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楽園 愛護派、虐待派、駆除派の人間が出てきます。 --------------------24 「ゆっへっへ。まりささまはむれでいちばんつよいんだぜ!」 「・・・」 男は無言の返答を返した。 今日はただ単に森の果物を取りに来たのだが、気付けばこんなことになっていた。 おそらくこのゆっくりまりさも私同様に果物を取りに来たのだろう。 大抵のゆっくりは知らない人間を見かけると警戒し、すぐ逃げ出す。 だが、このまりさは逃げ出さずに私と対峙していた。 若いゆっくりにはありがちなことだ。若さ故に親の言い付けを守れなかったのだろう。 「まりささまをむしするなんていのちしらずだね!」 「・・・」 「まりささまのごはんをとろうとしたばかは、ゆっくりしね!」 といって、無視したことに痺れを切らしたのかまりさは男に渾身の体当たりをしかけた。 男は避けることなくまりさの体当たりを脚に喰らい 「や~ら~れ~た~~」 と、気の抜けるような台詞を吐きながら膝から崩れ落ちた。 ゆっくりまりさは倒れた男の背に乗り、トドメとばかりにひたすら男の背で跳ねた。 「にんげんがまりささまにかとうなんてひゃくねんはやいんだぜ!」 そして、気が済んだのかまりさは果物を取ってから巣に帰っていった。 男はゆっくりまりさが帰ったことを確認するとスッと立ち上がる。 まりさが倒した思っている男は虐待お兄さんだった。 「さて、帰るか」 そう言い残し、帰途についた。 数日後 「ゆっくりしていってね!」 「ちょうちょさん、ゆっくりまってね!」 「おみずぷーかぷーか」 「れいむ、あまりおみずのなかにはいってるとゆっくりできなくなるからゆっくりでてきてね!」 「むーしゃ むーしゃ しあわせ~!」 ゆっくり達の群れは森の中にある小さな広場で思い思いにゆっくりしていた。 と、そこに野菜を頭に載せたまりさ達が戻ってきた。 このまりさ達は群れの中でも聞き分けのない若いゆっくり達だ。 「まりしゃおねーしゃんすごーい!」 「おいしそー!」 「まりさ、そのおやさいどうしたの?」 たまに優しい人間が美味しいものをくれてたので、貰ったものなのだろうか。 でも、いつもは貰えたとしても少量だったのでゆっくり達は驚いていた。 「ゆっへっへ。にんげんたちはばかだから、はたけからとってもきづかなかったんだぜ!」 「ゆゆ! にんげんからぬすんできたの?」 「そんなことをしたらゆっくりできなくなるよおおぉおぉぉぉ!」 人間の強さは知っている。以前群れがれみりゃの集団に襲われたときに助けてくれたのだ。 そして恐ろしいれみりゃの集団をあっという間にやっつけてくれた様を見て、力の差を知ったのだ。 そんなに人間に悪さをしてただで済むわけがない。群れのゆっくり達は恐怖するが 「きにすることはないぜ! まりさたちはにんげんよりもつよいんだぜ! にんげんがしかえしにきてもかえりうちにしてやるぜ!」 数日前に虐待お兄さんと対峙したまりさは、人間を倒せると勘違いし案の定増長していた。 そして取り巻きの若いゆっくり達を連れて、人間の畑から野菜を盗むと言う凶行に走ってしまったのだ。 「なにいってるのおおおぉぉぉ!」 「にんげんはれみりゃもやっつけちゃうんだよ!」 畑から野菜を盗んできたまりさ達は盗みが成功したことにより自分の力を過信しすぎていた。 たしかに群れの若いゆっくりの中では強いゆっくり達だ。 だが、それはあくまで群れのしかも若いゆっくりの中の話だ。 たしかに子供のころ、人間がれみりゃの集団をやっつけていたのは見ていたが それは自分達が子供だったからであり、今なられみりゃの集団も敵ではないとまで勘違いしている。 井の中の蛙という言葉を知らないとは哀れである。 その頃、畑を荒らされた村では話し合いが行われ紛糾していた。 今までもゆっくり達はちょくちょく畑荒らしに来ていたが単体もしくはつがいで来るので 被害はあったものの微々たるものだった。しかし、今回は数が多く被害が大きかったのだ。 今までのことに加え、今回の大きな被害で積もり積もったものが爆発したのか激怒していた。 「ゆっくりはすべて駆除すべきだ!」 畑を荒らされ被害を被った駆除派の人達は今後も被害にあう可能性を考え駆除を訴えた。 「良いゆっくりもいる。すべて駆除はやりすぎだ!」 それに対し、野生のゆっくり達とたまに遊んだりしていた愛護派の人達は擁護を唱えた。 「ならば、今回の被害をどうすればいい? そして今後も被害に遭わない保障はない。 それとも、お前達が被害を被るたびに被害を穴埋めしてくれるのか?」 駆除派の矛先は気付けば愛護派に向いていた。 本来なら怒りの矛先を畑を荒らしたゆっくりに向けるべきだが、生憎とここにはいない。 なので振り上げた拳がゆっくりを擁護する愛護派に向いてしまったのだ。 駆除派は農業を生業にしている人がほとんどだ。 故に元々ゆっくりなぞどうでもいいと思っている。それよりも日々の暮らしが重要だからだ。 だが、実際に被害を被り、また今後も被害を被ることを考えると駆除派になってしまうのも仕方がなかった。 また農業を生業にしている人が多いため、駆除を唱える人が大多数を誇っている。 他のことを生業にしている人のほとんどは、この話し合いを傍観している。 矛先を向けられ窮地に陥ってる愛護派の人達は困り果てていた。 被害の損失補填をしろと言われても生活にそれほどの余裕はない。 しかし、だからといってゆっくりの全滅を黙って見過ごすわけにはいかない。 そんなとき、今まで話し合いを眺めていた虐待お兄さんが助け舟を出した。 「私に良い案がある」 全員に聞こえるような声ではっきりと発言し立ち上がった。 話し合いの場は静かになり、虐待お兄さんの案を聞くことにした。 「つまり駆除派の方たちは被害の穴埋めが出来ればいいのですよね?」 「ああ、暮らしていければ我々は何も文句はない」 その言葉を聞くと虐待お兄さんは微笑み妥協案を提示した。 「ならば、ゆっくり達に被害の穴埋めをしてもらいましょう」 「「「「「・・・・はぁ?」」」」」 突拍子もないことをいきなり言う虐待お兄さんに一同は唖然とする。 ゆっくり達に貨幣経済の概念はない。 そんなゆっくり達にどうやって被害の穴埋めしてもらうのかと騒ぎ始めた。 だが、虐待お兄さんはあることを知っていた。それは加工場の存在である。 駆除派の農家の人達には遠くの町にあり、また実生活とは関係ないためほとんど知られてないが 虐待愛好者の間では有名な存在だ。なにせゆっくりの売買をしているのだから。 「遠く離れた町にゆっくりを買取ってくれる場所があります。 群れのゆっくり達に被害額分のゆっくりを提供するように交渉し さらに今後の被害を出さないために、また被害を出したら同じことになると教えます。 それと群れ以外の野生のゆっくりが畑を荒らした場合も同様に群れに責任を取らせましょう。 もしここで反省の色なく断るようでしたら、そのときは仕方ありません。駆除ということで。 しかし、反省し素直に被害を穴埋めするならば、それ以上は人間は何もしないと教えます」 駆除派の人達はこの案を受け入れた。 この案ならば、ゆっくり達が大人しく受け入れるなら被害額分が手元に戻ってくる。 逆に断られた場合でも駆除の名分が立つ。どちらに転んでも利があるからだ。 「さて、愛護派の人達はこの案は如何でしょうか?」 と言っても、結果など分かっている。 愛護派は対案など出せないだろう。被害の損失を穴埋めしなければ駆除派は納得しないからだ。 ゆっくり達が盗んだ野菜を返しに来る可能性もなくはないが限りなく低い。 そしてこの案を蹴れば、多数決でゆっくり達の駆除が決まってしまうだろう。 唯一、道があるとすれば私財を投げ打ってゆっくり達に代わって被害の穴埋めをすること。 別にそんな選択肢を取っても構わない。畑荒らしに味を占めたゆっくりは、再犯を繰り返すからだ。 すべての逃げ道は塞いである。 話し合いの結果、虐待お兄さんの妥協案が全員賛成を持って受け入れられた。 ゆっくり達に群れに交渉しに行くことになったのは、虐待お兄さんと愛でお姉さんである。 「案を提案したのは自分なので、交渉役も行います」 虐待お兄さんは、案を提案したので自分なのでと交渉役に立候補した。 「私もついていきます」 続いて愛でお姉さんも立候補に名乗り出た。 一瞬、自分が虐待お兄さんであることがバレたのかと思ったが、どうやらばれてはないようだ。 どうやらゆっくり達に不利な交渉にならないようにと監視役も兼ねてのことようだ。 賛成すべきか反対すべきか迷ったが、ゆっくりと仲の良い彼女を利用する算段が付いたので 「1人よりも2人のほうが交渉がしやすいと思いますので 2人で行こうと思いますがどうでしょうか?」 虐待お兄さんは愛でお姉さんも行くことに賛成した。 虐待お兄さんは内心で嘲笑していた。 すでに条件はほとんどクリアされた。 唯一の懸案はゆっくりの出方次第だったが 愛でお姉さんがいれば成功率も上がるだろう。 翌日 虐待お兄さんと愛でお姉さんはゆっくり達の群れと交渉に向かった。 愛でお姉さんは群れの住処が分かっているのか迷うことなく進んでいく。 虐待お兄さんは分からない振りをしてついていく。 この2人がゆっくり達の群れの住処を知った理由は違った。 愛でお姉さんは優しいゆっくりできる人間として群れに招待されたため。 虐待お兄さんは捕まえたゆっくりに苦痛を与え、巣の場所を吐かせたためだ。 もっとも虐待お兄さんは効率よくゆっくりを捕まえるために聞いておいただけだったので 巣の場所を聞いても群れを全て駆除など考えていなかった。楽しみがなくなってはつまらないしな。 2時間ほど歩いたところでゆっくり達の群れについた。 ゆっくり達は異常に怯えていたが別に私に怯えてるわけではないだろう。 私はゆっくりを虐待した後、生かして返したことがないからな。 「ゆっくりしていってね!」 愛でお姉さんが声をかけたことで 「ゆっ ゆっくりしていってね!」 ゆっくり達はおずおずと挨拶を返してきた。 そして群れのリーダーなのか、大きいゆっくりれいむが出てきたと思うと 「むれのゆっくりたちがおねえさんたちのはたけからおやさいをぬすんでごめんなさい」 いきなり謝罪した。 なかなか見所のあるゆっくりだ。 「ごめんなさい。ごめんなさい」 他のゆっくり達もつられて、ひたすら謝っている。 愛でお姉さんはばつが悪そうに項垂れながらそれを眺めている。 大方、必死に謝罪するゆっくり達を見て許してやりたくなったのだろう。 交渉は愛でお姉さんがやると宣言していたので問題が発生するまでは見守ることにした。 そして、10分も過ぎた頃にようやく愛でお姉さんが言いにくそうに話を切り出した。 「あのね、里のみんながね、お野菜を盗られてすごく怒ってるの」 「ゆうぅぅうぅぅ!」 「ごめんなさいいいいぃぃぃいいぃぃ!」 「むきゅうぅぅぅぅうぅうぅ!」 1匹のぱちゅりーが泡を吹いて気絶した。まさか一言めで脱落とは。 「それでね、お野菜を返してくれないかな?」 「まりざだぢがだべぢゃっだあああぁぁぁぁああ!」 愛でお姉さんは私が一番が知りたかったことを聞いてくれた。 そして、私にとって最高の答えをゆっくり達は答えてくれた。 私とは正反対に愛でお姉さんは最後の希望を砕かれ渋々と要求を伝える。 「このままじゃね、みんなはゆっくりできなくなるわ。 だからね、盗みを働いたゆっくり達には人間の所で働いて返して欲しいの。 そうすれば里のみんなは盗んだことを許してあげるって」 「ゆゆ! それでゆるしてくれるの?」 「それならおやすいごようだわ!」 ゆっくり達は、ゆっくりさせてくれないゆっくりを嫌う。 まりさ達は人間から盗んだ戦利品を群れの前で食うことで優越感に浸り さらにまりさの部下になれば美味しい目にあえると見せ付けることで仲間を増やそうと思っていたのだが しばらくすると群れの長と大人のゆっくり達がまりさ達のところに来て袋叩きにした。 虐待お兄さんは群れのゆっくり達がゆっくりできなくしたゆっくり達を差し出すことは予想がついていた。 しかし、分かっているからと言ってストレートに言うことは出来ない。 にもかかわらず愛でお姉さんはオブラートに包みながらもストレートに要求してくれた。 実に素晴らしい。加工場の名を出さずに上手く誘導するとは。 交渉を任せた私の目に間違いはなかった。 にしても、人間の所で働いてねか。上手い言い回しをするものだ。 それが二度と帰ってこれないことなのに。 しばらくして15匹の若いゆっくりたちが体中に傷をつけたまま連れてこられた。 全員ぐったりしている様子で、その中には私を倒したと勘違いしたまりさも含まれていた。 どうやら群れのゆっくり達に折檻されたようで誰も文句を言わずに歩いている。 さすがに顔を見られては不味いので、群れのゆっくり達に何も言わずに まりさを持ってきた袋にいきなり詰め込む。 「ゆゆ?」 前回会ったときは声を出してないので、覚えているとしても顔だけのはずだ。 その顔も眼鏡をかけ髪型は変えて帽子まで被っている。餡子脳とは言え、ごくまれに賢いのもいるので念には念を入れた。 それに袋の中に入れたのでこれでもうこのまりさは、私が以前倒した勘違いした人間とは分からないだろう。 まりさを詰め込んでから、改めてゆっくり達に尋ねる。 「こいつらを持っていけば良いんだよね?」 「ゆっくりおねがいね!」 「わかった」 手早く残りの盗みを働いた若いゆっくり達を袋に入れた。 最初はいきなり袋に入れられたことに騒いでいたが、次第に大人しくなっていった。 この袋は加工場が作ったゆっくり専用の袋で、この袋に入れるとどういう原理か知らないがゆっくりは大人しくなるらしい。 他にも対ゆっくり用の便利グッズを取り揃えているので、よくお世話になっている。 ゆっくり達はこれでゆっくりできると思い笑顔になっていた。 「おねえさん、これでゆっくりできるね!」 一応群れの仲間であるはずのゆっくりが連れて行かれるわけだが 群れのゆっくり達は、誰も気にしていなかった。 まぁ、こんなことをしでかすくらいだから普段の素行も悪かったのだろう。 愛でお姉さんは、まだ言うことがあったので言い淀んでいた。 本題はここからだ。 「あとね、里のみんながね、また悪いことをしたら同じことをするって言ってるの」 「ゆ、おねえさん。もうれいむたちはそんなことをしないからゆっくりしてね!」 愛でお姉さんが落ち込んでることに気付いたのか励まそうとする。 「むきゅ! わるいことをしたらゆっくりできなくなるっていってるのにきかないのがわるいのよ!」 「ゆっくりさせてくれないゆっくりは、もういないからだいじょうぶだよ!」 群れのゆっくり達は悪いことをすればどうなるのか理解しているらしく そんなことしない。安心して。大丈夫など必死に伝えている。 それでも立ち直ることなく愛でお姉さんは落ち込んだまま、話を再開した。 「みんな、ありがとう。みんなは優しいものね。 でもね、里のみんなはこの群れ以外のゆっくりが悪いことをしても、この群れのせいだと思ってしまうの」 「ゆっゆぅぅぅぅぅ!」 「むきゅうううぅぅぅ!」 一部の賢いゆっくり達はこの意味を理解し嘆いた。 群れのゆっくりではないゆっくりが人間の畑を荒らしても その責任を関係ない群れのゆっくり達が取らなければいけないのだ。 「どうずればいいのおおおぉぉぉぉ!」 「おねえざぁぁぁぁあん! まりざだぢをだずげでえええぇぇぇ!」 「う~ん」 周辺にすべてのゆっくりが畑荒らしをやめなければ、この群れのゆっくりに被害が出てしまう。 しかし、すべてのゆっくりに悪いことはしてはいけないと理解させることは現実的ではない。 これといった名案は思い浮かばず、愛でお姉さんも困っていた。 この場所を捨てて新しい場所を探すという考えを持たせぬために すかさず虐待お兄さんは手を差し伸べた。 「なら、こうしたらどうだろう。 畑を荒らしたら君達に被害が出る。でも、逆にいうと荒らさなければ被害が出ない。 だから、君達は人里近くに住んで畑を荒らそうとするゆっくりを捕まえれば良い。なんなら私も手伝おう。 悪いゆっくりが来ない日は今まで通りゆっくり過ごせるし、餌場まで少し遠くなってしまうけど その代わりれみりゃとか野犬とか危険な生物が出たら助けてあげよう。 それに越冬で死んでしまう心配もしなくていい。 冬は他のゆっくりも来れないから、冬の間だけ人間の廃屋を貸してあげよう。 もっとも餌だけは自分で取ってきてくれよ」 「ゆゆ! にんげんのはたけにくるわるいゆっくりをちゅういすればいいの?」 「こわいのがきてもたすけてくれるの?」 「ふゆもきにしなくていいの?」 ゆっくり達が賛成するように、なおかつ人間が楽を出来る範囲内で条件を出していく。 「ゆっくりりかいしたよ! れいむたちははたけのちかくにすむよ!」 「これでゆっくりできるね!」 「あたらしいすをゆっくりつくろうね!」 「お姉さんも手伝うから、みんなでゆっくりしようね!」 「一緒にゆっくりしようね!」 これで条件はすべてクリアされた。 すべてが上手く良き、虐待お兄さんも笑顔だ。 もっとも横で笑ってるゆっくりや愛でお姉さんとは別の意味でだが。 その後、群れのゆっくり達に 人間の家や畑に許可なく入ってはいけないこと。 人間のものを勝手に取ってはいけないこと。 そういう悪いことをしたらお仕置きをすること。 ゆっくりを憎悪する人間もいるので、知らない人には近づかないこと。 など人里近くに住むに当たってのいくつかの注意事項を教えた。 群れのリーダーの教育が良かったせいかゆっくり達は覚えが早かった。 その日の夜、里の人を集めてこれからゆっくり達に畑を守ってもらう旨を伝え 畑番を束ねる人間が必要ということで、私が畑番になった。 そして、私を倒したと勘違いしたまりさ以外は交易商に売り払って 出来たお金は被害に遭った農家に渡しに回った。 まりさだけは大いに私の役に立ってくれたので透明箱に入れて私の家の地下室に招待した。 翌日から群れのゆっくりたち80匹ほどが人里の畑近くに引っ越してきた。 案の定というか愛護派はゆっくりの巣作りを手伝ってあげた。 「すっごくおおきいよ!」 「これなら、ゆっくりできるね!」 さらにまだ必要ないというのに冬に住む廃屋のリフォームにかかってる。 いったいどこの馬鹿親だ?と言いたくなるような可愛がりようだった。 またゆっくりたちの中でも交渉についてきた愛でお姉さんが一番人気があった。 優しいというのもあるだろう。だが、理由はそんなことではない。 「むーしゃ むーしゃ しあわせ~」 「うっめ! めちゃうっめ!」 彼女は致命的に料理が下手だった。 普通の人は野菜の皮を剥くときは綺麗に皮だけを残すように剥く。 だが、彼女は包丁の使い方が下手だったため、そんな器用なことが出来ず 人間が食べる部分を多く残したまま皮を剥くのだ。 また肉や魚料理にしても料理下手を自覚しているのか、ひたすらシンプルに作る。 肉や魚を何の処理もせず焼いて塩をかけただけなど、えっ?と思うような料理を作るのだ。 そんな食材の無駄が多い料理のため、食べれない部分が大量に出てくる。 故に彼女から貰う生ゴミが一番豪華だ。もっともゆっくりにとってはだが。 そして、そんな悲しい理由で彼女はとても好かれていた。 愛護派の人達はゆっくりと遊ぶ時間が増え感謝していた。 なにせ今までは森の奥まで行かなければ会えなかったゆっくりの群れが歩いてすぐのところにいるのだ。 今では暇なときは散歩がてらにゆっくり達と遊べ、ゆっくりできるのだ。 そして、ゆっくり達には知らない人間には近づくなと言ってあるが、私が紹介した人は警戒されることなく近づける。 紹介された愛護派からもゆっくり出来る人連れてきたことでゆっくりからも喜ばれた。 恩は売れるときに売っておくに限る。 元駆除派の農家の人達は畑番が出来たことに感謝していた。 畑番をすることになったゆっくり達の群れは基本的にいつもゆっくりしているが 畑を荒らそうとするゆっくりが来た場合は必死になって畑を守る。 なにせ畑が荒らされた場合、畑番をしているゆっくり達はゆっくりできなくなる。 ゆっくり達はゆっくりできなくなることを何よりも嫌がるからだ。 おかげで畑荒らしの被害は一切なくなった。農家の人達からは大いに喜ばれた。 恩は売れるときに売っておくに限る。 ゆっくりをどうでもいいと思っていた人たちは、やっぱりどうでもよさそうだった。 恩を売れそうになかった。残念である。 カーンと鐘がなったので、ドアを開けるとれいむがいた。 「おにいさん、またわるいゆっくりがきたよ!」 「はいはい」 頭にバッジをつけたれいむが悪いゆっくりが来たことを伝えにきた。 畑番をしているゆっくりには他の野生のゆっくりと見分けるために髪飾りに特製のバッジをつけている。 針と糸を使って付けてあるので、裁縫のできないゆっくりではこのバッジを盗んだところで悪用することは出来ないだろう。 「ゆっくりいそぐよ!」 「ほら、抱えてやるぞ。どっちだ」 ゆっくりの歩行速度に合わせると遅くなるので こういうときだけは仕方なく抱えてやる。 言われた場所に到着するとバッジをつけたゆっくり達に囲まれ 傷だらけになったゆっくりありすがいた。 「ごめんなざあぁぁぁいいぃぃぃ!」 「おまえら、大丈夫か?」 「ゆ! おにいさん、わるいゆっくりはもうまりさたちがやっつけたよ!」 見たところ、酷い怪我をしたゆっくりはいないようだ。 持ってきた袋に悪いゆっくりを入れ褒めてやる。 「そうか、よくやったな。 また何かあったらすぐ呼ぶんだぞ。死んでからでは遅いんだからな」 「ゆっくりりかいしたよ!」 「おにいさん、わるいゆっくりはいなくなったからいっしょにゆっくりしようよ!」 「そうしたのはやまやまだが、こいつにお仕置きをしないといけないからな」 と言って、先ほどのありすが入った袋を掲げてみせる。 ゆっくり達はここを楽園だと思っている。 危険な生物はほとんどおらず、れみりゃや野犬がたまに来たりもするが お兄さんを呼べばすぐに退治したり捕まえたりして助けてくれる。 また怪我をしたり、困ったことがあった場合も助けてくれる。 昔住んでた場所に較べ餌場まで少し遠くなってしまったが たまに人間からお菓子や生ゴミなど、美味しいものを貰えるので気にならない。 気が向いたときに雑草取りなどの人間の手伝いをするととても喜ばれ一緒にゆっくりしてくれる。 また越冬という習慣も残っているが、越冬で死んでいくゆっくりはいなくなった。 なぜならゆっくりが作った巣ではなく人間が作った小屋で冬を過ごせるからだ。 食事もどうしようもないときだけは助けてくれるので餓死するゆっくりもいない。 ただ、たまに悪いゆっくりが来るのが困りものだが、来ない日は気ままに心ゆくまでゆっくりできる。 ああ、ほんとうになんて素晴らしい楽園なんだろう。 虐待お兄さんはここを楽園に作り変えた。 畑番そのものはゆっくりがやってくれる。自分は呼ばれたときだけ行けばいいのだ。 群れのゆっくり達は虐待用のゆっくりを集めるためによく働いてくれる。 ほとんど何もしてないにも関わらず、報酬はしっかりと入る。 ゆっくりへの報酬は愛護派からの施しで十分だろう。 愛護派からは暇なときはすぐに会えてゆっくり達と遊べると喜ばれた。 農家の方からは畑荒らしの被害は一切なくなったので喜ばれた。 自分が働くことなく、また面倒なことをするでもなく ただゆっくりを虐待するためだけの環境を整えただけなのに、人々とゆっくりに感謝される。 今日もゆっくり達は悪いゆっくりを捕まえた。今夜はどんな虐待を試そうか。 ただ、たまに私を愛護派と勘違いされるのだけは笑いを堪えるのに苦労したが。 ああ、ほんとうになんて素晴らしい楽園なんだろう。 「おにいさん、ゆっくりしていってね!」 知らないということは幸せだ。 「ああ、一緒にゆっくりしような」 終わり 利用していることを悟られないように人もゆっくりも利用していく そんな虐待お兄さんの話でした。 by 睡眠不足な人 今までに書いた作品 ドスまりさのお願い(前) ドスまりさのお願い(後) 他にも何作品か書いてますが黒歴史ということで 続きへ このSSに感想を付ける
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「ふたば系ゆっくりいじめ 976 猫とゆっくり/コメントログ」 ぬこは獲物で遊ぶからなw 脂肪分が多いカスタードとか好みそうだ。 一番標的になりそうなのは、生クリームのぱちぇだろうなーw -- 2010-12-01 21 37 32 ぬこはケーキが好きなんだそうだ。脂肪分が多い食い物は効率がいいと 本能で知ってるらしい。だからケーキがあれば魚や肉より先に食べるという (そういう実証実験があった) -- 2012-09-13 13 48 27 このありす親子は不法侵入した野良? その辺が書いてあるともっと楽しめる。 -- 2018-01-05 17 49 25 余談だが、猫はテオブロミン(チョコレートなどに含まれる)を代謝出来ないので、 見た目は猫のちぇん種は一緒に飼ってはダメ。 -- 2018-01-05 18 07 48
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柔道 「姿勢をただし・・・礼ッ!!」 「「「お願いしますッ!!」」」 張り裂けんばかりの掛け声と共に今日も鍛錬がはじまる。 白い道着に包まれたイカツイ男達、彼等はヤワラの道に生きる柔道家である。 日々休む事無く己の肉体と技術、そして心を磨き上げ更なる高みを目指す。 そんな空気を台無しにするよう、やや遅れて気の抜けた声が上がる。 「「「ゆっくりしていってね!!」」」 何事かと玄関を振り向くとそこには1m以上はある、大きなゆっくり達がうごめいていた。 このゆっくり達、その体の大きさにものを言わせ冬ごもり中の群れを襲っては食料を奪い生活していた。 だがそんなことを続けていれば、いずれは周辺からゆっくりが居なくなる。 そうしてあても無く彷徨っていたところ、玄関を開けっ放しにしたこの建物が目に付いたのだ。 「ここはゆっくりできそうだね!! きょうからここを まりさたちのおうちにするよ!!」 人間を目の前にしてのおうち宣言、ふてぶてしいことこの上ない。 だがゆっくりにしては巨体を誇るまりさ達は自身に溢れている。事実、幼い子供や年寄りとは互角に渡り合えるだろう。 それを耳にした館長は重々しく述べる。 「君達は道場破りかね?」 「どーじょう? まりさたちはここで ゆっくりするんだよ、おっさんたちは さっさとどこかいってね!!」 問いかけに対しボスまりさは胸を反らし答える。館長以下門下生達はこれを挑戦と捉えた。 「ふむ。ならばまりさ君、ここは一つ試合で決めようじゃないか」 「しあい? ばかなの? そんなにいたいめにあいたいの?」 「まぁ聞きなさい。君達は強い、だが我々にも意地があってね。お互いが総力戦となると大きな被害が出てしまう。 そうなることは君達にとっても好ましくないと思うんだがどうかね?」 「なにわけわからないこといってるの? まりさたちがまけるわけないでしょ? いいかげんさっさと・・・」 「待って、まりさ!! あの人間の言うことも一理あるわ」 ここでぱちゅりーが口を挟む。そうしてボスまりさの側により、ヒソヒソと耳打ちしはじめた。 「私達が負けるなんてことは万が一にも無いわ。でもここで人間の提案を呑んでやっつけると、人間は私達に恐れをなして服従するわ。 そうすれば美味しいご飯を用意させていつまでもゆっくりすることが出来るわ」 「ゆゆ!! さすがぱちゅりーなんだぜ!! 」 そうして駄々漏れのヒソヒソ話はようやく終わり、改めてボスまりさは館長に向き直った。 「おっさん!! かんだいなまりさたちは しあいをやってやるんだぜ!! わかったらさっさとじゅんびするんだぜ!!」 「そうか、ならばルールを決めよう」 そうしてぱちゅりー立会いのもと、館長とボスまりさの間で以下の取り決めがなされた。 1対1の5試合を行い、ゆっくり側は1勝でもあげることが出来れば勝利とする 降参、あるいは気絶など試合続行が不可とみなされた場合負けとする 人間側は蹴りや突きといった打撃を禁ずる、ゆっくり側は攻撃手段を制限しない 「ゆっへっへ、こんなにゆうりな じょうけんを とらせるなんて、にんげんは ほんとうにばかだね!!」 「違うわ、まりさ。ぱちゅりーが利口すぎるのよ」 ゆっはっはと笑うゆっくり一行、もう既に勝った気でいるらしい。 一見ゆっくりに有利に見えるこのルールだが、その実、人間側に大きな不利はない。 というのも、そもそも柔道には打撃技がほぼ存在しないのだ。 また如何に背中から落とすかを前提に考えられた技では、頭だけしかないゆっくりを判定するのは極めて難しい。 そこで手っ取り早く、反則を取らせず試合不能にしてしまうこの形式を取ったのだ。 「それじゃさっさとおわらせるよ、ここはまりさがでるまでもないから、そっちのまりさがいってきてね!!」 「ゆっくりわかったよ!!」 ボスまりさに指名され、一回り小さなまりさは威勢よく応える。 一方の人間側も選手を選抜する。選ばれたのは100数キロを誇る巨漢であった。 「うす!! 行って来ます!!」 そうして両者赤畳の前で向かい合い、やがて審判の合図とともに中央まで歩みよった。 「はじめぇッ!!」 「おうっす!!」 「ゆっへっへ、ゆっくりしんでいってね!!」 先に仕掛けたのはまりさだった。男の足に向かい、助走をつけ勢いよく飛び掛る。 「ゆっくりもらったぶべべべべべ!!?」 だが渾身の体当たりは半身をずらした男の足払いで軽くいなされてしまった。 それどころか受身も取れず顔面から畳に突っ込んだまりさは、勢いがとまらず2転3転してようやく止まった。 「ゆぐぐぐ・・・な、なかなかやるんだぜ!!」 まりさは体勢を持ち直しながら苦々しく男を睨みつけている。 「ちょと審判!! 今あの人間まりさを蹴ったわよ!! これはルール違反よ!!」 すかさずぱちゅりーが審判に物言いをあげる。だが審判はこともなげに返す。 「今のは足払いと言って蹴りではありません。足の甲や脛ではなく、あくまでも足の裏面で相手を掬い上げる技です」 こうもきっぱりと言い返されては、ぱちゅりーはただむきゅきゅと唸るしかなかった。 「つぎこそはきめてやるんだぜ!! ゆりゃあぁっぺぺぺぺぺ!!!??」 またもパスンと決まる足払い、まりさはビデオの再生のようにまたも畳に突っ伏した。 「ゆぎぎぎぎ・・・もうやだ!! おうちかえる!!」 そう言うとまりさはその場にへたり込んでしまった。事実上の降参であるが、ゆっくり側は頑としてそれを認めない。 「まりさは参ったと言ってないわ、あれは隙を伺っているだけよ!!」 とは言えいつまでもこうして居る訳にはいかない。そこで男はまりさに詰め寄った。 「ゆふん!! とびかからなければなにもできないんだぜ? おじいはさっさとかしこいまりさにこうさんするんだぜ!!」 涙目になりながらも悪態をつくまりさ。 それを見て男は足の指で器用にまりさの帽子を摘み上げると、無言でそれを踏み潰した。 「ゆぎゃああああ!!? なにしてるのおおおおお!!!??」 男は帽子を足蹴にしたまま、ずーりずーりと摺り足でうろつきはじめた。 「まりさのぼうじざんいじめるなあああああっべべべべえぇぇぇ!!!??」 たまらず飛び掛るまりさ、だが空いている足で難なく払い飛ばされる。 そして、そうしている間にも軸足の下ではざりざりと帽子が嫌な音を立てている。 「やべろ!! いまずぐやべろおおおおおお!!!」 帽子の悲鳴を耳にし、またも飛び掛るまりさ。冷静さを失ったまりさに、もはや勝負は付いていた。 「ゆっぐぐぐ・・・ごべんなざい・・・もう、ゆるじでぐだざい・・・」 その後、ゆうに数十回は畳を舐めさせられたまりさは、顔が擦れ上がり真っ赤なミミズ腫れに覆われていた。 「まりさ、試合放棄とみなし勝負あり!!」 審判が声高に告げる。人間達の拍手とゆっくり達の侮蔑に包まれながら、まりさは悔しさのあまり涙した。 「にんげんさんヒグッ、はやぐヒグッ、ばりざのエグッ、おぼうじヒグッ、がえじでぐざい・・・」 嗚咽交じりに力なく請うまりさ、男はそこでようやく忘れていた帽子から足を退ける。 「あ」 「ゆっぎゃああああああああああああ!!!!!!」 そこにあったのは帽子だった何かだった。 巨漢の男の足裏と畳表にすりすりされ続けたそれからは、かつての面影は見受けられなかった。 ツバだけが残されたそれは、さしずめ薄汚れたシャンプーハットだった。 「ばりざ、ぢゃんど、まいっだっ、じだの、にぃ!!!」 限界を越えたまりさの目からはボロボロと大粒の涙が零れ落ちた。 そうしてまりさは、すまなそうな男の視線と審判に促され、ゆっくりの陣営へと戻りついた。 「ゆっぐり、がえっで、ぎだよ・・・」 精一杯告げるまりさ。そんなまりさを待ち構えていたのは想像も付かない言葉であった。 「え? きたないごみはさっさときえてね」 「ゆ・・・?」 一瞬なにを言われたか解からなかった。思わず涙も止まるまりさに更なる追い討ちが掛けられる。 「そんなきたないぼうしをかぶってるなんていなかものね」 「けがらわしいんだねー、わかるよー」 口々に浴びせられる暴言、その一言一言は傷付いた体を内から、更に抉り取っていく。 そうしてまりさは力なく道場の隅へ向かうと、壁に向かってブツブツと呟きはじめてしまった。 「それじゃあつぎはだれがいくんだぜ?」 「ふふふ、ここはとかいはなありすにおまかせよ!!」 そう言って前に出てきたのはありすであった。 「むきゅ!! ありす、人間は疲れているわ、これはチャンスよ!!」 先程の試合のせいか、巨漢の男は汗をダラダラと流し体からもうもうと湯気を立てている。 だがその実は息も切れておらず、ようやく体が温まってきたというところなのだが。 「あらあら、だらしないのね。 そんなのじゃ、いなかものですっていってるようなものよ?」 もう勝った気でいるのか、ありすはニヤニヤと余裕の笑みを浮かべている。 「それでは両者前に出て・・・はじめ!!」 「しになさい!!」 先に仕掛けたのはありすであった。審判の掛け声と共にありすは勢いよく跳躍する。 男がそれをこともなげにいなすと、先程のまりさ同様ありすは顔から畳に飛び込んだ。 「うびぃっ!!? ゆぐぐぐぐ・・・」 ピクピクと震えながら痛みに耐えるありす。ようやくの思いで顔を上げると、その瞬間ありすの体は宙を舞った。 「ゆわぁ、おそらをとんでんへいぃぃぃ!!!??」 一瞬の浮遊感を味わった直後、ありすは脳天から杭打ちのように畳に突き刺さっていた。 一体何があったのか、男の視線から追って見てみよう。 「しになさい!!」 そう言って仕掛けてきたありすをいなすと、畳に突っ伏しているその背後にしゃがみこむ。 そして、ありすが身を起こした瞬間に両頬を掴んで一気に膝のバネで飛び上がった。 背筋を曲げず相手に密着して固定し、また起き上がりの勢いを利用することで力を要することなく相手を持ち上げる。 そうして最高点まで達すると、後は地面まで一直線・・・男の得意技、裏投げである。 結果、ありすはお決まりの台詞を最後まで言い切る事無く舌を噛み、あまつさえ頭のカチューシャはぱっかり2つに割れている。 対し男は投げの最中に素早く身をよじり、着地と共にすぐ動ける体制に入っていた。 「いぢゃああああ!!!!! ありふのひだだだあああああんお!!!??」 わんわんと鳴き声をあげるありす、だが男の追撃がそれを許さない。 男はありすの底面から背中へ両腕をまわし平面を力いっぱい握りこんだ。 そうして腋を締め、胸で圧迫しながらギリギリと固めこんだのだ。 太い指がズブズブと食い込み、柔らかな肌は畳と道着の荒い抱擁でざりざりと磨り減っていく。 「あ、が、が・・・・・んあっ!!?」 突如としてありすの口内を塩気が覆う。 何事かと目を凝らすと、視線の先には滝のように流れる男の汗があった。 「ふぅ・・・ふぅ・・・」 「あがががががががががが!!!!!??」 べっとりとした男の汗が次々とありすの体に染みこんでいく。 口は圧迫され閉じることが出来ず、まともに声を出すことも出来ない。 ありすは長い長い時間をかけて、ゆっくりと塩漬けにされていった。 「ありす、試合続行不可能とみなし勝負あり!!」 10分も経過したところでようやくありすは解放された。 そこにはただ涙を流し、白目を剥いて、全身に真っ白な塩の結晶を噴かせた饅頭の姿があった。 「しょっぱいしあいだったね」 「きたいはずれもいいとこなんだぜ」 「疲れている人間にも勝てないなんて、ありすはとんだ田舎物ね」 またも浴びせられる罵詈雑言。だがありすは答えない。 「ありふ、もうりゃめぇ・・・おひおが、ひゅっひゅひひゃうのぉ・・・」 塩分に毒されたカスタードは、既にありすを遠いところへと連れ去っていた。 ゆっくり達は汚れ物を摘むように髪の先を咥えてズルズルと引きずっていく。 ありすは体が擦れる度にビクビクと跳ね上がっている。 そして隅まで運ばれ壁に叩き付けられたところで、んほぉっと一声あげて動かなくなってしまった。 「まったくふがいないやつらなんだぜ・・・つぎはだれがいくんだぜ?」 「ゆゆ!! つぎはれいむのばんだよ!!」 ぽいんと跳ね出たのはれいむ、胸を反らしゆっへんと威張っている。 「でもしあいのまえにれいむのおはなしをきいてね!! そのにんげんさんはおおきすぎるよ!! じじいたちはそんなひきょうなことばかりして、ばかなの? しぬの? わかったらさっさとちっこいのとこうかんしてね!!」 この一声にゆっくりの群れはゆーゆーと沸き立つ。 「さすがれいむなんだぜ!! ひきょうなじじいはゆっくりしね!!」 「わかるよー、にんげんはひきょうなんだねー!!」 「むきゅん!! か、賢いぱちぇと同じ考えをしているなんて、れいむもなかなかね!!」 こうして沸き立つゆーいんぐを収めようと、館長がれいむに語りかける。 「ふむ・・・確かに体格差があるのは卑怯かもしれんな。ならばれいむ君、君が自由に相手を決めるといい」 「ゆっふっふ・・・はじめからすなおにすればいいんだよ!! それじゃそっちのちっこいじじい、とろとろしないでさっさとしてね!!」 指定された男はニヤリと笑うと赤畳に向かった。この選択が間違いであったことをれいむはまだ知らない。 「それでは・・・はじめぇっ!!」 「ゆっふっふ、ゆっくりしないでいくよ!!」 「ほう、なかなか気が合うじゃねぇか。俺もゆっくりしてるのは・・・苦手でね!!」 言うや否や男は物凄い速さで動き始めた。対峙しているれいむには文字通り消えているように映るだろう。 「ゆっがああああああああ!!!!??」 きめぇ丸も驚きの速さ、ゆっくりが生理的に受け付けないその動きにれいむは思わず気絶しそうになる。 柔道の軽量級と重量級ではまったく別物と言っていい程に違いがある。 がっつりと組合う重量級に対し、軽量級はその身軽さを生かした素早い組み手争いが武器となる。 常に動き続け攻め続ける試合運びはコマネズミのようでもある。 だがその実、トリッキーな動きに反しその技は全てにおいて必殺の威力を秘めている。 ゆっくりにとってある種最悪な相手である。そして軽量級にはもう1つ大きな特徴があった。 「ゆ・・ぎ・・もう・・だめ・・ゆびゃあっ!!!??」 スパァっと乾いた音が響き、意識を手放そうとしたれいむを激痛が襲う。 「おいおい、いくら何でも早すぎだろう? せっかくなんだから楽しんで行けよ・・・な!!」 「ゆべべぶばべびぼばばばぁべぶぅ!!!!!!」 そうして繰り出される蹴りのラッシュ、パァンと音がするたびれいむの顔が大きく歪む。 「ちょっと審判!? あれは反則行為じゃないの!!?」 「あぁん? どう見たって足払いだろうが!! 素人が一々つまんねーことで水挿すんじゃねぇ!! てめぇが相手してくれんのか!!?」 審判よりも早く返事をする男、その切り刻むような視線に晒され、ぱちゅりーは押し黙り震えるしかなかった。 事実、男は足の側面や内踝を用いた打撃に要点を置いたものを数発に一度織り込んでいた。 しかし、これは素早く手数の多いこの試合に置いて見咎めることが難しく、ましてゆっくりには捉えられない速度であった。 「もうやだ!! おうちかえぶぅぅぅぅ!!!??」 降参を告げようとするれいむの口に男の足が刺さる。 れいむはこの時になって、ようやく男の目に宿る狂喜に気付いたのだ。 「ごめんごめん、よく聞こえなかったよ・・・ねぇ!!?」 「うがっっっぴぷ!!!??」 ズボっと引き出された男の足先には真っ赤に震える雫のようなものが摘まれていた。 のどを抉られ、れいむは降参を告げることが出来なくしまった。 軽量級のもう一つの特徴、それは非情にドSが多いことである。 重量級は比較的温厚な者が多いのに対し、軽量級は攻撃的な者が多い。 これは柔道に限らず一般的に言えることなのだが、体の小さな者は舐められないようにと強気になることが多い。 スポーツや格闘技に順ずる場合、闘争心と相成ってそれが如実に現れる。 この男も類沿わぬドSっぷりであった。それもこの道場で一、二を争う程のだ。 そうして男はのどちんこを無理矢理れいむの口に突っ込み、頬を払い嚥下させた。 ゆえゆえと必死に戻そうとするれいむ。その揉み上げを引っ掴むと、それを両足で挟み込み腕ひしぎのように絞り上げ始めた。 「ういいいいいいいい!!!??」 あまりの激痛に涙をダクダクと流しながら必死に声を上げようとするれいむ。 だが言葉は出てこず、残された揉み上げでテシテシと畳を打ちギブアップの意を告げようとする。 男はこれを見て意外な行動に出た。 「なぁお前ら。お前えらのれいむは強いな!!」 「ゆ、ゆゆ!?? そうだよ、れいむはとってもつよいんだよ!!」 「そうかそうか、なられいむが降参するはずなんてないよな!!」 「あたりまえだよ!! そんなこともわからないなんて、にんげんはかわいそうだね!!」 「だ、そうなんで試合は続行ということで」 「!!!!!!!!」 止めに入ろうか迷っていた審判を制し、男は腕の力を強めていく。 れいむは、まさかの仲間の言葉に声にならない悲鳴をあげる。そうしてその悲鳴は本当のものとなる。 ブチブチッ 「んあああああああああ!!!!!」 髪の束が鈍い音をついにれいむの皮膚を離れたのだ。 鈍さの中にも鋭さを孕んだ、何とも言えない独特の激痛がれいむを襲う。 その威力は凄まじく、潰れた喉から精一杯の嗚咽が流れ出る。 「いやー、ギブアップしないなんて強いねれいむ!! 俺、びっくりしちゃったよ!!」 またもぎゅうぎゅうと揉み上げを口に詰めながら男が告げる。 そうして男はもう一方の揉み上げに手を伸ばし 「んんんんんん!!! んんんんんんんんんんんんん!!!!!」 たところで、激しくいやいやをするように体を揺するれいむに遮られた。 「流石に2本とも失くすのは心苦しいかい?」 「んー!! んーー!!」 男の言葉に必死に頷くれいむ。額を擦りつけまるで土下座のようである。 「じゃあ・・・耐えてみせろよ!!」 次の瞬間、れいむの体は畳を跳ねていた。 男が揉み上げを両手で掴み、勢いよく引いたのだ。 「んいっ!!? んおっ!!? んむっ!!?」 ぼいんぼいんと全身を打ちつけながら鞠のように弾むれいむ。 これは引き出しと言って相手の上体を引き込み、姿勢を崩す技の応用である。 中腰の姿勢で腋を絞り、両腕で相手の道着を固定し勢いよく引き込む。 そうして体勢の崩れた相手に止めとなる技を放つのだ。 だが今のれいむには牽制技のこれでさえも必殺の威力となって襲い掛かる。 声というより最早音となったそれをあげながら転がるれいむ。 それもやがてしなくなり、しばらくするころには黒い筋が畳に残されるようになった。 そこでようやく審判の声がかかり、試合は決着を迎えた。 「まったくれいむはくちだけだったんだぜ」 「ほんとうにつかえないわね」 「やっぱりれいむは馬鹿でダメね」 口々に好き勝手のべるゆっくり達、その中心にドシャリと音を立てあるものが放り込まれた。 「「「ゆ、ゆわああああああああ!!!??」」」 それは顔面の皮膚半分が削り取られたれいむであった。うつろな目で宙を見ながらヒューヒューと空気を漏らしている。 「なんなら道場片してる間に纏めて相手してやろうか? 俺はいつでもオーケーだぜ」 語尾にハートを付けながら男が言う。その手はべったりと黒く染まっている。 「や、やめておくんだぜ!! そんなことしたらにんげんさんがかわいそうなんだぜ!!」 「へぇ〜、優しいんだね!! それじゃあグダグダ言ってねぇで黙ってろや、カスが・・・」 「「「!!!!!!!!!!」」」 男の一声で群れは縮み上がり、皆一様にピタリと口を紡いだ。 「いやー、すいませんね!! 手間かけさせちゃって!!」 15分後、ようやく綺麗になった畳の淵で男が言う。 リラックスした男に対し、まりさ達は戦々恐々だ。 「それじゃあつぎは・・・」 「ちぇんよ!! あの素早さに対抗できるのは群一番素早いちぇんだけよ!!」 「あにゃ!!!?? わからない!!! わからないよおおおおお!!!!!」 逃げようとするちぇんを押さえつけ、ずりずりと押しやるまりさ達。 とうのちぇんは試合前からボロボロと泣き崩れている。 「それでは・・・はじめぇっ!!」 「おんしゃーす」 「あにゃああああああ!!!」 パニックに陥ったちぇんは出鱈目に飛び回る。 それが偶然にも足元に入り、男はバランスを崩し尻餅をついた。 「とっととと・・・やるじゃねぇか」 「いける!! きいてるよちぇーん!!」 「あにゃにゃ!!? うにゃあああああ!!!」 仲間の声援で我に帰ったちぇんは、チャンスとばかりに踊りかかる。 だがそれは、無残にも顔面に突き刺さった男の膝により崩れ去った。 「わがらないいいい!!! わがらないよおおおぉぉぉ!!!」 顔を畳に擦り付けながら、ピコピコと激しくしっぽを振るう。 今ので折れ飛んだのか、辺りには白い破片が散っている。 「おーっとここで寝技チャーンス!!」 「にゃにゃ!!?」 男は叫ぶと両足でバックリと挟み込む。 「あにゃあああ!!? くしゃい!! くしゃいよおおおお!!!??」 顔面が丁度男の股座に押し付けられる。激しい運動で男はビショビショの蒸れ蒸れである。 蟹挟みの要領でギチギチと締め付ける。本来ならば太ももで相手の頚動脈を圧迫するのだが、ゆっくりに首は無い。 そこで、変わりに男は両膝をコメカミの部分に当ててグリグリと抉りこんでいく。 「おにょにょにょにょにょにょ!!!!!??」 腰を揺すり下半身全身で攻め上げる。そしてこの動きは思わぬ効果を発揮する。 ブボボ、モワッ・・・ 「おうふ・・・」 「あにゃ・・・・・!!!!!」 腰の動きに刺激され、腸の運動も活発になったのだ。 立ち込める臭気に白目を剥いて痙攣するちぇん、今にも死なんばかりの形相である。 「いかん!! どっせい!!」 慌てて男は足を外すと、両足をそろえて顔面に叩き込む。ちぇんは奇しくも死の直前でこちらへ帰ってくることが出来た。 審判には「払いのけです」と苦しい言い訳をし、どうにか注意を貰うだけで事なきを得た。 「あんまり早いとつまらんだろ? ゆっくりしていってね!!」 男は未だ意識の朦朧とするちぇんのしっぽを掴むと、気合一発投げはなった。 「やあっ!!!」 「にゃがっ!!!??」 ビターンと派手な音を立てて畳とキスをする。ちぇんの体は衝撃の余り平たく伸びている。 「どうよ俺の一本、いや二本背負いと言ったところか?」 ネジネジと2本の尻尾を弄びながら男が訪ねる。 「わから、ない・・・わか、らない、よ・・・」 「そうか、そりゃ残念だ。なら解かるまでたっぷり味わってくれや」 必死の返答にも素っ気無く、男はまたも腰を落とし構えを取る。 「まって!!わかる!!わかもとっ!!?」 言葉の途中でしこたま顔を打ち付け、受身もとれずプルプルと伸びた体で震える。 「はいはい、どんどんいくよー」 「まttぷぷっ!!? おねがいしまっぷ!!! まそっぷ!!」 ビッタンビッタンと餅つきのようにリズミカルに投げ続ける。 ちぇんは降参を告げきることが出来ず、この無限ループから抜け出せなくなってしまった。 「はぁー、流石に疲れたわ・・・」 10分もすると、もはやちぇんはゆっくりではなくなっていた。 平たく伸びきった体は数倍にまで広がり、さしずめマンタのようになっている。 男はそれをくるくると巻くと、2本のしっぽで止めて巻物のように仕上げてしまった。 「わ・・・わから・・ない・・・よ・・・」 「ちぇん試合続行不可能とみなし、勝負あり!!」 勝敗はついた。だが今までのように罵るゆっくりはいない。 いくら餡子脳でもようやく自体が不味い方向に向かっていること、次は我が身かもしれないことを理解していたのだ。 「次が最後な訳だが、もちろん最後はお前だろ? まりささんよ」 丸めたちぇんを突きつけられてボスまりさは真っ青になって震えている。 ぐりぐりと突っつかれて真一文字だった口を緩める。そこでまりさは最後の手段に出た。 「みんな!! みんなでかかれば にんげんなんていちころだよ!! ゆっくりしねえぇぇ!!!」 「「「ゆっくりしねえぇぇ!!!」」」 「うわったったっと!!?」 突如として襲い来る饅頭雪崩に男は飲み込まれる。 まりさは勝利を確信し、そのこころには淡い希望がともった。 だがしかし 「「「うらぁっ!!!」」」 「「「ゆびいいぃぃぃぃ!!!??」」」 屈強な男達が次々に押し寄せ、まりさ達は四方八方に吹っ飛ばされた。 「なにずるのおおぉぉぉぉ!!!?? いっぱいくるなんでひぎょうでじょおおお!!!!!??」 「いやいや、先に仕掛けてきたのそっちだろ?」 「 こちとら約束を守らん奴に容赦するほど甘くないし優しくもないんでね」 「まぁそんなわけでだ・・・」 「「「ゆっくりしていってね!!」」」 「「「いやあああああぁぁぁぁぁぁ・・・・・」」」 「で、反省したか?」 「「「ゆっぐりずびばぜんでじだっ!!!」」」 道場にはボロボロになった饅頭が整列し、深々と頭を下げていた。 対しイカツイ男達は腕を組み何やら話し込んでいる。 「しかしお前達これからどうするんだ? よもやまた人間を襲う気か?」 「もうぞんなごどじまぜんんんん!!! はんぜいじまじだあああ!!!」 「とは言え、そうするとお前達野垂れ死ぬぞ?」 「やでずうううう!!! じにだくなあああああい!!!」 館長はふぅと一息つくと、意を決したようにまりさ達に言い放つ。 「なら冬の間はここに居なさい。食事も多少は用意するし、寒さも凌げるだろう」 「ゆゆゆ!!!??」 思いも寄らぬ館長の提案に目を丸く見張って驚くゆっくり達。 「ただし!! お前達のその曲がった根性を叩き直してやるから、覚悟しておくことだな」 「あ、あ、ありがとうございまずううううう!!!!!」 「れいむ、よがっだねええええぇぇぇ!!!」 「おにいざんだちがじんのどがいがでずうううう!!!」 涙を流し、全身全霊で喜びを現すゆっくり達。館長は優しく微笑み、そして手を叩いた。 「おーい、準備できてるかー?」 「うっす!! いつでもいけます!!」 パンパンと手拍子に呼ばれて坊主の男達が手を光らせやってくる。その手には鋭い剃刀がそれぞれ握られていた。 「ゆ・・・おにいさん、それ、どうする、の?」 「ああ、これで髪を剃るんだよ。髪が長いと練習中に巻き込んだりして大変だからね」 「ほーれ動くと危ないからな、大人しくしてろよ」 「や・・・やめ・・・おうち、かえゆから・・・ゆるし・・・」 「はっはっは!!遠慮するなって!! それじゃあいくぞー」 「「「ゆあああああああああああああ!!!!!???」」」 春はまだ遠い。 終わり 柔道知識はにわかです、色々変でも目を瞑ってくださると幸いです ムクドリの人
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「ゆっくり記念日」(後編) (前編) (7月22日 作者により一部改訂) (12月1日 作者により一部改訂) 「そぉい!!!」 ベシャアァ!!! 僕が腕を大きく振り下ろすと、床には円形の餡子の跡が残った。 皮が裂かれて飛び散ったのか、ところどころ肌色の塵が混ざっている。 残り11匹となったゆっくり一家は最初ぽかーんとしていたが、徐々に状況を把握し始めた。 「ま、まりざのあがぢゃんがああああああああああぁああぁぁ!!!!!」 「ありずの゛!!ありずの゛がわいいあがぢゃんがああああああああぁぁぁぁぁ!!」 2つの箱が仲良く震えている。いい響きだ。 残り9匹の赤ちゃんゆっくりも、その目に焼き付いた光景に怯えきっていた。 「どぼじで!!どぼじでまりじゃを!!」「あっぢいっで!!おにーざんはゆっぐりぎえでね゛!」 「いぎゃああああああぁぁぁぁ!!!」「まりじゃがじんじゃっだあああああぁぁぁぁ!!!」 「でもしょうがないじゃん。君達ゆっくりしたかったんでしょ? その代わりにまりさがゆっくりできなくなったの。だからこれは君達のせいだよ!!」 「ゆ…!?なにいってるの!!へんなこというとおこっちゃうよ!!」 「君達9人は、多数決で“自分達だけゆっくりする”って決めたでしょ? だからあのまりさはゆっくり出来なくなっちゃったの!かわいそうだよねぇ…しくしく♪ まりさも一緒にゆっくりしたかっただろうに、“君達が決めた”せいでゆっくりできなくなっちゃった!!」 「ゆぐっ!!ゆわあああああ゛あ゛あ゛あ゛あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」 さも残念そうに、僕は餡子の爆心地を見下ろしながら言う。 赤ちゃん9匹は最初、自分のしたことの重大さに気づいて発狂したような声を上げていたが… 次第に沈黙を取り戻し、相変わらず何か言いたげだが…無言のままお互いを見つめ合っている。 「さーて、次はどの子がゆっくりできなくなるのかなぁ…この子にしよう!」 適当に赤ちゃんありすをつまみ上げフォークに突き刺す。もちろん死なない程度に、だ。 「ゆぎゃああああああぁぁぁぁ!!いだいいだいいだい!!ぬいでおおおおおおおぉぉぉぉ!!!」 用意したカセットコンロに火をつけて、フォークに刺さった赤ちゃんありすを火あぶりにしていく。 「ゆんぎゅああああああぁぁぁおおおあお!!!!あづぐでゆっぐりでぎゅないいいぃぃぃぃ!!!」 「ふふふ、ゆっくり焦げてね!ありすたちがお兄さんの家を荒らすからいけないんだよ!」 「なんでえええぇぇぇぇ!!!ごごはありしゅたぢのおうdいだあああああづいいいいいぃぃぃぃ!!!」 不適切な発言があったので、もっと炎に近づけてやった。 おっといけない。あんまり炎に近づけると餡子まで焦げて、不味くなっちゃうね。 丁寧に丁寧に、餡子が焦げないように、皮がパリパリになるように焼いていく。 「おねがい!!がわいい゛あがちゃんをおろじであげで!!やぐのやめでね゛!!」 箱の中から汗や涙など数種類の体液をばら撒きながら、まりさとありすが懇願してきた。 それを聞いて、僕は一旦赤ちゃんありすを焼くのを止めて、フォークに刺さったまま床に押し付けた。 「ゆべっ!!」 「じゃあこれからお兄さんが出す問題に答えてね!答えられたら焼くのを止めてあげるよ!」 「ゆ…わかったよ!ありすといっしょにかんがえれば、どんなもんだいでもこたえられるよ!!」 「そうだよ!!とかいはのありすはものしりだから、かんたんにこたえちゃうよ!!」 「「だからさっさともんだいをだしてね!!」」 その自信がどこから出てくるのか、頭を切り開いて探してみたい。 ま、それは機会があったらと言うことで。 「では問題です。『3+3-す=?』はなーんだ?ゆっくり考えてね!」 僕は再び赤ちゃんありすを火あぶりにし始めた。 「ゆ!!ゆっくりしないでかんがえるよ!!えーと!さん+さん…」 「ありすもかんがえるからね!!サン+サンが…」 両親がない頭を必死に使って考えている間に、赤ちゃんありすの接地面が焼き終わった。 次は背中だ。背中、頭頂部、左右、最後に顔面を焼くのが美味しい焼き方なのだと教わったことがある。 当時はまだこのゆっくりたちを愛していたから、焼くなど恐ろしくてできなかったが、今は… 「ゆぎゃあああああぁぁぁぁぁ!!!もうやべで!!ありずじんじゃうううううぅぅぅぅ!!!!」 この悲鳴を聞くたびに、胸がキュンってなるから不思議だ。 特に、火に近づけた瞬間の声がたまらない。僕は一旦、赤ちゃんありすを火から遠ざけた。 「ゆ?たしゅけてくれるの?」 「さて、お母さん達が考えてる間に、ありすもお勉強しようか…質問です。ここは誰のおうち?」 「ゆ!!ここはありしゅたちのおうちだyうぎゅええええああ゛あ゛おあおあ゛お゛あおあおあお!!」 不正解だったのでペナルティを与える。いい具合に焼けているので、香ばしい匂いが漂ってきた。 こうして正解するまで焼き続ければ、賢い赤ちゃんになる頃には全身丸焦げになっているだろう。 「もう一回聞くね!ここは誰のおうち?」 「ゆぎゃあああああああ!!!ごごば!!!ありじゅのうんげtrがえおうろあおああああ!!!」 「もう一回聞くね!ここは誰のおうち?」 「どうぢで!?ごごはありじゅのおうぢなあtgじゃじgじおあえじgじおあいじじょr!!!!」 「もう一回聞くね!ここは誰のおうち?」 「うわああぁぁぁぁぁぁ!!!ごごはありじゅだちのおうぢおあえじおrgじおあえじおgじお!!!」 この悲鳴があれば、同じ質問を何回しても退屈しない。 赤ちゃんありすの目に浮かぶ涙は、流れ出る前にジュウっと蒸発する。 何十回同じ質問をしただろうか…赤ちゃんありすはやっと正答してくれた。 「もう一回聞くね!ここは誰のおうち?」 「ゆぶっ…ごごは!…おにーしゃんのっ!…おうちでずううぅぅぅ…」 「はい正解です!!ご褒美に顔面を焼いてあげるね!」 そう言って、顔面から炎に突っ込んでやる。 赤ちゃんありすはもう声も出せず、代わりに両親ゆっくりの悲鳴が聞こえてきた。 「ゆぎゃあああああああぁぁぁ!!!おにーざんそれいじょうやめでえええええぇぇっぇ!!」 「さっきの問題の答えはわかった?」 「わがらないよおおおおぉぉぉ!!!ぞんなのいいがらあがぢゃんやがないでえ゛え゛え゛!!!」 「それじゃダメだな。赤ちゃんは助けられないね!」 そのまま赤ちゃんありすの顔面を焼き続ける。そして… 「えびゅえあおあおあいりいりいいいいい!!!ゆっぐりぢだがっだおおおおぉぉぉ……!!!」 赤ちゃんありすは、ぴくりとも動かなくなった。“ゆっくりの丸焼き”の完成である。 「上手に焼けましたー♪」 「あがぢゃんがあああああぁぁぁぁぁぁ!!!!」 「ありしゅのおねーたんがあああああぁぁあ゛ぁぁ!!!」 「まりしゃのいもうどがどうじでええええ゛え゛え゛ぇぇぇぇぇ!!!」 一家の悲鳴をBGMに、僕はご機嫌な口笛を吹きながらゆっくりの丸焼きを包丁で真っ二つにする。 それをひとつずつ、親ゆっくりが収まっている箱の穴から中に入れてやった。 「ほれ、お腹すいただろう。食べていいよ!」 「ゆぎゃあああぁぁぁ!!いらない゛!!!あがぢゃんはだべないよ゛!!!」 「とがいははじぶんのごどもはだべないんだよ!!ゆっぐりごごがらだじで!!」 丸焼けになった子供には見向きもせず、僕に訴えかけてくる。 まだ理解できていないようなので、僕は身の程を教えてやることにした。 もちろん、赤ちゃんゆっくりには聞こえないように…である。 「それを食べないと他の赤ちゃんを殺すよ。それとももっと食べたいの?くいしんぼさん♪」 「ゆっ!このこだけたべるからね!!ゆっくりたべるから、ほかのあかちゃんはやかないでね!!」 まりさとありすは、目に涙を浮かべながら赤ちゃんの丸焼きを食べ始めた。 それを見て周りの赤ちゃんが何も言わないわけがない。 「どうじで!!どうじでおがーじゃんがおねーじゃんをだべるの!!ゆっぐりやめで!!」 「ひどいよ゛!!だべじゃうなんでひどいよ゛!!」 「ゆぐっ…ごめんね……あのよでゆっくりしてね…!!」 必死に“元”赤ちゃんを飲み込もうとするまりさとありすに、赤ちゃん達の声は届いていない。 あの世へと旅立った自分の子供に、繰り返し謝りながら飲み込んでいく。 精神的には自分の赤ちゃんなど食べても美味しくないのだろうが、僕が料理上手だったおかげで 身体はすんなりと焼き饅頭を受け入れている。 「ゆ゛っ!たべおわっだよ゛!!もうひどいごどじないでね゛!!」 「ゆっぐりごごがらだじでね゛!!あがぢゃんどゆっぐりざぜでね゛!!」 食べ終えた両親は、涙目で僕に訴えてくる。 最後の準備もあるので、一旦まりさとありすを箱の外に出してやった。 途端に赤ちゃん達へと駆け寄っていくのだが…赤ちゃん達はそんなまりさとありすから離れるように後ずさりした。 「ゆ!?どうしたの!?おかーさんたちたすかったよ!!」 「もうこわくないよ!!いっしょにゆっくりしようね!!」 そう呼びかけても、赤ちゃん達は逃げていくばかり。 理由?そんなの聞くまでもないだろう。 「こどもをだべるおがーさんどはゆっぐりでぎないよ!!ゆっぐりどっかいってね!!」 「もうおがーざんはおがーざんじゃないよ!!ゆっくりしんでね!!」 「どうじで!!どうじでぞんなごどいうの゛ぉ!!おがーじゃんがだじげであげだのに゛いぃ!!!」 「ひどいよ゛!!がんばっでだずげであげだんだよ゛!!??」 両親にしてみれば、他の子を助けるために既に死んでいた子を食しただけなのだが… それを見ていた赤ちゃんの目には、自分の子供を食べる酷い親という風に映ったのだろう。 僕はそんな親子のやり取りを聞きながら、最後の準備を終えた。 床に置かれているのは、空っぽの水槽と大きなバケツ。 バケツのほうには溢れんばかりの水が入れてある。 「さぁ、悪いお母さん達は放っておいて、こっちでゆっくりしようね!!」 パンパンと手を叩いて8匹の赤ちゃんゆっくりを呼び寄せる。 『ゆっくり』という言葉に誘われた赤ちゃんを、一匹ずつ水槽に入れてやった。 いつもなら文句を言うところだが、大き目の水槽だからなのか今回はちょっと様子が違った。 「これでゆっくりできないおかーさんからはなれられるね!!」 「ひどいおかーさんとさよならできゆよ!!」 「わりゅいおかーさんはどっかきえてね!!」 水槽の中に収まった赤ちゃん達は、逆に喜んでいる。 よっぽど子供を食べた母親が許せなかったのだろうか。ここまで来ると両親がかわいそうだ。 「よいしょっと!」 僕はバケツを持ち上げて、少しずつ水槽に水を入れていく。 途端、中の赤ちゃんゆっくりたちが大声で騒ぎ始めた。 「おにーさん!!みずをいれないでね!!ゆっくりできなくなっちゃうよ!!」 「ここじゃゆっくいできないよ!!ゆっくりここからだちてね!!」 異常を察知したのは、子供達だけでなく親もだ。 「みずをいれないでね!!みずをいれたらあかちゃんがゆっくりできないよ!!」 「ありすのかわいいあかちゃんをいじめないで!!ゆっくりそこからだしてあげてね!!」 あれだけ罵倒されたのに、まだ赤ちゃんが恋しいらしい。 そこまで言うなら仕方ない、助かる可能性を提示してやろうじゃないか。 僕は水を入れるのを止めて、まりさとありすを見下ろした。 「それじゃまりさとありすがバケツの中に入って水を全部飲んでね!! そうすれば水槽に水を入れられなくなるから、赤ちゃん達は助かるよ!!」 「ゆぐっ!!…ゆゆゆ……!!」 唸りながら考え込む、まりさとありす。 バケツの中に入る…それは、自分の身体が水に侵されるのに耐えながら、水を飲まなければならないということだ。 「おかーしゃん!!ゆっくりたちゅけてー!!」 「がんばってね!!がんばってありしゅたちをたすけてね!!」 さっきまで親を罵りまくっていた赤ちゃん達も、手のひらを返したように言うことが変わった。 そういう自分の言動の矛盾に、ちょっとは違和感を感じないのだろうか…? 「ゆ!!わかったよ!!まりさはみずをのむよ!!」 「あ、ありすもてつだうよ!!まりさだけにつらいおもいはさせられないよ!!」 「おー、素晴らしいね、その子を想う気持ち。じゃあ今からバケツに入れてあげるけど… もしどっちかが『助けてー!』と言ったら僕は君達を助けてあげる。その代わり、残った水は全部あの水槽の中だ」 僕が指差した水槽の中では、8匹の赤ちゃんゆっくりが震えてこっちを見ている。 そんなまなざしが、まりさとありすの決意を後押しした。 「わかったよ!!ぜったいあきらめないよ!!ゆっくりまりさをバケツにいれてね!!」 「そのつぎはありすのばんだよ!!ありすもバケツにゆっくりいれてね!!」 2匹の要求どおり、僕は2匹をバケツの中に入れてやった。 そんなに喉が渇いていたのだろうか、必死に水を飲み始める。 最初は順調だ。まだ水が身体に染み込んでいないからな。 「ゆっきゅりがんばれー!!」「がんばれおかーしゃん!!」 水槽の中の子供達も応援している。その声援を受けて、2匹の親はさらに必死になるのだ。 必死になったところでどうにかなる量じゃないけどね。 「ゆっぷ!あっぷ…ぐ、ぐるじいよ…だず、…な、なんでもないよ!!」 いつものクセで助けを求めそうになるありす。しかし、寸前でその言葉を止めた。 バケツを覗いてみると、水位が1センチぐらい下がっている。 なかなか根性があるじゃないか。だが…無駄な抵抗だな。 その証拠に、2匹の身体は水が染み込んだせいでぶよぶよになっている。 水分を含んだ部分が膨らんでくるのも時間の問題だ。 「ゆあっぷ!!まだ…のめるよ!!」「ゆっぺ!…のむよ…がんばるよ…!」 問題はそれだけではない。そもそも2匹の身体の大きさからして、数リットルの水を飲みきれるわけがないのだ。 腹が膨れて飲めなくなるのが先か、バケツの中で餡子を吐いて死ぬのが先か、ギブアップするのが先か。 どう転んだとしても、僕にとってはどうでもいい。 …と思っていたが、このまま待っているのも退屈なのでちょっと手を加えることにした。 「それ!」 僕はまりさの頭を抑えて、水底に押し込んでやった。 びくびくと震えたところを上げてやると、苦しそうに呼吸し始めた。 「ゆっぷ!!おにーさん…やめてね…くるしくてしずんじゃうよ…!」 「止めないよ。止めるとお兄さんが楽しくなくなっちゃうし」 「や、やべで!まりざだのじぐない!ゆぶぶ…ぶはっ……いやっ…やめ゛!」 同じようにありすも水の中に押し込む。交代交代に押し込むと、交互に悲鳴が聞けてなかなか楽しい。 「おいおい、さっきから水が減ってないぞ。本当に子供を助ける気、あるの?」 「ゆっぶ!だ、だじゅげるよ゛!!だがらじゃまじないでね゛!!」 「あぶぶ…ごくんっ…ごくんっ!!まだまだのめるよ゛!!」 水槽の子供達は、まだ期待している。その顔を見れば分かる。 このままいけば自分達は助かる、ゆっくりできる…そういう期待の顔だ。最高にイラっとさせてくれる。 …僕は、その希望を打ち砕くことにした。 「そーれ!」 「ゆぶぶびゃばがああばああ……!!」 ありすを思い切り水の中に押し込み、バケツの底に押し付ける。 痙攣がだんだん強くなっていくが、酸欠では死なないのでそのままにしておく。 僕の手にありすの身体がぶよぶよ膨らむ感覚が伝わってきて…僕はその手を離した。 「ゆばはあああ、はあぁぁ、もうだめだよ!!たずげでぇ!!!」 その瞬間、あたりがしんと静まり返った。 「わかった!助けてあげる!」 僕はにこっと微笑んで、2匹をバケツから引き上げた。 既に至るところが水を吸い込んでぶよぶよに膨らんでいる。よくここまで耐えたもんだ。 「さて、約束どおり…」 「まってね!!まりさは『たすけて!』っていってないよ!!まだみずをのめるよ!!」 「勘違いするなよ。僕は『君達を助ける』って言ったよね。『君達』ってことは、まりさとありす2人だよ。 別々に助けるなんて、一言も言ってないよね!ゆっくり理解してね!」 僕の説明をゆっくり理解した2匹は、その場で固まってしまった。 バケツを持って水槽のそばに立つと、赤ちゃんゆっくりたちが潤んだ目で僕を見つめる。 「あーあ、役立たずのお母さんのせいで、君達はゆっくりできなくなっちゃうね!!」 「お、おにーさん!!ゆっくりやめてえ!!」 「おがーざんのばがー!!どうじてあぎらめるの゛!!もっどがんばっでよ゛!!」 「ゆっくりみてないで!!おにーさんをやっつけてよ゛!!」 はっとした親2匹は、僕の元へ来ると脚に突進してきた。 僕をどうにかして倒して、水槽に水を入れさせないようにするため…自分に出来る最後の努力。 「ゆっくりやめてあげてね!!あかちゃんをたすけてね!!」 「ありすのかわいいあかちゃんをいじめないで!!」 だが、自分が敵う相手かどうかを考える頭はないらしい。 僕はにこにこしながら、2匹を適当に蹴り飛ばした。 「ゆべっ!!」「ゆっぎゅり!!」 「さーて、赤ちゃんたちとは永久にさようならでーす!!はい、水投入♪」 ザバアアァァァァン!! バケツの中の水が、水槽を満たした。 波に飲み込まれながらも、赤ちゃんゆっくりたちは必死に水面を目指している。 「ぷはっ!た、たちゅけてよぉ!!じにだぐないよぉ!!」 「無理無理♪だって、君達のお母さん君達を助ける気ないもん!」 「ゆびゃああああぁ!!じぬぅ!!みずはいやあああ゛あ゛あ゛!!」 「本当に助ける気があったら、バケツの水ぐらい全部飲めちゃうのに!」 「おがーぢゃああぁぁぁん!!みでないでだじゅげでよおおおぉぉ!!」 「今だって、ほら。本当に助ける気があるなら僕に頼めばいいのに。『水槽に入れて!』って」 「おがーじゃんのばが!!ゆっぐりじでないでだじゅげでええぇぇぇぇ!!!」 「お母さん達は君達を助けようとしない、酷いお母さんだね!!」 「おがーしゃんなんかしんじゃえ!!だじゅげでぐれないおがあぢゃんはゆっぐりじね゛!!」 水槽の中の子供達の罵る声。『しね』『ばか』と際限なく母親に降り注ぐ。 水に飲み込まれて苦しむ様を見て、まりさとありすは驚愕の表情で固まっていた。 動くのは口だけ。その口が、絶望の悲鳴を奏でる。 「あ…あぁ…ああああぁぁぁっぁぁぁあ!!!!」 「ゆがあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」 数分後…赤ちゃん達は次々と水槽の底に沈んでいき… 「ゆぶ…もっどゆっぐりじだがったよ゛お゛お゛お゛お゛ぉぉぉ……!!!」 最後まで、母親を憎しみの目で見つめながら…最後の赤ちゃんが水底に沈んだ。 赤ちゃんの壮絶な最期を見届けて、なお微動だにしないまりさとありす。 水槽に餡子屑を、じっと見つめている。 「どうして…どうしてこんなことをしたの…!?」 「ここまでされてまだ分からないの?僕は君達が昨日したことを怒ってるんだよ。 部屋を滅茶苦茶にしたでしょ?花瓶割ったでしょ?土で汚したでしょ?」 「ひどいよ!!それぐらいでおこらないでね!!」 瞬間、僕は拳でありすの頭を一気に押しつぶした。 致命傷には至らないが、苦しそうに餡子を吐いている。 「ゆぎゃあああぁあぁぁぁいだいいいぃぃぃぃ!!!!」 「今まで一年間ずっと楽しく過ごしてきたのに。お兄さんは君達を信用してたのに。 昨日まで、僕は君たちの事とっても好きだったのに…昨日お部屋であんなことされちゃったから、 お兄さんは君たちの事すっごく嫌いになった。だからこういうことをしたんだよ」 水槽に浮遊する8匹の残骸。親2匹の腹に収まった焼き饅頭。床の上に同心円状に広がった餡子のペースト。 ただ殺すだけでは意味がない。たくさんたくさんたくさん苦しめなければならない。 親に苦しんでもらうためには、子供を苦しめるのが一番だった。それだけだ。 「ゆっぐ……………まりさたちは…きのうをゆっくりたのしみにしてたのに!!」 「昨日…?」 「“きねんび”だよ!!まりさたちがおにーさんにはじめてあったときの“きねんび”だよ!!」 昨日が“記念日”。 それは、僕とまりさ、ありすが会った日。僕が“ゆっくり記念日”と名づけたものだ。 ちょうど一年がたって、昨日がゆっくり記念日だった。 どうせ覚えていないだろうと思って、2匹に黙っていたのだが…まさか覚えていたのか? 「“きねんび”だから、おにーさんにありがとうっていおうね!って、ありすとがんばっでじゅんびじだの!!」 「とかいはのごーでねーとなら、おにーさんよろこんでくれる゛っておもっだの゛!!」 まりさとありすの口から、ゆっくりと真相が語られる。 昨日、僕の帰りを待っていた2匹は、記念日のパーティの準備をしていたらしい。 『ゆっくりじゅんびしようね!!』 『きねんびのぱーてぃのじゅんび!!おにーさんきっとよろこぶよ!!』 あの部屋の荒れ様は、ありすが提案した『都会派のコーディネート』なのだとか。 一年間、ゆっくりさせてくれた僕に対するお礼の気持ちをこめて… 『きょうはおにーさんをゆっくりさせてあげようね!!』 『ふたりでおにーさんに「いつもゆっくりありがとう!」っていおうね!!』 『じゃまなものはどかそうね!てーぶるのうえのものもじゃまだからどかすよ!!』 ガシャーン!! 『ゆっくりできるように、つちをもってこようね!!』 ドサァッ!! 『じゃまなものをどんどんおとすよ!!とかいはのこーでねーとだよ!!』 2匹で一所懸命頑張った。パーティで僕に伝える言葉も決めていたらしい。 そして僕が帰ってきて…あとは僕の知るとおりだ。弁解の機会も与えず追い出したのだった。 「なのに!!なのに゛!!おにーざんは!!おにーざんはああぁあっぁぁぁぁ!!!」 僕は…今まで壮大な誤解をしていたということか。 こいつらは、人間らしい心を忘れずに持っていたのだ。 一年ぶりの記念日を、僕に対する感謝をもって、ゆっくり迎えようとしていたのだ。 なのに、僕はたったひとつの誤解で…記念日の翌日の今日、まりさとありすの赤ちゃんを皆殺しにした。 信頼を裏切ったのは、僕のほうだったんだ… もし、昨日までの僕だったら、誠心誠意2匹に謝っていただろう。 だが、残念なことに……“昨日までの僕”は、ここにはいない。 ここにいるのは、今日からの新しい僕だ。 「あー、そういうことね。あのさ、そういうの気持ち悪いから、やめてくれる?」 「ゆ゛!?」 「低脳饅頭のクセに一年前の記念日覚えてるとか、正直引くんだよね」 そこらへんに落ちていたスリッパでぺちぺちと2匹の頭を叩く。 その都度「ゆ゛っ!」「びゅ!」と声を漏らすので、面白くて止められなくなる。 これはもう中毒と言ってもいい。僕はこいつらを虐めることに病み付きになってしまっていた。 「お前らさ、ゆっくりの分際でどうして一年前のこと覚えてるの?そんなのゆっくりじゃないでしょ? ゆっくりならゆっくりらしく、身分を弁えないで自分の主張を繰り返す図々しい饅頭じゃなきゃダメでしょ?」 「おにーさん!!なにいってるのぶべぇっ!!」 「今はお兄さんが話してるの。口を挟まないでね!」 強くスリッパで叩くと、ありすの頭が足型に凹んで面白い顔になった。 僕はまりさの帽子を脱がせて頭を叩きながら、お説教を続ける。 僕の笑顔を見て、2匹は何故か震え上がっていた。 「君たちはゆっくりらしくゆっくりしていってね! お兄さんはお兄さんらしく、君たちを“かわいがる”ことにするから!」 僕は今までの自分の愚かさに気づいた。 今までの僕のゆっくりに対する接し方は間違っていたんだ。 そういえば、友達も何度か忠告してくれていた。『ゆっくりはそうやって扱うものじゃない』って。 友達の言うとおりだった…ペットみたいに優しく接していた僕がバカだった。 だって、こうやって虐めて虐めて虐めまくって、悲痛な叫びを聞くほうが何百倍も楽しいじゃないか!! あー愚かだった愚鈍だった能無しだったクズだったアホだった間抜けだった! この1年という時間を返して欲しい!!どうして僕はこんなにも無駄な時間を過ごしてしまったのか! それもこれも、こいつら2匹が無駄な躾を受けていい子に育てられていたのが悪いんだ! もう、2匹が何をどう考えているかとか、部屋を滅茶苦茶にしたとか、そういうのはどうでもいい。 2匹を思う存分虐めて悲鳴に耳を傾ける…その劣情に近い快感の虜になってしまった。 その事実だけで、他は何も関係ないし意味もない。僕の欲求だけが、まりさとありすを支配するのだ。 ふと後ろを振り向くと、まりさとありすが今まさに逃げ出そうとしているところだった。 僕は2匹の頭をむんずと掴んで、無理やりこちらを振り向かせた。 「ゆ、ゆっくりはなしてね!!まりさはありすとゆっくりするからね!!」 「ゆっくりでていくからね!!おにーさんはひとりでゆっくりしていってね!!」 そんなまりさとありすに対して、僕は満面の笑みを向ける。 「そんな寂しいことを言うなよ。ゆっくりかわいがってあげるから…さ」 極上の笑みを、見せてあげた。 それから。 お兄さんと、まりさ、ありすの新しい生活が始まった。 まりさとありすは、今までどおりゆっくりしていたが…何か粗相をすると、いつもお兄さんに虐められた。 不味いご飯を食べさせられた。お風呂に入れてもらえなかった。 外に出してもらえなかった。遊んでもらえなかった。砂を食べさせられた。熱湯を飲まされた。 目にわさびを塗られた。舌にからしを塗られた。ほっぺをちぎられて餡子を吸われた。 舌をちぎられた。目を片方えぐられた。タバコの火をなくなった目のほうに押し付けられた。 髪飾りを取られて届かないところに置かれた。髪の毛を引きちぎられて丸坊主にされた。 もはや見分けがつかないので、2人まとめて『坊主』と呼ばれるようになった。 それでも。 2匹は逃げようとしない。逃げることが出来ない。 逃げられないように、身体に穴が開けられて紐を括り付けられ、テーブルの脚に固定されていたからだ。 それにこの姿では、もう外に出たところで他のゆっくりには相手にされないだろう。 ガラス越しに外を眺めると、そこにはゆっくり親子が外でゆっくりしている姿。 『ゆっゆっゆ~♪』と親子仲良く歌を歌っている。 その姿を見て、まりさとありすは片方だけになってしまった目から涙を流し、一年前を振り返る。 そこにいるのは優しいお兄さん。そして仲良くゆっくりしているまりさとありす。 まりさとありすが一番ゆっくりしていた頃。お兄さんがおかしくなる前の、幸せな日々。 どうやったらあの頃に戻れるのか。どうしてこんなことになってしまったのか。 少なくなった餡子で考えても、まったくわからなかった。 今日はゆっくり記念日。 まりさとありすがお兄さんに出会ってから、二年が経った。 お兄さんが一年ぶりにカメラを取り出して、写真を撮ってくれた。 もちろん、撮るのはお兄さんと2匹が仲良く並んでの記念写真だ。 撮った写真を、お兄さんは大事そうに写真立てに仕舞う。 大切に飾られたそれを、お兄さんは毎日眺めてはにこにこ笑う。 真ん中のお兄さんの両隣で、目が片方ない同じような饅頭が不気味に笑っている…そんな写真。 ゆっくり記念日の、記念写真。 それは、今もお兄さんの机の上に大事に飾られている。 (終) あとがき ゆっくり虐待中毒…あるきっかけで虐待紳士になってしまったお兄さんのお話でした。 作:避妊ありすの人 このSSに感想を付ける
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新月の夜に 15KB 愛で 小ネタ 差別・格差 変態 飼いゆ 希少種 都会 現代 愛護人間 独自設定 希少種胴付きシリーズ始めました ・このSSは愛で分多めです ・作者に都合の良い独自設定があります ・これを書いたのはHENTAIあきです!いつもどうりの内容だよ! ・それでもいいというひとはゆっくりよんでいってね!!! いつもの日課である夜の散歩の途中に、俺は何やら奇妙な物と遭遇した。 少し近づいて分かったが、子供が何やら丸いボールのような物を手に持っているようだ。 「やべでね!まりさのあんござんをだべないでね!」 どうやら手に持っているのは最近このあたりで問題になっているゆっくりとういうナマモノのようだ。 俺は詳しくは知らないが、人間のように喋り、独自の価値観で生活をしているため人間とよくもめ事を起こすらしい。 しかし、子供が一体何故こんな夜に一人でいるのだろうか? 「ゆっくりーむーしゃむーしゃなのかー!」 「ゆびょ!やべであんござんずわないで!」 何かをすする音がしていく中で、ゆっくりと思われる声はだんだんと小さくなっていく。 それとは別に子供と思われる声は嬉しそうに声をあげて、じゅるじゅると音を立てて何かをすすり咀嚼しているようである。 しばらくゆっくりのうめき声が聞こえたが、すぐにその声は聞こえなくなった。かわりに子供が俺に近づいてきた。 「わはー!わは!わはー!」 何やら興奮しているのか、俺の周りをぐるぐると歩きながらよくわからない言葉を口にだしている。 家出なのか、それとも頭がお花畑なのだろうかと思っていると、子供は急に俺の手に噛みついてきた。 といってもあまり痛くはない、犬や猫の甘噛みよりも少し弱いぐらいだ。 「こら!人に噛みつくんじゃない!」 「はひゅ、もにゅもにゅ。」 必死に離そうとするが子供は中々俺の手から離れない。試しに腕を上げてみたらぶらりとぶら下がってしまった。 随分と体重が軽いな、もしかして両親に虐待でもされてるのかと考えてしまう。 さてこんな時はどうすれば良いんだ。警察が一番良い気もするが、どう考えてもこれでは俺が不審者だ。 やっかいごとになるのは嫌だ。ではどうするかと考えてみたが中々良い案が思い浮かばない。 「とりあえずあいつの家にでも行ってみるか。」 手に子供を付けたままではさすがにまずいので、ひとまず子供を抱きかかえることにする。 嬉しいのかはしゃいでいるのかまた興奮して奇声をあげる子供に辟易しながら、俺は目的地である友人宅へと歩いた。 「いらっしゃい。こんな時間に来るなんて珍しいな。」 こいつは俺の古くからの友人であり、大抵の事なら力になってくれる。 下のことから固い話まで相談するが、こいつに相談して失敗することはまずないので俺は頼りにしている。 「おっと!またこんな可愛らしい子を連れてくるとは、お前もこっち側に目覚めたのか。」 「誰が目覚めるか馬鹿。夜道にこの子供に絡まれて困ってるんだよ。」 こいつはゆっくりというナマモノをペットにしている変わったやつだ。おまけにそのゆっくりも珍しい 希少種と呼ばれるものだ。ペットを飼ったことなど無い俺には理解できない。 「子供って言っても、お前が連れてるのはゆっくりだぞ。それも珍しい胴付きだし、羨ましいぞ!」 どうりでこっちの言葉が通じないわけか。ゆっくりは人語を話すようで、実際のところそれはただの鳴き声という話もある。 意味の無い鳴き声ならともかく、喋るとなればやはり不気味だ。 「まぁお前じゃ分からないよな。とりあえず家に入れよ。さとりもまだ起きてるし、このゆっくりのことも分かるかもしれないぞ。」 こいつの飼っているゆっくりはどうも苦手だ。どこか人間のような雰囲気を持っており、喋り方も人間臭い。 出来れば会いたくはなかったがしかたない、俺は友人の家へと入った。 「こんばんわお兄さん。どうかゆっくりしてくださいね。」 お決まりの挨拶をしてくるのは、あいつのペットのさとりと呼ばれるゆっくりだ。 頭もよく礼儀正しいので、あいつは自慢の金バッジなんだと自慢してくるが俺にはどうでもいい。 「さて、それじゃあ少し質問しようか。君は一体なんて言うゆっくりなのかな?」 「ゆっくりなのかー!」 答えになっていないことを楽しそうに言う謎のゆっくり。こいつはちゃんと質問の意味を理解しているのか。 「お兄さん、どうもこの子はるーみあというゆっくりみたいですよ。」 「心を読んだのかさとり。でも何で名前を言わないんだ?」 さとりは同じゆっくりの心を読むことができる。そのため飼いゆっくり相手にカウンセラーのようなことをしているらしい。 こんな時には確かに便利な能力だ。 「どうもこの子はうまく喋れないみたいなんです。必死に伝えようとはしてるけど、言葉が分からないみたいで。」 さとりは無言でるーみあというゆっくりの心を読んでいるのか、しばらく独り言のようにるーみあと対話している。 その間に俺は友人とるーみあをどうするかを話し合った。 「なぁ、お前るーみあを飼ってみないか?一人暮らしなんだし、胴付きならお前の役に立つぞ。」 「別に一人でも不便なことはないぞ。それにゆっくりなんて飼いたくない。」 「可愛いだろ!笑顔なんてすげー可愛いし、癒されるとはまさにあれだよ。」 おそらく俺の為を思って言っているのだろうが、あまり俺はゆっくりを飼いたくはない。 得体も知れないナマモノと一緒に暮らしたくなどない。 「でもお前が飼ってあげないと、きっと酷い目にあうぞ。駆除されるか、どこぞのHENTAIに玩ばれたりするかも。」 「だったらお前が飼えば良いだろ。」 「そうしたいけど、さとりだけで俺の財布は悲鳴をあげてるんだよ。」 少し哀れだと思うがしょせんゆっくりだ。犬や猫と同じで野良生活というものがある。 「じゃあさ、一週間だけでも飼ってみろよ。その後で駄目だったら俺が飼ってくれる人を探すから。」 まあそれぐらないなら良いか。このまま見捨てるとなると少し後ろめたい気分はある。 問題はるーみあがちゃんと俺の言うことを聞くかだが。 「大丈夫ですよ、この子は言われたことはちゃんと聞くって言ってますし。」 「そうなのだー!」 俺の心配に気づいたのかさとりがそう言うと、るーみあもアピールなのか元気な返事をする。 さすがに心を読む相手に嘘はつけないだろう。気に入らないがさとりの能力は本物であるから信用しよう。 「良いかるーみあ、これから少しの間だけだが一緒に暮らすんだ。ちゃんと俺の言うことを聞けよ。」 「そうなのかー!」 本当に分かっているのか不安になるが、るーみあは俺の質問に元気に答えるので分かっていると信じたい。 友人からゆっくりの飼育方法を聞いて、俺はるーみあと手をつないで家へと帰った。 最初こそうまく話せなかったるーみあだったが、暮らしているうちに言葉を覚えたのか多少は話せるようになった。 元々一匹で暮らしていたため、言葉を知らないだけで馬鹿というわけではなかったようだ。 「おにいーしゃん!るーみあおなかがへったよ!」 「お兄さんだ、いい加減きちんと話せるようになれ。」 一緒に暮らして分かったが、こいつは随分と腹を空かせる。どうもまだ成体ではなく子ゆであり、燃費が悪いらしい。 そこの辺りもこいつが喋れずにいた理由の一つなのかもしれない。 そんなことを考えながら俺はるーみあに菓子パンを投げてよこした。 「はぐはぐ。おにいーしゃんこれかたくてあじがしないよ!」 「また袋のまま食ってるのか、いい加減に袋ぐらい開けられるようになれ。」 文句を言うるーみあから菓子パンを受け取り、こんどはちゃんと袋を開けて渡してやった。 パンを食べ終えたのか、こんどは部屋の中を走り回り始める。しかし何か鈍い音が響き、るーみあのうめき声が聞こえる。 「こんどは頭をぶつけたのか。本当に進歩しないな。」 「そうなのだ・・・、おにいーしゃんなでなでして。」 そういって俺の方に近づいてくるるーみあ。別に治療するほどの怪我でもないので、いつもどうりにぶつけた所を撫でてやる。 るーみあとの生活は大体こんな物だ。別段問題も起こさないが、放っておくとどうも気になる。 大変なことにならない様に、色々とゆっくりグッズも買ってしまった。 「おにいーしゃんありがとう!もういたくなくなったよ!」 「よかったな、こんどはちゃんと前を見て歩け。」 馬鹿な子供ほど可愛いという言葉は本当だったんだな。段々とゆっくりというナマモノに愛着が湧いてきた。 「くそじじいいいいいいいいい!でいぶもゆっくりさせろおおおおおおおお!」 訂正だ、愛着が湧いたのはゆっくりにではなくるーみあにだ。こいつは昨日拾ってきたれいむとかいうゆっくりだ。 るーみあが夜に外で遊んでいると、何やら泣き声が聞こえたので外に出てみるとどうもこのゆっくりに苛められたらしい。 最初は許してやろうと思ったが、聞くに堪えない罵詈雑言やるーみあを馬鹿にしてくれたのでお礼に家に連れて帰った。 友人に相談してどうすれば良いかと聞いたところ、足の部分を焼いて生ゴミでも食べさせろとの助言に従い 俺達の食事風景がよく見える所に置いて格差をはっきりと見せつけてやっている。 「きいてるの!れいむにもそのあまあまさんをちょうだいね!」 「お前には生ゴミで十分だ、この饅頭もどきが。」 ギャーギャー騒ぐのにもうんざりしてきたので、そろそろ口も塞ごうかなと思い始める。 聞くところによると、ゆっくりは簡単に子供を産むためおやつ作りに役立つと友人から聞いている。 るーみあのおやつのためにいつか活躍してもらおうかと、考えていると携帯に着信が入った。 「はいおにいーしゃん!これはでんわさんだよね!」 「ありがとうなるーみあ。」 るーみあから携帯を受け取る。一体相手は誰だ。 「もしもし俺だけど、るーみあを飼ってくれる人が見つかったぞ。」 連絡をよこしたのは友人だった。もう一週間も経っていたのか、正直るーみあの世話で日にちが過ぎるのを忘れていた。 しかも連絡内容はるーみあの飼い主が見つかったということだった。 「なんで俺に連絡しないで飼い主探してるんだ?」 「いやお前すげー嫌そうだったから、初日からもう探し始めてたんだけど。」 確かに最初はそうだったな、しかし今ではるーみあにも随分と愛着が湧いてしまっている。 今更るーみあを譲れと言われても譲る気など無い。 「悪いがるーみあは俺が飼うぞ。とてもじゃないが他人に譲ろうとは思わない。」 「マジで!?あんなにゆっくり嫌いだったのにどうしてまた?」 確かにゆっくりは今でも嫌いだが、るーみあのようなゆっくりは嫌いにはなれない。 今まで友人の飼っていたさとりも嫌いであったが、今なら普通に接することができそうだ。 「分かったよ、希望した人には断わりの連絡入れておくから。」 「わざわざすまないな。」 「大丈夫だ、文句言われるかもしれないが俺のさとりのセクシーショットで許してくれると思うから。」 何でそれで許すようなやつにるーみあを飼わせようとしたんだよ。どう考えてもそいつはHENTAIじゃないか。 というか何だよさとりのセクシーショットって。 「俺のおか・・・、そういやお前るーみあにバッジを付けてやったのか?」 「バッジ?なんだそれ?」 聞きなれない単語が友人から聞かされる。どうやら飼いゆっくりには野良との区別をつける為にバッジをつけるらしい。 そうとは知らずに一人でるーみあを外に出していた自分が怖い。早くるーみあにバッジを付けてやらないと大変だ。 「どうやったらバッジは手に入るんだ?」 「簡単だよ、最寄りのゆっくりショップに行ってバッジ試験の申請をして、加工所に行って試験を受けて合格すれば良い。」 「試験ってことはやっぱり勉強しないと駄目なのか?」 友人に試験について詳しく聞くことにする。とりあえずはゆっくりショップで胴バッジ申請を行い書類審査をすれば、 一番ランクの低い銅バッジはすぐに貰えるようだ。それ以上の銀、金となると専用の試験が行われるらしい。 「まあそんなに難しいことじゃないから、心配しなくてもいいぞ。胴付きは皆賢いゆっくりだからな。」 そう言って友人は俺に試験に出る内容と、飼いゆっくりとしての振る舞いについて簡単に説明してくれた。 詳しいことはまた後日家に来て直接るーみあに教えてくれるため、一度電話を切ることにした。 しかし友人に言われたことで、俺は一つ不安に思うことがあった。 「なあるーみあ、お前最初俺に会った時に噛みついたよな。あれはどうしてなんだ?」 飼いゆっくりは決して人間に手を出してはいけないようだ。これを破ってしまえば、即座にバッジを没収されてしまうらしい。 痛くはないといえ、るーみあが俺に噛みついたのは事実でありそこが気になった。 「あれはおにいーしゃんがおおきなゆっくりだとおもったから、ごはんさんだとおもったのだー。」 それで食いついて離さなかったのか。でも人間とゆっくりを間違えるとは、これで試験に受かるのかちょっと不安になってきた。 とりあえずるーみあのバッジ試験の為にもちゃんと話せるようにしないとな。 あれから二か月ほど過ぎた。るーみあは今では立派な成体となり随分としっかり成長したものだと思っている。 バッジの方も銀は比較的に簡単に取得することが出来て、昨日ついに金バッジ試験にも合格することができた。 親馬鹿かもしれないが、るーみあに何かご褒美をあげないとな。 「るーみあ、今日は外で食事をしようか。」 「本当なのかー!?るーみあお外でご飯さんを食べるのは初めてなのだー!」 予想以上に嬉しそうな反応をしてくれる。こっちまで嬉しくなってくる。 まあ外食といっても近くのファミレスなんだがな。 「すいません、ここはゆっくり同伴でも大丈夫でしょうか?」 最近ではペットとしてゆっくりを連れ込む人間が多くなっているが、ゆっくりを拒否する店ももちろんある。 ここははたして大丈夫だろうか。 「申し訳ありませんお客様、当店ではペット、食用のゆっくり持ち込みは御断りさせてもらってます。」 駄目だったか、しかしペットか食用でなければ良いのか。 あまり利用はしたくなかったが、ここぐらいしかるーみあと一緒に食事は出来ないのだからしかたない。 「実はこのゆっくりは盲導ゆっくりとして飼っているんですよ。迷惑はかけませんからどうかお願いできませんか?」 俺は常に携帯している障害者手帳を店員に見せる。るーみあが金バッジであることも幸いしてか、店員は席へと案内してくれた。 席に着いてるーみあに食べたいものを選びなさいと言おうとした時、るーみあが俺に質問をしてきた。 「お兄さんっておめめが見えなかったの?」 まあもっとも疑問だよな。杖も突いてないし見た目はどう見ても普通に見えるし。 「まあそうだな。といっても別に気にすることじゃないぞ、生まれつきだったからな。」 「じゃあるーみあと同じだったんだね!」 初めての告白に俺の方が驚かされる。るーみあに異常があったのなら、友人に会った時やペットショップで何か言われるはずだ。 しかし、特に何も障害があるようには言われなかったが。 「るーみあもね、周りが真っ暗で何も見えて無かったのだ!でもお兄さんのお家に来てからは、 だんだんと周りが良く見えるようになったのだ!」 後で分かったことだが、るーみあ種は周りから身を隠すために自分の体を黒い球体で隠すらしい。 どういった方法なのか分からないが、大抵のるーみあ種は常に隠れている。 周りのゆっくりからは見つからないが、るーみあ自身にも回りを見ることは出来ないという間抜けな能力だ。 そんなるーみあ種が姿を見せるのは新月の夜か、自分が安心だと思った場所だけである。 それで家に来た当初はよく壁にぶつかっていたわけか。懐いてきてるーみあは俺の周りが安全だと認識したらしい。 「るーみあはこれからお兄さんのおめめになるのだ!お兄さんを少しでもゆっくりさせるよ!」 「ありがとうなるーみあ、でもそんな心配はしなくていいぞ。俺は常に心の目が開いているからな。」 昔お世話になった人の言葉だ。他にも道具無しで歩けるように特訓してくれた先輩方にも感謝している。 あの人たちは今頃何をしているんだろうか。 「そうなのかー!じゃあお兄さん何か食べたい物を言ってね、るーみあが代わりに注文してあげるのだ。」 「そうだな、じゃあるーみあと同じものをお願いさせてもらおうか。」 そういうとるーみあはパフェとケーキを二人前ずつ注文してくれた。 おまけ おめでとう!るーみあはるーみにゃに進化した! 「さてそろそろ寝るとしようか。」 「お兄さん、今日は一緒に寝てもいい?」 「別にいいぞ。ただし、ちゃんと着替えてお飾りも取ってくればだが。」 「お飾りがないとゆっくり出来ないけど、わかったのだ!」 「じゃあ俺は先に布団に行ってるからな。」 そうしてしばらく待っていると、るーみあがお兄さんが待っている布団へと潜り込んできた。 しかし、お兄さんは何か違和感を感じた。何やらるーみあの息遣いが荒く、その上体をやけに擦りつけてくるのだ。 おかしいと思いるーみあの体に触れてみると、どうやらるーみあは何も身に付けていないようだった。 おまけに頭とお尻には何かネコのような耳と尻尾の感触まである。触っていると気持ち良いのかるーみあはますます興奮する。 お兄さんの理性と本能が激しく攻防を繰り広げる内に、いつのまにか外が明るくなっていた。 るーみあも満足したのか寝息を立てているのを確認して、お兄さんは急いでるーみあのお飾りを付けてやると 二度とお飾りを外させない様にすることを固く心に誓ったのであった。 後書き Exるーみあとは、お飾りが外れて発情して猫化してしまったるーみにゃだったんだよ! HENTAIでごめんね・・・。 基本種胴付きを書き終えて、新しく希少種胴付きを書き始めています。 原作でも大好きなるーみあを書きましたが、設定もほとんどなくて苦労しました。 るーみあの飼い主がゆっくりを嫌っていたのは、うるさくて周りを把握しづらいからです。 実際目が見えない方にはソナーのように反射した音で回りが見えているかのように動ける人もいますし。 目が見えない方の生活はあくまでもSSですから適当です。自分は障害者手帳とか見たことありませんから、常に持ち歩いてるのか不明です。 まあこの飼い主さんは男塾の月光のような人ですが。 いつかルーミアがわはーと言わないかなと思うHENTAIあきでした。 以前書いたもの ふたば系ゆっくりいじめ 993 初めてのおつかい ふたば系ゆっくりいじめ 1003 寂れた神社で ふたば系ゆっくりいじめ 1014 ゆーパチ「ヒャッハー!虐待だぁ!」 ふたば系ゆっくりいじめ 1024 めーりんの憂鬱 ふたば系ゆっくりいじめ 1036 別れと出会い ふたば系ゆっくりいじめ 1043 夜の怪奇現象 ふたば系ゆっくりいじめ 1058 S計画 作られたゆっくりたち ふたば系ゆっくりいじめ 1072 胴付きへの進化 ぱちゅりーの場合 ふたば系ゆっくりいじめ 1080 違うありす ふたば系ゆっくりいじめ 1087 まりさ家出する ふたば系ゆっくりいじめ 1099 てんこを良い子にする方法 ふたば系ゆっくりいじめ 1108 きめぇ丸?いいえしゃめい丸です ふたば系ゆっくりいじめ 1144 別れと出会い まりさのトラウマ編 ふたば系ゆっくりいじめ 1155 ゆっくりスクール ふたば系ゆっくりいじめ 1159 ゆっくりの寿命 ふたば系ゆっくりいじめ 1165 ゆっくりクラブ ふたば系ゆっくりいじめ 1178 まりさひどい目に遭う ふたば系ゆっくりいじめ 1184 オレンジジュースを買いに ふたば系ゆっくりいじめ 1216 特異体質を持つ愛でお兄さん HENTAIあきの作品集 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る クソッ 俺のるーみあチャンを返せッ さとりチャンのセクシーショットなんて1ヶ月ぐらいしか持たんわ(性神的に) クソオオオオオオオオ ゆ"る"ざん" -- 2021-02-23 14 29 19 ↓×4 大切に可愛がっていればペットも家族同然というのは理解できるが、 レストランとか公共の場でもそれを押し付ける「頭おかしい人」が偶にいるよねww 動物は体毛が他のお客さんに迷惑掛かるかもしれんし、ゆっくりボイスが気に入らないという人もいるだろうし。 (※ボーカロイドや合成音声を聞くと気分が悪くなるって友達が居た。) ・・・言っとくが善良ゆっくり否定派ではないぞ? TPOを考えろって言いたいだけだ。(長文失礼) -- 2018-03-28 21 46 09 さとり、るーみあ、ふらん、ちるの。 このあたりって胴付きになっても身長は原作と違わなそうww まぁ胴無しですら稀少種なのに更に胴付きって最早テレビ取材や政府保護レベルだけどな。 -- 2018-03-28 21 33 11 ルーミアかわいいよルーミア! -- 2016-08-23 19 16 42 ルーミアかわいいよルーミア! -- 2016-08-23 16 42 25 ペットとか失礼だろ。こういうゆっくりは『家族』だろ常考。 -- 2016-02-28 10 45 23 るーみあ可愛いよるーみあぁぁぁぁぁぁぁぁ/// 飼うのはやは賢い希少種だな -- 2014-06-25 19 42 50 るーみあ!!!るーみあ!!!るーみあ!!!るーみあ!!!るーみあ!!!るーみあ!!!るーみあ!!!るーみあ!!! るーみあ!!!るーみあ!!!るーみあ!!!るーみあ!!!るーみあ!!! -- 2014-06-11 20 26 03 この内容は(//∀//)ふぅ・・・ -- 2012-09-03 21 44 12 「ゆっくり」ではなく「ヨウジョ」にしか見えん… つーかおまけェwww -- 2011-10-07 00 48 04 るーみあ可愛いよるーみあ -- 2011-07-13 15 44 13 くそう、るーみあ飼いたいぜ… EX… ご褒美じゃないですか、やったー! -- 2011-01-13 10 33 11 うあああああああああ!!! るーみあかわいいよおおおおおおおお!! -- 2010-12-30 04 59 46 るーみあさいこー!るーみあさいこー!るーみあさいこー!るーみあさいこー! -- 2010-12-10 23 55 05 HENTAI万歳!!胴付きに栄光あれ〜!! -- 2010-12-06 01 02 28 HENTAIって良いよね!!胴付き最高!!! -- 2010-10-26 01 09 04 てをだすべきだね~ わかるよ~ -- 2010-07-25 04 51 40 やんやんおにいたんダンスの練習をさせないとね。 ドゥクドゥク♪ …… -- 2010-07-19 12 56 13 なのかー! -- 2010-07-19 11 53 28 ドゥクドゥク♪ -- 2010-07-16 00 50 46
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れいむはおちびちゃんのために”狩り”をしているところだった。 「ちょうちょさんゆっくりしていってね!」 「むしさんゆっくりしていってね!」 ぴょこたんぴょこたんと跳ねながら、辺りの昆虫や、時には空を飛んでいる鳥を追いかける。 ほとんど散歩のようなものだが、それでも成果がまったく得られないということはない。 運よく入手した虫や食べられる草などを口に入れてゆく。 「ゆふぅ…きょうもゆっくりがんばったよ!おうちかえる!」 れいむはおうちへ向かう。 れいむと、れいむのおちびちゃんが住んでいるおうちはとってもゆっくりした素敵なおうち。 「おちびちゃんゆっくりまっててね!」 ―― 「ゆぴぇっ!!??」 れいむは最初、転んでしまったのだと思った。 しかし、体勢をととのえて辺りを見回すと、少し様子がおかしかった。 「ゆ、ゆぅ……?」 あたりは、れいむがさっきまで家路を急いでいた草原ではない。 硬くひんやりとしたリノリウム張りの床の上、白い壁がどこまでも続く屋内にれいむはいた。 れいむは、ゆっくり特有の切り替えの早さでおうち宣言をする。 「とってもゆっくりしたおうちさんだね!ここをれいむのゆっくりぷれいすにするよ!」 「なんだ、またゆっくりか」 「ゆっ?」 れいむが振り返ると、一人の人間がれいむを見下ろしていた。 「レポート明日までだってのに、また失敗だよ…」 「ゆゆ?なんのことかわからないよ!ゆっくりせつめいしてね!」 人間は言った。 「学校の実験を明日までに成功させないと俺の単位が危ない。 その実験とは、”500年以上過去の世界から何かを持ってくる。ただしゆっくりを除く” つまりお前さんは、俺の実験のせいで過去から呼び出されたんだが、こっちとしては必要なかったってわけだ。 もう勝手にどっかいっていいよ」 「ゆゆっそれじゃここをれいむのゆっくりぷれいすにするよ!」 「それ駄目。ここは俺の家。っていうか俺の親の家」 「どうしてそんなこというの!れいむおこるよ!」 「業突く張りなところは、まさしく過去れいむか…しかしこいつじゃ時間系実験の有効サンプルとは 認められないからな…ちくしょう、どこにでも現れる不思議生物め…」 「おにーさんゆっくりしてないよ!ゆっくりしていってね!」 「あーもううるせーよー、そんな時間ねーんだよ」 人間はれいむを掴みあげる。 「やめてね!おりぼんとれちゃうよ!ゆっくりはなしてね!」 「安心しろ。そう簡単に取れねーよ……そうだ、これをつけてやるのを忘れてた」 人間はれいむの髪飾りに、赤い花をかたどった小さなピンを付けた。 「ゆわーい!にんげんさんありがt……」 「そんじゃな」 人間は窓を開け放つと、れいむをポイと投げ捨てた。 このようにして、れいむは未来へとやってきたのだった。 30日 十京院 典明 幸い、れいむの大事な髪飾りは無事だった。 「ゆっくりしていってね!!」 とりあえず、人間の家の外で挨拶をする。答えるものはいなかったが、それで少し気がまぎれた。 「ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!」 ひとしきり叫んだあと、れいむは辺りを見回す。 人間の家の庭は広くて綺麗だった。おいしそうな草が沢山生えているし、樹木もある。 それらはれいむには”ゆっくりした”としか認識、形容できないものだが、家人の手できちんと整備されたものだった。 「ここをれいむのおうちにするよ!」 と、二度目のおうち宣言をしたところで、おちびちゃんのことを思い出す。 「ゆゆっ!れいむのおちびちゃん、いっしょにゆっくりしようね!」 いるはずもないのに辺りを探し、声を上げておちびちゃんを捜し求める。 「ゆぅぅぅぅ!!どうしておちびちゃんいないのぉぉぉぉぉ!!??」 お腹が空いたので、ご飯を食べることにした。 「むーしゃ、むーしゃ、しあわせー!」 おちびちゃんはいないけれど、それでもご飯は幸せだ。敷き詰められた芝生はとても良い味がした。 「おちびちゃんゆっくりまっててね」 れいむはおちびちゃんを探し出すべく跳ね出した。 * * * * れいむは一生懸命に跳ね、声を上げたが、捜索はもちろん徒労に終わった。 「れいむのだいじなおちびちゃんゆっくりでてきてね!」 公園の真ん中で大声で叫ぶれいむに、一人の人間の女性が歩み寄る。 「れいむちゃん、ゆっくりしていってね」 「ゆゆ!ゆっくりしていってね!」 女性は腰をかがめてれいむと目を合わせる。 「おちびちゃんがいなくなっちゃったの?一緒に探してあげようか?」 「おねーさんゆっくりありがとう!」 しかし、やはり見つからない。 いないものが見つかるわけなどないのだ。 「ゆ゛う゛う゛う゛!ゆ゛う゛う゛う゛!」 女性はすさまじい泣き方をするれいむを抱き上げる。 「落ち着いて。 ……このあたりはだいたい探し終えたから、次は街中へ行ってみましょう?」 一人と一体は、れいむが”呼び出された”郊外の住宅地から市街地へと入った。 「ゆゆっ!!」 市街地はれいむにとって驚きの連続だった。 道を行き交う人と車、それにゆっくり。 「ゆっくりしていってね!」 れいむが言うと、 「ゆっくりしていってね!」 と答えてくれるゆっくり達は、みな幸せそうな顔をしている。 人間に飼われているゆっくりもいた。 「ゆっくりしていってね!」 「ああ、『ゆっくりしていってね』」 飼いゆっくりと人間は笑い合って、歩いていく。 れいむはそれを、拍子抜けしたような、遠いものを見るような目で見ていた。 れいむのもといた世界では、人間とゆっくりはいがみあっていることが少なくなかった。 また、人間にいじめられてゆっくりできなくなるゆっくりも多かった。 れいむは跳ね止まり、前を行く女性を見た。 「ん?どうしたの?」 「ゆ、ゆゆっ、なんでもないよ!ゆっくりおちびちゃんさがすよ!」 * * * * 「むーしゃ、むーしゃ、しあわせーー!!」 「美味しい?れいむちゃん」 「とってもゆっくりしてるよ!こんなしあわせーなのはじめてだよ!」 ついに日が暮れて、一人と一体は捜索を断念した。 女性に連れられてれいむは初めて”ふぁみれす”に入った。 きれいなくささん――”しーざーさらだ”はとってもゆっくりしていた。 食後にはオレンジジュースも飲んだ。 「ごーく、ごーく…しあわせー!」 「ふふっ」 「おねーさんなにのんでるの?」 「これはメロンソーダよ。れいむちゃんにはちょっと飲めないかもね」 「そんなことないよ!こんなにゆっくりきれいだよ!」 「それじゃああげるわね。気をつけて飲んでね」 「ゆゆ!しゅーわしゅーわするよ!」 「大丈夫……?」 「しゅーわ、しゅーわ……ゆっぐりでぎないぃぃぃぃ!!!」 「ああもう、だから言ったのに」 女性はれいむの頭頂部を抱えて撫でる。 「ゆぅぅぅぅ!ゆぅぅぅぅ!」 その時、女性があることに気づいた。 「あら」 れいむの髪飾りに付いている、赤い花のピン―― それは、”未認可”の証だった。 「れいむちゃん、テストは受けてないの?」 「てすと?てすとってなに?」 「何って……ああそうか、過去ゆっくりなのね。 えーっとね、れいむちゃんは、テストを受けないと駄目なのよ」 「てすとはゆっくりできる?」 「うーん……ゆっくりできたりできなかったりする……というか、テストをしないとずっとゆっくりできなくなる」 「ゆゆ!ずっとゆっくりできないのはいやだよ!ゆっくりてすとするよ!」 「そう。それじゃ明日から、授業受けに行きましょうね。テストのための。 そうだ、今どういうのか教えてあげるからね」 女性は携帯端末を操作すると、端末から小さなメモリースティックを抜き出し、れいむの額に当てた。 「ゆゆ!」 れいむの心に、見たことのないはずの光景が浮かび上がっては消えていく。 それはネット上からダウンロードした、ゆっくり生育認可テストの情景だ。 ゆっくり達は、人間世界の規律を学んだり、我慢することを覚えたりしている。 「ゆゆ!こんなにむずかしいのむりだよ!」 「ふふっ……大丈夫よ。みんなできたんだから」 「それなられいむ、ゆっくりがんばるよ……」 「そう、偉いわね」 。……ところで、れいむちゃんは何歳?」 「なんさい?」 「うーん、えっとねぇ……れいむちゃんは、生まれてから何回寝て起きた?」 「ゆゆ!れいむは、にじゅうきゅうかいすーやすーやして、にじゅうきゅうかいゆっくりおきたよ!」 「あ……そ、そうなんだ」 * * * * ゆっくりの生育に関する条例 ゆっくりは生後30日以内に、いずれかの市町村役場で生育認可を得なければならない。 もし認可のない場合、その活動の期限を30日限りとする。 * * * * 町に野にゆっくりは溢れている。 それは必要な措置だった。 決して難題でもない。たとえば、普通の人間が簡単な資格や免許を取得する程度の労力しかかからない。 だが、れいむがテストを受け、それに合格するのは不可能に近かった。 人間だって、一日で自動車免許を取れはしない。 だが、今日の終わりまでにそれをクリアーしなくては、れいむに生きるすべはない。 女性はそれをれいむに伝えた。 「ぷくぅぅぅぅ!!どうしてそんないじわるいうの!きょうまでなんてむりだよ!」 「そう、そうよね……だけど、そういうことだから」 女性は席を立った。 「おねーさんどこいくの!ゆっくりまってね!」 「うーん、かわいいれいむちゃんだったけど……やっぱり過去ゆっくりは駄目ねえ」 れいむが女性を追って”ふぁみれす”から出たとき、すでに女性の姿は、夜の街の雑踏の中に消えていた。 「おねーさん!れいむはおねーさんといっしょにいたいよ!いっしょにつれてってよぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」 「てすとをうけないと、ずっとゆっくりできなくなる」? ――れいむは、あしたもふぁみれすでしーざーさらださんむーしゃむーしゃしたいよ。 ――れいむは、おちびちゃんにあいたいよ。 ――ずっとゆっくりしたいよ。 ――ゆっくりできなくなるなんていやだよ。 「ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!」 れいむは泣きながら叫んだ。 道行く人も、ゆっくりも笑いかけてくれる。だけど、れいむの境遇を理解してくれる者はいなかった。 「ゆっ!ゆぐっ!でいぶ、でいぶはっ、おちびちゃっ、おねーざん、ゆっぐりでぎなぐなりだぐないよ!」 「ゆゆ?」 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっぐ、ゆっぐりじでいっでね……ゆっぐりじでいっでね……!」 ――おねーさんがいじわるをいわなければ。れいむをつれてってくれれば。 ――じかんさんがもっとゆっくりしてくれれば。 ――ちがう。 ――どうしてこんなことになったの? ――れいむはなにもわるくないよ? 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっぐりじでいっでね!ゆっぐりじでいっでね!」 やがて人の流れが途絶え、時計の針が一日の終わりを告げる。 「ゆ゛う゛……おねーざん……おぢびぢゃん……」 髪飾りに付けられた赤い花のピンが三度瞬いた。 れいむは泣きながら、ゆっくりとした眠りに就いた―― END このSSに感想をつける
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「ゆっくり流産してねっ!」 1 「あっちぃーねぇ。」 「やめてよ、よけいあっつくなるわ。」 「じゃあ、さむ」 「寒いっていえば寒くなるなんてあほなことゆーなよ。」 二人の少女としえとあきがアイスを食べ、ぶらぶらとだべりながら川沿いの道を歩いている。真夏の太陽の光がさんさんと降り注ぎ、二人の肌からは玉のような汗が噴き出してくる。汗でべったりと張り付くTシャツにとしえは気持ち悪さを感じた。 「……これからどーする?」 「どーって、どうしようか。涼しいとこ、ジョスコかイヲンでも行く?」 「出た、ジョスコ。」あきの言葉にとしえは半ば馬鹿にしたように笑う。 「としちゃん、ひどっ。田舎にとってジョスコは聖地だよ?」 「はいはい。」 いま二人がいるのはあきの母方の田舎であるS県、T市である。県の中心から西に離れたT市は山に囲まれ、今でも多くの緑が残る自然豊かな場所だ。辺りには田んぼや畑がひろがり、二人の歩いている山間の道のそばを流れるA川の水も美しく澄んでおり、二人の住む街を流れる川と同じとは思えない。夏の陽さしが水面に反射してキラキラと輝いている。帰省するあきの家族に誘われ、としえもここにいる。 「さいしょはめずらしかったけどさ。」二人はサンダルを脱ぎ、足を川にいれてつかの間の涼をとる。 「あきには悪いけどさ、やっぱ田舎だわー。やることねーもん。」 「なんどもひどいなぁー、としちゃん。……でもたしかにやることないねぇ。」 「男子ならなんかあるかもしんないけど、うちら女子だし。」 「虫取りとか死んでもしないし。」 「さんぽするのいいけど、なんもないし、あっちーし。」 「そうだねぇ。」 ぱしゃぱしゃと水面をけり、水しぶきをあげる。しばらくの間辺りには蝉のうるさいくらいの鳴き声と、田んぼから聞こえるカエルの鳴き声、そしてあきがたてる水音が響いた。 「あっ、ゆっくりだ。」ふと、あきが声をあげた。 「どこ、あぁ、ほんと。」あき見る方向にとしえも目をむけると確かにそこには一匹のゆっくりれいむがいた。 「田舎にもいるんだぁー。」 「どこにでもいるんじゃない?こどもつくることしか能がないからねぇ。」 「……、てかさ、なんかでかくね?」 そのれいむは二人がいる岸を50メートルほどのぼったところにある木陰にいた。普通のゆっくりの大きさであれば、それだけ離れていればここからでは野球ボール大くらいにしか見えないだろう。しかし、どう見てもそのれいむはそれよりずっと大きい。 「たしかに。」そういうと二人は面白いおもちゃをみつけたようないたずらな顔を合わせた。 「行ってみるかぁー、暇だし。」 川のほとりから立ち上がり、濡れた足もそのままでサンダルを履き、二人はそのれいむのもとまで駆け出した。二人にとってはただの暇つぶし、れいむにとっては地獄のような苦しみの時間が始まるのだった。 2 「「でっけぇー!」」二人は意識したわけでもなく、同じ言葉を口にした。 「なにこいつ、ちょーでかいんだけど」 「まじだわ、1メートルはあるんじゃね?」 「たぶん、普通のゆっくりの何倍だ?あぁ、こいつがドスって奴?」 「違うと思うよ。ドスってまりさがなるみたいだし。」 「ふーん、それはいいけど、とにかくでっけーな、こんなでっかいの初めて見た。」 「うぅーん。ゆゆうっ、なんだかうるさいんだよぉ。」 木漏れ日が優しげにふりそそぐ最高のゆっくりプレイスでお昼寝をしていたゆっくりれいむが、ふわぁぁとあくびをしながら目を覚ます。 「ゆゆっ、にんげんさんだ。ゆっくりしていってね!」 寝ぼけまなこに二人のにんげんさんの姿をみとめると、まだ眠いのを我慢してれいむはごあいさつをした。 「「ゆっくりしていってね!!」 としえとあきも笑顔でゆっくりのあいさつを返す。 「ゆゆぅー、にんげんさんもとってもゆっくりしているね!!」 嬉しそうにれいむは答えた。よかったわるいにんげんさんじゃあないみたいだ。 「れいむもね。どうあまさまさん、飴しかないけど食べる?」 「ゆっ、あまあまさんくれるの?れいむあまあまさんだいすきだよっ。」 「そっかそっか、はい、じゃーどうぞ。」 「ありがとー、にんげんさん!とってもゆっくりできるよ、ぺーろぺーろ、……し、し、しあわしぇーー。」 にんげんさんからもらったあまあまさんのおいしさに全身で感動をあらわすれいむの傍らで、としえとあきは何事かを話している。 「…ゲスゆっくりじゃないみたいね。」 「飼いゆっくりでもないみたい。バッジないもん。ねぇ、れいむ」 「しあわしぇーー、ゆゆっ、なぁに、にんげんさん?」 「れいむはどうしてそんなに大きいの?」 「ゆゅ、どうしてかなぁ?」少し考えるように小首をかしげたあと「ゆゅー、たくさんごはんさんをむーしゃむーしゃするからだと思うよ!」と元気に言った。 「それはなに?山にそんなにたべものがおちてるの?」 「それもあるけど、おやさいさんもたべたりするんだよぉ。」 「なに、勝手に畑に生えてる野菜を食べてるわけ?」 「ゆゆぅー、ちがうよ。生えてるのはだめだけど、たべていいよっていうちいさいおやさいさんがあるんだよぉ。それにれいむはいまたくさんむーしゃむーしゃしなきゃいけないんだよ!」 「ふぅーん?そうなんだぁ。」れいむの答えを聞くとひそひそと二人だけで話し始めた。 「つまり、売り物になんないよーな捨てられた野菜をたべてるってわけか。」 「田舎の人はやさしいねぇ。でも積極的に世話してるってわけでもないみたい。むかつくねぇ、ゆっくりのくせに。ゆっくりしすぎだよ。」 「そんなゆっくりはさ…」としえがあきの耳元でぼそぼそつぶやく。「ふふっ、くすぐったい。」ばか、と言ってとしえはそんなあきの頬をつまみながら話を続ける。「こうするのはどう?」、「うわぁ、すっごく面白そう。」、「じゃあ、そういうことで。」、「おっけー。」 「れいむ。」あきがれいむに再び話しかけると同時に、としえはその場所から離れていく。 「なぁに、にんげんさん。もしかしてもっとあまあまさんくれるの?」 「うん、いいよ。でもその前に私たちと遊んでほしいの。」 「ゆっ、いいよぉ、なにしてあそぶのぉ」れいむはぴこぴこを左右のもみあげ震わせ期待に満ちた目であきを見る。 「それはねぇ、ぎゃくたいっていうの。」そんなゆっくりしたれいむの様子を見て、あきは満面の笑みで答える。 「ぎゃくたい?ぎゃくたいさんってなぁに?たのしいの?」 「うん、でもそれは私たちにとってだけね」 「ゆゆぅー?」その言葉になにか不穏なものを、はっきりとした形ではないがれいむは感じた。しかし、一方でもあまあまさんをくれて優しくしてくれたにんげんさんがひどいことはしないはずという気持ちもある。 「れいむぅー!」そんな 大きな自分のを呼ぶ声が聞こえた。声の主は先ほどここから離れたもうひとりのにんげんさんだ。なんだろうと思っていると、そのにんげんさんが叫びながらこっちに走ってくる。 「ゆっ、くっ、りっ、しっ、てっ、いっ、てっ、ねぇー」 「ゆゆゅ?にんげんさんもゆっくりしてい、ゆげぇぇええええええええええええ。」 ゆっくりのあいさつを言い終えることなくれいむはゆがんだ叫びをあげざるをえなかった。にんげんさんがこっちに走ってくるかと思うと、ぴょんと飛びあがり自分の頭をふみつけたのだ。 「ゆがぁぁぁあぁぁ、にんげんさんなにするのぉ、こんなおあそびれいむゆっくりできないよぉぉ。」 飛び乗られた衝撃で口から餡子を吐いてしまい、苦しげにれいむはにんげんさんにたづねた。 「へぇー、まだやめろぉーとか、くそにんげんがぁーとかいわないね。」 「ふっーん。田舎だからかな。」 「もぅー、としちゃんさっきから馬鹿にしすぎー」ぷんぷんと少し怒った声色をだすあきに、としえはごめんごめんと謝るしぐさをする。 「にんげんさぁん、きこえてるのぉ、こんなおあそびれいむたのしくないよぉ。」 「ばかだなぁ、さっきいったでしょ、あんたには楽しくないって。楽しいのは私たちだけ。」 「……ゆゆっ?」 「そんなこと話してたん?でも、まっ、ほんとーに楽しいのはこれからなんだけどね。」 としえはにやりと笑うと、れいむの左右のもみあげをつかみ、れいむを地面にあおむけになるような形で倒した。 「よいしょー。っあぁー、おもてぇー、でっかいだけのことはあるわ、このデブれいむ!」 すかさずとしえは倒したれいむの上に馬乗りになり、ぱぁんと鋭い平手をれいむの右頬にお見舞いする。 「きぃーてんのかよ、このでぶまんじゅう。」 「ゆゆうっ、きこえてるよぉ、きこえてるからゆっくりしないではやくやめてね!」 「ざんねんでしたー。やめませーん。おらっ。」あきはさらにもう一発今度はれいむの左の頬をうつ。 「ゆんやぁぁぁ、いたいよぉぉぉ、ゆっくりできないよぉぉぉぉぉぉぉぉ。」 「てめぇー、まんじゅうこのやろー。なんじ右のほっぺたぶんなぐられたら、」今度はあきの履いていたサンダルを手に持ってれいむの頬をうつ。 「さっさと左のほっぺもさしだせや、このくそまんじゅうがぁ!」としえはれいむの頬をぱんぱんぱん滅多打ちにする。 「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラーッ!」 「ゆげぇ、ゆぎゃあぁあ、やめへっ、もう、」 「ドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラ ドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラーッ!」 「ゆへぇ、ゆっ、ゆぎゃぁ、くだっ、さいっ、もうやっ。」 「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄 無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ぁー」 ゆっ、ゆゆっ、やべえ、ゆげぇと頬を張られるたびに短い悲鳴をあげ、同時に口から少量の餡子とよだれをはきだす。痛みのせいで目からは涙が流れ続け干からびてしまうかと思うほどだ。その様子を見るあきが笑顔で息きれないのっと笑ってみていた。 3 「おらっ、どうだれいむ?」 それからもう何十回、いや何百発れいむの頬を張ったのだろうか。今やれいむは頬を叩かれてもびくりと体を震わすだけで、泣き叫ぶこともしなくなった。としえのほうはさすがの体力に自信のある彼女もさすがに息を荒くし、体中から汗がふきだしてTシャツを濡らしている。しかし、先ほどとは違ってその流れる汗も心地よい。一仕事終えたような達成感に包まれているためだろか。ゆっくりいじめに達成感って、とつい自分でも内心苦笑してしまう。 「お疲れ様。」 ふいにとしえの首筋にヒンヤリとした感覚が走る。あきがはいっと、としえの首にあてたジュースを差し出す。 「おっ、さんきゅー」 「どういたしまして。いやぁ、でもすごいねぇ」 何百回も打たれ続けたれいむの両頬、いやその体は血が通っていないにも関わらず真っ赤になっている。口には漏れたあんことよだれでぐしょぐしょになり、顔には流した涙の跡がはっきり残っている。としえに馬乗りになられたままのれいむ既に気絶しているのか、それとも痛みで動けないのかぐったりとし荒い呼吸を繰り返している。 「でしょ、体がでっかいからちょー叩きがいがあったわ。」 「そうだね、普通のゆっくりだったら死んでるかも。」 「うん、でもさ、見てみ?」としえはれいむの頬を指差す。 「もし拳固でなぐってたらもう皮から餡子が出てると思うんだけどさっ。」 「うん?」 「平手で打ち続けたからそんなに皮もやぶれてないっしょ?」 「ほんとだー。」 「でも、その割に体の中自体にダメージは与えられたと思うんだけど。…ほら、れいむっ!」 としえはれいむの口に飲んでいたオレンジジュースを流し込んでやる。 「……ゆぅぅぅ、ゆんやぁぁぁぁぁっぁぁぁ、もうやめてくださぃぃぃぃぃ。」 目を覚ましたれいむは叫び声をあげるが、すぐにうるさいと叩かれた。 「ゆぅつ、ゆぇ、ゆぇえぇ、どうしてぇ……。」 「あん?」 「どぼちてこんなことしたのぉぉぉぉぉ、れいむなにかわるいことしたぁぁぁ?あまあまさんほしがったせいですかぁぁぁぁ?したならあやまりますからぁぁぁ、もうやめてくださぃぃぃぃぃぃぃぃぃ。」 「いやぁ?べつになんもしてないけど?ていうーか、あんたなんかしたっけ?」 「……ゆっ?わからないよぉ、ならどうしてこんなひどいことしたのぉぉ?」予想外の答えにきょとんとするれいむ。 「いや、やることなかったから、暇つぶし、みたいな?あんたみたいなでっかいゆっくりはじめて見たし、なんかたたきがいありそうだなぁーって。」 「ひっどー、まじ鬼だわ。て、見てたわたしもだけど。」あきはクスクスと二人のやりとりを見て笑みをこぼしてしまう。 「でも、もう飽きたわ!」笑顔でそう言い放つと、としえは馬乗りになったままであったれいむから降りた。 「…………。」 「別に殺すつもりはないからさっ、もうどこにでもいけば?」 「ヤリ捨てってやつだぁー、あきちゃんまじレイパーだよ。」 「聞いてる、れいむ?もう視界から消えて、うざいから。」 うつむいたままで二人の言葉を聞いていたれいむが急にぶるぶると体を震わせたかと思うと、二人に向かい叫んだ。 「このぉぉぉぉぉぉ、くしょにんげんがぁぁぁっぁぁぁ、なにがひまつぶしだぁぁぁぁ、 こんなくずはせいっさいしてやるぅぅぅぅぅぅ!」 としえに向かい渾身の力をこめ、体当たりしようとするが、悲しいかなしょせんはゆっくり。ゆっくりの動きが人間の速さを凌駕することはない。ましてこのれいむは1メートルを超すような巨大ゆっくりである。どんなに自身が速く動いているつもりでも決して二人に追いつくことはない。 「にげぇるなぁぁぁ、ゆっくりしないでさっさとせいっさいされろぉぉぉぉぉぉ!」 「うわぁぁ、こわっ、れいむまじおこぷんぷんまるなんだけど。ゲスになったの?おお、怖い怖い。」 「ていうか、ムカ着火ファイアーじゃない?ほらほら、ゆっくりしないで早くこいよ。」二人はおにさんこちらのように手のひらを鳴らしてれいむを挑発する。 「こんのぉぉぉぉぉ、ばかにするなぁぁぁっ!………ゆっ!」 原住民のような、まるでゆっくりに似つかわしくない叫びをあげて二人を追っていたれいむが急にその動きを止める。 「あれ、どうしたんだろ、急に止まったよ、あいつ。」 「わなじゃね、なにか企んでるとか。」 「かなぁ?いやっ、なんか違うみたい。」 よく見るとれいむは粘着質な汗をかきながら顔をひきつらせ、自身の体にむかってなにか話している様子だ。 「だめだよぉ、あかちゃん、まだでてきちゃだめだよぉぉぉぉぉおぉ。」 「どうしちゃったの?」 「ゆっ、くそにんげんがぁぁぁぁ、ゆっくりしないではやくきえろぉぉぉぉ。」 「追いかけてきたり消えろって言ったり、忙しいやっちゃな…。れいむー、あかちゃんが産まれそうなのー?」 「そうだよぉ、赤ちゃんまだおかあさんのなかにいなきゃだめなんだよぉ。まだうまれるのははやいからねぇぇぇぇぇ」 「ふーん、あんたの体のなかに赤ゆっくりがいて、そいつは産まれたらすぐ死んじゃうような未熟児ってわけなんだ?」 そのあきの言葉を聞き、としえはにんまりと笑う。そして、痛みで動くことのできないれいむに近づき、おもむろにその腹を蹴った。 「ゆっ、やめろぉぉぉ、ばかなのぉぉぉぉ、赤ちゃんがでてきちゃうでしょぉぉぉ。」 「いんだよ、流産しちまえ。」そういうと今度は何度も執拗にれいむの腹を蹴りあげる。 「りゅうざん?」 「そうだよ、予定よりはやくうまれちゃうことを流産っていうんだよ。おまえみたいなくそまんじゅうの子供なんか生きてたってしかたないからさ。」 まるで猫がネズミをいたぶるかのような目をして、それでいてとても優しげな声で言う。 「ゆっくり流産してね!」 としえに蹴りに合わせるかのように、あきも囃子声をあげる。 「りゅーっざん、りゅーっざん、りゅーっざん、りゅーっざん、りゅーっざん。」 「りゅーっざん、りゅーっざん、りゅーっざん、りゅーっざん、りゅーっざん。」としえもれいむの腹部を蹴るたびに声をあげ始めた。 「りゅーっざん、りゅーっざん、りゅーっざん、りゅーっざん、りゅーっざん。」 「りゅーっざん、りゅーっざん、りゅーっざん、りゅーっざん、りゅーっざん。」 「りゅーっざん、りゅーっざん、りゅーっざん、りゅーっざん、りゅーっざん。」 「りゅーっざん、りゅーっざん、りゅーっざん、りゅーっざん、りゅーっざん。」 そんな声にかこまれたれいむ。 「やめろぉぉぉぉ、だまれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ、あかちゃんだめだからね。おかあさんはあかちゃんをりゅーざんしたりしないからね。」 「さっさとながれろよ!おらっ!」続けてれいむの腹を蹴る。 「りゅーっざん、りゅーっざん、りゅーっざん、りゅーっざん、りゅーっざん。」 「りゅーっざん、りゅーっざん、りゅーっざん、りゅーっざん、りゅーっざん。」 「りゅーっざん、りゅーっざん、りゅーっざん、りゅーっざん、りゅーっざん。」 「りゅーっざん、りゅーっざん、りゅーっざん、りゅーっざん、りゅーっざん。」 れいむは二人の呪いの言葉をまるで人間が耳をふさぐようにして両方のもみあげを顔に当てる。 「やめろおぉぉぉぉ、やめろぉぉぉぉぉぉぉ、やめろぉぉぉぉぉぉぉ。………ゆっ?」 叫ぶために力を入れてしまった、まさにその瞬間まむまむから嫌な感触がれいむの体に走った。 「ゆっ、ゆっ、ゆんやぁぁぁぁぁぁぁぁ、おちびちゃぁぁぁぁっぁぁぁん、うまれてきちゃだめっていったでしょぉぉぉぉぉぉ。りゅうざんしちゃったよぉぉぉぉぉぉぉぉぉお!」 「ゆゅ、ゆやぁぁぁ」 未熟な体で―眼も口もはっきりしない、髪の毛もほとんんど生えておらず、かろうじてお飾りの形からまりさ種とわかる―生まれてしまった赤まりさが苦しげに小さなうめき声をあげる。 「あかちゃぁぁぁん、ゆくっりしていってね、ゆっくりしていってね!……いってね、ゆっくりしてねっていってよぉぉぉぉぉぉ。」 未熟児赤まりさはれいむのほうを見ようとするが、体を動かすこともまともにできないのだろう、コロンと転がったかとおもうと、そのまま短い間隔で体を震わせる。 「ゆっ、ゆっ、ゆっ、ゆっ……。」 始めから小さかった声がまるでろうそくの炎が消えるかのようにどんどん小さくなっていく。そしてついにうめき声もあげなくなり、未熟児赤まりさはゆっくりすることなく―そもそも意識があったかすらわからないが―死んだ。 「いっぇーい、りゅうざん成功―。」 「死んだまりさにかんぱーい!」 その様子を見て、としえとあきはぱんと小気味のよい音をたてハイタッチをする。 「ねぇ、れいむ、いまどんな気持ち?りゅーざんしちゃっていまどんな気持ちぃ?」 「赤ちゃんをりゅーざんするなんて、れいむはさいってーのお母さんだね!赤ちゃんもあんたみたいなくそおやに育てられなくなってよかったね!」 二人はくるくるとれいむの周りをまわりながら、声をあげる。 「さいてーのくずおや?……れいむはくずなおやなの?」 自分の子供の死を受け入れられず、呆けていたれいむが二人の声に反応する。 「そうだよっ、自分の子供も守れないなんてさいってーだよ。」 「そうそう、さいってー」 「れいむはさいってー、りゅうざんして、こどももしなせるようなくずゆっくり…。」 「わかってんじゃーん。そうだよ、このク、ズ!!!」 「………ゆへぇぇぇぇぇ、そうです。れいむはくずです、くずなゆっくりです、赤ちゃんをころしたさいってーなゆっくりです……。ごめんねぇ、赤ちゃん。こんなくずからうまれてごめんねぇ。ごめんねぇ、ごめんねぇ、ごめんねぇ、ごめんねぇ、ごめんねぇ。」 「あらら、壊れっちゃたねぇ。」 「うん壊しちゃったねぇ。メンタル豆腐すぎ。そんなんじゃ、平成の世は生きていけないよー。」 赤ゆっくりの死骸を前にして、目の焦点もあわずよだれをだらだらと流しながらぶつぶつごめんねごめんねとつぶやくれいむをみて二人は顔を合わせた。 「……でもっ、まっ、ゆっくりがどうなっても知ったこっちゃないかー。むしろこの世からごみが消えたみたいな?」 「そうだねぇ、そろそろ日も暮れてくるし帰ろうっか。」 「帰ろうっか、今日のご飯なんだろうね?」 「お寿司とってくれるっていってたよ。」 「まじで、やったー田舎サイコー!」 「現金だなぁ。」 としえの変わり身の早さにあきはついつい苦笑してしまう。そして楽しげな様子で二人は家路についた。 いつの間にか空はオレンジ色の見事な夕焼けに染まっている。その光が壊れたれいむの体ににもオレンジ色に染め上げる。れいむはいつまでもぶつぶつと赤ゆっくりの亡骸のまえで謝り続けていた。 選択肢 投票 しあわせー! (86) それなりー (19) つぎにきたいするよ! (55) 名前 コメント すべてのコメントを見る
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「すっきりしたいわねぇ」 「もうすこしさがせばまりさがみつかるわよ」 「まりさはぁはぁ…」 「とかいはのてくをおしえてあげるわぁ」 …なんとまあ、うざいものを見てしまった。 森にちょっと狩りにでも行くかと思い、猟銃もってでかけた矢先に興奮したゆっくりありす達にあってしまった。 目ぇすわってるし、なんかはぁはぁ言ってるし、よだれたらしながらぶりょんぶりょん移動してるし。 数としては五匹ほど。それほど多くはないが普通のゆっくり一家は全滅するだろう。 このまま回れ右して見なかったことにすれば問題ない。 そう思いくるりと後ろを見たところでふとあることを思いついた。 「うふふふふ…」 「まりさぁ…」 「すっきりぃ…」 …問題はこれを実践するにはそこにいるレイパーありすを捕まえなくてはならんが 少し悩んだが結局俺はありす達に近づくと持っていた籠に全部放り込み加工所へと向かった。 「とまあこういうことをやってみたらどうかと思ったんだが」 「ふむ…なかなかよさそうだね。早速ありす担当を呼んでみるよ」 ここは加工所。まあゆっくりを人間に役立つよう加工するところだ。 だいたいのゆっくりは養殖されて加工し甘味物になっている。 さすがに野生のゆっくりは何を食べてるかわからないので食料にはならないが、それ以外の生活用品にはなる。 具体的にはつぶして肥料とか飾りを加工して雑巾とかだ。そのため野生のゆっくりを引き取ってくれるという一面がある。 ちなみに俺がさっきまで話してたのはここに働く友人。結構いいやつだ。 その性格からか他の村の人と交渉役をやっている。 「さっさとここからだしてね!!」 「ここはえれがんとじゃないわ!!もっととかいはにふさわしいばしょをじゅんびしなさい!!」 「ついでにおいしいものもね!!」 「まりさもいればとってもりっぱよ!!」 「そこまでするならとかいはありすのじゅうしゃとみとめてあげるわ!!」 そして俺が捕まえたありすは近くのオリに入ってる。さっきから叫んでてうざい。 とりあえず無視だ。ゆっくりを相手にしたってキリがない しばらく待つと友人が何人か連れてやってきた。たぶんあれがありす担当だろう 簡単に挨拶をすませると早速返事を聞いてみた。 「なかなか面白そうな企画だと思います。やってみましょう」 これが向こうの返事。結構ノリノリでした。 俺は担当と握手をすると早速捕まえたありすを渡した。 後はしばらくの間待てば結果が出てくるだろう 一週間後… 「で、これがその駆除ありすか」 「そう、君が考えたゆっくり駆除ありす」 「なんというか…きもいな」 「僕もそう思うよ」 加工所のとある一室で会話する俺と友人。 俺達が見ているのは以前より少し大きくなった一匹のゆっくりありすだった。 しかしその顔は以前より相当醜い。こんな人間を見かけたら例え何もやってなくても捕まえたほうがいいだろう。そんな顔だ。 まず目があっちこっちをぐるぐると動きながら見ている。左右別々だ。しかもそれがかなりの速さである。 口からはよだれがだらだら流れているし、興奮が抑えられずはぁはぁどころかゼヒアーって感じの呼吸音である 確か呼吸困難に陥ったらこんな感じの音がするはず。 そして下あご辺り。すでにぺにぺにが臨戦態勢だ。即座にその辺のゆっくりを犯すことができるだろう。 わかりやすく言えばありすのレイパーとも言うべき側面を前面に押し出したような生き物である。 「で、これは役に立つのか?」 「発案したのは君だろうに…一応実験は成功したよ。あとは野に放つだけだ」 「成功しそうな顔はしてるな…うん、とりあえずやってみてくれ」 俺は友人とともに外にでてしばらく歩く。その間駆除ありすは箱に入れられたがその間ずっと興奮しっぱなしだった。 呼吸困難な音が聞こえてきて、歩いてる間あまりいい気分ではなかった。うーむ便利なものが完成したのになぁ 「こいつってしゃべれるのか?」 「いや、残念ながらそれは無理らしい。すっきりすることしか考えられなくて周りの声は聞こえないらしいよ」 「うーむ」 道具として考えるなら問題ないがここまで非情な存在もないかもしれない。 「これが駆除ありすの大体の内容。ほとんど君の希望通りになったよ。少し担当が使いやすいよういじったけど」 「へぇ…」 友人から渡された書類をめくる。それはこのゆっくり駆除ありすの説明書だった。 とりあえずざっと読んで簡単に説明するとこうだ。 ゆっくりは小さいときにすっきりすると子供に餡子を吸われて死んでしまう。 そして成体のゆっくりも一度にあまりにも多くの子供を作ると餡子の吸われすぎでやはり死んでしまう。 この性質を利用したのがこのゆっくり駆除ありすだ。 このゆっくり駆除ありすは他のゆっくりよりも強い性欲を持つゆっくりありすの本能を強化したものである。 具体的にはとかいは(笑)の理性の部分のカスタードを捨て、他のありすの性欲の部分を移植している。 そのため野生のありすより数段性欲が強く、常に発情期となっている。 また性行為に関する体の部分も小麦粉で強化されており、すっきりを百回繰り返しても問題ないほどだ。 そして普通のゆっくりより人間で言う精子を大量に放出する。 この結果どうなるか。 このゆっくり駆除ありすに襲われたゆっくりはすっきりさせられて死んでしまうわけである。 加工所からある程度はなれると、ゆっくりの家族を発見する。 れいむとまりさのありがちなゆっくり一家だ。全部で十匹くらい。 二匹が親で残りが子供。ためしにやるにはちょうどいいだろう 「いい相手がいるね。早速離してみようか」 「ああ、頼む」 友人が箱の中にいた駆除ありすを解放した。 箱から出されたありすは近くを目だけですばやく確認すると、ゆっくりとは思えない速さでゆっくり一家の方に向かう。 「ゆ?ゆっくりし…」 「あああああすっきりすっきりすっきりすっきりすっきりすっきりすっきりすっきりすっきりすっきりすっきり!!!」 「ゆぎゃあああぁぁぁぁ!!!!」 あっという間に近くにいた子まりさがすっきりさせられて黒ずんで死んだ。 「すげぇ早いな」 「常に興奮しててすっきりする直前みたいになってるらしいよ」 こんなに早いと男としてどうだろうという気がするがゆっくりだからいいか。 「すっきりすっきりすっきりすっきりすっきりすっきりすっきりすっきりすっきりすっきりすっきり!!!」 「ぴぎゃぁ!!!」 会話している間に二匹目の子まりさが死んだ。 「ゆげぇ!!!ありすう!!!」 「みんなありすはゆっくりできないよ!!はやくおかーさんのくちのなかにはいってね!!」 「きょわいよー!!!」 「たちゅけてー!!!!」 異変にようやく気づいたゆっくりれいむとまりさが慌てて逃げ出そうとするが。 「すっきりすっきりすっきりすっきりすっきりすっきりすっきりすっきりすっきりすっきりすっきり!!!」 「ゆぎょぉおおおお!!!」 三匹目の子れいむが犯されてすぐに黒ずんでいく 「ま、まりさはにげるんだぜ!!すっきりするなられいむですっきりするんだぜ!!」 「どうじでぞんなごどいうのおおおお!!!!」 「ありすにすっきりさせられたらゆっくりできないんだぜ!!まりさはもっとゆっくりしたいんだぜ!!」 親まりさは早速裏切って逃げ始めた。れいむはその後を追いたいが子供達がまだ全部入っていない。 だがここでありすが不思議な行動をとる。 「なんでこっちくるんだぜぇぇぇぇ!!!!」 「ばでぃざああああああああ!!!!!!」 れいむを無視して一気にまりさのほうへ走り出したのだ。 まりさもそこそこ足が速いが、強化されたありすはすぐに追いついて押し倒してしまった。 「すっきりすっきりすっきりすっきりすっきりすっきりすっきりすっきりすっきりすっきりすっきり!!!」 「なんでなんだぜええええええええ!!!!!」 大量の茎を生やしてあっという間にまりさは黒ずんでしまった。 成体なので子供が出来るかと思ったが、頭に異様なくらいびっしり生えた茎には小さい実のようなものがせいぜいであった。 あれでは子供にはどうあがいてもならないだろう。 「頭にびっしり茎が生えたゆっくりってキモイな」 「あはは…」 その光景を見て思わずもれる感想。友人も苦笑いだ。 「相手が成体でも子供ができないんだな」 「計算上だと大体六十~七十ぐらい生えるらしいよ。それだけ多いとよっぽど大きくないかぎり子供もできないとか」 「駆除をするという点では優秀だな」 やってる行為は子供を増やすはずなのに目的は駆除。これだけ矛盾に満ちてるのもある意味すごい。 「れいむをおいていったからだよ!!そんなひどいまりさはゆっくりしんでね!!」 「ゆっくちちんでね!!」 「くるちんでちんでね!!」 黒ずんだまりさに罵倒する残った一家。そんなことしてる暇があるなら逃げりゃいいのに。 「ひゃああああ、すっきりだぁ!!!」 「なんでこっちくるのおおおおお!!」 「こっちこにゃいでねえええ!!!」 「そきょでゆっくちちてねええええ!!!!」 残る一家に襲い掛かるありす。 それほど時間もかからずゆっくり一家は全滅した。 「とまあこういう結果になったよ」 「うーむ、すごいものをみてしまった」 黒ずんでいた死体を食べる駆除ありすを回収する友人。まだ試作品なので野生に解き放つわけにはいかないそうだ。 だがいずれは一定量生産して駆除ありす部隊なるものを作る予定らしい。 このありすで部隊を作って襲わせればうまくいけば群れどころかドスも駆除できるそうだ。 うまくいけば野生のゆっくりを壊滅させることもできるかもしれない まさか同族によってゆっくりできなくなるとは饅頭どもも思うまい ゆっくりの未来はまっくらなようだ。…もともとそうか ~~~~~~~ ノリと勢いで書いたが結構ありかもしれんな、これ そういやゆっくり人形が作られるそうだがマジだろうか たぶんネタ商品だと思うが…だよね?ブームにならんよね? 過去作品 巨大(ry 餌やり ゆっくり対策 巨大まりさ襲来 ゆっくり埋め どすまりさの失敗 原点 このSSに感想を付ける
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前 カラン、という音が手術室に響いた。 それは先ほど先生が見せてくれた、太い鉄の棒を置いた音。 先端は尖っており、まるで槍のようだ。 槍は成まりさの目の前に、見せ付けるように置かれている。 傷つけるための道具、成まりさはそう判断したのだろう、必死で体を揺すった。 「やめてね!!はやくおウチに返してね!!おにいさんにいいつけるよ!!」 しかし、底部に鉄製の皿が張り付いているせいで全く動けない。 「まず、植物型出産の機能を破壊しますよ」 先生は成まりさの言葉など聞こえてないかのように、俺に言う。 「はい」 「では、帽子を取ってもらえますか」 言われたとおり、俺は成まりさの帽子を取ろうとした。 すると、成まりさの目が輝く。何かに気がついたようだ。 「ゆ!そこのおじさん達!まりさのバッヂを見てね!ゆっくりりかいしてね!!」 成まりさの帽子を見ると、コーヒーコースターほどの大きさの赤いバッヂが張ってあった。 帽子に巻かれた白いリボンの隣にあったため、よく目立つ。 これはペットショップなどで売っている、飼いゆっくり証明バッヂだ。 飼いゆっくりが逃亡したり、遊んでいて迷子になった時のために付けるものである。 バッヂの裏には飼い主の住所や名前などが書いてあるので、迷子になっても安心だ。 そして、飼いゆっくりを虐待してはいけないというルールがある。 ルールを守って楽しく虐待。 それが虐待お兄さんに共通する約束事だ。 もちろん俺もそれを守っている。 そのことをこの成まりさは知っていたのだろう。 飼いゆっくりである自分を痛めつけてはいけない、と主張しているのだ。 「バッヂって何?何もついてないよ?」 「ゆ!?うそを言わないでね!!」 帽子のつばが邪魔で成まりさにはバッヂは見えない。 俺は帽子を取り上げ、バッヂを成まりさから見えない位置に隠した。 「ほら、これはまりさの帽子でしょ?どこにバッヂがあるの?」 成まりさの眼前に突きつけられた帽子にバッヂは無い。 「ゆ・・?!?うそだよ!!まりさはバッヂつきだよ!!」 信じられない、という目で帽子を見つめるがそれは確かに自分の帽子。 おろおろとする成まりさを相手にすることをやめ、俺は帽子を少し離れたところに置いた。 「ま、まりさのぼうし!!かえしてぇっ!!!」 顔だけ帽子に向かって倒れ掛かるが、固定された底部が邪魔をして動けない。 「顔、押さえてください」 「はい」 乗り出していた成まりさの顔を掴む。 柔らかい。 若干発汗していたが、もちもちとしながらも張りのある皮。 内部の餡子の熱が皮越しに伝わって、ほんのりと温かい。 指を滑らせても、抵抗が感じられないほど滑々としていた。 優しい飼い主に、心行くまでゆっくりさせてもらった証拠だ。 「やめてね!!!ちかづけないでね!!」 そんな素敵な皮に近づくのは、先生の右手に握られた槍。 左手は品定めでもするかのように、成まりさの髪の生え際をなぞっている。 「ここですね」 先生が指で、髪の生え際の中心近くを軽く二度三度叩く。 おそらく、そこに槍を突っ込むのだろう。 「じゃあ、しっかり押さえておきます」 「よろしくお願いします」 「ゆぅぁっ!やめてっ!!!」 頭を回転させて逃げようとするが、人間の力に勝てるはずもない。 無駄な抵抗とはまさにこのことだろう。 「こわいよ!!!刺さないでね!!!やめてね!!」 「はーい、ちょっと痛いけど我慢してねー」 注射でもするかのような声とともに、先生は思い切り成まりさに槍を突き刺した。 「ゆっびゅぉおおっぉぉっ!?!?!?」 尖った部分は全て内部に入り込み、外に露出しているのは太い部分だけだ。 突き抜けてはいないが、かなり深く入り込んでいることが分かる。 その証拠に、顔を掴む俺の手に、ぬるぬるとした汗のようなものが溢れてきている。 目は血走り、涙が溢れ始めていた。 「いぢぃあ゙ああ゙ああ゙いよぉぉおっ!!!おにいざあんだずげでぇ゙ええ゙え゙ぇえ゙え゙っ!!!!」 一瞬、俺や先生に対して命乞いをしているのかと思った。 だが、その目はあらぬ方向に向いており、話しかけるような口調ではない。 これは、飼い主である兄さんに向けたメッセージなのだろう。 成まりさが絶大な信頼を寄せるお兄さん。 きっと、今までこんな痛い目に会わせることなどしなかったはずだ。 目の前の敵に助けを求めず、どこにいるかも分からないお兄さんを頼っている。 随分信頼されているじゃないか。 思わず成まりさを握る手に力が入る。 「お゙に゙いざあ゙あああ゙ああぁあ゙あああ゙あぁ゙ぁぁぁああああっ!!!!!」 もう、棒から先生の手は離されている。 これ以上押し込まれることも引き抜かれることもないのだが、やはり痛いものは痛いらしい。 成まりさは先生は既に新しい道具を手に取っていることにも気が付いていないようだ。 「少し熱いけど我慢しようね」 真っ赤に染まった炭が、箸に挟まれていた。 先生の足元を見ると、いつの間に用意したのか火鉢が置いてある。 「ゆうぁああ゙あ!!ぼうやべでええっ!!!」 よく熱せられた炭であったため、空気を伝わってその熱気が伝わってくる。 平和ボケした成まりさでもその恐ろしさは理解できたようだ。 先生は槍の露出した部分の先端を回し、蓋を外した。 どうやらこの槍、中は空洞だったらしい。 「はい、入れますよ」 カラン、という音を鳴らして槍の奥へと流れていく炭。 もちろんその奥とは尖った先端部分、成まりさの餡子に埋まっている部分だ。 熱も伝わらなかったせいか、最初は反応しなかった。 だが、5個目の炭を入れる頃には熱が成まりさを攻撃し始めていた。 「あっぢゅぃい゙いい゙ぃぃい゙!!!あ゙りざのなががあづいよぉお!?!?」 粘液に代わって汗が俺の手に大量に垂れ始めてきた。 呼吸が荒くなり、手術台の上は成まりさの汗と粘液と汗で水溜りができている。 「ではこのまま10分ほど待ちましょう」 成まりさにとって、人生で最も長い10分間が始まった。 「お゙ぎぃぃい゙い゙いい゙ぃいいいぃぃぃいっ!!!!!!!!」 「そろそろいいですね」 10分間、成まりさは悲鳴を上げ続けた。 愛好家が聞いたら同じような悲鳴を上げただろうが、俺にとっては最高のミュージックでしかない。 息も絶え絶えになりながら、それでも声を上げる姿は芸術と言ってもいいだろう。 おにいさん、おにいさん、と何度助けを求めただろう。 「抜きますから、しっかり押さえててくださいね」 「はい」 先生が鉄製のハサミのようなもので炭と同じくらい熱くなった鉄の槍を掴む。 それをゆっくりと引っ張ると、また激痛が走るのか成まりさは歪んだ顔をさらに歪めた。 「ぼおおぉお゙ぉおっ!!!!お゙にいぃ゙い゙いざああ゙あ゙ああ゙あっ!!!」 抜き終わった槍を傍らに置き、先生は槍が刺さっていた穴を観察している。 「これを見てください」 指差されたのは、槍で開いた穴。 俺は成まりさの正面に回り、穴を覗いた。 「うわ、槍の形そのまんまですね」 その穴は、槍の形を綺麗に保っていた。 普通、穴を開けても餡子が塞いでしまうものだ。 「中まで綺麗に槍の跡が残ってますね」 「熱で固まっているんだよ」 奥は暗くてよく見えないが、見事な洞窟が誕生していた。 槍の触れていた部分が焦げてしまったのだ。 「圧力で押しつぶされないよう、餡子を入れて完成です」 先生の手に握られたビンには、餡子が入っていた。 それを成まりさ洞窟に流し込む。 「・・・」 いつの間にやら、成まりさは泡を吹いて気絶していた。 「鬼井君、ちょっとそこにある箱を取ってくれないか。どっちでもいいから」 「はい」 入り口近くに箱が2つ積んである。 俺の掌くらいの大きさの正方形。 上に乗った箱には「加工所から購入 子れいむ 〇月×日」と書かれた手書きの紙が張ってあった。 「先生、どうぞ」 「ああ、箱開けてくれますか」 差し出した手を戻し、箱を開けることにする。 包装はしてなかったので、すぐに開けることができた。 「ゅぅ・・・ゆぅ・・・」 箱に入っていたのは、紙にあった通り子れいむであった。 ソフトボールサイズの子れいむが窮屈そうに眠っている。 「それを逆さま、底部を私に向けて差し出してください」 どうすればいいのか困惑する俺に、先生は道具箱を漁りながら言った。 何をするのか分からないが、とりあえず言うとおりにしておけば問題ないだろう。 箱から引っ張り出し、底部を先生に向けた。 「ゅう・・・?」 掴まれたことと、逆さまにされたことで目が覚めたのだろう。 子れいむが妙な声を上げる。 「逃げないようしっかり押さえててください」 先生の手にはメスが握られていた。 俺は子れいむを潰さないよう気をつけながら、力を込めた。 「ゆゔっ!!??」 まだ完全に目が覚めていない子れいむの底部にメスが入る。 痛みで眠気が飛んだのか、手に子れいむの力を感じた。 「ゆぎぎいい!!いぢゃいよおおっ!!!おがあざあんん!!!」 そのままメスは、子れいむの底部で円を描く。 先生が左手に握られたピンセットで円の中心を摘むと、綺麗に皮が剥がれた。 子れいむの餡子が剥き出しになる。 「ゆぎゅ゙うゔゔぅぅっ!!!!?」 子れいむが底部が無くなった痛みに苦しんでいる。 眠っていて起きたら底部がないのだ。 ワケがわからないだろう。 だが俺はその理由がわかった。 「その皮を移植するんですね」 「ご名答」 その皮を成まりさに開いた穴に貼り付けながら、先生は続ける。 「子ゆっくりの皮が一番移植に適しているんですよ。やわらかくて、若々しくて」 「この子れいむはどうします?」 「もう使い物にならないので、ゴミ箱に捨ててください」 「ゆぎゅ!やべでね!!れいぶをずでないでね!!!」 底部の無くなった子れいむが必死に助けを求めるが、興味が湧かないのでゴミ箱に投げ捨てた。 きっと加工所職員に家族単位で捕獲された野生のゆっくりだろう。 実験体として生かされるよりマシだろうから、少しは感謝してほしいものだ。 ゴミ箱の中から悲鳴や泣き声は聞こえなかった。 底部が無いので、投げられた衝撃で餡子が全て漏れて死んだのだろう。 「こちらの処置は終わったので、次は胎生型妊娠の機能の破壊をします」 「方法は植物型と同じですよね?」 「はい。同じことの繰り返しです。今は気絶してますけど、すぐ目が覚めるでしょうから、頑張りましょう」 俺はぬるぬるとした成まりさの体を掴み、腹(?)をさらけ出すように先生に向けた。 「ふう、これで終わりです」 ピンセットを金属製のトレーに投げ込み、先生は椅子に座った。 俺の手には、移植用に使われた子まりさがいる。 子れいむ同様、底部が切り取られて使い道がなくなったので、ゴミ箱に投げ捨てた。 「なんだか楽しそうだね、鬼井君」 「え、そうですか?」 自分の顔が緩んでにやけていたようだ。 それほど、あの成まりさの悲鳴は素晴らしかったのだ。 あの成まりさは、胎生型出産を知っていた。 『やめ゙て!!!あ゙かちゃんをうべなくなっぢゃうよ゙ぉっ!!』 『あ゙り゙ざのがわ゙いい゙あがぢゃ゙ん゙をおにいざんに見せられなくなっ゙ちゃゔぅぅゔゔ!!』 『ま゙り゙さのがわいいあがぢゃんがああぁぁああ゙ぁぁ!!!』 『あがぢゃん・・・あがぢゃんがああぁぁ・・・・』 『おに゙いざんごべんなざい・・・ごべんなざい・・・』 『ま゙りざ、もうあがぢゃんうべだい・・・おびいざん゙・・・・ごめべねええぇぇ・・・』 熱で気絶するその瞬間まで、成まりさは飼い主のお兄さんに謝罪を繰り返していた。 自分をゆっくりさせてくれた大好きなお兄さんに、自分の赤ちゃんを見せたい。 そんな思いがひしひしと伝わってきた。 ゆっくりは恩返しができないため、感謝の意を表すために自身の子を見せることがあると本で読んだことがある。 可愛い赤ちゃんを見せたらその人はゆっくりできる、と思うらしい。 この成まりさも、きっと自分の赤ちゃんを見せたかったに違いない。 だから、涙でふやけた皮を見ていると、顔が緩んで仕方が無いのだ。 腹に貼り付けられた移植の皮を見ていると笑いが込み上げてくるのだ。 やはり、出産は母体になってこそだろう。 「ところで鬼井君、間違っていたら本当に申し訳ないんだが・・・」 「はい?なんですか?」 どうにか真面目な顔を作って、先生の方を向いた。 「もしかして、虐待お兄さんだったりするかな?」 「・・・!」 俺は虐待お兄さんであることを隠していたつもりだった。 しかし、やはり本職の人間にはバレてしまうものなのだろうか。 一瞬、あぅえ、みたいな変な声が出たが、俺は覚悟を決めた。 「・・・はい。俺は虐待お兄さんです」 「やはりそうか・・・」 このバイトもおしまいだ、俺はそう思った。 こんな愛好者のための施設に、俺のような虐待お兄さんが勤められるはずがない。 「そうか、そうか・・・」 「黙っていてすみません」 「いや何、気にすることはないよ」 先生は顔を手で押さえながら、泣いているような、笑っているようなしぐさをしていた。 そうしていながら、目だけは俺をじっと見据えている。 「実は私も虐待お兄さんでね」 俺は耳を疑った。 「えぇ!?」 「驚くことはない」 手を顎に当て、先生は顔に笑みを浮かべている。 「昔から、私は人に可愛がられているゆっくりをいじめたくてね。でも駄目だった。私は真面目すぎたんだ・・・」 そう、人に飼われているゆっくりは虐待してはならない。 「ルールを守って楽しく虐待・・・」 「その通り」 一度手を鳴らし、先生は俺に手を差し出した。 同じ趣向を持つものを、心から歓迎してくれているのだ。 「だからルールを守って痛めつける方法を探したんだ。それがこのゆっくりにっくだよ」 「先生っ・・・!」 差し出された手を、俺は強く握った。 いままで何人もの虐待お兄さんを見てきたが、まさか加工所以外で虐待を仕事に持ち込む人がいるなんて。 俺は素直に感動していた。 そして、こんな素晴らしい先輩に出会えたことに感謝をした。 「鬼井君の行動や言葉から、虐待お兄さんのニオイがしたんだが、聞いて正解だったよ」 「え・・・?そんなにバレバレでした?」 ふふ、と先生が笑った。 「同じ虐待お兄さんだからね。要所要所で同類の臭いを感じたよ」 俺は上手くごまかせていると思ったのだが、そんなことは無かったようだ。 同じ虐待お兄さんの俺は、全然気が付かなかったというのに。 「ま、鬼井君もだいぶゆっくりの体で遊んでいるみたいだから、こちらとしても助かるよ。助手、これからもよろしく頼むよ」 「ええ、まかせてください」 俺は拳で胸を叩いた。 作:アルコールランプ? このSSに感想を付ける
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雨さんはゆっくりしてるね 19KB 虐はゆるめです。 『ふたば系ゆっくりいじめ 137 真夏はゆっくりできるね』続き。 まあ、タイトルで予想できるとおり、大体定番の展開ですので、 盛り上げるためにも前置きやら小ネタが必要になりました。 『雨さんはゆっくりしてるね』 D.O 夏。 今日も町は、餡子の底まで焼けつくような暑さだ。 一昨日、小学校に居たゆうかりんからもらった水は、もはや一滴も残っていない。 れいむは今日もおちびちゃんたちとともに、水を求めて町をさまよう。 「もうゆっくちあるけにゃいよぉ。」 不満を漏らす彼女は末っ子れいむ。 「ゆっくちがんばっちぇにぇ、ときゃいはじゃにゃいわ。」 それをいさめるのは長女ありす。 れいむ自慢のゆっくりしたおちびちゃんたちだ。 でも、このままじゃおちびちゃんたちもゆっくりできなくなるよ。 ゆっくりしないでおみずさんをみつけないと。 れいむ一家が朦朧とした意識で這い進んでいると、何やら目の前に、 ゴミ捨て場さんによく似た小さな山が見えた。 「ゆう・・・ゆっ?なんだかこのはこさんゆっくりできるよ?」 「ちゅめちゃーい!ゆっくちー!」 「しゅーりしゅーりしゅると、とっちぇもしゅじゅしいわ。ときゃいはー!」 「おちびちゃんたち、ちょっとここでやすもうね!」 「「ゆっくちー!」」 「「「すーや、すーや・・・。」」」 「よーし、湯土郎!荷物積み込んだらとっとと車に乗れー。」 「キャンプッ!キャンプッ!」 ブロロロロロロォォォォォ・・・ 「「「ゆっ!?」」」 「あれっ?とーちゃん、ゆっくりが乗ってる。」 「なんだとぉ?」 彼女たちが冷たいと喜んでいたのは氷を満載したクーラーボックス。 ゴミ捨て場に見えたのはキャンプ用品の山である。 こうして彼女たちは、予想だにしない形で町の熱気から解放されたのだった。 「いや、そこらに置いて行こうよ湯土郎、野良ゆはゆっくりできないってばっちゃが言ってたぞ!」 「こんなトコに置いてっちゃかわいそーだろ! 仲間のいるところに返してやろーよー。」 親子が話し合う中、人間さんのすぃーに無断で乗ってしまったことに気づいたれいむ一家は、 奥歯もかみ合わないほど震えあがっていた。 だが、彼女たちの心配は良い意味で裏切られる。 結局父が折れた。 「ありす、ゆーどろごっこしようぜ!」 「ぷきゅぅぅぅぅぅうううう!ぷきゅるるるるーーーー!ゆっくちー!」 「な!たのしいだろ!」 あにゃるからストローで息を吹き込まれるたび、 長女ありすは自分がいつもより大きく膨らんでいるような気がして、とても喜んでいた。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 巷のゆっくり愛好者に人気のキャンプ場『虹浦ゆーキャンプ』。 このキャンプ場は、近くに大人の足首程度の水深の小川と、捕食種の住みつかない恵み豊かな森を有しており、 多くの人懐っこいゆっくりたちが住みつく、素晴らしいゆっくりプレイスだった。 「「「ゆっゆーーー!!!」」」 「じゃーね、れいむ!ここならたくさんゆっくりした友達がいるから、ゆっくりしていってね!」 「「「ゆっくりしていってね!!!」」」 れいむ一家は人間さんの親子に別れを告げると、仲間達のにおいをたどって森へと入って行った。 美しい緑に興奮しつつ、れいむ一家が森を進んでいると、 木の影から、 岩の隙間から、 崖の上から、 いつの間にか、無数のゆっくりの視線がれいむ一家を取り囲んでいた。 森のゆっくり達は見かけない顔のれいむに、距離をとりつつもゾロゾロと集まる。 向けられるのは好奇の視線。 町の排気ガスと油に汚れた体、水不足と食料不足でゆっくりできていない下膨れ、森のゆっくり達とはまるで別物。 れいむ一家自身も明らかな差を自覚し、さらし者にされているかのよう、いや、実際さらし者にされていた。 それは、かつて飼いゆっくりの集まる公園にあんよを踏み入れた時の感覚に似ていた。 「ゆっくりしていってね!」 その静寂を破ったのは、森ゆの中でもひときわゆっくりしていた、一匹のまりさだった。 まりさは周囲のゆっくり達よりさらに一歩れいむに近づき、れいむの瞳をじっと見つめていた。 その視線は鋭かったが、なぜかゆっくりできないものではなく、れいむ自身もまりさに目を合わせた。 そして数時間にも感じられる数秒が過ぎたころ、まりさは再びお口を開いた 「みんなっ!このれいむたちはゆっくりできるよ。みんなもいっしょにゆっくりしてね!」 「「「「「ゆっくりしていってね!!!」」」」」 れいむ一家は、こうして森に迎え入れられた。 木々の木陰はひんやりと涼しく、町の猛暑を餡子がとろけるほどに味わっていたれいむ一家にとっては、 まさに別世界だった。 ゆっくりひなたぼっこ。ごはんはどちらを向いても山のようにある。 小川の清水は、おちびちゃんたちの全身に染みついた町のホコリを清めてくれた。 全身を清め終えたれいむ一家は、栄養状態こそそこそこだが、いまや森ゆに負けない美ゆっくり達となっていた。 「べっ、べつにそんなにゆっくりしてるとかおもってないわよ!ちょっととかいはだからってちょうしにのらないでねっ!」 「とっちぇもゆっくちできりゅわ!おにぇーしゃんはとっちぇもときゃいはにぇ!」 「なっ、なによ!ありすをほめたって、このあまあまのきのみさんくらいしかでないわよっ!」 「ありがちょー。」 今や、だれが見てもれいむ達は立派な森ゆであろう。 そして数日後。 そんな美ゆっくりとなったれいむに、まりさが惹かれたのか、 ゆっくりしていなかった自分を森に受け入れてくれたまりさに、れいむが惹かれたのか、 確実なことは、まりさとれいむが周囲のゆっくり達公認のカップルとなったことだった。 むろん新参のよそ者と、森でもそのゆっくりっぷりが評判のまりさが恋仲となるので波紋は生じる。 例えば、 「ふんっ!そんなれいむをすきになるなんて、まりさもとんだいなかものだったのねっ!」 捨て台詞を残して去って行ったのは、まりさと並ぶ美貌を誇っていた、つんでれありすだ。 お察しのとおり、彼女はまりさのことを愛していたが、厄介な性格のせいで告白できなかった。 これまたお察しのとおり、まりさ以外の森ゆ全員が彼女の想いを知っていた。 所詮は個ゆっくり間の色恋沙汰など、誰も進んで関わりたがらなかったが。 「「「「「わかるよー。」」」」」 他のゆっくり達はわりかし物分かりがよく、お祝い事を素直に喜んでいた。さすがにゆっくりである。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 今日も見事な青空だった。 空には大きな大きな入道雲。 森のみんなは狩りもそこそこで終わらせて、浅い小川でサッと水浴び、 そのあとは岩の上で横になり、日光浴ですっきりーする。 みんながゆっくりしている姿の中にあっても、まりさは本当にゆっくりしていた。 おちびちゃんたちと水浴びを終えたれいむは、ふと以前から持っていた疑問を投げかけてみた。 「ねぇ、まりさ。」 「なに、れいむ。」 「はじめてあったとき、まりさはどうして、れいむとゆっくりしてくれたの?」 「・・・・・・。」 「れいむは、よごれてて、やせてて、とってもゆっくりしてなかったよ。どうしてゆっくりさせてくれたの?」 「・・・なんとなくだよ。」 「?」 ゴロゴロゴロ・・・ 「なんとなく、れいむはゆっくりしてたよ。それだけだよ。」 「ゆ、ゆーん。なんだかれいむもよくわからなくなってきたよ。まりさはれいむのこと、ほめてくれてるの?」 「よくわからないよ。」 「ゆがーん!」 「それに、そんなのどうでもいいよ。まりさは、れいむのことがだいすきだよ。それだけでじゅうぶんなんだよ。」 「まりさ・・・。」 ゴロゴロゴロゴロッ・・・ 「れいむ・・・。」 見つめあう二匹。 だが、れいむがまりさの下膨れにうっとりとしていたその時、まりさは突然はっとして、空を見上げた。 まりさは気づいたのだった。 先ほどまで何事もなかった自分のお肌が、しっとりと濡れていることに。 「!」 慣れ、 気の緩み、 れいむともっとゆっくりしたいという願望、 いずれか、あるいはその全てであったかも知れない。 まりさは出せる限りの大声で叫んだ。 「みんなっあめさんがふるよ!ゆっくりしないでおうちにもどってね!!!」 まりさは、その大して長くもないゆん生において、 数えることができるほどしか(具体的には3回以下)してこなかった、 そして、もっとも致命的な失敗を犯した。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− まりさの声が川原に響いた瞬間、 ピッッッシャァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンン!!! 雷鳴。 そして、次の瞬間 「「「わがらにゃぁぁあああああ・・・・・・・・・!!!」」」 桶の底を叩き割ったような大雨。 小川で水浴びに興じていた数十匹のゆっくりが一瞬で砕けちった。 かろうじて森の中に逃げ込んだれいむたち。しかしまだまだ安泰とは言えない。 「このあめさんは、はっぱさんじゃふせぎきれないよっ! みんな、まりさといっしょにどうくつさんにいくよ!」 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 「ゆぁぁ・・・」 「ゆびっ・・・」 「やめじぇぇぇ・・・」 「あめざんやべじぇ・・・」 「あんよが、あんよが・・・」 「「「ゆっぐりざぜでぇぇぇぇえええええ・・・!!!」 「おぎゃあじゃぁぁん・・・」 「ばりざぁぁぁあ・・・」 「・・・をつかわざるをえない・・・」 「ぎゃぼ・・・」 「こんなのおかしいよぉ。」 ほんの少し前までここはたしかに至高のゆっくりぷれいすだったはずなのに。 今、れいむの眼前には地獄絵図が広がっていた。 もともと森の人気者だったまりさの周囲には、いつのまにか多くの森ゆたちが集まり、 一緒に洞窟に向けて、なるべく深い茂みの中を進んでいた。しかし、 「おきゃあしゃ『ボタッ』ゆびっ・・・。」 「おちびちゃん?おちびちゃぁぁぁあああん!!」 茂みをくぐり抜けた雨粒は、肌の薄い子ゆ、赤ゆ達を確実に狙撃していく。 しかし、森の豊富な食糧によって大きく育った赤ゆたちすべてをおくちの中に避難させることはできない。 れいむ一家にしても状況は深刻だ。 ここ数日の食生活のおかげもあってか、長女ありすも末っ子れいむも、急速に子ゆっくりサイズ近くへと成長してしまった。 もはやおくちの中に入れて運んであげることなどできない。 れいむ達は、自分と、おちびちゃんの頭上に死が降りかからないことを祈ることしかできなかった。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 「おちび、しげみさんのおくにきなさい!おちびのくせにあめさんにぬれるつもり!」 「ゆあーん。でもありしゅおにぇーしゃんがぬれちゃうよぉ」 「あっ、ありすはへいきにきまってるでしょ!すこしあめさんにぬれたいきぶんなのよ!」 「ゆーん、ありしゅおにぇえ・・・ゆ?」 「ゆぁぁぁああああん!!!ありしゅおにぇえちゃんのおかおがくじゅれちゃっちゃよぉぉぉおおお!!!」 「いや・・・いやぁぁぁあああ!!!」 「ありすっ、おちついてよー!」 「こんなのとかいがじゃないわぁぁぁぁぁぁ。」 「ありすー、だいじょうぶだよー、ぺーろぺーろしたらよくなるよー。」 「だめぇ、こんなゆっくりしてないおかおじゃ、まりさのちかくにいられないのぉ。 ありすみたいな、いじわるでゆっくりできないゆっくりが、おかおまでゆっくりできなくなっちゃったらぁ・・・。」 「・・・ちがうよー。ありすはやさしくってゆっくりできるありすだよー。 ちぇんはずっとすきだったよー。おちびちゃんをまもってけがしちゃったありすはもっとすきになったよー。 わかるー?」 「ちぇん・・・」 「あめさんがやんだらちぇんとずっとゆっくりしてほしいよー。 へんじはこんどでいいよー。わかってねー。」 「・・・・・・。」 つんでれありすは気づかない。 愛の告白をした、ちぇんの尻尾の付け根はすでにふやけて痛々しく裂けており、 ありすとすーりすーりするたびにチョコレートを大量に流していたことに。 ちぇんは気づいていない。 ありすの崩れた顔は、もはや皮としての強度を持ち合わせておらず、 ちぇんとすーりすーりするたびにカスタードを大量に流していたことに。 その光景を眺めていた赤まりさは、 彼女たちのあまりにゆっくりした姿に、自分も加えてもらおうと、 餡子をボロボロとこぼすあんよでゆっくりと這い進み、二匹にそっと寄り添った。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 一方れいむ一家はまりさや森ゆ達と茂みを進んでいたが、 普段は雨さんから守ってくれるはずの葉っぱさんから、さらに大粒になった水滴が降り注ぐ中で、 赤ゆ、子ゆから次々に餡子を散らしていく。 「ゆぴっ・・・・」 「ゆげぇ・・・」 「おちびじゃん、おちびちゃんがぁぁぁ・・・ゆべぇ。」 いつのまにか周囲には、れいむ一家とまりさ以外は誰も居なくなってしまっていた。 「おきゃあしゃん・・・もぉあるけにゃいよぉ。」 末っ子れいむがついに弱音を吐き始めた。 とはいえ今回ばかりは甘えだとも言い切れない。 事実末っ子れいむと長女ありすのあんよはぶよぶよにふやけて限界まで来ていた。 まりさが2匹を、帽子に交互に入れてあげてはいたが、 洞窟が見えるところまで来て、ついにれいむ達は完全に身動きを取れなくなった。 れいむ一家は近くにあった木の洞に隠れる。 「まりさ、まりさもきのあなさんのなかにはいってね。」 「まりさはおぼうしがあるからへいきだよ!れいむたちこそもっとおくにはいってね!」 「おきゃあしゃぁぁあん、このあなしゃん、おみじゅしゃんがはいっちぇくるよぉぉ。」 しかし、ゆっくり達のおうちに使われてないだけあり、 その洞はあまりに小さく、雨から完全に身を守ることはできなかった。 その時、少しだけ雨が弱まった。 あんよが濡れる危険があろうとも今洞窟に向かうしかない。 「れいむ、これからおちびちゃんといっしょに、どうくつさんにむかってね。」 「「まりしゃおにぇーしゃん?」」 「まりさ、なにいってるの?」 「よくきいてね。まりさだけならこのあなさんのなかでもだいじょうぶだよ。 でもおちびちゃんたちまではむりだよ。」 「まりさをおいてなんていけないよ! それにれいむたちはおぼうしがないから、あめさんのなかをどうくつさんまでいけないよ。」 「れいむはまりさのおぼうしをかぶってね。 おちびちゃんたちは、きゅうくつでもおぼうしのなかにはいってね。とにかくまりさはここにのこるんだよ。」 その時れいむは、洞に入らず雨にさらされ続けていたまりさのあんよが、 ろくに動かせないほどふやけていることに気づいた。 「ありしゅものこるよ!」 「なにいってるの、おちびちゃん!」 「まりしゃおにーちゃんがいりゅからだいじょうぶだよ。 おきゃーしゃんは、りぇいむをちゅれてどうくつさんにいっっちぇにぇ!」 普段ならば、いかにおちびちゃんの言葉とは言え、じゃあゆっくりのこってね、とはいかない。 しかし、 「わかったよ。おちびちゃんはまりさとゆっくりしていってね。」 れいむは、末っ子れいむだけを帽子に入れて、洞を飛び出していった。泣き叫ぶのをこらえながら。 「ありすはもう、あんよがやぶれちゃってたんだね・・・。」 「でも、もういちゃくにゃいんだよ。へんだにぇ・・・。」 「おそとはつめたいよ。まりさのおくちにはいってね。」 「まりしゃおとーちゃんのおくち、あっちゃきゃいにぇ。」 「がんばったね、おちびちゃん。もうきょうはすーやすーやしようね。」 「ゆっくち。おとーしゃんのおくち、とっちぇもときゃいはにぇ。おきゃーしゃんとおなじくらいゆっくちしちぇるよ。」 「ゆっくりしていってね、おちびちゃん・・・」 「おやしゅみにゃしゃい・・・」 木の洞にあった丸い影は、少しずつ形を崩していき、ついには赤いカチューシャの他に何一つ痕跡を残さず消え去っていった。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 洞窟内には、周辺の群れも合わせて数百の家族がひしめきつつ、一様にすすり泣いていた。 「まりさぁぁ・・・」 「おとうしゃぁぁぁあああん・・・」 家族たちの中には、ゆっくりまりさのとんがり帽子をかぶったありすやちぇんも多い。 そばに寄り添う赤ゆに、必ずと言ってよいほど赤まりさがいたことで、れいむはおおよその事情を悟ったのだった。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 雨のあがった夕方、川原は、泥を洗い流すゆっくり達で、タコ焼き機を敷き詰めたような賑わいだった。 川の水も若干増水しており、流れもすっかり速くなっていた。 とはいえ元々きれいな水である。多少濁ってはいてもきれいきれいする分には問題なかった。 「かわさんはちょっとゆっくりしてないよ!おちびちゃんたちは、かわさんのなかにはいらないでね! おかーさんにきれいきれいしてもらうんだよ!」 「「「「「「ゆっくちりかいしちゃよ!」」」」」」 先代の群れの長まりさも永遠にゆっくりしてしまっていたため、 急きょ新しい長となった若いまりさは、群れのゆっくり達に注意を促す。 突然の任命に多少動揺していたものの、その眼には、誇りと責任感がはっきりと見て取ることができた。 群れは数を減らしはしたが、今後も安泰であろう。 「すっきりー!」 きれいに晴れた空を見ながら、れいむはまりさと赤ありすのゆっくりした下膨れを思い出す。 まりさ・・・ありす・・・ゆっくりしていってね。 れいむはふたりのぶんまでゆっくりするよ。 「おきゃーしゃん!りぇいみゅあのいわしゃんのうえでぽーかぽーかしゅるよっ!」 そこには、大きな岩が転がる川原の中にあって、ひときわ大きな岩があった。 子ゆっくりでも登るのは一苦労、ましてギリギリ赤ゆといった末っ子れいむでは転んで怪我をする危険もある。 「れいみゅひちょりでにょぼるよ!おきゃーしゃんはみちぇちぇにぇ!」 「ゆーん。おちびちゃん。あぶないよ。」 「れいみゅだいじょうぶだよっ! れいみゅも、まりしゃおにぇーしゃんみちゃいに、ありしゅおにぇーしゃんみちゃいに、 ゆっくちしたゆっくちにゃるんだよっ!」 「・・・おちびちゃん、たいようさんにゆっくりかわかしてもらってね!」 ありす、まりさ。ふたりがいなくても、れいむはもうなかないよ。 おちびちゃんが、あんなにゆっくりてるから。 だから、おちびちゃんを、ずっといっしょにみまもっててね・・・。 末っ子れいむは、お母さんれいむにキレイに泥を落としてもらうと、 日向ぼっこをするために、川原から少しのぼった先の岩の上に駆け上がる。 ぴょんっ! ぴょんっ! ぴょんっ! ドドドドォォォォオオオオオオオオオオオ・・・・・・・ ぴょんっ!「ゆっ!」 ぴょんっ!「ゆっくち!」 ぴょんっ!「あともうしゅこちだよっ!」 ぴょんっ!「ゆぅーん!」 「おきゃーしゃんっ!れいみゅひちょりでのぼれちゃよっ!!!ゆっくちしちぇいっちぇにぇ!!!」 。 末っ子れいむが振り返ると、そこには先ほどまでの2倍以上の幅、10倍どころではない深さとなった濁流が、 とてもゆっくりしてない速さで流れていた。 ついさっきまで水浴びを楽しんでいた群れのゆっくり達は、どこを見ても影も形もない。 山津波。 それは上流で山地に蓄えられた水が、豪雨などにより貯水限界を超えて、土砂を巻き込み一気に流れ落ちる現象。 野生のゆっくり達にとっても、その川の姿は想像を超えていたことだろう。 「おきゃーしゃん。ゆっくち・・・しちぇいっちぇにぇ・・・。」 末っ子れいむは、小首(?)をかしげつつ、いつまでも母を呼び続けるのだった。 前作『真夏はゆっくりできるね』では脇役がヘタにキャラ立ちしていたため、おまけSS作成が大変でした。 今回はほぼ全員にしっかりトドメを入れておいたのでおまけは書かずに済みそう。 でも、雨ってやっぱり味気なくてイマイチ面白くなりませんね。すみません。 小ネタに頼らざるを得ないのは悪い傾向です。 ちなみに『ゆうかりんのご奉仕授業』の校長の名前は倉塚先生でした。 あと、『ゆっくりのみるゆめ』の虐待お兄さんは天霧さんです。 過度な絵師さんいじりにはならないよう、なるべくイメージと遠いキャラに、名前を使わせていただいております。 苦情があったらやめますが。 実は、登場予定だった長まりさと側近みょんを削っています。だって悲劇にならなかったんですよ。 (一部抜粋)「もうまりさはここまでだぜ。みょんははやくどうくつにむかうんだぜ。」 「何言ってるんですかい、おやっさん。最後までお供させていただきやすぜぇ。みょん。」 「ばかなこといってるんじゃないんだぜ。みょんはむれのこれからにひつようなゆっくりなんだぜ。」 「ふっ。あっしみてぇなロートルが残ったところで、若けぇもんに腫れもの扱いされんのがオチでさぁ。 それに、おやっさんと三途の川ぁ渡って、あっちでひと暴れすんのが楽しみってもんでさぁ。みょん。」 「ふぅ・・・つくづくどうしようもないみょんなんだぜ。もういいんだぜ、ここまでにしてくれだぜ。」 「介錯は任せてくんなせぇ。あっしもすぐにお供させていただきやすぜ。みょん。」 ギャグですね。 ※次回予告 最愛の母と姉を失いながらも赤れいむは強く生き続ける。 そして、町に戻った彼女が母と同じ大きさに育った頃、彼女に最後の試練が降りかかるのであった。 次回、D.Oが送る季節モノ系SS最終回『クリスマスイブさんはゆっくりしてね』(仮)。 まあ、あんまり期待しないで待っててください。ダラダラ書きます。 過去作品 ふたば系ゆっくりいじめ 132 俺の嫁ゆっくり ふたば系ゆっくりいじめ 137 真夏はゆっくりできるね ふたば系ゆっくりいじめ 139 ゆっくりのみるゆめ ふたば系ゆっくりいじめ 142 ゆうかりんのご奉仕授業 D.Oの作品集 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る のだめ・・・? -- 2011-10-18 22 53 30 移動中に「をつかわざるをえない」って言ってるやつがwwww -- 2011-08-22 11 13 10 シーン毎に映像が浮かびやすかった 面白かったです -- 2010-09-06 08 17 51