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バレンジア女王伝 第3巻 スターン・ガンボーグ帝都書記官 著 第2巻では、バレンジアが新たに建てられた帝都に温かく迎えられ、一年近くの間、まるでずっと行方の知れなかった娘のように、皇帝一家から愛されたところまでを紹介してきた。数ヶ月間、帝都領地の女王としての義務と責任を学んだあと、シムマチャス将軍が彼女を護衛してモーンホールドへ送り届けた。この地でバレンジアはシムマチャスの手引きを得て女王として国を治めた。そして彼らは少しずつお互いを愛するようになり、やがて結婚した。彼らの結婚と戴冠を祝う盛大な式では、皇帝自らが司祭として儀式を執り行った。 数百年の結婚生活を経て、息子ヘルセスが生まれ、祝賀と喜びの祈祷で迎えられた。後になってわかったことだが、このめでたい出来事の直前、モーンホールド鉱山の奥から混沌の杖が持ち去られていた。盗んだのは謎めいた吟遊詩人で、ナイチンゲールと呼ばれた男だった。 ヘルセスが生まれてから8年間、バレンジアは娘を生んだ。シムマチャスの母親の名をとってモルジアと名づけられた。夫婦は幸せに満ちていた。しかし、その直後、不可解な理由から帝都との関係が悪化し、モーンホールドに不穏な空気が漂い始めた。原因究明と関係修復の努力は無駄に終わり、バレンジアは子供たちとともに帝都へ行き、皇帝ユリエル・セプティム七世と直接話すことにした。シムマチャスはモーンホールドに残り、不満を訴える領民や不安がる貴族たちに対応し、反乱を食い止めることになった。 皇帝との謁見の際、バレンジアは魔力を使って皇帝の正体を見抜き、その瞬間、恐怖と困惑に襲われたのであった。なんとあの混沌の杖を盗んだナイチンゲールではないか! だが彼女はつとめて平静を装った。その夜、シムマチャスは農民の反乱に敗れ、モーンホールドは反逆者の手に落ちた。バレンジアは誰に助けを求めたらよいのか途方にくれてしまったのだった。 だが、まるで今までの不運を埋め合わせるように、天はその運命の晩、彼女に味方した。皇帝とシムマチャス両方の旧友であるハイ・ロックのイードワイヤー王が訪問してきたのであった。彼はバレンジアを慰め、友情と協力を誓い、彼女の言うとおり皇帝が偽者であると断言した。皇帝になりすましているのは帝都軍の魔闘士ジャガル・サルンであり、ナイチンゲールは彼が持つ様々な顔の一つであるという。ターンは隠居し、彼の任務は助手リア・シルメインが引き継いだと言われていたが、そのリアは後に謎の死をとげたのであった。どうやらなんらかの事件との関連が疑われ、処刑されたこになっていた。しかしリアの亡霊はイードワイヤーの夢に現れ、真の皇帝はターンに拉致され、別次元に監禁されていると告げたのだった。そのことを元老院に知らせようとした彼女は、ターンに混沌の杖で殺されたのである。 イードワイヤーとバレンジアはともに、偽皇帝の信頼を得るために画策した。そのころ、偉大な力を秘めたチャンピオンという名でしか知られていないリアのもうひとりの仲間が、帝都の地下牢に閉じ込められていた。リアは彼の夢に現れ、逃走の準備が整うまで待つように告げるのであった。こうして、彼は偽皇帝を倒す計画を練り始めたのだった。 バレンジアは引き続き偽皇帝に近づき信頼を得た。彼の日記を盗み読みし、混沌の杖を8等分にして、それぞれをタムリエル各地の遥か彼方に隠したことを知った。バレンジアはリアの仲間の牢獄の鍵を入手し、看守を買収し偶然を装って彼の手の届くところに置かせた。バレンジアとイードワイヤーにすら名前のわからないチャンピオンは、リアが衰えつつあった力で開けた辺ぴな通用門から脱獄することができた。ついにチャンピオンは自由の身になり、すぐさま偽皇帝の打倒にに立ち上がった。 数ヶ月かけて盗み聞いた会話と盗み見た日記から、バレンジアは混沌の杖8つのかけらを探し当て、リアを通じてチャンピオンにそれぞれの隠し場所を伝えた。そして、一寸たりとも時間を無駄にすることなく、計画を行動に移したのであった。まず、ハイ・ロックにあるイードワイヤーの祖先の領地ウェイレストへ向かった。そしてターンが送り込む手下たちを回避し、復しゅうを図ることに成功した。ターンは、(バレンジアからは見透かされていたかもしれないが)、決して愚か者ではなく、非常に狡猾な男であった。彼は考えうるだけの策を弄してチャンピオンを突き止めて消そうとしたことは確かであった。 今日では周知のとおりだが、あの勇敢で不屈の精神を持つ名もないチャンピオンは、混沌の杖のかけらを全て集めることに成功し、混沌の杖によってターンを倒し、真の皇帝ユリエル・セプティム七世を救い出した。そして王政復古の後に、セプティム王朝を長年統制してきたシムマチャスを称える記念式典が帝都で行われたのである。 バレンジアとイードワイヤー王はともに苦難と危険を乗り越える中で互いに惹かれあい、帝都からそれぞれの領地へと帰ったその年に結婚した。バレンジアと前夫との間に生まれた2人の子供も、彼女とともにウェイレストへゆき、彼女の留守中はモーンホールドによって摂政が代理で統治することとなったのである。 今も、バレンジア女王はヘルセス王子とモルジア姫とともにウェイレストに暮らしている。イードワイヤーが他界すれば、またモーンホールドへ戻るだろう。 結婚したとき、イードワイヤーはすでに老いていた。従って、エルフと違って残念ながら世を去る日はそう遠くないとされている。しかし、それまでは、イードワイヤーとともにウェイレストを治め、やっと手に入れた平穏で幸せな生活をバレンジアは送ることとなるだろう。 歴史・伝記 茶4
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ハ 廃城の隠し倉庫 部位刻み(ハイ・シングル) ハインツマン・ディメルゲルグ 抱猪愛(バオツーアイ) 拍明くん人形 伯途泰造(はくとたいぞう) 定義同定帯(パスアンビリカル) バズビー・ストゥープ・チェア 発情大陸 花祭 離れ(はなれ) ギリッツェ伯爵夫人の手による発情香(パフューム・オブ・メイテイングシーズン) 早川(はやかわ) 早川神社(はやかわじんじゃ) 早川千早(はやかわちはや) ゆらゆら人形(バランシングトーイ) 春亮くんがなんでも頼みを聞いてくれる権 春亮の母親 救済拷問官の瞳(バルトロメイ・オブリビオン) 春奈(はるな) ハレンチ小僧(はれんちこぞう) 鏡像が意味する二重顕在(ハロー・トゥ・アナザーワン) 汎用拷問処刑器具(はんようごうもんしょけいきぐ) ヒ ビアンカ ピーヴィー・バロヲイ 卑怯者の槍 必殺・錐霞飯綱落とし(ひっさつ・きりかいづなおとし) 壱鈴(ひすず) 櫃籐グランドホテル(ひつとうグランドホテル) 櫃籐市(ひつとうし) 雛井エルシー(ひないエルシー) ビブオーリオ家族会(ビブオーリオファミリーズ) 被服室(ひふくしつ) 日村素直(ひむらすなお) 緋渡夕銘(ひわたりゆめ) フ 家族会(ファミリーズ) フィア 箱形の恐禍(フィア・イン・キューブ) フィア・キューブリック フィアと愉快な仲間達とそれ以外 フィアと愉快な仲間たちのRPGコスチューム フィアを世話していた少年 運試しの赤魔(フィフティ・パーセンテージ) フォーク・オブ・エピキュアー フォーティーン・クーンズベリ 極小殲滅圏(フォーミニッツ) 復讐者ネトー ふしだらブロッカー 伏見稲荷大社(ふしみいなりたいしゃ) 負の思念 人造達の子宮(フランケンシュタインズハート) 托卵計画(プラン・ネストパラシタード) ふれあいわんにゃんパーク 竜階(ブレイズ) ヘ 平成タロットカード ペネトレイター良将(ペネトレイターよしまさ) ホ 北条銃音(ほうじょうがのん) 北条漸音(ほうじょうぜのん) ホープダイヤ 撲殺紳士ガシャドクロン(ぼくさつしんしガシャドクロン) 空洞地球コンパス(ホロウアースコンパス) 竜島(本部) 奔柳市(ほんりゅうし)
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錬金術の基礎 アリャンドン・マスイエリ 著 若い魔術師は見落としがちだが、錬金術は歴史のある学問で、極めれば人生が変わるほどやりがいもある。錬金術の公式で使われる材料の知識を深めるのは難しく、危険をともなうが、あきらめずに真摯に研究を続けていけば、最後には大きく報われる学問と言えよう。 成功を勝ち取るためにも、それを目指すためにも、まずもって初級の錬金術師は錬金術の基本原理を理解しなければならない。この世の道具のほとんどは自然界の有機物から作られており、マジカの特性を含んだ根源的な成分に分解することができる。腕のいい錬金術師になると、材料のさまざまな特性を利用できるようになる。数種類の材料の源を混ぜ合わせることで薬ができあがる。もちろん、誰が飲んでもよい。(伝説によると、真に偉大な錬金術師はひとつの材料から薬を調合できたという。それだけの離れ業を身につけるには並大抵の努力では足りないだろう) 錬金術師の調合する薬は材料によって多彩な効能が生まれる。そのなかには毒となるようなものさえある。たいていのレシピからは、正と負の効果を併せ持つ薬が生成される。どのレシピが最高の結果をもたらすのか、それを見つけるのは錬金術師にかかっていると言えよう。(負の効果だけを持つ薬を生成すれば毒として利用できることも覚えておくといいだろう。本書ではこの実践を推奨しないため、これ以上の言及は避けておく) ウォートクラフト ウォートクラフトは、実際のところ、素人向けの錬金術である。材料を食べるには歯ですりつぶさなければならないが、その結果、もっとも純粋な源だけが解放され、食べた人に瞬間的な効果をもたらすのだ。ウォートクラフトでは、きちんとした道具で作られる薬のような効果は期待できない。 錬金術のツール 乳鉢と乳棒は錬金術に欠かすことのできないツールである。これがないと、薬として使えるように材料をうまく下準備することができない。新進の錬金術師はこれらのツールを肌身離さず持ち歩き、早いうちにその扱いに慣れておくべきだろう。材料をすりつぶすことは薬を作るうえで欠かせない基本手順となる。きちんと製粉された紅花草の花弁は粉末状になり、朝鮮人参のような材料を混ぜ合わせることで解毒剤ができあがる(これは錬金術師がもっとも早いうちに学んで身につけるレシピのひとつだろう。調合に失敗したときにお世話になることの多い薬だからである)。 腕のいい錬金術師なら、薬の質を高めるためのツールも扱えるようになる。レトルトを使うと混合物を純化することができ、薬の正の効果を高める。混合物を蒸留器で洗浄すると、不純物が取り除かれ、負の効果を減らすことができる。燃炉を使えば、混合物の不純物を焼却することができ、薬の効能がアップする。これらの道具は薬の生成に必ずしも必要なわけではないが、使わない手はないだろう。 材料の組み合わせ 薬の質は材料に依存する。同等の効果を持つ材料だけで薬を調合するのが無難だろう。ひとつの薬に対して4種類までの材料なら、問題なく使用できるようである。 錬金術師は材料の下ごしらえの腕前が上がっていくと、新たな特性を見つけられるようになり、それらを薬に利用することができる。錬金術師としての幅が広がるわけだから嬉しい瞬間には違いないが、完成時にどのような効果を持った薬になるのかしっかりと把握しておくべきであろう。すでに確立されたレシピの結果が変わる可能性があるうえ、すべてがプラスに働くわけではないからである。 白1 魔法学・薬学
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虫の王マニマルコ ホリクレス著 聖なるアルテウム島、バラ色の光が宙へ注ぐ 尖塔や花々を抜けて優しい風がそよぐ 緑に覆われたゆるやかな傾斜の下の崖で泡立つ波 春の潮は午後には境界を元へと戻す 神秘的な霧に囲まれたこの土地がサイジック教団の本拠地 彼らは国王の相談役、注意深く、賢く、公平であった 強国レマンが倒れてから200と30年が過ぎようとしている 2人の優秀な生徒がサイジック内で勉学に励んでいた 1人は明るく温和で、もう1人は暗く冷たい心の持ち主であった 怒りの後者、マニマルコはくるくる回って死のダンスを踊っていた 彼は魂を骨と蟲の中へ、占い師のやり方であった 魂を罠にはめ、奴隷とし、魔法の呪文を唱えた 前者ガレリオン、月日がたつにつれ勇敢で光り輝く魔法を得た ガレリオンは灰色のセポラの塔の下でマニマルコと対峙した 「お前の邪悪な神秘力ではその力をうまく使いこなせまい 魂の世界へ恐怖を連れて行けば、お前の修行もここまでだ マニマルコは嘲り笑い、平和な生活などまっぴらだとうそぶいた 彼は自分の芸術性、死と腐敗の絵へと回帰した 聖なるアルテウム島に次第に恐怖が伝わる 恐ろしい真実が明らかとなったとき、罰はなんと弱いものだったか 残虐なマニマルコは賢者の島から追い出され 美しい夜明けの本土に送られ、さらなる死と魂を得る 「狼が戻った、羊の群れに獣が送り込まれた」 ガレリオンは師に言った、「タムリエルに恐怖が放たれた」 「彼の名を口にするではない」灰色の隠蔽の衣の賢者は言った 師匠がそのように無情になるのはこれが初めてではない 島の宮殿は世俗から遠く離れたところにある ガレリオンはあらためて新しい組織の設立を考えた 新しい結社が魔術師ギルドに真実の魔法を持ってくる しかし、残された時間はあとわずか、アルテウム島の空色の湾 しかし、昔から伝わるヴァヌス・ガレリオンの詩歌がある いかにして彼がサイジックの鎖を投げ捨て、大陸に輝く魔法をもたらしたか 長い年月、ガレリオンはマニマルコの手を感じた タムリエルの砂漠、森林、街、山、海を越えて 暗闇から手が伸び、死に至らしめる病気のように大きく広がる 闇の死霊術師たちによって昔日の呪われた芸術品が集められる 乱心にみちたウィザードと魔女たちが、マニマルコに道具を運ぶ 彼の罪の洞窟に血痕の残る薬草とオイルを運ぶ 甘いアカヴィリの毒薬と聖人の灰、人間の皮膚を束にしたもの キノコ、根っこ、ほかにもいろいろな物で錬金術の棚はあふれかえった 巣を作るクモのように、マニマルコはこれらの力を吸い取った 蟲の王、マニマルコ この世で初めての不死の体 崩壊に次ぐ崩壊、彼の芯まで腐敗に満ちる 彼はマニマルコを名乗り続けたが、彼の体と心は いつしか人間らしさを失い、彼は生ける屍と化した 静脈に流れる血液は酸性の毒薬のシチューと化す 彼の力と精力は収集品が増えるにつれ勢いを増す これら芸術品は強大なものとなり、昔日より長く呪われしものとなる ガレリオンはギルドを去ったという、そこを「沼地」と吐き捨てて しかし、虚実は勢いのよい流れのように、時の河を汚していくものだ ガレリオンはマニマルコの湧き上がる圧倒的な力に注意する 彼の魔術師とランプの騎士に向かって「私が息を引き取る時は 蟲の暴政に直面しているに違いない、そして殺されるが死にはしない」 彼は手下を北の呪われし大陸へと導き、山を越えた 戦いを生き抜いた者たちは、こんなものは見たことがないと言った マジカで武装し、剣と斧に魔法をかける ガレリオンは繰り返し叫んだ「蟲の王、芸術品を明け渡せ、 私に力を分けてくれ そうすれば死にふさわしく生きられる」 渇いた笑いが聞こえ「お前が先に死ぬのだ」マニマルコが言った 魔術師の武器が不吉な音をたてて壊れた 炎と凍結の波のようなものが訪れ、山が震えた 閃光がアーチ状に前へ広がったように見え、竜のため息のような乾いた音 木の葉のように魔闘士が雨落ちる空へと飛んでいく 死霊術師が声をかけると死体の山が戦いのため地中から飛び出した 神聖な灯りの洪水を伴い、何もないところへと追い詰められる エネルギーの大混乱を起こしながら、地の小さな滝が河に流れ込む 空に光る雷鳴のごとく、獅子の唸りのごとく 鋭い剃刀が刺しゅうの施されたレースを引きちぎるかのように ガレリオンの一太刀が山の麓を震わせた 死体の群れは当然のごとく落ちてくる 彼らの悲痛の叫びを聞くと 深淵から蟲の王の蘇りを叫んでいた ニルンは魔術師と死霊術師の戦火にうなりをあげる 彼の目は暗い炎のごとく光り、歯のない胃を大きく開ける 息を吐くごとに暗闇に嘔吐物が舞う 悪臭ただよう空気に死の冷たい感触が伝わる 山の上の上空に陰惨な力が弱まる その時は陰の力の弱まりを感じた 死の芸術は彼の骸骨のように腐敗した鉤爪から失われていく 千もの善と悪とが滅びるのを歴史が確認した おお、ヴァヌス・ガレリオン 彼は道を標してくれた マニマルコは一度は死んだかのように思われた 邪悪で憎むべき死霊術師はバラバラになった 魔術師ギルドに戻り、勝者が呪われた道具を癒す 生きる死人、虫の王マニマルコの道具 子供たちよ、寝室を横切る影の音を聞きなさい 村がぐっすり眠ってしまうと、通りに大群が押し寄せる 月の光は夜に浮かぶ雲を不吉にも照らす 墓場の者たちが休み、永遠の眠りにつけるように 忍び寄る足音によく耳をそばだてなさいい そして蟲の王に決して触れられないように祈るのです 茶2 詩歌 魔術師ギルド関連
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帝都の略歴 第4巻 帝都歴史家 ストロナッハ・コージュ三世 著 本著の第1巻では、初代皇帝タイバーから第8代皇帝の時代までの歴史を概観した。第2巻では、レッド・ダイヤモンド戦争以降の6代の皇帝について論じた。第3巻では、続く3代の皇帝の受難、すなわちユリエル四世の失意、セフォラス二世の非力、そしてユリエル五世の英雄的な悲劇について語った。 ユリエル五世が遠く海を隔てた敵国アカヴィルで命を落とした時、皇位継承者のユリエル六世はまだ5歳であった。実際、彼が生まれたのは父であるユリエル五世がアカヴィルへ旅立つ直前のことであった。ユリエル五世の他の子は、平民との間にできた双子で、彼が旅立った直後に生まれたモリハーサとエロイザしかいなかった。そのため、第三紀290年にユリエル六世は即位したが、彼が成年に達するまでのあいだは、ユリエル五世の后でユリエル六世の母親であるソニカが摂政として限られた権限を持ち、実権はカタリア一世の世から変わらず元老院が握ることになった。 元老院は勝手な法律を広めては利益を貪っていたため、なかなかユリエル六世には帝政にかかわる実権を渡さなかった。彼が正式に皇帝としての権利を認められたのは307年、彼が22歳の時である。それまでにも少しずつ皇帝としての責任ある立場を任されてはいたが、元老院も、そして限られた摂政権しか持たない彼の母親でさえ、その支配力を全て彼に譲るのを嫌がり、先延ばしにしたためである。彼が帝位につく頃には、帝政に関する皇帝の権限は拒否権を残してほとんどなくなっていた。 しかし、ユリエル六世はこの残された拒否権を積極的に行使した。そのせいもあって、313年までには彼は名実ともにタムリエルの支配者となった。彼はほとんど忘れられていたスパイ組織と衛兵隊を有効に利用し、元老院の中で反抗的な者を威圧したのである。異母妹のモリハーサは(意外なことではないが)彼の最も忠実な味方であり、彼女がウィンターホールドの男爵ウルフェと結婚し富と権力を得てからは、さらに頼りになる勢力となった。賢者ユガリッジの言葉を借りれば、「ユリエル五世はエスロニーを降伏させ、ユリエル六世は元老院を降伏させた」のである。 ユリエル六世が落馬し、帝都で最も優れた治癒師の尽力にも関わらず命を落としたため、彼の最愛の妹モリハーサが帝位を継承した。このとき25歳のモリハーサは、外交官たちから(立場上のお世辞もあったであろうが)タムリエル一の美しさであると称えられた。彼女は教養があり、快活で、運動神経と政治能力に恵まれていた。彼女はスカイリムから大賢者を帝都に招き、タイバー・セプティム以来二人目の帝都軍の魔闘士を持つ皇帝となった。 モリハーサは彼女の兄が始めた政策を引き継ぎ、帝都州の政治を真の意味で女皇の(そして後に続く皇帝たちの)支配下に置いた。しかしながら、帝都州の外においては、女皇の支配力は少しずつ弱まっていた。反乱や市民戦争が、女皇の祖父セフォラス二世の時代から有効な対策がとられないままに各地で激しさを増していた。モリハーサはやり過ぎない程度に注意深く反撃と鎮圧の指示を出し、反乱を起こした地域を少しずつ支配下に戻していった。 モリハーサの戦略は効果的ではあったが、慎重すぎたためにしばしば元老院の反感を買った。そんな一人、アルゴニアンのソリクレス・ロマスは、女皇がブラック・マーシュの自分の領地の危機に軍隊を派遣しなかったためひどく怒り、殺し屋を雇って彼女を第三紀339年に暗殺した。ロマスはすぐに捕らえられ裁判にかけられ、最後まで無罪を主張したが処刑された。 モリハーサに子供はなく、妹のエロイザは4年前に高熱で他界していた。そのため、エロイザの25歳になる息子、ペラギウスが皇帝ペラギウス四世として即位した。ペラギウス四世は彼の叔母の仕事を受け継ぎ、反乱を起こした王国や領地を少しずつ皇帝の支配下に取り戻していった。彼はモリハーサの冷静さと慎重さを受け継いだが、残念ながら彼の戦いは彼女のようにはうまくいかなかった。各地の王国は長い間皇帝の支配を離れていたため、その支配がどんなに寛大であろうとも皇帝の存在自体が疎まれるようになっていたのである。しかし、ペラギウスが29年間の安定した統治の後この世を去る頃には、タムリエルの諸地方はユリエル一世の時代よりも結束を固めていた。 我々の現在の皇帝である、ペラギウス四世の息子にして栄光あるユリエル・セプティム七世陛下は、大伯母モリハーサの勤勉さ、大伯父ユリエル六世の政治力、大伯父の父ユリエル五世の武勇とを受け継いだ。二十一年間にわたり、彼はタムリエルを統治し地上を正義の光で照らした。しかし第三紀389年、帝都軍の魔闘士ジャガル・サルンが謀反を起こしたのである。 ターンはユリエル七世を別次元に作りあげた牢獄に閉じ込め、幻惑を使って皇帝の地位を乗っ取った。その後10年間、ターンは皇帝としての特権と利益を欲しいままにしたが、ユリエル七世の始めた帝政の強化には無関心だった。今に至るまで、ターンの真の目的も、君主に成りすましている10年間に何を得たのかも完全にはわかっていない。第三紀399年、謎めいたチャンピオンが王宮の地下で魔闘士を倒し、別次元に捕らわれていたユリエル七世を解放した。 解放されて以来、ユリエル七世はタムリエルの全土を支配下に置くための戦いを精力的に続けている。ターンの邪魔によって勢いが落ちたのは事実であるが、近年の戦いが証明しているように、タムリエルをタイバー・セプティムの時代以来再び皇帝の栄光のもとに統一し黄金時代をもたらす希望は残されている。 歴史・伝記 緑3
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ニュー・シェオス案内書 -シヴァリング・アイルズの観光- ブレニス・アラリン 著 ニュー・シェオスは王国全体の料理と文化の中心、シヴァリング・アイルズの宝石として広く知られております。我らがシェオゴラス閣下の気まぐれによって造られ、この都はマッドゴッドの完璧な構想の手本となるものなのです。 ニュー・シェオスに初めて訪れた人はしばしば住民の暖かさ、寛大さ、様々な素晴らしいユーモアに感銘を受けることでしょう。訪れた人は両手を広げて歓迎され、ほとんどの方がニュー・シェオス家の一員になったかのような気持ちにさせられるのです。都での目を楽しませる眺望や耳をくすぐる音は新しく訪れた方を圧倒する程であり、この案内書は初めて訪れた人ができるだけ簡単に移動できることをお手伝いするためのものであります。 訪れた人は都が主に3つの地区に分かれていることに気付かれることでしょう: ブリス、クルーシブル、そして宮殿です。宮殿にはマニアとディメンシャを支配しておられる公爵様のお住まいだけでなく、シェオゴラス閣下の壮麗な王宮があります、それに対してブリスとクルーシブルには都に住む者の住居と商用の建物の大部分があります。 同じ都でも、ニュー・シェオスのブリスとクルーシブルは、それぞれ異なった体験をさせてくれることに気がつくことでしょう。ブリスの輝く手すりや金の道は、クルーシブルの素朴な建物や未舗装の通りとは全く対照的であります。騒がしい夜の娯楽やおいしい料理に関心のある旅行者は、豪華な祭りや活気ある催し物で有名なブリスで過ごす時間を好むかもしれません。より静かな時間を求めて訪れた人はクルーシブルでも散歩に時間を費やしたほうがいいでしょう。そこでは見回りをするダーク・セデューサーが静ひつをよしとする生活を奨励おりますから。 あなたの好みにかかわらず、ニュー・シェオスは他にはない体験をお約束いたします。この案内書では、最後にこの壮麗な都についての読み応えだっぷりの、よく道に迷う人でも目的地に案内する方法を記させていただきます。 ニュー・シェオスに到着したら ニュー・シェオスへの旅行者は、マニアの高地かディメンシャの沼地のどちらからか、その門に訪れることでしょう。ほとんどの方は都の壁の外にある美しく壮大な田園を探索しないで、都への門にせかせかと行ってしまうという勿体無いことをします。シヴァリング・アイルズの森や低湿地は王国中の他のどこに行っても見られないので、これは見なければ損なことです。これらを探索することはその地方の特色を体験するのにとても良いことなので、これらの地区について是非にとお勧めするのは当然なことなのです。 マニア 高くそびえる植物相の色鮮やかな地域 マニアの巨大なキノコの木の中を歩くのは、シヴァリング・アイルズを初めて訪れる人にはすぐには忘れられない体験となるでしょう。胞子の木の森を歩き回り、胞子を含んだ空気を深く吸い込むのに至福の時間─ 永遠にあなたの記憶の中に残ることになる時間。安心と安堵の感情が体に打ち寄せ、心を落ち着かせる。その感覚は今までに感じたことの無かったものでしょう。 時間を取って、その地域で見られる美しい植物を手にとってください。手始めにアロカシアの果実を食べてみください。それは回復特性があることが知られています。ほかには、アスター・ブルームの根を摘んでみてください。地元民の間では悪霊の攻撃を防ぐ能力があると言われています。 マニアの田園で時間を費やすつもりなら、ヘイルの小さな集落を訪れることを検討してください。住民は主に地元の芸術家で、疲れている旅行者を手厚く歓迎してくれることでしょう。必ずヘイルの周辺にある素敵な地区を探索して、心休まる時間を楽しんでください。 用心深い旅行者は安全な旅行者ですがマニアののどかな土地でもそうです。眺めの美しい田園地方を通る道のたいていは安全ですが、周辺地域は不用心な旅行者には危険をもたらすことがあります。マニアは多くの固有動植物種の生息地であり、中には未熟な冒険者の脅威となりうるものも。シヴァリング・アイルズではどこを旅する時でも確実に分かる「道」からそれない事をお勧めします。 ディメンシャ ゆっくりとした時間 よく言われるのが、「ディメンシャで過ごす時間、プライスレス」。これほど的を得た言葉はないでしょう。 多くの人は低地の壮大で美しい景色を楽しみながら、ディメンシャの小さな島を歩き回るのに幾日も費やします。ディメンシャ南部の小さな島にかかるエキゾチックな橋を渡って、コケに覆われた木の間からの覗く美しい夕日をお楽しみください。 ディメンシャの地方を散策中にくつろぐ場所をお探しならば、ディープワロウを訪れることをお勧めいたします。小さな労働農場の集落です。そこには住人が珍しい地元の植物を独特の方法で育てているのです。ディープワロウの住民は内向的な人々なので、近づく時には注意が必要です。一度彼らの習慣を覚えてしまえば、共に時間を過ごすのには最も興味深い人々であることが分かるでしょう。 豆知識: さらに楽しい旅の思い出には、シヴァリング・アイルズの中の類を見ない場所である自殺の丘を訪れてみてください。ディメンシャの中心に位置し、旅行者はこの独特で魅力的な場所を見に行く機会を逃すべきではありません。その丘を訪れるのは無料ですから、中にはなかなか離れることが出来なくなる旅行者もおります。 シヴァリング・アイルズに到着 シヴァリング・アイルズに辿り着くのは、単に狂気の王子である我らがシェオゴラス閣下のきまぐれ。 散策 シヴァリング・アイルズを散策する一番の方法は徒歩です。時間をかけ、美しい景色を通ってのびる道に沿って進もう。歩くのに疲れた旅行者は、この世界中に点在する多くの野営地で休憩場所を見つけることができます。 宿泊施設 高級 ブリスにある、わがまま物乞い亭。愛妻家レイブン・バイター氏と、その妻シアー・ミーディッシュ夫人はブリスで素敵な料理店と宿屋を経営しています。部屋は申し分なく、食べ物はその地区の平均より上。ワインを飲んでみることを強くお薦めします─ それは都にある最上級のものばかり。多くの旅行者は、わがまま物乞い亭を訪れると、昼食が特に素晴らしい時間と感じることでしょう。値段は安くはありませんが早い時間であれば、とても世話好きな感じのするシアー・ミーディッシュ夫人がいらっしゃいます。 一般 クルーシブルにある病弱バーニスの酒場。この名称は馬鹿にしているわけではありません: 病弱バーニスの酒場は、下町のクルーシブルにある酒場ということから予想できるとおりの酒場です。酒場はすぐ隣の地区にあるわがまま物乞い亭にあるものほど豪華ではありませんが、十分満足できる場所となっております。病弱バーニスは働けるだけ元気な時は、愛想のいい女主人です。食べ物はおいしく、飲み物もおいしい。ただしこの酒場を訪れたあとは、イーリル神秘堂にいるイーリルに必ず会うことがお勧です。彼は幅広い種類の魔法を良心的な値段で─疾病退散の薬も─ 売っております。 ショッピング ブリス コモン・トレジャーズ もしも… 何か… を探しているのであれば、ブリスのコモン・トレジャーズは手をつけるのにいい場所です。貿易商のティルセ・アレレスは目利きの客向けの幅広い種類の商品を扱っています。また彼女は旅の途中で見つけるあなたに不要なアイテムをけっこうな値で喜んで買い取ってくれます。 クルーシブル カッター武器店 ニュー・シェオス中探してもこれ以上すばらしい武器屋はありません。カッターはすばらしい店を経営して、いつも種類豊富な武器を取り揃え、直ぐに使えるようにしています。また修理サービスもあり、刃のついた武器であれば極上の手入れをしてくれるはずです。この店は見逃せません。 ブリス ブリス書店 旅の間読むものを探しているのなら、ここに行けば入手できます。ソンテールは本だけでなく、親切であり、なおかつ目利きの本屋です。汗水たらして手に入れたお金も、この店で汗水たらしすぎても後悔はしないでしょう。 ブリス ミッシング・ポルドロン亭 もし防具を欲しくなったら、ブリスにあるミッシング・ポルドロン亭に一直線です。つい最近に経営者ドゥマグ・グロ=ボンクのもとで再開して、店はかなり順調なようです。新しい防具を売ったり、あなたの愛用の防具を修理したり、しばらくの間腰を落ち付けて、彼の長く興味深い経験話をあなたにするだけでも、ドゥマグは幸せなのかもしれません。 クルーシブル イーリル神秘堂 多くの冒険者はすべての呪文を収めた本がなければ旅をしたがらず、イーリル神秘堂はニュー・シェオスで最新の呪文を揃っている場所です。すばらしい呪文の数々は見ているうちに、時に時間が止まっているように感じられるほどです。自信をもってお勧めいたします。 クルーシブル なんでも屋 確かに扱っているのは珍品というべき種類のアイテムですが、クルーシブルにあるなんでも屋を訪れても決して退屈はないでしょう。店主のアージャズダはさらなる魅力的な様々な種類の魔法のアイテムを求めて領域中を走り回り、色々な場所で見つけています。あなたも時間をかけて見てまわってください─ 何が見つかるか分かりませんから! SI 地理・旅行 茶2
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西の歪み 報告編集:ウルヴィウス・テロ、ブレイズ公文書保管係 極秘事項 閣下のウェイレスト王宮への大使任命の儀に、お祝いの言葉を申し上げます。 閣下がお尋ねになられた第三紀417年の「西の歪み」に関して、現存するブレイズ報告の再調査、およびそこの現在状況に関する要約書であります。 閣下は当時、ブラック・マーシュにてソソリウス提督に幕僚として仕えていたため、「平和の奇跡」と位置づけられている期間や、これらの事象を帝都公表や聖堂布告からしかご存知ないかと思います。公式説明によると、「平和の奇跡」の間、以前は戦争によって破壊されていたイリアック湾領域は、小競り合いを続ける貴族領や小規模王国の寄せ集めから、一夜にしてハンマーフェル、センチネル、ウェイレスト、オルシニウムの平和で近代的な郡に変貌しました。「西の歪み」としても「平和の奇跡」は知られ、問題の多いこの地域を平和で、しっかりと統治された帝都の郡に変えようとしたステンダール、マーラ、アカトシュの奇跡的介入の結果として祝われています。この奇跡に伴った壊滅的な地形や所有物の崩壊、そして失われた多くの命は「悲劇、そして人智のおよばぬところ」として理解されています。 この報告が現在の境界線の正当性を立証、および裏づけており、「九大神による任命」によってこれら郡の支配者や境界線が特定されていますが、「平和の奇跡」は太古の小規模領地や主権国家を平和的に合併し、従順な帝都管轄区域にしようとする帝都の目的を果たしています。この事象による他の驚くべき特徴は── 集団失そう、軍が不可解に何百マイルも移動させられるか、またはその全滅、巨大な嵐、天象、特定の場所の時間の途切れ── これらの事象は非常に大きく、不可思議な神の干渉であると言う概念に当てはまります。 しかしこれは、これらの事象の公の報告であり、おそらくは閣下が疑われているように、他の多くの報告とは矛盾しています。単純に言いますと、これらの説明は帝都の方針に都合よく、歴史的妥当性に欠けています。 閣下にお知りおきいただきたいのは、ブレイズはこれらの事象に対するもっともらしい歴史的説明はないと結論付け、今後ももっともらしい歴史的説明は生まれないであろうと絶望ししています。ブレイズの結論は、事象の程度は説明できないにせよ「奇跡」は起きたというものですが、ブレイズは奇跡が神々に起源することを強く疑っています。 イリアック湾地域に現存する4つの郡の支配家系には、事象の警告があらかじめあったと信じられる、もっともな理由があります。さらに、これらの家族のいくつかがこの事象に対して直接、または間接的な責任があることを示すいくつかの証拠もあります。事象を引き起こした正確な行動の順序は分かりませんが、我々は「トーテム」秘宝が関与していたと確信しており、ブレイズの密偵がその秘宝の使用に関わっています。残念ながら、事象の直後からその密偵との連絡が途絶えてしまいました。彼の報告書は、相反し矛盾した事象の説明を解明するに至ったかもしれません。 ブレイズは「西の歪み」の期間の密偵からの報告をいくつか記録しています。我々の密偵の大多数は事象当初の混乱によって失われましたが、その他は事象後の混乱によって失われました。彼らの全体的な限界を把握するために、これらの報告書をお渡しするとともに、閣下の外交先任者であったストレイル卿の報告書も含めます。他の個人的な、そして風説的なその時代の報告も手に入れられていたはずです。これらの書類は答えよりもさらに多くの疑問を提起する点に同意していただけると思います。 ハンマーフェル密偵「ブリアーバード」の報告 「降霜の月9日、私はベルガマから数マイル南のアリカー砂漠で任務についていました。早朝だったので、私はまだ野営をしていましたが、そのとき激しい地面の揺れを感じ、私は地面に投げ出されたのです。放心状態の私は、凄まじい砂嵐のうなりに気付き、高い砂丘の上にいたにも関わらず、そのような砂嵐が直前まで地平線のどこにも見られなかったことに恐怖しました。それは私が膝で立てる前に到着し、私と野営地を埋めてしまいました。 砂から這い出てみると、食べ物や水のすべてが吹き飛ばされていたので、急ぎ、できるだけ早くベルガマに戻らねばならないことを自覚しました。述べたように、移動を始めた頃に太陽が昇り始めていました。ベルガマに到着したとき、夕暮れ時になっていました。街はセンチネルの兵士で溢れていて、混乱していました。ベルガマ領主の要塞は崩れ落ちていました。 攻撃があったのですが、誰もそれを目にしておらず、その後の侵略だけが目撃されています。センチネルの女王アコリシーは、どのような方法でこの奇襲を成し遂げたのかに関する対談を拒否しましたが、今は北ハンマーフェルの全域が彼らに属すると言う理解に達しました。さらに奇妙なのは、私が行った日の出から夕暮れまでの移動は、1日ではなく2日かかっていました。今は11日であり、10日ではないのです。どこかで1日失ったのですが、どうやら他の皆も…… なぜか正しい日付を知っているアコリシーの兵士以外は。 彼らは事前警告を受けており、それ故に、歪みによる奇妙な時間と日付の混乱に対処する準備ができていたと結論付けました」 ハイ・ロック密偵、「グレイレディ」の報告 「歪みのとき、私は魔女として中央ハイ・ロックにあるフィルギアスのスケフィントン魔女集会に潜入していました。報告を提出するために、私はカムローンの連絡係との接触を容易に図れる、物品を集める長旅に志願しました。降霜の月9日、私がロウスガリアン山のふもとに沿って北東へと移動していると、後ろに炎のような高熱を感じました。振り返りましたが、残念ながら何を見たかはお伝えできません。治癒師によると、私の両眼は燃え尽きていたようです。 地面が足元から崩れていくような感覚と同時に倒れるのをはっきりと憶えているので、私は半意識状態に陥ったのだと思います。そして遠く、南の方で連続爆発が起こり、高い笛吹音が徐々に大きくなり近づいてきました。私は盾を持っていて、運良く空から落ちてくる何らかの一斉射撃を予測していました。それらを見ることはできませんでしたが、遠くから飛来してくるのが聞こえたので、盾を使い私にあたるのを防ぐことができました。 強襲は突然止み、煙の匂いがしました。後に知ったことですが、さらに遠く南のダエニアとイレッサン丘で発生した猛火によって、イカロンとフィルギアスの森の大部分が火事になっていました。幸いにも、方向感覚を保てたので北へと移動し、最終的には荒野にたたずむ神殿に到着し、そこで可能な限り傷を治療してもらいました。 その神殿にて、私がいた場所のすぐ近くでダガーフォール、ウェイレスト、オルシニウムによる三つ巴の戦が行なわれ、彼らの王国と王国の中間にある土地が破壊されたと知ったのです」 大使ナイゴン・ストレイル卿の報告 「この確実な保証のない報告では詳細を伝えることはできないが、皇帝閣下は私の公式な立場をウェイレスト宮廷への皇帝大使として、繊細な任務に送りだした。そこから、既にその周辺にいた旧友のブリシエンナ貴婦人に会うはずであった。隠すような行為もせず、私は帝都将官艇に乗り、ビョルサエ川を西へと帆を張った、降霜の月9日の朝であった。少々肌寒い日ではあったが、空は青かったと記憶している。 船長が警鐘を鳴らしたのは、きれいな川沿いのキャンドルマス村を通り過ぎてすぐであった。そこには、我々の目前に最低でも30フィートはある、とてつもなく大きな水の壁があった。それは、誰かが反応する前に我々の艇を粉々にした。私は、奇跡的にも意識を失わなかった召使いの1人に救出されたのち、岸で眼が覚めた。生き残ったのは、彼と私ともう1人の男だけであった。 ハイ・ロックにいたが、異常な暴風雨によってイリアック湾の私掠船員の砦付近にて難破させられてしまったという、我々の密偵の身に起きた事象に疑わしいくらい似ていると思った。憤り、似たような力が働いているのかを調べる決意をして、私はウェイレストに向かって急いで歩き始めた。 急いで歩き始めはしたものの、あまり早くは進めなかった。ビョルサエ川に沿った村々はすべて火事の被害にあっており、ウェイレストの東、元ガウヴァドン独立公国の地で、オルシニウムのオークと王者イードワイヤーの兵士たちが激戦を繰り広げていた。私は熟達した魔術師であり、自身を防衛できるが、それでもウェイレストまでの数マイルを踏破するのに1週間近くかかってしまった。 私が到着したとき、王者イードワイヤーと彼の女王バレンジアは彼らの大勝利を祝っていた。その頃には、事態に関する最低限の事実を突き止めてあった。イリアック湾では、7つの大きな戦闘が同時に行なわれ、血まみれの結果以外は誰一人としてそれらの戦闘について説明できるものはいなかった。 要約すると:もしも征服されていない領土であるロウスガリアン山、ドラゴンテイル山、ハイ・ロック沿岸、バルフィエラ島、アリカー砂漠を含めたとすると、降霜の月9日には44の独立した王国、郡、男爵領、公爵領がイリアック湾の周辺に存在していた。降霜の月11日にはそれが4つだけになっていた── ダガーフォール、センチネル、ウェイレスト、オルシニウム── そして、それぞれの境界が接触する地点は、軍が戦闘を続け荒廃させられていた。 私は、外交的ではない外交官になる必要があったとしても、断固として王者から真実を聞きだすつもりでいた。 普段は陽気なイードワイヤーではあったが、軍事機密を教えるつもりはないと怒鳴り散らした。常に冷静で、読めない赤い眼を持つ女王は、「私たちには分からない」と言った。 バレンジアは私にすべてを語らなかったと推測しても差し支えないと思うが、彼女の話の真相は── 後のダガーフォール、センチネル、オルシニウムとの険しい会談後に検証した── 彼らは、ある強力な太古の武器が発動されることを知った。その名はここでは明かされない。ウェイレストに対して使われることを恐れ、王者はその武器のありかを発見した若い冒険者からそれを買い上げようと試みた。結局その考えは正しかったのであるが、イードワイヤーは湾の周辺の他国家もその装置の所有権を勝ち取ろうとしているであろうと考えた。 その後どうなったかは、バレンジアが言ったように「私たちには分からない」。 9日の朝と11日の朝は、どういうわけか、西の歪みを通じて融合し、ウェイレストは彼らが戦時中であることを知った。彼らの土地は3倍に膨れ上がったが、西ではダガーフォール、東ではオルシニウム、そして南からはセンチネルの攻撃を受けていた。何が起きたのかを理解する時間はなかったと王者は言った。彼らはただ反応して、同様に領土的優位性を得た他の王国から彼らの土地を守るために軍を出しただけであった。 私は報告のために帝都に戻りつつあるが、数ヶ月経った今も戦闘は続いている。十分に述べたとは思うが、他の近代戦同様、戦いは血なまぐさく暴力的なぶつかり合いである、しかし、私は4王国の間にある、黒く焼け焦げ、荒廃した無人地帯を見てきた。あの徹底的な破壊は人間の軍隊によるものではない。 第三紀417年、降霜の月10日にイリアック湾を揺るがした力は、今日の偉大な王国が持つ力とは比べようもないくらい巨大なものであったと言える。 帝都から王国が離脱するのを防ぎ、加えて他にも作用したであろういくつかの奇妙な事象があの日起きたとも言える。 そして、それは跡形もなく消えたと言える── 湾で起きたこの力、この武器── その武器が生み出した歪みが、それを飲み込んでしまった」 イリアック湾における現在の政治事情 約20年が経過し、変貌したその地域は安定化しました。争点となっている領土はなく、ダガーフォール、ウェイレスト、センチネル、オルシニウムの王国は彼らの新しい国境を比較的平和に保っています。 ウェイレストは湾の東沿岸一帯に広がり、以前はアンチクレールと呼ばれた地域から、ガウヴァドンの半分まで伸びています。イードワイヤーは先祖の下へと発ち、王国を娘であるエリサナの手に委ねました。彼女には配偶者との間に生まれた2人の子供がおり、父の領土を保つであろうと思われます。閣下もモルンホールドの王者ヘルセスや女王バレンジアと直接お話することをお勧めします。彼らの主な関心事は、当然ながらモロウウィンドの事柄ですが、女王エリサナの宮廷を理解する手助けをしてくれるような、ウェイレストの支配家系や政治環境に関する有用な意見を持っているかもしれません。 オルシニウムの王者ゴルトウォグはロウスガリアン山の大部分、および収益の高いビョルサエ川流域を支配しています。彼はオルシニウムがハイ・ロックから離れた帝都地方として認知されるよう要求を続けています。元老院はゴルトウォグを王者として扱い、税は直接オルシニウムから徴収し、厳密に言えばハイ・ロックとハンマーフェルの両地方におよぶオルシニウムではありますが、ハイ・ロックの郡に留まっています。 センチネルが一番多く土地を獲得しました。それは南イリアック湾全域、ドラゴンテイル山を越えたアビボン・ゴーラから、オルシニウムの領地であるモーンノスの端まで広がっています。女王アコリシーは亡くなる際に、彼女の巨大な王国を生存する唯一の息子、ロートンに残しました。彼は間違いなくタムリエルの最も強力な王者の1人であります。 ダガーフォールは今でもブレトンの王者ゴスリッド、およびレッドガードの女王アウブキによって支配されています。彼らの領土は今、西ハイ・ロックの全域を網羅しており、東はウェイレストとの境界を共有するアンチクレールから北はイカロンまでとなっています。彼らには4人の子供たちがおり、領土内でとても愛されています。 もし、他にもこの奇妙な「西の歪み」の影響があったとしたら、過去20年間の観察からは、我々の目にはとまっていません。 歴史・伝記 茶2
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黒魔術裁判 魔術師ギルドの大賢者 ハンニバル・トレイヴン 著 歴史的背景: 黒魔術とも称される死霊術の歴史は有史以前にまでさかのぼり、各地の初期の法のほぼ全てにおいて厳禁とされ、背くことは死罪とされていた。だがその裏で、個々の妖術の使い手がその研究を続けていったのである。 我らが魔術師ギルドの先駆的組織であるアルテウム島のサイジック会も死霊術の使用を禁じいていた。理由はその危険性に加え、彼らが神聖および邪悪な祖先の霊たちの存在を信じていたため、死霊術が異端とされたからであった。ここでもまた、この戒律を無視した師弟の話が伝えられている。ヴァヌス・ガレリオンがアルテウム島を離れたとき、サイジックたちとは様々な点で意見が分かれてはいたものの、彼ら同様に魔術師ギルド内でも死霊術を教えることは認めなかったのである。 ヴァヌス・ガレリオンの時代から千百年近くが過ぎ、何人もの大賢者たちがギルドの長を務めてきた。死霊術に関する問いかけも尋ねられ続け、ギルド内でそれを禁じる戒律が取り払われることこそなかったものの、長年に渡り死霊術に対する見方も様々な揺らぎをみせている。大賢者によっては、死霊術の存在そのものを無視する者もいれば、積極的に排斥しようとする者、そして大賢者自身が実は死霊術師だったのではないかと噂される者もいたのである。 魔術師ギルドの新たな大賢者として、私はこの件に関する方針を決定する義務がある。黒魔術に関しては個人的な意見もあるが、帝国内で最も博識である二名のウィザード、コリントのヴォス・カルリス師とオルシニウムのウリセタ・グラ=コッグ師に相談をし、二日の間議論を行った。 以下は議論の要点、すなわち主張および反論をまとめたものであり、死霊術に関する魔術師ギルドの方針の決定へと繋がったものである。 議論内容: グラ=コッグ師による主張:死霊術は十分に理解されていない。無視したとしても無くなるわけではない。魔法術および魔法学の研究を旨とする知的組織として、我々には真実に対して果たすべき責任がある。学問的探求の中で自らを検閲対象としてしまうことは、中立性および客観性という我々の信条に反することになる。 カルリス師による反論:魔術師ギルドは知識への探求と、安全確保および倫理的水準との釣り合いをとる必要がある。学徒による研究を慎重かつ純粋なる目的をもって行わせることは、決して「検閲」には該当しない。規則や境界線を設定することは、学徒の自由を奪うものではなく、それどころか必要不可欠な行いなのである。 カルリス師による主張:死霊術は全ての文明化地域において忌み嫌われている。公的に容認してしまえば、魔術師ギルドは一般大衆に恐怖と反感を抱かせてしまうことになる。ヴァヌス・ガレリオンは魔術師ギルドに、サイジック会がもつような精鋭主義的かつ分離主義的な要素をもたせまじとした。世論を無視する場合、その結果も受け入れなければならない。死霊術に対する反感の強いモロウウィンド全土を含め、多くの地でギルドの拠点を失うことになる可能性が高い。 グラ=コッグ師による反論:確かに大衆の懸念は意識すべきであるが、それにより我々の学問が定義されてしまうべきではない。そんなことがあってはならない。無学な者の多くにとって、「死霊術師」とは邪悪なウィザードの意味に過ぎないのである。偏見や、未熟な理解ゆえに我々の為すことに制限を設けるなど、乱心の沙汰である。大衆の意見のみを理由にこの題目に背を向けることは、客観的研究の意義に対する冒涜に他ならない。 グラ=コッグ師による主張:死霊術師たちはタムリエルにとって災厄である。単独で活動しているか、スロードたちや虫の王マニマルコと共同で動いているかにかかわらず、彼らはゾンビやスケルトンその他の不死のものを含め、多岐に渡るおぞましさの原因となっている。この脅威と効果的に戦うには死霊術師のもつ力を理解する必要があるが、黒魔術の研究を制限していてはそれが不可能になってしまう。 カルリス師による反論:誰も黒魔術が驚異であることに異を唱えてはいない。それどころか、魔術師ギルドが死霊術を学徒に教える科目とすることに私が反対する理由の根幹になっている。敵の能力を知ることは可能であり、望ましいが、相手の領域を覗きすぎることで自らも染まってしまってはならない。邪悪な法を研究することで我々自身が悪と化してしまうようでは、本末転倒である。 カルリス師による主張:死霊術は大きな危険性を内包しており、真似事程度で手を出せるものではない。最も単純な呪文でさえ血を必要とし、術者の魂は直ちに汚され始める。これは憶測ではなく、明白な事実である。数多くの事例において、術者本人および世界に恐怖と悲劇しかもたらしていない魔法学の研究を魔術師ギルドが教え、結果として推奨することは、甚だ無責任ではなかろうか。 グラ=コッグ師による反論:経験の乏しい者にとっては、魔術はその系統を問わず危険なものである。不慣れな者が唱えた場合、初歩的な破壊術の火球呪文であっても、他人のみならず、術者自身にも大きな被害をもたらしうる。神秘などはその本質ゆえに、術者に論理から背を向けさせ、一時的な乱心とも呼べる状態に甘んじることを要するが、これは霊魂の汚染に類似しているともいえる。 グラ=コッグ師による主張:魔術師ギルドは既にある種の死霊術を許可している。承知のように、魔術の系統とはヴァヌス・ガレリオンが研究を系統化するために考案した人為的な区分けに過ぎない。長年に渡りその区分けは何度も変えられてきているが、達人なら誰もが知っているように、それぞれの系統は互いに繋がっているのである。亡霊を護衛として召喚する召喚術の学徒は、その際に死霊術の辺縁に触れている。付呪術の学徒が捕らえた霊魂を利用する際、黒魔術に手を染めたと言えなくもない。前述のように、神秘も、死霊術に通じる要素をもつ。学徒たちが死霊術を学ぶことを禁じるのは、歴史上より正統とされてきたギルドの各系統に属する一般的な技能の習得を妨げることになる。 カルリス師による反論:確かに各系統間には繋がりがあるが、各系統の標準的な呪文は長年の使用によってその安全性が確認されている。適切な指導下にある神秘の学徒が、その経験により永続的な害を被ることがないことはわかっている。問題は、どこまでの極端を許容するか、すなわち探求によりどこまでが許されるかということなのである。死霊術はその本質ゆえ、使用者が無謀にも闇の奥へと足を踏み入れることを必要としており、これは実質その破滅を不可避とする行為なのである。魔術師ギルドにはそのようなものは必要無いと考える。 結論: 死霊術を研究することの危険性は、その有用性を上回っている。魔術師ギルドはその構成員の研究を制限したいとは考えていないものの、邪悪なる術者との戦いのための限定的な研究を除き、黒魔術の研究を禁ずるものとする。このような例外は、類い稀な高い技量と慎重さを示した個人にのみ認められるものであり、その場合も私自身による許可および監督を必須条件とする。 後記: ウリセタ・グラ=コッグ師が死霊術の擁護者のみならず、彼女自らが死霊術師であるという噂が真実であったことを、遺憾ながら認めなければならない。この事実の判明を受け、ランプ騎士団がオルシニウムのギルドハウスで彼女の捕縛を試みたものの、逃走を許してしまった。我々はオルシニウム担当の後任者が適任であることを確信している。 同意こそしなかったものの、私はグラ=コッグ師の論理的推論には一目置き、そのため本著にそれらを含めた。また、それらを除外する理由も無かった。そのことを踏まえてもなお、「真実」に対する師の興味が黒魔術への隷属の婉曲に過ぎなかったことは不本意なことであった。 今回の不運な一件は、我ら魔術師ギルドの構成員が死霊術の誘惑を警戒し、組織内にその使用者が入り込んでいる危険性を認識することの重要性を浮き彫りにしているといえるだろう。 茶2 魔法学・薬学 魔術師ギルド関連
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ヴァイサーンの滅亡 第1章 ヴァイサーンの砦は、いかにして第1世代から第2世代へと経過し支配を確立したのか。 ディメンシャの泥から彼の砦を造るよう命じたヴァイサーン伯爵は、家臣として忠誠を誓う者は誰でも彼のもとへ集めた。近隣の狂信者の部族は、彼の土地や部隊を守るための家臣として団結した。このようにして、伯爵はアイルズでの日々を過ごしていった。彼と妻のマウェアン女伯爵の間には、ヴァイサーンの最初の息子と娘であるサーランとニーラが生まれた。 サーランの父と母は、サーランに政治力があれば必ずやシェオゴラスから権力を奪い、シヴァリング・アイルズに繁栄をもたらすことができると信じていた。一方ヴァイサーン伯爵は、自身と彼の相続人が疑う余地もないアイルズの支配者であると考え、シェオゴラスに挨拶することさえ拒んだ。 もちろんこのことで、マッドゴッドを無駄に面白がらせ、彼は死の運命のために嫌悪と辛苦しか与えられないであろうアルゴニアンの助産婦の娘シーン・イン・グレイドとサーランの結婚を許した。 シーン・イン・グレイドはアイルズの誰もが求めるほどの素晴らしい女伯爵で、彼女を迎え入れた家と伯爵に誇りと名誉をもたらしたいだけの者もいた。ディメンシャの中心で生活していたが、長い間、彼女の心は無垢なままであった。残念なことだが、シェオゴラス閣下の祝福なしにはアイルズに長くは住めない。シーン・イン・グレイドは伯爵である夫の不貞により、最後には瀬戸際まで追い込まれた。 サーランは異常なほどの縁故主義で、花嫁を含め血縁のない者は誰も信用しなかった。シーン・イン・グレイドは伯爵の息子(20歳でアイルズから姿を消した)を産んでいたが、サーランの被害妄想が進行するにつれて2人でベッドを共にする頻度は減っていったようである。彼は腕の中にいる妹ニーラが後継者であるセスリアンとの近親相姦で生まれたことを知った。個人的には、セスリアンの支配がヴァイサーンの滅亡につながったと記憶している。 第2章 セスリアン伯爵の誕生は、いかにしてヴァイサーンの輝かしく血みどろの儚い時代の到来を告げるのか。 狂暴で短気なセスリアンはいるはずもない敵を探し求めた。彼がヴァイサーンに君臨して間もない頃、砦から見える人間、メル、獣といったあらゆる種族が、1人残らず虐殺されるのを見た。 彼の短い支配の間、ディメンシャ南東の海岸線の多くは旅をするのに安全ではなく、ヴァイサーンの地には立ち入った者の死体が散乱していて、土地の目印として木の柵が立てられていた。ヴァイサーンのセスリアン伯爵は、残酷な気性だけでなく頭の回転が遅く病弱であることも知られていた。 事実、セスリアンは長さが不釣合いに見える足と耳障りな音でつらそうな呼吸をして生まれてきた。若い頃、家庭教師はその頭の鈍い子を教えるのに四苦八苦していた。周りにいた助産婦と看護婦はアイルズの到る所から手に入れた香油や吸入薬を使ってあらゆる病気に気を付けていたが、彼が成人した時に皆追い払ってしまい、それがもとでしばしば暴力的になった。 おそらく父親の影響だろうが、セスリアンはますます内向的になっていき、選ばれた数人の取り巻きだけが彼の近くにいることを許されていた。彼は地方を襲撃するために家臣の狂信者を組織する時にだけ人前に姿を見せた。 相談役がとにかくしつこく必死に忠告したために、セスリアンは略奪に妻を連れて行き、ヴァイサーンの壮大な防衛線を守ることを躊躇した。だんだん病気がひどくなる伯爵はマニアの荒野にある異端者の地区から、婚約者として活気にあふれた農民の女を選んだ。事実、ジディーン女伯爵はこれ以上ないほど彼とは正反対だった。ヴィトラエン伯爵と彼らの祖先との契約に長く忠実だった家臣の狂信者はこの異端者に激怒し、緊張状態が高まってセスリアンの健康も衰えたので、彼の若い息子のシリオンがヴァイサーンの王位に就いた。 第3章 対立は、いかにしてヴァイサーンを悩ませ、平和的なシリオン伯爵を圧倒したのか。 若きシリオン伯爵は、ヴァイサーン砦の外壁で行われた急な即位式までは人前に姿を見せることがほとんどなかった。式典の間中彼の父親の弱った手で殴られた傷にじっと耐えていたと言う者もいる。シリオンは統治するのに十分な年頃で、その穏やかで控えめな物腰は家臣一族の間の緊張関係を緩めるのには十分だったかもしれないが、彼の母親のジディーン女伯爵は夫が長い間放置してきたたくさんの職務を負わせようとした。 誰に聞いても、ジディーンは女伯爵として適していて、皆に愛されていた── しかし家臣の狂信者の指導者は彼女がマニックから受け継いだものに対する、漠然としたこれらの個人的で無礼な感情を抑えることができなかった。彼女の非常に巧妙な外交策にもかかわらず、彼女に対する敵意は根深く、年々高まっていった。家臣達が長い間誓約に忠実であり続けたのは賞賛すべきことだろう。 シリオンが支配できる年齢に達した時、おどおどした男の子であった伯爵は潔く王位に就くため熱心に取り組んだが、世界に対する彼の恐怖は、あまりにも大きく通り過ぎる鳥の影にさえ驚いてしまうほどだった。彼は公衆の面前での演説はほとんどできなかった。彼が家臣達── まだ彼女の母親の受け継いだものに激怒している── を静めようとしていた時、恐怖に耐えられず、玉座の間から逃げる直前、自身を汚物で汚してしまったと言う者もいる。 運命の進行と同様に、狂信者の家臣達は耐え切れず、戦士達はヴァイサーンを包囲した。伯爵の個人的な護衛では攻撃を退けるには不十分で、包囲は丸1日続いた。その戦いの日以来、生ける魂がヴァイサーンから離れることはなくなった。一部の神話では狂信者の家臣達とヴァイサーンの貧弱な守り手達の魂の間では絶えず争いがあり、狂信者の裏切りとシリオンの臆病による呪いで永久にその最後の瞬間を繰り返していると言われている。 SI 歴史・伝記 茶3
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アルゴニアン報告 第1巻 ウォーヒン・ジャース 著 帝都の小さいが立派な広場の一角に置かれている、または、ぐったりとしているのがヴァネック卿の建設会社である。その想像力に欠けた質素な建物は、芸術性や建設設計に関してはあまり有名ではなく、むしろその並外れた長さによって知られている。もし批判的なものが、なぜヴァネック卿はあのような飾り気のない、伸びきった突起物を好むのかを疑問に思ったとしても、彼らはそれを口にしなかった。 第三紀398年、デクマス・スコッティは建設会社の先任書記であった。 内気な中年の男がヴァネック卿の下へ、五年戦争によって破壊されたヴァレンウッドの街道を修復する独占権をこの建設会社に与えるという、今までの契約の中でも最高の利益を得られる契約をもたらしてから数ヶ月が経過していた。これによって彼は、管理職や書記に間で人気者になり、彼の冒険を物語る日々を過ごしていた、大体に関しては忠実に…… 彼らの多くはシレンストリーによって催された、祝賀のアンスラッパローストに参加していたので、結末は除いてあった。聞き手に彼らは人肉をむさぼり食ったと伝えるのは、どのような気の利いた話であっても、その質を高めるものではないからである。 スコッティは特に野心家でもなければ勤勉者でもないので、ヴァネック卿が彼に何もすることを与えなかったことは気にしていなかった。 いつでもあの、小太りで小さなふざけた男が職場でデクマス・スコッティに出くわすと、ヴァネック卿は必ず、「君はこの建設会社の名誉である、頑張りたまえ」と言う。 最初の頃は、何かしていなければいけないのかと心配したが、数ヶ月がすぎて行くにつれ、彼はただ「ありがとうございます、がんばります」と答えるだけになっていった。 一方、将来のことも考えなければならなかった。彼は若くもなく、何もしない人にしてはかなりの給料も貰ってはいたが、近いうちに引退する破目になり、何もしない、何も貰えない人になってしまうのではないかなどと考えた。もしヴァネック卿が、ヴァレンウッドの契約が生み出す何百万もの金への感謝から、快くスコッティをパートナーにしてくれれば、それは素晴らしいことだと考えていた。最低でも、彼にお宝の歩合をほんの少しでも与えてくれればと考えていた。 デクマス・スコッティはそのような事柄を請求するのは苦手であった。それが、ヴァレンウッドでの先任書記としての目覚しい成功の前は、アトリウス卿にとって彼が手際の悪い代理人であった1つの理由である。彼がヴァネック卿に何か言おうと決断しかけた時、閣下が突然話を進めた。 「君はこの建設会社の名誉である」と、よぼよぼした背の低いものは言い、そして一瞬止まった。「予定に少々、時間の空きはないかね?」 スコッティは躍起になってうなずき、閣下の後を、あの悪趣味な装飾を施された、誰もがうらやむ巨大な部屋へとついていった。 「君がこの建設会社に居てくれることを、ゼニタールの神に感謝します」小男が甲高い声で雄大に言った。「知っているかは知らないが、我々は君が来る前はひどい苦境に立たされていた。確かに大きな計画はあったのだが、成功はしなかった。例えばブラック・マーシュ。我々は、何年間も商業用の街道や他の通行用の路線の改善を試みてきた。私はその件に最適の男、フレサス・ティッジョを送り込んだが、膨大な資金と時間の投資をよそに、毎年それらの路線上の貿易は遅くなる一方であった。今は、君の良くまとまった、建設会社の利益を押し上げてくれるヴァレンウッドの契約がある。君が報われるべき時期が来たと思う」 スコッティは謙虚さと、かすかな欲をまとった笑顔を見せた。 「フレサス・ティッジョからブラック・マーシュの仕事を引き継いでもらいたい」 スコッティは心地よい夢から恐ろしい現実へと引き戻されたかのように震え、「閣下… わ、私には……」 「大丈夫だ」ヴァネック卿は甲高い声で、「ティッジョのことは心配しなくてもよい。手渡す金で彼は喜んで引退するであろう、特に、この魂をも痛めつけるほどに難しい、ブラック・マーシュ事業の後ではな。君にこそ相応しい挑戦である、敬愛なるデクマスよ」 スコッティは、ヴァネック卿がブラック・マーシュに関する資料を取り出している最中、声は出せなかったが口は弱々しく「嫌」の形をしていた。 「君は、読むのは早いほうであろう」ヴァネック卿は推測でものを言った。「道中で読んでくれたまえ」 「どこへの道中ですか……?」 「ブラック・マーシュに決まっておるではないか」小男がクスクス笑った。「君は面白い男だ。行われている仕事や改善の方法を他のどこへ行って学ぶというのだ?」 次の朝、ほとんど触れられていない書類の山とともに、デクマス・スコッティはブラック・マーシュへと南東に向かって旅立った。ヴァネック卿が、彼の最高の代理人を保護するために、壮健な衛兵を雇っていた。少々無口なメイリックという名のレッドガードである。彼らはニベンに沿って南へと馬を進め、それから彼らはシルバーフィッシュに平行して、川の支流には名前もなく、草木は北帝都地方の上品な庭園からではなくまるで違う世界から来たような、シロディールの荒野へと進んだ。 スコッティの馬はメイリックのそれにつながれていたので、書記は移動しながら書類を読むことができた。進んでいた道に注意を払うことは困難ではあったが、建設会社のブラック・マーシュにおける商取引に関して、最低でも大雑把な知識が必要であることをスコッティは分かっていた。 それはギデオンからシロディールへの街道の状態を改善するために、裕福な貿易商ゼリクレス・ピノス・レヴィーナ卿から初めて数百万の金を受け取った、40年前にさかのぼる書類が詰まった巨大な箱であった。当時、彼が輸入していた米や木の根が帝都に到着するまでには、半分腐って3週間という、途方もないような時間がかかるものだった、ピノス・レヴィーナはすでに亡くなっているが、数十年にわたってペラギウス四世を含む多くの投資家たちが、建設会社を雇っては道を作り、沼の水を抜き、橋を作り、密輸防止策を考案し、傭兵を雇い、簡単に言えば歴史上最大の帝都の思いつく、ブラック・マーシュとの貿易を援助するためのすべての方策を行わせてきた。最新の統計によると、この行為の結果、今は荷物が到着するまでに2ヶ月半かかり、完全に腐っているとのことである。 読みふけった後に周りを見回すと、地形は常に変化していたことにスコッティは気付いた。常に劇的に。常により悪く。 「これがブラックウッドです」と、メイリックはスコッティの無言の問いに答えた。そこは暗く、木が生い茂っていた。デクマス・スコッティは適切な地名であると思った。 本当に聞きたかった質問は、「このひどい臭いは何?」だった。そして、後に聞くことができるのだった。 「沼沢地点です」メイリックは、木と蔓が絡み合い、影の多い通路が空き地へと開ける角を曲がりながら答えた。そこにはヴァネック卿の建設会社、そしてタイバー以降のすべての皇帝が好む、型にはまったインペリアル様式の建物がまとまって建てられており、目もくらみ、腸がねじれるような強烈な汚臭と相まって、突然すべてが劇薬にさえ思えた。至るところを飛び回り、視界をさえぎる深紅色で、砂の粒ほどの虫たちの大群も、その光景を見やすいものにはできなかった。 スコッティとメイリックは、元気いっぱいに飛び回る大群に向かって瞬きを繰り返しながら、近づくにつれ真っ黒な川のふちに建てられていることが判明した一番大きな建物に向けて馬を進めた。その大きさと厳粛な外観から、対岸の茂みへと続く大きな気泡を発する黒い川に架けられた、幅広の白い橋の通行人管理と税徴収の事務所であるとスコッティは推測した。それは光り輝く頑丈そうな橋で、彼の建設会社が架けたものであるとスコッティは知っていた。 スコッティが一度扉を叩いたとき、いらいらした汚らしい役人が扉を開いた。「早く入れ! ニクバエを入れるな!」 「ニクバエ?」デクマス・スコッティは身震いした。「人間の肉を食べると言うことですか?」 「馬鹿みたいに突っ立てれば食われるさ」と、兵士は呆れたように言った。彼には耳が半分しかなく、スコッティは他の兵士たちも見たが、全員いたるところをかまれており、1人は鼻が完全になかった。「それで、何の用だ?」 スコッティは用事を伝え、要塞の中ではなく外に立っていたほうが、より多くの密輸者を捕らえられるであろうと付け足した。 「そんなことより、あの橋を渡ることを気にしたほうがいいぞ」と、あざけるように兵士が言った。「潮が満ちてきている。もし急がなかったら、4日間はブラック・マーシュへ行けないぞ」 そんな馬鹿な。橋が上げ潮に呑まれる、それも川で? 兵士の目が、冗談ではスコッティに伝えていた。 砦から外に出た。ニクバエから拷問されることに嫌気がさした馬は、どうやら止め具を引きちぎり、森の中へと消えたらしい。川の油質の水は既に橋の厚板に達しており、その隙間から滲み出ていた。ブラック・マーシュへ行く前に、4日間の滞在に耐えるのは構わないとスコッティは考え始めていたが、メイリックは既に渡り始めていた。 スコッティは彼の後をあえぎながら追った。彼は昔から壮健ではない。建設会社の資料が入った箱は重かった。途中まで渡ったとき、彼は息をつくために立ち止まった、そして、動けないことに気がついた。足が固定されていたのである。 川を覆う黒い泥には粘着性があり、スコッティが行く厚板の上に泥が打ち寄せたとき、彼の足をしっかりと固定してしまった。彼はうろたえてしまった。スコッティはそのわなから顔を上げ、メイリックが板から板へ飛び移りながら、対岸のアシの草むらへの距離を急速に縮めていくのを見た。 「助けてくれ!」と、スコッティは叫んだ。「動けない!」 メイリックは跳ね続け、振り返りもしなかった。「はい、残念ながら、もはや、お痩せになられるしか、なすすべはありません」 デクマス・スコッティは、自分の体重が数マイル多いことも分かっていたし、食事を減らして運動を増やすつもりでもいたが、減量が現在の苦境から速やかに彼を救ってくれるとは到底思えなかった。ニルンに存在するいかなる減量も、その場では助けにならない。そこで、よく考えてみるとあのレッドガードは、資料の詰まった箱を捨てろと言っていたのだと気がついた。メイリックは既に、それまで持っていた重要な物質を何ひとつ持ってはいなかった。 ため息をつきながら、スコッティは建設会社の記録書類が入っている箱をネバネバした川の中に捨て、厚板が数ミリ、辛うじて自身を泥の束縛から解放するに足るだけ浮き上がるのを感じた。恐怖から湧き上がる敏捷性で、スコッティは板を3枚ずつ飛ばしながら走り、川が彼を捉える前に跳ね上がりながらメイリックの後を追った。 四十六回跳んだところで、デクマス・スコッティはアシの茂みを抜けて、メイリックの後ろの硬い地面に着地し、ブラック・マーシュに到着した。彼のすぐ後ろで、橋と、もう二度と目にすることがない建設会社の重要で、公式な記録書類の詰まった箱が、上昇する汚物の洪水に飲み込まれていく嫌な音が聞こえた。 物語(歴史小説) 茶2