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※性別反転+ふたなりもの注意 「やめろ!長門!」 そう叫んだ俺に、昨日まで彼女であった彼はいつもの口調で説明を始めた 「現在の貴方の体ががどういう構造か把握しなければならない。 これは統合思念体の意思。戻る為には多分、しなければいけない。規定事項。」 「ぐっ」 戻る為と言われたら多少の事は我慢しなければならないのだろう。 腕を後ろで縛られ、長門に自分の息子を弄られながら俺は頭の中で叫んだ 「なんでこんなことになっているんだ!」 ――起きたら女になっていたってのは最近よく聞く話なんだが・・・ 家出していると思われた息子はそのままだった。 溜め息の後にベットの中で呟いたね 「これなんてエロゲ?」 まあ、見慣れた息子がいることに安心した俺も俺だが、 どう考えてもパーツが多かったので、困った時の長門頼み、だ。 電話をしたところ長門の声が低くてビックリした。ベースの性別は入れ替わってるのか。 その時の会話はこうだ 「この世界は涼宮ハルヒによって改変された」 だろうな。予想していた答えが返ってくるって安心するんだな。 「で、世界中の人間が全員…その…ふたなり…に、なっているのか?」 「………違う。私と統合思念体にふたなりという概念は存在しないが、確実な事がある」 嫌な予感がしたが、今の俺に何ができるってんだ。 携帯から聞こえてくる長門の言葉を聞くしかないだろ? 「世界中の生物の性別が入れ替わっている。涼宮ハルヒも例外ではない。ただし、例外がある。」 嫌な予感は確信に変わっていた。いいから早く宣言してくれ。 「全く予想できなかったイレギュラー因子。それが、貴方。 ここから先は憶測であるが、涼宮ハルヒは貴方を服従させたいと思っていた。 それは最初精神的なものだけであったが、肉体的にも服従させたいと思った。」 「それでハルヒは男に、俺は女に・・・か・・・ハハ」 「貴方に男性器と女性器が複合したのは・・・上手く言語化できないけど、聞いて欲しい 涼宮ハルヒには貴方を服従させたい願望と、貴方に服従させられたい願望があった。 それが強く反映された結果、貴方は両性具有体となった。」 そうかそうか、ハルヒに理性に勝る性欲があったとは・・・驚天動地だ。 「今日は普通に過ごせるようにしておく。安心して欲しい。 ただ、放課後、私の家に来て。今後のことを考えなければならない」 そして、放課後、羞恥心と焦燥感をたっぷり味わって学校を終え、長門の家に行ったらこれだ。 問題は古泉も長門の部屋に居たってことだ。 「お疲れ様です、大変でしたね。まあ、いい経験じゃないですか」 いつもの笑顔がそこにあることに頭痛が増した。先回りをするな。 「何がいいんだ!最悪だろう、ふた…っ両性具有なんて… っていうかちょっと待て!何でお前が俺の腕を縛る!そして服を脱がせるな!」 あっという間、とはこのことだろう。機関の訓練の賜物ですよ、と言っている古泉を尻目に 俺は長門に助けを求めた。そして冒頭の流れに繋がる。 「彼・・・今は彼女。には貴方の拘束を頼んだだけ。 服を脱がせるという指示はしていないが・・感度も上がっている。問題は無い」 問題無いわけが無いだろう。現に俺には問題だらけだ! そんな口論をしているうちに長門の手によって弄られた息子は順調に成長を続けていた。 気持ちよくなって本来の目的を忘れそうだ。誰か助けてくれ。 あれ、長門は助けてくれてるんだっけか?頭の中がゴチャゴチャしてきた・・・ 長門の指はゴツゴツとまでいかない、細い指だったが間違いなく、男の指だった。 自分以外の、しかも昨日までは女だったやつに、息子をしごかれる日が来ると誰が予想できただろうか? しかも古泉は服を脱がせるのを諦めたのか中途半端に俺の制服を脱がせたまま胸を弄っていた。 正直に言おう、気持ちがいい。 「急激に海綿体に血液が集まってきている。質量も」 わああああ!状況を説明しないでくれ長門!いや長門様! 「ちょっ・・・ほんと・・・やめて・・・くっ・・・れ・・・も、無理」 「これはこれは・・・少々早すぎやしませんか?」 いやいやいや、早いとか言うな古泉。胸と息子を同時に攻められたら結構クるぞ。 「無理は無い。通常の男性の感度に女性の感度が加わっている。 原理は不明。でもこれは事実。」 俺の先走りでぬるぬるのそれを扱きながら長門は説明をした。 「男性器の機能はそのままのよう。ただし射精まで観察する。」 絶望とはこのことか。 「やだっ・・・こっち見ん…っ!扱くなっ…やめっ…うああぁっ」 抵抗虚しく、二人に見られながら俺は達した。 射精後、俺は脱力して古泉にもたれかかっていた。これで終わり…でいいんだよな? 自分で慰めた時以上に気だるかったが、なんとか体を起こした。 「う…これ、腕の解いてくれ…」 「まだ終わりじゃない。女性器を確かめていない。」 長門の言っていることを理解するまでに時間がかかった。 女性器を・・・確認?女性器ってあれだよな、入れるところ? 「・・・う、嘘だろ?」 「嘘ではない、この女性器が機能しているか確認しなければならない」 そう言いながら長門は俺の息子の下にある…なんつーか、その、娘に指を進めてきたが、 長門はすぐに突っ込むほど無作法な事はしなかった。 その分焦らすような動きで割れ目をなぞられた。それだけでも快感は大きかった。 「やめ…っろ!!」 抵抗しようにも腕は縛られているし、足も押さえられていてどうしようもないのは解っていた。 そこに追い討ちをかけるように古泉が息子のほうを触ってきた。 「おやおや、前がもう勃ってきてますよ?」 「やっやだっ…さっわんなぁああ!」 俺を抱えている古泉に、人差し指で鈴口から付け根までをなぞられる。 女古泉の白魚のような指でなでられると、視覚的にも感覚的にも効果は抜群だ。 元の世界ではそんな体験無かったからな。感じない方が無理だろう。 「すごい・・・硬いですね・・・もし・・・入れたくなったら言って下さいね。僕の方は準備万端ですよ」 熱っぽく言う古泉に虫唾が走った。まだまだ俺の理性は捨てたもんじゃないな。 そういえば途中から俺を触っている古泉の手は片方だけだった…準備万端ってそういうことか… 「んなこと思っ・・・っひあぁああああぁっ!!!」 反論をしようとした途端長門の指が入ってきた。なんなんだ、お前らグルなのか。 「やぁっ!!な、ながっ…とぉ…やめて!抜いっ…抜いてくっ…れ!!!」 自分の嬌声が恥ずかしい。元の声じゃないだけましだが、自分で出している声に変わりはない。 既にかなり濡れていた所に指を出し入れする長門を制止しようと試みる 「も、ホンと・・・に無理!!指…抜いて…お、お願い…っ」 懇願が効いたのか、長門の指の動きが止まり、ちゅという音で指が引き抜かれる。 古泉の動きも止まった。少し余裕の出てきた俺は二人をたしなめようとした。 「はぁ はっ…も、もういいだろう?いい加減、腕…」 「駄目ですよ。ねえ、長門さん?」 「彼女の言うとおり。女性器の機能はこれだけでは測れない」 絶望だ。流石の俺も気付いた。っていうか気付かされた。 長門君の長門君が大きくなっているんだ、そりゃあ、気付かないわけがないだろう? 「っど…どうしてもか…」 「情報統合思念体の意思は絶対」 「だそうです。流石の僕もこればっかりは手出しできません。」 「っ…!!……はぁ…解った。観念する。」 俺が随分あっさり抵抗を止めたものだから二人の動きも止まった。 古泉との体格差、それに加え男の長門だ、この二人を相手に抵抗してたら体が持たない。 性別が変わっていようが、普通認定された俺が情報統合思念体とやらに勝てる気がしない。 それにここはハルヒの力による世界だろう? 飲み会で酔ってやらかした事は「いやぁ、酒入ってたからさ~」と言う言葉でなんか許されてしまう。 それと同じだ。もし明日目覚めていつもの世界に戻っていて、この二人が何か言って来たらこう言えばいい んだ。 「いやぁ、ハルヒが望んだ事だからさ~」これで決まりだ。出来れば記憶は消しておいてほしいね。 そうと決まれば今を楽しめ、若者。イケメンと美少女と3Pなんてまたと無いぞ、多分。 「っはぁ・・・とりあえずこの腕のやつを解いてくれ。逃げたりしねーよ」 「・・・わかった、もう彼女に逃げる意思は無い。解いても問題は無い。」 「了解しました。じゃあ服も脱ぎますか?」 無表情だが興奮しているらしい長門と笑顔の古泉・・・自分の事で一杯一杯で気付かなかったが二人ともヤル気満々だ。 ちょっと早まったかもしれない。 「いや、服は・・・このままで。」 着衣プレイが萌えるとか言うわけでは無く、自分の局部を見たくなかっただけだ。 息子の方は元気に顔を覗かせているが、通常世界で見慣れてるからな、抵抗は無い。 「じゃあ」 そういって長門は自分のモノを制服のズボンから取り出し、古泉は俺に跨った。 「ちょ、ちょっと待て、一気にやるのか!?」 予想はしてたがちょっと、この光景は正直、引く。 「長く楽しみたいのでしたら僕は後からにしますよ?」 それもそうだな。さっさと終わらせてしまおう。 そう思って体の力を抜いた所を狙って、予告無しに長門が挿れてきた。 「っぐぁ・・!!!!!何か、いえ・・・うあぁ・・・」 「限界。我慢して欲しい。」 「ひっ・・・ぐ・・・ま、まだ動かさないで・・・っくれ!!!」 「・・・わかった」 「早いですね、長門さん。僕も楽しむとしますね。」 「あ、や、やぁああ・・・!!!」 古泉が跨ったまま腰を沈めた。準備万端は伊達じゃなかったようだ。 「っふ・・・キョンくんのが・・・ナカに・・・はぁっ、気持ちいぃ・・・」 お前もそんなに動くな!!また早いとか言われたくないんだよ!俺は! 「・・・・・もう動かしてもいい?」 「っは・・・ながっ・・・ごめ、もう大丈夫っ・・・!!」 「ありがとう」 そう言って長門が腰を動かすとグチュグチュと水音がして、聴覚からも犯されている気分だ。 古泉と繋がっている所からも同じようが音がして、物凄く興奮する。 正直、二箇所で他人を感じるのは凄く気持ちよかった。 長門には奥までしっかり突かれて、古泉の奥を突いて、ほんともうどうにかなりそうだ。 「はひっぁ!!あっ・・・あぁああ!!ひっぐ、うぐ・・・はあああ!!!」 「凄っ・・・いいです、ね・・・そそりますね、その、っかお・・・!」 「やぁ・・・み、見ないでっ・・・!!」 馬鹿みたいに喘いでいたから、古泉の顔がすぐ近くまで来ていたことに気付かなかった。 「泣いちゃうほど、気持ちが良いんですねぇっ・・・」 いつの間にか頬を伝っていた涙を舐められ、そのまま口内も犯された。 やられたい放題だが、古泉の舌は凄く気持ちがいいし、俺もそのまま舌を絡め合わせた。 それを古泉の後ろから見ていた長門がつまらなさそうに 「・・・・・・・・動きづらい」と、呟いた途端一回大きくナカを突かれた後に ずるりと抜かれ、カリで入り口を引っかかれた衝撃で、俺は二回目の絶頂を古泉のナカで迎えた 「っぐ・・・はぁ!!!あ・・・あぁあぁああああっ!?」 「っひあぁ!!キョンくんのっが、ナカでっ・・・ビクビクって!!!っひぅっ」 状況が読めなかった。 なんで俺は古泉が正面にいて、長門が後ろにいるんだ?いつの間に? 「体位を変えただけ。また挿れる。」 そうですか。えーと・・・古泉が下・・・正常位で、長門がバック?これ、なんて言うんだっけと 自分の性に対する知識を確認してる間もなく、後ろから突かれ、胸も揉まれる。 「っく・・・!!あぁ、はぁ・・・はっ」 さっきの余韻が残ったままの後ろからの行為に戸惑いを隠せなかったが 長門の動きはさっきより激しくなく、丁度いい動きばかりで、胸をいじる手付きも気持ちよかった。 「っふ、う・・・あ、はあっ!!気持ち、いいっ!!も・・・もっとぉ!!」 「はぁ・・・長門さんにばっかり集中しないで、僕も、もっと気持ちよくして下さいね」 「う・・・うぁ、うん、ごめっ」 そう言われても動きは制限されているし、上手く体を動かせなかったので、意識を下半身に集中させ 長門の動きに合わせて古泉を攻めることにした。 「んっ、はぁ!あ、そこっ気持ちいい!!もっと下さいいぃ!!」 「あっあっ!!はぁ・・・すげっお前んナカ、ぐちゅぐちゅ・・・してるっ!!」 「貴方のナカも、負けていない」 「んうぅっ・・・」 自分の置かれてる状況を甘んじて受け入れると、結構悪くない。 悪くないどころか、最高だと思えてきた。 流石に俺も疲れてきていたが与えられる快楽には素直で、最初の抵抗はどこへやら 羞恥心の欠片も無い喘ぎ声ばかりあげていた。 そういえば、と限界が近い俺は伝えなければいけない事を朦朧としかけている頭で思い出した 「あっあ・・・長門っ!!あのっ・・・戻る前にっ俺の、きお・・・記憶っは、消してっ・・・くれ!!」 「・・・了解。そろそろ射精をする。」 「あっはぁああああああ!!!!!」 「ひあぁっ!!!!だめっ・・・僕もっ!!あぁああああ!!!!」 ――そして長門は俺のナカで、俺は古泉のナカで絶頂を向かえた。 後の処理は長門が上手くやってくれて、記憶も消してくれるだろう。 全く、ハルヒにこんな願望があったとは驚きだね。その辺はしっかり記憶から抹消しといてくれ。 俺も平和な高校生生活を満喫したいからな。 そう思いながら俺は意識を手放した。 ・ ・ ・ 「ありがとうございます、長門さん。 それにしても上手くいきましたね、長門さんが情報操作した世界だと気付かれずに事が運びました」 「あれ以来、小規模な情報操作は簡単だと気付いた。私も楽しかった。」 「くれぐれもご内密に。よければまたご一緒させて下さい。」 「・・・私はたまに情報操作をしながら、彼の性的欲求を解消していた。 それが古泉一樹にばれたのは不覚としか言いようがない。」 「ハハッ、機関の情報網はすごいでしょう。そのおかげで僕は彼の淫らな姿を拝める。 素敵なギブアンドテイクですよねぇ。」 「・・・・・・・・・・いいアイデアを貰えたから、構わない。」 「彼の記憶はどうするんですか?」 「このことに関する記憶や思考は全て消去する。今までもそうしてきた。」 「なるほど・・・僕の記憶は消さないんですよね?長門さんならば僕にばれた時点でそうしていたはずですから」 「そう。たまには罪悪感を背負う人間を増やしてもいいと思った。」 「ハハ、罪悪感ですか。確かに一人で抱えるには大きいですねぇ、この罪悪感は。」
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第 一 試 合 MAP 掃き溜め 戦闘領域:1km四方 粗大ゴミが山と積まれた不法投棄場です! ふふん、敗退したゴミ共にはお似合いのマップですね! 壊れた家電製品とか危険物がいっぱい転がってるので、怪我に注意し‥‥ じゃなくて、せいぜいゴミを利用して戦えばいいですよ!ふふん! 対戦者 裸繰埜闇裂練道vs糺礼vs意志乃鞘 SS 裸繰埜闇裂練道 糺礼 意志乃鞘 投票結果 投票結果 第 二 試 合 MAP 炭鉱 戦闘領域:炭鉱内 負け犬どもは炭鉱送りだー!深くて入り組んだ炭鉱です。 壁で黒く光っているのは石炭みたいですね。 移動用のトロッコだって敷かれてるんですよ!ひゃっほー! けれど、熱がこもって暑いです。空気も悪いので鉱夫さんは大変なのです。 対戦者 池松叢雲vsバロネス夜渡 SS 池松叢雲 バロネス夜渡 投票結果 投票結果
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元スレURL 安価でちぃマルSS 概要 安価でちぃマル短編集 タグ ^嵐千砂都 ^ウィーン・マルガレーテ ^安価 ^ほのぼの 名前 コメント
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『朝比奈みくるのブラックコーヒー』 ――こぽこぽこぽ。 あたしはいつも通り、部室のお茶くみ係としてがんばっています。皆さんこんにちわ。朝比奈みくるです。 ところで最近、あたしには気付いたことがあります。 アタシオワッテマス? あたしだって、未来から来たって以外は花の女子高生です!だから恋の一つや二つ体験したいんです! でも皆さん、考えてみてください。……みくキョン小説ってありますか? みくキョンじゃなくてもいいです。古みくでも国みくでも、この際谷みくでもかまいません。……あたしの恋愛小説って読んだことありますか? ええ、ハルキョンならたくさんあります。長キョンだって次いでおおいですよね?他にも古長、キョンオリ、この世界の創造主(作者)にいたっては佐々キョンまで執筆してるんですよ!? しかしです。 なんであたしだけ恋愛ヒロインになれないんじゃー!! だから朝比奈みくるは決心しました!この世界だけは、あたしがヒロインになって見せます!! 「………………」 長門さんがジーッとこちらを眺めています。しまった、今は部室で長門さんと二人っきりだった。どうやらテンションが上がった余り、ついトリップしちゃったみたいです。恥ずかしい!恥ずかしいです!あたし! 「大丈夫」 ふぇ? 「春の陽気のせい。私は気にしない」 ああそうですか。どうやら宇宙人に気を使われちゃったみたいです。チックショー! ある意味、裸になるより恥ずかしい言動を見られてしまったので、ダメ元で時間遡行を申請しようとした頃、涼宮さんがキョンくんのネクタイを引っ張ってやってきました。 「いい加減マジ離せ!阪中の犬のリードだって、もうちょっと緩いぜ!」 「犬ならもっと聞き分けがいいわ!」 うふふーなんだかラブラブですねー……死ね!! 「え?みくるちゃん、なんか言った?」 危ない危ない。今のセリフはあたしのキャラに合わないですね。せいぜい「ふふふ、バカップルさんですねー」が適切でしたね。反省です。 「今お茶いれますからね」 これで舌を火傷しちまえ!でもそうしたら「キョン熱いわ!何とかしなさい!」とか何とか言って「やれやれ、見せてみろ」ってなって、フラグが立っちゃいます!……やっぱりいつも通りぬるめにします。 「みなさんお集まりでしたか。遅れてしまって申し訳ございません」 古泉くんが人当たりのよい――と言えば聞こえが良いですが、要はうさんくさいスマイルで部室に入ってきました。 それにしても、いつも笑顔で筋肉痛にならないのかな?あ、筋肉痛で固まっちゃったから、いつもあのスマイルなのかな。謎です。 「すぐにお茶をいれますからね」 「いつもありがとうございます」 皆さんにお茶が行き渡ったのを確認してから、パイプいすにお尻を乗せました。はい、手の届く範囲にちゃんとポットときゅうすがあります。これで急なおかわりにも対応できます。 それでは本題に戻りますね。どうやったらあたしがヒロインになれるのでしょうか? その前にヒロインの定義って何ですか?「陰謀」の一回しかヒロインになったことないからわかりませぇ~ん……今頷いた人たちは刑事ドラマで殉職して、エレベーターに挟まれちまえ! う~ん、まずはそこから考えてみますね。 「あ、長門さん。おかわりいかがですか?」 「飲む」 とっとっと、これを注いだらすぐに戻りますから、ちょっと待ってくださいね。 ヒロインの定義その一。『主人公との恋愛関係』 これはもはやヒロインのお約束ですね。鉄板です。「る○○に剣心」の薫しかり「GT○」の冬月先生しかりです。……例に挙げた物が少年漫画なのは、創造主の趣味であり、あたしはマンガは「り○ん」とか「花と○め」しか読みませんからね。 主人公ですが、この場合はキョンくんですね。そりゃあキョンくんと付き合えたら、出番も増えるし一石二鳥ですよ。 でも、キョンくんには世界最強、無敵のファイヤーウォールが存在します。それも二枚も。 そうです、涼宮さんと佐々木さんです。 まず涼宮さんですが、これは語る必要はありませんね。下手にキョンくんに手を出したら消されます。冗談抜きで。 佐々木さんは佐々木さんで恐ろしいです。だってあの人って少しヤンデレ入ってるじゃないですか。 「主人公との恋愛関係」。これは保留ですね。これ以外に手が無かったとき限定のヤケクソ行為です。 ヒロインの定義その2。『囚われたお姫様』 悪の組織に連れ去られたヒロイン。まさに絶対絶命の大ピンチ!ジャァ――――ック!ヘルプミー――! そこへヒーローが颯爽と登場!ヘイ、ローズ?です! ……ジャックさんとローズさんって誰なのかは聞かないでください。適当です。 そして二人は燃え上がるような熱いベーゼをして……スタッフロール!映画によってはR―18指定の禁則事項な展開へ……はぅぅぅ!ダメです!危険すぎます! あれ?……ちょっと待ってください。あたし誘拐されたことあります!あの貧乳百合百合ツインテールとツンデレパンジーに!眠らせられててよく覚えてないですけどね。 なーんだ、すでにフラグ立ってるじゃないですか。もう、キョンくんったら。キスぐらいなら許してあげましたよ?……つーかむしろしてくださいよ。 これは既に達成してるのでレ点を点けときますね。チェック1です。ふふふ~♪ ヒロインの定義その3。『弱点』 一見、マイナス要素にも思えますが、これは重要です。例のごとく例をあげるとすれば「ハヤテ○ごとく」のナ○は天才だけど引きこもりの運動音痴ちゃんですし、「ワン○ース」の○ミはお金に汚く、ネーミングセンスがありません。 そうなんです!愛されるヒロインほど、マイナスな要素も強いんです! いわゆる「ギャップ」という高等テクニックさんです。弱点が強ければ強いほど比護欲を掻き立てられて、主人公とあんなことやこんなことやそんなことをコンチクショー!! だから朝比奈みくるは自分の弱点を考えました!聞いてください! 泣き虫。ドジッ娘。鈍くさい。運痴。デフォで役立た……あれ?何だかお茶がしょっぱいです。変ですねー、まるで塩水でお茶をいれたみたいです。 ええ!泣いてますよ!いけないですか!?せめて泣くぐらいさせてくださいよ!ふぇーん!どうせあたしなんかお茶くみぐらいしか満足にできないエセ【《『爆乳』》】メイドですよ!だいたい「囚われのお姫様」と「弱点」という重要な二つのヒロイン要素を持っているあたしなのに、なんでモテないんじゃー! やっぱり未来人だからか!未来人だからなのか!それなら普通人として生まれたかったですよ!管理局のバッキャロー!! そんなこんなであっという間に下校時間です。あたしは一人、北高の坂道を歩いています。 え?なんで一人かって?涼宮さんは罰ゲームと言ってキョンくんを連れて駅前の商店街へ。古泉くんは上司さんへ連絡。長門さんは気付いたらいなくなってました。 つまりハブられたからですよ。みんなズルズルのタイヤで峠を攻めちまえ! ――どっしぃ~~ん! 「うきゅう!」 あたしの背中に何かが落ちてきました!痛いですぅ!?ドッキリですか!ドッキリなんですか!? 「いたたたたたた……あ、みくるちゃん」 「す、涼宮さん!?」 あたしの背中に降ってきたのは金ダライではなく、青いワンピースを来た涼宮さんでした。 「なんでここにいるんですか?今はキョンくんとデートですよね?」 「ハッ!?あたしがなんでキョンとデートしなきゃならないのよ!」 どういうことでしょう?この涼宮さんが、涼宮さんの偽物とは思えないんですけど……。 「……ああ、ひょっとしてこっちのあたしのことか」 「こ、こっちってどっちです?」 「うーん。まあ、あれよあれ。情報伝達に齟齬が発生するって奴ね。簡単に言うと、あたしはあたしの異世界同位体ってとこかしら」 「ふぇ、ふぇ、ふぇぇぇぇ!?」 涼宮さんの異世界同位体……つまり異世界人ですか!? 「そ。よろしくね。そっちのみくるちゃん♪」 異世界涼宮さんは、ドッキリが大成功で終わった仕掛け人みたいな笑顔で言いました。驚きです!まさに驚きなんです! 「ふぅーん、みくるちゃんもやっぱり女の子だったんだ」 涼宮さんがニヤニヤとあたしを舐め回すように眺めてます。 ちなみにこちらの涼宮さんですが、なんと私たちの創造主が別世界(某ハルヒSS投稿サイト)にて創造している「ハルヒ×FF8」の世界からやって来たようです。 あ、ちなみにここの世界(涼宮ハルヒのSS inVIP@Wiki)には、その物語をサルべ-ジする予定は無いので、あまり期待はしないでくださいね。あ、してない?そうですよね。こんなぺーぺー三流SS作者の物語なんか小指の毛細血管程も期待してないですよ。 そんな世界からやって来た涼宮さんですが、最近知った自分の力を使うのにはまだ慣れてないらしく、どうやら失敗しちゃったようです。あたしを差し置いてドジっこ属性ですか?!ヒロイン要素プラスですか?! 「あたしだって恋の一つや二つ体験したいんです。なんで私は独り身フラグが多いんでしょうか?」 「……フラグって言うのがあたしにはよくわかんないだけど、多分みくるちゃんは経験値が低いんじゃないの?」 「け、経験値ですか?」 恋愛経験値を上げてくれるはぐれメタルさんがいれば良いんですけど、そんなのいるわけありませんし……いたとしてもどうせ倒せないですし。最初のターンで逃げられちゃいますよ。絶対。 「そこであたしからプレゼントよ!うぬぬぬぬぬ……」 涼宮さんが何だか力み始めました。進化するんでしょうか? しばらく力み続けると、涼宮さんの両手に光が集まって来ました。あれれ?何かに変化してきました? 「じゃーん!その名も異世界トラベラー!」 あまり似てないドラえもんのモノマネと一緒に出てきたもの、それは自転車でした。 「な、何ですかこれ?」 「異世界トラベラーよ」 「いえ、名前じゃなくて、自転車ですよね」 どこからどう見ても何の変哲もないママチャリです。これをいっぱいこいでダイエットに使うんでしょうか? 「使い方は簡単。この自転車に乗って、時速二十キロまでスピードを出すだけよ」 「出すとどうなるんですか?」 「何と異世界に行けるという優れものよ!これをみくるちゃんにあげるわ!これで異世界に行って、恋愛バカップルたちを観察すればいいのよ!」 すごいです涼宮さん!これで恋愛にいそしんでる人たちの観察と取材ができれば、あたしの恋愛経験値が上がるってわけですね! 「そうよ。気に入ってくれた?」 「はい!何だかお礼をしたいくらいです!」 その瞬間、涼宮さんの目が危険に煌めいた気がします。……なんだかやな予感です。 「お礼なら身体で払ってもらうわよ!それ!」 「キャァ!しゅ、しゅ、しゅじゅみやしゃん!やめてくらはい!」 「うふふー♪やっぱりみくるちゃんはフッカフカ♪」 ここは屋外ですから!おっぱいを触るのはやめてください!アア!そこは禁則事項です! 涼宮さんの指に散々弄ばれ、危うくハルみくエンドに目覚める寸前で解放されました。あぁぁぁぁ~……あと少しで別の世界に行っちゃうところでした…… 「あ、そろそろ本気で行かないと。それじゃみくるちゃんまったね~♪」 異世界の涼宮さんは嬉しそうに手を振りながら光の中へと消えちゃいました。……また会うことは構いませんけど、今度はおっぱいを触らないでくださいよ…… 涼宮さんにもみくちゃにされながら、あたしはあることを思いつきました。 「なんで自転車なんですか?」 「……本当はデロリアンにしたかったんだけど、みくるちゃんなら絶対事故るでしょ?」 納得です。その前に免許証を持ってません。 さて、所変わって北高の坂の一番上まで戻って来ちゃいました。ここから一直線に下まで漕げば、いくらあたしでも時速二十キロ出せるはずです。 「えと……液晶パネルに対象のカップリングを選択するんでしたよね」 ハルキョン、長キョン……うわ、朝キョンまであります。 あたしはとりあえずあたしとキョンくん、つまり「キョン×みくる」を選択しました。ポチポチっと。 『該当するデータが存在しないわ!別のカップリングを選んでね』 ……そ、そうですよね。キョンくんはほぼ間違いなく涼宮さんを選んじゃいますよね!あたしなんか目に写りませんよね!……あのマゾ野郎! 無いものは仕方がないので、今度は「古泉×みくる」を選択しました。 『該当するデータが存在しないわ!別のカップリングを選んでね』 ……あの同性愛者が! その後、思いつく限りの男性キャラとあたしのカップリングを選択してみたんですが、全て『該当するデータが存在しないわ!』でした。 て、あたしの何がいけないんですか!?おっぱいだって全キャラ最強の質量ですよ!?これじゃあ宝の持ち腐れです!世の男性はこれを自由にしたくないって言うんですか?!……恋人になら触らしてあげますよ?思う存分。……って!ダメですみくる!品性だけは高く持たないといけないですよ! ガッついちゃダメです! どうやらあたしの知り合いの男性キャラはみんな貧相なおっぱいが趣味らしいので、あたしは身近な所で「古泉×長門」を選択しました。 え?身近ならハルキョンじゃないかって?何言ってるんですか。それは幼稚園児が遠足で動物園に行くくらい当たり前のことです。ありきたりすぎて面白くないですよ?その世界でのあたしの役割だって想像できますし。だからハルキョンは維持でも選んでやりません!フンだ! 「それじゃあ古長世界に異世界遡行を開始します!えぇい!」 ペダルを力一杯踏みしめ、発進させました。ふぇぇぇぇ!ちょっと怖いですぅ! 坂を半分ほど降ったあたりで、流れていた風景の彩度が段々落ちてきました。 「うわぁぁぁぁぁぁ……」 世界が灰色の光に包まれ、同時に体が浮かび上がった気がしました。 「ひぇぇぇぇ~!」 きっとミキサーの中のお野菜の気持ちってこんな気分だったんでしょうね。灰色の世界が段々と色を取り戻してきました。 「……………………」 「……………………」 「……………………」 世界に色が戻ると同時に、たっぷりの沈黙が三つもできました。 あたしは気がつくと、長門さんのマンションにあがりこんでいました。自転車ごと。ええ、思いっ切り土足です。長門さん、ごめんなさい。 さて、されでは私が置かれている状況を説明しましょう。とっても簡単です。ワンセンテンスですんじゃいます。聞いてください。 『長門さんが古泉君の膝の上で読書していた』 もしくは 『古泉君が読書中の長門さんを膝に乗せてた』 はい。みなさんご一緒に、 「ふぇぇぇぇぇ!?」 どどどうなってるんですかっ!?そりゃ確かに二人が交際してる世界を選びましたよ?!でも、何もいきなり幸せを満喫している場所に乱入させなくてもいいじゃないですか!水泳だって準備体操しなきゃ心臓麻痺を起こしちゃうんですよ!?今のこの状況は夏場のプールなんかより、よっぽど心臓麻痺の恐れが生まれますよ!あたしにとって! 「つまり、異世界から恋愛について学びにきた。というわけですね?」 こんな時にも古泉君の解説スキルが全開しています。ま、おかげで長門さんの瞳から止むことなく降り注いでいる絶対零度の炭酸ガスレーザーを気にしないフリができてますけど。はいそうです。 「そうですか。また涼宮さんの情報フレアのせいかと思ってしまい、すごく緊張しましたよ」 ここに来た方法は涼宮さんの情報創造能力なんですけどね。 「うーん。案外ネタバラシをしても何ともなさそうですね」 それだったら、あたし達が今までしてきたことはなんだったんですか。あ、そうだ。 「あの……お二人はいつから交際してるんですか?あたし、とっても気になります!」 危うく当初の目的を忘れるところでした。眼前に迫った死への恐怖で。……眼前って言っても背後ですけど。だって長門さんがすっごく怖いんですもん。邪魔しちゃったからかな? 「……そうですね。もう、半年以上になりますかね」 「一樹。半年ではなく六ヶ月と三週間と二日」 「半年以上でくくれるからよろしいじゃないですか」 「ダメ。重要」 「……わかりましたよ。そうでしたね」 「……その言い方では、わかっていないのは明白。心がこもってない」 「……有希。僕が記念日を忘れたことがありましたか?ちゃんと大事にしていますから。機嫌を直してくださいよ」 「……なら態度で示して」 「ハイハイ」 「はいは一回が理想的」 ………………………………………………………………………死ね! どうやらとんでもないバカップル世界に来てしまったようです。殆ど乱入とはいえ、お茶を出されたことからあたしも一応はお客さんですよ?なのになのに……目の前で見せつけないでくださいよ!?あたしって空気ですか?!お二人の目にはあたしが映ってますか?! つーか背後にいたはずの長門さんが、いつの間に古泉君の膝の上にテレポートしたんですか!!いや、長門さんならできそうですけど! もういいです!あたしはバカップルになる方法を知りたいだけであり、けっしてなった人たちを見に来たわけではありません!帰らせていただきます! あたしは先ほどから局地的に人口密度を二倍にしているバカップル二人を見限り、異世界トラベラー涼宮モデルを引きずって居間を後にしました。サヨウナラ!もう二度と来ません! 「………………」 …………あたしが出ていったすぐ後に始めちゃうのかな?へ?何を始めるかって?もう!そんなこと察してくださいよ! あたしは忍者になった気分で居間のふすまに耳を当てました。エエエエエッチなのはいけないんです! 『やっと帰還した』 『有希、お客さんにそういうことを言わないでくださいよ』 『……私より朝比奈みくるの方が大事?』 『……本気でブチますよ?』 『ごめんなさい。だから怒らないで』 『あなたより大事な存在なんていませんよ』 『私も』 『即答ですか』 『当然。愛してるから』 『フフフ。ありがとうございます』 『だから……』 『ちょっ!?まだ日が昇ってますよ!』 『関係無い』 『あります!』 『この行為に時間帯は関係無いはず』 『……やれやれですね』 『連れてって』 『かしこまりました』 えっえっえっえぇぇぇぇ~!こんなにあっさりあれをしちゃうんですか!? 『パーソナルネーム朝比奈みくるの情報連結解除を申』 「帰ります帰ります!すぐに帰ります!」 異世界トラベラー起動!限界を越えろみくる! 人間は死ぬ気になれば何でもできることを、ももの痛みと潰れかけの肺胞を引き換えに理解しました。……ハァハァ……膝がもう上がりません……。 今度は北高の屋上に出てきました。ところでここはなに世界でしょうか?急いで選んだからパネルを見ずに来ちゃったんですよね。 「ふぇ!?」 パネルにはこう記されてました。 『朝×キョン』 まさか『朝×キョン』が本当に存在するとは。……あ、ちなみに『朝×キョン』と言いましたが、『朝』比奈みくるの『朝』じゃなくて『朝』倉涼子の『朝』ですから。勘違いしないでくださいね。え?そんなことわかってるって?ミクルビームブッ放しますよ? 『さ、キョンくん。早く食べようよ』 『んな急かすな。弁当箱は逃げん』 『だってあたしの手作りなのよ?早くキョンくんの喜ぶ顔が見たいもん』 『いつも見てるだろうが』 『いつでも見たいの』 来やがりましたねバカップル!さあキョンくん!二度も自分を殺しに来た人と付き合うような図太い神経を解明させてもらいますからね! 屋上と階段室を繋ぐドアから、朝倉さんとキョンくんが手を繋いで現れてきました。う、羨ましくなんかないんだからね! 「あれ?朝比奈さんも屋上で昼食ですか?」 キョンくんが開口一番、あたしに気づいて声をかけてくれましたが、その後ろで朝倉さんが一瞬だけ迷惑そうな顔を作った気がします。これが有名なサブリミナル効果ですね。殺人鬼の分際で!全裸でケチャップとマヨネーズを塗りたくってサファリツアーに行っちまえ! 「私はこの世界の人間ではありません。別世界からやってきました」 前にキョンくんに言った言葉と似てる気しますが、あたしの数少ない名言なのでリサイクルしちゃいました。だってあたしは地球に優しい女の子だから!……ごめんなさい。言ってみただけです。 「なんだ。そんなことですか」 「簡単にそうに言ってますけど、あたしにとっては死活問題なんです」 「でも嬉しいわ。まさかわざわざ異世界から私たちのラブラブっぷりを観察してきてくれたなんて、ねーキョンくん」 「なー。涼子」 朝倉さんとキョンくんが、顔を見合わせて「ねー」の部分をユニゾンさせました。チクショウチクショウコンチクショウめぇっ! 「えっとじゃあ質問させてもらいますね?」 「質問されましょう」 あ、今朝倉さんの目が刃物みたいに一瞬だけ煌めいちゃいました。なんでキョンくんは気付かないんでしょうか?鈍感は無敵ってことかな? 「それじゃあまずはお二人が交際始めちゃったキッカケなんか聞かせてくださいよ」 「うーん、そうですね」 ええ、ただののろけ話にしかなりませんでしたよ。予想通りです。 「だってキョンくん、いきなり「お前がポニーテールにしたら信じてやる」だもん。それも真顔で。あ、でもあの時のキョンくんはかっこよかったわ」 「おいおい、世辞は止してくれ。こそばゆい」 「あーあ、私には愛の概念がわからないと思ってたのになー」 「わかってよかっただろ?」 「……うん」 ホラね。またカカシさんですよ。今なら田んぼの中のカカシさんよりカカシさんらしく、害鳥さんを追い払えそうです。いっそのこと『朝比奈=K(akashi)=みくる』って改名しちゃいましょうか!お前ら二人とも戦場に向かうトラックの中で、自分の恋人のことを自慢しちまえ! 「……つまり朝倉さんが再構成されて、気がついたらSOS団に入団してて、いつの間にか付き合ってたってことですか」 「違いますよ朝比奈さん。まだ色々と」 もう結構です。お腹一杯胸一杯、ついでに甘すぎていっぱいいっぱいです。今すぐハバネロを丸かじりしたい気分ですから。 キョンくんはまだ言いたりないのか、少し拗ね気味にブーたれてしまいました。うぅ!お姉さんハートが貫かれました!ライフルで!かわいいです!いいなー朝倉さん。キョンくんのこんな顔が独占できて。……ん? 「……涼宮さんにはなんて言ったんですか?」 これは超重要です。SOS団が発足してすぐの五月、平たく言えば「憂鬱」のクライマックスでもある、キョンくんと涼宮さんが閉鎖空間に閉じこめられた事件です。 あの時はついキョンくんとじゃれてしまい、あたしには全然そのつもりは無かったんですけど、涼宮さんにはそれがイチャついてるように見え、そのせいで世界に絶望し、新世界を創造しようとしたのがあたしたちの見解です。 ……思い出してもゾッとします。キョンくん、あの時はありがとうございました。それとごめんなさい。 そんな涼宮さんが、キョンくんが自分以外の誰かと付き合うなんて、そう簡単に認めるとは思えません。どうやって丸め……説得したんでしょうか。 「涼宮さんには悪いと思ったわ。でも、特になにもしなかったわ」 「……ふぇ?」 「ええ、私とキョンくんが真剣だと言うことを示したら、渋々だけど了承してくれたわ。キョンくんは罰ゲーム受けたけどね」 「ハルヒはあれでいて常識的な部分がありますからね。SOS団の日々で成長した部分もあると思いますが」 キョンくんが今でも「ハルヒ」と親しげに呼んでるあたり、この世界の二人の関係は良好なようです。それが例え恋人同士じゃなくても。 「勇気を出して言った分、ちょっと拍子抜けしちゃったくらいかな」 勇気。朝倉さんの言った言葉に、あたしは一種の尊敬を感じました。恋愛には勇気が必要なんですね。これは重要事項です。 「色々お話が聞けて嬉しいです。それじゃああたしはそろそろ帰りますね」 フフフ、これ以上いると本当に邪魔になっちゃうだろうし。 「あ、最後に一つだけ聞いてもいいですか?」 「なんですか朝比奈さん。あなたの問なら俺に拒む権利など……脇腹が痛むから睨むな。怖すぎる」 「涼宮さんから受けた罰ゲームって何だったんですか?」 「……禁則事項です」 キョンくんは恐怖で顔をひきつらせながら答えました。……どうやら地雷だったようですね。 「さて、次はどこの世界に行きましょうか」 できるだけありえない組み合わせの方がいいんですよね。そうだ、ここでお題を募集しましょうか!?しちゃいましょうか!? ……なんて、そんな臨機応変で斬新なスタイルでSSを書けるほど、うちの創造主は構成力をもってないです。 ……あ、いきなり未来から最優先強制コードが届きました。……へ?これを言うのですか? 「あーあ!構成力と執筆力の上がるはぐれメタルがいればなぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」 失礼しました。未来からの指令をキャッチしてしまいましたので。ところでこれが一体何の規定事項につながるのでしょうか?むむむ……謎です。 朝倉さんたちの後も色々見てきました。佐々木×キョン。長門×国木田。森×古泉……なんで森さんってどこの物語でもSキャラで書かれるんでしょうか?あたしが見た世界なんかSえ……禁則事項でした。よくしなる皮の布とロウがいっぱい垂れそうなロウソクを持ってましたから。うーん、謎です。オーラがいじめっ子なのかな? 結構なペースで色々回りましたから、そろそろ普通な組み合わせはコンプリートしたのかな?もうネタ切れです。 こうなったらランダム機能をオンにして、適当に行ってやりますか!もしかしたら『新川×橘』だとか『ミヨキチ×谷口』もしくは『コンピ部長×妹』なんて犯罪者的で馬鹿みたいにありえないカップリングに遭遇できるかもしれませんし!はぐれメタルタイムです! 右親指近くにあるベルを鳴らして北高前の坂道を下ります。いっけ~異世界トラベラー涼宮モデル! 「ふぇ!?」 世界移動を完了し、次がどこの異世界かな。と怖がりながらも期待して目を開いたあたしですが、様子がおかしいです。 「ここどこですか~?あたしどこにつれてこられたんですか~?」 あたりは見渡す限りの暗闇です。床があるのは間違いないのですが、真っ暗で何も見えません。ふぇ~ん、怖いです~。 ――ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー! 「へぐぅ!」 いきなり、異世界トラベラー涼宮モデルのカップリング選択パネルから怖い音が流れてきました。ど、どうしたんですか?まさか壊れちゃったりしないですよね? 『大変!燃料切れだわ!最寄の異世界に着陸するから、今すぐ雁音の茶葉と1.21ジゴワットの電力を流しなさい!』 ま、待ってください!せめて元の世界に帰へぐぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ! コインランドリーの洗濯物気分を無理矢理味わうかのような浮遊感でした。いやぁぁぁぁ漏らしちゃいますぅぅぅぅぅ~……。 誰かの腿の感触を感じ、重いまぶたを開けてみると……、 「……大丈夫ですか?朝比奈みくるさん」 そこにいたのは一部では鬼ワカメの愛称で親しまれている喜緑さんです。……女の子に膝枕されても嬉しくないです。どうせなら男の子にしてくださいよ。チェンジってできますか? 「みくるさん。今、とっても失礼なこと考えていますよね?」 ナンデバレタノデショウカ?今のは完全なモノローグなのに。 「あの、あたしどうしちゃったのですか?」 あたりを見回すと、細部は違えど長門さんの部屋とよく似た高級マンションの一室みたいです。もしや元の世界に帰ってこれたのでしょうか? 「本題に入りましょう。あなたはどうやってこの現行世界に侵入できたのでしょうか?」 あ、やっぱり異世界ですか。なんであたしがこんな目にあわなければならないんですか。一体誰のせいですか。フンだ! 「私はこの世界の人間ではありません。別世界からやってきました」 「いえ、ですからどうやって現行世界に侵入したのですか」 鬼ワカメの無駄に上手い溜息が、何だか妙にムッときました。まぁそうれもそうですね。言ってみただけです。 「はぁ……くだらない」 喜緑さんは心の底からくだらないらしく、ゾウさんのする溜息よりも大きな溜息を吐きました。あなたにとってくだらなくても、あたしにとっては死活問題なのです!ま、恋愛感情がわからないワカメちゃんにはわからないでしょうけど! 「やれやれですね。あら、携帯電話がなってますね」 いきなり立ち上がったせいで、あたしのこめかみは硬いフローリングにぶつかってしまいました。いたいですぅ! 「は~い!エミリで~す!もう会長ったら!いきなり電話してこないでくださいよー!心の準備ができないじゃないですかー!」 そうですかそうですか。『会長×喜緑』ですか。某真っ白チビ宇宙人に超大技放って安心しやがれ!そして爆発されちまえ! 「愛してますよ。か・い・ち・ょ・う!……確かその自転車の燃料が切れたせいで帰れないって言ってましたね」 取り繕っても全然羨ましくなんかないんだからね! 「そうなんですよ。雁音の茶葉ならあたしのカバンの中にあるんですけど……」 「他にも何かございますのでしょうか?異分子であるあなたにこの世界に滞在されると困りますので、できる限りは協力いたします」 どうせあたしは厄介ごとしか持ってこない未来人ですよ~だ。 「あの……でしたら電気を貸してほしいんですけど」 喜緑さんの足元にあるコンセントを指差しました。 「え?電気ですか?そんなのでよろしければいくらでも使ってください」 「じゃあ、1.21ジゴワットお借りますね。あれ?でもこの自転車にはコンセントの差し込む方が無いですね。う~ん、どうしましょう……喜緑さん?」 あたしが自転車を隅々まで調べていく時間に比例し、喜緑さんの顔がドンドン蒼白になっていきます。拾い食いでもしてお腹を壊したのかな? 「あ、朝比奈さん?今、なんとおっしょいましたか?」 「いえ、ですから1.21ジゴワットと」 「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」 いきなりあたしの鼓膜を破ったかと思うと、喜緑さんは叫びながらマンションを飛び出して行きました。喜緑さーん。どこまで行くんですか~? 「ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえ……ゼェゼェ……そんなバカな!」 「一体どうしちゃったんですか。こんなの喜緑さんのキャラに合いませんよ?インターフェースさん達なら何でもできるんじゃ……」 それに1.21ジゴワットって何ですか? 「何言っているんですか!そんな膨大な電力、いくら私たちでも無理です!逆立ちしたってできません!」 「ええ!?そんなぁ!このまま元の世界に帰れないなんて、あたし困ります!」 一体誰のせいでこんなことになったとおもってるんですか! 「いい?朝比奈さん。あなたの時代ならともかく、1.21ジゴワットなんて電力、この時代の科学力では作り出すのは不可能。それこそ、あるとしたら雷くらいしかございません」 雷ですか!?うわぁ、この自転車って、すごい無駄に電気を食うんですね。仕方ないからもう帰りましょう。 「今、帰還は不可能といいましたよね?それとも聞いてなかったのですか?」 「聞いてましたけど……喜緑さんなら、天気予報くらいできるんじゃないですか?それで雷は落ちる時間を見つけて、その電力を引っ張ってくれば……」 その瞬間、喜緑さんの目が点になりました。またこうやってドジっこが生まれますか!あたしを差し置いてメインキャラになる気ですか!このイスだけは渡しませんからね! 「……い、今のはあなたを試しただけなんですからね!勘違いしないでください!」 ドジっこ×ツンデレなんて、今さらベタですよ。喜緑さん。 その後、あたしは夢の国のアトラクションを全て制覇したような疲労感に見まわれてから、元の世界の自宅へ帰還を果たしました。 そう言えば、あの帰還不可能かも事件の最後に喜緑さんが言った言葉ってどういう意味ですか? 「I love BTTF」 なにかの頭文字ですか?TPDDみたいな。あとでグーグル検索してみましょうか。 さていろんなバカップルたちを見て経験値を上げた朝比奈みくるは、ある結論に達しました! 「恋愛には勇気が必要なんです!」 そうです!あきらめたらそこで試合終了です!だから最初っから無理だと思っちゃいけないんです! あたしは心の師匠である安西先生の名言を反芻しながら、携帯電話を開きました。ピポピポっと。 「もしもし。キョンくんですか?」 『どうかしましたか朝比奈さん?』 「あの……今度の日曜日なんですけど、時間空いてますか?」 『へ?……ええ。多分何にも無いと思いますけど』 「よ、よ、よ、よ、よろしければ一緒に買い物なんかに行きませんか?」 『…………わかりました。どこかで待ち合わせしませんか?』 「そうですね……いつもの喫茶店にしませんか?わかりやすいですし」 『了解しました。それではいつもの喫茶店ですね』 「十時までに来ないと罰金取っちゃいますからねー……フフフ、これ一度言ってみたかったんですよ」 『朝比奈さんの頼みなら、前日から野宿してでも達成させますよ』 「キョンくんったら。ありがとうございます。それじゃあお休みなさい」 『はい。朝比奈さんも』 あたしが「キョンみくエンド」の先駆けになってみせます!異世界のあたしもあたしを応援してくださいね! 時間は時間遡行をしたかのようにあっという間に過ぎて、本日は日曜日です。 ああ、道行くカップルたちも、今日だけはあたしの神経を逆撫でする存在ではなく、あたしの同士……戦友と言っても良いでしょう。 「お待たせしました朝比奈さん」 背中から投げかけられた声。キョンくんが少しだけ眠たそうに声をかけて来ました。 「全然待ってないですよ。今来た所ですから」 ホントは生まれて初めてのデートなので緊張しちゃって一時間も早く来ちゃったんですけど、こういうのがセオリーですからね。嘘ついちゃいました。 「ま、とりあえず座っちゃってください」 向かいの席の椅子を引き、キョンくんの着席を促しました。 「ありがとうございます」 キョンくんはいつもあたしに向けてくれる優しげな笑みを浮かべながら着席しました。ああ、今、お姉さんキュン死にしかけました。この人殺しめ、この笑顔で何人殺したのでしょうか。涼宮さんに長門さんに佐々木さんに……この十倍はいるでしょうね。絶対。 「それで今日は何の用事ですか?未来からの指令ですよね?」 へ?あたしがおめかししてここにいるのに気が……つくわけないですよ。それで気がつくキョンくんなんかキョンくんのわけがありません。朝倉さんあたりがキョンくんに変装してるとしか思えませんから。 「えーとですね。今回は別に未来は……」 待ってください。もし今ここで「未来は関係ありません」って言っちゃった場合、「それならハルヒたちも呼んでみんなで楽しみましょう」とか何とか言って、キョンくんと2人っきりでのデートができなくなるかもしれません。疑心暗鬼?いえいえ、長門さんの図書館での待ち合わせフラグをでこぴんで軽々とへし折った人ですよ?キョンくんって。 でもですね、「未来からの指令」と言えば、少なくとも2人っきりにはなれます。それに最後の告白イベント時に、 「ごめんなさいキョンくん。実は指令ってのは嘘で、キョンくんと一緒にいたかったの」 「朝比奈さん?どういうことですか?」 ここでちょっと涙目プラス上目使いのコンボ発動! 「あたしはあなたが好きだから……」 「朝比奈さん!」 「キョンくん!」 そこでこう、ムチューと、ムチューっと!モミモミもプラスです! 「朝比奈さん?」 ちょっとまってください。今は手を繋いで大人の遊園地の愛の部屋を選んでますから。 「あの……もしもし?」 じゃ電気を消して……とかなんとか言っちゃってキャー!ダメです!これ以上は禁則事項です! 「朝比奈さん!」 「……ヒェッ!ななななな何でしょうか?」 「朝比奈さんこそどうしたんですか?さっきから口をたこさんウィンナーみたくつきだしたり、禁則事項がどうとか」 ああ、全部聞かれちゃってましたか。でもさすがキョンくんです。内容を理解してません。だからこの前の現代文の小テストが悪かったって嘆いていたんですね。 「……ごめんなさい。禁則事項なんです。でも、とにかくあたしと一緒についてきてくれませんか?」 「ハハハハハ。朝比奈さんのお誘いを断れる男性なんてこの世にはいませんよ。何でも言ってください。馬車馬よりも立派に働いてみせますよ」 ニコッと軽く微笑んでくれたキョンくんに、あたしはまたキュン死にしちゃいました。 ここが最後の選択ポイントでした。みなさん、ゲームではセーブはこまめにしましょうね。そうしないとあたしみたいにヒドい目にあっちゃいますからねー。 それでは朝比奈みくるの恋愛ヒロイン作戦スタートです! 「それじゃそろそろ行きましょう」 「お供します」 キョンくんはブラックコーヒーを一気飲みして席を立ちました。 あぁ!今日の空は一段と輝いている気がします!きっとお日様もあたしの運命を祝福してるんですね! あたしがお日様に挨拶をしちゃいそうなくらいウキウキ気分で喫茶店をでた瞬間でした。 「み、く、る、ちゃーん。そこでなにやってるのかなー?」 …………いけませんね。きっとデートコースを入念に構築していたから、疲れで幻聴が聞こえたのでしょう。きっと! 「くっくっ、今日はよく友人たちと邂逅を果たす日のようだ。この巡り合わせ、一種の作為的な物を感じるよ」 あーあー聞こえない聞こえない聞こえない聞こえない。 「おう、ハルヒと佐々木じゃねえか。珍しいな。おまえらが一緒にグエ!」 言い終わる直前に涼宮さんのネックハンキングツリーが炸裂しました。あ、ちなみに冷静にあたりの状況を解説してるように見えるでしょうが、これはただの現実逃避ですからね。どうやらバッドエンドにすすむのは既定事項のようです。 「そうだね。ただ今涼宮さんは明智光秀の謀叛を察知した第六天魔王のように激昂しているようなので、先ほどの質問には僕が答えよう。そのままでいいから聞いてくれたまえ」 そのままって!そのままって!キョンくんは吊り上げられてるんですよ!あ、そっか。佐々木さんは織田信長に度々折檻を受けた日向上が、いざ謀叛を決意したときってくらいに怒ってるんでしょうね。 「まず、なぜ僕が涼宮さんと一緒に休日を謳歌しているかと言うと、大したことじゃないさ。僕と涼宮さんは友人関係を形成しているからだよ」 まさかの佐々木×ハルヒですか!? 「そういうことよ!さあキョン!全部マルッと吐きなさい!なんであんたがみくるちゃんとデートしてんのよ!」 「涼宮さん。そろそろつっこんでおくけど、いい加減はなしてあげたらどうかしら?弁解しようにもそれでは無理だと思うわ」 佐々木さんの提案に涼宮さんは渋々ながらも受け入れ、キョンくんの下あごから手を離しました。 「ゲッホゲホ!殺す気か!?」 「いや、大丈夫だよ。ネックハンキングツリーというプロレス技は、首ではなく下あごをつるし上げる技だからね。地獄の苦しみを味わうけど、死にはしないよ。くっくっくっくっくっ」 こっからでは佐々木さんの顔は判別できませんが、千人が見たら千人が恐怖で発狂するくらいに恐ろしい顔だと思います。 今まで空気や湯沸かしポットぐらいにしか存在感が無いことが悩みの種でしたが、今ほど空気に溶け込みたいと思ったことはありません。ごめんなさいキョンくん。あたし、逃げます! 「佐々木!」 「涼宮さん!」 人外の瞬発力であたしの前に立ちふさがる涼宮さんと佐々木さん。どうやら友人というのは本当らしいですね。じゃなきゃこんな抜群のコンビネーションを発揮できませんよ。 「いつもならキョンひとりをつるし上げるけど」 「その気合い入りすぎのメイクとファッションをみる限り、他人事には思えないわね」 「ここここここ……」 言葉になりません!目の前に明王ですら土下座で許しを嘆願しそうな女神が二人もいるんですよ!?怖いです! ――ドサッ! 恐怖のあまり肩の力が抜け、あたしの肩からポシェットが滑り落ち、豪快に中身が地面に散らばりました……って!! 「これ、デート雑誌じゃない!」 「しかも所々にふせんやマーカーでチェックをいれて……」 ぐあ!抜かりました! 「これで証拠物件は全て出揃ったわね!」 涼宮さんが逆転を勝ち取った弁護士のように笑いました。もちろん覇王を背負いながら。 「いいかい朝比奈さん?私たちは別に咎めるつもりはないんだよ?ただね、何、を、す、る、つもりだったの?」 佐々木さん。それを咎めると言うんですよ。 何度も何度もTPDDの起動をダメ元で申請していたときです。 ――ぴりりりりりり。 遥かかなたで小さく空気になっていたキョンくんの携帯電話から呼び出し音がなりました!このコールは天の助けですか!? 「もしもし、っておふくろか。……ハ!?」 キョンくんの顔が一気に蒼白になりました。 「わかった!すぐ戻る!」 ――ぶちっ! 「ハルヒ!佐々木!うちの妹が風邪をひいた!それもかなりの高熱らしい!」 「ちょっとキョン!それ本気!?逃げようとして口から出任せ言ったんじゃないわよね!!」 「妹だしにしてまで逃げるか!マジだ!」 「キョン。確かキミの妹君はプリンが大好きだったよね。買っててあげるとよい」 「た、た、た、た大変です!あたしも行きます!」 ――がしっ! ふぇ? 「みくるちゃんはいいのよ。妹ちゃんの看病なら平のキョンだけで間に合うでしょ?」 「本来なら私たちがいってあげたいところだが、あまり大勢でいっても迷惑にしかならないだろうからね」 あたしの左腕には涼宮さん。あたしの右腕には佐々木さん。二人ががっちりと腕を絡めてきたので、動けそうにありません。 「キョン!あんたの罰ゲームは後日改めて言い渡すわ!」 「だから早くいってあげてくれたまえ」 「恩に切るぜ!」 キョンくんはそう叫んでから、光の速さで見えなくなりました。 「さてみくるちゃん。罰ゲームは何にしよっか?」 「涼宮さん。私の提案を聞いてくれないか?」 ものすごくいい笑顔で優しく語りかける涼宮さんを、佐々木さんが制止させました。良かった、佐々木さんならそこまでキツいのは…… 「キョンから聞いたんだけど、あなたたちは去年の文化祭で映画を撮影したらしいね。それと実は私はまだあなたたちのハレ晴れユカイを見たことがないのよ」 ま、まさか…… 「バニーガールでハレ晴れユカイをフルコーラスで踊っていただけないかな。駅前で」 やっぱし! 「佐々木!あんた罰ゲームメイクの才能あるわ!それにしましょ!」 ヒェェェェェ…… 「ひ、ひどい目に会いました……」 あたしは今、いつかのキョンくんに未来人宣告をした桜の並木道をよれよれのバニー姿で歩いてます。 その後ですか?あの後、お二人に北高まで連行されて、部室でひんむかれましたよ。もちろんお二人に。 そのまま駅前まで舞い戻ってからは……ご想像にお任せします。ただ一言、お二人が揃えば無敵です。 「はあ……いったいどこがいけなかったのかな?」 「おんや?!そこのバニーガールはみくるではないかいっ!」 「鶴屋さん!?」 振り返ると、手を振りながら鶴屋さんが走ってきました。 「どうしたんだいみくるっ?そんなにヨレヨレになって」 「実はですね……」 「なるほど。そうわけかい」 今日の出来事を一通りはなすと、鶴屋さんは珍しく思案顔を作りました。 「あたしだって女の子で」 「めがっさぁぁぁ!」 ――ごっちん! いきなり鶴屋さんはあたしの額めがけてヘッドバットを繰り出しました。 「ふぇ?!」 「いいかいみくる?今のみくるは彼氏が欲しいんじゃない。ただ誰でもいいから恋をしたいだけだろう?」 愕然としました。よく考えたら別にキョンくんじゃなくても良かったです。冒頭で言った通り、恋をしたいだけでした。そりゃバッドエンドにもなりますよ。最初っから間違ってたんですね。 「つ、鶴屋さぁん!」 あたしは残りの力を全て出し切り、号泣しながら鶴屋さんの胸に顔を埋めました。 「にゃはははは!なんだかいつもならあたしがみくるのメロンに抱きつくのに、今日は逆だねっ!」 「いいかいみくる?みくるはめがっさ素敵な子さっ!今はいなくても、いずれ必ずめがっさかっこよくてめがっさ優しい男性が迎えにきてくれるにょろ」 朝比奈みくるは目が覚めました!あたしは今はまだ恋なんかしなくてもいいです!鶴屋さんという掛け替えのない友人がい…… ――ぴりりりりりり。 「みくる、ちょろんと離しておくれ」 「はい」 「もしもーし!国ちゃんかいっ!」 く、国ちゃん!?ま、まさか! 「いやーちょうどめがっさキミの声が聴きたいなーって思っててねっ!…………へ?僕も?う、嬉しいこと言ってくれるじゃないかい……か、彼氏だからなんて……や、やめとくれ、照れるさっ!……バカ」 つ、鶴屋さんから標準語が漏れた!? 「それじゃ夜にもイブニングコールするからね……愛してるよ国ちゃん……ちゅ」 「おっとごめんよっ。いきなり」 「隕石爆発作戦で義理の息子にくじ引きで勝っちまえ!!」 涙は止まることを知らず、あたしは涙が横に流れさせながら、その場を走り去りました。鶴屋さんのバカァァァァァァ! 完 【おまけ】 あの日から色々ありました。長かったような短かったような。でも大変だったのは間違いないです。 でも今は違います!皆が羨むスタイル、明晰な頭脳、そして無敵のお姉さん属性! この姿を見れば、一人や二人や三人、それこそ世界中の男性を虜にすることができるでしょう。 さあ!朝比奈みくるの第二ラウンドの幕開けです! 「キョンくん、久しぶり」 『涼宮ハルヒの憂朝比奈みくるのゴーヤチャンプルーへ続く
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プロローグ その日から一週間、俺は学校を休んだ。 無断欠席などしたらあの団長様が黙っていないだろうことは明白だ。 しかし、そうはいってもその時、俺はこの世に存在していなかったのだから仕方ない。 弁解の余地もできない…、まぁ、俺の居ない間のハルヒの面倒は、 他のSOS団メンバーを信頼するしかない。頼んだぜ。 っと、なんだか遺書めいてしまったが、心配するな。 ちゃんと俺は生きてるからな。 いつもいつも巻き込まれてる俺だが今回ばかりは、蚊帳の外のようだ。 だが、一番の当事者でもあるらしい。なんだかな。 いつものハルヒのような立場、てのがしっくりくるか。 ま、そんな感じの一週間だったらしい。 ことの発端は、日曜の夜みんなで心霊スポットめぐりをした次の日だった…。 その日、目が覚めたら一週間後だった。 日曜日の夜に寝て、また日曜日が始まったのだ、エンドレスサンデーか? いやいやそんなことより…。 「なんで朝比奈さんが俺の部屋にいるんですか?」 ええーと、ひょっとして夢? たしかにあなたのエンジェルヴォイスで起こしてもらえたらいいな~、なんて。 思ったりしたこともあったりするかもしれない気がするよ~な…。 ええ~い!落ち着け、俺! 「あのーわたしにも詳しくはまだ知らされてないのでよくわからないのですが、 取り敢えずこの後のことは古泉君に聞くように、とのことです。 実は私も七日前から来たばかりなので」 と言って朝比奈さんは少し困った表情で微笑んだ。 じゃ、俺は一応未来にやってきたってことなのか? 「はい、そのようです。あの、ごめんなさい、わたしそろそろ元の時間に帰らないと、 キョン君またね」 と言って朝比奈さんはそそくさと俺の部屋から出て行ってしまった。おーい。 ひとりポツンと残される俺、そもそも俺の部屋なので残されるってのも変なのだが。 ……えーとなんだっけ?一週間後!? ま、朝比奈さんがいたってことは時間移動をしてきたってことで間違いないだろう。 で、後は古泉に聞けってか!?こんどはなんだぁ?いつもながら唐突だな。くそ。 しゃーない、朝飯食ったら古泉を電話で呼び出してやる、っと軽く思ってたら…。 ウチの家族が誰もいねえっ!どこいった?なにがあった? 事態は思ったより深刻な状況のようだ、すぐに着替えて家を出る、とそこに。 タクシーが一台停まっていた。見覚えがあるぞこの車は。 「やあ、お待ちしておりました」 「古泉か、わざわざ電話する必要もなかったって事だな。いったいなにがあった?」 「そのことについては後で詳しくお話します、でもまず、 これから僕とあなたでしなければならないことがあります。一緒に来てください」 真面目な顔をするな古泉、それに気色悪い誘い方をするんじゃねえ。 とはいっても誘いに乗るしか手はないか…。 仕方なく俺はタクシーに乗った。 俺がいなくなってた一週間に何があったんだ? 第一章 月曜日である、俺はその時間、いやその期間この時空に存在していなかったのだから、 当然学校には行っていない。 試験後の短縮授業なので休んでいても、それほど勉学に支障はないだろう、だが! 無断で学校を休んだりなどしたら、あの団長さまが黙っちゃいないだろう事は想像が付く。 しかし、俺が存在していないこの一週間を俺が語るってのも少々無理がありそうなんだが… 仕方ない、こればっかりは誰かに譲るわけにはいかないんでな、我慢してくれ諸君。 なのでこれからのことは誰かに聞いた事と俺の憶測、推測、 そして説明不足などいろいろ出てくるかもしれんが、細かい突っ込みはなしってことでよろしく。 では、話を戻そう。 宇宙人的情報操作の賜物だろうか、 俺の家族は田舎の親類のお葬式に借り出されていることになっていた。 いわゆる忌引きってやつだ。 田舎で初七日まで終わらせるって話になっていた。 ま、ハルヒ対策にはもってこいな事情だな。 で、その日の放課後。 いつもの、じゃなかった、俺が居ないSOS団はどうだったのか。 またハルヒが朝比奈さんをおもちゃにしてなきゃいいが…などと心配したが、 いまさらどうしようもない事に気づいた。それに、心配するようなことは起きなかったらしい。 だが、何も起こらなかった訳ではないそうだ。 「話がある」 なんと、長門の方からハルヒに話し掛けたそうである。 「なに?有希、めずらしいわね」 その場にいないので二人がどんな表情なのかわからんが、長門は無表情だったろう。 「事情があって明日からしばらく部への参加が出来なくなった、許可を」 「…え!?」ハルヒじゃなくてもあっけにとられるだろう、俺だって驚くさ。 「事情ってなに?」っと言った後、 小声で、「まさかキョンがいないからってんじゃないでしょうね…」っとハルヒ。 おいおい、いまだに俺と長門のこと怪しいと思ってるのかね、あの団長は。 数回瞬きしたあと長門は「……家庭の事情」っとボソリと言った。 「…………!」 きっとハルヒも朝比奈さんも古泉ですら絶句しただろう。 もうすぐ春だというのに世界が凍りつきましたよ長門さん。 その凍った世界からいち早く抜け出したのはハルヒだった。 がたっと椅子から立ち上がり、 「有希、ちょっと一緒にきて」っと言って部室から出て行った。 まあ、ハルヒのことだ、雪山遭難時に俺が言った半分作り話を思い出したのだろう。 長門が転校するかもしれない、ってやつだ。 だがその心配をする必要はなかったはずだ。 現に、部室に戻ってきたハルヒは機嫌が悪くなってなかったらしい。 長門がなんとハルヒにいったのか?それは…。 妹がくるのでその相手をしなければならないって事だそうだ。 長門の妹?朝倉涼子や喜緑江美里さんに次ぐ第四のインターフェースか? まさか次の新一年生で北高に入ってくるんじゃないだろうな。 なんだか右わき腹がちくちくうずく。またトラウマがふえなければいいんだが。 当然のことながら、長門の申請は許可された。 ちゃんとした理由さえあれば強制参加はしなくていいのがハルヒ流らしい。 それに、なぜか俺たちSOS団メンバーについて深入りしてこなかったしな。 まあ、俺は隠さなければならない生い立ちなどもないから別にいいのだが、 他のメンバーは詮索されると困る事情があるからな。 でも、ハルヒはそんなことはしないだろう、なぜかは知らんが、 それがハルヒなのだってことにしとけ。 第二章 火曜日である。 授業中のハルヒについてはクラスの違うSOS団メンバーに聞いても仕方ない。 谷口か国木田あたりに聞くしかないのだが、そんなことをすれば、 また変な誤解を生むことだと悟った俺はなにも聞かなかった。 なのでその日の放課後だ。ついてこい! だが、別段なにもおこらなかった、いや、水面下で起こっていたのかもしれんが、 それはあとで知ることになる。 涼宮ハルヒは退屈していた。 これはなんとなく分かる。メンバーが俺を含め、二人もいないのだ。 ハルヒが何か思いついたとしても、絶対五人で行動するはずだしな。 こんな調子じゃいずれ古泉のバイトも発生するだろう。 そうなると朝比奈さんとハルヒだけになってしまう。 不機嫌なハルヒと朝比奈さんのおろおろする姿が見えてきた。 そんなこんなでこの日のSOS団はいつもより早く終了した。 終了間際、 「有希とキョンが戻ってくるまでSOS団の活動も中止にしようと思うけど、…いい?」 っとハルヒが言ったらしい。 むろん朝比奈さんも古泉も異論はないだろうが、 なんだ?ハルヒらしくない言い回しだな、いつもなら決定事項だけ言って終わりのはずなのだが。 朝比奈さんや古泉相手だと態度がちがうのか? 「いえ、そうではありません、涼宮さんはあなたがいる時だけ決定事項でいうのですよ」と、古泉。 どういうことだ?そりゃ。 「現在、涼宮さんの言動に意見するのはあなただけです」 たしかにそうだが。 「なので何をいっても賛同する我々にはああ言う風な言い回しをしてきます、 彼女の理性的な部分と言いましょうか…まぁ、あなただけ特別扱いされてるということですよ」 なんだそりゃ、全然意味がわからん。しかもうらやましそうに言うな。 そんなに特別扱いされたきゃお前も意見すればいい、そうすりゃ俺も少しは楽になる。 「それは…遠慮しておきましょう、僕の存在理由が問われる問題に発展しそうだ」 まぁ、古泉が所属してる機関と呼ばれる所は、ハルヒを神扱いしていて、 神に逆らうなんて言語道断!ってことなんだろうが…。 一瞬素の古泉が見えた気がしたぞ。おまえ、今、少し考えただろ? 第三章 水曜日である。 この日はなにも起こらなかったそうだ。 …おいおい、いいのかそれで、これじゃ三日坊主の日記以下じゃないか。 これじゃ何のために俺が一週間後まで飛ばされたのか全然理解出来んぞ。 それにウチの家族はどこいったんだ? まさか本当に田舎で葬儀の準備してるんじゃないんだろ。 「半分は当たってます、っといいましょうか… あなたの御家族もあなた同様未来に飛びました、あなたより一日多くです。 それに、おそらくこの一週間の出来事を記憶した状態で現れると思います。 出来事といっても偽りの記憶だと思いますが、あなたの御家族は、 本当に田舎で葬式をした記憶を持っていることになってるはずです」と、古泉。 記憶の改竄… そんなこと出来そうなヤツはそうそういない。 長門か? と、思っていたら。もう一人の宇宙人製インターフェース、喜緑さんのほうだった。 聞くところによると、上級生インターフェースは事後処理担当だそうだ。 言われてみれば納得しそうな気もしなくはない、事なかれ主義って感じだったしな。 ていうか何を考えてるのか分からん、ってのが正解か。 なんかもっと含みのある感じもするし、言っちゃ悪いが腹黒い気もする。 長門は表情こそ乏しいが心情が伝わってくるし、よっぽど人間っぽいよな。 朝倉は長門とは逆に表情は豊かだったが、笑顔で襲い掛かってくる姿は… やっぱやめよう、思い出したくもない…。 「そういえば、あなたは以前TFEIの朝倉涼子に命を狙われたようですが、 まあ、よく無事でいられたものですね」 わざとか古泉、今思い出したくないって考えたばっかだぞ。 お前は人の心を読むエスパーか?いや、ある意味エスパーであってるんだったな。 「長門のおかげで命拾いさせてもらった、一度ならず二度までもな、 ま、ほかにも色々助けてもらってるけど」 くそ、お前のせいで脇腹に刺さる冷たい物の感覚を思い出したじゃねえか。 はっきり言って、あんな感覚を体験してて生きてるのは俺ぐらいじゃないのかって思ってると。 「長門さんの能力がすごいのは十分承知しています。 ですが、本当に長門さんの能力だけであなたを守ったのでしょうか」 ちょっとまて、なにがいいたい? 「我々は他のTFEIとも会っています、はっきり言いましょう、 あの方たちなら、『命を狙われている』 ということすら知らない間に目的を遂げることが出来るはずです」 ……言葉がでなくなった。思い出してみろ、 朝倉はわざわざ教室に俺を呼び出して、ナイフを持って襲い掛かってきた。 いかにも命を狙ってますよってのを俺にわからせるかのように。 俺を殺したいのなら古泉の言うとおり、わざわざ姿を見せる必要がない、 交通事故でもいいし、階段から落ちて頭を強打でもいいだろう。いや、よくないが。 「あれは茶番だったということか?」 「その可能性が高いというだけですが、まあ、既定事項と言った方がいいかもしれませんね、 それに、あなたもうすうす勘付いてたんじゃありませんか?」 いや、実際刺されるまではそう思ってたんだがな。いかんせん、あのトラウマは強烈なんだ。 だからこの前、ハルヒが言っていた『泣いた赤鬼』の話、 青鬼に合ったら親切にしてあげるのよ、と言っていたが、ちょっとできそうにないな、まだ。 節分の時の鬼面を頭に付けた長門の姿が浮かび、改変世界の寂しげな表情をした長門とダブった。 そういや、朝倉の居たあの世界は長門の望んだ世界だったよな。 「あと、長門さんは、ほかのTFEIと違って、オンリーワンの存在になりつつあります」 どういうことだ? 「今の僕と似たような状態でしょう、きっと彼女は情報統合思念体の端末という立場より、 SOS団の一員として行動するほうを望んでいる節があります」 古泉の言いたいことはだいたいわかる、まったくもってそのとおりだと思う。 しかし、古泉がこの話を振ってきた理由がこの一週間の出来事が起因だとは思いもしなかった。 第四章 木曜日である。 さて、もう後半だ、何が起こったのか、もう起こっているのか、 そろそろ教えてくれてもいいんじゃないのか?みんなもそう思うだろ。 学校での出来事は、昨日と同じく省略だ。 と、いいたいが、大きな違いがあったようだ。 長門が、あの長門有希が学校を欠席していたのである。マジか! 吹雪の洋館以来の衝撃だ、ちくしょう、なんでその時俺はいないんだ! などと今更言っても仕方がない、もう過去の出来事である。 今現在、すでに事件は解決していて全員無事ってことだしな。 さて、ここで疑問があるのだが、ハルヒは長門が欠席していることを知っていたのか? もし、知っていたら電話でもして長門に欠席理由を聞き出しているだろう。 そしてその欠席理由が雪山の時のような体調不良なのだとしたら、 絶対長門の家に押しかけて来ているに違いない。 団員の心配をするのは団長の務めらしいからな。 だが今回、ハルヒに知られては少々やっかいな事になるらしいそうだ。 どういうことだ?というと。 長門が言っていた、妹、が原因だったからである。 さあ、やっと核心に近づいてまいりましたよ。 今回の件、すべての発端は長門の妹と称される、 第四のインターフェースが、ある人物に危害を加えるのが目的である、 ということが判明したからだそうだ。 ちょっとまて、ある人物って、まさか……。 ……そのまさかだった。マジで? なるほど、保護対象である人物を守る方法として最適だろう、今の俺の状況は。 俺が当事者で蚊帳の外である理由も納得だ。 宇宙人同士の本気の戦いがどんなものなのか、 長門と朝倉の戦いしか見てないからあの状況しか想像できないが、 ハルヒがのこのこと長門の家に行って、串刺しの長門の姿なんぞ目撃したら、 それこそどんなことになるか想像できん。 いくら長門が「へいき」といっても、ちっとも平気には見えねえんだからな。 なにはともあれ、長門が欠席していることはハルヒに知られずにすんだようだ。 しかし、そうなると長門の妹とやらは相当手強い相手だったってことか。 などと楽観視していたのは、すでに全員無事である、 ということを聞いていたせいなのだが、実際はそう楽観視出来ない状況だったらしい。 下手をしたら長門が朝倉の様に消えてしまっていてもおかしくはない状態だったそうだ。 後から聞いたんだが宇宙人同士、いや、情報生命体の端末である彼女たちのの戦いは、 もちろん情報戦である、とのことだそうだ。 なので、いくらでも再生可能な肉体に損傷をあたえる攻撃などは意味がないそうだ。 なるほどね、串刺しでも平気なわけだ。 で、情報戦というのはどんなものなのか?というと。 簡単にいえばシミュレーションゲームのようなものらしい。 いや、ちょっと違うか、コンピューターウイルス対ワクチンプログラム、 ってのが近い概念だそうだ。 吹雪の洋館での長門の様に、少しずつ動きが緩慢になって、 最後には行動不能になってしまうらしい。 考えたくはないが、長門が学校を休んだと言うことは、 今回もそのような状態になってしまったのか……。 第五章 金曜日である。 俺が時間移動してきた日曜の朝には事件が解決していた。てことは、 少なくても金、土あたりには決着がついたはずである。 その時間にいない俺としてはいまいち緊迫感に欠けてしまうんだが、 話を聞いてるとその場にいなくて正解だったかもしれん。 精神衛生上良くないことのオンパレードだったそうだ。 その日、長門は少々…いや、結構窮地に立たされていた。 何度も言うが、長門の妹は相当強かったそうで。 このままだと金曜日中に、長門は行動不能となっていて、 長門の妹を止める事ができなくなっていただろう。 結果として、俺が今こうして無事でいられる訳はないことは明白だ。 じゃあどうやって勝利したのか。 それは、この日の授業終了後での出来事から始まったそうだ。 「どうしたんだいっ、みくる。今日は朝から元気ないじゃあないか、 悩みでもあるのかい?」 なぁんて事を言ったかどうかわからんが、鶴屋さんから朝比奈さんに声をかけた。 なにやら朝比奈さんは冬休み明けの時と同様、憂鬱状態に陥っていたらしい。 そりゃあまあ、当時危機的状況だったから、 憂鬱になってもしかたないっちゃあそうなんだが。 実は原因はそれだけではなかったらしい。 なにやらまた、未来から指令が来ていたそうだ。 で、その指令だが、ちょっとばかし朝比奈さんには荷が重いかもしれない内容だった。 『下校時、涼宮ハルヒをある場所にまでつれてくること、 ただし二人きりでなくても良い』 と、まあこんな感じの内容らしい。 朝比奈さん一人でハルヒを誘っても、うまく誘導できず、 なんだか余計ややこしい事になってしまいそうだろうし、 かといって本当のことを言うわけにもいかない。 二人きりでなくて良いってんなら、前回のこともあるだろう、俺を誘っていたに違いない、 しかし、俺はその時間存在していなかった。 となると、朝比奈さんの正体を知ってる人間で、誘えそうなのは古泉位しか残ってない。 てなわけで、俺はてっきりSOS団の残りの三人で指令の場所へ行くのだろうと、 思っていたのだが…。 なんてことだ!古泉の野郎、朝比奈さんのお誘いを断りやがった。 「そんなに怒らないで下さい、僕としても魅力的な女性お二人を、 エスコートする方を選びたかったんですが、 どうしても外せない用事があったものですからね」 なんだ?とうとう例のバイトがはじまったのか。 「いえ、そうではありません、ですが、その方がよかったかもしれません」 真面目な顔をするな、お前のその顔はなんだか心臓に悪いぞ。 「今回の件、以前あなたと約束したことをしなければならないのではないかと判断しまして…」 約束ってなんだっけ? あ、思い出した!はい思い出しました。だからその顔はやめろ。 長門が窮地に追い込まれて、それが機関にとって好都合だとしても、 古泉は一度だけ機関を裏切って俺たちに味方するってやつだったな。 だが、今の状態がその機関とやらにとって好都合なことだとは思えないんだが…。 「そうです、我々としてもこのまま長門さんに負けてもらっては困ります。 ですが、長門さんに加勢したくても通常空間では僕もあなた同様一般人です、 足手まといにしかなりません。 ではどうすれば良いか?簡単です、相手を閉鎖空間に追い込めば良いんです。 そうすれば少しは戦力になれるでしょう、しかしながら、その当時、 閉鎖空間は発生していなかった。そこが問題でした。 機関の一員としては、涼宮さんに閉鎖空間を発生させる様な行動をとるなんて、 許可されるはずありませんからね。」 今までに知り合った機関の人たちを見ても、 それほど頭の固い連中とは思えないんだがな。 まぁ、すべて演技だったかもしれんが。 「長門さんに加勢することに関してはすでに許可されてました、 後は閉鎖空間の自然発生待ちでした。 涼宮さんがSOS団の活動をしばらく中止にしたから、 閉鎖空間も木曜から金曜あたりに発生するのではないか、 と思ってたんですが」 そういえばなぜ発生しなかったんだ? SOS団の活動はハルヒにとって退屈の緩和、ストレスの解消になってたはずだ。 なぜか?っていうと古泉曰く、 団の活動休止とともにハルヒの思考も休止していたってことらしい。 授業中ずっとぼんやりと窓の外を見ているハルヒが浮かんだ。 なにか思いついたらすぐ行動する団長様だ、 すぐに行動出来ないのなら何も思いつかない様にしていたってことか。 普段どうでもいい時に閉鎖空間を発生させてるくせに、 肝心な時に発生させないとは、まったく、とんだ神様だな。 で、古泉、ハルヒに閉鎖空間を発生させるのにどんなことをしたんだ? ちょっとそこが興味あるな。 「そのことですが、金曜の昼くらいに特例で機関の許可と協力がえられましてね、 正直胸をなでおろす気分でした。 ですから、あなたとの約束はまだ継続中です、安心してください」 おいおい、安心したのは俺じゃなくておまえだろ。 第六章 金曜日その2である。 その日の放課後だ。 ハルヒと朝比奈さんと鶴屋さんが指令された場所に向かっていた。 朝比奈さんがあたふたしながら鶴屋さんに事情を説明して、 鶴屋さんが細かいことは気にせず、 「わかったてばっ!みくる、 取り敢えずハルにゃんをその場所にうまく連れ出せばいいってことにょろね~」 てなやり取りがあったのだろう。 ま、鶴屋さんならハルヒをうまく誘導することが出来そうだ。 「あれ、この先って……」とハルヒ。 「そうだねっ、意外と不思議な物って近くに在りすぎて、 見落としやすいかもしれないってことっさ」 なにか不思議な物を見つけたからその場所に行こうとでもハルヒに言ったのだろう。 どうやら目的の場所はハルヒの知っているところらしい。 そしてもうすぐ目的地ってところで意外な人物にであったそうだ。 生徒会長と喜緑さんがいた。 「あんた達!まさかあたし達より先に不思議な物を手にいれようと先回りしてきたのね、 そーはいかないわ!どっちが先に見つけるか勝負よ!勝負」 ハルヒのことだ、こんな感じにまくしたてたか、あるいは。 「何?ひょっとしてあたし達をおびき出そうとして偽の情報でも流したのかしら? そんな回りくどいことしなくてもSOS団はどんな勝負も受けて立つわよ!」 などと言って結局、勝負事にもっていきそうだな。 鶴屋さんなら「あれあれ、ひょっとして逢引き?お安くないなあ!あやかりたいっ」 なぁんてこと言ってたかもしれないが。 それはともかく、なぜ生徒会の二人がこんなところにいたのか。 だいたい、古泉の差し金だろうってことは察しが着く、 ハルヒに閉鎖空間を発生させる為の人材として、あの生徒会長はもってこいだろう。 「なにを勘違いしてるか知らんが、我々がここに来たのは、 国家公務員に情報提供をするためだ。 最近ここらで北高らしき制服を着た不審人物を見かけたらしい、 とのことで、全生徒の容姿を把握しているという喜緑くんと共に来ただけだ」 「ふーん、不審人物ねぇ、なるほど。ますますSOS団の出番のようね」 などと言って、ハルヒはいつもの様に瞳を輝かせたんだろうな。 「涼宮くん、なにやら喜んでる様にも見受けられるが、少々不謹慎ではないかね、 国家公務員が動いている、ということはすでに被害が出ているということだ。 それにその様子だと、事情を知ってからここに来たのではないようだな」 さすがに被害が出てるなんて訊いたらハルヒもおとなしくなるだろう。 しかしこの生徒会長、ハルヒを黙らせるとはたいしたもんだ。 「…それでぇ、その不審人物って、北高の生徒だったのかな?」 いくら訊いた話からの想像とはいえ、そろそろ朝比奈さんもしゃべらせないといかんよな。 朝比奈さんの質問に答えたのは喜緑さんだった、 不審人物は北高の生徒ではなかったそうだ。 「我々はこれで失礼する、その前に一つ忠告しておこう、 この先には行かないほうがいい。と、言っても聴かないだろうがな」 それはハルヒにとってこの先に行けってことですよ会長。 そして、喜緑さんが去り際に、 「ひょっとしたら彼、転校することになるかもしれません」とハルヒに耳打ちしたそうだ。 ───え!?どういうこと? とハルヒはこの時思っていただろう。その現場に着くまでは。 第七章 とうとう閉鎖空間が発生した。 心底その現場に俺がいなくてよかったと思う。 ハルヒ達が向かっていた場所は俺の家だった。だが、そこに俺の家はなかった。 火事があって全焼だったそうだ。マジで!? 古泉のやつがそのときの現場の写真を見せやがる、にこやかにそんな物出すな! 写真だけでも相当な衝撃だ、もし現場にいたらどんなだったろう。 さすがのハルヒも取り乱していただろう、近くにいた警官に経緯を聞き出していた。 ちなみにこの警官、機関の関係者だったそうだ。 そして重要参考人とされる不審人物の写真を見せてもらったとき、 閉鎖空間が発生したそうだ。 どうやって手に入れたのか、その写真は長門の妹とされる第四のインターフェースだった。 で、その写真はないのか?ちょっと見てみたいんだが。 残念ながらその写真は事件解決と同時に消えてしまったそうだ。 と、まあこんな感じでめでたく?閉鎖空間は発生した。大規模でしかも俺の家を中心に。 あとは古泉たちと長門で何とかなったんだろうと思ったんだが。 そうは問屋が卸さなかった。 ハルヒはその写真を見た瞬間、今きた道を走り出した。 ここに来る途中でその人物とすれ違ったからだそうだ。 すれ違った人の顔までよく覚えてるな、瞬間記憶能力者か?探偵にでもなればいい。 て、冗談はおいといて。 しかしいやな予感がするな、話を訊いてるだけでも不安になる。 はい、予感的中! 長門との情報戦の最中だろうか、第四のインターフェースも動きが緩慢だった。 とは言え、通常空間からだと逃げられる可能性があると判断して、 古泉たちは超能力が使える閉鎖空間側から長門の妹を引きずり込んだ。 と、同時に一斉攻撃。てのが作戦だったらしいのだが……。 あろうことかハルヒも一緒に閉鎖空間まで引きずり込んでしまったそうだ。 ハルヒが第四のインターフェースを見つけ出し、 「ちょっとあんた!待ちなさいっ」などと言って、腕でも掴んでたんだろう。 まったく余計なことをしてくれる。 「僕もその時はさすがに血の気が引きました、ですが、 おかげでTFEIの隙を突くことが出来たのかもしれません」 それはそうかもしれんが。 「すでにTFEIへの一斉攻撃は開始されてましたから、 涼宮さんも巻き添えをくらってしまうところでした、 なんとか彼女を突き飛ばして僕が盾になることで事なきを得ました」 なんだかしらんがこいつの得意げな態度が無性に腹立たしいのはなんだ? まあいい、古泉、一応感謝しておく。 で、ハルヒはというと、幸いなことに気を失っていたそうだ。 ところで、その時の閉鎖空間は少々いつもと違っていたそうだ。 ハルヒが中に入って来たからなのかわからんが、 古泉たちの能力がさらに強くなっていたそうだ。 そして、一斉に現れた数体の神人が第四のインターフェースに襲い掛かったのだ。 これが決定打となり、長門の逆転勝利となったのである。 「それに、ヒロインをかばっての名誉の負傷なんて、 物語の主人公にでもなった気分ですよ」 と言ってにこやかに包帯を巻いた左腕を見せる古泉。 お前はひょっとしてMなのか。 第八章 土曜日である。 この日、久々にSOS団の活動があったそうだ。 金曜の出来事は機関と宇宙人と未来人の協力のもと、 ハルヒの夢落ちにでっち上げた、ワンパターンだがな。 そこで問題は鶴屋さんだったのだが、 「めがっさ面白いもんも見れたし、ハルにゃんには悪いけど、 今日の出来事は秘密のいないないばーって事にしとけばいいってことにょろね」 とまあこんな具合で問題は解決だ。 鶴屋さんが言う、めがっさ面白いもんってのは、 さっきまで焼失していた俺の家が、 あっと言う間にもとどうりになっていったことだそうだ。 で、前回気を失っていたハルヒだが、目覚めたのはSOS団の部室だった。 しかも気を失うより少し前に時間遡行させておくという念の入れようだ。 ちょうど閉鎖空間が発生した時刻あたりだな。 ハルヒのすごく戸惑った表情が見れなかったのが悔やまれるがな。 てなわけで、土曜日、長門も復活し、俺以外のSOS団メンバ-は、 団長様の号令のもと、不思議探検に出かけていった。 もちろん行き先は、俺の家だった。 団員には、 「意外と不思議な物って近くにあるかもしれないのよ、でもキョンのことだから、 そのことにまったく気づかないで見過ごしてる可能性があるわ」 などといっていたらしいが、そのセリフそっくりそのままお前に返してやるぞ。 朝比奈さんと長門、俺の変わりに突っ込みを入れておいてくれ。 「僕が前日に気を失うほどの突っ込みをしておきましたから」と、古泉。 お前には訊いとらんっ! エピローグ 月曜日がやってきた。 登校中のことである。 「ようキョン、久しぶりだな」と言って肩をたたかれた。 なんだ、谷口か。まあ一週間休んだことになってるからな。 久しぶりだな、ってことにしとく。 しかし、俺がいない間いろいろあったらしいな。 「なにいってんだキョン、逆にまったく何もなかったぜ、 涼宮も……お前がいないせいか、不気味なほどおとなしかったしな」 俺がハルヒを焚き付けてるみたいな言い方をするな、人聞きの悪い。 「ま、誰に訊いたかしらんが先週は平和だったってことだ、 ところでキョン、今日は何の日か知ってるか?」 ああ、知ってるよ、そのおかげで昨日からいろいろ準備してんだからな。 「そりゃあ、ご苦労なこった」と、谷口が言ったところで会話は終了、 学校に着いた。 教室に入り、席に着く。 まず、やっておかなければならないことがある。おちつけ、悟られるな、俺。 ココさえ乗り切れば、計画は成功したも同然だ。 後ろの団長様に今日の部活に参加できないって事を伝えねばならん。 その為に昨日のうちにいろいろ言い訳を考えてきたからな。 前回はシャミセンが円形脱毛症になったってことにしたっけ。 今回は田舎に行ってる間に妹と出かける約束をしちまったってことにするか。 「あー、すまんがハルヒ。今日の部活、用事が出来て参加出来なくなっちまったんだ」 俺は、ハルヒが不機嫌な顔をすると思っていたんだが、 意外とキョトンとした顔で、「用事ってなに?」と訊いてきた。 少々拍子抜けしたが、ここで用意していた言い訳を伝えようとして口を開いた矢先。 「ひょっとして家庭の事情?、まさか妹の相手をしなきゃならないって言い出すんじゃ…」 そのまさかなんだが…先に言われるのは予想外だ。 妹は、葬式の間おとなしくしていたら好きなものを買ってもらう、 と親と約束したのはいいが、 次の休日まで待ちきれないっと駄々をこねた為、 今日、俺が妹の買い物に付き合うことになった。 というのが昨日考えたシナリオだ。もちろんハルヒの許可は下りた。 ともかくこれで準備は整った。あとは放課後を待つばかり。 で、その放課後だ。 昨日古泉とタクシーに乗って連れてこられた場所に俺は来てる。 古泉は俺より先に来ていやがった。 ま、ココは機関が用意した場所だからな、まあいい。 それより、最後の準備をしなければならん。 そろそろ鶴屋さんに誘われてSOS団の女性陣がココに来るころだ。 一応、鶴屋さんには事前に説明しておいた。 うまくハルヒ達を誘い出してくれてることだろう。 さて、ここがどこだと言うと、イートインもできる洋菓子店だ。 機関が用意したとしては、こじんまりとしていい雰囲気な店内だ。 そして今並べてるのが、昨日新川さんと森さんに教えられながら作った、 俺の手作りデザート郡だ。 古泉のヤツは名誉の負傷とかで細かい作業ができないらしくて、ほとんど俺の力作だ。 しかたない、今回ばかりは俺もこれくらいしないとな。恩返しも兼ねて。 ハルヒも朝比奈さんも長門も、あと、ついでに古泉も。 この一週間、俺のために大活躍だったらしいからな。 感謝してるとはいえ、ハルヒは夢落ちだし、 朝比奈さんは「私は何もしてません、未来からの指令に従っただけなんです」、 長門はまたもや「こちらの不手際」なんてこと言い出すに決まってる。 それに今日は三月十四日だ。先月のお返しもしなきゃならん。 ホワイトデーは三十倍の恩義で報いなければならんらしいからな。 てなわけで、昨日、古泉の話を聴きながらずっと作っていたのだが、足りるのか? デザートバイキング形式にしたのはちょっとまずかったか? 朝比奈さんはともかくハルヒと長門と鶴屋さんは結構食べそうだ。 あとは飲み物で誤魔化すしかないな。と思っていたら、 「足りないかもしれませんね」と、古泉。 手伝えなかった、お前が言うな! と、古泉の頭を叩いてやろうとハリセンを探しはじめた、 ちなみにハリセンは昨日古泉の話を聞いてる時に、 突っ込みを入れたくなる時が多々あったので今日用意してきたのさ。 しかし、そうこうしてる内に来客者が来たようだ、運がいいな古泉、 これから接客にいかねばならん、というわけで。 ほんじゃ、またな。 ・おまけ
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140文字SS:ハピネス注入!冬のSS祭り2015【5】 1.[競作2015]ラブ&いつき「大切な友達」/一六◆6/pMjwqUTk 白い学ラン姿で「お邪魔します」と丁寧に挨拶。 お母さんてば、カッコいい!なんて叫んでるけど、 彼女の魅力はそれだけじゃないよ。 「ほら!」 「わぁ、可愛い! 次はボクだね。初めて素直に可愛いって言えた友達なんだ」 柔らかくて優しい笑顔。 今日は大切な友達、それぞれのうさぴょんの、お披露目会。 2.[競作2015]ラブ&いつき「大切な友達だからね」/ねぎぼう 「うさぴょん、その耳怪我してたの?きれいに治してもらったんだね」 「……道着の繕いで慣れているんだ」 「ウサピョンの怪我は……まだちょっと痛そうだよね」 「ウサピョンもボクが治そうか?」 「でもやっぱり自分でちゃんと治してあげたいんだ…… 裁縫教えて欲しいんだけど……いい?」 「もちろん!」 ※1の続きをイメージした三次140字SSです。 3.[競作2015]「大切な命の重さ」/ねぎぼう 「怪人にも命がある」 なぎさが久しぶりに観たバトルレンジャーにあった台詞。 (あたしたちはピーサードを「浄化した」のだと思っていた。 でも、ピーサードにも心があった。 それがたとえ善くない心だとしても、大切な命を奪っていたのだ。 その事実には変わりはない) ほのかのあの涙の意味を知った。 4.[競作2015]なお&やよい「大切な宝物」/一六◆6/pMjwqUTk 転びそうになって懸命に踏みとどまる。 良かった、と思った瞬間、目が覚める――。 あの日から何度も見た夢。 でも、あの時抱き合ったみんなの涙と、 やよいちゃんの言葉は忘れない。 「諦めないで良かった。良かったよぉ!」 胸を張って言える。 五人でバトンを繋いだ体育祭の思い出は、 あたしの大切な宝物。 5.[競作2015]ラブ&せつなで「大切な友達で、家族!」/ねぎぼう 「精一杯……頑張るわ!」 せつなの涙が嬉し涙になった日。 せつなとの時間、 せつなの声、 せつなの仕草、 せつなの笑顔…… 今はぜーんぶ愛おしい。 もうこのままずっと見つめていいかな? あたしが何兎も追いかける欲張りさんになったのは せつなに出会ったからなんだよ。 ダンスもプリキュアもせつなも! 6.[競作2015]ひかり&エレン「大切なのは、ハート」/一六◆6/pMjwqUTk 「音吉さんの本で調べたの!」 瞳を輝かせ、次々に言葉を並べる彼女。 「エレンさんって凄いですね」 そう言うと途端に頬が赤く染まった。 「す、凄くないわ。この世界のこと、もっと知りたいだけ」 「はい、私にもよくわかります」 なぜ「ハイキング」が「お鍋」になるのかは、 よくわからなかったけど……。 7.[競作2015]「大切なトモダチ」/ねぎぼう 「後からすぐに行く。皆先に行ってて」 二人を見送るとラブは針と糸を手にする。 「すぐに治してあげるからね」 慣れない手つきでウサビョンの背中を縫っていた。 「痛っ!」 針を指にも何度も刺して縫い上げる。 「もう痛くないからね」 (貴女が痛いのでしょ?) 友達思いの手にせつなは丁寧に絆創膏を貼る。 8.[競作2015]舞&こまち「大切なあなたの世界を」/一六◆6/pMjwqUTk 時々、小説を書いている時のこまちさんの頭の中を覗いてみたいって思う。 きっとこまちさんにしか見えない色んな光が詰まった世界が広がっていると思うから。 時々、絵を描いている時の舞さんが居る世界に行きたいと思うわ。 私には見えない光や影、強い思いに溢れているんじゃないかしら。 かいてみたい。 9.[競作2015]ラブ(&せつな)「大切だったはずなのに」/ねぎぼう 家族写真の少女をずっと見ている。 占い館で出逢って、 友達になって、 喧嘩して、 仲間になって、 家族になって……旅立っていった。 褪せぬ写真の色鮮やかさとは対照的に、 その記憶が甘く優しくなっていく。 心の叫び。 拳の痛み。 失うことの辛さ。 笑って送り出す心の軋みさえも。 大切だったはずなのに。 10.[競作2015]めぐみ&ひめ「大切な友達」/一六◆6/pMjwqUTk 「ひめはどうして白雪姫が好きなの?」 「そりゃあ絶世の美女だし~、 白馬に乗った王子様のキスで目覚めるからだよぉ!」 なるほど、と頷いたら、でもね、と小さな声。 「本当は七人の小人を……友達を持ってるのが羨ましかったのかも」 ニッと照れ笑いのひめに、わたしもハピネスチャージされちゃったよ!
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彼女とこういう関係になったのは、三年ほど前のあの日からだ。 連絡もなく訪ねてきた彼女を部屋に通し、その様子を見て、ゼロは全てを理解した。 二十年以上も付き合いがあれば、家族のように相手の事が分かる事もある。 言葉や態度に出さなくても彼女の全身が、とても傷ついているのだと雄弁に語っていた。 その日から二日間、彼女はこの部屋に泊まった。 それが関係の始まりだった。 どちらからでもなく、互いが互いの体を欲した結果だ。 男女の深い愛情の果ての行為でもなく、ただ性欲を満たす為の行為だけでもない、そんな関係。 性欲のみで繋がればどこか空しさが残るものだと思うが、彼女との行為に不思議と空しさは感じなかった。 久しぶりに任務を終えて帰国した彼女を部屋に迎え、いつも通りその行為を始めた。 「少佐……」 腕の中で彼女が身じろぎをした。きつく抱きしめ過ぎたので苦しかったようだ。 「すまない。しかしその眼鏡、邪魔だな……」 腕から彼女を解放し、変装用に彼女がしていた眼鏡を取ってサイドボードの上に放り、 そのままベッドに組み敷くと、彼女の唇から溜息が漏れた。 指先が伸び、子供の頭を撫でるように髪を優しく梳く。 「珍しいわね、あなたがこんな風に私を抱くなんて」 別にルールを作ったわけではないが、いつもは彼女がゼロに触れるまでは行為を始めないので 少々違和感を感じているようだ。 ゼロからの深いキスを受け入れながら、熱い溜息交じりの声で呟いた。 「嫌なら、拒んでくれても構わないが……」 「別に、嫌ではないわ」 言いながら、彼女の手が腰から足の間に伸びてきた。 ベルトを外し、衣服の前を寛げ、するりと中へ差し入れられる。下着の中で熱くなっているそれに触れ、 慣れた様子でそこへの愛撫を始めた。 適度な力で握りこまれ、ゆっくりと上下に擦り上げられ、そこは熱を帯びていった。 「もうこんなに熱くなって……」 ゼロも朴念仁ではないので年相応に経験も積んでいたが、こうして彼女に触れられるのが一番好きだった。 何度も体を重ねお互いのいいところを知っているという事もあるのかもしれないが、どこか優しさの感じられる セックスをする彼女を抱くのが一番心地よかったのだ。 別に愛されているとまでは自惚れていないが、どんな種類であれ女性からの好意が感じられるのは男として 誇らしく、嬉しい事だった。 「君の体の方が……熱くなっているじゃないか」 着ていたタイトスカートのファスナーを下げて脱がせ、下着の隙間から女の秘所に指を差し入れると、そこは すでに熱く熟れていた。 「久しぶりなのよ……キスするのも、セックスするのも」 彼女の蜜で濡れた指を動かすと、そう言って瞼を閉じ、息を乱した。 お互いのシャツ越しに重なっている胸から聞こえる鼓動が早くなってゆく。 布越しの感触がひどくもどかしく感じられ、ゼロは空いている片方の手を使って彼女のシャツのボタンを外し、 そこに手を差し入れた。 もう四十をいくつか越えたはずだが、彼女の肌は張りがあり、驚くほど滑らかだった。 「私もだ、最近は君以外の女性を抱く気にならなくてな」 乳房の先端にある尖りを指先で弄ぶと、彼女の唇から初めて甘い声が漏れた。 「相変わらず良く喋る男ね……こんな時くらい黙っていてもいいのよ?」 ゼロの性器に触れていた手を離して背中へと回し、強い快感に耐えるようにそのシャツを掴んだ。 挿入すると、彼女のそれは前に抱いた時と同じように、柔軟にゼロを受け入れた。 包み込むように柔らかいが、時折痙攣をするように締め付け、高めてゆく。 ゆっくりと腰を動かし突き上げ始めると、シャツを掴んでいた手が離れ、ゼロの背中を 労わるように優しく擦った。 「最近仕事が立て込んでいて疲れているでしょう? 私がするわ」 近く控えているミッションの準備に追われ、自宅にもろくに帰れない日々が続いている のを知っていたようだ。 返事を待たずに繋がったまま体の位置を変え、横になったゼロの上に乗ると腰を動かし始めた。 何事においてもそうだが、彼女はいつでもセンスが良かった。 騎乗位で繋がるのは初めてだったがお互いのいい場所を知り尽くしているかのように体を動かし、高めてゆく。 腰が揺れると、それに合わせてシャツの隙間から張りのある豊かな乳房が揺れるのが分かった。 快感のせいかブルーの目は伏せられて唇は薄く開いており、シャープな輪郭を描く頬は上気して色づいている。 普段は見ることのない女らしく妖艶な様子に、ゼロは思わず息を飲んだ。 「君はいつでも優秀だな。たまには下手な君も見てみたいものだが……」」 何気なく呟いたゼロの言葉に、彼女は笑った。 「下手な方が、あなたの好み?」」 楽しそうに笑い、顔を近づけて額にキスを落とす。久しぶりに見た笑顔に、つられて笑いが漏れた。 「ノーコメントだ。どのような回答を出しても誤解を生みそうだからな……君の想像に任せるとしよう」 腰に手を添えいたずらに動かすと、綺麗な唇から声が漏れた。 それに合わせるように彼女も腰を揺らし、熱が高まって行く。 気持ちが高まると声が出なくなるくせは以前と変わらないようだ。彼女の唇から漏れる声が止み、 お互いの荒い呼吸音だけが部屋に響く。 断続的に強く締め付けられ、彼女が達したのが分かった少し後、ゼロもそれに続いて自らを解放した。 しばらく繋がったままで余韻を楽しんでいたが、煙草が欲しくなり、サイドボードの引き出しに手を伸ばした。 箱から取り出して火を点けると、横から白い手が伸びた。 「いいわね……私にも一本くれない?」 ケースから取り出して咥えさせ、ライターの炎を手向けると、彼女は上体を起こして顔を寄せ、煙草に火を点した。 煙草を吸う女はさほど珍しくないが、それが似合う女はあまり見た事がない。 そう思っていたゼロだが、スタンドの弱い明かりに照らされた彼女の横顔は素直に美しいと感じた。 「今夜は泊まっていくか?」 ゼロの問いに彼女は首を軽く振り、無造作に金の髪を掻き上げた。 「そうね……でも明日の朝に帰るわ。私も例のミッションに向けていろいろ準備があるのよ」 ふっと煙を吐き、青い目を伏せる。その横顔になぜか言い表せない不安を感じ、ゼロは言葉を続けた。 「そうか……次はいつ来る?」 その言葉に、彼女は笑った。 「今夜は随分積極的なのね……私に気でもあるの?」 冗談めかした言葉で返され、ゼロはばつ悪そうに頭を掻いた。 「二十年前にはな……今は少し違う感情だが」 恋愛感情でもなく、友情でもない。 この感情をうまく言い表す言葉は知らないが、大切な存在である事は確かだった。 「それは初耳ね……でもあの頃は、良かったわね」 言いながら顔を背け窓の外を眺める彼女に、ゼロはかける言葉を失った。 ゼロが彼女の心に影を落としているものが何であるか気付くのは、この日より二週間後、バーチャスミッションの後になる。
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140文字SS:キラキラ☆プリキュアアラモード【1】(10話保管) 140文字SS:キラキラ☆プリキュアアラモード【2】
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ATTENTION SSを御覧の際は 部屋を明るくし、画面に近づきすぎないよう、 ご注意ください。 ・第一話 長門有希の憂鬱 ・第二話 古泉一樹の溜息 ・第三話 キョンの動揺 ・第四話 鶴屋さんの退屈 ・第五話 一年五組劇場 ・第六話 喜緑江美里の陰謀(※未掲載) ・第七話 朝比奈みくるの暴走 ・最終話 涼宮ハルヒの深淵 ・おまけ挿絵1 おまけ挿絵2
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こちらはアラ虐のssをまとめたページなのだ!ふはははは! ss アライさん ss コバエさん ss その他 ss シリーズ系 ss クロスオーバー系 【アライさんの脳天をスコープの照準に捉え、静かに引き金を引く】 ss・画像等まとめへ戻る トップページへ戻る