約 2,287,704 件
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/5516.html
ハルヒ×SILENT HILL×F.E.A.R.×many other ※クロスオーバー、グロ、ホラー、オリキャラに該当します。 ※前作「涼宮ハルヒの静寂」との関連はありません。 注意 F.E.A.R.について 海外製FPSのタイトルです。 TRPGとは一切関係ありませんのでご了承ください。 畏怖・涼宮ハルヒの静寂 (二訂版) 第1周期 第2周期 第3周期 第4周期 第5周期 第6周期 周期数不明 畏怖・涼宮ハルヒの静寂2 phoeniXXX 第1周期 第2周期 第3周期 第4周期 周期数不明 Brack Jenosider DistorteD-Answers_畏怖・涼宮ハルヒの静寂0 第1周期 第2周期 アーカイブ
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/5659.html
「涼宮ハルヒのビックリ」(ネタバレ注意?) 「涼宮ハルヒ。」の続編を予想して書いてみました。処女作品なのに長編SSで、しかも稚拙な文章のためあらかじめご了承願いたいです。 第四章 -[[涼宮ハルヒのビックリ」第四章α‐7 β‐7]] -[[「涼宮ハルヒのビックリ」第四章α‐8 β‐8]] 第五章 -[[「涼宮ハルヒのビックリ」第五章α‐9 β‐9]] -[[「涼宮ハルヒのビックリ」第五章α‐10 β‐10]] -[[「涼宮ハルヒのビックリ」第五章α‐11 β‐11]] 第六章 -[[「涼宮ハルヒのビックリ」第六章]] エピローグ -[[「涼宮ハルヒのビックリ」エピローグ あとがき]] また下記のサイトにて個人的見解も述べています。よろしかったらどうぞ。 ttp //www31.atwiki.jp/kyogaku/
https://w.atwiki.jp/yuriharuhi/pages/68.html
「あけましておめでとー!」 SOS団団員には既にお馴染となったマンションの玄関前。 前日の夜…といっても数時間前だが、団員達に「初詣行くから有希んちに集合」と突然すぎるメールを送りつけてきた団長様が、満面の笑みで手を振っている。 「おめでとうございます」 「今年もよろしくな」 肌を刺すような早朝の空気は元旦だからといって手を緩める気はないらしく、肩をすくめるみくるは、手袋にくるまった指先をさすりながら、 「長門さんは?」 白い息とともにハルヒに疑問を投げ掛ける。 新年、SOS団の初顔合わせとなったその集合場所には、本来、一番早く到着できるはずの少女の姿が見えなかった。 聞かれたハルヒがふふんと笑う。 不思議そうなみくるに、なぜか胸を張ると、 「有希、いいわよ!」 自動ドアに向かって呼び掛けた。 その合図を待っていたかのように、透明なガラスの死角、壁の裏から小さな人影が現れて――、 「…」 眠そうだった団員達の目が、普段の倍ほどの大きさに見開かれる。 「じゃーん!」 ありきたりな効果音とともにハルヒの横まで歩いてきたのは、 着物姿の長門だった。 さかのぼること、一時間ほど。 「ごめんねー。早い時間に」 集合時間にはまだまだだというのに、長門の部屋には既に団長の姿があった。 新年早々ワクワク顔の彼女の右手には、かなり大きな紙袋が握られている。 長門は早朝にも関わらずいつも通りの制服姿で、ハルヒはそれを横目でちらと確認すると、 「やっぱり、制服だと思った」 小さな子どもに語りかけるみたいに呟く。 そして、持参の紙袋をごそごそと探り、 「これ、着てみてよ」 赤い着物を取り出してみせた。 「中学校か、小学校高学年くらいのときに買ってもらったやつなのよ」 意外と本格的なその着物の帯を締めつつハルヒが言う。 「入らなくなったし、片付けちゃうつもりだったんだけど、有希なら着れるかなと思って」 「…そう」 てきぱきと着付けをこなすハルヒに身を任せる長門だが、 「うん!やっぱり似合うわ!」 赤い着物を纏った姿を上から下まで見渡した団長様は、仕上がりにとても満足のようだ。 「前々から、有希は和服が似合うかなと思ってたのよ」 それは暗に体の凹凸が少ないと言っているようなものなのだが…。 誉められた長門は素直に嬉しいらしい。 「ありがとう」 小さく呟いて… ハルヒの方に歩み寄ろうとして、僅かに足をよろけさせた。 「…少し動きづらい」 「ふふ、大股で歩いちゃダメよ」 ふらふらとする小さな少女に、ハルヒは笑いかけて、 「それ、あげる」 飾りっ気のないショートカットをふわりと抱き寄せた。 「それは有希が一番似合うから」 「…私が?」 「うん…。最高に可愛いわ」 その言葉は、いつもみくるが着せかえ人形のごとく遊ばれているのを横目で見ていた長門の心に、なにかしら響いたようだった。 着物に包まれた小さな体が、寄り添うようにハルヒの肩に頭を預けた。 周りの空気にあてられて、長門の髪は冷たくなっていた。 ハルヒはその髪を撫でながら… 集合時間までに、和服らしくアップにしてあげようかな、とか考えていた。
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/3925.html
涼宮ハルヒの経営I -目次 --[[プロローグ 涼宮ハルヒの経営I プロローグ]] --[[1 章 涼宮ハルヒの経営I 1章]] --[[2 章 涼宮ハルヒの経営I 2章]] --[[3 章 涼宮ハルヒの経営I 3章]] --[[【仮説1】その1 涼宮ハルヒの経営I 【仮説1】その1]] --[[【仮説1】その2 涼宮ハルヒの経営I 【仮説1】その2]] --[[【仮説2】その1 涼宮ハルヒの経営I 【仮説2】その1]] --[[【仮説2】その2 涼宮ハルヒの経営I 【仮説2】その2]] --[[【仮説3】その1 涼宮ハルヒの経営I 【仮説3】その1]] --[[【仮説3】その2 涼宮ハルヒの経営I 【仮説3】その2]] --[[【仮説4】その1 涼宮ハルヒの経営I 【仮説4】その1]] --[[【仮説4】その2 涼宮ハルヒの経営I 【仮説4】その2]] --[[【仮説4】その3 涼宮ハルヒの経営I 【仮説4】その3]] --[[【仮説4】その4 涼宮ハルヒの経営I 【仮説4】その4]] --[[【仮説5】その1 涼宮ハルヒの経営I 【仮説5】その1]] --[[【仮説5】その2 涼宮ハルヒの経営I 【仮説5】その2]] --[[4 章 涼宮ハルヒの経営I 4章]] --[[5 章 涼宮ハルヒの経営I 5章]] --[[6 章 涼宮ハルヒの経営I 6章]] --[[エピローグ 涼宮ハルヒの経営I エピローグ]] --[[おまけ 涼宮ハルヒの経営I おまけ]] -- blanklink(未公開シーン(外部リンク)){http //www22.atwiki.jp/hiroki2008/pages/53.html} -関連作品(時系列順) --[[長門有希の憂鬱Ⅰ http //w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/2553.html]] --[[長門有希の憂鬱II http //w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/2940.html]] --[[長門有希の憂鬱III http //w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/2999.html]] --涼宮ハルヒの経営I --[[涼宮ハルヒの常駐(◆eHA9wZFEww氏による外伝) http //w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/3025.html]] --[[涼宮ハルヒの経営Ⅱ(外部サイトへ) https //kakuyomu.jp/works/1177354054886703189]] --[[古泉一樹の誤算 http //w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/4501.html]] --[[長門有希の憂鬱IV http //w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/4908.html]] -共著:◆kisekig7LI ◆nomad3yzec -イラスト:どこここ Special thanks to どこここ -データそのほか --[[青空文庫版 http //www22.atwiki.jp/hiroki2008/pub/archives/haruhikeiei1_aozora_200802042244.zip]] --[[元テキスト http //www22.atwiki.jp/hiroki2008/pub/archives/haruhikeiei1_plot_200802042244.zip]]( blanklink(Nami2000){http //www.vector.co.jp/soft/win95/writing/se101660.html}データ形式) ----
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/5246.html
第1周期 Ctrl+S 部室には妙な沈黙が漂っていた。 珍しくハルヒが来ないのである。 俺には遅刻すら容赦なく罰する団長が無断欠席とはこれいかに。 俺と古泉は何年度版かもわからない人生ゲームをしている。よくも追突しやがったな古泉。 「故意ではありませんので」 ああそうかい。その横では、長門がいつものように読書にいそしんでいる。朝比奈さんは何かノートに書いている。課題だろうか、大変そうなので声を掛けるのをためらってしまう。 「涼宮さんと掛けまして」 古泉が突然口を開いたかと思えば、謎かけを出題しやがった。 ……いいだろう。 「提出書類と解く」 「そのこころは?」 まるで何か受信したかのように突然俺の頭に浮かんできた、我ながら上手いと思う。恐らく口元が緩んでいただろうな。 「どちらも期限(機嫌)が重要」 最後まで言い切る直前に嵐がやってきた。 勢いよくドアが開いたのだ。入って来たのは勿論ハルヒだった。 無言でその場に立っている。まずい、今のを聞いてたか…? ハルヒは随分走ってきたようで、肩で息をしていた。 「………」 突然の事態に俺達は困惑した。 ハルヒが泣いていたのだ。今の俺に原因として思い当たるものは全くない。 真っ直ぐ立ったまま、ぽろぽろと溢れる大粒の涙を拭こうともせずに、しっかりとした視線でこちらを見ていた。 今にも声が漏れそうなのだろうか、ぐっと唇を噛んでいた。 「うわあああああああああああああー!!」 いきなり走ってきたかと思うと、そのまま俺に抱き付いて子供のように泣き叫んだ。 「お、おい。どうしたんだ一体」 顔を埋めたまま何度もしゃくりあげて泣くハルヒに、俺は勿論のこと古泉も朝比奈さんも長門も戸惑いを隠せなかった。 強い力で抱き締められているので、肺が圧迫されて呼吸がしにくいので苦しい。 暫くすると落ち着いたのか、泣き声を上げることはなくなっていた。 俺はまっすぐ下に垂らしていた両手をハルヒの肩に置いた。 ハルヒは華奢な体系ではあるが、どうしてだろうか余計小さく思えた。 「何があったんだ?」 ハルヒは顔を押し付けたまま首を横に振った。服と髪がこすれてがさがさという音がする。 それからもずっと、そのまま寝てしまったのではないかと思う程にじっと動かなかった。何かを確かめているかのような深い呼吸の音だけが聞こえていた。 どれほど経っただろうか、ようやく離れた時には、ハルヒの目は真っ赤になりまぶたが腫れ上がっていた。 そしてふらふらと歩いていくと、今度は長門に抱きついた。 ばさっという音がしてハードカバーの本が床に落ちた。 同様のことが古泉と朝比奈さんにもあったが割愛させてもらう。 ハルヒはようやく落ち着いたようだが、何か考えているような様子で突っ立ったまま団長席に座ろうとしない。視線を追うと窓の外を見ているようだ。 「なあハルヒ」 「後で全部話すから待ってて」 思い切って話しかけてみたものの質問を最後まで言わせてくれなかった。 「全部って……一体なんのだ」 「それも後で話すから黙ってて頂戴」 おかしい、きつい口調なのだがまるで覇気がない。それも今回の異変の理由だろうか。 だがノーコメントを繰り返す今のハルヒに何を尋ねても堂々巡りだろうから黙って待っていた。 「あの、涼宮さん……?」 「いいよ、入って」 ハルヒが扉に向かって言う。誰かいるらしい。 だが誰も入って来る様子はない。 「大丈夫だから、ね」 静かに扉が開く。 現れたのは、ワンピースを来た小さい女の子だ。 小学生だろうか。背は低く、妹とあまり変わらない。 だが注目すべきところはそこじゃなかった。 こいつ……ハルヒにそっくりじゃないか? 長門が(本当にわずかであるが)驚愕の表情を見せている。 「貴方は……誰?」 「それは後ほどに説明します」 とても小学生とは思えないはっきりとした物言いに、俺や朝比奈さんは驚いた。 そのしっかりとした視線は、意志が強そうな印象を俺達に与えている。俺の妹とは大違いである。 「みんな座って」 ハルヒの指示によって全員が長机を囲んで座った。 がちゃがちゃというパイプ椅子の音がして各自が着席する。そして全員が黙り込んでしまう。 「あの、お茶入れましょうか…?」 「そう? ありがと」 助かったよ朝比奈さん、おかげであの重たい沈黙から解放されました。 しかし結局、朝比奈さんがお茶を入れている間、誰一人口を開くことはなかった。 古泉は時折視線を横に向けて謎の少女の方向を向く。いつものスマイルはすっかり消え、「仕事」の時の表情に近いように見えた。 朝比奈さんが入れたてのお茶を配る。俺は目の前にある湯気の立っている液体の波紋を見つめていた。 「どうぞ……」 「ありがとう」 朝比奈さんはがハルヒのところに湯呑を置く。手が若干震えていたのは熱さのせいだったのだろうか。 ハルヒは熱いお茶を一口だけ飲むと、見回してから言った。 「これより、SOS団緊急会議を行うわ」 一体どんな議題なんだろうか。この場に同席しているこの子は俺たちと同じ扱いであってただの小学生じゃないんだろうな。 見た目はハルヒの幼少時代の姿をそのままコピーしたのではないか(実際は見たことないが)という程にそっくりだが、相違点もいくつかあるので単純にクローン的な存在ではないだろう。 大人しく座っている様はミヨキチみたいだ。 しかし何だろうかこの妙な緊張感は。物音を立てるのをためらってしまうかのような、そんな静けさだった。 「いい? 今から言うことは全て事実よ、分かった?」 ハルヒが真剣な面持ちで言う。皆が静かにうなずく。ハルヒの隣に座っている少女も緊張している様子だ。とてつもなく重大なことなのだろうか。 「大丈夫?」 ハルヒが少女に言う。確かにさっきからうつ向いていて元気がない。 少女が無言でうなずく。 ハルヒが立ち上がると、皆の視線がそちらに集中した。 小さく深呼吸をしてから、ゆっくりと話し始めた。 「あのね、あたし……自分のことについて全部知っちゃったのよ」 それを聞いた瞬間、長門が椅子を壁まで吹き飛ばす勢いで立ち上がった。 「……」 「ごめんね有希。みんな知っちゃったのよ」 俺は石像と化していた。とんでもないことを言ったぞこいつ。自分の能力を自覚してしまったと言うのだ。 どうして知ってしまったのだろうか。そしてどうしてそんな驚愕の事実を知ってここまで冷静にいられるのだろうか。下手をすれば世界を滅ぼしていたかもしれないその力。 「その後にね、世界を滅茶苦茶にしたのよ」 その瞬間、部室に4体の石像が出来上がった。 「は?」 思わず出た言葉がこれだ、間抜けだろ。 またしてもとんでもないことを言った。 ハルヒが、世界を、メチャクチャに? 世界の崩壊、それはここにいる全員が避けたい最悪のシナリオだ。 古泉は真っ青になっている。機関はそれを防ぐための組織だからな。 朝比奈さんは「えぇ…?」と声を漏らした。世界が崩壊したなら朝比奈さんの暮らしていた未来は存在しない。 たとえ地球が爆発しようがどうってことないであろうパトロンに属する長門は、穴があきそうな程に強い視線で少女を見つめていた。 「でも安心して、それはこの先の未来で起こったことだから」 「それは、一体どういうことなんですか」 そう尋ねた古泉にハルヒはこう答えた。 「何年も掛かっちゃったけどリセットに成功したのよ、この子のお陰でね」 リセット? 「詳しくは言えないけど、この日まで時間を巻き戻して原因を排除したのよ」 なんだかよくわからないんだが。 「分からなくて当然よ、突然言われたところで理解できるほうが怖いわ」 「どうして原因を伏せる」 長門がストレートに言った。 「言ってもいいの?」 おいおい同意を求めるってのはどういうことだ。そんなにタブーなのか? 「偶然の重なり合いであったということを念頭に置いて、の話だけどね」 どうして俺を見る。 「キョン、アンタが関わってるのよ」 そう言った瞬間、皆の視線がこちらに向いた。 「俺が何をしたんだ? お、俺が世界崩壊の一因なのか?」 「それもリセットしたから誰も知らないはずよ。知らなくていいことだし」 だが俺に向けられた視線の数割は冷たさであるように感じた。 その視線に長時間耐えられる自信はなかったので話題転換を図った。 「こいつのお陰って言ってたが、一体誰なんだ?」 「私の妹よ」 「お前に妹がいたなんて聞いてないぞ」 「そうね、いなかったわよ。あの時まではね」 長門が口を開く。 「つまり、貴方が生み出したということ?」 「そうなるわね、無意識下だったんだけど。この子には随分と辛い思いをさせちゃったの」 そして、遂にハルヒは何が起こったかについて語り始めた。 数十分に及んだそれを要約すれば以下のようになる。 この先のこと、なかったことにされた未来でハルヒは精神を病み自らの力の全てを破壊に向けた。 (どうして精神が狂ったのかについて、その過程を話すことはなかった。何故言いたくないのかは分からないが、ひどい経験をしたに違いない) 自分の意思に反して繰り返してしまう殺戮によって生存者は街の中でもたった数人だけになってしまっていた。 そんな自分の力を手放そうとしてもそれが出来ず、嘆いていた時のことだ。 ハルヒは無意識のうちに新たな人物を生み出してそいつに力を押し付けたのだ。 その人物というのが、今俺の正面に座っているまだ小さな少女なのである。 彼女の名前はハルナ。名付けたのは勿論ハルヒである。 突然、惨劇の最中に生を受けたハルナは、ハルヒを止めて世界をリセットしなければならないことを知った。 だが自分には、ハルヒに押し付けられた闇の力した有していなかったためにどうする事も出来なかった。 戸惑ったまま具体的な行動が出来ず、最後まで生き残っていた「俺」の殺害を許してしまう結果になってしまった。 ……………………………… 「もうやめろ」 俺は途中でハルヒの話を遮った。なぜかって? 見りゃわかる。その惨劇を説明していたハルヒの表情は今にも泣き出してしまいそうだった。 「俺達にはお前とハルナがどんな経験をしたかは分からないかもしれんが、話してて辛いんだろ?」 ハルヒは下を向いて黙っている。否定しないなら肯定だな。 「無理に急ぐ必要はない。十分落ち着いてからでもいいと思うぞ」 「そうね……続きはまた今度にしていいかな」 俺達が頷き、ハルヒはようやく着席した。 「本来、私は存在してはいけないんですよね」 ハルナが消えてしまいそうな声で呟いた。姉はそれを聞き逃さなかった。 「ハルナ!!」 それまでは弱々しい表情だったハルヒが立ち上がり激昂した。本日最も大きな声であった。 「それは言わないって約束したでしょ!?」 「……ごめんなさい」 姉はうつ向く妹の肩をしっかりとつかむと強引に引いて自分と向かい合わせにした。 「何回でも言ってあげる、ハルナはここにいていいのよ! いなくなるなんてあたしが許さないからね!」 そしてしっかりと抱きしめた。これで何度目だろうか、沈黙が支配している。 「ごめんね、今まで散々振り回しちゃって」 しっかりとハルナを抱きしめたまま言った。 「なんで謝るんだ?」 「だって、今までもあたしのせいで」 「確かに突然の告白には混乱しているさ、だが今までのことについて謝らなくてもいいと思うんだが」 「そうですよ。謝る必要などありません」 朝比奈さんがハルヒの肩に手を置いた。 「涼宮さん、元気出しましょう」 「SOS団は不変」 長門もそう言った。 「みんな……ありがとう」 が、ここで古泉が厳しい現実へと引きずり込んでいった。 「世界崩壊の危機はなかったことにされて回避できたとしますと、問題は……ハルナさん、貴方の出現による影響ですね」 「おい古泉」 とうとうそこに触れやがったか。 「僕自身、これは言いたくない議題ではありますが黙っているわけにはいかないでしょうし」 そう言って朝比奈さんと長門を見る。朝比奈さんはその視線を受けて縮みあがっていた。 「確かに……突然現れたのだから何も変わらないわけはないだろう。だが、都合が悪いならばこいつを消すとでも言うのか?」 「我々としても善処はします」 その一言が我慢できなかったね。瞬時に顔が熱くなるのが分かった。 「『善処はする』ってどういうことだよ『善処は』ってのは!?」 「キョン」 ハルヒが俺を見上げている、そうか俺は怒りでいつの間にか立ち上がっていた。 それに気付いた俺はなんとか激昂だけはしないで済んだが、まだ怒りが完全におさまった訳じゃない。 「だがハルヒ、こいつの言い方はあんまりじゃn」 「やめて」 なだめられた形になってしまった。 ハルナは下を向いて今にも泣きそうに震えていた。姉の袖を掴み、顔を押し付けていた。 姉はそんな妹の頭を撫でながら……頼む、そんな悲しい表情で見ないでくれ。 申し訳ない気持ちで埋め尽くされて大人しく着席した。 「すまん」 「いえ、こちらも言葉を選ぶべきでした」 考えたくはないがこれは避けられないのである。 この事態に、各勢力はどう動くのだろうか。 これからが本当の会議の始まりである。 まず最初に口を開いたのは朝比奈さんだった。 「あの……こちらは組織からの連絡がないのでどうなったのかは分からないです」 それに続いて古泉が言う。 「先ほど連絡がありましたが、こちらもまだ情報が届いたばかりらしく議論が不十分ですので結論は出しかねます」 とはいうもののさっきの発言もあるので本心を確かめたかった。 「お前個人としてはどうなんだ」 「機関の関係者ではなく、ですか。僕としては賑やかになるのも悪くないと思っていますが」 「つまり賛成ってことでいいんだな」 「勿論です。未来人組織と超能力者機関に今のところ動きは無しということでよろしいですね」 古泉はそこで言葉を区切ると、まだ回答していない長門を見ていた。 「問題は統合思念体ですか」 古泉の言う通り、強大な力を持つ統合思念体の動きによっては俺達は手も足も出ないことになってしまうかもしれない。 「長門、お前のパトロンはどう動く」 「恐らく統合思念体は両論に分かれる。どの派閥が代表格になるかは未知」 「統合思念体に対し、現状の維持を要求します」 いきなりハルナが立ち上がって発言したので、長門も思わず黙ってしまった。 自分よりの大きな高校生に、しかも常識では考えられないようなバックが付いている集団を相手に堂々としている。さっきまでの弱々しさが見られない。 簡単に言えば、ハルナの存在を認めろという要求であるが、相手が相手だけに通用するか心配だ。 「もし却下された場合には」 長門の言葉を遮るようにハルナが言った。 「要求が通らなかった場合は、統合思念体は自身が持つ一切の権限を喪失します」 思い切ったことを言った。 統合思念体は長門曰くこの銀河を統括しているらしい。一切の権限を失えば、情報操作とかが全く出来なくなってしまうのだ。あの周防九曜が属する天蓋とかいう連中にテリトリーを奪われるだろう。 もしかするともっと他の勢力がこの銀河を狙っているのかもしれない。 統合思念体は力を失うだけで自身の存在を消されるわけでないから、領分を侵される様子をただ指をくわえて見ているしかなくなってしまうのだ。 「待て、そうなった場合に長門はどうなるんだ」 「情報意識体製のインターフェースについては主との切断という形をとります。なので、自身が所有する情報操作能力を残したまま存在することが出来ると思います」 だが、その権限喪失よりも先に統合思念体によって自分が消されるかもしれない。これは大きな賭けである。 長門が頷いた。ハルナの要求に同意したのだ。 「分かった。こちらとしても出来るだけのことをする」 「ありがとうございます」 ハルナが深々と礼をした。 「今日はこのくらいにしないか、大きな動きがない今議論したって対応し切れんだろうし」 本心はただこの緊張感から速やかに逃げたかっただけなんだが。 「そうですね。では緊急の場合の召集場所だけでも決めておきませんか?」 さっきまでと比べれば随分と軽ーい話し合いの結果、緊急召集場所は長門のマンション前の公園に決定した。 それが決定した時点で解散になったのであるが、ハルヒに俺だけ残るように言われた。 皆が帰って三人だけになった部室はまたしても静かである。運動部の活発な声や生徒の騒ぐ声が聞こえるのみだ。 窓を背にして立つ涼宮姉妹と改めて対面する。二人共に真っ直ぐな視線を俺にぶつけてくる。 「キョン」 「何だ」 「聞き忘れてたけど、アンタとしては、どうなの?」 それを尋ねるだけのために残ったのか? 「そういえば言い忘れてたな。俺は文句なしの大賛成だ」 「そう、よかった。でも、どうして?」 「『何で?』の圧迫面接は勘弁な」 「しないわよ。で、理由を聞かせて頂戴」 「反対する理由がない」 「ロリコンだから?」 思わず吹き出してしまった。まさかこんなとぼけた質問が飛んでくるとは思わなかったからな。 「なぜそうなる」 どう考えたら賛成=ロリコンになるんだ、しかも俺だけ。 「アンタ妹居るじゃない、だからそっちの方面に目覚めたり」 「ねーよ。俺はいたって健全な高校であってよからぬ方向の性癖はない」 「必死に否定している場合はアウトよ、分かった?」 「え……あ、うん」 変なことを吹き込むな。ハルナもそんな視線でこっちを見るんじゃない。 「そんな危ない思想は持ってないから安心しろ」 ハルナは迷っていたがこっちに来た。 そりゃあ可愛いさ、だがそれとこれとはベクトルが違う。 頭に手を置くと、一瞬びくっ目を閉じて身構えていたがすぐに落ち着いた。 「……」 「……」 むに。 俺は何を思ったのか、頬をつついてみた。 勿論ハルナはきょとんとしている。 「えっと……」 次の瞬間には視界が上下反転していた。うん、馬鹿だな俺。 「あ、だ、大丈夫ですか」 吹っ飛ばされて無惨に床に転がる俺をハルナは心配そうに見つめている。 「いてえよ、なんでドロップキックを喰らわなければならないんだ」 「やっぱロリコンでしょ」 「違うっての」 俺とハルヒが漫才を繰り広げている様子を、ハルナは少し笑いながら見ていた。 第2周期へ
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/2692.html
山にこもって半年が過ぎた。なにも考える必要のない生活というのは大層ヒマでつまらないものだったけど、それにももう慣れたし、これはこれでいいものだと思えるようになってきた。 今日も朝起きて歯を磨き、朝食を食べて山に入り、チェーンソーに混合ガソリンをさして仕事に取り掛かった。 いつも通りの、平穏で静かな時間がながれる。 杉にチェーンソーの刃を食い込ませてしまい抜こうと躍起になっていると、遠くから人の藪をかきわける足音が聞こえてきた。隣の炭焼きの谷口さんだろうか。今日こっちへ来るって言ってたから、たぶん間違いないだろう。 あの人は年季がはいってるから、上手に刃を抜いてくれるかもしれない。 ハルヒ「谷口さん」 キョン「ハルヒ、こんなところにいたのかよ。探したぜ」 ハルヒ「キョン!? あなた、なんでここに?」 キョン「お前を連れ戻しにきたに決まってるだろ」 ハルヒ「……なんでよ。放っておいてよ」 キョン「2年前、お前がどうして蒸発したのか、その理由がわからない。会って1年ちょいの付き合いだったけどさ、事情くらい教えてくれてもいいんじゃないのか? それが知りたくて、追ってきたんだ」 ハルヒ「ば、ばかじゃないの? それだけのためにこんな山奥まできたって言うの?」 キョン「そうだ。俺はバカだからさ。どうしても諦められないんだ」 ハルヒ「もう放っておいてよ! 私が出てった理由なんてどうでもいいじゃない」 キョン「どうでもよくない。それに、理由を知りたいのは俺だけじゃない。みんなそうだ。古泉も朝比奈さんも長門も、この2年間どんな思いでお前を探してきたか分かってるのか?」 ハルヒ「知らないわよ! そんな勝手な、あんた達の理屈を私におしつけないでよ!」 キョン「放ったらかしかよ!? 俺たちのこと。俺のこと。俺はな、お前がいなくなってからようやく悟ったよ。俺、お前の言うとおり馬鹿だからさ。気づかなかったんだ。ただ漠然と感じてはいたんだけど、俺」 キョン「俺、お前のこと、好きなんだ」 私はまた逃げ出した。アイドリングするチェーンソーをその場に残し、山道を駆け上っていった。 好き? キョンが、私のことを? そんなことあるはずない。 ハルヒ「いい加減なこと言わないでよ! あんたが好きなのはみくるちゃんなんでしょ? 適当なこと言って私を騙そうったってそうはいかないわよ。もう騙されないんだから。私は」 キョン「騙してなんかいない! 確かに朝比奈さんのことは好きだけど、それはなんていうか、恋愛感情というよりも憧れというか、父性本能というか……よく分からんが、純然たる恋愛感情でないことだけは確かだ! 誓っていい!」 ハルヒ「………」 キョン「なあ、分かってくれよ」 ハルヒ「本当に、私のことが好きなの? 嘘じゃないの?」 キョン「ああ。嘘じゃない。もし嘘だったら、お前の商売道具で切り刻まれたっていい。本当だ」 ハルヒ「そう……なんだ」 ハルヒ「……本当いうとね、私も好きだったのよ。あんたのこと」 キョン「………ハルヒ…」 ハルヒ「でもね、見ちゃったのよ。あの日。2年前のいつだったか。校舎裏でたまたま、あんたとみくるちゃんが抱き合ってたの」 キョン「あれは……その、違うんだ。朝比奈さんが元の時代に帰るからってお別れに……いや、なんでもない。ともかく、あれは違うんだ。恋愛感情からの行動じゃない」 ハルヒ「ほんと?」 キョン「本当だ。俺が好きなのは、お前だけだ」 ハルヒ「嬉しいわ。あはは。私たち、実は両思いだったんだ…」 キョン「ハルヒ。……積もる話もいろいろあるだろうしさ。とりあえず帰ろうぜ。こんな山の中じゃ、ゆっくり話をする喫茶店もないしさ」 ハルヒ「……でも、ダメよ。帰って。もう二度と私の前に姿を現さないで。あなたが本当に私のことを愛してるんだったら」 キョン「何故だ!? お前は俺が朝比奈さんと抱き合ってるのを見て勘違いして、あ、いや、あれは俺が悪いんだが、とにかく誤解は解けたんだ。もう厭世する理由もないだろ?」 ハルヒ「……重いのよ。私には。2年前の私なら十分あなたの気持ちに応えられただろうけど、今の私には、そういう感情は重荷にしかならないの。苦しいのよ」 キョン「ハルヒ……」 山の中を逃げ回る私。それを追ってくるキョン。変な状況よね。心底そう思うわ。これがお花畑か麦畑ならロマンチックだったんだろうけど。 私はもう誰の期待にも応えたくない。辛いから。 追ってこないでよ。そうやって私に気をもたせて。どれだけ私が苦しんでるか分かってるの? あなたの期待に応えたいという自分と、あなたにもしも裏切られたらと無意識的に思ってしまう私の、狂おしいほどの葛藤がどれだけ辛いことか。 こんな苦しくて、胸が張り裂けそうなほどに悲しい思いをするくらいなら、いっそ…… ハルヒ「来ないで!」 キョン「待て、どうするつもりだ!?」 ハルヒ「どうするって、どうするかなんて見れば分かるでしょ。それ以上近づいたら、私はここから飛び降りるわ」 ああ、私ったら。まだこんなに。こんなに苦しむほど、 この人のことが好きだったんだな。 キョン「どうしろって言うんだよ!? もう、俺はお前と離れ離れになるなんてイヤだぜ」 ハルヒ「近くにいるよりも、互いに離れたまま良い思い出として胸にしまっておいた方がいいことも、あると思わない?」 キョン「お前にとっては迷惑でうっとうしい俺のわがままかしれないが、俺はそうは思わないな。勝手な言い草だとは分かっているが、今は言わせてくれ。俺、お前と一緒でないとつまらないんだ! この世のすべてが!」 そうか。 なんだ。どうして今まで気づかなかったんだろう。バカは私だ。 私と同じで、この人も苦しんでたんだ。私とは、まったく正反対の理由で。 もっと早く、気づいてあげたかったな。そうすれば、この人も私も、今頃は…… ハルヒ「ありがとう。キョン。泣けるほどうれしいよ」 キョン「ハルヒ……。俺も、お前の気持ちを考えずにここまで追いかけちまって、悪かった」 ハルヒ「いいよ。別に」 ハルヒ「そういえば昔は、SOS団やってた頃はさ、よくあんたに無理難題ふっかけてたわよね。私」 キョン「まあな。何で俺が、っていつも思ってたけど、今思えば楽しい毎日だったよ」 ハルヒ「無理難題のなつかしい思い出ついでに、最後にひとつ、わがまま言ってもいい?」 キョン「いいぜ。この際だ。最後にひとつと言わず、これからもずっと聞き続けてやるよ」 ハルヒ「ううん。ひとつでいいよ」 ハルヒ「ごめん。私のことは、忘れて。さようなら」 それだけ言って、私は崖の上から跳んだ。 風が耳元でうなり声をあげている。宙で体がのけぞった時に一瞬、キョンが何か叫んでいるのが目に入った。 なにも聞こえなかったけどね。でも、よかった。きこえなくて。 小学生時代から平凡な人生に辟易してきた私は、ずっと不思議でおもしろくて、楽しいことを探してきた。とうとう見つけられなかったけどね。 けど、なんか今、ちょっと楽しいな。浮遊感ってなんか不思議な感じ。 風にさらされて、私の体が半回転した。その時、私の耳に耳障りな風の音以外の声が聞こえた。 キョン「ハルヒッ!!」 ハルヒ「キョン!? 私を追って…? どうして、あんた……!」 キョン「気づいてやれなくて、すまなかった! 一言だけ、俺も言わせてもらおうと思って追ってきた!」 キョン「お前、さびしかったんだな」 伸ばした手を、キョンがつかんだ。 キョン「聞こえたか? 聞こえなかったかもしれないから、もう一回言うぜ。最後まで気づいてやれなくて、ごめん。やっぱお前の言うとおりだったわ。馬鹿だな、俺」 ハルヒ「死んじゃうわよ、あんた! なんで飛び降りたのよ! 飛び降りてまで言うセリフじゃないでしょ!?」 キョン「舌かみそうだぜ……。なんでって、そういう気分だったからさ。お前を放っといて、のうのうと帰れるかよ。お前の尻拭いをするのは、雑用係の俺の役目だろ? いつだって」 ハルヒ「キョン……」 キョンが私の肩を強く抱いた。 暖かい。 いやだ。絶対に。 この人を死なせたくない! 神様! 本当に神様がいるんだったら信じてもいい、お賽銭だっていくらでもあげるわ! だからこの人を助けてあげて! お願い! 一瞬なにが起こったのかわからなかった。木の葉のように錐揉みする私とキョンの体が突然、手を離した風船のように宙に浮き上がった。 ジェットコースターで急降下する時、体が風で上に持ち上げられるでしょ。あんな感じ。 キョン「上昇気流か!?」 ハルヒ「じょうしょう……きりゅう?」 呆然とする頭では理解できなかったけれど、下から猛烈な勢いで押し上げてくる空気の塊に流され、私とキョンはその上昇気流に空高く持ち上げられた。 もうどこが上でどの方向が下なのかも分からないくらい、私たちは風にもまれて奔流していた。 そして気づくと、2人して元いた崖の渕に転がっていた。 キョン「……くそ、痛ぇな。アザになってるぜ。助けてくれるんなら、もうちょっとソフトにお願いするよ、神様」 ハルヒ「………私たち……たすかったの?」 キョン「ああ、そうらしい。ここがあの世じゃなければな。まあ、お前と一緒なら俺はこの世でもあの世でも、どこでもいいけどな」 ハルヒ「そっか……」 頭の中が真っ白になって何も考えられなかった。キョンの言っている言葉も理解できていなかった。 でも、ただ一つだけ強く感じられたことがある。 空中でキョンに抱かれた時。あったかかったな。 ハルヒ「人間ってさ。死ぬ瞬間に、今までの人生を走馬灯のように見るっていうでしょ。あんた、見えた?」 キョン「ああ。見えたさ。はっきりな」 ハルヒ「どんなの?」 キョン「朝比奈さんがお茶ついでくれて、長門が本読んでて、古泉がトランプで一人負けしてる走馬灯」 ハルヒ「ふうん」 ハルヒ「ねえ」 キョン「ん?」 ハルヒ「帰ろうか」 古泉「それで帰ってきたんですか。いやはや。一大スペクタクルでしたね」 キョン「ああ。是非お前にも体験していただきたい貴重な出来事だったな。一度どうだ? 人生かわるぜ」 古泉「遠慮しておきましょう。僕は今の人生に満足している方なので。無理して変えようとは思いませんね」 キョン「残念だな。お前にもあの走馬灯を見てもらいたかったんだが」 古泉「昔の映像は自主制作映画だけで十分ですよ。それより、涼宮さんは?」 キョン「店にいる」 ハルヒ「いらっしゃいませ……なんだ、あんたか。よそ行きの声だして損したわ」 キョン「減るもんじゃないだろ」 長門「………いらっしゃい。水」 ハルヒ「で、どうしたの? まだ仕事終わるまで時間あるわよ。まさかカレー1杯で1時間もねばる気?」 キョン「いいじゃないか。1時間くらい。その間、デートコースを考えてるよ」 ハルヒ「分かったわよ。待ってなさい。あんたのために私がインド仕込みのスペシャルメニューを用意してきてあげるから」 キョン「それは楽しみだな。甘めに頼むよ」 ハルヒ「なに言ってるの。カレーは辛くてナンボよ。いい感じに辛くしてあげるから。覚悟しておきなさい!」 キョン「やれやれ……。って、このセリフ言うのも久しぶりだな」 ハルヒ「残さず食べなさいよ。残したら、死刑だから!」 ~完~
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/4090.html
「ただの人間でも構いません!この中に宇宙人、未来人、異世界人、超能力者に興味のある人がいたらあたしのところに来なさい!以上!」 これはハルヒの新学期の自己紹介の台詞だ それを俺が聞くことができたのはハルヒと同じクラスになれたからに他ならない ハルヒが泣いてまで危惧していたクラス替えだったが俺は相変わらずハルヒの席の前でハルヒにシャーペンでつつかれたり、その太陽のような笑顔を眺めたりしている どうやら理系と文系は丁度いい数字で分かれるようなことはなく、クラス替えであぶれた奴らがこの2年5組に半々ぐらいで所属していた 教室移動で離れることもあるが、大半の時間をハルヒと過ごすことができる これもハルヒの力によるところなのか定かではないが、この状況が幸せなのでそんなことはどちらでもよかった 「キョン!部室にいくわよ!」 放課後俺はハルヒと手を繋いで部室に向かう やれやれ、こんな幸せでいいのかね 「いやはや、やっと肩の荷が降りましたよ、これで涼宮さんの精神も安定するでしょう」 放課後の文芸部室で囲碁の真っ最中、見事なウッテガエシを決めた俺に対し、にやけ面が盤面の状況など興味ないと言いたげに口を開く 認めたくはないが、今回の出来事の発端としての発言をしたのはこいつだ 図らずともこいつの言ったようにことが動いていて癪に触る ちなみにハルヒは長門、朝比奈さんを連れて新入生に勧誘のビラ配りをしている 長門と朝比奈さんはそれぞれ、去年の文化祭で着たウェイトレスと魔法使いの格好でだ また問題にならなければいいが 「末長くお幸せに」 古泉の含み笑い3割、いつもの微笑1割、谷口が今朝俺に対して見せたニヤニヤが6割のムカツク面にどんな嫌味や皮肉を言ってやろうかと考えているといつかのデジャヴのようにドアが勢い良く開いた 「いやぁー!ビラ全部はけたわよ!やっぱりSOS団の一年間の活動は無駄じゃなかったわね!!」 相乗効果で100万Wにも1億Wにもなりそうな笑顔でハルヒが部室に戻ってきた 無駄じゃなかった…か、そうだな、俺もそう思うよ…もちろんいろんな意味でな 「ハルヒ」 俺の呼び掛けにその笑顔のまま俺の方を向く この笑顔がずっと俺のものだなんてまだ実感がわかないな 「これからもよろしくな」 その俺の一言に笑顔に少し赤みがかる そして最高にうれしそうな笑顔で 「当ったり前じゃないの!あたしを幸せにしなかったら死刑なんだからね!!」 びしっと差した指は真っすぐ俺に向けられている いつか俺とハルヒが結婚した時にでも俺はジョン・スミスの正体とSOS団の連中の肩書きでも話してやろうかな、と思った FIN
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/1026.html
第六章 とりあえずあの未来人…これからは俺(悪)としておく、によると俺はあの二人を何とかせねばならんようだ。 長門なら朝倉と一対一なので大丈夫だろうが古泉はあのアホみたいな顔をした巨人約50匹と戦っている、一匹でも数人がかりなのにな、かわいそうなこった。 やはり俺とハルヒが最初に閉鎖空間に閉じ込められたときと同様、ほかの機関の超能力者は入って来れないようで一人で戦ってるように見える。 俺は走って病院の駐車場に走った、窓から見るに古泉は病院に近いところににいる神人から倒しているようだったので。比較的近くにいたのですぐに古泉の下まで来れた。 「古泉!大丈夫か?」例の赤玉姿なのでやつの状態はわからないので聞いてみた。 「大丈夫です、涼宮さんはのほうは大丈夫ですか?」古泉は非常につらそうに言った。 「ああ、いろいろありすぎたが多分大丈夫だ。半分はな。」手伝えることが無いのはわかっていたがとりあえず聞いてみた。 「半分?まあいいでしょう、あなたが大丈夫だと言うなら大丈夫です。実はほんのちょっと前にわかったんですが、涼宮さんの能力を消去できるツールがあるようです。いったいどこにあるのかはわかりませんが存在していることは確かのようです。できればそれを探してきていただけませんか?恐らく近くにあるはずです。 一応言っておきますが何故わかったのかと言うとわかってしまうのだから仕方がありません。」 そんなモンが近くにあるのか?タイミングがよすぎるだろう。だがここはしかたない。 「わかった、探してくる。それがあれはハルヒは普通の人間戻ってこの巨人どもも消えるんだな?それまで持ちこたえてくれよ」 俺は古泉がニコッと微笑んだように見えた。そして古泉は返事をしなかった。 とりあえずそのツールとやらを探そう、古泉によるとこの近くにあるんだよな、とりあえず情報が少なすぎる、長門なら何かわかるかもしれない。 とりあえず病院内で朝倉と交戦中の長門のところに行って聞いてみることにする、なに場所なら簡単だ、どっかんどっかん言っているところがそうに違いない。なぜ病院が崩れないのかが不思議だ。 朝倉の目的は恐らく俺なので攻撃してくるだろうが長門が何とかしてくれるだろう。全く長門には頼りっぱなしだ。俺は恐らく長門と朝倉が戦ってるであろう場所を目指し走った。 爆音地に着くとやはり朝倉と長門がいた、長居は無用なのですぐに用件だけ伝えた。 「長門!古泉によるとハルヒの能力を消すツールがこの辺にあるらしいんだがどこにあるのかわからないか?」 すると高速で朝倉のどっかの細目の警官のような突きを交わしながらなんと俺のほうを指差した。 何?俺?俺がそのツール?いやいやありえねーよ、そんなわけが無い。まさかそんな真実があったなんて、やっぱ俺の正体も何かしら隠されてたのかー…などと喜んでいいのか悲しんだらいいのかよくわからん状態になってたら長門が「その後ろ。」 やっぱり?でー俺の後ろ?俺の後ろには何も無いぞ?と思った瞬間さらに長門が心を読んでいるのか「もっと。」だと。 なるほどね、ヒントはもらった。 つまりはこの方角のずっと先にあるってことね。「サンキュー長門。」 そうして走り出そうとし後ろを向いたとき、長門がそっと言った。「sleepingbeauty…」 またこれか…今はそんなこと気にしてる場合じゃない。「サンキュー長門」と言いなおしとっとと外に出た。 そして俺が長門の指した方向を見て俺はおどろいた、なんと見覚えのある大豪邸だ、言うまでも無くあれは鶴屋邸だ。 そうするとそのツールとは恐らくあのオーパーツの事だろう、そういえば10cmくらいの棒って…そんなお菓子があったような…、 なるほど。だいぶ話が見えてきたな。などと考えつつ鶴屋邸を目指した。病院から鶴屋邸までは5分も走れば何とかなる。 5分たったころには俺は鶴屋邸に着いた。 とりあえずとっととオーパーツを探そうとしよう。ここも閉鎖空間の範囲内なので誰もいないので大丈夫なはずである。 泥棒のような感じで嫌なのだが世界がかかってると言うことになると話が変わってくる、俺は鶴屋邸に不法侵入…もとい家宅捜索を開始した。 手当たり次第に探すのも効率が悪いので金庫などを調べてみようと思う。 ……………………………………………………………………………………………… …………………………………………あれ? 金庫ぶっ壊したり手当たりしだい金目のものを隠してあるような場所を探してみた が見つからない。 30分は探しているが見つからない。 どこにあるんだ、俺はある場所以外を懸命に探していた。 それは鶴屋さん本人の部屋である。 いくらなんでもそれは鶴屋さんに悪いと思ったからだ。 しかしなんとか世界を救うためと自分に言い訳をして彼女の部屋に入った。 そして俺は驚嘆した、なんと例のオーパーツがなんと彼女の学習机の上においてあったのだ、メモのようなものもあった。 「キョン君がんばってくるにょろよ。」 全く…この人には驚かされてばっかりだ。 わかってるのかわかってないのか、なにものなんだろうか。 ていうか何をがんばるのか、その辺を詳しく書いて欲しかったな。 さて長居は無用である、すぐに病院に戻って何とかしなければならない。 古泉を何とかしてやらないとな。 俺は必死に病院を目指し走った。 しかしこれはどうやって使えばいいんだろう、古泉は何も言ってなかった。 ハルヒに向かって振ればいいのか? 1つだけ心当たりがあるのだが…恐らくこれは無いので今は考えないでおこう。 あれこれ考えているうちに病院に着いた。 俺は古泉に一礼し病室へと急いだ。 長門もまだ戦っているようで爆発音が鳴り響いていた。 朝比奈さんは気絶したまま、未来人も腕組んで壁にもたれてて、ハルヒは朝比奈さん(大)と話ていた。 一応聞いてみる。 「ハルヒ、この金属棒でお前を何とか直せるかも知れん。やり方とかわかるか?」 当然ハルヒがわかるわけも無く、首を横に振った。 「おい、そこの未来人。これの使い方わかるか?ていうかわかるだろ。教えてくれ。」 未来人は顔色一つ変えずに「教えない、これは俺の規定事項だ。お前にとってもそうだろう?朝比奈みくる。」 「ええ、そうね。でもこれは私の抵抗、キョン君。あの時の…最初のヒントを思い出して頂戴。」 最初のヒント…白雪姫か。 「わかりました。」 俺は考えた、ここは閉鎖空間であり、長門はsleepingbeauty、朝比奈さんは白雪姫。 やっぱあれか。じゃあこの金属棒はどうするんだろう。今は考えてばかりいる場合ではないような気がする。 何かしらの行動を起こしてみるか。 じゃあやはり学校に言ってみるか。あの時のようにすればいいのかもしれない。 思い立ったが吉日だ。 「おい、ハルヒ。お前外に出る余裕あるか?学校に行ってみよう。何かわかるかもしれない。」 ハルヒは一瞬考えて首を立てに振った。いつも主役なのに空気過ぎないか?お前。 とりあえずハルヒと俺だけの二人だけで学校に向かうことにする。 第七章
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/2589.html
※この作品は作者が脳内妄想して書いたものです。谷川氏のものとは別物ということを踏まえて読んでください。 第4章 α-7 次の日。 数学の時間に行われたテストは、ハルヒに厳選された問題を少しばかりかじったお陰で危うい点数ではないはずだ。谷口は知らん。 放課後、いつも通りの部室で古泉が新しく持ち寄ってきた連珠とやらをやっていると、コンコンと扉を叩く音がした。 「はぁい」 パタパタとメイド姿の朝比奈さんが扉を開けると、 「あ」 目をぱちくりさせて言葉を失っている。 「これはこれは」 と、古泉は微笑と苦笑の入り混じった顔でアゴをさする。 「ああの、涼宮さん」 「どうしたの?」 ハルヒが廊下へ出る。この位置からじゃなにも見えないので俺も立ち上がってハルヒと朝比奈さんの間からのぞく。そこには。 五人の一年生徒がいた。男が四人、女が一人。 ちなみに、その唯一の女子生徒は俺が昨日品定めの最中に注目していた娘だった。 「あら、昨日より減った?まぁいいわ。とにかく入りなさい。少ないほうがやり易いし」 ぞろぞろと部室へ入る五人。昨日の電波演説を聴いてもなお来るなんて正気かこいつら。ていうかやり易いって例の入団試験か? 「そ。というわけだから、あんたたちにはこれからSOS団入団筆記試験を受けてもらうわ!」 圧倒されている一年生に向かって声高らかに宣言し、ハルヒはプリンターから吐き出された、現団員の誰も内容の知らないプリントを素早く取り、叩きつけるように長机に置いた。 「じゃ、ここ座って。みくるちゃん、お茶出してあげて」 「は、はい」 萎縮気味の一年生たちの向かい側にどかりと腰掛けたハルヒは、 「制限時間は50分。頑張ってあたしの期待に応えてちょうだい」 そう言って手にしたストップウォッチのタイマーを始動させた。「試験官」と書かれた腕章をつけたハルヒの顔が、どこか嬉々としているのは気のせいでもなんでもなく、その通りの心情なのだろう。 「そうですね。春休み最終日の閉鎖空間は杞憂だったのかもしれません」 ニキビ治療薬のおまえが言うんだからそうなんだろうよ。 「その例えはミステイクだったかもしれませんね」 古泉は微笑みを絶やさずにそう言った。 朝比奈さんは十人分のお茶を配り終えるとパイプ椅子に座って一年生たちをながめている様子で、俺と古泉はこれ以上余計なプレッシャーをかけるのもアレなので、連珠を再開させた。目の前でハルヒが見ているだけで重力の三倍は肩が重いだろうに。もちろん、長門は部屋の隅で静寂を体現させつつ、ハードカバーのページをめくっていた。 β-7 ハルヒを先頭に慌ただしく部室を後にした俺たちは、校門のところで意外な人物に会った。 「おおっ、本当に来たよっ」 なにやら驚いているのは鶴屋さんだった。 「どうしたんですか?」 「うん、キョンくん。キミにこれを渡しておこう」 まるで繁栄を極めた一国の王のような口調で四角に畳まれたハンカチを渡してくれた。 これは――― 「じゃあそれだけだからねっ。急いでるみたいだし、お姉さんはこれで退散するっさ」 と言って木枯らしのように走り去って行った。俺たちがしばしキョトンとしていると、 「なんだったのかしら・・・そんなことより、早く行きましょ!」 俺はハルヒが再び走り出すのを見てハンカチをポケットに突っ込み、それに続いた。 赤信号に引っ掛かってハルヒがイライラしている間、古泉が話しかけてきた。 「先ほどのハンカチはまず間違いなく、この騒動に一枚噛んでくるでしょう」 だろうな。 「ですが疑問なのは、なぜそのようなものを鶴屋さんが所持していたのか、そしてなぜそれをあなたに渡したのか、です」 おまえにわからんことが俺にわかるかよ。 信号が青に変わる。 古泉はフッと嘲るように笑い、 「そうとは限らないかもしれません」 と言った。ハルヒは朝比奈さんを抱えてすでに走り出していた。 古泉にわからないことは俺にもわからない。 それはヤツの言う通りそうとは限らない。実は、俺にはあのハンカチの正体がわかっているのだ。ハンカチを渡されたとき、明らかにそれの質量とは違った重みを感じていた。 畳んだハンカチに入る大きさでこの重さ。鶴屋さんが持っていたもの。間違いない。 ―――あのオーパーツだ。 α-8 その日は入団テストが実施されただけで、長門の合図とともに、 「じゃあ、今日は解散っ!」 ハルヒの号令で幕を閉じた。一年生たちはテスト終了後すぐに帰宅している。結局テストってどんな感じなんだ? 「秘密よ、ひ・み・つ」 そう言ってハルヒは答案用紙を回収してさっさと帰ってしまった。なんでそこまで隠すんだ。 「涼宮さんにだってプライベートなことはありますよ」 風力発電以上に無害なニヤケ面をした古泉が言う。一年生には見せてもいいプライベートってどんなことだ。 さぁ、どうでしょう?とでも言いたげな顔で古泉は両腕を広げた。 ・・・どうでもいいか。俺も帰って飯食って寝ちまおう。 こうして残された四人は帰路についた。 翌日。 三時限まで安泰に過ごし、四時限目に数学の答案が返却されて昼休みをむかえる。点数は・・・まぁ悪くはないな。少なくとも谷口よりは。 「たく、なんでおめーはそんな点いいんだよ」 嘆く谷口。努力の賜物だよ、谷口くん。 「でも昨日涼宮さんに教科書開いてなんか指摘されてたよね」 「涼宮ぁ?」 ああ、国木田。余計なことはいわんでくれ。 「俺もあいつに教わるっきゃねーかなー」 「朝倉さんがいればよかったのにね」 きっと、いや絶対に何気無くそう言ったのだろうが、俺には不自然に反応するだけの要素は十分にあった。 「どうしたんだい、キョン。箸が止まってるよ」 「あ、あぁ・・・」 朝倉涼子。表向きはカナダへ引っ越したことになっているが、実際は俺を殺そうとして失敗し、長門によって情報連結を解除された急進派インターフェース。 あれも去年の今頃だっただろうか。 五限、六限を睡魔のなすがままに過ごし、放課後。文芸部室。 俺がやって来たときには、ハルヒを除いた正式メンバー三人がすでにいつも通りの構図を描いていた。 「ハルヒは?」 「まだ来てないみたいです」 朝比奈さんがお茶を淹れつつ応える。 「そのうち来られるでしょう。それよりお相手願いたいのですが」 懲りねえな、昨日散々だったじゃねえか。とは言ったものの、最終的には相手する俺。 「ありがとうございます」 朝比奈さんの淹れた砂漠のオアシスをも超越するお茶をすすり、窓の外を眺める。 うむ。今日も平和だ。 こんな日はこう思っちまうのさ。 こんなモラトリアムで気楽な日々が続けばいい、とな。 しばらく各々の好きなことを過ごしていたが、ふと思いつく。 そういや、あの一年生たちの名前ってなんだろうな。 「僕もいちいち記憶していませんので名前はわかりかねますね」 団長机に目をやる。プリントが五枚置いてあるな。どうやらハルヒは昼休みにここで採点でもしていたようだ。 あれだけハルヒが隠していたものなので多少の罪悪感を感じつつ、名前くらいは知ってないと呼称に困るからな、と内心で天使と悪魔を対抗させ、プリントに目を通す。古泉と朝比奈さんも後ろからのぞいている。 一人目、二人目・・・と見ていき五人目。そこの名前蘭には可愛らしい、見覚えのある字体でこう書かれていた。 朝比奈みちる、と。 β-8 長門のマンションにレーザーポインタの照準を合わせ、そこへ目がけて撃ち出された弾丸のごとく到着した俺たちは、スピードを緩めることなく自動ドアへ突っ込もうとしたそのとき。 自動ドアが開き、二人の男女が現れた。 「あら、こんにちは」 こいつが朝比奈さんを誘拐した犯人です、と告げなければ気づく事のできない無垢な笑顔で挨拶したのは橘京子だった。もちろん、そいつの隣で苦虫を噛んだような表情をしている男は未来人藤原。 「長門はどうした」 俺は怒りの炎を奥底で煮えたぎらせつつ、あえて冷淡に尋ねた。そんな俺の様子にハルヒは首をかしげていが、説明は後回しだ。 「そんな怖い顔しないでよ。あたしたちは別にあなたたちに危害を加えようとしてるんじゃないんですから」 じゃあなんでこんなところにいやがる。精一杯威嚇して言ったのだが、 「それも、あなたたちにはわからないことです」 ひまわりのような笑顔で返された。どういう意味だ? 「キョン!こんなところで時間を潰してるヒマはないの。早く有希の部屋へ行くわよ!」 ハルヒが俺を引っ張る。 「そいつの言う通りだ。せいぜい、哀れな人形を演じてこい」 古泉が俺の後ろにいなけりゃ、藤原の左頬に思い切り右フックを見舞ってやるところだった。 「抑えてください。現段階では彼らと争うよりも、長門さんの救出が先決です」 わかってる。 こうして俺たちはすれ違い、マンションへ入った。 エレベーターで七階へ昇り、708号室前に来た。 おそらくこの部屋には天蓋領域、周防九曜が待ち構えているだろう。 玄関ドアを開け、室内へ上がる。 「有希ー?いるんでしょ?」 ハルヒが叫ぶ。が、その声は壁に跳ね返されて室内に響くだけだった。誰もいないのだろうか。 俺は畳の部屋のふすまを開けた。 そこには、和式の布団に顔だけ出し目を閉じた状態の長門がいた。 「長門!」 と叫んで近寄ろうとした刹那。 俺は吹き飛ばされ、フローリングの床の上で転がっていた。 「キョン!?」 ハルヒが振り向く。 何だ、何が起きた?脳が疑問を提示するより早く、俺の網膜には薄青いバリアのようなものの向こう側にたたずむ周防九曜と――― 不敵に微笑む佐々木が映し出された。 「佐々木・・・」 和室のふすまの形に沿って張られたバリアを抜けて、佐々木がゆっくりとこちらへ来る。 その右手にまがまがしいナイフを持って。 「なんの冗談だ佐々木!」 だが佐々木はなにも応答しない。仕方なく立ち上がって古泉たちに助けを求めようとしたが、俺と佐々木、そして九曜以外誰もいない。それどころか、部屋の壁に幾何学記号が浮かび上がって婉曲し、ねじれている。これはまさか。 「キョン、もう無駄な抵抗はよそう。この空間は彼女の管理下にあるらしい」 やっと佐々木がサイレントを解いたが、今度は俺の体が動かなくなった。ありかよ、反則だ。 「いくらコピーとはいえ・・・抵抗するキミを殺したくはないんだ」 そう言って勢いよく走ってくる。今回は長門はいない。終わった。 ナイフが腹まで数センチと迫ったとき――― ―――コピー? ナイフが刺さる。 第5章へ
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/200.html
ハルヒ「なに!?なんなのこれ?ちょっとキョン? 来なさい!3秒以内!!」 インターネットサーフィンをしていたハルヒが突然騒ぎ出した。やれやれ。 キョン「お前ももう少しパソコンの使い方覚えろよ・・・ って!なんじゃこりゃあ!!!!」 俺は思わず叫び出した。 パソコンがフリーズしたかと思ったら、なんとそこに画面いっぱいに朝比奈さんのメイド服と、長門のカメラ目線のアップと、ハルヒの指をこちらに向けて踊っている写真がポップアップで出ていたのである!! 朝比奈さんが万が一自分のこんな写真が全世界に流れていると知ったら、おそらく卒倒してしまうであろう。 キョン「ウイルスだな・・・しかし何だってこんな― 長門 「見せて」 カタカタカタカタ・・・ 長門 「行ってくる」 キョン「オイ行くってどこに!?待て!」 長門 「すぐそこ」 そう言うと、長門は部室を出て行ってしまった。 うーん。なにが分かったのだろうか。 直後、隣の部屋から声が聞こえてきた。 「いらっしゃい。あ!長門さん!待ってたよ!」 『ドカーン、バゴーン、ズガーン!!』 「長門さん!?止めてくれ!」 『ドガーン!』 「済まなかった!あやまr」 『ドーン!』 「ごめんなさいごめんなさいごめんなs」 『ドカーン!』 コツ、コツ、コツ。 長門 「ただいま」 キョン「よう、早かったな。久々のコンピ研はどう だった?」 長門 「ユニーク・・・」 ―翌日― コンピ研が無期限活動停止処分になったのは言うまでも無い。 涼宮ハルヒのウイルス 完