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60テンペル頭第1付与 着用制限あり、60レベル以上 ローブ:スピリット ウイング/スペル ウイング レザー:ボウ ウイング/シャドウ ウイング チェーン:キュア ウイング/チャント ウイング プレート:シールド ウイング/ソード ウイング ●ローブ #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (60テンペルローブアクセ第1付与.png) ●レザー #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (60テンペルレザーアクセ第1付与.png) ●チェーン #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (60テンペルチェーンアクセ第1付与.png) ●プレート #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (60テンペルプレートアクセ第1付与.png)
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絶園のテンペスト 登場人物 鎖部一族 コメント 城平京(原作)、左有秀(構成)、彩崎廉(作画)による日本の漫画作品。『月刊少年ガンガン』(スクウェア・エニックス)にて2009年8月号から2013年4月号まで本編が連載され、2013年5月号から11月号まで特別編が連載された。ジャンルはファンタジーだが、推理物の要素もある。2012年10月から2013年3月までテレビアニメが放送された。 登場人物 ライボルト:滝川吉野 ラティオス:不破真広 ラティアス:不破愛花 ビクティニ:エヴァンジェリン山本 声繋がり ドリュウズ:羽村めぐむ 鎖部一族 ミュウツー:鎖部葉風 最強の魔法使い(エスパータイプ)なので マフォクシー:鎖部左門 コメント 名前 コメント すべてのコメントを見る 草案 ライボルト:滝川吉野 ドリュウズ:羽村めぐむ マフォクシー:鎖部左門 -- (ルモスライ) 2015-06-26 23 20 43
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アネモネ・テンペスタ 名前:アネモネ・テンペスタ(17歳) 種族:人間(ルキスラ) 技能:ファイター・アルケミスト 美青年騎士。没落貴族の子。好戦的で冷静で性格悪い。 男にも女にもモテるが当人は皆バカだろ、とちょっと嘲笑っている。 実際は孤独性で支えてくれる何かが欲しい。髪:黒、瞳:赤紫。 所属:五十丸家
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テンペスト編-NPC- ゼノスクローネ ガイスト テンペストニヒツ ナンバリングチルドレン01.アインス 02.ツヴァイ 03.ドライ 04.フィア 05.フュンフ 06.ゼクス 07.ズィーベン テンペスト編-NPC- ゼノス クローネ ガイスト テンペスト ニヒツ ナンバリングチルドレン 01.アインス 02.ツヴァイ 03.ドライ 04.フィア 05.フュンフ 06.ゼクス 07.ズィーベン ▲上に戻る
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60テンペル頭第2付与 着用制限あり、60レベル以上 ローブ:スピリット ウイング/スペル ウイング レザー:ボウ ウイング/シャドウ ウイング チェーン:キュア ウイング/チャント ウイング プレート:シールド ウイング/ソード ウイング ●ローブ #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (60テンペルローブアクセ第2付与.png) ●レザー #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (60テンペルレザーアクセ第2付与.png) ●チェーン #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (60テンペルチェーンアクセ第2付与.png) ●プレート #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (60テンペルプレートアクセ第2付与.png)
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星喰いテンペスター 水 SR コスト6 8000 アースイーター ■進化-自分の水のクリーチャー1体の上に置く。 ■このクリーチャーが攻撃するとき、相手は自分自身のマナゾーンから2枚選んで手札に戻し、自分はカードを1枚引く。 ■W・ブレイカー 作者:プッチ 評価 名前 コメント -
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テンペストフィールド 概要(公式) 翔剣士中級アビリティ 戦場全体に、荒れ狂う「戦いの風」を呼び出し無差別に戦闘力を高める、恐るべきアビリティです。 テンペストフィールドの中では、敵味方を問わず全ての攻撃が、追撃の効果を持つようになります。 この効果は数分持続します。 説明(プレイヤー視点) 効果 基本 射程 :10m全周の戦場 効果 :全員の全ての攻撃に「追撃」を与える 持続時間 :1戦闘中 制限 :【領域LV】 活性化CP :108 改 射程 :10m全周の戦場 効果 :全員の全ての攻撃に「追撃」を与える 持続時間 :1戦闘中 制限 :【領域LV】 活性化CP :162 奥義 射程 :10m全周の戦場 効果 :全員の全ての攻撃に「追撃」を与える 持続時間 :1戦闘中 制限 :【領域LV】 活性化CP :216
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テイルズ オブ ザ テンペスト part44-402~410 402 :テイルズ オブ ザ テンペスト:2009/03/21(土) 03 36 53 ID Z7qUklW90 神秘と幻想の大陸、アレウーラ。 大陸に君臨した種族[レイモーンの民]が、獣人戦争によって衰退してから100年。 大陸の支配権は[ヒト]に移り、各地で[レイモーンの民]は迫害を受けていた。 それは、辺境の村フェルンでも例外ではなかった。 フェルン村の小さな家に、少年カイウスと、その父ラムラスは住んでいた。 「オレももう15だよ!オレは外の世界が見たいんだ!」 カイウスは父と口喧嘩をして、家を飛び出した。 その足で教会へ。教会に住んでいる、幼馴染の少女ルビアに会いにきた。 「今まで黙ってたけど、あたし、次の冬が来る頃に、ジャンナに行くの。 学校に入学して、僧になる勉強をするんだ」 その勉強は8年もかかるとルビアは言う。 「淋しくなるな。でも、自分で決めたことだもんな。頑張れよ」 ふたりは遊びに行こうと、村を出ようとしたところに、金色の鎧を身に着けた騎士がやってきた。 どうやら怪我をしているらしい。 騎士は教会に担ぎこまれ、司祭が治療を施したが、気を失ったまま目を覚まさなかった。 その夜、カイウスは寝ずの番を任された。 「でも、どうして騎士様がこんな辺境にやってきたんだろう?」 首を傾げるカイウス。ふと騎士は目を覚まして、カイウスに言った。 「最期の頼みを聞いてくれ。私の荷物の中に、赤い大きな石が入っている。 その[ペイシェント]を首都ジャンナの大公様の元へ届けてくれ――」 騎士はそのまま息絶えてしまった。カイウスは騎士の荷物を調べると、確かに石が入っていた。 石を取り出すと、カイウスが首から下げているペンダントの赤い石と共鳴するかのように光りだした。 「母さんの形見の石と共鳴している?」 にわかに外が騒がしくなったので、カイウスは急いで[ペイシェント]と呼ばれた赤い石をポケットに入れた。 光は収まった。 カイウスは教会を出た。村中に謎の黒いモンスターが徘徊していた。 ふたりはカイウスの家の前までたどりついた。ラムラスが黒い魔物に囲まれていた。 「これから何が起こっても、目を逸らさず見ていろ、いいな」 ラムラスはそう言うと、オオカミ男のような姿に変身し、魔物を全てなぎ倒してしまった。 突然のことに驚くカイウス。 「あんた、[リカンツ]――化け物どもの仲間だったのか!」 ラムラスが変身するところを見ていた村人が騒ぎ出した。 ラムラスとカイウスは家の中に逃げ込んだ。 403 :テイルズ オブ ザ テンペスト:2009/03/21(土) 03 38 16 ID Z7qUklW90 カイウスはさっそく[リカンツ]とはなんなのかラムラスに聞いてみた。 「[リカンツ]というのは、[ヒト]が我々を蔑んで呼ぶときの呼び名だ。 [リカンツ]とは[レイモーンの民]のこと。[ヒト]の形をしているが、獣人化という特殊な能力を持った種族だ。 今まで隠していて済まん」 父が[ヒト]ではなかったなんて――と動揺するカイウス。 自分もあんな風に獣人になるのだろうかと思ったが、ラムラスはさらに話を続ける。 「我々[レイモーンの民]には、体のどこかにあざがある。 それは[ザンクトゥ]と呼ばれる、[レイモーンの民]の証(あかし)だ。 だが、お前の体には[ザンクトゥ]が現れていない。だから、お前が獣の姿になることは無いのかもしれない。 ――私はお前の本当の父親ではない。私はお前を幼い頃に、メリッサ様から預かったのだ。 お前の母、メリッサ様は、レイモーン王家最後の王族。 100年前の獣人戦争のとき、レイモーンの国は滅んだ。 散り散りになった[レイモーンの民]は、[ヒト]の中に紛れて、静かに暮らしてきた。 だが、[ヒト]は我々を異端者とみなし、異端者狩りと称して捕らえられた。 メリッサ様も異端者狩りに――。 お前の父親がどこかに生きている。お前は父親を探しなさい」 ラムラスを狩るために、首都ジャンナの教会から異端審問官がふたり村にやってきた。 異端審問官は覆面の女ロミーと、仮面の男ルキウスといった。 ふたりはカイウスの家の前で、出てこないと家に火をつけると脅した。 ラムラスは大人しく出て行った。カイウスはルビアと共に、スキをついて村から逃げ出した。 しばらくたった後、カイウスは、一人でこっそり村の様子を見に行った。 ロミーとルキウスは、騎士が持っていた[ペイシェント]を探しているらしい。 騎士は教会に運び込まれたと聞いたロミーは、 口封じのために司祭と奥さん――ルビアの両親を惨殺した。 そして異端審問官たちは、ラムラスを連れて村を去っていった。 「こんなのってありかよ。ひどい、ひどすぎる――!」 ルビアと合流し、両親が殺されたことを話す。 ルビアは、両親の仇を討つと心に誓った。 カイウスも、生きているという父を探し、そして捕まったラムラスを助けたかった。 ふたりは異端審問官たちを追うことになった。 船に乗ろうとしたが、子供だけでは乗せてくれないというので、 少々危険だが黒の森を抜けて、首都ジャンナへ向かおうということになった。 昼の間はなんとかなったが、夜になるとモンスターが凶悪化してしまった。 カイウスとルビアはモンスターに囲まれてしまった。 「困っているようだね。俺たちが力を貸してあげようか」 さっそうと男ふたりが現れ、モンスターを倒した。 若くてチャラチャラした感じの男はティルキス、無口な男はフォレストと名乗った。 「俺たちはセンシビアっていう島から来たんだ。 お前たち、なんかワケありって感じだな。とりあえず、付いて来い」 404 :テイルズ オブ ザ テンペスト:2009/03/21(土) 03 39 22 ID Z7qUklW90 4人は森を抜け、小さな町に着いた。 このまま町に入っては怪しまれるので、ティルキスとルビアは兄妹、 フォレストとカイウスは親子という設定で、ふたり組みになって行動しようということになった。 その夜、眠れないカイウスは宿屋を抜け出して外に出た。 心配して追ってきたフォレストに、カイウスは秘密を打ち明けた。 「何でだろう。フォレストにだけは話してもいいような気がしたんだ」 「――お前には[ザンクトゥ]がないから、[レイモーンの民]ではないのだろう」 「じゃあ、オレの本当の両親は誰なんだろう」 「これだけ言える。他人は他人、自分は自分だ。お前が今せねばならないことは、 本当の自分を見つけることなのかも知れんな。迷うなよ、カイウス」 翌日。合流した4人はジャンナに入った。 三方を海に、一方を川に囲まれている巨大な町だ。 海の上に城が建っているが、今は城の中には誰もいないらしい。 昔、とある事件があり、それをきっかけに国王はアール山という山の上に住んでいるという。 その他に、大きな教会がある。教会のトップである教皇がいるらしい。 ティルキスとフォレストは用事があるというので、宿屋で落ち合う約束をして別れた。 カイウスとルビアは、まず騎士の願いを叶えるべく、大公に会おうとしたが、門前払いにされてしまった。 そして、ラムラスがどうなったか探るべく、教会の方へ行ってみることにした。 フェルンで捕まった[リカンツ]はその日のうちに処刑されたという。 「父さん、ごめん。オレ、助けられなかったよ――」 しょげかえるカイウスをルビアが励ました。ふたりは港の方へと行った。 ふたりを騎士たちが追いかけてきていた。 どうやら、騎士たちもカイウスが持つ[ペイシェント]を狙っているらしい。 「こっちよ!こっちへ来なさい!」 見ると教会の尼僧が手招いている。尼僧のおかげで、騎士たちを撒くことが出来た。 「わたしはアーリア。あなたたち、どうして追われているの? ――答えたくないならいいわ。早くジャンナを離れたほうがいいわね」 アーリアと別れて、ふたりは宿屋に向かった。 宿屋ではティルキスとフォレストが密談中だった。 「センシビアに現れた魔物は、教会が[プリセプツ]を使って生み出したのは間違いないようだな」 そこへいきなり僧兵が現れた。 「[ザンクトゥ]――。その男、[リカンツ]だな!」 フォレストは異端審問官に捕まり、教会へと連れて行かれた。 ティルキスは逃げ出し、カイウスとルビアを連れて港の方へ行った。 405 :テイルズ オブ ザ テンペスト:2009/03/21(土) 03 42 02 ID Z7qUklW90 アーリアの手引きで、フォレストが捕まっているであろう教会の地下へ侵入することに。 アーリアは僧侶でありながら異端者狩りに反対しているという。 地下水路を進んでいくと、フェルンにいたのと同じような黒い魔物が現れた。 黒い魔物は[スポット]と呼ばれている。[プリセプツ]と呼ばれる特殊な魔法を行うと、 副産物として[スポット]が出現してしまうのだとアーリアは説明した。 [レイモーンの民]たちが多数捕まっている牢獄を発見した。 その奥にはフォレストが鎖につながれていた。鎖をある程度解くと、 フォレストは獣人化して鎖を引きちぎった。 カイウスに会わせたい人がいると言って、フォレストはラムラスを連れてきた。 処刑されたというのは嘘だったのだ。教皇は、何がしかの理由によって、 [レイモーンの民]を処刑したように見せかけて、牢獄に集めていたのだった。 「やつらは、我々から[ペイシェント]のことを聞き出そうとしているのだ。 [ペイシェント]とは、我々[レイモーンの民]に伝わる赤い宝石のことだ」 他の囚われた[レイモーンの民]を解放し、カイウスたちはジャンナを出ようとした。 川に架かる橋の上で、騎士たちに囲まれてしまった。 一同は川に飛び込んだ。 カイウスは川をしばらく流されたところで目を覚ました。 側にはアーリアとラムラスがいる。他のメンバーはさらに流されていったらしい。 そこへロミーがやってきた。ラムラスはロミーに操られ、アーリアとカイウスに襲い掛かってきた。 カイウスは応戦し、ラムラスを動けなくした。 ロミーは妖しげな術でラムラスを殺した。ラムラスは石像のようになった。 これが[レイモーンの民]の死だ。 「父さんに何をした!」 カイウスは怒りのあまり自分が抑えられなくなり、ついに暴走―ー獣人化し、ロミーに飛び掛った。 「ラムラスにあなたを殺させて、[ペイシェント]を手に入れるつもりだったけど、まあいいわ」 ロミーは逃げていった。 [ヒト]の姿に戻ったカイウスはショックで動けなかった。 「オレも[リカンツ]だった――」 アーリアはなんとかカイウスをなだめた。 川のほとりの町でみんなと合流し、情報交換。 教皇は、[生命の法]という[プリセプツ]を行おうとしていたらしい。 [生命の法]とは、死んだ人を蘇らせるものだ。 [生命の法]の実行のために[ペイシェント]が必要だったらしい。 「[ペイシェント]には強力な魔力が秘められているわ。 教会は[ペイシェント]を生み出すことが出来ないの。 [ペイシェント]は、[レイモーンの民]が作ったと言われているわ」 「昔、獣人戦争の頃、レイモーンの国の宰相クベールは、 通りかかった旅人から[ペイシェント]の精製方法を聞き、 [生命の法]を実行しようとしたという記録が残っている。 だが[生命の法]は失敗し、[スポット]が蔓延ってしまったらしい」 「もともと、[プリセプツ]は[レイモーンの民]の文化です。レイモーンへ行ってみましょう」 アーリアがそう提案した。 406 :テイルズ オブ ザ テンペスト:2009/03/21(土) 03 43 04 ID Z7qUklW90 延々と東の方に進む。東の門という巨大な壁が張り巡らされている所に着いた。 その前に、ルキウスとロミーが待っていた。 「大人しく[ペイシェント]を渡せば見逃してやろう」 両親の仇の姿を見て、ルビアは激昂した。 「何言ってるのよ人殺し!!」 カイウスは獣人化してルキウスたちに突っ込んでいって、追い払った。 「またオレは獣人に――。オレの体はどうなっているんだろう。 もし、また獣人化したら、みんなを襲ってしまうかもしれない」 苦悩するカイウスをフォレストが励ました。 「カイウス、心配するな。お前はまだ力が制御できないだけなのだ。 これから、慣れていけばいい」 ルビアも悩んでいた。 「戦うカイウスを見たとき、あたしは、怖かった。[ヒト]にはない、巨大な力――」 門番に賄賂を渡して東の門を通過すると、一面に砂漠が広がっていた。 その砂漠の中心あたりに、もう廃墟となってしまった都、レイモーンがある。入ってみて一同は驚いた。 石像と化した[レイモーンの民]――つまり死体がたくさんあった。 中に入ると、大きな書庫がみつかった。役に立つ本がないかどうが探してみようとしたところへ、 ルキウスとロミーが再び姿を現した。 「ここにはもう役に立つものなんてないのよ。とっくに調査済みってわけ」 「[生命の法]とはなんなの?それで教皇様はなにをなさろうとしているの」 アーリアの問いに、ルキウスが答えた。 「教えてあげよう。教皇様は、この世界を憂えていらっしゃる。 [ヒト]や[リカンツ]がいがみ合う世界をね。 だから、教皇様は、失われた尊い魂を再びこの地に呼び戻し、憎しみの連鎖を断とうとなさっているのだ」 ルキウスはさらに続ける。 「カイウス、きみの持っている[ペイシェント]は、[リカンツ]の魂そのものなのだよ」 [ペイシェント]は[レイモーンの民]の魂から精製するものらしい。 石像と化した[レイモーンの民]は、[ペイシェント]を作るときの犠牲者だとか――。 カイウスは取り乱してルキウスを殴った。ルキウスの仮面が外れて飛んだ。 「その顔、カイウスに?」 ルキウスの素顔はカイウスによく似ていた。 「カイウス、仲間にならないか?ぼくはきみの弟だよ」 「弟――?ふざけるな!誰がお前の仲間なんかに!」 当然断るカイウス。 それならば強硬手段に出るまでと、カイウスはルビアを捕らえた。 「お前が持っている[ペイシェント]と引き換えに、この娘を返してやろう」 407 :テイルズ オブ ザ テンペスト:2009/03/21(土) 03 44 19 ID Z7qUklW90 約束の場所にやってきたカイウス。 「約束通り、ルビアを返せ!」 カイウスはロミーに[ペイシェント]を渡した。 だがルビアはルキウスの後ろから動こうとしない。 「カイウス、あたしそっちにいけない。もう何を信じていいのか解らない――」 ルビアは両親が[リカンツ]によって殺されたと嘘を吹き込まれていたのだった。 「いいんだ、お前がそう思ったのなら、それでいいんだ」 カイウスが立ち去ろうとしたとき、ロミーの手の中の[ペイシェント]と、 カイウスのペンダントが共鳴し光りだした。 「その[ペイシェント]もこっちへ渡してもらおう!」 ルキウスとロミーの態度が豹変した。 「断る!これは母さんの形見だ!」 「カイウス!逃げて!」 ルビアがロミーとルキウスを止めようとした。 「いまいましい小娘め!あなたもわたしのこの手で両親と同じところに送ってあげるわ!」 それを聞いてルビアは、両親を殺したのはロミーなのだと悟った。 「よくも騙したわねーっ!」 カイウスとルビアは協力してルキウスとロミーを撃退した。 「これほどとは――。だが、[ペイシェント]は手に入った。今日のところは引き上げるとしよう」 「迷惑かけてごめんなさい」 ルビアはパーティに復帰した。みんなで今後の方針を決めることに。 [ペイシェント]を手に入れたロミーとルキウス。その[ペイシェント]は今頃は教皇の手に渡っているだろう。 そして教皇は[生命の法]を執り行うに違いない。 「[生命の法]で命を呼び戻す――そんなことで世界を救えるのかしら? そもそも、なぜ今になって教皇様は[プリセプツ]を?」 ここは僅かな手掛かりだとしても欲しいところだ。 雪深い北の森の中にサンサという村がある。 そこは生き残った[レイモーンの民]がひっそりと暮らしている場所であり、また、フォレストの故郷だ。 [生命の法]について知っている人がいるかも知れない。一同は北に進んでいった。 サンサに着いた。長老に話を聞く。 「かつて[レイモーンの民]は繁栄を極めていた。しかし、繁栄は増長を生み、 互いに争うようになり、[レイモーンの民]は滅びようとしていた。 それを憂えた宰相クーベルは、ある方法を使って世界を救おうとした。 だが、それは叶わず、[レイモーンの民]の血の涙だけが残った――。 これが、この村に語り継がれてきた伝説じゃよ」 結局具体的なことは解らずじまいだった。そこに急いでやってきた人が言うには、 フォレストの友人のトールスという男が有志を募り、ジャンナを襲撃しようとしているとのことだ。 一同はトールスがいるという町に急行した。 「話は聞いた。ジャンナへの襲撃はやめろ。 俺は[ヒト]とも上手くやっている。傷つけあうのはよせ」 フォレストがトールスを説得しようとしたが、トールスの意志は固いようだった。 「ならば、少し待て。俺が教皇に会って決着をつけてやる。異端者狩りが無くなれば文句はあるまい」 「解った。お前を信じてここで待つことにしよう」 408 :テイルズ オブ ザ テンペスト:2009/03/21(土) 03 45 49 ID Z7qUklW90 一同はジャンナに入り教会へ向かった。教会ではルキウスが待っていた。 「待っていたよ、カイウス。これ以上先に進ませるわけにはいかない」 ルキウスを倒す。 「ぼくの負けだね、兄さん。行くといい」 「どうして兄弟で争わなければならないの?」 ルビアの問いに答えるルキウス。 「これが宿命なんだよ。兄さん、どうしてぼくのことを解ってくれなかったんだ。 ぼくは兄さんのように自分の中に流れる[リカンツ]の血を認めることが出来なかった。 ぼくも本当は、異端者狩りを止めたかったんだ。だって、自分を裁いているみたいだろ。 でも、教皇様は本気で[リカンツ]を――」 ルキウスは床に倒れて動かなくなった。 「ルキウス――オレは必ず教皇を止める!」 教会の一番奥の部屋。そこには美しい女性の姿をかたどった石像が置いてあった。 「あの石像、どこかで見たことがあるような――」 カイウスはふらふらと石像に近づいていった。 「その石像に近づくでない!近づけば命は無いぞ」 石像とカイウスの間に割って入るように教皇が現れた。 「お前が教皇か!これ以上[生命の法]を使わせるわけにはいかない!!」 「愚かな――。良かろう、相手をしてやる」 教皇はギラギラした目でカイウスたちに襲い掛かってきた。 強力な魔法を連発してカイウスたちを圧倒しようとしたが、なんとか倒す。 「――私はなぜこんな所に?」 教皇はまるで別人のようになってしまっていた。 「聞いてくれ。今日はメリッサが蘇る日。そして、命を落とした[レイモーンの民]も全て――」 あの石像はメリッサの死体らしい。 「あなたは、[生命の法]に失敗して、体はおろか心まで[スポット]に巣食われていたのでしょう」 ティルキスにそう言われて、教皇はハッと我に返ったようだ。 「思い出した。私は国王に呼びだされて――何てことを! 私は妻を失った悲しみに耐えられなかった。そして、この世にメリッサをもう一度蘇らせようとしたのだ。 クベールの忠告を聞いていればよかったものを。お前はカイウスか。 よく聞け、[ヒト]と[レイモーンの民]の間に生まれた子よ。お前とルキウスがいれば、王の――」 そこまで言ったところで、部屋にロミーが入ってきた。 「故郷が近づいて、パワーも上がっているの。すぐ楽にしてあげるわ」 ロミーの一撃で教皇は倒れ、[ペイシェント]を取り落とした。 「素晴らしい純度の[ペイシェント]だわ。これがあれば今度こそ――」 ロミーは[ペイシェント]を拾って去っていった。 息も絶え絶えな教皇は最後の力を振り絞って言った。 「カイウス、クーベルに会え。彼は全てを知っている。行くのだ、北の最果てアルデハビッツへ!」 カイウスは教皇の側に行って膝をついた。 「しっかりしろ、あんたはオレの――」 「私はあまりにも多くの罪を犯した。その報いは受けねばなるまい。さらばだ、カイウス」 教皇は静かに息を引き取った。 教会を出ると辺りは[スポット]だらけだった。 困っているところへトールスが仲間を引き連れてやってきた。 「ジャンナの[スポット]は俺たちが掃除しておくさ。任せてくれ」 「みんな、ありがとう――」 一同はジャンナから脱出することに成功した。 409 :テイルズ オブ ザ テンペスト:2009/03/21(土) 03 47 03 ID Z7qUklW90 教皇に言われた通りに、アルデハビッツを目指す。 アルデハビッツはアーリアの故郷だという。 アルデハビッツに到着し、早速クーベルに会う。 クーベルは確かにおっさんだが、それほど年を取っているとは見えないし、 ましてや、100年前から生きているようには見えなかった。 「あんたは100年前――獣人戦争のときのクーベルなのか?まだ生きているなんて――」 「確かに、わしは屍も同じじゃ」 「教皇様があなたに会えと仰いました。[生命の法]について教えてください」 アーリアがそう言うと、クーベルは語りだした。 「かつて、わしはある旅人から[生命の法]を授かった。 [生命の法]を執り行うには、とてつもない力を必要とした。そのために造られたのが[ペイシェント]だ。 何千もの[レイモーンの民]の魂を凝集して[ペイシェント]を造りあげたのじゃ。 ――わしを虐殺者と罵りたければ罵るがよい。 だが、あのときはそれ以外に[レイモーンの民]を救う方法は考えられなかったのじゃ。 そしてわしは、教わったとおり[生命の法]を執り行った。 すると、空間に真っ黒な扉が開いて、辺りのエネルギーを全て飲み込んでしまった。 今、レイモーンの周囲が砂漠化しているのはそのためじゃ。 旅人は残った[ペイシェント]を持って去っていった――。 [ペイシェント]には、寿命を延ばす力が秘められている。 このわしも、[ペイシェント]の力で100年を生きることが出来たのじゃ。 旅人もまた、今も生きておる」 これではっきりした。[生命の法]がなんなのかを知っているのは、その旅人だ。 「直接聞けばよかろう。旅人とは、アレウーラの国王じゃよ。 王は強いぞ。おぬしらには、その覚悟があるかのう?」 みんなの気持ちは決まっていた。 「ならば、力を渡そう。国王を倒すために構築した[プリセプツ]を」 ルビアは「セイグリッドシャイン」、アーリアは「テンペスト」を覚えた。 国王はアール山の頂上に住んでいる。一同はアール山を登っていった。 中腹あたりにロミーが待っていた。 「わたしもそろそろ里帰りしたいのよ。だからあなたたちには死んでもらわなきゃ」 ロミーは体から瘴気を漂わせている。 「兄さん、ロミーは特殊な[スポット]だ。そのままでは止めは刺せない」 死んだと思われていたルキウスが現れて言った。ルキウスがロミーに向かって念じると、 ロミーは真の姿――全身真っ黒な[スポット]の姿に変わった。 カイウスとルビアは親の仇を討った。 「終わった――父さん、やったよ!」 頂上まで登り、国王が住んでいる建物の前に着いた。 そこには見えない壁が張り巡らされていた。 試しにティルキスとフォレストが見えない壁を押そうとしたがびくともしない。 「なるほど。[ヒト]も[レイモーンの民]も入れぬ領域か」 「オレがやってみる!」 カイウスが進み出て押してみると、見えない壁は一瞬にして消えた。 410 :テイルズ オブ ザ テンペスト:2009/03/21(土) 03 48 19 ID Z7qUklW90 国王の待つ部屋へとやってきた。国王はなんと、少年の姿をしていた。 [生命の法]とは何かと尋ねると、国王は語った。 「[生命の法]とはすなわち、私の世界と繋がる扉を開く法なのだ。 実験の失敗によりこの世界に流されてから幾星霜――。 私は元の世界に戻る方法を考えていた。しかし、[生命の法]はなかなか完成しなかった。 私はまずクーベルに、そして教皇に実験させた。 結果、扉は開き、我が国の住人[スポット]が現れた。 見よ!我が故郷が最も近い今こそ、[生命の法]が完成するときだ!」 国王は[ペイシェント]を使い、頭上に真っ黒な次元の扉を開いた。 その中で真っ黒な[スポット]が蠢いているのが見える。 「[生命の法]なんか、完成させるもんですか!」 だが国王は余裕の表情だ。 「[ヒト]の命をもってしても、[ペイシェント]は精製可能なのだよ。 何度失敗しようと、材料には困らんさ」 「――何てことを!オレが絶対お前を止める!もう誰も死なせはしない!」 国王との最終決戦。厳しい戦いの末に勝利を勝ち取った。 「なぜだ。この私が負けるなど――。お前たちのどこにそんな力が?」 「我々は自分のために戦ったのではない。仲間のために戦ったのだ」 国王は死んだが、まだ次元の扉が開いていた。 「もう一度[生命の法]を使って、扉を閉じるのよ!」 「だけど、もう[ペイシェント]が――」 「オレのがある!きっとこのために持ってたんだ。いいだろ?母さん――」 カイウスのペンダントを使うことになった。 「[プリセプツ]は大丈夫。もう何度も見たから」 アーリアが[生命の法]を執り行い、次元の扉を閉じた。 三ヶ月後。 ジャンナでは[ヒト]と[レイモーンの民]双方が出席する評議会が開かれるようになった。 [レイモーンの民]の代表はフォレストだ。 ティルキスはアーリアを連れて故郷のセンシビアに帰ることになった。 ルキウスは異端審問会を解散させた。 カイウスは以前からの希望で、他の大陸に行って世界を見て回りたいという。 旅立ちの日。ジャンナの港にみんなが見送りに来ていた。 「なぁ、ルビア。お前はこれからどうするんだ?」 「僧になる勉強をするわ。だから、しばらくお別れね」 カイウスはルビアに着いてきてほしいのだが、素直に言い出せないでいる。 「カイウスがどうしてもって言うんなら、あたしも一緒に行ってあげようかしら」 ルビアの方からそう言った。 カイウスとルビアは仲良く船に乗り込んだ。船は次の大陸に向けて出港した。 おわり
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時は西暦2016年、イギリスの首都ロンドンの郊外。 英国を拠点とする異能力者で知らぬものは居ない、英国の王立学園兼異能者管理監督機関「ガーデン」の理事を 若くして務める「鉄血の淑女」テンペスター子爵の私邸。 子爵と言えどもさすがは貴族、といった雰囲気を漂わせるテンペスター邸は、先日北欧地域で行われた 大規模掃討作戦の成功と、実働部隊の全員生還を労う慰労会が開かれていた。 その屋敷の一角にある、慰労会の会場がある食堂とは真逆の方位にある、来客の宿泊用に宛がう部屋を 集めた棟にある、とある一室。 身形も顔立ちも将来を感じさせる少女が、その部屋を訪れる。 「母様がお客様を運び込ませた部屋、というのは此処ですね……」 まだ11歳になったばかり。まだまだやんちゃ盛りの少女は、淑女の嗜みよりもまだまだ好奇心とイタズラ心が旺盛なお年頃。 そんな彼女に、ヒミツのお客様が泊まっているお部屋は、魅力的にも程があった。 先ほどまで、自分ともそう背丈が変わらないのに自分よりもずっと年上で、日本でいうところのガーデンのようなところで 先生をやっているハルナさんという人に、母様と一緒にドレスの着付けをしてあげていた。 「あうう、娘さんのドレスがすっぽりはいっちゃう私って……」と言っていたのがちょっとだけ面白かった。 それも終わった後はオジサンばっかりのパーティーに出るのも気が引けて、どうしようかと思案していたところに メイドさんたちが母の指示で客室に運び込んだという人の話が聞こえてきたので、話を聞いてやってきた次第だ。 「おっじゃましまぁ~す……」 ひっそりと扉を開けて中を窺うと、そこにはベッドに寝かされた男性がひとり。 「ふむふむ……」 じっくりひっそり検分してみる。 年は、両親や先生達に比べればずっと若い。大学部に通っている、父様の秘書の人くらいかな? それにしても……どんな人なのかな、このひ 「おい壁テメェェ! 誰が幼女にあしらわれたチキン野郎だぁ! 次会ったら絶対唯じゃ済まさねぇぞぉぉぉ!」 「ひにゃあぁ~~~!?」 覚醒と共に発せられた男性の叫び声に、少女は脱兎の如く逃げ出すより他無かった。 ―――※――― 「ありょ? ここは……どこよ? ったく、それにしても、なんつー酷い夢だ……」 絶叫と共に跳ね起きた北神 静馬(きたがみ しずま)は、頭を振りながら覚醒する。 本当に酷い夢だった。(*1)夢だとしても、あの赤い壁、今度会ったらぶん殴ってやらなきゃ気が済まん。 地獄の侯爵登場で派手に暴れた後の、久方ぶりの野宿は寝付きによろしくなかった。だからあんな夢を見てしまったのだろう。 ……だがしかし、今自分がいるこの部屋は、一体全体どういうこと? どこぞいいところのお屋敷であることは推察できるが……とりあえず情報を探ろう。 ホテル並みのふかふかベッドは名残惜しいが、何時までも寝ているわけにもいかない。 まずは身形を確認。衣服に問題なし。懐中時計は卓上にあって、三本の針は回転を始めている。現世に出たら動き始める、 というアリスの弁はどうやら本当だったらしい。 懐中時計を首にかけ、掛け台に掛けられていたコートを羽織る。内ポケットに忍ばせた手紙があることも確認。 「さて、こんなもんかな。そいじゃ、まずはこの家の主人に礼を言って、それから知り合いとコンタクトを取らんと」 休ませて貰った部屋はあくまでも休憩用だからか、これといって常備品から探れるような情報は特になかった。 永劫図書館に世話になってから3年、連絡先が昔のままなら……って、そうだ。携帯はセルグライデと戦ったときに、 跡形も無いくらい見事な木っ端微塵にぶっ壊れたんだっけ……。 とりあえず部屋を出て、少し歩いてみる。 「うっへぇ~、広いなぁ。コイツはどっかの豪邸か?」 華美過ぎることなく、それでいて上品さを全く損なうことのない内装。職人のセンスも、家人のセンスもなかなかのものだ。 まさかとは思うが、夢で見た「ワンオフ」とかって奴等が構えた屋敷じゃないだろうなぁ……? とりあえず適当にぶらついていると、正面から声が聞こえてくる。 「あの人が起きた」だの「お客様が大勢見えてらっしゃるのにはしたない、落ち着きなさい」だのと聞こえてくる。 ちょうどいい、家人が来るのなら一宿の礼はしておかねば。 ―――※――― 目の前からやってきたのは、まさに貴族の御婦人といった感じの、上品な年のとり方をした女性。 それと、その娘だろうか、母親の後ろに回ってこちらを警戒している。 御婦人にも娘さんにも、どことなくテンペっちゃんに似てるところがあるが……っと、あまり女性の顔をじろじろと見るのは 失礼だ、というのはテンペっちゃんから教わったんだっけか。 「これは失礼。何だか知らないうちにお世話になってしまっていたようで、申し訳ないです」 「そんなことは、ございません……本当に、ご無事で、何よりです。シズマ様」 御婦人の目から、涙が零れる。で、シズマ様、娘と思しき子供ともどもテンペっちゃんの面影…… 「―――いや待て、う~~~~ん、と……まさか、とは思うが、ひょっとして」 二年ちょっと前に見た、セルグライデとタイマンでケリをつけるために逃がした、堂雪とテンペっちゃんの姿。 その時のテンペっちゃんの姿からどう二年経たせても、ここまで育ちはしないと思うが、だが……ああもうめんどくさい、 目の前の御婦人に聞けば一発で終わる話だ。 「テンペっちゃん、なのか?」 「はい……17年ぶりでございますね、シズマ様。私はすっかり年を取って、夫も娘も出来ました。シズマ様は、あの時と お変わりないのですね……」 「―――へ? えぇ……っと、じゅうなな、年?」 「はい。今は2016年。私や堂雪法師にシズマ様、アルファリードさんにセルグライデさんにエルマドニックさん、ファウさんに クレストーラさんにエストールさん……皆様と共にEmbryo-1へ突入したあの日から、もう17年。私も、33歳になりました」 「ま、まじか……世間はそんなに時間経ってたのか……。あの後何があったか、聞かせてくれるか?」 「はい、もちろんです。全ての業務に優先してお時間作ります」 あーそうか、テンペっちゃんの歳なら仕事しててもおかしくはないものな。 永劫図書館の暴徒鎮圧要員を解雇され、事実上プーといっても何ら差し支えのない俺とは大違いだ。 「それはともかくとしまして。シズマ様、せっかくですから、今食堂で開いております慰労会へ参りませんか? お食事も用意しておりますし、催しも準備しておりますので」 「うむ、そうだなぁ。ここんとこずっと、他人が作ったメシ食ってないしなぁ……それじゃ、お言葉に甘えるとしますか」 アリスは食事を摂らなかったし、チビの主食はグリム・レア。 まっとうな食事が必要なのは自分だけなので、毎食は労働報酬として現物支給。調理のための光熱費は無論給与天引き。 一人寂しく自分のためにメシを作り食う、そんな毎日を繰り返して二年と少し。久方ぶりに他人の作った飯が食える……! 「それでは、こちらへどうぞ」 そう言い食堂へ案内するも、いつまでも裾をつかんでこちらと距離をとりたがる娘にテンペっちゃんは困っているようだ。 「もう、イストラリア、いつまでそうやっているの? お客様に失礼でしょう?」 「むー……この人、こわい……」 「そういうことを言うんじゃありません。もう……ごめんなさい、シズマ様」 やんちゃ盛りではっちゃけてたテンペっちゃんの言葉とは思えない。歳月は人を変える、か。 「はっは、テンペっちゃんももうすっかり母親なんだなぁ……と、さすがに年上なのに『テンペっちゃん』はもう失礼か」 「いえ、お気になさらず。お好きにお呼び下さいませ、シズマ様」 相も変わらず、イストラリアというテンペっちゃんの娘から思いっきり警戒されている。子供は苦手じゃないんだが、 ここまで露骨に避けられるのは困るのだが。 「むー……」 「やれやれ、娘さんには嫌われちまったなぁ。そういや慰労会、つったっけ。仮装とかアリ?」 「もう皆様お酒も入っている頃でしょうから、宜しいのではないでしょうか。そういえばシズマ様、今御歳はお幾つに? 17年経った、と聞いて、大分驚いておられましたが」 「あー、俺の感覚では2年と少ししか経ってないんだけどなぁ。誕生日3回来てるはずだから、ハタチにはなってる、と思う。 多分エンブリオが爆発したときに、色々あって時間の流れが違う所に飛ばされたんじゃないかな」 永劫図書館、という具体的な名前は避けておこう。存在や所在を知っている人は、おそらくグリ婆くらいだろうから。 「そう、ですか……大変だったのですね。それで、どうして仮装が大丈夫か、なんて聞かれるのですか?」 「ま、こういうこと」 そういえば、こっちはまだアリスやチビ以外に見せたことはなかったか。 鎧のメダルを指でピンと弾き上げて、宝玉色のフルプレートメイルを装着する。 「まぁ……! それは、ひょっとして」 「そ、あの時ぶっ倒したカバ龍の分。さすがに図体デカかっただけあって、こんなになっちまった」 鎧姿を二人の前で披露、軽くポーズなんかとってみたりすると、 「うわぁ……変身ヒーローだぁ……!」 イストラリア嬢の目が、電光石火の勢いで輝き出す。 「はっは、やっぱ子供にゃこういう方がウケがいいなぁ!」 「うわー! すごーい! 変身だー!」 さっきまでの警戒モードが嘘のように、きゃっきゃとはしゃぎ回るイストラリア。 「うふふ、楽しそうですわね。さ、そろそろ着きますよ」 久方ぶりの全うな食事の時間がやってきた。さぁ食うぞ……こらお嬢、背中に登るな、危ないから。 ―――※――― 何故かは知らんが必死に背中に乗りたがるイストラリア嬢をなだめすかして、テンペっちゃんに預ける。 「こちらになります。さぁ、どうぞお入りくださいませ」 扉を開けて食堂へ。さすがというか何と言うか、邸宅の豪奢さに相応しい盛況っぷりだなぁ。 「これ全員、異能者……じゃ、ないな」 「基本的には『ガーデン』及び他国異能者機関に所属している、異能者数名と異能に理解のある未能力者多数。 原因不明ながら99年以降世界規模で異能の発現が多くなっていますが、就学年齢の者ばかりです。 フットワークの軽い学生たちに国内で起こる異能・ラルヴァ絡みの事件の解決やラルヴァの討伐をお願いすることも ありますが、大規模作戦となればその筋のプロにお願いする方が上手くいきますので」 「ふ~ん……その割には、小学生?くらいのもいるんだな」 静馬の目に留まったのは、ここぞとばかりに食事に元気よくかぶりつく、周囲の厳つい野郎共とは明らかに違いどう見ても イストラリア嬢と同い年くらいの少女としか形容すべき言葉の見つからない女性。 「あちらの方は春奈・C・クラウディウス女史。双葉学園、という日本の異能者養成機関で教鞭を取ってらっしゃるんですよ」 「あれで、先生か……日本もずいぶん懐が広くなったもんだ」 こちらが注視しているのに気がついたのか、そのハルナせんせーとやらがこちらに振り返る。 (なるほど、精神感応、あるいは精神連結系の異能か。チャンネルを合わせようとしてるみたいだが、申し訳ない。、 今この機会ではお断りさせていただきましょうかね) 下手にリンクを確立させると、彼女自身もそうだが、無意識下リンクによって会場内全員にマルコシウスの精神汚染が 及ぶ危険もないとは言い切れない。軽く一礼だけして、そそくさと離れることにしよう。 「よし、そいじゃあ食うとしますかね。テンペっちゃんはしばらく仕事があるんだろ?」 「はい、申し訳ありませんが……」 「気にしなくて良いさ。こっちが勝手に押しかけてきたようなもんだしな。とりあえず適度に腹が膨れたら、さっきの部屋で 休ませて貰うよ」 「分かりました。それでは、まとまった時間が取れる頃合に、人を遣しますので」 「あいよ、了解。また後でな」 挨拶回りと仕事に向かうテンペっちゃんを見送って、結局着たままではメシが食えないのでさっさと鎧は解除してメシを食う。 イギリスのメシは不味いと聞いていたが、うむ、このメシはなかなかイケるじゃないか。 久方ぶりに食う他人作の食事に、改めて現世への帰還を意識するというのも、やはり人の性というものだろうか。 ―――※――― 自分じゃなかなか作れない類のメシをたらふく食ってご満悦、借り受けた客室にて呼び出しを待つ。 とりあえず新聞を数日分借りてきたが、体感2年ぶりに触れる英語もまだまだいける。 この20年弱の間にいろいろと世界は変わったようだが、普通に生活する分には概ね大きな変化はないようだ。 新聞の中身の構成そのものは、日本とイギリスというお国柄を除けば、99年に見たものとさほど変わりはない。 「ま、世間は見た目おおむね平和ですよ、ってことかねぇ」 もっと暗い部分については、これからじっくり話を聞くことにしよう。 借りた新聞の最後の一部を化粧台に投げて、ベッドに横になる。 暇になって考えるのは、日本のこと。 さすがに17年、どういう話が家族に通っているかは分からないが、少なくとも自分は死んだも同然の扱いだろう。 確か戦争や船舶沈没など特殊なケースで1年間、その他の理由での失踪なら7年間の消息不明で死亡扱いになったはずだ。 何にも言わず書置きすらなく出て行って、17年も帰ってこなくて、挙句に帰ってみれば人間じゃなくなってました、と。 まったく、どんだけ親不孝者なんだろうな、俺は。 家族もそうだが、友人知人もどうしているだろうか。 学校の友人達は、まっとうに生きているなら今34歳か。テンペっちゃんのように家族を持っているヤツがいても、 決しておかしくはない年代である。きっとアイツも今頃は、子供の一人もこさえてよろしくやっているのだろう。 同盟の皆はどうしているだろう。 グリ婆は、あの手紙とアリスの弁から察する限り、逝ってしまったのだろう。藤神門のバァ様と「どっちが先に逝くかの?」 「脅威が取り除かれて我々のような者が不要になるまでは死ねぬわ!」などとしょっちゅう話し合っていたり、若い衆を 年甲斐もなくビシバシしごいていたのを思い出す。 バァ様もとてもじゃないが死んでるとは……生きてたら107歳か。厳しいかも知れん。 こっちの世界へ誘ってくれたお嬢は、確か会ったときは大学生だったから、40手前になるか。 一緒に突入したメンバーは、テンペっちゃんと堂雪の他は何人生き残っただろうか。仕留め損なって生き延びてるはずの 糞神父は別として、正直全員無事とは思っちゃいないが、それでも出来るだけ多くは生き残っていて欲しい。 そんなことを考えていると、扉が開かれる。どうやら考え事に集中しすぎてノックを聞き逃していたらしい。 顔を覗かせたメイドから準備が出来た旨を聞かされ、部屋を出る準備を整える。 とりあえず、借りた新聞はメイドに渡しておけばいいか。 新聞を小脇に抱えたメイドと共に、テンペっちゃんの書斎へと向かう。 ―――※――― 書斎に通され、デスクに座るテンペっちゃんの姿は、やはり働く女性そのもの、といった感じ。 姿にまだ面影はあるものの、きゃいきゃい言いながら自分に寄り添ってきたあの頃とは、決定的に違っている。 「お待たせいたしました、シズマ様。それでは……何から、話しましょうか」 「聞きたいことは山ほどあるが……そうだな。まず確認したいのは、今の情勢について、かな」 「はい、それでしたら……」 エンブリオ突入作戦以後から話は始まる。 自分がテンペっちゃんと堂雪を表に放り出した頃、時を同じくして出現していた3体のエンブリオが爆発四散。 その報を受けたグリ婆が弟子の魔女を連れて空からの脱出補助を試み、内部で没したファウとエストール(エルマドニックが 二人の最期を見取ったとのことだ)、自分とセルグライデ(爆発まで延々決闘)、今尚行方不明のアルファリードの5人を除き、 オブザーバー兼外部監視要員のジェニー女史らと共に海域を高速離脱。 結局は突入したエンブリオも爆発し、全4体のエンブリオの欠片が全世界に撒き散らされたわけだが、そのほかにも同時期に 様々な異能絡みの出来事が頻発。それがどう引き金になったかは今尚研究中だそうだが、未知生命体改めラルヴァが 99年以前を上回る頻度で発見されると共に、99年以後に生まれた子供達に異能の発現が多く見られるようになったそうな。 ラルヴァについては世界各国にて「一般人には秘匿すべし」との共通見解に基づき情報統制・報道管制が引かれると共に、 増加する異能者の管理と共に心身の育成を目的とした専門機関の設営が各国政府に求められたひとつの命題となる。 その結果出来たのが、イギリスでは『ガーデン』、日本では先に見かけたハルナ先生がいる『双葉学園』及び『ALICE』、 ということだ(知り合いにアリスがいるので、ごっちゃになって困るのだが仕方がない)。 同盟については、国元の組織への協力あるいは独立行動の希望などあって実質的解散をしたそうだが、これまでの功績から 参加者については『Members in 1999』と称され、成人異能力者にあって特別視されているらしい。 人類とラルヴァの、人間サイドとしては子供を使ってまで行う水面下の激闘を繰り広げる中に現れた、特例中の特例。 「シズマ様は、『ワンオフ』という存在をご存知でしょうか?」 「ああ、概ねは、ね」 夢の中でメイドコスの人から懇切丁寧にご教授頂き、女の子にポッチーを突き付けられたような記憶が薄らとある。 「これが、そのリストです。市井に溢れるラルヴァについては後からでも調べられますが、現在188……いえ、先ほど189に なりましたか。ワンオフの存在については、特に危険視される存在、討滅に成功した存在を除いては、外見と特徴以外の 一部情報は秘匿されています。このリストの内容も、あまり口外されないよう、お気をつけくださいませ」 「ふ~ん……」 極秘資料だが特別に、とのことで見せてもらう。どことなく見知ったような顔もあるが……一番最後、一番真新しい紙に さしあたるところで、テンペっちゃんが声を掛けてくる。 「一番最後、つい先日、慰労会に居た方々が参加していた作戦中に現れた、最新の『ワンオフ』、ナン」 「バー189、Knight。だろ?」 「何処でそれを? 提出レポートの内容に疑いの余地なし、とのことで数時間前に認定されたばかりなのに」 「いや、まぁ……さっきの慰労会で小耳に挟んだもので、ね」 流石に「実はこれ、俺の事なんだよね」などと本当の事を話すわけにはいかない。時が来れば分かってしまうことだろうが、 それが今である必要はないはずだ。 ワンオフだけでなく、他にも複数の存在が確認できたり亜種だったりすることで定義から外れはしたものの、ワンオフ級の 強大な力を持った存在(日本の女王蜘蛛や、世界各地で発見された天蓋地竜など)が確認されており、それまでは 世に出ることのなかった存在、あるいは世に出ていたが現地人のみの秘匿とされていた存在が少しずつ暴かれる。 大小強弱、様々なラルヴァが確認されると、99年にエンブリオまで同行してきたジェニーのようなラルヴァ研究家によって 種族の体系立てがされ、異能者機関に所属していれば確認及び照会ができるようにデータベース化されているようだ。 そして、問題はラルヴァだけで済むものでもなくなった。 強すぎる異能が人の心を闇に染めるのは、力を精神で御しきれぬ人であれば已む無き事だが、どうもそういうバカ共が 寄り集まって地下組織を作り、99年以前では考えられない大規模な集団行動を取る様になったようだ。 現状での最大規模は、聖痕(スティグマ)と呼ばれる、ラルヴァを信奉・保護し、目的のためとあらば対人戦及び殺人も辞さない かなり過激な組織だそうだ……あの糞神父も、おそらくは一枚噛んでるに違いない。 その他にも、外法研究機関も世界各地に点在しており、それらを討伐するのも現代の異能者が戦う理由となっているようだ。 殺す気で向かってくるとはいえ、相手は人間。倫理的にやりにくいことこの上ないらしい。特に学生を派遣した際に 同年代の組織構成員との対決に及ぶケースが多いため、『ガーデン』でのメンタルチェックやケアは充実させているそうだ。 「99年以後のラルヴァや異能者の歴史については、おおよそこのような感じです」 「なるほどね。大体分かった。細かいところの捕捉は自分でやるとして……次だけど」 「はい、何でしょうか?」 「世間的……法的って言ったほうがいいか、俺はどういう扱いになってる? やっぱり失踪宣告で死亡扱いなんだよな?」 「ええ、そうです。藤神門の御婆様が手を回していただいたようで、『高波に浚われて行方不明』ということに。異能者として ラルヴァと戦い生死不明、とご家族に告げることは出来ませんし、当日の夜は酷い雷雨でしたので丁度良かったそうです」 家族はその話を聞いて、どう思っただろうか。雷雨の夜には未知生命体(現ラルヴァ)が良く出没するということで、何度か 出動したこともあるから、出かけたこと自体には疑念はなかっただろう。だが、やはり理由が理由だ。 「とりあえずは、帰っても迷惑掛けるだけだろうし、連絡取っても死人から便りが来ちゃ驚かせるだけだろうからなぁ。 『北神 静馬』として生きていくことが出来ないとなると、俺はどうすりゃいいのかね?」 「そう仰られるのでは、と思いまして、少々無茶を致しました。こちらを」 差し出された書類を受け取る。俺の顔写真に、『Sizma=Nordio』という姓名が印字された…… 「オイこれ……戸籍じゃないのか!? 戸籍の偽造は、ちょっとばっかしマズいんじゃないか?」 「何せ今こうして私が生きていられるのは、あの時シズマ様が身を挺して脱出させてくださったからこそ。ならば今度は私が、 シズマ様がこれから生きていくために手を尽くすのが、私の果たすべき責務だと判断し、私個人の独断で行ったことです。 どうかお気になさらず、お使いください。でも、ここだけの秘密にしておいてくださいませね?」 ふむ……そういうことなら、ありがたく使わせてもらおう。黄泉帰った死人に偽造の戸籍、なんと似つかわしい事か。 「しかし、翻訳したら『北神』だぜ、この苗字? ま、いいけどさ」 たった今から、俺は北神 静馬を辞めてシズマ=ノーディオとして生きる、か。 死人から一転、英国人の仲間入り。しっかし、来歴不明でよく戸籍作れたなぁ……どんだけ無茶したんだか。 ま、恩義には報いるのが責務ってもんだ。英国紳士、あるいは勲功上げて別名よろしく騎士でも目指してみるか? 「他に何か、ございますか?」 「う~ん……今はとりあえず大丈夫そう、かな。今日はもういいとして、データベースみたいなものが見れるといいんだけど、 どこか手配とか取れそうかな?」 「それであれば、『ガーデン』のライブラリをご覧になるのがよろしいかと。すぐ明日に、と行きたい所なのですが、 何分外部からの来訪者に公開するには規制があるもので、お時間を数日頂く事になります。閲覧の申請は私から 行っておきますので、シズマ様はこの屋敷でお待ちいただければ」 「何か、ホント何から何までやってもらっちゃった上に泊まる所まで用意してもらう、ってのも気が引けるなぁ。何か代わりに やれそうなことがあれば手伝わせてほしいんだが」 見返りの無いものなんてあるはずもない。後出しにされるくらいなら、自分から対価を提示させたほうが気が落ち着くし 心構えをもって臨めるというものだ。テンペっちゃんの好意にだけ甘えるわけにはいかない。 「そういうことであれば、そうですね……『ガーデン』の生徒会(ダイナスティ)経由で出そうと思っていた案件を、いくつか お願いしようかしら。それでよろしいでしょうか?」 「おう、どんとこいだ! ……と思ったけど、先立つものだけ、申し訳ないんだけど、少し貸してくんない、かな?」 なんとも締まらない気持ちではあるが、屋敷の表に出るとなればやっぱりカネが要るわけでして、情けないながらも かつて年下で仲間だった貴族様に、お金の無心をするのであった……。 その4へ トップに戻る 作品保管庫に戻る
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テイルズ オブ ザ テンペスト part44-402~410 402 :テイルズ オブ ザ テンペスト:2009/03/21(土) 03 36 53 ID Z7qUklW90 神秘と幻想の大陸、アレウーラ。 大陸に君臨した種族[レイモーンの民]が、獣人戦争によって衰退してから100年。 大陸の支配権は[ヒト]に移り、各地で[レイモーンの民]は迫害を受けていた。 それは、辺境の村フェルンでも例外ではなかった。 フェルン村の小さな家に、少年カイウスと、その父ラムラスは住んでいた。 「オレももう15だよ!オレは外の世界が見たいんだ!」 カイウスは父と口喧嘩をして、家を飛び出した。 その足で教会へ。教会に住んでいる、幼馴染の少女ルビアに会いにきた。 「今まで黙ってたけど、あたし、次の冬が来る頃に、ジャンナに行くの。 学校に入学して、僧になる勉強をするんだ」 その勉強は8年もかかるとルビアは言う。 「淋しくなるな。でも、自分で決めたことだもんな。頑張れよ」 ふたりは遊びに行こうと、村を出ようとしたところに、金色の鎧を身に着けた騎士がやってきた。 どうやら怪我をしているらしい。 騎士は教会に担ぎこまれ、司祭が治療を施したが、気を失ったまま目を覚まさなかった。 その夜、カイウスは寝ずの番を任された。 「でも、どうして騎士様がこんな辺境にやってきたんだろう?」 首を傾げるカイウス。ふと騎士は目を覚まして、カイウスに言った。 「最期の頼みを聞いてくれ。私の荷物の中に、赤い大きな石が入っている。 その[ペイシェント]を首都ジャンナの大公様の元へ届けてくれ――」 騎士はそのまま息絶えてしまった。カイウスは騎士の荷物を調べると、確かに石が入っていた。 石を取り出すと、カイウスが首から下げているペンダントの赤い石と共鳴するかのように光りだした。 「母さんの形見の石と共鳴している?」 にわかに外が騒がしくなったので、カイウスは急いで[ペイシェント]と呼ばれた赤い石をポケットに入れた。 光は収まった。 カイウスは教会を出た。村中に謎の黒いモンスターが徘徊していた。 ふたりはカイウスの家の前までたどりついた。ラムラスが黒い魔物に囲まれていた。 「これから何が起こっても、目を逸らさず見ていろ、いいな」 ラムラスはそう言うと、オオカミ男のような姿に変身し、魔物を全てなぎ倒してしまった。 突然のことに驚くカイウス。 「あんた、[リカンツ]――化け物どもの仲間だったのか!」 ラムラスが変身するところを見ていた村人が騒ぎ出した。 ラムラスとカイウスは家の中に逃げ込んだ。 403 :テイルズ オブ ザ テンペスト:2009/03/21(土) 03 38 16 ID Z7qUklW90 カイウスはさっそく[リカンツ]とはなんなのかラムラスに聞いてみた。 「[リカンツ]というのは、[ヒト]が我々を蔑んで呼ぶときの呼び名だ。 [リカンツ]とは[レイモーンの民]のこと。[ヒト]の形をしているが、獣人化という特殊な能力を持った種族だ。 今まで隠していて済まん」 父が[ヒト]ではなかったなんて――と動揺するカイウス。 自分もあんな風に獣人になるのだろうかと思ったが、ラムラスはさらに話を続ける。 「我々[レイモーンの民]には、体のどこかにあざがある。 それは[ザンクトゥ]と呼ばれる、[レイモーンの民]の証(あかし)だ。 だが、お前の体には[ザンクトゥ]が現れていない。だから、お前が獣の姿になることは無いのかもしれない。 ――私はお前の本当の父親ではない。私はお前を幼い頃に、メリッサ様から預かったのだ。 お前の母、メリッサ様は、レイモーン王家最後の王族。 100年前の獣人戦争のとき、レイモーンの国は滅んだ。 散り散りになった[レイモーンの民]は、[ヒト]の中に紛れて、静かに暮らしてきた。 だが、[ヒト]は我々を異端者とみなし、異端者狩りと称して捕らえられた。 メリッサ様も異端者狩りに――。 お前の父親がどこかに生きている。お前は父親を探しなさい」 ラムラスを狩るために、首都ジャンナの教会から異端審問官がふたり村にやってきた。 異端審問官は覆面の女ロミーと、仮面の男ルキウスといった。 ふたりはカイウスの家の前で、出てこないと家に火をつけると脅した。 ラムラスは大人しく出て行った。カイウスはルビアと共に、スキをついて村から逃げ出した。 しばらくたった後、カイウスは、一人でこっそり村の様子を見に行った。 ロミーとルキウスは、騎士が持っていた[ペイシェント]を探しているらしい。 騎士は教会に運び込まれたと聞いたロミーは、 口封じのために司祭と奥さん――ルビアの両親を惨殺した。 そして異端審問官たちは、ラムラスを連れて村を去っていった。 「こんなのってありかよ。ひどい、ひどすぎる――!」 ルビアと合流し、両親が殺されたことを話す。 ルビアは、両親の仇を討つと心に誓った。 カイウスも、生きているという父を探し、そして捕まったラムラスを助けたかった。 ふたりは異端審問官たちを追うことになった。 船に乗ろうとしたが、子供だけでは乗せてくれないというので、 少々危険だが黒の森を抜けて、首都ジャンナへ向かおうということになった。 昼の間はなんとかなったが、夜になるとモンスターが凶悪化してしまった。 カイウスとルビアはモンスターに囲まれてしまった。 「困っているようだね。俺たちが力を貸してあげようか」 さっそうと男ふたりが現れ、モンスターを倒した。 若くてチャラチャラした感じの男はティルキス、無口な男はフォレストと名乗った。 「俺たちはセンシビアっていう島から来たんだ。 お前たち、なんかワケありって感じだな。とりあえず、付いて来い」 404 :テイルズ オブ ザ テンペスト:2009/03/21(土) 03 39 22 ID Z7qUklW90 4人は森を抜け、小さな町に着いた。 このまま町に入っては怪しまれるので、ティルキスとルビアは兄妹、 フォレストとカイウスは親子という設定で、ふたり組みになって行動しようということになった。 その夜、眠れないカイウスは宿屋を抜け出して外に出た。 心配して追ってきたフォレストに、カイウスは秘密を打ち明けた。 「何でだろう。フォレストにだけは話してもいいような気がしたんだ」 「――お前には[ザンクトゥ]がないから、[レイモーンの民]ではないのだろう」 「じゃあ、オレの本当の両親は誰なんだろう」 「これだけ言える。他人は他人、自分は自分だ。お前が今せねばならないことは、 本当の自分を見つけることなのかも知れんな。迷うなよ、カイウス」 翌日。合流した4人はジャンナに入った。 三方を海に、一方を川に囲まれている巨大な町だ。 海の上に城が建っているが、今は城の中には誰もいないらしい。 昔、とある事件があり、それをきっかけに国王はアール山という山の上に住んでいるという。 その他に、大きな教会がある。教会のトップである教皇がいるらしい。 ティルキスとフォレストは用事があるというので、宿屋で落ち合う約束をして別れた。 カイウスとルビアは、まず騎士の願いを叶えるべく、大公に会おうとしたが、門前払いにされてしまった。 そして、ラムラスがどうなったか探るべく、教会の方へ行ってみることにした。 フェルンで捕まった[リカンツ]はその日のうちに処刑されたという。 「父さん、ごめん。オレ、助けられなかったよ――」 しょげかえるカイウスをルビアが励ました。ふたりは港の方へと行った。 ふたりを騎士たちが追いかけてきていた。 どうやら、騎士たちもカイウスが持つ[ペイシェント]を狙っているらしい。 「こっちよ!こっちへ来なさい!」 見ると教会の尼僧が手招いている。尼僧のおかげで、騎士たちを撒くことが出来た。 「わたしはアーリア。あなたたち、どうして追われているの? ――答えたくないならいいわ。早くジャンナを離れたほうがいいわね」 アーリアと別れて、ふたりは宿屋に向かった。 宿屋ではティルキスとフォレストが密談中だった。 「センシビアに現れた魔物は、教会が[プリセプツ]を使って生み出したのは間違いないようだな」 そこへいきなり僧兵が現れた。 「[ザンクトゥ]――。その男、[リカンツ]だな!」 フォレストは異端審問官に捕まり、教会へと連れて行かれた。 ティルキスは逃げ出し、カイウスとルビアを連れて港の方へ行った。 405 :テイルズ オブ ザ テンペスト:2009/03/21(土) 03 42 02 ID Z7qUklW90 アーリアの手引きで、フォレストが捕まっているであろう教会の地下へ侵入することに。 アーリアは僧侶でありながら異端者狩りに反対しているという。 地下水路を進んでいくと、フェルンにいたのと同じような黒い魔物が現れた。 黒い魔物は[スポット]と呼ばれている。[プリセプツ]と呼ばれる特殊な魔法を行うと、 副産物として[スポット]が出現してしまうのだとアーリアは説明した。 [レイモーンの民]たちが多数捕まっている牢獄を発見した。 その奥にはフォレストが鎖につながれていた。鎖をある程度解くと、 フォレストは獣人化して鎖を引きちぎった。 カイウスに会わせたい人がいると言って、フォレストはラムラスを連れてきた。 処刑されたというのは嘘だったのだ。教皇は、何がしかの理由によって、 [レイモーンの民]を処刑したように見せかけて、牢獄に集めていたのだった。 「やつらは、我々から[ペイシェント]のことを聞き出そうとしているのだ。 [ペイシェント]とは、我々[レイモーンの民]に伝わる赤い宝石のことだ」 他の囚われた[レイモーンの民]を解放し、カイウスたちはジャンナを出ようとした。 川に架かる橋の上で、騎士たちに囲まれてしまった。 一同は川に飛び込んだ。 カイウスは川をしばらく流されたところで目を覚ました。 側にはアーリアとラムラスがいる。他のメンバーはさらに流されていったらしい。 そこへロミーがやってきた。ラムラスはロミーに操られ、アーリアとカイウスに襲い掛かってきた。 カイウスは応戦し、ラムラスを動けなくした。 ロミーは妖しげな術でラムラスを殺した。ラムラスは石像のようになった。 これが[レイモーンの民]の死だ。 「父さんに何をした!」 カイウスは怒りのあまり自分が抑えられなくなり、ついに暴走―ー獣人化し、ロミーに飛び掛った。 「ラムラスにあなたを殺させて、[ペイシェント]を手に入れるつもりだったけど、まあいいわ」 ロミーは逃げていった。 [ヒト]の姿に戻ったカイウスはショックで動けなかった。 「オレも[リカンツ]だった――」 アーリアはなんとかカイウスをなだめた。 川のほとりの町でみんなと合流し、情報交換。 教皇は、[生命の法]という[プリセプツ]を行おうとしていたらしい。 [生命の法]とは、死んだ人を蘇らせるものだ。 [生命の法]の実行のために[ペイシェント]が必要だったらしい。 「[ペイシェント]には強力な魔力が秘められているわ。 教会は[ペイシェント]を生み出すことが出来ないの。 [ペイシェント]は、[レイモーンの民]が作ったと言われているわ」 「昔、獣人戦争の頃、レイモーンの国の宰相クベールは、 通りかかった旅人から[ペイシェント]の精製方法を聞き、 [生命の法]を実行しようとしたという記録が残っている。 だが[生命の法]は失敗し、[スポット]が蔓延ってしまったらしい」 「もともと、[プリセプツ]は[レイモーンの民]の文化です。レイモーンへ行ってみましょう」 アーリアがそう提案した。 406 :テイルズ オブ ザ テンペスト:2009/03/21(土) 03 43 04 ID Z7qUklW90 延々と東の方に進む。東の門という巨大な壁が張り巡らされている所に着いた。 その前に、ルキウスとロミーが待っていた。 「大人しく[ペイシェント]を渡せば見逃してやろう」 両親の仇の姿を見て、ルビアは激昂した。 「何言ってるのよ人殺し!!」 カイウスは獣人化してルキウスたちに突っ込んでいって、追い払った。 「またオレは獣人に――。オレの体はどうなっているんだろう。 もし、また獣人化したら、みんなを襲ってしまうかもしれない」 苦悩するカイウスをフォレストが励ました。 「カイウス、心配するな。お前はまだ力が制御できないだけなのだ。 これから、慣れていけばいい」 ルビアも悩んでいた。 「戦うカイウスを見たとき、あたしは、怖かった。[ヒト]にはない、巨大な力――」 門番に賄賂を渡して東の門を通過すると、一面に砂漠が広がっていた。 その砂漠の中心あたりに、もう廃墟となってしまった都、レイモーンがある。入ってみて一同は驚いた。 石像と化した[レイモーンの民]――つまり死体がたくさんあった。 中に入ると、大きな書庫がみつかった。役に立つ本がないかどうが探してみようとしたところへ、 ルキウスとロミーが再び姿を現した。 「ここにはもう役に立つものなんてないのよ。とっくに調査済みってわけ」 「[生命の法]とはなんなの?それで教皇様はなにをなさろうとしているの」 アーリアの問いに、ルキウスが答えた。 「教えてあげよう。教皇様は、この世界を憂えていらっしゃる。 [ヒト]や[リカンツ]がいがみ合う世界をね。 だから、教皇様は、失われた尊い魂を再びこの地に呼び戻し、憎しみの連鎖を断とうとなさっているのだ」 ルキウスはさらに続ける。 「カイウス、きみの持っている[ペイシェント]は、[リカンツ]の魂そのものなのだよ」 [ペイシェント]は[レイモーンの民]の魂から精製するものらしい。 石像と化した[レイモーンの民]は、[ペイシェント]を作るときの犠牲者だとか――。 カイウスは取り乱してルキウスを殴った。ルキウスの仮面が外れて飛んだ。 「その顔、カイウスに?」 ルキウスの素顔はカイウスによく似ていた。 「カイウス、仲間にならないか?ぼくはきみの弟だよ」 「弟――?ふざけるな!誰がお前の仲間なんかに!」 当然断るカイウス。 それならば強硬手段に出るまでと、カイウスはルビアを捕らえた。 「お前が持っている[ペイシェント]と引き換えに、この娘を返してやろう」 407 :テイルズ オブ ザ テンペスト:2009/03/21(土) 03 44 19 ID Z7qUklW90 約束の場所にやってきたカイウス。 「約束通り、ルビアを返せ!」 カイウスはロミーに[ペイシェント]を渡した。 だがルビアはルキウスの後ろから動こうとしない。 「カイウス、あたしそっちにいけない。もう何を信じていいのか解らない――」 ルビアは両親が[リカンツ]によって殺されたと嘘を吹き込まれていたのだった。 「いいんだ、お前がそう思ったのなら、それでいいんだ」 カイウスが立ち去ろうとしたとき、ロミーの手の中の[ペイシェント]と、 カイウスのペンダントが共鳴し光りだした。 「その[ペイシェント]もこっちへ渡してもらおう!」 ルキウスとロミーの態度が豹変した。 「断る!これは母さんの形見だ!」 「カイウス!逃げて!」 ルビアがロミーとルキウスを止めようとした。 「いまいましい小娘め!あなたもわたしのこの手で両親と同じところに送ってあげるわ!」 それを聞いてルビアは、両親を殺したのはロミーなのだと悟った。 「よくも騙したわねーっ!」 カイウスとルビアは協力してルキウスとロミーを撃退した。 「これほどとは――。だが、[ペイシェント]は手に入った。今日のところは引き上げるとしよう」 「迷惑かけてごめんなさい」 ルビアはパーティに復帰した。みんなで今後の方針を決めることに。 [ペイシェント]を手に入れたロミーとルキウス。その[ペイシェント]は今頃は教皇の手に渡っているだろう。 そして教皇は[生命の法]を執り行うに違いない。 「[生命の法]で命を呼び戻す――そんなことで世界を救えるのかしら? そもそも、なぜ今になって教皇様は[プリセプツ]を?」 ここは僅かな手掛かりだとしても欲しいところだ。 雪深い北の森の中にサンサという村がある。 そこは生き残った[レイモーンの民]がひっそりと暮らしている場所であり、また、フォレストの故郷だ。 [生命の法]について知っている人がいるかも知れない。一同は北に進んでいった。 サンサに着いた。長老に話を聞く。 「かつて[レイモーンの民]は繁栄を極めていた。しかし、繁栄は増長を生み、 互いに争うようになり、[レイモーンの民]は滅びようとしていた。 それを憂えた宰相クーベルは、ある方法を使って世界を救おうとした。 だが、それは叶わず、[レイモーンの民]の血の涙だけが残った――。 これが、この村に語り継がれてきた伝説じゃよ」 結局具体的なことは解らずじまいだった。そこに急いでやってきた人が言うには、 フォレストの友人のトールスという男が有志を募り、ジャンナを襲撃しようとしているとのことだ。 一同はトールスがいるという町に急行した。 「話は聞いた。ジャンナへの襲撃はやめろ。 俺は[ヒト]とも上手くやっている。傷つけあうのはよせ」 フォレストがトールスを説得しようとしたが、トールスの意志は固いようだった。 「ならば、少し待て。俺が教皇に会って決着をつけてやる。異端者狩りが無くなれば文句はあるまい」 「解った。お前を信じてここで待つことにしよう」 408 :テイルズ オブ ザ テンペスト:2009/03/21(土) 03 45 49 ID Z7qUklW90 一同はジャンナに入り教会へ向かった。教会ではルキウスが待っていた。 「待っていたよ、カイウス。これ以上先に進ませるわけにはいかない」 ルキウスを倒す。 「ぼくの負けだね、兄さん。行くといい」 「どうして兄弟で争わなければならないの?」 ルビアの問いに答えるルキウス。 「これが宿命なんだよ。兄さん、どうしてぼくのことを解ってくれなかったんだ。 ぼくは兄さんのように自分の中に流れる[リカンツ]の血を認めることが出来なかった。 ぼくも本当は、異端者狩りを止めたかったんだ。だって、自分を裁いているみたいだろ。 でも、教皇様は本気で[リカンツ]を――」 ルキウスは床に倒れて動かなくなった。 「ルキウス――オレは必ず教皇を止める!」 教会の一番奥の部屋。そこには美しい女性の姿をかたどった石像が置いてあった。 「あの石像、どこかで見たことがあるような――」 カイウスはふらふらと石像に近づいていった。 「その石像に近づくでない!近づけば命は無いぞ」 石像とカイウスの間に割って入るように教皇が現れた。 「お前が教皇か!これ以上[生命の法]を使わせるわけにはいかない!!」 「愚かな――。良かろう、相手をしてやる」 教皇はギラギラした目でカイウスたちに襲い掛かってきた。 強力な魔法を連発してカイウスたちを圧倒しようとしたが、なんとか倒す。 「――私はなぜこんな所に?」 教皇はまるで別人のようになってしまっていた。 「聞いてくれ。今日はメリッサが蘇る日。そして、命を落とした[レイモーンの民]も全て――」 あの石像はメリッサの死体らしい。 「あなたは、[生命の法]に失敗して、体はおろか心まで[スポット]に巣食われていたのでしょう」 ティルキスにそう言われて、教皇はハッと我に返ったようだ。 「思い出した。私は国王に呼びだされて――何てことを! 私は妻を失った悲しみに耐えられなかった。そして、この世にメリッサをもう一度蘇らせようとしたのだ。 クベールの忠告を聞いていればよかったものを。お前はカイウスか。 よく聞け、[ヒト]と[レイモーンの民]の間に生まれた子よ。お前とルキウスがいれば、王の――」 そこまで言ったところで、部屋にロミーが入ってきた。 「故郷が近づいて、パワーも上がっているの。すぐ楽にしてあげるわ」 ロミーの一撃で教皇は倒れ、[ペイシェント]を取り落とした。 「素晴らしい純度の[ペイシェント]だわ。これがあれば今度こそ――」 ロミーは[ペイシェント]を拾って去っていった。 息も絶え絶えな教皇は最後の力を振り絞って言った。 「カイウス、クーベルに会え。彼は全てを知っている。行くのだ、北の最果てアルデハビッツへ!」 カイウスは教皇の側に行って膝をついた。 「しっかりしろ、あんたはオレの――」 「私はあまりにも多くの罪を犯した。その報いは受けねばなるまい。さらばだ、カイウス」 教皇は静かに息を引き取った。 教会を出ると辺りは[スポット]だらけだった。 困っているところへトールスが仲間を引き連れてやってきた。 「ジャンナの[スポット]は俺たちが掃除しておくさ。任せてくれ」 「みんな、ありがとう――」 一同はジャンナから脱出することに成功した。 409 :テイルズ オブ ザ テンペスト:2009/03/21(土) 03 47 03 ID Z7qUklW90 教皇に言われた通りに、アルデハビッツを目指す。 アルデハビッツはアーリアの故郷だという。 アルデハビッツに到着し、早速クーベルに会う。 クーベルは確かにおっさんだが、それほど年を取っているとは見えないし、 ましてや、100年前から生きているようには見えなかった。 「あんたは100年前――獣人戦争のときのクーベルなのか?まだ生きているなんて――」 「確かに、わしは屍も同じじゃ」 「教皇様があなたに会えと仰いました。[生命の法]について教えてください」 アーリアがそう言うと、クーベルは語りだした。 「かつて、わしはある旅人から[生命の法]を授かった。 [生命の法]を執り行うには、とてつもない力を必要とした。そのために造られたのが[ペイシェント]だ。 何千もの[レイモーンの民]の魂を凝集して[ペイシェント]を造りあげたのじゃ。 ――わしを虐殺者と罵りたければ罵るがよい。 だが、あのときはそれ以外に[レイモーンの民]を救う方法は考えられなかったのじゃ。 そしてわしは、教わったとおり[生命の法]を執り行った。 すると、空間に真っ黒な扉が開いて、辺りのエネルギーを全て飲み込んでしまった。 今、レイモーンの周囲が砂漠化しているのはそのためじゃ。 旅人は残った[ペイシェント]を持って去っていった――。 [ペイシェント]には、寿命を延ばす力が秘められている。 このわしも、[ペイシェント]の力で100年を生きることが出来たのじゃ。 旅人もまた、今も生きておる」 これではっきりした。[生命の法]がなんなのかを知っているのは、その旅人だ。 「直接聞けばよかろう。旅人とは、アレウーラの国王じゃよ。 王は強いぞ。おぬしらには、その覚悟があるかのう?」 みんなの気持ちは決まっていた。 「ならば、力を渡そう。国王を倒すために構築した[プリセプツ]を」 ルビアは「セイグリッドシャイン」、アーリアは「テンペスト」を覚えた。 国王はアール山の頂上に住んでいる。一同はアール山を登っていった。 中腹あたりにロミーが待っていた。 「わたしもそろそろ里帰りしたいのよ。だからあなたたちには死んでもらわなきゃ」 ロミーは体から瘴気を漂わせている。 「兄さん、ロミーは特殊な[スポット]だ。そのままでは止めは刺せない」 死んだと思われていたルキウスが現れて言った。ルキウスがロミーに向かって念じると、 ロミーは真の姿――全身真っ黒な[スポット]の姿に変わった。 カイウスとルビアは親の仇を討った。 「終わった――父さん、やったよ!」 頂上まで登り、国王が住んでいる建物の前に着いた。 そこには見えない壁が張り巡らされていた。 試しにティルキスとフォレストが見えない壁を押そうとしたがびくともしない。 「なるほど。[ヒト]も[レイモーンの民]も入れぬ領域か」 「オレがやってみる!」 カイウスが進み出て押してみると、見えない壁は一瞬にして消えた。 410 :テイルズ オブ ザ テンペスト:2009/03/21(土) 03 48 19 ID Z7qUklW90 国王の待つ部屋へとやってきた。国王はなんと、少年の姿をしていた。 [生命の法]とは何かと尋ねると、国王は語った。 「[生命の法]とはすなわち、私の世界と繋がる扉を開く法なのだ。 実験の失敗によりこの世界に流されてから幾星霜――。 私は元の世界に戻る方法を考えていた。しかし、[生命の法]はなかなか完成しなかった。 私はまずクーベルに、そして教皇に実験させた。 結果、扉は開き、我が国の住人[スポット]が現れた。 見よ!我が故郷が最も近い今こそ、[生命の法]が完成するときだ!」 国王は[ペイシェント]を使い、頭上に真っ黒な次元の扉を開いた。 その中で真っ黒な[スポット]が蠢いているのが見える。 「[生命の法]なんか、完成させるもんですか!」 だが国王は余裕の表情だ。 「[ヒト]の命をもってしても、[ペイシェント]は精製可能なのだよ。 何度失敗しようと、材料には困らんさ」 「――何てことを!オレが絶対お前を止める!もう誰も死なせはしない!」 国王との最終決戦。厳しい戦いの末に勝利を勝ち取った。 「なぜだ。この私が負けるなど――。お前たちのどこにそんな力が?」 「我々は自分のために戦ったのではない。仲間のために戦ったのだ」 国王は死んだが、まだ次元の扉が開いていた。 「もう一度[生命の法]を使って、扉を閉じるのよ!」 「だけど、もう[ペイシェント]が――」 「オレのがある!きっとこのために持ってたんだ。いいだろ?母さん――」 カイウスのペンダントを使うことになった。 「[プリセプツ]は大丈夫。もう何度も見たから」 アーリアが[生命の法]を執り行い、次元の扉を閉じた。 三ヶ月後。 ジャンナでは[ヒト]と[レイモーンの民]双方が出席する評議会が開かれるようになった。 [レイモーンの民]の代表はフォレストだ。 ティルキスはアーリアを連れて故郷のセンシビアに帰ることになった。 ルキウスは異端審問会を解散させた。 カイウスは以前からの希望で、他の大陸に行って世界を見て回りたいという。 旅立ちの日。ジャンナの港にみんなが見送りに来ていた。 「なぁ、ルビア。お前はこれからどうするんだ?」 「僧になる勉強をするわ。だから、しばらくお別れね」 カイウスはルビアに着いてきてほしいのだが、素直に言い出せないでいる。 「カイウスがどうしてもって言うんなら、あたしも一緒に行ってあげようかしら」 ルビアの方からそう言った。 カイウスとルビアは仲良く船に乗り込んだ。船は次の大陸に向けて出港した。 おわり