を薙ぎ払う。 シャドウイメージ。 生み出された負の思念は、憎悪に突き動かされた魔を統べる者の命を縮めるには温すぎて、ピサロに大きなダメージは与えられない。 それでも。 「く……ぅッ!」 アキラから飛び退るように距離を取ると、ピサロは呻きたたらを踏んだ。 相手は魔王なのだ。 シャドウイメージで恐怖を見せつけ自、分を見失わせるほどの効果は望めない。 だが、悲痛なまでの感情をむき出しにしたピサロの精神を揺さぶる程度の効果はあったようだった。 「鬱陶しい……真似を……ッ!」 呟くピサロを前に、アキラは再度集中しイメージを作り上げた。 出鼻を挫くべく放ったスリートイメージが、ピサロの進行を妨害する。 冷静さを失している故に、アキラの精神攻撃がピサロの行動を確実に阻害する。 だが、それは決定打には程遠い。 アキラは水際でかく乱し続けているだけに過ぎず、敵を打破するだけの一撃を持ってはいなかった。 じりじりと、相手の精神力を削っている手ごたえはある。 同様に、アキラ自身の精神と肉体が疲労している実感も強かった。 息が荒い。目も霞みそうになる。膝は今にも笑いそうだし、気を抜いたらすぐに意識が飛んでいきそうだ。 油断すればあっという間に首を取られてしまうような強敵を前にした緊張感が。 超能力を行使するために必要な、絶え間なく休みない集中が。 アキラの精神を、確実に蝕みすり減らしていた。 どれだけ阻み何度惑わしても、ピサロは倒れない。 剣を握る手からも地を蹴る足からも憎しみに満ちた瞳からも、崩れる気配は微塵もない。 安易に切り崩すことのできない鉄壁の砦を連想させるその姿と対峙して、アキラは奥歯を食い縛る。 ピサロは強かった。 彼が激昂せず冷静ならば、アキラの首はとうに手折られているだろう。 絶望的なまでの力量の差を、実感せずにはいられない。 だとしても。 負けるつもりも挫けるつもりも諦めるつもりも、ない。 アキラの胸には、刻まれている。 刹那の時間共に戦った『英雄』の姿が、だ。 彼女はボロボロになっても立ち上がった。 彼女はその身が砕けても退かなかった。 そんな彼女が――アイシャ・ベルナデットが眠るこの場所で、弱音を見せるわけにはいかないのだ。 簡単に膝を付くようでは、アイシャと共に戦ったと誇ることができなくなる。 ひいては。 アイシャの仲間として、相応しくないということになってしまうのだ。 だから。 だからこそ。 アキラは、倒れない。 どれだけ心をすり減らし精神を酷使し意識に鞭打っても。 アキラは決して、倒れはしない。 「来いよ……!」 意識を、研ぎ澄ます。 あらゆる雑念を追い出し、抗う意志だけを練成しイメージを作り出す。 「俺がここにいる限り、アンタの好きにはさせねェッ!」 咆えるアキラを、一瞥して。 ピサロは、何度目かになる突撃を敢行する。 迎撃のため具現化させたのは、ヘルイメージ。 亡霊のような思念は闇の中飛び回り、ピサロを吹き飛ばすべく不規則な軌道を描く。 ――その亡霊が、ことごとく打ち落とされた。 中空に生じた破壊的な花火を思わせる広範囲の炸裂が、ヘルイメージを片っ端からぶち壊していく。 「喚くな、人間……」 炸裂の下、距離を詰めたピサロが冷たい声で告げる。 胸中に狂おしい憎悪を宿し冷静さを失っていても、ピサロという男は愚かではない。 突撃しか能がない相手ではないと、理解はしていた。 先ほど、暴虐の限りを尽くす漆黒の雷を見せつけられたのだから。 分かっていたからこそ、アキラは、やるべきことと出来ることをやってきた。 超能力をフルに行使し精神を追い詰め削り続け、魔法を使わせないよう集中力を乱させ続けた。 それでも、やはり。 魔王の称号は、伊達ではなかった。 隙も素振りも見せず、走りながら炸裂の呪文を唱えたピサロは、ヘルイメージを完璧に迎撃しきって見せた。 「五月蠅い屑が。ここで、殺す」 薄く反り返った刀身が、雨と夜気を切り裂いて来る。 すぐ近くでけたたましい雷鳴が鳴り響き、鼓膜をびりびりと振るわせた。 その音は、まるで。 死の呼び声のようだった。 ◆◆ 勇者と呼ばれた少年が呼び寄せた、天から堕ちる雷が。 魔王と呼ばれた青年が振り上げた、首を狩るべく刃が。 憎しみのままに、イスラとアキラの命を奪い取る、その直前に。 二色の輝きが爆発的な勢いで広がり、大雨が降りそぼる夜を照らし上げた。 浴びただけで全身を切り刻まれそうな鋭さを感じさせる、破壊力に満ちた赤黒い輝きと。 浴びただけで体力が湧きあがりそうな温かさを感じさせる、活力に溢れた碧緑の輝きだった。 赤黒い輝きは刃のようにピサロへと迫り、彼の攻撃を阻害する。 碧緑の輝きは盾のように雷の前に立ちはだかり、イスラを守り抜く。 対称的な二色の中心に、一人の少年が佇んでいた。 彼の頭上に光を放つ二つの紋章が、神々しく浮かび上がっている。 「援軍か……ッ!」 「邪魔者が……ッ!」 二種類の呟きが、零れ落ちる。 どちらかと言えば、ジョウイは邪魔者だ。 それも、あらゆる者にとっての、だ。 だが今は、援軍の真似事をする必要があった。 この島には、単身で圧倒的な力を有する者が多すぎるのだ。 黒き刃だけではなく、輝く盾の紋章をも宿したジョウイもまた、かなりの強者であるとは言える。 しかし、一人で全員を殺し生き残れると信じられるほど、ジョウイは楽観的ではなかった。 利用できる者は利用する。 殺し合いに乗った者であっても、そうでなくても、だ。 その見極めと選定をするために。 ジョウイは、親友の力が宿る左手を強く握りしめて、戦場へと身を躍らせた。 ◆◆ 虹色の刀と竜の爪が交差する。 火花が散りそうなほどの激しさでぶつかり合った武器は、一瞬の均衡を経て距離を置く。 後ろへ跳んだのは、カエルだ。 持ち前の跳躍力を活かし一足で離れていくカエルを、ブラッドは迷わず追走する。 ブラッドが努めるのはショートレンジの維持だ。 距離を取られては不利になる。 ブラッドが保有する遠距離攻撃手段は、昭和ヒヨコッコ砲のみ。 その武器は、普段ブラッドが運用するヘヴィアームに比すれば心もとなく、カエルが使用する水の魔法に抗うには少々力不足だった。 そして、ストレイボウ、マリアベルと比して、ブラッドが最も近接戦闘に長けている。 故にブラッドは、カエルを抑える。 リルカの仇である魔王には、彼女のこと以外にも借りがある。 だがブラッドは、かつて自身を破った相手のことは思考しない。 そちらは、共に戦う仲間に任せればよいのだ。 何せその仲間は、夜の支配者なのだから。 そして自分は、あくまでカエルを抑えるだけ。 カエルに剣を収めさせるのは、新たな仲間の役目だ。 「カエルッ! 話を、話をさせてくれッ!」 叫び声が雨音をかき分けても、応じる声はない。 だから、声の後押しをするように、ブラッドは駆ける。 ダッシュの勢いを殺さず、体当たりじみた蹴りをぶち込んだ。 入る。 確信の直後、思いの外硬い感触が靴裏に食い込んだ。 たたらを踏むカエルの右手へ、ブラッドは手を伸ばす。 刀を握る腕を捩じり上げようとするが、届くよりも早く緑の腕が翻る。 ブラッドを刻むように動いた刀身に舌打ちを漏らし、伸ばした腕を引き戻す。 虹が雨粒を薙ぎ払った。 もう一度、突撃する。 そのブラッドと並走するように駆け寄る、一つの影があった。 ストレイボウだった。 地を蹴る彼の眼はブラッドを顧みず、ただカエルだけを見つめている。 「ストレイボウ!? 下がっていてくれッ!!」 ストレイボウは、ただ首を横に振る。 「……後ろから喚いているのは、嫌なんだ」 カエルを見つめながら届けられる呟きを、ブラッドはなんとか拾う。 「近寄りたい。そうしなきゃ俺の声は届かないし、それに――」 ストレイボウは雨の中、確かに言う。 激しい雨音に掻き消されないように、言葉を打ち立てる。 「――あいつの声が、聞こえない」 そこで、ストレイボウはブラッドを見る。 決意じみた色に染まった黒の瞳の奥に、震え揺らぐものがあった。 よく見れば、彼の手先が小刻みに揺れていた。 さしものブラッドも、ストレイボウの心底を推し量ることはできない。 それでも、分かる。 ストレイボウが何かに怯えと恐れを抱えながら、立ち上がり声を張り上げていることが分かるのだ。 無理をしているのかもしれない。今にも折れそうな心を必死で鼓舞しているのかもしれない。 だからこそ、無謀だと分かっていても。 ストレイボウの行動を諌めることは、できなかった。 「俺が抑え切ってやる。だから――届けて見せてくれ」 「……ありがとう」 それだけ告げると、ストレイボウはカエルを見つめなおす。 その歯を食い縛った横顔は、必死さと危うさを感じさせた。 「カエル、少しでいい! 俺と、話をしてくれッ!」 声を聞きながら油断なくカエルを窺う。 異形の騎士は武器を構えていたが、今のところ攻撃の兆しは見られなかった。 「言っただろうストレイボウ。俺はもう、戻れないと」 戻れない。 告げるカエルの声に悲哀も後悔も絶望もなく、あるのは強靭さと頑健さと一途さだった。 それを裏付けるように、続ける。 「仮にまだ後戻りが出来るとしても、俺はその選択肢を選ばない。決して、だ」 「お前ほどの男なら、分かっているだろう……? お前の選択が、行動が、誤っているとッ!」 「俺は自分の意志に忠実に行動している。誰に糾弾されようと、曲げるつもりなどない」 薄く湾曲した七色の刀が、ゆっくりと持ち上がる。 「俺は俺のためにこの手で仲間を斬った。お前を斬ることにも躊躇いはない」 差し向けられた切っ先は、ストレイボウへと向いていた。 冷酷な拒絶にストレイボウは唇を噛み、目を伏せ、それでも言葉を紡ぐ。 「……罪滅ぼしのためでは無く、お前の意思で友を救えよ」 拳を握りしめて、顔を上げる。 「俺はまだ罪悪感を捨てられない。救いたいと思うのも、罪から逃れたいからかもしれない」 その口端には、嬉しそうな微笑が確かに浮かんでいた。 「けれど、カエル。お前がくれたこの言葉を、俺は絶対に忘れたくないし、手放したくはないんだ……」 足を踏み出し、ぬかるんだ大地に足跡を刻む。 雨に流され跡が消えても、滑りそうになりながらも、次の一歩をストレイボウは踏む。 カエルの目が、すうっと細められた。 その大きな口から小さく息を吐き、突き付けた刀を薙いだ。 薙がれた刀身は、しかし、収められてなどいない。 「そんな中途半端な意思でこの俺と対峙したところで――」 カエルが刀を持ち直し腰を落とす。 臨戦態勢に入ったカエルから、闘気が膨れ上がった。 「お前の罪は贖われない! 決してなッ!!」 叫び、跳んだカエルを迎撃すべく。 傍観に徹していたブラッドもまた地を蹴ろうとして。 雨が熱を帯びるのを、肌で感じた。 直後、夜が赤に染められ雨粒が水蒸気へと変じていく。 嫌な予感を覚え、ブラッドはカエルの跳んだ逆側を振り仰ぐ。 そこには、巨大な火柱が屹立していた。 炎は夜を塗り潰し雨を食い潰しマリアベルのレッドパワーすら強引に焼き潰し燃え盛る。 その正体と威力と火力を、ブラッドは知っている。 だから、ストレイボウを伴って火柱とは逆側へと足を向けた。 駆け出す直前に見えたのは、魔王が流麗な動作で指を振る瞬間だった。 従うように火柱が爆音を立てて爆ぜ、熱で作られた紅の舌が夜を舐め上げ焼いていく。 炎の魔手から逃れるべく、ブラッドは駆ける。あの熱量を再び食らうわけにはいかなかった。 「あいつ、正気なのかッ!?」 魔王が放った炎は、彼が戦っていたマリアベルだけを狙ったものではない。 カエルを巻き込むことすら厭わないかのような一撃に、ストレイボウは足を留めていた。 「立ち止まるなッ! 飲み込まれるぞッ!!」 「しかしカエルがッ!」 ストレイボウを走らせようとするブラッドの瞳が、動きを捉える。 慌てふためくストレイボウを翻弄するかのように。 炎の逆側から、赤を映す虹を携えた騎士が疾駆する動きを、だ。 ストレイボウは気付かない。 行動の遂行に捉われすぎて、本当に見なければならないものが見えていない。 「……すまない」 ブラッドは手短に謝罪を告げ、ストレイボウを思い切り突き飛ばした。 炎とは逆の方向――カエルが迫る方へ、だ。 ストレイボウの身が滑り、転ぶように水溜りに突っ込んだ。その勢いで逆巻く炎のアウトレンジへなんとか抜ける。 起き上がろうとするストレイボウを跳び越え、ブラッドはカエルに対峙し、叫ぶ。 「よく見るんだストレイボウッ!」 戦うべき敵にではない。 後ろにいる、魔法使いに、だ。 「炎に呑まれて命を落とすのが、お前の望みかッ!?」 鋭い斬撃を受け止め、回避して。 「何も伝えられず届けられず堕ちるのが、お前の願いなのかッ!?」 重い拳を打ち込みカウンターを繰り出して。 ブラッドは、告げる。 「違うと言うのならば立ち上がれ。曇りを払い自らの瞳で世界を見据え真実を捉えろッ! 違わない程度の――そう、半端な意思しかないのなら。 お前には、カエルを止められないッ!!」 カエルとブラッドの交錯が、終わる。 ブラッドの打撃を受け、カエルが吹き飛んでいた。 剛腕の一撃を受けてなお、騎士は即座に立ち上がる。 「ああそうだ。この俺が、やすやすと、止められるものか……」 そして彼は、刀を振りかざし。 「その男の言うように、立ち上がれないのならば」 雷光を帯び始めた黒雲の空に向けて、またも大きく跳躍する。 「ここで朽ち果てろ! ストレイボウッ!!」 ◆◆ 魔の王。 そう名乗り呼称される所以は、魔族を従えていたカリスマ性だけではない。 底知れない魔力と、あらゆる属性の高位魔法を苦もなく扱う魔法への適応力は、まさに魔王と呼ぶに相応しいものだった。 その凄まじさを、マリアベル・アーミティッジは実感する。 奴は、魔王は。 大火力・広範囲の魔法の使用を躊躇わない。むしろ、積極的に使用する様子すら見て取れる。 一見、カエルを巻き込む可能性を完全に無視しているように見える。 しかしその実、そうではないのだ。 魔王は、魔力を解き放つタイミングをカエルの一挙動ごとに合わせている。 カエルもカエルで、魔王の攻撃範囲を完全に理解した上で、その跳躍力を活かして巻き込まれないよう立ち回っている。 心の声で示し合わせているかのようなコンビネーションは、一つの芸術と言っても差し障りない。 ブラッドをはじめとしたARMSの仲間となら、マリアベルもそれくらいのチームワークを発揮することができる。 だが、それを見せつけられない要因が一つだけあった。 ストレイボウだ。 彼を責めるつもりは毛頭ない。 彼に感謝をしているのは事実であり、仲間だと思っているのは確かであり、カエルを救わせてやりたいと思うのも間違っていない。 ただ、厳然たる現実として。 ストレイボウを巻き込む可能性が、マリアベルに広範囲に渡るレッドパワーの使用を躊躇わせていた。 その躊躇いは、魔王と戦うには重い枷となる。 乱れた呼吸を整える余裕すらなく、マリアベルは魔王を睨む。 圧倒されっぱなしとまではいかなくとも、押されているのは確かだった。 消耗が激しい。 その原因は、強力な魔法をレッドパワーで相殺していることと、魔王が駆使するマジックバリアとバリアチェンジのせいだった。 有効な属性が次々と変化され、効果的な属性で攻撃してもダメージは軽減される。 ディフェンスダウンを使用しマジックバリアの効果は抑えてはいるが、厳しいと言わざるを得ない。 魔王が次なる魔法を繰り出すべく詠唱に入る。 だから、マリアベルは。 それを止めるべく、とあるレッドパワーを放つ。 「パワー……」 効けと願う。通じろと祈る。届けと望む。 強く強く欲し望めばその分だけ、願い通りになる可能性が高まると信じて。 マリアベルは、腕を振り上げた。 「シールッ!」 発生した赤の半球が魔王を包み込む。 レッドパワー、パワーシール。 ダメージは与えられないが、対象の特殊能力を封じる性質を持っている。 通用する保証はない。 しかし通用さえすれば、魔王の力を大きく封じることができる。 半球が、飛び散る。 直後に聞こえたのは、 「――残念だったな」 無慈悲な、魔王の声だった。 「小細工など効かぬ。私は、守られているのだ」 魔王の身から立ち昇る魔力は膨れ上がり、力となって顕現する。 魔力はその姿を、雷へと変えた。 天の唸り声のような低い雷鳴が黒雲の奥で響く。視界を灼く輝きが刹那の間、夜を払う。 耳を劈く轟音が、世界を振るわせた。 雷が、落ちる。 裁きの様を呈した、その雷撃を認識して。 「な――ッ!?」 マリアベルは驚愕する。 予測に反して、魔法の雷が広範囲に降り注がなかったことに驚いたのではない。 一条の稲妻が爪を向けたのは、マリアベルでもブラッドでもストレイボウでもなく。 降下軌道に入ったカエルの――その手に握られた、刀だった。 マリアベルの視線の先、カエルが急速に落ちていく。 先のように、前衛を跳び越えて後衛を叩く攻撃だった。 ストレイボウは泥まみれで、茫然と佇んでいる。 「何をしておるストレイボウ!」 マリアベルが叫ぶ。 それでも、ストレイボウは天を見上げるだけで動かない。 虹色の刀身に稲妻が吸い寄せられる。 切っ先と雷が接触する、その直前に。 カエルは、得物を真下へ投擲した。 重力とカエルの腕力に後押しされた刀は、真っ直ぐ落ちる。 寸分違わず。 ストレイボウの、頭上へと。 レッドパワーで手を打とうにも間に合いそうにない。 「ストレイボウッ!」 絶叫し、走る。 走っても間に合わないと分かっていながら、動かずにはいられなかった。 駆けるマリアベルよりも遥かに早く、ストレイボウに触れるものがある。 それは、刀でも雷でもなく。 ブラッド・エヴァンスの、大きな体だった。 突き飛ばされたストレイボウが更に泥まみれになりながら、地面を転がる。 そして。 「ブラッドッ!!」 マリアベルが呼ぶ名が、変わる。 一瞬だけこちらを振り向いたブラッドの、左肩に。 虹色の刀が深々と突き刺さって。 その刀を避雷針にするかのように。 魔王が編んだ雷が、ブラッド・エヴァンスへと直撃して。 長髪の巨体は、声を上げることすらなく。 泥混じりの水たまりを跳ね上げて、崩れ落ちた。 「ブラッド……ッ!!」 心臓が思い切り引き絞られる。 雨に濡れ冷やされた体が、ゾクりと震えを上げる。 喉の奥が、得体の知れないもので詰まったような気がした。 マリアベルは駆ける速度を上げる。 ブラッドならば大丈夫。 そう信じたくとも、鼓動は不愉快なほどに逸り気持ちはどす黒い不安に侵食されていく。 無事であると楽観する要素が、少なすぎた。 刀はブラッドの巨体を確実に貫いているし、落雷は確かにブラッドを襲った。 その証拠に。 倒れ伏したブラッドは、動かない。 マリアベルは唇を噛んで駆ける。 その進路上に。 長髪の影が、翻る。 魔鍵ランドルフを得物として、魔王がマリアベルに肉薄する。 魔力が枯渇したのか、あるいは。 近接戦闘の要を潰したと判断し、突っ込んできたのか。 どちらにせよ。 立ちはだかる魔王を、迎撃し突破しなくてはならない。 だからマリアベルは、使い慣れないナイフを引き抜いた。 止まない雨はと重苦しい黒雲は、不吉な予感を呼んでくる。 こんなときに、いや、こんなときだからこそ。 星空を見たいと、マリアベルはそう思った。 時系列順で読む BACK△110-4 シャドウ、『夕陽』に立ち向かう(Ⅳ)Next▼109-2 夜雨戦線 -Real Force- 投下順で読む BACK△108-2 暴かれた世界(後編)Next▼109-2 夜雨戦線 -Real Force- 106-2 届け、いつか(後編) ユーリル 109-2 夜雨戦線 -Real Force- ピサロ ロザリー アキラ イスラ アナスタシア ブラッド マリアベル ストレイボウ カエル 魔王 ジョウイ ▲
https://w.atwiki.jp/ktmoon/pages/55.html
[部分編集] パーソナル 人の名:アナスタシア・ミハエロヴナ 種族:人間 性別:女 魔の名:聖女ナスターシャ 年齢:18から20歳 PL名:御苑生広見 外見:金髪爆乳シスター カヴァー:シスター 経験点:30/30 ──────────────────────────────────────── ライフパス 出自:任務 エゴ:神への信仰 邂逅:天使長ミカエル 変異:外見が守護者に似る ──────────────────────────────────────── [部分編集] スタイル&ブラッド (EXP=0) スタイル/人間性 ブラッド(ルーツ) スタイル:ディフェンダー プライマリ:ハーミット/ブラックコート 初期人間性:54 セカンダリ:イレギュラー/守護者使い ──────────────────────────────────────── 能力値 (EXP=0) 基本能力値 【肉体】 【技術】 【感情】 【加護】 【社会】 元値 3 5 7 8 4 ボーナス値 1 2 3 4 2 アーマー値 12 13 18 19 13 ──────────────────────────────────────── 戦闘能力値 【白兵値】 【射撃値】 【回避値】 【行動値】 【FP】 元値 6 7 5 11 35 修正値 -3 +40 ──────────────────────────────────────── [部分編集] アーツ (EXP=0) 名称 種別 LV TI 判定 対象 射程 Cost 解説 ◆共通アーツ 魔獣化 自動 1 イニシア 自動 自身 なし 3 魔獣化する。解除はマイナー。 アレナ展開 自動 1 メジャー 自動 場面 シーン 0 アンノウンマンをエキストラ化。マイナーかシーン終了で解除。 ◆ディフェンダー 名称 種別 LV TI 判定 対象 射程 Cost 解説 ガーディアンフォーム 自魔 1 常時 自動 自身 なし 0 FP最大値+30、アーマー値+最大能力値Bディフェンダーアーツの使用宣言と同時に魔獣化 エゴを阻む者 自動 1 ドミニオンアーツ 自動 単体 シーン 愛 ドミニオンアーツの打ち消し。1シナリオ1回 守護の盾 自動 1 カバーリング 自動 自身 なし 1 カバーリングにより行済みにならない。 八重垣 なし 1 リアクション 自動 自身 なし 3 1ラウンドLv回、ガード値2倍 きらめきの壁 なし 1 判定直前 自動 範囲 至近 4 範囲攻撃の対象を自分のみにする。1シーンLv回 流血の代償 なし 1 効果参照ガード時 自動 自身 なし 3 ガードに使用した武器のガード値+1d6の実ダメ1ラウンドLv回 ブロッキング なし 1 リアクション直前 自動 自身 なし 1 特殊攻撃に対してガード出来る ◆ハーミット 名称 種別 LV TI 判定 対象 射程 Cost 解説 特異血統 なし 1 常時 自動 自身 なし 3 感情+1、社会-1 ◆ブラックコート 聖句詠唱 自動 1 自動 自身 なし 2 攻撃、支援、回復のアーツと同時に使用アーツの効果+【加護B】、1ラウンド1回 神の癒し 回復 1 メジャー 自動 シーン 範囲 3 加護+Lvd6、FP回復BS1つ回復 聖人認定 魔獣 1 常時 自動 自身 なし 0 与ダメとアーマー値+【加護B】、種別:神聖。魔獣化コスト+2 聖別霊装 ア 1 常時 自動 自身 なし 2 常備化している武器からLv個まで選択属性と基準を加護に、攻撃力、ガード値+2 ◆イレギュラー 特殊体質 なし 1 イニシア 自動 自身 なし 2 重圧でも使用可能。BS1つ回復 ◆守護者使い 名称 種別 LV TI 判定 対象 射程 Cost 解説 守護者召喚 自動 1 魔獣化 自動 自身 なし 2 FPとその最大値、+[Lv×5+5] 守護者の盾 防御魔獣 1 ダメロール直後 自動 単体 シーン 1 守護者と同一エンゲージの対象へのダメ-2d61ラウンドLv回 守護者同調 魔獣 1 判定直前 自動 単体 シーン 1 守護者とエンゲージしている対象の判定達成値+21ラウンド1回 ──────────────────────────────────────── 武器 (EXP=0) 名称 種別 命中 攻撃力 ガード値 行動値 射程 解説 常備化 拳銃 武器射撃 0 技術+1+1d6 1 0 シーン イジェメック MP-412 Rex 12/3 フォースフィールド 武器白兵魔法 0 加護+5+4+2+1d6 9 -2 至近 聖別霊装の指定済み。感情属性へのガード値+5 -/8 合計 ―― ―― ――――――― ――― -3 ―― ―― 11 ──────────────────────────────────────── 防具 (EXP=0) 名称 種別 ドッジ アーマー値 行動値 解説 常備化 アンチマジックコート 防具 3 -1 感情、加護属性のダメージにはA値+4 -/12 ──────────────────────────────────────── 一般アイテム (EXP=0) 名称 種別 TI 対象 射程 解説 常備化 情報コネクション 使い捨て 判定直前 自身 なし 情報収集判定+2 -/5 住宅 その他 常時 自身 なし ブラックコートの拠点の教会 10/2 ──────────────────────────────────────── [部分編集] 絆/エゴ 種類 名称 関係 内容 絆 任務 使命 ブラックコートから新宿に派遣された 絆 天使長ミカエル 加護 大天使様のご加護により、わたくしは火の秘力を賜りました ──────────────────────────────────────── エゴ 神への信仰 至高なる御名により、悪しき力と種を追い払います ──────────────────────────────────────── 設定他 ブラックコートに所属する、天使喚起術の使い手。 ロシア人であるらしいが、元々は孤児。 聖女としての力を持っている。 癒し手であり、守り手である。 基本は祓魔術だが、天使を喚起するときはエノク魔術の形式を取っている。 長い金髪の美しいシスター。 164㎝B98(J)W57H92. 【コンセンサス一覧】 (是非やられたい5~NG1でどうぞ。3なら相手次第。右はPLコンセンサス) [洗脳]4 2 [改造]2 2 [尿意]4 4 [排便]5 5 [妊娠]1 1 [ふたなり]3 3 [和姦]5 5 [羞恥]5 5 [触手]5 4 [幼女]4 5 [獣姦]5 5 [近親]2 3 [同性]4 5 [寝取られ]1 1 [強姦]5 5 [流血]1 1 その他推奨・NG事項:戻れるのなら、改造とか洗脳も良いです。 ──────────────────────────────────────── 戦闘用データ ──────────────────────────────────────── セッション参加履歴 (取得EXP=20) 30点で《ブロッキング》《流血の代償》《特異血統》《特殊体質》《聖別霊装》《守護者同調》取得 (2013-11-19 00 45 10) コメント
https://w.atwiki.jp/rpgrowa/pages/342.html
私がわたしを歩む時-I'm not saint-(後編) ◆wqJoVoH16Y 静かな森の中に、絶え絶えな呼吸が四重奏を奏でている。 アキラ、イスラ、ストレイボウの三人が、疲労困憊な表情を浮かべて木を背にして座り込むカエルを見ている。 その周囲の森が、彼らの激闘が如何なものであったかを如実に物語っていた。 あちらこちらが水浸しになり、木の枝は折れに折れて、地面はこれから種籾でも蒔こうかというほどにめくれていた。 彼ら3人の傷も、彼らが如何に危険に晒されたを示している。 一歩仕損じれば腕や首が飛んでいただろう傷さえあった。 だが、その対価を差し出してでも、彼らは勝利を得ていた。 供給すら追いつかないほど魔力を使い果たし、 身体がいうことを聞かないほどにまで消耗仕切ったカエルこそがその証左だった。 「ずいぶん、手こずらせてくれたぜ」 「だけどそれもここまでだね」 アキラが拳を、イスラが天空の剣の鍔を鳴らしながらカエルに迫る。 接戦ではあったが、当然の結果であった。 如何に攪乱しようが3対1。頼みの綱の紅の暴君も、真正の適格者の前では隙が生じる。 勝てるはずもなかった戦いに、カエルは無表情で結果を見据えた。 「待ってくれ、2人とも」 だが、2人を遮ってカエルの前にストレイボウが立つ。 2人は何をと身を乗り出しかけるが、ストレイボウのしようとしていることに気づき、 カエルが反撃してこないかに注意を集めて退いた。 「カエル、お前の国は……このままだと消えてしまう。 だから優勝して、オディオの力を頼ろうとした。そうだな?」 真実を突いたか、カエルは無言のままだった。 沈黙を肯定と取ったストレイボウは僅かに逡巡し、しかし拳を握りしめて頭を垂れた。 「俺は、お前の国を救うことができない。いや、そもそも国を救おうとするお前を止める資格なんてない。 だけど、俺はお前を止めたいんだ。 全ての絆を喪って、それでも友たろうとしてくれたお前を、これ以上放ってはおけないんだ」 それが現時点でのストレイボウの忌憚ない思いだった。 友が真に欲するものを与えてやることもできず、それでも友を止めたいと思う心だった。 だからこそ、友の望まぬ結末を示す前に、その真実だけはけじめとして言わなければいけない。 「この島でお前の国が亡国となるというのなら、オディオの始めたことがお前にその手を汚させたというのなら。 それは、つまり俺のせいなんだ。俺の友の名は――――」 さあ、言おう。最初に伝えるべきだった真実を、たとえその友情が砕け散ろうとも。 「識ってるとも。『勇者』『オルステッド』――――お前の友が『魔王』『オディオ』なんだろうッ!?」 「!?」 ストレイボウの皮膚上にある全ての汗腺から汗が噴出する。 意を決してカエルに贖罪の真実を話そうとしていたストレイボウには無理からぬことだった。 「何で、何でお前がそれを知っている?」 「ククク……何故気付かなかったのだろうな。俺は、とっくに識っていたというのに! そうか、そうか……お前が、俺の国を。くくく、ハハハハ!!」 カエルは口だけでゲラゲラと笑い、森に遮られたを仰いだ。 『魔王』『ストレイボウ』『オルステッド』『勇者』。 これらの単語が頭の中に浮かんだ瞬間、ストレイボウの過去が全てに合致したのだ。 「カエル、済まない。俺は……ッ!」 「『何を謝ることがある? 私は感謝しているぞ。国を護るために、全てを殺し尽くせるのだからな!』」 両の目を真紅に輝かせながら笑うカエルに、3人は明らかな疑問を覚えた。 「お前は、誰だ……!?」 ストレイボウが目を見開きながら、カエルであるはずの何かに問う。 護るために殺すならば解る。 だが、護るために殺せるとはどういう意味だ。明らかに手段と目的が逆になっているではないか。 その疑問の回答に最初に至ったのは、何人もの負の心を見続けてきたサイキッカーだった。 「こいつの心、なんかおかしくねえか。なんか、別のモンが混ざって……」 二色のマーブルが渦を巻いて混沌としている。一つはカエルのものだろう。だが、もう一つは、このどす黒い汚れは一体なんだ。 「真逆、ディエルゴ? カエルの精神を汚染したのかッ!?」 イスラが確信を持って回答を述べる。 適格者ではない身で紅の暴君を行使し続け、剣に汚染されたと考えればなるほど、実に納得のいく回答だ。 「『俺がディエルゴ? クククク、ひひ、ヒャハハハ。 この俺をあんな島一つ分しかない、チンケな亡霊の滓と一緒にするなよ』」 だが、その回答は他ならぬカエルの手によって否定される。 ディエルゴという意味を理解し、その上で否定する。当たり前だ。世界一つと島一つ、比べるもおこがましい。 「カエル! その剣を手放せ。お前、このままじゃ!!」 ストレイボウは紅の暴君へと手を伸ばそうとする。 カエルの中にあるのが何かなどどうでもいい。だが、このまま剣を持たせれば取り返しのつかないことになる気がした。 それは、おそらく国を守れず死ぬことよりも惨いことになると。 「『諄いぞストレイボウ! これは俺の剣だ、私の力だ!! 誰にもやらん。誰にも譲らん。この剣で国を護り、全てを滅ぼすのさッ!!』」 もはや自分が支離滅裂なことを言っているとも気付かずに、カエルは右腕でキルスレスを握った。 護れ、殺せと自分の声が脳髄を満たす。 逆らうものを淘汰せよ、外敵を完膚なきまでに殲滅せよ、その血で国を飾れ。 この焔のように、誰もが忘れぬ、災厄の紅のように!! 「やめろ、カエル!!」 「『さあ紅の暴君。貴様が私を認めずとも構わん。だが、俺を殺されてまでその貞操を貫けるかなッ!?』」 ストレイボウの叫びよりも早く、刃がその肉を貫く。 イスラでもなく、アキラでもなく、ストレイボウでさえもなく、カエルの胸を貫く。 カエルという人間の命が潰えた瞬間、紅の暴君とその空に光が生まれた。 「死亡覚醒ッ!? 莫迦な、それじゃ優勝なんてできっこないのに!!」 「何だ? あの穴――――テレポートなのか!?」 二つの光に目を眩ませたイスラとアキラは、光より生じた力から身を守るのが精一杯だった。 宿主が死に瀕したときに、剣が宿主を強制的に生かそうとする死亡覚醒。 魔剣を知るものならば誰もが知る禁忌に、イスラは驚愕した。 そのまま復活できるかも解らないのに、迷うことなくそれを選んだカエルはどう考えても自分の命を惜しんでいない。 まるで自分の命ではないかのように気安く刃を臓腑に突き立てた。 覚醒と共にカエルから生じた膨大なエネルギーが、天に開く門に吸い込まれていく。 テレポートと似て非なる現象だが、アキラは事前に聞いていた内容から魔王の仕業と判断した。 そして、それはつまり、刻限が迫っていることに他ならない。 「カエル、しっかりしろカエル!! やろう、誰だか知らないが、カエルを返せッ!!」 「『何を言っている? 私は俺だよストレイボウ。ひひ、カカッ。 目的は達した。お前たちはここで何もできずに頭を柘榴のように晒すがいい。 なに、どいつもこいつも、直ぐに燃やし尽くして灰を送ってやる!!』」 あまりにも禍々しい笑い声とともに、カエルの存在が門の向こうへと消えていく。 ストレイボウが天の門へと手を伸ばすが、カエルの足一つつかめず、虚空を掴むだけだった。 「くそ、やっと意味が分かった! アシュレーの通信。だから魔剣が何も言わなかったのか!!」 「追うぞ、カエルは魔王の所だッ!! アキラ、テレポートを頼むッ!!」 イスラとストレイボウが首を振り、アキラの方へ向く。 イスラの推理が確かならば、魔王の下に奴が合流すれば最悪の事態となる。 ここは急いでこちらも合流しなければならない。 だが、アキラは身を震わせるばかりで一行にテレポートしない。 「どうした、アキラ!?」 「くそったれあの両生類がァァァァッ!! 野郎、まさかこのために水をバチャバチャやってたってのか!?」 アキラの無念の慟哭に、イスラとストレイボウが周囲を見渡す。 そう、戦いの果てに、周囲一帯”水浸し”になってしまったこの森を。 アキラのテレポートは水に寄せられてしまう。この水浸しの状況では、何処に飛ばされるかも解らないのだ。 最悪、位置の変わらないテレポートに時間を費やしてしまう。 カエルがアキラのテレポートを把握していたとは考えにくいが、目の前の現実が最悪であることに代わりはなかった。 「時間は!?」 「正直、キツイ!! いいから急いでC7にいくよ!!」 3人は身を翻して北へと走る。たとえ間に合わないとしても、諦められるものではないのだ。 「カエル、お前の望んだものは、そんなものじゃないだろォォォッ!!」 罪人の慟哭をあざ笑うように、朝日は燦々と水に輝いて森を照らしていた。 門が閉じ、全ての光が輝き終わってアナスタシアが瞳を開けたとき、そこには小さな何かがあった。 人よりもだいぶ背の低いが二足で大地に立つ生き物。 特異なのは人間とは思えぬ蛙の頭、 そして――――真っ赤な体皮と、胸に突き刺さった魔剣と、世界全てを憎悪するような真紅の灼眼。 「カエルね……マリアベルの、仇。とらせて貰うわ」 アナスタシアが聖剣ルシエドを再召喚し、カエルへと敵意を向ける。 だが、背中を引っ掻くような得体の知れない悪寒が離れない。 マリアベルを目の前で殺されたときにさえ生じなかった感覚だった。 「『……久しぶりだなあ、剣の聖女!! 何千年振りだ!? ハハハハハッ!』」 アナスタシアの感覚などお構いなしで、周囲を見渡し彼女に気づいたカエルは、 まるで何年も会っていない旧友と旧交を温めあうように馴れ馴れしく言った。 「……新手のナンパ? 私の友達を傷物にしておいて、随分馴れ馴れしくない?」 当然、アナスタシアにとってカエルなどあの雨ですれ違ったのが最初の出会いで、 直接的な関わりなど先ほど友を殺されたのが最初だ。なのに、その音に魂の底から揺さぶられるのは何故だ。 「『ははは。連れないことを言うなよ。確かにノーブルレッドを“一人残らず皆殺しにした”のは私だが。 それでも、あんなに必死に殺し殺され合った仲じゃあないか』」 カエルはあまりにも異常なほど軽快に、そして陽気に話しかける。 そして、ああ、と納得したように両の手のひらを合わせた。 「『ああ、これは失礼したな聖女。俺とお前が出会うのに、このような湿気た場所では気が利かぬと云われても仕方ない。 少しばかり――――――――――“場を暖めようか”』」 そして、その手を胸の魔剣にやり、ずるりずるりと血を滴らせながら引き抜く。 「『さぁてお立会い。手前ここに取りい出したる紅の暴君。魔剣と云えどそんじょそこらの剣とは物が違う。 ただ振ればよく切れる剣だが、特筆したるは暴走召喚。界を無理矢理引き裂いて寄せたる獣を狂わしむる』」 カエルは、カエルだったものは血塗れの剣を四方に振るい、己が血を辺りに撒き散らす。 土地を穢すかのように、レイポイントを忌土地に変えるかのように。 「『ははぁーん蝦蟇飼い、いかなアーティファクトとて召喚ができなきゃ仕様がないだろという御方もいるかもしれんが、 ところがどっこい手前味噌がら召喚ならば俺もできるよさぁーさお立会い』」 隙だらけのカエルを殺す絶好の好機、なのにアナスタシアは動けなかった。 ルシエドを持たぬ手で肩を抱き寄せ、魂から記憶する震えをこらえようとする。 「『手前ここに呼び出したるは、ガルディア南方樹木に巣食いしお化けガエル。 されど、そんじょそこらのカエルと訳が違う。こいつを喰らう餌はなんと炎。 黒く濁りゃ濁るほど、強く強い火ならばすくすく育つ一級品だよお立会い』」 カエルだったものの髭がひくひくと何かを嗅ぎ取り、灼眼をぎゅんとそちらに向けて舌を伸ばす。 そこには、戦地に撃ち捨てられた一人の少女の無残な躯。 その傍にあったデイバックの中に器用に舌を伸ばし、一つの書物を手に入れる。 「『おおおっ、これは極上の焔。書いてあることはさっぱりだがなんのその。 炎は全て我が眷属、我が僕。私を燃え上がらせる薪として実に素晴らしいッ!!』」 業火の理フォルブレイズを口に銜え、にんまりと笑ってカエルだったものは紅の暴君を天に掲げた。 ばら撒かれた血とともに紅の暴君が血に咲く華のように輝く。 「『さぁさお立会い! 手前ここに呼び出したるはッ!! 業火を喰らって紅と育つ、古来に“災厄”と謳われるカエルフレアにございッ!!』」 黒き霧とともに召喚された巨大な蛙に、アナスタシアも、ちょこさえも瞠目した。 カエル唯一にして最大の口寄せ大召喚術が、魔剣の暴走召喚によって顕現する。 本来ルッカがいなければ呼び寄せられない紅蛙を、神将器の力を従えて発動したのだ。 「う、嘘……なんで、貴方が」 だが、アナスタシアの震えは“そこ”ではなかった。 召喚とともに噴出したのは霧などではない。これは煤だ。 世界を、法則を、概念さえ燃やす焔が全てを燃やしたときに生ずる煤なのだ。 そしてアナスタシアはそれをよく見知っていた。忘れえぬ焔、剣の聖女にとって始まりの焔。 「『ははは、昔を思い出すな“剣の聖女”!! 唯一立ちはだかったお前を忘れることなどできようか!!』」 「何で、何でまだ存在るのよロードブレイザーッッッ!!!!」 カエルより吹き上がるその焔は、紛れもない災厄の焔だったのだ。 ロードブレイザーが紅の暴君からアシュレー=ウィンチェスターに移り行く際、万一の保険とすら呼べぬほどに僅かに残った残滓。 いわば災厄の残り火が魔剣を通じて力を蓄え、そして今、オディオが施した死亡覚醒の特約によって自我と呼べるレベルに達したのだ。 「『ロードブレイザー? 違うな、聖女。俺は俺だ。俺……? くく、まあいいさ。 ああ、なんという僥倖かッ! 国を護るついでに、宿敵との決着まで付けられるとは!!』」 咽ぶような笑いとともに、カエルだったものは、そしてロードブレイザーでもないものは紅蝦蟇の高みから蛆虫どもを睥睨する。 (人間、ニンゲン、ニンゲン? 魔族。ああ、魔王もいたか。 まあ、使い物にならんのならば仕様のない。精々巻き込まれぬようには祈ってやる) 「『絶望は潰えず。憎悪は尽きず。ならば私は不滅、俺は紅蓮<グレン>ッ――――遍く世界を燃やし尽くす、不滅の焔ッ!!』」 カエル――否、紅蓮の叫びに呼応し、紅蝦蟇が猛りを上げる。 撒き散らすは業火、世界を終わらせる紅の焔。 「『さあ、8日目を始めようか剣の聖女。俺の国を滅ぼさぬため、人類と共に今度こそ滅べェッッ!!』」 混ざりすぎた記憶は最早緑とも赤とも呼べぬまま、己が破綻した願望の為に焔を撒き散らす。 その灼眼で見据える未来には、最早、守るべき王国の名前すら燃え尽きていた。 猛る業火の前に、アナスタシアは両腕をだらりと垂らした。あと少し気を抜けば、膝を折っていただろう。 気絶したのかジョウイは蹲って動かない。ゴゴは言わずもがな、ゴゴを守るためちょこちゃんは動かせない。 ヘクトル達はどうやら傍におらず、イスラたちも来られるか分からない。 ―――――――つまり、この災厄に立ち向かえるのは彼女一人しかいない。 地面に蹲った状態から、ジョウイは気づかれぬようにアナスタシアの横顔をちらりと見た。 その顔は今にも泣き出しそうなほどに、過去の笑顔だった。 彼女の手が震えた。それは焔の災厄に立ち向かったときに握っていた聖剣がないからではない。 また、一人で立ち向かわなければならないのだ。かつてその身を聖人と化した、災厄の焔と。 (私は、一人で戦わなくちゃならないのね。この災厄と) 過去は、君にとって都合のいいものではない。 いいものも、悪いものも、ずっとずーっと、一緒についてくるのだから。 だから、昔の自分になりたければ、どうぞなるがいい。 (はは、これが、本当の報いってやつかしら) かつての私らしく――――ひとりぼっちの英雄となった私に。 【C-7 二日目 朝】 【ヘクトル@ファイアーエムブレム 烈火の剣】 [状態]:アルマーズ半憑依 疲労(大)、ダメージ(中) 左手首に傷 左目消失 [装備]:アルマーズ@FE烈火の剣 [道具]:ビー玉@サモンナイト3、 基本支給品一式×4 [思考] 基本:オスティアに戻り弱さや脆さを抱えた人間も安心して過ごせる国にする為に戦い続ける 1:終われない……だから、俺を、我を戦わせろ! 2:ジャファルと共に、セッツァーとピサロを倒す。もしくは他の仲間が魔王たちを倒すまで足止めする。 [備考]: ※フロリーナとは恋仲です。 ※セッツァーを黒と断定しました。 ※アルマーズの力を過度に引き出したことで、戦意高揚の代わりに片手で十分に斧を振れるようになりました。 ヘクトルが許可しない限り、今のところこれ以上の侵食はありません。 【ジャファル@ファイアーエムブレム 烈火の剣】 [状態]:ダメージ(小) [装備]:マーニ・カティ@FE烈火の剣、ラグナロク@FFVI、黒装束@アークザラッドⅡ、 バイオレットレーサー@アーク・ザ・ラッドⅡ 導きの指輪@ファイアーエムブレム 烈火の剣 [道具]:聖なるナイフ@ドラゴンクエストIV、毒蛾のナイフ@ドラゴンクエストⅣ 導かれし者たち、潜水ヘルメット@FFVI 影縫い@FFVI、アサシンダガー@FFVI、、基本支給品一式×1 [思考] 基本 ニノの為に『勇者』になる。 1:ヘクトルと共に、セッツァー、ピサロを倒す。もしくは他の仲間が魔王たちを倒すまで足止めする。 [備考] ※ニノ支援A時点から参戦 ※セッツァーと情報交換をしました ※ジョウイからマリアベル達の現在の状況を知りました。その他の情報については不明です。 【セッツァー=ギャッビアーニ@FFVI】 [状態]:不運による苛立ち 魔力消費(中) ファルコンを穢されたことに対する怒り [装備]:デスイリュージョン@アークザラッドⅡ、つらぬきのやり@FE烈火の剣、シロウのチンチロリンセット(サイコロ破損)@幻想水滸伝2 [道具]:基本支給品一式×2 拡声器(現実) フレイムトライデント@アーク・ザ・ラッドⅡ ゴゴの首輪 天使ロティエル@サモンナイト3、壊れた蛮勇の武具@サモンナイト3 小さな花の栞@RPGロワ 日記のようなもの@??? ウィンチェスターの心臓@RPGロワ [思考] 基本:夢を取り戻す為にゲームに乗る 1:ジャファル・ヘクトルを倒す 2:魔王、ピサロと連携し、ヘクトル・ゴゴを倒す 3:C7制圧後は南下し、残る参加者を倒す 4:ゴゴに警戒。 5:手段を問わず、参加者を減らしたい ※参戦時期は魔大陸崩壊後~セリス達と合流する前です ※ヘクトル、トッシュ、アシュレー、ジャファルと情報交換をしました。 ※ジョウイからマリアベル達の現在の状況を知りました。その他の情報については不明です。 【ピサロ@ドラゴンクエストIV】 [状態]:ダメージ(大)、疲労(中)、心を落ち着かせたため魔力微回復、ミナデインの光に激しい怒り ニノへの感謝 ロザリーへの愛(人間に対する憎悪、自身に対する激しい苛立ち、絶望感は消えたわけではありません) [装備]:ヨシユキ@LIVE A LIVE、ヴァイオレイター@WA2、クレストグラフ(5枚)@WA2 [道具]:基本支給品×2、データタブレット@WA2、双眼鏡@現実 点名牙双@幻想水滸伝Ⅱ、解体された首輪(感応石)、 バヨネット 天罰の杖@DQ4、小さな花の栞×数個@RPGロワ メイメイさんの支給品(仮名)×1 [思考] 基本:ロザリーを想う。優勝し、魔王オディオと接触。世界樹の花、あるいはそれに準ずる力でロザリーを蘇らせる 1:ジャファル・ヘクトルを打倒。 2:セッツァー・魔王と一時的に協力し、ゴゴ達を撃破しつつ南へ進撃する 3:可能であれば、マリアベルとニノも蘇らせる [参戦時期]:5章最終決戦直後 [備考]:クレストグラフの魔法は、下記の5種です。 ヴォルテック、クイック、ゼーバー、ハイ・ヴォルテック、ハイパーウェポン。 ※バヨネット(パラソル+ディフェンダーには魔導アーマーのパーツが流用されており魔導ビームを撃てます) 【メイメイさんの支給品(仮名)×1】 メイメイさんのルーレットダーツ3等賞。メイメイさんが見つくろった『ピサロにとって役に立つ物』。 あくまでもメイメイさんのチョイスであるため、それがピサロが役に立つと思う物とは限らない。 【C-7とD-7の境界(C-7側)二日目 朝】 【魔王@クロノ・トリガー】 [状態]:気絶 ダメージ(大)、疲労(中) [装備]:魔鍵ランドルフ@WILD ARMS 2nd IGNITION 、サラのお守り@クロノ・トリガー [道具]:不明支給品0~1個、基本支給品一式 [思考] 基本:優勝して、姉に会う 1:??? 2:セッツァー、ピサロと連携してゴゴ・ヘクトルを倒す 3:ジャファルについては興味がない。 4:カエルと組んで全参加者の殺害。最後にカエルと決着をつける。 [参戦時期]:クリア後 [備考] ※ラヴォスに吸収された魔力をヘルガイザーやバリアチェンジが使える位には回復しています。 ※ブラックホールがオディオに封じられていること、その理由の時のたまご理論を知りました。 ※遺跡の最深部、危険なのはその更に地中であるということに気付きました。 ※ランドルフの解析が進み、『ゲートオブイゾルデ』と『超次元穿刀爆砕』が使用可能になりました。 ※無理な降魔儀式によってランドルフに過負荷がかかりました。機能不全が発生した可能性があります。 【ジョウイ・ブライト@幻想水滸伝Ⅱ】 [状態]:気絶のフリ ダメージ(大)、疲労(大)、全身に打撲 [装備]:キラーピアス@DQ4、絶望の鎌@クロノ・トリガー 天命牙双(左) [道具]:賢者の石@DQ4、確認済み支給品×0~1、基本支給品 [思考] 基本:垣間見たオディオの力を得て理想の国を作るため、他者を利用し同士討ちをさせ優勝を狙う。(突出した強者の打倒優先) 1:とりあえず状況を見定める 2:生き残るために利用できそうな者を見定めつつ立ち回る。 3:セッツァーたちの様子を窺いつつ立ち位置を決める。ピサロは潰しておきたいがどうするか。 4:利用できそうな者がいれば共に行動。どんな相手からでも情報は得たい。 5:とりあえず首輪解除の鍵となる人物は倒れたが、首輪解除を確実に阻止したい。 [参戦時期]:獣の紋章戦後、始まりの場所で2主人公を待っているとき [備考]:ルッカ、リルカと参加している同作品メンバーの情報を得ました。WA2側のことは詳しく聞きました。 セッツァー達に尋問されたことを話しました。 ※紋章無しの魔法等自分の常識外のことに警戒しています。 ※ピサロ、魔王を特に警戒。 ※制限の為か、二人が直接戦わなかったからか、輝く盾の紋章と黒き刃の紋章は始まりの紋章に戻っていません。 それぞれの力としては使用可能。また、紋章に命を削られることはなくなりました。 紋章部位 頭:バランス 右:刃 左:盾 【ちょこ@アークザラッドⅡ】 [状態]:ダメージ(中)、疲労(極)、ずぶ濡れ [装備]:なし [道具]:海水浴セット、基本支給品一式、ランダム支給品0~1個(確認済み)、焼け焦げたリルカの首輪 [思考] 基本:みんなみんなおうちに帰れるのが一番なの 1:ゴゴおじさん、しっかりしてッ! 2:カエルさん、ほんとうにカエルさん? 3:おとーさんになるおにーさんのこと、ゴゴおじさんから聞きたい [備考] ※参戦時期は本編終了後 ※殺し合いのルールを理解しました。トカから名簿、死者、禁止エリアを把握しました。 ※アナスタシアに道具を入れ替えられました。生き残るのに適したもの以外です。 ただ、あくまでも、『一般に役立つもの』を取られたわけでは無いので、一概にハズレばかり掴まされたとは限りません。 ※アシュレーのデイパックを回収しました。 【ゴゴ@ファイナルファンタジー6】 [状態]:疲労(大)、ダメージ(中)、首輪解除、アガートラーム 右腕損傷(大)感情半暴走、気絶、 感情半暴走の影響により、物真似の暴走 [装備]:ブライオン@ LIVE A LIVE 、ジャンプシューズ@WA2 [道具]:基本支給品一式×2(ランタンはひとつ) [思考] 基本:物真似師として“救われぬ”者を“救う”というものまねをなす 1:制御できない感情への恐れ。 2:ヘクトル達を助け、セッツァー達を倒す。 3:セッツァー…俺の声は届かないのか……? [参戦時期]:本編クリア後 [備考] ※本編クリア後からしばらく、ファルコン号の副船長をしていました。 ※基本的には、『その場にいない人物』の真似はしません。 ※セッツァーが自分と同じ時間軸から参戦していると思っています。 ※内的宇宙に突き刺さったアガートラームで物真似によるオディオの憎悪を抑えています 尚、ゴゴ単体でアガートラームが抜けるかは不明です ※感情半暴走の影響で、無意識に物真似をしてしまう可能性があります。 【アナスタシア・ルン・ヴァレリア@WILD ARMS 2nd IGNITION】 [状態]:ダメージ(大)、疲労(極)、胸部に重度刺傷(傷口は塞がっている)、中度失血、ずぶ濡れ [装備]:聖剣ルシエド [道具]:ゲートホルダー@クロノトリガー、いかりのリング@FFⅥ、、感応石×3@WA2 基本支給品一式×2、にじ@クロノトリガー、 [思考] 基本:“自分らしく”生き抜く。 1:何で、また貴方が、立ちはだかるの……ロードブレイザー……ッ 2:ゴゴを護り、ゴゴを助ける。 3:今までのことをみんなに話す。 [参戦時期]:ED後 [備考]: ※名簿を未確認なまま解読不能までに燃やしました。 ※ルッカのカバンには工具以外にルッカの技用の道具がいくらか入っています ※アナスタシアの身にルシエドが宿り、聖剣ルシエドを習得しました。 アガートラームがないため、『アークインパルス』『ブレードグレイス』『サルベイション』は使用不可です。 他、ルシエドがどのように顕現し力となるかは、後続の書き手氏にお任せします。 ※昭和ヒヨコッコ砲@LIVE A LIVE、マタンゴ@LIVE A LIVE、ルッカのカバン@クロノトリガー 44マグナム&弾薬(残段数不明)@LIVE A LIVE、アリシアのナイフ@LIVE A LIVE、ソウルセイバー@FFIVは周囲に散乱しています。 【カエル@クロノ・トリガー】 [状態]:『書き込まれた』炎の災厄 暴走召喚カエルフレア騎乗 『覚悟の証』である刺傷。 ダメージ(大)疲労(大)胸に穴 自動回復中 [装備]:紅の暴君@サモンナイト3 フォルブレイズ@FE烈火の剣 [道具]:基本支給品一式 [思考] 基本:国の消滅を回避するため、全てを燃やし尽くす 1:あのときの決着をつけようか、剣の聖女ッ!! 2:俺は、俺は…… [参戦時期]:クロノ復活直後(グランドリオン未解放) [備考] ※イミテーションオディオの膨大な憎悪が感応石を経由して『送信』された影響で、キルスレスの能力が更に解放されました。 剣の攻撃力と、真紅の鼓動、暴走召喚に加え、感応石との共界線の力で、自動MP回復と首輪探知能力が付与されました。 感応石の効果範囲が広がり、感応石の周囲でなくとも限定覚醒状態を維持できます。(少なくともC7までの範囲拡大を確認) ※死亡覚醒による強制抜剣によって紅の暴君に残留していた焔の災厄の残滓が活性化し、その記憶がカエルに混入しました。 ロードブレイザーが復活したわけではありませんが、侵食が進めば更なる悪化の可能性があります。 ※カエルフレアを召喚しました。暴走召喚の効果により、魔力が供給される限り倒されるまで現界します。 【C-7とD-7の境界(D-7側・東)二日目 朝*D7禁止エリア化前】 【アキラ@LIVE A LIVE】 [状態]:精神力消費(極)、疲労(極)、ダメージ(中)、マリアベルの死に激昂 [装備]:パワーマフラー@クロノ・トリガー、激怒の腕輪@クロノ・トリガー、デーモンスピア@DQ4 [道具]:清酒・龍殺しの空き瓶@サモンナイト3、ドッペル君@クロノ・トリガー、基本支給品×3 [思考] 基本:オディオを倒して元の世界に帰る。 1:どうにかここから脱出してC7のカエルの元へ向かう 2:カエルを倒しマリアベルの仇を取り、魔王を倒す。 3:レイ・クウゴ、アイシャ・ベルナデット(カノン)、ミネアの仇を取る。 4:首輪解除の力になる。 [参戦時期]:最終編(心のダンジョン攻略済み、ストレイボウの顔を知っている。魔王山に挑む前、オディオとの面識無し) [備考]:超能力の制限に気付きました。テレポートの使用も最後の手段として考えています。 ※カノンの名をアイシャ・ベルナデット、リンの名をリンディスだと思っています。 ※松のメッセージ未受信です。 【イスラ・レヴィノス@サモンナイト3】 [状態]:ダメージ(中)、疲労(極) [装備]:天空の剣(開放)@DQ4、魔界の剣@DQ4、ミラクルシューズ@FF6 [道具]:確認済み支給品×0~1、基本支給品×2、ドーリーショット@アークザラッドⅡ [思考] 基本:誰かの為に“生きられる”ようになりたい。自分と大きく異なる存在であるヘクトルと行動し、自分の感情の正体を探る。 1:どうにかここから脱出してC7のカエルの元へ向かう 2:カエルを倒し紅の暴君を取り戻し、魔王を倒す。 3:ジョウイへの強い疑念 4:次にセッツァーに出会ったときは警戒。 5:首輪解除の力になる [参戦時期]:16話死亡直後(病魔の呪いから解かれている) [備考]:高原、クロノ、マッシュ、ユーリル、ヘクトル、ブラッドの仲間と要注意人物を把握済み。 【ストレイボウ@LIVE A LIVE】 [状態]:ダメージ(中)、疲労(極)、心労(中)、自己嫌悪や罪悪感はもう終わりにする カエルの真意に気づいた [装備]: [道具]:勇者バッジ@クロノトリガー、記憶石@アークザラッドⅡ、基本支給品一式×2 [思考] 基本:魔王オディオを倒し、友としてカエルとオルステッドを救う。 1:どうにかここから脱出してC7のカエルの元へ向かう 2:なんとしてでもカエルを救い、過去を清算し、清算させる。 3:あいもかわらず勇者バッジとブライオンは“重い”が……。 参戦時期:最終編 ※アキラの名前と顔を知っています。 アキラ以外の最終編参加キャラも顔は知っています(名前は知りません) ※記憶石にルッカの知識と技術が刻まれました。目を閉じて願えば願った人に知識と技術が転写されます ※記憶石の説明書の裏側にはまだ何か書かれているかもしれません ※偵察に出たジョウイについては、とりあえず信じようとしています。 [その他備考] ※ゲートの行き先の法則は不明です。 完全ランダムか、ループ型なのかも不明。 原作の通り、四人以上の人間がゲートを通ろうとすると、歪みが発生します。 時の最果ての変わりに、ロザリーの感じた何処かへ飛ばされるかもしれません。 また、ゲートは何度か使いましたが、現状では問題はありません。 ※首輪に使われている封印の魔剣@サモナイ3の中に 源罪の種子@サモサイ3 により集められた 闇黒の支配者@アーク2 の力の残滓が封じられています 闇黒の支配者本体が封じられているわけではないので、精神干渉してきたり、実体化したりはしません 基本、首輪の火力を上げるギミックと思っていただければ大丈夫です ※首輪を構成する魔剣の破片と感応石の間にネットワーク(=共界線)が形成されていることを確認しました。 闇黒の支配者の残滓や原罪によって汚染されたか、そもそも最初から汚染しているかは不明。 憎悪の精神などが感応石に集められ、感応石から遥か地下へ伸びる共界線に送信されているようです。 時系列順で読む BACK△139-1 私がわたしを歩む時-I m not saint-(中編)NEXT▼140-1 抗いし者たちの系譜-再始の聖女- 投下順で読む BACK△139-2 私がわたしを歩む時-I m not saint-(中編)NEXT▼140-1 抗いし者たちの系譜-再始の聖女- 139-2 私がわたしを歩む時-I m not saint-(中編) アナスタシア 140-1 抗いし者たちの系譜-再始の聖女- ジョウイ ちょこ ゴゴ カエル 魔王 ヘクトル 141-1 Disintegration セッツァー ピサロ ジャファル ストレイボウ 142-1 為すべきを成すべき時 -Friend s Fist with Brave-(前編) アキラ イスラ ▲
https://w.atwiki.jp/rpgrowa/pages/357.html
この力で全てを守る時 -Glorious Hightland-(前編) ◆wqJoVoH16Y 誰もが呆然とした。 先ほどまで誰もが抱いていたのは、ゴゴを背中から刺したことに対する驚きであったが、 変貌したジョウイの姿に、そんな瑣末は吹き飛んでしまう。 銀の長髪、魔力を放つ剣の後輪。剣と盾を模したような形に変貌した魔剣。 そして何よりも、風に膨らんだ魔王の外套を棚引かせて佇むその姿に、言葉を喪ってしまう。 これまで紅蓮の業火で熱されていた戦場が、とたんに冷え切っていく。 太陽は高く上っているはずなのに、まるで夜の月がそこにあるかのようだ。 美術館の雰囲気だ。叫べるはずなのに、なぜか“場そのもの”に対して無意識下でセェブしてしまう感覚に似ている。 「――――輝く光、煌く刃」 その静寂を破ったのは場の主だった。 右手の剣を地面に突き刺し、力場が波紋のように広がっていく。 左手を天に掲げると輝く盾と黒き刃の紋章が空に浮かび、それが1つに交わっていく。 「デュアルキャスト――――“輝く刃”<シャインセイバー>」 完全に交わり合った紋章が砕け、その破片と光が誰も彼もに降り注ぐ。 威力を持った光を避ける術などなく、誰もが思い思いの方法で防御を行う。 ことここに至って、誰もが理解せざるを得なかった。目の前の静寂は、明確に我ら全ての敵なのだと。 「……どうやら、盾と刃の紋章術は問題なく使えるみたいだな」 「ジョウイッ!!」 紋章の具合を確かめたジョウイに、天空の剣と魔界の剣の双撃が襲い掛かる。 ジョウイが防御越しに見たのは、眼を血走らせて憎々しげに鏡を見つめるイスラだった。 「それが、お前の目的だったのか。混戦を作り、マーダーであることさえ囮にしてッ! 全部、全部、紅の暴君を手にするための策略だったとッ!!」 「……おおむね、君の想像通りさ。ただ、一歩僕のほうが早かった」 鏡合わせの2人に、誤解は最早無かった。最早適格者でないジョウイが魔剣を使っていることすら瑣末だった。 余りに露骨な暗躍に、マーダーであることはイスラも疑わなかった。 だが“そこで安心してしまったのだ”。自分が見張っていれば問題ないだろうと、 少なくとも、直接的な行動に出るのはもう少し人数が減ってからだろうと。 だからジョウイはその一歩手前で勝負に出た。 追い詰めた魔王にカエルをこちら側へ転移させて、魔剣を奪う算段だった。 紅蓮の存在は予想外ではあったろうが、それさえも計略に組み込み、ゴゴの中の憎悪まで奪いとったのだ。 最早、あのときに見せた口元の歪みすら、ジョウイが用意した罠にしか思えなかった。 「まんまと、出し抜かれたって訳か」 「……違うよ。君は僕を嫌いだろうけど、僕は君のことが嫌いじゃない。それだけだ」 言葉と共に、ジョウイは魔剣でイスラを二刀ごと弾き飛ばす。 相手の行動を読んで策を成すには、その対象にどれだけ興味を示せるかこそが肝要になる。 イスラは、ジョウイのことが嫌いであったが故に、ジョウイに対しての読みを途中で中断してしまったのだ。 感情と理性を切り離せたマリアベルと感情と理性を混ぜ合わせてしまったイスラの差が、そのまま読み合いの差だった。 イスラを間合いの外へ追い出したジョウイの背後から、聖剣の一閃が襲い掛かる。 既に攻撃を終えたジョウイが再攻撃するまでの一拍を狙った一撃だった。 「返し刃<ダブルアタック>」 だが、ジョウイは間断なく剣を捻り、アガートラームへと剣閃を返す。 翻ったジョウイの耳には、キラーピアスが血を流しながらつけられていた。 「ねえ、一つだけ聞かせてくれない? 貴方のその回復力、もしかして……」 アナスタシアが、その余裕を僅かに翳らせながらジョウイを見つめる。 自分の中の予測を、信じたくないという表情だった。 ジョウイは僅かにアナスタシアから眼を逸らし、アナスタシアの問いの答えを考える。 ――――ジョウイよ、お主の無念、わらわたちが晴らそう。 代わりと言っては何じゃが――わらわの友を――アナスタシアを、守ってやってくれ―――― 「……そうですよ。輝く盾の全力ならば、マリアベルさんの命を呼び戻すことも出来た。 でも、そんなことするわけ無いでしょう。彼女は、僕の目的に邪魔だったのだから」 一切の表情の無い顔で、ジョウイはその最悪の言葉を告げた。 アナスタシアの表情から、余裕と血の気が一瞬で喪失する。 「マリアベルさんが首輪を解除し得る人物であることは序盤から知っていましたから。 魔王にその事実は流していたんですよ。おかげで、ピンポイントで仕留めてくれました」 「……なら、本当の仇は」 「ええ。それなのに気づかず、責める必要も無いのに自分を責めてくれて…… おかげで、大分動きやすくなりましたよ――――斬り裂け、闇傑の剣」 アナスタシアの心に生まれた動揺を見逃すことなく、黒き刃を5本射出する。 封印の剣の魔力対価による召喚強化能力によって強化された黒き刃は、その速力を上昇させていた。 「くっ! コンバイン・聖剣ルシエド――――ロックオン・ガトリングッ!!」 迫りくる黒き刃を前に、アナスタシアもまた聖剣ルシエドを5本召喚して相殺させる。 しかし心に隙の生まれた聖剣では出力が黒刃に追いつかず、アナスタシアはたたらを踏んで後退する。 ジョウイはその隙を逃さず装填速度を加速させ、更に黒刃を射出しようとする。 しかし、それは子供の小さな足によって阻まれた。 ジョウイは完璧な形で自身の脇腹を穿った蹴りを見、そこから伸びる脚を見た。 「うそなの。ジョウイおとーさん……なんで?」 脚の先、ツインテールを解いた少女は、泣きそうな顔でジョウイを見る。 家族が戦い殺しあうなんて、彼女の世界にあってはならないことだった。 「アクラの力は、乱発は出来ないみたいだね……ああ、あと……君から借りた支給品は、このまま貰うよ」 ジョウイは枝垂れた髪に瞳を覆いながらもう一度大地に剣を立て、台本を読むような無感動でちょこの力を分析する。 皹が入ってもおかしくない一撃を受けた脇腹に、紅い輝きがどくりどくりと集いそのダメージを溶解する。 真紅の鼓動と輝く盾の癒しを掛け合わせたその光が、ジョウイにエネルギーを与えていた。 たとえ紋章が命を吸い取ったとしても、ある程度ならば釣銭が出るくらいには。 「そんなこと、どーでもいいのッ! おとーさんは、おとーさんでしょ?」 「僕にはそう言ってもらえる価値はないよ」 「お話しするときは人の目を見て話すのーッ!」 怒涛の蹴りがジョウイに浴びせられるが、ジョウイは魔剣を盾のように構えちょこの攻撃をしのぐ。 その様に、ちょこは言いようもない不安を覚えてしまったのだ。 とうさま。ラルゴとうさま。ちょこが愛した父を悲劇の運命にいざなったのは、名も無き魔剣だった。 魔剣とは、ちょこの幸せを砕くものに他ならないのだ。 そして、ジョウイがそんな魔剣を手にしている。剣の中の奥深くに憎悪を沈めた魔剣を。 このままでは、また壊れてしまう。いつかチカラにおぼれ、人としてのココロを失い、さつりくのかいかんによってしまう。 それを、ちょこは止めたかった。 「かえろ? そんな剣なんかポイして、みんなでいっしょにおうちにかえろ?」 「父親だって、帰りたいと思うよ。でも――――それは妻の、娘のいる場所を守れてこそだ」 一緒にいたい。一緒にはいられない。いつだってどうしようもなく父の仕事と娘の願いはすれ違う。 刃を喪った絶望の鎌を左手で棍のように操り、魔王は魔王の娘を弾き飛ばした。 ちょこを追い払った即座、ジョウイは左後方に手を向ける。 すると、裁きの時がバヨネットの砲口を穿ち、ピサロは砲撃の射線を大幅にずらさざるを得なかった。 「全方位索敵と連動した先制攻撃術か。小癪」 「“大いなる裁きの時”。拝謁するのはこれで2度目か、魔族の王ピサロ」 「3度目だろう。なにやら砂浜で子鼠が這い回っているとは思ったが、貴様だったか」 裁きの時の連射を避けながら、ピサロは自身をあの座礁船に導いた光の正体を確信した。 魔族の王と魔剣の王。たった2人残った敗者の王達が交錯する。 「貴方を利用した非礼を詫びる。その上で問いたい。ピサロ――――貴方は未だ魔王たるか?」 「私と貴様を同格と思うか? 私が未だ魔王であったならば、その非礼だけで万死に値していた」 「そうか。王でなく民ならば、その無念も、いずれ僕が背負おう」 「笑止ッ!!」 黒き刃と砲撃が入り乱れる中、セッツァーとジョウイの視線がぶつかり合う。 両者とも言葉は発さず、視線だけで互いの価値をもう一度値踏みし直す。 破綻していたはずのジョウイの計略が、息を吹き返した。 運か、それとも仕込みの賜物か。あるいはその両方を以てジョウイは再び賭場に立った。 セッツァーの瞳が、一等に鋭くなる。最早ルーキーだと舐めてかかれば喰われかねない。 ジョウイの側も同じらしく、セッツァーに対する警戒を緩めていない。 故に、お互いが全霊を以てどちらかがヘマをする瞬間を見出そうとしていた。 「マザーイメージッ!!」 僅かにジョウイの意識がセッツァーの方へ向いた隙に、 ゴゴに助けられ内的宇宙から復帰したアキラがジョウイにイメージを叩き込む。 寝起きとはいえ、眼前の光景からジョウイが敵であることは最早疑いようも無かったが、 それでも戦意を殺すマザーイメージを使ったのは、速やかにジョウイを沈黙させるべきだと判断したからだ。 「確かに、処刑台に挽かれる前に母の姿を最後に一目見たかった」 だがジョウイは動じることなく、むしろその想い出を噛み締めるようにアキラに向き直る。 憑依無効。ジョウイの右腕、その魔剣に集う剣の意思がある限りアキラの念は鈍ってしまう。 「それでも、僕達を養ってくれた義父たちを憎むことは出来ない。 母も、義父も、義弟も、キャロの町の人たちも、全てを導いてみせる」 「ご大層な話だな。世界の端っこにいる人間までテメーがどうにかするってのか!?」 「するさ。それが、僕の魔法だ」 ジョウイの答えに、アキラは肝が凍ってしまったかと錯覚した。 心に触れることの出来るアキラだからこそ、ジョウイが本気でそういっているのが分かる。 眼前の存在は、英雄でも勇者でも、ヒーローでさえも無く“しかし『ぶっ壊れた者』だった”。 こいつはヤバいと、ジョウイの本性を垣間見たアキラの本能が警鐘を鳴らす。 この魔王は、何も見捨てることなく全てを壊してしまう気がしたのだ。 「――――しまっ、回線開きっ放……グアァァァァッ!!」 「だから、僕に干渉らないほうがいい。これは、君の背中には余る」 マザーイメージを叩き込んだチャネルから、魔剣の中に棲む怨念がアキラに逆流する。 “救われなかった”想いの残滓に、アキラの脳が耐えかねてブレーカーを遮断させた。 すぐさまジョウイは黒き刃で追撃を仕掛けようとするが、イスラやアナスタシアが包囲を狭め牽制する。 ピサロやセッツァーの敵意もまたジョウイに向けられていた。 ジョウイはアキラへの追撃をとりやめ、剣を再び地面に突き刺し、敵だらけの周囲を見渡す。 この状況でこのような行動に出れば、全員を敵に回すことなど容易に想像できる。 覚悟はしていたのか、ジョウイの無表情が崩れることはない。 しかし、ポーカーフェイスだけでは数の利を覆すことなど出来ない。 ジョウイが何かを決めようとしたその時、始まりの魔剣が強く強く輝く。 突然の魔剣の輝きに、ジョウイは何事かと僅かに驚きを露わにしたが、 すぐにその光の意味を理解し、剣を引き抜いて天に掲げる。 すると、虚空から再び黒き刃が顕現する。その数は3。 しかし、射出された3本の剣は誰の肉も切り裂くことなく、地面に突き刺さる。 何のつもりだ、と全員が訝しむ間もなく、剣は異変を放った。 剣が独りでに地面から抜けたのだ。そして、地面に落ちることなく中空に漂っている。 「まさか……」 イスラの口から、不吉の予感が漏れる。 その不吉を成就するかのように、黒き刃の柄に紫の力場が生じ、 それがやがて延びて、手と、腕と、肩と至り、人の形を成した。 「イスラ君、これってッ!」 「亡霊兵! ディエルゴに取り込まれた怨念が人の形を取ったものだ!!」 片方は二刀流、もう片方は一刀で剣を構えたエクトプラズムに、イスラとアナスタシアは剣を向ける。 かつてイスラが伐剣者であったときにも、紅の暴君の魔力で島の亡霊を強制的に操ったことがある。 この島にも同等数の怨念がいるかどうかは分からないが、数を増やされれば手が着けられなくなるだろう。 「1体1体は単純な動きしか出来ない! 直ぐに片づけないと――――ッ!!」 そう言おうとしたイスラの言葉は、喉元に突きつけられた剣閃によって遮られた。 他ならぬ、単純な動きしか出来ないはずの亡霊によって。 イスラがたまらず後退するが、2刀を携えた亡霊は瞬く間にその距離を詰め直し、連撃をイスラに浴びせ続ける。 「これが亡霊!? この剣圧、陸戦隊の隊長級じゃないかッ!!」 時として疾風のように間合いをつめ、隙あらば烈火の如き攻めを繰り出す亡霊の剣は自身の知るそれではなかった。 「くっ……なんて、なんていやらしい剣ッ! 女の子にモテないタイプね!!」 それはアナスタシアが凌いでいる亡霊も同じだった。 アナスタシアの一本気な剣を、流水の如く変幻自在にあしらい、隙を作り上げたところに雷鳴の如き一撃が迫る。 ロードブレイザーのような絶対概念との戦いに長けたアナスタシアではあったが、剣術に関してはやはり素人。 どっしりと大地かくやと構えられた、剣の兵理を突き詰めた冷徹な蟻の一撃が、アナスタシアを翻弄する。 イスラには理解が出来なかった。 自分の知る亡霊は、肉体が滅んでなおディエルゴの力に囚われ、永遠に転生できない苦しみに乾き、暴れるだけの存在だった。 当然、その攻撃も直接攻撃にせよ召喚術にせよ、破壊衝動を振り回すようなものに過ぎなかったはずだ。 だったが、この2匹の亡霊はその理からはずれていた。 『……カラ、先ハ…………場所デハ……』 『ココ、ガ……ノ国……最後……リ……』 破壊衝動というには余りに精緻すぎる剣の腕。なにより、この亡霊たちには明確な意思がある。 そう、明確に、守るべきものを守ろうとする強烈な意志が、剣に乗っているのだ。 『……カラ、先ハ……ブライ、ト、オウ、ケノ……ゾク……場所デハ……セン』 『ココ、ガ……最後ニ……ッタ……タチ、ノ国……最後……ノ……ホコ、リ……!!』 亡霊が、亡霊の形をした信念が、2人だけならずちょこやピサロを巻き込み、果敢に攻めていく。 片や勇猛に果敢に攻めいく赤い怨念、片や詰め将棋のように冷徹に相手を弱らせていく黒き怨念。 その後ろ姿に、ジョウイだけがその正体を理解した。 ここにいる誰もが知らないだろう。ルカ=ブライトの名前は雷の如く響こうとも、彼らの名前など誰も知らないだろう。 敗軍の王はもとより、敗軍の将の名前など民の口にも上るまい。 だが歴史には確かに刻まれているのだ。 「シード……クルガン……」 遠かれば音に聞け、近くば寄って眼にも見よ。 ハイランド王国第四軍団長・クルガン。そして同第四軍団付将軍・シード。 デュナン統一戦争末期、落陽のハイランドにありて、その王国を最後まで支え抜いた2人の将軍の名を。 ジョウイは何故、彼らがここにいるのかなどと問わなかった。 ジョウイの両腕に等しかった彼らは、ここに呼ばれていない。 ならば目の前の亡霊将達はいったいなんなのか。その答えは剣が教えてくれていた。 核識の力で支配下におかれた無色の憎悪は、少しずつではあったが、ジョウイの魔法に同調し始めていた。 目的も意味もなくただ憎むしかできない茫洋たる存在に、ジョウイの導きは希望であったのだ。 こんなものにすら、存在する意味があるのかもしれない。 こんなものでさえ、こんなもののままできることがあるのかもしれない。 形無き憎悪にとって、ジョウイの示す先は確かに一つの可能性だったのだ。 だからこそ、その灯を絶やすわけにはいかなかった。 だからこそ、守るための形が必要だった。そして彼らは憎悪であると同時に物真似だった。 かつて物真似師がオディオの力を使うために、闇黒の源罪を用いてモラル崩壊に変換したように、 彼らは宿主を助ける為に、真なる紋章に刻まれた想い出の中から、 もっとも相応しい負の感情――――未練へと自らを変換した。 それこそが、彼ら亡霊召喚。 栄光ある母国、誇り高きハイランドを守りきれなかった未練の結晶。 そして、ジョウイが最初に背負った、理想の原型に他ならない。 ジョウイの理想とて、決して誰にも理解されなかったものではないのだ。 「ありがとう…………今度こそ理想を、この世界に打ち立ててみせる」 ジョウイは背後を亡霊達に託し、再び地面に伏せるアキラに向けて黒刃を装填する。 3つの急所のうち2つを押さえた今、後はアキラさえ潰してしまえば、この戦いは完全に“詰み”なのだから。 「ジョウイッ!!」 だが剣の射線上、アキラとジョウイを遮るようにして、人影が現れる。 「ストレイボウさん……」 吹き飛ばされたアキラと、その側にかろうじて残っていたカエルを守るようにして、ストレイボウがジョウイに向かい合う。 ストレイボウは、信じられないという表情でジョウイを見つめた。 ジョウイは顔の半分を銀髪で覆いながらも、その表情を崩していない。 かつてルッカの死体を隔てて対峙した時とは真逆だった。 ただ違うとすれば、ジョウイにもストレイボウにも揺るぎなき何かが備わっていることくらいだった。 「退け、なんていいませんよ。立ち塞がるならまとめて貫通させるだけですから」 「なぜこんなことを! ルッカの為に泣いたお前は一体!」 ストレイボウも、裏切りの真偽など問わなかった。 人は裏切る。それは衝動であったり、利害であったり、様々な理由で裏切る。 それは他ならぬストレイボウがその身を以て証明している。 だからこそ、ストレイボウは信じられなかった。 ルッカがその手の中で死に絶えたときのジョウイの絶叫。あれは、紛れも無き魂の慟哭だった。 あんな声を出せる人間が、こんなことをするということをストレイボウは信じたくなかった。 「……ストレイボウさん、あなたは悪くない。王国がしっかりしていればルクレチアの悲劇は起きなかった」 ジョウイの脈絡のない返答に、一瞬だけストレイボウは言葉を詰まらせる。 だが、そこに込められていたのは、ジョウイの本心であることがストレイボウには理解できた。 「だから僕が作る。貴方が責められない国を、貴方の憎悪で揺るがぬ理想の国を。憎しみの無い永遠の楽園を」 ああ、とストレイボウも理解する。 それこそが毀れ落ちた命に報いようとするジョウイの答えなのだと。 「だから――――貴方が、そして貴方の友が背負った業は僕が継承する」 そのためならば、ストレイボウを含めた全ての裏切りを背負うつもりなのだと。 「違う。違うぞ、ジョウイ」 それをストレイボウは否定する。ジョウイの瞳が、僅かに陰った。 「かつての俺だったのならば、俺のせいで死んだ人達の為に贖罪をしようとしていただろう。 だが、今はそうじゃない。俺は俺が罪人だから贖罪をするんじゃないんだ。 “俺が自分を悪いと思って、そしてオルステッドに謝りたいから”謝りに行くんだ」 しなければならないのではなく、したいからそれを行う。 勇気をその左手に握った魔術師は二度と背中を見せぬと、魔王に立ちはだかる。 ジョウイの眼は本気だ。だが、だからこそストレイボウはジョウイを止めたかった。 例え望んでだろうが望まざろうが、裏切りという烙印をジョウイに背負わせたくはなかったのだ。 だから、ストレイボウは両手を強く握り締めて、ジョウイを止めうる言葉を探す。 お前のそんな決断、誰も望んでいないのだと。 「……貴方ならば、あるいはと思っていました。貴方は十分に苦しんだ。それでも、楽園を望まないのですか?」 「望むさ。だが、それはたった一人の手によって行われるものじゃだめなんだ! “過去を変え、未来を変え!生まれるはずのものを奪えば、必ず裁きが下る” その罪を、お前に背負わせることなんて、彼女も望んじゃいないッ!!」 「――――ッ!?」 ジョウイの表情に、初めてハッキリと狼狽が浮かんだ。 ストレイボウが右手に握りしめた記憶石から頭に伝う輝き、そして紡がれた叫びに、 ジョウイは自分が守れなかった科学の少女を思い出さざるを得なかったのだ。 「誰も望まないからこそ、僕がそれを成すと決めた。 それでも覚悟を胸に抱き僕と相対するというのならば……彼女の残響ごと斬り伏せます」 ジョウイが今一度、剣を大地より引き抜き、天に垂直に魔剣を掲げる。 あふれ出すは、膨大な黒き魔力。その魔力光に、ストレイボウは喉を鳴さざるを得なかった。 奥の手か、それに近い大魔術が放たれることは容易に想像がつく。 とてもではないが、カエルとアキラ2人をストレイボウ一人では守りきれないほどの。 「フォース・エクステンション――――“貪欲”よ、ここに全てを――――」 「ジョウ、イ……」 だが、ジョウイの詠唱は遮られた。彼の名を呼ぶ、懐かしい懐かしい懐郷の響きに。 時系列順で読む BACK△142-7 盾と刃が交わる時 -The X trigger-NEXT▼142-9 この力で全てを守る時 -Glorious Hightland-(後編) 投下順で読む BACK△142-7 盾と刃が交わる時 -The X trigger-NEXT▼142-9 この力で全てを守る時 -Glorious Hightland-(後編) 142-7 盾と刃が交わる時 -The X trigger- アナスタシア 142-9 この力で全てを守る時 -Glorious Hightland-(後編) ちょこ ゴゴ カエル セッツァー ピサロ ストレイボウ アキラ イスラ ジョウイ ▲
https://w.atwiki.jp/dqmb/pages/747.html
神速の剣技(打撃のみ)でモーモンに800ダメージちょっとでした。 -- (名無しさん) 2010-05-15 22 37 15 神速に会心あり プラキンに1120くらい当たって一撃で倒した -- (名無しさん) 2010-05-16 04 14 39 煉獄魔斬二人プレイでバルボロスに680強のダメージだった -- (エルギオス) 2010-05-17 21 25 13 魔王の中でもトップクラスの力の割には火力低い気がする -- (名無しさん) 2010-05-19 06 22 33 時間切れで、いてつくはどう使います -- (名無しさん) 2010-05-19 16 34 53 状態異常に弱すぎて2Pならまだしも1Pでは使いにくい・・・ -- (名無しさん) 2010-05-23 21 31 06 ↑3いや会心が出るのは事実、ニコニコ動画に証拠がある -- (名無しさん) 2010-05-23 21 56 29 本当に会心が出たよ!!!忘れてしまったが1200ぐらいのダメージでライバルチーム終了した・・肝心なダメージを忘れてごめん・・・ -- (ポジティブ&ネガティブ) 2010-05-26 19 02 09 回避率が高い気がすると思っているのは俺だけかな・・・ -- (ポジティブ&ネガティブ) 2010-05-26 19 23 46 よくでますね会心、一回戦と決勝で会心2回ずつこれは星2の会心率ですよ。 -- (レクサール) 2010-05-27 07 59 06 属性に弱いね・・・でも打撃はそんなに喰らわないよ -- (名無しさん) 2010-05-31 18 26 36 今日使ったんだけど、魔力たまんの早いね。決勝戦の2ターン目にとどめはなった -- (名無しさん) 2010-05-31 19 04 25 弱点多いがこのステータスとHPならやられる前に削りきることが可能だな、使ってみた感じ使いやすかった/目の前で会心を目の当たりにした、1000ダメージを超えてて、割と出やすいほうかな? ってかんじでしたよ -- (黒銀) 2010-06-01 20 18 04 ↑会心が出やすいかなってかんじ -- (黒銀) 2010-06-01 20 18 32 悲しい事を言うけど、会心で1200弱のダメージ!と言っても3体全員が会心で400程度出したのと変わらないという···あるいは、多少の力を持つ合体モンスターの会心と通常の合計の方が高いことも··· -- (偽りの勇者) 2010-06-01 21 28 28 ↑400×3なら十分だろ。合体モンスターと比べたとしても、HPは断然上なんだから耐久には問題ない -- (名無しさん) 2010-06-01 21 41 24 ↑2しかも会心がでるとかなりオーブ溜まりますよ -- (無名の勇者) 2010-06-01 23 10 09 連続の乱入で、ピサロをスキャンしたらフリーズした人見た。ピサロの呪い再び? -- (名無しさん) 2010-06-03 17 05 34 ピサロ自身も強い…、でもメタルハンターにMWSという荒業もあり(雷耐性+力100アップ!?これはダークドレアム戦にも付けたいですね -- (勇者しゃま) 2010-06-05 02 59 20 ↑続き。ただ、ピサロの弱点が6つ(?)あるのがどうも引っ掛かります…。雷耐性の代わりにピサロ自身が弱点となる属性耐性が下がる、というオチがないならいいんですが… -- (勇者しゃま) 2010-06-05 03 14 37 レオコーン相手に3回連続で会心で0から3ターンでオーブMAX -- (名無しさん) 2010-06-07 17 25 55 会心出やすいですね! -- (名無しさん) 2010-06-16 19 30 26 ↑同感。恐らくレジェンド魔王2位の会心率。(1位は当然ハーゴン) -- (開かずの宝箱) 2010-06-16 20 17 45 乱対で使われたが、普通に進化の秘法で勇気をためて、とどめ(ダークマタ―)で葬った、ピン魔王は乱対弱い -- (あんころもち) 2010-06-17 16 05 52 対人戦の時、オルゴ・デミーラのデビルズソウルでダメージ700~800程度。 -- (苺パフェ) 2010-07-04 18 20 50 ↑補足 このことから炎が弱点なことは確定かと。 -- (苺パフェ) 2010-07-04 18 21 57 これほど弱点があり一人で戦うとなるとやはりムドーなどよりは使いにくいかな -- (魔神ダークドレアム ) 2010-07-31 16 55 39 VSハーゴン(特に乱対)の相性が最悪。会心3回位出さないと勝てない… -- (名無しさん) 2010-08-11 19 49 17 真ゾーマをなんとか撃破。死者のよびごえが一度も来なかったのが幸いでした(それでもマヒャドで1450食らう)。5T目のサイコキャノンを回避して、最終ターンでとどめの一撃で勝利。通常ゾーマより勝率は高いと思います。 -- (もーもん) 2010-08-12 09 47 18 真オルゴは楽勝。 -- (バ虎) 2010-08-13 16 39 42 ↑そうですか?天地邪砲とかたたきふせるやばかったんですが。少なくとも楽勝ではないかと。 -- (蘇りし亡霊) 2010-08-13 22 23 01 進化の秘法、光の玉がなくても、勇気をしっかり溜めることができれば倒せるんじゃない?耐えれば。(乱入) -- (はやて) 2010-08-20 19 31 56 ↑会心を受けないのも条件だからちと厳しいな……って、★の数がいい加減すぎる。この理由を述べよ。荒らしなら死ぬがいい。 -- (名無しさん) 2010-08-20 23 38 41 冒険の書が見当たらないからって、魔王で乱入は止めて欲しい。(勇気を増やすカードが無い人からの視点) -- (はやて) 2010-08-21 19 32 31 雷や暗黒に強い以外で炎にも氷にも弱いところとか普通の人間と変わらなくね?ていうかレジェンド魔王のコメントに嘘付けとコメントしてるやつを見かけたら削除してください。 -- (【瑞鷹・ヴォルフサーカス団】☎PОPEE) 2010-08-22 09 31 16 unti -- (ドレアム) 2011-07-10 21 49 53 ピサロめちゃめちゃほしいーーーーーー -- (かーーーーーーーー) 2012-06-18 22 48 33 弱点が多すぎるので光のみ変更 つよい耐性は暗黒のみ -- (名無しさん) 2018-01-31 16 45 45 なんとピサロのみSPカード いてつくはどうと進化の秘宝が使える -- (名無しさん) 2018-01-31 16 46 53 進化の秘宝は光の玉同様SPカードが2回使える 一回目使うとデスピサロに変身する 神速の剣技770→恐怖のツメにも会心の一撃効果がある 960 会心あり平均1560 -- (名無しさん) 2018-01-31 16 50 52 煉獄魔斬870→マヒャド 900 2回目の進化の秘宝は元の効果と同じくゆうき量増加 -- (名無しさん) 2018-01-31 16 54 59 普通にSPカードは使えないって一蹴されたぞ -- (名無し) 2018-05-18 22 12 33 ちなめにレジェンド魔王モンスターはcp戦の時は3つの技も含めて6つの技を使う -- (名無しさん) 2019-09-08 18 07 10 ちなめにレジェンド魔王のcp戦は2人プレイの時は6つの中からランダムで2つ選ぶ場合によっては同じ技を連続で使う事もある。 -- (名無しさん) 2019-09-08 18 10 26 ピサロの赤ボタン技は煉獄魔斬じゃなくて冷酷な剣技が良かったなぁ。あっちの方がかっこいいし。 -- (名無しさん) 2022-11-04 12 52 37
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/36280.html
登録日:2017/02/17 Fri 20 20 30 更新日:2024/07/13 Sat 11 01 09 所要時間:約 6 分で読めます ▽タグ一覧 ザ・伯爵ズ スーパーペーパーマリオ ナスタシア ペーパーマリオ マリオ マリオシリーズキャラクター項目 側近 悲恋 片思い 眼鏡っ娘 秘書 「引き返す? アナタに引き返せる道などもうありませんわ」 ナスタシアとは、スーパーペーパーマリオに登場するキャラクターである。 敵組織ザ・伯爵ズの一員だが、非戦闘員。 名前の由来はロシアの女性名「アナスタシア」だろうか。英語版では「Nastasia」。 ※この項目はネタバレを含みます 【概要】 勇者マリオたちの最大の敵「ザ・伯爵ズ」の女性メンバー。 ノワール伯爵の側近であり、ドドンタス、マネーラ、ディメーン、そしてミスターLを従える大幹部。 容姿はインテリ眼鏡にお団子髪というオーソドックスな秘書スタイル。前作の登場人物、キノシコワによく似ている。 一人称はワタクシで、基本的には誰に対しても敬語で話す。 大幹部とはいえ部下からは呼び捨てで呼ばれるが、マネーラからは「ナッちゃん」と某ジュースのごとく呼ばれている。 作中では美人設定らしく、度々「キレイな人」と呼ばれ、ウラハザマタウンには彼女に恋焦がれているモブ男までいる。 彼女の能力は、眼から出る催眠光線。作中では眼鏡をちょっとずらすことで発動させている。 本人も「チョーサイミンジュツ」と呼ぶほど強力なものであり、彼女が部下を従えられるのもこの能力のお陰だろう。 冒頭の結婚式シーンで嫌がるピーチに無理矢理この能力を使い、(クッパに愛を)「誓います」と言わせる。 このため、本来なら交わることのない「清らかで美しい姫」と「猛々しく恐ろしい魔王」から邪悪な力、コントンのラブパワーが生まれてしまう。 しかしこの催眠術は戦闘には向かないためか、ナスタシア自身とマリオたちが戦う場面はない。 よってザ・伯爵ズの中で唯一テーマ曲や戦闘BGMがない…。 非常に真面目かつ冷静な性格で、伯爵に対し絶対の忠誠を誓っている。命令に逆らう者や楯突く者には容赦しない。 ステージ2、3終了後には暗黒城をさまようピーチやクッパ軍団の様子が描かれるのだが、いずれも彼女に発見され、催眠光線で洗脳されてしまっている。 (ただし、ピーチだけはすんでのところをある人物によって救われている) 洗脳されたクッパ軍団は開口一番「ビバ! 伯爵!!」と叫び、彼女の命令に従うようになってしまう。 本作に登場するサングラスをかけたノコノコは全て彼女に洗脳された個体という設定。 そして、中盤から登場するザ・伯爵ズの新メンバーのミスターLも、誰かさんが洗脳された姿である。 と、このように最初は冷酷な悪の幹部として描かれていた彼女だが、中盤から次第に様子が変わり始める。 伯爵に対し考えを改めるよう進言したり、「なぜアナタがこんなことを…」と嘆く様子を見せたりと、何か事情があることを匂わせる。 ステージ7終了後の作戦会議では、ディメーンが不意に口にした伯爵の本名を聞き、ひどく動揺した様子を見せた。 他のメンバーと違い、彼女だけは伯爵の過去を知っているようだが…? 最終面、8-4「暗黒城エリア4」で、ノワール伯爵の敗北後に登場。 (実はピーチ、ルイージ、クッパと違い、マリオがナスタシアに会うのは実はこの8-4が初めてだったり) アンナに自らの罪を語り始める伯爵に不安そうに寄り添っていたが… ディメーン「ちっ。伯爵を庇うとは…。余計なことを…」 突如ディメーンが放った魔法攻撃から咄嗟に伯爵を庇い、命を落としてしまう。 更にディメーンは「後でゆっくり始末してやる」と伯爵をディメ~ン空間に追放し、彼女も巻き添えにした。 ディメ~ン空間の中で、コントンのラブパワーを奪われ、全てを諦めかけていた伯爵のもとにドドンタス、マネーラの二人が現れる。 伯爵「オ、オマエたち…どうしてここへ!?」 マネーラ「アタシは、伯爵さまのことならなんでもわかるんです」 ドドンタス「ウソですよ! ナスタシアが教えてくれたんです。ここに伯爵さまがいると…。いえ…そんな気がした…ということですが」 死しても尚伯爵を助けようとする彼女の強い想いと、ドドンタス・マネーラの忠誠心の強さがピュアハートに再び力を与える。 輝きを取り戻した八つのピュアハートは、ラスボス・スーパーディメーンの無敵のバリアを打ち砕き、マリオたちにも活力を与えた。 そしてエピローグ。 愛の力で世界は救われ、マリオたちとザ・伯爵ズの生き残りはハザマタウンに戻って来ていた。 ジゲンの穴は閉じ、滅びた世界は元に戻り、彼女、ナスタシアもまた息を吹き返す。 このときドドンタスは「なんたるキセキ!!! うおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」と歓喜していた。 ちなみにこのシーンで彼女の眼鏡の下の目を見ることができる。意外にも可愛らしい二重瞼だった。 世界は救われ、伯爵も時を越えて約束を果たしアンナと共に旅立ったことを知り… うわ~~~~ん! ばぐじゃぐざば~~~! ワタクシは…残されたワタクシは…!! これからどうすればいいんですか~!! …と、常に冷静だった彼女のまさかの大号泣。これにはドドンタスとマネーラも驚愕。 しかしドドンタスとマネーラに慰められ、これからは伯爵が本当に望んでいた争いのない世界を創ることを決意し、僅かに笑顔を見せた。 ちなみにマネーラは「一緒にイケメンハーレムを作りましょ」と慰めている。それでいいのか エンディング後はウラハザマタウンにいる。伯爵がいなくなった哀しみから抜け出せないものの、いつか前だけを見て進めるようになりたいと語った。 ドドンタスに惚れられているのは気が付いていない模様。 ストーリーを通して、おそらく最初と最後で印象がガラリと変わるであろうキャラクター。 身を挺して伯爵を庇ったことや、エンディングでの号泣で好きになった人もいるとかいないとか。 また、ただシリアスなキャラという訳ではなく、部下にたびたび「ビバ!伯爵!」と言わせたり、ドドンタスに自作の妙な応援歌を1000回歌わせたりとネタ要素も少なからず持ち合わせている。 【考察】 ウラハザマタウンのドリンクバーではマスターから様々な興味深い話を聞くことができるのだが、 その中のひとつに「オトコとコウモリ」という物語がある。 内容は「恋人を探し旅をしていたある男が、罠にかかっていたコウモリを助けた。コウモリは男に恋をし、人の姿になって彼の部下となった」というもの。 本編と照らし合わせて考えると、「恋人を探し旅をしていた男」というのがノワール伯爵で、この「コウモリ」がナスタシアで間違いないだろう。 現に彼女もステージ3終了後の作戦会議のシーンで「アナタに命を救われた」と語っている。 彼女の伯爵に対する恋心は強く、一度彼に(遠回しに)告白したこともあるが、あっさりと断られてしまった。 最終的に生存していることも含め、愛する人と結ばれ姿を消したアンナとは真逆のキャラクターとして描かれている。 本人も叶わぬ恋であることは認めているというような描写がある。 【漫画版】 スーパーマリオくんでも伯爵の側近として登場。やはりマリオと戦う場面はない。 なぜかボケキャラになっており、しきりに伯爵に「詳しくは漫画を読め」と宣伝したため伯爵からは「編集部の回し者か」と突っ込まれた。 更に伯爵の過去を聞いたときには「たかが失恋ごときで世界を滅ぼすなんて身勝手な」と文句を言うなどキャラ崩壊気味。 しかし、ラストでアンナと共に旅立った伯爵に対し泣いているシーンがあるので、片思い設定は一応存在しているのだろうか。 そ、そうですわね……。 いつまでもメソメソしていたら冥殿さまにしかられてしまいます。 ワタクシたちは冥殿さまの本当の心がもとめていた理想のWiki… だれもが同じように追記・修正ができる、自由で争いのないWikiをつくっていかなければなりません。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] ラストで気に入った -- 名無しさん (2017-02-19 03 09 30) マリオくんの「たかが失恋~」は正論っちゃ正論。 -- 名無しさん (2017-05-30 19 50 49) 伯爵ズでは彼女のみ戦う事はなかったが実際に戦ってたらどれくらい強かったのか。 -- 名無しさん (2020-03-12 18 53 20) 伯爵庇うシーンだけどあれ死んでたの?気絶してたのだと思ってた -- 名無しさん (2023-03-09 22 53 09) ↑2 通常ボス(ハナーン、シニガミダス等)以上ドドンタス達3人以下くらい? -- 名無しさん (2023-08-14 23 24 52) 名前 コメント