約 1,210,143 件
https://w.atwiki.jp/pam-hokkaido/pages/454.html
釧路市ふれあいホースパーク 山花公園内の釧路市ホースパークでは、幼児から年配の方まで広く馬にふれていただけるよう、初心者向けのメニューとして体験乗馬(引き馬)や初級者乗馬指導、まだ馬に乗れない方には馬車などをご用意しております。 皆さんのご利用をお待ちしております。 〈釧路市ふれあいホースパーク公式サイトより引用〉 釧路市ふれあいホースパーク 〒 北海道釧路市山花10番1 TEL:0154−56−2566 FAX:0154−56−2566 パンフレット ※画像をクリックするとパンフレットが開きます。 imageプラグインエラー 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 ホームページ http //www.city.kushiro.hokkaido.jp/icity/browser?ActionCode=content ContentID=1140503760977 SiteID=0 〈ブログ〉 釧路市ふれあいホースパークブログ http //www.toelle.jp/blog.aspx?t=v i=58 チンパンジーのテツの自己主張☆ http //blogs.yahoo.co.jp/yo10101024ko/34502362.html 雪だ〜!シリーズその6最終回 http //blogs.yahoo.co.jp/yo10101024ko/23135893.html 釧路市山花公園内のキャンプ場&その周辺 http //blogs.yahoo.co.jp/cia2006miyagi/27535308.html 携帯サイト 最新のチラシ imageプラグインエラー 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 《周辺情報》 〈ブログ2〉 #blogsearch /
https://w.atwiki.jp/mainichi-matome/pages/1120.html
基礎データ ブランド名 JOMO・ジャパンエナジー 会社名 株式会社ジャパンエナジー 電話番号 0120-150-106 Fax番号 メール http //www.j-energy.co.jp/guide/inquiry/ 企業分類 石油 現在の問合せ結果 × 現在のコメント 広告再開、メール返信なし 最終更新日 2009/03/13 特記事項 基礎データ特記事項 ジャパンエナジー2008年8月11日の毎日朝刊にロゴマーク調査あり 2008年8月21日の毎日朝刊に広告あり 8/21 ◎◎(広告出稿予定なし。情報提供のみ) 2009年3月01日の毎日朝刊に広告あり 2009年3月11日の毎日朝刊に広告あり 03/13 ×(メール返信なし) 関連ページ 特に新聞に広告を出している企業は毎日新聞にとって泣き所となるようです 問合せ 問合せ先一覧 / 毎日新聞に広告を出していた企業(日付別) / 毎日jpに広告を出していた企業 / 電話問合せのコツ 結果別一覧 ◎◎-◎-○ / △ / ×(記号、数字、ローマ字) / ×(ひらがな) / ×(カタカナ・ア行~ナ行) / ×(カタカナ・ハ行~ワ行) / ×(漢字・あ行~か行) / ×(漢字・さ行~た行) / ×(漢字・な行~は行) / ×(漢字・ま行~わ行) 分野別一覧 製造業 / 製造業その他 / 小売、卸売 / サービス業、娯楽 / 医療、医薬 / 建設、不動産 / 金融、運輸、IT、その他 / マスコミ、出版 行政等一覧 行政、各種団体等 / 教育機関等 / 政治家、著名人 毎日新聞系列 【その1】 【その2】 【その3】 【その4】 【その5】 【その6】 【その7】 【その8】 【その9】 問合せ報告 毎日新聞関係の凸結果を淡々と張り続けるスレ7 ※「電凸」とは「電話問合せ」のインターネットスラング(俗語)です。(詳細は用語集) 対応評価の大まかな目安 ◎◎ 広告打ち切り・今後広告を出さない・今後広告を出す予定はない ◎ 良対応・厳重な抗議 ○ 普通、中立対応・対応検討中、今後注視 △ 保留・問合せの返答結果待ち(3日以内に回答なければ×) × 悪対応・無回答・処分は十分毎日の姿勢を容認・広告続行 このテンプレを編集 ジャパンエナジー 2008年8月11日の毎日朝刊にロゴマーク調査あり 2008年8月21日の毎日朝刊に広告あり 8/21 ◎◎(広告出稿予定なし。情報提供のみ) 70 名前: 名無し草 [sage] 投稿日: 2008/08/21(木) 16 16 49 「日本の母は息子の性処理係」毎日新聞が捏造記事125 http //changi.2ch.net/test/read.cgi/ms/1219126727/813 813 名前:可愛い奥様[] 投稿日:2008/08/21(木) 16 15 50 ID 5ASBWRY60 JOMO(ジャパンエナジー)に電話問い合わせ(広告出稿予定なし。情報提供のみ) フリーダイヤルで広報の電話を教えてもらい、電話。 対応者は広報のK氏という男性。 waiwai問題は全く知らなかった、広告代理店からも毎日からも説明がなかったということで びっくりしていました。 「えっ、毎日新聞がですか?」と言われました。 いくつかの検索ワードや世間の反応などを伝え、確認してもらえるよう依頼。 今後毎日新聞への具体的な広告出稿予定はないとのことでした。 2009年3月01日の毎日朝刊に広告あり 2009年3月11日の毎日朝刊に広告あり 03/13 ×(メール返信なし) 「日本の母は息子の性処理係」毎日新聞が捏造記事160 http //changi.2ch.net/test/read.cgi/ms/1235566659/l50/782 782 名前: 名無しさん@自治スレにてローカルルール議論中 [sage] 投稿日: 2009/03/13(金) 22 12 02 ID JI0ogQvC0 転載します。 ------------ 280 名前: 松崎名無しげる [sage] 投稿日: 09/03/13 20 41 27 ID iP+5rKD1 メールのお返事、いきまっす! ジャパンエナジーJOMO →メール返信無し 関連ページ 検索 2008年8月11日の毎日朝刊 広告一覧 2008年8月21日の毎日朝刊 広告一覧 2009年3月01日の毎日朝刊 広告一覧 2009年3月09日の毎日朝刊 広告一覧 2009年3月11日の毎日朝刊 広告一覧 2010年3月07日の毎日朝刊 広告一覧 JBS 問合せ結果分野別一覧 問合せ結果別一覧 ×対応の企業(カタカナで始まる企業名・ア行~ナ行)
https://w.atwiki.jp/kaijinmato/pages/340.html
「こらぁー! さっきから何だよ!?無視すんなぁ!」 【名前】 エナジー・ドーパント 【読み方】 えなじー・どーぱんと 【声/俳優】 末高斗夢(W) 【スーツ】 中村博亮(W) 【登場作品】 仮面ライダーW など 【登場話】 第49話「Eにさよなら/この街に正義の花束を」 【分類】 ドーパント 【メモリ】 エナジーメモリ 【綴り】 ENERGY 【頭文字デザイン】 コイル(E) 【モチーフ】 レールガン、コイル 【生体コネクタ位置】 鼻 【仮面ライダーW】 「エナジー(エネルギー)」のガイアメモリで、「EXE」の真のリーダー、ペットショップの店員(通称:エナジー)が変身するドーパント。 左腕にレールガンを装備し、体内に蓄積したエネルギーを超電導弾に転換した後、レールガンから加速発射する強烈な攻撃を得意としている。 他にも体内に蓄積されたエネルギーを右掌から相手に注入し、動きを奪う事もできる。 「EXE」のメンバーからは「カリスマ」と呼ばれ、彼らは「街で静かにしているあの方を再起動させるためにガイアメモリを収集していた」と発言。 「EXE」のメンバーが全員逮捕された直後、翔太郎達の前に出現、自身が「EXE」の真のリーダーだった事を告げると変身する。 翔太郎をエネルギー弾で撃ち抜き、変身を解除して立ち去るが、彼らの監視を続けていたエクストリームメモリが盾代わりとなって無傷。 その後、フィリップ復活のインパクトですっかり忘れられている事に憤慨して再変身する(上記の台詞はその際のもの。)。 1年ぶりに変身したダブルになす術もなく、ルナトリガー、ヒートメタル、サイクロンジョーカーに追いつめられ、「ジョーカーエクストリーム」を受けメモリブレイクされた。 【MOVIE大戦アルティメイタム】 無限モンスタープラントから生成された怪人の1体として登場。 【余談】 テレビ朝日公式サイトでは「エナジーメモリ」のプリントがどのようなイラストなのか確認できない。 翔太郎は前話(第48話)で「フィリップが消滅してから1年が経過した」と冒頭で語っており、劇中に映るカレンダーの描写から本編での時間軸は2011年8月となる。 同話でゲスト出演する青山晶役の嘉数一星氏は左翔太郎(幼少期)役も演じ、姉の青山唯役の小池唯氏は『海賊戦隊ゴーカイジャー』でゴーカイピンク/アイム・ド・ファミーユ役としてレギュラー出演。
https://w.atwiki.jp/flowny/pages/14.html
お花と実について ※このページの情報には推測が含まれています。 お花の色 白、桃、黄、赤、青、紫、橙があるらしい。 色はお世話の頻度で変わる?(頻度が高いほうから白、桃、黄、赤、青らしい) (一日や一日半ふらうにぃをいじっていなかったら、実がとれた後ピンクや黄色のお花が咲き、二日間いじっていない時は青い花が咲きました) マイミクにもらった実の色で変わる? 誕生日で変わる? お花の種類 確認されているのは「チューリップ」「バラ」「花びら4枚の花(パンジー?)」 性格の低いものによって変わる? 性格の高いものによって変わる? 性格の組み合わせによって変わる? 食べさせるものによって変わる? タウンにいる店員さんみたいな「ユリ」や「ひまわり」なども咲くのだろうか? わんぱくが低い→バラ やさしさが高い→バラ わんぱくが高い→チューリップ やさしさが低い→チューリップ かしこさが高い→パンジー ※書き込みより 実の種類 花の種類と色によって違う実がなる? 花の色\花の種類 チューリップ パンジー バラ 白 ココナッツ ドリアン 洋梨 桃 マンゴー ライチ 桃 黄 バナナ グレープフルーツ レモン 赤 いちご りんご さくらんぼ 青 青リンゴ キウイ メロン 紫 ぶどう スイカ 橙 柿 みかん どこに入るかは不明だが存在するらしい:パイナップル、ブルーベリー ※書き込みより推測 実の味 「最高級」、「もぎたて」、「超あまい」、「あまい」、「すっぱい」があるらしい。 お世話の頻度で変わる? どんな要素で変わるかは不明 ここが違う、などがあればコミュニティで教えていただけると助かります。
https://w.atwiki.jp/shiki-tei/pages/12.html
庭園一覧 庭園は5種類3パターン 【和】 緑鳴苑(開放型)・観月庭(半開型) 川があるのが特徴。 外には寺と滝が見える。 岩がごろごろしているせいか結構物が置けなくて狭く感じる。 川の中も狭くてスイレンは置きにくい。 玄妙苑(開放型)・宝暦庵(半開型) 池があるのが特徴。 外には5重の塔が見える。 庭も池の中も物が置きやすい。 【洋】 ミヤビ邸(ガラス張りの邸宅) 唯一の洋風庭。 外には洋風の家々が見える。 池がないのでスイレンの配置はできず、魚は呼べない。 初期状態では手に入れていないヘッジ直線やガーデンテーブル等が既にある。 【緑鳴苑(Ryokumeien)】 初期配置 クロマツ×5 アジサイ×2 織部灯篭×2 【観月庭(Mizukitei)】 初期配置 クスノキ×2 アジサイ×4 カキツバタ(白)×4 岬灯篭×2 【宝暦庵(Hourekian)】 初期配置 クロマツ×2 ハナミズキ×2 クスノキ×1 アジサイ×2 カキツバタ(白)×1 【玄妙苑(Genmyouen)】 初期配置 ハナミズキ×2 クロマツ×1 クスノキ×1 カキツバタ(白)×4 ユリ(黄)×5 織部灯篭×1 岬灯篭×1 【ミヤビ邸(Miyabitei)】 初期配置 クスノキ×2 アジサイ×2 パンジー(紫)×3 パンジー(青)×2 パンジー(白)×4 リラックスチェア×1 アーンのオブジェ×1 杯のアーン×2 ガーデンテーブル×1 植木鉢×2 椀型鉢×2 丸型鉢×1 ヘッジ直線×8 美しい -- (名無しさん) 2014-02-20 09 09 41 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/2768.html
「ね、みんなで牧場にいきましょう!」 放課後、けだるい時間が流れる部室で突然ハルヒが大声を出した。 副団長以下、誰もそれに異議を唱える事なく無言のうちに了承しているようだ。 長門は読書をしつつもコクンと頷いたように見えたし、古泉は白く輝く歯を見せて大きく頷いた。 「牧場はいいですねぇ~」朝比奈さんはうれしそうに呟いた。「大きな牛とかいるんですよね、あと羊とか豚とかも」 「……馬も捨て難い」長門が呟いたが、俺には良く分からない。 「馬は、ちょっと癖があって苦手なんですぅ」朝比奈さんは長門に言った。 「そう?」長門は小首をかしげただけだ。 二人の会話が良くわからないが、それ以上話は続かなかった。 「いつどこの牧場にいくんだ?」俺はハルヒに尋ねた。 「週末に、山の上にある牧場によ」当たり前のことを聞くなという表情でハルヒが答える。 「そこに不思議が待ち構えているとでもいうのか?」 「そうね、もしかすると」ハルヒは期待に顔を輝かせた。「キャトルミューテーションなんかに遭遇しちゃうかも」 「日本に吸血コウモリ類はいねえよ」 「まったく夢のない……そんなだから、女の子にモテないのよ」 「ほっとけ」 古泉がなにか言いたそうに俺を見ているが、こっち見んな。 「で、どうやってあの牧場までいくんだ。あそこは山の上にある。まさか徒歩で昇るわけじゃあるまい」 「バスよバス。本数増えてさらに便利になったっていうのよ」 ハルヒが手招きした。俺は立ち上がり、ハルヒが指さすディスプレイを眺めた。 ディスプレイには、バス増発で牧場へのアクセスが便利になりましたなどという宣伝文句が踊っていた。 「なるほどな」 「確かに行きにくかったけど、これなら余裕で行けるわ。不思議探索はあたしたちの使命ではあるけれど、たまにはリクリエーションも必要よね」 常にリクリエーションじゃないのかと思ったが、それは黙っておくべきことだろう。 楽しそうに微笑むハルヒの表情をみれば、な。 あっけなくその日がやってきた。 待ち合わせの場所に20分前に到着すれば、なんと俺が一番乗りだった。これはなにを暗示しているのか。天候不順とか、牛大暴走で大騒ぎとか、羊に襲われたりするのだろうか。まさかな。 「あれ、早いじゃないの」 背中にハルヒの声が掛かった。明るいチェックのミニスカートに、白いアンサンブルという格好だった。珍しくよそ行きという格好だった。足元はショートソックスにスニーカー。 髪はいつものカチューシャでなく、紺色のリボンでまとめていた。 素直に可愛いと思うぜ。 「あら、そーゆーことも言えるようになったのね」すこしはにかむようにハルヒが言った。 「これでもちょっとは努力してるんだ」 「でも照れながら言うのはやめなさい。なんか恥ずかしいから」 「努力は認めろって」 「でも、結果出さないとね。しかし、いつもみたいにギリギリに来るのかと思ってたけど」 「いつも10分前には到着してるぜ」 「そうだっけ?」ハルヒは小首をかしげている。 「おはようございまーす」 朝比奈さんがのんびりとした声とともに登場した。優雅なシフォンワンピースがとても良く似合ってますよ、ええ。 と、心で思うだけにしているのは、ハルヒの目がすこし吊り上がっているからで、それ以外に理由などない。 「………」 三点リーダーと共に長門が顔を見せた。制服ではなかったが、白いブラウスに紺のカーディガンを羽織り、チェックのミニスカートというスクールスタイル。 足元は紺のロングソックスにローファーだった。 ま、長門によく似合っていて可愛いのだが、やはりハルヒの目がやや吊り上がっているため、俺は沈黙を守るしかない。 「おはようございます」キザったらしい声とともに古泉が登場した。さわやかな少年紳士といったところの装いとだけ言っておこう。男の格好に興味はねえだろう? 「さ、みんなそろったし、バスに乗るわよ~」添乗員よろしくハルヒが先頭に立った。バス停まで目と鼻の先だ。 バスに揺られること20分。牧場に到着した。ここは言わば観光牧場で、うまい牛乳やソフトクリームを楽しんだり、動物と触れ合う場所だ 何がいるかと言えば乳牛と羊、そして馬だ。あと小動物も居たはずで、ひょっとすると羊飼いの少年や、おじいさんと暮らす少女なんてのもいるかもしれない。 「ここ、アルプスじゃないわよ」とハルヒがつまらなそうに鼻を鳴らした。 「アルプスにもいねえよ」 「あら、ギャグのつもりだったわけ?」ハルヒがいやらしい笑みを浮かべながらいう。「だったら、もうちょっとおもしろいこと言いなさいよ」 その一言がとてもムカつく。あとで覚えとけ、ハルヒよ。 大きな蹄鉄を重ね合わせたようなゲートをくぐると、のどかな牧場が目の前に現れ、さきほどのムカつきも忘れてしまった。 わりとこじんまりとした厩舎が入って右手にある。その奥が牛舎で、さらにその奥に羊小屋がある。厩舎の左隣は牧場直営のお店となる。お土産、弁当、そのたさまざまなものが販売されている。 厩舎の右となりは小動物コーナーになっていて、なぜかウサギやら鹿、ヤギなどが飼われている。さらにその奥の敷地は羊追いショーが行われる場所だ。 そんな牧場内地図を、朝比奈さんと長門の二人が仰ぐように眺めている。 「なに探してるのかしら?」ハルヒが不思議そうに俺にたずねた。 「わからんな」俺は首を振った。 「ないですねえ~」と朝比奈さんが言う。 「……ない」と長門が返した。 「なにを探してらっしゃるんですか?」古泉が朝比奈さんにたずねる。 「バーベキューコーナーなんですけど……」顎に人差し指をあてた朝比奈さんが答えた。 「ステーキまたはジンギスカンでも可」長門は無表情で答える。 「え、あの、ここはそういうところではありませんが……」古泉が苦笑を交えながら言った。 「え? 牧場って新鮮なお肉が食べられるところじゃないんですか?」 朝比奈さんが驚いたように言った。長門は興味を失ったように横を向いている。 「そういう牧場もなくはないですが、一般的ではありません。あの、誰にそのような事を聞いたんですか?」古泉はさすがに戸惑いを隠せないようだ。 「長門さんです」朝比奈さんはそっぽを向いている長門に視線を送りながらいった。「こういう牧場は、おいしいお肉が食べられるところだって」 「ごく少数のサンプルからの推論は時として間違うことがある」そっぽを向いたまま長門が答えた。 そして長門はトコトコと一人歩きだした。 「なんか有希、バツ悪そうね」小声でハルヒが呟くほどに、長門の表情は恥ずかしがってるように見えた。 長門を追って、厩舎に入った。外からはこじんまりとしているように見えたが、中に入ると予想以上に広い。 8頭ほどの馬が柵につながれている。何組かの家族連れがそれを見学していて、なにかを馬に食べさせているのが目に入った。 長門は何かを見つけたのか、奥にすたすたと歩いていく。それを古泉が追いかけていった。やつもなにかを見つけたらしい。 「おっきいですね~」と朝比奈さんが目を輝かせている。「なんか優しい目をしてるし、結構可愛いんですねぇ」 「みくるちゃんって、馬見たことないの?」ハルヒが朝比奈さんに尋ねた。 「こんな近くで見るのは初めてなんです」 「ああ、そういうことね」 朝比奈さんは目を輝かせながら、馬を熱心に観察している。 長門と古泉が野菜スティックを手に戻って来た。なんだ、それは?食うのか? 「いえいえ、馬に与えるためのものですよ」古泉は苦笑いを浮かべつつ言った。 「奥で売ってました。あなたもいかがですか?」 「キョン、行ってみましょうよ」ハルヒに引きずられ、俺も奥に向かう。 野菜スティックが一握り200円で売っているコーナーはすぐ見つかった。 200円は高いが、まあ半分は本来のエサ代に充当しているということで納得するしかあるまい。 俺が金を払い、ハルヒが野菜スティックを受け取った。 とって返して、ハルヒが恐る恐る野菜スティックを白い馬に差し出した。隣の馬がずうずうしくもそれを食べようと首を突き出している。 「あんたはあと!ほら、食べなさい」とハルヒは野菜スティックを白い馬に食べさせ、その後でずうずうしい馬にも一切れ野菜スティックを差し出した。 「あんたもいる?」ハルヒは俺を見上げて言う。 「俺は馬じゃねえよ」 「誰も食えなんて言ってないわよ。あんたも馬にあげてみなさいよ。結構面白いわよ」 野菜スティックはあっという間になくなった。なかなか楽しいね。しかし、こうしてみると馬は結構可愛い動物だな。 「結構可愛いわねえ~」ハルヒはうれしそうに馬の首筋をなでてやっている。下手に触れば危ないはずだが、まあハルヒに限ってそれはないだろう。 白い馬は気持ち良さそうに目を細めている。 「そろそろいきましょうか」古泉がハンカチで手を拭きながらいった。 「長門と朝比奈さんは?」 「あれ?」古泉は後ろを振り返った。「いませんね?」 「また買いにいったみたいよ?」ハルヒがくすりと笑った。 ハルヒの指さす方をみれば、朝比奈さんと長門が奥の方に歩いて行くのが見えた。 「あたし達も負けてらんないわね」ハルヒが俺の腕をつかんで歩きだした。 古泉は苦笑して、ただ俺達を見送るだけだった。 結局野菜スティックに600円も使ってしまった。いわゆる大人買いよとハルヒは言うが、600円ごときで何を言う、そもそも大人げない行為に思うのだが。 厩舎を出ると、次は牛舎だ。乳牛の乳搾り体験できるらしい。 「庭があれば馬も飼えるんじゃないかしら」とハルヒが言う。 「それは無理だろ」と俺。 「すんごい小さな馬なら出来るかも」朝比奈さんは幾分か夢見がちな表情で言った。「可愛いですよね~馬」 「そうよね~でもいくらぐらいするのかしら、馬」とハルヒが大きく頷きながらいった。 「数十億する場合もありますが……」遠慮がちに古泉が言った。 「それは競走馬の話でしょ。普通の馬でいいのよ」ハルヒが言う。 「馬なんぞ飼ってどうするつもりだ」たまりかねて俺が言う。 「たまに乗って散歩すんのよ」ハルヒは平然と返してくる。なにを当たり前のことを尋ねているのかという顔だ。 牛舎の外にはあずま屋があり、そこに大きな乳牛がいた。 お腹の下にはバケツがおかれていて、子供が乳搾りなんぞを体験している。 家族連れが列に並んでいたが、カップルもいた。我々もそれを体験すべく、列に並んだ。次の次ってところか。いいポジションじゃないか。 「ハルヒはやったことあるか?」 「子供のころにね」 「俺も小さいころにやったな」 「僕は小学生の時に初めてやりましたよ」古泉が言った。「いやはや、力んでしまって大変なことになった記憶があります」 「あたしはやったことないんで、楽しみです」朝比奈さんはいかにもワクワクした表情を浮かべている。 長門を見ると、なにもいわず首をかすかに横に振った。まあ、やったことがあると言われた方が、すこし驚きではあるな。 ふと前に並んでいるカップルに見覚えがあるような……おいおい、珍しい組み合わせだな。 パンジー野郎と橘だった。こいつら付き合ってたのか? いつの間に? 「あれ? パンジー君じゃない?」朝比奈さんが声をかけた。「二人で、デート?」 パンジーは一瞬、ぎくりとした表情を浮かべたが、すぐにいつもの不敵な笑みを浮かべた。 「ふん、無理やり連れてこられただけだ」パンジーは奇妙な笑みを口元に浮かべながら答えた。 「恋愛などくだらん。そんなことは時間の浪費でしかない」 おいおい、となりの橘がうんざりした表情を浮かべてるが、そんな事言って、大丈夫なのか? あとでケンカしたりしないのか? 他人ながら心配しちまうぜ。 「誰? 知り合い?」ハルヒはわくわくした表情を浮かべつつ言った。「ひょっとしてみくるちゃんの元カレとか?」 橘が一瞬パンジーを見つめたが、パンジーはその視線を無視した。 「違います」朝比奈さんは珍しい事に、はっきり否定した。「単なる知り合いです」 「こんなところでお会いするとは…ね」古泉がややうんざりした表情で橘に言った。「忙しいのではなかったのですか?」 「こんにちわ、古泉君。今日はオフでここに来てるの。…お手柔らかにね」橘は取り繕ったような笑顔を浮かべつつ言った。 「あの子、実は古泉くんの元カノ?」 今度はパンジーがぎろりと橘を睨んだが、橘は平然とその視線を受け流した。 「違います」古泉は珍しくまじめな表情でいった。「そうですね、競合店のバイト仲間といったところです」 「そうなんだ。で、二人は付き合ってるの?」ハルヒは実に尋ねにくい質問をさらりと目の前の二人にぶつけた。 「俺はただこいつに強制的にここに連れてこられただけだ。下手な勘ぐりはやめてもらおう」 「ええ、実は付き合ってるの」橘はにっこりと微笑みながら言った。「なんてね、これもバイトの一環なの」 パンジーと橘が一瞬睨み合うのは、一体どういう理由なのだろうか。 「オフなのに、バイトの一環とは実に熱心なことですね」古泉はせせら笑うように言った。「上層部の覚えもよろしいことでしょう」 こいつにしてはとても珍しく、感情がそのまま表情に出ているかのようだ。 「……あなたもね。土曜日はお休みなはずなのに、わざわざこんなところまで来て。あなたこそ職務に忠実ね」 「古泉くんは、我がSOS団の副団長なの」ハルヒが胸を張るように言う。「当然の事だわ」 「ふっ、茶番中の茶番か」パンジーが言わなくても良いことを平然といった。……そう言いたくなる気持ちは分からなくもないが、な。 「あんた、一体何?」ハルヒが身構えながら尋ねる。「さっきから、くだらないなどなんだのと」 「当然の事を言ったまでだ」パンジーはせせら笑った。「なんなら、勝負してやろうか。女を殴る趣味はないが、特別だ」 「なんですって? こう見えても、あたし強いのよ。なんだったら、ここで証明してあげようか?」 「出来るものならな」そう言ってパンジーも身構える。腰が引けてるように見えるのは、気のせいだと思いたい。 「ちょ、ちょっとやめなさいよ、こんなところで」橘がパンジーの肩に手を置いた。 あーもーおまえら、平和な牧場の空気を乱すな。ギャラリーの視線が痛いそ。ヒーローショーやりたきゃ、他所でやってくれ、他所で。 俺がパンジーとハルヒの間に入ろうとした時だった。 長門がトコトコと歩み出て、パンジーをすこし見上げながら言った。 「……君の番」 長門が指差す方向には、困った顔で成り行きを見守るお姉さんの顔があった。 ぎこちない空気が流れる中、鍔迫り合いはそれで終わりを告げた。 「やってみる?」橘がパンジーに声をかけた。「君、やったことないでしょ?」 「ふ、この程度の事、経験のあるなしなど問わないだろう。まさに児戯」 「本当に大丈夫?」橘は呆れたようにパンジーに言った。「君って、結構ドジっ子じゃない。この前だって-」 「それは数多ある規定事項を確認した結果に過ぎない。それより下がっていろ」 パンジーに言わせると単なる牛の乳絞り体験が、危険な爆弾解体作業のように聞こえてしまうのは何故だ。 心配そうに一歩下がった橘の表情からすれば、こいつになにかをさせるのはある意味、危険なのかもしれん。……まさかな。 未来人が常にドジっ子属性もってるなんてこと、あるわけがないものな。 やや呆れた表情のお姉さんが、パンジーに牛の乳絞りのやり方を伝授している。神妙な表情でそれを聞くパンジー。 意を決したのか、パンジは牛の乳房に手を添えた。真剣な表情はまるで爆弾の起爆コードを探しているかのようだ。 「ねぇねぇ、あいつってひょっとしてヘタレ?」ハルヒが俺の耳元でささやいた。「なんかすんごく手つきがぎこちないわよ」 「未体験ゆえのぎこちなさだろう?」俺はハルヒにささやき返した。「やったことねえからな」 「やらしいわね、言い方が」 「そうか?」 パンジーは慣れない手つきで牛の乳をしごいているが、牛の乳はまるで出ない。どうもなにかを間違えているようだ。 「おかしい、何かつまってるのか?」パンジーは首をかしげている。 「んなわけないよ。なんかやり方が悪いんじゃないの?」橘はパンジーに近寄ろうとした。「ちょっと貸してみなさい」 「下がってろ」パンジーが手で橘を制した。「ここは俺に」 「んっもう。知らないわよ」すこしむくれた橘がまた後ずさった。「ちょっとは素直になりなさいよぉ」 「これぐらい造作もない」パンジーはそう言いつつ、牛の乳をしごいている。どうも、しごいてるだけで絞ってはいないように見える。 「なにかつまってるとしか思えん」パンジーはそう言いつつ、牛の腹をのぞき込むようにしながらしごき始めた。「ふ、やはり穴が-」 次の瞬間、パンジーの顔面に牛の新鮮な乳がふりそそいだ。全員があっけにとられた。 「ちょ、ちょっと大丈夫?」橘があわててパンジーの側に駆け寄った。いそいそとハンカチを取り出して、パンジーに渡してやった。 「くそ、これも既定事項だというのか」 牛の乳まみれの顔では、何言っても締まらんよな。 「バカ言ってないで、あっちに水道あるから、ね。行こう」 橘がパンジーを抱えるように立ち上がった。わき目も振らずパンジーを連れていく。 「とんだ茶番でしたね」 古泉がククっと忍び笑いを漏らした。朝比奈さんは呆れた表情を浮かべたままだ。 「なんかよくわかんないけど、あいつがヘタレだって事はわかったわ」ハルヒはため息交じりにそう言った。「なんか拍子抜けよねぇ、ケンカ売っといて」 「ま、気にすんな。俺達の番だ、えーと誰が最初にやるかだが……」 「なんであんたが決めるのよ。団長はこのあたしよ」 「お二人がケンカする必要はありませんよ」微笑みを取り戻した古泉が言う。「ごらんなさい」 長門が既に牛の乳搾り体験をはじめていた。実に器用に乳を絞っている。 「うまいな、長門」 「……この程度のこと。児戯に等しい」 ……物まねもうまくなったな、長門。 長門の後に古泉、朝比奈さんと続き、ハルヒ、俺の順で乳搾り体験は終わった。 ハルヒは意気揚々と羊小屋に我々を引き連れて向かったが、出産ラッシュ中とのことで、小屋への立ち入りはできないことが分かった。 「えーせっかく来たのにぃ~」などとハルヒはぶつぶつ文句を言っていたが、入り口に置かれたビデオで、出産中の様子をたっぷり2回鑑賞して気が済んだようだ。 「羊もかわいいわねえ~」目をうるませてハルヒが言った。「飼うのも楽しいかもしれない」 馬の次は羊か。そもそも羊飼ってどうするつもりだ。 「もちろん、毛皮取って売るのよ」ハルヒは事もなげに言った。「一匹だけていねいに育ててやって、希少価値つければ高く売れるでしょ」 「カシミアじゃねえぞ」 「カシミアだって希少価値があるとかいいながら、大量に販売してるじゃない。それよりずっと貴重ってことになるわよ」 「でも、羊飼うとなると、結構広い場所が必要になるんじゃないですか?」朝比奈さんが考えながら言った。「お庭とかでは飼えないかも」 「むぅぅぅ」ハルヒは真剣に考え込んだ。「やっぱり大規模にやるしかないのかしら。中国とかモンゴルの土地買い占めて大々的に」 将来の夢は世界に羽ばたく羊毛業者かよ。もうちょっと夢のある商売がいいぜ。 「あら、巨万の富を築けるかもしれないじゃない。現実的な商売をやるに越したことはないし」 ハルヒの将来構想はどこまでも続きそうな勢いだったが、聞き流すに限るぜ。 小動物コーナーに戻って来た。子供たちがヤギを追いかけているが、ヤギはすばしっこく捕まるようには見えない。 茶色やら白やら白黒やらのウサギが餌を食んでいる。モルモットと遊ぶ子供もいれば、ウサギを抱っこしている子供もいた。 ま、ここは子供たちが主役だ。もっとも、この牧場そのものが子供たちが主役になるべき場所なんだろうが。 朝比奈さんが突然しゃがみこんで、茶色い子ウサギを抱き上げた。朝比奈さんがの腕の中で鼻をヒクヒク動かしている。 おお天使に抱かれるウサギに祝福あれ。長門がそっと指先でうさぎの耳に触れて遊んでいるようだ。 「キョン~こいつすんごいでかいの~見て見て」 ハルヒの声に振り返れば、巨大な白ウサギを抱きかえるハルヒの姿が目に入った。おい、それ本当にウサギか。お前の胸ぐらいないか? 「それ、セクハラ!」なぜか顔を赤くしてハルヒが叫んだ。「団長にむかってセクハラとはなに考えてんのよ!」 「なにを言ってるんだ?」 「まるで見たことあるような言い方じゃない!」ハルヒはなおも叫んでいる。「みんながいる前だってのに、ちょっとは恥ずかしいと思わないの!?」 お前の方がよっぽど恥ずかしいわ。これじゃ逆セクハラもいいところじゃねえか。みろ、子供たちがそっぽ向いて、親たちが困った顔してるじゃねえか。 そんな破廉恥な行為は一切致しておりませんよ。健全に高校生らしいお付き合いをしておりますのでと心のなかで謝辞を述べながら、ハルヒに近づいた。 「セクハラ男対白ウサギの戦いよ」 ハルヒは片手で巨大白ウサギを抱きかかえ、空いた方の手でウサギの前足を掴んで、軽くジャブを放つ真似を見せた。 その表情は嬉しさで輝いているようにみえた。 おバカな茶番を演じた後は、腹も減るというものだ。時計を見ると、昼すぎてるじゃねえか。売店で弁当でも買って食おうぜ。 「だからなんであんたが指図すんの。団長はこのあたしでしょーが」 「小さい食堂もあるようですね」俺とハルヒの会話に参加する気のない古泉が、朝比奈さんと長門に言った。「ちょっと混んでるようですが……」 いついかなる時でも先陣を切りたがるハルヒが食堂の店員に確認すれば、3人なら大丈夫とのことだった。 「ふむ……困りましたね」まるで困った様子を見せず、古泉が言った。 「みんなで待ちます?」朝比奈さんは困った顔で言う。 長門は会話に参加せず、店先のメニューを眺めている。こっちはもう食う気満々なのだろうな。きっと。 「それじゃしょうがないわね。あたしたちは外で食べるから、古泉くん達はここで食べていいわ」 これまでのハルヒならば店内に駆け込み、何が何でも5人分の席を用意しかねなかったが、成長の証しだろうか。 「行くわよ、キョン」 俺の手首をつかんで売店に連行するところは、まるっきり変わってないがな。 売店でおにぎりセットとお茶を買って、日陰の場所を探した。 小動物コーナーと羊追いショーエリアのちょうど間が、そのような場所になっている。何人かの家族連れがお弁当を囲んで一休みしているのが見え、俺達はその場所に移動した。 歩けるようになったばかりの子供が危うげなバランスを取りながら、よちよち歩く姿が可愛い。つい頬が緩むね。 その様子を若夫婦がにこやかに見守りつつ、ビデオに収めている。 そのとなりには、やはり家族連れで幼稚園年長さんといった男の子がおむすびを口一杯にほうばっていて、こちらも微笑ましい。 その隣で奇妙な踊りを見せるのは、その子の妹だろうか。 俺にもハルヒにもああいう時代が確かにあり、そしていずれは親としてあのような時を過ごすのだろう。 それがいつの日になるのか、相手はいま隣を歩く奴だったりしてな。ま、それも悪くはないが、あまりにも既定事項過ぎないか。 そんな極個人的な未来に思いをはせながら、空いた場所を探す。 それはすぐ見つかった。大きな樫の木の下だった。木を挟んで反対側には別のカップルが座っているが、なに構うことはないだろう。 木漏れ日が揺れる地面に、こんなこともあろうかといつも持参しているレジャーシートを敷いた。靴を脱いで、レジャーシートにあぐらをかいた。ハルヒも同じように靴を脱ぎ、レジャーシートに横座りした。 真ん中におにぎりセットとお茶をおけば、昼飯の始まりだ。 ハルヒは黙々とおにぎりセットのラップをほどいている。俺はお茶のキャップを開けることにした。 「こんなんだったら、お弁当つくってくれば良かったかな」そういってハルヒは三角おにぎりにかぶりついた。もぐもぐと咀嚼を始めた。 「ああ、ピクニックも同時に味わえたな」俺もハルヒに負けじと三角おにぎりにかぶりついた。 しばらくふたりでもぐもぐと咀嚼をはじめる。 「まあね。でも……まいっか」おにぎりを飲み込んだハルヒが言う。「ピクニックはまた行こ。それはそれで別の方がいいわ」 「そうするか」 「ね、君の好きなものを作ってみたんだけど、どうかな?」 「ほぉ……うまそうだな」 ふと、後ろのカップルの会話が風に乗って聞こえてきた。どこかで聞き覚えが…などともったいぶらなくてもいいな、橘とパンジーの声だった。 「朝、6時に起きて作ったんだからね。感謝しなさい」 「この唐揚げは絶品だな」しばらく無言になる。「……料理の腕はかなりのものだな」 「ありがとう」すこしばかり照れて、それでいて嬉しそうな橘の声が聞こえる。 「どうかしたの?」ハルヒが小声で尋ねてきた。 「後ろにさっきの二人がいる」ハルヒの耳元に顔を近づけてささやいてやった。 「あのツンデレカップル?」 ハルヒは聞き耳を立てつつ、そっとおにぎりセットとお茶を脇にどけた。 俺も自分のおにぎりセットを脇にどけ、スペースを作ってやった。 ハルヒが俺に寄り添うように移動した。仲睦まじいカップルにしか見えないことだろう。 「で、どこまで聞いたの?」ハルヒが耳元でささやいた。 「唐揚げが絶品らしいぞ」 「……そうじゃなくて、蟻が餌だと勘違いして寄ってくるぐらい甘い会話はないの?」 「昼間だしな。弁当食ってるわけだし期待薄……お前は何を期待してるんだ?」 「あの二人の恥ずかしい会話を押さえとけば、なにかに使えるかもしれないでしょ?」 ハルヒらしいといえば正にその通り。しかも相手はいわばSOS団の敵とも言える存在だ。たしかになにかに使えるかもしれん。 「しばらくは、身動きとれないままか」パンジーの声が聞こえてきた。 「そうね。意思統一って本当に難しいのね。痛感したわ」橘がため息をつきながら言った。 「上の指示とあらば止むをえんだろう。橘がどうのという話ではない筈だ」 「ま、こうしてのんびりできるのもそのお陰だし。来て良かったでしょう?」 「………」 「さっきは恋愛など時間の無駄とか言っちゃって。本当に君は格好つけなんだから」 「あれは……あいつらの手前……」などとパンジーが絶句している。 「分かってるけど、ちょっと寂しいな」かわいらしく橘が言う。 パンジーはきっとおろおろしているに違いないが、その可愛い声は、108個あるという女の罠のひとつだ。気をつけろ、パンジー。 「橘だって、バイトの一環などと」すこし声がうわずってるあたり、罠に嵌まっている証拠だぞ、パンジー。 「古泉くんのニヤケ笑いをみたらね、つい強気になっちゃったの。……ごめんね」 「あいつにライバル心を燃やすのはほどほどにしておけ。それは自滅の元だろう」 「ご忠告ありがとね。あたしからも忠告…っていうかお願いだね」 「なんだ?」 「いい加減、名前で呼んでよ。ね」すねたような橘の声が聞こえた。 ニヤリとハルヒがいやらしい笑みを浮かべた。使えそうなネタひとつゲットといったところだろうか。 かなりの罪悪感を覚え、俺達は死んだ後天国にいけるのか心配になってきた。 「それは……」 「恥ずかしいのは分かるけど、二人でいる時ぐらいはいいじゃない」 「仮に全員で集まっている時に、うっかり京子と呼んだ日にどのような事になるか。想像できない橘ではあるまい」 「それはそうだけど……じゃあ、いまだけ。いまだけなら、いいでしょう?」 踏ん張れパンジー。そこで許してしまえば、あとはすべて許すしかなくなるぞ。気がついたら相手のペースだ。流れを引き戻せるかは、お前にかかっているんだ。 「分かった」やけにはっきりとしたパンジーの声が聞こえた。 ……軍門に下ってしまったか。こりゃ、尻に敷かれるパターン確定だな。 「じゃ、言って言って」はしゃぐように橘が言う。「お願い」 「き…京子」パンジーの声は緊張のあまりか、やや震えていた。 「なぁに?」橘がやけにかわいい声で返した。 パンジーの返事は聞こえてこなかった。確認するのもはばかれるが、撃沈したのだろう。 実に惜しい奴を亡くしてしまったもんだ。 撃沈しただろうパンジーに一人黙祷を捧げていると、ハルヒが首をそっと回して背後を伺っているのが見えた。 「バカ、何見てんだ」俺はハルヒの耳元にささやきかけた。 「シッ! いまいいところなんだから」 おいおい、こんな真っ昼間からラブシーンか?それは見逃す訳にはいかんだろう。俺もそっと背後を伺った。 二人はこちらに背中を見せたまま、見つめ合っている。もはや回りは見えていないに違いない。多分、音も聞こえていないに違いない。 パンジーの顔からはあのニヒルな笑みが消え、真剣な表情だけがあった。 「チューよ、チュー」ハルヒがまた耳元でささやいた。「見られてるとも知らず、いい根性よね」 ハルヒの小学生並なボキャブラリはともかく、人のラブシーンを固唾を呑んで見守ってる俺達のほうがいい根性してると言われそうだがな。 橘が瞳を閉じたらしく、パンジーがゆっくりと顔を近づけて行く。見てる方が何倍も恥ずかしいのが実感できたね。 これからは外でするのは慎まな……なんでもない。 ゆっくりとパンジーの顔が橘に近づいていく。1センチ、1センチとナメクジが這う速度より遅く、二人の距離が縮まって行く。 「うっわぁ………」ハルヒがなんだか分からない声を漏らした。さすがに他人の生キスシーンを目撃したことはないだろうからな。 いや、大胆だね。ひょっとしてこれが初キスか? それならもうちょっとロマンチックな場所でやったほうがいいぜ。 これは俺からの忠告だ。もっとも、いまさら遅いがな。 「ねぇねぇ、お兄ちゃん~ あの人達、キスしてんの?」 思いがけない大声が正面から降って来た。声に驚くと同時に、その声の主にも驚いた。さっきの家族連れの年長さんじゃないか。隣には妹まで付いて来ている。 それだけ言うと、妹と手をつなぎトコトコ歩いていってしまう。 最近の子供はほんとマセてるなと思ったときだった。ゴンと大きな、しかも痛そうな音が背後から聞こえてきた。 「いった~い」そして橘の声が背後から聞こえた。 橘は額を押さえている。パンジーも同じだった。一体、何があったんだ? 隣のハルヒは口をあんぐりと開けて絶句していた。 「どうしたんだ?」ハルヒに尋ねてみた。 「あいつったら、さっきの子の声に驚いたらしくて、あの子に思いっきり頭突きかましちゃったのよ」 驚いたあまり相手に頭突き……また特殊な例だな。 「なんか自爆体質なんじゃないのかしら、あの子」 「かもしれんな」俺はおにぎりをひとつ手に取った。 「さ、あたしたちもお昼ごはん食べて、みんなと合流しましょう」 「そうするか」 背後からは弱々しい橘の声と、おろおろするだけのパンジーの声が聞こえてくる。 どうも未来人は肝心なところでドジを踏む傾向にあるようだ……大丈夫か?未来。 20分ほどかけてゆっくり残りのおにぎりを食べて、古泉達と合流した。 「晴天の下で食べるおにぎりは、おいしかったのではないですか?」古泉が笑顔を浮かべつつハルヒにいった。 「まーね。で、どうだった?食堂は?」 「結構おいしかったですよ。プリンが絶品でした」幸せそうな表情の朝比奈さんが答えた。「もう甘くて、プリンプリンしてるんですぅ」 …意味は良くわからんが、とてもおいしかったということは良く分かった。 ところで、長門は何食ったんだ? 「焼き鳥丼ときつねうどん、そしてプリン」長門は平然と答えた。 「そんだけ食べれば、午後もフルスロットルよね」ハルヒはそう言い放った。 お昼からの楽しみといえば、牧羊犬による羊追いショーと羊の毛刈り体験がある。乗馬体験なんてのもあるのか。結構イベントは目白押しってことか。 お子様向けの小動物飼育教室なんてのはさておき、とりあえず羊追いショーでも見に行くか? 「そうね…じゃなくて今は団体行動中よ、キョン。団長はこのあたしだって何回言えば分かるの!?」とハルヒが俺を軽くにらみつけた。「あんたが決めてあたしが従うわけないでしょう?」 「提案してるだけだろうが」 「ひょっとして団長の座を虎視眈々とねらってるんじゃないでしょうねぇ?」 その称号だけは全力で拒否したい。団員その一で十分すぎるほどの不名誉に預かってるしな。 「どういう意味よ、それ!」 「まぁまぁ」古泉が苦笑いを浮かべつつ間に入った。「まずは羊追いショーを見学し、その後で乗馬体験または毛刈り体験というプランはいかがでしょうか?」 「さすが古泉くんね、提案もそつがないわ」ハルヒはにっこりと頷いた。「いい、キョン。団体行動中なんだから、ちゃんと上下関係をわきまえて発言しなさい、分かったわね?」 一瞬は同意しといてなんて奴だ。ま、いまに始まったわけでもねえが。 俺は肩をすくめて遺憾の意を表現した。 ハルヒはすこし不満そうな表情を浮かべたが、何も言わず、鼻を鳴らしただけだった。 長門を先頭に、羊追いショーが行われる場所に向け、我々は進軍を開始した。 なんてな。のどかな牧場の風景を楽しみつつ、ただのんびり歩いているだけだ。 横をスズメバチがすーっと飛んでいった。夏に向けて巣の拡張工事に忙しいのだろうな。 朝比奈さんと古泉が並んで歩き、その後を少し遅れて俺とハルヒが歩く。 「あんた、馬に乗ったことある?」ハルヒが穏やかな声で話かけてきた。 「子供の頃、ポニーに乗ったな。お前は?」 「同じね」 「ここにはポニーはいないが、乗馬体験ってのも引き馬に乗るって感じだろうな」 「そうね。でも、ちゃんと手綱を操って乗ってみたいもんね」 「かなり練習しないと、うまく乗れないんじゃないか?」 「よく練習しないと無理とかっていうけど、たいていそんなことないのよねぇ」 「それはお前が特別だからだろう」 「あたしにしてみれば、それが普通なのよ。なんで出来ないの?って感じ」 「出来る奴からすれば、そうかも知れんがな」 「あとでさ、あの白い馬に乗ってみましょ。二人で乗れるみたいだし」 「それはかまわんが、スカートなのに大丈夫か?」 「下にスパッツ履いてるから平気よ」 「そうか。しかし、ちとつまらんな」 「べ、別にあんたのためにこういう格好してきた訳じゃないもん」ハルヒはわざとらしい声で言い、ケラケラと笑った。 「どう? ツンデレっぽい?」ひとしきり笑ったハルヒが言う。 「ああ。感じは出てたな」 「でも反応がいまいちね。量産型ツンデレって感じかしら」 「なんだそりゃ」 「ありがちってことよ」 羊追いショーは、山の斜面をうまく使った場所だった。 ほとんど平地な部分に手作り感いっぱいの観客席がある。その正面にはお立ち台があり、言わばステージなのだろう。 観客席に人はまばらだった。まだ始まるまでに30分はあるからな。 中央からやや左、二段目の席というかベンチに、我々SOS団は腰を降ろした。左から長門、古泉、朝比奈さんと並び、ハルヒ、俺という順番だ。 「なんか買ってきとけば良かったわね」ハルヒがペットボトルの残り少ないお茶を見ながら言った。 「まだあるぜ」と俺は半分以上残ってるペットボトルを見せた。 「バカ」ハルヒはすこし戸惑ったように言ったが、意味は良くわからん。 「なんだったら、僕がまとめて買って来ましょうか?」古泉が立ち上がった。「今日、最後に到着したのは僕ですし」 「そう?悪いわね。じゃあコーラ買って来てくれる?」ハルヒは平然と言った。「半分凍ったようなのでいいいから」 「悪いんですけど、冷たいお茶、買って来てもらえますか?」朝比奈さんがにこやかに言った。 「サイダー」無表情な長門は一言だけつぶやいた。「炭酸強いのを」 「コーラとお茶と炭酸強めのサイダーですね。…あなたはどうしますか?」古泉が俺をみつめて言う。 「そうだな……コーラもう一本追加だ」 「コーラ二本とお茶に炭酸強めのサイダーですね」古泉は念押しするように言った。 皆が同時に頷いた。 古泉は軽く頷くと、そのまま売店に向かっていった。 「これ終わったら、乗馬体験してみたいですね」朝比奈さんが言った。 「そーね。そうしましょ。で、みくるちゃんは馬に乗ったことある?」とハルヒ。 「乗ったことないです」 「やっぱりね。そうだと思ったわ」 「涼宮さんは乗ったことあるんですよね?」 「ポニーにだけどね」 「ポニーってなんですか?」朝比奈さんは目を瞬かせながら言った。 「へ?」呆気にとられるハルヒの表情がちょっとツボに入った。「みくるちゃん、ポニー知らないの? 小さい馬のことよ」 「ふぇ?…なんですか長門さん……あ、あの、今のままでボニーだと思ってました」なぜか朝比奈さんは視線を足元に落としながら言う。 「ボニー?」ハルヒが怪訝そうな顔で聞き返した。「見まちがえてたってこと?」 「そ、そうなんです。わたしってよく見間違えるんです」 「みくるちゃんらしいわね。そそっかしいっていうか」 「そうなんです。……出来れば、大人になる前に直したいんですけどね」 「直すことないわよ。そのそそっかしさってのは、いい属性よ」 「属性……ですか?」良く分からないという表情で朝比奈さんが聞き返した。 「そそっかしい女の子に萌える層も少なくないわ、きっと」 「ああそっちの話なんですか……」朝比奈さんは苦笑いを浮かべた。 しばらくして、古泉が飲み物を抱えて戻って来た。やや楽しそうな顔をしているが、なにか面白いことでもあったのか。 「わかりますか」冷えたコーラの缶を二本、俺に渡しながら古泉が言った。 「ああ」俺は渡されたコーラの内一本をハルヒに渡した。 「彼らにまた遭遇しました」 古泉は朝比奈さんにペットボトルのお茶、長門に激炭酸なる缶を渡し終えると、長門の左隣りに腰を降ろした。 「乗馬体験の列に並んでいましたよ。仲睦まじい様子でした」 「それだけじゃないんだろう?」 「ええ、そのうち二人で乗るか一人で別々に乗るかで言い争いだしまして」 「なんでそれが言い争いになるのかしら?」朝比奈さんは不思議そうに言った。 「なんでも彼が言うには、馬に乗るのは一人というのが既定事項だそうです」 「ほう」未来人の考えることはわからんね。いや、朝比奈さんは例外中の例外だが。「奴は馬に乗ったことがあるのか?」 「なさそうです。まあ引き馬ですし、乗ってるだけでいいですから、簡単なのには間違いありません。最初は彼女も一緒に乗ろうと口説いていたようですが、途中であきらめたようで、別々に乗ることにしたようです」 「素直に一緒に乗ってあげればいいのにねぇ?」ハルヒも不思議そうに小首をひねった。「しかし強情な奴ねえ、なんでそんな奴と付きあってるのかしら」 「そうですね。まあ、人それぞれ思うところがあるのでしょう」 割りと橘は結構尽くすタイプのようだが、それが報われる時が来るのだろうか。 人ごとながら心配になるね。 ショー開始まであと5分ともなれば、観客席はほぼ埋まっている。それどころか、立ち見もちらほら見受けられる。 すこしぬるくなったコーラを一口飲んだ。 二匹の犬を連れたお姉さんが右手から登場した。ヘッドセットを付けているところをみると、このお姉さんが主役なのだろう。 いや、主役は二匹の牧羊犬になるんだろうな。 お姉さんが元気一杯の挨拶で羊追いショーが始まった。二匹の犬はそれぞれトムとジェリーといい、海外で訓練を積んだエリートという紹介だった。 「へえ帰国子女って奴ね」ハルヒが言った。「犬としちゃ確かにエリートね」 それでは羊の登場でーすというお姉さんの声とともに、斜面の高いところから羊の大群が姿を見せた。牧場のお兄さんに追い立てられているようで、入り口から我先にと羊が降りて来ている。 そのままここまで降りて来るかと思えば、羊は無秩序に広がり、草を食み始める。 では、トムとジェリーに羊たちをまとめてもらいましょう。お姉さんはそう前置きしてから、犬たちに指示を出したようだ。 てんでばらばらに散らばっている羊に向かって、2匹の犬が駆け出した。 羊たちは、犬に追われ、いつのまにかひとつの集団になっていく。 「なんか羊が迷惑そうな顔してるわね」とハルヒがつぶやいた。 「食事の邪魔すんなってところだろうな」 それではここまで移動してもらいましょう! お姉さんは前置きを述べてから、また犬に指示を出した。 のんびりと羊たちが動き始めた。当然集団から遅れる羊もいるのだが、トムだかジェリーが、それを追い立てる。 迷惑そうな表情をした羊たちは、犬に追い立てられて、どんどん降りてくる。 「ほう、見事なものですね」古泉が感嘆したといわんばかりに言った。 「さすがエリートなんでしょうね」朝比奈さんが古泉に言う。 「………」長門はマナーモード中のようだ。 ショーが始まったばかりだというのに、牧場の関係者らしき人が駆け込んできた。 お姉さんはきょとんとしながら、関係者らしき人からの話を聞いている。あわただしく関係者が何人もやってきているのが見えた。 なにか事故でもあったのだろうか? 「あれ?馬がこっち向かって走って来るわよ?」 ハルヒの指先を追うと、確かに茶色い馬が全速力でこちらに向かって来るのが見えた。 誰か背中に乗っているようだが、ここからではよく分からん。しかし、よくしがみついていられるもんだ。振り落とされてもおかしくないぞ。 お姉さんが牧羊犬に指示を出して、羊たちを移動させはじめる。が、遅かった。 馬が羊の群れに突っ込んで、それを散らした。逃げる羊に興奮が収まらない馬がめちゃくちゃに斜面を駆けている 「うそ、何が起こってるのよ、一体?」ハルヒは目を白黒させながら言った。 お姉さんの説明によれば、乗馬体験中の馬が突然暴れだしてコースを外れ、ここに乱入したらしい。 「落ち着いて、係のものの指示にしたがってください」お姉さんは上ずった声で叫ぶように言った。 何人かの関係者が観客席にやってきて、観客を誘導しはじめた。 馬はめちゃくちゃに暴走しつつ、斜面を駆け上がろうとしていて、こっちにくる気配はない。 背中に乗ってるのはどうやら男らしい。着てるものに見覚えがあるが、パンジーの野郎が乗ってるのか? いまだに振り落とされていないのは、奇跡といってもいいかもしれん。 「ゆっくりと移動してください」関係者の人の声が聞こえた。 俺達の番が来たようだ。全員で立ち上がり、誘導にしたがって、観客席からそろそろと斜面に降りた。ゆっくりとそのまま、会場から出る道を歩いた。 「ショーは台なしだけど、面白いものが見れたわね」ハルヒは興奮ぎみに言う。「馬暴走なんて新聞でしか見たことなかったもの」 「でもなんで暴走なんてしたんでしょうね?」朝比奈さんが言う。 「馬は臆病な動物なので、ちょっとした刺激で暴走することはあるようですね」 古泉が朝比奈さんにそう返した。 「そうなんだ」 後ろを振り返ると、数人の関係者がそろそろと斜面を登っているのが見えた。 銃らしきものを携えているが、きっと麻酔銃だろう。 「キョン、よそ見してると転ぶわよ」ハルヒの声が鋭い。「前みて歩きなさい」 「ああ」 馬が突然斜面を駆け降り始めた。関係者を散らしながら、ものすごい速度で斜面を駆け降りると、こちらに一目散に走ってくる。 なんてこったい。馬がどんどん近づいてくるというのに、金縛りにあったようだ。 目の前に広がる非現実的光景に体がすくみあがってしまったのか。 「キョン!なにやってんの、逃げなさい!」ハルヒの叫びで、体に自由が戻ったようだ。駆け出そうとしたが、馬の気配を間近に感じた。 「させない」声の主は長門。「あなたは私が守る」 長門がスティックを馬に向けて振るのが見えた。馬が急に停止した。 まるで目に見えない力に搦め捕られたように。 「助かったぜ。長門」 「いい」どこまでも透明な瞳のまま長門がつぶやくように言った。 どさりとなにかが落ちる音がした。そちらをみれば、草原に横たわる男性の姿があった。やはりパンジーだった。 すぐ関係者が飛んできて、パンジーに声をかけはじめた。弱々しいながらも返事をしているところを見て、一応敵ながら安心した。 こんなところでリタイアするような奴じゃねえってことか。 ま、少しは見直したぜ、パンジーよ。 興奮も覚めやらぬまま、牧場の入り口まで戻ってきた。営業はこれにて終了ということで、皆帰り支度をはじめている。 関係者は青い顔をしながら、忙しく動いているようだ。 どうやら馬が暴走した原因は耳の中に飛び込んだスズメバチだったらしい。そりゃ馬でなくても驚くな。 古泉の説明によって動物催眠術使いとなった長門は、牧場の人に感謝されていた。特になにも貰えるわけではなかったが。 ああ、そうそうパンジーは無事だ。最初はへたばっていたが、死にそうな表情の橘がやってきた瞬間、立ち上がって無意味にも元気をアピールしていたな。ま、気持ちはわからなんでもない。 「もうじきバスが来ます。急ぎましょう」古泉はいつもどおりの冷静な口調でそう言った。 「やっぱり、帰るしかないかぁ」ハルヒはつまらなそうな顔で言った。 「これじゃいてもしょうがねえよ。……また来ようぜ」俺はハルヒに言った。 「え?それって、二人でっていう意味かしら?」 ハルヒはうれしそうに言った。古泉はプッと吹き出し、朝比奈さんは驚いて口に手を当てた。 長門は空気を凍らせるような視線を俺に送ると、すたすた歩き始めた。 おい、長門。俺は別に悪いことはしてないぞ? おわり
https://w.atwiki.jp/pantheon/pages/13.html
パンテオン? [パンテオン]は、オンラインゲームのアトランティカ、クレイオ・サーバーで活動しているギルドです。 "パンテオン"とは、ローマ帝国がローマに建造した、現存する神殿です。「すべての神」も意味し、万神殿として建てられました。 プラハ村を支配・維持しています。 社会人の方が多く、平日昼間は数名のINですが、平日夜間・休日は20名以上の方が同時にINされています。 個性的な方々がのんびりまったり、楽しく集っているギルドです。暖かい雰囲気が特徴です。 United国を建国しました。 加入手続き ギルド規約・推奨条項をよく読んでください。 ゲーム内で ギルド・マスターのプロティナかサブマスターまで囁きするか、村のギルド管理所で加入申請してください。 ギルド規約が問題ないか確認します。 体験期間について確認します。基本的には1週間程度後にマスターから連絡し、本人の同意の下で体験期間の終了とさせていただきます(ギルド内階級が新人からギルドメンバーへ変更されます)。特別な要望があれば、申し出てください。 以上、問題なければ、大歓迎です。 [パンテオン]ギルド情報 ギルドNo.:105 ギルドレベル:81 支配予定村:プラハ ギルドマスター:プロティナ 所属人数:50/50 所属国家:United国 ギルドポイント運用方針:村支配・維持、ギルドダンジョン、国家所属ギルドへの援助などに使用します。 ギルド資金運用方針:村支配の利益は、メンバーへ分配しています。王の審判やゲリラ戦被害の補償用に貯蓄も行っています。 ギルド活動内容 プラハ支配・維持・街づくり(村運営クエ・住民勧誘・ギルド製造) ソロPT、PT狩り 初心者講習会(毎日21時~開催) 修行場(不定期開催。強制参加ではありません) ギルド・ダンジョン(ほぼ毎日の21時or21時半or22時開始。強制参加ではありません。国家ダンジョンへの変更有り) 後々、ギルド・ダンジョン攻略を活動の主体にしたいと考えています。
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/10406.html
登録日:2011/11/11 Fri 11 50 56 更新日:2024/09/22 Sun 23 02 46NEW! 所要時間:約 4 分で読めます ▽タグ一覧 HUNTER×HUNTER ガム ゴム ドッキリテクスチャー ハンター バンジーガム ヒソカ ヒソカ=モロウ 伸縮自在の愛 具現化系 変化系 念能力 放出系 薄っぺらな嘘 変化系は気まぐれだから 大事なものがあっという間にゴミへと変わる だから ボクを失望させるなよ ゴン♠ 伸縮自在の愛(バンジーガム)・薄っぺらな嘘(ドッキリテクスチャー)とはHUNTER×HUNTERに登場する念能力。 使用者 ヒソカ=モロウ ●目次 ◆伸縮自在の愛(バンジーガム)活躍(1) ◆薄っぺらな嘘(ドッキリテクスチャー)活躍(2) ◆伸縮自在の愛(バンジーガム) よく伸びよく縮む つけるもはがすもボクの意志♧ もう逃げられないよ♥ 自分のオーラを「ガム」と「ゴム」両方の性質を持つオーラに変化させる変化系念能力。 ガムのようにあらゆる物体にくっつく ゴムのように素早く強烈に伸縮する という特徴を持ち、オーラの付け剝がし・伸縮のタイミングといった全ての匙加減はヒソカの意志次第で自在にコントロールできる。 伸びた長さおよび伸びる際に掛かる力の強さに正比例して縮む時のパワーと勢いが増大し、特殊な性質が付与されている以外はただのオーラなので重量や感触は存在しない。 基本的には指・手・足からオーラを伸ばして利用し体全体のオーラを変化させることも可能だが、「隠」により見えなくした上で相手に飛ばすことで付着させることも出来る。 ヒソカの体から離して使用した時は、能力の限界から来る制約として「10m以上伸びると切れてしまう」が、弾性・粘着性は体から離しても維持される。逆を言えばヒソカの体から離しさえしなければ恐らくどこまでも伸びる。 制約こそあるが原理そのものが極めて単純な上、持前の粘着力や弾性故に制約が実質無いに等しい。劇中ではトランプのカードなど様々な道具と組み合わせて使っている。 そして最大の特徴として、シンプルで応用範囲の広い能力故に「敵に能力の内容を知られてもマイナスに働かない」という特性を有しており、これこそがこの能力最大の肝。 「念による戦い=能力の探り合い」という大前提がある念能力者の戦いにおいて、この長所は非常に高いアドバンテージを持つ。その単純さ故に、オーラの容量もそれほど使わないものと推察される。 おまけにヒソカのオーラ全てがこの性質を帯びるため、例えヒソカの打撃をガードしてもその部分にバンジーガムが付着するため攻撃を防げないという性質の悪さも特徴。 『伸縮自在の愛』を完全に回避するには、ヒソカの直接攻撃全てに完全に触れてはいけない上に、オーラを込めた物体による投擲や直接のガム飛ばしなども完全に避けなければならないという非常に難易度の高い条件が要求される。 その非常に幅広い汎用性と柔軟な応用性を活かし、ヒソカの「嘘」「ハッタリ」「トリック」「悪辣な知恵」そして後述の『薄っぺらな嘘』などと併用することで、直接戦闘から戦闘以外の心理戦に至るまで絶大な威力を発揮する。 ただし単体で見た場合直接的な攻撃力は全くないため、有効に扱うには状況に応じて臨機応変に知恵を絞らなければならない欠点がある。 ゴムの性質を持つ以上、伸びている時にヒソカの肉体で耐えられるレベルを超えるだけのパワーが掛かってしまうとヒソカの肉体を傷付けてしまう点も無視はできない。 何よりヒソカ本人のフィジカルの強さ、基礎的な念能力の練度の高さが運用でのまず大前提。つまりはヒソカが使うことで初めて凶悪無比な能力となる念である。 名前の由来はヒソカが子供の頃好きだったお菓子から。 活躍(1) 初登場は天空闘技場のカストロ戦。 カストロ戦では切られた腕を天井に貼りつけて隠しておいたり、後述の「薄っぺらな嘘」と合わせて切れた腕をつなげたように見せカストロを翻弄し、最後は密かにつけたバンジーガムを使い切られた左腕とトランプをぶつけてとどめを刺した。 その後のゴン戦では、攻撃時につけたバンジーガムで手元に引き寄せてパンチで攻撃した。 G・I編ではレイザーとのドッジボール戦で使用。 ガムでくっつけて投球しゴムで手元に戻したりと活躍し、レイザーが跳ね返した球を更に跳ね返し勝負を決めた。 この時は過大な負荷がかかり、流石のヒソカも指の骨を何本も骨折している。 レイザーの球を受ける際に行った合体でも球を取りこぼさないようにガムで包み込み見事球を受け止めた。 ハンター協会会長選挙・アルカ争奪戦編では、主にゾルディック家の執事・ゴトーとの戦いで使用。 ゴトーの回転力を重視した弾丸の如きコインを大量に受け止め盾代わりに使った。 …が、この時はガムの弾性をコインの回転力が上回って強烈な捻じれを起こしてしまい、己のガムに腕をからめとられたまま動きを封じられたかと思われた。 だが先にガムを用いて飛ばした無数のカードに自身と結びつけたガムを予め付着させ、自分をそのカード目掛けて射出出来るようにする細工によって、反動を利用した不規則な超高速移動を披露。 そして彼のコインを放ち返すと同時に自身も死角から攻撃して仕留めてのけた。 暗黒大陸編のクロロ戦ではポテンシャルを遺憾なく発揮。 天井にくっつけ回避用のロープとして使用 クロロが作った人間大の念人形や、斬り落とした念人形の首をバンジーガムで捕らえて念で覆い強化し、伸縮自在のモーニングスターを即席で作り念人形の大群を迎撃し薙ぎ払う 自らの蘇生のための心臓マッサージに用いる 鼻や首回りの欠損を補う 弾力を生かして高速移動が可能な義指・義足として使用する 拘束に使う といった応用性の幅を更に拡げて見せており、低いと思われた攻撃力も使い方次第で充分どうとでもなることを証明した。 ただし限度も描かれており、単に放つだけでは人の頭部を覆う程度で人体全体は覆えなかったり、流石に手が壊されると精度と出力が落ちたりした。 このことから、長く伸ばすことも(少なくともクロロ戦までは)手や足を使わないと即座に出来ないらしく、体のどこからでも自由自在にオーラを操作できるわけではない模様。 また、特に弱点はないとは言えるが、能力を隠していないことからクロロは対ヒソカ戦を徹底的にシミュレートしており、警戒されて直接対峙する場面はほとんどなかった。 ヒソカ自身が物品や障害物を有効活用する場面も多いものの、クロロは徹底的にこの障害物(人)を壁や妨害として利用したことから分かるように、場合によっては障害物に邪魔されてしまうという弱点がある。 またガム自体の強度にも限度があるようである。 ◆薄っぺらな嘘(ドッキリテクスチャー) タネがわからないから驚く…奇術の基本だ♧ 自分のオーラに思念(イメージ)の力を加え、オーラで物体の表面を覆い「様々な質感」を物体上に再現する能力。 質感だけでなく見た目の変化も自在で、一般人が見ても違和感を持っていない上に熟練の念能力者相手に対しても平然と使用しているため恐らく凝でも簡単には見破れないほど超高精度の再現力を持つ。 具現化系との複合能力だが、手から放しても精度を維持出来ているので放出系とも複合している。 再現できる質感は自身の肌の他、染料、鉱物、繊維、動物の皮膚など軽く千を超え、文字を表示させることもできるなど非常に便利。 ただし制約として紙やハンカチのような「薄っぺらい二次元の物」の表面にしか再現できない。 例えるなら「非常に上質かつ精巧なカラーコピー」で表面を覆うようなもの。令和の時代だと自動車に貼る痛車ステッカーを思い浮かべればイメージしやすいかもしれない。 そのため貼りつけられたものと異なる質感を再現している場合実際に触られるとすぐにバレてしまう欠点を持つが、ヒソカは「だからこそだましがいがある」と捉えて特に気にしていない。 マチ以外の団員にはほとんど知らされていない能力で、マチもヒソカの傷の保護・装飾以外の用途は知らなかった。 加えてこれも単体で見た場合そこまで凶悪な念という訳では無く、あくまで上記の『伸縮自在の愛』とヒソカの知恵が組み合わせることで初めて悪質な念と化す。 ハンカチなど薄いものの表面に質感、見た目を再現して貼り付けることで立体の表面も再現可能。 こちらも名前の由来は、ヒソカが子供の頃に流行ったおまけ付きお菓子から。 活躍(2) 初登場はこちらも天空闘技場。 カストロ戦でハンカチに肌の質感を再現し、『伸縮自在の愛』を併用することでハンカチを貼り付けて腕が復活したように見せて動揺とブラフを誘った。 ヨークシンでは自分の占いの内容を改変し、幻影旅団を迷わせるなど地味ながらも嫌らしい活躍を見せる。 なおヒソカの背中の蜘蛛の入れ墨はこの能力を使って作ったもの。 G・I編ではフィンクスたちと出会ったことをゴン達にバレないようにするためにバインダーに使用。 旅団の名前を適当な名前に変更し、ゴン達に嘘の出会った人達のリストを見せている。 暗黒大陸編のクロロ戦後には失った体の不足部分を『伸縮自在の愛』で抑えつつ補い、薄っぺらな嘘を張り付けることで見た目は元通りにし、行動に支障が出ないようにした。 しかし念能力者なのでそのうち体が回復したとしても、体が修復されるまでオーラの消費量はどうなっているのだろうか? くくくく これも手品です♠ さてどんな追記・修正でしょう? △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] これヒソカの得意な変化系以外使ってないし、複雑な能力でもないしメモリ余りまくるんじゃないかな? -- 名無しさん (2013-11-17 05 34 08) てことはなんかまた新しく能力を拡充できるかもしれないじゃないですかやだー -- 名無しさん (2013-11-17 06 24 02) 単純で応用が効き尚且つ強い。カストロの無駄だらけと対称的だ。 -- 名無しさん (2013-11-17 09 47 38) しかもバレても問題ないっていう凄い強みもあるよね -- 名無しさん (2013-11-17 09 53 16) 強いけど蟻には相性悪くね?ってとこからヒソカのネタキャラが加速したイメージ。モラウ達に飽きられるコラ好き -- 名無しさん (2013-11-17 10 19 00) ヒソカだから強い -- 名無しさん (2013-11-17 10 39 29) ヒソカの子供の頃ってどんなだったんだろうな -- 名無しさん (2013-11-17 12 24 58) 念能力はあくまで戦闘の補助で主体となるのはヒソカ自身ってとこがヒソカらしいな。 -- 名無しさん (2013-11-19 05 43 51) テスクチャて凝使えばばれるのに「だからこそ騙しがいがある」とか言うからなあいつ。でもヒソカならやってのけるんだろうな(ヨークシンの予言改竄みたく)。 -- 名無しさん (2013-11-19 05 56 04) どっちも名前の元がお菓子だけどここの項目見たかんじだと薄っぺらな嘘は流行っただけで別に好きだったわけじゃないのね -- 名無しさん (2013-11-19 07 59 10) ↑凝で見破れるのかな? 隠とかならともかく、ただ貼り付けるだけのって見えるんだろうか・・・? -- 名無しさん (2013-11-19 11 19 54) ……何か切り札がまだ残ってそう -- 名無しさん (2013-11-21 14 29 51) 切り札があるとしても使い方のバリエーション程度で、新しく能力を追加したりはしないんじゃない?「だからこそだましがいがある」とか言って制約つけるような人だし -- 名無しさん (2014-01-05 18 39 23) まぁ別に強い能力ではないよね。使い手の使い方が上手すぎるってだけで -- 名無しさん (2014-02-08 13 25 30) ↑そこが冨樫先生の上手いところだよな。これで仕事さえしてくれれば……。 -- 名無しさん (2014-02-08 13 29 47) 絶対何か隠してるわ能力、こんだけでメモリ食うはずない。 -- 名無しさん (2014-02-15 15 06 45) 能力自体のメモリは少なくして、基礎能力上げる方に回してるんじゃないかな。ゴンやウヴォーギンもそんな感じだし -- 名無しさん (2014-02-15 15 24 09) まぁなんか他にも隠してはいそうではあるがな でもなかったとしても十分に強い ドッキリテクスチャーはともかくバンジーガムは極めて応用能力が高いことを幾度も証明しているしな -- 名無しさん (2014-03-04 14 06 03) 特別な技にしなくても、自系統を極めるだけで必殺技になる物もある。例えば強化系は練と纏だけで強くなるし(例:ウボォーギン)放出系も放出能力を上げるだけで強力な武器(例:フランクリン)。変化、具現、操作は「どう変化させるか」「何を具現、操作するか」を予め設定しないと上手く使えないが、自分との相性でそれを選択出来る。ヒソカはそう言う意味で己を知っており、シンプルだからこそ自分の戦略介入の余地がある能力にしている。戦闘に関してもトランプで闘ったり(恐らくトランプを強化している)メモリを残す事で戦術を変えられる(変化でメモリを使いきってしまうと、強化系の能力は使えなくなる)。 -- 名無しさん (2014-05-28 09 43 48) 基本性能上げるだけで十分強いというか上げないと使い物にならない。バンジーガムだって、実際のチューイングガム程度の量・伸縮性・粘着性だったら、話にならない。ドッキリテクスチャーは再現できる質感の数からしてメモリー食ってそう。 -- 名無しさん (2014-05-28 12 39 02) ↑成る程、そう言う考えもあるか。ただ性能上げなくては使い物にならないのは能力全般に言える。これは基本修行(練など)で鍛練、強化出来る気がする。ドッキリテクスチャーは、質感は再現出来るが触感は再現出来ない、と言う形でメモリ節約してる気がする。 -- 名無しさん (2014-05-28 15 10 58) いわゆる「ハマれば強い能力」ではなくて「ハメるための能力」。言ってみれば、マジシャンの騙す能力を「強化」してるようなもの。 -- 名無しさん (2014-05-28 15 19 37) ↑成る程、そう考えると納得。念主体の戦闘ではなく、補助的な能力と考えればしっくり来る。 -- 名無しさん (2014-05-28 17 07 52) 空間だの概念だのの強能力が多すぎて逆にこういうただの小手先の趣味能力が面白く見えてくる -- 名無しさん (2014-06-04 15 18 26) ふと思ったが、実はトランプ自体が念で具現化(変化と具現化系は相性がいい)した物だったりして。 -- 名無しさん (2014-06-10 10 10 24) ↑それは無いと思う。変化は放出系能力苦手だから投擲時に威力が落ちちまう。 -- 名無しさん (2014-06-10 10 13 16) 単純にトランプを念で強化してるって方がしっくりくるな -- 名無しさん (2014-06-10 10 23 51) そうかぁ。でも、何か他に能力隠してる気がするなぁ。盲点的な…頬のマークが能力に関係あるとか…伏線と気付かれないように伏線張ってある気がする -- 名無しさん (2014-06-10 17 31 37) 旅団で腕相撲三位だし余ったメモリの分だけ身体能力向上に使ってるんじゃない?そういう使い方ができるかはわからんけど。 -- 名無しさん (2014-06-21 13 33 32) ↑変化系だから強化系とも相性いいはず。 -- 名無しさん (2014-06-21 15 50 26) ↑3 嘘=ジョーカー 愛=ハートだしな 薄っぺらな嘘の方はビックリマン ドッキリシールからかな? -- 名無しさん (2014-07-01 11 48 58) ↑元ネタはそうかも。あったな、ドッキリシールとか。リアルな目玉とかのやつ。 -- 名無しさん (2014-07-01 11 54 04) この能力、念の気配がないってのも能力なのかな? 旅団全員が見破れないなんて -- 名無しさん (2014-07-02 12 19 29) 話術と演技でバレないように誘導してただけじゃね? -- 名無しさん (2014-07-02 12 20 59) 戦闘能力はともかく「念能力」としてはモラウやノヴ達の方が格上な感じがするな。ヒソカのことだからまだ能力隠してそうな気もするが -- 名無しさん (2014-07-09 09 19 39) シンプルさゆえにまだ能力を隠してるって発想を相手に与える辺りがヒソカらしいな。あるかわからない能力を警戒させるだけでもヒソカにはアドバンテージになるし -- 名無しさん (2014-07-27 07 42 21) 全体的なヒソカの強さの秘密は「速さ」な気がする。念の発動を気付かせないくらいの速さや、体術もスピード重視。 -- 名無しさん (2014-07-27 09 32 03) ふと、普段の外見も偽装である可能性を思い付いた。意味自体はあんまり無くて、何かの役に立つかも知れない、程度の理由で(ビスケ曰く「意味の無い嘘も吐くタイプ」)。 -- 名無しさん (2014-08-21 09 01 08) テクスチャの方は具現化系だろ -- 名無しさん (2015-09-19 14 01 30) 蟻篇でインフレして感覚が麻痺しているけど、この応用力と発想はすごい -- 名無しさん (2015-12-21 15 28 56) テクスチャに至っては情報戦ではトップクラスの能力だからな -- 名無しさん (2016-01-23 10 51 16) ガム付けられたらほぼ詰みとかそりゃ接近戦なんかしたくないわな。だからって爆弾人形の群れで圧殺するのは容赦なさすぎだけど -- 名無しさん (2016-06-13 19 10 05) ドキテクって布要らなかったのか…ホントに便利だな -- 名無しさん (2016-06-14 03 21 38) クロロ戦見るに、火力も申し分ないよなあ。蟻を絡め取って他の蟻にぶつける武器にする戦法が取れる事が分かったし -- 名無しさん (2016-06-14 07 46 23) ドッキリテクスチャーって薄っぺらなものにしか再現できないはずだけど自分のオーラは例外なのかな? -- 名無しさん (2016-06-14 09 08 15) ヒソカも成長して能力がレベルアップしたとか -- 名無しさん (2016-06-14 09 32 11) 義足や義指の代わりになるとか便利だなぁバンジーガム。 -- 名無しさん (2016-06-14 12 19 41) ↑×3 オーラを変化させて再現する能力だから、たぶん例外中の例外でいいんだと思う -- 名無しさん (2016-06-14 12 45 34) 布か何かをオーラの上に被せてるんじゃね? -- 名無しさん (2016-06-14 13 07 56) 補助で優秀な技が2つあるから火力技欲しくなるのはネトゲのやり過ぎか -- 名無しさん (2016-11-07 00 20 43) 東京グール作者が書いたヒソカ番外編でのこの二つ誕生秘話は好き。いくつか違和感とかあるけど、最悪パラレルと考えてもよかったと思ってる -- 名無しさん (2017-01-11 17 41 39) テクスチャを具現化と勘違いしてる奴がいるけど、質感再現ってのは平たく言えばオーラに色をつけてるだけだから、どう考えても変化 -- 名無しさん (2017-04-16 18 17 59) 変化系だと念能力者にはばれちゃうし、一般人には見えないから意味ないよ。具現化した物質は本物の物質と区別がつかないことを生かした能力。 -- 名無しさん (2017-06-22 20 40 52) この二つ以外にも他に念能力を持ってそうだけど、クロロ戦でも出さなかったから今後作るのか? -- 名無しさん (2017-07-21 02 30 51) 一般人に見えるのはオーラに光を反射・屈折させる性質を与えているからだとも考えられる。変化したオーラなのに凝でバレないのは、それこそインクジェットみたいに極微小の粒子状にしたオーラを使っているから。 -- 名無しさん (2017-07-24 07 23 20) むしろ何で変化系能力全部が一般人に見えないと思うのか?キルアの電気が見えるのだって、電気的性質に発光現象が含まれるからだろ。 -- 名無しさん (2017-09-29 20 54 54) 冨樫先生は締め切り間近の際、奥の手として原稿用紙にドッキリテクスチャーを被せる 念の強さは心のコンディションにも影響されるためやる気が無い時はネーム同然の絵になることも -- 名無しさん (2018-04-02 21 27 27) ↑本当にそうだったらどれだけ良かったか… -- 名無しさん (2018-04-02 23 02 21) 攻撃力に直結しない念とはいえ、伸縮力を利用したクロスボウや巨大化してバリスタを作成できる気がする。もっとも奇術師のヒソカにしては華のない運用法だろうけど -- 名無しさん (2018-06-15 15 31 30) ガムの強度も限界あるはずだよな。レイザーの合体念獣との引き合いでは諦めて放したし、場合によっては具現化した刃物やゴンのチョキなら切断できるかな -- 名無しさん (2018-10-30 14 49 08) ヒソカの能力って吉良吉影のキラークイーンに近いものがある気がする。純粋に「強くなりたい」と願っての能力ではなく、自分のアブノーマルな性癖を満たす事に特化した能力を追求していった結果、戦闘面でもかなり強い能力になっていたっていうのが -- 名無しさん (2018-11-20 00 25 00) ゴムゴムの実とマネマネの実が両方使えると思えば相当ヤバイ -- 名無しさん (2020-01-24 06 03 37) 凝でバレないのは単に陰を用いていないからでは、実際どういう画面で見えてるのか分からないけど、体に貼り付けてる分には体から出てるオーラに紛れてわかんなくなりそう -- 名無しさん (2020-07-03 03 24 57) 基本的に相手が常識的な人間のフィジカルしてる事と心理戦や情報戦でアドが取れる事がメリットになるシーンで活躍する念だから、圧倒的フィジカルでまっすぐ殴ってくる相手にはかなり相性悪そう -- 名無しさん (2020-07-03 15 54 51) 粘着性のあるオーラは性癖の現れ、メッキは騙すのが大好き故の特性か -- 名無しさん (2020-09-03 20 11 51) ↑2それこそ「技を超えた純粋な強さ、それがパワーだ!」みたいな怪物なんかが相手だと、強引にガム引きちぎられてパワー負けしたりするんかね。作中描写だとヒソカ自身のフィジカルもかなり高そうだからそう単純な話でもないかもだが。 -- 名無しさん (2020-09-03 21 00 12) ↑念能力とか身体能力を完全に無視してもヒソカって身長187cm体重91kgのヘビー級だしむしろフィジカル強者側なんだよな -- 名無しさん (2020-09-03 21 05 37) ドッキリ”デ”クスチャーになっていた部分を”テ”に修正しました -- 名無しさん (2021-08-16 17 59 21) よく考えたら団長の直接攻撃貰ってる時にガムつけること出来たんだよな -- 名無しさん (2022-11-19 22 40 22) ブラックボイスを警戒して受け身の状態でつけることは考えづらかったのかもしれない(下手に密着すると逆に即死の危険大なので出来れば自分から攻撃する形で使いたい)一番最初の頭をぶつけた時に張り付けられなかったのかというのはあるが… -- 名無しさん (2022-11-20 00 20 56) テクスチャーって具現化系と放出系の合わせ技だったのか、ヒソカ本人は変化系なのに。意外と相性悪いのかな。それに具現化系や変化系を手放しても使えるようにするのは難しいと聞くけど。 -- 名無しさん (2022-11-29 01 03 02) ↑『念能力者でない人にも見える』という点からして具現化系の要素が無いとおかしいってことではないかと。具現化系は変化形の隣だから相性はさほど悪くないはず。手放しについては……テクスチャー自体のオーラ消費量がもともと少ないから難易度もそう高くなかったとか? -- 名無しさん (2022-11-29 21 53 57) ↑1&2、手放しは、『念能力者ではない芸術家が自分の作品にオーラを残したままにできる』ことからも、他者に危害を加えないものはそれほど消費量や難易度は厳しくはないのかもしれない。あと、「だからこそだましがいがある」と考えるヒソカだから、予言改竄のような場合は時間経過で解除されそう。 -- 名無しさん (2023-02-03 13 53 57) ガムの性質があるのと、名前の由来がお菓子から来てることを考えると、フーセンガムよろしく膨らませることも出来そうだよなバンジーガム。もしかしたら膨張からの破裂による攻撃法とかもあるかも。 -- 名無しさん (2023-05-13 00 19 26) 薄っぺらなものにしか再現できないと言いつつ、顔や足に皮膚を再現してんのどうなの -- 名無しさん (2024-05-29 21 18 32) ↑薄っぺらな紙も丸めれば立体になるだろ -- 名無しさん (2024-05-29 21 41 55) 死後の念の影響で伸縮自在の愛も薄っぺらい嘘もパ無駄な念容量(メモリ)を使用してないからその分基礎能力部分の強化に使えるのがヒソカの強みだし、二つの発も死後の念で強化されてるの考えると割りと悪魔の実の能力者並みの厄介能力になってそうではある。 -- 名無しさん (2024-06-09 23 26 16) ガムは投擲で離れてても対応できるの強いよな。ガムの付着だけでいいなら下手な放出系より有効範囲広いケースすらあるんじゃないのかな -- 名無しさん (2024-06-25 22 21 52) 日本のお菓子の名前をこの手の能力に名づけるとして、バンジーガムもドッキリテクスチャーもギリありえるネーミングなのが秀逸だよな そしてタフグミと被らなくてよかった -- 名無しさん (2024-07-23 07 49 54) 同じ効果だとしても「接着剤付きバネ」じゃイメージしづらくて弱くなったりメモリ食うんだろうな。ゴムとガムってのがいい。 -- 名無しさん (2024-09-08 08 50 42) メモリ余ってる説があるがテクスチャで千種類再現できるからメモリ馬鹿喰い能力だよ。これもある程度雑っていう再現性にメモリ振ってないから数多いんだろうから -- 名無しさん (2024-09-22 23 02 46) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/haconiwa/pages/16.html
お菓子の庭(庭の面積: ) 【野菜】全11種/限定4種[おいしい畑]★ [実りの畑]★★ [豊饒の畑]★★★ 【草花】全20種/限定10種※家の周り [かわいい花壇]★ [色とりどりの花壇]★★ [花ざかりの花壇]★★★ 【果物/木】全25種/限定15種[甘い果樹園]★ [恵みの果樹園]★★ [太陽の果樹園]★★★ 【野菜】全11種/限定4種 魅惑のトマト・スイーツストロベリー・スイーツメロン・スイーツスイカ [おいしい畑]★ ラディッシュ・ジャガイモ・魅惑のトマト [実りの畑]★★ ラディッシュ・ジャガイモ・魅惑のトマト ニンジン・サツマイモ・スイーツストロベリー [豊饒の畑]★★★ ニンジン・サツマイモ・スイーツストロベリー メロン・スイカ・トウモロコシ スイーツメロン・スイーツスイカ -------------------- 【草花】全20種/限定10種 スイーツタンポポ・キャンディパンジー・ハートフラワー・スイーツマーガレット デコレーションチューリップ・ロリポップチューリップ・キャンディフラワー キャンディドリームス・バニラローズ・エッセンスオブバニラ ※家の周り たんぽぽ・パンジー [かわいい花壇]★ チューリップ・マーガレット・朝顔・スイーツタンポポ デコレーションチューリップ(時間縛り無し) └チューリップで誘引 ロリポップチューリップ(時間縛り無し) └デコレーションチューリップ+チューリップで誘引 [色とりどりの花壇]★★ チューリップ・マーガレット・朝顔・スイーツタンポポ カモミール・ペーパーホワイト・キャンディパンジー キャンディフラワー(時間縛り無し) └キャンディパンジーで誘引 キャンディドリームス(時間縛り無し) └キャンディフラワーで誘引 [花ざかりの花壇]★★★ カモミール・ペーパーホワイト・キャンディパンジー 赤いバラ・すずらん・おとめつばき・ハートフラワー・スイーツマーガレット バニラローズ(時間縛り無し) └赤いバラで誘引 エッセンスオブバニラ(時間縛り無し) └バニラローズで誘引 -------------------- 【果物/木】全25種/限定15種 スイーツラズベリー・スイーツブラックベリー・キャンディベリー スイーツアップル・スイーツピーチ・スイーツバナナ・キャンディツリー スイーツグレープ・スイートアメジスト・スイーツパパイヤ・ゴールデンドロップ チョコレートツリー・プルミエールショコラ・アイスツリー・デリシャスアイス [甘い果樹園]★ ぶどう・ラズベリー・スイーツラズベリー・ブラックベリー スイーツブラックベリー スイーツグレープ(時間縛り無し) └ぶどうで誘引 スイートアメジスト(時間縛り無し) └スイーツグレープで誘引 [恵みの果樹園]★★ ぶどう・ラズベリー・スイーツラズベリー・ブラックベリー パパイヤ・サクランボ・パイナップル・キャンディベリー スイーツブラックベリー スイーツパパイヤ(時間縛り無し) └パパイヤで誘引 ゴールデンドロップ(時間縛り無し) └スイーツパパイヤで誘引 [太陽の果樹園]★★★ パパイヤ・サクランボ・パイナップル・キャンディベリー リンゴ・みかん・モモ・バナナ スイーツアップル・スイーツピーチ・スイーツバナナ・キャンディツリー チョコレートツリー(時間縛り無し) └スイーツバナナで誘引 プルミエールショコラ(時間縛り無し) └チョコレートツリーで誘引 アイスツリー(時間縛り無し) └キャンディツリーで誘引 デリシャスアイス(時間縛り無し) └アイスツリーで誘引 -------------------- 普通の芽:ラズベリー・スイーツラズベリー・ブラックベリー・スイーツブラックベリー・パイナップル
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/2676.html
「ね、みんなで牧場にいきましょう!」 放課後、けだるい時間が流れる部室で突然ハルヒが大声を出した。 副団長以下、誰もそれに異議を唱える事なく無言のうちに了承しているようだ。 長門は読書をしつつもコクンと頷いたように見えたし、古泉は白く輝く歯を見せて大きく頷いた。 「牧場はいいですねぇ~」朝比奈さんはうれしそうに呟いた。「大きな牛とかいるんですよね、あと羊とか豚とかも」 「……馬も捨て難い」長門が呟いたが、俺には良く分からない。 「馬は、ちょっと癖があって苦手なんですぅ」朝比奈さんは長門に言った。 「そう?」長門は小首をかしげただけだ。 二人の会話が良くわからないが、それ以上話は続かなかった。 「いつどこの牧場にいくんだ?」俺はハルヒに尋ねた。 「週末に、山の上にある牧場によ」当たり前のことを聞くなという表情でハルヒが答える。 「そこに不思議が待ち構えているとでもいうのか?」 「そうね、もしかすると」ハルヒは期待に顔を輝かせた。「キャトルミューテーションなんかに遭遇しちゃうかも」 「日本に吸血コウモリ類はいねえよ」 「まったく夢のない……そんなだから、女の子にモテないのよ」 「ほっとけ」 古泉がなにか言いたそうに俺を見ているが、こっち見んな。 「で、どうやってあの牧場までいくんだ。あそこは山の上にある。まさか徒歩で昇るわけじゃあるまい」 「バスよバス。本数増えてさらに便利になったっていうのよ」 ハルヒが手招きした。俺は立ち上がり、ハルヒが指さすディスプレイを眺めた。 ディスプレイには、バス増発で牧場へのアクセスが便利になりましたなどという宣伝文句が踊っていた。 「なるほどな」 「確かに行きにくかったけど、これなら余裕で行けるわ。不思議探索はあたしたちの使命ではあるけれど、たまにはリクリエーションも必要よね」 常にリクリエーションじゃないのかと思ったが、それは黙っておくべきことだろう。 楽しそうに微笑むハルヒの表情をみれば、な。 あっけなくその日がやってきた。 待ち合わせの場所に20分前に到着すれば、なんと俺が一番乗りだった。これはなにを暗示しているのか。天候不順とか、牛大暴走で大騒ぎとか、羊に襲われたりするのだろうか。まさかな。 「あれ、早いじゃないの」 背中にハルヒの声が掛かった。明るいチェックのミニスカートに、白いアンサンブルという格好だった。珍しくよそ行きという格好だった。足元はショートソックスにスニーカー。 髪はいつものカチューシャでなく、紺色のリボンでまとめていた。 素直に可愛いと思うぜ。 「あら、そーゆーことも言えるようになったのね」すこしはにかむようにハルヒが言った。 「これでもちょっとは努力してるんだ」 「でも照れながら言うのはやめなさい。なんか恥ずかしいから」 「努力は認めろって」 「でも、結果出さないとね。しかし、いつもみたいにギリギリに来るのかと思ってたけど」 「いつも10分前には到着してるぜ」 「そうだっけ?」ハルヒは小首をかしげている。 「おはようございまーす」 朝比奈さんがのんびりとした声とともに登場した。優雅なシフォンワンピースがとても良く似合ってますよ、ええ。 と、心で思うだけにしているのは、ハルヒの目がすこし吊り上がっているからで、それ以外に理由などない。 「………」 三点リーダーと共に長門が顔を見せた。制服ではなかったが、白いブラウスに紺のカーディガンを羽織り、チェックのミニスカートというスクールスタイル。 足元は紺のロングソックスにローファーだった。 ま、長門によく似合っていて可愛いのだが、やはりハルヒの目がやや吊り上がっているため、俺は沈黙を守るしかない。 「おはようございます」キザったらしい声とともに古泉が登場した。さわやかな少年紳士といったところの装いとだけ言っておこう。男の格好に興味はねえだろう? 「さ、みんなそろったし、バスに乗るわよ~」添乗員よろしくハルヒが先頭に立った。バス停まで目と鼻の先だ。 バスに揺られること20分。牧場に到着した。ここは言わば観光牧場で、うまい牛乳やソフトクリームを楽しんだり、動物と触れ合う場所だ 何がいるかと言えば乳牛と羊、そして馬だ。あと小動物も居たはずで、ひょっとすると羊飼いの少年や、おじいさんと暮らす少女なんてのもいるかもしれない。 「ここ、アルプスじゃないわよ」とハルヒがつまらなそうに鼻を鳴らした。 「アルプスにもいねえよ」 「あら、ギャグのつもりだったわけ?」ハルヒがいやらしい笑みを浮かべながらいう。「だったら、もうちょっとおもしろいこと言いなさいよ」 その一言がとてもムカつく。あとで覚えとけ、ハルヒよ。 大きな蹄鉄を重ね合わせたようなゲートをくぐると、のどかな牧場が目の前に現れ、さきほどのムカつきも忘れてしまった。 わりとこじんまりとした厩舎が入って右手にある。その奥が牛舎で、さらにその奥に羊小屋がある。厩舎の左隣は牧場直営のお店となる。お土産、弁当、そのたさまざまなものが販売されている。 厩舎の右となりは小動物コーナーになっていて、なぜかウサギやら鹿、ヤギなどが飼われている。さらにその奥の敷地は羊追いショーが行われる場所だ。 そんな牧場内地図を、朝比奈さんと長門の二人が仰ぐように眺めている。 「なに探してるのかしら?」ハルヒが不思議そうに俺にたずねた。 「わからんな」俺は首を振った。 「ないですねえ~」と朝比奈さんが言う。 「……ない」と長門が返した。 「なにを探してらっしゃるんですか?」古泉が朝比奈さんにたずねる。 「バーベキューコーナーなんですけど……」顎に人差し指をあてた朝比奈さんが答えた。 「ステーキまたはジンギスカンでも可」長門は無表情で答える。 「え、あの、ここはそういうところではありませんが……」古泉が苦笑を交えながら言った。 「え? 牧場って新鮮なお肉が食べられるところじゃないんですか?」 朝比奈さんが驚いたように言った。長門は興味を失ったように横を向いている。 「そういう牧場もなくはないですが、一般的ではありません。あの、誰にそのような事を聞いたんですか?」古泉はさすがに戸惑いを隠せないようだ。 「長門さんです」朝比奈さんはそっぽを向いている長門に視線を送りながらいった。「こういう牧場は、おいしいお肉が食べられるところだって」 「ごく少数のサンプルからの推論は時として間違うことがある」そっぽを向いたまま長門が答えた。 そして長門はトコトコと一人歩きだした。 「なんか有希、バツ悪そうね」小声でハルヒが呟くほどに、長門の表情は恥ずかしがってるように見えた。 長門を追って、厩舎に入った。外からはこじんまりとしているように見えたが、中に入ると予想以上に広い。 8頭ほどの馬が柵につながれている。何組かの家族連れがそれを見学していて、なにかを馬に食べさせているのが目に入った。 長門は何かを見つけたのか、奥にすたすたと歩いていく。それを古泉が追いかけていった。やつもなにかを見つけたらしい。 「おっきいですね~」と朝比奈さんが目を輝かせている。「なんか優しい目をしてるし、結構可愛いんですねぇ」 「みくるちゃんって、馬見たことないの?」ハルヒが朝比奈さんに尋ねた。 「こんな近くで見るのは初めてなんです」 「ああ、そういうことね」 朝比奈さんは目を輝かせながら、馬を熱心に観察している。 長門と古泉が野菜スティックを手に戻って来た。なんだ、それは?食うのか? 「いえいえ、馬に与えるためのものですよ」古泉は苦笑いを浮かべつつ言った。 「奥で売ってました。あなたもいかがですか?」 「キョン、行ってみましょうよ」ハルヒに引きずられ、俺も奥に向かう。 野菜スティックが一握り200円で売っているコーナーはすぐ見つかった。 200円は高いが、まあ半分は本来のエサ代に充当しているということで納得するしかあるまい。 俺が金を払い、ハルヒが野菜スティックを受け取った。 とって返して、ハルヒが恐る恐る野菜スティックを白い馬に差し出した。隣の馬がずうずうしくもそれを食べようと首を突き出している。 「あんたはあと!ほら、食べなさい」とハルヒは野菜スティックを白い馬に食べさせ、その後でずうずうしい馬にも一切れ野菜スティックを差し出した。 「あんたもいる?」ハルヒは俺を見上げて言う。 「俺は馬じゃねえよ」 「誰も食えなんて言ってないわよ。あんたも馬にあげてみなさいよ。結構面白いわよ」 野菜スティックはあっという間になくなった。なかなか楽しいね。しかし、こうしてみると馬は結構可愛い動物だな。 「結構可愛いわねえ~」ハルヒはうれしそうに馬の首筋をなでてやっている。下手に触れば危ないはずだが、まあハルヒに限ってそれはないだろう。 白い馬は気持ち良さそうに目を細めている。 「そろそろいきましょうか」古泉がハンカチで手を拭きながらいった。 「長門と朝比奈さんは?」 「あれ?」古泉は後ろを振り返った。「いませんね?」 「また買いにいったみたいよ?」ハルヒがくすりと笑った。 ハルヒの指さす方をみれば、朝比奈さんと長門が奥の方に歩いて行くのが見えた。 「あたし達も負けてらんないわね」ハルヒが俺の腕をつかんで歩きだした。 古泉は苦笑して、ただ俺達を見送るだけだった。 結局野菜スティックに600円も使ってしまった。いわゆる大人買いよとハルヒは言うが、600円ごときで何を言う、そもそも大人げない行為に思うのだが。 厩舎を出ると、次は牛舎だ。乳牛の乳搾り体験できるらしい。 「庭があれば馬も飼えるんじゃないかしら」とハルヒが言う。 「それは無理だろ」と俺。 「すんごい小さな馬なら出来るかも」朝比奈さんは幾分か夢見がちな表情で言った。「可愛いですよね~馬」 「そうよね~でもいくらぐらいするのかしら、馬」とハルヒが大きく頷きながらいった。 「数十億する場合もありますが……」遠慮がちに古泉が言った。 「それは競走馬の話でしょ。普通の馬でいいのよ」ハルヒが言う。 「馬なんぞ飼ってどうするつもりだ」たまりかねて俺が言う。 「たまに乗って散歩すんのよ」ハルヒは平然と返してくる。なにを当たり前のことを尋ねているのかという顔だ。 牛舎の外にはあずま屋があり、そこに大きな乳牛がいた。 お腹の下にはバケツがおかれていて、子供が乳搾りなんぞを体験している。 家族連れが列に並んでいたが、カップルもいた。我々もそれを体験すべく、列に並んだ。次の次ってところか。いいポジションじゃないか。 「ハルヒはやったことあるか?」 「子供のころにね」 「俺も小さいころにやったな」 「僕は小学生の時に初めてやりましたよ」古泉が言った。「いやはや、力んでしまって大変なことになった記憶があります」 「あたしはやったことないんで、楽しみです」朝比奈さんはいかにもワクワクした表情を浮かべている。 長門を見ると、なにもいわず首をかすかに横に振った。まあ、やったことがあると言われた方が、すこし驚きではあるな。 ふと前に並んでいるカップルに見覚えがあるような……おいおい、珍しい組み合わせだな。 パンジー野郎と橘だった。こいつら付き合ってたのか? いつの間に? 「あれ? パンジー君じゃない?」朝比奈さんが声をかけた。「二人で、デート?」 パンジーは一瞬、ぎくりとした表情を浮かべたが、すぐにいつもの不敵な笑みを浮かべた。 「ふん、無理やり連れてこられただけだ」パンジーは奇妙な笑みを口元に浮かべながら答えた。 「恋愛などくだらん。そんなことは時間の浪費でしかない」 おいおい、となりの橘がうんざりした表情を浮かべてるが、そんな事言って、大丈夫なのか? あとでケンカしたりしないのか? 他人ながら心配しちまうぜ。 「誰? 知り合い?」ハルヒはわくわくした表情を浮かべつつ言った。「ひょっとしてみくるちゃんの元カレとか?」 橘が一瞬パンジーを見つめたが、パンジーはその視線を無視した。 「違います」朝比奈さんは珍しい事に、はっきり否定した。「単なる知り合いです」 「こんなところでお会いするとは…ね」古泉がややうんざりした表情で橘に言った。「忙しいのではなかったのですか?」 「こんにちわ、古泉君。今日はオフでここに来てるの。…お手柔らかにね」橘は取り繕ったような笑顔を浮かべつつ言った。 「あの子、実は古泉くんの元カノ?」 今度はパンジーがぎろりと橘を睨んだが、橘は平然とその視線を受け流した。 「違います」古泉は珍しくまじめな表情でいった。「そうですね、競合店のバイト仲間といったところです」 「そうなんだ。で、二人は付き合ってるの?」ハルヒは実に尋ねにくい質問をさらりと目の前の二人にぶつけた。 「俺はただこいつに強制的にここに連れてこられただけだ。下手な勘ぐりはやめてもらおう」 「ええ、実は付き合ってるの」橘はにっこりと微笑みながら言った。「なんてね、これもバイトの一環なの」 パンジーと橘が一瞬睨み合うのは、一体どういう理由なのだろうか。 「オフなのに、バイトの一環とは実に熱心なことですね」古泉はせせら笑うように言った。「上層部の覚えもよろしいことでしょう」 こいつにしてはとても珍しく、感情がそのまま表情に出ているかのようだ。 「……あなたもね。土曜日はお休みなはずなのに、わざわざこんなところまで来て。あなたこそ職務に忠実ね」 「古泉くんは、我がSOS団の副団長なの」ハルヒが胸を張るように言う。「当然の事だわ」 「ふっ、茶番中の茶番か」パンジーが言わなくても良いことを平然といった。……そう言いたくなる気持ちは分からなくもないが、な。 「あんた、一体何?」ハルヒが身構えながら尋ねる。「さっきから、くだらないなどなんだのと」 「当然の事を言ったまでだ」パンジーはせせら笑った。「なんなら、勝負してやろうか。女を殴る趣味はないが、特別だ」 「なんですって? こう見えても、あたし強いのよ。なんだったら、ここで証明してあげようか?」 「出来るものならな」そう言ってパンジーも身構える。腰が引けてるように見えるのは、気のせいだと思いたい。 「ちょ、ちょっとやめなさいよ、こんなところで」橘がパンジーの肩に手を置いた。 あーもーおまえら、平和な牧場の空気を乱すな。ギャラリーの視線が痛いそ。ヒーローショーやりたきゃ、他所でやってくれ、他所で。 俺がパンジーとハルヒの間に入ろうとした時だった。 長門がトコトコと歩み出て、パンジーをすこし見上げながら言った。 「……君の番」 長門が指差す方向には、困った顔で成り行きを見守るお姉さんの顔があった。 ぎこちない空気が流れる中、鍔迫り合いはそれで終わりを告げた。 「やってみる?」橘がパンジーに声をかけた。「君、やったことないでしょ?」 「ふ、この程度の事、経験のあるなしなど問わないだろう。まさに児戯」 「本当に大丈夫?」橘は呆れたようにパンジーに言った。「君って、結構ドジっ子じゃない。この前だって-」 「それは数多ある規定事項を確認した結果に過ぎない。それより下がっていろ」 パンジーに言わせると単なる牛の乳絞り体験が、危険な爆弾解体作業のように聞こえてしまうのは何故だ。 心配そうに一歩下がった橘の表情からすれば、こいつになにかをさせるのはある意味、危険なのかもしれん。……まさかな。 未来人が常にドジっ子属性もってるなんてこと、あるわけがないものな。 やや呆れた表情のお姉さんが、パンジーに牛の乳絞りのやり方を伝授している。神妙な表情でそれを聞くパンジー。 意を決したのか、パンジは牛の乳房に手を添えた。真剣な表情はまるで爆弾の起爆コードを探しているかのようだ。 「ねぇねぇ、あいつってひょっとしてヘタレ?」ハルヒが俺の耳元でささやいた。「なんかすんごく手つきがぎこちないわよ」 「未体験ゆえのぎこちなさだろう?」俺はハルヒにささやき返した。「やったことねえからな」 「やらしいわね、言い方が」 「そうか?」 パンジーは慣れない手つきで牛の乳をしごいているが、牛の乳はまるで出ない。どうもなにかを間違えているようだ。 「おかしい、何かつまってるのか?」パンジーは首をかしげている。 「んなわけないよ。なんかやり方が悪いんじゃないの?」橘はパンジーに近寄ろうとした。「ちょっと貸してみなさい」 「下がってろ」パンジーが手で橘を制した。「ここは俺に」 「んっもう。知らないわよ」すこしむくれた橘がまた後ずさった。「ちょっとは素直になりなさいよぉ」 「これぐらい造作もない」パンジーはそう言いつつ、牛の乳をしごいている。どうも、しごいてるだけで絞ってはいないように見える。 「なにかつまってるとしか思えん」パンジーはそう言いつつ、牛の腹をのぞき込むようにしながらしごき始めた。「ふ、やはり穴が-」 次の瞬間、パンジーの顔面に牛の新鮮な乳がふりそそいだ。全員があっけにとられた。 「ちょ、ちょっと大丈夫?」橘があわててパンジーの側に駆け寄った。いそいそとハンカチを取り出して、パンジーに渡してやった。 「くそ、これも既定事項だというのか」 牛の乳まみれの顔では、何言っても締まらんよな。 「バカ言ってないで、あっちに水道あるから、ね。行こう」 橘がパンジーを抱えるように立ち上がった。わき目も振らずパンジーを連れていく。 「とんだ茶番でしたね」 古泉がククっと忍び笑いを漏らした。朝比奈さんは呆れた表情を浮かべたままだ。 「なんかよくわかんないけど、あいつがヘタレだって事はわかったわ」ハルヒはため息交じりにそう言った。「なんか拍子抜けよねぇ、ケンカ売っといて」 「ま、気にすんな。俺達の番だ、えーと誰が最初にやるかだが……」 「なんであんたが決めるのよ。団長はこのあたしよ」 「お二人がケンカする必要はありませんよ」微笑みを取り戻した古泉が言う。「ごらんなさい」 長門が既に牛の乳搾り体験をはじめていた。実に器用に乳を絞っている。 「うまいな、長門」 「……この程度のこと。児戯に等しい」 ……物まねもうまくなったな、長門。 長門の後に古泉、朝比奈さんと続き、ハルヒ、俺の順で乳搾り体験は終わった。 ハルヒは意気揚々と羊小屋に我々を引き連れて向かったが、出産ラッシュ中とのことで、小屋への立ち入りはできないことが分かった。 「えーせっかく来たのにぃ~」などとハルヒはぶつぶつ文句を言っていたが、入り口に置かれたビデオで、出産中の様子をたっぷり2回鑑賞して気が済んだようだ。 「羊もかわいいわねえ~」目をうるませてハルヒが言った。「飼うのも楽しいかもしれない」 馬の次は羊か。そもそも羊飼ってどうするつもりだ。 「もちろん、毛皮取って売るのよ」ハルヒは事もなげに言った。「一匹だけていねいに育ててやって、希少価値つければ高く売れるでしょ」 「カシミアじゃねえぞ」 「カシミアだって希少価値があるとかいいながら、大量に販売してるじゃない。それよりずっと貴重ってことになるわよ」 「でも、羊飼うとなると、結構広い場所が必要になるんじゃないですか?」朝比奈さんが考えながら言った。「お庭とかでは飼えないかも」 「むぅぅぅ」ハルヒは真剣に考え込んだ。「やっぱり大規模にやるしかないのかしら。中国とかモンゴルの土地買い占めて大々的に」 将来の夢は世界に羽ばたく羊毛業者かよ。もうちょっと夢のある商売がいいぜ。 「あら、巨万の富を築けるかもしれないじゃない。現実的な商売をやるに越したことはないし」 ハルヒの将来構想はどこまでも続きそうな勢いだったが、聞き流すに限るぜ。 小動物コーナーに戻って来た。子供たちがヤギを追いかけているが、ヤギはすばしっこく捕まるようには見えない。 茶色やら白やら白黒やらのウサギが餌を食んでいる。モルモットと遊ぶ子供もいれば、ウサギを抱っこしている子供もいた。 ま、ここは子供たちが主役だ。もっとも、この牧場そのものが子供たちが主役になるべき場所なんだろうが。 朝比奈さんが突然しゃがみこんで、茶色い子ウサギを抱き上げた。朝比奈さんがの腕の中で鼻をヒクヒク動かしている。 おお天使に抱かれるウサギに祝福あれ。長門がそっと指先でうさぎの耳に触れて遊んでいるようだ。 「キョン~こいつすんごいでかいの~見て見て」 ハルヒの声に振り返れば、巨大な白ウサギを抱きかえるハルヒの姿が目に入った。おい、それ本当にウサギか。お前の胸ぐらいないか? 「それ、セクハラ!」なぜか顔を赤くしてハルヒが叫んだ。「団長にむかってセクハラとはなに考えてんのよ!」 「なにを言ってるんだ?」 「まるで見たことあるような言い方じゃない!」ハルヒはなおも叫んでいる。「みんながいる前だってのに、ちょっとは恥ずかしいと思わないの!?」 お前の方がよっぽど恥ずかしいわ。これじゃ逆セクハラもいいところじゃねえか。みろ、子供たちがそっぽ向いて、親たちが困った顔してるじゃねえか。 そんな破廉恥な行為は一切致しておりませんよ。健全に高校生らしいお付き合いをしておりますのでと心のなかで謝辞を述べながら、ハルヒに近づいた。 「セクハラ男対白ウサギの戦いよ」 ハルヒは片手で巨大白ウサギを抱きかかえ、空いた方の手でウサギの前足を掴んで、軽くジャブを放つ真似を見せた。 その表情は嬉しさで輝いているようにみえた。 おバカな茶番を演じた後は、腹も減るというものだ。時計を見ると、昼すぎてるじゃねえか。売店で弁当でも買って食おうぜ。 「だからなんであんたが指図すんの。団長はこのあたしでしょーが」 「小さい食堂もあるようですね」俺とハルヒの会話に参加する気のない古泉が、朝比奈さんと長門に言った。「ちょっと混んでるようですが……」 いついかなる時でも先陣を切りたがるハルヒが食堂の店員に確認すれば、3人なら大丈夫とのことだった。 「ふむ……困りましたね」まるで困った様子を見せず、古泉が言った。 「みんなで待ちます?」朝比奈さんは困った顔で言う。 長門は会話に参加せず、店先のメニューを眺めている。こっちはもう食う気満々なのだろうな。きっと。 「それじゃしょうがないわね。あたしたちは外で食べるから、古泉くん達はここで食べていいわ」 これまでのハルヒならば店内に駆け込み、何が何でも5人分の席を用意しかねなかったが、成長の証しだろうか。 「行くわよ、キョン」 俺の手首をつかんで売店に連行するところは、まるっきり変わってないがな。 売店でおにぎりセットとお茶を買って、日陰の場所を探した。 小動物コーナーと羊追いショーエリアのちょうど間が、そのような場所になっている。何人かの家族連れがお弁当を囲んで一休みしているのが見え、俺達はその場所に移動した。 歩けるようになったばかりの子供が危うげなバランスを取りながら、よちよち歩く姿が可愛い。つい頬が緩むね。 その様子を若夫婦がにこやかに見守りつつ、ビデオに収めている。 そのとなりには、やはり家族連れで幼稚園年長さんといった男の子がおむすびを口一杯にほうばっていて、こちらも微笑ましい。 その隣で奇妙な踊りを見せるのは、その子の妹だろうか。 俺にもハルヒにもああいう時代が確かにあり、そしていずれは親としてあのような時を過ごすのだろう。 それがいつの日になるのか、相手はいま隣を歩く奴だったりしてな。ま、それも悪くはないが、あまりにも既定事項過ぎないか。 そんな極個人的な未来に思いをはせながら、空いた場所を探す。 それはすぐ見つかった。大きな樫の木の下だった。木を挟んで反対側には別のカップルが座っているが、なに構うことはないだろう。 木漏れ日が揺れる地面に、こんなこともあろうかといつも持参しているレジャーシートを敷いた。靴を脱いで、レジャーシートにあぐらをかいた。ハルヒも同じように靴を脱ぎ、レジャーシートに横座りした。 真ん中におにぎりセットとお茶をおけば、昼飯の始まりだ。 ハルヒは黙々とおにぎりセットのラップをほどいている。俺はお茶のキャップを開けることにした。 「こんなんだったら、お弁当つくってくれば良かったかな」そういってハルヒは三角おにぎりにかぶりついた。もぐもぐと咀嚼を始めた。 「ああ、ピクニックも同時に味わえたな」俺もハルヒに負けじと三角おにぎりにかぶりついた。 しばらくふたりでもぐもぐと咀嚼をはじめる。 「まあね。でも……まいっか」おにぎりを飲み込んだハルヒが言う。「ピクニックはまた行こ。それはそれで別の方がいいわ」 「そうするか」 「ね、君の好きなものを作ってみたんだけど、どうかな?」 「ほぉ……うまそうだな」 ふと、後ろのカップルの会話が風に乗って聞こえてきた。どこかで聞き覚えが…などともったいぶらなくてもいいな、橘とパンジーの声だった。 「朝、6時に起きて作ったんだからね。感謝しなさい」 「この唐揚げは絶品だな」しばらく無言になる。「……料理の腕はかなりのものだな」 「ありがとう」すこしばかり照れて、それでいて嬉しそうな橘の声が聞こえる。 「どうかしたの?」ハルヒが小声で尋ねてきた。 「後ろにさっきの二人がいる」ハルヒの耳元に顔を近づけてささやいてやった。 「あのツンデレカップル?」 ハルヒは聞き耳を立てつつ、そっとおにぎりセットとお茶を脇にどけた。 俺も自分のおにぎりセットを脇にどけ、スペースを作ってやった。 ハルヒが俺に寄り添うように移動した。仲睦まじいカップルにしか見えないことだろう。 「で、どこまで聞いたの?」ハルヒが耳元でささやいた。 「唐揚げが絶品らしいぞ」 「……そうじゃなくて、蟻が餌だと勘違いして寄ってくるぐらい甘い会話はないの?」 「昼間だしな。弁当食ってるわけだし期待薄……お前は何を期待してるんだ?」 「あの二人の恥ずかしい会話を押さえとけば、なにかに使えるかもしれないでしょ?」 ハルヒらしいといえば正にその通り。しかも相手はいわばSOS団の敵とも言える存在だ。たしかになにかに使えるかもしれん。 「しばらくは、身動きとれないままか」パンジーの声が聞こえてきた。 「そうね。意思統一って本当に難しいのね。痛感したわ」橘がため息をつきながら言った。 「上の指示とあらば止むをえんだろう。橘がどうのという話ではない筈だ」 「ま、こうしてのんびりできるのもそのお陰だし。来て良かったでしょう?」 「………」 「さっきは恋愛など時間の無駄とか言っちゃって。本当に君は格好つけなんだから」 「あれは……あいつらの手前……」などとパンジーが絶句している。 「分かってるけど、ちょっと寂しいな」かわいらしく橘が言う。 パンジーはきっとおろおろしているに違いないが、その可愛い声は、108個あるという女の罠のひとつだ。気をつけろ、パンジー。 「橘だって、バイトの一環などと」すこし声がうわずってるあたり、罠に嵌まっている証拠だぞ、パンジー。 「古泉くんのニヤケ笑いをみたらね、つい強気になっちゃったの。……ごめんね」 「あいつにライバル心を燃やすのはほどほどにしておけ。それは自滅の元だろう」 「ご忠告ありがとね。あたしからも忠告…っていうかお願いだね」 「なんだ?」 「いい加減、名前で呼んでよ。ね」すねたような橘の声が聞こえた。 ニヤリとハルヒがいやらしい笑みを浮かべた。使えそうなネタひとつゲットといったところだろうか。 かなりの罪悪感を覚え、俺達は死んだ後天国にいけるのか心配になってきた。 「それは……」 「恥ずかしいのは分かるけど、二人でいる時ぐらいはいいじゃない」 「仮に全員で集まっている時に、うっかり京子と呼んだ日にどのような事になるか。想像できない橘ではあるまい」 「それはそうだけど……じゃあ、いまだけ。いまだけなら、いいでしょう?」 踏ん張れパンジー。そこで許してしまえば、あとはすべて許すしかなくなるぞ。気がついたら相手のペースだ。流れを引き戻せるかは、お前にかかっているんだ。 「分かった」やけにはっきりとしたパンジーの声が聞こえた。 ……軍門に下ってしまったか。こりゃ、尻に敷かれるパターン確定だな。 「じゃ、言って言って」はしゃぐように橘が言う。「お願い」 「き…京子」パンジーの声は緊張のあまりか、やや震えていた。 「なぁに?」橘がやけにかわいい声で返した。 パンジーの返事は聞こえてこなかった。確認するのもはばかれるが、撃沈したのだろう。 実に惜しい奴を亡くしてしまったもんだ。 撃沈しただろうパンジーに一人黙祷を捧げていると、ハルヒが首をそっと回して背後を伺っているのが見えた。 「バカ、何見てんだ」俺はハルヒの耳元にささやきかけた。 「シッ! いまいいところなんだから」 おいおい、こんな真っ昼間からラブシーンか?それは見逃す訳にはいかんだろう。俺もそっと背後を伺った。 二人はこちらに背中を見せたまま、見つめ合っている。もはや回りは見えていないに違いない。多分、音も聞こえていないに違いない。 パンジーの顔からはあのニヒルな笑みが消え、真剣な表情だけがあった。 「チューよ、チュー」ハルヒがまた耳元でささやいた。「見られてるとも知らず、いい根性よね」 ハルヒの小学生並なボキャブラリはともかく、人のラブシーンを固唾を呑んで見守ってる俺達のほうがいい根性してると言われそうだがな。 橘が瞳を閉じたらしく、パンジーがゆっくりと顔を近づけて行く。見てる方が何倍も恥ずかしいのが実感できたね。 これからは外でするのは慎まな……なんでもない。 ゆっくりとパンジーの顔が橘に近づいていく。1センチ、1センチとナメクジが這う速度より遅く、二人の距離が縮まって行く。 「うっわぁ………」ハルヒがなんだか分からない声を漏らした。さすがに他人の生キスシーンを目撃したことはないだろうからな。 いや、大胆だね。ひょっとしてこれが初キスか? それならもうちょっとロマンチックな場所でやったほうがいいぜ。 これは俺からの忠告だ。もっとも、いまさら遅いがな。 「ねぇねぇ、お兄ちゃん~ あの人達、キスしてんの?」 思いがけない大声が正面から降って来た。声に驚くと同時に、その声の主にも驚いた。さっきの家族連れの年長さんじゃないか。隣には妹まで付いて来ている。 それだけ言うと、妹と手をつなぎトコトコ歩いていってしまう。 最近の子供はほんとマセてるなと思ったときだった。ゴンと大きな、しかも痛そうな音が背後から聞こえてきた。 「いった~い」そして橘の声が背後から聞こえた。 橘は額を押さえている。パンジーも同じだった。一体、何があったんだ? 隣のハルヒは口をあんぐりと開けて絶句していた。 「どうしたんだ?」ハルヒに尋ねてみた。 「あいつったら、さっきの子の声に驚いたらしくて、あの子に思いっきり頭突きかましちゃったのよ」 驚いたあまり相手に頭突き……また特殊な例だな。 「なんか自爆体質なんじゃないのかしら、あの子」 「かもしれんな」俺はおにぎりをひとつ手に取った。 「さ、あたしたちもお昼ごはん食べて、みんなと合流しましょう」 「そうするか」 背後からは弱々しい橘の声と、おろおろするだけのパンジーの声が聞こえてくる。 どうも未来人は肝心なところでドジを踏む傾向にあるようだ……大丈夫か?未来。 20分ほどかけてゆっくり残りのおにぎりを食べて、古泉達と合流した。 「晴天の下で食べるおにぎりは、おいしかったのではないですか?」古泉が笑顔を浮かべつつハルヒにいった。 「まーね。で、どうだった?食堂は?」 「結構おいしかったですよ。プリンが絶品でした」幸せそうな表情の朝比奈さんが答えた。「もう甘くて、プリンプリンしてるんですぅ」 …意味は良くわからんが、とてもおいしかったということは良く分かった。 ところで、長門は何食ったんだ? 「焼き鳥丼ときつねうどん、そしてプリン」長門は平然と答えた。 「そんだけ食べれば、午後もフルスロットルよね」ハルヒはそう言い放った。 お昼からの楽しみといえば、牧羊犬による羊追いショーと羊の毛刈り体験がある。乗馬体験なんてのもあるのか。結構イベントは目白押しってことか。 お子様向けの小動物飼育教室なんてのはさておき、とりあえず羊追いショーでも見に行くか? 「そうね…じゃなくて今は団体行動中よ、キョン。団長はこのあたしだって何回言えば分かるの!?」とハルヒが俺を軽くにらみつけた。「あんたが決めてあたしが従うわけないでしょう?」 「提案してるだけだろうが」 「ひょっとして団長の座を虎視眈々とねらってるんじゃないでしょうねぇ?」 その称号だけは全力で拒否したい。団員その一で十分すぎるほどの不名誉に預かってるしな。 「どういう意味よ、それ!」 「まぁまぁ」古泉が苦笑いを浮かべつつ間に入った。「まずは羊追いショーを見学し、その後で乗馬体験または毛刈り体験というプランはいかがでしょうか?」 「さすが古泉くんね、提案もそつがないわ」ハルヒはにっこりと頷いた。「いい、キョン。団体行動中なんだから、ちゃんと上下関係をわきまえて発言しなさい、分かったわね?」 一瞬は同意しといてなんて奴だ。ま、いまに始まったわけでもねえが。 俺は肩をすくめて遺憾の意を表現した。 ハルヒはすこし不満そうな表情を浮かべたが、何も言わず、鼻を鳴らしただけだった。 長門を先頭に、羊追いショーが行われる場所に向け、我々は進軍を開始した。 なんてな。のどかな牧場の風景を楽しみつつ、ただのんびり歩いているだけだ。 横をスズメバチがすーっと飛んでいった。夏に向けて巣の拡張工事に忙しいのだろうな。 朝比奈さんと古泉が並んで歩き、その後を少し遅れて俺とハルヒが歩く。 「あんた、馬に乗ったことある?」ハルヒが穏やかな声で話かけてきた。 「子供の頃、ポニーに乗ったな。お前は?」 「同じね」 「ここにはポニーはいないが、乗馬体験ってのも引き馬に乗るって感じだろうな」 「そうね。でも、ちゃんと手綱を操って乗ってみたいもんね」 「かなり練習しないと、うまく乗れないんじゃないか?」 「よく練習しないと無理とかっていうけど、たいていそんなことないのよねぇ」 「それはお前が特別だからだろう」 「あたしにしてみれば、それが普通なのよ。なんで出来ないの?って感じ」 「出来る奴からすれば、そうかも知れんがな」 「あとでさ、あの白い馬に乗ってみましょ。二人で乗れるみたいだし」 「それはかまわんが、スカートなのに大丈夫か?」 「下にスパッツ履いてるから平気よ」 「そうか。しかし、ちとつまらんな」 「べ、別にあんたのためにこういう格好してきた訳じゃないもん」ハルヒはわざとらしい声で言い、ケラケラと笑った。 「どう? ツンデレっぽい?」ひとしきり笑ったハルヒが言う。 「ああ。感じは出てたな」 「でも反応がいまいちね。量産型ツンデレって感じかしら」 「なんだそりゃ」 「ありがちってことよ」 羊追いショーは、山の斜面をうまく使った場所だった。 ほとんど平地な部分に手作り感いっぱいの観客席がある。その正面にはお立ち台があり、言わばステージなのだろう。 観客席に人はまばらだった。まだ始まるまでに30分はあるからな。 中央からやや左、二段目の席というかベンチに、我々SOS団は腰を降ろした。左から長門、古泉、朝比奈さんと並び、ハルヒ、俺という順番だ。 「なんか買ってきとけば良かったわね」ハルヒがペットボトルの残り少ないお茶を見ながら言った。 「まだあるぜ」と俺は半分以上残ってるペットボトルを見せた。 「バカ」ハルヒはすこし戸惑ったように言ったが、意味は良くわからん。 「なんだったら、僕がまとめて買って来ましょうか?」古泉が立ち上がった。「今日、最後に到着したのは僕ですし」 「そう?悪いわね。じゃあコーラ買って来てくれる?」ハルヒは平然と言った。「半分凍ったようなのでいいいから」 「悪いんですけど、冷たいお茶、買って来てもらえますか?」朝比奈さんがにこやかに言った。 「サイダー」無表情な長門は一言だけつぶやいた。「炭酸強いのを」 「コーラとお茶と炭酸強めのサイダーですね。…あなたはどうしますか?」古泉が俺をみつめて言う。 「そうだな……コーラもう一本追加だ」 「コーラ二本とお茶に炭酸強めのサイダーですね」古泉は念押しするように言った。 皆が同時に頷いた。 古泉は軽く頷くと、そのまま売店に向かっていった。 「これ終わったら、乗馬体験してみたいですね」朝比奈さんが言った。 「そーね。そうしましょ。で、みくるちゃんは馬に乗ったことある?」とハルヒ。 「乗ったことないです」 「やっぱりね。そうだと思ったわ」 「涼宮さんは乗ったことあるんですよね?」 「ポニーにだけどね」 「ポニーってなんですか?」朝比奈さんは目を瞬かせながら言った。 「へ?」呆気にとられるハルヒの表情がちょっとツボに入った。「みくるちゃん、ポニー知らないの? 小さい馬のことよ」 「ふぇ?…なんですか長門さん……あ、あの、今のままでボニーだと思ってました」なぜか朝比奈さんは視線を足元に落としながら言う。 「ボニー?」ハルヒが怪訝そうな顔で聞き返した。「見まちがえてたってこと?」 「そ、そうなんです。わたしってよく見間違えるんです」 「みくるちゃんらしいわね。そそっかしいっていうか」 「そうなんです。……出来れば、大人になる前に直したいんですけどね」 「直すことないわよ。そのそそっかしさってのは、いい属性よ」 「属性……ですか?」良く分からないという表情で朝比奈さんが聞き返した。 「そそっかしい女の子に萌える層も少なくないわ、きっと」 「ああそっちの話なんですか……」朝比奈さんは苦笑いを浮かべた。 しばらくして、古泉が飲み物を抱えて戻って来た。やや楽しそうな顔をしているが、なにか面白いことでもあったのか。 「わかりますか」冷えたコーラの缶を二本、俺に渡しながら古泉が言った。 「ああ」俺は渡されたコーラの内一本をハルヒに渡した。 「彼らにまた遭遇しました」 古泉は朝比奈さんにペットボトルのお茶、長門に激炭酸なる缶を渡し終えると、長門の左隣りに腰を降ろした。 「乗馬体験の列に並んでいましたよ。仲睦まじい様子でした」 「それだけじゃないんだろう?」 「ええ、そのうち二人で乗るか一人で別々に乗るかで言い争いだしまして」 「なんでそれが言い争いになるのかしら?」朝比奈さんは不思議そうに言った。 「なんでも彼が言うには、馬に乗るのは一人というのが既定事項だそうです」 「ほう」未来人の考えることはわからんね。いや、朝比奈さんは例外中の例外だが。「奴は馬に乗ったことがあるのか?」 「なさそうです。まあ引き馬ですし、乗ってるだけでいいですから、簡単なのには間違いありません。最初は彼女も一緒に乗ろうと口説いていたようですが、途中であきらめたようで、別々に乗ることにしたようです」 「素直に一緒に乗ってあげればいいのにねぇ?」ハルヒも不思議そうに小首をひねった。「しかし強情な奴ねえ、なんでそんな奴と付きあってるのかしら」 「そうですね。まあ、人それぞれ思うところがあるのでしょう」 割りと橘は結構尽くすタイプのようだが、それが報われる時が来るのだろうか。 人ごとながら心配になるね。 ショー開始まであと5分ともなれば、観客席はほぼ埋まっている。それどころか、立ち見もちらほら見受けられる。 すこしぬるくなったコーラを一口飲んだ。 二匹の犬を連れたお姉さんが右手から登場した。ヘッドセットを付けているところをみると、このお姉さんが主役なのだろう。 いや、主役は二匹の牧羊犬になるんだろうな。 お姉さんが元気一杯の挨拶で羊追いショーが始まった。二匹の犬はそれぞれトムとジェリーといい、海外で訓練を積んだエリートという紹介だった。 「へえ帰国子女って奴ね」ハルヒが言った。「犬としちゃ確かにエリートね」 それでは羊の登場でーすというお姉さんの声とともに、斜面の高いところから羊の大群が姿を見せた。牧場のお兄さんに追い立てられているようで、入り口から我先にと羊が降りて来ている。 そのままここまで降りて来るかと思えば、羊は無秩序に広がり、草を食み始める。 では、トムとジェリーに羊たちをまとめてもらいましょう。お姉さんはそう前置きしてから、犬たちに指示を出したようだ。 てんでばらばらに散らばっている羊に向かって、2匹の犬が駆け出した。 羊たちは、犬に追われ、いつのまにかひとつの集団になっていく。 「なんか羊が迷惑そうな顔してるわね」とハルヒがつぶやいた。 「食事の邪魔すんなってところだろうな」 それではここまで移動してもらいましょう! お姉さんは前置きを述べてから、また犬に指示を出した。 のんびりと羊たちが動き始めた。当然集団から遅れる羊もいるのだが、トムだかジェリーが、それを追い立てる。 迷惑そうな表情をした羊たちは、犬に追い立てられて、どんどん降りてくる。 「ほう、見事なものですね」古泉が感嘆したといわんばかりに言った。 「さすがエリートなんでしょうね」朝比奈さんが古泉に言う。 「………」長門はマナーモード中のようだ。 ショーが始まったばかりだというのに、牧場の関係者らしき人が駆け込んできた。 お姉さんはきょとんとしながら、関係者らしき人からの話を聞いている。あわただしく関係者が何人もやってきているのが見えた。 なにか事故でもあったのだろうか? 「あれ?馬がこっち向かって走って来るわよ?」 ハルヒの指先を追うと、確かに茶色い馬が全速力でこちらに向かって来るのが見えた。 誰か背中に乗っているようだが、ここからではよく分からん。しかし、よくしがみついていられるもんだ。振り落とされてもおかしくないぞ。 お姉さんが牧羊犬に指示を出して、羊たちを移動させはじめる。が、遅かった。 馬が羊の群れに突っ込んで、それを散らした。逃げる羊に興奮が収まらない馬がめちゃくちゃに斜面を駆けている 「うそ、何が起こってるのよ、一体?」ハルヒは目を白黒させながら言った。 お姉さんの説明によれば、乗馬体験中の馬が突然暴れだしてコースを外れ、ここに乱入したらしい。 「落ち着いて、係のものの指示にしたがってください」お姉さんは上ずった声で叫ぶように言った。 何人かの関係者が観客席にやってきて、観客を誘導しはじめた。 馬はめちゃくちゃに暴走しつつ、斜面を駆け上がろうとしていて、こっちにくる気配はない。 背中に乗ってるのはどうやら男らしい。着てるものに見覚えがあるが、パンジーの野郎が乗ってるのか? いまだに振り落とされていないのは、奇跡といってもいいかもしれん。 「ゆっくりと移動してください」関係者の人の声が聞こえた。 俺達の番が来たようだ。全員で立ち上がり、誘導にしたがって、観客席からそろそろと斜面に降りた。ゆっくりとそのまま、会場から出る道を歩いた。 「ショーは台なしだけど、面白いものが見れたわね」ハルヒは興奮ぎみに言う。「馬暴走なんて新聞でしか見たことなかったもの」 「でもなんで暴走なんてしたんでしょうね?」朝比奈さんが言う。 「馬は臆病な動物なので、ちょっとした刺激で暴走することはあるようですね」 古泉が朝比奈さんにそう返した。 「そうなんだ」 後ろを振り返ると、数人の関係者がそろそろと斜面を登っているのが見えた。 銃らしきものを携えているが、きっと麻酔銃だろう。 「キョン、よそ見してると転ぶわよ」ハルヒの声が鋭い。「前みて歩きなさい」 「ああ」 馬が突然斜面を駆け降り始めた。関係者を散らしながら、ものすごい速度で斜面を駆け降りると、こちらに一目散に走ってくる。 なんてこったい。馬がどんどん近づいてくるというのに、金縛りにあったようだ。 目の前に広がる非現実的光景に体がすくみあがってしまったのか。 「キョン!なにやってんの、逃げなさい!」ハルヒの叫びで、体に自由が戻ったようだ。駆け出そうとしたが、馬の気配を間近に感じた。 「させない」声の主は長門。「あなたは私が守る」 長門がスティックを馬に向けて振るのが見えた。馬が急に停止した。 まるで目に見えない力に搦め捕られたように。 「助かったぜ。長門」 「いい」どこまでも透明な瞳のまま長門がつぶやくように言った。 どさりとなにかが落ちる音がした。そちらをみれば、草原に横たわる男性の姿があった。やはりパンジーだった。 すぐ関係者が飛んできて、パンジーに声をかけはじめた。弱々しいながらも返事をしているところを見て、一応敵ながら安心した。 こんなところでリタイアするような奴じゃねえってことか。 ま、少しは見直したぜ、パンジーよ。 興奮も覚めやらぬまま、牧場の入り口まで戻ってきた。営業はこれにて終了ということで、皆帰り支度をはじめている。 関係者は青い顔をしながら、忙しく動いているようだ。 どうやら馬が暴走した原因は耳の中に飛び込んだスズメバチだったらしい。そりゃ馬でなくても驚くな。 古泉の説明によって動物催眠術使いとなった長門は、牧場の人に感謝されていた。特になにも貰えるわけではなかったが。 ああ、そうそうパンジーは無事だ。最初はへたばっていたが、死にそうな表情の橘がやってきた瞬間、立ち上がって無意味にも元気をアピールしていたな。ま、気持ちはわからなんでもない。 「もうじきバスが来ます。急ぎましょう」古泉はいつもどおりの冷静な口調でそう言った。 「やっぱり、帰るしかないかぁ」ハルヒはつまらなそうな顔で言った。 「これじゃいてもしょうがねえよ。……また来ようぜ」俺はハルヒに言った。 「え?それって、二人でっていう意味かしら?」 ハルヒはうれしそうに言った。古泉はプッと吹き出し、朝比奈さんは驚いて口に手を当てた。 長門は空気を凍らせるような視線を俺に送ると、すたすた歩き始めた。 おい、長門。俺は別に悪いことはしてないぞ? おわり