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Survivor Series ◆EKhCqq9jsg シグナムが目を覚ますと、そこは見知らぬ天井であった。 もっとも、この雰囲気と窓の日光を反射させるその壁と天井、 それに現在潜りこんでいるこのベッドにより、 自分はヴィータやシャマルともに『主』である八神ハヤテの体質のため 何度も行くことになっていた病院であるということが確認できた。 一先ず、ゆっくりと上半身を起こしてみる。 体調は完璧とは言えないが、少なくとも激しい動きをしても何の問題ではないと 言えるほどであった。 「ん、目が覚めたか」 声が聞こえた。 その声の方向に目を向けると、来客用の丸椅子に 一匹の動物がじっとこちらを見ていた。 もっとも、その動物はこの戦地に舞い降りてから幾時間ほど共に行動していた ラスカルであったことは言わずもがなであった。 「……今、何時だ?」 そんな彼に対しての第一声は、自分が意識を失ってから どれくらいの時間が経過したかであった。 「やれやれ……起きてまずそれを聞くとはな…… うむ、今の時間は11時少し前と言える時間だな」 ラスカルはそう言うと壁に掛けてある時計の方に向けた 「なっ……! そんなにも私は気絶していたのか?」 シグナムはそれを聞き、大いに驚いた。 精々30分、長くても1時間ほどだと彼女は思っていた。 が、それは大いなる間違いであった。 自分が意識を失い始めたであろう時間は おおよそで午前5時あたりと予想すると、約6時間の間 すなわち一日の四分の一という長い時間、目と口と耳を閉ざしていたことになる。 一瞬、ラスカルの口から出た言葉をシグナムは信じられなかった。 だが彼が顔を向けた先にある時計を見て事実とわかった瞬間 思わず意気消沈し、少し取り乱す。 「自分の脆さに渇を入れたくなってしまうな……」 「しょうがあるまい、なんたってあんな激しく戦ったのだんだぞ? 支障が無かっただけでも十分すぎるほど幸運だとは思うがな」 自分を責めるシグナムの言葉に、ラスカルは少しケチを付けながら 今の状況がかなり良いと言うことを伝え反論する。 確かに自分は命すら危うい状態(気絶による身動き一つ出来ない状況のこと) であったことは言うまでもない。 だから今こうして会話を交わすことはかなり幸運であったのであろう。 だがやはりシグナムはなにかやるせない気分であった。 「ま、そう思う気持ちもわかるがな。 さて、シグの字、おぬしが知りたいのはこれだけでは無かろう。 なに、これだけの時間が経ったのだからな。 俺が伝えなければならないことは少なくは無いぞ」 ラスカルはしっくりいかない顔をしているシグナムに対して 先ほどより真面目に問いかける。 先述通り実に6時間近くの間眠っていたのだ、 単純にわかるところで質問すべきところは 放送内容と自分が何故病院にいるのかであろう。 「そうだな……一番簡単なことから頼む」 シグナムはとりあえず深く考察すべきものは後回しにし 単純明快なものからラスカルに問いただすことにした。 「簡単……か……」 それを聞きラスカルはベッドの近くに置いてあった この殺し合いの名簿であるものを手に持ち、フーッと息を吐きながら 真剣な顔つきでシグナムの方向へ顔を向けた。 ラスカルは恐らく放送内容、つまり禁止エリアの状況と死亡者を述べてくれるのであろうとシグナム察した。 「おぬしが探していた『セフィロス』は、もうこの世に存在しないことが判明した」 が、ラスカルが最初に呟いたそれは、自分が一時も予想出来なかった言葉であった。 耳に入って即時に目を大きく広げ思わず大きな声を放ってしまうところであった。 しかし彼女は何故ラスカルが初めにこれを述べたのが微量であるが理解したため 彼女が声を発することはなかった。 「意外だな、もう少し大きな反応をするかと思っていたが」 「……いや、今にでも声を荒げたい気分だ……だが荒げた所で何も変わるまい……」 「そうか……ではそれ以外の放送内容を今から言うぞ」 セフィロスが死んだ。 これは彼女にとって途轍もない問題であろう。 自分の主である八神はやての全てを任した男が 圧倒的圧力と暴力をかなえている男が あっさりと、日の明けぬ前に死んでいた。 それを単純だと言うのならば、この世の全てが安直なことであろう。 それでも、この戦場にはもっと難解で不可思議で理解出来ないようなことが散在している。 前の戦場でもそれはあった。 いきなり何の理由も無く殺しあえと言われた、これでさえ人の死より 理解しがたい、意味不明な出来事であろう。 それに加え何故か幾つもある人物の名前、 こちらは何故か蘇り、考察しているこの戦場でも言えることだ。 印刷ミスや誤字脱字、もしくは同姓同名の人物だとも考えられないことでは無い。 だがそれにしても奇怪に見えてしまう、それに前では『フェイト・T・ハラオウン』 今回言うなら『6/』などと言った99.9%同姓同名がいない可能性が高い人物が 幾つも存在しても宜しいものなのか。 加え、電話の人物、ラスカル、自分の三者が違ったイメージを持つ 『柊かがみ』という人物。 などなど、死が薄まるほどの濃厚な謎が存在している。 声を荒げてセフィロスの死を簡単なものと理解しないと言うことは 全ての謎を理解し解いていくことを放棄するものと同じ。 すなわち、殺し合いをも放棄することと同じだとシグナムは深く考量する。 そうしたことをシグナムは心に決め、ラスカルが語る放送内容のことに耳を傾けるのであった。 ☆★☆ ラスカルはシグナムに放送内容の全容を話した。 主催側は何らかの不手際でビデオ映像を参加者たちに流出し その後、禁止エリアの発表、死者10名の名前を読み上げたところで放送は終了した。 「特筆するべき所は特に無いな、奴らが流出した映像も手がかりが無いから、これと言った情報は得られなかった」 「そうだな。 私と同じ場所で来た参加者は……セフィロスだけだったようだな」 「……無理をするなよシグの字、配慮は足りないことは理解していたが、それでも」 「いや……いい、もうわかっている。 早く次の話しに移ってくれ」 セフィロスの名を出した時シグナムは浮かない顔を表した、 ラスカルはそんな彼女に気を配り一応詫びの言葉を入れ、 次に話すべきことを決めた。 ラスカルが二つ目に口にしたことは シグナムが何故病院に寄留しているのかであった。 言葉を選ばずただ淡々に動向を話した。 シグナムが意識を失った時、スバル・ナカジマ、アルフォンス・エルリック 両名に担がれ、ゆったりとしたスピードで病院に向かい なんとか事故や事件に巻き込まれずこの病室に運ぶことに完遂したのであった。 この時にラスカルはシグナムの体から離れ(滅茶苦茶騒がれたものの、なんとか落ち着かせた) 両名と情報収集し、今の状況では色々と対処し切れなず、 いつ目を覚ますかわからないシグナムをずっと待っていては情報を入手できないと告げ 二人に他の反抗する参加者を探してきて欲しいと頼み込んだのであった。 その折にスバルは強い助っ人が居るらしい丸い塊をラスカルに手渡し、 彼女らは病院を去っていった。 ちなみに彼女らとは21時に地図の上部、端的に言えば会場北部にある 豪華客船と示された施設で合流する約束を交わした。 ラスカルはまだ口を開き続ける。 スバル達が去ってそう時間が経っていない頃、眼帯を付けた汚れたスーツ姿の男が ここに来たが、軽く情報を交換して先ほどスバルから受け取った丸い塊を手に取り 苦笑いをしながらその鉄の塊を容赦なくバラバラにしてしまったな、と言葉を続ける。 恐らく因縁な品だったんだろうなとラスカルは推測を語る。 その後男はアルベルトと名乗って、バッグの中からメロンを「お見舞いの品だ」 と言い放ち、入ってきた時より何かに落胆したような表情を見せ病室から去っていった。 そうして今に至ると言うことである。 「動向はこれくらいだな、後は遠くで何かが起こった臭い音が薄く聞こえたくらいで それ以外にこれと言ったことはなかったな。 はっきり言うなら、俺たちは情報面ではかなり遅れをとっているのかも知れん」 「そうだな……しかし丸い塊を跡形も無く粉々に出来る、相当な実力者と言えるだろう」 「ああ、多分奴さんはかなりの喧嘩好きと言える雰囲気を響きだしていたぞ、そう言えばシグの字の容態を見て 『元気になったら一度手合わせ願おう』とほざいていたな、まあ、付き合うか付き合わないかはおぬしに任せる」 考えておこう、とシグナムは少し笑みを浮かべながら素早く言葉を返すのであった。 一瞬だが二つの命に静粛が流れる。 それは一種の空気の入れ替えと言うべきなのであろうか。 とにかく先ほどまでとは打って変った雰囲気となった。 「さて……シグの字よ、おぬしはこれからどうする? お前の主の行く末を知っているセフィロスはもういない。 そこでお前はどのような道を歩む? 主が望まぬことをしてまで己を血に染めるか……それとも新たなる道を歩むか」 ラスカルが真剣に問いかけるそれは、シグナムが今まで考えもしたことも無いことであった。 主八神はやての安否を確認できるセフィロスは死んだ。 だがセフィロスがいない今、主がこの世を去ってしまっている可能性も考えられなくは無い。 なら主の安否確認のために剣を振るう? 主が望まぬことをしてもただ虚しいだけではないか。 それでは主を諦めまた新たな道を見つける? ……そんな事、考えられない、考えたくもない。 だが考えなければならないのか……? シグナムは頭を抱え考える。 駄目だ……主はやてがいない未来なんていらない……いらないんだ…… だけど、だけどどうすればいい……? どうすればいい……? 私はどうすればいい……? 「正直……私は何をするべきなのかわからない…… 主はやてに会うためには主が認めないことをしなければならない…… だが……私はどうすればいいのであろうな……」 弱々しい声でラスカルにそう告げる。 先ほどの力強く叫びを闘いをしている時とは一変して か細い声、まるで親を見失って迷う猫のように頭を抱えていた。 そんな姿を見たラスカルは、寝台にヒョイと上り そっとシグナムに近づき背中を摩る。 「迷え」 ラスカルが頭を抱えているシグナムに一言弁じる。 「迷って、悩んで、考え続けろ」 ラスカルはなおも言葉をかけ続ける。 「その間は、俺は味方だ」 そう最後に言い放ちベッドのから下り元の丸椅子に戻る。 それを聞いたシグナムは顔から手を放し 少しだけ頷き、「すまない」とだけ言って深呼吸をし、手を頭から放して 再度自分の行く末を考える。 答えは見つからないかもしれない、だけどそれでもいいと思った。 何故ならここには自分の味方がいるのだから。 それが彼女にとって何よりも嬉しく、そして頼もしかった。 【B-6/病院内/1日目-昼】 【シグナム@なのはロワ】 [状態]:疲労(小)、ダメージ(小)、沈思黙考 [装備]: [持物]:支給品一式(食料少し減)、不明支給品0~2(確認済み・少なくとも刀剣類はない) [方針/行動] 基本方針:現在思考中 1:自分は何をすればいいのであろうか……? 2:柊かがみに激しい警戒。 3:できればラスカルを主(やる夫)の所に届けてやりたい。 4:21時に豪華客船でアル、スバルの両名と合流する。 5:出来れば眼帯の男と戦いたい。 ※第一放送を聞き逃しましたが、ラスカルから内容を把握しました。 ※主はやて(@なのはロワ)の安否が確認できないと理解しました。 ☆ ★ ☆ (危うい状態だな……) そんな悩めるシグナムを見て、ラスカルは一人思う。 (やはり黙っておいた方が正解だったか……? いや、いずれ把握してしまうことを考えると 先に話しておくべきであろうか……? いや……そんなことをしたらシグの字の情緒の回復が遅滞するだけだ) シグナムにとって八神はやてという人物が己自身の命よりも 大切なものだということが改めて実感するラスカル。 (当然だろうな……シグの字を人間にしたのは彼女なんだからな……) 実はラスカルはシグナムに話していないことがあった。 それは彼女を運んでくれた少女、『スバル・ナカジマ』のことであった。 (スバル・ナカジマ……まさかシグの字が未来に会う後輩であるとはな しかもその未来が『八神はやてと順風満帆な生活を送る』と言うことを知っていることが また尚更だ……) スバル・ナカジマは後に八神はやてが設立する『機動六課』で共に行動する いわば部下的存在であった。 もちろんこれはスバル本人から聞いた話しで、彼女が嘘をついていたらそれまでの話し、 しかしラスカルはスバルが嘘をついているとは微塵も思えなかった。 何故なら彼女はシグナムの歴史を語ってくれていたからだ。 自分のことではなくシグナムのこと、ついでに名簿に載っているフェイト・T・ハラオウン、 高町なのは、両名のことも話してくれた。 これがラスカルがスバルを信じるには十分すぎる理由であった。 (つまり、スバル・ナカジマは『シグナムと八神はやてが共に生存した世界』の住人と考えるのが妥当。 ……だがもうすで『シグナムが生存した世界』は存在しない……言い変えればスバルはパラレルワールドの住人…… そんなスバルの話を聞かせたら……いくらシグの字のような心の強いものであっても、 己の幸せと主の幸福を妄想して……そして狂うだろう……) ラスカルはベッドにいるシグナムの顔を横目でチラリと覗きこむ。 やはり長らく休養したのが効しているのか、その顔は美しく輝いているように見える。 だがそんな彼女の顔をゆがませる出来事が刻々と迫ってきている。 (もしシグの字自身が己の道を導きさせることが出来なければ…… 朽ちる……ギリギリで心を保つことが出来ているシグの字が…… 容赦のない絶望と言う日光が彼女を枯れさせる……) (シグの字、俺は人間ではないからおぬしを完璧に善の道に誘う言葉知らない。 だが、おぬしを応援することは出来る。 おぬしと共にこの殺し合いを立ち向かうことが出来る) ラスカルはシグナムから目をそらし 窓の外を見つめる。 太陽は天辺と言ってもいいほどの位置に存在していた。 (だから俺はお主を支え続けよう。 そして仲間を集めて共にこの殺し合いから脱却しようじゃないか) そんな太陽を見つめて、ラスカルは決意を固めるのであった。 (しかし、やる夫の方は大丈夫なのだろうか……? 実力者でさえ安易に脱落してしまっているんだ、もうくたばってしまった可能性は低くはないか。 いや、奴にとってはもう俺は死んだことになっているのだろう、だからそれ程気にかけることでもなかったか。 だからスマンなやる夫、今はこの不安定の騎士のことを支えさせてくれ) 最後にラスカルは以前のパートナーであるやる夫のことを思い浮かべる。 長くは無いが共に苦楽を共にした仲だ、忘れることは無い。 けれど今の一時は、やる夫のことではなく、シグナムのことを考え続けたかった。 これが、彼がやる夫に対して最後に思うことになろうとは 今は予想もつかなかった。 【B-6/病院内/1日目-昼】 【ラスカル@やる夫ロワ】 [状態]健康 [方針/思考] 基本方針 シグナムの行く末を見守る。 1:シグナムを見守る。 2:21時に豪華客船でアル、スバルの両名と合流する。 [備考] ※シグナムの心が安定していないことを理解しています。 ※パラレルワールドについて理解しました。 ※スバル・ナカジマ、アルフォンス・エルリック、衝撃のアルベルト、以上三名と情報交換をしています。 ※ですが、スバルの世界についてはシグナムには話していません。 『ところでラスカル』 『なんだ?』 『眼帯の男から貰ったお見舞い品のメロンは何処だ?』 『……』 『……そうか』 『スマン……』 ☆ ★ ☆ 『何故あの男がこんなデクのような扱いになるのだ!』 『知らぬな。 わかることは、その男が別世界では家畜な存在だと言うことだ』 『……認めぬぞ、ワシは決して認めぬぞぉ!』 『俺だって理解しがたいさ。 だがそれが真実だということは何ら変わりない』 ☆ 嫌な気分だ。 衝撃のアルベルトはそう感じながら黙々と歩き続ける。 やっと奴の気を見つけたと思ったら、待っていたのは 家畜化されたものであった。 もしかしたら別のなにかであったかもしれない。 ……いや、それこそありえない、何故ならそれを否定することは 自分自身の能力さえも否定することにもなる。 だから否定するわけにはいかなかった。 「パラレルワールド……本当に、厄介なものだな」 思わず喉から声が漏れる。 あの動物から聞いた話しだと、あの目を瞑っていた女騎士も、また苦労しているそうだ。 本来ならあそこで彼女の目覚めを待ち、体調が整ったところで闘いを挑もうとしたが、 情緒不安定な相手と戦っても何も得る物は無いと判断し、 闘争の意志だけを伝えその場を去った。 病院からしばらく歩き、特に行くあてもない彼は、 バッグを下ろし、中にある地図を確認する。 この付近に、人が──いや、猛者が長居しても差し支えない施設を探して見る。 人が集まりそうなのはホテルといった所か。 とりあえず駄目元でそこに言ってみようかと歩みを速める。 だが、彼の背中は、何か疲れと呆れを表しいるように見えた。 彼は闘争に飢えている。 それはこれから先も変わらないであろう。 何故ならそれが、彼の生き様だから。 【C-5/1日目-昼】 【衝撃のアルベルト@アニロワ2】 [状態]:疲労(小)、上半身のスーツがボロボロ、テンション↓↓(40%) [装備]:衝撃のアルベルトのアイパッチ@アニロワ2 [持物]:デイパック、基本支給品一式、葉巻のケース@なのはロワ、ベリーなメロン@アニロワ2(残り12個) [方針/行動] 基本方針:闘争に身を殉じる。勝利よりも『戦うこと』を優先。 1:人が集まっていそうなホテルへとりあえず向かう。 2:強者を求め徘徊。誰であろうと手当たりしだいに勝負を挑む。 [備考] ※東方不敗マスターアジアがこの殺し合いに存在しないことを把握しました。 ※ラスカルからパラレルワールドのことについて聞きました。 ☆ ★ ☆ 『どうして? 一緒に行動した方がずっといいと思うんだけど……?』 『ごめんスバル、一緒に行動した方が良いことはわかるよ……でも、今は一人で行動したいんだ……』 『で……でも、なんで……?』 『ごめん……! 本当にごめん……!』 ☆ アルフォンス・エルリックは無人の戦場を疾走する。 とにかく、彼女から、スバル・ナカジマから遠ざかりたかった。 彼は病院でのラスカルからこの殺し合いについての話を傾聴した。 それによりこの殺しあいが幾つもの並行世界で行われた殺し合いの参加者で成り立っていると言うことが理解できた。 しかし、その時に知りたくも無かったことを知ってしまった。 それはスバルのことであった。 彼女はてっきりと自分と同じ殺しあいの会場からここに連れ出されていたと思っていた。 だからなにかと心強く思っていた。 だが結果は彼女は別の殺しあい場から連れ出されていたことを確認する。 最初は何も問題が無いと思っていた。 何せ何処から来ようとスバル・ナカジマはスバル・ナカジマであったから、 違和感無く彼女と話すこともでき、共に行動することも支障が無いと考量する。 けれども病院から出て彼女と放談しながら数分、彼は彼女と話すことも行動することも 違和感を感じるようになった。 『全て』が、前の会場と共に行動した彼女と同じだったのだ。 話すことも、話す特徴も、正義の心も、歩き方も、考え方も、声色も、全て。 全てが一緒だった。 何か一つでも違っていたら『この世界のスバル・ナカジマ』として新しく交友を結ぶことも出来たであろう。 だけど、彼女は以前の彼女と全てが同じ。 それが逆に彼を判断不能の苦悩を生み出すことになった。 ほんの数時間前まで共同していた人間が、別の記憶に入れ替わってこの場所にいる。 そのことが何か、耐えられなかった。 だから彼は彼女から半場強引に別行動を取ることにした。 実際は逃げたと言っても過言ではない。 とにかく、今の彼女とは一緒に行動したくなかった。 ただそれだけ、くだらない理由かも知れない。 そう自己判断をしながらも彼は逃げる。 彼は走る。 『スバル・ナカジマ』以外の人と出会うため。 それが彼の一番の安堵となるのだから。 【C-6/1日目-昼】 【アルフォンス・エルリック@アニメキャラ・バトルロワイアル2nd (アニ2)】 [状態]:鎧胸部に貫通傷、困惑気味 [装備]:チョーク(1ダース) [持物]:デイパック、基本支給品一式、対弾・対刃メイド服@やる夫ロワ、こなた×かがみのエロ同人誌@オールロワ [方針/行動] 基本方針:殺し合いを止める 1:とにかくスバルから離れたい。 2:こなたを探す 3:21時になったら豪華客船にいくべきなのかなあ [備考] ※スバル・ナカジマ、ラスカルと情報交換しました。 ※スバル・ナカジマが自分と違う殺しあい会場から来たことを把握しました。 ※何処へ向かうかは後続の書き手に一任します。 ☆ ★ ☆ 『同じ世界から来たとしても、パラレルワールドが発生していると言うことだ。 ……残念だが、シグの字はお前のことを一切知らない』 『それじゃあ八神【部隊長】のことも……機動六課のことも……』 『全く口には出さなかったな。 言うならシグの字のプロフィールは『八神はやて』の従者だということだけだ』 『そんな……そんなのって……』 スバル・ナカジマは寂しそうに一人歩いていた。 上司であるシグナムと出会い、意気揚々とこの殺し合いに対する 対策を練ろうと考えていた際、全くもって不可解でやるせない話をラスカルと言う小動物から 結論を出されてしまったからだ。 彼女と鉢合わせしたシグナムは、同じ殺し合い会場から呼び出されていた。 だがその時点でシグナムとスバル、双方の年代が別であることが判明してしまった。 (余談だがスバルと共にシグナムを運んだアルフォンス・エルリックは、 別の殺し合い会場で自分を知っていたことが明らかになった) しかしながらそんな状況でも彼女自身はシグナムと共に行動することに決めていた。 シグナムがどうであれ、自分と同じ殺し合いを打破すると言う目標があるならば そんな穴を気にすることは無いと感じていたからである。 だけどもそれは出来なかった。 ラスカルから止められてしまったのだ。 自分の主の安否を唯一知っているセフィロスが逝去してしまった今 シグナムの心は危うい。 もしここに十中八九『殺し合いが行われなかった』世界の自分を知っている スバルがいたらどのような感情がシグナムを襲うか? 考えるまでも無い。 未来で主と共に乗り越える前途多難な出来事も、主と過ごす悠悠自適な日常も 全て失ってしまったことを耳にし、起こるはずであった幸せを失ったことにより 虚脱状態へ陥るであろう。 ならば自分や関係者(高町なのは、フェイト・T・ハロオウンの両名) そのセフィロスの話をしなければ言いのではないかとラスカルに問いかける。 だがラスカルはやるせない顔をしながら、幾らなんでも これから共に行動する人物の情報を一握りほどしか知れなかったら あるいは嘘をついているとわかってしまったら、 ただシグナムに疑心暗鬼を与えてしまうだけだ。 結果ラスカルは時間が経ったらまた合流するということを提案して来た。 彼女自身の決意や覚悟が深まれば、スバルの記憶を話しても何も支障が無い、 それまでは自分らと同じように正義をかざす参加者を探しておいてくれと。 無論スバルは納得できなく、どうしても駄目かと粘り交渉したが ラスカルの決定を服すことは出来なく、渋々了承し せめて自分がシグナムのことを心配していると示すために 自分の支給品であるマスターボールを護身具代わりにとラスカルに渡し アルフォンス・エルリックと共に病院を離れることにした。 (残念ながらマスターボールはその後に来た衝撃のアルベルトにより 完全に粉砕させられてしまい、あまり役に立てなかった) そうして病院を後にしたスバルとアルフォンスであったがであったが 何処へ行く当ても無く適当にアルフォンスと会話しながら歩いた。 けれどもアルフォンスと共に行動することもそう長くはなかった。 しばらく会話を続けて行動している時、彼は急に立ち止まり 別行動をさせてくれとスバルに問いかけてきた。 当然別行動をとってもなんのメリットも無いので、反論をしたものの 彼は一方的に要件だけ告げ彼女の元を去ってしまった。 スバルは唖然としながら彼の後姿を見つめることしか出来なかった。 自分が何か彼の気に障るようなことをしてしまったであろうか。 そのことだけを検討し、不承不承ながら彼と別行動をとることになってしまった。 そうして少しながら理不尽な突き放しを二度経験しても 彼女はそんなものは関係無しに一人黙々と力強く歩き続ける。 確かに腑に落ちない出来事が幾度も続き、彼女の持ち前である元気も 少しながら陰りを見せてしまいそうであるが、いちいち凹むより この殺し合いで迷走し慌てふためいている参加者を見つけたら 保護、第一に先ほど共に行動した泉こなたの探し出し保護をする。 これが一番の元気のモトになると考え、歩みを進める。 幾らか時間が経った頃、彼女の目先には 今まで移動していていたエリアとは違った雰囲気、 言うなれば木々が生い茂って、景観は美しいと評価できる個所が確認できた。 それを見て誰かいるかもしれないと意気揚々と脚を速める。 エリア内に入るとこの場所の美しさを改めて確認できた。 美麗なものを眺め、少しながら高揚しエリア内を散策する。 そう時間も経たないうちにスバルは 長身で白髪の男性と整っていて茶髪の女性が視界に入ってきた。 スバルはやっと人に出会えたことによる安堵と喜びでか 思わず深呼吸をし、足早に彼らに話しかけることにした。 まさにその時、白髪の男性が地面にある何かを慎重に丁寧に抱えあげた。 スバルはなんだろうと思いそれにも目を向け、そして後悔する。 「え……? フェイト執務官……?」 思わず息が詰まる。 彼の手に抱かれていたのは、自分が尊敬してやまない フェイト・テスタロッサ・ハラオウンであった。 彼女の受難はまだまだ続く 【C-4/自然公園内/1日目-昼】 【スバル・ナカジマ@なのはロワ】 [状態]:健康 絶句 [装備]:なし [持物]:基本支給品一式、 不明支給品1~2(少なくともみためで武器と判断できないもの) [方針/行動] 基本方針:殺し合いを止める。出来るだけ人は殺さない。 1:え……? 2:泉こなたを探し出し保護する 3:21時になったらシグナム副隊長と合流する。 [備考] ※アルフォンス・エルリック、ラスカルの両名と情報を交換しました。 ※そのことによりシグナムが別世界から参戦していることを知りました。 ※マスターボールは完全粉砕しました。 114 RHK(らきロワ放送協会) 投下順に読む 116 知ってるか?緑はかえるの象徴なんだぜ 114 RHK(らきロワ放送協会) 時系列順に読む 116 知ってるか?緑はかえるの象徴なんだぜ 100 MURDER×MURDER(後編) シグナム 127 不都合なものは見えない 衝撃のアルベルト 118 Reckless fire アルフォンス・エルリック 123 RHKにようこそ! スバル・ナカジマ 128 私にできること/一緒にできること
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灼熱のファイヤーデスマッチ!の巻 ◆hjKFqNAi/U ――スバル・ナカジマは、走っていた。 朝日が差し始めた森の中、ただひたすらに走っていた。 「待て、スバル二等陸士! 急ぐのはいいが、もっと慎重に……」 「待ちません!」 目の端から零れる涙を拭いもせず、そして背後からの静止の声も聞かず、スバルは駆ける。ただ駆ける。 邪魔になる装備は既にデイパックに仕舞いこみ、バリアジャケットのみの身軽な姿で、駆け続ける。 彼女の涙の理由、そして彼女が急ぐ理由は……先の放送。その中に含まれていた、1つの名。 フェイト・T・ハラオウン。 (フェイトさんが、殉職っ……! くっ……!) スバルは溢れそうになる涙を、唇を噛んで堪える。 フェイトはなのはとはまた違う意味で、尊敬できる上司だった。憧れてもいた。 彼女がそう易々と誰かの手にかかるなど信じられなかったが、しかし、自分の開始時の状況を鑑みれば。 フェイトの手元にデバイスが無かった可能性はとても高く……そして、その程度で生き方を変える人ではない。 危険人物に出会ってしまったのか、誰かを庇おうとしたのかは分からない。けれども、きっと。 デバイスもなく、実力の半分も出せない状況下で、それでもきっと、フェイトは自らの生き方を貫いたのだ。 きっと、殉職、と呼ぶに相応しい最期を遂げたのだ。そう分かってしまう。 で、あれば、尚更のこと――スバルは、ここで立ち止まるわけにはいかなかった。 本当は泣き出したい。彼女の死を悼みたい。放送の真偽を疑って駄々を捏ねていたい。 けれども……今、スバルの手元には、『力』があるから。 自分には過ぎた程の『力』。なのはのデバイス、『レイジングハート・エクセリオン』があるから。 (フェイトさんの、分まで、私がっ……!) 目指すは、東の火災現場。 スバル自身のトラウマと思い出に重なる状況設定。危険人物や助けを求める人物が居ると思われる場所。 同行者が『敵性宇宙人』と呼んだ、翼の生えた人影が飛んでいった方向。 北西の方から聞こえた悲鳴も気にはなったが、しかしその方角も距離も曖昧で。 もしももう少し情報があれば、そちらに向かって駆け出していたのかもしれないが…… (あっちは、セインたちが行ってるはずっ! あいつらがちゃんと動くかどうか、不安だけど……逆に言えば、「こっちの方」は私たちが行かなきゃ!) 喫茶店で出会った、セインと灌太。 セインに対しては未だ完全には心を許していないものの、それでも彼らとは1つの約束をしている。 それは、2手に分かれて島を回ろう、という約束。そして、スバルたちのチームの担当は東回り。 ゆえにスバルは東に向かう――スバルは妙なところで律儀な性格でもあるのだった。 そうして、スバルは駆けて、駆けて、駆け通して―― ついでに、同行する小さな影も、彼女に文句をいいつつ遅れることなく駆け通して―― 彼女たちは、その火災現場……博物館前に、到着した。 ☆ ☆ ☆ 「……って、あれ? なに、これ……」 「……だから言ったのだ、スバル二等陸士。状況を良く見ろ、と」 博物館前。 『無人の』草原が延々と燃えている光景を目の前に、スバルは呆然とし、そして同行者は呆れた声を出す。 辺りを見渡した限りでは、助けを求める負傷者も、待ち構えている人物もいない。 火災が広がっている様子もない。博物館に燃え移っているようなこともない。 ただ、『地面が燃え続けている』。 無秩序に燃え広がることもなく、生えていた草があらかた燃え尽きても、なお、炎が消えずに残っている―― 不可解な『火災』を目の前に、ケロン軍所属A級侵略部隊隊長、ガルル中尉は冷静に状況を把握する。 「そもそもスバル二等陸士、おかしいとは思わなかったのか?」 「え、えーっと、何がですか?」 「我々が最初に立ち上る煙を見つけてからここに到達するまで、数十分ほども経過してしまっている。 日の出までは強行軍とはいえ歩きであったし、放送の記録のために休息も取ったしな。 が……そもそも、『これだけの時間、自然な火災が続いていたのなら』、あの煙の立ち方はおかしいのだ」 いかつい顔立ちはしているが、ガルルは智将と言ってもいい冷徹な観察眼の持ち主である。 物分りの生徒に講義するような口調で、スバルに理を説く。 「条件が揃えば、自然の山火事も燃え続けることもあるだろう。 だが、燃えるモノが無くなれば、その場所の炎は消える。燃え広がれば、煙の位置も移動する。 建物に火災が起きれば煙の移動は無いが、刻一刻と煙の勢いや色が変化する」 「……えーっと、つまりあの、どういうことですか?」 「つまりは、『同じ場所から同じ調子で煙が上がり続ける』という時点で、人工的な要素の介在を疑うべきだ」 ガルルはそう言い切ると、その小柄な身体をさらに屈めて、『燃え続ける地面』を凝視する。 長く続いた炎は地面に生えていた草を全て焼き尽くし、そして、『草の陰に隠れていたモノ』を露出させていた。 つまり……地面から等間隔に顔を出して並ぶ、短い管状の物体。 シュー、シュー、と断続的に上がる噴出音。近づいてやっと分かる独特の匂い。 「……地中に、可燃性のガスが噴き出す仕掛けが仕組まれているようだな。 これだけの仕掛けだ。参加者が始まってから仕掛けたには、やや大規模過ぎる」 「参加者じゃない、って……」 「大方、主催者側が仕掛けたギミックだろう。その意図はまだ読めんが……」 ずんっ。 言葉の途中で唐突に走った、大地の揺れ。 身を起こしかけていたガルルも、首を傾げていたスバルもそろって身を強張らせる。 小さな振動はやがて大きな地響きとなり、断続的な衝撃となって彼らを襲う。 「じ、地震っ!?」 「いや、違う! あれは……!」 慌てて周囲を見回すスバルに、ガルルは炎の中の一点を指差す。 土煙と共に、炎の中心の大地が割れて『何か』がせり上がってくる。 四角くそこだけ炎が消え失せて、『何か』が姿を現す。この局地的な地震は、その余波に過ぎないのだろう。 やがて、一際大きな金属音と共に『それ』は動きを止める。 土煙の晴れた向こうに、見えたその姿は……。 「えーっと……何ですか、あれ? 火に囲まれた中に……ボクシングか何かの、『リング』……?」 「……そのようだな……」 そう――大地を割って姿を現したそれは、格闘技などの試合で使われる『リング』、と呼ぶしかない代物。 ちょうど、一面の炎の海の中、3本ロープのリングのキャンバスから上だけが浮かんでいるような格好だ。 どういう素材なのか、あるいはどういう仕掛けなのか、周囲の炎がリングに燃え移る様子もない。 あまりに場違いな、想像もしていなかった光景に、2人は唖然となってしまって―― だから、僅かに反応が遅れた。 「――竜巻地獄っ! カーッカッカッカ!」 「いかんスバル二士、避けろっ!」 「……え?!」 聞き覚えの無い声が背後で技の名を叫ぶのと、ガルルの警告の叫びがほぼ同時。 振り返ったスバルの目に、恐ろしい勢いで迫る1本の竜巻が、急速に迫って…… 耳障りな笑い声が響き渡る中、衝撃と共に、彼女の身体は弾き飛ばされた。 ☆ ☆ ☆ ――アシュラマンは、その特異な外見からは一見そうは思えないが、超人の中でもかなりの頭脳派である。 パッと見に目立つのは、筋骨隆々たる6本腕。その迫力から、誰もがパワーファイターをイメージする。 しかし、それは彼の頭についた3つの顔同様、彼の一側面に過ぎない。 ウェザーデスマッチを得意とする彼は、地形の利用という面において他の超人から抜きん出た才能を持つ。 特殊な悪魔の道具を使いこなす才もある。策略や作戦立案の才もある。 だからそんな彼が、この「博物館前に用意されていた仕掛け」の存在に気付いたのも、必然だった。 他の参加者が誘き寄せられるのを待っていた彼は、すぐに目の前の火災の異常性に気が付いた。 ガルルが発見したガス管を見つけ、それが主催者側の仕込みであることを素早く見抜き。 そしてすぐに、ガルルが思いつきもしなかった「事の真相」に思い至った。 (『ファイヤーデスマッチ用の特設リング』……カカカッ、あの完璧超人どもも、粋な計らいをしてくれる。 どうやら、あの自称『超能力者』の小僧の最後の攻撃で、地中の仕掛けの一部が誤作動したようだが…… それでもこうしてリングさえ出現すれば、こっちのものだ! カーッカッカ!) 博物館のすぐ近く、というこの立地条件下に、こんな仕掛けがあるのは偶然とは思えなかった。 おそらくここだけでなく、地図に載っているいくつかの施設には似たような仕掛けがあるのだろう。 改めて博物館の中を探索したアシュラマンは、警備員の詰め所の中に特設リングの起動スイッチを発見。 それをONにしたところ、こうしてリングが出現したというわけだ―― スイッチを押す前、博物館の館内で少し休憩を取っている間に『獲物』が来ていたのは、予想外であったが。 「しかしこうしてデスマッチの条件を整えれば、今度は逃げられることもあるまい! 1人ずつ、順番に始末してくれる! ――竜巻地獄ッ!」 不意打ちで放った竜巻地獄は、『獲物の1人』を見事に捕らえ、リングの中に放り込むことに成功していた。 さらに重ねてもう1本の竜巻を発生させると、アシュラマンはなんと、自らその中に飛び込んだ。 回転する空気が彼の身体を弾き飛ばし、燃え盛る炎を飛び越えさせる。リングの中央に綺麗に着地する。 身構える敵、炎の外側で息を飲んで見守る敵の仲間。 双方を睥睨しつつ、アシュラマンは高らかに笑う。 「カーカッカ! 予め言っておくが、このアシュラマンが油断するとは思わないことだ! 似たような体格ながら、その頭脳で我らを散々苦しめたアレクサンドリア・ミートの例もある。 そしてカエルの超人よ、貴様が先ほど見せた身のこなしは、それだけで警戒に値する! 超人レスラーのプライドに賭けて、まさしくカエルのように叩き殺してくれるわ~~っ!!」 そう。 リングの中、アシュラマンの巨躯を鋭い眼で見上げているのは、スバル・ナカジマではなく、ガルル中尉。 当初アシュラマンは、比較的体格のマシなスバルを『最初の対戦相手』と考え、竜巻地獄を放ったのだが…… 竜巻が彼女の身体を舞い上げる直前、ガルルが割って入ったのだ。 結果、彼に突き飛ばされたスバルは今も呆然とリングの外で呆けた表情を浮かべたまま。 こうして、ガルルの方が見事にリングインしてしまった、というわけだ。 期せずして『敵の得意とする戦場』に放り込まれてしまったガルルは、しかし動じない。揺るがない。 ガルルの力を認めつつ、なお余裕と自信を崩さぬアシュラマンを、不敵な笑みで睨みつける。 「ほう――なかなかどうして、見る目のある敵性宇宙人のようだな、アシュラマンとやら。 確かに我らケロン人は、体格という点ではペコポン人などに大きく劣る。それで油断する敵も少なくない。 だが……このガルル、伊達や酔狂で『ゲロモンの悪夢』などと呼ばれているわけではないぞ。 その傲慢――『教育』、してやる」 ☆ ☆ ☆ ――そして、今まさに戦いが始まらんとしていたリングのすぐ近く。 試合の様子を余さず見て取れる、特等席と言ってもいい博物館の屋根の上、という場所で。 第4の人物が、息を潜めて事の成り行きを見守っていた。 「フォッフォッフォ……! おかしなことになったものだな……!」 ホッケーマスクのような奇怪な仮面に、背中に背負った巨大な手。 先ほどまでツバメの翼を生やして宙を飛んでいた、ジ・オメガマンである。 火災現場を目指して進んでいた彼は、ちょうど、アシュラマンが再度博物館に入っていく後姿を確認。 ちょうど放送の時間と重なっていた事もあり、即座の接触を避け、屋根の上で様子を窺っていたのだが……。 少年のような少女とカエルの怪人の到着。特設リングの唐突な出現。そして1対1のデスマッチ開始。 彼はすっかり、事態に介入する機を逸してしまっていた。 「しかし、アシュラマン、か……。これは思わぬ大物がいたものだ……!」 オメガマンは『超人ハンター』の異名を取る賞金稼ぎである。 そして過去の仕事の中には、超人閻魔の依頼による、超人墓場からの脱走超人のハントも含まれている。 狩りというのは本来、綿密な下調べを伴うもので……だから、オメガマンは知っていた。 かつてその首を狩った悪魔超人『サンシャイン』。そのタッグパートナーである、『アシュラマン』のことも。 「悪魔六騎士が1柱、クモの化身、魔界の王子(プリンス)、タッグマッチの名手……! フォッフォッフォ、まさしく、このオメガマンの全力をもって狩るに値する獲物だな……!」 アシュラマンの首を取ることが出来れば、スエゾーによって傷つけられた自信もプライドも回復できるだろう。 もちろん、彼我の超人強度や、悪魔超人と完璧超人という「格」の違いを考えれば、格下の相手ではある。 本来なら倒したところで威張れる相手ではないのだが……先の戦いでの不覚が、オメガマンを慎重にさせる。 彼はその身を屋根の上に隠したまま、小さく笑う。 「フォッフォッフォ。焦ることはない……! 『最後の戦士』オメガマンは、最後に現れるのだ……!」 ☆ ☆ ☆ スバル・ナカジマは、未だ悩んでいた。 それは――ガルル中尉に突きつけられた、1つの課題。 『ガルル中尉、もしこの先にゲームに乗った人がいるのなら、私がその人を止めて見せます。 拘束も、監視も私がなんとかします。……これが、わたしの答えです!』 『いいだろう。その理想、どこまで貫けるか見せて貰おう。 だがお前の手に余ると私が判断した場合は……わかっているな』 目の前には、明らかに殺し合いのゲームに乗っているらしい、6本腕の怪人。 その腕を振るうだけで巨大な竜巻を巻き起こし、またガルル中尉の姿を見ても油断をしない、恐るべき敵だ。 いざ、そんな存在を前にして、どうやって「止めれ」ばいいのか。 ガルル中尉がスバルの代わりにデスマッチ用リングにいる今、彼に任せてしまうべきではないのか。 (……いや、そんな弱気でどうするっ! 私たちの思い、諦めてたまるかっ!) 思わず折れかけた心を奮い立たせ、スバルは立ち上がる。 炎の向こう、リングの中には、ガルル中尉が彼の最後の支給品――スリングショットを構えた姿が見える。 Y字型の柄にゴム紐がついた、いわゆるパチンコとも呼ばれるもの。 子供のオモチャとしても知られる道具だが、なかなかどうして、シャレにならない威力を秘めている。 ゴムの強さ、そして弾丸の選択次第で、制音性と携行性に優れた暗殺用・狙撃用の武器に化けるのだ。 ガルル中尉に支給されたのは、まさにそのような「兵器としての使用に十分に耐える」スリングショットだった。 その構造上、人間(ペコポン人?)用のサイズでありながら、ケロン人にも問題なく扱える稀有な射撃武器。 そしてケロン軍の名スナイパーであるガルル中尉の手にかかれば、その鋼鉄球はおそらく百発百中。 当たりさえすれば、骨をも砕く威力を発揮するに違いない。 十分に、ヒトが死ぬ。 「カーッカッカ! のっけから凶器の使用か、しかしそれも良かろう! 元よりレフリーもゴングもない試合よ! むしろ後から『武器さえ使えれば』、などと世迷い事を言われるより、よっぽど良いわ!」 「フン。これは試合ではない。貴様の得意な『戦場』ではあるようだが……立派な殺し合いだ」 違う。スバルは直感する。 リングの中の高まる緊張を炎の向こうから感じながら、スバルは僅かな可能性を見い出す。 アシュラマンと名乗った6本腕の怪人。その言葉にスバルは、確かな矜持が存在することを確信する。 (あいつは、この『リング』の中での戦いを『試合』と呼んだ。自分のことを『超人レスラー』と呼んだ。 なら、きっと……!) 答えが出るより先に、身体が動いていた。 スバルは炎に向けて、炎の中のリングに向けて一直線に走り出す。走りながら大きく叫ぶ。 「その勝負……ちょっと待ったぁーーッ!」 「「……何ッ!?」」 まさに弾を放とうとしていたガルルが、襲い掛からんとしていたアシュラマンが、揃って驚きの声を上げる。 彼らの目の前で、火の海に飛び込みかけていたスバルは跳躍する。 とても一跳びでは飛び越えられないような幅の炎の帯、だが……スバルには、『この魔法』がある! 『スバル、警告します。『あの魔法』を使うつもりなら、今の私には自動詠唱できませんが』 「わかってる、レイジングハートっ……『ウイングロード』ッ!」 炎の上に、蒼い帯状魔法陣の橋がかかる。スバルによるスバルのための、スバルだけの「花道」だ。 それでもスバルの足先を高熱が炙るが、構わず駆け抜ける。 そのままの勢いで、トップロープを飛び越えてリングインして……2人の男の間に割って入り、見得を切る。 「そこの変な笑い声のお前っ! 確かさっき、『レスラー』って言ったよね!? ってことは、これはあなたにとって『試合』なの?! 『殺し合い』じゃなくって?!」 「おい、スバル二等陸士! この場は……!」 「中尉は黙っていて下さい!」 スバルは何か言いかけたガルル中尉の言葉を遮ると、アシュラマンに向けて臆することなく問い質す。 果たして、少しの思案と共に帰ってきた言葉は。 「カーッカッカ。いかにも! もっとも『悪魔超人』の習いとして、我らが勝利する時には敗者の死は避け得ないがな! ギブアップなど有りえぬ完全なる勝利、それだけが我ら悪魔の目指す『勝利』よ!」 「なら! 約束して!」 いける。スバルは確信する。 相手は戦う相手の死を厭わず、それどころか喜び誇るような『悪魔』だ。 けれども、その口調の端々から垣間見えるのは、高いプライドと誇り。ならば。 スバルはビシッ! とアシュラマンを指差し、吼えるように叫ぶ。 「私が負けたら、殺すなりなんなり、好きにしなさい! だけど、もし私が――私たちが勝ったら、『もう殺し合いはしない』って誓って!」 「スバル二等陸士……!」 「カーッカッカ! それは前提からしてありえん話だ。貴様らはこのリングで無様に死ぬ運命だーーッ!」 対するアシュラマンは、なおも高らかに笑う。自らの敗北など微塵も考えぬ傲慢さで、ただ笑う。 ダメか。諦めの色を顔に浮かべかけたスバルだが、しかし悪魔の気紛れはそんな彼女の弱気さえも嘲笑う。 「だが――良かろう! 万が一にでもこのアシュラマンが負けたなら、何でも言うことを聞いてやる!」 「え……? あ……!」 「まあ、そんなことはまずありえんがな! それで……試合形式はどうするのだ? 弱いもの同士、2対1のハンデ戦か?!」 言質は取った! このプライドの高い悪魔から、確かに言質を取った! 思わず心の中でガッツポーズを取り掛けたスバルだが、しかし、試合形式に言及されてしばし迷う。 この言質を活かすためには、ただ『勝つ』だけでは足りないのだ。 相手の心とプライドを、一気にへし折るような勝利でなければ。言い訳でもして逃げられては意味がない。 スバルは一瞬、返答に迷う。 そして、その迷いに応えたのは……! 「フォッフォッフォ……! ならば、『タッグマッチ』ではどうかな……!」 「「「!!」」」 どこかで聞いたような笑い声と共に、空から降ってきた、『巨大な握り拳』だった。 咄嗟に3人は散開する。キャンパスの中央に巨人のような拳が突き刺さる。リングが大きく揺れる――! ☆ ☆ ☆ そう。ジ・オメガマンは迷っていたのだ。 果たして、ここでアシュラマンを討ってしまっていいのかと。それが最善なのかと。 もちろん、最終的にアシュラマンも狩るつもりなのは変わりない。 ただ――博物館の屋根の上から眼下の経緯を見守るうちに、『あるアイデア』が脳裏をよぎったのだ。 それはおそらく、対スエゾー戦の敗北がなければ考えもしなかったであろうアイデア。 「フォッフォッフォ……。我が名はジ・オメガマン。 突然で悪いがアシュラマンよ、この場はひとつ、手を組まぬか?」 リング中央に突き刺さった、巨大な右の拳。 それがゆっくりと開くと、中から現れたのは倒立した姿勢のホッケーマスクの怪人。 フェイバリットホールドとしての『Ω・カタストロフドロップ』ではなく、それを上下逆さまにした「ただの落下」。 だが、ただの落下でしかないが、経験豊富な超人レスラーならばそのパワーが一目で分かるはず。 アシュラマン自身もバスター系や飯綱落としのような落下技を得意とするだけに、眼力は確かなはずだ。 果たして、オメガマンの「パフォーマンス」を見せ付けられたアシュラマンは、興味深げな笑みを浮かべた。 「カッカッカ。悪魔超人界には見ない顔だな。正義超人にも見えぬし、残虐超人か? それとも……」 「……今は所属を名乗るも憚られる、『はぐれ超人』よ。今は、な」 アシュラマンの問いかけに、オメガマンは少しだけ語気を弱める。 『完璧超人』だと名乗ろうとしたその瞬間、あのスエゾー戦の無様な敗北を思い出したのだ。 今の自分に、完璧超人を名乗る資格はおそらくない。あのような醜態を晒して、何が完璧だ。 あのような驕り高ぶった過ちを二度と繰り返さぬためにも、今しばらくその名は封印だ。 「カーッカッカ。どこにも所属しない一匹狼の超人か」 「いかにも。そしてこのオメガマンも、貴様と同様、この地での優勝を目指している。 だが――このルール無用のバトルロワイヤル、戦い抜くには1人では厳しい。 そこの2人組のように手を組む者どももおる。親しい知り合いがいる者もおるようだしな」 「確かに、な……」 あのスエゾーでさえも、『ゲンキ』とかいう知り合いらしき名前を口走っていたのを聞いている。 目の前の小娘とカエル超人のように、付き合いは浅そうなのに共闘している者もいる。 仮にあの敗戦が無かったとしても、1人きりではいずれ痛い目を見ていたことだろう。 目には目を、歯には歯を、そして、仲間には仲間を、だ。 どうやらアシュラマンの方にも思い当たる節があるらしく、何かを思い出すような様子で頷いている。 「もちろん、いつまでも、とは言わん。いずれ雌雄はつけよう。だが、この場だけでも組もうではないか」 「カーッカッカ。よかろう。奇しくも多くの腕を持つ者同士、この場だけでも同盟と行こうか!」 アシュラマンが倒立の姿勢のままでいたオメガマンに、腕の一本を差し出す。 オメガマンも、その手をがっちりと握り返し、彼の助けを得て一呼吸で起き上がる。 交渉成立。 とりあえずは、目の前の2人組みを始末するまで。互いの働き次第では、延長もあり得る同盟の契約。 そして最後には正々堂々、互いに戦って雌雄を決する――! ☆ ☆ ☆ 「ちゅ、中尉……! どうしましょう……!」 「慌てるな、スバル二等陸士。やることは変わらん。奴らを叩きのめす、ただそれだけだ」 炎に周囲を包まれたリングの中、奇しくも赤コーナーを背負うようにして肩を並べた怪人2人。 青コーナーを背に並んで身構えるガルル中尉とスバルは、小さく囁きを交し合う。 「こちらに有利な点があるとすれば、私がスバル二等陸士の能力について、既に知っていることだろう。 集団戦においては、チームの連携が生死を分かつ。あのような急造コンビなど、ものの数では……」 「カーッカッカ!」 「フォーッフォッフォ!」 「な、なんか笑われてます、中尉ぃ……!」 ガルル中尉の冷静な指摘にも、怪人2人の余裕は揺るがない。 ただ少し、ふと思い出した、といった風情でアシュラマンが首を傾げただけだった。 「熟練した超人レスラーならば、タッグマッチの訓練も重ねておる! ゆめゆめ甘く見ないことだなぁーっ! ……とはいえオメガマンよ、貴様は俺のことを知っているようだが、俺は貴様の能力をほとんど知らん。 何か見せてくれると、有り難いのだがな」 「フォッフォッフォ……そういうことなら……」 アシュラマンの言葉に、オメガマンは何かを探るように周囲を見回す。 ふとガルル中尉に目を向けると……ニヤリ、とマスクの下で笑みを浮かべ……。 唐突に、その両目から不気味な光線が放たれた。 予備動作のないその動きに、流石のガルル中尉も反応しきれない。 「オメガ・メタモルフォーゼ、No.3ーッ!」 「ッ!!」「ガルル中尉っ!」 スバルの悲鳴が響く中、間一髪、身を仰け反らしてガルルはその光線を避ける。 だが……オメガマンの狙いは、最初からガルル中尉本人ではなかった。 彼の手にしていた武器、スリングショットが光の帯に飲み込まれ、消滅する。そして……。 「フォッフォッフォ……これが我が変身(メタモルフォーゼ)能力だーッ!」 「カーッカッカ! これは良い! では、ゴング代わりに我ら『急造コンビ』のツープラトン技をお見舞いしてやろう! 行くぞッ、オメガマン!」 「応ッ! 来いっ、アシュラマン!」 ガルルの手の内から消えたスリングショットが、巨大化してオメガマンの背中の手と入れ替わる。 そして事態の推移についていけない2人を他所に、アシュラマンが跳躍する。 跳躍して、オメガマンの背の巨大スリングショットの上に着地して…… 「喰らえ、『オメガ超人パチンコ』!」 「地獄のコンビネーション第4番・変法…… 『 阿 修 羅 Ω 火 玉 弾 』 !!」 凶悪なる超人砲弾と化したアシュラマンが、2人の哀れな犠牲者を打ち砕かんと、飛び出した――! 【H-8 博物館前・ファイヤーデスマッチ用特設リング内/一日目・朝】 【赤コーナー側】 【アシュラマン@キン肉マンシリーズ】 【状態】あちこちに軽い火傷、体力小消費。阿修羅火炎弾の姿勢。 【持ち物】 デイパック(支給品一式入り、不明支給品1~3、H K XM8(10/30)、5.56mm NATO弾x90) 【思考】 1:とりあえず目の前の2人組を、オメガマンとタッグで倒す。 2:参加者は全員殺す。 オメガマンともいずれ戦って雌雄を決して倒す。悪魔将軍については思案中。 3:完璧超人(草壁タツオ、長門)は始末する。 【備考】 ※アシュラマンは夢の超人タッグ編の途中からの参戦です。22歳のバリバリ現役です。 完璧超人がネプチューンマンたちということを知らないようです。 ※悪魔将軍は保留(あとで方針を変えるかもしれません)。 ※ここにいる超人以外の者も別の場所でバトルロワイアルをさせられていると考えています。 ※トトロを未知の超人だと思っています。 ※自分の体に課せられた制限にうすうす感づいています。 ※ジ・オメガマンが完璧超人に属していることに気付いていません。 ※アシュラマンが万が一敗れた場合、スバルとの約束を守る気があるかどうかは不明です。 【ジ・オメガマン@キン肉マンシリーズ】 【状態】健康、背中の手が巨大なスリングショット(パチンコ)に変形中。 【持ち物】デイパック(支給品一式入り) 【思考】 1:当面アシュラマンとタッグを組んである程度参加者を減らす。 2:アシュラマンもいずれ倒して殺す。 3:スエゾーは特に必ず殺す。 ※バトルロワイアルを、自分にきた依頼と勘違いしています。 皆殺しをした後は報酬をもらうつもりでいます。 ※ツバメへのメタモルフォーゼは、解除しました。 ※ガルルの支給品『スリングショット』(いわゆるパチンコ)を吸収し変身しました。 ※Ωメタモルフォーゼは首輪の制限により参加者には効きません。 ※プライドと自信が回復するまで、完璧超人の名乗りを封印することに決めました。 【青コーナー側】 【ガルル中尉@ケロロ軍曹】 【状態】健康 【持ち物】デイパック、基本セット、スリングショットの弾×6 【思考】 0.ケロンソルジャーとして秩序ある行動を取る 1.スバルと協力して目の前の2人を倒す。 勝ってスバルの『約束』を向こうが守るようなら良し、守らないようなら殺してでも……! 2.人を探しつつ東のルートで北の市街地に向かう。昼の十二時にホテルで灌太たちと落ち合う ※レイジングハートと砂漠アイテムセットAをスバルに貸しました ※支給品の最後の1つは『スリングショット@現実』でした。 が、オメガマンのΩメタモルフォーゼで消滅しました。 セットで入っていた鋼鉄製の弾丸×6は手元に残されています。 【スバル・ナカジマ@魔法少女リリカルなのはStrikerS】 【状態】疲労(中)、ところどころに擦り傷 【持ち物】デイパック、基本セット、メリケンサック@キン肉マン、レイジングハート・エクセリオン@魔法少女リリカルなのはStrikerS、 砂漠アイテムセットA(アラミド日傘・零式ヘルメット・砂漠マント)@砂ぼうず、トウモロコシ@となりのトトロ 【思考】 0.人殺しはしない。なのは、ヴィヴィオと合流したい 1.ガルルと協力して目の前の2人を倒す。そして『もう人を殺さない』と『約束』させる。 2.ガルル中尉とともに東の街道か森を通って、人を探しつつ北の市街地に向かう 3.セインにわだかまり ※参戦時期は第19話「ゆりかご」の聖王の揺り籠が起動する前です [備考] 地図に記された施設(あるいはそのすぐ近く)には、 超人レスリング仕様の、デスマッチ用特設リングが隠してある場合があるようです。 博物館(正確には博物館前)に用意されていたのは、ファイヤーデスマッチ用の特設リングでした。 デスマッチの説明とリング起動用のスイッチは、博物館入り口近くの警備員の詰め所に配置。 本来の仕掛けとしては、地面を割ってリングが登場した後、その周囲に火が放たれる仕組みでした。 今回、古泉の攻撃が大地を抉ったことによって、地中のガス噴出装置が誤作動。 噴き出したガスにアノアロの杖から放たれていた火種が燃え移り、炎の方が先に広がってしまいました。 火災が博物館に延焼しなかったのも、防火素材の使用など、予め延焼防止の対策が取られていたためです。 炎は、博物館前に設置されたプロレスリングを取り囲むように燃え続けています。 ただし周囲の草は既に燃え尽き、今は可燃性ガスが燃えているだけなので、煙は当初ほどではありません。 リング内にいれば直接火傷を負うことはありませんが、リング外に落下でもすれば大火傷は必至です。 この炎がいつまで続くかは、後続の書き手さんにお任せします。 時系列順で読む Back 殺戮を大いに行う涼宮ハルヒのための団 Next 片道きゃっちぼーる 投下順で読む Back 殺戮を大いに行う涼宮ハルヒのための団 Next 片道きゃっちぼーる Triple 『C』 ~超人/超能力者/超…生物?~ アシュラマン 根深き種の溝を越えて (前編) リリカルスバルたん第3話「ツバメモードとケロン人」 ジ・オメガマン ガルル中尉 スバル・ナカジマ
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拝啓、親父、母さん。 逝 き た く な い。 学院長、何故俺をバトロワに参加させたんですか。単に言う死亡フラグですか。 シンくん・・・・・・、せっちゃん・・・・・・。 「支給品、確認っと・・・・・・。 か・・・拡声器?何で・・・・・・?」 マ ジ で!? 死亡フラグ出ちゃったよオオオォォォイィィィっ!!!! っていうか誰が仕掛けたんだよ! ・・・・・・ツッコミするの、疲れた・・・・・・。 いっそ、さ迷うか・・・・・・。 「待てよ?何か入ってるぞ?」 ピンクの貝殻? ってコレ、シンくんの恋人、ステラちゃんの持ち物じゃねーか!!! 俺は叫び続けた。五月蝿い声で絶対苦情来そうだ・・・・・・。 シンくん、せっちゃん、俺は、どうすればいいんでしょうか? 死 亡 フ ラ グ っ て 何 で す か ? 美 味 し い ん で す か ? 首輪が付けられている、単に言うバトルロワイヤルだ。 「此処は・・・・・・何処でしょうか?」 僕は何故、此処にいるんでしょうか? スバルさんは何処に行ったんでしょうか? 僕は・・・・・・。 「支給品確認しなきゃ・・・・・・」 剣と魔術本があった。 「他のは無いのかな・・・・・・?」 はぅ・・・・・・スバルさん・・・・・・会いたいです・・・・・・。 僕はアンドロイドなのに、何か音がしたけど・・・・・・気のせいかな? ・・・・・・僕は、スバルさんに会いたいです、絶対に・・・・・・。 「ちょ、誤解だって!」 「誰だよ、アンタは!?」 喧嘩? 2人が喧嘩しているのを、目撃したけど・・・・・・? 「アンタって人はあああっ!」 黒髪でくせっ毛・・・・・・。何か、僕にそっくりですけど・・・・・・。 「って、ナギ・・・・・・! 何で、アンタが・・・・・・?」 「って、ナギ・・・・・・! 何で、アンタが・・・・・・?」 「ス、スバルさん!?」 ナギが何でココにいるんだ? と言うより、黒髪赤眼・・・・・・ナギにそっくりじゃないか! ザフト軍の赤服を着た彼が言う。 「・・・・・・知り合いなのか?」 「あ、ああ・・・・・・」 とりあえず、喧嘩は収まった。 「さっきはごめん。俺、シン。シン・アスカ。よろしくな」 「俺はスバル・カミナギ。よろしくな!」 「僕はシン・カミナギです。宜しくお願いします」 と自己紹介。 「シン・・・・・・なんか、俺の名前と君の名前、似てるって」 「性は違うけどな」 「そしたら、スバルとナギは・・・・・・兄弟?」 「兄弟じゃないですよ。性は同じですが」 「そっか。 あれ? 何か、女の子が走りながら大声で叫んでるけど・・・・・・」 「うわあああーっ、『亜空の使者』の真の主人公はカービィなんだあああああっ!!」 「カ、カービィ・・・・・・? あくうのししゃ・・・・・・?」 ナギが「亜空の使者」を「あくうのししゃ」と言った。世間知らずなんだよね、ナギって。というより、カービィって誰なんだ? 「うわあああんーっ!!」 「落ち着けよ、アンタはーっ!」 女の子の叫びを、シンは止める。 「シンくんが、シンくんが喋ったーっ! あれ? きみはせっちゃん?」 「え・・・・・・?」 「俺の話聞けよ! アンタの名前を言えよ!」 「俺? 鶺鴒涼音。 リオンって呼んでv もう一度聞くけど、きみはせっちゃんだよね?」 「∑ち、違うってば! と言うより『せっちゃん』って・・・・・・」 「リ、リオンさんって・・・・・・シン君が好きなんでしょうか?」 「うん、そうだよ! せっちゃんも好きだよ!」 「・・・・・・『せっちゃん』と呼ぶな。あだ名はやめろ」 【G3・街 入り口前 朝】 【名前・出展者】鶺鴒涼音@リアクション学院の夏休み 【状態】健康、テンションUP 【装備】無し 【所持品】支給品、ピンクの貝殻(ステラが持っていた)@SEED DESTINY 【思考】基本 主催者を倒す 1、皆と一緒なら、怖くないよ 2、テンションUP中 【名前・出展者】シン・アスカ@機動戦士ガンダムSEED DESTINY 【状態】健康 【装備】無し 【所持品】支給品 【思考】基本 主催者を倒して元の世界に戻る 1、ナギとスバルに会って仲良し同士に 2、リオンのテンションについて行けない 【名前・出展者】スバル・カミナギ@ラ ビ リ ン ス マ イ ン ド 【状態】健康 【装備】セブンソード 【所持品】支給品 【思考】基本 主催者を倒してナギと一緒に倒して元の世界に戻る 1、シンと仲良し同士に 2、自分とそっくりな刹那に興味を抱く 【名前・出展者】シン・カミナギ@ラ ビ リ ン ス マ イ ン ド 【状態】健康 【装備】剣 【所持品】支給品、魔術本 【思考】基本 スバルと同じく主催者を倒して元の世界に戻る 1、自分とそっくりなシンと仲良し同士に 2、シンと同じくリオンのテンションについて行けない 【名前・出展者】刹那・F・セイエイ@機動戦士ガンダム00 【状態】健康 【装備】無し 【所持品】支給品 【思考】基本 主催者を倒して元の世界に戻る 1、自分とそっくりなスバルが気になる 2、シン、ナギと同じくリオンのテンションについて行けない 3、「せっちゃん」連呼するリオンに突っ込みを入れる(本人は嫌がっている) 4、単独行動して、その後他の人たちと合流したい ※C3街を移動中 ※シン、スバル、ナギは仲良し同士になりました 【ピンクの貝殻@SEED DESTINY】 DESTINY第21話で、ディオキアの海に落ちたシンとステラ。ステラは助けたお礼にシンにピンク色の貝殻をあげた 前の話 006 奴の目的、それは命を粗末する者を潰す事 次の話 008 黒い剣士
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今までの話数で伝えきれなかった事項があるので、ここでそれを明確にしてしておきたいと思います。 1.緋室灯は六課のメンバー全員をエミュレーターだと認識している。 2.六課メンバーは今いる場所(次元障壁を抜けて来た場所)が第97管理外世界だと認識している。 これは、内火艇の機器で観測したデータを検索した結果によるものである。 3.六課メンバーはクラウディアとの通信により、正式な手続きで第97管理外世界にいる魔道師はグレアム元提督のみと認識している。 4.2と3より、六課は現地で接触したグレアム元提督以外の魔道師は全て管理世界から来た不法な手段で第97管理外世界に侵入した犯罪者と判断できる。 5.魔道師およびライトニング以外を弾く結界を張った結果、緋室灯は結界内に残った。 これにより緋室灯は魔道師だと認識できる。 6.緋室灯は魔道師であり、グレアム元提督ではないので不法な手段で侵入した犯罪者の魔道師だと認識できる。 7.以上により、機動六課は緋室灯を管理世界の犯罪魔道師として対応している。 備考 1.機動六課は現段階では緋室灯の名前を知らない。 2.八神はやては内火艇の観測結果と検索結果に不審を抱いているが詳細情報の分析結果が出る前に緋室灯の襲撃を受けた。 以上のことを念頭に置いた上で、以下のSSをお読み下さい。 結界内空:スバル・ナカジマ 降下を続ける内火艇がビルの間に入る。 襲撃者が射線を取りにくくなるとスバルとティアナは飛び出した。 「スバル!シフト11番よ」 「わかった!」 2本のウィングロードがマッハキャリバーから延びていく。 一本は落ちるなのはを中心に螺旋を描きながら地上へ。 もう一本のウィングロードは急勾配をつけて同じ場所に延びていく。 スバルは螺旋のウィングロードに乗り加速をつけながらなのはに追いつく。 「とどいたっ!」 なのはの襟をつかんで引き寄せ、抱きかかえる。 「ブレーキっ」 減速はかかるが地面が見る見るうちに近づいていく。 螺旋を使って長くしたウィングロードでもまだ止まるには距離が足りない。 「スバル!」 「ティア!」 下では先に急勾配のウィングロードで降りていたティアが両手を広げて待っている。 スバルを抱き止める。 少し地面を擦り、ティアが尻餅をついてやっと止まった。 「止まったぁ」 2メートル先には壁がある。 なのはを抱えたままの激突はしたくなかった。 「それより、なのはさんは?」 「そうだ!なのはさん、なのはさん!」 なのははまぶたをぎゅっと閉め、それからゆっくりと開けていく。 「スバル……ティアナ……そっか、助けてもらったんだ。ありがとう」 お礼を言われるなんて思ってなかった。 スバルはとっさに反応できなかった。 結界内地上内火艇:八神はやて スターズからの連絡を受けたはやては息を一つ吐く。 「そうか、なのはちゃんは無事か。ほっとしたよ」 「八神隊長」 エンジンを見に行ったヴァイスが呼んでいる。 「どう、まだ飛べる?」 内火艇には多くの機材を乗せている。 いざとなったら自力で空を飛ぶこともできるはやて達だが、その場合機材は捨ててしまうことになる。 今の段階で機材を捨てることはできない。 「20……いえ、15分ください。それで、飛べるようにはしてみます」 「そか、15分やね」 長くはないが短くもない時間。 その間に襲撃者が再び内火艇を攻撃することは可能だし、そうなれば再び飛べなくなる。 「なのはちゃん、聞こえた?15分、足止め行ける?」 「15分だね。いいよ、そっちには絶対行かせない」 「ごめんな、まかせたよ」 念話の接続を切る。 はやては空中に浮かぶキーボーを叩き、内火艇のチェックを再開した。 結界内地上:高町なのは 「15分……か」 「なのはさん、大丈夫なんですか?」 スバルが子犬のような顔をしている。 「うん、平気平気」 痛む脇腹に気づかれないように手を当てる。 「それで、どうするんです?15分間隠れているとか」 「それはダメ。近寄られたら守りようがないよ」 「だったら、討って出ますか?」 「そうね。少し危険だけど、その方がいいよね」 「それだったら!」 スバルは駆け出そうとするが 「まって」 なのはに止められる。 「これを見て」 スバルとティアナはなのはの手のひらにある金属の固まりを見る。 「これ……なんなんですか」 「昔、本で見たような気はするんですけど……」 「二人はあんまり見たことないよね。これはね、銃弾。つまり、質量兵器」 「質量兵器?そんなものを!?」 「そう、しかも魔力で威力を強化している。逆かも知れないけど。二人のバリアやシールドだけじゃ防ぎきれない。だから……」 なのはの指示に二人は息をのむ。 「そんな、無茶です。なのはさんが危険です」 「無茶じゃないよ。さっきと違って、今度は三人だから。それから、ティア。後の指揮はおねがいね。私は防御に集中するから」 「……はい」 ティアナのクロスミラージュを握る手に力がこもった。 結界内ビル屋上:緋室灯 エミュレイターもその乗り物もビルの陰に隠れてしまった。 ここからではどちらも見えない。 エミュレイターが待ちに入るか、討ってくるか……少しだけ様子を見る。 光が見えた。 魔力の光だ。 白い女のエミュレイターが光を強めていく杖をこちらに構えているのがビルの間に見えた。 逆方向に光の道が自分の方へ2本伸びてきた。 片方からはローラーブレードの少女、もう片方からは二丁拳銃の少女が走ってくるのが見える。 急いで白い女に照準を合わせる。 直後、白い女がピンクの光を放ってきた。 引き金を引いて身を翻す。 「……ああああああっ!」 間に合わない。 ピンクの光が広がっていった。 結界内空:高町なのは ディバインバスター発射後にバリアを展開。 その途端、シールドがはじけ銃弾が左腕を打つ。 「あ……くぅっ」 腕の感覚がなくなった。 でもまだ動く。 もう一度シールドを張る。 より魔力を込めて。 敵の隙を待つ。 次の攻撃がない。 「倒したの?」 杖を下ろす。 あっけなさ過ぎた。 これでは倒せないはず。 いくつかの可能性を考えたなのはは、その一つを確かめようと空を見た。 そこには巨大な銃に乗った赤い長髪の少女がいた。 結界内空:緋室灯 このままでは光の道を走る二人との接近戦は避けられないと確信したとき、灯はガンナーズブルームと共に空に舞った。 狙うのは白い女。 動きも風格も接近戦を挑むべく走っている二人とは比べものにならない。 さらに攻撃魔法の魔力も恐ろしく大きい物だった。 「……もしかして、魔王級?」 なら、なおさらここで押さえなければならない。 白い女の真上につけ急降下。 ぎりぎりまで近づく。 白い女が灯を見た。 トリガーを引く。 急速に展開された魔法陣に防がれたが、バランスを崩した白い女は落ちていく。 再びトリガー。 弾丸を受けた女は地面に激突。 土煙の中、灯は女の横に降り立ち銃口を突きつける。 「……終わりよ。エミュレイター」 「ううん、まだ終わりじゃないよ」 トリガーに触れようとする灯の指が止まる。 「だって、スターズはまだ終わってないから」 次の瞬間、灯の体は宙を舞っていた。 結界内ウィングロード:ティアナ・ランスター 話は少しさかのぼる。 ウィングロードを走るティアナもなのはと同じ疑問を抱いていた。 第2射が遅すぎることを。 このまま自分たちの接近を許す相手とも思えなかった。 「なのはさんのディバインバスターで気絶している可能性は……除外ね」 敵を甘く見るのは指揮を託された者としてはあってはならない。 「なら、接近戦に応じる気?」 これも除外。 自分とスバルを相手にするためになのはを砲撃可能な状態にするとは思えない。 なら…… 「まさか!スバル、戻って!」 「え?でも作戦はこのまま行くんじゃ……」 「いいから!敵はこっちじゃない」 ティアナは地面を逆に蹴り、ウィングロードを逆走する。 結界内ウィングロード始点:スバル・ナカジマ 戻った先には倒れているなのは。 それに銃を突きつけている赤い長髪の少女。 「マッハキャリバー!」 「OK」 回転と加速を最高にして少女に肉薄する。 「だぁああああああああっ」 気合いと共に左ストレート。 赤い少女は空中で2回転して地面に落ちる。 だが、まだ倒せていない。 少女は立ち上がる。 スバルは渾身の魔力を右手に集中させた。 「一撃必倒!」 リボルバーナックルはうなりを上げ回転する。 「ディバイン……バスターーーーっ!」 魔力光と拳が赤い少女にたたき込まれる。 赤い少女は壁を破壊しながらビルの中へ、もう一度破壊しながらビルの外へ。 結界内地上:ティアナ・ランスター クロスミラージュを持つ手を交差させ待ちかまえる。 スフィアは周囲に展開済み。 目の前の壁が吹き飛び、両手を空にした少女が転がり出てきた。 「クロスファイア……」 スフィアが竜巻のように回転をはじめる。 「シューーーーートっ」 スフィアの竜巻に巻き込まれ赤い少女が再び宙を舞い、落ちる。 倒れている少女に近づき少女に銃口を向ける。 「質量兵器禁止違反……やってくれたわね」 少女が目を開けた。 「あなた、もう両手じゃ数えられないくらいの罪に問われるのをわかってるんでしょうね」 クロスミラージュの銃口に光がともり、大きくなっていく。 「あんたなんかに、なのはさんが!」 非殺傷設定は解除していた。 「待って、ティアナ!」 スバルに支えられたなのはがいた。 ビルの穴をくぐって歩いてくる。 「ダメだよ、ティアナ……。それに、話を聞かせてもらわないと」 次になのはは赤い髪の少女を見る。 「それから、あなたのお話も聞かせてね」 少女に笑顔を向けたなのははそのまま崩れ落ちた。 戻る 目次へ 次へ
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Template Otheruses Template コンピュータゲーム 『流星のロックマン』(りゅうせいのろっくまん、SHOOTING STAR ROCKMAN)は、ロックマンシリーズ生誕20周年記念作品として製作されたゲーム。略称は「流星」または「流ロク」。海外のタイトルは「Mega Man Star Force(メガマン スターフォース)」。 概要 ニンテンドーDS専用ソフトとして「ペガサス」「レオ」「ドラゴン」の3シリーズを2006年12月14日に発売。ニンテンドーWi-Fiコネクション対応であるが、ブラザーバンドシステムに使うものであり、これを利用した通信対戦をすることはできない。 ロックマンエグゼシリーズの後継作にあたり、エグゼシリーズのシステムを受け継ぎつつも、新シリーズにふさわしく様々なリニューアルがなされている。 2007年11月22日に続編の流星のロックマン2が発売。 2シリーズ、「ベルセルク×ダイナソー」「ベルセルク×シノビ」で1シリーズに2つの変身が可能。 各バージョンの違い スターフォースで変身できる能力が違う(別バージョンのプレイヤーとブラザーバンドを結めば、別バージョンの能力を使うことができる)。 中心となるサテライトの管理者が違う。 入手できる一部のメガカードと全種類のギガカードが違う。 ストーリー 220X年。地球上の全ての電子機器が電波で繋がれている時代。人々は携帯電話の進化した携帯端末「トランサー」を持つようになっていた。これは、電話やEメールはもちろん、教科書や新聞にもなる上、カードフォースと呼ばれるカード型プログラムを通すことにより、ナビと呼ばれる擬似人格プログラムや、武器プログラムを呼び出し、様々な行動を人間の代わりに行わせることができるという物であり、ほとんどのトランサーは、3機のサテライト(ペガサス・レオ・ドラゴン)のいずれかに所属し、管理されている。 そんな中、宇宙に地球外生命体を発見した「ニホン科学宇宙局NAXA(ナクサ)」は、未知なる生命体との友好関係「ブラザーバンド」を結ぼうと宇宙ステーション「きずな」を打ち上げた。 しかし、人類の夢を乗せたこの宇宙ステーションは原因不明の事故に遭遇し、その行方を絶ってしまった。必死の捜索にも関わらず、その宇宙ステーションが発見されることはなかった。 そして事故から数ヶ月後、ニホン海に「きずな」の一部と見られる機体の破片が落下した。これを機にNAXAは捜索を打ち切り、このプロジェクトを永久に凍結した。 それから3年後、コダマタウンに住む、3年前の事故で行方不明となった宇宙ステーション「きずな」の乗組員、星河大吾の息子、星河スバルは、父親を失ったショックから不登校となり、街の展望台で星空を眺める日々を送っていた。 スバルが小学5年生になった日、彼の自宅に大吾の後輩、天地守がやって来た。彼はスバルに、父が仕事に使っていたという不思議なメガネ、ビジライザーを渡し、帰っていった。その直後、今度はスバルのクラスメイトの3人組がやって来た。登校するように仕向けるクラスメイト達を避けるように、スバルは1人街の展望台へと向かった。 展望台に着いたスバルは、天地からもらったビジライザーを掛け、星空を見上げる。すると突然謎の光がスバルを直撃、彼は倒れ込んでしまった。意識を取り戻すと、目の前には猛獣のような顔をした、足の無い幽霊のような姿の電波宇宙人がいた。ビジライザーが謎の光の直撃を受けた事によって本来の能力が目覚め、電波宇宙人と電波の世界(ウェーブロード)が見えるようになったらしい。この宇宙人は「ウォーロック」と名乗り、自分がFMプラネットという星からやって来たFM星人であること、そして自分はスバルの父、大吾を知っているのだと言う。 スバルが父のことを聞こうとした瞬間、2人はウォーロックを追って同じくFMプラネットからやって来た電波ウィルスの襲撃に遭ってしまう。父のことを知りたいスバルは、ウォーロックの言うがままに融合、電波変換し、電波人間「ロックマン」として、電波ウィルスやFM星人達との戦いに巻き込まれて行くのだった。 ゲームシステム 基本的なシステムは流星のロックマンシリーズを参照。 スターフォース ストーリー中で、サテライト管理者により「スターフォース」の力を授かる。 変身中はチャージショットが特殊攻撃に変化し、カウンターをとると必殺技・SFB(スターフォースビッグバン)を使うことができる。 ただし、管理者と同じ属性になるため、弱点属性も継承することとなり、それぞれの弱点属性の攻撃を受けると、通常の2倍のダメージを受け、変身が解除される。一度でもこうなった場合、そのバトルが終了するまで再変身は不可能。 スターフォースはバージョン毎に異なるが、ブラザーを結んだ相手が別バージョンならばそのバージョンのスターフォースにも変身可能。 アイスペガサス 属性:水 弱点:電気 ロックマンがペガサスのスターフォースを得て変身した姿。特殊攻撃(=チャージショット)で敵を凍らせられる。SFBは、魔法で敵を凍らせる「マジシャンズフリーズ」。威力は低めだが、敵を行動不能にできる。 ファイアレオ 属性:炎 弱点:水 ロックマンがレオのスターフォースを得て変身した姿。特殊攻撃の威力が高く、攻撃している時間が長い。SFBは、強力な火炎放射で攻撃する「アトミックブレイザー」。威力が高い。 グリーンドラゴン 属性:木 弱点:炎 ロックマンがドラゴンのスターフォースを得て変身した姿。特殊攻撃の範囲が広く、状態異常にならない(ステータスガード)。SFBは、木の葉の竜巻を起こして攻撃する「エレメンタルサイクロン」。多段ヒットする。 登場人物 地球人 星河 スバル(ほしかわ - ) 本作の主人公。小学五年生の心優しき少年。将来の夢は父と同じ宇宙飛行士。父が行方不明になって以来、不登校になっていた。父親が持っていたビジライザーと言うゴーグルをかける事で電波を視覚できるようになる。近所の人曰く、変なゴーグルをかけた少年、イカしたメガネの少年らしい。名前は最初、「星河 スバル」になっているが、主人公の名前は自由に変更可能である。また、ウォーロックとスターフォース管理者につきまとわれている。 この項目内では主人公=星河スバルを適用 白金 ルナ(しろがね - ) 高飛車なお嬢様。コダマ小学校5年A組の委員長を務める。ロックマンに助けられて以来、ロックマンにメロメロである。両親はエリートになってもらいたいと考えているが、本人は普通の生活がしたいと思っている。 牛島 ゴン太(うしじま ごんた) 体が大きく力が自慢の乱暴者。委員長には頭が上がらない。がさつな性格だが自分の居場所を失うのが怖いと思っている。 最小院 キザマロ(さいしょういん - ) 物知りで頭がキレる情報収集を得意とする委員長のご意見番。ロックマンに憧れているがそれと同時に正体が気になって仕方が無い。 響 ミソラ(ひびき - ) 本作のヒロイン。同年代の少年達から絶大な人気を得ている天才少女シンガー。かつては母親と二人暮しだった(父親は不明)。元々病床の母親を励ます為に歌を始め、母親の勧めでオーデションを受けて見事に合格(彼女が持っているギターもオーデションの時に母親が買ってくれたもの)。その後も母親の為に歌い続けていたが、結局母親は他界し、歌う事に希望を見出せなくなり、さらに金のために歌えと言うマネージャーに嫌気がさしたため、歌手を辞めようと思っている。 双葉 ツカサ(ふたば - ) スバルのクラスメイト。不思議な雰囲気を持つ少年。スバルが学校に通い始めたきっかけのひとつでもある。穏やかな性格だが、幼い頃にゴミ集積所に捨てられたという過去を持ち、自分を捨てた両親を憎む気持ちから多重人格になってしまった。 双葉 ヒカル(ふたば - ) 両親を憎む気持ちから生まれた双葉ツカサのもう一つの人格。穏やかなツカサとは違い、口は悪く、乱暴で残酷な性格で絆(=ブラザーバンド)を激しく嫌っている。 星河 大吾(ほしかわ だいご) スバルの父親。3年前、宇宙ステーション「きずな」での事故で行方不明になる。 星河 あかね(ほしかわ - ) スバルの母親。大吾が行方不明になってから、女手一つでスバルを育ててきた。スバルの前では気丈に振舞っているが、心の傷は未だ癒えていない。 天地 守(あまち まもる) 天地研究所所長。大吾の後輩であり、元NAXA職員。行方不明になっている大吾を探し続けている。スバルに度々大吾の理想や考えを教え諭す。 宇田海 深祐(うたがい しんすけ) 天地の部下で元NAXA職員。NAXA職員の時に上司から裏切られたことが原因で疑心暗鬼に陥ってしまう。フライングジャケットという発明品の開発に成功した。 育田 道徳(いくた みちのり) スバルの担任でありコダマ小学校の名物先生。生徒達からの人気が高い一方、学校の教育方針に反対しているため教師達の間では孤立している。 白金 ナルオ(しるがね なるお) ルナの父親で、103デパートのオーナー。娘であるルナにはエリートコースを歩んでほしい考えている。 白金 ユリ子(しるがね ゆりこ) ルナの母親。夫と同じく、ルナにはエリートになってほしい考えている。 挟見 千代吉(はさみ ちよきち) 小学三年生の少年。意地っ張りでケンカ好きのため友達が出来ず孤独を感じている。 尾上 十郎(おがみ じゅうろう) 無愛想な植木職人。満月の夜になると血が騒いでしまう。 ジャン・クローヌ・ヴェルモンド・ジョルジョワーヌ14世 通称「クローヌ14世」。王冠に取り憑いた幽霊。生前は隆盛を極めていた貴族の当主だったらしい。 FM星人 ウォーロック FM星人。通称「ロック」。星河スバルのトランサーに居候している。 電波兵器・アンドロメダを起動するために必要な、アンドロメダの鍵を持っているために他のFM星人から狙われており、スバルの父・星河大吾のことに関して何かを知っているようである。 オックス おうし座のFM星人。強大な力を持っているが、頭はあまり良くないようである。 ルナに見捨てられるのを恐れる牛島ゴン太と電波変換し、オックス・ファイアとなる。 キグナス はくちょう座のFM星人。疑心暗鬼に陥っている宇田海に「裏切りこそがこの世の本質」と近づき、彼と電波変換してキグナス・ウィングとなる。 ハープ こと座のFM星人。響ミソラと電波変換することでハープ・ノートへと変身する。 マネージャーに嫌気が差したミソラの心に付け入り、音楽の力で地球を制圧しようとするが、ウォーロックに敗北後、スバル達の仲間となる。 リブラ てんびん座のFM星人。 学校の教育方針に反対したがために解雇されそうになった育田道徳と電波変換し、リブラ・バランスとなる。 オヒュカス へびつかい座のFM星人。 両親から無理矢理エリートの道を歩まされようとした白金ルナと電波変換し、オヒュカス・クイーンとなる。 ジェミニ ふたご座のFM星人。雷神ジェミニと呼ばれるFM王の右腕。 自分を捨てた両親を憎む双葉ツカサと電波変換し、ジェミニ・スパークとなる。 キャンサー かに座のFM星人。暴力的で友達の居なかった挟見千代吉と電波変換し、キャンサー・バブルとなる。本編では名前と電波変換した姿のみが登場し、本人は未登場。 ウルフ おおかみ座のFM星人。植木職人の尾上十郎と電波変換し、ウルフ・フォレストとなる。本編では名前と電波変換した姿のみが登場し、本人は未登場。 クラウン かんむり座のFM星人。ジャン・クローヌ・ヴェルモンド・ジョルジョワーヌ14世と電波変換し、クラウン・サンダーとなる。本編では名前と電波変換した姿のみが登場し、本人は未登場。 FM王(ケフェウス) FMプラネットの王で、ケフェウス座のFM星人。過去に親族からさえも王位や命を狙われた。 疑心暗鬼に陥ったところをジェミニに利用され、FMプラネットと友好条約を結ぼうとしたAMプラネットを信用できずに、アンドロメダを送り込んで滅ぼし、ブラザーバンドを結ぼうとした地球も滅ぼそうとする。 サテライト管理者 世界の通信を管理する3つの衛星(サテライト)の管理者。FM王ケフェウスとアンドロメダによって滅ぼされたAMプラネットの生き残りであり、AMプラネットの三賢者と言われていた。 ストーリー中で、ロックマンに絆を守るための力「スターフォース」を授ける。 ペガサス・マジック ペガサス座のAM星人でサテライト・ペガサスの管理者。 魔法や氷による攻撃を行う。水属性。 必殺技は、魔法陣を出現させ、そこから生み出した巨大な氷柱で敵を凍らせる「ペガサスフリーズ」。 レオ・キングダム しし座のAM星人でサテライト・レオの管理者。 口から出す炎や燃える尻尾で攻撃する。炎属性。 必殺技は、強力な炎を吐いて敵を焼き尽くす「レオブレイザー」。 ドラゴン・スカイ りゅう座のAM星人でサテライト・ドラゴンの管理者。 風や植物による攻撃を行う。木属性。 必殺技は、とぐろを巻くように回転し、巨大な木の葉の竜巻を起こして攻撃する「ドラゴンサイクロン」。 電波人間 ロックマン スバルとウォーロックが電波変換した姿。左手にはウォーロックがついていて、ロックバスターによる攻撃を行える他、バトルカードによる様々な攻撃や、スターフォースによる変身が可能。 オックス・ファイア ゴン太とオックスが電波変換した姿。赤い物を見ると破壊せずにはいられない。炎を使った攻撃を主とし、パンチやタックルなどの力技を得意とする。炎属性。 キグナス・ウィング 宇田海とキグナスが電波変換した姿。白鳥の舞いを踊って相手に見せると、それを見た相手は勝手に踊りだしてしまう。「シタッパー」という子分を複数引き連れており、白鳥の舞いを踊りながらの体当たりや、羽根飛ばし、シタッパーを使った攻撃などをしてくる。 ハープ・ノート ミソラとハープが電波変換した姿。音符や音波、音を操って戦う。マネージャーやファンを一度襲撃したが、ロックマン(=スバル)の説得により改心し仲間となる。これまでのロックマンシリーズにおける「ロール」のような存在。製作者曰く、「似せるつもりは無かったのに、似てしまった」らしい。 リブラ・バランス 育田とリブラが電波変換した姿。両腕の天秤皿には炎と水がのっており、腕の炎、水とおもりで攻撃する。属性は右腕が傾けば水属性、左腕が傾けば炎属性になる。学習電波で生徒達を無理矢理勉強させる。 オヒュカス・クイーン ルナとオヒュカスが電波変換した姿。上半身が人間の女性、下半身が蛇の姿をしている。蛇を自在に操り、蛇を使った攻撃や、体当たり、目からマヒ効果のある光線を放つ。木属性。 ジェミニ・スパーク ツカサとジェミニが電波変換した姿。+電波と-電波を放出し、同じ極の電波を浴びた人間を争わせる。ジェミニ・スパーク_W(ホワイト)とジェミニ・スパーク_B(ブラック)に分かれ、連係攻撃や協力攻撃を得意とする。電気属性。 Wはツカサ、Bはヒカルの人格が支配している。また、Bにしかダメージを与えることは出来ないが、Bを倒せばWも倒すことが出来る。 キャンサー・バブル 挟見千代吉とキャンサーが電波変換した姿。蟹が人型になったような容姿で、ケンカ好きな性格をしている。泡や津波を使った攻撃が得意で、両腕の鋏を飛ばしたりもする。「チョキ」が口癖。水属性。 ウルフ・フォレスト 尾上とウルフが電波変換した姿。鋭い爪や仲間の狼によって攻撃し、バトル中に満月が現れると体が赤くなりスピードアップする。木属性。 クラウン・サンダー クローヌ14世(幽霊)とクラウンが電波変換した姿。白骨化した王のような姿をしている。周囲にボウガン、ハンマー、ドリルで攻撃をする3体のゴーストを連れており、本体は雷による攻撃を行う。また、雷にあたるとゴースト全員から袋叩きにされる。電気属性。 最終ボス アンドロメダ FM星人達が造り上げた最強最悪の電波兵器。他の電波体を無差別に取り込み、過去にAMプラネットを滅ぼした。 最初は巨大な人の顔のような姿をしているが、HPが半分以下になると人型へと変形し、中央のコアが黄緑色になった時しかダメージを与えられなくなる。隕石やミサイル、衝撃波での攻撃の他、人型時は破壊光線も放つ。モデルはアンドロメダ座。 コラボレーション ボクらの太陽 Django Sabataとの関連性 シナリオ ボクタイDS側のボスが流星のロックマンの世界に現れ、ボクタイDSの主人公サバタとジャンゴと協力してそのボスを倒すことになる。 通信 ボクタイDSともブラザーバンドを結ぶことが出来る。これを、クロス・ブラザーバンドと呼ぶ。クロス・ブラザーバンドを結べば、メールによって、相手側でしか手に入らないようなレアアイテムを送ってもらうことができる。 ロックマンエグゼシリーズとの関連性 ロックマンエグゼシリーズをWスロットすることにより、ロックマンエグゼシリーズのロックマンが登場するサブイベントが発生する。 購入特典 本作の購入特典として「流星のペンダント」が配布されたが、これが尖った形状だったため転んだ時などに刺し傷などの怪我をする危険性があるとして、2007年2月1日に回収の告知が出された。手持ちのペンダントをカプコンに送付すると、「流星のロックマン」特製クリアファイルセット4点セットが代替品として送り返される。 外部リンク 流星のロックマン(カプコン公式サイト) ニンテンドーDS向け「流星のロックマン」の先着購入特典「流星のペンダント」回収に関するお知らせ 「流星のペンダント」代替品決定のお知らせ Template ロックマンシリーズ
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グランフォートレスは飛ぶ。その先には孤島が一つ浮かんでいた。 「わあ、懐かしい」 「スバル、遊びに来たんじゃないのよ」 グランフォートレスの中から島の様子を見て懐かしむスバルをティアナが少し叱る。 「いいから、ティアも見てみてよ。変わってないよ」 ティアナはしぶしぶモニターから島を見て、ティアナも懐かしさを感じた。 「本当に変わってないね」 「二人とも来た事あるの?」 なのはがスバル達に尋ねる。 「ええ、ティアに初めてギン姉を紹介した場所なんですよ」 「そうなんだ」 「あの時は楽しかったな~」 スバルとティアナはギンガと一緒に遊んだ時の事を思い出す。 と言ってもティアナはスバルに一方的に振り回されたり、ギンガにもスバルほどではないが少し振り回された記憶がある。 「お二人にとっていい思い出なんですね」 後ろで聞いていたリインがそう言った。 「時空管理局の協力の下で作られて、管理世界の様々なものを取り入れているのよ。まあ、レプリカだけど雰囲気を楽しむにはいい場所ってところね」 「ドゥーエも行ったことあるの?」 今度はフェイトがドゥーエに尋ねた。 「まあちょっとした用事があってバイトをしていたの。すぐに飽きてやめたけどね…」 その割には少し誇らしげに話すドゥーエ。 「そろそろ着陸に入るぞ。早く席に着け」 グランフォートレスを操縦するシグナムが皆に注意を呼びかける。 「はあ~、プライベートならよかったのにな……」 第12話 孤島からの真実 グランナイツのメンバーは島に降り立つが唖然とする。その島は普通の遊園地となんら変わりないようにしか見えない。 「ねえ、これって…」 「前と全然変わらない普通の遊園地ね…」 スバルとティアナは前と変わらない様子にわずかに戸惑いを見せる。 何で二人が戸惑うのかと言うと訳がある。 それはこの日の明朝にこの島にゼラバイアの反応がわずかに見られ、その調査に来たのだが、ゼラバイアの反応はともかくとしても、普通に営業しているのだ。 「ずるいな~」 その遊園地の外の様子を教会の司令室のモニターで見ていたキャロがぼやき、ルーテシアとヴィヴィオもうなづく。 「グランナイツの皆だけで行くなんてずるい」 「私もエリオと一緒に行きたかった」 「ぼ、僕と!?」 隣にいたエリオはおもいっきり驚く。 「ルーちゃん、それもずるい」 「私もママ達と行きたかったー」 「あのね、これは任務。それに君達勝手にここに入ったらダメだろ」 クロノがキャロ達を追い返そうとするが、ヴィヴィオとキャロがせがむ。 「やだやだ」 「ねえ、遊園地連れって下さい」 「ああ、シャーリー、アルト、ルキノ。とりあえずこの子達を追い返してくれ」 クロノがシャーリー達に頼むが三人とも反応が無い。 何故かと言うと三人とも遊園地のマスコット人形に見惚れてたからだ。 「ああ、クマ君…」 「欲しいな~」 「君達………」 クロノは呆れてものも言えなかった。 そして遊園地にいるグランナイツのメンバーは遊園地の中を見回るが特に異常が見あたらなかった。 「何もおかしいところは無いわね」 「お客さんもいっぱいいるし…」 「間違いかな?」 「どうでしょうかな?」 ドゥーエ、フェイト、なのはの言葉にスバルが訂正するように言う。 「乗ってみないとわかりませんよ」 「ですね!」 リインが元気よく賛成した。 そして皆楽しんだ。ジェットコースターにお化け屋敷に水を滑り降りるコースターなどとにかく楽しんだ。 コスプレ店などにも行き、なのははどこかのケンカ馬鹿を待つ少女の格好、フェイトは主人公の男の前ではいつも緊張している女忍者、 ティアナはちょっと変わったものをお持ちかえる少女の私服、リインはどこかの不老不死で魔女と名乗る女性の最初の衣装、 スバルはパンツのようなズボンをはいている少女の服装などであった。 「次どこ行く?」 「そう言えば、リインはこういうの初めてだよね。なんだったらリインの行きたいところでいいよ。遠慮なく言っていいよ」 「別にいいですよ。私はこう行った所に行くの初めてで充分楽しいです」 「リインってずっと聖王教会にいて、こういうところ出てないんだよね」 「はいです」 「私も魔法と出会う前までは家族や友達と一緒に行ったことあるけど…」 「そうか、なのはは聖王教会に行く前は普通の女の子だったのよね。それなのにヴェロッサときたら…、なのはにしろリインにしろ過保護ね」 ドゥーエが少しヴェロッサを皮肉るように言った。 「ヴェロッサさんにはとても感謝しています。記憶の無い私をずっと見てくれて…、もしヴェロッサさんがいなかったら……」 リインが懐かしむかのようにヴェロッサの事を思う。 「リイン、思い出はこれから皆で作れるよ」 「そうだよ」 「私たちで作ろう、リイン」 スバルやフェイトやなのは、皆がリインに心のある言葉をリインに伝える。 「皆さん、ありがとうございます」 その後皆でコスプレをしたまま写真を撮ったりなどした。 そして大方のアトラクションを楽しみ、そろそろ帰ろうかとした時、たまたまティアナが少年とぶつかる。 「あ、ごめんなさい……」 謝ったティアナは不審に思った。少年の様子がおかしいのだ。 そしてその不審は確信、いや現実となった。少年の姿が突然変貌し、ゼラバイアとなったのだ。 「な!?」 「ゼラバイア!」 すると周りの人間の様子もおかしくなりグランナイツのメンバー以外の人間が皆ゼラバイアになったのだ。 「まさか、全員…」 「皆強行突破! すぐにグランフォートレスのところに向かうよ!」 『はい!』 全員が自分の持つデバイスを手にし、変身し、バリアジャケットを装着。 自身の持つ技で回りにいるソルジャー級ゼラバイアを何とか蹴散らしていく。 ソルジャー級のゼラバイア達は自分達の身を一つに集め、合体し大きくなっていった。 「でかくなった!」 「皆、急ぐよ!」 なのはが指揮を取りつつ、皆飛んだり、走ったりしてグランフォートレスの方に向かう。 その様子は聖王教会の司令室でも確認されていた。 「ソルジャー級ゼラバイア、なおも増大」 「数は5000、いえもっと増えます!」 「これは客、係員、その他の人間が偽装したゼラバイアだと思われます!」 「これはすごい数だ…。それにさらに合体してウォリアー級になるとは……」 クロノが冷静に状況を分析、その間にヴェロッサが司令室に入ってくる。 「ゼラバイアの目的は、グラヴィオンのパイロット」 スバル達はグランフォートレスで待機していたシグナムの助けもあって、何とかグランフォートレスに到着。 皆各グランディーヴァに搭乗した。 「よし、グランナイツの諸君、合神せよ!」 ヴェロッサの承認と共にいつものようにスバルが合神させ、ゴッドグラヴィオンが完成する。 そして合体されたウォーリア級のゼラバイアを迎え撃つ。 「いくよ! グラヴィトンミサイル・フルバースト。シューーーート!!」 なのはの乗るGアタッカーから大量のミサイルが発射され、ゼラバイアも飛び道具でそれに応戦。 お互い相殺しあい、周りに爆風が立ちこまる。ゼラバイアは何も見えないがゆえに隙が出来、その隙にすぐにグラヴィオンはグラヴィトンプレッシャーパンチを使い、ゼラバイアの腹部分に風穴を開けた。 そして一気にトドメを刺さんとばかりに超重剣を呼び寄せ、一気に決着を付けた。 ゼラバイアは空間ごと超重剣に斬られ、消滅した。 「ゼラバイア、消滅」 「ゴッドグラヴィオン、合神を解除してください」 超重剣はそのすさまじい破壊力ゆえに使ったらすぐに重力子臨界に達してしまうのだ。 「了解」 スバルが合神を解こうと、一旦島に着陸する。 すると着陸した途端突然島が揺れ始め、地面から無数の触手出現し、グラヴィオンの手足を絡め取る。 そして目の前には先ほど倒したゼラバイア以上の大きさをしたゼラバイアが姿を現す。 そうその島そのものがゼラバイアと化っしていたのだ。 「まさか島そのものと融合していたとは…」 「ゼラバイア、グラヴィオン内部に侵入! 侵食する気です!」 ゼラバイアの触手がコックピット内に入っていく。 そして各グランディーヴァにいる皆を襲い、Gシャドウのコックピットにも入ってくる。 しかしここで少し予想しがたい事があった。 それは他の皆と違い、触手が直接リインに攻撃しなかったのだ。 リインは突然の触手で驚く。そしてその触手からは目玉のようなものが現れリインを調べるかのように見る。 リインは突然その目玉見て、突然叫びだす。その叫びに反応したのか目玉は突然割れる。 それどころか外にいたゼラバイアが島ごと崩壊したのだ。 「一体何が……?」 「リイン……」 司令室にいるクロノとヴェロッサもその様子を唖然と見る。 「どういうこと!? リイン無事!?」 スバルがリインの安否を確認する。するとリインはなにやら怯えるような声で答えた。 「私は……、リイン……フォース……Ⅱ(ツヴァイ)……」 『!?』 突然何の事か皆わからなかった。リインはそれだけを告げて意識を失った。 司令室で聞いていたヴェロッサは床に手を付き、つぶやく。 「リイン、フォースⅡ………、ふふふふ、ふふふふふふ、ふははははは」 そしてヴェロッサは壊れた人形のように不気味に笑い続けた。 前へ 目次へ 次へ
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0071年、4月29日 ミッドチルダ臨海第8空港 その日、この空港で大火災が起きた。 周囲はまさに火の海で、救助が難航していた。 しかし、 少女は泣きながら燃え盛る室内をただ歩き続けている。 周囲は炎と瓦礫で道は無い状態。 「お父さん……お姉ちゃん………」 少女は父と姉を呼ぶが誰も来ない。 かわりに小さな爆発に襲われた。 「きゃあっ!」 吹き飛ばされる少女。 地面に打ち付けられる体。 「……う………」 立ち上がるが体力は限界。 脳裏には絶望だけ。 「痛いよ……熱いよ………」 蚊の鳴くような声で助けを呼ぶ。 しかしその悲痛な声も、メラメラという炎の音に掻き消される。 「こんなのやだよ……帰りたいよ………」 だがその願いは、ガラガラという音に遮られ、 「…誰か……助けて………」 その声と同時に、背後にあった石像の足場が崩れた。 女神の像はその姿とは逆に、少女に絶望を与える。 「………っ!?」 少女は目を閉じた。 自分はこれに押し潰されるんだ、と。 しかし、いくら待っても倒れてこない。 不思議になり石像を見ると、そこには、 「…間に合ったか……」 男の人が石像を押し返そうとしていた。 「なのは、急げ!」 「了解!」 彼が叫ぶと今度は女の人が空から舞い降りてきた。 「よかった……助けに来たよ………」 少女の目の前に舞い降りた女の人は、「よく頑張ったね、偉いよ。」と言いながら肩を叩く。 少女は余程安心したのか、彼女を見ながら頷いた。 「もう大丈夫だからね……安全な場所まで一直線だから!!」 そういうと彼女は天井を見上げた。 「彼女は任せろ。」 「お願い、アムロさん。」 そういうと彼女は、天井に持っていたデバイスを構え、 「バリア展開。」 彼は薄い桃色のバリアを張った。 《上方の安全を確認》 彼女のデバイスがそういうと、彼女の足元に魔法陣が現れた。 《ファイアリングロック、解除します》 「一撃で地上まで抜くよ!」 《All Light、Load Cartridge》 そう言い合うと同時に、彼女のデバイスは二回リロード、さらに三つの翼が現れた。 「…………」 そのままデバイスを天井に向ける。 少女はその姿に見とれていた。 《Buster Set》 先端に魔法陣のようなものが現れ、魔力が収束される。 「ディバイン………バスターーッ!!」 収束された魔力は一直線に解放され、天井を貫いた。 「…少し強すぎは無いか?」 少女を抱き抱えている彼は彼女にいった。 「にはは……やっぱり?」 「また出力を適当に………」 そういいながら彼は通信をつなげる。 「こちら教導隊01並びにロンド・ベル01、エントランスホール内の救助者、少女一名を救助した。」 『……ありがとうございます。さすが航空魔導師のエース・オブ・エースと白い英雄ですね!』 「はは……そんなのは飾りだよ。」 「西側の救護隊に引き渡した後、すぐに救助活動を続行しますね。」 『お願いします!』 そういうと通信が切れた。 「行きましょう、アムロさん。」 「了解だ。」 そうして彼等は空を飛んでいった。 第02話 試験、スバルとティアナ 0075年、4月 ミッドチルダ臨海第8空港近隣廃棄都市街 廃ビル屋上 ビルの屋上に立つ少女。 青い髪に白いハチマキ。 ローラーブーツを履き、右手には特殊な篭手。 その場でシャドーボクシングをする彼女の近くにもう一人。 オレンジの髪にハンドガン。 静かに自分の銃をメンテナンスする少女。 スバル・ナカジマ ティアナ・ランスター この二人である。 「…スバル……あんまり暴れてると、試験中にそのオンボロローラーがいっちゃうわよ?」 「ティア~……やなこと言わないで~………」 そんなやり取りをしながら試験に備えていた。 あの事件から4年……… 「…………」 あの時、なのはとアムロに助けられた少女、スバルは意気揚々としていた。 「……やけに上機嫌だけど……何かあったの………?」 「え?」 「さっきからニコニコしてるけど……大丈夫?」 「だだっ、大丈夫大丈夫!」 顔に出ていたようだ。 正直スバルは、なのはに近ずけることがとてもうれしいのだ。 そんな事をしていると、通信パネルが現れた。 そこには白い髪をした女性が写っていた。 『おはようございます!さて、魔導師試験受験者さん二名!揃ってますかー?』 少し抜けたようなゆるい喋り方で二人を確認する。 「「はい!」」 それに対して、元気よく返事を返す二人。 『確認しますね?時空管理局、陸士386部隊に所属のスバル・ナカジマ二等陸士と………』 「はい!」 『ティアナ・ランスター二等陸士!』 「はい!」 『所有している魔導師ランクは共にCランク。本日受験するのは陸戦魔導師Bランクの昇格試験です!間違いないですねー?』 「はい!」 「間違いありません。」 『はぁい!本日の試験官を勤めますのは、私、リィンフォースⅡ(ツヴァイ)空曹長です!よろしくですよー!』 そういってリィンフォースⅡは敬礼をした。 それに合わせて、二人は敬礼しながら「よろしくお願いします!」とこたえた。 同時刻 試験場上空 そのようなやり取りを上空のヘリから身を乗り出して眺める人影。 「おぉ?早速始まってるなぁ?リィンもちゃんと試験官してる。」 関西弁の女性、八神はやて二等陸佐に、 「そんなに身を乗り出すと危ないぞ?」 そういった男性、アムロ・レイ一等空尉。 「そうだよ、窓全開だと危ないよ。モニターでも見れるんだから。」 金髪の女性、フェイト・T・ハラオウン執務官の三人だ。 「はーい。」 はやては素直に答え、窓を閉め席についた。 同時にモニターが現れる。 「この二人がはやての見つけて来た子達だね?」 「うん。二人ともなかなか延び白がありそうなええ素材や。」 「確かに、いい感じがするな。」 「そうやろ?」 アムロの発言に満面の笑みで帰すはやて。 「今日の試験の様子を見て、行けそうなら正式に引き抜き?」 フェイトがそうはやてに聞いた。 「うーん……直接の判断はなのはちゃんやアムロはんにお任せしてるけどな。」 そう笑顔で返すハヤテ。 「そっか……」 「配属が決まれば………」 「……!?、聞いてないぞはやて!?」 と突然聞き返す。 「直接の判断はなのはだけだったはずだ。」 「そりゃそうよ?アムロはんは今決めたんもの?」 「そういうのは先に言ってくれといってるだろ!?」 「いやぁ……ニュータイプの勘で解るかなぁと思うたんよ。」 満面の笑みで返すはやてにアムロは頭を抱えた。 「はは………」 その姿を見てフェイトが笑う。 「まったく……昔から変わらないな君達は………」 アムロは返すが、 「それはアムロさんもでしょ?」 「確かになぁ。見た目も恰好も合ったときから全然変わっとらんし。」 さらに返された。 「……………」 やっぱり彼女達にはいつまでたっても勝てそうにないようだ……… 同時刻 廃ビル内部 ピッ、ピッ、 モニターを触る音が誰もいないビルに響く。 《範囲内に生命反応、危険物の反応はありません》 彼女のデバイス、レイジングハートは情報を読み上げる。 《コースチェック、終了です。》 「うん、ありがとう、レイジングハート。」 そのまま監視用サーチャーと障害物を確認し、レイジングハートに語りかける。 「私たちは全体を見てようか。」 《Yes My Master》 試験の説明を終えたリィンは、 『…何か質問はあるですかー?』 と聞く。 その問いにスバルは悩むが、ティアナがスバルを見て、「ありません。」と答えた。 それを見たスバルも同様に「ありません!」と力強く答えた。 『では、スタートまで後少し!ゴール地点で会いましょう!』 リィンは最後に『ですよ。』といった。 同時にモニターがスタートのカウントダウンに変わった。 身構える二人。 表示されている物が、電子音と共に消え、何も無くなると同時に甲高い電子音とStartの表示に変わった。 試験の始まりである。 「おぉ、始まった始まった。」 「お手並み拝見……と………」 ヘリの中の二人はモニターを見るが、アムロだけは違った。 「アムロはんもモニター見ぃや。」 はやてが誘うも、 「いや、俺は現地の上空で見る。」 そう告げて三つのデバイスを持った。 一つ目は右手に持つベルカ式近距離格闘型デバイス。 二つ目は左手に持つミッド式中距離射撃型デバイス。 三つ目は下を向け背中に背負うミッド式遠距離射撃型デバイス。 ある事件から今まで使い続けてきた量産型デバイスだ。 「え……何でですか?」 フェイトが聞くがすぐに、 「ニュータイプの勘ってやつやろ?」 はやてが茶化す。 「いい加減茶化すのはやめないか。」 「はーい。」 そうはいったが、実際は勘である。 だが、これが後々助けになるのであったが……… 「リボルバーシュート!!」 標的が潰れる。 「よし!」 スバルはあっという間にビル内の標的を全て叩き壊した。 スバルは、外に出たと同時にティアナと合流した。 「いいタイム!」 「突然!」 そのまま次の目標に向かった。 『うん、いいコンビだね。』 「そのようだ。」 上空のアムロは目で二人を追う。 『どうやろか?最速記録保持者はん?』 「だから茶化すな。」 確かにいい腕でいいタイムだとは思う。 しかし……… 『……やっぱり、難関の大型オートスフィアが………』 「そうだな……やはりそれが問題か………」 『これが出て来ると受験者の半分以上が脱落する事になる最終関門。』 「あの二人にクリアできるかが問題だろう。」 ただしアムロは自分を囮に遠距離デバイスを遠隔射撃、後方から近距離で打ち込む戦法で物の15秒で撃破した。 『さすがは記録保持者はん。言うことが違いますわぁ~!』 「……通信切るぞ………」 『わぁぁ待って待って!』 上空で眺めている限りでは、相当いい戦いかたをしていた。 現に今、ティアナのアンカーガンを囮にする作戦はとてもいいものだった。 「…なかなかのものだな………」 動きには少なからず無駄があったが、予想以上に少ない。。 『確かに、延び白のありそうな二人だね。』 「ああ、だが………」 『最終関門だね………』 フェイトが先にいうが、それではない。 「いや、まだ撃ち漏らしがある。」 『え……?』 「オートスフィアがまだ一つ残っている。」 「スバル防御!」 ティアナはスバルに叫んだ。 「え?」 そう、残っていたオートスフィアがスバル目掛けて発砲してきたのだ。 「くっ………」 二人は素早く回避をする。 しかしティアナは反撃をしようと銃を構えた。 が、 「あぁっ!」 足元の段差に気がつかず、思いきり転んでしまった。 「ティア!」 だがティアナはそれだけでは動じず、咄嗟にその場を転がり敵の攻撃を回避。 さらに反撃してスフィアを撃ち落とした。 が、 突然モニターが消える。 「………?なんや?」 「サーチャーに流れ弾が当たったみたい……」 『アムロはんの勘が当たったみたいやな?』 「そのようだ。」 上空のアムロはそのままもう一人の監視役に通信をつなげた。 「…聞こえるか?」 『あ、アムロさん。トラブルか何かあったのかな?』 「わからないが、とりあえず君も上がってくれ。」 『了解。』 そういって通信を切った。 「…最終関門は抜けられない………」 「ティア………」 「私が離れた位置からサポートするわ、そしたら……あんた一人ならゴールできる………」 「ティア!」 「うっさい!」 先程まで、あんなに仲が良さそうだったのが一変、言い争っている。 「……はぁ………」 スバルの方は素直で優しい性格。 しかし、 「ティアナ・ランスターは…少々話し方に問題があるようだ………」 確かにスバルの為に自分をおいていけと言っている。 だが話し方はほぼ暴言に近い。 これについてはなのはに言っておくか……… 等と考えているうちに、 「……ん?話がまとまったか。」 結果的には二人で行くことになったようだな。 「……はやての言っていた『ツンデレ』…という奴か………」 …………… いけない……… はやてに毒されているようだ……… 残り時間は3分をきった。 「さあ……どう切り抜けるか………」 と言っていると、コース上にティアナが一人走っている。 しかし妙だ。 別に特別早いわけでもなく、まるで狙ってくれと言わんばかりに道のど真ん中を走っている。 と、そこに大型オートスフィアの射撃が着弾した。 『直撃!?』 はやてが声を上げるが、 「いや………」 さらによく確認する。 すると物影にティアナの姿。 「……なるほど」 『フェイクシルエットか………』 そう、ティアナは囮になっているのだ。 「ということは………」 近くにスバルがいるはずだ。 あの装備からして地上を走っているはず。 そう思い地上を眺めるが、その姿はない。 かわりに空に青い帯状の物体。 この時、アムロは知らなかった。 彼女の特殊魔法、『ウイングロード』の存在を。 その道を走る少女の存在を。 そして……… 「ディバインバスタァァーッ!!」 彼女の一撃必討の技を。 数分後 ゴール地点 そこには一人の……… いや、一人の人と一人の妖精(?)が二人のゴールを待っていた。 「どうでしたー?アムロさん?」 「力量、戦術、行動力………全てが合格ラインだ。」 一足先にゴール地点で待っているアムロは、冷静に成績判断をしていた。 「後は時間だけですね~……」 「そういうことだ。」 等と話していると。 「……ん?」 「あ!来たですねー?」 そこにはティアナを背負ったスバルの姿。 「なるほど、これなら時間内に二人ともゴールできるな。」 等と判断していると、ティアナは最後のターゲットを撃ち壊す。 「はい!ターゲットオールクリアです!」 「だが時間が………」 見ると後10秒前後。 するとスバルはさらに速度をあげた。 だが、 「……あ、なんかチョイヤバです………」 「……はぁ…止まること考えてなかったな………」 等と頭を抱える。 「「うわあぁぁぁぁぁ!!!!」」 もう既に二人の悲鳴が聞こえる距離。 「リィン……下がれ………」 下がると同時に電子音が響く。 ゴールした。 が、 「「あぁあぁぁぁぁぁ!!!!」」 そのままゴール先の残骸に一直線。 「…ふぅ……アクティブガード、ホールディングネットもかな?」 《Active guard at Holding net》 激突、 衝撃、 その反動で約一名が宙をまう。 「うわぁぁぁぁ!?!!」 落ちる。 浮遊魔法も使えない彼女は落ちることを覚悟した。 が、 「……大丈夫か?ティアナ・ランスター?」 すぐさま助けに入った魔導師に助けられた。 「うぅ………」 逆さまになっているスバル。 そこに、 「んーもー!危険行為で減点です!」 小さな妖精。 もとい、 リィンフォースⅡ空曹長が声を張り上げた。 「頑張るのはいいですが怪我をしたらもともこもないんですよー!そんなんじゃ魔導師としてはダメダメです!」 小さ……と思ってると、 「そこまでだ。」 「にはは…まあまあ。」 「?」 スバルは体を戻し聞き覚えのある声のした方向に目をやった。 「ちょっとびっくりしたけど、無事でよかった。」 「まあ、何とかだがな。」 そこには、当時と同じ姿の二人。 さらには当時抱えられていた自分の場所にティアナが抱えられていた。 「リィン、彼女に怪我の治療を。」 「はいです!」 「すみません空尉………」 そういってティアナは治療を受け、 「とりあえず、試験は終了ね。お疲れ様。」 というとネットが消え、ゆっくりと地面に下ろされた。 「リィンもお疲れ様。ちゃんと試験官できてたよ。」 「わーい!ありがとうございますなのはさん!」 「よくやってくれたな。リィン。」 「アムロさんもありがとうございます!」 やり取りが終わると、二人はバリアジャケットから制服姿にかわった。 なのはは白と青の服。 アムロは青を基調とした服に。 「……なのはさん…アムロさん………」 不意に口から出た言葉。 「うん……?」 「あっいえ!その!高町教導官!あっ…一等空尉!」 素早く気を付けをして言い直す。 目の前にいるのは憧れの人。 「なのはさんでいいよ?みんなそう呼ぶから。」 そういいながら近づき、 「4年ぶりかな……背、延びたね、スバル………」 といった。 「あのっ…えっと…その………」 なぜか泣きじゃくるスバル。 「また会えてうれしいよ。」 そのスバルを撫でてやるなのは。 二人の再開の瞬間である。 「いいんですかー行かなくて?」 リィンがティアナを治療しながらアムロに問い掛ける。 「別に構わないさ。彼女の憧れは俺じゃなくなのはなんだからな………」 そういって軽く笑った。 前へ 目次へ 次へ
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ワゴンでも良いからこの代のインプ欲しい -- (名無しさん) 2024-01-09 17 27 15
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王の財宝 ~天地鳴動の力~ ◆7pf62HiyTE Chapter.01 天地鳴動の力 デュエルアカデミア売店に爆音が轟いた。 売店のシャッターが爆破された、その様子をデュエルアカデミアの生徒である早乙女レイは唖然と見ていた。 何故こんな事になっていたのか?順を追って振り返ってみよう。 そもそもレイは想い人である遊城十代を守る為に武器として使えるデュエルモンスターズのカード及びデュエルディスクを確保する為にデュエルアカデミアに来ていた。 だが、目的の物は見つからずあると思われる売店もシャッターが施錠されていた。その後、玄関に血痕を発見し負傷者がいると思われる保健室を見張っていた。 その際にスバルに発見され手持ちの銃は没収されてしまい、更に負傷者であるルルーシュ・ランペルージはレイに対して警戒をしていた。 だが、レイはルルーシュの様子を見て彼がスバル達を守る為ならば殺人を厭わない事に気が付いたのだ……ルルーシュは自身と近い思考をしていると。 故にルルーシュを信用させる為、ルルーシュという人間をもう少し知る為、売店内部を確かめる為にカードと売店の情報を持ち出したのだ。 そしてレイ達は売店へ向かったわけだが…… ルルーシュはシャッターが施錠されている事を確認すると…… 「スバル、ちょっと手伝ってくれないか?」 「ルルーシュ、何をするつもり?」 と、スバルと共になにやら準備をし始めた。2人は火炎瓶をシャッターに取り付けシャッターから距離を取り……シャッターを爆破した。 「ちょ……どうして爆破したんですか!?」 レイとしては売店のシャッターを破る事自体は別に良い、だが幾らなんでも爆破は無いだろうと思っていた。 実際問題、デュエルアカデミアはレイの学校だ。出来うるならばあまり破壊はしたくは無いに決まっている。その為思わず口に出してしまったのだ。 「んー……でも、折角爆弾あったんだし、てっとり早く済んだんだから別にいいんじゃないのかな?」 「安心しろ、威力はちゃんと調整した」 「うん、あたしもずっと見ていたし」 だがこなた、ルルーシュ、スバルは別段気にしてはいなかった。 (あれ……何で私がツッコんでいるんだろう……?) そんな3人の反応にレイは1人唖然としていた。 なお、ルルーシュがシャッターを爆破したのは別に爆破したかったからというわけではない。銃があったことからそれを使って鍵を破壊する事も出来るだろうということはわかっていた。 だが、ルルーシュは罠の可能性を想定したのだ。そう、内部に誰かが潜んでいる可能性や、内部に入った事で作動する仕掛け、もしくは正式な方法で開けなければ作動する罠等…… 故に、爆破という手段を使い売店から距離を取る事でそれ等に備えたのである。 ちなみに売店内部の物を極力荒らさない為、使ったのは支給品の小タル爆弾ではなく、ルルーシュ自身が作り威力調整の利く火炎瓶である。 作業の方は片腕を失っていたという事もありスバルに手伝ってもらった。 さて、爆発後しばし中の様子を探った4人であったが罠らしき物はなかった。なお、火炎瓶の威力調節に問題は無かった為、中は殆ど荒れていない。 4人は恐る恐る売店に入る。勿論、罠への警戒は怠らない。 そして売店の内部を探るが日用品以外の物は何もない。レイ達が異世界にいた時点で食料問題があった事もあり、食料が無い事については不思議は無かったし、レイもその事は3人に説明をしていた。 「ねえレイ、本当にカードも売られていたの?」 「はい、確かに売られていたはずなんですが……」 「カードが売られていたのは間違いないね、だってこの棚カードが入りそうだし。」 そう、よく見ると売店にはカードが入っていたと思われる棚がある。つまり、本来であればここにカードが入っていたという事になる。 「プレシアが意図的に抜いたという事だろう。だが、これでデュエルモンスターズのカードが武器として使えるのは間違いないな」 「あ、そっか、もし殺し合いに乗っていない人が大量のカードを手に入れたら……」 「それをプレシアが望むはず無いだろう」 もし仮に売店内部のカードがそのままになっていたらどうなるだろうか?カードの使い方を知る十代達がデュエルアガデミアに来た時点ですぐに大量のカードを確保されてしまう。 勿論売店は施錠されているし、この場でもカードが使えるかどうかはわからないので、必ずしもそれが起こるとは限らない。 しかしレイの様にカードの使い方に気付いて、シャッターを破るという考えに至る可能性は十分にある。 その為必要以上の戦力を与えない様にプレシアがカードを回収しておくというのは十分にあり得るだろう。 「だが、鍵がかかっていた以上、全く無駄足とは限らないな。もう少し中を調べてみるか」 「ん?これは……?」 こなたが1枚の白いカードを見つけ、それを手に取る。 「ねえねえ、これの事?」 と、他の3人を呼びそのカードを見せる。 「『レッド・デーモンズ・ドラゴン』……確かにレイの言っていたカードに間違いないな」 その白いカードには赤き龍が描かれていた。 「ATK3000、DEF2000、ドラゴン族、シンクロ、チューナー……強いカードだとは思うがこれだけではよくわからないな」 ルルーシュ、スバルもレッド・デーモンズ・ドラゴンのカードを見る。 龍は雄々しく描かれ見る者を圧倒するオーラを放っている様であった。デュエルモンスターズを知らないルルーシュやスバルにもそれが強いということは直感的に理解出来る。 だが、デュエルモンスターズを知らない2人に詳しい事はわからない。 「あの、私にも見せてもらえます?」 「そうだな」 と、ルルーシュはそのカードをレイに渡す。 「攻撃力3000……こんな強いカードが……」 「それってそんなに強いの?」 「ええ、デュエルモンスターズの世界では最強の部類です」 レイの話は事実である。 デュエルモンスターズの黎明期より登場したカードの中で最強モンスターといえるのが青眼の白龍、あまりの強大さにたったの4枚しか製造されなかったそのカードの攻撃力は3000 勿論、後にそれに匹敵するもしくは凌駕するモンスターは登場していたが、その数は多いものではなく、青眼の白龍の攻撃力でもある3000が高いものだというのは揺るぎ様の無い真実であろう。 その青眼の白龍と同じ攻撃力を持つレッド・デーモンズ・ドラゴン……それがどれだけの強さなのかは言うまでもない。 「このカード、私が持っていても良いですか?」 「いいんじゃないのかな、レイの世界の物なんだしさ」 「そうだね」 「ああ、そのカードはレイが持ってろ」 レッド・デーモンズ・ドラゴンをレイが持つ事については他の3人も同意した。そして再び4人は売店の探索を始めた。 さて、4人には知る由もないがレッド・デーモンズ・ドラゴンは只のモンスターカードではない。 そもそもデュエルモンスターズのカードの中には古の神や精霊等が宿っているカードが幾つか存在している。 先程の青眼の白龍もまた三千年前の古代エジプトにおける白い肌と青い瞳の女性キサラが身に宿す精霊であったし、 デュエルアカデミアのクラス名にもなっているオベリスクの巨神兵、ラーの翼神竜、オシリスの天空竜も古代エジプトのファラオの墓の石版より再現された神のカードであった。 そう、レッド・デーモンズ・ドラゴンもまたその類のカードであるのだ。 五千年前、星の民は赤き竜の下、その僕たる5体の龍の力を借りて邪神をナスカの地に封印し冥界の扉を閉じたといわれている。 その5体の龍の内の1体こそがレッド・デーモンズ・ドラゴンなのだ。 そしてそのレッド・デーモンズ・ドラゴンは十代達がいた時代よりも数十年後の未来の世界のデュエリストジャック・アトラスが持つカードだ。 その世界においてデュエルは進歩しておりDホイールと呼ばれるバイクに乗ってデュエルを行うライディングデュエルが行われている。 ジャックは自らのDホイールであるホイール・オブ・フォーチュンを駆りデュエルキングとして君臨していた。そう…… 『王者の鼓動、今ここに列を成す! 天地鳴動の力を見るがいい!』 その言葉と共にデュエルキングジャック・アトラスは自らを象徴する龍レッド・デーモンズ・ドラゴンを召喚し数多の敵を打ち破って来たのである。 さて、ジャック・アトラスという人物が参加者の中に存在しない。では、何故カードだけが存在していたのであろうか? ここデュエルアカデミアのシャッターは施錠されていた。本来なら開ける為に鍵が必要なのは言うまでもない。 では、その鍵は誰に支給されていたのだろう?その人物はヴィヴィオだ、鍵はヴィヴィオに支給されていた。 つまり、売店の中にあったレッド・デーモンズ・ドラゴンは本来ならヴィヴィオに渡るべきカードであった可能性が高い。 何故、今よりも未来で活躍するはずのレッド・デーモンズ・ドラゴンがこの時代に存在するのか、 何故、ヴィヴィオにレッド・デーモンズ・ドラゴンが支給されようとしたのか、 何故、ジャック・アトラスに関係するレッド・デーモンズ・ドラゴンがこの場所にあるのか、 それは恐らく主催者以外には知り得ない話である。 Chapter.02 恋する乙女 各々が売店を調べる中、レイはレッド・デーモンズ・ドラゴンの事について考えていた。 攻撃力3000という最強クラスのカードが見つかった時、レイ自身は内心で喜びが隠せなかった。同時にそのカードを手に入れる事が出来た事にも安堵していた。 ルルーシュから警戒されている以上、下手な言動を見せれば大きな力となるカードを手に入れる事が出来ない可能性があったからだ。 だが、実の所あの時は困惑していたというのも事実であった。だが、下手に困惑の表情を見せればルルーシュから疑われる可能性がある為、何とかそれを見せない様にしたのだ。 何故動揺していたのか?それは、レッド・デーモンズ・ドラゴンには知らない言葉が幾つか書かれていたからなのだ。 勿論、デュエルモンスターズのカードの種類は今や数千種類以上と数多く存在しており、レイ自身も全て把握しているわけではない。 それでも基本的にテキストに出てくるデュエルモンスターズの用語の殆どは把握している。しかし、レッド・デーモンズ・ドラゴンのテキストにはこうあった。 『シンクロ・効果モンスター』 『チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上』 そう、レイは『シンクロ』と『チューナー』という単語について全く知らなかったのだ。 それもそのはず、前述の通りレッド・デーモンズ・ドラゴンは本来であれば十代達の時代より数十年後に存在するカードだ。 デュエルモンスターズは日々進歩している、根本的な部分は変わらないとしても数十年も経てば色々と変化する要素はある。 用語も変化しており、生け贄召喚をアドバンス召喚と呼んだり、生け贄をリリースと呼ぶ様になっていたりしている。もっとも、呼称が変わっただけで内容が変わっているわけではない。 更に新たなカテゴリーとしてチューナーやシンクロモンスターという物が登場しており、シンクロ召喚という新たな召喚も登場している。そして、レッド・デーモンズ・ドラゴンはそのシンクロモンスターである。 ここでシンクロ召喚についてのルールを簡単に説明しよう。 シンクロモンスターに指定された素材を墓地に送る事で召喚可能というもので、その時素材のレベルの合計とシンクロモンスターのレベルが一致しなければならないものだ。 ここで本来の持ち主であるジャックがビック・ピース・ゴーレムとダーク・リゾネイターを使ってレッド・デーモンズ・ドラゴンをシンクロ召喚した時を例に出そう。 レッド・デーモンズ・ドラゴンはレベル8で召喚にはチューナーとチューナー以外のモンスターが1体以上必要だ。 ダーク・リゾネイターはレベル3のチューナー、ビック・ピース・ゴーレムはレベル5のチューナー以外のモンスター、レベルの合計は8となりレッド・デーモンズ・ドラゴンのシンクロ召喚を行う事が出来る。 勿論、これは一例でレベル合計が8になるならばレベル1のチューナーにレベル3とレベル4のチューナー以外のモンスター2体でもレッド・デーモンズ・ドラゴンのシンクロ召喚を行う事は可能である。 つまり、従来の召喚以上にレベルの数値が鍵を握る召喚と言えるのだ。 さて、先程書いた通りレイの知らない用語があったもののレイは少し考え、 (ひょっとして……ルールでも変わったのかな……) ルールが変わったのではという仮説に行き着く。同時にそこから思案し1つの仮説が浮かぶ (もしかしてこのカード……私達の時代より未来のカードなんじゃ……) それは、レッド・デーモンズ・ドラゴンがレイ達の未来から持ってこられたという仮説である。 確かに未来ならばルールも改定されこれまでにないカードやモンスターが出てきてもおかしくはないし、これまでにない召喚方法が出てきても全く不思議はない。 その仮説ならば、現在のレイがレッド・デーモンズ・ドラゴンに書かれている用語を知らなくても無理はない。 一見この仮説は現実離れしすぎている。だが、レイはその可能性を信じるだけの経験をしている。そう、レイがこの場において最初に出会った人物フェイトの存在がそれを裏付けているのだ。 元々、レイ達が元いた異世界に来たフェイトは約20歳だったはずだ。だが、この場に来てから出会ったフェイトは約10歳であった。 レイはこの場で出会った方のフェイトを過去の時代のフェイトだと判断していた。つまり、そのフェイトは過去の時代から連れて来られてきたのだ。 そう、それと逆の事が起こっているという事なのだ。つまり、レッド・デーモンズ・ドラゴンは未来の時代から持ってこられたという事である。 そう結論付けたレイは続いてこれからの事を考える。 周囲を簡単に見回した限り売店の中には他にカードやデュエルディスクは見当たらない。つまり、レイの求める物はなかったという事である。 とはいえ先程ルルーシュ達と話した通りその可能性は考えられた事だし、レイ自身も外れに終わる可能性は予想していたので問題は全くない。 もっとも、売店には確かにレッド・デーモンズ・ドラゴンという強力なカードがあったので全くの無駄足ではなかったが。 さて、考えるべきはこの後の事である。レイはルルーシュの動向をずっと気にしていたが、レイの目から見てもルルーシュは相当に頭の切れる人物だというのは見て取れたし、 何より売店のシャッターを何の迷いもなく爆破するという行動を見ても相当な行動力とある種危険な思考を持っている事はわかった。 どういう人物かの見極めはもう少し必要だろうがどちらに転んだとしても今後の鍵を握っているという事に変わりはない。 そう、利用出来ればこの上ない味方ではあるが、敵に回せば何処までも厄介な相手といえるだろう。 先程も触れた通り、ルルーシュという人物がどういう人物かまでは未だわからない事が多いが、わかっている事が2点ある。 1つはルルーシュは十代や万丈目達と同じ年ぐらいのはずだが、その割には明らかに彼等よりも多くの苦難を切り抜けているらしいのが見て取れた。 レイ個人は詳しくは知らないものの十代達もセブンスターズや光の結社との戦いといった多くの苦難を切り抜けていたらしい事は聞いている。だが、十代達の場合は基本的にその素振りを見せた事はない。 しかし、ルルーシュの場合は少し見ただけでもわかるのだ、明らかに相当な修羅場を潜って……いや、常にその修羅場に身を置いている可能性もあると……。 だが、それにしてはルルーシュの態度にはある違和感を覚える。 まず、自分を警戒する事自体は全く問題はない、この場に置いて他の参加者を警戒する事はむしろ自然だからだ。 青い髪の少女をある程度信頼しているのも不思議は無いだろう、その少女は一般人だろうし、自分とスバルが話している間に2人で話をしていた可能性は高いのだから信頼していても不思議はない。 だが、スバルに対する態度はどうだろうか?まず、ルルーシュのいた世界ではルルーシュがスバルと知り合いであったらしいのはわかる。 もっとも、この場にいるスバルはそのスバルとは別人らしいがルルーシュにしてみればそれは全く問題ではないだろう。 そもそもルルーシュはいきなりスバルを抱きしめていたのだ、きっとルルーシュの中ではこのスバルも同じスバルと見ているのだろう。 (間違いない……ルルーシュって人……スバルさんの事が……) それこそがもう1つのわかった点である。それはルルーシュはスバルに強い恋愛感情を持っている事だ。 もし、ルルーシュとスバルが単純な知り合いであるならばルルーシュはスバルの力を有効利用するはずである。スバルの力や性格を考えるならそれ程彼女を気遣う必要も無いだろう。 しかし、ルルーシュは明らかにスバルを気遣っていた。それはつまり、ルルーシュにとってスバルは単純な知り合いではなく、何よりも大切な存在なのだろう。 それが演技という可能性は?それは絶対に無いとレイは確信していた。理由?それは恋する乙女の勘、それで十分である。 そう、ルルーシュのスバルに対する態度はレイの十代に対する態度と似ているのだ。 十代を守る為ならば人殺しも厭わないレイ、スバルを守る為ならば人殺しも厭わないルルーシュ、 それが恋する乙女であるレイにはよく理解出来たのだ。 単純な冷徹な性格ならば利用するには難しい存在だった。だが、ルルーシュがスバルの為に戦うのであれば、そこを突けばきっと利用出来るだろう。 しかし、それは容易な事ではない。ルルーシュは自分に対する警戒を全く解いていない。敵ではないと思わせる事は出来ただろうが所詮はその程度。 恐らくこの後、詳しく話を聞かれるだろう。ここに来るまでに誰と出会い何をしていたかを……そこが勝負所になるはずだ。 そう、自分の知り合いや、デュエルゾンビの話、10歳ぐらいのフェイトに出会った話……その情報をどう話すか…… そして、何故自分がデイパックを2つ持っているのか?そう、フェイトからデイパックを奪ってしまった事だ。 それをそのまま語ればルルーシュだけではなくスバルからも殺し合いに乗っていると判断される可能性は非常に高い、そうなれば身動きが取れなくなる。 その点は上手く誤魔化さなければならない……ルルーシュに対してそれが出来るかどうかは難しいだろう。 だが、なんとしてもやり遂げなければならない、十代を守る為にも……。 (十代様……待ってて……) そして再びレッド・デーモンズ・ドラゴンのカードを見る。レイとしては非常に強力な武器が手に入ったことになるがここで幾つか問題がある。 1つはレッド・デーモンズ・ドラゴンがあまりにも強力すぎる事だろう。 レイはその時重傷を負っていた為その場には居合わせてなかったが青眼の白龍となのは達は1度戦った事がある。 青眼の白龍の力は凄まじくスバルでも全く歯が立たず、なのはやフェイトがエクシードモードやソニックフォーム使う事でようやく戦える程の強さなのだ。 それと同じだけの攻撃力……そう、なのは達が全力を出さなければならない程の力をレッド・デーモンズ・ドラゴンは持っているのだ。 先程も述べた通り、それがどれ位の強さなのかはレイ自身は見ていないので良くは知らない。 だが、レイはフェイトに風化戦士を召喚した事があったのでどのぐらいの強さかはある程度予想出来る。 あの時、フェイトはレイの支給品だったオーバーフラッグを使う事で攻撃を何とか防ぐ事が出来たが、攻撃によりアパートの壁には穴が空いた。無論、オーバーフラッグが無ければフェイトが死んでいた可能性は高い。 さて、風化戦士の攻撃力は2000である。当然、レッド・デーモンズ・ドラゴンや青眼の白龍の攻撃力である3000には遠く及ばない。 そう、レッド・デーモンズ・ドラゴンを召喚した場合周囲への被害がどれぐらいになるのか全く予想出来ないのだ。 レイの目的はあくまでも十代を守る為、殺し合いに乗った参加者だけを殺す事である。殺し合いを止めるつもりのスバルや、一般人のこなたまで殺すつもりは全くない。 だが、下手にレッド・デーモンズ・ドラゴンを使ってしまえばその巻き添えでスバル達を死なせてしまう可能性は大いにあり得るのだ。 しかし、なのはが死ぬ程の殺し合いだ。リスクはあってもなのは以上の参加者と戦うのにレッド・デーモンズ・ドラゴンは非常に大きな力となる事に変わりはない。 だが、ここで2つめの問題が出てくる。これは恐らくデュエルモンスターズをよく知る物だからこそ感じる問題である。 (問題は召喚出来るかどうかだけど……) そう、デュエルモンスターズの召喚には幾つかルールが存在する。例えば、レベル5やレベル6のモンスターを召喚する為には生け贄が1体必要で、レベル7以上のモンスターを召喚する為には生け贄は2体必要だ。 これを無視して召喚する事が出来るのかがレイにはわからなかったのだ。更に、 (テキストに書かれている通りだったらチューナーというのが必要だけど……そもそもチューナーって何?) レイはシンクロ召喚に関するルールを全く知らない。チューナーという言葉すら知らないし、シンクロ召喚にはレベルが関係している事すら知らないのだ。 厳密なルールに従うならチューナーが無ければ召喚は不可能だし、仮にあってもチューナーと他の素材モンスターのレベル合計が丁度8にならなければ召喚は不可能となる。 仮に運良くチューナーを手に入れた所でレベルの合計が8にならなければ無駄撃ちに終わる可能性がある。 とはいえ、シンクロ召喚を知らないレイでもチューナーと他にモンスターが必要とわかっているだけでも簡単に召喚出来ない事がわかる為、現状はルール的に使えないと判断出来る事に変わりは無い。 だが、本当に使えないだろうか?この場に置いても本当にそのルールに則らなければならないのだろうか? レイが使った風化戦士のレベルは4……生け贄を必要としないモンスターだったのでルール通りで何の問題も無い。 さて、今より数時間後ある場所で青眼の白龍が召喚された。青眼の白龍のレベルは8、本来なら2体の生け贄が必要である。しかし、その場では生け贄を使わず、召喚を可能とする特殊なカードを使うことなく召喚を行う事が出来た。 となれば、この場に置いてはその辺のルールがある程度改変されている可能性はあるかもしれない。だが、カード自体にある召喚条件が改変されているかまではわからない。 この場でレッド・デーモンズ・ドラゴンが召喚出来るかどうかは誰にもわからないのだ。 もちろん、これがデュエルモンスターズを知らない参加者ならもしかしたらと考え使う可能性はある。だがレイはデュエリスト、そのルールを破って使うという発想には至らない。 故にレイは現状レッド・デーモンズ・ドラゴンは使えない可能性が高いと判断したのだ。少なくともチューナーともう1体のカードが手に入るまでは……。 (銃は取られちゃったし……他に使える道具があれば良かったのに……) レイが持っているのは共通の道具を除くとフェイトに支給されていた光の護封剣とフリーズベントといった2枚のカード、自身に支給されている最後の支給品だけである。 光の護封剣とフリーズベントは使えるがこれだけでは心許ないのも確かだ。そしてレイは最後の支給品をこの場では全く使えない道具だと判断していた。 なお、スバルが一度レイの持ち物を検査しているものの、レイ自身が銃とカード以外に使える道具は無かったと説明していたし、スバルも簡単にしかやっていなかった為レイを信じ詳しくは調べていなかった。 そう、レイもスバルも気付いていないのだ。その最後の支給品は現状のこの場で非常に助けとなる事に……。 Back サイカイ 時系列順で読む Next 王の財宝 ~カテゴリーK~ Back Paradise Lost(後編) 投下順で読む Back 誰かのために生きて、この一瞬が全てでいいでしょう(後編) ルルーシュ・ランペルージ Back 誰かのために生きて、この一瞬が全てでいいでしょう(後編) スバル・ナカジマ Back 誰かのために生きて、この一瞬が全てでいいでしょう(後編) 泉こなた Back 誰かのために生きて、この一瞬が全てでいいでしょう(後編) 早乙女レイ
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このSSを、リリカル遊戯王GX氏に捧ぐ。 リリカル遊戯王GX番外編 「最強! 華麗! 究極竜(ブルーアイズ・アルティメットドラゴン)~前編~」 古代エジプトには、「三幻神」と呼ばれる精霊がいた。 「オシリスの天空竜」、「オベリスクの巨神兵」、「ラーの翼神竜」の3体である。 無論、歴史に名を連ねる強力な精霊・魔物は、何もその3体だけではない。 ファラオの守護者たる「幻想の魔術師」しかり、王宮の守護神たる「エクゾディア」しかりである。 そして、純白の鱗と青き瞳を有した幻獣――「白き龍」もまた、しかり。 ――ォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオーーーーーーッ!!! 耳をつんざく咆哮に、スバルは身を震わせる。 動けなかった。 何がそうさせるのか。思い当たる要素はいくらかあるが、それすらも動機としては不十分だった。 要するに、空気なのだ。 目の前の「それ」がまとう空気が、過去に味わったことのない根源的な恐怖となって、スバルの身に降り注いだ。 横に立つ相棒のティアナが、その場にへたり込む。 向けられたのは、圧倒的なまでの存在感と、冷徹なまでの殺意。 それら全てが恐怖という形で、彼女らの全身に満ちてゆく。 上空を見た。 「それ」と対峙するのは、管理局の2人のエース。 どんな困難にも迷うことなく立ち向かう、高町なのはとフェイト・T・ハラオウン。 だが。 震えていた。 なのはの白いバリアジャケットが。 何者にも屈せぬはずのエース・オブ・エースの身体が、今は目の前の「それ」の放つ恐怖に当てられ、ただの娘同然に震えていた。 純白の鱗と青い瞳を輝かせる、3つの頭を持った「白き龍」を前に。 この状況に至るまでの経緯を説明するには、少々時間を遡らねばなるまい。 ちょうどレイが重傷を負って倒れた直後のこととなる。 きっかけは、外を見張っていたオブライエンが、「おかしな奴がいる」と皆に報告したことだった。 深夜のデュエルアカデミアを訪れたその男は、白いコートに身を包み、頭には妙なマスクをかぶっていた。 「あ、アンタ、カイバーマンじゃないか!?」 そしてその男は、十代の知り合いだった。 (…何だかおかしな人だね…) (ツッコまないでおいてあげよう、なのは…) なのは達はこの男――カイバーマンのセンスにまるでついて行けず、奇異な視線で彼を見つめていた。 それも当然である。「正義の味方 カイバーマン」は普通の人間ではない。デュエルモンスターズの精霊だ。 「そういえば、そんなカードもあったわね…」 奇抜な格好ばかりに気を取られて、すっかり存在を失念していた明日香が呟く。 明日香のようなデュエリストでさえも存在を忘れていたのは、何もカイバーマンがただの弱小カードだからという理由ではない。 その特殊効果が原因で、デッキに組み込む者がほぼ皆無と言っていいカードだからだった。 「十代、こいつのこと知ってるのか?」 当然カイバーマンには会ったこともないヨハンが尋ねる。 「ああ、2年前にちょっとな。俺以外には、翔と万丈目が会ってる」 「サンダー!」 「やっぱり夢じゃなかったんだ」 十代以外の2人は、かつてのカイバーマンとの遭遇を夢か何かだと認識していた。 デュエルの精霊の存在、出会うまでの過程…それら全てがあまりに荒唐無稽だったためである。 「…そうだ。なぁカイバーマン、アンタがいるってことは、やっぱりここはデュエルモンスターズの世界なのか?」 「知らん。気がついたらここにいた。俺もこのような場所は覚えにない」 正義の味方などという二つ名の割には、あまりに尊大で突き放すような口調でカイバーマンが返す。 「だが、俺達精霊が実体を持てるという点では共通している」 「なんだぁ…結局分からないままかよ」 精霊の世界の住人たるカイバーマンからなら、有力な情報を得られるのではと期待していた十代だが、 それも叶わずがっくりと肩を落とす。 「…確かなことと言えば…」 だが、カイバーマンは更に言葉を重ねた。 「この地には…何やら禍々しい、妙な気配が渦巻いている。それらはどうやら、貴様らに向けられているらしい」 「ひょっとして、俺達をここに飛ばした奴…!?」 「だろうな」 そこまで言うと、カイバーマンは、そのマスク越しに十代の目を見た。 竜の頭をかたどったマスクの青い目が、じっと十代を見据える。 「遊城十代…貴様には、いかに巨大な相手が立ちはだかろうと、それに立ち向かう覚悟があるか?」 強い口調で、カイバーマンが問いかけた。 対する十代は、それまで真剣な顔つきで彼を見返していたが、ふっとその顔にいつもの強気な笑みを浮かべる。 「…もちろん! 俺は誰のデュエルだって、受けてやるさ」 「ククク…ならば、もう一度俺と戦って証明してみるか?」 カイバーマンはさぞ愉快そうに笑うと、自らの左腕にはめたデュエルディスクから、1枚のカードを引き抜いた。 その手に輝くのは、白いドラゴンの絵柄を持ったモンスターカード。 「…俺の青眼(ブルーアイズ)と」 「なっ…!?」 その場のデュエリスト達に衝撃が走った。 一方、目の前のカードが何かも知らない管理局の面々は、突然の反応についていけない。 「ヨハン君、あのカードって…?」 「そっか…なのはさん達は知らなかったな。 …あのカードは、『青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)』…世界に3枚しかない、究極のレアカードだ」 ―青眼の白龍― 攻撃力3000 防御力2500 通常モンスター この世に生まれたのは、デュエルモンスターズの創成期。 その圧倒的なパラメータは、当時の水準ではあまりに過ぎた力だった。 故に、僅かな枚数しか生産されないうちに、その生産そのものが中止されたという。 今でもこのカードを超える通常モンスターは存在していない。だが、このカードの価値はそれだけでついたものではない。 世界最大のアミューズメント企業「海馬コーポーレーション」の若社長・海馬瀬人。 決闘王・武藤遊戯の唯一無二のライバルにして、彼と共に史上最強に名を連ねるデュエリスト。 その海馬が絶対的な信頼を置く下僕こそが、青眼の白龍なのだ。 あらゆるデュエリストのあらゆるモンスターを粉砕する、最強のドラゴン。 「三幻神」のカードがエジプトの遺跡に返還された今では、まさに世界中のデュエリスト全ての至宝だった。 「…いや、やめておこう」 ふと、カイバーマンは気が変わったのか、十代に向けた視線をそらす。 その代わりに、彼の目にとまったのは――なのはだった。 「え? 私…?」 「貴様らはただの人間であるにも関わらず、デュエルモンスターズの上級モンスター並のエネルギーを発している… …特に一際優れた貴様の力、何より戦士としての戦う意志…この目で見てみたくなった」 カイバーマンはそう言うと、後方へと後ずさって距離を取る。 広く取った間合いは、戦いのステージのつもりだろうか。 「さぁ、来るがいい異世界の女! 俺と青眼にその力を見せてみろ!」 カイバーマンは高らかに喊声を上げた。 「ええと…これは、私が出ていくべき…なのかな?」 唐突な展開についていけないなのはは、困惑しながらも足を進める。 と、それを制した者があった。 「え…」 「あたしが行きます」 その者――スバルはそう言うと、バリアジャケットを展開し、カイバーマンの前に立つ。 「貴様がやるのか?」 「なのはさんを傷つけさせたりはしない。そのドラゴンとはあたしが戦う!」 リボルバーナックルの拳を硬く握り、スバルが宣言した。 彼女は怒っていたのだ。突然現れ、なのはと戦うなどと言い出した、この男に。 「ふん…まぁいいだろう。ちょうどいい前座だ」 しかしカイバーマンは、至極余裕な様子でそう言い放つ。 「ぜ…前座ぁ!?」 余興呼ばわりされたスバルは、思わずオーバーリアクションで返した。 「見せてやろう…俺の強く気高く美しき下僕の姿を!」 「あんまり嘗めてかかると痛い目見るよっ!」 「青眼の白龍、召喚ッ!」 カイバーマンがデュエルディスクに、そのカードをセットした。 力は姿を帯びる。 人間の何倍…いや、十何倍にも匹敵する巨大な身体。全身を包む白い鱗。真っすぐに標的を見据える青い瞳。 『…ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオーンッ!』 雄たけびが上がる。 最強のドラゴン・青眼の白龍が、遂に真夜中の砂漠にその姿を現した。 「出た…!」 「青眼の白龍…実物を見るのは初めてだ…!」 デュエリスト達から次々に声が上がる。そして、その登場に驚いたのは、管理局の面々も同様だった。 「すごい…」 「こんな奴までいるんだ…」 目の前の青眼の白龍が放つオーラに、なのは達は釘付けになっていた。 全身からにじみ出る、圧倒的なまでの力。神々しささえも感じられる、純白の光。 これほどまでに強く雄雄しき存在を目にしたことがなかった。 果たしてキャロのフリード…いや、ヴォルテールでさえも、これほどの存在感を持つことができるだろうか。 「うわぁ…」 今まさに、その青眼の白龍と相対するスバルでさえ、一瞬見とれるほどだった。 それだけの絶大な存在感をもって、「白き龍」はこの世に顕現したのだった。 「ククク…どうした? 見惚れていては勝負にならんぞ」 「はっ…!」 余裕を含んだカイバーマンの声に、ようやくスバルは我に返る。 そうだ。今から自分は、この竜と戦うのだ。 スバルは気持ちを切り替えると、真っ向から青眼の白龍を睨みつけた。 見れば見るほど強そうなモンスターだ。 日中に戦ったハーピィ・レディ三姉妹の攻撃力は、サイバー・ボンテージの効果も相まって2450だったが、 こちらの攻撃力はそれすらも凌駕する3000である。 加えて言えば、スバルがティアナとのコンビネーションの末にようやく撃破した3万年の白亀の守備力ですら2100だという。 攻撃力3000。その破壊力は、最早彼女には見当もつかなかった。 故に、スバルはカートリッジをロードし、魔力スフィアを形成する。 (最初っから全力でぶっ飛ばす!) 決意を込め、その拳を振りかぶった。 カイバーマンもまた、必殺技の気配を察し、青眼の白龍へと指示を出す。 「いきなり全力か…いいだろう、気に入った! 正面から迎え撃て、青眼!」 『グオオオオオオオオオオオオオッ!』 太い咆哮と共に、青眼の白龍の口元で、青白い光がスパークする。 「ディバイィィーン…バスタァァァァァァーッ!!!」 「滅びのバーストストリィィィィィィィームッ!!!」 少女とドラゴン。双方から青い光の束が、一直線に相手目掛けて放たれた。 衝突の瞬間、 「う…うそぉっ!?」 あまりにもあっけなく、スバルのディバインバスターが押し返されていった。 一瞬の膠着もなく、青眼の白龍の放つ閃光が、無情にもスバルへと迫っていく。 「うわうわうわうわうわーっ!」 冗談ではない。こうも易々と自分の最大技を押し返してくる攻撃を喰らっては、最悪命まで持っていかれるのではないか。 故にスバルは焦った。 だが、そうしたところで既に無駄なことだ。攻撃態勢のスバルは、そう簡単に回避行動を取ることはできない。 遂に滅びのバーストストリームは彼女が立つ地面を殴りつけ、凄まじい爆発を引き起こした。 人1人などあっという間に蒸発させてしまう熱量と、周囲の十代達さえも吹き飛ばさんとするほどの衝撃波。 「ス…スバルーッ!」 ティアナが絶叫する。 死んだ。 誰もがそう思った。いくら魔導師と言えど、防御魔法も展開していない状況では、この暴力的なまでの破壊の前では無力である。 「粉砕! 玉砕! 大・喝・采ッ! ワハハハハハハハハハハハハ!」 カイバーマンが勝利宣言をする。高らかに上がる笑い声は、滅びのバーストストリームの爆音の中でなお轟いていた。 やがて壮絶な破壊の後、ようやく土煙も晴れた着弾点には、案の定何も残っていなかった。 「…ん?」 しかし、それは青眼の白龍の攻撃が、スバルの身体を残らず灼き尽くしたからではない。 カイバーマンがふと上空を仰ぐと、そこには彼女を抱える黒い服の魔導師。 「…へ? フェイト…さん?」 ようやく状況を把握したスバルは、自らを救出した者の名を呼ぶ。 「大丈夫だった、スバル?」 「あ、はい…」 間一髪、ソニックムーブでスバルを助け出したフェイトは、地上に着地すると、スバルの身体を降ろす。 「スバル!」 「よかったぁ…心配しましたよ、スバルさん!」 ティアナ達が口々に声をかけながら、死んだとばかり思ったスバルの元へと駆け寄り、無事を喜ぶ。 そんなスバル達を安堵の表情で見やると、 なのはは真剣な面持ちでカイバーマンを――その頭上に浮かぶ青眼の白龍を見据え、瞬時にバリアジャケットを展開する。 「ふん…ようやくその気になったか」 カイバーマンはすっかり待ちわびた様子で言う。 なのははそれに応えることもなく、戦闘フィールドへと歩を進める。 フェイトもそれにならい、彼女のすぐ隣へと立った。 「確かに…あの威力は、もう私が相手するしかないね」 「そうみたいね」 なのはの言葉をフェイトが肯定する。 「…少し、頭冷やさせないといけないかな?」 「許可するわ。私もそうするから」 キッと最強のドラゴンを睨むと、なのははレイジングハートを、フェイトはバルディッシュを構え、同じ高さまで昇った。 「ククク…まぁいいだろう。だが、貴様ら2人がかりでは、流石の青眼もただでは済むまい… …そこで、俺はこれを使わせてもらう!」 カイバーマンが新たに引いた3枚のカード。そのうち1枚は… 「マジックカード・融合を発動!」 「まさか!?」 青眼がフィールドに立っている状態で、更にモンスターを2体追加した上での融合。 その条件から導き出される最悪の結果に、明日香は信じられないといった様子の声を上げる。 「そのまさかだ。奴のデッキは、あの海馬瀬人のデッキと同じ…つまり、奴のデッキには…」 万丈目の声と、残り2枚のカードを表へと向けるカイバーマンの動作が重なる。 「青眼の白龍が、3枚入っているんだ!」 「今こそ融合せよ、青眼!」 カイバーマンが号令した。 2枚のカードから、更に2体の青眼の白龍が飛び出し、既に出現していた1体と共に天空へと羽ばたく。 3体のドラゴンの身体が強烈な光を放ち、やがて光そのものとなり、複雑に混ざり合う。 雷鳴が鳴った。 暗雲が渦巻いた。 3つの光は1つの巨大な光となり、青眼の白龍さえも優に凌ぐ、絶対的な力の権化を降臨させる。 「強靭! 無敵! 最強!」 カイバーマンが、力をこめてその名を叫ぶ。 「これぞ我が下僕の究極なる姿…青眼の究極竜(ブルーアイズ・アルティメットドラゴン)!」 ――ォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオーーーーーーッ!!! 咆哮が轟いた。 ―青眼の究極竜― 攻撃力4500 防御力3800 融合モンスター 小山のような巨体。白い鱗に青い瞳。地獄の番犬を彷彿とさせる、3つ並んだ竜の首。 これこそ、青眼の白龍の究極形態。史上最強の殺戮兵器。 最強のドラゴンたる青眼の白龍。それを3体も束ねた存在だ。であれば、その力は最早神にも等しき存在なのではないか。 究極竜は語る。 言葉ではなく、気配で。 圧倒的なまでの存在感と冷徹なまでの殺意が、強烈な恐怖の刃となって、その場の者達を容赦なく貫く。 幾多のデュエルを切り抜けてきたデュエリスト達でさえ、その迫力に、ただただ打ち震えていた。 目の前の青眼の究極竜は、紛れも無い本物。 ソリッドビジョンなどでは到底伝わらない、本物の存在感が、デュエリスト達の身を震わせる。 そして、それを眼前で見せ付けられたなのは達の心境は、いかなるものであっただろうか。 恐怖。 今までのありとあらゆる戦場でも経験してこなかった、圧倒的なまでの恐怖。 自分の腕には自信があるはずだった。 しかし、このドラゴンの前では、それにいかほどの意味があるだろう。 防御魔法は障子程度の壁にしかなるまい。通常の魔力弾など豆鉄砲ほどの価値もない。 ありとあらゆるものを蹴散らす、暴力的な力。 エース・オブ・エースの身体が、小刻みに震えていた。 単発総合目次へ 遊戯王系目次へ TOPページへ