約 3,997,058 件
https://w.atwiki.jp/kouteieki2010joho/pages/1064.html
産経新聞社の記事へ飛ぶ (魚拓) 2010.5.21 18 46 自民党の川崎二郎、公明党の漆原良夫両国対委員長は21日、国会内で会談し、宮崎県での口蹄(こうてい)疫被害への対応が遅れたとして、赤松広隆農水相に対する不信任決議案を共同で提出することで一致した。みんなの党やたちあがれ日本も賛成する方針。決議案は、与党の反対多数で否決される見通しだが、野党は参院で問責決議案提出を検討するなど徹底抗戦する構えだ。 一方、口蹄疫問題に関する国会対応については、民主党の山岡賢次国対委員長が21日、川崎氏との会談で、25日に衆院、26日に参院の両本会議で質疑を行うとともに、25日には衆院農水委員会で集中審議を開くことを提案し、川崎氏は受け入れた。 自民党の谷垣禎一総裁は21日、党本部で記者団に対し、初動態勢に不備はなかったなどとした20日の赤松氏の国会答弁について「これ以上の被害を絶対阻止するとの気概が感じられなかった」と批判。25、26両日の国会審議を受けて、赤松氏の不信任決議案を提出する考えを明らかにした。 公明党の井上義久幹事長は21日の記者会見で、赤松氏に対し「被害を拡大させた責任は極めて重大で、結果責任を取るべきだ。不信任に値する」と、自発的辞任を求めた。 5月 対応
https://w.atwiki.jp/harukaze_lab/pages/58.html
なんの花か薫る 山本周五郎 ------------------------------------------------------- 【テキスト中に現れる記号について】 《》:ルビ (例)躯《からだ》 |:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号 (例)三|帖《じょう》 [#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定 (数字は、JIS X 0213の面区点番号またはUnicode、底本のページと行数) (例)※[#「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2-13-28] ------------------------------------------------------- [#6字下げ]一[#「一」は中見出し] お新は初めてのとき、江口房之助が馴染になるとは思わなかった。馴染になる客はたいてい勘でわかる、顔だちとか躯《からだ》つきでなく、はいって来たときの感じで、なにかしらふっと通じるように思う。そんなときは相手のほうでも同じように感じるとみえ、たいていのばあい、お新の客になるのであった。 房之助が来たとき、お新は戸口に立って、彼が呼ひかけるまで、ぼんやりしていた。 十月中旬の、夜の十時すぎ、――とっつきの三|帖《じょう》で、菊次が曽我物語を読んでいた。みどり[#「みどり」に傍点]と吉野には泊り客がついて、それぞれの部屋へはいってしまったし、寒がりの千弥は、菊次のそばで火鉢にかじりついたまま居眠りをしていた。お新もそろそろ店を閉めようと思いながら、戸口の柱にもたれて、菊次の読む声をぼんやり聞いていた。物語は九月十三夜の、――まことに名ある月ながら、というくだりになっていた。五人いる女たちのなかで、菊次はいちばん年嵩《としかさ》の二十八だし、読み書きのできるのも彼女ひとりだったが、曽我物語はたびたび読んでもらうので、お新も(特に十三夜のくだりは)殆んど、そらで覚えていた。 ――まことに名ある月ながら、くまなきかげに兄弟は、庭にいでて遊びけるが、五つ連れ左る雁の、いづくをさして飛びゆくらん、一とつらもはなれぬ中のうらやましさよ、……そして「五つある一つは父、一つは母、三つは子どもにてぞあるらん。わどのは弟、われは兄、母は家ことの母なれど」というところなど、お新は口ずさむたびに、自分の身にひき比べて、そっと涙をのむような気持になるのであった。 菊次が読み進んで、「――兄が聞きて、袖にて弟の口をおさへ、かしがまし、人や聞くらん、こゑ高し、隠すことぞ」というところまできたとき、その客がこっちへ近よって来て、お新の前で立停った。 「もし、そこのお武家さん」と向うの家のおそめ[#「そめ」に傍点]という女が呼びかけた、「あたし、あんたを知ってるわ、寄ってちょうだい、知らん顔するなんて薄情ですよ」 すると、その客は、もっとお新のそばへ来た。強い酒の匂いと、激しい息づかいが感じられ、お新はちょっと身を反らせた。 「あがれないのか」と、その客が云った、「泊らせてもらいたいんだが」 「お向うのお馴染じゃあないんですか」 「初めてなんだ」とその客はおちつかないようすで、うしろの暗がりをすかし見たりした、「いま喧嘩《けんか》をして追われているんだ」 まだ若い侍で、ひとがらも尋常だし、口のききようも、うぶらしかった。お新は「どうぞ」とその客を入れ、三帖へ「姐《おえ》さんお願いします」と声をかけてから、客の履物を持って、自分の部屋へ案内した。――それが江口房之助であった。 あとで聞くと、年は二十二だったが、躯つきも細く、背丈もあまり高くないので、まるでまだ少年のようにみえた。おも長の、眉のはっきりした顔は、蒼《あお》ざめて硬ばり、ひどく昂奮《こうふん》しているようすで、刀をお新に渡すとき、その手がぶるぶると震えていた。 「おぶうを持って来ますわ」とお新が刀をしまいながらいった、「済みませんが、おつとめを頂かしてね」 房之助は「おつとめ」の意味を知らなかった。お新が説明すると、慌てて、いわれた倍額を出し、懐紙に包んで渡した。 ――本当に初心《うぶ》なんだな。 とお新は思った。内所へゆくと、主婦のおみの[#「みの」に傍点]は寝ようとするところだった。お新は定《きま》りだけ渡し、茶を淹《い》れて戻った。房之助は腕組みをして壁によりかかり、かたく眼をつむっていた。お新はお茶をすすめ、「埃《ほこり》が立ちますけれど、ごめんなさい」といって、夜具を出してそこへのべた。 「済まないが、水を呉《く》れないか」と房之助がいった、「それから、誰か捜しに来るかもしれないけれど、そのときは匿《かく》まってもらえるだろうかね」 「ようござんすとも」とお新は寝衣と帯を出してやった、「これに着替えて、さきに寝ていて下さい、いまお冷を持って来ますから」 房之助は水差しいっぱいの水を、続けざまに、すっかり飲みほしてしまった。お新はすぐにくみ直して来て、客の脱いだ物を片づけながら、どこで誰と喧嘩などしたのか、と訊《き》いた。房之助は「よくわからないんだ」と、枕の上で頭を振った。――湯島の天神前にある料理茶屋で、同じ家中《かちゅう》の若侍たちが宴会をした。人数は十五人、彼はそんな席へは初めてなので、みんなに面白がって飲まされ、なにもわからないほど泥酔してしまった。どうして喧嘩などになったのか、はっきりした記憶はない。覚えているのは、二、三の友達に抱きとめられたこと。手から刀をもぎ取られたこと。その茶屋から逃げだしたこと。友達が「刀は拭いておいたが、すぐ研ぎに出せ」とか、「今夜は屋敷へ帰るな」とか、「みんなべつべつになって逃げろ」などといった、断片的なことばかりであった。 「では人をお斬りなすったんですか」 「よくわからないが、そうらしい」と房之助は頼りなげにいった、「――死にはしなかったようだけれど」 「相手は御家中の方ですか」 「隣り座敷の客だそうだ、侍か、町人かも、聞かなかったけれどね、隣り座敷にも宴会があって、その内の一人とやったんだそうだよ」 「それなら、このままではいけないわ」 そういって、お新は立ちあがった。 袋戸棚へしまった大小を、箪笥《たんす》の中へしまい直して鍵《かぎ》を掛けた。それから、太織縞の袷《あわせ》を出して、衣紋竹で壁へ吊《つ》り、房之助の髪を解いて、ざっと束ねた。 「お待さんは髪でわかりますからね、これでいいわ」とお新がいった、「いま、菊次姐さんにいって来るけれど、あなたはあたしの馴染で、指物職の泰次という人のつもりよ」 「泰次、――どう書くんだ」 「知らないわ、あたし」とお新はいった、「職人ですもの、どう書くんでもないでしょ」 房之助は微笑した。 お新は菊次のところへくち[#「くち」に傍点]を合わせにゆき、戻って来ると、寝衣になって、房之助の脇へはいった。房之助は必要以上に夜具の端へ躯をよけ、そうして、固くなって震えた。 「それじゃあ、風がはいって寒いことよ」とお新は手を伸ばした、「喰《た》べやしませんから、もっとこっちへお寄りなさいな」 [#6字下げ]二[#「二」は中見出し] お新が横になると、まもなく、表に、ざわざわと、人ごえが聞えだした。北のほうから軒並みに、もうたいがい店を閉めているらしいが、寝てしまった家は叩き起こして、相当ものものしくしらべながら、しだいにこちらへ近づいて来た。 「あら、梅さんがいるわ」お新は頭をもたげていった、「あれは行徳の梅さんの声だわ」 「梅さんて、――役人か」 「ここの地廻りよ」とお新がいった、「あの人がいれば、よその者は入れないんだけど、付いて廻ってるとすると、用心するほうがいいかもしれないわ」 お新は説明した。地廻りというのはやくざで、こういう娼家にこびりついて食っているが、その代り土地にもめごとが起こったりすると、躯を張って捌《さば》きをつけ、娼家に迷惑のかからないようにする。だが、兇状《きょうじょう》持ちなどが紛れ込んだばあいには、岡っ引といっしょに付いて廻るし、そんなときは土地の事情に通じているから、よほど用心しなければならないのだ。お新はそう話して、帯を解いて下さいといい、自分もしごきを解いた。 「どうするんだ」と房之助はどもった。 「いまにわかるわ」とお新はいった、「さあ、帯を解いて、――それから、いよいよとなっても怖がらないでね、あたしが、うまくやるから、あたしのいうとおりになさるのよ」 房之助はおずおずと帯を解いた。 お新は夜具の中で、巧みに寝衣を脱ぎ、それをまるめて、畳の上へ放った。房之助は慌てて、眩《まぶ》しそうに眼をそらし、身じろぎをしながら、躯へ寝衣をかたく巻きつけた。 「そんなにしなくても大丈夫よ」とお新は笑った、「馴染だっていう恰好をつけるだけなんだもの、もっとあなたも楽にしなければだめよ」 房之助は「楽にしているよ」といった。 やがて店の戸が叩かれ、菊次の応対する声が聞えた。お新はぎょっとした、向うの家でおそめ[#「そめ」に傍点]という女が話したのだろうか、「ここへ侍がはいるのを見た者がある」と、行徳の梅のいう声が聞えた。房之助にも聞えたか、きっと躯を固くした。 お新は身をすり寄せ、男の寝衣の前をむりにひろげると、殆んど力ずくで、肌と肌をぴったり合わせた。――菊次はみどり[#「みどり」に傍点]の部屋へ声をかけ、次に吉野を呼び起こした。お新は片腕を枕の隙からさし入れ、片手を男の肩へまわして、「眠ったふりをするのよ」とささやきながら、抱きしめた。房之助は身をちぢめて、がたがたとおかしいほど震えた。 「しっかりなさいな」とお新はささやいた、「まさか女と初めて寝るわけじゃないでしょ」 「うん」と房之助は震えながらいった、「初めてじゃない」 お新が「それなら」といいかけたとき、菊次が部屋の外から呼んで、唐紙をあけた。 お新はねぼけ声をだして、男のふところから顔だけ振向いた。行徳の梅と、ほかに二人、見知らない若者がはいって来た。若者たちは提灯《ちょうちん》を持っていたが、それには「五番組」という印がはいってい、その提灯ですばやく部屋の中を照らして見た。壁に吊ってある着物、夜具の外に投げてある女の寝衣、そして房之助の束ね髪など、――お新は「なによ、梅さん」といいながら、起きあがって、そこにある寝衣を取った。きめのこまかな、白い裸の上半身があらわになり、手を伸ばすと、豊かにひき緊まった双の乳房が、唆《そそ》るように揺れた。お新はわざと両腕を高くあげ、腋《わき》をみせつけるようにして、ゆっくりと寝衣をひっかけた。 二人の若者は眼尻で見たが、お新が予期したほど疑われたようすはなかった。梅という男は「さっき天神前で侍が暴れたんだ」とお新の問いに答えた。天満宮門前の茶屋で、酔った侍が刀を抜いて暴れ、五番組の若い者二人に傷を負わせた。その侍がこっちへ逃げ込んだという、たしかに見た者があるので、捜しているのだ、と梅がいった。 「その客は――」と若者の一人が顎《あご》をしゃくった、「おめえの馴染だそうだな」 「ええ、指物職で泰さんていう人です」とお新が答えた、「うちじゃあ、みんなよく知ってますよ」 「ちょっと起きてもらえるか」 「いいでしょ」とお新がいった、「でも断わっておきますよ、今夜はわる酔いをしているし、この人はたいへんな癇癪《かんしゃく》持ちだから、ここでまた喧嘩にでもならないように頼みますよ」 そしてお新は「ちょっとあんた」と、夜具の上から房之助に抱きつき、頬ずりをしながら、「ねえちょっと起きてちょうだい」とあまえた声を出し、起きないと擽《くすぐ》るよなどといって、夜具の中へ片手をすべりこませた。房之助は「よせ、うるさい」とどなって、壁のほうへ寝返りをうち、鳶《とび》の若者はその伴《つ》れの顔を見た。 「へっ、――」と伴れの若者がいった、「いい面の皮だ、いこうぜ」 「なにがいい面の皮よ」とお新がとがめた、「起こせっていうから起こしてるんじゃないの、すぐだから待ってて下さいな」 「それには及ばねえ」とその若者が、出てゆきながらいった、「ひでえめにあうもんだ」 三人は部屋を出て、唐紙を閉めた。 お新はまた寝衣を脱ぎすて、夜具の中へはいって男にからみついた。ことによると、戻って来るかもしれない、念のためだから、もう少しこうしていましょう、お新はそうささやいて、震えている男の躯をぴったりと抱き緊めた。さぐってみると、房之助の背や腋は、冷たく汗に濡れていた。 「もう大丈夫、きっともう大丈夫よ」とお新は男の背を撫《な》でてやった、「ね、あたしがこうしてあげるから、安心してお眠りなさいな」 房之助は「有難う」と頷《うなず》いた。お新はまるで母親にでもなったような、おおらかな温かい気分で、長いこと男の背を、撫でたり、やさしく叩いたりしてやった。 明くる朝、早く、お新の名も訊かずに、房之助は帰っていった。戸口でお新をじっとみつめて、「有難う」と二度礼をいったが、こちらの名もきかず、もちろん自分の名も告げなかった。お新は習慣で「また来てくれるように」といおうとしたが、来る人ではないと諦《あきら》め、頬笑み返したまま、なにもいわなかった。――彼を送り出してから、もういちど寝るつもりで、ふと気がつき、菊次の部屋へ声をかけた。 「おはいりな」と菊次が答えた、「いまおでばなを淹れたところよ」 お新は「もう起きたの」と唐紙をあけた。菊次の部屋だけには長火鉢がある、彼女は浴衣の上に半纒《はんてん》をひっかけ、長火鉢の前に坐って、茶をすすっていた。お新は「もうひと眠りするから」といって茶を断わり、ゆうべの礼をいった。 「うぶらしくって、いい子じゃないの」と菊次はいった、「さっき手洗いのところで会ったのよ、でも惚《ほ》れちゃあだめよ、お新ちゃん、惚れる相手じゃあなくってよ」 [#6字下げ]三[#「三」は中見出し] 菊次の口ぐせは「客に惚れるな」ということであった。 お新は十八、みどり[#「みどり」に傍点]は十九、吉野と千弥は同じ二十歳で、菊次だけが二十八と年がはなれている。主婦のおみの[#「みの」に傍点]とまえからの友達で、――新吉原の小格子でいっしょだったらしいが、その縁でこの家へ来て、もう二年とちょっとになる。年が年だから、定った客のほかにあまり稼《かせ》ぎはないが、「自分の葬式の金だけ溜《たま》ればいいのだ」といって、少しもあくせくするふうがなかった。 ――女は男から好かれ、男から惚れられるものよ。 菊次はそういう。女のほうから惚れると必ず苦労する、相手のよしあしにかかわらず、男には決して惚れるものではない、というのである。主婦のおみの[#「みの」に傍点]の話によると、菊次は十四で身を売られてから、ずっと男のために苦労して来たという。甲斐性《かいしょう》のある、しっかりした性分で、小格子などで働きながら、読み書きも覚えたし、芸ごとも、縫針もできる。しぜん、いい客もついたが、ためになる客は振って、つまらないような男にひっかかり、そして裸になるまで貢いでしまう。懲りたかと思うと、またひっかかるというぐあいで、幾たびもくら替えをし、ついには岡場所へ落ちるという結果になった。 ――だから菊ちゃんのいうことに嘘はないけれどね。 とおみの[#「みの」に傍点]は溜息をつき、「もう五、六年まえに自分で気がついてくれたらと思うよ」と、身にしみたようにいうのであった。 吉野や千弥はまじめに聞き、婁じめに頷いた。吉野には里にやってある子供がいるし、千弥は母親とぐれ[#「ぐれ」に傍点]た兄を背負っていた。どちらも、他人《ひと》ごとではない、と思うらしいが、みどり[#「みどり」に傍点]だけはべつで、そんな話には耳を貸そうともしなかった。彼女は「あたし男が好きだから、このしょうばいにはいったのよ」といばっていた。惚れた男のためなら、骨までしゃぶられてもいいとか、「死ぬほど惚れる男に会ってみたい」などともいう。――これはむろん菊次の警告する意味とは違うので、みどり[#「みどり」に傍点]のはいろ好みに類するのだろう。客の付かない日が二日も続くと、もう気がいらいらして眠ることができない。それで、ほかの者にあがった客を、自分にもらいたいといいだす、「つとめ[#「つとめ」に傍点]はあんたが取っていいのよ、だからお客はあたしに代らせてよ」とせがむのである。あのことにも人とは違った癖があって、ある種の客のあいだには、かなり評判になっているらしい。また、家じゅうの者が恥ずかしくなるような、無遠慮な騒ぎをすることも少なくないが、しかもふしぎに、長く続く客はなかった。 ――こういうしょうばいをしているからこそ、あたりまえなら、手も出せないような客とさえ遊べるんじゃないの。おまけに金までもらってさ。 と、みどり[#「みどり」に傍点]はお新をたきつける、「同じことじゃないのさ、たのしみなさいよ、お新ちゃん、たのしまなくちゃ損よ」と、はっきりいうのである。しかしお新にはわからない。まわりで話すのを聞いているし、自分でも極めて稀《まれ》に、それらしいものを感じるときもあるが、ひとの客を代るほど「たのしむ」などということはわからなかった。 江口房之助が泊っていってから、二日、三日と経つあいだ、お新はその一夜の記憶を、ひそかに自分であたためていた。 ――あの人はふるえていたわ。 お新の腕の中で、男は身を固くちぢめ、おびえた子供のようにふるえていた。それが、追われている恐怖だけでないことを、ぴったり合わせた素肌から、お新は感じることができた。酔った客の息ほどいやなものはないが、彼の息はいやではなかったし、躯の匂いもこころよかった。可愛かった、――とお新は思う。あの夜、お新は殆んど眠らなかった。母親に抱かれた子供のように、安心して眠っている彼の顔を、うっとりずるような気持で眺めたり、そっと頬ずりをしたりした。 そのときの感じが、お新の肌にまざまざと残っていた。肌に残っているそのときの感じを、いつまでも残しておきたいために、暫くのあいだ風呂へはいっても、その部分は洗わないようにしたくらいである。――もちろん、日の経つにしたがって、しぜんとその記憶もうすれていった。それでも思いがけないときに、(たとえば、初めての客の相手をしているときなどに)とつぜん、そのときの感じがよみがえってきて、びっくりするようなこともあったが、それも二、三十日のあいだで、十二月にはいると、もう思いだすことさえないようになった。 正月ちかくなってから、千弥がくら替えをし、代りにおせき[#「せき」に傍点]という女がはいった。年は二十二で、きりょうも悪くないが、底ぬけに人の好いところがあり、みどり[#「みどり」に傍点]と似て「このしょうばいが性に合う」のだといっていた。親たちは下町のほうで、さして困らない生活をしているらしい。稼げば稼ぐだけ使ってしまうし、朋輩《ほうばい》にもきまえよく奢《おご》った。 菊次は相変らずで、客の付かない日のほうが多く、主婦のおみの[#「みの」に傍点]に旦那の来ないときは、たいてい内所に入り浸っているか、店がひまで、みんなにせがまれると、飽きずに本を読んでやる、というふうであった。 正月の中旬を過ぎたある日、灯をいれたばかりの時刻に、江口房之助が来た。 そのときも、菊次が曽我物語を読んでいて、ちょうど千草の花のくだりになり、――さればわれらが身のありさま、有れば有るがあひだなり、夢の浮世に、なにをか現《うつつ》と定むべき、というところへきて、おせき[#「せき」に傍点]が「そこのところはどんな意味なのか」と訊き、菊次がわけを話しだした。お新は上りがまちに腰をか掛け、菊次の説明を聞くともなく聞いていたが、編笠をかぶった客が、店の前で立停り、戸口を覗《のぞ》くようにしたので、すぐ声をかけながら、立っていった。 「やっぱり、ここだったな」とその客は笠の中からいった、「あがってもいいか」 お新は「どうぞ」といった。 客は着ながしに羽折で、脇差だけ差していた。侍だということはすぐにわかったが、部屋へはいって、編笠をとるまでは、誰であるか見当もつかなかった。 「まあうれしい」お新は客の顔を見て、われ知らず声をあげた、「来て下すったのね、よく忘れずに来て下すったのね、うれしいわ」 「もっと早く来たかったけれど、いろいろな事があって、――」彼はお新に紙に包んだものを渡した、「このあいだは有難う」 「済みません、いまおぶうを持って来ますわね、ゆっくりしていらしっていいんでしょ」 「いや、そうはできないんだ」 お新は「だめ」と首を振り、あたし帰しませんよ、といいながら部屋を出ていった。 [#6字下げ]四[#「四」は中見出し] 彼は半刻《はんとき》ばかりいて帰ったが、お新は初めて彼の名も聞いたし、藤堂|和泉守《いずみのかみ》の家中で、父親はなに役とかいう、かなり重い役を勤めている、ということも聞いた。 あの日、屋敷へ帰ると、無断で外泊したことをひとく咎《とが》められたが、そんなことは初めてだし、彼は一人息子だったから、「池の端の叔父のところで泊った」とあやまって、それで済むかと思えた。ところが喧嘩騒ぎと、鳶の者を二人も傷つけたことがわかり、十五人ぜんぶが謹慎を命ぜられた。そうなると、彼には刃傷の責任があるので、改めて「勘当」ということになり、叔父の家へ預けられた。 叔父は板倉摂津守の家中で、名を中原平学といい、江口から婿にいったのであるが、酒もよく飲むし、隠れ遊びもさかんにするというぐあいで、房之助は「これなら一生勘当されているほうがいい」などと、のんきなことをいっていた。 「これからときどき来るよ」と帰るときに房之助はいった、「九十日の余も謹慎していたからね、もうすっかり信用がついたんだ、今日は叔父に、少し風に当って来いといわれたくらいなんだよ」 そして帰りがけに「また来る」といった。 あんまりあっさりしているので、もう来はしないと思っていたが、五日ほど経った午後に、彼は手土産を持ってまた来た。お新は他の三人と風呂へいった留守で、菊次が彼の話し相手をしていたらしい。その日も半刻足らずで帰ったが、彼の帰ったあとで、菊次がお新の部屋へ来た。 「お新ちゃん」と菊次は改まった口ぶりでいった。 「あんた、あの人となにか約束でもしたの」 「いいえ」とお新は首を振った、「また来るとはいってたけれど、べつに約束なんてしやしないわ」 「あの人あんたに夢中よ」 「あらいやだ、知らないのね、姐《ねえ》さん」 「あの人は夢中よ」 「姐さん知らないのよ」とお新は笑った、「夢中どころか、あの人はお茶を飲んで話をするだけ、手を握ろうともしやしないわ」 「あんたはどうなの」と菊次はきまじめにいった、「お新ちゃんの気持はなんでもないの」 「わからないわ」お新は眼をそらした、「嫌いじゃあないけれど、だからって、べつに、――わからないわ、あたし」それからふと菊次を振返って見た、「どうしてそんなこと訊くの、姐さん、あの人なにかいったの」 菊次は黙って、両手の指の、爪と爪をこすり合せた。それから低い声で、「客に惚れてはいけない」という、いつもの忠告を繰り返した。そうして、(特に)彼は世間知らずのお坊ちゃんだし、こういう遊びも初めてのようだから、どんなにのぼせあがるかわからない。しかし、相手が御大身の一人息子だということを忘れないで、あんたまでがのぼせあがらないように気をつけなければいけない。さもないと、いまに必ず泣くようなことになるだろう、と菊次はいった。――お新は聞いていながら、菊次がなぜそんなにも諄《くど》くいうのかと、不審に耐えなかったし、それにはきっと、わけがあるのだろうと思った。 「わかったわ」とお新はいった、「でも、どうしてそんなに念を押すの、どうしてなの、姐さん、あの人が姐さんになにかいったんですか」 菊次はお新を見た。お新はもういちど訊き返した。菊次は立ちあがって、窓の障子をあけ、暫く外を眺めていた。障子をあけたので、冷たい風が吹きこんで来、お新は衿《えり》をかき合せた。 「あの人はね」と菊次は外を見たままでいった、「あの人はあんたを、お嫁さんにもらうんですって」 「姐さんてば――」 「どんなことがあっても、きっと、あんたをお嫁さんにするんですってよ」と菊次はゆっくりいった、「それを本気でいってるんだってことが、あたしにはよくわかったの、あの人は本気よ、お新ちゃん」 「閉めて下さいな」とお新がいった、「風がはいって寒いわ、姐さん」 菊次は窓を閉めて、お新を見た。 「だいじょぶよ、姐さん」お新は微笑した、「あたし、そんな夢のような話で、のぼせやしないし、あの人とあたしでは、合わない鉋《かんな》と砥石《といし》だってことくらい知ってるわ」 菊次はうなずいて「くどいようだけれど、それを忘れないでね」といった。 房之助はその翌日、また来た。宵のくちで、お新には馴染の客があり、知らせに来たみどり[#「みどり」に傍点]に「断わってちょうだい」と頼んだ。彼はすなおに帰ったそうだが、「可哀そうにべそをかいてたわよ」とみどり[#「みどり」に傍点]はいった。そのときはさほどにも思わず、聞きとがめた客に「いろが来たのなら、帰ってやるぜ」などといわれると、こちらも、「いろは此処《ここ》にいるさ」と定り文句をいって、客にかじりついたりした。――その晩はみんないそがしかったが、誰にも泊りは付かなかった。十時まえに来た吉野の客も、四半刻ばかりして帰ったが、そのときおせき[#「せき」に傍点]が「みんなに蕎麦《そば》を奢る」といいだし、吉野が「客を送りかたがた、注文して来よう」といって出ていった。 お新は湯と薬を使ったあと、菊次の部屋へいって縫いかけの肌襦袢《はだじゅばん》をひろげた。 火のあるのは内所とそこだけだし、主婦よりも菊次のほうが気がおけないのである。お新が針を持つとまもなく、みどり[#「みどり」に傍点]とおせき[#「せき」に傍点]も、はいって来て、長火鉢のそばで話しだした。この二人の話題はいつも定っていて、客たちの癖や好みや、そのことの手くだや綾などを、極めてあけすけに、しかも熱中して語るのである。――こういうところの女たちほど、一般にそういった話には無関心なのだが、この二人はいくら話しても飽きるということがないようであった。 「いいかげんにしなさいな」と菊次が銅壺へ水を注ぎながらいった、「あんたたちときたら、まったくどうかしているよ」 「いいわよ、好きなんだもの」とみどり[#「みどり」に傍点]は平気でやり返した、「好きなものを嫌いなような顔したって、誰が褒めてくれるわけじゃなし、あの本にだって、人間は有れば有るが、あいだなり、って書いてあったじゃないの」 「ええそうよ」とおせき[#「せき」に傍点]がいった、「夢の浮世に、なにをか現《うつつ》と定むべき――生きているうちにたのしまなければ損だってことでしょ」 お新は笑いかけて、ふいに胸がどきんとなった。なにが連想のきっかけになったものか、可哀そうにべそをかいていた、という、みどり[#「みどり」に傍点]の言葉を思いだしたのである。 ――べそをかいていたわよ。 可哀そうにという言葉が、痛いほど鮮やかに思いだされた。お新は縫っている手を、ばたっと膝《ひざ》へ落した。そこへ「おお寒い、ちらちらしてきたわよ」といいながら、吉野が帰って来、みどり[#「みどり」に傍点]が「ここよ」と呼んだ。 「雪が降ってきたわ」と吉野が肩をちぢめながら、はいって来た、「おお、さぶい、ちょっとあたらして」 「あんたお店は」と菊次がいった、「お店を閉めてくればいいじゃないの」 「ああ、そうだ」と吉野はお新にいった、「お新ちゃん、あの江口さんて人が、道の上へ酔いつぶれているわよ」 [#6字下げ]五[#「五」は中見出し] 菊次がぎょっとしたように、お新を見た。お新はぼんやりと吉野を眺め、「どうしたんですって」とどもりながら訊き返した。 「あの江口さんて人よ」と吉野はいった、「門跡さまのお下屋敷の、こっち角のところに倒れてるの、あの権八蕎麦で飲んでたんですってよ」 お新はひょいと立ちあがった。菊次が「お新ちゃん」と呼びかけたが、お新には聞えもしなかったらしい、まっ蒼《さお》な顔になって唐紙をあけ、それにぶっつかってよろめき、廊下で躓《つまず》き、そしてばたばたと駆けだしていった。菊次は溜息をついて、長火鉢の猫板へもたれかかり、おせき[#「せき」に傍点]が面白そうに、「雪も降りだしたっていうし、きつい新内節じゃないの」といった。 お新は夢中で走った。 俗に「大根畑」と呼ばれる、この岡場所の一画をぬけると、日光御門跡の下屋敷がある。こちら側は小役人の組屋敷で、その四つ角のところに毎晩、夜鷹《よたか》蕎麦屋が三ところに屋台を出していた。客は「大根畑」の女たちや、そこへ出入りする者が大部分であるが、岡場所の中は、火を禁じられているため、そこまで喰べにゆくか、出前で取るかするのであった。 お新が駆けつけると、「権八そば」と掛け行燈をした屋台のこちらに、仲間《ちゅうげん》ふうの男が二人、道ばたの暗がりをのぞいて、こわ高になにかいっていた。二人とも酔って、ふらふらしていたが、お新が走り寄ってみると、かれらは地面に倒れている男を、呼び起こそうとしているのであった。お新は二人を押しわけて、「ごめんなさい。あたしの知ってる人なんです」といい、倒れている男をのぞいた。それは紛れもなく房之助で、お新はわれ知らず叫びながら、彼にとびついて抱き起こした。 「ごめんなさい、堪忍して」とお新は悲鳴をあげるようにいった、「堪忍して、ふうさん、堪忍して」 仲間らしい二人が、なにか悪おち[#「おち」に傍点]をいったようだ、屋台からも人が出て来たらしいが、お新は見もせず聞きもしなかった。ほとんど逆上したように、房之助を抱き起こし、ぐらぐらするのをようやく立たせた。 「お新」と房之助がいった、「お新だね」 お新はふうさんといった。 「逢いたかったよ、お新」と彼がいった、「逢いたくって、またあとでゆくつもりで、飲んでいたんだよ」 「歩いてちょうだい」とお新がいった、「うちへゆきましょう」 「いってもいいのか、悪くはないのかい」 「ごめんなさい」お新は彼を抱いた、「もういいのよ、さあゆきましょう」 お新は脇差を直してやった。 足もとのきまらない彼を、抱きかかえるようにして、お新はゆっくり店へ戻った。風のない静かな夜空に、こまかい雪が舞っていて、道もうっすらと白くなったし、店へ着いたときは、二人も頭から雪にまみれていた。――お新は黙ってあがり、履物を持つのも忘れて、そのまま彼を自分の部屋へ伴れていった。 そこは行燈も消えているし、むろん火のけもなかった。よろけこんだ房之助は、お新が敷き直しておいた夜具の上へ、だらしなくぶっ倒れ、そして苦しそうに呻《うめ》いた。 「どうするの、ふうさん」と、お新は彼に抱きつきながらいった、「あたしなんかのために、こんなことをして、どうするのよ」お新は泣きだした、「あんたは立派なお侍の一人息子じゃありませんか、こんな岡場所のあたしなんかに迷って、こんなやけみたようなことをなさるなんて、だめじゃありませんか」 房之助は喉《のど》を詰らせ、ぐらぐらと頭を振った。 「だめなんだ」と彼はいった、「だめなんだよ、お新、苦しくって、どうにもならないんだ」 「だって、どうするの」と、お新は泣きながら、彼をゆすぶった、「どうすることが、できるの、ふうさん、どうにもならないってことはわかってるじゃありませんか」 「お新はおれが嫌いなのか」 「いや、いや、そんなこと訊かないで」 「嫌いでなければ、そんなふうにはいわない筈だ」と房之助はいった、「おれは自分の気持をあの菊次という人に話した、おれは本気なんだ、本気なんだよ、お新」 「お願いよ、だめだっていってるじゃありませんか」お新は泣きながら、男の胸の上で激しく首を振った、「身分が違うばかりじゃない、あたしはこんなに躯もよごれちゃって」 「それはおまえの罪じゃない」と彼は強く遮《さえぎ》った、「決してお新の罪じゃない、めぐりあわせが悪かっただけだ、おれだって運悪く生れついていたら、土方人足になっていたかもしれないし、泥棒になっていたかもわからない」 「そうだからって、よごれた躯が元に返りゃしないわ」 「返るさ、返るとも」と彼はいった、「人間の躯はね、よくお聞き、人間の躯ってものは、いつも変ってるんだ、たとえば髪や歯や爪をごらん、生えて伸び、抜けてはまた生える、肌は垢《あか》になって落ちて、新しくなるし、肥えたり、痩《や》せたりもする。生きているものは、一日だって同じじゃあない、いつも新しく伸びるし、育っているんだ、お新の躯だってこのしょうばいをやめて、三つきか、半年もすれば、よごれたものは落ちてきれいになるんだよ」 お新は泣きじゃくりながら、「そんなこと初めて聞くわ」といった。すると、唐紙の外で、お新を呼ぶ声がし、「あかりを持ってきたわ」といって、みどり[#「みどり」に傍点]が唐紙をあけ、灯のはいった行燈をそこへ置いた。お新は男の上に重なったまま、「有難う」といった。 「ねえ、――ちょっとお邪魔したいんだけど」とみどり[#「みどり」に傍点]がいった、「おせき[#「せき」に傍点]ちゃんと二人で、悪いけど、いまの話聞いちゃったの、それで相談があるんだけど、……」 お新は断わろうとしたが、それより先に房之助が「いいよ」と答えた。はいってもいいよ、なんでもいいたいことをいってくれ、なにをいわれたって驚きゃあしないんだ、と房之助はいった。みどり[#「みどり」に傍点]は「そうじゃないんです」と首を振り、おせき[#「せき」に傍点]と二人ではいって、唐紙を閉め、そこへ並んで神妙に坐った。 「このあいだはお土産を有難うございました」とみどり[#「みどり」に傍点]が尋常なあいさつをした、「それから、さっきは失礼してごめんなさい」 お新に頼まれて断わったことを、わびるらしい。お新は身を起こしながら、襦袢の袖口で涙をふいた。房之助はあおむけに寝たまま、「早くいってくれ、なにがいいたいんだ」と促した。おせき[#「せき」に傍点]がみどり[#「みどり」に傍点]を見た。みどり[#「みどり」に傍点]は「あたしがいうわ」とおせき[#「せき」に傍点]にうなずき、房之助に向ってもういちど「そうじゃないんですよ」と首を振った。 「いま若旦那のおっしゃっているのを聞いて、あたしたち、お新ちゃんの味方になろうって相談したんです」とみどり[#「みどり」に傍点]はいった、「――いま、三つきか半年、このしょうばいをやめていれば、よごれた躯もきれいになるっておっしゃったでしょう、もしそれが本当なら」 房之助は起きあがった。 [#6字下げ]六[#「六」は中見出し] 二月になり、三月になっても、お新は店へも出ず、むろん客も取らなかった。ほかの四人、――特に、みどり[#「みどり」に傍点]とおせき[#「せき」に傍点]が(これはすすんで)お新の分までかせいだし、足りないところは、江口房之助が補った。 馴染の客には、「あの人は病気でひいている」と断わった。お新を外で見かけて「話だけでも」とか、「酒の酌だけでいいから」などと、しつこくねだる客があると、病気が悪質なので、組合の医者から、客の前に出ることを禁じられているのだ、というふうにいった。よそと違ってこの店は、きちんとしている、病気持ちの女を客に出すようなことは決してない、「それはきちんとしたものよ」などと、いばっていうのであった。 菊次はお新に読み書きを教えはじめた。お新が頼んだのではなく、菊次のほうで、「どっちにしろ、覚えておいて損はないから」とすすめたのである。お新はよろこんで、熱心に稽古をした。反対されると思った菊次が、向うからすすんでそういってくれたこともうれしかったし、それが房之助と自分との、幸運の兆《きざ》しであるようにも思えた。――危ながっているのは主婦のおみの[#「みの」に傍点]で、自分には信じられない、そんな夢のような話が本当になろうとは思えない、「あとでばかをみないように、用心するほうがいいよ」といった。 「かあさんは知らないのよ、江口さんの若旦那は本気だわ」と、みどり[#「みどり」に傍点]はいい返した、「若旦那がまじめで本気だってことは、あたしたちにはわかるわ、千人の男が信じられなくっても、若旦那だけは信じられる人だわ」 「あたしたち、こんなしょうばいをしているけれど」とおせき[#「せき」に傍点]はいった、「それでも、同じ朋輩の中から、お侍の奥さまが出るっていうぐらいの夢は、持ちたいと思うわ、あたしたちだって、そのくらいの夢は持ってもいいと思うわ」 「いいわよ、やる事をやるのが先よ」とみどり[#「みどり」に傍点]は受合うようにいった、「あたしたちにできる事をすればいいのよ、文句はあとのこと、話は庚申《こうしん》の晩にしなさいだわ」 「あら、庚申の晩がどうしたの」 「あんたばかねえ」とみどり[#「みどり」に傍点]が笑った、「そんなことくらい知らないと、お嫁にいって恥をかくわよ」 これらのことを、お新はみんな房之助に話した。 「みんないい人たちだ」と彼は身にしみたようにいう、「珍しく、みんないい人たちばかりだ、いっしょになったら忘れずに礼をしよう」 「こんなことってないのよ」とお新は念を押すようにいう、「ふつうなら、みんな羨《うらや》んだり、やきもちをやいたりで、いやがらせや邪魔をされたりするくらいがおちなのよ」 「そうだろうな、私もそうだろうと思うよ」 房之助は三日にいちどずつ、きちんと訪ねて来た。午まえに来ることもあり、夕方のこともあるが、店のひまなときには、お新の部屋へみんなを呼んで、茶菓子を買ったり、てんや物を取ったりして、誰ともわけへだてなく話した。みんなはむろんよろこんだが、長く話しこむようなことはなく、できるだけ二人で置くように気を配った。――三日にいちど来る習慣は変らなかったが、彼は決して泊らないし、お新の躯にも触れなかった。 「長いことじゃないから、辛抱するよ」と彼はいう、「お新だって、辛抱できるだろう」 お新は笑って、「あたしは平気よ」と答える。そのことで男が辛抱しようというのは、男の気持がしんじつだからであろう。お新にはそれはうれしかったが、同時に(そんなしょうばいをして来たためだろうか)そのしんじつを躯でたしかめられないことが不安でもあった。 三月中旬のある午後、――お新は自分の身の上を彼に話していた。 房之助は寝ころんでいた。あけてある窓から、ときおり吹きこんで来る風に、なんの花か、わからないが甘酸っぱいような花の香がそそるように匂った。 お新はやくざな父と、おとなしいだけの母と、病身の妹のことを話した。父は菓子屋のいい職人だったが、博奕《ばくち》が好きで、稼いだ金はみな博奕ではたいてしまい、家族の着物や、夜具までも剥《は》ぐというふうであった。 母親はいくじなく泣くばかりで、父には不平らしいこともいえない。もっともなにかいえば、父は狂気のように暴力をふるう、お新も幾たびか殴られたり、蹴《け》られたりして、躯に痣《あざ》や打身の絶えないようなときがあった。妹が脊髄《せきずい》の病いで寝たきりだし、生活も詰るだけ詰って、お新は十六の秋に身を売った。 新吉原《なか》というはなしもあったのだが、いちどに多額な身の代金を取っても、父がつかってしまうことは、わかりきっていたので、手取りの金は少なくとも、月づき家へ仕送りのできるほうがいい。お新はそう考えて、自分でこの土地を選んだのであった。 「十六の知恵でね」と房之助はいった、「――十六という年で、身を売るのにも、うっかりはできなかったんだな」 お新ははにかむように微笑した。 「あたしもいまになって、自分がよくやったと思うの」とお新はいった、「もしも廓《くるわ》へいってたとしたら、借金で縛られて、身動きができなかったでしょう、この土地へ来たおかげで、いまはいつここを出たって勝手なんですもの」 「厄介なのは父親だけというわけか」 「お父っさんって――あらいやだ」とお新は大きな眼をした、「このまえ話したでしょ、お父っさんは丑《うし》の年の火事で、死んだじゃありませんか、おっ母さんや妹といっしょに」 「聞かないね、家の話が出たのは今日が初めてだよ」 「あらそうかしら、あたし、いつか話したと思うんだけれど」 「丑の年っていうと去年だな」 「去年の三月、ちょうどいまじぶんですね」とお新はいった、「家は八丁堀だったんですけれど、四方から火に囲まれて……」 お新はふと口をつぐんだ。右隣りの部屋で、みどり[#「みどり」に傍点]の無遠慮な騒ぎが始まったのである。房之助もいぶかしそうに、寝ころんだままお新を見た。 「どうしたんだ」と彼はささやいた、「喧嘩しているようじゃないか」 「そうじゃありません」といってお新は赤くなった、「喧嘩じゃないんです、いいんですよ」 「いいったって、ほら、――あれは殴っている音だろう、泣いてるのはみどり[#「みどり」に傍点]の声じゃないか、ほら、聞えるだろう、お新」 お新は当惑して、なお赤くなり、「そうとすれば痴話喧嘩でしょう」といった。 [#6字下げ]七[#「七」は中見出し] 客はみどり[#「みどり」に傍点]の情人だから、きっと痴話喧嘩を始めたのだろう。好いた同志にはよくあることだし、もうすぐ仲直りをするに違いない、とお新はいった。房之助もそうかと思ったようすで、しかし、痴話喧嘩にしてはひどい、「あれではみどり[#「みどり」に傍点]が可哀そうだ」などとつぶやいた。 ――この人、初めてかしら。 これまでみどり[#「みどり」に傍点]の癖を知らなかったのかしら、とお新は思い、早くその騒ぎが終ってくれればいい、と願いながら、いつかしら、自分の気持がたかぶってくるのを感じた。……みどり[#「みどり」に傍点]の癖にはすっかり馴れていて、どんなにひどく騒がれても、せいぜいうるさいと思うくらいだったのに、お新はいま、自分がそんな気持を感じることにびっくりし、すぐにもその部屋から、逃げだしたくなった。 ――この人が悪いのよ。 まるふた月も、うっちゃり放しなんだもの、ふうさんが悪いんだわ、とお新は思った。三年もそういう稼ぎをして来て、正月の下旬からぴったりやめ、もう六十日くらいのんきにしている。そのためもあるだろうが、一つには、男のしんじつを躯でたしかめたいという、単純で素朴な欲求が、そんなきっかけに衝動となってあらわれたともみえる。お新は逃げだしはしないで、とつぜん膝の上の縫物を押しやると、「ねえ」といいながら、彼のほうへすり寄った。 「なんだ」と彼がいった、「こっちでも、痴話喧嘩か」 お新は黙って、彼の上へかぶさった。 躯のしんが燃えるように熱く、頭がくらくらし、息苦しいほど烈しく動悸《どうき》が打った。そんなことは初めてである。お新は低い呻きごえをあげ、身もだえをしながら、彼のふところへ手をさし入れた。房之助はお新を抱き緊め、寝返りながら顔をよせた。お新のぼうっとなった耳に、隣りの部屋からみどり[#「みどり」に傍点]の悲鳴が聞え、お新は喘《あえ》ぎながら「窓を閉めるわ」とささやいた。 お新が手を伸ばそうとすると、房之助はそれを押え、「だめだ」と頭を振った。お新はいやといって、手に力をいれたが、彼は押えつけたまま動かさなかった。 「もう少しの辛抱だ」と房之助はいった、「もう、叔父に話そうと思っているんだ」 お新は喘ぎながら、躯をゆすった。 「叔父は道楽者だから、わけを話せば、きっとわかってくれる、もう感づいているかもしれない」と彼はいった、「感づいているようなことを、ときどきいうし、小遣も叔母にないしょで、余分に呉《く》れるんだよ」 「だって」とお新は喘いだ、「どうして、それまで待たなければいけないの、どうして」 「それは初めに約束した筈じゃないか」 「約束は約束、あたしだってなま身よ」とお新はいった、「それにあんただって、ふうさんだって、初めてじゃないでしょ」 「なにが」と房之助はいって、しかしすぐに意味がわかったらしく、眩しそうに眼をそむけた、「いや、――私はまだ初めてだ」 「うそよ、さいしょの晩に、もう知ってるっていったじゃないの」 「恥ずかしかったんだ」 「女のひとと寝たことがあるっていったわ」 「恥ずかしかったんだ」と彼はいった、「初めてだなんていうと笑われるような気がしたんだ」 お新の躯から力がぬけた、緊張した躯から力のぬけてゆくのが、房之助にもわかった。お新は男の胸に頭をのせたまま、「ごめんなさい」とささやいた。房之助は女の背中を撫で、その手でそっと頬を撫でた。 「花の匂いがするね」と彼はいった、「――よく匂うじゃないか、なんの花だろう」 お新は首を振った。彼がまだ女を知らないとわかったとたんから、にわかに彼が遠くなるように、お新には感じられた。自分からぐんぐん遠く、はるかに遠くなるように、――お新は強く首を振り「抱いてちょうだい」とささやいた。もっと強く、もっと。いいよ、重いから起きてくれ、喉が渇いてきた、茶をいれてくれないか、と房之助がいった。 次に来た日、――房之助は帰りがけになって、顔をひきしめながら「明日だ」といった。お新は彼を見あげた。 「叔父の屋敷で明日、祝いの酒宴があるんだ」と房之助はいった、「それが終ったあとで話をしようと思う」 お新は「そう」と力なくうなずいた。うれしいという気持も起こらず、むしろ「だめだった」とでもいわれたような、暗い不安な感じにおそわれた。 「もしも、父が、頑固に勘当をゆるさなかったら、私は刀を棄てるつもりだ」と彼はひそめた声でいった、「侍ばかりが人間じゃない、寺子屋をやったって、食ってゆけるんだから」 「お父さん、まだ怒ってらっしゃるんですか」 「おれは平気さ」と彼は笑ったが、力のない笑いだった、「――おれは覚悟をきめているんだ、どうなったって驚くものか」と彼はいさましくいった、「――じゃあ、帰る、こんど来るときは、いい話ができると思うよ」 「ええ」とお新はうなずいた、「待っています」 房之助が帰ったあとで、お新はみんなにその話をした。気がわくわくして、不安で、どうしても話さずにはいられなかったし、話してしまうと、どうやら少しおちついた。 「若旦那はやるわよ、きっとやるわ」とみどり[#「みどり」に傍点]がはずんだ調子でいった、「あの人しんがきつそうだもの、ああいう温和《おとな》しい人ほど、いざとなると、梃子《てこ》でも動かないものよ」 「ようやっとね」とおせき[#「せき」に傍点]がいった、「あたしたちの中からも、いよいよ玉のお輿《こし》が出るんだわ」 「たまのこしよ」とみどり[#「みどり」に傍点]がいった、「そんなところへ、おを付けるもんじゃないわ、お菓子みたいに聞えるじゃないさ」 菊次がふきだし、みんなが賑《にぎ》やかに笑った。 房之助はなかなか来なかった。三日にいちどの定りが、初めて跡切れ、お新はまたおちつかなくなった。みんなは心配しなかった。きっと話をもちだしたのであろう、さもなければ、いつもどおり来る筈だし、話をもちだして、もし不首尾なら、それも知らせに来るに違いない、なぜなら、いけなければ、刀を棄てて寺子屋をやるつもりなんだから。そうでしょ、とみどり[#「みどり」に傍点]は主張した。来ないのは勘当がゆるされて、親許《おやもと》へ帰ったのだと思う、それでおいそれと出るわけにいかないのだ。そうよ、「きっと、そうだわ」とおせき[#「せき」に傍点]もいった。 ――ひらきたるはとどまり、蕾《つぼ》みたるは散りたるとや。 お新の頭にふとそんな句がうかんだ。聞き覚えた曽我物語の「千草の花」のくだりで、そのあとに忘草のことが続き、――おん帰りをとどめ奉らんとて、この花を植ゑて、わすれ草と名づけたまひけるなり、というのである。お新はみどり[#「みどり」に傍点]たちの慰めを聞きながら、どうしてとつぜんそんな句が頭にうかんだのか、われながらいぶかしく思いながら、「つぼみたるは散りたるとや」と、もういちど頭のなかで繰り返した。 灌仏会《かんぶつえ》の日の午後に彼は来た。 主婦のおみの[#「みの」に傍点]と菊次とが、浅草寺へ参詣《さんけい》にゆき、花かごをもらって帰って来た。お新は店の表に卯《う》の花を※[#「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2-13-28]《さ》したが、※[#「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2-13-28]すときに「ああ」と独りでうなずいた。蕾みたるが散る、――というのは、卯の花の枝のことで、裏にある垣根の卯の花が頭にあったから、あんな句を思いだしたのだろう。ふしぎはないじゃないの、そう思って、お新が店へはいろうとすると、江口房之助が近づいて来て「お釈迦《しゃか》さまの日だね」といった。 お新は振向いて「あ」と声をあげた。 [#6字下げ]八[#「八」は中見出し] はいって来た房之助を見ると、みんなが(殆んど一斉に)歓声をあげた。折目のきちんとした彼の身なりや、髭《ひげ》をきれいに剃《そ》った、明朗な、少しのかげもなく微笑している顔が、一と眼でみんなを昂奮させたようである。菊次までが珍しくあいそ笑いをして、「いらっしゃい、ようこそ」と挨拶した。 「いそがしくって手紙も書けなかったんだ」と彼はあがりながらいった、「今日もすぐ、帰らなければならないんだが、とにかく、みんなに祝ってもらおうと思ったんでね」 みどり[#「みどり」に傍点]が「わあ」と手を叩いた。 「集まってくれ」と彼はいった、「お新のところへみんなで来てくれ」 菊次が「いいえ」と手を振った。あたしたちはあとでようございまず、お二人で先にどうぞ。そうよ、お二人でどうぞ、「あたしたちはあとでゆっくりうかがいますわ」とおせき[#「せき」に傍点]もいった。だが、房之助は頭を振った。 「いやそうじゃない、いい話なんだから、みんなに聞いてもらいたいんだ、みんなに聞いてもらって、みんなに祝ってもらいたいんだ、さあ来てくれ」と房之助はいった。 そのとき、ようやく、お新が「いいじゃないの、みんないらっしゃいよ」といった。みどり[#「みどり」に傍点]は大きくこっくりをし、「それほどおっしゃるんなら、いってつかわそう」といばった。 お新は部屋へはいると、「散らかっててごめんなさい」といいながら、窓の障子をあけ放した。房之助が窓を背にして坐り、女たちもどことなくかしこまって、互いにてれたように眼くばせをしたり、肱《ひじ》で小突きあったりしながら坐った。 「まず礼をいおう」と彼は辞儀をした、「縁もゆかりもない、紛れこんだ猫のような私を、長いことみんなでよく面倒をみてくれた、うれしかった、有難う」 女たちは当惑したように、ぎごちなくお辞儀をした。房之助はふところから袱紗包《ふくさづつみ》を出し、中にあった紙に包んだものを取って、お新の前へさしだした。 「これは些少《さしょう》だが、礼ではない、――あとでみんなに、これで祝ってもらいたいんだ、些少で恥ずかしいが、取っておいてくれ」 「じゃあ」とみどり[#「みどり」に傍点]がいった、「やっぱり御勘当が解けて、お屋敷へお帰りになったんですね」 「うん」彼は微笑した、「勘当もゆるされたし、万事うまくゆくようだ」 「まあ」とおせき[#「せき」に傍点]が息をひいていった、「まあ、よかった、ほんとなんですね、若旦那」 吉野は菊次を見た。そして、みんながお新のほうを振返った。 「本当だ」と彼はうなずいた、「じつをいうと私はもう九分どおり諦《あきら》めていたんだ、なにしろ頑固なことでは一族でもぬきんでたおやじなんだから、いっそ、もう寺子屋でも始めようかと思ったくらいなんだ、ところが、――このあいだ叔父の屋敷で祝宴があるといったろう、お新」と彼はお新をかえり見た、「なんの祝宴だか知らなかったんだが、それが驚いたことに、この私の勘当が解かれる祝いだったんだよ」 女たちは「まあ」といった。お新はごくっと唾をのんだ。 「おまけに、――おまけというのもへんだが」と彼はにこっと微笑した、「そこには許婚《いいなずけ》の娘がいて、勘当の解けた祝いといっしょに、内祝言の盃《さかずき》もしたんだ」 そのときさっと、なにかが空をはしったように、みんな口をあけて、ぽかんと房之助の顔を見た。 「そうなんだ」と彼は明朗にいった、「二年まえからの許婚で、年は、――十七だったかな、勘当だのなんだので、暫く会わなかったが、ほんの半年ばかりだったろうがね、暫くぶりで会ってみると、すっかり娘らしくなって、私の前へ来ても、おめでとうございますといえないんだ、こっちもさすがにてれたよ」 「若旦那」とみどり[#「みどり」に傍点]がどもりながらいった、「それで、そのお嬢さんはどうするんですか」 「どうするって」 「いま許婚だって仰《おっ》しゃったでしょ」とみどり[#「みどり」に傍点]はたたみかけた、「二年まえからの許婚でそのとき内祝言もしたとすると、いったいどういうことになるんですか」 房之助は戸惑ったような眼で、女たちの顔を順に眺め、お新の顔を見た。お新はまっ蒼になり、うつむいてふるえていた。 「どうするって」と彼は口ごもった、「それは勘当が解けたし、内祝言をした以上は」 「その人と御夫婦になるんですか」とみどり[#「みどり」に傍点]が遮った、「勘当もゆるされたし、その人とも御夫婦になるので、それであたしたちに祝ってくれって仰しゃるんですか」 「みどり[#「みどり」に傍点]さん」と菊次がいった。 「あんた」とみどり[#「みどり」に傍点]は叫んだ、「あんたは、おまえさんは、それでも人間かい」 「みどり[#「みどり」に傍点]さんたら」と菊次が立ちあがった、「およしなさい、なにをいうの」 みどり[#「みどり」に傍点]も立ちあがり、「あたし云うわ、云うわよ、云ってやるわ」と叫んだ。菊次はみどり[#「みどり」に傍点]を抱きとめた。吉野もおせき[#「せき」に傍点]も立った。 お新は菊次に「お願いよ」といった。「済みません、みんな向うへいって下さいな、あとで話すからちょっと向うへいっていて下さいな」とお新はいった。 みどり[#「みどり」に傍点]はなお叫びたてたが、怒りのために、当人でもなにをいっているかわからなかったに違いない。おせき[#「せき」に傍点]が彼女をなだめ、吉野と菊次とが左右から押えつけるようにして、ようやく部屋から伴れだしていった。 「おどろいたな」と房之助がいった、「どうしたんだ、みどり[#「みどり」に傍点]はなにを怒ってるんだ」 お新は唇で笑い、「なにか、いやなことでもあったんでしょ、気にしないで下さいな」とほそい声でいった。房之助はふところ紙を出して、額を拭きながら、ふとお新を見た。 「まさか――」と彼はいった、「あれを本気にしていたんじゃないだろうな」 お新は眼を伏せた。 「私とお新がいっしょになるっていう、あの話を」と彼はまじめにいった、「――あれをまさか、本気にしていたんじゃあないだろうな」 「ええ、まさかねえ」とお新は笑った、「いくらなんだって、そんなことはないでしょ」 「それにしては」といいかけて、彼は首を振りながら笑った、「――まあいい、私にはああいう子のいうことはわからない、もし、私に悪いところがあったら、あとでお新からあやまっておいてくれ」 「大丈夫よ」とお新はいった、「そんな心配はいりません、あの人どうかしているんですよ」 「それならいいがね」と彼はもじもじしながらいった、「どうも、妙なぐあいになってしまって、――私はもう帰らなくちゃならないんだが、叔父の家に用があるんで」 「どうぞ」とお新がいった、「せっかくいらしったのに、済みませんでした」 房之助は救われたように、刀を取って立ちあがり、「済まないことなんかないさ」と明るい顔でいった、「私はなんとも思やしない、ただ気持よく別れたかっただけだ」 「ええわかってます」とお新も立ちあがった、「なんでもないんですから、お気を悪くなさらないで下さいな」 「ああ、いいとも、それじゃあ、帰るからね」と房之助はいって、刀を腰に差した。 お新が彼を送って出る途中、菊次の部屋でみどり[#「みどり」に傍点]が(まだ)喚いていた。房之助はお新に「やっているね」というふうに笑いかけ、そして下へおりた。――戸口を出た彼は、表に※[#「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2-13-28]してある花を見、それが別れの挨拶であるかのように、「これはなんという花だ」と訊いた。 「卯の花よ」とお新が答えた、「卯の花っていうんです」 「この花は知ってたんだね」 房之助は笑って、そのまま静かに去っていった。お新は「ええ」と口の中で呟《つぶや》いた、「この花の名は知ってましたわ」そして、遠ざかってゆく彼のうしろ姿を、乾いた、ぼうっとした眼で見送った。 「畜生」と奥でみどり[#「みどり」に傍点]の叫ぶのが聞えた、「あの人でなし、殺してやる、放して、放して」 底本:「山本周五郎全集第二十六巻 釣忍・ほたる放生」新潮社 1982(昭和57)年4月25日 発行 底本の親本:「週刊朝日別冊」 1956(昭和31)年2月 初出:「週刊朝日別冊」 1956(昭和31)年2月 入力:特定非営利活動法人はるかぜ
https://w.atwiki.jp/shihoushiken/pages/38.html
固有の意味の憲法
https://w.atwiki.jp/jinrogaku/pages/39.html
元々ベグるというのはとあるプレイヤーの名前でした。 そのプレイヤーは狼の時に狐を処理するのがうまく、他のプレイヤーはそれを賞賛し、そのプレイをベーグると呼んだのでした。 元々の意味はこうです。 「狐の存在を確認する前に占い師を噛む事」 という風な使われ方をしていました。 時は流れベーグるの語源の人もプレイをしなくなりました。 時代が進むとともにベーグるの意味も変わっていきました。 いつごろから変わったのかは知りませんが、少なくとも50000~60000番地の間には 意味は「複数出た占い師のどちらが真かわからないが、とりあえず噛めそうな候補を噛むこと」 となっていました。 さらにさらに時代は進みこれもまた正確な時期はわかりませんが 大体80000番地以降の意味は 「3日目に占い師候補を噛む事」となっていました。 言葉は変容するといういい例です。おもしろいですね。 ちなみに最近ではベーグるという言葉はあまり聞かなくなった気がします。 少し寂しい執筆者なのでした。 追記 古い資料を見つけてきてしまいました 古参の人修正よろしくお願いします>< 汝ハ人狼ナリヤ? 2014年1/23少し修正 資料追加
https://w.atwiki.jp/konocardgame/pages/304.html
決議事項 1.このページの概要 1-1.このページの意義 このページは、wiki内の議論用ページにて決議された内容についてまとめられるページである 1-2.決議事項の扱い 決議事項については、このwiki内での原則として扱うことする 1-2-1.決議効果の範囲 当然ながら、ここでの決議の影響は「このwiki内全体で有効」とする 1-2-2.wiki内での有効 「wiki内で有効」とは、編集の根拠になり、決議に反する記載を編集する正当性を与える 1-2-3.wiki外での影響 決議事項をwiki外で採用するのは自由だが、決議事項はwiki外へ影響を与えない wikiでの決議はwikiでの結論なので、それを理由にwiki外で迷惑をかけてはいけない 1-3.議論中の事項の詳細 議論中の事項について 議論中の内容については、議論用ページを参照してほしい 1-4.議論外の事項の扱い 議論の対象になっていない事項については、他のページの慣例を踏襲することが望まれる 1-4-1.議論化について 議論の対象になっていない事項に対して変更等を望む場合は議論用ページを利用して議論化してよい 1-4-2.議論化の方法 議論化の方法は議論用ページの方法に則る 1-5.このページの運用 このページの運用について、現在、詳細は決まっていません 今後の議論対象 一覧 2.決議事項2-1.決議事項2-1-1.「単色」の扱い 3.議論中の事項3-1.議論中の事項3-1-1.b.議論用ページの運用方法 意見所 2.決議事項 決議済みの事項 2-1.決議事項 2-1-1.「単色」の扱い 2-1-1-1.決議日時 投票期間(2013/03/08 21 00 〜 2013/03/11 21 00) 2-1-1-2.議論の概要 議題は「単色の定義」であり,どのようなデッキを単色として呼ぶかである. 定義案は以下の3つに分類できる. 1.単色デッキとは「採択されている色が1色のデッキ」である 最も厳密な定義案であり,辞書的な意味でもある. 単色デッキ大会などではこれが採択されるという意見もある. この定義案は後述するデーモンを黒とする. 2.単色デッキとは「採択されたカードがすべて同じ色を持つデッキ」である デーモンは「このカードは全ての色と全てのカード名を持つ」という能力を持つことから, 特例として単色デッキに含められるという定義案である. しかし,デーモンは構築時には黒として処理されるため,採択される色は単色とはならない. 3.「1種類3枚以内などの他色も含めたデッキ」を単色として扱う場合もある 長寿王などの「手札がすべて緑である場合」という手札が単色である条件を持つ効果を利用するデッキ, または探検家バクテリアなどのほぼ単色であるデッキも単色として扱うという定義案である. 「厳密には異なるが便宜上単色として扱う」か,「単色の広義的意味とする」かで少し異なる. 構築では現実的な手法であるという意見や,辞書的意味とは異なるため分かりづらいという意見がある. wikiの対応として考えられるもの カテゴリー デッキ名称 デーモン A 認めない 認めない 認めない 定義1を厳密に採用。注釈を認めない。「タッチ」等を使う。分類を含めて修正 B 認めない 認めない 例外扱い 定義2を採用。注釈を認めない。「デーモンのみ例外で単色」の注釈をつける修正 C 認める 認めない 認めない カテゴリー上は注釈を付けて認める。名称は修正 D 認める 認めない 例外扱い カテゴリー上は注釈を付けて認める。名称は修正。「デーモンは例外で単色」 E 認めない 認める 認めない カテゴリー上の分類を直す修正。名称は注釈をつける F 認めない 認める 例外扱い カテゴリー上の分類を直す修正。名称は注釈をつける。「デーモンは例外で単色」 G 認める 認める ---- カテゴリー上も名称上も「単色」で扱う。ただし、一つ一つ注釈などをつける修正 ※いずれの場合も、誤解を避けるために注釈等をつける ※議論凍結は避け、いずれかの定義と対応を採用する方向 ※意見が割れる場合は、最終的には二択か三択まで厳選して多数決? 2-1-1-3.決議の方法 議論を経て、以下の選択肢から多数決による決議を行うこととする。 選択肢・1-A 定義は1.単色デッキとは「採択されている色が1色のデッキ」であるを厳密に採用する。 wiki中は、他のいかなる条件も鑑みず、いかなる注釈も認めない。 1種類のみ他の色を採用しているデッキは、カテゴリー分類上は2色に分類し、名称は他の表現方法を使用する。 選択肢・2-D 定義は2.単色デッキとは「採択されたカードがすべて同じ色を持つデッキ」であるを採用する。 デーモンは「このカードは全ての色と全てのカード名を持つ」という能力を持つことから,特例として単色デッキに含められる。 カテゴリー上は、注釈を付けることで「1種類挿し」を単色として扱う。名称は他の表現方法を使用する。 選択肢・3-G 定義は3.「1種類3枚以内などの他色も含めたデッキ」を単色として扱う場合もある を採用する。 ただし、いずれの場合も一つ一つ注釈を付けることで、誤解を生じないように配慮する。 2-1-1-4.決議結果 選択肢・1-A 4票 選択肢・2-D 33票 選択肢・3-G 17票 総票数 54票 最多得票は 2-D 33票 明らかにおかしいIPや不正と思しき操作もなかったように思います。 総票数も少ないとは言えない数だし、総票の過半数も超えているので特に問題はないかと。 2-1-1-3.決議後の処置 決議を受けての以降のスケジュール (済)1.決議事項のページに、今回の決議結果および議論をまとめる (済)2.用語集やデッキタイプのデータベース、デッキ構築など、必要な箇所に今回の決議に従った修正を加える (未)3.今回の議論と決議から「議論の方法」をまとめ完成させる ↑一覧へ 3.議論中の事項 現在、議論中の事項 議論の詳細は議論用ページ参照 3-1.議論中の事項 3-1-1.b.議論用ページの運用方法 ↑一覧へ 意見所 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/hisuzusia/pages/207.html
精神 [[(1)人間の心。心のはたらき。 「健全なる―は健全なる身体に宿る」 (2)物事に対する心の持ち方。気構え。気力。 「そういう―では成功はおぼつかない」「―を集中する」「スポーツマン―」「姨(おば)さんの頼なら…火水の中へでも飛込む―だ/金色夜叉(紅葉)」 (3)物事の最も根本的な意義。真の目的。理念。 「憲法の―にもとる」「教育基本法の―にたちかえる」 (4)〔哲〕〔英 spirit; (ドイツ) Geist; (フランス) esprit〕(ア)(物質・肉体に対して)心・意識・霊魂など。 (イ)心の本質・本体。感覚や情念などのはたらきとは異なる高次の普遍的性質をもち、理性・理念・意志・愛などの主体となる一方、非個人的な実体として世界の秩序やその形而上学的原理ともされる。 ――一到(いつとう)何事か成らざらん 〔朱子語類〕精神を集中して事に当たればどんな難事でもできないことはない。 [goo辞書より抜粋] この辞書からひもとくとゴシックロリータで言うところの精神とは (「2)物事に対する心の持ち方。気構え。気力。」に最も近い。 精神が無い=2のゴシックロリータに対する気構えが無い(コスプレ感覚) という風に言いかえられ、これが無いとゴシックロリータの世界では コスプレ呼ばわりされそうなものだが、実際に愛好者のゴシックロリータの 精神に対する意見を見ると殆どが「精神は無くて良い」若しくは「人それぞれ」 となっている。昔に比べて情報も服も多く、その様な気構えが無くても立派な ゴシックロリータスタイルを実践する事が易しくなっているので今はそこまで 追及すべき点ではないかもしれない。 ゴシックロリータの精神が(3)の様な領域に至るのが理想的であったが、 個人の行動や思想を制約する部分が多過ぎるため、また縛られ過ぎるのは 逆に不自然すぎる、おかしい、没個性的、普通じゃ駄目なのか?という疑問も 当然生まれるためあくまでも理想は理想である。
https://w.atwiki.jp/mainichi-matome/pages/1018.html
The story below is originally published on Mainichi Daily News by Mainichi Shinbun (http //mdn.mainichi.jp). They admitted inventing its kinky features, or rather deliberately mistranslating them from the original gossip magazine. In fact, this is far from the general Japanese behavior or sense of worth. このページは、毎日新聞事件の検証のための配信記事対訳ページです。直接ジャンプして来られた方は、必ずFAQをお読みください。 ※ この和訳はあくまでもボランティアの方々による一例であり、翻訳の正確さについては各自判断してください。もし誤訳(の疑い)を発見した場合には、直接ページを編集して訂正するか翻訳者連絡掲示板に報告してください。 Is that a pocket monster in your pants, or are you...ポケモンの意味は勃起した男性器だった!! 問題点日本以外でポケットモンスターと呼ばない理由 チンポコモンとは? pocket monsterとpocket, monster及び類似語のスラング 元資料 関連ページ Is that a pocket monster in your pants, or are you... あれはズボンの中のポケットモンスター? それともあなた・・・ ポケモンの意味は勃起した男性器だった!! (注:記事に付けられていた日本語タイトル。ただし、位置的に英語タイトルの和訳と断定できるか微妙。下の写真参照。) Takarajima 1/19 BY RYANN CONNELL (2000年1月9日の記事) 宝島 1/19号 Ryann Connell "My Pocket Monster would get a real workout if I had a Woody." 「僕のポケットモンスターは、Woodyを持っていたなら、本物のトレーニングを得るかもしれない。」 別の訳として「おいらのきかん棒は勃つとすげー使える。」 注:Woodyはウッドペッカーの名前で、ウッディー・ウッドペッカーという。ポケットモンスターと同様の意味でも使われる。だが、必ず性的な意味で使われるわけではない。日立のPCの名前がWoodyであるが、Debianでもwoodyというバージョンがある。 注2:woodyには、勃起という意味がある。have a woody で「勃起している」、という意味にもなる。 Although most parents in the English-speaking world would be horrified to hear their children say something like above, Japanese parents would likely realize that their kids were talking about playing an enormously popular Nindendo video game on a Panasonic-produced Woody computer. 英語圏のほとんどの親たちは子供が上述のようなことを言うのを聞いたら恐ろしいと思うだろうが、日本の親たちはどうやら子供たちが大人気のパナソニック製のWoodyコンピュータの任天堂のゲームで遊ぶことについて話していると考えるようだ。 While most Japanese know that the astoundingly popular Pocket Monsters capturing the hearts of children across the globe garnered their name because the video game in which they originally appeared requires players to capture an opponent s monster, then place it in a capsule stored in a pocket, Takarajima says English speakers would quite likely view a pocket monster in a slightly different light. 多くの日本人が、世界中の子供たちの心を捉えている驚くほど人気のポケットモンスターが、そのゲームが当初登場したときにプレイヤーに敵モンスターを捕らえ、ポケットの中のカプセルに蓄えることを要求することからポケットモンスターという名前になったことを知っているが、「宝島」は英語を話す人たちはポケットモンスターを少し違った観点で見るだろうと書いている。 "Ask Americans what they think a Pocket Monster is and eight out of 10 will say it s a penis." says a female interpreter. 「アメリカ人にポケットモンスターとは何かと聞いたら、10人に8人は男性器だと言うでしょう」と、女性の通訳はいう。 Fortunately for those making a buck out of Pikachu and other fabulous collection of Pocket Monsters, they were aware of the connotations the name carried and outside of Japan refer to the characters collectively as Pokemon. Otherwise, "Pokemon -- The First Movie" may not have had the phenomenal success that saw it became the first Japanese flick to top the U.S. box office in November last year. ピカチュウやほかの架空のポケットモンスターたちで一儲けしている人々にとっては幸運なことに、彼らはその名前が持つ言外の意味を知っていて、日本国外ではキャラクターたちを総称してポケモンと呼ぶことにしている。 さもなくば、「Pokemon -- The First Movie(劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲)」は劇的な成功を収めることはなかっただろう。これは昨年11月に、米国のチャートのトップを取った最初の日本映画となった。 "We knew that Pocket Monster could be used as a slang term for a penis. That s why we decided to keep the Pokemon term that Japanese kids had been using when we came up with the title of the film." says a spokesman for Nintendo, the company that developed Pocket Monsters. 「私たちはポケットモンスターが男性器を表すスラングとして使われうることを知っていた。だから映画のタイトルを決めるときに、日本の子供たちが使い続けているポケモンという言葉を使うことにした。」とポケットモンスターを開発した任天堂の広報は言う。 Shogakukan Production License, which produces the Pokemon trading cards some American kids are coming to blows over because of their scarcity, adopts a similar line. 品不足でいくらかのアメリカの子供たちが飽き始めているポケモンのトレーディングカードを出している小学館プロダクションも同じような線を選んでいる。 "Talk of the slang meaning of [Pocket Monsters] was a topic of discussion even before the movie opened in the United States. For the same reasons as Nintendo, we decided on [using the pokemon term] to avoid any further damage to the image of what is children s character." a company spokesman says. 「『ポケットモンスター』のスラングとしての意味についての話は、アメリカでの映画公開の前に議論の的になった」。任天堂と同じ理由で、少しでも子供たちのキャラクターのイメージへのダメージを減らすために、私たちもポケモンという語の使用を決めた。 Perhaps it was just as well that Nintendo and Shogakukan decided on such a course of action. ひょっとすると、任天堂と小学館がこのような一連の行動を決めたことは理にかなっているかもしれない。 "If the American release of the movie had been titled ‘Pocket Monster,’ the whole of the United States would be in fits of laughter." a woman who grew up outside of Japan says. 「もしアメリカで公開された映画が『ポケットモンスター』と題されていたら、アメリカ中が笑い転げるでしょう」と日本国外で育った女性は言う。 Takarajima, however, notes that despite the attempts at shielding foreigners form learning that japanese refer to the cartoon characters as Pocket Monsters, the Pokemon approach hasn t been entirely successful. だが「宝島」は、日本人がその漫画のキャラクターをポケットモンスターと呼んでいることを外国人に知られるのを防ぐ試みにもかかわらず、ポケモンと略称を使うアプローチは完全には成功していないという。 "Even before the movie came out, Americans in Japan were getting a laugh out of Pocket Monsters. They d go around thrusting out their groins and saying Hey, have a look at my Pocket Monster. " celebrity Dave Spector says. "American comedians are referring to Pocket Monsters in their jokes, too." 「映画が出る前から、日本に住むアメリカ人はポケットモンスターで失笑していた。彼らは股間を突き出そうと歩き回ってからこう言うでしょう『なあ、俺のポケットモンスターを見てくれよ』って」とセレブのデーブ・スペクターは言う。「アメリカ人のコメディアンもジョークでポケットモンスターを使うよ」 Takarajima notes that a popular U.S. cartoon "South park," took the Japanese connection to Pocket Monsters a step further when it did a show about the way that Pokemon have swept the United States by storm. It seems the stars of "South park." which has made a name for itself by featuring precocious child cartoon characters for whom no topic is sacred, referring to Pokemon as Chinpokomon. The name Chinpokomon, Takarajima says, derives from chinpoko, a Japanese slang word for penis. 宝島は人気の米国アニメ「サウスパーク」が、ポケモンが米国を席巻した方法についての回で、一歩進んで日本語とポケットモンスターとのつながりを取り上げたことを記している。話しにくい話題も口にしてしまう早熟な子供の漫画キャラクターたちで人気の「サウスパーク」の主人公たちは、ポケモンをチンポコモンと呼んだようだ。チンポコモンという名前は、宝島によれば、日本語の男性器の俗語表現であるチンポコから派生したものだ。 問題点 この記事の存在により、紙媒体時代から海外に不適切記事が配信されていたことが判明。ウェブ配信に対する認識不足といった、それまでの検証原因が根拠を失った。また、下記画像にある通り、この記事には日本語タイトルも掲載されているため、英語なので編集部でチェックができなかったといった、それまでの検証原因が根拠を失った。 英文記事の中で Pocket Monster と Pokemon とを明確に区別しているにも関わらず、日本語タイトルにおいて pocket monster を「ポケモン」と悪質な誤訳をしている。 日本以外でポケットモンスターと呼ばない理由 ポケットモンスター 出典 フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 日本以外でポケットモンスターと呼ばない理由 アメリカで『Monster in My Pocket』という商標が既に登録されていた為、多くの国々ではタイトルの省略形「ポケモン(POKEMON)」を採用した。 日本国内版においても「ルビー・サファイア」以降は英語表記がそのようになっている。 (中略) この他、英語圏(特にアメリカ)においては、「ポケット」という単語に男性器を連想させるニュアンスがあるため、 「ポケットの化け物」では子供の遊ぶ健全なゲームのタイトルとしては不適切である、という判断も変更理由の1つと言われる [要出典] (「ポケットモンスター」自体が卑猥なスラングとして使われているわけでは無く、 「ポケット」は「ポケットに入るくらいのサイズ」という意味なので誤解無きよう)。 (後略) チンポコモンとは? チンポコモン 出典 フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 チンポコモン(英:Chinpokomon)はサウスパーク第3シーズン第10話(通算42話)のエピソードである。 アメリカでは1999年11月3日、コメディ・セントラルで初回放送された。 1999年、アメリカにおけるポケットモンスターのブームに対するパロディとなっている。 サウスパークが1999年11月3日に放送されると、WaiWaiの記事はそのすぐ後の2000年1月9日に出たことになる。 pocket monsterとpocket, monster及び類似語のスラング http //yutori.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1218866506/481-482 481 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/17(日) 23 49 34.61 ID Cs5ncT/IO ν+にいた者です。 今日はpocket monsterとpocket, monster及び類似語のスラングについて資料を複写していました。 ほんの一部ですがとりあえず中間報告。 今のところの出典は戦後から1989年までに出版されたスラング辞書です。 pocket monsterまたはmonster in (one s) pocket 無し。OED第二版(追加補完版除く)にも無い。 monster 長らく無い。未コピーだがmonstrousなる語は戦前にあったよう。しかし1989年の辞書には「中枢神経に作用する あらゆる強力な薬」 「強力な薬を摂取していい気分またはうすのろ?(mod)なさま」という記載があります。 pocket 1960年出版の辞書に複数の意味あり。 財布やポケット等、金や貴重品を入れる所。それと、「あるものの動きが制限ないし禁止された2つの物体の間の場所。」なる 意味。しかし例文(1950)は卑猥な内容ではない様子。 ひょっとしたらあらゆる語が隠語の羅列で気付かないだけかもしれないけど。 他には「擁護できない状況。不十分なビジネスまたは該当者自身が楽しめない人間関係。」なる意味も。 そして1961から1989に編纂された辞書によると、 pocket-billiardsなる語が1910年頃から公立の学校やサービス(幼稚園?)で使われていたよう。 意味はおそらく金玉をふにゃふにゃにすること(palping his genitals) その後、1989年のスラング辞書にはありません。 482 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/17(日) 23 53 31.28 ID Cs5ncT/IO 481 の続き 興味深い類似語が二つ。pokeとpoky(pokey)です。 pokyは元々刑務所という意味があるようで、それが転じて (刑務所や独房のように)混雑した、狭いという意味があるようです。 1989年までの辞書でもその意味は余り変わっていないようで、 鈍いとかmodという意味が追加されている程度。 pokeには色々な意味があり、バッグだとか袋だとか野球でヒットやヒットを打ったといった意味があります。 で、途中までは財布やポケット、pocketbookや金云々といった意味が中心ですが、 1961-1989年の辞書に、余り使われない表現として「煙草等を吸う」という意味が出てきます。 1989年の辞書はこの意味が中心で、大麻の煙という意味と、 本来の突くとか突っ込むという意味が発展した 変態が一番大好きなあれと定義されています。 今ジーニアス英和第五版を見たらしっかり載っていました。 以上 http //yutori.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1218866506/542 542 : ◆p1yDNullPo :2008/08/18(月) 06 11 03.15 ID qMlQg9HD0 おはよう 482 Urban Dictionary によるとサウスパークで Pokemon という言葉が ゲイセックスの文脈でつかわれたことがあるらしい faggot という罵倒語とはちと別なので、「ホモっぽい」と思われているらしい def.5 Why people that bashes pokemon always say something about gay sex or masturbating, I ll never know. That South Park episode don t help much either. def.20 3. Did you see the new episode of Pokemon? James gives Wobuffet anal sex! http //academy6.2ch.net/test/read.cgi/english/1215513334/465 465 :名無しさん@英語勉強中:2008/08/18(月) 23 47 53 464 http //www.urbandictionary.com/define.php?term=pocket+monster 1. pocket monster A little creature that lives in your pants! GET OUT OF THERE, PIKACHU! Geez... 2. pocket monster a fart, especially when done by a child Who has pocket monsters? 3. pocket monster A suggested or reduced version of another, well-known or infamous; one whose actions or behavior suggests a reference to another person; to be combined with the completing reference; derogatory. (NOTE some individuals, i.e. Linda Hunt, cannot be pocket monsters, as they already are; redundant). The flight attendant went through the cabin barking out orders and smashing trays about, turning into a pocket-monster Kathy Bates from MISERY at 30,000. 1は例にピカチューが出てくるからポケモン後の用法なのかもね ポケモン以前にどれほど使われたかは分からん "モンスター"だけでペニスを意味することもある http //www.urbandictionary.com/define.php?term=monster 4. monster A penis which is inordinately large in either length or girth or both. 元資料 関連ページ WaiWaiの記者一覧 よくある質問(FAQ) 任天堂 元記事一覧 紙媒体MDN時代のwaiwaiタイトル 紙媒体MDN時代のwaiwaiタイトル2000年
https://w.atwiki.jp/to_dk/pages/203.html
公開の意味を考える <△ 適当に選ぶその2探す 投稿先にzoomeを選んだ理由 zoomeで不思議に思う事 投稿サイトの採用過程 配布についての考え iPhoneについて調べてみた 主要作品の再生回数統計をとってみた 外から見たニコニコ動画 ページ数( 7) 「オリジナル作品を公開したら、賠償する羽目になったよ」という世の中で、最も良い公開方法を模索中 タグ 更新履歴 2009-09-13 制作メモ/公開の意味を考える/投稿サイトの採用過程 2009-09-11 制作メモ/公開の意味を考える/投稿先にzoomeを選んだ理由 2009-08-05 制作メモ/公開の意味を考える/zoomeで不思議に思う事 2009-08-02 制作メモ/公開の意味を考える/主要作品の再生回数統計をとってみた 制作メモ/公開の意味を考える/外から見たニコニコ動画 2009-07-19 制作メモ/公開の意味を考える/iPhoneについて調べてみた 2009-07-14 制作メモ/公開の意味を考える/配布についての考え 制作メモ別館 ▼初音ミク研究 ▼公開の意味を考える 記事一覧 ようこそ ▼お知らせなど▼世間のニュース 最新のお知らせなど ▼制作メモ別館 ▼商品ウォッチ ▼専門用語▽このサイトについて 記事を探す 上へ お役立ち度( - ) Copyright ©2008-2010 to_dk. _
https://w.atwiki.jp/niconico2nd/pages/61.html
戦うことの意味 ◆7UfBAN/wns (登録タグ) パロロワ[ 百 ] ニコニコ動画バトルロワイアルβ MUGEN[ 百 ] アレックス 強力若本 「まったく……ふざけるのもいい加減にしてほしいな」 アレックスが目覚めてすぐに口にしたのは、現状に対する素直な愚痴だった。 彼はまだ見ぬ強者との戦いを求め、世界中を旅していた筈だった。 同じ格闘家は勿論、時には忍者や吸血鬼、ミュータントや妖怪までも相手にする事もあった。 それが気がつけば、いつのまにか殺し合いの場に放り込まれている。 この状況に文句が出ないわけがない。 「俺が望んでいるのは、こんなファイトじゃないぜ?」 戦う機会を与えられたという事、それ自体には文句は無い。 しかし、殺し合いという舞台である事がアレックスには不満だった。 彼が求めていた戦いは、相手を死に追いやって終わる様なものではない。 全力を出してぶつかりあい、戦いを通じてお互いを知る。 戦いが終われば、それを励みや教訓にして成長を重ねる。 そして、次に会う時を楽しみとする。 それこそがアレックスにとっての戦いであり、彼が見つけた格闘技の奥深さというものであった。 その全てを否定する殺し合いなど、するつもりはない。 (まあ……それでも、倒さなきゃやばい相手ってのはいるだろうけどな) もちろん、アレックスとて危険性は理解している。 これから遭遇する相手次第では、覚悟を決めざるを得ない場合もあるだろう。 その時には、アレックスも躊躇をするつもりはなかった。 「……とりあえず、今どうなってるのかを確認してみるかな」 ひとまずは状況を確認すべきである。 アレックスは足元のデイパックを開け、参加者名簿を取り出した。 もしかすると、これまでに出会ってきたファイター達の名が書かれているかもしれない。 この殺し合いをどうにかする為には、協力できる人物は絶対に必要だ。 (もし、リュウでもいてくれたらこの上なく頼りになるんだがな……) 名簿を開こうと指をかける。 ―――――――その瞬間だった。 「ア イ テ ム な ぞ 使 っ て ん じ ゃ あ ね え ぇ ぇ ぇ ぇ っ !!」 荒々しい口調の、野太い叫び声がビル全体に響き渡った。 それに僅かに遅れてコンマ1秒後……アレックスのすぐ背後にある壁が、音を立てて砕け散った! 「なんだ!?」 アレックスはすぐにその場から飛びのき、背後へと視線を移す。 破片は全て彼の目の前に飛び散っている。 つまりこれは、隣の部屋から壁越しに彼を狙った一撃。 もう一歩後ろにいたら、壁諸共粉々にされていただろう。 「誰だ、出て来い!!」 その呼び声に答えるかの様に、バキッと小気味良い音が響いた。 強襲者―――バルバトス・ゲーティアは破片を踏み砕きながら、壁の向こうからその姿を現した。 アレックスに勝るとも劣らない、強靭な肉体。 その全身から放たれている、凄まじい威圧感。 土煙が濛々と立ち込め、まるでそれらを演出するかの如く、彼の姿を半ば隠している。 「おいおい、随分と荒っぽい挨拶だな。 自己紹介も抜きにおっぱじめようってのか?」 「ククッ……確かに言うとおりだ。 己が殺される相手の名前ぐらいは知っておきたいよなぁ……!!」 ――――ニィッ。 バルバトスの顔に笑みが浮かぶ。 それは狂気の混じった、それでいて純粋な喜び。 彼は実に嬉しかった。 今の一撃で震え上がり、縮こまる様な者が相手では戦っても楽しくない。 その点、アレックスは実に良い。 鼠のように逃げおおせず、臆する事無く向き合ってきている。 バルバトスにとって、戦うに値する敵であった。 「俺の名はァ、バルバトス・ゲーティアだ……貴様の名を聞いておこうか?」 「アレックスだ……バルバトス。 悪いが、殺し合いをやるって言うなら容赦する気はないぜ? お前みたいな奴を野放しにしちゃ、どうなるか分からねぇからな」 「望むところよぉっ!! さあ、おっぱじめるぞアレックスゥッ!! 俺の渇きを……癒せぇぇぇぇぇぇぇいっ!!」 雄叫びを上げ、バルバトスが土煙の中から駆け出る。 それと同時にアレックスは、バルバトスの両手に視線を移した。 土煙の中にいた状態ではうっすらとしか確認できなかったが、彼は何か武器を手にしている。 壁を粉砕したあの一撃の威力から察するに、恐らくは相当強力な何か。 アレックスはその正体を警戒し……そして驚愕した……!! 「なにっ!?」 意外、それはキーボードッ!! お世辞にも武器とは言い難い、日常的な道具……!! この予想外の出現に、アレックスは驚きを隠せない。 そしてその驚きは、彼の動きを一瞬鈍らせる……! 「ぶるあぁぁぁぁぁぁあああっ!!」 その隙をバルバトスは見逃さない。 キーボードは咆哮と共に振り払われ、アレックスの右肩を打つ。 それは本当にキーボードによるものなのか、そう疑いたくなるほどの威力……!! アレックスは顔をしかめ、怯む……が!! 「っ……ハァッ!!」 アレックスは無事な左手を即座に伸ばす。 そのまま、バルバトスの肩を力強く掴み……!! 「ヌンッ!!」 ヘッドバッド!! 「ぬぐぅっ!?」 頭突きという攻撃手段は、バルバトスにとって予想外。 脳に衝撃が走り、視界が揺らいだ。 その刹那、アレックスは追撃の一打を繰り出す! 「フラァッシュ!!」 「むぅぅっ!?」 強烈な逆水平、フラッシュチョップ……! バルバトスの胴体へとそれはまともに直撃し、背を向け仰け反らされる。 そのままアレックスは、バルバトスへと両手で掴みかかりに行く。 彼の定石パターンとも言える、フラッシュチョップからのバックドロップ……だが!! 「俺の背後に立つんじゃねぇっ!!」 バルバトスの反応が、アレックスのスピードを上回る……!! 自らの胴体へとアレックスの腕が回されたその瞬間、ホールドされる寸前に逆に腕を掴みげたのだ。 そして、力に任せ自らの前方へとぶん投げる!! 「グッ……!!」 「まだだっ!!」 アレックスが肩から床へと叩きつけられ、同時にバルバトスが動く。 超高速で詠唱、その起き上がりを攻める……!! 「灼熱のバーンストライクゥッ!!」 アレックスの頭上に、巨大な火の玉が出現する。 そしてそれは、倒れているアレックス目掛けて一斉に降り注ぎ始める……!! 「うおおぉ!?」 アレックスはとっさに転がり、落下してくる火の玉を回避していく。 次々に床が砕け、孔が穿たれていく。 こんなものを受けては一たまりも無いと、アレックスは懸命に回避に努める……だが……! 「とったぁぁぁっ!!」 その先にはバルバトスが待ち受ける……!! 彼は無慈悲にも、倒れているアレックスへとその片足を振り上げ……!! 「いつまで寝てんだ!?」 「ガァッ……!?」 踏む……!! 炸裂したのは踵、命中したのは腹部。 鍛え上げられた腹筋も、バルバトスの全体重を乗せた踏みつけは防ぎきれない。 アレックスの表情が苦悶で歪んだ。 「まだいくぞおおぉぉっ!!」 バルバトスはすかさず二撃目へ移行。 再び足を上げ、踏みにいく……だが!! 「Now!!」 「なぁにぃっ!?」 とっさにアレックスは両手を地に付け体を回転させ、そのまま足払いを仕掛けたのだ。 片足で立つバルバトスは、大きく体勢を崩さざるを得ない。 今度は、バルバトスが地面に倒れ伏せる番……ではなく。 アレックスは素早く起き上がり、倒れる寸前だった彼の胴体を、逆さまに両手でがっちりとホールド……!! 「ドゥゥワァァオオォォッ!!」 そして跳躍! 全力を込め、空中から床へとバルバトスを叩きつける……パワーボムッ!! 「ブルァアァァァァァァァアアァァァァァァァァアアアアアッ!?」 脳天から強く打ち付けられ、襲いくる激痛にバルバトスが咆哮をあげる。 アレックスはここでバルバトスから両手を離し、一度距離を取る。 今の一撃で与えられたダメージは大きい、もしかすれば倒しきれているか。 うつ伏せに倒れこんだバルバトスを、アレックスは注意深く警戒する……その時。 「ククッ……ハァァァッハッハッハァァァッ!!」 バルバトスは、笑いながら起き上がった……!! 頭からは血が垂れ流されているが、そんなことは関係ない。 彼には、こんなに楽しい戦いは久々であった。 心地良い痛み、潤う渇き。 ここで倒れてなるものか、ここで終わらせてなるものか……!! 「……とんでもない奴だな。 戦うのが好きって気持ちは分かるが、ちょっといきすぎだぜ?」 「俺の本能が叫ぶのさ、貴様を殺せとぉっ!!」 バルバトスは、これで二度目となる猛進に出る。 キーボードがアレックスの顎目掛け、垂直に振り上げられた。 アレックスはそれを右手で払いどけようとする……が!! 「ぐわっ!?」 「かかっとぅわぬあぁぁぁっ!!」 防御よりも早く、アレックスの眉間を何かが打った。 それは、キーボードのコードッ……!! 打撃を警戒していたアレックスには、この鞭打は効果的であった。 「今死ねぇっ!!」 そのまま、キーボード本体はアレックスの顎を打つ。 彼の体は、僅かに空中へと浮き上がり……! 「すぐ死ねぇっ!!」 そこへとキーボードが打ち下ろされ、地面へと叩きつけられ……!! 「骨まで砕けろぉっ!!」 再度、上空からの振り下ろし!! これぞ、バルバトスが得意とする三連殺……!! 「ぐわあぁぁぁぁぁぁっ!!」 アレックスは床へと、仰向けに倒れこむ。 全身の至るところから鈍痛がする。 キーボードでありながら、バルバトスの攻撃力は絶大であった。 「どうしたぁ、これで終わりかぁっ!!」 「くそ……まだっ……!!」 しかし、アレックスの闘志は消えず……それどころか、寧ろ燃え上がっていた。 目の前の男は強い。 だからこそ、ここでどうにかして止めなければ大変な事になる。 確実にこの男は、殺し合いを悪い意味で盛り上げてくれる。 そう悟り、自らを奮い立たせたのだ。 「お前は、ここで止める……!!」 アレックスは腕に力を込め、何とか立ち上がろうとする。 床を押し、体を持ち上げていく。 だが、その瞬間。 勝負はあまりにも呆気ない形で幕を閉じた。 ――――ミシッ…… 「なっ……!?」 「何ぃっ!?」 アレックスの足元に亀裂が走った。 そうなった理由は単純、傷つきすぎたからだ。 投げつけ、バーンストライク、踏みつけ、パワーボム、三連殺。 共に強力なパワーを持つアレックスとバルバトスの攻撃を散々受け、無事ではいられなかった……!! ――――バキィッ!! 「くっ……うおおおおおおおっ!!」 「ぬおおぉぉっ!?」 床が抜けた。 とっさにバルバトスはバックステップしてそれを避ける。 だが、アレックスには出来なかった。 まともに崩壊に巻き込まれ、下層階へと落ちていく。 そして、続けて瓦礫の山が彼へと降り注ぎ……その体を埋めた。 「……何だよそりゃああぁぁぁぁぁぁぁっ!?」 予想だにしなかった、最悪の形での幕切れ。 バルバトスは咆哮する。 もっと戦いを楽しみたかった、もっと血を見たかった、もっと痛みを味わいたかった。 怒り、悲しみ、絶望、あらゆる感情が内から込み上げてくる。 「ぶるああぁぁぁぁぁあああ!!」 目の前の壁を殴り、発散させようとする。 しかし、そんなものでこの高ぶりは収まらない。 ならば、この辺り全体を破壊しつくしてくれようか。 バルバトスはもう一度、壁を殴りつけようとする……が。 「……ん……?」 そんな彼の足元へと、何かが転がってきた。 それは、戦いの邪魔になると思い置いてきた彼のデイパックから、偶然にも零れ落ちた支給品。 網目状の皮をした、緑色の丸い果物……俗に言うメロンである。 「……」 バルバトスは何を思ったか、それを拾い上げる。 そして、力任せに真っ二つに裂き…… ――――ガジッ!! ストレスをそれにぶつけるかのごとく、勢いよく食らった。 アレックスとの激闘では、体力を消耗した。 体が本能的に、甘みと水分を求めたのだ。 そのまま、黙々とメロンにかじりつく事数分。 半身を食らい尽くした所で、バルバトスは動きを止めた。 「いいだろう……ならば探すまでだ……!! 新しい獲物をなぁぁぁっ!!」 僅かながらに冷静さを取り戻した狂戦士は、ホテルを出て行こうとする。 これだけの規模の殺し合いなのだ、きっと他にも自分を満足させられるものはいる。 ならば見つけ出し、この手でたたき殺すのみ……!! 「ぶルアあアァぁァぁぁアあぁァぁァぁぁっ!!!!」 【F-3 デパート外/1日目。深夜】 【バルバトス・ゲーティア@テイルズシリーズ】 [状態] 軽度の疲労。 全身に中度の打撲、頭から軽い出血。 [装備] キーボード@キーボードクラッシャー [道具] 共通支給品、メロン(1/2)@現実、不明支給品*0~1 [思考・状況] 1:強い相手を探し出し、殺す。 その邪魔をする者も殺す。 ※アレックスが死んだと判断しています □■□ 「なんとか……助かったか……」 激闘から数十分後。 瓦礫の中でアレックスは目を覚ました。 不幸中の幸いにも、彼目掛けて落下した瓦礫は折り重なりあい、僅かな隙間をうんでいた。 その為、瓦礫の直撃は避けられ、受けたダメージは落下の衝撃のみですんだ。 もっとも、その衝撃で気を失ってしまい今まで眠っていた訳だが。 「……あいつは、もういっちまったのか……?」 瓦礫を押しどけ、外へと這い出る。 周囲を注意深く観察してみるが、誰かがいる気配は無い。 どうやらバルバトスは、アレックスが死んだものとみてここから出て行ったらしい。 助かった、そう思う反面、まずいことになったとも思う。 バルバトスを止める事は失敗に終わったのだ。 このままでは確実に、彼は犠牲者を出していくだろう。 「このまま……あいつを野放しにはできねぇな……!」 アレックスは闘志を奮い立たせ、身を起こす。 倒すと決めた男を、追いかける為に。 【F-3 デパート内/1日目。深夜】 【アレックス@MUGEN】 [状態] 中度の疲労。 全身に中度の打撲 [装備] 無し [道具] 共通支給品、不明支給品*0~3 [思考・状況] 1:バルバトスを追いかけ、倒す 2:殺し合いを止める為、仲間を集める ※まだ名簿は見ていません。 同じMUGEN出展の者や、MUGENでキャラが作成されている者については知っている可能性があります。 ※F-3のデパート内に、床に大きく穴が空き、壁が一部粉々になっている部屋が一つあります。 sm09 射命丸文は大変な変人どもに振り回されてデデーン!されて逝きました 時系列順 sm11 絶望した!私しか書かれなかった事に絶望した! sm09 射命丸文は大変な変人どもに振り回されてデデーン!されて逝きました 投下順 sm11 絶望した!私しか書かれなかった事に絶望した! バルバトス・ゲーティア sm43 参加者見つけてすぐ屠る~狂気のバルバトス・ゲーティア アレックス sm53 写真のちモヤモヤ
https://w.atwiki.jp/minsutoumatome/pages/753.html
【前門の内閣不信任決議案】野田民主党等研究第421弾【後門の首相問責決議案】 http //anago.2ch.net/test/read.cgi/asia/1343992975/ 【ああ 日本のどこかに】野田民主党等研究第422弾【私を支持する人がいる】 http //anago.2ch.net/test/read.cgi/asia/1344078147/ 【柔らか】野田民主党等研究第423弾【良心】 http //anago.2ch.net/test/read.cgi/asia/1344157536/ 【永田町の風の声】野田民主党等研究第424弾【衆院解散の響きあり】 http //anago.2ch.net/test/read.cgi/asia/1344243912/ 【左手に首相問責決議案】野田民主党等研究第425弾【右手に内閣不信任決議案】 http //anago.2ch.net/test/read.cgi/asia/1344313754/ 【自民党はなぜ】野田民主党等研究第426弾【怒っているの?】 http //anago.2ch.net/test/read.cgi/asia/1344377645/ 【近い将来8月に解散する】野田民主党等研究第427弾【来年のw】 http //anago.2ch.net/test/read.cgi/asia/1344422303/ 【近い将来8月に解散する】野田民主党等研究第427弾【来年のw】 http //anago.2ch.net/test/read.cgi/asia/1344422303/ 【近くて遠い】野田民主党等研究第428弾【解散】 http //anago.2ch.net/test/read.cgi/asia/1344434962/ 【約束破りを】野田民主党等研究第429弾【お約束】 http //anago.2ch.net/test/read.cgi/asia/1344504270/ 【内政も外交も無能無策】野田民主党等研究第430弾【政権交代で何がしたかったん?】 http //anago.2ch.net/test/read.cgi/asia/1344570299/