約 774,154 件
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/1608.html
(この話は長編・涼宮ハルヒの恋慕、閑話休題の続編です) 優曇華の花というのをご存じだろうか。 芭蕉の花やクサカゲロウ類の卵のことではなく、インドの伝説上の花のことだ。正式な 名称は……確か、優曇波羅華──うどんはらげ──だったかな。 三千年に一度花開き、そのときには如来菩薩や金輪明王など、転輪聖王が現れると言わ れている花。霊瑞、希有の例え。分かりやすく言えば「滅多に起こらない吉兆」として使 われている。 優曇華の花は「希有」なこと。そして、「滅多に起こらない吉兆」だ。 何でオレがそのポイントを強調して、こんな話を長々としているのかと言えば、希有の 文字に注目してもらいたいからに他ならない。 希有はひっくり返せば有希となる。 ああ、そうだな。長門の名前になるわけだ。 三千年に一度、あるかないかという「いいこと」が逆になれば、それはつまり、三千年 に一度あるかないかという「悪いこと」。 ここまで話せばおわかり頂けると思うが……長門が滅多にやらないことをすれば、悪い ことが起こるんじゃないのか、とオレは思ってしまったわけだ。 事実その通りなのだから、オレのくだらない言葉遊びもバカにできない。 それに気づいたのは、女同士のケンカに巻き込まれて世界崩壊を食い止めたりすること もなく、部室には全員が集まり、オレは古泉が持参したカルカソンヌを延々とプレイし続 けていたある日のこと。 頭を使うことに疲れたオレが、朝比奈さんの淹れてくれたお茶に手を伸ばしたとき、ふ と視界の片隅に長門の姿が目に入った。 この寡黙属性付随の読書好き美少女型アンドロイド(オプションの眼鏡は破損済み)は、 新書程度の厚さなら1時間程度、ハードカバーで文字がびっしり書き込まれている本でも 3時間あれば読破することをオレは知っている。 にもかかわらず、ここ最近は同じ本ばかりを読んでいた。どこの国の言葉かわからない 原本を読んでいるっぽいが、長門が言語を理解するのに苦しむとも思えない。ロンゴロン ゴ文字だろうと解読できるはずだ。 もしかすると、その本の内容が気に入って何度も読み返しているのかとも思ったが、そ れもなさそうだ。 ページをめくる速度が遅い。 まるでメトロノームのように規則正しく一定速度でページをめくっているのだが、その 間隔がいつもより遅い気がする。 そして、最初は気のせいだと思っていたんだが、誰もいないのに誰かに見られている気 配を、オレはここ最近感じていた。本を読むスピードが落ちている長門のことを考えると… …どうもオレは自分でも気づかずに、長門が読書を放棄してまで睨まなければならない ことをしてしまったようだ。 まいったね。 これこそまさに優曇華の花が咲くというものじゃないか。いや、逆だから優曇華の花が 散るということになるのか? どっちにしろ、長門が読書を放棄してまで他人を注視する など、滅多にないことだろう。滅多にないといえば、ちょっと前に額にキスもされたっけ。 その睨む対象になっているオレと言えば、長門がそんなことをする理由に思い当たる節 が山のようにありすぎて、考えるのも億劫になる。ことある事に長門の手を借りて、そり ゃ長門にしてみれば「いい加減にしてくれ」と思うかもしれない。 けれど極端に口数の少なく、言語での情報伝達には慣れていないあいつは、文句の1つ でも言いたいのに言えず、睨むしかできないのかもしれない。 なんだか知らんが、とにかく帰りに長門に謝っておこう。そう思っていたんだが……。 「ねぇ、有希。今日はあたしと一緒に帰りましょ」 何故に邪魔をするんだハルヒ。空気読めよハルヒ。おまえがアクションを起こすタイミ ングは、オレにとってはいつもバッドタイミングだぞ? 「何よ、あんたも一緒に帰りたいの? でも、だ~め。女同士の大事な話があるんだから。 後ろから着いてきたりしたら、16連射でスイカみたいなその頭をたたき割るからね!」 おまえはどこのゲーム名人かと問いつめたくなるが、まぁいいさ。長門がオレを睨んで くる理由もわからんし、理由もわからず頭を下げるの誠意がこもってない気がする。 今晩、その最たる理由を思い出して、明日謝ればいいさ。 だからハルヒ、おまえは空気を読めと何度オレに思わせれば気が済むんだ? 「なによその顔。いつも谷口や国木田とばかりじゃ、むさ苦しいと思って言ってあげてる んだからね。それを無下に断るなんて、あんたも偉くなったもんねぇ?」 弁当を食う前に長門のところに行って謝ろうと思っていた矢先のことだ、昼休みを告げ る鐘の音とともに、背後から団長さま直々に昼食のお誘いがあったわけだ。 「おまえ、いつも学食じゃないのか?」 「たまには気分転換よ。どんな美味しいものでも、毎日食べてたら飽きちゃうじゃない」 そりゃそうだろうが、そんなこと言うと学食のおばちゃんが悲しむぞ? オレは知ってるんだ。北高にハルヒが入学して、唯一喜んでいる人が学食のおばちゃん だってことを。ハルヒが入学してから、食材が余らなくなってるらしいからな。 「そんなとってつけたような話はどうでもいいから、とっとと行くわよ!」 結局、断ることも出来ず、谷口と国木田の憐れむような視線に見送られて、オレは首根 っこを引っつかまれて中庭まで連行されてしまった。 ここで何故、中庭なのか甚だ疑問に思うところだ。部室に行けば、朝比奈さんがいなく てもお茶くらい飲めるだろうに。 「何言ってるの、こんなに天気がいいのよ? 教室の中でちまちま食べるより、よっぽど 健全よ。下北半島までピクニックに行きたい気分だわ」 そんなところまで行ったら、おまえは恐山に行きそうだからオレは謹んで辞退しよう。 それにしても、今日のハルヒは妙だ。テンションが高い低いとか言う以前に、ここまで オレに絡んでくるのは滅多なことじゃない。 そりゃSOS団の(胸を張れる肩書きじゃないが)雑用係たるオレ。団長さまからのお 達しが多いのも事実だが、ぶっちゃけると使いっ走りの類がほとんどだ。……改めて思う と、ひどい扱いだな……。 ともかく、ハルヒがオレとこうやって2人で行動することは、意外と思われるが稀なこ となのだ。いつもはSOS団のメンバーが誰かしら最低もう1人はついてくるし、命令を 出しもこいつは1人で勝手に突っ走る。 かくいうオレはオレで、ハルヒが巻き起こす厄介事から少しでも離れるために、あるい は古泉や長門に任せるくらいなら自分がやったほうがいいと思って、くだらない命令でも 受諾して1人で寒空の下、ストーブを取りに行ったりしているわけだ。 それが、オレとハルヒの丁度いい距離なんだと思っている。 遠からず、近からず。 こいつと一緒に行動するなら、絶妙な距離感を保ち続けることがコツかもな。 「ね、あんたのお弁当って誰が作ってるの?」 ぼんやりそんなことを考えていると、ハルヒは自分の弁当に手をつける前にそんなこと を聞いてきた。 「誰って、お袋しかいないだろ」 「前々から思ってたけど、けっこう美味しそうね。ちょっと頂戴」 「そりゃ別に構わんが」 オレはてっきりおかずの話だと思って弁当箱を差しだしたんだが、ハルヒは丸ごと奪い 取りやがった。オレに何も食うなと言うのか、おまえは。 「じゃあ、あたしのお弁当あげるわよ。それならいいでしょ」 オレの弁当の代わりに差しだされたハルヒ弁当は、豪快におかずが詰め込まれた幕の内 弁当みたいな代物だった。味は申し分ない。いや、かなり美味い。ハルヒの料理の腕前は 某クリスマスの鍋パーティで実証済みだが、ハルヒ母も料理が上手なんだな。 「何言ってんの? それ、あたしが自分で作ったの。あたしの手作りなんだから、感激に むせび泣いて食べなさいよ」 ああ、そうなのか。それなら、この豪快な味付けも納得だよ。だがおまえは、オレが嗚 咽を漏らして弁当を食う姿が見たいのか? そういえば、この中庭から文芸部の部室の窓が見えるな。いつも昼休みに部室にいる長 門だ、今もいるのかもしれん。いつも窓際に座って本を読んでいるから、もしいるなら一 目でわかると思うんだが……。 「ちょっとキョン、どこ見てんのよ」 ハルヒの怒声で、ふと我に返った。最近、ボーッとすることが多くなってる気がする。 マヌケ面と言われても仕方がないかもしれん。 「いや、別に」 「ふん、そんなにゆ……」 言いかけて口を閉ざし、息を吐く。 「部室が気になるの?」 なんでオレが部室を気にしなけりゃならんのだ。部室棟がフランク・ロイド・ライトの 作品だってなら話は別だが、十把一絡げの建築物に興味はないぞ。 「……あんたさ、気づいてる?」 「なにが?」 「有希があんたのこと……」 もしやハルヒ、長門がオレのこと睨んでるのに気づいてたのか? 長門や朝比奈さん、 古泉の正体には気づかないくせに、妙なところで鋭いヤツだからな……気づかれていても おかしくはないか。 「ハルヒも気づいてたのか」 「そりゃあたしは団長だからね。団員のことならなんでもお見通しよ」 それはまた、頼もしいな。そういえば、昨日の帰りに急に長門と一緒に帰るとか言い出 したのも、そのことが原因なのか? 「ま、鈍感なあんたでも、さすがに気づくのね」 「いつもと明らかに違うからな」 「それで、あんたどうするつもり?」 「どう……って」 ハルヒが珍しく気を遣ってくれているようだが、よく考えれば、これはオレと長門の問 題だ。ハルヒは関係ないだろ。 目の前にいるどっかの誰かと違って、自分に非があれば素直に頭を下げるオレだ。 けれど、だからといって関係ないヤツにまで、自分が頭を下げることを吹聴するほど、 プライドの低い男でもないぞ。 「別にいいだろ、後で長門と話をしてくるつもりではいるんだ。邪魔しないでくれ」 「よかないわよ!」 「なんで?」 即座にツッコミ返されるとは思っていなかったのか、ハルヒが珍しく口ごもる。 「そ、そりゃあたしは団長だもの。団員同士の……その……そういうことは、ほっとけないの!」 そういうのは単なる野次馬根性だと思うんだが、わざわざ教えてやるのもアレだな。理 由は不明だが、今のハルヒが醸し出す雰囲気的に殴られそうだ。 「わかったよ、おまえや朝比奈さん、古泉に迷惑かけるようなことはしない。だからとり あえず、長門と2人で話をしてくるよ。ちゃんと丸く収めてくるさ」 「丸く収めるってあんた……」 おいおい、なんでオレが丸く収めるって言ってるのに、怒ってるような悲しんでるよう な微妙な顔をするんだ。そんなにオレは信用ないのか? 「……もういいわよ! このっ……バカキョンっ!!」 何故にオレが罵倒されねばならんのか皆目見当もつかないが、叫ぶや否や、ハルヒは1 人勝手にどこかへ行ってしまった。 なんなんだろうね、あれは? 昼休みが終わった5限目、いつもは昼食後の惰眠を貪っているハルヒの姿はなかった。 何のつもりか知らないが、あいつが授業をサボるとは……また、ロクでもないことを企ん でいるんじゃないかと勘ぐってしまう。 厄介なことが起こる前に食い止めておくか……と考えた6限目前の休み時間、教室に思 わぬヤツがいつも通りの無言で現れた。 「ど、どうしたんだ長門?」 こいつが1人で、しかもオレの教室までやってくるとは珍しい。部室でも睨まれている ことも考えると、妙に腰が引けてしまう。 などと、そんなオレの気持ちを知ってか知らずか、長門はたった一言「きて」と言って、 同意を得ずに教室から引きずり出した。おまけに連行された場所は部室だ。単なる休み時 間なんて、10分しかないのに部室棟まで引っ張って行くとは、どういう了見だ? 「涼宮ハルヒのこと」 ああ、ハルヒ? あいつだったらどっかに行っちまったぞ。あいつに用があるなら、オ レを呼び出しても居場所なんて見当もつかないんだがな。 「それと、あたしのこと」 ……まて、その言い回しはどっかで聞いたことがあるぞ。 あれは……そうそう、長門のマンションで自分の正体を明かしたときの言い回しそのま まだ。その後、延々と自分の親玉について語ってくれたな。詳しい内容は、残念ながら覚 えてないが。 どちらにしろ、そのときのことと今のこの状況が妙に重なる。既視感を感じるほどに。 長門はオレをジッと見つめながら、ただ一言だけを呟いた。 「涼宮ハルヒは嫉妬している」 6限目開始を告げる鐘の音が、遠雷のように聞こえた。 オレがその言葉の意味を理解するのを待っているかのように、長門はオレの様子を探る ように見守っている。もっとも、いくら待ってもらったところでオレがちゃんと理解でき るはずもない。 ハルヒが嫉妬してるんだぞ? 誰に? 何で? そもそもあいつが嫉妬するような繊細な心を持っているとは、想像もできない。嫉妬す る暇があったら、何かしらの行動を起こすタイプじゃないのか? 「涼宮ハルヒは、あなたがわたしに1人の異性として恋慕の情を抱いていると思いこんで いる。彼女が嫉妬している対象は、わたし」 「ちょっと待て。待ってくれ。なんでそういう話になってるんだ? なんでハルヒはそん な風に思ったんだ?」 「決定的なのは今日の昼食時」 長門の話によれば、ハルヒが今日、わざわざ自分で弁当を作ってまでオレと昼飯を一緒 にしたのは、オレが長門のことをどう思っているのか聞き出すためだ、とのこと。 とは言うが、どう思い返してもハルヒがオレにそんなことを聞いてきた覚えが……あ れ? いやいや、ちょっと待てよ……。 もしかして、あの会話がそうだったのか? オレが長門に睨まれて、そのことをハルヒ も気づいてて……って、あれはもしや、ちゃんと会話が成立していたように思えて、実は ズレてたのか? 「そう」 ……どこかに自動小銃でも落ちてないか? 今すぐこの頭をぶち抜きたいんだが……。 「あなたは今すぐ涼宮ハルヒの誤解を解くべき」 長門はきっぱりそう言い切って、口をつぐんだ。 確かにそういう理由なら、さっさとハルヒの誤解を解いておいたほうがいい。何しろあ いつは、冬にオレと長門に何かあったと思うや否や、ちょこっと言葉を交わしただけで既 成事実にまで発展させるようなヤツだ。このままじゃ、オレと長門の間に子供までいる、 という話になりかねない。 しかし……ふと思う。 何かが引っかかるんだよな。冬の雪山でハルヒがオレと長門を疑ったときと、今の状況 では、何か据わりが悪い。スッキリしないというか、ハッキリしないというか……。 「……ああ、そうか」 切っ掛けだ。長門の話も、ハルヒの嫉妬も、あまりにも唐突すぎる。どうしてそうなっ たのかが語られていない。主語がない会話をしている気分だ。 「長門、昨日おまえ、ハルヒと2人で帰ったよな? そのとき、何を話したんだ?」 「…………別に」 なんだよ、その間は? 即時即答するおまえらしくないじゃないか。 「本当か?」 肯定も否定もせず、長門は黙ってオレを見つめていた。その表情からは、このオレをも ってしても感情を読み取れない。まるで初めて会ったときのような能面っぷりだ。 「まぁ、ハルヒとちょっと話をしてくる。あいつがどこにいるか、」 「忘れて」 オレの言葉を遮ってまで、何を「忘れて」だって? 「今の話」 「なんだよ急に。どうしたんだ?」 「……気にしなくていい」 その一言を残して、長門はオレに背を向けて部室から出て行った。 もしかして……あいつ、本当に何か怒ってるんじゃないのか? ハルヒの嫉妬の話といい、長門の豹変振りといい、はっきり言ってオレの許容範囲を遙 かにオーバーしている。何がどうなっているの考えるために、そもそも授業なんか受ける 気分にもなれず、6限目はサボって部室であれこれ考えていた。 いったいどこで、こんな状況になったんだ? 何が切っ掛けでハルヒは嫉妬し、長門は 豹変したんだ? 切っ掛けがわからなければ手の出しようがないじゃないか。 「おや、あなただけですか」 ノックもせずにドアを開けて、古泉がやってきた。朝比奈さんが着替えをしていたらど うするつもりだったんだ、おまえは。 「いえ、朝比奈さんから言伝を授かっておりまして。今日は鶴屋さんにお茶の席に誘われ ているのでこちらには来られない、と。涼宮さんと長門さんもまだですか?」 「2人は……どうかな、今日は来ないんじゃないか?」 「それはまた、珍しいこともありますね」 ……そうだな、こいつに話をするのは癪だが、オレ1人では結論が出そうにない話だし、 頼れる長門が問題の対象だしな。1人であれこれ考えるより、こいつの意見を聞くのも悪 くない……か? 「なぁ、古泉」 「なんでしょう?」 「実は長門のことなんだが……」 「ああ……ようやくですか」 「ようやくって、何のことだ?」 「え? ……ああ、なるほど」 おいおい、何を1人で勝手に納得してるんだ。分かるように説明してくれ。というか、 その呆れたような笑みはいったいなんだ? 「いえ、あなたは相変わらずだと思いまして。どうです、最近は頭を使うゲームばかりで したからね、別なゲームでもしませんか?」 「そういう気分じゃない」 「まぁ、そう言わずに。そうですね、ババ抜きでもしますか」 おいおい、2人でババ抜きなんて、あまりにも寂しすぎやしないか? つーか、人の同 意を得ずにカードを配るなよ。 「さ、どうぞ」 ……わかったよ、相手すればいいんだろ。 こいつのゲーム狂いはもう病気のレベルだな。それに付き合うオレもオレだが……カー ドの山に手を伸ばし、組になっているカードをさっさと捨ててみれば、手元に残ったのは わずか10枚。古泉の先攻で始まった。 「ところで」 黙々とゲームを進めている中、不意に古泉が口を開いた。 「長門さんが、どうしてあそこまで無感動、無感情を貫いているか、考えたことはありますか?」 「いや、そういうもんなんだろうとしか思っていないが。何か理由でもあるのか?」 「僕の憶測でよければ、思い当たる節がありますね」 もったいぶらずに話をすることができないのかね、こいつは。 「彼女が情報統合思念体の穏健派だから、ではないでしょうか」 意味がわからん。 「朝倉涼子のことを……聞くまでもなく、覚えていると思いますが」 忘れられるなら、いい方法を教えてくれ。 「彼女は情報統合思念体の強硬派に属していました。つまり、自分たちの手でアクション を起こして涼宮さんの変化を見る派閥です。一方、穏健派の考えは、ただ涼宮さんを観察 し続け、極力手を出さないようにすることです。しかし、ただ『観る』というのは、これ が難しいものですよ。観察対象に情が移れば、正確な観測はできない」 「そういうもんかね?」 「僕とあなたの関係に例えてみましょう。今こうしてカードゲームに興じていますが…… 仮に、僕があなたに熱烈な愛の告白をしたとしましょう。あなたはどうしますか?」 「全速力で逃げ出すね」 「そうですね。いやあ、喜んで受け入れると言われなくて助かりました」 蹴りと拳のどっちを選ぶか、その選択肢くらいは与えてやる。可及的速やかに選べ。 「冗談ですよ。ともかく、感情のせいで現状に変化が訪れてしまうわけです。穏健派はそ れすらもよしとせず、自分たちの介入なく涼宮さんの変化を観測したかったのでしょう。 だから……」 「長門がハルヒに肩入れしないために感情を排除した……ってか? けれどあいつは」 「そうですね、初期のころに比べて大きく変化しました。少なからず、感情があるからで す。喜怒哀楽なくして、社会の中で他者とコミュニケーションを取ることは不可能ですか らね。彼女が人間とコミュニケーションを取るためのインターフェースなら、感情は少な からず必要です。ですから、長門さんには必要最小限の感情があったのでは、と思います。 そして、それを育てたのはあなたですよ」 「……オレが?」 「そうですよ」 オレが長門に何をしたっていうんだ? むしろオレの方がいろいろ助けられているじゃ ないか。それは古泉にだってわかっているはずだ。 「長門さんは、自分の口で正体を明かしているのはあなただけですね」 「そう……かな? そうだな、おまえが聞いてないなら、朝比奈さんも聞いてないんじゃないかな」 「僕は聞いていません。では何故、あなただけなのでしょうか?」 「あいつが言うには、オレはハルヒにとっての鍵だから、とか言っていた。だからじゃないのか?」 「それだけではないと思います」 「何故?」 「彼女はありのままの涼宮さんを観測する役目だからです。涼宮さんに変革を与えるかも しれないあなたを、涼宮さんから遠ざけたいと長門さんが、あるいは穏健派の情報統合思 念体が考えてもおかしくはないでしょう。普通に考えてください。突然、自分が宇宙人に 作られたアンドロイドだ、などと告白したんですよ? 普通は距離を置くものじゃないで しょうか。しかもその後に朝倉涼子に命を狙われて、生命の危機にさえ遭っている」 あ~……確かに。改めて言われると、オレは普通の高校生らしからぬ出来事に遭遇して いるにもかかわらず、平然としすぎてる気もするな……。 「あなたは今日に至るまで、何も変わらずに長門さんと接しています。そこでこう思うわ けです。何故、あの人はここにいるのだろう。普通に接してくれるのだろう……と」 自説を饒舌に語る古泉を、オレは黙って見つめた。反論するにも、いい言葉が思い浮かばない。 「疑問というのは、自己の目覚めですよ。胡蝶の夢です。そこから長門さんは、個人的に あなたに興味を持つようになった。そして……ここまで言えば、如何にあなたでもおわか りになるでしょう。ご理解して頂けましたか?」 理解はしたさ。けれど、どうせ憶測だ。それが正しいというわけじゃないだろ。 「そうですね、憶測です。憶測ついでに、もうひとつ」 「なんだ?」 「長門さんは、自らの行動で変化が起こることはできません。第三者の後押しが必要です」 きっぱり断言したな。その根拠はなんだ? 「思い返してください。これまで僕たちが遭遇した事件で、長門さんが自ら進んでアクシ ョンを起こしたことがありますか?」 「……カマドウマ事件は?」 「あれは、正確には喜緑さんが持ち込んだものです。当時は彼女がインターフェースと判 明していなかったため、あなたも「長門さんが仕組んだことか?」と思ったのでしょうが、 もしかすると喜緑さんの発案で、長門さんは協力しただけかもしれません」 「コンピ研との勝負は?」 「最終的に長門さんをけしかけたのは、あなたじゃないですか」 「じゃあ、12月18日の出来事はどうだ」 「あれはエラーが積み重なって起こった、いわば不慮の事故です。その証拠に、長門さん は現状回帰をあなたに託していたのでしょう?」 ことごとく反論されたな。言われてみれば、長門が自分の意志で行動を起こしたことは 何も思い浮かばない。いつもオレが面倒を持ち込んでいたんだな。 「長門さんは自分からアクションを起こすことはない。ですから、彼女が何かを起こそう としているならば……それはこちらから手を差し伸べるべきです。いい加減、気づいてあ げたら如何です?」 古泉は、手元に残っていた2枚のカードを表にして並べた。 ジョーカーとハートのクイーン。オレの手元にはスペードのクイーンが残っている。 「これでも、僕はあなたに感謝しているんですよ。ですから、今回ばかりはゆっくり休ん でいただきたいとも思っています。ですが、あなたはすべてを丸投げにして傍観できる人 ではないことも分かっています。どちらを選びますか?」 2枚のカードをコツコツ叩く古泉は、いつになく真剣な目をオレに向けていた。この野 郎、オレを試すなんざ100年早い。 「決まってるだろ。おまえにゲームで負けるつもりはないんだ」 「手抜きをされては困ります。部室の戸締まりは、僕がしておきましょう」 嫌味なくらいの笑みを浮かべる古泉へ、オレはテーブルの上にスペードのクイーンを叩 きつけて部室から飛び出した。 あてがあったわけじゃない。ただ、どこへ行けばいいのかは、なんとなく分かっていた。 平日の、それも閉館間際の図書館。職員以外に人の姿はなく、ただ1人だけ、置物のよ うに髪の毛1本動かさず、ただページをめくる指だけを規則正しく動かして椅子に座り、 本を読んでいる少女の姿があった。 オレは黙って長門の横に腰を下ろした。長門は、そんなオレに気づかないかのようにた だ、黙々と本を読み続けている。 「長門」 「……なに?」 たっぷり時間を空けて、長門は返事をしてくれた。それでも、オレを見ようとはしなかったが。 「なんつーか……悪かった」 「あなたは何も悪くない」 「……そうか」 「そう」 パタン、と本を閉じ、図書館の奥に消える。オレはその姿を黙って見つめて、戻ってく るのを待った。 本の壁の間から姿を現した長門は、そのままオレの横を通り過ぎて外へ向かう。オレも 黙ってその後に続いた。 どこへ向かうというわけでもなく、オレたちは自然といつもの公園に来ていた。長門に してみれば、ここからすぐに自分のマンションへ戻るつもりだったのかもしれない。 「少し、いいか?」 長門の歩みが止まる。振り返りこそしなかったが、立ち止まったということは、それが 了承の合図なのだろう。手を伸ばせば届きそうなくらい近くにある小さな背中に向かって、 オレは口を開いた。 これは、オレから言わなければならないことだと思う。古泉に長々と説教されてようや く気づくとは、オレもよくよく鈍感だと思うさ。 「前に……ハルヒと朝比奈さんがケンカした時があったじゃないか。あのとき、大人の朝 比奈さんが言ってたことなんだがな、恋愛感情には2種類あるそうだ」 朝比奈さん(大)曰く、『愛』というのは家族や友人に向ける広い思いで、『好き』と いうのは1人に向ける一途な想い、ということだ。オレも正確に理解しているわけではな い。けれど今なら、朝比奈さん(大)が言いたかったことがわかる気がする。 「そういう意味で言えば……そうだな、オレはおまえを愛してるというより……好きと言 ったほうがいいのかもしれない」 長門は、かろうじて振り返ったと言えるか言えないかという程度に顔を横向けた。 目は見えない。表情もわからない。ただ黙って立っている。 「でも……な、それとも違うような気がするんだ。オレはお前に側に居て欲しいと思って いる。離れたくないとも思っている。そりゃ、それは朝比奈さんや古泉に対しても同じだ が、もっとそれ以上の……なんて言うのかな、それは好きとか嫌いとかで語れるもんじゃ ない想い……かな」 ああ、くそ。今ほど自分のボキャブラリーの無さを嘆くべきだ。胸の奥ではハッキリし ているのに、それを相手に伝えるべき適切な言葉が思い浮かばない。伝えたい気持ちを伝 えられないのが、これほど苦しいと思ったのは初めてだ。 「だから……」 「いい」 どう言えばいいのか分からず、ただ闇雲に言葉を重ねるのを制するように、長門の冷た い両の手がオレの頬に添えられる。 「言語での情報伝達に齟齬が発生するのは仕方がないこと。でも……あなたの言葉はわた しに力を与えてくれる」 「長門……」 「わたしは、あなたと出会う切っ掛けを与えてくれた涼宮ハルヒに感謝をしている。そし て、あなたに出会えたことが嬉しく、芽生えた気持ちを誇りに思う」 オレを見つめる長門の漆黒の瞳が、微かに揺れる。 そして、夜風にかき消されてしまいそうな小さな声でただ一言だけ──。 「わたしは、あなたが好き」 小さくとも、オレの耳に届いたのは揺るぎない凛とした声。 「それが、わたしが『私』として存在していることを証明する言葉。それが叶わぬ思いで あることはわかっている。あなたが切に思う人が誰かもわかっている」 口を閉ざし、長門は少し迷うような素振りを見せた。たぶん、言いたいことを言葉に出 来なかったさっきのオレの姿も、今の長門と同じだったのかもしれない。 「でも……それでも構わない。あなたは、わたしが側にいることを許してくれた。わたし がいつまで自律活動を続けていられるか、それはわからない。それでも、最後が訪れるそ の時まで、わたしはあなたの側にいたいと思う」 長門の瞳から、ただ一滴だけ涙がこぼれる。長門が初めて見せる、感情の吐露。 嗚咽するわけでも、号泣するわけでもない。長門らしいその涙を……オレは止めること も、ぬぐってやることもできない。 「ありがとう」 その言葉を長門から聞いたのは、これで2度目だ。けれど、前のときの平坦な声ではな く、その声はどこか力強いものを感じた。 ス……ッと、オレの頬を包んでいた長門の手が離れ、背を向けて歩き出す。抱きしめた い衝動に駆られたが、それはやっちゃいけないことだ。 ただ、これだけはいいだろう。この言葉だけは、言わなければならない。それがオレと長 門の絆であり、長門が望む平穏な日常なんだと思う。 「長門、また……明日、部室でな」 気の抜けた思いで自転車を止めていた駅前まで1人歩いていると、見知った黄色いカチ ューシャ頭が、アヒル口で所在なげに立っていた。 なんだろうな。なんなんだろうな。どんな気分の時でも、こいつの顔を見るとホッとす るのは、いろいろな意味で末期かもしれないな。 「こんなとこで何やってんだ? ナンパ待ちか?」 「んなわけないでしょ。ほら、これ」 ハルヒは投げ捨てるようにオレの鞄を放り投げてきた。そういや学校に忘れっぱなしだったな。 「わざわざ悪いな」 「別に。みくるちゃんに頼まれたから仕方なくよ」 朝比奈さんに……? ああ……古泉め、すべて思惑通りってわけか。何が「朝比奈さん から言伝を授かってます」だ。裏でコソコソされるのは気に入らないが……今回ばかりは 大目に見てやろう。 「で、どうなの?」 唐突だな。 「どう、とは?」 「有希と会ってたんでしょ? いいわよ別に。有希もあんたのこと好きとか言ってたし」 なんでそんなことをこいつは知ってるんだ? 「なんか最近、有希がずっとあんたのこと気にしてるみたいだったからさ、昨日、一緒に 帰って問いただしたのよ」 なんとも団員思いな団長さまだ。わざわざ気に掛けていたとはね。 それにしても、古泉やハルヒが気づくほどの熱烈な視線を、長門はオレに送っていたっ てことか? それに気づかなかったオレは……マジで首をくくるべきかもしれん。 「あたしだって鬼じゃないわ。SOS団は原則恋愛禁止だけど、」 「ああ、フッた」 「でも有希となら……は?」 おいおい、近年希にみるマヌケ面だな。ケータイのカメラで取ってSOS団のホームペ ージにアップしといてやろうか。 「フッたというか、オレと長門が釣り合うわけないだろ。オレにはもったいない」 「あ~……そう、そうなんだ……」 なんだよ、その曖昧な反応は。もっとこう、怒るか喜ぶか、ハッキリした態度を見せてくれ。 「でもまぁ、安心しろ。だからと言って、オレと長門の関係が気まずくなったわけじゃない。 明日からも長門は、部室で静かに本を読んでるだろうさ」 「あ、当たり前でしょ! あんた、自分で言ったんだからね。丸く収めるって。これで有 希がSOS団から抜けるとか言い出してみなさい、あたしがあらゆる手段を使ってあんた と有希をくっつけてやるんだから!」 「なんだそりゃ?」 「なっ、なんだっていいでしょ! それよりも、雑用係のくせに散々あたしを振り回した 挙げ句に有希をフッて、そのままで済むと思ってるんじゃないでしょうね!?」 何を言い出すんだおまえは。勘弁してくれよ。こう見えても、オレはオレでちょっとへ こんでるんだぞ? そこへさらに追い打ちをかけるというのか。 「うっさい! きっついのぶちかましてあげるから、目ぇ閉じなさい」 「……また今度にしないか?」 「あたしの言うことが聞けないっての!?」 ヤバイ。今のハルヒはヤバイ。やると言ったらとことん殺る目だ。 仕方なく、オレは目を閉じる。目を閉じたもんだから、ハルヒが何をしようとしている のか、さっぱり分からない。 ネクタイを掴まれて、グッと引っ張られた。前のめりになって思わず目を開けそうにな ったその瞬間。 オレの唇に、暖かく柔らかいものが一瞬だけ触れてすぐに離れた。 「……は?」 驚いて目を開くと、目の前にはハルヒの顔。ほんのり頬を朱に染めているのは……気の せいだな。そういうことにしておこう。 「……どーよ、目が覚めたでしょ?」 「あー……ビンタより強烈だな」 「と、当然よ! 今まで誰にもしたことない、とっておきなんだからね!」 そうかい、そりゃ光栄だな。閉鎖空間でのことはノーカウントか……って、あれはハル ヒの中じゃ夢の出来事になってるんだったな。 「なぁ、ハルヒ。オレやっぱり、」 「えっ? 何、何なの?」 おいぃ……だから空気読めって。そこで急に顔を輝かせるなよ。そんな急かさないでく れ。まだ何も言ってないじゃないか。 「あ~……明日、な。また明日。じゃあな」 「ちょっ」 首を絞めるな。背中に乗っかってくるな。 「ちょっと、このバカキョン! また明日って、何それ? 意味わかんないわよ! この まますんなり帰れると思ってんじゃないでしょうね!? 言いたいことはちゃんと言わなき ゃダメって、あんたも言ってたでしょ!」 ええい、うるさい。それはおまえの夢の中の話だろ? オレは知らん。何も知らんぞ。 空気を読めないおまえが悪いんだ。 もう二度と、オレの方から「好きだ」なんて言ってやるもんか。 〆
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/1617.html
「今度の夏合宿は○○県横泉郷(おうせんごう)にいくわよ!」 ハルヒのこの一言により俺達の夏合宿はめでたくミステリーツアーに 決定された。 ここから電車とバスに揺られること数時間、山奥の閑静な村だそうだ。 避暑にはもってこいかもしれないが最近失踪事件が続いており それ系の業界ではミステリースポットとして有名らしい。 なんでわざわざこういう所を選ぶんだろうね、ホント。 「さあ今回の合宿はみんなで真夏の怪談を体験するわよ!」 そう言って目を輝かせるハルヒと対照的に他のメンバーが 浮かない顔をしているのが少しだけ気になった。 その後も準備やら何やらで色々あったが、あっという間に 時間は過ぎ去り今日はいよいよ合宿当日だ。 因みに旅の手配をした古泉が5人分しか部屋を確保できなかった為 今回の合宿はSOS団の面々のみで行う事になっている。 電車を乗り継ぎ、延々と山道を通ってきたバスを降りると そこは正しく夏と呼ぶに相応しい世界だった。 山奥という事で快適な避暑生活を期待したのが むしろこっちの方が暑いかもしれない。 だがそれさえ我慢すれば本当に閑静な所で雄大な自然の中 都会の喧騒を忘れるのには丁度良さそうだった。 途中ですれ違った村の人やこれから泊まるバンガローの オーナーもおおらかでここの土地柄が良く表れていた。 そんな状況なのだから誰しもせわしない日常を忘れゆったりと 過ごそうとするものだが、ここにそうは思わない心の貧しい奴がいた。 もちろんハルヒである。 「何言ってんのよ。早速噂のミステリースポットに行くわよ!」 やれやれ。そのミステリースポットとやらは俺達の泊まるバンガローから 歩いて1時間くらいの所にあるらしい。途中、村の人にも聞いてみたから 間違いないだろう。 炎天下の中、1時間も歩くのは想像以上にきつかったが 俺達はやがて開けた丘に辿り着いた。 丘の上には樹齢千年を超えていそうな大木がそびえ立ち その周りを等身大の石柱が取り囲んでいる。 大木と石柱は注連縄で結ばれており下向きに尖った三角に×印を 重ねたような模様が随所に描かれていた。 「噂じゃこの御神木にいたずらすると祟りに遭って失踪しちゃうらしいわ。 やっぱりここは定番通り落書きかしらね。」 おいおい、どこの小学生だよ俺達は。 「そうですね、ここはもう少し観察されてみてはいかがでしょうか。」 「いたずらは止めた方が良いと思います。祟りは怖いです。」 投げやりに突っ込んだ俺に古泉と朝比奈さんが同調した。 いつもはハルヒの太鼓持ちなのに珍しいな、古泉。 「もうみんな何言ってるのよ。多少のリスクは覚悟しないとこの世の 不思議になんていつまで経っても遭えないわよ!」 そう言ってハルヒは大木をバシっと叩いた。さして力を入れた様にも 見えなかったし、いくらハルヒが馬鹿力だからってそのリアクションは いかがなものかと思うのだが… 次の瞬間いきなり大地が激しくのたうち俺達は地面に打ち付けられていた。 痛てて… どれくらい動けないでいたのか分からないが俺は痛む体を起こして周りを見る。 みんな転んではいるが無事なようだ。 とりあえず一安心したが、俺はすぐ絶句する事になる。 なんとハルヒが叩いた所から大木が縦に裂け…真っ二つに…割れていたのだ!! どうなってんだ、これ。 「えっ!嘘っ、あたしはちょっとはたいただけで…」 珍しく狼狽するハルヒに古泉がフォローを入れた。 「きっと今の地震のせいでしょう。僕達が来ても来なくても こうなっていたと思いますよ。」 そして古泉は額に手を当てて熟考するような素振りを見せてから付け加えた。 「むしろ僕達はここに来なかった。ここに来る前に地震に遭い宿が心配になって 引き返した。そういう事にした方がいいでしょう。」 おいおい、そこまでしなくてもいいんじゃないか? 「僕達が原因ではないのですし、あなたも村人から要らぬ誤解を 受けたくは無いでしょう?」 「そうね、きっとその方がいいわ。せっかくミステリースポットに来たのに 残念だけど、村に引き返しましょう。」 流石に動揺しているのかハルヒはぎこちなくそう言った。 みんな立ち上がって帰ろうとする中、朝比奈さんがまだヘタリ込んでいた。 大丈夫ですか?と呼びかけたが反応が無い。腰でも抜かしてしまったのかと思い 近寄ると朝比奈さんは目を大きく見開いて何かを呟いていた。 声が小さすぎて聞き取れないが一定の動作を繰り返す唇を必死で追う。 「………チ………、 ………チ……タ、 ……レチ……タ、 ……レチ…ッタ、 …ワレチ…ッタ、 え?… 「 ノ ロ ワ レ チ ャ ッ タ、…」 !!!? 「呪われちゃった、呪われちゃった、呪われちゃった、呪われちゃった、 呪われちゃった、呪われちゃった、呪われちゃった、呪われちゃった、 呪われちゃった、呪われちゃった、呪われちゃった、呪われちゃった、…」 お、落ち着いて朝比奈さん。今のはたまたま地震が起きただけで 俺達とは無関係ですよ。 俺は彼女をなんとか安心させようとするが朝比奈さんはガクガクと震えながら 声にならない声をただただ繰り返していた。目には涙まで浮かべている。 「ちょっとみくるちゃん、しっかりして!」 ハルヒも駆け寄ってきたが朝比奈さんはまるで気がつかない。 10分くらいは待っただろうか、それでも朝比奈さんの様子は変わらなかった。 「仕方ありませんね、とりあえずあなたと僕で朝比奈さんを支えて戻りましょう。」 「そうね、じゃあキョン、古泉君頼んだわよ。」 もう少し待っても良いだろうにとも思ったが、朝比奈さんが落ち着きそうにないのも 確かなので俺は古泉と共に朝比奈さんを両脇から支えて歩き出した。 結局、朝比奈さんはバンガローに着くまで同じ言葉を繰り返していた。 バンガローの前ではオーナーが俺達の帰りを待ってくれていた。 先程の地震で事故に巻き込まれてないか心配して見に来てくれたらしい。 でも最初は分かったその顔も分かれる時には影に染まってもう識別できなかった。 誰そ彼時とは言うがこんなにも分からなくなるものだろうか。 人間じゃないみたいだ…何故だかわからないが不意にそんな考えが浮かんで消えた。 翌日、昼前にまたオーナーが家で取れたからと野菜を一盛り持ってきてくれた。 ありがたく受け取りお礼を述べる。 「ええよ、ええよ。あんた方はシラハさんなんだからゆっくりしていってーな。」 シラハさん?この地方の方言だろうか? 「ああ、大事なお客さんってところだよ。 それと昨日の地震で崖崩れが起きて、麓への道が埋もれてしまったんよ。 あんた方、明日帰るって言ってたけど3、4日は麓まで行けんみたいなんよ。 もし当てがなければずっとここ使ってええよ。料金も前払いしてもらった分だけで ええから。」 それは有り難い。丁重にお礼を言っておく。 それにしても終始笑みを浮かべて気さくに話してくれているのに その表情は作り物めいていて薄気味悪さを感じてしまうのは何故だろう。 やはり後ろ暗い事があると萎縮してそんな風に感じてしまうのか…? 昨日は流石に大人しかったハルヒだが夜が明けるとすっかり いつものペースに戻っていた。 朝比奈さんは平静を装っていたが時たま黙り込んでは考え事をしている。 確かに昨日の様子は普通じゃなかったしね。 全くハルヒの奴も少しは大人しくなれば良いのに。 だがハルヒの横暴は止まらなかった。その夜はなんと怪談をやろうと 言い出したのだ。おいおい、朝比奈さんの事も考えろよ。 もう少し空気読む事を覚えてくれ。だがハルヒ以上に空気を読めない奴がいた。 「ちょっとここ横泉郷(おうせんごう)について調べてみたんですが 昔は別の名前で呼ばれていた様です。」 古泉だった。勿論ハルヒも興味津々で食いついた。 「へぇ、なんて呼ばれてたの?」 「横泉という字を分解すると、木、黄、泉に分けられます。昔ここは 黄泉山(よもつやま)と呼ばれ恐れられていました。文字通り死者の 住む山と考えられていたようですね。」 「なるほど。でもなんで横泉郷に変わっちゃったの?」 「ある時ここに天の神が降り立ちその身を御神木に変えてこの地を 平定したそうです。以来 木 の神によって平定された 黄泉 という事で 横泉と呼ばれるようになった様ですね。」 「えっ…その御神木ってまさか…」 流石のハルヒも顔を引きつらせる。 「はい、どうやら昨日のあの大木みたいですね。死者の地を平定していた神が 倒れた今この地はどうなってしまうのでしょう…とても興味深いところです。」 アホか。昨日の今日でよくこんな話ができるな。少しは空気を読め。 意外というか幸いだったのはこれを聞いても朝比奈さんが特に怖がらなかった事だが ハルヒといい古泉といいなんとかならんのかね、ホント。 古泉以外にネタを持っている人間が居なかったし、古泉の話で一気に クールダウンした為、怪談はそのままお開きになった。 バンガローには部屋が2つあるだけだったので、俺と古泉、女子3人で それぞれ1部屋という部屋分けになっている。 「あの話を敢えてしたのはあなたと涼宮さんに現状を知って欲しかったからですよ。」 部屋に戻ると古泉はそう切り出した。 おいおい、あの電波話が本当だと言うんじゃないだろうな? だが古泉は何も答えず両手をすくめただけだった。 …何が言いたいんだ、全くわからんぞ。 次の日もハルヒが虫取りをすると言って俺達は山の中を駆け回った。 全くどこからその元気は湧いてくるんだろうね。 夕方、晩飯までのしばしの間、俺はバンガローの窓辺で涼を取っていた。 だが蒸せるような暑さはいかんともし難く、間近に迫った山々から聞こえる セミ達の大合唱に意識は朦朧としていく。 まどろむ内に、どこからともなく子供達の歌が聞こえてきた。 「いたずらな わるいこは しらはのやがたてられる うそをつく わるいこは しらはのやがたてられる あやまらぬ わるいこは しらはのやがたてられる しらは さん しらは さん むらじゅう みんなに おいかけられる てんじんさまの そなえもの」 なんだ?何か引っかかる…しらはさん?この呼び名どこかで… …………………………………… ………………………… ……………… …… !!!!! そうだ、昨日オーナーが来た時確かに俺に向かって シラハさん と言っていた。 でもそれはただのお客って意味だって… なのに村中に追いかけられるってなんだよ!!! 確かにハルヒの奴は大木にいたずらをしようとしてた。 でも実際は何もしないうちに地震で大木は裂けてしまったじゃないか!! 別に俺達が嘘をついたわけじゃない… 謝る必要だって…無い筈だ!!! …いや単なる偶然だろう。昔の呼び名が変わり変わって使われる事だってあるさ。 そうさ、そうに…決まってる! ……… そう考えて何の気なしに、本当に何の気なしに窓の上を見上げて俺は戦慄した!!! そこには…刺さっていた… 装飾にしては余りにもおかしな突起物。 真っ白い羽根がバンガローの壁から生えていた… いや違う!壁に白羽の矢が突き刺さっていたのだ!!しかも2本!!! 慌てて隣のハルヒ達の部屋の壁も見てみる。 そこにもあった… 白羽の矢が… 3本…同じように壁から生えていたのだ!!! 俺は体調が悪いからと晩飯も早々に切り上げて部屋の布団に潜り込んだ。 とにかく今は寝よう。十分休息を取れば考えだってまとまるさ。 だが夢の中でも俺に平穏は訪れなかった… 誰かが呼んでる気がした。この声は………長…門? 「逃げて。」 長門!!?? おかしな話だが夢の中で俺は目覚めた。逃げろってどういう事だ? 「私ではダメだった。あなた達を守りきれなかった。だから…逃げて。」 ダメだったってどういう事だ!? 「もう時間がない…お願い、逃げて。」 おい、どういう事なんだ、長門!!闇に向かって呼びかけるが 長門の存在がどんどん希薄になっていくような錯覚に囚われる。 「また図書館に…」 前にも聞いたこの言葉。そうだ…あの時だって絶望的な状況だった。 だが俺達は無事帰ってきた!!なら…今回だって!!!! だが長門の言葉はこれだけでは終わらなかった。 「… … … …………………………………………いきたかった…」 っ!!!!!!???????!!!!!!! おい、長門。行きたかったってなんだよ!もう次が無いみたいな言い方は!! そんなのお前らしくないぞ!!! 俺は跳ね起きた。寝汗で体中ベトベトだったが今はそんな事はどうでもいい!!! 長門!!!!!無事でいてくれ!!!!俺は一目散に隣の部屋に向かっていた… 長門!!居たらここを開けてくれ!!長門!!! 俺は隣部屋の扉を乱暴に叩きつけながら声を張り上げた。 頼む…無事でいてくれ!! 「うっさいわね、今何時だと思ってんのよ。」 怒鳴り続けているとハルヒが不機嫌そうに答え、扉を開けた。 ハルヒ、長門は無事か!? 俺はすぐさま扉を押しのけハルヒ達の部屋に入る。 「ちょ、勝手に乙女の部屋に入らないでよね!」 緊急事態なんだ。そんなの構ってられるか!! 「ふえぇぇ。」 ズカズカと部屋に入ると朝比奈さんがビックリした表情でタオルケットを 握り締め俺を見上げていた。しかし長門の姿は…何処にも…無い! 「トイレにでも行ってるんでしょ。」 扉には鍵がかかっていたぞ!! 「じゃあ鍵を持っていったんでしょ。誰かさんみたいな変質者が 部屋に入ってくると困るしね。とにかく、寝ぼけるのもいい加減にしてよね。 今度あたしの安眠を妨害したら許さないんだからね!」 そう言うとハルヒは俺を部屋の外に押し出し、有無を言わさず扉を閉めた。 そんな………長門……どこに行っちまったんだ… 扉の前で呆然としているといつの間にか起き出していた古泉が声をかけてきた。 「トイレにも長門さんは居ないみたいですね。随分取り乱されてましたが 何かあったんですか?」 俺は部屋に戻るとさっき見た夢のことを古泉に話した。 「なるほど…単なる夢と片付けてしまうのは簡単ですが出てきた相手が 長門さんだけに気になりますね。たまたま散歩に出かけていた、という オチなら助かるんですが…」 この時間に散歩なんて不自然だろ!!また俺は声を荒らげていた。 「落ち着いて下さい。もし本当に何か起きているなら単独行動は危険です。 この時間に出歩くのもミイラ取りがミイラになりかねません。 それに本当に杞憂である可能性だって残っています。 …ひとまず今夜は休みましょう。」 反論しようと思ったが出来の悪い俺の口はついに言葉を紡ぐ事はなかった。 …俺は力なく布団に横たわる。 「逃げて。」 悲しげにそう言った長門の声がいつまでも頭から離れなかった… 気がつけばいつの間にか夜は明けていた。 結局俺はほとんど眠ることができなかった。 そして…朝になっても長門は戻っていなかった。 流石にハルヒもやばいと思ったのだろう村の人達にも応援を頼み みんなで方々を探し回った。 (俺は村人に得体の知れない何かを感じていたので、正直あまり村人と 接触したくはなかったのが、そうも言ってられない。 あと、長門が行方不明だと分かるやまた朝比奈さんが真っ青な顔で 錯乱状態になった為、朝比奈さんには宿で安静にして貰っている。) 日が落ちて捜索できなくなるギリギリまで俺達は村中を必死に 探し回ったが、ついに長門は見つからなかった。 肉体的疲労もピークに達していたし、何より長門が行方不明だという 現実が俺達をより一層疲労させていた。 仕方なく、重い足取りで俺達は宿に戻った。 俺が部屋に入り今後の事を考えようとした矢先、ハルヒの叫び声が聞こえてきた。 「ちょっとみくるちゃん、何やってんの!やめなさい!!」 俺は慌ててハルヒ達の部屋に飛び込む。 部屋の中を見ると朝比奈さんが壁際に座り込んで何かしていた。 …何を…してるんだ…? 朝比奈さんの方に近寄っていくと耳障りな音が聞こえてきた… カリ、カリ、ガリ、……… カリ、……、カリ、… カリ、カリ、カリ、………、ガリッ、… っ!!!!????!!!! 俺は一瞬自分の目を疑った。 朝比奈さんは…壁際に座り込み…模様を描いていた… 円に内接する上向きに尖った三角の模様…! それを…何個も!何個も!!何個も!!! それこそ壁がその模様で埋め尽くされるくらいにっ!!!! しかも自分の…爪を使って!!!!! 爪はボロボロに欠け…あるいは歪み…指先からは血が滲んでいる!! そしてその血は壁に赤黒く禍々しい陰影を…塗り込めていく!!!!! しかもまた声にならない声をひたすら繰り返して!!!! 「何ボケっとしてるよ!あんた達も手伝いなさい!!!」 ハルヒにそう言われやっと我に返った俺と古泉は 慌てて朝比奈さんの手を取る。朝比奈さん、落ち着いて!! どう言っても朝比奈さんは手を止めなかったので仕方なく両手両足を縛って 大人しくして貰った。これ以上あの白魚みたいな綺麗な手が 傷だらけになっていくのは耐えられないからな。 「なんで…こんな事になっちゃったの…」 「朝比奈さんは繊細な方ですからね。ショッキングな事件が連続で起きて 動転しておられるんでしょう。」 珍しく弱音を吐いたハルヒに古泉がフォローを入れる。 そうだな、朝比奈さんには刺激が強すぎたんだろう。長門が見つかったら すぐにここを引き払った方が良いだろうな。 「そうね、とにかく有希を見つけてできるだけ早く ここを立ち去りましょう。 明日も有希を探さないといけないし、今日はもう寝ましょう…」 そういう訳でその日はみんなすぐ床についた。 昼間の疲れもあって眠りの闇に落ちるのも一瞬だった。 だが、またしても俺に安眠は訪れなかった… 「起きて。」 この声は………… …………長門!!!!???? 俺は跳ね起きた!…勿論夢の中でだが。 「このままでは手遅れになる。早く起きて。」 どういう事だ? 「説明している時間はない。起きて。」 起きろって言われても…と困惑した俺だがどうやらなんとかなったらしい。 不意に俺は意識を取り戻した。 しかし、最初に目に入ったのは天井ではなかった。 ……古……泉…… なんと古泉の顔がすぐ間近に迫っていた。何やってるんだ気色悪……!? 古泉の様子がおかしい…親の仇にでもあったかの様な形相で俺を睨み付けている。 しかも、両手を…俺の首に…かけながら!!!!! は、離せ…!! 声を出そうとするが声にならない…くそっ!どうなってやがる!!! だが幸運の女神はまだ俺を見放していなかった。 「ぐふっ!」 理由はわからんが古泉が一瞬怯んだ。その隙を見逃さず俺は思い切り 古泉を突き飛ばした!! ごほっ、ごほっ… 俺は咳き込みながら立ち上がり電気を付ける。 そこでまた俺は信じられないものを目にした… 古泉は上半身裸だった。しかも胸には下向きに尖った三角に×を重ねた 模様の傷がくっきり刻まれており、今も…血が…流れ落ちている!!!! そこだけじゃない、喉と両手からも血が出ているところを見ると そこも同じようになっているんじゃないか!? 古泉…それ…自分でやったのか……!!!??? その問いに古泉は何かを答えた。だが喉が潰れているのか声にならない… それが分かったのか古泉は一音、一音、区切って口を動かす。 ……ツ……カ……エ…… ツカエ… 使え って言ってるのか? そう聞き返したが古泉は脂汗を浮かべながら懐かしさすら感じる あのニヤケ面で笑っただけだった。そしていつの間にか握っていたそれを 俺に放り投げて渡す。 これは………壁に刺さっていた…白羽の矢!!!??? 俺がそれに気を取られた隙に古泉は窓から飛び出して行った… どうなってんだ…一体…!? 疑問は尽きなかったが昨日も徹夜同然だったし今の事件も想像以上に 俺の気力を奪ったらしい。気が付くと俺は再び眠りの闇に落ちていた… 翌日、俺は目を覚ましてから後悔しまくった。 古泉が素直に逃げずにハルヒ達を襲うという可能性を完全に失念していた! ハルヒ、朝比奈さんどうか…無事で居てくれ!! また俺は隣部屋の扉を叩きつけてハルヒをたたき起こす。 ハルヒは今回も不機嫌だったが2人とも無事でホッと胸を撫で下ろした。 良く考えれば、あの後戻ってこられたら窓は開きっぱなしだったし 俺が一番危なかったんじゃなかろうか…今更ながらゾッとする。 古泉までトチ狂ったとは言いにくかったので 今朝起きると古泉も居なくなっていたとハルヒ達には伝えた。 その日、長門に続き古泉まで失踪したと村人に伝えると村は騒然とした。 俺達は勿論、村の人も昨日以上に人数を集めて2人の捜索に当たる。 …だが結局今日もなんの手掛かりも掴めないまま日が暮れてしまった。 満身創痍で宿に戻った俺とハルヒはそのまま部屋に戻っていた。 連日の疲労で足元がふらついていたんだろう、俺は足をもつれさせて 転んでしまった。 咄嗟にタンスを掴んだのでタンスがずれてしまった。 くそっ!悪態をつきながらタンスを戻そうとして 俺は声にならない声を上げた!!! タンスで隠れていた壁には… 一面に描かれていた…!!! 朝比奈さんが… 描いていた…円と三角のあの模様が…!!!! 壁一面にびっしりと!!!! しかも…ところどころ赤黒く染まっている!!! こっちも爪で血を流しながら描き殴ったに…違いない!!!!! なんだよ!!これっっ!!!!
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/2660.html
ハルヒニート最終章 「ただいま」 俺は仕事疲れの体を引きずって帰宅し、我が家の玄関を開けた。奥からエプロン姿のハルヒが顔を出した。 「おかえりキョン。ご飯できてるけど先に食べる? それともお風呂にする?」 家の中からはおいしそうな夕食の香りが漂ってきた。俺は風呂より先に食事にすることにした。 食卓の上には見た目にも美味そうな塩鮭や味噌汁などの和風メニューが並べられた。もちろん全てハルヒの手作りだ。その食事が4人分配膳されたところで、ハルヒが子供たちに声を掛けた。 「晩御飯できたわよ! パパも帰ってきたから一緒に食べなさい」 それを聞いて「は~い」という返事が二人分帰ってきて、子供二人がとたとたと足音を鳴らしながら食卓に着いていった。 「ほら食事の前はちゃんと手を合わせて、いただきますって言うのよ」 「「いっただっきまーっす!」」 子供たちは元気に答えた。 ハルヒの薬指には俺が送った結婚指輪、もうハルヒの姓は涼宮ではなくなっていた。 幸せを絵に描いたような光景を眺めながら、俺は…………。 「ちょっといつまで寝てんのよキョン? 会社に遅刻するわよ!」 俺は目を覚ました。ハルヒの声で。そう、全ては夢だった。なんて夢見ちまってるんだ俺……。疲れてんのか俺……? 「寝ぼけてないでさっさと起きて朝ごはん作ってよ! お腹空いちゃったあたし」 ハルヒはそう言って、再び台所へと引っ込んで行った。 妙な夢を見たせいで寝起きも悪い。一体なんだって俺とハルヒが結婚して、しかも二人の子宝に恵まれて暮らしてる夢なんて見たんだ俺は? フロイト先生も爆笑もんだ。 ハルヒは相も変わらず俺と同じアパートの部屋で生活している、食事代など生活費は俺に一切まかせっきりにしてだ。今のハルヒはいわゆるパラサイトとかニートと呼ばれる部類に属する生活を送っているのだった。 そして断っておくが俺とハルヒは結婚なんてしてないし、まして未だかつてそうしなければならなくなるような既成事実に繋がる行為をしたことも一度としてない、誓って言う。 俺はただハルヒが今のニート生活から脱却し、一人前の社会人になるまでの間こうして食事と生活する場所を一時的に提供しているだけだ。 「朝飯、何がいい?」 「ベーコンエッグ、あとサラダも付けて」 やれやれ、言葉だけ聞いてりゃ同棲相手の台詞にゃ聞こえんな。これじゃ少し大きめの子供と二人で暮らす父親といったところだ。 だがその子供にも最近少し様子に変化が伺えるようになった。 まず今だって、俺がフライパンで卵とベーコンの炒め物を作っている間に、ハルヒがそれを盛り付ける皿を自分から台所に出してくれている。 そんなの手が空いてれば誰だって当然することだが、少し前のハルヒからは考えられない行動だ。それにこれまた言われても無いのに、机の上を拭いて二人分の食パンをオーブンに入れてと、積極的に朝食作りを手伝ってくれていた。 そして食事の後はハルヒが俺と自分の食べた分の皿を流しで洗っていた。といってもこれは日替わりの当番制で、明日は俺がやることになっているんだがな。 一日中家にいる女と、日中働きに出ている男が家事を共有して、しかもどうしてそれを半分ずつというおかしな比率で配分されるのかと文句を言うのは、以前まではその家事すら俺が全部一人でやっていたことを知らない人間の考えだろう。 ハルヒは変わった。未だにニート状態からの脱却はかないそうにないが、家では掃除も洗濯も俺と共有してこなすようになったし、たまにだが食事も作ってくれるようになった。 そうなるために俺が努力した点もたくさんあるが、やはり何よりもハルヒ本人の気持ちがあったからこそここまでやってこれたのだと思う。 「ごちそうさん。それじゃハルヒ、行ってくるから」 「うん。いってらっしゃい、今日の帰りまた遅くなるの?」 「多分な。早くて6時過ぎ、遅けりゃ10時過ぎるだろうから、その時は電話するよ、晩飯は先に食べといてくれ」 「ううん。遅くなっても別にいいわ。キョンが帰ってくるまで待ってるから」 そりゃ自分で飯作るのが面倒だからか? とは聞かずに俺は家を出た。 風向きは変わってきている、それも確実によい方向に。 ハルヒは最近、以前と同じ活発さを取り戻してきていた。 ハルヒはあれほどハマっていたネットゲームからもすっかり足を洗った。まだ少しネットの掲示板を覗いたり、サイト巡りをする習慣は抜けていないらしかったが、パソコンの前に座ってるのはせいぜい一日に1・2時間程度ということだ。 この調子なら、本当にハルヒが働きだせるようになるまで心を快復させる日は近いかもしれない。いや、ひょっとしてもうとっくにそうなっているのかもしれない。 もしそうなったら、俺はこのハルヒとの奇妙な同棲生活を終えることができ、ハルヒも実家に帰ってまた元気に過ごすことになって、全て元通りのめでたしめでたしとなるわけだ。 俺はそれを望んでいたはずだ。恐らくハルヒにとってもそれが理想の形であるはずだ。 だが別に俺は今の生活になにか不満があるわけじゃない。 極論、今朝夢で見たような光景が将来にあったとしても文句を言いたい気分にはならない。 しかし冷静になって考えてみろ。ハルヒにだって選ぶ権利がある。あれほどの器量よしなら、きっとどんな男でも捕まるだろう。だったら、俺が無理にハルヒを引き止めることがあいつのためになるとは思えない。 「…………そりゃあな。元々吊り合わない仲だとは思ってたさ」 少なくとも俺がハルヒの立場なら、こんなさえない男に惚れたりしないと思う。だからハルヒも今は無頓着だが、あいつのためを思うなら今のうちにあいつを元の生活に戻してやって、早く社会復帰していい男と一緒になれるようにしてやるのが最善策なのさ。 やれやれ、俺にとってハルヒってのは何者なんだろうな? まるで年の離れていない子供を持っているような気持ちだ。気づけば俺はあいつの将来だのなんだのについて考えてる。 「え? 今日はもう帰っていいんですか?」 「ああ。取引先から急なキャンセルがあってね。今日予定してた仕事は全部無しになった。だからキョンくんもまだ早いけど帰っていいよ」 呼び出された上司からそう言われて、俺は一礼してからその場を後にした。 ちなみになぜ俺が職場でもキョンと呼ばれているかというと、同期入社してきた奴の中に俺と同じ名字の奴がいたため、区別するために俺の方があだ名で呼ばれることになったのだった。これで定年まで俺の本名を呼んでもらえる機会が無くなったわけだ。 「まあ、せっかくの半ドンだ。昼飯買って帰るか」 家では今頃ハルヒが一人で昼食の仕度を始めている頃だろうか。俺が会社を後にして、電車に乗って帰ってアパートに着いたときには、昼のお茶の間定番ソング「お昼休みはウキウキウォッチング」が流れている時間だった。 「ただいま、今日は早く帰れたから…………ってあれ?」 家の中には妙な景色があった。ハルヒがいるのは問題ないが、もう二人知らない人間が追加されていた。 「おかえりキョン、これあたしの両親、なんかあたしが心配で来たんだって……」 ハルヒがそう紹介した。 「あなたがキョンくんですか。娘が世話になっています」 母親のほうがぺこりと頭を下げた。俺もつられるようにお辞儀を返した。 「キョン。あんたが連絡してたんですってね、母さんたちに、あたしがここにいるってことを」 ハルヒはぶすっとして口をアヒル形にしながら言った。 そうだ、俺が連絡していた。ハルヒをこっちに連れてきた翌日に。つまりずっともう前の話になる。 そりゃあいくら家出人とは言え、黙って家に連れ帰って住ませてますとはいかないだろう、常識的に考えて。 俺はハルヒの両親に、ハルヒを預かっている旨、それについて本人の同意も得た旨、そしてしばらくしたら元のハルヒに戻ると思うから、それまで任せてみてくださいとの説明をしたのだった。 もちろん連絡先と住所も伝えていた。だがこのハルヒの両親は今更になってなぜいきなり尋ねて来たりしたのだろうか? 「うちのハルヒが随分世話になったようでしたな、キョンくん?」 ハルヒの父親が威厳に満ちた声でそう尋ねた。 「世話だなんてそんな……。別に迷惑だなんて思ってませんし……」 つい気おされるようになって、頭をかきながら俺は答えた。その様子をみてハルヒがふんと鼻を鳴らした。 「それで父さん、一体なんの用事よ? 会いに来ただけ? それならもういいでしょ、とっとと帰ってよ」 ハルヒはぶっきら棒にそう言ってのけた。俺は今までハルヒの家庭事情について詳しく知らなかったが、どうやらこの様子からすると、少なくともハルヒと両親との仲はそんなに良好なものではないらしい。 「ハルヒ、お前もいつまでも彼に面倒を見てもらっているわけにはいかんだろう。はっきり言おう、父さんたちは今日ハルヒを連れ戻すつもりでここに来た」 ハルヒの父親がそう言った。ハルヒはそう来るのはわかっていたとばかりに肩をすくめてため息をついた。 「はあ、やっぱりちっとも変わらないのね父さん。それと母さんも。いつもあたしにそうやって一方的に意見を押し付けるんだから」 「もうハルヒ! そんなこと言ってもあんたは滅多に母さんたちの言うことなんて聞かなかったじゃない! 高校選ぶ時だって、母さんたちが進めた私立の名門高校を受けずに何でもない公立高校に無理やり進学したのを忘れたの?」 「別にいいでしょ? あたしの事なんだからあたしが決めただけよ! 言っとくけど家になんて絶対戻らないわよ!」 ハルヒはぷいっと唇を尖らせて横を向いた。こうなったハルヒはもう誰の話も聞かない。俺でさえわかるんだから、このハルヒの両親も当然に理解しているだろう。 「……キョンくん」 「は、はい。なんでしょうか?」 というかこの人たちも俺をキョンと呼ぶのかよ。まあハルヒがそう教えたのだろうが。 「キミはハルヒの事をどう思っているんだね?」 「え? ど、どうって言われても…………」 「単刀直入に言おう、君はハルヒと結婚を前提として今の付き合いをしているのか?」 …………は? いきなり何を言っておられるのだこのハルヒパパは? 俺がハルヒと結婚する? なぜハルヒについての話が急に三段ワープ並みに飛躍して俺との結婚話にまで進展しているんだ? 「キミも常識ある大人なら、今のハルヒとの暮らしについておかしいと思うだろう? 一つ屋根の下で年若い男女が他人同士一緒に暮らしているなど……」 そりゃあ正論だと思う。俺とハルヒの生活は傍から見たら立派な夫婦生活と映るだろう。 「そうなったら社会的にはもう二人が一生を共にする気があるのか無いのかという疑問が出るのも当然だと思うだろう?」 「父さん! ちょっといい加減に……」 「ハルヒは黙っていろ! 私は今彼と話をしているんだ! キョンくん、だから君の考えを聞かせてもらいたい。もう君はハルヒと一生責任を持って共に暮らしていくつもりなのか、それともそうでないのかを」 「そんな急に言われても……。それにもしそうじゃないと言ったら、ハルヒを連れ帰ってどうする気なんです? ハルヒは知っての通り心の病を持っていて、とても一人で生きていける状態じゃあ…………」 「その事についてはもう心配いらない。知り合いの医者から紹介された派遣カウンセラーと話が通っている。ハルヒがうちに帰っても君の代わりはその人がする」 俺の代わりだって? そんな。俺がハルヒと一緒に暮らしてたのはそんな仕事みたいな関係じゃなくて………… 「キョンくん。誤解してもらっては困るからはっきり言おう。私は君にとても感謝している。この通りだ」 ハルヒパパは座ったまましかし深く頭を下げた。 「この家に来てハルヒを見て正直驚いたよ、以前家を出て行ったときとは比べ物にならないほど落ち着いてくれている。多分全て君のおかげなのだろう、本当にありがとう」 そうだ。ハルヒは前よりずっとまともになっている。もう自堕落に一日中パソコンと引っ付いて生活することもないし、部屋だって自分で掃除している。気の向いたときには俺に弁当を作ってくれることすらある程だ。 だったら…………ひょっとしてもうこの父親の言う通りにすべきではないだろうか? だってハルヒは誰から見てもほとんどまっとうな社会生活を営める能力を持っている。それが誰の手柄かなんて問題じゃない。ハルヒが戻れるなら、早く元の生活に戻してやるべきなんじゃないのか? そう、こんな不自然な関係はさっさと止めにして。 「ハルヒの仕事先についても大手の総合商社と話が付いている。ハルヒの一流大学の肩書きは中退とはいえ十分に買ってもらえたよ」 普通ここまでしてくれる両親ってのは中々いないと思う。ハルヒの両親も、紛れも無くハルヒを愛しているんだ。それは違いない。 でも、ハルヒは気にいらない表情でぶすっと顔をしかめていた。そして俺も内心同じ気持ちになるところがあった。それがなぜなのかはわからない。 「それでねハルヒ。あんたももう25でしょう? もういい相手を見つけて家庭を築いていく年よ、だからその会社で働きながら男の人と仲良くなって…………」 「イヤよっ!!」 ばあん、ハルヒが机をぶっ叩いて立ち上がり反論した。これには俺もハルヒの両親も驚いた。 「母さんも父さんも! いっつもそう!! あたしの事なのに全部そうやって勝手に決めて!」 「お、落ち着けよハルヒ!! 両親だってお前の事を思えばのことじゃないか!? ありがたい話じゃないかよここまでしてもらって! 感謝こそすれ文句をいう筋合いは無いだろ!」 俺がそうなだめると、ハルヒは荒い息を吐きながらもすっと椅子に腰を下ろした。 「……まあそういうことだキョンくん。それでさっきの質問の続きだ。君はハルヒをどう思っているんだ?」 ハルヒパパが落ち着いた、しかし低い声でそう尋ねた。 俺にとってハルヒがどういう存在なのか? それは…………ずっと前にも同じことを考えた。そして今も答えは同じだ。 俺はハルヒが好きだ。 この奇妙な同棲生活にも、言い得ないほどの満足感と幸せを感じていた。 だからハルヒと結婚を前提に付き合う気があるのかと聞かれれば。「はい」と答えることになる。 だが、だったらハルヒはどうなる? 今俺が一緒にいたいと言えば、ハルヒはこの場の勢いで同意するかもしれない。しかしそれが本当にハルヒのためになるのか? 今の生活を引きずってハルヒが婚期を逃すことを両親が一番恐れているのはわかる。そしてそうなったとき、俺は責任を取れるのか? そんなの取れるわけがない。親からすれば自分の娘の一生に関わる問題、必死になるのも頷ける。 ハルヒの両親はすでにハルヒのために家に医者やカウンセラーを準備させるとまで言っている。おまけに就職口も、いい結婚相手を探す方法まで用意してくれている。 今のハルヒは確かに以前のハルヒに戻ったが、それでもまだ高校生と同じくらいの精神年齢にしか見えない。そんなハルヒに今この場で無理やり俺を選ばせて、ハルヒが本当に幸せになれるのか? この両親だって口には出さねど内心は反対している、それは雰囲気で十分伝わってくる。そりゃあ当然だろう、ハルヒならもっと金持ちのいい男をいくらでも捕まえられる。可愛い娘を俺なんかにさらわれたくないと思っているだろう。 俺はハルヒが好きだ。だがそれ以上にハルヒ自身に幸せになってほしい。だったら、ここでの返事はもう決まっている。 「…………わかりました。もう俺がハルヒにしてやれることはありません。ハルヒをよろしくお願いします」 俺は手放した。いつでも手の届くところにあった俺の一番の幸せ、ハルヒとの生活を。 それ以上誰も何も言わなかった。 ただその時のハルヒが顔に浮かべた表情はひどくがっかりしたもののように見えた。ハルヒが一体誰に何を伝えたかったのかはわからなかった。 そしてその後の手続きはひどく事務的なものだった。 まずハルヒパパは、ここでハルヒが世話になった分の金銭を養育費として支払うと言ってくれた。 手渡された小切手に記された金額は、とても一人の人間が一年足らずの生活で必要とする金額ではなかったが、多い分は気持ちとして受け取ってほしいということだった。 それから、ハルヒはそのまま両親と共に家を後にした。これといった私物を持っていなかったハルヒは、ここに来たときと同様に手ぶらで着の身着のまま帰っていった。 あれほど怒り狂うように抵抗していたハルヒはなぜか帰るときはこの上なく大人しかった。 ぱたんと玄関の扉が閉じてからは静かだった。久しぶりに一人になった広い部屋で、俺は一人分の昼食を作って食べた。 それからまた元の生活に戻った。気楽で気ままな独身男性の生活ってやつだ。 仕事は忙しかったがそれが逆にありがたくもあった。早くハルヒの事を忘れちまいたかった。忘れないと俺自身がいつまでも前に進めないと思ったから。 部屋を模様替えして大掃除した。部屋にあったハルヒのために買って来た雑誌やらなんやらは全て捨てた。 クローゼットの中には一つだけ掛けられた女性物の服があった。以前まだハルヒが全くひきこもり状態から回復していなかったときに通販で一緒に選んで買ったものだ。家に送ってやろうかとも思ったがやっぱりそれも捨てた。 ハルヒだってさっさと俺の事を忘れるべきだと思ったから。俺の事も、ここでの生活も全て忘れて、ハルヒママの言う通りいい男でも見つけて幸せな家庭を築いていくべきなんだ。 1ヵ月経った。もうあまりハルヒの事を考えなくなった頃、夕方帰宅した時に一本の電話が掛かってきた。 せっかく家に帰ってまた会社から仕事の話じゃないだろうな。そんなことを考えながら俺は受話器を取って耳に当てた。 電話を掛けてきたの相手は会社の上司ではなく、ハルヒの母親だった。 ひどく狼狽している様子で、ハルヒの母親は恐ろしさから来る震えを堪えるのと同時に、嗚咽を漏らしながらむせび泣いていた。 なにがあったんですか? そう聞くと、ハルヒの母親はなんとか一言を搾り出すために呼吸を整えて、短く俺に告げた。 『ハルヒが自殺した』 後編に続く
https://w.atwiki.jp/totty0712hw/pages/4.html
日時;3月10日(日) 14;00~19;30まで 企画内容;minecraftの難易度ハードコアで誰がエンダードラゴン討伐までたどり着けるか? 参加条件; 1 マインクラフト所持者 2 ニコ生放送ができること 3 マインクラフトの放送ができること ルール; 1 難易度はハードコアのみ 2 シード値の指定なし 3 modはなし(ただしゲーム性に影響が出ないmod(たとえば、Opt FIneや影modなど)は使ってもよい) 4 バージョンは1.4.7のみ 5 マップの再生成はあり 6 放送外でのプレイは禁止 7 配布ワールドはなし 8 制限時間は14時~19時30分までの5時間半のみ 9 死んでしまった場合も制限時間内ならマップ再生成は可能 10 バックアップによる再復活はなし その他詳細; Q ジ・エンドまでいったのに制限時間過ぎたらだめなの? A 制限時間による是非はポータルを見つけてるかどうかで判断いたします ex)ポータルを見つけたが時間切れ→そのまま死ぬまで続行可能(ただし放送は続けなければいけない) ポータルを見つけていないし時間切れ→続行不可能 Q ポータルを見つけるのはエンダーアイ以外は駄目なの? A mod以外ならOKといたします。 Q ニコニコ以外でなら生放送できるのだけでも無理ですか? A 基本ニコ生で放送しているので他の配信サイトでの放送は認められません 参加者一覧 ・とってぃ ニコ生;http //com.nicovideo.jp/community/co1618525 twitter;https //twitter.com/totty0712 youtube;http //www.youtube.com/user/Crouch0712?feature=mhee ・白猫 ニコ生;http //com.nicovideo.jp/community/co1890177 twitter;https //twitter.com/shironekoko0220 youtube;http //www.youtube.com/user/TheShironekoko ・岸田 ニコ生;http //com.nicovideo.jp/community/co1815082 twitter;https //twitter.com/Ksd_yumu youtube;http //www.youtube.com/user/kishida03yumu
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/5452.html
2人の絶叫だけが長門の部屋に残り、俺たちは奈落の底に落ちていった 永遠とも思える落下の後、ドスンと落ちた俺は腰を打ちつけていた しかし思ったほど衝撃は少ない やれやれと思って立ち上がろうとしたら、上からハルヒが落ちてきた ぐえっ 「アイタタタ・・・・・・」 おいハルヒ、早く下りてくれ。かなり重いぞお前 「ハァ?女子に向かって重いだって? あんた、全地球人類を敵に回すつもり? それとも何よ、あたしが重いって言うの? 重い女は嫌いって事?」 いやハルヒさん それとこれとは別でしょう ただ上から落ちてきただけですから 「やっぱちょっとダイエットすべきかなー。あたしさー、最近もしかしたらみくるちゃんより重いかも知れないのよね ねえキョン、どう思う? あたしもうちょっと痩せた方がいいの?まあ・・・あんたがそう言うんなら、頑張ってみないこともないけどさ」 ハルヒ頼む 悩み事はとりあえず俺の上から下りてからにしてくれ。じゃないとお前のいい匂いで卒倒しそうだ 「ふふーん、キョン あんたもだいぶ正直に物が言えるようになってきたわね 団長として嬉しいわよ。やっとあんたが真人間になりつつあると思うとね」 ああ もう好きに言ってくれ。こうやってるのも悪くない気分だけど今はそんな場合じゃないだろ 「分かってるわよもう」 ハルヒは俺の上から飛び降りて制服のスカートを直した 「ねえ。見てキョン!あれ!」 ハルヒが指さす方向には何人かの男女が見えた もちろんすぐに正体は分かる。SOS団と佐々木の1派が争っているのだ 「行くわよキョン!急いで!」 ハルヒは猛ダッシュで駆け出し、俺は慌てて後を追いかけた。30秒ほど走ってかなり近づいた 「有希!今助けるからね!」 そう叫んで走り寄ったハルヒの体は、ゴーンという音を立ててまたもや跳ね返された ハルヒ大丈夫か?吹っ飛んできたハルヒを危うく受け止め、そっと横たえた 「いったぁーっ・・・」 鼻を押さえてうずくまるハルヒを抱きかかえながら俺はあらためて、自分が来た世界を眺めた 空にはまばゆいばかりの星空がきらめき、地面は真っ黒で何も起伏がない 明らかに地球人の常識からはかけ離れた場所だ ここから15メートルほど離れた場所で戦う者たちの姿が見えた 激しく動き回っている赤い光はあれは古泉か。この世界じゃあいつの能力も使えるらしいな 少し離れた場所で右往左往している朝比奈さんは、なぜか時々点滅していた 数秒間消えたかと思うとまた現れる そして横たわっているのは長門だ。まだ意識が戻ってないのか ピクリとも動かないその長門の足元に立ちはだかり、周防九曜と思われる長い黒髪の女子と激しい攻防を繰り返しているのは・・・ 俺の背中にまた鳥肌が立った 振り下ろされるナイフの鈍い光沢、そして脇腹に突き刺さった冷たい金属の感触が、俺の全身から冷や汗を絞り出させた あ、あ、朝倉涼子がどうしてここにいる?しかも長門を守るようにして そうか、あいつは長門のバックアップだったっけ 長門がピンチなのを見て駆けつけたのか? 周防九曜は両手の指先から次々と光線のようなものを出し、朝倉を貫こうとする 朝倉涼子はまるでそれを割り箸でも掴んでるかのように手づかみにして、さらにはボキッと折っていた 両者の攻防は互角に見えたが、なかなか朝倉は攻勢に転じられないようだった 朝比奈さんから少し離れた所には、いた!あいつがいる 顔を見ただけで殴りつけてやりたいぐらいにムカつく野郎が あの藤原が朝比奈さんに手のひらを向け、朝比奈さんの動きに合わせて小さく振っている そのたびに朝比奈さんはあちこちに逃げ回り、時折りピカッと光って姿を消す 未来人同士の戦争がどんなものなのか、もちろん俺に知る由はないが、おそらくおれはあれでものすごい戦闘を繰り広げているのだろう 赤い光と化した古泉の周囲には分散した青い光が取り囲んでいる あれは橘京子のものなのだろうか、その1つが時々古泉に向かって突進し、古泉は全身でそれを跳ね返す 青い光は力を失って地面に落下するが、古泉からも光の破片がキラキラとこぼれ落ちており、多少はダメージを負っているのが分かった 予想していた通り、激しい戦闘の真っ最中だったが、俺にとっての気がかりはいまだに目を覚まさない長門と、そして彼らから少し離れた所にいる1人の少女だった ハルヒの言った通り、やはりあの新入生だった クルッと巻き毛の天然パーマなのか、繰り広げられる戦闘に目を輝かせながら手に持っているオーパーツを軽く左右に振り回している 俺はハルヒを地面に横たえて、ぶち当たったバリヤーを調べてみた 長門のマンションを覆っていた柔らかいものとは違って、ガラスのように固い物体だった 手で叩いてみてもガンガンと響くだけで向こう側には届かない どうやらあっち側からはこちらは見えないようだ 大声で古泉の名を呼んでみても何の反応もない 俺は再びハルヒを抱え起こし、揺さぶってみた。おいハルヒしっかりしろ、大丈夫か? 鼻を真っ赤に腫れ上がらせたハルヒがウーンとうなる 「いったぁー、何よ今度はいったい」 またバリヤーみたいだな。しかも今度はえらく固いぞ 「またこじ開けて入ればいいじゃないの」 ハルヒは鼻に手を当てながら立ち上がり、俺がやったようにドンドンとそれを叩いてみた 横たわったままの長門に懸命に声をかけるが当然反応がない 「うーん、ダメねえこれじゃ」 ハルヒは何事かをわめきながらひたすらバリヤーを殴りつけ、地面との隙間に指を突っ込んでこじ開けようとしている 何とかならないかハルヒ?このバリヤーをぶち破る方法は 「それは無理だよキョン」 また後ろから佐々木の声がした。こいつもついてきやがったのか 「どうやらあっちで起こってる事はこっちからはどうしようもないみたいだね」 おい佐々木、もういい加減にしろよ こんな無駄な争いをして何になるんだよ お前はこれで満足なのか? あいつらに戦わせてお前はここで高見の見物かよ 「だってそうしろって言われたんだからしょうがないじゃないか 大将はのこのこ敵前に出ていくことはないって それが仲間の意見ならば、僕は喜んで従うね」 仲間だと?何なんだよその仲間ってのは こんな変な世界で、ハンディがある相手を叩きのめすのがお前らの戦いなのか? それがお前らの仲間なのか? 「ふふっ。キョン 僕にとっては彼女たちはまだあまりよく知らない存在だ 突然目の前に現れて神様になって下さいとか言われていくら僕でもそんな事を真に受けたりはしないさ だけどねキョン、そんな事を言っている連中でも僕を慕ってくれてるんだ それを仲間と呼んでどこがいけないのかい?」 だったらお前も中に入って堂々と戦えよ 俺もハルヒもこの中に入れろ それから長門を目覚めさせてやれ お前らの下らん神様理論なんかはどうでもいい 条件を対等にしろ 何だかんだ言いながら結局お前らのやってることは卑怯以外の何物でもないじゃないか 長門の能力が怖いから眠らせて、ブチ切れたハルヒを恐れて中に入れようともしない それがお前の仲間とやらのしてる事じゃねーか 何が仲間だよアホらしい 俺たちの団長を見てみろよ アホで向こうみずで後先を考えない事ばっかりしてるけど、あいつの仲間を思う気持ちはお前なんかには負けはしない 何が大将は奥でじっとしてろだよ うちのハルヒを見てみろ あいつなら、団員を助けるために核融合炉にでも飛び込む覚悟はあるぞ それが俺たちの団長だよ。SOS団の自慢の団長だよ 「そしてキョンの大好きな彼女だってのか?」 そうだよ 俺はハルヒが大好きだ あんなバカな女だけど、俺たちを思ってくれる気持はこの銀河系の誰にも負けはしない あれが俺の大好きな女だ 俺は1人では何もできないけどな、ハルヒと一緒ならどこにだって行けるぞ 佐々木はちょっと遠い目になった 「変わったな・・・キョン」 当たり前だろ もうお前を自転車に乗せて塾に通ってた頃の俺とは全然違うんだよ 見つけたからな。一生かけて守ってやりたいと思う相手を 「うらやましいよ、キョンが そんな風に自分を変えられた君が」 お前は自分を変えようとは思わなかったのか? 「思わなかったよ だって変える必要がなかったからね このみんなに会えるまではね。チームSOSの仲間に出会うまでは」 チームSOS?何だそれは? 「ははは 君にはまだ言ってなかったかな?恥ずかしいんだけどちょっとインスパイアさせてもらったよ。僕たちのチームだ 『静けさを大いに楽しむための佐々木のチーム』だ」 それならSOSチームなんじゃないのか?順序が逆だぞ 「細かい事はいいんだよ別に 何となく語呂がよかったからさ」 SOSの名を聞きつけたハルヒが佐々木を見つけ、両腕をブンブン振り回しながらやってきた 「ちょっとあんた、いつまでこんな卑怯な事やってんのよ。あたしを中に入れなさい。もちろんキョンもね」 「それはできないわ涼宮さん。 みんなにきつく言われてるから。あなたが入れるのは最後の仕上げだけ」 「いいから早く入れなさい!今すぐに!」 「ご自分でお入りになったら?」 「ええそのつもりよ。キョン!もうそんな女は放っといていいから。体当たりしてでも突入するわよ」 はいはい団長さま 「キョン!本気でそんな事するつもりか?」 当たり前だろ。俺は団長のボディガードだ 団長の行く所ならたとえ地獄にでもお供するぜ ましてや仲間を助けるためなんだ。SOS団に不可能はないんだよ 「キョン!そんな優等生の分からずやに何言っても無駄よ。まあ同級生のよしみもあるんでしょうけどね」 「待って!それはさせられない」 佐々木の体が大きく震え、クリーム色をしたモヤモヤした物体がハルヒの体を包み込んだ 「ちょっと!何よこれ!動けないじゃないの!キョン!助けて!」 俺は急いでハルヒを包んでいる靄の中に飛び込んだ と思ったらハルヒの体を通り抜け、反対側に出ていた もう一度やっても同じだった 俺の指先はハルヒに触れる事もなく、そのまま通過して飛び出してしまう 何だこりゃ?ハルヒ? 「キョン・・・・・・」 待ってろハルヒ、すぐに助け出してやる おい佐々木、もうやめろ。ハルヒに手を出すんじゃねえ 他のヤツラならともかく、お前にこんな事をさせたくない だからハルヒに手を出す事だけはやめてくれ 「じゃあ君が身代わりになるかい?」 ああ それでいいのなら俺は構わない 「キョン!あんたいったい何言ってんのよっ!」 ハルヒ みんなを助けてくれ 長門を助けろ、お前ならできる 長門さえ起こしてしまえばこっちのもんだ 「ちょっとキョン!」 さあ佐々木、さっさとやれ。俺を好きにしていいからハルヒを助けろ 「ふっ 君が代わってくれても意味はないんだよ あくまで団長は涼宮さんだからね」 いいから変われ 俺とハルヒを入れ替えろ 「それはできない。今の時点での危険因子は涼宮さんだからね」 くっそう 引っかからないかさすがに 俺の背後にはクリーム色の靄にからめられたハルヒがもがいている 「キョン!キョン!」 俺は佐々木を睨みつけたままで 何か策はないかと思い巡らしていた バリヤーの向こうでの戦いはいったいどれぐらいの時間に及んでいるのか 古泉も朝比奈さんも、もちろん朝倉涼子も、もうかなりのダメージを受けているはず ほとんど防戦一方の戦いにはたして勝ち目はあるのか 仮に長門が目を覚ましたとしてあの調子で戦いに参加する事はできるのか? 幾つもの疑問が頭を駆け巡る 俺とハルヒはこのまま 仲間が必死で戦ってるのを見殺しにしてしまうのか・・・ 「キョン、キョン」 ハルヒの声も苦しそうだ。俺は佐々木に背中を向け、ハルヒの方に向かった ハルヒどうした?苦しいのか? 「大丈夫よ、動けないだけ だけどキョン、こんな悔しい想いは初めてよ。何もできないで負けちゃうなんて・・・ 有希・・・ごめんね・・・一番つらい時に一緒にいられなくて みくるちゃん・・・あんなに頼りなかったのに、必死で戦ってるのに何もしてあげられなくて 古泉くんも・・・いつもわがまま聞いてくれたのに、最後はこんな形になるなんて ごめんね・・・これじゃ団長失格だよね。偉そうな事ばっかり言ってたのに 結局何もできないだけだなんて」 俺の目の奥で何かがはじけた 何か真っ赤なものがパーンとはじけた 俺はゆっくり向き直り、佐々木に静かに告げた 佐々木・・・ハルヒを出してくれ、今すぐに 「それはできないと言っただろ 君に代わっても何の意味もない事ぐらい分かっているはず」 そうか・・・ 俺は肩を落とし、力なくうなだれた そして次の瞬間、全速力で佐々木に向かって走っていた もう何も考えられない ただ無性に腹が立っていた どうせ何もできないのなら、せめてこいつだけにはひと泡吹かせてやりたい 俺をバカにしたいのならいくらでもすればいい だけどこれだけは絶対に許さん ハルヒをバカにする事だけは許さない 俺たちの団長を、俺の大好きなハルヒをバカにする事だけは許せなかった 「ちょ・・・キョン?」 俺は上体を丸めて佐々木に襲いかかった 何かを叫んでいたような気がするが覚えていない ショルダータックルをぶちかますつもりだったのだが、予定した場所に佐々木はいなかった 空気が漏れるようなシュッという小さな音が聞こえたような気がする 俺は勢い余ってそのまま突進し、バリンという音とともにもんどりうって倒れ込んだ 「キョン!」 気がつくと空気の匂いが違っていた。血なまぐさい臭いが鼻をついた 誰の血の臭いなのかと頭を上げると、目の前には小さな女の子が倒れていた これは?どんなカラクリなのか、俺はバリアーを抜けたようだった そして俺が体当たりしたのはこの子なのか 俺の横に転がっている新入生の手に握られたオーパーツを見て、俺は本能に任せて行動した 素早くその手からオーパーツを奪い取り、バリヤーの外にいるハルヒに向かって走り出した いったい今日はどれぐらい走ってるだろうか。少しは運動能力の向上に役立つだろうか そんな事を考えていると耳元に誰かの声が聞こえた 「・・・・・・とうとう来た・・・私のきれいな・・・その瞳・・・・・・」 横目でちらりと見ると周防九曜が俺の動きを追っていた 長い黒髪がブラリと横に拡がり、次の瞬間、それが一斉に俺を目がけて飛んできた 追いつかれる前にバリヤーの外にたどり着こうと必死で走ったが、恐ろしいスピードで追いかける槍のような黒髪の方がはるかに早かった 「キョン!」 「キョンくん!」 誰かの悲鳴が聞こえたような気がした 俺の耳元にシュルルルといううなりが聞こえ、今にも無数の槍に貫かれるかと覚悟した瞬間、ブシュブシュブシュと何かが突き刺さる音が聞こえた ハルヒ・・・ ハルヒ・・・ 俺は・・・もう・・・・・・ あれ?痛みがない 呆然とする俺に何か柔らかいものが覆いかぶさった 「早く渡して!」 誰かにそう言われてハッと気がついた 聞き覚えのあるこの声は、朝倉涼子! 「あなたならあのバリヤーを貫通できるはず!走って!」 俺は異を唱える事もせず、ハルヒに向かって走った 再びシュルシュルといううなりが後ろから聞こえ、俺は首をすくめた ブシュブシュブシュ 「キョンくん・・・」 朝倉・・・ 俺の体にかぶさるようにして朝倉涼子が倒れ込んできた 暖かい液体が俺のシャツを濡らす。これは・・・血? 「キョンくん・・・あの時は本当にごめんね。 自分が間違っていたことがやっと分かった 長門さんの気持ちもね」 朝倉! 「せっかく戻って来られて、キョンくんにちゃんと謝ろうって思ってたのに。またこうなっちゃった しょせん私はやっぱり、ただのバックアップにすぎないって事かしら? さようなら、キョンくん。できたら私の事は、あまり悪い思い出にしないでほしいな」 朝倉! 体中を周防九曜の長い槍で貫かれた朝倉涼子は やがていつかのようにサラサラと砂になって崩れ落ちていった 俺はオーパーツをまだ持っている事を確かめた バリヤーの側にいるハルヒからはあと少しの距離だ 俺は残りの距離を猛ダッシュに賭けた。バリヤーの向こうにいるハルヒに手渡す これが突き破れなかったら、その時は俺も終わりだ 周防九曜の槍に貫かれて、朝倉のようにサラサラと消滅する事もできず、血にまみれた無残な死体を晒すのか オーパーツを持った右手をバリヤーの向こうにいるハルヒに必死で突きつけた ハルヒ、これを持ってこっちに入って来い! 不思議な事に、オーパーツは苦もなくバリヤーを突き抜けた 佐々木が作ったクリーム色の靄すらも通り抜けて、ハルヒはしっかりとそれを握りしめた また背後からシュルシュルと唸りが聞こえてきた。身を隠せるものは何もない。助けてくれる朝倉ももういない 俺は目を閉じた そして・・・・・・ 何も起こらなかった 体中を串刺しにされる感覚も、焼けるような激痛もなかった そして俺の後ろに誰かが立っている感覚を感じた こわごわ目を上げてみると、そこには見慣れた制服姿の小柄な女子が立っていた 周防九曜が放った長い黒髪の槍を片手で鷲づかみにしていた 「ああ・・・・・・あなたは・・・ここにいてはいけない存在・・・・・・不快な・・・とても不愉快なもの・・・・・・」 周防九曜は次々と槍を繰り出し、その女子はそれを片手で受け止め続けた 見上げる俺の全身に安堵感が広がる あまりの安堵に体中がガタガタと震え出すほどだった 長門・・・・・・ ついに復活したのか長門・・・ 長門は氷のような無表情を崩さないまま あの懐かしい淡々とした口調で 「・・・・・・お待たせ」 そうつぶやいて、九曜の攻撃を跳ね返し続けていた 「・・・・・・離れないで」 長門は右手で攻撃を受けとめながら左手をバリヤーの外に伸ばした 長門の左腕が5メートルぐらいに伸び、ハルヒの腕を掴んだ バリバリバリと激しい音を立てながら、バリヤーごとハルヒを中に引きずり込んだ 俺は転がり込んでくるハルヒをしっかり受け止めた これでついに役者が全員揃った。SOS団の勢ぞろいだ どんな仕組みになってるのかなんて俺には分からない だけど今、団長以下5人のSOS団メンバーがついに終結したのだ 形勢が一気に逆転した 長門はめまぐるしい動きで周防九曜の攻撃を防ぎながら詠唱し、古泉に群がっていた赤い光を叩き落とす さらには朝比奈さんと藤原との間に白い光の壁を作った 古泉は力を回復して再び橘京子に襲いかかり、朝比奈さんは変な悲鳴を上げながら 「わ、わた、わたたたたたーっ!」 と叫んで藤原と一緒に姿を消した ハルヒがバリヤーの中に入ったのを見た佐々木も中に入ってきて、クリーム色の靄を俺たちに向かって放ってきたが、オーパーツを握りしめたハルヒが無造作にそれを踏みつぶした 俺はしっかりとハルヒの手を握りしめていたが、ハルヒはその手をそっと放した 俺たちの前でガードしていた長門の前に出た すかさず周防九曜が槍を放つが、それらは全てハルヒの手前で力なく失速して落ちた ハルヒの全身から不思議な光が発光している 古泉が最も恐れていた事態がついに訪れたのか 自分の力を自覚したハルヒが、怒りのあまりにとんでもない大暴走を引き起こそうとしているのか? おいハルヒ 危険だぞ長門の後ろに戻れ 「・・・・・・やめなさい」 ん?ハルヒ? 「もうやめなさいって言ってるのよ」 初めて聞くハルヒの低い声だ 腹の底から響くようなハルヒの重低音だった 俺はこの時初めて気がついた 本気で怒った時のハルヒは口数が少なくなるのだと 「有希、もういいわ。無事で何より」 長門も攻撃を収めた 「古泉くん、元の姿に戻りなさい。みくるちゃんも、もう帰ってきなさい」 古泉は赤い光球から人間の姿に戻り 「ふぇぇぇぇぇーっ。 7億年前まで遡っちゃいましたぁ」 と言う朝比奈さんは気絶した藤原の手を掴んで戻ってきた 佐々木率いるチームSOS(この名前は使いたくないな)も攻撃の手を休め じっとハルヒを見つめている オーパーツを奪われた新入生はキョトンとしていたが ニッコリ笑って立ち上がった ハルヒはゆっくり歩いて古泉の前に立った さすがの古泉も疲れた表情で肩で息をしていたが、近づいてきたハルヒを見てわずかに頬を緩めた しかし次の瞬間、俺の心臓も凍りついた パンと乾いた音がして、ハルヒが古泉の頬を叩いていた 「副団長がこんなつまらない争いごとに巻き込まれてどうするのよ! 私の指図もなしに独断専行は許さないわよ!」 古泉は呆然としていたが、ハルヒの目に浮かんでいた大粒の涙を見て顔をこわばらせた 「申し訳ありません、団長」 ハルヒはそのまま朝比奈さんの元に向かい、やはり頬を叩いた 「みくるちゃんはあたしのかわいいマスコットなんだから、こんな危険なことしちゃダメじゃないの!」 朝比奈さんは目をくるくるさせていたが、ハルヒに抱きしめられて大声で泣き出した 「みくるちゃん、ごめんね、無理させて。あたしが早く来れなかったばっかりにこんなひどい目にあわせちゃって」 「すっすっすっ涼宮さーん」 しばらく抱き合っていた2人だったが、やがてハルヒが体を離した 再び俺と長門の前に戻ってきて、やはり長門の頬もパンと叩いた 長門なら軽く避ける事もできたのだろうが、黙ってハルヒの平手打ちを受けた 「有希、有希、あんたはね、何でも1人で抱え込んでるんじゃないの つらかったら、1人でいるのがつらい時は電話しなさいっていつも言ってたでしょ? あたしたち仲間なんだから、どうして今まで何の相談もしてくれなかったのよ!」 抱きしめられてもまだ無表情の長門だったが、大きく見開かれたその両目から、大粒の涙がぽろりとこぼれた 「・・・・・・申し訳ない」 そしてハルヒは俺の前に戻り、俺をグーで殴りつけた おいハルヒ、何で俺だけグーパンチなんだよ 「うるさいバカキョン!あんたは全部知ってたんでしょっ! 知ってるくせに何で私に何も言わなかったのよ! あんたの責任が一番重いんだからね! 一番下っ端のくせに!一番あたしと一緒にいたくせに! あんたがもっと早く話してくれたらこんな事にはならなかったのに! 有希も古泉くんもみくるちゃんも、こんな目に会わずに済んだかもしれないのに!」 いやハルヒ これにはいろいろと事情があってだな 「黙りなさいっ!!!」 ハルヒは再び俺をグーで殴った そしてハルヒはくるっと体を反転させて佐々木に指を突きつけた 「神さまになりたいのなら好きにすればいいわ 世界を作り変えたいのならいつでもどうぞ ただし、1つだけ言っておくわ あたしの大事なSOS団員に指一本でも触れたら、今度はただじゃおかないからね! あんたがどこの世界のどんな神さまだろうと、あたしが必ず探し出してこの世から消し去ってやる!」 佐々木はしばらく呆然とハルヒを見ていたが やがてクスクス笑いだした 「さすがは涼宮さんね やっぱり私はかなわないわ ちょっとだけだけど神さまなんて言われていい気になってたのかもしれないわね ごめんね涼宮さん あなたの大事な仲間をこんな所にまで連れて来てしまってごめんなさい でも1つだけ分かってほしいの あの子は全然悪くないから あの子のために、この世界を作り直すエネルギーを分けてほしいって頼まれて それで周防さんにも協力してもらって今回の作戦になったの 責任は全て私にあります。憎むなら私を憎んで下さい だけどこの子は別だから。一人ぼっちでここで生きていくのがかわいそうだと思ったから だからこの子だけは許してあげて」 ハルヒは無邪気に笑う新入生をじっと見た 「あなた、名前は?」 「名前はまだありません」 「もう北高はやめちゃうの?」 「えっと、まだ決めてません」 「そう、じゃあいいわ。でもこれはもうしばらく預かっとくから、後で学校に取りに来なさい」 「はい!」 ハルヒはそれ以上何も言わずに戻ってきた 呆然とする古泉と、泣きじゃくる朝比奈さん、そして無表情のままで涙をこぼす長門を俺の前まで引っ張ってきた 「さあキョン、帰るわよ」 ああ これだけ暴れりゃ充分だろ 暴れ足りないのはハルヒだけじゃないのか? 「・・・キョン」 え? 「マジで殺されたいの?」 ・・・・・・ 「帰るわよ」 俺たちは輪になって手をつないだ 「みんな、目を閉じて元の世界を念じるのよ 有希のマンションのあの部屋をね」 「・・・・・・それでは不足・・・・・・終わらせない・・・・・・」 後ろから小さな声が響き、長い髪の毛を狼のように空気で膨らませた周防九曜が襲いかかってきた ハルヒの持っているオーパーツを目がけてギラギラした光の束が襲いかかる すぐに反応したのは長門だった 高速呪文を唱える余裕はなく、長門は瞬間移動でハルヒの前に立った 「有希!」 長門は小さな体を太い光に貫かれ、その目を大きく見開いている 「有希!」 「長門さん!」 長門! 「・・・・・・いい・・・・・・肉体の損傷は無視できるレベル」 周防九曜はその長い髪が大きく膨れ上がり 小柄な体を5倍ほどの大きさに見せていた 「・・・・・・ここで終わる事はできない・・・・・・あなたは美しくない・・・・・・」 長門が素早く詠唱し、俺たちを包むように、白い光の壁が発生した 「早く戻った方がいい」 「・・・・・・あなたは美しくない・・・・・・この場所にはふさわしくない」 周防九曜の体もオレンジ色の光に包まれ、ゆっくりと空中に浮かびあがった すかさず長門が追従し、同じように空中に浮かんだ 「有希!もうやめなさい!もういいのよ!」 「このインターフェイスを残しておくのは危険。私が始末する」 おい長門、もうやめよう。こんなの放っといてみんなで帰ろうぜ 「それはできない。このインターフェイスは暴走を始めている」 暴走? 「そう」 「・・・・・・私は今日、習いました。言葉の意味を・・・・・・これはお花です。とても美しい・・・・・・あなたが好きです・・・・・・お前は死ね」 長門、こんなの相手にして大丈夫なのか? 「勝算はある。早く退避を」 おい佐々木、ここは危険だ。お前も全員連れて帰れ ハルヒ、俺たちも帰ろう 「でも有希が・・・」 長門が勝算があるって言うんだから信じようぜ 「有希・・・」 「・・・・・・私は、歩きます。遠くのお空に。明日は、お肉を、食べました」 見守っているうちに周防九曜の様子が明らかにおかしくなっていた 第1形態が指からの光線の矢、第2形態は髪の毛の槍 とするとこれが第3形態なのか、オレンジ色の球体に包まれたその体から次々と光の束が長門に向かってほとばしった 長門は素早く詠唱しながらその光を直前で跳ね返し、返す刀でオレンジ色の光に切り込んでいった 「キョン、私たちはこれで戻る事にするよ」 ああ佐々木、ここは危険だ 「君たちも無事帰ってきてくれよ」 もちろんだとも。気をつけてな 佐々木と橘京子、そして藤原の姿が消えた おいハルヒ、俺たちも帰ろう 「でも・・・有希が・・・」 帰ろうとしないハルヒの気持ちは俺にもよく分かる ようやくハルヒにも今までの俺たちの行動が読めてきたのだろう 自分の知らない場所で行われてきた壮絶な出来事に目を丸くし、また長門を1人残しておけないという気持ちは俺たちももちろん一緒だ 上空で繰り広げられるすさまじい戦闘に、俺たちは目を奪われていた 周防九曜は次々と攻撃を繰り出し、長門はそれを防ぎながら何やら光を出して攻撃もしていた 下から見ている俺たちには戦況はさっぱり理解できない やがて飛び道具では埒が明かないと見たのか周防九曜は距離を詰め、再び黒髪の長い槍を四方八方から突き立ててきた 何本かずつまとめて払い落していた長門だったが、そのうち数本が無残に体を貫いた 「有希!」 「私は大丈夫。それより早く帰還すべき」 「あんたを置いて帰れるわけないでしょう!」 「置いて行っていい。必ず戻る」 「本当?」 「本当」 「絶対に帰って来なさいよ!有希!」 「約束する」 まだ名残惜しそうなハルヒをせきたて、俺たちは再び手をつないだ するとまだあの新入生が残っているのに気がついた。おい、お前はこっちに来なくていいのか? 「ここが私の世界ですから」 こっちは今から危険な状態になるかもしれないんだぞ 「構いません。その時はそちらの世界に行きます」 絶対生きろよ、こっちでもあっちでもいいから 「はい!ありがとうございます先輩」 「さあみんな祈って!向こうに帰れますように。・・・・・・有希が無事に帰って来れますように」 足元が激しく揺れ、時間移動とも次元震ともまた違う感覚の後で、俺たちは再び固い地面に立った 「ほわーっ」 朝比奈さんの溜息とともに、ようやく地球に帰ってきた事を実感した 出発点と同じ、長門のマンションだった。そこにはまだ佐々木たちがいた 「無事帰ってきたね」 ああ 「どんな様子だったの?」 まだ長門と周防が戦ってるよ どうやら異常動作を起こしたらしい 「本当に申し訳ない。我々の仲間なのに何もできなくて」 まあしょうがないだろ。何しろまともに会話もできないヤツだったからな 「古泉くん」 「はい?」 「みんなを連れて帰って」 「えっ?」 「みんなを家まで送ってあげて」 「しかし長門さんがまだ・・・」 「いいから!」 「はい、では後はよろしくお願いします」 古泉はまだ泣きじゃくっている朝比奈さんを抱き起こし、佐々木たちも連れてマンションを出ようとした 「ふん、結局規定事項の確認のみか、骨折り損とはまさにこの事だな」 藤原がつぶやいて立ち上がった 「俺はここで失礼するぜ。どうやらこれ以上の展開はなさそうだしな。ところであんた」 こいつは俺の朝比奈さんをあんた扱いするのか?許さん 朝比奈さんがビクッと体を震わせた 「は、はいっ?」 「つまらない任務だったけど、あんたと戦えてよかったよ」 「ふぇっ?」 「まさか7億年前に連れていかれるとは思わなかった」 「あっ、あっ、あれはその涼宮さんの・・・」 「途中で時間の流れについていけなくなった。気絶するとは時間移動員失格だな おかげさまですごいものを見せてもらった。さすがは歴史にその名を残している人物だけの事はある これは禁則だけどな」 「えっ?えっ?」 「あんたに出会えてよかったよ、朝比奈みくるさん。今度会う時は・・・その・・・禁則だ」 「へ?」 「ありがとう、大先輩」 藤原は意味不明な禁則事項を連発しながら朝比奈さんと握手を交わし、佐々木に軽く頭を下げ、俺たちを一瞥してその場から消えた 「何なのよあいつはいったい」 「わわわわたし・・・・・・」 どうやら藤原ってのは朝比奈さんよりもまだ未来の人間なのか しかしちょっと聞こえたけど、朝比奈さんが歴史に名前を残すとか 「じゃあ、あとで必ず連絡を下さい。何時になっても待ってますから」 古泉はそう言って残りの全員をまとめ、マンションを出ていった 俺は別に帰れとも言われなかったのでそのまま残っていたが、誰もいなくなるとハルヒが口を開いた 「さあキョン、もう一度行くわよ!有希を助けに」 へっ そう言うと思ってたよ団長さま どこまででもついていってやるぜハルヒ 地獄の底まででもな 俺とハルヒは手をつないで、再び長門の部屋の額の前に立った 「行くわよキョン」 ああもちろんだとも 呼吸を合わせ、まさに飛び込もうとする寸前に 「・・・・・・行かなくていい」 背後から小さな声がかかった 「有希!」 長門!帰って来れたのか? 「帰ってきた」 長門は布団をすっぽり首までかぶっていた 黒い瞳は大きく見開かれたままだ 「有希!よかった!帰ってきてくれて」 「帰って来ると約束した」 長門・・・ 無事だったか 周防はどうなったんだ? 「・・・・・・周防九曜は消滅した。暴走を止めることはできなかった」 あの新入生は? 「まだあそこにいる。でもまたこの世界に来たいと言っていた」 「本当に?有希?」 「そう。そのオーパーツを取り戻しに来る」 「これ?」 「そう。それは彼女にとってとても大事なもの」 「ふうん・・・・・・」 なあ長門 「何?」 ちょっと布団めくってもいいか? 「ちょっとキョン!こんな時に何エロ目線になってんのよっ!」 違うぞハルヒ ちょっと心配だったから 長門が傷ついてるんじゃないかと思ってな 「・・・・・・見ない方がいい」 ん? どうしてだ長門? 「通常の神経構造を持っている人間にはこの状態はかなりショックを受けるはず。だから見ない方がいい」 「有希!あなた怪我したの?どうなの?」 「肉体の損傷はすぐに再生できる。でも少し時間がかかる」 「有希・・・・・・」 ハルヒは構わずに布団をめくり上げようとする 俺は・・・すまん長門・・・ ちょっと耐えられそうになくて、思わず目を背けてしまう 「万が一にもこれを映像化しようなどという野望があるならここは自粛すべき」 長門は内側から布団を押さえ、ハルヒに抵抗していた 「医療技術者でもこの状態は正視に耐えないレベル・・・見ないで」 「有希、本当に大丈夫なの?」 「大丈夫」 おいハルヒ、長門が嫌がってるんだ、もうやめておけ 「分かったわよ・・・」 「頼みがある」 「何?有希」 「・・・・・・もう帰ってほしい」 「ん?」 「・・・・・・肉体の回復がうまく進行しない。エラーが発生している」 何か問題があるのか長門? 「情報処理にエラーが頻発している・・・・・・原因は・・・・・・禁則」 長門? それまでまっすぐ上を見つめたままの長門が首だけを横に曲げた その寸前に、大粒の涙が頬を流れ落ちるのが見えた 「・・・・・・お願い・・・・・・帰って・・・」 長門・・・・・・ ごめんな お前の気持ちに・・・・・・俺は応えてやれなかった それが・・・お前の禁則なのか? 俺の目の奥が、なぜかじんわりと熱くなってきた 長門の禁則の理由が何となく理解できる すまん長門 それでもまだ長門の布団を引っぺがそうとしているハルヒを引きずるようにして、俺は長門の寝室を出た 「有希!来週には絶対学校に来るのよ!」 「・・・・・・それは約束できる」 「じゃあね!絶対よ!」 長門 「・・・・・・・」 また部室でな 「・・・・・・・ありがとう」 俺とハルヒは長門の部屋を後にし、黙ったままでエレベーターに乗った マンションの玄関を出ると、そこには佐々木が待っていた 「ごめんなさいね涼宮さん。いろいろ迷惑かけて」 「もういいってば」 「長門さんは帰ってきたの?」 「今帰って来たわよ」 「周防さんは?」 「・・・・・・戻らなかった」 「ふうん、やっぱりか。結局私は仲間を守れなかった あなたはちゃんと全員を無事に連れて帰ってきたのにね。やっぱり私はリーダー失格か」 「そんな事ないわよ、どうしようもない事もあるし」 ああそうだよ佐々木。周防は暴走していた ああするしか方法はなかったみたいだからな あの長門がそう言ってたんだから 「だけどキョン、僕がもっとうまくやれば、その暴走を食い止められたかもしれない」 それは結果論だろ 周防は帰って来れなかったけど、後は全員無事だったんだから もうそれでいいんじゃないか? あの新入生もまた帰って来るよ。オーパーツを受け取るためにな 「そうか・・・・・・君がそう言ってくれるのなら・・・納得するよ。ねえ涼宮さん?」 「ん?」 「周防さんはいなくなっちゃったし、藤原さんは元の世界に戻った だけど私と橘さんはまだこの街にいるわ もしかしたら、また私たちが出会う事もあるかもしれないんだけど、その時は・・・・・・」 「その時は?」 「友達として会ってくれるかな?」 ハルヒはまだ怒りを含んだ目で佐々木を見ていたが、しばらくしてその目が柔らかく光った 「もっちろんよっ!一緒に冒険した仲間なんだから! これからもまた、不思議探しの旅に出るのよ!」 おいハルヒ これだけものすごい体験をしておいてまだ足りないのかよ それに北口周辺なんかに不思議が落ちてるはずないって これだけやってもまだ学習してくれないのかお前という女は 「当たり前じゃないのバカキョン これからは不思議を発見するだけじゃなくて作りだすのよ 誰かが言ってたでしょう! 『待ってるだけでは冒険は訪れてくれない』ってね!」 ほう その誰かってのはもしかしたら頭に黄色いリボン巻いて 仲間を危険にさらすのが得意な北高の女子の事じゃないでしょうね? 「それは今までの話よ!これからはね、あたしがあんたたちを守ってあげるんだから!」 やれやれ このバカの脳下垂体を解剖して、一度長門に学術調査でもしてもらいたいもんだ 「佐々木さん!あんたたちもこれからは準団員として認定してあげるから、たまには不思議探索に加わる許可を与えるわ」 「本当に?ありがとう」 「その時は新人として十分にこき使ってあげるから覚悟しときなさいねっ!」 「はい!団長!」 何だこの2人はいったい 完全に意気投合してるじゃないか 史上最悪の神様のツートップだ 1958年ワールドカップのブラジル代表チームでも勝ち目はないだろう ハルヒと佐々木はしばらく盛り上がっていたが 「じゃあ帰るね涼宮さん」 「うん、またね」 「じゃあねキョン、涼宮さんをお願い」 これ以上何をお願いするんだよお前は?もう勘弁してくれ マンションの前で佐々木と別れ、俺はハルヒと手をつないだ 7階の窓から誰かが見下ろしている気配も感じたのだが、残念ながら俺にはどうする事もできない 銀河系中の長門マニアに殺意を持たれてしまったのか それとも喜んでもらえたのか やれやれだよ全く [[リンク名 涼宮ハルヒの共学 4]] その4に続く
https://w.atwiki.jp/haruhioyaji/pages/14.html
ハルヒと親父3−家族旅行プラス1 その1 ハルヒと親父3−家族旅行プラス1 その2 ハルヒと親父3−家族旅行プラス1 その3 ハルヒと親父3−家族旅行プラス1 その4 ハルヒと親父3−家族旅行プラス1 その5 ハルヒと親父3−家族旅行プラス1 その6 ハルヒと親父3−家族旅行プラス1 その7 ハルヒと親父3−家族旅行プラス1 その8 家族旅行で見る夢は (スピンオフ)
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/3554.html
前回、二学期の終了直前に起こった「消失」事件は、宇宙人長門が原因によるもので幕を閉じた。それから1年半は経ったのだが、どうやら処分は軽いもので終わったらしい。その真冬で無駄で、面白くもなんともない3日間を過ごし、挙句の果てに朝倉にまた殺されかけたりと色々厄介な事ばっかりだった。全く違う高校の制服を着たハルヒと古泉。面識のない朝比奈さんと鶴屋さん、さらには感情がある長門。俺には合わない世界だった。またそれではっきりしたのだ。ハルヒといる世界は楽しい、おもしろいと。まあこれは閉鎖空間のときと同じ感覚だな。 で、それはもう終わった事だと思っていたのだが、明日7月5日よりまたその悪夢が始まるとは夢にも思わなかった。 涼宮ハルヒの消失2 7月4日、放課後のSOS団室(文芸部室)。またハルヒに関連のあるあの日がやってこようとしていた。もちろん奴は騒ぎ出す。 「そろそろ七夕ね……」 「お前、確か去年は私有地の竹切ってきただろ」 「そうよ、だから何?」 「いや、今年はやるなよと言いたいだけだ」 「まだそんなこと言ってるの? 一本や二本くらい大丈夫だって」 というか、まだ去年の笹が残っているのだがな。枯れてしまっているが。 「では僕が用意しましょう」 古泉! 「さすが古泉君、キョンみたいに無能じゃないわ!」 悪かったな、無能で。俺は朝比奈さんの煎れたお茶を啜る。真夏の茶は熱い! いつもどおり長門は座って読書をし、ハルヒはネットしながら模索。朝比奈さんは何か編んでるし、俺と古泉はボードゲーム。 去年みたいに、朝比奈さんとタイムスリップしたりすることはなさそうだ。いや、無くて当然だ。ジョン=スミスは2回そこにいた。1回目は去年朝比奈さんとそこに行き、当時中1のハルヒと運動場に落書きしたこと。2回目は長門による世界の変革で、俺がそこに朝比奈さん(大)とタイムスリップし、ハルヒに「世界を大いに盛り上げるためのジョン=スミスをよろしく!」と言った事だ。 3回目の俺に思い当たる節は無い。おそらくハルヒもだろう。だったら俺は4年前に行く事にはならないはずだ。 「次はあなたの番ですよ」 「ああ」 俺は白を置き、黒を5枚白した。 7月5日、俺の恐れていた事が始まった。朝目覚めて気づいたのは、俺の身長が少し低くなっている事だ。Why? さらに衝撃を受けたのは、妹が幼すぎる事。母も父も若干若返ったように見える。俺は訳が判らず、朝刊の日付を見た。 「7月5日……!」 時代が4年遡っている事に気づいた。しかも肉体的若返りを遂げて。他の人間はすべてその当時の記憶ではあるが、俺の記憶だけは4年後の記憶だった。 つまり、精神年齢17才が、突如肉体年齢が13才になったということだ。慌ててクローゼットを見ても無駄、そこには北高の制服は無く、ただ中学校の制服が置かれていた。当然夏なのでカッターシャツを着るしかない。 「どうなってんだ……」 続く
https://w.atwiki.jp/amezo11337205107/pages/40.html
ハルヒ(はるひ) SOS団ではない方の人。 久しぶり♥ 2017年08月15日(火)17時33分17秒(小学生) ハルヒです 2017年08月15日(火)17時28分33秒(広場) コメント一覧 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/haruhi-2ch/pages/62.html
涼宮ハルヒの憂鬱II(2006年放送版第03話、構成第02話・DVD版第03話/2009年放送版・時系列第02話) スタッフ 脚本:山本寛 絵コンテ:北之原孝将 演出:北之原孝将 作画監督:米田光良 原作収録巻 第1巻:『涼宮ハルヒの憂鬱』より第2章のP66からP96まで、第3章P108~P119まで。計39ページ分をアニメ化。原作から再構成・時系列改変が行われた。 DVD収録巻 『「涼宮ハルヒの憂鬱」第1巻』に収録 紹介・解説など 原作の時系列が組みかえられているので、原作から入ってきた人は新鮮かも。ちなみにまだ古泉は未登場。TV版で見ていた人は、次回で混乱すること請け合い。 この回以降、2009年春までの作品において、Ani Villageなど会社単位で原画をグロス出しすることはなくなる。 (CLANNADなどでは、個人単位では発注している) 2006年放送順の提供バックのねこマンは『ツッパリねこマン』。(DVD第02巻に収録) 次回予告 TV版(『涼宮ハルヒの憂鬱』第1巻に収録): ハルヒ:次回!涼宮ハルヒの憂鬱第7話! キョン:違う!!次回、涼宮ハルヒの憂鬱第4話『涼宮ハルヒの退屈』。んえっ!?次野球?父ちゃん、俺はやるのか? DVD版: 有希:次回、『涼宮ハルヒの憂鬱 III』。見て。 放送版とDVD版との違い みくるがハルヒによってコンピ研につれられてきた後にTV版では、いないといけない場所にみくるがいない場面があったがDVD版では修正されている。 DVD版では、鞄の追加や、カーテンが閉まっているかの有無、ドアの上部の修正などの修正箇所が多数。 パロディ・小ネタ 展開がいきなり翌日になるところで『付いて来い』と言っている。 ピー音は原作では『りんかん』と言っている。 コンピ研の部員が見ているのは、『2ちゃんねる』。ちなみにIEで閲覧。 キャスト・スタッフ(詳細) キャスト 1段目 キョン:杉田智和 涼宮ハルヒ:平野綾 長門有希:茅原実里 朝比奈みくる:後藤邑子 2段目 谷口:白石稔 国木田:松元恵 朝倉涼子:桑谷夏子 キョンの妹:あおきさやか コンピ研部長:小伏伸之 部員A:石上祐一 部員B:ヤスヒロ 部員C フルヤミツアキ スタッフ 脚本:山本寛 絵コンテ:北之原孝将 演出:北之原孝将 作画監督:米田光良 動画検査:栗田智代 美術設定:田村せいき 美術監督補佐:平床美幸 色指定検査:下浦亜弓 制作マネージャー:富井涼子 原画 高橋博行 紫藤晃由 大藤佐恵子 松尾祐輔 端 由美子 松尾恵里 Ani Village 動画 佐藤綾 紅林誉子 多田夏美 細田はな Ani Village 仕上げ 永安真由美 嶋智子 山森愛弓 北岡なな子 Ani Village 背景 Ani Village李天馥 林貞女我 柳丙慮 申允美 李美眞 撮影 中上竜太 田中淑子 高尾一也 山本倫 石井和沙 浜田奈津美 梅津哲郎 (ポストプロダクションなどは省略) 放送日程 2006年(野球中継などは考慮せず) チバテレビ:2006年4月16日24時00分-24時30分 テレ玉:2006年4月16日25時30分-26時00分 tvk:2006年4月17日25時15分-25時45分 KBS京都:2006年4月17日25時30分-26時00分 テレビ北海道:2006年4月17日26時00分-26時30分 サンテレビ:2006年4月18日24時00分-24時30分 TBC東北放送:2006年4月18日26時00分-26時30分 東京MXテレビ:2006年4月19日25時30分-26時00分 テレビ愛知:2006年4月19日26時28分-26時58分 広島ホームテレビ:2006年4月22日26時05分-26時35分 TVQ九州放送:2006年4月22日26時40分-27時10分 2009年 サンテレビ:2009年4月9日24時40分-25時10分 テレ玉:2009年4月9日25時00分-25時30分 新潟テレビ21:2009年4月9日25時45分-26時15分 東京MXテレビ:2009年4月10日26時30分-27時00分 tvk:2009年4月10日27時15分-27時45分 TVQ九州放送:2009年4月11日26時40分-27時10分 テレビ和歌山:2009年4月12日25時10分-25時40分 テレビ北海道:2009年4月13日25時30分-26時00分 KBS京都:2009年4月14日25時00分-25時30分 広島テレビ放送:2009年4月14日25時29分-25時59分 チバテレビ:2009年4月14日26時00分-26時30分 奈良テレビ:2009年4月14日26時00分-26時30分 仙台放送:2009年4月14日26時08分-26時38分 メ~テレ:2009年4月14日27時55分-28時25分(1、2話連続放送:2話目) Youtube:2009年4月17日22時00分-2009年4月22日21時59分(1話とともに配信停止) RKK熊本放送:2009年10月25日25時50分-26時20分 DVDチャプター 使用サントラ 0 00~0 44『やれやれおいおい』サントラ05収録 0 45~1 50 SE 1 51~3 21 OP 3 22~3 53 SE 3 54~4 58『ザ・強引』サントラ05収録 4 59~5 26 SE 5 27~6 43『コミカルハッスル』サントラ06収録 6 44~7 25 SE 7 26~9 09 『何かがおかしい』サントラ02収録 9 10~11 17 SE 11 18~12 10『激烈で華麗なる日々』サントラ05収録 12 11~12 27 SE 12 28~14 04『おいおい』サントラ02収録 14 05~14 48 SE 14 49~15 24『悲しみあふれる』サントラ08収録 15 25~16 12 SE 16 13~17 47『うんざりだ』サントラ03収録 17 48~18 21 SE 18 22~18 41『憂鬱の憂鬱』サントラ02収録 18 42~20 45 SE 20 46~22 20『長門の告白』サントラ03収録 22 21~23 24 ED 23 25~23 39『冒険でしょでしょ?予告アレンジ』サントラ02収録 一覧 新アニメ 1期時系列 1期放映順 DVD 原作小説(巻) コミック収録巻 アニメサブタイトル #01 第01話 第ニ話 第01巻 憂鬱(1) 第01巻 涼宮ハルヒの憂鬱 I #02 第02話 第三話 第01巻 憂鬱(1) 第01巻 涼宮ハルヒの憂鬱 II #03 第03話 第五話 第02巻 憂鬱(1) 第01巻 涼宮ハルヒの憂鬱 III #04 第04話 第十話 第02巻 憂鬱(1) 第01巻 涼宮ハルヒの憂鬱 IV #05 第05話 第十三話 第03巻 憂鬱(1) 第02巻 涼宮ハルヒの憂鬱 V #06 第06話 第十四話 第03巻 憂鬱(1) 第02巻 涼宮ハルヒの憂鬱 VI #07 第07話 第四話 第04巻 退屈(3) 第03巻 涼宮ハルヒの退屈 #08 - - 新第01巻 退屈(3) 第03巻 笹の葉ラプソディ #09 第08話 第七話 第04巻 退屈(3) 第04巻 ミステリックサイン #10 第09話 第六話 第05巻 退屈(3) 第04巻 孤島症候群(前編) #11 第10話 第八話 第05巻 退屈(3) 第04巻 孤島症候群(後編) #12 - - 新第02巻 暴走(5) 第05巻 エンドレスエイト #13 - - 新第02巻 暴走(5) 第05巻 エンドレスエイト #14 - - 新第03巻 暴走(5) 第05巻 エンドレスエイト #15 - - 新第03巻 暴走(5) 第05巻 エンドレスエイト #16 - - 新第04巻 暴走(5) 第05巻 エンドレスエイト #17 - - 新第04巻 暴走(5) 第05巻 エンドレスエイト #18 - - 新第05巻 暴走(5) 第05巻 エンドレスエイト #19 - - 新第05巻 暴走(5) 第05巻 エンドレスエイト #20 - - 新第06巻 溜息(2) 第05巻 涼宮ハルヒの溜息 I #21 - - 新第06巻 溜息(2) 第05巻 涼宮ハルヒの溜息 II #22 - - 新第07巻 溜息(2) 第05-06巻 涼宮ハルヒの溜息 III #23 - - 新第07巻 溜息(2) 第06巻 涼宮ハルヒの溜息 IV #24 - - 新第08巻 溜息(2) 第06巻 涼宮ハルヒの溜息 V #25 第11話 第一話 第00巻 動揺(6) 未制作 朝比奈ミクルの冒険 Episode00 #26 第12話 第十二話 第06巻 動揺(6) 第06巻 ライブアライブ #27 第13話 第十一話 第06巻 暴走(5) 第07巻 射手座の日 #28 第14話 第九話 第07巻 オリジナル 未制作 サムデイ イン ザ レイン
https://w.atwiki.jp/haruhi-2ch/pages/73.html
涼宮ハルヒの憂鬱Ⅵ(2006年放送版第14話、構成第06話・DVD版第07話/2009年放送版・時系列第06話) スタッフ 脚本:志茂文彦 絵コンテ:石原立也 演出:石原立也 演出補佐:坂本一也 作画監督:池田晶子 原作収録巻 第1巻:『涼宮ハルヒの憂鬱』より第7章(P250)とエピローグ最後(P300)まで。計50ページ分をアニメ化。 DVD収録巻 『「涼宮ハルヒの憂鬱」第3巻』に収録。 紹介 2006年放送順最終回でクライマックス。時系列順でも憂鬱編最終回でクライマックスだが、アニメだけでも8話の短編が残っており通過点にすぎない。 時系列では次のエピソードは『涼宮ハルヒの退屈』となる。 OPカット、EDは本編とともに冒険でしょでしょ?が流れる。 2006年放送順の提供バックのねこマンは『レンジャーねこマン』。(DVD第06巻に収録) 次回予告 TV版: (放送順で最終回なので次回予告はなし) DVD版: 有希:次回、『涼宮ハルヒの退屈』。打って。 放送版とDVD版との違い Aパート最初、ハルヒの腕がないのを修正。 ED入る直前のタイトルロゴにDVDでは著作権クレジットが追加。 最終カットで2006年放送版ではズームアウトするが、DVD版ではそのままの大きさのまま終わる。 パロディ・小ネタ キャスト・スタッフ(詳細) キャスト 1段目 キョン:杉田智和 涼宮ハルヒ:平野綾 長門有希:茅原実里 朝比奈みくる:後藤邑子 古泉一樹:小野大輔 2段目 谷口:白石稔 キョンの妹:あおきさやか スタッフ 脚本:志茂文彦 絵コンテ:石原立也 演出:石原立也 演出補佐:坂本一也 作画監督:池田晶子 動画検査:中野恵美 美術設定:田村せいき 美術監督補佐:平床美幸 色指定検査:竹田明代 制作マネージャー:栗須貫大 原画 渡邊政治 植野千世子 堀口悠紀子 秋竹斉一 福島正人 唐田洋 大更麗子 岡野文恵 内藤直 動画 中峰ちとせ 黒田久美 栗田智代 大川由美 仕上げ 佐々木祥子 宿谷葉子 田口真由美 小浦千代美 一ノ瀬益美 背景 細川直生 篠原睦雄 袈裟丸絵美 加藤夏美 川内淑子 松浦真治 伊藤豊 撮影 中上竜太 田中淑子 高尾一也 山本倫 石井和沙 浜田奈津美 梅津哲郎 (ポストプロダクションなどは省略) 放送日程 2006年(野球中継などは考慮せず) チバテレビ:2006年7月2日24時00分-24時30分 テレ玉:2006年7月2日25時30分-26時00分 tvk:2006年7月3日25時15分-25時45分 KBS京都:2006年7月3日25時30分-26時00分 テレビ北海道:2006年7月3日26時00分-26時30分 サンテレビ:2006年7月4日24時00分-24時30分 TBC東北放送:2006年7月4日26時00分-26時30分 東京MXテレビ:2006年7月5日25時30分-26時00分 テレビ愛知:2006年7月5日26時28分-26時58分 広島ホームテレビ:2006年7月8日26時05分-26時35分 TVQ九州放送:2006年7月8日26時40分-27時10分 2009年 サンテレビ:2009年5月7日24時40分-25時10分 テレ玉:2009年5月7日25時00分-25時30分 新潟テレビ21:2009年5月7日25時45分-26時15分 東京MXテレビ:2009年5月8日26時30分-27時00分 tvk:2009年5月8日27時15分-27時45分 TVQ九州放送:2009年5月9日26時40分-27時10分 テレビ和歌山:2009年5月10日25時10分-25時40分 テレビ北海道:2009年5月11日25時30分-26時00分 KBS京都:2009年5月12日25時00分-25時30分 広島テレビ放送:2009年5月12日25時29分-25時59分 チバテレビ:2009年5月12日26時00分-26時30分 奈良テレビ:2009年5月12日26時00分-26時30分 仙台放送:2009年5月12日26時08分-26時38分 メ~テレ:2009年5月12日27時55分-28時25分 Youtube:2009年5月13日22時00分-2009年5月20日21時59分(1週間限定配信) RKK熊本放送:2009年11月22日26時15分-26時45分 DVDチャプター アバン(0:00~3:35) Aパート開始(3:36~4:18)※題名無し平凡な日常(5:19~7:09) 灰色の世界(7:10~9:50) 2人、文芸部部室にて・・・(9:51~11:48) Bパート開始(11:49~13:03)※題名無し長門からの伝言(13:04~14:42) 神人現る!(14:43~16:53) 破壊されゆく校舎、文芸部(16:54~18:34) sleeping beauty(18:35~20:14) ED(20:15~22:45) いつもの待ち合わせ場所にて(22:46~23:40) 使用サントラ 0 00~0 15 SE 0 16~1 24『いつもの風景』サントラ02収録 1 25~1 38 SE 1 39~3 04『うんざりだ』サントラ03収録 3 05~3 43 SE 3 44~4 30『何かがおかしい』サントラ02収録 4 31~5 28 SE 5 29~6 27『ある雨の日』サントラ08収録 6 28~7 21 SE 7 22~9 10『閉鎖空間』サントラ04収録 9 11~9 55 SE 9 56~12 57『虚無的空間』サントラ04収録 12 58~14 42 SE 14 43~19 03『グスタフ・マーラー「交響曲第8番」 第1楽章』収録なし 19 04~20 13 SE 20 14~22 04『冒険でしょでしょ?』サントラでは収録なし 22 05~22 18 SE 22 19~23 39『そして、いつもの風景』サントラ04収録 23 40~23 55『冒険でしょでしょ?予告アレンジ』サントラ02収録 一覧 新アニメ 1期時系列 1期放映順 DVD 原作小説(巻) コミック収録巻 アニメサブタイトル #01 第01話 第ニ話 第01巻 憂鬱(1) 第01巻 涼宮ハルヒの憂鬱 I #02 第02話 第三話 第01巻 憂鬱(1) 第01巻 涼宮ハルヒの憂鬱 II #03 第03話 第五話 第02巻 憂鬱(1) 第01巻 涼宮ハルヒの憂鬱 III #04 第04話 第十話 第02巻 憂鬱(1) 第01巻 涼宮ハルヒの憂鬱 IV #05 第05話 第十三話 第03巻 憂鬱(1) 第02巻 涼宮ハルヒの憂鬱 V #06 第06話 第十四話 第03巻 憂鬱(1) 第02巻 涼宮ハルヒの憂鬱 VI #07 第07話 第四話 第04巻 退屈(3) 第03巻 涼宮ハルヒの退屈 #08 - - 新第01巻 退屈(3) 第03巻 笹の葉ラプソディ #09 第08話 第七話 第04巻 退屈(3) 第04巻 ミステリックサイン #10 第09話 第六話 第05巻 退屈(3) 第04巻 孤島症候群(前編) #11 第10話 第八話 第05巻 退屈(3) 第04巻 孤島症候群(後編) #12 - - 新第02巻 暴走(5) 第05巻 エンドレスエイト #13 - - 新第02巻 暴走(5) 第05巻 エンドレスエイト #14 - - 新第03巻 暴走(5) 第05巻 エンドレスエイト #15 - - 新第03巻 暴走(5) 第05巻 エンドレスエイト #16 - - 新第04巻 暴走(5) 第05巻 エンドレスエイト #17 - - 新第04巻 暴走(5) 第05巻 エンドレスエイト #18 - - 新第05巻 暴走(5) 第05巻 エンドレスエイト #19 - - 新第05巻 暴走(5) 第05巻 エンドレスエイト #20 - - 新第06巻 溜息(2) 第05巻 涼宮ハルヒの溜息 I #21 - - 新題06巻 溜息(2) 第05巻 涼宮ハルヒの溜息 II #22 - - 新第07巻 溜息(2) 第05-06巻 涼宮ハルヒの溜息 III #23 - - 新第07巻 溜息(2) 第06巻 涼宮ハルヒの溜息 IV #24 - - 新第08巻 溜息(2) 第06巻 涼宮ハルヒの溜息 V #25 第11話 第一話 第00巻 動揺(6) 未制作 朝比奈ミクルの冒険 Episode00 #26 第12話 第十二話 第06巻 動揺(6) 第06巻 ライブアライブ #27 第13話 第十一話 第06巻 暴走(5) 第07巻 射手座の日 #28 第14話 第九話 第07巻 オリジナル 未制作 サムデイ イン ザ レイン