約 2,287,907 件
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/1431.html
(作者の都合によりいきなりクライマックス) ハルヒを孤立させるため、キョンの篭絡を計った朝倉 しかし天性のニブチンであるキョンはなかなか朝倉になびかない。 業を煮やした朝倉は正攻法、搦め手を含めてキョンへのアタックを続ける。 そのうちにだんだんキョンのことが好きになってしまうが、朝倉は認めようとしない。 あくまでハルヒを孤立させるためという建前を貫き通していた。 そしてハルヒの誕生日前日、朝倉はわざわざ翌日をキョンに告白する日に定め、 彼につきまとう。なぜかキョンもその日に限って朝倉と仲良くしていた。 ハルヒはそんなキョンに素直になれず、悪態をついてしまう。 そして誕生日当日、キョンと朝倉が仲良くしている姿を見るのがイヤだったハルヒは 学校を休んでしまう。 ハルヒ「あーあ、今日は誕生日だってのに、なにやってんだろ私・・・」 学校をサボッたハルヒは、ベッドの上でゴロゴロしていた。 不意にハルヒの目から涙が流れる。 ハルヒ「やだ!私、別に悲しくなんか・・・キョン・・・バカキョン・・・ アイツ、とうとう朝倉と付き合うのかな・・・」 とうとうハルヒの目から大粒の涙が溢れ出してきた。 ハルヒ「キョン・・・なんであんなヤツと・・・バカキョン・・・うぇ・・・・グスッ・・・・」 ハルヒは耐え切れなくなり、ついに大きな声を上げて泣きはじめた。 その日、キョンは早めに学校に着いたが、一向にハルヒは教室に現れなかった。 昨日朝倉と急接近したせいか、それとも他に理由があるのか、 キョンは妙にそわそわしていた。 朝倉「キョン君、おはよ!」 キョン「あ、ああ。おはよう。昨日はサンキューな」 朝倉「別にお礼なんていいわ。私も楽しかったし」 その日はなぜか朝倉も少し浮かない顔をしていた。 キョンはその日の授業をうわの空で聞き流し、午後の授業が終わると急いで部室に向かおうとした。 朝倉「待って、キョン君」 キョン「ん、どうした?」 朝倉「少し話があるの・・・いいかな?」 キョン「・・・ああ、かまわないぞ」 一方、ハルヒはその日一日を泣きながら過ごしていた。 キョンのことを思い浮かべては涙を流すの繰り返しである。 そのせいで夕方ころには目を真っ赤に腫れ明かしていた。 不意にハルヒの携帯が鳴り出した。着信先を見ると、朝倉からである。 ハルヒ「フン、どうせキョンと付き合うことになったことをみせつけたいだけなのよ」 ハルヒは朝倉からの電話を無視していたが、あまりにもしつこくかかってきたので 着信8回目にしてついに出てしまった。 ハルヒ「うるさいわね。なんか用?」 朝倉「とんだご挨拶ね。・・・今からちょっとだけ顔を貸してもらえない?」 ハルヒ「おあいにく様!こっちは体調不良で寝てるの。また今度にしてちょうだい」 朝倉「ウソおっしゃい。どうせ仮病でしょ?川沿いの公園のベンチで待ってるから。 絶対くるのよ!」 ハルヒ「もしかしてキョンも一緒にいるのかな・・・」 キョンのことを思い出すと、また泣きそうになる。 ハルヒ「・・・しかたないわね。このままずっと寝てるわけにもいかないし」 ハルヒは朝倉に会いに行く決意を決めると、すばやく準備をして家を出た。 朝倉「遅いよ」 ハルヒ「あんたが突然呼び出したりするからよ。んで、何の用?さっさと済ませちゃってよ」 ハルヒは覚悟を決めていたが、朝倉を前にするとやはり心が痛んだ。 朝倉「・・・そんなに構えなくていいわ。たぶん、あなたにとってはいい話だろうから」 ハルヒ「どういうことよ?」 朝倉「なんだか、どうでもよくなってきちゃった」 朝倉の言葉に、ハルヒはわけがわからずに聞き返した。 ハルヒ「はぁ?意味わかんないわよ」 朝倉「キョン君のことよ」 キョンの名前を出されて、ハルヒは一瞬ビクっとした。 朝倉「私ね、はっきり言ってあなたのことが嫌いだった。私と同じぐらい、いやそれ以上に 勉強やスポーツができて、顔もかわいいあなたのことをね」 ハルヒ「・・・・・」 朝倉「はじめはね、クラスで孤立してるあなたを見て安心してたの。 でもね、サークルを作ってキョン君と仲良くし始めたあなたを見て、 なぜかすごく憎らしく思えてきたの」 ハルヒ「それで私を目のカタキにしてたってワケ?とんだ迷惑ね」 朝倉「その通りよ。だからあなたからキョン君を奪おうと思ったの・・・ 別に本気で好きだったわけじゃないのよ。ただあなたを困らそうとしただけ」 ハルヒ「・・・・・」 朝倉「それでね、さっきキョン君に告白してきたんだけど」 ハルヒ「!?・・・やっぱり」 朝倉「でもね、断られちゃった。彼、ちゃんと好きな人がいるらしいわ」 ハルヒ「どうして・・・?だってアンタたち、昨日だってあんなに仲良くしてたじゃない」 ここまでくると朝倉は笑顔を崩し、ハルヒを睨みつけるような表情で言った。 朝倉「そうよ。私だって彼の気持ちは私にあるんだって思ってた・・・ 昨日はね、彼、私にシルバーアクセサリーについて詳しく聞いてきたのよ。 私、よくショップを回ったり、時には自作したりもしてるからね。人並み以上には 詳しいと自負してるわ」 ハルヒ「・・・あ!?」 朝倉「心当たりがあるようね。彼にねだったことでもあるの?・・・その通りよ。 彼は今日のあなたの誕生日のために、わざわざこの私に教えを受けてたってわけ。 バカにしてると思わない?」 ハルヒはそれを聞くと、自分の勘違いを深く恥じた。 ハルヒ(キョン・・・まさか私のために、そこまで考えてくれていたなんて・・・) 朝倉「彼に告白を断られた後、そのことを聞き出したわ。まったくピエロもいいとこよ」 そういうと、朝倉はハルヒに近づいてきて、ハルヒの頬を張りつけた。 朝倉「おめでとう!これで彼はあなたのものよ!お幸せにね!」 そこまで言うと、朝倉は走ってその場を去った。 ハルヒは唖然とした顔で、走り去る朝倉の後ろ姿を見つめていた。 朝倉「なによ、人をバカにして!別に本気だったわけじゃないけど ヘンに気を持たせるような素振りを見せなくてもいいじゃない」 朝倉がマンションの下までくると、そこには長門が立っていた。 長門「・・・これ」 長門が缶ジュースを差し出すと、朝倉はひったくるようにして 手に取り、一気に飲み干した。 長門「・・・あなたは、彼のことが」 朝倉「言っとくけどね。私は涼宮さんが憎かっただけなの。 キョン君のことなんて本気じゃなかったわ。彼が私になびいたら、 さっさとフッてやるつもりだったの」 長門「あなたは素直じゃない。でも、以前よりは本音を言ってくれるようになった」 そういうと、長門はゆっくりとハンカチを差し出した。 朝倉「なによ・・・みんなでバカにして・・・ホント、私だけバカみたいじゃない・・・」 その夜、朝倉と長門はマンションの屋上に上がり、街の光を眺めていた。 朝倉「今頃、あの二人仲良くやってるだろなあ・・・ あーあ、こんなことになるんだったら最初から正攻法で攻めるんだった」 長門「私は、あなたがうらやましい」 朝倉「こんなヘソ曲がりで陰険な私が?えらく持ち上げてくれるわね」 長門「あなたは人を惹きつける明るさを持っている。彼だってあなたの明るさには惹かれてた。 ただ、あなたは素直じゃないだけ」 朝倉「あなただって、私の本性は知っているでしょう?明るさなんて表面上だけのものよ」 長門「表面上だけでも、それは立派なあなたの個性。私にはそれがない」 朝倉「言ってくれるわね。私だって、あなたのその素直な性格がうらやましいわ」 長門「そう」 朝倉「そうよ。素直さにかけては、私やあの涼宮さんなんて足元にも及ばないわ」 長門「・・・そう」 朝倉「そんなにうれしそうな顔しないでよ」 その後、朝倉とハルヒはよくケンカするようになった。 しかしそれは以前のような水面下だけのものではなく、 お互い本人を前にしての口ゲンカである。 似たもの同士、少しは互いを理解できたというべきか。 朝倉も少しずつではあるが本心を明かすようになり、 以前とのギャップに篭絡されたヤツは男女問わず多いようだ。 次学期の委員長にはハルヒも立候補するつもりのようだが、 人望の面で圧倒的に不利である。 その差をどう埋めるつもりなのか、少し気になる。 まあどちらが勝っても対した問題ではない。 願わくば、この友情が末永く続きますように。 終わり。
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/204.html
ハルヒ「なに!?なんなのこれ?ちょっとキョン? 来なさい!3秒以内!!」 インターネットサーフィンをしていたハルヒが突然騒ぎ出した。やれやれ。 キョン「お前ももう少しパソコンの使い方覚えろよ・・・ って!なんじゃこりゃあ!!!!」 俺は思わず叫び出した。 パソコンがフリーズしたかと思ったら、なんとそこに画面いっぱいに朝比奈さんのメイド服と、長門のカメラ目線のアップと、ハルヒの指をこちらに向けて踊っている写真がポップアップで出ていたのである!! 朝比奈さんが万が一自分のこんな写真が全世界に流れていると知ったら、おそらく卒倒してしまうであろう。 キョン「ウイルスだな・・・しかし何だってこんな― 長門 「見せて」 カタカタカタカタ・・・ 長門 「行ってくる」 キョン「オイ行くってどこに!?待て!」 長門 「すぐそこ」 そう言うと、長門は部室を出て行ってしまった。 うーん。なにが分かったのだろうか。 直後、隣の部屋から声が聞こえてきた。 「いらっしゃい。あ!長門さん!待ってたよ!」 『ドカーン、バゴーン、ズガーン!!』 「長門さん!?止めてくれ!」 『ドガーン!』 「済まなかった!あやまr」 『ドーン!』 「ごめんなさいごめんなさいごめんなs」 『ドカーン!』 コツ、コツ、コツ。 長門 「ただいま」 キョン「よう、早かったな。久々のコンピ研はどう だった?」 長門 「ユニーク・・・」 ―翌日― コンピ研が無期限活動停止処分になったのは言うまでも無い。 涼宮ハルヒのウイルス 完
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/499.html
涼宮ハルヒ無題1 涼宮ハルヒ無題3 涼宮ハルヒの停学 涼宮ハルヒの改竄 涼宮ハルヒの入学 涼宮ハルヒの異変 涼宮ハルヒの悲調 花嫁消失 ハルヒの想い 世界の終わりに 涼宮ハルヒの赤面 ‐ 涼宮ハルヒの羨望 ‐ ハルヒの実験 涼宮ハルヒの秘密 プリンとケーキ 星に願いを 涼宮ハルヒの猛暑 涼宮ハルヒの結婚前夜 涼宮ハルヒの泥酔 長すぎる10分間 涼宮ハルヒの願望 涼宮ハルヒの憂鬱キョンとハルヒの絆 10月8日、曇りのち雨 閃光のハルヒ 涼宮ハルヒの預かり物 涼宮ハルヒのデート騒ぎ? それは誤解で勘違い 何よりも宝物 超能力 涼宮ハルヒの計算 涼宮ハルヒの嫉妬 ミニチュアハルヒ ベル 3点セット 涼宮ハルヒのネコ にわか雨の訪問者 ハルヒの寝言 涼宮ハルヒの独善(シュール・BadEnd?) 涼宮ハルヒの情熱 涼宮ハルヒの出産 あの日からの願い Amemorywithouttheend 涼宮ハルヒの日記 涼宮ハルヒの小説 ただの人間 ヒント キョンの死…そして 悩みの種 続く空 涼宮ハルヒの仮入部 はい、メガネon 【時のパズル~迷いこんだ少女~】 涼宮ハルヒの後悔 (BadEnd) 涼宮ハルヒの恋心 涼宮ハルヒの誤解 涼宮ハルヒの出会い 缶コーヒー、ふたつ LOST 恋の病・恋の熱 ステビア(ステビオシド) お祭りの後で 涼宮ハルヒの場合 彼岸花(微グロ・微鬱・BadEnd注意) loveandmusic もう一つのサムデイ・イン・ザ・レイン 初めてのデート すれ違いの恋 涼宮ハルヒの恋人 最初のデート 涼宮ハルヒのX-FILES 本の虫 サムデイ・イン・ザ・レイン(WhileKyonwassleeping) alongwrongway wishuponastar ~涼宮ハルヒがデスノートを拾ったら~ (Bad End) いじっぱり 甘えん坊モード キョンになっちゃった 眠れない夜とイタズラ電話 敬愛のキス fundamentallove やすらぎ 白い天使 サムナンビュリズム 涼宮ハル○の憂鬱 涼宮ハルヒはしあわせ(BadEnd注意) 浴衣とお祭り 言えないよ 愛のかたち 渋皮やさしく剥いたなら 涼宮ハルヒのライバル クリスマスプレゼント 教科書と嫉妬 涼宮ハルヒの告白 完全ウリジナルストーリー 涼宮ハルヒの労い
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/559.html
翌日 窓越しに聞こえる雨の音に起こされた俺は、予定時間より早起きしてしまったことを嘆いていた しかし、覚めてしまったものは仕方なく、もう一度寝るのも忍びない、というかもう一度寝るほどの時間もない …と、それは言い訳か 実際は昨日の出来事を思い出した頭の中がお花畑でチーパッパなのだ ―涼宮ハルヒと付き合うという事実 その喜びが、無尽蔵に押し寄せて実は昨夜もなかなか眠れなかった 思わず、今日の朝も早起きしてしまった、ということだ まぁ気を取り直して、外は雨…部室か ちゃっちゃと着替えて早めに行ってみようか ハルヒに少しでも早く会えるかもしれない とかそんなことを考え、心とは裏腹に降りしきる雨なんか気にも止めなかったのだが、今思えば ―雨はすべてを物語っていたのかもしれない そして浮き浮きしながらも淡々と準備を終わらせた俺はとっとと家を出る 久しぶりに登る坂道を越え、文芸部室に到着した 部屋に入れば…なんと誰もいない、もちろんハルヒもいない。残念 大きな期待が裏切られた時というのはその分落胆も大きいもので無気力にイスに座る しばらく何をするでもなく暇を持て余していると最初の登場人物 俺はハルヒを期待したのだが古泉だった 最大級の裏切りだ 「おはようございます、あなたが最初なんて珍しいですね」 諸事情で早起きしてな 「おやおや、遠足前の小学生みたいですね、そんなに涼宮さんにあえるのがうれしいんですか?」 昨日も会ってるだろうが、おまえはどこまで知っているんだ? 「どこまで…とは?涼宮さんと何かあったんですか?ぜひお聞かせ願いたいですね」 …しまった、つい口が滑った 気分が浮かれたいたのをいいわけにさせてくれ 「それよりも古泉、おまえはハルヒのスペシャリストじゃなかったのか?」 この言葉で話題をそらせれば御の字だ 「昨夜から妙に浮かれている、ぐらいしか僕にはわかりませんよ。それが負の感情じゃないから、こうやってあなたをいじれるんじゃないですか」 いじるとか言うな、気分が悪い さて、どうやってごまかそうか、そんなことを考えていたのだが 「あ、おはようございますぅ」 とわが麗しの… ハルヒと付き合うことになっても可愛いものは可愛い、そうだろ? 改めて、麗しの朝比奈さんのご登場である 「あ、そういえばキョンくんおめでとう、だよね?」 ちょっと待ってください朝比奈さん あなたは未来人であってこの古泉のように超能力者ではないはずなのに、いや古泉も超能力で心が読めるわけではないですが、どうして俺の心を読んでしまうのです? そんなに今の俺はわかりやすい顔をしていますか、そうですか 「いえ、そうじゃなくてこれは…」 とまで言って朝比奈さんは言葉をつまらせた そして 「ごめんなさい、禁則事項みたいです」 と続けた いったい何が禁則に当てはまったのか? ハルヒと俺が付き合うのはこの時間平面上の必然だったのだろうか? まあ、何でもいいか 朝比奈さんはこれから着替えるだろう、そう思って古泉を伴い、部屋を出ようとしたのだが、朝比奈さんに袖を捉まれる なんだ、どういうことだ? 「キョン君ごめんなさい、ちょっとだけ…ね?」 と、首を傾けた朝比奈さんはとても可愛かった …ハルヒに聞かれたらどうなるか、果てしなく恐怖だ その仕草に気をとられそうになるが、朝比奈さんが時計を気にした一瞬を見逃さなかった この感じは前にハカセ君を助けたとき… また、前みたいなことがあるのか? でも、未来人の直接干渉はタブーって言ってなかったですか?朝比奈さん 「あ、朝比奈さん?」 とりあえず何かを読み取ってしまった俺だが何をするのかまではわからない 中途半端な状況で俺の声は戸惑っていた その声で俺の心境を読み取ったか、朝比奈さんは堂々と時計を見始めた 「ごめんなさい、キョン君、強制コードなの」 嗚呼、そんな潤んだ眼で上目遣いを… 「それはどういう―」 俺の言葉は途中で止められた なんと朝比奈さんが俺に… 心の準備はいいか? 朝比奈さんが俺にキスをしてきたのである …そこ、嫉妬していいぞ ちょっとこんなとこハルヒにみられたら… その時、俺は本当にこう思ったのか思わなかったのか それほど、ぴったりのタイミングでドアが轟音をたてたのだ 「ヤッホー!み…」 轟音の先にいた人物、要するにハルヒだが ハルヒは言葉途中で絶句していた 当然か、俺が入ってきたときにハルヒが古泉とキスしてたら俺も絶句する やばいな、これは死んだかもしれん 美少女に 振り回されて オチはこれ ―俺、辞世の句 なんてやってる俺の予想を裏切り… ハルヒは目に涙を目一杯ため、駆け出して行ってしまった しかし、あの朝比奈さん(大)の言っていた「ちゅーまでなら許す」っていうのがいやはや、規定事項だったとはね …いや、落ち着いている場合じゃない 「ハルヒっ!!!!」 俺は走りだしていた 一番大切な人の笑顔を守るために 部室を出る時に朝比奈さんが「ウフフ、うまくいきそうです」といっていたのが聞こえた気がする 散々誰もいない学校を走り回ってやっと中庭で座り込んで雨の中泣いているハルヒをみつけた やばい、可愛いすぎて理性が吹っ飛びそうだ 「ハルヒ!!!」 俺は無我夢中で駆け寄った ハルヒは俺の声に気付いたのか、顔をあげると眉を釣り上げこう叫んだ 「キョンのバカッ!あっち行け!」 泣いたり怒ったり大変だなハルヒ …と俺のせいか しかし、あれだけのことをしたというのに頭ん中はやけに冷静だ まぁ、それもそうか あれは浮気ではなく事故なのだから 雨に濡れているのも原因の一つかね 「ホントは前からみくるちゃんと付き合ってて、あたしを弄んだだけなんでしょ!」 冷静な思考回路を巡らしてる間にハルヒがまくしたてていた うーん…人間って不思議なもので、心が冷静でも体が勝手に動くことがあるんだな ハルヒを抱き締めていた 「離せ!バカ!!」 叫びながらハルヒは俺のボディーに的確なブローを叩き込んでくる 世界を狙う気かお前は ここで俺が保証する、難なく獲れるよ、世界 なんて言っている場合ではなく、ブラックアウトしそうになる意識をなんとか保ちながら、痛みに耐えていた 今は耐えるんだ、耐えて耐えて耐え抜けば、そのうち痛みに慣れる だが、このままだと慣れる前にお星様が見える 仕方ない弁解を開始しようか 「ハルヒ、あれは事故なんだ」 言ってから俺はバカなことを言ったと思った どうしたら事故であんなことになる? 「…事故?」 俺の腕の中でハルヒが涙目の上目遣いという究極のコンボで俺を見る …って信じたのか?ハルヒは とりあえず、続きを話させてくれるようだ 「ああ、何を思ったか、朝比奈さんが急にキスしてきたんだ、何が起きたか認識できなくてな、その瞬間にお前が入ってきた、というわけだ」 事実をありのままに語った以上、これを華麗にスルーされたら俺は言葉を失ってしまう 「…え?…なんで…みくるちゃんが…?」 それは禁則事項らしい なので俺にわかるわけもなく、このキスが何をもたらすのか全然わからない 「さぁな、全然わからん」 古泉がいつもやるように肩をすくめてみせた ハルヒも少し落ち着いてきたし、ちょっとぐらいユーモアを入れてもいいだろう 「…?」 謎である旨を伝えるとハルヒは考えだした 考えて出てくるのならフロイト先生もびっくりだ しばらくハルヒはうんうんうなっていたが、なぞなぞの答えを聞いたときのような顔をして、こう話した 「なんだ、やっぱりキョンのせいじゃない」 ホワイ??なぜに?? 何か俺、朝比奈さんにしたのか?? そんな疑問が顔にでていたのだろうか、ハルヒがしたり顔で続けた 「と、とにかくあんたが悪いんだから罰ゲームよ」 やれやれ、自分が悪い理由を知らないまま罰ゲームとはね まぁ、それでハルヒの機嫌が治るならやすいものか 「何をすればいいんだ?」 できるだけ穏やかな、優しい笑顔で話し掛けた 俺だって早く仲直りしたい 「あ、あたしとキスしなさい」 顔を真っ赤にしたハルヒがそこにいた 「は?」 罰ゲームらしからぬ罰ゲームに思わず聞き返してしまった 「な、何よ、みくるちゃんとはキスしてあたしとはキスできないっていうの?」 そう言ったハルヒの顔にはいくばくかの焦燥が浮かんでいた 言っておくが俺は朝比奈さんとキスしたんじゃない 朝比奈さんにキスされたんだ 「ハルヒ、悪いが、罰ゲームは別のにしてくれ」 何で俺がこんなことを言ったかって? すぐにわかるさ 「…え?」 ハルヒの顔に浮かんでいた焦燥が悲哀に変わる かまわず俺は続ける 「俺は今からハルヒにキスをする、それは俺がハルヒにキスしたいからであって罰ゲームだから仕方なく、ではないんだ」 言いながらハルヒの濡れた髪を撫でる それを聞いたハルヒは滴る雫など吹き飛ばすような太陽の笑顔になった 「キョン、そこまで言ったからには生半可なキスじゃ許せないわよ」 俺は真っすぐ俺を見据えるハルヒの瞳に吸い込まれそうだった、いや吸い込まれていた 次の瞬間には俺の口唇はハルヒの口唇と重なり合っていた お互いの存在を確かめ合うような永い、深いキス 閉鎖空間を入れると2回目だが、お互いの気持ちが重なり合い、お互いの口唇を重ね合う、現実世界でのファーストキスだ 雨の中のキスなんてドラマティックこの上ない そんな自分とハルヒに酔い痴れながらそっと口唇を離した ハルヒはものたりなさそうな顔で、それでいて恥ずかしそうな顔をしていた 正直な話、俺も少し物足りないのだが、今は優先すべき事柄がある 「ハルヒ、部室に戻ろう」 そうなのだ、なんだかんだいろんなものを投げっぱなしにしてハルヒを追い掛けたからいつまでもここにいるわけにはいかない ハルヒは不満そうな顔をしていたが、俺が手を差し出すとそれを握り黙ってついてきた 部室への道程は二人とも無言だった だが居心地の悪さは感じない お互いがお互いの存在を確かめるための無言なのだ 幸せいっぱいの俺たちだったが、ハルヒのまわりを彩る‘不思議’の固まり達が、そしてハルヒ自身が平穏な幸せを提供してくれるとは思えない やれやれ、これ以上の厄介はさすがに勘弁だが、ハルヒとなら乗り越えられる気がするな
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/17.html
ハルヒ「SOS団で野球大会に出ましょう!」 キョン「人数が足りないだろ知障。考えてから発言しろ」 ハルヒ「集めればいいじゃないの。そっちこそ頭使いなさいよ」 キョン「お前友達いないだろ? いや、話相手もいなかったか」 ハルヒ「……うるさいわねえ、じゃああんたが集めてきてよ」 キョン「お前の名前を出すと、クラスの十割方が逃げ出すって知ってるか?」 ハルヒ「知らないわよ。何よさっきから、機嫌でも悪いの?」 キョン「ああ、お前と一緒にいるからな。自覚がないって本当怖えよ」 朝比奈「あの、お茶入りましたけど」 キョン「お、ありがと朝比奈さん。聞いてくださいよ、ハルヒが――」 キョン「…掃除めんどくせ。 ハルヒ後頼む。」 ハルヒ「ぇ?嫌よ!! 当番何だからきちんとしていきなさいよ!」 キョン「は? 嫌われ者の癖になに言ってんの?こんな事でしか役にたたねぇんだからやれよ。」 ハルヒ「…何よそれ…」 キョン「うっぜ。泣けば全てが済むと思ってんの?まじ泣き顔もきもいんだけど。」 古泉「あ、キョン君なにしてるんですか?」 ハルヒ「あ…」 キョン「掃除めんどくせからハルヒにやって貰おうと思ってたんだけど何かいきなり泣き出してさぁ。」 古泉「それはお気の毒。ハルヒさんの泣き顔なんて見れた物じゃないですからねぇ(笑」 キョン「まぁいいや。 早く帰ろうぜ。」 古泉「クスッ…そうですね。」 ―――――――――― ハルヒ「…今日もまた独り…か……」 キョン「ハルヒ、突然だがアイドルにならないか?」 ハルヒ「!!なるなる!願ってもないことだわ!」 キョン「でもな、アイドルになるためにはお金がかかるわけよ。」 ハルヒ「それくらい払うわよ、いくら?」 キョン「ざっと五千万くらいだ。払えるか?」 ハルヒ「高いけど・・・アイドルになれば安いはした金よ!」 キョン「じゃココに振り込んでくれ、連絡先はこれだから(ピラッ)」 ハルヒ「私がアイドル・・・あはははは!」 数日後・・・ ハルヒ「おかしいわね・・・振り込んで数日経つのに連絡が無いわね・・・電話してみよっと」 「トゥルルルルルル・・・トゥルルルルルル・・・ガチャ。」 ハルヒ「あっ、あのーすいませんハルヒというものでs」 「おかけになった電話番号は現在使われておりません。番号をお確認の上おかけ直し下さい。 おかけになった電話番号は・・・。」 ーカラオケー キョン「次誰入れた~?」 ハルヒ「あ!私私!」 古泉「トイレに行ってきます。」 みくる「私ちょっとゲームセンター行ってきます。」 キョン「あ!俺も行くわ。」 みくる「ならプリクラ撮ろう!」 キョン「ん、いいぜ。」 バタン。。 ハルヒ「……」 チャラチャラ♪ チャラチャラ♪ ハルヒ「…ひかる…かぜ(ry」 ハルヒ「………」 一人シン・・・としたSOS団の(元)部室に立ち尽くすハルヒ。 ハルヒ「・・・ちょっと・・・冗談でしょ・・・?みんな・・・。私を一人にしないで・・・・」 ハルヒ「キョン~っっ!!まったまたSOS団で野球するわよ!人集めといてね!!」 ハルヒ「みっくるちゃーっん!今日もメイド服可愛いわねぇ~~っ。あ、そうだ!今日は違うの着よっかっ!」 ハルヒ「古泉くーん!アンタ女子に人気なんだから私が気に入りそうな面白い子連れてきてよ!!」 ハルヒ「長門っちー!!今日は何の本・・・」 その場に崩れ落ちるハルヒ。プツン・・・と糸が切れたのか、ハルヒは声を張り上げ、大粒の涙を流していた。 ハルヒ「なんで・・・なんで・・・みんな・・・・。うっ・・えぐっ・・・ひぐ・・・」 ハルヒ「私・・・嫌なとこ全部直すから・・・お願い・・・嫌なとこ全部直すから・・・みんな・・・私を無視しないで・・・。キョン・・・・」 と、その時・・・ 長門「・・・そう」 ハルヒ「?!ユキ・・・いたの・・・」 無言でうなずく長門。恥ずかしさと不安でいっぱいになったハルヒは、その場から逃げ出そうとする。 長門「・・・待って」 逃げ出そうとするハルヒの肩を、その華奢な腕で繋ぎとめた。 ハルヒ「・・・ユキ・・・アンタは・・・・私を・・・き、拒絶・・・しないよね・・・・?」 長門を背に、一通り泣いたハルヒのつぶらな瞳から、再び大粒の涙が流れる。 長門「大丈夫・・・。」 長門は力いっぱいハルヒを引き寄せると、力強く抱いた。 長門「私があなたを拒絶することはない。」 ハルヒは驚きと安堵の混じった表情を見せると、ゆっくりと、長門を抱き返した。 ハルヒ「・・・ユキ・・・ユキ・・・っ!」 長門は子を想う母のような笑顔で、ハルヒを受け入れた・・・。 長門「・・・本」 ハルヒ「・・・え?」 長門はゆっくりとハルヒを体から離すと、そう呟いた。20秒程度だっただろうか、ハルヒにはとても長く感じられた。 長門「本・・・何の本読んでるの・・・って、私に聞いたでしょ・・・」 長門は小さくも確実に言葉を放つ。ハルヒを安心させるために・・・。 ハルヒ「そ、そういえばそうねぇ・・・何の本?」 僅かな時間ではあったが、長門との抱擁で完全に安堵しきったハルヒは、以前同様・・・とまではいかないが、軽いリズムで言葉を並べた。 次の日、やはりクラスにハルヒの居場所はなかった。 ハルヒ「・・・き、キョン・・・おは・・・よ・・・」 キョン「・・・悪いけど、あまり俺に話しかけないでほしいな。」 ハルヒ「ご、ごめんなさい・・・。」 昼休み、ハルヒは一つの期待を持って(元)SOS団部室へと足を運ぶ。 ガチャリ。そこには・・・長門がいた。パァッ・・・と顔を明るくするハルヒ。 ハルヒ「ユッキーっ!来たわよっ!」 長門「・・・そう」 素っ気無い返事ではあるが、どこか 温かみ を感じたハルヒだった。 まずあえて言おう、俺はハルヒが嫌いだ。 もともとはそう嫌ってはいなかったし、黙ってればそこそこ可愛い方だしな。 だが奴はとてもだが許せない事を朝比奈さんに言い放ったのだ。 ハルヒ「みくるちゃんはあたしのおもちゃなの!」 あの時は本気で頭に来たぜ、古泉が止めてなければあいつの頬を引っ叩く所だった。 あれから何ヶ月も過ぎるが未だに俺はその事に関してあいつを許していない。 というか許す隙すら見せようとしないのだ。 あいつが何か行動を起こすたびに俺や古泉が奔走し、朝比奈があわて長門が治める。 いつしかこのような図が出来上がってしまった。 俺は思う、いい加減あいつを甘やかすのはやめよう、と。 俺もそろそろうんざり来てるんだ。このままでいてもあいつに良い事なんか1つもないだろうしな。 あいつももう満足してるだろ、潮時って奴だ。痛い目見て大人になってもらおう。 という事で俺はある行動を起こした。 俺が起こした行動とはハルヒを金輪際冷たくあしらう事だ。 常日頃SOS団の連中からちやほやされてるあいつはにはそうとう効いた物かと思われる。 事実、先ほど古泉から緊急の電話が来て巨大な閉鎖空間とやらが出来て機関全体がてんてこ舞いらしい。 だがそんな事は俺が知ったことじゃあない。全部ハルヒのやったことだ。責任はあいつにある。 文句を言うならあいつに言ってくれと思いながら古泉の番号をハルヒの番号と共に拒否リストに加える。 さて、今日やったハルヒへのおしおきを回想するとしよう。 思い出すだけでも口元がにやけてしまうがここは堪える。 まったく、あいつのあの顔ときたらな・・・。 朝俺は普段よりも早く学校へ向かった。 まずハルヒへのお仕置き第一弾として地味だが上履きを隠す事からはじめた。 おーい、そこ!陰湿とか言うんじゃない!上履きはマジックで罵詈雑言を書きついでハサミで切り刻んで女子トイレに投げ入れておいた。 教室で外を眺めているとハルヒが浮かない顔で足元はスリッパで教室に入ってきた。 いや、笑ったね。良い気味さ。 だがハルヒへのお仕置きはまだまだ続くぞ。覚悟するんだな。 「あなたにはもう利用価値が無い」 すでに私室と化した部室に久しぶりに他人が訪れた。 長門有希。元SOS団、団員の一人。彼女が扉を開けて、唐突に言った一言は、あたしの脳内を?マークで埋め尽くすには十分だった。 利用価値? いったい何の? はたしてそれはSOS団解散に関わっているのだろうか? ある日を境にあたしを冷遇する皆。 キョンはあたしの言うことに耳を傾けず、構ってくれなくなった。 みくるちゃんはあたしを視界に捉えると、ゴキブリでも見るような目で離れていった。 小泉君はあたしにだけ笑みを見せなくなった。『不愉快だ』と表現した表情をあたしに向けるようになった。 そして目の前にいる有希は――徹底的な無視を決め込んでいた。おそらく彼女の中では、あたしはわたぼこりの類なのだろう。いや――それ以下かもしれない。 「利用価値って何……?」 あたしは何とか声を絞り出した。目の前の殺意を孕んでいる様な視線を感じると、声を出すことさえ困難だった。 「あなたは世界を作り変える力を持っていた」 そこから堰を切った様に有希の口から出てくる不可思議な事実。有希は宇宙人。小泉君は超能力者。みくるちゃんは未来人。色々な派閥。これまでの出来事。 意外と理解はできた。当然よね。ほとんどがあたしの望んだことなんだから……。 そしてその能力が『あの日』から消滅したことを告げ、有希はあたしに背を向けた。 『もう言うことなんてない』背中が語っている。でも、でも……! 「待って!」 視線を外されたおかげで今度はスムーズに声が出せた。有希が振り返る。今度は殺意に加えて憎悪が混じっているように見える。「ひっ……!」声を上げて萎縮するあたし。 「ね、ねえ……その、力が無くても、SOS団はあるんだし、さ……。また、前みたいに皆で――」 『前みたいに』の辺りで有希の目が見開かれた。 「まだ、そんなこと言っているの……?」 呆れを含んだ声。いや、むしろ軽蔑かもしれない。 「彼を含め、私達はあなたの“能力”のために『それ』に所属していた。だからこそあなたの言動には耐えて来た。あなたという個体自体に関しては、全員好ましくない感情を抱えている」 SOS団を『それ』扱いする有希の発言にはそれほど驚かなかった。今まで皆にしてきた行為を考えれば、それも仕方ないと思えた。だけど、だけど……。 「だけど、楽しかったでしょ……!?」 そうあってほしいという願望を大いに含んだ問い。少しの希望、期待……。 「それはあなただけ」 有希は容赦なく言った。 「私はあなたを観察するためのインターフェイス。だから我慢は出来た。それが私の意義だから。でも『彼』は違う。選択権も無くあなたに選ばれ、苦しんでいた。私はそれが許せない……!」 後半の辺りから強まっていた。その発言から殺気と軽蔑と憎悪の視線の理由が分かった。そっか、有希ってキョンのこと……。 「私はあなたにこれ以上時間をかけたくは無い。『彼』が待っている」 有希はそれを最後に、出ていった。 ……なんだかここで団員を待っているのがバカらしくなった。……帰ろう。 玄関まで来ると、雨がふっているのに気がついた。傘は――ない。いつかみたいに、職員用の持って行けばよかったのだが、『あの日』以来風当たりが強くなっているので、やめておく。 坂を下っていると、前方に一本の傘が見えた。その下にはキョンと有希がいた。笑っているキョン。時折微笑を返す有希。傍目から見ても仲睦まじいカップルだ。 それを遠目に見る、雨曝しのあたし。まるで、別世界……。 涙と雨がないまぜになって頬から落ちていく。あたしは再び世界に絶望した。 ハルヒ「ふー、今日はそろそろ帰ろっとキョーン!一緒に・・・ あ・・・いないんだった・・・ ん、この箱なに?こんなの運んできた覚えないんだけど・・」 男「しまった・・・」 パシュッ ハルヒ「え!?血?嫌!痛いぃ!」 スネーク「Mk22と間違ってソーコムで撃ってしまったようだ 大佐、彼女への対処の指示をくれ」 大佐「スティンガーでおk」 古泉「明日ウチの車でドライブに行きましょう」 キョン「いいなそれ! 海とかいいんじゃないか?」 みくる「あ、いいですねぇ~それ。わたしお菓子作りますよ!」 長門「……和菓子もほしい」 キョン「あはは、それはさすがの朝比奈さんでも作れないだろう」 古泉「じゃあ私が買っていきますよ」 キョン「悪いな、古泉」 古泉「いえいえ」 ハルヒ「あの……わたしも……」 古泉「残念ですけどウチの車は5人乗りなんで」 古泉「私、キョンくん、朝比奈さん、長門さん、鶴屋さんでいっぱいです」 キョン「常識を考えろよハルヒ、6人はムリだ」 みくる「涼宮さん、古泉くんも困ってますから……」 キョン「虐めってのも、結構バリエーションがないもんだよな。殴る蹴るは流石に気が引けるし」 長門「長期的な疎外感は人格を崩壊させるのに最も効率的かつ有効な手段であると同時に、こちらの手を汚さず出来る唯一の手段」 キョン「まぁ、セオリーどおりが一番有効、って事か」 長門「そういうこと」 キョン「お、噂をすればなんとやら、ってかね」 ハルヒ「……おはよう、キョン」 キョン「……」 ハルヒ「……おは、よう……」 キョン「さて、トイレでも行くかな」 ハルヒ「……」 長門「惨め」 ハルヒ「ゆき……」 長門「あなたは一人。もう、誰もあなたを見ない、言葉を交わさない、触れない、存在を認識しない。あなたは、いらない」 ハルヒ「……私……ぐすっ……」 小泉「長門さん、一緒に昼食をとりませんか?」 みくる「部室で食べません?」 ハルヒ「小泉君……みくるちゃん……」 長門「わかった」 ハルヒ「……もう、私……」 ハルヒ「私は本当のボーカルじゃなくて・・代理なの。」 ハルヒ「ボーカルの子が扁桃腺が腫れちゃって・・・」(以下略) キョン「かーえっれ、かーえっれ」 小泉 「(ふふっ、キョン君もやりますね)・・かーえっれ、かーえっれ!」 客A 「格好がきもいんだよ!!かーえっれ!かーえっれ!」 客B 「このうさぎやろうが、電波のくせに誘ってんのか!バーカ!かえれ!」 ベース「やっぱ我慢できないわ、お前帰れ」 ドラム「あなたのためにドラムなんてできないわ、帰って」 長門 「あなたのギターも歌も・・不要です・・私が盛り上げるので・・帰れ」 ハルヒ「・・・・」 2年になったハルヒ 先生「それじゃ~みんな自己紹介は終わったかな~?」 ハルヒ「あ・・・先生私がまだ・・・」 先生「あー君か。はいどうぞ。」 ハルヒ「えっと・・・東中出身涼m」 クラスメートA「くすくす、ねぇまたあれやるのかな??」 クラスメートB「やるんじゃない?本物の基地外だもん」 ハルヒ「・・・これから一年間・・・よろしk」 谷口「おいおい~!!宇宙人はどうした宇宙人は~!」 国木田「やめときなよ。知障の相手は疲れるよ」 キョン「まあ人間には興味ないんだ。何言っても平気だろ」 ハルヒ「・・・・よろしく・・・おねg」 先生「じゃー授業はじめるぞ」 参加者:長門 キョン 古泉 みくる 鶴屋 閲覧(1) ──────────────────────────────── ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ キョン:今日もうざかったな、ハルヒ ──────────────────────────────── 長門:約1名・・・閲覧中・・・ 解析始める・・・・ ──────────────────────────────── 古泉:どうせ彼女でしょう ──────────────────────────────── 鶴屋:ストーカーじゃんwwwwwきんもーっ! ──────────────────────────────── みくる:な、なんでみてるんですかぁ? ──────────────────────────────── 『ハルヒ』が入室しました ──────────────────────────────── ハルヒ:みんな集まってたのね!会議を始めるわよ! ──────────────────────────────── 『みくる』が退室しました ──────────────────────────────── 『鶴屋』が退室しました ──────────────────────────────── 『古泉』が退室しました ──────────────────────────────── 『長門』が退室しました ──────────────────────────────── ハルヒ:ちょっとキョン!どこへ行くの!まちなさぁい! ──────────────────────────────── キョン:口くせぇんだよ ──────────────────────────────── 『キョン』が退室しました キョン「前から思ってたんだが・・・お前はうるさい」 ハルヒ「っ!?」 キョン「ということで、お前瞬間接着剤の刑な」 ハルヒ「ちょ!?キョ・・・うぐっ」 俺は強引にハルヒの口に瞬間接着剤を満遍なく塗りたくった、これで煩わしい思いもしなくなるだろう ハルヒは目に涙を浮かべて必死になり、口をモゴモゴ動かしている・・・全くいい気味だ キョン「お前、これからサンドバックな」 参加者:ハルヒ 閲覧(2) ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ハルヒ:ROMってるやつきもいから入ってきなさいよ ──────────────────────────────── ハルヒ:こういうのって本当ウザいわね・・・ ──────────────────────────────── ハルヒ:見てて楽しいの? ──────────────────────────────── 『キョン』が入室しました ──────────────────────────────── 『ハルヒ』が退室しました ──────────────────────────────── 『みくる』が入室しました ──────────────────────────────── キョン:朝比奈さんこんにちは。明日は予定通り5時でいいですか? ──────────────────────────────── みくる:はい~。その時間にお会いしましょう~^^ ──────────────────────────────── キョン:ではまた~。 ──────────────────────────────── みくる:ごきげんよう^^ ──────────────────────────────── 『ハルヒ』が入室しました ──────────────────────────────── 『キョン』が退室しました ──────────────────────────────── 『みくる』が退室しました ──────────────────────────────── キョン「8時だよ全員集合~!」 みくる「おいっすー!」 長門「・・・おいっす」 古泉「声が小さいですよ」 観客「おいっすーーーーーー!」 ハルヒ「まだまだ声が小さいわよ!」 観客「うるせーーーーんだよっ!!!!!!」 ハルヒ「痛いじゃない!物を投げないでよ!」 キョン「おらーーーーー!」 ハルヒ「ってキョンあんたまで」 みくる「えいっ」 ハルヒ「みくるちゃん・・・」 長門「・・・ぽい」 ハルヒ「・・・う」 古泉「ははは、それー」 ハルヒ「・・・」 ハルヒ「よし!今日はみんなでキョンの家に突撃よ!!」 古泉「今日はキョン君の家でゲームをやる約束があるので失礼します。」 キョン「古泉とゲームやる約束あるからくんなよ。」 ハルヒ「ぇ?だ!だからみんなで今からキョンの家に行くのよ?」 古泉「…はぁ…遠まわしに 来るな といってるのが分からないんですか? これだから馬鹿は困りますね。」 キョン「そういう事。 お前がきたら家中にハルヒ菌がばらまかれちまうからな。 絶対くんなよ。」 ハルヒ「………」 ハルヒ「ラブラブチェッカーを開発したわ、これで意中の相手とのラブ度が測れるの」 ハルヒ「ターゲット発見!ねぇキョン、こういうの作ってみたの」 キョン「今忙しいんだよ!遊びなら一人でやれ」 ハルヒ「…」 古泉「おいキョン、こういうのを作ってみたんだが」キョン「良いね、やろうやろう」 ハルヒ「………」 キョン「見てんじゃねぇよ失せろハルヒ」 長門 「………ぺたぺた」 キョン 「おい、長門。朝比奈さんの体みてなにやってるんだ?」 長門 「うぎゅ」 朝比奈 「ふぇっ!?」 キョン 「おいおい抱きしめるなよ。むしろ俺がやりたいくらいだ。」 長門 「マッスルドッキング」 キョン 「マッスルドッキングは一人じゃできないぞ・・・って朝比奈さんに何してるんだてめーっ!!」 長門 「カレー食べて。」 みくる 「い、いただきます。」 キョン 「あぁ。」 長門 「じーっ」 キョン 「おい、長門。みくる見て何してる?」 長門 「ぺちゃぺちゃ。」 みくる 「あぅ~」 キョン 「おいおい、カレーのルー。そんなに作ってどうしたんだ。しかも、朝比奈さんにかけてえええええええ!?」 長門 「朝比奈カレー」 ハルヒ「ええんか?ここがええんか?」 みくる「おたすけえええ」キョン「おいおい、朝比奈さん嫌がってるじゃないか」 ハルヒ「良いのよキョン、この娘はMなんだから」 みくる「テメェがSなだけだろ馬鹿が意気がるなよ…」 ハルヒ「…………」 アヒル 「ねぇねぇ、キョン!一緒に新しい部活作らない?」 キョン 「アヒルごときにどんな部が作れるんだ?調理部。お前が調理されちゃうのか。」 アヒル 「え?アヒル。私の名前アヒルになってる!違うわよ!変えて変えて!」 ルキア 「ねぇねぇ、キョン!一緒に新しい部活作らない?」 キョン 「ルキアってことは死神部か?」 ルキア 「違うわよ!姫子じゃないわよ!やり直し!」 ハルヒ 「ねぇねぇ、キョン!一緒に新しい部活作らない?」 キョン 「ホスト部か?俺、イケメンじゃねーぞ。古泉一筋だし」 ハルヒ 「藤岡じゃないわよ!涼宮でやりなおし!」 ゴジラ 「ねぇねぇ、キョン!一緒に新しい部活作らない?」 キョン 「うわあああああああ逃げろおおおおおおおおお」 ゴジラ 「・・・・・・」 ハルヒ「ちょ、ちょっとキョン止めてよ!」 キョン「なんだハルヒ?そんなにこのリボンが大事なのか?」 キョンの高く掲げられた拳の先にはハルヒがいつも付けている黄色のリボンが握られていた ハルヒ「それはパパに買ってもらった大切な、リボンなの返さないと死刑よッ!」 キョン「ホイ、返してやるよ」 ハルヒ「あ、、」 リボンを窓から投げる捨てるキョン キョン「早く拾いに行かないとどっか行くぞ(ニヤニヤ」 ハルヒ「キョン!覚えておきなさい」 キョン「おい、ハルヒいつまでも調子になるなよ。いくらお前がスポーツ万能でも所詮は女。男の俺には敵わない それに高校生もなってリボン付けてるのは可愛いとでも思ってるのか?」 ハルヒ「も、もう知らない!」 リボンの拾いに行くハルヒの目にはうっすら涙が浮かんでいた
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/1615.html
放課後、俺はいつものように階段を上っていた。 いちいち説明しなくても分かると思うが、文芸部の部室へ向かうためである。 しかしそこで文芸部的な活動をする分けではない。 SOS団なる謎の団体の活動をするのである。 廊下の窓から外を眺めると部活動に励む生徒の姿や、 その他に学校に残って友達と遊んでいる者、 さっさと帰宅して個人的な趣味や塾に通う者、 そして男女のカップルのイチャつく姿が見えた。 「はぁ、俺はいったい何をやってるんだか・・・」 俺は普通の高校生の姿を眺めながら溜息をついた。 俺は別に好きでSOS団の活動をしているわけではない。 活動をサボったら我がSOS団の団長、ハルヒに怒られるのであり、 ハルヒが怒れば神人という謎の化け物が暴れだすからであり、 そのハルヒの機嫌を損ねないために俺はSOS団に参加してハルヒを喜ばせているのである。 しかもそのSOS団の活動と言えば、平日は古泉とボードゲームをし、 休みの日には街を散策して未確認生物を探し回るという、まさに時間の無駄遣いであった しかし全てが無駄と言うわけではない。 その理由はSOS団の女神であり、全校の男子生徒のマドンナである 朝比奈さんのいれたお茶を飲めることである。 そのお茶のおかげで俺の憂鬱の8割は解消されてるね。 いつものようにドアをノックすると、いつものように朝比奈さんの 「はぁ~い」 という返事が聞こえ、俺はドアを開けて部室の中に入る。 その朝比奈さんは、いつものメイド服ではなく、黒い色のくノ一(女忍者)の格好をしていた。 「あ、キョン君、いっらしゃ~い。いまお茶を入れますね」 その女忍者の格好は、スカートが膝下より長いメイド服とは異なって、 太ももがほとんど露出しており、あと少しでパンツが見えそうなくらい短かった。 実際、少し前かがみになっただけでパンツが丸見えだった。 俺はお茶をいれる朝比奈さんの姿(特にお尻)を眺めながら朝比奈さんに尋ねた。 「朝比奈さん、その衣装、またハルヒが用意したんですか?」 お盆にお茶を載せてこちらに運びながら朝比奈さんは言った。 「いえ、これは自分で用意したんです。いつも長いスカートだったでしょ? だからお店の人に短いスカートの衣装をください、って言ったらこの黒いくノ一(女忍者)の衣装をくれたの」 「へ~、朝比奈さんが自ら衣装を買いに行くなんて驚きですね。 ところで、なんでスカートの短い衣装が良かったんですか?」 朝比奈さんは顔を真っ赤にしながらこう言った。 「だってキョン君・・・短い方が嬉しいでしょ・・?」 「そりゃ、まあ、そうですけど・・・」 「あの!触りたかったら触ってください。そのためにこの衣装を着てるんです!」 俺は一瞬何が起こったのか分からなくなり、数秒間考え、結論を出した。 「では、お言葉に甘えて」 俺は朝比奈さんの後ろに立った。 そしてお尻を触った。朝比奈さんの息が荒くなっていく。 それに飽きてきたので前を触ろうとする。 しかし朝比奈さんは両手を前で組んでいる。 「すみません、両手をどかしてもらえますか?」 「あっ、はいっ、すみません・・・」 その時だった。 バタン!!!!!! 扉が急に開いた。 「こらー!なにやってるのよ!SOS団は社内恋愛禁止なんだから!」 ハルヒだった。 いきなり登場して俺と朝比奈さんを怒鳴ったかと思ったら スタスタと自分の特等席に着席してパソコンの電源をつけた。 俺はハルヒなど無視して続きをしようと思ったが、 朝比奈さんは、「今日はもうダメ・・」と言って俺から離れてしまった。 続いて古泉と長門が来て、朝比奈さんは3人分のお茶を入れることになった。 古泉の席の後ろで、朝比奈さんはお茶を入れている。 そして朝比奈さんのパンツを見ることが出来る。 さすがの古泉も後ろで何が起こっているのかは分からないのだろう。 お前の後ろではパラダイスが広がってるんだぞ、と心の中で思っている時だった。 俺は横からの視線を感じ、横を振り向く。 その視線の主はハルヒだった。俺のことをギッと睨んでいた。 なんなんだよ一体・・・ 「キョン、今日あんた居残りだから」 「はぁ、なんでだよ?」 「いいから残りなさい!」 やれやれ、理由さえ聞かせてもらえませんか。 俺は仕方なく居残りすることにした。 長門と古泉と朝比奈さんが帰り、文芸部の部室にいるのは俺とハルヒだけになった。 「なんで居残りさせたんだ?」 「あんた、ひょっとしてミクルちゃんのこと好きなの?」 「なんなんだよいきなり。好きだったとしたらなんなんだ?」 「いいから答えてよ。好きなの?嫌いなの?」 「まぁ、どっちかと言えば好きだね。優しくて思いやりがあって、お前とは大違いだ」 しまった。口が滑って変なこと言っちまった。 きっとハルヒはこの言葉でご立腹だろうと思い、俺はハルヒを見た。 しかしハルヒは怒ってなどいなかった。 俺の勘違いかもしれんが、少し泣いているような気がした。 「そう・・・あんた、あーゆーのが好きなのね」 そしてハルヒは走って帰ってしまった。 次の日、教室でハルヒは授業が終わるまで顔を伏せていた。 そして放課後、いつもどおり、俺は放課後に文芸部室へ行った。 そしてドアをノックした。 「は~い」 という返事。 ドアを開けて室内を見た俺は、ドアを閉めた。 何が起こったのか理解できなかった。 「なんで閉めるんですか~」 そして内側から扉は開けられて、俺は混乱してるまま室内に入った。 部室に居たのは朝比奈さんではなく、ハルヒだった。 しかも昨日、朝比奈さんが着ていたくノ一の格好だった。 しかし黒色ではなく、白色だった。 これでは忍者的活動が出来ないぞ。もしかして雪国での忍者か? 「ハルヒ、頭でもぶったのか?」 それとも変なモンでも食ったのだろうか。 まさかまた不思議な力によって世界が改変されたとか、そんな面倒なことが起こったのだろうか。 「違いますよ~。頭なんてぶってませぇん。 昨日キョン君はこういうのが好きだって言ってましたよね? だからやってみたんです~。どうですか?似合ってますか?」 呆然と立っているとハルヒは 「あ、座って待っててくださいねぇ、今お茶入れますから」 と言った。俺は言われたとおり座って待ってることにした。 お茶を入れるために前かがみになったハルヒは、昨日の朝比奈さん同様、パンツが見えた。 しかも「好き」という文字がプリントしてあった。 俺は呆然とその文字を眺めていると、ハルヒが急に振り返り 「あのぉ、パンツ見ましたかぁ?」と言った。 これはひょっとして、あのコンピュータ研部長のときと同様、なにか恐喝でもされるのか? 等と考え、返答に困っていると、ハルヒが 「あのぉ、触りたかったら触ってもいいですよぁ」と言った。 やれやれ、俺の我慢の限界も低いもんだな。 「では、お言葉に甘えて・・・」 ハルヒに近づき、尻の穴を指で触ってとき、ドアが開いた。 朝比奈さんだった。 「あ、涼宮さん、キョン君、まさか、、こういう関係だったんですか? それ、私がこの前買った衣装と同じのですね」 「ええ、そうよ、ミクルちゃんがあまりにも可愛いから買っちゃった。 結構動きやすいし便利よねこれ」 「あの、、それよりも何をやってたんですか?」 「お茶入れてちょーだい」 「私の質問に答えてくだ、、」 「お茶入れてちょーだい」 ハルヒはいつも通りの乱暴な性格に戻った。 なんなんだ一体・・・ やがて古泉と長門もやってきた。 「キョン!なにか面白い話題とかないの! なんかこう、とてつもなく面白い話よ!」 ねぇよ。自分で調べろよ。 というとハルヒはネット巡回を始めた。 俺はいつもどおり古泉とゲームをしていた。そこに長門が俺のそばに来て本を渡した。 「・・家に帰ったらすぐ読んで・・・」 古泉は不思議そうな目で俺を見ていたが、それを無視して俺はゲームに戻った。 そして長門が部室から出て行き、その日のSOS団の活動は終わった。 家に帰った俺は長門に言われたとおり、本を読むことにした。 正確に言えばページをめくって栞を探していた。 それはちょうど真ん中らへんのページに挟まっていた。 「晩ご飯を食べる前にすぐに私の家に来て」 俺はダッシュで長門の家に向かった。 ハルヒの頭がおかしくなった事と何か関係があるのだろうか。 長門の部屋のインターフォンを鳴らし、ドアが開いた。 そこでまた俺は頭がおかしくなりそうになった。 「あ、キョン君、おかえりなさぁ~い」 長門が忍者の格好をしていた。しかもピンク。 俺は溜息をつきながら長門の部屋に入った。 「ご飯にしますか?お風呂に入りますか?それとも、、、うふっ」 なんか長門の頭もおかしくなってしまったようだが 俺はそんなことは無視してご飯を選択した。まずは飯だ。 そこで気がついた。 なんと長門の衣装はパンツがギリギリ見えるとかそんなレベルではなく、パンツ丸見えだった。 その衣装はヘソの辺りまでしかなかった。 「あのぉ、触りますかぁ?」 またこれだ。 「いや、断る。今は触るって言う気分じゃないんだ。 匂いを嗅ぎたいんだ」 そして俺は仰向けになって寝た。 そして俺の顔の上に長門がまたがった。 俺が匂いを嗅いでいると、玄関の扉が急に開いた。 「長門さん、、なにやってるの・・・?」 朝倉だった。 「ちょ、朝倉、違うんだって!これは、その・・・」 しかし俺の言葉を無視して、朝倉は走って自分の部屋に帰ってしまった。 とりあえず飯だけ食って俺も帰ろう。 次の日の朝、下駄箱の中に手紙が入っていた。 「今日の5時ごろに教室に来てください」 なんなんだろうね、まったく。 そして放課後、いつものようにドアをノックする。 「入っていいわよ」 そこにいたのは忍者姿の朝比奈さんだった。 「キョン、お茶入れてちょーだい」 「あの、朝比奈さん、どうしたんですか?」 「さっさとお茶をいれなさい!」 どうやら今度は朝比奈さんがハルヒの性格になってしまったようだった。 「あ、やっぱお茶はいいわ。コップだけ持ってきて」 そう言われたので俺は朝比奈さんのもとへコップを持っていった。 コップを床に置くと、朝比奈さんはパンツを下ろし、オシッコをした。 「さっさと飲みなさい!」 俺は一気に飲み干した。 「カレーがあるけど食べる?」 いえ、それは遠慮しときます。 そして古泉が部室にやってくると同時に朝比奈さんはいつもどおりの正確に戻った。 夕方の5時である。 教室で待っていたのは朝倉だった。 しかも忍者の姿。そして衣装は肩らへんまでしかなかった。 パンツも胸も丸出しである。 もはや忍者かどうかも分からない。 「お前か・・・」 「そ。意外でしょ」 俺は朝倉に聞いた。 「なあ朝倉。教えてくれ。長門やハルヒや朝倉さんがおかしくなってしまったんだ。 いや、お前もおかしくなった。何故だ!」 「みんなキョン君のことが好きなのよ。だからああいう格好をしているの。 そして私もあなたのことが好き」 「で、お前はなんの用なんだ?」 「人間はさあ、よく、やらなくて後悔するよりも、やって後悔したほうがいい、って言うよね。 これ、どう思う?」 と朝倉は顔を赤らめながら言った。 「言葉どおりの意味なんだろう」 「じゃあ、やろっ!」 次の瞬間、さっきまで教室だったこの空間は ベッドルームになっていた。そして朝倉は俺に迫ってきた。 俺の服は朝倉の不思議な力によって消えていき、ついには全裸になった。 ベッドに寝た朝倉にいろいろやろうとしたその時、横の壁が爆発した。 そこに立っていたのは長門だった。 「情報連結解除、開始」 「そんな・・・」 朝倉は悲しそうな声で言った。 「そんな・・・」 俺も悲しそうな声で言った。 朝倉の体は消えていってしまった。 そして部屋はベッドルームではなく、いつもの教室に戻っていた。 どうやら教室を再構築したようだった。 しかし俺の服は再構築されなかった。つまり全裸である。 そして俺は全裸で帰った。 次の日、俺はいつもどおり文芸部の部室へ行き、ドアをノックした。 「どうぞ」 という古泉の返事が聞こえ、俺はホッとした。 そしてドアを開けた瞬間、俺はドアを閉めた。 なんと古泉が全裸で立っていたのである。 俺はドアノブを掴んで、ドアが開かないようにした。 逆に古泉は内側からドアを引っ張っている。 「開けてくださいよ、ねぇ、開けてくださいよ」 ドアの引っ張り合いをしていると、後ろから谷口と国木田の声がした。 「おい、谷口!国木田!助けてくれ!俺の全財産をやるから助けてくれ!」 しかし俺は谷口と国木田の姿を見て諦めた。 なんと二人とも全裸だったのである。 俺は谷口と国木田に抑えられ、ついに部室の扉は開いてしまった。 そして中に運ばれていった。 起きなさい、起きなさいってば! ハルヒの声がする。 助けてくれハルヒ・・・ 起きなさい! 「ああ、、夢か」 どこまでが夢だったのか俺は考えてみる。 そうだ、ハルヒが忍者の衣装をしていて、そしてお茶を飲みながら 他の団員が来るのを待ってる間に眠ったんだ・・・ 外は真っ暗だった。 ハルヒは他の団員が帰った後も俺が起きるのを待ってたらしい。 「あんたが気持ちよさそうに寝てたから、起こそうと思っても起こせなかったのよ」 今は10月の下旬で、昼間は暖かいが夜になれば寒い。 時刻はもう6時半である。 既に外は真っ暗で、街灯がついている。 俺は俺が起きるのを待っていたハルヒと一緒に帰ることにした。 ハルヒは忍者の衣装のままだった。 「なぁハルヒ、寒くないのか?」 「寒いわよ。でも着替えるの面倒だったからこのままでいいわ」 「でも上着を羽織るくらいなら面倒じゃないだろ?」 「このままでいいの!」 「そうか・・・」 夜道を歩く男子高生徒と白い忍者。 明らかに不審者である。 無言のまま帰り道を歩いているとハルヒが口を開いた。 「ねぇ、キョン。あんた告白ってした事ある?」 「ないね。お前はあるのか?」 「されたことなら何度でもあるけど、自分からしたことは無いわ」 俺たち5人組は街中を散策した。 特に目的も無かったので本屋に行って立ち読みをしたり 服屋をいろいろと見て回ったりした。 今日の女子3人は忍者の格好をしていた。 ハルヒは白、朝比奈さんは黒、長門はピンクである。 まぁ、服装の趣味はひとそれぞれだし、忍者の格好をしてはいけないという法律は無い。 それはいい。忍者だろうが気にしない。 女子3人は街行く人の視線を浴びながら一日を過ごした。 ハルヒと長門は特に気にすることなく歩いていた。 朝比奈さんはつねに人目を気にしながら歩いており 解散時間になる頃には精神的疲労で倒れそうなほど疲れている感じだった。 なんだかんだで解散時間である。 「とろこで古泉、なんでお前は全裸なんだ?」 古泉は全裸だった。 古泉は全裸のまま叫びだした。 「これは人類のありのままの姿ですよ! 僕を否定するということは人類を否定することになります! ここ数千年の間で人類は服を着ました! しかし!これは進化ではありません!退化なのです! 昔は人類は猿のように体中に毛が生えてたました! しかしある時期を境に人類は毛が抜け、裸になりました! まさに進化ですよ!しかし5000年ほど前から服を着だしました! そこからが退化の始まりです!我々人類は進化しているようで退化してるのです! 今の人間に出来ることはなんでしょうか!地球を汚すことしか出来ません! 我々は母なる地球のために生きています!いや、生かされてます! しかし人類は汚してばかりだ!これは母なる地球に対しての冒涜であり、地球上の生物として退化である!」 古泉は警察に逮捕された。 ハルヒは言った。 「逃げるわよ!」 これはさすがに逃げるのが一番いい選択だな。 俺たちも古泉の仲間だと思われて逮捕されるかもしれん。 古泉のことである。拷問をされても仲間を売るようなことはしないだろう。 安心しろ古泉、出所した後は鍋パーティーでもしようぜ。 俺とハルヒと長門は全力で走った。 しかし朝比奈さんは足をガクガクと震わせ、走れそうになかった。 「朝比奈さん!」 俺が戻ろうとしたらハルヒに止められた。 「私たちまで捕まってどうするの!とにかく逃げるのよ!」 朝比奈さんはパトカーに囲まれた。 「こちら北署、こちら北署、全裸男の仲間と思われし女を包囲しました」 「ひぇ~、私はこの人とは関係ないですよ~。ただの忍者ですよ~」 手錠をかけられた古泉が暴れだした。 「僕は新人類です!旧人類に僕を拘束する権利などありません! 自ら服を着るなど猿以下の存在ですよ!その女の子も離してあげなさい!」 「ひぇ~、あなた誰ですか~?私はただの忍者です~。あなたなんか知りませよ~」 結局、古泉だけが連行された。 「古泉・・・」 俺は胸が痛くなった。 仲間を見捨てた自分に対して胸が痛くなった。 「なぁハルヒ、お前、忍者の格好してるだろ? 古泉を助けに行かないか?」 「なんでよ!無理に決まってるじゃない!」 「長門!なんとかしてくれ!」 「・・・無理」 その後、俺たちはそれぞれの家に帰った。 リビングでテレビを見ていると妹が 「キョンくーん、古泉君がテレビに出てるよ~」と叫びだした。 俺は妹の目を隠し、テレビを消した。 どうするんだよ古泉。 次の日、俺とハルヒは文芸部室で喧嘩をした。 「おいハルヒ!なんで古泉を見捨てたりしたんだ! 古泉だけならともかく、朝比奈さんまで見捨てるとは何事だ!」 「だってしょうがないじゃない!警察に勝てるわけないじゃん!」 「それとこれとは別問題だ!例え勝てなくても助けるのが仲間だろ!」 朝比奈さんは泣いていた。 「あのぉ、、2人とも喧嘩はやめてください・・・うぅ」 俺はすかさず朝比奈さんへ言った。 「朝比奈さんもなんで古泉を裏切ったんですか!」 朝比奈さんは大泣きして俺の言葉は耳に届いていないようだった。 その日、俺は留置所に行った。 古泉が牢屋に閉じ込められているはずである。 5メートルはありそうな塀を眺めていたら 中から古泉の声がした。何を言っているのかは分からない。 しかしいつもの演説的なものであることは分かった。 俺は門番の人に頼んで古泉との面会を許してもらった。 何重もの門をくぐり、薄暗い廊下を歩き、何枚もの扉を通り、面会室へたどり着いた。 透明な防弾ガラスの向こうに古泉はいた。 「古泉、、元気か?」 「会いに来てくれたのですね。とても嬉しいです。 しかし僕のことはもう忘れてください。僕は犯罪者です。 僕に関われば世間はあなたのことも犯罪者だと思うでしょう。」 「そうか、、お前がそう望むなら俺は何も言わない。お前とはもう関わらない」 「ありがとうございます。僕にとってそれが一番うれしいことです」 じゃあな、古泉。
https://w.atwiki.jp/haruhioyaji/pages/275.html
「い、息ができないじゃないの、このエロキョン!!」 狭い教室に(物理的な意味で)大反響を引き起すゴージャスかつラウドネスな寝言だった。少なくとも、うとうとしかけてた俺が一気に過覚醒しちまうぐらいには、な。 「……で、できなくても、いいけどぉ。むにゃむにゃ」 はた迷惑な誰かさんの夢の内容については、あえて触れず、想像するのも止めておく。だから推測も無用だ。背景色でのリクエストも受け付けない。5組の連中にならって、肩をすくめてやり過ごしてくれ。以上だ。 が、次の寝言&寝アクション(俺を後ろに引き倒す)は、事なかれ主義者として事態をスルーしようとしてた俺の中の、なんというか名付け難いメーターの針を振り切れさせた。 「早く起きなさい、って言ってんのよ、あたしは!!」 「うお!痛ーっ。……ハ、ハルヒ!! 起きるのは、お・ま・え・だ!!」 「んが?」 「……目が、覚めた、か?」 「……って、キョン? ……あんた、天井向いて座って、なにしてんの?」 やれやれ。ほんと、なにしてるんだろうね。 「おまえが……寝ぼけて引き倒したんだ」 「はっ! そんなことしても見えないし、見せないんだからね!!」 「はあ。何をだ? い、いや、答えんでいい。どんな夢を見ようと……」 「そ、そんなこと言える訳ないでしょ!!」 そーゆー夢を見てたのか、おまえは? 「……見ようと、おまえの勝手だ。だが一人で見ろ。大声だして、クラスをおまえの ドリーム空間に引きずり込むな。俺の言いたいことは以上だ。普通に、黒板向いて座っていいか?」 「……か、勝手にすれば」 「そうさせてもらう」 俺は一度立って、椅子の角度を90度直し、「あ、気にせず授業を」と言い添えてから席に着いた。 しかし静寂は、ものの数分と続かなかった。後ろの席の騒動系女子は、今度は…… 「ご、ごめん、ごめんなさい、ごめんなさい……」 もう夢の中かよ。しかも、泣いて謝ってるし。 さすがに放っておく訳にもいかず、おれは体を捻って後ろを向き、ハルヒの肩を揺すって起こそうとした。 「ハルヒ、ハルヒ」 「! キョン!!」 がばっと跳ね起きたハルヒは、そのまま俺の体をかっさらうかのように、タックルにしては姿勢の高いぶちかましをくれた。すまん、前の席の人。こんな立ち会いは初体験だ。 机ごと押しつぶしかけたことを許してくれ。 「行かないよね、どこにも行かないよね!!」 今はハルヒをこっちの世界に連れ戻さんとな。 「ああ、行かん。どこへも行かないから、ちょっとは落ち着け。ここはどこだ? 今、何してるか、わかるか?」 「キ、キョン? あ、あんた、なんでこんなとこ……って、あ……」 と言って我に帰ったのか、真っ赤になってうつむくハルヒ。やれやれ。 俺は、授業なんてほっぽり出してもう帰りたいと泣き顔になっていた教師に、「具合が悪いので」(なんて便利な言葉なんだ)、保健室に行きたいと訴えて許可をとり、ハルヒと二人、教室を出た。 「いつまで、そうしてんのよ」 すっかり目が覚めたはずのハルヒは、まだ顔を伏せたまま、そう言い放った。なにが「そうして」るんだ? 「手よ、手!」 おれはハルヒの肩においたままになっている手を、急いで空中に放り出す。ホールド・アップと言われた悪党のように、だ。 「まぬけ面」 ああ、間抜けだとも。 「まさか、助けてやった、とか思ってないでしょうね」 思ってないね。それどころか、「やさしい」俺は、おまえに一発殴られてやるくらいの覚悟があるぞ。 「ハルヒ、おまえ、もてあまし……んが!!」 悪かった。動機はともかく、選んだ言葉は間違ってた。それは認めよう。しかし、……股間はよせ。 「た、たまってなんかないわよ!!」 いや、言ってないし。というか言葉なんて吐ける状態じゃないし。 「あ、あんたの夢なんて見てないんだからね!!」 ああ、クラス中誰一人信じなくても、俺が信じてやる。 「追いかけて来たら承知しないから!!」 と、ハルヒは捨て台詞を吐いて、廊下を走り去った。 いや、それ、むり。今の俺は、立つことさえままならん。 そのうえ、ハルヒが立ち去るのを見計らったかのようなタイミングで、それぞれ教室から出てきた教師二人に,「保健室だ? その前に職員室だ」と俺の要求が却下されるや、NASAに捕まった宇宙人のごとく拉致られ連れ去られた。 小一時間、拝聴した説教は方向性の定まらぬものだった。最終的な落としどころは俺の授業態度と成績の相関関係といったもので、廊下で大声で繰り広げた穏当ならぬ怒鳴り合い(怒鳴ってたのはハルヒだけだだが)については、一言もなかった。最後に登場した我が担任、岡部に至ってはこうだ。 「涼宮も難しい年頃だ。察してやれ」 ちょっと待ってくれ、マイ・ティーチャー。あいつと俺は、同い歳だ。というか、同年輩ばかりの青少年を、グロス単位で同じ校舎に放り込んで教育するのが学校だ。そいつは大いなる職務放棄じゃないか。 ……といった義憤がアナーキーの域に高まる前に、バンッと職員室のドアがはじけ飛ばんばかりに蹴り開かれた。 「キョンを返しなさい」 いや、おれ、おまえの所有物じゃないぞ。しかし誰が何を言えようか、逆らえようか? 背後に不動明王と摩利支天のスタントを背負った憤怒少女に。 俺は濡れ鼠のようにハルヒに引き渡され、ネクタイを引っ張られて、ずるずると部室棟へと引きずられていった。 「今日のことは他言無用だから」 団長席にどかっと座り込むなり、ハルヒは言った。 ああ、学校中の人間にとって周知の事実だろうと、俺は何も言わん。それどころか今日のことはすべて忘れる準備があるぞ。だがな…… 「ハルヒ、おまえ、おれに何か言いたいことがあるんじゃないのか?」 「ない!!」 一歩踏み込んだら、これだ。ひと太刀でケサランパサラン(?)だ。 「言い直す。俺に何か言うべき言葉はないのか?」 「あ、あやまってでも欲しい訳?」 ちょっとは悪いと感じてるのか、このバカは。 「見損なうな」 おまえが俺にしたことは、したいことは、そういうことじゃないだろ。 ああ、おれは少しイライラしていた。いや、量については違うな。とても憤っていた、と認める。目の前に居るこいつと、俺自身とに。 「手を出せ」 「は?」 「どっちでもいい。きれいに洗ってある方がいいが」 「どっちも洗ってあるわよ!」 放り投げるように、突き出された両手。 次の瞬間、危険を察知して、逃げ去るように引っ込められんとするハルヒの右手を、一瞬早く俺の右手が捕らえていた。 「んん! な、なにすんのよ、このエロキョン!!」 大音声に続く、アンダー・イヤー(耳の下、性感帯でもあるがボクシングでは急所。一時的な貧血状態になる。鼓膜もまれに破れる)への一撃に、俺は床に崩れ落ちていた。だが、そのまえに漏れた声は、こいつの手の甲に押し付けたおれの唇への、反応だ。 「レディに礼をつくしたまでだ。き、今日はこれくらいで勘弁してやる」 き、決まらないな。まるで負け怪人の逃げ口上じゃないか。床につっぷしたまま言った台詞じゃ仕方がないか。 「な、何言ってんの?」 「おれだってな、難しい年頃なんだ」 「……」 「誰にだってな、我慢できることと、我慢できないことがあるだろ」 「……あんたって、いっつもそう!!」 ハルヒの両手が、さっきより強く、今度は机を叩く。 「自分だけで考えて!行動して!自分ばっかり大変そうで!」 もっと激しく、机を叩き潰さんばかりに。 「あたしが、どう思ってるか、ちっとも分かろうとしない!!」 「ハルヒ……」 「もっと油断しなさい!もっと甘えなさい!もっと弱み見せなさい! あんた、何様? あたしの保護者とでも思ってんの!?」 この、バカハルヒめ。その言葉、そのまま叩き返してやる。 「……その答え、今知りたいか?」 「……ダメ! 喋るな、動くな! じっとしてなさい」 ハルヒの右手が、今度は俺のネクタイをつかんでホールドする。 「今度は……あたしから……するからね……」 ● ● ● 「痛っ! アホキョン! 舌かむな!」 「つーか、入れるな! おれはそこまでしとらんだろ!」 「……常に当社比150%アップよ」 「俺は、おまえの当社じゃない!」 「じゃあ何んだってんの?」 「は?」 「じゃあ何よ? 耳かっ穿じって聞いてあげるから、言ってみなさい」 この野郎……。 「いいんだな。……いいとも、言ってやる」 「!……ひゃぅ!……エ、エロキョン! 耳かむな!!」 「お返しだ」 「お返しになってないでしょ! 一方的でしょ!」 なんとでも言いやがれ。 「ヘンタイ! キモキョン!」 「スキダ」 次の瞬間、世界が反転した。間違いない、腕の関節を取り、足払いをくらわし、俺を床に叩き付け、胸の上に乗っかって首を絞めているこいつがやったんだ。 「痛え!!」 「今、なんて?」 ハルヒ、痛い。それに顔が近いって。 「いま、なんて言ったの?」 瞳に吸い込まれそうだ。が、顔を背けようにも、耳の上の髪を両方ともがっちりガードされている。応答によっては、こいつの両手は標的を変え、俺の首にかかるかもしれない。 「ハルヒ、できれば、押し倒す前に、聞いて欲しかったぞ」 「うっさい!」 真っ赤になった顔を見れば、こいつの耳に俺の声が、心に俺の気持ちが届いているのは確実だと思うんだが。 「ちゃんと聞けよ。に、二度と言わないからな……」 ただでさえ近すぎて大きく見える眼が、なおさら大きくなる。水の粒が、俺の額を、頬を濡らす。 「ダメよ、そんなの!」 ハルヒは遠心力で涙をふっとばし、泣いてなんかないからね、といった顔で叫ぶ。 「毎日聞く! だから、毎日言いなさい!!」 「……わかった。言う。何度でも言ってやる。そしたら、泣き止んでくれるのか?」 「な、泣いてなんか!」 左手で、なおも溢れる涙を拭う。 「泣くのなんか、あんたの前、だけなんだからね……」 近づいてくるハルヒの顔が、視界一杯に広がって、他には何も見えなくなった。
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/5969.html
涼宮ハルヒの切望Ⅷ―side H K― そこにはあたしが、ううんあたしたちが望む光景があった。 あたしの手をどこか感慨深げに、それでいて少し震えてつかんでいるキョンを正面に捉えている。 彼の足もまた、しっかりと部室の床を踏みしめていた。 戻ってきた…… 戻ってこられたんだ…… あたしの全身も感激に打ち震えている。 しばし見つめ合うあたしとキョン。 いつもならこんなことには決してならないんだろうけど。 でもこの雰囲気になれば次の展開はこうなって当然なの。 「キョン!」「ハルヒ!」 呼び合いながらあたしたちは抱擁し合う。 お互い強く深く力を込めて。 「このバカ……どこ行ってたのよ……」 「すまねえ……お前に迷惑かけちまって……」 抱きしめ合いながら、嬉し涙を浮かべているのに悪態付いてるあたしだけど、それでもキョンには本当のあたしの気持ちが届いていることが理解できる謝罪の言葉が聞こえてくる。 それが心から嬉しい。 キョンに向けられている有希、古泉くん、みくるちゃんの視線はあたしも嬉しい。 安堵、慈しみ、喜び。 この三つの視線は全部、あたしと同じ気持ち。SOS団は異体同心一蓮托生。それを再認識できて嬉しかった。 みんなキョンのことを本当に心配してくれていた。 それがあたしの感動をより一層大きくさせてくれる。 その余韻に浸ることしばし。 と言うか、ずっとこうしていたいくらいなんだけど―― 『感動の再会のところ悪いけど、一つ、留意してほしいことがあるの』 なんとなく少し遠いマイクでしゃべっているような声があたしの左後ろから聞こえてきて、反射的に、でもちょっとゆっくりと肩越しに振り向いてあたしは思わず目を見開いた。 うそ……まさか…… キョンと再会した感動とはまったく別の感情であたしの全身が震える。 端的に言うなら驚嘆もしくは愕然。 だって、そこにその人がいるなんて信じられないんだから…… でも絶対に忘れられない人だったから…… そこにはなんとなくノイズ走りまくりの古いテレビの画面みたいな感じで、去年の文化祭の時の有希みたいな恰好を、魔女っ子ファッションの少女に見える女性がいた。 「キョン……もしかして、あんたが行っていた世界って……」 「まあ、な……おかげでこっちの世界に帰してもらえたって気がしないでもない……」 言って苦笑を浮かべるキョン。後ろ頭も掻いている。 「あ……」 『もう悠長に話している時間はないから用件だけ言うわ。それに前も言ったとおり、私と、そして彼女のことは忘れちゃっていいから。んで説明は魔法の知識に抜きん出ている彼女にしてもらうね』 あたしが呼びかけようとして、しかし彼女は少し名残惜しそうな笑顔を浮かべていたけど遮って、 って、彼女? 誰のこと? 「ハルヒ……反対側だ……」 キョンの声もなぜか震えている。この震えはどちらかと言えば呆然に近いわね…… 信じられないものを見るような感じのもの。 と言う訳であたしは視線を今度は右後ろに移す。 そこには、 「えっ!?」 あたしが思わず声をあげてしまうのは無理ないってもんよ! だって、そこにもノイズ画像で一人、女の人が佇んでいたし! それもみくるちゃん張りに起伏にとんだプロポーションもさることながら、そのヘアカラーは筆舌しがたいものがあるわよ! いやまあ言葉にすれば簡単なんだけど実際、こんな色に染める人なんていないだろうってくらい鮮やかな桃色なんだもん! 「言っておくがハルヒ……あの人のあの髪の色は地毛らしいからあんまり好奇の視線を向けん方がいいぞ……」 キョンの何とも言えない苦渋に満ちた感じの注釈が聞こえてきたし。それも小声って。 ふと前を見てみれば、古泉くんとみくるちゃんは絶句しているみたいだし、有希は無表情に見えるけどどこかその漆黒の瞳がいつもより丸みを帯びている。 そりゃそうよね。あたしだっていまだに事態が飲み込めないんだもん。 『今、あたしたちがお互いに見えるのはこの異次元召喚術の魔力余波だから。でもそれは本当にしばらくの間。その余波がなくなればお互い見えなくなるわ。なんせ存在する世界が違う訳だからね。一時的にこの世界とあたしたちの世界が鏡を隔てて繋がっていると思ってもらえばいいのかしら。ちなみにこの場合の鏡は次元断層って意味よ』 異次元とか召喚術とか魔力て。なんか桃色の髪と魔女っ子マントスタイルがあいまって見た目通りの人なのかな? 「向こうの世界だと常識なんだよ。実際に俺も体験してしまったから今のあの人の言葉を穿って見れん」 「そうなの?」 キョンの苦笑にきょとんと返すあたし。 『キョンくん』 「あ、はい」 桃色の髪の人がキョンに呼びかける。 んで、なんかよく分からない理論を交えて説明しているんだけど…… 『――って、あら? どうやらここまでで限界みたいね。あたしたちから見えるあなたたちが急激に薄れていくから、そっちでもあたしたちが見えなくなってきたんじゃない? でもまあいいわ。言いたいことは全部言えたから』 「ちょ、ちょっと待ってください! 今の話本当なんですか!?」 あっけらかんと話を終えようとする桃色の髪の人にキョンが焦った声あげてるし。 んまあ、彼女の説明に意味不明な単語と理論は混ざっていたことはさておき、あたしにも彼女が言った意味が何かは理解できたわ。 と言うか何でそれで焦らなきゃいけないのよ。別に今までと変わんないじゃない。 『え? あなたたち、そういう関係なの? なぁんだ。だったら確かに変わんないと言えば変わんないか』 「認めんで下さい!」 『そうは言うけどさ。あれ以外にこっちにキョンくんを送れる方法なかったし仕方ないじゃない。それとも何? あたしたちの世界で生きられると思ってるの? あの取り乱した様子を見るとそうは思えなかったけど』 「うぐ……」 ぷぷっ、向こうで何やったのキョン? 「う、うるせえ! 単にこっちの世界に帰りたいって泣き叫んだだけだ! 悪いか!」 『まあそうなるのは仕方ないわよ。あたしも経験あるしね』 キョンの居直り言葉を聞いて桃色の髪の人が苦笑を浮かべている。 そっか。んじゃあからかっちゃ悪いわね。たぶん、あたしも元の世界に戻れないとなったら取り乱すだろうし。 「今回のことは感謝する」 有希が毅然と切り出した。 あ、そういえばそうよね。この人たちの協力がなかったならキョンはこっちに戻れなかったんだから。 『いいわよ。お互い様だから。私たちだってあなたたちの協力がなかったら彼をこっちに戻せなかったもの。それに私たちは以前、その二人に救われたことあったし、そのお礼の一環でしかないわ』 ――!! 「待って!」 あたしは思わず呼びとめた。 「あたしは――あたしは!」 悲壮感を漂わせたあたしは消えゆく二人に言葉になっていない言葉をかけるしかできなかった。 だって、あのことはあたしの所為なんだし…… 『事の真相は全部キョンくんから聞いた』 え……? 『でも同じことでしょ? 彼があなたのことを教えたから、あなたは世界創造を止めてくれた。もし彼が教えなかったらあなたは気づくことができなくて私たちの世界は崩壊してた。ならやっぱり私と私たちの世界を救ってくれたのはあなたたち二人。違う?』 『だからあたしたちの気持ちは変わらない。これまでもこれからもあなたたちへの感謝は忘れないわ』 こんな風に言われてもやっぱりあたしの中では彼女たちへの贖罪の気持ちが消えない。 ただ、なんとなく肩の重荷が少し軽くなった気がする。 それはどうして? と問われても答えられないんだけど。 『じゃあね――』 最後に二人がとびっきりの微笑みを浮かべると同時に、音もなく二人の姿はまるでこの部室に溶け込むかのように薄くなっていく。やがて目に見えなくなったとき、なぜか部室にさらさら流れる細いガラスのような結晶が降っているような幻覚が見えた気がしたと思ったら、二人の余韻すらもこの場から消滅した気がした―― ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ さて、ここからは後日談になる。 俺はこっちの世界に戻ってきて、昨日までとにかく色々な人に頭を下げて回った。しかもその度に俺の頭を押さえつけていたのは愛想笑いを浮かべて常に俺の横にいたハルヒだ。 当日は二年五組と鶴屋さん。 んでSOS団には土曜日に全員奢りという詫びを入れさせられた。つっても、これはいつもと変わらんか。 そして翌週水曜日。その日の放課後、おそらくは詳しい説明を聞けるであろう人物への元へととにかく急いだ。 なんでも今回の件で三日ほどのメンテナンスが必要になったとかでそいつは昨日と今日、学校を休んでいたから。実は土曜日も無理して来ていたらしい。 その証拠に昼食後、あっさり帰宅したもんな。 おっと俺は別にハルヒに聞かれたくなかったから急いだわけじゃないぜ。 と言うか、ハルヒはもう、俺がジョン・スミスで、長門が宇宙人で、朝比奈さんが未来人で、古泉が超能力者だってことを知ってしまっているんだ。 てな訳で、俺が部室に急いだ理由は単に逸る気持ちを抑えられなかった、ただそれだけだ。 なんたって最大の謎はまだ残されたままだったからな。 が、文芸部室に入って、朝比奈さんの生着替えを目撃してしまったものだから、朝比奈さんの悲鳴が外に漏れないように急いでドアを閉めて廊下で待つことしばし。 ひ、久しぶりだったのと事の真相を知りたかった探究心が勝ってしまっていたんだよ! ノックしなかったのは単に忘れていただけだ! 「ど、どうぞ……」 う、ううん……部室からまだ恥じらった声が聞こえましたね…… 俺は多少、後ろ暗い気持ちでドアをくぐる。 むろん、そこには朝比奈さんがまだ少し頬を赤く染められて困った顔して佇んでいらっしゃいました。 いや本当にすみません。 「いえ……あたしこそ鍵もかけずに……」 などと言う謝り合いの会話を交わした後、俺は目的の人物の傍に行った。 「今回の出来事は情報統合思念体の終末派が目論んだこと」 で、近づいた途端、普段は挨拶するまで物言わぬ文芸部長にしてSOS団の読書係はハードカバーから目もあげずに切り出してきたんだ。しかし何とも言えん寒々とした雰囲気はいったい何なのか? まあ今はいいか。とりあえず真面目に話をしておきたいからな。 「終末派だと? 確かお前から聞いたのは主流派、急進派、穏健派、革新派、折衷派、思索派ではなかったか? 終末派なんて初めて聞いたぜ」 「わたしも最近知った。今回のことで情報統合思念体が教えてくれた」 なぜお前に知らされなかったんだ? 「必要無かったから」 いやそれを言ったら身も蓋もないだろう。まあ確かにお前の任務はハルヒの監視であり、ハルヒの護衛だから…… って、最近って言ったよな? 知ったのはいつだ!? 「あなたが異世界に飛ばされた翌日」 なんとまあ、と言うことは今はその派閥を知っておく必要ができたってことだ。 「終末派は情報統合思念体の中でも異質。意味に齟齬を生むかもしれないが生命体が持つ根本的な感情が欠けた存在」 思念体を生命体と表現するのはまあ確かに変な感じはする。だが長門は俺に解るように説明するためにあえて使ったんだ。 「以前、説明した通り、我々情報統合思念体は派閥の志はどうあれ、自律進化を目的としている。それがわたし、朝倉涼子、喜緑江美里がこの地に存在する理由。主張は違うが皆、自律進化を念頭に置いている。それだけは同じ意志」 朝倉はもういないがな。 「しかし終末派は自律進化を放棄した意思。よってその思考は自らが滅ぶことしか念頭にない。そしてそれは生命体すべてが持っている思考とは真逆に位置するもの」 なるほどな。確かに俺たち人間は誰しも死にたくないと願い生きることに対して執着する。それは長門の親玉もそうなのだろう。放っておけば滅びの一途を辿るなら、藁に縋ってでもなんとか生き長らえる方法を模索するのは当然ってことだ。なんと言っても命の有無は別にして『生きている者』だからな。 つまり、終末派ってのは死にたがりの連中だ。自殺志願者と言っても過言じゃないかもしれん。 「涼宮ハルヒが世界を滅亡させれば自分たちも滅びることができる。だからあなたを別の世界へと追いやった。正確には別の世界ではなく次元断層に放り込んだ。なぜなら彼らも自らの意思を持って異なる世界には行くことができないから」 何で俺なんだ? 「あなたは涼宮ハルヒにとっての鍵。鍵がなくなればその扉に意味はない。扉は我々にとって新しい自律進化への道筋をつけるための指針」 そりゃまあ鍵のない扉なんて意味ないだろうな。鍵がなきゃ扉を付ける必要なんざないわけで…… って、まさか! 「その通り。鍵=あなたがいない世界では涼宮ハルヒは何も意味がないと考えた。だから滅亡の危機に瀕した。そしてこれが終末派の狙い」 う、ううん……なあ世界、本当にそれでいいのか? それも今の『世界』ってのは全宇宙を指しての『世界』なんだぜ? そんな、俺にはとっても理解できそうにない広大な世界が俺なんぞに振り回されてるなんて思いっきり理不尽としか思えんぞ。 と言うか、何で俺は次元断層に放り込まれただけで済んだんだよ。今のハルヒに世界を滅亡させたいなら俺の命を奪う方が早くないか? 現実に朝倉もそうやろうとしたんだぜ。 「次元断層に放り込んだ時点で有機生命体はほどなくその生命活動を完全停止する。だから生きていても死んでいても大差ない」 そ、そうですか……さらっととんでもないことを言う。 てっきり終末派とやらが情けをかけたのかとも考えたんだが全然違うらしいな。と言うか全く逆じゃないか。 ったく、死にたいなら自分だけ逝けっての。無関係の連中を巻き込むんじゃねえよ。 「土曜日にあなたと涼宮ハルヒが口論になったことを利用した。それゆえわたしも涼宮ハルヒの力によって一時的にあなたが消失した、と誤解した」 なるほどな。確かに俺はハルヒが『あんたの顔なんて見たくない』と聞いただけで『どこかへ消えてしまえばいい』という言葉聞いていないんだ。もっとも、あの言葉を意訳すれば『あたしの前から消えなさい』と受け取れないこともないわけでそれが長門を誤解させてしまったんだ。 「なあ、ひょっとして俺はこれからも朝倉や、今回の奴みたいな連中に襲われたりするのか?」 「大丈夫」 ここで初めて長門は視線を俺に向けた。その瞳には珍しく強い決意の炎が燃えている。 「わたしがさせない」 なんとも頼もしい言葉だね。しかしだな。言っておくが俺だって、お前やハルヒ、朝比奈さんを守りたいと思っているぜ。もちろん古泉もだ。 「そう」 長門がミクロ単位で頷き、そして続けてきた。 「わたしからも聞きたいことがある」 どうにもさっきの寒々とした雰囲気は完全に消え失せてしまったようである。 いったいさっきのは何だったんだ? 「頭髪が桃色の異世界有機体が言ったことは本当?」 って、ああ、あの言葉か。 「いやまあ……たぶん本当なんだろうぜ……」 俺は苦虫をつぶした顔をした。 そう言えば、どうして俺が戻ってこれたのかの詳細な説明がまだだったな。 それを今、少しだけ説明させてもらう。 まあ何だ。あの二人は召喚魔法を利用してこっちの世界と向こうの世界を一時的に連結させたんだ。 それはハルヒ、長門、朝比奈さん、古泉にあの二人の立ち位置が関係している。 俺を中心に長門が俺の真後ろ、ハルヒが俺の正面に立ち、あとの四人が中心から俺とハルヒ(長門でもいいぞ)の間隔で60度ずつずれて立つとどうなるか分かるかい? まあ答えを言ってしまえば正三角形を二つ重ねて丸で囲んだ形、すなわち六芒星魔方陣だ。これは二つの世界を隔てていたとしても効果があるとのこと。 なぜなら向こうの世界では召喚術を用いるときに使う呪紋だそうで主に悪魔や魔獣とかいう地底世界にいる輩を呼び出すものらしい。 んで、六芒星魔方陣は地底世界と地上世界を繋ぐ扉ということだ。 この理屈をあの二人は応用したんだ。 もっとも同一世界じゃなく異世界間なわけだから通常の召喚術で成功するはずがなかった。 ところが、あの時、俺とハルヒの持っていた小石が二つの世界を繋げていた。そして俺の予想通りで、異世界への扉を開くトリガーの力を持つSOS団のエンブレムと、異世界との境界線が著しく弱くなっている文芸部室の超空間とを利用してハルヒが無意識に、しかし一心に願ったからこそ、あの小石を通じて俺の元へと線を繋げることができたんだ。まあいくらハルヒでもそこまでが限界だったんだがな。んであの魔石を作ったのと魔力を吹き込んだのはあの二人だ。それがマジで呼応したらしい。つーことはあの二人は人間の身でありながら、その力を次元断層にまで及ぼせるってことか? まあそれくらいの力は持っているみたいだったが…… んで、その線が召喚の伏線になったんだ。 後は『同一意志』が『異空間に入り込んで』線を確認し、その線を利用して『空間を越えて』、向こうからも『道を繋ぎ』、召喚させるために『扉を開いた』って経過だ。 つまり、あの二人が使った魔法はテレポテーションと召喚術の合体魔法。 俺を元の世界に飛ばすためにテレポテーションを使い、呼び出すために召喚魔法を使ったってことだ。 ただ、確か胡散臭い本によれば六芒星魔方陣はもっと何か書いてあった気がするし、あんな小さいものじゃなかったはずなんだ、なんて考えたのだが、結構ガックリくる答えをあの二人は言ってくれた。 何の魔力も持たないごく普通の一般人に属する俺くらいなら簡易魔法陣で充分なんだってよ。複雑な魔法陣を利用するものは呼び出すモノが強力な魔力を持っていたり力があったりする場合でそれを服従させるためにより複雑な.呪紋が必要になるって説明だった。 なんかえらく馬鹿にされた気分だったぜ。 で、長門が聞いてきた俺が受けた留意事項というやつなんだが…… ああ分かったよ! 言うさ! たぶん、『召喚術』って言葉が出た時点で想像できたとは思うが、あの術には『呼ばれた側』は『呼んだ側』に絶対服従してしまうというルールがあるんだ。 言っておくが校則とか条例とか六法なんて甘っちょろい文面法律なんかじゃないぜ。あんなもの罰則とか罰金さえ気にしなければいくらでも破ることはできるんだ。まあできれば破りたくはないがな。 ところが今回の場合、なんだか潜在意識とか深層心理の部分で逆らえないんだ。 逆らうことにあからさまなセーフティーがかかってしまってる。これがどうい意味か分かるか? 俺はハルヒにこっちに呼ばれた扱いになったんだ。 もうお分かりだよな。 そうだよ。俺はハルヒの本気でやることなすこと命令することに愚痴は言えても行動としてはまったく逆らえなくなったんだ。 パンを買ってきて、と言われれば条件反射のように行ってしまうし、ジュースを買ってきて、と言われれば迷わず販売機へ向かう。 弁当を盗み食いされたときは「いいじゃない! 団長命令よ!」と言われてしまったときになぜか押し黙ってしまったんだ。 ったく、これはいったいどういう冗談なんだ。 というか冗談じゃないから始末が悪い。 何? それじゃ今までとあんまり変わらないんじゃないか、だと。 ……ま、まあ確かにそうと言われればそうかもしれんが……って、そうじゃなくて! 「それについては対処可能」 え? 長門、今何て? 「手を出して」 ええっと、ひょっとして傍若無人な鬼団長の文字通り走狗と成り果てたワタシめを救ってくださるのですか? 長門大明神様。 「あなたの体面に対情報操作用遮蔽スクリーンを展開させる。今、あなたに起こっている現象は涼宮ハルヒの力ではなく、召喚術の情報によるもの。だから対処可能」 ああ長門さまが女神に見えまする。 俺はうれし涙をあからさまに流しつつ、腕まくりをしようとして、 「遅れてごっめ~~~ん! みんな揃ってる~~~?」 とっても明るい挨拶とともに豪快にドアを開ける音が俺の行動を自制させてくれました。 ふぅ……危ない危ない…… ま、まあ処置は後からしてもらおう。 「まだ古泉が来てないぞ」 という訳で俺は努めて平静を装ってハルヒに声をかける。 「あらそうなの? じゃあ古泉くんが来てからにしないとね」 「何をだ?」 「ふっふうん♪ お楽しみに♡」 言って上機嫌な笑顔のまま、ハルヒは団長席にドカッと腰を落とす。 しかしまあ、こいつの『お楽しみに』ってのはたいてい俺にとっては碌でもないことなのだから、できればこのまま古泉が現れん方が―― 「どうも遅れてすみません。ちょっと掃除に手間がかかりまして」 って、もう来るか? で、毎度毎度常套句で申し訳ないが、先述通り『俺にとっては碌でもない』ハルヒの『お楽しみに』だが、やっぱり俺にとっては碌でもないことになったのである。 しかも今回は完全に俺のみだ。SOS団の他の団員には何も被害が及ばないたくらみだったんだ。 「あ、よし! じゃあ全員揃ったところでミーティングを始めるわよ!」 言ってハルヒがいつも通り団長席の椅子に仁王立ちに―― ならない? 机の前に来て口を開く。 「さて、今回はキョンがあたしたちに多大な迷惑をかけました! それも異世界の人たちを巻き込んでという犯罪に等しいくらいの迷惑を!」 うぐ……俺の所為じゃなくてお前に関わったばっかりに俺は目をつけられただけなのに…… 「ですが、今回はキョンのことは不問にします! だってキョンも反省してるでしょうから!」 へいへい分かりましたよ。もうそれでようござんす。 どうせ反論したってこいつは聞く耳持たないし、他の奴らは擁護してくれん。 「しかぁし! その中で今回、あたしとSOS団はとある人物によって大変救われました! その功績を讃えて、かの人物に我がSOS団の特別役職を進呈したいと思います!」 はあ? まさかあの二人の魔法使いにか? 言っておくが再会する可能性は完璧に極めてしまったくらい低くなったぞ。なんたってお前がそれを認識してしまったからな。となれば自由に行き来できる可能性は限りなくゼロになったってことだ。 まあ仕方ないjか。 長門に言われたらしいからな。 俺をこの世界に戻してくれた確率が奇跡を超越した偶然によるものだってよ。それにあの人にも言われたことをハルヒが受けれてしまっているんだ。 下手をすればすべての異世界へ行くことができなくなってしまったんじゃないか? などと心の中で呟いている俺を尻目にハルヒは、どこからともなくいつもの赤い腕章と油性のマジックペンを取り出してキュッキュッとなにやら書いている。 しばしの沈黙。 俺はだるそうに、古泉は無意味にニヤケながら、朝比奈さんは少し戸惑い気味に、んで、長門もハードカバーから目をあげてハルヒを見つめている。 そして、 振り返ったハルヒの表情には炎天下の真夏を思わせる赤道直下の笑顔が浮かんでいた。 バンとどうにも俺に突きつけているように見えるのだが、その腕章にはこう書かれていた。 『団長代理』 何で俺に突きつけているのか分からんが一つだけ分かっていることがある。それは俺に対してのものじゃないということだ。 「キョン、これ何て読む?」 「『だんちょうだいり』だろ? で、それを誰に進呈するんだ?」 「あら? 自分だとは思わなかったの?」 思う訳ないだろ。お前はさっき言ってたじゃないか。『俺が迷惑をかけた』って。 そんな奴にお前がそんな重大な役職を与えるとは思えん。むしろ雑用係からも降格させられるんじゃないかとビクビクしていたくらいだ。 「ふっふうん。ずいぶん殊勝な態度ね。でもまあその心意気は買ってあげるわ。今回は降格人事なしにしてあげる」 ありがたいこって。 「これはね! 有希に進呈します!」 「わたし?」 珍しく長門が疑問形の声を漏らしたぞ。 「そうよ。今回の有希の行動は、あたしとSOS団に対して多大な貢献をもたらしたわ。だからこれを受け取ってほしいの。有希がいなかったら、ううん、有希の冷静な判断と多才な知識がなかったらキョンはこっちに帰ってこれなかったかもしれない」 ハルヒが珍しく慈しむような、それでいて感謝している柔和な笑みを浮かべているだと!? 「そう……」 返事を返した長門はハルヒが差し出した腕章を静かに受け取った。 「さてキョン! よく聞きなさい! この『団長代理』がどんな役職かを!』 何で俺にだけ言うんだよ。だいたいSOS団の役職なら古泉と朝比奈さんにも効力を及ぼすんだろ? 「何言ってんの。古泉くんとみくるちゃんは注意しなくてもちゃんと聞いているから大丈夫なの。でも、あんたは話半分も聞いてないじゃない」 いや聞いているぞ。ただ単に聞き流しているだけで。 「この『団長代理』って役職はね」 という俺のツッコミは無視してハルヒは得意満面の笑みで続けた。 「団長のあたしと同じ権限を持つってこととよ! 分かる? SOS団を指揮してもいいってこと! 当然、あんたに命令するのもOK! まあそれでもあたしの命令の方が優先だけどね!」 だから何で俺だけに言うんだって―― って、今、何つった!? 「ん? どうしたのよ? 何か変な顔になってるわよ」 「変な顔は余計だ。今、長門にお前と同じ権限を持たせるって言わなかったか!?」 「言ったわよ。だって、今回の有希の行動は本来、あたしがしなくちゃいけないことだったんだから。でも、あたしは動転してほとんど何もできなかった。だから今後、そういう事態に陥った時に、ましてやあたしがその場にいなかったときに陣頭指揮する人が必要じゃない。それを有希にやってもらいたいって思うのは当然でしょ」 ハルヒの説明を終えて、俺は即座に長門に視線を移した。 そこには『団長代理』という腕章をやわらかく握りしめるいつも通り無為無表情の彼女が佇んでいるわけだが…… 「……」 「……」 この三点リーダは俺と長門のものだ。 しかし意味合いは全然違う。 俺は長門の涼やかな漆黒の瞳の奥に潜む感情に気付いてしまったからだ。そして俺の長門に対する洞察力が間違っていなければその瞳はこう言ってやがるのである。 『対情報操作用遮蔽スクリーンの展開を中止する』 「……」 「……」 再び、同じ三点リーダ沈黙で、しかしその内に秘めたる思惑はまったく違う感情で見つめ合う俺と長門。 が、先に瞳を逸らしたのは長門の方だ。 んで、 「分かった。『団長代理』の職、了承する」 なんとも珍しくはっきりした声で決意表明をしてくれる。 しかもなんとなくその声色にはどことなく、俺に対してほくそ笑んでいるような気さえしたんだ。 「ありがとう! 有希! これであたしのSOS団もまた安泰よ!」 ハルヒの歓喜の声に古泉と朝比奈さんの拍手が重なり、俺だけが暗澹たる気分を底なしの深淵の底へと沈めていた。 そうさ。長門は気付いたんだ。ハルヒの言葉が何を意味するかを。 ハルヒには本気で『為る』と思えばそれを現実にしてしまうはた迷惑な能力があるわけで、しかも『俺に命令するのもOK』と言ったんだ。 つまり、『団長代理』という肩書は見せかけではなく、俺は召喚術の後遺症で長門の命令にも絶対服従という責務を負ってしまったことになる。 という訳で長門の奴は対情報操作用遮蔽スクリーンを展開の中止を決断するに至ったんだ。 やれやれ。俺の心の平穏は何処に行っちまったんだ。これなら向こうの世界で暮らした方がマシだったんじゃないか? などと考える俺に、 「こらキョン! あなたも有希に拍手を送りなさいよ! なんたって晴れの儀式なんだからね!」 「祝福して」 ハルヒと長門の声が届く。 で、俺は今、二人に絶対服従の身なわけだから、ハルヒの命を受け盛大な拍手を送った後、長門に祝福のスピーチをかましたのである。 何? どんなスピーチだったかだと? むろん禁則事項だ。とても人に言えるものではない。 なぜなら語彙が乏しくてあまり気の利いた話になっていなかったかもしれんから内心忸怩たる思いを抱いたからな。 そうだ。内容はともかく周りの雰囲気がどうなったかくらいは言っておこう。 そのスピーチの後、ハルヒの機嫌が妙に悪くなり、しかし長門はある程度満足げな表情を浮かべて、朝比奈さんはガタガタ震え出し、古泉の携帯に緊急連絡が入ったんだったかな。 んで、俺は必死にハルヒのご機嫌取りに奮闘したのである。 まあ概ねSOS団の普段とそうは変わらんが。 な、君もそう思うだろ? 涼宮ハルヒの切望(完)
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/1089.html
終章 分断された部室の先は、長門のおかげで時が止まってる。 長門も朝比奈さんも古泉も朝倉までもが硬直したように動かない。 俺に危害が加わる事は無いが、介入も出来ない。この膜が俺を阻む。 ドアから外に出ようとしたがドアも開かない。 体当たりや足蹴でドアを破壊しようとするが、鋼鉄のようにビクともしない。 「閉じ込められた。」 直ぐに諦め、近くの椅子に座る。 もう一度長門を見る。無表情な横顔。 いつも俺は何も出来なかった。 いつもそうだ。自分から何かしたことなんか、あの時だけ? あの時も長門や朝比奈さんのヒントのおかげで動く事が出来たっけ。 結局、他人の力無しじゃ動けないのか。 動かない向こう側をに話す。 「ゴメンな。何も出来なくて。」 「あなたは十分頑張った。全て背負うことはない。」 そこには、2人の少女がいた。1人は、礼儀正しそうなお嬢さん。もう1人は寡黙な少女。 「長門。喜緑さん。」 「すみません。手間取りました。色々と邪魔が入ってしまいまして。」 「いえ、感謝しますよ。」 愛想笑いでも付け加えようと思ったが、笑えない。 朝倉が作った偽物の仲間と分かっても、俺自身この状況は流石にこたえたようだ。 長門は、膜で隔てた向こう側を見つめいた。 「ごめんなさい。」 ポツリと漏らす。 それに気付いた喜緑さんは気まずそうに、 「つらい目に会ったようですね。わたしがしっかりしてれば………」と言う。 「自業自得ですよ。」 何故か可笑しさが込み上げる。くくくと笑ってしまう。 目が潤んで何も見えない。泣いているのか俺は。 何故泣く。可笑し過ぎるからか? 『罰』 そう罰だ。何も出来ない罪深い自分への罰なのだ。 くくく あぁ 疲れた。 天井が見える。 ここ、どこだ?学校ではない。 妙にしんみりとしているのは、今が夜だからだろう。 白いベッドの上、服装、花瓶。 直ぐにそこが機関の病院だと気付く。前に来た事もあったしな。 「ハルヒ!!」 横には、黄色のカチューシャを付けた女が椅子に座り、眠っていた。その寝顔は凛として可愛らしい。 寒そうにうずくまっていたハルヒに、俺は毛布を一枚被せた。 さて、また眠くなってきた。 お休み。 「起きろ!!」 あ゛? 俺のスウィートな安眠を妨げる不届き者は誰だ。 「やっぱり。これ掛けたのあんたね。」 目の前には、灼熱の太陽を従える女王が仁王立ちしている。 「ここは何処だ。いや、俺はどうなった。」 「どうって、ここは病院で、あんたは殺されかけたのよ……あたしに。 その後あたしも気を失って、あたし達は病院に運ばれたの。 あたしは直ぐ目覚めたんだけど……あんたは昏睡状態で、医者が…………」 とりあえず、俺は元の世界に帰って来たようでホッとする。 ハルヒの声が震えていたのが分かったが、構わず俺は続きをせかしてしまった。 バカだな、俺は。 「医者が?」 「もう………二度と…………目…が……覚め……ないかもって。 あたしのせいよ………全部あたしの…………」 ハルヒはぶわっと泣き出してしまった。このままだと泣き止まない。 どうしようか悩んでいると、棚の上に置いてある俺の携帯に焦点があった。 携帯を引っ張り出し、キーホルダーを見る。 キーホルダーの中央に縦に亀裂が入ってしまっている。よく見ると、携帯にもキズが…… キーホルダーの切れ目を中心に、力を加える。 ペキッとキーホルダーは半分に割れる。 「ハルヒ。」 「うん………何?」 俺はキーホルダーの半分を差し出す。 「これが俺達の絆の印だ。」 「え……嘘…………夢じゃ……」 「正夢なんて、ザラにあるさ。一生お前を支える。SOS団の団員として、1人の男として。いいか?」 ようやくハルヒの顔に笑みが戻る。涙と鼻水でぐちゃぐちゃだぞ。 「…………もちろん!!一生あんたはあたしの奴隷だからね!!!」 やれやれ、一生奴隷とは、なんとも悲しい人生だろうか。だが、その返事が一番心安らぐ。 ふとドアを見ると回診に来ていた先生が驚いていた。 「奇跡だ。」 いいや先生、これは必然なんですよ。ハルヒの厄介な能力が生んだ必然なんです。 その後、色々と問診を受け、明日検査を受けると聞かされた。 会社から駆けつけて来た親父と母親に何があったと聞かれたが、知らないと答えた。 担任の岡部も菓子織りを持って来て男泣きしていた。気持ち悪い。 ハルヒは岡部にバレて、学校に連行された。今日は平日だったのか。 午後にはハルヒ以外のSOS団の仲間と国木田が揃って来た。 朝比奈さんが泣きついてくれた時、古泉から殺気が漏れたのは気のせいだろう。 「谷口はどうした。まだ学校に来てないのか。」と国木田に問う。 「もう学校には来ているけど、気まずいみたいだよ。結構心配してるみたいだけど。」 「首洗って待ってろとでも言ってくれ。」 「分かったよ。じゃあ僕はこれで。」 国木田は俺にリンゴ1つ手渡し、帰って行った。 さて、 「谷口を使った凶行は機関のせいか。」 「Exactly(そのとおりでございます)」 それはまぁどうでも良い。 「長門。ハルヒが今後暴走する確率はあるのか?」 正直な話、朝倉の話はあまり信用は出来なかった。 約一年前ならば起きてもおかしくはないが、現在のハルヒは有り得ないような気がした。 「分からない。今の所その前兆は見られない。」 「そうか……」 「申し訳御座いません。」 初めて古泉の土下座を見た。続いて朝比奈さんと長門も謝った。 古泉に「謝るならケツを出せ。」と言いたかったが、俺には理性が有るため、なんとか堪えた。 「いいさ。お前らは上に反抗してまで俺達を守ってくれたんだろ。それで充分だ。」 「おかげで始末書どころの問題じゃありませんよ。 これで我々は、一生あなた達についていかなくてはなりません。」 聞いたか?故人よ。あの言葉、言う必要は無いみたいだ。 「では、復活の記念に僕との愛を深めましょう。」 ……どうやら、尻のピンチは続きそうだ。 「やっほー。お待たせ!!」 ハルヒが大きな袋を持って病室に入って来た。 「わぁー。何ですか?それ。」 朝比奈さんが興味深々に袋を見る。 「ふっふーん。これはね……」 やれやれ、病院が騒がしくなりそうだ。まあいい。今日はとことん付き合ってやる。 ふと、窓の外を見る。 空には七色の虹が架かっていた。 \(^o^)/Fin. エピローグへ
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/2838.html
涼宮ハルヒの糖影 起 涼宮ハルヒの糖影 承 涼宮ハルヒの糖影 転 涼宮ハルヒの糖影 結