約 2,238,665 件
https://w.atwiki.jp/tohorpg/pages/1025.html
[部分編集] 幻想郷のMQ(迷宮)コンテンツ一覧 幻想郷のMQ(迷宮)TOP キャラ固有スキル スキルブック サポート 装備品 合成 魔物図鑑 接頭語図鑑 強敵攻略 ミニイベント FAQ・小ネタ ミニイベント ネタバレ注意 [部分編集] ユニークアイテム 悪逆の刃 詳細はこちら 難題「最強の敵」を解決すると阿求からもらえる 氷天天楼刃 詳細はこちら 「氷雪の深林-氷壁に眠る刃-」のマップ右上(幽々子がいたあたり)の泉左上あたりの窪みにある ただしチルノが仲間になっていないと抜くことが出来ない 白面金毛ノ書 詳細はこちら 難題「最強の敵」で戦う女禍のドロップから合成 百花繚乱 詳細はこちら 難題「恐るべき辻切り」で戦う辻斬り玄斎がドロップ 拡散の魔杖 詳細はこちら 天翔山脈-8合目-から行ける洞窟の宝箱から入手。ゼラチナスウォールを倒す必要あり ▲ページ上部へジャンプ [部分編集] 難題 覚えてない部分は空欄にしています。 詳細はこちら 難題 戦闘 必要アイテム 報酬 備考 狩人の緑尾求む - 狩人の緑尾 狩人のバンダナ 森の暴れん坊 鬼熊(妖怪の樹海-茂みに隠された宝-) - 熊の手 ミズナラの守護者 樹海の守護者 - ミズナラの首飾り 緊急事態発生 飽食の大竜(妖怪の樹海-凶暴な獣-) - 阿礼乙女の銀貨 ミズナラの守護者まで解決後 雪だるまの忘れ物 - 雪の結晶3スノウドロップ3 ブルーリボン 成長しすぎた岩亀 叢氷の巨大亀(氷雪の深林-岩亀の住まう湖畔-) - 亀の甲羅割り 氷雪の森の怪鳥 以津真天(氷雪の深林-怪鳥啼く雪原-) - 疫病避けの札 門番の挑戦状 猫騎士 - タマの鈴 猫の里の支配者 狡猾なる猫又 - 猫の爪 入口で橙が仲間になる 不思議な人形 - - 上海人形が仲間になる猫又の草鞋 猫の里の支配者解決後 魔眼の徘徊者 魔眼の徘徊者(氷雪の深林-白昼を舞う白雪-) - 奇妙な箱 不思議な人形まで解決後 薬草採集 - 葉っぱ 50 回復アイテムセット まじないの材料 - ボロボロの布 10 死者のタスキ 四季に眠る宝箱 宝箱に潜むもの(四季廻る森) - なし 樹海を舞う双刃 凶刃の処刑者(妖怪の樹海-始まりの樹海-) - 名刀「岩融」 神様たちのお誘い 雛,静葉,穣子(四季廻る森) - 雛達が仲間になる 洞穴に巣食う鬼 金鬼(死霊の洞穴-鎮座するは虚言の鬼-) - (死の指輪) レミリア達が入口をふさいでいる 恐るべき辻切り 辻斬り玄斎(天翔山脈-7合目-) - 達人の帯 洞窟に巣食う鬼まで解決後 魂を喰らう巨木 魂喰らいの巨木(徘徊) - 生命の果実3 裁断する両腕 ゼノサイドハガー(終の氷洞1F) - 護りの実2鉄鋏の大盾 燃え盛る霊鳥 炎を纏う霊鳥(徘徊) - 魔力の果実2炎のマント 猛り狂う獣 ベルセルク(徘徊) - 力の実2バーサークリング 正義の味方を目指して 八橋,弁々,針妙丸,雷鼓(猫の里-穏やかな日向に眠る里-) - 奇妙な箱3 猛り狂う獣まで解決後 最強の敵 女禍,正邪(結末への回廊-その結末-) - 正邪が仲間になる悪逆之刃 正義の味方を目指して解決後 真・最強の敵 こころ(妖怪の山-足並み整える麓-) - 感情の真球阿求が仲間になる 最強の敵解決後 ▲ページ上部へジャンプ TOPページへ戻る
https://w.atwiki.jp/ge2rb/pages/318.html
条件を満たしたため多段散弾を汎用バレットのページに移動させました。それに伴い関連するコメントをコメントアウトします。 - 名無しさん 2015-06-07 21 37 44
https://w.atwiki.jp/ge2rb/pages/745.html
廃案バレット置き場 掲載不採用・または削除されたバレットの保管場所です。 不採用・削除に理由が付されていた場合はそれも付記します。 三連速射弾(DPS重視) ※アサルト汎用 +基本データ・バレット構成 ◆基本データ 名前 要求BBLv 攻撃力 消費OP 三連速射弾 Lv3 破砕 000 貫通 199 合計 199 27 ◆バレットの構成 No サイズ 弾種 発射条件 水平 垂直 回転 変異チップ 備考 1 M 連射弾 連射弾/通常 ボタンを押したら 三連複製 火氷雷神のいずれかの属性 2 └L 弾丸:直進/極短 1が敵に衝突時 ◆解説 今作で初登場した三連複製チップを用いたバレット。連射弾が3ヒットすることでOPを6回収でき、見た目よりも燃費が良くなるのがこのチップの特長である。 このバレットは節約+トリガーハッピーの組み合わせでもOPを消費する程度まで消費OPと火力を求めた瞬間火力重視型。 ②のL弾丸をM弾丸に換装することで破砕属性の弾に作り替えることも可能。 接続するモジュールを増やすのは連続ヒット減衰で火力が出ないうえ、燃費が一気に悪化するのでオススメしない。 ◆コメント履歴 燃費や威力を考えると、三連複製をop回復と割り切って、同時発射でL弾丸やレーザーをオススメ。 - 名無し 2015-04-07 02 17 28 それを接続するなら三連複製より連鎖複製の方がいいかと - 名無しさん 2015-04-07 03 12 39 連鎖複製はアラガミが2体以上居る状況で真価を発揮するので全く別のバレットとして考えるべきですね。 - 名無しさん 2015-04-07 20 18 09 発射条件を「1と同時に」にするメリットはありません。威力も燃費も上がらず、射程距離が極端に短くなります。「ボタンを押したら」だとしても子弾が1発しか発射されないので同OPにしても威力が下がります。 - 名無しさん 2015-04-07 20 22 27 構成覚え誤ってました。三連複製+ボタン時SS弾丸+衝突時L弾丸でした。SSなら三連複製より到着が早いので減衰率低めです。 - 名無しさん 2015-04-07 22 50 36 ↑優秀なので3番目の案(※五連速射弾のこと)として追加しました。 - 名無しさん 2015-04-08 20 36 38 【否定意見リセット】それに伴い、連射弾を無属性ベースから属性連射弾ベースに変更しました。無属性じゃ五連速射弾の下位互換になってしまうので。 - 名無しさん 2015-04-08 20 50 28 【×】DPS重視なら、前作wikiの内臓破壊弾ASに負けてるからこれ意味なくね?向こうは消費OP20で246ダメ、こっちは連射弾のOP回収差し引いても消費OP21にしかならんし - 名無しさん 2015-04-09 10 40 49 一応BBLv3から使えるのがメリットといやメリットだけどさあ - 名無しさん 2015-04-09 10 42 20 【×】モジュール+をつけていない内臓破壊弾AS(4モジュール目をLに変更)にも劣るので反対。 - 名無しさん 2015-06-06 21 12 52 不採用理由:①②×が2つついた状態で3日経過 内臓破壊弾 ※ブラスト汎用 +基本データ・バレット構成 ◆基本データ 名前 要求BBLv 攻撃力 消費OP66 内臓破壊弾 Lv3 破砕 000 貫通 906 合計 906 66 ◆バレットの構成 No サイズ 弾種 発射条件 水平 垂直 回転 変異チップ 備考 1 S 弾丸:直進/短 ボタンを押したら 減衰緩和 2 └M 球:敵に貼りつく/生存時間短 1が何かに衝突時 充填 3 ├M 弾丸:直進/極短 2の発生から3秒 減衰緩和 4 ├M 弾丸:直進/極短 2の発生から3秒 5 ├M 弾丸:直進/極短 2の発生から5秒 減衰緩和 6 ├M 弾丸:直進/極短 2の発生から5秒 7 ├M 弾丸:直進/極短 2の自然消滅時 減衰緩和 8 └M 弾丸:直進/極短 2の自然消滅時 ◆解説 GE2仕様の内臓破壊弾。充填の消費OP増加により少し使い辛くなった。 充填破壊弾ではない別の改良案を模索していきたいので投下しただけなので実用性皆無なことには目を瞑って欲しい ◆コメント履歴 続いて内臓破壊弾の検討を開始します。球の生存時間は「長」の間違いですね。 - 名無しさん 2015-04-21 22 58 53 【×】早速ですが反対します。理由は「攻撃にかかる時間が中途半端で、撃破に30秒以上かかるアラガミ相手なら充填破壊弾30の方が強力」「弾丸のサイズをMにしてまで消費OPを抑える理由がブラストにはない」の2点です。ついでですが提案者の解説にオススメする意図が見受けられません。 - 名無しさん 2015-04-21 23 07 50 コンセプトが充填破壊弾30より短い時間かつ消費を抑えただとしても、充填破壊弾30の充填時間を長いに変えてサイズをMにした方がDPOいいんじゃ? - 名無しさん 2015-04-22 00 56 31 正直、これをベースにするよりは充填破壊弾を各々自己アレンジしていただいた方が良いものが出来上がると思います。短時間に安定したダメージを与えるなら点射弾のほうがよろしいかと - 名無しさん 2015-04-22 01 12 37 あ、これは実用性がないことはわかってます。ただここで改良してある程度いいものができたらいいなという希望的観測から投下しただけなので - 名無しさん 2015-04-22 08 30 39 ならば尚更どういう目的の改良を目指したのかを記すべきでしょ。OP軽減だけなら充填破壊の弾サイズ変えるだけでいい - 名無しさん 2015-04-22 10 47 46 上のコメントした者ですが雑談の方もみました。改良案を模索するのが目的ならば解説をそのように変更されては? - 名無しさん 2015-04-22 11 00 10 とりあえず充填破壊弾ではない別の改良案募集の旨を解説に入れてみた - 名無しさん 2015-04-22 13 16 35 とりあえず方向性としては①消費OPを抑えて序盤向けのバレットに(序盤でもDPO重視でいいけど)、②充填の恩恵を受けつつ攻撃もそこそこ早いバレット(差別化のため10秒以内。つまり現案から改良の余地なし)、③火力だけ追求した充填60秒貫通属性バレット(誓約補助に使えなくもないが、充填30より使い勝手は落ちる)、④充填を捨て、あえての無印仕様(最序盤用。書かなくていい気がする)、あたりですかね。 - 名無しさん 2015-04-22 17 58 51 充填破壊弾の最大の特徴は充填による最大補正の火力追求だから、従来の内臓破壊弾よろしく部位破壊用のバレットが欲しいなと思ったんだけど、改良の余地はあるだろうか? - 名無しさん 2015-04-22 18 49 08 球一つ増やして充填60秒にすればOP105で2116ダメ出せますね。充填30がOP98で1980ダメなのでDPOが少し上がる程度ですが。 - 名無しさん 2015-04-22 20 49 48 旧作内臓破壊弾の強みはOP100で2発撃てた、DPOがまずまずだった、瞬間的に火力が出せただからDPOだけ求めても何か別のものができそうな気がするんだよなぁ - 名無しさん 2015-04-22 22 15 51 でも充填をメインに使うんだったら結局充填30をアレンジする形になっちゃいますよね。球を使用するとマータの肩や、グボロのヒレや胴、クアドリガのポッド等、空中に貼り付いたり地面に埋まったり、初弾と別の部位に貼り付いてOPが無駄になるケースがままあります。 - 名無しさん 2015-04-22 22 22 59 途中送信失礼。そこで、充填と球を使わず制御を使った、一点に弾を瞬時に集中させるバレットを提案します。 - 名無しさん 2015-04-22 22 31 09 いっそ充填を廃してペンタを載せるのはどうだろうか? - 名無しさん 2015-04-22 23 04 32 ペンタは別系統のバレットですね。これ以上検討できるスペースがないのでどれかが採用or削除されたあとに改めてお願いします。 - 名無しさん 2015-04-22 23 38 31 その方向でたどり着いた形がGE2のデルタ2ですな。 - 名無しさん 2015-04-23 11 46 31 デルタしかりペンタしかり内臓破壊弾をどこから分解して載せていいものなのかを検討しないと分からないんじゃないだろうか? - 名無しさん 2015-04-23 12 13 23 不採用理由:③×が1つ出た状態で1週間経過(内臓破壊弾系の具体的な改良案は出ずに終わりました) Dリング散弾改(バレット方針) ※ショットガン汎用 +基本データ・バレット構成 ◆基本データ 名前 要求BBLv 攻撃力 消費OP Dリング散弾改 Lv0 破砕 221 貫通 263 合計 484 37 ◆バレットの構成 No サイズ 弾種 発射条件 水平 垂直 回転 変異チップ 備考 1 SS 弾丸:直進/極短 ボタンを押したら 2 └M 装飾レーザー:直進/極短 1が敵に衝突時 +120° 3 └S 装飾レーザー:回転/狭い 1の発生から1.0秒 -120° 4 ├M 散弾 近距離クリティカル/通常 3と同時に -60° 5 └M 散弾 近距離クリティカル/通常 3と同時に -60° 6 ◆解説 散弾を敵に当たった直後に対消滅させることで攻撃範囲を極端に狭め、誤射を防ぐバレット。OP100なら2発、OP150なら4発撃ち切り。 ①の弾丸が命中した地点から散弾が発射されるが、散弾の距離補正は銃口からの距離で決定されるため、普通の散弾のように至近距離での射撃を推奨。 威力を伸ばしたい場合はOP150からの射撃数が減ってしまうが距離補正極化(消費OP43)がオススメ。逆に多段ヒットはヒット数が増える前に対消滅するのでNG。 ◆コメント履歴 【×】攻撃範囲を狭めてるけどこれあまり誤射防止にはなってないんだよね。左右に大きく広がるから対消滅距離をもう少し短くしないと上記の多段散弾に火力的にも劣るから要改良かな - 名無しさん 2015-05-26 21 40 25 【○】3の発射条件は2と同時にだろうか。威力も破砕183貫通218合計401。弾を飛ばして特定部位に当てるという構成があってもいいと思うので賛成。 - 名無しさん 2015-06-06 21 51 11 ※不採用理由:④○×の数が同数で2週間経過
https://w.atwiki.jp/ge2rb/pages/379.html
条件を満たしたため剛性核徹甲弾を汎用バレットのページに移動させました。それに伴い関連するコメントをコメントアウトします。 - 名無しさん 2015-06-07 21 38 22
https://w.atwiki.jp/hushigigensou/pages/13.html
【トップページ】 下にジャンプ ふし幻シリーズwiki ふし幻TOD アナ幻 みら超・超プラ ふしクロ みらパ・みらプラ ふし幻・さな超(当wiki) もし幻・もしプラ 【はじめに】 ┣Q&A ┣初心者向け攻略の手引き ┃┣初心者のマヨヒガ(1)/(2) ┃┣初心者向けふし幻縁起 ┃┗ダンジョン立ち回り講座 ┣テクニック集 ┗動き方講座 【その他】 ┣インストール方法 ┣パッチの当て方 ┣パッチの当て方(もし幻用) ┣パッチ変更点 ┣パッチ変更点(もし幻用) ┣不具合(ふし幻・さな超用) ┣不具合(もし幻用) ┣AAまとめ ┣練習用ページ ┗未使用ページ一覧 不思議の幻想郷 【ダンジョン】 ┣隙魔城 ┣博麗神社の古井戸 ┗博麗神社の裏庭(Ver1.20) 【アイテム】 ┣武器/防具/お守り ┣薬/スペルカード ┗お札/スキマ/その他 【データ】 ┣モンスター ┣ボス ┣モンスターハウス ┣弾幕 ┣罠 ┣状態変化 ┣経験値テーブル ┣ふし幻アイテム値段表 ┣博麗神社 ┣香霖堂 ┣その他の施設 ┣会話データ ┣幻想郷縁起 ┗文々。新聞 【TIPS】 ┣雪女のパーフェクト鑑定教室 ┣敵のPOPについて ┣敵の特殊能力発動位置考察 ┣変化のスキマ結果表 ┣攻撃力増減の不思議 ┣HPのいろは(Ver1.15) ┣霊夢の防御力について ┗(アイテムの並び順)※現在使用不可 さなえの超特急 【ダンジョン】 ┣スキマエクスプレス(115系) ┗超スキマエクスプレス(205系) 【アイテム】 ┣武器/防具/お守り ┣薬/スペルカード ┗お札/スキマ/その他 【データ】 ┣モンスター ┣モンスターハウス ┣弾幕 ┣罠 ┣状態変化 ┣経験値テーブル ┣さな超アイテム値段表 ┣会話データ ┗文々。新聞 もし幻プロローグ 【メインページ】 ┗もっと、ふし幻プロローグ 【ダンジョン】 ┣修練の古井戸 ┗神社の大穴 【アイテム】 ┣武器/防具/お守り ┣薬/調合/スペルカード ┗お札/スキマ/その他 【データ】 ┣モンスター ┣ボス ┣モンスターハウス ┣弾幕 ┣罠 ┣状態変化 ┣経験値テーブル ┗文々。新聞 その他 アタイの幻想郷 TAランキング 不思議の幻想郷Ver1.丁 もっと、不思議の幻想郷体験版 もっと!?アタイの幻想郷 以下旧コンテンツ (移転終了次第削除予定?) 新wiki閲覧不可の方のための保存用 もっと!?不思議の幻想郷 元ネタ 検索 and or アクセス数 今日: - 昨日: - 合計: - 上にジャンプ 更新履歴 取得中です。 ここを編集
https://w.atwiki.jp/magicman/pages/21309.html
バレット・ザ・クリムゾン SR 火 8 クリーチャー:ジョーカーズ 8000 ■J・O・E 2 (このクリーチャーをコストを2少なくして召喚してもよい。そうしたら、このターンの終わりに、これを自分の山札の一番下に置く。下に置いたらカードを1枚引く) ■スピードアタッカー ■W・ブレイカー ■このクリーチャーがバトルゾーンに出た時、バトルゾーンに自分のジョーカーズが3体以上あれば、コスト5以下のジョーカーズ・クリーチャーを1体、自分の手札からバトルゾーンに出してもよい。そうしたら、このターン、自分の他のジョーカーズすべてに「スピードアタッカー」を与える。 作者:だし巻き卵 9/18 自分はスピードアタッカーを常に持つように変更しました フレーバーテキスト 関連 《バレット・ザ・シルバー》 《Mの悪魔龍 リンネビーナス》 評価 メラジョニーと組み合わせると強い……。富士無しで1ショットできるのは大きい -- Orfevre (2017-09-17 20 32 10) まあそれを意図したデザインですからね -- だし巻き卵 (2017-09-18 01 24 26) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/curugensouiri/pages/25.html
あらゆる妖怪を巻き込んで遊ぶ外来の民 性別:男性(人間) 年齢:21歳 身長 180cm 推定 一人称:私、ワタクシメ、ワタシャ 職業:コンビニエンスストアの店員、ローソン幻想郷支店・店主(仮) 能力:外界から幻想郷を知った程度の能力 (どんな妖怪も愛おしく思える程度の能力、夢を見続ける程度の能力) 詳細 外の世界の西暦2008年という年号の夏に幻想郷に店ごと引っ越してきた外来の民。(*1) 「鏡月」と言うのは本名では無く、新しい世界で生きる為に名乗る事にした仮名だと本人は言う。 要するに、彼は帰るような事はせずこちらに居つく外来人である。 有名な韓国焼酎が名前の由来であるとの事。(*2) 彼の行動は命知らずな物で、紅魔館の悪魔・レミリア・スカーレットに悪戯を仕掛けては共に遊び、笑い、愉快に暮らしている。 その妹もまた例外では無い。(*3) レミリア・スカーレットが出掛ける回数は増え、その妹(*4)まで外に嬉々として出てくるようになった。 性格 逃げも隠れもするし、嘘もつく。とは本人談。潔い性格なのは認めるが褒められる事では無い。 能力 彼の自称する能力は「幻想郷を知っている事」である。 外来人であるはずの彼は、何故だが此方の世界への理解力が高く、元の世界との差異に戸惑ったりはしない。 一見すると人間にしか見えない妖怪も分別が付き、そこらへんを漂っている幽霊に驚く様子も無い。 その他・出来事 幻想郷の人間達に不幸をばら撒く諸悪の根源とも噂される。 「悪魔の手下」や「ガラスの屋敷に棲む怪しげな妖怪」と呼ばれているらしいが、射命丸文が勝手に言い広めた物であって彼への人間達の関心は低い。 そもそも、そんな風に彼が台頭し始めたのは、私こと稗田阿求誘拐の一件からである。 屋敷から連れ去られて以来、紅魔館に頻繁に出向くハメになってしまった。 また私が彼女達と付き合う事で求聞史紀でわざわざ畏怖を与えるように記述した事への説得力に欠いてしまうかもしれないが、命懸けの調査であると思って頂きたい次第である。(*5) 元より妖怪と言う生き物に対して人間はある意味での親しみを持って接し、時には喧嘩をしつつ暮らして行かなければ世の中が面白くないものになってしまう。 彼の登場を機に妖怪達や外来人に対し興味を持つ事があっても、彼の周りには強い妖怪が多いので非常に近寄りがたい。(*6) ・外来人との関わり 近年、少しずつ外の住人が増えてきている。 人間だけに限らず、妖怪の山に棲み始めた神様と言うのも、元々は外来の神である。(*7) 通例の「異変」というには穏やかで特に害するわけでも無いし、住人が増えるのは喜ばしいと受け取るべきだろう 博麗神社に居候中の 夷田崎天津 とも面識があり、貴重な外界との繋がりという事でコンビニが有効活用する数少ない人物。 特に仲が親しい訳でも無いが、昔懐かしい幻想郷の雰囲気に毒され、一般的なお客さんと店員の関係というよりは少し親密なお隣さん感覚の付き合い。 加えて、このコンビニでは勘定を頂かない事には驚きを隠せないようである。(*8) かくいう私も「ぼーるぺん」という便利な筆を頂いた。彼の項目は敬意を表してそれで書く事にした。 見た目は子供。頭脳は年増の妖獣。九尾のユメ、彼女は外界の妖怪である。 まだ外の世界に妖怪が生き残っていたのは、非常に珍しい事例。 可愛いらしい外見を侮っているとすぐに騙される。容易に信用しない事。 彼女も現代に取り残された妖怪で、最近になってから引っ越してきた幻想郷の住人である。 詳しくは、彼女の項目を参照(*9) 目撃例 氷の妖精を連れてる人間を里で見たよ。青と白の服装でアイツは妖精の兄かなんかなのかな。 (氷売りの男) 妖精はそこらへんから湧いてくる。兄弟や親なんて居る訳ない。多分、歯止め役になっている、そうじゃないと迷惑。 外界の便利な物が多いから定期的に利用したいんだけど…何処に居るか分からない。って此れじゃあ目撃例にならないわね。 (アリス・マーガトロイド) 私も思う。週休は二日くらいにしておいて欲しい。それでも年中無休の看板に嘘をついている事になるが…。 私の横で、眠っているよ。 (ペンネーム 紅い悪魔さん からのお便り) 叩き起こしましょう 初詣で見た奴かな。変わった羽をした可愛い女の子と博麗神社に参拝しに来てた。でもボクは天津ちゃん目当てだったから気にしなかったけど! (匿名) 外来人はみんなの人気者である。 (*10) 幻想入り求聞史紀へ戻る
https://w.atwiki.jp/th_izime/pages/834.html
文々。新聞 一面記事[旧作]魅魔復活へ 神主が表明 まさかの師匠復活の報に狂喜乱舞する魔理沙。 霊夢はまたあの悪霊が神社をうろつくのかと萃香を見ながら溜息。 両者の受け取り方に差こそあれど、魅魔が戻ってくるといったら 二人とも、あの魅魔が戻ってくると、そう考えていたのだ。 ふわりと境内に降り立った魅魔の姿は、多少のアレンジが加わったといえ 全体的に以前と変わらなかった。あの風見幽香のように。 だが現実は違った。 あまりの懐かしさに涙ぐんで魔理沙が駆け寄る。だが魅魔は魔理沙を殴り倒し そのはしたない服はなんだ、馬鹿弟子が!と一喝、更に付け加えてこう叫んだ。 "だからお前は阿呆なのだ!" 二人が読み違えていたのは、萃夢想ルールでの帰還だったことである。 その日、東方は赤く燃えていた。 魔理沙はというと一週間ほど自宅でふさぎこんだようである。 謎の覆面弾幕少女が現れて明鏡止水の心を説いたかどうかは不明 2008/02/28(木) 21 44 14 ID yVLcNNyA0 「幻想郷に根付く総合格闘技の芽」 文々。新聞 グラウンド サブミッション 「緋想天は、寝技もパウンドも関節技も解禁のバーリトゥードにします^^」 先月の神主の気まぐれな一言により、幻想郷に激震が走ったのも記憶に新しい。 これにより、今までは初めに通常攻撃で互いの体力を削る→ピンチになったらスペルカードの応酬、というのが戦いのセオリーだったのが 試合開始と同時にダッシュで相手の弾幕をグレイズし、懐に入ってタックルで押し倒し マウントを奪って撲殺するか、一気に関節技か絞め技で勝負を狙うのが主流となったのである。 (一度密着してしまえばスペルカードを使う余裕など殆ど無く、相手の意識を断ってしまえば詠唱も糞も無い) この改正は主役キャラに比べ体力はあっても魔力的に劣っていた、大多数の妖怪にとっては行幸であったが 一部の人間や妖怪にとっては酷な物となった。現に今月に入ってから山の新参巫女と空気の読めない魔法使いが ひまわり妖精氏(162)との試合に挑み、それぞれ左アキレス腱断裂、左肘複雑骨折及び脊髄損傷というケガを負わされKOされている このような不幸な事故は幾つか合ったものの、大半の妖怪は大ケガをしても数日経てば治ってしまうことや 何より試合の熱さと解りやすさから、バーリトゥード制におおむね好意的であり 中には「肉体と精神の熱き鬩ぎ合い。私はこのような試合を待っていた!」(紅魔館 M.H氏) 「一方的に折ったり殴ったりするって素敵よね(はぁと)」(花畑 Y.K氏) 等の熱狂的支持も見られるなど、今後も総合格闘技のムーブメントは当分続きそうである。 ≫505 新参巫女はまだ良かったけど、空気の読めない魔法使いは再起不能じゃないかw ≫505 「グヘヘヘ」と笑いながら魔理沙にキャメルクラッチを掛ける美鈴を妄想した。 絶妙な力加減で咲夜さんを締め上げる美鈴を幻視した。 「みぞおちを殴ると息が逆流するけど、首を絞めてる状態でそれするとどうなるのかしら? いい機会だから試して見ますね(にっこり)」
https://w.atwiki.jp/ml37/pages/115.html
友人にこれ読ませたら「厨二病乙」という新しい四字熟語を作ってもらった 最近バッカーノ!見てハマった。 面白いぞ。 LAP29 視点を咲夜に転換してみるとこの物語の世界観が変わったと思うんだが 「これはどういうつもりかしら」 私は精一杯怒っている声を出してリュウに問い詰める。全てを吐き出させるために。 誰だって怒ると思うわ。 まさか、紅魔館の鍵がちゃんとしまっているか確認を取ろうと門まで言ったら、リュウが他のF-FIREパイロットと話をしているのよ。 そして、急に黒いマントを着た男がF-FIREコースを出現させ、リュウがその男の挑戦に乗った。 もし、その男がもうすこし現実味というか、一般的な雰囲気を醸し出していたのなら私もこんなに本気になって止めはしないだろう。 むしろ、彼を歓迎するべきである。リュウの友人となれば、それは警察に関係する肩書を持つ人物か、或いはとく常識を理解している人に限るだろう。 しかし、事態はそこまであまくなどなかった。 男は全身黒ずくめなのだ。おまけに、顔にまで黒いマスクを着けている。 そして、彼から感じられる雰囲気を私は安楽視することができなった。 あの時、門と私には結構な距離があったはず。それにも関らず私は彼の殺気を感じ取ることができたのだ。 それに、リュウが振り返って紅魔館にはいるときの表情には、緊張が走っていた。 もし彼がリュウの知人だとしたらリュウは肩を組むか何かをして一緒に紅魔館にはいり、すぐさまお嬢様に同居の依頼をするだろう。 それなのに、リュウのあの時の表情は、あの周囲だけでなく紅魔館の庭全体の雰囲気さえをも緊張の一色に染め上げてしまうほどにピリピリしていた。誰が見てもリュウの身に何かしらの危険が迫っていることは勘づく。 しかし、リュウは全く引く姿勢を見せない。 「咲夜。これは俺の問題だ。今回だけは譲れない」 その目はかなり真っ直ぐだった。一瞬言葉に詰まるが、ここで引いてしまっては意味がない。私は私なりの意地を忘れずに声を張る。 「許さないわよ。勝手なことをするのなら、私が止める」 私は何としてもリュウを止めようとしていることをアピールする。が、 「なら、俺は強行突破をするまでだ」 私の脅しにもリュウは目を輝かせて動じない。 なんでこんなに燃えているのかしら。私はあなたの命に危険が迫っていることを察知し、あなた案じて忠告しているのに、リュウは全く聞く耳を持たない。 「お嬢様も怒っているわ。リュウに勝手な真似をさせないように私が命じられているの」 あまり言いたくなかったけれども、しかたなくお嬢様のことを口にする。さっき、お嬢様の元に言ってどうするか聞いて来たのだ。 さすがにこれにはリュウも戸惑った様子だ。 「げ…マジかよ」 リュウは腕を組んで唸っている。 「だから、一度お嬢様に…」 私はこのままリュウを止めようとしたが、 「駄目だ。今は時間がない」 リュウは戸惑った様子を見せたものの、やはり態度は変えない。 「どうして…どうして命令を無視するまでレースをすると言い切るの?」 すこしだけいらっと来てしまった私は、リュウに言い寄った。私の言葉にリュウが言い詰る。 「お嬢様も私も、あなたの身を思って言っているの。なんで理解できないの?」 しばらく部屋の中が沈黙に包まれる。私は問いかけた。次はリュウがこたえる番だ。 丁度刻は本格的な夜を迎えようとしていた。 暖房が入っているこの部屋でも、冷気が隙間から押し寄せてくる。 少し肌寒いのは毎年のことだから問題ないが、空気が冷たいと空気はそれだけきれいになるというように、夏よりも無数の星が輝き、月により明るさをもたらしていた。 が、それも西からの風に乗ってきた雲で間もなく覆い尽くされてしまう。 しばらく間が空いたのち、リュウが口を開く。 「俺にとって、F-FIREは俺なんだ。俺からF-FIREを除いたら、何も残らない」 リュウはまるで、人生の大切な決断をしているかのような重い声で言葉を発した。 「そんなことはないわ。あなたは他のものがあるでしょう」 私は、出来るだけ今回のレースの挑戦をあきらめてもらうためにリュウの言葉をフォローしつつも否定する。 が、いままで足元を見つめていたリュウは突如顔をあげて私を一直線に見た。その目は、本気だった。 そして、リュウはまるで小さな子供にやさしく語りかけるように話しだした。 「俺がF-FIREパイロットをやっている理由が二つあるんだ。一つはもちろんF-FIREで優勝すること。これは、俺だけでなくF-FIREパイロット25人全員に言えたことで、優勝についてくる賞金とか、優勝することで名声があがるとか目的は様々なんだけど、それは全部優勝することで手に入れられるものなんだ。だから皆F-FIREに参加するし、テクニックの向上を日々おこなっているんだ。まあ、当たり前の話だわな。でも、俺には他の連中にはないもうひとつ理由がある」 「え?」 「咲夜、お前は何だと思う?」 急に問いかけられて言葉に詰まる。そんなもの、急に聞かれても思いつかない。 でも、私は考えても答えを導き出すことはできなかった。 レースに出てる限りは皆優勝を狙っている。そのことはさっきリュウが言ったことと重複するが、その目的を持たないでレースに出る人間は一人としていない。 仮に優勝が目的ではなく、誰かのアシスタントとして出たという人間がいても、心の奥底には優勝したいという、レーサーならだれでも持っている欲望があるはずだ。 しかしそれをひっくり返して考えれば、レーサーがレースにエントリーする理由はそれだけであり、それ以上でもそれ以下でもない。 だからレーサー達は日々ドライビングテクニックを磨くし、基礎知識、基礎体力を養うためにも努力している。 そして、レースを見に来る人たちも優勝を狙うレーサー達のデッドヒートを見て歓声をあげる。そうしてレースは初めて娯楽に変わる。 レースというものはそういう目的にあるものじゃないのだろうか? 「思いつかないみたいだな…」 「う…」 言葉に詰まる。 結局答えを出せなかった。私の頭では、そういう固定観念が宿りついていた。 だから、リュウが言った答えがレースとは全然関係がなかったことを理解するのにものすごく膨大な時間を必要とした。 「俺のもう一つの理由、それは皆が安心して暮らせる社会を作るためなんだ」 「え…?」 思わず素っ頓狂な声を上げる。 私には理解できなかった。その答えとレースがどう関係するのかと。それもそうだ。その理由は、私の頭の中ではすでにレース=娯楽という揺るぎないであろう先入観があったからにすぎない。 リュウは天井を見上げながら一つため息をついた。そして、目を閉じて、こう語りだした。 「俺が住んでいたトレイキョウは、銀河一発展した都市だった。町中がビルの塊で、夜も昼のように明るかった。文明もすごく発達していて、住民が不便と思うようなことは何一つとしてなかった。以前はその影響で交通機関の混乱とかもひどかったけど、いまではもう完全に解消された。もし、外の世界から見たらトレイキョウは平和な世界だったと思うだろう」 全くもってその通りである。幻想郷の生活しか覚えていない私は、文明が発達しているトレイキョウを文献で読むたびに羨ましがっている自分の姿を思い出す。 いつかあっちの世界に行って便利なものを扱ってみたいと何度も思った。にとりの発明機具よりもはるかに手際がよく、安全な機械がたくさんあるのだろう。 が、リュウは天井を見詰めたまま言葉をつづけた。 「でも、それでもトレイキョウが平和というには条件が足りなすぎた。いや、その十分すぎる条件を打ち消す恐怖があったというべきか」 「そんな恐ろしいものがあったの?」 私は疑問に思った。そこまで文明が進んでいるのなら、その恐怖を文明と文化の力で無くせばいいのではないか。 「……そっか。まだお前には俺が向こうでどんな生活を送っていたかを話してなかったな」 ようやくリュウは天井から私に視線を戻した。そして、また語りだした。 それはリュウがトレイキョウにいたころのあまりにもひどい話だった。 トレイキョウの文化と文明が持てるすべての力を発揮しても倒せないデスシャドーの存在を、私は知ったのだ。 彼がどれだけトレイキョウで暴挙を働いていたか、彼を封印するために俺達ジャスティスウィングが召集、結成されたこと、そして、リュウがどういういきさつでこの世界に飛ばされたかを。 リュウの話を聞くごとに私はやはり幻想郷にいたいと思い始めた程恐怖を感じていた。 よく物語とかで正義のヒーローと悪の帝王が戦うアクションファンタジーの物があるが、本当に実世界でもそのようなことがあるとは思いもしなかった。 あんなきっぱりと枠組みが決められる様なストーリー程ではないが、少なくともジャスティスウィングは「正義」、グラックタイガーは「悪」であろう。 が、大概そういう小説は正義のヒーローのパワーが悪の帝王のパワーと同じ、またはそれよりも大きいという裏設定が欠かせない。 そうでなければ正義のヒーローは倒され、悪が世界を支配する、いわゆる「バッドエンド」が待ち受けているからである。 しかし、リュウの話を聞いていると、果たしてブラックタイガーとジャスティスウィングのパワーの差は幾倍でどちらの方が上だろうか。 ブラックタイガーの方が3倍近くジャスティスウィングよりも強いことは容易に想像できた。 ほぼ不可能に近い実力差。それを目の前にどんとみせられても、いつか来るはずの勝利の日を待ってジャスティウウィングのメンバーに拍手を送りたい。 しかし、拍手をするにはまだ早かったようだった。 「まあ、そんなこんなで今俺はここに立っていられるんだ」 リュウは最後にそう言って自身の過去の話を締めくくった。 「で、今あなたが対戦しようとしている男は下っ端か幹部なわけ?」 私は当初の予定を思い出す。 そうだ、リュウをこの危険なレースから除外しなければ。そう思った私は話の焦点をレースに戻す。 しかし、リュウに答えはただ私を驚愕させるだけのものだった。 「デスシャドーだ」 私は固まる。 まだ少ししか話してもらってはいないが、文明と文化の塊のようであったトレイキョウをたった一人で恐怖のどん底に落としいれた恐ろしき人間。それが今紅魔館の門の前にいるというのだ。何をしでかすか分からない。 その名前を聞きおどおどする私の肩に、リュウがそっと手を添えてくれた。そのままリュウは私の目を見ながら話す。 「あいつはトレイキョウだけでなく、ブラックタイガーをいう組織をひきつれてさまざまな強盗、殺人などの悪事を働いている。トレイキョウでも毎日の様に被害者がでているのだ。俺が幻想郷に来た理由もあいつの手下に図られたのが理由だ。スーザンだって、ジャスティスウィングの隊長になってから全く笑顔を見せない。あの男一人によって何億もの人が笑えずにおびえて生活しているんだ。俺は、あいつを始末することが使命だと思っているんだ。だからジャスティスウィングに入っている。そして、それこそがF-FIREパイロットになったもう一つ、かつ真の理由なんだよ」 「……」 私は何も言えなかった。 初めてリュウにあった時のことを私は思い出した。 下の履歴、あまりにメンドイから改造させてもらいました LAP30 大切な事って人にはあまり分かってもらえないものだよね。 あの時、私はお嬢様に紅茶を届けていた時だった。 『いつも御苦労さま、咲夜』 お嬢様はあの時ちょうど呼んでいた本を読み終えていたところだった。私は、お嬢様の近くの机に紅茶を置いて、 『失礼ながら、それは何の本ですか?』 と尋ねたのを覚えている。 なんせ本の端が焼け、刷られた当時は綺麗な黒だったと思われる表紙・裏表紙・背表紙は、色がはがれていたり埃が付いていたりなどをして白くなっているのだ。 私がその言葉を発したのは、お嬢様がそんな古い本を呼んでいるのを見て、とても珍しく思ったからであった。 お嬢様は机の上に本を置きながら、 『これは向こうの世界…幻想郷じゃない、現世で書かれた本よ。ここには、向こうの世界の中心地であるトレイキョウという都市とかの説明が書いてあるわ』 と言った。置いた本の下からはわずかながら埃の煙が立っていた。 『なぜ、そのようなものを読んでいるのでしょうか?』 幻想郷の住人ならだれでもこういう質問をしたであろう。私も例外ではない。そんないきなり向こうの世界のことを調べだしたら、だれでも動機は知りたくなる。 その時、確かお嬢様に渡した紅茶は少しだけ砂糖を控えた記憶がある。その日の夕食の終りにいつもより甘いデザートを出したからである。 その紅茶をお嬢様がのんだから顔をしかめたのか、考え事をしてしかめたのかは今でも分からないが、確かに私がそれを言ったあと、お嬢様は顔をしかめた。 そして、何か唸るような声を上げた後、顔を元に戻して、 『実は、気のせいかもしれないけれども誰か向こうの世界から人間がこっちに漂流してくるような予感がするのよ。そういう運命を感じるのよね。その人間は一見普通の人間。だけど、その人間はタダものじゃない。私たちみたいに固有の能力を持っていて、さらに仲間や自分が真にピンチになった時に覚醒するような、とても強い人間だと思うのよ。その人間は向こうの世界で神がかった功績をいくつも立てて、将来の目的も非常に大きくとっている。その人間は、たぶんこの幻想郷に新たな伝説を作るわ。まあ、その人間がもし本当に来たときのために、少し予備知識をつけておこうかと思ったのよ』 と言った。 そして、お嬢様の予言通りトレイキョウからリュウが漂流してきた。そして、これも予言通り、今聞いた話を聞く限りリュウはタダものじゃないことが分かった。 リュウは、語りの締めをこれでくくった。 「だから、俺は誰が何といおうともあいつは倒す。そして、機会を作るためデスシャドーがでるレースには必ず出る。それが俺の使命、義務、そして生き様だと思っている。そして、世界を平和にしてスーザンに笑顔をプレゼントしたい。これで、理由になったと思うが、どうだ」 そして、リュウは腕を組んで壁にもたれかかった。あとは私が何というか待つという意思表示だろう。 でも、いくらタダものじゃないリュウだって、しばらくレースをしていなければ腕が落ちているのは当然のこと。やはりリュウに危険が迫っていることに変わりはない。 私はやはりリュウを止めることを試みることにした。 「でも、お嬢様が制止しているのよ。私にも意地が…」 「咲夜、やめなさい!」 私の言葉は、怒鳴り声に遮られた。とても鋭い声だった。 振り向くと、私やリュウよりももっと真剣な表情のお嬢様が立っていた。 「……」 お嬢様はそれ以上何もいわずに、その赤い瞳でリュウをきつく睨みつけている。が、リュウも引く気はないようで、覚悟を決めた目でお嬢様を見つめ返していた。 やがて、リュウはこの沈黙を破り、 「お嬢様、申し訳ありません」 といいながら深々とお辞儀をした。 「そう、それでも反抗するのね」 リュウが頭をあげると、厳しい表情は崩さずにお嬢様が怒りの感情がこもった声を発すが、 「これだけは譲れません」 再びリュウはお嬢様を見つめ始めた。 リュウとお嬢様の長い長いにらめっこは、当然のごとく辺りを重い雰囲気にしていった。 お嬢様とリュウの睨みあいを止めるわけにもいかず、他の話題を提供することもできず、私はただ二人の睨みあいを見ているしかできなかった。 窓の外は、完全に暗闇になっていた。さっきまで見えていた無数の星は、西から流れてきた雲で覆い隠され、月明かりもなくなった。 外はただ、20分ぐらいまえに浮き出たレースが、レース脇のガードビームが発している青白い光に照らされて不気味に浮いているだけだった。 二人はそのまま3分ほど睨みあっていたが、急にお嬢様が腕を組み、下を向きながら大きくため息をついた。そして、一言こうつぶやいた。 「……レースが終わったら重罰ね」 長い沈黙の末、お嬢様が折れたのだ。私は思わず、 「お嬢様、でも…」 といいかけるが、お嬢様に手で制された。 「分かっているわ、咲夜。でも、リュウは絶対にとまらないわ」 私にそう言うと、厳しい声でリュウに話しかける。 「あなたはこれでペナルティがついたわ、次の命令を聞かなかったらただじゃすませない」 リュウは真顔の表情をぴくりとも動かさずに 「なんでしょう」 と言う。 すると、お嬢様は急に真剣な顔を崩し、いつもお嬢様がみせる微笑に変わった。 そして、とても優しい声(正直言わせてもらうと、ここまでのお嬢様の優しい声はいままで聞いたことがなかった)で、 「必ず……勝って帰りなさい」 と語りかけた。 お嬢様の言葉にリュウも真剣な顔を崩して笑顔を見せた。 「あ……ありがとうございます!」 そして、弾んだ声でお礼を言いながら深深とお辞儀をした。 「礼を言う場面じゃないわ。達成できても命令無視のペナルティはしっかり受けてもらうんだから」 「必ず、勝って見せましょう」 リュウは血気盛んになってきた。 もうどんな人間でリュウを止めに言ったとしても、この熱い漢を止めることはできないだろう リュウが一礼して部屋を走って出ていく。私はその背中を目で追っていたが、 「手のかかる執事だわ…全く」 お嬢様はため息まじりに言って、リュウの走りさっていく背中は全く見ていなかった。 「お嬢様……あれでよかったんですか?」 私は不安になってお嬢様に問いかける。 私の意見は、間違っていなかったとおもう。 リュウに危険が迫っているのは確かなのに、それを知っているお嬢様はなぜリュウにレースを許可したんだろうか。 「リュウはレースの腕が落ちているはず…」 お嬢様は少し黙った後口を開いた。 「私、リュウの運命を見たのよ。彼はこのあとずっと闘い続けるわ。あの男と」 お嬢様はそう言ったあと、視線を私に向けた。 さっき、リュウに優しく語りかけていた時の目とどこかしら似ているように見えたのは気のせいなんだろうか。 「それは…」 「私がなぜリュウにレースを許可したか、あなたにはわかるかしら?」 少し考えてみる。お嬢様はリュウの全てを知っていたのだろうか。それとも、対戦相手であるあの男のことの方を知っていたのだろうか。 いずれにせよ、私に答えを導き出すことはできなかった。 「いえ……」 私は力なく首を振る。と、お嬢様はふふっと微笑し、 「リュウがF-FIREに全力を注いでいたことに何の偽りもないことはまぎれもない事実。リュウがあなたに言ったこともすべて本当だと思うわ。さて、彼がブレイクダークのメンテナンスを怠った日がいくつあったかしら?」 お嬢様のその質問に私はハッとした。 前からそうだった。リュウは執事として一切の仕事を的確にこなしていった。その作業の手際の良さは他の妖精メイドとは比べ物にならないほどであったと思う。 しかし、1パターンだけリュウが執事としての仕事を捨ててまでも、自分の寝る時間を削ってまでも自分のしたいことを貫き通したものがあった。 いうまでもない。ブレイクダークのメンテナンスだ。 私が見ている限り、リュウはブレイクダークのメンテナンスとしてさまざまなことをしている。 マシンの心臓部(エンジン、ハンドルの配線、ボディの傷のチェックなど)の確認をし、試運転をしたのちに、マシンを磨き上げる。 リュウ曰く、白っぽいボディだからすぐ汚れが目立つのだそうだ。 それを入れても、晴れの日のブレイクダークは直視できないほどに太陽の光を反射して光り輝いていた。それだけリュウはブレイクダークを磨き上げていたんだ。 どうしてブレイクダークのボディがそんなにきれいなのか。 それこそいうまでもない。リュウが毎日毎日休むことなくボディを磨き上げているからである。 それほど、リュウにとってブレイクダーク、いや、F-FIRE自体が向こうの世界にいた時から密接にかかわっていたのだろう。 まるで、私にとってのお嬢様、またはそれ以上に。 「ない…と思います」 頭の隅から隅まで見まわしたが、そのようなものは一切記憶として残っていない。当然だろう。ない記憶は頭の中に入っていない。 再びお嬢様が話し出す。 「あの子にとってF-FIREは生き様といっていたけど、もっと言葉にできないほど彼とF-FIREは親密な関係だと思うの。だから、あんなにデスシャドーという男に執着だし、F-FIREのことになるだけであんなに情熱的になれると思うの」 「……」 返す言葉がない。真実以外の何物でもないからである。 「それに、まだリュウには死相が見えないしね。大丈夫、生きて帰ってくるわ」 私はその言葉でほっとするが、それでもまだリュウがなぜそこまでしてF-FIREと密接な関係にならざるを得なかったのか、それとも密接にかかわろうとしたのか、理解できなかった。 彼が目指しているものも含めて。 お嬢様がリュウに部屋に置いてあったソファに腰掛けて、 「まあいいわ。私はレースの様子を見守るわ。あなたはどうするのかしら」 と私に問いかけた。 私は、今までこんなにリュウがこんなにかけ離れた存在にしか感じることが出来なかったことがないほどに、リュウが遠く感じた。 何か、私とはスケールが違う願望を抱き、それに向かって羽ばたこうとしている。なら、私がリュウにしてやれることは何なんだろうか。 それにはまず、リュウが何を目指しているのか、知る必要があった。それは、リュウのF-FIREのレースを見ればヒントのカケラぐらいは落ちているだろうかと考えたきっかけというか、理由でもあった。 「お供させていただきます」 私はそのように考えてから、お嬢様に一礼する。 「よろしい」 この疑問は、いつかリュウに聞こう。そう思った私はお嬢様についていくことにした。 wordで完成したところはすべてあげました。 これから更新速度が落ちます。 すいませんね LAP31 男が世間にどう評価されるかってやっぱ生きざまが大切だよね 「待たせたな!」 俺はブレイクダークをレースのスタートピットにつけて、デスシャドーに声をかける。 俺は咲夜とお嬢様に話をした後、人生で一番のスピードでブレイクダークの元へ走った。そして、きっちりマシンのセッティングを終わらせたのち、これまた人生で一番のスピードでブレイクダークをかっ飛ばしたのだ。 さすがのデスシャドーも俺の搭乗時のスピードに唖然としていたようだった。まあ、それでも全く問題はないのだが。 「随分と準備に手間がかかったようだな、リュウサトウ」 不気味に白く光るマシンを横目で見ながら、俺はマグネット越しに聞こえてくるデスシャドーの返答を聞く。 しかし、この緊張感は懐かしいったらありゃしない。なんだ?実に1年ぶりのレースってことになるのか? というか、1年をレースをしていなかったという事実の方に俺はびっくりするね。あんなに毎日向こうにいた時はブレイクダークをかっ飛ばしていたのに、幻想郷に飛ばされて以来は確かに移動手段以外には使っていなかったからなぁ。 「わりぃ」 余裕の笑みを浮かべて俺は返答する。と、それに気が付いたのか、 「ほう、随分とやる気ではないか」 とデスシャドー。 「ひさびさにあんたと対決できるんだ。燃えてくるぜ」 気がつくと、俺の声は向こうの世界でのレース直前のようなはしゃいだ子供のようなはねた感じはなく、冷たく、低く、しかしかすかに余裕と情熱が感じ取れるような感じになっていた。 それに、声だけじゃない。体がすごく慎重になっている。 向こうじゃあとび跳ねたり駆け回ったりして情熱の半端なさを体中でアピールしていたというのに、どうしたんだろう。 まるで、因縁の敵のアジトに潜伏しているかのような感覚だ。 慎重で、落ち着いていて、でもそれでいてある目的を狙う情熱もある感じだ。 なんだろう。この感覚。 向こうの世界でのF-FIREじゃあ控室で雄叫びをあげるほど気合を入れてレースに臨んでいた。 一番最初に叫んだときはF-FIRE運営委員会に近所迷惑になるからやめろと一喝されてしまった、いまでは笑って話せる思い出があるが、そうでもしねぇと俺は体の芯まで気合いがしみこまねぇらしい。 まったく、なんてめんどくさい体質だろうか。 わざわざ気合いを入れるために叫ぶなんて、まるで野生の狼か何かみたいだ。 まあたしかに、F-FIRE優勝という最上の獲物を目の前にして猛スピードで駆けていくその姿は、腹をすかした狼そのものだな。我ながら愚問を考えたものよ。 しかし、今はそんな感じじゃない。 自分でも驚くほど心が冷たい。 でも、心の芯は情熱をやる気でいまだかつてないほどの高熱に達している。自分の皮膚のあたりは落ち着きと慎重で重いが、その下は重力を感じさせないほどに熱く、軽快だ。 そうだ。俺はこういう感情に当てはまる単語を一つ知っている。この言葉はスーザンに言われて、聞いた当初はその言葉の意味がよく分からなかった単語だ。 ―――――「漲る」 と言っただろうか。 「その余裕がいつまで持つか、楽しみだ」 そんないつもと違う俺の様子に期待しているのか嘲笑っているのか、デスシャドーもいつもより随分と高いトーンでお話をされる。 「そのセリフ、そのまま返してやるよ」 まあ、俺もデスシャドーのようにテンションは右肩上がりだがな。 信号が前に降りてくる。滾る気持ちを抑え、信号に集中する。 ああ、懐かしい。この感覚は、向こうでは嫌というほどに感じていたなあ。レースがない日でも、ジャスティスウィングの毎日の訓練で、仲間とレースをしていたからだろう。 しかし、幻想郷に来てからはこういう緊張感に包まれた感覚とはご無沙汰していたからなあ。当然だろう。懐かしいと感じるのも。 おっと、感傷に浸っている暇はない。久々のレースでうれしいっちゃあ嬉しいが、さすがにメンテナンスで走るだけでは俺のレースの腕はキープできないことは重々承知している。 たぶん、俺が一番そのことについて知っているだろう。その状態で、向こうでレース漬けの日々を送っていた時代でもなかなか勝つことのできなかった難敵が相手だ、負ける気はさらさらしないが、勝つ予感はあまりしない(どうか、日本語になってないといった要旨の突っ込みは控えて頂きたい。俺だって必死に考えたんだ)。 それに… 『Three』 あからさまに機械に発音させた無感情な声とともに信号の三つの画面に『3』の字が浮かび上がる。 いよいよなんだな…一年ぶりのレースが、こんな辺鄙な幻想郷に突如現れた不気味なレースで、対戦相手がデスシャドーのみという異様な環境でスタートするんだな。 そういう風に自分に認識させると、いよいよ俺もわくわくしてきた。 楽しませてくれるんだろうな、デスシャドー。俺が向こうの世界でF-FIREのコース上で暴れていた、あの頃の情熱的な気持ちと再会させる懸け橋になってくれるんだろうな? 『Two』 信号の表示が『2』に変わる。 まさか、こんなところで一発レースが出来ると思わなかったぜ。 こんな辺鄙なところじゃあ、コースのレイアウトが全く取れなかったからなあ。見渡す限り怪しい森におおわれているんだから。 それが、この突然の来訪客によって実現したんだぜ?自分の幸運さというか、F-FIREと俺の関係の強さを思い知ったね。 『One』 今、俺は人生で一番自信過剰になっているだろうね。 自分はF-FIREのパイロットとなるために生まれてきた。自分が生まれるためにF-FIREができた。今なら自分こそがF-FIREの神様に選ばれた真のパイロットだという風にも思えてならないね。 この世界が俺中心に回っているという言葉を真顔で言えといわれても、俺は二つ返事でこなすだろう。 もう、デスシャドーに負ける気などさらさらなかった。勝つことしか頭の中になかった。 ああ……これが、いままで忘れていた、レース直前の俺なんだろうか。 『Go!!!!』 激しい怒鳴り声と共に、信号機がこれでもかというぐらいに緑色に光った。 「いっくぜえええ!!!!」 俺は我慢していた気持ちを一気に放出する。そして、壊れんばかりにアクセルを踏み込んだ。 久々のレースだ、派手に暴れてやろうじゃないか!!!! え?何?短い? すいませんとしか… LAP32 レースってやはり根性と気合がないと勝てないよね 俺はアクセルから足を離さない。それに従い機体のスピードも上がってくる。時速500km、600km、700km… これだよ、これ!この感覚!実に一年ぶりになるが、この機体が加速していく時のこの感覚にあこがれて俺はF-FIREパイロットになったんだよ。 この感覚を俺は忘れていた。だから、今この感覚が身には過ごす新鮮に感じられた。頭の中の俺も、久しぶりに味わうこの感覚が、今の俺にはたまらなかったようだった。 「さあ、祭りの始まりだ!」 俺にとってはこのレースはとても貴重な体験だった。 F-FIREの腕が相当落ちていると思われる時期にこのような大敵と対戦できること。俺はすごい奴と対戦することが大好きだということを今俺に実感させてくれた。そのたびに心の底から漲る力を感じることができるのだ。 ブレイクダークの調子も非常に良好だった。いや、いつもでは考えられない調子の良さだった。 いくら最高速重視マシンでも開始早々時速1000kmを超えたのは初めてだ。ブレイクダークも相当レースに飢えてきていたのだろう。 しかし、相手も強敵だ。レース直後のカーブでいきなり抜かされる。 相手はF-FIREエントリーマシンで最高重量のマシンを自在に操れる。重いマシンというのは旋回能力が非常に悪い代償に最高速、加速ともに高い能力を誇る。それに、デスシャドーにはグリップEかつ最高重量というハンデを補えるほどのテクニックを持つ。つまり、デスシャドーが乗ったブレイクダークというのは、加速、最高速が非常によく、カーブもきれいに曲がれるという鬼蓄な性質なのだ。 そして、ジャンプ台でも最高速の差は歴然と表れてしまう。さらに差を開かれてしまった。 「くっ…さすがにきついか…」 どんどん差を開かれていく状況に少し焦る。さすがに、今の俺の腕じゃああいつと肩を並べることもできないか… いや、しかし、まだ緩いカーブとジャンプ台しかコースを通っていない。いくら腕が落ちているとはいえ、これくらいなら昔の俺くらいの速さで走れる。 じゃあ、なんだってデスシャドーとこんなに差が開いちまったってんだ。ブレイクダークのせいか?いや、そんなことはない。今日のブレイクダークは怖いぐらいに絶好調だ。さっきも言ったとおり、最高速マシンでもブーストをかけずに時速1000kmだすことは奇跡に近い。 なのに、今日のブレイクダークは出てしまうのだ。じゃあ何が原因だ?やはり、デスシャドーが強いのか。俺と対戦しない間に腕を上げたのだとしたら、相当鍛えたのだろう。 いや、そんなことを考えている暇があるなら、この状況を打開する方法を考えないと。このままだとまずい。 そう、ジャンプ台を超えた後は細かいカーブの連続。ブレイクダークの場合グリップがBなので非常にスラリと通ることができる。 ただ、この程度のカーブならデスシャドーも難なく超えてくるだろう。多少は減速しなければならないとはいえ、ここでまた差を開かれるわけにはいかない。 「さすがにやるな…」 俺は何とか打開策を頭の中で煉る。だが、頭のどこの引き出しを引いてきてもそれはすべて外れに終わってしまう。 デスシャドーがどこかで大きなミスを犯してくれないだろうか。そうでもしない限り、この状況を打開するのは難しい。 いや、敵に期待をかけても意味がないことは分かっている。しかし…じゃなかったら何かいい案があるのか。開始早々窮地に追い込まれた俺は早速焦りまくる。 しかし、それは杞憂に終わった。 理由?俺の願いが、天に瞬いているはずの星に届いたとでも言っておこうか。今は雲で覆われて全く見えないけどな。 細かいカーブが終わった先は直角のカーブが待ち受けていた。コース自体が非常に狭く、細かいドライビングテクニックが要求されるこの場面では、いくらデスシャドーが乗るエンドレスフィアだとしても減速せずに通過することは不可能。 確実に減速して入るか、壁に当たってコース取りを取るかの選択を要求されるだろう。ただ、どちらにせよグリップBのブレイクダークに比べたら不利なはずである。 案の定俺が直角カーブに入りかかるところでブレイクダークが壁に当たって減速しているところも目撃する。 「もらったぁ!」 俺は、しめしめと心の中で思うと、ここで一気に放せると思い、ブーストを仕掛けて一気に抜かそうとする。 が、ここには遠くから見ていたら絶対に分からない罠があった。 道全体がスリップゾーンなのだ。何も知らないでブーストをかけて、時速3000kmあまりで差し掛かった俺は当然ながら焦ってブレーキを踏む。 しかし、スリップゾーンではその指示もむなしくブレイクダークは壁に激突する。 「ぐっ…」 そうか…デスシャドーはこれを知っていてわざとかなり減速してこの曲がり角に差し掛かったのか。そうでもしなければあそこまで減速しないだろう。 じゃあなぜ、デスシャドーは周りから見ても分からない隠れスリップゾーンの存在を知っていたのだろうか。 ふっ、愚問だな。よくよく考えてみろ。このコースを持って来たのは誰だ?誰がこの折り畳みコースを作った?誰がこのコースで勝負しようといった? 全部デスシャドーだ。当然、このコースの全形式があいつの頭の中に入っているのだろう。チキショウ。 俺は力いっぱいハンドルをきる。軌道が不安定になるスリップゾーンでは例え横に滑っていたとしてもコースどおりに通っているならばそのまま突進するのが道理だ。 俺はいつか誰かに聞いた、そんな都合のいい道理を今俺の都合のいいように抗って通り、なんとか直角カーブを抜けた。 が、さすがにボディEのブレイクダークにあのピンボールはきつかったか、少しマシンの損害が大きすぎた。パワーが半分を切ってしまった。確かに、あんなに激しく壁に突進したらこれも当然の結果だろうか。 俺は一応直角カーブで抜かしたエンドレスフィアの様子を確認する。 すると、嬉しいことにエンドレスフィアはまだ直角コースの餌食。どうやら重くてグリップEで、かつスリップゾーンときたら、さすがのデスシャドーも苦戦するようだ。 もしこれからまた抜かれるようなことがあったらあそこが抜けるポイントになるだろう。 とりあえず、今はエンドレスフィアと差を広げられるチャンスだ。いけると思った俺はわずかなパワーを使ってブーストをかける。 ここからは直線コースと緩やかなカーブを組み合わせたコースになる。ここである程度差をつけておかないと、ブレイクダークよりも最高速度が速いエンドレスフィアに追いつかれてしまう。 ただ、やみくもにブーストをかけるとパワーが空になってしまう。少し調節しつつブーストと仕掛けていかないとマシン自体が持たない。そう考えた俺は、ちらほらブーストをかけながら時速2000km以上を保って走行する。 この直線コースの間にはパワーポイントが所々に設置されているようだ。だから、当然のことなのだが、このエリアでは回復することができる。 今の俺の状態から見れば非常に助かるのだが、そうそう安心してもいられない状況が俺に迫ってきていた。まあ、鋭い読者なら何が迫って来たのはお察しだろう。 そいつは、影だけでなく音でも俺に迫ってきていた。 ――――ヴヴヴヴヴヴヴ 不気味なエンジン音が後方から聞こえてくるのに俺は今更ながら気づいた。ましやと思ってバッグモニターに目を落とすと、バッグモニターには不気味に白光るマシンが寄ってきていた。 そう、言うまでもない、エンドレスフィアだ。案外エンドレスフィアは早い段階で直角カーブを超えてきたようだ。まだ俺が直角カーブから抜けて20秒しかたっていないというのに… 「何!もうあそこを抜けてきたのか」 てっきりまだ苦戦していると思っていた俺は完全に度肝を抜かれた。やはりデスシャドーは強敵だ。あそこの難コースをこの短時間で乗り越えてくるとは… 「リュウサトウ。まだ終わりではないぞ」 コックピット越しからデスシャドーの声が聞こえてくる。もはや今の俺にはその声を聞くと恐怖すら感じてしまうほどにデスシャドーに敏感だった。 「くそっ、このままだと抜かされる!」 コックピット内で打開策を頭の中で煉るが、何の変哲もない直線コースに打開策が眠っているわけがなかった。そのままあっさりと抜かされてしまう。 「やばい、このままだと負ける!どうすれば…」 しかし、このコースで奴との差を縮められそうな場所は、今のところ小刻みにカーブが襲う直角コースのみ。レース内にして10%しか占めない範囲だった。 おまけに、走ってみるとスタートラインまでは何の変哲もないコース。もろデスシャドーに有利なコース設計になってんじゃねぇかよ! 「くそっ!」 俺はこの理不尽な勝負に今更ながら気づき、苦虫をかみつぶしたような顔をしていたのだろう、髪を掻きあげて悔しがった。 そして、そんな俺の様子を気にかける様子もなく、リードを広げられたままこの薄情なコースは2週目に突入する。 なかなかきびしいレースになりそうな予感がしてきた。 とりあえずここまで更新 最近短めが続くな… 前(Ⅶ) 次(Ⅸ) to HOME
https://w.atwiki.jp/propoichathre/pages/1472.html
登場人物 魂魄妖夢 白玉楼の庭師。感情の整理のつく前に、出来事が加速する。 西行寺幽々子 白玉楼の主。何かを企んでいたが、結果は……。 ○○ 白玉楼の居候。記憶を取り戻し、帰る運命になる。 帰る。 いなくなる。 それは、単に、 元に戻るというだけのこと。 一人だった。 幽々子様と、二人だった。 それが三人になった。 問題があって、いつも頭を悩ませて。 同じくらい、喜んで、喜ばせてくれた。 それがいつしか、当たり前に感じて、ました。 だから、元に戻るのではなく。 元に、戻らなくなると。 そういう風に、感じました。 「先ほどの議論を簡単に解決すると、こうなるんですよ。つまり、彼は、元の世界に帰る運命を持った人間なんです」 過去の人間だから、仕方ないと、思わないといけないんでしょうか。 幽々子様はいつか、時間が無いかもしれないと、そうおっしゃられていました。 「お勧めしない理由って、まさかこのことなのかしら、紫?」 「ええそうよ。別にあの時には理由まで聞かれなかったもの。応えなかったわ。 だから、貴女が危惧したとおりに怠惰で普遍な生活が続くだけのことじゃないし、幻想郷のバランスを欠く要素だったわけでもないわ」 紫様が幽々子様に真実を伝えているようだけれど、どうでも良かった。 私は、○○さんに尋ねる。 「○○さん」 「なんでござろうか、妖夢殿」 「何故、帰らないといけないんですか?」 尋ねると、○○さんは、辛そうな顔をしました。 「嫌な理由なら、ここに残っても――」 「そうはいかぬのでござるよ」 私の言葉を遮って、○○さんは言います。 どうやらそこに、強い理由があるようです。ここに残ることよりも、別れる事よりも。 その辛そうな顔を、私は、見ていられなくなる。 「理由は、言わなくてもいいです」 「……かたじけない、妖夢殿」 辛そうな顔をしてくれるということは、せめて別れは惜しんでくれているということでしょう。 少しは、気が紛れます。 「まあ、今すぐどうこうって話じゃないのだけれど、変える時間までにはちょっとあるわよ」 「どういうことなの、紫?」 「そうね。どこかの巫女の勘では異変の前兆ね。どこかの誰かさんがここにきて歴史改変の要素を持った。 まあ、これだけでも十分異変よね。それに、まあ、歴史食いの半獣も気づかない事でもないでしょう。 ただ、歪みが許容できなくなるまで、少しだけあるの」 「何をもって限界とするのかしら?」 「彼の年齢ね。要は誕生日。その日に、帰ってもらうわ」 拙者の生まれた日となれば、 そう、明後日でござるか……。 つまりは、別れを惜しむ最後の日も、一日しかござらぬということか。 先日は、衝撃のあまり妖夢殿や幽々子殿。幻想郷の歴々と語ることも叶わぬ事でござった。 「はてさて、如何なるものやら……」 妖夢殿はやる事があるとどこかへ行かれ、拙者は白玉楼に一人で空を見上げていた。 置かれる身の置き所こそ、因果なるものよ。 命を帯びて剣術の修行に明け暮れる傍らに探す居所。それぞ、桃花源なる極楽浄土にも通ずる楽園。 渡来人の言葉を真に受けた命ゆえ、拙者はただ修行のみをしておればよかったものを……。 「あらあら、何を悩んでいるのかしら?」 声をおかけいただいたのは幽々子殿でござった。 「拙者の、身の処し方を」 「○○ちゃんったら。そんなこと、考えなくてもいいんじゃないかしら。貴方は帰ってやる事がある。決まっているのでしょう?」 「そうで、ござるな」 命こそ戯れの一言。 すぐにでも帰り、『無かった』とでも伝えられよう。 この地、野心には相応しくない。全てを受け入れると紫殿はおっしゃられども、逆に求める野心家どもの命すら食らい尽くせよう。 ただ、その様な血なまぐささを拒絶しようとは、拙者の自己満足でござろう。 この風景、血で汚したくは無い。 「そういえば、○○ちゃんって、名前も思い出したのかしら? だったらそっちの方で呼んだ方がいいのかしら?」 「いえ、今はまだ、○○とお呼び下さらぬか」 その名が、今は自然でござる。 改名などおこがましい身分でござろうが、拙者には、今や相応しき名でござろう。 「妖夢殿は、いずこに?」 「さあ?」 妖夢殿とも、お話をしたく思っていたのでござるが。 「一つ、聞いてもいいかしら?」 「なんなりと」 「○○ちゃんは、妖夢のことを、好き?」 「……口にすれば未練となりましょう」 それは、答えたも同然の言葉でござろう。 だが、それでも口にするのははばかられた。恐れ多くもあり、未練でもある故。 「そうかしら、ね。紫の気まぐれで、こんな事になるとは思わなかったわ。いくらなんでも、時間の理に触れるなんて」 「仕方なき事。されど、ここですごした時間はとても有益な、かけがえの無き事。幽々子殿にもお教えいただいたでござる」 自覚したとすれば、その時でござろう。 いつの間に、で、ござろうな……。 妖夢殿を師と仰ぐ一方で、恐れ多くも恋慕の情もあったということ。 最初、童と見ていた御方が娘に見えていた時すでに、拙者は想いを募らせていたのでござろうな。 叶わなき事ではござるが。 「妖夢には、いい相手だと思ったのだけれど、残念ね」 「恐悦至極」 「お世辞じゃなのよ。だって、そのために呼んだものだもの」 「呼んだ、で、ござるか?」 「そう。あの子は未熟だから、傍らにいるに相応しい者が欲しいって、呟いてみたの。紫の前で。そうしたら、貴方が来たのよ」 「そうでござったか」 「ええでも、こうなってしまった。けど、感謝しているわ。妖夢はきっと、成長できるもの」 「それこそ、恐悦至極」 きっと、本当は世辞なのでござろう。 拙者の方が妖夢殿にお教えいただいたことは多いはず。拙者が妖夢殿にして差し上げた事など、雀の涙ほどか。 例え拙者に恋慕の情があれど、妖夢殿にしてみれば手のかかる弟子でござろう。 もっとも、それで良かろう。それで良いのでござる。 「さて、時間も少ないでござる。一仕事かかるでござるか」 「あら、何をするのかしら?」 「せめてもの、手向けでござる」 「そう……、後悔のないようにね」 「承知」 特に、用事なんかありませんでした。 私が今いるところは、ただの雪景色が見える場所。どこなのかなんて分かりません。 何故、こんなところにいるんでしょう……。 単に、いていられなくなって出てきてしまったような。 そんな感じです。 理由も実に単純です、ね。 「はあ……」 吐く息が、とても白いです。 吹雪くわけでもなく、深々と、静かに淡く降る雪に、身を包んでいました。 寒い、ですね。 せめて、何か考えないと、いけないですね。 このまま、逃げたままではいけないでしょう。 そう、逃げたままでは……。 雪景色が寒々と映るのは何故でしょう? それは、今までとも変わらないことなのに、とても冷たくて寂しい。 寂しいと感じるのは、多分。 雅やかな雪模様を教えてくれた、隣に立っていたあの人のせい、です。 せい、なんて、言い方は……無いですよね。 あの人のおかげなんですから。 でも、そのおかげで、今は、寂しい……。 「こんなところで何をしているのかしら?」 突然、背後から声をかけられました。 油断、気付かないなんて、なんて、私は今、ひどいんでしょう……。 声から敵意は感じられず、私は、その人に向かって振り返りました。 「あら、ひどい顔じゃない。何かあったのかしら?」 「貴女は……」 「別に思い出さなくてもいいわよ。名前も言わなくていい。私はただ、ちょっとした質問に答えてた冬の妖怪よ」 冬の妖怪。そう名乗る、白と青の様相である雪のような妖怪。 彼女はそう言って、おおらか顔をしてくれました。 「そう、なんですか」 「ええ、そうよ。まあ、といっても、ただ適当に質問に答えてただけなのだけども」 「はあ……」 どこぞの新聞のコラムでにいたような、そんな話しを聞いた事があります。実際に見たことはないですけど。 まあ、どうでもいいです。 「もしここで何もする事が無いなら、少しお話させてもらえるかしら?」 「はあ、別に……いいですけど」 「そう、良かったわ」 近くにあった石の雪を払いそこに座ると、彼女も隣に腰掛けました。私の顔を見ながら、口を開きます。 「私もね、ちょっと、嫌な事があったのよ」 「そう、なんですか……」 「そうなのよ。だって、もうすぐ春じゃない。だから私にとっては、憂鬱なの」 「そうなんですか」 何を言いたいのかよく分かりません。 いやな事って、ただ、春が来る事についてでしょうか。 「そういうわけで、もうすぐしたら私はいなくなるの」 「はあ……」 「その間にね。私のことを好きだって言った男が生きるか死ぬかの手術を受けるのよ」 「え?」 突然、雰囲気が変わりました。 「悪性腫瘍らしいのよ。人間の事ってよく分からないけど、とにかく命に関わる事らしいわ。普通は、死ぬことらしいの」 「手術に立ち会えないって事なんですか?」 「あら、ちょっとは興味を惹けたみたいね。……ええ、そうなのよ。だから、私は、ちょっとした選択を迫られてるの」 「選択、ですか?」 「ええ」 彼女は、ぼんやりと空を見上げました。 「妖怪として、その人を襲うこと」 「え!?」 「妖怪なんだから、驚く事じゃないわ。まあ、中には仲良くやれているのもいるみたいだけど、それはとっても特殊なもの」 「そうです、けど。割り切れるんですか?」 「だから、選択を迫られてるの。もう一つ、私の生き方を、考えてるの」 「生き方、ですか……」 また、彼女は私の顔を見ました。 「手術の成功率は、あの天才が五分の保障をしてくれたわ」 「それって……」 「ええ、半分は、失敗するの。それに、術後の経過で一年は様子見。もしかしたら、手術に成功しても容態が急変するかもしれない」 「あんまり、ですね」 「ええ、ひどいものよ。人間って、弱いわよね。嫌になるわ……」 ひどく憂鬱そうな顔で、彼女は言います。そんな彼女を見て、私は、一つ尋ねたくなりました。 「その人のこと……」 「何かしら?」 「貴女は、その人のこと、好きなんですか?」 彼女は、……ひどく、 穏やかな顔をしました。 「分からないわ」 「でも……」 聞いている限りでは、彼女はその人物に対して、好意的であるように感じられます。 「でもも何も無いわ。そういうことなの」 「そういうこと、なんですか」 「ええ、だけどね」 彼女は顔を背けるように立ち上がって、 「いなくなると、悲しいとは思うのよ」 泣く様な声で、呟きました。 「やっぱり、近しい人がいなくなるって、寂しいですよね」 「そうね」 気持ちの整理がつかないけど、ただ単純な感情は、今も心にあって、冷たく冷たく、滲みこんで来る。 邪険にしていたあの頃が嘘のように。 隣に自然にいた今までが幻のように。 答えにならない気持ちが霞のように。 思い出しては消える、走馬灯のよう。 「貴女が別れる人は、好きな人なのかしら?」 「分かりません」 こちらの事を知っているように言うけれど、それよりも今は、彼女の真摯な問いを自分に移して考えたい。 「嫌いじゃないのでしょう?」 「はい」 「なら、見送ってあげなさい。今みたいに、向き合わないで別れたら後悔するわ。今こうしてる時間だってきっと後悔する」 「貴女はどうなんですか?」 「今は自分のことを考えるべきよ。まあ、参考程度に答えてあげるわ。私は……、もう、言う事を言って済ませたわ」 「後悔のないようにですか?」 「ええ。妖怪の一生は人間に比べたら長いもの。だから、その長い時間に引きずるわけには行かないの」 まるで自分本位の言葉だけれど、彼女はそれに付け加えた。 「彼も、私の中で枷になることを望んでいない。だから、私の行動は、彼の意思なの。貴女は、どうしたいのかしら?」 「私は……」 どうしたら、なんて。 今ここまで言われて、思いついたことなんて……。 「今思いついた事があったら、そうしなさい。簡単に思いついた事が、ちゃんと出来たか出来なかったかでも、後に残るものだから」 「そう、ですね……」 心のうちを読まれたようだけど、確かに言われたとおりだと思う。 ああ、そういえば。 いつか、○○さんも言っていました。 『妖夢殿。妖夢殿は妖夢殿らしくあってほしいでござる』 『然り。後ろ向きに悩むことはござらん。真っ直ぐにしていて欲しいというのが、拙者のわずかばかりの願いにござる。 聞き届けていただけるでござろうか?』 何を、うじうじしていたんでしょうね、私は。 「あら、憑き物の落ちた顔をしてるわね。あ、でも、半霊にこういう言い方をしてあってるのかしら? まあ、それはともかく、もう大丈夫ね?」 「ええ、大丈夫です。ありがとうございました」 「私は何もしていないわよ。でも、どういたしまして」 気持ちに整理もつかないし、かける言葉も思いも分からないけれど。 ただ、逃げたまま。 悲しい別れにしたくない。 笑顔で、 あの人と同じ笑顔で、送ってあげたい。 思いついたことは、ただそれだけで……。 それだけでも、やっておきたい。 酒無くて何の己が桜かな。 では、ござらぬか。 一人晩酌に盃を傾けるが、酔いもせぬなら気分も晴れぬ。 花の無くして何の酒か……。 「○○さん、何をしているんですか?」 「妖夢、殿。……お戻りでござったか」 すでに時の遅く、夜も十分に暗くなってから、妖夢殿はお戻りになられたようでござる。 「用事はいかがだったでござろうか?」 「用事は……、ありませんでした」 「なんと……?」 言葉の意味を図りかね、妖夢殿の顔を見る。 否、夜闇が表情を覆い、読み取れず。月明かりも雪明りも弱々しき故、ご拝顔もかなわぬ。 「私も、お酒をいただけますか?」 「む、承知仕る」 言の葉の意気や、なにやら沈むかのごとく静か。 されど、悲嘆の意も読み取れず。 「いただきます」 「どうぞ」 くい、と、妖夢殿は一気に盃を傾けられた。 「酔い飲みっぷりでござるな。妖夢殿」 「○○さんは、もう飲まないんですか?」 「これまでに散々飲んでいたでござるよ」 「私から注いだら、飲んでくれますか?」 またも、意を図りかねる。 しかし、断る理由などがあろうはずもなく。 「喜んで」 思えば、妖夢殿と落ち着いて酒を飲み交わす事は始めてであったと、思い至る。 その事は、妖夢殿も、どうやら御承知であったよう。 「今まで、けっこう忙しかったんですね、私たち。今までこんな機会、いくらでもあったはずなのに」 「左様でござるかな」 「はい、左様です」 妖夢殿は盃を傾け、拙者もそれに習う。 酔えぬ酒でござったが、今は打って変わり、美味いと思える。 「やはり、花でござろうな」 「なんですか?」 「何でもござらぬ。妖夢殿」 口にすれば成る未練。なれば、そのことを秘めしままに、拙者は帰ろう。 だが、その前に、 「約束が、あるのでござるよ」 帰らねばならぬ理由を、妖夢殿には告げねばなるまい。 「約束、ですか? 誰と?」 「大事な御方にござるよ」 「大事な、人……?」 命とは違い、単なる約束事。 しかし、それは拙者が剣術に励む理由に繋がりしこと。 「左様。その御方と、真剣勝負の約束があるのでござるよ」 「真剣勝負……。男の人ですか?」 「左様でござるが?」 「あ、いえ、それで、剣術を頑張っていたんですね」 「そうなのでござろうな。否、そうでござるよ」 ただお話しておらぬこともある。 命にせよ、約束にせよ。 どちらも、拙者は命を落としかねぬ事である事を。 言う必要も、あるまい。 「じゃあ、大丈夫ですね」 「大丈夫、で、ござるか?」 「はい。○○さんは、真っ直ぐに、一生懸命頑張ってました。何の憂いもありません」 「左様で、ござろうか?」 「はい、左様ですよ。○○さん」 ここでようやく、つきは妖夢殿を照らす。 美しき、笑みを、お見せくださった。 「ちゃんと、笑って見送りできるようにしました」 「……」 意は問わぬ。分かる事ゆえ。 今日を外し、こうして笑っていただけるその御配慮、想い。 なんと、嬉しいことでござろうか……。 妖夢殿は、自分が口付けていた盃に酒を注ぎ、それを拙者に差し出した。 「どうぞ」 拙者も、それに応える。 受け取り。 拙者の盃に酒を注ぎ、妖夢殿に差し出す。 「どうぞ、妖夢殿」 「はい、いただきます」 盃酌み交わす。 そこにある想いも交わし、傾け、一気に飲み下す。 その味に勝る銘酒なし。 「美味い」 「美味しい」 とは、口をそろえて出た感想。 そして、返礼としての全て。 「妖夢殿」 「はい」 「ありがとうございまする」 「……はい、がんばってください」 これにて、白玉楼の居候も終わりと相成る。 良き花と良き酒のとの別れは難く、悲しいくあれど。 妖夢殿の笑顔に報えるよう、 笑って別れようぞ。 <幻想郷の白岩さん> ※誠に申し訳ありませんが、担当者不在のためお休みになります。 月日は百代の過客にして、行きかう人もまた旅人也。 この言葉を表したお方は拙者の生まれし世より後の人物。 なるほど、と。 拙者が没するであろう年月よりも先の言葉を知る事になる時の因果よ。 自身もまた、月日の旅人。逆しまに歩む望郷への念、欠しかれど。 さもありなん。 我が世は、今この時にあり。しかれば、留まる事こそ本懐也。 だが、叶わず。 なさねばならぬ事があるゆえ。 「あら、帰るの?」 「うむ。お世話になり申した、霊夢殿」 所は博麗神社。拙者と見送りに同行された妖夢殿と、神社の主たる霊夢殿がこの場に居合わせる。 結界の都合上、この場所が良いとは紫殿の言。 当の紫殿はといえば、まだ現れぬところ。 出る際に少しばかり髪を切り、すでに旅立ちの覚悟は済ませているのでござるが。 「ふうん。まあ、あなたなら大丈夫だと思うけど、元気でやりなさい」 「かたじけない」 「じゃあ、私は外すわ。時間まで妖夢とでも話していなさい」 「左様でござるな。霊夢殿、お達者で」 「ええ、またね」 「おさらば。これにて御免仕る」 霊夢殿のお別れはあっさりしたもの。物事に固執する事が少なかれば、悲しさもなし。寂しさは、あれども。 そして境内、人の姿なし。 あるのは拙者と、妖夢殿の姿のみ。 沈黙の時が降りる。言葉にするような別れは、当に過ぎたようにも思える。 昨夜に酌み交わした酒。未練にもなりはしようとも。 「行かれるのですか」 静かに、妖夢殿がおっしゃられる。 「それが拙者の古き約定ゆえ、違えることは出来ぬでござる」 「そうですか……」 沈んだ声でござった。拙者の別れに、悲しみを抱いていただけるのならば僥倖とも。 拙者も、悲しみがあれども、それを口にする事ははばかられる。 「いなかった間の事、なんていうつもりですか?」 「ふうむ、そうでござるな。一乗谷で燕と稽古していたとでも言うでござるよ」 「燕、ですか?」 「うむ。妖夢殿は燕でござるよ」 速さ、強さはもとより、優しさゆえに。 妖夢殿は口を閉ざされ、どこか視線をさまよわせる。 しからば、拙者より、切り出すべき。 「いろんな事が、あったでござるな」 思えば、幻想郷に来た数奇なる運命。様々な出来事があって、翻弄されては喜び、過ごした日々の数々でござった。 「行き倒れたのを見つけたときには驚きました」 「その後、幽々子殿のご厚意にあずかり、居候の身になり」 「庭師見習いをしながら剣の修業、でしたね」 出会い。 立ち行かぬ我が身を、妖夢殿はしぶしぶといった風情で身請けしていただいたのでござった。 「霊夢殿と出会い、射命丸殿には取材を受けたでござる」 「異変がどうとか。それと新聞の部数が増えたとか、でしたね」 霊夢殿との出会いもあり、その後に射命丸殿とお知り会いになったのでござった。 実に、さばさばとしているのは霊夢殿。 快活なる記者である射命丸殿。 「秘湯への旅もござった」 「あの時は、すみませんでした」 「なんの。これも思い出でござる」 しっかり者と思うた妖夢殿の本質を垣間見たときでもござった。 相応に、あるものと、このとき思えればこそ。 「香霖堂にも縁がありましたね」 「霖之助殿とは男の友誼を固く結んだでござる」 「その後に現れた布切れ一枚は悪夢でしたけど」 「魔理沙殿には御世話になったでござる」 「弾幕ごっこの稽古もよかったのですが、命がけなのは感心しませんでしたよ」 「クリスマスの時は、あちこちの人に彫刻を贈ってましたね。あの時はいいものを頂いて、ありがとうございます」 「それはこちらも同じ事でござるよ」 「新年は紅魔館で宴でござったな」 「メイド姿には驚きましたけど」 「蛍のたゆたう雪景色をご一緒したでござるな」 「スペルの訓練もしましたね」 「宴では彼のお三方に真髄を賜ったでござる」 「いつの間にかぼろぼろでしたね」 「妖夢殿より彫り物の課題を頂いたでござる」 「昔の事を、気にかけ始めましたね」 「幽々子殿に反魂蝶を受けたときには、生きた心地がしなかったでござる」 「そんなことがあったんですか!?」 「あったでござるが、これも必要な事だったのでござるよ」 それなくば、今はここにこうしておられぬだろう。 我が身の危険ではなく、己が気持ちの自覚について必要でござったから。 「みなすべて、良き思い出でござる」 それも、傍らにおられるお方がいたがゆえ―― 「本当に、行くんですね」 「武士に二言はないのでござるよ、妖夢殿」 再三のご心配、まるで妖夢殿が拙者に未練でもあるかのよう。それも、思い違いでござろうが。 そして、拙者の未練ともなろう。ただそれを、拙者はこのまま持ってゆくのみ。あろうはずの一念も、既に託した後ゆえ。 が――、 「私に出来る、せめてもの手向けです」 「妖夢殿……」 妖夢殿は、刀を、抜かれた。 携えし剣の名を白楼剣。人の迷いを断つといわれる、妖夢殿のお家に伝わる名刀。 これは、良きかな。 「良い思いでは、良い思いでのままで。あなたの枷にならないように、前に進めるように、断ち切ってあげます」 「妖夢殿……。かたじけない」 断ち切るならば、せめてご本人の御手によって。 是非もなく。 否、 願っても……、無い。 妖夢殿の御手に携われた白刃は、拙者に向かい真っ直ぐに構えられる。お顔は、凛と、らしくある。 これは、未練になるはずもなし……。 おさらばでござる。 白楼剣を手にしていた私には、まだ、未練があった。 この剣で、○○さんの世界に対する未練が消えれば、あるいは、と……。 けど、それは押し付けがましく、高望みで、誰に対しても優しくない。ただ、自分に甘くするだけの未熟な事。 ○○さんの師匠らしく、できない。 そんな自分が、情けなくありながら。 私は、剣を、振り下ろした。 「時間よ」 いつの間にか現れた紫様が刻限を告げていた。 別れも、すぐ近くにあった。 「これにて幻想郷ともお別れにござる」 「そうですね」 変わったところもなく。 でも、少しばかり、顔は晴れやかで。 「では達者で――」 私は、未熟さゆえに、 断ち切った。 「……見知らぬ方」 「!?」 私は一体、何を断ち切ったのか? 旅立ちという名の別れの言葉を口にし、幻想郷の名を口にした彼から断ち切った、名を紡がれる事のなかった自分の事。 未練は、元の世には無い。 幻想郷にしてもない。 欠けたからこそ分かった、一番の未練。 あろう事か自らの手で断ち切った。 ○○さんの一番の、 未練――想い 彼は、頭を下げて背を向ける。 その背に掴みかかろうとして、手を伸ばし、そして、 掴めなくて……。 拳を握り、声を殺し。 自分を殺し。 ただ、一言を、 「さよう、なら」 とだけ、搾り出した。 「良かったの。あれで?」 お別れが済んで、紫様もお帰りになって、それからどれくらいか経ってから、不意に、 いつの間にかいらっしゃった幽々子様が話しかけてきました。 「いいんです。私は、私で、断ち切ったのですから」 「早まった事しちゃったわね」 「そんなこと、ないです」 「そう?」 「そうです。未練があって、実力が発揮出来なければ、修行した意味がありません」 あの人の大事な約束です。そのための枷にならないために、私は、白楼剣を使ったのだから。 「……そう」 「そうです」 「ねえ?」 「なんですか?」 「泣いてもいいのよ?」 「泣きません。泣く事はありません。私は、最後まで笑顔で見送りますから」 「そうなの。でも……」 「なんですか?」 「貴女の笑顔、泣いてるわよ?」 涙は流れていないのに、 私の笑顔は、泣いていた。 白玉楼に戻って、私は自室に帰りました。 気持ちが疲れているのかもしれない。 けど、○○さんを笑顔で見送った手前、情けない姿ではいられません。 それに、私はあの人の師匠だったから、もっと胸を張っているべきだと、そう思います。 「ふぅ……………………………………あれ?」 部屋の隅に、見慣れないものが目に付きました。 どうも小物の様。 「これは……」 木材を綺麗に磨き上げたような、そんな置物。 何を模しているかは分からないし、そのまま、気を磨いただけにも見えました。 多分、これは、あの人の……。 「どういう意味なんだろう、これ……」 私が、好きなものを、と。 しかし、これは、なんだろう? あの人が残してくれた、私が好きなもの、なんでしょう。 これには、どんな意味が……。 「これ……」 よく見たら、蓋のようなものが。 とりあえず、開けて……。 「……え?」 入っていたのは、髪。 意味を図りかねていると、蓋の裏に、文字があることに気付きました。 そこには、 「ぁ……」 『我が心、妖夢殿の元に在り』 気付かないわけには、いかない。 整理がつかないと、自分に言い訳をし続けて、 手を伸ばしかけたくせに、掴まず、理性的に努めて。 こうして、ようやく気付いて。 「わ、た、し……」 斬って、落とした、 あの人の心に対する、私の想い……。 「あ、ああ……」 好きだったんだ。 「う、うああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」 私は、 泣きました。 後、歴史に強いあの人に尋ねるところ、おおよその推測がなっていました。 生まれをおよそ安土桃山の時と。 ともすれば、人間である以上は400年ほど前に、没しているのでしょう、とも。 あの人は、戻った世で、どんな景色を見たのでしょう。 願わくば、幸せであった事を、願います。 本当に、心の底から。 <幻想郷の白岩さん> A.質問は来ていないけど、一方的に伝えるわね。 ●●、あなたを助けた冬の妖怪の事。 雪女のことは、忘れなさい。 貴方の病気が完治したときに私がいる保証も無いもの。 人間同士の付き合いに、妖怪の話題は禁物ね。 これは、貴方を思っていっているの。 分かって頂戴。 貴方は無事に治る。これは絶対よ。 じゃあ、今までありがとう。 さようなら。 あの日から、一週間、といったところでしょうか。 「残念ですね。○○さんがいなくなるなんて。せめてお別れくらいしたかったです」 そう言うのは文さん。○○さんともけっこう親しくしていたみたいですし、そう思う気持ちも当然あるでしょう。 少し、ちくりとしました。 「すみません。急な話だったので」 「いえ、別に妖夢さんを責めているわけじゃないですよ?」 「そうですか」 正直な話、責められても仕方ないと思います。 実際、変える事が決まってから一両日はありました。その間にでも、文さんくらいなら容易に駆けつけられたでしょうし。 これも、私自身が未熟だったからこそ。 「しかし、妖夢も悲しかろう」 もう一人、ご一緒していた慧音さんからも一言。 元々ここには、○○さんの本当の時代について聞きにきたのですけど。 「寂しくはありますけど……」 悲しいとは、口にしません。 「胸を張っていないと、○○さんに申し訳ありませんから」 それが、結局のところ、私が得た結論であり、覚悟でした。 「そうか……野暮な事を聞いた」 「いえ」 「それで、彼のいた時代についてだったか」 「はい。せめて、少しだけでも知っておきたくて」 未練、とは、思います。 本来は本人に聞くべき本人の事だけど、もう、いないから。 「ふむ。言語野については、多少こちらの寺子屋の入れ知恵もあって参考にはならない。知識からあたれば、おおよその見当はつく」 「本当ですか?」 慧音さんは鷹揚に頷き、 「実に、400年ほど前のだな。現在の外来人の知識と稗田の文献と私の知識を参考にして、それほどだ」 「そんな、時代に……」 「でも、それって……」 文さんは、気付かれたみたいです。 「うむ。そういうことだ。人間の、運命だな」 既に、あの人は……。 「そうですか。ありがとうございます」 「つまらない話をしてすまなかったな」 「いえ、分かっていた事です」 時代が違うのだから、分かって当然のこと。 「さて、妖夢。この後何か用事があるかな? せっかくだからお茶でもしていくがいい」 「あ、いえ、せっかくですけど……。この後用事が有りますので」 用事は、幽々子様のお使いの事。 場所は彼岸で、別に珍しい事じゃない。冥界は元々幽霊を受け入れる場所ですから。 「残念ですね。妖夢さん」 「ええ、すみません。では、これで」 「あ、ちょっと待ってください」 去ろうとする私を、文さんが引き止めました。 「なんですか?」 「あ、これ、これです。本当は新聞の記事に使おうと思っていたのですけど」 取り出したのは一枚の写真。 そこに映っているのは、私と、○○さん。 あのとき、文さんに弾かれそうになった○○さんをかばって、写真にはまるで寄り添ういあうように映ってしまっている。 「これは、載せられませんから」 「……」 「もらってください。というよりも、妖夢さんのものです。これはもう」 思い出は、風景を切り取った一枚の写真の中に。 いつまでも変わらぬ風景を残す写真を、あの人は風情があると言うでしょうね。 「……ありがとう、ございます」 「どういたしまして」 「それでは、今度こそ失礼しますね」 「それではな」 「はい、さようなら」 冥界に、幽霊を迎えにいく。 取り立てて珍しい事じゃないですし、時には人魂灯をもって大勢を誘導する事もあります。 また、今回のように、ただ一魂を迎えに行くことも。 ただ、それが、と……。 今は邪念が浮かぶ事を禁じえない。 すでに、期待は裏切られてるから。 一週間のうちに、彼岸に足を運んだけども、期待通りのことは無い。いや、最初から望みがあったことじゃないから裏切るも何も無い。 また、仕事をする。 それだけのこと。 ああ、でも、 あの人のように、もう少し、風景を見て、歩こうと思います。 彼岸の渡し場に、幽霊がいました。 正確には、亡霊、でしょうか……。 男の人の背格好というだけで、少し期待をしましたけど。 当然、違いました。 「ああ、冥界の方ですか?」 「はい、そうですけど」 実に普通に話しかけてくる人です。 「それでは着いて来て下さい。これから白玉楼に行きますから」 「あ、いえ、そうじゃなくて……」 「? 何でしょう?」 ずいぶんと歯切れの悪いその人は、なにやら思案するように頭を抱えながら、切り出しました。 「私じゃないんですよ」 「違うんですか?」 「はい。私はここの渡し守の……、そう、同僚ですね」 「ああ、そうでしたか。それは失礼しました」 「いえ、それはいいんですけど。実は……」 「実は?」 「貴女にお迎えいただく予定だった魂が、どこかへ行っちゃったんですよ?」 「は?」 これは、聞いたことも無い話です。 ともすれば、亡霊が未練の有った場所にでも行ったのでしょうか? 「詳しい事は小町さんが来れば……、あ、来ました!」 視線の先を追う。 私の背のほう、来た道から小町さんがやってきました。なにやら、困った様子で。 「さって、どうしたもんかねぇ……」 「小町さん、どうでした?」 「ん、ああ。お手上げだね。どこに行ったか見当もつかない」 小町さんとその同僚という人はそろって頭を悩ませているようでした。 「見つからないんですか?」 「ああ、妖夢。そうなんだよ。こいつはちょっとした失態だよ。映姫様に怒られちまう」 「怒られるだけならまだいいですよ。もしかしたら説教地獄に減棒も覚悟しないといけないです」 「うわ、まずいねえ」 二人は一層、頭を悩ませているようです。 「探すの、手伝いましょうか?」 「あ、頼めるかい?」 「構いませんよ。特徴を教えてくれますか。……といっても、幽霊は見た目に違いがありませんでしたね」 しゃべれもしないし、おかげで区別もつかない。 でもまあ、幽霊がその辺を浮いていれば分かるような……。いえ、幽明結界はほころんだままだし……。 この際、全部つれて帰りましょうか……。 「いんや。あいつは人の姿だよ」 「あ、では亡霊ですか」 「まあ、そんなところじゃないのかい。でもまあ、あんな明るい亡霊じゃあ、何も呪いやしないだろうね」 「小町さん……。そうもいかないでしょう」 同僚の人が呆れています。 生前の姿で映る亡霊は、意識なく人を死に誘う。そこに悪意が無いだけに、お互いにたちが悪いでしょう。 「では、せめて背格好でも」 「ああ、そうだね」 「それなら、私から説明しましょう」 と、突然、誰かの声が割って入った。 いち早く反応したのは小町さん。 「え、映姫様! これはちょっと、いろいろと……」 「何を慌てているんですか小町。別に、貴女を責めようというわけじゃありませんよ。 裁きが終わって冥界に移送する幽霊について、伝えるだけです」 「う、うう……」 何か泣き所を突かれた様に、小町さんは力なくうなだれました。 「では、説明します」 「お願いします」 こほん、と、一呼吸、置きました。 「日、月、星といった自然の気質を現す三精。次いで、誕生の春、成長の夏、衰退の秋、死の冬と生命の流れを意味する四季。 そして、五行、木火土金水。これらの組み合わせで自然を表します。その周期を積で言って六十年」 「あ、あの、それが?」 どうも、背格好や幽霊に対する説明には聞こえません。元々、閻魔様は説教魔ともありますし、これはただ説明好きなためでしょうか。 これは、以前に聞いた事があるんですけど……。 「花の事件のときに……」 「ええ、お話しましたね。さらに、これに六道をかけて見ましょう。六道輪廻……、いえ、 転生していませんから六道巡りとでも言いましょうか。転生六回分をふいにしたとも言えますね」 「あの……」 「それが360年。さらに、六道一転してきたとして、その後こちらですごしたおよそ40年。計400年ほど」 「……」 そこで、閻魔様はため息を吐きました。 「最後の40年も、浄化と裁きですよ。転生を拒み、この『時』まで待ったと言うのですから。もう、お気づきでしょうか?」 400年と、その数字に聞き覚えがある。 でも、確信に至れないのは、真実を聞いていないから。 それとも……。 「一応、背格好を伝えておきましょうか。性別は男、背は貴女より大きく、体格はあなたに鍛えられたくらい逞しい。 顔は、貴女の好みじゃないでしょうか?」 そう言って、閻魔様は、にこりと笑いました。 「そんな人がいて、帰るとしたら見当がつくかと思います。行って、迎えてあげてください」 「は、はい!」 ――走る。 彼岸から冥界が、こんなに遠いと思ったことは無い。 ――走る。 過ぎ去る景色が、まるで走馬灯のように流れる。 早く、過ぎてしまうのは、もったいないというでしょう。 ――走る でも、景色を見るなら、 ――走る 思い出として、景色を見るなら、 ――走る 隣に、いるんです。 ――――走る! 要るんです! 白玉楼。 二百由旬とも謳われる広大且つ雅やかな庭。 そこには、我が方自慢の桜並木。 秘奥の桜、西行妖。 その前、に……。 いつか、 あの時、 掴み損ねた背中が、あった。 「はぁ、はぁ……」 全力で駆けて、息も絶え絶え。 最初に、どう声をかけたものかも分からず、ただ、その背を見つめる。 息を整えて、せめてかける声に淀みないようにしたいと。 しかし、同時に思い出す。 未練は断ち切った。 想いは、斬り落とした。 私の手で。 そこに、本当に何と声を出せばいいのか……。 でも、 でも……、 逃げないで、私から、今度は、今度こそ―― 「○○さん!」 あらん限り、届く声で、拳を握って見送った背にぶつける。 振り返る、その人。 こちらを見る、どの目。 ああ、間違いない……。 「妖夢殿。お久しぶりでござるか……。おっと、とはいえ、数日振りでござるな。 よもや、あちらに戻ってたったこれだけで帰ってこようとは、情けないやら面目ないやら」 嘘を吐いてる。 本当は、およそ400年の月日を耐えしのいできているのに。 覚えてる。 私のことを。 「いやはや、件の勝負に拙者負けましてな。全く、妖夢殿の弟子として不甲斐無きこと。 これからはますます鍛錬に励むゆえ、妖夢殿、今一度――」 「○○さん!」 もう一度、私の口から出た彼の名が怒号になって遮った。 嘘つきと、叫びたい。 本当は長い時間をかけてここに帰ってきたのに。 嬉しいと、泣きたい。 断ち切られた未練の中でも覚えていてくれた事。 でも、 一番、叫ばないといけない事が、 ある。 魂魄家当代、魂魄妖夢。 一世一代の、清水舞台 「好きです!」 言の葉は切り込む一刀の一振りの如く。 斬られた○○さんの、顔は……。 口の端を、きっと結び。 目を閉じ。 少しゆがめて、 笑みとなった。 「燕は、拙者の方でござる。また、返った、……帰ったでござる」 燕は帰巣本能があり、また、もとの居場所に帰ってくるという。 だから、そう表したのでしょうか。 だから、○○さんの居場所は、ここだと。 「拙者も、好きでござるよ。妖夢殿」 その言葉を聴いた瞬間に、私の足は、駆け出していた。 今迄で一番遠い距離で、 今迄で一番愛しい距離を、 今迄で一番早く、縮める。 どんと、体当たりするように、抱きつく。 揺れない、ここにある、○○さんの体。 ここにいる。ここにある。 「おかえりなさい、……○○さん!」 「ただいまでござる。妖夢殿」 かつて、未練を断ち切られしとき、 しかして、断ち切れぬものもあった。 未練は消えども、想いは消えず。 後ろ向きでなく前を向くためとあれば、消える道理もなし。 『次は手を貸さないわ。貴方が、自分であの子への道を見つけなさい』 紫殿の、別れ際の一言。 六十年の周期ごとにかすれそうな記憶に負けじと、想いは募った。 思い続けて幾星霜。 さ迷いて出でたこの地にて見つけた、かけがえなきこと。 この御方、妖夢殿共に、拙者はあろう。 共に、三精、自然に触れよう。 季節を、四季を見よう。 五行の如く感情に、心に触れ合おう。 この、 一番、愛しき人を、 抱きしめ続けようぞ。 <幻想郷の白岩さん> ※突然ですが、当コーナーは今回より終了とさせていただきます。 人間が一人、寝込んでいる。 そこに妖怪が押し入るなんて、とても簡単なこと。 バン 勢いよく、扉を開いてあげる。 ここには何度も来たから、どうなってるかも知っている。 家主は布団に臥しているみたい。 それは前から知ってる事だけど。とにかく、当人に用がある。手っ取り早く、そこまで言ってみる。 すると、家主の当人が、目を丸くしてこちらを見ていた。 顔は少しこけたかしら。病人らしくなりすぎね。 まったく、これじゃあ――、 「ど、どうしたんですか、レテ――」 開きかけた、その口を掴んで黙らせた。 彼は、また別に意味で目を丸くしている。それもそうでしょうね、いきなり押しかけて口を閉ざされたら強盗みたいだし。 でも、そういうことじゃないのよね。 「いいかしら。雪女っていう昔話知ってる? 昔、気まぐれに命を助けた雪女がその男と恋に落ちて家庭を持って、 その後正体をうっかり漏らしてしまった男の命を子供を想って奪いきれず引いてしまう。そんなお話よ」 彼は、私の言葉をしっかりと聞いて、頷いた。 「そういうことなのよ」 理解が得られたところで、口を離す。 「けほ、けほ……」 「あ……、ちょっと。大丈夫?」 少し、やりすぎたかもしれない。 でも、そうやって口止めしないと元も子もないし。 「あ、大丈夫ですよ。えっと……」 「ああ、そうね。名前ね。同じだと問題あるかしら。好きに呼んだらいいわ。 思いつかないならさっきのお話からとって『お雪』でもいいわね」 「お雪、ですか……。それで、着物を着てるんですか?」 「あら、気付いたのね」 「それは見たら気付きますよ。似合ってますよ」 「そう、ありがとう……。ああ、でも、そんな事を聞きに来たんじゃないのよ」 素直に褒めてくれたことは嬉しい。人間らしくしてみて着たけど、実は、ものすごく嬉しい。 でも、順列は守らないと。 「じゃあここで、お便りを読む事にするわ」 「レ……お雪さん」 「ああ、やっぱり面倒ね。レティでいいわ。人間にも同じだ名前はいるでしょうし」 「あ、はい。それでレティさん」 「なにかしら?」 「ここでそれを呼んで、正体とか……」 「だから、貴方が口外さえしなければいいのよ。じゃあ、読むわね」 Q.白岩さん、あなたのことを愛しているのですが 結婚を前提としたお付き合いをしていただけませんか? 彼は、●●は、顔を真っ赤にしてたわ。 そして、もう一枚。 Q.白岩さん、いえ、レティさん。 先ずは匿名を希望した無礼から謝罪させていただきます。私は●●、しがない一人間です。 確かに今回の告白は早計でした…。しかし、あなたを想うにつけ募りに募るこの思いは、伝えずにはいられませんでした。 妖怪? だから何だと言うのです、誰に否定されようと糾弾されようと、どんな問題が起ころうと、私は貴方を愛し通します。 冬の間だけ? 私は、貴方を目にする度に恋に落ちてしまうのです。三ヶ月の幸福の為ならば、九ヶ月など何でもありません。 ですからどうしても、お願いです。友達でも良い、貴方の傍に居させてください 軽く固まった彼を横目に、ちょっと笑っちゃったわ。 「で、どうかしらね?」 「え?」 「あ、この場合、私が答えるほうなのよね。ああ、そうそう。 私はここで言うところの白岩さんって言う雪の妖怪じゃなくて、そうね……、特殊な代弁者」 「特殊、な?」 「ええ、私にとって、本音って言う事」 A.こちらこそ、私のそばにいてくれてありがとう。 これからも、そばにいて……。 結婚して頂戴。 聞いた、彼の顔。 もっと、真っ赤になってたわ。 私の顔も、多分、ものすごく赤いでしょうね。 「と、いうことなんだけど」 「……でも」 言いたいことは分かってる。でも、言わせない。 「あら、私がこう言ってるのにひどいわね。遊びだったの?」 「そんなつもりはありません! 真剣に――」 「なら、私も真剣よ。どうせ、体の事がどうとか思ってるんでしょう?」 「そうです、けど……」 「人間の言葉に、『病は気から』って言うのがあるのよ。 ついでに貴方の言う事の悪性腫瘍とやらが気持ち一つで治癒する例もあるそうよ。これは、その為のこと」 「その、為の?」 「あら、勘違いしないでちょうだい」 つい、順番が逆になったけど、これも言わないといけない言葉。 「私は、貴方が好きなの。だから、貴方といたい、生きていて欲しい」 「レティ、さん……」 「言い忘れたけど、『さん』もいらない。レティって呼んで、あなた」 「そんな、気がはや――」 「それくらいの気持ちがないとダメ。早く治して。そして、結婚して、人並みの夫婦みたいにいちゃイチャしましょう」 そこまで言って、耐えられなくなって。 真っ赤になった顔を隠すために、彼の胸に飛び込むようにして顔をうずめた。 「レティさ――、レティ?」 「ねえ、ちょっと駆け足でいろいろ言っちゃったけど、本心なのよ?」 「……はい」 「分かってるわね」 「はい」 「だったら、貴方からも、言って」 「……好きです……。好きだ、レティ」 そこまで、聞く事が出来て。 私はようやく顔を上げた。 「合格」 合格のご褒美は、今一番近い顔と顔の、アレ。 続きは、ちゃんと治ってからよ? ▲ あとがき ながらくやってきました、本シリーズ。 ござると妖夢、白岩さん。これにて終了となります。 なお、糖分保管のため幾つかおまけが収録されておりますのでお召し上がりくださいませ。 おまけ1 「あらあら、なるようにあったわね」 白玉楼にて、妖夢殿のあれだけ大きな声を聞こえぬはずもなく。 拙者と妖夢殿が抱擁しあうところに幽々子殿がいらっしゃった。 「ゆ、ゆゆゆゆゆゆ、幽々子様! こ、これは、その! あの……」 「別にいいのよ。むしろ、目標どおりよ」 「目標、でござるか?」 「ええ。妖夢に(未熟なところが直るような)素敵な恋が出来ますようにって」 「あの、幽々子様。今何か聞こえたような……」 「あらあら、妖夢ったら気が早い事。祝言の日取りだなんて」 「そんなこと言ってませんよ!?」 「嫌なの?」 「嫌じゃありません!」 「あらあら、素直ね。○○ちゃん。遅れたけど、お帰りなさい。それと、ご成婚おめでとう」 「幽々子殿。ただいまでござる。まこと、めでたき言葉、感謝いたしまする」 「なんで貴方までそんなに気が早いんですか!!」 「世が世なれば、当然でござろう」 拙者が知る限り、男女の契りは知り合ってから早いものでござる。 「妖夢殿。異論ならば、これは――」 「あ、その、嫌じゃないんです。だけど、その、まだ早いと思うんです……」 「あらあら、妖夢ったら初心ね」 「うぅ。幽々子様、からかわないでくださいよ」 「幽々子殿、拙者の妻をあまり苛めてくださるな」 「つ……!?」 「大丈夫よ、○○ちゃん。ああ、お布団は一緒の部屋に一つでいいわよね?」 「幽々子様ぁ!?」 「むう、それが通例ならばお願い申し上げます」 「なんでそこだけ意味を分かってないんですかぁ!!」 おまけ2 「あら、貴女は……」 「初めまして。私はレティ。この人の妻になったの」 「あら、そうなの。病人なのに、すごくタフなのね」 「その、そういう言い方は止めてください」 「そうよ。いろいろと、治ってからなんだから」 「レティも、もう少し自重してください」 ●●は弄ると可愛いのよね。 もしかしたら、その辺はこの医者の通じるものがあるかもしれないわ。 あ、でも、手出ししたら許さないけど。 「まあ、いいわ。それで今日からこの永遠亭に入院っていう形になるんだけど、貴女はどうする気なのかしら」 「もちろん、彼の介護をするわ」 「そう。じゃあ、隣にベッドを用意させるわ。くれぐれも、旦那様に無理をさせないようにね」 「あら、それくらい分かってるわ。大丈夫よ。お楽しみは後にとっおいた方がおいしいって言うもの」 「あの、二人とも、女性がそんなことをいうもんじゃ……」 「あら偏見よ。それに、男の人が下品な事を言うよりもオブラートに包んだ表現なのよ」 「貴女にお薬が必要なときは私が飲ませてあげるわよ。口移しとか、期待してもいいわよ?」 「レティ!?」 「ここは診療所なんだけど。まあ、事と次第によっては産婦人科になってもいいわよ」 「先生も!?」 「まあ、こんな風になったら、治らなきゃ損よね」 永琳は、寝台から離れたわ。ようやく出て行ってくれるようね。 「貴方達の選択、敬意を評するわ」 それは、私たち二人の存在のことを言ってる。 でも、そんなこと、 「余計なお世話よ」 好きだから。 理由はそれだけなのよ。 結婚するのも。 治ってもらうのもね。 永琳が部屋から出て行くのを見計らって、彼に話しかける。 「ところであなた」 「なんだかその呼び方くすぐったいけど、何?」 「子供は何人くらい欲しい?」 「あ、あの……」 「オーソドックスに一姫二太郎ね。理解のある夫で嬉しいわ」 「……、あははは」 病は気から。 だったら笑えばいい。 ほら、彼を笑わせるなんて、簡単。 最初に、彼に言葉をもらってから、ずっと彼のことを考えてたんだから。 妻として、当然ね。 おまけ3 妖夢です。 なんだかすごい事になってます。 今、○○さんと一緒のお布団で寝てます。 なのに、 「ぐう……」 (なんでそんなぐっすり眠れるんですか!!!) 一緒の布団に入ってるのに、一緒にいるだけでもどきどきしてるのに、なんだかこれじゃあ不公平じゃないですか! それに、この体勢、おかしくないですか!? 私、○○さんに抱き疲れてますよ!? もう、抱き枕ですよ!! 顔近いですよ!!! ……○○さんの寝顔が可愛いですけどね! ちょっと軽く自我崩壊寸前です。 ちなみに、とっても暖かくて、幸せです。 少し背を丸めると、○○さんの抱擁にすっぽり収まって、気持ちがいいです。 少し顔を上げると、○○さんの顔がすぐ目の前。 もうちょっと頑張って、首を伸ばして……も、これは、ちょっと届かないです。 ああ、でも、こういうことはもう少し雰囲気のいい場所でした方がいいですよね。 雰囲気で言うなら、○○さんは期待を裏切りませんから。 「妖夢殿」 (ビクゥ!!!) 名前をいきなり呼ばれて全神経で警戒状態になり、それが寝言だと分かって一気に脱力。もう一度、ちょっと顔を見上げる。 と、そこで、○○さんは少し寝相が変わって。 (うあ! 顔が、近い! 鼻が! 鼻と鼻が! 当たってる! おでこも!) 色々と密着状態。 恥ずかしくて息が止まりそうです! どうも、まともに眠れそうにありません。 おまけ4 私と○○さんは、里を歩いていました。 言ってみれば、逢引のようなものです。 お使いですけど、逢引なんですよ!? いろんな人に散々からかわれましたけど! その度に、○○さんが妻妻いって嬉恥ずかしでしたけど……。 と、遠目に、見覚えのある女性を見つけました。 その女性は男性と歩いています。 ああ、そうなったんだ……。 あちらも私に気づいたようで、声をかけず、でも微笑んでくれました。幸せそうです。 おめでとうございます。 「良かったですね」 小さく呟くと、それに○○さんは反応して。 「どうしたでござるか、妖夢」 今ではすっかり呼び捨てにしてもらえるようになりました。 まだ、あなた、とは呼び難いんですけど。遠くから、小さくは言ったりするんですよ? 「いえ、なんでもないですよ」 「左様でござるか」 「はい、左様です」 そして、○○さんの腕にぎゅっとしがみつき、彼も、握られた手から指先を探して絡めてくれる。 ああ、人を好きになるって、素敵ですね。 好きな人と一緒にいられるって、素敵ですね。 ねえ、レティさん。 ───────────────────────────────────────────────────────────