約 886,207 件
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/3944.html
…あたしの誕生日まで、残り4日間ね。 最近ヒマでしょうがないし、クリスマスなんてイベントがある位だから SOS団団長のあたしの誕生日を祝わないのは道理に反するわ。 いや…とゆーか、既にどうあっても祝わざるをえない事態だわ! SOS団に早く知らせなきゃね!授業なんて受けてる場合じゃないわ! 「ねぇキョン!緊急事態よ!そろそろ… あたしが前の席に座るキョンを引っ張って話しかけると、 キョンはいつに無く真剣な顔であたしを見つめ、あたしの言葉を遮った。 なぁハルヒ、とキョンは喋りだして 「いま俺は非常に大事な案件を抱えているんだ。 これはとっても大切な事だから、今はそれに集中していたいんでな。 すまんが暫くはSOS団にも顔を出せそうにない」 「え?あ…あぁ、そうなんだ…」 普段のあたしなら気にもしないで突っ込んで行くけど、 この時は自分の誕生日パーティの話だったから少し引け目になってたのかな。 放課後、キョンは部室に来なかった。 (ま、パーティなんてここで簡単にやればいいんだし、 キョンに用事が終わる頃でも聞いて計画を立てれば大丈夫よね。 …みくるちゃん古泉くん有希にはまだ黙っていていいわね。 当日に団長を最も敬うべき立場の人間が不在だと、団長の威厳にかかわるから) なんて思って、あたしはいつも通りの活動をする事にした。 …次の日の活動にも、やっぱりキョンは来なかった。 それどころか、私が何か話しかけてもキョンは曖昧な返事ではぐらかすばかりで あたしに取り合おうとすらもしなかった。 よっぽど怒鳴りつけてやろうかと思ったけど、誕生日が近いという事が あたしに変なためらいを起こして言葉を言いつぐんでしまった。 「なによ。」 帰宅して自分のベッドに突っ伏して仰向けになり、 そう呟いてあたしはすこしダウナーな気分を味わった。 (せっかく誕生日が近いっていうのに、なんでこんな思いしなきゃなんないのよ… 悪い事は最悪のタイミングでやってくるって本当ね。 いつものあたしらしくしてたなら良かったのかな。大体、 あのためらいは何よ。みっともない。変な期待でもしてたのかしら。 もう…なんか馬鹿馬鹿しいわ。誕生日ごときで浮かれてんじゃないわよ自分。) 夜になっても自分を卑下する思考で頭が冴えていたあたしは、 時間の感覚すら無くなってきた頃合いに睡魔から一瞬で意識を刈り取られた。 その日、あたしは中学の時の夢を見た。 ずっと一人で過ごしていた中学生の頃。 夢の中でもあたしは一人っきりで、普段通りの生活を送っていた。 でも何故だか… まるで、悪夢を見ているかのようだった。 朝、あたしが教室に入ると珍しく既にキョンが席に着いていて驚いた。 あたしを目に映すと何処か物憂げな顔になったキョンは、 あたしが席に着いたのと同時に、 「今日の放課後、SOS団の部室には行かないで…長門の部屋に来てくれないか? …とても大事な話があるんだ。」 と、キョンは重く暗い顔で申し訳なさげに話しかけてきた。 …… あたしは不機嫌な顔を作って、窓の外へ顔を向けた。 放課後、あたしは教室で皆が帰ってしまったのを見計らってから 一人で下校し、有希の部屋に足を運んだ。 「なによ…古泉君も今日は学校休んじゃってるし、何でいきなりこんななの!?」 そう呟きながらあたしは色々考えた。これから…どうなるのか。 「…ひょっとして、サプライズパーティとか?…」 そう思った時、あたしの中で期待感と安堵の色が広がってきた。 「……でも」 あたしの誕生日には2日も早いし、最近のキョンの態度だとかを考えるとそれは、 …あたしが現実逃避をしているだけにしか思えない。 変に期待してしまったら、悪い事が起きてしまった時の事が恐ろしすぎて 何も考えられない。それにどれだけ良い結果を考えてみても、 それを打ち消す不安要素の方が沢山…ある。 有希の部屋の前に立って、あたしは乾いた口の中を潤す様に息を飲み込んだ。 (来るならこいってものよ。例え一人になったって中学時代と一緒なんだし、 別になにも変わらないわ。…今までありがとうって位は言ってあげる) 「………よしっ」 一息入れて、あたしはガチャリ、と扉を開けた 『誕生日おめでとーーーーー!!!!!』 パンパンとクラッカーが鳴って色付き紙があたしに舞い落ちる。 玄関には古泉くん、有希、みくるちゃん、キョンが立っていて、 みんなモールの付いたトンガリ帽を被ってクラッカーを持っていた。 「すまんなハルヒ、…こういう事だ。 お前の誕生日にはまだ早いが… まぁ、誕生日当日だと露骨過ぎるからな。今日にしたって訳だ。」 「……………」 「今まで話を聞かなくて悪かった。 なんたって、お前は自分からパーティを開きかねんからな。 …それでも良かったんだが、やっぱり誕生日は人から祝ってもらう方が 気持ちいいだろ?これは強制じゃなく俺達の気持ちだ。誕生日おめでとう」 「………ふぇっ…」 「―なっ!?ハル… 「グスッ…ふぅぅぅぅぅッ……ヒグッ!…うぅッふえぇぇぇぇん!」 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ SOS団一同は今、大変にあたふたしている! 古泉は世話しなく動き回っているし、 朝比奈さんは大変だとばかりにハルヒに駆け寄り肩を揉み、 長門はハルヒにトンガリ帽を被せ鼻メガネを掛けようか手を迷わせている。 …いちばん動揺したのは俺だった。まさかハルヒが泣きだすなんてな。 俺がなにをしていたかというと、オロオロしたりオタオタしたり等、 その場でハルヒを見ながらの奇々怪々な踊りだ。 誕生日パーティの発案自体は古泉からだった。 俺達はその計画に同意を示し、ハルヒが自分で計画を立てないよう気を配った。 パーティの役割に関しては、古泉の組織が先立つ物を用立ててくれるし、 サプライズ的な要素もあるので部室では不便だと長門の部屋を借りるとの話だし、 朝比奈さんに重い荷物を持たせて準備を頼む事などもってのほかだ。 まぁ色々とそんなんがあって、俺は買い出し兼仕度係となった。 各自そろそろ準備を始めようとしていた矢先、丁度ハルヒが俺に団活の計画を 持ちかけてこようとしたので俺はとっさに浮かんだ理由をあげて話を中断させた。 そしてその後、俺は放課後にお菓子や小道具の買出しや準備なんかに手を取られていた。 …実の所、、ハルヒの誕生日より二日早く開催されたのは予定外の事だった。 何故かと聞かれれば、昨日の夜から例の閉鎖空間が絶え間なく発生し始め、 また、明け方には観測史上最大規模の閉鎖空間が現れたらしい。それによって 俺達はハルヒが俺の対応に相当なショックを受けているのを知り、これはいかんと 開催を急遽本日に繰上げしたいう訳だ。 古泉は過去最大火力の神人討伐に時間を取られ、どっちみち学校へ行く程の時間も 無かったのでそのままパーティの準備に勤しんで貰った。 おかげで皆がパーティの雰囲気の中はしゃぎまわしてる最中も 古泉はうつらうつらとしていた。…ご苦労だったな。 すっかり元気を取り戻してくれたハルヒを含むSOS団の面々と 鶴屋さん、谷口、国木田、俺の妹…等々SOS団に関わりをもった人達で お菓子やシャンパン、ケーキが乗った台を囲んで暫くワイワイやっていたが、 みんなそれぞれ頃合いだろうとハルヒに贈り物を贈呈し始めた。 …非常にやばい。まだ俺はハルヒへのプレゼントを…用意出来てないぞ… パーティの準備に忙しかったのと、なにを選ぶべきかさっぱり解らずに ずっと決めあぐねていた結果、今日の急な開催までついには間に合わなかった。 …どうしようか。家に忘れた?いや、家に来られでもしたらアウトだ。 下手したら虚偽の罪に対し鉄拳制裁が執行されかねん… ここは正直に言っとくのが得策だな。 「ハルヒ…すまないが、俺はまだプレゼントを選べていないんだ… その、誕生日当日に渡すって事で良いか?」 「……」 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 「…いいわよ、もう満足してるから」 あたしの言葉に一瞬キョトンとしたキョンは、 「じゃあ当日にな。待っててくれ。」 と右の手のひらをこっちに向けて、済まないという意思表示をした。 …ホントにプレゼントなんてどうでも良いのに。 あたしは最後の最後でSOS団の皆を疑ってしまった事を忘れるかのように パーティでは思いっきりテンションを上げていた。 みんな、ありがとう。…ごめんね。 そしてキョン。2日前のあの言葉… …キョンの気持ちとして受け取っておくから。 了
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/5069.html
『くちゃくちゃガム』今、北高の生徒の間で大人気のガムである。 おことわり 主音声は、通常の話ですが、副音声は、ガムを噛んでる音になります。 ご注意ください。 主音声 ハルヒ「ん~、くちゃくちゃガムはおいしいわね~。 あっ、朝倉さんだ」 朝倉「む」 副音声 くちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃ… 休みの日、くちゃくちゃガムを噛みながら、道を歩いているハルヒ。 偶然、別方向からハルヒの方に向かって歩いている朝倉を発見。 彼女もくちゃくちゃガムを噛んでいる模様。 くちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃ… 主音声 朝倉「ちょっと、散歩の邪魔よ。さっさと退きなさい。」 ハルヒ「なんですって!?」 ハルヒ「あんた、…私を怒らせる気?」 ハルヒ「文句があるのなら、いつでも相手になってあげるわ、 この野郎」 朝倉「あんたが私に逆らおうなんて8億年早いわよ。」 ハルヒ「それ以上言うと、私の必殺ドロップキックを食らわせてあげるわよ」 副音声 くちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃ… 主音声 ハルヒ「どうやらアンタ、死にたいようね」 朝倉「言っとくけど、死ぬのは涼宮さん、あんたのほうよ」 ハルヒ「ふん、後悔させてやるわよ、ゴミ野郎…」 朝倉「あんたの顔を面白い○○にまげてあげるわ」 ハルヒ「あんたのおでんの思い出を忘れさせてやるわ…」 朝倉「今日の晩御飯、遅らせてやるわよ・・・・」 ハルヒ「死ね―――――っ!!2年後に!!」 ドカッ、バキッ、ゴフッ 朝倉「痛ッ、やったわね!?あんたなんか8年前に死ねぇ――――っっ!!」 グサッ、グチャッ ハルヒ「じゃぁあんたは生まれる前に死ね―――――っ!!」 主音声 ハルヒは朝倉とケンカした一人、キョンの家に向かった。 そして、彼の家の呼び鈴をならした。 “ピンポーン” “ガチャ”っとドアを開けたキョン 「どうした、ハルヒ」 「ちょっと入るわよ」 「お、おい、どうしたんだよ」 ハルヒは無言のまま、キョンの家に入ってきた。 ~キョンの部屋にて~ そんなハルヒにキョンは、麦茶を入れてハルヒに渡した。 「朝倉め~。まだイライラするわ」 なにがあったのかキョンは気付いた。 「まさか、ハルヒ、朝倉とケンカしたのか?」 ただ無言でうなずくハルヒ。 「お前らしくないな。朝倉とケンカするなんて。 一体何が原因で、ケンカなんかしたんだよ。」 「イヤ、聞いてよー。それがねー。」 「思い出せねぇ―――――――――っっっ!!」 「なんか余計な音が混じってて…、全然思い出せないわ…。」 「いったいなんでケンカしたのか、朝倉さんに聞いてみる」 そういって部屋から出ようとした瞬間、ハルヒは『くちゃくちゃガム』を見つけた。 「あっ、くちゃくちゃガムだ(ハート)」 「あんたもこれ食べるのね」 「え?あ、…あぁっ…。」 「1枚もらってくわ。」 「よーし、行ってくるわ!!」 主音声 ハルヒ「ねぇ、朝倉さん。」 朝倉「ん?」 ハルヒ「私達、なんでケンカなんかしたんだっけ?」 朝倉「それが私も覚えてないのよ」 朝倉「まぁどうせ、あんたのくだらない行動が原因だと思うけど。」 ハルヒ「何ですって!?」 副音声 くちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃ… 主音声 ハルヒ「てめぇ、またやる気か?」 朝倉「ええ、いつでもやってやるわ。」 ハルヒ「おのれ、くたばれ―――――――っ!!」 朝倉「うっさいバーカバーカ」 ハルヒ「う○こう○こ」 朝倉「き○○まき○○ま――――っ!!」 ?????「やめろぉ――――――っ!!」 副音声 そういって出てきたのは、シャミセン。 こいつ自身もくちゃくちゃガムを噛みながら喋っている。 くちゃくちゃくちゃくちゃ… 副音声は引き続きガムを噛んでるくちゃくちゃ音でお楽しみください。 ハルヒ「シャ…、」 朝倉「シャミセン…。」 シャミセン「やめときな。ケンカなんて弱い事のすることだぜ。」 ハルヒは朝倉に指さして、 ハルヒ「で、でも…、最初に朝倉さんが…。」 シャミセン「・・・。いいかよく聞け。」 いつの間にかシャミセンは筋肉ムキムキになって、そして二人にこう言った。 シャミセン「友情は、かけがえのない一生の宝なんだ――――――!!」 それを聞かされた二人は、胸を打たれ、同時に自分のやった過ちを後悔した。 そして二人はシャミセンに抱きつき、泣きながら ハルヒ「うわ~~~ん、ごめんなさ~~~~~いっ!!」 朝倉「もうケンカなんかしないわ――――――!!」 副音声 くちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃ… 主音声 ~放課後、部室にて~ ハルヒ「いや~、おとといは感動したわね~」 キョン「?ハルヒ、何に感動したのか?」 ハルヒ「聞いて頂戴。それがね。」 ハルヒ「思い出せねぇ―――――っっっ!!」 ハルヒは頭を抱え込んでしまった。 ハルヒ「あぁ、もう……。なんで思い出せないのよ~・・・。 いろんなことがあったのに…、なんかくちゃくちゃくちゃくちゃうるさくて…。」 ハルヒ「くちゃくちゃ?」 偶然テーブルの上にあったくちゃくちゃガムを見て、それをとって思った。 ハルヒ「これだ――――――――――――っっっ!!!!!」 キョンに抱きつき、 ハルヒ「原因がわかったよ―――!!これでもうくちゃくちゃ言わないよー!!」 ただキョンは唖然とした表情だった。 ハルヒ「この喜びを…、朝倉さんにも伝えてくる!!」 そういうと、ハルヒは部室を出て、学校から抜け、外へ出た。 キョン「おい、ハルヒ!」 ハルヒ「朝倉さーん、もうくちゃくちゃしないよー。」 キョン「おい、ハルヒ、待てよ!!」 キョンは走っているハルヒを精一杯追いかけていた。 ハルヒ「もうくちゃくちゃなんて…、一生言わせるものかー!!」 ドンッ! ハルヒは誰かにぶつかり、しりもちをついた。 ハルヒ「いった~、ちょっとどこを見てあるい……て・・・」 ハルヒの表情は変わった。 ぶつかった人物は、とても大きい人物だった。 それは”神人”だった。 神人はかなりお怒りの様子。 指でこいこいと合図をしている。 自分のことかなと思いハルヒは自分に指を指した。 神人はコクリと返事をし、彼女は”神人”の方へ向かった。 一人取り残されたキョン。 しばらく無音だったが、 ぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃ…… ハルヒが”神人”にやられてる音が聞こえる。 キョンは一人この音にビビッていた。 ~おわり~ 元ネタ 「くちゃくちゃガムじゃっ!」
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/3488.html
「あんた・・・誰?」 俺に向かってそう言ったのは涼宮ハルヒだ。 あんた?誰?ふざけてるのか?嘘をつくならもっとわかりやすい嘘をついてくれよ! だがハルヒのこの言葉は嘘でも冗談でもなかった。 この状況を説明するには昨日の夕刻まで遡らなければならない。 その日も俺はいつものように部室で古泉とチェスで遊んでいた。 朝比奈さんはメイド服姿で部屋の掃除をし、長門はいつものように椅子に座って膝の上で分厚いハードカバーを広げている。 ハルヒは団長机のパソコンとにらめっこしている。 いつものSOS団の日常だった。 「チェックメイト。俺の勝ちだな古泉!」 俺はいつものように勝利する。 「また負けてしまいましたか。・・・相変わらずお強いですね。」 微笑みながらこっちをみる古泉。 俺が強い?言っておくが俺は特別強くなんかないぞ!おまえが弱すぎるんだよ古泉! まぁこの微笑野郎が本気でやっているかどうかは疑わしいもんだが。 そうだったら腹がたつな! 「今日はここらでやめとくか。」 「そうですね。続きはまた明日とゆうことで。」 ニコニコしながらチェスを片付け始める古泉。 すると長門がハードカバーを閉じる。 同時に下校の予鈴が鳴った。 ハルヒが立ち上がって鞄を肩にかける。 「さぁ、あたしたちも帰りましょ!」 ハルヒの号令に俺たちは帰宅の準備を始める。 「たまにはみんなで一緒に帰りましょ!」 ニコニコしながら腕を組んでいるハルヒ。 「そうだな、たまにはいいかもしれないな。」 今思えばこのときが運命の分かれ道だったのかもしれない。 帰りの支度を終えた俺たち5人はいつもの坂道を下り始めた。 先頭に俺、隣にハルヒ、俺の後ろに朝比奈さんと古泉がいて最後尾に長門がいる。 「ねぇ、キョン。あんた土曜日ヒマ?」 ハルヒが歩きながらこちらを向く。 土曜日か…ヒマと言えばヒマなんだが俺には睡眠という名の立派な業務がある。 「まぁどうせヒマでしょ?あたし叔父さんから映画のチケット2枚もらったのよ!特別にあんたを招待してあげるわ!」 正直俺は映画館のあのかったるい感じが嫌なのだがハルヒにしちゃまともな誘いだ。特に断る理由もないだろう。 「映画ねぇ。別にいくのはいいんだがどんな映画を見に行くんだ?」 こいつのことだからSF物かもしくはホラーか?まぁそれなりに楽しめる内容だといいんだが。 「あ、あたしもまだどんな映画だか知らないの。」 「チケット貰ったならタイトルくらいわかるだろ?」 そう返すと何故かハルヒは顔を赤くする。 「べ、別にいいじゃない!どんな映画でも!」 嫌な予感がするな。こいつがタイトルを言えない映画ってなんだ? まさか恋愛ラブストーリーだったりしてな。 「と、とにかく土曜日空けときなさいよ!」 まぁいいか。 ハルヒがどんな顔して恋愛ものを観るか楽しみでもある。 そんな会話を俺とハルヒがしていると聞いていた古泉が微笑声をもらしながら近づいてきた。 「お二人方、週末は映画館でデートですか。お熱いですねぇ。」 うるさい古泉。おまえはいつも一言多いんだよ。 「デ、デートじゃないわよ!キョンはただのオマケなのよ!勘違いしないで頂戴古泉君!」 そこまでむきになって否定しなくてもいいと思うが… 「そうゆうことにしておきましょう。」 ハンサム野郎は再び微笑して頷いた。 ここまでは普段どおり何ら変わりはなかったが事件はこの後起きる。 坂道を下ると大きな交差点にぶつかった。 信号は青だ。 俺はハルヒの誘ってきた映画のことを考えながら渡り始めた。 このとき俺がよくまわりを見て渡っておけばあんなことにはならなかったかもしれない。 突然、大きなブレーキ音とともに俺の横に一台のバイクが突っ込んできた。 「危ないキョン!」 ハルヒは俺に飛びついて俺を転ばせた。 俺とハルヒはそのまま転がる。 危機一発。俺は寸前のところでハルヒに助けられたようだ。 「・・・っ・・・なんて乱暴な運転しやがる・・・」 俺は体を起こしながら辺りを見る。 「大丈夫ですか!?」 古泉たちが駆け寄ってきた。 「・・・なんとかな。ハルヒ助かったぜ!」 俺はそう言いながら隣に倒れこむハルヒを見た。 ハルヒは道路に倒れこんだまま目を瞑っている。 「おい!ハルヒ?」 ハルヒは応答しない。 その場にいた全員が言葉を失った。 ハルヒはぐったりして目を瞑ったままだ。 「お、おいハルヒ!しっかりしろ!」 ハルヒの体を抱き寄せ問いかけるが返事はない。 「動かしてはいけません!」 そう言って古泉は電話を取り出し救急車を呼ぶ。 なんでこんなことに… 「頭を強く打ってます!もう少しで救急車が到着します!あまり動かさないで下さい。」 真剣な顔で古泉は俺を見つめる。 すると長門が俺とハルヒの前に来るとハルヒの頭に手をかざした。 なにやら呪文を唱えているようだ。 そして俺を見ると一言だけ発した。 「心配いらない。傷は塞いだ。」 長門がそう言ってくれたおかげで俺は平静を取り戻した。 長門が大丈夫だと言うんだ。すぐにハルヒは目を覚ますだろう。 俺が安心すると大きなサイレンと共に救急車が到着した。 救急隊員がハルヒを担架に乗せると救急車の中に運んでいった。 「僕たちも付き添いましょう!」 古泉の言葉で俺たちもハルヒに付き添い病院に向かう。 救急車の中では救急隊員がハルヒの口に人工呼吸器をあてている。 俺は先ほどの長門の言葉を頭の中で何度も自分に言い聞かせながら平静を保っていた。 病院に着くとハルヒは緊急治療室に運ばれていった。 俺たちはロビーで待つことにする。 「ぅ・・・ぅぇ・・・涼宮さぁん・・」 朝比奈さんはさっきからずっと泣いており古泉がそれをなだめている。 「長門さんがあの場で治療してくれたおかげで涼宮さんはほとんど無傷です。心配いりませんよ。」 そう言ってる古泉だがいつもの笑顔はない。 「とりあえず今は待ちましょう。僕たちにできることはそれしかありません。」 どれくらいの時がたっただろうか。気がつくと辺りはすっかり暗くなってる。 すると治療室から医者がでてきた。 真っ先に古泉が医者に駆け寄る。 「彼女のお友達の方々ですか?」 「えぇ、先生。彼女の容態はいかほどでしょうか?」 古泉はいつになく真剣な顔だ。 「心配いりませんよ。頭を強く打っていますが奇跡的に無傷です!すぐに目を覚ましますよ!」 「そうですか。ありがとうございました。」 古泉は医者に会釈すると俺たちにやっと笑顔を見せた。 「よかったです。長門さんのおかげですね。」 ようやく朝比奈さんも泣き止んだ。 俺は長門に顔を向けると長門は相変わらずの無表情だった。 「長門。ありがとう。」 長門は淡々と答えた。 「涼宮ハルヒは大事な観察対象。万が一のことがあっては困る。」 ありがとな長門。お前はそう言っていても俺にはお前に対する感謝の気持ちでいっぱいだ。 「皆さんこれからどうします?僕は今から涼宮さんのご両親に連絡してきますが。」 どうする?決まってるだろ? ハルヒが目を覚ますまでそばにいるさ!いつだったか俺が入院したときもあいつはずっとそばにいてくれたんだからな。 「俺はしばらく病院に残るよ。」 「わかりました。では僕は電話してきます。」 あとはハルヒが目を覚ますのを待つだけだ。 俺は朝比奈さんと長門を連れてハルヒが運ばれた病室へ入った。 人工呼吸器を口につけたまま眠っているハルヒ。 俺はそんなハルヒに心の中で声をかけた。 おいハルヒ!さっさと起きてくれよ。お前がいないとSOS団はどうなるんだよ。それに映画に一緒に行く約束もしただろ!お前が寝たままじゃチケットが無駄になるだろ! 第一俺を庇ってくれたことの礼も言いたいんだよ。 だからさっさと起きろ! 言いたいことはまだあるんだ。 しばらくすると古泉が戻ってきた。 「涼宮さんのご両親がもうすぐ到着されます。おそらく僕たちは邪魔でしょう。今日のところは帰りましょうか。」 ハルヒが目覚めるまでそばにいたかったがハルヒの両親に迷惑をかけるわけにもいかない。 「仕方ないな。今日は帰ろう。」 俺たちは病院を後にして解散した。 翌日になると俺はいつものように学校に向かった。 坂道を駆け足で登り校舎に入る。 そしてクラスに入る。 だがハルヒの席にハルヒはいない。 やがてHRが始まり担任の岡部が切り出した。 「えぇ、涼宮は昨日交通事故に遭って頭を強く打ったそうだ。怪我はないらしいが今日は大事をとってお休みだ。」 クラスが騒然とした。 だがすぐにいつもの空気に戻る。 その後俺は授業を受けたがやはりハルヒが後ろにいないとなんだか物足りないな。 「ねぇキョン!いいこと思いついたわ!」 そう言ってつついてくるハルヒが途端に恋しくなったな。 結局俺は授業など上の空って感じであっという間に1日が過ぎた。 廊下にでると古泉と朝比奈さんと長門が俺を待っていた。 「先ほど病院から連絡がありました。涼宮さんが目を覚まされたようですよ。」 「本当か古泉?」 「えぇ。僕たちもすぐに病院に向かいましょう。」 やっと目を覚ましてくれたかハルヒ… お前のいない学校はつまらなかったよ。 そんなことを思いながら俺たちは病院に向かった。 ハルヒの病室に着くと俺は昨日のことをどうハルヒに謝ろうかと考えながら扉をノックした。 「どーぞ!」 ハルヒの元気な声を確認して俺は安心した。 ゆっくりと病室の扉を開けるとそこにはベッドの上でしかめっ面をして腕を組むハルヒがいた。 俺たちは病室に入り扉を閉めた。 「ハルヒ。もう大丈夫なのか?」 ハルヒはしかめっ面のままこちらを凝視していた。 「あんた・・・誰?」 俺は耳を疑った。 あんた誰?何言ってんだよこいつは。 ちっとも笑えないぞ! 「は?」 「は?じゃないわよ!勝手に人の病室に入ってこないでよ!」 「せっかく見舞いに来てやったんだ。なんの冗談だよ?」 ハルヒは表情を変えない。 「見舞い?なんであたしの知らない人間が見舞いに来るのよ!」 どうゆうことなんだ?俺を知らない? すると古泉がいつもの笑顔で話かける。 「お元気そうで何よりです。涼宮さん。」 ハルヒは不思議そうな顔で古泉を見る。 「なんであんたもあたしの名前知ってんの?どっかで会ったかしら?ああ、そういえばそれ北高の制服ね。」 全くもってわけがわからん。誰か説明してくれ! 突然古泉が俺の耳元で囁く。 「一旦出ましょう。わけは外で説明します。」 俺たちは古泉の言うとおり一度出ることにした。 ロビーに移動した俺たちに古泉が語り始める。 「先ほどの涼宮さんの奇妙な言動ですが、記憶喪失と考えると全てつじつまが合います。」 「記憶喪失だって?ハルヒはホントに俺たちのこと忘れちまったのか?」 「えぇ、それも僕たちSOS団のことだけをね。」 「俺たちだけ?なんでそんなことがわかる!」 「涼宮さんはご両親とは普通に話してるようですし涼宮さんは北高のことを知っていました。なので消えてる可能性があるとしたら僕たちSOS団に関する記憶でしょう。」 ハルヒの中から俺たちだけの記憶が消えた?なんでそんなややこしいことになっちまったんだ。 「おそらく僕たちとの思い出が涼宮さんにとって一番大事なものだったからでしょう。それが優先的に消されてしまったのです。」 「元には戻らないのか?」 「わかりません。突然思い出すこともあるようですが・・・」 とりあえずもう一度涼宮さんの病室に行きましょう! 俺たちは再びハルヒの病室にやってきた。 古泉がノックをする。 「どーぞ!」 こうなりゃやけだ!意地でも俺たちのことを思い出させてやる! 扉を開けるとしかめっ面のハルヒ。 「またあんたたち?あたしに何の用なのよ!」 俺は手当たり次第ハルヒに質問をぶつけてみることにした。 「なぁ、谷口って知ってるか?」 何故か最初に谷口が浮かんだ。 「谷口?あのバカがどうしたのよ!」 なるほど谷口は覚えてるのか。 「じゃあ国木田って知ってるか?」 「国木田?ああ谷口といつもつるんでるやつね?」 国木田は俺と同じ中学だ。ハルヒは中学の国木田を知らないはずだ。 つまりハルヒには北高の記憶はあるということだ! 俺はハルヒを追い詰める。 「じゃあお前の席の前に座ってるやつは誰だ?」 ハルヒはその場で考えこみ始めた。 「・・・あたしの・・前?・・思い出せないわ。なんで?」 なるほど… やはり俺たちだけの記憶がないらしい。 「・・・なんで思い出せないの?・・・っていうかあんたたちは誰なのよ!」 「お前と同じ学校のもんさ!俺はキョン。こっちが古泉で、こっちが朝比奈さん。こっちが長門だ。」 なぁ思い出せよハルヒ!お前だけが一方的に俺たちを忘れるなんて許さないぜ! 「あまり考えさせるのもよくありません。また出直すことにしましょう。」 ここは古泉言うとおりにしておこう。 「じゃあなハルヒ!明日学校でな!」 「ち、ちょっと待ちなさいよ!まだ話は終わってないわ!」 ハルヒの言葉を無視して俺たちは強引に病室をでた。 全く勝手なやつだ。俺たちだけのことを一方的に忘れやがって。 「まぁいいではありませんか。涼宮さんがご無事だったのですから。焦る必要はありません。」 「だがなぁ」 「涼宮さんは明日から登校してきます。きっと明日思い出してくれますよ。」 今日の古泉の言葉には妙に説得力がある。 「そうだな。今日は帰るか。」 そうして俺たちは解散することにした。 その日の夜、俺は明日ハルヒの記憶を取り戻すための作戦を考えていた。 ハルヒの記憶を戻す方法はある。 それは俺はジョン・スミスだと言うだけでいいんだ。 だがそれを使うと今までのことや俺たちのことを全てハルヒに話さなければならない。 下手するとハルヒの力が暴走する。 だからこの方法だけは避けたい。 そんなことを考えながら翌日になった。 今日はきっとハルヒが来る。 俺は急いで学校に向かった。 駆け足で教室に入るとハルヒの姿があった。 椅子に座り腕を組んでまわりをじっと睨んでいる。 まるで一年前ハルヒと出会ったときのようだ。 「よう!体はもう大丈夫なのか?」 俺は自分の席に座りハルヒに話しかけた。 「あんた昨日の!なんであんたがここにいんのよ?」 「ここは俺の席だ。」 ハルヒは戸惑った顔をしている。 今までいろんなハルヒの顔を見てきたがこんな顔は初めてみたさ。 正直可愛かったね。 「・・・っ・・思い出せないわ。あたしが忘れてるのはあんたなの?」 頭を抱え込んでるハルヒ。 「いずれ思い出すさ。」 俺はそう言って前を向いた。 それからのハルヒはずっと空を見て考えこんでいた。 思い出してくれよハルヒ。俺たちのことを。 それから時間は流れ昼休み。 俺はハルヒを部室に連れていくことにした。 「ハルヒちょっと来てくれ!」 ハルヒの手首を掴み強引に部室まで引っ張っていく。 「ち、ちょっとなによ!」 ハルヒの言葉に俺は耳を貸す余裕はない。 「・・・文芸部?なんでここに連れて来たのよ!」 文芸部。つまりSOS団の部室だ。 「今日からここがあたしたちの部室よ!」 一年前ハルヒがこの部屋でそう言った日からSOS団は始まった。 扉を開けるとそこには朝比奈さん、長門、古泉がいた。 ハルヒを中に入れ俺は問いかけた。 「どうだ?この部屋覚えてないか?」 ハルヒは少し考えこむと 「・・・わからないわ。・・でも・・・なんか懐かしい感じがするの・・」 よかった。連れてきた甲斐があったみたいだ。 毎日通った部室だ、ハルヒの体が覚えているんだろう。 「涼宮さんはこの部屋で団長をやっていたんですよ。」 古泉と朝比奈さんが壁に貼り付けられた写真を指差した。 夏合宿のときに孤島で撮った写真だ。 「これ・・・あたし?なんで?・・・思い出せない。」 まるでおもちゃを無くした子供のような顔で写真を見つめるハルヒ。 「俺たちはここでお前のつくったSOS団として活動してたんだ。その写真が証拠だよ。」 ハルヒはやがて無言になる。 しばらくの沈黙が流れやがてハルヒが切り出す。 「SOS団だとか・・・団長だとか・・・わけわかんない・・」 今にも泣き出しそうな顔でそう言うと走って部室を出ていった。 「・・・ハルヒ」 出ていった瞬間ハルヒが遠くに離れてくような感じがした。 「仕方ありません。いきなり現実として受け入れるのはいくら涼宮さんでも難しいでしょう。」 古泉も珍しく寂しい顔をしている。 すると俺の服を掴むやつがいた。 長門だ! 「長門?」 長門は無表情のままこちらを向く。 「涼宮ハルヒの精神状態が不安定になったことでこの部屋の空間を構成している力のバランスが崩れようとしている。」 よくわからないがそれがまずいことだってことは俺にもわかる。 古泉が神妙な面もちで言う。 「とにかく放課後対策を練るとしましょう。」 結局その日ハルヒは教室に戻って来なかった。 放課後俺は再び部室に向かった。 部室にはすでに3人の姿がある。 古泉が真剣な顔でこちらを見ている。 「涼宮さんは?」 「ハルヒは結局帰って来なかったよ。」 古泉と朝比奈さんは何か深刻な顔をしている。 「困ったことになりました。先ほど機関から連絡があったのですが世界中で大規模な閉鎖空間が発生してるようです。」 「なんだって?」 「おそらく涼宮さんの精神状態が不安定になったことで発生したのでしょう!このままではこちらの世界とあちらの世界が入れ替わってしまいます。そうなる前に涼宮さんを見つけなくてはなりません。」 くそっ!こんなことになるならハルヒをここに連れて来るんじゃなかった! 「悔しんでもなにも変わりません。とりあえず今は一刻も早く涼宮さんを探し出さないといけません。」 「ああ。わかってる」 俺は長門を見た。 「長門。お前の力でハルヒを探せないか?」 長門は答える。 「今はできない。現在私の能力は何らかの影響で弱まっている。」 何らかの影響?それもハルヒの仕業なのか? 「・・・おそらく」 「ここ話していても何も解決しません!今は涼宮さんを見つけだすことが先決です!」 古泉の号令で俺たちは手分けしてハルヒを探すことにした。 くっ!ハルヒ。どこにいるんだ! ハルヒの行きそうなところに俺は走った。 東中か?それともいつもの喫茶店か? とりあえず行ってみるしかない。 俺はいつもの喫茶店に走った。 ハルヒはいないようだ。 じゃあどこだ?東中か?何も考えずに俺は東中に向かう。 走りながらハルヒの携帯に電話をかけるが繋がらない。 俺は東中に着くと無我夢中で探しまわった。 ここにもいないのか?じゃあどこにいるんだハルヒ! 気がつくと辺りはすっかり暗くなっていた。 こんなことになっちまったのは全部俺の責任だ!俺が無理やりハルヒに記憶の断片を突きつけたり、いや、その前にあのとき事故に遭わないければハルヒはこんなことにならなかった。 自分自身に腹がたつ!頼むハルヒお前に会いたい! いつの間にか俺は北高に戻ってきていた。 真っ暗な校庭の真ん中にポツリと誰か立っている! ハルヒなのか? 俺は校庭の真ん中に駆け寄った。 「ハルヒ!」 校庭にいたのはハルヒだった。 ハルヒは悲しそうな顔でこちらを見た。 「あんた・・・一体なんなのよ・・」 いつになく力無い声だ。 「・・・わかってるのよあたしだって。何か大切なことを忘れてるのは・・・」 「・・・ハルヒ」 「・・でも・・どうしても思い出せないの!・・・あんたのことだって絶対知ってるはずなのに。」 ハルヒの悲しい顔を見ると俺は胸が苦しくなる。 ハルヒは俺に近づき続ける。 「ねぇ教えて!あんたは誰なの?あんたは私のなにを知ってるの?・・・教えてよ・・」 俺はハルヒの両肩に手を乗せて言う。 「・・・いいんだハルヒ。無理に思い出さなくて・・・お前はお前だ。他の誰でもない。涼宮ハルヒだ!」 ハルヒは目から涙を流しながら俺を見つめている。 「・・・・・なんであんたを見るとドキドキするの?・・・なんで・・」 俺はハルヒを抱きしめた! 俺の胸の中で泣いてるハルヒ… 「なぁハルヒ聞いてくれ。お前が俺のことを思い出せなくても俺はお前が大好きだ!・・・俺だけじゃない!古泉も長門も朝比奈さんもみんなお前が大好きなんだ!」 俺は一年前にハルヒと閉鎖空間に閉じ込めらたときのことを思い出していた。 今はあの時とは違う。今俺がハルヒにキスをしたところであの時のようにうまく行く確証はない。それどころかそんなことをすれば逆にハルヒの精神状態をよけい不安定にしてしまうかもしれない。 だが気がつくと俺はハルヒの唇に自分の唇を重ねていた。 なぜそんなことをしたかって? 決まっている!俺がしたかっただけだ! 俺はハルヒと世界を天秤にかけてハルヒを選んだ。 もうこのあと世界がどうなろうとかまわなかった。 今はただハルヒと唇を重ねていたかった。 1分ほど経っただろうか。俺はハルヒから唇を離しハルヒの顔を見た。 ハルヒの頬は赤くなっている。 こんなときに不適切な発言かもしれないが言っておく。 世界で一番可愛いと思った。 ハルヒの肩から手を離すとハルヒが小声で言った。 「・・・・・・・・・・・・・ばか」 「すまんハルヒ。つい・・・」 ハルヒは赤い顔のまま顔を横に向けた。 「・・・ばかキョン。・・罰として土曜日奢りなさいよ。」 ん?今なんて言った?土曜日?まさかハルヒ! 「思い出したのか全部!?」 ハルヒは再びこちらに向いて 「大体あんたがあのときよそ見したから悪いのよ!今度からはちゃんと周りをみてから渡りなさい!」 よかった。いつものハルヒだ。 そのあとのハルヒとの会話はよく覚えていない。 そしてその日の夜に古泉から電話があった。 古泉の話によると世界中に発生していた閉鎖空間は消えたらしい。つまり一件落着ってわけだ。 翌日からハルヒはいつものハルヒに戻っていた。 部室ではハルヒが朝比奈さんをいじくり、長門は相変わらず分厚いハードカバーを広げ、俺と古泉はチェスで対戦。 そこにはいつもと変わらない日常があった。 ◆エピローグ◆ 土曜日の話だ。 俺はハルヒと映画を見に行った。 鑑賞した映画は男と女が繰り広げる非日常のラブストーリーだった。 俺の隣のハルヒは終始真剣にスクリーンを見つめていて、映画のワンシーンであるキスシーンが流れると頬を赤く染めていた。 正直俺は映画よりハルヒの顔見てるほうが面白かった。 映画を見終わり俺たちは駅に向かって歩いていた。 「なぁハルヒ。あんなチャラけた映画の何が面白いんだ?」 「あんたにはわかんなくていーの!ばかなんだから!」 俺はハルヒをからかってやった。 「お前キスシーンのとき顔赤くなってたぞ。」 ハルヒはその場で赤くなり俺の胸ぐらを掴む。 「な、なんであたしの顔見てたのよ!?いやらしい!」 「別に。お前も純情なんだなハルヒちゃん!」 「う、うるさいばかキョン!」 ハルヒは尚も俺の胸ぐらを掴みながら小声で言う。 「・・だいたい、あんたからだけなんてずるいじゃない・・」 そのまま俺を引き寄せ唇を重ねてきた。 短いキスが終わりハルヒは赤く染まった頬のまま言った。 「これでおあいこだからねキョン!」
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/788.html
ハルヒに頼まれて、この糞寒い中しぶしぶストーブを取りに行ったわけだが、途中で激しい雨に会い、俺はびしょ濡れで部室に帰ってきたのである。 自分で言うのもおかしな話だが、相当疲れていたのだろう…ストーブをつけて、そのまま机に伏して熟睡してしまった。 どれくらい時間が経ったのだろうか…目を覚ますとそこには、驚いた顔をしているハルヒがいた。どうやら俺が起きるのを待っていたらしい。 とりあえず俺も目が覚めたので、立ち上がって身支度をしようとした…その時だった。 頭がクラクラして目の前がだんだん暗くなっていくのがわかった。強烈な立ちくらみだと思ったのだが、 そうではなかったらしく、俺はそのまま床にバタっと倒れてしまった。 ハルヒ「ちょっと…キョン?」 俺は何か言おう言葉を探したのだが、それよりも意識を失うことのほうが速かった。 ハルヒ「キョン…キョン!?どうしたの!?目を覚まして!!」 冬のさむ~い日のことだった それからのことはな~んにもわからないのだが、古泉の話によるとハルヒはかなり取り乱していたらしい。 しきりに俺の名を呼んだり救急隊員の襟首をつかんで、「キョンは大丈夫なんでしょうね!?」や「何とかしなさいよ!あんたたちプロでしょ!?」と、 喚き散らしていたようである。 救急隊員の方々には少々気の毒な気もしたが、それよりもハルヒがそんなに動揺するとは夢にも思わなかった。 古泉「大変だったんですよ?病院に着いたと思ったら、いきなりお医者様に涼宮さんが掴みかかって、 それを引き離すのに随分時間がかかりました。看護師の方と僕達でやっとでしたから。必死だったんでしょうね、涼宮さんも。」 俺が病室に運ばれてからはハルヒも大人しくなり、静かにしていたそうなのだが… 古泉「ずっとあなたに謝っていましたよ。『わたしのせいね…ごめんね』と。いやぁ~あんな涼宮さんは初めて見ましたね」 あのハルヒが謝るとは…そんなレアな場面を見逃すとは…!? そして古泉に言われるがまま、俺は病室で休んでいた。横になっているとだんだん眠くなってきたので、寝ようと思って目を瞑った矢先のことだった。 ガチャ 扉が開いた。言い忘れたが、俺の病室は古泉の計らいで個室になっていた…おそらくこの病院も『機関』が関係しているんだろうな、 救急車を呼んだのは古泉らしいし。 目を閉じていたので誰が来たのかわからなかったが、声ですぐに誰であるかわかった。 ハルヒ「キョン…」 ハルヒである。「なんだ?」って返事をしようと思ったのだが、いつもと様子が違うので黙っていることにした。 ハルヒ「あたしがストーブ取りに行けって命令したからよね。寒い中、雨に打たれてびしょ濡れで…」 たしかにその通りだが、そういう言われ方をするとこっちが罪悪感を感じてしまうな。 ハルヒ「ごめんね…ごめんね、キョン…ごめんね。」 声が震えていた。もしかして泣いているのだろうか?ますます起きにくい状況になってしまった…。 ハルヒ「ねぇ、キョン?みんな心配してるのよ。みくるちゃんや古泉くんはもちろん、きっと有希だって…。それに私だって、心配してるんだから」 朝比奈さんが心配してる姿は容易に想像できる。古泉はどうだろうな…あいつはどちらかというと、お前の意外な反応を少し楽しんでるんじゃないか? 長門はわからんな。おそらく無表情なんだろうが、心配してくれてると結構嬉しい。 ハルヒ「だから起きなさいよ…団長命令よ…グスッ…団長が名前を呼んだら、団員はすぐに返事しなきゃいけないのよ…。 何度呼んでも返事しないあんたなんて…死刑…グスッ…なんだから…」 完全に泣いている。俺は葛藤していた。もう起きるべきか、まだこのままでいるべきか…。 というか、古泉は俺が目を覚ましていることを、ハルヒに黙っていたのか? さっきまでここであいつと話してて、あいつが出て間もなくしてハルヒが入ってきた。 だとしたら古泉はハルヒとすれ違って、当然ハルヒは古泉に俺の容態を尋ねたはずだ。 ハルヒの様子から察するに、古泉は「いいえ、まだ目覚めておりません」とか何とか言ったに違いない。 全く、悪趣味なやつめ…。 とまぁ~頭の中でウダウダ考えていると、何かが俺の手に触れた。 ハルヒの手だ…ハルヒが俺の手を握っている…。しかも両手で。 ハルヒ「あったかいでしょ?さっきまでカイロで温めてたのよ。また冷えたらいけないもんね。」 そりゃあ、ありがたい。どうせならその優しさを、俺が行くときにくれて欲しかったもんだが…まぁ今更言っても仕方ない。 ハルヒ「あんたが目覚めて元気になるまで、SOS団は活動休止よ。だって、あんたがいないと……つまんないもの…」 それからしばし沈黙が続き、再びハルヒは口を開いた。 ハルヒ「ずっと前に言ったでしょ?悪夢を見たって…あれね、実は悪夢ってほどでもなかったのよ…」 悪夢?あぁ、二人きりの閉鎖空間のことか。あんまり思い出したくないがな…。 ハルヒ「あのときね、その夢にあんたが出てきたのよ。灰色の世界でね、そこにはあんたと私しかいなかったわ。」 だから思い出させるなっつの… ハルヒ「そしたら急に変な巨人が出てきてね、周りをめちゃめちゃに壊しまくってるのよ。 私はその巨人に恐怖心はなかったんだけど、あんたは違ってたみたいね。私の手を引っ張って外へ連れ出したのよ。 あっ、ちなみに私達は学校にいたんだけどね」 ハルヒ「それからあんたは、私を校庭まで連れて来たのよ。私はその灰色の世界にいたいって思ってたんだけど、 あんたは言ったわ。『元の世界に戻りたい』ってね。」 そりゃそうさ。あんな世界に好き好んでいようって考える奴は、おまえ以外にいやしない。 ハルヒ「それからあんた何言ったと思う?ものすごい真面目な顔して、『ハルヒ…実は俺、ポニーテール萌えなんだ』 とか言い出したのよ。今思い出すと笑えるけど、あのときは呆れて笑うどころじゃなかったわ」 ああ、できることなら記憶から抹消したいよ。跡形もなくな。 ハルヒ「でもね、そのあとあんたは言ったわ。『反則的に似合ってる』って。結構嬉しかったのよ?照れ臭くて 『バカじゃないの!?』とか言っちゃったけど」 ハルヒ「私が呆気にとられてると…あんたは…私の唇に…キス…したのよ…。あんたは絶対に信じないでしょうけどね。 それで気が付いたら朝だったわ。起きた瞬間は、『どうしてファーストキスの相手がキョンなのよ!』って気分だったけど……今は……違うわ」 おい…何を言い出すんだ…ハルヒ…。 ハルヒ「あんたも知ってるように、私は負けず嫌いなのよ。だから…やられっ放しはイヤ…特にあんたにはね…。というわけで…次は私の番…」 ハルヒ…おまえ…まさか……! もうおわかりだろう…ハルヒは俺に、キスをした。俺がしたときと同じように…俺の唇に。長門のように正確ではないが、おそらく10秒くらいだろう。 ハルヒ「これで…おあいこね。1勝…1敗…。」 何の勝負だ…。ハルヒは俺の唇から離れると、耳元でささやいた。 ハルヒ「あたしがこれで目を覚ましたんだから、あんたも目を覚ましなさいよ。白雪姫みたいなことさせちゃって、 私はあんたの王子様じゃないわよ」 ああ、俺もお前のお姫様ではない。断じてない。 ハルヒ「じゃあね、キョン…次に来たときはいつものマヌケ面見せなさいよ」 今見せようと思えば見せられるんだがな、そのマヌケ面を…。 ハルヒ「じゃあ、またね…」 そう言ってハルヒは部屋を出た。おそらくは扉付近で言った言葉だろう。 それからしばらくして、俺は目を覚ました。といっても最初から覚めてたんだが…。 そのときはSOS団のメンバーが全員揃っていて、「おやおや、やっとお目覚めですか」と白々しい言葉もあれば、 「キョンく~ん」と可愛いらし~いお言葉もあった。いつもと変わらない無表情で、「そう」という一言もあったが。 我が団長はというと、あのときのあれは夢だったのかと思うほどのものだった。 なんせ目覚めた瞬間の第一声が「いつまで寝てんのよバカキョン!」、それに加えて強烈なビンタと来たもんだ…。 さっきのは別の人格か?ハルヒ… そして退院した俺は、すぐに学校へ復帰した。まぁ病み上がりってことで休んでもよかったのだが、何故かそんな気にはなれなかった。 教室へ入ると、ハルヒはいつものように頬杖をついて、不機嫌そ~に外を見ていた。 キョン「よっ、元気か?」 ハルヒ「あんたに言われたくないわよ。もういいの?無理しないで休んだほうがよかったんじゃない?」 キョン「ほほぅ、お前でも心配してくれることがあるんだな。」 ハルヒ「はぁ!?勘違いしないでよ!あたしが心配してるのはSOS団のほうよ!病み上がりだからって足引っ張んないでよね!」 キョン「へいへい、じゃあ今日は授業が終わったら真っ直ぐ家に帰りますよ」 ハルヒ「ダメ。最初っから休むんならまだしも、授業を受けて部活に出ないなんてあたしが許さないわ」 キョン「おいおい、お前言ってることが矛盾…」 ハルヒ「いーから出なさい!これは団長命令よ!逆らったら死刑よ!」 こうしていつも通りの会話を楽しんだわけだが、一つだけ普段と違う部分があった。 それは、ハルヒの今日の髪型が、ポニーテールだったということだ。 終わり
https://w.atwiki.jp/yuriharuhi/pages/40.html
ホームルームが終わると、俺とハルヒはまっすぐ文芸部の部室に向かった。 ハルヒと肩を並べて歩いていると、こいつが妙に上機嫌なことに気がついた。 俺の視線に気がついたのか、ハルヒを顔を上げて俺に言ってきた。 「私がどうして機嫌がいいのか知りたいでしょ?」 別に。まあ、無理を言うなら聞いてやらんことも無い。 一週間後の天気くらいには気になるからな。 「駅前に新しくできたケーキ屋さん知ってるでしょ?」 ああ、先週オープンしたばかりのあれな。妹が行きたいとか騒いでたから覚えてる。 「そうよ。あそこのプリンはね、それはもう、天国と地獄が入れ替わるんじゃないかってくらい美味しいの」 それって美味いのか? というか天国と地獄が入れ替わったら神様を大混乱だろう。 「だから昼休みにこっそり抜けて、買ってきたの。最後の一つだったんだから!」 昼休みに見かけ無いと思ったら、そんなことしてたのか。 よくもまあ、プリン一つにそこまで頑張れるものだ。 「それくらい美味しいのよ!」 いつの間にか、俺達は部室の前まで来ていた。 ハルヒはいつものように勢いよくドアを開ける。朝比奈さんが着替えてたらどうすんだよ。 幸か不幸か、麗しいメイド服の先輩の姿は無く、読書好きの宇宙人の姿があった。。 「ちょっと、有希、それって!」 「………つい」 訂正。食い意地の張った宇宙人がプリンをもぐもぐと咀嚼してる姿があった。 見れば、容器の中はすでに空で長門の口に入ってる分で終わりらしい。 「あんたねえ……」 いつものハルヒならブチ切れているところだが、今は怒るに怒れないでいる。 長門の申し訳なさそうな顔を見たら怒れないという気持ちは分からんでも無い。 長門には、大甘なこいつなら、なお更のことだろう。 「………」 「まあ、もう良いわ。有希には怒れないし、誰にでも食べられるところに置いてた私にも責任があるから」 言うまでも無いが、俺がハルヒのプリンを食おうものなら大激怒でも済まないだろうね。 一体、どんな罰ゲームをさせられることやら。 その時、、さっきまで無言だった長門が立ち上がった。 「私という個体は今回のことを非常に申し訳なく思っている。せめてものお詫びをしたい」 「え、別のいいのよ。言ったでしょ、私も非があるって」 ハルヒはいつになく饒舌な長門に驚いたのか、しどろもどろに答えを返した。 「あなたに非は無い。完全に私の責任」 そう言って、ハルヒに一歩近づいた。 「あなたはプリンを生命維持の為ではなく、嗜好品として摂取しようと考えていたと私は推測した」 長門はまた一歩、ハルヒに近づく。 「ちょ、ちょっと有希、あなた何する気よ?」 「よって、あなたがプリンの味覚情報を得れば、完全ではなくてもあなたの欲求は満たされるはず」 また一歩近づく。長門とハルヒの距離は50cmも離れていない。 長門はハルヒの腰に、両手を伸ばした。 「有希、待ちなさい! あんたまさか!?」 「幸い、プリンの成分の一部は私の口内に残存している」 「ゆ……ん、むぐ」 何かを言おうとしたハルヒの唇は、長門の唇によって多少、強引にふさがれた。 長門はハルヒの腰に添えられた左手をそのままに、右手をハルヒの後頭部に回した。 まるでハルヒが逃げられないようにするために。 ハルヒは長門の唇から逃れようと身を捩ったが、いかに馬鹿力のハルヒと言えども宇宙人の前には無力だった。 しばらく、それでも長門の腕の中で暴れていたハルヒだったが ピチャピチャと何かが絡み合う音が聞こえてくる頃には、抵抗することやめていた。 そうしてハルヒは開放された。 時間にして30秒ほどだったが、やけに長く感じた。 俺は結局、二人の熱い接吻をじっくり見入るように眺めていたことになる。 ハルヒは腰が砕けたように床に、萎れるように座り込んだ。 先ほどまでの行為のせいか、それとも俺に見られていたからか、顔は人体の限界に挑戦するかのような赤さだった。 「な、な、なななな」 あまりのショックのせいか、言語を発せられないらしい。 「私は先ほどの行為では、完全に満足していない。私はあなたを欲求を叶えるために先ほどの行為を行った。次はあなたが私に協力することを推奨する」 ちょっと、待て。お前は結果はどうあれ、ハルヒのプリンを食べた償いにさっきのキスをかましたんだろうが。 それで、次はあなたってどう考えてもおかしいだろう。詭弁、もしくは詐欺ってやつだ。 ていうか、単にお前がやりたかっただけだろ。 長門は、床に座っているハルヒを同じ目線までしゃがむと目を閉じて、わずかに唇をハルヒに突き出した。 「有希、私はしないからね!」 ハルヒが至極当然の返答を終えると、ほぼ同時にドアがノックされた。 朝比奈さんか古泉だろう。 流石に今の状況は不味いと判断した俺は、急いでドアを開けると外に出た。 なるべく中の様子を見せないように。 そこにいたのは、朝比奈さんと古泉の二人だった。 「なにごとでしょうか?」 「いや、今は少しまずいんだ」 「ふぇ? 何かあったんですか?」 「たいしたことじゃ無いんです。気にしないで下さい」 「涼宮さんと長門さんは中に?」 「何があったんですかー?」 俺が二人の質問に答えていると、不意にドアの向こうから長門の声がした。 「この部屋の情報を書き換えた。今から二時間は誰も入ることはできない」 おいおい、ちょっと待て。お前は二時間で何をするつもりだ。 「その問いに答えることはこの国ではセクハラに分類される」 ………もう、何も言うまい。 俺は横で状況を飲み込めないでいる、朝比奈さんと古泉に事情を話すと家に帰ることにした。 鞄は部室の中だったが知ったことか。今日は疲れた。やれやれ。 翌日、長門と手をつないで登校する二人を目撃した生徒が続出したことを谷口から聞いた。
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/563.html
キョン(今日はSOS団市内不思議探索パトロールの日だ。) ハルヒ「」くじ引きで分けるから引いて。」 キョン(そして俺はハルヒと当たっちまった。) ハルヒ「行くわよ。キョン。絶対不思議探してね皆。」 探索中 キョン「ハルヒ。不思議って言ってもどうやって探すんだ」 ハルヒ「普通に探すの。こんな事もわからないの?」 キョン(御前としての普通って何だよ。) 6時間後 キョン(やっと終わったぜ。) ハルヒ「今日の市内不思議探索パトロールはこれにて終了!!」 キョン(ようやく帰宅できるぜ。この事が待ちどうしかったよ。) ハルヒ「あれ?雷落ちてるじゃない。早めに帰らないとね。」 キョン「おい、ハルヒ。ちょっと涙目になってるけど雷怖いのか?」 ハルヒ「当たり前じゃない・・・あっさっきの無しね。忘れなきゃ死刑だから。」 キョン「忘れられるか。ハルヒも可愛い所あるな。」 ハルヒ「忘れてよ。じゃあ元々可愛くないわけ?デパート寄るからキョンも付いて来て。」 キョン「はいはい。(断ったらどうなるかわからないからな)」 ハルヒ「おいしそうな物があれば絶対買うからね。勿論あんたのお金で。」 キョン「俺の金でかよ。」 ハルヒ「当たり前じゃない。あんたも神聖な団長様にお金を使わない賢い人になりなさい。」 キョン「はいはい。で?何を買えばいいんだ?」 ハルヒ「ノートパソコン買ってくれたらうれしいけど。食材でいいわ。」 1時間後 キョン(疲れた。重い。買いすぎだ、あいつ。) ハルヒ「向こうのソフトクリームでも買ってきて。」 キョン「俺もほとんど金残ってないぞ。買うなら自分で買えよ。」 ハルヒ「しょうがないわね。」サッ キョン「待てハルヒ。俺の財布を返せ。」 ハルヒ「はい。返すわよ。でももう買っちゃったけどね。それよりあんたも食べなさい。」 キョン「ハァ?何で俺も食わないといけないんだ?自分で食えよ。」 ハルヒ「団長の言ってる事が聞けないの?聞かないと死刑だからね。」 キョン「分かったよ。食えばいいんだろ?食えば。」 帰り道 ハルヒ「感謝しなさいよ。団長様が付いて来てあげたんだから。」 キョン(御前が勝手に連れてきたんだろうが。俺の金がなくなったじゃねえか。) ハルヒ「なんか頭がクラクラするわね。昨日から調子悪かったし。」 キョン「おいおい、大丈夫か?ハルヒ。」 ハルヒ「大丈夫よ・・・朝少し熱あった・・だけ・よ・・・」バタッ キョン「おいハルヒ、大丈夫か。(なんとかキャッチには成功できた。)」 ハルヒ「大丈夫・・・」 キョン(ひとまずコイツの家に連れて行かないとな。) ハルヒの家 ハルヒ「何勝手に人の家入ってんのよ・・・出て行きなさい・・・」 キョン「何強がってるんだよ、熱あるじゃねえか。」 ハルヒ「熱なんてないわよ・・でも少しだけ一緒にいて・・」 キョン(正直コイツの家に行きたくなかったがまあ38度もあればしょうがないな。) ハルヒ「ああ、しんどすぎて死んじゃうわ・・・」 キョン「ハルヒ、寝るなよ(俺どうすればいいんだろ。)」 1時間後 ハルヒ「ううん・・あれ?キョン、人の布団で勝手に寝ないで。殴ってやる」 キョン「いてぇ、何すんだよ。そうか、俺寝てたのか」 ハルヒ「ちょっとキョン、あたしの日記み、見た?」 キョン「日記って何の事だ?ああ、これね。見たけど何か文句あんのか?」 ハルヒ「ううっ、勝手に人の日記を見るんじゃないわよ。」 キョン「ハ・・ハルヒ、何泣いてんだよ。俺が何かしたか?」
https://w.atwiki.jp/yuriharuhi/pages/68.html
「あけましておめでとー!」 SOS団団員には既にお馴染となったマンションの玄関前。 前日の夜…といっても数時間前だが、団員達に「初詣行くから有希んちに集合」と突然すぎるメールを送りつけてきた団長様が、満面の笑みで手を振っている。 「おめでとうございます」 「今年もよろしくな」 肌を刺すような早朝の空気は元旦だからといって手を緩める気はないらしく、肩をすくめるみくるは、手袋にくるまった指先をさすりながら、 「長門さんは?」 白い息とともにハルヒに疑問を投げ掛ける。 新年、SOS団の初顔合わせとなったその集合場所には、本来、一番早く到着できるはずの少女の姿が見えなかった。 聞かれたハルヒがふふんと笑う。 不思議そうなみくるに、なぜか胸を張ると、 「有希、いいわよ!」 自動ドアに向かって呼び掛けた。 その合図を待っていたかのように、透明なガラスの死角、壁の裏から小さな人影が現れて――、 「…」 眠そうだった団員達の目が、普段の倍ほどの大きさに見開かれる。 「じゃーん!」 ありきたりな効果音とともにハルヒの横まで歩いてきたのは、 着物姿の長門だった。 さかのぼること、一時間ほど。 「ごめんねー。早い時間に」 集合時間にはまだまだだというのに、長門の部屋には既に団長の姿があった。 新年早々ワクワク顔の彼女の右手には、かなり大きな紙袋が握られている。 長門は早朝にも関わらずいつも通りの制服姿で、ハルヒはそれを横目でちらと確認すると、 「やっぱり、制服だと思った」 小さな子どもに語りかけるみたいに呟く。 そして、持参の紙袋をごそごそと探り、 「これ、着てみてよ」 赤い着物を取り出してみせた。 「中学校か、小学校高学年くらいのときに買ってもらったやつなのよ」 意外と本格的なその着物の帯を締めつつハルヒが言う。 「入らなくなったし、片付けちゃうつもりだったんだけど、有希なら着れるかなと思って」 「…そう」 てきぱきと着付けをこなすハルヒに身を任せる長門だが、 「うん!やっぱり似合うわ!」 赤い着物を纏った姿を上から下まで見渡した団長様は、仕上がりにとても満足のようだ。 「前々から、有希は和服が似合うかなと思ってたのよ」 それは暗に体の凹凸が少ないと言っているようなものなのだが…。 誉められた長門は素直に嬉しいらしい。 「ありがとう」 小さく呟いて… ハルヒの方に歩み寄ろうとして、僅かに足をよろけさせた。 「…少し動きづらい」 「ふふ、大股で歩いちゃダメよ」 ふらふらとする小さな少女に、ハルヒは笑いかけて、 「それ、あげる」 飾りっ気のないショートカットをふわりと抱き寄せた。 「それは有希が一番似合うから」 「…私が?」 「うん…。最高に可愛いわ」 その言葉は、いつもみくるが着せかえ人形のごとく遊ばれているのを横目で見ていた長門の心に、なにかしら響いたようだった。 着物に包まれた小さな体が、寄り添うようにハルヒの肩に頭を預けた。 周りの空気にあてられて、長門の髪は冷たくなっていた。 ハルヒはその髪を撫でながら… 集合時間までに、和服らしくアップにしてあげようかな、とか考えていた。
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/6537.html
涼宮ハルヒの遡及 どうもご無沙汰してます。 『涼宮ハルヒの異界』、『涼宮ハルヒの切望―side K―』、『涼宮ハルヒの切望―side H―』の作者です。今回はこのシリーズの完結編をお送りさせて頂きます。 『戸惑・完成ゲーム』、『DQ6』、『YU-NO』、『涼宮ハルヒちゃんの憂鬱01』等のネタが含まれていますが、どこか分かったてもスルーよろしくです。分からなかった方はニコ動かようつべで探ると分かるかも。 このたびは、賛否両論のオリジナルキャラクターが登場する、当シリーズを、最後までお付き合いくださり、心より感謝申し上げます。 では、どうぞ。 涼宮ハルヒの遡及Ⅰ 涼宮ハルヒの遡及Ⅱ 涼宮ハルヒの遡及Ⅲ 涼宮ハルヒの遡及Ⅳ 涼宮ハルヒの遡及Ⅴ 涼宮ハルヒの遡及Ⅵ 涼宮ハルヒの遡及Ⅶ 涼宮ハルヒの遡及Ⅷ 涼宮ハルヒの遡及Ⅸ 涼宮ハルヒの遡及Ⅹ 涼宮ハルヒの遡及ⅩⅠ 涼宮ハルヒの遡及ⅩⅡ 涼宮ハルヒの遡及ⅩⅢ
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/510.html
涼宮ハルヒ無題1 涼宮ハルヒ無題3 涼宮ハルヒの停学 涼宮ハルヒの改竄 涼宮ハルヒの入学 涼宮ハルヒの異変 涼宮ハルヒの悲調 花嫁消失 ハルヒの想い 世界の終わりに 涼宮ハルヒの赤面 ‐ 涼宮ハルヒの羨望 ‐ ハルヒの実験 涼宮ハルヒの秘密 プリンとケーキ 星に願いを 涼宮ハルヒの猛暑 涼宮ハルヒの結婚前夜 涼宮ハルヒの泥酔 長すぎる10分間 涼宮ハルヒの願望 涼宮ハルヒの憂鬱キョンとハルヒの絆 10月8日、曇りのち雨 閃光のハルヒ 涼宮ハルヒの預かり物 涼宮ハルヒのデート騒ぎ? それは誤解で勘違い 何よりも宝物 超能力 涼宮ハルヒの計算 涼宮ハルヒの嫉妬 ミニチュアハルヒ ベル 3点セット 涼宮ハルヒのネコ にわか雨の訪問者 ハルヒの寝言 涼宮ハルヒの独善(シュール・BadEnd?) 涼宮ハルヒの情熱 涼宮ハルヒの出産 あの日からの願い Amemorywithouttheend 涼宮ハルヒの日記 涼宮ハルヒの小説 ただの人間 ヒント キョンの死…そして 悩みの種 続く空 涼宮ハルヒの仮入部 はい、メガネon 【時のパズル~迷いこんだ少女~】 涼宮ハルヒの後悔 (BadEnd) 涼宮ハルヒの恋心 涼宮ハルヒの誤解 涼宮ハルヒの出会い 缶コーヒー、ふたつ LOST 恋の病・恋の熱 ステビア(ステビオシド) お祭りの後で 涼宮ハルヒの場合 彼岸花(微グロ・微鬱・BadEnd注意) loveandmusic もう一つのサムデイ・イン・ザ・レイン 初めてのデート すれ違いの恋 涼宮ハルヒの恋人 最初のデート 涼宮ハルヒのX-FILES 本の虫 サムデイ・イン・ザ・レイン(WhileKyonwassleeping) alongwrongway wishuponastar ~涼宮ハルヒがデスノートを拾ったら~ (Bad End) いじっぱり 甘えん坊モード キョンになっちゃった 眠れない夜とイタズラ電話 敬愛のキス fundamentallove やすらぎ 白い天使 サムナンビュリズム 涼宮ハル○の憂鬱 涼宮ハルヒはしあわせ(BadEnd注意) 浴衣とお祭り 言えないよ 愛のかたち 渋皮やさしく剥いたなら 涼宮ハルヒのライバル クリスマスプレゼント 教科書と嫉妬 涼宮ハルヒの告白 完全ウリジナルストーリー 涼宮ハルヒの労い
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/3663.html
涼宮ハルヒの感染 プロローグ? 涼宮ハルヒの感染 1.落下物? 涼宮ハルヒの感染 2.レトロウイルス? 涼宮ハルヒの感染 3.役割 涼宮ハルヒの感染 4.窮地 涼宮ハルヒの感染 5.選択 涼宮ハルヒの感染 6.《神人》 涼宮ハルヒの感染 7.回帰 涼宮ハルヒの感染 エピローグ