約 442,125 件
https://w.atwiki.jp/fvstreamergta5/pages/340.html
プロフィール 名前 水面(みなおもて) ヒロ(ひろ) 出身地 日本 誕生日 1992年7月4日(31歳) 転入日 2024年2月11日(0年3日間) 職業 メカニック(MAX勤務) プレイヤー カラメソ・カラメン 告知等 X(旧Twitter) 配信場所 twitch + 目次を開く 閉じる プロフィール 基本情報 人間関係印象表 所有車両 エピソード ア-カイブ 基本情報 過去情報 生い立ち 父 ヤクザ(ヒロが12歳の時に死亡。44歳で亡くなる) 母 一般人(病弱、持病持ち、質素な生活を好む。65歳) + ※ネタバレ注意 開く 閉じる ヒロ12歳のある日、両親が二人きりで出かけている時に父が襲撃される。襲撃者は、知らぬ間に敵対ギャングに寝返っていた父の舎弟であった。 舎弟の姿に油断した父は、そのまま銃撃されあっけなく死亡。狙いは父のみで、母に危害は及ばなかった。 このことにより、ギャングや義理人情を知らない人間に対して嫌悪感を抱いている。 また警察や司法に対しては、父死亡の時の対応により不信感を持っている。 子どもながらに、警察の捜査がおざなりに感じたこと(ヤクザとギャングによる事件だったからか)と、元舎弟やギャングが負った刑罰がそこまで重くないものと感じたことに起因する。 今現在は、ギャングや警察の振る舞いに影響するような、司法とは別の力が必要なのではないかという考えを持っている。 街に来るまでの経緯 色々な国や街を日雇い労働をしながら放浪していて、偶然この街に流れ着いた + ※ネタバレ注意 開く 閉じる 父の死は深く心に残っているが、少年期の記憶、そして現場で直に父の死を見たわけではなかったのが幸いし、表に出るような大きなトラウマは残らなかった。よって、人とのコミュニケーションは普通にできるし、ごく普通の生活をしてきた。 しかし、自身では気づいていないが、深層心理では人を心から信用することができない精神状態になっている。 そのため、今まで友人は一人もおらず、職についても数日と続けられない日々を過ごしてきた。自分では、性格として「飽き性」なのだと思っている。 長い年月、病弱な母と共に暮らし、自分の分の生活費などのために日雇いなどの仕事をしながら生活を続けてきた。(父の残した遺産により、母一人であれば母の寿命までは恐らく医療費、生活費に困ることはない状況となっている) そんなある日、ヒロの生き様・様子を心配した病弱な母から、突然家を追い出された。 その時手元にあったお金を使いながら色々な国や街を放浪し、日雇い労働をしつつ流れに流れ、この街(ロスサントス)に流れ着いた。 性格 義理人情を重んじ、逆に軽薄な者に対しては不信感や嫌悪感を持つ 人間関係 印象表 yyyy/mm/dd 印象 yyyy/mm/dd 【好敵手】 【好印象】 【期待】 【対立】 【胸熱】 【最推し】 【覚醒期待】 【苦手】 【信頼】 【不安】 【厄介】 所有車両 - 開く 閉じる エピソード - Day.1~ Day.1~ 2/11 水面ヒロ 1日目 - 開く 越してきたアパートで起床。さっそく街に繰り出し、食料と飲料、足を探そうとしたところ、可愛いおると出会い、行動を共にすることとなる 安車でもいいのでとにかく移動手段をということで車を購入。また車を購入したディーラーで接客してくれたハン・ローから、メカニックであることを聞き、体験でもいいからメカニックをやらせてくれないかと頼み込み、ハン・ローから社長に話してみると約束をもらう。 その後、建築バイト中にハン・ローから連絡があり、ハン・ローの勤めるメカニックの社長が話をすると言っていると伝えられる。 建築バイト後、色々ありながらも急いで7231番地のMAXというメカニックに駆けつけ、社長・天海優と会い、無事にメカニックに就くこととなった。 2/12 メカニック研修か? 2日目 - 開く 友人の可愛いおるにメカニックに就いたことを報告し祝ってもらう。 MAXにてカスタマイズのやり方を学ぶ。また高級車ディーラーにて目標とする車のカタログを眺めて、モチベーションを高めていくのであった。 パン屋にて、八乃木ニキから「折り紙うん⭕️💩」を貰う。とりあえずポケットの奥底にしまい込む。 2/13 どうやって金貯める?3日目 - 開く (衛星なし)ダウジングを行い想像以上の収入に驚く メカニックの出勤中のための服としてツナギを買いに行く。その際、不知瑠衣と四宮豊にお世話になる。 メカニック仲間から、レースについて教えてもらう。その後、中野カズの車の助手席に乗り、レースを体験。新たな目標を得る。 ア-カイブ - Day.1~ Day.1~ 配信日 day 配信タイトル 2/11 1日目 水面ヒロ 1日目 https //www.twitch.tv/videos/2059694729 2/12 2日目 メカニック研修か? 2日目 https //www.twitch.tv/videos/2060604814 🔝ページTOPへ
https://w.atwiki.jp/reflec_beat/pages/1775.html
ギミチョコ!! BASIC MEDIUM HARD SPECIAL Level 4 6 9 10 Objects 123 203 337 560 BPM 220 TIME - Artist BABYMETAL Version VOLZZA2 動画 攻略 名前 コメント ※攻略の際は、文頭に[BASIC] [MEDIUM] [HARD] [SPECIAL] のいずれかを置くと、どの譜面に関する情報かが分かりやすいです。 コメント(感想など) 名前 コメント ↑攻略と無関係の曲に対するコメントはこちらでお願いします。あまりにもかけ離れた内容は削除される場合があります。
https://w.atwiki.jp/yuriharuhi/pages/44.html
「そういえば有希の誕生日っていつなの?」 いつものように集まった喫茶店の席で、思い出したような顔でハルヒが聞いた。 長門は手元の分厚い本から目線を上げ、不思議そうな表情で団員それぞれの顔を見たあと、 ハルヒを見つめて固まってしまった。 「どうしたんだ?突然」 「やっぱり団長たるもの団員の誕生日くらいは祝ってあげないとね」 ハルヒは有難がれとばかりに胸を張っている。 俺の誕生日は知らんくせに。 「で、いつなの?過ぎてからではお祝いのしようもないからね」 続けられた質問に、長門はきょとんとした無表情のまま俺のほうに顔を向ける。 「どうすれば」と言わんばかりに。 そう言われてみると、長門の誕生日はいつになるのだろう。 厳密に言えば3年前の情報フレアとやらの日なんだろうが、それじゃこいつは3歳ということになってしまうしな。 まぁ誕生日なんて調べてわかるもんでもないだろう。 適当に決めちまえばいいさ。 ながとだから7月10日とかね。 産まれた日がいつかなんてハルヒも気にしやしないさ。 そんな風に考えながら笑顔を向けてやると、長門はわかったとばかりに数ミリだけうなずいて、ハルヒに向かって 「今日」 と告げた。 おいおい、お前の誕生日が何月何日でも誰も迷惑しないが、今日ってのはないだろ。 突然すぎるぞ。 しかし、言ってしまってはもう遅い。 ハルヒはテーブルに勢いよく手をついて立ち上がると、 「何で言わなかったのよ!?有希?」 店内に響き渡る声でツバを飛ばしながら叫んだ。 朝比奈さんまで 「そうですよー」 なんて言って困った顔をしている。 あなたは気付いてください。 それは長門が今設定した誕生日ですよ。 古泉は古泉で、 「プレゼントを用意していませんね」 などと肩をすくめて微笑んだ。 お前は芝居がかりすぎだ。 「そうよ!プレゼント!準備してないじゃない!」 ハルヒは立ったまま続け、 「有希、今欲しいものある?」 テーブル越しに、こればっかりは優しい口調で問いかけた。 「今日は有希の誕生パーティに変更するわ!さぁ、なんでも好きなものを言っていいのよ」 長門はやっぱり無表情のまま…それでも考えるような仕草をわずかに見せて、 「遠慮することないのよ」 と微笑みかけるハルヒの胸のあたりに視線を止めた。 「え?何?」 俺も興味があった。 ハルヒを見つめる長門が、何を欲しいと言い出すのか。 真っ黒な瞳が少しだけ動き、「いいのか?」と問うようにハルヒの顔を見上げて、 「洋服」 「…服?」 長門が見ていたのはハルヒの体ではなく、着ている布のほうだった。 「いいわ!有希、思いっきり可愛いの選んであげる!」 ハルヒは、先ほど驚いたときと同じ様に机を叩いて立ち上がり 長門の好みを問いただし始めたが、長門の視線はハルヒの胸あたりに固定されたまま動かない。 何かを言いそびれたように、俺には見えた。 「涼宮さん」 長門の表情を読もうとしている俺の向かい側に座っていた古泉が口をはさむ。 皆の顔が自分のほうに向くまでゆっくりと間をつくってから 「僕が思うに、長門さんは今涼宮さんが来ているそのカーディガンが欲しいのではないでしょうか。違いますか?」 微笑みたっぷりで妙なことを言いやがった。 確かに、長門の視線はそこに止まっていると言えなくもないが… 「そうなのか?長門」 重金属みたいな瞳がゆっくりとこちらを向いた。 「そう」 わずかに顎を引く。 「許されるなら」 そう言ってその瞳は、俺から視線をはずしてハルヒを見上げた。 その時俺は真っ白い能面みたいな無表情の中に、 小動物が抱いてくれと懇願するときの様な、そんな雰囲気を感じとった。 「そりゃいいけど…。お古でいいの?サイズもちょっと大きいかもよ」 若干照れながらハルヒは着ていたカーディガンを脱ぎ、顔の横で示すように広げた。 長門はそれを肩から先だけ動かして受けとると、確かめるように胸に抱き締めた。 「あなたが着ていたという事実が大切」 横で朝比奈さんが顔を真っ赤にして口元を押さえている。 俺も少し赤くなっていたかも知れないが…。 誰より赤面していたのは、他でもない、ハルヒだった。 次の週末、いつもの駅前には珍しく私服の長門がいた。 少し大きめの白いカーディガンの袖口から、生地よりもっと白い指先だけが見えている。
https://w.atwiki.jp/frmadao/pages/121.html
名前・ヒロ 職業・一介の世捨て人 FRMA。会員ではありません。 小説ぐらいしか出番がない人。 ゲーム好き。ポケモン厨でありモンハン厨でもある。 好きな三大マンガはジョジョ、ドラゴンボール、スラムダンク(?)である。 ノエタオルの兄。 一回M県に帰ってきてノエのPCを借りたとき FRMAのBBSを目撃。ノエはあとで弄られた。 今思うと最低なヤツである。 なのに憎めないヤツ。フシギ!!! 20代に入って車を運転できる。事故起こすなよ。 彼女いない暦=年齢。 男との友情は固い。友達わっふる。 コタツを囲んで麻雀をする仲。
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/6555.html
Ⅰ ドカドカドカ、と鈍器で頭でも殴られたんじゃないかと疑問に思ってしまうような擬音と共に分厚い本を目の前に置かれてから2日経った頃、俺は早くも心に土嚢でも負ったかのように挫折しかけていた。1週間でノルマ5冊。これは読書が好きな人でも結構キツいんじゃなかろうか。 「よりによって哲学‥‥」 俺はいよいよブラック企業に務めたかのような感覚に押し入られてしまった。 ハルヒ曰く、 「SOS団たる者、多少の本を読んで常に知的な人材である必要があるのよ!」 「本を読んでいるイコール頭良いなんていう安直な考えは止めた方がいいぞハルヒ」 「皆、異論はある? あるなら読書大会が終わった後原稿用紙10枚分みっちり書いてきたなら、見てやらないことはないわよ」 俺の言葉は遠回しすぎたのか、異論としては認められなかった。いや、仮にボウリング玉がピンと接触するぐらいの近さでの言葉を言ったってハルヒの奴は耳をきっと傾けない。要するに知的云々は置いといて、長門のように本が読みたかったのだろう。ただ自分1人で読むのは嫌だから、SOS団を巻き込んだわけだ。長門はなんとなく嬉しそうに見えた気がするが。 そして、まさかの分野別である。何でもかんでも5冊読めばいいとなると、俺は市立図書館にある絵本やら雑誌やらで済ましてしまうとハルヒは先に睨んだようだ。どうしてそんなことばかりに気がついて宇宙人や超能力者は未来人に気づかないのか。全くもって不服だ。 「さあ、1本引くのよ!」 SOS団の市内探索の時のように、ハルヒはどこからか爪楊枝を取り出し、俺達に1本ずつ引かせた。爪楊枝な先には文字が書いてあったが、‥‥というよりなんて器用な奴だ‥‥はさておき、字を書いたのはご立派だがハルヒ、 「なんて書いてあるんだ、これ」 「おや、僕はエッセイですか」 「あ、‥‥私は小説のようです」 「‥‥‥‥‥」 「何よ、キョン。あんたまさか日本語を読めないわけ?」 いや、というより他の奴らの視力が可笑しいんじゃないか。油性のインクが滲んでて全く読めない。何故に爪楊枝に書いたんだハルヒ。 「貸しなさいよ、もう! 哲学って書いてあるじゃないの」 お前それ適当に言ってないだろうな。 「あたしが医学だから、有希は科学ね。じゃあ各自1週間の内に5冊読むこと。いいわね!ちゃんと感想文書くのよ。凄かった、の一言で終わるものなら、‥‥‥」 「‥‥‥終わるものなら?」 ニヤリ、と笑ったハルヒの顔に俺は初めて背中にゾクゾクとする恐怖を感じた。駄目だこいつ。罰金以上の何かえげつないことをするに違いない。私達が笑うまで一発芸よ、かもしれない。 そして、そんなこんなで現在に至るわけだ。医学に当たらなかっただけマシと言えるが、にしても哲学‥‥。俺はページを捲るも、圧倒的文字数と量、その威圧感に早くも今日の夕飯が口や鼻のような穴という穴から出そうになった。これはまずい‥‥。 異変でもないので長門に頼むわけにはいかず、かといって本をほったらかしにするわけにもいかない。 「勘弁してくれ‥‥‥」 ついつい独り言が出てしまうが、こればっかりは本当に参った。まるで身を隠す草原もなければ助けてくれる仲間もいない、数えきれないライオンに囲まれたシマウマのような心境だ。 俺はトイレ休憩風呂タイム挟む2時間の中で本と向き合ったが、進んだのは5ページほどだった。 ‥‥なんか変だな、と思ったのは朝登校してから数分経った後だ。いつもならハルヒがぎゃあぎゃあと耳もとで叫び、ハイテンションで 「キョン、読書はちゃんと進んでるでしょうね!?」 と聞いてきそうなものだが、今回は何も言ってこない。どうしたもんかと後ろを振り向くと、窓の外をボケーと見つめる、いかにも日向ぼっこをするお爺さんのような光景が見てとれた。いや、ハルヒの場合ならお婆さんか。 「どうした。本を読みすぎて夜更かしでもしたか?」 「‥‥‥うるさいわね」 どうやら虫の居所が悪いらしい。俺はそうですかと曖昧な返事をしておいて、大人しく前を向いておくことにした。久しぶりに機関が働くかもしれない時に、あまり刺激しておかない方がいいと思ったのだ。言っておくが、古泉のことではない。新川さんや森さん、多丸さんに夏にお世話になったから、そう思っただけのことだ。 しかし気になることがある。 目の下にクマを作ってる奴が、どうして今寝ない? ハルヒは授業中お構いなしに昼寝してることなんてしょっちゅうだし、それで教師に起こされて俺にやつ当たりするのだからほとほと迷惑をしている。しかしどうだろうか。そのハルヒが眠いのを我慢して窓の外を見ているのだ。何か面白いものがあるのかと俺も見たが、そこにはいつもと変わらない空と風景があるだけだった。 「‥‥‥変ですね。閉鎖空間は発生しておりませんし、涼宮さんともあろう方が自分の体の健康管理を出来ていないなんて。それなら僕達機関の方に何かしら報告されているはずですが‥」 「あのな、ハルヒだって女子高生なんだろ。夜更かしの1つや2つ、ましてや今は本を読んでるんだ。読んでて時間をつい忘れちゃったーなんてこと、あってもおかしくないんじゃないか」 「涼宮さんが小説を読んでいるのならまだ分かりますが、医学です。体にどのようなことをしたら害が出るかが乗っている本で、それはないと思います。第一イライラしたのなら僕達が真っ先に分かるはずなんです。夢の内容によってでさえ閉鎖空間を出す彼女ですから」 「…つまり、ハルヒは正常なのか?」 「健康そのもの、のはずです」 驚いたことに。 放課後にはきっといないだろうと踏んだのにもかかわらず、笑顔を誰かれ構わず振り撒く詐欺師のような高校生は独りで詰め将棋ならぬ詰めチェスをやっていた。閉鎖空間はどうした、と聞けば 「なんのことでしょう?」 と聞き返してきたのだ。きっとハルヒの鬱憤に付き合わされているに違いないと思ったのに、見当違いにもハルヒは健康そのものだという。しかしどの角度から見たって、ハルヒの目の下にはクマがある。 「真後ろから見たら頭しか見えませんよ」 黙れ古泉。そういう意味で言ったんじゃない。 ともかく、俺はまた何か嫌な予感がしてたまらなくなった。次はなんだ。巨大カマドウマの後なんだから秋らしくコオロギか? 「大丈夫ですよ。前にも言いましたが、此処は力が攻めぎ合いとっくに異空間化していますから。害のある者は立ち入れません」 「‥‥‥異空間の真っ只中にいるとは信じられない光景なんだがな」 肝心のハルヒはどこかへ行っているらしく、朝比奈さんは今日はメイド姿のまま小説に没頭、長門はいつも通り窓際の椅子に腰かけて読書。古泉はチェス盤を片付けはじめ、将棋盤の準備をする。はさみ将棋を俺とするようだ。 「古泉、お前本の方はどうだ?」 古泉はふう、とわざとらしく溜め息をつきながら 「それがまだ2冊目に入ったばかりで」 なんて嫌味を言いやがった。俺と代われ、俺と。 「そうはいきませんよ。涼宮さんは、貴方に哲学を読んで欲しいから貴方は哲学と書いてある爪楊枝を取ったのです。それを僕と代わってしまったら、それこそ閉鎖空間発生の種ですよ」 「サルトル、ソクラテス、カント‥‥キリストの教えなんてなんの役に立つ? なんで俺と一番無縁な哲学を持ってきたんだ、ハルヒは」 「貴方がノーと言えない日本人だからですよ」 イエスだけにか、と突っ込むと思ったら大間違いだぞ古泉。お前はどや顔をしているが、ちっとも上手くない。 「‥‥‥ハルヒは」 「お待たせぇー‥」 俺が古泉に口を開きかけた時、ドアがゆっくりと開いてハルヒが入ってきた。先日までの元気は宇宙の果てでさ迷っているのか、目にしたハルヒはやはりどことなく弱っていた。 古泉の目つきが少しだけ変わる。 「‥‥あっ、お茶を用意しますね」 ハルヒの存在に気付いた朝比奈さんは、可憐な姿のまま急須の元へ。ハルヒは何も言わず、ただ1冊の分厚い本を抱えてパソコンの前に座った。 長門も少し顔を上げて、ハルヒの状態を観察‥‥いや、分析しているようだ。ハルヒはそれに気付かず、パソコンの電源もつけずに本をパラパラと捲った。 「‥‥ハルヒ、朝から元気ないじゃないか。まさか2日間かけて4冊読んだときじゃないだろうな」 「うるさいわね‥‥アンタはちゃんと読んでるの? 感想文出さなかったら、死刑だからね」 感想文を出さなかったら死刑という法律が出来れば、日本人の9割は恐らく日本海に沈められるだろう‥‥‥じゃなくて。 人がせっかく心配したのにこの態度だ。俺がハルヒを心配するなんてまずないことなんだがな。その物珍しい出来事を自ら蹴り飛ばすとはね。わかった、もう心配しねーよ。 「‥‥‥‥」 「‥‥‥‥」 「涼宮さん、お茶です」 「ありがとう、みくるちゃん」 ズズズとハルヒがお茶をすする音以外何も存在しないかのように思える空間。古泉は何故だかマジな表情でハルヒを見ているし、長門も相変わらずだ。 朝比奈さんは古泉と長門の様子に戸惑っているらしい。そんな朝比奈さんの姿はとっても可愛い。が、いつまでも見ているのも失礼だ。 古泉は何事もなかったかのように盤上をいじりだし、俺もようやく朝比奈さんから目を離してはさみ将棋をし始めた。 後でまた4人で集まるのだろうかと思考しながら古泉を7連敗させた後、長門のパタンと本を閉じる音でSOS団の活動は終わった。これではまるで文芸部だ、っとまだここは文芸部室だったな。 帰り道にそっと古泉に今日集まるのかどうかを聞いたが、 「もう1日様子を見ましょう。長門さんも何も言わないことですし」 と、どうやら何も面倒事なく今日1日は無事終了するようだ。しかし俺は家で積んである哲学書5冊の事を思い出し、平穏な日常などまずこの1週間の内はあり得ないなと頭を悩ませることになったのは言うまでもない。 そして結局本を1ページも読まずに登校した翌日、ハルヒの体調はさらに悪化していた。クマは濃くなり、明らかに一睡もしてないのが目に見えて分かる。 「ハルヒ、本に夢中になるのも良いけどな、それで体壊したらアホみたいだぞ。知的な人材を揃えるためにやってるんじゃなかったのか?」 「‥‥‥‥」 昨日の不機嫌な反応より、 「うっさいわねバカキョン! あんたにそんなことを言われる筋合いないわよこのエロキョン!!」 とでも言ってくるものかと思っていたら、まさかのダンマリだ。これはいよいよ本当に不味いような気がしてきた。 あのハルヒがこんなに萎れてるとは、リアルインディペンデンス・デイが勃発するくらい信じられないことだ。ここには宇宙人もいるし、ハルヒの感情次第で世界が滅びるやら何やら言われているがもちろんそういう意味じゃない。サイコロが10連続1が出るような確率のようなもんだということだ。 「涼宮さんがそう望めば、サイコロで連続1が出ることも可能ですよ」 と古泉なら言いそうだ。 「ねえ、キョン‥‥‥」 返事を返さないもんだからまた無視されたものかと見なしていたら、ハルヒは窓の外を昨日と同じように頬杖つきながら目を向けていた。一体どうしたというんだ。 「なんだ」 「‥‥前に、自分がいかにちっぽけな存在かを話したじゃない?」 あれはお前が勝手に話したんだがな‥‥ってちょっと待て。お前が読んでたのは哲学じゃなくて医学の本だったろ。なんでそんな断食など意味がないと気づいてしまった、悟りの領域を越したムハンマドみたいなことを言いだすんだ。 「人ってさ、自分の中にさらに他の自分がいるとしたら、人の数なんていうのは、本当はもっと多いのよね‥‥‥」 何を言い出すんだハルヒ。 「そのたくさんある中の1つがさ‥‥‥その人物の人柄と見なされて表に出てくるのよね‥‥‥。でも、せっかく出てこれたその1人も‥‥本当は世界と比べたらちっぽけな存在で‥‥‥」 「一体なんの本を読んだのかまるで分からないがな、ハルヒ。今日はもう寝ろ。俺が許す」 「‥‥‥‥‥」 睡眠不足のせいか、しっかりと思考が働いてないようであるハルヒは、またもやせっかくの俺の気配りを無下にした。確かに俺に昼寝を許可出来るなんていう夢のような権限はないけどな。 そしてこの日もハルヒは、午前午後の授業をボーと過ごした。 「涼宮さんがそうまでして寝ないのは、一体何故なんでしょう‥‥」 朝比奈さんがそう呟いて答える者が誰1人いない部室内で、古泉はお手上げとばかりわざとらしく両手を上げて 「長門さんの方はどうです? 情報統合思念体は、何か言っておられますか?」 と、やはりこいつも最後の頼みの綱にかける他なかったようだ。しかしその長門でさえも 「情報総合思念体からは何も報告を受けていない。でも私から推察するに、涼宮ハルヒは本来年齢約15~18歳までに必要とされている最低睡眠量の内、14時間22分17秒が不足している。原因は彼女が読んでいる医学本‘人格と精神’の熟読。でも、何故彼女が睡眠を一定以上の我慢を強いているかは不明」 と、古泉のようにスタイリッシュアクションで示さないものの、どうやらダメらしい。 「なんでハルヒはそんな本に夢中なんだ?」 「5日前の午後7時02分から放送した‘精神の病’のプログラムの中にあった、多重人格についての内容がさらに詳しく現在彼女が読んでいる本に記載しているというのが、最も考えられる動機。でも彼女が何故異常なまでにそれに固執するのかまでが、不明」 「‥‥そりゃ、なんでだ」 「彼女の記憶をこれ以上読もうとすると、彼女の意思とは関係ないプロテクトが自動的に展開される。根本的な理由というものがその先にある。でも私の今のクッキング能力ではここまでが限界。これ以上は涼宮ハルヒの精神になんらかの異常を脅かす危険性がある。だから私にはこれ以上のことは不明」 つまりだ。2度目だが長門にも無理だということだ。 となれば話は1つだ。 「ハルヒ、なんでそんな本にえらくこだわるんだ?」 「‥‥‥‥‥」 ハルヒ本人が弱々しい状態でなんとかやっと来てから、作戦1として、完璧なおかつ完全、本人に直接聞くという方法が我がSOS団団員その1、2、3、副団長で決定されて実行されたが、あえなく敗退した。どうやらハルヒがこの本‘人格と精神’を読み続ける理由は、応募者100名様限定超プレミアム完全真空パックの切り取り線つき袋閉じ、なくらい秘密らしい。しかしそんなハルヒも、この本と格闘するのが疲れたのか、はたまた単なる睡眠不足なのか、キーボードに突っ伏す形で寝息を立てて寝始めた。また下校時刻まで時間はあるし、暫く寝かせておくのもいいだろう。 その間に 「長門、その本に何が書かれてるのか読んでみてくれないか」 「了解」 ハルヒの顔のすぐ隣にある‘人格と精神’を長門がパッと取ると、世界速読王でさえびっくりするような、新幹線のぞみ級の速さで長門はページを捲っていった。いつも読んでる速度はなんなんだ一体。本を読む速さをさらに鍛えるためにかなりの制限をつけているとしか思えん。 「‥‥‥‥‥」 長門は静かに、元あったように本をハルヒの隣に置いた。結局、ハルヒを虜にするような内容とはなんだったのか。 「この本に、涼宮ハルヒに過度な依存をさせる内容はない」 「なんだと」 「念のため、人体寄生タイプのウイルスが仕組まれているかを確認した。でもそのような物が仕組まれた跡も発動した形跡もない」 そりゃそんな寄生虫みたいなものが図書館の本にあったら大変なことだろう。しかし、どうしようか。これでまた謎が深まってしまった。 「ちょっと失礼します」 古泉がガタリとパイプ椅子から立ち上がり、微笑みフェイスのままハルヒの方へて歩み寄り、その本へと手を差し伸ばした。やめとけ、俺はまだ見てもいないがお前じゃ出来ないと思うぞ。 「もしかしたら、ですけれど‥‥‥」 パラパラと捲り、斜め読みをしていく超能力者は、大体半分辺りまでいった辺りで長門の方へと振り向いた。 「長門さん、この本に暗号が混ざっているという可能性はないでしょうか?」Ⅰ 暗号? 「よくあること、というわけではないのですが、こういった本の作者が茶目っ気を入れ混ぜて、暗号を隠しているということです。つまり、涼宮さんはどうやってかこの本に暗号があることを知り、それを解くために夜更かしをしているわけです。寝たら負ける、というルールのもとで」 なんだその訳の分からん推理は。確かによくサウナとかで、一番最後まで出ないなんていった特に景品がもらえるわけでもない独り我慢大会を起こしている人がいるが、それとこれを結びつけるのはさすがに無理があるぞ古泉。第一今回不思議がっているのは、こんなに睡眠不足でイライラが貯まっているはずなのに閉鎖空間が出ないってとこにあるんじゃないのか。暗号解けなかったら余計イライラが貯まって、大規模な閉鎖空間が発生するんじゃないのか? 「それもそうですね。でしゃばって申し訳ない」 そうだ、古泉。お前はもう出てこなくていいぞ。 「涼宮さん、このままだと風邪ひいちゃいますね‥‥」 そう言いながら、朝比奈さんはコスプレ衣装のとこから上着のようなものを取り出し、ハルヒの背中にかけてやった。朝比奈さんのこんな姿を見たら、マザーテレサ、更には天使でさえ感涙するだろう。 「朝比奈さんは、どう思いますか?」 「‥‥‥涼宮さんの身近に、誰かそういった症状を抱えておられる方がいるんじゃないんでしょうか?」 「ハルヒの周りに、ですか?」 「はい」 朝比奈さんは、今頃ノンレム睡眠に入っているだろうハルヒを見てから、優しく微笑んだ。 「涼宮さん、優しいですから」 そりゃ貴方のことですよ、朝比奈さん。 「確かに、涼宮さんともなると、一度決めたことは意地でもやり通すのもプロ級ですからね。身近にいる生徒‥‥あるいは近所の子供か、涼宮さんがどうしても助けたいと思える人がすぐそばにいるのなら、そして尚且つかかっている病気が精神病ならば、この一連の行動に説明がある程度つきます。しかしですね」 朝比奈さんの言いたいことはもちろんわかる、が癪なことに古泉の言わんとすることも分かる。 「それならば、読書大会なるものを開かずに、自分で勝手に読み始めてしまう可能性の方が高いと言えます」 「涼宮さんが、読書大会を決めた後にそのような人がいたと気づいたとは、考えられませんか?」 「涼宮さんがこの本に興味を持ったのは、5日前に見たテレビが原因でしたよね、長門さん?」 「そう」 「となれば、彼女はテレビで多重人格というものに興味を持ち、そして読書大会を開き、たまたま自分が読みたかった医学の本が回ってきた‥‥‥そしてタイミングを見計らったようにそういった病を持つ人が現れた。これはつまり、涼宮さんがそれを望んだということになります」 ハルヒには願望を実現させる能力があるらしい。だから今古泉が言ったように、自分がその症状を解決、または分析したいがために今の状況を作り出したということになってしまう。偶然、の一言で片づけてしまうならばそれまでだが、それは少し考えにくい。 つまり、ハルヒは私利私欲のために誰かが病気になることを望んだということになる。いくらハルヒが無自覚の能力とはいえ、さすがにそんなことを願ったりはしないだろう。そうだろ。ハルヒ? 「だがな、古泉。ハルヒの能力関係なしに、本当にそういった偶然があるかもしれない。その線を探る必要もあるんじゃないのか?」 「もちろんです。機関の方に、最近涼宮さんと接触した者の中で、そういった心の病を抱えておられる方がいるかどうかを当たってくれるように申請しておきます。それと、どうして閉鎖空間が発生しないのか‥もね」 そこまで話したところでハルヒがうーんと唸りながら寝返りをうったので、この話はお開きとなった。しかし、長門でさえ原員不明とはな‥‥‥。 だがさっきまで信じられないスピードで本を捲っていたのに、今はまたいつものスピードでペラペラと本を読んでいる宇宙人も、冷めてしまったお茶をまた温めている未来人も、珍しくボード盤を開かずに誰かのエッセイを読んでいる超能力者、そしてこの俺も。今までやっていた隠れミーティングが無駄だったんじゃないかと思うのは、ハルヒが下校時刻5分前に起きてからだった。 「あっー!!もうこんな時間じゃないのよ! どうして誰も起こしてくれないのっ!」 起きてから第一声がこれだ。だが、さっきに比べて随分元気そうに見える。それを見計らったかのように長門は本をパタンと閉じ、帰り支度をし始めた。俺は結局、この時間の間、宿題をして時間を過ごした結果となったわけだ。哲学書は家にあるしな。 「もう! 次からはちゃんと起こしなさいよキョン。ふぁあ‥‥‥あー、でもよく寝たわ」 背伸びを存分にしてから、ハルヒも‘人格と精神’を鞄の中にしまい、鍵を持って部屋を出た。どうせその鍵は俺が返すはめになるんだろうがな。 と、思った矢先だ。 「あたし、鍵返してくるから皆先帰ってていいわよ」 信じられない発言がハルヒの口から飛び出したことを俺は確認した。睡眠をし終えたばかりで気分が絶好調なのか、あるいはまだ寝ぼけているのかどうかを疑うような状態じゃないか。ハルヒ、お前家に帰ってからもっかい寝た方がいいぞ。 ‥‥‥と言うわけもなく、俺はハルヒの好意に甘えることにした。自ら面倒くさいことを進んでやるハルヒなんて、珍しいことこの上ないからな。 「では、お先に失礼します」 「あ‥‥あたし待ちますよ」 「いいのみくるちゃん。ちょっと用事もあるしね。先行ってて。すぐ追いつくから」 ハルヒがこう言ってるんだ。朝比奈さん、先に行きましょう。 「で‥‥でも」 朝比奈さんがそう戸惑っている間に、ハルヒは駆けてくように職員室へと向かって行った。ここに置いてある鞄はどうやら俺が運ぶはめになるらしい。 「‥‥‥‥‥」 「どうした長門。科学の本をまだ5冊読み終えてないのか?」 長門の沈黙具合がいつもと違ったように感じたので、そう声かけてみたが 「今25冊目」 と、1日8冊読んでもそんなにも読めないペースで読んでいるらしいということだけが分かった。長門の無機質な声にも最近変化が感じとれるようになってきたと感じた俺だったが、しかし今の返答を見るとまだまだ俺は長門の心情をちゃんと察しているわけではないんだなと改めて分かる。長門は苦労しても顔に出さないから、知らず知らずの内に負担をかけてないといいが‥‥‥。 朝比奈さん、古泉や長門とも別れ、それでもハルヒが来ないので、俺は踏切前で重い鞄を持ちながら待つことにした。ハルヒの奴、いつもこんな重い鞄持ってるのか。ここ最近たまたま‘人格と精神’が入っているせいかもしれないが、にしてもこんな鞄を持ってよくあんな細い腕でいられるな。草野球の時だって、あいつだけは長門の力を借りずにパコンパコンとヒット打ってたしな。どこからそんな力を蓄えているのやら‥‥。 そんなことを暗くなっていく空を眺めながらボーっと考えていると、ようやくにしてハルヒが姿を現した。一体何の用事だったんだ。 「貸しなさいよ」 鞄を俺からひったくり、そのまま何事もなかったようにハルヒは帰っていく。お前、そこはありがとうだろ。 「なーんてね、ウソウソ。」 ハルヒは振り返りながら俺の顔を直視し、 「ありがと、キョン」 と言って走り去って行った。 ‥‥‥‥‥。 「えっ?」 ハルヒの睡眠不足がもうすでに精神を相当脅かしているんじゃないかと疑ったのは、まさにこの瞬間だった。 →涼宮ハルヒの分身 Ⅱへ
https://w.atwiki.jp/jibunno/pages/338.html
ヒロシ 【ゆーくりパニック 調教ダイアリー】【Rolling Star(同人)】(2008-04-18) 自分の名前を呼んでくれるエロゲを探せPart12 450 名前:名無したちの午後 :2008/05/16(金) 21 18 45 ID 4xuK2R8/0 ※以下、簡易報告(全て同人) 【ゆーくりパニック 調教ダイアリー】 [Rolling Star] 主人公 浩史(ひろし) 島田京子(CV:日向野はな) 「浩史さん」 島田蝶子(CV:渡会ななせ) 「浩史」 全国の「コウサク」さん&「リョウヘイ」さん&「ヒロシ」さんオメデトンヽ(´ー`)ノ 【かんなび -神奈備-】【SUNLITE】(2007-10-19) 自分の名前を呼んでくれるエロゲを探せPart11 466 名前:名無したちの午後 :2007/12/09(日) 23 25 04 ID Y+iEGGCj0 んじゃ、俺も複数主人公のゲームを報告。 【Sunlite】 【かんなび-神奈備-】 智也編主人公 八州 智也(やしま ともなり) メイ (CV:榊原 ゆい) 「智也」「ともたん」 初瀬小夜子(CV:かわしま りの) 「智くん」 八州千鶴 (CV:草柳 順子) 「お兄ちゃん」 角谷巌雄 (CV:滝沢アツヤ) 「智也君」 秋山博史 (CV:真田雪人) 「智兄」 八州守興 (CV:馬並 硬太) 「智也」 巌雄編主人公 角谷 巌雄(すみたに いわお) メイ (CV:榊原 ゆい) 「巌雄」「いわたん」 初瀬小夜子(CV:かわしま りの)「角谷さん」 八州千鶴 (CV:草柳 順子) 「角谷さん」 八州智也 (CV:竹田彬夫) 「角谷さん」 秋山博史 (CV:真田雪人) 「師匠」 八州守興 (CV:馬並 硬太) 「角谷」「巌雄」 柳田冴子 (CV:南見ちはる) 「角谷さん」 初瀬瑞穂 (CV:山内花梨) 「角谷くん」 初瀬彰 (CV:小次郎) 「角谷」 博史編主人公 秋山 博史(あきやま ひろし) メイ (CV:榊原 ゆい) 「ひろたん」 初瀬小夜子(CV:かわしま りの)「ひろくん」 八州智也 (CV:竹田彬夫) 「博史」 角谷巌雄 (CV:滝沢アツヤ) 「博史君」 智也編が実質本編。Hシーンは、智也編 メイ4つ・小夜子8つ。 巌雄編 メイ・小夜子・千鶴・冴子で各1つずつ。博史編 小夜子5つ(妄想)。 全国の「トモナリ」さん&「スミタニ」さん&「イワオ」さん&「ヒロシ」さんオメデトンヽ(´ー`)ノ 【でふこん☆わん】【あんでる】(2005-11-18) 自分の名前を呼んでくれるエロゲを探せPart6 849 名前:名無したちの午後 :2006/02/09(木) 03 04 48 ID y/6VURXp0 【でふこん☆わん】【あんでる】 主人公 加藤 弘(カトウ ヒロシ) 変更不可 風鈴寺空 「大佐」 (他に「大佐どの」「加藤どの」「加藤弘どの」「弘どの(二回)」) 鋼島鉄子 「加藤君」 (後日談で「アナタ」「弘さん(一回)」、他に「加藤弘」「加藤弘君」) 火ノ上かがり 「加藤」 土屋 圭 「加藤様」→「弘さん」 (教師の時は「加藤君」、他に「加藤弘」「加藤弘様」) 水龍寺七海 「弘」 (稀に「加藤弘」「弘さん」「弘くん」) 全国の「カトウ」さん&「ヒロシ」さん、オメデトンヽ(´ー`)ノ 【人妻ネットオークション】【H+】(2005-06-24) 自分の名前を呼んでくれるエロゲを探せPart5 666 名前:名無したちの午後 :2005/07/19(火) 02 34 04 ID ch98i8AJ 【人妻ネットオークション】 【H+】 主人公 井上浩史(イノウエ ヒロシ) … 変更不可 新宮まひろ (CV:西田こむぎ) 「浩史さん」 「あなた」 「旦那様」 「ご主人様」 清水沙織 (CV:吉川華生) 「あなた」 井上マコト (CV:榎津まお) 「お兄ちゃん」 若野有紀 (CV:榎津まお) 「あなた」 「亮(リョウ)」←主人公じゃないけど 井上紅葉 (CV:かわしまりの) 「浩史さん」 「あなた」 南紀美沙 (CV:歌織) 「あなた」 「井上くん」(1回?) 白浜葵 (CV:桜川未央) 「先輩」 マリア (CV:桜川未央) 「浩史サマ」 「ご主人サマ」 真神さや (CV:西田こむぎ) なし 真神あや (CV:吉川華生) なし 亮君は有紀さんの息子さんです。 全国の「ヒロシ」さん&ちょこっと「リョウ」さん おめで㌧ヽ(´ー`)ノ 670 名前:666 :2005/07/19(火) 23 42 32 ID ch98i8AJ すいません。一番大切な”義理の”いう言葉が抜けていました。 亮君は前の奥さんとの子供で有紀さんとは血は繋がっていません。 主人公との3Pで出てきます。 ↓ここに詳しいことがありますんで ttp //www.hplus.jp/product/auction/chara.html あと亮君の声は、かわしまりのさんです。 【いもほり~お兄ちゃんの奮闘記!~】【TAKE OUT】(2004-03-26) 自分の名前を呼んでくれるエロゲを探せPart4 422 名前:名無したちの午後 :04/10/28 21 31 08 ID 3UbW86jd 【いもほり ~お兄ちゃんの奮闘記!~】 【TAKE OUT】 主人公 平良 浩志(タイラ ヒロシ) 名前変更不可 米倉奈美 (CV:彩世ゆう) 「浩志」「あなた」「お兄ちゃん」「浩志さん(一回)」 米倉静瑠 (CV:三咲里奈) 「お兄さま」「お兄ちゃん」「お兄さん」「あなた」 米倉恵瑠香 (CV:萌木唯) 「お兄さん」「お兄ちゃん」 米倉瑠璃 (CV:楠鈴音) 「お兄ちゃん」 米倉聡美 (CV:福元コヒロ) 「お兄ちゃん」「あなた」 ・下の名前で呼ばれる回数はあまり多くない、名字の方は皆無 ・ゲームメニューの「スキップ時に音声を読み込まない」はOFF推奨 音声つきの台詞が連続した時、2つめ以降の台詞を再生しなくなった 全国の「ヒロシ」さんオメデトンヽ(´ー`)ノ 【アネもネ】【PINE】(2003-05-02) 自分の名前を呼んでくれるエロゲを探せPart2 529 名前:名無したちの午後 :03/05/17 21 47 ID Mfcua0sU 【アネもネ】(PINE) 主人公の名前:神宮寺 弘士(じんぐうじ ひろし) 登場人物/呼ばれ方 ひとみ (長女)cv.朝霞 紫 ・・・ひろちゃん ふたば (次女)cv.榊原 ゆい ・・・ひろし みつき (三女)cv.新出 千晶 ・・・ひろちゃん しの (四女)cv.大花 どん ・・・ひろし いおな (五女)cv.秋月 まい ・・・ひろちゃん Pちゃん(六女)cv.三咲 ゆうか・・・ひろちゃん (但し、場面によって違う呼び方をされる事有り) 全国の「ヒロシ」さんオメデトンヽ(´ー`)ノ ・・・実は自分の本名が「ひろし」(字は違う)で、時々「ひろちゃん」とか呼ばれてるから、 プレイ中なんとなく小っ恥ずかしかったりする(w 【世界ノ全テ】【たまソフト】(2002-04-26) 自分の名前を呼んでくれるエロゲを探せ 29 名前:ヒロシ :02/08/04 23 11 ID dcNZ9Cs5 「真・瑠璃色の雪」と「世界ノ全テ」で名前呼ばれまくり (;´Д`)ハァハァしますた。 ヒロシとしてはこの2本は外せないね。 【Once More Again】【アイル】(2000-08-11) 自分の名前を呼んでくれるエロゲを探せPart5 433 名前:名無したちの午後 :2005/06/01(水) 02 16 18 ID JY/3kwJr 【Once more Again】 【アイル】 主人公 水沢 正幸(ミズサワ マサユキ) 名前変更可 あすか 「お客さん」 「神村君(一回)」 るり 「博士様」 水沢 奈未 「お兄ちゃん」 悠木 柚 「アンタ」 「コイツ」 「正幸」 「ソチ(一回)」 「正幸クン(一回)」 「正幸ちゃあ~ん」 悠木 いよか 「正幸ちゃん」 肥山 晶 「正幸」 「アンタ」 「お父さん(一回)」 「あなた(一回)」 宮下 ひかる 「マウザー」 「正幸」 「あなた」 「あなた達」 「猿」 「彼(一回)」 澤之木 優羽 「先輩」 「先輩様(一回)」 「あなた(一回)」 優子 「お兄ちゃん」 大槻 純子 「貴方」 「あなた」 「正幸君」 斎藤 部長「貴方(一回)」 園長先生 「正幸ちゃん」 あすかやるりに神村君や博士様と呼ばれるわけは、主人公が冒頭で風俗にいくためです。 それからこのゲームはデフォルトで名前変更しないで始めたときのみ、正幸と呼ばれます。 全国の「マサユキ」さん、ちょっとだけ「カミムラ」さん、「ヒロシ」さんオメデトンヽ(´ー`)ノ 【真・瑠璃色の雪 ~ふりむけば隣に~】【アイル】(2000-04-14) 自分の名前を呼んでくれるエロゲを探せ 29 名前:ヒロシ :02/08/04 23 11 ID dcNZ9Cs5 「真・瑠璃色の雪」と「世界ノ全テ」で名前呼ばれまくり (;´Д`)ハァハァしますた。 ヒロシとしてはこの2本は外せないね。 自分の名前を呼んでくれるエロゲを探せPart2 490 名前:名無したちの午後 :03/05/02 00 41 ID 5UBwEuPd ふつうの報告 真・瑠璃色の雪 園村双葉からマナベさんと呼ばれます。 【月光】【URAN】(1999-10-02) 自分の名前を呼んでくれるエロゲを探せ 656 名前:名無したちの午後 :02/10/29 21 43 ID qjzzS4ld ttp //www.uran.co.jp/gekkou.htm 月光 ウラン 主人公:宏(ヒロシ) 由希子→宏 泉実→宏 非攻略キャラから男キャラまだえ呼び捨て。 かなり前にやったので間違ってたらごめん。 ゲームの出来は… 980円ぐらいで売ってるんだし…
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/6247.html
無事ではないような気はするものの、とりあえず進級を果たした俺たちだが、 これといって変わりはなく、いつものような日常を送っている。 今日は日曜日で、全国の学生は惰眠を貪っている頃だろう。 諸君、暇かい? それはいいことだ。 幸せだぜ。 俺は、暇になりたくてもできないんでな。 日曜日。 ハルヒが黙っているわけもなく、金を無駄にするだけの町内散策・・・ いや、不思議探索の日となった。 今日も既に全員集合ときた。 いいんだ、もう慣れたよ。 もう、奢り役となって一年も経つんだな。 「キョン!はやくアンタもくじ引きなさいよ!」 分かってるさ。 ハルヒの手に収まった爪楊枝を引いてみる。 印付きか。 周りを見ると、ニヤケ古泉は印なし、朝比奈さんも印なし、長門も印なしを持っていた。 つまり、ハルヒとってことだな。 「珍しいですね。あなたと涼宮さんのコンビとは。」 「・・・長門と朝比奈さん襲ったらコロスぞ。」 古泉はフフフと微笑んだ。 気持ち悪い。 マジで襲ったらシメてやるからな。 「よし!じゃぁ早速行くわよ!」 ハルヒは俺のコーヒーをズズズとすすると、伝票を俺に突きつけた。 「早く来なさい!ドアの前にいるから!」 「キョン君、いつもごめんなさい。」 「いえいえ。」 あなたになら、店ごと買ってやっても構いませんよ。 と言いたいが、そんな金はねぇな。 いつもの様に財布を薄くし、自動ドアを出た。 古泉他二人はもう出発したらしく、希望に満ちたハルヒだけが立っていた。 「おっそいわよキョン!気合が足りないわ!」 「なんの気合だよ。」 「あのね!不思議もそんな甘っちょろいもんじゃないんだから!第一・・・」 ハルヒは後ろ歩きをしながら、俺に話しを聞かせた。 おい、後ろ道路なんだぜ、ちょっとは注意したらどうなんだ。 と思った矢先、向こうの車線から、ものすごいスピードで車が走ってきた。 おい、ハルヒ、危ねぇぞ! 「え?なに言ってんのよキョ・・・」 車は、ハルヒのすぐ後ろに迫っていた。 考えている暇はない。 俺は自分の出せるだけの力で、ハルヒを遠くへ突き飛ばした。 視界からハルヒが消えると、車が目の前にいた。 ******* 感覚がない。 どこからかざわめきが聞こえる。 そして、耳元では、いつものあの声がしていた。 「・・・ョン・・・キョン!」 ハルヒが、顔面蒼白の面持ちで俺に寄り添っていた。 頭がガンガンする。 体もバキバキだ。 周囲の声も聞こえなくなってくる。 やっと分かった。 ああ、俺はきっと死ぬ。 何気なく見やった道路は真っ赤に血染めされていた。 俺の血だ。 ハルヒは助かったんだよな。 神様が消えることはなかったぜ、古泉。 長門の観察対象もなくならない。 ああ、でもせめて最後に朝比奈さんのお茶をー・・・ 「キョン!?だめ!目を閉じないで!開けて!」 そしてハルヒ、俺、楽しかった。 最期に、ハルヒと不思議探索しそこねたな。 楽しかったぜ、ハルヒ・・・ 突然、目の前が真っ暗になった。 闇にいる。 ただひたすら、漆黒の闇の中にいる。 キョン・・・ ハルヒなのか? お願い、目を開けて・・・ 俺は、開けているつもりなんだ。 どこにいる? どこで泣いている? キョン・・・! その声と同時に、世界に光が差し込んだ。 いつかの閉鎖空間のように、バリバリと裂けていく暗闇。 目の前に、ハルヒがいた。 「ハルヒ・・・!」 思わず、叫んでいた。 しかし、ハルヒの目は俺を見ていない。 涙が溢れるだけだ。 そして、俺の真後ろを、さも俺がいないかのように見つめていた。 いや、俺はいないんだ。 「キョン・・・!嫌よ!バカキョン!目、開けなさいよ!」 振り返ると、そこには俺が寝ていた。 蘇る思い出。 ここは、消失事件の病室だ。 そこに、俺が白い顔で寝ていた。 血なんてどこにも付いていない。 まるで、寝ているかのように・・・ 俺は、死んでいた。 そして、今の俺は、幽霊だ。 ついに、異世界人になっちまったか。 天国という異世界のな。 「キョン!」 「ぅぇっ。キョンく~ん!目を・・・目を開けてくださぁ~い!」 「・・・。」 「・・・。」 珍しく、古泉も無言だった。 いつものニヤケ面なんてどこにもねぇ。 みんな、俺を見ていない。 ただ、 ただ、一人だけ、 長門と、目が合った。 ****** 病室から団員が帰る時、長門は俺に 「私の家に来て。」 と、聞こえるか聞こえないか、の声で囁いた。 ドアに触れることはできない。 でも、壁を簡単にすり抜けられた。 幽霊って、どこに逃げても付いてくるって本当だったんだな。 そんなことを考えられるほど、俺は冷静だった。 軽々と長門のマンションの壁をすり抜けると、いつものように置物状態の長門がいた。 「長門・・・。」 「待っていた。」 「お前、俺のことが見えるのか?」 「そう。」 やはり、万能選手だ。 「あなたが今日この世界から居なくなるのは、規定事項だった。」 「なんで言ってくれなかったんだ?」 「私にその権利はない。権利を握っているのは、情報統合思念体。」 「朝比奈さんも言ってくれなかったぜ。」 「朝比奈みくるも、朝比奈みくるの異時間同位体も、それは禁則に該当する。」 やっぱりな。 そんな未来を左右すること、未来人が言ってくれるはずがない。 朝比奈さん(大)も。 「朝比奈みくるの異時間同位体からの伝言を預かっている。」 長門は、俺にファンシーな封筒を差し出した。 朝比奈みくる と丸っこい字でかかれた封筒。 いつだったか、下駄箱に入っていたっけ。 キョン君へ ごめんなさい。 私はそちらへ向かうことができませんでした。 ヒントもなにも言えず、本当にごめんなさい。 そっちの私を面倒見てくれて、ありがとう。 あなたがいたから、今の私があるの。 あなたに出会えてよかった。 朝比奈みくる 向かうことができない、てことは、来ようとしてくれていたんだな。 ありがとう、朝比奈さん。 俺も、朝比奈さんがいてくれてよかったです。 でなければ、あの消失事件で、この世界に戻ることができなかった。 いや、それ以前に三・・・いや、四年前の七夕に行かなかったら、 きっとハルヒにも出会えていなかったさ。 「俺、もう戻れないのか?」 「戻れる可能性はある。私もその可能性のおかげでここにいる。」 「どういうことだ?」 「私は一度、死を経験している。」 どういうことだ? 長門は、情報ナントカに製造された人造人間なんじゃないのか。 「私は以前、普通の人間だったという記憶がある。 しかし、私は突然死に遭遇した。そこで彷徨い、偶然、情報統合思念体に出会った。 感情などの人間性を抹消し、データや情報統合思念体との連結を備え付けられた。 そして、涼宮ハルヒの観察を命じられ、今に至る。」 「俺には詳細が分からんが、お前は元幽霊ってことなんだな?」 「そう。以前、物語を書いた時に、それを題材に書いたはず。」 思い出すは、生徒会長に命じられ、無理やり作ったあの冊子。 幻想ホラーとい難しいお題の話を書いてたっけ。 どこかリアリティがあるのに、なんのことか分からないあの話。 私は幽霊だったのだ・・・みたいなこと書いてたよな? それって、長門、お前自身のことだったのか。 死んだ記憶だけを残されて、自分が何なのかも分からなかった長門。 自分の棺の上にいた人物・・・ それが情報統合思念体の一端末・・・ そこで長門は情報統合思念体と繋がり、自分を有希、と名付けたってワケだ。 「そう。ただし、あなたの可能性は、情報統合思念体と結合することではない。」 「じゃぁ、なんだ?」 未来人になって、TPDDを備え付けられるとか、 超能力者になって、あの神人を倒せ、とかか? しかし、長門はまた違うことを言った。 「あなたにとっての可能性は、涼宮ハルヒに必要とされること。」 古泉は以前、ハルヒは神だと言っていたっけ。 その神の力を最大限に利用し、生きろ、と言っているわけだ。 俺だって生きたいさ。 やり残したことだらけだ。 でも、俺が自分の意思だけを貫いたら、どうする? 俺が死ぬのは規定事項のはずだ。 俺が生きれば、未来にずれが生じるだろう。 また、朝比奈さんがベソかきながら走り回るに違いない。 ・・・俺だって、考えていないわけじゃないんだぜ。 「それはできない。」 長門は俺をじっと見つめたまま動かない。 「俺も生きたいけど・・・そんな、ハルヒの力を利用するなんてできねぇ。」 「そう・・・」 「死人は生き返らないんだ。」 長門はなにも言わなかったが、少し、悲しそうな表情をした。 長門には色々お世話になったさ。 朝倉に殺されかけたとこを、2回も助けてくれたんだ。 無限の八月を一人、記憶を持ったまま、助けも呼ばないで。 もっと、俺を頼ってほしかったさ。 なにもできなくとも、支えくらいならしてやれる。 「・・・ありがとう。」 長門は小さな声でそういうと、 本当に僅かだし、気のせいかもしれない。 でも、 少しだけ、笑った気がした。 「俺がこの世界に留まれるのは、いつまでなんだ?」 「涼宮ハルヒが望むなら、いつまでも。彼女には、あなたに対してやり残したことがある。」 「それを解明すればいいんだな?」 「そう。」 幽霊がいつまでも人間界にいていいもんじゃないからな。 「ただ、彼女がどんな非常識なことでも思ったことを実現させるということを忘れないで。」 「ああ、分かったよ。」 長門は、いつもの平坦な声で、更に続けた。 「あなたと私が話せるのは、最後。私はもうあなたを見ることができなくなる。」 「期限がある、ということなのか?」 「そう。その期限は、あなたがこの部屋から出るまで。」 えらい急な話だ。 いや、でも幽霊と人間がいつまでも話をするのは、変だな。 「うまく言語化できない。ただ・・・あなたには、色んな感情を思い出させてもらった。」 俺が? 長門に感情を? 「それらを全て、言語化するのは難しい。」 「俺でも、役にたったか。」 「感情が皆無だった私に、あなたはたった一つの光だった。」 「光・・・?」 「あんなに気にかけてくれたり、完結に言えば、大切な人であった。」 俺なんて、何もできてないぜ。 なんせ、何の能力もない凡人だ。 長門には、色々迷惑かけっぱなしだったのに。 「あなたと私がSOS団で繋がりを持てたのは、規定事項と信じている。 詳細は不明。でも、繋がりを持てて本当によかったと思っている。」 「俺も、長門と一緒に図書館に行けて、楽しかったぜ。」 また 図書館に 約束、守ってやれなくてごめんな。 「ハルヒを頼んだぞ。朝比奈さんと、古泉にもよろしく言っといてくれないか。」 「了解した。」 「あとのことはまかせろ。絶対に世界を終わりにしたりしねぇから。」 長門は小さくこくり、と頷くとそれ以上はもう何も言わなかった。 この壁をすり抜ければ、長門とはもう喋れない。 会えるけど、もう目を合わせることはできねぇ。 「じゃぁ、俺はもう行く。」 「そう。」 「じゃぁな、長門。」 長門は、もう一度小さく頷いた。 俺はそれを見届けると、壁をすり抜けた。 体が浮いていた。 情報統合・・・ナントカを、「くそったれ」と思っていたが、そうでもないかもしれない。 そいつがいなかったら、長門とは会えなかったからな。 もうすこし、お手柔らかにしてやってくれ。 情報統合・・・思念体。 ******* さて、ハルヒのやり残したこととはなんだろうね。 通夜にはたくさんの人が参列してくれていた。 「馬鹿野郎・・・なんで死んじまったんだよ。」 「キョン・・・最後まで格好よかったね・・・涼宮さんは、助かったんだから。」 谷口と国木田だ。 もう一度、バカやったり、一緒に弁当囲んだりしたかった。 「キョン君・・・寂しくなるよ・・・。」 いつもより元気が50割減になっている鶴屋さん。 あなたには笑顔のほうが似合ってます。 「うわぁぁぁぁん!キョンくーん!」 妹はわんわん泣き叫んでいる。 せめて、お兄ちゃんと呼んでほしいもんだ。 「キョンく~ん、寂しいです・・・」 朝比奈さんは、目を真っ赤に腫らせていた。 そんなに泣かないでください。 素敵なお顔が大変なことになっていますよ。 「残念です。すてきな仲間だというのに・・・」 古泉は、ニヤケ面をどこに置いてきたんだ、という顔をしていた。 すてきな仲間。 素直に嬉しいぜ。 「・・・・。」 長門は終始無言で、俺の遺影をじっと見つめていた。 「・・・・・・・・・・・・。」 そして、ハルヒは泣いていなかったが、目は腫れていた。 そりゃ、あんだけ泣いてたんだ。 団長さんよ、SOS団を頼んだぞ。 雑用兼財布係はもういない。 けど、世界を終わらしたりしないでくれよ、ハルヒ。 ******* 数日経てば、ハルヒの元気も戻るさ、と思っていたが、そうではなかった。 静まり返った文化部・・・SOS団の部室に、俺はいた。 誰とも目は合わない。 いつもの指定席に座るハルヒは、外をじっと見つめたまま動かない。 古泉もゲームを取り出すことなく、じっと一点を見つめていた。 まるで、全てが喪失してしまったかのようだった。 俺は・・・こんなSOS団を望んでいない。 ハルヒだってそうだ。 結局その日は、誰一人口を開く者はいなく、そのまま解散となった。 ハルヒの跡をつけてみた。 ハルヒの後姿はとても小さく見えた。 異変に気付く。 ハルヒ、そっちはお前の家の方向じゃねぇだろ? そっちは確か・・・俺が死んだ場所・・・ 予想は合っていた。 俺の事故現場には花がたくさん手向けられていて、ハルヒはそこに手を合わせた。 「キョン・・・キョンのバカ・・・なんであたしなんか庇って・・・」 バカ、て・・・ 「死んだなんて嘘よ!戻ってきて・・・お願い・・・。」 ハルヒ、しっかりしろ。 俺はもう死んでるんだぞ。 お前がしっかりしないでどうするんだ。 「うぅ・・・キョン・・・。」 ハルヒはその場に泣き崩れた。 街行く人たちが、ハルヒにちらりと視線を送っていく。 一番星が出ていた。 ****** 事件は早々に起きた。 俺は、急に意識が飛んだ。 幽霊に意識があるなんて、初めて知ったよ。 真っ暗な世界。 まるで、眠っているような感覚だった。 「・・・・ン・・・?キョン?」 聞き覚えのある声。 目を開くと、そこにはハルヒがいた。 すぐ、なにが起こっているのか、分かった。 灰色の空間。 いつかの、閉鎖空間。 神人はまだいない。 あの日目覚めた時と同じ場所。 「キョン!?どうして?生きてる、本物?」 「ハルヒ・・・。」 「バカ!どうしてあんな・・・!」 「ハルヒ。」 俺はハルヒの言葉を遮った。 ハルヒは、また、俺と2人の世界を望んだんだ。 戻ってきて・・・お願い・・・ この言葉は、本当のことになった。 長門は言った。 ハルヒの力を忘れてはいけない、と。 「俺は、死んでるんだ。」 「どうして!?今、現にここにいるじゃない!」 「ここは、夢なんだよ。」 「え・・・。」 「前にも、ここに来なかったか?」 丁度、一年前くらいか。 ここで、ハルヒとキスをした。 あれは夢という記憶になっているが、現実なのだ。 「え、キョンも同じ夢を見たの?」 「ああ。たぶん、ハルヒと同じ夢だと思う。」 「戻ろう。こんなところ、ずっと居るもんじゃない。」 手を引こうと、ハルヒに近づくと、俺はハルヒに引っ張られた。 顔がぶつかるのを、寸前で止めた。 「嫌よ。」 ハルヒは真剣な目をしていた。 こいつも、本気なようだ。 「あたしはあんたがいればそれでいい。ここであんたが生きれるなら、あたしはこの世界を選ぶ。 あんた、幽霊なんでしょ?天国の人、異世界人じゃない!私が探していた、最後の不思議。 そして、ずっと探していたわ。 ジョン・スミス」 俺は、驚いた。 ジョン・スミス。 なんでハルヒが知っている? 「あんたが死んだ日、夢を見たの。あたしが中学の時、校庭に書いたメッセージ。 それを書いた人よ。それ、あんただったのよね。あの時のあたしは、ジョンの顔が 見えなかったわ。でも、夢のジョンは、顔がよく見えたの。」 「な・・・」 「あたしを理解してくれて、あたしの初恋の人。」 「・・・」 「それが、あんたよ、キョン。」 つまり、ハルヒは夢で時間遡行をしたんだ。 全ての原点の4年前に。 そうか、その時から俺は異世界人だったんだな。 違う時空から来てんだ。 異世界人で間違いねぇだろ。 「もう、不思議なんて探さなくていいわ!あんたが最後の不思議だもの!」 「ハルヒ・・・。」 「嫌よ、あんたのいない世界なんて、価値はないの!」 ハルヒは、大きな目から涙をこぼした。 まるで、訴えるような目。 「キョン、あたしはあんたが好き。」 「!」 「ずっと、そうだった。精神病でも構わない。だから、お願いだから・・・」 ・・・ああ、俺だってそうだったさ。 自己中心的で、我がままで、無駄に元気で、笑顔が似合ってて、優しいハルヒをな。 「ハルヒ。」 ハルヒは目に涙を溜めたまま、俺を見上げた。 「俺は、元気なお前が好きだった。でも、今のお前は違う。」 「・・・。」 「SOS団だって、元気のカケラもねぇじゃねぇか。」 「あんたがいないから・・・。」 「俺は、こんな世界望まない。」 俺はその場にしゃがみ込み、ハルヒを見上げた。 「SOS団はどうなるんだ?せっかくあそこまで仕上げたのに。 ハルヒ、まかせてもいいよな?」 「あたしをなんだと思ってるのよ、団長様よ?でも、あんたがいないのは嫌。」 「俺は死んでる。死んだ人は生き返らない。」 ハルヒの目から落ちた涙が、俺の顔に落ちた。 あったけぇ。 「大丈夫だ。俺は待っている。何年でも、いや、何十年でも、何百年でも。」 「・・・。」 「お前はゆっくり来い。大丈夫だから。」 「・・・待ってないと、死刑だからね。」 死刑は嫌だからな。 俺は、ハルヒを連れて校庭の中心へ行った。 神人はいない。 青白い世界。 こんな世界より、ハルヒには希望に満ちた元の世界で生きてほしい。 「ハルヒ・・・好きだ。」 「あたしも、好き。」 ハルヒの小さな肩に手を置く。 「俺は・・・ ここにいる。」 ハルヒの涙だらけになった顔が近づき、俺はハルヒにキスをした。 一年前のように、嫌々なんかじゃない。 俺も、ハルヒも望んでいる。 元気なハルヒが大好きだった。 引っ張られっぱなしのあの日常も、俺は大好きだったさ。 やがて、目を閉じていてもまぶしいくらい、周りが明るくなった。 元の世界が閉鎖空間と入れ替わる。 それと同時に、光も消えていった。 その光と共に、俺の体も消えた。 ハルヒ、大丈夫だ。 俺は、ここにいる。 *お*わ*り*
https://w.atwiki.jp/nekomimi-mirror/pages/369.html
虎の威 第6話 長い、長い夢を見ていた。 それは小さい頃の夢だったような、つい最近の夢だったような、体験した事もない出来事の 夢だったような気がするけれど、恐らくそれら全ての夢を見たのだろう。 睡眠と覚醒を繰り返し、夢の現の間をうろつきまわり、熱に浮かされ、寒さに震え、渇きに 喘いで得た水分を嘔吐して、起き上がれぬまま三日が過ぎた。 実際は千宏に日付の感覚は無かったのだが、常識的な高熱レベルまで熱が引き、ぼんやりと した意識の中で誰かと交わした会話の中で、三日も寝込んでいたんだぞ、と聞かされた。 もう大丈夫だ、と言って頭を撫でてくれた大きな手は、たぶんアカブのものだっただろうと思う。 何か食べられるか、欲しい物は無いかと聞かれ、千宏は困らせるだけだと分かっていながら 熱のせいにしてプリンが食べたいと答えた。 数時間後、当たり前のように手作りプリンが出てきた時には驚愕したが、ありがたく頂いた ところ、母の手作りプリンよりもはるかに濃厚で美味である事に二重に驚愕した。 四日目には立ち上がらなければ普通にしていられるようになり、五日目には室内を歩きまわ れるまでに回復した。 ベッドから出ているとアカブが怒るのでやはり大半はベッドの中だったが、暇を見てはアカ ブやパルマが部屋に来てくれたので、寂しさや退屈に押しつぶされると言う病人特有の症状に 悩まされる事は無かった。 二週間に及ぶ闘病生活の中で分かった事が二つある。 一つは、この世界にも元の世界と同じような食べ物が多くある事。 もう一つは、この世界の人間用の薬はどれも千宏には強すぎて、用量を間違うと逆に毒にな るという事である。 そろそろ完治するかに思われた七日目の夜、頭痛がひどくてパルマに頭痛薬をねだった時、 パルマはカプセルに入った薬を二錠千宏に差し出した。 アカブがくれる薬はいつも水に溶かしてあったので不自然さは感じたが、元の世界でも馴染 みのあるカプセル薬に警戒心は覚えなかった。 与えられるままに呑み、そして十分後に猛烈な眠気に襲われて意識を失った。 後で聞いた話によると、一瞬心停止まで行きかけたらしい。 パルマは泣き腫らした顔でごめんなさいを連発し、よほど走り回ったのだろう、アカブとバ ラムは疲労困憊とばかりにぐったりとへたり込んでいた。 しかしその強力なショック療法のおかげかそれ以後の体調はすこぶるよく、二週間めを迎え た朝、千宏は誰かが食事を運んで来る前にベッドを降り、着替えを済ませて部屋を出た。 千宏の部屋は二階にある。 数多くある客間の一つをあてがわれているらしく、廊下には千宏の部屋と同じような扉がい くつも並んでおり、それらは全て空き部屋のようだった。 そう言えば、興味を持ったはいいが結局聞いていない事がいくつかある。 例えば、たった三人と数人の下働きしかいないのに、何故ゆうに数百人は収容できそうな要 塞染みた建物に住んでいるのか――とか、何故従姉妹のパルマがこの家に住んでいるのか―― とか、そういった類の事である。 一応、王から土地を与えられた領主なのだと言っていたが、それにしては領民もいないし、 第一領主が森に入って資材を集め、それを市場で売って生活しているなんて聞いた事が無い。 それとも、この世界ではそれが普通なのだろうか。 字が読めないので書物を漁って調べる事も出来ないため、それを確かめる術はやはり本人達 に訊くしかない。 だが、内容が内容だけに、それがこの世界では地雷的質問である可能性もおおいに考えられ るため、千宏はやはりもうしばらく、そのことについては触れずにいようと考えていた。 「おはよう」 挨拶と共に食堂へのドアを開けると、揃っていた三人が一斉に振り向いた。 「チヒロ!」 叫んだのはパルマである。 今正にかぶりつこうとしていた骨付き肉を放り出し、ぴん、と尻尾を立てて駆け寄ってくる。 「おま……! この馬鹿!」 「なに勝手に起きてんだ!」 罵ったのはアカブで、怒鳴ったのはバラムである。 パルマが心配そうに額や首筋にぺたぺたと手を当てて熱を計り、どこか痛い所は無いかとう るうると瞳を潤ませた。 「大丈夫。たぶん、完治した」 「ほんと? ほんとにほんと?」 「うん。一昨日辺りから普通に元気なんだ。そろそろ部屋に閉じ込もってる方が辛いよ」 パルマ達の心配そうな視線がくすぐったく、居心地が悪くて苦笑いを浮かべてみせる。 「お腹すいちゃった。あたしの分もある?」 心配をかけた分努めて明るい声を出し、千宏は率先して食卓に腰を下ろした。 千宏用に用意しておいたと思われる、食べやすいように細かく切った肉料理や、適度に冷ま したスープが千宏の前に並べられる。 本当に空腹だったのでありがたく食事に取り掛かると、その様子にほっとしたように三人も 食事を再開した。 パルマが嬉しそうに尻尾を揺らしながら、いっそ清々しささえ覚える豪快さで次々と料理を 片付けて行く。 「よく食べるね……」 と思わず零した千宏の言葉に、パルマはだってさぁ、と唇を尖らせた。 「もうすぐ発情期だよ。ちゃんと体力つけとかないと、とてもじゃないけどもたないよ」 「はつ――」 がちゃん、とフォークを皿の上に落下させ、千宏は目を見開いた。 パルマが音に驚いて尻尾を逆立て、どうしたの? 具合でも悪くなった? と心配そうに身 を乗り出す。 「は……発情……期?」 「あ、わかんないか。えっとね、種族によるんだけど、定期的に発情期って言うのが来てね、 その期間は――」 「いい! いやいい! 分かる! 知ってるからいい!」 慌ててパルマの言葉を制し、青ざめてバラムとアカブに視線を移す。 虎の発情についてはよく知らないが、猫のメスが定期的に発情するのは知っている。 オスは発情するのだったか――いや、犬と同じで、メスの発情に合わせて“その気”になっ たように思う。 だとすると、パルマが発情するとこの二人も――なんと表現しようか、“もよおす”のだろう か。その場合、パルマ一人でこの二人の相手をするのだろうか。いやまさか。まさかそんな事 はないだろう。 「へぇ――チヒロの世界にもあったんだ。発情期。じゃあチヒロも――」 「人間は発情しないから! いや、この世界ではヒトか! ヒトは発情しない生き物だから!」 「いや、常に発情してるんだろ」 がりがりと骨をかじりながら、アカブが当たり前の事のようにそう言った。 愕然と振り返り、何を言い出すのかとあんぐりと口を開く。 「いや、自分の意思で発情できるんだろ?」 スープをすすりながらバラムが言う。 そうだったっけか、と骨をかじりながら立ち上がり、アカブは一冊の本を開いてぱらぱらと ページを捲った。 「交配教本じゃねぇからさすがにそこまでは乗ってねぇな。あー……そう言えばよ。ヒトって やらなくても排卵するんだろ? チヒロ。おまえ月経っていつくるん――!」 「馬鹿ぁあぁ!」 たまらず赤面して手元のナイフを振りかぶり、思い切りアカブに投げつける。 咄嗟に身を引いたアカブの頬すれすれをナイフが飛んで行き、そして完全な沈黙が訪れた。 「な……なんで怒ってんだ?」 スープの器を手に持ったまま、バラムが恐る恐る口を開く。 あぁ、そうか――と、千宏はがっくりと肩を落として手の平で顔を覆った。 「ごめん……なんでもない。ちょっとあっちの世界の常識にしがみ付いてた」 「ル・ガル製の生理用品買ってきてあるよ。お店で売ってた」 それはなんとも、切実にありがたい話である。 「あの……ヒトは、まぁ、常に発情って言うよりは、自分の意思で……っていう方が正しいと 思うよ。うん。たぶん……」 「へー。本当は私達ももう、わりと自分の意思でその気になれるから、別に発情期とかいらな いんだけどね」 「発情期のおかげで夫婦仲上手くいってる奴らもいるんだ。一概にいらねぇとも言えねぇだろ」 アカブの言葉に、それもそうだね、とパルマがうなづく。 なんとも常識からかけ離れた会話過ぎて、逆に頭が冷めてきた。 昔、飼っていた猫の発情について調べた事がある。 発情期とはすなわち繁殖期であり、猫はその期間以外に子供は作らない。単独行動をしてい る猫たちは、種の保存のために発情期が必要なのだと書いてあったが、しかしこの世界の虎人 間達は明らかに群れているし、先程のアカブの言葉から察するに結婚して夫婦になったりもす るのだろう。 名残り――という事だろうか。この世界にもきっと進化はあったのだろう。 大昔には結婚なんて制度もなく、個人が単体で狩をして過ごし、そして発情期に出会い、子 供を作り、育て、そしてまた一人に戻る――そんな、正に千宏の世界にいる野性の虎のような 生活をしていたのかもしれない。 いやしかし――だが、それにしたって――。 「でも、あの、パルマって……いまいくつなの? 十代? 二十代?」 少し、若すぎるのではなかろうか。 確かに千宏のいた世界でも、十八やそこらで子供を産んでいる少女はいたけれど――。 「歳? 今年で百十二歳だよ」 ひゃ――。 「ひゃ――?」 「ちなみにバラムは百七十で、アカブが百六十八」 気が――遠くなってきた。 意識を失う前兆ではない。そうか、これが、思考が停止すると言う事か。 「チヒロ? どうしたのチヒロ。チヒロ?」 「まぁ――ヒトの寿命は長くて百年短くて五十年らしいからな。そりゃ、知らなきゃびびるだ ろうなぁ」 食事を終えたバラムがテーブルの真ん中に置いてあった酒瓶の栓を開け、まるで水のように 喉の奥に流し込む。 落ち着け、落ち着け、考えろ。 頭の中でそんな言葉を繰り返し、千宏は緩やかに復活しつつある思考回路を最大限に働かせ て極単純な計算式を導き出した。 寿命の比率換算式である。 パルマの外見は明らかに、千宏と同い年あるいはそれより二つか三つ上程度である。 背も千宏より高いし乳房や尻の発達も明らかにパルマが上だが、あどけない顔立ちとその言 動や行動から、まだ少女という印象が強い。 そしてバラムの容姿だが、どんなに上に見ても三十か二十九か、そのあたりだ。普通に見れ ば二十代半ばだろう。アカブの肉体年齢を予想する事は千宏にはまだ不可能である。 そのパルマが百十二歳。そしてバラムが百七十歳。 パルマの年齢と千宏の年齢の比率を算出すると、その差およそ六倍。 それから導きだされる結果はつまり――。 「な……何百年生きるの……君達」 ヒトの平均寿命を八十として考えると、単純計算でその六倍の寿命を持つと推測される。 少なくとも四百八十年は生きてもおかしくない。 だがそれはそれ、世の中計算式だけでは成立しないのが常である。なによりここは異世界だ。 あるいは二百歳くらいまで生きると、どこかの漫画の戦闘種族よろしく急激に老けて老人にな るのかもしれない。 人間、自身の限界の倍程度の範囲なら、割とすんなりと許容できる物である。 ヒトの寿命が百年ならば、トラの寿命が二百年でも別段驚く事は無い。 「普通は四百年くらいかなぁ……長くて五百」 そうか、最低でも四倍か。 なんとなく投げやりなような、捨て鉢な気分になるのを止められない。 百歳を超えていると言うのなら、発情しようと子供を産もうと倫理的にどうという事は無い だろう。 いや、むしろ千宏の世界の倫理をこちらに当てはめて考えようとするから衝撃を受けるのだ。 共通点を見出そうとすると相違点の大きさに目が眩むだけである。 「この世界の人――って言っちゃいけないのか。なんだ。えーと。人間? って、みんなそん なに長生きなの?」 「ううん。トラは特別長い方。ネズミなんかは百年で死んじゃうし、イヌも二百年くらい」 よかった――何がよかったのかよく分からないが、とにかく純粋にそう思った。 「体の大きさに比例するの?」 「そうでもないんじゃないかな。ネコは六百年とか生きるし」 もう、四百年も六百年も大して変わらないような気がしてきた。相当に重症である。 種族によってそんなにも年齢や成長速度が違うのならば、重要なのは実際の年齢ではなく、 結局そこにある個人の外見や性格、知識や教養なのだろう。 歳をとっているから偉い――という年功序列の概念は、きっと異種族間では成立しないに違 いない。 年齢にこだわるのはやめにしよう、と千宏は思考を切り替えた。 元々は何の話をしていたのだったか――。 「しかし発情期か――そろそろ薬の調合に入った方がいいかもしれねぇなあ」 「今日辺りからそれ系の薬草の採集を始めよう。パルマ。帰りに市場で小瓶大量に買って来い」 アカブの呟きに同意して、バラムがパルマに指示を出す。 そうだった――発情期の話をしていたんだった。 また熱を出して寝込みそうである。 聞かなくても想像はつくが、一応後学のために聞いておこう。 「それ系の薬草とか薬って……なに?」 「媚薬」 「避妊薬」 「精力増強剤」 三人が一つずつ、見事なテンポで実にわかりやすい商品のラインナップを教えてくれる。 千宏が頭を抱えると、三人は不思議そうに顔を見合わせた。 *** まだ寝ていた方がいい。 人混みは体に触るから――という三人の反対を押し切って、千宏はパルマについて市場に行 くと言い張った。 パルマは純粋に千宏の体調を案じていただけだが、バラムとアカブは先日の事件内容を知っ ているため、別の意味でも引き止めていたのだと思う。 だが、だからと言ってずっと家に引きこもり、役立たずの無駄飯食いの奴隷にさえなれてい ないペットに甘んじているは耐えられなかった。 二週間も床に臥せって迷惑をかけ、心配をかけ、それでも迷惑がる様子もなく必死に看病を してくれた三人に、出会った当初より遥かに信頼が生まれていたのも理由の一つだ。 誰かがずっと手を握っていてくれた。 寝ずにタオルを代えてくれた。 死なないで、死なないで、と泣きながら付き添ってくれたパルマの声も覚えている。 それにこの、性に関してあけっぴろげで、発情期まであるという人々の中で、自分一人で元 の世界の常識にしがみ付き、犯される事に怯えるのも馬鹿馬鹿しく思えてきた。 愛する人にのみ操を立てる貞節な処女なんて、この世界では望まれない。望まれないという 事は、そうあるべきだと必死になり、それを奪われる事に怯える必要がなくなったと言う事だ。 確かに痛いのは嫌だ。 乱暴に扱われたら壊れてしまう――と言うのも、想像するだけで恐怖に竦む。 だが、痛みが伴うのは強姦に限った事ではないわけで――。 「なんか、二週間も生死の境さまよったら吹っ切れちゃった。何もしなくたって病気や事故で 死ぬかも知れないんだしさ」 「いや、確かにそうだがよ……」 「あ、でも包丁借りてっていい?」 「包丁?」 何に使うんだ? ときょとんとするアカブに対し、千宏は意識して無邪気に微笑んだ。 「今度襲われそうになったら刺してやるの」 だってトラはその程度じゃ死なないんでしょ、と言うと、アカブはさっと表情を硬くして絶句した。 「あと、辛い香辛料ないかな。唐辛子っぽいのがあるといいんだけど……」 今度はもう、何に使うのかは聞かれなかった。 包丁の刃に唐辛子をぬっておけば、さすがにトラといえど激痛に悶絶するに違いない。 「あ、もちろん率先して刺したりはしないよ? 自衛手段ってやつ。催涙スプレーと同じ」 「い、いや、しかしなチヒロ。さすがにヒトがトラに怪我をさせるのは、社会的に問題が……」 アカブがいい難そうに言葉を濁す。 その言葉と態度に、千宏はすぐに察しがついた。 「そっか……飼い主が罪に問われるんだ」 「チヒロ!」 あえて使った飼い主という言葉に、アカブが鋭く声を荒げた。 「いいよアカブ。だって、社会でのあたしの立場が奴隷ってのは事実なんだから、受け入れな きゃ。あたしの世界でも、ペットが人様に噛み付いたら飼い主の責任だし――」 「人間に危害を加えたヒトは研究所に収容される決まりになってる」 飼い主の責任だし――ペットは保健所で殺処分にされる。 そう、続けようとした千宏の言葉をこの世界の言葉に置き換えて、バラムが悲痛さと真剣さ に彩られた表情で静かに言った。 「あぁ……」 千宏はかりかりと頬をかき、 「そう」 と、ひどく間の抜けた声を出す。 自分で言おうとした言葉を他人に言われただけなのに、その言葉が妙に重たくて――。 「そっか……だよね。あー、そりゃそうだわ。うん。ごめん変な事言って」 犬が家の軒先に縛られていて、学校帰りの子供が嫌がる犬を無視してべたべたと撫で回して いるのを見た事がある。 迷惑そうにしながらばしばしと尻尾をふって、しかし堪えていた犬の尻尾を、一人の子供が 面白半分に乱暴に引っ張った。 ぎゃん、と叫んだ犬が怒って、子供の腕に噛み付いて――そして、それ以来その家の軒先に、 犬の姿はなくなった。 「チヒロ、ねぇ、そんなに心配しないで? ちゃんと私が守ってあげるし、登録してしっかり 首輪つけてれば、さらわれたって見つかる事もあるし――」 「大概、すでに壊された状態で見つかるがな」 その、バラムの静かな言葉に怖気が走った。 ぐ、と吐き気がこみ上げてくる。 「――アカブ。チヒロの首輪をはずしてやれ」 ぎょっとしたように目を見開き、アカブがバラムを凝視した。 どうして、とパルマも声を上げる。 「おまえ――そりゃ、野良ですって言ってるようなもんだろうが! 本気でさらわれるぞ!」 「首輪なんざしててもさらうやつはさらうだろうが。登録してた所で“戻ってくる可能性”が 上がるだけで、襲われたりさらわれたりするのを防止できるわけじゃねぇ」 「そりゃそうだが――!」 「だったら、俺はチヒロの所有権を捨てる。野良のヒトはこの世界の事を何も知らない。何も 知らないから、何をしても許される。何より、登録をしてないヒトは初めから存在していない のと同じだ。それなら例え人間に危害を加えても、逃げきれさえすりゃどうにでもなる」 何者に保護されず、限りなく無知。 それ故に抵抗が許される絶対的な弱者。 「俺のナイフをやろう。ちと大振りだが、包丁よりは扱いやすい」 「お、おいバラム――!」 「ただし、いいかチヒロ。誰にも所有されないって事は、必ず誰かがおまえを所有しようとす る。抵抗する権利が与えられる代わりに、狙われる確立は確実に上がる。だからヒトだってば れねぇようにしろ。仮にばれて、それで襲われそうになったとしても、このナイフは最終的な 自衛手段だ。使わない事が大前提の最後の牙だ」 ちょっと――ちょっと待ってくれと言いたかった。 どうしてそんな大げさな話になる。 ただ、ただ自分は――。 「殺されそうになった時だけ、ナイフを抜け。犯されても耐えろ。出来るなら無力を装って、 媚びてでも自分を守れ」 「バラム! てめぇ自分が何言ってるかわかってんのか!」 「家族として扱うなら、チヒロは自由であるべきだ。だが自由にすれば必ず危険に晒される。 もちろん守れる範囲では守る。だがその範囲外では自分で自分の身を守るしかねぇだろう」 無力な鳥がサバンナで、開いた鳥かごの扉の前に止まっているような錯覚を覚えた。 自由が欲しいのだったら、安全なかごから出なければならない。 だが、かごを出て飛び立てばそこは猛獣の巣窟で――。 腰に下げていたナイフをベルトシースごと腰からはずし、バラムは無言で千宏に差し出した。 「ちょ、ちょ、ちょっと待ってよ! 別に、私が一緒に行くんだからさ、そんな、大げさにし なくたっていいじゃない! ナイフなんか持たなくても、出かけるときは誰かが一緒に――」 「これは誇りの問題だ。抵抗する権利を得るか、得ないか。首輪をするか、しないか。俺達の 行動は変わらない。守れる範囲でチヒロを守る」 一人で生きる力が欲しいと――千宏は確かにそう言った。 それは、誰かの保護が無くても生きられる力だ。生活力の話だけではない。この世界では、 一人で生きるためには、命を守る必要があるのだ。 「俺は、おまえがずっとこの家から出ないで、安全に生きていく事を望んでる。たまに俺や、 アカブやパルマが連れ出しても、決して側を離れなければおまえは絶対に安全だ」 だが、と短く言葉をつなぎ、バラムはすぅ、と瞳孔を細めて金色の虹彩を輝かせた。 「首輪をつけて、飼いヒトとして登録すれば、おまえは一切の抵抗の権利を奪われる。もし仮 に、まかり間違っておまえが俺達の保護を一瞬でも離れた場合。そして誰かに襲われた場合、 殺されそうになった場合、お前が選択できるのは大人しく殺されるか、相手に危害を加えて逃 げ延びて、結果研究所に送られて実験に使われて一生を送るかだ」 抵抗する権利。 そんなこと、考えもしなかった。当然ある物だと思っていた。 奴隷とは、ペットとは、つまりは抵抗する事を許されない――言語を解する道具なのだ。 もし、バラムが差し出すナイフを取れば、千宏はその権利を得られる。奴隷ではなく、ペッ トではなく、だがいつ殺されてもおかしくないヒトという種族として、当然あると思っていた ものを当然のように取り戻せる。 だが、それがどれだけ恐ろしい事か――。 「どうする、チヒロ」 取るな――と、言っているような口調だった。 それは、一生守ってやるという宣言に近い、ひどく甘い誘惑のように思われた。 このナイフを取って、抵抗する権利を得て――それでどうなるというのだ。 権利を得た所で、抵抗した所で、確実に助かると言うわけでもないのに――。 「誇りなんかあったって、助かる確率が上がるわけじゃない……」 心持ほっとしたように、バラムが小さく溜息を吐くのが聞こえた。 そうか、そうだな、と呟いて、すっとナイフが下ろされる。 そしてそれが完全に降ろされる直前に――千宏はそれをひったくった。 「でも、誇りがなきゃ生きていけない――生きていけないんだ! なんでもいい、一つでいい から、なにか誇れる物がなきゃ壊れちゃうんだ! そういう生き物なんだ!」 尊厳が欲しいと思った。 奴隷なんて嫌だ。ペットなんて嫌だ。 そう思い続けなければ、とても正気を保っていられない。 「守ってもらわなきゃいけないから、一緒にいるなんて嫌だ。一緒にいたいからいるんだ。そ うやって思わなきゃ、変になる」 「……そうか」 「大体、ペットとして登録したって、しなくたって、襲われる可能性があるのは同じじゃない か! それなのに襲われたらもうアウトなんて冗談じゃない! 襲われたって逃げ出すチャン スくらい欲しいじゃんかよ! たとえ可能性ゼロコンマいくつだってさ!」 「そうだな」 「そうだよ!」 「チヒロ」 カチン、と首輪の外れる音がした。 するりとそれが引き抜かれ、涙で張り付いた前髪を、バラムが指先でそっと払う。 「だったら働け、穀潰し」 に、と意地悪く笑う。 その言葉に、表情に、千宏はしばし唖然とし――堪えきれずに吹き出した。 *** 全体的にゆったりとしたローブのような服の上から、更にだぼっとしたフード付のケープを かぶると最早首輪の有無どころではなく、千宏の種族は愚か性別さえ分からない有様だった。 生地が薄手なので暑くて死ぬ――ということは無いが、これが中々に鬱陶しい。 私が絶対に守ってあげるからね、と意気込むパルマについて二週間ぶりに市場を訪れ、やは り変わらず獣臭いという印象を受ける。 しかもパルマが店を開くのは、トラの中でも飛びぬけて大柄と思しき連中の徘徊する一角である。 バラムとは違い業者から移動式の簡易屋台を借り、パルマはそこに獣の爪やら牙やら鉱石や らのサンプルを並べ、それらの前に値札を置いて設営を完了した。 その設営の完了を待ってましたとばかりに、一人の虎が寄ってくる。 黄色に黒の縞模様。少し、腹部に広がる白い毛の部分が多いだろうか。アカブよりも若い印 象がある。 「ようパルマ! この前頼んでおいた薬草、どうなってる」 「入ってるよ。グラム五十センタ。上限は千グラム」 「五百もらおう――新しい下働きか?」 その、若い虎男が千宏を見止め、胡散臭そうにヒゲをひくつかせた。 「新しい家族。チヒロって言うの」 「チヒロぉ? なんだ、キツネか?」 「なんで私がキツネなんかと家族にならなきゃいけないんだよ! 親戚だよ親戚」 だろうな、だと思った、と男が笑う。 「パルマぁ! カッシルの爪五十本取り置きしといてくれ!」 雑踏のどこかからそんな声が上がる。 「パルマ! リーンバルの粉末が入ってねぇか!」 間髪いれずに、別の所から声が上がる。 ふりふりと尻尾をゆらして在庫を確認しながらそれらの声に返事を返し、パルマは頼まれて いた薬草とやらを男に渡して代金を受け取り、売り上げ袋に押し込んだ。 「なんつー熱気……いや、殺気」 「この辺りじゃうちの森でしか取れない品もあるからね。割と争奪戦だったりするんだ」 「リーンバル鉱石とか?」 「そうそう。そんなの」 リーンバル鉱石は非常に硬い鉱石で、硬すぎて物品への加工はまず不可能であると言う。 だがその堅さゆえに脆く、砕いて砕いて粉末にすると高級研磨剤として役に立つ。 その粉末でコーティングした物は丈夫で錆びにくく長持ちするらしく、需要に対して常に供 給が足りないらしい。 「で、グラム三百センタもするんだっけ」 「研ぎ師には垂涎物だもん。国境市だと倍以上の値が付くよ」 それは凄まじい差である。というか凄まじい高級品である。 雑誌を見た限りでは一セパタで安物の服が一着買えることも少なくないのだから、百グラム で三十セパタは相当な物だ。 更にその倍ともなれば――。 「お嬢さん、リーンバル鉱石の粉末を売ってるのかにゃ?」 不意に、パルマを照らしていた日が翳り、そんな甲高い声が頭上から降ってきた。 見上げた先には――これは、なんと言う生物だろう。 猫――いや、毛むくじゃらのトロルだろうか。でっぷりとしていて、もさもさとしていて、 たまらなく可愛らしい。ぬいぐるみ然としている。 「是非売って欲しいにゃぁ。あれは中々手に入らないレア物にゃ」 にゃ――てなんだ。何故語尾ににゃがつくんだ。わざとか。癖か。それともこのトロル猫も どきは語尾ににゃをつける習慣があるのか。 下らない事をぐるぐると考えながら、唖然とする千宏を他所に、パルマはあからさまに不快 そうに巨大なぬいぐるみを睨み上げた。 「お生憎様。私詐欺師に売る商品はもってないの」 「詐欺! 失礼にゃー! 私がいつ詐欺を働いたにゃ!」 「ちょっと、このあたりで有名になってるの知らないの? わけの分からない落ちモノ商品で ブツブツ交換持ちかけてきたり、物価が変動したとか大嘘付いて半値以下でもってったり!」 「それは物の価値の分からない奴が悪いにゃ。物価が常に変動するのも商人なら知ってるはず にゃ! だけどリーンバル鉱石は常に高級品にゃ。グラム百センタは出すにゃー」 「信じられない! 国境市でいくらで売られてるか知らないとでも思ってるの? 話にならな い。商談決裂」 「まま、待つにゃ! 今のは冗談、冗談にゃー。ちょっとお嬢さんを試してみたにゃ。そっち の言い値をまず言うにゃー」 「グラム八百センタ」 平然とふっかけたパルマに、千宏はフードの奥でぎょっとした。 「は、八百! 冗談じゃないにゃ! そんなんじゃ足が出るにゃ!」 「だったら買わなければいいじゃない」 「そう言われると弱いにゃー。わかったにゃ! グラム三百は出すにゃ!」 規定値である。 しかしパルマはつんとそっぽを向き、一切話を聞こうともしない。 ふっかけて規定の値段を払わせようとしているわけではなく、パルマは純粋に取引をするつ もりが無いのだ。 「常識的に考えるにゃー! 八百なんて値で仕入れたら例え一セパタで売れたって大した儲け にはならないにゃ! 手間賃を考えたら明らかに損にゃぁ!」 もふもふと肉と毛の塊が地団駄を踏む。 「だから、だったら買わなければ――」 「だって、この市場にはもともと他の物を買う予定で来てたんでしょ? 最初からリーンバル の買い付けに来たわけじゃないんだよね。だったら足なんか出るわけないじゃん。もののつい でにレア物を買って、もののついでに国境市で売りさばけばいいんでしょ? 棚から牡丹餅。 めっけもんじゃん」 さっさと追い払おうとするパルマをそっと制し、千宏はずいと巨大なぬいぐるみの化物の前 に歩み出た。 「しし、しかしそんな値段で普段から取引してるのかにゃ? こんなど田舎にそんな値段で大 量に買いつけ出来る客がいるとは思えないにゃー」 「田舎だからこそ、大量に買うんじゃないか! 国境市までわざわざ行くのにどれくらい費用 がかかると思う? その分の費用を購入にまわせるんだから、国境市で買うより大量に購入で きる。これって当たり前の理論じゃん」 「し、しかしだにゃー。国境市での相場がこの位だから、ここで八百で買うと――」 「別に国境市で売る必要も無いと思うけどね。例えばここで八百で買っておいて、国境市では 売らずに国境からすごーく遠い地域に持っていけば、リーンバルの入手難易度はぐっとあがる わけじゃない? そこでだったら千五百や、二千くらいでも売れるかもしれない。割高に、ち ょっとずつ、だけど沢山の人に売るってわけよ」 立て板に水である。 トロル猫のぱちぱちとはじき始めた見慣れたそろばんを失敬し、千宏は例えばグラム八百セ ンタで購入し、二千センタ――つまりは二セパタなのだが――で売りさばいた場合の売上総益 をパチパチと弾いて示して見せた。 これでも珠算は一級である。 「大量には要らないし、国境市まで行く気力はないけど、もしも持ってきてくれる人がいて、 ちょっとだけ売ってくれるなら喉から手が出るほど欲しいって人は、きっと沢山いると思うよ。 これは旅の商人じゃなきゃ出来ないけどね。おいしい話だと思うけどなぁ」 む、むむむむ、とぬいぐるみが短い尻尾をぴくぴくと動かす。 「じゃあ分かった! あんたには負けたよ。初回得点で今回に限り七百五十で売ってあげる」 「にゃに! つ、つまり百グラム買った場合五セパタもお得にゃ! 怪しいにゃー。その値引 きには裏があるにゃね!」 「あぁー。ばれたか! 実はあんたが持ってるって言う、怪しげな落ちモノ商品に興味がある んだ。それ、見せてくれない?」 にぃいい、とトロル猫が歯をむき出して嬉しげに笑う。 そうかにゃそうかにゃ、見たいかにゃ、とうきうきと担いでいた袋を下ろし、それを千宏の 前で広げて見せた。 「あたしはちょっと落ちモノ商品には詳しいんだ。マニアってやつでね」 「実は使い方が分からない物も結構あるにゃ。例えばこれ! ドーナツみたいにゃ。使い方は 不明にゃけど、キラキラで綺麗にゃ。沢山つなげてぶら下げると、とってもお洒落にゃー」 CDである。しかも、恐らくデータ未挿入の、パソコン専門店で売ってるような上書き不可 のカラフルなディスクメディアである。 なるほど、確かに使い方など皆目検討も付かないだろう。 「そしてこれ! こーやって紐をつけて振り回すと音がなるにゃ。ひょっとしたら楽器なのか もしれないにゃ」 ハーモニカである。この世界には無いのかと、少々意外だった。 しかしそれもそうか、とも思う。この世界の男の容姿があれでは、口に咥えるタイプの楽器 はなかなか普及しないだろう。 「それ、使い方違うよ」 「にゃに!」 ぶんぶんとハーモニカを振り回してご機嫌だった猫の顔が、驚愕に彩られた。 「じゃ、じゃじゃぁ、どうやって使うにゃ!」 「教えてあげたら、何か一つただでくれる?」 「それは無いにゃー。それはひどいにゃー」 「じゃあ教えない。その上値引きもしてあげない」 「あんた悪魔にゃ! 商売に魂を売り渡した生粋の商人にゃ! でも嫌いじゃないにゃー」 悔しげにしながらも、嬉しそうににやにや笑う。 それじゃあお願いするにゃと差し出されたハーモニカを受け取って、千宏は舌で舐めて唇を 湿らせた。 蝶々くらいしかふけないが、まぁそれで十分だろう。 ファミミレララ――が出だしだったように思う。ファの位置は何処だったか――。 汚れている口部分をローブの袖でごしごし拭い、千宏はかぷりとそれを咥えて音を確かめる ように端から端へと順に息を吹き込んだ。 おおおお、と歓声が上がる。 今気が付いたが、大量の野次馬が出来ている。 固唾を呑んで見守る群集の中、緊張で心臓が高鳴るのを聞きながら、千宏は一世一代のハー モニカの演奏会を開始した。 単調なリズムで数フレーズ。 ちょうちょ ちょうちょ なのはにとまれ。 なのはに あいたら さくらにとまれ。 さくらのはなの はなからはなへ。 とまれよあそべ あそべよとまれ。 少し失敗したが、まぁふけた。 ハーモニカから唇を離して顔を上げる。 瞬間――地を揺るがすかと思う喝采に飲み込まれ、千宏は思わずフードの上から耳を覆った。 「す――素晴らしい! 素晴らしいにゃ! まさかこんな素晴らしい楽器だったとは思いもし なかったにゃ!」 「すごーい! チヒロ凄い! 凄い凄い! なあに今の曲? 凄く可愛かった!」 「いいもん聞かせてもらったにゃー! なんでも好きなの持ってくがいいにゃ!」 「は、はぁ……」 蝶々だぞ。ただの。しかも音を繋げただけの単調な演奏だぞ。 度を過ぎた賞賛のあらしにやや仰け反りながら、千宏はありがたく袋の中身を物色した。 それにしても、見事にガラクタばかりである。 「うげ」 ガラクタに埋もれた奥の更に奥の方に、漫画や映画で見慣れた黒い輝きを発見し、千宏は思 わず手を引いた。 拳銃である。 「うわ……こんなのも落ちるのかよ」 誰がどんな状況で落としたのかは知らないが、落としたのが警察官で無い事を祈っておこう。 一応。その警察官の将来のために。 「って。なんだモデルガンか」 リボルバータイプのモデルガンだ。シリンダーの弾を込める部分に金属でふたがしてあり、 弾を込めても打ち出せないようになっている。 モデルガンを袋の中に丁寧に戻し、ふと、千宏はかわいらしい布張りの小箱を目に留めた。 手にとってみると、ずしりと重い。 ひっくり返してみると、裏にまいてくださいと言わんばかりのネジまきがあるのだが――残 念ながらつまみが折れていてまわせそうに無かった。 だが、間違いなくオルゴールの小箱である。 「これでいいや。この箱頂戴」 「にゃ。それの何処に魅力があるにゃ。後学のために知りたいにゃー」 「ただのオルゴールだよ」 「にゃに! だって音なんかならなかったにゃ!」 「ゼンマイが切れてるし、ねじまき折れてるからね。これもらうよ」 「そ、そんにゃ……」 落ちモノオルゴールなんて絶対高値が付くのにぃ、と猫が泣きそうな声を出す。 ションボリとしながらも、しかしどこか嬉しそうに弾みながら、猫のぬいぐるみは千グラム のリーンバル鉱石とハーモニカを手に野次馬をかき分けて去っていった。 なんだなんだ、もう終わりか、と野次馬達がざわめきだし、わらわらとばらけて行く。 手に入れたオルゴールをどうやって鳴らそうか考えをめぐらせていると、突然パルマが感極 まって悲鳴を上げた。 「すごい! 本当にすごい! 信じられない! チヒロって商人だったんだ!」 「え? いや……ただの学生だったけど……」 確かに、受けた大学は国立の経済学部ではあったけど――。 「あの嫌なネコ商人に高値で売りつけてやっちゃった! すごくいいきみ!」 あぁ、やはりあれは猫なのか。 猫の獣人はもっとスマートで、もう少しまともにネコっぽいのを想像していたのだが――。 「でも、さっき言った通りにすれば普通にあのネコ儲けると思うよ」 「ええ! そうなの?」 「高級なものを大量に買えないから、ちょっと割高でも少しだけ買うって人は、絶対にどこか に――しかも結構な人数いるはずだから」 「そっかぁ。そうだよねぇ。チヒロ頭いいねぇ」 パルマがしきりに感心する。 これは千宏の頭がいいと言うより、元の世界では商売の常套手段だ。 この世界ではその手段が未だに普及していないのか、それともトラが商売に疎いだけなのか 千宏には分からなかったが、まぁ恐らくは後者だろう。 「おい」 興奮冷めやらぬといった様子でうきうきと仕事に励むパルマの横で、細々とした雑用をこな していると、不意に野太い声が頭上から降ってきた。 首を反らせて振り仰ぎ、凶悪な虎男と数秒間見詰め合う。 「――なにか?」 首をかしげると驚いたように目を見開き、虎男は急に不審な挙動を取り出してわたわたと背 後を振り返った。 ちょっと来いと合図するようにしきりに手を振り、そして二人の虎がかけてくる。 これでどうだと言わんばかりに、最初の男が千宏を見下ろした。 全く意味が分からずに再び首をかしげると、そいつは明らかに困惑した様子で背後の二人を 振り返り、ぼそぼそと相談し始めた。 やっぱり違うんじゃねぇか、だとか。 だってパルマと一緒にいるぞ、だとか。 ショックで記憶を失ったんじゃ、だとか。 聞こえてくる言葉も全く要領を得ない。 「あの――商談だったらあたしじゃなくてパルマに――」 「二週間前――市場の外れで会っただろう……」 ぞく、と背筋が凍りついた。 思わず足がじりじりと後退する。 その様子にようやく確信を得たように、三人は自信を持って頷きあった。 「ちょっとあんたたち! でかい図体三つ並べてか弱い女の子を囲むなんてどういう神経して るわけ? チヒロ怖かってるじゃない!」 異変に気付いたパルマが千宏の前に立ちはだかり、威嚇するように低く唸る。 青い顔で三人を凝視する千宏のその眼前で――唐突に、三人が一斉に膝を折った。 「すまんかった!」 虚をつかれて面食らい、何事かとパルマと顔を見合わせる。 真ん中の男――他の二人よりも大柄だろうか――が顔を上げ、悲痛といおうか、今にも首を くくりそうな表情で千宏を見た。 瞳の色が吸い込まれそうなほど、鮮やかに青い。 「あんたにも生活があったんだよな、家族がいたんだよな。俺たちそんなこと考えもしねぇで、 あんたがヒトってだけでよぉ。飼って奴隷にすんのがあたりまえみてぇに思っててよぉ」 う、うぅ、と涙ぐみ、ついにはおいおいと泣き始める。 もらい泣きとばかりに背後の二人もぐすぐすと泣き始め、千宏は再び周囲から注目が集まり はじめるのを意識して狼狽した。 「ちょっと! なんであんた達チヒロがヒトだって――」 「パルマ! しー! しー!」 頼むから市場の真ん中でヒト、ヒトと連発するのはやめてくれと懇願すると、パルマはいけ ない、と口元を押さえ、あんたたちのせいだからねと虎男達をげしげしと足蹴にした。 「俺たちぁアカブに殺されかけて目が覚めた! きっかけは確かにあいつの言葉だが、これは 脅されての行動じゃねぇ! 俺達の誇りにかけて、あんたのこの市場での安全は俺たちが保証 する!」 「えぇ! い、いいよ別に。いらないよ! っていうかよるな! 近づくな!」 立ち上がってずいと距離を詰める男から大慌てで距離を取り、パルマの背後で縮こまる。 アカブの言っていた“手を打っておいた”とは、つまりこういう事か。 「いいんだ。怯えられてる事は分かってる。許してくれとは言わねぇ。俺たちは取り返しの付 かないことをやっちまったんだ」 その、妙に聞き分けのいい態度をやめてはくれないだろうか。 こんなにも潔く謝られ、清々しく自身の非を認められては、許さなければまるで千宏の方が 心の狭い悪者である。 「チヒロ。ねぇ、こいつらに何されたの?」 こそこそと声を殺して聞いてくるパルマに、 「強姦されかけた」 と簡潔に答えると、パルマは尻尾を逆立ててきっと目を吊り上げた。 「信じられない! 最低! 最悪! チヒロが二週間も寝込んだの、絶対あんたたちのせいだ からね! 本当に死んじゃう所だったんだからね!」 「うう、すまねぇ! 本当にすまねぇ!」 二週間のうちの一週間は、明らかにパルマの頭痛薬が原因なのだが――。 そろりと、バラムにもらった腰のナイフに手を伸ばす。 その、千宏の小さな手ではひどく握りにくいグリップをしっかと握り、千宏は意識して呼吸 を整えながら三人の虎男達を見下ろした。 千宏に虎人間の美醜はよく分からない。 だが見下ろした三人の虎達は千宏から見ればどう見ても虎で、かわいい猫の巨大版である。 そんな虎たちが、まるで雨の日に捨てられた仔猫のような目で千宏を見つめ、許しを請う。 反則では無いか――反則だ。これはずるい。 「――名前は?」 ぴくん、と、長くて立派な尻尾が嬉しげに跳ね上がる。 「許してくれるのか!」 「別に、もともと怒ってるわけじゃないから……怖いけど」 「ちょっとチヒロ!」 「だって、冷静に考えてみれば申し出はありがたいし、アカブに何か脅されてるんでしょ?」 「そうなんだ。もしも市場でチヒロが誰かに襲われたら、俺達全員の目玉くりぬいて目の前で 食ってやるって――」 「黙ってろカアシュ!」 後ろで平伏していたやや――本当に極僅かに小柄な虎を、手前の虎が怒鳴りつける。 「さっきも言ったが、この際あの野郎の脅しは関係ねぇ。俺は俺達の誇りにかけて、あんたを 守ると誓うんだ。こいつぁ償いだ!」 なんとも暑苦しい限りである。 「守ってくれるって言うなら、素直に好意は受け取るけど……でも条件がある。まだあんた達 見ると体が竦むし、吐き気するから、あたしの半径三メートル以内に近づかないで」 「かまわねぇさ。十分だ! 俺たちゃイヌの軍隊よりも頼りになるぜ!」 「三人纏めてアカブにのされたくせに」 立ち上がって胸を張った男に対し、パルマが冷たく言い放つ。 あいつは犬の軍隊よりもつえぇんだよ、とぎゃあぎゃあと怒鳴りあう二人を放置して雑務に 戻った千宏の唇にうっすらと笑みが刻まれていた事は、フードに隠され千宏自身も気付く事は なかった。 *** 別に区別をつける必要も無いだろうと思ったのだが、名前を聞いてしまった以上はやはり覚 えるのが礼儀だろうという妙に律儀な性格ゆえ、千宏は三人の特徴と名前をメモに取って持ち 歩く事にした。 カアシュ――と怒鳴られたやや小柄な虎は随分と陽気な性格で、きっちりと三メートルの距 離を保ったままあれこれとヒトの世界の事を聞きたがった。 リーダー各と思しき大柄な虎はカブラといい、バラムに向かって“ケツに突っ込んでやる” と言った強者だ。 最後の一人はブルックと名乗り、肉食獣の化け物の分際でバードウォッチングが趣味だとぬ かすふざけた男である。 そう言えば、とふと思い、あれがあたしのファーストキスだったんだよねと呟くと、ブルッ クは愕然と硬直し、他の二人およびパルマにぎたぎたにされながら「俺は性根の腐っただめな 野郎だ」と繰り返した。 どうやらヒトにとってファーストキスが重要な意味を持つ事は、全員知っていたらしい。 日が暮れ始めて店を畳み、馬車まで移動する間まで三人は律儀についてきた。 守られているというよりも狙われている、監視されているという印象が強いのは、やはりマ イナス方面の先入観が強いせいだろう。 バラムと市場に来る時も側にいるのかと問うと、カブラはあたりまえだと頷いた。 バラムの不機嫌顔が目に浮かぶようである。 家に帰り着いて荷を降ろし、パルマは早速今日の出来事を洗いざらいすっかりとアカブに向 かって並べ立て、チヒロったら本当に凄いんだからとまるで自分のことのように胸を張った。 バラムが袋にぎっしりと怪しげな薬草を詰めて帰ってくると同じように事の顛末を話して聞 かせ、しまいにはハーモニカが欲しいとまで言い出した。 そんなパルマの話にアカブとバラムは微笑ましく耳を傾け、言葉少なに、しかし心から千宏 を労い、よくやったと褒めてくれた。 それがひどくくすぐったくて、だけど妙に嬉しくもあり、なんとも言えず心地よかった。 ネコの商人から巻き上げたオルゴールをバラムに見せ、つまみの部分が折れているんだとう ったえると、バラムは箱を持ったまま一人で倉庫に向かい、数十分もしないうちに戻ってきて 直ったぞとオルゴールを千宏に手渡した。 裏を見てみると言葉どおり、簡素ではあるがちゃんとネジまきが付いている。 どうやって直したのかと聞くと、水をかけると金属のように硬くなる粘土があるのだと言う。 建築物の接着剤にも使われる事があるらしく、強度は折り紙つきだとバラムは笑った。 パルマにせがまれてつまみを回し、蓋を開けた瞬間に流れる安っぽい旋律。 所々針が折れ、歯抜けになったメロディー。 「なんか楽しい曲だね」 うきうきと尻尾を揺らしてパルマが言う。 「なんて曲かわかるか?」 バラムの問いかけに、千宏は迷うことなく頷いた。 曲も、曲に付随する物語も大好きなバレエ組曲。 「くるみ割り人形」 パルマがきょとんと目を見開き、変な名前、と唇を尖らせる。 「音楽で物語が作ってあるんだ。クララって女の子が夜の十二時に小さくなって、悪い奴らが やって来て、くるみ割り人形が動き出して玩具の兵隊といっしょにそいつらをやっつける。最 後は悪玉のボスとくるみ割り人形の一騎打ち。危なくくるみ割り人形が倒されそうになった所 をクララが助けに入って、悪い奴は倒される」 オルゴールの旋律にあわせ、くるみ割り人形の物語を語る。 やってきた悪い奴らはネズミの大群なのだが、この世界的にその表現はまずいだろう。 「そしたらくるみ割り人形は王子様に変身して、クララは一緒にお菓子の国に旅に出るんだ。そこで色んな妖精に会って、歓迎されて――」 そして、自分の世界に帰るのだ。 オルゴールの旋律が徐々に緩やかになっていき、針がのろのろと、だらだらとプレートを弾 いて最後に引っかかるようにして止まる。 こん、とオルゴールを軽く叩くと針にひっかかっていたプレートが弾け、調子の外れた一音 だけを叫んで沈黙した。 「歓迎されて、どうなるの?」 不思議そうにパルマが聞く。 静かにオルゴールを胸に抱きこんで、千宏は平然と笑って見せた。 「王子様とお菓子の国で、末永く幸せに暮らしましたとさ」 さして不思議がる風もなく、ふうん、とパルマがふりふりと尻尾を振る。 「もし私が男だったら、チヒロの王子様になってあげたのにな」 「おまえが男だったら、そもそもこの家にいねぇだろうが」 呆れたようなアカブの言葉に、ああそっか、とパルマがとぼけた声を出す。 誰からともなく明日以降の予定の話になり、パルマがお腹がすいたと騒ぎ出し、食事をして、 風呂に入り、千宏はオルゴールと共に自室に戻ってきた。 かちかちとつまみを回し、ベッドの脇にある小さなサイドテーブルに金属で縁取られた布張 りの箱をちょこんと据え置く。 蓋を開けて溢れ出したくるみ割り人形の物語に浸りながら、千宏はベッドに身を沈めた。
https://w.atwiki.jp/gods/pages/65488.html
ヒロヒトシンノウ(2)(裕仁親王) 皇族の系譜に登場する人物。 第124代天皇ショウワテンノウ(昭和天皇)となる。 関連: ヨシヒトシンノウ(4) (嘉仁親王、父) クジョウサダコ (九条節子、母) ナガコジョオウ (良子女王、妻) シゲコナイシンノウ(3) (成子内親王、娘) サチコナイシンノウ(2) (祐子内親王、娘) カズコナイシンノウ (和子内親王、娘) アツコナイシンノウ(4) (厚子内親王、娘) アキヒトシンノウ(2) (明仁親王、息子) マサヒトシンノウ(2) (正仁親王、息子) タカコナイシンノウ(5) (貴子内親王、娘) ショウワテンノウ (昭和天皇) 別名: ミチノミヤヒロヒトシンノウ (迪宮裕仁親王)
https://w.atwiki.jp/sentai-kaijin/pages/794.html
「負けたほうが鬼なのだ、それが歴史だ」 【名前】 クチヒコ/ゴルドラ 【読み方】 くちひこ/ごるどら 【声/俳優】 篠井英介 【登場作品】 劇場版超・仮面ライダー電王&ディケイド NEOジェネレーションズ 鬼ヶ島の戦艦 【分類】 オニ一族/仮面ライダー 【モチーフ】 仮面ライダー1号 仮面ライダー2号 【詳細】 かつて人間との戦いに敗れ倒されたはずのオニ一族の長。 突如発生した地震の影響で歴史が変わり、ゴルドラと呼ばれる姿に"変身"する能力を持つようになった。 切り札である鬼の戦艦を蘇らせるため弟であるミミヒコを送り込み、起動させるための鍵の半分を探させ、デンライナーの存在を知ってからは幸太郎を人質に取りデンライナーの奪取を目論む。 弟が電王超クライマックスフォームに倒された後、鬼の戦艦を起動させデンライナーとの激しい空中戦を繰り広げた。 だが、マシンデンバードで単身やってきたソードフォームとの一騎打ちとなり、「俺の超必殺技(デンライダーキック)」を受けた事で変身が解け、戦艦の操縦席もろとも爆散した。 策略家だが手作りの風景変化に気づかないなどあまり頭がいいようには見えない。 デザインは仮面ライダー1号のオマージュ。