約 2,183,134 件
https://w.atwiki.jp/rpgrowa/pages/244.html
No. タイトル 作者 登場人物 場所 時間 【ティナ・ブランフォード:1】 021 死んだのにイキテルマン(×2) ◆jU59Fli6bM ティナ 無法松 ルカ D-7 川D-7 河原 一日目 深夜 【エドガー・ロニ・フィガロ:4】 023 いわゆるマーダーには向かない性格 ◆n95k6APn4k フロリーナ エドガー A-4 雪原 一日目 深夜 045 「今日、ナニカノハズミデ生きている」 ◆FRuIDX92ew エドガー フロリーナ A-3 北の城(フィガロ城) 一日目 黎明 051 エドガー、『夜明け』を待つ(前編)→(後編) ◆Rd1trDrhhU エドガー、フロリーナシャドウ、トカ B-5 北東部C-3 森林B-4 荒野 一日目 早朝 071 暗殺者のおしごと-The style of assassin ◆SERENA/7ps エドガー、フロリーナ、シンシア、ジャファル A-6 村 壽商会入口 一日目 朝 【マッシュ・レネ・フィガロ:9】 003 Body Language ◆FRuIDX92ew 高原 マッシュ I-1 灯台付近 一日目 深夜(黎明寸前) 035 最強も煙も高い所が好き ◆jU59Fli6bM マッシュ 高原 I-1 灯台 一日目 黎明 052 正に悪夢、アクム ◆FRuIDX92ew マッシュ、高原、イスラクロノ、ビジュ H-2 平野南部I-2 灯台付近 一日目 早朝 058 いつか帰るところ ◆E8Sf5PBLn6 マッシュ、高原、イスラクロノ、ビジュ H-2 平野北部I-1 灯台付近 一日目 早朝 064 ボボンガ ◆iDqvc5TpTI マッシュ、高原、クロノ G-2 平野北東部 一日目 朝 074 ユーリル、『雷』に沈黙する ◆Rd1trDrhhU ユーリル、マッシュ高原、クロノ D-2とE-2の境 一日目 午前 082 勇者と野球しようぜ! ◆SERENA/7ps ユーリル、マッシュ高原、クロノ D-1港町中央部D-1港町東部にある民家 一日目 昼 089 空虚の輪郭 ◆6XQgLQ9rNg ユーリル、ルカ・ブライトクロノ、マッシュ、高原 D-01、E-01の境界D-01 港町西部D-01 港町 一日目 日中 095 ですろり~イノチ~(前編)→(後編) ◆iDqvc5TpTI ルカ・ブライトユーリル、クロノ、マッシュ、高原ちょこ、アナスタシア E-2荒野とE-3森林の境界E-2平野H-2平野 一日目 午後 【シャドウ:8】 006 ダブル・ナイトメア ◆jtfCe9.SeY ジャファル シャドウ E-2 森林D-2 森林 一日目 深夜 037 White or Black? There is no gray. ? ◆FRuIDX92ew エイラ シャドウ リオウ C-3 平野D-3 森林 一日目 黎明 051 エドガー、『夜明け』を待つ(前編)→(後編) ◆Rd1trDrhhU エドガー、フロリーナシャドウ、トカ B-5 北東部C-3 森林B-4 荒野 一日目 早朝 070 風雲フィガロ城 ◆iDqvc5TpTI トッシュ、シャドウ、ゴゴ、リオウ、トカ B-4地下 フィガロ城C-5北西 古代城への洞窟 一日目 午前 077 機械仕掛けの城での舞踏剣豪と影と輝ける星と ◆6XQgLQ9rNg トッシュ、ゴゴ、リオウトカシャドウ C-5地下北西 移動してきたフィガロ城内部制御室周辺C-5地下北西 移動してきたフィガロ城制御室C-5地下北西 移動してきたフィガロ城地下 一日目 昼 090 グリーン・デスティニーBLAZBLUEDARKER THAN BLACK ◆iDqvc5TpTI アシュレー、ゴゴ、トッシュトカシャドウ G-3 フィガロ城G-3 フィガロ城制御室G-3 砂漠 一日目 日中 099 戦友へ ◆jtfCe9.SeY シャドウ E-2 中央 一日目 夕方 110 シャドウ、『夕陽』に立ち向かう→(Ⅱ),(Ⅲ),(Ⅳ) ◆Rd1trDrhhU シャドウ、ルカ ちょこ D-1 荒野(港町跡)D-1 上空 一日目 夜 【セッツァー・ギャッビアーニ:21】 011 夢をもう一度 ◆0RbUzIT0To トルネコ セッツァー H-4 小屋の外 一日目 深夜 031 黒のジョーカー ◆FRuIDX92ew ヘクトル セッツァー ブラッド G-6 南部、川辺H-6 北部、川辺 一日目 黎明 062 セッツァー、『山頂』で溺れる ◆Rd1trDrhhU トッシュ、セッツァー D-7 地下水路入口D-6 地下にある城 一日目 朝 072 曇りのち嵐のち雨のち―― ◆iDqvc5TpTI アシュレー、セッツァー D-7 一日目 午前 083 どこを向いても奴がいる ◆KGveiz2cqBEn アティ、セッツァー D-6 北東部 一日目 昼 094 銀の交差 ◆SERENA/7ps ピサロ、セッツァー C-6 森林 一日目 日中 103 飛行夢 ◆6XQgLQ9rNg セッツァー C-6 一日目 夕方 108 暴かれた世界→(後編) ◆KGveiz2cqBEn ジャファル、リン、ヘクトル、ニノ、セッツァー C-7西側の橋より少し西 一日目 夜 112 光の『英雄』、闇の『勇者』 ◆jtfCe9.SeY ジャファル、ヘクトル、ニノ、セッツァー C-7西側の橋より少し西 一日目 夜中 116 闇からの呼び声 ◆iDqvc5TpTI 無法松、ジャファル、セッツァー A-7 座礁船内部 一日目 真夜中 127 エラスムスの邂光現象 ◆wqJoVoH16Y ピサロ、ジャファル、セッツァージョウイマリアベル、ストレイボウ、ヘクトル、ニノ、アキラ、イスラ、アナスタシア、ユーリル A-7 座礁船A-7 草原C-7 橋の近く 二日目 黎明 128 アシュレー、『名』を呼ぶ→(後編) ◆Rd1trDrhhU セッツァー、ジャファル、ピサロ、ゴゴ、アシュレー、ちょこ B-7、C-6、B-6 北部 二日目 早朝 129 デイブレイク ◆6XQgLQ9rNg セッツァー、ピサロ、ジャファル B-7 二日目 早朝 134 龍の棲家に酒臭い日記(前編)→(後編) ◆wqJoVoH16Y セッツァー、ピサロ、ジャファル C-7クレーター北端 二日目 早朝 136 世界最期の陽(前編)→(後編) ◆wqJoVoH16Y ゴゴ、魔王、ヘクトル、ニノ、セッツァー、ジャファル、ピサロカエル C-7とD-7の境界(C-7側)(D-7側) 二日目 朝 138 ある『暗殺者』の終わりある『暗殺者』の終わり、そして、ある『勇者』の始まり ◆jtfCe9.SeY ヘクトル、ニノ、セッツァー、ジャファル、ピサロ C-7とD-7の境界(C-7側) 二日目 朝 139 私がわたしを歩む時-I m not saint-(前編)→(中編)→(後編) ◆wqJoVoH16Y ヘクトル、セッツァー、ジャファル、ピサロアナスタシア、ゴゴ、魔王、ジョウイ、ちょこ、カエルストレイボウ、アキラ、イスラ C-7C-7とD-7の境界(C-7側)C-7とD-7の境界(D-7側・東) 二日目 朝 141 Disintegration遥かなる理想郷『そうはならなかった』お話 ◆SERENA/7ps ヘクトル、ジャファル、ピサロ、セッツァー C-7 二日目 朝 142 為すべきを成すべき時 -Friend s Fist with Brave-(前編)→(後編)その罪を識る時 -Fallere825-(前編)→(後編)夜空を越えて -True Magic-(前編)→(後編)盾と刃が交わる時 -The X trigger-この力で全てを守る時 -Glorious Hightland-(前編)→(後編)そして、世界変革の刻 -A.D.1999 The Day of Apocalypse 00 00- ◆wqJoVoH16Y セッツァー、ピサロ、アナスタシア、ゴゴ、ちょこ、カエル、ストレイボウ、アキラ、イスラジョウイ C-7とD-7の境界(C-7側)E6山 アララトス遺跡ダンジョン前 二日目 午前 144 瓦礫の死闘-VS地獄・泥の下の宴会-瓦礫の死闘-VS死龍・ハードオブヘクトル-瓦礫の死闘-VS黄龍・反撃は雷のように-瓦礫の死闘-VS究極獣・Radical Dreamers-(前編)→(後編)瓦礫の死闘-VS守護機・砕けない宝石-瓦礫の死闘-VS女神・無職葬送曲-瓦礫の死闘-VS鬼神・泣き止んだ僕が願ったこと-瓦礫の死闘-VS魔神・ゴゴ、『黒の夢』に……-瓦礫の死闘-VS??・Hyper Evolve X-fire sequence- ◆wqJoVoH16Y セッツァー、ピサロ、アナスタシア、ゴゴ、ちょこ、カエル、ストレイボウ、アキラ、イスラジョウイ C-7とD-7の境界(C-7側)F7 アララトス遺跡ダンジョン地下71階 二日目 昼 146 一万メートルの景色 ◆FRuIDX92ew セッツァー、ゴゴ、ちょこ、アキラ C-7とD-7の境界(C-7側) 二日目 昼 【ゴゴ:24】 005 Mr. & Miss. Mysterious ◆wlyXYPQOyA ゴゴ ビッキー E-9 花園 一日目 深夜 042 花園に潜む魔物 ◆rfP3FMl5Rc ビッキー、ゴゴ E-9 花園 一日目 黎明 050 三人でいたい ◆iDqvc5TpTI ルカ、ナナミ、リオウ、ルッカ、ゴゴ、ビッキー C-7 東部B-3 雪原A-3 北の城(フィガロ城) 一日目 早朝 063 ビッキー、『過ち』を繰り返す(前編)→(後編) ◆Rd1trDrhhU ルッカ、ビッキー、ゴゴリオウ、ジョウイ、ケフカ E-9 花園北の城(フィガロ城) 一日目 朝 070 風雲フィガロ城 ◆iDqvc5TpTI トッシュ、シャドウ、ゴゴ、リオウ、トカ B-4地下 フィガロ城C-5北西 古代城への洞窟 一日目 午前 077 機械仕掛けの城での舞踏剣豪と影と輝ける星と ◆6XQgLQ9rNg トッシュ、ゴゴ、リオウトカシャドウ C-5地下北西 移動してきたフィガロ城内部制御室周辺C-5地下北西 移動してきたフィガロ城制御室C-5地下北西 移動してきたフィガロ城地下 一日目 昼 090 グリーン・デスティニーBLAZBLUEDARKER THAN BLACK ◆iDqvc5TpTI アシュレー、ゴゴ、トッシュトカシャドウ G-3 フィガロ城G-3 フィガロ城制御室G-3 砂漠 一日目 日中 100 トカ、『楽園』を望む ◆Rd1trDrhhU ゴゴ、トッシュ、アシュレー、トカ G-3 フィガロ城 一日目 午後 102 アシュレーのパーフェクト首輪教室 ◆iDqvc5TpTI アシュレー、トカ、トッシュ、ゴゴ G-3 フィガロ城 一日目 夕方 107 ぼくらがいた――(Esa Promesa) ◆MobiusZmZg ゴゴ、アシュレー、トカ、トッシュ G-3 フィガロ城 一日目 夜 113 憎悪の空より来たりて正しき怒りを胸に我等は魔を断つ剣を取る汝、無垢なる刃、デモンベイン――トゥーソード ◆iDqvc5TpTI アシュレーゴゴ、ちょこ、トッシュ、ルカ、トカ F-3 砂漠G-3 砂漠 一日目 真夜中 117 バトル・VSロードブレイザーどんなときでも、ひとりじゃないファンタズムハート ◆y.yMC4iQWE ゴゴ、ちょこアシュレー F-3 砂漠G-3 砂漠 一日目 真夜中 123 Re:どんなときでも、ひとりじゃない ◆iDqvc5TpTI ゴゴ、ちょこ、アシュレー G-3 フィガロ城 一日目 深夜 128 アシュレー、『名』を呼ぶ→(後編)アシュレー、『名』を呼ぶ(後編) ◆Rd1trDrhhU セッツァー、ジャファル、ピサロ、ゴゴ、アシュレー、ちょこ B-7、C-6、B-6 北部 二日目 早朝 130 〈 愛ちぎれる 金色の 断章 〉 ◆MobiusZmZg ゴゴ、オディオ B-6 北部、??? 二日目 早朝 131 救われぬ者→(中編)→(後編)人間が大好きだった壊れた物真似師の唄→(後編)Salvere000全てのキミの魂の詩 ◆iDqvc5TpTI ゴゴ、ちょこ、ジョウイ、マリアベル、ストレイボウ、ヘクトル、ニノ、アキラ、イスラ、アナスタシア、ユーリル C-7南 二日目 早朝 133 <ハジマリ>のクロニクルなまえをよんでResistance Line ◆6XQgLQ9rNg ちょこ、ゴゴ、カエル、魔王、アナスタシア、ヘクトル、ニノ、ストレイボウ、マリアベル、ジョウイ、イスラ、アキラ C-7とD-7の境界 二日目 早朝 136 世界最期の陽(前編)→(後編) ◆wqJoVoH16Y ゴゴ、魔王、ヘクトル、ニノ、セッツァー、ジャファル、ピサロカエル C-7とD-7の境界(C-7側)(D-7側) 二日目 朝 137 クロスファイア・シークエンス ◆6XQgLQ9rNg アナスタシア、ゴゴ、魔王、ジョウイ、ちょこストレイボウ、アキラ、イスラ、カエル C-7とD-7の境界(C-7側)(D-7側) 二日目 朝 139 私がわたしを歩む時-I m not saint-(前編)→(中編)→(後編) ◆wqJoVoH16Y ヘクトル、セッツァー、ジャファル、ピサロアナスタシア、ゴゴ、魔王、ジョウイ、ちょこ、カエルストレイボウ、アキラ、イスラ C-7C-7とD-7の境界(C-7側)C-7とD-7の境界(D-7側・東) 二日目 朝 140 抗いし者たちの系譜-再始の聖女-抗いし者たちの系譜-逆襲の魔王-抗いし者たちの系譜-虚構の物真似師- ◆iDqvc5TpTI アナスタシア、ジョウイ、ちょこ、カエルゴゴ、魔王 C-7とD-7の境界(C-7側) 二日目 朝 142 為すべきを成すべき時 -Friend s Fist with Brave-(前編)→(後編)その罪を識る時 -Fallere825-(前編)→(後編)夜空を越えて -True Magic-(前編)→(後編)盾と刃が交わる時 -The X trigger-この力で全てを守る時 -Glorious Hightland-(前編)→(後編)そして、世界変革の刻 -A.D.1999 The Day of Apocalypse 00 00- ◆wqJoVoH16Y セッツァー、ピサロ、アナスタシア、ゴゴ、ちょこ、カエル、ストレイボウ、アキラ、イスラジョウイ C-7とD-7の境界(C-7側)E6山 アララトス遺跡ダンジョン前 二日目 午前 144 瓦礫の死闘-VS地獄・泥の下の宴会-瓦礫の死闘-VS死龍・ハードオブヘクトル-瓦礫の死闘-VS黄龍・反撃は雷のように-瓦礫の死闘-VS究極獣・Radical Dreamers-(前編)→(後編)瓦礫の死闘-VS守護機・砕けない宝石-瓦礫の死闘-VS女神・無職葬送曲-瓦礫の死闘-VS鬼神・泣き止んだ僕が願ったこと-瓦礫の死闘-VS魔神・ゴゴ、『黒の夢』に……-瓦礫の死闘-VS??・Hyper Evolve X-fire sequence- ◆wqJoVoH16Y セッツァー、ピサロ、アナスタシア、ゴゴ、ちょこ、カエル、ストレイボウ、アキラ、イスラジョウイ C-7とD-7の境界(C-7側)F7 アララトス遺跡ダンジョン地下71階 二日目 昼 146 一万メートルの景色 ◆FRuIDX92ew セッツァー、ゴゴ、ちょこ、アキラ C-7とD-7の境界(C-7側) 二日目 昼 【ケフカ・パラッツォ:7】 017 受け継がれしもの ◆BGnFOf.FWQ アリーナ ケフカ アシュレー E-8 中心部(森林) 一日目 深夜 043 道化師の哄笑 ◆6XQgLQ9rNg ケフカ アシュレー F-9 北部(森林)F-8 中心部(森林) 一日目 黎明 057 嘲律者 ◆iDqvc5TpTI ケフカ E-9花園 一日目 早朝 063 ビッキー、『過ち』を繰り返す(前編)→(後編) ◆Rd1trDrhhU ルッカ、ビッキー、ゴゴリオウ、ジョウイ、ケフカ E-9 花園北の城(フィガロ城) 一日目 朝 073 シュウ、『嵐』に託す(前編)→(後編)サンダウン、『花』を見守る ◆Rd1trDrhhU シュウ、サンダウンビッキー、ケフカ I-8 荒野 一日目 昼 092 迷い子 ◆iDqvc5TpTI ケフカビッキー I-9 西I-9 宿屋 一日目 日中 097 妖星乱舞→(後編)壊れた心に貫く想い ◆6XQgLQ9rNg ケフカ、ビッキー、イスラ、ヘクトル、ブラッド I-8 南西 一日目 午後 INDEX LIVE A LIVE ファイナルファンタジーVI ドラゴンクエストIV WILD ARMS 2nd IGNITION 幻想水滸伝II ファイアーエムブレム 烈火の剣 アークザラッドⅡ クロノ・トリガー サモンナイト3 ▲
https://w.atwiki.jp/rpgrowa/pages/230.html
◆MobiusZmZg 107 ぼくらがいた――(Esa Promesa) 114-1 きみがぼくを――(ne pas ――――――――――)114-2 きみがぼくを――(ne pas céder ―――――――)114-3 いばらのみち――(ne pas céder sur son ―――)114-4 いきてしんで――(ne pas céder sur son désir.) 124 ソラノカケラ――(Brightest Darkness) 130 〈 愛ちぎれる 金色の 断章 〉 【キャラクター登場率・登場回数】 +開示する 原作 登場率 内訳 【キャラクター登場率 13/54+1】 LIVE A LIVE 1/7 アキラ ファイナルファンタジーVI 1/7 ゴゴ ドラゴンクエストIV 2/7 ユーリル、ピサロ WILD ARMS 2nd IGNITION 3/7 アシュレー、アナスタシア、トカ 幻想水滸伝II 1/7 ジョウイ ファイアーエムブレム 烈火の剣 0/5 アークザラッドⅡ 1/5 トッシュ クロノ・トリガー 2/5 カエル、魔王 サモンナイト3 1/5 イスラ 主催者 1/1 魔王オディオ 【キャラクター登場回数】 2回 1人 ゴゴ 1回 12人 アキラ、ユーリル、ピサロ、アシュレー、アナスタシア、トカ、ジョウイ、トッシュ、カエル、魔王、イスラ、魔王オディオ 細やかな心理描写による掘り下げの巧みな書き手氏.話の運び方が丁寧で,料理の描写も旨そうである.言葉の選び方も上手い. -- 名無しさん (2010-06-11 23 29 21) 名前 コメント ▲
https://w.atwiki.jp/magicman/pages/27894.html
三日月の使徒ピサロ UC 光 (4) クリーチャー:イニシエート/バトラー 2500 ■S・トリガー ■相手のコスト3以下のクリーチャーは攻撃もブロックもできない。 作者:翠猫 イニシエートのバトラー。 コスト3以下のウィニーの動きを封じる。 名前の由来は「カミーユ・ピサロ」 収録エキスパンション DMAE-06「ブレイズ・イン・ザ・ダーク」 関連(S・トリガークリーチャーサイクル) 《三日月の使徒ピサロ》 《アクア・ラムリン》 《黒翼士官ヘンペル・クロウ》 《超重大剣ブルドガング》 《突撃の朱裂》 評価 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/mixicf/pages/14.html
■基本データ 【名 前】 アナスタシア・アーデルグンデ・バール 【性 別】 ♀ 【年 齢】 18 【P L】 如月葉月 【コロナ】 星詠み 【ミーム】 テオス/グレズ/フォーリナー/コラプサー 【ブランチ】バール/セラフィム/エラーハ/マシンライフ/協力者/サクセシュア 【消費経験点】(能力値:0 特技:45 装備: パスの追加:0 ブランチの追加:40)あまり(3) ■能力値/耐久力 【能力値】 肉体:7 技術:14 魔術:10 社会:11 根源:2 【戦闘値元値】 白兵:8 射撃:8 回避:7 心魂:7 行動:8 【戦闘値修正値】 白兵:15 射撃:10 回避:7 心魂:7 行動:15 【HP】 元値:29 修正値:134 【LP】 元値:5 修正値:5 ■宿命/特徴/闘争/邂逅 宿命:造られし者 特徴:人工生命 特徴効果:ダイス目一つ6に(Sin1) 闘争:離別 邂逅:クラウディア・アマラスンタ・バール ■初期パス 【因縁】クラウディア・アマラスンタ・バールからの親近感 ■準備された装備 部位:名称(必要能力/行動修正/ダメージ/HP修正/射程/備考/参照P) 右手 :ライトフォースセイバー (必:―/行:5/ダ:―/HP:―/射:至近/―/―) 左手 : (必:―/行:―/ダ:―/HP:―/射:―/―/―) 胴部 :テオス軍服 (必:―/行:―/ダ:―/HP:25/射:―/―/―) その他: (必:―/行:―/ダ:―/HP:―/射:―/―/―) 乗り物:ケイファ (必:【社会】10/行:15*/ダ:/HP:+40/射:―/―/―) 予備1:シールドバンカー (必:―/行:―/ダ:【技】×3+2d6/HP:―/射:至/―/―) 予備2:レールアサルトキャノン (必:―/行:―/ダ:【技】×2+4d6/HP:―/射:遠/―/―) 予備3: (必:―/行:―/ダ:―/HP:―/射:―/―/―) ■コロナ特技 【SC100/自動/自/オ/フ1】◆女神の祝福 自分以外の対象の判定の[達成値]を+[フレア] 【SC100/自動/自/オ/フ全】◆再生の車輪 〔Sin1〕[死亡][戦闘不能][覚醒]を解除し【HP】1【LP】1にする 【SC100/-/自/オ/フ1】天上の霞 〔TLv+2〕。対象の[BS]を全て回復する 【SC101/Lv/自/セ/フ1】夜明けの星 [Lv+1]体までの対象のダメージ属性をターン終了時まで〈根〉に変更 【SC100/―/心/メ/5H】盾の乙女 対象が次に行なう[メジャー]の[達成値]+[この特技の達成値] ■ミーム特技 【SC135/自動/自/常/なし】◆ダークフォース [分類:幻獣]を得る。[防:社]を得る。【技】+2。プロミネンス以外で[防:魔]を得られない 【LF132/自/常/なし】テオスエンブレム [防:技]を得る。【最大HP】+20。プロミネンス以外で[防:魔]を得られない 【FP090/自動/自/常/なし】◆神の戦車1 歩行戦車LV*10分常備化可能。【社会】+2 【SC135/自/常/なし】◆レプリカント [分類:幻獣]を得る。指定した【基本能力値】 (魔術を指定) 【SC125/自/マ/2H】バックアップスタッフ (フェイクアビリティ) 種別:強化。メインプロセスに行なう判定の[達成値]+【社】。ダメージを与える特技には不可 【LF134/自動、Lv/自/常/なし】◆機械中枢 [分類:機械]を得る。【最大HP】+[Lv×20]。《フォーム》系特技からひとつ選択。《フォーム》系特技に指定がない場合は[右手][左手][乗り物]スロットに装備不可 【LF134/効参/自/常/なし】◆フォーム:人間形態 【白】+5。[右手][左手][乗り物]スロットに装備可 【LF138/自/オ/4H】鋼の従者 5 宣:判定直後。対象の[達成値]+[Lv×3] 【LF139/自/オ/なし】マシンリンケージ 《フォーム:人間形態》効果時専用。宣:登場時orセットアップ。1シーンの間、乗り物を装備して行なう攻撃のダメージ+【技】 【SC108/自・ア/自/オ/なし】◆刻の結晶 〔Sin1〕他人1人の[戦闘不能][死亡]を[覚醒]に変更、【HP】0【LP】1にする 【SC108/―/自/ダ/フ1】時流の間隙 〔T1〕宣:DR直後。対象が与えるダメージに+[差分値] 【SC108/―/自/オ/フ1】無言のエール 〔T1〕宣:判定直前。[達成値]+[パスの数×2] 【SC123/自/オ/フ1】◆太古の記憶 宣:[メジャー]かリアクション直前。[分類:幻獣]を得る。ダメージの基準と属性を【魔】に変更する 【SC123/自/オ/フ1】運命介入 〔T1〕同意した相手の判定の出目1つを1か6に変更する ■装備 [LF173]ライトフォースセイバー(部:片/射:至/HP +0)購:-/5 【技】+3D6。【行】+5【白兵値】で[避け]可。 [SC159]テオス軍服(部:胴/射:-/HP +25)購:-/5 [LF187]レビテイトユニット(部:-/射:-/HP +0) 購:-/3/【行】±0 マイナーアクションの直前に宣言。飛行状態になる。マイナーアクションを消費して解除可 [LF195]アクセスコード (部:-/射:な/HP +0)購:14/3 [情報収集]を【技】で行える [RR083]ケイファー(部:乗/射:-/HP +20/必:【社会】10/行:15*)購:-/10 防御属性:肉体、射撃ダメージ+10、追加装備:ジャイロスピナー、ハードナックル。 [RR083]ハードナックル(部:-/射:至/HP +0)購:-/- 【技】×3+3D6。アーケロン・ケイファー専用。 [RR083]シールドバンカーカスタマイズ(部:その他/射:-/HP +0)購:-/15 ケイファー専用、シールドバンカー付属、ケイファーのHP修正を+40に変更、白兵ダメージに+【技】 [RR083]シールドバンカー(部:-/射:至/HP +0)購:-/- 【技】×3+2D6。【白兵】+2。シールドバンカーカスタマイズと同時にでなければ装備できない。 [FP104]レールアサルトキャノン(部:片/射:遠/HP +0)購:-/2 【技】*2+4D6。【射撃】+2 [FP104]ジャイロスピナー(部:-/射:-/HP +0) 歩行戦車専用。マイナーアクション直前にエンゲージ離脱可能。 [LF174]ウィンチユニット(部:-/射:-/HP +0) 歩行戦車専用。[移動]中だけ[飛行状態]となる ■属性防御 肉体:○ 技術:○ 魔術:× 社会:○ ■戦術、設定、メモなど 戦術 セットアップ:夜明けの星 F1 メジャー@白兵 マイナー:特になし メジャー:シールドバンカー 判定後:鋼の従者 命中:2d6+15+15+フレア ダメージ:14*3+2d6+14 メジャー@射撃 マイナー:特になし メジャー:レールアサルトキャノン 判定後:鋼の従者 命中:2d6+10+15+フレア ダメージ:14*2+4d6+14 クライマックスセット セットアップ:夜明けの星 F1 マイナー:バックアップスタッフ メジャー前:無言のエール メジャー:盾の乙女 判定後:鋼の従者 判定:2d6+7+2+11+14+15 9H 外見・設定等 名前:アナスタシア・アーデルグンデ・バール 性別:♀ 年齢:18歳 身長:162cm 体重:48kg 髪:シルバーのウエーブがかかった長い髪を結い上げている。 瞳:赤みがかった紫色の吊り目系 肌:健康的な白色 乳:割とある 腹:標準より細そう 尻:普通かしら 一人称:私 二人称:あなた 「機械とも言い切れず、人とも言い切れない。あえて言うのならバール氏族なのでしょうが」 星王ディオスを父に、後宮に入れられたはぐれグレズを母に持つ。 スタンニア出身の名将クィントゥス・ファビウス・マクシムス・ウェッルコスス・クンクタートルを育ての親としている。この事からアナスタシアは、アナスタシア・クィントゥス・ファビウス・マクシムスと名乗っている。 性格は融通が効かない、生真面目な性格をしている。 自分がハーフグレズであるということを強く意識しており、常に自分が人なのか、機械なのか、それとも別の何かなのかという事を考え続けている。 基本的に外観、体組織も人間と全く変わらないが、任意の部分を(身体だけでなく身の回りも巻き込んで)機械化することが可能であり、グレズ的能力はそれをもって使用する。 また、ライトフォースセイバーであるエラーハのトゥガノーを作成所持しており、彼から様々な力を引き出している。
https://w.atwiki.jp/rpgrowa/pages/228.html
届け、いつか(後編) ◆iDqvc5TpTI 軋む身体を起こしつつ、ブラッドは作戦の失敗を悟った。 作戦自体に穴があったわけではない。 ただ一つ、見落としていたことがあっただけだ。 「時に魂は肉体を凌駕するものだったな」 どれだけ体力が尽きようとも。 どれだけ血肉が削がれようとも。 人は意志の力一つで立ち上がり、突き進むことができる。 「今のおぬしがいい例じゃの。全く無茶をしおってからに。 ちょっとは夜のノーブルブラッドの強大さを信頼して欲しいものじゃの」 「済まなかったな。イスラ、鯛焼きセットの残りは?」 「さっきまでの持久戦で殆ど食べきってたからね。はい、ド根性焼き。これで最後だよ」 グレートブースターを自分ではなくアナスタシアに施し護ったマリアベルを、更に身を呈して庇ったブラッドは全身の火傷を一層悪化させていた。 ドラゴンクローでガードした顔を除き、皮膚もかなり深い部分まで炭化しておりド根性焼きでさえ回復が追いつかない。 直接狙われたのではなく巻き込まれただけでこの被害とは。 笑えない話だった。 が、納得できはした。 強き意志の力は破壊に転じることもできるのだ。 それがフォースとは真逆の暗き情念の力であるなら尚更に。 「アナスタシア、お主は誰よりもその恐ろしさを知っていよう」 「……炎の災厄は何度アガートラームで引き裂いても滅びなかったわ」 軽傷のマリアベルも立ち上がりながらアナスタシアへと問いかける。 「気付いておるか? 今のおぬしからは僅かにじゃがそのロードブレイザーと同じ匂いがしているということに」 「……」 ブラッドの作戦にイスラが難色を示したおりの説得でマリアベルはアナスタシアが殺し合いにのらんとしていたことを知った。 不思議と驚きはなかった。 そうと分かればアナスタシアにアガートラームを渡すことを躊躇したことにも納得できる。 親友の生への渇望の強さは誰よりも理解しているし、生贄として捧げられた少女が今度は自分の為に生きようとしたことも想像がついた。 納得はできる。 理解もしている。 想像もつく。 よってマリアベルがアナスタシアへと抱いた感情は怒りではなく寂しさで、いやそれはやはり怒りだった。 何故自分達を信じてくれなかったのだと。 人殺しなどという普通でない道を選ばなくとも、ARMSならオディオを倒し、アナスタシアの命も救ってくれると信じて欲しかった。 夢想だ。 現にマリアベル達は未だ魔王を倒せず、かけがえのない仲間であるリルカにカノン、この地で出会ったシュウ達や見知らぬ誰かも救えなかった。 そもそもアナスタシアは名簿を燃やしてしまっていたという。 マリアベル達の存在を知らないのなら希望を抱きようがない。 それでも。 マリアベルはアナスタシアに名前を呼んでいて欲しかった。 助けてと言って欲しかった。 その一声があろうものならゴーレムのようにどこにいようと飛んで行ったのに。 それもまた戯言だった。 結局は焔の災厄との戦いでも、彼女が『アナスタシアのいる世界』へと跳ばされた後も、マリアベルは助けることができなかった。 「……欲望は、綺麗なものも、汚いものも、ある、わ」 アナスタシアは他人を利用はしても信じることができなくなっていた。 己だけを信じて誰かに助けを求めることを忘れていた。 無駄だと、焔の七日間で諦めてしまったから。 誰もアナスタシアを助けられなかった。 星の数程人はいるのに誰ひとりとしてアナスタシアを助けられなかった。 どころか大半が弱さを理由に助けに来ようともしなかった。 少女一人に全てを背負わせ、災厄が去った後には悲しむでもなく笑っていた。 『アナスタシアのいる世界』からそんな平和になった世界を覗いた時、アナスタシアはきっと大事な何かを失ってしまったのだ。 そんな少女がただ一人心の中で助けを期待した彼女と同じ『生贄』の少年は、 「あ……ぐ、あ、アナスタシアァァァ……死ねええっ!!」 アナスタシアが原因で壊れた。 アナスタシアよりもよっぽどロードブレイザーに近いものになり果てた。 怒り、苦しみ、憎しみ、悲しみ、呪い。 それら負の念に身も心も満たし尽くした殺戮者に。 ただロードブレイザーと決定的に違う点が一点あった。 悪意が欠けていた。 「なんだよ、まるでこっちが悪いみてえじゃねえか! 戦いづれえ!」 ユーリルに拳を打ち込む度にやるせなさが積もっていく。 読むまでもなくアキラに流れ込んでくるユーリルの心は怒りや苦しみや憎しみや悲しみや敵意や殺意で溢れてはいれども。 悪意は、悪意だけはなかった。 人をして邪悪と決定づける最大の要因が。 大小の差はあれどルカ・ブライトやクルセイダーズが纏って止まなかったものが一片足りとも存在していなかったのだ。 其は正しき嘆き。 其は正しき怒り。 其は正しき憎悪。 其は正しき呪い。 負の念自体は人間ならば誰でも持っている。 むしろ人が持つ当然の感情だ。抱いてしかるべき権利がある想いだ。 自分や松、死んでしまったレイやサンダウン、日勝を動かす想いでもあった。 「うわああああああああああああああああああああっ!!」 なればこそユーリルと剣を合わせた誰もが抱くのは悪への怒りではない。 共感だ。 マリアベルは孤独を。 ブラッドは友を護れなかった後悔を。 イスラは世界と自らへの呪詛を。 ユーリルという鏡に見た。 これもまた道理だ。 この世に負の感情を抱いたことのない人間などいはしない。 どのような聖人君子といえど誰かに、何かに怒りや憎しみを抱いたことはある。 だからこそ糾弾の矛先は迫り来る驚異にではなく護るべき者へと向けられる。 「もう一度問うぞ、アナスタシアよ。おぬしあやつに何をした?」 「僕からも聞くよ、アナスタシア。君は彼に何を言ったんだい?」 「……」 相変わらず返事はなかったがイスラには大体の予想がついていた。 大方自分の時のようにアナスタシアが目の前の少年へと言葉によって斬りつけたのだと。 イスラにとっては一種の信仰でもあり生きる意味でもありイスラそのものでもある死への願望を否定した時のように。 ユーリルの基盤となっていた何か彼にとっては命以上に大切なものへとアナスタシアは罅を入れてしまったのだと。 イスラは心を保つことができた。 不安定ながらも致命傷にならずには済んだ。 それは仲間がいたからだ。 素直には認めたくないことだが自分にはできない生き方をするヘクトルという人間に惹かれ、 アナスタシアに否定された今までの生き方以外に眼を向けるのも悪くはないと心のどこかで思うようになったからだ。 ならばユーリルは? いなかったのだろう、きっと。 でなければ失ってしまったのだろう。 支えてくれる誰かを、導いてくれる誰かを。 それはもしかしたら彼自身が叩き殺したあの少女だったのかもしれない。 彼がその凶行に至ったのもまた……。 「僕はやっぱり君のことが大嫌いだ、アナスタシア」 「…………」 「いっそアキラに心をよんでもらおっか?」 「あんまし気はすすまねえけどな。それに今はそれどころじゃねえだろ」 痺れの残る手足でセルフヒールとヒールタッチによる自他の回復に専念していたアキラが注意を促す。 そうだ、今はそれどころではない。 驚異は何一つ去ってはおらず、持久戦を放棄しなければならない分振り出し以下だ。 「そうじゃな、まずはストレイボウ達との合流を急ぐべき……なのじゃが大人しくはさせてくれぬか」 手始めとしてカエルを殺しに行こうとするピサロをメイルシュトロームで押し流し距離を取ろうとするも、マヒャドで凍らされ失敗に終わる。 ユーリルのことも含め誰かが足止めに残らなければ南下することは叶わない。 「じゃが下手に戦力を割こうものなら……」 「けどどっちにしろこのままじゃ押し切られちまう。何でもいい、ブリキ大王みてえな一発逆転できる何かがあれば!」 無いもの強請りだとは分かっていても愚痴を零さないではいられなかった。 ピサロや魔王が見せた大火力に抗うような決定打がここにいるメンバーにはない。 持久戦中に回収したシンシアの装備やデイパックにもリニアレールカノン並の武器はなかった。 「魔王やピサロが連発してこないのを見るにおいそれと撃てないものであるとは信じたいがな」 我ながら慰めに過ぎないとは思う。 たとえ魔王が撃てなかったとしても彼らを倒せるとされる勇者が撃てないとは限らないのだ。 そうなれば迎撃手段のないブラッド達が被る被害は計り知れない。 たまたま別の敵が相殺してくれるなんて都合のいい話は何度も起こるはずがない。 力が足りない。 誰もが胸中でそう思い、 『力が……欲しいか?』 一人だけがその声を聞いた。 「ッ!?」 「人間そこをどけえええええッ!!」 「イスラ、ぼさっとしてんな!」 突如精神に響いたもう聞くはずのなかった声に動揺し動きを止めてしまったイスラにピサロの剣が突きつけられる。 間一髪アキラがアスリートイメージでピサロの方向感覚を乱し難無きを得たが、イスラはそれどころではなかった。 「キル、スレス?」 失われたはずの魔剣が、試しに呼んでみた時にはうんともすんとも反応がなかった魔剣が今更返事を寄こすとは想定外だった。 考えられる可能性とすれば魔剣は壊れてはおらず、イスラの方が死んだことで契約が解けてしまっていたということか。 それがこうして再び声が聞こえるということは。 魔剣はすぐそばにあるのだ。 足りない足りないと嘆くだけだった火力を補えるだけの力が、すぐ側に! イスラの決断は早かった。 『力が……欲しいか?』 「ああ、欲しいね」 『適格者よ、力が欲しいのならば我を手にして継承せよ』 魔剣の副作用は身をもって体験していたが一度死んで契約がリセットされているなら剣の浸食もまた始めからのはずだ。 恐れることはない。 それよりも問題なのは魔剣が自身を手にしろと要求したことだ。 イスラの知る剣は契約していない適格者の元へと勝手に飛んでくることもできたはずだ。 これもオディオの仕業だろうか? 呼び寄せられないのなら地道に可能性を絞るしかなかった。 「アナスタシア、助かりたいのなら答えろ! 君は紅い剣を持っているか!?」 「ないわ、そんなもの。私の武器はこの鎌一つよ」 「やっぱそう上手くはいかないか」 「紅い剣じゃと? どういうことじゃ?」 マリアベルの疑問に矢継ぎ早にが要点だけを伝える。 紅の暴君、キルスレス。 それさえあればピサロや魔王に匹敵する力を振るえるようになると。 話を聞いたブラッドはすぐに戦力の二分を提案。 ブラッド達ではないとなると魔剣を持っているのはユーリル、カエル、魔王、ピサロ、ジョウイ、ストレイボウ達の誰かだ。 誰が持っているのかは分からない以上、総当たりで回収するしかない。 「戦力分担の話だがストレイボウ達の引き込みと魔剣の回収は俺とマリアベルで受け持とう」 「そうじゃの、カエルと魔王のコンビネーションはなっていないようでいてかなりのものじゃ。 そんじょそこらの即席コンビでは太刀打ちできぬじゃろう」 その点元の世界からの仲間であるブラッドとマリアベルなら引けはとらない。 悩むまでもなく最善の一手だ。 冷静さを失っているピサロ達に対し絡め手に長けたアキラが有用なのも疑うべくはない。 問題がないわけではないが。 「その間僕達二人でアナスタシアを護りつつ、あの二人を抑えろって?」 「すまぬの。合流次第すぐにわらわ達の代わりにストレイボウ達を向かわせるので辛抱してくれい」 言うまでもなく半減した戦力でアナスタシアを護りつつ耐えられるかということだ。 この作戦が自分のためであることは重々承知ではあるが、嫌いな女を護らされることもあってイスラは苦言を零さずにはいられなかった。 「いっそ二人とも放って行ってもいいんじゃないかな? アナスタシアは殺し合いにのっているんだし、聞いた話じゃロザリーをピサロが害するとは思えないけど」 ぎろりとマリアベルに睨まれる。 マリアベルからしても殺し合いに乗った親友と気絶したままの新たな友人から離れるのは苦渋の判断なのだろう。 「イスラ、しのごの言ってんじゃねー! やるっつったらやるんだよ! これしかねえだろ!」 とはいえアキラが言うようにやるしかないのだ。 敵四人はどれも群を抜いた強敵で、ヘクトル達側の様子も分からない。 このままでは良くてじり貧だ。 「わかった、分かったよ。僕一人があーだこーだ言ってても仕方がないし。 でも言ったからには成功させてよね、お・じ・さ・ん」 だったら頑張ってもらうしかない。 「無論だ。戦場で交わした約束は何よりも重い」 ブラッドが力強く頷きマリアベルと共に背を向ける。 ピサロもユーリルも二人を追うそぶりを見せなかった。 ユーリルの狙いはアナスタシアであり追う必要はなく、ピサロからするとカエルを殺すべく突破すべき人間が減った程度の認識だ。 残されたイスラとアキラの負担が二倍になるのに対し、ユーリルとピサロの負担は二分の一だ。 二倍どころか一気に四倍状況が苦しくなったが泣き言を言っている暇さえ二人にはない。 「イスラ、背中は預けるぜ」 「残念ながら間にアナスタシアがいるけどね。背中からざっくりこようものなら覚悟しておくんだね」 「ええ、分かってるわ」 かくして戦いは新たな局面を迎える。 【C-7橋の近く 一日目 夜】 【ユーリル(DQ4男勇者)@ドラゴンクエストIV】 [状態]:疲労(極)、ダメージ(中)、精神疲労(極)、アナスタシアへの強い憎悪、押し寄せる深い悲しみ [装備]:最強バンテージ@LIVEALIVE、天使の羽@FFVI、天空の剣(開放)@DQⅣ、湿った鯛焼き@LIVEALIVE [道具]:基本支給品一式×2(ランタンは一つ) [思考] 基本:アナスタシアが憎い 1:アナスタシアを殺す。邪魔する人(ピサロ、魔王は優先順位上)も殺す。 [備考]: ※自分とクロノの仲間、要注意人物、世界を把握。 ※参戦時期は六章終了後、エンディングでマーニャと別れ一人村に帰ろうとしていたところです。 ※オディオは何らかの時を超える力を持っている。 その力と世界樹の葉を組み合わせての死者蘇生が可能。 以上二つを考えました。 ※アナスタシアへの憎悪をきっかけにちょことの戦闘、会話で抑えていた感情や人間らしさが止めどなく溢れています。 制御する術を忘れて久しい感情に飲み込まれ引っ張りまわされています。 ※ルーラは一度行った施設へのみ跳ぶことができます。 ただし制限で瞬間移動というわけでなくいくらか到着までに時間がかかります。 【ピサロ@ドラゴンクエストIV 】 [状態]:ダメージ(中)、激怒 疲労(極)、人間に対する憎悪、自身に対する苛立ち [装備]:ヨシユキ@LIVE A LIVE、ヴァイオレイター@WILD ARMS 2nd IGNITION [道具]:基本支給品一式、データタブレット@WILD ARMS 2nd IGNITION [思考] 基本:優勝し、魔王オディオと接触する。 1:ロザリーを殺したカエルを殺す 2:目の前にいる人間を殺す。 3:皆殺し(特に人間を優先的に) [備考]: ※参戦時期は5章最終決戦直後 ※ロザリーが死んだと思ってます。 【アナスタシア・ルン・ヴァレリア@WILD ARMS 2nd IGNITION】 [状態]:疲労(大) [装備]:絶望の鎌@クロノ・トリガー、賢者の石@ドラゴンクエストⅣ [道具]:不明支給品0~1個(負けない、生き残るのに適したもの)、基本支給品一式 [思考] 基本:生きたい。そのうち殺し合いに乗るつもり。ちょこを『力』として利用する。 1:あらゆる手段を使って今の状況から生き残る。 2:施設を見て回る。 3:ちょこにまた会って守ってもらいたい。 [備考] ※参戦時期はED後です。 ※名簿を未確認なまま解読不能までに燃やしました。 ※ちょこの支給品と自分の支給品から、『負けない、生き残るのに適したもの』を選別しました。 例えば、防具、回復アイテム、逃走手段などです。 尚、黄色いリボンについては水着セットが一緒に入っていたため、ただのリボンだと誤解していました。 ※アシュレーも参加してるのではないかと疑っています。 【アキラ@LIVE A LIVE】 [状態] テレポートによる精神力消費、疲労(中)、ダメージ(中)。 [装備] パワーマフラー@クロノトリガー、激怒の腕輪@クロノ・トリガー、デーモンスピア@DQ4 [道具] 清酒・龍殺し@サモンナイト3の空き瓶、ドッペル君@クロノトリガー、基本支給品一式×3 [思考] 基本 オディオを倒して殺し合いを止める。 1 ピサロとユーリルが魔剣を持っているか確認。あれば奪う、なければ援軍や魔剣が来るまで抑える 2 無法松との合流。 3 レイ・クウゴ、アイシャ・ベルナデット(カノン)、ミネアの仇を取る。 4 どうにかして首輪を解除する。 [備考] ※参戦時期は最終編(心のダンジョン攻略済み、魔王山に挑む前、オディオとの面識は無し)からです ※テレポートの使用も最後の手段として考えています ※超能力の制限に気付きました。 ※ストレイボウの顔を見知っています ※カノンの名をアイシャ・ベルナデット、リンの名をリンディスだと思っています。 ※名簿の内容に疑問を持っています。 【ロザリー@ドラゴンクエストⅣ 導かれし者たち】 [状態]:疲労(中)衣服に穴と血の跡アリ、気分が悪い (若干持ち直した) 、気絶 [装備]:クレストグラフ(ニノと合わせて5枚。おまかせ)@WA2 [道具]:双眼鏡@現実、基本支給品一式 [思考] 基本:殺し合いを止める。 0:気絶 1:ピサロ様を捜す。 2:ユーリルに心を何度でも伝えて真に手を取り合う。 3:サンダウンさん、ニノ、シュウ、マリアベルの仲間を捜す。 4:あれは、一体…… [備考] ※参戦時期は6章終了時(エンディング後)です。 ※一度死んでいる為、本来なら感じ取れない筈の『何処か』を感知しました。 ※ロザリーの声がどの辺りまで響くのかは不明。 また、イムル村のように特定の地点でないと聞こえない可能性もあります。 ※冒頭は感応石やテレパスタワーとロザリーの力の混戦の結果偶然一瞬だけ起きた出来事です。 情報は何も得てません。 【イスラ・レヴィノス@サモンナイト3 】 [状態]:ダメージ(大)、疲労(中) [装備]:魔界の剣@ドラゴンクエストⅣ 導かれし者たち、ミラクルシューズ@FFIV [道具]:不明支給品0~1個(本人確認済み)、基本支給品一式×2 ドーリーショット@アークザラッドⅡ、ビジュの首輪、 [思考] 基本:感情が整理できない。自分と大きく異なる存在であるヘクトルと行動し、自分の感情の正体を探る。 1:ピサロとユーリルが魔剣を持っているか確認。あれば奪う、なければ援軍や魔剣が来るまで抑える 2:次にセッツァーに出会ったときは警戒。 [備考]: ※高原、クロノ、マッシュ、ユーリル、ヘクトル、ブラッドの仲間と要注意人物を把握済み。 ※参戦時期は16話死亡直後。そのため、病魔の呪いから解かれています。 ▼ 敵の大魔法を防ぎきったことを確認して魔王は大きく息を吐く。 口には決して出さないが整った顔には疲労の色が濃く浮かんでいた。 「魔王、調子は?」 「問題ない。今の一合で分かった。魔力と魔法の扱い自体はかの魔王よりこの魔王の方が上だ。 先刻のは怒りのままに半ば暴発状態で撃ったからこそのあの威力。 狙ってやれるものではないだろうし何よりもうそれだけの魔力も残ってはいまい」 転じてそれは魔王の方にももう一度ダークマターを撃てるだけの魔力が残っていないということだ。 暗に示された事実をカエルは正しく受け取り北方へと向き直る。 夜はせっかく取り戻した静寂を再び剥奪され、光と喧騒に彩られていた。 「モチベーションの違いか、厄介だな」 「他人事か? 俺もお前も譲れない理由があるのは同じだ。奴らに劣りはしない」 「お前に言われるまでもないさ。俺は勝つ、勝たねばならないんだ」 「それでいい。足を引っ張ってもらっては困るからな。……さて」 カエルと対等に合わせていた視線を逸らし、魔王は尻餅をついたままのストレイボウを睥睨しつつ近づいてくる。 ストレイボウのせいで余計な魔力を使わされたことを魔王は許しはしない。 後ずさりするストレイボウは明らかに身体が震えていた。 「て、てめえか。てめ、えが、てめえがカエルを惑わしたのか」 「そう思うか? カエルが、この男が他人の意思に流されるよな男だと? 思うなら思うで構わん。どうせ貴様はここで死ぬのだ」 ストレイボウ自身も支離滅裂なことを言っていることは承知していた。 カエルが去った時も、マリアベル達を彼が襲っていた時も、そこに魔王の影はちらついてはいなかった。 ただストレイボウがいて、ただカエルがいただけだった。 カエルが殺し合いにのったのはカエルが自分で選んだ道だというのは誤解しようがない。 それを認めたがらず他人のせいにしてしまいたかったのはストレイボウの我侭だった。 或いは嫉妬だったのかもしれない。 気を許しあってるとは到底思えず、嫌悪しあっている魔王とカエルだが、互いに強く認め合っているふしがあることへの。 魔王とカエルの間にしかとある宿敵という名の繋がり。 にわかな自分との友情がその前には色あせるように感じてしまってストレイボウは口を閉ざしてしまいかける。 言葉を、言葉を届けなければいけないのに。 一段一段積み上げてカエルの、オルステッドの心へと届けようと決意したのに。 駄目だ、ここで黙っては俺は一生カエルに謝れなくなる! 「カ、カエル。お、お前は俺の友で、俺はお前に謝らなければならなくて、お前のことを止めたくて」 ガチガチと歯がかちあって想いが言葉になるのを妨げる。 一歩一歩近づいてくる魔王の恐怖に言いたいこともまとまらない。 まとまらないまでも、言葉にならないまでも、必死にストレイボウは声を出し続けた。 「ストレイボウ。俺はもう戻れない。俺はこの手でルッカを、仲間を殺した」 「だ、だがそれも、それも、元はといえば、元はと、言え、ば」 魔王がストレイボウの元に辿り着く。 「元は、元はと言えば」 言葉は、止まった。 死ねば後はないというのに、ことここに来てさえオディオとの関係を明かすことがストレイボウにはできなかった。 息の根も、止まる。 無慈悲に振り下ろされたランドルフは貧弱な術師くらい難なく砕く。 魔鍵も、止まった。 間に割って入った回転する刃に弾かれ軌道を逸らした。 「随分と頼りになる仲間を連れてきたではないか、ジョウイ・アトレイド。 そいつにリルカ・エレニアックやルッカ・アシュティアの代わりが勤まるとは思えんがな。 あいつらなら今しがた見せたダークマターをも上回る魔法を撃てたものを」 「代わりなんかいない。人間に代わりなんかいない! ストレイボウさんは僕の仲間だ。 魔王、リルカとルッカの仇、ここで討たせてもらうぞ!」 仲間、仲間か。 どの口が言ったものかとジョウイは自嘲する。 彼は裏切る気満々なのだ。 今だって直前まで上手くことを煽り魔王とピサロの潰し合いを引き起こせるかを考察していた。 割り込んでしまったのは口にしたようにリルカやルッカの敵討ちという面もあったが、 カエルとストレイボウの様子にかっての自分とリオウを重ねてしまったからもあっただろう。 やってしまったからには仕方がない。 それに何の考えもなく魔王達に敵対する道を選んだわけでもない。 「できるかな、二度も私の前から尻尾を巻いて逃げた貴様に」 「できるさ、今の僕になら、僕達になら! 紋章よ……」 「ぬうっ!?」 真の紋章の片割れが光を放つ。 輝きを得たのはジョウイの『左』手の甲。 友より託された輝く盾の紋章が空に印を結び聖光にて魔王を射抜く。 魔王は平然と光を打ち払った。 「何をするかと思えばこの程度!」 派手さの割には与えられた傷は軽微で。 それだけ見れば笑われるのも無理はない。 だというのにジョウイもまた口に笑みを浮かべていた。 「この程度だ、魔王」 「違う、魔王、後ろだ!」 カエルが一足先に意味に気づき魔王に警告を促すが僅かに遅い。 魔王が振り向いた時彼の視界を埋め尽くしたのは緑の竜の爪だった。 「ふんッ!!」 「ぐぬっ!? ブラッド・エヴァンスか。なるほど、そういうことか」 魔王が苦々しげに舌を打つ。 ブラッドに邪魔されたからではない。 その身に魔王達が刻んだ傷の数々が碧の光に触れた途端にいくらかマシになるところを目にしたからだ。 しかもよく見れば癒しがブラッドの仲間全員に及んでいた。 「お前が魔王達の気を惹いてくれたおかげで助かった。名前を聞かせてくれないか?」 「僕はジョウイ・アトレイドと言います」 「わらわはマリアベル、そっちの男はブラッドじゃ。ところでお主、リルカのことを知っておるようじゃが?」 「リルカは、僕を逃がして魔王に……」 「そうか。ジョウイ、」 責められるかとジョウイは覚悟した。 マリアベルとブラッド、どちらもジョウイを逃がすために死んだ少女のから聞いていた彼女の大切な仲間だったから。 けれど違った。ジョウイにかけられたのは予想もしていない言葉で。 「礼を言う」 「感謝する」 でも伝わった、 「仲間と共に戦ってくれたことに」 「友の死を憤ってくれたことに」 マリアベルとブラッドがどれだけリルカを想っていたのかは。 彼らの瞳には様々な感情が浮かんでいたが、ジョウイへの言葉には紛れもない感謝の気持ちが込められていた。 そして意味は違えど感謝の言葉はストレイボウにも向けられる。 「ストレイボウ、わらわはおぬしにも礼を言おう」 ストレイボウは訳が分からなかった。 礼を言わなければいけないのは自分の方ではないか。 醜態を見せ殺されかけた自分をジョウイ、マリアベル、ブラッドが助けてくれた。 誰かを助けないといけない自分が、誰かを守って戦わないといけない自分が。 いざとなると助けられてばかりだった。 無力感に押しつぶされそうになるストレイボウをそれは違うとマリアベルは否定する。 「おぬしはわらわを助けてくれたわ。 実はの、わらわも今おぬしと同じで友と喧嘩……、そうじゃの、ちょうどいい表現じゃ、喧嘩してての。 ろくに口もきいておらんのだ」 ストレイボウの困惑は深まりっぱなしだった。 マリアベルも自分と似た悩みを抱えているということまではいい。 それと助けてくれたという言葉が繋がらない。 ロザリーがそうしてくれたようにアドバイスの一つ、していないではないか。 目でそう訴えるもマリアベルはよく聞けと語りかけを続けるばかり。 「せっかく数百年ぶりに再会できたのにの。親友が少し変わってしまっていたからといってわらわは拗ねておった。 口を開けば責めるようなことばかり言ってしまったのじゃ」 そこで一度言葉をきり、マリアベルはストレイボウへと笑を浮かべる。 「それがなんとも馬鹿らしく思えた。人間であるおぬしがこれだけ頑張っているのを見るとの。 わらわもおぬしのようにするべきじゃった。相手に言葉を、心を届けようとするべきじゃった」 それが、理由。 マリアベルがストレイボウに礼を言ったわけ。 何も人に道を示すのは言葉だけではない。 行動もまた人を導く。 「だ、だが、俺はそんな大層なものじゃない。まだちっとも届けられていない。隠していることだって、ある」 「それでも、じゃ。おぬしはちゃんとつたなくとも言葉を重ねていたではないか。 わらわはまだ最初の一言も踏み出しておらんのに」 まったく、目を逸らされようと、あの時、胸の熱さを言葉にしておくべきじゃった。 悔いる少女はされど後悔に囚われてはいなかった。 笑にはまじりっけの一つもなかった。 眩しかった。 「おぬしのおかげでそのことに気付けた。わらわもおぬしをならって伝えようと思う。 アナスタシアにわらわの心を何度も何度も何度もじゃ」 この笑みは親友との仲直りが叶うことへの希望であると同時に、ストレイボウへの感謝のためだけに浮かべられたものなのだと。 ストレイボウは唐突に理解した。 『義務』でもなく『贖罪』でもなく偶然に得られた結果だけれど。 すっとストレイボウは心と背が、僅かながらも軽くなったように思えて。 「それとその言葉をそなたに教えたロザリーじゃが、無事じゃ。大した怪我もせず生きておるわ。 ピサロの奴があやつの身体に攻撃が当たらぬようしていたおかげでさっきの召雷呪文にも巻き込まれておらぬ」 「ロザリーが……? ああ……、良かった……」 また少し、何かが軽くなった気がした。 自分が助けたわけでも護ったわけでもないけれど良かったと心の底からストレイボウは安堵した。 「のう、ストレイボウ。ロザリーはこうも言ったそうじゃな。 わらわ達は仲間だと。その通りじゃ、な?」 マリアベルが尻餅をついて後ずさる態勢のままのストレイボウに手をさしのべる。 ストレイボウは逡巡することなくその手を掴んだ。 また助けられたと、自分が助けなければいけないのにという念は、一時的にかもしれないが沸き上がってくることはなかった。 ストレイボウは立ち上がる。 彼を支えてくれる仲間を受け入れることによって。 それが贖罪の先に届く第一歩になるのかは今はまだ分からない。 【C-7(D-7との境界付近) 一日目 夜】 【マリアベル・アーミティッジ@WILD ARMS 2nd IGNITION】 [状態]:疲労(中)、ダメージ(中)、ソウルセイバー@FFIV [装備]:44マグナム&弾薬(残段数不明)@LIVE A LIVE、アリシアのナイフ@LIVE A LIV [道具]:ゲートホルダー@クロノトリガー、いかりのリング@FFⅥ、基本支給品一式 、マタンゴ@LAL、アガートラーム@WA2 [思考] 基本:人間の可能性を信じ、魔王を倒す。 1:魔剣の持ち主を確認。あれば手に入れる。なくともジョウイやストレイボウにはアキラたちの援軍に向かってもらいたい 2:付近の探索を行い、情報を集めつつ、 元ARMSメンバー、シュウ達の仲間達と合流。 3:首輪の解除。 4:ゲートホルダーを調べたり、アカ&アオも探したい。 5:アガートラームが本物だった場合、然るべき人物に渡す。 アナスタシアに渡したいが……? [備考]: ※参戦時期はクリア後。 ※アナスタシアのことは未だ話していません。生き返ったのではと思い至りました。 ※レッドパワーはすべて習得しています。 ※ゲートの行き先の法則は不明です。 完全ランダムか、ループ型なのかも不明。 原作の通り、四人以上の人間がゲートを通ろうとすると、歪みが発生します。 時の最果ての変わりに、ロザリーの感じた何処かへ飛ばされるかもしれません。 また、ゲートは何度か使いましたが、現状では問題はありません。 ※『何処か』は心のダンジョンを想定しています。 現在までの死者の思念がその場所の存在しています。 (ルクレチアの民がどうなっているかは後続の書き手氏にお任せします) 【ブラッド・エヴァンス@WILD ARMS 2nd IGNITION】 [状態]:全身黒焦げ、ダメージ(極)、疲労(大)、額と右腕から出血。 [装備]:ドラゴンクロー@ファイナルファンタジーVI 、昭和ヒヨコッコ砲@LIVEALIVEが入ってます。 [道具]:リニアレールキャノン(BLT0/1)@WILD ARMS 2nd IGNITION 不明支給品0~1個、基本支給品一式、 [思考] 基本:オディオを倒すという目的のために人々がまとまるよう、『勇気』を引き出す為の導として戦い抜く。 1:魔剣の持ち主を確認。あれば手に入れる。なくともジョウイやストレイボウにはアキラたちの援軍に向かってもらいたい 2:自分の仲間とヘクトルの仲間をはじめとして、仲間を集める。 3:セッツァーとマッシュの情報に疑問。以後セッツァーとマッシュは警戒。 4:ちょこ(名前は知らない)は警戒。 [備考] ※参戦時期はクリア後。 【カエル@クロノ・トリガー】 [状態]:左上腕脱臼&『覚悟の証』である刺傷。 ダメージ(中)、疲労(大) [装備]:にじ@クロノトリガー [道具]:基本支給品一式 [思考] 基本:ガルディア王国の消滅を回避するため、優勝を狙う。 1:出来る限り殺す。 2:魔王と共に全参加者の殺害。特に仲間優先。最後に魔王と決着をつける 3:できればストレイボウには彼の友を救って欲しい。 [備考]: ※参戦時期はクロノ復活直後(グランドリオン未解放)。 【魔王@クロノ・トリガー】 [状態]:ダメージ(中)、疲労(大) [装備]:魔鍵ランドルフ@WILD ARMS 2nd IGNITION 、サラのお守り@クロノトリガー、紅の暴君@サモンナイト3 [道具]:不明支給品0~1個、基本支給品一式 [思考] 基本:優勝して、姉に会う。 1:出来る限り殺す 2:カエルと組んで全参加者の殺害。最後にカエルと決着をつける [備考] ※参戦時期はクリア後です。ラヴォスに吸収された魔力をヘルガイザーやバリアチェンジが使える位には回復しています。 ※ブラックホールがオディオに封じられていること、その理由の時のたまご理論を知りました。 ※遺跡の下が危険だということに気付きました。 【E-8 一日目 午後】 【ストレイボウ@LIVE A LIVE】 [状態]:健康、疲労(大)、罪の意識が大きすぎて心身に負担(それとは別にちょっと気が楽になった) [装備]:なし [道具]:ブライオン、勇者バッジ、記憶石@アークザラッドⅡ、基本支給品一式 [思考] 基本:魔王オディオを倒す 1:マリアベル達に協力しつつ、カエルの説得。 2:戦力を増強しつつ、ジョウイと共に北の座礁船へ。 3:ニノたちが心配。 4:勇者バッジとブライオンが“重い”。 5:少なくとも、今はまだオディオとの関係を打ち明ける勇気はない。 参戦時期:最終編 ※アキラの名前と顔を知っています。 アキラ以外の最終編参加キャラも顔は知っています(名前は知りません) ※記憶石にルッカの知識と技術が刻まれました。目を閉じて願えば願った人に知識と技術が転写されます ※記憶石の説明書の裏側にはまだ何か書かれているかもしれません 【ジョウイ・ブライト@幻想水滸伝Ⅱ】 [状態]:疲労(小) [装備]:キラーピアス@ドラゴンクエストIV 導かれし者たち [道具]:回転のこぎり@ファイナルファンタジーVI、ランダム支給品0~1個(確認済み)、基本支給品一式 [思考] 基本:更なる力を得て理想の国を作るため、他者を利用し同士討ちをさせ優勝を狙う。(突出した強者の打倒優先) 1:生き延びる。 2:マリアベル達を利用して魔王を討つ 3:座礁船に行く。 4:利用できそうな仲間を集める。仲間になってもらえずとも、あるいは、利用できそうにない相手からでも、情報は得たい。 5:僕の本当の願いは……。 [備考]: ※参戦時期は獣の紋章戦後、始まりの場所で2主人公を待っているときです。 ※ルッカ、リルカと参加している同作品メンバーの情報を得ました。WA2側のことは詳しく聞きました。 ※紋章無しの魔法等自分の常識外のことに警戒しています ※ピエロ(ケフカ)とピサロ、ルカ、魔王を特に警戒。 ※制限の為か、二人が直接戦わなかったからか、輝く盾の紋章と黒き刃の紋章は始まりの紋章に戻っていません。 それぞれの力としては使用可能。また、紋章に命を削られることはなくなりました。 紋章部位 頭:バランス 右:刃 左:盾 時系列順で読む BACK△106-1 届け、いつか(前編)Next▼107 ぼくらがいた――(Esa Promesa) 投下順で読む BACK△106-1 届け、いつか(前編)Next▼107 ぼくらがいた――(Esa Promesa) 106-1 届け、いつか(前編) アキラ 109-1 夜雨戦線 -Cross Battle- アナスタシア ロザリー ピサロ ユーリル イスラ カエル 魔王 ブラッド マリアベル ジョウイ ストレイボウ ▲
https://w.atwiki.jp/rpgrowa/pages/237.html
夜雨戦線 -Real Force- ◆6XQgLQ9rNg うっすらと開かれた瞳にまず映ったのは、温かく優しい緑色の光だった。 そっと光に、手を伸ばす。 けれどそれは、彼女の手に触れることなく闇の奥へと消えていく。 それでも彼女は伸ばした手を戻さず、ぎゅっと握りしめる。 たとえ届かなくとも。 たとえ触れられなくとも。 手を伸ばすことを止めるつもりはないかのように。 ロザリーは、強く拳を握りしめた。 「大変な時に目を醒ましちゃったわね」 すぐそばで、声が聞こえて振り返る。 そこには、長く青い髪をした女性が、禍々しい鎌を手にして立っていた。 「なに、が……?」 彼女の声をかき消すように、魔獣の咆哮のような大音声がロザリーの鼓膜を激しく揺らす。 思わず耳を塞ぎ、音源へと視線を飛ばす。 そしてロザリーは、息を呑み大きく目を見開くことになる。 「アナスタシア……! アナスタシア……ッ!! アナスタシア・ルン・ヴァレリアぁぁ――ッ!!」 まず目に入ったのは、他の言葉を忘れてしまったかのようにアナスタシアと吼える少年だった。 ロザリーは彼のことをよく知っている。 優しく強く勇敢な彼のことを尊敬もしているし、自分と恋人を救ってくれたことを感謝もしている。 なのに。 狂ったように剣を振り回す今の彼は、ロザリーが知っている少年――勇者ユーリルとは似ても似つかぬ雰囲気を放っていた。 顔つき、声音、戦い方。 そのどれを取っても『勇者』らしさなど微塵も感じられず、そのすべてが彼には似合ってはいなくて、ロザリーは両手を握りしめた。 彼が行った凄惨な殺戮が、フラッシュバックする。 その尋常ではない恐怖感を催す記憶が意識を埋めても、しかし、ロザリーは倒れなかった。 伝えたいことがあったから。 彼の名前を呼んで、何度でも伝えたいことがあったから。 ロザリーは意識を強く持ち、倒れはしなかった。 そして。 ロザリーは、もう一つの戦場を捉える。 そこで、両手に剣を携え戦っているのは。 よく知っている、誰よりもよく知っている、愛しい銀髪の魔族だった。 「ピサロ様……!」 その名を呟かずにはいられないほどに、愛おしい存在。 だが今の彼からは、いつもロザリーに向けてくれる優しさは欠片も感じられない。 デスピサロを名乗り、人々を憎み滅しようとしていた頃の彼と瓜二つだった。 ピサロも、ユーリルも。 触れるものの全てを切り裂いた末に自壊する刃のような、剣呑さと儚さを抱いて暴れまわっているようで。 ロザリーの胸が、強く締め付けられた。 このままではいけない。 痛くて苦しくて辛くて悲しい感情に振り回されていては、いくらピサロやユーリルが強くとも、すぐに壊れてしまう。 嫌だった。 ピサロもユーリルも、ロザリーにとって、代わりのいない大切な人だ。 ロザリーはずっと覚えている。 ユーリルにあった日のことも。ピサロと出会えたときのことも。 会話の全てを、共に過ごした想い出を。 楽しくて嬉しくて温かで煌びやかで色褪せない、最高の宝物を。 ロザリーは、決して忘れない。 だから。 大切だから。 本当に本当に、心から大切だと、胸を張って言えるから。 止めたいと、助けたいと。 強く思う。心から願う。 その想いは、ロザリーを、激戦へと歩かせる。 恋人と恩人と、そして。 決して届かないと諦めてしまったヒトの元へ、この口で、想いを届けるために。 「……行くの?」 問いかけてくる女性に、ロザリーは迷わずに首を振る。 大丈夫ですと、そう告げて。 守りたいんですと、言い切って。 ロザリーは、迷わずに駆け出した。 ◆◆ ピンクの髪をした女性が、戦場へと消えていく。 クレストグラフを持っていたし、きっとクレストソーサーに長けた人物なのだろう。 ぼんやりと、アナスタシア・ルン・ヴァレリアはそう片付けた。 気が付けば戦場は拡大し、自分の周りには誰もいなくなっている。 ユーリルが執拗に繰り返す自分の名前すらも、何処か他人事のような気がしていた。 みんな、戦っている。 イスラも、ブラッドも、マリアベルも、茶色い髪をした不思議な力を使う少年も、剣と盾の紋章を操る金髪の少年も。 気絶していた儚げな女性でさえ、目を覚ますと迷わずにその足で戦場へと向かっていった。 みんなみんな、戦っている。 「戦っていないのはわたしだけ、か」 魔王オディオによって殺し合いをさせられて。 初めて会ったちょこの力を利用し、ほとんど武器を振るうことなく生き延びてきた。 絶望の鎌を握り締め続けていたのもただの保険で、自ら進んで戦うためにこの武器を持っているわけではない。 戦ったのは、ユーリルに引導を渡そうとしたときくらいだ。 そう。 アナスタシアは生き延びたいが故に、他者を戦わせている。 ちょこに自分を守らせ、今もイスラたちにユーリルを抑えさせている。 今回に限ってはア、ナスタシアが命じたわけではない。 それでも、アナスタシア自身が身を守るために戦っていないという事実は、変わらない。 強大な敵と戦い続ける彼らは、誰一人諦める素振りは見せなかった。 立ち上がり力を尽くし、抗いの姿勢を崩さない。 「わたしも同じ、か……」 彼らの不屈さを目の当たりにして、アナスタシアは自覚する。自覚してしまう。 かつて<剣の聖女>と呼ばれ崇められた少女は。 かつて『焔の災厄』に立ち向かった『英雄』は、結局のところ。 戦ってくれる『誰か』がいれば。 弱さを言い訳にして立ち上がらず、その『誰か』に全てを任せることも厭わないのだ。 『勇者』は『生贄』に過ぎないと嘯いて『生贄』にされた『英雄』の気持ちを語るくせに。 今のアナスタシアは、『生贄』を差し出して自己保身に回る群衆と、何一つ変わらない。 もしもあのとき、アナスタシアよりも早くロードブレイザーに立ち向かう『誰か』がいれば。 きっと、<剣の聖女>は生まれなかった。 滑稽だった。 余りに滑稽すぎて、乾いた笑いが零れ落ちる。 「あははははは……はは……」 アナスタシア・ルン・ヴァレリアは、人間だった。 浅ましく愚劣で欲深い、ただの人間だった。 「はは……はははは、あははは……っ」 笑いが止められず絶望の鎌を抱き締める。 アナスタシアは誰にも届かない笑い声を上げ続ける。 震えながら、濡れた前髪で目元を覆い隠し、絶望の鎌に縋りついて、思う。 ――雨、冷たいな。 冷たさに凍えても。生きたいと望んでも。 自身に直接、死神の鎌が突き付けられていない現状では。 アナスタシアが、その場から一歩を踏み出すことは、なかった。 ◆◆ ピサロの苛立ちは、ただ増すだけだった。 呪文とは異なった小賢しい能力でかく乱され、疲労と消耗だけが積み重なっていく。 更に、新たに現れた邪魔者がまた厄介だった。 その人間は攻防どちらも優れており、もともとピサロが戦っていた相手を的確にサポートしていた。 埒が明かない。 こんなところで時間を食っている場合ではないというのに。 早く突破し、ロザリーの仇である醜い両生類を始末しなければならないのに。 予想以上にピサロの体力と精神力は削り取られていた。 「もう、いい……ッ!」 ふと、暗く淀んだ声が響く。 苛立っていたのは、ピサロだけではなかったらしい。 「アナスタシアの味方をする奴は敵だ。僕の邪魔をする奴は敵だッ! 敵は殺す! みんな纏めて、殺してやるッ!!」 目を血走らせたユーリルが、忌々しげに絶叫した。 痺れを切らせた彼が青白い雷を呼ぶ。 ユーリルの言う敵にはピサロも含まれているだろう。 それは、ピサロにとっても同じだ。 勇者は敵であり、決して相容れない存在だと疑ってはいない。 だが、今は。 今このときは。 ピサロとユーリルには、共通の敵が存在する。 だからといって、共に同じ敵を討つなどと言うつもりはない。 ピサロは、ユーリルの力を利用し便乗するだけだ。 そのために。 ピサロは、疲弊した精神に鞭を打ち尽き掛けの魔力に火を灯す。 意識を研ぎ澄ます。 憎悪をくべて力にする。 痛みを、悲しみを、苦しみを。 その全てを、魔力へと変え、燃焼させる。 出来ない道理などない。 魔族の王デスピサロを支える感情が、それほどまでに生温いはずがない。 再度地面に、大蛇のような黒い電流が顕現する。 それは、天から降るユーリルの雷とは正反対の、地から這い上がる地獄の雷だ。 白の光と黒の光が明滅する。 天駆ける竜の鳴き声のような甲高い音と、地獄に繋ぎ止められた魔神の唸り声のような低い音がぶつかり合う。 世界が、雷で満ちていく。 「ギガ――」 「ジゴ――」 ユーリルの声とピサロの声が、 「デインッ!!」 「スパークッ!!」 完璧に、重なり合って。 天をたゆたう雷と、地を彷徨う雷が、一挙に解き放たれる。 二色の雷光が暴虐の限りを尽くし蹂躙を始めるのと、ほぼ同時に。 「ピサロ様ッ! ユーリル様ッ! どうか、どうか、おやめくださいッ!!」 ピサロは、その声を確かに聞いた。 瞬間、心臓が跳ね上がり息が詰まる。 聞き間違えるはずがない。 どんな轟音の渦中にいても、その声を聞き逃すはずがない。 どれほど。 どれほど聞きたいと望んだか分からない声。 「ロザ……リー?」 そしてピサロは、見つける。 その両足で確かに立つ、麗しく愛しい女性の姿を、だ。 会いたかった。 ずっとずっと、顔を見たかった。 なのにピサロは喜びよりも、血の気が引いていくのを感じた。 何故なら、ロザリーは。 敵を皆殺しにしようと放たれた、白と黒の雷光が暴れまわる世界の中にいたからだ。 倒れたロザリーの姿は、ずっと遠くにあったはずなのに。 彼女を攻撃範囲に入れないようにすることだけは、絶対に注意していたはずなのに。 そんな思考には、意味がない。 現実として、生きていたロザリーはその足で地面を踏みしめ、そこにいるのだ。 ピサロは思考を即座にかなぐり捨てた。 疲労を無視して全力で駆け出す。 ユーリルの雷どころか、自分の雷が直撃する可能性をも考慮せず、雷の嵐の中へと飛び込んで突っ走る。 白雷の咆哮も這い回る黒雷も意識はしない。 ただ、ロザリーだけを見て、ピサロはそこだけを目指す。 数え切れない雷の群れが立ちはだかる。 それでもピサロは、怯まず留まらず、駆け抜ける。 「ロザリー! 逃げるんだッ!!」 雷の中、叫ぶ。 どんなに五月蝿くとも、彼女へ声は届くと信じられた。 確かに、声は届いた。 証拠に、ロザリーは少しの逡巡の後、雷の群れに背を向けたからだ。 その瞬間を、見計らったかのように。 とっくに術者の手から解き放たれた、白と黒の雷が、一条ずつ絡み合い縺れ合い重なり合って。 目が痛くなるようなコントラストを描いて、離れようとするロザリーの背へと、牙を剥いた。 「ロザリィ――ッ!!」 ピサロが加速し、手を伸ばし、咆えても。 モノクロームの雷光は無慈悲に、ピサロよりも速く。 ロザリーへと、到達した。 ◆◆ 「あ……あぁ……っ」 情けない声音を、土砂降りの雨音が流していく。 歯の根が合わず奥歯をがちがちと鳴らしてへたりこんだまま、ストレイボウは、うつ伏せに倒れるブラッドを茫然と眺めていた。 ストレイボウは動けなかった。 先ほど跳び上がったカエルの標的が、ブラッドではなく自分と分かってしまったから、余計に動けなかった。 カエルの、裂帛の気合いに気圧され竦み上がっただけではない。 ストレイボウは、目の当たりにした。 友が自身を殺しに来る、その瞬間を、だ。 その認識の直後、舞い上がり剣を振りかざすカエルの姿が、とある男のように見えた。 憧れ、尊敬し、超えたいと焦がれ。 また同時に、羨み、妬み、誰よりも憎んだ。 そんなたった一人の男に、カエルの姿が重なったのだ。 恐れたわけではない。怯えたわけでもない。まして、あの頃のような憎しみは微塵も湧きはしない。 ただ、感じた。 仕方がないと。 甘んじて受けるべきだと。 信じて疑わなかった。 ――友が。オルステッドが、自らの感情で俺を殺しに来るのなら。 刃をその身に刻ませるつもりだったし、そうなるのが必然だと思っていた。 それなのに。 今こうして、ストレイボウは生きている。 傷一つ負わず、無様に尻を地につけたまま。 ブラッド・エヴァンスを身代わりにして生きている。 死んでしまいたかった。 生きているだけで他の人間が死んでいくくらいなら、さっさと死んでしまいたかった。 それともこれは、罰なのだろうか。 罪悪を積み重ねていくことこそが、友を裏切ったことへの罰なのだろうか。 雨を吸った衣服が重く、肌に張り付く。 体温が奪われ気力が吸われていく。吐き気と悪寒が体を犯していく。 ブラッドの向こうに、緑の影があった。 影はストレイボウを一瞥する。 止めようと思っていた。 止めたいと望んでいた。 止めなければと気負っていた。 そのはずなのに。 話そうとしても言葉は喉に詰まり、無様に咽るだけだった。 そんなストレイボウに、影は口を開かない。 何か言って欲しかった。 糾弾でも罵倒でも誹謗でもいい。 何か言ってくれればと、ストレイボウは思う。 だが、影は黙したままブラッドに近づいていく。 まるで、ストレイボウなどに何の興味も持っていないかのように。 影は口を開かず、ブラッドに刺さったままの刀へと手を伸ばす。 少し遠くから雷の鳴き声が重なって響き、黒と白の光が瞬いた。 その一瞬の輝きの中で。 ――飛び起きるものが、あった。 ◆◆ 虹色の刀を回収しようとしたカエルの注意は酷く散漫で、油断しているとすら思えるほどに隙だらけだった。 しかしその隙は、敵を仕留めたと確信したが故の慢心ではないとブラッドは悟る。 何故ならカエルは、その両の瞳を、ずっとストレイボウへと向けていたからだ。 彼はただ、ストレイボウへと意識を傾けていた。 ストレイボウがカエルを気に掛けるのと同様に、だ。 だとしても、カエルに甘さはない。 ストレイボウを斬ろうとする彼の眼差しは本気であったし、太刀筋に乱れもなかった。 気に掛ける相手すら斬り捨てられるほどの鋼鉄の如き覚悟が、彼を動かしているのだろう。 揺るぎない意志を抱く者は、強い。 ならば、それに抗うには。 ――相手を超える意志を持つことだッ! 肩口が痛み血が溢れ出る。 身体を動かし力を入れるたび、体内に入り込んだ冷たい刃に肉が食い込んでいく。 筋繊維が引き裂かれ、骨に鋭い感触がぶつかった。 意識を持っていかれそうな激痛が、神経を駆け巡り脳を刺激する。 痛覚を直接切り刻まれるような痛みの奔流に晒されながら。 ブラッドはカエルの背後に回ると、小柄な身を羽交い絞めにした。 右腕を捻り、締め上げる。 痛みを無視して力を込め、暴れるカエルを押さえ込む。 「ぐ……ッ! 貴様、まだそんな力が……ッ!!」 ああ、そうだ。 まだ、力は出ている。 それでも、確実に血は零れている。 アキラのヒールタッチによって意識せずにいられた痛みが、新たな痛みに誘発されて戻ってくる。 ジョウイの放った光によって塞がりつつあった火傷も、先の落雷が更なる傷へと変えていた。 身体は、とっくに限界を超えていた。 もうすぐに、力は出なくなるだろう。 そうなる前にできることを、ブラッドは、巡りが悪くなりつつある脳を回して考える。 首に埋め込まれたギアスを起爆させるという選択肢は、取れない。 ギアスは軍事プラントを吹き飛ばす爆発を巻き起こすほどの、高性能な爆弾だ。 爆破させれば、マリアベルとストレイボウもろとも吹き飛ぶことになる。 ならば、と。 ブラッドはカエル越しに、ストレイボウの奥へと視線を向けた。 そこではマリアベルが、一本のナイフと大型の拳銃で、ランドルフを振るう魔王と渡り合っている。 「マリアベルッ!」 名を呼んだ。 声と一緒に粘ついた液体が喉を這い上がり、口内に鉄くさい味が広がっていく。 気色の悪いその感触を、唾と共に吐き捨てた。 「ブラッド!? 無事じゃったかッ!!」 「もうこれ以上、力も入りそうになくてな。残念ながら、無事とは言い難い」 腕の中でカエルがもがく。 カエルが動くたび。それを留めようと力を強くするたび。 痛みが加速度的に増し、意識を踏み砕こうとする。 大雨ですら洗い流しきれないほどの血液が溢れ出して止まらない。 いつまで声が出せるか分からない。 いつまで意識を保てるか分からない。 だから。 「だから、マリアベル」 ブラッドは、告げる。 「俺の命を、使ってくれ」 執拗にマリアベルへと攻撃を仕掛ける魔王を睨みつけて。 「俺の命を、そいつに――リルカの仇に、ぶつけてくれッ!!」 そう、狙うべきはカエルではない。 カエルと対峙すべき人物は、ブラッドではないのだ。 「ブラッド、お前、何を……?」 搾り出したようなストレイボウの声が、ブラッドの鼓膜を揺らす。 「ストレイボウ。眼前にあるものに捉われるな。もっと、もっと広い視野で世界を見つめるんだ。 諦めない強さがあるのなら――必ず、自らの意志を打ち立てられる」 彼の問いに答えることなく、ブラッドは再度マリアベルへと視線を送る。 いつまでもこうして会話をしていられるなら、カエルを押さえつけていられるのなら。 マリアベルに、こんな頼みをせずにいられるのだから。 「マリアベルッ! やってくれッ!!」 願わくば。 この命が、ストレイボウの『勇気』を引き出す道しるべになることを。 ◆◆ 止まない雨は、魔王と戦う夜の支配者にも等しく降り注いでいる。 その耳に届くのは雨音と、大切な仲間からの頼み事だった。 ブラッドがマリアベルに望むこと。 それは言葉通り、ブラッドの命を力に変えるということだった。 分かっている。 ブラッドがその頼み事をしてきたのは、彼自身の命が長くないことを悟ったためなのだ。 マリアベルは、歯を食い縛り顔を顰める。 悔しくて情けなくて、歯痒かった。 きっちり魔王を止めておけなかった無力さが。 死が迫った仲間を救ってやれない無念さが。 マリアベルの心を掻き毟っていく。 それでも、悔やんでいる暇も嘆いている時間もない。 だから、決断しなくてはならないのだ。 それがどんなに辛く、苦渋の決断だとしても。 ブラッドが――友が今わの時に望むのならば、迷わず、止めず、笑って応じてやりたかった。 今このときだけは、降り続ける雨に感謝をして。 マリアベルは、ただただ毅然とした声で、応える。 「お主の意志、覚悟、確かに受け取った」 強く強く、呼吸する。 澄み渡った夜気を深く取り入れ力を確かめる。 冷たく湿った夜の空気は、ざわつくマリアベルを静めてくれた。 だから、マリアベルは言える。 震えることなく淀むことなく声を濡らさず、言えるのだ。 「忘れぬぞブラッド。お主の生き様を、わらわは決して忘れぬ」 忘れたくはない。失くしたくはない。 ノーブルレッドが悠久の時を生きられるのは、大切な友との思い出で孤独を埋められるからだ。 「感謝するぞ、マリアベル。俺は、お前と共に戦えたことを誇りに思う」 ブラッドの声は驚くほど穏やかに、夜雨の中に溶けていきそうになる。 だから、消してしまわないように。 マリアベルは、心に声を刻み込む。 ――ああ、決して。決して、忘れてなるものか。 一瞬だけ俯いて、唇を噛み締めた。 叩き込まれたランドルフを、大きくバックステップをすることで回避する。 「貴様ら、何をするつもりだ……?」 怪訝そうに、魔王が問うてくる。 「逃げろ魔王ッ! 嫌な予感がするッ!」 ブラッドからに締め上げられながらも、カエルがなんとか叫ぶ。 だがもう、遅い。 マリアベルは、ブラッドの命を力に変える準備に入っている。 止めるつもりも躊躇するつもりもない。 この戦いが終わった後。 悲しみと寂しさが、マリアベルを苛むと分かっていても。 決して後悔はしない。 悔やむはずがないのだ。 何故ならば。 ――もう逢えないことよりも、出逢えたことが嬉しい。 胸中で呟いて、マリアベルは、雨雲へと両手を翳す。 同時に、ブラッドが咆哮を叩きつける。 「魔王ッ! お前が奪い損ねた命、存分に受け取れッ!!」 「ブラッド・エヴァンスッ!?」 ――さよならじゃ、ブラッド。お主の全てを、わらわは決して無駄にはせんぞ。 内心で、友に別れを告げて。 酷く穏やかに、命を力に変えるレッドパワーの、引鉄を引く。 「――サクリファイス」 マリアベルの真っ白な頬に、大粒の雨が滴り落ちた。 【ブラッド・エヴァンス@WILD ARMS 2nd IGNITION 死亡】 【残り23人】 ◆◆ 全身を押さえつける強烈な力が、瞬時に消え失せる。 カエルは虹を回収することさえも忘れて、ブラッドの腕から逃れると跳び退った。 倒れたのは、ブラッドだけではない。 魔王もまた倒れ伏し、その身を泥で汚していた。 一足で魔王の元に歩み寄ると、カエルは目を見開いた。 魔王の身には、数え切れない傷が刻み込まれており、完全に意識を失っていたからだ。 視線を胸元に走らせる。微かに、その胸は上下に動いていた。 まだ、魔王は生きている。 その事実は、カエルを少なからず安堵させた。 今は一時的に手を組んでいるだけで、必ず戦うことになる相手のはずなのに、だ。 それでも、魔王に息があることを安心できるのは、渇望しているからかもしれなかった。 魔王と決着を付け、因縁に蹴りを付けるその瞬間を、待ち焦がれているからかもしれなかった。 だからカエルは、術を紡ぐ。 魔王の命を、果てさせないために。 回復魔法、ケアルガ。 傷を癒す穏やかな光は、 「――させぬッ!」 ノーブルレッドが生み出した赤い半球によって、遮られる。 「魔王には効かなかったが、お主には効くようじゃな」 舌打ちをして、睨み付ける。 今の半球は術技を封じるためのものだったらしい。 マリアベルが全身を雨粒で濡らし、毅然として立っている。 仲間を犠牲にしても尚、マリアベルはカエルの前に立ちはだかるだけの気力を有しているようだった。 ――いや、だからこそ、か。 仲間を犠牲にしたからこそ、闘志を漲らせ佇んでいられるのだ。 散った男の意志の強さと彼の望みを、マリアベルは正しく理解していた。 捨て鉢になったわけでも、自棄になったわけでも、怒りに身を任せるわけでもない。 悲しむのではなく、ブラッド・エヴァンスの意志を継ぐように。 マリアベルはナイフを携え銃を持ち一振りの剣を背負い、カエルと真正面から対峙する。 ブラッドと同じように視線をカエルへと固定したまま、マリアベルは、叫ぶ。 「立て、ストレイボウッ! ブラッドの命を――消えゆくその瞬間まで燃え盛った命を無駄にしないためにッ!」 漆黒の闇の中心で堂々たる態度で陣頭に立つその姿は、 「ここで、必ずやカエルを止めるぞッ!!」 まさに、夜の支配者の名に相応しかった。 ならばこの手で、歯向かおう。 夜を照らす雄大な光にはなれなくとも、闇を穿つ一閃くらいにはなってみせる。 ――俺の望みを、夜闇に支配させないために。 カエルは、魔王がマントの奥に隠し持っていた剣を回収する。 紅の暴君――キルスレス。 その魔剣は、勇者の剣――グランドリオンよりも、遥かに腕に馴染むような気がした。 【C-7(D-7との境界付近) 一日目 夜中】 【マリアベル・アーミティッジ@WILD ARMS 2nd IGNITION】 [状態]:疲労(大)、ダメージ(中) [装備]:44マグナム&弾薬(残段数不明)@LIVE A LIVE、アリシアのナイフ@LIVE A LIVE、ソウルセイバー@FFIV [道具]:ゲートホルダー@クロノトリガー、いかりのリング@FFⅥ、基本支給品一式 、マタンゴ@LAL、アガートラーム@WA2 [思考] 基本:人間の可能性を信じ、魔王を倒す。 1:ストレイボウと共にカエルを止める。まだ生きているらしい魔王が気になる。 2:魔剣を奪取しイスラへ届ける。 3:付近の探索を行い、情報を集めつつ、元ARMSメンバー、シュウ達の仲間達と合流。 4:首輪の解除。 5:ゲートホルダーを調べたり、アカ&アオも探したい。 6:アガートラームが本物だった場合、然るべき人物に渡す。 アナスタシアに渡したいが……? [備考]: ※参戦時期はクリア後。 ※アナスタシアのことは未だ話していません。生き返ったのではと思い至りました。 ※レッドパワーはすべて習得しています。 ※ゲートの行き先の法則は不明です。 完全ランダムか、ループ型なのかも不明。 原作の通り、四人以上の人間がゲートを通ろうとすると、歪みが発生します。 時の最果ての変わりに、ロザリーの感じた何処かへ飛ばされるかもしれません。 また、ゲートは何度か使いましたが、現状では問題はありません。 ※『何処か』は心のダンジョンを想定しています。 現在までの死者の思念がその場所の存在しています。 (ルクレチアの民がどうなっているかは後続の書き手氏にお任せします) 【カエル@クロノ・トリガー】 [状態]:左上腕脱臼&『覚悟の証』である刺傷。 ダメージ(やや大)、疲労(大)、能力封印 [装備]:紅の暴君@サモンナイト3 [道具]:基本支給品一式 [思考] 基本:ガルディア王国の消滅を回避するため、優勝を狙う。 1:出来る限り殺す。 2:魔王と共に全参加者の殺害。特に仲間優先。最後に魔王と決着をつける 3:できればストレイボウには彼の友を救って欲しい。 [備考]: ※参戦時期はクロノ復活直後(グランドリオン未解放)。 【魔王@クロノ・トリガー】 [状態]:ダメージ(極大)、疲労(大)、瀕死、気絶 [装備]:魔鍵ランドルフ@WILD ARMS 2nd IGNITION 、サラのお守り@クロノトリガー [道具]:不明支給品0~1個、基本支給品一式 [思考] 基本:優勝して、姉に会う。 1:出来る限り殺す 2:カエルと組んで全参加者の殺害。最後にカエルと決着をつける [備考] ※参戦時期はクリア後です。ラヴォスに吸収された魔力をヘルガイザーやバリアチェンジが使える位には回復しています。 ※ブラックホールがオディオに封じられていること、その理由の時のたまご理論を知りました。 ※遺跡の下が危険だということに気付きました。 【ストレイボウ@LIVE A LIVE】 [状態]:健康、疲労(大)、ブラッドの死により罪の意識増大、心労(極大)、自己嫌悪 [装備]:なし [道具]:ブライオン、勇者バッジ、記憶石@アークザラッドⅡ、基本支給品一式 [思考] 基本:魔王オディオを倒す 1:カエルを止めたいが、俺なんかでは…… 2:戦力を増強しつつ、ジョウイと共に北の座礁船へ。 3:ニノたちが心配。 4:勇者バッジとブライオンが“重い”。 5:少なくとも、今はまだオディオとの関係を打ち明ける勇気はない。 参戦時期:最終編 ※アキラの名前と顔を知っています。 アキラ以外の最終編参加キャラも顔は知っています(名前は知りません) ※記憶石にルッカの知識と技術が刻まれました。目を閉じて願えば願った人に知識と技術が転写されます ※記憶石の説明書の裏側にはまだ何か書かれているかもしれません ※C-7(D-7との境界付近)にブラッドの遺体があります。 遺体はドラゴンクロー@ファイナルファンタジーVI を握りしめており、にじ@クロノトリガーが刺さっています。 また、遺体付近に以下のものが落ちています。 ・昭和ヒヨコッコ砲@LIVEALIVE ・リニアレールキャノン(BLT0/1)@WILD ARMS 2nd IGNITION ・不明支給品0~1個、基本支給品一式 時系列順で読む BACK△109-1 夜雨戦線 -Cross Battle-Next▼109-3 夜雨戦線 -Emotional Storm- 投下順で読む BACK△109-1 夜雨戦線 -Cross Battle-Next▼109-3 夜雨戦線 -Emotional Storm- 109-1 夜雨戦線 -Cross Battle- ユーリル 109-3 夜雨戦線 -Emotional Storm- ピサロ ロザリー アキラ イスラ アナスタシア ブラッド マリアベル ストレイボウ カエル 魔王 ジョウイ ▲
https://w.atwiki.jp/rpgrowa/pages/403.html
其の敵の名は―― ◆6XQgLQ9rNg ――何も抱けないものは、どうすればいい。 ――求めても手を伸ばしても希っても望んでも。 ――そうやって足掻いても、何ひとつ手に入れることができないのならば。 ――いったい、何ができるというのだ。 ◆◆ ______ |部隊編成 |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ・キャラクター選択 __________ | アキラ | | アナスタシア | | イスラ | | カエル | | ストレイボウ | |→ピサロ |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ・部隊メンバー __________ | | | | | | | | | | | |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ___ |決定|  ̄ ̄ ̄ ・キャラクター選択 __________ |→アキラ | | アナスタシア | | イスラ | | カエル | | ストレイボウ | | |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ・部隊メンバー __________ |☆ピサロ | | | | | | | | | | |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ___ |決定|  ̄ ̄ ̄ ・キャラクター選択 __________ | アナスタシア | | イスラ | | カエル | | ストレイボウ | | | | |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ・部隊メンバー __________ |☆ピサロ | | アキラ | | | | | | | | |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ___ →|決定|  ̄ ̄ ̄ ◆◆ もうもうと立ち昇るのは、煙と蒸気だった。灰色の煙は空を舞う。蒸気は高熱の霧となる。 そうして大気は、煤臭さと油臭さが孕まされ、熱を帯びていく。 壊れゆきながら嘆きを叫ぶ、たったひとつの異様を中心として、だ。 内燃機関が悲しみを吼え、駆動部各所が虚しさを訴え、無数の歯車が痛みを叫喚する。 狂騒たる音の集合は、つまるところなきごえだった。 顧みられることなく滅びるはずだった、異様たる偉容――砂喰みに沈む王城が上げる、矜持を掛けたなきごえだった。 王城は往く。 傷ついた外壁に構うことなく、壊れた駆動部を酷使して、嘆きのままに行進する。 岩石が合成された人形と、下半身を黒球に埋めた人形と、倒れることを知らない不死の兵を率いて。 ただただ王城は進む。その身が砕けても、崩れたとしても、止まることなどありはしない。 「城を手にし王を気取るか。成り上がったものだな」 滅びゆく王城と対峙するのは、かつて魔族の王として君臨していた男だった。 もはや王たる身ではないとはいえ、その高潔さは喪われていない。そんなピサロにとって、王城など恐れるものではない。 城など所詮、王の所有物でしかないのだ。 ならば止める。未だ潰えぬ誇りに掛けて止めるべく、ピサロはこの場で武器を取る。 「気に入らねェよ……」 そのピサロの隣で、アキラが、絞り出すように吐き捨てる。 彼は、灼熱する感情を宿した瞳で、真っ直ぐに軍勢を睨みつけていた。 「なんだよアレは。なんなんだよアイツらは……ッ!」 アキラの拳は、わなわなと震えていた。 掌に爪が食い込むほどに握り込んでも、その震えは止まりはしなかった。 アキラの網膜に入ってくるのは、自壊しながら迫る王城と、そして。 王城と共に進撃し、王城の移動に巻き込まれて潰される亡者たちの姿だった。 屑のように潰された亡者たちは再生し、もう一度進軍を開始する。 けれどその一部はまたも王城によって破壊され、再度蘇り、行軍を繰り返す。 歪に狂い、圧縮された輪廻を思わせるその光景は、地獄としか思えなかった。 「この果てにッ! こんな地獄の果てにッ! お前の望んだものがあるのかよッ!!」 返答などあるはずもない。 それでもアキラは、叫ばずにはいられなかった。 「認めねェ。俺は絶対に、こんなものは認めねェッ!」 アキラを震わせるのは怖れではない。 疲労もダメージも焼き尽くすほどに、激しく燃え盛る怒りだった。 「猛るのは構わん。だが、愚かにも吶喊だけはしてくれるな。我らの目的はあの城の足止めだ。奴らがケリを付けるまで、あれを止める」 亡霊城より先行し、まとわりついてくる亡霊兵を駆逐しつつ、ピサロは告げる。 その声は冷静で、熱くなる感情をいくらか冷ましてくれた。 「……ああ、気をつける。ここで突っ込んで死ぬなんざ、御免だからな」 「死にたくなくば自分の身は自分で護ることだ」 冷たい言葉に、アキラは頷きを返し、ふと呟く。 「それにしても、あんたが足止めを買って出るなんて意外だったぜ」 そんなアキラの感想に、ピサロは不機嫌そうに息を吐いてみせた。 「腑抜けた奴らを連れてはあの城を止められまい。奴らにはさっさとケリをつけて貰わねば困る」 その手に握るバヨネットに魔力が装填されていく。 「演習の際に見せた意地が仮初でしかないのも」 その横顔からは、感情は読み取りづらい。 「ロザリーの想いを形にした行為が、“あれ”と一緒にされるのも」 ただその声音からは、失望の色は見て取れなかった。 「不愉快極まりないのでな……ッ!」 だからやってみせろと。 この場にいないものたちを、挑発するように告げて。 そうしてピサロは、迷うことなく引鉄を引いたのだった。 ◆◆ ______ |部隊編成 |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ・キャラクター選択 __________ | アナスタシア | | イスラ | |→カエル | | ストレイボウ | | | | |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ・部隊メンバー __________ | | | | | | | | | | | |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ___ |決定|  ̄ ̄ ̄ ・キャラクター選択 __________ |→アナスタシア | | イスラ | | ストレイボウ | | | | | | |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ・部隊メンバー __________ |☆カエル | | | | | | | | | | |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ___ |決定|  ̄ ̄ ̄ ・キャラクター選択 __________ | イスラ | | ストレイボウ | | | | | | | | |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ・部隊メンバー __________ |☆カエル | | アナスタシア | | | | | | | | |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ___ →|決定|  ̄ ̄ ̄ ◆◆ ぐしゃりとした手応えと、べちゃりとした手応えと、薄布をなでたような手応えが、刃を通じてまとめて感じられた。 投石をアガートラームで弾き敵陣へと真正面から突っ込んだアナスタシアの一閃により、アンデッドたる兵が数体、まとめて薙ぎ払われて崩れ落ちる。 すぐに、アナスタシアは振り返る。 離れた箇所に展開した亡霊部隊によって投擲された石礫が、アナスタシアへと迫っていた。 「ルシエドぉッ!」 跳躍した魔狼が石礫を叩き落とす。 だが、ミスティックによってチカラを引き出された石は、貴種守護獣にさえも手傷を負わせる。 石を迎撃した前脚には傷がつき、爪が割れ、血液が飛び散った。 亡者とは思えない統率された動きで、兵士は、機を得たりというばかりに次々と石を投げてくる。 たかが石ころ。されどその一つ一つが、致命傷となり得る武器だった。 まるで、路傍の石として顧みられず朽ちることを良しとしないかのように。 まるで、見向きもされなかった石ころが、その意地を見せつけるかのように。 「ルシエド、下がってッ!」 アナスタシアが叫んだ直後、ルシエドの姿がかき消える。 ルシエドを呼び戻したことで、投石部隊がアナスタシアへと狙いを済ませる。 そうして狙いを変える隙を付き、一気に距離を詰めるべく地を踏みつける。 その足が、掴まれた。 白骨の五指が、アナスタシアの足を掴み取る。 それは先ほど、アナスタシアがなぎ払った兵のうちの一つだった。 それを中心として、倒した兵が起き上がる。 忘れるなというように。目にもの見よと、いうように。 その様に、アナスタシアは、心の底から嫌悪感を覚えた。 「こン、のッ!」 アガートラームを振りかざし、蘇った兵を容赦無く砕く。 それでは足らないといように、戻したルシエドを聖剣として顕現させる。形状は短剣。 小さい分、数を増やしたそれを、頭上に浮かばせるようにして呼び出して、降り注がせる。 流星のように流れ落ちる聖剣は、亡霊兵たちを刺し、突き、貫き、砕き、壊し、破壊し破砕し貫通する。 アナスタシアが思うままに、望むままに、亡霊兵を執拗に攻撃する。 蘇ってくれるなと、二度と起き上がってくれるなと、そう願うように聖剣が降る。 そうだ。 死者は蘇るものじゃない。どんなことをしても、帰ってくるものなんかじゃない。 決して、ぜったいに、なにがあっても。 戻ってくるものなんかじゃ、ない。 そうでなくては困る。 そうじゃ、なきゃ。 過去<うしなったもの>に手を伸ばしてしまう。 だからアナスタシアは否定する。目の前で蘇り続ける亡者を否定する。 そんなアナスタシアを嘲笑うように、亡者の群れは蘇る。我らはここにいると見せつけるように蘇生する。 刮目せよと。 貴様が起こした奇跡は、この光景と同質なのだと。 亡者どもは、アナスタシアの否定以上に執拗に、囁いてくるのだ。 故にアナスタシアは剣を握る。 蘇りの果てへと至るべく、剣を振るう。 そして。 それだけの時間は、狙いを定め直された石つぶてが、アナスタシアへ飛来するには充分だった。 生存本能が危機を察知するが、遅い。 不死者を破壊し尽くすことに意識を割き切っていたせいで、プロバイデンスもエアリアルガードも、回避や防御でさえも間に合わない。 その身は、完全にガラ空きだった。 見開いた瞳に、大きくなっていく石つぶてだけが映り込む。 その石つぶてが、アナスタシアの目の前で。 まとめて、弾き飛ばされた。 横合いから、弾丸のように飛び込んできた剣によって、だ。 その剣は弧を描くように大気を薙ぎ、アナスタシアを狙っていた投石部隊を急襲し、逃げ損ねた不死者たちを沈黙させる。 剣の柄には、両生類の舌が巻きついていた。 その舌が、まるでゴムのように、主へと戻っていく。 「落ち着け」 覆面の奥に舌を戻し、カエルは剣を手にする。 その様子は安っぽい怪奇小説に出てきそうなくらいには不気味であったが、それに言及する余裕を、アナスタシアは持ち合わせていなかった。 「助かったわ」 ただそれだけを告げて、アナスタシアは、聖剣ルシエドの連撃を受けてなお立ち上がろうとする、足元の骨を苛立たしげに踏み潰した。 「落ち着けと言っている」 カエルはアナスタシアの側まで跳んでくると、先の斬撃で仕留め損ねた兵が投げた石を迎撃する。 「放っておいたらまた復活するでしょ。だからこうして、動ける敵を減らさないと……ッ!」 「守りも固めずにか?」 カエルに弾き飛ばされた石が、地面を穿った。 「たかが石と侮るな。これはもう、弾丸だ」 「わかってる。わかってるわよそんなことはッ!」 当たり散らすように怒鳴りつけるアナスタシアに、カエルは溜息混じりで返答する。 「分かっているならば冷静になれ。苛立ちを抱えて勝てる戦ではない。戦に勝てなければ生き残れない」 カエルは淡々と告げる。 その淡白さが、当然の事実であると如実に表していた。 「生きるのだろう?」 アナスタシアの奥歯が、ぎりっと音を立てた。 「……生きたいわよ」 絞り出すようなその声は弱音めいていた。 「生きたいの。生きたいわよ! けど、だけどッ!!」 その欲望に揺るぎはない。生を求める衝動に偽りはない。 なのに、アナスタシアは揺れていた。彼女の内で揺れているのは、生き方だった。 「わたしは、弱いのよ……」 そう零すアナスタシアの目の前で、亡霊兵が何度目かの蘇生を果たす。 「わたしは死者に縋った。想いを集めて、戻ってくるはずのない命を、一時的とはいえ、かえしてしまった」 けれどアナスタシアは亡霊たちを見つめるだけだった。 「ジョウイくんと、同じように」 くすんだ瞳で、見つめるだけだった。 「否定できなかった。違うって、言えなかった」 距離を取る亡霊兵たちを、アナスタシアは、翳る瞳でぼんやりと追う。 「だって、いいなって思うんだもの。うらやましいなって、思っちゃうんだもの」 遠ざかった亡霊兵が、石を拾い上げる。 「また逢いたいって、望んじゃうのよ」 その更に向こうに、哄笑を上げるビジュだったものが目に入った。 死んだはずの人間が、人とは思えぬ姿となりながらも、確かにここで嗤っていた。 「新しい“わたし”をはじめるって、そう決めたのに」 鼻の奥が、やけに湿っぽかった。 「なのに。ねえ、どうして――」 胸の底が、いやにかさついていた。 「つよく、なれないの? かっこよく、なれないの?」 呟いた直後、投石が殺到する。 身体が動くままにそれを弾く。だが、アナスタシアは駆けられなかった。 投石を繰り返す敵の元へと、駆けることができなかった。 ◆◆ ______ |部隊編成 |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ・キャラクター選択 __________ | イスラ | |→ストレイボウ | | | | | | | | |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ・部隊メンバー __________ | | | | | | | | | | | |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ___ |決定|  ̄ ̄ ̄ ・キャラクター選択 __________ |→イスラ | | | | | | | | | | |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ・部隊メンバー __________ |☆ストレイボウ | | | | | | | | | | |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ___ |決定|  ̄ ̄ ̄ ・キャラクター選択 __________ | | | | | | | | | | | |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ・部隊メンバー __________ |☆ストレイボウ | | イスラ | | | | | | | | |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ___ →|決定|  ̄ ̄ ̄ ◆◆ 笑い声が、耳の奥でこだまする。 厭な声だった。 下卑ていて品がない、その声は、聞くに耐えないものだった。 もう聞くことはないと思っていた。聞かなくてもいいと思っていた。 そう思い込むことで、蓋をしてしまおうといていたのかもしれない。 けれどそれは破られた。 不意打ちで、蹴破られたのだった。 【ゲヒ、ゲレ、ゲイヒヒヒヒヒレレレレッ!!】 記憶でもない。幻聴でもない。 今この耳が、この嗤い声を捉えている。 粘性の液体から湧き出てきたような人形と、鳥と爬虫類を掛け合わせたような人形を侍らせて。 そいつは、嗤い続けている。 その耳障りな声に合わせ、亡霊兵が組織立った動きで投石する。 ストレートに飛んでくる豪速の石が来る。放物線を描き頭上から石が落下する。曲線軌道を描き、側面から襲ってくる石がある。 速度も軌道もまちまちながら、投げられた石らは決して互いを食い合わない。 統率された遠距離攻撃は緻密に精密に、イスラとストレイボウを狙い撃ってくる。 亡霊兵は疲労を覚えず、攻撃は乱れない。 故に、その統率を乱すには、打って出る必要があり、 「レッドバレットッ!」 そのための魔力が、ストレイボウから膨れ上がった。 紅の火球が複数、枷から解き放たれた獣のように飛び上がる。 火球は石を迎撃し撃ち落とし、そのままの勢いで亡霊兵へと突っ込んだ。 爆ぜる。 陽炎を立ちめかせながら燃え盛る業火に灼かれ舐められ、亡霊たちは崩れ落ち、投石の壁が薄くなる。 それは、駆け抜けるには充分な空隙だった。 「走るぞッ!」 ストレイボウの叫びに後押しをされるようにして、イスラは地を蹴った。 得物を銃に持ち替え、荒れた土を踏み抜く。火炎から逃れた兵の投石を避けて駆け抜ける。 耳元に突然、生温い気配が現れた。 【ゲレレレレッ……ヒヒ、ゲレレレ、レレヒッ!】 その気配が放つ耳障りな哄笑が、真横から響き渡った。 背筋を猛烈な悪寒が駆け抜ける。それは危機感であり、嫌悪感であり、そして。 十字架の重さだった。 その重さは、イスラの意識を強引に引っ張っていく。 ダメだと、見るなと、そういった気持ちを軒並み押し潰して、イスラの顔を隣へと向けさせた。 「っ!」 ぐずついた泥を固定剤にしてバラバラに捏ね合わされた、ビジュのようにもタケシーのようにも見える、顔と呼ぶには余りにも冒涜的な物体が、視界いっぱいへと飛び込んでくる。 あり得ない場所に接合された目が、泥を零しながらギョロギョロと動き回る。 【イヒッ、イヒヒヒヒヒヒッ……ヒヒ、ゲレレレ、イヒヒラララ!】 その瞳が、イスラの視線と交差した。 【ゲラゲレレレレレヒヒヒヒ、ゲレレヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒイヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒッ!!!!】 かろうじて口の形を保った裂け目が開き、泥を撒き散らしながら声をあげる。 そのおぞましさに、意識が灼きついた。 足が止まり手ががたつく。目が見開かれ冷や汗が滲む。喉がかさかさになって胃が締まる。酸味めいた臭いがせり上がる。 大きな背中が、撫でてくれた手が。 笑えるかもしれないと想った、オスティアの幻想が。 かけがえのない、想い出が。 翳り、崩れ、遠ざかり。 全身が、虚脱する。 「イスラッ!」 崩れ落ちそうになる寸前で、ストレイボウの声がイスラを支えた。 残っている力を意識し、取り落としそうになったドーリーショットを握り締めて銃口を突き付ける。 笑いながら離脱する反逆の使徒に狙いを定め、引き金に指をかけて。 ビジュを斬った記憶が、鮮明にフラッシュバックした。 体から落ちる首。 溢れ出る鮮血。 むせ返るように濃厚な、ちのにおい。 そして。 楽しそうな、笑い声。 あのとき、あの瞬間。 ――どうして、僕は、笑っていたんだ。 指が凍りついたかのように動かない。 銃を握るその手には、ビジュを殺したときの感触が、生々しく蘇っていた。 ――役立たずだと、どの口が断じられた? ビジュだったもの<笑いながら殺した相手>に向けた銃が、震える。 もう一度殺すのか。 こんな身になってまで、それでも願ってここにいるこの男を、もう一度殺すのか。 そう願わせたのは、だれだ。 ――いま、僕は。いったい、どんな顔をしている? 想像した瞬間、怖くなった。 銃口を、向けていられなくなった。 そうしていることが、拭えない罪のような気がした。 悠々と距離を取った反逆の使徒が、これ見よがしに手裏剣を取り出すのが見える。 【イヒ、ゲレヒヒ……】 構える。 【ゲラゲレレレレレヒヒヒヒ、イヒヒヒヒヒヒヒッ】 投擲される。 その一連の動作を、イスラは呆然と眺めていた。 イスラの意識は、もはやこの場所にはなかった。 だから、気付かなかった。 周囲に、冷気が立ち込めていることに、だ。 その冷気は導かれるように収束し固形化する。 空気にヒビを入れるかのような音を引き連れて分厚い氷が現れ、イスラを囲う。 投具や投石から、イスラを守るように。 イスラと反逆の使徒との間を、遮るように。 氷壁の表面は、鏡のように顔が映り込んでいた。 蒼白となったイスラの顔が、映り込んでいた。 「イスラ! 無事かッ!?」 掛けられた声で、その氷壁がストレイボウの魔法によるものだと、ようやく気付く。 瞬間、イスラの足から今度こそ力が抜けた。武器を、取り落とす。 焦点がぼやけ、何を見ているのかが分からなくなる。 「僕は、僕は……ッ!」 うわごとのように呟くイスラを嘲笑うように。 へたり込むその姿が、見られているかのように。 氷壁の向こうからは、笑い声が響き続けていた。 ◆◆ 不死なる兵どもは、雑兵と切って捨てられる程度の実力だった。 その程度の者がどれほど集まろうと、ピサロの足は一切止まらない。 纏わりついてくる敵をバヨネットの一振りで斬り伏せ、真空波で吹き飛ばして疾走する。 進路上に立ちはだかる兵へと走る勢いのまま刃を突き立てる。その身を貫いて引鉄を引く。 光線のように収束した魔力が射出され、背後に並んだ敵を射抜き切る。 機械部品が展開し排熱の蒸気が立ち上る。その蒸気を払うようにしてバヨネットを横に薙ぎ、側面からの襲撃者を討ち取る。 パラソルの魔力補助がなくなり機械側の負担が大きくなった分、近接武器としての取りまわしやすさは向上していた。 そうしてピサロは雑魚を蹴散らし到達する。 バヨネットとは比べ物にならないほどの蒸気を上げる、巨大な敵将に攻撃が届く、ギリギリの射程圏内に、だ。 そしてそこは、敵将の攻撃がピサロに届く場所でもある。 副将を控えさせて前に出るその敵将の左腕<左回廊>が、唸りを上げて縦回転する。 鋼鉄の外壁がへし曲がり擦れ火花が散り、蒸気が溢れ返る。 左腕<左回廊>を支点にし、挙げるように。 地に付いていた左手<左塔>が、跳ね上がった。 猛烈な砂塵が巻き上がる。それは蒸気で吹き飛ばされ、悪夢めいた砂嵐を作り出す。 だがそれは、攻撃の副産物でしかない。 本命の一撃は、左手<左塔>による突上打だ。 ピサロはバヨネットの砲口を左に向け、右へ跳躍する。跳ぶと同時に発砲、爆風に乗って距離を稼ぎ、亡霊城の外側へ。 直後、轟音と共に左手<左塔>の突上打が眼前を通過した。 復活を果たしピサロへとまとわりつこうとしていた兵を軒並み潰して、左手<左塔>が天を衝く。 スケルトンが粉々になりグールが肉片と化し亡霊兵が空へと消える。 それは、必殺の一撃と呼ぶことすら生ぬるかった。 熱っぽい湿り気を帯びた砂嵐がピサロを襲う。咄嗟に左手で庇うが、蒸気を帯びたそれは皮膚を侵していく。 そこへ、長い影が落ちる。 鉄と鉄が擦れ合う不快な轟音を重ねて、摩擦による火花を撒き散らして、亡霊城は旋回する。 鉄塊と呼ぶにはあまりにも巨大すぎる左手<左塔>を挙げたままで、だ。 次の動作など、予測するまでもなかった。 だからピサロは即座にバヨネットを掲げる。その指に魔力と、絶えぬ想いを注ぎ込む。 魔導アーマーのパーツにチカラが流し込まれる。回路が励起し光を帯び、バヨネットの砲口に輝きが収束する。 その輝きは蒼。究極の名を冠する魔力光。絶えぬ想いをエネルギーとする、極まった力の奔流。 「アルテマ――」 それを前にして、王城は動く。 左腕<左回廊>の回転を逆にし、悲痛な軋みを迸らせ、打ち上げた左手<左塔>を動かす。 単純な話でしかない。 挙げた左手<左塔>を、今度は振り下ろすだけだった。 超重量の一撃の初動。それを前にしても動じず、ピサロはトリガーを引く。 「――バスター」 究極光が、解き放たれる。 球状に広がるエネルギーは、左手<左塔>と正面からぶつかり合う。 鋼鉄の腕を受け止め、その外壁を引っぺがし、もはや使う者のいない内装を吹き飛ばし、壁を床を柱を食い尽くす。 左腕<左回廊>から左手<左塔>までの居住スペースが完全に吹き飛ばされ、錆びた内部フレームと砂を噛む駆動機構が露わになる。 王城のなきごえが、ひときわ大きくなった。 剥き出しになった内部機構の各所で、無数の火花が舞い踊る。それは、いのちを燃やしているかのようだった。 アルテマバスターの輝きは、フレームをひしゃげさせて歯車を砕く。 それでも、左手<左塔>は止まらない。止まるはずもない。 ボロボロになりながらそれは、重力を味方につけて、光の奔流を割って来る。 「ち……ィッ!」 止め切れないと判断したピサロはバヨネットを下げる。 手を掲げ力を込め、心に満ちる“想い”を意識し、ラフティーナの力を呼び起こそうとして。 左手<左塔>の軌道が、ブレた。 ピサロを真上から狙うコースだったはずのそれが、アルテマバスターの光を斜めに斬るようにして、滑って行く。 左手<左塔>が、空を切って地を叩く。鋼鉄の巨腕に打撃された大地が、怯えるように揺れた。 ピサロを潰すはずだった左手<左塔>が岩石を破砕し地面を引き裂き痕を刻みつける。跳ね上がった石片が歯車に噛み潰されて砂礫と化す。 いつの間にか城は、ピサロに背面を向けていた。 ピサロの口角が、吊り上がる。 この場で戦っているのは、ピサロだけではない。 城の背面に、再度バヨネットを突き付ける。 トリガーに指を掛けて、ピサロは、それが引けないことに気付く。 魔力の増幅と制御を行っていたパラソルなしで放ったアルテマバスターは、莫大な負荷をバヨネットに掛けていた。 機械部品が完全にオーバーロードしており、魔力を流しこめそうにはない。 これを利用して魔力を射出するには、時間が必要なようだった。 舌打ちをし、稼働する王城を睨む。 かなりのダメージを与えたとはいえ、まだ左腕<左回廊>の駆動部は生きている。 この程度では、じきにあの城は嘆きのままに進撃を再開するだろう。 思案する。 なにせ相手はあの巨体。この身では近寄ることすらままならない。 だが、手はある。 要は、蒸気の熱に耐えきり、真正面からぶつかることが可能な身があればよいのだ。 そのような身体に変異させる呪文を、ピサロは心得ている。 リスクは大きい。 変異中は闘争本能が肥大化し思考力が低下する。インビジブルも使えないだろう。 耳に届くなげきの声が、思考に混じる。敵は、すぐ側にいる。 ピサロは、息を吐いた。 迷っている時間が惜しい。 だからピサロは決意する。 王城の一撃を滑らせたあの思念を、無意識のうちに当てにして。 ピサロは、詠唱を開始した。 ◆◆ 「畜生ッ!」 倒しても倒しても蘇る兵どもに、もう何度目かわからない肘鉄やローキックを叩き込み、アキラは悪態をつく。 何度でも起き上がる兵への苛立ちではない。この地獄絵図と、それを描いた者へ、アキラは憤っていた。 アキラは感じ取る。 この場に満ちる感情を、その心で感じ取る。 特段心を読む必要もない。そんなことをするまでもなく、叫びは痛いほどに伝わってくる。 それは声になどはならない。そんな風にかたちを規定できるほど、この嘆きは薄くない。 城がさけんで兵が湧く。兵がなげいて城が啼く。 止みはしない。その軍勢はもはや、他のことなど知りはしない。 だから止まらない。 究極光を受け止めて、悲痛な姿を晒しても。 王城は、止まらない。 たとえその身が砕けても。 王城は、止まらない。 その様は、アキラに思い起こさせた。 「ちがうだろ……」 自壊することも厭わずに戦い抜いた、義体の英雄の姿を思い起こさせた。 「そうやってさけんで」 彼女の渇きを思い出す。 彼女の望みを思い出す。 「叫びだけを残して」 彼女の、死に顔を、思い出す。 「そうやって逝きたいわけじゃあ、ねェだろッ!」 アキラが吼えた、その瞬間。 軍勢を構成するすべての意識が、アキラへと集中した。 叫びと嘆きと恨みと妬みと慟哭と。 そして、大いなる絶望が、まるで集合体のように、アキラを睨みつけた。 その集合意識は、重くくらく粘っこい。 毒沼のようなそれは、アキラを沈めてしまいそうなほどに深かった。 声にならない声がする。 かたちにならない感情が、酸性の液体を馴染ませた暴風のように吹きつける。 それは純粋が故に暴力的で、もはや精神攻撃の域に達していた。 「なめンな……」 けれどアキラは俯かない。屈しない。膝をつかずに拳を握る。 「負けるかよ……ッ! 負けて、たまるかよッ!!」 歯を食い縛り絶望の睥睨を睨み返し足を踏む。 どくり、と。 アキラの心臓が、一際大きく拍動する。いのちの底で輝くかけらが、そこにはある。 「お前らは、なんのためにここにいるッ!!」 スケルトンの憎しみを拳の一撃で割り砕く。 「こんなことで晴れるのかッ!!」 グールの怨みを肘鉄で叩き潰す。 「こんなことを繰り返して、満足なのかよッ!!」 亡霊兵の嘆きを念で弾き飛ばす。 それでも叫びは止まらない。それどころか、アキラが猛るほどに亡者の声は増していく。 王城が、アキラへと迫る。 黙れと、目障りだと。 そう嘆くように、その威容は駆動音を鳴り響かせて吶喊してくる。 壁に亀裂が走っても。黒煙がもうもうと立ち昇っても。剥き出しになった駆動部から、砕けた歯車が零れても。 そいつは、砂埃を纏いただその身だけを武器として、アキラへと迫る。 その城の、ボロボロになった左側面へ。 アルテマバスターを受け、それでも動き続ける左手<左塔>へ。 突っ込んで来る巨体が、あった。 その巨体は、鋭い爪の伸びる両手を、進撃する王城へと突き出した。 城の進撃が、押し止められる。それでも進もうとする城を、巨体は逞しい二本の足で踏ん張って止める。伸びる尻尾が、大地を擦った。 王城が灼熱の蒸気を噴出させるが、美しい紅の鱗には火傷一つ負わせられなかった。 巨体の頭部からは、天を貫くような雄々しい角があり、その背には一対の翼が生えていた。 それは、王城に負けぬほどの威容と威厳を誇っていた。 そいつが、アキラを一瞥する。 その紅玉色の瞳には、見覚えがあった。 「ピサロ……?」 「――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――!!!!!!」 その口から、雄叫びが上がる。 音圧はびりびりと大気を震わせ、近場にいた亡者を伏せさせるそれは。 龍<ドラゴン>、だった。 ◆◆ 身体を龍へと変異させ、その圧倒的身体能力を得る呪文――ドラゴラム。 ピサロは、龍の力と闘争本能を以って、王城と相対する。 左手<左塔>のフレームを握り潰す。ひしゃげて折れたフレームを投げ捨て、歯車の群れへと腕を叩き込む。 力任せに突き出した腕は歯車を一気にぶち抜いて破砕させる。部品の欠片が雪のように降り注いだ。 黒煙がぶすぶすと沸き上がる。構わず龍は顔を突っ込んだ。 口を、開く。 鋭利な牙と赤い舌の奥で、火炎が逆巻いていた。 息を、吐き出す。 枷を解かれた灼熱の炎は鋼鉄の部品でさえも融解させる。それは、一兆度もの超高温を彷彿とさせた。 左手<左塔>が爆砕する。発生した爆発は誘爆を呼ぶ。群れとなって連なる炸裂は左手<左塔>を壊していく。濃くなった黒煙が空を汚す。 左手<左塔>が崩壊する。悲鳴を上げて崩壊する。 破砕音に交じり、がぎん、と。 硬い音が響き渡った。 その音は、連なる破壊の音の中にあって、あまりにも異質だった。 爆発の向こうで火花が散る。黒煙の彼方で蒸気が上がる。 硬質の音を上げたのは、王城の意思だった。 左手<左塔>はもう、動けずに滅びゆく。なればこそと王城は、左手<左塔>をパージしたのだった。 本体が爆発に巻き込まれないようなどと、そのような温い意思ではない。 捨てられた左手<左塔>に込められるのは、苛烈な叫びの結晶だった。 眩い閃光が迸る。断末魔を思わせる爆音が、世界を揺るがせる。 龍の至近距離で、大爆発が発生した。 爆発の熱量など火龍の身には児戯に過ぎない。ただ、その衝撃波と吹き飛んだ残骸は、龍鱗を抉っていた。 龍が、たたらを踏む。衝撃のダメージと、猛烈な閃光と爆音が、龍の感覚を奪っていた。 吐き気そうな煤臭さと濃厚な黒煙が立ち込める。 それを引き裂いたのは、王城の一撃だった。 船が海を掻き分けるように砂礫をぶち割って、城が滑ってくる。 龍に左腕<左回廊>を突き立てるべく、城が駆動する。 それは、左腕<左回廊>が潰れることを厭わない一撃だった。 龍の本能が意識を覚醒させる。 だが遅い。 龍の身体は、その一撃を避けるには大きすぎる。 だが龍は、危機感など覚えなかった。 悲しみとにくしみと絶望の沼の真ん中で、熱く燃える思念を、感じ取っていたからだ。 その思念は、王城の突進軌道をねじ曲げる。 龍の真横を、左腕<左回廊>が突き抜けた。 空を切ったそれを両腕でホールドし、根元に牙を突き立てる。 へし折る。 引き千切った左腕<左回廊>を、龍は握り締めて水平に構え、闘争心の赴くままに叩きつける。 鋼鉄の亡霊に、龍のフルスイングが直撃する。 鋼が衝突する撃音が鳴る。龍が握った左腕<左回廊>が砕け散り、王城のバルコニーが破壊され、それでも。 それでも王城は停止することなく、愚直な突撃を繰り返すのだった。 ◆◆ 「悪い、ことなのか」 弾かれ割れて転がり落ちた石片の中心で、カエルが呟いた。 その隣にいるアナスタシアは黙ったままで、止まない投石を、ただ身体が動くままに弾いていく。 それはまるで、“生きる”という命令を淡々とこなすだけの人形のようにも見えた。 「死者に逢いたいと望むのは、悪いことなのか」 隻腕であっても、体力のほとんどを消耗していても、カエルの剣閃は精確で淀みがなく、投石一つさえ先には通さない。 「俺は……そうは思わない」 統率こそされており、石の威力は侮れない。その反面、兵自体の錬度はそれほど高くない。 だからこそ、こうして語ることができる。 「俺は――俺たちは、死者を蘇らせたことがある」 カエルは語る。 先刻、イスラと話をしたときのように。 「死者を、“死ななかったこと”にしたこともある」 カエルが弾いた石が、アナスタシアの弾いた石と衝突し、砕ける。 「シルバード。ストレイボウが――ジョウイが言っていたその翼で、俺たちは時を超えてきた」 砕けた石は何処かへ弾け飛び、見えなくなる。もう一度と望んでも、きっとその石は見つからない。 「そうして俺たちは死した仲間を蘇らせた。仲間の母親を――死んだはずの人間を、救った」 探しても探しても、きっともう、見つからない。仮に見つかったとしても、砕けた石はもう、戻らない。 けれど、歴史を変えさえすれば。 石が砕ける直前に戻ることさえできれば。 もう一度、砕ける前の石は見つけられる。 たとえその結果、カエルかアナスタシアが、傷ついたとしても。 「……反吐が出るわ」 吐き捨てるアナスタシアに、カエルは苦笑を返すだけだった。 「それでも俺たちは、後悔はしていない。間違ったことをしたとは思っていない。身勝手だと、そう思うか?」 「思うわね」 斬って捨てるような返答からは、深い苛立ちが感じられた。 「貴方達はそれでいいわよね。けれど、過去を変えたいって願う人がどれだけいると思ってるの」 アナスタシアが、アガートラームを振り上げ、 「過去は変えられない。変えちゃいけない。そんなのは当たり前なの。そうじゃなきゃ、現在<今>を大切になんてできないじゃない」 地を割りかねない勢いで、荒っぽく叩きつける。 「死んだ人<過去>は戻しちゃいけないの」 飛んできた石が、まとめて砕け散った。 「いけない、のよ……ッ」 それは、血が滲むような呟きだった。 死者の“想い”を形にしてしまったアナスタシアが、血を流しているようだった。 「正論だな。ならば――」 カエルはすうっ、と呼吸をし、目を細めて亡者を見る。 「悔いているのか?」 アナスタシアは答えない。 食い縛るように、耐え抜くように、彼女は押し黙って身を守る。 晒される石礫に反撃をせず、されるがままに身を守る。 「悔いるなとは言えん。お前とジョウイが違うと、否定してやることは俺にはできん」 カエルは言葉を区切り、ただな、と続け、 「ヒトは、多かれ少なかれ身勝手だ。だから俺たちは行動した。そうでなければ生きられん。 そうでなくても生きられるのは、生粋の“勇者”くらいだ」 あのとき、遺跡ダンジョンの地下で、共界線を通じて感じた“救い”と。 アナスタシアに寄り添っていた魔狼を想い浮かべて、カエルは問うた。 「それは、お前もよく分かっているだろう?」 ◆◆ 覆うような氷壁の中で、イスラはへたり込んでいた。 そんなイスラの前に、ストレイボウはしゃがみ込む。その細い肩にそっと手を乗せると、震えが伝わってきた。 血の気を失い俯くその姿は、よく似ていた。 罪に苛まれ、苦しみ喘ぐストレイボウと、よく似ていたのだった。 「落ち着くんだイスラ」 ストレイボウは、努めて落ち付いて語りかける。 氷壁を外から叩く投石の音から、気を逸らせるように。 氷壁の向こうで喚き散らすような笑い声を、意識から引きはがすように。 時間に余裕があるわけではない。 だがストレイボウは、ゆっくりと、子どもに話しかけるように、言葉を紡いだ。 「俺が、分かるか?」 俯いていたイスラの顔が、上がる。 瞳は見開かれていた。唇は戦慄いていた。顔色は、真っ青だった。 見るからに痛々しい様子で、イスラは、ストレイボウを見つめ、そして、小さく頷いた。 「そうか、よかった」 ストレイボウの顔に笑みが浮かぶ。 まだ終わっていない。まだイスラは、堕ちていない。 それでこそイスラだと、ストレイボウは安堵する。 「イスラ。俺の罪を、憶えているか?」 その問いに、イスラは呆然としたまま、首を縦に振る。 それを見届けてから、ストレイボウは口を開く。 胸の底の疼きを堪えながら、だ。 「俺の罪は、決して許されるものじゃない。たとえみんなが許してくれたとしても」 忘れてはならない罪科が痛む。心に刻み込まれた咎が、ストレイボウを締め付ける。 それでいい。この疼痛は、決して忘れてはならない。癒してはならない。 「罪は、決して消えない」 その痛みと、ストレイボウは向き合う。 誤魔化さず、逃げ出さず、真正面から立ち向かう。 消すためではなく、受け止めるために。 そうすることができるのは、胸に灯る、確かな“想い”があるからだ。 「その重さに関係なく、犯した罪は、消せないんだ」 それは、独りでは得ることができなかったもの。 それは、オルステッドを昏い瞳で眺めていたかつての自分では、決して手にすることができなかったもの。 「だから自分で、付き合い方を決めなきゃいけないんだと、俺は思う」 そして、それは。 イスラの心にもまた、灯っているはずなのだ。 「こうするべきだとか、そんなことは言わない。俺は、お前に答えを与えてはやれない」 だけど、 「お前が自分で見つけた付き合い方なら、俺はそれを否定しない。それが、どんなものであってもな」 イスラの肩から右手を離して握り拳を作る。 その手を軽く、イスラの胸へと押し当てた。 鼓動を感じる。 イスラの鼓動を、その温もりを、イノチを、確かに感じる。 あのとき、ジャスティーンを召喚した力は、きっと今も宿っている。 だから大丈夫と、ストレイボウは思うのだ。 それは信頼だった。 たとえイスラが十字架に捕われて自分自身を信頼できなくとも。 信頼する人間はここにいると、伝えるように、告げる。 「答えを、出しに行こうじゃないか」 ストレイボウは立ち上がり、手を差し伸べた。 「俺も、俺の罪の証と――フォビアたちと、向き合いに行くよ」 ◆◆ 砂埃が巻き上がり、蒸気が噴き出し、黒煙が吹き上がり、火炎が舞い踊り、炸裂が連続する。 激しさを増す龍と王城の闘いは、命を掛けた舞踏のようだった。 王城の損傷は激しい。左腕<左回廊>から先を損失し、半分以上の外壁が壊れ、駆動部は異音を立て続けている。 されど王城は死を恐れない。 その身が砕けても、壊れても、苛烈なる攻撃の手が止むことはない。 その事実は、龍に防戦を強いていた。 目的は足止めであり、時間が経てば城は自壊する。故に防戦自体は不利な要素ではない。 ただしそれは、戦術的な目線で見れば、だ。 これは、戦争なのだ。 局所的な戦闘での勝利が、最終的な勝利に繋がるとは限らない。 たとえば。 時間を掛けた末に勝鬨を上げても、その瞬間に首輪が爆発してしまえば、それでおしまいなのだ。 王城ほどではないが、龍も無視ができないくらいの傷をいくつか負っている。 それでも龍は、致命的な一撃を受けていない。 その状態を維持できているのは、アキラのサポートがあってこそだ。 「ら、あぁァ――ッ!!」 アキラの念力が王城を惑わせる。 龍を叩き潰すはずだった右手<右塔>が、地面だけをブッ叩いた。 息をつく暇はない。 スケルトンの斬撃が、すぐ側へ迫っている。 避け切れないと判断したアキラは身を仰け反らせて防御する。皮膚の表面を刃が走り、血が噴き出した。 脳が痛みを知覚する。その痛みに反応し、防衛本能が天使の幻像<ホーリーゴースト>を生み出す。 天使の幻像<ホーリーゴースト>が、斬りつけてきたスケルトンを爆ぜさせた。 セルフヒールで回復を行って体勢を立て直す。嘆きを呻かせて、亡霊兵どもがアキラに群がって来る。 火の思念<フレームイメージ>でそいつらを焼き払い、逃れた敵にエルボーを叩き込む。 矢継ぎ早に意識を王城へと移し、その攻撃を逸らさせるべく念を飛ばす。 太い右手<右塔>が龍の片翼を掠める。その翼膜が、破かれた。 「糞……ッ!!」 失敗したわけではない。 念が、効きにくくなっているのだ。 あらゆる状態異常を無効とするスペシャルボディであっても、アキラの“想い”が乗った強念による一時的な幻惑は防げない。 意識が――感情があるのであれば、その思念を止めることなどできはしない。 そしてアキラの強念は、王城が抱く感情の対極にあるものだ。 故にそれは効果的であり、同時に。 抗いの意思を、呼び起こす。 軍勢を突き動かす感情に、アキラが反発し続けるように、だ。 軍勢が、力を増す。 悲しみが、嘆きが、絶望が、より大きくなる。 その様子は、酷く歪だった。 アキラは、歯が食い込むほどに唇を噛み締めた。 スケルトンを一体割るたびに悲しみが増える。 グールを一体焼くたびに嘆きが大きくなる。 亡霊兵を一体倒すたびに叫びが強くなる。 そうして、絶望はぶちまけられる。アキラが輝けば輝くほど、この場に陰は落ちていく。 それでもアキラは王城へ念を向ける。 負けられないのだ。負けたくないのだ。 こんな、つめたい悲しみだけが満ちるものを。 こんなつめたさの果てに、在るものを。 アキラの想い描く“無法松”<ヒーロー>は、絶対に、ゆるさない。 「止まれ……!」 念じる。 王城の一撃は揺るがない。それを龍は、紙一重で回避する。 「止まれ……ッ!!」 念じる。 王城の攻撃は止みはしない。それを龍は、腕一本で受け止める。 「止まれェッ!!」 念じる。 王城は踊る。その衝撃で自身を破壊しながら、蒸気と火花を散らして舞う。 「止まり……」 強く果てない“想い”を乗せて、心の底から念じる。 「やがれえぇェ――ッ!!」 しかして。 王城は、止まる。 耳を覆いたくなるような、痛々しい音と同時に、だ。 王城は、停止していた。 その右手<右塔>を、龍の身体を深々と突き破って、停止していたのだった。 言葉を失うアキラの視線の先で。 龍の身が、縮んでいく。 角と翼と尻尾が、折りたたまれるように細くなり小さくなる。 全身を包んでいた紅の鱗が、肌色に変わっていく。 戻っていく。 龍の姿から、戻っていく。 右手<右塔>に引っ掛かり、屋上の端を掠め、王城にもたれかかるように倒れて。 龍は――ピサロは、小さくなっていく。 微動だにすることなく。 声を上げることもなく。 「く、あ……」 ピサロは小さくなって、アキラの目には、見えなくなった。 「――――――――――――――――――――――――――………………………………………………………………………………ッ!!!!」 アキラの口から、絶叫が迸る。 それに呼応するように。それを、嘲笑うように。 歯車が鳴る。駆動機関が声を上げる。 王城が、再度動き出す。 音を立てて、緩慢に。 王城は、旋回する。 「……嘘、だろ」 そう零さずには、いられなかった。 右手<右塔>にべっとりと付着した龍の――ピサロの血液が、右手に浸透していく。 まるで、啜るように。 こぼれた命を、吸うように。 すると。 龍によって砕かれたはずの、バルコニーが。 超過駆動によって吹き飛んだ、歯車が。 直っていく。王城の破損箇所が修復されていく。 そうして城は、千切れた左腕から先を除いて回復を果たし、アキラへと向きなおった。 進撃が、再開される。 直り切らなかった左腕<左回廊>から、火花を散らして。 変わらぬ悲しみをあげながら。 修復された外壁を、再び壊しながら。 「やめろよ……」 壊れる痛みを知っているくせに、他の方法を知らないかのように。 「もう、やめろよ……」 城は、自分を傷つけていく。 悲しみの荒野にたった独り取り残され、未練を燻らせ憎しみを淀ませた果てに。 たった一つだけ残された方法が、それだと主張するように。 それしかないのだと、言うように。 それこそが、絶望の深淵でみつけた、最後の最後の。 ほんとうに最後の、たった一つだけ残された、“希望”だというように。 そんな亡者たちから、王城から、軍勢から。 伝わってくるものは、つめたいのだ。 伝わってくるものは、苦しみを引き剥がそうと胸を掻き毟り、その結果自分を引き裂いてしまうような痛みなのだ。 「これが、こんなものが、“希望”だっていうならさ」 どくり、と。 アキラの心臓が、高鳴った。 「誰が、笑えるんだよ?」 どくり、どくり、と。 アキラの鼓動が加速する。 「どこで、誰が、笑えるんだよ?」 空を見続けたギャンブラーが手にした、希望と欲望のダイス。 夢見るギャンブラーが潰えても、その力となった“希望”は、一万メートルの夢の果てで息づいている。 アキラの血となり肉となり、胸の中で脈打っている。 どくりどくりと。 強く雄々しく激しく、鼓動<ビート>を刻み続けている。 軍勢の中に蔓延する、暗く冷たく悲痛な“希望”めいたものではなく。 アキラだけが抱く“希望”が、胸の奥に確かに在る。 「なあ、あんた」 それに突き動かされて、アキラは呼び掛ける。 「あんた、今――」 アキラは投げ掛ける。 かつて、ここではないどこかの、顔も名前も知らない誰かへ向けた問いと、同じ問いを。 この声の届くすべてのものへと、投げ掛ける。 「――幸せか?」 悲しみが、膨れ上がった。 くず折れ、重なり、霧と化していた亡者の兵が、音を立て、一挙に立ち上がった。 蒸気が溢れ、すべての歯車が轟音を立てて回り出す。 アキラの問いを押し流し引き潰そうとするかのように、軍勢が動き出す。 突進が来る。 それは、部隊全ての未練と憎悪を集めて殺意とした突進だった。 濃厚で濃密で膨大で、底なしの殺意。触れた瞬間に消し炭にされてしまうほどの、圧倒的な暴力。 過ぎ去った後には何も残らない、荒廃だけを呼ぶ、酷くつめたい悲しみの突撃。 一片の幸せだってありはしないと、そう宣言するかのような進軍を、アキラは、真っ向から睨みつける。 たった一人ながら、その身から揺らめく意志は、軍勢に劣るものでは、決してない。 それどころか。 アキラの意志は、軍勢を突き動かす巨大な感情と拮抗するほどに、強いものだった。 認められない。 そんなものが、“希望”だと。 決して、認められない。 アキラは、ただ鼓動を感じる。 自分の中で確かに脈動する、その熱を感じ取る。 それは力強さを増していく。 目の前の絶望を前にして、果てないように強く拍動する。 抗いのリズムを刻む。 「ざけんなよ……」 だからアキラは逃げない。 こいつらに、背を向けるわけにはいかない。 「たとえ、たとえもう、ボロボロになって、壊れちまうことになったとしてもな……」 目を、逸らさない。 こいつらを、このまま進めさせるわけにはいかない。 「ほんとうに、ほんとうの“希望”を抱いていられるのなら……」 “希望”というのは、あたたかいものだと。 それを分からないまま突き進み、勝手に逝かれるのは、我慢がならなかった。 「いつかきっと、笑えんだよ……」 あたたかさを拒絶して、逝った先にあるものが。 ほんとうに楽園である、はずがない。 だから、アキラは叫ぶ。 「なあ」 たったひとり、荒野の果てを彷徨って、ボロボロになっても闘って。 それでも消せない“希望”を抱いていたから。 今際のときに微笑っていられた、英雄の名を。 アキラは、叫ぶのだ。 それは、当の本人すら捨てた名前。 捨てられても朽ちてはいない、確かな名前だった。 「――そうだろ、アイシャッ!!」 轟音を立てて。 西風が、吹き荒れた。 時系列順で読む BACK△159-3 みんないっしょに大魔王決戦-勇者への終曲-NEXT▼160-2 響き渡れ希望の鼓動 投下順で読む BACK△159-3 みんないっしょに大魔王決戦-勇者への終曲-NEXT▼160-2 響き渡れ希望の鼓動 159-3 みんないっしょに大魔王決戦-勇者への終曲- アナスタシア 160-2 響き渡れ希望の鼓動 イスラ アキラ ピサロ カエル ストレイボウ ▲
https://w.atwiki.jp/gods/pages/97502.html
アナスタシアロマノヴナ(アナスタシア・ロマノヴナ) モスクワ大公の系譜に登場する人物。 関連: ロマンユーリエヴィチザハーリン (ロマン・ユーリエヴィチ・ザハーリン、父) ウリヤナイヴァノヴナ (ウリヤナ・イヴァノヴナ、母) イヴァンヨンセイ (イヴァン4世、夫) イヴァンイヴァノヴィチ(4) (イヴァン・イヴァノヴィチ、息子) フョードルイッセイ (フョードル1世、息子) 別名: アナスタシヤロマノヴナザハーリナ (アナスタシヤ・ロマノヴナ・ザハーリナ)
https://w.atwiki.jp/aquarianagetcg/pages/1157.html
Break Card [[WIZ-DOM]] 2F/2C [[モンスター]]/[[ワーカー]] 3/(3)/3 ≪全てのプレイヤー≫は、[[ダメージ置き場]]に置かれている[[プロジェクトカード]]と同じ名称のカードを 使用宣言することができない。 2:目標の≪ダメージ置き場のカード1枚≫をその[[オーナー]]の手札に戻す。その後、そのオーナーの [[デッキ]]の一番上のカード1枚をそのオーナーのダメージ置き場に置く。 No.1091 Rarity UC Illustrator 石田敦子 Expansion 月光の秘儀 カード考察 ○関連カード 占星術師“アナスタシア・ビフロンス”
https://w.atwiki.jp/gods/pages/113896.html
アナスタシアドトービー(アナスタシア・ド・トービー) ロシア大公の系譜に登場する人物。 関連: ミハイルミハイロヴィチ (ミハイル・ミハイロヴィチ、父) ゾフィーフォンメーレンベルク (ゾフィー・フォン・メーレンベルク、母) ハロルドワーナー (ハロルド・ワーナー、夫) ジョージワーナー (ジョージ・ワーナー、息子) ジョージアナワーナー (ジョージアナ・ワーナー、娘) マイラワーナー (マイラ・ワーナー、娘) 別名: レディジーアワーナー (レディ・ジーア・ワーナー) アナスタシヤミハイロヴナデトルビ (アナスタシヤ・ミハイロヴナ・デ・トルビ) ジーア