約 774,127 件
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/3973.html
信長「おのれ光秀め・・・血迷いおったか」 森蘭丸「殿、敵の軍勢がすぐ傍まで来ております。早く奥へ!」 信長「この炎の中でどこを行こうと変わりはあるまい・・・」 森蘭丸「こんな時に鬼道丸は何処へ・・・」 兵士「もらったあ!」 森蘭丸「くっ・・はあっ!!」 ズシュッ 兵士「ぐああ・・・あ・・・」 ドサッ 森蘭丸「殿・・・」 信長「!」 光秀「くっくっくっ・・・」 信長「光秀…我打ち取りし処で貴様如きが天下を取ろう等無謀の極。何故裏切る?」 光秀「私こそ天下人に相応しい。己が今まで行ってきた残虐と暴虐の数々…死して償え!」 信長「・・・・・」 とある城下町の宿場 キョン「いいじゃないかいいじゃないか」 長門「だめ・・・」 キョン「頼むよ長門一発だけ」 長門「だめ・・・」 キョン「ほーら下着が見えちゃうぞ?」 長門「だ・・・め・・・」 ハルヒ「何をしてるの?」 キョン「ゲッ!ハルヒ」 ハルヒ「こんなことして…覚悟は出来てるんでしょうねキョン?」 キョン「逃げるが勝ちっ」 ハルヒ「あコラ待てー!!このエロキョン!!!」 ハルヒ「あたしが毎日奉仕してあげてるでしょ?それじゃ不満!?」 キョン「い、いいえ・・」 ハルヒ「飽きたの?ねえ飽きたの?・・・・飽きたのね(グスン)」 キョン「そ、そういう訳じゃ・・・」 ハルヒ「もういいわ、ここで別れましょ」 キョン「そ、そんな・・・ハルヒ・・・」 ハルヒ「さいってーよ!!」 タタタタタタタタッ キョン「ああ・・・これからどうしよう・・」 女将「あらあら痴話喧嘩ですこと?」 キョン「いえ、旅の仲間なのですが・・・・」 女将「あら旅をされているの?」 キョン「ええ、目標がありましてね」 女将「町の外は危なくて大変でしょうに」 キョン「そうなんですよ。甲賀者や山賊・・・野武士なんかにも良く襲われたりしますからね。今ウチでは唯一の治療師なんで まあ好戦的ですけど」 女将「あらそれは大変ねえ早く謝っていらっしゃいな」 キョン「しかし・・・」 女将「大切なお仲間がいなくなってもいいの?」 キョン「・・・そうですね探してきます!」 女将「フフフ。いってらっしゃいませ」 とりあえず早く見つけないと・・・まさか町の外には出てないだろうな? 面倒かけやがって全く・・・ 古泉「お急ぎのところ失礼します」 こんな急いでいるところを話しかけるな なんだその爽やか100%のイケメン面は キョン「なんだお前は?今急いでいるんだ」 古泉「古泉一樹と申します。何かお探しものでしょうか?」 キョン「ああそうだ。トビっきりでかいもんをな」 古泉「よろしければ御教え致しますよ?」 …今なんと? キョン「・・・ハルヒがどこにいるか分かるのか?」 爽やかなイケメン面は一枚の薄紙を取り出すとそれに息を吹きかけた すると見る見る内に薄紙は蝶の形を帯び、ひらひらと飛び始めた 古泉「あれの後をつけていけば自ずと探し物に出会えるでしょう。では失礼します」 キョン「あ、ああサンキューな」 式神って奴か?初めて見るぜ なんて事を思いながらとりあえず俺は蝶の後を追ってみる ゆっくりと進む蝶に暫くついて行くと 一軒のお茶屋を前にしてその蝶はみるみる内に薄紙へと戻っちまった キョン「なんて書いてあるんだこの紙・・・読めん、さっぱりだ」 ???「や、やめてくださいですぅ~」 !? なんだこの天使のようなお声は・・・ ハルヒ「いいじゃないの~ちょっとぐらい触らせなさいよ~」 ・・・・お前も一緒か ???「ふえええええええ」 ハルヒ「覚悟なさい!ふふふ・・・」 キョン「一体こんなところで何をしているんだお前は」 ハルヒ「何って見なさいよ!この子すっごく可愛いいでしょ!?しかも何この巨乳? あたしより大きいじゃなのこのこのぉ!!」もみもみ ???「ひゃあああああ!?だめですぅ!!らめええええええ」 キョン「嫌がっているだろう・・・さっさと離してやれ」 ハルヒ「ふん!こんなとこまで追いかけてきて一体何の用よ変態!スケベ!浮気者!!」 キョン「あー…なんだ、さっきは悪かった。つい魔が差しちまったんだ」 ハルヒ「・・・・」 キョン「だからその、機嫌直してくれ。お前がいなくなると色々困るんだ」 ハルヒ「…仕方ないわね。・・・・許してあげるわよ馬鹿キョン」 ???「あ、あのぅ…」 キョン「ああ、さっきはコイツが失礼な事を…どうもすみませんでした」 みくる「い、いえ良いんですっ。あたしは朝比奈みくるっていいます どうぞみくるちゃんとお呼び下さい」(にこっ) キョン(ああああああかわいいぜ)「えっと俺は・・・」 ハルヒ「アタシは涼宮ハルヒ!こっちはキョンよ」 みくる「涼宮さんにキョンくんですね?よろしくお願いします」 ハルヒ「もう一人連れがいるの。ユキって言うんだけど・・・また今度連れてくるわね」 みくる「わかりましたぁ 何か食べていかれますかぁ?」 キョン「ええと・・・じゃあ三食団子を二本」 みくる「少々お待ちくださぁ~い」 ハルヒ「たっだいまー!」 キョン「ここは宿屋だ。もう何日も世話になっているからと言ってただいまはよせ」 長門「…おかえり」 長門さん…あなたもですか キョン「昼間は悪かったな」 長門「いい…それよりあと何日ぐらいこの城下町に滞在するつもり?」 キョン「5~6日ってところか。この町は色々あって面白いな それにお前の脚の怪我だってもう少し様子を見るべきだ」 長門「…そう」 前の洞窟での戦いでコイツが身を挺して俺たちを庇ってくれなきゃ、今頃は全滅か全員大怪我だったろうしな 全くコイツには頭が一向にあがらないね 女将「あらいらっしゃい」 古泉「2~3日ほど泊めて頂きたく伺いました」 女将「あらどうぞどうぞ・・・あら?部屋がいっぱいだわ。他のお客さんと相部屋でも宜しいかしら?」 古泉「ええ、構いませんよ…おや?」 キョン「ん?ああさっきの…あの時は助かったぜ。ありがとな」 古泉「いえいえ、そんな大層な事はしていませんよ」 女将「あら二人は知り合い?丁度いいわ貴方の部屋に入れてあげてちょうだい」 なんですとっ!? …まあ仕方ないか こいつには借りもあるしな 古泉「どうも申し訳御座いません」 キョン「別にいい。それより酒の相手になってくれ」 古泉「もちろんですとも」 キョン「そういえばさっき式神を使っていたな。するとお前は道士なのか?」 古泉「如何にもその通りです。僕は陰陽師・土御門晴友の家系に当たります」 キョン「土御門晴友ってあの天才と呼ばれた安部晴明の直系か?」 古泉「大正解です。良く知っていらっしゃいますね」 キョン「呪術の天才と呼ばれた晴明を知らない奴なんていないだろうよ」 古泉「ハハハ。そう言われてみればそうですね・・・時に貴方は忍ですね?」 キョン「・・・・なぜそう思う?」 古泉「忍には独特の匂いと癖があります。貴方は上手く隠しているようですが・・・ 何故かわかってしまいました」 キョン「…ああ正解だ。だが甲賀者や風魔衆みたいな荒れてる奴らとは違うぜ。俺は伊賀出身だ」 ガラッ ハルヒ「さっきから何ブツブツ言ってんのよキョン」 キョン「勝手に扉を開けるな」 古泉「どうも、初めまして」 ハルヒ「あらお客さん?」 キョン「ああ、相部屋になった」 ハルヒ「ふーん」 キョン「中々面白いぞ。こいつ安部晴明の直系らしい」 ハルヒ「え?てことは陰陽師なの!?」 キョン「そうだ。今酒を飲みながら色々話をしていたところだ」 ハルヒ「へー・・・・キョン、あんたみたいなマヌケ面と違って中々いい男じゃない」 キョン「悪かったなマヌケ面で」 古泉「こちらの方は?」 キョン「ああこいt ハルヒ「涼宮ハルヒ!!拳闘治療師よ。あ、刀術も使うからね」 古泉「万能治療師…と言う事で大丈夫でしょうか?」 キョン「ああ、それでいいと思うぞ」 ハルヒ「ねえアンタ!あたし達と一緒に旅しない?」 キョン「おいハルヒ、向こうにも都合ってもんが」 古泉「何か面白そうですね。詳しく話を聞かせて頂けませんか?」 ・・・・はぁ、やれやれ 涼宮ハルヒの忍劇2
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/5276.html
高校卒業から10年程が経過した、最近高校時代の夢を良く見る、ひょっとしたら今も夢を見ているのかもしれない 今の俺はただ生きている、無意味な時間を過ごし、一人寂しく生きている 高校時代の友人とはもう連絡を取っていないしあいつに集められた3人ももういない 10年前の情報爆発が原因で皆散り散りになった ニヤケ面したやつ、名前なんだったっけ? そいつはわけのわからない組織と共に行方をくらませた マイエンジェルなどと呼んでいたあの人は、自分の時代へ 本が好きだったあいつは、親元へ還っちまった そもそもの原因はあいつとくだらない事で喧嘩しちまったことだ それは今でも後悔している、あの時の俺はどうかしていたんだ もしも戻れるならあの頃に戻りたいものだ そう考えながら、俺は急激な眠気に襲われ眠りについた 『今回も前回と同じ思考に陥ってくれてるようだね さぁ君の願い叶えてあげよう、あの頃に戻してあげるよ でもその前に少しの間眠ってもらうよ 再び始めよう、無限に続く世界を!! 今回も主人公はジョン・スミス…君だ そして、ヒロインは……』 またこの夢か……。そういえばあいつとの喧嘩、本当にくだらないことだったのか? そうだ、その喧嘩はいつもより酷かったような……、喧嘩した理由なんだっけ? 思い出せないなんでだ、そもそもここはどこだ? それに今はいつだ?細かいことを何も思い出せないどうなってるんだ…… 『おい人間』 そうだ、こんな時は!……誰だったっけ?確かこんな時誰か頼りにしていた奴がいたはずだ 『人間!聞こえていないのか人間!!』 うるさい!俺は今考え事しているんだ!!黙ってろ と言おうとして振り向いたのはいいが誰もいない その代わり一冊の本があった 『ようやく気付いたな人間』 本から声が聞こえる……まさか、ありえるわけ……いやこんなことをしでかすやつを一人知っている 知っているが思い出せない、やれやれ俺はどうしてしまったのかね 『良く聞け人間、汝は邪神により汝自身の未来を閉ざされている 妾はその邪神を追ってここにきた、そして今汝の精神に語りかけておる』 邪神?なんのこった、わけわからんことを並べ立てやがって イライラしていたそのときだ、銀色の髪と黒い瞳をした少女がそこに立っていた 『……あなたは誰?彼に危害を加えるのなら、あなたを敵性と判断し、情報連結を解除する』 今度は誰だ?わからない、でも懐かしい感じがする 『ほう奴らの人形か、暫く見ないと思っていたらこの星に来ていたのか まぁよい二人とも良く聞け 邪神が汝等の運命に介入し汝等の未来を狂わせている もしも汝が邪神と向き合い、戦う意志を持ったならば聖句を唱えよ! 聖句は今汝の心に刻み込んだ、この聖句が妾と妾の伴侶に聞こえた時必ず汝の力となることを約束する 人形、こやつをそれまで守ってやってくれ。こやつの精神は見ての通りくたびれておる こやつはこの10年間を何億と言う回数を繰り返しておる、普通の人間なら発狂してもおかしくない状態だ 妾たちがそちらの世界にいけるようになるまで頼んだぞ』 『……了解した』 あぁもう何がなんだかわからん、誰か説明してくれ 何で俺はここにいる、お前らは誰だ? 『落ち着け人間、そのうちわかる だが勇気を忘れるな!!』 勇気とか何だよ、俺に何をさせようってんだ! 『汝は何もしなくていい、ただ戦う意志を強く持て、それだけでいい』 何と戦えって言うんだ! 『ナ■■■■■■■■■、検閲かふむ……まぁいい、何度も言うが戦う意志を強く持て。また会おう人間!』 ちょっと待て!! 『あなた達は私が守る』 お前もだ、誰なんだお前は! 『……直ぐに思い出す……また図書館に……』 図書館?何のことだ、おい待ってくれ! 「……ョン!キョン!」 「ぅん……」 「ちょっとキョン!!」 「涼宮さん、彼も疲れているのですよ、もう少し寝かせて差し上げてはいかがですか?」 「仕方ないわね……、キョンも起きないし、今日はもう解散!あたしはキョンが起きるまで待つから皆は帰っていいわ」 「わかりましたではまた」 「それじゃ私着替えますね」 「……また明日……朝比奈みくるボソボソ」 「長門さん?わかりました」 「……コク」 「長門さん、僕も行ったほうが良いですか?」 「……コク……ただし彼と涼宮ハルヒには内密に」 -古泉サイド- さて、長門さんが僕たちだけを呼び出すなんて何事でしょうか 本来は彼の視点で勧めるべきところですが、彼はまだ就寝中です 午後6時僕と朝比奈さんはここ、長門さん宅に来て用件を聞いています 「本日午後3時21分48秒に彼の精神に二つの存在を確認 うち一つは午後3時34分6秒に情報連結を解除、正体は不明 残る一つは午後4時32分28秒に接触、何ものかの意思であると確認 情報統合思念体とも天蓋領域とも違う存在、但し有機生命体で言う女性に該当することが判明 彼女は私に言った 彼はこの10年邪神の力でループしている、回数は不明但し億を越えている 邪神が涼宮ハルヒの力を使い、運命の輪に閉じ込めている ループの記憶は消されているものの、彼の深層意識と精神は疲弊しきっている このまま行けば彼は自らの命を断つ可能性が高い 邪神の目的は恐らく彼の死を原因とする涼宮ハルヒの負の情報爆発 現在情報統合思念体に邪神の正体を問い合わせ中 情報統合思念体は未来人・超能力者と協力し彼の保全を最優先することを決めた あなたたちにも指示が行くと思う、しかし私という固体はあなたたちに友人として協力 を要請したいと思っている」 邪神ですか、それは神人とはまったくの別物なのですか? 「神人は涼宮ハルヒが生み出したエネルギー生命体、邪神は起源も規模も不明 今情報統合思念体から連絡があった、邪神の名は…エラー言語化できない、なぜ? 起源……エラー……規模……エラー……目的……エラー 機能検索……何者かが私に検閲プログラムを導入、解除不能 邪神に関する全てにプロテクトがかかっている、情報統合思念体に解除要請…… エラー、情報統合思念体にアクセスできない ただし、情報操作・私と言う固体の能力について制限は無い」 どういうことでしょう、邪神に関する項目のみに検閲、さらに情報統合思念体とアクセスができない となると、僕たちは推測に推測を重ね今後の対策を練らなければならないようですね 「い、今未来から私に指示が来ました。TFEI端末・超能力者と協力しキョンくんを死なせないようにという事です 長門さんと同じ、邪神については禁則がかかっています…… TPDDに制限がかかって、空間移動はできますが時間移動ができません…… あっ、ふえぇぇ、未来との通信もできなくなりましたぁ!」 困ったことになりましたね、まず整理しましょう 長門さんが得た情報、女性と思われる方によると 邪神が涼宮さんに情報爆発を起こさせ何かをさせようとしていること それと末端の僕たちを孤立させようとしていること、機関は大丈夫でしょうか 念のため確認してみましょうか もしもし、古泉です。はい……はい……わかりました どうやら機関とも連絡が取れなくなりました、本当に孤立させることが目的のようですね ではこうしましょう、これから毎日団活後長門さん宅に集合 各エージェントと情報交換し、情報をまとめましょう それでいいですか? 「……構わない、彼と涼宮ハルヒは私と言う固体にとって大切な人、危害を加えるものは 全て敵性と判断」 「わかりました、私もこの時間平面にいる駐在員と連携して情報を集めます!」 では今日の所は解散という事で -キョンサイド- うぅん…… 「あっ、やっと起きた、さぁ帰るわよ!」 ハル…ヒ?あれ? 「あんた泣いてるの?」 言われて気付いた、何で俺泣いてんだ? すまんハルヒ! そう言って俺はハルヒを抱きしめた 「ちょ、ちょっとキョン!……もう……」 すまん、しばらくこうさせてくれ どれくらい、そうしていたのかわからなかった それから俺はぽつぽつと語りだした なぁハルヒ、もし俺がいなくなったらどうする? 「そうねぇ、世界の果て、違うわね……そう宇宙の果てまでおっかけて連れ戻すわ あんたはSOS団の団員その1で雑用係だからね」 じゃあもし俺が死んだらどうする? 「バカなこと言わないで、今度そんなこと言ったら死刑!」 おい、それじゃ死ねと言ってるようなもんじゃないか 「そうよ、あんたはあたしの……なんでもない……」 そうかい、やれやれだな 「ところでキョン、そろそろ放してくれない?」 良く見たらハルヒは顔を真っ赤にして口を尖らせていた あぁすまん 「さっき寝ながら泣いてたけど、どんな夢見てたの?」 さぁな、よくは憶えてない、けど大切なもの全部無くして絶望に明け暮れていたような なんというかだな、そんな感じの夢だ それでなんだったかな、もう一度やり直したいって考えてたら 声が聞こえて、その後は憶えてないなぁ 「ふぅん」 最近良く見るんだよな、この夢 「何かの暗示かもね、あたしでよかったらいつでも相談に乗るわよ あっ、勘違いしないでよ、あたしは団長なんだから団員のメンタル面も把握する必要が あるだけだから!」 へいへい頼りにさせてもらいますよ、団長さん じゃあ、早速だが聞いてくれハルヒ 何でこんな事を思ったんだろう、俺は目の前にいるハルヒが無性に愛しく思えた いや、以前からわかっていたはずだ、ハルヒの気持ちも、俺自身の気持ちも この1年半という時間でどれだけ俺はハルヒと二人きりになれたのだろう よくこいつにはドキっとさせられることもあったっけ 文化祭の後なんかもそうだ、勝手にこれってデートか?と勘違いして古泉たちが来て落胆したっけ 今思えばこいつと二人きりで、こうやって話した時間って少なかったんじゃないか? でも今はこいつと、ハルヒと二人きりでいたい、いやもっと二人の時間が欲しい 俺らしくないが、こんな事考えてたら理性が欲に変わっちまった ハルヒが欲しいという欲にな だからこの日、俺はハルヒに自分の想いを全てぶつけた 「遅いのよ……バカ……あたしだって、あんたの事好きなんだから……」 こうして俺たちは彼氏彼女という関係になった まぁ周りからはやっとかと言う反応しか返ってこなかったがな 文芸部室に行くと、いつの間に準備されていたのか、俺とハルヒを祝福する会が開かれた ハルヒはというと、顔を真っ赤にしてそっぽ向いちまった 俺は俺で、気色悪いニヤケ面120%増で顔が近い古泉を適当にあしらいつつ、 笑顔120%増の朝比奈さんのお茶を啜る、長門はいつもと比べ少し笑顔な気がする 他にも鶴谷さん、国木田もこの会に出席してくれた 谷口もいたような気がするが気のせいとということにしておこう そしてメインの鍋パーティーだ、これもお馴染みになってきたな ん?今が何時かだって?2年の11月の始めだ そしてどっから情報を得たのか、俺とハルヒが付き合いだして二日後、新聞部の校内新聞号外により俺たちのことが報じられた ハルヒよこれもお前の無意識の仕業なのか? さらに弁当を忘れてきた俺は、仕方なく学食で飯を食うことにした、もちろんハルヒと一緒にな でここでも事件だ、新聞部に見つかっちまった…… 馴れ初めだとか、どっちが告白しただとか、根掘り葉掘り聞かれた ハルヒは紅茶をこぼすし、大変だったよこの日の昼飯はな この学校でハルヒを知らないものはまずいないほど有名だからな 全校生徒の興味を引いたんだろうさ 男子生徒の目が痛かった気もするが俺は気にしない さらに週明け、バカップルの日常と称して校内新聞に俺たちの記事が掲載された はぁ……まったくやれやれだ ん?週末は何をしたのかって?SOS団で不思議探索だ 勘違いするな、班分けでデートなどしていない この日班分けで当たったのは午前は古泉と午後は長門と朝比奈さんだ、ハルヒとは当たらなかった 何?もう一日はどうしたのかって?それは聞くな、いや聞かないでくれ頼むから…… ハルヒとのこんな日常がずっと続くんだなと、このとき何の疑いも持たなかった -古泉サイド- さて、彼には悪いですがここでまた僕にバトンタッチです 長門さんに呼ばれた次の日、僕は森さん、新川さんと会い情報交換をしました 現在のところ目新しい情報はありませんでしたが 機関との連絡は森さんを経由と、今まで通り動けという命令を受けました つまり、SOS団のメンバーと協力しろということでしょう 他の方たちは新しい情報は……現状ではあまり期待できませんね この日は至って平和でした、団活終了後長門さん宅に集合し現状報告・情報交換をしました 朝比奈さんは、未来との連絡も取れず時間移動不可の状態、駐在員のお偉方に禁則解除してもらおうとしましたが、ダメだったそうです なにせそのお偉方も同じ禁則を受けていたからです 長門さんも他のTFEI端末と接触したそうですが、全員同じ状況でした 全員と必要な情報を共有したそうで、何かわかったらすぐに僕たちに連絡するとのことです しかし驚きました、あの日僕たちが帰った後、彼と涼宮さんがお互いの想いを伝え合っていたとは これで僕のアルバイトも減るというものです なんにせよおめでとうございます、あなたたちの幸せは僕たちが守って差し上げますよ 「顔が近いんだよお前は!!」 んっふ、そんなに照れなくてもいいじゃないですかキョンさん 僕はただ祝福したいだけですよ、この話を聞いてすぐに準備しましたよ 彼と涼宮さんには指定時刻まで部室には来ないようにしていただき その間に彼の友人二人と鶴谷さんをお呼びし盛大に祝福させていただきました 涼宮さんは団長机で顔を真っ赤にしてましたね、キョンさんはいつもより少しニヤケてましたよ そして週末の団活ですが、午前中は彼と一緒になりました そこで彼にこんな相談をされました 毎日が既視感の連続であること、既視感の強さにより眠れない日があること 変な夢を良く見ること、内容までは覚えていないそうです なるほど、深層意識下にある彼の記憶ですね。これが彼のストレスとなって…… 僕はこう彼にアドバイスしました、あまり気にせずゆっくり休んだ方が良いと 午後の班分けで長門さんと一緒になる場合、僕からそのことを話しておく事を伝えました 結局、午後は僕と涼宮さんの組み合わせになりましたがね 団活終了後はもちろん集合しました この件を長門さんに伝え、今後どうするかを決めました 彼は彼で、朝比奈さんに心配をかけたくなかったのでしょう。 長門さんには相談しなかったようです なるべく彼にループしていることを悟られないようにすることで、一致しその日は解散となりました しかし週明けのあの校内新聞思い出しただけでも笑ってしまいます 馴れ初めや告白、イロイロ書かれていました 見事なほどバカップルでしたね、こんな彼らを守るそう決めた僕たちはこの後目立った情報も無く 邪神と呼ばれる謎の敵も動きを見せませんでした それから約1年が経過しました 2ヶ月ほど前からでしょうか、いえ夏休みの終わりごろからですね、彼の様子がおかしくなり始めたのは 自傷行為を起こすことが増え、精神的にも不安定になっていったのです 恐らく、以前話していた既視感が原因でしょう このままでは危険と思った僕は、彼を長門さん宅へ連れて行くことにしました 誘拐と言っても過言ではないくらいの勢いでね、もちろんご家族の了承は得ています ここで彼に全てを話しました、僕たちの置かれている状況、あなたが何度もこの10年間をループしていること 話し終えた後彼は少しずつ落ち着きを取り戻していました ただ、何故もっと早く教えてくれなかったんだと思っていることでしょう 落ち着きを取り戻した彼は、僕たちにもう自傷行為はしないと約束してくれました それなら涼宮さんに連絡をし、そう言ってあげて欲しいとお願いしました ですが彼は、今自分は涼宮さんに合わせる顔もかけるべき言葉もないと拒否しました この日の夜彼と涼宮さんがこの世界から消えました、正確には閉鎖空間へとシフトしてしまったのです 無事彼と涼宮さんは閉鎖空間から帰還しましたが、その後彼らは別れてしまった とこれはループの話しです さてそろそろ彼に語ってもらいましょうか、彼がどんな選択をし、どんな未来を勝ち取るのか -キョンサイド- 俺は今夢を見ている、それも毎晩毎晩同じ夢を、内容はこうだ 男のような女のような、それでいて全身黒いオーラのようなものを纏った奴に俺は追われている どこまでもどこまでも逃げる、逃げ続けた だがそいつは、俺がどれだけ逃げようと、気が付けば正面に立っている 追い詰められた俺は、こいつに腕を引きちぎられ、足を押しつぶされ 最後ははらわたを抉られ、頭を潰され、元の状態に戻されまた俺は逃げる これを何十回何百回と繰り返す事になる 最後は俺を襲う奴とは違う何かが目の前に現れ、光に包まれ目が覚める これが春先から見る俺の悪夢だ ハルヒと付き合いだして約1年が経過し、俺たちは3年に進級した 朝比奈さんは卒業後近くの私大に入学した、やはりハルヒ監視の任務がまだ続いているのだろう 3年になってからと言うもの俺は毎晩悪夢にうなされている さらに既視感も1年前と比べ日を追うごとに強烈になっていく 夏休みが終わり二学期の1週目から俺は学校に行かなくなった 夏休みの終わる頃には、もうこの悪夢と既視感に耐えられなくなり、寝ることさえ辛くなっていた そんな中2ヶ月が経過し11月になった、本来なら大学の受験勉強をしなければならない大事な時期だ SOS団のみんなはよくしてくれる、特にハルヒは毎日来てくれる 始めこそハルヒのノートを写すなどで勉強はしていたが、だんだんそれも億劫になっていく そしてこの2週間生きる気力を失い始めた俺は自傷行為を始めた そう自殺するためだ、未練はある、それでも現状から逃げ出せるのなら 行動に移そうとした時に限ってハルヒ達が俺の部屋に来た 「キョン!」 「何をやっているんですあなたは!!」 「キョンくん、ダメですよぉ!」 「長門さん、僕が押さえている間にナイフを取り上げてください!」 「……了解した……」 放せ古泉!頼む、頼むよ逝かせてくれ!! 渇いた音が響いた、俺の頬がじわじわと熱くなる 俺に平手打ちをした張本人であるハルヒが泣いている 「バカ!何やってんの! またあたしに、独りでいろって言うの! そりゃ、今は有希もみくるちゃんも古泉君もいるわ でもそれはキョン、あんたがいたからじゃない! あんたがいたから大切な友達を作れたの! だからあんたがいなきゃ、意味無いんだから!! ねぇ、あたしを……独りにしないでよ……キョン……」 そういうとハルヒは俺の部屋から出て行った ……ハルヒ…… 「キョンくん、涼宮さんを追いかけてください!」 朝比奈さん、今の俺にそんな資格ありませんよ 渇いた音が響き再び俺の頬が熱くなる、今度は朝比奈さんに叩かれたようだ 「私今のようなあなたを見たくないです! 涼宮さんを追いかけてください!」 …… 「どうして黙っているんです!どうして動いてくれないんです! どうしたら涼宮さんを追いかけてくれるんですか?」 ……朝比奈さんまで泣かないでください、今の俺には…… 「追いかけてください! 私の好きなキョンくんは、そんな意気地なしじゃないはずです 私の一番大好きな人は、こんな弱虫じゃない!!」 ……すみません朝比奈さん……でも俺は…… 「うぅ…ばかぁ!!」 朝比奈さんも俺の部屋から出て行ってしまった その直後電話が鳴り出した、どうやら古泉の電話のようだ 閉鎖空間か……すまん古泉…… 「はい古泉です、わかりました。 キョンさん、僕は少なからずあなたという人に嫉妬を覚えていました ですがそれも勘違いだったようです、失礼ですが僕はあなたを見損ないましたよ しかしそれでも、それでも僕はあなたが立ち直ってくれる事を信じています またあなたとオセロができることを、楽しみにしています。それでは」 古泉もいっちまったか… 長門すまん、一人にしてくれないか…… 「……落ち着いたら私の部屋に来て……話したいことがある キョン……生きて、ハルヒのためにも、あなた自身のためにも」 ……みんなすまん…… -ハルヒサイド- キョン……あんたどうしちゃったのよ 死ぬだなんて考えないでよ、あたしを独りにしないで もう独りはいやだよ、お願いだから生きて 気が付いたら公園にいた、公園のブランコであたしは泣き続けていた どれくらい時間が経ったのかわからないけど、あたりは暗くなっていた 誰かが近づいてくる、キョンなのかな…… そんな淡い期待は顔をあげた瞬間に裏切られた、けど嬉しかった、反面そこにキョンがいなかったことが悲しかった 有希、みくるちゃん、古泉君があたしを探してこの公園に来てくれた みくるちゃんも泣いていたのかな、目が赤いよ 「涼宮さん、キョンくんきっと立ち直ってくれます だから、キョンくんを支えてあげてください」 「僕からもお願いします、今の彼を支えられるのはあなただけです」 「……私からもお願いする」 私じゃ力になってあげられない、いつからこんな弱くなったのかな 「いいえ涼宮さん、あなただからこそ彼の力になってあげられるのです 僕たちでは、彼の心の奥底にある何かに触れることができません」 「そうなんです、私たちじゃ涼宮さんほどの力になってあげられません」 ダメよ、こんな弱い私じゃキョンの力になれない 渇いた音がして私の頬が熱くなった え? 「なんで、なんでキョンくんも涼宮さんもお互いを避けるんですか? 私の知ってる二人はとても優しくて、どんな困難も乗り越えられる強さも持ってるじゃないですか」 「そうです、あなたの彼の前でだけ見せるあの笑顔があれば、きっと彼も生きる気力を取り戻してくれるはずです」 「それは私たちにはできない、あなたの笑顔こそ彼の心の奥底にある恐怖を払う力になるはず、私はそう信じる」 「そうですよぅ、今のキョンくんも涼宮さんもお互いを必要としてるのに、逃げちゃだめです!」 うぅ……ごめん、ごめんねみんな。 そうよね、あたしがしっかりしなきゃ、あいつはもっと苦しいんだよね あたしと付き合いだしてから、ずっと変な感覚に苦しんできたんだもんね 悪夢もずっと見続けて、独り苦しんでるあいつを支えてあげなきゃ! そう決意できた時、あたしはまた泣いた、泣き続けた、涙が枯れるんじゃないかってくらいに そんなあたしを受け止めてくれた、ありがとうあたしの大切な友達 あたしもあいつと一緒に、あいつの苦しみと戦うんだ! だからあいつが元気になるまであたしは眠らない あたしをこれだけ悩ませたんだから、元気になったら罰金だからね! -キョンサイド- それから2週間こんな俺をハルヒは励ましてくれる、しかしどうにも生きる気力が沸かない ハルヒもまた眠っていないらしい、目の下にくまが出来ている バカ野郎…俺なんかのために綺麗な顔にくま作ってんじゃねぇよ…… 結局この2週間で俺が取った行動は、自傷行為を続けハルヒに叩かれる毎日を送ることだった 全部未遂に終わったがな、これもハルヒの俺に生きて欲しいという想いが起したのだろう 長門に話しがあるから部屋に来いと言われていたが、とてもそんな気分にはなれなかった 次の日の朝、古泉が所属する機関に俺は無理矢理連れ出された ほとんど誘拐だったな、親と妹には話をしていたらしく、何も言わなかった 着いた先は長門の家だ、マンションの入り口で長門、朝比奈さん、古泉が待っていた そこで俺は全てを聞かされた、俺の既視感の原因、そして俺だけが去年からの10年間ループしているのだという もっと早く教えて欲しかった、だが知ったところでどうしようもなかったのも事実だ このことを知れただけでも気が楽になり、自傷行為はやめることを約束した だがハルヒには合わす顔もなければかけてやる言葉も無いと、ハルヒへの連絡はしなかった 家に帰され久しぶりに寝れそうだと思い布団に入った 気が付くと閉鎖空間だ……、俺が原因で発生した閉鎖空間…… 北高か…… そう呟いた時赤い球が俺に近づいてきた、古泉だ 「やぁ、少しは眠れましたか?」 多分な 「既にお気づきの通り、ここは閉鎖空間です。2年前のあの空間と同じタイプのね」 そうかい 「僕たちからの応援の言葉です、邪神に負けないで自身を強くもってください、あなたなら必ず未来を勝ち取れます」 …… 「おっと時間のようです、あなたが未来を勝ち取りこちらの世界に回帰することを祈っていますよ」 …… 古泉が消えた、俺はどうすりゃいい…… しかたない……部室に行ってみるか ドアをノックする返事が無いがまぁいい開けよう 「キョン!」 ハルヒ……すまん……心配掛けた 「バカ!あたしがどれだけ心配したと思ってんのよ!バカバカバカバカバカ!」 ホント……すまん…… そういってハルヒを抱きしめてやろうと思った その時今までに無い強烈な既視感に襲われた 『そいつは本物じゃない、本物は後ろにいる 後ろだ後ろにいる者こそ本物だ!』 何かが俺に語りかけてきた、男の声だ、だが聞き覚えが無い それでも目の前のハルヒを受け入れてはいけない、そう思い後ろを見た 確かにハルヒがいた 「キョン!遅い!あたしを心配させておいてただじゃ済まないわ! そっちの奴を選んだら死刑だからね!!」 ハルヒが二人……さっきの声を信じるならこっちが本物か しかし……そういえば目の前のハルヒはくまが無い 後ろのハルヒにはくまがある、それにさっきまで泣いてたんだろう目が腫れてる…… それに後ろのハルヒには100万Wの笑顔があるじゃないか!! それと比べて目の前のこいつはなんだ、何をニヤニヤしてやがる気持ち悪い、100W、いや1Wのかけらもないただのニヤケ面だ そうだ、迷うこと無い後ろのハルヒこそ本物だ! なら目の前のこいつに言うべきことは一つ お前は誰だ? 「おや、とうとうばれてしまったようだね、さすが人間だ いつもの事だけど、人間の絆ってやつには驚かされるよ」 男と女が入り混じったような声でそういうと目の前のハルヒは、いや目の前の化け物は正体を現した 漆黒の化け物?そうかこいつが古泉が言ってた邪神か、なんでだろうな足がすくんで動けない 「その通り、さて邪魔が入ったし。まずは後ろの小娘から殺そうかな」 そうだこいつだ、俺の夢に出てきては俺を何度も何度も生かさず殺さずを繰り返してくれた奴は! 頼む、動いてくれ俺の足!! くそ動かない、ならせめてハルヒ伝えるんだ、あいつらがこの閉鎖空間に入ってこれるように祈ってくれと ハルヒ!! ハルヒ良く聞け、長門、朝比奈さん、古泉をこの世界にも来るよう考えてくれ 「え?キョン?どういうこと?」 SOS団が揃えば何だってできる!そうだろ? それが夢の世界ならなおさらだ! 「うん、わかった!(有希、みくるちゃん、古泉君来て!!)」 やばいハルヒ!!ぐ…あっ…、動けたと思ったらこれかよ…… 「おっと間違えた、小娘を殺すつもりが君を傷つけてしまったよ」 「キョン!」 ハルヒ俺の事はいい、今はあいつらをこの世界に呼ぶんだ!! 「でも!」 あいつらが来るまで俺は耐えてみせる!だからあいつらが来るよう祈ってくれ!! ハルヒ!!! 「……(みんな早く!!)」 「さて次は、肩を壊してやろうかね。やはり人間の悲鳴はいい、肩の次は背中を破壊してあげよう」 くそっ!まだかよ、このままじゃさすがに持たんぞ…… 「ふふふ、背中を潰すのは後にして足を破壊してあげるよ人間!!」 があああああああああああああ!! ここで俺は倒れちまったみたいだハルヒが泣きながら俺を抱きしめてくれてる ハルヒ…… 「キョン!キョン!!」 ハルヒ聞いてくれ、俺さバカだからお前を悲しませてばっかだったな 「ばか、いいわよ今はそんなこと!」 強く祈ってくれあいつらがここに来ることを!! 「うん、うん」 「さぁって次は内臓を抉ってあげよう どうだい、夢と同じ事をされる気分は まぁ本当なら腕を引きちぎってるところだけど、優しい僕は後にしてあげることにしたよ」 そうか、お前か俺にあの悪夢を見せたのは! 「そうさ、君の悲鳴は何度聞いてもいいものだ、これからがお楽しみだ!」 「ふんもっふ!」 ははっ、ホントにきやがったこれで俺たちの勝ちだ! 「すみません、遅くなりました」 「ふえぇぇぇ、キョンくん大丈夫ですか、涼宮さんも!」 「……私が彼の治療をするその間邪神を」 「みんな、本当に来てくれた、キョンの言った通りに、ありがとみんな!」 「さぁ一度退避しましょう」 「おや、逃げるのかい?まぁいいだろう、じゃあ12時間猶予をあげようその間に態勢を整えるといい 僕は高みの見物をさせてもらうよ」 保健室に逃げた俺は長門に治療してもらい、そのまま寝ちまったらしい それで変な夢を見た 「人間、おい人間!!」 またこの夢か…、どうせまた本が喋っているのだろう 「その通りだ人間、どうやら妾のこと憶えていたようだな どうだ汝はあの邪神と戦えるか?」 さぁな、さっきはハルヒを守るって一心でやっと動けたからな 本音言うと逃げたしたいよ…・・・ 「それは仕方ない、普通の人間であれば彼奴の瘴気で全員発狂してもおかしくない これも一重にあの小娘のおかげだろう」 なぁ俺はどうすればいい? 「それは汝が決めることだ、戦う意志があれば必ず勝てるとだけ言っておこう」 そうかい、まったくどいつもこいつも、俺には秘密主義なんだな 「そういうな人間、そうだ以前汝に刻んだ聖句、憶えているか?」 聖句?なんだそれ 「やはり憶えておらんか、まぁ戦う意志を持ったとき、汝の心に浮かび上がるだろう」 そんなもんでいいのか? 「うむ、なんの問題もない」 そうかいやれやれだなまったく 「さて、彼奴に気付かれるわけにはいかんのでコレで失礼するが 意志を強く持て、必ず勝てる。」 あぁありがとよ…… 「…ョン、キョン」 あぁハルヒか、どうした? 「もうすぐ、12時間たつわ、さっきの奴また来るのよね?」 多分な 戦う意志か、大丈夫なんだろうか、あれを目の当たりにして俺は戦えるのか? くそ、思い出しただけで震えがとまらない…… 「お目覚めですね、どうですか動けますか」 大丈夫だ……と思う 「あっ、キョンくん!よかった」 「……もうすぐ12時間……くる!」 「やぁ揃っているようだね」 うっ……体が震える……汗もとまらない 「ちょっとキョン、大丈夫」 「涼宮さん、彼と朝比奈さんを連れて下がってください。ここは僕と長門さんで食い止めます」 俺も戦うぞ古泉 「目の前の敵に怯えているようでは足手まといです、下がってください 朝比奈さん、二人がいう事を聞かないようなら、あなたの能力で移動してください」 勝手なことを言うな、俺のどこが怯えているっていうんだ 「自分でもわかっているはずです 先程からぶるぶる震えて、冷や汗を全身に掻いてるあなたに何ができるんです」 くっ…… 言い返せない、でもこのままじゃ俺は…… 「キョンくん、涼宮さん行きましょう 私たちがいては邪魔になるだけですから……」 わかりました…… 「有希、みくるちゃん、古泉君……わかったわ。さぁキョン行くわよ!」 すまん、長門、古泉 「……ここは私たちが相手になる」 「ふふふ、実はまだ君たちの相手をする準備ができていないんだ」 「どういうことでしょう?」 「直にわかるさ、その間こいつらの相手をしてもらおうか」 なんだよこの音……何かが大地を揺らし、なおかつ這いずるかのような音 「朝比奈さん、彼らを連れて今すぐ離れてください!」 「わ、わかりました!二人とも目を瞑って」 くそ、結局逃げることしか出来ないのかよ俺は!! 「わかったわ」 「いきます!」 この感覚……時間遡行か! 「もういいですよ」 朝比奈さん、あれからどれくらい経ちましたか? 「ここは閉鎖空間の旧校舎、あれからわずかな時間しか経過していません」 そうですか、古泉たちは? 「グラウンドにいます」 「みくるちゃんすごいじゃない! 何?一瞬で部室棟に移動したの? すごいわみくるちゃん!」 「一瞬でというより、わずかな時間遡行です」 「もしかしてみくるちゃん未来人?」 「ふふ、涼宮さんの夢ならなんでもありですからね」 「そういえばこれはあたしの夢だったわね」 こうしてみると、あの朝比奈さん(大)の面影が出てきてるな これから一気に成長するのだろうな朝比奈さんは 『いいのかい?仲間に戦わせて自分は何もしなくて』 誰だ! 『誰だっていいさ、この空間のわずかな綻びを見つけてね、ちょっとお邪魔させてもらったのさ』 空間の綻び?それはもうすぐこの空間がなくなるって事か? 『そうじゃない、さっき混沌が召喚した時に綻びができてね、それを利用させてもらったのさ それでジョン・スミス、君はどうしたいんだい?』 俺は戦いたい、あいつらだけに戦わせたくない 『じゃあ、勇気を持つことだ どんな恐怖にも負けない勇気をね そして共に詠おう、生命賛歌を』 勇気…… 『私の知り合いにね、後味が悪い、胸糞悪い たったそれだけで正義の味方になった人がいる 君にもあるはずだよ、君だけの正義、君だけの勇気、君だけの愛がね それじゃあ私はそろそろ行くよ、意識を侵入させるだけで精一杯だったからね』 待ってくれ、俺はどうしたらいいんだよ! 『君はもう答えを持っている、自分で答えたじゃないか 戦う意志があるなら後は勇気を持てばいい』 「キョン!」 え?あ、ハルヒ? 「何ボーっとしてんの、部室に行くわよ、ここにいても有希たちの邪魔になるわ」 ダメだハルヒ、俺は戦いたい! そう言い切りかけたとき渇いた音が聞こえた……またハルヒに叩かれたようだ……左の頬が熱く痛い 「今のあんたに何ができるってのよ!震えて、冷や汗掻いて……死にに行くようなモノじゃない! 夢の中であってもあんたに死なれたくない、少しはあたしの気持ちもわかってよ!バカキョン!!」 ……くそ、俺はまだ震えてんのか、この期に及んでまだ…… 爆発音が響き古泉と長門が化け物の攻撃で、俺達のところに飛ばされてきた 古泉!長門!! 「すみません、油断しました。まさかあのような化け物が出てくるとは」 「……私達の戦闘能力だけでは抑え切れなかった……」 「さすがの情報統合思念体対ヒューマノイドインターフェイスも、ダゴンとヒュドラの群れには適わないようだね」 ダゴン?ヒュドラ?なんだそりゃ 「クトゥルーに仕える深きものどもの首領さ、どうだいすごいだろ」 「多勢に無勢です、このままでは」 「さぁよく頑張ったね、しかし人形と能力者一人じゃもう限界だろ? 僕は僕の目的を果たさせてもらうよ」 「え、うっ…あぁ…キョン!なにこれ……頭が痛い……あぁぅっ!……しゃい……にんぐ……とらぺぞ……へどろん…… なにこれ、何なのよいや、こんなのいやいやいやいや 何なのよこれ、こんな世界見たくない、いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっぁ!!!!」 ハルヒ!落ち着けハルヒ!ダメだ、完全に取り乱してる なんだ、ハルヒに何しやがった、くそこの期に及んでまた足が震えやがる、動けよ俺の足!! 「少し面白い物を見せてあげてるのさ、僕たち邪神の住まう宇宙をね おっと、能力者に人形さん、君たちも動かないでもらおう」 「これは!?動けない!」 「ふえぇぇぇぇ!」 「……私たちの周囲に重力結界が発生、解除不可」 長門、朝比奈さん、古泉! 「勇気を、恐怖に立ち向かう勇気を持ってください」 「キョンくんだけが頼りです」 「……あなたならできる」 「そろそろ出現かな、あぁ出てきた出てきた」 くそ、なんだあれ…、金の箱?違う黒い、結晶体?なんだアレ、形が変わり始めた、なんなんだあれ! 「輝くトラペゾヘドロン、僕はね、あれを破壊したいんだよ。 この娘の力を使えば世界をまるごと改変できるけど それじゃあ面白くない、どうせならこいつを破壊する瞬間を連中に見せてやりたいからね さてそろそろ神人とやらにもご登場願おうか おそらく彼女が出した巨人ならあれに封じられることは無いだろうね」 てめぇ!! 「…………」 ハルヒ、ダメだ意識を失ってる くそっ、くそっ、俺には何にもできないのかよ、震えて黙って見てるしか出来ないのか俺は 今動けるのは俺だけなんだぞ、しっかりしろ!今動かないと絶対後悔するぞ 失わなくて済むモノを失うんだぞ、戦うんだよ俺!そうだ足を動かせ、拳を握り構えろ! うおぉぉぉぉぉ! 黒い化け物に一発、また一発、俺は何度も殴り付けた 「ふふふ、痛いじゃないか、震える体でよく頑張ったね人間。そんなに死にたいのかい?なら望みどおり君から殺してあげるよ!」 うるさい黙れ、死んでたまるか、俺はこいつらと生きるんだ! 生きて現実空間に戻るんだよ!! そう叫んだとき全身が光輝いた、後ろを見ると長門たちの動きを封じていた結界が消滅していた ハルヒはまだ気を失っている、でもさっきより楽になったみたいだよかった そういえば、夢で聖句がどうの言ってたな、なんだったかな 「あれは連中の……そうか、また彼らを愛せるんだね……ふふふ、さぁ人間早く早く、早く喚んでくれたまえ あぁ、楽しみだ楽しみだよ」 なんだこいつ……いや今は聖句だ……なんだったっけ……確か……確か…… 『さぁ人間、唱えよ!未来への路を開く無垢なる翼を汝の手でつかみとれ!!』 ……思い出した!! 「うぅん、キョン?」 ハルヒ、目覚めたかもう少しゆっくりしてろ 「うん……」 憎悪の空よりきたりて!! 正しき怒りを胸に、我らは魔を断つ剣を執る! 汝、無垢なる刃デモンベイン!! ……なんだよ、何も起こらないじゃないか、くそ! 「キョンさん、涼宮さんと一緒に聖句を唱えてはどうでしょう、もしかするとそういうものなのかもしれません」 そういうもんなのか? 「まぁこういのはお約束ってことで」 そうだな、だが顔が近いぞ古泉 ハルヒ、すまんが今のを一緒に頼む 「さっきのアレをするの?」 頼む! 「仕方ないわね、いい?一回だけだからね?」 それで十分だ!じゃあ行くぞ! 憎悪の空より来たりて 「正しき怒りを胸に」 「「我らは魔を断つ剣を執る!汝、無垢なる刃デモンベイン!!」」 唱えた瞬間、急に俺とハルヒの体が光り出した そして目の前に五望星が描かれ一際眩い光が放たれたと思ったらそこに誰かが立っていた 「人間、よく戦う勇気を持ち決意をした、後は我らに任せるがよい」 この声、夢に出てきた 「アル!」 「応!!」 「……ふふふ、あははははは、待っていたよ旧神・大十字九郎!!そしてアル・アジフ!!」 「久しぶりだな、ナイアルラトホテップ! 何度目かは忘れちまったが、あんたの企みこれまでだ! それにしてもまだ諦めてなかったんだな、輝くトラペゾへドロンの破壊をよ」 「久しぶりだね大十字九郎、僕が諦めるわけないだろう。 今度は輝くトラペゾヘドロンの衝突による破壊ではなく 人間の力で破壊しようと思ったのさ、まぁ成功する確率は低いけどね さて、もう少し僕の相手をしてもらうよ大十字九郎、6体の人形と遊んでいてもらおう」 「させるかよ、クトゥグア!イタクァ!!」 何だあれ、何もないところから火?氷?いや違う、拳銃だ 「……魔術」 魔術だぁ? 「ちょっとキョン!なんなのアレ!」 わからん、俺が聞きたい。それと、お前はまだ不思議を諦めてなかったのか 「当たり前じゃない!」 あぁわかったわかった、じゃあまた皆で不思議探索しようぜ。 「そうね!」 で、長門よ魔術ってなんだ?手品師みたいなもんか? 「違う、魔術とは魔導書と契約することで己の力とするもの 高位の魔導書になれば、意志を持ち、神を召喚することが可能」 神?この空間に出るアレみたいなもんか? 「違う、恐らくは最高峰の魔術で編み上げる巨神……!? 邪神に関する項目のプロテクトが解除された、原因は不明」 「私もです、邪神に関する禁則が解除されました、TPDDも正常に作動してます」 やれやれどうなってんだ、今回は 「あはは、あんたのその顔久しぶりに見たわ」 そうか? 「うん!」 そうかい 「まったくせっかちだねぇ君たちは、今出したばかりだってのにもう殺しちゃったのか まっ君たち相手に足止めになるとは思ってなかったけどね では能力者と人形の相手はこいつらにやってもらおうか」 今度は何だ……、おおおおおいなんだこいつら、半魚人か 「さぁ邪神の眷属よ、君たちの欲望を人間たちで満たして来るんだ」 『シャアアアアアアア!!』 「させるか!うおおおおおおおお!!」 ……俺は、いや俺たちは息を飲むしかできなかった 恐ろしいまでのスピードで邪神の眷属と言われた半魚人たちを全て倒してしまったからだ 正直何が起こったのかさっぱりわからん…… 「これを持ってここから離れろ!」 これは? 「それは妾のロイガーとツァールを模して作った小剣、そしてこれがバルザイの堰月刀だ 見たところ、小娘二人と汝は武器も無ければ特殊な攻撃能力を持っているわけでもない 人間、それを持ってこの場から離れよ!」 なるほど、自分の身は自分で守れって事か ってあんたたちはどうするんだ? 「ナイアルラトホテップを倒す、あっちの建物の一部に防護結界を張っておく そこに入ったら何があっても出るんじゃない」 わかりました…… 「人間、その小娘大切にするのだぞ。妾たちは彼奴を倒す、その後すぐに汝等を元の空間に戻してやる」 「お互い、苦労しそうな奴に惚れちまったが、頑張れよ」 あぁ、ハイ…… 「さて九郎、さっさと終わらせよう!」 「そうだな 憎悪の空より来たりて」 過去幾億回と繰り返された聖句を高らかに詠みあげる 「正しき怒りを胸に!」 正しき怒りに応え、全ての悪に等しく滅びを与える 「「我らは魔を断つ剣を執る!!汝、無垢なる刃!!」」 最弱にして無敵の剣、汝の名は 「「デモンベイン!!」」 爆ぜる光、闇を照らす聖なる光 五芒星が覇道を往く者の紋章が、灰色の世界に光と色を与える 今度は外が明るくなったなって、なんだありゃ!! 「……鬼械神、機械仕掛けの神、全ての悪を打ち滅ぼす神像、デモンベイン」 え?なんだって? 「で、デモンベインです」 朝比奈さんまで…なんですか、そのデモンベインって 「……説明はあと、あなたは涼宮ハルヒを守るべき 彼らの防護結界は部室に張られている、今は一刻も早く部室に行くべき 私の力ではこれから起こるであろう事象に対処できない」 そうだな そしてまたもや世界が揺れる、それも一度に6箇所で ハルヒ立てるか?ここは危険だ、部室に行くぞ 「わかったわ」 ここは危ないさっさと部室に行こう 防護結界とやらを張ってくれているなら一番安全だ 「それでは僕が追っ手を抑えます 先頭は長門さん、左右にはあなたと朝比奈さん、中央に涼宮さんです」 わかった、朝比奈さんにはこの小剣の片方を渡しておきます そういえば朝比奈さんは武器を持ってないんですか? 「武器の携行は禁止されてますから…… そ、それじゃこの小剣お借りしますね」 ハルヒお前もこれを持っておけ、俺たちだけで対処しきれない時は自分で自分の身を守るんだ 「あんたがあたしを守りなさい、団長命令よ!」 わかったよ、じゃあ部室に急ごう しっかし多いなぁこの半魚人どもは 「後ろもかなりの数です、しかし通常の閉鎖空間と比べ僕の力はかなり上がっています ですから僕に任せてください」 前方は長門が朝倉と同じ攻撃方法で撃退してくれてるが、如何せん数が多すぎる 「……問題ない、しかし0.1%ほど撃ち漏らしている、あなたと朝比奈みくるはそれを撃退して」 分かった バルザイの堰月刀ね、……どうせなら 虎王斬神陸甲剣!! 『グギャアアアアアア』 すげぇ、なんて切れ味だ……しかしグロいな…… 「おやおや、ノリノリですね」 黙れ古泉 「ふえええええ、こっちに来ないでくださぁい!」 朝比奈さんに渡したロイガーの刀身から風刃が巻き起こり、ばったばったと細切れにされていく あの人たちはなんつう危険なもんを…… 「見ろ九郎、ロイガーを持った小娘を、あ奴魔術の才があるぞ」 「そうみたいだな、というかアル」 「なんだ?」 「ロイガーってあんな使い方もできたのか?」 「……まったく汝と言う男は……ロイガーの属性を考えれば当然だ、無論非公式だがな!」 「非公式って……そんなメタ発言して、怒られるだろいろんな所から!」 「問題ない、所詮この作者の妄想だ。」 「いや、そりゃそうだが……」 「それよりも九郎、雑魚共が動き出したぞ!一気に片付けろ!」 「応!!クトゥグア!イタクァ!神獣形態!!」 「さすが大十字九郎だ、ダゴン程度じゃ足止めにもならないか じゃあ次はデウスマキナが相手だ」 なんだ今のは! 「……旧支配者であるクトゥグアとイタクァ」 それってさっきの銃じゃなかったのか? 「……銃は力を制御するための器に過ぎない、今のが真の力」 「しかし本当にすごいですね、大十字九郎さんにアル・アジフさんと言いましたか 僕たちが苦戦したあの化け物を瞬殺とは、恐れ入ります」 「アルアジフ?それってネクロノミコン、オリジナルの名前じゃない!!」 なんだそのネクロノミコンって 「西暦730年ダマスカスにて、狂人アブドゥルアルハザードが書いた魔導書です キョンくん、今後も涼宮さんと一緒にいるなら、これくらい憶えておいた方がいいですよ」 そうですね、って待てよさっきの少女がその魔導書とか言わないよな?さすがに 「それはありえません、いくら強力な魔導書といえど人の姿をするなどとは思えません」 「彼女は間違いなく魔導書アル・アジフ、力ある魔導書は魂を持ち姿を変え、神の模造品を召喚できる」 じゃあ、あのロボットが神の模造品っていうのか? 「あれは神の模造品の模造品、人間のための鬼械神(デウスマキナ)、それがデモンベイン」 さっぱりわからん…… 「あんたの頭じゃ考えるだけ無駄よ」 そうだな、……って遠まわしに馬鹿って言うな 「団長様に心配ばかりかける団員は、バカで十分よバカキョン!」 へいへい、さてこっちも粗方片付いたし、ようやく部室に着いたな 「部室棟に入ってからは、あの半魚人の数も減りましたからね」 それじゃ一息入れますか 「あっ、じゃあお茶煎れますね」 ありがとうございます」 ……しかし、緊張感のかけらもないな…… 「まったく、困ったものです」 顔が近い、よるな気色悪い 「九郎、このままでは埒があかない!アレで往くぞ!」 「応!断鎖術式壱号ティマイオス!弐号クリティアス!!」 「ふぇ!何ですか?何でこんなに時空が!」 「……現在戦闘中のデモンベイン脚部シールドから時空間歪曲を観測 そして元に戻ろうとする時空間の反発力で機動力を得る さらにそのエネルギーをぶつけることで凄まじい破壊力を生み出す」 「アトランティス!」 「「ストライィィク!」」 すっげぇ、延びてきた腕かわしながら、頭上に踵落しを食らわせてさらに銃弾ぶち込んでやがる 「残り5体」 おっ、今度は刀持った奴だ 上とか横からの攻撃をかわしながらよくやるなぁ…… って何だあいつ、脇から腕だしやがった!隠し腕ってやつだな 「光射す世界に汝等暗黒凄まう場所なし! 渇かず飢えず無に還れ!! レムリア!インパクトォォォ!!」 「昇華!!」 「……無限熱量による近接昇華、あれを食らえば一溜まりも無い、後4体」 すっげぇ…… 上からの攻撃に加え、金ピカおきあがりこぼしのレーザーに、黒い弾を撃ってきてる奴か こいつは厄介だな おっと黒い弾の流れ弾…… おいおい、何の冗談だ、人の顔が窓に映ってるぞ 「キョン!幽霊よ幽霊!早くカメラを持ってきなさい、心霊写真として雑誌に投稿するわよ!」 ハルヒ、あれだけは止めとけ、いやホラ何か声みたいなのも聞こえるし 「何言ってるの、こんなチャンス滅多に無いわよ、早くカメラ持ってきなさい!」 あぁハルヒ 「何よ」 言いにくいのだが 「だから何よ」 消えちまったみたいだぞ幽霊 「あぁぁ!もうこのバカキョン!せっかくの不思議だったのにもったいない……」 夢の中なんだし、撮っても仕方ないだろ、第一どうやって現実の世界に持っていくんだ 「それもそうね、夢なら仕方ないか……夢ならね」 何か言ったか? 「別に!」 とこんな問答を繰り返してる間にも外では戦闘が続いていた 「ニトクリスの鏡!」 今度は分身か? 「違う、鏡を使った魔術、現実と虚構の境界をなくし、幻を見せている」 でも長門、何かその幻、鏡みたいに割れてるぞ 「……そう」 「クトゥグア!イタクァ神獣形態!」 至近距離でそれを撃って大丈夫なのかあのロボット 「……直ぐに離れているから問題ない」 みたいだな…… 「本当にすごいですね、見てください」 おぉ、あの二匹地上にいるもう一体の奴を襲ってやがる 「地上の敵は終わったみたいですね」 しかし、空中の敵はどうするんだ? 「シャンタク!」 今度は翼か……なんでもありだなこのロボット…… 緑の方はすばしっこいなぁ、どうやって倒すんだ? おっ、あれはリボルバーだなあれでどうする気だ どこ狙ってるんだ、全然ちが「マッガーレ」 ……気のせいだ気のせいにしておこう 「気のせいではありませんね、残念ながら 弾道が確かに曲がりました」 お前の仕業か古泉 「いいえ、どうやらあれは自動追尾弾のようです 的確に動力部を貫いたようですよ」 とどめはさっきの無限熱量ってやつか 残りはあのデカ物だな 「すごいですねぇ、自動拳銃とリボルバーが融合して長距離砲になりましたよ」 あれで撃ち貫くってわけか 「そのようですね、っ!撃ちましたよ」 一撃かよ…… とまぁこんな感じでこの戦いを見ていたわけだが ほんと、俺の日常ってどこにいったんだろうねぇ誰か教えてくれ 「さぁナイアルラトホテップ、後はあんただけだぜ」 「まったくさすがだよ君たちは、仕方ないここは退こうか」 「この空間から簡単に逃げられると思うな、邪神よ」 「そうだね、ならまずは君たちから死んでもらうよ!」 「荒らぶる螺旋に刻まれた」 「神々の原罪の果ての地で」 「「我らは今聖約を果たす」」 「「その切実なる命の叫びを胸に」」 「「祝福の花に誓って」」 「「我は世界を紡ぐ者也」」 デモンベイン最強にして最凶の必滅奥義 第零封神昇華呪法 輝くトラペゾヘドロン おいおい、あっちの奴あそこにある奴と同じもん出しやがったぞ 「……デモンベインが握るモノが本物、恐らくナイアルラトホテップの封印と同時に消滅する」 「大十字九郎ぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」 「大人しく眠ってな、永遠にな」 「紛い物のトラペゾヘドロンも消えた、今回も終わったな九郎」 「あぁ、さてアル、さっき現実空間に戻してやるとか言ってたがどうすんだ?」 「ふむ……」 「あっ、お前何も考えてないな!そうだろう!」 「これも運命だ諦めよ」 「またそれか!」 「さてな」 なんか、痴話喧嘩みたいなのが聞こえるなぁ 「……オワタ\(^o^)/」 どうした長門? 「……なんでもない」 「お疲れ様ですキョンくん」 あぁ、ありがとうございます 「さてここから出る方法ですが」 ……っゴホン! 「そ、それよりもキョン、説明してくれるんでしょうね!」 な、なんのことだ? 「有希たちの事、あたしに隠れて何をしてたのか、きっちり話してもらうわよ!」 お、おい古泉 「しかし、綺麗ですねデモンベインは」 朝比奈さん? 「ホントですね」 長門! 「……」 ……しっかし、綺麗だなあのデウスマキナってやつは 「そうね、それよりキョンあたしを待たせた罪で罰金だからね! それと今回のことと有希たちのこと、その時にたっぷり説明してもらうから、覚えてなさいよ!!」 ……えぇい、仕方ない!罰金はとりあえずこれでカンベンしといてくれ 「え?んん!」 ハルヒ、また学校でな…… こうして俺は自室で目が醒めた、気分のいい夢だった、夢ではないんだけどそういう事にしておこう さて、ハルヒがこれを夢と認識してくれればいいんだが…… ん?メールか from古泉 お帰りなさい、先の閉鎖空間で涼宮さんの力は失われました それと同時に僕の力もなくなりました これで僕はなんのしがらみなく、あなたたちと付き合えます 僕たちの事は、あなたから涼宮さんに話してあげてください 涼宮さんが力を失った以上、隠す必要もありませんからね 今までありがとうございました、そしてこれからもよろしくお願いします しかし、ようやくあの閉鎖空間から回帰できた理由がわかりました こういうことだったんですね ではまた部室で To古泉 うるさい、黙れ、営業スマイル面を写メで送ってくるな気持ち悪い オセロでボコボコにしてやるからおぼえとけ ……いろいろ迷惑かけたなありがとよ from朝比奈さん キョンくん、お帰りなさい、時空の歪みも消えて未来が固定され、涼宮さんの力もなくなりました これで私の任務も終わりです 大学卒業までこの時間平面に居ていいと許可がおりました 卒業後お別れになっちゃいますけど、それまでよろしくね そういえば、あれが閉鎖空間から帰ってくる方法だったんですね 眠るお姫様を起こすためのキスだなんて、まるで白雪姫ですね! 涼宮さんと幸せになってくださいね To朝比奈さん そうですか、とうとう帰ってしまうんですね。 また部室にも顔を出してください朝比奈さんなら大歓迎です あの時の朝比奈さんのビンタ効きましたよ、ありがとうございました from長門 お帰りなさい 涼宮ハルヒの能力は完全に消失した 情報統合思念体は私に蓄積するエラーこそ自律進化の可能性と認識した。 情報統合思念体はあなた達に感謝している 私という固体もあなたに感謝している 情報統合思念体は私の能力にプロテクトをかける事と、私に蓄積するエラー情報の提供を条件に、この世界で生きていいと言っていた。 また図書館に To長門 そうか良かったな長門、それから今までありがとな また図書館に行こうな さてまだ時間も早いし、もう一回寝るか 今日は月曜、学校に行くのにハルヒとセットでくまなんか作ってたら、谷口あたりに何言われるかわからんからな そしてまたこんな夢をみた、あの閉鎖空間で俺たちを助けてくれた二人組みの夢だ 「よく頑張ったな人間、人間でここまで邪神に立ち向かったのは九郎以外で汝が初めてだ ロイガー・ツァール・バルザイの堰月刀は返してもらうぞ」 「急にあの空間が消え始めた時は焦ったな」 「確かにな、汝一体結界内で何をしたのだ? まぁ、またあ奴が現れたら遠慮なく聖句を唱えよ」 「俺とアルとデモンベインがすぐに駆けつけるぜ」 「あの小娘の力は妾達で消しておいたからその心配はないと思うがな では九郎往くとしようか」 「あぁそうだな。それよりアル、子供が欲しいと思わないか?」 「無茶を言うな、妾達は戦いの日々を送らねばならんのだ それに妾は魔導書だ子供ができるかどうかもわからぬ 仮に子供が出来ても、戦いで汚れた妾達の手では……」 「そうだな……、まぁそん時は姫さんにでも頼んでみるか」 「また覇道の小娘に頼るのか汝は!」 「頼れるのは姫さんとライカさんくらいだからな」 「まぁ、出来た時はそうするしかないが、なるべくは作らないようにするからな九郎」 「あぁわかってるよ」 (と言うより、あんなもので毎日毎日……) 「どうしたアル?顔が赤いぞ」 「うつけ!」 「いつまでも長居してないで往くとするか、じゃあなジョン・スミス、幸せにな」 「さらばだ人間」 まったくこの人たちは……俺の夢に何度も入ってきては、最後に夫婦喧嘩までしていくなんて…… もういないかもしれませんが、ありがとうございました ん?そういえばあの時語りかけてきた奴も、この大十字さんも何でジョンスミスを知っているんだ? こうしてデモンベインと呼ばれていたロボットの手に乗り彼らは去っていった 彼らが離れていくにつれ、俺はいつかハルヒに話そうとした幸せの青い鳥の話を思い出していた 「キョン!キョン!!起きろ!!!」 ん?なんだハルヒか…は?ハルヒ? 「学校行くでしょ?」 あぁ、それよりなんでお前がいるんだ! 「別にいいじゃない」 2ヶ月と1週間ぶりってとこか、それよりハルヒ着替えるから部屋から出てくれんか 「あっ…そ、そうねじゃあリビングで待たせてもらうから、さっさと着替えてくること」 わかったわかった 「すまん、待たせたな」 「いいわよ、それよりあの灰色空間のこと説明してもらえるんでしょうね?」 「わかったよ、いいか・・・」 とまぁハルヒに閉鎖空間のこと、長門や朝比奈さん、古泉のことを教えてやった まぁさすがにアレを目の当たりにすれば、さしものハルヒも信じるしかなかったようだ ハルヒの能力については、ハルヒの機嫌が悪くなったりすると閉鎖空間が発生する程度しか言わなかった これ以上喋ってまた能力を発現されても困るからな ジョン・スミスについて話したのかって?それはまたもう少し後の話しだ さて今日から学校に復帰するわけだが、授業も遅れてるし、出席日数も危うい せめてハルヒと同じ大学に入れるよう勉強しないとな、……そうだな、ハルヒに勉強見てもらうか こうして俺は学校に復帰した 試験結果はハルヒ教諭のおかげでそれなりの結果だった だが出席日数が僅かに足りず、3月に補習を受けることで何とか卒業することが出来た SOS団全員で同じ大学に合格し、朝比奈さんが未来に帰るまでの間遊びと学業を共にした。 朝比奈さんが大学を卒業する頃にはもうあの朝比奈さん(大)になっていた 未来に帰ってしばらくしたら、高校生の俺に会うのだろう、白雪姫と星型の黒子を伝えに 俺はと言うと4年の春に就職もきまり、あとは卒業に向けて遊ぶくらいしかやることがなくなっていた せっかくなので暫くアルバイトをすることにした なんのためかって?そりゃ決まってるハルヒとの結婚資金を少しでも稼ぐためだ 今日はSOS団の団活の日だ、朝比奈さんはこれないが、俺たち4人で結構楽しくやっている 長門と古泉はいつのまにか付き合いだしていた そうそう、あの事件結局なんだったのかと言うと 邪神ナイアルラトホテップが仕組んだことだったらしい 何をしたかったのかというと、既に失われた輝くトラペゾヘドロンをハルヒの力で創造し それを破壊することで、アザトースの庭とやらを解放するのが目的だとか 解放したらどうなるのかきいたが長門は答えてくれなかった 知らない方がいいらしい、そうだな知らない方がいいかもしれん 旧神とやらは何だったのかと言うと、邪神ナイアルラトホテップを追っていたらしい あらかじめどこに出現するか分かっていたが、彼らの力だけでは閉鎖空間に入れなかったのだと だから俺とハルヒで聖句を唱えることであの場に顕現できたというのだ さすがはハルヒだ、神様と崇められていただけの事はある 邪神はどうやって入り込んだかと言うと、俺にくっついて入ったらしい でもあの時、俺がハルヒにあいつら呼ぶよう言わなかったら確実に死んでたな俺 もしハルヒが情報爆発を起こしていたら、どうなってたんだろうなこの世界 本物のハルヒが居る場所を教えてくれたあの声に感謝だ でもあの声旧神て呼ばれてた人に声が似てたな できればもう一度会って話しがしたいものだ そういえば、さっきから奥の席が騒がしいがなんだろうか そこにはどこかで見たことのある二人がいた こっちに気付くと、男の方が俺たちのところに来た 「よっ、元気そうじゃねぇか、まっこれからも頑張れよ!」 「九郎、もう行くぞ!」 少女に引っ張られて男は去っていった、あぁそうか彼が大十字九郎さんか あの時はありがとうございました、大十字さん! 聞こえたらしく、手を振っていた 「知り合い?」 とハルヒが聞いてきたので 高校の時世話になった人だと返した 「そう、ならいいのよ。今度会ったらあたしもお礼言わないと」 だがこの後彼らと会うことは無かった 当然だ邪神とやらと戦う彼らに安息の日々は無いのだから さて今日の班分けはっと… 俺とハルヒは色つき、古泉と長門は色無し なぁこの組み合わせなら、Wデートでいいんじゃないか? 「いいですねぇ、僕は賛成ですよ」 「……異議なし」 「古泉君と有希がいいならそれでいいわよ!」 もしもあの時選択を誤っていたら、俺は今頃あの頃に戻りたいと願っていたかもしれない でもあいつの笑顔があれば、あの頃に戻りたいなんて思わない そう、ハルヒの太陽のような笑顔があれば他には何もいらないのさ -Fin- -古泉サイド- と、彼が締めてしまいましたが僕の方でまた少しだけ続けさせてもらいます あの時は驚きました 突然機関の皆さんがいる前で閉鎖空間の入り口が現れたのですから 他の能力者はまったく気付いていない様子でした その時発生していた閉鎖空間と同じ境界でその入り口があったのです もしかしたらと思って、それに触れるとなんなく入れました 僕だけが入れるのでしょうねあの入り口は 入ったら入ったでまた大変でした、能力を使って学校まで行き、そこで長門さん、朝比奈さんと合流しました 一番驚いたのは朝比奈さんです、どうやってきたのかとたずねたら 突然頭にここの空間座標が送られてきたそうで、TPDDを使い侵入したそうです 長門さんもほぼ同様でした 異常事態でしたね、僕だけじゃなく長門さん、朝比奈さんまでこの空間にいるのだから 部室に行くとそこには漆黒の闇を纏ったようなそんな感じの化け物がキョンさんを襲っていました 僕は急ぎ光の球を作りだし化け物に投げつけました 正直驚きました、いつもの20倍の威力でしたからね、それでもこの化け物には通用しなかったのですが…… 化け物が時間をくれるそうなので、一旦保健室に退避して長門さんに彼の治療をしてもらいました 涼宮さんも疲れていたのでしょうね、彼の治療が終わるとすぐに眠ってしまいました 僕たちは外で彼らを起こさないよう対策会議を始めましたが、結局いい案が浮かびませんでした しかしここで、長門さんが以前彼の精神に入ったときにあった女性が、彼に聖句を教えたことを聞かされました この聖句が勝利の鍵であることを確信した我々は彼らを守ることに専念することにしました 結果は重力結界やダゴンと呼ばれた化け物のおかげでさんざんでしたけども 後は皆さん知っての通りです そういえば、あの時部室に直接時空移動すればよかったんですが 残念ながら彼らが張ってくれた結界の影響で、移動できなかったと朝比奈さんが言ってましたね 僕は卒業と同時に長門さんに僕の想いを伝えました ですがこのときは振られましたねやっぱり 長門さんがキョンさんを好きだという事は知っていましたから でも大学2年の時ですか、長門さんから僕にアプローチがありまして そこでようやく僕と長門さんは恋人同士になったわけです 涼宮さんが好きじゃなかったのかって? 確かにそうですが、僕にとって彼女は高嶺の花ですよ あの太陽のような笑顔は僕ではなく、彼に向けられているのですから え?それではどうして長門さんを好きになったのかって?んっふ、禁則事項です そして大学4年になってキョンさんの就職が決定して少ししてから 何かいいバイトが無いかと相談を持ちかけられまして ちょうど機関で人手が足りないからどうか?と答えました 機関は彼に特別恩がありますからね、さて大学卒業後の七夕の日にサプライズを用意しておきましょう これは僕たち機関に所属するもの全員からのお礼ですからね クリスマスに僕たち機関からのクリスマスプレゼントとして、彼らに教えてあげましょう。今からならたっぷり準備期間もありますし 彼は彼でこの七夕にプロポーズするそうです、何でもその時にジョンスミスの話しもするそうですよ んっふ準備のし甲斐がありますよ 実は僕は僕でもう長門さんにプロポーズをしてしまいまして、もちろん答えはYESでしたよ W結婚式なんて涼宮さんがきいたらどんな反応するんでしょうか 実に楽しみです、あぁもちろん長門さんもこの計画知ってますよ。さてこのくらいにしておきましょうか それでは皆さんにも幸せが訪れますように そして僕からの忠告です、あの頃に戻りたいなどと考え邪神に惑わされないでください その邪神はいつどこであなたを狙っているかわかりませんからね それに、未来は悪いことばかりではありません、自分自身でどうにでもなるのです もちろん、どうにもならない事もあります。ですが、そこから自分でどう修正するかで、また未来は大きく変わるのです -TheEnd-
https://w.atwiki.jp/gogolf/pages/3043.html
カッパをお気に入りに追加 くちこみリンク1 #blogsearch2 JAWS_260.jpg burner_res.jpg キャッシュ 使い方 サイト名 URL くちこみリンク2 #technorati 報道 東北×クリエイター×カワイイおみやげ大集合【KANEIRI Museum Shop6】|るるぶ&more. - るるぶNEWS ネット社会では国家も企業も個人も確信犯的いい子ぶりっこになる【藤森かよこ】 (2021年12月10日) - エキサイトニュース 衝撃の“かっぱ寿司やんちゃ盛り”がふたたび! まさかの“アレ”が積み積み!カロリーは気にしない!! 「本気寿司シリーズ」“やんちゃ企画”第2弾今度のネタは一体なんだ!? - PR TIMES ジェフ・ベゾス氏による特別記事「いい人材を見抜く方法」(ダイヤモンド・オンライン) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース ダム愛好家、「減勢工」の底で浮かれる 超レアな「開放イベント」に日本各地から見学者集結(全文表示)|Jタウンネット - Jタウンネット 「かわいすぎる!」「すごいアイデア!」と話題沸騰のおにぎりアートがついに単行本化! 『OH! ざわつくおにぎり』本日発売! - PR TIMES 【決算速報】くら寿司、今期営業は黒字浮上へ - ニュース・コラム - Y!ファイナンス - Yahoo!ファイナンス 室蘭の沖合で漁船乗組員1人が海に転落 海保など捜索続ける|NHK 北海道のニュース - nhk.or.jp かっぱ寿司、自宅で豪華なネタを楽しむ「年末年始 テイクアウトセット」 - グルメ Watch 築150年の古民家から“ミイラ”発見!?その意外な正体に「勉強になった!」 - テレビドガッチ オミクロン株で13個目…変異株の名称用ギリシャ文字はあと残り8つ! - ジャーニー 〈時事ニュースで好奇心〉新たなコロナウイルス変異株は「オミクロン株」 → ギリシャ文字って何?(朝日新聞EduA) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース PALACE SKATEBOARDS x Kappa による初のコラボコレクションが発売 - HYPEBEAST かっぱ寿司、脂のり抜群の「冬の寒鰤(かんぶり)祭り」を一足早く食べてみた - グルメ Watch ブランド米「山形県産 はえぬき」のシャリをさらなる高みへ かっぱ寿司“うまい!シャリ”ここに完成 - PR TIMES 【かっぱ寿司も対象】PayPay決済でお得に!「ペイペイジャンボ 一等最大全額戻ってくる!」キャンペーン参加 - PR TIMES 【公式】オミクロン株対応済みを確認 NEW GENE社 抗原検査キット - PR TIMES 紀三井寺公園で「わかやまリレーマラソン パンダRUN」 秋晴れに1200人が力走(みんなの経済新聞ネットワーク) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 優勝した辻栄蔵「桐生君が見えていい展開になるかと」/多摩川SG(日刊スポーツ) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース すしネタにお金をかける回転ずしチェーン 2位は「かっぱ寿司」では1位は? - M&A Online ずん飯尾「注目は1号艇の辻選手。料理人だったらいい和食を作りそう」…多摩川・SGチャレンジカップ28日優勝戦(スポーツ報知) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 妖怪ケンムン実在したのか!〝東スポ探検隊〟徳之島へ急行!!(東スポWeb) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 【3日間限定】出前館「週末すし祭」好評につき11月も参加! 人気の『賑わいセット』がなんと20%OFFに! ご自宅でもお得に!うまい!かっぱ寿司 - PR TIMES かっぱ寿司の新メニュー! 6貫で330円の「やんちゃ盛り サーモンいくら」(BCN) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース ジェフ千葉の新ユニフォームは懐かしさ満点! 1993年のデザインをオマージュ、佐藤勇人「本来のジェフのクラブカラーが採用されている」(超WORLDサッカー!) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース スシロー・くら寿司は四半期2桁増収!かっぱ寿司は減収…明暗分けた要因は - ダイヤモンド・オンライン ユニ以外も素晴らしい!ヴェネツィア、21-22「KAPPAチームウェア」8選 - Qoly Football Web Magazine 「PayPayグルメ」を使って実際にかっぱ寿司でクーポン入手から予約を行ってみた! (2021年11月12日) - エキサイトニュース かっぱ寿司の本気がつまった「本ずわい蟹」商品が7品! 生でも茹でてもうまい!売切御免! かっぱ寿司に冬の味覚“かに”到来!! - PR TIMES 相葉雅紀のカッパ姿にファンが思い出した「アラフェス」での着ぐるみ姿 - アサジョ かっぱ寿司/4~9月は寿司全皿半額実施も営業損失20億円 - 流通ニュース 【オープン記念】『ランドマーク風 サーモンタワー』寿司販売 かっぱ寿司が横浜駅近に登場!「かっぱ寿司 横浜西口 エキニア店」 - PR TIMES かっぱ寿司「牡蠣ととろ市場」開催、蒸し牡蠣はポン酢・ガーリックバターの2種類、カキフライ・天然みなみ鮪大トロ・天然のどぐろ炙りも - 食品産業新聞社 かっぱ寿司の食べ放題「まちがい探し 食べホー」予約開始、チャレンジで100円OFF券プレゼント - 食品産業新聞社 「DiDi Food」に「かっぱ寿司」が加盟 - PR TIMES 妖怪伝説が多い「岩手県」。遠野市に行けば、“カッパ捕獲許可証”が手に入る?/オニすご! とんでもねー!! ニッポンびっくり事典 - ダ・ヴィンチニュース 牡蠣好きにはたまらない!蒸し・天ぷら・フライ さらに天然みなみ鮪大とろまで!こだわりの豪華ネタが勢揃い かっぱ寿司で冬の味覚を先取り! - PR TIMES 飲食店予約サービス「PayPayグルメ」が開始 かっぱ寿司を「PayPayグルメ」で予約するとお会計金額より10%OFFに! - PR TIMES かっぱ寿司 神奈川県内16店舗対象!「かながわPay」総額70億円還元キャンペーン - PR TIMES 「一日中カッパはあまりない」 松山英樹は首位ターン→雨中の練習 - ゴルフダイジェスト・オンライン 【かっぱ寿司×PayPay】お持ち帰り(店頭会計)もOK!最大5%戻ってくる!お得なPayPayクーポン配布中 - PR TIMES 【5日間限定】かっぱ寿司10月後半の食べホーは“うまい!”だけじゃない!? 今回はなぞなぞチャレンジの食べ放題! - PR TIMES カッパと一緒にお祝い!大潟水と森公園20周年記念イベント | ニュース - joetsu.ne.jp ワクチン接種証明アプリ「ワクパス」登録で特典、かっぱ寿司・HIS・APAホテルなどが導入 - 食品産業新聞社 “うまい!かっぱ寿司”に待ったなし!横綱級の旨さ!「うまい!名勝負うにとろ場所」開幕です - PR TIMES 渋野日向子「カッパの皿みたいな“公園芝“に…」逆転V期待も12打差5位に「悔いはないです」【日本女子オープン】(中日スポーツ) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 【かっぱ寿司アプリ会員限定】ワクワクかっぱ寿司! あれもこれも入って550円(税込)!?超・超・超お得すぎる「新特典皿」始まります - PR TIMES 【小学生以下限定】かっぱ寿司に来店(店内飲食・お持ち帰り注文)でワクワク!「プチガチャ」1回無料で回せるよ!! - PR TIMES 「妖怪のまち」仕掛け人 福崎町職員の小川知男さん死去、自殺か - 神戸新聞NEXT うまくなったかっぱ寿司の覚悟を見てください! 生の国産本鮪がほぼ原価!? 沢山食べられると本当に赤字です 衝撃の『国産生本鮪』 一貫110円(税込)! - PR TIMES 赤井英和のプライベートに爆笑、松本人志「カッパやな」 » Lmaga.jp - Lmaga.jp(京阪神エルマガジン社) 「カッパの美脚」長崎県で史上初撮影! スラリと伸びた緑色&足の指には水かきを確認 - 東スポWeb かっぱ寿司 決意の1日! 単なる半額ではない、「寿司全皿半額」の戦略 進化したかっぱ寿司を知っていただきたい、体感していただきたい - PR TIMES 【アプリ会員限定】まいぜんシスターズ×かっぱ寿司 オリジナル限定デザイン全6種類!アクリルキーホルダープレゼントキャンペーン開催 - PR TIMES かっぱ寿司 青森県内2店舗リニューアルオープン! - PR TIMES ミュー・カッパ…警戒すべき変異株は?専門家に聞く - テレビ朝日 食べ放題50人に1人が無料に「カッパ寿司」が攻勢 - M&A Online 【本格ラーメンシリーズ】日本一煮干を追求したあの味をかっぱ寿司で第15弾は一口食べた瞬間“ニボい!”「ラーメン凪」監修 『“すごい”煮干ラーメン』登場 - PR TIMES 【ライブレポート】ユニゾン東阪自主企画で崎山蒼志、カッパマイナス、日食なつこ、黒子首と競演(写真32枚) - 音楽ナタリー 変異ウイルス「イータ株」、入国検疫で18人確認…「カッパ株」も19人 - 読売新聞 「両腕のない競泳選手」14歳・山田美幸を最年少メダリストに導いた 亡き父親の言葉 こうして少女は カッパ になった - PRESIDENT Online カッパの大賞は、この一枚 - 西日本新聞 【WEB・アプリご注文限定】秋もお家で「うまい!かっぱ寿司」 対象のお持ち帰り商品20%OFFキャンペーン開催 - PR TIMES 芦田愛菜、妖怪で好きなのはカッパ「一緒に川遊びできたら楽しいだろうな」 - ニッカンスポーツ お寿司にラーメン、ザンギにデザートまで!!かっぱ寿司で北海道旅行気分をお楽しみください 北海道の海と大地の“うまい!”がどさんこ盛り - PR TIMES 「うまい!かっぱ寿司」を堪能してください!3日間限定!かっぱ寿司アプリ会員限定!店内飲食2割引クーポンを配信 - PR TIMES 天国のパパへ「カッパになったよ」パラ日本勢最年少メダル・山田美幸の一問一答 - 読売新聞 『小林さんちのメイドラゴンS』×かっぱ寿司コラボはいつから? - 電撃オンライン 日本を標的にしたマルバタイジングキャンペーンを確認 偽のWebサイトに注意 - ITmedia 【アプリ会員限定】小林さんちのメイドラゴンS×かっぱ寿司 TVアニメ2期放送開始記念!全6※種類! 限定クリアファイルプレゼントキャンペーン開催 - PR TIMES かっぱ寿司で秋の味覚“秋刀魚”を先取り!三陸産の秋刀魚を「生」「炙り」「蒲焼き」で! - PR TIMES カッパ伝説のある「新潟県立大潟水と森公園」(新潟県上越市)にカッパ像が設置 - にいがた経済新聞 県立大潟水と森公園にカッパ像 開園20周年のイベントも開催! | ニュース - joetsu.ne.jp 『ゆるゲゲ』、新超激レア「ガマ仙人」がピックアップガチャに登場! 新イベント「河童の働き方改革!」も同時開催! - PR TIMES アニメ「さらざんまい」の舞台! かっぱ・合羽・河童が混在する台東区・合羽橋エリアを読み解く(アーバン ライフ メトロ) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 「かっぱ寿司モレラ岐阜店」グランドオープン! 【オープン記念】本気にぎり実演販売・特別商品先行販売実施! - PR TIMES 親子でかっぱ寿司の裏側を探検しよう!かっぱ寿司 夏の自由研究2021 in愛知県 - PR TIMES 苦境のかっぱ寿司 社長がなぜライバル店のデータ不正入手 - 毎日新聞 - 毎日新聞 お盆はかっぱ寿司のお持ち帰り商品で家族団らん! 『夏限定!うまいネタ盛りセット』が特別価格に - PR TIMES かっぱ寿司の決意 「続・うまい!品質」 “本気シャリ”にふさわしい 一貫一貫を店内で握る! 【寿司屋品質】“本気にぎり”はじめます。 - PR TIMES 「嘘やろそれで散歩行ったんか」母親手作りの“犬のかっぱ”が衝撃的…なぜこの姿に? 投稿者と母親に聞いた - FNNプライムオンライン 「生け捕りで」「皿の水はこぼさない」7ヶ条を守って!? 公式「カッパ捕獲許可証」ネット販売が好調|まいどなニュース - 神戸新聞社 かっぱ寿司で、この夏の思い出を作ろう! 7月は5日間限定!! かっぱ寿司「汗かく夏も食べホー」開催! - PR TIMES いたずらカッパの逸話アニメ化 住民子孫に語り継がれた「詫び証文」、福井県美浜町 - 福井新聞 かっぱ寿司史上初!「最高等級A5ランク」黒毛和牛 【10日間限定】半年かけて開発した “どまんなかネタ”旨みが全開!「黒毛和牛祭り」開催 - PR TIMES バリィさんにも負けない!新SNS映えスポット!まつちカッパって何者? - DO?GO!愛媛 少年忍者・織山尚大が舞台主演 カッパの世界体験「すっげぇたのしかった」 - ニッカンスポーツ うまい!かっぱ寿司”で初夏を迎えましょう!日本のうまい!が味わえる「初夏の国産と天然 旨いネタめぐり」開催 - PR TIMES かっぱ寿司「レンタル回転レーン」サービス開始、1泊3300円で自宅が「ミニかっぱ寿司」に - 食品産業新聞社 Patta x Kappa から黄金期のACミランにオマージュを捧げたジャージーが登場 - HYPEBEAST カッパを信じる丸山桂里奈に緊急記者会見ドッキリ! - テレビドガッチ 豪雨で行方不明の「カッパちゃん」、線路の土砂から9か月ぶり救助 - 読売新聞 Yahoo!ロコからの予約開始 かっぱ寿司でGo To Eatポイントが使える! - PR TIMES 関東人に「かっぱげ!」と言われても、河童の毛の話をしているわけではありません(全文表示)|Jタウンネット - Jタウンネット 『モンハンライズ』ヨツミワドウの 河童 要素に注目!河童を求めて「遠野物語」の舞台へ旅をしてきました【特集】 - インサイド 【かっぱ寿司×PayPay】GW中もOK!お持ち帰り(店頭会計)もOK!10%戻ってくる!超お得なPayPayクーポン配布中 - PR TIMES カッパの贈り物 文字の謎解明 専門家から「間違いない」 敦賀市の寺 - 福井新聞 かっぱ寿司の本気【うまいの研究所】発足!!いつでも揚げたて、サクサク食感「新・天ぷら品質」“うまい!かっぱ寿司” 天ぷらリニューアル! - PR TIMES 伝承のカッパ銅印、何て書いてある? - 福井新聞 まさか妖怪? スーパーで売っていた「カッパ肉」にネット騒然、その正体は...(全文表示)|Jタウンネット - Jタウンネット 成分解析 カッパの72%はカルシウムで出来ています。カッパの12%は陰謀で出来ています。カッパの6%は月の光で出来ています。カッパの5%は毒電波で出来ています。カッパの3%は希望で出来ています。カッパの2%は砂糖で出来ています。 ウィキペディア カッパ 楽天GORAゴルフ場索引 北海道・東北 関東 北陸 中部 近畿 中国 四国 九州・沖縄 海外 掲示板 名前(HN) カキコミ すべてのコメントを見る ページ先頭へ カッパ このページについて このページはカッパのインターネット上の情報を集めたリンク集のようなものです。ブックマークしておけば、日々更新されるカッパに関連する最新情報にアクセスすることができます。 情報収集はプログラムで行っているため、名前が同じであるが異なるカテゴリーの情報が掲載される場合があります。ご了承ください。 リンク先の内容を保証するものではありません。ご自身の責任でクリックしてください。
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/839.html
その1(古泉戦争with代名詞編) ハルヒ「ちょっとキョン!アレとって!」 キョン「アレって何だ?」 ハルヒ「だからアレはアレよ!!」 キョン「落ちつけ、それだけじゃわからん」 ハルヒ「指差してるでしょ!?」 キョン「指差されてもわからんから言ってるんじゃないか」 ハルヒ「もーこのバカキョン!!」 古泉「あなたも鈍いですね。涼宮さんは机の上にあるリボンをとってほしいのですよ」 キョン「ああ、そうだったのか。このへん散らばってるからどれを指してたのかわからんかった 古泉礼を言う。全く些細なことで閉鎖空間を広げてしまうところだった(小声で)」 古泉「いえいえ、礼には及びませんよ(これで好感度アップですね♪)」 ハルヒ「古泉君全然違う!」 古泉「何ですって!?(好感度アップにはつながりませんでしたか…)」 ハルヒ「もー何で誰もわからないのかしら!?そこに団長の腕章があるでしょ!? とってほしいのはそれよ!!」 キョン「まぎらわしい。最初からそう言ってくれてれば手間をかけることもなかったのに」 古泉「(小声で)キョン君、そうぶっきらぼうに言ってはいけません」 キョン「(小声で)おいおい、たったこれくらいのことでお前はいちいちハルヒの味方をするのか?」 古泉「(小声で)よく聞いてください、ズバリあなたは涼宮さんに信頼されてるんですよ 彼女はあなたがアレという代名詞だけでそれが何かわかってくれると信じてるんです 意志疎通ってやつですね。うらやましい限りです(是非、キョン君ともそういう仲になりたいものです)」 キョン「はあ…」 古泉「(小声で)ですから、そんな彼女の気持ちに応えてあげるように…」 キョン「お前の言いたいことはわかったよ」 ハルヒ「ちょっと二人とも!いつまでひそひそしゃべってんの!?もう、キョンしっかりしてよ」 気付くとハルヒはすでに自分の腕章をとっていた キョン「すまんハルヒ、今度からはお前のいうアレとは一体何なのかすぐ把握できるように努める」 ハルヒ「わかればよし!そうと決まれば今日は解散よ!!」 キョン「お前の解散基準がさっぱりわからん」 ハルヒ「じゃあキョン!今からあそこに行きましょ!」 キョン「あそこ?…(また代名詞か、もう勘弁してくれ、ってかさっきからワザとだろ絶対)ええっと、それはだな」 古泉「おそらく彼女の家のことでしょう」 キョン「なんだ、あそこってのはハルヒの家のことだったのか。…っておい!?」 ハルヒ「きょ、キョンあんた何言ってんの!?この前、あんた遅刻した罰金まだ払ってなかったから 喫茶店で今からおごってもらおうと思ってたんだけど…私の家って…一体どういうつもり? 何か変なこと考えてんじゃないでしょうね?!」 キョン「いや、違うんだハルヒ、これは不可抗力というやつでな」 ハルヒ「うるさいうるさいうるさい!」 古泉「(ふふ、さっき僕はキョン君の好感度を上げようとして彼に提言した。しかしそれは失敗してしまった。 そのとき僕は悟った、自分の推理力を過信してはダメだと。そこで発想の転換です。 つまり僕とキョン君との好感度をアップさせるのではなく、彼と涼宮さんとのそれをダウンさせればいい。 涼宮さんが望んでいない答えに彼を誘導することで、相対的にキョン君の意識は涼宮さんから僕へと移り変わる。我ながら素晴らしい作戦です)」 キョン「く…(古泉め、後で覚えてろ。まあヤツにつられる俺も俺だが)」 古泉「(ふふふ…キョン君、あきらめなさい!)」 ハルヒ「……まああんたがどうしても来たいってならしょうがないけど…」 古泉「(NO-!事態は思わぬ方向に!!)」 キョン「!?…行っていいのか?」 ハルヒ「言っとくけど感謝しなさいよ!?私が男という生き物を家に招くということはめったにないんだからね!!」 みくる「つまりそれってキョン君が涼宮さんにとって特別だってことですよね♪」 ハルヒ「み、みくるちゃん、一体何言って…」 キョン「なあ、特別って何だ?」 ハルヒ「そ、そういうことよ!!!」 キョン「(ホント、よく代名詞を使うヤツだなこいつは)じゃあ、そういうことって何だ?」 長門「…(鈍い人)」 ハルヒ「…もうッ!このバカキョン!!いいからあんたは黙って私の家に来ればいいのよ!!!」 キョン「おいおい、俺はまだ行くとは一言もいってないぞ」 ハルヒ「え、何?来ないの…?」 キョン「あ、いや、まあ別に用事ないし…」 ハルヒ「じゃあ決まりね!!時間もないしとっとと行くわよキョン!」 キョン「だー待て、せっかくだし、みんなも誘ったらどうだ?」 みくる「あ、ご、ごめんなさい、私今日用事あるんですう~♪」 長門「…私も今日はちょっといけない」 古泉「僕も実は今日バイトがあるんで!(本当は僕一人でも逆らいたいところですが… この空気には逆らえそうにありません(泣)長門さんに何かされても困りますしね… 僕の完全敗北です)」 キョン「(みんなそんなに俺とハルヒを二人にしたいか)」 ハルヒ「あら、そう?じゃあついてきなさいキョン!」 キョン「お、おう(ま、悪くはないかな…だが一体行って何をするのだろうか? まあそのへんはハルヒが考えてるだろうがな)」 その2(休戦withハルヒ宅編) そして俺達はハルヒ宅へと着いた。 キョン「おじゃましまーっす」 ハルヒの母「いらっしゃい。あら、もしかしてあなたがキョン君?」 すげー美人が目の前にいた。 キョン「ええ、そうですけど」 ハルヒ母「あら、そう♪ウチの娘がいつもお世話になってます♪」 キョン「いえいえ、そんな」 ハルヒ「母さんはもういいから、あっち行っててよ!!」 ハルヒ母「ひどい娘ねえ、まあいいわ、どうぞ二人で楽しんでらっしゃい!ふふ」 ハルヒ「だからそんなんじゃないってば!」 キョン「(そんなんの意味を尋ねようと思ったが、今はやめておこう)」 で、今から何すんだ?」 ハルヒ「さあね」 キョン「決めてなかったのかよ」 ハルヒ「とりあえず私今から部屋で着替えるから、だからあんたはそれまで待ってて」 キョン「そうかい」 ハルヒ「覗いたらぶっ殺すわよ」 キョン「へいへい」 言われた通り、ハルヒが着替えるのを待って俺は部屋に入った。 うーむ、ハルヒといえども女の子の部屋に入るというのは緊張するな。あ、決して変なことは考えてないからな。 ハルヒ「何か変なこと考えてたんじゃないでしょうね?」 思ってた矢先にこうだ。ちょっとムカっときたので、少しハルヒにイタズラをすることにした。 キョン「なあハルヒ、その変なことって何だ?」 ハルヒ「へ?」 キョン「その変なことっていうのをどういうことかを俺に詳しく説明してくれ。」 ハルヒ「わ、わかってるくせに…あんた、女の子の口から言わせるつもり??」 キョン「いや、全然わからないねー」 ハルヒ「このバカキョン!エロキョン!」 うお、バカとエロの二重コンボか。 その3(闘争withポーカー編) その後、特にすることもない俺達はトランプをすることにした。なぜかって?なぜと言われても返答に困るが、 一番無難だからとでも答えておこう。ハルヒはトランプをするのは久々のようで結構はりきっていた。 ハルヒ「まずはコテ調べにポーカーね!」 キョン「な、いきなり賭け事かよ!(まあ、こいつらしいといえばこいつらしい)」 ハルヒ「別に、誰も賭けるとは言ってないでしょ!」 キョン「そうか、それはすまなかった(珍しいこともあるもんだな、ひょっとして機嫌でもいいのか?)」 そういうわけで、ポーカー開始だ。俺が繰った後、5枚のカードをそれぞれ自分とハルヒに渡す。先攻は俺のようだ。 キョン「…(俺の手札数字がバラバラだ。これじゃペアは狙えそうにねえぞ)」と悲嘆に暮れていた俺であったが その代わり、5枚のうち4枚がダイヤだったので、ここは思い切ってフラッシュを狙うことにした。 キョン「じゃあ俺は1枚捨てて1枚ひくぜ」 そう言って俺は運命のカードをひいた。が、人生というのは上手くいかないな、俺がひいたのはスペードだった。 フラッシュをあきらめ、元からある4枚の数字と一つでも同じでないか、そうワンペアを狙ったのだが その思いも1秒足らずで風化した。運が悪すぎだな、これは世に言うブタというやつである。 ハルヒさん、どうやらあなたの勝ちのようですよ。 キョン「ハルヒ、お前の番だぞ」 ハルヒ「わかってる」 よく見ると、ハルヒは深く悩んでいるようだった。そう深く考えなくてもお前は高確率で俺に勝てると思うけどな。 ハルヒ「こうなったら5枚全部捨てるわ!」 …!こいつ全部入れ替えやがった!ということはこいつも俺同様、手札が悲惨だったのか。 ハルヒ「むー…」 ハルヒ、お前全部表情に表れてるぞ。そんなにいいカードがなかったのか。 キョン「よし、じゃあ勝負だ!俺はブタだ」 ハルヒ「!なんだ、あんたもなの。安心したわ、私もブタ!」 なんと、こいつもブタだったのか。この場合、互いの持ってる5枚のうち、最も大きい数字で勝負することになる。 ん?なんかハルヒの目が輝いてるぞ? ハルヒ「キョン!私の勝ちよ!見なさい、このキングの13を!まさに私にふさわしいカードだわ!」 お前の場合、女だからクイーンじゃないのか。まあ、そんなどうでもいい突っ込みはいい。 だがハルヒさん、ゲームで古泉に連勝する俺の実力、そして運をなめちゃいけないぜ。 …比較相手が古泉なので説得力がないのが悲しいが。 キョン「1だ、俺の勝ちだなハルヒ」 当然だが、ポーカーにおいては1が13よりも強い。他のトランプゲームでも大抵そうだけどな。 ……しっかしなんて低レベルな試合だ。 ハルヒ「く…!キョンのくせに私に勝つなんて生意気よ!!!」 キョンのくせにか、ひどい言われようだな。 ハルヒ「まあでも1ってのはあんたらしいけどね」 おい その4(闘争with大富豪編) なんだかんだいってトランプごときでここまで熱くなるとわな。相手がハルヒっていうのも原因の一つかもしれない。 その後、ポーカーを2、3回したがなんと全部俺の勝ちだった。ハルヒに勝てるのはトランプの世界だけかもしれないな。 機嫌が悪くなったのか、今度はハルヒは大富豪をしようと言い出した。なるほど、ハルヒが好みそうなゲームだ、 受けて立つぜ。…といったものの、二人で大富豪となると一人の手札が総数の半分の26枚になってしまう。 あまりに多いので、さすがに手札の数を減らした。最終的には15枚でハルヒの合意を得た。 ハルヒ「じゃあスペードの3、私がもってるから先攻は私ね」 キョン「そうか」 ハルヒ「3のダブルよ!」 キョン「お前、いきなり2枚勝負かよ」 まったく、ハルヒらしいぜ。俺も対抗してカードを置いていくが、ラストは俺のジョーカー&2のカードで締めた。 ちなみに2は大富豪においてはジョーカーについで2番目に強い。 (なんかトランプ講座みたいになってきたのでここで説明終了) ハルヒ「対抗できるカードなんてあるわけないじゃない!キョン、あんたの番よ」 俺は残り11枚、ハルヒも11枚…ここで俺は4枚ともクローバーの10、9、8、7を使わせてもらった。そう、革命である。 ハルヒ「な…!!!」 ハルヒの驚いた表情と後悔の念が伺える。そりゃそうだ、さっきこいつは3のダブル(2枚)を使ってしまったんだからな。 というか、これくらい予測しとけよハルヒ… キョン「そして俺は1のダブルだ、ハルヒ助かったな」 ハルヒ「バカいわないで!革命中だから1を捨てるのは当然のことじゃない。 っていうかあんた、そんな強いカードもってて革命とかバカなんじゃない?」 言われてみればそうかもしれない。だが、革命をしたときのハルヒの顔色が見たくてな、察してくれ。 ゲームってのは楽しまなきゃ意味ないぜ。 ハルヒ「じゃあ私はキングの13のダブルを出すわ」 つくづくキングに縁があるやつだなお前は キョン「俺は10のダブルを」 ハルヒ「9のダブル」 な…こいつ意外にダブルもってんのな。じゃあこいつはどうだ? キョン「5のダブルだ」 ハルヒ「ふふッ…キョン、何あんた勝ち誇った顔してんのよ?」 なんだって?俺がそんな表情をか。俺もお前のこと言えねーのかもしれねえな。 ハルヒ「じゃあ私はそれに4のダブルをぶつけるわ!!」 キョン「強いなハルヒ。俺はパスだからお前の番だ」 みなさんお気づきだろうか?俺は残り1枚、ハルヒは6枚である。 ハルヒ「ふふふ、1枚になったことを後悔させてあげるわ♪」 何をいきなりおっしゃるハルヒさん ハルヒ「2のダブルをだすわ」 キョン「…お前革命なかったらどんだけ強いんだよ!?」 ハルヒ「そうよ!あんたが革命起こしたせいなんだからね!!」 俺は1枚だけだから出せるわけもなく…ん?もしかして俺はやばいのか? ハルヒ「畳み掛けるわよ!!ハートの10と11とジョーカーで攻撃!!」 キョン「階段!?マジかよ!?」 最後の最後でジョーカーとは…なんだかんだいってお前策士だな。それとも俺は油断してたのか…? ハルヒ「最後に1を出してっと♪はい、私の勝ちね♪♪」 ハルヒの手札がなくなっちまいやがった。畜生、俺の手札の1枚は、革命下で最強のはずの3だったのに… 早々に手札が1枚だけになったのが最大の敗因か…不覚だ。 キョン「強いじゃねーか、ハルヒ。やりがいがあるってもんだ」 ハルヒ「ふん!キョンのくせに生意気な口たたいちゃって!いいわ、これから私の強さを見せつけてあげる!!」 うむ、見事に見せつけられた。この後、俺達は7時まで大富豪をしてたのだが、なんと今度は俺の全敗だった。 神様ってのは運を人間に平等に与えるのなとつくづく思った。 ハルヒ「あ、キョン、もしかして運が悪かったって思ってる?それは自惚れね!あんたには実力がないのよ!」 痛いとこつかれたな。ま、決して弱いほうではないと思うけどな。ふ、聞かなかったことにしよう、それが俺である。 その5(平和with両思い編) ハルヒ「あーとっても楽しかったわ♪」 キョン「そうだな、トランプごときでここまで熱くなるとはな、俺も十分楽しかったぜハルヒ!」 ハルヒ「私からみても楽しそうなのがわかる♪キョンが楽しんでくれてよかったわ」 キョン「(めちゃくちゃ機嫌いいな)お前もみてて楽しそうだったぜ。子供のようだったよ」 ハルヒ「あら、あんただって子供みたいだったけどね!!」 俺達は笑った。うむ、互いに負けず嫌いってとこは認めなければならないだろう。 その後しばらく談笑してたが、7時半を過ぎてるのをみて、さすがにもう家に帰る頃…ってか帰らないとやばいな、 妹たちに俺一人のために夕食を待たしちまうと思い、ハルヒの家を出ることにした。 楽しかったから俺としてはまだずっとハルヒと一緒にいたかったけどな。 ハルヒ母「あら、もう帰っちゃうの?夕食くらい食べていけばいいのに」 優しい母親である キョン「大変ありがたいですが、お気持ちだけ受け取っておきます。家族を待たせるわけにはいかないので」 ハルヒ母「あら、そう…ねえキョン君」 キョン「はい?」 ハルヒ母「(小声で)娘とはどこまでいってるの?」 いきなりで驚いたね。ちょっとは考える時間をくださいハルヒ母さん。 キョン「(小声で)え、ええっと…大丈夫です、決して変なことはしてませんから!」 こんな変な返答する俺も俺だな。考える時間がなかったからということにしておいてくれ。 ハルヒ母「(小声で)ふふ、本当キョン君って純粋ね。これからも娘をよろしく頼むわ。 あの娘、なんだかんだいってかなり無茶しちゃう娘だから…」 キョン「任せてください、ハルヒを…悲しませるような目には絶対あわせませんから!!」 ハルヒ「きょ…キョン??」 しまった、つい感情こもって大きな声だしちまった!ん?感情?もしかして俺、ハルヒのこと… ハルヒ母「こんな素敵な男の子がいてハルヒは幸せね♪」 ハルヒ「もう!お母さんがいると話がややこしくなるからあっち行ってよ!!」 ハルヒ母「はいはい、じゃあねキョン君」 キョン「はい、おじゃましましたー」 と言って外に出ると、ハルヒもついてきた。見送りにきてくれたらしい。 ハルヒ「な、何よ!?団長が団員を気遣って見送るのは当然のことでしょう!?」 最後の最後までハルヒらしいな。 キョン「今日はいろいろとありがとなハルヒ…」 ハルヒ「え?」 キョン「楽しかった、ありがとな!!」 ハルヒ「こ、こっちも楽しかったわよ!!あんただけにありがとうと言われる筋合いはないわ!! こっちもどうもありがとね!!!」 そう思いっきり言われると照れる。…今のこいつ、本当に幸せそうな顔してるな。 ってかいつまでもそんな顔されたらー 気が付くと俺はハルヒを抱きしめていた。 ハルヒ「きょ…キョン!?」 ハルヒは驚いてる、だけど俺はこの手を放したくなかったんだ。するとハルヒも抱きついてきてくれた。 ハルヒ「キョン…温かい」 キョン「…お前もな」 しばらく沈黙が流れる キョン「ハルヒ…やっぱ俺、お前のことが好きみたいなんだ…もう隠しようもないぜ」 ハルヒ「!!…やっと…やっとキョンと思いが通じ合った…」 俺たちはよりいっそう強く互いを抱きしめる。そして静かに口付けを交わした。 .………何分経ったのだろうか、とりあえず俺達は手を解いた。 キョン「…これからもよろしくな…ハルヒ」 ハルヒ「望むところよ!キョン!!」 こういう状況でも、すぐさま人一倍元気になれるハルヒはやはりハルヒらしい。見てるこっちも元気が出てくるってもんだ! キョン「今度はみんなも一緒にトランプしような」 ハルヒ「ええ、もっと楽しくなりそうね…♪」 Fin
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/4759.html
電気を付けたら部屋が明るくなりました、みたいないつも通りの放課後。俺はいつも通り占領もとい借りられた文芸室に足を運んだ。にしても太陽もたまには休めばいいのにどうしてここ最近晴天続きなんだ。 真夏の太陽を恨みながらドアを開けると、そこにはチューリップの花のように可憐なメイドがのんびりお茶を沸かしてい・・・なかった。 ただ部室の真ん中で怯えた朝比奈さんが団長様に気圧されていた。 ハルヒ「だから答えてちょうだい!どうやって瞬間的に私の前に姿を現せたのよ!?」 みくる「あうあうあうあうあう」 ハルヒはなんで怒っているんだ?いや、というより爆発寸前の太陽ような笑顔だな。それに「不思議を見つけた」みたいな楽しさを感じる・・・まさか。 少し会話(というより恐喝)を思い出そう。朝比奈さんが突然姿を現した、だと。しかもハルヒの目の前で。 俺が頭痛を感じていると古泉が営業スマイルのまま近寄ってきた。 古泉「事態は深刻です」 なら深刻そうな顔をしろ、仮面か? 古泉「これは失礼。しかし涼宮さんの前ではこの顔でなくてはなりません」 そういやそうだったな。ある程度の事情は察したが状況を詳しく説明してくれ。 古泉「僕にもよくわかりません。僕がここに来たころにはすでにああいう感じでした。」 そうかい。とりあえず止めるためにハルヒのところへ行った。 キョン「ハルヒ、何があったか知らんが少し落ち着け」 ハルヒ「あんたは黙ってて!みくるちゃん、教えなさい!」 みくる「・・・」 まあ予想はしていたが相手にされなかったわけだ。馬の耳に念仏とはこのために作られた言葉なんだと感心した。 古泉「まあこんな感じです。僕が止めても無駄でした。」 無意味に近づいてきた役に立たない超能力者を無視し、部室のすみにいる無口な宇宙人の所へ行った。 長門は椅子に座ったまま、相変わらず俺が一生読まなそうなぶ厚い本を読んでいた。俺が話しかけようとした時長門が顔を上げてこちらを見た。 長門「対処法が見つからない。」 実は俺の耳に耳せんを付けていたため聞き間違えました、というわけはなくそのつぶやきをはっきりと聞いた。 長門「現在の涼宮ハルヒの力が今までより強まっている。おそらくとても興味をそそがれる不思議を発見したから。」 ハルヒの声がうるさくて聞き取りづらかったがこんなところか。 キョン「でなんで対処法がないんだ?眠らせて記憶を消せば」 と言いかけて当たり前のように非現実的な事を話す自分に落胆した。 長門「今彼女は朝比奈みくるの不思議について知りたがっている。それを邪魔する事象を物理的にも精神的にも排除する。」 ということは今のあいつにはとんでも能力が効かないということか? 長門「そう」 ん?じゃあなんで朝比奈さんはすぐに暴露しないんだ。その「排除」は「朝比奈さんの暴露への抵抗」には適用されないのか、と珍しく難しいことを思い付いた。 長門「朝比奈みくるは彼女の信頼下にある。ゆえに傷つけるような行動をしたくないのだと思われる。」 暴れん坊将軍も逃げ出すようなこの光景を見てよく言えるな、とは口には出せない。 おや?見つめつづければ吸い込まれそうな長門の眼に、わずかだが懇願の光が見える。まさかな。 とそこへ古泉がまた近寄ってきた。顔が近いぞ離れろ。 古泉「これは失礼。このまま放っておくと未来人について明らかになるのは間違いないでしょう。」 キョン「一応聞いておくが、ハルヒが秘密を知るとどうなるんだ?」 古泉「自覚のない神が覚醒します。」 キョン「わけわからん。」 AAでも張りたいぐらいだ。30文字以内で答えよ。 長門「AAとは何か知らないが、端的にいえば力の暴走。彼女の中の常識が塗り替えられ、世界が彼女の思うがままになる。」 さすが長門、どこぞのイケメンと違い頼りになる。 しかしそれは厄介だな。そんなことができれば本当に世界がSOS団になってしまう。 長門「あなたの心も操作される。」 キョン「まじめに対策しないとまずいことだな。」 さてとあの闘牛をどうにかしないと。いやフクラミのではないぞ。 長門「そうなれば私とあなたが結ばれない。」ボソ 長門が小さい声でなにかをつぶやいた。もう一度確認したら、なんでもない、と返され読書に戻ってしまった。 まあさほど重要なことではなさそうだから、今は事態の鎮静化をしよう。 ふとハルヒ達の方に目をやると みくる「キャアアア!」 キョン「うおおぅ!」 急に朝比奈さんが俺に抱き着いてきた。とうとう愛の告白を受けてしまったか、と妄想を一瞬だけ広げた。一瞬だぞ。 現実に戻ると朝比奈さんが眼に涙をためて、俺に助けを求めてきたことを察する。とそこへ宇宙人からも危惧される人物が作曲中のベートーベンみたいな顔で近寄ってきた。朝比奈さんはあわてて俺の後ろへ移動して震えていた。うーんかわいらしい。 ハルヒ「キョン!そこをどきなさい!」 キョン「絶対断る」 ハルヒ「じゃあ横に移動しなさい!」 ここでからかってみることにした。いや動かないよりマシだろ。 キョン「わかった。」 ハルヒ「わかればよろしい。」 キョン「ほらよ。」 俺は体の向きを変えずに長門の方に移動した。すると朝比奈さんが一緒に移動した。 ハルヒ「み~く~る~ちゃ~ん!」 そして今度はいらいらした顔でどなった。その後も俺を巻き込んで大声を浴びせ続けた。 みくる「キョンくん」 小さな声が後ろから聞こえた。なんですか朝比奈さん。礼なら後でしてください。 みくる「それもありますけど、違います、テヘ。」 と舌をだしてウインクした。効果は抜群だー! とそこにトビラを開ける音がした。 この部屋内には団員が揃っているはずだ。鶴屋さんかな、しかしそれはそれで困るが。 キイイ そこに見えたのは朝比奈さんである。 俺と目があった直後朝比奈さんは弥生人が生きた恐竜に出会ったみたいな顔をしたまま扉を閉めた。ってなんで朝比奈さんが二人いる? みくる「あの時の私だ」 ん?ということはあなたは未来の朝比奈さん? みくる「正確にはえ~と3日後です。なぜここに来るように言われたかわ知らないんです。」 ではせめてこの後起こることはわかりますよね?ハルヒに生返事をしながら、震える小猫の答えを待った。 みくる「私は掃除当番での仕事で遅れて部室に来たんです。で部室に行く途中で鶴屋さんに会いました。」 あながち俺の予想は外れてなかったんだなぐへぇ。 ハルヒ「キョン!私が大人しい内にどきなさい!」 襟首を引っ張っといてよく言えるな。あっ朝比奈さん、俺の服を引っ張るのは嬉しいですが服が伸びてしまいますよ。 なにやら外が暗くなってきた。あれ天気予報じゃ晴天白日のはずだが。 みくる「あっすいません。で私と鶴屋さんで部室に行ったんです。で最初に私が入ろうとしてすぐに気づいたんです。」 襟首にかかる力がふいに消えたからようやく応答できる。 キョン「朝比奈さんがもう一人いることですね。」 みくる「そうです。で私が二人で図書室に行くよう頼んだんです。鶴屋さんは突然のお願いを承諾してくれました。」 ふと止められる気のない目覚まし時計のようなハルヒの声のベクトルが別のほうに向いてることに気づいた。 ハルヒ「今の会話にあった『キカン』て何よ!怪しいわね、電話の内容的に『機関』て書くんでしょ!教えなさい古泉くん!さもないと」 なんか部室のトビラの前で副団長の権利が云々と話を続けているが、それ以前になぜ古泉が新たな犠牲者に?その解答はすぐ隣の椅子から聞こえた。 長門「古泉一樹はおとりになっている。その間に朝比奈みくるから情報を聞き入れて。」 なるほどな、二人ともありがとよ。では朝比奈さん続けてください。 みくる「えーと図書室に着いた頃に黒い雲が雨を降らしました。夕立みたいな感じです。」 言い終わらぬ内に雨が降ってきた。たしかに夕立だな。 だが俺は言葉に表せられない不安がよぎる。この風景はいつぞやの冬の遭難と似ている。 ふと俺は長門を見た。長門は外の雨、いや雲を見上げている。その眼に僅かな不安を感じたのは多分俺だけだ。 みくる「キョンくん。キョンくん!聞いてますか!?」 キョン「すいません、ぼーっとしてました。」 みくる「もう。しばらく図書室で私たちは勉強してました。でも勉強中に未来から指令がきて、すぐに私は鶴屋さんを連れて部室に戻りました。」 朝比奈さんがぷっくりと頬を膨らませている。急所に当たったー!効果は抜群だー! ショックで廃人になりかけた俺に長門が手を引いてきた。両手に花だぜ。 長門「情報統合思念体にアクセスできない。」 キョン「なんだと。」 長門は冗談を言わない奴だ。とすればまさか今の状況は。 長門「冬の遭難時と似ている。私や涼宮ハルヒ、朝比奈みくるは能力を使用できない。」 さっきの予感はこれか。しかも学校でかよ。下手すりゃ一般人に被害が出るじゃねえか。 俺が打開策を考えようとしたところで後ろから猪が襲ってきた。 ハルヒ「なーにみくるちゃんや有希を誘惑してんのよバカキョン!離れなさい!」 いきなり横に突き飛ばすな。ベクトルを操作する力の開発なんて受けてない俺は倒されるがままに朝比奈さんの体に俯せで倒れた。 いてて大丈夫ですか朝比奈さん。て何顔を赤くしてるんです?俺は倒れる直前に手を床の方に突き出して覆いかぶさらないようにしましたよ?ん、なんで床がこんなに柔らかいんだ?・・・て キョン「柔らかい!?ゲフッ!」 あれーおれいまはらをけられたきがするぞ。しかもあさひなさんに。 ハルヒ「いい加減にしなさい!」 キョン「事故だ!過失だ!冤罪だ!」 ハルヒ「過失でも立派な犯罪じゃない!」 それもそうだ。とりあえずハルヒ裁判官に無罪を説得するために腰を上げると そこは部室じゃなかった。山の頂上付近の石をご想像してもらえるとありがたい。妙にゴツイ石や岩が辺りに広がっている。CGではない、その証拠に石を持ち上げてみたが重い。 一瞬で風景が変わっている。WHY? まあ唯一の救いは団員が全員すぐ近くにいることだ。朝比奈さんは倒れたまま、てか気絶してないか? にしてもここはどこだ?いつぞやのかまどうまの時と似ている気がするが。 長門「そう」 いつも通りの長門の反応にほっとした時、ガンッと言う音がすぐ後ろの方で聞こえた。俺は地面から物理法則を無視した物体が湧いてきたか、と考えながら振り返ると そこに赤い装飾をまとった大きめの石を両手で持っている古泉がいた。そしてそのすぐ下の床に倒れているハルヒ。 キョン「古泉!!」 俺は我を忘れて古泉の胸倉を掴み押し倒した。馬乗りになり、奴の顔を殴り飛ばそうとしたところで誰かに腕をつかまれた。顔を上げるとそこには長門がいた。 長門「彼の行動は正しい。」 キョン「友達を石で殴ることが正しいのかよ!」 長門「聞いて。」 長門の眼にほんのわずかだが水の膜ができている。そんな目をしないでくれ。俺は長門の言うことを聞くことにした。 長門「まず涼宮ハルヒに超現象を知覚されてはいけない。これは彼女が認識し興味を持たれてはいけないことを示す。」 つまりこの空間を記憶に残される前に気を失わせる必要があったんだな。 長門「私は古泉一樹に涼宮ハルヒを殴り気絶させるよう指示した。古泉一樹は最初拒絶したが、私の考えを理解したと思われる。指示通りに動いた。」 そうなのか。だが同時に俺は聞かなければならないことができた。 長門「私という個体は、あなたに彼を恨んでほしくないと願う。」 承知した。だがな長門 キョン「石で殴るというのは理解できん。俺たちは部員で友達だ。それに他の二人はともかく長門は人間にはできないことをするのは簡単だろ。」 なんで宇宙的マジックで傷つけずに気を失わせなかった、と言いかけて俺は思い出した。長門は言っていた、冬の遭難の時と似ていると。 長門「私や涼宮ハルヒの能力は今失われている。彼女をおとなしくするには絶好の機会だった。だが同時に穏便な方法で処理できなかった。」 事情は察した。だがこれだけは確認させてくれ。おまえはハルヒを傷つけるのになにも感じなかったか? 俺は立ち上がって長門の顔を凝視した。長門は俺の眼を10秒見つめた後ハルヒの方を向き、電波話以外では滅多に動かない口でたった6文字をつぶやいた。 「ごめんなさい」 俺は長門の両肩に手を置いた。俺の中を安堵と喜びが走り回った。なぜか?長門が人間らしい感情を少しずつだが着実に持ち始めていることに決まっているじゃないか。 長門の顔を見た。若干驚きの顔をしていたが嫌そうな顔をしていなかった。 みくる「ふぁぁ。皆さんおはようございます。」 俺は瞬間的に長門から離れた、いやまた何か誤解を受けるのは嫌だからな。やあ朝比奈さんおはようございます。 みくる「あわわわわ!てなんですか、ここどこですか~!?」 ブーン ずいぶん懐かしいセリフを聞いたが、今はこの状況を打破する方法を考えなければならない。 ブーン 古泉「ようやく落ち着いてもらえたようですね。押し倒された時別の意味で興奮しましたがそれはともかく、いやいやすいません。」 キョン「おまえに謝られてもちっともさっぱり全然お世辞にしか聞こえない、不思議!」 古泉「今のは聞こえなかったことにしておきましょう。とりあえず状況を整理しましょう」 みくる「ひゃあ!涼宮さんが倒れてる!キョンくんキョンく~ん!」 古泉「ここでは異能力を使えない。この空間の創造主は少なくとも涼宮さんではない。なぜなら彼女の意志で作られたのなら、気絶前と気絶後で何かしらの変化が」 みくる「キョンくん!古泉くん!長門さん!」 俺たちは見事にスルースキルを発動しつつ、古泉の話を聞いていた。 ブーン さっきから遠くで聞こえる虫の音がしつこいなあ。 古泉「あなたが僕にうっとおしそうな顔をするのは珍しいですね。どうしたんですか?」 いや珍しいことではないだろ。だが今は違う。 キョン「さっきから虫の音がうるさいんだよ。殺虫剤カモーン。」 古泉「それは変ですね。この空間には人間以外入れないはずですが。」 みくる「なんで皆さん無視するんですか~!私の言うこと聞かないとミンチにしてやりますよ~」 古泉「長門さんは虫の音が聞こえましたか?」 長門「聞こえない。だが向こうに」 みくる「私泣きますよー!」 古泉「聞こえませんか、僕もです。」 キョン「待て長門。今なんて言った?」 長門「聞こえない、と言った。」 違う、そのあとだ。よく聞こえなかった。 長門「向こうに何かいる。」 俺たちは長門の見ている方向を凝視した。そこには 「ブーンブーンブーン」 擬音語を言葉にしたような音を出す、どこかで見た気がするAAが空を飛んでいた。 あれはなんだ、敵か? 古泉「どうもそのようですね。そして同時に倒さなければならないでしょう。」 キョン「だがどうやって倒すんだ?」 ブーンという声が突然大きくなってくるとともにそいつも大きくなってきた。つまり キョン「接近してきてる。みんな逃げろ!」 俺たちはあてもなく走った、俺は倒れているハルヒをおんぶしながら。意識のない人間は重いと聞いたことがあるが、ハルヒは軽かった。 AA「時間の果てまでブーン!」 よくわからないことを叫んだかと思ったら、奴はいつのまにか俺たちの頭上10mにいた。 奴の大きさはこの距離で一般男性の平均身長ぐらいはありそうだ。 長門「あれは生物ではない。」 なぜそんなことがわかる? 長門「今までの経験と言語化できない決定」 無理矢理訳すと『女の勘』ということか。だが生物でないならなんだ。 長門「わからない」 古泉「僕の方にも質問してくださいよ、のけものみたいじゃないですか。」 空気と化した朝比奈さんよりはマシだろうよ。セリフがあるのとセリフすらないのはかなり違うぞ。 古泉「思うに長門さん、あれはゲームの敵と同じようなものではないでしょうか。あれに殺意を感じません。」 キョン「なるほどな。だとするとプログラムに従って動いてるんだな。」 となるとプログラマーがいることになる。だが疑問がある。 キョン「なんでこんなことをするんだ?危害を加えたいならさっさと攻撃すればいいのに。」 古泉「僕にもわかりません。」 言い忘れたが、話している間も俺たちは常に奴の動きを見ている。て誰に言ってんだ俺。 ん?なんかさっきよりも奴が近づいてないか? 古泉「このまま待機してても拉致があきません。少し刺激を与えましょう。」 と言いながら古泉は大きめの石を拾い奴に石を投げ付けたが、奴はその石から逃げるように体を曲げた。そして落下してくる石は俺の眼の前でだんだん大きく キョン「あぶね!古泉気をつけろ!」 長門「彼に石をあてないでもらいたい。」 古泉「すいません二人とも。」 古泉は観音様にお願いするかのように謝罪した。あとで缶コーヒーをおごれ。 古泉「いやです。ですがわかったことがあります。あれは石をあてられたくないようです。みんなで石をあてましょう。」 ほういい度胸してんな、あとで覚えてろ。とりあえず古泉の提案に生返事して、奴に石を当てることにした。 ――あれからおよそ30分―― 結論からいうと、全然当たらない。 長門「あれとの距離はおよそ8m。当たらない距離ではない。」 古泉「ですが当たりません。困ったものです。」 キョン「どっか高台はないのか」 古泉「辺りを見ればわかりますがそんなところはありません。」 おまえはいつでもスマイルだな、奴もそうだが。 古泉「一度あれと話してみたいです。」 長門「あれは生物ではないから有機生命体の言語を理解できるか困難。」 長門、冗談と本気を区別できるようになったら人間として完璧だから頑張れ。 長門「そう。」 俺達は休憩することにした。だがハルヒでないほうの神は俺たちをいじめたいらしい。俺の顔の右5cmを何かが火花を散らしながら正面から通過した。その直後にパーンなんて音がした。まるで花火のような キョン「朝比奈さん!なにやってんですか!?」 気づけば正面約十mの位置で朝比奈さんは鬼のような形相をしていた。しかもロケット花火をセットしていた、オレタチニムケテ。 みくる「ひどいですみんな。私が見えてないかのようにふるまって。グスッ」 キョン「朝比奈さん!別に無視してたわけではないんです!」 古泉「そうですよ。僕たちは空気を見てるんですから。」 キョン「バカヤロウ!んなこと言ったら」 みくる「私なんてどーせ役立たずで雑用係のロリロリメイドでしかないんだ、うわーん!」 朝比奈さんは泣きながら俺たちに向けてロケット花火を打ち続けた。ていうかどこに花火を持ってたんだ?それ以前になぜもっている?。 俺たちはとにかく逃げ回った。朝比奈さんはようしゃなく打ち続けている。 とにかく花火をなんとかしなくては、と考えた時ふと打倒朝比奈さん策を思い付いた。それは石を花火に投げつけ、ひるんだところで朝比奈さんを止める。完璧だろ。 俺は足元に落ちてる石を発射前の花火に向かって投げた。石は花火に当たると、上の方をむいて転んだ。朝比奈さんが方向を直そうと花火に近づいたとき、花火は無意味な方向へ発射された。 古泉「よくやってくれましたキョンくん。」 ん?なんのことだ?今から俺は朝比奈さんを止めに入るのだが。 古泉「えっ、まさか偶然だとは思いませんでした。感服です。」 なんだ、と思い上空を見た、いや正確には地面から8m上の空間を見た。 例の奴が赤く点滅していた。その後粉々に砕けて消えた。そういうことか、俺SUGEEEEEE! 長門「空間が壊れ始めている。この空間から脱出する。」 キョン「力は戻ったのか?」 長門は無言でうなずいた、口の両端をナノ単位で上に向けながら。 長門「今回はあなたのおかげ。私の見込んだ通りの人。」 キョン「俺はそんなすごい人じゃないぞ」 長門「・・・・大好き」 キョン「えっ・・・・」 古泉「とりあえず脱出しましょう。長門さんお願いします。」 長門「・・・KY。わかった。」 なんだこのとてつもなく不安な感じは。なにか重要な問題を忘れたような。まあ気のせいだろ。 長門「△*■Μэ⑲㏄∑¥∴」 キョン「なあ古泉。さっきから聞こえる爆音はなんだ?」 古泉「この付近で火山でも噴火してるのでしょう。」 長門「∂◎#@キョン・古泉・ハルヒ・長門・朝比奈」 朝比奈さん?あっ キョン「長門!ストップ!」 遅かった。俺たちは部室に戻っていた。ハルヒ・長門・古泉・俺は部室の机に隠れるように帰還、朝比奈さんは・・・ 俺は朝比奈さんを止めようとしたがもう遅い。朝比奈さんがセットした花火はいきよいよく放たれ、部室の窓を破っていった。 ――その後――――― ハルヒ「キョン、今日あたし何してた?」 あの後長門が朝比奈さんを眠らせ、情報操作を行った。 ガラスは割れなかったことにし、ハルヒは部室の机でうたた寝していたことにした。 ハルヒの傷も治した。未来の朝比奈さんは時間転移でどこかに行った。なにしに来たんだろう。 部室から出た直後に、今回の事をほとんど知らない朝比奈さんに会った。で今団員全員で帰路についてるわけだ。夕焼けがきれいだな。 キョン「椅子にもたれてグースカ寝てたじゃないか」 ハルヒ「あーもー一生の不覚よ!キョン、今日は夜も部活するわよ!」 冗談じゃない。俺にも休息をだな。 古泉「いいんじゃないですか?このまま放置したら閉鎖空間が発生してしまいます。」 キョン「だまれイエスマン。今日は疲れたんだ。」 ハルヒ「なんで疲れてるのか知らないけどわかったわよ。ところでさ。」 ん、珍しく声を小さくしてどうした?愛の告白なら喜んで受け入れるぞ。 ハルヒ「バカキョン!そんなんじゃないわ!私の頭に傷はない?」 キョン「別にないが。」 顔が真っ赤だぞ、とは言わなかった。 ハルヒ「・・・・・・そうよね、夢よね。」ボソッ キョン「なんか言ったか?」 ハルヒ「別に。」 さてお別れの交差点に入ったので俺たちは解散した。今日は朝比奈さんの黒い部分が見えたからよし。だがそれよりももっと印象に残ったのが 「・・・・大好き」 自分の顔が熱をおびるのがよくわかった。 俺は家に着くとまず顔を洗った。俺が夕飯を待ちわびるべく部屋に戻ったところで、妹が電話の子機を持って追いかけてきた。 キョン「誰からだ?」 妹「長門さーん」 キョン「・・・そうか」 妹「キョンくん顔赤いよーどうしたのー」 俺は妹を部屋の外へ放り投げたのち子機を耳にあてた。 キョン「長門か?」 長門「・・・そう。今から私の家へ来てもらいたい。あなたに今回の事件で聞いてもらいたいことがある。では。」 電話が切れた。さて健全な男子学生ならどう反応したらいいのかね。告白(?)された後に家に呼びだされるという状況に。 ―――数十分後――― 俺は長門の家の前に着いた。恐る恐るインターホンに指を乗せた。家に呼び出されたのはあくまであの件について聞くためだ、俺は自分にそう言い聞かせながらインターホンを押した。 「おーともなーいせかーいにーまーいお」 呼び鈴なのだろう、歌が途切れると長門の声が 「やあこんばんは。2時間ぶりですかね。」 なんで古泉がいるんだ。俺は安堵と残念感を同時に味わいつつ キョン「そう」 と無口な宇宙人のまね事で答えた。 古泉「おそらく僕とあなたの用件は同じはずです。鍵は空いてます、入ってください。」 キョン「なんで開けっ放しなんだよ。」 インターホンが沈黙したのだろう、返答はなかった。 俺はとりあえず中に入って長門達の下へ歩いた。 長門は俺を見ると顔を俯かせた。 長門「座った。」 古泉「長門さん、『座って』ですよ。」 長門「間違えただけ。」 長門は緊張してるのだろうか?珍しい。 俺達3人がONLY ONEインザハウスな机を挟んで腰を下ろすと長門が口を開いた。 長門「今から話すことは情報統合思念体の調査結果である。情報の伝達に齟齬が発生するかもしれない、実際コミュニケーションとは」 キョン「あー長門。知識豊富なのはよくわかってるから今回の事件について教えてくれ。」 長門「そう。キョンが言うなら。」 えっ?長門が俺のことをあだ名で読んだだと。 古泉「顔が赤いですよ?とうとう僕のあなたへの愛に気づいてもらえましたか。」 キョン「断じてそれはないしそっちの趣味も一切さっぱりからっきしないぞ。」 長門「二人とも聞いて。」 長門は全て話した。まずあの空間と物体の作成者は、冬の遭難時の犯人と同じだそうだ。 動機はまさにヒトラーが民主主義を唱えるかのようなものだった。 長門「彼らの目的はない。動機は『退屈』だったから。ただ彼らの言いたいことを我々は完全に解析できていないからなんともいえない。」 前回はハローの代わりに吹雪を降らしてきた。今度は退屈しのぎに数人を異空間射撃ゲームかよ。何考えてんだかさっぱりわからん。 そして朝比奈さんがなぜ未来から来たのか。どうも未来の一組織が情報統合思念体の急進派と手を組んでいたらしい。 長門「涼宮ハルヒにあえて未来人を認識させることで、どのような変化が表れるかを調べていた。朝比奈みくるはその組織に騙されていた。ちなみに今は急進派及びその組織は厳正な処分を下されている。」 朝比奈さんが図書室でされた指令は、急進派が捕まった後正規の組織が指示したもののようだ。 ん?だが疑問が残る。その疑問を代弁するかのように超能力者は言った。 古泉「未来人や急進派はあの頭の愉快な思念体の行動を知らなかったのでしょうか?彼らの目的は彼女の変化の観察ですよね?邪魔が入るとわかってたら計画自体に意味がありません。」 長門「それについては情報統合思念体も困惑している。もしかしたら彼らは未来人にすら認知されない行動力を持っているのかもしれない。」 奴らがその思念体と手を組んで空間に閉じ込められた状況を観察した、という可能性はないのか? 長門「ありえない。あれと会話することも困難であるのに、計画を立てることは不可能。」 キョン「あまりに馬鹿にされる思念体に全俺が泣いた。」 長門「あなたは一人しか・・・ジョーク?」 キョン「よく気づいた。」 ――――その後―――― 古泉「では用も済みました。僕はこれで失礼します。」 古泉は帰った。長門の告白は気になるが俺も帰ることに 長門「・・・・」 帰ろうした俺の腕の裾に小さな力がかかった。振り向くとそこにはハムスターをつまみあげるように裾をつかむ長門が俺の目をじっと見つめていた。そして長門の顔が少し赤い。 俺たちは時間の経つのを忘れたかのように見つめ合った。顔に熱を感じる。ああ今なら認めるぜ、今まで自分の心から逃げてきたからな。 キョン「・・長門。」 長門「・・・有希と呼んで欲しい」 キョン「・・・有・・希」 長門「・・・キョン」 俺はいつのまにか長門を抱きしめていた。長門も俺の腰に腕をまいていた。 おっ長門、いや有希の胸から鼓動をはっきり感じた。こいつは宇宙人なんかじゃない。それに俺は言った、冗談と本気を区別できたら完璧だと。 「おまえは人間と変わらない、いや人間なんだ。」 「・・・異能力をもってるけど、いいの?」 「この世界では当たり前なんだ。気にするな。」 「・・・そう。」 「そうだ。おまえは人間で、俺の『彼女』になるんだ。」 「・・・・なら二つだけ約束して欲しい。」 「なんだ?俺にできることならいいぞ。」 「あなたにしかできない。まず私のことを呼ぶ時『おまえ』ではなく『有希』と呼んで。」 「ああ。」 「もうひとつは・・・私の事を支えて欲しい、いつまでも。」 「もちろんだ!じゃあ俺からも一つ。いつまでも俺を支えてくれ、有希。」 「・・もちろん。」 「有希。大好きだ。」 俺たちは口づけを交わした。 あの後俺はすぐに家に帰った。お互いに何を話せばいいかわからなくなったからだ。今となっては名残惜しい。 ―――次の日―――― 放課後俺たち団員は1+1=2というぐらい当たり前のように部室に集まった。 俺は古泉とスピードをし、朝比奈さんはなぜかナースになっていた。ハルヒいわく、風通しがいいのだそうだ。実際そうらしいので特に異論はなかった。無口な少女はいつものぶ厚い本ではなく、俺でも読めるレベルの恋愛小説を読んでいた。ハルヒ?あいつはいつもの通りだ。 ハルヒ「なんか昨日から変なことを考えるのよね。」 今日ハルヒの様子はずっと変だった。何か考え事をしていたのだ。なんだ、今度は危ない水着を朝比奈さんに着せるつもりか?「風通しがいいのよ」とか言って。 ハルヒ「させたいけど違うわよ!なんか古泉くんに石で殴られた、てのを考えちゃうのよ。まさかそんなことあるわけないとはわかってるんだけど。」 みくる「えっ・・・」 古泉「僕がそんな恐れ多いことをするわけないじゃぎゃッ!」 古泉よ、慌てすぎで舌噛むなんて入れ歯を装備したライオンより滑稽だぞ。 ハルヒ「てなわけで古泉くん。悪いんだけど今日だけ副団長の活動停止を行うわ。帰って。明日からはいつも通りのあたしになるから。」 古泉「・・・わかりました。ではみなさんまた明日お会いしましょう。」 そういやあいつに落とし前をつけるのを忘れていた。明日にしよう。 さて古泉が帰ったから朝比奈さんでも誘ってトランプでも ハルヒ「ちょうどいいわ、キョン!ここらへんではっきりしてもらいましょうか!」 キョン「なにをだ」 ハルヒ「なにって・・その・・・あんたが誰を好きなのかを・・」 そんなことか。見れば朝比奈さんや読者中の少女も俺を見ている。ハルヒには悪いが速答させてもらう。 「俺は有希の彼氏だ。」 ―――完―――
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/3874.html
「みくるちゃ~ん、また大きくなったんじゃないの~?」 「ふ、ふぇ~!やめてくださぁ~い!」 あたしはみくるちゃんの背後にまわって、胸をつかんだ。 う~んいつ触っても最高の触りごこちね!ちょっとうらやましいわ。 「こらやめろハルヒ。嫌がってるじゃないか。」 そんなあたし達のやり取りを見て、キョンは目を背けながらあたしに注意する。 その向かいに座ってる古泉君は苦笑い。有希は目も向けずに読書。 いたっていつも通りの光景。不思議なことなんて何1つ無い。 だけどあたしはそれでもいいと思ってる。今では不思議なことよりも、SOS団のみんなと過ごすことが1番楽しい。 だけど団長がそんなこと言ったらみんなに示しがつかないから、不思議は探しつづけるけどね! パタン。 有希が本を閉じた。時計を見るともう6時前。もうすぐ学校が閉まっちゃう。 あたし達は荷物をまとめて、帰る支度をする。 何よりも楽しみな時間である団活の時間が終わる。途中まではみんなと一緒に帰るけど、それぞれが別々の道へと別れていく。 「じゃあなハルヒ。また明日。」 そして最後にキョンと別れて、あたしは一人になる。 1日で1番楽しい時間は終わりを告げて、ここからは1日で1番嫌いな時間が始まる。 またあの家に帰らなきゃいけないんだ……そう思うとさっきまでウキウキしていた心が一気に沈んでいく。 家についた。玄関の明かりは……消えている。 ドアを開ける。部屋の中は真っ暗。 「ただいま……」 帰りのあいさつをしてみる。だけど帰ってくる声は、無い。 ああ、今日もか……分かってはいたけど、やっぱり気分は沈んじゃう。 家には誰もいない。お父さんもお母さんも、あたしを出迎えてはくれない。 別に死別してるわけでも別居してるわけでもないけど、二人とも仕事で帰ってくるのは日付を超えてからがほとんどだ。 休日も仕事に出掛けてるみたいだし、朝も起きた時にはもう仕事に行ってる。 あたしはほとんど親と会話することがない。こんな生活が、もう3年近く続いてる。 テーブルの上には、500円玉が置いてあった。今日も、これで夕飯を済ませろということらしい。 これが普通の家なら、机の上にあるのは親が作ったおいしそうな夕飯なんだろうな。 だけどあたしのところにあるのは、無機質な硬貨1枚。 ……まあ、もう慣れっこだけどね。あたしはもう1度家を出た。コンビニのお弁当でも買おう…… コンビニでお弁当を買った後、もうすっかり寒くなった夜道を、あたしは一人で歩いていた。 寒いのは身体だけじゃないのかもしれないけど。 ……やだなあ。なんでこんなにネガティブになっちゃうんだろう。 元気いっぱいで、何事にもポジティブ。それがSOS団でのあたしなのに、キャラ違うわよ。 こんな姿団員には見せられな…… 「あ、あれは……」 前方に見覚えのある人影が見えた。……キョンだ! キョンもこっちに気付いたらしい。あたしの方に向かってくる。 「よお、ハルヒ、また会ったな。」 理由は無かった。悪いことをしてるわけでも無かった。 それでもあたしは、気付いたらその場から逃げ出していた。 「お、おい!待てよ!」 キョンが追い掛けてくる。やだ、来ないでよ。 あたしは元気いっぱいでいつも強気の団長でなくちゃならないの。こんな弱い姿、あんたには見せられない。 いやキョンだけじゃない、みくるちゃんにも有希にも古泉君にも、こんな姿見せちゃダメなの! でも限界だった。いくらあたしが運動神経いいからと言っても女。キョンは男。 先にバテたのはあたしの方で、キョンに追い付かれてしまった。 「な、なんでキョン、追いかけてくるのよ……」 「そりゃこっちのセリフだ、なんで逃げるんだよ……」 「理由なんてないわよ、ただ……なんとなくよ。」 「おいおい、なんとなくで逃げるほど俺はお前に嫌われてるのか?」 違う。そんなこと無い。でもあたしはなんて言い訳すればいいのか分からずに黙ってしまった。 そしてキョンがトドメの一言を言った。 「別にやましいことしてたワケでもないだろ。それ弁当だろ?普通じゃないか。」 もうダメだ。あたしの抑えこんでたネガティブな感情が……爆発した。 「そうよ!悪いの!?あたしの家にはお父さんもお母さんもいないのよ! アンタの家ではおいしい夕飯が食べれるんでしょうけど、あたしはコンビニ弁当よ!! そんな姿を見られたく無かったから逃げたのよ!みじめでしょ!?笑いなさいよ!!」 だけどキョンは笑うことは無かった。真剣な顔で、あたしを見てくれていた。 「……とりあえず、落ちついて話をしよう。あそこの公園でいいか?」 ~~~~~ そしてあたしのキョンは夜の公園のベンチに二人で座っていた。 周りから見ればカップルに見えるかもしれない。だけど今は、そういう気分にはなれなかった。 あたしは、ゆっくりと話し始めた……。 「お父さんもお母さんも生きてるし、別居はしてないわ。だけど、ずっと仕事で家にいないの。」 「忙しいのか。」 「きっとね。だけど昔はそうじゃなかったわ。お母さんは専業主婦だったし、お父さんも休日は一緒に出かけてくれたわ。 優しかったし、厳しかった。あたしは昔からやんちゃだったからね、悪いことしたら、厳しく叱られたりもした。 だけど中1の夏頃から、急に変わったのよ。」 「変わったって、どういうことだ?」 「悪いことをしても叱らなくなった。何をしてもただ笑うだけで、何も咎めたりはしなくなったわ。 それだけじゃないの。なんだかいつもあたしのご機嫌を伺うようになって、ヘラヘラ笑うようになった。 あたしはそれが気に食わなくてね、悪いことをどんどん繰り返したの。犯罪スレスレのこともやったわ。 だけどそれでも怒ってくれなかったわ!」 「……」 「それでバチが当たったのね。今度は父さんも母さんも家に帰らなくなった。 父さんは仕事の量をふやして、母さんも忙しい仕事を始めた。 それからはずっとこんな生活よ。笑っちゃうでしょ。」 「……なんで黙ってたんだ。俺達に相談してくれれば……」 「相談してなんになるのよ!これはあたしの家族の問題なの!アンタには関係ないわ!」 「そうかもしれないが、何か力になれたかもしれないじゃないか!」 「アンタに何が出来るってのよ!!」 怒鳴り終えた後ではっとする。キョンは何も悪くないのに、ただ心配してくれただけなのに。 それなのに、どうしてあたしはこうやって…… 「俺にも出来ることはあるさ。」 え?出来ること? 「俺に少し考えがある。今は言えないが、お前の両親を元通りにすることが出来るかもしれない。」 「バカ、何言ってるのよ、会ったことも無いくせに……」 「俺を、信じてくれないか?」 そう言ってあたしをまっすぐと見つめるキョンの顔は真剣そのもので。 ただあたしを慰めるためのウソでは無いということが伝わってきた。 何をするのか分からないけど……だけど。 「……そんなに言うなら、信じてあげてもいいわよ。期待はしないけどね。」 お願いキョン。お父さんとお母さんを、元に戻して。 ~~~~ 公園での会話が終了した後、俺はハルヒと別れた。 正直なところこれ以上ハルヒに寂しい思いをさせたくは無かったから、ハルヒの家に行くなり逆に俺の家にハルヒを呼ぶなりも出来たのだが、俺にはやることがあった。 「ハルヒ、もう少しだけ、我慢しててくれ……」 俺はポケットから携帯を取りだし、電話をかけた。こういう時にかける相手は決まっている。あの超能力者だ。 『もしもし、珍しいですね、あなたから電話をかけてくるとは。』 「そうだな。それでいきなりで悪いんだが……今時間は大丈夫か?」 『ええ、大丈夫ですが……何か?』 「ハルヒのことについて話がある。今からいつもの公園に来てくれないか。」 『……了解しました。すぐに向かいます。』 その電話から10分後、古泉がやってきた。その表情はいつものスマイルだが、少し固い。 俺は古泉に先程ハルヒが話した内容をそのまま伝えた。伝え終えた時には、スマイルすら消えていた。 「まさか、涼宮さんにそのような事情があったとは……」 「機関は、把握していなかったのか?」 「申し訳ありません。流石に機関と言えど、家族の中まで監視するということは不可能でして。 学校内の様子を僕が見ることが限界なのです。」 「ハルヒの話を聞いて分かった。急によそよそしくなって、ご機嫌を伺うようになったと言う。それも中1の夏からだ。 ……ハルヒの両親は、ハルヒの能力について知っているんだな?」 「ええ。伝えさせて頂きました。しかし今の話を聞く限り、伝えたのはどうやら失敗だったようですね。」 「ハルヒの親と話すことは可能か?出来るだけ早くアイツを救ってやりたい。」 「そうですね……古典的な方法なら1つありますが。」 ~~~~~~ というワケで、俺と古泉はハルヒの家の前で待ち伏せをしている。 あ、もちろん家の前で堂々と立ってはいないぞ。ハルヒにバレたら元も子も無い。 近くに車を泊めて、その中で張り込みをしている。刑事ドラマでよくやってることだ。確かに古典的だな。 その車は「機関」のもので、運転手は新川さんだ。つまり新川さんもこの場にいるということになる。 「しかし彼女にそのような事情があったとは、見抜けなかったのは僕等機関としては恥ずべきことです。」 「涼宮さんはこの状況を誰にも知られたくないと望んだのでは無いでしょうか。だから今まで誰も気付けなかった。」 「そう言えばハルヒも言っていたな。『こんな姿見られたく無かった。』ってな。 ……ん?だとすると何故俺は知ることが出来たんだ?」 「それもまた、涼宮さんが望んだからですよ。あなたになら話してもいい、話を聞いてほしい、ってね。 もちろんこれは無意識下のことであり、本人は気付いてはいなかったようですが。」 「だが古泉、だったら最初からこんな事態起きなかったんじゃないか? 起きたとしても、ハルヒの能力があれば自然解決するはずだぞ?」 「これは私含め機関の中で有力な仮説があるのですが……」 新川さんが口を開いた。仮説?なんだそれは。 「涼宮殿の力は、親しい人間であればあるほど影響力が弱まるのではないかという説です。 私程度では涼宮殿の力によりいくらでも改変されてしまうでしょう。それも知らずのうちに。 しかしあなた方は、改変されたとしてもその事実に気付くことが出来る。これは大きな違いです。 更に親しい、血縁関係にあるご両親には、涼宮殿の能力も干渉することが出来ないと考えられます。」 「涼宮さんは人の心に土足で踏み込んで改変するような方ではありませんしね、その想いは親しい人ほど強いのでしょう。」 ……バカだな。ビームなんかを出すよりも、こういうことに力を使えよ。 不器用な能力だ。今だからこそ思う、こんな能力を持ったとしても、決して幸せでは無い。 そう、そして今回のケースもまた、ハルヒの能力が…… とその時だった。二人の男女がこちらに向かって歩いてきた。 片方はメガネをかけた優しそうな男性、もう片方は見ただけで分かる。ハルヒにそっくりな女性だ。 「あれは、ハルヒの両親だな。」 「ええ、私とは面識があります。私が行きましょう。」 新川さんは車から出て、ハルヒの両親の前に立った。 「あなたは確か……」 「ご無沙汰しております。『機関』の新川で御座います。」 「何か御用でしょうか?」 「はい、すず……ハルヒ殿のことで少々お話が。」 それを聞いて一気に顔が強張る二人。しかし抵抗することは無く新川さんに連れられ、車に入った。 元々が大きな車だから大人5人が入っても余裕はある。 助手席に移った古泉が後ろを向き自己紹介をする。 「始めまして。僕は古泉一樹と申します。涼宮さんの友人であり、機関の一員でもあります。 そしてこちらの彼は○○君、涼宮さんからはキョンと呼ばれております。」 「どうも、始めまして。」 古泉についでに紹介されてしまったので、俺も合わせて会釈をする。 しかし、こんなときに言うのも難だがキョンのくだりは必要なのか疑問である。 車の中で話す内容では無いということで、近くの喫茶店に場所を移した。 どう考えてもカップルや親子連れには見えない集団であり、若干浮いているが仕方が無い。 「さて、では単刀直入に伺います。」 古泉が話を切り出した。 「涼宮さんから話を伺いました。あなた方はずっと、仕事ばかりで家に帰っていないようですね?」 「……はい。」 答えたのは父親だった。とても人が良さそうな人で、悪意があってやったんじゃないということは一目でわかる。 申し訳なさそうな顔をしながら、彼は続けた。 「忙しかったから、と言い訳する気はありません。私達は怖かったのです。あの子のことが。」 「怖かったとは……能力のことですか?」 「はい。今から4年前の夏でしょうか。あなた方機関に呼び出され、あの子に特別な能力があると告げられました。 願望を実現し、時には世界まで変える能力。そして機嫌次第では閉鎖空間を生み出し世界を滅ぼすということ。 元々あの子はやんちゃで、よく叱っていました。しかしこれからはそのことが世界を崩壊させてしまうかもしれない。 ずっとかわいい子供だと思って育ててきたのに、急に世界を滅ぼすことも出来る能力を持っていると聞かされた途端、まるであの子が怪物のように思えてきて……」 「ふざけるな!!」 俺は声を荒げていた。言葉遣いに失礼があるのは分かってる。だが黙ってられるか。 「ハルヒは怪物なんかじゃない!確かにトンデモない能力は持ってる! だけどアイツは普通の人間なんだ!確かに破天荒な性格だけど、根は優しくていいヤツなんだ、それを……」 「落ちついてください!」 俺を抑えつける古泉。それと同時に、母親が泣き出した。 「だけどどうすることも出来なかったんです!機嫌が悪くならないようにしていたら、あの子はもっと暴れ出して…… だけど叱ることなんて出来ない!もう私達は逃げるしか無かったんです!」 「本当にそうですかな?」 今までずっと黙っていた新川さんが口を開いた。 「ハルヒ殿は本当は、叱ってほしかったのでは無いでしょうか。」 「叱ってほしかった……?」 「ええ。聞くところによるとハルヒ殿は、急に親の態度がよそよそしくなり、寂しかったと言っていたようですぞ。」 「……俺が直接あいつの口から聞きました。だから叱ってもらおうとしてもっとはちゃめちゃなことをするようになったって……」 「だけどそれでもし、閉鎖空間が発生したら……」 「心配しないでください。」 古泉は微笑ながらそう言った。コイツの1番得意な顔だ。 「その時は、僕達がなんとかします。我々「機関」は、そのためにいるのですから。」 「それに、アイツはもう叱られたぐらいで世界を滅ぼそうとする空間を生み出すようなヤツじゃありません。俺が保証します! だから、自分を偽って接しようとしないでください。あいつが望んでるのはご機嫌取りなんかじゃない。 悪いことをしたら本気で叱ってくれる、自然なままの親の姿なんです。」 「……わかりました。」 終始うつむいていた父親は顔をあげた。 「あの子と真正面から、向き合ってみたいと思います。以前のように厳しく叱ることもあるでしょう。 だけどもう、あの子から逃げません。約束します。」 その顔からは、先程までのオドオドとした様子は見られなかった。 大きな決意をした、父親としての顔だった。 ~~~~~ 翌日、俺はいつものキツいハイキングコースを登っていた。 昨日は夜も遅かったということもあり、あの後自然解散となった。 ハルヒの両親はそのまま家へ、そして俺は新川さんの車で自宅まで送って頂いた。 俺の親に「こんな時間まで何をしていたの!」と大目玉を食らったが、反省はしていない。 そして、今回のことについて古泉がこう言ってきた。 「今回の落ち度は我々機関にあります。どうか彼らを憎まないでください。 突然自分の子供に膨大な能力があると知らされれば、あのようになってしまうのも仕方ありません。 親と言えど一人の人間ですから。もし僕自身が同じ境遇に立たされても、今回のようにならないとは言い切れません、 言い訳になりますが当時の機関はまだ出来たてで、思慮に欠ける部分があったようです。 ですから、憎むとするならば我々機関の方を憎んでください。」 確かに、あの時は俺も感情が激高して怒鳴ってしまったが、 両親にしてみたって突然トンデモな境遇に立たされればああなってしまうのも仕方ないかもしれない。 だがそれでも俺は機関を憎むようなことはしないぜ。 確かに思うところが無いと言えばウソになるが、機関のおかげでこの世界があるのもまた事実だからな。 それよりも大事なのはこれからだ。本当にあの両親はハルヒと真正面から向き合ってくれるのだろうか。 と様々な思考を繰り広げているうちに、教室についたようだ。 「よお。」 いつものようにハルヒに声をかけ、自分の席に座ろうとした。だがいきなり、 「うおっ!」 首ねっこを掴まれて引っ張られた。おい、むち打ちになったらどうする! 「キョン!来週の不思議探索は中止だから!」 遅刻も許さない探索を自ら中止?どういう風の吹きまわしだ。 それになにやら、そのことがとても嬉しそうである。 「なんだ、何か用事でも出来たのか?」 「うん!父さんと母さんと一緒に旅行に行くことになったのよ! それで父さんも母さんも仕事を減らして、家に居る時間を増やすって!」 その言葉を聞いて俺は心底ほっとした。だからだろうな、なんというか反射的に 「良かったな、ハルヒ。」 そう言いながら、ハルヒの頭のなでていた。 真っ赤になってびっくりした顔を浮かべるハルヒ。だけどその後、にっこりと笑って 「ありがとう、キョン。」 ハルヒにしては珍しい、素直なお礼の言葉だった。 その笑顔はとても穏やかで、俺を安心させてくれるには充分なものだった。 また辛いことがあったら俺に相談しろよな。「強くて元気な団長様」だって、心休める時は必要だぜ? HRが終わった後の休み時間に、この朝のやり取りを見ていた谷口その他大勢から盛大なからかいを受けたのはまた別の話である。 やれやれ。 終わり
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/1076.html
それは何でも無い、普段通りのただの日常の筈だった。 涼宮ハルヒの方舟 ~プロローグ~ 何なんだ?此処は… 白。白。シロ。辺り一面真っ白な世界。 何も無い。何も… 長門、一体俺はどうすればいいんだ? ハルヒ。これもお前の望んだことなのか? なぁ…ハルヒ……… ・第1話 ~夢~ ・第2話 ~ヒーローと目撃~ ・第3話~もう1人~ ・第4話~計画~
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/822.html
「涼宮!付き合ってくれ!」 「いいわよ」 俺はショックを受けた。なんとあの谷口がハルヒに告白したのだ。しかも俺の目の前で… ハルヒは断ると思っていた。告白してきた奴らに全てOKを出してきたのは知ってたが、あいつはSOS団の団長として日々を過ごすうちに変わっていたからだ。 俺はショックだった。 なんか宙に浮いてるような感じ?嫌違うか。 とにかくハルヒは谷口の告白にOKを出したのだ。 「ほんとか!イヤッホーィィィ!!!」 あほが叫んでいる。 「それじゃあね。いくわよキョン!」 「お、おう…」 「なぁハルヒ。なんでOK出したんだ?」 「う~ん。谷口のあほには一度中学ん時告られたんだけど…」 やはりか。 「高校になって少しは面白くなってるかもしれないじゃない?だからよ」 「そうか…」 俺はショックを受けてはいたが、別に嫉妬しているわけではない。本当である。この時はどうせ三日もすれば終わるだろう。 などと夏休みの宿題並に楽観的に考えていたからである。 しかし、谷口とハルヒは二週間しても別れることはなかった。 「ずいぶんと長く続いてるじゃないか」 「それがねキョン!谷口って案外面白い奴なのよ!」 谷口がおもしろいのは知っている。「チャック谷口」最近の奴のあだ名だ。 このあだ名に行き着くまでにいろいろとあったのだが…言うのはかわいそうだからやめておこう。 「今までで一番続いてるんじゃないか?いつ別れるんだ?」 「何それ?早く別れてほしいみたいに」 ハルヒが少し怒っている。 「あっ、いやすまん…」 「あっ!妬いてんのねアンタ!かわいいやつねぇアンタも。べつに谷口にかわっ」 「ちげぇよ!!」 妬いてると言われてすぐに否定した。最後のほうの言葉はよく聞き取れなかった。 「そ、そう…」 心なしか残念そうに見えたのはきのせいだろう。 「今日は谷口と帰るから、SOS団は休み!あんたがどいしてもって言うんならやってあげてもいいわよ!」 「いや、休みで」 休みになるなら万々歳だ。ちょうど今日は休みたかったところだ。 「そう…じゃあ帰る…」 「おう、じゃあな」 「ハ、ハ、ハ、ハルヒちゅわ~ん」 あほめ とりあえず俺は部室に来ていた。SOS団の活動は休みという朗報を伝えるためと、朝比奈さんのお茶を飲むためだ。 「ちわー」 「あ、キョンくん。今お茶いれますね」 「こんにちは。いい天気ですね」 「…」 「今日は休みだそうだ」 「そうですか。それは都合がいいですね。僕たち三人の話を聞いてもらえますか?」 「なんだ?早く話せ」 「あのですね、キョンくん。言いにくいんですけど…あたし達全員キョンくんをそんなに重要な人物としてみなくなったの…」 「どういうことだ?」 何を言ってるんだ?よくわからん。 「つまりですね。谷口と付き合うことで涼宮さんがSOS団をやめると言っても僕らはとめません。」 「なんでだ?」 「言ったじゃないですか。あなたより谷口のほうを優先するようにしたんですよ。ねぇ長門さん」 「そう」 「なんだよ長門まで…どうしたってんだよ…」 「不確定因子があなたから谷口に変わった。それだけ。情報統合思念体は谷口とより深く関わるようにと言っている」 「つまり、あれか。俺を見捨てるのか。なんだよそれ……」 「まだチャンスはあります。あなたが涼宮さんを谷口から奪ってしまえばいいんですよ」 「そんなことできるかよ…」 「では仕方ありませんね」 「ちくしょう!もうこんな団はやめてやる!」 バタン 「やれやれ、鈍い人ですね。まったく」 「本当ですね。キョンくんって天然なのかな?」 「……失望」 なんなんだよあいつら!くそっ!胸糞悪い! 「寝るか…」 その時携帯の着信音がなる。 キレテナイッスヨ、キレテナイッスヨ むかつく着信音だ。後で変えよう。 「もしもし」 「よぉ、キョン」 「谷口か…」 「なんだよ、くれぇーな。とりあえず聞いてくれよ~国木田は聞いてくれないからさ~」 「なんだ、早く言え。俺は眠いんだ」 「それがよ~ハルヒの奴めちゃくちゃかわいいんだぜ~」 ぶっ殺してやろうかと思ったね。 「のろけなんか聞きたくない。じゃあな」 「おいおい、待てよ。本題はそこじゃない。聞きたくないか?」 「……早く言え」 「俺やっちゃったんだよ~」 「………何をだ?」 マサカナ… 「決まってるだろ~セクロスしかねぇじゃん。気持ち良かったぜ~それでさー」「てめぇ!!!!!」 「な、どうしたんだキョン?!」 「明日学校で話そう」 「は?」 「教室に朝早くこい」 「はぁ?わかった…」 プッ 谷口の野郎、ちくしょう…なんだよ俺…バカみたいじゃねぇか…… なんで涙が…くそっ!止まらん。 「ちくしょう……」 「キョンくん、ごはーん!」 「いらん!!」 「お母さ~ん!キョンくんが不良になっちゃったー!」 もう寝よう…明日にそなえて……… 指定した時間に谷口は来た。 「なんだよキョン。どうしたんだ?」 「お前に聞きたいことがある。」 これだけは聞いておきたい 「ハルヒのこと本当に好きか?」 「はぁ?なんでそんなこ」 「好きか嫌いか答えろ!」 「なんだよいったい…そりゃあ好きだけど…」 「好きだけどなんだ?」 「もう目的は達成したからなぁ。セクロスしたし。別に別れてもいいぜ!わかった!お前涼宮のこと好きなんだろ!早く言えよ~付き合えよ!俺は身を引いてやるからさ」 もうがまんできん。 「このヤロウ!」 俺は殴りかかった。その時だ 「やめて!!」 そこにはハルヒが立っていた… 「ハルヒ……」 「もうやめてよ…キョン…ごめんね谷口。もういいよ…」 「ああ…わかった…まさかこんな形になるとはな」 「何言ってるんだ?お前ら」 「やぁこんにちは」 「ごめんなさい、キョンくん」 「…」 なにがなんだかわからない 「あのね、キョン。これはドッキリなの…」 「はぁ?!!」 「僕が提案したんですがね、ドッキリなんですよ。あなたならもう少し違った感じになると思ったんですが…例えば涼宮さんに告白するとか……」 「キョンくん鈍いんだもん」 「ホントよ!全くバカね!!」 「ドッキリですが、あなたが涼宮さんに告白したらドッキリとは言わないようにしていたんです。」 「あ、あんたのせいだからね!まったく…」 「ハハハ」 なんだ。ドッキリかよ… なんだろうこの気持ち… もの凄く安心している。 ああそうか。 「俺はハルヒが好きだったんだな」 「えっ!」 「ハルヒ。俺お前が好きだ」 「なにぼけてんのよ!ドッキリだったって言ったでしょ!」 「違うんだ。わかったんだよ。俺は本当にお前のことが好きだったんだなって。」 「キョン……私も………」 「ハルヒ。付き合ってくれないか?」 「かぁ~妬けるねぇ~」 「谷口くんにはがんばってもらいました。一つだけを除いて」 「そうですよ。まさかやっ…たなんて言うなんて」 「そうよ!アホ谷口!バカ!」 「な…なんだよ…」 「じゃあ谷口くんは僕が預かりますからどうぞ続きを…」 「じゃあ私たちも…」 「…コクン」 みんなでていった。 「キョン。ごめんね」 「いいさ。後で谷口には謝らないといけないな」 「それはいいわよ」 「そうだな」 プツ 「アーハッハッ!!」 二人で大笑いした。 さっきまでの気分が嘘のように晴れやかだ。 「ところでハルヒ。さっきの返事は?」 「さっきのって?」 とぼけてやがる。 「付き合ってくれ」 「いいわよ!な、なによ!ただあんたなら面白いかなと思っただけなんだから!!」 「そうかい」 「よかったですね、長門さん」 「少し残念…」 こうして俺とハルヒは付き合うこととなった。 なぜか古泉と谷口の関係が深まったような気もするが… これからはずっと過ごしていけるだろう。 いつもとちょっと違った日常をさ………… 涼宮ハルヒの変貌 完 PS谷口くんの口癖が 「ア、ア、ア、アナル~」になりました。
https://w.atwiki.jp/yuriharuhi/pages/60.html
「み、みくるちゃん…やっ!」 「こうしてみると涼宮さんも女の子ですね」 放課後のSOS団部室内にて、朝比奈さんに覆いかぶさられているハルヒ 両腕は押さえつけられ身動きが取れないハルヒを見下ろす朝比奈さん 微動だにすら出来ないハルヒをあざ笑うかのように唇を寄せていき押し付けた 「んっ…」 「ふふ、涼宮さんの唇…とても甘いんですね」 「や、やめなさい!みくるちゃんいいかげんにしないと怒るわよ!」 「いまの涼宮さんが怒っても怖くありません、キョン君もいませんし丁度いいですね」 そして再び重ねられる唇 キスから逃れようとハルヒが顔を動かすが朝比奈さんが許すはずもなく… 「んっ…!」 「ふふ、涼宮さん…楽しみましょう」 そしてハルヒの制服に朝比奈さんの手がかかり乱暴気味に引き裂くと…
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/6558.html
Ⅳ ハルヒが部室に鍵を閉めた後、俺たちは特に話すことなく学校を後にした。 常に無言状態でいる長門が沈黙しているのはまあいつも通りの光景だ。だがそんな長門を間にしてハルヒと俺まで黙りとなると気まずいことこの上ない。こちらが黙ってたって独りで喋るハルヒが今じゃ長門と大差ないなんてのは十分異変としてみなされるであろう‥‥‥が、まあ致し方ないわな。あんなことの後だし。俺も何と声をかければいいか分からん。というよりも声をかけないのが一番に思える。 そんなこんなで長門と別れ、ハルヒともさよならの挨拶だけ交わし家に帰宅。妹がパタパタとやってきて出迎えの挨拶した後、もうすぐ夕食であるというメッセージを耳に入れながらも俺はマイルームへと飛び込んだ。鞄を置くのも忘れてポケットに手を突っ込み、一枚のしおりをひっ掴む。相変わらずの明朝体の字で書かれたメッセージには、こう書かれていた。 【気をつけて ためらわずに】 ‥‥‥え? これだけ? 想像していた言葉よりずっと短いぞ長門。というよりも抽象的すぎて分からん。気をつけろって、何に。ためらわずにって、何をだ。いつも俺に説明する時はもっと具体的で、辞書使っても分からなさそうな言葉を並べるのにどうして今回は‥‥‥。 いや、長門でさえこれ以上書くのは無理だったのか。そうとしか考えられん。それともしおりに書いたからあまり多く書けなかったか? なんでしおりに書いたんだ長門。 よく見なくたって長門の文字が書いてある裏面にハルヒの書いたSOS団のマークが目に飛び込んでくる。確かこのマークがカマドウマを蘇させたんだっけか。じゃあ今回もそんなような異変が関係してるということでいいのだろうか。 どんなに見たって明朝体の字体がポップ体に変わることはなく、とりあえずは服を着替えることにした。映画の件以降我が家のペットとなった雄の三毛猫シャミセンが足元にすり寄ってきては、制服が爪の餌食にならないよう足で追い払う。今でこそどこにでもいるようなこの猫は、驚くことなかれ、元は喋る猫だったのだ。顔に似合わず渋い声で、あの頃は長門とウマが合いそうなくらい哲学的な知識を持っていたが、さっきも言ったが今では普通の猫だ。急に喋りだすこともしないし、かといって急に猫背をやめて立ち上がったりなど‥‥‥ 「‥‥にゃ」 しない。断じてしない。そう言おうとした瞬間だ。言うって誰に? そんなことはどうだっていい。今目に映った光景を理解するのに頭が追いつかないからな。 今のはなんだ。新手のマジックか? 仕掛け人は誰だよ。出てこい。出てきて家のシャミセンを返せ。 ‥‥‥ほんとに一瞬だった。 俺がズボンのベルトに手をかけたまさにその、瞬きをする瞬間にだ。 ‥‥‥‥シャミセンが、‥‥‥消えた。 えらい動くの早くなったなシャミ。なんて悠長を抜かしてる暇はない。俺はベルトに手をかけたまま振り返ったり片足を上げたりしてみたが、シャミセンの姿が確認出来なかった。なんだ今のは。ドアは開いてない。ということはシャミセンは俺の部屋の中に違いないが、ベッドの下にもクローゼットの中にもいない。おい、シャミセン。いつの間に瞬間移動なんて会得したんだ。頼むからもう一度俺の目の前に現れてくれよ。猫缶やるから。 俺の本能が告げていた。何かが起こった。気をつけてってもしかしてこのことか長門。無茶すぎるぞいくらなんでも。 着替えを中止し、しおりをもう一度ブレザーのポケットの中にねじ込んだ後俺は急いでドアを開けリビングへ向かった。誰もいない。キッチンにも夕食を作っているはずのお袋がいない。まさかシャミセンと妹とお袋が組んで俺を脅かそうとしてるのか。まさかな。だとしたらキッチンの火もとぐらい消すもんな。 とりあえずは、火事になっては困るので火を止めておく。今日の晩飯はカレーだったのか。くそ、楽しみのうち一つじゃねーか。 ‥‥長門だ。こんな時は長門しかいない。 胸ポケットからケータイを取り出し、アドレスでナ行を探す。‥‥あった! 「頼むぜ長門‥‥‥」 そう寂しくも独り言を呟きながら、俺が受話器のマークのボタンを押そうとした瞬間だ。 ピンポーン インターホンが静まる家に響いた。インターホンだと? もう一度ピンポーンと鳴る。出るかでざるべきか。悩むまでもない。俺はケータイを持ったまま玄関へと向かった。こんな時に限って近所のガキのいたずらじゃないだろ。もしそうなら俺はゆっくりカレーを食べることにしてやる。 ドアを開ければそこにはまたもや見覚えのある顔が立っていた。言うまでもないが近所のガキじゃない。 「‥‥‥閉鎖空間です」 平和の象徴であるニヤケ面を無くした古泉がそこには立っていた。 「なんだと」 「閉鎖空間です」 「この野郎!!!」 俺はケータイを放り捨てた後、古泉に掴みかかった。古泉の顔がさらに苦々しいものへと変わる。 「あと6日あるって言ってたじゃないかお前!! それがなんで今日なんだよ、おい!!」 「お、落ち着いてください!! 争っている暇はないんです!!」 冷静でもなければ暴力まがいなことまでしてる。その上閉鎖空間が発生した理由を自分が告白しなかったと責められたくがないために古泉や、心の中では長門にまで責めていた。 ‥‥最低だな、俺。 「一体何故急激に閉鎖空間の範囲が広がったのかは、情けないことですが僕には分かりません。ですが今はその原因を探ることよりもこれを抑えることが先決です!!」 古泉が珍しくもそう声を張り上げると、胸ぐらを掴んでる俺の手を力任せに剥ぎ取った。機関とやらは超能力だけでなく、一応筋力トレーニングもつけさせているみたいだ。古泉が自主的にやってるだけかもしれんが。 ともかく、今は古泉の言うとおりそんなことを考えている場合じゃないようだ。古泉にそう怒鳴られ思考回路が少し冷静になってから気づいたが、俺の家以外は全て明かりが消えている。まるで人の気配がしない。 「‥‥閉鎖空間、って言ったな」 「ええ」 古泉はネクタイを結びながらそう答えた。家に帰ってからも学生服から着替えてなかったようだ。 「なんでお前がここにいる」 「それは‥‥ここは喜ぶべきなのかどうかは分かりかねますが、僕も貴方と同じく涼宮さんに招待されたからでしょう。5月の時とは違い、それほどSOS団の繋がりは濃かったということです。貴方や僕だけではなく、朝比奈みくるも長門有希もここにいるでしょう」 長門‥‥そうだ。 俺は古泉に背を向け、思わず後方に投げてしまったケータイを取りに行った。 「無駄ですよ。圏外です」 ケータイの画面を見ようとした時古泉がそう言った。圏外‥‥‥しまった、忘れてた。 「しかし幸運なことにも、閉鎖空間ということで僕の能力がフルに使えます」 古泉が微笑みながらそう声に出すと、赤い光が古泉の周りへと集まっていった。 「貴方の家に早く来れた理由もこれです。僕はこれから朝比奈宅へと向かいます。貴方は長門さんの所へ」 「行って‥‥その後どうすりゃいい。どこへ行けばいい」 「おや? 貴方ともあろう方がお気づきではないのですか?」 徐々に赤い球体へと化していく古泉が、声を反響させながら俺にまるで面白いジョークを聞かせるような口調で言った。 「もちろん、学校ですよ」 「では」 そう一言付け加え、古泉は鷹が獲物を見つけた時に急降下するような速さで西へと飛んでいった。朝比奈さんの家ってそっちなんだな。知らなかったぜ。 「でも今は長門だ‥‥‥」 長門が邪魔したからこんなことになったのでは? と疑ってしまう気持ちが心の隅にある。今まで散々長門に助けてもらっておきながら、そんなことを思ってしまうのはいくら相手が宇宙人とはいえあんまりだろう。少しでも都合が悪くなると他人のせいにするのは良くないことだ。良くないことなんだぞ俺。 「シャキッとしろ‥‥‥」 ママチャリの鍵を取りに家へと戻る。長門に会いに行った後学校へ行くとなると断絶走るよりチャリの方がいいからな。さすがに坂道は諦めるしかないだろうが。 長門はちゃんと待っていてくれていた。もちろんマンションの外で。 「長門」 「状況は把握している」 「そうか」 長門が俺の隣へやってきたので、後ろに乗るよう指で合図した。周りが暗いせいか長門の瞳の色はよりブラックさが増していたが、そんな中でも本当に乗っていいのか訪ねるような礼儀正しい輝きは失っていなかった。もちろん、いいとも。 長門を乗っけ、俺は学校へと全速力で向かう。真っ暗な道の中、電灯の明かりってやっぱり大事なんだなと思いながらも俺は自転車の回転にともない光る心許ないランプを頼りに道を進んでいった。まあ車はこないから大丈夫だろう。思い切って車道へ出てみる。とは言っても、本来自転車は車道を通らなきゃならないんだけどな。 「‥‥‥‥こうなることは避けられなかった」 まるで重力を感じない長門がそう呟いたのが聞こえた。自転車の漕ぐ音以外はそれしかなかった。 「どういうことだ」 「貴方が涼宮ハルヒに好意を伝えていても、伝えることがなかったとしても、遅かれ早かれ必ずこうなっていた」 「そりゃ、なんでだ」 今まで長門の無機質さに安心したことは幾度もあったが、その返答だけは無機質さが余計に不安を煽った。 「何故なら、」 「この情報爆発を起こしたのは、涼宮ハルヒではないから」 キキーッと自転車が唸りを上げて止まる。坂道だ。 「長門、それはい‥‥」 「上って」 「いや、だがな」 「大丈夫」 大丈夫、か。俺は長門を自転車に乗せたまま長い長い坂道を走ることにした。朝かったるく上ってくるのが嘘のようだ。電動自転車よりずっと楽に足が動く。 「‥‥‥誰だ」 「‥‥‥」 「今回のこの世界征服みたいなのを企んでいるのは、一体誰なんだ」 「言えない」 言えない? 言えないってなんだ。言わない、じゃなくてか。 「‥‥‥‥‥」 自転車が学校に向かうにつれて、俺の足取りは重力を取り戻したかのように重くなっていった。俺の告白は本当に関係なかった、それが確かになったというのに。 「長門の親玉が言うの禁止してるのか?」 「‥‥‥‥」 これも駄目か。首を縦か横かに振ってくれるだけでいいのに。 それから少しの間があったが、長門のおかげでどうにか早めに学校の校門前へ来れた。まだ古泉達は来てないようだ。 「入れない、か」 相変わらず寒天のような壁が俺の手の行く手は阻む。長門も興味を持ったのか片手を壁へとくっつける。反応は俺と同じだった。 「入れそうか?」 ふるふると、微かに首を横に振る長門。 良かったな古泉。お前の専売特許その1は守られたようだぜ。 古泉、か‥‥。 「なあ長門」 こちらを見ないで当の本人は壁をプニプニつついたりして遊んでいた。遊んでいるように見えた、が正しいのかもしれんが。ともかく、耳は耳でちゃんと働いているだろう。遠慮なく話すことにした。 「今回、ハルヒの力を使ったのが他の奴なら、どうやってハルヒと同じ力を得たんだ? なんで俺たちSOS団をここに残したと思う?」 無言か、と思いきや長門はちゃんと返事はしてくれた。 「涼宮ハルヒの自律進化の可能性を握る、情報を生み出す力は現在全宇宙の中で1つしかない。その保有者が涼宮ハルヒだった」 だった、ね。 「誰かが奪ったってことか」 爪先で壁をなぞる。水面をなぞるかのようになめらかに動くその白い指は、肯定と捉えても良さそうだ。 「何故私達が此処にいるのか」 長門はそう区切り、 「不明」 とだけ言った。 「その犯人が意図的に残した可能性は?」 これの返事はサイレント。だが勘でわかる。きっと犯人にも想定外だったんじゃなかろうか。 どういう筋道でハルヒの力を奪取したかは不明だが、おそらくハルヒから力をとったのは連続的な閉鎖空間が起こる前だ。その前はハルヒが能力で噂をあれやこれやの人々にバラまいたから、その間だろう。そして手に入れるや否や長門に口止めするよう、願望を実現する能力を行使した‥‥。 ‥‥疑問点残りまくりだ。しかし今はこれだけのことしか分からない。少なくとも俺の頭じゃな。 俺が真犯人は誰なのかを思惑していると、古泉達が飛んでやって来た。朝比奈さんが古泉にお姫様だっこされて顔を赤面させている。古泉、無事にこのことが終わったら覚悟しておいた方がいいぞ。新月の夜とかな。 「ええ、楽しみに待たせてもらいます。その為にも、これを早く終わらせましょう」 古泉がお得意のスマイルのまま学校へと歩み寄ろうとしたので、俺はそれを止めた。長門と話す前のこいつの様子から察するに、真相を知らなさそうだからな。 俺は朝比奈さんと古泉に長門から聞いた話をダイジェスト版で伝え、顔が青ざめていく朝比奈さんや笑みが消えマジな顔になっていく古泉達の反応を伺った。 古泉は話を聞き終えると、すぐさま俺に頭を下げた。おい、やめろ。 「いいえ、言わせてください。本当に申し訳ありませんでした」 「俺だってお前の胸ぐら掴んだたぞ。謝るのはむしろ俺の方なんだから、顔を上げてくれ」 オロオロする朝比奈さんを横になんとか古泉は顔を上げた。表情からは本当にホッとしたものが見える。筋肉トレーニングは知らんが、機関とやらはどうやら馬鹿丁寧な礼儀作法を訓練させてるみたいだな。 「古泉。ハルヒは今どこにいる? 学校にいると思うか」 学校をおおうゼリー壁を一瞥しながら、古泉は「断定は出来ませんね」と、不安残る返事をした。俺の告白の推理が外れていたから自信でもなくしたか? 「貴方の家に訪れる前に、真っ先に涼宮さん宅へ向かいましたが、明かりは皆無でした。僕はてっきり涼宮さんが起こしたものばかりだと信じきっていたので疑問にも思いませんでしたが‥‥‥そうですね、長門さんの話が本当ならば涼宮さんが此処にいるかどうかまでは分かりかねます。能力を持たない彼女は普通の女子高生ですからね。本当の世界に取り残された可能性は低くありません」 俺も普通の男子生徒なんだがな。 「ですが、この学校には確かな第二の閉鎖空間があります。閉鎖空間を引き起こした者から招待を受けた者が入れる、いわゆる私的領域です。真犯人は間違いなくここにいるでしょう。僕たちが学校の中側にいないということは、パーティーの招待状を送っていないということですから、僕たちの存在は彼もしくは彼女にとってはイレギュラーそのもの‥‥‥」 手の平を壁に当て、表面を震わせる。 「‥‥‥入れます。皆さん、手を繋いでください」 閉鎖空間にダイレクトにくぐったことがあるのは俺と古泉しかいない。覚悟を決めて俺が古泉の差し伸べられた手を握ろうとした時、ひじの部分に小さな力が加わった。掴んでいるのは朝比奈さんかと思ったが、意外にもそれは長門だった。青白い光に照らされた長門がもう片方の手に持つものを俺に差し伸べる。 「これは‥‥‥?」 拳銃。今ある俺の頭の中にあるわずかなボキャブラリーを用いるならこれほどピッタリな言葉はあるまい。SF映画に出てくる未来人が持つ光線銃とも言っても大体の形が想像つくんじゃないか? 「また物騒な物を持ってきたな。これで戦うのか?」 「戦うためのものではない。戦力をほぼ無力に低下させる殺傷能力のない道具」 よく分からんな。もっと簡単な言葉で言ってくれ。 「麻酔銃」 ちらりと横を見れば朝比奈さんも同じ物を持っていた。ウマの耳に念仏、ということになるような気がしてならないんだが。 「着衣の上からでも戦力を抑える確率は高いが、出来れば皮膚直々に当たるよう打つのが好ましい」 「俺は親父がハワイに連れて行ってくれたことがないからな、こういうものを扱うのに慣れてないんだ。持ってたって意味なしになるかもだぞ」 「それでも所持すべき。何故なら私は今回、攻撃許可が出ていない」 なんだと。また親玉の禁止令か。つまりいつぞやの朝倉の時みたいに、相手を分解させる因子を交えてどうこう出来ないということになるのか。 なんでやねん。 「‥‥‥‥」 話すことはもう話した。そう言いたげな無言だった。 「行きましょう。あまりゆっくりしていると、世界が入れ替わります」 古泉の分の麻酔銃はないようだ。まあそれもそうか。赤い粒子を使った専売特許その二があるしな。 古泉の手を俺が握り、俺のもう片方の手を朝比奈さんが、そして長門。 「皆さん、目を閉じてください」 どうでもいいが未来人も超能力者も力を発揮するところを見られると何か恥ずかしいことでもあるのか。実は人生における最大限の変顔をしてるとか、まさかな。 古泉が率先して歩き始めたので、急いで目をつむり古泉にならった。くぐる時に水面にあたる感覚があるものなんだとまこと勝手に意識してしまうのだが、今回もやはりそんな感覚はなく、数歩歩いただけで俺たちは閉鎖空間の中へと入ることに成功した。目を上げれば広がるは灰色の世界。文字通りグレーゾーン。ん、意味は違うか。 「神人はまだいませんね‥‥‥それとも、とっくに僕たちの本当の世界の方へ出てしまったか‥‥ですね」 「冗談はやめろ。で、この後どうするんだ」 ハルヒを探すのか。 元締めを探すのか。 「同時進行がいいと思われます。一応僕も含めて全員が防御手段を持っていますから、探すのもバラバラがいいかと」 朝比奈さんを独りにするのか。その考えには賛同出来ん。 「ではこうしましょう」 古泉が人差し指をわざわざ立てて提案をした。本当にそういう仕草好きだなお前。 「2人ずつに別れましょう。戦力的に分けて長門さんと朝比奈さんのペアでいいのでは?」 長門は攻撃出来ないんだぞ。 「防御も出来ませんか?」 「可能」 「だそうです」 要注意人物に危害を加えるのはアウトなのか。 「‥‥‥」 「決まりですね」 古泉はそう言い切ると、校舎を指差した。まるで犯人を名指しする名探偵のように。 「僕たちは旧校舎を含めた西館側を、長門さん達は体育館を含めた東館側をお願い出来ますか?」 「ええと、そのぅ‥‥‥」 どことなく不安そうな素振りを見せる朝比奈さん。それはまだ見ぬ敵が校舎にいることもあるだろうが、大部分は長門と一緒だからかもしれない。しかし守ってくれることに関して長門ほど心強い者もいないのは確かだ。朝倉の時も、俺が受けた傷は長門自身に蹴られたところ以外はない。 ‥‥‥‥朝倉、か。 「どうかしましたか? 僕達も早く行きましょう」 気づけば長門達はすでに校舎東館へと歩を進めており、俺達はぽつねんと運動上に立ちすくんでいた。 「いや、犯人は誰かを考えていただけだ。行こうか」 「ええ。とは言っても僕は部室にいるのではないかなと思っているのですが」 SOS団、もとい文芸部室にロングヘアーの女子生徒が窓の向こう側を眺めている光景が目に浮かぶ。まさか。あいつなら長門に消されたはずだ。 不安に苛まれながらもやや駆け足気味で俺らは学校へと侵入。入り口は長門が先に開けておいてくれたようだった。 「涼宮さんにしろ、遅れてやってきた異世界人や何かにしろ、部室では何かが待ち受けているでしょう。まああくまで僕の勘ですが」 自身あり気だな、古泉。だったら最初から4人で行けば良かったじゃないか。 「もしも、ということがありますからね。また外れたら恥ずかしいでしょう?」 古泉に限らず、俺や朝比奈さん、恐らく長門でさえも真っ先に部室が怪しいと目論んでいたと思うんだがな、まあいい。とりあえず行ってみなきゃな。 電気をつけようとしたが、古泉に「犯人に気づかれない方がいいでしょう」と言われ仕方なく暗闇の学校内をなるべく音を立てずに旧館へと向かう男子生徒2人組。状況だけ見れば肝試しをしにきた友達に見えなくもない。 「着きました」 言わなくても分かってる。 「電気がついてないようだが」 「‥‥‥‥‥」 長門の真似か、無言で俺に返事をする。そしてどことなく緊張した趣でドアを古泉は開けた。緊張から解放され、頬の筋肉が緩むのが垣間見える。 「‥‥‥敵はいません」 敵はいないな。んでもってハルヒもいないじゃねーか。絶不調だな今回も。 「となると虱潰しに探すこととなりますね」 「じゃあ僕は一階から探していくので、貴方は三階からお願い出来ますか?」 文芸部室は2階にあるからな。ちょうどまたこの部屋に落ち合う形になるのか。いいだろう。 そうやって俺たちは別れることになり、俺はといえば明かりもなしで独り真っ暗な教室を探すのはさすがに気がひけるのでパチパチでスイッチを押しては一通り見渡し、そして消すという行動を繰り返していた。ドアを開けた瞬間、エイリアンよろしく急に襲いかかってくるというハプニングにはどうにか合わずに済み、またもや二階を探しに来た時は本当に敵なんているのかどうかを疑い始めていた。古泉はまだ一階を探しているのか。先にSOS団のドアを開けさせてもらうぜ。 二度目の、いや、本当の世界を含めて三度目の部室訪問。客観的に見れば実に団員その一らしい行動だ。といっても、SOS団の求める不思議体験なんて面倒くさい事柄は俺は即刻パスするがな。 「‥‥‥‥ん?」 ‥‥‥そうやって、少し自分も平和ボケな考えをしていた頃だ。今まで当たり前のように点いた電灯が、ここでは点かないことで少し焦りが出始めた。何故この部屋だけ点かない。本当に電灯が切れちまったか? パチパチと何度も無意味に押してはみるものの、効果なし。電灯が点かなかったぐらいで何を動揺してるんだ俺は、とツッコミを入れたいが、しかし何故だか俺にとってそれが何かとても悪い予感なような気がしてならなかった。 古泉を待とう。なんだか入らない方が良さそうだ。 二階をまだ探していないらしい古泉のために、俺はコンピ研の部屋を調べる。まあもしがなくてもハルヒはここには来ないだろうが‥‥‥。 俺自身、コンピ研に訪れるのはこれで二度目である。だから詳しくはどこに電気のスイッチがあるかは知らないのだが、まあ文芸部室と同じだろう。手探りで壁を探ればスイッチは意外と早く見つかり、それじゃ遠慮なくとボタンを俺は押した。 ‥‥押した。点かない。 もう一度試しにやってみる。点いた。なんだよ、びっくりさせないでくれ。 ‥‥‥‥にしても、随分とコンピ研の電灯の光は幻想的だな。部屋全体に海が広がったかのように綺麗な青色に‥‥‥‥って! 「部屋から出てください!!!」 言われなくても分かってる、っと大声で返事つける代わりに俺は体を翻し、ドアをも閉めずに部屋を出た。 ――――‥‥‥間一髪!! この表現ほどぴったりなものはない。 俺がコンピ研の部屋前を横切るのとほぼ同時に、背後がとてつもない破壊音でぶっ飛ばされるのを耳にした。騒音なんてもんじゃない。ニトロ爆弾がコンピ研部長のパソコン近くで暴発したと言ったほうがまだ通じる。人生の内でこれほど死が近づいたのは初めてだ。朝倉の件と同位でトップを占めている。 金輪際会いたくないベスト2にノミネートされてる奴の手が、俺の背後にあった。窓側から部室に向かってパンチしたらしい。するな馬鹿。 「神人です!!」 だろうよ。あれがハルヒに見えるか? 「どうすんだ!?」 「僕一人では‥‥‥どうにもならないでしょう。ひとまず、長門さん達と合―――」 けたたましい轟音が真上で鳴り響き、古泉のその先の言葉は聞こえなかった。今度は三階のどの部屋かは知らんが吹き飛んだらしい。 「‥‥一刻も早く、」 さすがの古泉もこれにも苦笑いさえも浮かべていない。 「涼宮さん、あるいは犯人を」 そう言い終えると、神人とは対照的な赤い輝きを体中に集めだす。まさか一人で戦う気か。 「いくら僕でもそれはそんな無茶はしません。神人一体を倒すのに最低でも5、6人はいないと」 「じゃあ何をする気だ」 俺の言葉も少し語気が強くなる。そう喋らないと聞こえないからではない。 「囮ですよ。少し神人を遠くに追いやるだけです。それよりも急いでください。稼げる時間はそう長くありません」 神人がパンチで開けた穴から音もなしに、球体となった古泉は高速で神人のもとへと飛んでいった。さっきまでのんびりとハルヒを探してたのが悔やんでも悔やみきれないぜ。 しかし、どこにいる? 部室にもいないし、もし五月の閉鎖空間の時にハルヒと出会った場所ならばとうに長門達が見つけてるはずだ。連絡がないのは何故だ。 「どこだハルヒ‥‥‥」 今回はマジでハルヒがいないのか? 有り得なくはない。能力を持たないハルヒは普通の女子高生云々を古泉が言っていたこともある。となるとハルヒではなく犯人を探さなきゃならんことになるのか。どちらにしよ、神人が出た今は長門から借りた武器を常に手に持っといた方が良さそうだ。もしハルヒが居て武器が見つかっても、こんだけ校舎が滅茶苦茶になってるんだから今更だろ。 そうこう無駄な時間を過ごしている内に、また青白い光が元コンピ研室から漏れだした。まずい!! 俺は何故だかとっさにSOS団のドアをひっ掴み、気づけば中に入っていた。ここはコンピ研の隣なんだから逆にまずいだろ! 冷静な思考とパニックとが争いながら、今一度部屋から出ようとドアノブを握ったところで俺は強烈な揺れを感じ、体制を崩してしまった。また三階にパンチが打たれたらしい。 ふと窓を見れば奴の胴体が全面に広がっていて、そこに赤色の何かが体当たりをする瞬間だった。あまり効いているように思えない。 「‥‥‥‥!!」 何かの助けになるかもしれない。ふいにそう思い、銃を片手に握り、俺は窓へと駆け寄った。麻酔銃とは言ってたが、なんといってもメイドインスペースだ。神人相手にも案外効くかもしれん。 鍵を開け、片手で窓を開けようとするところまでは良かったのだが、何故かそこから先に進まない。つまり窓が開かないのだ。 「どうなってる‥‥‥」 窓のすべりが悪くなったなぁ、とかいうレベルではない。両手で窓を開けようと全力を注ぎ込んでいるのにまるで瞬間接着剤で固めたかのようにびくともしないのだ。何故。 「そんなの俺が知るか」 この際なんでもいい。窓さえ開けばいいのだ。多少手段が強引でも、どうせ閉鎖空間の中なのだから構やしないさ。 俺は側にあった団長様の椅子を握ると、思いっきり窓にぶつけた。映画のワンシーンに窓がスローモーションで割れる場面があったりするが、まさにそんな感じに‥‥‥‥なるはずだった。 俺が投げた椅子は予想外にも鈍い音を立てた後窓から跳ね返り、部長から奪ったパソコンへと激突した。言うまでもないがパソコンは床へと落下し、液晶画面がバリバリに割れていた。いつからうちの学校を防弾用を採用したんだ。いや、皆まで言うなよ。俺にだって分かってるさ。どうやらこの部室だけは安全地帯らしいってことがな。 兎にも角にもこの部屋からはどうしようも出来ない。ならば部屋を出よう。 足早にドアへと寄り、開けようとした瞬間だ。 思わず、反射的に体がビクッとのけぞったところだろう。ドアノブを握ったまま、真後ろにいる幽霊でも見るかのような仕草で俺はゆっくりと振り返った。 ‥‥‥簡単な例を上げようか。ある男性が透明なガラス箱を用意、その中にコイン入れて蓋をした。完全密閉空間の中にあるコインは箱に穴でも開けない限り外に出ないのだが、不思議なことにその男がシャカシャカと箱を降っている間に、そのコインが消えてしまうのだ。もちろん観衆の目の前だ。 あるべきはずの物が消えるというビックリ現象を見せつけられ人々は驚きの表情が隠せないのだが、まだまだ超現象は終わらない。その男が再びガラス箱を音もなく降り始めると、これまた不思議なことにいつの間にやらシャカシャカと上と下の面に交互にぶつかるコインの音が反響し、振るのを止めればさっきまで消えていたコインがまた出現しているのが目の当たり出来ているという‥‥‥。 何が言いたいか、お分かりになられただろうか。 この部屋はどう考えても密室で、窓を破ることが出来なければドアを通ることも出来ないはずだ。俺がドア側にいるからな。 しかしハルヒは確かに、団長席の側にいた。 俺の視力が相当衰えていない限り、腰に手を携えこちらを見据えているのはハルヒに違いない。あんなポーズをとる奴他におらん。 「ハルヒ‥‥‥」 体の向きを変え、ハルヒと対峙するような形で俺はハルヒと向き合った。銃は背中とドアの間に右手で隠している。そこらへんは抜かりないぞ。 「‥‥‥いつからそこにいたんだ?」 どうやって、の方が正しい質問だったかもしれない。 「さっきよ」 そう曖昧で素っ気ない返事をすると、ハルヒはこちらを見るのを止めて背後の窓の景色を見始めた。外では古泉がなんとかして神人を遠ざけようと奮闘している最中だ。 「‥‥‥茶でも飲むか?」 何を言ってるんだ俺は。こんな校舎が穴あきだらけになって、悠長にまずい茶を啜っている暇などないんだぞ。ハルヒと二人、こうして文芸部室にいるというのが懐かしく思えたからだろうか。とはいっても、数時間前までも二人きりだったんだけどな。 そんな言葉をハルヒはガン無視を決め、ただ黙々と古泉と神人の戦闘を眺めていた。現代版ダビデとゴリアテの闘争シーンを窓というスクリーンを通して見る一般客、ハルヒ。 「なあハルヒ、とりあえずここを出よう。実は長門達がいるんだ」 だがハルヒはこちらに関心を示さず、ただひたすらに窓の外を見ている。そんなにそれが面白いか。 「‥‥‥なあハルヒ、」 「いいじゃない」 口を効いたと思えば主語がない。何がいいんだ。 ハルヒは顔だけこちらに向き直り 「アンタがここにいて」 また窓へと視線を戻してから 「あたしがここにいる」 そして締めの言葉に 「それでいいじゃない」 とだけ言った。それってどういう意味だ。取りようによって告白にも聞こえなくないぞ。 しかしそんな揶揄するようなことを言ったってハルヒはもうこちらに向くことはなかった。いつもなら 「何言ってるのよキョン!! あたしがそういう意味で言うわけないでしょ!!」 ぐらい言ってくるのに。 とにかく、そんなハルヒの言葉に惑わされる俺ではない。なんとかしてテコでもあそこからハルヒを引き離さなければ。俺は続けざまに質問をすることにした。 「ハルヒ、どうだ最近は」 「‥‥‥‥」 「学校楽しいか? SOS団の活動とかさ」 「‥‥‥‥」 長門ばりの無言。それはつまらないっていう意思表示じゃないだろうな。まさかこっちの、赤い球体と青い巨人が闘っている非日常の方が楽しいか? お前にとってSOS団なんてそんなものだったのか? 今世界を飲み込まんとばかり広がっている閉鎖空間は、今回ハルヒが起こしたものではない。でもこのハルヒの様子を見ていると完璧な無関係という風に判断するのは早とちりというやつだ。そうだろう? というより、むしろ‥‥。 ‥‥‥‥。 「お前はここにいたいのか?」 「‥‥‥‥」 「SOS団を作って半年だな。それまでにいろいろやってきた。夏には野球、七夕、部長探し、古泉のサプライズ企画、プール、盆踊り、花火大会、バイトや天体観測、昆虫採集したり俺ん家で宿題を皆でやったよな。秋になってからは映画を作り出して放映するわいきなりライブに出るわして楽しんできた。もちろんハルヒだけじゃないぜ。俺や古泉、朝比奈さんや長門全員がSOS団を通じて楽しんできたんだ。そしてこれからも。まずは冬に古泉がきっと何かしてくれるだろうさ。そんな不思議な何かが待っているのに、ここにいるのがいいのか?」 ハルヒはSOS団の目的を覚えているよな? 宇宙人や未来人、超能力者達を見つけ出して一緒に遊ぶことなんだろ。もう願いは叶ってるんだぜ。わざわざこんな世界に留まらなくてもな。 覚えて‥‥‥るよな? 「ハルヒ。SOS団って何だったか覚えてるか?」 「‥‥‥‥覚えてるわよ」 そうか、良かった。 「何するところだったけ」 「あんた、団員その1のくせにそんな大事なことも覚えてないの?」 「‥‥ああ。何分記憶力が弱い上に、普段はボードゲームしたりマンガ読んだりしかしてないからな。で、なんだった?」 「もう、世界を大いに盛り上げるために活動するための涼宮ハルヒの団じゃない。忘れないでよね」 「ああ、そうだったな」 ‥‥‥‥。 「またまたつまらない質問悪いんだが、確か前に一度こんなとこに迷いこんだことあったよな」 「‥‥‥あったわね」 「あれいつだった?」 「‥‥‥忘れちゃったわよ。結構前でしょ」 「まあ確かにかなり前だったな」 ここまで会話して、俺の中で何かが引っかかっていた。なんだろう。何かは分からないが、身の毛のよだつ戦慄がそこには含まれているような気がする。嫌な予感しかしないぜ。それも飛びっきりのな。 意識もせず俺の心臓はバクバクと音を立て始めていた。放課後も心臓を高鳴らせてはいたが、それとは全く似て非なるものだ。恐怖と緊張の入り混じる本能が動かす鼓動。やばい、口の中が乾いてきた。 「‥‥‥ハルヒ」 「何」 俺が何度も何度もハルヒハルヒと質問ばかりしているのに、文句一つ言わないで冷静に答えるハルヒの姿がますます異様に思えてきた。まるで質問されるのを待っているかのようだ。ははは、いくらなんでもそれは気のせいか。 気のせいであって欲しい。 俺はハルヒの後ろ姿を凝視しながら、頭の中で緊急裁判を行っていた。陪審員は11人だ。いや、ここは日本らしく裁判員5人としておこう。 そしてその議題はこれだ。一世一代の賭けに出るか出ないか。とある質問をするかしないかと置き換えられる。あの質問をするのは簡単なのだ。しかし、あれは二度と思い出したくない出来事で‥‥‥。 ―――――ためらわずに。 ‥‥‥‥‥。 「前、こうしてこんな妙な空間に留まった時さ」 長門の言葉に後押しされ俺はゴクリと唾を飲み、有り金全て賭け半か丁かの選択を余儀なくされ、ええいままよと丁を選択した趣でもう一度口を開いた。 「俺たち、どうやってここから出たか覚えてるか?」 「‥‥‥‥‥」 ドクン、と心臓が脈打った。後ろに隠した麻酔銃を握る力に思わず力が入る。この質問に何の意味があるのか。返答のあとには何が待っているのか。知りたくない。 「‥‥‥‥‥‥さあ、」 ハルヒがそう呟いた時、一瞬だが笑ったような気がした。それがどういう笑いなのか‥‥‥ 「覚えてないわね」 ‥‥‥‥‥‥‥。 覚えて‥‥ない? 「だってかなり前じゃない。あたしそういうの興味なくなっちゃうと、忘れちゃうのよね」 せめてこっちを向いてそれを言ったらどうなんだ。覚えてないだと。俺だっていつまでもこんなこと覚えておきたくないさ。出来ることなら忘却の彼方に消し去ってしまいたいような記憶だよ。だが今回ばかりはこれを覚えておいて良かったと心から思うぜ。 ハルヒの「覚えてない」は、明らかに作りものだった。それは恥じらいの行動も言動も含まれておらず、ましてや本当に忘れてしまった反応ではない。知らないのだ。今目の前で神人と古泉の戦いを目視している俺の目の前のハルヒはこういう事実があったことを完全に知らないでいるのだ。 ‥‥‥まさかと思うだろ。だって誰も考えないはずだ。そうだろ? 教室の後ろのクラスメートの様子が少しいつもと違うからって、わざわざ指さして「お前はいったいなんなのか」なんて叫ばないだろ。誰だって真っ先に風邪をひいたか、腹イタを起こしたか、教科書忘れたかを疑うはずだ。 つまりだ。何が言いたいかと言えば、俺は今の今までになって、まさかこんなアホな質問をすることになろうとは思ってもいなかったのだ。 俺にとって「進化の可能性」でも「時間の歪み」でもましてや「神」などではないと思っていた女子高生。そいつに麻酔銃をゆっくりと向け、一言だけ言ってやった。 「お前、誰だ」 →涼宮ハルヒの分身 Ⅴへ