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207 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2007/10/01(月) 22 54 33 ID ??? 少し急な話なんで書いていいかな? 先々週に近くでたまたまやっていたコンベに参加したんだ。ゲームは「迷宮キングダム」初めてのゲームだったっが GMが手馴れてて「まよカード?」とかいうのを巧く使ってわかりやすくゲームさせてもらった。シナリオはシナリオ集 かなにかに乗ってる秋が迷宮に閉じ込められたって話でこっちもシナリオもGMの話運び良くてかなり楽しめた ゲーム終盤で前線役が家の都合で帰ってしまうというハプニングがあったが、それもGMのフォローでなんとかなった んで、ゲーム後というか終了フェイズ見たいなところで迷宮で作った国をに今回のシナリオで得た財宝で施設を作って いく作業があるんだが、これが面白くてやっているうちに「また今度このメンバーでゲームをやりたい」って話になった 話を煮詰めていくと俺+GMを含めた3人が土曜日が暇だって事がわかり今週の土曜日に続きをやることになったんだ ところがその次の日に交換したばかりのアドレスにGM氏から電話があった。なんでもあの時の前線役だったPLが コンベの反省会に現れていきなり俺らの事を悪く言い出したらしい。 208 名前:207[sage] 投稿日:2007/10/01(月) 22 55 41 ID ??? そのPL氏によると ・俺を含めた3人が迷宮キングダムの世界観を理解していないから自分のPCが活躍できなかった ・だから俺らに反省の意味を込めて席を立ったのに俺らが反省もせずに次回の日時を決めたのでキレた ・お前らがどれぐらい反省したか見るために俺も今度の土曜日に行く という話だったらしい。だが正直俺にはその人の「反省」の意味がわからない。たしかにその人以外の3人は迷宮キングダムを知らない あるいはリプレイを読んだだけだったが、それは一番最初に話していたしその人も「じゃあ自分が詳しいから何か解らなけ れば聞いてくれ」と言っていた。 態度的には確かに俺ら3人は後半ややテンションを上げすぎたかもしれないが、その度にGMが巧く注意してくれていたし (まあ自発的に気付くのが一番良かったんだろうが)それよりもゲーム的にはその人の「世界観に対する細かい注釈」 や「GMの説明台詞への過度の割り込み」なんかの方が俺にはずっと気にかっかった。 それでもゲーム自体は盛り上がったし、その人も別段こちらに抗議していたわけでもなかったので正直、その人の真意が わからない。このままだと今週末にはその人とゲームなんだが・・・どうすればいいかな? 209 名前:207[sage] 投稿日:2007/10/01(月) 22 56 20 ID ??? 最後にわかっている範囲のこと GMは男性(多分30前の社会人) PL俺(フリーター20代男) PL2(学生たぶん20代) PL3(女性たぶん学生) その人(30前職業とかわからん) 最初はPL3氏に好意を持ってとかも考えたが、それなら普通に残っていればいいと思うしこんなやり方してもいみないよな 235 名前:207[sage] 投稿日:2007/10/02(火) 00 04 27 ID ??? みんないろいろ意見ありがとう。とりあえずさっきまでGM氏とメールしていたんだが 他のPL2人も例の人とは一緒にやりたくないみたいなので場所を変えることになりそう あとGM氏は俺らの中で唯一例の人のアドレスを知ってるので一応、断りを入れるらしいが 話が拗れそうだったら、俺に回してくれるように頼んでおいた。一応バイトとはいえ接客業 なので困った奴の対応はそれなりに出来ると思うし また何かあったら書き込むかもしれない 250 名前:アマいもん[@「エロい」ボスよりHPが多いボスが無難] 投稿日:2007/10/02(火) 09 43 31 ID ??? しかし、迷キンみたいなゲムにも、困ったちゃんっているんだなあ。 なんか、迷キンとか墜落とかサベッジとか好んで遊ぶヒトって、(たとえ初心者であっても)ある種の「覚悟完了」的な、シグルイっぽい「何か」をココロに秘めた猛者ばっかって印象があったんだが。 252 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2007/10/02(火) 10 38 53 ID ??? 250 それは100%思い込みだよw 「何か」成分一切なしに迷キンを可愛い!とか言って遊んでる女の子とかいるから。 そこに「実は迷キンって~(シニカルさとかブラックジョークとか)なんだよねーw」なんてのを 訳知り顔で披露してドン引きされてるやつを見たときに、やっぱ住み分けって大事だと思った。 スレ141
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【意味が分からない】 DJの常套句。 書き込み内容が理解できない。というよりは 書き込み内容に納得がいかない!甚だ不満だ! という場合に用いられる。 かと言って内容の説明や謝罪を求められているわけではないので その後に解説や言い訳のレスを書くとDJ、他のリスナー両方から 空気嫁!という扱いを受けるので注意が必要。 極稀に内容はないのだがDJのツボに入ってしまったというレスに対して 独特の引き笑いに乗せて賛辞の言葉となることもある。 なお、DJの側近たちは「ひみがわからない」と発音する。 発音の由来については諸説あるが、ジングル職人が有する「あややボイスライブラリー」に 「ひみがわからない」 としてこの台詞が登録されているからというのが有力。
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「クリスマスカラーの意味」 もう少しするといよいよ皆さんがこころ待ちにしているクリスマスがやって来ます。今年は皆さんはクリスマスはどのように過ごそうと考えていますか?なぜ、クリスマスはこのように世界中で祝われているんでしょうか? クリスマスは何の日だか、お分かりだと思います。それは、サンタクロースの誕生日ではなく、イエス・キリストの誕生を記念して、クリスマスを毎年お祝いしています。クリスマスの主人公はイエス・キリストです。ではなぜ、イエス・キリストが生まれたことをこんなにも盛大にお祝いするのでしょうか?それは、イエス・キリストの誕生が全ての人間にとって喜び、祝い、感謝することだからです。イエス様が私達に与えて下さった素晴らしいクリスマスプレゼントがあります。 皆さんはクリスマスカラーというものを御存知ですか?クリスマスによく使われる色のことですが、何色だか御存知ですか?そう、それは黄色、緑、赤、白などがあります。この色はただの色ではなく、それぞれに重要な意味があります。それらはイエス・キリストが私達に与えて下さるプレゼントを意味しているんです。 まず、黄色は何でしょうか?イエス・キリストが生まれたその日、夜空に大きな星が光輝いた、と聖書にあります。これは救い主の到来を表わす人類の希望の光を意味します。 「ルカ 2 11 今日ダビデの町で、あなたがたのために救い主がお生まれになった。この方こそ主メシアである。」 イエス・キリストは私たちを救うためにこの世にこられました。私たちの人生を豊かにし、愛と喜びで溢れるものにして下さる、その希望はイエス様によって与えられるのです。今の世の中を見てみると、希望のない人生を送っている人々がたくさんいます。現代は先が見えない暗闇の時代です、将来のビジョン、人生の意味と目的、分からないまま虚しい人生を送っている人々はこの日本にたくさんいます。しかし、イエス様と出会った人々は喜びと希望に満ち溢れる人生に変わりました。それがイエス様を信じる全ての人に与えられます。 そして、緑色は何でしょうか?緑色はクリスマスツリーのもみの木の色です。もみの木は常緑樹として、決して葉が落ちない、常に変わらない姿を保っています。それはイエス様が御自分を信じるものに与えて下さる「永遠の命」を意味します。世 の中を見てみるならば、決して変わらないものを見つけることができません。世の中の流行、価値観、人間同士の愛情でさえ、常に変わります。しかし、イエス様は決して変わらない喜び、平和、愛を私達に与えて下さいます。永遠に変わらない神様との関係、永遠の命をイエス様は与えて下さいます。 「ヨハネ3 16 神は、その独り子をお与えになったほどに、世を愛された。独り子を信じる者が一人も滅びないで、永遠の命を得るためである。」 と聖書に書いてあります。永遠の命とは、イエス・キリストによって与えられる神様との決して変わらない愛、喜び、平和の関係を意味するんです。 そして、赤は何でしょうか?赤はサンタクロースの衣装の色ではないんですね。これは、イエス・キリストが十字架の上で流された血の色を意味します。なぜ血の赤色が使われているのでしょうか?イエス様は必ず、十字架で死ななければならない存在でした。なぜなら、イエス様は十字架に架かって死ぬ為にこの世にこられたからです。それは、私たちの罪を身代わりに背負われる為です。この世の中の全ての苦しみ、不幸の原因は人間の罪であると、聖書は言っています。それは神様を無視して生きる自己中心的な心の態度です。世の中のニュース、新聞を見てみると、余りにも沢山の悲しい事件が起きています。その原因は環境のせいでも、お金のせいでもなく、人間の自己中心の罪の結果なのです。イエス様はその人間の罪とその全ての苦しみと悩みを背負われました。そして本来は私達が受けるべき罪の罰をイエス様は十字架の上で身代わりに受けて、死んで下さいました。そして罪の赦しを宣言しました。 「父よ、彼らをお赦しください。自分が何をしているのか知らないのです。」 「ローマ 5 8 しかし、わたしたちがまだ罪人であったとき、キリストがわたしたちのために死んでくださったことにより、神はわたしたちに対する愛を示されました。」 ここに神様の愛が表れています。 そして、イエス様を信じる者は全ての罪が赦され、雪のように白く、清められます。それが白のクリスマスカラーの意味です。 それらのイエス様が与えて下さる希望、永遠の命、罪の赦し、これらは神様の愛故に、そのお方を信じる者に無条件で、ただで与えられます。神様からの愛のプレゼントです。イエス様は皆さん一人一人を、御自分の命を献げるほどに愛しておられます。今年のクリスマスは、神様の愛を知り、もっと豊かで、喜びと感謝に満ち溢れるクリスマスになるよう祈ります。 Total Hits - Today Hits - ヨハン早稲田キリスト教会/ヨハン教会 文書宣教部 ヨハン早稲田キリスト教会ファンページ ヨハン早稲田Google+
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俺の受難と生命の意味と こつり。 足の下敷きになった石ころが、剥き出しの岩肌に擦れ小さな音をたてる。 こつり。こつり。 手にした道標が、夜明けを知らない暗がりを頼り無く照らす。 背後には、未成熟な丈を幾倍にも引き延ばしたかのように細く長く、影が弱々しく揺れている。 こつり。こつり。こつり。 腰に差した長剣の切っ先が地肌に触れる。 その剣にとって元来有り得なかった事象。所有者の変更という重大な事実を感覚を以てして知らされる感慨。 主にとっては些細な事象。背を押す焦燥が歩を進め、それがいまの彼のすべて。 こつ、こつこつこつこつ…… 約束の場所は目と鼻の先。一向に現れない待ち人の気配。 冷や汗が頬を伝う。鼓動が激しさを増す。吐息が……白く色付く。 思わず息を呑む。目の前、ほんの数歩先から、景色が凍り付いていた。 緊張はピークを迎え、足取りはいよいよ駆け足。 踏み締める融解間際の氷の表面が、不快な感触を伝えた。 ザッザッザッザッザッ…… 頼む、頼むから無事でいてくれ。 少年は盲目的に祈り続ける。神を否定した彼が何に祈りを捧げるのか。それは定かでない。 その願いは、もっと純粋で根本的な、無意識下の感覚というそれだったのかもしれない。 グシャ―――――― 氷を形作る分子構造が、強か加えられる圧迫にその体積を縮める。 少年の歩みが、はたと停まった。 「ちょ……そ………あ…」 人為的拘束を脱したランタンが束の間自由を味わう暇もなく重力の支配下に置かれ、湿っぽい洞窟の床へ転げる。 ちらちらと照らされる、ひと揃いの真っ赤な靴。すらりと伸びた脚を覆うハイソックスとのコントラストが美しい。 ピンクのワンピースの裾しおらしく腿を包み隠し、その両脇シンメトリに投げ出された細長の腕もただそれだけで愛らしい。 人の気配は無い。 「……アラ……嘘……そ…な」 色取り豊かなトッピングに少年の眼は、心は奪われていった。 紅、白、橙、山吹、黄緑。艶やかな装飾が、清楚な印象をもつダークブラウンの髪によく映えた。 乳白色の肌はワインレッドの模様に染められ、なんといっても胸元のワン・ポイントが彼の視線を独占した。 ひとの気配はない。 胸部でさんざ自己主張を続けている立派なアクセサリ。 ここまで大胆な装いはかつて見たことが無い。身に余る程巨大なそれは最早オブジェと呼ぶに相応しい。 しかしそれは装着者に吸い付くようにフィットし、さらには取り巻く背景にすら溶け込む一体感を醸しだしていた。 ひとのけはいはない。 りあらは しんでいた 脚が、指先が、肩が震える。顔からは血の気が引き、末端から徐々に身体が痺れて動かなくなる。 眼は血走り、歯がガタガタと音を立て、やがて全身が痙攣を引き起こした。 「な……りあら、りあ……うっ」 ただ嗚咽混じりの片言を吐くことが、唯一動く喉にできるすべてだった。 少女の変わり果てた姿に、傷塗れの少年の心は張り裂けんばかりの悲鳴を上げ 「ぅあっ………っっっあ゛ああぁああああぁぁああああぁぁぁあああああぁぁぁぁ!!!!!」 間も無く絶叫をともない勢いよく張り裂けた。 ―――――――――――――――――――――――――――――― 『こんな形で君と再会することになろうとは。運命とは皮肉なものだな』 仄暗い穴倉のどん底に、彼は居た。 時刻はもう明けで、見上げれば朝日の片鱗が覗く。すべては、もう終わっていた。 『しかし、君が無事でなによりだ。この高さから墜ちた衝撃をまともに受けていたら、流石に徒事では済まなかっただろう。 ……あの馬鹿も無茶をする。仲間を護る為とはいえ、私を投げつけて難を逃れるとは』 短刀を拾い上げながら、カイルはにわかに顔を顰めた。 沈んだ少年の気を紛らそうという気遣いの意図で弁舌を揮ったつもりだったが、失言だった。 思い直せば、自分はもともと口達者なほうでは無かったではないかと今更自嘲する。 そんなものは、シャルティエとかイクティノスなんていうインテリ優男どもに任せておけばよかったからだ。 だが現状そうもいってはいられず、気分を変えて当たり障りの無い話題をと思考を巡らせるが、 『あの少年……ロイドといったか、彼は』 「……誤解して斬りかかってきたんです」 自分から安易に話し掛けるのは止そうと考えを改める結果に終わった。 結果的には和解したんですけど。カイルの補足は黴臭い石壁に消える。 押し黙るディムロスの気苦労を後目に、カイルは薄暗い床を探っていた。 間もなく立ち上がった彼の手には、仰々しい黄金の蝙蝠が握られている。 『……意外だな。君は他人の亡骸に手を触れるなど気が進まない性と思っていたのだが』 またも失言だが、カイルは別段気に掛ける素振りも見せずさらに少し歩を進め、おもむろに屈み込んだ。 「母さんにいつも言い聞かせられてたんです。綺麗事は二の次。生き残るには、そのとき必要なものを見極める細やかさと、 神をも畏れない図太さが不可欠なんだ、って。……正直、破綻してるとは思いますけどね」 踵を返した彼は、裾の解れた布やらなにやら拾い上げ、どんな物も呑み込む化物サックにそれらを丁寧に仕舞い込んだ。 黙々と作業をすすめる少年の瞳は、些か曇って見えた。 『……上策だな。君の母君は聡明な方らしい』 確かに、この決断は今後少なからず彼に利益をもたらすであろう。 特にこの首輪、解除法の模索に確実に役立つものの、死人が出なければ手に入らない貴重な代物。 手札にあるとないとでは情報量に天地の差が出る。 智のある者、できればハロルドとの合流が叶えば、これを利用して状況の挽回を図ることが出来るやもしれない。 「ホントは……恩人の遺体を漁るなんて罰当たりだし、止しておきたかったんですけど、ね……」 しかし、代償として有り余る背徳感の重圧、そしてなによりこの年端もいかぬ少年の自らを嘲う乾いた表情に憤りを憶えた。 マスターであるスタン亡き今、この抑え切れぬ憤怒を憎き天上王に返上する時がはたしてくるのだろうか。 この少年に、いつか安息はおとずれるのであろうか。 思考に暮れながら、また少しばかりのセンチ・メンタルに鬱々と焦らされながら、ディムロスは少年と共に廃墟を後にした。 カイルに悲しみを噛み締める猶予は無かった。立ち止まる時間は生命を削ると彼は知っていた。 横たわる父の亡骸を前に、何か奇異な違和感を憶えた。しかしその正体を探るにはいまは相応しくはない。 彼はただ黙々と、南を指し地面を蹴った。 そして、悲劇は加速の一途を辿ることとなる。 ―――――――――――――――――――――――――――――― あれから、どれだけの時間が過ぎたであろうか。 少年は少女の亡骸の傍らに跪き、彼女の砂糖塗れに汚れた髪を梳き解すように撫で続けた。 その寝顔のような自然な表情からは、凄惨な死に様を彷彿させる苦痛は感じられなかった。 彼にとってそれが気休めだとか救いであったかは定かでないが。 「ごめん……護ってあげられなくて、ごめん……ごめん……」 ディムロスはその脇で、彼の空虚な懺悔を聞き続けるほか無かった。 悲惨としか、表しようもない。 少年の目は虚ろに泳いで焦点が覚束ず、かつて見た若い活力に溢れる眼差しが嘘のようにさえ思える。 可能ならば、目を逸らしてしまいたい。それが率直な感想だった。 ディムロスの気を滅入らせる要因はそれだけではない。 場を覆う冷気からひしひしと伝わる、無表情の嘆き。 ふと、グリッドらと共に出会った金の髪の少年の姿が脳裏をよぎる。 『やはり……彼女は、奴の傀儡とされていたようだ』 アトワイトが会話を拒んだ理由がはっきりした。少年になんらかの弱味を掌握され、沈黙を余儀無くされているのであろう。 彼自身の能力は未知数、しかし素面の身でソーディアンの最大級の力を引き出すことができるならばそれだけでも充分な脅威である。 一刻も早く彼の暴走を止めねばならない。次なる被害者を出さないために。彼女の手を、これ以上穢さないために。 喪失感にすべてを奪われるという経験を、貴方はしたことがあるだろうか。 少年はいま、壱拾五の幼心にそれを噛み締めている。不憫、などといってはむしろ不謹慎か。 正確に云えば、彼はまだ現状‘すべて’を失ったわけではない。あくまで現状の話ではあるが。 しかし少女の存在は、彼にとってその比重を占め過ぎていた。 盲目的な愛情はときに至高の悦びを彼ないし彼女に与えるであろう。 同時に、理性の伴わない愛情の弊害なりリスクは、計り知れない危険性を潜めている。 貴方が健全なる第二の人生を送りたいと願うならば、その喪失なり精神の歪みに備えが必要不可欠となる。 しかしながら、彼は幼かった。その重みを受け止めるには、機が熟し切らなかった。ただ、それだけのこと。 『―――くん、おい、カ……』 剣は持ち主に訴え掛ける。否、延々訴え続けている。手応えはない。 カイルには既に五感が無かったのだろうか。‘そこ’へ至る以前から。 「ごめんね……痛かったよね。苦しかったよね。淋しかったよね……」 重い腰を唐突に上げると、彼はふらつく足取りで来た道を引き返してゆく。 『……カイル君、何処へ行くつもりだ?』 訝しむディムロス。しかしやはり彼は応えなかった。ただひたすらに、のらりくらり凍った床を蹴る。 行き着いた先には、リアラを発見し慌てて駆け出した際取り落とした彼の鞄が横たえられていた。 「……でも、もう寂しい想いはさせないよ……」 鞄に手を差し込み、掻き回すように乱雑に中を探る。さらに痺れを切らしたか、ついには中身を湿気た床へぶちまけてしまった。 コンパスやら、食べさしのパンやら、穴の開いた篭手やらが辺りに散乱し、思い思いの音響を奏でた。 『おい……まさか……!』 目当てのものを拾い上げ、微かに覗く灯りを映し込んだそれを愛おしむように撫でる。 「待ってて……いま、そっちへ逝くから……!!」 カイルは短刀を逆手に握り締め、ゆっくりと頭上高く掲げた。 『血迷ったか……ふざけた真似は止せ!!』 ディムロスが低位置から突き上げるように吼える。 『いま此処で命を絶って、何になるというのだ。それこそ、ミクトランの思う壺ではないのか』 「俺は、あなたのように立派なヒトとは違う……俺は、一人じゃなんにもできないんです。 こんなことになってしまって……もう、俺、終りなんです、なにもかも」 支離滅裂吐き捨てるカイルの声は、弱々しく震えていた。虚ろな瞳に、生への渇望が映し出されてはいなかった。 『弱音を吐くな。まだ終わってなどいない。君にはまだ、できることがあるだろう』 「俺にできること……? そんなもの、なにもありませんよ。 俺は、誰ひとり守ることができなかった。みんな……みんな死なせてしまった!!」 『それでも、君は生きている。生ある限り、人には為すべきことがある。 無念の死を遂げた人々の為にも、君には生き延びる義務があるはずではないか』 「そんなの関係ない! 父さんも、母さんも、ロニも、リアラも。誰もいない世界で、生きてたってしかたない。 俺にはもう……生きてる意味が無いんだ!!」 『この馬鹿者ッ!! そのような台詞、軽々しく口にするな!!』 ディムロスは怒鳴りつけつつも少年に同情の目を向けた。 両親をもたない彼がさらに二人の友をも喪った事実は、その身にあまる衝撃であろう、と。 彼はまだ知らなかった。カイルの両親が、この地で最期を迎えたことを。 『それに、いつか君は言っただろう。自分は、英雄になるのだと。その英雄が、かように容易く命を投げ出してしまおうというのか』 「違う……俺、リアラと出逢って、一緒に過ごして、やっと気付いたんです。 俺は、世界を救う英雄になんてなれない。俺は、世界に選ばれた人間なんかじゃないんだって」 カイルは歯噛みした。そして大きな溜息を吐き、瞳を閉じる。 「俺は、ちっぽけな人間なんだ。だから、俺には、リアラが必要なんだ……リアラがいなくちゃ、俺は、ダメなんだ!」 『……甘ったれるなッ!!』 ディムロスの声は、微かに上擦っていた。取り繕いもせず怒鳴り散らす自分に内心どこか懐かしさを感じていたがそれはまた別の話。 『君はここまで、そうやって、多くの人々に支えられて生きてきたんだろうが。 いまこうして生き長らえているのも、誰かと支えあった絆が齎した因果だろうが。 それを理解していながら、なぜ、自ら命を絶つなどという愚かなことを口走るのだ!!』 カイルは閉口した。悪戯を戒められた、萎縮するばかりの幼子のように。 そんなことは、解ってる。自分がこうして生き残ることができたのは、命を懸けて守ってくれた多くの人々の御陰なんだ。 あのとき、リアラが危険を報せてくれなければ、瞬時に消炭になっていただろう。 あのとき、ミントさんの慰めがなければ、自棄に走っていただろう。 あのとき、クラトスさんがリアラたちを救ってくれていなければ、早々に生きる希望を失っていただろう。 そしてあのとき、父さんが……――― ―――違う。そんなの、なんの意味もない。 みんな、みんな死んでしまった。いまある事実は、それだけだ。 だれの力にもなれず、だれの命も護れず、みんなを楯にして、俺は、生きている。 ここには、誰もいない。 俺は……ひとりぼっちだ。 「……うわあああぁぁぁぁっっ!!」 振り上げたカイルの諸手に力が込められる。 『まだ理解出来ないか。皆の死を無駄にするのか。数多の閉ざされた生への願いを、踏み躙ろうというのか!!』 「うるさい、うるさいうるさい!! 俺は、リアラたちのところへ逝くんだッ!!」 小刀を握る手の震えが激しさを増す。汗がカイルの身体を流れ落ち、ディムロスの身を伝った。 彼の生を繋いでいるのは、痛覚への潜在的躊躇ただそれだけだった。 それも、もう終わる。 『よせ、やめろ、やめるんだっ!!』 大きく息吐くカイル。彼の耳に、もうディムロスの声は届かない。 緊張の糸が徐々に解けていく。すべてを悟ったような表情の少年に、最早躊躇いは無くなった。 「やっと、やっと逢える……いま逝くからね……リアラッッ!!!」 迷いの無い一閃が、少年自身に振り下ろされる。 ―――イル、カイル…… 「なっ!?」 刃が勢いを緩め、その切先がカイルの腹の皮一枚を突いてぴたりと止まった。 咄嗟に出口方向を振り返る。 索敵行動。それは生存への本能的反射。自ら死を望んだ者とて、それは発動されるらしい。生のある限りは。 視線の先には何人の姿も認められなかった。 ―――カイル。私の声が、聞こえるか。カイル…… 『……背後だ、カイル君!』 すかさず振り返り、辺りを探る。そこには、自ら撒き散らした道具類が転がるのみ。 薄汚れたマント。正体不明のカード。水の少し残ったボトル。忌々しい金の首輪。 その真ん中で、小さな石ころが光を放っていた。 「あなたが……なぜ……」 声の主は、剣士の形見である透き通る蒼をした宝玉だった。 『無機生命体エクスフィア、か……我々ソーディアンと似た原理なのかも知れんが……』 しかし自分には時間が無い。エクスフィアなる存在は淡々と述べた。 もともと彼は人間としての肉体をもっていた。それはカイルのよく知るところである。 ところが彼、クラトス=アウリオンは、この地に措いて肉体の滅びを迎えた。早い話が、彼は死んだのである。 数千年の時を生きた物質としての歴史に終止符が打たれ、彼の意識はたかだか百年足らずの寿命しか持ち合わせない「人間」を 「天使」としてここまで生き長らえさせた高度無機生命体「クルシスの輝石」に取り込まれたのだという。 そして今、その意識までもが石に呑まれつつあり、彼は完全な最期を遂げようとしている。 気不味そうに視線を逸らせるカイル。自殺未遂の現場で命を救われた恩人に遭ってしまったのだから無理からぬ話か。 顔を顰めつつも、彼は唇を噛み締めた。それでも、溢れ出る感情を抑えられそうもない。 死を望んだ自分が、なぜ内心彼との再会を喜ばしく感じているのか。この出逢いが泡沫のものと知り、なぜ心を傷めるのか。 自分の感情が、理解できなかった。 『……カイル。真なる最期を迎える前に、お前に云っておきたいことがある』 彼の低い声色と相俟ってか、石の紡ぐ振動は水の底から響くように曇っていたが、それを逃すまいとカイルは耳を欹てていた。 『ユグドラシル……ミトスは、過ちを繰り返そうとしている。姉のマーテルを喪い、周囲がなにも見えなくなっているのだ。 恐らく、ミトスはすべての参加者を殺戮し、マーテルを蘇らせようとしているのだろう』 正確には魂胆は少し違っているが、クラトスの言葉に大きな間違いは無かった。 ミトスの言い分は、本当だった。姉の為に、我を失っていただけなのだ。 だからといって同情の余地は微塵も有りはしないことに変わりは無いが。 『解ってやってくれとは云わない。ミトスの犯した罪、そしてこれから起こす過ちは、到底赦されるべき所業では無い。 また、ミトスを止めてくれと頼む心算も無い。お前にとって、彼は憎むべき加害者に過ぎないのだから。 だが、せめて知っておいて欲しい。ミトスは姉想いの、どこまでも純粋で、哀れな少年なのだ。 しかしながら彼は幼かった。盲目過ぎた。力を持て余し過ぎた……ただ、それだけのこと。 ミトスもまた……このゲームの被害者でもあるのだ』 カイルの心は揺れた。ミトスは、大切な人の死に耐えることが出来なかった。滾る感情を、処理することが出来なかった。 行為の方向性はまったく違っている。しかし、リアラの死に直面した自分の取った行動は、彼と同じではないのか。 なら、彼を否とする自分はどうすべきなのか。彼が答えを出す前に、クラトスは続けた。 『彼を止めることが、私の為すべき責務だった。彼を残して死ぬことは、赦されない筈の身であった。 リアラの命を奪ったミトスや、志半ばにして果てた無力な私を、幾らでも謗り、恨むがいい』 恩人であるあなたを恨むなんて。カイルの呟きは、クラトスの言葉に掻き消され彼に届くことはなかった。 『だから……死ぬな、カイル。命を粗末にしようなどと、愚かしいことを考えるな。 私だけではない。偶々、私は死して尚お前に伝えることが出来たが、死んでいったお前の仲間は誰しもが同じ想いでいた筈だ。 多くの人々に紡がれたお前の命が失われることを、誰が望む。否、何人たりとも望みはしないだろう』 クラトスの脳裏に、ロイドの、神子コレットの、そしてリアラの姿が浮かぶ。人の云う、走馬灯という代物か。 『……来るべき時が来たようだ。間も無くして、私の意識は無に帰すだろう……』 カイルは目を見開く。エクスフィア、もとい、クラトスの姿を初めてまじまじと見詰めた。 胸に、締め付けられるような、鬱蒼とした感覚を憶えた。 『だが、迷うな、カイル。お前は、お前の道を歩め。後ろを振り返るな。躊躇いは、災いしか齎さん。 この身滅びようとも、私はお前達を見続けよう。輝石の力が、お前を導いてくれるだろう』 カイルは無意識のうちに、小さく頷いていた。クラトスの遺言を、胸に深く刻み込んだ。 そして朧に気付く。その後ろ姿を初めて見たとき、なぜ彼を父と間違えたのか。 最後にひとつだけ頼みがある。消え入りつつあるクラトスの囁きに、カイルは神妙な面持ちで彼を見返す。 『我が息子……ロイドに逢うことがあれば、伝えて欲しい。不甲斐無い父ですまなかった、と……』 「不甲斐無いだなんて……そんなことはありません! あなたは……」 ようやく口にすることができた、クラトスへの敬いの気持ち。しかし、またしても声は届かなかった。 すべてが、遅すぎた。 「クラトスさん、待って、クラトスさん……!」 ―――生きろ、カイル……さらばだ…………――― 「あなたは……俺の、英雄だ……」 石の放つ光は徐々に力を弱め、やがて消えた。 『クラトス=アウリオン……大した男だ。死の淵にありながら、最期まで残された者を憂い続けようとは』 ディムロスは知っていた。正確には、彼は世間一般に云われる死を迎えた訳ではない。 彼は無機生命体の中で意識体として生き続ける。母体である石が失われるその時まで。 だがそれは、死を遥かに超越する苦痛を意味する。 何も見えず、聞こえず、感じない。すべての感覚を奪われ、完全な闇の中で半永久的にただ「生き」続ける。 しかし、彼が少年にそれを告げることはない。 永遠の「無」を知りながら少年の行く末を想う彼の尋常ならざる決意を無為にすることは、誰にも赦されはしないのだから。 「俺は……馬鹿だ。大馬鹿野郎だ……」 カイルは膝を衝き、地面を強か殴りつけた。岩を覆う氷が、徐々に体温に溶かされていった。 あの人は、命懸けでリアラを護ってくれて、死んでしまったっていうのに、まだ、俺を気遣ってくれていた…… それなのに、俺のしたことは、なんだ。 宛てもなく島をうろついて、行き当たりばったりで人助けの真似事なんかして、仲間が死んでいくたびただ泣いていて、 父さんとリアラを天秤に掛けることばっか考えて、でもなんにもできなくて、挙げ句の果てに…… 「畜生……畜生、ちくしょおおおおおぉぉぉぉぉっっっ!!!」 カイルは、泣いた。泣いて、泣いて、泣きとおした。 「父さん、母さん、リアラ、ロニ、みんな……ごめん。俺、取り返しのつかない間違いをしようとしてた……」 辛い。悲しい。苦しい。怖い。情けない。すべての憂いを吐き出すように、喚き散らした。 「クラトスさん、俺、生きるから……あなたのくれたこの命で、生きる。 俺自身の為にも。みんなの為にも。きっと、生き続けてみせるから……!!」 涙に溺れた彼の瞼は、赤く腫れ上がっていた。鼻垂れたその顔は、到底見られたものではない。 しかしその瞳の奥には、なにかを乗り越えた意志の灯が確かに宿っていた。 洞窟の最奥部、求める人も無く虚しい輝きを放つランタンの灯りは、少女の亡骸を微かに照らし出し続けた。 少年の感情入り混じった叫びが、光届かぬ洞窟に木霊する。 陽が高くなり、凍り付いた壁が溶け出していることを指摘してはナンセンスだろうか。 少女の顔は、いつしか健やかな笑みを湛えていた。 光を失った小さな宝玉は、少年の手の中で静かに眠る。 時刻はそろそろ、耳障りさが取り柄のモーニング・コールが聞こえる頃。 【カイル=デュナミス 生存確認】 状態:HP45%、TP70%、深い悲しみ、湿り気味 所持品:鍋の蓋、フォースリング、ウィス、S・ディムロス、忍刀血桜、クラトスのエクスフィア 蝙蝠の首輪、レアガントレット(左手甲に穴)、セレスティマント 基本行動方針:生きる 現在位置:G3洞窟 ※放送直前 前 次
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214 名前: NPCさん 2005/05/05(木) 22 12 37 ID ??? TRPGやってて嫌になるときはある。 ・TRPGやってんのになんでアニメネタわからないの? ・TRPGやってんのになんで漫画ネタわからないの? ・TRPGやってんのになんで漫画描かないの? ・TRPGやってんのになんで小説書かないの? なんつうか、これら全て実際に言われた事があるわけだが。 スレ64
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《理想郷の意味》 通常魔法 セットしたこのカードを墓地に送ることで デッキから「ユートピア」を1枚手札に加える。 part20-341 作者(2007/09/20 ID mvwHWCIo0)の他の投稿 part20-327 / part20-328 / part20-330 / part20-334 / part20-335 / part20-338 / part20-340 / part20-343 / part20-344 コメント 名前 コメント
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個体値の意味 能力値計算式(詳細は参照をry)に代入することでそのポケモンの強さが決まります。 簡単に言えば、「個体値が高いポケモンの方が強い」、ということになります。 (あまり個体値にこだわり過ぎるのもゲームを楽しめなくなるので考え物です) 参照 能力値計算式とは そのものズバリ能力値を計算するための式です。 ここに書かれていない要素(進化の時期、飴を使ったなど)は能力値には一切関係ありません。 種族値はこのサイトの図鑑で調べましょう。 また、小数点以下が出た場合はその都度切り捨てです。 性格補正は↑なら1.1、↓なら0.9をかけます。 HP (種族値×2+個体値+努力値÷4)×レベル÷100+10+レベル それ以外 [(種族値×2+個体値+努力値÷4)×レベル÷100+5]×性格補正 性格補正 攻撃↑ さみしがり防御↓・いじっぱり特攻↓・やんちゃ特防↓・ゆうかん素早さ↓ 防御↑ ずぶとい攻撃↓・わんぱく特攻↓・のうてんき特防↓・のんき素早さ↓ 特攻↑ ひかえめ攻撃↓・おっとり防御↓・うっかりや特防↓・れいせい素早さ↓ 特防↑ おだやか攻撃↓・おとなしい防御↓・しんちょう特攻↓・なまいき素早さ↓ 素早さ↑ おくびょう攻撃↓・せっかち防御↓・ようき特攻↓・むじゃき特防↓
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『力の意味は』 更新日:2020/07/15 Wed 22 21 43 タグ一覧 目次 裸マフラーになったアルロリパンダは、顔面についた泥を乱暴に拭い、唾を吐いた。 「人間に恋した妖怪がいた。妖怪に愛された人間がいた」 「え?」 襲いかかってくるものだと思っていたが、アルロリパンダは何かを語り始めた。 「妖怪の名を孫悟空と言った。人間の名を三蔵法師と言った。」 愛歩とむらサメはその名前に聞き覚えがあった。 西遊記というお話だ。 「食えば時を操れると言われていた。アタシは強さを求めて三蔵法師を襲い、孫悟空に負けた。妖と人の絆の強さに負けたのだ」 アルロリパンダははあとため息をついた。 「今のその光景、あの時とそっくりある」 「勝負は…?」 背を向けたアルロリパンダに、のじゃロリ猫は問いかけた。 「不意打ちをされて萎えたからいい。だが愛歩。アタシは諦めた分けじゃ無いから!必ずお前の肝を食べて見せるからな!」 そう捨てゼリフを吐くと、アルロリパンダの全身が白い霧に包まれ、まるで雨の日のガラスのように滲んでいく。愛歩とのじゃロリ猫を睨み付けながら、それはゆっくりと姿を消していったのだだた。 「はぁ、疲れた…」 むらサメが地面にペタリと座り込む。 「私もだよ…」 愛歩は微笑んだ。 「すまんのぉ、あいつ、まあまあ厄介な相手での。様子を伺っておったんじゃ……決して寝取った訳じゃ無いぞ」 疑わしげな二人の目線に、のじゃロリ猫はぐぬぬと唸った。 「日頃の行いか…」 「よう分かっとるやん」 「あはは、でも最期にはちゃんと助けにきてくれて嬉しかったよ」 「だから寝取らんかったって!」 三人の談笑は、人混みの山を掻き分けてやってきたきゅーばんと天号の出現により終わりを迎えた。 「大変なの!古代ちゃんがいないの!」 「探したんだけどね……どうすればいいのか…」 愛歩達は他の人の事を見た。 「おい!どうなってんだ!パンダはどこだ!」 「こっちには来てないんでしょうね!」 「さっき、女の子がパンダに服を破られて逃げていったって聞いたよ」 「なにそれ怖…!でもその光景ちょっと見たかったな」 等と、まだまだパニックが続いていた。 「探しに行けるかな?この人の数」 「しかもここ、えらい大きさやで、迷子センターとかもやっとらんだろうし…」 その時、天号ちゃんのスマホが鳴った。 「あ、リックン放送局が緊急生放送してる」 「リックン放送局~?」 耳なれない言葉に、のじゃロリ猫が聞き返す。 「うん、毎週水曜日の夜からやってるんだけど……」 スマホの再生ボタンをタップすると、Vtuberらしき明るい声の女の子が喋っていた。 『きょうのリックン放送局は今起きてるパンダ騒動について!ネットでトレンドになってるから知らない人は見てみて!それでね、私思ったんだ。皆大丈夫かなって、パニックになって、大事な事を忘れてないかなって』 「これって……」 のじゃロリ猫が何かに気付いたように口を開くが、直ぐに閉じた。 『大事な事って言うのはね、他人を労る事。自分だけ助かればいいなんて考えてない?思わず他の人を押し退けてない?まずお年寄りや子供連れの人を優先してみない?大丈夫。パンダはお腹一杯で人間が騒がなければ、人間を襲ったりしないんだ。あ、時間!こんな事でごめんね!皆、飼育員さんの言うことを聞いて!落ち着いて行動してね!』 愛歩は急に静かになった辺りを見渡す。 「この人凄い……」 混乱していた人達が、この配信を見て落ち着いてきていたのだ。 「ほんとやなぁ流石人気配信者やで」 「格好いいよね~リックン放送局。私も毎週水曜日見てるよ」 皆が謎の人気配信者に注意を引き付けられている中、のじゃロリ猫が誰にも気付かれないように呟いていた。 「フフ…古代……こんな事しとったんじゃの。どれ、わしも今度参加してみるか」 「みんな!」 「あ、古代ちゃん!」 古代がこちらに歩いてきた。スマホを手に、ヘッドフォンを首にかけている。 「よかった。探しに行こうと思ってたんだ」 心配そうな天号に、古代はあははと笑いながら目をそらす。 「それでパンダはどうなったか知ってる?」 「むらサメちゃんとのじゃロリ猫ちゃんが倒してくれたよ」 愛歩が言うと、古代はやっぱりと呟いた。 「檻を壊すパンダなんてそういないからね、はじめから妖怪の類いか何かだと思ってたんだ」 「今日は皆大変だったみたいだね。仕事がなければ一緒に行けたんだが」 夕食の時、お父さんが暗い顔をした。 「本当にね。でも楽しかったよ。皆とお話しできて」 愛歩はお母さんが作ってくれた、普段なら美味しいシチューをぐいっと飲み込んだ。 「ご馳走さま!」 「え?もういらないの?」 「うんお母さん。二人ともおやすみなさい!」 両親の心配をよそに、愛歩は早々に部屋に引きこもった。 ベッドに潜り込んだ時、やっと一人になれたと安堵する。 「はぁ」 今日、自分はむらサメが死ぬ所を見た…… 魂が抜けたむらサメの顔を思い出し、愛歩は身震いする。 本当なら今頃、むらサメは冷たい遺体になって家族と対面していただろう。もう喋る事も、ご飯を食べる事も出来ない。真っ白な死に装束を着て、炎で焼かれて肺になるしかない。 だが愛歩が運命を変えた。時間を巻き戻してむらサメを助けた。 むらサメは昨日の夜と同じ様に家族と夕食を食べ、談笑し、あと数時間もすればベットで寝ている筈だ。 「私は人を助ける事が出来た……正しい選択が出来たんだ」 愛歩は何度も何度も繰り返し呟いた。
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「貨物室に人を殺す植物?本当か?」 「はい本当です、機長。俺は下で見てきました、そして目の前でルーカスが殺されソープが重症を負いました」 報告は残念なものだった。積荷は政府の重要な資料や物資だと思っていた、予想が現実とずれることはある。 しかしこれほどずれることなどあったか、まさか自分が操縦している機体の貨物室に凶悪な生物がいるとは… 「分かった。貨物室の一番後方だな?よし乗客を前方に移し、貨物室への扉を全て塞げ…あと銃を使えるものにそこの銃を渡せ」 「機内で銃ですか?そんな…」 「大丈夫だ。緊急時の時だけだ、近くの空港まであと30分だ」 マイクルは銃2丁を持ち、大樹は乗客の移動のために機内に戻った。 機長は近くの空港に着陸するために管制塔へと連絡する必要があった。 「こちらジェット57…機内で問題が発生したためそちらの空港に着陸したい」 しかし現実はどううまくいかない、この質問があったとは… 何故? 「え…あはい、機内でトラブルで起きました」 「どのような?」 「…貨物室に危険な荷物が見つかりました」 「どのような荷物です?」 「…」 どうすればいいのだろうか、ここで危険な生物というのか?もし言ったとしようそれはつまりその空港や国にとって負担になる…向こうは承知してくれるだろうか? しかしはやくしないと誰かが傷つく…言うしかないのか 「貨物室に危険な生物がいるのです。1人が軽症、1人が重症、1人が…死亡しました…」 しばらく相手が沈黙する…果たしてどのような答えが返ってくるか 「残念ですが、この近くに着陸を承知してくれる空港がありません。1時間飛び太平洋上のあまり使われていない空港がありますが…。それとも貴方達の空港に戻りますか?」 やはりこうなるのか…人が殺された生物が乗った飛行機の着陸を承知してくれる空港はほとんど無い。ハイジャックと一緒の扱いか。 海に出るか引き返すか、後者が安全だろう。 「では離陸した空港に引き返します」 「はい分かりました…はい大丈夫ですその空港は着陸を承知しました」 どうやら母国は自分を裏切ることはなかったようだ。離陸した空港に今度は着陸しに行かないといけない。 「いいですか、皆さん。貨物室でトラブルがあったため席の移動をお願いします。全員前方の席に座ってください」 ほとんどの乗客は銃声を聴いていた、一部の乗客は血を見た。なにが起きているかはすぐに理解できた。 誰も文句言わず指示されたとおりに席を移動した。数人一緒に搭乗した乗客が離れることは少なかったが、いきなり隣に見知らぬ誰かが来た人にとっては少々きついことかと思われた。 しかし乗客の中にはお互いに情報を交換しなにがら、なにが起きているかを調べようとしている人も少なくなかった。 「貨物室で何かが起きたことは確実だ。何が起きたんだろうね理紗」 「わかんなーい。でも銃声が聞こえたよ?…理沙達死んじゃう!?」 「君達大丈夫よ?わたし刑事さんと警察さん見たから」 十と理紗の会話にフラワーが入る。怯えている子供を見て落ち着かせる母親のようだ。 乗客の意見の交換や見たことの証言などの交換はどんどん進んでいった。前方に寄せられた乗客でこの便でなにが起きているか分からないものはいなくなったぐらいだ。 しばらく経つと機体が大きく傾き始めたのを感じた。勘のいい人はここで機体がUターンをしたことに気づくことができるだろう。 つまり近くに着陸する空港が無く、離陸してきた空港に引き返すということだ。 「乗客の皆さん、こちら機長です。小さなトラブルが発生したため離陸した空港に引き返すことになりました。ご迷惑をおかけします」 そういうことだ。やっぱりか…とほとんどの乗客の表情が変わる。しかしここで危険が近づいたことに気づいた男がいた。 ベネットだ。マイクルと雅はベネットとソープが政府と関係のないことは分かっていたが、ここで取り押さえるわけにも行かない。 空港に戻り貨物室の荷物を点検する。それが動かぬ証拠になるが、ルーカスは残念ながら死亡してしまった。ソープもあまりの傷に医者もなにもできない。 ベネットは荷物がばれることを気にしたのか、落ち着かない。 「おい。貨物室の荷物は無事だろうな?ソープはどうなんだ?」 「荷物は大丈夫です。ソープさんは…どうなんです」 「…残念ですが…この機体と私の持っていたものではどうにもなりませんでした」 「まさかこの便で2人も」 ベネットはなにも喋らないのか、友人がたったいま死んだのに。それともあまりにのことに喋れないのか。どうなのだろうか。 しかしどちらでもなかった。怯えていたのだ、友人が死に怯えていたのだ。何故だろうそれは誰にも分からない。 「おい…馬路かよ」 「どうしたんです?」 「そいつ死んだな?なら早く外に放り投げろ!早く!」 しばらく無言が続く。どういうことなのだろうか、死んだ友人を外に放り投げるとは。それに怯えているのか焦っているのかよくわからない状態の彼。 「外が無理なら、貨物室に投げ入れろ!早く!早く!」 「何故なんです?訳を言ってください」 「…俺も大衆の注目を浴びたくない、とりあえず俺の言うことを聞け。あの死体を貨物室に投げ入れろ」 「訳を言わなければ、どうすることも」 「訳!?そんなことはどうでもいい。とりあえず私が言っているのは、あの死体が危険なんだ。貨物室に放り込め」 どうやらベネットはなにを言っても聴かないらしい。仕方なく雅とマイクルで死体を運ぶ、乗客の横を通るのは避けたかったが仕方がない。 それよりもベネットの怪しさは増した、政府関係者ではないというルーカスの言葉は信じてもいいだろう。 貨物室の扉などは機長の命令で頑丈に塞がれた。しかし中に入るためにはこの扉を開ける必要がある。とりあえずロックをはずし開ける。 「よし入れよう…おい…雅…」 「はい?…え…そんな…」
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