約 1,794,437 件
https://w.atwiki.jp/poke_ss/pages/758.html
26ページ目 「はぁ……はぁ……」 トラハムくんは血塗れになった自分の腕を見て、それからたった今死体になったそれを見直した。 ――どうして、こんなことになってしまったのだろう。 ――――ゲーム開始直後。 トラハムくんは楽観的だった。 殺し合いのルールを聞かされ、いざゲームが開始されても「なんとかなるだろう」と特に警戒もせずみんなを探していた。 ハムちゃんズのみんなは殺し合いなんてするわけがない。 それにきっとロコちゃんだって本気ではないはずだ。 多分これはドッキリか何かなのだろう。 数時間歩き続け、流石のトラハムくんも疑問を感じ始めた。 ――ドッキリにしても手が込みすぎてはいないか? デイパックの中には一日分の食料と水、そして本物の短刀が入れられていた。 連れてこられたこの場だってそうだ。 名簿と一緒になっていた地図を見るからに、よく出来すぎている。 森林エリア、住宅街、海岸、平原。 恐らくここは箱庭のようなものの中なのだろうが、全てがハムスターサイズに押し留まっている。 わざわざドッキリのためにここまで手を入れる意味は? それに本物の武器を渡しておいて、本当に殺し合いが始まったら? ロコちゃんは本気なのかも知れない。 今考えればあの時のロコちゃんの様子は尋常ではなかった。 しかし何故――――。 次へ トップへ
https://w.atwiki.jp/poke_ss/pages/750.html
18ページ目 「きゃあああああああああああああ!!」 マフラーちゃんが目にしたのは、額に大きな穴を開けられ気に吊るされるねてるくんの姿であった。 【ねてるくん 死亡】 「誰が……! 誰がこんなことを……!」 「教えてあげましょう。この僕ですよ」 背後からの声にマフラーちゃんは身体を強張らせた。 この声は――。 「メガネくん……!」 振り向いた先にはメガネが、散弾銃をこちらへ向けて立っていた。 恐らくねてるもあの銃で殺したのだろう。 「どうして! どうしてねてるくんを!」 ヒステリックに喚くマフラーちゃんに対し、メガネくんは馬鹿にしたように鼻で笑う。 「そりゃ生き残るために殺したんですよ」 【1日目 昼】 【マフラー】 [状態] 錯乱 [装備] 透視能力 [思考・状況] 1 どうしてねてるくんを……! 【1日目 昼】 【メガネ】 [状態] 健康 [装備] 肉体硬化能力 ・散弾銃(タイショー) [思考・状況] 1 生き残るため、殺し合いに乗る 2 マフラーを殺す 次へ トップへ
https://w.atwiki.jp/poke_ss/pages/761.html
29ページ目 だが、どうしても彼はそのまま死ぬことが出来なかった。 短刀を足元へ落とし、その上へぽろぽろと涙を落とす。 「なんでだよ…………なんでなんだよぉ!!」 彼は死ぬのが怖かった。 まいどを刺した時、彼は即死しなかった。 激痛に顔を歪ませ、もがき、しかし助かることはなく苦痛の表情のままで死んでいった。 トラハムくんはそれを目前にしていたのだ。 死ねるはずがない。心の奥底に死への恐怖が根付いてしまっているのだから。 「死にたくねぇ…………」 目を擦りながら、トラハムくんはもう片方の手で足元の短刀を掴む。 「絶対生き残ってやる!!」 直後、トラハムくんの頭が爆ぜた。 【トラハムくん 死亡】 「いつ殺されるかも分からない状況なのに、あんな大声を出すなんて馬鹿丸出しでちゅわ」 リボンちゃんは光弾を自分の回りでくるくると動かしながら言う。 彼女の手に入れた武器は『殺人光弾』の能力。 どんなものをも貫く光弾を、音速に近い速度で飛ばす能力だ。 ただし飛ばせるのは一直線にのみ。飛ばした後、自分のもとへ戻すのに少し時間がかかるという欠点はある。 が、それらを含めてもかなり強力な武器であることには違いない。 「あら……? 他にも誰か来たみたいでちゅわね?」 「リボンちゃん……!」 【1日目 夕方】 【リボンちゃん】 [状態] 健康 [装備] 殺人光弾能力 [思考・状況] 1 殺し合いに乗る 2 やってきた参加者を殺す 次へ トップへ
https://w.atwiki.jp/poke_ss/pages/751.html
19ページ目 「私も殺す気なの…………?」 「もちろんですよ」 メガネは散弾銃をこちらへ向けたままだ。 マフラーちゃんの持つ透視能力ではこの状況を打破することは出来ない。 銃声が鳴り渡る。 しかしそれは散弾銃のものではなかった。 どこからか飛んで来た銃弾はメガネの腕に食い込む。 「ぐぁッ!!」 メガネは痛みに思わず散弾銃を真下へ落としてしまう。 が、すぐにそれを拾おうとはせずに茂みの中へと飛び込んだ。 「え…………?」 直後、マフラーちゃんの腹部に風穴が開く。 【マフラーちゃん 死亡】 咄嗟に茂みへ飛び込んだのは正解だった。 果たして狙撃者は自分に気がついているのか、いないのか。 メガネは息を押し殺し、葉っぱの間から外の様子を伺う。 意外なことにマフラーちゃんを殺したのはこうしのようだった。 いや、案外ああいうタイプこそ殺意の衝動に目覚めてしまうのかも知れない。 「もう1人いるのは分かっていますよ?」 鼓動が一気に早まる。 【1日目 昼】 【メガネ】 [状態] 右腕負傷(中)・緊張 [装備] 肉体硬化能力 [思考・状況] 1 どう現状打破するか…… 2 生き残る 次へ トップへ
https://w.atwiki.jp/poke_ss/pages/767.html
35ページ目 【1日目 夕暮れ】 【リボンちゃん】 [状態] 負傷(左腕) [装備] 殺人光弾能力 [思考・状況] 2 かぶるを殺す 【かぶる】 [状態] 錯乱 [装備] 自動式拳銃(残弾無し) 障壁能力(装填中) [思考・状況] 1 死にたくない かぶるは、持っていた拳銃を投げ出した。 闇雲に放たれたそれは前へと飛んでいき、鈍い音を立てて地面へ落ちる。 「ぐっ…………!?」 拳銃に遅れて、数滴。血が落ちる。 リボンちゃんが目を閉じて両手で額を押さえる。痛みで反射的に手が動いてしまったのだろう。 彼女の額を押さえる、自分自身のその手は。 今まさに光弾を発射する寸前だったそれだった。 過ちに気がつき、リボンちゃんが閉じた目を大きく開ける。 その瞬間。 轟音と共に辺り一帯を土煙が覆った。 物語はここで終わっている・・・ トップへ
https://w.atwiki.jp/poke_ss/pages/765.html
33ページ目 ハム太郎が、殺された。 つまり障壁能力が見破られてしまったのだ。 不可視の盾は範囲が狭く、尚且つ移動させることが出来ない。 設置しなおすためには時間がかかる。 「アハハハハハハハハ!!」 リボンちゃんが大きな笑い声を上げた。 彼女は誰かを殺すことを躊躇したりはしない。 この状況から生還するのは極めて困難だ。 かぶるは固唾を飲み込み、隙を作らないようにしてハム太郎の死体から拳銃を取る。 見たところリボンちゃんの能力も再発動までに時間がかかるようだ。 なら、勝機は今しかない。 「いくぞッ!」 拳銃を構え、かぶるは走り出す。 距離を詰めながら銃を撃つ。 走りながらでは当然命中することはないが牽制することは出来る。 少なくともリボンちゃんはこの状況を好ましく思っていないはずだ。 「ハム太郎くんの仇だ!」 立て続け様に三発。 二発は空を切っていったが、一発はリボンちゃんの左腕へと命中する。 「ぐあッ!」 激痛がリボンちゃんを襲うが、だからといって彼女は気を抜くことすら出来ない。 油断すれば殺されてしまうことは彼女もかぶるも一緒だ。 光弾能力の装填まで残り十数秒。 それまで耐えなければ、待っているのは死。 「殺してやりまちゅわ……!」 「死ぬのは、お前だ!」 次へ トップへ
https://w.atwiki.jp/poke_ss/pages/762.html
30ページ目 ハム太郎は目を疑った。同様にかぶるも目の前の光景が信じられないようだった。 あのリボンちゃんが、トラハムくんを殺したのだ。 「なんで……こんなことを……!」 「なんで? 生き残るためにでちゅわ」 かぶるの言葉に対し、リボンちゃんは平然と答える。 自らの手でトラハムくんを殺したというのに、リボンちゃんは平然としていた。 まるでそれが当たり前かのように。 【1日目 夕方】 【リボンちゃん】 [状態] 健康 [装備] 殺人光弾能力 [思考・状況] 1 殺し合いに乗る 2 やってきた参加者を殺す 【1日目 夕方】 【ハム太郎】 [状態] 健康 [装備] 不明 [思考・状況] 1 どうしてなのだ…… 【1日目 夕方】 【かぶる】 [状態] 健康 [装備] 不明 [思考・状況] 1 どうして…… 「さ、あなた達も死んで下さいでちゅわ」 リボンちゃんはゆっくりと片腕を振り上げ、 そして―――― 「私の生き残りのためにッ!!」 勢いよくそれを振り下ろした! と同時に不気味に光る光弾が一直線にハム太郎へと襲い掛かる。 その速度は音速よりも上。 単なるハムスターに避けられるはずが、反応すら出来るはずがなかった。 しかし、 「あン? どういうことでちゅか?」 リボンちゃんの放った光弾はハム太郎に当たるよりも先に消えてなくなっていた。 次へ トップへ
https://w.atwiki.jp/poke_ss/pages/753.html
21ページ目 どうやら相手の方は出てくるつもりはないらしい。 こうしは警戒しつつマフラーちゃんの死体へと歩いていった。 片足で彼女のデイパックを引き寄せ、中身を確認する。 そこには生活品の他にディスクが一枚入れられていた。 こうしは開始前にロコちゃんが言っていたルールを思い出す。 武器は銃器、鈍器から能力まで様々――――。 この薄いディスクが武器だとは考えがたい。 恐らくこれが能力。何らかの力を得るための道具なのだろう。 だがこれをどうすればいいのだろうか? こうしは足の先でそれに触れてみる。 「なるほど…………!」 どうやら触れるだけで能力は習得出来るらしい。 他にも、能力は1人につき1つまでしか装備出来ないこと。 自身がその能力を装備してる場合、他者がそのディスクに触れても能力を得られないこと。 能力に関することを瞬時に理解する。 マフラーちゃんの能力は戦闘向きのものではないが、自分に支給された武器『ブーメラン』よりかは遥かにマシなものだろう。 それにしても、こうしは今の状況が愉快で仕方なかった。 何しろ透視能力のおかげで、隠れている相手が丸見えなのだから。 次へ トップへ
https://w.atwiki.jp/poke_ss/pages/763.html
31ページ目 「…………?」 攻撃を受けたハム太郎自身にも何が起こっているのか分からなかった。 数秒して、それがかぶるの能力であったことを理解する。 かぶるに与えられた武器、能力は『障壁能力』。 あらゆる能力を無効化する不可視の盾を設置することが出来る。 ただしその範囲は狭く、盾を動かすことは出来ない。 盾の場所を変える場合は一旦能力の発動を止め、再度設置しなおさなければならない。 設置にかかる時間は少なくとも数十秒。リボンちゃんの能力を前にそんな悠長なことをやっている暇はない。 かぶるはリボンちゃんと対面した時点で能力を発動させていたのだ。 「ハム太郎くん、リボンちゃんを倒すんだ」 顔をこちらに向けず、かぶるは小さく言う。 「僕の能力には隙がある。気付かれれば2人ともあの世行きだ」 「…………でも、なのだ」 ハム太郎は横目でトラハムくんの死体を見る。 結局、殺しあうしかないのか。 殺さなければこっちが殺されてしまうのだ。 「僕は能力を使ってないといけない。――君がやるしかないんだ」 ハム太郎は武器を、自動式拳銃を手に取る。 そして銃口をゆっくりリボンちゃんへと向けた。 余裕を見せていたリボンちゃんもそれを見て顔をしかめさせる。 「それで私を撃つんでちゅか?」 ハム太郎は返事をしない。 手は僅かだが震えていた。 数秒して、ゆっくりと頷く。 「……上等でちゅわぁぁぁぁぁぁぁ!!!」 それを見て逆上したリボンちゃんは、額に青筋を立ててもう一度光弾をハム太郎達へと撃ち出す! しかしそれは先程と同じようにかぶるの能力によって無効化され、消えてしまう。 「Shit! なんで消えるんでちゅかああぁぁ!」 「今だ! 撃て! ハム太郎くん!」 ハム太郎は照準を合わせ、引き金にかけていた指に力を込める! 直後、発砲音が鳴り響く。 次へ トップへ
https://w.atwiki.jp/poke_ss/pages/746.html
14ページ目 殺す、という行為は予想以上にこうしの精神を削り取っていった。 ――自分は仲間の命を奪ってしまったのだ。 抱えきれない程の罪悪感がこうしを襲う。 どれだけ後悔しても最早取り返しはつかない。 「う…………おぉええぇぇぇぇ!!」 床に嘔吐物が撒き散らされる。 胃の中のもの全てを吐き出し、それからこうしはもう二度と動かないトンガリくんへと顔を向ける。 当然、そこにいる彼が動くことはない。 心臓部分を撃ち抜かれていることを除けば、彼はさっきまで寝ていた状態となんら変わりはなかった。 むしろ先程よりも安らかな表情になっているようにさえ見える。 【1日目 昼】 【こうし】 [状態] 疲労(小)・精神的疲労(重) [装備] 回転式拳銃(トンガリ) [思考・状況] 1 …………………… 次へ トップへ