約 596,291 件
https://w.atwiki.jp/sddsi_link/pages/15.html
天海 レイコ 性別:女 身長:173cm ダイナマイトボディの金髪美女で、露出が高く体のラインが出る服を着ている。 まだ平和な時代、それなりに名の知れた貿易会社『天海カンパニー』の三姉妹の末っ子。 姉2人は、後妻として嫁いできた母の連れ子。 母に似て美貌を兼ね備えた姉達に比べ、醜い容姿のレイコは母と姉達に日常的に虐めを受けていた。 唯一、年老いた父親だけは海外で得た色々な物をレイコに与え可愛がっていたが、海外出張中に事故に遭い死去。 財産目当てで嫁いだ若い母親は全てを相続し、目障りなレイコを追い出した。 追い出されたレイコは、生きるために売春婦となり過ごしていたが、ある日に父親が死んだのは母親が手を回したからだと知る。 大好きだった父を奪った母親への復讐を計画し、会社を訪れるがそこは悪魔により血の海となっていた。 命からがら逃げていたレイコは、途中で母親と姉達に遭遇し、とにかく生き延びるために協力することにした。 だが、悪魔を前に裏切られ瀕死に陥る。 同時に、東京全土を核ミサイルの衝撃が襲った。 死に行くレイコの脳裏にはあったのは死への恐怖ではなく、復讐を果たせない無念。 最後の力を振り絞り、力を欲した結果、そこに居合わせたサキュバスの気まぐれで命を救われた。 これが、後に仲魔となり合体したサキュバスとの出会い。 今こそ、サキュバスの能力で若く見えるが、実年齢は不明である。
https://w.atwiki.jp/sakotsu/pages/12.html
にこにこゆーざーのさこつってだーれ? 鎖骨というのはその名の通り鎖骨と尾骶骨の大好きな両性類です ↑ここ重要同僚の生放送主「Ione」を険悪しており 特にStickamではあんなをしたり こんなをしたりしており、視聴者に多大なる迷惑をかけております鎖骨はStickamにて特定のユーザーが入ってくるとそれを押しのける絵文字を書きたくなる習性を持っており そのユーザーとじゃれたいものだと専門家は語っております 鎖骨というのはその名の通り骨全般の大好きな両性類です ↑ここ重要 鎖骨という名前なのに自分の鎖骨はありません っていうか見えません エロは大好物です放送に「R-18」をつけるときはまじめな政治話を 放送が「一般」のときは微エロな話をします ていうかそういう流れになりますそういう流れ 終わりました 鎖骨の放送を見つけたら おはにゃっき! おはにゃっく!おはまーら!おはFxxk! のどれかを コメントしましょう 文字の大きいほうがリスナーが喜びます
https://w.atwiki.jp/bjkurobutasaba/pages/328.html
ルイザ、ルイズ、ルイゼ、ルイゾ 我ら停戦シスターズ! ジは開いてるぜ! 五人そろうと何かの封印が解けるとか勝利するとか言われている。
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/1010.html
ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールの人生とは、 這い寄る闇からの逃走劇も同然だった。 魔法が使えないこと、身体が幼いこと、他人に認められないこと――。 それら闇から逃れるため、ありとあらゆる努力を重ね、研磨し、足掻いた。 ――それでも、何も変わらなかった。 いくら呪文を知っていても、魔法は使えない。 いくら健康になっても、身体は育たない。 いくら貴族として立ち振る舞っても、誰も認めない。 逃げても逃げても追ってくる闇――だが、幸か不幸か、今までそれに捕らわれる事は無かった。 魔法が使えなくても、学園が自分を放り出すことは無かったし、 身体が幼くても、どうしても気を引きたい相手などはいないし、 他人が認めなくても、自分はれっきとした貴族だって分かっている。 けれど、もうここまでだ。 この学園では、2年生への進級するための儀式として、『使い魔の召喚』がある。 今までに一度たりとも魔法を成功させたことの無い自分に、できるはずもない。 案の定、呪文を唱える度に、地面を爆発させた。 他の生徒たちの嘲笑が聞こえる。文句が聞こえる。罵倒が聞こえる。 ――本当は、分かっていたのだ。 魔法が使えなくては、進級できない。 身体が幼くては、婚約者は去るかもしれない。 他人が認めなくては、貴族にはなれない。 それでも、足掻きたかった。 ちっぽけな希望を抱き、この闇を打ち破り、この広い世界に歩みだしたかった。 闇はすぐ後ろにいる。 未来までも黒で覆い、光を奪おうとしている。 お前は、何者にもなれないと、絶望を突きつけようと―― ――そうして、その使い魔は現れた。 ルイズは、その使い魔を召喚したときのことを、一生忘れないだろう。 その姿を目にした瞬間、自らを覆おうとしていた闇は、一瞬で消し飛んだ。 灰色の世界に光が射し込み、自分を、世界を、輝かせる。 ――もう、何も怖くない! 魔法が使えなくても、この使い魔がいれば何でも出来る! 身体が幼くても、この使い魔がいれば何も言わせない! 他人に認められなくても、この使い魔がいれば何も要らない! ショボイ魔法などどうでもよくなり、 チンケなコンプレックスは消え去り、 周囲の視線は、畏怖と羨望の視線となった! 吊り上っていた眼は、絶対なる意志を持ち、 追い立てられるような歩きは、王者の余裕を持ち、 張り詰めていた雰囲気は、覇王のようなカリスマあるものへと変わった! 使い魔が自らと在る限り、 自分に出来ないことなど無いのだと、 自分は何処へでも行けると、ルイズは確信した! ――そう、ルイズは、果てしなく続く戦いの道(ロード)へ歩み始めたのだ!! 喧嘩売って来た色ボケメイジを、ぶっ飛ばしてやった。 悪名高い盗賊を、その僕の巨大なゴーレムごと吹き飛ばしてやった。 国と自分を裏切った婚約者を、そのお仲間諸共消し飛ばしてやった! ルイズは止まらない。 何者にもルイズは止められない! ――そして今! 眼下には、卑劣にも条約を破り、攻め込んできたアルビオン軍が展開している。 「こないだ、アルビオンで躾けてやったというのに……まだ足りないらしいわね」 虫けらを見るような目で――事実、そう思っているのだろう――白の国のゴミクズどもを眺める。 「ならば教えてやるわ……この、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールのいる、 そして、我が最強のしもべのいる、このトリステイン王国に攻め込んできた、その愚かさを――!!」 ルイズは緩やかに右手を上げる。 それは、ルイズがしもべに敵の殲滅を指示する、号令なのだ――! ルイズは高らかに謳い上げる――破壊を告げる言葉を! 「滅 び の ッ ! バ ァ ァ ァ ス ト ス ト リ ィ ィ ィ ィ ィ ム ッ ッ ! !」 その瞬間――。 青き眼の、白き最強龍は、口内から光を放つ――! それは、あらゆるものを滅ぼす、破壊の光――!! 「強 靭 ッ ! 無 敵 ッ ! 最 強 ォ ―― !!」 光は全てを飲み込んでいく! 戦艦を蹴散らし、ブチ壊し、滅茶苦茶にしていく! 竜騎兵など蝿も同然! 地べたを這いずるメイジや兵士どもなど、塵芥に等しい! 「粉 砕 ッ ! 玉 砕 ッ ! 大 ・ 喝 ・ 采 ―― !!」 何が来ようと、何も恐れることは無い。 我がしもべ、『青眼の白龍』の前には、全てが平伏すのだ――! 「ワハハハハハハハハハハ―――――!!」 その後、ルイズは『滅び』の二つ名と、 ありとあらゆる名誉を手にいれ、トリステイン最強の力として、君臨した。 ルイズは最期まで魔法を使えなかった。 ルイズは最期まで体系はお子様だった。 ルイズは最期までメイジとは認められなかった。 だが―― ルイズは『力』を使えた。 ルイズはあらゆる名家の男たちから誘いがあった。 ルイズは至上最強の竜騎兵として認められた。 そして、友も得た。 ルイズは未来を切り裂き、幸せを手に入れた。 そして、これからも、ルイズは止まらない! ルイズの踏み出した道――それが未来となるのだから――! 「ずっと私のターン!!」 『滅びのルイズ』…… 完 -「遊戯王」より青眼の白龍を召喚
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/3026.html
前ページ次ページ魔法少女リリカルルイズ 放課後の図書室の奥まった誰からも見られないような場所で、ルイズはレポート作成に勤しんでいた。 「まったく。ミスタ・ギトー、こんな無茶な量を!」 こんな隅っこにルイズがいる理由はただ一つ。レイジングハートの機能を使っているからだ。他の生徒や先生には見せられない。 空間モニターを起動して、キーボードも展開。 その上で指を踊らせ、手書きでは不可能な速度でレポートを書いていく。 近頃は手元を見なくてもキーボードを的確に打てるようになったルイズであった。 大変便利な代物で手で書くよりもずっと早い。 「これがなかったら絶望的だったわ」 教室で爆発を起こしたルイズは、罰として風の魔法に関するレポートを明日までに提出することになった。 怒りまくるギトーが提示したその量はむちゃくちゃなもので、通常の数倍である。 しかも、できなかったら退学だ、とまで言ってきた。 実際には提出できなくても退学までは行かないだろうが、おそらくギトーの授業の成績は壊滅状態になる。 四系統魔法の実技の成績は最悪のルイズにとって、それは避けたいところである。 故にルイズの奮闘は続いていた。 (ルイズ、次の資料持ってきたよ) (じゃあ、そこに置いておいて) (わかったよ。重要な場所には付箋挟んでるから。じゃあ、次を探してくるね) ミッドチルダ式の検索魔法を駆使するユーノは的確に必要な本を持って来てくれる。 こういうときにユーノの能力は非常に便利だ。 時折、図書室からはこんな声が聞こえる。 「あ、ユーノくん。この本がいるの?」 「相変わらず熱心だね。君も」 フェレットが本を持って走り回るという光景は、いつの間にか図書館にある当たり前の物となっている。ルイズは気づいていないようだが。 そして、あとわずかで日も落ちると言うとき、 「できたー」 ついにレポートが完成した。 エア・ハンマー、カッタートルネード、風の遍在等々十数個の魔法に関するレポートは大作と言っていいだろう。 何か達成感すら感じる。 (後は印刷するだけだね。プリンターはどこ?) (え、ぷりんたぁ?) ユーノが意味不明の言葉を発する。 (うん。レイジングハートを提出するわけにはいかないでしょ?だから印刷しないといけないんだけど……あ) (何のことだかよくわからないけど、ぷりんたあはないわ。こういうときはどうするの?) すっかり失念していた。 せっかくのレポートも提出できなければ意味がない。 (だったらレポートを紙に書き写さないと!) (この量を全部?) 便利さに任せて書き上げたレポートはすごい量になっている。 (そう、なるけど……) (せっかくできたと思ったのにーー) (急がないと間に合わないよ) 今、図書館には視線を踊らせているルイズくらいしかいない。 その通路を司書が歩きながら叫ぶのが聞こえた。 「閉館でーす」 そういうわけでルイズは紙にレポートを書き写している。 (僕も手伝おうか?) と、ユーノは言ったが、提出するのは一人だけ。筆跡の違いが簡単にばれてしまうのでルイズは単独でがんばっていた。 「故に、この魔法は周囲の風のからの影響が強く……」 今やルイズは近寄りがたい雰囲気を漂わせている。 「ルイズ。お茶、持ってこようか?」 「今は黙ってて!」 話しかけても今はこんなふうだ。 静かにしてオーラ全開とでも言ったところだろうか。 おかげでユーノは恐れを成して、ベッド脇のテーブルの上で静かに待っている。 部屋の中にある音はルイズがペンを走らせる音だけ。 そんなふうになった頃、誰も手を触れないのに窓が突然に開いた。 フードをかぶった女性がレビテーションで空を飛び、部屋の中に入ってくる。 「勉強中ですか?」 女性がルイズに声をかけるが、今のルイズにとってはそれは雑音以外の何者でもない。 ものすごい勢いで血走った目を女性に向ける。 「だぁれぇ?」 ドラゴンでも裸足で逃げ出しそうな顔だ。 「あ、あの……ごめんなさい」 女性は怯えて回れ右。窓に手をかけるとフードがふわりと外れる。 その下からは冠とルイズのよく知る顔があらわれた。 「姫さま」 「また今度にします」 窓から出ようとレビティーションを唱え、宙に浮いたアンリエッタ王女にルイズが飛びついた。 「い、いえいえいえいえ。大丈夫です。姫さま」 「でも。今勉強で忙しいんでしょ?」 「まったく問題ありません。平気です!」 「ええ……ルイズがいいのなら。それでは」 アンリエッタ王女は魔法を説いて床に降りる。 「極秘裏に、それに火急に、あなたにお願いしたいことがあるのです」 彼女はルイズの手を取り、真摯さを声に込めてそう言った。 ランプの明かりの下、ルイズはアンリエッタ王女の言葉を待った。 アンリエッタの震える手が今から話すことの重要さを伝えている。 ルイズは急かすよりも、まずは待つことにした。 「私はゲルマニアに嫁ぐことにしました」 「なんですって!よりにもよって、あんな成り上がりどもの野蛮な国に?」 ルイズは何よりもツェルプストーの故国という点でゲルマニアが嫌いだ。 そんな国にアンリエッタ王女が嫁ぐというのは信じがたい。 「仕方ありません。小国である我がトリステインを守るためには、ゲルマニアと強固な同盟関係が必要なのです」 「お国のためとはいえ、あまりにお労しい」 「私はトリステインの王女。国のためにこの身を投げ出すことなど、厭いはしません。ですが、問題があるのです」 アンリエッタ王女は顔をうつむけ影の中に顔を隠す。 沈む表情がルイズに見られないように。 「問題、ですか?」 「ええ、大きな問題です。それが世間に知られれば、この縁談は破談になってしまいます」 「姫さま、それは一体」 一度口を開きかけた王女が口をつぐむ。 顔を上げ、もう一度口を開くが、それ以上彼女の喉から出る物はない。 「言えませんか?」 「いえ、言いましょう。ルイズに隠し事ができようはずもありません。それは私がアルビオン王国のウェールズ皇太子に当てた一通の手紙です」 「では、その手紙もアルビオンに?」 「ええ。しかし、アルビオンは今、政情不安定で危険な状態にあります」 「貴族達が反乱を起こし、今にも王室が倒れそうだとか」 ルイズの手を握る王女の手に力が入る。 そして頭を二人の手につくほどに下げ、ようやく言葉をつないだ。 「ルイズ。お願い。もう、こんな事を頼めるのはあなた以外にいないの。アルビオンに行ってその手紙を回収してきて。お願いします」 ──お任せください ルイズはすぐにでもそう言いたかった。 だが、言えない。ルイズにはすぐに答えられない理由があった。 手紙の回収はきっと危険な旅になるだろう。では、その危険に対してルイズはどうやって立ち向かうか。 決まっている。ルイズが持っている危険に立ち向かえる力はただ一つしかない。 ミッドチルダ式の魔法だ。それは本当にこの任務に使っていい物なのだろうか。 その疑問がルイズの胸中に浮かぶ。その疑問を晴らそうと考えるが、答えはでてこない。 だからルイズはすぐ側に立っているフェレットのユーノに聞いた。 (ねえ、ユーノ) (どうしたの?) 念話で会話を交わす二人の声は王女には聞こえない。王女はただ、じっとルイズの答えを待っている。 (姫さまの頼みを引き受けたいの。でも、そうしたらジュエルシードと関係ない人にも、きっとミッドチルダ式の魔法を使うことになると思う。私、どうしたらいいんだろう?) それはユーノにもすぐには答えられない疑問だった。 それでも少し考えて、それから答える。 (ルイズが思ったようにすればいいと思うよ。ミッドチルダ式の魔法もレイジングハートも、もうルイズの魔法なんだ。だから、どう使うかはルイズが決めなくちゃいけない。でもね) (うん……) (僕は、ルイズが間違っていることをしていると思ったら止めるよ。絶対に) (今は止めないの?) (友達のためにルイズが何かするのは間違ってないと思うから) ルイズは心を押しつぶしていた重しがなくなったような気分だった。 ──ありがとう その言葉は声にも念話にもしないでおく。少し、恥ずかしいから。 「姫さま。そのような重要な任務をこの私に命じてくれるなんて、この上なき幸せにございます」 「ルイズ。では、行っていただけますか?」 「はい。お任せください。そして姫さま……」 ルイズにはもう一つ決心したことがあった。それは今の自分を話すということ。 アンリエッタ王女が重大な秘密を話したのなら、ルイズもまた秘密を明かさなければならない。 ユーノも首を小さく振って、今話すことに同意してくれている。 「姫さまに打ち明ければならないことがあります。それは私が……」 ──リリカルイズと名乗って…… そう言葉を続けようとしたとき、ドアが静かに開いた。 「お話は全て伺いました」 扉を開いたその男は部屋に入り、これ以上ないくらいに格好をつけて語る。 それを見てルイズはまず口を開き、それから閉じて歯をむき出しにする。 目も見開いて、次に天井まで届きそうなくらいにつり上げ、さらに格好をつけて膝をついたその男に飛びかかった。 「ギーシュっ!あんたって奴わぁああああああああっ」 ギーシュの首に左手を回し、後頭部を押さえつけ、そしてぎりぎりと締め上げ始めた。 「せっかく、決心がついたっていうのに!」 「やっ、やっ、やっ、やっ、やめたまえ。ミス・ヴァリエール。首に食い込んで……ぐええええ」 ギーシュの顔が赤くなっていく。 「こぉおおおおおんな所で話の腰をおってぇえええええええ」 「いまから、話せばいいじゃないか。ご、ごへえええ」 赤から青に変わる。 「こういうのはね、タイミングって物があるのよ!」 「うわおあえええええおおおおお」 そして、青から白に。ああ、哀れギーシュここで力尽きるのか。 「あの、ルイズ。そのくらいで許してあげましょう」 アンリエッタ王女のおかげで幸いにして、そんなことはなかった。 後にギーシュは川の向こうで祖母が手を振っているのを確かに見たと証言した。 ようやく顔色を元に戻したギーシュは涙ながらに床に這いつくばる。 今にもアンリエッタ王女の靴を嘗めそうな勢いだ。 「ああ、ありがとうございます。アンリエッタ王女。このギーシュ・ド・グラモン、姫さまに感謝と共にこの身の全てを捧げたいと思います。どうか私もこの任務の一員にお加えください」 「あなたも私の力になってくれるのですね?」 「当然です。たった今、命を救われたのです。我が忠誠、必ずやお示ししましょう」 なにやら向こうは向こうで盛り上がっている。ルイズとユーノは少し離れてそれを見ていた。 (ねえ、ルイズ。いいの?) (なにが?) (ギーシュさんがついてきたら、空は飛べないよ) ミッドチルダ式の魔法はアンリエッタ王女以外にはまだ秘密にしておきたい。 シエスタはとりあえず例外にしておく。 (そのことなんだけど、今回は魔法で飛んでいくのはやめることにしたわ) (どうして?) (今までアルビオンに行ったことはあるけど……どうやって行ったかよくわからないの。ほら、フネとか馬車とか中にいたらどう動いているかなんてわからないでしょ?フネだったら航海士がいるけど、私そうじゃないし) (あ、そうだね) ユーノにもわからない話ではない。 発掘メンバーの中にも、車で乗せていってもらった場所に自力で行けないという人がいた。 車でなくフネくらいに大きい乗り物ならなおさらだろう。 (だからギーシュがついて行くっていうのならそれはそれでいいと思うの。それに来るんならしっかり働いてもらうわ) そんなルイズの決心にも気づかずギーシュはまだアンリエッタ王女に感謝と忠誠の言葉を捧げていた。 前ページ次ページ魔法少女リリカルルイズ
https://w.atwiki.jp/gamemusicbest100/pages/5235.html
ナナシ ノ テエマ 収録作品:ナナシ ノ ゲエム[NDS] 作曲者:ルイーズ野間(祖堅正慶) 概要 『ナナシ ノ ゲエム』作中内のゲームである、「プレイすると一週間後に死んでしまう」と言われている「呪いのゲーム」で使用されるBGM。 「呪いのゲーム」はレトロゲーム風のRPGであり、本曲もチップチューンを使った寂寥感のあるサウンドで、どこか往年のドラクエを髣髴させる。 耳に心地よい美しい曲であるが、ストーリーが進むにつれ「呪いのゲーム」に異変が生じ、この曲もノイズが入ってくるなど変化が起こる…。 本作のメインテーマ的な楽曲でありアレンジバージョンも複数収録されている。 グッドエンドのスタッフロールだと、本曲のオーケストラアレンジが流れる。ラスト飾るに相応しい壮大なアレンジで一聴の価値あり。 また続編の『ナナシ ノ ゲエム 目』のグッドエンドではこの曲のジャズアレンジバージョンが使用。 作曲者のルイーズ野間とは「呪いのゲーム」のサウンド開発者という設定の架空の人物で、実際の作曲者はスクエニ所属の祖堅正慶氏。 ちなみに祖堅氏は後に『FF14』並びに『新生FF14』にてサウンドディレクターを務めており、 それらで使われている「セイレーンの呼び声」や「善王モグル・モグXII世」といった曲はこの「ナナシ ノ テエマ」のフレーズが使用されている。 過去ランキング順位 第3回みんなで決めるゲーム音楽ベスト100 231位 第10回みんなで決めるゲーム音楽ベスト100 757位 みんなで決めるスクウェア・エニックス名曲ベスト100 222位 みんなで決める町曲ベスト100 125位 みんなで決めるニンテンドーDSの名曲ランキングベスト100 71位 みんなで決めるトラウマ曲ランキング 68位 サウンドトラック ナナシ ノ ゲエム 音 -EP-(ダウンロード販売)
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/2709.html
前ページ次ページ魔法少女リリカルルイズ 突然の訪問に立ちつくすルイズに、アンリエッタ王女は涙まで浮かべて頬を寄せた。 「ああ、ルイズ、ルイズ、懐かしいルイズ!」 「いけません、姫殿下!」 その声でルイズはようやく我に返り、自分の不敬に気づいた。 「こんな下賎な場所にお一人で」 ルイズはかしこまって膝をつく。 「そんな堅苦しい行儀はやめて、ルイズ・フランソワーズ。私たちはお友達じゃないの」 「もったいないお言葉です。姫様」 アンリエッタ王女は膝をつき、驚くルイズの両手を握った。 「ああ、ずっと会いたかった」 「姫殿下……」 「父上がなくなって以来、ずっと心を開いて話せる相手もいなかったの。それなのに、あなたにまでそんなよそよそしい態度をとられたら、私どうしたらいいか解らなくなってしまうわ」 「姫さま……」 「ほら、幼い頃、中庭の蝶を追いかけたことを追いかけ覚えているでしょう?」 「ええ、ええ。あのときには二人とも泥だらけになって怒られてしまいました」 二人は昔話を進めるうちにどんどんうち解けていく。 その様子を見ながら、ユーノは部屋の隅に下がった。 「なあ、あの二人どういう知り合いなんだ?」 「僕も知らないんだ」 女同士のお喋りに男二人が入り込む余地は全くなかった。 二つの月がちょうど窓の真ん中に来た頃、それまで昔話に花を咲かせていたいたアンリエッタ王女が言葉を詰まらせた。 「姫さま?」 アンリエッタ王女はすぐには答えない。 胸のあたりをつかみ、一度大きく息を吸った後にようやく切り出した。 「ねえ、ルイズ。あなた、近頃何か困ったことがない?」 「え?わたし、なにもないですけど」 アンリエッタ王女はルイズの目のじっとのぞき込む。 ルイズは驚いてアンリエッタ王女の目を見返すが、彼女が何を言おうとしているかはさっぱり解っていなかった。 「数日前、町で何が起こったか覚えてる?」 「え?」 「大きな木の怪物が突然生えて、町を壊した事件」 「あっ」 ルイズが2番のジュエルシードを回収した時の事件だ。 あのときは町に少なくない被害が出ていた。 「あの事件自体は、城に侵入した賊が何らかのマジックアイテムを使って引き起こしたものだと解ったわ。でもね、それだけじゃ終わらなかったの」 「何があったんですか?」 何かいやな予感がする。とてもいやな予感だ。 実はその予感に気づいているが気づきたくない、そういう予感だ。 「あの事件では突然のことというのもあったけど、魔法衛士隊は手が出せなかったわ。そんな中、木の怪物を倒したメイジがいたの」 「え!」「え!」 ルイズとユーノは思わず声を出してしまう。 「あらま」 デルフリンガーもついでに声をだしだ。 「あら、今の声は?」 あわててルイズは壁際に立てかけているデルフリンガーを指さす。 「あ、あ、あ、あれです、姫さま。この前、インテリジェンスソードを買ったんです」 「そうだったの。話を続けるわね。フライを使いながら見たこともない魔法一つで魔法衛士隊も手が出せなかった木の怪物を倒したメイジ。その捜索が今行われているわ」 「は、はぁ」 ルイズは背中に冷たい汗を流した。 ──まずい、まずい、まずい、まずい、まずい。 ──ばれてしまう、ばれてしまう、ばれてしまう、ばれてしまう、ばれてしまう。 顔から滝のように汗が流れているようだったが、気のせいであることを祈る。 「目撃者から集めたそのメイジの特徴は、白い服と桃色がかったブロンド……そう、ルイズ、ちょうどあなたみたいな色の髪の持ち主なの」 「そ、そうなんですか」 ──そんなに! キュルケにも見られていたのだ。誰にも見られていないはずがなかった。 あのあと学院であの話があまり話題に上らなかったから、たいしたことがないと思っていたが、甘かった。 「もちろん、それだけで誰かは特定できないわ。そんな髪の持ち主はヴァリエール家以外にもいるから。でも私はその話を聞いて真っ先にあなたを思い出したの。ねえ、ルイズ!」 アンリエッタ王女のわずかに強くなった語気にルイズはまたも体をびくつかせた。 「あれって、あなたじゃないわよね。あなた、何か困ったことに巻き込まれてないわよね?」 「そ、それは……」 それでもユーノとジュエルシードのことは隠さなければいけない。 ルイズは自分を見つめるアンリエッタ王女の視線に耐えられなくなり、視線をそっと外してしまう。 「何も、ありません」 「ルイズ、誰にも言わないわ。私には本当のことを言って」 「何も、ないです」 「そう……」 アンリエッタ王女の声に少し悲しいものが混じったのはルイズの気のせいだろうか。 ルイズは自分も耳をふさぎたい衝動におそわれた。 「話したくないことって、あるものね。私もだし」 「姫さま……」 「でもね、ルイズ。本当に困った時には抱え込まずに私に相談して。私はずっとあなたの友達よ。昔、約束したわよね。必ず助けてあげるって」 「姫さま、まだそんな約束を覚えていたくださっていたのですか?」 「もちんろんです。それに私も本当に困ったときにはルイズに相談するかもしれませんし」 「あ……もしかして、それがここに来た本当の目的ですか?」 「ばれましたか?ルイズ・フランソワーズ」 二人は言葉を詰まらせる。 こらえて、こらえて、ついに笑い出してしまった。 とてもおかしかった、うれしかった、楽しかった。 楽しい時間はあっという間に過ぎる。 気づけば双月はとうに窓から外れ、中天にかかろうとしていた。 こっそり抜け出てきたアンリエッタ王女も、もう帰らなければならない。 扉の外に見送られたアンリエッタ王女はルイズの両手を握って、今日最後の挨拶を交わす。 「ここ数年で一番楽しい一時でした」 ルイズの手を強く握る。この手を次に握れるのはいつのことだろうか。 見下ろす視線の先に琥珀色の小動物が入ってきた。 「忘れていたわ。ルイズ、あなたの使い魔も紹介してもらえないかしら」 「あ、はい。ユーノ」 ユーノがルイズの肩に駆け上がる。 目線をアンリエッタ王女とあわせたユーノがぴょこんとお辞儀をした。 「私の使い魔。ユーノ・スクライアです」 「まぁ」 アンリエッタ王女がさも驚いたような声を上げる。 「あなたの使い魔って、さっきのインテリジェンスソードじゃなかったの?」 「ち、違います!あんなもの召喚するはずがありません!」 きっぱり言い放つルイズ。 「冗談よ。冗談。解ってるわ。ユーノ・スクライア、ルイズをお願いね」 ユーノはまたお辞儀で返す。 「もう、姫さまったら」 ユーノのすぐ横でルイズがほおをふくらせていた。 その頃のデルフリンガー。 「あんなもの扱いはねーよな。あんなもの扱いは」 ルイズは扉を静かに閉めた。 アンリエッタ王女はもう戻られたはずだ。 「ねえ、ユーノ」 「なに?」 ルイズは眉を寄せる。 このことだけはユーノと話し合わなければならない。 「あのね、姫さまにジュエルシードのことはいつか話さないといけないとおもう」 「ルイズ……」 いつか話さなければならない。 そうでなければ、姫さまの信頼を裏切ってしまう。 「そのときは私に決めさせて。お願い」 そのことがユーノを危険にさらしてしまうかもしれないのは解っている。 だがルイズにはアンリエッタ王女の信頼も、ユーノの信頼も裏切るなんてできない。 その果てに出した結論がこれだった。 沈黙が続いた。静けさが聞こえる。そんな沈黙だ。 「いいよ。ルイズが決めて」 「ありがとう」 ルイズは肩に乗せたユーノをそっとなでた。 そして品評会当日。 この日を待っていたのか、来て欲しくなかったのか複雑な心境でルイズは自分の出番を待っていた。 他の生徒が演技をしていくが、ルイズにはそれが目に入らない。 「えーと……それから……」 自分の演技の手順の確認で精一杯だ。 何回目かの確認を終えた頃、周りから今までにない歓声が起こった。 順番がルイズの前のタバサの演技が始まったのだ。 皆がうらやむような風竜の背中に乗って飛んでいる。 しかも、ただ飛んでいるだけではない。竜騎士にも劣らないような曲芸飛行をしているのだ。 「ルイズ、すごいよ。うわ、宙返りだ」 ユーノの声も耳に入らないルイズがようやく気づいたのは、司会進行役のコルベールに自分の名前を呼ばれたときだった。 「続きまして、ルイズ・ド・ラ・ヴァリエール」 まばたきも忘れて妙にぎこちなく歩いていく。 シエスタの作ってくれた大道具が重たかったが、これも姫さまにみっともないところを見せないためだ。仕方がない。 観客の注目が集まる中、ルイズは大道具を下ろして準備を整える。 あまり難しいことはない。準備はすぐに終わった。 観客に向き、胸を張って遠くまで響くように声を出す。 「紹介いたします。私の使い魔、ユーノ・スクライアです」 周りからおざなりな拍手が聞こえてきた。 その頃、ロングビルは宝物庫のある塔のすぐそばに立っていた。 周りに人影はいない。 予定通り衛士はすべて品評会場周辺に配置されている。 しかも今は風竜を召喚した学生が演技しているときだ。 すべての目がそちらに集まっているはず。 今から始めるかなり乱暴な計画にはうってつけの状況だ。 ロングビルはマントのローブを深くかぶり、唇を青い三日月のようにゆがめる。 その姿こそ彼女の本性である土くれのフーケのものだ。 「さあ、始めるとしようか」 ロングビル改めフーケが呪文を唱える。 杖で叩かれた地面が急速に盛り上がり、土のゴーレムを作り上げていった。 地中に埋もれていた青い宝石はじっと目覚めの時を待っていた。 それがいつ目覚めるかは誰にも解らない。 だが、目覚めるきっかけになりうる事象がある。 強い魔力を浴びたとき、強い願いを感じたときがそれだ。 それが今、青い宝石の近くにあった。 宝を手に入れるという強い願い。 そのために使われているゴーレムを作り出す魔法。 それを感じた青い宝石、ジュエルシードは魔力と土の流れにのり、土のゴーレムの中に入っていった。 そのとき、ルイズの脳裏には閃光のような感覚が走った。 「ジュエルシード!?」 連日の練習でルイズの魔力コントロールは上達してきている。 それに伴い、魔力に対する感覚も鋭くなっていた。 「ユーノ!行くわよ」 舞台を降りたルイズは感知した閃光の源に走る。 「ミス・ルイズ!どこに行くのです?待ちなさい!」 アンリエッタ王女の居るこんな場所でジュエルシードが発動しようとしているのだ。 コルベールの声が聞こえたが待てるわけがない。 演技の終わったタバサは観客席に戻っていた。 その後、ルイズの演技を見るのかと言えばそうではなく、いつものように本を広げていたのであるが、ルイズが突然舞台を降りて走り出したと同時に本を閉じた。 「あら、どうしたの?」 キュルケは珍しいものを見たような気がした。 タバサがこんな風に自分から読書をやめてしまう時なんて滅多にないからだ。 タバサが立ち上がり、ルイズとは逆の方向に走り出していく。 あまり面白くもない品評会だったが、ここでおもしろくなってきた。 ルイズがいきなり舞台を放棄したのだ。 これは何かおもしろいことがあるに違いない!と思って追いかけようとするが、隣に座っていたタバサまで走り出してどこかに行く。 しかもルイズとは逆の方向だ。 どちらも何かありそうではあるが、両方を追いかけることはできない。 「あー、もー、どうなってるのよ」 どちらを追いかけるか、早く決めなければならなかった。 タバサは走りながら誰にも見られない陰を探していた。 このあたりには警備の衛士も観客もいない。 そういう場所はどこにでもあるはずだ。 ちょうど良さそうな建物の影に飛び込み壁を背にする。 薄い胸元に手を当て、魔力を集め、あの言葉を唱えようとする。 「バ……」 「ねえ、タバサ。何してるの?」 元来た道に目をやると、息を切らせたキュルケが赤い髪が少し乱れさせていた。 前ページ次ページ魔法少女リリカルルイズ
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/407.html
朝だよ。と身体を揺すられる。ルイズは聞き慣れない声に目を覚ました。 目を開けば、そこには見知らぬ子供の身体。上半身が裸の様子にぎょっとする。 「こ、この子供、なに勝手に部屋に入って……!」 叫びだしかけるものの、すぐに我を取り戻す。昨日召喚したんだっけ、服がボロボロの少年を。 思いだしながら身を起こした。大きくあくびをする。いくらか頭が覚醒する。ため息をついた。 今日は嫌な朝だ。寝起きで一番に視界にはいったのが、平民の裸だなんて。 ルイズは使い魔に着替えを手伝わせる。 ダイは抵抗を示していたが、この世界ではこんなものだと言い聞かせると渋々ながら手伝うようになった。 「……ルイズって、自分で服を着れないの?」 「貴族は下僕がいる時は自分で服なんて着ないのよ」 「ふうん……、この世界はなんか、ヘンだよ」 「平民のあんたには理解できないでしょうね」 別にわからないままでいいと思う。だまって主人の言うことを聞いていれば。いちいち世界の違いを説明するのも疲れるし。 「その貴族とか平民とかっていうのがよくわからない。きみって人間が貴族じゃないと友達になれないの?」 「はぁ? なにいってんのよ?」 世間を知らない子供の質問が、煩わしかった。 着替えが済んだルイズは、服を取り出してダイに手渡す。自分が制服としてマントの下に着ているものと同じ、白いブラウスだ。 男ものの服など所持していないのだから、今日のところは無地のこれで妥協してもらうしかない。 義理で服をくれてやるのではなかった。ボロ切れを着けているだけの少年を連れまわすような、奴隷商人もどきの真似をするなど外聞が悪すぎる。ただ、それだけのことだった。 ダイも服を着て、部屋を出ようというところでルイズは尋ねる。 「そういえばあんた、なんでわたしのこと呼び捨てにしてるのよ、わたしはあんたのご主人よ?」 「だってルイズ、おれと同い年くらいだろ?」 誰と誰が、同い年だって? チビのくせに、ガキのくせに。 それともなにか、それはわたしのことが子供に見えると暗に言っているのか。 「……わたし、16よ?」 頬を引きつらせるルイズを恐れるでもなく、ダイはあっさりと答える。 「おれ12。なんだ、4つしか違わないじゃないか」 「4つも違うじゃないのよ!」 ダイとふたり、ルイズは部屋を出たところでキュルケと鉢合わせた。挨拶を交わあう。キュルケはにやりと、ルイズは嫌そうに。 キュルケは視線をダイへと移し、含むような笑みと共に彼をぶしつけに眺め回した。 「ふうん……」 「なによ、言いたいことがあるならはっきり言ったらどう?」 「ほんとに平民を呼んじゃったのね、ゼロのルイズ」 「うるさいわね」 「使い魔っていうのはこういうのを言うのよ? フレイム!」 のっそりとした仕草で、主人の呼びかけに応じて姿を現したのは巨大な火トカゲ、サラマンダー。 フン、と苦々しい表情でルイズはキュルケを睨みつける。火虫亀山脈がどうした。サラマンダーがなんだ。あんたの使い魔自慢なんか別にどうってことないんだから。 「あんた”火”属性だもんね。ぴったりだっていうのは認めてあげるわよ」 「ええ。微熱のキュルケですもの。ささやかに燃える情熱は微熱。でも、男の子はそれでイチコロなのですわ。あなたと違ってね?」 そう言ってキュルケは胸を張った。ルイズも胸を張り返す。胸のボリュームの差が際立ってしまっていることは見ないようにした。 なにが男はイチコロだ。別に誰もがあんたを相手にするとは限らない――と、いるじゃないか、女の身体など相手にしない男の子が。 ルイズが自分の使い魔に目を移せば、そこではダイがフレイムに笑いかけていた。 異形とも言える火トカゲの巨体や、大きく燃える尻尾に物怖じする様子もなく。またフレイムも「きゅるきゅる」と明るい鳴き声でダイと接している。 キュルケは笑みを漏らした。平民の子供でもやはり使い魔は使い魔、通じ合えるものがあるのだろうかと感心する。 「こ、このガキ、使い魔同士でじゃれあってんじゃないわよ!」 「あいさつするくらい普通じゃないか。なに怒ってるの?」 「挨拶が遅れたわね。はじめまして、ルイズの使い魔さん。あたしはキュルケ、フレイムの主よ。あなたのお名前は?」 怒鳴るルイズと、異を唱えるダイにキュルケは割って入る。 「おれはダイ。よろしく、キュルケ」 「ええ、よろしく。面白そうだわ、あなた」 そう言ったキュルケは「じゃあ、お先に」とその場を去っていく。 キュルケがいなくなると、ルイズはダイに苛立ちをぶつけはじめた。 「いい! あんなバカ女ともその使い魔とも仲良くなんかしないで! ああ、みっともない! なんであっちサラマンダーでこっちはこんななのよ!?」 「みっともないってことはないだろ?」 「……ガキのあんたに言ってもわからないだろうけどね、使い魔が主人に、平民が貴族に口答えするなんて、そんなことしたら本当はただじゃ済まないんだからね」 「なんだよ、それ……」 不満を口にするダイをつれて、ルイズも食堂へ歩きだした。 食堂の豪華絢爛さに呆けている様子のダイに、ルイズの溜飲が少し下がる。テーブルではダイに床に座るように命じた。 「ルイズ……、そりゃないよ」 「室内で食べさせてもらえるだけありがたいと思いなさい。本当なら使い魔は外なのよ」 「……」 「俸大なる始祖ブリミルと女王陛下よ。今朝もささやかな糧を我に与えたもうたことを感謝いたします」 貴族たちの、食前の祈りの声が唱和する。 ダイは溜め息をつき、床の皿に載っているささやかな二切れのパンをぽいぽいと口に放り込んだ。 当然、足りない。かえって空腹感が強調されてしまう。 「ルイズ、もう少し分けてよ。おれ、昨日からなにも食べてないんだ」 「まったく……」 ルイズはぶつくさ言いながら、鳥の皮をはぎ、ダイの皿に落とした。 ダイは溜め息をつき、皿に載っている鳥の皮をぽいと口に放り込んだ。 黙って空腹をやり過ごしていたダイは、床からルイズを見上げながらふと口を開いた。 「ルイズ」 「なによ、もう分けないわよ」 「この料理作ってるひととか、あそこで給仕をしてる女のひととかも貴族なの?」 「コックもメイドも平民よ、それがなに?」 「……いや、なんでもない」 それきり、ダイは黙って食堂の様子を見回すのだった。 四大系統。虚無。土。錬金。シュヴルーズの講義を聴きながら、ルイズは隣にいるダイの様子をちらりと見た。 いちいち質問を発するでもなく、いまはじっと興味深い様子で講義に集中している。 「わかるの? あんた」 「いや、全然。でも、なんとなくおもしろい」 「なんとなく、ね……」 これは退屈がるのも時間の問題かとルイズは思う。 「勉強は苦手だけど、こういう雰囲気はちょっと好きかな、おれ」 意外な一言だった。 「いろいろあって、こうやって他人の講義を聴くことはあまりできなかったし、ぜんぜん勉強してなかったことが足を引っ張っちゃって、ちょっともったいないときもあったから」 「ふうん……」 傍らの少年が、彼なりに学ぶことの重要さを認識しているらしいことが、ルイズには奇妙だった。それは、教育課程の内の課題のひとつとしてではなく、もっと重要な――― 「だから、こうしてきちんと勉強してるルイズのこと、かっこいいと思うよ」 「な!?」 唐突なダイの言葉に、ルイズは絶句する。 「怒りっぽいだけの子じゃなかったんだね、見直した」 「……い、言っとくけど、誉めたって食事を増やしたりなんかしないんだからね!」 授業中だと言うことを忘れて、大きな声を出してしまうのだった。 そんなふうなやりとりを、シュヴルーズが見とがめる。 「授業中の私語は慎みなさい」 「すいません……」 「おしゃべりをする暇があるのなら、あなたに”錬金”をやってもらいましょう。ここにある石ころを、望む金属に変えてごらんなさい」 しかしルイズは立ち上がらない。困ったようにもじもじするだけだった。 「どうしたの? ルイズ」 「別に、なんでもないわ……」 シュヴルーズのもとへ、キュルケの困ったような声が届く。ルイズにやらせるのはやめたほうがいい。危険だ。 「危険? どうしてですか?」 「ルイズを教えるのは初めてですよね?」 「ええ。でも、彼女が努力家ということは聞いています」 シュヴルーズの言葉に、ダイはひとりうなずいた。 「さぁ、ミス・ヴァリエール。気にしないでやってごらんなさい。失敗を恐れていては、何もできませんよ?」 「そうだよ、ルイズ、がんばって」 ダイの耳打ちをうけて、ルイズは立ち上がった。ダイの激励に背を押されたのではない。 平民の子供ごときにそこまで言われるのは、ある意味プライドに関わる問題だったから。 キュルケの制止を無視し、教壇に立つ。ルイズは短くルーンを唱え、杖を振り下ろした。 「凄かったよ、ルイズ」 「なにがよ!」 爆発によって大惨事になった教室。それの後始末の最中のことだった。 「あれだけの爆発なら実戦で十分使えるじゃないか」 そんなことを言うダイが、ルイズには許せない。魔法の失敗に、いちいち触れてくる子供が苛立たしい。 「ふざけないで、からかってるの!?」 「本気なんだけどなあ」 「魔法のことなんてなにも知らない平民は黙ってなさい」 「……俺もさ、魔法の練習したことあるんだ、あっちの世界の話だけど。じいちゃんがさ、俺を魔法使いに育てたがって、たくさん魔法の練習させられたよ」 「あんたみたいなガキに、魔法が出来るわけないでしょ」 「……うん、出来なかった。才能がないって諦めてた」 それ見たことか、とルイズはダイを細目に睨みつける。 「そのときにさ、友達からこんなアドバイスをもらったんだよ、出来ないものは出来ないんだから今あるものを磨けって」 ルイズは、硬直した。 「ルイズ、才能あるよ。でなきゃこんな威力の爆発は起こせない。だから―――」 「―――だから、なによ」 それは怒りだ。ルイズはダイの言葉に憤っている。 「え……」 「出来ないものは出来ない、ですって!? 子供が舐めたクチ聞いてんじゃないわよ!」 ルイズは、叫んだ。 「……まいったな」 腹がへった。とぼとぼとダイは歩く。主人を怒らせてしまった。 結局、後始末が済んだ後、ルイズはダイの顔など見たくないというようにどこかへいってしまった。 たぶん、食堂にいるのだとは思うが、あれでは昼食を食べさせてもらうことなど出来そうにない。……もちろん、食事目当てに主人の機嫌をとろうしたわけではないのだけれど。 魔法使いになりたくなかった自分と、魔法使いになりたいルイズとでは、似ているようでまるっきり違っていた。 傷つけてしまったかな、と気まずい。こう気づいた後ではルイズにかけてやる言葉がなかった。自分の無思慮なアドバイスでは何にもならない。 改めて”先生”は凄いひとなのだと思う。戦士だろうが魔法使いだろうが勇者だろうが、あのひとは確かに、みなを正しく教え導いていた。 「困ったな……」 壁に背中を預けて、座り込む。 もとの世界のひとたちを思うと、やはりあちらの世界への思いが強くなる。昨晩、二つの月が浮かぶ夜空を見上げながら感じたさびしさがよみがえった。 帰りたい、心からそう思う。空腹と、生活を頼れるひとから嫌われてしまったことが望郷の念を加速する。 「どうしたの?」 少女の声に、ダイは顔をあげる。心配そうに自分を見つめる顔に見覚えがあった。朝食の時、食堂でみかけた、給仕をしていた女性だった。 揉め事が起こったのは、自分から離れたテーブルの席だった。香水がどうの、二股がどうの。 ルイズは騒ぎの方向に目を向けて、舌打ちした。金髪がひとり、黒髪がふたり。 当事者はメイジのギーシュと、平民のメイド、そして、自分の使い魔の少年だった。 「よかろう。子供に礼儀を教えてやるのも、貴族の仕事だ」 ギーシュとその友人たちが去ったそこに、ルイズが足を運ぶ。 残されたメイドは怯え、逃げ去った。それは正しい反応だ。ことの重大さをよくわかっている。しかし、ダイにはそんな様子は一切見えない。これだから子供は。 「あんた、なにやってんのよ、見てたわよ」 「あ、ルイズ……」 ダイは困り顔をルイズに向けた。なんだ、と思う。ギーシュを怒らせたことを、ちゃんと気まずく思っているようだ。 「ったく……、謝ってきなさい。今なら許してくれるかもしれないわ」 「……嫌だよ。ルイズには謝るけど、あのひとには謝る理由がない」 「は? わたし?」 「うん、さっきは、ごめん。わかったふうなことを言って、ルイズを傷つけた」 「な……」 ルイズは顔を引きつらせる。それはさっきの困り顔に、ギーシュは一切関係ないということだ。 「そんなことはいいのよ! あんた本当わかってないのね!」 言いたいことは全部言ったとばかりに、ダイはルイズから視線を外す。 逃げないようにダイを見張っていたギーシュの友人のひとりに、尋ねた。 「ヴェストリの広場って、どこ?」 「ついてこい、平民」 堂々と、恐れを知らない足取りで歩いていく子供の後ろ姿を、ルイズは歯ぎしりする思いで睨みつけた。 「ああもう! ほんとに! 使い魔のくせに勝手なことばっかりするんだから!」 ルイズは、ダイの後を追いかけた。
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/921.html
戻る マジシャン ザ ルイズ 進む マジシャン ザ ルイズ (3)水のルビー 慌てたコルベールが教室に入ると、中では異常な光景が広がっていた。 焦げたミスタ・ギトーを、「治癒」の魔法が使える生徒達が囲んで治療しているのであった。 「ななな、何があったのですかな!?」 「えー、…気にしないで下さい、ミスタ・コルベール。 それよりも……その格好はどうなされたのですか?」 応えるルイズ、しかし、その顔は困惑気味。 無理も無い。 彼は頭に大きなカツラを被り、ローブの胸にはレースの飾り、その他全てが普段と同じ格好ではない。 そんな珍妙な格好のコルベールを見た生徒は、皆一様に同じ顔つきをしているのだった。 「そうでした!皆さん、本日の授業は全て中止でありますぞ!」 そのコルベールの一言に教室は歓声に包まれる。 「皆さん!お静かに、お静かに!お知らせです、お知らせですぞ!」 手を必死にばたつかせて、歓声に負けじと声を上げるコルベール。 「アンリエッタ姫殿下が、本日ゲルマニアご訪問のお帰りに、このトリステイン魔法学院に行幸なされます!」 トリステイン魔法学院正面門。 そこで、左右に整列した生徒達が高貴なる馬車の到着を待っていた。 やがて、馬車が到着すると一斉に杖を掲げる、例外の無い忠誠の証。 「トリステイン王国王女、アンリエッタ姫殿下のおなぁぁぁぁぁぁりぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ」 まず最初にマザリーニ枢機卿、そして、枢機卿に手をとられて美しい―まだ少女と呼んでも構わない年頃の―娘が馬車の中から現れた。 一斉に、湧き上がる、生徒達の歓声。 アンリエッタは生徒達の歓声に応えるように微笑むと、優雅に手を振った。 王女に微笑みかけられて、更に涌く生徒達。 ルイズは正面を向き、真面目な顔をして王女を見ている。 アンリエッタ王女、幼少のみぎり、ルイズと親しかった少女。 時間と距離が二人を引き離したが、ルイズはアンリエッタを忘れたことは無かった。 (王女様……ご立派に、ご立派になられて…) 遠い昔の話、既に王女は忘れているかもしれない。 それでも構わないと、ルイズは思う。 遠くから、遠くから王女の姿を見ているだけで、満足だと。 そして、熱心に王女を見ていたルイズであったが、視線を外したふとしたときに見事なグリフォンに跨った貴族の姿が眼に止まった。 気付く、そう…その姿は、あまりにも、あの頃の面影を残していて…ルイズは胸が切なくなるのを感じて、瞳を閉じた。 そして、その日の夜。 ウルザはいつものように机に向かい、何かを作っている。 一方、部屋の主であるルイズは、ベットに腰掛け、ほぅと息を吐いた。 「………これで十三回目だ、ミス・ルイズ。何か心配事かね」 「え、あ、ううん、そんなことじゃなくて………」 振り返らないウルザ。 背を向けたままのウルザとの会話は、既に普段の日常と化している。 「なんでもないの、…なんでも…」 無言、カチャカチャと机からウルザが何かを組み立てている音。 そんな中、扉をコンコンとノックする音が部屋に響いた。 初めに長く二回、そして短く三回。 ルイズがはっとする、記憶の中の大切な思い出。 慌てて立ち上がると、ドアを開いた。 そこに立っていたのは、黒いずきんを被った小柄な人影。 ルイズはすぐさま部屋に招き入れると、後ろ手に扉を閉めた。 「あなたはっ!」 ルイズが驚きに大きな声をあげそうになると、人影は人差し指を唇に当てる。 そのまま、懐から杖を取り出すと、何事かを呟き魔法を使う。 「ディテクトマジック?」 探知の呪文。 「どこに、眼が光っているか分かりませんからね」 人影が、頭巾を取る。 現れる、忠誠を誓うべき王族、懐かしい思い出の人、アンリエッタ。 「姫殿下!?」 「ルイズ!ルイズ!ああ、懐かしいルイズ!」 感極まったように、膝をついたルイズを抱きしめるアンリエッタ。 「ああ!姫様、このような下賤の場所へ、いらっしゃるなんて…」 「ルイズ・フランソワーズ!そんな堅苦しい他人行儀はやめて頂戴! わたくしとあなたはおともだち、おともだちではないですか!」 「勿体ないお言葉…」 「やめて、やめて頂戴、ルイズ。ここには枢機卿も母上も、欲の皮のはった宮廷貴族もいないのです 私とあなたは、幼い頃に、一緒に宮廷の中庭で蝶を追いかけて遊んだ仲ではないですか」 「ええ……お召し物を泥で汚して、侍従様に叱られてしまいました」 「そう!そうよ!ルイズ。クリーム菓子を取り合って、つかみ合いの喧嘩になったこともあったわね!」 「ええ、あれは………」 少女達が抱き合い、思い出話に花を咲かせている間も、部屋の隅では黙々と作業をする男の背。 「ねぇ、ルイズ……ところで、そこの方を、紹介して頂けないかしら」 「はい?あ!ミスタ・ウルザ!」 「………何かね?ミス・ルイズ」 こほんと咳払い一つ、なけなしの威厳を振り絞る。 「挨拶を、挨拶をして頂戴、アンリエッタ姫殿下に」 そこで、始めてウルザが椅子を立ち上がり、ルイズ達に向かい合う。 そしてその場で深々と礼を取る。 「お初にお眼にかかります、アンリエッタ姫殿下。ウルザと申します」 「え?ウルザ、さん?え?え?」 きょろきょろと、ルイズとウルザ、二人の間を交互に移動させるアンリエッタ。 「…もう、言って下さればいいのに、ルイズ。 それにしてもこのようにお歳が離れた方となんて………ああ、そういえばわたくしも変わりませんね。お忘れください。」 「ひ、姫殿下?あの、何か勘違いを…」 「いえ、いいのですルイズ。このように遅い時間、貴族の部屋に二人の男女。わたくしも分かっております」 「姫さま!?違います!違います!ミスタ・ウルザは私の使い魔です!」 「使い魔…?メイジにしか見えませんが」 「…メイジです、姫さま」 その後、ウルザの口も借りて、何とか誤解を解くことが出来たルイズであった。 「本当に、昔からあなたは人とは違った子でしたが…相変わらずですね」 「今からお話しすることは、誰にも口外してはなりません」 アンリエッタがそう切り出すと、ウルザが席を立とうとする。 「あ、いえ、メイジに取って使い魔は一心同体。席を外す必要はありません」 そして、もの悲しい調子で、アンリエッタは語り始めた。 自身がゲルマニア皇帝と結婚すること、それが望まぬ結婚であること、しかしそれが不可欠である政治情勢。 ゲルマニアに一人娘を嫁がせることで、同盟を結び、来るアルビオンとの戦いに備えるトリステイン。 トリステインとゲルマニアとの同盟締結を防ごうとするアルビオン貴族達の暗躍。 そして、それを可能とさせる、一通の手紙の存在。 手紙はアルビオン、抵抗を続ける最後の王族、ウェールズの手に。 「分かりました…このルイズ、ルイズ・フランソワーズが必ずや手紙を取り戻してまいります!」 「ああ、ルイズ、私のルイズ!この様に危険なことに巻き込んでしまう私を許してください」 「いいえ、姫さま、気になさらないで下さい。 ………ミスタ・ウルザ…?」 勝手に危険、しかも内乱の最中であるアルビオン王国、その中に潜入しようという話を進めていることに気付き、ルイズはウルザの顔を窺う。 「私は使い魔、君が決めたことに従うだけだ。君が友達の窮地を救いたいというなら、力を貸そう」 拍子抜けするような了解、むしろ、多少の気遣いが感じられるような……… 「それよりも、彼をどうするか、考えた方がいいのではないかね?」 ウルザはそう言うと、部屋の扉を開け放つ。 すると、バランスを崩して雪崩れこむように部屋に転がり込んでくるギーシュ・ド・グラモン。 「………やあ」 結局、覗いていたギーシュが一緒についていくと言い出し、秘密を知られてしまった以上同行させる他ないというアンリエッタの配慮で、ギーシュも同行することとなった。 話が纏まると、アンリエッタは一通の手紙をしたためた。 そして、その封をする直前、思いつめたように一文を書き加える。 「始祖ブリミルよ……。国を憂いても、この一文を書かざるをえない、この自分勝手なわたくしをお許しください」 改めて、手紙に封をし、それをルイズに手渡すアンリエッタ。 「ウェールズ皇太子にお会いしたら、この手紙を渡してください。すぐに……件の手紙を返してくださるでしょう」 それから、とアンリエッタは右手の薬指から指輪を引き抜くと、それをルイズに差し出した。 「母上から頂いた『水のルビー』。きっとこれがあなた達をお守りくださるでしょう。 どうか、あなたたちに始祖ブリミルのご加護がありますように………」 誰が気付いたであろうか。 この時、『水のルビー』を見つめるウルザの瞳が、驚愕に見開かれていたことを。 出来ないじゃないの、やるのよ。 ―――虚無魔道師の見習い ルイズ 戻る マジシャン ザ ルイズ 進む
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/422.html
部屋で身体を拭き着替えを済ませたルイズは、ベッドにうつ伏せになって考えていました。 (おとーさん・・・私を慰めようとしてくれてたのかな・・・) ルイズは貴族として厳しく育てられてきました。その事に恨みも憎しみもありません。なぜなら、貴族として生まれた自分には当然の事だと考えていたからです。 そんなルイズには、あんなに優しく頭を撫でられた事は遠い遠い記憶の中でしかありませんでした。 だからこそ、おとーさんの行動に吃驚しましたし。子ども扱いだと反発したのでした。 (17歳の娘にあの慰め方は無いよね・・・・) そんな事を考えていると激しくドアをノックする音がしました。 「ヴァリエール様、メイドのシエスタです。大変です!!ヴァリエール様の使い魔さんが・・・使い魔さんが・・・」 扉の向こうで涙声で訴えるメイドの声に吃驚したルイズはすぐさま部屋へ引き入れるのでした。 「落ち着いて何があったか話なさい!」 シエスタは涙ながらにこう言いました。 「ギーシュ様とヴァリエール様の使い魔さんが決闘することに・・・」 「何ですって!!!!」 シエスタから事の顛末を聞き、ルイズは決闘を止める為にシエスタと一緒に広場へ走りました。 「大体ギーシュの奴モンモランシーとケティに二股かけて、それがばれたからって何で香水拾ったおとーさんに八つ当たりしてるのよ!!」 ルイズが走りながら文句を言っているとシエスタがこういいました 「使い魔さんは、ギーシュ様から最初は何を言われても何も反論しませんでした。ですが、ヴァリエール様事を言われた途端急に・・・」 「えっ?」 ルイズはそれを聞いて急に立ち止まりシエスタの顔を驚いた様子で見ています。 そして、ルイズはまた走り出しました。 「とにかく止めなきゃ・・・・」 広場に着くとすでにギーシュとおとーさんそして生徒たちの野次馬が揃っていました。 「なんでこんなに集まってるのよ!!」 ルイズは、野次馬を掻き分けなんとかおとーさんの横に出ることが出来ました。 「おとーさん!!決闘なんてやめなさいよ!!」 ルイズの言葉におとーさんは黙って首を振ります。 「ギーシュはバカで女ったらしで二股するような奴だけど、結構強いのよ」 ルイズの台詞を聞いてギーシュは顔を引きつらせながら髪をかきあげこう言いました。 「ミス・ヴァリエール、随分な言い草だね」 「間違ってないでしょ?? それに、決闘は禁止されているはずよ」 ギーシュは青筋を立てながらこう言いました。 「それは貴族同士の話だろう?貴族と使い魔なら問題ないさ。それにもう止められないよ!!」 ルイズは止めることが出来ないと諦めました。 「おとーさん、決闘はどちらかが降参するまでだから。後、貴族は杖を落としたら負けだからね」 そして、ルイズはおとーさんにこう声をかけて生徒たちの方へ向かいました。 「おとーさん、がんばって・・・」 ギーシュは錬金で一体のワルキューレを作り出し 「僕はメイジだ!!だから魔法で戦う。そして、僕の二つ名は『青銅』。青銅のギーシュ。 従って、僕が作り出したワルキューレが君のお相手をするよ」 そして、ギーシュは決闘の開始を宣言しました。 ワルキューレは駆け出すとおとーさんに殴りかかります。しかし、ワルキューレの拳がおとーさんに当たる寸前で止まります。 「何っ!!」 ギーシュはギョッとしました。自分はドットクラスでしたが、錬金には自信がありました。そして、ルイズがやっと呼び出した使い魔が相手という事で侮っていたのでした。 その使い魔は、ワルキューレの殴ろうとした右腕を左手で掴むと握りつぶしてしまっていたのでした。そして、右手でワルキューレを殴り飛ばし学院校舎の壁に叩き付けたのでした。呆然としていたギーシュと生徒達の前でおとーさんはこう呟きました。 「おとーさん、本気」 突然おとーさんの左手のルーンが光り始めました。するとどこからとも無く巨大な鎧が出現しおとーさんの身体を包み込みます。 【重装陸戦おとーさんα】 この姿の名前なのですが、ここに居る誰一人として知りませんでした。 しかし、巨大なおとーさんの姿を見て先ほどまでうるさかった生徒達は呆然としています。 ギーシュは叫び声をあげながらワルキューレを6体出現させました。破れかぶれでおとーさんに突撃させましたが。紙くずのように引き千切られて行きます。 その光景に、ギーシュは腰を抜かしてしまい歯をガチガチと震わせています。 おとーさんは6体のワルキューレを片付けるとゆっくりギーシュに歩いていき徐に右腕を振り下ろしました。 その場に居たギーシュを含めた全員が目をそむけました。轟音と共に土ぼこりが舞い上がります。野次馬の生徒達は(ギーシュは死んだ)と思いました。 ギーシュ自身も死を覚悟していましたが不思議と痛みがありません。 (これが死というものなのかな・・・) ギーシュはそう考えながらゆっくり目を開けました。目の前の地面にクレーターの様な大穴が開いていました。そして、目線をあげるといつの間にか元の姿に戻っているおとーさんが居ました。 「謝りなさい」 おとーさんはポツリと呟くと、どこかを見ています。ギーシュが、その方向を見るとモンモランシーとケティそしてルイズが居ました。 「仲良く・・」 ギーシュが再びおとーさんを見ると、おとーさんはそう呟きました。 目を瞑り、深呼吸をして落ち着きを取り戻したギーシュはこう言いました。 「敗者は、勝者に従う。僕はおとーさんに従おう・・・この勝負、僕の負けだ」 その後、ギーシュは三人に対して誠実に謝りました。 「面白い使い魔ね・・・ そう思わない?」 キュルケはタバサにこう言いました。タバサは本を閉じ頷きながら指を差します。 「まるで親子」 タバサの指先には、手をつないで部屋へ戻るルイズとおとーさんの姿がありました・・・