約 774,142 件
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/5838.html
涼宮ハルヒの三つ巴 人間、生きていく上で決して逃げてはならないことというものが存在する。 ましてや、それが本人にとって是が非でも避けて通れないとなれば、時として勇気をもって言わなければならないこともあるのだ。 周りにどんな視線があろうともそれによって躊躇してはならない。 そう、俺は今まさにそんな心境で自分の中の勇気をすべて振り絞る瞬間に立ち会わなければならなかった。 なぜならば―― 「ハルヒ、今度の日曜日、ちょっと付き合ってくれないか?」 俺のこの一言は、古泉から爽やかな笑みを奪い、朝比奈さんからはお茶を淹れている最中だということを忘れさせ、普段、よほどのことがない限り、視線をハードカバーから外すことのない長門までもが俺を見上げたのである。 いや、俺自身で分かっている。 俺がこんなことをハルヒに言うなんてのはいったいどれだけの異常事態なのかを。 それに比べれば、閉鎖空間の中にダース単位で《神人》たちが新世界創造の為の破壊活動を行っていたとしても、「あー今日も巨人たちが頑張ってるなぁー」とのどかな声をかけながらのんびり眺めていたところで誰も文句を言うまい。 「どういうつもり?」 しばしの時間停止があってハルヒがどこか戸惑いと胡乱を足したような瞳で俺を見つめて問いかけてきた。 「そのまんまの意味だ。何も言わずに付き合ってくれるとありがたいんだが」 「どうして理由が言えないのよ。まさかいかがわしい場所に連れて行くつもりじゃないでしょうね?」 断じて違う。ただ、その場所に行くためには男女ペアでなければならんからだ。 別段、恋人同士である必要はないがな。 「ふうん。なら、あたしじゃなくて有希かみくるちゃんでもいいんじゃない?」 「つまり、お前は断るということか?」 「そうね。あたしはパスするわ。まあ、あんたがその日に予定入れたなら、今回の不思議発見パトロールは土曜日にしてあげる。 団長のあたしなりの心遣い、感謝しなさいよ」 むろんだ。今度の日曜日を空けてもらえるなら、今回の不思議発見パトロールの際の奢りは俺が一番早く来ようとも仰せつかってやるさ。 「何言ってんの。毎回、あんたが一番遅れてくるんだから、そんな約束しなくたって、どうせ、あんたの奢りになるわよ」 実のところ、「……こ、恋人同士って言うなら考えてもよかったんだけど……」という呟きが聞こえたのだが、それは聞かなかったことにしておこう。ヘタにツッコミを入れるとなんとなく嫌な予感がする。 「そうかい」 そう言って俺はハルヒとの会話を打ち切り、長門にしようか朝比奈さんにしようか考えた。 なんたってハルヒ公認で二人で出掛けられるのだ。変な罰ゲームを喰らわされることもあるまい。 で、俺は今回ばかりは長門に視線を向けた。 朝比奈さんの苦笑を横目に捉えてしまったが、すみません。今度、何かあったときは朝比奈さんを誘わせていただきます。 なんせ、長門には俺は返しきれないくらいの借りばかり作ってしまっているんだ。 こんな時でなければ恩返しができんからな。 つってもまあ、長門にとってこれが楽しめるかどうか分からんのだが…… 「なあ長門、今の話の通りで今度の日曜日に……」 「了解した」 早っ! 「ええっと……本当にいいんだな……?」 「わたしも楽しみ」 長門の無表情だが、どこか今にも微笑みそうな顔の動きを俺は見逃さなかった。 「あらぁ~~~良かったわねキョぉン……有希とデートできるなんてぇ~~~有希もまんざらじゃなそうだしぃ~~~」 団長席から俺の背中に、とっても鋭い棘生えまくりの言葉が浴びせられました。 あまりに怖くて振り向くことはできないのだが、おそらくハルヒは半月ジト目で不気味な半笑いを浮かべていることだろう。 って、おい。お前はさっき、俺の誘いを断ったんだぜ。だったら、んな嫌味をかまさんでくれよ。 「心配いらない。彼もわたしも楽しみにしているのは別のこと」 おおっと長門、今回はフォローしてくれるのか!? 珍しく長門がハルヒに意見するのを聞いてそう思わずにはいられない俺。 なんたって、去年の年末の中河のときのやつは当事者であるにも関わらずまったくのノータッチを貫き通したんだからな。 「ときに長門さん、いったい彼はどこに出かけるおつもりなので?」 微笑を浮かべた古泉が割って入ってくる。 理由はなんとなく想像できるな。 古泉の役割、ハルヒのご機嫌どりのためには俺たちがどこに出かけるのかを今、ここで知っておきたいところだろうから。 まあ相手も決まったんだ。俺も隠し立てする必要もあるまい。 長門が淡々と、しかしどこか妙に楽しげな音階が含まれているような気がした声を発した。 ま、長門のことだ。俺が何に誘おうとしたのかを知ったとしても不思議はないしな。 などと軽く思った俺だったのだが、どうやらその考え方は相当甘かったらしい。 「平野綾、茅原実里、後藤邑子の音楽ユニット・AMIYUのコンサート」 瞬間、部室が白黒反転したかのような衝撃が走ったのであった。 「ちょっとキョン! なんでそんな大事なことを先に言わないのよ! てことはあんた、あの抽選に当たったの!?」 イの一番に声を張り上げたのは実は俺の予想外の人物・涼宮ハルヒだった。 「あの抽選ってことは……ハルヒ、お前も応募したって訳だな」 「当然でしょ! 確かにあたしは前にあんたに話した通り、人と違うことを求めるタイプだけどAMIYUだけは話は別よ! 周りが吸い込まれそうになるくらいの存在感を放っていることはあたしも認めるわ!」 そ、そうなのか? つーことはだ。これは参ったな。俺はてっきり、流行を嫌うハルヒなだけに理由を言うと問答無用で断られると思ったし、かと言って後々、ハルヒのいないところで長門か朝比奈さんを誘い二人で出かけて、それがバレた時のことを考慮した結果、まずハルヒに声をかけることにしたわけなのだが―― 「AMIYUのコンサートならあたしが一緒に行ってあげるわ! いいでしょキョン!」 いやあのな…… 俺があきれた声をかけようとする前に、まったく予想だにしなかった声を聞いた。 「拒否する」 って、長門!? 「あたしも行きたいな」 朝比奈さんまで!? 「ときにそのコンサートは絶対に男女ペアでないと入れないものなのでしょうか?」 古泉、お前もか!? 俺は今、異様な光景を目の当たりにしている。 ハルヒはもちろん、巷の流行なんぞとは誰よりも縁遠いはずの宇宙人、未来人、超能力者の面々が勢い込んで俺に迫ってくるのである。 いったいこれはどういう冗談なんだ? 全員、あのコンサートチケットの抽選に応募していたのか? などと心の中で四人に質問してみたのだが、むろん、声には出せなかった。 詰め寄られてしばし沈黙。四人とも俺の次の句を待っている。 そろそろ誰かが「なんてね」と切り出して、この空気を霧散させてくれるとひじょーにありがたいのだが、どうやらその雰囲気がまったくない。 仕方なく俺は恐る恐る口を開いた。 「すまん古泉。お前も応募したなら知っていると思うが、男女供に絶大な人気を誇るAMIYUのコンサートは男女常に同数で見に行かなければならないんだ」 「そうですか……」 古泉が珍しく落胆のため息を漏らし、いつもの、俺とボードゲームをする際の俺の対面の場所へとすごすご引き下がる。 「てことは、後はあたしたち三人の内の誰かってことね」 「みたいですね」 「そう」 一度、ハルヒ、朝比奈さん、長門が目を合わせて火花を散らす。 「で、キョンは誰と行きたいの?」 「む、無茶言うな! これじゃ俺が誰を選んでも後々、酷い目に合いそうな気がするぞ! ハルヒたちで決めてくれ! とてもじゃないが俺には決められん! 今回ばかりは文字どおり、相手は女子であれば誰でもいいんだからな!」 どこか殺気さえ漂わせたSOS団三人娘の迫力満点の詰め寄りに思わず俺は情けない声をあげていた。 「ふむ。それもそうね。じゃあ、あたしたちで決めるわよ。いいわね?」 「あ、ああ……頼むから穏便に決めてくれよ……」 俺は嘆息して古泉の対面へと引き返し、しかし少し思い当たることがあったんで、 「なあ古泉。どうしてハルヒが抽選から外れたんだ?」 「え……? 何か言いました……?」 こ、こいつは……いつまで淀んでやがる! 仕方がないのでももう一度、同じセリフを繰り返す俺。団長席の付近ではハルヒたちが話し合いをしている。 もっとも、ここから見ても分かるが三人とも周りの音など聞こえていない。 おそらく、今、戦闘機が強烈な爆音を立てて上空を飛び去っていこうが気にしないのではなかろうか。 「キョンは先にあたしを誘ったのよ。団長として団員の陳情は聞くべきだわ」 「しかしあなたは断った。わたしは了承した。わたしが行くべき」 「いいえ。キョンくんはあたしを誘うと後々、どんな目に合うか分からないのであたしのために、あたしに声をかけなかったんです」 引かない朝比奈さんってのは初めて見たな…… というか、普段、あれだけ無感動無表情の長門までを虜にするAMIYUを褒めるべきか。 「で、どういう理由でハルヒは当たらなかったんだ?」 たぶん、今なら俺と古泉が、普段なら絶対にハルヒの耳に入れるわけにはいかない会話をしていたとしても問題はないだろう。 「ああ……それはおそらく涼宮さんの中の矛盾がそうさせたのではないかと……」 思いっきり落胆した声を漏らす古泉だが、とりあえず暗い声色は無視することにして。 あっそうか。そういうことか。 ハルヒには確かに世界を自分の都合よく変革する力があるわけだが、それを自覚していない。 また、ハルヒは世界に不思議が起こってほしいと思う反面、起こるはずがないという思いも持っている。 つまり、もし今回、ハルヒが一心に自分も当たるよう念じたならば抽選に漏れることはなかったかもしれないが、心のどこかで応募総数を想像した時に『当たらない可能性の方が高い』と思ってしまったのではないかと想像する。こうなるとハルヒの力が発動することはない。 ちなみに俺が当たった理由は正に偶然だ。 まあもっとも俺はそこまでクジ運は悪いと思っていないがな。 なぜかって? 決まっている。 いったい、この世のどこにカミサマもどき、宇宙人、未来人、超能力者といった摩訶不思議な存在が一同に顔を合わせているような空間で一緒にいられる奴がいると思う? それこそ、このコンサートのクジが当たるよりもはるかに低い確率だぞ。そんな低確率をくぐり抜ける俺だし、ましてや幸運なことが舞い降りることの方が少ないんだからたまにいことがあったっていいだろう。 まあ宝くじとか言った金銭にまつわるクジ運には恵まれないがな。くそ。 「団長命令よ」 「こればっかりはいくら涼宮さんでも譲れません」 「わたしが誘われた」 三人娘の話し合いはまだ終わりそうにない。 仕方がないので古泉にもう一度振ってみる。 俺としては軽い気持ちで単なる話題作りのつもりでしかなかったのだが。 「なあ、お前の機関とやらで、もう2枚ほど手配できないものか?」 俺の言葉を聞くなり、古泉がハッとした顔を上げた。 「そうですね。聞いてみます!」 言って、即座に部室を飛び出す古泉。 ああ……っと、提案してしまったのは俺だが、なんだかちとまずい気がしたぞ。 完全な職権乱用だよな……というかはたしてハルヒを観察するための機関とやらがAMIYUの為に動くのだろうか。 古泉が出てしばらくしてから、 「じゃあ恨みっこなし! クジで決めましょう!」 ハルヒの高らかな宣言が聞こえてきた。 ふと振り返れば、いったいどこから調達したのか、いつものパトロール班分け用爪楊枝をハルヒが握っていた。 もちろん今回は三本で一本に赤い目印が付いているのだろう。 「当たった人がコンサートよ」 「分かりました」 「了承した」 三人とも実に真剣な瞳で頷いている。まあ取っ組み合いのケンカされるくらいならこの方が健全だ。 それにしても、いったい誰に当たるのだろう。 よくよく考えてみれば、である。 本命は世界を都合よく改変できる能力を持つハルヒか。 今回は応募総数と比べるなら確率はわずか三分の一である。当たらないかも、などとは考えまい。むしろ何が何でも当ててやる、と思っているはずだ。 しかし相手は二人とも対抗馬であって、ダークホース、穴、大穴などではない。 なぜなら情報操作がお手の物で俺も何度かその力の世話になっている長門と、その気になれば未来に連絡を取って爪楊枝のどれに印が付いているかを知ることができる朝比奈さんなのだから。 長門と朝比奈さんの様子を見ていると、おそらく今回ばかりは不正だろうが禁則事項だろうがぶっちぎって反則してくるであろうことは容易に予想できるってもんだ。 現実、朝比奈さんは今、瞳を伏せて胸に手を合わせて何かを念じている。 どうもその姿が俺には未来と連絡を取っているような気がしてならない。 それにコンサートに俺と一緒に行く程度のことが世界を揺るがすほどの過去干渉とは思えんしな。 正直言って、誰に当たるのか想像もできんぜ。 「せーので全員一緒に引くこと。いいわね? せーのっ!」 ハルヒの掛け声と同時に三人とも手を伸ばす。 もっともハルヒは右手に爪楊枝を持っているので左手を伸ばすのだが―― って、おい!? …… …… …… そうかそうか。よく考えたらそうなるよな。どれが当たりくじかは(ハルヒは無自覚だが)三人とも分かっているんだ。三人とも同じ爪楊枝を摘むわな。 あーこれはもうどうしようもないぞ。たぶん、三人とも譲るつもりはないだろうし。 が、ハルヒが実に建設的なことを言ってきた。 「あたしが先に掴んだと思うけど?」 「う……」「……」 朝比奈さんがうめき声をあげて、長門が三点リーダ沈黙。 確かに俺の目から見ても一番先に掴んだのはハルヒだった。 しかもハルヒは長門や朝比奈さんと違ってそれが当たりだということを知らないで掴んだのである。 先に掴んだものに優先権があるのは仕方がないし、長門と朝比奈さんは答えが分かっていた以上、諦めるしかない。 ううむ。やっぱズルは良くないということなのだろうか? ただ、ハルヒの能力を考えるならそれが一番のズルのような気もするのだが、ハルヒが知らない以上、長門と朝比奈さんにはそれがイカサマだと突き付けられる証拠がない。 かくして。 AMIYUコンサートにおける俺のもう一人の相手は涼宮ハルヒとなったのである。 と、この時は思っていたのだが。 当日、日曜日。 光陽園駅北口、SOS団御用達の場所にはSOS団全員が集合していた。 もう説明の必要はないよな。 そう。古泉の機関の手回しがあと二枚のチケットをゲットしてきたのである。いったいどうやったのかを知りたくて古泉に訊いてみたが、とんでもない答えが返ってきた。 「チケットを手に入れないと涼宮さんが暴走するかもしれません、と言っただけですよ。嘘は付いていません。もし涼宮さんが当たりくじを引かなければそうなっていた可能性は否定できないのですから」 いやまあ……なんつうか…… 「ご心配なく。ちゃんと譲ってくださった方々にはそれ相応の謝礼を差し上げております。そうですね、おそらく十年は遊んで暮らせるほどの資金を提供させていただいて――」 「もういい」 俺は古泉の話をばっさり切り捨てた。これ以上は絶対に聞かん方がいいだろう。 つか、お前、性格変わってないか? あっそうそう。実は今回、もう一人、特別ゲストが招待されている。 チケット三枚に対して、男女ペアは三組いるのである。 俺はクジで決まっていたハルヒ、古泉は朝比奈さん、で、もう一組は長門と、という訳だが誰だか分かるかい? もし国木田か谷口と思ったなら違うぜ。あの二人はセット扱いだ。さらに一人余る事態を招くだけだからな。 では誰か。 答えはお隣さん。コンピ研の部長さんだ。もちろん、彼もAMIYUのコンサートと聞いて二つ返事でOKしたさ。 ちなみに、なぜ彼なのかというとだな。国木田や谷口以上に部長さんは長門と面識があるからなんだ。 なんせ長門はコンピ研の特別部員だからな。 ましてやこの部長さんには、我らがSOS団団長殿が相当お世話になっている。パソコンのことは勿論、機関誌発行にも力を貸してもらった。 ただ、彼は朝比奈さんに狼藉を働いた(働かさせられたとも言う)身であり、お互い気まずい思いを抱くであろう二人でペアを組ませる訳にもいかず、結果、長門が部長さんとペアを組むことになったんだ。 まあもっとも。 古泉、朝比奈さん、長門、部長さんの席は横並びではあったが、チケット入手方法が違う俺とハルヒはこの四人からはちょっと離れていた。 盛り上がるコンサートの内容の描写は省かせてもらう。 というか、俺も夢中になっていたんで周りに何が起こっていたかなんてさっぱり覚えていないんだ。もちろん、俺だけじゃない。ハルヒも大音量で声援を送っていたさ。 もっともそんなハルヒの声も心地よかったくらいだ。 で、コンサートのラストで、だな。 「それでは今回のペアはこの二人にします!」 って、はい!? 壇上からリーダーの平野綾さんが俺とハルヒの座席番号を叫んだのである。 周りからは落胆の声と歓声が沸き起こる。 AMIYUのコンサートではラストに来場したファンの中から一組選ばれて、数多くの課題が書かれた何万通の封筒の中から一つ課題を選び、それをAMIYUと供に実行するというイベントがある。 もっともこれはコンサートの名物であって、これがなかなか大受けしているものなのだ。 「ね、ねえキョン……これって……」 「いやまあ……これに当たるとはさすがに思ってなかったんだが……」 俺とハルヒは互いに戸惑いながらそんな会話を交わしている。 ただ、その課題にはかなり突拍子もないことも含まれている場合もあるのだが…… 確かあまりに突拍子のないことであれば拒否権を発動して課題チェンジが可能だったよな……? そんないまだに戸惑いの表情を隠せない俺たちの両脇に茅原実里さんと後藤邑子さんがにこやかな笑顔を浮かべながら俺たちをエスコートし始めた。 もうなし崩しに従うしかない。 いったいどんな課題が待っているのだろうか。 不安と期待が渦巻く中、俺たちはAMIYUに囲まれる。 俺たちが並んで立ったところで平野綾さんが俺たちをフルネームで紹介してくれた。 ううむ。本名で呼ばれたのは実に久し振りな気がするぞ。 「では封筒を一通選んでください」 後藤邑子さんが朝比奈さんを彷彿とさせる笑顔で甘く甲高い声をあげる。 と、同時にスタッフが数多の封筒が収められた透明のボックスを俺たちの前に置いた。 「ハルヒ、お前が引いてくれ」 「分かったわ」 言ってハルヒが上部の穴から腕を突っ込み、ガサガサさせることしばし、 そして一通の封筒が、今度は茅原実里さんに手渡される。 その中身は―― 「――という平野綾さん主演の物語の一番のベストシーンを演じること」 って、ちょっと待てぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ! 長門張りに淡々と読み上げた茅原実里さんの言葉に俺は心の中で絶叫した。 誰がこの封筒を投函したかは知らんがとんでもない課題を突き付けてくれたのものである。確かにアレは名シーンであることは認めるがここで素人にやれと言うのか!? しかも、そのシーンつったら…… あー隣でハルヒも力いっぱい困った顔をしているぞ。 ま、まあ……嫌がってはいないようだが…… 「あの……本気ですか……?」 気がつけば、俺は観客を盛り上げている平野綾さんに戸惑いの声をかけていた。 「何か問題でも?」 「いや……大問題だと思うんですが……」 「そうかしら? そっちの彼女はまんざらでもない顔しているし大丈夫なんじゃない?」 「ええっと……」 「それに」 平野綾さんの笑顔の明るさがさらに増した気がする。つか、まるで会心の悪企みを思い付いた時の300ワット増しのハルヒの笑顔とダブるぞ。気のせいか? 「今、キミはそっちの彼女のことを下の名前で呼んだわよね? だったらこの課題くらい日常茶飯事の仲なんじゃないの?」 と同時に巻き起こる指笛と口笛の嵐。 待て待て待て。俺とハルヒはまだ……って訳でもないが高校生なんだ。んなこと公衆の面前でやれるほどの度胸を持ち合わせてなどいないぞ。 という俺のツッコミを平野綾さんは聞くことなく再び観客を盛り上げていたのである。 この時点で俺の拒否権発動の権利は完全に失われてしまったようだ。 と、同時に俺とハルヒは控室へと連れて行かれた。 さて、課題に書かれていたシーンがどんなシーンだったのかというと―― 俺たちは着替えもすまされて壇上に再び進まされた。 もう逃げ出すことはできないが、できれば逃げ出したいところである。 マジか? マジでやらなきゃならんのか? 「諦めましょキョン。仕方ないじゃない」 「お前はいいのか?」 「んまあ少しは躊躇う気持ちもあるけど割り切るしかないわね」 「割り切りって……んな簡単に……」 「何言ってんの。いいこと」 言って、俺の耳を引きちぎらんばかりに自分の口元へと引き寄せるハルヒ。 「あたしはあんたが相手じゃなかったら断ってた」 少し頬を染めたハルヒの、俺以外に誰も聞こえないような小声の一言が俺に思い切りを持たせてくれたのは言うまでもない。 平野綾さんが声を張り上げる。 「それではセリフはあたしが男の子役を、邑子ちゃんが女の子役をやります! 二人はそれに合わせて演技してくださいね!」 やれやれ。分かったよ。分かりました。 やってやろうじゃないか。もうやけくそだ。 諦観のため息をひとつついて俺はハルヒに向き直る。 ハルヒも俺を上目づかいに見つめた。 そしてハルヒの肩に俺は手を置き、平野綾さんと後藤邑子さんが台本を読みはじめたのである。 とっても豊かに情緒あふれるこのシーンにぴったりな声で。 『なによ……』 『俺、実はポニーテール萌えなんだ』 『なに?』 『いつだったかのお前のポニーテールはそりゃもう反則なまでに似合ってたぞ――』 ……たぶん、これがハルヒがAMIYUに共感した一番の理由だな。 そう、俺たちが演じることになったシチュエーションは何故か、去年の五月のあの日、前振りや経過はさておき。この部分だけは俺とハルヒが演技ではなくやったこととまったく同じだったのである。 しみじみと思う――偶然だと信じたい、と―― この涼宮ハルヒの憂鬱SSはフィクションであり、 実在する人物、団体、事柄、その他の固有名詞などとは何の関係もありません。 嘘っぱちです。 一部勝手に作ったものもありますが、どこか似ていたとしてもそれはたまたま偶然です。 他人の空似です。以上。
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/5585.html
「遅い罰金」 皆々様ごきげんよう。 本日は大抵の日本人なら惰眠を貪る事でお馴染みの日曜日だ。 が、しかし今日の俺はその人間の枠からしっかりと外れている。 勘違いするな、だからと言って何も禁術を使って人外の存在になったとかそんなんじゃあない。 単純に早起きをしたってだけだ。 日曜日に早起きなんてって声が聞こえてきそうだが、そんな嘲笑は今俺が手にしている幸福感その1、その2にを前にしたら粗末な息子の粗末なカスみたいなもんだ。 「な、何であんたがあたしより先に着いてるのよ!それに罰金って何よ!!」 幸福その1。涼宮ハルヒに罰金刑を言い渡す。 「何でってお前より先に着いたからに決まってるだろ?それとも何か、この世界にはお前より先に集合場所に着いて罰金を言い渡しちゃならない決まりでもあるのか?」 積年の恨み?をここぞとばかりにぶちまかすってのは実に心地が良いもんだ。 今なら禁欲を破った時の仏陀の気持ちが手に取るように分かるぜ。 さあ、ハルヒよとっとと朝飯をおごって貰おうか?この為に早起きして朝飯を抜いてきたんだ、故にペコペコなんだよ。 お腹と背中が創世合体寸前だ。 「く…、キョンの癖に生意気よ……はあ…まあいいわ、今日の所は私の負けを認めてあげるわ」 よしよし、ツンでもデレでもなく素直なハルヒも可愛いぞ。 思わず頭をがしがし撫で回したくなる。 「ほらキョン、あたしがおごってあげるんだから早く来なさい!今日は色々な所連れて行ってくれるんでしょ!?今日は、初デ、デデデートなんだからしっかりしなさいよ!」 幸福感その2。今日はハルヒとの男と女の関係になってから初のお出かけ。 勘違いするなよ、まだ手は出していない。…口は突き出したが。 まあ、今日はハルヒの言う通りデートである。 先日俺はハルヒに対し積もりに積もった感情をぶちまけさせてもらった。 さっきのような恨みではない。 わざわざ青臭い言葉を選ぶなら『恋心』ってやつだ。 詳細は首吊り必死なので省かせてもらうがハルヒはそんな俺の想いを受け入れてくれ今の関係に至るってわけだ。 その時のハルヒの表情といったらもう…墓場に持っていったらご先祖様が嫉妬の炎で墓石を焦がしてしまうんじゃないかって位のもんだった。 ともかく、団長と団員その1って関係でわなく彼氏と彼女って関係になったわけだ。 「ほ、ほらさっさとする!ちんたらしてたら置いてくわよ!!」 まあ、ハルヒにイニシアチブを握られてるって事には変わりないんだがな。 しかし、流石に一人の男としてそいつは情けない状態であるからして… 「分かった分かった今行く…」 「!!!!????」 そっちはイニシアチブを握ってるわけだからお前さんの手を俺が握ってもなんら問題はないよな? それぐらいはいいだろハルヒ? 「…………バ、バカキョン」
https://w.atwiki.jp/haruhi_best/pages/39.html
涼宮ハルヒのSS 厳選名作集 長編 涼宮ハルヒの覚醒 「みんな……ありがとう。」 …。 …。 …何で俺達は長門にお礼を言われているのだろうか? 皆を見てみるが皆困惑の表情を浮かべている。 でもそんな事はどうでも良い。 だって…。 長門が今、最高の笑顔で微笑んでいるのだからな…。 …。 …。 …状況が分からない? …。 …。 …安心してくれ。 俺にもさっぱり分からない。 いつも通りの放課後、昨夜みた夢の話をしていた時に突然長門が立ち上がり俺達にお礼を言ったのだ。 しかしさっきも言った通りそんなことはどうでも良い。 長門が微笑んでいる。 それで良いじゃないか…。 …。 …。 …しかしこの後、俺達に予想できない悲劇が起こる…予想出来なかったとしても誰が俺を責められようか…? …。 …。 …。 長門が口を開いた。 「言葉だけでの感謝では足りないと思い料理を作ってきた。」 …。 …。 …時が止まった。 あくまで俺と朝比奈さん、古泉の3人だけだが…。 「有希、何作って来たの?」 「肉じゃが。」 「へぇ~、美味しそうね。」 「今から温める。」 「手伝うわ。」 長門とハルヒはガスコンロへ向かい肉じゃがを鍋に移し温め始めた。 …。 …。 「…集合。」 俺の言葉に従い、朝比奈さんと古泉が俺のそばに来た…2人の顔には悲壮とか絶望とかそんな感じの物が浮かんでいた。 おそらく俺にも同じ物が浮かんでいる事だろう。 …。 「で…何の罰ゲーム何だこれは?」 「…僕には思いあたる事はありません。」 「わたしもです…。」 さっぱり分からん…しかし一つだけ分かっている事。 このままでは俺達の命は長くない。 …。 …。 「とりあえず長門さんに謝りませんか?」 「そうですね…僕達が何をしたのかわかりませんが…謝りましょう。」 「ああ、心の底から謝れば長門もきっと分かってくれるだろう。」 俺達は長門の所へ向かった。 …。 …。 『ごめんなさい。』 …。 …。 俺達は長門に頭を下げた。 …。 …。 …正直に言おう。 頭を下げたどころでは無い…俺達3人は長門に土下座をしていた。 特に示し合わせた訳では無い。 俺と朝比奈さん、古泉は当たり前の様に土下座していた。 俺達がどんなに必死か分かっていただけただろうか? …。 …。 「…意味が分からない。」 「何やってんの?あなた達?」 長門とハルヒは不思議そうな目で俺達を見つめている。 「いや…俺達が何かお前にしてしまったんだろ?」 「今後は僕達一同気を付けますので怒りを収めて頂けませんか?」 「ううっ…お願いしますぅ~。」 …。 …。 「理解不能…私は怒ってなどいない。」 「…だって…ならなぜ肉じゃが?」 「…感謝を形にしただけ…それに肉も沢山手に入ったから。」 ……肉って…たしかミノタウロス? …。 …。 どうやら長門は怒っている訳では無く本当に感謝の証として肉じゃがを作って来たみたいだ。 「じゃあまずはアタシが味見するわね。 団長の特権よ。」 そう言ってハルヒは肉じゃがに箸を伸ばした。 ハルヒ…それは味見じゃ無い。毒味だ。 頼むぞ団長殿。 …。 ハルヒは肉じゃがを箸で口に持っていこうとしたが…口から10cmぐらいの所でその動きが止まった。 …どうしたハルヒ? …。 「あれ…何でだろう…これ以上手が動かないの…。」 ハルヒは手を震わせながら言った…どういう事だ? 「…なるほど。 マッスルメモリーですね。」 古泉はそう呟いた。 マッスルメモリー? 「何だそれは?」 「マッスルメモリー…筋肉の記憶。 涼宮さんはその力…いや、都合の良い頭でしたか…。 …まぁそれにより前回の悲劇を覚えていません。 しかし頭は覚えていなくても体は覚えているのです…これを食べてはいけないと…。」 「なるほど…で、どうなるんだこれから?」 「わかりません。涼宮さんの頭が勝つか…体が勝つか。」 …。 …。 ハルヒの体、すまない。 きっとお前は生きるために今必死で闘っているんだよな…でもハルヒには毒味役としてその役割を全うしてもらわないといけない。 だから頑張れ、ハルヒの頭…。 …。 …。 時間にしたら1分ぐらいだろう。 ハルヒの頭と体の闘いはやはりハルヒの本体とも言える頭に軍配が上がった。 …。 …パク。 …。 次の瞬間、ハルヒはスローモーションの様にゆっくりと倒れ…動かなくなった。 …。 …。 …ゴッドスピード涼宮ハルヒ…。 …。 …。 「はわわわわわわ…」 「や…やはり…。」 「悪夢再び…か。」 長門は呟いた。 「また美味しすぎて気絶した。」 …。 本気で言ってるな長門。 次は…誰だ…? …。 長門はゆっくりと振り向き…その瞳は朝比奈さんを捉えた。 「ひ…ひえええ。」 次の瞬間、朝比奈さんは長門に捕まっていた。 「朝比奈さん!!」 「彼女はもう…駄目です。」 「バカやろう!朝比奈さんを見捨てるのか!」 俺は朝比奈さんを助ける為動こうとした…が…。 …。 …。 朝比奈さん…何なんですかその顔は…。 朝比奈さんは助けに向かおうとした俺に潤んだ瞳でゆっくりと首を振った。 その顔はなんて穏やかな…。 そう、これから自分に何が起こるか理解し、それを受け入れた顔…殉教者の様な顔をしていた。 (…今までありがとう。) 朝比奈さんは唇をそう動かし、肉じゃがに向かい口を開けた。 「朝比奈みくる、ありがとう。」 長門はそう呟き朝比奈さんの口に肉じゃがを入れた。 …。 …。 バタッ …。 …朝比奈さんは倒れ…動かなくなった。 …。 …。 (次は…) (僕達…) 長門はゆっくりと振り向いた。 (次はパターン的に僕でしょうね…。) (いや、そう思わせて俺かもしれん。) (長門さんのみぞ知る…ですか。では僕は左に逃げます。) (わかった。俺は右に。) 俺と古泉はアイコンタクトを終え動いた。 …。 …。 ガシッ …。 …。 次は…俺の番だった…。 まてまて!普通俺は最後だろ! 俺が逝ったら誰がこの後を解説するんだ! …。 バタッ …。 俺は長門に押し倒された。 「あなたには苦労をかけた。ありがとう。」 長門はそう呟き箸で肉じゃがを掴み俺の口元に突きつけた。 俺 絶 対 絶 命 ! (古泉、助けてくれ。2人で協力すればきっと何とかなる。 そこの窓から一緒に逃亡しよう!頼む!助けてくれたら冷蔵庫の中のプリンをお前にやるから!) …。 俺から古泉に向けたアイコンタクト。 …。 …。 伝われ!俺の思い。 …。 …。 …。 ~ここより古泉サイド~ …。 …。 彼は今、長門さんに押し倒され最後の時を迎えようとしていた。 絶対僕が先だと思ったのですけど。 …ん?…彼が何か… …!? …そうですか…分かりました。 …。 …。 『俺はもう駄目だ。せめてお前だけでも逃げてくれ。 そこの窓からなら逃げられる。 みんなの分まで生きろ! 後、冷蔵庫のプリンはお前にやる。俺にはもう必要ないからな…あばよ。』 …。 …。 …ですね。分かりました!あなたの気持ち。僕はみんなの分まで生きます!勿論冷蔵庫のプリンも美味しく頂きますので心配無く! …。 …。 僕は彼に微笑み窓に向かった。 …。 …。 タッタッタッ…バッ! 僕は窓に飛び込んだ。 …。 …。 スコーン 「痛!」 ベチッ 「ぐっ!」 …僕の頭に何かが飛んで来て命中し、バランスを崩した僕は壁に激突した。 振り返ると彼が僕を睨んでいる…。 …。 …。 …本当は分かっていました。 …。 …。 『古泉、助けてくれ。2人で協力すればきっと何とかなる。 そこの窓から一緒に逃亡しよう!頼む!助けてくれたら冷蔵庫の中のプリンをお前にやるから!』 …。 …。 …ですよね。 すいません。 でも…しかた無いじゃないですか…。 …。 …。 バタッ …。 …。 彼が倒れた。 …逝きましたか…次は…僕…。 …。 …。 気づくと窓とドアのあった場所はコンクリートの壁になっていた。 …。 今この部室に生きている人間は僕と…。 「古泉一樹、最後のお礼はあなた。」 …この長門有希。 僕は立ち上がり長門さんと向き合った。 「あなたは私を命懸けで助けてくれた。だから一番美味しい所を。」 なんの事だかわかりません。 ただ分かるのはこのままだと確実な死が訪れるということ。 「残念ですが長門さん、その肉じゃが消させてもらいます。」 「…何故?私はあなたの為にこれを作った。それは不許可。」 「僕に…出来ないとでも思っているのですか!」 僕は両手に力を込めた…大丈夫、力は使える。 「怖い顔…あの時と同じ。 ……たしかに素敵かも…。」 さすが普通の時でも異空間化している文芸部室、力の九割ぐらい使える。 でもやはり自分を光の玉に変える事は出来ないみたいだ。 「でもあなたでは私に勝てない。すぐに食べさせて終わりにする。」 …勝率は…一割の一割以下か…絶望通り越して笑えてきますね…。 「ええ、すぐに終わります。僕が肉じゃがを消してね。」 …だがやるしかない。 「…あの時と同じ。」 長門さんは良く分からない事を呟いた後肉じゃが入りのお椀と箸を持ち、僕に突進してきた。 僕も長門さん…いや、肉じゃがへと向かい突進した。 …。 …あれからどれくらい時間がたったのだろうか? おそらく5分ぐらいだと思うが僕には3時間にも4時間にも感じられていた。 …1分がこんなに長いなんて…。 僕の体中が肉じゃがの汁だらけだ。 …背中の汁が一番濃いか。 長門さんは強い…何よりも素早くて攻撃が肉じゃがに当たらない…とことん当たらない! 「何故そんなに頑張るの?」 …逝きたくないからですよ。 長門さんは肉じゃがを掴んだ箸をなぎ払って…!? …肉じゃがが僕の口を掠めた。 「…おしい。」 あと数ミリで口の中に入っていた…。 僕は右手の光を肉じゃがに向かって投げた……やはりよけられた。 「そろそろ終わりにする…肉じゃがが冷める。」 長門さんは再び僕に突進してきた……箸を僕の口に一直線に…。 ーー!? 僕はとっさに体をズラし口への直撃は避けたが汁が口の中に入った。 「ぐっ!」 視界が歪む…足が震える…汁が入っただけでこれか…。 僕はとっさに手を伸ばし長門さんの持つ箸を奪いとった。 良し…取った! …。 …。 長門さんは僕から飛び退いたあと…。 …。 …。 スタスタ …。 …。 新しい箸を取りにいった…。 …。 …馬鹿ですね…僕は。 「…不思議。箸じゃなくてお椀をその光で狙えばあなたの勝ちだったのに…。」 …まったくもってその通りです。 先ほど口に入った肉じゃがの汁のせいか足が動かない…絶体絶命ですね…。 長門さんは再び肉じゃがを箸で掴み僕に突進してきた。 …。 …。 長門さんの動きがゆっくりに見える…これがドーパミン効果ってやつですか…。 この軌道…そのまま口に入って…即死だな…。 …。 …。 …。 「……。」 僕は右手で肉じゃがを掴んだ箸を握りしめていた。 …僕はまだ…死ねない。 そのまま長門さんの腕を掴む。 長門さんは僕が何をしようとしたのか分かったのか飛び退こうとしたが…。 「遅い!」 左手で放つ0距離攻撃。 赤い光に包まれ、肉じゃがは静かに消滅……え? …。 …。 長門さんは僕がそうすると最初から分かっていたかのようにかわしていた…。 「あなたがそうするのは分かっていた。」 次の瞬間僕の口に肉じゃがが入った…。 …。 …。 ズキューン …。 …。 バタッ …。 …。 …。 ~ここより長門サイド~ …。 …。 私が肉じゃがを古泉一樹の口に入れると彼は静かに倒れた。 「お礼完了。」 私の作った肉じゃが…成体ミノタウロス5体分の一番美味しい所を使って作った肉じゃが。 美味しさのあまり気絶するのも無理は無い。 でももう少し食べてもらいたかった…。 「……う…。」 古泉一樹? …。 …。 「…な…長門さん…。」 「なに?」 「…もう一口…食べさせて…もらえませんか…?」 彼は震えながら言った。 「…量が少なかったらしく…逝けませんでした…。」 私の肉じゃがをもっと食べたいと言ってくれている。 古泉一樹…傷だらけになりながら私を助けてくれた…。 そして私の肉じゃがをもう一度食べたいと…。 何…この感情は…エラー? でも…嫌じゃない…。 「…このままでは…生き殺しです…せめて…ひと思いに…。」 私は頷く。 「あ…ありがとう…ございます…。」 そして彼の口に肉じゃがを入れた。 …。 …。 バタッ …。 …。 気絶した。 …。 …。 古泉一樹…みんな…ありがとう。 …。 …。 …。 彼らが目を覚ますのは3日後となる。 …。 …。 …おしまい。 涼宮ハルヒのSS 厳選名作集 長編 涼宮ハルヒの覚醒
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/2743.html
涼宮ハルヒの糖影 起 涼宮ハルヒの糖影 承 涼宮ハルヒの糖影 転 涼宮ハルヒの糖影 結
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/1386.html
ハルヒVS朝倉 激突 1話 ハルヒVS朝倉 激突 2話
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/2871.html
涼宮ハルヒの悲調 ●第一部 何をしていたか思い出すのに、しばらく時間を要した。 やがて目を開けるのを忘れていたことに気づく。 カーテン越しの世界から、濁った光が溶け出している。 そういえばずっと雨だなあ、と口に出すと、ベッドで寝息を立てる朝比奈さんが何か呟いた。 ――何をしているんだろう。思い出したはずなのに、また忘れている。 SOS団が一週間前に解散した。理由は一つ。ハルヒが死んだ、それだけだ。 この事態を飲み込むのは、酒に弱い俺が飲み慣れない日本酒をゲロするよりも早かったが、それで爽快、というわけにはいかなかった。 うすぼんやりとした哀しみはここの所続く雨みたいに降りしきる。 積もることはない。薄い涙の膜が脳みそを綺麗にコーティングしてるみたいだ。 うすぼんやりのままだ。たぶんずっと、おそらくだが。 死んだ次の日、俺たちは――旧・SOS団員は――部室に集まった。 あいつのつけていたコロンの匂いがした。あいつの座った椅子があった。あいつの描きかけの下手糞な絵が。あいつのバニー服が。 誰も何も言わなかった。風が吹いて、カーテンが揺れた。古泉が口を開いた。 「彼女が……涼宮さんが亡くなったことによる影響は……ありません。彼女は死ぬ直前、自らの能力を最大限に利用し――書き換えていたのです」 「……どういうことだ?」 「この世界がこのまま続く、ということですよ。あえて言うなら、僕は普通の人間に戻りました。朝比奈さんはこれからの未来を抹消されていて……いや、どう説明すべきでしょうか? つまり……」 「あたしは、未来人ではなくなった……ってことです。本部とも連絡は取れなくなってました」 「そういうことです。彼女の”本部”も、僕の”機関”も、いずれは自然消滅するでしょう」 結局そのお偉方が何をしていたのか、俺は知ることもできんわけか。それはいいが、じゃあ長門はどうなるんだ? まさか―― 「ええ、そのまさかです。彼女は人間になりました。ありえないことですが……創造主がそう望んだんですから」 改めてハルヒの恐ろしさに気づいた。古泉曰くの「神いわゆるゴッド」とはこういうやつなのだ。 強情で意地っ張りで負けず嫌い。ギリシャ神話に加えて欲しいぐらいだ。 しかし、そう望んだ……とは。 「彼女は……この世界が続くことを願ったのです」 「……」 血液がものすごく遅く流れているのがわかる。俺は力を失って、団長の椅子に座り込んだ。 ありがとよ、ハルヒ……? でもな、意味がねえ。お前の力とやらはまるっきり役立たずだ。 お前がいないんじゃさ。 翌日にSOS団は解散した。 誰も止める者もいなかったし、止めようとも思わなかった。 全校朝会などが開かれて、ハルヒの死は大変に痛ましい出来事だと力説する校長。泣く女子。 俺は曖昧に顔を歪めてみたりもした。それだけだった。 本当に悲しいと涙が出ないらしい。 いつか堰が切れる日が、怖くて仕方がない。 ある雨の日、朝比奈さんは俺を呼び出した。 「もう、あたし、キョン君と仲良くしてもいいみたいなの……だ、だから……」 「朝比奈さん……」 俺たちは急速に近づいた。全校生徒が羨む美女だ。俺は幸せ者だっただろう。 だが。いつだって、ハルヒの顔は脳裏にちらついていた。 彼女と薄暗い部屋でセックスに耽っていても、ハルヒは俺の心の片隅に、確実にいた。 盲目的に俺は彼女を欲した。呼び名も「朝比奈さん」から「みくる」に変わり、彼女も俺を名前で呼ぶ。 ただただ、お互いがお互いを求めていた。何度も何度も交わり、全てを忘れた。 ――そうか。忘れたかったのか。 気づいても俺は求め続けた。 俺は長門とも関係を持った。長門は朝比奈さんと違い奥手だったが、それでも一緒にいるだけで落ち着けた。 放課後、「文芸部」になった部室。オレンジが眩しい部屋の中でキスをした。長門の唇は震えていた。 ふと部屋の隅に置かれたダンボールが目に入る。「団長」と書かれた腕章。 それは長すぎる、短すぎる時間。俺は長門に意識を戻した。 忘れたフリをした、という嘘。 長門の、時折漏らす噛み殺したような喘ぎ声だけが耳に入っていたはずなのに……確かに聞いていた。 「バカキョン!」 「! ……?」 「……どうかした?」 「い、いや……何でもない」 俺は貪欲に長門を欲した。暗がりでも長門の肌は白く透き通っていた。 忘れたいだけ、という真実。動かない。 雨の音は絶え間なく鼓膜を揺らしている。それは紛れもない悲調。 俺は、やはりハルヒの影を忘れることはできない。 ハルヒとは何の関係もなかった。ただ一度キスを……それも夢の中で。 でも、それでも、俺は唇の感触を忘れられない。驚いた顔も。髪の匂いも。温もりも。 その全てが愛おしかった。告白するが、俺はあの一度きりのキスのとき、どうしようもなくハルヒが愛しかった。 ずっとこうしていたいと思ったし、世界がどうなろうと関係なかった。 ただ俺とハルヒがいた。 ●第二部 11月になった。ハルヒが死んでからもう5ヶ月だ。 死んですぐの時には、「なあに、すぐに忘れられるさ」と思っていた。でも違った。俺は未だにハルヒの影を引き摺って生きている。 2ヶ月ほど経って俺は学校になかなか行かなくなった。いや、学校だけじゃない。家にもいたくなくなった。朝比奈さんも長門も一人暮らしだし、俺が望めばいくらでも寝床を提供してくれたので、しまいには家にも帰らなくなった。 やがて、俺は学校を辞めた。俺だけじゃない。朝比奈さんも、長門も、連れ立ってやめてしまった。 俺が二人と関係を持っていることをお互いに知ったときも、怒ったり嘆いたりしなかった。俺と朝比奈さんと長門は同棲を始めた。 そしてひたすら求め合い、堕ちてゆくのみだった。朽ち果てた精神が音もなく崩れた。俺達は生きて死んでいるも同然だった。 忘れたフリをして生き延びた。時間だけ過ぎて俺達を照らした。 ――ハルヒ、俺を笑うか? 季節は、もうすぐ冬になる。 初めて雪が降った日だ。古泉から連絡があった。 「お久しぶりです。元気でしたか?」 「……ああ。お前も元気そうだな」 「ええ、おかげさまで」 「そうか……で?」 「はい?」 「何か用があるんだろ?」 「……ええ。実は、部室を整理していたら……MDを見つけました」 「MD……?」 「ええ。涼宮さんの残したものです」 胸の辺りがぎゅっと締め付けられるような感覚に襲われた。眩暈がして、俺は座り込んだ。 そうか。あいつはいたんだ、確かに。他人の口からハルヒの名を聞くのは久々だった。 「大丈夫ですか?」 「……ああ。そのMDというのは」 「ええ、それが……あなたに宛てたメッセージです」 メッセージだと……? あいつが? 俺に? 何だって言うんだ……? 「何だっていうのかは知りません。僕も聞いていませんから。ただ、『キョンへ』と、そう書かれています」 「……」 俺は古泉に送ってもらうよう頼み、電話を切った。 その場に座り込んで、タバコを燻らしたけれど、落ち着くことはない。 ふとやわらかい感触が背中に重なった。 「どうしたの……?」 風呂上りの朝比奈さんが俺の首に抱きつく。嗅ぎ慣れた石鹸の香りがした。 彼女の吐息が耳にかかって、そうしてまた俺は眠たくなる。 「有希は……?」 「今買い物に行ってるわ……今日もカレーだって」 「俺は好きだな、あいつのカレー」 「ふふ、あたしも」 彼女が俺のうなじに舌を這わせているときも、ハルヒのMDの件は俺の脳みそにこびりついて取れやしない。 思い出すと涙が出そうで、俺は朝比奈さんの胸に顔をうずめた。 そのMDはすぐに届いた。 今は二人とも出かけている。俺一人だ。今、聞くしかない。 「このMDは、涼宮さんが病床に伏せている時に録音されたものです。最後に学校に来たときに部室に隠していかれたものと思われます」 古泉はそう言った。あいつは病気の体をおして部室に来て、そしてこのMDを―― 場面が想像できて、俺は気分が重くなった。俺のためにハルヒが。 ふと、「ああ、悲しいんだな」と気づいた。 俺はMDデッキの再生ボタンに手をかけた。 ゆっくりと、当時には掠れてしまっていたハルヒの、それでもどこか優しい、あの声が流れ出した。 ●第三部 ハルヒの声が止み、MDプレイヤーは耳につく機械的な音で止まった。 俺は涙をぬぐうことをすっかり忘れていて、頬がうすら涼しくも感じるほどだった。 灰色に腫れてむくんだ空から数多の雨粒が落ち、窓に当たって騒いでいる。 その音だけが充満して息苦しい部屋で、俺はさめざめと泣いた。 次の日も雨だったが、かまわず俺はハルヒの墓参りに向かった。 なかなか大きい墓だった。墓標には「涼宮ハルヒ」の文字が燦然と輝いてやがる。 立派なもんだ。金持ちだったからな、あいつは。 俺はお前に渡すものがある。笑わずに受け取ってくれ。頼む。 俺は、昨夜一晩かけて捻り出した思いを綴った手紙を墓前に添え、その場を後にした。 生活は変わっていった。俺も朝比奈さんも長門もいつしか勉強を始め、三人そろって同じ大学に入学した。 やはりみんな、このままの生活を続けるのはいけないと感じていたのだろう。 大学生活も俺たちは存分に楽しんだ。が、恋愛だけはしなかった。 卒業後、それぞれが別の仕事についたが、帰る家は同じだ。いつも長門の作る料理の匂いは俺たちを待っている。 俺は小説家になり、朝比奈さんはモデルになった。長門は専業主婦だ。 なかなかお似合いだろ? 朝比奈さんなんか写真集まで出して、タレント、女優もやってやがる。 俺はといえば小説家だ。何本か書店に並んでるぜ。新進気鋭の売れっ子だよ。 長門は料理の腕をめきめき上げて、家事全般をこなせるいい嫁になった。 だが、俺たちは俺たちの中ですごしていった。結婚するわけじゃない。俺たちはおそらく一生このままだと思う。 このままでいいと思った。そう願った。 せっかく願ってやってんだから、ハルヒ、お前俺たちの願いをかなえてくれ。お前なら簡単だろう? だからさ、頼んだぜ? なあ神様。 ●Per sempre 暗くもなく、明るくもない。 窓を隔てた灰色から漏れる光が、この部屋の唯一の光源だ。 俺はそっと瞼を閉じる。瞳に映る黒、黒、黒。 いや――そうか。瞳の裏には、いつだってその笑顔があった。 忘れたことはない。この50年のうちに起こった幾多の出来事、そのいつだって俺は目を瞑り、その笑顔を思い出していた。 忘れたことはない。共にすごした二人が先に逝ってしまったときも。 忘れたことはない。俺一人、明かりのない部屋の中で静かに聴く雨音……いつだってその笑顔は俺の中にいた。 MDデッキを持ち出す。お前も、よくがんばってくれた。再生ボタンに手をかけ、目を瞑る。 やがて声が流れ出し、俺は深い哀感に駆られるだけ―― 「キョン、聴いてるかしら? 聴いてなかったらぶん殴るわよ! ……聴いてるわね? あたしはたぶん……たぶんそのときには死んでると思うわ。ま、まあ、生きてたら物凄い恥ずかしいけどね! そのときは知らないフリをしてね? しなさいよ絶対! それからキョン以外の人が聴いてたら……今すぐ止めなさい! 団長命令よ! ……ごほん。ええと……そう……キョン。キョンには、伝えなきゃならないことがあるわ。 ううん……あたし……ね、キョンのことが……好きだった。たまらなく好きだったの。今更だけどさ。 あんたが一緒にSOS団を作ってくれたとき、あたしすごい嬉しかった。 まあ、強引にあんたを連れ込んだってのもあるけどね。そこは気にしなくていいわ。 あんたと過ごす一日一日が、あたしは……げほげほっ……ごほっ……ごめん。あたしは……ああもう、何をしゃべったらいいのかしらね? あたし……キョンと出会えて良かった。キョンだけじゃない、有希やみくるちゃんや古泉君とかと出会えて良かった。 でもね、キョン、あたしはやっぱりキョンが一番好きだった。気づいてた? ずっと好きだったの。どうしようもないくらいに。 でも……断られたらどうしようって……あたし、こう見えて臆病なんだ……あ、今笑ったでしょ! 笑うな! ……だから、今言うわ。キョン……愛してる。あ……ごめんね、こんな形で。あたし、メールとか電話で告白する人嫌いなんだけど、まあMDで告白する人はいないだろうから大目に見なさい! ……ごめんね、キョン……死にたくないよ……あたし、まだキョンと一緒にいたい。たくさん遊びたかったし、遊ばなくてもいいからずっとキョンと一緒にいたかった。 この際だから言うけど……あたし、前にキョンと校庭で、その……キスする夢を見たことがあるの。ば、馬鹿にしないでよね! ……嬉しかったんだから。 あの朝、キョンがあたしの髪型を『似合ってるぞ』って言ってくれた時、あたし泣きそうだった。嬉しくて仕方なかったの。 あたし……だめ……涙が止まらないよ……好き……キョン…… ……ぐす………………すん…………………… ……でもね、あたし、幸せ者だわ……キョンが好きなままで死ねる。 幸せ者のままで死ねるから、幸せ者だわ…………ごほっげほっ………… …………キョン、もうさよならだわ……キョン、あたしのこと忘れないでいてくれる? 10年経って20年経って、お爺さんになっても。ずっとあたしを覚えていてね……。 キョン、大好き。じゃあね……」 耳に障る機械音でMDは静かに、止まった。 さよなら。忘れない。
https://w.atwiki.jp/umemidori/pages/92.html
涼宮ハルヒの憂鬱 涼宮ハルヒ 鶴屋さん
https://w.atwiki.jp/atgames/pages/430.html
カッパ ピンク 分類 : ヘアスタイル 2009年 3月 プチコインガチャ
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/5108.html
「でんぢゃらすハルヒ」 ハルヒとみくるは鶴屋に呼ばれて、彼女の家に来ていた。 なにやら、二人に見せたいものがあるらしい。 「やぁやぁ、2人ともよく来たね。 今日は2人に見せたいものがあるにょろ。 これにょろ!!」 そういうと、鶴屋は金で光った大きなものを見せた。 「じゃじゃ~ん、見てほしいにょろ!!」 それは、金色に光った鶴屋の銅像だった。 「どう?めがっさかっこいいでしょ!?」 みくるは、何かおぼろげない様子で 「え…、えぇ。とてもすばらしいです」 「ハルにゃんは?」 「とてもいいじゃない!!すばらしいわ!!」 「でしょでしょ!!あたしの家族の親戚の人があたしのためにって わざわざ作ってくれたにょろ!!2人が喜んでくれてうれしいっさ!!」 話し続けようとした瞬間、その時、 ♪あたしTwinkle twinkle littie MonStAR 暴れだすこの気持ち~ とここで一本の携帯の着メロがなった。 それは鶴屋の携帯だった。 「ちょっと電話しにいくにょろ、3分で戻ってくるから待っててほしいにょろ!! あっ、そうだ。2人に言いたいことがあるにょろ」 ハ み「何ですか?」 2人がそう聞くと、鶴屋は急に血相を変えて 「この銅像壊したら殺すにょろっ!!!!!!!」 みくるは驚き、ビビった。 「のわっ!?」 「いい、壊すんじゃないにょろよ、壊したら絶対許さないにょろよ!!」 みくる「わかりましたから、早く電話しに行ってください」 そうして鶴屋は、この場を後にした。 みくるはふと息を吹き、 「…ふぅ、びっくりしました。 あんな銅像、壊す人なんていませんよ~。 ねぇ? 涼宮さん。」 「……」 ハルヒは無言のままバズーカを持ち、発射口を銅像の方に向けた。 みくるは慌てて、 「ちょ、ちょっと何するんですか!!涼宮さん!!」 「おりゃ~~~~~~~~~っ!!!」 ドカ――――――――――ンッ!! ハルヒはバズーカをぶっ放して、鶴屋の銅像を めちゃめちゃに破壊した。 「しまった―――――――――っっ!!!!! ヤベ――――――――――――――――――ッッッ!!!!!!!!!!!!」 「しまったじゃないでしょ―――――――――――――っ!!!!」 「どうするんですかっ!!!鶴屋さんの銅像壊しちゃって!!!!!!!」 「フフフ、安心しなさい、みくるちゃん、 今日は私が、友達の大切なものをこわした時の謝り方を 教えてあげるわ!!!!!!!」 「(そのためにわざと壊したんですか? 涼宮さん)」 「いい、ポイントは、… 人のせいにすることよ!!」 「何―――――――っ!!!!??」 やりとりをしている間に、鶴屋さんが現れた。 ハルヒは彼女の方に近づいて、 「鶴屋さん!!!」 「ん? どうしたんだい? ハルにゃん」 「鶴屋さんの銅像、みくるちゃんが壊しました!!」 鶴屋は血相を変えて、 「何――――――――っ!?」 みくるも 「え――――――――っ!?」 何が何なのかわからないみくる。そんなみくるに 鶴屋は近づき、 彼女の真正面に立った。 「ち、違うの!! 鶴屋さん!! これは涼宮さんが…! 涼宮さんが!!!!!」 鶴屋はどす黒い声で、 「みくる~、自分のやったことを人のせいにするなんて、 最低にょろ!!」 「違うんですってば!! 本当に涼宮さんg」 「まだそんな事言うの!? どうやらみくるは おしおきが必要みたいね!!さぁ、来るにょろ!!」 「い、痛い!!……」 そういうと、みくるの髪を引っ張り、みくるは鶴屋の家の中に引きずりこまれた。 家の中からは悲鳴と怒号が聞こえてくる。 鶴屋「おりゃ――――――――!!!」 みくる「いやあああああああああああっ!!!!!」 ドスッ、ゴフッ、バキッ、グサッ それを見ていたハルヒは 「強くなってね。みくるちゃん」 と一言つぶやいた。 お仕置きが終わったみくる。鶴屋の家から、傷だらけになりながら出てきた。 「おっ、みくるちゃん、出てきたのね!!よかったわ!!!」 みくるは一人心の中で思った。 いつか、この女殺してやる。 元ネタ 何でしたっけ?
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/2754.html
ハルヒがニート略してハルヒニート その1 その2 その3 終章・前編 終章・後編