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さて、区切りが良いからここで俺の気の動転っぷりを見てもらおう。 「なっなんだあれ!シッCMで見た!見たけど映画のあれはフィクションだがなんで登場人物、地名は全てノンフィクションな出来事が超一般Peopleな俺の目の前で起こってんだ!?」 どうだこの素晴らしい狂乱ぶりは。正直言ってあのグレムルらしきものは気持ち悪い。蛇腹でヌメヌメ光ってて内臓みたいなのが薄く透けて見えて… 「あー……とりあえず落ち着け俺。いいから落ち着け」 俺に慰められても落ち着くわけないだろうが! 「だろうな。それ俺も言った」 「ど、どうしろって…うぐっげほっげほっうぇ゛ええええ!」 思わず吐いちまった俺。ここまでテンパるのは初体験だ。処女だ処女。俺の胃液が貫通させました。いや本当におめでたいな。いろんな意味で。 「それおれもやった」 そんなことは聞いてないんだが?とりあえず俺は落ち着こう。お前は説明をしてくれ。 「まずどうしなきゃいけないか俺がお前の立場の時に見たことを教えるからな」 落ち着ききれていないから頷きで返事を返す。 「これから俺はハルヒ達の所に戻ってあのでかいのが見え隠れする程度に先導して回る」 つまり、ハルヒには存在を気づかせる必要があるわけか? 「長門…こっちの長門が言うには、ハルヒの退屈しのぎをさせつつ最後は俺かお前のどっちかがみんなの前であの化け物を倒してジョン・スミスを名乗るって算段だ」 ほほう?で、二日後の俺よ。お前はジョン・スミスを名乗って得があると思うか? 「二日じゃそう考えは変わらねえ。なんか別のことを考えてる」 お前も俺の状況を体感したんだよな? 「そうだな」 ならそのときに見たお前にとって二日後の俺はジョン・スミスを名乗ったか? 「ああ、名乗った。当然キョンだと言うことが分からないようにな」 まあ当然だろう。ただジョン・スミスと言うよりエージェント・スミスの方が似合っていると思う。だって、同じ顔がわんさかだし。 とりあえずは長門と合流した方がよさそうだな。あ、俺と来たほうの長門だ。 「んなことは分かってる」 だよな。お前も俺と同じ考えをしたんだよな。つーことは今俺がこう考えていると考えていると言うことは向こうには丸分かりでなにやら気恥ずかしいと思っていることm(ry なんかもう気持ち悪いな……自分がサトラレだと知ったらきっとこんな気持ちになるのだろうか。 そんなことはありえない一般市民の俺だ。ちょっとそんな気分に浸っても良いだろう。 「で?何処にいるのか知ってるのか?」 俺(大)は時計を確認している。(未来)から(大)になったのはどっかの誰かのご指導のおかげだ。だがやっぱり()は面倒だな。 「あと少しすれば長門(小)が来る」 そうかそうか。この時間の長門は(大)で一緒に来た長門は(小)か。つまり俺も(小)ってわけだな。はっはっはっ……なめやがって、俺の癖に… 「あ、来た来た……って、そうだった……忘れてた」 何を忘れてたんだ?俺(大)の見ているほうを向くと長門がいる……あれ?何か連れてきてるんですが?あーついさっき見ましたねぇ。 「ってなんつーもん連れてくるんだ長門おおおお!!!」 さっきまでの俺(大)と話したことを忘れそうなほどショッキングでグロテスクな生物を後ろに引き連れて走ってくる長門の姿はまさしく映画のグレムルCMだ。 「……規定事項」 そうじゃなくて!いや、こういう場合悪いのは俺に伝え忘れた俺(大)の責任であろう。 「やば……連絡は長門同士が取ってくれるからなんとか逃げてくれ!じゃあ後の算段よろしく!」 シュタッと手を上げて俺(大)は走り去っていった。なんだなんだ!薄情すぎるだろ!過去の俺だぞ?死んだらどうする気だ俺(大)! そうは思ってみるが俺(大)がいるってことは生きてるってわけだ。だがせめて危険回避の方法くらい教えてくれても良いんじゃないか? ギチギチギチギチ…… 「……走って」 言わずもがな!ってなんでお前はそんなに冷静なんだ?少し先導気味の長門に聞いてみる。 「何度も経験している」 どれくらいだ? 「百六十二回」 嗚呼……また気の遠くなるような回数をこなしてきたわけだ。そりゃ慣れるわな。そう考えると俺も百六zy…162回こなしている事になる。 せめてそのクリア特典の引継ぎで攻略方法を脳内にインプットして欲しいんだがな。その役目は長門なんだが、どうだ? 「……そう」 いや、答えになってないって言うか適当な相槌にしか感じないと言うか。 「………緊張感がない」 お前には言われたくなかったんだが、確かに緊張感ゼロだな。ああそうだな、緊張感よりスリルを楽しんでいる感覚を味わってるよ。 そもそもこの状況は誰のせいなんだ?またハルヒか? 「……原因は彼女」 それは前にも何度か聞いたことがあるな。まさかとは思うが巨大カマドウマの件と似たような原因か? 「……そう」 つーことは、また今回も誰かの畏怖の対象が顕現した、と言うのが正しいのかな。 「今回は涼宮ハルヒの最も頭に残るイメージが形になったもの。存在自体に形は無かった」 それは、あの新聞に写っていた影のことか? 「そう。形状が特定されていないため異様な形状で写されたが今は涼宮ハルヒのイメージと願望があの生命体に形を与えている」 いつもよりは分かりやすい解説だったな。要領を得てきたって事で納得するのがいいか。 それにしても随分とまあ悪趣味なものを考えたなハルヒの奴…そんなに映画が見たいのか。なら奢りで良いから連れてってやる。 だからこれの形をどうにかしてくれ。獰猛なでかいチワワとか獰猛なでかいシュワちゃんとかエイドリアンでも良い。これ以外で見て吐き気がしないのなら大歓迎だ。 ひたすらビルとビルの間を走る。ハルヒ達もこの廃墟群の中にいるのに出くわさないのはさすが長門と言う所だな。 キュォオォォオオオオオ…… 一つ言っておく。ただの雑談に感じただろうがこれでも猛ダッシュで走っている。発言は普通だが体中すでに乳酸漬けでいつ倒れてもおかしくない。 後ろのグレムルの速いこと速いこと。それでもスピードを落とさない俺の生きる本能は大したものだ。野性の本能か。はたまたランナーズハイなだけか。 ……ところで長門よ、何故お前は俺より先を走っているんだ? 「身体能力の向上、および重力制御を実行している」 つまり足を速くして体を軽くしている…と。 「……そう」 そう、そうか。そうなんだ……ずるいだろ!猛然と走り続ける俺の立場はどうなるんだ!喰われて死ねと言ってるようなものではないのかね!? 「情報変更を行う時間が無かった。ごめんなさい……」 ずるいぞ、そんな表情をするな。説教できなくなっただろうが。……聞いておくがその台詞は一体何回目だ? 「十六回」 嘘だろおい。寝言は寝て言ってくれ。一割のはずれの確率内に俺も入ってるのか。ここまで不運な確率は存在しちゃいけないはず。フロイト先生もビックリだ。 関係ないが。 「こっち」 突然目の前から長門が姿を消した。結構長門とは-長門が速すぎて-距離があったため何処で何処へ行ったか分からない。 「お、おい!長門!」 辺りを見回しながらも猪のように走り続ける俺。後ろからは何足あるのか分からない脚で俺を追いかけてくる化け物。 「長門!なgぐえぇっ!」 ものすごい勢いで横に引かれ、ものすごい勢いで惹かれた方向に飛んでいく。目の前に映った長門が遠退いていく。 そうか。お前が引っ張ったんだな。でもいくら身体能力の向上なんて事をしたからってこのパワーは異常だろう…… 「ぐはっ!」 ケツを先行して飛ぶ体勢から華麗に不時着。上手い具合にバランスがよかったのか俺の尻は滑走路を滑るジャンボジェット機の腹のように滑っていく。 「……大丈夫?」 そんなわけないだろう。肉がこそぎ落とされるかと思うぐらい滑ったぞ。 「……そう」 そうって……俺の体の一部が磨り減るかもしれないって状況だったのにその反応は心臓にズキズキくるんだが。 「少し気になることがある」 なんだ?こんな時にお前が別のことを考えるなんて珍しいな。重要なことなのか? 「……この行動は、今回が初めて」 重要なことか否かの返答は得られなかったが、よく分かった。俺は今本来のレールからはみ出した可能性があるってことだ。 162回中1回と言う確率が多いか少ないかは分からない。長門にとってはそう驚く状況ではないのかもしれない。だが今回は少し違うようだ。 以前の切り取られた二週間の時とはわけが違う。あれはいつかどうにかできるものだ。だが今は命のやり取りがある。元のレールに戻らなきゃ俺の未来は不安定だ。 少し震える体をなんとか黙らせて立ち上がり、長門の前まで足を進める。 「なぁ長門…どうすればお前の過ごした中にあるレールに戻れるんだ?」 長門は少し考え、少し不安そうに見える表情で俺の目を見据えた。 「私は本来涼宮ハルヒの観察が目的。だからあなたが自分で元の状況まで戻る必要がある」 自分で考え、自分で行動しろ…か。そうは言われたものの俺にはどういう状況になることが正しい方向なのか分からない。それに命の危険もあるしな。 「大丈夫」 俺の思考を呼んだのか長門が突然声を上げる。驚いて一瞬ビクリと体が動いたのを見なかったことにするように長門は続ける。 「私は涼宮ハルヒの観察が目的。でも今はその対象にはならない。側に観測対象が存在しないから」 ふむ。それで……何が言いたいんだ? 「あなたに助言は出来る。でも実際に実行するのはあなた自身。それに……」 もう何度聞いたのか、でも何度聞いても心を落ち着かせてくれる。決意と、俺に与える安心感を含め、少し微笑むような顔で言ってくれた。 「あなたは、私が守る」 そうは言われたものの一体どうすればいいのやら。 あのグレムルは見失うし、SOS団は何処に行ったか分からない。ただ長門(小)は長門(大)と情報結合だか何だかをしてズレを知ったらしい。 そのズレは僅かだが土曜日の時点で観測されていたらしい。のだが、その詳細はどうしても教えられないそうだ。 長門曰く、 「未来に来たということはこれから自分のすることを自分の目で確認してしまう。でも今回は時間軸と別の方向へ移動している」 「でもそれがずれたとはまだ確定されていない。初めて別の時間軸が現れても元の軸に戻るのが多い。だからまだ確定されてない」 で、どう言うことかと言うとだ。 俺に身体能力の向上などなどを施し忘れたのが16回。てことは最初の一回が存在したわけだ。これもその類の可能性があるから知識を植えつけるまで断定できない、だとさ。 まぁ、そんなことを言われて納得はしたが貧乏くじを引かされたのだけは確かだ。 そんなわけで俺は長門(小)と二人、長門(大)からの電波を受信しているらしい長門(小)の指示に従ってSOS団の連中と会わないように廃墟群を歩き回っている。 「……なぁ、長門」 「……なに」 あー言いにくいなー。なんか髪の毛が一束ピンと立ってる上に五分毎に雷型になって揺れてるんだぜ?(ちなみに時間は計った) 「…………」 「……早く言って。気になる」 そう言われてもな……あ、また五分だ。アンテナが動く動く…………あ、止まった。 「今D-16にいる」 いや、何処だよ。 「……こっち」 長門が先を行く。どうやら廃墟の一つに入るようだ。それを追う。無論慎重にだ。足元が不安定だから気を配っていないと怪我をしかねん。 ふと、俺は少し考え事をする。先ほどから口には出さないがずっと感じている不快感、違和感のことをだ。 何?と聞かれれば「あの化け物」と答える。が、心の中ではもう一つ理由がある。 この廃墟群自体だ。 廃れて使い物にはならないほど壁や天井に亀裂がある。廃墟だから当然なんだが。 疑問はこうだ。 何故こんな廃墟群が存在するのか。 そんな疑問は意味がないだろうが、よく考えれば謎なんだ。 この街も少なくとも社会の影響はある程度影響している。古い建造物は取り壊されてマンション、住宅、デパートや大手メーカーの店が建てられることは珍しいことではない。 にも関わらず、この廃墟群は存在する。 何故? どうして? この廃墟群の広さは歩いて実感したが、ショッピングモールほどはあるだろう。(実際あまり歩いたとは言わないのだが-約30分ほど-) そんなに広い土地が放置されている理由が存在しない。廃墟もそのままで手を加えた様子はない。野晒しと言うのだろうか。そういう状況なわけだ。 更に考えると分からないのは、ここは元々なんだったのかだ。ビルが立ち並んでいるのは分かる。一目瞭然。百聞は一見に如かず。 仮にここが全てオフィスビルだったとしよう。不景気の波に飲まれて時代に取り残された会社ばかりが存在したと。 だが、全てがここまで廃れるのはおかしい。こんな広い土地で全てが倒産なんて馬鹿げている。移転したとも考えられない。潰れたビルは買収することも出来るしな。 また仮に、一つの大きな企業がこの範囲でビルを建てまくったとしよう。目的は貸すためだと。 それでもあり得ない。一点に集中してビルを建てるなんてどんなチェーン店でもやらん。セブンイレブンだって二件が向かい合わせ程度だ。 またまた仮に、酔狂な金持ちが自分の会社経営の先駆けとして建てたとしよう。 これになると強引過ぎる。一つの巨大なビルだけで十分だろう。わざわざ乱立させる必要も無い。たった一つ、巨大なビルを用意するだけでいい。 なら水素原発?ちゃんちゃらおかしいな。そんな事あったら世界中のメディアの的だっつーの。 ここには何か霊的なものがあるのか? 取り壊したら従業員が皆死ぬとか……って、さっき俺の出会った化物がその原因だったりして……… 納得しそうになったのでこの例えはパスしよう。 「……っ」 ここまで頭をフル回転させて、一段落おこうと頭を押さえて偏頭痛を収まらせようとする。 普段グータラしているとこういう見返りが来るのか。身に染みて実感させられたよ。どれだけ暇を持て余しているかをね。 「……大丈夫?」 足を止めて長門が顔を覗き込んできた。そこまで辛そうだったか?俺。 「……付いてくるスピードが0.1m/s下がったから」 それ適当に言ってるだろ。こんな足場の悪いところを歩いていたらその些細なスピードの変化はあって当然だと思うが。 「……ジョーク」 笑えないぞ。笑える状況じゃない。 「……そう」 ……もしかして落ち込んだか? 「……少し」 そうはっきり言われるとこっちは押し黙るしか無くなるではないか。こんな時に気まずい雰囲気はよくない。仲間割れはBAD ENDの定番だからな。 「なあ長門」 「……何」 相変わらずの冷静で冷たい声。だがこういう時にプリプリ怒っている奴の声や舌足らずで頼りない声やニヤついた顔で説明されるよりいいかもな。 「どうやってあの化け物を倒せばいいんだ?普通じゃ到底適わなそうだが……」 「大丈夫」 何がだ。何が。何処をどうすれば大丈夫と言う台詞が吐き出せるのか教えて欲しいんだが? 「……これ」 長門が足を止めて何かを差し出してきた。 「…………これって」 見覚えのある、黒光りした鋼がなんとも猛々しく狂気を連想させるこのズシリと重いモノ。引き金、げき鉄、砲身、銃口、弾層、まさしく拳銃だ。 しかも今回はマグナムの形をしている。 「麻酔銃……?」 しかも注射器から変形したやつ。 「……そう」 そうなんだな。やっぱり。分かってはいるが、物騒極まりない。 「中身は少し違う」 何が違うんだ? 「今回の弾丸には組織の構成と情報を消去、抹消するデータ、プログラムが注入されている」 中身は前回より物騒だった。 「これ……人に当たったらまずい…よな?」 「………………」 そこはキッパリと答えをくれ! 「……危険」 前言撤回。弾丸より危険な代物だ。物騒で済む話じゃないぞ。あれだ。007の黄金銃だ。一撃が何処に当たろうと即死決定のウェポン。 「俺……一般的な市民なんだが、こんなSWATも持ってないような年齢制限1000禁ぐらいかかりそうな代物持っていいのか?」 「……信用してる」 声に今までの比にならない重さを感じる。それだけ重大なわけか……もしその信用を裏切った時、俺はこの世に存在しているのだろうか? まさか朝倉のように…… 「ぬああああああああああああああああ!!!」 考えただけで恐ろしすぎる!くわばらくわばら・・・とりあえずしっかりとした作りでセーフティロックもある。壊れる心配なし。セーフティロックをかけて……と。 これでよし。俺って頭良いな。………なんだ長門。その今まで正常な志向を持っていた人間が事故にあってイカレ野郎になったのを見て憐れむ第三者の目は。 「……突然叫ぶから驚いた」 そういやさっき視界の隅で目を丸くした長門がいたな。驚かせてすまんな。 「……現実逃避は適度に」 その逆だ。現実を見過ぎて現実に帰ってきたんだよ。気遣ってくれ。原因はお前だ。更に原因を探ると妄想激しい俺の脳に辿り着くが細かいことを気にしてはいけない。 「………?」 長門の足が一つの巨大なビルだった廃墟の前で立ち止まる。 「ここが、どうかしたのか?」 長門は何かに導かれるように前へ進み、広場のような廃墟の真ん中でピタリと止まって天井を指差した。 「ん?」 なんだあれ……?暗くてよく見えないが、何か緑色の物体だな。それに…マトリックスで見たような緑色の文字がズラズラ動いているぞ? 「長門」 「……なに?」 「俺の勘が合ってるといいが……いや、合っていても嬉しくはないんだが…あれが今回の引き金か?」 その勘は正しかったようで、ミリ単位の長門の頷きを確認した。 「……あの羅列文章情報体を撃って」 そんな名前なのか。どうも適当に付けた名前にしか聞こえないが……まあいい。 弾層を確認する。弾は全部で六発、か。セーフティを外して、両手で構えて天井を狙う。そして…… ガゥンッ! 激しい銃声がビルの中を反響し、木霊する。手が反動に耐え切れず、銃が顔の横まで跳ねた。思わず手を離しそうになったがそこは気合だ。 「っ~~~~~!」 本物の拳銃もこんなに反動が激しいものなのか。まだ手が痺れている。だがとりあえず顔を上げて銃弾を放った結果を見つめる。 「うげ……」 まるでスライムのように奇怪でおぞましい動きをして消えていくのが見える。文字達が悲鳴を上げているようだ。 やがてその蠢きは収まり、ゆっくりと天井に溶け込むようにして全てを消した。 「これで、いいのか?」 コクリと頷く。感じる必要は無いのだろうが、少し罪悪感が心に残る。あれでも一応生きていたんじゃないのか? 「あれはただの情報の塊。生と言う概念には該当しない」 そう言われても釈然としないんだが……まぁ、黙祷だけしてさっさと立ち去るか。人に危害を加えるんじゃ仕方ないよな……ごめんな。 そう心の奥で小さく呟いて、俺と長門はその場を後にした。 次に目指すはあの化け物のところ。一体どうやって倒せば良いのか。長門の後を追いながら再び思考を張り巡らせ、頭を悩ませた。 「なあ」 「……何?」 さすがに歩き疲れて俺はビルの外に座り込んでいた。摩天楼から覗く空が少し淀んでいる。 俺の上だけ暗いのか。そう考えると嫌な予感がしてならない。今日 長門も隣で座っている。こんな時にも本を読むのか……どっから出したんだ? まあ細かい事を気にしたらいつまで経っても終わらない。そしていつも終わらないから気にしないでおくか。とりあえず質問だ。 「一体、この時間の俺達って何してるんだ?」 どうしても気になる。そりゃあ未来を覗き見するなんて趣味が悪いとは思うんだが、やっぱり気になっちまうもんだろ? 「駄目」 なんでだ? 「事前に与えられる知識は影響を及ぼす。だから予備知識は与えられない」 そんなことどっかで見たな。ああ、そうだ。確か「時のパズル」とか言う小説だったかな。いい話だったよなぁ…… 「……他者の作品を使用することは許可されない」 うるさい。少しかぶったなーとか思っただけだ。 「……なに?」 「今の時間の俺たちの状況だけ教えてくれ。それならいいか?」 長門は考えるように顎に手を当てて黙ってしまった。うーむ、俺はこんな貪欲な男だったか?どうなんだ俺。まるでハルヒじゃないか…… 「現在情報体から逃亡中」 ……。 …………。 ……………おいおい。悪い冗談か? 「助けなくていいのか?」 「必要」 なんでここでのんびりしてるんだ?提案したのは確かに俺だが追われてるって事は命の危険性があるんだよな? 「そういうことは早く言え!!」 急いで立ち上がりすぐに駆け出す。場所なんかあてずっぽうでいい。何とかなる。 「っておい!ちょっと待て」 「……何?」 俺の方が先に飛び出したのにお前が前を走っているのは格好がつかなすぎだ。そして今後も俺が危険だ。 「俺もなんとかしてくれ」 このままだと過労で死んでしまう。 「……」 長門は俺の腕を掴んで、例の如く噛み付いた。 「いたっ……いたたたたたた!」 「大丈夫。痛みは無い」 痛いのはお前の歯じゃなくて手だ。馬鹿力で掴むな折れるへし折れる砕ける! 長門の口が俺の腕から離れる。初めてだ。長門の唇の感触を味わえなかったのは。そんな場合じゃないのは分かっているが損した気分だ。 「……急がないの?」 急ぐに決まっているだろうが。 さっきの勢いで足を踏み出すと想像以上にスピードが出た。 まるで風になったように。 まるで風を引き裂くように。 俺の体は風を置き去りにして疾駆した。早すぎて首が置いていかれそうになが気にしている暇はない。団の連中が危険だと知ったらいてもたってもいられない。 今、この時、救えるのは俺だけだと過剰な感情を抱いて走った。 妄想でもなんでもいい。化け物を倒して世界を守る正義のヒーローじゃなくていい。 あいつらだけのヒーローになれるんなら俺はそれだけで十分だ。 ここじゃない。 「ふあぁぁぁ~~~!」 ここでもない。 「誰かぁぁぁ~~~!」 くそっ何処にいるんだ。 「助けてぇ~~~~~!」 なんかさっきから悲鳴が聞こえるような…耳が風を裂く音でよく聞こえないので足を止める。 「ふえぇ~~~~~~!」 「なんなのよこれええええええ!」 叫んでるな。朝比奈さんにハルヒか。まぁ他二人が叫ぶとは微塵も思っていないがな。 「長……」 「……?」 そうか。いつも助けてもらってても駄目だな。俺のやれるようにやることが大事なんだ。だから頼るわけにはいかない。今はまだ。 道を踏み外していても、必ず戻れる。そう信じて俺のできることをしよう。 ひたすら走って目に入ったのは、ビルの切れ間を横切る人影。見つけた。 なんとか注意をひきつけなければならない。なら投擲が適切な判断のはず。 俺は握り拳ほどの大きさのコンクリートを拾い上げ、あの化け物が横切るのを見計らって思い切り投げた。 「げっ」 想像を遥かに超えた弾丸のようなコンクリートの欠片がビルの切れ間を高速で通り抜ける。さすがに速過ぎたか。いや、人間の限界を超えすぎた。 だが意外とタイミングはバッチリで、奴の顔が出た瞬間横っ面にクリーンヒット。 キュオォォォォォォォオオ! 怒ったな。間違いなく。コンクリートが貫通して奴の横顔に穴が空いたし。緑色の液体零れてるし。 奴の顔が俺を捉えた瞬間俺は一瞬動けなくなった。蛇に睨まれた蛙のようにピタリとだ。 多分、恐怖が一瞬でピークに達したのだろう。殺される、と言う考えが頭の中を幾度となく反復して自分で自分を追い詰めてしまっている。 ズルリとビルの切れ間を這いずりながら俺に近づいてくる。くそっ動いてくれ!俺! 「うおっ!」 体が急に自分の意思に反して横に飛んだ。 否。 横に引かれた。誰に、なんて無粋なことは考えない。 「すまん、長門」 「……いい」 危なかったがこれで目的は果たした。 あとは出来るだけ広いところに団の連中に見えるように行ってこの化け物を殺し、ハルヒが来たところでジョン・スミスだと気づかれないように宣言。 上手くいくかの保証はない。だがやってやれないことはない。 「長門!何処か広いスペースのあるビルでハルヒ達の前を横切れるルートはないか!?」 数秒の間を置いて小さな長門の口が動く。 「こっち」 一瞬で俺の前に躍り出て角を右に曲がった。その後を出来るだけ化け物との距離を均等に保ちながら追いかけていく。 走って。 走って。 走って。 どれくらい走ったか、ハルヒの黄色いカチューシャを時折見た気がする。疑うわけじゃないんだが少々不安になってk多。 こんな時は、妹よ。兄ちゃんが無事に帰ってこれることを祈っててくれ。 「ここ」 長門がビルに入る。そして当然のように俺もビルの中に入った。が、そこで足を完全に止めてしまった。 「よう、俺。遅かったな」 な……なんで俺(大)がいるんだ?長門を見ると目を見開いている。こいつも驚いているのか。 「なんで俺がいるか不思議がるのはいいが、そろそろ退けたほうがいいぞ。化け物とハルヒたちが来るからな」 「退くのはお前の方だろ!お前には長門の情報変更だかなんだかはされてないだろ!それにアレを倒すのは俺だ!」 「ああ、知っているさ。俺もやった。でも気づいたんだよ。今のお前じゃ分からないことにな」 今の俺じゃ分からない?それは元の時間に戻って日曜日になるまでの過程で知ること、って意味だよな。 ギチギチギチギチ…… くそ。もう来たのか。このまま俺(小)と俺(大)が居たらまずい。だがあいつは動く気配が無い。 「ちぃっ」 悔しいがここは俺が避けるしかない。 こんな時はどうすればいい。とりあえずビルの外に隠れるか。 あの化け物は天井を這っている。俺と長門は入り口を正面にして右の窓から飛び出し、そこから化け物を狙う。 向こう側の窓にハルヒ、長門(大)、古泉、朝比奈さんの順で入り口へ走っているのが見える。 肝心の俺は頭上に化け物が来ているのに何の行動も起こさず、まるで石像みたいに微動だにしていない。 どうする気なのか不安だが、心の中では信じていた。 時間は違ってもあいつは俺なんだ。ハルヒ達のために必ずあの化け物を倒すと信じていた。 そう 信じていたんだ。 だが。 これは予想外だった。 「キョン!危ないわ!早く逃げてっ!」 「キョンくぅ~ん!早くこっちへぇ~!」 「何をしているんです!そんな馬鹿なことをしていないで逃げてください!」 「状況は危険。情報体はあなたを捕食しようとしている。早急な逃走が必要」 様子がおかしい。何してるんだよ。みんなあれだけ心配してるんだぞ。長門(大)だって逃げろって………… ちょっと待て。 おかしいだろ。なんで長門(大)まで逃げろと言う必要があるんだ? いくら馬鹿なことでも未来の俺は何か切り札を持っていると思った。 例えば俺の手にある銃。 例えば俺の体に施された改変。 どちらにせよその二つの出所は長門だ。なのに何故長門が心配している? 演技か?そうならまだ説明が付きそうだ。ほかのみんなに疑われないようカモフラージュをしているのか。 だがその割には未来の長門(大)はソワソワして落ち着きがない。顔も心なしか泣きそうに見える。 「お願い。私のことは気にしないでいい。だから逃げて」 長門(大)が悲願するような声で俺(大)に話しかけている。俺(大)はそれでも動かない。 なんだ、長門のこと?俺が気にするようなことってなんだ? そのことを必死で考えようとするも、目の前の状況では頭が正常に機能しない。アインシュタインだって度肝を抜かれて相対性理論を考えている場合じゃなくなるはずだ。 ゆっくり化け物の口が俺(大)の頭上に下りてきている。 「撃って」 俺の隣にいる長門(小)が小さく呟いた。 「早くしないと取り返しの付かないことになる」 そう急かされても困るが、何より俺が危険なんだ。助けるしかなかろう。 「なぁ……ハルヒ」 みんなが叫ぶ中、俺(大)が小さく呟いた。その声は建物の中を反響するみんなの声をかき消すように静かに耳に入った。 俺は標準を合わせるのに必死だ。一発で仕留める定番はやはり頭。だが少しでも間違えれば俺の頭が吹き飛んでしまう。 おまけにただの弾丸じゃないからそれだけは避けたい。 「俺はな。みんなこのままで居たいと思っていた。あくまで高校時代は、だ。放課後部室でお前の突拍子もない考えを聞かされて」 くそっ!狙いが上手く定まらない……! 「古泉とテーブルゲームしながら朝比奈さんの入れたお茶を飲んで、本を読む長門を見て日常を感じていたかった」 「何言ってんのよ!そんなこと言ってる場合じゃないの!早く逃げなさい!命令よ!」 そうだ。早く逃げろ。お前に切り札がないってことは分かったんだ。邪魔だからさっさと逃げてくれ! 「でもな。その日常が無くなるって知った時、俺はどうしようもないほど悲しかった」 何を言っている。これがお前の言う『今の俺じゃ分からないこと』の正体か? 俺(大)の頭上にはもう化け物が口を開いて構えている。 やめろ。 やめてくれ。 お前怖いんだろ? 体が震えてるぞ。何がお前をそこに縛り付けている! 「だから、ハルヒ。また新しくみんなでやり直そう。不器用な俺はこんな方法でしか助けてやれない。頼むぜ」 待て。 待て。 待て! 「俺が、ジョン・スミスだ」 ハルヒの声がピタリと止んだ。 「世界を大いに盛り上げるためのジョン・スミスをよろしく」 最後に見せた俺の笑顔は悲しみが浮き出ていた。 おい。 嘘だろ。 ふざけるな。 こんなことあっていいのかよ。 なんでこんなことになっちまうんだ。 もう見ていられない。見ていたくない。 だって。 化け物に俺が食われているんだぞ? 最初に見てしまったのは、俺の顔が化け物の口に入り、奴が口を閉じた瞬間肉の千切れる音と骨の砕ける音が聞こえた。 声を上げるものは一人もいない。唐突過ぎて誰も信じられないんだろう。 俺の体は宙に浮き、揺ら揺らと揺れている。 声一つ上げない俺(大)。もう、命の灯火は消えたんだ。 大量の出血が服を朱に染めて足元に真紅の水溜りを生み出している。 化け物が首を振ると俺の体は子供がガラクタの人形を振り回したように何の抵抗もなく不気味に振り回され、 千切れた。 倒れた俺の体は頭を俺の方に向けている。まるで『これが未来だ』と悟らせるように俺には見えた。 そこからは俺は何も見ていない。 大量の胃液を口から吐き出している最中だった。 その間も奴が俺の体を貪る音が嫌でも耳に届く。 「いや…………嘘よ……」 誰かの声がした。それを夢だと自分に信じさせるかのような真摯な願いがこもった声。 「なんで……キョン…が………?」 声の主はハルヒだ。まだ吐き足りないがそこは堪えて、中を覗き込む。 古泉の袖を掴んだままへたり込んでいる。呆けた顔で俺が奴の胃に収まる様を見つめている。 「いや……いやよ………いやあああああああああああああああああ!!!!!!!!」 その叫びが引き金になったように、突然何かが俺の中で蠢いた。 「ぐっ……!」 グラグラと視界が回る。この感覚、時間跳躍の時に似ている。 天も地もなく、遠心力機にかけられている感じ。 何をする気なんだ、ハルヒ! 「キョンくん!長門さん!」 この声は……朝比奈さん(大)? パタパタと駆け寄る音が聞こえるが俺はグロッキーで顔を上げられない。 「どうしたん、ですか……?」 辛うじて搾り出せた言葉。だがその返答は得られない。 「急いでこの時間軸から退避します!私に掴まって!」 手を掴まれたが、俺は全身に力が入らない。掴む力も弱弱しい。 突然誰かが俺を抱きしめた。 突然で驚いたが抵抗するような状況じゃない。慌てられるほど元気じゃない。 柔らかく、クラクラするような香りが、妙に心を落ち着かせる。 突然の天地が回る感覚が襲ってくる。だが俺は歪んだ空間の中、淀んだ思考で考えていた。 一体、未来の俺は何を知ったんだ? なぜ未来の俺はあんな行動をしたんだ? なんで……こんなことになっちまったんだ。 そのうち、淀んだ意識は深く暗い闇に落ちていった。 「……っ」 深い深層にあった意識がゆっくりと現実に浮上してきた。 「……意識が回復した」 棒読みの声が聞こえる。どこか、嬉しそうな声。 「本当?よかったぁ……」 今度は大人びた声。その声は安堵を表に見せている。 「…………ここ……は…?」 瞼が重いが状況は確認したい。 ゆっくりと開いていく瞳に光が入る。夕暮れの朱色が一瞬目を眩ませた。 「あ、キョンくん。大丈夫?話せる?」 ぼやける視界に誰かの顔が見える。目にかかる霞が晴れて、それがようやく誰だか分かった。 「朝比奈…さん?」 今にも泣きそうな顔で俺を見ている。 「よかっ……よかったぁ…」 前言撤回。既に泣いていた。 「意識・肉体ともに正常」 朝比奈さん(大)の後ろには俺を見下ろす長門の姿が。微笑んでいるのは気のせいだろうか? 「ここは…どこですか?」 「ここは部室です。元の時間に帰って来たんです」 涙を拭いながら少し引きつった声で朝比奈さん(大)が答えてくれた。 「そう……ですか」 次に聞こうとしたことは、少し喉で躊躇った。 聞きたくない。 知りたくない。 信じたく……ないが、知らなきゃいけない。 「俺は…未来の俺は……死んだんですか?」 朝比奈さん(大)の顔が先ほどの笑顔とは打って変わり、困惑した表情を見せる。 「いいんです……正直に言ってください」 誰かに事実を突きつけてもらわないと、夢だったと忘れたくなるだろうから。俺は現実を見なきゃいけない。 「…………はい。確かに、あなたが見たとおり。未来のあなたは情報体によって死に至りました」 そうか。やっぱり死んだんだな。そんなことを考える時点で俺は既に現実から目を背けていたんだな。 「あの時間は、どうなったんですか?」 横たわった体に力を入れて座り込む。まだ目が回るな。 「涼宮さんの力によって改竄が行われ、あなたが涼宮さんと初めて出会った日まで逆行したの」 どういうことですか? 「つまり、全てリセットがかかってまた最初の選択肢まで戻ったのよ。もしかしたら延々とループを繰り返すのかもしれないわ」 なるほど。つまり今までの日々を返せ!って言うことなのだろう。 先へ進まない未来とは、いつかを思い出すな。 なんと言うか、ハルヒらしいやり方だ。 人の生死はどうにもならないから時間を戻す。理に適っているとしか言えないな。 「キョンくん」 不意に朝比奈さん(大)の声が後ろから聞こえた。振り返ると悲しそうに笑う姿が。 「ごめんなさい。こんなことになるなんて思っていなかったの。助けてあげられなかった……」 気にしないでください。貴重な体験でしたよ。 「無理して笑わないで。辛くなるから……」 なら、朝比奈さんもそんな辛そうな顔で笑ったら駄目ですよ。俺も辛くなりますから。 「……そうね。ごめんなさい」 そう言ってお互い微笑んだ。どちらも互いを確認しあうような優しい笑顔で。 「私は戻らなきゃいけません。そして最後に言えることは一つだけ」 部室の扉を開け、俺に振り向いて言った。 「全てあなたが決めることだから私はどうして欲しいなんて言えません。だから」 最高の笑顔を添えて。 「もしキョンくんが生きることを選んだなら、日曜日の夜にいつもの公園で会いましょう」 彼女は出て行った。 「……」 出て行った朝比奈さん(大)の余韻を見つめながら俺は静かにため息を吐いた。 目に焼きついた光景。ホラー映画やスプラッター映画を見るよりも衝撃が大きかった。 人間がグロテスクな映像を見て気持ちが悪いと感じるのは、無意識のうちに映像と自分を重ね合わせ、自分がそうなった時を想像して気分を害するらしいが。 「そんな……能天気な体感じゃないだろ。これは…」 俺の場合、目の前で俺本人が死んでいくのをリアルタイム&肉眼で鑑賞したんだ。誰某が感じるような生半可な嫌悪感じゃない。 「くそっ……何考えてたんだ、俺は…!」 拳を床に突き立てる。馬鹿な奴だな。俺だって分かっているが他人事にしか思えん。そもそも同位体だが時間が違うから充分他人だ。 長門に言わせれば異時間同位体ってやつ。 「……なぁ、長門よ」 顔を上げて長門を見る。これから聞かれることに予想がついているのだろう。無表情だが分が悪そうに顔を背けている。 「今回のことは、百六十二回中、何回だ?」 「……今回が初めて。情報思念体でも予測不可能だった」 そうか。どうやら俺は突拍子もなさ過ぎるんだな。つくづく実感した。 「……あなたが聞きたいことは、別の事」 俺が言葉を紡ぐ前に、長門から話し始めた。 「あなたが聞きたいのは、あの時間の私の言っていた言葉への回答」 「お願い。私のことは気にしないでいい。だから逃げて」 そう、それが疑問だ。それが俺をあんな行動に走らせたのだろう。 「あの時間でも初めて起こった出来事がある。それは日曜日の夜に話すはずだった」 何が言いたいんだ? 「全てそうしてきたが、あの時間のあなたは私の態度に気づいた。だから先に話してしまった」 「それがこのようなことになるとは想定しなかった」 勢いよく深く頭を下げる長門。こんなことをされたは文句も言えない。いや、文句を言える場所を見つけていなかったが。 「き、気にしなくていい。予測できなかったんなら仕方ない。なにせ俺なんだ。止められてもやったんだろうよ」 そう言うとやっと長門は頭を上げてくれた。 「……本題に入る。今回は緊急事態だから、今この場で申告する」 何を?と聞き返そうとしたが、そんな無粋な行動は抑えた。 長門はそうは言ったがまだ何処か躊躇っている。きっとそのせいで俺が同じ運命を辿るのを嫌がっているんだろう。 妄想だがな。乙、俺。 「私は、日曜日の夜に涼宮ハルヒの観測という立場から外され、情報の結合を解除される」 ………なんだって?すまん。俺の聞き間違いかもしれないんだが。 「聞き間違いではない。私は日曜日を持って存在を消滅する」 ……別れは、いつも唐突だ。 準備なんかさせる気なんかない。 残酷で。 残忍で。 でも、よく分かった。俺のとった行動の意味が。 長門がどんな形でもそこに居て欲しいと願ったんだ。俺も今そう願っている。 方法は酷く心に傷を付けたが、結論としてはその願いは叶ったんだろう。 でも、不器用だな。俺。 「あの時間の私も、今の私と同じことを考えていた」 地面を見つめ、ぽつらぽつらと話し出した。まだ座ったままの俺には長門の表情が見えてしまう。 「気づいてほしかった。助けてほしかった。別れを告げるのが、悲しい」 白い雪のような頬を紅い雫が伝っていく。それは夕暮れに照らされた涙。 「もっと、あなた達と一緒に居たい。あなた達の声を聞きたい。もっと、一緒に探検をしたい。図書館に行きたい」 駄々をこねる子供のようなことを言っている。でも、それをそうは感じない。 そう感じるにはあまりに切なすぎるんだ。 死期を悟っている人間は、きっとこんな風に願いを語るんだろうと不謹慎な事を考えてしまうほどだ。 「私は…私は……」 決して涙ぐんだ声は出さず、平然とした声で、少し顔を歪ませて長門は悲願を続ける。 「もっと……ここにいたい。ここに。この場所に…でも、あなたが死を選んでまで救ってほしくない。生きてほしいから」 俺は八方美人か? 長門を抱きしめてしまった。 愛しくなってしまったんだ。男なら仕方ないだろう? 泣く声も上げないで、あくまで平静を装っている女の子を抱きしめるのは当然のことだろう。 そんな法則存在しないだろうがな。俺ルールだ。黙ってろ。 「ぅ……ぅぅ………」 「泣くならちゃんと泣け。こうしててやるから……」 「め、迷惑……」 何がだ。誰に対してだ。 「あなたに、迷惑を……かける…」 そうか。俺に、か。俺が迷惑だと言われたら俺も泣いたかもしれなかったが。 「あのな。人の好意は黙って受け取れ。俺がこんなことするのは滅多に無いぞ」 「…………」 「泣けばすっきりするだろう。今泣かないと泣ける時が他に無いかもしれない。それにな」 なんて言えばいいのか、なんて感性でいい。俺の腕の中にいる少女が悲しんでいるんだ。楽にさせたいだけ。それだけで何とかなる。 「お前が、素直に泣いてくれると嬉しい。やっと分かり合えたんだと思える」 「………ぅ…」 「今だけだ。今だけでいい。泣け。受けて止めてやるから」 「ぅ……ぅぁ……うう…うああああんっ!」 タガが外れたように長門は大きな声を上げて泣いた。大粒の涙が俺のYシャツに染みてきているが、そんな些細なことはどうでもいい。 「うああ……ああああんっ!怖い…怖い…・・・っ!」 大丈夫。大丈夫だ。俺が何とかしてやるから。安心しろ。 大丈夫。 お前と月曜日会える。そう信じていてくれ。 「ふぇ……ふええ……」 子供のように泣きじゃくる長門が、俺を信じてくれたかは分からない。 ただ、この手の力は緩めないで、信じてほしいと言い続けるのが今の俺には精一杯だった。 長門が泣き止んだ時にはもう日が落ち、夜の帳が降りてきていた。 「大丈夫か?」 二人並んで坂を下る。目が赤い長門は見られたくないのか俺の方を見ない。 「……大丈夫」 「そうか」 ……。 …………。 き、気まずい……。 この沈黙は厳しい。さすがにあの状況の後だ。この空気は独特すぎる。なんと言うか……甘酸っぱいと言うか、ここだけ春の匂いと言うか…。 「……キョン?」 ぅおわぁ!びびびびっくりした……。な、何?何事だ? 「……この呼び方は適切ではなかった?」 あ、いや…そうじゃない。長門がその呼び方をすることに驚いただけだ。 「……そう」 あ、やばい。今拙いことを言ったな……。 「ど、どうして突然その呼び方なんだ?」 「私も……涼宮ハルヒや朝比奈みくるのように『キョン』と呼びたいと思った」 そうか……。 「駄目?」 小首を傾げるな。反則だろ。しかも少し頬を赤くするなんてもってのほかだ。 「いや、構わないぞ?」 「そう……よかった」 ……ここまで直球だと凄く恥ずかしいな。あー、俺の顔も今赤いんだろうな。 「……じゃあ、ここで」 気が付けばもう長門の家の近くだった。 時を忘れるぐらい沈黙が長かったのか。それとも上の空だったか。 両方だな、こりゃ。 「ああ。また……日曜日にな」 少し言うのを躊躇ってしまった。でも長門は何も言わずに小さく頷いただけだ。 「一つだけ、教えておく」 なんだ?突然。 「この時間は、先ほどの未来とはリンクしていない。もしその話を誰かから聞いた時、その誰かは涼宮ハルヒの影響を受けている」 はぁ……。言ってる意味は分かるが大事な部分が抜けている。だが、あくまで忠告に似たことなんだろう。心にとどめておこう。 「……じゃあ、また」 道を分かれる時、俺はもう一言言わなきゃいけないと感じてしまった。 こんな曖昧な別れはいやだろう。あいつだってまだ不安なんだ。 俺しか助けられないなら、せめてそれが絶対だと改めて表明しなければ俺の気がすまない。 「長門」 俺の声が届いたのか、少し離れた長門が電灯の下で俺の方を振り向くのが分かる。 「月曜日、なんか本貸してくれ」 こんなんでいいのか俺。どう考えても莫迦だろ。なんだこの低レベル。 ああ、俺ってこういう時に空気を読めないな。 「……分かった」 自己嫌悪の最中に聞こえた長門の声。白い灯りの下で微かに、でも確かに長門は微笑んでいた。 「ただいま……」 珍しく家の中が静かだな。何かあったっけ? あ、そうだ。今日は外に食いに行く予定だったんだ!だからハルヒに頼んで部活を早めに終わらせてもらったと言うのに……。 だが、逆に好都合だな。 暗い家に灯りを灯して部屋に向かう。カバンを放り投げ、Yシャツを脱ぎ捨ててベッドにうつ伏せに倒れこんだ。 「……………」 長門と二人の時は言わなかったが、本当はずっと頭の中でアノ光景がリピートされている。 血の滴る音。肉の千切れる音。骨の砕ける音。 ふとジューシーなステーキを思い浮かべそうなフレーズだが最後だけ余計だな。 まあ、そんなくだらない事を織り交ぜられるほど楽にはなったということだ。 でも深刻な問題だ。 未来の俺は死んだ。間違いなく自分の意思で。 いくらなんでもそんな計画を最初から決めているとは思えなかった。日曜まで必死に考えたんだろう。 それでも答えは見つからなかった。 そうなんだろう?未来にいた俺よ。 だから唐突に思いついた方法でどうにかした。自分が死ぬという代償で。 心の準備もなく、文字通り命をかけるのは相当怖いよな。震えて当然だ。 で、ここで俺はどうするのか考えなきゃならない。 あの俺(大)がきっとやったことが俺の頭の中にもある。つまりこれらは全部不正解なんだ。 クイズみたいな言い方をしてるのが不満だと思うか? 仕方ないだろ。長門の存在のこともあるが俺の命もかかっている。決めているんだ。もし方法がなかったら同じ運命を辿ると。 だからあの時の状況を『問題』と例えて謎解きをする。人生最大のクイズだ。 有利な点は、しっかり状況を見てそこから考えることができること。 不利な点は、俺(大)と同じ考えを持っているかもしれないという不安があること。 一体どうすればいいんd 「たっだいまーー!」 バタバタと俺の部屋へ直行してくる轟音。 「キョンくーーーーん!」 おいおいおいおい。 妹よ。最高にタイミングが良いのか悪いのか分からない状況で騒々しく登場してくれたな。 何考えてたか一瞬記憶が飛びそうだったぞ。 「一緒に寝よーー!」 帰ってきてその発言はおかしいと思わないのか? 「思わないよ?」 しかももう小学生だろ?お兄ちゃんとしては嬉しい発言だが自立は大事なんだ。ちゃんと自分の部屋で寝なさい。 「やだーーーーー」 ……理由を聞こうか? 「……今日ね?お昼寝してたら夢を見たの」 どんなだ? 「キョンくんがね。オバケに食べられちゃうの」 それを聞いて、俺の心臓は一度だけ張り裂けそうなほど大きく活動した。 どういうことだ?なんでそんな夢を見る?こんな偶然あっていいのか? 俺の思考はどんどんハイスピードで回り始める。 もしかしてこの時間はあの時間の…… 『この時間は、先ほどの未来とはリンクしていない。もしその話を誰かから聞いた時、その誰かは涼宮ハルヒの影響を受けている』 タイミングよく思い出した言葉。 そうか。 このことなんだな、長門。 俺の妹も、古泉のように何か影響を受けているんだな。そしてそれは夢に関わる。 推測としては、妹は予知夢、もしくは未来を見ることが出来るのか。 そう考えるとさっきのパニックは焚き火を消防車のホースでかき消すように一瞬で冷めた。 「だから、キョンくんいなくなっちゃうんじゃないかと思って……」 そうか。大丈夫だ。夢だろ? 「だけど……」 グスグスと鼻を啜りだした。こうなったら一緒に寝る以外方法はなさそうだな。 「じゃあほら、歯磨いてパジャマに着替えてこい。枕は持参だぞ」 「うんっ!」 本当に嬉しそうに笑って妹は走っていった。もしかして計画犯? 「………ねぇ。キョンくん」 枕があるのにわざわざ腕枕を頼んできた妹。抱きつくのはいいんだがこの腕抜いていいか?痺れてきた。 「朝起きたら、いなくなってたりしないよね?」 俺に限ってお前より早く起きられる確率は最高に低いだろ。 「だよね。そうだよね!」 そうだ。だから早く寝ろ。明日ミヨキチと遊ぶんだろ? 「ぅん……おやすみ…きょんくん…………」 もう寝たのか。寝つきのいい奴だな。 俺ももう寝るか。疲れて瞼が重たい。 本当は、アノ光景が焼き付いて寝るなんて絶対に出来ないと思っていたが、人の温もりはいいな。落ち着く。 む。 そうだ。今日は随分と人肌に触れたような……。 1.朝比奈さんの膝枕 2.長門を抱きしめた 3.妹に腕枕で就寝 得した気分だ……3を除いて。 さ、寝よう。もう考えるのも疲れた。 明日からどうにかしなきゃいけない。どうにもならないことはないんだ。どうにでも出来るかもしれないしどうにかなるかもしれない。 今はそれを俺の支えにして前に進もう。 まどろんだ意識で決意を新たにし、俺はゆっくりと眠りの奥底に落ちた。 二章 終
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雑談室へ 雑談室過去ログに戻る 過去ログ20ロック完了。 -- 管理人 (2007-05-07 00 54 01) いつも乙です。 -- 名無しさん (2007-05-07 00 55 38) 3ゲットずさー。わはー。はさみー -- 名無しさん (2007-05-07 00 59 00) 過去ログざっと読んだがすげぇ暖かいな・・・ この暖かさに乗じてもうギスギスしなけりゃいいなww -- 名無しさん (2007-05-07 01 01 25) 春だな… -- 名無しさん (2007-05-07 01 02 02) しばらく持つんじゃないか?…いや、勘だけど… -- 名無しさん (2007-05-07 01 03 21) しばらくではない 永遠にもたせるんだっ!! -- 名無しさん (2007-05-07 01 04 32) キャラ別項目に佐々木が欲しいと思う今日この頃 -- 名無しさん (2007-05-07 01 13 44) 驚愕発売の後が妥当だな。 -- 名無しさん (2007-05-07 01 28 01) そういえば驚愕まで一ヶ月を切ったんだな -- 名無しさん (2007-05-07 01 34 33) ●<僕もあまりの時の早さに驚愕してますよ -- 名無しさん (2007-05-07 01 35 56) 古泉、お前はいい。黙ってろ -- 名無しさん (2007-05-07 05 14 08) 古泉は十中八九の世界でガチなホモ キョンもまた6割受けである …さすがにプリンでは正常だが -- 名無しさん (2007-05-07 06 35 43) そんな中、古長や古みくが好きな自分はやっぱイレギュラー因子か… -- 名無しさん (2007-05-07 06 57 08) いや…俺はほとんどのカプが好きだよ…流石にキョンの妹と~っていうのはダメだが -- 名無しさん (2007-05-07 07 16 52) 妹wwwww -- 名無しさん (2007-05-07 07 33 58) そこでキョン母……いや何でもない。 -- 名無しさん (2007-05-07 08 11 37) そうか。要するに、 表面上は余裕で微笑んでるのに、内心ではあたふたテンパりまくってる喜緑さんに萌える俺は最強って事だなヤッホーイ! -- 名無しさん (2007-05-07 09 07 11) 異議あり! 外面余裕で内面はいっぱいいっぱい。それは佐々木さんではないでしょうか。 うん、すまない。気を悪くしたかもしれないが、ノリでしたくなったんだ。 -- 名無しさん (2007-05-07 09 14 55) これが新ジャンル「クーダメ」(クールでダメダメかつ涙目)の生まれた瞬間だった… -- 名無しさん (2007-05-07 09 27 27) 新ジャンル誕生か?! -- 名無しさん (2007-05-07 09 34 51) 通常型長門と長門消失仕様を上手いこと融合した感じか? -- 名無しさん (2007-05-07 09 42 11) 古長は見た目噛み合ってないんだけど、実は分かってますよ的なところがいいんですよ。 とか言ってみる。 -- 名無しさん (2007-05-07 10 18 09) 何気に同感。 逆に長古も有りだな。古泉が振り回される感じで。 マイナー上等です。 -- 名無しさん (2007-05-07 12 59 17) そんなことより阪ハルでレズプレ(ry -- 名無しさん (2007-05-07 13 21 17) ちょwwwwwねーよwwwww -- 名無しさん (2007-05-07 13 31 35) 谷口×朝倉が好みのおれはダメ人間? -- 名無しさん (2007-05-07 14 58 09) 過去に谷×朝のSSあったよなw -- 名無しさん (2007-05-07 14 59 55) やっぱ、涼キョンが一番王道かつ面白い -- 名無しさん (2007-05-07 15 06 02) 朝倉涼子とキョン?と勘違いしてみる。いや、朝倉だったな。 ハルヒだったらハルキョンだし…いや、涼キョンも萌えるけど…その場合は大体ハルヒの邪魔が入る -- 名無しさん (2007-05-07 15 16 08) ぶっちゃけキョンが一番バリエーションあるな。まぁ主役だからだろうけど。 好きなのはハルキョンだが -- 名無しさん (2007-05-07 15 29 06) もうそろそろハルヒが力を自覚すると思うのは俺だけなのか? これ以後自覚しなかったら多分脇キャラになると思うのだが -- 名無しさん (2007-05-07 15 47 23) 驚愕ってタイトルも気になるし、もしかすると次刊で、というのはどうだろう。 とゆうか終盤が近い気がするな。 -- 名無しさん (2007-05-07 16 03 40) ハルヒが力を自覚したら何を願うだろうか… -- 名無しさん (2007-05-07 16 13 29) 多分キョンに説得されて「力が無くなる」ことを願うんじゃなかろうか -- 名無しさん (2007-05-07 16 15 36) キョンが説得?…しないと思うが?世界を変えるような真似をしないとキョンは言ったしな。 それにハルヒも自分で力を捨てるだろうよ。思い通りは嫌だって -- 名無しさん (2007-05-07 17 17 51) なんか最近盛り上がってるなwww -- 名無しさん (2007-05-07 17 30 42) いいことじゃないか そして俺は運動会の準備…憂鬱だ… -- 名無しさん (2007-05-07 17 43 31) 運動会か……今年も場所取りだな。 -- 名無しさん (2007-05-07 18 44 34) もうハルヒはうすうす気付いているのでは……と思うが、それだと「驚愕」は何に対する驚愕かって感じだしなぁ… -- 名無しさん (2007-05-07 19 19 10) 雄猫だった少女が厨臭い件 -- 名無しさん (2007-05-07 19 47 29) 年齢はどうでもいいのでは?作者が荒らしまわるなら問題だが 因みに俺は受験厨 -- 名無しさん (2007-05-07 19 56 09) 誰にだって厨時代はあるだろ。 みんなそこを通って大人になって行くんだ…って何だろうこの歯の浮くセリフ。 とにかく自分はレベルの低い行動さえ起こさなければ問題ないと思うが。 -- 名無しさん (2007-05-07 20 18 04) ああいうのがカッコイイと思える時代を通らないとなかなか大人にはなれん。 通り過ぎた後に見るとものすごい恥ずかしいものだったと気づくんだが。 -- 名無しさん (2007-05-07 20 27 53) 因みに一応言っとくが、単なるノリで言っただけなんで… 自分で言うのも何だが恥ずかしさを通り越して寒くなるな。 -- 名無しさん (2007-05-07 20 39 59) だからなんか暖かいんだよコンチクショウ!!wwww -- 名無しさん (2007-05-07 20 46 12) 涼宮ハルヒの微笑って更新されたのイメージ画像? -- 名無しさん (2007-05-07 20 49 14) 正直いつも微笑微笑ってやめて欲しいかもしれない、とか暖かい雰囲気なのに言ってみる。 -- 名無しさん (2007-05-07 21 03 43) ごめん -- 名無しさん (2007-05-07 21 08 44) 良作なのは認めるけどな……。「時のパズル」とかもう少しハルヒらしかったら傑作なんだが。まぁ流石にな。 -- 名無しさん (2007-05-07 21 34 49) 何度も更新されてるもんでな…ついつい…やめるか。 -- 名無しさん (2007-05-07 21 49 25) ここ雑談室なんだし好きなこと話せばいいんじゃね?別に迷惑行為ってわけじゃないんだしさ。 -- 名無しさん (2007-05-07 22 00 58) じゃあ阪ハルのレズプレイについてはなs(ry -- 名無しさん (2007-05-07 22 04 05) 阪中さんは対女性最終兵器 朝倉でさえも秒殺なのさ まあ、国木田相手だと何故かドMだが -- 名無しさん (2007-05-07 22 07 49) ありがとう、真面目に解説してくれる人が居るとは思わなかった。 本当にありがとう…… -- 名無しさん (2007-05-07 22 20 46) ここまで暖かいと気味が悪いなww -- 名無しさん (2007-05-07 22 27 03) GW過ぎても暖かいこの雑談室と、住人に幸あれ。 -- 名無しさん (2007-05-07 22 27 55) 暖かいのに、ギスギスするかもしれない意見を言ってみる。 カプ分けの話どうなった? -- 名無しさん (2007-05-07 22 36 56) むしろ生暖かい、生温いさー ギスギスしなくなったのはいいが元の雰囲気に戻ったとは言い難よな、とかかなり今更。 そして雑談室って何だっけと疑問に思うのも今更。 -- 名無しさん (2007-05-07 22 46 22) 雑談室…思い思いのことを話す場では? 話題が出たら反応してあげよう… 俺?最近動きが無いハルキョン…王道すぎ…でもないか? -- 名無しさん (2007-05-07 22 48 33) ごめん、言葉が足りなかった。作品をカプ別で分けるって事です。 -- 名無しさん (2007-05-07 22 49 55) 俺……明日の修学旅行に行ったら家族に会うんだ…… -- 名無しさん (2007-05-07 22 51 08) 雑談室温暖化現象……とでも呼んどくか。 今年の夏は暑くなりそうだw -- 名無しさん (2007-05-07 22 57 27) そして雑談室は核の炎に包まれた!! -- 名無しさん (2007-05-07 23 02 12) カプ分けなぁ。とりあえず今後新作SS書く人には、タイトルの隣にカプ名(当然カプ物であれば、だが)を付け足して頂けたなら、若干の改善に繋がると思うんだが。 既存の奴は……難しいかもな。ある程度はキョンSS、ハルヒSSって感じで分けられてるけど、量も量だし。あとさっき出てたから例として出すけど、微笑なんかはキョンハルヒSSなのかキョン長門SSなのか人によって割れるんじゃないか?まあ微笑は分類する必要ないとは思うが一例として。 -- 名無しさん (2007-05-07 23 03 11) なんの改善だよw -- 名無しさん (2007-05-07 23 05 25) カプ分けの話は過去ログからの続きだろ?そん時今の状況では分かりにくい、みたいな話だったから『改善』という表現使ったんだが何か問題あるか? -- 名無しさん (2007-05-07 23 11 38) 単純に読解力不足だろ? とか言ったらせっかくのいいムードが台無しか? -- 名無しさん (2007-05-07 23 15 42) ただ確かに、長編の分類でキャラ名のはともかく、その他や未分類なんかのはタイトルだけじゃ内容が分かりづらい面があるのは確かだな。 初めてここに来る人には少々優しくないかもしんない。 -- 名無しさん (2007-05-07 23 20 14) 俺みたいに特定のカプが好きな人には有り難い改善だけど、どんなカプでも楽しめる人にはどうでもいい事なんだろうね -- 名無しさん (2007-05-07 23 22 10) 自分は分類しなくてもいいと思う。初めての人もそのうち慣れるだろうし。 特定のカプだけでなく色んなのを読んでも無駄じゃないと思う。 -- 名無しさん (2007-05-07 23 27 56) とりあえず第一段階として、キャラ別じゃなくてSSの方向性で分類したら、もう少し細かく分けられるんでないか? どのキャラのSSか、よりむしろ雰囲気を重視する人は多いと思うんだが。 カプがお目当てのじゃなくて怒る奴はそういないだろうけど、読んでみて鬱展開だった、甘すぎて肌に合わん、というので困るという人は割といるだろうし。 実際甘い短編があるんだからな。 それから各カテゴリごとにカプ分けを…… ……ここまで書いて、管理人さんに多大な苦労をかけてしまう事実に気付いたorz しかも主題とズレてる。 -- 名無しさん (2007-05-07 23 32 34) 自分達でやるならまだしも…だな。勝手に話進めてお願いします、ってのは酷い罠。 -- 名無しさん (2007-05-07 23 37 43) すまん。アイデア出すので精一杯だった。今は反省している。 だけどそう考えたらカプ分けの方法も絞られてくるよな。カテゴリで分けずに分類するのって、今のところ題名横に記載するくらいしか案ないし。 -- 名無しさん (2007-05-07 23 43 45) こういった案はここで話し合うのは止めたほうがいいと思う。IDも出ないし、極一部の人間が勝手に決めてるようにも見える。 -- 名無しさん (2007-05-07 23 47 57) IDはわからないけど誰が打ち込んだかはわかるよ -- 管理人 (2007-05-07 23 49 47) カプ分けって決定事項なのか?いつの間に… -- 名無しさん (2007-05-07 23 55 49) うん、管理人さんにはそうでもさ。他の人にはわからない。勝手に決めるな!って人もいるでしょうし。 -- 名無しさん (2007-05-07 23 57 41) 他の人にもわかるよ。なんか混乱しそうだから詳しくは書かないけど そんなに難しいことじゃないです -- 管理人 (2007-05-08 00 03 28) 追記:すいません携帯の人は確かめる術なしです -- 管理人 (2007-05-08 00 04 28) 好き勝手決めてると言うがここで何らかの結論が出てもなんの強制力もないのも事実。転載問題みたいにそこまで切羽詰まってるわけでもないし、話の種の域を出てないだろ。 -- 名無しさん (2007-05-08 00 04 56) まあまったりいこうや(´▽`) -- 名無しさん (2007-05-08 00 08 40) そういや判明してる転載サイトって、めらなんちゃらと古泉一鬼だけ? -- 名無しさん (2007-05-08 00 10 37) どのみち、これ以上まとめをいじると訳がわからなくなるから、 別のwikiか何かにでもカプ分け一覧でも作るしかないと思う。 後は、カプ分け希望の人たちが集まって自力でできるところまでやってみて、 その後公開してみたらどう? 実物を作って見せないとやっぱり説得力が低いと思う。 -- 名無しさん (2007-05-08 00 17 29) たしかに そうだなぁ 難しいな こういうことって -- 名無しさん (2007-05-08 00 54 07) testというページは確認の為に作っているのでどうかお気になさらずに -- 管理人 (2007-05-08 02 18 40) それにしても微笑とか時のパズルとか、あんな複雑なストーリーよく考えつくもんだなぁ。 是非コツを教えてもらいたいね。 -- 名無しさん (2007-05-08 02 27 08) いや時のパズルは元ネタあるから「タイム・リープ by 高畑京一郎 メディアワ-クス」のストーリーをモロパクしただけ 正直ああいうのは好きになれない -- 名無しさん (2007-05-08 06 38 12) ここ数日はGWもあって随分投下もあったけど、これからは落ち着いてくかな。 次のラッシュは驚愕発売後だろうな -- 名無しさん (2007-05-08 06 42 21) さて、ラッシュは来てくれるだろうか…。 -- 名無しさん (2007-05-08 06 50 30) 携帯だが、長編のキョンとハルヒが見れない・・・ -- 名無しさん (2007-05-08 06 59 31) 普通に見れるが -- 名無しさん (2007-05-08 07 10 21) 朝日が眩しい… だからあえて俺は言う。やっぱり長門の回し蹴りだろ -- 名無しさん (2007-05-08 07 35 03) 雑談所行ってSSのURLクリックしてファイルシークで見ると良いかと。 説明下手ですまん… -- 名無しさん (2007-05-08 07 40 27) 時のパズルパクリだったのか… まぁ、面白かったからいいや(ぉ -- 名無しさん (2007-05-08 07 41 45) まとめ一覧に書いてあっただろ。 今さら何言ってんだか -- 名無しさん (2007-05-08 07 48 33) 今更ですまん。出直してくる -- 名無しさん (2007-05-08 08 09 35) 携帯ではメニューから長編いった先のハルヒ・キョン・その他・未分類が見れなかった……。 携帯GoogleでPCサイト検索してここ来たら普通に見れるけど今度は雑談室に書き込めない。 俺はSS用と雑談室用に分けることにしました。 -- 名無しさん (2007-05-08 08 11 42) 自分も携帯だけどなんか長編メニューのページ、タグがまんま表示されててクリック出来なくなってる -- 名無しさん (2007-05-08 10 14 24) 時のパズルはともかく、微笑はそんなに複雑か? 昔からの谷川スレ住人からしてみれば、妄想をSS化してくれたって印象しかない。 しかしファイルシークの文字サイズ少は便利だな。 -- 名無しさん (2007-05-08 10 22 39) 携帯ユーザーはシテクレが多いなw -- 名無しさん (2007-05-08 13 25 00) 携帯から見ているんだが、発言と発言との間に空行が入るようになって見やすくなったな -- 名無しさん (2007-05-08 13 50 52) 確かに見やすくなってるな。ありがたいことです。 -- 名無しさん (2007-05-08 14 20 03) 涼宮ハルヒの微笑イメージ映像 なにこの神 -- 名無しさん (2007-05-08 15 24 37) 宣伝乙 -- 名無しさん (2007-05-08 15 40 54) 昨日は雰囲気が雰囲気だったから言いにくかった…宣伝乙 -- 名無しさん (2007-05-08 16 02 45) 最大サイズ超えで見れない……。友人宅にでもお邪魔することにしよう。さて手土産は何にしようか。 -- 名無しさん (2007-05-08 16 05 24) お前のアナルでいい -- 名無しさん (2007-05-08 16 26 08) アナルだけは!アナルだけは! -- 名無しさん (2007-05-08 16 28 45) わかめでももっていt省略させて頂きました。by喜緑 -- 名無しさん (2007-05-08 17 08 51) ワカメなんて呼んだら喜緑さんが鬼緑さんになって消されるぞ… -- 名無しさん (2007-05-08 17 57 31) 俺PC持ってないんすわ。 ケレド何モ望ミマセン、読メル手段ガアルナラバ。 -- 名無しさん (2007-05-08 18 47 16) 携帯でまとめを見れない人は機種名とメーカーを教えてください。 例)SH902i ドコモ、W41CA AU 出来るだけ多くのサンプルが欲しいのでご協力お願いします -- 管理人 (2007-05-08 18 51 05) 見れないわけじゃないですが超長編になると途中で途切れます。 まぁそんときは諦めてPCで見ますが… ちなみに文字サイズも最小 -- au W43K (2007-05-08 19 46 16) 自分もauですがファイルシークでなら見れますよ -- 名無しさん (2007-05-08 19 49 16) 携帯を持っていない俺は特に反応しない 書き込んでるがなw -- 名無しさん (2007-05-08 20 27 55) auが超長編で切れるのは仕様。容量の関係だわな。 シーク使うか無料PCサイトビューア使えば見れるけどね -- 名無しさん (2007-05-08 20 35 49) サンプルとして役立つのか分かりませんが、SH700i@docomoで途切れるSSがありました。 -- 名無しさん (2007-05-08 20 46 18) 長いのはどの機種でも切れるよ。今言ってるのはそういうことじゃない。 -- 名無しさん (2007-05-08 20 57 20) サイトビューア使えよ ここは携帯サイトじゃねぇんだからさ -- 名無しさん (2007-05-08 21 11 56) auのW43Tです まとめ見れません -- 名無しさん (2007-05-08 21 30 24) すまん……勘違いしてた… だが別に文句を言うつもりではなかったんだ。 -- 名無しさん (2007-05-08 21 52 50) 心配ありません ここの住人はそんなことでは怒りませんよ ね? 古泉的な言い回しを試みる。なんか違う気もしますね。僕探しの旅にでます 「ふんもっふ!」 -- 名無しさん (2007-05-08 22 01 26) うん、言わんとしてる事は分かるし。 管理人さん乙です。参考までに -- SO702i DOCOMO (2007-05-08 22 06 48) 涼宮ハルヒにハマった俺は バック・トゥザ・フューチャー大好き -- ドク・ブラウン (2007-05-08 22 12 12) 携帯から読んで見る事が多いのですが、皆が言うように長編の項目を選んで見ると、見れなくなってますね。 一応、僕はdocomoのN901iから見てます。 参考になるかはわからないのですが、外部リンク集からだと読めますけど、皆はどうかな? 最近の作品は外部リンクの方には反映されて無いみたいだけど、如何なモノなのだろ? 長々と失礼しました。 -- yukiyan (2007-05-08 22 31 29) それは難しいと思う。最近のまでリンクを張っていると…時間が…時間が!はびこるッ! -- 名無しさん (2007-05-08 22 41 15) しばらくはファイルシークなどのビューアを使うしかないな。 -- 名無しさん (2007-05-08 22 44 39) それくらいはしていただきたい。 ちなみに、W41CAは大丈夫(・ω・)/ -- (・ω・) (2007-05-08 23 04 43) すまん。確認すると、長編のハルヒ・キョン・その他が閲覧すら出来んかった……文字の後ろに、URLが出てたわけだが……何なんだ? -- (・ω・) (2007-05-08 23 07 44) 足りない……決定的に長門分が足りない……… このままじゃ長門欠乏症で体が炭化する……… -- 名無しさん (2007-05-08 23 44 50) 俺も誰かから誕生日に誓約書貰いたいよコンチクショー!! -- 名無しさん (2007-05-09 00 03 07) 長門スレへおいでw -- 名無しさん (2007-05-09 00 09 56) 流れぶった切ります。SH700i使ってると書き込んだ者です。勘違いしてたみたいで申し訳ない。携帯サイトのトップページからメニューを選んで長編をクリックすると長編の各分類が出ますが、ハルヒ、キョン、未分類、その他が「404 ページがありません」と表示されます。もう一個の携帯は未確認です。 -- 名無しさん (2007-05-09 00 15 17) 長編のハルヒとキョンとその他と未分類 短編のいじめがリンク不可になってるよ とりあえずこんなかんじで報告しとくよ -- W43H au (2007-05-09 00 17 25) 現行のスレッドや過去のスレッド共々、こうして読みやすく対処してくれる管理人さんや、荒らしとか、そうした様々な言われのない批判にも負けずに投下してくれる作者さん達に、何時も有り難さを感じる今日この頃な僕が居たりする。 だらだら今の話題に関係ない話をしてる自分に悪寒を感じてしまった……ヤバす。 とは言え、実際問題携帯からしか今読むことが出来ない人は切実な問題だな……と感じるけど。 長文サーセンw -- yukiyan (2007-05-09 00 24 48) 重がさねすまん… 今確認したらメニューの長編からはハルヒ、キョン、未分類、その他が見れなかった 更新履歴の方からは入れるみたいだが -- w43Kの人 (2007-05-09 00 34 31) バカップル保守度が行き過ぎww -- 名無しさん (2007-05-09 01 21 39) 長編からのハルヒ、キョンがみれないっすね。うん SH902is -- 名無しさん (2007-05-09 01 25 19) 雑談室温暖化現象が落ち着いたのか? -- 名無しさん (2007-05-09 02 29 22) 二日前に新ページになったのにペース早いな -- 名無しさん (2007-05-09 04 31 10) 早いねー。しかし長編の古泉や朝比奈さんは相変わらずあんまり増えないね。 -- 名無しさん (2007-05-09 04 39 27) ちょい前までは長編のハルヒとキョンが入れなかったのにいつの間にか行けるようになってる 管理人さん乙です -- W43H (2007-05-09 04 57 21) 携帯でまとめを見れないという問題ですが、手元の携帯では閲覧可能になりましたけど、皆さんどうですか? まだ見れない場合は同じく機種名とメーカー、それと異常のあるページ(出来ればURL付)を教えてください -- 管理人 (2007-05-09 04 58 41) 長編古泉はアナルネタも入れたらかなり多い…?いや、そうでもないか アナルネタは古泉視点や古泉主体で始まるやつはあんまり見かけなかったし -- 名無しさん (2007-05-09 06 27 44) まあ、作品量に偏りが出ることは仕方がないだろ。 そんな俺は由良さん分が足りてない -- 名無しさん (2007-05-09 07 20 24)
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ある日、何時ものように長門と二人で部室に居たら… 長門「……好き。」 キョン「へ?」 長門「………。」 キョン「え…ちょっ…エェ…!?」 長門「………。」 黙々とページをめくる長門。 …幻聴か? 長門「幻聴…じゃない。」またとんでもない爆弾を落とす長門。 キョン「へ…!?」 キョン「ちょ…ど、どして?」 長門「………。」 黙ったまま本に眼を向けてる長門。 キョン「お、おい…長門…?」 長門は静かに立ち上がり、読んでた本を俺に手渡す。 タイトルは…小恥ずかしくて口には出せない。恋愛小説だ。 長門「…読んで。」 そう言って部室を去る長門。俺はその場に立ち尽くした…。 その後、俺はどうやって家に帰ったか覚えてない。 いつの間にかベットで仰向けになって呆けていた。 お袋が夕飯が出来たと呼ぶが食う気になれない。 俺は一言いらないと告げ、また仰向けになって呆ける。 机の上には恋愛小説と長門の名前が書いてある栞。 キョン「…。」 思えばSOS団初期からの付き合いだよな長門とも。 キョン「……。」 無表情、無感動、無感情の…人造人間。 いや、人造でも長門は人間だ。 誰かを好きになってもおかしくない…はず。 キョン「…俺だって、長門は嫌いじゃない…。」 だが後一歩を踏み出せない。 どーにでもなれ。 俺はその日はふて寝した。 不覚にも早朝6:00に目を覚ます。 学校に続く坂を歩きながら(まさかこんな理由で余裕をもって登校するとは)長門の事を考えていた。 これが余程ハルヒ達の仕掛けたドッキリならと何度も考えた。 キョン「…何で律義に学校来てんだ俺?」 休めば良かったじゃないかと後悔するが、文字通り後悔先に立たず。 既に我が学びやは目の前だ。俺は溜息混じりに校門をくぐる。 放課後 何て時は無情で残酷だろう。間違いなく気のせいだが、今日は通常の3倍で時間が進んだんじゃないか?それかどっかの神父が時を加速させたか?…んなわけない…昨日から俺は動揺しすぎだ。 キョン「…きっと来てるよな…長門。」 俺は重い足取りで部室に向かう。 部室に入るとハルヒに朝比奈さんに、古泉…それに長門もやっぱり定位置にいた。この部室の備品の如く何時もの姿勢で何時もの様に本を読んでる。 ハルヒ「ちょっとキョン、遅いわよ!」 うっせー、人の気も知らないで。 今日もハルヒの思いつき騒動に引っ張り回される。 何時もなら迷惑この上ないが今日だけは感謝したい。引っ張り回されてる間は長門との事を考えずに済んだ。 …ああ、『逃げ』だよ。 俺は今、誰がどうみても間違いなくヘタレ街道まっしぐらだ。 分かってんだ。いずれ答えを出さなきゃいけないって。 朝比奈「疲れましたね~。ではお先に帰ります~。」 古泉「では僕も、バイトがありますから。」ハルヒ「今日も成果無し…行動パターンを変える必要がありそうね…。」 ハルヒの暴走の後始末・尻拭いを終わらせ、朝比奈さん、古泉、ハルヒが部室を後にする。 キョン「さて…俺も帰るか。」PC研究会から掻っ攫ったパソコンをシャットダウンし、鞄を持った所で気付く。 長門が真後ろに立っていた。 キョン「うぉっ!?」 長門「…。」 キョン「…な、何だ長門?」 長門「…本…読んだ?」 以前にもしたような会話…あの時はSF小説だったか? キョン「…悪い、まだ読んでない。」 同じような返事。 長門「…読みたくなったら…読んで。」 …前とは違う。命令調ではなく、あくまで俺が自発的に読むのを待つ言葉…。 そしてスタスタと速足で部室を出る。 キョン「…なが…」俺が呼ぼうとした時、部室には俺と俺の影しかいなかった。 自宅に戻った俺は、今度はベットに俯せになり頭を抱えていた。 キョン「…何でだよ…。」俺は恨めしげに机の上の恋愛小説を睨んだ。 キョン「何で決心出来ないんだよ…。」 何時までも答えが出ない。俺の思考はメビウスの輪状態だ。 また夕飯も喉を通らない。俺は夜中の3:24頃、ようやく睡魔に負けた。 次の日が日曜だったのは幸いだった。 翌日 AM9:07 水音が俺の意識を覚醒させた。 俺は重い身体を持ち上げ、窓を見上げた。 外は雨が降っていた…。 どういう風の吹き回しか、俺はおもむろに長門から渡された恋愛小説を手に取る。 キョン「……!」最初のページを開いてすぐに止まる。長門の栞が挟んであった。本の最初のページに栞を挟むのは貸すときに良くするが…。 俺はまさかと思いながらも栞を手に取る。 手に取って後悔する。 ハルヒ『栞に有希が何か書いてるって期待したの?あんたって本当に単純ね!まぁそこそこ楽しめたわ。気付いてるでしょ?これはドッキリよ!!』 …と書いてあったらどれだけ笑えただろう。残酷だぜ神様?あんたに俺が何をした? 栞には、長門の綺麗な、パソコンのような文字で 長門『18:00、あの公園で待ってる』 と書かれていた。 それが意味する事は一つ。長門は俺が来なかった日も公園で待ってたという事だ。 下手すりゃ、この雨の中も…? 俺は大慌てでパジャマを脱ぎ私服に着替え、お袋や妹の制止を振り切り傘もささずに家を出た。 時間はまだ午前中。だが、俺は待ってられなかった。 息を切らせ、ずぶ濡れで公園に辿り着くと、水色の傘をさして、見慣れた制服姿で長門が立っていた。 キョン「…何時から待ってた?」 ずぶ濡れの俺を、自分の傘に入れる長門。ちょうど向かい合う感じだ。 長門「…30分前から…今日は休みだから…時間を有効活用しようと思った。」 無表情だが、何故か眼が泳いでた。俺を直視しない。 キョン「また来ないかもしれなかったぜ?」長門「…問題無い…多分。」 多分、か。長門もやっぱり不安だったのか?そう、今更だが俺の心は決心がついていた。俺は長門が好きだ。きっと好きなんだ。 なら…言葉にすれば良いじゃないか。 キョン「…なぁ、長門…。」 長門「…何?」 僅かに、僅かに赤く染まる顔。 可愛いじゃねぇかチキショウ。 キョン「…俺は、俺は長門…お前が好きだ…。」 長門「……。」俺を真っ直ぐ見つめる瞳。 キョン「…俺と付き合ってくれるか?」 長門「………////」コクリと頷く長門。俺は彼女を抱きしめた。 傘が地面に落ちて、俺は長門の唇に… キョン「…という夢を昨日見た。」 古泉「…夢分析ならフロイト博士に相談して下さい。」 キョン「…冷たいな。」 古泉「専門外ですから。」爽やかに突き放すなコノヤロウ。 キョン「……。」 古泉「あ、間違っても涼宮さんに話さないで下さいね?また閉鎖空間創られたら迷惑ですから。」 誰が話すか。 キョン「……長門…。」 今日も彼女は本を読んでる。 END
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キョンとキョン 一章 キョンとキョン 二章
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ある日の事だ。 朝、目が覚めると俺に犬耳と尻尾が生えていた・・・ なんじゃこりゃーーー!! その日はいつもより早く目が覚めていた俺は朝一番で文芸部室に駆け込んだ。 そこには長門と古泉が朝も早くから待っていた。 長門はじーっと俺を見ている。 なんだ? 「とってもユニーク」 「これもハルヒがやったのか?」 「そう見て間違いないでしょう。今回は「キョンはあたしの言う事を聞かな過ぎる!!キョンが犬だったらあたしの言う事を聞くようにするのに!」と考えたようですね」 なんてこった・・・ 今度は、どうすりゃいいんだ?」 「そうですね。長門さんはどう思われますか?」 「涼宮ハルヒはあなたと口ケンカすることを楽しんでいる傾向がある。だから言う事をずっと聞いていれば物足りなさから事態は解消されると推測される」 「という訳なので、その様にして下さい」 「あぁ、分かったよ。ハルヒに躾られるのは勘弁だからな」 「優しくしてくれるかもしれないですよ?」 「微妙にイヤらしい言い回しをするな!!」 仕方なく俺は教室へ向かった。 あぁ、クラスメイトの視線が痛い・・・ 「ちょっとキョン、なんなのそれ?」 「見ての通り犬耳だ」 「触ってもいい?」 ざけんなと思ったがさっきの長門と古泉の言葉を思い出す。 「あぁ、どうぞ」 さわさわ 「ちょ、これひょっとして本m「ちょっと来ーい!!」 俺は慌ててハルヒを中庭に連れ出す。 「な、何なのよ?」 「いや、なんとなくだ」 「はぁ?バカじゃないの?」 「あぁ、バカだ」 「はぁ、もういいわ。喉が渇いたからジュース買ってきて」 「あぁ、果汁っぽいのでいいんだよな?」 「あんた、今日はやけに素直ね?」 「そうか?いつも、こんなだと思うが」 「そうかしら?いつもならもうちょっと突っ掛かってくるじゃない」 「いや、そんな事ないだろう。俺は至っていつも通りだ」 「まぁ、いいわ。さっさと買ってきてちょうだい」 「おう、行ってくる」 自販機に向かうとそこに古泉が立っていた。 「何か用か?」 「はい、涼宮さんはもうかなりの物足りなさを感じています。あと少しですから頑張って下さい」 「はいはい」 古泉にそう返すとジュースを買いハルヒの元へ戻った。 「遅い!!罰として今日は昼御飯奢りなさい!!」 戻ったらそこにはプンプンハルヒさんがいた。 「あぁ、分かったよ。ほれジュースだ」 俺はジュースをハルヒに手渡した。 いつもの俺なら流石にもう文句の1つでも言っているだろう。 しかし、実はさっきから意識せずに一連の行動をしているのだ・・・ これが、躾というものなのだろうか? そして昼休み 「さぁ、キョン学食へ行くわよ」 と言ったハルヒにズルズル引きずられ学食へと到着した。 「で、何を食うんだ?」 「出来れば千円するセレブランチを奢らせたいけど、今日はカツ丼でいいわ」 そんな怪しいメニューが存在したのか・・・ 「分かった。じゃあ買ってくるな」 俺は食券の自販機でカツ丼の食券を2枚買い、それをカウンターで出しカツ丼2つを受け取りハルヒの待つ席に戻った。 「ほい、お待ちどうさん」 「ありがと、さぁ食べましょ!!」 「あぁ」 そう言ってカツ丼を食べ始めた。 カツ丼を食べながらハルヒと雑談していると突然俺は体の感覚が無くなった。 「ちょっと、キョンどうしたのっ!?なんか答えなさいよ!!」 駄目だ・・・体に力が入らん・・・どうしたんっていうんだ? そこで今の自分の状況を思い出す。 ……まさか、犬になったからネギを食っちゃマズかったのか? 「キョン!!キョン!!ねぇ、なんとか言ってよ!!」 ハルヒ・・・なんで泣いてるんだ? そう疑問に思いながら俺は意識を失った・・・・ 俺が目を覚ますとすっかり日が暮れていた。 ここは保健室か、俺はどれ位気を失っていたんだ・・・ しかし体が重いな・・・どうなってるんだ? と考えていたら見覚えのある顔が立っていた。 「どうやら、目が覚めたみたいですね。あなたは突然気を失うわ、涼宮さんはパニックを起こして閉鎖空間を大量発生させるわで大変だったんですよ」 「そうか、迷惑掛けたな・・・スマン」 「いえいえ、今回の事は完全な事故だと認識しています。ですからあなたにも涼宮さんにも非はないでしょう。ですよね?長門さん」 「そう。私は事前にこの事態を把握出来なかった。許して欲しい」 「事故だったんだからしょうがないさ。長門も気にするな、俺は怒っちゃいない」 「ありがとう」 「まぁ、結果オーライじゃないですか。今回の事態もどうやら終息したようですし」 「ん?どういうことだ?」 「あなたの愛くるしい耳が無くなっていますよ」 俺は一瞬背筋が寒くなった・・・今はそれを気にしている場合じゃない。 俺は恐る恐る自分の頭を触ってみた。 あ、ほんとに耳が無くなってる。 「どういうことだ?どうしていきなり耳が消えたんだ?」 「これはあくまで推測ですが、涼宮さんはあなたの耳が本物であなたが本当に犬になったと思った。 そしてその耳を着けたあなたがネギを食べて倒れたと思い咄嗟に「キョンは人間なんだから!!犬じゃないんだからネギを食べて死ぬなんてありえない!!お願いキョン、死なないで!!」と願ったのでしょう」 古泉のハルヒの声真似のキモさはこの際おいておこう。 「そうかい。じゃあそういう事にしておこう」 「相変わらず素直じゃないですね」 「何が言いたい?」 「男のツンデレカッコ悪い」 長門の一言が俺の心にクリーンヒットした・・・ 「長門さん、幾らなんでもそれはストレート過ぎですよ」 「そう」 「で、でだ!あの団長様はどこに居るんだ?」 「随分打たれ強くなりましたね。涼宮さんならあなたの上で寝てますよ」 へ?今こいつなんて言った? 俺の上?そんなのありえないだろ!! と思いつつ俺はそーっと掛け布団を捲ってみた。 そこには、俺の上でぐーすか寝てる団長がいらっしゃった!! 「パニックを起こした涼宮さんを止めるために長門さん特製の睡眠薬を盛らせてもらいました」 「この睡眠薬を飲むと朝までは何があっても起きない」 「そうか。で、俺はどうすればいいんだ?」 「朝まで此処で寝るといい」 「ちょ、幾らなんでもそれは!?」 「では、後はお任せしますね。さぁ、行きましょう長門さん」 「お、おい。行くn「じゃあ」 そう言って二人は出て行った。 おいおいどうすんだよ・・・これは流石にマズイだろ。 と思ったが能天気に眠るハルヒの顔を見ていたらどうでも良くなった。 ふぁ、俺も眠くなってきたので寝るとしよう。 じゃあな、おやすみハルヒ・・・ fin
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雑談室へ 雑談室過去ログに戻る 過去ログ141ロック完了。 -- 管理人 (2008-05-25 21 03 02) お疲れ様です! 1げっつ -- 名無しさん (2008-05-25 21 06 16) 2ゲット 管理人さん乙 -- 名無しさん (2008-05-25 21 07 21) お疲れさまです! 2げっと -- 名無しさん (2008-05-25 21 15 35) ↑違ったw -- 名無しさん (2008-05-25 21 15 59) 3ゲット 初の一桁www 管理人さん乙です てゆか・・・今まで3回ぐらい一桁ゲットの機会逃してた・・・ -- 名無しさん (2008-05-25 21 21 52) 久々一桁ゲット。管理人さん乙です! -- 名無しさん (2008-05-25 21 36 46) 8・・・? まあどうでもいいや・・・ 管理人さん、乙です -- 名無しさん (2008-05-25 21 38 02) 管理人さん乙です -- 名無しさん (2008-05-25 21 39 16) まもなく驚愕発売延期一周年!! めでたいです -- 名無しさん (2008-05-25 21 59 38) 驚愕かー、陰謀とか分裂みたいなぐだぐだクオリティで出版されるのだけはイヤだなー まぁ、どんなに酷評されても買うけど… -- 名無しさん (2008-05-25 22 14 41) 出さないことが驚愕の内容じゃね? -- 名無しさん (2008-05-25 22 15 47) ひまわりキター!! -- 名無しさん (2008-05-25 22 25 29) ひまわり、よかった! -- 名無しさん (2008-05-25 22 53 41) 一番面白いSSはなんですか? -- 名無しさん (2008-05-25 23 00 00) ↑ それは色々なSSを読んで自分で決めるんだよ。 私の選んだ人にひまわりに、今日は豊作だなw -- 名無しさん (2008-05-25 23 03 44) ミサトの正体に気付いていた俺は 勝ち組 -- 名無しさん (2008-05-25 23 09 59) ミサトの正体に気づいていた俺は勝ち組 -- 名無しさん (2008-05-25 23 13 47) 最近良作多いけど推薦サイトで推薦したほうがいい? みんなやってる? -- 名無しさん (2008-05-25 23 16 12) ↑自分はしてないが良く覗いてる。 あんま増えてる感じしないな -- 名無しさん (2008-05-25 23 24 23) 推薦してるけれど、あまり使われていないよね。 数が増えて良作も埋まっちゃうからなるべく推薦に登録した方がいいよね。 ひまわり登録してくるw -- 名無しさん (2008-05-25 23 27 35) ↑11 え、陰謀ってそんな酷評されてんの? 俺的にはベスト5に入る面白さなんだが……。 -- 名無しさん (2008-05-26 01 20 18) ベスト5って何気に広いな -- 名無しさん (2008-05-26 01 39 49) ↑なんか桂あやめが今日TVでそんなネタやってたw -- 名無しさん (2008-05-26 01 59 24) さっき推薦で自分のSS見付けてベッドの上でジタバタした俺キメェ -- 名無しさん (2008-05-26 02 57 09) パラレルデイズのチャプター3来てた!良かったよ。 やっぱ俺はハルキョンが一番好きだ -- 名無しさん (2008-05-26 03 17 03) 約一年ぶりにここに来たが良い感じに盛り上がってるのが嬉しいよ…良作も多いし 今いる人はほっきょうとか分かるのかな? -- 名無しさん (2008-05-26 04 37 25) みんなうんこもらせ とかなWWW -- 名無しさん (2008-05-26 07 28 48) ↑×2 最近、ほっきょうSS来たばっかだよ -- 名無しさん (2008-05-26 07 42 23) パラレルのハルキョンが非常に好みです。GJ! ハナミズキも良かった。 この前の少年〜といい、ハナミズキな古ハルブームなのかな。好きだからいいけど。 -- 名無しさん (2008-05-26 08 43 03) 私の選んだ人さ…ちょっと無駄な文章多すぎないか? -- 名無しさん (2008-05-26 09 38 42) やりすぎましたか…やはり。少し手直ししてみます。ご意見サンクス! 他のコメントして下さった方々も感謝~! -- 私の選んだ人作者 (2008-05-26 11 31 30) 古ハルブームか・・・ 佐々キョンブームはいつになったら来るのだろうか・・・・・・ -- 名無しさん (2008-05-26 13 27 31) ブームか?w 最近は長門さんが大活躍してる感じがするけども -- 名無しさん (2008-05-26 15 03 22) ヤモリが徘徊する季節になったなぁ -- 名無しさん (2008-05-26 15 12 15) 最近のSSは酷いな。作者の頭の弱さを露呈してるとしか言えない… 良く言えば読めなくはない、悪く言えばイチイチSSにするほどじゃねーよ、って感じかな -- 名無しさん (2008-05-26 18 15 49) ↑ そこは広い心で観てあげようよ -- 名無しさん (2008-05-26 18 30 24) ↑2 まあまあ、それなら自分で傑作を作れば万事OKさ。 -- 名無しさん (2008-05-26 18 37 33) ↑3 ならば君が思う良作SSを教えてはくれまいか? -- 名無しさん (2008-05-26 18 46 23) 今のところバカ長門が頂点だと思う。作者何者だよ -- 名無しさん (2008-05-26 18 55 17) wwwwww激しくワロタwwwwwwwwww -- 名無しさん (2008-05-26 18 59 43) ↑2 いや、むしろ「たった一つの方便」が(ry -- 名無しさん (2008-05-26 19 47 34) 私の選んだ人いいわー。 確かにキョン視点の部分は結構流し気味に読んじゃったけど、森さんパートは胸が苦しくなりながらじっくり読んだ。 続き楽しみだけど、終わりが近づくのも惜しいな -- 名無しさん (2008-05-26 19 59 31) とりあえずFFXは感動した -- 名無しさん (2008-05-26 20 49 36) ↑5 フツーの無職だよ。 あー、仕事探すのだりぃ…… -- 名無しさん (2008-05-26 20 58 27) ↑クレヨンしんちゃんの脚本でも書けば? -- 名無しさん (2008-05-26 21 04 28) なぜwww書けるなら書いてるわい。 -- 名無しさん (2008-05-26 21 24 10) ↑ニコ動でも何でもイイから、映像化してほしい -- 名無しさん (2008-05-26 21 31 33) 画像はどうする -- 名無しさん (2008-05-26 21 37 29) 京兄ちゃんに頼む -- 名無しさん (2008-05-26 21 52 35) 8話、自分でも読み直してみて本気で酷いと思った・・・修正。キョンパート過積載でした。まとめ直投下なのに、ホント済みません。読み飛ばして頂けた方に感謝。言ってくれた方にも改めて感謝。 -- 私の選んだ人作者 (2008-05-26 22 20 02) なんで直投下なの? -- 名無しさん (2008-05-26 23 38 58) ↑最初は知らずに直投下で始めてしまい、まとまった時間が取れないのもあり、今までズルズルと。良くない事なんでしょうけど……。 -- 私の選んだ人作者 (2008-05-27 00 38 29) ↑ まあ、私の選んだ人は長いからね。時間も無いんだったらかまわないんじゃないかな。 それよりも続き待ってるよ! -- 名無しさん (2008-05-27 00 44 21) ひとつ聞きたい。ここの常連さん達に水曜どうでしょうファンは居るだろうか? -- 名無しさん (2008-05-27 01 03 57) 今日発売の(正確には昨日)単行本、涼宮ハルヒちゃんの憂鬱1巻を買おうと思い近くの書店に行ったら、 もう売り切れで置いてなかったorz 発売初日で売り切れってありえなくネ? まあ第1巻だから様子見で仕入れが少ないのだろうけど、楽しみにしていた分かなりショックorz この悲しみ一体何処にぶつければ・・・ -- 名無しさん (2008-05-27 01 17 33) ●<僕のアナルにぶつけるんだ!さあ早く! -- 名無しさん (2008-05-27 01 31 15) ↑3 ナックスファンではあるが水曜は見たことない -- 名無しさん (2008-05-27 01 37 24) ほっきょう -- 名無しさん (2008-05-27 02 47 30) ↑4 俺は25日に買いに行ったがその時点ですでに残り3冊しかなかったからなぁ。しかも一軒目に行った店ではすでに売り切れだったし…。発売日前日にこんな感じだったからけっこうみんな買ってるんじゃなかろうか。 -- 名無しさん (2008-05-27 02 50 27) ↑3 なんと…!どうでしょうではなくナックス…! いや実はどうでしょうファンが多かったらハルヒ達にどうでしょう班の名セリフ喋らせてみようかなとか思って。 -- 名無しさん (2008-05-27 03 01 42) ↑ どうでしょう×ハルヒのクロス みたいwwww -- 名無しさん (2008-05-27 03 05 47) ↑×7・↑×3 実際は23日から並んでたぞ。 アキバでとてつもない量が陳列されてた。 -- 名無しさん (2008-05-27 03 44 42) 妖怪アンテナってそゆことだったのねw -- 名無しさん (2008-05-27 14 59 27) ほっきょう -- 名無しさん (2008-05-27 16 47 27) 新・孤島症候群はこれでおしまいか 楽しめたよお疲れさん!! -- 名無しさん (2008-05-27 16 54 01) なんの脈絡もなくほっきょうとかいうやつってなんなの? -- 名無しさん (2008-05-27 18 59 00) ↑ほっきょうからの使者 -- 名無しさん (2008-05-27 19 31 36) beyond of SuzumiyaHaruhiが怖すぎだぜッ!! お兄さん思わずちびりそうになっちまったYO!! -- 名無しさん (2008-05-27 21 39 02) ↑↑ あるあ……ねーよwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww -- 名無しさん (2008-05-27 22 07 25) ↑4 同じやつが言ってるのは確かだ。 -- 名無しさん (2008-05-27 23 16 30) ほ(ryと言えば… 最近はあの方の登場回数がめっきり減ったなw -- 名無しさん (2008-05-27 23 20 10) ↑ M<気づいてくれて嬉しいよ。 ドナルドは嬉しくなると、つい新・孤島症候群と団活を褒めちゃうんだ☆ -- 名無しさん (2008-05-27 23 30 52) ↑mmmマグリスは驚愕一周年記念にハッピーセットをおもちゃ抜きでって頼んでみようと思ってるんだ☆ -- 名無しさん (2008-05-28 00 13 14) ↑グリマスなw -- 名無しさん (2008-05-28 00 31 40) ↑4 鬼道丸「よんだ?」 -- 名無しさん (2008-05-28 02 11 07) 今日、本屋行ったらハルヒちゃんの憂鬱普通に売ってて買ってきましたよ。 で…読んで見たんだけど、あれ…? なんかここのSS読んでるのと同じ様な気分だ……www -- 名無しさん (2008-05-28 02 55 39) ハルヒとどうでしょうのクロスの件だが出来そうにないので 自戒の意味をこめて一人で深夜の四国八十八ヶ所巡りに行ってくる……。 -- 名無しさん (2008-05-28 03 24 04) ↑ 乙w ところで、ハルキョンで北校卒業後の話や夫婦物で有名な物を除いた、掘り出し物的なSSってないかな? こんな条件だと検索でも見つけにくくて。 -- 名無しさん (2008-05-28 03 43 29) ↑ニート -- 名無しさん (2008-05-28 07 04 03) ↑すまない、おれ自身に言ってる訳じゃないよな? それにハルヒニートと無職はもう読んだんだ。すまん。 -- 名無しさん (2008-05-28 08 14 20) ↑3 甘いやつでもいいの? -- 名無しさん (2008-05-28 11 28 33) ↑むしろ望むところです。 -- 名無しさん (2008-05-28 12 22 52) キドウマール…(´・ω・) -- 名無しさん (2008-05-28 18 16 01) ↑まぁまぁ 読んでくれないからって、そう落ち込むなよ -- 名無しさん (2008-05-28 18 19 33) ↑×読んで ○呼んで じゃね? -- 名無しさん (2008-05-28 18 51 07) ↑いや、『忍劇』を読んでほしいんだろうなぁって思っただけ -- 名無しさん (2008-05-28 19 02 21) ↑5 ハルヒが顔に怪我しちゃった保守 キョンとハルヒの入院生活 これは読んだ? -- 名無しさん (2008-05-28 19 18 56) 長門の歌声は米軍の新兵器の域に達している!やっぱり歌声は面白いなw -- 名無しさん (2008-05-28 19 41 02) 歌声期待 -- 名無しさん (2008-05-28 21 20 16) 修学旅行先から歌声乙 -- 名無しさん (2008-05-28 22 41 12) 携帯版避難所に行くと「べっかんこのURLが変わりました」て出るけど、今のままじゃみれなくなるの? -- 名無しさん (2008-05-28 22 53 14) Wikipediaの戰艦長門のページ読んでガチで泣いた 戰艦長門かっこよすぎるだろ、未読の方はぜひ それから、谷川も庵野も戰艦好きなんだな(蒼龍は空母だけど) 関係ない話でスマソ -- 名無しさん (2008-05-28 23 52 33) ↑×6 ハルヒが顔に怪我しちゃった保守は見たこと無いな。 読んでみるよ。ありがとう。 -- 名無しさん (2008-05-28 23 58 29) トップ画…キョン子と一姫だ… -- 名無しさん (2008-05-29 00 21 46) ほっきょう -- 名無しさん (2008-05-29 01 55 29) ハルヒで沈黙の艦隊ネタが見れるとはwww -- 名無しさん (2008-05-29 02 17 26) てか饒舌な殺人者の作者はどんだけドMなんだwww 俺的には饒舌の設定は好きな感じだし朝倉とキョンのカプも好きだから楽しめたけどねw ドMな作者GJ!www -- 名無しさん (2008-05-29 03 40 22) ↑×5 『ブレイクスルー倦怠期』なんかとても甘いです. おすすめ. -- 名無しさん (2008-05-29 16 51 57) 〉饒舌な殺人者の作者様 〜飛ばしてきた 「IIHSOHETIKIINNUKNOYKAHIHSATAWODEKIIHSREUAHIHCOMIK」 朝倉は〜 の部分で、RとEが逆になっていると思います。 -- 名無しさん (2008-05-29 18 16 32) ほっきょう -- 名無しさん (2008-05-29 20 14 39) ↑ いい加減にしろ -- 名無しさん (2008-05-29 23 22 57) 饒舌乙 -- 名無しさん (2008-05-29 23 35 54) なんというベイツサーカスwwwwww -- 名無しさん (2008-05-29 23 58 01) ↑3過剰反応すんなよ ↑4あんまりやってると100越えで検索不能になっちまうから控えれ -- 名無しさん (2008-05-30 06 54 36) 国木田せつねぇ -- 名無しさん (2008-05-30 07 23 54) 原作冒頭ばっか でもいい -- 名無しさん (2008-05-30 07 52 58) 国木田朝倉が好きな俺には作品があるだけでも嬉しい -- 名無しさん (2008-05-30 08 10 29) ゆううつ妖魔夜行って原作の内容まんまのように見えるけどどこか違う箇所あるの? -- 名無しさん (2008-05-30 12 01 39) 妖魔夜行っていうラノベがだね おや、誰か来たみたいだ -- 名無しさん (2008-05-30 12 44 05) 国木田イイヨーイイヨー -- 名無しさん (2008-05-30 16 37 29) ナwwwガwwwアwwwサwwwww いいぞもっとやれ! -- 名無しさん (2008-05-30 18 08 04) オモロー! -- 名無しさん (2008-05-30 18 18 01) 初心者なもので、質問よろしいでしょうか? 「涼宮ハルヒのゆううつ 妖魔夜行ver.」の作者なのですが、妖魔夜行を知らない方も多いと思いますので、 全文掲載後にあとがき(ネタばれ)を付け加えてもよろしいのでしょうか? -- 名無しさん (2008-05-30 18 34 22) ↑おk。妖魔夜行しらないんだ。たのむ -- 名無しさん (2008-05-30 18 44 22) これぞまさにシュールでオモローwww -- 名無しさん (2008-05-30 18 55 45) 世界のナガアサwww烈しくオモローwww -- 名無しさん (2008-05-30 19 41 23) 長朝とは小粋なwww -- 名無しさん (2008-05-30 19 52 14) 妖魔夜行は俺の中学時代のバイブル。今は京極道。 -- 名無しさん (2008-05-30 20 11 21) 妖魔夜行って全然知らなかったけど興味を持った。ありがとう。 -- 名無しさん (2008-05-30 20 14 33) 初めての投稿なので、読みづらかったりするかもしれません。 ご指摘いただけると助かります。後書きのネタばれ部分は反転してみました。 それでは失礼いたします 敬具 -- ver.妖魔夜行 作者 (2008-05-30 21 08 09) ↑2 今回SSを書いてよかったと思えました。ありがとうございました。 -- VER (2008-05-30 21 09 44) 原作と同じシーンとかはあえて詳細を省いて肝心のポイントだけに留めるとかの方が良かったと思う。 そもそも二次なわけだから、原作のストーリーをなぞるにしたって殆どそのままだと読む方も面倒になる。すっ飛ばして各勢力の話になったってみんなストーリーは知ってるわけだから。 -- 名無しさん (2008-05-30 22 54 14) 懐事情の続きが読みてー -- 名無しさん (2008-05-30 23 27 05) ↑ありがとうな。がんばって終りまで書くよ。ちなみに歌声も俺が書いた。 -- 名無しさん (2008-05-31 01 16 27) タツノコVSカプコンに出てくるキャシャーンの声を古泉がやるって聞いて噴いた。 -- 名無しさん (2008-05-31 05 31 38) ↑4 そうですねえ・・・ 第一話~第二話は特に冗長という印象があるかと思いますが、読むときの違和感がでるのを期待したという面がありまして・・・ 知っているのとどこか違うぞ・・・というのを期待した次第です。 うまくできなかったのは力量不足ですね。申し訳ない。 -- 名無しさん (2008-05-31 06 11 43) ↑語りたいなら避難所のほうがいいよ -- 名無しさん (2008-05-31 06 50 24)
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「ちょ、ちょっと・・・・なに泣いてんのよ!」 ・・・・・・・俺は泣いているのか? 毎日繰り返される、何の変哲も日常。たまに変なことに巻き込まれたりもするが今日はその類ではない。普通、極々普通の日。いつものように、ただ学校に行き、授業を受け、部活に参加する。変わったことなどなかった・・・・・ 自分の意識下ではなく涙が頬を伝わっていく。悲しいのか俺は? なんだ?なに泣いてるんだ、俺は・・・・・・・・・ 「キョン!今日も部活に来るのよ!」 俺の席の後ろから話しかけてくる団長は、ちなみに授業中ですよ?ハルヒさん、俺が部活・・・・・団活を無段で欠席したり辞めようとしたことなどないにもかかわらず、毎日同じ台詞を3回ははいてくる。なにも別にそこまで釘刺さなくたって・・・・ 「ハルヒ、俺が1度だってぶかt・・・団活を理由もなしに休んだことがあったか?」 「・・・ないわ!」 「ならいいじゃないか、そこまで来い来い言わなくても」 「どうだか。私が言わなかったら有希やみくるちゃんをデートに誘うんじゃないの?それとも阪中さん・・・・鶴屋さんとか?」 はぁ・・・・なにを言ってるんだか、こいつは。俺にそれだけの度胸がある訳ないだろ でも団活を休んでデートか・・・・・・悪くないかもなぁ 「・・・・・・・・・・・エロキョン」 おぉっと、いかんいかん。想像が顔に出ていたようだ 「あのなハルヒ、俺にはそんな度胸はない。それに団活はそこそこ楽しいから、そこまで言わなくたって自主的に参加するさ」 これは紛れもない事実で、最初は俺だって面倒くさいと思ったが、最近のこいつの笑顔を見ていると、そんなことも感じなくなっていった 「絶対だからね!」 そう言い残すとプイッと窓の外を眺めだした ・・・・・・・・・あぁ教師の非難の目が痛い、だから授業中だっての 「ハルヒ、悪いが掃除当番なんだ。先行っててくれ」 授業もスリープモードに入れば早いもので、既に帰りのHRが終わっていた ここ最近はハルヒも授業が終るや否や教室を飛び出し厄介ごとを抱えて団室に登場なんてことも少なくなっていた 故に、稀に・・・・よく・・・・・ほとんど・・・・・いや、毎日一緒に団室に参上仕っていた 「おやおや、今日もご一緒ですか。まことに仲がいい事で・・・・もしかして付き合っt」 古泉は死んだ 「ななななななにバカなこと言ってんのよ!面白くない冗談言ってると格下げよ!」 「ふぇ~涼宮さん、古泉君がぁ~」 「・・・・・・え?」 ハルヒにストレートパンチを喰らった古泉が目の前に転がっていた 「ど、どうしたのよ古泉君」 いやいやいやいやいや、お前がやったんだろうがぁ 「古泉一樹は突然の衝撃により気絶しているだけ」 解説ありがとう、長門よ。 「そう・・・・・なんで気絶してるの?」 いやいやいやいやいやいやいやいやいや、だからお前が・・・・もういいや その後、目を覚ました古泉が、一応ということで朝比奈さんを付き添いに保健室へと消えていった ・・・・・手出したら殺すぞ 「本当に掃除当番なの?サボって遊びに行くんじゃないでしょうね!」 つい、この間の出来事を思い出していた俺になにやらぎゃぁぎゃぁハルヒが言ってた 「だから言ったろ?俺は好きなんだよ」 「なななななななななななにバカなこと言ってんのよ!」 これ聞いたの2回目か?顔が真っ赤ですよ、ハルヒさん 「なんだ?SOS団を好きになっちゃいけないのか?」 「え?あぁ・・・・・もう、いい!さっさと終らせてちゃっちゃと来い!」 本当わけのわからん団長だこと。なに怒ってるんだか・・・・・俺、なんかしたか? 「鈍感」 ・・・・・・・な、長門? 掃除なんてものはグループの6人でやってしまえばさっさと終る・・・・・・・・ものだったのだが なんでグループの3人も同時に休むんだ!しかも2人もサボりやがった・・・・誰の陰謀だ? 結局、俺1人でやるには相当の時間が掛かってしまい、40分掛けてやっとこさ終った ・・・・・・・さて団活に参加せねば古泉が2度目の死を向かえかねんな この季節ともなれば4時には日が傾き始め5時には綺麗な夕焼けが拝める 傾き始めの太陽と夕日の中間ぐらいの日の光を浴びる、本館と旧舘をつなぐ渡り廊下を、俺は少し早歩きで進んでいった 我がSOS団の団室の前に到着し、ドアをノックしようと・・・・いや、これだけ遅れれば朝比奈さんの生着替えをうっかり見てしまうこともないだろう、っと考えつつドアノブに手が伸びていった 「で!どうなの、有希、みくるちゃん!」 ハルヒだ。なにやら長門と朝比奈さんに問いかけ・・・問い詰めてるようだ 「ふぇ~私はぁ・・・・・」 「・・・・・・・・・・・・」 「なによハッキリしないわね!どう思ってのよ、キョンのこと」 ・・・・・・え?俺の・・・・こと? 「好きなの?嫌いなの?ハッキリしなさい!」 なんの話だ?俺を好き、嫌い?・・・・・・意味がわからん ふぇ~キョン君なんて私の胸ばっかり見てて気持ち悪いですぅ 私のことを守るといいながら1度も守られたことがない。優柔不断。私はそういう人は好かない ・・・・・・・・・なんて言われたら首吊り用の紐を捜さざるを得ないな 「おいおい、なんの話だ?」 これ以上聞いてられなくなった俺は、意を決してドアを開いた 「ちょっと、キョン!遅いじゃない」 「すまん、掃除が長引いて・・・・・それより何の話だ?」 「何でもいいでしょ!・・・・・で、みくるちゃん。どうなの?」 「ふぇ~」 さっぱり訳がわからん。朝比奈さんはハルヒに迫られっぱなしだし、長門も珍しく本を読まず2人をジーっと見つめている 「おい、古泉。なにがあったんだ?」 相変わらずのニヤケ顔で女性陣のやり取りを見ていた古泉が俺の問いかけに気づき、俺を見てくる ・・・・・・・・・何故ニヤケ度が30%増しするんだ 「いや~あなたは実に幸せ物ですね」 「・・・・・・・・・・・何が言いたい」 「あの御三方ですよ」 やはりこいつは結論を遠まわし遠まわしに言うクセがあるな 分からない話を遠まわしなヒントで言われても分かるわけがない 「そうですね。端的に申し上げますと、彼女らは、あなたを取り合ってる・・・・・とでも言いましょうか」 ・・・・・・・・は? ・・・・・・えぇっと・・・・・すまん。まるで理解できん 「まぁ実際には涼宮さんが、誰が1番あなたを好きか、っということで言い争っている。と言うことになります。僕から見ればね」 古泉のクソ遠まわしな説明を要約すると、俺が団室にいない間に朝比奈さんの「キョン君、遅いですね」との発言をきっかけにハルヒが「みくるちゃん、キョンのこと心配なの?・・・・あ!もしかして好きなの?」っとなり、仕舞いには長門にまで話が振られたらしい 「嫌いじゃないです~好きです~」 ・・・・あぁ朝比奈さん、なんとうれしいお言葉 「それは友達としてでしょ!私が聞きたいのは恋愛対象としてのことよ・・・・有希は?」 「私も彼のことは嫌いではない・・・・・・友達として」 「それも違~う!」 恋なんて精神病だの気の迷いだのと、いちゃもんつけてた奴の発言だとは思えないね と言うか「友達」として「好き」の時点で俺は満足なんだから、そこまで突っ込まなくても・・・・・ ・・・・・・古泉を見る・・・・・・・やはり止める役は俺なのか 「おいハルヒ、そこらへんにしとけ。長門と朝比奈さんが困ってるだろ」 咄嗟にハルヒと朝比奈さんを引き剥がしに掛かる俺 「なによキョン!誰のせいで言い争ってると思ってるの」 いやいや、言い争ってるんじゃなくて一方的にまくし立ててるようにしか見えなかったのは俺だけなのか?そうなのか? 「そうよ!」 なにがそうなんだ?と言うか何故そんなに笑顔なんだ・・・・・ 「誰が1番好きとかなんて関係ないわ!」 そうかい、一件落着だな 「誰が1番好かれてるかが問題なのよ!」 ・・・・・・・えぇぇぇぇ~! この瞬間、俺の頭の中の「ハルヒがいい笑顔で思い付きをする=俺が苦労する」というオイラーでもフェルマーでも思いつかない、理解不能、意味不明、不可解極まりないが、どう考えても自明な方程式が俺の頭の中に浮かんでくる 「で、誰が1番好きなのよ」 ほれ見ろ。答えようのない質問を目の前にぶつけてきやがった 「それは特定人物の名前をあげなければなりませんか?ハルヒさん」 「あたりまえじゃない!」 はい、即答された 古泉はニヤニヤの中に少し不安げな顔をしている 「涼宮さんと答えなけれな世界は・・・・」とでも形容出来る不安顔か? 朝比奈さんは頬を薄い赤色に染めながら俺と目を合わせては俯いて合わせては俯いて、の繰り返しだ ・・・・・な、長門。そんなに冷たい目線で俺を凝視しないでくれ 「どうなのよ!」 腰に手を当てて、じっと俺の方を睨んでくるハルヒ、視線が痛い 「そうね、この団内だけじゃ決めかねるって言うなら団外でもいいわ。鶴屋さんに阪中さん・・・・・ミヨキチだったかしら?クラスメイトでもいいし私の知らない人でもいいわ」 どんどん範囲が膨れていく 「そうね、妹ちゃんでもいいわ」 ・・・・・・俺はそんなにシスコンのロリコンに見えるのか?少しショックだ 「馬鹿なこと言ってないで、さっさと決めなさい」 決めろって言われても・・・・・なに俺は真剣に考えてるんだ? 「まだ決まらないの?それともコレだけの範囲にも入らない人・・・・・あ、佐々木さんね!」 俺は少し動揺した。なんでもないっと言っていた佐々木との関係だが、中3にもなって一緒に塾の行き帰りを共にした女性のことをなんとも思っていなかったなんて誰が信じるだろうか 実際、俺は少なからず佐々木を気にしていた・・・・・というか好きだった この気持ちも高校に入って佐々木と別れてから気づいた。でも、もう遅いと諦めた 俺は好きな女性の目の前では素直になれないタイプなのか?じゃぁ今も誰かを好きでいるのか? そんなことを頭の中で考査していた 「あれ~キョン、佐々木さんの名前が出てから急に黙り込んじゃって・・・・・あ、さてはあんた!」 はい、勘違い突入。弁解の余地はあるか? 「な~んだ、やっぱり佐々木さんなんだ。有希、みくるちゃん。キョンは佐々木さんが1番なんだって」 こらこら、誤解を招くようなことを・・・・・すでに招いてしまってるか 「そういうことなら早く言いなさいよ。有希もみくるちゃんも「キョン君、誰か好きな人いないかぁ~」なんて心配しちゃうでしょ」 ・・・・・・・お前はどなんだ、ハルヒ 「へ、私?ぜ~んぜん、そんな精神病みたいなこと思うわけないじゃない」 ・・・・・・そうか、そうだよな 「あんたは佐々木さんが好きなんでしょ?・・・・それでいいじゃない」 俺は佐々木が好き?いや・・・・確かに友達としては好きだが諦めたんだ 「もういいわ。ハッキリしなさい!・・・・・そうね、あんたSOS団辞めなさい!」 ・・・・・・・・・・なに言ってるんだ? 「SOS団の活動のせいで佐々木さんと付き合えなかったなんて言われたら迷惑なのよ」 佐々木と付き合う気などないのに・・・・・・・・迷惑、俺が? 「そうと決まれば早速退団届を・・・・・・」 「ちょ、ちょっと・・・・なに泣いてんのよ!」 自然と俺の頬を流れ落ちる雫・・・・・泣いてる?・・・・誰が?・・・・・・俺? 「あんた、そんなに辞めれるのがうれしいわけ?・・・・SOS団が好きだなんて嘘だったのね!」 俺がSOS団を辞める?SOS団は俺を必要としていない?俺はハルヒに必要とされない?ハルヒに嫌われた? またも難しい方程式が頭の中を駆け巡る。と共に頬を滴り落ちる涙も1滴、2滴と数を増やしていく ハルヒに嫌われたから悲しい?俺はハルヒが・・・・・・・・ 「あの~涼宮さん・・・・キョン君はうれしくて泣いてるんじゃないと・・・・・・・」 朝比奈さんが、おどおどとした態度で退団届なるものを作成しているハルヒに向かって言っている 「・・・・・・・・ハルヒ」 「なによ、退団届作成に忙しいんだから後に」 「・・・・・・・お、俺はハルヒが好き・・・・・なのに・・・・・なんで・・・」 「・・・・・・・・・・・・へ?」 あ~ぁ言っちゃったよ、俺・・・・・・たった今、ハルヒが好きだって気づいたのばかりなのに ・・・・・・・・・・周りの目線が痛いね。特にハルヒなんて口をあんぐり開けて・・・・焦点合ってないんじゃないか? さて我に返った俺だが、自分の行ったことを思うと顔が熱くなってくるのを感じる ・・・・・・・・・・・・・・・・は、恥ずかしい 「悪い、俺先帰るわ!」 っと逃げるように団室を後にした 家に着いた俺だが、明日なんて顔してハルヒやSOS団の面々に会えばいいのか考えていた ・・・・・・・・・・・・・・鬱だ 一度、頭を冷やすためにシャワーでも浴びるか 「キョン君電話~ピカピカ光ってるよ~」 浴び終り短パン一丁で頭を乾かしていた俺に妹が叫んでる。コラコラ、俺の携帯をそんなに振り回すな、壊れるだろうが メールでも着たのかな? うぅ・・・・・・・学校にいたときのサイレントモードのままだったから気づかなかった・・・・・とりあえず解除してっと 「不在着信43件・・・・・・・全部ハルヒか」 これは、こちらから掛けなおすべきだろうか?掛けなおさなかったら閉鎖空間行きか?古泉・・・・ご愁傷様だ いや去年みたいに俺が閉鎖空間行きかもな・・・・・今のうちに遺品の整理でも 「みっみっミラクル~み~くルンルン!」 「うおっ!」 考え事をしていると手の中の携帯がドでかい着信音を奏で始めた 「発信者:涼宮ハルヒ(グループ:SOS段)」 携帯のディスプレイに表示される、今1番話したくない相手ダントツNo,1(俺調べ)の名前が表示されてる 出るべきか、出ざるべきか・・・・・それが問題だ! シェイクスピアも真っ青の名言を頭の中で浮かべていると 「留守番電話サービス接続」 っとディスプレイが表示を変えた、瞬間・・・・・・・切れた たしか25秒以上出ないと自動的に留守番電話サービルに転送するようにしてたっけな? 「ちょっと電話くらい出なさいよ」 今のハルヒが言いそうな台詞No,1(俺調べ)だなぁ 「さっさと出ないと罰金よ!」 これはNo,2か? 「いいから出ろ~!団長命令に背く奴は死刑よ、死刑!」 ん~これも捨てがたい・・・・・どちらがNo,2かなぁ・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・ハルヒさん?俺の心の中にでもお引越しなさったのですか? 声が聞こえるが・・・・・・まさか 「いるのはわかってるんだから!出で来いキョ~ン!」 玄関の前で腕組して佇んで叫んでる奴発見・・・・・夢だって言ってくれ、フロイトよ てか、人の恥ずかしいあだ名を叫ぶな!近所迷惑な上に、とんだ羞恥プレイだ 「・・・・・・・なんだよ」 部屋の窓から顔を出して答えてやる 俺の恥ずかしさとしては「ハルヒと今話す<あだ名を叫ばれる」となってるからな 「なんだ・・・じゃないでしょ!人にあんなこと言っといて」 ・・・・・・・・・鬱だ、死のう せっかく忘れかけたのに、嫌でも思い出させやがった・・・・・いや拒否権はないか 「いやぁそのことだが・・・・・忘れると言うことで手を打っては・・・・」 「却下」 「では、なかったと言うことで・・・・」 「無理」 「・・・・・・・・・・はぁ~」 もう、どうしようもなくなった・・・・・・引き篭もり路線まっしぐらだ 「人に告白しといて返事を聞かないなんて、やっぱりアホキョンよ!」 あぁ~~~!!!聞きたくない、聞きたくない。振られるくらいなら、いっそ黙っておけばぁ~ 「いいわ!あんたが私の事好きなら付き合ってあげるわ」 あぁ~~~!!!聞きたくない、聞きたく・・・・・・は? 「というか・・・・・私はあんた・・・キョンの事が、す・・・・・好き、大好きよ!!!!」 「おはよ、キョン!」 「あぁ・・・・・おはよう、ハルヒ」 「元気ないわね、どうしたのよ!」 「いやいや、それコッチの台詞だ。朝っぱらなにしてんだ?」 俺が今朝も母親が投下した妹のフライングボディープレス目覚まし爆弾(命名、俺)で目覚め、顔洗って飯食って歯磨いて「行ってきます」とドアを開けると・・・・・この状況。サプライズもいいところだ 「別にカップルが一緒に学校行っちゃいけないなんて決まりがどこにあるのよ!」 昨日から俺たちはカップル・・・・・近所中では周知の事実だ。あんなにでかい声で叫ぶから・・・・・・・ 「早く行くわよ、遅刻しちゃうじゃない!遅刻したら奢りよ、奢り!」 だったら叫んでないで、さっさと自転車の荷台に乗ってくれ 「そのまえに・・・・・・・ん・・・・・・」 ・・・アヒルの真似か・・・・・・・・・・・なんていったらガチで古泉が死ぬな 「・・・・・やれやれ・・・・・・・・・・・・・ん・・・・・」 「・・・・・・・・えへへ~キョンと現実でキスしちゃった」 「現実」でってのはアノことだろうが・・・・・・突っ込んだら負けだ 「あぁ~ハルにゃん、おはよ~」 「あら、妹ちゃん。おはよ!」 妹よ、何故キスが終ると同時にタイミングバッチリに登場する。そして顔が赤いんだ!何ニヤニヤしてやがる!! 罠か、これは罠なのか!クソ、機関の連中か!! 「さ!キョン、行くわよ。本当に遅刻しちゃう」 「ん?・・・・・・あぁそうだな」 馬鹿なこと考えてたらマジヤバイ時間になっていた 「それにしても、鈍感とツンデレのお2人がお付き合いなされるとは」 「・・・・死ぬか?」 「おや、あなたに僕を殺せますか?」 「簡単なことさ。ハルヒに今から電話して「やっぱり付き合えない、お前なんて嫌い、不細工、死ね」とさえ言えば」 「すいませんすいませんすいませんすいませんすいませんすいません」 昼休みに木陰のベンチでコーヒーを飲んでる所に「こんにちは」っと古泉が登場した・・・・ニヤニヤが止まらない、か? 「それにしても本当におめでとうございます」 「はいはい、ありがとうありがとう」 「これで僕のアルバイトも減りますね・・・・・仲良くしてくださいね?」 「あぁそのつもりだよ」 「では僕はこれで・・・・」 じゃぁな超能力者古泉よ。お前にも、いつかいい彼女が出来るさ 「みっみっミラクル~み~くルンルン!」 「うおっ!」 「発信者:涼宮ハルヒ(グループ:彼女)」 ・・・・・いや・・・・・・・その・・・・・・・・突っ込んだら負けだと思うよ というかサイレントモードにしておくの忘れてたな・・・・ 「もしもし、どうした?」 「今日だけSOS団休みにしてデートに行くわよ!プランを立てておきなさい!じゃぁね」 「通話時間:11秒」 そう表示されるディスプレイを閉じる。例の如く用件だけ言って切りやがった また厄介ごとですかな?巻き込まれ型人生も楽じゃないね ・・・・・・・・・まぁハルヒとのデートなら「厄介」ではないからいいか、楽しみだ good end… 「あの~・・・・・・私の出番少なくありません?」 「朝比奈さん、まぁそう言わずに。僕もかなり少ないですし」 「私は回想中にしか台詞が出てこなかった。不条理を感じる」 作者「キョンに「鈍感」って言ったじゃ・・・・」 「あれは台詞とは言えない」 作者「サーセンwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」 「「「・・・・・・・・・・・・(^ω^# )」」」 「みくるビーム!」「ふんもっふ!」「情報連結解除開始」 作者「アッー!!」 bad end…
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SS作成方法 ダンゲロスSSDungeonに投稿するSSの作成方法・内容の指針を説明します。 作成するSSの大枠について 今回のゲームでは、参加キャラクターは探索者としてダンジョン内で戦い、完全制覇を目指すことになります。対戦相手を自慢の特殊能力で打ち倒し、すべての戦いを制しましょう! ゲームの世界観等の詳細は基本設定をご確認ください。 作成するSSの対戦相手・舞台について 開催期間中、設定された日時に全試合のマッチングが発表されます。(モンスター側の相談により対戦順決定)詳細についてはトップページのスケジュールをご確認ください。 その際に、各戦闘が行われる地形も決定します。(ランダムで決定)詳細については戦闘フロアをご確認ください。 作成するSSの試合のルールについて 勝利条件は以下の通りとなります。 対戦相手の死亡 対戦相手の戦闘不能 対戦相手の降参 対戦相手の戦闘領域からの離脱(試合場による) 作成するSSの内容について キャラクターの設定や能力の応用方法について、キャラクターの設定欄に書かれていないことであっても、後づけで設定を足すことは(それが相手キャラクターに関することであっても)可能です。 もちろん無理な後づけは読者を納得させるだけの説得力を持たせる必要があるでしょうから、十分に注意しましょう。 勝ち残ったSSはその時点で今回のゲームにおける「正史」となり、そのSS内で登場した新たな設定なども公式のものとなります。そのため、二回戦以降は対戦相手のキャラクター説明だけでなく、相手が勝ち上がってきた過程のSSも読むように心がけましょう。 SSは試合のみを書く必要はありません。執筆時間内、字数制限内に書ける範囲で試合の前後を膨らませてもよいでしょう。 幕間SSについて 試合のSSだけでなく、試合外での自分の(場合によっては相手の)キャラクターの設定を深める幕間SS(補足SS)を作成するのもよいでしょう。 幕間SSは雑談スレッド(作成予定)をご利用ください。 幕間SSに投稿期限はありません。好きな時に書きこみましょう。 ただし、幕間SSについては特にwikiに反映などはされませんし、本キャンペーンでは幕間SSの引用を行う事はできません。予めご了承ください。 自キャラ敗北SSについて 今回のキャンペーンでは、「対戦した結果自分のキャラクターが敗北する」内容のSSの作成はご遠慮ください。 試合の結果として、必ず「自分のキャラクターが勝利する」内容のSSを作成してください。 プレイヤーは以上のルールを把握した上で自分のキャラクター、相手のキャラクター、地形の設定を踏まえつつ、自分のキャラクターが戦闘に勝利するSSを書いて投稿してください。 SS投稿方法 ダンゲロスSSDungeonに投稿するSSの投稿方法・諸注意を説明します。 SSの送信方法について 本戦SSが出来上がったら、本戦SS投稿フォームから送信してください。 フォームには以下の項目があります。 キャラクター名 メールアドレス 掲載順希望(SSの掲載順について希望があればチェックしてください。なければ希望なしで構いません) SS本文 メール返送チェック(確認メールが自動送信されます。従来のGKによる確認メールの代替となりますので、必要な方は忘れずチェックを入れてください) (2019/7/10修正)確認メールはGKより送信します フォームに誤作動等ありましたら、SSダンジョンスレッドかTwitterアカウントにご連絡ください。 SSの投稿時間も、この返信内容で確認可能です。投稿時間は、掲載順希望の優先権や同数得票の際の勝敗等に関係します。詳しくはこのページの下にある【同数得票について】をご確認ください 本戦SSにいかなる不備があろうと、それがGK側にのみ責のある不備以外のものについてSS公開後の修正に応じることはありません。 練習用ページ(SS)などを活用して事前に見栄えをチェックしつつ、早めの投稿を心がけましょう。 内容修正について 投稿されたSSは、投稿期間終了後に一斉に公開されます。 投稿期限前であれば、SSの追記や修正は自由に行うことが可能です。本戦SS投稿フォームの「回答を編集」で編集を行ってください。 ただし、再送信されたSSの投稿時間は、その追記が投稿された時点として扱うことになります。 最初に投稿したSSを破棄し、別のSSを投稿することも問題ありませんが、こちらについての投稿時間の扱いも、上と同様です。 修正を含めた複数回のSS送信があったキャラクターについては、原則として一番最後に送信されたSSを正式採用させていただきます。 ペナルティについて 投稿期間を超過したSSは、強制的に敗北が決定します。 あって欲しく無いことですが、万が一対戦者両方が遅刻をした場合、両者敗北扱いとなります。 参加者の皆さんは、可能な限り時間に余裕を持った投稿を心がけてください。 同数得票について 投票結果が同数であった場合には、投稿の早かったプレイヤーの勝利となります。 SSの投稿を終えたら 他のプレイヤーの試合SSを読んで、面白かった作品に投票しましょう! 投票の仕方については次のページ【本戦投票】をご確認ください。
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SSプロジェクトメンバー SSプロジェクトに現在参加しているメンバーです。 文担当 心視 葵 絵担当
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~部室にて~ ガチャ 鶴屋「やぁ!みんな!」 キョン「どうも」 みくる「鶴屋さんどうしたんですかぁ?」 鶴屋「今日はちょっとハルにゃんに話があるっさ!」 ハルヒ「え?あたし」 鶴屋「そっさ!」 ハルヒ「?」 鶴屋「明日、ハルにゃんと長門ちゃん、みくるとあたしで遊び行くよ!」 ハルヒ「でも明日は団活が」 鶴屋「名誉顧問の権限を行使させてもらうよ!」 ハルヒ「えっと……有希はいいの?」 長門「構わない」 ハルヒ「みくるちゃんは?」 みくる「わたしは鶴屋さんから、事前に言われてましたからぁ」 ハルヒ「古泉君とキョンは?」 古泉「つまり男性禁制ということですよね?僕は大丈夫ですよ」 キョン「あぁ、俺も問題ない」 鶴屋「ハルにゃんはどうなのさ?」 ハルヒ「う~ん、そうね。たまにはいいかも」 鶴屋「じゃあ決まりっさ!」 みくる「ふふふ」 長門「……」ペラ 鶴屋「さぁ、こっからは女の子同士の話し合いの時間だよ!男子諸君は出てった、出てった!」シッシッ 古泉「そういうことなら帰りますが、よろしいですか涼宮さん?」 ハルヒ「そうね。今日は鶴屋さんに免じて二人とも帰っていいわよ」 キョン「じゃあそうさせてもらうぞ」 古泉「それでは、みなさん。また来週」 みくる「お気をつけて」 鶴屋「バイバ~イ」フリフリ ガチャ ~廊下にて~ キョン「追い出されたな」 古泉「そうですね」 キョン「こんな時間に放り出されてもやることないな」 古泉「たしかに」 キョン「おまけに明日も暇をだされちまったしな」 古泉「おや?せっかく出来た彼女とお会いになればいいじゃないですか?」 キョン「ごあいにく、今親戚の法事でこっちにいないんだ。つまり明日は予定がない」 古泉「そうでしたか」 キョン「そういうお前はどうすんだ?」 古泉「えぇ。右に同じく、といったところです」 キョン「そうか」 古泉「もしよろしければ、これから食事でもどうです?」 キョン「おいおい、男を食事に誘うとはどういう冗談だ?お前がバイでも、まぁ驚かんが、俺は勘弁してくれ」 古泉「そうですね。仮に僕がバイでも相手くらいは選びますよ」ニコ キョン「……言ってくれるじゃないか」 古泉「どうやら変な誤解をされてるようでしたので」 キョン「やれやれ」 古泉「で、食事の件ですが、少しあなたに話しておかなければならないことがありまして」 キョン「……ハルヒがらみか?」 古泉「それが半分です」 キョン「後の半分は雑談、ってわけでもないんだろ?」 古泉「はい」 キョン「お前には世話になってるしな。構わないぞ」 古泉「それはよかった。食事代のほうは、機関から必要経費とさせてもらうので気にせず」 キョン「なによりだ。このまま行くのか?」 古泉「どちらでもよろしいですよ?」 キョン「じゃあ着替えたいな。制服で歩いて補導でもされたらたまらん」 古泉「ごもっともで。では六時過ぎにでもご自宅に伺わせていただきます」 キョン「わるいな」 古泉「いえいえ。ではまたあとで」 キョン「あぁ」スタスタ 古泉「……」 prrrprrr ピッ 古泉「はい、古泉です」 ???「話の機会は作れた?」 古泉「えぇ。今夜彼に打ち明けますよ。森さん」 森「……そう……大丈夫?」 古泉「彼はあれで熱いお人ですから。簡単にはいかないでしょうね」 森「……もし、辛いなら私や新川が代わるわよ?」 古泉「いえ、大丈夫ですよ。これでも彼とは一年間を一緒に過ごしてきましたし、やはり僕が適任です」 森「……弱音を吐いてもいいのよ?」 古泉「弱音?はて?」 森「……馬鹿」 古泉「んふ。大丈夫ですよ。森さんはもう少し僕を信用してくれてもいいですよ?」 森「……子供のくせに。私はしっかり信頼してるから。……それではまた後で」 古泉「はい。吉報を待っててください」 ピッ 古泉「……さて」 ~キョン宅にて~ 妹「キョンく~ん!こんな時間にどこ行くの~?」 キョン「ちょっと古泉と遊びに行ってくるんだ」 妹「え~?こんな時間に遊びに行ったらキョンくん不良になっちゃうよ?」 キョン「大丈夫さ。俺はいつだって真面目だ」 ピンポーン 妹「あっ、お客さんだ~。は~い」トテトテ ガチャ 古泉「こんばんは」ニコ 妹「古泉くんだ、こんばんはぁ」ペコ 古泉「彼はいますか?」 妹「今連れてくるね♪」 キョン「おう、悪かったな」 古泉「いえ。行きましょうか」 キョン「そうだな。……じゃあ行ってくる」 妹「いってらっしゃ~い!古泉くんに迷惑かけちゃダメだよ~?」 キョン「分かってるよ」 ガチャ 古泉「いつ見ても可愛らしい妹さんですね」 キョン「いくらお前でも手を出したら許さんからな」 古泉「小児愛好の趣味は持ち合わせていませんのでご安心を」 キョン「分かってるよ」 古泉「んふ」 キョン「で、どこ行くんだ?」 古泉「えぇ僕の部屋です」 キョン「お前の?」 古泉「はい、デリケートな話なので」 キョン「わかったよ、それであれが迎えの車か?」 古泉「そうです。どうぞ」 カチャ キョン「なんだか拉致されたみたいだな」 古泉「警察にも機関の力は働いています。身の危険を感じたら連絡してもらっていいです?」ニコ キョン「お前のは冗談に聞こえん」 古泉「そうでしたか。気をつけます」 キョン「……」 古泉「……」 ~古泉の部屋にて~ 古泉「どうぞ」 キョン「おう。……片付いてるな」 古泉「清潔にするようにはしています」 キョン「それにしても」 古泉「はい?」 キョン「機関のおごりだって言うから期待したのに、コンビニとはな」 古泉「まぁ、若い男が二人だけなんだし、これぐらいが健全じゃないですか?」 キョン「そういうことにしとくよ。で、なんだあれは?」 古泉「あれはコンパクトディスク、つまりCDですよ?ご存知ありませんか?」 キョン「違う、なんだあの量は?」 古泉「ざっと四百枚近くはありますよ」 キョン「狂ってるな」 古泉「これに関しては褒め言葉にしか聞こえませんよ」 キョン「売ったりしないのか?」 古泉「売るくらいなら最初から買いません」 キョン「今のオススメは?」 古泉「今のシーンですか?それとも僕のですか?」 キョン「お前のでいいよ。シーンとか言われても分かるわけないだろ」 古泉「そうですね、Joh○ossiとLi○tle Man Tateはかなりヘビロテしてますね。それとGre○n Dayの新譜は素直に感動しました」 キョン「おっ、Green D○yは俺でも知ってるぞ」 古泉「それは良かった、知らないといわれたら、追い出しかねませんでしたから」 キョン「はは。大げさだな」 古泉「んふ。けして大げさでは」 キョン「……」 キョン「そもそも聞けるのかあんなに?」 古泉「いい音楽はどれだけあっても邪魔にはなりませんよ」 キョン「だから聞ききれるのかって?」 古泉「はい」 キョン「信じられん」 古泉「新しい音楽に出会う感覚はたまりませんよ。変な話、ニヤニヤしてしまいますからね」 キョン「趣味は人それぞれだな」 古泉「えぇ」 古泉「では、失礼して音楽を掛けさせてもらいますね」 キョン「何をかけるんだ?」 古泉「Death Cab F○r CutieというUSのインディーロックバンドの5thです」 キョン「知らんな」 古泉「落ち着きたいときにかけるんですよ」 キョン「そうか」 古泉「えぇ」 キョン「まぁ、せっかく古泉のうちに来たんだ。難しい話の前に雑談しようぜ」 古泉「構いませんよ」 キョン「じゃあ、単刀直入に聞くが……」 古泉「はい」 キョン「お前の彼女は誰だ?」 古泉「……これはこれは」 キョン「お前には俺のプライバシーが筒抜けなんだ。それくらい教えてくれても罰は当たらんだろ?」 古泉「さて、どうしたものでしょう。僕としては一向に構わないんですが、向こうがなんと言うか」 キョン「つまり、俺たち共通の知り合いってことだな?」 古泉「あ」 キョン「俺とお前の共通の知り合いか」 古泉「えっと」 キョン「年下は……ないな。ってことはタメか、上だな」 古泉「……」 キョン「となると、長門、朝比奈さん、ハルヒ、鶴屋さん、阪中、黄緑さん……」 古泉「……」ゴク キョン「……待てよ……森さんもいるな……」ジー 古泉「……」ビク キョン「個人的にだ」 古泉「……はい?」 キョン「森さんだったら……お前を許さない」 古泉「……」 キョン「……森さんか?」 古泉「さてどうでしょう?」 キョン「まぁいい。俺のなかでは答えが九十九パーセント決まった」 古泉「……そうですか、合っているといいですね」 キョン「あぁ、外れているといいな」ニヤ 古泉「……」 キョン「それにしてもいい部屋だな。高いんじゃないのか?」 古泉「いわゆるセーフハウスというやつですよ」 キョン「セーフハウス?」 古泉「はい。機関のほうで用意をしてもらった仮住まいです」 キョン「そうゆうのって、ああいうCDみたいな私物は持ち込んでいいものなのか?」 古泉「あれは僕の一部ですので、無理やり説得しました」 キョン「はは」 古泉「このおにぎりはあなたのでしょうか?」 キョン「あぁ、お湯沸かしてくんないか?カップ麺食べるから」 古泉「構いませんよ」 キョン「……」キョロキョロ 古泉「面白いものなんてありませんよ?」 キョン「いや、同じ一人暮らしでも長門の部屋とは違うな、ってな」 古泉「女性の部屋と比べられても……」 キョン「はは。そうだな」 古泉「お湯が沸いたようですよ」 キョン「おう、悪いな」 古泉「……」モグモグ キョン「……なぁ、古泉」 古泉「なんでしょう?」 キョン「AVはどこだ?」 古泉「まさしくお約束ですね」 キョン「古泉とはいえ、思春期の猿だからな」 古泉「あいにく持っていませんよ」 キョン「男同士だ。恥ずかしがるな」 古泉「……正直に言いますと、以前は数点あったんですが、全て処分されました」 キョン「森さんに?」 古泉「は……さぁ?」 キョン「……」ニヤニヤ 古泉「……麺が伸びますよ?」 キョン「忘れてた!」 古泉「それでは本題に入る前に約束を」 キョン「なんだ?」 古泉「なにがあってもCDには手を出さないで下さいね?本当に大事なんで」 キョン「?わかったよ」 古泉「そして今から話すことにウソはありません」 キョン「ああ」 古泉「では本題に」 キョン「……」 古泉「まず、涼宮さんがらみの話です」 キョン「ああ」 古泉「以前の告白騒動を覚えていますか?」 キョン「忘れると思うか?」 古泉「いいえ。あの時、あなたが涼宮さんをふったことによって、我々機関は世界の改変がほぼ百パーセント行われると思いました」 キョン「すまなかったな」 古泉「いえ、過ぎたことです。しかし、ご覧の通り私たちはあの後の世界でこうして過ごしています」 キョン「ああ」 古泉「これは長門さんのおかげです」 キョン「最近仲良いからな、あの二人」 古泉「単刀直入に言うと、鍵はあなたから長門さんへと移った。これが機関の見解です」 キョン「長門に?」 古泉「その証拠に長門さんと親密になってからの彼女は、閉鎖空間をほとんど発生させていない」 キョン「……」 古泉「神人もここしばらく見ていません」 キョン「良かったじゃないか」 古泉「えぇ。しかし機関の上層部は、情報統合思念体に神を奪われたことにご立腹です」 キョン「頭のお堅いことだ」 古泉「はは。そう言わないで下さい。それでつまりです」 キョン「つまり……俺は晴れて自由ということか?」 古泉「そうです」 キョン「……そうでもないだろ」 古泉「と、言いますと?」 キョン「ハルヒの力が無くなったわけじゃないんだろ?」 古泉「はい。無自覚ながらもコントロールしているという状況です」 キョン「……俺が思うにだ」 古泉「?」 キョン「ハルヒの鍵ってのはSOS団じゃないのか?」 古泉「我々がですか?」 キョン「だってそうだろ?あいつの深いところまで知っていて、いつも行動をともにして、一緒に遊んで」 古泉「……」 キョン「俺なら一人でもそんなメンバーが欠けるのは辛い」 古泉「同感です」 キョン「つまりだ、俺でも、長門でも、朝比奈さんでも、鶴屋さんでも、お前でも、誰かが傷つけばあいつは辛いんじゃないのか?」 古泉「そうですね」 キョン「だから誰が鍵とか関係ないんだよ、きっと」 古泉「そうかもしれませんね」 キョン「そういうわけだ。俺はSOS団を辞めるつもりはないぞ」 古泉「分かりました」 キョン「それでもう半分はなんだ?」 古泉「……はい。こちらのことは機関からの指令でして、僕としては半信半疑です」 キョン「なんだ?」 古泉「涼宮さんと同じ力を持った人がもう一人いたら……どうしますか?」 キョン「ぶっちゃけ、たまらんな。……とはいえ、お前がそういうんだ、いるんだろ?」 古泉「はい。力としては涼宮さんよりは弱いですが、紛れも無く、世界を改変することの出来る能力です」 キョン「まったく、神様ってのは随分と身近にいるんだな。空から見下ろしてるもんじゃないのか?」 古泉「まぁ、事実は小説より奇なり、ともいいますからね」 キョン「そうだな。……で、誰なんだ?」 古泉「……」 キョン「ここにきてもったいぶることも無いだろ?もう大抵のことじゃ驚かない自信はあるぞ」 古泉「……あなたの彼女……佐々木さんと言いましたね?」 キョン「あぁ……おい」 古泉「機関は以前から彼女もマークしていました」 キョン「ちょっと待てよ、古泉」 古泉「しかし、機関ではより強い力を持つ涼宮ハルヒを神としています」 キョン「……」 古泉「今回、一般人であるあなたから、情報統合思念体である長門さんへと鍵が移りました」 キョン「……」 古泉「以前までの三つ巴の形が崩れた今、機関としては涼宮さんに代わる、第二の神を立てようとしてます」 キョン「それが佐々木だっていうのか?」 古泉「はい。しかし、新たな神候補には我々の機関と対立する存在がすでについています」 キョン「……」 古泉「確認したところ、すでに未来人、超能力者、情報統合思念体が彼女の周りに揃っています」 キョン「頭が痛くなってきた」 古泉「そして、更に厄介なことに、第二の神候補である彼女は、自身にある能力を知っています」 キョン「佐々木が?」 古泉「はい」 キョン「じゃああいつは自分の力を使ってるのか?」 古泉「いえ、現時点ではそのようなことは」 キョン「現時点では?」 古泉「はい。しかし、もし彼女の力が完璧なものになれば、文字どおり無敵です」 キョン「なぜ、なんでこのことを俺に教える?俺があいつの彼氏だからか?」 古泉「機関としてはこの一年間で、あなたとの関係性はある程度確保していると思っています」 キョン「つまり?」 古泉「あなたには機関と彼女……佐々木さんを繋ぐ橋渡しをして欲しいということです」 キョン「スマン。本当はこんなこと言いたくないんだ。でもな、お前マジで殴るぞ」ガシ 古泉「苦しいですよ、放してください」 キョン「お前はそんなくだらないことをいうために、俺をここに連れてきたのか?」 古泉「あなたにとってはくだらないことでも、機関にとっては死活問題です」 キョン「そんなクソみたいなことをいうしか能の無い連中なら、いっそ無くなったほうがいいんじゃないか?」 古泉「それがあなたの答えですか?」 キョン「あぁ、正直恩を仇で返すようで悪いがな。佐々木を差し出せ?ふざけるな!」 古泉「お察しします」 キョン「今はお前のそのすかした態度にさえ嫌悪感を覚えるよ」 古泉「……少し冷静になって聞いてください」 キョン「冷静に!?お前この状況で冷静になれってのか!」 古泉「はい。僕は最初にこれは機関からの指令で、半信半疑だと言ったはずです」 キョン「くっ……そうだったな……悪かった」 古泉「いえ、あなたの怒りは間違っていませんから」 キョン「じゃあ、お前の言葉で喋ってくれよ?」 古泉「はい。今回のことについて、勝手ながら朝比奈さんに話させてもらいました」 キョン「朝比奈さん?」 古泉「彼女は遠い未来から来た人間です。たいていは禁則事項と言葉を濁されましたがね」 キョン「で?」 古泉「はい。しっかりと明言はしなかったものの、彼女のいた未来は、あなたと涼宮さんが添い遂げた後の世界とみていいでしょう」 キョン「俺とハルヒが……」 古泉「つまり、あなたが涼宮さんと付き合わなかったことで、一つのパラレルワールドが発生した」 キョン「俺が作ったてのか?」 古泉「この世には数多のパラレルワールドが存在してます」 キョン「そのうちの一つがこの世界か」 古泉「はい。しかし、朝比奈さんは今の時代に居続けている。これは彼女の未来が消滅ではなく、独立したからだと思います」 キョン「なら、朝比奈さんはこの時代に残る必要がないだろ?」 古泉「そうですね。そちらのほうはどういった経緯があるか分かりません」 キョン「そうだな。それは朝比奈さんに聞くべきか」 古泉「そうしてください。そして、多々あるであろうこのパラレルワールドの中のこの世界では、二人の神と二人の鍵が存在しています」 キョン「二人の鍵?」 古泉「あなたは新たに、佐々木さんの鍵になったということです」 キョン「待て、あいつは能力のことを知ってるんだろ?」 古泉「そのはずです。しかし、もし、あなたが強く何かを望めば彼女はそれを叶えてあげたい、そう考えると思いませんか?」 キョン「……そうだな。俺でもそうだ」 古泉「そういう意味でもあなたは鍵です」 キョン「やれやれ」 古泉「そして、これは怒らないで聞いて欲しいんですが……」 キョン「努力はするよ」 古泉「これは僕としては非常に重要な確認事項です」 キョン「なんだ?」 古泉「……あなたは本当に、本当に佐々木さんのことが好きなんですか?」 キョン「……俺の頭の中を佐々木がいじったとでも言いたいのか?」 古泉「どういうわけかあなた自身は、涼宮さんの力の影響をあまり受けませんでした。耐性があるのか分かりませんが」 キョン「それで?」 古泉「しかし、人には相性があります。同じ病気でもかかる人かからない人がいるように」 キョン「病気に例えるな」 古泉「失言でした。……もちろんあなたの記憶を検証する術はありません」 キョン「そうだな。お前が言うには今の世界は三年、いや、四年前に始まった世界なんだからな」 古泉「それも定かではありませんがね」 キョン「俺は佐々木が好きだ。仮にこれが佐々木に作られた気持ちでも、好きなものは好きだ」 古泉「ありがとうございます。しかし自分から聞いておいてなんですが、人の告白というのは恥ずかしいですね」 キョン「言うな」 古泉「んふ」 キョン「それでお前はどうするつもりなんだ?」 古泉「わかりません。涼宮さんの観察が主な仕事ですので、しばらくはそちらになるかと思いますが」 キョン「……機関は佐々木をどうするつもりだ?」 古泉「それこそ分かりません」 キョン「俺がこの申し出をつっぱねることで、お前はどうなる?」 古泉「大丈夫じゃないでしょうか?僕の直属の上司は森さんですし、あの人はかなりの権限をお持ちですから」 キョン「そうか、じゃあ森さんに謝っといてくれ。俺は絶対に協力しないって」 古泉「……伝えます」 キョン「佐々木は、あいつはハルヒの力のことを知ってるのか?」 古泉「分かりかねますね。しかし、あちらにも我々と同様の存在がいますので、知っていると思った方がいいかもしれませんね」 キョン「そうか。まったく、俺はどこで道を誤ったんだろうな?」 古泉「そういう星のもとに生まれたと思って、諦めるしかないですよ」 キョン「まったくだな」 古泉「これから佐々木さんとはどうするんですか?」 キョン「あいつは俺と付き合うことになった時……泣いてくれたんだ」 古泉「……」 キョン「もし、俺の記憶や感情がいじられていたとしてもだ、俺はあいつを裏切ることはないよ」 古泉「ずいぶんと男前なことを言いますね」 キョン「茶化すな」 古泉「すいません」 キョン「そうだな、そのうちあいつには聞くよ」 古泉「その時はご一報を、改変前の対策は必要ですから」 キョン「悪いな」 古泉「それがこの世界での僕の役割ですから」 キョン「かっこつけやがって」 古泉「ふふ」 キョン「それと、胸倉掴んで悪かったな」 古泉「いえ、殴られる覚悟だったのであれで済んで助かりました」 キョン「……なんで古泉だったんだ?」 古泉「……志願しました」 キョン「自分なら俺を説得出来ると?」 古泉「まさか。あなたの性格や反応は理解してます。だからこそ僕があなたに言うべきかと」 キョン「俺のために進んで汚れ役を?」 古泉「そういうわけでもありませんが……仮に僕以外の人間に言われて、はいそうですか、とあなたはなれますか?」 キョン「なれんだろうな」 古泉「ですから僕が適任かと」 キョン「まいったな」 古泉「僕からあなたに伝えるべきことは以上です。何か質問はありますか?」 キョン「この後の機関はどうでる?」 古泉「長門さんとあなたが平和を望んでくれれば、傍観です」 キョン「トラブルが起きたら?」 古泉「そうですね。僕が上役なら、力の暴走の心配が少ない佐々木さんを捕らえて、どんな手を使ってでもこちらに引き込みます」 キョン「引き込む……」 古泉「彼女達の力はとんでもないものです。しかし、制御が利くぶん佐々木さんのほうが実用性があります」 キョン「実用性ってなんだ?」 古泉「涼宮さんの暴走への唯一の抗体、と言えばいいでしょうか?」 キョン「どんな手でもって言ったな?」 古泉「洗脳、薬漬け、人質等、機関全ての人間が良心を持っているわけではありませんから」 キョン「クソッ!」 古泉「無論、そういったものが通用するかは分かりませんがね」 キョン「……」 古泉「……以前の僕の言葉を覚えてますか?」 キョン「……なんだ?」 古泉「……僕は機関の人間ですが、一度なら機関を裏切ってもいい、という内容の会話ですよ」 キョン「あったな、そんなこと」 古泉「もし、佐々木さんや涼宮さんに先ほどのような危害が加わるようでしたら、一度と言わず何度でも」 キョン「かっこつけすぎだ」 古泉「んふ」 キョン「話はこれで終わりか?」 古泉「はい。これが今の僕らを取り巻く現状です」 キョン「……はぁ。ただの高校生のつもりだったんだけどな」 古泉「ただの高校生でも世界を背負うことがあるとは、僕も想像してませんでした」 キョン「安っぽい世界な事で」 古泉「まったくですね」 キョン「ほんと、嫌になるよ」 古泉「諦めることで見えてくるものもありますよ」 キョン「そんなのはゴメンだな」 古泉「でしょうね」 キョン「さて、会話を高校生らしい内容に戻すか」 古泉「平気なんですか?」 キョン「俺が悩んだら解決するのか?するんだったらいくらでも考えるさ」 古泉「……」 キョン「俺が暴走するなんて有り得ないと思ってる。長門は、まあ前科持ちだが、もう大丈夫だろ。なによりハルヒも信頼してる、もちろん俺もだ」 古泉「希望論ですね」 キョン「それのなにが悪い」 古泉「悪いとは言っていませんよ。ただあなたは当事者の一人なんです」 キョン「じゃあ俺になにが出来る?」 古泉「今の状況を維持することです」 キョン「だろ?だったら俺とお前の関係も維持しなくちゃな。同じ部活の友人としてのな」 古泉「そういったことでは……」 キョン「それに!」 古泉「……なんです?」 キョン「どうしてもお前に聞かなくちゃいけないことがあるんだ」 古泉「僕にですか?」 キョン「あぁ。……古泉、お前はもう……」 古泉「……」 キョン「ヤったのか?」 古泉「……は?」 キョン「ヤったのか?」 古泉「な、なにをですか?」 キョン「とぼけるな。野郎が二人いてこの質問だ、意味は分かるだろ?」 古泉「話の主旨が変わりすぎてますよ」 キョン「……さっき、AVは処分されたと言ったな。何でだ?」 古泉「それは……仕事には関係なかったので」 キョン「男なら、小言の一つはあっても処分するような真似はしないだろうな。しかし、女なら」 古泉「……」 キョン「そういった嗜好品にすら嫉妬をする……らしい」 古泉「だからなんなんですか?」 キョン「お前に彼女がいることは知っている。おまけにお前が勝手に処理するのを許せんらしい」 古泉「聞いてどうするんです?」 キョン「今後のために教えてもらう」 古泉「呆れましたね」 キョン「仕方ないだろ。俺は経験がないんだ」 古泉「今日は真面目な話をするつもりだったんですけどね」 キョン「俺は至極真面目だ」 古泉「だから呆れてるんですよ」 キョン「で、どうなんだ?ヤったのか?」 古泉「……ええ」 キョン「……」バシ! 古泉「いた!な、なにをするんですか!」 キョン「俺の予想通りの相手だと思うと、お前が憎くてな」 古泉「自分で聞いてきたんじゃないですか!?」 キョン「そうだったな。で、どうだった?」 古泉「まったく……そうですね、正直なところあれは重労働です」 キョン「そうなのか?」 古泉「慣れるとそうでもありませんが、最初はかなり体力を使いましたね」 キョン「そういうもんか」 古泉「とにかく、がっついてはダメですよ?彼女なんだから大切にしてあげないと」 キョン「分かってるよ。それでやっぱりリードはした方がいいのか?」 古泉「僕の場合はリードされっぱなしでしたよ」 キョン「……相手は大人の女性ってことだな?」 古泉「……」 キョン「まぁいい」バシ! 古泉「だから叩かないで下さいよ」 古泉「なんであなたは森さんに固執するんです?佐々木さんに失礼では?」 キョン「おや?大人の女性とは言ったが、森さんと言った記憶はないぞ?」ニヤ 古泉「!!!」 キョン「とりあえず答えてやろう。自慢をするわけじゃないが佐々木は俺にはできた彼女だと思う」 古泉「そうですね」 キョン「おい」 古泉「んふ。続けてください」 キョン「ったく。しかしだ、俺の予想の相手がお前の彼女ならうらやましい」 古泉「何故です?」 キョン「いいじゃないか!年上だぞ?憧れるだろ!?それ以外に理由があるか?おまけにリードしてもらっただと!」 古泉「す、少し落ち着いてくださいよ」 キョン「またむかついてきた!」バシ! 古泉「いい加減にしないと怒りますよ」 キョン「もう二時半か、そろそろ帰るわ」 古泉「分かりました。少し待っていただければ迎えが来ますので」 キョン「すまない。この時間じゃ、警察に捕まっちまう」 古泉「では、連絡してきます」 キョン「ついでだ、なんか元気がでるCD貸してくれ」 古泉「では、Ka○ser Chiefsの3rd、Los Cam○esinos!の1stと、Johney F○reignerでいかがでしょうか?」 キョン「よく分からんが、ありがたく借りとくよ」 古泉「全てUKです。どれもオススメですよ」 キョン「ちゃんと聞くよ」 キョン「それじゃな」 古泉「はい、お疲れ様でした」 キョン「あぁ~、そのな、ちょっと照れくさいんだが」 古泉「?」 キョン「ありがとな、古泉。さっきの猥談はともかく、お前には色々助けてもらってる」 古泉「いえ、そんなことありませんよ」 キョン「これからも頼りにしてるぞ」 古泉「……はい」 キョン「じゃあな」 ガチャ 古泉「……」 pr ガチャ 森「もしもし」 古泉「こんばんは、出るのがお早いですね」 森「……たまたまよ」 古泉「そうですか」 森「で、どうだった?」 古泉「全て話しましたよ。機関の考えも、僕の考えも」 森「彼はなんて?」 古泉「怒ってました。でも最後には……僕のことを頼りにしてると」 森「そう」 古泉「少し泣きそうになってしまいましたよ」 森「いい交友関係に恵まれたわね」 古泉「ええ、本当に」 森「今日はもう休むといいわ。疲れたでしょ?」 古泉「そうですね。そうします。あっ、それと森さん」 森「なに?」 古泉「ばれました」 森「だからなにが?」 古泉「彼が意外に鋭くって、誘導尋問ではめられました」 森「……もしかして」 古泉「すいません」 森「も、もう切るわよ!」 ピッ 古泉「ふふふ、おやすみなさい」 古泉「……」 古泉「……」 古泉(頼りにしてるか……参ったな) ~Fin~