約 2,495,346 件
https://w.atwiki.jp/doliland/pages/189.html
1.封印ひょうたん 2.千里馬の鞍 3.神獣の角笛 4.蛇のブレスレット 5.女神のリング 6.奇跡のたでごと B29F 7.祈祷の武具 8.魅惑の目 B1F 9.魔法ガーゴイル お宝図鑑
https://w.atwiki.jp/ravenarc/pages/71.html
お宝SS公開! やばかったら消します・・・・ 拡大 ■銀行内で死亡者発見話している内容からデルタ関係者か? 拡大 ■ならんじゃった 拡大 ■秘義長距離パラ 拡大 ■シャー専用お宝とは呼べないかもですが、一応赤くなります・・・ 拡大 ■手が滑ったやっちまった やっちまった やっちまった やっちまった やっちまった やっちまった --もちろんアリアン-- 拡大 ■なんじゃこりゃ!出ました超お宝画像かも! これも仕様ですか?--アリアン-- 拡大 ■WIZさん 長い杖 持ってませんか?目の前に宝が出るなんてラッキーなのに・・><--藪ドーナッツの出来事-- 拡大 ■俺の前に看板出すなっ!ひでーぜ これじゃー売れません--アリアン銀行内-- 拡大 ■そこかっ!良くあることですね。 君を狩りたい--オロイン地下のナル尻尾クエ--
https://w.atwiki.jp/doliland/pages/312.html
発見場所 螺旋の迷宮 (B1,4,7,13,16,19) 安心!!サクラ無し お宝図鑑
https://w.atwiki.jp/doliland/pages/320.html
発見場所 沈黙の修道院 (B3,6,9,12,15,18) 安心!!サクラ無し お宝図鑑
https://w.atwiki.jp/doliland/pages/303.html
発見場所 魔術師の城 (B2,5,8,11,14,17) 安心!!サクラ無し お宝図鑑
https://w.atwiki.jp/doliland/pages/302.html
発見場所 魔術師の城 (B6,9,12,15,18,20) 安心!!サクラ無し お宝図鑑
https://w.atwiki.jp/doliland/pages/226.html
お宝「冒険者の羅針盤」556ベル ボス ギガフロッグLv.8 火系 経験値+300 ふしぎな森B3F ふしぎな森B5F トップページ
https://w.atwiki.jp/doliland/pages/41.html
(デビルケイブ) お宝の評価額は少しずつ変わる 銀の首飾り 467 ドラゴンストーン 546 勝利のまとい 1156/1093/1225 いにしえの土器 1202/1124 スカラベ 1244/1393 マジカルコンパス 1424 祈りのネックレス 1642 儀式のマスク 2029
https://w.atwiki.jp/orirowavr/pages/205.html
橋の上で暗殺者シャは欠伸を漏らした。 予想通りの退屈な結果となった。 二つの塔を訪れる者はなく、何事もなく制限時間となった。 予測していたことだが襲撃者の一つもないというのは実につまらない。 だが制限時間を告げるメールには興味深い内容が書かれていた。 羅列される死者。それはシャにとってはどうでもいい。 まあ数の多さは目を見張るところがあるが、どうせならその苛烈さがもっとこちらに降りかかれば面白いのに、と思う程度だ。 積雪エリアの封鎖。これもまあいい。 この関して一番の損害を被ったのは雪の塔の支配権を有するシャなのだが、ゲームの運営が理不尽なのはどこも同じだ。 特に個々の運営の横柄は今更だ。 文句をつけても仕方がない事はネットゲーマーであるシャは嫌と言う程理解している。 それよりもシャが気に留めたのは『支配権は維持される』の一文だ。 「シェリン。システムに関する質問ヨ」 『なんでしょう?』 システムに関する質問と断わりを入れてシェリンを呼び出す。 勝手に別の質問と判断されて50ptとられたのではたまったものではない。 ここの運営はそれくらいやりかねない。 「塔ノ支配権を持った人間ガ殺されタ場合はどうなるカ?」 『お答えします。基本的に塔の支配権は塔での直接更新が優先されますが、塔の支配権を持った勇者が殺害された場合、支配権は殺害した勇者に移ります』 「なるほド。つまりハ、どのような形であれ支配権は常に参加者の誰かが保有している事になるという事だネ」 『はい。その通りです』 それだけ聞ければ十分と会話を打ち切りシェリンを消し去る。 知りたいことは知れた、何となく見えてきた。 ともかく確実なのは雪の塔の支配権を得るためにはこのシャを殺すしかなくなったと言う事である。 シャは橋から踏み出す。 沈む雪の世界を背に、向かうは砂の世界。 目的地は大砂漠。 目的はお宝さがしである。 ■ 盗賊ギール・グロウは大砂漠に足を踏み入れていた。 ゆっくりと一歩一歩を確かめるような足取りで砂の大地を進む。 辺りを舞う砂塵。 残る足跡は砂に飲まれてすぐさま消えて行く。 砂の煙で視界は覆われ1メートル先もまともに見えない。 大砂漠に突入した段階で現在位置機能は停止したようで、マップを頼りすることもできなかった。 これならば方向感覚が失われるという説明も頷ける。 それでも黙々と前へと砂を踏みしめる。 足に変えるのは昔を思い出す様な懐かしい感覚だ。 ギールが生まれたのは砂漠の中にある小さな集落だった。 魔界にほど近い人間界の東に広がる砂漠領。 砂漠は何かを隠すには適しているのか、そこには大規模な盗賊ギルドの本拠地が点在していた。 その影響もあってか村人には盗賊へと身を落とす者も多く、ギールもその一人だった。 彼は特定のギルドに所属しない一匹狼として行動しながら様々な偉業を果たし名を知られるようになっていった。 砂漠に生きる民として砂漠の歩き方は嫌と言う程心得ていた。 砂嵐が吹き荒れる中を歩くなんて事も珍しくない。 これほどの砂塵ともなるとそうそうあるものではないが、それでもやり様はある。 一面に砂が広がるばかりの砂漠において、唯一の目印となるのが砂丘である。 注視しなければただの隆起にしか見えない砂丘だが、その形は同じに見えてどれも違う。 砂丘の高さや形の細かな違いを識別し記憶する事こそ、砂漠での迷わぬ歩き方だ。 地道で気の遠くなるような作業だが、砂の民が命を繋ぐために必要な作業である。 むしろ渇きや飢えがないこの仮初の体では気楽な作業と感じられるくらいだ。 砂塵によって足元しか見えなくともそれは同じだ。 足元を見て見える範囲の細かな砂丘を目印にして歩く。 より細かく、より小まめに情報を更新して、これをひたすらに繰り返す。 そうして移動した方向を計算し、地図と照らし合わせて現在位置を大まかに把握する。 だが、ただ進んだところで意味がない。 そもそも砂漠を呑気にお散歩をするのが目的ではないのだ。 現在行われているお宝探索こそが目的である。 お宝が本当に自然に発生した物ならともかく、誰かが意図をもって隠したというのなら当たりはつけられる。 知識と経験の蓄積による状況判断、これこそ盗賊の嗅覚と呼ばれる正しい意味でのスキルである。 そうして当たりを付けた場所まで近づくことができた。 「…………この辺りが臭いんだがねぇ」 しらみつぶしにそれらしい場所を歩き回る。 お宝はLUKによって発見しやすくなるというが、具体的にどうなるのか。 ギールのLUKはB。判定をクリアする水準としては十分だと思うのだが。 「お…………!」 変わりのない砂ばかりが広がる光景に変化を見つける。 判定に成功したのか、砂塵の向こうに僅かな輝きを見た。 それはこの砂漠において明らかな異物だ。 見つけた。 慌てて駆け寄るような未経験者のような真似はせず、変わらぬ足取りで光の下まで近づいてゆく。 そうして足元の宝石のような光を拾い上げる。 それは砂塵の中でも確かに輝く六角柱のクリスタルだった。 摘まみあげたクリスタルを天にかざす。 砂塵の合間を縫って降り注ぐ日光。 透明なクリスタルは光の加減で七色に色を変えた。 だが、この世界で換金用のお宝など意味がない。 単なる綺麗な宝石、とうこともないだろう。 職業柄ある程度の鑑定眼はあるが、そんな事をするまでもなくこの世界においては便利な機能がある。 メニューのアイテム欄を開く、そこから先ほど獲得したクリスタルを選択し効果を確認する。 「…………ありなのか、これ?」 一読してまず漏れたのがそんな戸惑いの言葉だった。 それくらいに反則めいた効果のアイテムだった。 かなり強力なアイテムだ。 流石、わざわざお宝を謳うだけの事はある。 これをうまく使えば探索効率は確実に上がる。 今の状況に適したアイテムだと言えた。 だが、下手をすればこちらに牙をむく危険性もある効果である。。 危険な匂いもするが、ギールはクリスタルを握りしめた。 リスクよりも成果を優先する。 このアイテムを使用する事にした。 スリルを楽しめ、それが盗賊。 それがギール・グロウだ。 【お宝残り 7/10】 ■ 「これハ、巻物かナ?」 大砂漠に突入したシャは早くも二つ目のお宝を発見していた。 一つ目は大砂漠に突入した直後に発見した魂を集めると言う香。 二つ目がこの巻物である。 こうも効率よくお宝を発見できるのは、シャの胸に輝くタリスマンの恩恵である。 アイテムの位置を指し示すというその効果は予測通りお宝にも有効だったらしく、有効範囲はあるようだが、お宝に近づくだけでタリスマンが動きお宝の方向を示してくれた。 効率的に探索を行えた理由はそれだけではない。 大砂漠に突入した者たちを惑わす砂塵の影響を彼は全く受けていない。 砂の支配者たるシャにとっては砂塵など無いに等しく、遠くまではっきりと見ることができる。 と言っても見えるのは一面の砂景色なのだが。 砂塵がなくとも砂漠は変わらずだ。 彼のマップは現在位置機能が生きているため迷うことはないが、同じ景色ばかりと言うのはつまらない。 なにか変化が欲しい所なのだが、そういう意味では先ほど発見したお宝はうってつけだった。 それは使用すれば参加者の現在位置を示す巻物だった。 ただし表示されるのは30秒のみ。 使用できるのは一度きりの使い捨ての消耗品だ。 使いどころの難しいアイテムなのだが、シャは迷うことなくこれを即座に使用した。 巻物が消費されマップ上に20名以上の名が一斉に表示される。 制限時間は30秒。全ての名と配置を覚えるなどよほどの記憶力がないと不可能だろう。 だが、シャは端からそんなものを把握するつもりなどない。 元より探し人などいないシャからすれば、誰がだこにいるかなどどうでもいい話だ。 知りたいのは大まかな参加者の分布と、この大砂漠にいる人数である。 やはり参加者の殆どは中央エリアに滞在しており、あとは諸島エリアに少々集まっている程度なようだ。 火山エリアには殆どおらず、そしてこの大砂漠にいるのはシャと後二人。 [掘下 進] [ギール・グロウ] その名に自体は興味はないが、これから始まる狩りを思えば自然と口端が吊り上る。 「獲物は二匹ネ」 どちら先に喰らうか。 それを考えながら、これからの楽しみを想像してシャは嗤った。 【お宝残り 5/10】 ■ 「うーん。見つからないなぁ」 掘下進は地中を掘り進めながらそうぼやいた。 彼は穴掘りスキルにより地中世界を縦横無地に突き進んいた。 音も光もない地下世界。 Sランクの穴掘りスキルはただ穴を掘れるだけではなく穴掘りに関する必要事項を全てがフォローされていた。 そのため、こんな世界でも問題なく突き進むことができる。 彼が今現在いる座標はB-2。 大砂漠の真っただ中である。 地中のメリットは砂塵の影響を受けない事である。 大砂漠に途中下あたりからマップの現在位置を機能は動作していないが、方向感覚が失われることもない。 まあだからと言ってお宝の場所が分かっている訳ではないのだから虱潰しに違いはないのだが。 そうして地中からお宝を探してどれくらい経過したのか。 お宝は一向に見つからなかった。 やはりLUKがないと発見は厳しいのかもしれない。 進のLUKはE。最低ランクである。 穴掘りの魅力に抗えず全てをそこに費やしてしまった。 進だってこのLUKでお宝発見の判定をクリアできるとは思っていない。 むしろこうして見ると何故前は二つも見つけられたかを疑問に思うべきだろう。 ひょっとしたらあれは地中に待機していた準備状態のお宝だったのかもしれない。 イベントが開始され、倉庫から取り出されるように正しい所に配置された。 ならば今となってはもうお宝は地中にはないのだろうか? 穴を掘る手を止めて考える。 根拠のない曖昧なイメージでしかないが。 地上にいる参加者に獲得できるもっと上の方に浮き上がっているのかもしれない。 上を見上げる。 まあそんな事をしても見えるのは砂だけなのだが、気持ち的に。 イメージに従い進は真横だった道筋を上に修正する。 そうして地上スレスレまで登ったところで、再び横に向かってお宝の探索を再開した。 進はこういう検証と探索は好きだった。 探検家を夢見る進にとってこんな風に地下を掘り進んでお宝を探すなんて楽しく仕方がない。 殺し合いという最低最悪の一文が無ければ最高のVR体験だったに違いない。 素晴らしいからこそ憤りを感じる。 こんな夢のような世界を、どうしてこんな最悪なことしか使えないのか。 「…………あれ?」 砂の先に僅かな光が見えた。 元より地中に光源などないのだが、スキルの副産物により見えていた光景とは違う異質な光。 その光には覚えがある。 地中で見つけた二つのお宝、それに近しい光である。 「やった…………!」 どうやら予測が当たったようだ。 はやりお宝の隠される位置が変わっている。 恐らく、地上でここを通りかかった時にLUKの判定に成功すればこれが地上に出るのだろう。 そうなる前に掻っ攫う、穴掘りを使った横抜きのチート技。 ズルをしているようで心苦しいが、全GPを使用したSランクスキルの恩恵と思えば自分の中で納得もできる。 急く様に地面を掘る手を早める。 間を塞ぐ砂を掻き出しながら、光に向かって手を伸ばす。 だが、光はその手から逃げる様に地上に向かって浮き上がり始めた。 「あ、待って…………!」 反射的にその後を追う。 地上に向かって泳ぐように砂を掻いた。 手を伸ばして光を掴む。 手の内に固い感触。 ようやく進むはお宝を手に入れた。 だが、光を追うのに夢中で失念していた。穴掘りスキル最大の欠点を。 穴掘りスキルはその恩恵で地中の様子はある程度把握できるが、地中にいる間は地上の様子が分からないと言う事である。 自分と同時にそのお宝を狙う人間がいる可能性を考慮していなかった。 「え…………?」 お宝を手にすると同時に、それを持つ手ごと何者かに掴まれた。 そしてそのまま地上へと引き上げられた。 【お宝残り 4/10】 ■ シャはこの大砂漠で今だ誰にも出会っていなかった。 砂塵の影響を受けず、他二人の存在とある程度の位置を把握しているシャがその気になればすぐにでも探し当てられるだろう。 なにせ一方的に敵を目視できるのだ。 他者にとっては脅威と言う他ない。 そうなっていないのは、その道中、またしてもタリスマンが反応したからだ。 お宝さがしも目的の一つなのでこれを無視するわけにもいかず、そちらを優先していた。 そこで発見したのが『自然操作機』というアイテムである。 その名の通り、これを突き刺したエリアの自然環境を操作できるという代物だ。 環境自体を変えられると言うのは強力な効果だが使い所は難しい。 雨、雷なんかも面白いが。 それをどう生かすかとなると中々状況が限られる。 曖昧に使い道を考えながら、シャは次の目的に向かって歩き始めた。 【お宝残り 3/10】 ■ 「わっ!?」 「うぉ!?」 驚きの声は二つ。 自らの手を掴まれて引き上げられた方は当然として。 自らが獲得しようとしたお宝を地中から生えた手が横取りするなんて引き上げた方からしても驚きだった。 「いで…………っ!」 乱暴に手を離され、進は砂の上に放り出された。 尻もちを付いた体勢から見上げ、始めて大砂漠の地上に出た進は砂塵の激しさにまず驚いだ。 そして砂嵐が吹き荒れる中、バンダナを撒いた盗賊風の男は怪訝そうな顔で進を見下ろしていた。 「なんだぁお前? まさかお前がお宝ってんじゃねぇだろうなぁ…………?」 考えてみれば当たり前なのだが、自分以外にもお宝狙いの人間がいて当然である。 自分の宝探しに夢中で進はそこを失念していた。 「ま、そんなこたぁねえか。手にしたそいつを、寄越しな坊主」 言われて気づく。 引き上げられたことに驚いて何を手に入れたのかをまだ確認していなかった。 それは銃だった。 ただしおもちゃの銃である。 先端には銃口ではなく丸い球体。 ポワワとリング状のビームでも打ちそうな、低学年でも持たないようなチャチさである。 お宝としてはハズレだろう。 「い、いやだよ。僕が最初に手に入れたんだから」 だとしても、せっかく手に入れたお宝だ渡したくはない。 「違げぇよ! 俺が先に見つけた俺のお宝だ。 痛い目見ないうちに寄越しといた方が身のためだぜ、ガキ」 「は、離して……っ!」 胸元を掴まれチンピラみたいな口調で凄まれる。 全てが最低ランクのステータスでは振り払えない。 どうやら、お宝が浮き上がったのは目の前の男のLUK判定に引っかかったからのようだ。 それを掠め盗ったのだから、文句の一つもつけたくなるのは分からないでもない。 「スキルで奪ってやっても良かったんだが、多分"俺"のレベルじゃ上手くいかねぇからよ。 "こっち"に出会った不運を恨めよ」 「や、やめて」 乱暴に奪われそうになる。 それに必死で抵抗する。 何故こんな目に合わなければならないのか。 アイテムを出現させたのが本当に目の前の男だとしても、アイテムの所有権はこちらにある。 お宝の奪い合いと言うイベントで先に取った事に文句を言われるのはだんだん腹が立ってきた。 抵抗してやろうという決意が湧く。 もみ合いになりながら、玩具でも電撃の一つでも出ないかと玩具の銃の引き金を引いた。 瞬間、世界を七色の閃光が染め上げた。 それは山すら吹き飛ばすような巨大な破壊光線だった。 天を覆う砂塵すら吹き飛ばして空への一筋の道を作り上げる。 「あっ……わっ、わっ!?」 眼前が七色に染まる。 余りに事態に思わず引き金を引きっぱなしになってしまった。 止めようにも指は固まったみたいに動かない。 結局そのままエネルギーは放出され続け、完全にエネルギー切れになってようやく止まった。 残ったのは何もない。 砂塵すら払われ、空の切れ間から朝日が覗く。 確かめるまでもない。 人間なんて跡形もなく消滅しただろう。 あれ程固かった銃を握りしめる腕は力なく玩具の銃を落とす。 そして進は砂の上に膝を付く。 なんてことをしてしまったのか。 こんなことになるとは思わなかった。 まさかあんな玩具の銃が、これほどの破壊兵器だったなんて。 吹き荒れる砂塵が太陽を再び覆い隠した。 ■ 「おっと、もうやられちまったか」 ギール・グロウが呟き、砕けたクリスタルの破片を砂の上へとバラまいた。 彼が先ほど入手したアイテムこそ、自分の分身を作るというこのクリスタルである。 ステータスやスキルは本体から1ランク落ちるが反則的に強力な当たりアイテムだ。 実際アイテム説明にも目玉商品だと書かれていた。 素直に従わない、最悪反逆されるリスクはあったが、自分が増えれば探索効率も倍になる。 そうシンプルな発想から実行したのだが、早くも他の参加者にやられてしまったようだ。 本体で向かっていれば本当に殺されてい可能性もあると考えれば、身代わりが出来ただけ有意義ではあっただろう。 そう考えながら、ギールは先ほど発見したお宝へと向かって近づく。 クリスタルに続くお宝はどんなものかと盗賊は期待に胸を高まらせる。 この瞬間こそ盗賊の本懐と言える。 「げっ」 思わず声が出た。 それくらいの厄物だった。 瘴気を放つような黒い御守。 なるべく触れないよう指の端で紐をつまみあげる。 魔法について詳しくないギールですら分かるくらいにどう見ても呪われている。 出来るなら装備したくない所なのだが、アイテム欄から詳細な効果を確認する。 率直な感想としては全く使えない、慰めのような効果だが、ある意味では自分向きの効果とも言える。 どちらにせよ装備しないと使えないので、装備はせざるおえないのだが。 変な呪いがこちらに降りかからなければよいのだが。 ともかく手に入れたお宝はこれで2つ目。 イベント告知のメールに寄ればあ宝は全てで10個。 今現在どれくらい残っているのだろう。 盗賊であるギールが2つしか見つけられていない辺りまだ余裕があるように思えるが。 探索系のスキルやアイテムを持っている参加者がいれるとすればもうあまり残っていないのかもしれない。 もう既に盗り尽されている可能性すらある。 ないお宝を探して危険な場所をうろついているようでは笑い話にもならない。 イベント告知がなされたのだから他の参加者がいるのは意外でもないが。 あっさりと分身が殺されたあたり、危険な輩がいるのは間違いない。 引き際を見誤れば待つのは死だ。 続行か撤退か。 栄光か死か。 他の参加者に出会うようなら逃げる。 そうじゃないなら続行だ。 スリルを楽しむギールはそのギリギリを攻める。 仮に出くわしたところでギールにはいざとなれば逃亡スキルがある。 それが失敗したとしても、視界の悪い砂塵を利用すれば逃げ遂せる自信はあった。 誰にとってもこの砂漠の過酷さは同じ、条件が同一ならば地の利は砂漠の民であるギールにある。 ゲーム内のスキルとギールの培ったスキル。 逃げに関してならば双方において隙は無い。 「ヤァ、キレイな虹が見えるネ」 そう、相手が砂塵の影響を受けないこのエリアの支配者でもない限り。 【お宝残り 2/10】 ■ どこからともなく響き渡る声。 ギールは素早く周囲を見た。 だがギールの視界には深い黄色の砂塵が広がるだけである。 吹き荒れる砂塵の音に紛れてどこから聞こえたのかすら判然としない。 「ギール・グロウ、の方でアってるカ?」 名を呼ばれた。 その瞬間ギールは迷うことなく逃走を選択した。 スキルを発動さながら全力で砂を蹴る。 こうなると砂丘の確認もできず、どこにいるのかすら分からなくなってしまうだろうが、ひとまずこの場を離れることが最優先である。 だが、その行く手が阻まれる。 回り込まれたのか、走り去ろうとする目の前に、一人の男が立っていた。 逃亡スキルは失敗した。成功条件を満たしていたのかも怪しい。 ぶつかりそうになり足を止める。 砂塵の中でも顔の見れる距離。 そこで初めて相手の姿を見る。 目の細い男。一見すれば何の変哲もない温和な男に見える。 だが、長年培われたギールの生存本能はこれを全力で否定する。 全てを呑み込むような威厳と威圧のある魔王とは違うヤバさ。 感覚としては一度だけ見たことがある暗殺ギルドの長に近いそれだ。 後手に回っては勝てない。 先手を取るべくギールはチャクラムを投げつけながら、両手剣を振るう。 回転する様に大範囲を薙ぎ払う斬撃。 これを前に敵はあっさりと後方へと引き砂のカーテンの中に消えていった。 直後、背後から衝撃。 回り込んで蹴りを打たれたようだ。 肺から息を吐き出し、砂の上を転がる。 速い。 そして強い。 それ以前に動きが違う。 スキルによるものか、視えている。 ギールは砂漠でなら大抵の相手なら有利に戦える自信はあった。 だが、砂漠の環境を多少は生かせる程度のギールと砂塵の影響を全く受けない相手では余りにも次元が違う。 自力で負けている相手に条件まで負けていては話にならない。 逃亡は不可。 戦闘は論外。 そうなると取れる選択肢は一つ。 「ッ!? 待て…………!」 静止の声を上げるが、構わず攻撃は続けられる。 容赦なく撃ち込まれる拳の雨。 何とか両手で急所だけを守りながら、しぶとくも叫ぶ。 「だから待てって! このまま続けりゃアンタにとっても不幸な結果になるぜ!!」 懇願するような訴え。 そこでようやく攻撃の手が止まる。 「どうイう意味カ?」 砂塵の先から声がする。 ギールの言葉を真に受けた訳ではないだろうが。 少なくとも言葉を交す程度の興味は持たせられたようだ。 「あんたもこんな所にいるからにはお宝探しに来たんだろう?」 「ソウネ」 「俺もそうさ、お宝を手に入れた」 言って、胸元に付けた黒い御守を摘まんで周囲に掲げた。 どこから見ているのか分からない相手に見せつける。 「この御守さ、どんなご利益がある御守だと思う?」 「サァ?」 興味がないと言った風な相槌である。 これ以上興味を失われられてしまえば殺されるだけだ。 引っ張るのは無理だろう。 「この御守の持ち主を殺した相手を呪い殺す御守さ」 自分が死ねば相手も死ぬという強制心中アイテム。究極のカウンター。 だが自分が死んだ後に発動するアイテムなんて考えようによっては全く意味がないアイテムといえる。 できる事と言ったら死後の憂さを晴らすだけだ。 だから、こうやって効果を相手に知らせる事こそ正しい使い方だ。 知ってしまえば相手は手を出せない。 ギールはギャンブルも得意だ。 特にカードゲームの駆け引きならば負けなしである。 この場面も乗り切って見せる。 「いいハッタリネ」 「そう聞こえるかい。そう思うなら試してみるかい?」 ギール・グロウはあくまでも強気な態度で不敵に笑う。 そうじゃなければ駆け引きにならない。 嘘か本当かは実際に殺してみるまで分からない。 本当だったら死ぬのだから試すにはリスクが高すぎる。 まともな人間であれば、躊躇うだろう。 完全に信じ込ませる必要はない。 少しでも隙を見せてくれれば、それで。 「ナラ、そうするネ」 「なっ…………!?」 言うが早いか、砂塵より現れた暗殺者の拳が盗賊の胸を貫いた。 指先が内臓を抉り、心の臓破壊する。 失敗はただ一点、交渉相手を間違えた。 敵はギャンブラーではない。 自身の命がチップでも迷わずオールインする狂人である。 殺すか殺さないかの選択ならばこの暗殺者シャは迷わず『殺す』を選ぶ。 ギールの体が光の粒子になって消滅する。 同時にそこから黒い靄のようなモノが飛び出し、シャに纏わりつく。 「おッ…………?」 誰よりも死に触れてきたシャだからこそ感覚で変わる。 これは死の気配だ。 どうやらハッタリではなく本当だったようだ。 それはどのような呪いか。 徐々に蝕まれて死ぬのか、唐突に死ぬのか。 少なくとも即死はしない様だが、解呪しなければ死ぬのだろう。 「面白くなっテきたネ」 死を纏う暗殺者。 己が命の危機すらも嬉々として笑った。 [ギール・グロウ GAME OVER] ■ 進は砂漠の上で呆けていた。 事故の様なものだが人を殺してしまった。 いや、引き金を引いたのは自分だ。 無理矢理絡んだ相手も悪いが、自分も責任を逃れられない。 進の気持ちは視線と共に深く沈む。 下がった視線に、何かが映る。 変化のない砂ばかりの世界。 そこに現れる変化など、あるとするならばそれは。 「何してル? 落とし物でモしたのカ?」 見上げる。 そこには男がいた。 笑みを張り付けた男。 その顔には見覚えがある。 それが龍をいたぶっていた超人の一人であると気づいた瞬間、固まっていた進の体は電撃でも受けたかのように動いた。 逃げの一手だ。 飛び込みの様に頭から砂の海に飛び込み、逃げ道を掘り進める。 「オヤ。土竜みたいネ」 慌てるでもなくその様子を呑気な声で見送る。 その隙に進の全身は地中に潜り込むことに成功した。 彼だけが進める無敵の地下世界。 ここまで来れば誰も追ってこれない、これなら。 「けド――――逃さないヨ」 残酷なまでの宣言と共にアイテムから『自然操作機』を設定する。 そして取り出したそれから手を放して地面へと落とした。 「――――え、あっ」 異変はすぐに起きた。 地中を進むべく掻き出す砂が震える。 周囲の全てが波立ちあっと言うの間に進は砂に飲まれた。 引き起こされた自然現象は『地震』である。 震度にして7相当。 こんな状態で地中にいればどうなるか。 常識ではありえない状態の答えがこれだ。 砂に溺れる。 スキルがフォローするのはまともな穴掘りの状況までだ。 こんな異常事態は想定の外である。 溺れた人間がそうであるように、進もたまらず天を目指す。 追い込まれ、地上へと打ち上げられる。 天を覆う砂の檻。 地は揺れる砂の海。 待ち構えるは、決して敵を逃さぬ暗殺者。 世界の終りのような光景だった。 砂の広がる砂漠地帯であるため倒壊物などはないがまともに立っていられる揺れではない。 その中においても、暗殺者は不動のまま。 巨大な龍の口が犬みたいに浅い呼吸を繰り返す。 先ほどまでのワクワクとは違う、恐怖と緊張で鼓動が高まる。 いざとなれば地中に逃げればいいと思っていた。 その逃げ道を完全に潰された。 もう生き残るには戦うしかない。 幸運にも今の進にはその力があった。 地を泳ぐ土竜から天を舞う黄龍へと成る力が。 脳裏に浮かぶ光景を振り払うようにして、その身を龍へと変化させる。 「龍(ロン)。流行ってるンですかネ?」 龍となった進の様子を見てシャは冷めた様子でそう感想を漏らした。 前回が期待外れだったと言うのもあるだろう、二度目ともなれば興奮も冷め冷静にその変化を受け止める。 荒れ狂う龍の巨大な尾が振り下ろされる。 自らを押しつぶさんとする影。 シャは立っている事すらできないような状況にありながらそれを躱す。 「ホっ」 尾が砂漠に叩きつけられると爆発の様な音を立て、小山ほどの砂波を立てる。 その衝撃の大きさにシャは楽し気に声を漏らして目を見開いた。 砂の津波を掻い潜り、揺れる地面を蹴る。 飛び上がりそのまま宙を舞う龍の背を殴りつけた。 だが、固い。 まるで分厚い鉄のようだ。 頸を通していなければ、砕けていたのは拳の方だろう。 加えて重い。 先ほどの龍は風船のように軽かったが、こちらは違う。 見た目に見合うだけの重量がある。 「うぁあああああ!」 黄龍が咆哮を上げ宙に浮いたシャへと突撃する。 ダンプカーの衝突めいた超重量のぶちかまし。 シャの体が勢いよく弾き飛ばされた。 砂の上を撥ねながら体勢を立てなおし両足でブレーキをかける。 数十メートルほど砂の上を滑って止まった。 ハリボテの龍とは違う、伝説や伝承に登場する龍そのものと言って差支えない力だ。 ここまでくると、無茶苦茶に暴れるだけで人など及びもつかぬ脅威となる。 「イイ手応えネ」 気と化勁で受け流したが何本か骨が折れていた。 額から垂れる一筋の血を拭って、ペロリと舐めとる。 「中身ガ詰まって美味そうヨ」 それを前に暗殺者は嗤った。 揺れ続ける地面を駆けながら牽制の気を放つ。 砲弾のように放たれれるたそれは龍に触れた瞬間、神通力めいた力によって無効化される。 外面は城壁のよう鉄壁だ。 はやり崩すには近づいて内側から攻めるしかない。 天からの突撃を避ける。 立っていることすら難しいこの状況でここまで動けること自体が脅威だが、流石に万全とは言えない。 対して宙に浮いている黄龍は地震の影響を受けない。 逃げ道を塞ぐ代わりに、地の利を捨てたといえる。 この状況で災害の様な存在に近づく、のがどれほどの難関なのか。 「ッ!?」 横薙ぎに振るわれる尾。 それだけで回避不能な鉄の鞭だ。 避けられず直撃する。 小さな体などそれだけでバラバラになってしまいかねない。 それだけの手ごたえはあった。 だが、 (どこに、行った!?) 進は敵の姿を見失った。 遠く飛ばされ砂塵に紛れたのか。 それにしたって吹き飛ぶ様すら確認できなかった。 シャは自らを打った尾に張り付いていた。 巨大の欠点だ。小回りが利かず、大きすぎる故に全身を確認できない。 鱗を辿って背に昇りその上を駆ける。 そこに来てようやく進は自身の体に張り付かれていた事に気づくが敵の方が早かった。 シャは龍の内蔵の位置など知らないが、この辺だろうと適当に当たりを付けて両手を当てる。 「砂ト氷、ドチラが好みカ?」 右からは砂を、左からは冷を。 そっと添えられた掌から中に向かって叩き込む。 「ぐぁあああああああああああああああ!!!」 内側から生じる初めて体験する痛み暴れまわる。 乗っていたシャの体が引き剥がされ宙に放り出された。 砂の地面に背から叩きつけられる。 だが、追撃はなかった。 見れば黄龍はシャに尾を向けて、一目散に逃げていた。 空を駆ける。 砂塵によりどこをどう奔っているのかも分からない。 戦うなんて無理だった。 下手に選択肢を与えられたからそんな選択を選んでしまった。 背後は砂塵に隠れて見えない。 けれどわかる。 追ってきていると。 見えないけれど。 奔らなれば。 追いつかれる。 死に。 視界の端に何かがチラついた。 とてもかすかな光。だが気のせいと切り捨てるには大きいな光。 この死がすぐ迫った切羽詰まった状況で気にかけるべきことなのかわからない。 けれど、ただ暗い死から逃れるように光に向かって奔った。 光。 お宝の光だ。 現在の進はAランクの黄龍である。 全てのステータスはAランク相当にまで向上している。 そのLUKが判定をクリアしその宝を出現させたのだ。 周囲の砂ごと飲み込む様に口先で光を咥える。 それは五角形の石だった。 迫る暗殺者。 その姿は捉えられる所まで迫っていた。 それに向けて、どのようなモノかもわからぬままその石を解放した。 事故のようだった先ほどとは違い明確な殺意を持って。 口内から閃光が奔り、熱を感じる。 矢の様な勢いで現れたのは炎。 紅い火の粉が舞う。 それは紅蓮の炎を身にまとった怪鳥だった。 巨大で悠然とした黄龍とはちがう、鋭く羽ばたく空の王者。 足裏から気を放ち、空中での軌道を変えて回避する。 だが、完全には避けきれず、炎が胸元を焦がす 掠めただけでこれだ。 直撃していればどうなった事か。 だが、長い尾がシャの体を叩き落とす。 黄龍の物ではないまた別の蒼い龍。 『召喚石』 召喚者を助ける召喚獣を呼び出すアイテム。 召喚獣のランクは召喚者のLUKでランダムに抽選される。 今現在のLUKはA、故に最高ランクの召喚獣を引き当てた。 あるいはそれは運命だったのか。 黄龍を中心に置き四方を守る聖なる獣。 つまりは四聖獣。 砂漠に叩き付けられたシャの元に輝くような白い虎が砂塵を切り裂き襲い掛かる。 その噛み付きを片腕で受ける。 牙が肉を裂き骨を砕く、引き換えに口内から頸椎を破壊した。 「ハっ!」 息つく暇もなく左右より迫る蒼龍と朱雀。 朱雀の突撃は冷の気で受け、すれ違いざまに気を叩き込む。 反目する属性を叩きこまれた炎の鳥はもがき苦しむ様に地面に堕ちた。 だが、白虎に砕かれた左腕側の攻撃は防ぎきれず、龍の爪をまともに受けた。 爪が脇腹深くにまで突き刺さる。 そのまま振り抜かれ肉と共に内臓まで抉った。 受け身を取って立ち上がる。 だが滴り落ちる大量の血が砂を固めた。 この状況の置いても闘争本能に些かの陰りもない。 敵を見据える。 その目の前には蛇の巻き付いた巨大な亀がいた。 「…………ァ」 その口から鋭く放たれる水。 ウォーターカッターの如き水の刃が胴を両断した。 こうして盗賊の残した最後の呪いが成立した。 運命的な死を与える死の呪い。 この呪いを受けた者は必ず死の運命をたどる。 シャの体が光の粒子になって行く。 それと同じように役目を終えた四聖獣が姿を消した。 残されたのはその長たる黄龍の化身のみ。 また罪を重ねてしまった。 だが今はその恐れより助かったという安堵が胸を満たしていた。 【お宝残り 1/10】 ■ 「―――――イヤァ。死んダのは初めテの事ヨ」 だが 絶望を告げる声がした。 それは悪夢の様な光景だった。 浮かび上がる光の粒子。 バラバラになり霧散した光が一点に集約する。 そして一塊の光となった。 『集魂香』 シャが最初に発見した、拡散する魂を集めるという香。 所有者が死亡した際に自動でふりまかれ所有者を復活させる。 光が形を成して行きその肉体が復活。あるいは再構築される。 砂塵が舞う。 聞こえるのは砂塵をまき散らす風の音。 砂の地面に絶望を持って死神が立つ。 「オヤ、地震のエリアを出てシまったカ」 見れば地震は収まっていた。 空を舞う巨大な龍は小さな人間を前に絶望に囚われて動けない。 先も見えない砂塵に在りながら、どういう訳かそれだけは明確に見えた。 嗤う暗殺者の口元が。 「逃げないのカナ?」 言われて、弾かれたように龍が動いた。 頭から砂漠に突っ込み地中へと潜ってゆく。 だが、それは誘導された動きだ、当然の如く捉えられた。 龍特有の長い胴が仇となった。 一息で地中に潜り込むことはできず、半端に頭部が地面に埋まっており逃れようがない。 地上に出ている胴体に手が添えられた。 「ワタシの奢りヨ。タラふく喰らウヨロシ」 復活直後で体調も気力も万全。 全開の気を属性を込めて一気に叩きこむ。 爆発的に体内が膨張し龍の体がツチノコみたいに膨らんだ。 「…………あっ……あっ……ぱっ……!!?」 膨らむ。 冷たい砂が体内を満たす。 内蔵を蹂躙される経験したことのない苦しみ。 壊れた蛇口から水を流しこまれているよう。 止めてほしいのに一行に止めてくれない。 絶望と苦しみが限界を迎え、そして――破裂した。 氷の混じった砂が舞う。 キラキラと輝くそれらは砂塵に紛れて消えていった。 もう集まることはないだろう。 [掘下 進 GAME OVER] ■ 『おめでとうございます!』 呼んでもないのにシェリンが飛び出してきた。 「なんネ?」 『勇者を3名殺害しました。あなたが【強者】として認定されました!』 「強者? アア、そんなのあったネ」 3名以上殺害した勇者を殺害したら強敵撃破ボーナスが貰えると言う話だったか。 「ソレ、ワタシ得アルのカ?」 狙われるのは歓迎だが、称えられた所で嬉しくもない。 ゲーム特有のコンプ要素だろうか。 『はい。【強者】認定されました勇者には特典があります。特典を選択して下さい』 GP100pt 専用装備の獲得 ゲームヒントの開示 選択肢を提示されシャは考え込む。 専用装備という響きは惹かれるものがあるが、シャには装備は必要ない。 無難なのはGPなのだろうが。 「デは、ゲームヒントを寄越すヨ」 シャは一番曖昧な選択を選んだ。 GPは十分にあると言うのもあるが、ゲーム的にはこういう選択肢こそ真実が隠されているものだ。 そう言う経験則からこの選択を選んだ。 『了解しました。では全参加者のペルプページが更新されます。 更新内容。ゲームクリア条件その1』 「オイオイ。ワタシだけデはないのカ?」 これは一杯食わされた。 流石のシャも予想外だった。 『では、次の称号【豪傑】は5名の殺害となりますので【豪傑】を目指して頑張りましょう』 言うだけ言ってシェリンが消える。 勝手に出てきてこの態度、全く勝手な事だ。 参加者を排除し悠々とした足取りで砂漠を行く。 この砂漠はもうシャの物だ。 邪魔するものもなく、タリスマンの反応に従いお宝を発見する。 それを拾ったとこでメールが届く。 [イベント]砂漠のお宝さがし終了のお知らせ 『New World』をご利用いただき、ありがとうございます。 砂漠エリアにて行われていました砂漠のお宝大探索イベントで全てのお宝が発見されました。 本メールの着信をもってイベントは終了となります。 参加頂いたすべての勇者の皆さま、お疲れさまでした。 引き続き『New World』をお楽しみください。 つまりはこれが最後の一つ。 「手に残ったノはこれだけカ」 紙切れをピラピラと弄ぶ。 手に入れた物は使い切って、残ったのは最後に手に入れたこれだけだ。 まあそれなりに楽しめたイベントだった。 まともな龍とも戦えたし、何より熱く激しく燃えるような暗く冷たく沈むような"死"を体験できた。 中々に愉快な体験だったが、二度はいらない。 イベントが終わってしまえばもうこのエリアに用はない。 先ほどの現在位置表示で砂の塔を攻められる位置に誰もいないのも確認済みだ。 参加者の集まる中央に向かうのが定石なのだろうが、シャの向かった先は違った。 彼の足が向かうのは火山エリア。 より詳しく言うならば炎の塔である。 目的は四つの塔の支配。 それがこのゲームのクリア必要な条件だ。 【お宝残り 0/10】 [C-1/大砂漠/1日目・午前] [シャ] [パラメータ]:STR:B VIT:C AGI:B DEX:B LUK:C [ステータス]:健康 [称号]:【強者】 [アイテム]:不明支給品×3、タリスマン、申請券 [GP]:0pt→260pt(塔の支配ボーナスにより+200pt、勇者殺害により+30×2) [プロセス] 基本行動方針:ゲームを楽しむ 1.炎の塔に向かう ※C-2エリアに地震が発生しています ※午前の段階で生き残った全参加者のペルプページが更新されます 【集魂香】 死亡時に霧散する魂を集める香。 所有者が死亡した場合に自動で消費され所有者を蘇生する。 蘇生時の状態はその魂の記憶している完全な状態となる。 【CPスクロール】 全参加者の現在位置を表示する魔法のスクロール。消費アイテム。 使用したその時点の全参加者の現在位置を30秒のみ使用者のマップ上に表示する。 【スワンプマンクリスタル】 目玉商品その1。 使用者の分身を作り出す魔道具。 分身の能力は本体よりも1ランク劣り、人格は本体をベースに温和、乱暴、悲観、冷徹のいずれにかにランダムで決定される。 分身の命はクリスタルに繋がっており、輝く光色によって大まかに同行が把握でき、分身が死亡した場合クリスタルは砕け散る。 また破壊されない限り分身は持続されるが、クリスタルを破壊すれば破棄することも可能である。 【自然操作機】 エリアの自然環境を操作する。 条件を入力して地面に突き刺すと発動する。 効果は抜き取るか破壊されない限り永続する。 【超電磁メガ粒子砲】 目玉商品その2。 破壊光線を打ち出す銃型の粒子砲。 放たれた七色のエネルギーは対象を粒子単位で分解し消滅させる。 引き金を引き続ける限り放出し続け、残弾はエネルギー制で充填は不可能。 【讐命の御守】 装備者を殺害した者を呪い殺す漆黒の御守。 この呪いを受けたものは呪いによる直接的な死ではなく、運命値を操作され必ず死ぬ運命を辿る。 【召喚石】 召喚獣を召喚する。 何が召喚されるかはランダム。 LUKが高いほど強力な召喚獣が召喚される可能性が高まる。 一度使用すれば召喚石は崩れ去る。 【申請券】 運営に要望を一つ伝えることができる券。 あくまで伝えるだけなので申請が通るとは限らない。 055.虎尾春氷――破章 投下順で読む 057.炎の塔 ~ 行く者、去る者、留まる者 ~ 060.魔王システム 時系列順で読む 058.神は追憶の果てに掃除機を砕く 中国気功クラブ シャ 炎の塔 ~ 人在らざる者 ~ 土の竜と書いてモグラと読む 掘下 進 GAME OVER この素晴らしき世界 ギール・グロウ GAME OVER
https://w.atwiki.jp/pawapoke10/pages/210.html
梅木さんのお宝 2年目以降。 寮をうろつくと、トイレットペーパーな無くなったから荷田君と一緒に梅木さんに貰いにいくといったことが起きる。 梅木さんは不在で、梅木さんの部屋で荷田君が龍神様の像を発見し気に入る話。 TOP>甲子園一直線編>甲子園編のイベント