約 773,094 件
https://w.atwiki.jp/dollbook_wiki/pages/582.html
少年サンデー公式ガイド ハヤテのごとく! (少年サンデーコミックススペシャル) 著者 畑 健二郎 発行日 2007/6/18 発行所 小学館 ISBN 978-4091211156 【スレ内コメント】 (9-928) 昔『ハヤテのごとく』ってアニメのムック本にボークス1/6用メイド・執事服が載ってたんだけど、ドール本と全く違う書き方で戸惑ったっけなあ ○コメント○ ~実際に作ってみての感想やその他この本の情報をお気軽にどうぞ 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/youtubeani/pages/179.html
ハヤテのごとく動画 6話 Online Videos by Veoh.com 【動画ランキング】 見たらクリックしてください。 画質評価 見たらお願いします。 選択肢 投票 ◎ (19) ○ (0) △ (1) × (17) 感想 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/youtubeani/pages/169.html
ハヤテのごとく 1話 Veoh Online Videos by Veoh.com 【動画ランキング】 見たらクリックしてください。 画質評価 見たらお願いします。 選択肢 投票 ◎ (13) ○ (0) △ (1) × (1) 感想 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/2375.html
オールド・オスマン。 この学院のヌシであり、何歳なのかは学院の誰も知らない。 学院の一部の教員はスケベジジイと認識している一方で、彼に恩義を感じたり、彼の力を認めて学院に勤めている人間がいるのもまた事実である。 つまりは、魔法学院の長をやるだけの力はあるということだ。 そんな彼は今、一つの不安を抱えていた。 具体的に言えば、宝物庫に管理していたある物が、前に様子を見に行った際に『逃げ出して』しまったのだ。 物が逃げる―――という表現は一見おかしく聞こえるが、それが呪われたアイテムである、と言えば想像はつくと思われる。 それ単体は何の変哲も無い、マジックアイテムでもないただの物である。 呪いさえなければオスマンも使おうと思っていたものだが、呪いを解く勇気が持てなかった―――解き方は知っているがやりたくない―――為に封印していた。 が、封印が甘かった。 「いかん……どこに行ったんじゃ」 それは突然現れ、勝手に対象を見つけては呪いをかける(一名限定)。 昔、うっかり呪いにかかってしまい、口にも出せないおぞましい事になってしまった。 よく分からないうちに呪いは解けたが、根本的な解決には至っていない。 「いかん……いかんぞ……」 学院の人間、特に教員が呪われてでもしたら、阿鼻叫喚の地獄絵図が発生するかもしれない。 「それはそれは、おぞましい事に……!」 想像だにしたくない未来予想に、オスマンは頭を抱えるしかなかった。 その事件を語るには、まずしばらく前の時間に遡ろう。 ハヤテが召喚されてから、一週間が経った。 彼の一日は、ルイズより一時間程前から起きる事から始まる。 水汲みは言うに及ばず、9歳から親の酒代稼ぐのに年齢詐称して清掃のバイトをやっていた事もあり、ルイズを起こす事無く拭き掃除を完了させてしまう。 「ふぅ……続きは後で、お嬢様が起きてからですね」 「相棒、やってる事家政婦だな。絶対使い魔じゃねえだろ」 続いて、ルイズを起こすまでの30分程を、初めての話友達シルフィード、そしてデルフリンガーと外で過ごす。 話す事があっても無くても、シルフィードの寝転がった巨体にもたれ、朝の陽気に当てられて僅かな休みを堪能するのが気に入っていた。 「ハヤテは変わり者なのね、多分」 「そうでしょうか?」 「一日の初めに喋る相手がこんなボロ剣と韻竜の時点で、まあ普通じゃないな」 全身を撫でる日の光と、適度に吹いてくれる風の心地よさで、ともすれば眠ってしまいそうになる。 そんな中で―――今だけでは無く、使い魔を勤めている時々で、果たして自分はこんなにのんびりしていていいのだろうか、と逆に不安に駆られてしまう事がある。 今まで借金返したり生活費稼いだり借金取りから逃げたりを年がら年中続けていたハヤテには一種の強迫観念みたいなものが染み付いており、金と命と生活の為に働き続けてこの若さでワーカホリックのようになっていた。 故に、この世界で使い魔と言う一種の就労にあるとはいえ、こんなに目的も命の危機も感じずにいていいのだろうか、と思わずにはいられない。 だから少しでも心がこの状況に慣れるように、ハヤテは万感の想いを込めて、この一言を言うようになった。 「―――今、幸せですねえ……」 「ねえねえデルフ、ハヤテって何歳? なんだか遠い目をしてるのね、きゅい」 『その姿はまさしく、退職したばかりのお父さんが何をしたらいいか分からず縁側で茶を啜っている姿であるからして』 「16歳のはずだが。なあ相棒……もうちょっと年相応になろうぜ。 今からこれじゃ、相棒の将来が不安になるぜ」 6000歳の剣と200歳の竜に心配されながら、朝のハヤテは幸せに包まれていた。 続いてルイズを起こし、食堂へ行く為に部屋を出る際、タイミングを見計らっていたかのように、隣室のドアが開く。 ルイズの平面的な体とは対称的な、出る所が出まくった長身の体型を持つメイジ、微熱のキュルケであった。 彼女はルイズの後ろにつくハヤテを見て、続いてぶすりとした少女を見直し、ニヤリと笑う。 「おはよう、ルイズ」 「おはよう、キュルケ」 「キュルケさん、おはようございます」 「おはよう。相変わらず可愛いわねぇ、ルイズには勿体ないわ」 主に睨まれながらも律義に礼を返すハヤテに、キュルケはルイズに見せ付けるように少年に質量のある肉体をわざと擦り寄せ、二人の反応を見ながらからかっていた。 「あ、あうあう、その」 「こら、キュルケ! 離れなさい! あんたもデレデレしない!」 「はいはい、別に召喚直後から告白された彼氏をすぐに取らないわよ……多分」 「多分って何!? それに彼とか、そんなんじゃないわよ!」 かたや少年の青少年的な羞恥と照れで茹蛸に、少女の嫉妬からの茹蛸を面白いと思って。もう一週間も同じ事を繰り返しているのに、反応が同じなのも面白い。 だから、ついつい遊んで―――っと、今日はちゃんと用があったと思い出す。友人が、目撃していたから気になって。 「そういえば、あんた達、授業終わった後に調べ物してるらしいわね」 「何で知ってるのよ」 「図書館で毎日本を山程取っ替え引っ替えしてたら、嫌でも目立つわよ」 主に自分の友人でよく本を読む一名に。 まあ、ルイズが元気なのはいい事だ。あの使い魔の少年が現れてからは授業の失敗も引きずらなくなったみたいだし、魔法が使えない事で不機嫌そうだった雰囲気も最近は和らいでいるみたいだし。 だからこそ、からかいがいがあるのだが。 「何を探してるか知らないけど、まあ頑張りなさい」 励ましの言葉をかけると、ルイズはまずポカンと大口を開け、続いて背伸びしながらキュルケの額に手を当てた。 「何がしたいのよ」 「いや、熱は無いわよね」 「あたしの事、どう思ってるか大体分かるわ」 確かにからかってばかりで、励ました事は無いが。 「お嬢様、そろそろ授業が……」 「そうね、急ぐわよ! キュルケ、あんたも!」 「はいはい」 あのルイズがこれだけ変わるのだから、人間の使い魔も案外悪くないのかしら、とルイズに引っ張られるハヤテを見ながら、そんな事を呟いてみるキュルケだった。 キュルケの言っていた通り、朝昼の授業が終わると、ルイズ達主従は他の事に見向きもせず図書館に向かった。 目的はハヤテの左手に浮かぶルーン文字。 ハヤテは言うに及ばず、座学は優秀なルイズにも聞いた事が無い、光って変な効果のルーンだが、始祖ブリミルがハルケギニアを新天地としてからの歴史が詰め込まれているという、この学院の図書館の書物なら、ヒントぐらいはあるかもしれない。 が、ここで問題が発生する。ハヤテは話し言葉が通じる癖に、読み書きが―――ハルケギニアの文字が全く通じないのだ。 仕方なくルイズはルーンをスケッチし、ハヤテが適当に運んで来る本から関係ありそうな物だけを抜き出しては片っ端から調べる事を続けること1週間。 「全然無いわね……ふぅ」 テーブルに山積みにされた本を前にして、ルイズは力なく呟いた。 30メイル程の高さの本棚が壁際に所狭しと並ぶ中で、たかだか一週間程度で簡単に答が見つかるとは思っていなかったのだが、かといってこうも箸にも棒にもかからないと、やる気が削がれてくる。 使い魔やルーンに関する有名な書籍は殆ど漁ったのだが、これでは残りの本を期待せずにしらみつぶしするしかないだろうか。 「お嬢様、この本は……」 「片付けといて。全部無かったから」 はい、とハヤテが役立たずの本をまとめて抱え、手押し車に乗せていた時、 くいくい。 「相棒相棒、袖引かれてる」 「え?」 「確か……タバサよね?」 ルイズの言ったとおり、ハヤテの袖を小さく、だが確かな力で引っ張るのは、ルイズより更に小柄で、ハヤテの水色より更に青い髪をしたメイジの少女、タバサだった。 図書館にいるときは殆ど見かけていたが、今まで何の反応も見せていなかった彼女が、今に限って何の用だろうか? 彼女はルイズの名前の問いにコクリと頷き、 「ルーン、見せて?」 「ルーンなら、ここにスケッチしてるわ」 と、ルイズが紙を渡し、タバサが「私も調べておく」と頷いた。 彼女曰く、あれだけ毎日毎日、崩れたらそのまま生き埋めになりそうなほど本を積んでいたら、流石に興味を魅かれずにはいられないとか。 「ありがとう、タバサ」 「ありがとうございます」 「いい。それと、」 と、何故かタバサは無表情のまま、犬がマーキングするかのようにコートの腕の部分から、胸、首元、背中に回って鼻を摺り寄せる。 今までまともに見た事がない、タバサの綺麗に整った顔を近づけられ、ハヤテは戸惑い、ルイズは少しムッと頬を膨らませるが、 「―――あの子の匂いがする」 タバサの一言に空間が―――主に主従の少年少女を対象にして凍りついた。埃が混じっている図書館の空気が、余計に息苦しく感じる。 「ど、どういう事よあんたーっ!」 先に再起動したルイズが、柔道家もかくやのスピードで詰め寄り、襟元を掴んで前後にガクガクシェイクする。 「お嬢様、あの、全然わからな―――」 「女っぽい顔だし、いつも言うこと聞くから油断したわ。まさか一週間でそんな事するなんて! 相手はキュルケ? 食堂のメイド? まさか知らない別の人間!?」 脳をゆすぐほど振り続けるルイズの激怒の理由を、タバサは少し離れた場所で理解できず見物人と化していた。 ただ、自分が知ってる相手の匂いがついてる―――理由は不明だが―――と言っただけなのだが。 「おいおい娘っ子、相棒が内緒でそんな事出来るぐらい甲斐性あると思うかい?」 「そういえば……無いわね」 「大体、あの子ってだけで女とは限らないだろ? 何を想像したんだよ」 「な、な、何って……!」 羞恥に顔を赤くし、口ごもったルイズに、デルフは意地悪さ全開でケケケと笑い、 「なりは小さくても、耳年増ですなぁ」 「うるさいうるさいうるさーい! このぽんこつボケ剣の癖に! 肝心な事思い出せないんだったら、その生意気な口閉じときなさい!」 「はっ、俺様を黙らせたかったら、鞘にでも差し込むんだな。あの店から貰うの忘れやがったから、無理だがな!」 「何だ、そんな事でいいの?」 「あれ、薮蛇?」 「みなさん、仲良しですね」 「あんた、頭に虫湧いてない?」 と、話が脱線し始めた所を、タバサの問いが引き戻す。心なしか、緊張の色が浮かんでいるように見えた。 「何故?」 「えっと……何故と言われましても、心当たりも質問の意図も解りませんし」 「そうよ、話がずれていたわ! ハヤテ、服に匂いがつくような行動なんてそうはないわよ! さあ、誰と何をしたの!」 自分で脱線した癖に偉そうに宣言し、ルイズは再びハヤテに詰め寄って、 「くんくん……私の知らない匂いね、多分」 「どさくさ紛れに男の胸に飛び込んで顔を擦り寄せるたぁ、変態チックだな娘っ子」 「―――~っ! わ、私は主人として、」 「相棒の匂い、どうだ?」 「ん、ちょっとクラッとして、妙な気分―――ってアホー!」 流石年の功か、齢六千年の剣は16歳の少女をたやすく手玉に取っていた―――間違った方法で。 「それはそれとして相棒、疑い晴らす為に、ここで知り合った名前を挙げたらどうだ? たかだか一週間、大して知り合いいないだろ?」 「えっと……お嬢様、タバサさん、シエスタさん、キュルケさん……名前を出しただけで睨まないで下さい、お嬢様」 「ぷい」 出て来た名前が女ばかりで、膨れた子供みたいにそっぽを向く主。 「後はデルフと、シルフィードさんと―――」 「相棒、ストップストップ!」 「え……あ!」 内緒の約束をすっかり忘れ、きゅいきゅい鳴く竜の名前を出してしまい、慌てて口を閉じる。 が、それを観客二人が聞き逃す筈も無く、 「…………」 名前を出した途端、じー、とビームでも出そうな程鋭い目をした青の少女と、 「誰? また女の感じがするわね」 分からないながらに微妙な洞察力を発揮する桃色少女。彼女らの次の台詞は、期せずしてシンクロした。 『さあ、キリキリ吐く!』 左右から挟まれたプレッシャーに負け、ハヤテは朝食前に外で会う、喋る竜の話を白状したのだが、予想に反して反応は冷めたものだった。 「結局、その使い魔にくっついてたから匂いがついただけなの?」 「はい、そうです」 「けど、竜が喋る? そんなのあるはず無いじゃない、昔話じゃあるまいし」 「けど、あの姿は竜だと思うんですけど……」 「いい? 喋れる竜のことを韻竜って言うんだけど、もうとっくに滅んでるって言われてるのよ。だから、それを使い魔にするのは無理なのよ」 「え、そうなんですか? じゃ、あれは……」 「多分、何か別の動物と間違ったんじゃないの?」 けど、喋ってたのは何だったんだろう……と呟くハヤテの様子を、好都合だとタバサは判断した。 シルフィードは彼女の使い魔であり、そして滅びた筈の韻竜である。それを知られて騒がれるのは、タバサの趣味では無い。 幸いハヤテというこの使い魔は、竜が喋る事に何故か疑問も驚きも常識も無いようだし、主は主で言う事を全く信じていない。 都合がいいので、間違った答を教える事にした。 「ガーゴイル」 「ガーゴイルって?」 「それは私の使い魔。本当はガーゴイル」 「じゃあ、シルフィードさんが言ってた『お姉様』って、タバサさんの事だったんですか」 コクリと静かに首を縦に振り、 「ガーゴイルは貴族が作り出す、擬似生命つきの魔法像のこと。いいものは生き物と見分けがつかないだけ」 「使い魔って事は、タバサさんが作ったわけじゃないんですか?」 「主人のいなくなったのを、受け継いだから」 「彼女、竜が喋ってるのを内緒にして、みたいな事を言ってましたけど」 「今みたいに、韻竜と誤解されたら面倒だから」 「成程、そうですよね」 あはは、質問ばかりしてすいませんとタバサの説明を疑いもせずに鵜呑みにするハヤテ。 (相棒……よく知らないから仕方無いとは思うが、少しは疑った方がいいと思うぜ) 『全くだ』 全てが終わり、ようやく一日の生活が終わろうとしている時も、ルイズが先にベッドに腰掛けているのとは対象的に、ハヤテは彼女の衣服の破れた部分を針と糸でちくちく夜なべしていた。 「お嬢様、僕をじっと見てどうかなさいましたか?」 「何でもないわ、気にしないで」 「そうですか」 それきり、少年は彼女に見向きもせず神経を仕事に集中していた。 その健気な様子を見ながら、ルイズは心中でもう一度ハヤテの評価をする。 使い魔としては微妙だが、家事一般に関しては言うまでもなく儲けものレベルだ。 ただ、炊事洗濯掃除に料理までああ簡単にこなされていると、並の女より女らしいのは気のせいだろうか、と思わずにはいられない。 以前キュルケに、「あんた、使い魔じゃなくて嫁を呼び出したんじゃないの?」とからかわれた事があるが、言うまでもなく同意した。 あのかいがいしさでは夫とはとても言えない。 だからと言っては何だが、この時間に、ルイズは寝る前にある注文をする。 「ねえ、服を着替えさせてよ」 その時のハヤテの反応はもはや見慣れたものとなっていた。 「え、う、あ、えええっ!!」 言葉にならない悲鳴をあげ、顔を茹蛸にしながらズダダダッと後ろ小走りで後ずさる。 その毎回の反応を見るといつも、可愛いなあもうとか、やっぱり男なのねえ、と妙に安心してしまうのだ―――何故安心するかは、皆目見当がつかないけれど。 まあ、確かにこれで男は勿体ないだろうなあとは思う。これで女だったら、さぞやモテるだろうに。 「はしたない事を言わないで下さい、お嬢様!」 「もう、冗談がきかないんだから。いつもの事でしょ」 これも、いつもの事だ。そして、またいつもの様に、一人で着替え、腕立て伏せを始めたハヤテを見届けて、先に眠りにつく。 「デルフ、見張ってなさいよ」 「しゃあねえな、娘っ子が寝ぼけて相棒を襲わないように見張ってら」 「逆よ!」 『夢の中に入り込むルイズ。しかし、明日が今日と同じようにはならないという事を、誰も想像しなかったのでありんす!』 不穏な天の声とは裏腹に、次も変わらぬ平凡な朝が始まった。 『しかし、恐るべき変化は既に訪れていたぁ!』 「お嬢様。起きてください、お嬢様」 お決まりの台詞で揺らされ、ルイズはまどろみから覚醒し始める。 だが、少し変だ、とルイズは直感で思った。 触れられている両手に力強さを感じないし、何より声が無理をしているかのように高い。 「だ、れ……?」 「何を仰るのですか? わたしです、綾崎ハヤテですわ」 「ハ、ヤ……ってちょっと待ちなさいっ!」 「きゃあっ!」 まるで少女のような悲鳴をあげ、尻餅で倒れて涙を浮かべるハヤテ。 だがそのしぐさが変だというのは圧倒的に分かる。 服はどこから調達したのか、上は各国軍で見かけるような水兵服だが、下の丈の短いスカートとの組み合わせで犯罪の匂いを醸し出していた。 (脚も綺麗ね、細くて白くて―――って、ちがーう!) ルイズは激昂する。自分の使い魔は一応、多分、恐らく、顔と特技はともかく、れっきとした男だった筈だ。 それが今は、平民の少女みたいな薄着をし、自分をわたし呼ばわりし、あまつさえ女言葉まで使うなんて! 「あ、あんた……」 ハヤテの姿をもう一度確認しても、水兵服スタイルは変わらない。 自分が寝ぼけていないと分かった時、何故か言い知れぬ怒りの波動がルイズの全身を駆け巡った。 流石に主の様子がおかしいと察知したか、握り拳をブルブル震わせているルイズにハヤテは声をかける。 「お嬢様……どうかなさったんですの?」 「どうかなさった……ですって!」 波動がハヤテの身体を焼き、ビクリと身をすくませる。ルイズはそんな使い魔に、ベッドの上から直立不動で指差して宣言した。 「どうかしてるのはあんたよっ! 鏡見なさいっ!」 逆らったらやられる。 そんなオーラ力みたいなものを感じ取ったハヤテは急いで部屋の端の鏡に向き直り、くるりと一回転したり前屈みになったり、スカートを中身が見えない範囲でたくし上げてみたりして、 「お嬢様、わたしの服装がおかしいですわ!」 「おかしいのはあんたの言葉よーっ!」 (いや相棒の服もおかしいから) デルフの呟きは、混乱の渦中にあっては全くもって意味が無かった。 「つまり、あんたの服も、その言葉使いも、一段階ぐらい高い声も、自分の意思でやってるわけじゃないのね?」 「はい、当然ですわ」 あんな事があってはオチオチ寝てはいられず、ルイズは早々に身なりを整えて、尋問タイムを開始していた。 「娘っ子、もとい裁判長!」 「発言を許可するわ、デルフ」 「相棒は、今朝水汲みを行い、シルフィードといるときからこんな状態だったぜ!」 「え、ええっ! どうして教えてくれなかったんですの!」 「いや、余りにも慣れた様子で違和感無かったし……長い年月で『そういう趣味』があるって知ってたしな。 その……相棒が『そんな人間』でも俺様達は受け止めてやろうって、決めたのさ」 「お、おれたちって……」 「俺様と、シルフィード」 「うわーん!」 ハヤテは泣き崩れて倒れた。無駄な心遣いとありすぎの理解が痛すぎた。 一方、違和感無い、という点ではルイズは激しく同意していた。頬を紅潮させ、目尻に涙を浮かべる様子は殺人的だ。 だが、服が脱げないとか意志に反して女言葉になってるとか、似合ってるし見栄えがいいという事実だけで止まってはいけないのだ。 主としては、使い魔に起こった謎の現象について、真実を追究せねばならないのだ! そう、奥に隠された真実を! 「あんた、一つ質問したいんだけど」 「あの、質問でどうして両腕を掴まれて、押されているんでしょう?」 「たいした事無いわよ? ちょっと、男の癖に女みたいな服着て、ご丁寧に大きめに詰め物してるなんて生意気だから、ちゃんと確かめてやらなきゃとか思ってないから」 「だから、何でベッドに押すんですか!?」 「ああもう、五月蝿いわね!」 ドタバタと、隣の部屋から壁が揺れる程の騒音がする。 キュルケはもうすぐ朝食なのに朝っぱらから何をしてるのかしらと疑問に思い、続いて、ルイズが久し振りに使い魔に癇癪でも起こしたのかしらと興味が首をもたげた。 「全く、何してるのよ」 そう言いながらもキュルケの顔は何を言ってからかおうかとニヤついていた。 部屋を出て隣室の鍵がかかっていない事を確認し、ノックも無しに扉を開ける。 「おはよう、ルイズ―――」 目に飛び込んでいた景色は、予想の斜め上をキリモミしていた。キュルケは絶句せざるを得なかった―――ルイズの行為に。 一言で言うと、隣人は女の子をベッドに組み敷き、あられもない姿を日の光の下にさらさせていた。 青い髪の少女―――どこかルイズの使い魔の少年とそっくりな気がする―――は涙を目尻に浮かべ、苦しげに肺から微かな吐息を吐き、上気した顔に真っ赤な色を張り付けていた。 上着は水兵服だろうか、服が首下までたくし上げられ、キュルケに僅かに劣るだろうが質量のある膨らみと、先に乗る桜色の形良い、突起が瑞々しい肌とともにこぼれていた。 下は下で、脱げそうで脱げないギリギリの所でスカートの腰部が脚と脚の『付け根』を隠していた。『有る』か『無い』かはすぐに判別できないが、あれでは『無い』のではないだろうか。 「げっ……!」 「うう……」 キュルケを見つめる驚きと羞恥の四つの視線と状況証拠から、彼女は微熱の脳細胞をフル回転し、一つの推理を作り上げた。 「ルイズ……」 「な、なによその痛いわって顔は!」 「いつもあたしを色ボケとか言ってたり、男と全然浮いた話が無いなって思ってたけど、そっちの趣味があったからなのね」 「ち、違うわよ!」 「けど、あたしにそんな趣味はないから、遠慮するわね! 大丈夫よ、別に差別したり、言い触らしたりしないから! あたしは理解力あるつもりだから! ルイズ×謎の少女なんて言葉が浮かんだって言わないから! あ、あたし先に食堂行ってるから! 邪魔したわね!」 ルイズの制止と弁明も届かぬまま、キュルケは早口でまくし立てるだけまくし立てて嵐のように去っていく。 あとに残ったのは、 「って、何でこの服は半脱ぎで止まるのよ!」 関係ない所に突っ込んで鬱憤を晴らすルイズと、 「わたし……わたし……」 16年間一秒たりとも離れなかった相棒に無言で別れを告げられ、そのショックから立ち直れず茫然自失した元ハヤテが座り込むだけだった。 『大丈夫だ綾崎ハヤテ、世の中は女の方が需要があるさ!』 「オロオロ……あの、ここはどこでしょう?」 「ここ? トリステイン王国に決まってるだべさ!」 しばし苦悩していたオスマンだが、流石は学院長、対処方を即断し、側にいる美人秘書ミス・ロングビルに指示を伝えた。 「ミス・ロングビル。これは重大な事態で、口外は不可じゃ。 これより学院内で、水兵服を着た者を発見し次第、即座にここに連れて来るのじゃ」 「す、水兵服ですか?」 いきなり何を言い出すんだこのジジイとうろんな目を向けられても、オスマンは構わず続ける。 「放置しておけば、おぞましいことになりかねない。そうだな、コルベール君には知らせてもよい。 広い学院じゃが、必ず騒ぎになっている場所がある。そこに、いるじゃろう」 意味不明ではあるが、雇われてついぞ見た事の無い老人の真摯な目を目撃し、尋ねずにはいられなかった。 「おぞましいとは……どのくらい危険なのですか?」 「ふむ、その服を着た者を連れて来る際、肉体的損傷に関しては全く心配せんでよろしい。 宝物庫に眠っていた曰くつきのものじゃが、価値も実用性も、宝物庫の『破壊の杖』には全く及ばぬ。しかし……時と場合によっては、見る者に天国もしくは地獄を与えるのじゃ!」 破壊の杖、と聞いてロングビルが僅かに眉で反応を示したように見えたが、何の変化もないように続ける。 重要なのは、それがあると確認できた事。それだけでも収穫である。 「分かりました、今から向かいます」 「うむ、よろしく頼むぞ」 まだ盗賊の時間じゃないと自制しながら、ロングビルは学院長室を出る。 自分の背後を見つめるオスマンの目が、なにやら怪しげなものになっているのが気になっていたが、いつもの事と流して。 「ロングビルに着せたら似合うじゃろうなあ、ファファファ……」 「すみません……ここ、東京では無いのでしょうか?」 「東京? 知らんなあ……ここは、トリステイン城下町だぜ?」 再び戻って、学院の食堂。ルイズは人前に出るのを全力で嫌がった元ハヤテを引っ張って連れて行った時の反応は、それぞれヒソヒソと聞こえはするが、ハヤテ本人だとは全く気づかれなかったようだ。 ハルケギニアにそもそも女体化とか、男が女の格好して云々(もしくは逆)という概念があるのかどうかは謎だが、ともかく余計な説明をしないでいいので何よりだ。 聞かれてもハヤテ自体が何が起こってるのか分からないから困るだけだったが。 「お嬢様ぁ……もう帰ってもよろしいですかぁ?」 「何言ってるのよ、堂々としておけばいいのよ!」 各々の視線を受けて縮こまる元ハヤテとは対照的に、もう吹っ切れたわよ、とズカズカ歩くルイズ。 どうせキュルケにあんなの見られたら、大体は後ろめたい事なんて無くなるわよ! 向こうにいるキュルケがこっち向いたと思ったら生暖かい目で見てくるのがしゃくに障るけど、バレてないから問題無いわ。 「……!」 あ、向こうでハシバミ草くわえてたタバサが目を見開いてフォーク落とした。 これは……バレたかしら? とりあえず何事も無かったようにそのまま椅子を引かせ、厨房にハヤテを送り出そうとしたその時。 「あの、ミス・ヴァリエール。お願いがあるのですが」 「あら、どうしたのシエスタ?」 「今日、三人も休んでしまって……よろしければ、ハヤテさんの手をお借りしたいのですが?」 「ん、いいわよ」 と、いつものノリでハヤテの腕を引っ張って前に出しかけ、シエスタが驚いて硬直したところで、ハヤテがハヤテでない事を思い出した。 「あの……この方、は?」 「ああ、えっと、その……ちょっとこっち寄りなさい?」 「は、はい」 シエスタの顔を引き寄せ、 「あのね、事情は言えないけど、これがそいつよ」 「あの、どう見ても女の人に見えるんですけど。まさか、実はハヤテさん、初めから女だったんですか?」 「そうじゃないんだけど、ややこしいわね……とにかく、こいつを自由に使ってくれていいわよ」 「はい、分かりました。 お願いします、ハヤテさん……って言っていいんでしょうか、えっと……」 「そうね、名前考えてなかったわ。どうしようかしら?」 「名前ですか。ハヤテ、ハ……ハーマイオニーなんていかがでしょう?」 と、ハヤテは某魔法映画のヒロインから思いついた名前を出しただけだか、予想外に少女二人に引かれた。 「ハヤテさん、普通、そんなすぐに名前出てこないですよ?」 「あんた……最初からそんな趣味あるんじゃないの?」 とんでもない誤解ではあったが、この空気では否定が通じそうにも無く、ハヤテ改めハーマイオニーはガクリとうなだれた。 「おじいさん……ここは、何処でしょうか?」 「ここは、トリステイン魔法学院の庭じゃが。娘さんは何者じゃ? ただの平民には見えぬようじゃが」 「鷺ノ宮伊澄と申します……呪いの気配を追っていたら、いつの間にか道に迷ってしまって」 「呪い、とな。ふむ……話を聞かせて貰っても、よいかの?」
https://w.atwiki.jp/hayate-tcg/pages/356.html
0.IDの取得 このCGIでプレイするにはIDの取得が必要になります。 「新規登録」をクリックします。 IDは半角小文字(abc…xyz)、PASSは半角英数字(abc…xyz,ABC…XYZ,012…789) という条件に従い入力し、 「しんきとうろく」をクリック。 IDは表示名としても使用します。 成功した場合、登録完了の画面がでます。 1.デッキ作成 トップページに取得したID,PASSを入力後「LOGIN」をクリック。 そのあとの画面にて、「デッキを編集する」をクリック。 テスト版のため20-60枚の範囲で選択可能で、 右にある「枚数」を操作することにより、 カードをデッキに入れることができます。 08/2/28時点は、1弾のカード(夏-01~夏-60)のみをデッキに入れることが可能です。 2.対戦 部屋に入り、人が来るのを待ちましょう。 ロビーの発言欄を利用して呼び掛けるのもいいかもしれません。 自動更新されないため、適当に更新をしましょう。 対戦時の操作の特徴としては、 バトルのコスプレ等使いますか?などはCGIが自動的に聞いてくれたり、 アドヴァンスを満たした時の移動や、 サーチカードを使うと、自動的にデッキからカードを選択する画面になるなど、 プルダウンメニューから、行動を選ぶということはないみたいです。 ただし、デッキから特定のカードを加えるさいに、デッキのすべてのカードが表示されたり、 相手の場のカードを捨て場に送る効果の際にも、場のすべてのカードが選択対象になっていたりするので注意。 正しくない対象を選ぶと効果は発動しないという仕様となっています。 カードの効果の詳細は、現状では見ることができないので、 カード詳細を別途用意しておくと便利かと思われます。 また、対戦中バグなどを発見したら、掲示板に書き込むといいでしょう。 操作方法の説明 メインフェイズ カードを出す 手札から選択したカードをスタンバイゾーンに出す。 「出す」を選択すると、表側で 「伏せる」を選択すると、裏側で出します。 オープンする 裏側カードから選択したカードを表側にします。 スタンバイする バトルゾーンから選択したカードをスタンバイさせます。 アドバンスを満たす スタンバイゾーンから選択したカードを手札を捨てて、バトルゾーンに移動させます。 捨てる 裏側伏せカードを選択して捨てます。 ターン終了 ターンを終了します。 バトルフェイズ時 攻撃する バトルゾーンの選択したカードで攻撃をします。 攻撃しない 攻撃を行いません。 ターン終了 ターンを終了します。 防御する バトルゾーンの選択したカードで防御をします。 防御しない キャラで防御を行いません。 コスプレする 手札から選択したカードを、戦闘キャラにコスプレします オープンする スタンバイゾーンの選択した裏側カードを表側します。 スタンバイする バトルゾーンの選択したカードをスタンバイゾーンに移動させます。 何もしない 何もすることがなくなれば、選択してください。
https://w.atwiki.jp/youtubeani/pages/184.html
ハヤテのごとく動画 8話 Veoh Online Videos by Veoh.com 【動画ランキング】 見たらクリックお願いします。 画質評価 見たらお願いします。 選択肢 投票 ◎ (5) ○ (2) △ (0) × (0) 感想 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/hayate-tcg/pages/355.html
0.IDの取得 このCGIでプレイするにはまずIDの取得が必要になります。 まず”ID/名前変更”を押します。 画面上にある新規ID作成にチェックを入れ、その下の欄に 自分の使いたいIDを打ち込みます。(この時、IDは半角英数で打ち込みます。) さらに、その下の”ハンドルネーム”の欄に自分のハンドルネームを 打ち込んで決定を押します。 これでIDは取得できているはずです。 次回からのログインのさいは自動的にIDが打ち込まれていますので スムーズにログインすることが出来ます。 1.デッキの作成 IDの取得が終ったら、次は自分のデッキを作ってみましょう。 まず最初に、”デッキ構築”を押します。 この時、”IDが~・・・”と表示された場合は再度IDを登録してください デッキと表示されている枠に、”デフォルト”と表示されている所が あるので、その欄をクリックし"deck○”にして読込を押します。 その後は、パックとある欄をクリックして自分の入れたいカードが ある弾を選び、実行を押します。 そうすると画面左側にリストが出てきます。 入れたいカードの端にあるところにチェックを入れて、実行を 押すと、そのカードが画面右側に表示されます。 2枚、3枚入れたい場合は必ずリストのところにある ”積ー○”を押してからキャラにチェックを入れて実行します。 カードの詳細なデータがほしい場合などは、wikiを参照してください。 デッキからカードを抜く場合は、デッキの抜きたいカードのところにチェックをして 実行を押します。 保存する時の注意ですが、必ずパックのところを”(選択無し)”にしてから保存してください。 リストの表示しているときにデッキの保存が出来ないためです。 2.対戦のしかた トップから対人部屋に入り、相手が来るのを待ち、相手が来れば対戦が開始します。 基本的に、データが登録してあるすべてのカードが使えます。ただし、ほぼ手動で行います。 対戦中でバグが発生した場合、手動操作ゆえに正常に戻すことが容易です。 おおまかな操作 ●ファーストメインフェイズ ドロー後は、ファーストメインフェイズへ自動的にフェイズ移動します。 手札から場に出すを選択し、決定を押します。 その後、カードを選択し、表か裏を選択して”選択”ボタンを押します。(一度に複数枚の選択は可) ●バトルフェイズ(攻撃対象選択) F+ボタンを押します。 攻撃対象を選択します。攻撃しない場合は、攻撃しないを選択します。 攻撃しないを選択した場合、セカンドメインフェイズに移ります。 選択後、互いに何かプレイするかを確認し、相手が何かする場合は、中央のメニューから”コントロール”を選択し、コントローラーを相手に移します。 ●バトルフェイズ(防御対象選択) F+ボタンを押します。 防御対象を選択します。防御しない場合は、ブロックしないを選択します。 選択後、互いに何かプレイするかを確認します。方法は攻撃対象選択と同様です。 ●バトルフェイズ(ダメージ計算) F+ボタンを押します。 攻撃対象、(防御対象は任意)を選択していた場合、プレイヤーへのダメージ計算とバトル判定が行われます。 また、夏-42などのバトルで破壊されないカードの場合は、ダメージ計算より前に、戦闘非破壊情報を付与する必要がありますが、方法は割愛します。 ●セカンドメインフェイズ ファーストメインフェイズと同様。 ●エンドフェイズ 表側のSキャラの破棄などを行います。 エンドフェイズに~の効果は割り込むことができません。セカンドメインフェイズに処理してください。 効果は永続系一部以外の効果はすべて手動になっています。 夏-04 The Hikikomori Princessの場合(サーチ系) 自分:山札から手札へを選択し、移動を押し、デッキの一覧を開いた後、任意のカードを選択。 自分:デッキをシャッフルする。 夏-54 下校時間(愛沢咲夜)の場合(ステータス上昇) 自分:SZからBZへを選択し、移動を押し、任意のカードを選択。 自分:PW操作⇒4000、加算、選択。 夏-65E The Kansaikei Princess(愛沢咲夜)(相手が操作するタイプ) 自分:口頭でどれをスタンバイさせるか宣言し、コントロールを移します。 相手:スタンバイ能力⇒カード効果を選択。コントロールを移します。
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/2432.html
ルイズ達がゴーレムの姿を見つけたのは、三回目に壁を殴った後だった。流石にあれだけの轟音を何度も鳴らせば、誰かが聞き付けるとはフーケは予想していた。 だが、出て来た人間が魔法を使えない事で有名なあのメイジと、ただの平民の使い魔であった事から、無視した。 ゴーレムを前にして息巻いているが、あの調子では偶然近くにいて、特別な準備もないまま来たというところだろう。 まあ実力から見ても、学院でぬくぬくと暮らしている貴族のガキどもにゴーレムがやられるとは思えない。それよりも教師連中に来られて邪魔される方が厄介だ。 だから、フーケはゴーレムの肩の上に飛び乗って指示を出し、土巨人は彼等に見向きもする事なく、再び壁に向かい鉄球を振り回し続けた。 一方、その30メートル程もある土のゴーレムの足元にいるルイズ達は、敵を前にして動きあぐねていた。蛇に睨まれた蛙のような威圧感に、ハヤテのこめかみを一筋の冷や汗が冷やす。 「えっと……お嬢様? この、中からスーパーロボットでも出て来そうな土人形は何でしょうか?」 相変わらず使い魔のスーパーだかロボットだか言う奇妙な言葉は分からないが、ルイズはここ暫くの付き合いでスルーしても構わないと学習した。 「あ、そういえばハヤテはまともな魔法を見るのは初めてよね。 あれは土属性魔法の一つ、ゴーレムよ。これだけの大きな物を造れるって事は、相手は相当実力のあるメイジって事ね」 30メイルはゆうに越え、蟻とカマキリぐらいの比で見下ろされながらも、ルイズは敵に向かって歩み始める。脚を震わせながらも、一歩、また一歩と。 そうしてある程度の距離まで近づき、それでも立ち向かう意志だけは失わないと言わんばかりに瞳でギッと睨み付け、杖を振り上げて魔法を放ち始める。 「ファイアーボール!」 何度か杖を振りかぶって呪文を唱えるが、効果は全て爆発の一種類。おまけに明後日の方へ行ったり、当たったかと思えば土の欠片を落とさせるだけだったりと、全く効いている様子が無い。 「お嬢様、一度引いた方が……相手が無視しているうちに」 「追いかけて来たなら好都合よ。あんな騒音を出してれば、じきに誰か駆け付ける。むしろ矛先が私に向いてくれれば、学院がそれだけ壊されずに済むわ。 それに……」 それに、この犯人を捕まえれば、もうゼロだ何だのと蔑まれずに済む。貴族としての正しい誇りを、使い魔たる彼にも与える事が出来る。 そう言いたかったが、何故かはばかられてしまい、口に出せない。きっと、それを言ってもハヤテは笑顔でやんわりと、要らないというだろう。 それでも、私がやりたいからそうする。 「それより、あんたこそ逃げなさい。平民はメイジには勝てないんだから、先生でも呼んでそのまま逃げてなさい!」 「そういわれましても……」 暫く一緒にいて、ハヤテはルイズがよくも悪くもプライドが高く、誇りを大切にしようというタイプだと分かった。相手が明らかに間違っている事をしているのが、許せないのだろう。 確かに先人の素晴らしい歌にも、敵わぬ敵にもひとまず当たれとあるが、今回みたいにこうかはいまひとつどころでは無い場合はその限りでは無い。 しかし、今の主は逃げろと言っても聞きそうに無い為、ならば自分は自分の使命を果たすしかない。 「ダメです。僕は使い魔なんでしょう? 主人を守らずに逃げるわけには行きません」 使い魔を守りたいルイズの意思と、恩義から主の命を守りたいハヤテの意思が視線で交錯するが、先に根負けしたのはルイズだった。 今は、そんな事に時間を割いている暇は無い。 「……ああ、もう勝手にしなさい!」 早く目の前の凶行を止めなければいけないのだが、攻撃が効かない、動きも止められないのでは、いったいどうすればいいのか想像がつかないでいた。 一方、フーケはとうに二人を相手にしておらず、むしろ心配事は持参した鉄球の耐久力にあった。 ゴーレムの百万パワーに鉄球の百万パワーで二百万パワー、二倍の遠心力で四百万パワー、更に三倍の気合いで振り下ろして千二百万パワー……とは考えなかったが、楽観視していた事は否定は出来ない。 だが、一発もしくはニ発でひびをいれるぐらいは予定していたのが、三発撃ち込んでひびが入ったのは鉄球の方だ。 流石は魔法学院、防御も万全か。もって後一発……そう思っていた矢先、フーケに幸運が転がり込んで来た。 「ファイアーボール!」 いい加減雑音になっていたメイジの娘の、魔法の一発が宝物庫の壁に当たる。それを先程までと同様に見過ごそうとして、 「ひび、だって?」 事前に錬金をかけた時も、今こうして殴っても、恐ろしく高度な固定化に護られて何の変化も見せない壁が、たった一発の、しかも失敗魔法にひび割られるとは? 果たしてどんなからくりか。実は当たれば威力だけは高いのか、はたまた失敗なりに思わぬ効果を発揮しているのか興味はあるが、今は思考のごみ箱に捨て置く。 「破壊の杖、貰ったよ!」 蟻程の穴があれば堤防はたやすく崩れ去るという。目の前に突破口が生まれたなら、もはや時間の問題! もう鉄球は要らないと適当に放り投げ、拳の部分だけを鉄に変えてひびの部位に叩き込んだ。 あれだけの苦労が嘘のように壁がパカリと割れ、フーケはローブの下でほくそ笑んだ。 腕伝いに穴に飛び込み、宝物庫に入り込む。目標のブツ、破壊の杖は早くも見つかる。 どう見ても魔法の杖の形に見えず、見た事も無さそうな金属で出来ていたのが只でさえ人目を引くのに、下にかけられたプレートに『破壊の杖。持ち出し不可』と書かれていては駄目押しである。 こんな簡単に手に入っていいのかと疑問はあるが、最初に苦労した分を思えばそれも問題は無いだろう。 ともあれ、目的のブツを手に入れたフーケは、毎度おなじみの盗みの証明を壁に魔法で刻む。 『破壊の杖、確かに領収致しました。土くれのフーケ』 「……と、いう訳です」 翌朝になっても学院が盗賊騒ぎで嘘や真実の噂が飛び交う中、ルイズとハヤテは目撃者として学院長室に出頭した。 オスマンはある程度の証言を聞いた後、現場に着いて来るよう要請し、壁に開いた穴の前に集う教師達の前で再び証言させた。 「私達の力が足りず、黒いローブを着たメイジはゴーレムの肩に乗って逃げられてしまいました」 「いや、命があって何よりだ、ミス・ヴァリエール。貴族としては立ち向かった事を褒めるべきだろうが、教師としては生徒に危険な事にならなかった事の方に安心している。 余り、危ない事はしないでおくれ」 「……はい、ミスタ・コルベール」 「しかし、盗賊のフーケがこの学院まで襲うとは!」 「さっさと捕まえて、貴族の力を見せてやらねば!」 「衛兵は何をしていたのだ!」 「落ち着きたまえ、諸君」 方々にて騒ぎ立てるだけで、その実全く自分からは動こうとしない教師陣の口を黙らせる為に、オスマンは先んじて口を開いた。 「今更騒いだところで、どうなるものでもあるまい。それに、そんなに慌てる事も無いのじゃ。 今我々がすべき事は、穴を塞ぐ事。そして、何故破られたかを早急に調査する事じゃ」 「余裕ぶっている暇はありませぬぞ、オールド・オスマン! フーケが破壊の杖とやらで暴れ回りでもすれば、それこそ学院の責任問題にもなりましょう!」 「ああ、それは有り得ぬ。安心したまえ、フーケがそうする事は絶対に不可能なのじゃ」 その場にいた全員の喉から、ゴクリと音が聞こえる。何故余裕があるのかの理由を聞くべく全員が見守る中、オスマンは重々しく口を開いた。 「あれは―――」 「オールド・オスマン!」 口を開こうとした矢先、今までどこにもいなかったロングビルが慌てた様子で駆け寄って来る。 この事態にいったい何をしていたのかと叱責が飛ぶが、 「申し訳ありません。今朝方、いきなりのこの騒ぎを聞きつけまして。 フーケの仕業と中のサインで分かりましたので、調査していたのです」 「ふむ……その様子じゃと何か分かったようだが、後で聞こう。 今はちょうど破壊の杖の正体を語っておったところじゃからな、それを言わんと周りの皆も落ち着かんじゃろうて」 渡りに船。盗んだはいいがちっとも使い方の分からない為、事前に作戦を立てて戻って来たが、それをするまでも無くなった。 教師達とともに聴衆の一人に変わるロングビルは心中でニヤリとしたが、次のオスマンのセリフに度肝を抜かれる事となる。 「あれ、破壊の杖の偽物じゃもの」 あまりにも酷い答に、全員が口を塞げなかった。続いて、その場の思考は二つに別れる。 杖を見た事のある人間は、いつも飾っていたあれは偽物だと? 見た事の無い人間は、何故偽物を飾るのだ? と。 そしてフーケは、偽物をつかまされた屈辱に歯噛みした。 尤も、魔法学院の宝物庫にこれみよがしに飾られている、という価値だけで盗んだのであり、効果は二の次だったが、それでも偽物は盗賊としては不覚だった。 「いやなに、本物は別の場所にあるだけじゃ。それだけじゃよ。さあ、皆は壁の修理を頼むぞ。 ……ふむ、ミス・ロングビルにミスタ・コルベール、そしてミス・ヴァリエールとその使い魔よ、せっかくじゃから本物の破壊の杖を見せてあげよう」 フーケの開けた穴から宝物庫に入り、杖を飾っていた台座の前に5人が集まる。 ここで何をするのか注目が集まる中、オスマンは台座の高さまで屈み、小さめの杖を取り出す。 「この台のように見える箱はマジックアイテムでの、特定の魔力を流した杖をこの穴に差し込めば……ほれ、蓋が開くのじゃ」 上部の板が後ろに持ち上がる。オスマンが中から取り出したものは、杖と言うには奇妙な、太くて取っ手のついた金属の棒だった。 (ちっ……) 昨晩盗んだものとは太さと色、そして形が違っていた。 だが、本物と言うからには何ができると言うのか、破壊の杖と名づけられた所以があるはずだ。 そんなフーケの疑問は、横からの少年の言葉によって解明される。 「あれ? それって……ロケットランチャーみたいですね」 「ろけっとらんちゃあ?」 疑問顔のルイズを置いて、ハヤテは破壊の杖にピタピタと触れる。 左手に輝くルーンにオスマンが気づいた時、何かに思い当たったように呟くが、それは気づかなかった。 (まさか、これは……) 「これは……やっぱり、M72ロケットランチャーですね。特別な効果は無いようです。 装備できるのは―――」 「はいはい、そのルーンの効果はいいから、簡単に言えば何なの?」 「僕のいたところにあった物なんですが。重火器……いえ、強い銃と言ったら分かるでしょうか?」 『とあるカナダの高齢女性がやったような区分けだが、ハヤテはこれでも分かってもらう為に懸命に考えたのである』 だがその努力も空しく、ルイズ達は「?」と首を傾げていた。 銃そのものは知っているが、魔法を使えない平民が中距離用に使う、弓程度の攻撃力だと認識しており、それが強いと言われても理解できない。 いや、オスマンだけが成程と頷き、 「銃、銃か。ならば、あの平民の恩人が使えたのも頷ける」 「オールド・オスマン、よもやこれが使われた所を見たのですか?」 「うむ、まさにこの目で目撃したぞ、ミスタ・コルベール」 それは約30年前、オスマンが森でワイバーンに襲われた時の事。 その時現れた恩人はもう一本の破壊の杖でワイバーンを吹き飛ばし、元からの怪我のせいで倒れた。 結局恩人は看護の甲斐無く死んだが、オスマンは 使われた杖を彼の墓に埋め、残りの1本を恩人の形見として宝物庫にしまい込んだという。 「ワイバーンが一撃で粉々になる程の威力じゃ。悪用されるのを防ぐ為に、というのも仕舞った理由ではあったが」 「それで、わざわざその箱にしまいましたのね」 ロングビルが納得いったとばかりに問いかけると、予想に反してオスマンは苦々しい顔をした。 言いたくない腹を探られたように唇を噛み締め、聞こえるか聞こえないかの声で呻く。 「それは別の話で、若さ故の過ちからの教訓だったんじゃ。 ……おのれアヤサキとか言う詐欺師め」 思わぬ固有名詞の登場に、少年少女は氷を背中に突っ込まれたような驚いた。ハヤテに至っては、何もしていない筈なのに冷や汗が止まらない。 (アヤサキって、あんたの家名じゃなかった? 何したのよ! 主を犯罪者にする気!?) (ぼ、僕は無実です! ほら、名前が違うかも知れないじゃないですか!) 「オ、オールド・オスマン? その詐欺師の名前は……」 「そんなものが知りたいのかの? ……まあええじゃろ。片方はアヤサキシュンとか言う、男と女の二人じゃ」 (あの馬鹿両親かー!) (な、なんですってー!) あのスチャラカ二人組はこんな所まで来て迷惑をかけているのか、と絶望に襲われる。 今のハヤテはどうして二人がこっちに来たか、何をしでかしたのかより、二人が自分の関係者である事をばれないようにする事が最重要課題となった。 向こうで散々親の尻拭いをしてきて、こっちでぐらいはそれから解放されたい。 (お願いします、この事は内密に……) (分かったわ、私も管理不届きで捕まりたくないし) 「……どうしたのかね、ミス・ヴァリエール?」 「い、いえ! 何もありません」 どう見ても何かありそうな動揺具合だったが、オスマンは特に追究しなかった。 代わりに、何があったかも語ろうとしなかったが。 一方、フーケは脳内で算段を立て直していた。 彼の言う事が確かなら、魔法無しでワイバーンを一撃とは恐ろしく、そして素晴らしい武器だ。破壊の杖なる名前も頷ける。 銃だから魔力が弱くとも扱え、おまけに魔法学院の宝物庫にあったというネームバリューが重なれば、ちょっとした儲けになる。 改めて窃盗手段を考え直さなければ―――場合によっては此処で強奪するか―――ならないが、売ればその金をあの子達に―――。 と考え、引っ掛かりを覚えた。銃、そうだ、銃だ。ならば、必ずあの問題がある。 「ミス・ヴァリエールの使い魔、貴方はこれを銃と言いましたね?」 「は、はい」 『名乗って無いとはいえ、その呼び方は疲れないかなあとは突っ込まないのが大人の優しさであった』 「これは、何発でも撃てるのですか?」 「いえ、単発です」 「たん、ぱつ?」 「はい。一発撃てば終わりです」 あとは、弾とか火薬とか部品の問題とかとハヤテは呟くが、フーケはとうに聞いていなかった。これでは最大のセールスポイントが消滅してしまった。 セクハラに耐え、我が儘な貴族のガキどもに耐え、つまらない雑用に耐えたのも全ては宝の為だったのに、宝自体がゴミと言うオチはフーケの精神を大きく沈ませた。 よかった点は、秘書の給料が思いの外良く、蓄えを貯められたぐらいだ。 (しばらく、盗みもやめてあの子の所に帰ろうかしら。最近、顔も見てないし) 『この後、ロングビルが暇を申し出て、強引に学院を出た事、そして引き止めようとしてオスマンが胸をわしづかみ、ボコボコに蹴られたのは別の話である』 さて、ルイズ達はフーケを今度こそ捕まえようと思っていた矢先に、後は学院の教師達に任せなさいと言われ、流石に居場所も分からない相手は追い掛けられず、仕方なく食堂へと向かっていた。 「いや、あのゴーレムを倒せそうに無いですけど……諦めません?」 「目の前で逃げられて、悔しくないの?」 「うーん……そう言いたいのは分かりますけど、どこかのサングラス長官みたいに人間があんな大きな物を壊す事なんて、出来ませんし」 「破壊の杖を借りて撃つのは? 一発だけでもワイバーンを一撃なら、ゴーレムに効きそうだと思うけど」 「って、人の形見を使っちゃ人間的に問題ありますよ!」 「冗談よ、もう。けど、何であれを知ってたの? それもその変なルーンの効果なの?」 「いえ、あれは僕のところにあった武器なんです。 何度か逃亡生活で使ったことありますし」 「あんた、ほんとどんな生活してたのよ」 ようやく、談笑する余裕が出て来た二人。そのまま、何事も無い普通の学生生活へと移行しようとしていた。 『だがしかぁし! それ所では無い事態が、二人をを待ち受けていたのであったぁ!』 「ルイズ、ルイズ! こんな所にいたの!」 「探した」 食堂の入口で、キュルケとタバサとばったり出会った。 双方ともどれだけ走ったのか、汗の跡が見え隠れし、普段からは想像出来ない真面目さを瞳に覗かせていた。 「どうしたのよ、二人とも。そんなに慌てて」 「あんたの実家から急を要する知らせがあったって、手紙があったのよ!」 「これ」 タバサが差し出す手紙を、理由が想像つかないながらも受け取って封筒の中身を見ると、みるみるうちにルイズの顔色が変わっていく。 「何が、書いてあったんですか?」 その尋常ではない気配を察知したものの、文字を読めないハヤテは恐る恐る尋ねるが、返事は無い。代わりにキュルケ達に尋ねると、こう教えてくれた。 手紙曰く、カトレアと言うルイズの姉は以前から病弱であったが、最近容態が急変、暫くは持たせるつもりだが至急帰ってくるように、との事らしい。 それは確かに大変だ、と思う一方で、あれ、と疑問。 「お二方は、先に手紙をご覧に?」 尋ねると、何故かキュルケは明後日の方を向き、 「手紙の配達係の人が、隣の人は何処へ行ったかって聞くから、あたしは友達ですから渡しとくって言って。それで宛先がヴァリエール家って書いてあったから、つい」 良い子は真似しちゃいけません。そんなナレーションを想像しながらも、今回は事情だけにキュルケに突っ込むのは後回しにし、主に伺いを立てる。 「お嬢様、早くその家に行きましょう」 ルイズは、手紙を持ったままわなわなと震えていた。 目の前の文字の羅列が信じられなくて、何度も視点を上から下へ、左から右へと動かし、裏返したりもしてみるが、書いてある文字は変わらない。 無論、やらなければいけない事ははっきりしている。それなのに、こんな時に限って頭の中がぐるぐると混ざり合って思考が言う事を聞かない。 ちいねえさまが、ちいねえさまが……。 「お嬢様、早くその家に行きましょう」 その時、使い魔の言葉が暗闇を切り開く光のように、ルイズのやるべき道を照らす。 事情を分かってないながらの暢気さが、今はありがたい。 「そう、ね。今は動くときだわ」 「家の場所は、どこですか?」 「今から出ても、馬車で丸二日かかるわ。早く行きたいんだけど、どうしようかしら……」 ルイズは何かに躊躇うような顔を見せ、ハヤテに振り向き、視線を逸らし、また振り向いては逸らし、それを何度か繰り返した後、ようやく決心を見せた。 「し、仕方ないのよ? 怖いとかそういうんじゃないんだけど、本当ならジテンシャなんかに乗りたくなんてないけど、あんたの方が早く着くから、本当に仕方無いんだから」 「お嬢様、支離滅裂で何を言ってるか分かりません」 「相棒の自転車ってえ変な乗り物の方が馬より断然速いから、乗せてくれって言ってんのさ」 「なるほど……って、さっきまで静かでしたね、デルフ」 「なあに、空気の読める剣って言いな」 『最近は空気の読みすぎで、一巻まるまる台詞の無い時もある』 「うるせぇ」 「じゃあお嬢様、お姉さんに会いに急ぎましょう。 僕も、兄がいた事がありますから……」 その時微かに陰が射したのを、ルイズは見逃さなかった。 いつもハヤテは諦めの表現を使っていた事から、彼の家族は酷い人間だと思っていたが、この口ぶりでは兄はその範疇から外れるらしい。 もしかして、その死に目に逢えなかったとか、そういう過去があるのだろうか? だがそれ以上は何も話そうとせず、ハヤテはそっとルイズの手を取る。 それで彼女も自らのやるべき事を思い出し、一旦心の引き出しに閉まって置くことにした。 「タバサのシルフィードに送って貰ったら?」 「一秒でも、速く行った方がいい」 「心配ありがとう、けど大丈夫よ。 けどタバサはともかく、キュルケって近頃具合悪くない?」 変に私の心配するしと言外に含みを入れると、キュルケはあんたが張り合いが無いとつまんないのよと笑って返す。 「教師達にはちゃんと言っとくから、さっさと行きなさいな」 「ん、ありがとう」 他に考える余裕が無かったからか、珍しく素直に礼を言える自分に少し驚きつつも、ルイズは同じく礼を言うハヤテを引っ張ってその場を去る。 後に残るは、友人二人。 「ルイズって、最近少しゆるくなったわね。目つきも性格も」 「多分、あれのせい」 「ハヤテって使い魔ね」 もしかして、彼は彼女の普段の頑張りに、始祖ブリミルがもたらした褒美なのかも、と少し空想めいた考えが浮かんでしまう。 主を受け止め、守り、癒す理想の使い魔。 「使い魔なら、あたしのフレイムには敵わないけど」 「……シルフィード」 「使い魔が可愛いのは人それぞれって事? まあ、そうよね。 さて、あたし達も早く朝食にしましょ」 『ルイズ達は、果たして間に合う事が出来るのか? 次回は、変態と動物の群れ、そしてライフセイバーと戦いまっすぅ!』
https://w.atwiki.jp/wiki5_destiny/pages/116.html
自己紹介です・・・・ 産まれで射手座の16歳の男です。 誕生日(Birthday):1989年12月18日、もうすぐだぉww 血液型(Blood Type):もちろん∀型です(笑笑〃 星座(Constellation) ごく②普通の射手座だょw 性別(Sex):岡山男児じゃぁーけんw 年齢(Age):17歳になりましたぁ~(pД≦q*))) 好きなァーティスト(Favorite Artist):BUMP、Janne Da Arc、etc..J-POP最高(*≧▽)ノ〃 身長(Height) 175.0cm位ヵな?たまに斜めにも伸びますww 趣味(Hobby)もちろんTWッスw最近、釣りに行かなくなったぁーΣ(>□<;)) ファッション(Fashion)結構オシャレだとぉもぅょwぉ気にゎ緑のツナギと白と紫のカラパンと赤と黄色のカッタァーwwカラフルだぉw(●^皿^)v近ぃぅちに観さしてぁげるねwb 髪型(Hair Style):美容室の人に任せてます(>3<)bw 口癖(Favorite Phrase):チャォw、アニョハセヨー、・・・・少な!! ペット(pet)うさぎぉ飼ってますw 毎日ベランダに来てるスズメゎペットに入るのかな?? ぁと、ォレの友達ヤンフィーばっかなんっすけど・・どうにかしてぇ~~(ノд≦涙)+゜ こんなもんかな??????? 入ったばヵりだけど、ドン②絡んできてネw(●^皿^)v 【そこのとこ】質問コーナー【どうなのさ】 Q1・好きなキャラは? A:時代ゎヤッパボリじゃぁ~ねぇ~?(笑笑〃 でも、マキシミに変えちゃった(●^皿^)v Q2・好きなスキルは? A:使ぇなぃケドうたたねヤネw Q3・好きなMAPは? A:龍泉郷ゃなぁ^^きれぃ(≧ω≦Ρ)ノ+゜ Q4・好きなMOBは? A:クノーヘンかな?目標ですからw (≧ω≦Ρ)ノ+゜ Q5・よく行く場所は? A:シノプにょくぃまス(≧∇≦)/ ハハハ Q6・TW歴はどれ位? A:4ヵ月・・・・だったかな(笑笑〃 Q7・TWの楽しみ方といえば? A:10人10色ゃんッwオッ、名言!!! Q8・クラメンに何か言いたい事は? A:絡みづらくてへんな奴ですけどョロシクです(●´艸`)тндйкуоц+。 このクラメンに対する独断と偏見によるコメントを書き綴れっ“〆(^∇゚*)カキカキ♪ 見に来てくれてぁりがとぅ(●´艸`)тндйкуоц+。これからもヨロw -- wアテナw (2006-12-03 01 44 17) (゚Д゚;≡;゚д゚)やぁ(。・_・。)ノ…………|彡サッ -- ふぁん (2006-12-03 15 47 39) 突然τ"すがメインヵ"変ゎります。oハヤテoっτ言ぅマキシミに変ゎりますヾ(о・v・о)ノ変ゎっτも末永くョロシクぉ願ぃします(*^∀^*)// -- wアテナw (2006-12-04 12 45 12) んー・・・読み辛いわっε=(ノ゚Д゚)ノ ┫ .゚、 . -- 鷹匠 (2006-12-15 04 50 55) みんなで頑張っていきましょうね^^b-- クアン (2006-12-15 06 31 19) おりゃ〜(ノ-_-)ノ ~┻━┻ゃっとかーでふ行ける…★ -- ふぁん (2006-12-15 09 08 14) 鷹匠さんごめんね><少しゎ見やすくなったはずだょw-- oハヤテo (2006-12-16 10 16 24) 最近会う機会減っちゃったけど、また一緒に狩りしましょうねb -- クアンジッタ (2007-01-11 14 46 04) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/1828.html
「城下町、ですか?」 食堂でトラブルを起こした後、今は昼の時間。 進級直後の日程では、使い魔を召喚して日も浅いと言うのもあり、しばらく数日間は授業は午前のみ、午後は休みとされていた。 その休みを利用し、ルイズはハヤテに服や日用品を買ってやる、と言った。 「そう、城下町に行くのよ。あんたの服はもうボロボロだから、新しいの買ってあげる。 それに、使い魔の姿がみずぼらしかったら、主も恥をかくもの」 「そういえば、まだ一日しか経ってないんですよねぇ。バスにぶつかって大怪我したのが昨日の事に思えないです」 もう一週間以上経ったみたいだと、ハヤテは煤けたり黒ずんだり破れたりしている自分の衣服を見渡す。 『服の損壊の一番の原因が、決してルイズの爆破のせいだと言わないのも、使い魔としての優しさだぁ!』 「……何だか、物凄く不快な声が聞こえたわ」 「そうですか?」 「……ともかく、夕食までに帰らないといけないから、さっさと行ってさっさと帰るわよ」 「そんなに時間がかかるんですか?」 「馬に乗って3時間かかるの。往復したら最短で夜になっちゃうわ」 3時間……確か馬は、時速20キロ程度。つまり、50~60キロぐらいと見積もると。 (あまり遠くないですね……ん、そのぐらいの距離なら) ハヤテの中では、一つの方法が浮かんでいた。 「念の為聞くけど、馬には乗れる?」 「馬には乗れますけど……それよりも、もっと早い方法で行きませんか?」 『後にルイズは、それを了承した事を後悔するのだった』 ハヤテが提案した方法は、一緒に召喚されて来た自転車だった。 預かっていたコルベールに今度自転車について説明する事を約束し、出発して5分後。 「お嬢様ー、どうですかー」 ルイズは助手席代わりの荷台に座り、ハヤテの腰に腕を回して掴んでいた。 誰もいない街道を、たった二人。背中越しに伝わるハヤテの熱。 昔、婚約者と馬の遠乗りでそんな乗り方をした事もあるが、やはり相手が同年代という事が効いているのか。 少し変わったシチュエーションに、何故か体温の上昇を感じた。 (って、こいつはただの使い魔よ? まさかねぇ……) 「お嬢様ー?」 「あー、うん……まあまあね。それにしても、不思議な乗り物ね……」 今の速さは大体、馬の2倍ぐらいの速さ。 竜やグリフォンならもっと速いだろうが、人力でここまでの速度で走れる乗り物は、トリステインどころかハルケギニアでも聞いた事が無い。 『残念ながら、速いのはハヤテが非常識なだけである。長距離で平均時速60キロ超を維持できる高校生は、そうはいない』 「このぐらいだったら、思ったより早くつくわね」 「いえ、これは準備運動です。そろそろ、本気を出しますから」 は? ルイズの目が点になった。これ以上速くするって、どういう事? 「幾らなんでも、そんな冗談は通じないわよ? 馬より速く走るなんて言わないわよね―――」 「さあ行きます! しっかり掴まっていて下さいね!」 「ちょ、あ、きゃあぁぁぁ……!」 ただ無我夢中でハヤテに掴まる。 体温を気にしていられない。声と景色が後ろに置いて行かれる。 髪が無茶苦茶になるのを気に留める余裕も無く、ルイズはこれに乗った事を後悔した。 『ちなみに現在時速、150キロオーバー!』 「頑張りますから、後30分もせずに着きます!」 「あ、あ、は、はや、」 「大丈夫ですか?」 「大丈夫、じゃ、ない、わ」 「もう少し我慢して下さいね、お嬢様」 「って、つ、次、みぎ」 「右ですね? ―――イナーシャルドリフトォォォッ!!」 「きゃあぁぁぁっ!!」 「さあ、全速力行きます!」 「もういやあぁぁぁっ……!!」 到着後、流石に爆破は無かったが、杖で何回も殴られたハヤテ。 「もういや……非常識よ……」 「よく分かりませんが、すみません……帰りはもう少しゆっくり走ります」 何はともあれ、無事に街についた二人。 自転車を門の前の駅に預け(珍しい馬だと言われたが)、街の大通りを行く。 東京に比べたら狭いが、露店が所狭しと立ち並び、活気には事欠かない。 「何キョロキョロしてるの?」 「いえ、こういう光景は、映画……じゃなかった、噂でしか見た事ありませんでしたから」 「そういえば、メイジも知らない田舎にいたのよね……」 異世界の説明をし辛い為、まだそういう事になっていた。 「けど、それは次の休みにしときなさい。田舎者だって思われて、財布すられるわよ。それに、」 ルイズが立ち止まったのに続き、ハヤテもある建物の前で立ち止まる。 「先にここで、服選びなさい。お金は十分入れて来たから、遠慮はしなくていいわよ」 と、言った記憶は確かにあった。服を選べと、遠慮するなと言ったのだが。 「どうでしょうか? どれも、お付きの方にピッタリかと思われますが」 「うーん……見慣れない服ばかりですね」 「むしろ、あんたの服みたいなの、見た事無いわよ」 「すみません、この服とこの服の布、ありますか」 「お客様、あの……布、ですか?」 「な、何する気なのよ…?」 「よしっ、これで暫くは保ちますね。布と糸で幾らになりますか?」 「は、はい……これだけです」 「布から直すなら別の店で布買ったのに……非常識よ」 「ありがとうございました……」 もうどうにでもなれと言うやけくそな店員の声を背に受け、二人は店を後にした。 「いやぁ、随分安くつきましたね」 「そうね……」 精神的に疲れ、げっそりとした顔でルイズが返す。 そりゃあ材料だけだったら安くもなるわよ! と突っ込みたかったが、それをしてもこの男には無駄だろうと何となく思った。 「けど、自転車で来たから荷物が積めないってのが問題でしたね」 「ねえ、そこが問題なの!? 私だけおかしいの!?」 外に向かって問い掛けたかったが、残念ながら今それに同意してくれそうな相手は誰もいなかった。 あのキュルケでもいいのに! 「……私、言ったわよね? 服、買いに行くって。遠慮するなって」 「はい、そうですね」 「服屋で買った物が布と糸って、どういう事?」 怒っているのか怒っていないのかよく分からないルイズのジト目を、ハヤテはそれはですねと笑って受け流し、 「あそこの服、これより動きにくそうでしたから」 「じゃあ別の店行ってあげるわよ。それに、服はずっと着てたら慣れるわよ」 「まあ、そうですが……それに」 「それに?」 「今はまだ、ここでどんな事があるか分かりませんから。 ここに慣れるまでは、お嬢様のいざと言う時の為に、動き慣れた格好でいたいんです」 「あんた……」 時々ある無垢な顔でいけしゃあしゃあと言うものだから、少しグッと来た。 使い魔の本分を前に掲げられると、何も言えないではないか。 不意打ちだ。あまりにも不意打ち過ぎて、「そう…じゃ、また次に見に来るわよ」としか言えない。 「さて、と。時間も余裕あるし、財布も余裕あるから、他に欲しい物、無いの?」 ルイズは取り敢えず服屋の事は忘れ、何気なく聞いたつもりだったが、ハヤテは予想に反してうーんと考え込んだ。 「どうしたのよ?」 「えっと……ただ見に行きたいだけなんですけど」 「何?」 「武器屋か防具屋って、ありますか?」 思わぬ問いに、ルイズも考え込む。どういう意図なのかしら……。 「あ、いえ、やっぱりこんな世界ですから、そういうのもあるのかなぁと」 「両手振って必死で言わなくてもいいわよ。 ……見たい?」 「はい! やっぱり、一度は見てみたいです」 男のロマンですからと言う意味は理解出来なかったが、今日もまあ頑張っていたし、時間も余っているからまあいいわ、と仏心を出し、ルイズはハヤテを武器屋に連れて行った。 昼間なのに薄暗い店内に入ると、流石武器屋らしく、あちらこちらに剣や槍が並び、甲胄が飾ってあった。 奥にいた中年の主人が、入って来た客が貴族の服装をしているのを見て、慌てて姿勢を正す。 「貴族の旦那、うちはまっとうな商売してまさあ。お上に目をつけられるようなことなんか、これっぽっちもありませんぜ」 「冷やかしよ。もしかしたら買うかもしれないけど……こいつの分を」 「そうですか、まあ見繕いましょうかね」 そういって奥に消えながら、主人は鴨がネギしょって来た、おだてて高く買わせようとほくそ笑む。 「これが武器屋ですか……」 「どう、感想は?」 「予想外ですけど、ある意味予想通りです」 ハヤテが異文化に触れて感銘を受けていると、主人は華奢な細身の剣を持ち出して来た。 「最近は貴族の間で盗賊の被害が増えてるようでして。下僕に剣を持たせるって事で、流行ってるのがこれでさぁ」 「盗賊?」 「なんでも土くれのフーケだかブーケとかいうメイジの盗賊が、貴族のお宝を散々盗みまくってるって噂でさ」 盗賊話はまあどうでもよかったが、隣で剣を振ったり軽く叩いたり、じっと凝視するハヤテと剣を対比すると、何だか頼り無い様に見える。 すると、初めは買う気もなかったのだが、もっとましな他のも見たくなってしまった。もう少し頼りになるように見える剣はないだろうか? 「他のは? もっと大きくて太いのがいいわ」 「お言葉ですが、剣と人には相性ってもんがございます。見たところ、そちらの付き人には、この程度が無難なようで」 「いいのよ、あるなら持ってきなさい」 「お嬢様?」 見るだけじゃ? というハヤテの視線を無視してルイズが言うと、主人は「素人が!」小声でと呟きながら奥から新たな剣を出す。 今度は両手型の大剣で、1.5メートルはある。 宝石が散りばめられ、刀身は鏡の様に光る立派な拵え。 ハヤテが前の剣を返して受けとり、同様に観察する。 案外軽々と持たれた事に主人は多少驚きながらも、 「店一番の業物でさ。貴族のお供をさせるなら、このぐらいは腰から下げて欲しいものですな」 一番と聞き、ルイズは満足した。貴族特有の、一番で無いと気がすまない病である。 「一応、いくら?」 「何せこいつを鍛えたのは、かの高名なゲルマニアの錬金魔術師シュペー卿で。魔法がかかってるから鉄だって一刀両断でさ。 エキュー金貨で二千。新金貨なら三千よ」 「立派な家と、森つきの庭が買えるじゃないの」 「少なくとも、剣は金二百はしますぜ」 ルイズはげんなりした。元々服や日用品を買う予定だったので、あまり財布には金が入っていない。 『だが主人のその自信は、大剣をさっきと同様に調べていたハヤテの言葉によって、崩れさるのであった』 ハヤテが調べる為に大剣を左手で握り、ふと気がつくと、左手の文字が光っていた事に気付いた。 剣を放すと、消える。持つと、光る。 放す、消える。持つ、光る。 そして、分かる事があった。 「何でしょうか……お嬢様!」 「何よ!」 「見てください、これ!」 げんなりしていたルイズにハヤテが文字を光らせ、 「ルーンが光ってるわね……」 「お嬢様は、どういう事か分かりませんか?」 「分からないわ、ルーンの発光なんて聞いた事無いし……もしかして、使い魔にされた生物は不思議な力を持つようになるって言うけど、それかしら」 「そうなんですか……」 自分に訪れた不思議な現象に、ハヤテは戸惑った。剣を握ると、光る左手。 念の為辺りに転がっている物を握ると、武器に全て反応した。 おまけに、強く握ると力強さを感じる。 何だろう……もしかして……。 (これが、シャイニングフィンガーと言うものか……!) 我が世の春が来た! 凄いよター○X、流石○ーンAのお兄さん! とか言いながら全身分離する自分を想像したが、気持ち悪いだけだった。 『言うまでも無く、皆様ご存じガンダールヴ、どんな武器でも使いこなす伝説の使い魔の証である』 「で、何か変わった事でもあったの?」 「ええ、例えばこの剣を握るとですね、武器の事が分かる様になるんです」 と、店一番と自慢の剣を握り、 「これは……ただの鉄の剣ですね」 何、と主人の顎が外れそうな程開く。 「装飾は外側だけのメッキで、かかった魔法も特に無いようです。 あまり実用には耐えられそうにありませんし、道具として使っても、何の効果もありません。 装備できるのは、今のところ僕は可能です。店に売れば、銀貨50枚ぐらいになるでしょう」 「何でそんな事、分かるのよ」 「そ、そうだ! て、て適当な事を言うな!」 「そんな事言われても、手が光ったら武器の事が分かるようになりまして、」 ルイズと主人のダブル追及に怯んだその時、 「おでれーた! 坊主、使い手か!」 どこからか、ルイズでもハヤテでも主人でもない謎の声が聞こえる。 主人があちゃーと頭を抱え、ハヤテがごちゃごちゃとした店内を見回す。 「……幽霊でしょうか?」 「違う! 俺様だ、剣だ!」 声の方向をよく見て、よく聞くと、錆だらけのぼろぼろの剣が喋っていたのだ。 「お、お嬢様! 剣が、剣が喋ってますよ!? ソーディアンでしょうか!? それとも最近噂の、全力全壊と言いながら敵を粉砕する、CV般若と呼ばれている超魔王の武器の親戚でしょうか!?」 「そっちは知らないけど、それはインテリジェンスソードよ」 「インテリジェンスソード?」 「そうでさ、意思を持つ魔剣、インテリジェンスソードでさ。 いったい、どこの魔術師が始めたんでしょうかねえ、剣をしゃべらせるなんて。 とにかく、こいつはやたらとロは悪いわ、客にケンカは売るわで閉口してましたんですが……」 「坊主、おもしれえな! 俺を買ってくれよ!」 「……って言ってるけど、どうする?」 口の悪さにいささか閉口しながらも、ルイズがハヤテに訊ねる。 「面白いですし、」 ルーンを光らせ、 「中々いい剣ですが……問題は、いくらですか?」 「あれなら、百で結構でさ」 「あんなボロボロで錆だらけなので百も取るの? せめて三十にならない?」 「てめ、娘っ子! 俺を値切るのか!?」 「結構で。こっちにしてみりゃ、厄介払いみたいなもんでさ」 「ちょ、お前もか!」 本人、いや本剣の意思を無視し、繰り広げられる交渉事。纏まってルイズがお金を払う間に、ハヤテは新しい仲間に挨拶をしていた。 「やっぱり使い手か。俺様はデルフリンガーってんだ。これからよろしくな、相棒!」 「僕は、綾崎ハヤテです。使い手って、何ですか?」 「さあ、何だったかな……長いこと生きてると、忘れちまった。 ただ、その手のが使い手を表してるって事、俺が使い手に使われたいって事は、覚えてらぁ」 「へぇ……」 「ねぇ、ホントにそんなの買ってよかったの? 今更だけど、安物買いの銭失いじゃない?」 精算から返って来たルイズが、早速辛辣な声をかける。 「こら娘っ子! てめぇ、俺様を値切りやがって! おまけにその言い草はなんだ!」 「いいのよ。そいつは私の使い魔、つまり私の物。使い魔の物は私の物なのよ!」 「ひでぇ!」 (この世界でもジャイアニズムはあるんだ……) 「いいんですよ、お嬢様。正直、見に行くだけで買うとは予想外でしたけど」 「……そうね。私も、気がついたら買う気になってたから」 ハヤテの格好を見て、せめて剣は持たせた方が使い魔として格好が付くかしら→店一番の剣!なら買うしかないわね→金が無い……今更貴族だって言ったからには、何か買わないと恥ずかしいわね、 という内心の変化は、とても言えそうに無かった。 「それに、喋る剣って憧れるじゃないですか。 アニメ……じゃなかった、物語とかで武器と仲良さそうにしてるのを見たら、小さい子供の頃って羨ましくなりませんでした?」 「無いわよ、女だからかしら。後、あんた今は子供じゃないでしょ」 「それはそうですが……まあ、ロマンですよ」 『何でもかんでもロマンで片付けられると思うなよ!とルイズが心の中で突っ込んだかどうかは、定かでは無い』 ただ、子供みたいに嬉しそうに顔を崩すハヤテを見ていると、買った甲斐ぐらいはあるというものだ、と思わされてしまった。 「結局これって、何なんでしょう?」 デルフを握り離しして、光ったり消えたりするルーンを確かめながら、ハヤテは駅に向かうルイズに問い掛ける。 「私は知らないけど、もしかしたら学院の図書館に何かあるかもしれないわね。あそこは古書がいっぱいあるから」 ルイズは空を確かめるように見上げ、 「今日は遅いから、明日にしましょう。帰りも馬なんだから、学院についたらもう夕食時よ」 「自転車ですよ?」 「………………あ」 ルイズは忘れていた。 あまりの衝撃に、脳が記憶を消す事を選んだのかもしれない。 「……また、乗るの? あれに?」 「おいおい娘っ子、どうした?」 流石に尋常で無い声で震えたルイズに訊ねるデルフに、小さく「知らないって幸せよね……」と呟いた。 「もっと、遅くしますが……」 「相棒、娘っ子はどうしたんだよ?」 「いや、何だか自転車が怖いみたいで……」 「そ、それより! 手が光ったら、どんな事が分かるのよ!」 頼むから思い出させないでよ! と一人と一本を鋭く睨み付け、ルイズはせかす様に聞いた。 「はぁ……。まず、武器の種類と、付加効果が分かります」 「付加効果?」 「魔法がかかっているかとか、武器に別の効果が含まれているかとかです。 さっきの剣は、何もかかってないただの剣でした」 「相棒の言う通りだ。あれは、ただの飾りにしかなんねえよ」 ケラケラとデルフが笑う。 「ま、偽者でも店にとっては売れりゃあ勝ちだからな」 「他には?」 「誰が装備出来るかに、売ったら幾らになるか……それだけです」 「それだけ? 他には無いの?」 「何もないですね……力強さは今も感じるのですが」 「あ、そりゃ汗だ、相棒」思わぬ答だ。 「相棒の手、知らないうちに緊張してるか何かで、汗で握り悪いから、力入れて握ってるだけよ」 「あ、成程……」 「なるほど……じゃないわよ。武器の事だけが分かっても使い道無いじゃない。しかも何で武器だけ?」 「さあ……身体は剣で出来ている訳ではあるませんし」 「おかしいな……使い手の力って、こんなだったか? もっと凄い事があった記憶が……」 デルフの思い出すような呟きは、誰にも聞かれず風に溶けて消えた。 帰り道、自転車にヒモでデルフをくくり付け、行きとは違い、頼まれた通りに20キロに抑えて漕いでいたのだが。 「相棒、この乗り物は何だよ! すっげえな!」 「このぐらいよ! もっと速くしたら、許さないから!」 トラウマを抱えたような主の命令を背中に受けてのんびりと進んでいると、後ろから数頭の馬が追いついて、ハヤテ達と並走した。 騎乗主は学院のマントや制服を着ている。どうやら、ルイズと同様街に用事があった類の連中だった。 「おい、ゼロのルイズがいるぞ!」 「変わった馬だな! しかも使い魔に乗せられてるぜ!」 「ゼロのルイズは、馬にも乗れなくなったらしいぜ!」 「ぎゃははは……」 ある意味子供らしい汚い言葉と笑いを投げ掛け、先へと馬を走らせる。 「けっ、なんだありゃ?」 「―――お嬢様」 「なっ、何かしら?」 召喚してから一度も聞いた事の無い、芯の通ったハヤテの声。とてもまじめなのに嫌な予感しかしなくて、思わず訊ねてしまった。 「あの人達の馬、抜いても―――」 「だめだめだめ! ダメ、絶対!」 馬を抜く、という事はまたアホみたいなスピードを出すと言うこと。 竜なら空を飛んでいるから振動も無く、速さの比較も感じにくいのだが、同じ、いやそれ以上の速度を大地で走られる自転車でされると、置いていかれる木やその他の景色とのスピードの対比で怖さが先に立った。 「僕のやっている事でお嬢様をバカにされる事は、許せませんから」 「いいから! 気にしないでいいから! 気持ちは嬉しいけど無視しなさい!」 「では、本気を出します!」 「人の話を聞いてぇぇぇぇ……!」 結果から言えば、ルイズは馬鹿にされた相手を追い抜いたとき、顎が外れる程驚いた顔を見て気分はすっきりしたのだが、 その後一週間は「自転車なんて乗りたくない……もう見たくもないわ」と食堂のとあるメイドに愚痴る姿を目撃されたそうである。 『次回は、土のゴーレムと戦い……の前に何かがありまっすぅ!』 「あれ? 僕の台本、途中からハーマイオニーに変わってるんですけど?」 『何処かで出てきた呪いのアイテム、ハヤテは生き延びる事が出来るかっ!』