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偽りのアリス 機種:iOS,And 作曲者:柳川和樹 開発元:ビジュアルアーツ(team Aeca) 発売年:2019~ 概要 ビジュアルアーツteam Aecaが手掛けるスマートフォンゲーム。 音楽は『Summer Pockets』に編曲で参加した柳川和樹氏が担当。 サウンドトラック Vol.1はコミックマーケット99、ビジュアルアーツ冬フェス2021で販売。 Vol.1以降で登場した未収録曲に加えアルバムの為の新規アレンジ曲を含めた全22曲収録のサウンドトラック vol.2がコミックマーケット101、ビジュアルアーツ冬フェス2022で販売された。 2023年10月31日にサウンドトラック vol.2が各種音楽配信サービスにて配信開始。 収録曲 曲名 作・編曲者 補足 順位 オリジナルサウンドトラック vol.1収録 Greyword 柳川和樹 主題歌 作詞:富岡征士郎 歌:HACHI アプリ202位 ようこそ タイトル 強さを求めて ホーム ワンダーランド ボス戦1 毎日特売デー! ショップ ありえぬ共闘 クラン 生み出す作物 イベント・農場 キルキルキッチン キッチン 財宝探索 ダンジョン ナーサリーライム ADV 悲嘆 接近 アリス・キル・アリス ボス戦2 ライト・オア・ナイト ボス戦3 偽りの平穏 ADV 白紙のページ オリジナルサウンドトラック vol.2収録 灰燼 柳川和樹 旅路 干渉 デイドリーム 最後のページ アプリ88位 サウンドトラック 『偽りのアリス』 オリジナルサウンドトラック 『偽りのアリス』 オリジナルサウンドトラックvol.2 PV
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流星の魔法使い、霧雨魔理沙/Marisa, the Blazing Star 流星の魔法使い、霧雨魔理沙/Marisa, the Blazing Star(4)(R)(R) 伝説のクリーチャー - 人間・ウィザード 飛行、速攻 流星の魔法使い、霧雨魔理沙が戦場に出たとき、それは飛行を持たない各クリーチャーにそれぞれ4点のダメージを与える。 (R):流星の魔法使い、霧雨魔理沙はターン終了時まで+1/+0の修整を受ける。 4/4 参考 記憶される幻想郷-レア
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《小さな魔法使い》 速攻魔法 (1) 自分の手札もしくはデッキから魔法少年または魔法少女に分類されるレベル4以下のモンスター1体を選択して 自分のモンスターゾーンに特殊召喚する。 手札コスト以外使い道がないカードネタで作ったネタカード。主にカード効果を発動する為もしくはカードを維持する為の手札コスト用。 遊戯王に魔法少年・魔法少女の概念はなく、故にこの分類そのものは存在しない為、フリーデュエルで使用する場合、デュエル開始前にどのカードを魔法少年・魔法少女として扱うか予め取り決めを交わす必要性がある。また、当然ながら公式カードでない為、公式デュエルでは使用できない。
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城歴史 特異体質 魔法を使える 変わりに筋力など運動に欠かせない才が全くといっていいほど伸びない いろんな魔法がある 剣士などでも扱える魔導具なども存在する
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前ページ次ページルイズと夜闇の魔法使い 目を覚ました柊が最初に見た光景は、石造りの天井だった。 「……知らねえ天井だ」 どこかのアニメだか漫画だかで出てきた台詞を呟いてみた後、柊はゆっくりと身を起こした。 ロングビルに用意してもらった使用人の部屋は、その前に訪れていたルイズの部屋と比べれば半分ほどの大きさしかなかった。 とはいえ別段部屋として手狭な訳ではなく(むしろルイズの部屋が無駄に広い)、まして一夜だけの寝場所としては十分すぎる。 向かいにベッドがあるのでどうやら相部屋のようだった。 柊はなんとなく頭をかきながら朝日の差し込んでいる窓に目を向けた。 まだ完全には日が昇りきっていないのだろう、少々薄暗い色彩の向こうに牧歌的な広場が見えた。 「異世界なんだよなぁ……」 つい先日まで緑とほぼ縁のない秋葉原にいた事を思い返し、柊は嘆息交じりに呟いた。 今回の召喚で一番困った事といえば、やはり『召喚された事』につきるだろう。 これまでの異世界召喚にはそれなりにその世界にいる目的があった。 だが、今回は何の意味もなく(ルイズ達にはあるのだろうが)召喚された挙句、元の世界に帰る方法が現状ないらしいというのだ。 異世界に召喚された後でやる事が、元の世界に帰る事。何かの罰ゲームだろうか。 いっその事開き直ってここに住み着いてやろうか、とも考えないではない。 が、そんなことになったら幼馴染の赤羽くれはに何を言われるかわかったものではない。 『あっそ、ふーん。あんたはどうでもいいけどエリスちゃんだけはちゃんとこっちに返しなよ?』 とでも言うだろうか。 「……わかってるよ、うるせえな」 リアルに想像できた台詞に柊は忌々しく呟くと、ベッドから降りて伸びをする。 それでさっきの考えは完全に消し飛んだ。 エリスをちゃんと元の世界に戻すというのもあるし、なによりくれはにそんな風に言われるのがとにかく気に入らない。 何が何でも元の世界に戻らなくてはならない。 「……うし」 軽く柔軟をした後、気合を入れる。 ドアが軽くノックされたのはその時だった。 「食事をお持ちしました」 「あ、すんません!」 ドアの向こうから聞こえた女性の声に柊は反射的に叫んだ。 取りに行こうと歩きかけて、寝るときに邪魔なのでズボンを脱いでいた事を思い出す。 慌ててズボンを履いた後ドアを開けると、そこにいたのは給仕服に身を包んだメイドだった。 彼女は食事の乗ったトレイを持ったまま、短い黒髪を揺らして静かに頭を垂れる。 「朝早くに申し訳ありません。学院の皆様への朝食の準備がありますので今しか時間が……」 「あ、いや、いっすよ。用意してくれるだけでありがたいんで」 折り目正しいメイドの態度に柊はかしこまって返してしまう。 すると彼女はどこか安心したようにほうと息をつくと、顔を上げて―― 「ありがとうご……っ!?」 柊を見た瞬間、固まってしまった。 「……?」 突然硬直してしまったメイドに柊は小さく首を傾げた。 ズボンはちゃんと履いている。シャツは昨日のままだが別に汚れてはいない。 髪も寝癖は……少しあったが、そこまで驚かれるほどのものではなかった。 なのに目の前のメイドは、何か信じられないモノを見るような表情で柊を凝視している。 「えっと……俺がどうかした?」 訳がわからないままおずおずと声をかけると、メイドは飛び上がるように身体を跳ねさせて一歩後ずさった。 ますます訳がわからない……というか、明らかに不審だ。 「――し、」 メイドが呻くように漏らした。 彼女は更に一歩後ずさると、 「失礼しますっ!!」 「え、ちょっ!?」 脱兎のごとく逃げ出してしまった。 柊は慌てて廊下まで追いかけるが、メイドは振り返る事もせずに一目散に廊下の向こうに走り去っていく。 ちなみに彼女が持っていたトレイにはスープが入っていたが、一滴も零すことなく全力疾走で消えていった。 匠の業だった。 「な……なんなんだよ……」 廊下に取り残された柊はぽかんとしたまま呟いた。 昨日の今日なので当然彼女と会った事はない。 いつぞやの時のように、誰かに似ているという訳でもなかった(そこまで観察する余裕もなかったが)。 いきなり驚かれて、いきなり逃げられた。 柊がそんな風に立ち尽くしていると、メイドが走り去った廊下の向こうから別のメイドがトレイを持って歩いてきた。 金髪のメイドは彼の元まで辿り着くと、しずしずと頭を垂れて口を開く。 「失礼しました。先程の者は気分が優れないそうで……」 「はあ……」 柊がぼんやりと返すと彼女は顔を上げて、どこか心配そうに柊に尋ねる。 「……。あの、彼女が何か粗相を?」 (俺が聞きてえよ……) 台詞のワリには明らかに不審そうな視線を向けてくるメイドに、柊は釈然としない気分になって彼女からトレイを受け取るのだった。 ※ ※ ※ 食事を終えて少々時間を持て余した後、柊はメイド(朝に会った二人とはまた別の少女だった)に連れられてルイズが授業を受ける教室に向かった。 石造という違いはあるが大学の講義室とほぼ同じ構造のその教室は、柊が入ってきた入り口からほぼ総ての席の様子が見て取れた。 なので柊はさほど苦労する事もなく特徴的なピンクブロンドのルイズと隣にちょこんと座っているエリスを発見し、そちらに歩いていく。 入り口から全容を見れる、という事は逆もまたしかりであり、教室に入ってから柊は周りの生徒からの好奇の目線をほぼ独り占めしていた。 この類の視線はかつて一年や二年のクラスに編入し、更には三年のクラスに出戻った――しかも総て同じ学校の、だ――という嬉しくない経緯を持つ柊にとっては今更どうというものではない。 強いて不快を感じるというなら、それが純粋な好奇だけではなく多分に嘲笑を含んだモノだということだ。 「おはようございます……」 「お、おう……?」 ルイズ達の元に辿り着いたとき、エリスがどことなく疲れたような声をかけてきたので柊は僅かに眉をひそめた。 見ればルイズの方も、顔を俯けて沈黙したままである。 「どうした?」 「……なんでもない」 「……なんでもないです」 尋ねて見ても、二人は異口同音に――表情すらも同様にして返すばかり。 そこで柊は昨夜ロングビルに言われた事を思い出した。 『――無理やりにでも貴方達……あるいはいずれかを契約させる』 昨日は魔法を乱発しながら自分を追いかけて疲労困憊だったようだし、そこまでやるような人間でもないと思ったのでとりあえず放置していたのだが、甘かったのかもしれない。 「エリス、こいつに何かされたのか?」 表情を引き締めて柊はエリスに尋ねた。 すると、 「ナニもされてません!?」 「ナニもしてないわよ!?」 唐突に二人が立ち上がり叫んだ。 「す、すいません……」 二人の形相に気圧されて柊が呻くように謝ると、彼女たちは再び席についてはあと吐息をもらした。 朝から訳のわからない事ばかりだった。 深く気にする事をやめて柊はルイズの隣の席に座りこむ。 その時にルイズがちらりと柊を睨んだが、特に何も口にすることはなかった。 そして柊は懐から0-Phoneを取り出した後、それを操作しながらエリスに呼びかける。 「エリス、0-Phone持ってるか?」 「え? あ……はい、持ってます!」 エリスははっとしてポケットから自分の0-Phoneを取り出した。 二人に挟まれた形になるルイズは交互に視線をさまよわせながら、柊達が取り出した物を興味深げに眺める。 「エリス、何なのそれ」 「えと、0-Phoneって言って携帯電話みたいなものです」 「ケイタイデンワ?」 「……えぇと、私達の世界の道具なんです。離れた人と話ができるって――」 「今からそっちにかけっから。設定バイブにしといてくれ」 「あ、はい」 ルイズが興味津々といった様子で見つめる中、エリスは0-Phoneを操作して設定を変える。 そして少しの間のあと、彼女の手にした0-Phoneが震え始めた。 「!?」 「あ……繋がりました!」 エリスが喜色を称えて通話キーを押すと、0-Phoneから軽く柊の声が響いてきた。 「……同じ世界ならどうにか繋がるか。連絡手段としちゃ上等だな」 左右から聞こえて来る柊の声にルイズはしきりに首を振り不思議そうに柊とエリスの0-Phoneを見やった後、たまりかねたように声を上げた。 「何なのよこの変な箱は? マジックアイテムなの?」 「え、あ、多分そんな感じのものでいいと思います……」 一応ファー・ジ・アースの魔法技術が備わっているのでマジックアイテムという呼び方は間違ってはいないだろう。 ルイズはひったくるようにエリスの持っていた0-Phoneを取り上げると、興味深げにあれこれとキーを押し始めた。 「へえ、こんなものがあるのね……」 「この世界にはありません、よね?」 「わかんないわ。ハルケギニアにあるマジックアイテムを全部知ってる訳じゃないし……わ、何これ。すごい」 子供のように0-Phoneを弄くるルイズにエリスは微笑んでから操作方法を教え始め、そしてふと柊に目を向けた。 「あの、もしかしてこれを使えば元の世界に……アンゼロットさんに連絡が取れるんじゃ?」 「いや、昨日試したがダメだった。まあココは『外世界』だろうから、世界内で繋がるだけで御の字だろ」 「外世界?」 聞きなれない単語に首を捻ったエリスに、柊は一つ頷いてから話し始めた。 ――無数に存在する異世界群は大きく分けて『並行世界』と『外世界』に分類される。 柊達のいる世界であるファー・ジ・アースから見て『並行世界』とは基本的にラース=フェリアやエル=ネイシアといったいわゆる『主八界』の事を指す。 ファー・ジ・アースに限っていうのならばこの他に『狭界』と呼ばれる並行世界も存在するが、ここではおいておく。 要するにこの主八界はとある超越存在の意思の下、統一された宇宙観によって形成されたヒトの住む世界群なのである。 対してミッドガルドやこのハルケギニアのように、その宇宙観『以外』の概念によって作られた世界を『外世界』と呼ぶ。 これらの外世界はそもそも世界の成り立ちからして完全に異なっており、文化や理念、魔法などの技術の概念、更には時間の流れや連続性ですらも同じであるとは限らない。 文字通りの意味でファー・ジ・アースとは『異なる』世界なのだ。 「へえ……柊先輩って物知りなんですね」 ざっとではあるが柊がそんな説明をした後、エリスは多分に尊敬を込めた目線を彼に投げやった。 彼女の視線を受けて柊は僅かに顔を俯け、照れ臭そうに頭をかく。 「……まあ、何度も異世界に召喚されてっから、今後のためにアンゼロットに聞いてたんだよ。役に立つとは思わなかったけどな」 「ふふっ」 柊が言うとエリスは可笑しそうに微笑を漏らす。 それまで0-Phoneを熱心に弄くっていたルイズに呼ばれてエリスがそちらに気を向けると、それを確認した柊は小さく息を吐いた。 僅かに目を逸らし、窓から映る空をなんとはなしに見つける。 どの世界でも、空は同じ青い色だった。 無論、柊が異世界に関する知識をアンゼロットから教わったのはそんな理由ではない。 かつて彼が関わった外世界、ミッドガルド。 その世界にまつわる一件のきっかけともなった侵魔との闘いの際に、柊は肩を並べて戦った一人の仲間を失ったのだ。 『彼女』は実に二万年もの時を隔てた過去のミッドガルドへと飛ばされ、そして終ぞファー・ジ・アースへと戻る事なくその生涯を終えた。 その事実が事態を解決する要因の一つになった訳なのだが、それでもどうにかできないか、と彼はアンゼロットに頼み込んだのだ。 結果として、それは叶わなかった。 彼女を救う事はできなかったけれど、その後の彼女の生涯が"救われなかった"ものではない、というのが唯一の慰めではあった。 だが、それでも。 彼女は柊と同い年――クラスメイトだったのだ。 他人の人生をどうこう言える権利などありはしないが、やはり彼女にも生まれた世界で生きる人生があったのではないか、と思う。 「ベール=ゼファー」 というエリスの声で現実に引き戻されて、柊は二人を振り返った。 見ればルイズは0-Phoneに収められているデータから魔王の項目を見ているらしい。 その隣でエリスがデータの詳細をルイズに向かって口頭で説明していた。 「この人には会った事があります。凄く強くて怖い人でした」 「ただの女の子じゃないの。胡散臭いわね……こっちのは?」 「えと……モッガディード? 半年前から消息不明……らしいです」 「……」 二人の会話を聞きながら柊は僅かに眉をひそめ、机の上にあった教科書を手にとって開いてみる。 そこに記されている文字は、柊の見たこともないモノだった。 「……文字が違う?」 「あ、そうみたいです。話す分には全然問題ないんですけど」 「口語の翻訳はできてんのか。ゲートの効果か? 0-Phoneで対応は……してないよな……」 0-Phoneの翻訳データを確認しながら柊は憮然とため息をついた。 主八界の中でならいかなる言語であろうと0-Phoneの翻訳ソフトで解析できるのだが、外世界のハルケギニアは当然未対応だ。 そうなると情報収集のためには独学で言語を学んでいくしかない。 会話は問題なくできるとはいえ、いきなり暗雲が立ち込めてきてしまった。 そんな柊の心境をルイズが知るよしもなく、彼女は熱心に様々なデータを閲覧しエリスに解説を求めていた。 なんとなくルイズの気楽さが面白くなかったので、柊はふと思いついて彼女に声をかけた。 「なあ、ルイズ」 「なに?」 ルイズは柊に顔を向ける事なくせわしなくキーを押して0-Phoneを操作している。 ついさっき初めて見たものだろうにその動きは既に慣れたもので、学習能力は相当に高い事がうかがえた。 それはともかく。 「そこのキーなんだけどな。それを押すと……」 「これがなに?」 やはりルイズはディスプレイに見入ったまま柊に返した。 そして柊は彼女がキーを押したのを見計らうと、唐突に重苦しい声で言った。 「――爆発する」 「!?」 ルイズの動きがぴたっと固まった。 鈍い動きで顔だけ柊を向くと、彼女は上ずった声で柊に問いかける。 「え。ばくはつって……うそ」 「本当だ。色々情報が入ってたろ? 機密保持のために自爆するようになってんだよ」 努めて真剣さを装って柊が言うと、少しの沈黙の後ルイズは目に見えて動揺しだした。 「え、そんな、ど、どうすればいい? どうすればいいの?」 ねえエリス、と助けを求めるようにルイズが振り返ると、当のエリスは困ったような苦笑を浮かべているだけだった。 「もう……先輩?」 「いやあ、やっぱファンタジー世界の人間のリアクションはこうじゃないとな!」 エリスとルイズの視線を受けて、柊は満面の笑みを浮かべていた。 何しろ彼の知るファンタジー世界――ラース=フェリアの住人はファー・ジ・アースの文化に即座に適応していたのだ。 具体的に言うと、初見で完璧に公衆電話を使いこなしたり、食券を利用して立ち食いソバを堪能したり、某黄色い潜水艦でTRPGをやるぐらいに。 やはり柊としては『車を見て「うひゃあ、鉄のイノシシだあ!」と驚く』ぐらいのリアクションを期待したいのである。 なので今のルイズの反応は、大変満足だった。 「だ、騙した!? 騙したわね!?」 ようやく事態を悟ったルイズが怒りの声をあげ、柊に掴みかかる。 だが柊は嬉しそうな表情でされるがままだ。 「そんな怒るなって。異文化交流って奴だよ」 「ふざけんじゃないわよ! へ、平民の癖に貴族を騙すなんてとんでもない不敬だわ! 手打ちにされたって文句は――」 「ミス・ヴァリエール!!」 「!?」 不意に響いた声にルイズは反射的に立ち上がった。 見れば教壇に中年の女性が立っており、ルイズを見やっている。あれこれとやっている内に授業が始まる時間が来てしまっていたようだ。 「授業を始めますが、よろしいですか?」 「……申し訳ありません、ミセス・シュヴルーズ」 一度だけ柊をぎらりと睨みつけた後、ルイズは憤懣を胸の奥に収めて頭を下げた。 ルイズは一年の頃彼女から授業を受けたことはないが、学院の教師の名は概ね諳んじている。 ルイズの返事を満足そうに頷いて返すと、シュヴルーズは僅かに微笑を称えて口を開いた。 「いえ、使い魔との交流はちゃんとできているようで安心しました。ただ、これから授業なのですからそちらの方に集中なさるよう」 「……っ」 ルイズの眉がぴくりと動き、そして彼女は唇を噛んだ。 教室の中にどっと笑いが巻き起こるのは同時だった。 「ゼロのルイズ! 召喚できなかったからって平民を連れてくるなよ!」 はやし立てる様に生徒の一人が声を上げると、笑いのトーンが一段と高まる。 酷く耳に障る雑音をかき消そうとするように、ルイズは叫んだ。 「違うわ! ちゃんと『サモン・サーヴァント』は成功したもの! こいつらが勝手に来ただけよ!」 「落ち着きなさい、ミス・ヴァリエール」 「でも……!」 「貴女がちゃんと召喚に成功した事はミスタ・コルベールから伺っています。前例は……まあ、ありませんが、その二人は立派な貴女の使い魔ですよ」 シュヴルーズとしてはルイズと生徒達を宥めるために言ったのだろうが、場は全く収まらなかった。 むしろ爆笑から失笑に似たものへと変わり、やおら一人の生徒が立ち上がって手を挙げた。 「ミセス・シュヴルーズ! それは違います!」 「……は?」 シュヴルーズが怪訝そうに声を漏らすと、その生徒は小太りした身体を誇示するように胸を張って、愉悦交じりにルイズを見やる。 「彼女は『コントラクト・サーヴァント』をしていません。だから、その二人は『使い魔』じゃないんです」 「それは……まあ、確かに」 シュヴルーズが口ごもると同時に更なる笑いが巻き起こった。 小太りの生徒はそれで更に気を良くしたのか、煽るようにして両手を広げルイズに言う。 「他所から連れてきた平民じゃ契約なんてできる訳ないもんな!」 「ちゃんと召喚したって言ってるじゃない! 契約しないのはこいつらが――」 「だったらなお悪いよ! 召喚された使い魔に拒絶されるなんてありえないだろ!?」 「そっ……!」 ルイズは何事かを言いかけ、それを言葉にする事ができなかった。 侮辱された怒りが渦巻いているのと同時に、一方で彼の言う事が事実だと認識している自分がいる。 『サモン・サーヴァント』ではメイジにふさわしい使い魔が召喚されるはずなのに、他でもないその使い魔から拒絶されたのだ。 一心同体である使い魔にすらふさわしいと思われないメイジ。 それこそまさに―― 「魔法が使えない上に使い魔にまで拒否されるなんて、さすがゼロのルイズだ!」 「……っ」 悔しさがこみあげて口を開く事ができない。口を開けば、どんな言葉を吐き出すか自分にも分からなかった。 だから彼女は、胸の中で渦巻く感情が零れないようにただ耐えることしかできない。 僅かに顔を俯ける。 滲んだ視界の隅を、何かが横切った。 嘲笑の渦中に晒されているエリスは、正直ここから逃げ出したかった。 その中心にいるルイズはぎゅっと拳を握り締め、肩を震わせてじっと堪えている。食いしばった唇からは、僅かに血の色が滲んでいた。 他力本願だと理解してはいたが、エリスは助けを求めるように視線をさまよわせた。 昨日(誤解の産物とはいえ)二人の間を取り持ってくれたキュルケはつまらなそうに肩肘をつき欠伸をしていた。 この騒動に参加する気はなさそうだが、止めようという気配はまったくない。 その近くにいた青髪の少女に至っては、完全に我関せずを決め込んで手元の本に目を落としている。 そしてエリスは最後に柊に視線をやって……息を呑んだ。 僅かに目を細めて沈黙を保っている彼は、今まで彼女が見た事がない顔をしていた。 顔に感情を乗せないまま、けれどありありと感情を滲ませながら柊の手が動いた。 エリスはそれを止めることができなかった。 「あンっ!?」 投げつけられた教科書が顔面に直撃し、小太りの生徒は悲鳴を上げてもんどりうって倒れこむ。 同時に教室が水を打ったように静まりかえった。 生徒達は時間が止まったように表情を固まらせ、キュルケは驚きに目を見開き、青髪の少女は本から僅かに目を上げた。 急に沈黙が訪れた教室にようやく我を取り戻したルイズが、ゆっくりと顔を巡らせる。 生徒に教科書を投げつけた犯人――柊は椅子に背を預けたまま、酷く冷たい目線を生徒に送ったまま口を開いた。 「……わりぃ。手が滑った」 謝意など微塵も感じさせない柊の言葉に、誰一人として返す者はいない。 しばしの沈黙の後、小太りの生徒が顔を抑えながらよろよろと立ち上がった。 わずかな怯えと多大な怒気を孕ませて、彼は偉そうに席にふんぞり返っている柊に口角を飛ばした。 「お、お前……そこの平民! なんて魅惑的な一撃を――違う、僕を誰だと思ってる!?」 「知らねえよ。会った事もないしな」 ぶっきらぼうに言い放った柊に、生徒は床を蹴り懐から杖を取り出して見せ付けるように突きつけた。 「僕は『風上の』マリコルヌ! 貴族だぞっ!? 平民が貴族に手をあげるなんて――!」 「……あいにく、貴族だの平民だの関係ないトコから来たんでな」 言って柊はゆっくりと席から立ち上がる。 同時にマリコルヌの体がびくっと震え、そして生徒達がざわめいた。 険悪な雰囲気が漂い始める中、柊は――マリコルヌの方には行かず、教壇で凍り付いているシュヴルーズの下に歩き出した。 「な、なんですか! 一体何を――!」 歩み寄ってきた柊にシュヴルーズは狼狽して後ずさる。 そして柊はシュヴルーズに、 「授業の邪魔してすいませんでした」 頭を下げた。 ぽかんとしたままのシュヴルーズの返答を待たず、柊は踵を返して教室を後にする。 「柊先輩!」 慌ててエリスは立ち上がり、柊の後を追った。 教室を出る間際彼女は振り返り、シュヴルーズとルイズに目線をやる。 半瞬迷った後エリスは深々と頭を下げ、そして教室から姿を消した。 二人の人間が姿を消し、教室に残ったのはただ沈黙だけ。 「なっ……何なんだよ! 謝る相手が違うだろ!?」 マリコルヌが思い出したように悲鳴を上げた。 しかしその怒りをぶつける相手は既に教室には居らず、彼は代わりに席で立ち尽くしたままのルイズを睨みつけた。 「おい、ゼロのルイズ! 自分の使い魔の躾もできないのか!?」 ルイズはマリコルヌの言葉にわずかに身体を揺らしたが、答える事はできなかった。 代わりにいくらか落ち着きを取り戻したシュヴルーズの声が響く。 「まあまあ、落ち着きなさいミスタ・グランドプレ」 「しかしですね、ミセス――」 「彼等がミス・ヴァリエールの使い魔でないと言ったのは貴方ですよ? ならば彼女に躾の義務などないのではありませんか?」 「いや、それは……っ」 「席に座りなさい、二人とも。授業を始めましょう」 いくらか厳しさを増したシュヴルーズの声にマリコルヌは渋々と、そしてルイズは呆然としたまま着席した。 そんなルイズの様子を見て、シュヴルーズは小さくため息をつき 「まあ、彼は今はまだ使い魔ではありませんが……平民でありながらミス・ヴァリエールのために貴族に手を上げた点に関しては使い魔の素養は十分でしょう」 時と場合を選んで欲しいですけどね、と苦笑を漏らした。 ルイズはその言葉でようやく顔を上げた。 どうやらそれは締めの言葉だったようで、シュヴルーズは頭を切り替えて何事もなかったように自己紹介を始めていた。 シュヴルーズは謙遜しているのか自慢しているのか定かではない『土』系統の講釈を垂れ流しているが、ルイズの耳には全く入っていない。 (あいつが……私のために?) ルイズは頭を振ってそれを否定する。 柊から敬意を受けた事など一度だってない。 それどころか、ついさっき貴族である彼女を騙して楽しんでいた。 何より、最初の段階で契約を拒絶したのは他ならぬ柊なのだ。 百歩譲って平民である事は仕方ないにしても、契約ができなかった原因は間違いなくあの男ではないか。 「そうよ。全部あいつのせいなんだから……」 半ば言い聞かせるようにして彼女は小さく呟く。 だが、どんなにそれを繰り返しても胸の裡に沸いたよく分からない感情は消えなかった。 ※ ※ ※ 「どこの世界でもいじめっつーのはあるもんだな……」 教室を辞して、案内された道順を逆に辿って棟の外まで歩いていった柊は嘆息しながら呟いた。 かつて彼の在籍していた輝明学園はいささか自由に過ぎた校風があり、そういった陰湿な類のものは半ば縁のないようなものだった。 なので実際そういうモノを目の当たりにした時反射的に行動してしまったが、思い返せばいかにも軽率といえた。 アレで誰が困るかといえば、それは柊自身ではなく残されたルイズだろう。 「後で謝っといた方がいいよな、やっぱり」 言いながら柊はその場に座り込む。 と、そこに背後から駆けてくる足音があった。 「先輩……」 「なんだ、エリス。お前も出てきちまったのか? ますますルイズの立つ瀬がねえな」 振り向いてエリスの姿を確認すると、柊は苦笑を漏らしながら言った。 エリスは柊の隣に座り込み、顔を俯けたまま黙り込んでしまった。 少しの沈黙の後で彼女はおずおずと口を開いた。 「ルイズさん……可哀想でしたね」 「……『ゼロのルイズ』なあ……」 ゼロのルイズ。 マリコルヌとか言う生徒の台詞や回りの反応から察するに、要するに落ち零れだとかそういう意味なのだろう。 学院に帰る時に他の生徒達が空を飛んで帰還していたが、彼女は歩いて戻っていた。 柊達に気を使っていたとか魔力(?)がなくなっていたとかではなく、『使えなかった』のかもしれない。 それと、召喚時に柊を追い回しながら滅茶苦茶に周囲を爆発させていた魔法。 あの時アレは『そういう魔法』だと思っていたが、マリコルヌとか言う生徒が「魔法が使えない」と言っていたあたりからすると『魔法の成り損ない』なのだろうか。 ただ、一つだけ柊には気になる事があった。ある意味ではこちらの方がより重大でもある。 「……『サモン・サーヴァント』」 「……先輩?」 「あれはちゃんと成功したって言ってたよな」 「そう言ってましたけど……」 エリスが首をかしげながら答えると、柊は顎に手を添えて黙考し、そして誰に言うでもなく喋り始める。 ――柊 蓮司と志宝エリスはルイズの『サモン・サーヴァント』により召喚された。 異世界の存在を知らないハルケギニアの人間にはわからないだろうが、本来世界の壁を突破してゲートを繋げる行為はとてつもないものなのだ。 ファー・ジ・アースではそれこそ世界の守護者が率いる『ロンギヌス』並の組織力が必要だし、同じ外世界で言うならミッドガルドは送還の儀式に複数人数で七日間の準備期間を要した。 単独で異世界へのゲートを創る事を可能としたのは、柊の知る限り裏界でも一・二を争う力を持つ大魔王ベール=ゼファーと、その彼女の力を与えられた異界の守護騎士のみ。 つまりルイズのやった事は、いわゆる『魔王級』――それもかなり上位の存在が行使する力に近い事なのだ。 「じゃあルイズさんって実は凄い力を持ってるとか……」 「まあ俺等の基準でこの世界の力を判断していいのかわかんねえけど」 お手上げ、と言った風に柊が肩を竦めて見せると、隣で座っていたエリスはわずかに顔を傾けた。 「……ルイズさんには言ってあげないんですか?」 ぽつりと漏らすように彼女が言うと、柊は途端に難しい表情をしてしまった。 「あくまで俺等の基準で言えば、って話だし、言ったってどうせ信じないだろ。あいつ、俺達が異世界の人間ってこと、絶対信じてねえ」 「……ですよね」 嘆息交じりにエリスは返し、頭を垂れた。 目の前で月衣を見せられて、そして0-Phoneとその内蔵データを見てもルイズは未だに話半分でしか捉えていないのだ。 こうなると彼女の満足する『証拠』はそれこそ実際にファー・ジ・アースに連れて行くぐらいしかない。 だがそんな事ができるのなら彼女が信じようと信じまいと関係がなくなってしまう。 なぜならその時点で帰る方法が見つかっているのだから。 「……っ?」 そんな時、ふと眩暈を感じてエリスは頭を抑えた。 頭の芯にノイズが入ったような気がして、僅かに表情を歪める。 「どうした、エリス?」 エリスの様子に気づいて柊は彼女を覗き込む――と同時に。 地面が揺れるような衝撃と、爆音が響いた。 「!?」 二人は同時にそちらを向いた。 遠くで何か喧騒のような声が聞こえる。方向から行くと、確かルイズ達のいた教室のほうだ。 「なんだぁ……!?」 事態を確かめようと立ち上がった後、柊はエリスを思い出して顔を向けた。 どうやら眩暈(?)は収まっているようで、彼女も立ち上がって柊を見た後小さく頷いた。 二人は歩いてきた道を辿って教室まで駆けつけると、その中を見て思わず息を呑んでしまった。 整然としていた教室内は無残に荒れ果て、窓ガラスは片っ端から割れており、生徒達の使い魔が狂騒していた。 座席の下段の方は跡形もなく崩壊していた。中上段から避難していたらしい生徒達がおそるおそる頭を出していた。 ふと目をやれば、壁にもたれかかる格好でシュヴルーズが気絶している。 そんな大惨事の中で、何故か教壇に立ち尽くしているピンクブロンドの少女が一人。 彼女は所々破れた衣服を気にする風でもなく、乱れた髪をいっそ優雅と思えるほどに軽くかきあげて、言った。 「……ちょっと失敗したみたいね」 教室中から怒号が響き渡った。 前ページ次ページルイズと夜闇の魔法使い
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ゲルト「水だ!水を持ってこい!」 俺「そうか!」 俺「水よ!」 ジャバ シュゥゥゥ 俺「消えた!俺のお手柄だね!」 ゲルト「貴様!」 ゲルト「私達のズボンをこんなにしおって!」 ゲルト「何が手柄だ!元はと言えばお前が火をつけたんだろう!」 俺「ひぃ!」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー ーーーーーーーーーーーー ミーナ「あなた何でもできるんじゃなかったの?」 ミーナ「失敗しかしていないじゃない」 俺「ごめんなさい…」 ミーナ「私のズボンこんなにしてくれちゃってまったく…」 ミーナ「もうここにはもう置いて置けないわ」 俺「そんなぁ」 ウーーー 俺「うわ、びっくりした!なんだ?」 坂本「ミーナネウロイだ!」 ミーナ「ええ!今行くわ!」 俺「汚名挽回のチャンス来た!」 ミーナ「これ以上汚名を増やしてもらうのは困るんだけど…」 俺「早く行こう!」 ミーナ「あ!ちょっと!」 ミーナ「……」 ミーナ「不安だわ…」 949 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/10/26(火) 12 22 37.61 ID R2qcJnk3O たしかに汚名は返上するものだなw 950 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/10/26(火) 12 25 06.54 ID BulBQC5gO 坂本「お前も出るのか」 俺「汚名を挽回しに行くんだ!」 坂本「そ、そうか…ほどほどにな…」 ミーナ「ストライクウィッチーズ発進!」 『了解!』 俺「おお!格好いい!」 俺「じゃあ俺も!」 俺「風よ!」 ブワッ エイラ「ナンでストライカー無しで浮けるんダ?」 俺「俺、いきまーす!」 ヒューン ゲルト「あれか!」 坂本「コアはあの」 俺「俺頑張っちゃうよー!」 ヒューン 坂本「おいまて!勝手な行動は」 俺「土の精霊よ!俺に力を!」 身体能力UP!↑ティウン♪ 俺「チェストー!」 ドガーン ペリーヌ「素手でネウロイの装甲を砕きましたわ!」 坂本「信じられん…」 俺「風と水の合体魔法!」 俺「ストーム!」 ギュルルルルル ペリーヌ「今度は海から竜巻が!」 エイラ「ネウロイを飲みこんだゾ!」 パリィン 俺「倒したよー!」 ヒューン 俺「どうどう?俺凄い?」 俺「汚名挽回できた?」 坂本「ああ、できたぞ」 坂本「単独行動、命令無視」 坂本「ネウロイも倒したのにな」 坂本「汚名挽回のついでに名誉返上も出来てよかったな」 ミーナ「帰ったら私の部屋に来なさい。ご褒美をあげるわ」 俺「おお!やったー!」 ―ミーナの部屋― 俺「ご褒美は!?」 俺「食べ物か!」 俺「まさかキス!?」 俺「お、俺心の準備が///」 ミーナ「いいえ。もっと良いものよ」 俺「もっといいもの!?///」 ミーナ「そうよ。欲しいでしょぉ?」 俺「は、はは、はい!///」 ミーナ「あら、そんなに欲しがってくれるなんてよかったわ」 ドサッ 俺「なに?この紙の山」 ミーナ「ご褒美よ?」 ミーナ「これ全部に反省文を書いてもらいます」 俺「え、やだ」 俺「キスがいい」 俺「俺頑張ったじゃん」 ミーナ「あなた何をしたかまだわかってないの!」 ミーナ「あなたは何もいいことしてないの!」 俺「ネウロイ倒した」 ミーナ「ええそうね。でも命令違反をしたでしょう?」 ミーナ「プラマイゼロよ」 ミーナ「その残念な頭でも意味分かるかしら?」 ミーナ「本当なら追い出すところだけどあなたの強さに免じて反省文だけにしてあげたのよ?」 俺「えー無理無理、こんなに書けない」 俺「それに何を書いたらいいんだ?」 俺「それに俺軍人じゃないよ」 ミーナ「書くの?書かないの?」 ミーナ「書かないのならここに置いとけないわね」 俺「究極の2択じゃねーか」 俺「う~ん…」 俺「そうだ!取り引きをしよう!」 俺「俺若返りの魔法薬が作れるだ!」 ミーナ(若返り!?) 俺「それ上げるから反省文書かなくていい?」 ミーナ「規律が…いや若返り…規律…若返り…」 俺「綺麗になる薬もおまけするからさ!」 ミーナ「のったわ!」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー ーーーーーーーーーーーー 坂本「厳重注意だけですむなんてな」 ゲルト「しかしあの強さだ…」 ゲルト「戦力になると考えたんだろう」 エーリカ「で、俺はどこにいるの?」 坂本「部屋に閉じ籠ったきりでてこない」 ゲルト「それなりに反省しているのだろう」 エーリカ「ちょっと見に行って見ようよ」 ―俺の部屋― 俺「結構得意なんだよね薬の調合」 ぐつぐつ ぐつぐつ 俺「ついでに惚れ薬も作ってみよっと」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー ーーーーーーーーーーーー エーリカ「俺ー入るよー」 ガチャ 俺「今はだめー!」 ググッ エーリカ「いいじゃんいれてよー」 ギリギリ ゲルト「変われハルトマン」 ドン 俺「うわっ」 ドンガラガッシャーン エーリカ「ちょっと大丈夫?!」 俺「いてて」 ゲルト「すまん…」 俺「ああー!薬がー!」 俺「みんな息止めてー」 俺「吸っちゃだめー!」 エーリカ「…なんだか身体があつく///」ハァハァ ゲルト「ボーッとして変な気持ちに…///」 俺「なんかやばい!全部混ざって変なことに!」 エーリカ「…ねえ俺…はぁはぁ///」 ゲルト「はぁ…はぁ///」 俺(どうしよう!) 俺「とりあえず逃げるか」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー ーーーーーーーーーーーー エイラ「サーニャ///いいダロ///」 サーニャ「今日だけよエイラ///はぁ…はぁ…///」 俺「ここもだめか!次!」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー ーーーーーーーーーーーー 芳佳「うへへ…リーネちゃん///」 リーネ「あっ///芳佳ちゃん///」 俺「ここもか!」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー ーーーーーーーーーーーー ペリーヌ「少佐ぁ///」 坂本「ペリーヌ///」 俺「うわぁ…」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー ーーーーーーーーーーーー ルッキ「シャーリー柔らか~い///」 シャーリー「あっ///」 俺「oh...」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー ーーーーーーーーーーーー 俺「やっべえよ、なんか大変なことになっちゃったよ…」 俺「また怒られるよどうしよう…」 俺「なんの薬かさえわからないからなぁ」 俺「解毒薬作れないんだよなぁ…」 俺「はぁ~」 ミーナ「あら、こんな所にいたの」 俺「やばっ!見つかった!」 ミーナ「私の部屋に来なさい」 俺「は、はい…」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー ーーーーーーーーーーーー ―ミーナの部屋― ミーナ「ねぇ…身体がウズウズするの…」 ミーナ「はぁ…はぁ…///」 ミーナ「ねぇ…いいでさしょ…///はぁはぁ///」 俺「ちょ!鬼ババア!抱きつくな!」 俺「ちょっとー!」 987 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/10/26(火) 15 50 13.65 ID rY7SiJ1e0 ほうほう 988 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/10/26(火) 15 52 11.98 ID BulBQC5gO ミーナ「そんなに怯えなくてもいいのよ~///」ハァハァ ミーナ「ほらぁ~すぐよくなるから」 ミーナ「ね?どぉお?」 俺「」 ミーナ「うふふ…可愛いわね」 ミーナ「もっと可愛いがってあ・げ・る」 俺「」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー ーーーーーーーーーーーー 989 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/10/26(火) 15 53 23.54 ID L4AUUCYdO ほほう 990 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/10/26(火) 15 59 59.62 ID BulBQC5gO 師匠「まったくけしからんな」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー ーーーーーーーーーーーー 俺「んん…っ?」 ゲルト「目が覚めたのか」 俺「あれ?みんないる」 俺「どおしたの?」 ミーナ「なんてことをしてくれたの」 俺「ええっ!?」 ミーナ「あなたにはここをでていってもらいます!」 俺「」 坂本「短い付き合いだったな」 俺「そんなぁ…」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー ーーーーーーーーーーーー 魔法使いの弟子3へ続く
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前ページ次ページルイズと夜闇の魔法使い 「おう、エリス。ただいま」 「あ、お帰りなさい……な、なんですかこれ?」 慌てて姿勢を正してお辞儀をしたあと、エリスは部屋の真ん中に置かれた衣装箱の山を見て眼を丸くした。 「服よ。買ってあげるって言ってた奴」 「え? あ、ありがとうざいます……えっ?」 至極当たり前と言った風に告げたルイズにエリスは反射的に礼を言い、そして眉を潜めた。 それはそうだろう、せいぜいがバッグ一抱えといった所が関の山な一般人のエリスでは、文字通りで山のような衣装箱など想定できるはずもない。 ……もっとも、その値段を聞いたら驚くどころか卒倒するかもしれないが。 「ところで、何かあったのか? 随分焦ってるみたいな感じだったけど」 「……あ! 先輩、これ……っ」 柊に言われて思い出したのか、エリスは慌てて持っていた紙――コルベールが描いた『破壊の杖』の絵を柊に差し出した。 それを手渡された柊は軽くそれを観察し、あっさりと答える。 「なんだ、箒じゃねえか。エリス、お前絵が上手いんだな」 「箒?」 ルイズが柊の手から紙を奪い取ってそれを見やり、首を傾げる。 「……これのどこが箒なの?」 「いや、掃除に使う箒じゃなくってな。ガンナーズブルームっつって……俺等の世界で使ってるマジック・アイテムみたいなもんだ」 「またその手の代物……?」 胡散臭げに眉をしかめるルイズを他所に、柊はエリスに目を向けて少し困ったように告げた。 「エリス、あんまこういうのを描くってのは――」 「ち、違います! それ、私が描いたんじゃないんです!」 「……は?」 そしてエリスは事情を二人に話し始めた。 勉強中にコルベールに会って追求から逃れられず、異世界のことを話してしまったこと。 宝物庫に納められているという『破壊の杖』のこと。 そしてコルベールが描いた『破壊の杖』の絵が、柊達の見ているものであること。 聞くに従って柊の表情が真剣になり、そして思案顔に変わっていく。 エリスが異世界に関して話してしまった点については、一度渋い顔をして見せたが特に咎めることはなかった。 何しろ柊自身、彼のような類の人間に追及されたら誤魔化しきれないのがわかっていたから逃げていたクチなのである。 むしろ目的であるファー・ジ・アースへの手がかりが降ってきたので瓢箪から独楽というべきかもしれない。 とはいえ、仮に『破壊の杖』が本当に箒――ガンナーズブルームだったとしてもそれ自体は重要ではなかった。 柊達がこのハルケギニアにいる以上、ゲートなり何なりでファー・ジ・アースと繋がる事は確かなのだ。 それ以前に人なり物なりが辿り着いていてもおかしな話ではない。 重要なのはそれが単体できたのか、それとも持ち主ごと来たのか。そして後者ならばその持ち主は今何処にいるのか……である。 「あの爺さんに話を聞いてみるか……」 「それなんですけど、コルベール先生やロングビル先生が学院長に話を通してくれてるそうです。戻ったら伝えて欲しいって」 「マジか! すげえな、何か道が開けてきたぞ……!」 「それじゃ私、先生達に言ってきますね」 「頼む。ありがとな、エリス」 柊が喜色を称えて言うと、エリスは嬉しそうに微笑んでからぺこりと頭を下げて部屋から出て行った。 膨らんできた期待感で平手を撃つ一方で、脇で話を聞いていたルイズの表情はどこか暗かった。 「……どうかしたのか?」 「……。なんでもない……」 怪訝そうに窺う柊に、ルイズは呟くように小さく答えた。 ※ ※ ※ 学院長室を訪れた柊達三人を待ち受けていたのは、部屋の主たる学院長――オールド・オスマンの仏頂面だった。 彼は柊達がロングビルに先導されて入室したのを見届けると、脇に立っているコルベールを一瞥して苦々しく口を開いた。 「研究熱心なのは構わんが、いささか口が軽くなるのが玉に瑕じゃのう」 「それは返す言葉もありませんが……しかし彼等が異境の地に迷い込んでいるのは事実なのです。帰る手助けをするのは人として当然でしょう」 「キミは『破壊の杖』やら異世界やらの話を聞きたいだけじゃろ?」 オスマンが言うとコルベールはうっと言葉を詰まらせ、愛想笑いをしながら視線を反らしてしまった。 改めてオスマンは柊達に視線を送ると、溜息混じりに口を開く。 「やはりと言うべきか何というか、君達も異世界とやらの人間だったんじゃのう」 「……知ってたのか?」 「グラモンの馬鹿息子との決闘であたりはつけておった。後の行動も大方『彼』と同じだったしの」 オスマンの声に柊の眉がわずかに揺れる。 柊は一歩前に進み出ると、コルベールが描いた『破壊の杖』の絵を示しながら言った。 「とりあえず、これが本当に俺達の世界のものか確認させてくれねえか」 「致し方あるまいな」 柊の言葉を受けてオスマンは立ち上がり、柊達を先導して宝物庫へと案内した。 錠を開け、扉を開いてから彼は振り返り柊とエリス、ルイズ、そして付いてきたコルベールとロングビルを順繰りに見やる。 「柊くんとエリスくん、それと……主人たるミス・ヴァリエールは聞いておくべきじゃろうな。残りはここで見張っておくよう」 「そんな殺生な!」 一緒に話を聞けると思っていたコルベールが悲鳴を上げるが、それには構わずオスマンは柊達を宝物庫へと招き入れて扉を閉めた。 念のために懐から杖を取り出して扉にロックをかける。 雑多に納められた数々のお宝を物珍しそうに眺める三人を促し、彼は数多の杖が飾られている一角へと案内した。 名前の彫られたプレートを見るまでもなく、目的のものはすぐに見つかった。 ソレは他のどんな杖よりも大きく、飾られている場所を占有していたからだ。 壁に立てかけられて固定されている『破壊の杖』を見てルイズは純粋に驚きを露にした。 エリスと柊も別種ではあったがやはり驚きを覚え、そして妙な懐かしさを感じてしまった。 なにしろ異世界で自分達の世界のモノを見ることになるとは思わなかったのだ。 「どうかね?」 後ろから届く確認の声に、柊は大きく頷いてから手を伸ばした。 「間違いねえ。これはファー・ジ・アースの箒――『ガンナーズブルーム』だ」 箒(ブルーム)と通称される、ウィザード達が世界を侵す侵魔に対抗するために作り上げた個人兵装。 緋室 灯が使用しているモノとは少々ディテールが異なるが、基本的な構造は間違いなく箒のそれだ。 少々古ぼけているので少し前の世代のものなのかもしれない。 柊が軽く表面をなぞると、埃の取れた地金に刻印が見えた。 擦り切れかけた黒塗りの斧のペイント、その刃をなぞるように刻まれた文字は[Kill em All !!]。 対侵魔組織の巨大派閥である『絶滅社』のロゴである。 「コレを使ってた奴はどうしたんだ? さっき学院長室で『彼』って言ってたよな」 オスマンを振り返って柊が尋ねると、彼は懐かしむように虚空を眺めながらそれに答える。 「そうさの、もう三十年ほど前になるか……ここから山を一つ越えた辺りの森に散策に出ておったら、ワイバーンに出くわしたんじゃ。 明らかに生息域からは離れておったが、運が悪かったんじゃろうの。 ……元より幻獣種と単身でやりあうなど分が悪すぎるが、ソイツはとにかく凶暴で手が負えんかった。 精神力も尽き果ててもうダメかと思った時――『彼』が武器も持たずにふらりと現れおった」 「……じゃあ、学院長はその方に助けられたんですか?」 エリスが呟いた言葉に、オスマンは何故か黙り込んでしまった。 首を捻る一同を他所に彼は僅かに顔を俯かせ、肩をわなわなと震わせながら、低い声で言った。 「……いや。殺されかけた」 「はあっ!?」 その男は虚空から『破壊の杖』を取り出すと、柊が決闘の際に放ったのと似たような光(おそらくプラーナだろう)を纏わせて杖を振るい、ワイバーンを木っ端微塵に吹き飛ばした。 そして彼はそれを喜ぶでもなく、呆気に取られるしかできないオスマンを振り返り――まるで人形のような顔つきで『破壊の杖』をオスマンに突きつけたのだ。 「ワイバーンを一撃で粉砕する超ド級の危険物を人様に向けてきおったのじゃぞ!? しかもフォートレスだのエミュレイターだの訳のわからんことを言いおってからに!! いたいけなジジイに対して何たる仕打ち! こいつはメチャ許せんよなぁ!!」 「落ち着け爺さん!?」 「落ち着いてください!?」 ガクガクと激しくヘッドバンギングしながら叫ぶオスマンに思わず突っ込みながらも、柊はなんとなく状況を理解した。 おそらくその彼はハルケギニアを侵魔の張った異空間――月匣(フォートレス)だと思ったのだろう。 既に異世界に関して知識と耐性があったヒイラギならばともかく、普通のウィザードならいきなりこんなファンタジー世界に放り出されればそれを想定するはずだ。 もしこれが緋室 灯だったならまず間違いなく威嚇としてガンナーズブルームをぶっ放す所までいったはずだ。 そういった意味ではオスマンは幸運だった。 「お、おぉ……ふぅ。大丈夫じゃ、わしはクールじゃよ……」 どうにか平静を取り戻したオスマンは改めて話を再開した。 その後何とか状況を理解してもらって和解はしたらしい。 しかし彼は激しい戦闘を行っていたのか、酷い怪我を負っていた。 一応命を救われた事になるのでオスマンはその男を学園に連れ帰り治療する事にしたのである。 怪我は大きかったものの幸いにして命は取り留めた。 しかし事情を聞いても彼は頑として自らの事を話さなかった。 オスマンが聞き出せたのはかろうじて彼が『ハルケギニアではない場所』から来たという事だけだった。 そして彼は傷が快復すると、柊達と同じように文字を学びながら元の場所に戻る方法を探し始めたという。 「……で、そいつは今どうしてんだ? まさか戻る方法を見つけて帰ったのか?」 ようやく目的の話題になってきて柊はオスマンに詰め寄った。 しかし彼は悲しそうに首を左右に振ると、 「亡くなった。一ヶ月程後の事じゃ」 「……何かあったのか?」 「何もなかった。彼は図書室に篭って調査し通しとったんで、何も起こりようがない。一週間ほどが経って、彼は唐突に倒れたのじゃ」 原因はまったくわからなかった。 出会った時に負っていた傷は総て治療したし、毒の類に冒されているという事もなかった。 しかし彼は一向に快調の兆しを見せずどんどん衰弱していき……そのまま息を引き取ったという。 結局彼は、オスマンに詳しいことを何も語らずに逝ってしまった。 「高名な水メイジに診せたところ、何やら身体の水の流れが人間とは思えないほど異常じゃったと言っておったが……」 「……!?」 それまで沈黙を保っていたルイズの顔色が変わった。 彼女は柊を押しのけてオスマンに詰め寄ると、酷く切羽詰った様子で訴える。 「オールド・オスマン! それって、病気か何かだったんですか!?」 「わからんよ。さっぱりお手上げじゃ……彼は自分で持っとった薬を飲んでおったがわし等には渡してくれなんだし、結局効かなかったようじゃがの」 「薬……!?」 ルイズは呻くように言うと、次いで柊を振り返った。 そして今度は柊に向かって言う。 「柊、何か知らないの!? あんたの世界の人間だったんでしょ!?」 今まで見たこともない、張り詰めた表情のルイズを見てエリスは困惑しながら柊に眼を向けた。 彼は顎に手を当ててしばし思案すると、オスマンに向かって尋ねる。 「あんたが会ったそのウィザード……なんつうかこう人形みたいな感じじゃなかったか? 表情が読めないっていうかそもそも感情がないっていうか」 「む……その通りじゃ。何を言ってもほとんど表情を見せぬし、最初顔を見たときはガーゴイルかと思ったぐらいじゃ」 言い当てられて驚きを見せたオスマンから目を離し、柊はガンナーズブルームを見やる。 「……絶滅社の強化人間か人造人間だな。多分調整ができなくなったから……」 侵魔に抗するために人為的な投薬と強化処理を施したウィザード――それが強化人間や人造人間である。 強化人間である緋室 灯に代表されるように、彼女等は通常のそれに比して高い戦闘能力を得られる一方で、 感情や形成人格の欠損・日常に対する適正の欠如・過剰強化による精神肉体への悪影響などといった副作用も抱えてしまう。 これらを緩和するために必要なのが『製造元』で行う調整作業だ。 この作業は強化度合いによって頻度も異なる。 緋室 灯は月に何度か絶滅社で調整をしているし、酷い例では調整を行ってなお『耐用年数』が二十年に満たない個体も存在するという。 現在のファー・ジ・アースでさえそうなのだから、三十年前ではより調整作業は必須のものだっただろう。 当然の事ながら、異世界では調整などできようはずもなかった。 「調整? その調整っていうのをすれば、病気が治るの?」 「根治はできねえかもしれねえけど……調整を受けてる限りなら、まあ魔王とドンパチやらかすぐらいには元気だな」 「そう……ファー・ジ・アースにはそんなのがあるの……」 「……ルイズさん?」 エリスは先程からどうにも様子がおかしいルイズを心配そうに覗き込んだが、彼女は逃げるようにエリスから顔を逸らすと引き下がってだんまりを決め込んでしまった。 柊とエリスと互いに顔を見合わせて首を捻るが、思い当たる事がある訳もない。 「……まあともかく。わしの知っておる『破壊の杖』にまつわる由来はこれくらいじゃな」 「あ、あぁ、すまねえ。参考になった……」 参考にはなったが、手がかりは結局何一つ得られなかった。 やはり地道に探すしかないということなのだろう。 「ありがとうございます、学院長」 折り目正しく頭を垂れるエリスにオスマンは一つ頷くと、ふと思い出したように『破壊の杖』に歩み寄った。 「一つ聞いておきたいことがあるんじゃが、よいかね?」 「俺にわかる事なら……」 「この『破壊の杖』は、まだ"使える"のかね?」 「……」 持ち主のウィザードが亡くなった後に状態保全の魔法である『固定化』を施したが、何をどうやっても彼が使っていた時のような力は発揮されなかったらしい。 柊は許可を得てガンナーズブルームを抱え上げると、軽く状態を確認する。 そして囁くように二言三言何かを呟くと、首を左右に振った。 「ダメだな、使えねえ……少なくともこの世界の人間には無理だし、俺とエリスにも無理だ」 躯体内部に施されている圧縮弾倉――月衣の技術を応用して空間を圧縮し、その中に弾頭を収めている――にはまだ十分に弾が残ってはいた。 だが、弾倉から弾を取り出すためにはロックを解除するキーコードが必要になるのだ。 知っているコードをいくつか試してみたが、弾倉が開放されることはなかった。 大抵は規格ごとに統一されているが三十年前ならコード自体違う可能性は高いし、個人で設定していたら事実上本人以外には扱えない。 ガンナーズブルームの機構に詳しい人間ならともかく、その分野に詳しくない柊ではコレを使うことは出来ない。 ――もっとも『武器』としての機能が使えないだけで、『箒』が『箒』と呼称される所以といわれている機能については問題ないようだが。 ガンナーズブルームを元の場所に戻しながら答えた柊を見ながら、オスマンはふむと顎に手を添えた。 しばし何やら考えるような素振りを見せると、彼は柊に向かって口を開く。 「なら、この『破壊の杖』はキミに預けよう」 「え!? これってここのお宝みたいなモンだろ!? いいのかよ!」 「構わんよ。元々わしの私物のようなものじゃし、あのような危険な力が不埒者に使われるのを防ぐためにここに収めたんじゃからな。 使えぬというなら、これはもうわしの恩人の形見でしかない」 言いながらオスマンは『破壊の杖』に手を添え、昔を懐かしむように眼を細めて言葉を続けた。 「それに、彼も生前はキミと同じように元の世界とやらに帰ろうとしておったが、結局それは叶わなんだ。 ならばせめて、これだけでも故郷に帰してやってくれんか」 「……。わかった」 老人の言葉に柊は静かに頷くと、ガンナーズブルームを手に取った。 それはウィザードとして鍛えた柊であってもそれなりに取り回すのに慣れがいるほどに重量がある。 だが、この重みは単にモノ自体の重さだけではないような気がした。 「少々かさばるが、君なら大丈夫じゃろう?」 「ああ、大丈夫だ。ちゃんと元の世界に返すからよ」 「他にもいくつか彼の遺品があるが……それはどうするね? 結構な大きさの水晶なんじゃがのう」 「……。いや、それはいいよ」 言いながら柊はガンナーズブルームを月衣の中に収納した。 オスマンの言っているそれはおそらく特殊弾頭――魔力水晶弾だろう。ガンナーズブルーム使いなら持っていてもおかしくはない。 通常弾が使えなくともそれがあれば射撃武器としての運用は可能だ。 ……が、柊はそれを貰おうという気はまったく起きなかった。 もとより柊の専門は剣であって射撃武器は好みではないし、何よりそれではオスマンに伝えた言葉も渡してもらった意図にも悖ってしまう。 オスマンは像が揺らいで虚空に消えていくそれを名残惜しそうに見届けた後、三人を眺めやって告げる。 「この事はくれぐれも内密にの。ミス・ロングビルは規則や何やと喧しかろうし、コルベールに至っては言わずもがなじゃからの」 「……わかりました」 「けどよ、いくらなんでもあんなのがなくなったらすぐにバレるんじゃねえの?」 「何、近いうちに模造品でも作って飾っておくわ。どうせ誰にも使えんのじゃから、それで十分じゃろ」 闊達と笑いながら言ってのけるオスマンに三人は顔を見合わせると、呆れたように溜息をついた。 ともかく、これ以上ここで得られそうな情報はありそうにない。 三人はオスマンに促され宝物庫を後にした。 部屋を出る間際、ふと思い出したように柊はオスマンに向かって言った。 「……今度時間がある時でいいから、その人の墓とかに案内してくれねえかな。ちゃんと挨拶しときてえから」 「……お安い御用じゃ」 照れくさそうに言う柊をまじまじと見やった後、オスマンは破顔して彼の肩を叩いた。 前ページ次ページルイズと夜闇の魔法使い
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前ページ次ページルイズと夜闇の魔法使い 『このメールが無事にPCに届いている事を、 そして君がこのメールを無事に読める状況にあることを願って。 才人くん、元気にしているだろうか。 「そちら」が「こちら」の時間が同期しているかどうかはわからないが、君がいなくなってから「こちら」では約半年が経過している。 今更言う事ではないのかもしれないが、今君がいる場所は「地球」ではない。 俗な言い方をすればいわゆる「異世界」と呼ばれる場所だ。 君達の常識では考えられないことかもしれないが、この世にはそういった常識の「外側」が存在する。 君が今いる異世界もそうだし、君が今まで生きてきた地球も例外ではない。 かくいう俺自身も、そういった「外側」を知りそこに生きている人間でもある。 ご両親から君が行方不明になった事を聞いた時は、正直驚いた。 だが、君が俺の修理したPCを持ったまま行方を消した事が不幸中の幸いだった。 ……実は、君のPCにはちょっとした遊び心で改造を施してあったのだ。 いわゆる「外側」の技術を使ったものだ。 まあ充電不要になるとかちょっぴり余分な機能がついている程度で普通に使う分には気付く事もないようなものだ。 ただ……いやなんでもない』 ※ ※ 「イノセントのPCを魔改造してんじゃねえよ……」 「き、気になる所で切んないでよ叔父さん! ただ何なんだよ!?」 『なに、ちょっと特殊な操作をするとボーンと爆発するだけだ。あまり気にするな』 「メールが返事すんなよっ!? っつうか自爆装置とかつけんなよ!?」 「お、俺のPCにそんなロマン機能がっ!?」 ※ ※ 『話を本題に戻そう。 とにかく、そんな訳で君のPCには俺謹製の処理が施されてあったのだ。 行方不明という事を知った後、俺はそれを頼りに独自に捜索を行なった(GPS的な用途に使ったと思ってくれればいい)結果、君が地球ではなく別の世界にいるという事を突き止めた訳だ。 ……突き止めたまではよかったが、そこからが問題だった。 君がいる「場所」はわかったのだが、そこに辿り着くことができなかったのだ』 ※ ※ 「……」 メールを見ながら柊は眉を潜めた。 文面のそのフレーズは以前にフール=ムールが言っていたのとほぼ同じなのである。 ――見つけたところで喚ばれぬ限り"辿り着く"ことはできない。 (どういう事だ? ファー・ジ・アースの人間はこっちに来れない理由があるのか?) フール=ムールはそれを『ここがハルケギニアだから』と言っていたような気がする。 この世界は主八界とか関係ない『外世界』ではなく、ファー・ジ・アースと何らかの関係がある世界なのだろうか? 答えの出せない疑問を胸に浮かばせながら、柊はメールを読み続ける。 ※ ※ 『俺のできる限りの知識やコネを使ってそちらに繋がるゲートを作ろうと試みたが、それは叶わなかった。 そもそもの話、「外側」の技術で君達イノセント(外側を知らない一般人)に対して過度の干渉をする事はあまり薦められた行為ではない。 俺が取引した、ゲートを作り得る技術を持った組織もその趣旨は例外ではなく、組織のトップにいる人物はその点に関して殊に厳格だった。 結果としてゲートが繋げられない事実が判明すると早々に捜索は打ち切られてしまった。 こうして君にメールを送ったのは苦肉の策、あるいは最後の手段だった。 無事に届くという保障はないが、何もしないよりはマシだろう。 長々と書いてしまったが、結論としては「こちらからは君を助ける事ができない」という事になる。 そう結論付けることしかできないのは非常に心苦しい。俺の力の及ばなかったことを許して欲しい。 無責任な言い方かもしれないが、決して諦めないでくれ。 俺や君の御両親、君の友人。そういった人達が君の戻ってくることを待っている事を忘れないでくれ。 彼等は君と同様イノセントなので事情を明かす訳にはいかず、とりあえずは俺の勤めているミーゲ社の所在地……つまりドイツに留学という形で処理している。 だから君は何も心配せず、ただこちらに戻ってくる事にだけ頑張って欲しい。 故意にせよ事故にせよ、こちらとそちらを繋ぐゲートが存在した以上、必ずそれを作る手段があるはずだ。 それに、君は覚えていないだろうが、君には以前からこの手の「外側」に対する適応力が見て取れていた。 だから俺は、君が今の状況を受け入れそして乗り越える事ができると信じている。 再び君と会える日が来ることを、心から祈っているよ』 ※ ※ ※ 「……叔父さん」 サイトはわずかに顔を俯かせ、手の甲で目元を拭った。 一緒にメールを読んでいた柊が、力強く肩を叩く。 「大丈夫だ。俺も手伝う。俺もこの十蔵って人と同じウィザード……『外側』ってのを知ってる人間だから、力になれる」 「……うん」 ありがと、と呟くように言った後サイトは改めてメールを見やった。 そして柊に眼を向け、尋ねる。 「俺のこと、ドイツに留学って事にしてるみたいだけど……」 懇意にしている親戚ではあるが、基本ドイツに在住している十蔵にすぐに連絡がいくという事はあまりないはずだ。 つまり十蔵がそれを知ってサイトの事情を調査し、そして対応するまでに行方不明という事はそれなりに広まっているはずだ。 果たしてそれで誤魔化せるものなのだろうか。 すると柊は腕を組んで少し考えると、 「多分記憶処理かなんかだろうな。地球じゃそうやって『外側』の事を知られないようにしてるんだよ」 「き、記憶処理って。それじゃ……」 「……。お前は最初っから行方不明になんてなってなくて、単にドイツに留学してるからいないだけ……って周りの人達は思ってるってことだ」 「そんな……」 幾分申し訳なさそうに柊が言うと、サイトは顔色を失って肩を落とした。 「けど、親御さんとか友達に行方不明だって心配かけるよりはずっといいだろ?」 「それは、そうだけど」 理屈としてはそれは理解しているし、心情としてもそういった人達に心配をかけたくない、かけずにすむ事になって安堵しているというのは確かにある。 だが、その一方で自分がこんな事になっているのを知らず、自分がいない事に疑問も抱かないどころか気付いてさえいないという事実に、まるで見捨てられたような感覚も覚えるのだ。 矛盾した感情を上手く処理する事ができずに、サイトは呆然とメールの開かれたディスプレイを見つめることしかできなかった。 柊はそんなサイトを見やって口を開きかけたが、上手く言葉にできずに黙り込んでしまう。 部屋に下りた沈黙を破ったのは、搾り出すようなか細い少女の声だった。 「……サイト」 「テファ?」 振り返って彼女に眼を向け、サイトは眼を見開いた。 椅子から立ち上がり、しかし近寄りがたいように立ち尽くしてサイトを見やる彼女の顔は酷く翳っていて、今にも泣きそうに見えたのだ。 「その手紙……みたいなの、私には読めないけど……家族の事が書いてあったの?」 「あ……うん。まあ……」 サイト達がハルケギニアの文字を知らなかったのと同様、ティファニア達には地球の文字が読めないのでメールの内容はわからないだろう。 だが、その後の柊との会話でなんとなく類推することはできたはずだ。 誤魔化すこともできずにばつが悪そうにサイトが答えると、ティファニアは顔を俯けてしまう。 「ごめんなさい……」 「……テファ」 「私のせいだよね? 私がその地球からサイトを召喚しちゃったから、サイトは家族とも離れ離れになって……」 「い、いや。テファのせいじゃないって。別にわざとやった訳じゃないし、俺だって何も考えないで馬鹿みたいな事しちゃったからこうなったんだし」 サイトは慌ててティファニアに駆け寄ると、宥めるように肩に手を置く。 すると彼女は俯いたままサイトに身体を寄せて、顔を彼の胸に埋めた。 ――泣きそう、ではなかった。 サイトの胸にしがみつく様に身体を寄せる彼女は、泣いていた。 「ごめんなさい。私にできること、何でもするから。虚無の魔法っていうのも、覚えられるようがんばるから」 ティファニアはサイトに顔を向けないまま、肩を震わせて言う。 「――メロンちゃんとかもやるから」 「いや、メロンちゃんはもういいから!?」 マチルダの殺気が膨らんだのを察知して、サイトは慌ててティファニアの両肩を掴んで引き剥がす。 そしてサイトは見上げる彼女を真っ直ぐに見据え、ふっと笑って見せた。 「大丈夫だよ、テファ。柊も協力してくれるし、どうにかなるって。父さんとか母さんの事だって、叔父さんが上手くやってくれてるって書いてた。だからテファが心配することなんてない」 なおも不安そうな表情で見つめてくるティファニアの視線を受けてサイトは一瞬言葉につまり、そして少しだけ眼を反らしながら照れ臭そうに呟いた。 「だから、その……テファにそんな顔されてる方が、困る。テファは笑ってる方が似合うと思うし……その。ほら、俺、使い魔だから、テファのこと守るのが仕事だから、俺が泣かしたみたいなのは……」 「……サイト」 少し前にマチルダに似たような事を言ったのを思い出して口に出してしまったが、気恥ずかしくなったのかサイトは次第にしどろもどろになって最後には完全にそっぽを向いてしまった。 ティファニアはサイトの言葉を胸の裡で反芻すると、僅かに頬を染めてくすりと笑みを浮かべた。 それを見てマチルダは口の端を歪めてふんと鼻で笑い、柊もにやにやとした表情で「言うなあ」と零す。 周囲の反応を見やってサイトは羞恥に顔を染めた。 「か、勘違いしないでよね! これはただの使い魔の仕事なんだから!」 「なんでそこでツンデレなんだよ!?」 呻くように叫んだサイトにすかさず柊が突っ込むと、テファは今度こそ声を漏らして笑った。 沈殿してした空気がどうにか持ち直した事に柊は安堵を覚えつつも、 (……ルイズもこれくらい協力的だったらなあ) 僅かばかりの羨望を感じてしまった。 しかしよくよく考えてみると、ルイズは柊に対してはともかくエリスに対してはそれなりに柔らかい対応をしているし、エリスもうまくやっているようだった。 (もしかしてぞんざいに扱われてるの俺だけなのか……?) なんとなく釈然としない気分になった。 柊は気をそらすようにしてノートパソコンに眼を移し、サイトに声をかける。 「サイト。他のメール、いいか?」 「え? あぁ」 言われてサイトも思い出したかのように再びノートパソコンへと歩み寄る。 十蔵からのメッセージはあれで終わりだったが、送られてきたメールは一つだけではない。 残ったメールには全て添付ファイルがついているというのも気になる所だった。 サイトは二番目に送られてきたメールを開いた。 ※ ※ ※ 『追伸。 君を救出する事は叶わないが、せめてもの力添えをしたいと思いコレを送る。 もし君のいる世界が平穏に満ちた場所であったのなら、コレは無用の長物だ。 場所を取って大変邪魔になるので、このままファイルを開かずに放置しておいた方がいい。 だがもしそうでないのならば、コレは君の力になってくれるはずだ。 コレは君の翼だ。君にはコレを扱う「資格」がある。 俺の翼は既に折れてしまったが、君ならば俺の届かなかったあの蒼穹の果てにも辿り着けるだろう。 君に戦乙女の加護のあらんことを。 平賀 十蔵 』 ※ ※ ※ 「……なんだ?」 書かれている内容がいまいち理解できずサイトは首を捻ってしまった。 ちらりと隣の柊を覗いてみたが、彼もまた眉を潜めている。 ただ、その表情はサイトのように意味がわかっていないというのではなく、何事かを考えているようでもあった。 「どういうことか、わかる?」 「……なんとなく」 サイトの問いかけに柊は呟くように返した。 サイトの状況を理解していてこの内容だとすれば、おそらく送られてきたという『何か』はウィザードの技術を使ったものなのだろう。 更に言えば、文中で書かれていた通り『平穏でない場合に力添えになる』ものでもある。 添付ファイルで送られてきたという事はおそらくその中身は術式プログラムである可能性が高い。 術式プログラムとは回復魔法などと言った魔法技術を電子プログラム化して軽量化と効率化を図ったもので、中には魔術書一冊が丸々プログラム化してメモリの中に封入してある事さえある。 しかし、この術式プログラムをインストールするためには機器に《メモリ領域》という専用の記憶媒体が必要になるのだ。 これはかなり特殊な技術であり、柊やエリスの0-Phoneにすら搭載されていない。 「イノセントのPCにどこまでやってんだよ……」 普通に使う分にはまず気付かれない範囲とはいえ、いくらなんでもやりすぎな改造に柊は嘆息した。 そして不思議そうに覗き込んでくるサイトに眼を向けると、肩を竦めて見せた。 「まあ、お前の叔父さんが信用できる人なら悪いもんじゃねえだろ。開いてみればいいんじゃないか?」 「……んじゃ」 僅かに逡巡した後、サイトは添付ファイルを開いた。 ――同時にディスプレイ上にある全てのウィンドウが閉じ、画面一杯に新しいウィンドウが開かれる。 その直後、まるで滝のように意味のわからないプログラム言語が流れ出した。 「う、うわあっ!? な、なんだコレ!! ウィルスとかじゃねーの!?」 「俺にもわかんねえよ!」 怒涛の勢いで溢れ流れる文字群にサイトは思わず身を強張らせる。 処理が追いついていないのだろうか、PCがガリガリと嫌な音を立て始めた。 「大丈夫なのか? 本当に大丈夫なのか!?」 「だからわかんねえって――」 サイトが泡を食って柊に詰め寄ろうとした時、PCに更なる異変が起こった。 流れ続けるプログラム言語はそのまま、ディスプレイ上に淡く光る魔方陣が描き出されたのだ。 「お、俺のPCがァーーっ!?」 「さ、サイトちょっと下がれ!」 柊はサイトを引き摺るようにして後ろに下がらせて、PCとの間に立ち塞がるように位置取った。 危険はないとは思うのだが流石に不安になり、月衣からデルフリンガーを取り出すか数瞬迷う。 と、その間にPCの異音がぴたりと止まり、それと共に流れていたプログラム言語も停止した。 ディスプレイ上で淡く明滅する魔方陣に眉を潜めながら、柊はPCを――画面一杯に陳列するプログラム言語を凝視する。 この手の知識がない柊にはその内容も意味も全く理解できなかったが、かろうじて読み取れる単語を見つけ出した。 「ガーヴ……月衣?」 改めて画面を見渡すと、その単語がいくつか散見できる。 という事は、このプログラムと魔方陣は月衣に関する何かなのかもしれない。 サイトやティファニア、マチルダが言葉も失って呆然と見やる中、柊はPCに歩み寄ってディスプレイに手を伸ばした。 五指が液晶の画面に触れ――その手が画面の中に入り込む。 「な、なにしてんだ!?」 「……多分、この『中』に十蔵って人が送ってくれた物が入ってる」 「中ぁ!?」 この魔方陣はおそらくガンナーズブルームの圧縮弾倉と似たような代物なのだろう。 それをプログラム化して送ってくる辺り、平賀 十蔵というウィザードはかなり優秀な技術者のようだ。 「……あった。コイツは――」 中に収納されている『何か』を掴み取り、次いで眉を顰めた。 そして柊はソレをしっかりと掴んだまま引きずり出す。 魔方陣の中から現実の空間に顕れたそれは――巨大な剣だった。 「やっぱり、ウィッチブレードか」 ガンナーズブルームを始めとしたウィザード達が用いる『箒』――その中でも近接戦闘型のモノだ。 現在柊が所有している一世代前のガンナーズブルームはどこか機械的で無骨な印象があるが、こちらは現行型で全体的に洗練されたフォルムを持っている。 「す、すげえ……」 完全に現出したウィッチブレードを凝視しながら、サイトが感嘆にも似た声を上げた。 これまで呆気に取られるしかなかったマチルダは、やはりどこか呆然と言った態で呻く。 「……一体なんなんだ、それは……」 「箒……あー、『破壊の杖』の同類みたいなもんだよ」 「破壊の杖? 全然似てないじゃないか」 「用途が違うだけで同じ系統のモンなんだよ。あっちは『銃』でこっちは『剣』」 言いながら柊はウィッチブレードを起動させる。 反応を示す音と共に重低音が響き渡り、後部スラスターから淡い魔力光が零れだした。 動作は特に問題なさそうだ。 おおおー、と感動した面持ちで歓声を上げるサイトを他所に、柊はウィッチブレードの状態を確認していく。 オプションスロットには姿勢制御用のスタビライザと、出力上昇用のエネルギーブースターがいくつか。 いわゆるフル装備という奴である。 イノセントにどこまでやる気なんだよ、と柊は眉を顰めながら各部位をチェックし、 「……なんだこりゃ?」 思わず上擦った声を上げてしまった。 この箒、外見上はウィッチブレードに属するそれなのだが、中身がまるで別物で性能も奇妙な代物だった。 まず、スペックでいうと現行のウィッチブレードをかなり上回っている。 柊の知る限り現行の箒の中では最上級とされる『エンジェルシード』と比較しても遜色ない……どころか、それすら凌駕しているといっても過言ではない。 ――のだが、『制限機動』というモード設定によって出力と一部機能にリミッターがかけられている。 しかも肝心要のコアユニットが現行のウィッチブレードと同一規格なので、スペックを十全に発揮するには出力が圧倒的に不足していた。 例えていうならF1のレーシングカーに普通車のエンジンを載せているようなものだ。 通常のウィッチブレードと同程度の性能は発揮できるとはいえ、これでは竜頭蛇尾もいいところではないか。 「試作機……未完成品ってところか」 言いながら柊がウィッチブレードを軽く振るうと、剣身に通常の魔導具に用いられる魔術刻印のルーンとは異なるサインを見つけた。 記された文字は『VALKYRIE-03』。 「ヴァル……ヴァルキューレ03? この機体の名前か?」 ナンバーが振ってあるという事はあるいは何らかのシリーズのコード名なのかもしれない。 そんな事を考えていると、サイトが弾けるように叫んだ。 「ひ、柊! それ、見せてもらってもいいか!?」 「お、おう。まあ元々お前用に送られてきたんだしな」 好奇心を抑えきれないといった様子のサイトに少し気後れしながらも、柊は念のためウィッチブレード――ヴァルキューレ03を機動停止させてサイトに手渡す。 歓声混じりで子供のようにヴァルキューレ03を手に取り、あちこち観察するサイトを柊は嘆息しながら見つめた。 「うおー、すげー! かっこいい!!」 「馬鹿、振り回すんじゃない! 玩具じゃないんだよ!」 実際に『破壊の杖』の挙動を見た事のあるマチルダが抗議交じりに柊を見たが、彼は軽く手を振った。 「機動した状態じゃなきゃ単なる馬鹿でかい鈍器だから、あの時みてえな事はできねえよ」 言って柊は改めてPCに向き直った。 箒を取り出した事で再起動がかかったのか、PCの画面はウィンドウの開いていない初期の状態に戻っている。 メールソフトを開いてみると、添付ファイルの着いた複数のメールの内最後の物以外は全て開封済みになっていた。 唯一の未読メールを開いてみると、それは箒の取り扱いについてのマニュアルだった。 ふと思い立ち、柊は先程の月衣もどきが機動したプログラムを再び起動してみる。 しかしファイルの破損によりプログラムは実行されなかった。 どうやら内容物を取り出した事でプログラムだかステータスが書き換わってしまったようだ。 複製は不可能なのがわかって柊は軽く舌打ちする。 そして柊はしばし何かを黙考した後―― 「サイト」 「え、なに?」 「……大事な話がある」 努めて真面目な表情で柊が言ったので、浮かれ気味だったサイトも僅かに眼を見開き黙り込んだ。 そして柊は重々しく口を開く。 「お前、確かルーンがガンダールヴって言ってたよな?」 「あ、うん。何かブリミルがどうとか伝説の使い魔だとか」 「そうだな。伝説の使い魔って話だったな。……伝説の使い魔だったら、使う武器もそれにふさわしい伝説の武器の方がいいと思わねえか?」 「え? そりゃまあ、それもお約束だしなあ」 「そうだろうそうだろう。そこでお前にいい話がある」 「い、いきなり胡散臭くなったぞ」 「まあそう言うなよ」 言いながら柊はおもむろに月衣からデルフリンガーを引っ張り出した。 『なんだ、やっと出番か? 待ちくたびれたぜ……いや、月衣の中じゃ時間経過とかあんま関係ねーんだけど』 「け、剣が喋った!?」 驚きを露にするサイトをよそに、柊は至って真面目にサイトに語りかけた。 「こいつはデルフリンガー。かつてガンダールヴが使っていたという伝説の魔剣だ。訳あって今は俺が使ってるが、 やっぱ伝説の剣は伝説の使い魔が使うのがふさわしいと思うんだ。デルフもそう思うだろ?」 『なんだ、その小僧ガンダールヴなのか? まあ確かにガンダールヴ用の能力もあったような気もするが……』 「そんなのあったのか」 『多分』 「そうかそうか、なら話は早ぇ」 そして柊は気持ち悪いくらい朗らかにサイトに笑いかける。 「デルフもこう言ってるし、こいつを本当の意味で使いこなせるはお前なんだ……そう、お前だけだ!」 「お、俺だけ……!?」 超嬉しそうに声を上擦らせるサイト。 何故かデルフリンガーも嬉しそうに声を上げる。 『こ、これはアレか? 俺様の真の所有者を巡って争いが勃発!? やめて、俺様のために争わないで!!』 そして柊が畳み掛けるようにサイトに詰め寄った。 「そんな訳だからコイツとその箒を交換してくれ!」 「ヤだ」 『またしても即答!』 「チッ!」 デルフリンガーが愕然と叫び、柊が忌々しげに舌打ちする。 「いいじゃねえかよ! 今から箒の使い方覚えるよりも普通の剣の方が扱いやすいだろ!?」 「ふっ……よくわかんねえけど、ガンダールヴのルーンがあると武器の使い方がわかって身体も軽くなるんだよ。だから全然問題ないし。何なら今からコイツを起動させてやるぜ?」 「くっ……なんだよそのインチキくせえ能力!」 悔しそうに、そして羨ましそうに顔を歪める柊にサイトは勝ち誇ったように笑みを浮かべた。 「それにこれは叔父さんから貰った大事なモンだし! 喋るのは珍しいけど普通の剣よりこっちの方が格好いいし、強そうだし!!」 『……おい小僧』 意気揚々とヴァルキューレ03を掲げてのたまうサイトに、酷くくぐもったデルフリンガーの声が響いた。 「あんだよ」 『屋上。……じゃねえ、表に出ようぜ……久々にキレちまったよ……』 わなわなと震えた声でデルフリンガーはそう漏らし、次いで爆発したように叫びだした。 『外面ばっかで選んでんじゃねえよこのボケッ! 男だったら中身で勝負しやがれ!』 「いや中身でも圧倒的にあっちのが上だろ」 『やかましい! とにかく、テメェみてえなド素人のガンダールヴに使われるぐれえなら相棒の方が百万倍ましだってんだよ!!』 柊の突っ込みを無視して喚き散らすデルフリンガーを、サイトは流石にこめかみを引くつかせて睨みつける。 「なんだよ、喧嘩売ってんか? ……上等じゃねえか。古臭え伝説に現代の戦術って奴を思い知らせてやるよ」 『やってみろよ。新しいモン好きのバカガキに伝説の信頼と実績って奴を見せ付けてやらあ』 お互いに顔(?)を突きつけてにらみ合う一人と一本を見ながら、柊はおずおずと手を上げる。 「おい、おかしくねえか? その流れで行くならデルフを持ったガンダールヴのお前が箒持った俺とやるのが正しいだろ?」 「細かいことはいいんだよ!」 『もう何がなんだかよくわからねえがとにかくそういう事なんだよ! おら、行くぞ相棒!』 「またこんなかよ!」 召喚されて早々にギーシュとの決闘に巻き込まれた事を思い出し、柊は思わず叫んでしまうのだった。 前ページ次ページルイズと夜闇の魔法使い
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宝物追いの魔法使い/Wizard of Treasurechaser 宝物追いの魔法使い/Wizard of Treasurechaser(3)(U) クリーチャー - 人間・ウィザード 飛行 金属術―宝物追いの魔法使いは、あなたがアーティファクトを3つ以上コントロールしている限り+2/+2の修整を受ける。 2/2 参考 星蓮船-コモン
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名前 購入金額 必要レベル 効果 備考 ドカ 10M$ Lv 1 手のひらから魔力を撃ち出して相手に当てるダメージ呪文 ウォネム 50M$ Lv 1 相手の意識を奪い、眠らせる魔法 ヘナヘ 50M$ Lv 2 相手の筋力を奪い、弱体化させる マソル 50M$ Lv 2 武器に魔力を与え、打撃力を増す呪文 チョマカ 200M$ Lv 3 トキシク 100M$ Lv 3 相手の身体に毒を注入する呪文 クア 300M$ Lv 4 ビレル 200M$ Lv 5 相手を金縛り状態にする呪文 ハラホ 200M$ Lv 5 モ・ドカ 300M$ Lv 5 「ドガ」の強力版。手から魔力の矢を連続して放つ マランカイ 500M$ Lv 7 相手の声を封じ、呪文を打てなくする モ・クア 1500M$ Lv 10 バ・ドカ 2000M$ Lv 20 「ドガ」上級呪文。魔力を火の玉にして発射する バン 200M$ Lv 25 自らも傷を負うことで、相手に大ダメージを与える デマジカ 3000M$ Lv 35 アマジカ 3000M$ Lv 30 魔法の力を強化する メサ・ドカ 8000M$ Lv 50 ポクル 10000M$ Lv 70 自分の傷と引き換えに、相手を即死させる