約 773,972 件
https://w.atwiki.jp/yuriharuhi/pages/36.html
冬休みでだらけきった体が、ようやく学校生活のリズムを取り戻してきたと感じる今日この頃。 我らSOS団は何をしているのかと言うと、何故かまたもや機関紙作りに励んでいたりするわけだ。 と言っても今回は生徒会も古泉も関係ない。 ハルヒの純然たる思いつきによるものだ。 ちなみに今回の俺の分担は幻想ホラー。 はっきり言って何を書けばいいかわからんが、まあ恋愛小説よりは幾分かマシだ。 古泉と朝比奈さんは前回と変わらず、それぞれミステリと童話。 その二人は今はいない。 用事があると言って二人とも帰ってしまった。 そしてなんと言っても特筆するべきは長門の恋愛小説だろう。 俺の知る限り最も恋愛小説とは遠そうな人物であるだけに、興味はあるのだが。 果たして本当に長門が恋愛小説というものを書くことができるのだろうか。 当の長門はここ数日、キーボードを少し叩いてはフリーズして、また少し叩くという行動を繰り返している。 「有希、できた?」 早々に自分の分を書き終えたハルヒが長門の背後からパソコンを覗き込む。 「結構できてるじゃない。どれどれ」 ハルヒは長門の小さな肩に顎を置くと、そのまま読み始めた。 最初はふんふん、と頷きながら文章を追っていたハルヒだったが次第に様子がおかしくなっていった。 顔は軽く紅潮し、声にならない声をあげている。 ハルヒは長門から体を離すと、どこか恥ずかしそうに長門を見つめた。 「有希…あなた、これって」 長門は何も言わずにただコクリと頷いた。 ハルヒは小さく「そう」とつぶやくと更に顔を赤くして固まってしまった。 一体、どんな内容が書かれていたのだろうか? 俺は自分の席を立つと、長門の後ろからパソコンを覗き込んだ。 私の体にエラーが発生したのは、いつの頃からだっただろうか。 正確な時刻は私にはわからない。 しかし、その原因が彼女にあることだけは確かだった。 彼女と最初に会話をしたときのことは正確に記憶している。 彼女は、文芸部の部室で読書をしていた私の前に現れると、唐突に部室を貸して欲しいと言った。 私がそれに了承すると彼女はすぐにまたどこかに行ってしまった。 彼女がSOS団という組織を立ち上げ、私がそのメンバーに入っていることを知ったのは放課後になってからだった。 私は以前より彼女のことを知っていた。 私は彼女を知るために存在していると言った方が正確かもしれない。 そういう意味では、彼女と同じ組織に身を置くということは私にとって悪い話ではない。 彼女をより理解するために観察する日々が始まった。 彼女は感情豊かな人間だった。 感情というものの概念が理解できない私にとって彼女の行動は不可解なことが多かった。 私は彼女の観察を続けた。 次第に私個人としての意思が観察とは別の目的で、彼女の姿を目で追っている事に気がついた。 おそらくエラーが最初に発生したのは、この時からだと思われる。 発生当初は無視できるレベルだったエラーは次第に大きくなっていった。 気がつけば、私の思考の63%が彼女に対する任務とは無関係な事項で占められていた。 自分に与えられた役目をこなすに当たって、良くない影響を与える数値だったが私はエラーを消去できなかった。 消去しようとは思わなかったからだ。 それどころか私はいつの間にか、この正体不明のエラーを心地よく思っていた。 このエラーが何なのか、私は有機生命体によって書かれた資料に答えを求めることにした。 その結果、このエラーが有機生命体における恋愛の概念に酷似しているという結論に至った。 だが私と彼女は生物学的には同じXX染色体で構成されている。 だが子孫を残すためにプログラミングである有機生命体の恋愛は私には当てはまらない。 普通ならば別に原因があると考えるべきだろう。 しかし不思議なことに、何故だか私はこのエラーが彼女に対する恋愛感情であることを確信した。 その後、別の資料によると同姓同士での間に恋愛感情が発生することがあることを知った。 やはり私の確信は間違っていなかったようだ。 私の中のエラー、いや、恋愛感情は日を追うことに増大していった。 気が付けば脳内の仮定の中で彼女を弄んでいる自分がいた。 私は そこで文章は終わっていた。 どうやら、まだ書きかけらしい。 しかしだな、これは……俺はどう反応すべきなのか。 「私には、有機生命体の感情を完全に理解することはできない」 いつの間にかハルヒの前に立っていた長門がそう言った。 「他者の恋愛感情を想定、構築することは困難を極める。よって自己の経験を記すことにした」 見ればハルヒはさっき以上に真っ赤になってやがる。 「有希!」 ハルヒはそのまま絞め殺してしまうんじゃないのかってほどの勢いで長門を抱きしめた。 おいおい、俺がいることを忘れてやしないか? 「ごめんね。有希が私のことそんな風に思っていたなんて、ちっとも気付けなかった」 「いい。今の状況に私は満足している。ただ」 長門は三秒ほど止まってから、言った。 「私はという個体はもっと貴方と触れ合いたいと感じている」 ハルヒは一瞬驚いたような表情をすると、俺の方を睨み付けた。 「キョン、ちょっと出て行きなさい!」 やれやれ、何する気だよ、全く。 さすがに出歯亀する勇気の無い俺はさっさと荷物とまとめて帰りましたとさ。 それからのこと? 悪いが知らんな。 それからハルヒは不思議探索が終わった後、そのまま長門の家に泊まるようになったことだけ付け加えておくよ。
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/6532.html
涼宮ハルヒの遡及Ⅸ 「どうやらこれで一段落ね、そう言えば、ラスボスってどこにいるの?」 一息ついたアクリルさんがハルヒににこやかに問いかけておられます。 まあ俺もそう思ってるし、長門、古泉、朝比奈さんも当然抱く疑問だろう。 この世界を消滅させ、俺たちが元の世界に戻るためには、世界の鍵となるラスボスを倒すしかない。なら、どこにいるのかくらいは知っておきたいところだ。最終目標があるのとないのとでは気分が随分違うもんな。たとえ、そこまでがどんなに長くても、だ。 ちなみに今の巨竜がこの世界のラスボスでも問題はないと思ったんだが残念ながらそうじゃないことはハルヒ自身が言っていた。 はてさて、次はどんな敵キャラと遭遇しなきゃならんのか。 などと呑気に憂鬱なことを考えていた俺だったのだがどうやら、やっぱり俺の、つうか、俺たちの考えは相当甘かったらしい。 ハルヒに関しては常に最悪を想定して動き、それでもあいつはさらに斜め上に行くと予想しなければいけなかったことを痛感させられたのである。 「あ、ラスボスはこの地上そのものなのよ」 ハルヒの何かふと思い出したような声が聞こえてきたと思ったら、一瞬、この空間が協調反転して凍りついたと感じたのはおそらく気のせいではないだろう。 ……今、ハルヒの奴、何つった? 「あの……もう一回言ってくれる……? 何がラスボスだって……?」 アクリルさんが表情には如実に『冗談だよね?』と書いてある引きつった苦笑を満面に浮かべて再度確認を求めている。 ああ、はっきり言って俺も思ったさ。聞き違いであってほしいってな。 「ええっと……その……この地上がラスボスと……」 どうやら聞き間違いではなかったらしい。 ハルヒが珍しくバツが悪そうに答えてやがるからな。その態度が余計に真実味を増すってもんだ。 って、この地上がラスボスだと!? 「だ、だってその方が面白いじゃない! 悪役とか敵ってのを世界が生み出すんだから、なら、『世界そのもの』を破壊する展開が本当の正義を守ることになるじゃない! 斬新な発想ってやつよ!」 「にしたって斬新過ぎだ! 敵を生み出すかもしれんが主人公や味方を生み出すのも『世界』なんだ! なのに『世界を崩壊させる』ことを解決にしてしまったら、主人公側の勝利の後に何にも残らんじゃないか!」 「む……それは確かに……」 今、気づいたんか!? 「とにかく、今はそんなこと言ってられないわ。この『世界』が敵だって言うのであればこの地に留まるわけにはいかないわよ!」 言って、アクリルさんが俺とハルヒの手を取り、古泉は朝比奈さんの手を取った。 「レビテーション!」 「むん!」 アクリルさんが術を開放し、古泉が表情に力を込める! アクリルさんと俺とハルヒは浮き上がり、古泉が生み出した赤い球体が朝比奈さんをも包み込み、外側に電流をスパークさせながら宙へと上昇! 長門は、 「わたしの体内に反重力物質を生成。調整することによって空中浮揚可能」 もちろん自力で飛んでいる。そう言えば今、初めて長門が飛んでいる理屈を聞いたな。 「さっすが宇宙人! 重力コントロールもお手の物って訳ね!」 おーいハルヒ? そんな呑気なこと言ってる場合じゃないぞ。この世界はどうやったら崩壊させられるんだ? でないと俺たちはいつまで経ってもここから出られないことになるし、出られないってことはその間、ずっと命を狙われ続けるんだが? いくら長門、古泉、朝比奈さん、アクリルさんでも体力と能力に限界が来ちまうぞ。 そう。なんたって、俺たちが宙に浮いた瞬間から、いきなり地面が崩れ、眼下には俺たちを呑みこまんばかりに荒れ狂う『海』が見えているのである。 しかも、いつの間にか周囲すべてがだ。地平線の彼方までずっと荒波が続いている。 ついでに空には雷雲がたちこめ、雷雨と暴風雨も俺たちを激しく責め立ててやがる。 もっとも、俺とハルヒはアクリルさんの結界術の中にいるし、古泉と朝比奈さんは古泉の赤いエネルギー球によって嵐から身を守っている。長門は勿論、自身で作りだしたシールドを展開済みだ。 それでもお互いの声が聞こえるのはアクリルさんが何かしたのだろうか。と想像するのは考え過ぎか? 「さて、どうしましょうか?」 という古泉の、珍しく笑みが消えた真剣な声が俺の耳に届いているもんな。 「……いつもの閉鎖空間であれば《神人》を倒すことによって『世界の崩壊』を導くことができるでしょうけど、残念ながら今回は閉鎖空間ではなく局地的非侵食性融合異時空間。《神人》が存在しない以上、正直、僕には打つ手なしです」 確かにな。ならお前はとりあえず朝比奈さんを守っていろ。 「了解しました」 俺もまた神妙に返し、古泉は少しだけ笑顔を取り戻して首肯する。 「悪いけど、あたしにも世界を崩壊させる魔法なんてないわよ。むしろ魔法の概念は逆だしね。魔法は世界が持つ『力』を『引き出して』行使する。つまり、『世界』が無ければ魔法は使えない。だから世界を滅ぼす魔法は存在しないってわけ。例外は自分の魔力で創り出す精神魔法、あたしたちの言葉でアストラルマジック。でもこれは精神に作用するものであって物理的攻撃手段にならない」 ううむ……となると……ハルヒがこの世界の消滅を望むしか…… ――残念だけどそれも無理―― って、アクリルさん!? いきなりテレパシーって!? ――今はそんな些細なことはどうでもいいの。で、ハルヒさんが望んでも無理な理由は、この空間が世界としてとまでは言わないけど、エアーポケットワールドとしてもう定着しちゃったからなのよ。エアーポケットだから、これ以上広がることはないけど、ある意味、ここは『異世界』。つまり、世界が違う以上、ハルヒさんの願望現実化の能力下からは外れてしまっている―― ちょっと待ってください。今の説明からすれば、ハルヒが来た時点で古泉の力も朝比奈さんの力も無くなるんじゃないですか? ――ううん。それは話は別。だってハルヒさんが望んだのは元の世界にいたときだし、しかもコイズミさんとアサヒナさんに力を持たせたまま、こちらに転送したから。むしろ心配なのはナガトさん。彼女が貴方の言った通りの存在なら、ジョホートーゴーシネンタイとかいうエネルギー供給源が今、断絶された状態になっているはず。だって、この世界は元の世界からは切り離された存在。世界を越えてまでエネルギー供給が可能だとは思わない。それが可能ならナガトさんがとっくにあたしたちを脱出させているはずよ。その供給源を伝ってね―― なんだって!? アクリルさんの説明を聞いて、俺は弾かれたように長門に視線を向けた。 「長門! お前は……!」 「大丈夫。もしものときは古泉一樹に協力を乞う。それとわたし個体のエネルギーが切れたとしても、『悪の魔法使い』としての力は内臓されたまま。攻撃手段がなくなるわけではない」 そうか。こういうときはハルヒの無茶な思いつきに感謝してしまうな。 「てことでハルヒ。お前はどうやってこのお話のラストを飾るつもりなんだ?」 俺も含めて、長門、古泉、朝比奈さん、アクリルさんのみんなが何もできないとなると、残るはこの物語を創り出したハルヒに委ねるしかない。まさか、主人公格が全滅してBAD ENDなんてことは考えないと思うんだが…… 「……まだ考えてない」 うぉい! 「だってしょうがないじゃない! あたしがこの世界に引きずり込まれた時は、まだプロットが途中だったんだから!」 あ。 「なるほどね」 アクリルさんが自嘲のため息をついていらっしゃいます。 「世界の設定、登場キャラクターの設定は決まってるから『世界』としては成り立つけど、ストーリーがまだ最後まで行ってなかったのね。でもまあ、ハルヒさんが居てくれてよかったわ。でないと、この世界の『ラスボス』が何かはずっと分からなかっただろうし」 まあ確かにその通りなんだが…… …… …… …… やっぱアクリルさんはすげえ場馴れしているな。ここまで冷静に状況を分析するなんざ俺たちには無理だ。 それができるとしたら長門だけではなかろうか。 「方法がないこともない」 って、長門! いつの間に!? 「sleeping beurty」 ――!! なるほどな……確かにあの日のあの世界もハルヒが創り出したとはいえ、ある意味、独立した世界だった。今の状況は酷似していると言ってもいいかもしれん…… 俺はハルヒをちらりと見る。 「ん? 何?」 ハルヒがきょとんとしている。 どうする? 今の長門の提言を素直にハルヒに伝えるか? ハルヒはもう、あの日のことが夢でなかったことを知っているんだ。なら、事情を話せば同意してくれると思うんだが…… 「ねえハルヒさん」 って、俺が話しかける前にアクリルさんがハルヒの声をかけてるし。 「この物語のラストをまだ決めていないことは分かったわ。でも『世界』をラスボスにするなら当然、主人公格の方に何か『世界を倒せる』力を付けたわよね? じゃないと物語は終わらないし。それを教えてくれない?」 そうか。確かにそう言う力は真っ先に決めてあることだろう。でないと話が作れない。通常、物語を作る際には出だしとクライマックスを先に決めておいて、その上でその展開やそこまでの過程、エンディングを決めるものだ。いくらハルヒが行き当たりばったりと言ってもそれを考えていないとは思えない。作成過程で色々な話が付け加えられることは多々あるだろうが大筋が変わることはあり得ないだろう。でなけりゃあの去年の文化祭の自主制作映画も完成しなかったことになるからな。 「……ある」 「は?」「へ?」 ところが、なんと答えたのはハルヒではなく長門である。というか何で長門が気づくんだ? 「以前、ミクルの設定資料を見たことを思い出した。あれにミクルミサイルというものがあり、それは我々は名前を付けていない地球外物質を用いた兵器で、朝比奈みくるの胸部の質量分を爆薬として使用した場合、地表を七回焼き尽くすことが可能な熱量を発生させられるものであった」 「ふ、ふえ!?」 「そう言えばそんなことを仰ってましたね」 朝比奈さんが悲鳴をあげ、古泉が苦笑している。 ……てことは、今の朝比奈さんはそんな物騒な物質を内蔵してるってことか? まあ……目からレーザーを出せるんだ……充分、物騒なものを内蔵されてても不思議はないかもしれんが…… 「ちょっと有希。前も言ったけど、あんなあたしの思いつきの設定を真面目に語らないでよ。聞いてるこっちが恥ずかしくなるわ」 その割には、否定しないんだな? 兵器の威力については。 「そりゃ、そっちの方が面白いじゃない。それに、ミクルビームだけじゃなくてミクルタイフーンもミクルミサイルも映画では使う機会がなかっただけで、別に外したわけじゃないわ」 ……よし 「どうやらこれで何とかなりそうよ」 「同感」 「そのようですね」 お? アクリルさん、長門、古泉も俺と同じ意見か? 「え? え? それはどういう意味ですか……?」 「ちょっとキョン、まさか有希の設定をまともに信じたんじゃないでしょうね?」 どうやら朝比奈さんとハルヒだけが解っていないらしい。 「ただし問題がある」 切り出してきたのは長門だ。 「……発射までのエネルギーチャージにかかる時間のことね……」 「そう。ミクルビームは連射できない。それはチャージのための時間が必要と言うこと。そしてミクルミサイルはミクルビームよりも強大な力。故にチャージにかかる時間も少なからず小さくない」 「どれくらい?」 「時間に直して三十分ほど」 などとアクリルさんと長門が会話を交わしている。まあこういう話になればこの二人の専門分野だ。 ハルヒも古泉も朝比奈さんも黙って聞くしかないだろうぜ。つか、創り出したハルヒが何でその設定を知らんのだろう? まあそれはちっともよくないのだがよしとしよう。 それよりも長門が『問題』と言ったことの方が重要だ。 三十分ならそうは長くないと思うが…… 「なるほど。なら、その間は是が非でもあいつらからアサヒナさんを守らなきゃ、って訳ね」 「そう」 何!? アクリルさんが視線を肩越しに背後に移せばそこには、大きさ的にはさっきの翼竜のだいたい五分の一くらいだが、どこか始祖鳥を連想させるデザインの怪鳥が大群でこちらに向かってくるのである。 涼宮ハルヒの遡及Ⅹ
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/518.html
暑い… ミンミンミン・・・ 暑い… ミンミンミン・・・ 暑い!! そう、今の季節は夏、太陽が怒ってる様に思えるぐらい暑い… まったく、部室にクーラー付けてくれんかね? 「文句言わないの!」 今のは、団長様のセリフである。 ハルヒ「冷凍庫にアイスあったでしょ?あれで我慢しなさいよ」 へぃへぃへぃ…ん?ハルヒの膝に、何か置いてある…ノートのようだ 「ハルヒ」 ハルヒ「何?」 「これは、何のノートだ?」 ハルヒ「え?……あー、あんたには関係無いの!」 俺には関係無いのかね…冗談でも言ってみるか 「…誰も知られたくないぐらいか?」 ハルヒ「ギクッ)そ、そんな…じゃないわよ!ほ、ホントよ!」 …何か、口調が怪しい…一体何のノートだ? ハルヒ サイド ヤバイヤバイ…… これは、誰も知られたくないのよね… だって、これは… キョンの事もいっぱい書いてあるのよね… 写真もあるし、あたしにとって、恥ずかしい文もあるしね… キョンにバレると…死んでしまうぐらい恥ずかしい!! …学校に持っていくんじゃなかったわね… キョン「なぁ、ハルヒ」 うわっ、吃驚した… 「な、何…キョン」 キョン「確かめたい事あるけどな…こういう噂を聞いたぞ」 う…噂? 「へー、どういう噂?」 キョン「何でも、皆に知られたくない物あるらしいんだって?」 なっ!?そ…それは、このノートの事!? 「デマよ、デマに決まってるわ!」 キョン「そ、そうか…悪かったな」 ちょっと、キョンの目線があたしが持ってるノート見てるよ~… これが怪しいと思ったのね…死んでもこのノートだけは守るわ! キョン サイド やっぱ怪しい!ハルヒは動揺してる感じだからな… しかし、気になるな…うーむ… 長門「私は知ってる…」 そうかぃそうかぃ…って、え?知ってるのか? 長門(ゴクリ) 「じゃあ、何だよ?」 長門「…それは、言えない…アレは、涼宮ハルヒにとって、大切な物」 そうか…スマン… 「…何だが気になるなぁ」 そう言い、一日は終わった… だが、これで終わりではなかった… 次の日…事件が起きたのである ハルヒ サイド さて、寝る前、あのノートを取り出すかな… ………ん? ちょっと待って、疲れてるのかしら?あたし… あのノート無ぁぁぁぁい!?ちょっとちょっと!? どういう事?えぇい…思い出すのよあたしよ!! 下校 ↓ SOS団員と一緒にキョンの家へ ↓ 鞄は、リビングに置いて、キョンの部屋へ ↓ 楽しく会話 ↓ 鞄を取って帰る …まさか、まさか!? い、い、い、い、 いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…ぃゃぁぁぁぁぁぁ…ぃゃぁぁぁぁぁ…(エコー) キョン サイド ふわぁ…眠い…この坂道もキツイ… 谷口「いょぅ!キョンちゃーん」 その名で呼ぶな、気持ち悪い 「ん?おぅ、谷口か」 谷口「昨日さぁ、「もしかして、生理?」ってナンパしたら、物凄い殴られたぞwwww」 笑い事じゃねぇよ…ってか、女の子に言ったらアカンだろ… と思いながらSOS団室へ行った… さてさて、ノックノック… ハルヒ「どぉうぞっ!」 うおっ!?吃驚した…なんっー大声だ… やれやれ、中に入るか… 入ると、不機嫌な団長様がいた… 何があったんだ? ハルヒ「どうもこうも無いわよ…あたしの大切な物が無くなったから…」 マジですか!?バレたらヤバイじゃねぇのか? ハルヒ サイド むー、むー、むー、どうしよう、どうしよう、むぅぅぅぅーー… 取りあえず、動揺は隠してっと… 「ねぇ、キョン…あんたの家のリビングに何か置いてなかった?」 キョン「はて?何も置いてなかったか?」 「そぅ…」 んー、追求してみるか… 「何か、家で変わった事無い?」 キョン「んー?あぁ、そういえば…妹がニヤニヤして見てただけだが」 え?妹ちゃんか?え?マジで? キョン「マジだ、妹が「キョンくんって、幸せ者だね!」と言ってたな…何で幸せ者なのか?」 …それって…それって… キョン「ハルヒ?どうした?」 みくる「ハルヒさん?どうしたのですか?」 い、い、い、い、い、 いやあぁぁぁぁぁぁ……いやぁぁぁぁぁ…いゃぁぁぁぁぁ…ぃゃぁぁぁぁぁぁぁ…ぃゃぁぁぁぁぁぁ……(エコー) キョン サイド ハルヒが…ハルヒが…真っ白に染まってる…な、何があったんだ? ん?と、言う事は 「古泉、閉鎖空間どうなってんだ?」 古泉「いえ、大丈夫ですよ…しかし、ハルヒさんは何やら慌ててる様子ですね」 ほっ…じゃ、何で…真っ白になったんだろうな… ハルヒ「あはっ…ははははっ…ははは…ガクッ」 みくる「ハルヒさん!?大丈夫ですか!?ハルヒさん!」 …妹ねぇ、妹に聞いてみるか おまけ 谷口「全国の女達のために、ナンパ成功のために、女達よ!俺は帰って来たーっ!」 …あら?いっけね、女子更衣室だわwww …… 「WAWAWA、忘れ物~」 女A「さっさと…」 女B「帰れーっ!」 きにゃああああああああああ… ハルヒ サイド ふっ…かーつ!!って、ここは保健室? 取りあえず、一刻も早く、キョンの家へ! みくる「あ、ハル「ごめんね、みくるちゃん!急いでるから!」 急がないと!ん?下からスースーするわねぇ………ピキッ! みくる「あっ、ハルヒさん!行っちゃいましたね…スカートのチャック壊れて直して貰った所なのに」 何と、ハルヒは、スカート穿いて無かったのである…勿論、パンツの色はピンク… 「き、き、きゃあああああ…」 みくる「!?」 「みーくーるーちーゃーんー!そーれーをーはーやーくーいーえー!」 みくる「す、すみませんでしたー!」 「結構恥ずかしかったわよ!…よし、直してありがとう!じゃ!」 ドドドドドドド… みくる「走るスピード速いですね…」 谷口 サイド ふっ、今、俺は何をしてるのかって? ふふふ…吊るされてるんだよね…レッテルも貼られてますっせ! [超変態][チャック魔][ナンパ男] …誰が水下さい… キョン サイド さて、俺は学校が終わり、家にいる… 妹に聞くために帰って来たのだからな 妹「お帰りー、キョンくん」 こいつ、ムカツクぐらいアイス食べやがって 「そういや、妹よ…ハルヒの鞄の中を見たのか?」 妹「うん」 やっぱり… 「見せてくれないかな?」 妹「いいよ」 と、言うわけで…簡単に手に入れた うむ…見た目は女の子らしい模様をしてる普通のノートだが…… 中身見てみるか …これはどういうことだ? 皆も見せてやりたい気分だが…いや、いい… ○月○日 初めてあった男の子がいた…へぇ、キョンって言うんだ ちょっとカッコいいわね …これって、最初にあった時の話が…待て待て、普通の人間は興味無かったのではないのか?ハルヒよ? ○月○日 SOS団初のくじ引きだ!キョンと二人で仲良く話したい!! ハルヒ…だから、あんな態度を… ○月○日 今日は、機嫌悪かったけど、夢の中でキョンと二人きりだった… あたしの願い叶ったわ!キスよ!キス!甘いレモンの味だったよ! 興奮して一人Hしたのは内緒よ なるほど…だから、寝れなかったのか… ○月○日 今日は、あたしの誕生日… ん?これは…そうか、俺が知った時に祝ってやったっけ? あたしの誕生日を祝ってくれたのは、ある一人の男の子だったわ その男の名前はキョン…あたしは、嬉しかったの… あのバカが「谷口から聞いて気付いたけど…誕生日おめでとうな」と言ってた めっちゃ嬉しかった…あたしは泣かないように我慢してたけど、あのバカが「泣くなら、泣けばいい」と あたしは、いっぱい泣いたわ…今までは孤独だった誕生日…でも、キョンから祝ってくれた… ありがとう、キョン…あたしは幸せ者だよ …ハルヒ…お前は、やっぱ普通の女の子だもんな… 他には本人にとって恥ずかしい文章もあるから、伏せておく ハルヒ サイド そういえば、あの日記に「一人Hした」やら 「妄想して鼻血出た」やら恥ずかしい事凄く書いちゃったっけ… 早く、回収しないと!ヤバイよ、ヤバイよ!お母さん! っつー訳で、家に着いた… ピンボーン キョン「はいはい、どなたですか?」 キ、キョン!? 「あたしよ、あたし」 キョン「ハルヒ?入っていいぞ」 お邪魔しまーす キョン「どうしたんだ?」 「妹ちゃんは?」 キョン「あぁ、どっかへ遊びに行った…ま、2時間したら帰って来るだろうよ」 え、えぇ~!?そ、そんなぁ~ 特別編 その1 ちょと、悪戯したくなったので、皆さんに紹介を ○月○日 キョンの家へ遊びに行った。 キョンが一階へ用事あるため降りたのを確認して部屋を探し回った結果… エロ本10冊も見つけた…その内、3冊だけ持って帰った。 バレませんようにと願ってる ○月○日 海の日、キョンの水着姿を見て興奮しそうになった。 あたしって、変態になったのかな?ヤバイ、ヤバイ ○月○日 大佐が言ってた 「性欲はもて余す」と ○月○日 何となく、部室でキョンの真似した。 その時に、みくるちゃんや有希に見られた… 恥ずかしかったよぉ~ ○月○日 谷口が言ってた 「ナンパは千斬り挑戦すると良い」と …でも、成功してないわね 特別編 その2 ○月○日 性 欲 も て 余 す ! 何となく書いてみた…寝よう ○月○日 キョンとデートしようかな…「死刑」って言えば来てくれるかな? それで、観覧車に乗って手を繋げ…あっあっ、鼻血鼻血!ティッシュ!ティッシュ! ○月○日 店員が間違って、AVビデオ入れたみたい…折角なので見ることにした… 正直分からなかった…あたしって、子供なの? ○月○日 キョンと一緒に寝る夢を見た…ドキドキした… でも、キョンの寝顔可愛いなぁ ○月○日 キョンの寝顔コレクションを隠す場所に困った… 取りあえず、下着を入れてある棚に隠した ○月○日 みくるちゃんめ!キョンを悩殺させる気か!? あたしだってー! この後、キョンに酷く怒られた… 泣くのを我慢して抵抗したあたしがいる その時のキョンはいつもの「やれやれ…」だった キョン サイド さて、ハルヒが来た訳だが何の用かね? 「何の用だ?」 ハルヒ「妹ちゃんに会いたい」 そうか… 「だったら、ゲームでもして暇つぶししないか?」 ハルヒ「そうね」 ハルヒ サイド あれから2時間経った 妹「ただいまー」 帰って来た! キョン「来たか…」 妹「ただいま、キョンくん!あ、ハルにゃんだ!」 キョン「妹よ、ハルヒがお前に話したい事あるとさ」 と言って退場した 妹「何?ハルにゃん」 「あの日記見た?」 妹「うん」 やっぱり… ハルヒ サイド 「ちょっと持って来てくれないかな?」 妹「うん、ちょっと待っててね!キョンくーん!」 え?…って事はキョンが持ってるって事?え?嘘でしょ? 妹「持って来たよー!はい!」 「え、あ、うん…ありがとう…」 ?何かキョンがあたしを見てニヤニヤしてる… ―――― さて、帰宅したのはいいけど… 日記を開くと「見たよ、ありがとうよ」 …え?嘘…見たの!?アレやコレや全て見たの? い、い、い、い、い… いやあぁぁぁぁぁぁ…いやぁぁぁぁぁぁぁ…いゃぁぁぁぁぁ…ぃゃぁぁぁぁぁぁ…(エコー あれから、一週間…話す事が出来なかったのは言うまでも無い… 完 谷口「さっさと、千人ナンパ斬りしようぜ」
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/732.html
「あのね、涼宮さんに聞きたいことがあるのね」 「何?」 放課後の教室で、文芸部室に向かおうとしていた俺とハルヒに話しかけてきたのは阪中だ。もちろん返事をしたのはハルヒだ。俺はこんなにそっけない返事はしない、だろう。 「キョンくんにも聞いてほしいのね。相談何だけど…」 阪中の話によると、阪中は面識のあまりない隣のクラスの男子生徒から告白されたらしい。しかし阪中はその男子生徒の事を良く思ってなく断りたいのだが、どう断ったら良いのかわからない。 そこで、中学時代に数々の男をフッてきたハルヒに聞いてみようと考えたらしい。俺は完全にオマケだ。 「でね、明日の放課後にもう一度気持ちを伝えるから、そのときに返事を聞かせてくれって言われたのね」 「そんなの興味ない、の一言で終わりじゃない! 何でそんな簡単なこと言えないのかしら」 「おいおいハルヒ、阪中は普通の女子生徒だぞ? もう少し阪中らしい断り方考えたらどうなんだ?」 「何よ、あたしが普通じゃないみたいな言い方はやめてくれる? それにあたしに相談してきたって事はあたしの流儀を聞きにきたって事よ! あたしのやりかたを言って文句あるの?」 「そうか。それはお前が正しい。だけどそれを押し付けるのはやめろ」 「喧嘩しないでほしいのね」 坂中の言葉で言い争いをやめた俺たちは真剣に協議をし始めた。 ハルヒの席を囲むように座っている。ハルヒと俺はいつもの席で阪中はハルヒの隣にイスを引き寄せて座っている。人が少なくなったので段々と声が大きくなってくる。 「じゃあキョン連れてって『コイツ私の彼氏なの~彼氏いるからむりなのね~』とか言わせて見ようかしら。」 「断じて断る。もっと普通なのはないのか?」 恋愛経験に乏しい俺にはアドバイスができるはずが無く、ハルヒの言った案を通すか通さないか役人的な仕事に専念していた。 ハルヒは非常に非現実的なアイディアばかりだすので俺は却下をくりかえした。阪中は自分の事なのに困った感じはなく、むしろ楽しげだった。 俺は今さらだが阪中は何故ハルヒに相談したんだろうと考えた。坂中の話しぶり、と言うか聞きぶりはハルヒに相談している形を取ってハルヒの過去の恋愛の体験談を聞きだしている感じだった。 不穏なことが起きなければいいのだが、と考えたが阪中なら平気だろうとスルーした。 そういえばルソーの一件以来阪中はハルヒに懐いてる。俺としてはハルヒが学校に溶け込んでる証拠のような気がして少し嬉しく思ってたりもする。 そんな事もあって俺はハルヒのためにも真剣に考えてやろうと思っていた。 「あーもう! 何で却下するのよ!」 「もう少し阪中の事を考えてやれ」 「これ以上はムリよ!!」 「じゃあ涼宮さんが言ってたようにキョンくん連れて行って恋人って言って見ようかななのね」 「こいつの言った意見ではそれが一番マトモなようだが、それは今後に関わるぞ?」 そう、俺の事を恋人と言い切ってしまえば翌日から男子生徒から始まり、少なくともこのクラスと隣のクラスの大半に知られてしまうだろう。 しかも、相手の男子生徒の事を考えると『あれは告白を断るため』とは言えない。 「わたしはいいのね。キョンくんがよければ」 俺が今後の事を考えていると、 「やっぱりキョンくんはわたしじゃ嫌なのね」 とか言われたので咄嗟に、 「嫌じゃあないし噂になるのはこいつのせいで不覚にもなれてしまっているんだ。」 何て口走ってしまう俺はどれだけお調子者なんだろう。ハルヒに助けを求める視線を出すとハルヒは少し不機嫌そうな表情で言った。 「噂になるのは恋愛禁止を掲げているSOS団としては困る事態だわ! 故に却下ね!!」 「じゃあどうするのね」 阪中は困ったように言った。でも俺には多少楽しそうに見える。これだけ考えた挙句振り出しなのだから俺もハルヒもどうしようもなくなっている。 「なぁ、理由なんて言わないで『ごめんなさい』とかだけじゃあダメなのか?何か聞かれても『ごめんなさい』で通ると思うぞ?」 恋愛経験ない俺が口出すのもどうかと思ったが素人の意見も取り入れた方がいいかも知れないと思った俺はそういった。 以外にもこれはシンプルでいいと言う事になってその方針で話を進めていた。ハルヒも阪中も良く考えれば簡単なことなのに思いつかなかったのはきっと2人が生まれつき変わった人間だからだろう。 「じゃあキョンくんと涼宮さんにちょっと実演してほしいのね」 まあ俺はそんな事を言われるとは思わなかったんで驚愕の表情をしていたと思うね。ハルヒほどじゃあないが。 ハルヒは顔を真っ赤にして口をパクパクしている。お前は金魚か? 「いいわ、やりましょう!」 何を言っているハルヒ! ここにはすでに阪中とハルヒしか居ないとはいえ恥ずかしすぎる! 「あたしはフラれるのは嫌いだからあんたフラれる役ね!」 こうなったらハルヒはとまらない。ムダに逆らうと後が恐いし実演が困難になる。覚悟を決めるしかない。 「しょうがない。じゃあ言うぞ?」と俺は恥ずかしいので視線を落とす。 「ハルヒ、好きだ。付き合って欲しい」 ああ、何でこんなに恥ずかしいんだろう。思ったより全然恥ずかしかったな。それより返事はまだなのか? 視線を上げてハルヒを見ると顔を真っ赤にしている。俺は余計に恥ずかしくなってきた。 「涼宮さん、返事しないとダメなのね。返事が聞きたいのね」 ハルヒはハッと我に返って、 「いいわ! 付き合いましょう!」 とか言いやがった。俺が断らなければダメだろ、と言うと咄嗟にでちゃったなんて言い訳してる。 「涼宮さんにキョンくんをフるのはムリそうなのね。ウソでもフれないのね」 「そんなことないわよ! 中学時代にふった事ないから咄嗟に……」 やめろハルヒ! ごまかしてると思われるぞ、と言おうとしたが言えなかった。阪中の言葉に遮られたからだ。 「じゃあ今度は涼宮さんがキョンくんに告白してみてほしいのね」 ハルヒは俺の顔を見て、少し考えてから言った。 「いいわ! よく聞きなさいキョン! あたしはアンタが好きよ! 付き合いなさい!!」 俺はハルヒの勢いに少し焦って思わず、『廊下に響くぞ、他の人に聞かれたらどうする!』と思って廊下の方に目をやると、廊下側に座っている阪中という女の子の期待に満ちた表情で我に返った。 とりあえず任務を完了しなければ、と一呼吸置いた。そしてやはり視線を落として言った。 「すまんがハルヒ、俺はお前とは付き合えない」 「何でよ!」 「すまん…」 「団長命令よ!!」 「すまん…」 「あたしの事嫌いなの?」 俺は一瞬狼狽した。ハルヒの声が少し悲しそうで、演技には思えなく視線をあげた。そこには悲しい顔をしたハルヒがいた。だけど、阪中に目をやると未だに期待に満ちた表情をしていたのでハルヒは気にしないことにした。 「嫌いじゃあない。だけど、すまん。」 「じゃあ、なんでよ…」 ハルヒの声は消え入りそうだった。見ればほんのり涙目だ。ハルヒの表情は呆然としている。なんだか演技とはいえ、心が痛んだ。 「もういいだろう阪中。こんな感じでいいのか? というよりはこんな感じでいいんじゃないか?」 「ありがとうなのね。でも、涼宮さんの悲しそうな顔を見てたら何だか断れる自信なくなったのね。だから明日の朝手紙で断る事にするのね」 たしかに阪中の期待の表情が無ければ俺は断り切れなかっただろう。それほどハルヒの悲しそうな表情は切なげで、守ってやりたくなってしまった。 未だに呆然としているハルヒに目をやった。俺は、もう演技は終わったんだぞ、と言った。 「涼宮さんはキョンくんに演技でもそんなこと言われて、割り切ってるハズなのにショックだったのね。だから反対の事を言ってあげれば元にもどるのね」 そういい残して阪中はさっさと帰ってしまった。俺は、最初から手紙にすればいいのにとか、こんな状態のハルヒをおいて返るなんて、とかいろいろ阪中の批判を思い浮かべたが阪中は本当に困ってたんだろうという結論に着いた。 きっと阪中は手紙じゃあ失礼だと思ったのだろう。そして、今のハルヒには阪中はいないほうがいいと判断したんだろう。そう思うことにする それからハルヒは呆然として、俺はハルヒを置いていくわけにもいかずにハルヒの前の席に座ったまま過ごした。 そうしてハルヒが回復するまで待とうと思ったが、夕日が落ちてきた頃にはとりあえず家まで送ってやろうと決心した。 「ハルヒ、かえるぞ」 コクリとうなずき立ち上がるが、動こうとしない。俺はいつもと立場が逆だとは思いながらもハルヒの手を取って引っ張った。 俺はハルヒに何て言えばいいんだろうとか、そういえば今日のSOS団はどうなってるんだろうとか考えながらハルヒの家の近くまで送った。長門並みの無言が続いた。 ハルヒの家の近くまで来て、こんな状態でハルヒを家に帰していいのか考えた。頭の中で阪中のセリフが蘇る。 『涼宮さんはキョンくんに演技でもそんなこと言われて割り切ってるハズなのにショックだったのね。だから反対の事を言ってあげれば元にもどるのね』 どうしたらいいのか分からなかったのでとりあえずハルヒの家の近くの公園に連れて行く。ベンチに座らせ、俺も隣に座る。とりあえずあれは演技であることを強調しようと思う。うまく言えるかな。 「ハルヒ、そろそろちゃんと目を覚ませ!」 ハルヒは多少意識が回復したように見えた。今度はハルヒは悲しそうな表情を浮かべている。俺を見て、視線を落として、もう一度俺を見てから消えるような声で言った。 「キョンはわたしが嫌いなの?」 俺は戸惑った。そんな事を言われるとは想像もしていなかった。あれは演技だから気にするな、と言おうとしていたのに言えなかった。 いや、会話の流れを考えるなら十分普通のセリフだし、言わなければならないのだが何故か口にできない。 「ハルヒ、俺がハルヒの事の事を嫌いなわけがないじゃないか。いつも一緒にいて、そんな事もわからないのか?」 「でも、好きじゃないんでしょ? あたしはキョンにとってはその他大勢。あの球場の5万人の観衆と一緒。同じ場所にいるけど深く関わることはない。」 小学生の時の話か。どうしようか迷ってあることを決心した。告白だ。 「ハルヒ、一度しか言わないから良く聞け。俺はお前の事が好きなんだ。さっきの演技とは違って今度は俺の本心だ。」 「ウソよ!」 ハルヒは急に叫んだ。 「だってあたしはあんたに好きって言われたときは演技だってわかってても断れなかった。そのときに気付いた。あたしはアンタが好きって。 でもあんたはアッサリあたしをふったじゃない。気付いたのよ。キョンはあたしの事を好きではないって。本当に好きだったら言えないハズだって。」 返す言葉もない。古泉なら何て言うだろう。いや、変な言葉でも俺は自分の言葉で言わなければいけないんだろうなと考えた。 「もう一度だけ言うぞ? 俺はハルヒが好きなんだ。」 と言ってからさらに続けた。 「俺も心が痛んださ。でも、演技だってわかってたから堪えることができた。きっと俺はハルヒの事を好きだと自覚していた分だけ心の準備ができていたんだろう。 でも、それでも心が痛んだ。ハルヒの気持ちも痛いほどわかる。ハルヒが俺の事をどれだけ好きかも伝わった。… …だからハルヒ、お前がそれだけ好きになった人の言う事を信じてくれないか?」 ハルヒは無言でこっちを見た。でも何故だかさっきまでの焦燥感や不安感はなかった。気がつけばハルヒは俺の手を握っている。 「ありがと。キョンのいう事だから信じる。」 「そうかい。」 俺はやっとの事でぎこちない微笑みをハルヒに向けた。そっとハルヒの両頬に手のひらを当て、ハルヒの顔に近づいて目をつぶり、キスをした。 ゆっくりと、甘いキスをしながら両手をハルヒの背中において抱きしめた。 そしてゆっくりとハルヒを放してから見たハルヒの顔は学校帰りの顔とは違って嬉しそうな表情をしていた。その中には安堵の表情も読み取れた。 「帰ろう。ハルヒと過ごす時間はいっぱいあるんだからゆっくり楽しんでいこう。」 そういってハルヒを家の前まで送っていった。 翌日の朝になって阪中の事を思い出しうまくやったか気にもなったが俺にはハルヒの方が気になったので阪中には悪いが気にしない事にした。 そして、教室でハルヒを確認して軽い挨拶をして、じゃあ、あらためて今日からよろしく伝えた。 俺とハルヒの関係は誰にも言わない事にした。 しかし言わなくても誰もが気付いている。 そして、交際を始めてからもハルヒと俺はいつでもどこでも変わらない事に気付いた俺は、谷口とかの言う俺とハルヒの関係は昔から付き合っているようなものなんだなと気付いた。 俺はあれから毎日部活の後にハルヒを送っていき、あの公園で話して、最後にキスをして帰るという日課が追加された。 そのことに幸せを感じながら日々を送っていく。
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/3480.html
涼宮ハルヒの感染 プロローグ? 涼宮ハルヒの感染 1.落下物? 涼宮ハルヒの感染 2.レトロウイルス? 涼宮ハルヒの感染 3.役割 涼宮ハルヒの感染 4.窮地 涼宮ハルヒの感染 5.選択 涼宮ハルヒの感染 6.《神人》 涼宮ハルヒの感染 7.回帰 涼宮ハルヒの感染 エピローグ
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/6536.html
涼宮ハルヒの遡及ⅩⅢ 何か、とてつもなく面白い夢を見た気がした月曜日の朝。 ただ、それが何かをどうしても思い出せないまま、いつものように強制ハイキングコースを踏破し、休日明けの気だるさを感じながら、教室へと入った途端、 「ほら見てキョン! 一気に下書きまでだけど最後まで書きあげたわ!」 赤道直下の真夏の笑顔でハルヒは俺に三十枚はあろうかというA4用紙を突き付けてきた。 「てーと、一昨日言ってたアレか?」 「うん。なんかその日の晩、バンバンアイディアが出ちゃって昨日一日、これに費やしてたのよ。でもまあ、こういうのも悪くないわ。自分の想像が瞬時にそこに現れるんだから」 なるほどな。 俺が一昨日、何気に呟いたクリエイターの話にハルヒが乗った訳だが、それにしてもここまでやるとはね。いやマジで恐れ入ったよ。 相変わらずとんでもないバイタリティだ。 …… …… …… 何だ? 妙な違和感を感じたような気がしたんだが…… まあいいだろう。おそらく気のせいだ。 「んじゃあまあ、どれどれ」 呟き、俺は原稿に目を通す。 ほほぉ。文化祭の時の映画の続編か。 さすがはハルヒ。多方面に高い才能があるのはここにも表れている。 下書き段階とはいえ、臨場感もあるし、キャラクターの表情も豊かだ。んでコマ割も完璧に近いものがある。絵ももちろんレベルが高い。 あーでもページにまたがる見開きはやらなくていいぞ。 「へぇ、今回はユキも味方になるんだな」 「ふっふうん♪ 少年漫画の王道ってやつよ! 昨日の敵は今日の友! それにやっぱSOS団の誰かを敵にしたくないしね!」 それはいい傾向だ。お前が長門、朝比奈さん、古泉のことが大事になってきている証拠だ。 「ん? 何だ? ひょっとして俺も出てくるのか……?」 少し渋面を作って感想を述べる俺に、ハルヒが、あの悪だくみニヤリ笑いを浮かべて、 「感謝しなさいよ。あんたにも役を作ってあげたんだから。でもまあ、あんたには何の特徴もないからね。だからバトルには参加させられなかったけど」 自信満々に説明してくれる。 ……別に無理に俺の役なんぞ作らなくてもいいのだが……モブキャラにだってできないだろうに…… って、 「おい、俺が何で異世界人とやらと知り合いなんだよ? いったいどういう伏線で?」 「決まってるじゃない。サイドストーリーよ」 「あのなあ、どこにサイドストーリーがあったんだよ。読者に想像力を働かせろってか?」 「別にいいじゃない。今回、初めてやってみたんだから、次回はもっと良くなるわよ。それよりも続きを見てよ」 「ああ解った……」 ふむふむ。 ユキが味方として蘇ってきたのは異世界人ではあるが同じ『魔法使い』の彼女の言葉に心を動かされて、か。 「ところでハルヒ、この異世界人の魔法使いって、ユキと比べると随分、派手な姿の魔法使いだな。バニーとかチアまではいかんがノースリーシャツにホットパンツで生足全開て。結構露出度も高いし」 「はぁ? それくらいで何で『派手』なのよ?」 「それに、この魔法使いの髪の色って桃色だろ? 充分派手だと思うが?」 「へっ?」 あん? 何だ? ハトが豆鉄砲喰らった顔して。 「いや……何であんたがその魔法使いの髪の色が桃色だなんて分かったのかなって……? まだ下絵段階だし、あたしも言ってないし、別に着色もしてないのに……」 え? あ、そう言えば何で俺は桃色だなんて考えたんだろ……いや待てよ? 「ハルヒ、お前今、『分かった』って言ったよな? てことはお前も桃色にするつもりだったってことか?」 「う、うん……でもまさかキョンに気づかれるとは思わなかったけど……」 二人しばし沈黙。 ぐ、偶然だよな…… 「ま、まあそれはお前の行動パターンだから俺が読めたってことだ! 深く考えなくてもいいだろう!」 「そ、そうね! なんだかんだ言ってもあたしとあんたは一緒にいることが多いもんね! お互いがお互いの考えなんておおよそ見当つくわよね!」 そうだそうだ。俺とハルヒの付き合いだ。そうこともあるさ。 で、実は後々思ったんだが、どうも俺たちのこの会話の時の教室中の視線がなんとも生暖かったようなのだ。 当然、今の俺は気付くことなんてできなかったがな。 さて、それよりも続きを…… 「……なあハルヒ、これ、本当に長門なのか?」 「どういう意味?」 俺が指差したのは異世界の魔法使いと供に戦うユキのシーン。 「いや……なんとなく長門なんだけど長門じゃないような気がしてな……」 「ああ、それ有希よ間違いなく。ただ、改心したユキはヘアカラーが変化したのよ。グレーアッシュからシアンに。ほら、昔あったじゃない、星座をモチーフにしたプロテクターを着て戦うバトルマンガ。その中の双子座の戦士の性格が二つあって、アニメだと善の時の髪の色はシアン、悪の時の髪の色はグレーだった訳だけどそれに倣ったの」 なるほどな。つーか、よく知ってるなお前。 「ふっふぅん♪ あたしは少女漫画よりも少年漫画の方が好きよ。だって、そっちの方が不思議な展開と力で満ち溢れてるもの」 確かに。というか、お前の朝比奈さんへのセクハラは多分に一部の少年漫画の影響を受けているような気がしてならんかったからな。 …… …… …… 何だ、この感覚は? このマンガの二人、ユキと異世界の魔法使いの立ち振る舞い…… まるで、どこかで見た気がする。 しかもどういうことだ? ハルヒは長門と、と言う風に言っていた。このデッサンも確かに長門のはずなのに…… しかし俺には長門と別の誰かが被っているようにすら見える。 おかしい。そんなことはあり得ない。 だいたい魔法が登場する時点で現実からは外れているんだ。 もし見たことがあるとしたら夢の中以外に答えはないじゃないか。 「どうしたのよ?」 「あ、いや……なんでもない……」 「ん? 変なキョン」 ハルヒは何も気づいていないのだろうか? まあ問うのは止めておくけどな。 こんなことをこいつに言えば、力の限り馬鹿にされるか、俺の頭を切開して夢の中の記憶を引き摺り出そうとするか、するかもしれん。 そんなこんなで今日も放課後だ。 放課後と言えば、もう完璧に習慣化しているので旧館の一角『文芸部室』に勝手に足が向く。 んで、今日はハルヒが掃除当番だから先に着き、長門、朝比奈さん、古泉に軽く挨拶して、長門が読書する姿を横目に捉えながら、朝比奈さんが注いでくれたお茶で喉を潤しつつ、俺の白星しか増えない将棋を古泉と指している。 しばらくするとハルヒが入ってきた。 「ごっめ~~~ん! みんな、揃ってる?」 見ての通りだ。 などと軽く言葉を交わしつつ、今日は月曜日であるにも関わらず、明日がどういう訳か祭日と言うことで、ハルヒは団長机の椅子に仁王立ちになった。 「みんな! 明日は特別不思議探索の日に設定するからね! 集合はいつも通り、光陽園駅北口午前九時! 一番最後に来た奴が奢りだから!」 満面の300W増しの笑顔で高らかに宣言するハルヒ。 まあいつものことだから、今更何の感慨も持たないが。 が、どういう訳か、俺はハルヒの次のセリフに言い知れぬ違和感を抱いたんだ。 「探索目的は、宇宙人、未来人、超能力者、そして異世界人よ! 原点回帰! 明日こそ必ず見つけるわよ!」 いったいどういうことなんだ? これはいつもハルヒが言っていることじゃないか。 どうして俺は違和感を抱くんだ? などと言う俺の内に広がる違和感は、しかしいずれ時が経てば水面に広がる波紋のように消えていくんだろうな、という思考も頭を過った。 と、このときはかなり気楽に考えいたのだが。 どういう訳だろう? どうやら違和感を抱いていたのは俺だけではなかったらしい。そのことは翌日の不思議探索で知らされることになる。 「ねえキョン」 「何だ?」 何の因果か、いつも通り俺が一番遅かったんで、いつも通りみんなにお茶を奢って、いつも通り班分けしたのが今日に限ってはいつもと違い、同じ班になったのはハルヒだったりする。 で、最初はなかなかテンションが高かったハルヒなんだが、公園から街中を散策する道すがら、どんどん神妙になっていった。 これは何を意味するのだろう? 「うん……昨日、見てもらった漫画なんだけどね」 「あれか」 「アレって妙なのよ。昨日、キョンが指摘した通りで、あたしも家でもう一回読み返してみたらキョンと同じ感想を抱いたの」 「と言うと、異世界人の魔法使いの髪の色が桃色だったり、ユキの髪の色がシアンだったり雰囲気が違うって言ってたことか?」 「そうよ。あたしもそう感じたの。あの感覚って何なのかな? 実のところ、既視感ってのとも違う気がしてるのよね」 確かにな。それは俺も思ったことだ。 「しかし、だとするとどういう意味になるんだ? それじゃあまるで、俺たちはそういうことがあったのに記憶を操作されて記憶を消された、ってことになるのか?」 などと言った俺が馬鹿だった、なんて普段の俺ならそう思うかもしれん。 もっとも、今回は違った。 「あ……!」 ハルヒが愕然とした声を漏らす。 「まさか……!」 俺もまた、自分が導き出した答えに言い知れぬ驚きの声を漏らしたんだ。 そして二人して自分の懐をまさぐり、同時にお互いに手の中の物を見せ合う。 それは、まったく記憶にない、しかし持っていた、と確信を持って言えるものだった。 俺たちは淡い光沢を放つ神秘的な黒い石を互いに見せ合って、 「キョン、もしかしてあたしたち、この石の持ち主、宇宙人だか未来人だか超能力者だか異世界人だか知らないけど、そういう存在に遭ったのかな?」 「かもしれないな。俺もそんな気がした」 「てことはさ!」 ハルヒの笑顔が300W増しプラスさらなる輝きを放つ。 「また遭えるかもしれないわね! んで今度こそ、記憶を消されないように友好関係を結ばなきゃ!」 ああそうだ。 何故だろう? 俺はこのとき、ハルヒの提案をいつものように聞き流すでもなく、本気で受け入れる気概を抱いたんだ。 理由か? そうだな。おそらくは忘れていけない何かを忘れさせられてしまったからだろう。 確信はない。しかし漠然とではあるがそう感じる自分が居る。 そして、おそらく――いや、間違いなくハルヒも同じことを考えただろうぜ。 どこの誰かは判らん。俺たちの記憶を消した理由も知らん。 けどな、ハルヒ相手に記憶操作なんて大胆な真似をしたところで、完全に消すことなんざできる訳がないんだ。 近いか遠いかは知らんが、将来、必ずあんたのことを思い出すだろうよ。 そうなったら、ハルヒがどういう行動に出るかは容易に予想できるってもんだ。 もちろん、その時は俺もハルヒに付き合うぜ。 おっと、ハルヒと俺だけじゃないよな。 ハルヒが会心の勝ち気な笑顔を浮かべて空を指差している。 「待ってなさいよ! 宇宙人、未来人、異世界人、超能力者の内のどれか一つの肩書を持った人! あたしとSOS団が必ず見つけ出してあげるんだから!」 だとさ。正体不明の誰かさん。 涼宮ハルヒの遡及(完)
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/520.html
涼宮ハルヒの改竄 version H 涼宮ハルヒの改竄 version K
https://w.atwiki.jp/haruhi-2ch/pages/56.html
涼宮ハルヒの陰謀 基礎データ 著:谷川流 口絵・イラスト・表紙:いとうのいぢ 口絵、本文デザイン:中デザイン事務所 初版発行年月日:平成17年(2005年)9月1日 本編422ページ 表紙絵:朝比奈みくる タイトル色:青色 初出:書き下ろし 初出順:第21話 裏表紙のあらすじ紹介 年末から気にしていた懸案イベントも無事こなし、残りわずかな高一生活をのんびりと楽しめるかと思いきや、ハルヒがやけにおとなしいのが気に入らない。こんなときには必ず何かが起こる予感のそのままに、俺の前に現れたのは8日後の未来から来たという朝比奈さんだった。しかも、事情を全く知らない彼女をこの時間に送り出したのは、なんと俺だというのだ。未来の俺よ、いったい何を企んでいるんだ!?大人気シリーズ怒涛の第7弾! 目次 プロローグ・・・Page5 第一章・・・Page58 第二章・・・Page112 第三章・・・Page162 第四章・・・Page224 第五章・・・Page265 第六章・・・Page319 第七章・・・Page265 エピローグ・・・Page401 あとがき・・・Page428 アニメ 全編未アニメ化。 漫画 ツガノガク版(雑誌の発表号などの詳しい情報はツガノ版漫画時系列で) コミックス第12巻に収録第53話『涼宮ハルヒの消失・エピローグ』(原作P7-原作P36、最初からキョンが作中時間の4年前より帰ってくるまで) コミックス第13巻に収録第62話『涼宮ハルヒの陰謀Ⅰ』(原作P38-原作P65)(消失の時空列の古泉の考察から2人の朝比奈さんが部室におり長門が入ってくるところまで) コミックス第14巻に収録第63話『涼宮ハルヒの陰謀Ⅱ』(原作P65-原作P107)(長門がみくるを連れ出すところから長門がキョンとみくるに晩ご飯かお茶がいいかと尋ねるシーンまで) 第64話『涼宮ハルヒの陰謀Ⅲ』(原作P107-原作P135)(長門が晩ご飯つくるところから指令に基づいてキョンたちが置いた缶を蹴って怪我をした男を介抱するシーンまで) 第65話『涼宮ハルヒの陰謀IV』(原作P135-原作P162)(キョンたちが置いた缶を蹴って怪我をした男を介抱するシーンから2回目の朝比奈さん(大)の指示書(石移動)を下駄箱で手に取るまで) 第66話『涼宮ハルヒの陰謀V』(原作P162-原作P207)(朝比奈さん(大)の指示書(石移動)を下駄箱で手に取って読んでいる時から宝探しのSOS団会議でキョンが古泉と鶴屋さんの関係に思考している場面まで) 第67話『涼宮ハルヒの陰謀VI』(原作P207-原作P254)(宝探しのSOS団会議でキョンが古泉と鶴屋さんの関係に思考している場面から古泉とキョンがハルヒの精神状態の考察をしている場面) コミックス第15巻に収録第68話『涼宮ハルヒの陰謀VII』(原作P254-原作P297)(山を下る場面から藤原の講釈を聞き終わる寸前まで) 第69話『涼宮ハルヒの陰謀VIII』(原作P297-原作P335)(藤原の講釈から朝比奈さん(みちる)が誘拐されるまで) 第70話『涼宮ハルヒの陰謀IX』(原作P335-原作P364)(朝比奈さん(みちる)が誘拐される場面から朝比奈さん(みちる)が帰るまで) 第71話『涼宮ハルヒの陰謀X』(原作P365-原作P399)(再度宝探しの約束をしてハルヒと喫茶店で別れる場面から、鶴屋さんに電話を掛けるシーンまで) 第72話『涼宮ハルヒの陰謀XI』(原作P399-原作P427)(鶴屋さんに電話を掛けるシーンから、最後まで) 登場キャラクター(原作のみ登場) キョン 涼宮ハルヒ 長門有希 朝比奈みくる 古泉一樹 鶴屋さん 朝比奈さん(大) 谷口 国木田 キョンの妹 森園生 新川 多丸圭一 多丸裕 シャミセン ハカセ君 藤原 橘京子 あらすじ 後に繋がる伏線・謎 対立組織の目的 刊行順 ←第6巻『涼宮ハルヒの動揺』↑第7巻『涼宮ハルヒの陰謀』↑第8巻『涼宮ハルヒの憤慨』→
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/3728.html
ぽかぽかした陽気が気持ち良く感じられる春のある日。目の前をひらひら飛んでいる蝶々をボンヤリ眺めながら、おれはいつもの駅前で一人、ハルヒを待っている。二人で映画館に行くためだ。 なぜこんなことになっているか…それを今から説明しよう。 1週間と1日前、いつものように長門が本を読みふけっている横で、朝比奈さんが入れてくださったありがたーいお茶を飲みながら古泉とオセロをやっている時だ。 ハルヒが目をアンドロメダ銀河みたいにキラキラ輝かせて文芸部室-今現在、SOS団の活動場所になっているわけだが-に飛び込んできやがった。 「みんな!揃ってるわね!明日は町内探索に行くわよ!」 そりゃまた急だなお前は… 「なんだか明日は何かが起こりそうな予感がするのよね!だから明日!朝九時に北口駅前に集合ね!遅れないように。最後に遅れて来たら罰金だから!」 ハルヒはそう言い放った。最後の一文はどうやらおれに向かって言っているらしい。おれとしてはありがたくないのだがいつもそうなっているのだから仕方がない。改善しようとも思わないがな。なぜならそれがおれの日常になっていたからだ。その日、それ以外はいつも通りに一日が過ぎた。 で、その次の日。 おれは集合時間の5分前に着いたのだが、そこにはいつものようにおれ以外のSOS団が全員いた。ハルヒはプンスカ怒って 「遅い!あたしが来た時にはもう3人ともいたのよ?!団長を待たせるなんてどういうつもり?罰金!!」 そう言ってハルヒは喫茶店に向かい、おれ達もそれに従った。そうしてこの日の喫茶店がおれの奢りになったところまではいつも通りだ。 ハルヒはいつものようにアイスティーを飲みほすと爪楊枝に色を付け、くじ引きを行なった。結果はこうだ。 おれとハルヒの組 長門と朝比奈さんと古泉の組 なんとまぁ。 まさか宇宙人と未来人と超能力者が一組になるとはな…万国ビックリショーにでも出たらどうだ? なんてことを考えながらふと古泉を見ると何やらいつも以上にニヤニヤしている。…何が言いたいんだお前は その後おれ達は北、長門達は南に分かれることになった。 昨日あれほど楽しそうにしてたんだから行くあてがあるのかと思いきや、そうでもないらしく、おれ達はそこらへんをハルヒの思いつくままにブラついた。 そこで気がついたのだが、その日、ハルヒはいつも以上によく喋る。とても楽しそうなのでおれも釣られて喋ってしまう。ハルヒとこれほど喋ったの久しぶりだな。 しかし、なかなか不思議が見つからず、少々ハルヒの口数が少なくなってきた頃、それは起こった。 バイクが突っ込んできやがった-いわゆるヤンキーというやつだ-そいつがよそ見をしながら走っていたせいか、はたまたハルヒが木の影に入っていたからか、ハルヒがおれの方を向いて歩いていたからかはわからんがそいつはハルヒにまったく気付かず、ハルヒもバイクがこっちに向かっているとは気づいていないようだった。 「危ねぇ!!」 おれは気がつくとハルヒの腕を掴んで力まかせに引っ張っていた。 間一髪だ。もう少し遅れていたら…考えたくもないな。ヤンキーは振り返りもせずどっかに行ってしまった。しかし今はそんなことはどうでも良かった。おれはハルヒが助かったことに安堵を感じていて、ハルヒを抱きしめる形で道にへたり込んでいたことに気づくのに数秒かかったようだ。周りに人がいなかったのは幸いだったな。 俺達は立ち上がり、ハルヒにケガがないことを確かめた後、しばらく黙って歩いていたが、ベンチを見つけたハルヒが 「座りましょ。話したいことがあるから。」 そう言って二人で並んでベンチに座ることにした。 少しの沈黙の後、ハルヒが切り出す。 「あたし、あんたのことただの友達だと思ってた…だけどさっき助けられた時に気づいたわ。それはただの思い込みだったってことにね。ホントはあたし、あんたのことが好きだった…ただ気付かないふりをしてただけ。さっきので自分の気持ちがハッキリしたわ…あたしはキョンのことが好きなんだって。…あんたはどう?」 おれはうなだれた。 …なんてこった。我ながら情けないぜ。ハルヒに言われるまで自分の気持ちに気づけなかったとは…。 いつからだろうか、おれもハルヒが好きになっていた。 しかし付き合いたいという告白は男の方からするものだと思っていたのでおれから言うことにした。 「おれもハルヒが好きだ。お前に言われて初めて気付いたよ。…付き合ってくれ。おれがお前を守ってみせる、絶対に幸せにするから」 ハルヒは本当に嬉しそうな顔で頷いた。 ちょうど昼時になっていたのでおれ達は長門達と合流し、付き合うことになったと公言すると、古泉はわかっていたとでも言いたげなニヤケ顔で 「おめでとうございます」 とだけ言い、 朝比奈さんは少し涙目になりながら 「本当におめでとうございます!やっぱり涼宮さんにはキョン君がお似合いですね」 と言ってくれて、 長門は 「…そう」 とだけ言った。 その間ハルヒはというとおれの横に立っていただけで何も言わなかったが、どこか嬉しそうに見える。 その日はそれで解散することになった。 ところがそれからのハルヒの態度はいつもと変わらず、いつものように何日かが過ぎた。 まあそれでもいいんじゃないかとも思ったがやはり自分から告白した手前、何かしらのアクションを起こさなければと思ったおれは金曜日-つまり昨日だが-明日映画にでも行かないかと誘った。そこでおれはハルヒが昔、付き合ってフッた男について「どいつもこいつも…映画館・遊園地・スポーツ観戦…それしかないわけ?」みたいなことを不満そうに言っていたのを思い出し、失言かと思ったら以外にも 「いいわよ。」 とあっさり承諾してくれた。どうやらおれと一緒ならどこでもいいらしい…いや、そう思いたいね。 そういう訳で今こうしてここにいるわけだが…なぜおれが先に来ているのかって?答は簡単だ。男が待ち合わせに遅刻するなんてカッコ悪いことができるか?少なくともおれはできないね。だからおれは待ち合わせ時間の30分前からここにいるってわけだ。 そうこうしてるうちにハルヒが駅から出てきた。行くところは決まっていたので今日はさっそく映画館に向かうことにした。しかし、彼女と映画館に行く日が来ようとはな…しかもそれがハルヒだなんて1ヶ月前のおれは想像もしなかったよ。 話をしながら少し行くと映画館が見えて来たところで信号にひっかかった。いつもなら恨めしく思うところだが、今日は許してやろう。少し尿意を催したおれは信号が青に変わった瞬間、 「スマン、先にトイレに行ってくる」 と、ハルヒの方を向きながら走り出した。 バンッ 一瞬、何かが起こり、視界が真っ暗になった。 なんだ?何が起きた?う…全身が痛てぇ… 「キョン!キョン!」 その呼び声に再び目を開けたときには目の前にハルヒの泣き顔があり、おれは仰向けに倒れ、全身から血が流れていた。 そう、車にハネられたのだ。 「キョン!大丈夫?今救急車呼んだから!」 しかし、もう死を間近に感じていたおれは無駄であることがわかっていた。 「ハルヒ…すまねぇ…もう…無理そうだ…」 「なんでそんなこと言うの?!あたしを絶対幸せにしてくれるんじゃなかったの?!あたしを置いて死なないでよ!バカキョン!」 ハルヒはそう言いながら大粒の涙を流していた。 息絶える寸前だったおれは震える手でハルヒの手を握り、最後の一言を言うために言葉を絞り出した。 「ハルヒ…」 「な、何?」 「愛し…てる…ぞ…」 そう言っておれは意識を失った。 それからどれくらいたっただろうか…数分だったような気もするし、何年もたったような気もする。 おれは目を覚ました。そこはどうやら病院の一室のベッドの上らしかった。 なんだ?どうなってる?おれは確か車にハネられて死んだはずじゃなかったか?そう、確かにおれは死んだ。その感覚を今でも覚えいる。ならなぜおれは生きている? …わからん。とにかく今確かなことはおれが生きているってことだけだ。 何か少し体が重いと思ったらハルヒがおれの身体に頭を乗せて寝ていた。どうやら泣き寝入りをしたようで涙の跡が一筋、頬に残っている。 「…ハルヒ」 起き上がりながらそう言ってハルヒを起こした。 「…ぇ…うそ…キョン…生きてるの?…あぁ…良かった…あんたが死んだ時は…どうしようかと思ったわ…もう、あたし…」 そう言って泣きつくハルヒをおれは何も言わず抱きしめた。おれの目からも涙が溢れる。ああ…おれはまたハルヒに会えたんだ…生きているんだ…。おれ達はそのことを確かめあうように強く、しかし優しく抱きしめあっていた。 どれくらいの時間がたっただろうか…暫くハルヒとおれはそうしていた。時が永遠に止まればいいのにと強く思った。 それからハルヒはひとしきり泣き、すっかり安心したのかスースー寝息をたててまた寝てしまった。恐らくずっとおれの側にいて泣いていたんだろう…精神的疲労がたまっていたに違いない。おれはつい髪の毛を撫でた。肩にまで届くか届かないかという長さでとてもサラサラだ…よく似合っている。おれはその天使のような寝顔を見ながらこれ以上ない愛おしさを感じていた。おれにとってかけがえのない存在。そんな事を考えながら…。 その時、ハルヒが寝たのを見計らったかのように古泉と朝比奈さんと長門が入ってきた。 朝比奈さんも泣いていて、しゃくりあげながら何か言おうとしたみたいだが結局何も言わなかった。いや、言えなかったのだろう。 「いやあ…しかし驚きましたよ。まさかあなたが生きかえるとはね。」 おい古泉、なんでおれは生きてる?ハルヒがやったのか? 「おそらく。お気づきの通り、ここは機関の病院です。ここの医師達は世界でもトップレベル。その医師達が様々な検査の結果、あなたは確かに死んだと断言したんです。しかし今こうして生きている。これは涼宮さんが起こした奇跡、としか言いようがありませんね。もちろん、涼宮さんの能力でできることを奇跡と呼ぶならですが。」 やはりか。 「そうです、あなたは涼宮さんの力によって生きかえったんです。涼宮さんが最も必要な存在として。しかし、今回は世界が作り変えられることはなかった。本来なら考えられないことです。しかしそうなってくれなくて幸いでした。僕もあなたにまた会うことができたのですから。」 そう言って古泉はいつものスマイル顔になった。 続けて長門に聞いてみた。どのくらいの間おれは死んでいたんだ? 「あなたは7時間32分19秒前に生命活動を停止した。しかし3時間10分25秒前、涼宮ハルヒの環境情報改変能力によって再び生命活動を再開した。」 それだけ言って長門は黙り込んだ。 あれからまだ1日もたっていないのか…大変な1日だなまったく。おれも疲れを感じたので古泉達にそのことを伝え、眠りに着いた。 それから何日か入院した後、おれは何事もなかったかのように退院し、また普段通り学校に通うことになった。 今回は世界が作り変えられることがなかったが、おれが思うに…ハルヒにとって何にも替えられない存在がおれだったとしても、長門や古泉や朝比奈さんや鶴屋さん、その他いろいろを含めてこの世界全てが大切な存在になっているんじゃないだろうか。心の奥底ではそう思っていたのかもしれない…例え無意識であったとしても。 だからおれ達は元のままここにいるんじゃないだろうか。 そしてこれからも以前と同じように生きていくだろう。ただ一つ、おれとハルヒが付き合いながらという点を除いてな。 -Fin-
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/2409.html
涼宮ハルヒの邁進 プロローグ 涼宮ハルヒの邁進 その1 涼宮ハルヒの邁進 その2 涼宮ハルヒの邁進 その3 涼宮ハルヒの邁進 その4 涼宮ハルヒの邁進 その5 涼宮ハルヒの邁進 その6 涼宮ハルヒの邁進 エピローグ