約 773,965 件
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/526.html
涼宮ハルヒの異変 上 涼宮ハルヒの異変 下
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/539.html
プロローグ 高校卒業して4年経った… 俺は、今、新人として会社を勤めてる… 皆の状況を知らせて置く事にしよう 谷口は、現在NEET化になって、職探しを求めてる 国木田は、高校の教師として勤めてる 鶴屋さんは、父の跡継ぎに働いてると聞いた 古泉は、政治界に入って活躍してるらしい 朝比奈さんは、一時に未来へ帰ったが…去年帰って来て、現在はOLとして勤めてる 長門は、本が好きで図書館の仕事に勤めてる ハルヒ?ハルヒは…「ムー」と言う本の編集者になって働いてる… やれやれ、ハルヒはこういうの好きだからな… さて、仕事が終わり、家に帰る所だが… 偶然、あの懐かしき涼宮ハルヒに会った… 「!…ハルヒ?」 ハルヒ「ん?誰?あたしをよ……!キョン?」 3年ぶりの再会である… しかし、こんな時間に何やってんだ? ハルヒ「仕事よ、仕事…宇宙がどうのこうのって奴よ」 そ…そうか… ハルヒ「それにしても、久しぶりね…元気してた?」 「あぁ、してたさ」 ハルヒ「そぅ………」 「ん?今何で言った?」 ハルヒ「何でもないわ…そうだ、一緒に居酒屋へ行かない?」 …ま、多分、俺の奢りだろうよ… ハルヒ「違うわ、あたしが奢るよ」 …そ、そうか… ……ハルヒ、変わった…のか? さて、今、居酒屋に居る… ハルヒ「さ、何でもいいわ!すみませーん、ビール2つ」 ?…あれ?…ハルヒって、酒に弱かったっけ? 「ハルヒ、酒弱かったんじゃないのか?」 ハルヒ「アレは、昔の事よ?昔と同じしないでね」 …そうか、確かにハルヒは変わった… 確かに、変わったんだがな…何か、腑に落ちない感じがする この後、二人で仕事の話、懐かしき日の話など喋った…笑ったりもした。 そして、帰り道… ハルヒ「ねぇ、キョン…電話番号とメアド教えてくれない?」 ん?いきなり何言ってるんだろうか? 「あぁ、教えてやる…090-……で、家は……そして、メアドは……これだけだな」 ハルヒ「ありがとう、まだ機会あったらメール送るわ」 「あぁ、分かった…」 …変わったんだな、ハルヒ… 「……帰るか」 ふぃー、疲れた… 今、俺が住んでる場所は…都会内の少し金高かったマンションである… 部屋は、シンプルな空間になってる… 「…シャワーでも浴びるか…」 サァー… 涼宮ハルヒ、6、7年前…初めて会った… SOS団も作って活動した…あの夢も激しく覚えてる… そして、3年後…ハルヒはこう言った…泣きそうな声で 「SOS団はこれでお終いです…あたしは、楽しかったわ…… 別れるのは…おしいけど…いつか、まだ会える気がするわ… 元気でね…皆…ありがとう…そして、さようなら…」 あの時は覚えてる…アレから4年経ったのか… ふぃー…さっぱりした… ♪~♪~♪~ ?携帯鳴ってるな…誰だろうか… [メール着信 涼宮ハルヒ] ハルヒ!? しかし、何故、メールが来るんだ? 取りあえず、開くか… From涼宮ハルヒ Subキョンへ ――――――――――――― 今日は楽しかったわ!ありが とう! あたしの頼み…聞いてくれる? 土曜日に遊園地行かない? 返信待ってます。 ハルヒ……土曜日は…何も無いな… …よし、返信しよう…勿論行くとな… しかし、こっちの方が憂鬱だね ハルヒがあんなに変わるとは誰も予想しなかったとは… 土曜日ね… さて、今日は土曜日である! 俺が勝手に「デート」だと思っておく事にしよう 俺の愛車に乗って待ち合わせへ向かう… 確か、○○公園だな…お、ここだ!ここだ! さて、ハルヒは… ハルヒ「♪~♪~♪~」 いた 何やら、楽しみにしてるように鼻唄を歌ってる…行くかな 「よぅ、ハルヒ…待たせてスマなかったな」 ハルヒ「ううん、いいの…混んでたんでしょ?」 「ん、まぁ…そういう事だ…んで、どこの遊園地?」 ハルヒ「東京と言えば、ディ○ニーランドだけど…ダメかな?」 !?…か、可愛い!こんなに前より可愛くなったな… 取りあえず、今の感情を表に出さないでっと 「いや、構わんよ、金は十分あるからな」 ハルヒ「ありがと!キョン」 こうして、ディ○ニーランドへ向かったのである 今、遊園地に着いたけど、大変だった 交通道路を利用しようと思ったら混んでるわ 遊園地の近くに渋滞あるわ ははははは…見ろよ!人がゴミのようだ!と思われるぐらい、いっぱいいた… トータルして、2時間掛かったね ハルヒ「ホントにゴメンね」 「いや、行きたがったんだろ?だから、いいじゃないか…どれ乗る?」 ハルヒ「そうね、ジェットコースター乗りたいわね」 「了解!」 と、俺は軍人みたいに敬礼した ハルヒ「あはははは…何、軍人みたいな事してるのよ」 「はははは…」 とまぁ、色々楽しく乗り物乗ったり、買い物したりもした。 「っと、日が暮れたな…」 ハルヒ「そうね…最後に観覧車乗って帰ろっか」 「そうだな」 と、ハルヒと一緒に観覧車へ足を運んだのである 金を払い、ハルヒと一緒に観覧車に乗った。 …何だが、変な雰囲気になりそうだ… 長い長い沈黙が続いたが…それを破ったのは ハルヒ「ねぇ、キョン…」 ハルヒである… 「何だ?」 ハルヒ「綺麗だね」 「…あぁ」 「……」 「……」 むぅ、耐えられんな…この沈黙は… ハルヒ「ねぇ、キョン…あたしの話聞いてくれる?」 「…何だ?」 ハルヒサイド あたしは、初めてキョンに会った時、少し戸惑いだわ… 小学校頃、ある男に似てだからね… そして、あたしはそう思った…この人ならあたしを変えてくれるかな?と… その結果、少しだけ…ほんの少しだけ変わったわ…キョン、あんたに感謝したいわ… ………キョン、これだけは言わせて…あたしは、あんたが好きよ…大好きだから… 4年間、あんたと離れて物凄く寂しかったの…寂しかったのよ! キョン!あたしは物凄く…物凄く…うっ、ううっ…うっ… ハルヒサイド終了 ハルヒ「うっ…うっうっ…」 ハルヒ…4年間、寂しい思いをしてたのか… 「ハルヒ、ゴメンな…4年間、お前の気持ち分かってなくで… 本当にゴメンな!俺だって、ハルヒの事が好きだ…大好きなんだ…」 ハルヒ「キョン…」 言え!俺よ!チャンスは一度しかない! 「ハルヒ…ちゃんと聞いてくれ…」 ハルヒ「う、うん…」 「け、けっ…け、け、けっ…ふー…結婚しよう!お前を幸せしてやる!」 ハルヒ「え!?」 「やれやれ…何と言ったら分かるんだ…幸せしてやるよ…ハルヒ」 ハルヒ「あ、あぁ…あ…キョン!ありがとう!キョン」 と、めでたくキスしたのである… 「お、ハルヒ…外見ろよ」 ハルヒ「え?…わぁ…雪だ…」 「あぁ…」 ハルヒ「キョン…」 「ハルヒ」 と、まだキスした ――ありがとう、キョン… エピローグ 数ヵ月後…色々あったが… 俺は、ハルヒとめでたく結婚した! みくる「おめでとうございます」 ありがとう、朝比奈さん 古泉「おめでどうございます。あなたの尻を見たかったですけどね」 ありがとな、だけど…いい加減ホモから卒業しろ 長門「……おめでとう」 ありがとう、長門…長門もいい相手見つけてくれよ 谷口「君の心に今すぐアクセス!いやいや、おめでとう!キョン」 ありがとうよ、だが…今のカッコ悪い… 国木田「おめでとう、キョン」 おぅ、ありがとよ 鶴屋「おでとう、キョンくん!めがっさ頑張って!」 ありがとう、鶴屋さん と、まぁ…ここへ来た皆様がお祝いしてくれたのである。 「……ハルヒ」 ハルヒ「ん?」 「今日の夜はアレだから、準備してなwww」 「え!?あ、その…もぅ、キョン!恥ずかしい事言わないでよ!」 「ははははは…」 そして、ハルヒは仕事を辞め、主婦として少し忙しい日々を送ってる キョンはハルヒのために、一生懸命働いてる。 二人は、今、幸せである… 完
https://w.atwiki.jp/roadkanko/pages/194.html
河童の世界に行くには、「河童穴」を通って行かなければならない。普通は大きな岩に塞がれているが、河童笛という笛を吹くと岩が開くといわれる。河童は酒を醸すのが得意といわれており、お酒の好きな妖怪たちは、お酒が欲しくなると河童穴を抜けて河童の世界に遊びに行くという。 (妖怪ガイドブック 第20版より引用) データ レリーフ名 カッパ穴 配置エリア 水木マンガの世界 お披露目年月 1996年8月24日 寄贈 設置場所 備考
https://w.atwiki.jp/haisinnhozonn/pages/159.html
2016/11/05 開演:11 35お掃除配信放送主:石像さん人の掃除を覗いてください。 2016/11/04 開演:00 20地獄配信【ラスト枠】放送主:石像さんここはじごくです。 2016/11/03 開演:23 49TIBAYUDAI放送主:石像さんKISS 2016/11/03 開演:23 18HOSHINOGEN放送主:石像さんx 2016/11/03 開演:22 16だめだったか・・・・。放送主:石像さんニコニコにあがってるものでもだめらしー 2016/11/03 開演:21 44シュタゲ見ます1放送主:石像さん宇宙には 2016/11/03 開演:21 08アニメ見るよ。放送主:石像さんはまらなかったらごめんね 2016/08/06開演:23 23 石像 ゆかのオールナイトニッポン4 うんこ4 2016/08/06開演:22 52 石像 ゆかのオールナイトニッポン3 うんこ3 2016/08/06開演:22 18 石像 ゆかのオールナイトニッポン2 うんこ2 2016/08/06開演:21 46 石像 ゆかのオールナイトニッポン うんこ 2016/05/06開演:04 17 石像 凸 配信したい 2016/05/06開演:03 39 石像 美しい、日本語。美しい、女 いいえわったしは〜おうし座の女〜 2016/05/06開演:03 06 石像 ドキっ!深夜の大人のラジオ センスが昭和 2016/05/04開演:23 28 石像 公式チャンネル【無料】 GW 2016/04/15開演:23 11 石像 公式チャンネル(有料) 無料 2016/04/15開演:22 36 石像 独身配信 家帰って寝て仕事するだけの人生 2016/01/24開演:23 27 石像 生活音ながすだけ ね?いいでしょ????? 2016/01/24開演:21 53 石像 ごめん謎が解けた じっちゃんの名にかけて 2016/01/24開演:21 16 石像 今日はニコニコの日 2015_12_27_04:39_石像_朝までGO!!!!_(lv246840980)0.flv 2015_12_27_04:08_石像_っっっっs_(lv246839338)0.flv 2015_12_27_02:02_石像_今夜のゆかラジオ3?あなたの歯肉、頂きます?_(lv246828459)0.flv 2015_12_27_01:30_石像_今夜のゆかラジオ?唇にオイルをのせて?_(lv246824087)0.flv 2015_12_27_00:59_石像_今夜のゆかラジオ?ハッシュドポテトを添えて?_(lv246819151)0.flv 2015_12_27_00:25_石像_メリクリ?_(lv246813060)0.flv 2015/09/20【3日目】一悶着~残業はナシの方向で~ http //live.nicovideo.jp/watch/lv235123965 ガチャラジ ゲスト ゆか&にしのん 2015/08/26開演:22 39 石像 みんなで作る、アニメ。part1 視聴者と一緒にアニメを作ります。選択肢を私が出すので投票して物語を一緒につくっていきましょ〜来月くらいから製作入りたいっすね。 2015/08/26開演:22 06 石像 ああああ ああああああああああ 2015/08/23開演:03 08 石像 配信できるようになったので、最後の枠 d 2015/08/23開演:02 37 石像 あ firefoxでもっかいテスト 2015/08/23開演:01 57 石像 もっかいだz!!! がんばれパソコン 2015/08/23開演:01 32 石像 もっかい。 くっそー! 2015/08/23開演:00 39 石像 久しぶりー 生きてるよおん 2014/06/04開演:00 06 石像 雑談♪ まったりんこ 2014/06/01開演:23 35 石像 雑談2 やりなおし! 2014/06/01開演:23 30 石像 雑談 まったり 2014/06/01開演:17 21 石像 おえかきはいしん2 う 2014/06/01開演:16 47 石像 おえかきはいしん しますん 2014/05/28開演:23 55 石像 雑談します 話題ないから今日も視聴者任せ★笑 http //live.nicovideo.jp/watch/lv181066255?ref=community 2014/05/26開演:00 09 石像 クソ音質でお送りしております すまんね http //live.nicovideo.jp/watch/lv180767187?ref=community 2014/05/25開演:23 33 石像 ファミマのパンで一番好きなのは たまご蒸しパン! http //live.nicovideo.jp/watch/lv180761312?ref=community 2014/05/25開演:22 59 石像 たけとりのゆか というものありけり http //live.nicovideo.jp/watch/lv180754695?ref=community 2014/05/21開演:02 04 石像 ゴリラ配信 うっほっほ http //live.nicovideo.jp/watch/lv180205026?ref=community 2014/05/21開演:01 32 石像 クロームだめなのか?w IEでやります http //live.nicovideo.jp/watch/lv180202051?ref=community 2014/05/21開演:01 24 石像 音出てくれええええ お願いまいえんじぇる http //live.nicovideo.jp/watch/lv180200836?ref=community 2014/05/21開演:00 47 石像 お久しぶり 3年に一度来る気まぐれ配信 http //live.nicovideo.jp/watch/lv180196565?ref=community 2011/08/31開演:00 54 石像 ガーン 人生ってほんとうまくいかないですよね 2011/08/31開演:00 13 石像 あいをくっだっさいい wowwow 2011/08/30開演:23 37 石像 こいばな こいばなこいばな 2011/08/30開演:23 03 石像 あ い 2011/08/05開演:11 47 石像 最高に 何もしたくない 大人になりたくない 2011/07/30開演:01 51 石像 あうあう あうあうあう 2011/07/30開演:01 36 石像 ・・・ リアルな話しばっかでごめんお 2011/07/18開演:14 20 石像 あいうえお kakikukeko 2011/07/18開演:13 49 石像 なでしこ あいしてるよ 2011/06/21開演:18 45 石像 .... .............. 2011/06/09開演:01 41 石像 からのー 眠くないっ 2011/06/09開演:00 38 石像 バーロー こなn 2011/06/09開演:00 07 石像 てめーら 愛してるぜうっそぴょーん 2011/05/26開演:20 38 石像 にこにこ にこにこ 2011/05/26開演:20 06 石像 もー どうしよ? 2011/05/24開演:01 43 石像 あああ やば・・・・/// 2011/05/24開演:01 11 石像 aaaaaaaaaaaaaaaaaaa たすけてえ>< 2011/05/24開演:00 36 石像 ・・・ やばいよお 2011/05/11開演:23 54 石像 過食がやばい 理由もきいて・・・(´゚ε゚` *) 2011/04/26開演:13 32 石像 えへええへえへへえ でへへへへへへ 2011/04/26開演:12 59 石像 そのつづき 雑談 2011/04/26開演:12 28 石像 世界の中心で愛を叫ぶが始まるまで やります!! 2011/04/20開演:02 14 石像 眠い でも喋りたい 2011/04/19開演:16 22 石像 化粧終わるまで 配信します・・・ 2011/04/19開演:15 50 石像 あーv メイクしながら喋るダわん 2011/04/05開演:08 56 石像 経済について 激論 2011/04/05開演:08 25 石像 春休み暇すぎる これからは暇との戦い 2011/04/04開演:14 39 石像 お絵かき配信 おえかきするよお 2011/04/04開演:14 08 石像 鼻水gaaaaa baiya- 2011/04/04開演:05 47 石像 わかったぞ なぜあたしがこんな口悪いのか 2011/04/04開演:05 00 石像 ざんす2 おはよ 2011/04/04開演:04 29 石像 おはよう ざんす? 2011/03/21開演:07 22 石像 FFの話((2 最近のは、FFよりDQ派 2011/03/21開演:06 50 石像 こんばんみ DDFF買おうかな・・・ 2011/03/20開演:03 21 石像 2 ポニョ 2011/03/20開演:02 50 石像 雑談 大学、ほんと楽しみだなあ~ 2011/02/26開演:07 41 石像 (´゚ε゚` *) (*゚v゚*) 2011/02/26開演:04 38 石像 おす a 2011/02/26開演:03 46 石像 深夜のカラオケ 糞 2011/02/26開演:03 14 石像 (。 ̄_ ̄。) ふぅ 2011/02/24開演:05 00 石像 ざんだんじゃめな つーわけだよ 2011/02/24開演:04 28 石像 ざつだんごまっち mmm 2011/02/24開演:03 56 石像 ざつだんごりら お 2011/02/24開演:03 21 石像 超魔界村しまぷー 糞眠い 2011/02/12開演:04 58 ????? あ あ 2011/02/12開演:04 28 石像 テスト 次枠の取り方を学ぶ方法が知りたい 2011/02/12開演:03 55 石像 テスト ニコ生の配信テスト 2011/01/07開演:22 44 ヾ(・ω・`)ノ テスト てすと
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/499.html
涼宮ハルヒ無題1 涼宮ハルヒ無題3 涼宮ハルヒの停学 涼宮ハルヒの改竄 涼宮ハルヒの入学 涼宮ハルヒの異変 涼宮ハルヒの悲調 花嫁消失 ハルヒの想い 世界の終わりに 涼宮ハルヒの赤面 ‐ 涼宮ハルヒの羨望 ‐ ハルヒの実験 涼宮ハルヒの秘密 プリンとケーキ 星に願いを 涼宮ハルヒの猛暑 涼宮ハルヒの結婚前夜 涼宮ハルヒの泥酔 長すぎる10分間 涼宮ハルヒの願望 涼宮ハルヒの憂鬱キョンとハルヒの絆 10月8日、曇りのち雨 閃光のハルヒ 涼宮ハルヒの預かり物 涼宮ハルヒのデート騒ぎ? それは誤解で勘違い 何よりも宝物 超能力 涼宮ハルヒの計算 涼宮ハルヒの嫉妬 ミニチュアハルヒ ベル 3点セット 涼宮ハルヒのネコ にわか雨の訪問者 ハルヒの寝言 涼宮ハルヒの独善(シュール・BadEnd?) 涼宮ハルヒの情熱 涼宮ハルヒの出産 あの日からの願い Amemorywithouttheend 涼宮ハルヒの日記 涼宮ハルヒの小説 ただの人間 ヒント キョンの死…そして 悩みの種 続く空 涼宮ハルヒの仮入部 はい、メガネon 【時のパズル~迷いこんだ少女~】 涼宮ハルヒの後悔 (BadEnd) 涼宮ハルヒの恋心 涼宮ハルヒの誤解 涼宮ハルヒの出会い 缶コーヒー、ふたつ LOST 恋の病・恋の熱 ステビア(ステビオシド) お祭りの後で 涼宮ハルヒの場合 彼岸花(微グロ・微鬱・BadEnd注意) loveandmusic もう一つのサムデイ・イン・ザ・レイン 初めてのデート すれ違いの恋 涼宮ハルヒの恋人 最初のデート 涼宮ハルヒのX-FILES 本の虫 サムデイ・イン・ザ・レイン(WhileKyonwassleeping) alongwrongway wishuponastar ~涼宮ハルヒがデスノートを拾ったら~ (Bad End) いじっぱり 甘えん坊モード キョンになっちゃった 眠れない夜とイタズラ電話 敬愛のキス fundamentallove やすらぎ 白い天使 サムナンビュリズム 涼宮ハル○の憂鬱 涼宮ハルヒはしあわせ(BadEnd注意) 浴衣とお祭り 言えないよ 愛のかたち 渋皮やさしく剥いたなら 涼宮ハルヒのライバル クリスマスプレゼント 教科書と嫉妬 涼宮ハルヒの告白 完全ウリジナルストーリー 涼宮ハルヒの労い
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/1700.html
「おはよう。」 「おはようキョン。」 いつもの朝、教室に入った俺は友人の国木田、谷口と朝の挨拶を交わした。 「なぁ、今日の放課後だけどな、ナンパ行こうぜ!」 「…谷口、朝っぱらからそれかよ、一昨日も行っただろうがよ…もういい加減にしようぜ?大体うまくいった事無いだろうが…。」 「馬鹿!失敗を恐れてどうなるってんだ!挑戦無くして成功は無しだ!」 …朝から拳を握りしめて力説している谷口…はぁ…。 こいつとは入学からの付き合いでちょくちょく放課後や休みの日にナンパに付き合わされている。 結果は…言うまでも無いだろう…。 「悪いが今日はゲーセンに行くと国木田と話がついているんだ。またの機会にしよう。」 「…チッ。」 谷口は不満気に舌打ちした後自分の席に戻った。 …北高に入学してそろそろ一年経とうとしている。 この一年特に大きな出来事も無く、放課後や休日は友人とゲーセンに行ったりナンパに行ったりと平凡な生活を送っている。 「おはよう。キョン君。」 「ああ、おはよう朝倉。」 …朝倉涼子、このクラスの中心的存在で谷口曰わく AAランクプラス の美少女だ。 文化祭や体育祭などでも素晴らしいリーダーシップを発揮し、大いに盛り上げてくれた。 「朝からなんか憂鬱そうね?」 憂鬱?まぁ~毎日妹に乱暴な起こされかたをされてあの坂を毎日登れば憂鬱にもなるさ。 「ふふふっ。」 朝倉は軽く笑った後席へと戻って行った。 「憂鬱ね…」 俺は憂鬱と聞いて後ろの席に座っている人物が頭に浮かんだ。 涼宮ハルヒ 入学後の自己紹介でとてつもなくインパクトのある言葉を吐いた女だ。 容姿、スタイル、そのどちらも極上と言っても良い美少女だが…性格が捻れまくっている。 何度か話し掛けて見たが 「うるさい。」 の一言で切り捨てられている。 俺だけで無く、クラスの誰が話しかけてもその調子だ。 もうみんなこいつとコミュニケーションを取る事を諦めている。 涼宮ハルヒは今も俺の後ろで頬杖を突き憂鬱そうな顔をして窓の外を眺めている。 「おはようみんな。」 担任の岡部が入って来た…そんなこんなで授業が始まった。 ~一限目~ 「…で、この場合はこの公式を使って…」 今日もいつもの通り授業は進んでいる…が…今日はなんか体調がおかしい…。 教師の言葉がまったく耳に入らない 別に夜更かしした訳じゃ無いんだがな。 俺がそんな事を考えていた時…それが来た… ―ー思い出せ!。 「…っ!」 …突如俺を幻聴と頭痛が襲った。 ―ー気づけ!ここは偽物だ! 「…ん!」 …なんだ…これは… 「ううっ…」 ガタッ 俺は突如襲った幻聴と頭痛とめまいの為机から床に転げ落ちた…。 「きゃ!」 「おい!どうしたキョン!」 …意識が…薄れて… …。 …。 …。 ………気がつくと俺は保健室のベットに寝かされていた。 俺は起き上がり、 「…なんだったんだ…あの頭痛…めまい…幻聴は…。」 そう思った時だった。 ――思い出せ! 「…っ!」 またか…何なんだよ…何を思い出せってんだ…。 ――気づけ! 「…ん!」 …俺は保健室を抜け出し…どこかに歩いている? 俺は…どこに向かっているんだ…? …。 …。 …。 俺は気がつくとある部屋の前に来ていた。 「…文芸部?」 文芸部…たしか部員0で来年入部者が居なければ廃部になるって話の? 「…。」 俺は誘われるように文芸部室へと入っていった…。 使われて居ない部屋…その部屋は埃臭く殺風景な物だった。 隅の方に本棚があり、机の上にかなり古いパソコンが置いてある…ただそれだけの部屋だった。 「…なんで俺はここに…んっ!!。」 …今までで一番強烈な奴が来た…ん?…今度は幻覚…か!? 俺の目の前に… 俺 が立っていた… ―いつまで呆けてんだ俺!いい加減目を覚ませ!覚えてるだろあの日々を?絶対忘れられる訳ねぇだろが! 「…あの…日々…?」 その瞬間頭に何かが駆け抜けた…。 「…SOS団…宇宙人…未来人…超能力者…涼宮ハルヒ…。」 …そうだ…。 「俺は…思い出した。」 そう、俺は完全に思い出した…くそっ!どうなってんだ一体…。 まて、落ち着け俺!俺は普通の奴よりもこの様な事態には耐性がある…そうだ、OK。 まずは整理してみよう。 …まず間違い無くここは改変された世界だ。 ハルヒは…居る。SOS団は結成していないが間違い無く居る。 古泉は…居る。この世界でも同じ様に転校してきている。間違い無い。 朝比奈さんは…居る。谷口が騒いでいた。間違い無い。 長門は…居ない!?…この世界での長門を認識した事は無い!…文芸部も部員0だ…間違い無い。 「…ハルヒも居る…朝比奈さんも古泉も…長門だけが…居ない。」 …何故長門だけが居ないのだろうか? それにこの事態を引き起こしたのた誰だ? ハルヒか?それともまた長門か? …そうだ!きっと長門は何かヒントを残しているはずだ! 俺は本棚へ向かい例の本を探した。 「頼むぜ………あ!」 俺は本をめくりそれを見つけた。 【パソコンの電源を2秒押し離す。それを三回】 例の栞にはそう書かれていた。 俺は直ぐにパソコンに向かい書いてある行動をとった。 ピッ パソコンは旧型とは思えないスピードで起動し…それが画面に映し出された…。 YUKI.N …もしもあなたが思い出した時の為にこのメッセージを残す。 「…ああ、思い出したさ。」 YUKI.N ここは改変された世界。でも涼宮ハルヒは同じ様に力を持ち、古泉一樹、朝比奈みくるも同じく力を持っている。 この事態を起こしたのは情報統合思念体。 …長門のメッセージ。 つまり情報統合思念体内部で大きな動きがあり急進派が力を持ってしまった。 ハルヒの起こす情報爆発を効率良く引き起こすのにSOS団は邪魔な存在と認識され、俺たちがSOS団を結成していない世界に改変した。 そして長門は消去され代わりに朝倉涼子が配置された。 …くそったれが! YUKI.N これは仕方の無い事。 それと、涼宮ハルヒに関わらない事を推奨する。 あなたと涼宮ハルヒが接触すると朝倉涼子が同じく行動を起こす確率が高い。 危険。 あなたはこの世界で生きて。 楽しかったありがとう。 「ふざけんなよ!」 YUKI.N …心残りは…もう一度あなたと図書館へ行きたかった。 「いや、行くぞ!一度と言わず何度でもな!」 YUKI.N それと…もう一度あなたに私の肉じゃがを食べさせてあげたかった。」 「…すまん。それだけは勘弁だ。」 YUKI.N …さようなら …。 …。 このメッセージが表示されるのは一度きりである。 エンターキーを押し消去を。 …。 …。 …。 「…ふざけるなよ。こんなので納得できるかよ!これで終わりだなんて!」 末尾でカーソルが点滅している…あの時と同じか…。 違うのは…あの時はこれを押したら改変世界から抜け出せたが今回は…終わりだ。 「くそっ!」 俺は近くの椅子を蹴飛ばした。 「長門…お前はそれで良いのかよ…」 …。 …。 ………!? 待てよ。何故エンターキーを押さないといけないんだ? 別に自動で消去してもかまわないだろ? …もしかして…。 俺はパソコンに戻り画面を再び見た。 「あの時は別のボタンを押したら終わりだった…今回は?」 俺は祈りを込めて…NOの意味でNボタンを押した。 カチ …。 …。 …。 YUKI.N プログラム起動条件・鍵をそろえよ。最終期限・今日。 …。 …。 …。 「…そうだよな…お前だってこのまま消えたくないんだな…任せろ!必ずあの日常を俺が取り戻してやる!」 …。 …。 …鍵か…前回と同じで良いんだよな。 今何時だ?後5分で昼休みか…。 俺はまず古泉の所に向かった。 …。 …。 ~9組~ 「すまない、古泉一樹を呼んでもらえないか?」 俺は適当に教室から出て来た奴にそう言った。 ほどなくして古泉が来た。 「僕に何か様ですか?」 古泉はこの世界でも変わらない0円スマイルでそう言った。 …あの時と同じで行くか。 俺は声を抑え切り出した。 「突然で悪いが…『機関』という組織に思い当たることはないか?」 「キカン…ですか?どういう字をあてるのでしょう」 …おんなじ反応しやがった。 でも俺は長門のメッセージで知っている。 「お前がここに居る目的は涼宮ハルヒの監視。そして閉鎖空間が現れた時お前はそこで暴れる『神人』を狩る超能力者だ。…違うか?」 すると古泉は俺の手を引き人気の無い場所へ連れて行った。 「あなた…何者ですか?」 古泉は笑みを消し俺にそう詰め寄った。 「…そうだな。今のお前からみたら 異世界人 って所だな。」 「…異世界人?」 「…詳しく話をしたい。放課後、文芸部室まで来てくれないか?」 「……分かりました。」 …古泉は戸惑いと警戒の目を向けながらも了承した。 …さて、次は。 …。 …。 ~2年のクラス~ 「すいません。朝比奈みくるさんを呼んでいただけませんか?」 俺は朝比奈さんのクラスから出て来た女子生徒にそう言った。 「…ふ~ん。あの子も人気者ねぇ…わかったわ。玉砕しても泣かないようにね。」 …なにやら勘違いしているみたいだが…まぁ良い。 ほどなくして朝比奈さんがやって来た。 みくる「あの~何でしょうか?」 ああ…この世界でも朝比奈さんの美しさは変わらない…早くまたあのお茶を飲める様にせねば! …おっと!本題本題。 「すいません…ここではちょっと…。」 周りからの好奇の視線が痛い…俺は会話が誰にも聞こえ無い位置まで朝比奈さんを連れて行った。 「突然ですが…あなた未来人ですね?」 単刀直入に俺は言った。 「ななな何をいいい言ってるんですか!そそそんな訳無いじゃないですか!」 …古泉と違い非常にわかりやすい。 「三年前…いや、もうすぐ四年前か。大きな時間振動が検出され、その中心に涼宮ハルヒが居た。 あなたがこの時代に来た目的は涼宮ハルヒを監視する為…違いますか?」 「…あなたは…いったい…。」 「詳しい話をしたいので放課後文芸部室に来ていただけませんか?」 「……はい。」 朝比奈さんもOKだ。 最後はハルヒ…こいつは放課後だな…。 俺は教室に向かった。 ~教室~ 「キョン!?もう平気なの?」 「びっくりしたぜ。急に倒れるからな。」 国木田と谷口だ。 「ああ、大丈夫だ。すまんな心配かけて。」 「キョン君大丈夫?病院行かなくて平気?」 「ああ朝倉、平気だ。単なる寝不足だからな。」 「寝不足?」 「ちょっと夜更かししすぎたみたいだ。そのせいでめまいがな。 今まで保健室で寝てたからもう大丈夫だ。」 俺はニカッっと笑った。 「…呆れた。どうせゲームでもしてたんでしょ?体調管理はちゃんとしないとね!」 「へいへい…」 朝倉は自分の席に戻って行った。 ……怪しまれなかっただろうか。 俺は背中が汗で濡れている事に気づいた。 このまま最後の授業を受け…放課後になった。 さて、朝倉に見つからないようにハルヒを捕まえなければ… 俺はげた箱まで先回りしハルヒを待った。 「キョン、ゲーセンどうするんだ?」 谷口?…そうか、こいつらとゲーセン行く約束してたんだ。 「すまん。今日は帰って寝るわ。まだちょっとめまいがな…。」 「そうか、んなら俺は国木田と二人で行くわ。」 「ああ、すまんな。」 「その代わり明日はナンパ付き合えよ!」 「おう!」 …すまん。元の世界に戻ったら必ずその約束果たすからな。 …。 …来た。 どうしようか…前回と同じで行くか? いや、朝倉に気づかれる恐れがある。時間も無いし…よし。 周りに人気が無くなった所で俺はハルヒに近づいた。 「世界を大いに盛り上げるジョンスミスをよろしく。」 俺はすれ違いざまハルヒにそう呟いた。 「な!?」 ハルヒは俺に振り向き 「…何であんたがその言葉を…」 驚愕の表情で呟き次の瞬間俺のネクタイを掴もうと手を伸ばした。 ヒョイ …予想してたからよけるのは簡単だった。 すまんな、今目立つ訳にはいかないんだ。 「詳しい話をしたい。いまからちょっと付き合ってもらえるか?」 「ちょっと…!」 「今は黙ってろ…着いたら話す。」 ハルヒはしばらくの間の後無言で頷いた。 …。 …。 …。 …朝倉に気づかれなかっただろうか…。 ハルヒと文芸部室に向かう途中俺は考えていた。 例えば朝倉が長門だったとして…長門に悟られる事無く行動できるか? …否。 …気づかれていると考えてよいだろう。 とにかく一刻も早く…。 …。 …。 …着いた。 「ここだ。」 俺はハルヒにそう告げた。 「あんたアタシの前に座っている人よね?…何者?」 「中に入ってからだ。」 俺達は文芸部室に入った。 中ではすでに古泉と朝比奈さんが来ていた。 二人は俺と一緒にハルヒが来た事に驚いているようだ。 …これで揃った。 前回と同じならこれで… …。 ピッ 「…!?」 良し! 俺は直ぐパソコンに向かう。 「ちょっとあんた!何やってんのよ!話てくれるんじゃなかったの!?」 「すまんみんな、少し待っててくれ!」 みんなに謝罪しパソコンの画面を見た。 …。 …。 YUKI.N …あなたは鍵を集めた。 これでプログラムが作動する。 でも私はこれを推奨しない。 あまりにも成功率が低すぎる…危険も大きい。 「…危険?」 YUKI.N …それでもあなたはきっと…。 …このプログラムが起動するのは一度きりである。実行ののち、消去される。非実行が選択された場合は起動せずに消去される。 Ready? …。 …。 答えは分かっているだろ、長門。 俺はお前を、SOS団を取り戻すと決めたんだ。 危険?上等だ! 俺は指を伸ばし、エンターキーを押し込んだ。 …。 …。 すると本棚が…横にスライドした!? 本棚の有った所に… …なるほど。そうか。 弾は三発…良いんだな長門。 「ちょっと!人を呼びつけといてさっきから何やってんのよ!!」 すまない、またせたな。 俺はそれを三人に向けた。 「なっ!?」 「ふぇ!?」 「な…何のつもりよあんた…。」 …俺は三人に銃を向けている。 「悪い。話すよりこれが手っ取り早いんだ。」 短針銃。以前も使った銃だ。 これでみんなの記憶を取り戻す。 …まずは…俺は特に考えもなく朝比奈さんに発射した。 針は朝比奈さんの首筋に命中した。 「はぅ…」 朝比奈さんはその場に倒れこんだ。 …すいません。でもすぐにわかりますから。 等と呑気に考えていた時だった。 ゲシッ! 「…え?」 気づくと腕を蹴り上げられ、銃が弾き飛ばされていた。 次の瞬間強い衝撃が俺の顔を襲った。 …俺…殴られ… 俺は古泉に銃を弾き飛ばされ殴られた後、そのまま古泉に押さえつけられていた。 「涼宮さん!彼女を!」 「わ…分かったわ!」 …俺って本当に馬鹿だ…何やってんだ本当に…。 銃を向けられ撃たれるってなったらそりゃ反撃するわな…俺だってそうするさ…。 「大丈夫!生きてるわ。眠っているみたい。」 「そうですか、良かった…さて。」 古泉は俺に向かって言った。 「あなた何をしているか分かっているのですか!?」 …古泉…お前いつも笑っていて気持ち悪い…って思っていたが…うん、やっぱりお前は笑顔が一番似合うぞ! そんな怖い顔するなよ…。 「待て!話を聞け!」 「あなたが何者で何を企んでいるかはのちに機関の方でゆっくりと聞かせていただきます。」 …ヤベ…絞められている…このままだと落ちる…。 古泉は俺を気絶させようとしている様だ…この力…こいつこんなに強かったのか…。 その時 「…ん。」 「大丈夫!?しっかりして!」 朝比奈さんが目覚めた!? 朝比奈さんは目を開け暫くボーっとした後、ハルヒ、古泉、俺…と見た。 「…朝…比奈…さん…。」 俺は朝比奈さんに手を伸ばした …ヤバい…意識が… 朝比奈さんは立ち上がり、 「古泉くん!ごめんなさい!」 そう言って古泉にタックルを喰らわした。 「えっ!?」 古泉は予想外の攻撃に対応しきれなかったらしく俺を離し朝比奈さんと一緒に転んだ。 「ゲホッ!ゲホッ!…はぁ…はぁ…。」 「キョンくん!今よ!」 ああ…朝比奈さん。 俺の朝比奈さんだ! 俺は直ぐに銃に飛びつく。 しかし古泉も直ぐに立ち直って銃に飛びついた。 …。 …。 …。 すまん。俺が早かったな。 「うっ!」 針は古泉の額に命中した。 そのまま俺の上に倒れ込む…重い。 「キョンくん!」 俺は古泉の下から抜け出し最後の一人に銃を向ける。 「これは一体どういう事なんですか?」 「朝比奈さん、話は後で。」 「…何よ…一体なんなのよ…」 ハルヒは床にへたり込んで怯えている…白か…。 「キョンくん…どこ見てるの…」 すいません。男の習性なんです。 「ハルヒ…すまない。すぐにお前にも分かるから。」 俺は引き金を引いた。 針はハルヒの太ももに命中…ハルヒも床に倒れ込んだ。 …やれやれ、やっと全員か…。 しかし油断した…危なかった。 最初に古泉を撃っとくべきだったな。 俺が反省している所で朝比奈さんの声が… 「…キョンくん、古泉くんが。」 「…ん。」 「起きたか古泉。」 古泉がノロノロと起き上がった。 「こ…これは…一体…。」 記憶が混乱しているようだ。 そりゃそうだ、記憶が戻ったとは言えしっかりこの世界の記憶もあるからな。 「まずは落ち着け。……それじゃ説明するぞ。」 俺は長門がメッセージで残した事を全て二人に伝えた。 …。 …。 …。 「なるほど、そういう事ですか…。」 「まさか…また世界が改変されていたなんて…。」 …とりあえず俺は仲間を取り戻した。 そしてこれからは…。 「そして、これからあなたは何をしようとしているのですか?」 「ああ…ハルヒに全てを伝えハルヒの力で全てを元に戻すつもりだ。」 俺は二人に伝えた。 …暫く沈黙が続く。 …まぁ、そうだろうな。古泉にしても朝比奈さんにしてもハルヒが自分の力に気づく事を望んでいない。 古泉が口を開いた。 「……分かりました。それしか長門さんを取り戻す方法は無い様ですしね。」 「…いいのか?」 正直驚いた。朝比奈さんはともかく古泉だけは絶対反対すると思っていたからだ。 「…雪山の約束もありますしね…それにあなたを殴ってしまった。いくら記憶が無かったとは言え…申し訳ない事を。」 「気にするな。当然の行動だ。」 「そう言っていただくとホッとします。 …それにですね。この世界での僕は予定通り直接涼宮さんに接触する事無く、ただ監視しているだけなんですよ…実につまらない日々です。」 「私も同じです。」 朝比奈さん? 「…無くなって初めて気づく物なんですね…。」 「そうです。僕は今回は機関としてでは無く、SOS団副団長としてSOS団を取り戻すために動かせていただきます。 もちろん長門も含めてです。」 古泉はいつもの笑顔を浮かべて言った。 「…古泉。」 「そうです!五人揃ってSOS団ですからね!」 「…朝比奈さん。」 最高だ。俺は一人じゃない! 「…ん。」 「涼宮さん!」 「起きたかハルヒ。」 「…キョン…あれ…何…これ…」 「落ち着け…これから全てを話してやる。」 …。 …。 そして俺達は今の状況、正体、力、全てをハルヒに教えた。 最初は信じなかったハルヒも俺がジョンスミスだったという所で俺達が冗談を言っているのでは無いと気づいたようだ。 ハルヒ「…まさに灯台下暗しってやつねね…。」 そうだろう、そうだろう。 ハルヒの待ち望んでいた宇宙人、未来人、超能力者がこんな近くに居たのだからな。 「…それで、どうやったら有希を取り戻せる訳?」 古泉が言った。 「現状では…涼宮さん。あなたの力に頼るしかありません。先ほど話した通り、あなたには神の如き力があります。」 しかしハルヒの反応は… 「…ん~、そこの所がイマイチ実感湧かないのよねぇ~。」 実感湧かないって…俺達がお前の力にどれだけ振り回されたと思っているんだ? 「ハルヒ!間違いなくお前にはとんでもない力があるんだ!だから…。」 …ここで俺の言葉を遮り女の声が響いた…。 「そこまでよ!」 俺達は一斉に振り向いた…そこには…。 「朝倉…涼子…。」 部室の入り口に朝倉涼子が立っていた。 「…長門さんにも困ったものね。こんな小細工をしていたなんて…。」 朝倉は「フン」と笑った後部屋に入って来た。 …。 …。 やはり気づかれていたか…。 「朝倉…長門はどうなっているんだ!」 朝倉は笑顔で言った。 「長門さん?ああ、とっくに消去されているわよ。」 なんだと…。 「何ふざけた事言っているのよ!有希を返しなさい!」 「…笑えない冗談ですね。」 「…なんて…事を…。」 「朝倉ぁ!」 みんな怒りに震えている。 「…なぁ~んちゃって。」 「…え!?」 「嘘よ嘘。そんなに怖い顔しないで。長門さんはちゃんと居るわよ…ほら。」 朝倉はそう言って首にぶら下げたペンダントを見せた。 ………あ!? 朝倉の首に掛けられているペンダントにたしかに長門が…居た。 「長門!」 「有希!」 「長門さん!」 「長門さん!」 長門はペンダントの中で悲しそうな目を俺達に向けていた。 「消去する訳無いでしょ?だって長門さん一度私を消したのよ?…そんな簡単に楽にしてあげる訳無いじゃない。」 「…長門を返せ!朝倉!」 「嫌よ。長門さんは今から罰を受けないといけないの…大事なお友達が目の前で殺されるのを見る…って罰をね。」 …やっぱりこいつの目的は… 「…記憶戻らなかったら良かったのにね。こうなった以上前回出来なかった事をやらせてもらうわ。」 …やばい…やばすぎる…。 「キョン君を殺して涼宮ハルヒの情報爆発を観測する…いや、あなた達三人を殺して。」 「!?」 俺達三人…俺と朝比奈さんと古泉か! 「朝倉!…お前の目的は俺だけだろ!この二人は関係無いはずだ!」 朝倉は笑いながら言った。 「状況が前と変わったのよ。あの時はそれほどその二人と涼宮ハルヒは近い関係に無かった。でも今は強い信頼で結ばれている…そう言う事よ。」 なおも朝倉は続ける。 「これから一人一人別の場所にご招待するわ…そして最後に涼宮さんを…切り刻まれたあなた達を見た涼宮さんはどんな情報爆発を見せてくれるかしら…フフフ。」 こ…こいつ… 「朝倉!お前!」 朝倉はナイフを構え。 「知ってた?神様って非情なのよ。…神様って言っても情報統合思念体なんだけどね。 …やっぱり最初はキョン君からね。さあ行きましょうか。」 朝倉はゆっくりと俺に手を伸ばした。 「――!?」 その時誰かが俺の前に出た…古泉!? 古泉は俺に笑顔を向けたまま…その場から消えた…。 …。 …。 …。 …。 ~閉鎖空間~ …。 …。 …みんなが消えた!? …いや、僕が消えたと言った方が良いのでしょうね…。 僕と… 「順番は守らないとダメよ。そんなに死に急ぎたいの?」 …この朝倉涼子と。…。 「…長門さんが居ない今、あなたに対抗できるのは僕だけなものでしてね…。」 「へぇ~、もしかして勝てる気でいるの?」 「僕に…いや、俺に出来ないとでも思ったか!」 …ここではかしこまる必要は無いだろう。 俺は両手に力を込めた…大丈夫…力は使える。 「フフフ…怖い顔ね…あなたニヤケ顔してるよりもこっちの方が素敵よ。」 …しかし半分以下か…自分を光の玉に変える事はやはり出来ないみたいだ。 「でも残念ね…すぐお別れだなんてね。」 朝倉涼子はナイフを構えた。 「ああ、すぐにお別れだ。お前が俺に殺されてな。」 …勝率は…一割以下だ…絶望的な数字だな…だがやるしか無い。 俺の死〓みんなの死だ。 「口だけは達者ね…じゃあ…死んで!」 朝倉涼子は突進して来た。 俺も両手から光を出し死神へと向かった。 「おおおおおお!!」 …。 …。 …。 …。 ~部室~ 「古泉君と朝倉涼子はどこに消えたの!?」 「おそらく古泉は俺の代わりに朝倉と閉鎖空間に行ったんだろう。 …長門が居ない今、朝倉に対抗出来るのは自分だけだと思ってな…。」 …くっ…古泉… 「…古泉くん…帰って来ますよね…?」 …朝比奈さんは目に涙を溜めて言った。 「当然よ!なんてったって彼はうちの副団長よ!…絶対帰ってくる。」 …古泉…絶対帰ってこいよ!! …。 …。 …。 …。 ~再び閉鎖空間~ …。 …。 …。 「ぐっ!」 俺は壁に叩きつけられた。 「結構頑張るわね。でも後がつかえているのよ。そろそろ死んでくれない?」 どれくらい時間がたっただろうか。 …おそらく20分ぐらいだろうが俺には1時間にも2時間にも感じられていた。 「…化け物が。」 全身血だらけだ。体のあちこちに裂傷を負っている。 …背中の傷が一番深いか…。 朝倉は強い。何よりも素早く攻撃が当たらない。 いや、当たりはする。当たればその部分が消し飛ぶ。 だがすぐに再生しやがる。くそっ! それに…首に掛けられたネックレス…あの中には長門さんがいる… 下手に攻撃したら長門さんまで…。 「ほ~ら!」 朝倉はナイフを振るって…!? 朝倉のナイフは俺の首筋を掠めた。 「あら、惜しかったわ~。」 後数ミリで頸動脈が斬り裂かれていた…。 俺は右手の光を朝倉に投げる。 しかし朝倉は素早くよけ…足に命中した。 しかしすぐに再生される。 「…結構痛いのよ。これ…そろそろ本気で終わらせるわ。」朝倉は突進してきた…刺突か!? 「ぐっ!」 俺はわずかに身を交わし心臓への攻撃は避けたが朝倉のナイフは俺の左肩を貫いていた。 …激痛が走る中俺は目の前のペンダントに右手を伸ばした。 ブチッ 良し!取った! しかしその瞬間さらなる激痛が俺を襲った。 朝倉はナイフを俺の太ももに突き刺さしていた。 「ぐおっ!」 朝倉は俺から飛び退き言った。 「馬鹿ね。ペンダントを奪うのでは無くそのままその光で攻撃したら勝てたのに…長門さんが気になったのかしら?」 …ペンダントは奪い取ったが左手と足を封じられた…絶望的だ…。 「これで終わりね。」 朝倉は俺にとどめを刺す為突進してきた。 …駄目だ…動けない…みんなごめん。 朝倉のナイフが迫る。 …朝倉の動きがゆっくりに見える…これがドーパミン効果ってやつか…。 この軌道…右目から入ってそのまま脳にか…即死だな…。 そしてナイフが俺を貫いた。 …。 …。 …。 「…往生際が悪いわね。」 朝倉のナイフは俺の右の手の平を貫いていた。 俺は…まだ死ねない…。 俺はそのまま右手で朝倉の腕を掴み… 朝倉は俺が何をしようとしたのか分かったのか必死に飛び退こうとしたが… 「遅い!!」 左手から放たれた0距離攻撃…朝倉の体は赤い光に包まれ…消滅した。 …。 …。 …。 手の平に刺さったままのナイフが静かに崩れて行く。 俺は静かに言った。 「俺の勝ちだ…。」…。 …。 …。 閉鎖空間が崩れ始める。 俺は…僕は長門さんの入ったペンダントを見た。 長門さんが僕を心配そうな顔で見つめている。 「…さぁ…一緒に帰りましょう。」 そして空間が割れた。 …。 …。 …。 ~部室~ 突如俺達の前に血だらけになった古泉が現れた。 「古泉!」 「古泉君!」 「古泉くん!」 古泉は俺たちの顔をしばらく眺めた後こう告げた。 「……朝倉涼子は倒しました。」 古泉は静かに言ったがけして楽な闘いでは無かったのを全身に刻まれた傷が物語っていた。 「…酷い怪我…」 「…ふぇ…こ、古泉くん…だ、大丈夫ですか…?」 ハルヒと朝比奈さんは古泉を介抱している。 しかし大丈夫な訳が無い…今もかなりの出血が確認できる。 「古泉…よく頑張った…。」 「はは…これであなたを殴ったのは帳消しになりましたかね?」 笑みを浮かべ奴はそう言う。 「…馬鹿野郎。」 帳消しどころでは無い。 俺はいくらお前に釣りを渡せばよいんだ? 「…これを。」 古泉はそう言って俺にペンダントを差し出した。 「これは…長門!?」 ペンダントの中で長門は俺に何かを訴えているようだ…何?…開ければ良いのか? よく見るとペンダントの上部に小さいキャップが付いている。 俺は迷わずキャップを開けた。 するとペンダントから光が飛び出し、その粒子が俺達の前に人間の形を作り出した。 「有希!」 「長門さん!」 「…長門…さん」 ……長門。 俺達の目の前に長門が立っていた。 「……。」 長門はしばらく俺達の顔を見た後 「…古泉…一樹…。」 そう呟き古泉の所へと駆けて行った。 「…ごめんなさい…ごめんなさい…。」 何度も古泉に謝罪の言葉を呟いていた。 古泉は頭を振り 「長門さん、良かった…。」 と呟いた。 「長門、古泉の傷を治せないか?」 俺は長門にそう言ったが長門の答えは 「…無理。」 頭を振ってそう答えた。 「…情報統合思念体との接続が切れている…今の私には何の力も無い…。」 …よく考えたらそうだ。今回の敵こそ情報統合思念体だったんだ…。 くそ!まだ出血が続いている…このままだと命に関わるぞ…。 「…救急車を。」 朝比奈さん!? …そうだよ。救急車だよ。頭が回らなかった。 「俺が呼んでくる!」 俺はそう言って部室の出口に向かおうとした…が! …。 …。 …。 「な…。」 俺は絶句した…なぜならそこに 朝倉涼子が立っていたからだ。 「もう良いかしら?」 「お…お前…。」 朝倉はそのまま部室に入って来た。 「…不死身か…?」 古泉が驚愕の表情で呟いた。 そりゃそうだろう。 必死になって倒した敵が無傷で現れたのだから…。 朝倉は笑顔で言った。 「あら、古泉君、勘違いしないで。さっきのはあなたの勝ちよ。 さっきの私は完全に消滅したわ。」 「…どういう事ですか…。」 「こういう事よ。」 「……!?」 …悪夢としか言いようが無いだろう。 さらにもう一人朝倉が俺達の前に現れた…。 「たとえ今の私達を倒しても無駄よ。」 「また新しい私が現れるからね。」 …。 …。 …情報統合思念体の力でたとえ何回倒されようとも復活し続ける…朝倉はそう告げた。 「最後に長門さんに会えたから悔いはないわよね?」 「じゃ、そろそろ死んで。」 2人の朝倉がナイフを持ち近づいて来る。 …その時1人の少女が動いた。 「させない。」 …長門…。 長門が両手を広げ俺達を守るように朝倉の前に立ちふさがった。 「あら、長門さん。今やただのひ弱な女の子に成り下がったあなたが何をするつもり?」 朝倉が見下した目でそう言った。 「やらせない。」 しかし長門は一歩も退かず同じ言葉を口にした。 …俺は普通の人間。 朝比奈さんは未来人だが戦う力は持ってない。 古泉はすでに瀕死の状態。 長門はいまや何の力も無い少女になっている。 ハルヒはうつむいて何か呟いている …無理もない。いくらハルヒとはいえ実質は普通の世界で生きてきた女子高生だ。 いきなりこの様な場面に叩き出されたら壊れるのも無理は無い…。 すなわち…絶体絶命って事だ。 その時だった。 …。 …。 ポッポ~♪ポッポ~♪ ーー!? なんだ!? 俺はその奇妙な音の鳴る方を見た。 …。 …。 ……なんだ。鳩時計か…。 部室に掛けられている鳩時計が六時を知らせていた。 …。 …。 ポッポ~♪ポッポ~♪ポッポ~♪ポッポ~♪ …こっちは絶体絶命だってのに呑気に鳴いてやがる………って…え!? …鳩時計? んな馬鹿な…少なくとも俺の記憶の中でこの部室に鳩時計が飾られた事は無い。 なぜだ? 俺がそう考えていた時 …。 …。 「…なるほどね。」 …。 …。 その声の主は不敵な笑みを浮かべてそう呟いた。 「さて、今度はみんな一緒に招待してあげるわ。広い所にね。」 朝倉はそう言って指を鳴らした。 …。 …。 …。 ~閉鎖空間校庭~ 周りの風景が変わり俺達はいつの間にか校庭に立っていた。 「みんなまとめて殺してあげる。」 朝倉かそう言いながら再び指を鳴らすと……うわぁ……。 俺達の目の前に百人近い朝倉涼子が現れた。 「痛みを感じる暇も無いかもね…じゃ、行くわよ。」 百人の朝倉がナイフを構え俺達に飛びかかろうとしたその時。 「待ちなさい!」 その声の主、先程 「なるほど」 と呟いたハルヒが不敵な笑みを浮かべたまま朝倉にそう言った。 「何…涼宮さん?大丈夫よ、あなたは殺さないから。 あなたの役割は切り刻まれたお友達を見て情報爆発を起こす事よ。安心して。」 …何が安心だ。 「アタシはただ待てと言ってるの。」 ハルヒ? 「…そうね。お別れの時間くらい与えてあげても良いわ…。10分よ。」 「それだけあれば十分よ。」 ハルヒはそう言って俺達の方を向いた。 …なんだハルヒ、本当に別れの挨拶をする訳じゃないだろうな? 「古泉君」 「はい?」 「あなた超能力者だったわね? だったら手から炎を出したり傷を癒せたり瞬間移動できたりするわよね?」 古泉は表情を落とし。 「いえ…残念ながら…。」 そう呟いた。 残念ながら古泉にその様な力は無い。 こいつの力は限定された空間でしか使えない。 たしか最初に説明したはずだが? 「いいえ、使えるの!」 「え?」 何を言ってるんだ? 「アタシがそう決めたんだから使えるの。そういう事なんでしょ?」 ー!? そうか…そういう事か! 古泉はしばらくポカーンとした後…。 「…そうです…そうなんです!今、涼宮さんの言った能力、全部使えます!」 にっこりと笑いそう答えた。 「そう、ならちゃっちゃと自分の傷を直しちゃいなさい!」 「はい!」 …さっきの鳩時計もハルヒの仕業か。 それで自分の力に… 「みくるちゃん!」 「は…はい!」 「あなた未来人だったわよね?」 「はい…一応…。」 「ならあなたのポケットは四次元ポケットね。隠したって無駄よ!アタシには分かってるんだから! 早く未来の凄い武器でも出しなさい。」 朝比奈さんはド○えもんか! 「え!?…え!?…」 「朝比奈さん!」 …。 …。 …。 「……あ…そういう事…そう、そうです! 凄い武器出しちゃいますよ!!」 朝比奈さんはようやく気づき元気にそう答えた。 「有希!」 「……。」 長門は振り返りわずかに首を傾けた。 「あなた宇宙人だったわよね?」 「…正確に言うと対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェース。」 「そんなのどっちでも良いのよ!んで今はその能力が使えないと?」 「そう。」 長門は顔を落とし答えた。しかしハルヒは笑顔で言った。 「残念だけどそれは勘違いよ。あなたは自分の能力を全部使えるの、自分の意志で! アタシが今決めた!」 長門はその言葉にしばらく目を見開いた後 「コクン。」 大きく頷いた。 「キョン!」 俺?…俺はハルヒを見た。 「あんたは普通の人間なんだからみくるちゃんからなんか武器を貸してもらいなさい。」 「ああ。」 良かった。変な能力者にされないで本当に良かった。 「朝比奈さん。」 俺は朝比奈さんに話しかける。 「は、はい!……ふ、ふぇ…す、凄いの出ちゃった…。」 巨大なライフルらしき物を持ちそう言った。 それ本当にその小さなポケットから出たんですか…。 「これはどんな武器なんですか?」 「これは…その…禁則事項です。」 …分かりません! 俺と朝比奈さんが困っていると…。 「禁則事項禁止!」 ハルヒ? 朝比奈さんはしばらく沈黙した後頷き 「対ヒューマノイド・インターフェース用ライフル。 これは命中した相手の情報連結を解除出来る特殊武器です。 あ!ちなみに長門さんに当たっても大丈夫な用に作られてますから…。」 俺はライフルを受け取り 「…またずいぶん都合の良い武器が有りましたね。」 「ええ…まぁ涼宮さんですから…。」 なるほど、何でも有りか。 …ん?…古泉!? 瀕死状態だった古泉がいつの間にかいつもの笑顔で立っている。 「お前大丈夫なのか?」 「ええ、傷は癒やしました。涼宮さんに新たに頂いた力で。 …この戦い、いけますよ。」 ああ、いける。 俺は頷き次は長門に声をかけた。 「長門、どうだ?」 「涼宮ハルヒの力により私は全機能が復帰した。 今の私は全ての機能を情報統合思念体の許可無く使用する事が出来る。」 長門完全復活だ。 「私はこれよりジェノサイドモードを発動する。 これは戦闘モードの中の最終モード。 本来なら絶対許可は下りない。しかし今の私は情報統合思念体の許可は必要ない…様するに…」 長門の全身から凄まじいプレッシャーがにじみ出ていた。 「私は非常に怒っている。」 頼もしいぜ。 次に朝比奈さんに話しかけた。 「朝比奈さん、大丈夫ですか?」 「はい!オートターゲット機能がついていますから下手くそな私でも大丈夫です!」 朝比奈さんは銃を持ちそう答えた。 「キョンくんは大丈夫ですか?」 「俺ですか?…ええ。」 俺は笑顔で言った。 「この世界での連日のゲーセン通いは伊達では無いですから!」 …。 …。 「みんな、準備は良いわね!」 「ええ。」 「ジェノサイドモード発動完了。」 「は、はい!」 「おう。」 ハルヒは朝倉に向き直り。 「待たせたわね。」 「もう良いのかしら?」 ハルヒは不敵な笑みを浮かべ言った。 「さあ!どっからでもかかって来なさい!!」 こうして戦いが始まった。 …。 …。 …。 あそこで一度に3人の朝倉を焼き払ったのは、今やどこに出しても恥ずかしくないサイキックソルジャーになった古泉だ。 瞬間移動をしながら手から炎を出し戦っている。 …お前は草○京か! そして戦闘開始から凄まじい勢いで朝倉を倒し続けているのは、 ジェノサイドモード とか言う物騒な名前のを発動した長門だ。 よほど鬱憤が溜まっていたのか 「俺達必要ないんじゃないか?」 ってくらいの勢いで凄まじい勢いだ。 この2人が前衛部隊として戦っている後ろで俺と朝比奈さんは2人が討ちもらした朝倉を射撃している。 朝比奈さんは 「ふぇ…ふぇ…」 と言いながらもオートターゲット機能のおかげか確実に射撃を命中させている。 俺は連日のゲーセン通いで培った腕で射撃を続けている。 …谷口、国木田、ありがとう。 そして我らが団長、涼宮ハルヒは 「アタシが戦うまでも無いわ。」 とでも言いたげな感じで腕組みをし、笑みを浮かべ俺の後ろに立っていた。 …。 …。 そんなこんなでいつしか敵は朝倉1人残すだけとなった。 …。 …。 「朝倉、もうお前だけだぞ。」 俺は朝倉にそう言った。 …まぁ全部朝倉だった訳だが。 しかし朝倉は余裕の笑みを崩さない。 「あら、もう勝った気でいるの?」 朝倉は再び指を鳴らした。 …。 …。 --な!? 突如俺達の前に巨大な影が現れた。 …なんだこいつは。 その影は手にした棍棒らしき物でなぎ払いをしてきた… 「な!?」 「ひゃ!?」 その軌道上に居るのは俺と朝比奈さん! 俺達に棍棒が迫る。 避けられるタイミングじゃ無い…。 俺は朝比奈さんを庇うようにして抱きついた。 …。 …。 クラッ… …。 …。 俺を襲ったのは衝撃では無く、強烈な立ちくらみだった……あれ?この感覚は…。 俺が目を開けると… まるで棍棒が俺達をすり抜けたかのように通りすぎていた。 「2秒だけ…。」 「え?」 朝比奈さん? 「2秒だけ飛べました。」 そうか、時間移動。 朝比奈さんは俺達に棍棒が当たる瞬間2秒未来へ時間移動をしたのか。 朝倉、やっぱりお前は長門よりも下だ。 長門は完璧に時間移動を封じたぞ! …しかし…この巨大な奴は一体…。 --!? さらに4体の巨大な影が現れやがった…合計5体…。 「長門、あれは一体何なんだ?」 長門は静かに答えた。 「…ミノタウロス…。」 ミノタウロス!? 「…あれが?」 確かに良く見るとそれの顔は牛の形をしていた…神話で有名なあのミノタウロスだ。 「ミノタウロス…××星に生息する巨大生物。性格は凶暴。 …その肉は美味。」 …最後の一文が気になったが…まぁ良い。 とにかく倒せば良いんだろ! 俺はミノタウロスに射撃した……効かない? 次に古泉が炎を、光の玉を連続して放ったが…同じく効果が無い。 「無駄。」 長門? 「ミノタウロスに特殊な攻撃は通用しない。倒すには単純な力による攻撃しかない。」 「…長門。お前なら何とかできるよな?」 思い出したく無いがかつて長門はミノタウロスを調理し肉じゃがにした事がある。 しかし…。 「無理。」 …え? 「あの時倒したのは幼体。あれは成体…しかも5体…今の私でも無理。」 …。 …。 なんてこったい。 「形勢逆転ね。」 いつの間にかミノタウロスの肩に座っている朝倉がそう言った。 「くそっ!」 どうすれば良い…見ると古泉や朝比奈さんの顔にも焦りの表情が見える。 「おい!ハル…」 俺はハルヒに振り向き……え? ハルヒの顔には焦りの表情は無く、先ほどまでと同じ笑みが浮かんだままだった。 ハルヒの視線…ハルヒは朝倉やミノタウロスを見ておらず、もっと後ろ……あ!? 「あ!?」 「ふぇ!?」 「……あ。」 ゆっくりとそれは現れた。 …なるほどな。 「…くっ…くっ…くっ…。」 思わず笑いがこみ上げる。 「…ふっ…ふっ…ふっ…。」 見ると古泉も笑っている。 「…何?恐怖で狂ったの?」 朝倉が怪訝な表情で俺達に言った。 「ははははははは」 俺と古泉の笑いがこだました。 「あなた達状況がわかっているの?私の命令一つであなた達死ぬのよ?」 状況がわかっているのかって? 命令一つ? これ以上笑わせるなよ。 「これが笑わずにいられるかよ? なぁ、古泉?」 「くっくっくっ…まぁ、僕としては複雑な気分でもあるんですけどね。」 そりゃそうだろうな。 「……。」 朝比奈さんは呆然としている。 そうか、朝比奈さんは見た事なかったな。 「長門、面白いだろ?」 長門は静かに言った。 「ええ。とてもユニーク。」 状況が1人分かっていない朝倉はイラついたような顔で 「なによ!なんなのよ!!」 と繰り返している。 「キョン。」 ハルヒ? 「教えてあげなさい。」 OK。 「朝倉。」 「何よ!」 「後ろを見てみろよ。」 「後ろ? …………!?」 朝倉は後ろを振り向き…絶句した。 そりゃそうだろう。 後ろでさらに巨大な巨人が今にも自分を叩きつぶそうと拳を振り上げているんだからな。 「……な…な…な…。」 「…神人。」 古泉が静かに呟いた。 神人…ハルヒが自ら生み出した閉鎖空間で暴れさせていた巨人だ。 しかし今はハルヒの命令を待つかの様に拳を振り上げてたまま待機している。 「やりなさい。」 ハルヒの声が響く。 それと同時神人の拳が振り下ろされた。 「ひっ!」 朝倉は小さく言葉を発し、ミノタウロスの肩から飛び退いた。 次の瞬間5体のミノタウロスは完全に叩き潰された。 「…すげえ。」 俺は思わず呟いていた。 そして静かに神人は消えていった。 「…で、形勢逆転がどうしたって?朝倉涼子?」 ハルヒの言葉を聞いた朝倉は怒りの表情を浮かべ立ち上がった。 「調子にのってるんじゃないわよ!殺してやる!!」 朝倉は絶叫しナイフを俺達の頭上に投げた。 ………!? ナイフが何千いや、何万という数に分裂し俺達を囲んだ。 これが俺達に降り注いだらひとたまりもないだろう。 しかし俺は落ち着いていた。 何故かって? ハルヒが笑顔のままだったからだ。 「ナイフの全方位攻撃よ! 手加減してあげてたのに図に乗って!……死になさい!」 朝倉の一言により何万ものナイフが俺達に降り注ぐ……事は無かった。 …。 …。 「な…なんで…。」 「馬鹿ねぇ。」 ハルヒは今日見せる最大級の笑顔で言った。 「そんなのアタシが許すとでも思ってるの!」 全てのナイフが音も無く消滅していく。 …ハルヒは…。 「すごい…涼宮さん…。」 「ええ、彼女は完全に…。」 そう、ハルヒは完全に自分の力を使いこなしていた。 「…覚醒。」 …長門? 「涼宮ハルヒは覚醒した。今の涼宮ハルヒに勝てる者はもはや存在しない。」 朝倉は狼狽していた…いや、恐慌していると言った方が良いだろう。 朝倉は一瞬逃げるような素振りを見せた後、石像の様に動かなくなった。 「あなたが動く事も許さない。」 「…あ…あ…。」 ハルヒはゆっくりと朝倉に近づく。 「…よくも…よくも好き勝手してくれたわね。」 笑顔だったハルヒの表情が徐々に怒りの表情に変わっていく。 「有希を閉じ込めたり…アタシ達の…SOS団の記憶を消したり…キョンを…みんなを殺そうとしたり…古泉君をあんな酷い目にあわせたり…。」 ハルヒを見ると…………泣いていた。 怒りの表情で体を震わせ涙を流していた。 「…アタシはあんたの存在を許さない。未来永劫ね。」 ハルヒの言葉に朝倉は…。 「…やめて…お願い…それだけは…それを言われたら…私は…。」 今さら何を言っているんだこいつは…。 「古泉、言ってやれ!」 古泉は頷き穏やかに言った。 「朝倉さん、知ってますか? 神様って非情なんですよ。 まぁ、神様とは言っても僕らの団長の事なんですけどね。」 古泉は朝倉に言われた事をそっくりそのまま返していた。 さらに古泉は続ける。 「あなた方は涼宮ハルヒを舐めていた。その結果彼女の逆鱗に触れる事となった。 残念ですが我らが団長は敵にはどこまでも非情になれる方なんですよ。」 古泉はニッコリと微笑んだ。 「アタシはあんたを絶対許さない!あんたが再び生まれる事も許さない。 消えなさい!朝倉涼子!永久に!!」 ハルヒがそれを言ったと同時に…朝倉涼子は…消滅した。 もう二度と朝倉が現れることは無いだろう。 ハルヒが言った以上絶対だ。 触らぬ神に祟り無し この言葉をちゃんと理解していたら良かったのにな…朝倉。 そして空間が歪み…割れた。 …。 …。 …。 ~部室~ 「終わりましたね。」 古泉が言った。 ああ、終わった。 後は世界を元に戻すだけだ。 「……ごめんなさい。」 ん?長門? 長門は続ける。 「今回の件は全て私の責任。ごめんなさい。」 お前の責任なんかじゃない。 それに今言う事はそれじゃない…。 「長門、違うだろ?今お前が言わないといけない事は一つだけだ。」 長門は目を見開きしばしの沈黙の後言った。 「……ただいま。」 「お帰り、長門。」 「お帰り、有希。」 「お帰りなさい。長門さん。」 俺、ハルヒ、朝比奈さん、古泉が同時に言った。 …本当にお帰り。長門。 「さて、んでどうすれば良いのかしら?」 ハルヒが俺に言った。 「そうだな、お前の力で元の世界に戻すんだ…いや、二度とふざけた真似できないように情報統合思念体存在を消した世界をな。」 「分かったわ。」 その時だ。 「待って。」 ん!? …。 …。 その声の主は部室の入り口に立っていた。 「喜緑さん…。」 喜緑江美里…生徒会書記、その実体は長門や朝倉と同じ対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェース…彼女が何故? ハルヒが呟く。 「なるほど、朝倉涼子の次はあなたって訳ね。」 その言葉に喜緑さんは首を振り 「いいえ、あなた方と争うつもりはありません。 あなた方に今の情報統合思念体の事を伝えに来たの。」 …。 …。 喜緑さんの話しによると、今回の件は急進派によるクーデターみたいなものであったらしい。 そして現在は元の通りになった。 二度と急進派が表に出る事は無い。 つまり、情報統合思念体を消すのを止めてくれ…って言いたいらしい。 「それを信じる理由は無いな。」 俺はそう言った。 当然だ。また奴らが同じ事をしないという保証は無い。 「私も情報統合思念体を消さない事を推奨する。」 長門!? 長門は続ける。 「喜緑江美里の言っている事は事実。 情報統合思念体の消去による影響は甚大。」 長門の話しによると情報統合思念体が消えるとこの世に大きな不具合が発生し、メリットよりもデメリットの方がはるかに大きいと…。 しかしなぁ…。 「もしもまた同じ事があったらどうするんだ?」 俺の問いに長門は 「それは無い。涼宮ハルヒが許さないと言った以上絶対。だから心配ない。」 俺はハルヒを見た。 「…まぁ、有希が言うなら仕方ないわね。 喜緑さん、分かったわ。」 ハルヒがそう言うなら仕方ない。 「ありがとうございます。 …それじゃ長門さん、後はお願い。」 喜緑さんは去っていった。 …。 …。 「私が涼宮ハルヒの力を使い元の世界に戻す。」 長門? 「今日の事が無かった事になりあなた達が今日経験した記憶は消える。」 「記憶が…消える?」 「そう、私以外の記憶は消え、当たり前の1日が始まる。」 ハルヒが声をあげる。 「ちょっと待って!それってアタシはまた何も知らない状態に戻るって事? 自分の力、有希が宇宙人、みくるちゃんが未来人、古泉君が超能力者って事も全部?」 「そう。でもそれがあなたの望み。」 ……なるほどな。 何でも自分の思い通りになる世界をハルヒが望むか? …否。 そんな世界をハルヒが望む訳が無い。 ハルヒが望んでいるのはいつもの日々だ。 ハルヒが無茶な事を言い出して俺達が振り回される。 みんなで馬鹿な事をやり笑いあえる…いつもの日々。 「帰ろうぜ、あの日々に。」 俺はハルヒに言った。 「…そうね。帰りましょう。」 古泉と朝比奈さんも笑顔で頷いた。 「改変を開始する。」 長門がそう言うと周りの景色が歪み…真っ白な世界になった。 それと同時に俺達の体が光に包まれる。 「ところで、僕の力はどうなるんでしょうか?」 「古泉一樹、あなたの力は一時的に涼宮ハルヒにより与えられた力。記憶の消失と共に消える。」 「それは残念ですねぇ。」 古泉は残念そうな顔で呟いた。 「ああ、あと涼宮さん、なるべく閉鎖空間を生まないようにしてください。」 気持ちはわかるが今言っても忘れているから意味ないぞ。 「ふっ、それならあなた達アタシを退屈させないように頑張りなさい。」 ハルヒは笑顔でそう言った。 俺と古泉は肩をすくめ呟いた。 「やれやれ…。」 …。 …。 そして長門が口を開いた。 「みんな…ありがとう。」 そして全てが光に包まれる…。 …。 …。 …。 ~キョンの部屋~ ガタン 「痛ってえええ。」 …どうやらまたベッドから落ちたらしい。 今何時だ?……2時か…。 ……何か夢を見ていたみたいだが……思い出せない。 物凄く苦労した夢だったみたいだが…まぁ、そのうち思い出すだろう。 寝よう…。 …。 …。 …。 ~教室~ 「おはよう。」 「おはようキョン。」 いつもの朝、教室に入った俺は友人の国木田、谷口と朝の挨拶を交わした。 「ちょっと!キョン!聞いて!」 なんだハルヒ?朝っぱらからテンション高いな。 「昨日凄く面白い夢を見たのよ!」 夢? 「もしかしてまた俺と古泉がお前に飯おごらせようとして、お前が財布を忘れて古泉がロリコンからホモになったあれか?」 「違うわよ!」 「違うわよ!」 違うのか…古泉には悪いがあれは正直面白かった。 「どんな夢だ?」 「それがね!覚えて無いの!」 ……は? ハルヒは覚えて無いけど物凄く面白い夢だったと言っている。 なんだそりゃ…そう言えば俺もなんか夢を見たな…覚えて無いけど…かなり苦労した夢…まぁ良い。 「おはようみんな。」 担任の岡部が入って来た…そんなこんなでいつもの1日が始まった。 …。 …。 …。 ~放課後の部室~ いつも通りみんな集まり、それぞれ思い思いの事をやっていた。 ハルヒは団長席でふんぞり返り、朝比奈さんはメイド服でみんなにお茶を配り、俺と古泉はカードゲームをし、長門はいつもの席でいつもの様に自動読者マシーンと化している。 途中でまたハルヒが夢の話しをしだした。 それぞれ昨日どんな夢を見たか? ハルヒ「凄く楽しい夢だった。でも内容は覚えていない。」 俺「凄く苦労した夢だった。でも内容は覚えていない。」 古泉「凄く痛い夢だった。でも内容は覚えていない。」 朝比奈さん「凄くオロオロする夢だった。でも内容は覚えていない。」 みんなバラバラだ。 共通点は覚えていないって所か。 「有希?あなたは何か夢見た?」 長門は本から顔を上げコクンと頷いた。 長門も夢を見るのか? 「んでどんな夢?」 長門はしばらく考えた後 「凄く幸せな…嬉しい夢。」 と答えた。 「で、内容は?やっぱり覚えてないの?」 長門は首を振り言った。 「覚えている。」 「教えて。」 「……内緒。」 内緒か…まぁ幸せな夢だったら良いか …っと思っていた時長門が急に立ち上がった。 そして… 「みんな……ありがとう。」 …。 …。 …なんで俺達は長門にお礼を言われているのだろうか? 皆を見てみるが皆困惑の表情を浮かべている。 でもそんな事はどうでも良い。 皆もそう思っているだろう。 だって… 長門が今、最高の笑顔で微笑んでいるのだからな…。 …。 …。 …。 …おしまい。
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/6348.html
涼宮ハルヒの三つ巴 人間、生きていく上で決して逃げてはならないことというものが存在する。 ましてや、それが本人にとって是が非でも避けて通れないとなれば、時として勇気をもって言わなければならないこともあるのだ。 周りにどんな視線があろうともそれによって躊躇してはならない。 そう、俺は今まさにそんな心境で自分の中の勇気をすべて振り絞る瞬間に立ち会わなければならなかった。 なぜならば―― 「ハルヒ、今度の日曜日、ちょっと付き合ってくれないか?」 俺のこの一言は、古泉から爽やかな笑みを奪い、朝比奈さんからはお茶を淹れている最中だということを忘れさせ、普段、よほどのことがない限り、視線をハードカバーから外すことのない長門までもが俺を見上げたのである。 いや、俺自身で分かっている。 俺がこんなことをハルヒに言うなんてのはいったいどれだけの異常事態なのかを。 それに比べれば、閉鎖空間の中にダース単位で《神人》たちが新世界創造の為の破壊活動を行っていたとしても、「あー今日も巨人たちが頑張ってるなぁー」とのどかな声をかけながらのんびり眺めていたところで誰も文句を言うまい。 「どういうつもり?」 しばしの時間停止があってハルヒがどこか戸惑いと胡乱を足したような瞳で俺を見つめて問いかけてきた。 「そのまんまの意味だ。何も言わずに付き合ってくれるとありがたいんだが」 「どうして理由が言えないのよ。まさかいかがわしい場所に連れて行くつもりじゃないでしょうね?」 断じて違う。ただ、その場所に行くためには男女ペアでなければならんからだ。 別段、恋人同士である必要はないがな。 「ふうん。なら、あたしじゃなくて有希かみくるちゃんでもいいんじゃない?」 「つまり、お前は断るということか?」 「そうね。あたしはパスするわ。まあ、あんたがその日に予定入れたなら、今回の不思議発見パトロールは土曜日にしてあげる。 団長のあたしなりの心遣い、感謝しなさいよ」 むろんだ。今度の日曜日を空けてもらえるなら、今回の不思議発見パトロールの際の奢りは俺が一番早く来ようとも仰せつかってやるさ。 「何言ってんの。毎回、あんたが一番遅れてくるんだから、そんな約束しなくたって、どうせ、あんたの奢りになるわよ」 実のところ、「……こ、恋人同士って言うなら考えてもよかったんだけど……」という呟きが聞こえたのだが、それは聞かなかったことにしておこう。ヘタにツッコミを入れるとなんとなく嫌な予感がする。 「そうかい」 そう言って俺はハルヒとの会話を打ち切り、長門にしようか朝比奈さんにしようか考えた。 なんたってハルヒ公認で二人で出掛けられるのだ。変な罰ゲームを喰らわされることもあるまい。 で、俺は今回ばかりは長門に視線を向けた。 朝比奈さんの苦笑を横目に捉えてしまったが、すみません。今度、何かあったときは朝比奈さんを誘わせていただきます。 なんせ、長門には俺は返しきれないくらいの借りばかり作ってしまっているんだ。 こんな時でなければ恩返しができんからな。 つってもまあ、長門にとってこれが楽しめるかどうか分からんのだが…… 「なあ長門、今の話の通りで今度の日曜日に……」 「了解した」 早っ! 「ええっと……本当にいいんだな……?」 「わたしも楽しみ」 長門の無表情だが、どこか今にも微笑みそうな顔の動きを俺は見逃さなかった。 「あらぁ~~~良かったわねキョぉン……有希とデートできるなんてぇ~~~有希もまんざらじゃなそうだしぃ~~~」 団長席から俺の背中に、とっても鋭い棘生えまくりの言葉が浴びせられました。 あまりに怖くて振り向くことはできないのだが、おそらくハルヒは半月ジト目で不気味な半笑いを浮かべていることだろう。 って、おい。お前はさっき、俺の誘いを断ったんだぜ。だったら、んな嫌味をかまさんでくれよ。 「心配いらない。彼もわたしも楽しみにしているのは別のこと」 おおっと長門、今回はフォローしてくれるのか!? 珍しく長門がハルヒに意見するのを聞いてそう思わずにはいられない俺。 なんたって、去年の年末の中河のときのやつは当事者であるにも関わらずまったくのノータッチを貫き通したんだからな。 「ときに長門さん、いったい彼はどこに出かけるおつもりなので?」 微笑を浮かべた古泉が割って入ってくる。 理由はなんとなく想像できるな。 古泉の役割、ハルヒのご機嫌どりのためには俺たちがどこに出かけるのかを今、ここで知っておきたいところだろうから。 まあ相手も決まったんだ。俺も隠し立てする必要もあるまい。 長門が淡々と、しかしどこか妙に楽しげな音階が含まれているような気がした声を発した。 ま、長門のことだ。俺が何に誘おうとしたのかを知ったとしても不思議はないしな。 などと軽く思った俺だったのだが、どうやらその考え方は相当甘かったらしい。 「平野綾、茅原実里、後藤邑子の音楽ユニット・AMIYUのコンサート」 瞬間、部室が白黒反転したかのような衝撃が走ったのであった。 「ちょっとキョン! なんでそんな大事なことを先に言わないのよ! てことはあんた、あの抽選に当たったの!?」 イの一番に声を張り上げたのは実は俺の予想外の人物・涼宮ハルヒだった。 「あの抽選ってことは……ハルヒ、お前も応募したって訳だな」 「当然でしょ! 確かにあたしは前にあんたに話した通り、人と違うことを求めるタイプだけどAMIYUだけは話は別よ! 周りが吸い込まれそうになるくらいの存在感を放っていることはあたしも認めるわ!」 そ、そうなのか? つーことはだ。これは参ったな。俺はてっきり、流行を嫌うハルヒなだけに理由を言うと問答無用で断られると思ったし、かと言って後々、ハルヒのいないところで長門か朝比奈さんを誘い二人で出かけて、それがバレた時のことを考慮した結果、まずハルヒに声をかけることにしたわけなのだが―― 「AMIYUのコンサートならあたしが一緒に行ってあげるわ! いいでしょキョン!」 いやあのな…… 俺があきれた声をかけようとする前に、まったく予想だにしなかった声を聞いた。 「拒否する」 って、長門!? 「あたしも行きたいな」 朝比奈さんまで!? 「ときにそのコンサートは絶対に男女ペアでないと入れないものなのでしょうか?」 古泉、お前もか!? 俺は今、異様な光景を目の当たりにしている。 ハルヒはもちろん、巷の流行なんぞとは誰よりも縁遠いはずの宇宙人、未来人、超能力者の面々が勢い込んで俺に迫ってくるのである。 いったいこれはどういう冗談なんだ? 全員、あのコンサートチケットの抽選に応募していたのか? などと心の中で四人に質問してみたのだが、むろん、声には出せなかった。 詰め寄られてしばし沈黙。四人とも俺の次の句を待っている。 そろそろ誰かが「なんてね」と切り出して、この空気を霧散させてくれるとひじょーにありがたいのだが、どうやらその雰囲気がまったくない。 仕方なく俺は恐る恐る口を開いた。 「すまん古泉。お前も応募したなら知っていると思うが、男女供に絶大な人気を誇るAMIYUのコンサートは男女常に同数で見に行かなければならないんだ」 「そうですか……」 古泉が珍しく落胆のため息を漏らし、いつもの、俺とボードゲームをする際の俺の対面の場所へとすごすご引き下がる。 「てことは、後はあたしたち三人の内の誰かってことね」 「みたいですね」 「そう」 一度、ハルヒ、朝比奈さん、長門が目を合わせて火花を散らす。 「で、キョンは誰と行きたいの?」 「む、無茶言うな! これじゃ俺が誰を選んでも後々、酷い目に合いそうな気がするぞ! ハルヒたちで決めてくれ! とてもじゃないが俺には決められん! 今回ばかりは文字どおり、相手は女子であれば誰でもいいんだからな!」 どこか殺気さえ漂わせたSOS団三人娘の迫力満点の詰め寄りに思わず俺は情けない声をあげていた。 「ふむ。それもそうね。じゃあ、あたしたちで決めるわよ。いいわね?」 「あ、ああ……頼むから穏便に決めてくれよ……」 俺は嘆息して古泉の対面へと引き返し、しかし少し思い当たることがあったんで、 「なあ古泉。どうしてハルヒが抽選から外れたんだ?」 「え……? 何か言いました……?」 こ、こいつは……いつまで淀んでやがる! 仕方がないのでももう一度、同じセリフを繰り返す俺。団長席の付近ではハルヒたちが話し合いをしている。 もっとも、ここから見ても分かるが三人とも周りの音など聞こえていない。 おそらく、今、戦闘機が強烈な爆音を立てて上空を飛び去っていこうが気にしないのではなかろうか。 「キョンは先にあたしを誘ったのよ。団長として団員の陳情は聞くべきだわ」 「しかしあなたは断った。わたしは了承した。わたしが行くべき」 「いいえ。キョンくんはあたしを誘うと後々、どんな目に合うか分からないのであたしのために、あたしに声をかけなかったんです」 引かない朝比奈さんってのは初めて見たな…… というか、普段、あれだけ無感動無表情の長門までを虜にするAMIYUを褒めるべきか。 「で、どういう理由でハルヒは当たらなかったんだ?」 たぶん、今なら俺と古泉が、普段なら絶対にハルヒの耳に入れるわけにはいかない会話をしていたとしても問題はないだろう。 「ああ……それはおそらく涼宮さんの中の矛盾がそうさせたのではないかと……」 思いっきり落胆した声を漏らす古泉だが、とりあえず暗い声色は無視することにして。 あっそうか。そういうことか。 ハルヒには確かに世界を自分の都合よく変革する力があるわけだが、それを自覚していない。 また、ハルヒは世界に不思議が起こってほしいと思う反面、起こるはずがないという思いも持っている。 つまり、もし今回、ハルヒが一心に自分も当たるよう念じたならば抽選に漏れることはなかったかもしれないが、心のどこかで応募総数を想像した時に『当たらない可能性の方が高い』と思ってしまったのではないかと想像する。こうなるとハルヒの力が発動することはない。 ちなみに俺が当たった理由は正に偶然だ。 まあもっとも俺はそこまでクジ運は悪いと思っていないがな。 なぜかって? 決まっている。 いったい、この世のどこにカミサマもどき、宇宙人、未来人、超能力者といった摩訶不思議な存在が一同に顔を合わせているような空間で一緒にいられる奴がいると思う? それこそ、このコンサートのクジが当たるよりもはるかに低い確率だぞ。そんな低確率をくぐり抜ける俺だし、ましてや幸運なことが舞い降りることの方が少ないんだからたまにいことがあったっていいだろう。 まあ宝くじとか言った金銭にまつわるクジ運には恵まれないがな。くそ。 「団長命令よ」 「こればっかりはいくら涼宮さんでも譲れません」 「わたしが誘われた」 三人娘の話し合いはまだ終わりそうにない。 仕方がないので古泉にもう一度振ってみる。 俺としては軽い気持ちで単なる話題作りのつもりでしかなかったのだが。 「なあ、お前の機関とやらで、もう2枚ほど手配できないものか?」 俺の言葉を聞くなり、古泉がハッとした顔を上げた。 「そうですね。聞いてみます!」 言って、即座に部室を飛び出す古泉。 ああ……っと、提案してしまったのは俺だが、なんだかちとまずい気がしたぞ。 完全な職権乱用だよな……というかはたしてハルヒを観察するための機関とやらがAMIYUの為に動くのだろうか。 古泉が出てしばらくしてから、 「じゃあ恨みっこなし! クジで決めましょう!」 ハルヒの高らかな宣言が聞こえてきた。 ふと振り返れば、いったいどこから調達したのか、いつものパトロール班分け用爪楊枝をハルヒが握っていた。 もちろん今回は三本で一本に赤い目印が付いているのだろう。 「当たった人がコンサートよ」 「分かりました」 「了承した」 三人とも実に真剣な瞳で頷いている。まあ取っ組み合いのケンカされるくらいならこの方が健全だ。 それにしても、いったい誰に当たるのだろう。 よくよく考えてみれば、である。 本命は世界を都合よく改変できる能力を持つハルヒか。 今回は応募総数と比べるなら確率はわずか三分の一である。当たらないかも、などとは考えまい。むしろ何が何でも当ててやる、と思っているはずだ。 しかし相手は二人とも対抗馬であって、ダークホース、穴、大穴などではない。 なぜなら情報操作がお手の物で俺も何度かその力の世話になっている長門と、その気になれば未来に連絡を取って爪楊枝のどれに印が付いているかを知ることができる朝比奈さんなのだから。 長門と朝比奈さんの様子を見ていると、おそらく今回ばかりは不正だろうが禁則事項だろうがぶっちぎって反則してくるであろうことは容易に予想できるってもんだ。 現実、朝比奈さんは今、瞳を伏せて胸に手を合わせて何かを念じている。 どうもその姿が俺には未来と連絡を取っているような気がしてならない。 それにコンサートに俺と一緒に行く程度のことが世界を揺るがすほどの過去干渉とは思えんしな。 正直言って、誰に当たるのか想像もできんぜ。 「せーので全員一緒に引くこと。いいわね? せーのっ!」 ハルヒの掛け声と同時に三人とも手を伸ばす。 もっともハルヒは右手に爪楊枝を持っているので左手を伸ばすのだが―― って、おい!? …… …… …… そうかそうか。よく考えたらそうなるよな。どれが当たりくじかは(ハルヒは無自覚だが)三人とも分かっているんだ。三人とも同じ爪楊枝を摘むわな。 あーこれはもうどうしようもないぞ。たぶん、三人とも譲るつもりはないだろうし。 が、ハルヒが実に建設的なことを言ってきた。 「あたしが先に掴んだと思うけど?」 「う……」「……」 朝比奈さんがうめき声をあげて、長門が三点リーダ沈黙。 確かに俺の目から見ても一番先に掴んだのはハルヒだった。 しかもハルヒは長門や朝比奈さんと違ってそれが当たりだということを知らないで掴んだのである。 先に掴んだものに優先権があるのは仕方がないし、長門と朝比奈さんは答えが分かっていた以上、諦めるしかない。 ううむ。やっぱズルは良くないということなのだろうか? ただ、ハルヒの能力を考えるならそれが一番のズルのような気もするのだが、ハルヒが知らない以上、長門と朝比奈さんにはそれがイカサマだと突き付けられる証拠がない。 かくして。 AMIYUコンサートにおける俺のもう一人の相手は涼宮ハルヒとなったのである。 と、この時は思っていたのだが。 当日、日曜日。 光陽園駅北口、SOS団御用達の場所にはSOS団全員が集合していた。 もう説明の必要はないよな。 そう。古泉の機関の手回しがあと二枚のチケットをゲットしてきたのである。いったいどうやったのかを知りたくて古泉に訊いてみたが、とんでもない答えが返ってきた。 「チケットを手に入れないと涼宮さんが暴走するかもしれません、と言っただけですよ。嘘は付いていません。もし涼宮さんが当たりくじを引かなければそうなっていた可能性は否定できないのですから」 いやまあ……なんつうか…… 「ご心配なく。ちゃんと譲ってくださった方々にはそれ相応の謝礼を差し上げております。そうですね、おそらく十年は遊んで暮らせるほどの資金を提供させていただいて――」 「もういい」 俺は古泉の話をばっさり切り捨てた。これ以上は絶対に聞かん方がいいだろう。 つか、お前、性格変わってないか? あっそうそう。実は今回、もう一人、特別ゲストが招待されている。 チケット三枚に対して、男女ペアは三組いるのである。 俺はクジで決まっていたハルヒ、古泉は朝比奈さん、で、もう一組は長門と、という訳だが誰だか分かるかい? もし国木田か谷口と思ったなら違うぜ。あの二人はセット扱いだ。さらに一人余る事態を招くだけだからな。 では誰か。 答えはお隣さん。コンピ研の部長さんだ。もちろん、彼もAMIYUのコンサートと聞いて二つ返事でOKしたさ。 ちなみに、なぜ彼なのかというとだな。国木田や谷口以上に部長さんは長門と面識があるからなんだ。 なんせ長門はコンピ研の特別部員だからな。 ましてやこの部長さんには、我らがSOS団団長殿が相当お世話になっている。パソコンのことは勿論、機関誌発行にも力を貸してもらった。 ただ、彼は朝比奈さんに狼藉を働いた(働かさせられたとも言う)身であり、お互い気まずい思いを抱くであろう二人でペアを組ませる訳にもいかず、結果、長門が部長さんとペアを組むことになったんだ。 まあもっとも。 古泉、朝比奈さん、長門、部長さんの席は横並びではあったが、チケット入手方法が違う俺とハルヒはこの四人からはちょっと離れていた。 盛り上がるコンサートの内容の描写は省かせてもらう。 というか、俺も夢中になっていたんで周りに何が起こっていたかなんてさっぱり覚えていないんだ。もちろん、俺だけじゃない。ハルヒも大音量で声援を送っていたさ。 もっともそんなハルヒの声も心地よかったくらいだ。 で、コンサートのラストで、だな。 「それでは今回のペアはこの二人にします!」 って、はい!? 壇上からリーダーの平野綾さんが俺とハルヒの座席番号を叫んだのである。 周りからは落胆の声と歓声が沸き起こる。 AMIYUのコンサートではラストに来場したファンの中から一組選ばれて、数多くの課題が書かれた何万通の封筒の中から一つ課題を選び、それをAMIYUと供に実行するというイベントがある。 もっともこれはコンサートの名物であって、これがなかなか大受けしているものなのだ。 「ね、ねえキョン……これって……」 「いやまあ……これに当たるとはさすがに思ってなかったんだが……」 俺とハルヒは互いに戸惑いながらそんな会話を交わしている。 ただ、その課題にはかなり突拍子もないことも含まれている場合もあるのだが…… 確かあまりに突拍子のないことであれば拒否権を発動して課題チェンジが可能だったよな……? そんないまだに戸惑いの表情を隠せない俺たちの両脇に茅原実里さんと後藤邑子さんがにこやかな笑顔を浮かべながら俺たちをエスコートし始めた。 もうなし崩しに従うしかない。 いったいどんな課題が待っているのだろうか。 不安と期待が渦巻く中、俺たちはAMIYUに囲まれる。 俺たちが並んで立ったところで平野綾さんが俺たちをフルネームで紹介してくれた。 ううむ。本名で呼ばれたのは実に久し振りな気がするぞ。 「では封筒を一通選んでください」 後藤邑子さんが朝比奈さんを彷彿とさせる笑顔で甘く甲高い声をあげる。 と、同時にスタッフが数多の封筒が収められた透明のボックスを俺たちの前に置いた。 「ハルヒ、お前が引いてくれ」 「分かったわ」 言ってハルヒが上部の穴から腕を突っ込み、ガサガサさせることしばし、 そして一通の封筒が、今度は茅原実里さんに手渡される。 その中身は―― 「――という平野綾さん主演の物語の一番のベストシーンを演じること」 って、ちょっと待てぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ! 長門張りに淡々と読み上げた茅原実里さんの言葉に俺は心の中で絶叫した。 誰がこの封筒を投函したかは知らんがとんでもない課題を突き付けてくれたのものである。確かにアレは名シーンであることは認めるがここで素人にやれと言うのか!? しかも、そのシーンつったら…… あー隣でハルヒも力いっぱい困った顔をしているぞ。 ま、まあ……嫌がってはいないようだが…… 「あの……本気ですか……?」 気がつけば、俺は観客を盛り上げている平野綾さんに戸惑いの声をかけていた。 「何か問題でも?」 「いや……大問題だと思うんですが……」 「そうかしら? そっちの彼女はまんざらでもない顔しているし大丈夫なんじゃない?」 「ええっと……」 「それに」 平野綾さんの笑顔の明るさがさらに増した気がする。つか、まるで会心の悪企みを思い付いた時の300ワット増しのハルヒの笑顔とダブるぞ。気のせいか? 「今、キミはそっちの彼女のことを下の名前で呼んだわよね? だったらこの課題くらい日常茶飯事の仲なんじゃないの?」 と同時に巻き起こる指笛と口笛の嵐。 待て待て待て。俺とハルヒはまだ……って訳でもないが高校生なんだ。んなこと公衆の面前でやれるほどの度胸を持ち合わせてなどいないぞ。 という俺のツッコミを平野綾さんは聞くことなく再び観客を盛り上げていたのである。 この時点で俺の拒否権発動の権利は完全に失われてしまったようだ。 と、同時に俺とハルヒは控室へと連れて行かれた。 さて、課題に書かれていたシーンがどんなシーンだったのかというと―― 俺たちは着替えもすまされて壇上に再び進まされた。 もう逃げ出すことはできないが、できれば逃げ出したいところである。 マジか? マジでやらなきゃならんのか? 「諦めましょキョン。仕方ないじゃない」 「お前はいいのか?」 「んまあ少しは躊躇う気持ちもあるけど割り切るしかないわね」 「割り切りって……んな簡単に……」 「何言ってんの。いいこと」 言って、俺の耳を引きちぎらんばかりに自分の口元へと引き寄せるハルヒ。 「あたしはあんたが相手じゃなかったら断ってた」 少し頬を染めたハルヒの、俺以外に誰も聞こえないような小声の一言が俺に思い切りを持たせてくれたのは言うまでもない。 平野綾さんが声を張り上げる。 「それではセリフはあたしが男の子役を、邑子ちゃんが女の子役をやります! 二人はそれに合わせて演技してくださいね!」 やれやれ。分かったよ。分かりました。 やってやろうじゃないか。もうやけくそだ。 諦観のため息をひとつついて俺はハルヒに向き直る。 ハルヒも俺を上目づかいに見つめた。 そしてハルヒの肩に俺は手を置き、平野綾さんと後藤邑子さんが台本を読みはじめたのである。 とっても豊かに情緒あふれるこのシーンにぴったりな声で。 『なによ……』 『俺、実はポニーテール萌えなんだ』 『なに?』 『いつだったかのお前のポニーテールはそりゃもう反則なまでに似合ってたぞ――』 ……たぶん、これがハルヒがAMIYUに共感した一番の理由だな。 そう、俺たちが演じることになったシチュエーションは何故か、去年の五月のあの日、前振りや経過はさておき。この部分だけは俺とハルヒが演技ではなくやったこととまったく同じだったのである。 しみじみと思う――偶然だと信じたい、と―― この涼宮ハルヒの憂鬱SSはフィクションであり、 実在する人物、団体、事柄、その他の固有名詞などとは何の関係もありません。 嘘っぱちです。 一部勝手に作ったものもありますが、どこか似ていたとしてもそれはたまたま偶然です。 他人の空似です。以上。
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/546.html
キョン(今日はSOS団市内不思議探索パトロールの日だ。) ハルヒ「」くじ引きで分けるから引いて。」 キョン(そして俺はハルヒと当たっちまった。) ハルヒ「行くわよ。キョン。絶対不思議探してね皆。」 探索中 キョン「ハルヒ。不思議って言ってもどうやって探すんだ」 ハルヒ「普通に探すの。こんな事もわからないの?」 キョン(御前としての普通って何だよ。) 6時間後 キョン(やっと終わったぜ。) ハルヒ「今日の市内不思議探索パトロールはこれにて終了!!」 キョン(ようやく帰宅できるぜ。この事が待ちどうしかったよ。) ハルヒ「あれ?雷落ちてるじゃない。早めに帰らないとね。」 キョン「おい、ハルヒ。ちょっと涙目になってるけど雷怖いのか?」 ハルヒ「当たり前じゃない・・・あっさっきの無しね。忘れなきゃ死刑だから。」 キョン「忘れられるか。ハルヒも可愛い所あるな。」 ハルヒ「忘れてよ。じゃあ元々可愛くないわけ?デパート寄るからキョンも付いて来て。」 キョン「はいはい。(断ったらどうなるかわからないからな)」 ハルヒ「おいしそうな物があれば絶対買うからね。勿論あんたのお金で。」 キョン「俺の金でかよ。」 ハルヒ「当たり前じゃない。あんたも神聖な団長様にお金を使わない賢い人になりなさい。」 キョン「はいはい。で?何を買えばいいんだ?」 ハルヒ「ノートパソコン買ってくれたらうれしいけど。食材でいいわ。」 1時間後 キョン(疲れた。重い。買いすぎだ、あいつ。) ハルヒ「向こうのソフトクリームでも買ってきて。」 キョン「俺もほとんど金残ってないぞ。買うなら自分で買えよ。」 ハルヒ「しょうがないわね。」サッ キョン「待てハルヒ。俺の財布を返せ。」 ハルヒ「はい。返すわよ。でももう買っちゃったけどね。それよりあんたも食べなさい。」 キョン「ハァ?何で俺も食わないといけないんだ?自分で食えよ。」 ハルヒ「団長の言ってる事が聞けないの?聞かないと死刑だからね。」 キョン「分かったよ。食えばいいんだろ?食えば。」 帰り道 ハルヒ「感謝しなさいよ。団長様が付いて来てあげたんだから。」 キョン(御前が勝手に連れてきたんだろうが。俺の金がなくなったじゃねえか。) ハルヒ「なんか頭がクラクラするわね。昨日から調子悪かったし。」 キョン「おいおい、大丈夫か?ハルヒ。」 ハルヒ「大丈夫よ・・・朝少し熱あった・・だけ・よ・・・」バタッ キョン「おいハルヒ、大丈夫か。(なんとかキャッチには成功できた。)」 ハルヒ「大丈夫・・・」 キョン(ひとまずコイツの家に連れて行かないとな。) ハルヒの家 ハルヒ「何勝手に人の家入ってんのよ・・・出て行きなさい・・・」 キョン「何強がってるんだよ、熱あるじゃねえか。」 ハルヒ「熱なんてないわよ・・でも少しだけ一緒にいて・・」 キョン(正直コイツの家に行きたくなかったがまあ38度もあればしょうがないな。) ハルヒ「ああ、しんどすぎて死んじゃうわ・・・」 キョン「ハルヒ、寝るなよ(俺どうすればいいんだろ。)」 1時間後 ハルヒ「ううん・・あれ?キョン、人の布団で勝手に寝ないで。殴ってやる」 キョン「いてぇ、何すんだよ。そうか、俺寝てたのか」 ハルヒ「ちょっとキョン、あたしの日記み、見た?」 キョン「日記って何の事だ?ああ、これね。見たけど何か文句あんのか?」 ハルヒ「ううっ、勝手に人の日記を見るんじゃないわよ。」 キョン「ハ・・ハルヒ、何泣いてんだよ。俺が何かしたか?」
https://w.atwiki.jp/haruhi-2ch/pages/152.html
涼宮ハルヒの謀(長門有希ちゃんの消失第8話) スタッフ 脚本:寺澤雄三 絵コンテ:竹下良平 演出:竹下良平 作画監督:いとうまりこ、椛島洋介、木野下澄江、清水貴子、丸山修二 作画監督協力:大竹紀子 総作画監督:今西亨 原作収録巻 第3巻(P107~115)Epiloge23 温泉 BD/DVD収録巻 第4巻収録予定 概要 今回は原作の合宿編第4話である『Epiloge22温泉』のエピソードを広げた形となっている。原作は8ページしかなく1回目の温泉入浴の描写しかないためほぼアニメオリジナルといってもいいかもしれない。 ただし温泉旅館は原作で描かれていた外観の描写と同一のため原作準拠である。温泉のお見合い風呂やカラオケ風呂はリアルにあるらしく、食物もロケ先に現実にあるようだ。 ちなみにTSURUYAは長野県北部東部を中心に展開するスーパーマーケットであり、別に鶴屋さんだからといって鶴屋グループとかいうわけではない。 パロディ等(涼宮ハルヒちゃんの憂鬱や涼宮ハルヒの憂鬱絡みも含む) 朝比奈みくるが歌う、挿入歌の『見つけてHappy Life』は2006年の涼宮ハルヒの憂鬱キャラクターソングVol.3朝比奈みくるより使用 キョンが歌う、挿入歌「giragira shake」はメロディラインと歌詞がB zの「ultra soul」を意識していることが明らかである 漫画には登場しなかった機関の面々(多丸兄弟、新川、森園生)の従業員としての登場ももちろんアニメオリジナル森園生は北高の体育教師であるはずだがキョン曰く他人の空似と気にしているが他のメンバーは言及していない 新川の名前が「新川一」となっているが、原作小説や原作漫画では新川の名前は設定されておらずアニメオリジナルな可能性も 孤独のグルメを読む朝倉さんと長門その後朝倉さんが孤独のグルメの主人公を真似た食レポを開始 卓球勝負孤島症候群(前編)での描写のパロディ(トーナメント表、ハルヒの技名) ハルヒが旅館内を探検を始める孤島症候群(前編)の描写を踏襲。 ハルヒ1期のBGMとして「やれやれおいおい」が使われている。 放送版とBD/DVD版との違い キャスト・スタッフ(詳細) キャスト キョン:杉田智和 古泉一樹:小野大輔 長門有希:茅原実里 朝倉涼子:桑谷夏子 涼宮ハルヒ:平野綾 朝比奈みくる:後藤邑子 鶴屋さん:松岡由貴 多丸圭一:井上和彦 多丸裕:森川智之 新川一:大塚明夫 森園生:小見川千明 テレビ番組出演者:工藤雅久、弓原健史、高宮沙織、真木駿 スタッフ 脚本:寺澤雄三 絵コンテ:竹下良平 演出:竹下良平 総作画監督:今西亨 作画監督:いとうまりこ、椛島洋介、木野下澄江、清水貴子、丸山修二 作画監督協力:大竹紀子 動画検査:杉田真理 美術ボード:伊藤聖、上田瑞香 色指定検査:品地奈々絵 色指定検査補佐:長澤諒司、アルテミス 特殊効果:飯田彩佳 スプリクト制作:志村豪 2Dグラフィックス:野崎崇志 CGディレクター:畑山勇太 CGデザイナー:中村玲奈 CGモデリング:渡辺雄斗 CGプロデューサー:青谷崇司 マネジメントCGプロデューサー:畑秀明 CG制作進行:加藤彩乃 制作デスク:海上千晶 設定制作:松井明穂 制作進行:白岩慶介 アイキャッチイラスト:ぷよ 協力:フォントワークス スペシャルサンクス:兵庫県西宮北高等学校、珈琲屋ドリーム、サークルケーサンクス、岡本順子(西宮流)、坂井淳一(ジュンプロダクション)、ながのフィルムコミッション(JFC)、跡部晴康、中尾山温泉松仙閣、TSURUYA、滝屋本店、茶臼山恐竜園 原画 浅利歩惟 石田啓一 伊藤亜矢子 伊東耕太 伊藤達文 いとうまりこ 井上加奈子 岡勇一 納武史 椛島洋介 亀井大祐 木川純一 鯉川慎平 後藤祐司 近藤いずみ 杉田まるみ 鈴木明日香 角谷賢治 西川亮 平田かおる 三柴直樹 水谷雄一郎 山田太郎 吉岡勝 吉川美貴 第二原画 井後多映子 内田陽子 折笠奈津樹 片田敬信 北沢典子幸 後藤麻梨子 佐伯路子 酒井謙次 杉田真理 竹下良平 田中立子 永吉隆志 松尾優 水野知己 吉松義雄 BigOwl C2C MSJ TAP TYOアニメーション WISH アスリード アニもキャラメル スタジオマーク マウス 動画 増岡有夏 尾之上英之 浮村春菜 神龍 TAP TripleA BEEP BigOwl 仕上げ 神龍 TAP TripleA BEEP BigOwl 背景 ムクオスタジオ石田喬子 井上慎太郎 真喜屋実義 村田裕斗 中村沙和子 大門友花里 スタジオWHO下元智子 加藤夏世 斉藤隆博 青木ゆり 片野坂悟一 撮影 T2スタジオ佐藤陽一郎 長谷川大介 渡部達也 ダン シャオ フイ 林大智 (ポストプロダクションなどは省略) 放送日程 東京MXテレビ:2015年5月22日25時40分-26時10分 BS11:2015年5月23日27時00分-27時30分 AT-X:2015年5月23日22時30分-23時00分 チバテレビ:2015年5月24日24時00分-24時30分 tvk:2015年5月24日24時00分-24時30分 テレ玉:2015年5月24日24時00分-24時30分 サンテレビ:2015年5月24日24時30分-25時00分 TVQ九州放送:2015年-月-日26時35分-27時05分(全仏オープンテニス中継により放送延期) 信越放送:2015年5月25日25時55分-26時25分 岐阜放送;2015年5月26日24時00分-24時30分 三重テレビ放送:2015年5月27日25時20分-25時50分 dアニメストア:2015年5月28日12時00分-1週間配信 RAKUTEN SHOWTIME:2015年5月29日12時00分-1週間配信 アニメパス:2015年6月5日12時00分-1週間配信 ニコニコ動画:2015年6月12日12時00分-12時30分 BD/DVDチャプター 使用サントラ 0 00~0 49 『やれやれおいおいアレンジ』 0 50~2 20 OP 2 21~2 25 SE 2 26~4 12『?』 4 13~4 55 SE 4 56~7 08 『?』 7 09~7 33 SE 7 34~9 50 『?』 9 51~10 20 SE 10 21~11 43 『?』 11 44~12 11 SE 12 12~12 53 挿入歌『見つけてHappy Life』 12 54~13 05 SE 13 06~13 20 挿入歌『giragira shake』 13 21~13 50 SE 13 51~14 10 挿入歌『giragira shake』 14 11~14 35 SE 14 36~16 34『?』 16 35~17 05 SE 17 06~18 40『?』 18 41~19 42 SE 19 43~21 11 『?』 21 12~21 34 SE 21 35~22 35『?』 22 35~24 04 ED 24 05~24 10 次回予告(SEなし) 一覧 話数 サブタイトル 第1話 大切な場所 第2話 もろびとこぞりて 第3話 涼宮ハルヒ!! 第4話 Be my Valentein 第5話 彼女の憂鬱 第6話 Over the Obento 第7話 ねがいごと 第8話 涼宮ハルヒの謀 第9話 その手を…
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/1193.html
今日も寒い日だった。 いつものようにハイキングコースを登ってると これもいつものように谷口が声をかけてきた。 「よっ!キョン!おはよう!」 こんな糞寒いのに元気な奴だ。 その元気を8割くらい分けて欲しいもんだね。 教室につくと俺は即座に自分の席に座る。 窓側の日差しが入ってくる、冬が苦手な俺にとってはまさに特等席だ。 ちなみに一番後ろの席だ。 ハルヒはもう俺の後ろにはいない。 今は2月下旬、暦の上では春なのだが、まだまだ寒い日が続いていた。 ちなみに俺は今、高校2年生だ。 俺と谷口は、なんとかギリギリ2年生に進級することが出来た。 1年の頃はSOS団なる意味不明な団体活動に精を出してたから 勉強をする気力をすべてそっちに持っていかれていたが、今年は進級について悩むことは無さそうだ。 なぜならSOS団はもう活動をしていないからである。 自分の席で太陽の日差しを浴びて、あまりの気持ちよさで深い眠りに入りそうなとき、 女子数人が大声で喋りながら入ってきた。 そのおかげで俺は目を覚ました。 その女子のグループは2年生になってから同じクラスになった女子2名と 去年から同じクラスだった女子3名から成り立っていた。 その3人の中の1人は涼宮ハルヒだった。 去年まではクラスで孤立していた涼宮ハルヒも 今年はクラスの女子と仲良くやっていた。 変な趣味を除けば、 美人で頭が良くてスポーツ万能で、思いやりのある明るい女だ。 そして2年生になってから友達が出来たということは 変な趣味を捨てたということだ。 ハルヒは何も言わず俺の横の席に着き、鞄から出した教科書を机にしまっている。 俺も何も言わず、チャイムがなるまで日差しを浴びながら先生が来るのを待った。 3時間目の数学の授業が始まる直前のことである。 ハルヒは机の中を熱心に覗き込んでいた。 「あっれ~おかしいな~、確かに鞄に入れたんだけどな」 どうやらハルヒは数学の教科書を忘れてしまったらしい。 俺は何も気にすることなく座っていた。 ハルヒは右側の席の奴に 「ねえ、教科書忘れちゃったから一緒に見てもいい?」 という会話をしていた。 俺たちはもう赤の他人のような状態だった。 今日から短縮授業である。 何故なら3年生はもうじき卒業で、 教師達は就職の手続きや大学受験の補習などで大忙しのためである。 言うまでも無いが、朝比奈さんは何事も無く3年生に進級した。 そして何事も無くこの学校を卒業をする。 そういえば朝比奈さんは大学へ行くのだろうか? それとも就職するのだろうか? いや、これからは今以上に涼宮ハルヒの観察に従事するのだろうか? そんなことを考えてるうちに終業を知らせるチャイムが鳴り 1年生と2年生は帰宅の時間となった。 しかし部活動をしている連中は昼飯を食った後、部活動をすることになる。 俺は谷口と国木田の3人で、ハルヒは女子数人、 古泉は自分のクラスの連中と家に帰宅する。 ちなみに長門は1人で家に帰る。 長門はもう文芸部の活動をやめていた。 おそらく途中でコンビニに寄り夕食を買ってから帰るのだろう。 俺たちと違って、学校内にも家に帰っても親しい人間がいない長門は このところずっと1人きりで生きてきたのだろうたぶん。 家に帰った俺はあることを思い出す。 「しまった・・・今日からは昼飯はコンビニやら弁当屋で買うんだった・・」 この寒い中、また外へ出るのも億劫だったが 1時間したくらいに俺の腹は限界を迎え、結局コンビニへ弁当を買うことにした。 家から出て1分ほどしたところで電柱の陰から男が飛び出してきた。 「こんにちは、お久しぶりです」 古泉だった。 「なにやってんだよお前、こんな糞寒い中、俺を待ってったのか? それともハルヒ関連のことか?」 久しぶりの古泉との会話だ。 「そうです。涼宮さん関連の話です」 「なんだよ、最近めっきり事件が発生しないと思ったら・・」 「あなたは最近の涼宮さんを見てどう思いますか? とても幸せそうな学校生活を送ってるように見えますよね? しかも成績優秀でスポーツ万能、まさに何も悩みがありません」 「何が言いたいんだよ、遠まわしに言わないで用件だけをさっさと言え。 長門や朝比奈さんは呼ぶのか?そうだ、昼飯を食ってからにしてくれ」 古泉はあの懐かしい微笑をしながら俺に告げた。 「いえ、事件ではありません。」 「なら何なんだよ」 早くしてくれ。俺は腹が減ってるんだ。 「何も無い。それだけです。涼宮さんが常識的な思想を持ち、幸せな生活を送り そしてそれに伴いあの神人の出現も無くなりました。用件はそれだけです」 「そうか、よかったな」 「我々、機関の努力の成果ですね。実はこうなるように我々は3年前から計画を立てていたのです」 まだ話が続くのか。 「涼宮さんが普通の人間として人生を歩むように仕込んだのです。 野球大会や夏の合宿、冬の合宿なども、そのための我々の計画だったのです。 未確認生物を探し回るよりも、友達と普通に遊ぶ方が楽しいという考えを植えつけるためのね」 なるほど。 古泉の所属している機関の努力おかげで ハルヒは非現実的なことを考えることは無くなり 今では普通の学生として普通の人生を送っている。 そしてSOS団なんていう変な団体の活動もしない。 子供の頃に作って遊んだ秘密基地のように、時がたてば忘れる。 SOS団もどうやら秘密基地と同じような物だったんだろう。 古泉と別れの挨拶をした後、俺はコンビニへ向かって走った。 「早くしないと唐揚げ弁当が売り切れちまう」 唐揚げ弁当は無かった。 「古泉の野郎め」 しかたなく俺は梅おにぎりを買うことにした。 しかも3つも。 せめていろんな種類があればよかったのだが、不運なことにこれしか残ってなかった。 明日は忘れずに学校帰りに買おう。 そしてコンビニを出た直後、俺はあることを思い出した。 長門はどうなるんだ。 俺たちと違って長門は1人だ。 機関とやらのせいで長門は昔のように1人の生活に戻ってしまった。 いや違う。何を考えてるんだ俺は。 俺にも責任があるだろうが。 SOS団がなくなったら長門は1人になるなんて分かってたことじゃないか。 なぜ気づかなかったんだ。 俺は長門のマンションへと走った。 SOS団はなくなっちまったけど昼飯くらいは一緒に食おうぜ。 3年生になってからは俺たちと一緒に弁当を食おうぜ。 きっと谷口も国木田も大歓迎だぜ。 玄関のインターホンで長門の部屋のボタンを押した。 …反応なし。 もしかしたら昼寝、、な分けないか。 マンションがダメなら思い当たる場所はあそこしかない。 そう、文芸部室だ。 俺はコンビニの袋を抱えたまま学校へと走った。 文芸部室の扉の前に到着した俺は30秒ほど 息を整えてからドアをノックした。 「・・・・入って」 長門の声だ。 「長門、久しぶりだな。じつは一緒に昼飯を食べようと思って」 「・・・・」 長門は俺の言葉を無視して、本を読んだままだった。 「ひょっとしてもう食い終わったのか?」 「・・・・」 無言。 しかたなく俺は1人で梅おにぎりを食うことにした。 食い終わった後、1人でオセロをやった。 長門を誘ってみたがまた無言だった。 1人オセロを始めて30分程度が過ぎた頃、 なにやら小さな泣き声が聞こえてきた。 その声の主は長門だった。 「どうしたんだよ長門!腹でも痛いのか!」 急いで長門のそばに駆け寄る。 「私・・これからずっと1人だと思ってたのに・・あなたが来てくれたから・・」 長門は俺に抱きつき、そのまま夕方まで泣き続けた。 よほど1人は寂しかったんだろうな・・・ 冬の日没は早く、俺たちが学校を出た頃には既に 街灯がともっているくらい暗くなっていた。 俺たちは凍えるような冬の空の下を並んで歩いた。 こうして長門と2人きりで歩くのも久しぶりだな。 「なぁ長門。SOS団のこと好きか?」 「・・好き」 「また皆で一緒に街中を探検したりしたいか?」 「・・したい」 「また朝比奈さんのお茶を飲みたいか?」 「・・飲みたい」 「また合宿とかに行きたいか?」 「・・いきたい」 「なぁ、俺にいい考えがあるんだけど言っていいか?」 「・・言っていい」 「SOS団を復活させようぜ」 家に帰った俺はさっそく元SOS団のメンバーに電話をかけた。 まずは朝比奈さんからだ。 この人ならなんでもOKしてくれそうな気がする。 「あ、キョン君、お久しぶりです~。え?SOS団? あと数日だけですがいいですよぉ」 あっさりとOKを貰った。 問題はここからだ。ハルヒと古泉。 ハルヒは今では普通の思想を持った普通の女子高生だ。 もしSOS団を復活させたいと言っても断られる可能性が高い。 俺の小学生時代の友達に「また秘密基地を作ろうぜ」と言っているのに等しい。 古泉もむずかしい。 基本的にイエスマンの古泉だがSOS団となると話は別だ。 なんせSOS団を解散に追い込んだのは古泉の所属する組織だからな。 数分迷った挙句、俺は古泉に電話をした。 「もしもし、ああ、今日の話の続きを聞きたいのでしょうか? え?SOS団を復活させたい、ちょっと待ってください。 僕的には何の問題もありません。僕自身、SOS団のことは大好きでした。 しかしまず機関の意向を聞かなければなりません。ちょっと待ってください」 そういうと古泉はどうやら別の携帯電話で機関とやらに電話をし始めた。 なにかボソボソと会話した後、 「もしもし、お待たせしました。1日だけならという条件ならいいとの事でした。 何か必要な物があったら僕に言ってください。はい、では」 残るはハルヒか・・・ 俺は最後の難関、ハルヒに電話をした。 「なに」 よかった。 ハルヒと会話をするのは半年振りだから 居留守を使われたりするかと思ってたからだ。 俺はいきさつを説明した。 「なんで今更SOS団なのよ。有希が望んでるから? 知らないわよそんなの」 昔はSOS団の活動を断ったら死刑にするとまで言っていた ハルヒだが、今ではこうなっていることに俺は胸が痛くなった。 そして団員を命を賭けてでも守ると言っていたのに、 知らないわよ、の一言で片付けてしまったを俺は本当に悲しいと思った。 「ねぇキョン、私達はもう高校2年生なの。 4月からは3年生なのよ。もうそんな幼稚なことやってられないわよ。 復活させるのは自由だけど私は参加しないわよ。 今は短縮授業だから毎日学校帰りに友達と一緒に喫茶店でお昼を食べることにしてるの」 とにかく明後日の放課後に文芸部室に集合な、 と言って俺はハルヒが反論をする前に電話を切った。 次の日、学校帰りに古泉を捕まえて明日の活動に必要な物を告げた。 そしてSOS団復活の日である。 俺は文芸部室のドアをノックした。 そして朝比奈さんの「はぁ~い」という返事を聞き、俺は部室に入った。 朝比奈さんはあのメイドの衣装を着ていた。 そして既に長門と古泉の姿があった。 古泉の用意した野菜を朝比奈さんが切り、 これまた古泉の用意した鍋の中に入れていった。 昨日俺が古泉に注文したのは、鍋とその具だった。 朝比奈さんは「もうすぐお別れですね・・・」 等の卒業生らしい会話を始めた。 朝比奈さんは泣いていた。 俺は朝比奈さんに 「卒業してもまた会えるじゃないですか」 しかし朝比奈さんは泣き止まない。 そうか・・・ 暗い雰囲気の中、俺たち4人は鍋を囲んで具が煮えるのを待っていた。 そしてバタン!と勢いよくドアが開かれた。 と同時に 「やっほー!!ひっさしぶりー!」 やれやれ、心臓が止まるかと思ったぜ。 振り向いたそこに立っていたのは鶴屋さんだった。 「よっ!キョン君、ひさしぶりー! 有希ちゃんも古泉君もひさしぶりー!」 鶴屋さん、ありがとうございます。 おかげで重い空気が吹っ飛びましたよ。 「あの、私が呼んだんです」 朝比奈さんが言った。 SOS団準メンバーを加え5人になった俺たちは 再び具が煮えるのを待った。 「やっぱパーティーと言えば裸踊りだよね~。 みくるっ!脱いで!」 朝比奈さんは脱ぎ始めた。 「あの、、キョン君、、これでお別れだからサービスです」 「よーし、あたしも脱ごうかな~!」 鶴屋さんも脱ぎ始めた。 古泉は苦笑していた。 「いいんですか?鍋がバレただけなら停学で済みますが、 裸にもなると卒業すら出来なくなってしまいますよ?」 「大丈夫だって!ほら古泉君も脱いじゃえ!」 鶴屋さんは古泉のベルトを外し、ズボンを下げ、パンツを下げた。 さっきの苦笑はなんだったんだ。 体の方は大喜びしてるじゃねえか。 改めて俺は古泉に対して人間不信になった。 朝比奈さんと鶴屋さん、古泉が裸になっていた。 俺は深い溜息をついた。 「やれやれ、俺も脱がなきゃいけないじゃないか」 そして長門以外の4人が裸になった。 「ほら有希ちゃんも脱いじゃえ!」 「・・・・」 長門は脱がなかった。 「こうなれば実力行使しかありませんね。 鶴屋さん、力を貸してください。一緒に長門さんを裸にしましょう」 そして古泉と鶴屋さんは長門を全裸にしようとした。 しかし長門の不思議な力によって、古泉と鶴屋さんは窓の外に飛んでいってしまった。 そしてゆっくりと地面に着陸した。 その光景は、まさにアダムとイブのようであった。 ピピピ・・・ピピピ・・・ 俺はベッドの中にいた。 「なんだ、、夢か・・・」 ここからが正真正銘のSOS団復活の日である。 いつもより早く登校した俺は誰もいない坂道を登り 誰もいない廊下を歩き、教室に到着した。 ハルヒがいた。 最近は女子の友達と集団登校するのが習慣だったのだが、 何故か今日は1人で登校していた。しかもこんな早い時間に。 「よお、早いじゃないか」 俺はSOS団の話をするよりも日常会話を選んだ。 「うん、なんか目が早く覚めちゃって」 「実は俺もそうなんだよ。昨日変な夢見ちゃってさ、文芸部室での夢さ」 そしてSOS団の会話が始まった。 「SOS団をやめる気なんて無かったのよ」 「じゃあなんでやめたんだ?」 「普通の女子高生をやってみたかったの。 正直、罪悪感はあるわ。私が立ち上げた団体だもの。 でもある日、クラスの女子に誘われたわけ。一緒に帰らないかって。 その子は私がSOS団をやってることを知らなかったの。 本当は知ってたのかもしれないけど、とりあえず誘われたの。 最初は一日程度SOS団を休むくらいいいか、って気持ちだったの。 その子は私と普通に接してくれたわ。私がSOS団をやってることを知ってる子って だいたい腫れ物を触るような態度で私に話しかけるでしょ? でも彼女は違った」 それは古泉の組織が用意した人間なのか、 それとも本当にSOS団を知らなくて、本当にハルヒと仲良くなりたいと思って近づいたのか・・・ どっちにしてもハルヒがその子が原因でSOS団をやめたのは確かである。 「その子と一緒に帰るようになってから他のことも仲良くなっていったの。 それで私、SOS団の団長をやってることを隠そうと思ったの。 だってバレたらなんか嫌だったから・・・」 「お前はSOS団と、その友達とどっちが大切なんだ? いや、言わなくてもいい。結果を見れば分かる。 でも今日だけはSOS団の団長に戻って欲しいんだ。」 「本当に今日だけよ?」 「ああ」 そして放課後、俺とハルヒは文芸部室へ向かった。 鍋は既に出来上がっていた。 長門と古泉は無言のまま席についていた。 朝比奈さんは俺とハルヒのためにお茶をいれていた。 ものすごく空気が重かった。 いつもならハルヒは元気過ぎるくらいだったのだが、 今日は無言のまま下を向いていた。 自分がSOS団を裏切ったことに負い目を感じているのだろうか。 他の団員が話しかけても生返事をするだけだった。 そして余計に空気が重くなっていった。 「あ、あのぉ、キャベツ煮えてますよ」 「・・・うん」 こんな感じだ。 いつもならハルヒと同様、食欲旺盛の長門も今日はあまり食が進んでいない。 俺は古泉にアイコンタクトを送った。 「どうにかしろ古泉」 「いや~こうやって皆で集まるなんて久しぶりですね」 その後が続かない。 いつもハルヒが1人で勝手に盛り上げてたけど、 そのハルヒは長門と同じくらい無口になっている。 鶴屋さんを呼べばよかったな。 あのお方ならどんな状況であれ、なんとかしてくれる。 そんなことを考えていたとき、長門が急に立ち上がった。 そして服を脱ぎ、全裸になった。 そしてハルヒは言った。 「これだからSOS団なんて嫌なのよ!ただの乱交パーティーの会じゃない!」 そしてハルヒは部室から出て行った。 古泉が口を開いた。 「よくやりました、長門さん」 朝比奈さんも 「やっぱ長門さんならなんとかしてくれると思ってましたぁ」 なんだこの展開は。 「実はねキョン君、私達は涼宮ハルヒを普通の人間にするための組織だったの」 これは朝比奈さんの言葉ではない。 長門の言葉だ。 「あの無口な性格もぜんぶ演技だったの。 恐らく涼宮ハルヒはそのことに気づいてたんだと思うの。だからSOS団をやめたの」 なるほど。 「僕や朝比奈さんの使命も終わりました。これでもうあなたと会うことも無いでしょう」 「キョン君、あの、、利用してごめんなさい。でも、、もう会うことも無いから忘れてね」 そして二人はそのまま部室から出て行った。 鍋はどうするんだ。 部室には俺と長門の2人しかいない。 「長門、じゃあ一昨日の涙も嘘だったのか?」 「違うの。あの涙は本当よ。私、あなたのことが好きなの」 「なんだって?」 「好きなの」 「なぁ長門。本当に俺のこと好きか?」 「・・好き」 「セクロスしたりしたいか?」 「・・したい」 「俺のザーメンをを飲みたいか?」 「・・飲みたい」 「気持ちよくなって天国へいきたいか?」 「・・いきたい」 「なぁ、俺にいい考えがあるんだけど言っていいか?」 「・・言っていい」 付き合おうぜ 俺は情報統合思念体になった。 宇宙を彷徨っている。 長門も人間の体を捨てて情報統合思念体になった。 宇宙を彷徨っている。 ハルヒとかどうでもいい。 地球とかどうでもいい。 もう疲れた。 寝るよ、長門。 そして2人はどこかへ行きました。 おしまい