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《桃源郷の意味》 通常魔法 セットしたこのカードを墓地に送ることで デッキから「理想郷」を1枚手札に加える。 part20-341 作者(2007/09/20 ID mvwHWCIo0)の他の投稿 part20-327 / part20-328 / part20-330 / part20-334 / part20-335 / part20-338 / part20-340 / part20-343 / part20-344 コメント 名前 コメント
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Nソル、EXソルの技も含めてあります。全て直訳気味ですが・・・ 意見、補足、修正案はこちらへ >必殺技名の意味(補足) 1.ガンフレイム(Gun Flame)/ 銃炎 2.ブロックヘッドバスター(Block Head Buster)/ ? 3.ロックイット(Rock It)/ それをロックしてやる 4.フレイムディッパー(Flame Dipper)/ 炎の突進 5.ヴォルカニックヴァイパー(Volcanic Viper)/ 火山毒蛇 6.グランドヴァイパー(Grand Viper)/ 壮麗毒蛇 7.シュトルムヴァイパー(Strum Viper)/ かき鳴らす毒蛇 8.サイドワインダー(Sidewinder)/ ヨコバイガラガラヘビの英名。 9.バンディットリヴォルヴァー(Bandit Revolver)/ 盗賊の回転式連発拳銃 10.バンディットブリンガー(Bandit Bringer)/ 盗賊の剣 11.ライオットスタンプ(Riot Stamp)/ 暴動足踏 12.ぶっきらぼうに投げる(Wild Throw)/ ぶっきらぼうに投げる 13.ファフニール(Fafnir)/ 北欧神話に登場する竜の名。 14.ドラゴンインストール(Dragon Install)/ 竜挿着 15.サーベイジファング(Savage Fang)/ 獰猛な牙 16.タイランレイブ(Tyrant Rave)/ 暴君の怒鳴 17.ドラグーンリヴォルヴァー(Dragoon Revolver)/竜騎士の回転式連発拳銃 18.ナパームデス(Napalm Death)/ イギリスのバンドにして、グラインド・コア創始者。 19.オールガンズブレイジング(All Guns Blazing)/ 全ての銃が激しく燃えている 20.フレイムディストーション(Flame Distortion)/ 炎の歪み ※3.恐らく「QUEEN」のWE WILL ROCK YOUから。ちなみにQUEENのボーカルの名はフレディ。 ※7.シュトルムというとストームのドイツ語読みで”Sturm”という単語があるが、ここではアーケード開始時の技表通り”Strum”(英語でかき鳴らすの意)をあてました。 ※8.ジャズロックのムーブメントを起こしたリー・モーガンのアルバム名 ※11.ちなみに、ソルの愛用するジーンズのメーカー名はRIOTという設定もある ※13.ファーブニル、ファフナーとも呼ばれ、勇者ジークフリートと交戦した ※18.演奏時間1秒の曲などで有名 ※19.イギリスのヘビーメタルバンド「ジューダス・プリースト」のアルバム、 ”ペインキラー”三曲目のタイトル (C) 2006 ArcSystemWorks Co.,Ltd. All Rights Reserved 利用している画像及びデータに関する知的財産権はアークシステムワークス株式会社帰属します。 Back
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ある青年が、横断歩道で信号待ちをしていた時のことです。 道路の反対側に立っていた少女の背後に、おっさんのような顔がありました。 (なんだあれ…痴漢か? それにしては周りの人も女の子も何も反応してないしなぁ…) 信号が青になり、青年が歩き始めます。 前からは少女と、相変わらずその背後におっさんの顔。 この時、青年は気づきました。 (あのおっさん、足がないぞ? まさか、幽霊?) 青年は少しビビりましたが、気づかないふりをしていれば問題ないだろうと、そのまま歩いて行きました。 そして、すれ違う瞬間。 「よくわかったな」 思わず青年が振り向くと、そこには少女の尻を撫でまわす、 腰から下のないおっさんの幽霊の姿があったということです。
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依頼主 クリシュナ 出現条件 クリシュナ第二進化 クリア条件 以下の神様の親密度を上げるクリシュナ 親密度30 成功報酬 タンドリーチキン 依頼時 君とたしかな信頼関係がほしいな。もっと会いにきて君のことも教えてよ。 クリア時 ふふふ、これで君のことはかなり詳しくなれたかな?今度たくさんからかってあげる。
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教科書の問題の意味を学ぶ課題 [投稿者]なっつ [ブログ名]なっつの『学び合い』と学校と育児 [この課題の背景] 数学では、語句の説明をあまり重要視しない傾向がありますが、実は、語句の意味がわからなくて問題の意味がわからなく、結果、問題が解けない子が多いと思います。 そこで、教科書の太字や、問題の意味を理解するための課題を設定することにしました。 [課題] * ○○(教科書太字の語句)の意味を、2人以上に説明して、サインをもらう。 * 問○の問題の意味と解き方を、2人以上に説明して、サインをもらう。
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守る、その意味 ◆/Vo4sINk9g 「美味しいですね、このケーキ!」 「えぇ、私もまさかこんな状況でもティータイムを楽しめるとは思わなかったわ」 柔らかなケーキを口に運び、適温の紅茶を味わう。 殺し合いなどとは無縁の、本当に和やかな午後の一時。 この喫茶店の経営者には悪いが、首輪をつけられた者にとっては非常事態。 無銭飲食は犯罪などと野暮なことは言わないでもらいたい。 「結構食べておいた方がいいわよ? 支給品のパン、消費期限ギリギリのうえに量もなかったから」 「……太らない程度にいただきます」 たとえ、大量のケーキが少女の胃の中に消えていっても。 非常食にでもするつもりなのか、シフォンケーキがバッグにインしても。 ここは目を瞑って少女達のお茶会を見守ってほしい。 「紅茶のおかわりを入れてく……っ!」 「マミさん?」 だが、経営者が見守ってくれたとしても。 この殺し合いにおいて、少なからず邪悪な念を持つ者までは…… 見守ってくれるはずなど、最初からなかったのだ。 「リンさん、伏せてて!」 「は、はい!」 立ち上がったマミは即座に臨戦態勢となる。 変身し、銃と砲台を構えて見据えるのは、この店の外。 そこには、明らかに異質な存在があった。 まだ昼間だというのに、その周りだけが闇に包まれている。 闇は太陽の光を受け付けず、極狭い範囲だけを夜にしていた。 からんころん…… 来店者を知らせるベルの音が鳴る。 闇が……いや、闇を纏った人間がご丁寧に入り口から入ってきたのだ。 「ふむ、イギリスでもアフタヌーンティーの習慣があるが…… こんな時にも行うとは、なかなか度胸のある、洒落たお嬢さん方だな」 少女二人の姿を確認した男は、堂々とした佇まいで口の端をつり上げた。 その首には銀色の首輪。 つまりは、この男も殺し合いに巻き込まれた参加者の一人ということだ。 だが、巻き込まれた者が必ずしも善人とは限らない。 まだ幼い少女二人であっても、そんなことは百も承知だ。 マミは銃と砲台を、リンはネギっぽい双剣を構えて、男への警戒を解かないでいる。 「おっと失礼、名乗るのが遅れた。 私の名はDIO。怖がらなくていい、こう見えて私は肉体的も精神的にも紳士だ。 まだ若いお嬢さんには手荒なことなど 「ヴァオール・インフェルノ!」 「!?」 DIOと名乗った男の体が、店内を派手に吹き飛ぶ。 彼の言葉を遮り、攻撃を行ったのはマミである。 片足を軸にした回転による、下段回し蹴り・中段銃打撃・上段砲台打撃。 ほぼ不意討ちで三発を同時に食らっては、大抵の人間は吹き飛ばざるをえないだろう。 「マ、マミさん!? まだ敵かどうかもわからない人をいきなり攻撃するなんて!」 「敵よ! 怪しまれたくなければ、まずは普通殺し合いに乗っているかどうかを答える! それ以前に、その隠しきれてない悪意……! きっと魔女よ!」 打撃に使用した銃を素早くもちかえ、今度は発砲の構え。 人々に絶望を与える魔女を生かしておく道理はない。 吹き飛んだ敵は、まだ体勢を立て直せていない。 狙うは、頭部。 やがて、乾いた音が二回鳴り響いた。 「危なかったわ……まさかこんなに早く敵が現れるなんて……」 「マミさん……本当に今の人は敵……ひぃっ!?」 「どうしたのリンさ……!?」 リンが悲鳴をあげ、マミは思わず絶句した。 体に遠心力が上乗せされた蹴りと金属物による打撃を受け、頭部を二回狙撃された男。 その男が、ゆらりと立ち上がったのだ。 急所を外れて無事だった? そんなことはない。男の額には、確かに二つの穴が。 そしてその穴から血も流れている。 それにもかかわらず、男は確かに無事だった。 「このDIOとしたことが、たかが子供と見くびり過ぎたか……」 「ど、どういうこと!?」 マミの使うマスケット銃は基本撃てるのは1発限り。 新たな銃を生み出し、DIOを再び狙撃するが…… 「無駄無駄無駄ァ! その程度ではこのDIOは倒せんッ! しかし貴様、なかなか妙な術を使うな。刃向かわなければ、手駒としてやったものを……」 再び額に穴が空いても、DIOは歩みを止めなかった。 (く……! 不死を司る魔女だとでも言うの!?) マミの顔から冷や汗が滑り落ちる。 ソウルジェムの力が普段通りなら、もっと大量の銃で狙撃できる。 それこそ、肉体の一欠片も残さぬ程徹底的に。 だが今の状態ではそれができない。 支給された砲台も、流石に一発で目の前の怪物を爆散させるだけの威力はない。 現在の装備では、どう足掻いても撃破不可能。それが厳しい現実だった。 (こんなところで……せめて、リンさんだけでも……!) リンを庇うように立ちつつ、マミは店内を見渡す。 入り口は一箇所。だが、窓ガラスを割れば窓からの脱出ができるだろう。 「刃向かう者は全て、このDIOの血肉になってもらおうか!」 もっとも目の前のDIOの横を無事に通り過ぎることができたらの話だが。 「……ッ!」 「なぬやら歩くダークパワーを見つけた俺はとんずらを使って普通ならまだ付かない時間できょうきょかけつけたのだが ダークパワーがリア♀に手を出す変態っぽいのでそのまま骨にすることにメガトンパンチで決めた!」 「ぬぐあ!?」 「「!?」」 突如、窓ガラスが砕け散った。 だが破ったのはリンでもマミでもDIOでもなく、意味不明な言語を操る長身の男。 そして男は現れると同時にDIOを右の拳で殴り飛ばした。 「怪我はにいか?」 「「……」」 「おいィィィ!? まさか時すでに時間切れ状態か!?」 二人の少女は呆然と珍入者を見つめてしまう。 助けられた……のは事実だろう。 だが、どう答えればいいのかがわからない。相手がどこの国のものかがわからない。 その結果。 「ソ、ソーリー、アイキャントスピークユア「お前が何を言っているか理解不能状態! これは立派な日本語なんですわ!?」 軽い混乱状態に陥ったリンの発言に対して、男のツッコミが返される。 「ザ・ワールドォッ!!」 そしてその状態のまま、世界は灰色一色に染まり、凍りついた。 その動きを止めた世界で唯一動けるのは、時を止めた張本人。 つまりは『世界』を操るDIOただ一人だ。 「おのれ……一度ならず二度までもこの俺に刃向かう者が現れるとは…… だが、動けまい? もはや貴様になすすべはないッ!」 首をコキコキと鳴らしながら、DIOは邪魔をしてきた男へナイフや包丁を投げつける。 支給品の中にはなかったが、まさに今飛ばされた厨房の中から拝借した代物だ。 彼が本来使用するものに比べれば威力は低いが、刃物には違いない。 「む……チィ、やはりこちらも制限されていたか。 だがッ! 貴様がここで死ぬ運命に変わりはない!」 止まった時の中で、DIOは舌打つ。 主催者の力なのか、『世界』の時間停止が予定よりも短くなっていたためだ。 しかし、いくら短くなったとはいえ、男の周りは既にナイフと包丁で包囲できている。 邪魔者を消すには問題ない程度の制限だ。 「そして時は動き出す……!」 世界に、色が戻る。それと同時に、世界は動き出す。 「おいィィィィィィィィィィィィィ!?」 気づいた時には、無数の刃が自分を囲んでいる絶望的状況に、男は思わず絶叫する。 だが、叫びつつも立ちすくむことはなかった。 刃が自分に到達するまでの、ほんの僅かな時間を無駄にはしない。 「黄金の鉄の塊でできたナイトが銀装備のナイフに遅れをとるはずがない! インビンシブル!」 「なんだとっ!?」 DIOは言葉を失う。 全身を串刺しにされて生き絶えると思っていた男の体が、光に包まれ そして、全ての刃がまるで鋼鉄の壁に当たったかのような金属音を鳴らし、弾かれたのだ。 ナイフの質云々の問題ではない。仮に本調子でいつものナイフを投げてても結果は変わらなかっただろう。 その事実は、彼にとって理解し難いものだった。 「生半可なナイトには真似することのできないホーリー!」 「ぬあっ!? ぐっ、この光は……まずい……!」 そして理解するよりも先に、男の手から白い光が放たれる。 僅かに隙を作ってしまったとはいえ、持ち前の身体能力でDIOはこれをかわすが…… この光は、今の彼にとっては天敵と言えた。 神聖なる光が、DIOが纏っていた闇の一部を消し去ったのだ。 (やむをえん……ッ! ここは戦略的撤退だ……!) 闇がなくなれば、吸血鬼であるDIOの体は日光に晒され消滅してしまう。 いつ先程の少女の援護射撃が入るかもわからないこの状況では、これ以上の戦闘は危険だ。 そう判断したDIOは、その怪力でもって店の壁を破壊、外へと脱出した。 唯一の気がかりは、男が追跡をしてくる可能性だったが…… 「ふむ見事なとんずらだと感心するがどこもおかしくはないな……お前達もう安心して大丈夫なんだが?」 その当人は、追跡よりも少女二人の身の安全を優先した。 自分の職業は守ることを主としているという理由があるが、少女二人が未だに混乱状態なのがもう一つの理由だ。 無理もないだろう。 突然、無慈悲な全包囲攻撃を繰り出した化物と、その攻撃を防いだ自分の姿を見てしまったのだから。 どちらも、一般人には理解できない光景だ。 「あ、ありがとうございます! おかげで助かりました!」 「ええ、本当に……私だけだったら、追い払うことなんてとてもできなかったわ……」 「助けたくて助けるんじゃない助けてしまうのがナイトだからなお前達全然気にすなくていいぞ」 だがそれでも、助けられたのは間違いない。 リンとマミがそれぞれお礼を言うと、男はそっけなく返すが、気持ちは伝わっただろう。 「私達を助けてくれたってことは、お兄さんもこの殺し合いに反対なんですよね?」 「至高のナイトがそんなことをすると考える浅はかさは愚かしいな……と自己紹介がまだだった感 俺は一級廃人の至高のナイトであるブロントというのだが謙虚にもさんづけでブロントさんでいいぞ」 ◆ ◆ ◆ ◆ 「ほうあの主催者に屈しないナイト魂を持ってるとかお前達なかなか見どころがあるな 今はちょと置いて毛ぼりにしてしまっているがもう一人ナイトもいるわけでこの世界も捨てたもんじゃないと思った(リアル話)」 「えーと……褒めてくれてるんですよね?」 「褒めてますん」 「どっち……?」 その後、三人は改めて互いの行動方針を語った。 守りたい家族、主催者を倒すための仲間探し、そして…… 「そういえばブロントさん、どうしてさっきあの人……DIOを追いかけなかったの?」 「お前達の安全第一なんですわ?といいたいところだったが実はインビンは2時間に一回しか使えない系の話がある。 盾があれば下段ガードを固めて防げるが今ではもう一度あの攻撃をされたらナイトでもちょと僅かに危険で危ない」 「貴方でも厳しい相手だったのね……それにしても、そのインビンシブルといいさっきのホーリーといい…… 魔法の類よね? もしかして貴方もキュゥべえと契約して魔法少女に……っていきなりごめんなさいね?」 「……っ!」 「ブロントさん?」 今まで饒舌だったブロントさんの言葉が、ぴたりと止まる。 その表情は一瞬苦虫を噛み潰したようなものへと変わるが、すぐに元の表情に戻った。 しかし、きょとんとする少女二人を前にしても、咄嗟の言葉は出てこなかった。 契約……魔法少女……その言葉を、ブロントさんは知っている。 (てことはキュゥべえがあの白い物体の名前なのは間違いにい そうなるとそれを知っていて貴方「も」という言い方からしてマミが魔法少女であることは確定的に明らか……) ブロントさんは、迷っていた。 おそらくキュゥべえであろう生き物が語った、魔法少女の仕組み。 それを伝え、自分は主催者だけでなくそいつも斬るつもりでこの辺りまでやってきたと明かすべきか? だが、相手はいくら自分と同じような志を持っているとはいえ、まだ少女だ。 下手に残酷な真実を伝えては、錯乱あるいは自ら命を絶つ可能性まである。 いつもの調子で「魔法少女とか理解不能俺は光と闇を備えた最強に見えるナイトなんだが?」と流せば…… しかし、それができない。 魔法少女を魔女にさせないためには、魔力を使わせなければいい。 自分が、彼女の分も戦い、主催者を倒せば少なくともこの会場では魔女化はないだろう。 だが、元の生活に戻ったらどうなる? 今この場で真実を伝えた方が、後のためでもあるのではないか? いくら廃ナイト自慢をしているとはいえ、自分が本当に全てを守ることができないことなど理解している。 彼女、いや他の少女にも魔力を使わせず、自分一人で全ての敵を葬ることなど不可能だ。 自分が守れるのは、この両腕が届き、走って辿り着くことができる場所まで。 (あの物体の言っていたことを伝える伝えないにしろ俺がこいつらを守る必要があるのは変わらない しかし至高のナイトも一人じゃ無理があるナイトの守りにPTメンの援護があってこそキングベヒんもスも倒する…… 黙ったままならマミの援護があれば俺も戦いやすくはなるがしかしだが万が一を考えるとやはり…… それぬ伝えないとあいつを骨にすることもできないあるさまがやはり確実にマミがショックを受けるのはバレバレで…… おいィ……どっちにすろデメリットがあるとか汚いなさすがキュゥべえきたない……!) 「ブロントさーん?」 「……」 少女に見つめられたまま、騎士は葛藤を続ける。 誰かを守るために戦ってきた騎士。彼は、どのような判断を下すのだろう? 【一日目・日中/中野区 喫茶店店内】 【巴マミ@魔法少女まどか☆マギカ】 [状態] 健康、ソウルジェム残魔力99% [装備] 魔法銃二丁、砲台一門 [道具] 支給品一式、ソウルジェム [思考] 基本 仲間を集め、触手の魔女(禍神)を倒す。 0 ブロントさんの魔法の正体が気になる 1 リンと行動を共にする。 2 慎重に行動し、魔力の消費、無駄な戦闘を極力控える。 3 殺し合いには乗らないが、危険だと判断した人物は撃つ。 4 キュゥべえを探す 【備考】 ※リンと情報交換をしました。 リンの家族についての情報を得ました。 【個人制限及び特殊体質】 については、『黒い子は火薬、黄色い子は魔砲』を参照。 【鏡音リン@VOCALOID】 【状態】 健康、一部にブロリーの返り血 【装備】 ツインネッギ 【道具】 基本支給品一式、ヴォーパルソード、グラットンソード、ケーキ×4 【思考】 基本:家族と共に生還する 1:マミと行動を共にする。 2:打倒主催者思考の参加者を探し、協力する 3:家族が心配 4:首輪の無効化方法を知りたい 5:ブロントさんどうしたんだろう……? 【備考】 ※マミと情報交換をしました キュゥべえの情報と、マミが知るかぎりでの魔女と魔法少女の情報を得ました 【ブロント@ネ実】 [状態] 健康、疲労(小)、インビンシブル2時間使用不可、葛藤 [装備] 白銀の鎧(ナイトAF) [道具] 支給品一式、アビシオンのフィギュア [思考] 基本:主催者とゲームに乗った参加者はバラバラに引き裂く 0 リンとマミは保護するが、マミに魔法少女の真実を伝える?伝えない? 1 あとで混沌の騎士と合流 2 貧弱一般人は保護 3 剣と盾の早急な確保 4 キュゥべえは確実に殺す? ※キュゥべえとの会話により、魔法少女の仕組みを理解しました ◆ ◆ ◆ ◆ その頃…… 「ダークパワーが歩いていてちょと気になるから待っていろ……と言われましたが…… こうしている間にもあの白獣に逃げられているのではないでしょうか?」 歩道橋の上で、混沌の騎士はブロントさんの帰りを待っていた。 「それにしても、ダークパワー……闇の力、ですか。 ……光と闇が両方備わり、最強に見える。どこかで聞いたような…… ライトアンドダーク……光と闇こそ混沌の根源…… 私はブロントさん程速くは走れない。つまりはまだ光と闇が備わっていない? 今の私は……どっちなのでしょう? 彼と同じく、光……? ならば、そのダークパワーを手に入れれば、私の力は増す……?」 この騎士もまた、葛藤していた。 【中野区・歩道橋/一日目・日中】 【混沌の騎士@カオスロワオリジナル】 [状態] 記憶喪失・発汗(大)、疲労(小)、葛藤 [装備] 漆黒の鎧 [道具] 支給品一式、アビシオンのフィギュア [思考] 基本:死者は極力出さない 0 歩くダークパワーに興味 1 ブロントさんを待つ? 2 水分の確保 3 自分の正体を知りたい 4 キュゥべえは確実に殺す ※キュゥべえとの会話により、魔法少女の仕組みを理解しました ◆ ◆ ◆ ◆ 「くそ……このDIOがッ! あんな連中を相手に!」 DIOは喫茶店から離れた民家の中に身を潜めていた。 当然、その部屋は闇に包まれている。 「この妙なランプのおかげで外を歩くことはできるが…… さすがに両腕をランプの守りに使用していては満足に戦えん。 我が『世界』も弱体化され……くそッ! 忌々しい連中に主催者め!」 闇の中でDIOは吠える。 彼が持っている支給品のランプは、世界を一瞬で夜にすることができる魔法のランプだった。 主催者が狙っていれたのかどうかは定かではないが、少なくともDIOには有益なものだ。 だが、かえってそれが施しのように感じ腹立たしい。 「この闇も完璧ではないようだしな…… 本格的な活動はやはり夜になってからが得策か。それまではこのランプを使って移動しつつ…… この際誰でもいい。適当な奴をゾンビにするか肉の芽を埋め込んで利用するとしようか?」 【中野区・民家/一日目・日中】 【DIO@ジョジョの奇妙な冒険】 [状態] 健康、主催と反抗者に対する憎悪、小疲労 [装備] いつもの服、銀のナイフ×6 [道具] 支給品一式、闇のランプ(使用中) [思考] 基本 主催者に報復する。 0:夜までに適当に駒を作る 1:その後使える「駒」を見つける 2:利用し終えた者、役立たずは殺す ※『世界』の時間停止に若干制限。4~5秒が限度であり、連続使用で疲労。 ◆支給品その他解説◆ ケーキ@現実 喫茶店の冷蔵庫から調達されたケーキ。 支給品の食糧とは違い、柔らかくておいしい。 銀のナイフ@現実 喫茶店の厨房から調達されたナイフ。 普通の一般的なナイフだが、吸血鬼の怪力で投げつけられたら致命傷は必至。 闇のランプ@DQシリーズ DIOに支給された魔法のランプ。闇の炎により、世界全体を一瞬で夜にする程の力を持つ。 が、制限により使用者を中心とした半径1メートル内のみを夜にする。 凝縮された闇の力により、通常の日光程度は受け付けないが、強烈な光を受けると一時的に闇が消えてしまう。 ランプ本体が破壊された場合も闇は消える。 035:彼は親友を待っていた 投下順 037:ライダー×ライダー 035:彼は親友を待っていた 時系列順 037:ライダー×ライダー 028 金髪少女たちのお茶会 巴マミ 053:黄金色のトリオ 028 金髪少女たちのお茶会 鏡音リン 053:黄金色のトリオ 029 異なる価値観 ブロント 053:黄金色のトリオ 029 異なる価値観 混沌の騎士 070 フルアーマーとネイキッド 016 「帝王」はこのDIOだッ!!依然変わりなくッ! DIO [[]]
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健康診断・身体測定というものは、女性にとって、天国と地獄の両面を併せ持つ行事である。 男性からからしたら「体重身長座高を測って、ハイ終わり」のツマラナイ行事でしかないが、だが、女性からしたら、それこそ自分の命日を知るに等しい行事なのだ。明日かもしれない。五十年後かもしれない。ひょっとするとあと三秒後かもしれない。 「…………」 2004年 2月8日。晴天なれど気温低し。 ヨルムンガンド級輸送艦「サクラ」の医療室。 ここにも、自分の体のことを知りたいような、同時に知るぐらいならBETEに裸で特攻してやるなんて不謹慎な事を考えている女の子が居た。最初、メイゼを怪しいやつ呼ばわりした「検非違使 あやの」だ。 お人形みたいな顔つきに、小柄な体に似合わない豊富な髪の毛をツインテールにして腰まで垂らしている。その手の人間が見たらさっそく写真でも撮りそうな風貌である。 彼女だって女性独特の丸みを帯びた体を持っている。 しかし―――。 彼女はもう一度、その二つの丘がある白いシャツの下を透視するかのように凝視する。 大きい。 「………いいな」 「ん? なんか言った?」 「何にも」 女性の作業員に体の筋肉量を計測されていたキサラギが、あやのの方に振り返る。ぷいと顔を逸らすあやの。既に測定を終えて待機していたリンがキサラギの胸と自分のを眼で比較する。 「にしても大きいですね」 「うーん。また大きくなったみたいで」 「アタシに言わせたら大きいだけだって」 血液検査を終えたナイトメア3の「香舞園 理佳(コウブエン リカ)」が、もぞもぞと軍服を着ながら言った。ざんばらなショートカットの平均的な女の子だ。部隊の切り込み隊長として、長刀の扱いに関して彼女の右に出る者はいない。 ただ、頭に血が上ると誰にも止められないという欠点を持っている。 「大丈夫です。まだ大きくなるらしいです」 「うっせ!」 富士キサラギ――ナイトメア遊撃部隊の隊長。 スラリとした長身に、これでもか! これでどうだ!! これでも食らえ!!! とばかりの、まさに富士山級の大きな胸。 一方、どうにも貧相なあやのの胸部。 あやのは心に決めた。こんど大きくなる呪文でもなんでもやってやる、と。 さて、なんで彼女彼ら「ナイトメア遊撃部隊」の六人が健康診断をしているのか。 それを知るには、少し時を遡らなければならない。 ――「戦術機をR戦闘機に近づける」。 そんなことを突然香月が言い始めたのが、つい一週間前のこと。 R戦闘機に近づけるなら、まず反重力機関とか、波動砲とか、先にすべきものは沢山あったが、それは時間がかかる。ならば、時間がかからず、しかも効果的な事をすべきだ――。 ということで、戦術機の操縦者、つまり衛士の強化がなされることになったのだ。 最初に取り掛かったのは、衛士と戦術機の間を結ぶOSの改良だ。 「XM3」という機動制御用のOSがこの世界で広く使用されているが、それを独自に組み替えて、R戦闘機に近づけようとしたのだ。しかし、これに関しては「OSをR戦闘機に近づけたところで、性能が追いついていない」ということで後回しにされた。 と、いうことで、まずは操縦席周りの改良が始まった。 これはさほど難航する作業ではなかった。何せ、外見だけという状況なのだから。 さて、話は最初の健康診断に戻る。 何故健康診断か、というと、人体の強化を行うためである。ただし、メイゼのように骨格や筋肉・神経を人工素材で強化したり、ヴァジルカのように脳味噌を弄るようなレベルの改造は出来ないので、汎用ナノマシンの注入などの軽度の強化を行う。 健康でもないのに強化は出来ない。だから、体の様々なデータが必要になった。だから、健康診断をやった。そういうことだ。 汎用ナノマシンとは、血中のウィルスを除去したり、通信用に使われるのが本来の目的であった。しかしこれは軍用品。神経を活性化させたり、筋肉の疲労物質を取り除くことも出来るようになっている。 ナノマシン自体は香月達で生産できないので、ヨルムンガンド級輸送艦「サクラ」の施設で製造したものを使用する。 「ったく、こんな事ならナイトメアにこなきゃよかったゼ」 「まぁまぁ、そんな事を言わないでください」 女性特有の会話で盛り上がるナイトメア隊の四人の隣、黄色いカーテンを一つはさんで、二人の男がベットに寝ている。その全身に様々な計器を取り付けられている。一人は小柄。もう一人は長身。前者は白髪の長髪。後者は優男の風貌。 優男がニヤリと笑う。 「……ひょっとして注射が怖いとか? 御冗談を」 「ちょ、ばっ! そんなんじゃねーよ!」 慌てたように否定してかかるも、作業員に制止されて大人しくなる。 どこまでも癖のない銀髪を腰までのばし、その姿は妖精を思わせるほどに美しい。潤った唇。大きく凛とした両目。しかし、彼は立派な男である。ちなみに、女に勘違いされるのが大嫌いである。ナイトメア5、彼の名前は「宵崎 白夢(ヨイザキ ハクム)」という。 片や飄々とした様子で白夢をあしらう男、ナイトメア6、名前は「椎名 宗一(シイナ ソウイチ)」。 二人は、なんだかんだ言いながら仲が良いのであった。 「そこは我慢しなくては。ナノマシンによる簡易強化らしいですからね。自分たちの生死がかかっている、そう考えれば我慢できるでしょう?」 「む」 「どうです?」 「……分かったよ」 ナノマシンは、原始的かつ確実な手段―――注射で投与される。 それを事前に知らされていた二人は、この後注射されることを知っている。 ここでナイトメア遊撃部隊について少々触れておこう。 ナイトメア遊撃部隊とは、2001年12月31日のオリジナルハイヴ攻略作戦(桜花作戦)にて数人が生き残るも、反応炉の暴走に巻き込まれてハイヴそのものが大爆発、全滅、実質解散した英雄「ヴァルキリーズ」の後継として組織された部隊である。 正規の軍隊として動かず、戦場を自分の意志で駆けて、様々な部隊を支援する。文字通りの遊撃部隊。特に秀でた者だけが入ることを許される、エリート集団六人組。 味方を見捨てることも、敵前逃亡することすら許された特別な存在。それがこの部隊である。友軍から「悪魔」と忌み嫌われる、ヴァルキリーズとは異なる集団。 それ故に、それぞれが特に決まった役割を持っていない。 が、やはり得意不得意は存在する。 比較的前方でBETEと戦うのが香舞園 理佳。後方にて部隊を支援するのが宵崎 白夢と椎名 宗一。どれにも属さず、全距離を駆けるのが富士 キサラギ隊長と、検非違使 あやのと、合崎 リン。そういうことになっている。 そしてこんな部隊だからこそ、香月が介入できるのだ。 2004年 2月12日 夕方 曇り。 ここは演習場。 六人の「獣」が、たった二人の「獣」を追い詰めつつあった。 『こちら宵崎、配置についた』 『こちら椎名、配置につきました』 長髪のヤマトナデシコ、富士キサラギは持っていたサブマシンガンにマガジンを差し込んだ。 ナノマシンによる身体能力の増加。それを調べるためにナイトメア隊、そしてメイゼとヴァジルカは演習場にて実戦さながらの訓練を行うこととなった。ただ、R戦闘機と戦術機では性能差が天と地ほどあるため、生身での訓練となったのだ。 演習場にある、大きな廃工場。ことごとく窓ガラスが吹き飛び、その廃墟は、どこか「死」を思わせた。 ナイトメア隊は、防弾チョッキにゴーグルなど、重量だけ見たら実戦と変わらない装備を抱えていた。もちろんメイゼとヴァジルカも同じだ。 狙撃に関してかなりの腕を誇る二人の配置を確認したキサラギは、あやの、理佳、リンに手で指示を出した。作戦を開始する。 「………」 静かすぎる。 メイゼとヴァジルカは既にどこかに隠れているはず。だというのに物音がしない。当たり前か。軍人である人間が不用意にガチャガチャと音を立てるはずがない。 周囲には工作用の機械が鎮座していて、廃工場の天井付近にはキャットウォーク。 隠れるところはどこにでもある。 四人の前進を確認した狙撃の二人が移動を開始する。 コツンコツンと二人分、微かな音が反響して消えていく。再度狙撃銃の暗き銃口が工場内を支配できる位置から覗く。 「周辺警戒」 「「「了解」」」 女性陣の声が重なる。丁度工場の中心付近に陣取った四人は、警戒しながら工作機の陰に身を置く。男性陣は再度移動し、今度は小さなコンテナに開いている大きな穴から銃口を覗かせる。 ―――タタタンッ。 足音。 瞬間。ナイトメア隊全員の視線が素早く移動し、銃口を上げる。 「見~つけた」 「なっ?!」 上だ。 工作機の一つ、ベルトコンベアから工場の側面へと駆け上がったメイゼは、そのまま壁を蹴って円を描くように跳躍。人外じみた力でナイトメア隊の真上に陣取った。両脚が真上を向き、手に持ったサブマシンガンがナイトメア隊目がけて咆哮する。 「散れ!」 全員が一斉に横っ跳びで回避。 メイゼから発射されたペイント弾が地面に突き刺さって真紅の汚れを付ける。 鉄を溶接する機械の陰に隠れたキサラギは、僅かばかり頭を出してメイゼの姿を確認する。仲間の誰かがメイゼかヴァジルカと銃撃戦を繰り広げているらしく、断続的に銃声がする。 参加しなくては。 「ッ!」 殺気か! キサラギはとっさにその場から飛びのき、キャットウォーク辺りに銃火を走らせる。だがキサラギは、軽技師のように側転をきめてヴァジルカがペイント弾を避けるのを見た。 ざ、とキャットウォークの足場でヴァジルカが姿勢を低くすると、両手に持ったサブマシンガンをナイトメア隊全員へと浴びせかける。 狙いが甘いペイント弾がいたる所へと赤い花を咲かせた。かちんとヴァジルカのサブマシンガンから音がする。弾切れだ。 弾切れの隙を狙って白夢と宗一の狙撃銃が吠える。 「やるねぇ」 跳躍。 高速の小銃弾がヴァジルカの先ほどいた空間を縫い付ける。 ヴァジルカは優に2mの距離を跳んで遥か下の地面へと落下。姿を工作機械の群れの中へとくらます。 「ナイトメア3 ヒット!」 香舞園がやられたらしい。キサラギは唇を噛んだ。 なんであんなキチガイ染みた動きが出来るのか分からない。自分らも軍事用ナノマシンを入れている。お陰で息が切れにくくなった。だが彼等はその動きの遥か上を行く。同じ人間相手に三次元戦闘を行うなど、完全に想定外。 今のがヴァジルカだとすると、他の面々と戦っているのはメイゼか。 なんて力量だ。 実質4対1ではないか。 キサラギは姿勢を低くしたまま銃声の方向へと滑りこんだ。 あやのとリン、狙撃銃ではなく拳銃を引き抜いた白夢と宗一がメイゼらしき人かげと銃撃戦を繰り広げている。 メイゼの狙いはで、前に出ることが出来ない。実質一人にキサラギを含めた5人が釘付けにされていることになる。 「行け行け行け!!」 「了解しました!」 銃声が止んだ。 同時にリンが駆け出し、そして近場の廃材の陰に飛び込み、数発メイゼの方向に銃を撃ちこみ、さらに突撃をかける。 しかし――。 「いない……?」 「中見ろ」 「えっ」 転がっていたドラム缶から銃口が覗く。メイゼの肩までの髪が揺れる。とっさに射線から逃れようと身をよじるリンだったが、薙ぎ払うように発射されたペイント弾の数発が腹部に命中してしまう。 ペイント弾が命中していない全員が身を乗り出してドラム缶目がけて撃ちまくる。しかし、ドラム缶はそのまま障害物の陰に転がり込んでしまい、銃弾が当たらない。 「全員周辺警戒!」 薬莢の転がる音。沈黙。火薬の臭い。 ――カラン。また音がした。 「!!! 撃て!」 後方、そう、ヴァジルカだ。各々の射線がヴァジルカに食いつく。 しかし、銃弾が発射されるよりも数瞬早くヴァジルカは地面に伏せた。強化頭脳により射線、発射のタイミングを高速演算。すべての弾がヴァジルカの頭上を貫いた。ヴァジルカは宣言する。 「いくぞナイトメア隊!」 子供のような体が横に転がる。 狙撃銃のペイント弾が派手に地面に弾ける。 ヴァジルカは適当にサブマシンガンを撃ちまくるが、さすがに不安定な姿勢からでは命中弾はない。撃ちまくる。マガジンを排出、再装填。ヴァジルカはとにかく撃ちまくる。銃口からのペイント弾がナイトメア隊を脅かす。 キサラギは戦闘可能なナイトメア隊の面々に指示を出しながら、自らもヴァジルカにサブマシンガンの銃火を向ける。廃工場内部にやかましい音が鳴り続く。 「……? おかしいぞ……あれほどの機動力を持っているのに正面から撃ち合い? 今まで撹乱戦法だった――これは――罠か!」 「メイゼが来てます!」 狙撃担当の椎名 宗一の緊迫した声が響く。 音もなく、暗殺者のように忍び寄ったメイゼの双眼が嗤う。 椎名の拳銃がメイゼの顔面に向けられる。実戦なら即死する位置。 しかし宗一が引き金を引くより早くメイゼの顔面がぶれる。回避行動か。 銃声。 拳銃はメイゼの顔の隣で銃弾を吐き出した。 ぐん、と宗一の景色が回る。地面に背中から叩きつけられ、一瞬呼吸が止まる。 ―――投げられたと気がついた時は時すでに遅し。宗一の拳銃はメイゼに奪われ、そのまま心臓がある地点に一発、二発と引き金が落とされた。ペイント弾の塗料がメイゼと宗一の二人の顔に飛び散る。 跳躍。メイゼは跳んだ。向上に廃棄され、地面から空に向けて突き出した鉄骨を足場に、もう一度宙に体を浮かばせる。 円を描くようにメイゼの体が廃工場の空間を舞い、運搬用のクレーンに掴まる。 クレーンが軋むことで体が左右に動く。弾道計算、発砲時の銃身の跳ね上がりを計算。高速演算、座標調整。 「ロック、オン」 連続で引き金が落とされる。正確に銃弾がメンバーを襲い、そしてそのほとんどを脱落させる。悔しげな声がナイトメア隊から絞り出される。 「人間、じゃない」 「あんだよありゃ。サーカスから来たのかぁ? クソッ。綱渡りで死ねばいいのに」 「まったく歯が立ちませんでした……僕の実力不足でしょうか?」 銃が弾切れのようだ。予備の弾もない。 メイゼは銃をホルスターに戻す。防弾チョッキをしているのにも関わらず汗が浮かんでいない。ただ、息は切れているし、疲労していない訳ではない。元々いた世界では、人そっくりのアンドロイドとキチガイじみた戦闘訓練をしていたのだ。メイゼにとってこれは苦しいことではない。 「人間ならとっくに止めてるさ。残りは一人。……なぁキサラギ」 「ああ」 キサラギが音もなく進み寄る。サブマシンガンは弾切れ。それでも、体に色が付いていないところを見ると、さすがは隊長か。 「おっとと、俺は用事を思い出したから二人でやってくれ」 飄々とした様子でヴァジルカが出てきた。こっちは汗だくである。銃を下ろすと、不満げな様子で退場するナイトメアの面々と一緒に工場を出ていく。 メイゼとキサラギ。 二人のエースが油の臭いの満ちる空間で対峙する。 「人間を止めた、とはなんなんだ?」 「連中、と戦うために体をちょいと弄ったってことかね」 「連中とはBETEだな?」 「さぁて。人間かも知れない。当たり前だろ?」 「何?」 キリリとした視線が絡み合う。お互いに無手。丸腰。しかし、お互いがお互いに核ミサイルの発射スイッチを持っているかのような緊張感が漂っている。そのうちにスイッチは押されてしまうであろう。 キサラギは、ほんの僅かに脚に力を込める。 「――人を殺したことがあるというのか?」 この世界の軍隊において、敵というのはBETEである。 多少の小競り合いがあるにしても、その戦力のほとんどが対BETE戦のためにつぎ込まれている。 軍人が人を殺す。この世界ではあまりないのだ。と、いうかまずありえない。 しかしキサラギは見抜いていた。あれは対BETE戦闘の為ではない。人が人を殺すために作り上げられた、完成された「技術」だ。 「当たり前だ。必要とあれば殺す。命令ならお前も殺す。お望みとあればできる限り醜くなるように殺してやる。それがどうかしたか? それが軍人だろう?」 「なんだと……?! 人を殺すことをなにも思わないとでも言うのか――?」 「ああ、そうさ我が同類。――軍人殿」 表情を変えることなくメイゼが答える。 それはあたかも、何かの説明書を読み上げる様であった。 異形の生命体、バイド。 それを利用して金を儲けようとする人間は非常に多い。 基地に忍び込み、人員の誘拐や工作を行う人間もいる。 メイゼは、そういった人間を何人も血祭りに上げてきた。ヴァジルカも同じだ。Rを駆る者の敵はバイドだけではない。人間ですら敵となる。敵ならば、殺しても構わない。 キサラギの顔にうっすらと汗が浮かんでいる。 これは、体を動かしたことにより発生した熱によるものだけではない。 あまりにも冷たいその目による威圧、それも含まれている。 「同類――? 違う、私は故郷を、地球を守るためにいる――」 「なら連中がいなくなったらどうするつもりだ? BETEという画期的なモノを各国が軍事技術に応用しないわけがない。そうなったら今度は人間相手に戦術機が運用される。……まさかナノマシンの調整でこんな事になるなんてな。ハッ! 下らん。来い。俺を倒せ。ナノマシンの稼働実験だろうがなんだろうが、構わない。お前ら、軍人、は甘すぎる。軍隊というモノの本質すら知らないでここにいる。教育してやる。軍人のくせに綺麗ごとを言うな。虫唾が走る」 「―――!!」 一気にまくしたてるメイゼ。 心なしかその顔には怒り、そしてどこか見下すような、そんな感情が混ざっている。 希望なんか無い、そんな状況で戦ってきた。 希望をくれた人は死んだ。だからメイゼは言う。別の世界での絶望。愛した人が、戦闘とは関係のない人が敵として襲い来る、その煉獄で剣を振り続けた、彼は言う。この世界の「甘い」軍人に言う。 守るためには人も殺す。 大切な人のために人は殺さない。 考えの違いが明らかになる。 キサラギの拳が握り締められる。奥歯が極端な圧力をかけられて悲鳴を上げる。 「ふざけるな!!」 「ふざけているのはお前だ。今わかったよ。俺はお前らが気に食わない」 「――分かった。ある程度力を抜いていくつもりだったが、本気で行こう」 ドン、と乾いた音が鳴る。二人が地面を蹴っ飛ばした音だ。 なんの合図も無しに二人が駆け出した。 キサラギがメイゼの頭部を殴るために拳を固め、空気を切るように突き出す。 「―――ッ!」 メイゼはそれをバックステップでかわし、腰の捻りを入れた蹴りを頭に突き出す。 体は防弾チョッキでダメージを与えられそうにないからだ。 なら、頭を狙うまで。 ぎゅん、とメイゼの脚がキサラギの頭を素通りする。 同じように距離をとって回避していたのだ。 「ほら、いくぞ、軍人殿」 「クソッ」 メイゼは、猛烈な、捩じり込むように拳をキサラギの顔面に放つ。危ういところで回避。普通の人間ではありえない速度で拳がキサラギの顔面を掠めた。 なんて力だ。キサラギは唇を噛む。 メイゼが蹴り突き出せば、キサラギは受け流して反撃する。 肉と肉がぶつかり合う音がしばらくの間響く。 「骨の一つぐらいは砕いてねじってやる。なぁ軍人殿? そうすれば軍人を止められるぞ?」 「私はっ、軍人でありたい!」 「人を殺す覚悟もない甘ちゃんがなに言ってる。BETEしか殺せない、それで地球を守れるのか? もし相手が人間だったらどうする?」 メイゼの片足が一瞬霞む。明らかに人間ではない力でキサラギの脚が払われた。 そこにバランスを崩したところに一気にメイゼの肘が落とされる。 ――ヒュン。 必殺の、それこそ頭蓋を割らんとばかりの速度の一撃を、キサラギは、両手を割り込ませることで受け止めた。 ぎちりと筋肉と間接が悲鳴を上げた。 「私、には、BETEを殺す、それ以外に無いっ――!」 「 ほ~~~、で?」 「私は、それでもいい。甘くてもッ! いい!」 「――なら死ね。理想が通ると思うな」 メイゼは、一時的に筋肉のリミッターを解除。 受け止められていた片手を無理矢理上にあげ、コンクリートを粉砕するほどの力で拳を振りおろし――! 「駄目ですメイゼさま!!」 リンの声が聞こえた。 「――ッ!」 とっさに急制動をかける。 キサラギの両腕を掻い潜って、頭部を粉砕せんと迫っていたメイゼの拳が、目を保護するためのゴーグルの数センチ手前で停止した。 脳内にかかっていたノイズが晴れていく。 「俺は、今、何を?」 遅れて、ナイトメア隊の面々とヴァジルカが何事かと入ってくる。 「よぅ、相棒。もう終わったか?」 ヴァジルカが口笛を吹きつつ、硬直している二人の銃を回収する。途中から殺し合いになっていたのだが、キサラギが下で、メイゼが拳を直前で止めているところを見ただけでは、「寸止めしたんだな」という解釈しかできない。 ナイトメアの面々は、既に帰る準備を始めている。 「メイゼさま」 「………」 「取りあえずそこをどいてください」 「………分かった」 キサラギは目を閉じ、固まっている。メイゼは、チラリとキサラギに目をやると、そのまま走り去った。 ナイトメアとの面々とヴァジルカは何があったのかさっぱり分からないのか、疑問が顔に浮かんでいる。 ただ一人。リンを除いて。 「あとお願いします!」 「あぁ? オイコラ!」 後の処理を任せられた白夢が叫ぶも、既にリンは工場の外へと消えて行っている。そして、キサラギが体を起こした。 「なぁ皆――軍人というのは――」 何にもかもがムカついていた。 殺して殺す。それは、元の世界では復讐であり、生き甲斐であった。そこに地球を守る、ということは本の僅かしか入っていなかった。 否、きっと同僚達も同じだったのだろう。 バイドを殺す。 それはきっと、人生と同等の価値を持っていたのだ。 そもそも、「対バイド戦だけに作られた」操縦者だってゴロゴロといた。 クローン。 理論上、100%同じ遺伝子を持った生命体を作りあげる禁忌の技術。 俺は、メイゼという人間は、孤児だ。 バイドの攻撃を受けた宇宙船がとある街に落とされ、家族はみんな死んだ。 人の生命は紙のように軽い。 26世紀の人間は、銀河系中心域に確認された、明らかに敵意をもった知的生命体を滅するために次元兵器よりも有効な「兵器」を求めた。 生体物理学、遺伝子工学、そして魔導工学すら使って、その生命を「合成」した。その基礎となったのは、汎用性の高い「ヒト」であることは、既に知られている。 そう、実質人間同士が殺しあっている、ということと同じなのだ。 命の重さなど、人類を守るという大義の前では、ゴミ同然となる。 それは、22世紀であれ、26世紀であれ、変わることがない。 それが、元人間であれ、関係ない。 だと言うのに――この世界の軍人は、あまりに綺麗すぎる。人を殺す、という本当の目的を忘れて、未来への希望を抱いて生きている。 「殺す」。それを言い換え、「倒す」などと言う。 それが、どうにも違和感を覚えさせ、同時にいら立ちに変っていた。 「クソが」 軍人である以上、「他の軍」に許可なく喧嘩を吹っ掛けるなどやってはいけない。 だが、時にはこんなこともいいだろう。未遂なら、問題ない。 じきにBETEが襲ってくるだろう。そうしたら、後は殺せばいい。あいつ等は――ナイトメア隊なんてどうでもいい。放っておけ。 その「作業」を繰り返すことができれば、メイゼという生命の生きた証が残る。 「―――メイゼさま」 ああ、俺に過去の人間が語りかけてくる。 いや、違うな。これはあくまで現実だ。 メイゼは、工場の外にある古びたコンテナから飛び降りると、体重をさびた側面へと預け、手をポケットに突っ込む。防弾チョッキその他は工場に放置してきた。 「なんだ」 「お話、いいですか?」 「ああ」 三つ編みされたポニーテイルが背中で揺れる。今リンは、同じように装備を脱いでいる。 「なんであそこまでやろうとしたんですか?」 あのまま振りおろせば、頭部を粉砕していたのに、ということは言わない。メイゼは地面に落ちていた石を足で、転がして弄び始める。 「さてさて、何のことやら俺にはさっぱり」 「……止めを刺そうとしてましたね?」 「………」 「あのまま行けば死んでました」 ガッ。メイゼは石を力をいれて蹴っ飛ばした。重心をもとに戻すと、リンに歩み寄る。 そのままメイゼは腕を組み、リンを睨みつける。一瞬だけ表情を強張らせたリンは、同じようにメイゼを睨みかえした。 リンが口を開く。 「確かにその強さは尊敬します。でも、仲間を傷つけることは許しません」 虎のような態度で、リンは言う。どこまでも、それこそ鏡に映った姿をそのままここに連れてきたかのように似ている彼女。 リンの視線に耐えられなくなったメイゼは、腕を戻してくるりと背中を向ける。 「悪かった。でも、俺は態度を変えん」 もういいだろう。 要するに戦えばいい。 それ以外は必要ない。 メイゼは、一人新潟基地に戻ることにした。 あとがき。 ヒャッホホオホホホホホホホホオォゥ! 一人称と三人称が混ざるぜ☆ 新兵器の設計とか、製造とか、 一体どのぐらいの時間がかかるんだかわからNEEEEE! ふぅ、俺なにやってたんだろ。 今回は、なんだかんだで一番長い文字数になってます。お話がブツ切りになったり、色々とゴワゴワとした構成ですいません。小説って難しいです。それでは。
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【存在の意味】 れいむは、とてもゆっくりしていた。 美味で栄養満点の食事、少し狭いが雨風の吹き込まない住居。なにより、かわいい子供たちと頼りになる夫のまりさがいる。 野良での生活はとてつもなくつらかった。外敵に脅え、気候に恐れ、飢餓に憂えていた。しかし、今は違う。毎日、十分な食料が得られ、いつ訪れるかわからない敵に備えずともよい。 れいむは、とてもゆっくりしていた。この幸せがいつまでも続くと、疑うことを知らなかった。 ――――― ペットショップの片隅。いくつかあるケースのなかに、とてもゆっくりしたゆっくりの家族がいる。ケースにはシールが貼られていて、こう書いてあった。 「れみりゃの生き餌用ゆっくり家族。全て大きく育ったら、れみりゃに与えること」 完
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『カインとアベル』の話、と言えば聖書の物語の中でも特に有名で、知らない人は居ないだろう。 ──と書こうと思ったが、そうとも限らないかもしれないと気付いたので以下簡単に流れを紹介するところから始めよう。 昔々、あるところにカインとアベルという兄弟がおりました。 ある日彼らは神に捧げものをしました。 兄のカインは畑で採れた新鮮な作物を。 弟のアベルは大事に育てた子羊を。 しかし神はカインの捧げものには目もくれず、アベルの捧げものだけを受け取りました。 悔しくて堪らなくなったカインは神が帰った後アベルを呼び出し、殺して埋めてしまいました。 しかしそれはすぐに神の知るところとなります。 カインは弁明の余地もなく、作物を作れない呪いを受け、追放されました。 昔話風に要約すればこんな感じである。 かなりおおざっぱなので、出来れば各自本文(旧約聖書・創世記・第4章)を参照することをお勧めしたい。 非常に有名なお話なので万一知らないようであれば覚えておいて損はない。 一応『人類初の殺人事件』ということになっている。聖書的には。 さて、このエピソードを読んでどういう感想が出てくるだろうか。 理不尽な態度を取る神への不満か、 短絡的なカインの暴挙への非難か。 初見では、私はどちらかと言えば前者だった。 が、これが神話であるなら何か別の意味があるはずだと思い直した。 そしてさらにその後、ドッペルゲンガーの話を考えるうえで、その類型として見ることができるのではないかと思い至った。 この話を読み解く上で私が注目したのは以下の3点である。 1.カインの供物は何故無視されたのか。 2.供物と死体の処理方法。 3.カインの末路。 順に見ていこう。 まず、何故カインは無視されたのか。 手元にある聖書の該当箇所を読む限り、ここまでの段階で兄弟の優劣や、まして素行の良し悪しに関する描写はない。 何の根拠も提示されぬまま、カインは神にシカトを食らっているのである。 新約聖書でこのような話が出てくる場合大抵は 「片方が驕った人でもう片方が謙虚な人、神は謙虚な人を選ぶんだよ」 という教えにつながるような教訓話になる。それと比べると、ここまで露骨にいきなり贔屓されるのは不自然でならない。 だから私なりに、カインが無視される自然な理由を考えた。導き出した仮説はこうだ。 カインという『人間』はそこに居なかったのではないか? つまり神への供物をささげた人間はアベル一人だったのではないかということだ。 これならば神がアベルにしか目を向けなかったのも当然である。何せその場にアベルしか居ないのだから。 じゃぁそうするとカインはどこ行っちゃったんだよ、となるだろうが、私の答えは「いや、そこに居るよ」である。 仮説と矛盾する? 否、そんなことはない。 『カインという人間』はそこに居なかったが『カイン』はそこに居たのだ。 ここを説明するために注目したのが最初に上げた点の2つ目『供物と死体処理方法』である。 供物に関しては明確に記述がある。 カインは農作物、アベルは肥えた羊の初子だ。 どちらも手塩にかけて育んだ成果物の中でも最高の品を用意しているはずで、恐らくそこに価値の差はない。 そして死体処理方法だが、これははっきりと書いていない。 ただ、犯行が露呈したときの記述を見るにどうやら土に埋めたようだ。 以上2つのことからから『カイン』という名が何を指すのかを推測することができる。 それは『大地』そのもの、或はこの事件が起こった『地名』である。 農作物、つまり大地の実りとは『大地が育んだ成果物』と見ることができる。 大地=カインと読みかえれば『カインが育てた成果物』となるわけだ。 神話においては洋の東西に関らず、無生物や事象・天変地異などが擬人化、擬神化される例は枚挙に暇がない。聖書だって例外ではあるまい。 また、こう考えればその後の展開についての謎にも説明がつく。 まず、なぜカインが無視されたか。これは簡単だ。 なぜならそこに『カイン』などという人物は存在しなかったからだ。 神はこの時、人間によって捧げられたものを受け取りに来たのだからそこに居る唯一の人間であるアベルの相手をするのは当たり前である。 ここで神が考慮を欠いてしまったのは『人だけでなく世界の生きとし生けるもの全てが神を敬い賛美している』という、聖書世界において当たり前の常識だった。 大地(カイン)は、人間と同じように信仰と意思を持って自ら実らせた作物を捧げたつもりだったのだろう。 しかし、あくまで人間の相手をしていた神は豊かな自然にはとりあえず目を向けず、アベルの供物を取った。 それを蔑ろにされたと感じた大地(カイン)は憤ったわけだ。 ここでカインは大いに憤って顔を伏せたとある。神がカインに目を向けたのはこの時だ。 何故、神は大地(カイン)が憤っているのに気付いたのか。 私が思うにこの時、大きな地震が発生したのではないか。 『顔を伏せた』という動作は怒りの発露を必死に抑え込もうとしている動作であろう。怒りをこらえるとき人は握りしめた拳や丸めた体が震えるものである。つまり同じように怒りに体を震わせたのが大地そのものなら、それは地震という自然現象のことに相違ないはずだ。 ここまで考えを勧めればアベルの死因、死体の在処についても納得がいく。 地震という自然災害が発生したのならば、そこに地割れや土砂崩れが起こるだろうことは簡単に想像がつく。 つまりアベルはこの時おこった地震により被災し、亡くなったのだ。 土砂崩れか地割れに会い、生き埋めとなったのだろうことが、状況的に推測できる。。 カインとアベルの物語は良く『人類初の殺人事件』と言われることがあるが、この考えの通りだとすればむしろ『人類初の自然災害』の話であった可能性が出てこないだろうか。 最後に注目したいのは罪を犯した大地(カイン)の末路である。 土の中──つまり今までの解釈で言えば己の身の内より響くアベルの怨嗟の声であっさり犯行がバレたカインは、呪いを受けて追放される。 追放された地で彼は妹アワンを妻に迎え、その子孫は遊牧民の祖・演奏者の祖・鍛冶鋳造・戦士の祖となる。 このくだりについての私の解釈は、結論から言うと次のようになる。 『カインの系譜は鉄の起源と、金属加工技術の変遷を擬人化したものなのではないか』 そもそもカインという名前が『鍛冶屋・鋳造者』を意味する言葉であることを見ても、鉄とかかわりの深い存在であるのは間違いない。 上記の解釈に至るまでの経緯を順に見てみよう。 まずかけられた呪いについては、要約するとこうある。 「弟の血を飲み込んだ土よりもなお、呪われる」 「土を耕してもお前のために作物を産み出さない」 ここで言われている『血を飲み込んだ土』とはすなわち『鉄を含んだ土』と解釈できる。 それよりもなお呪われるとはつまり、より強く濃く血を含んだモノになるということを意味する。 カインは呪いにより何者になってしまったか──そう、鉄である。 彼は『土』という大地の一員である身から、純粋な『鉄』という人工物の一員へと変えられてしまったのだ。 鉄の上に作物など、もちろん育つわけがない。これによりカインは自然界から追放されたことになる。 次に呪いと追放を言い渡されたカインが責任を負いきれない、迫害されるに違いないと泣き言を発するシーン。 ここにもカインと鉄を結びつける要素が隠れている。 人殺ししておいてなんとも図々しいカインだが、以外にも神は彼の泣き言に対して手厚いフォローをしている。 曰く「カインにあだなすものは七倍の復讐を受ける」というのだ。 聖書において七という数字は大きい数の比喩的な意味が強いので数字については今回度外視する。 このシーンにおいてカイン=鉄とすれば神の言葉は2つの意味で説得力がある。 一つは、単純にこの時代背景においておそらく鉄よりも強い物質がないであろうという点。 もう一つは、鉄とは古来より魔除けの力があるものとして扱われている点である。 鉄と成らしめたカインは物質的な障害にも強く、悪意のような精神性の障害にも耐性がある物質なのだ。 また、彼の子孫たちに目を向けると、また面白い発見がいくつかある。 カインの息子、名はエノクという。 エノクというと神に愛された人物として(場合によっては天使メタトロンになった存在として)有名な名前だが、このエノクはそれらとは別人である。 このエノクであるが、町の名前となっている。 そうつまり地名になったのだ。父がかつてそうであったように。 更に下って、レメクという人物が出てくる。 レメクには二人の妻がいた。 一人はアダ。もう一人はツィラという。 そしてアダとの間に生まれた子は遊牧の祖と演奏家の祖に、ツィラとの子は鍛冶師の祖になった。 ここで注目するのは二人の妻の名である。 アダは『光』などの意味を持ち、ツィラは『影』などの意味があるという。 『鉄』と『光』からは生活や遊興の祖が、 『鉄』と『影』からは闘争の祖が生まれたことになる。 つまり彼女たちは、鉄文化の光と影を担う存在の象徴と見ることができるのだ 罪を犯して追放されたというカインだが、こうしてみると脈々と子孫が栄え、往生しているように見える。 だが、これだけ脈々と反映したように見えるカインの子孫たちであるにも関わらず、以降の聖書世界の物語に関与する人物がほとんどいない。 系譜が語られているにも関わらず、のちの文書に言及されていない謎の一族。 この奇妙さもまた、彼らがまっとうな人類の系譜に属していない根拠の一つではないだろうか。 ──そして最後に余談、というより本来こっちが本題なのだが。 これは非人間が、人間に成り代るというエピソードとも見ることが出来る。 上で展開した解釈に沿うならアダムとイブの最初の子供はアベルだけである。にも拘らず、より両親に近い『長男』の地位を本来人間ですらなかったカインが今日得ているのは何故か。 聖書世界におけるこの初期段階において、人間とは所詮命を吹き込まれた土人形である。 そう考えたとき、人間として人間から産まれたアベルと、もともと大地そのものであったカインではどちらがより父アダムに近い存在と言えるか。 出自のあり方で見た場合、アダムとカインは、経緯こそ大きく異なるものの『製法』という意味では非常に近しい。 神がカインの犯行を追及する際にこう言っている「お前が流した弟の血を、口を開けて飲み込んだ土よりもなお~(以下略)」と。 つまり、大地(カイン)はアベルを殺害した際、その血を飲んだということになる。 血を鉄以外の表現に置き換える際、命解釈するくらいの連想は誰でも思いつく発想だと思う。 日本においても命を意味する「霊」の字を「ち」と読ませることがあるのは、日本の神話や神道についての知識を少しでも齧ればすぐに知れることであろう。 であれば、大地(カイン)はアベルから文字通り命を奪って、アダムと同じ生きた土に成り果せたということになる。 しかもアダムの本来の子供アベルの命を持った、よりアダムに近い存在『長男』という立場にまんまと割り込んだ形で。 更に言えば、他者の体の一部を使って、元居た本物を追いやってしまったという点で、イブとカインは驚くほど似ている。 イブも現在は最初の女性として定着しているが、実は本当の第一の女性リリスが歴史の闇に葬られていることは割とよく知られた話であろう。 こうした『偽者が本物に成り代る』話は都市伝説で語られる『出会うと死んでしまう』ドッペルゲンガーの話に良く似ていないだろうか。