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第1話 パラ 第2話 パラパラ 第3話 パラパラパラ 第4話 パラパラパラパラ 第5話 パラパラパラパラパラ
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カワカミプリンセス SP ST 根 気 PW 瞬 芝 D 体 聖夜に夢を、クリスマスカード(1)EX SS S S SS S S SS B A 07年上期現役馬シリーズ(2) SS S SS A A S S S A 08オークスシリーズ(3)EX SS SS SS S S S SS B A ウォッカ SP ST 根 気 PW 瞬 芝 D 体 聖夜に夢を、クリスマスカード(1) S A S A S SS S A B 07年上期現役馬シリーズ(2)EX SS SS S A S SS S S A 08ダービーシリーズ(3)EX SS SS SS A SS S S A S
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《遅延》《公開済》SSP002786 シナリオガイド 公式掲示板 パラミタくる? いくいく~! 担当マスター 森水鷲葉 主たる舞台 不特定の場所 ジャンル 学園生活 募集スケジュール 参加者募集開始日 参加者募集締切日 アクション締切日 2014-09-24 2014-09-26 2014-10-07 リアクション公開予定日 募集時公開予定日 アクション締切後 リアクション公開日 2014-11-07 - 2014-11-08 サンプルアクション (シナリオ参加者の方にお願い、サンプルアクションの具体的な内容を補完していただけないでしょうか)(サンプルアクション名の下の四角をクリックするとでてくる「部分編集」をクリックすると登録できます)(もしくはサンプルアクション登録用掲示板へお願いします。) 素敵な思い出を紹介する +... [部分編集] ▼プレイヤーの意図 思い出を伝えよう ▼キャラクターの目的 素敵な思い出を紹介する ▼キャラクターの動機 まだ誰も知らない思い出を全世界へお届けしたい! ▼キャラクターの手段 【乱入OK】【(キャラクター名前/MCもしくはLCいずれかをご記入ください)メイン】 『思い出の地』パラミタン 『どんな所』ドーム型リゾート施設 『思い出』ここでは色々なテロがあったけれど、バレンタイン撤廃を要求したテロがあった、結局失敗していたけど。いやでも個人的にはいい要求だと思った。いつか自分もやってみたい。 『補足』「あの時、思ったんだ。気持ちは痛い程わかるなぁって」 他の人の思い出の地を一緒に紹介したい +... [部分編集] ▼プレイヤーの意図 他の人へ乱入 ▼キャラクターの目的 他の人の思い出の地を一緒に紹介したい ▼キャラクターの動機 誰かの思い出の地の素晴らしさを、増し増しで紹介する! ▼キャラクターの手段 誰かの思い出の地、それは私の知らない素敵。 それを一緒になって紹介できるなんてもっと素敵! よーし、それじゃいっちょう、あばれて、 ごほん。ちゃんとまじめに紹介しちゃいましょうか! その他補足等 [部分編集] 【タグ:SSP 不特定の場所 学園生活 森水鷲葉 遅延公開済】
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のし巻いて、太鼓っパラ! 詳細・攻略 六代目のテーマ曲 BPMは129 詳細は以下の通り: バージョン 難易度 最大コンボ数 天井スコア 初項 公差 一人 二人 六代目 ★×6 353 951120点 986400点 750点 190点 精度曲である。 プレイ動画 かんたん ふつう むずかしい コメント なんで二人だと天井高くなるのですか? - 2010-11-20 10 01 36 譜面
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難易度表/おに/のし巻いて、太鼓っパラ! なんで二人だと天井高くなるのですか? - 2010-11-20 10 01 36
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種族:エルフ 年齢:63 性別:男性 身長(cm):178 体重(kg):67 3サイズ(B・W・H)(必要な場合): 職業:魔導騎士 所属組織:ブランシュヴァル騎士公国 ステータス 格闘 6 +1 射撃 2 魔力 4 統率 5 +1 技術 6 +1 耐久力 2 知力 5 潜在 6 騎乗 1 機動 7 +1 協調性 6 +1 運 2 ユニークスキル(PCのみ可): スキル(条件に合う物を、最大3個(NPCは4個)まで):四騎聖・エルフ・バトルマスター・スピードスター・フレンドリー 設定 娘が16過ぎてからパパと呼ばなくなって寂しいらしい 小ネタ: 創作者:シーモン
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◇ ――あと一度だけ、奇跡は起こるだろう。 きみと生きた日々の全て、優しい唄。 ◇ 走る。 走る。走る。 走る。走る。走る。 走る。走る。走る。走る。 走る。走る。走る。走る。走る。 走る。走る。走る。走る。走る。走る。 走る。走る。走る。走る。走る。走る。走る。 走る。走る。走る。走る。走る。走る。走る。走る。 狭山雪子は、走っていた。 その瞳には本来の彼女が持っていただろう優しい色合いなど欠片も残されてはいない。 瞳からぼろぼろ、ぼろぼろと涙を溢して、彼女は走っていた。 あの日々はもう二度と戻らない。 変哲もない日常は、私たちにはもう二度と戻ってこないんだ。 そう思うと、振り切った筈の全てが急激にいとおしく感じられて、つい振り返りたくなってしまった。 ――振り返ったら、帰れるかもしれない。 狭山の中で、エデンの園の蛇の如き甘美な誘惑が生まれてくる。 ああ、それはなんて素敵な未来。 私は須藤くんに酷いことを言ってしまった。 彼のことが嫌いだったなんて、最低の言葉だったと今なら思える。 幼すぎた。幼すぎて、取り返しのつかないことをしてしまった。 このまま逃げたら、犯した罪から逃げたら、今度は須藤くんまで失ってしまうかもしれない。 「…………っ!」 足を止める。 肌を叩いていたやけに爽やかな風が、走るのを止めたことで消えていく。 静寂が、こんなにも怖いと思ったのは初めてだった。 いっそのこと、大音量でロックでも流してくれたなら少しは気が晴れる。 音で溢れていた世界は、自分の真実を隠してくれる。 狭山は自分の耳を、ぱん、と叩いた。 やがて間髪入れずに、音なき世界がやってくる。 この静寂はまるで――狭山雪子を嘲笑っているかのように、鬱陶しくて煩わしいものだった。 「――うるさいよ」 五月蝿い。 煩い。 耳元を飛び回る羽虫と比較してなお勝る喧しさが、狭山をひたすらに嘲笑う。 静寂が叫んでいる。静寂が笑っている。お前は最低の女だと、爆笑している。 「違う、違う、違う、違う、違う、違う、違う…………………っっ!!」 違う――私は、狭山雪子は、須藤くんのことが心配だっただけなんだ。 彼は優しい。さっきのあれだって、彼にも色々積もるものがあったのだろうと分かっている。 分かっているからこそ、私は彼の元から離れることで彼を楽にしようと思っただけ。 断じて、私は悪いことなんてしていない。 褒められてもいいくらいだ。 だって私は、須藤くんが心配だったんだから。 彼が壊れてしまわないように、わざと彼のことを傷付けて―――― 「え」 がぢゃん――歯車が噛み合わない。 おかしい。私は彼のことを想って、彼を突き放しただけなのに。 狭山はかちかちという奇怪な音を聞いた。 それは時計の秒針が時刻を刻むように、継続的に鳴り響く快音。 それが自分の歯の根が合わない音だと、彼女はついに気付かなかった。 「ち、がう!」 静寂が嘲笑う。ここにいない、誰かが嘲笑う。 それは瀬戸麗華の姿をしていた。 それは浅倉翔の姿をしていた。 それは、それは、それは、それは、それは、それは、それは、それは――。 存在しない幻想に狭山は震える。 元より、狭山雪子は強い少女などでは断じてないのだ。 どちらかといえば、とても弱い。守られるべき小動物のような存在。 彼女では、須藤凜のように集団を取り仕切ることは出来なかっただろう。 そもそも、集団のリーダーになろうという考えに至ることさえなかったろう。 そんな彼女に―― 「ちがう」 ――級友の死を目撃し。 ――その直後に、級友に否定され。 ――強い言葉を投げつけて逃げる。 そんな『強いもの』のやることの重さに耐えられる道理なんて、どこにもなかったのだ。 現にこうして、狭山は混乱の渦中へと放り込まれている。 自分のしたことに自信を持てず、それどころか陥るのは自己嫌悪。 綺麗事で包み隠した真実を、御丁寧にも自分自身で一つ一つ暴いていく。 狭山雪子という少女の弱さを。 人間という生物の醜さを。 彼女は、最悪の形で見せつけられるのだ。 「わたし、は…………」 かっちん。 歯の鳴る音が、一際強い音を鳴らしたところで止まった。 その音はまるで、歯車が噛み合ったようだった。 狂い始めた歯車は、かちりと噛み合って再び支障なく回り出す。 ――それが、何をもたらすかなど知らないままで、歯車は回る。 「…………須藤くんに、苛ついただけ…………?」 狭山雪子は変哲もない日常を生きてきた、普通の少女だ。 彼女は死体を見た経験すらろくにない。 銃を持った経験もない。 曲がり角で男の子とぶつかり、劇的な出会いを果たしたこともない。 彼女は天使ではなかった。 ただの、どこにでもいるような多感な時期の少女だったのだ。 だから――怒りのままに行動してしまうことだってある。 それは致し方のないことだ。 そういうのがあるから、『青い春』――青春と呼べるのだろう。 「――――」 狭山は目眩がした。 直後に、心を麻縄で縛り上げられるような苦しみに包まれた。 何事にも、時と場合ってものがある。 狭山が須藤に感情をぶつけることだって、例えばこれが文化祭の準備とかだったら青春だ。 後に劇的な仲直りを経て、絆がもっと固く美しいものになるかもしれない。 けれど。 これは青春の物語ではない。 青い春ではなく、赤く熟した夏なのだ。 春に吹く風が夏に吹けば、それは異常なものになる。 「う、ぁああああああああっ! ちがう、ちがう、ちがう、ちがうっっっ!!!」 狭山は止めた足を再び動かして、半狂乱で走った。 それ以上先のことを考えたくなかった。 らしくないことをしているせいで、喉が痛くて唾液がねばつく。 心地悪い。体も汗を掻いているし、心は安らぎとは無縁の冷たさに晒されている。 このまま、気絶するまで走り続けられたらどれほど良いだろうか。 夢の中でなら、誰も欠けない平凡な日々に戻れる。 浅倉と須藤がいて、麗華と自分も仲良く過ごす。 そんな日々は――もう、泡沫の夢でしか視られない幻想になってしまった。 (――たすけてよ) たすけて。 たすけてよ。 狭山は届かない悲痛の叫びを、心の中で何度も何度も復唱した。 声に出して叫んだら、きっと止まらなくなってしまうだろうから、心で絶叫した。 張り裂けそうになる喉。 暑い。寒い。暑い。寒い――ああもう、何もかもが気持ち悪い……!! (麗華ちゃん、東奔西走さん、誰でもいいから) もう、誰でもよかった。 見ず知らずの誰かでもいいから、助けてくれる人が欲しい。 寄り掛かる手摺がなければ、狭山雪子はパンクしてしまう。 それほどまでに、今の狭山は心身共に追い詰められていた。 疾走するパラべラムは、否応なしに疲労という名の猛毒で少年少女を蝕み侵す。 須藤凜も。狭山雪子も。疾走で得た代償は、あまりにも大きくてどろどろとした泥だった。 「だれか、たすけてよ…………」 荒い息を吐きながら走る少女は、しかし唐突に足を止める羽目になる。 勢いに任せて逃避を続ける弱き少女の望んだ通りに、そこには救いの手があった。 急に止まったことで力が抜け。 蓄積していく疲労が一気に押し寄せる。 身体中が熱い。なのに心は寒い。 まるで夏と冬が同時にやって来たような錯覚すら覚えさせる、この世の地獄。 たすけてよ。狭山はもう一度、誰にともなく呟いた。 その言葉は誰かに向けたものではなかった。 強いて言うなら、そう呟くことで少しでも心を楽にしたかったのかもしれない。 自分を悲劇のヒロインと飾れば、罪悪感が少し位は薄れてくれるのではと思って。 しかし――そんな狭山は、信じられないものを見た。 それは彼女が最も欲していたものだった。 手があった。優しく差し伸べられたその手は、目眩を起こす視界にもくっきり映っていた。 「――立てますか?」 立てない。 精神(こころ)が、立たせてくれない。 でも、狭山雪子の体は勝手に動いて、差し伸べられた手を取っていた。 その手は優しく見えた。 美術の授業なんかで習った天上の偉い神様の手のように、慈愛に満ちているように見えた。 「……立てないんです。私は、もう何もかも分からないんです」 狭山は弱音を溢す。 一言弱音を溢すごとに、疲労が消えていくようだった。 目の前の男はそれを一つ一つ丁寧に聞いて、親身に頷いた。 なんて好い人なんだろうか。 そう彼女が思ってしまったのも無理はないだろう。 「……そうですか。では、私と一緒に行きましょう」 「――え?」 思わず顔を上げると、そこで初めて狭山は男の全身を見た。 彼は異様な風貌をしていた。 白衣を纏った上に、銀髪。 おまけに義眼まで嵌め込んだ、言っちゃ悪いが胡散臭さの塊のような男だった。 「私はあなたのような人を見過ごせない。困っている人には手を差し伸べよ――それは私が律した戒律なのですから」 戒律。狭山はそれが何かは分からなかったが、目の前の男に既に付け入られていた。 ああ、確かに彼は狭山雪子を救うだろう。 不安なんて消し飛ばして、新しい世界を見せてくれるに違いない。 ただし、それをしてしまえば変哲のない日常への帰りの切符は今度こそ失われる。 狭山雪子は―― 「あの……あなたは?」 ――この時、『神隠し』に遇った。 「阿見音弘之。神様などやらせて頂いております」 ◇ ◆ 知ったことじゃあねえな。 力づくで来るってんなら、俺はそれをきっちり後腐れなく焼き尽くすだけだって話だ。 銀丘白影と被験体01号の戦いは、ゴングなんて上等なもののないままに始まった。 先手は01号。彼の目的は、銀丘白影の凶行を止めることだった。 彼はとある理由で、銀丘白影という男の素性と性質に触れた。 それで駆け付けてみれば、幼女――璃神妹花を殺害するか考えあぐねている最中ときた。 なりふり構っちゃいられない。 話すのはぶちのめしてからでも遅くはない。 01号は短絡的に、しかし銀丘という詐欺師を相手取る上では最善ともいえる策を打ち出した。 それが良手か悪手かといえば、どちらでもないのが実際だったろう。 「はぁッ!」 01号の拳が宙を裂く。 プロボクサー顔負けの一撃は、しかしまだお得意の硬化を使用しないでの一撃だ。 当たれば銀丘といえど一撃でノックアウトは免れない。 迫る拳は、銀丘を撃ち抜かんとしたが――すんででかわされた。 舌を打つ01号へ、見えない網を掻い潜るようにして銀丘が迫る。 用いるは加藤清正から奪った剣、同田貫正國。 元のナイフに比べれば使い勝手は悪いが、得物としては一流の名が似合う業物。 それを、微塵の容赦もなく01号の首に向けて放つ。 殺すつもりでの一撃だ。 01号はまだ加減を考えているが、銀丘にはそれがない。 殺し合いに乗るか否かを決めていないとはいえ、彼は不殺主義者ではないのだ。 むしろ、自分の障害ならば排除すべきと考える人間。 ――故に、この二人は殺しても構わない。 璃神妹花はまだしも、こいつらに用はない。 用途も、思い付かん。 「散(い)ね」 振り払われた刃は、しっかりと01号の首を捉えた。 が、刺さらない。 首の皮一枚すら裂けぬまま、刃は止まる。 「っ」 銀丘は即座に刃を引き、詐欺師らしからぬ華麗な動きで01号のカウンターの間合いから離れる。 冷静沈着な彼でさえも、今のは驚いた。 完全に予想外の展開すぎて、一瞬思考を白紙にするなんてミスをやらかしてしまったほどだ。 あと一瞬反応が遅れていたら、やられていた。 銀丘は冷や汗を感じた。 「……サイキッカーか。これは面倒だな」 皮肉るように笑う銀丘を、更に01号は傑作だとばかりに笑い飛ばす。 銀丘白影の常識を、更に過ぎた存在。 サイキッカーならざる能力者――被験体。被験者・01号。 「俺はそんな上等なもんじゃねえ。もっとも――お前をぶん殴るのに、支障はねえけどなぁ!!」 01号が跳ねる。 そこからの、釘打ち道具がごとき鋭いドロップキック。 当然そんな大雑把な攻撃では銀丘は射止められない。 それは01号だって理解している。無論、銀丘だって理解している。 ならば自然と、次に飛んでくるのは―― 「やはりか」 「チィッ、ちょこまかと!」 着地からの、上段蹴り。銀丘は首を反らすことで、それをどうにかかわした。 強い。互いが互いを、意図せぬ形で認めざるを得なかった。 銀丘の計算は01号の直線的な戦闘を把握し、搦め手で攻めてくる。 一方の01号は銀丘がどれだけ計算を重ねても追い付けぬ一撃を叩き込まんと躍起になっている。 確実な勝利はここにはない。 これは――まさしく死合だ。 一瞬でも意識を反らしたが最後、敗北もとい死へと直結する、そんなあまりにも色濃い死線。 「詐欺師さんよぉ、随分な身のこなしじゃねえかよ!」 「――?」 銀丘は、01号の言っている意味がまるで分からなかった。 詐欺師。ふむ、確かに俺は詐欺師だな。 詐欺師でもあるし、いけない薬の売人だってやる、裏街道のエキスパート。 アンダーグラウンドの支配者――銀丘白影だ。 しかし、彼は決して自らの素性をひけらかすような馬鹿ではない。 「……それをどこで知った?」 思えば最初からおかしかった。 自分はまだ璃神妹花に対して何のアクションも起こしていなかったのに、それなのに彼らは自分を敵視していた。 胡散臭さがあるのは否定しないでおくが、初対面でいきなり襲われるほど悪い人相をしていた覚えもない。 おかしい――銀丘は、自分の素性が漏れている不快感を隠さずに雰囲気で表した。 場合によっては、このバトルロワイアルでの立ち位置を本格的に決定しなくてはならなくなる。 訝る銀丘に、01号は挑発的に答えた。 「教える義理はねえな。少なくとも――お前が危ねえ奴だって裏は取れてんだよ、ばーか」 続いて、間髪入れずに放たれる正拳。 それを軽く受け流しながら、銀丘はふっとため息をついた。 それは呆れ果てたようでもあり、同時に何かを決めた瞬間にも見えた。 直後――殺意が膨れ上がる。 「そうか。ならば、聞き出すだけだ。まずはお前の四肢を落とす」 その圧倒的な殺気に、01号も一瞬背中の毛が粟立つ感覚を覚えた。 この男は本気だ。 自分が出所を吐くまで、ありとあらゆる拷問を加えてくるだろう。 いや、わざわざ能力者である自分を使うまでもない。 稲垣葉月。 非戦闘員の彼女を痛め付けて情報を聞き出す手段を、合理主義者らしく選ぶ筈だ。 なればこそ、尚更負けるわけにはいかなくなった。 ぶん殴って、無力化する。 01号は拳を握り。 銀丘は恐れることもなく彼の間合いへと踏み込んだ。 「おらぁッ!!」 硬化を施した鉄拳だ。 これでなら、即死には至らずとも意識を奪うくらいは容易な筈である。 尤も、こんな単純な攻撃で奴を倒せるとは微塵さえも思っていない。 銀丘白影は見た目や在り方からは想像できないような強さを秘めた、強敵である。 01号の中からは、とっくに所詮卸しやすい雑魚の烙印が消えていた。 「馬鹿の一つ覚えって言葉を知っているか。お前のことだ、バケモノ」 バケモノ呼ばわりという明らかな挑発をしつつ、銀丘は同田貫正國で狙いを定めた。 01号の強度は既に体感済み。あれは、打ち所の問題でどうにか出来るものではない。 しかし、肉体には絶対に鍛えられぬ部位が存在することもまた事実。 銀丘はアンダーグラウンドの世界のプロフェッショナル。 屈強なゴロツキと争いになったことも何度か経験している――その中で、彼は見出だした。 どんな強者でも打ち倒す秘策を。 強化できない部位。 それは即ち、眼球である。 (正面からでは通らんだろうからな。搦め手でいかせて貰うぞ) だから最初は腹を狙う。 腹を狙って、硬化を発動した瞬間に矛先を変える。 そうして眼球から脳髄までを貫き、01号を殺害する。 先程は四肢を落とすなんて言ったものの、01号も考えていたように、彼にはそんな愚を侵す気はさらさらなかった。 やるなら、赤髪の女だ。 あれは見たところ人間――ならば、耐えられる苦痛に限度というものがあるはず。 「一つ覚えはそっちだろうが、そんなモンはちっとも効かねえってんだ!」 「果たしてそうかな――――何ッ!?」 銀丘が、初めて明確な動揺の色を示した。 被験体01号の体が、まるでゴムのようにしなって、曲がったのだ。 しまった――銀丘が己の失策を悔やんだ時にはもう遅く、案の定『硬化』がやってくる。 ゴム程の軟らかさのまま、刃が触れると同時にそれは鋼鉄同然の強度へと瞬間的に変貌する。 「ぐぅっ……!」 衝撃で手がじんじんと痺れを訴えてくる。 完全な予想外だった。読み負けた。 強度を変化させることが出来るなら、どうして硬化が全てだと勝手に決めつけてしまったのか。 油断していた。そう悔やんでも、01号の追撃を止めることには至らない。 拳が迫る。狙うは自分の顔面。 あれに殴られたら、間違いなく意識が飛ぶ。 最悪脳震盪を起こすだろうし、打ち所が悪ければ死ぬ。 諦めたように銀丘は目を瞑り―――― ――片目だけを開いて、ウインクした。 「――ヒット」 瞬間、彼の視界を赤い爆炎が覆い尽くした。 「な、んだとッ……!」 01号は咄嗟に肉体の硬度を引き上げるが、突き出していた右の拳は火傷を負ってしまった。 当然だ。右拳は爆心地で直にそれを受けた――硬化でも、殺しきれない威力が濃縮されていた。 だが解せない。01号は神に誓って、銀丘は何の備えもしていなかったと断言できる。 大体爆弾をこんな間合いで使えば、より大きな被害を受けるのは硬化を持たない銀丘自身であるというのに。 何が起きたのか――煙が晴れる前に、銀の刃が突然突き出てきて、01号の首の皮を一枚浅く裂いた。 「チッ、失敗か。……だが、お前もやはり人の心を持っている。ならば騙せる。それなら、私が負けるわけがない」 冷静になって見れば、01号の体には少しずつながら掠り傷が刻まれているのが見て取れた。 それに、どうやら苦痛も零というわけではない。 硬化能力は確かに厄介だが、この分なら絶対倒せないということは無さそうだ。 これまでの戦闘から計算して、彼を倒すには手持ちの爆弾を何度か当てれば事足りる。 それがまどろっこしければ、ディパックの中の『切り札』を使えばいい。 あの強度なら、ラハティの重い重い一撃を凌ぐことはまず不可能だろう。 仮に一度は耐えたとしても――その頃には、奴はもはや死に体同然の筈。 勝者は、銀丘白影になる。 「……まさか」 「ああ、言っていなかったな。私は『サイキッカー』なんだ――ふん、そこまでは知らなかったのか?」 嘲笑う銀丘に、ぎりりと悔しそうに01号は歯軋りをする。 その通りだった。01号は、銀丘白影が危険人物であることは知っていたが――能力者とは聞いていない。 情報に欠けていた断片が、巡り巡って彼を突き刺すこととなった。 「……お前は、どうしてその力でこんなクソゲームを潰そうとしない」 01号は全身にまだ残留する熱さに顔をしかめつつ、銀丘に問わずにはいられなかった。 それだけの力と頭脳があれば、バトルロワイアルを転覆させる上で必ず大きな力になる。 それなのに、どうしてこの男はこうやって、ひねくれたことばかりするのか。 心から、理解ができなかった。 そんな01号を嘲笑うように、詐欺師は答える。淡々と、ただ事実を読み上げるニュースキャスターのように。 「私は、私が生きていられれば何でもいい」 ――そうかよ。 01号の瞳には、一変して怒りが宿っていた。 銀丘のような人物を相手にする上では愚の骨頂と頭では分かっていても、それを抑えるのは無理というものだった。 気に入らない。 それだけの力を、自分の生きる為だけに使うこの男がどうしても気に入らない。 ――殴らなきゃ、この苛立ちは治まってくれそうにもなかった。 「お前……今まで、そんな風に自分の身勝手で、どれだけの人を苦しめてきた」 怒りを懸命に押し殺しながら、01号は銀丘白影に問う。 この質問に意味などなかった。 銀丘がどう答えようとも、01号のやることは何一つとして変わらない。 こいつは、ぶっ飛ばす。 少年漫画の主人公のようなシンプルかつ明確な行動指針が、彼の伽藍洞の中でただ一つ、明確に輝いていた。 ――しかし、銀丘の余裕は何一つ崩れてはいない。 詐欺師の牙城はまるで崩れてはいない。 彼はその上油断をしていない。何が起きても動揺せずに、全てを真正面から打ち落とす覚悟だった。 それでも、しっかり悪役らしく振る舞うことを忘れない。 彼は挑発をするように笑い、01号の激情に火を灯すような台詞を口にする。 「――――お前は、今まで食べたパンの枚数を覚えているのか?」 瞬間。01号が地面をバネのように蹴り、跳ねるように銀丘へ突撃した。 その表情は激怒。ブチギレ状態と言う以外にない、見ているだけで恐ろしくなるほどの激怒だった。 「いま、改めて理解したぜ」 笑う銀丘。 これも彼の策謀の一環なのだと、頭では理解していた。 理解していたからこそ、だろうか。 その余裕綽々とした態度を崩してみせたくなった。 「おめーは、打倒されるべき悪党だッ! 歯ぁ食い縛りやがれ、銀丘ぁあああああああ!!」 拳が走り。 刃が走る。 片や憤怒。 片や氷河。 対極の二人の戦いは未だ、終わりの兆しを見せない――――。 ◆ ◆ ――目の前で起きている、化け物どもの戦いすら俺の目には入らない。 すげえなあとは思っても、別にそれ以上の感情なんてまるで抱けやしない。 あの生け簀かない銀丘は、相も変わらず相手を翻弄しているみたいだけど。 正直、どうでもいい。 共倒れにでもなっちまえ。 俺の前に現れるな。 誰も彼も、俺の前から消えてしまえばいいのに。 一人にしてくれよ。今は、誰の顔も見たくなんてないんだよ。 ほんと――――どうして、こんなことになっちまうんだよッ! 俺が何をしたってんだよ。 俺は何一つ間違ったことなんてしちゃあいない筈だろうが。 たかが中学生の俺が、俺なりに考え出した結論でチームを組んだんだぞ。 ああ、上手く行くと思ってたよ。 認める。俺は、自分の判断が最高に正しいものだとばかり思っていた。 銀丘や一刀両断のようなピーキーな味方を上手く治めて、バトルロワイアルを打倒しようと本気で考えてた。 現に、できる筈だった。 だって、俺達にはそれを実現できるだけの『力』があったんだから! 銀丘は性格こそあれだけど頼れる奴だった。 俺なんかにはちっとも理解できない力を持っていて、実力でいってもチームを支えられる人間だった。 おまけに頭は誰より切れた。あいつなら、人無を出し抜くことだって出来た筈なんだ。 一刀両断はとにかく強い人だった。 四字熟語の名前とかルール能力とか、俺には銀丘のと同じく全く意味が分からなかったけどよ。 でもあの人は強かった。あの人に任せれば心配ないって、俺は心から信じてた。 加藤清正も頼りになる人だった。 銀丘も一刀両断も持っていない場を導く力があった。 璃神妹花に飯島遥光は非戦闘員だったけど、それでもチームの一員として活かしてやろうと思ってた。 信じてたんだよ、俺はさ。 皆がなんやかんやで俺のことを考えてくれて、皆でいざとなったら助け合えるって。 ――裏切られたさ。 結局のところ、あいつらは自分勝手な奴らばっかりだった。 俺の思いも覚悟も土足で踏みにじって、滅茶苦茶に掻き乱していったんだ。 とんだ仇返し。 ふざけるな。ふざけるな。ふざけるな。ふざけるな。ふざけるな。ふざけるな。ふざけるな。 そんなに楽しいのかよ。 寄ってたかって俺を嘲笑って、そんなに楽しいのか。 楽しいんだろうなあ。 なあ、銀丘白影。 なあ、一刀両断。 なあ、飯島遥光。 どいつもこいつも手前勝手な理由ばっか並べやがって――お前らには、本当に失望した。 もう、敬称だの愛称だのと付けてやる気にもならない。 ――クソったれどもめ。 俺は悪くない。 俺が悪いなんて、そんなことあるわけがない。 だってそうだろ? 俺はどっからどう見たって被害者だ。 百人に聞いてみろ、百人が俺のことを被害者だって答えるだろうさ! 俺は悪くねえ。 そんなのが認められるってんなら、この世界は本当に腐ってやがる。 ……ああ、いや。それは違うな。 それは間違いだ。この世界は、もうとっくに腐ってやがるんだ。 なあ、どうして俺がこんな役回りなんだ? どうして面倒ばかり押し付けられて、それでも精一杯頑張って、それを仇で返されなくちゃいけない? 俺がそんなに悪いことをしたのか? 答えろよ――答えろよ! 銀丘の奴は、結局仲間なんて何とも思っちゃいなかった。 あんな奴は、最初から信用すべきじゃなかったんだ。 何たって主催者と連帯してるような奴だぞ。 いくらでも嘘は言える。 嘘つきなんだよ、あいつは。 一刀両断の奴だってそうだ。 勝手な理屈を並べて好き勝手やって、銀丘と同じように引っ掻き回しただけだったじゃないか。 あんたら二人のいさかいが、どれほど鬱陶しくて仕方なかったかお前らに分かるか? 分からねえだろうよ。――少なくとも、お前らには分かって貰いたくもない。 飯島を助けた時は、可愛い子だと思った。 小動物みたいなところがあって、守ってやりたいと心から思った。 けど、あいつは守られることを自ら放棄した。 ――ああ、分かってんだよ、身勝手な理屈だってことくらいは。 飯島の離脱が全ての引き金になったなんて、誰にも証明できないしな。 そういうことを考えるのは間違いだって分かってんだよ。 勝手だって、思うさ。……けど、勝手なのはあいつも同じだろう? だってそうだ。チームの不和の原因になったのはどう考えてもあいつだった。 璃神妹花だって。 あれは不安因子だった。 だからあれに関しては、今の俺なら正しい判断を下せるだろうさ。 ――見捨てる。見捨てるのが普通だ。俺がおかしかった。 加藤清正。 あの人だけは、真に頼れるといっていいんだろう。 彼は強いし、状況を冷静に見極められて、何より銀丘たちと違って正しい人だった。 ――ああ、あんたは分かってたんだよな。 俺なんかにリーダーは無理だって、初めから。 だったら――俺がバカだったんだろう。 ……くそっ。ふざけやがって。 ――なあ、狭山さん。 君は、どうして俺を責めた? 何も知らない癖して偉そうに、どうして責められたんだ? 浅倉の死は俺のせいじゃない。 俺は悪くない。俺は悪くない。俺は悪くない。俺は悪くない。俺は悪くない。俺は悪くない。俺は悪くない。俺は悪くない。俺は悪くない。俺は悪くない。――悪いのは、あいつらだ。 あいつらが滅茶苦茶にしなかったら、全員で纏まっていたら、浅倉は死ななかった! 俺のせいじゃない! 俺に責任なんて、ないんだよ! ――浅倉。 お前は、良い奴だったよ。 良い奴だったからこそ、この状況が何よりお前に申し訳ない。 お前は殺されたんだ。 『みんな』に。『みんな』が起こした騒動のせいで、お前は――。 くそっ! くそっ!くそっ!くそっ!くそっ!くそっ!くそっ! どうしてこうなるんだよ! なんでこんなことになってるんだよ! ふざけやがって! なんで浅倉がお前らのせいで死ななきゃならないんだよ! なんで俺が悪いってことになるんだよ! どうして―――― どうして、誰も彼も俺が悪いみたいに言いやがるんだよぉぉおおおおおおっっっ!!!! ――狭山さん。 俺を大嫌いだったと言い放った、狭山さん。 俺も彼女に酷い言葉をありったけぶつけてしまったし、おあいこってもんだろう。 けれど、どうしてだろう。 彼女にだけは、謝りたい。 彼女にも怒りを覚えている筈なのに、銀丘たちに覚えるそれとは全く違うものが心に芽生えている。 罪悪感。悪いことをしたと、思える。 ああ、俺は彼女だけが大切なのかもしれない。 彼女に嫌われても良い。 でも、彼女を糾弾したことだけはいけないことだった。 それも、もう間に合わない。 彼女は行ってしまった。 追い掛けようにも、もう何かをする気力さえ起きない。 認めよう。 須藤凜は敗北したのだと。 屈した戦士は立てない。 立つための足が壊れているからだ。 空を見上げると、真昼だというのに。 ――半分の月が、ぼんやりとのぼっていた。 綺麗だ。 この世界に比べたら。 人間という生物に比べたら。 どんな景色だって、それは絶景に値するのだろう。 「…………」 俺は動かない。 動けない。 動きたくない。 何も見たくない。 何も知りたくない。 生きていたい。 死にたくない。 誰でもいい。 俺を、助けてくれよ。 俺はもう、自力じゃ立ち上がれそうにもないんだよ。 なあ。 なあ。 なあ。 なあ。 なあ。 なあ。 なあ。 なあ。 なあ。 なあ。 助けろよ。 救ってくれよ。 立てないんだよ。 ――――立てないんだよ。 ◇ ◆ 爆音が鳴り響く。 銀丘白影の爆弾攻撃が、地面を散らして熱風を生み出す。 至近距離で炸裂しているのに、銀丘に一切の被害が及んでいないのはそのサイキックが持つ性質。 それに加えて剣での的確な攻撃が、01号を殺さんと狙い続ける。 ダメージがある程度とはいえ通ると知った銀丘の攻めの手は、強くなっていく一方だった。 勿論、01号も負けてはいない。 銀丘の爆弾が広範囲攻撃でないことを逆手に取って、上手く避けながら攻撃を続けていく。 掌底を放ち、避けられたら上段蹴り、頭突き、正拳、エルボー。 多種多様の格闘スキルが、銀丘を一発殴るために行使される。 怪力から放たれる攻撃は、ただの一発で骨が砕けてしまいかねない。 今はセーブしているかもしれないが、本気になられたら頭部破砕の可能性さえある。 銀丘には、決して見過ごせぬ危機だった。 「蚊だな、お前は。ちょこまかと無駄な抵抗を続ける――まるで蚊蜻蛉だよ」 挑発しながらも、銀丘は少しずつだが疲労を蓄積していっている。 彼が如何に強者といえど、その体力は無限のものではない。 これだけの戦闘を行えば、必ずやって来る必然の道理だった。 それでも、01号の攻撃の全てが的外れに終わっているのは事実。 与えたダメージの総量で見れば、決して銀丘は負けていない。 むしろ、優勢だった。 「随分言ってくれるじゃねえか、詐欺師」 しかし01号はその差に屈服しない。 諦めずに肉体を振るってくるから、銀丘としても想定外の展開がしばしば起こる。 普通ならばとっくに仕留め終えていてもいい頃合いなのにも関わらず、銀丘は未だ決定打に至っていない。 勝機はある――気長な勝負でこそあれど、それは勝利へ一歩一歩近付いていく、意味ある戦だ。 銀丘白影に勝つ。己の中の正義の魂に則って、一撃を叩き入れる。 そのために、被験体01号は修羅の如く勢いで攻めるのだ。 「鬱陶しい。そろそろ死ね」 「断る。お前こそ、そろそろ俺にブッ飛ばされろ」 憎まれ口を交わしながらも、互いに凶器を振るい合う狂気的な戦場。 正義と悪の衝突というにはあまりにも擦れた、ひねくれた戦いだ。 爆風が舞い、刃が疾る。 手足が飛び、拳が翔る。 互いの得物をかわしながら、有効打を打ち込むまで延々と続く戦闘演舞。 (……不味いな) ――しかし、銀丘白影は内心焦りを覚え始めていた。 彼にとっても、ここまでの時間をかけることになるとはちっとも思わなかったのだ。 爆弾は無尽蔵ではない。 それを感付かれれば勝機は消えるから黙ってはいるものの、決して無駄撃ちは出来ない。 ラハティを撃つにも、隙が必要なのだから。 何にせよ、このまま戦いが長引くのだけは絶対に避けたかった。 これ以上は――危険が付きまとう。 (終わらせたいが、残念なことにきっかけがない。これでは終わらせようもない) 銀丘と01号の戦いは、文字通りに拮抗していた。 どちらが生き残ってもおかしくない、計算と本能の戦い。 だからこそ、銀丘のような合理主義者にしてみればこれほど面倒なことはなかった。 何しろ、終わりへと繋げられる場所が見つからないのだから。 逸れさえ見付けてしまえば、最悪火力で焼き尽くしてしまえばいい。 (ふむ、どうしたものかな。これでは本当に殴られそうだ。痛いのは御免だな) いっそのこと、爆弾を使って逃げてしまおうか。 と、思ったところで一つのアイデアが脳裏をよぎる。 視界に入ったのは、赤毛の女性――稲垣葉月の姿だった。 黙って、目を反らさずにじっと戦いを見ている彼女に爆弾をぶつけてみようか。 そうすれば動揺するだろう。 その隙を――撃つ。 (流石に下衆過ぎだがな。まあ、これをやれば私の在り方は決まるわけだ) 二人を殺したら、加藤清正、璃神妹花、須藤凜も殺さねばならない。 不安因子は全て排除。悪評の広がるのは避ける必要がある。 もしも彼らまで殺せば、キルスコアは五つ。 そこまで殺したら、殺し合いに乗る方が安全牌となるのは明らかだ。 (――いや、構わん。それでこそ銀丘白影だ) 彼は速断した。 迷う余地などあるものか。 焼き尽くす。幻想を焼き尽くす。 狙うは赤髪の女。ラハティを取り出すところまで脳内シュミレート完了。 加藤清正は使い物にならない。 璃神妹花は面倒なので先に殺害し、次に加藤もしくは須藤を殺害。 その後は逃げる。暫くは影を潜めておく――完璧だ。 「それではご機嫌よ――――…………待て、止まれバケモノ」 突然、銀丘の声のトーンが変わった。 銀丘が何かをしてくるとばかり思っていた01号は、思わずそれに驚き従ってしまう。 銀丘からすれば、それは確かに望んでいた『きっかけ』だった。 きっかけだったのだが――それは、あまりにも強大すぎた。 「…………あぁぁぁ」 うめき声を漏らして、その怪人は現れた。 片腕に持つのは、市街地エリアのどこかから引き抜いたのだろう交通標識。 それも、二本。二対の双剣のように掲げたそれは、破壊のみを意味する。 誰が見ても明らかだったろう。 あれはまともではない。 あれは――殺戮だ。 (……おい、誰がこんなのに来いと行った。きっかけどころじゃないだろう) 銀丘も思わず顔が引き攣る。 三つ巴の戦となれば、いくら何でも厳しいものがある。 逃げるにしろ、あの標識を投げられでもしたら自分ごとき、瞬時に一突きでおしまいだ。 それは御免被りたかった。 「………………ころす………………」 小さく呟いた狂戦士――被験体00号が、新たなる闘争の開幕を告げた。 彼に自己はない。 あるのは殺戮への衝動のみ。 故に嘘も小細工も通じない、交渉の余地の存在しない怪物。 「……さて」 銀丘は溜め息をつくと、自分の中で決まりかけていたあることを撤回した。 殺し合いに乗るかどうかはまだ決めない。 その前に――まずはこいつを片付けてからだ。 時系列順で読む Back:軽はずみに覚えたのは、誘惑にも似た目配せ Next:パラべラム・アライヴ『神様ゲーム』 投下順で読む Back:軽はずみに覚えたのは、誘惑にも似た目配せ Next:パラべラム・アライヴ『神様ゲーム』 070:失踪する思春期のパラベラム『バーンアウト』 加藤清正 076:パラべラム・アライヴ『神様ゲーム』 070:失踪する思春期のパラベラム『バーンアウト』 璃神妹花 076:パラべラム・アライヴ『神様ゲーム』 070:失踪する思春期のパラベラム『バーンアウト』 須藤凛 076:パラべラム・アライヴ『神様ゲーム』 070:失踪する思春期のパラベラム『バーンアウト』 銀丘白影 076:パラべラム・アライヴ『神様ゲーム』 070:失踪する思春期のパラベラム『バーンアウト』 丹羽雄二 076:パラべラム・アライヴ『神様ゲーム』 070:失踪する思春期のパラベラム『バーンアウト』 天王寺深雪 076:パラべラム・アライヴ『神様ゲーム』 070:失踪する思春期のパラベラム『バーンアウト』 狭山雪子 076:パラべラム・アライヴ『神様ゲーム』 070:失踪する思春期のパラベラム『バーンアウト』 被検体01号 076:パラべラム・アライヴ『神様ゲーム』 070:失踪する思春期のパラベラム『バーンアウト』 稲垣葉月 076:パラべラム・アライヴ『神様ゲーム』 037:巨人の目覚める時 被検体00号 076:パラべラム・アライヴ『神様ゲーム』 066:シーソーゲームの行く末は 佐原裕二 076:パラべラム・アライヴ『神様ゲーム』 066:シーソーゲームの行く末は 神谷茜 076:パラべラム・アライヴ『神様ゲーム』 066:シーソーゲームの行く末は 阿見音弘之 076:パラべラム・アライヴ『神様ゲーム』
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