約 5,060,878 件
https://w.atwiki.jp/ugougowiki/pages/22.html
「うさぎになったバリスタ」は、以下の3つのことを指す。 ご注文はうさぎですか?の作中に登場する、青山ブルーマウンテン(未作成)の小説。 小説が同作中で映画化されたもの。 小説を元にした青山ブルーマウンテン(早見沙織)のキャラクターソング。 小説 青山ブルーマウンテンの小説であり、彼女の代表作である。 モデルは青山が足繁く通っている喫茶店(未作成)で、登場人物には「うさぎになったバリスタのお爺ちゃん(未作成)」、「ジャズでその喫茶店を経営難から救ったバーテンダーの息子(未作成)」、「ライバルの甘味処(未作成)のお婆さん」などがいる。なお、当の本人からの感想は、「面白かったが、自分より息子の出番が多かった」と息子へのやっかみ半分なものであった。また、孫娘(未作成)が初めてそのタイトルを目にした時には、「他人事とは思えないタイトル」と驚いていた。 感動作で、泣けると評判になっている。それが如実に表されているのが、後述の映画を見たココア(未作成)とチノの反応である。 映画 上述の小説が映画化されたもので、ココア達7人が鑑賞した際に流行していた。 メグ(未作成)が見たいとマヤ(未作成)(*1)と一緒に見に行き、その帰りにチノと会い彼女にパンフレットを見せた。 その後、千夜(未作成)が青山に余ったチケットを譲り受けたことからココア達も見に行くことになった・・・のだが。 ココア 開始5分で涙腺崩壊するも、チノの隣であったためお姉ちゃんの意地で涙を堪えていた。しかし、ティッピーの号泣をチノが泣いていると勘違いし、その感情を露わにした。後半は、寝不足が祟り寝てしまっていた。 チノ ココアと同じタイミングで瞳が潤んだが、ココアにからかわれるの恐れて涙を堪えていた。後半は、寝てしまったココアに対し最後まで見ていた。 リゼ(未作成) 初めての映画館(*2)で、内容そっちのけで家のテレビ(*3)より大きいスクリーンに感動していた。 千夜 台詞に注目し、メニュー名の参考にするためメモをしていた。そのため、断片的にのみ内容が入ってきており、話の流れなどはほとんど頭に入っていなかった。 シャロ(未作成) 軽食を買うお金をケチった結果空腹に襲われ、鑑賞どころではなくなってしまった。 と、チノ以外は肝心の内容以外に気を取られていた。 キャラクターソング 曲名 うさぎになったバリスタ アーティスト 青山ブルーマウンテン(未作成) 作詞者 高瀬愛虹 作曲者 中畑丈治 編曲者 中畑丈治 ごちうさブレンド(未作成)に収録され、後にorder the songsにも収録された。 その歌詞は香風家の複雑な事情を綴っており、感動作である小説に違わず、「ご注文はうさぎですか?」という作品を深く知っていれば知っているほど味わい深いものになっている。このため、ポップな曲調が多いごちうさのキャラソンでは異色のバラード調になっている。 この曲の歌詞と、作中の描写などからチノとティッピー、タカヒロ、そして他界したチノの母に関する考察をする人もいる。詳細は「ごちうさに関する考察(未作成)」を参照。 青山ブルーマウンテン(未作成)の曲 ←前の曲 次の曲→ うさぎになったバリスタ きらめきを探しに 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/ryuunoji2/
○○攻略wiki [部分編集] 〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓 435日目 朝 資金:67380,65,37 (収入: 支出:) マエツニウム:1829341 資源:668074 成長点:やるお/10389 ルリ/11944 陽蜂/8858 ゼロ/22964 モモ/22914 フェイト/6821 麗夢/3225 共有成長点:994692 諜報ポイント: 商業都市/590900 ラクーン/944200 グンマー/1259730 学園都市/669100 王都/413800 盗賊ギルド/486200 儲け地域/370200 シマネ帝国/362000 プリキュア/801980 新国/308400 魔族首都/424800 魔族前線/354000 〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓 現在位置:小屋 〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓 [部分編集] 現行スレ 【安価R18】触手「が」やる夫になったようです3【Aの魔法陣風】 http //jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/15257/1393758605/ 雑談所(別作品と共用)龍の字 ◆fyACsojwPoの養成所【雑談スレ】 http //jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/12368/1353781030/ 前スレ 【安価R18】触手「が」やる夫になったようです2【Aの魔法陣風】 http //jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/15257/1384949030/ 初代スレ 【安価R18】触手「が」やる夫になったようです【Aの魔法陣風】 http //jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/15257/1377702032/ [部分編集] 各キャラの前回吸収日 <遺伝子吸収> 478日目 カルラ、杏子、華淋、リインフォース、ルリ、フェイト、水銀燈、翠星石、蒼星石、真紅、雛苺、薔薇水晶、雪華綺晶、金糸雀 ユーリ、メデューサ、チンク、アルフ、ヤミ、羽入、ディード、オットー、アスタロット、黒雪姫、真、貴音、しぐれ エヴァンジェリン、涼、絵理、妖夢、レン、ドゥーエ、セイン、ノーヴェ、トーレ、クアットロ、セッテ ウーノ、ディエチ、ウェンディ、ヲ級 <受精卵吸収> 210日目 マミ 454日目 凰鈴音、アーニャ、カルラ、澪、シルヴィア、美琴、黒子、桜、知世、李小狼(AAは紅美鈴)、レオン(AAはミルフィオーレ・ビスコッティ) ルリ、偽リューミン 460日目 マリ(真希波)、斗貴子、イカ娘、リュカ、アデーレ、シオニー、桐ヶ谷直葉、華淋、ローラ、シエル、シャーロット(シャーリー)、ユーミル ユーリ、アルフ、ディード、オットー、涼、絵理、トーレ、セッテ、ヲ級 466日目 浅間智、博麗 麗夢、セシリア、ラウラ、月詠、BMG(マイア)、杏子 ルキア、麦野、プレシア、バレッタ、雪泉、ベルンカステル 桂花・風・稟・季衣・流々・凪・真桜・沙和・春蘭・秋蘭、ミーナ、坂本美緒(もっさん) フレンダ(AAはクレア・ドロセラ)、蒼星石、真紅、薔薇水晶、金糸雀、金色の闇(ヤミ)、羽入、ドゥーエ ウーノ、ディエチ、ウェンディ 467日目 リインフォース 472日目 シャルロット、箒、ネーナ、セルベリア、神楽耶、やんねえ香、なのは ミーア、インデックス、由女、シーマ、束、妖夢、レン 478日目 カリム、スバル 雛苺、雪華綺晶、セイン、ノーヴェ、クアットロ <卵子回収> フェイト、真、貴音(454日目) 水銀燈、メデューサ、チンク(460日目)
https://w.atwiki.jp/unapproved/pages/25.html
- 名の方が本日訪問されました - 名の方が昨日訪問されました 恐竜ドミニオン非公式top / アイテム一覧 / 雑談・質問 / 廃盤になった恐竜 2016年配信覇神龍データベース / 2016年配信神龍データベース 過去配信限定覇神龍データベース / 過去配信覇神龍データベース 過去配信秘力付きの神龍データベース ページトップ 2016年7月13日廃盤一覧 2016年6月8日廃盤一覧 2016年3月24日廃盤一覧 2016年2月9日廃盤一覧 2016年1月29日廃盤一覧 2015年12月16日廃盤一覧 2015年6月30日廃盤一覧 2015年5月18日廃盤一覧 2015年1月28日廃盤一覧 2016年7月13日廃盤一覧 恐竜ドミニオン非公式top / 雑談・質問 / アイテム一覧 2016年配信覇神一覧 / 2016年配信神龍一覧 2016年以前の通常覇神一覧 / 2016年以前の限定覇神一覧 / 2016年以前の上位報酬覇神一覧 過去配信秘力付きの神龍一覧 / 神龍DNA一覧 / 廃盤になった恐竜一覧 ▲ページ先頭 2016年6月8日廃盤一覧 恐竜ドミニオン非公式top / 雑談・質問 / アイテム一覧 2016年配信覇神一覧 / 2016年配信神龍一覧 2016年以前の通常覇神一覧 / 2016年以前の限定覇神一覧 / 2016年以前の上位報酬覇神一覧 過去配信秘力付きの神龍一覧 / 神龍DNA一覧 / 廃盤になった恐竜一覧 ▲ページ先頭 2016年3月24日廃盤一覧 恐竜ドミニオン非公式top / 雑談・質問 / アイテム一覧 2016年配信覇神一覧 / 2016年配信神龍一覧 2016年以前の通常覇神一覧 / 2016年以前の限定覇神一覧 / 2016年以前の上位報酬覇神一覧 過去配信秘力付きの神龍一覧 / 神龍DNA一覧 / 廃盤になった恐竜一覧 ▲ページ先頭 2016年2月9日廃盤一覧 恐竜ドミニオン非公式top / 雑談・質問 / アイテム一覧 2016年配信覇神一覧 / 2016年配信神龍一覧 2016年以前の通常覇神一覧 / 2016年以前の限定覇神一覧 / 2016年以前の上位報酬覇神一覧 過去配信秘力付きの神龍一覧 / 神龍DNA一覧 / 廃盤になった恐竜一覧 ▲ページ先頭 2016年1月29日廃盤一覧 極メイトガチャ覇神龍バリオニクス 極メイトガチャ神龍アベリサウルス 極メイトガチャSS+コリトサウルス 恐竜ドミニオン非公式top / 雑談・質問 / アイテム一覧 2016年配信覇神一覧 / 2016年配信神龍一覧 2016年以前の通常覇神一覧 / 2016年以前の限定覇神一覧 / 2016年以前の上位報酬覇神一覧 過去配信秘力付きの神龍一覧 / 神龍DNA一覧 / 廃盤になった恐竜一覧 ▲ページ先頭 2015年12月16日廃盤一覧 恐竜ドミニオン非公式top / 雑談・質問 / アイテム一覧 2016年配信覇神一覧 / 2016年配信神龍一覧 2016年以前の通常覇神一覧 / 2016年以前の限定覇神一覧 / 2016年以前の上位報酬覇神一覧 過去配信秘力付きの神龍一覧 / 神龍DNA一覧 / 廃盤になった恐竜一覧 2015年6月30日廃盤一覧 恐竜ドミニオン非公式top / 雑談・質問 / アイテム一覧 2016年配信覇神一覧 / 2016年配信神龍一覧 2016年以前の通常覇神一覧 / 2016年以前の限定覇神一覧 / 2016年以前の上位報酬覇神一覧 過去配信秘力付きの神龍一覧 / 神龍DNA一覧 / 廃盤になった恐竜一覧 ▲ページ先頭 2015年5月18日廃盤一覧 恐竜ドミニオン非公式top / 雑談・質問 / アイテム一覧 2016年配信覇神一覧 / 2016年配信神龍一覧 2016年以前の通常覇神一覧 / 2016年以前の限定覇神一覧 / 2016年以前の上位報酬覇神一覧 過去配信秘力付きの神龍一覧 / 神龍DNA一覧 / 廃盤になった恐竜一覧 ▲ページ先頭 2015年1月28日廃盤一覧 恐竜ドミニオン非公式top / 雑談・質問 / アイテム一覧 2016年配信覇神一覧 / 2016年配信神龍一覧 2016年以前の通常覇神一覧 / 2016年以前の限定覇神一覧 / 2016年以前の上位報酬覇神一覧 過去配信秘力付きの神龍一覧 / 神龍DNA一覧 / 廃盤になった恐竜一覧 ▲ページ先頭
https://w.atwiki.jp/83452/pages/2634.html
翠星石「よしっです!」 澪「ただ、確かムギの家って遠いんだよな・・・」 翠星石「ムギ?・・・もしかして、知り合いか?ですぅ」 澪「あ、あぁ。友達だよ」 翠星石「類友ってヤツか、ですぅ」ハァ 澪「ち、違うっ!」 翠星石「わかったわかった、ですぅ」 澪「おい!」 翠星石「とにかく、徒歩で行くよりもnのフィールドを使った方がダンチで早いですぅ」 澪「nのフィールド・・・?(そういえば、真紅ちゃんが言ってたな)」 翠星石「nのフィールドは知ってるか?ですぅ」 澪「うーん、なんとなく」 翠星石「そうか、ですぅ」 澪「で、nのフィールドの入り口って?どうやって行くんだ?」 翠星石「どうすると思うですか?」 澪「マジカルステッキ、みたいな」 翠星石「ぷー!!!コイツはとんだお笑い種ですぅ!!」ヒー!バンバン! 澪「なななんだよ!///そんなに笑うなよ!///」 翠星石「ひー、お腹が痛いです、涙が止まらんですぅ」 澪「ば、馬鹿にするなよっ///本当にわかんないんだから///」 翠星石「nのフィールドの入り口、この部屋にもあるですぅ」 澪「へ?この部屋にも?」 翠星石「そうですぅ。っていうかどこにでもあるですぅ」 澪「??」 翠星石「簡単に言うと、光を反射するところならどこからでも入ってこれるです」 澪「へー、じゃあ、その鏡から行こうか?」 翠星石「nのフィールドでは翠星石と手を離さないこと。わかったか?ですぅ」 澪「あぁ、わかったよ」 翠星石「か、勘違いするなですぅ!迷子になられたら面倒なだけですぅ!」 澪「いや、わかってるって」 翠星石「そうか?ですぅ。じゃあ早速いくです」ギュッ 澪「・・・」ドキドキ 翠星石「手繋いでるのにドキドキすんなですぅ、げにまっことキショいですぅ」 澪「違ぁう!!nのフィールドがどんなところなのか気になってドキドキしてたんだよ!」 翠星石「全く、この淫乱女は・・・」ハァ 澪「ドキドキしただけで淫乱・・・!?」 翠星石「こら、早くするです」グイグイ 澪「あ、あぁ」 翠星石「てい!ですぅ」スッ 澪「こら!鏡が割れる!」 ポワッ・・・ 澪「か、鏡が・・・!(水面みたいに波打ってる・・・?)」 翠星石「それじゃ、本当に行くです」 澪「あ、あぁ!」 … … 蒼星石「ねぇムギ?」 紬「何かしら」 蒼星石「ごめんね、明日も学校なのに」 紬「気にしないで。それよりも、ここで何が起こるの?」 蒼星石「それは見ていればわかるよ」 紬「?」 蒼星石「双子だからかな、僕にはわかるんだ。ここで待っていれば・・・」 ポワ・・・ 紬「ねぇ、あの空間!歪んでる!」 蒼星石「来たね・・・」 ストンッ 翠星石「そ、蒼星石!?」 蒼星石「待ってたよ、翠星石」 紬「翠星石ちゃん!」 翠星石「二人とも、どうしてここに・・・!」 蒼星石「まあまあ。手間がいいじゃないか。ムギの家まで来るつもりだったんだろう?」 翠星石「そう、だけど・・・」 ドシャ 澪「いったー!」 紬「澪ちゃん!?」 翠星石「全く、鈍くさい人間ですぅ」 澪「痛い・・・って、ここ・・・どこだ?」サスサス 蒼星石「君は翠星石のマスターかい?」 澪「へ?あ、あぁ、そうだよ。いったー・・・えっと、君が蒼星石?」 蒼星石「そうだよ。よろしくね、敵同士だけど」 澪「敵、同士・・・(やっぱり、アリスゲームに乗り気なんだな)」 紬「澪ちゃん、どうして!?」 澪「それはこっちのセリフだよ、ムギ」 紬「!?」 澪「どうして、翠星石のこと・・・黙ってたんだ?」 紬「だって・・・朝起きたらいなかったし・・・言っても混乱させるだけだと思って・・・」 澪「翠星石のことだけじゃない、蒼星石のことも。梓がムギの指輪に気付いたからよかったものの・・・」 澪「気付かなかったらそのまま黙っているつもりだったんじゃないのか?」 紬「そんな・・・」 蒼星石「その通りだよ。君はなかなか賢いみたいだね」 紬「ごめんなさい、蒼星石ちゃんに黙っているように言われたから・・・」 澪「それでも・・・!」 蒼星石「まだわからないのかい?」 澪「なにが・・・?」 蒼星石「ムギは僕の意志を尊重してくれているんだ」 翠星石「・・・蒼星石ぃ!!」 蒼星石「そんなに大きな声を出さなくても聞こえるよ」 翠星石「一緒に・・・一緒に帰るです!」 蒼星石「どういうことだい?」 翠星石「まず、その沢庵は危険ですぅ!」 紬「なっ」ガーン 翠星石「澪の方がまだマシです!」 澪「マシって!」ガーン 翠星石「それに・・・翠星石は蒼星石とアリスゲームなんてしたくねぇですぅ!!」 蒼星石「君は・・・甘いよ」 翠星石「なんとでも言えですぅ!」 蒼星石「僕はただ自分の生まれてきた意味を全うしようとしているだけだよ」 翠星石「そんなの、知るかですぅ!!!」 澪紬「!?」 翠星石「生まれてきた意味ってなんだよ、ですぅ!私は蒼星石と一緒にいれれば、それでいいのに!」 蒼星石「それが甘いって言ってるんだよ。第一、お父様が」 翠星石「お父様よりも私は蒼星石の方が大切ですぅ!!」 蒼星石「!?」 翠星石「だから・・・だから、一緒に帰るですぅ・・・!」グスッ・・・ 蒼星石「わかったよ・・・」スッ 翠星石「じゃ、じゃあ!」パァァァ 蒼星石「君とは話しても無駄のようだね」 翠星石「・・・!?」 蒼星石「レンピカ!」ヒュン・・・! 翠星石「やめろ、ですぅ!」 澪「そうだ、蒼星石ちゃん!二人は双子なんだろう!?大切な、妹にそんなことするなよ!」 蒼星石「澪、一つ言っておくけど・・・」 澪「な、なんだよ」 蒼星石「僕は翠星石の姉じゃなくて、妹だよ」 澪「えっ、そうなのか?」 翠星石「どうせ子供っぽいですよーだ、ですぅ」 蒼星石「そう、僕の目の前にいるのは、お父様の意志に反して楽な方に流れようとしている、駄目な姉だよ」 翠星石「っ!?」 紬「蒼星石ちゃん、それは言い過ぎじゃ・・・」 蒼星石「言い過ぎ?まだ足りないくらいだよ。姉さんにはがっかりだ」 翠星石「うっ・・・うぅっ・・・蒼、星石ぃ・・・」グスッグス・・・ 澪「もういい。お前は何もわかってない。翠星石、やっちゃえ」 翠星石「・・・へ?」 澪「蒼星石ちゃんは何にもわかってないんだよ」 蒼星石「偉そうに・・・」 澪「なんでだよ。なんで蒼星石ちゃんよりも私の方が翠星石ちゃんの翠星石の気持ちを理解しているんだよ!」 蒼星石「・・・っ」 澪「私はそれが・・・すごく悔しい!すごく、腹立たしい・・・!」 翠星石「澪・・・」 澪「翠星石が楽な方に流れてるだって?それは蒼星石ちゃんの方じゃないか」 蒼星石「なん、だって・・・!!」 澪「生まれてくる前から敷かれてたレールをなぞって生きるんだ、そりゃ楽だろうよ」 蒼星石「・・・!!」 澪「蒼星石ちゃんは知らないんだよ、運命に抗うことに辛さを。必死に自分で活路を見出そうとする難しさを」 蒼星石「また、知ったような口を・・・!」 澪「何回だって言ってやる。お前は馬鹿だ。大馬鹿だ!」 紬「澪ちゃん・・・」 澪「なん、で・・・わかってやろうとしないんだよ!」グスッ 翠星石「澪、もういいです・・・」 紬「・・・っ」 蒼星石「僕は、わかってるよ。翠星石は・・・逃げてるんだ」 澪「それが何もわかってないって言ってるんじゃないか!」 蒼星石「うるさいよ!もうこれ以上話しても無駄だっ!」ヒュン・・・! 澪「は、鋏・・・!?」 翠星石「・・・」 蒼星石「翠星石、構えないの?・・・行くよ?」ダッ 翠星石「!?」 蒼星石「アリスになるのは僕だ!」 翠星石「っ!」サッ 蒼星石「アリスを目指すのが僕達の生まれてきた意味なんだよ!」ブオン! 翠星石「・・・目ぇ、覚ませですぅ!!」キィィィン! 蒼星石「やっと、やる気になったんだね?」チャキッ・・・ 澪(あぁ、もう駄目だ。あんな大きな鋏に対して如雨露とか!勝てるワケないじゃないか!) 翠星石「澪、何考えてるのかは顔見たら大体わかるけど、黙って見てろ、です」 澪「うっ」 紬「如雨露と鋏・・・まるで庭師ね」 翠星石「沢庵、わかってるじゃないですか」 蒼星石「あぁ、さすがムギ。僕たちは、二人で一人の庭師だ」 澪「庭師・・・?あまり聞きなれない言葉だな」 翠星石「これだから学のないヤツは・・・ですぅ」ハァ 澪「なっ、しかたないだろっ!」 蒼星石「翠星石!余所見してる暇なんてあるんだ?」ジャキン! 翠星石「ねーですよーだ!・・・スィドリーム!!」 ドゴォォォォ!!! 澪「植物が・・・!!!」 紬「すごい・・・!」 蒼星石「そうこなくっちゃ・・・!」ジャキン!ザッザッ! 翠星石「蒼星石・・・!私達は、二人で一人だったです」ッダァァァン! 蒼星石「それが、どうかした?」ザクッ!ジャッ! 翠星石「翠星石は・・・蒼星石なしじゃ生きていけないです・・・」ドゴォ! 紬(駄目、状況を弁えるのよ、紬。萌えちゃ駄目、絶対に萌えゃ駄目・・・!) 澪「ムギー、よだれよだれ」 翠星石「沢庵、こんな状況でも・・・!」ドガァァァ! 蒼星石「ある意味最強だよ、僕のマスターは・・・」ザシュ! 翠星石「蒼星石・・・!」ッバァン! 蒼星石「僕無しじゃ生きていけない、だっけ?」ズシュ! 翠星石「そ、そうですよ!///」ドドドドォ! 蒼星石「そう、じゃあ、生きていかなければいいんじゃないのかな?」ニコッ 翠星石「!?」 蒼星石「さようなら、お姉ちゃん」シュッ・・・! 翠星石「しまっ・・・!」 金糸雀「攻撃の円舞曲(ワルツ)!!」グォォォォォ・・・! 蒼星石翠星石「!?」 澪「なんだ!?」 紬「あの子、誰・・・!?」 金糸雀「楽してズルしていただきかしら!」 律「こらー!誰がアリスゲームに参戦しろって言ったんだよ!」タッタッタッ 澪紬「律ぅ(りっちゃん)!?」 律「って、ムギに澪!?」 蒼星石「か、金糸雀・・・!?」 翠星石「どうして、ここに・・・?」 金糸雀「ふふん、ローゼンメイデン1の頭脳派、金糸雀参上!」 蒼星石「いや、そうじゃなくて!どうしてここにいるの!?」 金糸雀「説明はあと!二人のローザミスティカ、頂いちゃうのかしら!」 翠星石「だーれがデコっぱちなんかにローザミスティカを渡すもんですか、ですぅ!」 蒼星石「金糸雀、悪いけど、邪魔しないでもらえるかな?相手はあとでしてあげるから」 律「そりゃ困るなー?」 蒼星石「君は・・・金糸雀のマスターかい・・・!?」 律「マスター?そんな大層なもんじゃないけど・・・私はカナのミーディアムだ」 澪紬「!?」 澪「もう、何がなんだか・・・」 紬「さっぱりだわ・・・」 律「カナ!私との約束、忘れたわけじゃないだろうな!?」 金糸雀「でも、これはチャンスなのかしら!」 律「知るか!」 蒼星石「まぁ、いいや。二人まとめてローザミスティカ貰っちゃえば・・・」ジャキ・・・! 翠星石「まずはデコっぱちを黙らせるしか・・・!」 金糸雀「あれ?おかしいのかしら。二人の敵意が私に向いているのかしら」 律「アホかー!!」 澪「律・・・!」タッタッタッ 律「澪、どうしたんだ?なんか、ふらついてるぞ?」ガシッ 澪「そんなこと、ないよ・・・」 紬「・・・(実は私も、立っているのがやっとなのよね・・・)」 律「おい、二人とも・・・顔色が悪いぞ?」 澪「・・・平気だよ」 紬「えぇ・・・どうってこと、ないわ・・・」 律「おいー無茶するなー?」 蒼星石(力を使いすぎたか・・・?) 翠星石「澪、もうちょっと頑張れるか?ですぅ」 澪「あぁ・・・大丈夫、だよ・・・」 律「明らかに大丈夫じゃないだろ!」 翠星石「大丈夫ならいいです。スィドリーム!」 蒼星石「ムギ、もうちょっと我慢してね。・・・レンピカ!」 金糸雀「ミーディアムの体力から考えて、こっちが圧倒的に有利なのかしら!・・・ピチカート!」 律「お、お前ら、やめろって!!」 翠星石「行くですぅ!」ドゴォォォ! 蒼星石「やぁぁぁ!」ダッダッダッジャキンジャキン! 金糸雀「甘いかしら!うなだれ兵士の行進曲(マーチ)!」ギュィィィ・・・! 律「やめろよ!」 蒼星石「くっ・・・!」 金糸雀「まずは蒼星石かしら!」ギュィィィ!! 蒼星石「こ、の・・・!」 金糸雀「もっと強く(クレッシェンド)!」 蒼星石「っく・・・!あぁぁぁ!!!」ジャキジャキン! 金糸雀「なかなかやるかしら」 蒼星石「・・・っはぁ・・・はぁ・・・君もね・・・」 金糸雀「まだまだ行くかしら!」 蒼星石(また、力使っちゃったな・・・) 紬「・・・」バタンッ 澪翠星石蒼星石「!?」 律「ムギ!」 紬「・・・」 律「おい!大丈夫か!」タッタッタッ 澪「ムギ!」タッタッタッ 律「おい、おいってばぁ!」ユサユサ 澪「あまり揺らすなよ!」 律「ご、ごめん・・・ムギぃ・・・!」 紬「・・・」 金糸雀「蒼星石、力を使いすぎなのかしら」 蒼星石「・・・」 翠星石「・・・指輪の侵食が始まってる・・・!」 金糸雀「このままじゃ・・・」 律「カナ!教えてくれ!このまま放っておくとどうなるんだ!?」 金糸雀「・・・指輪に飲み込まれて、そのムギっていう子は消滅するわ」 律「・・・!?」 澪「どうしたらいい!?」 翠星石「指輪の契約を破棄すれば・・・」 律「そんなことができるのか?」 翠星石「出来るですぅ。でも、そうすると蒼星石は・・・」 澪「なんだよ!早く破棄しろよ!」 蒼星石「それは、できない」 8
https://w.atwiki.jp/seisoku-index/pages/252.html
「いきなさいホーリエ!」 真紅の声とともに、開け放たれた入り口ドアから紅の光球が飛び出していった。 可能な限り明度を落としてある上、陽光の中であの速度だ。目視できる者などそうはいないだろう。 小萌の居るであろう場所―――他の薔薇乙女がいる位置は、ホーリエにしか感知できない。 人工精霊の案内で向かう手もあったが、光球が人を案内する様は、いやがおうにも無関係の人間の気をひいてしまう。上条の知り合いにでも会えばさらに面倒だ。 真紅はホーリエからの情報は受け取ることは可能。ならばホーリエを先行させることで、目的地を知ろうというのである。もちろん、その場で小萌が危険な目にあっていれば助けることを前提で。 「くそっ! よりによって小萌先生の方かよ!」 上条は、ジャストミートされた弾丸よりも早く小さくなっていくホーリエを見送ることもせず、乱暴に己の靴に足を突っ込んだ。 ついさっきインデックスが危ないと考えたときよりも焦りが大きい。明確に危険が迫っているとわかってしまっている。 苦虫を噛み潰したような表情が、彼の焦燥感を如実に顕していた。 五和のようにバイクも、その免許も持たない上条だ。確定的ではない場所への移動は己の脚しかなかった。 自転車という手段もないではないが、上条はそれそのものを持っていないし、小萌の物があったとしても体格があわないだろう。 ここからどれくらいかかるかわからない。時間と体力の勝負になる。 「・・・・・・」 一方、彼の足元でその様子を見上げながら、真紅は僅かに眉を寄せていた。 (・・・ごめんなさい当麻) 自分の闘いに巻き込んでしまって。 真紅は胸の奥から浮かび上がったそんな台詞を、なんとか飲み下した。 上条はきっとそんな謝罪を求めてなんかいない。逆にそれを気に病んでいることを知れば、彼は彼自身を責めるに違いない。 上条当麻はそういう人間なのだ。 「よし! 行くぞ真紅!」 爪先をガンガンと玄関土間に打ち付けつつ、上条が左手を差し出した。 焦燥に満ちた彼の瞳には、しかし真紅を責める色は一片足りとも混ざっていなかった。 「ええ」 だから真紅はただ頷き、その手をとった。すぐさま引っ張り上げられる。 そのタイミングに合わせて身を捻る真紅。まるで申し合わせたかのような動きに無駄はなく、ストン、と彼の左上腕に腰かけた。 そして上条は部屋の中に視線を向け、 「じゃあ行ってくる! 二人とも待っててく「待ってとうま!」っ!?」 上条の声が、インデックスに遮られた。 いつの間にか近づいていた彼女が、至近距離から見上げてきている。 インデックスは大きく息を吸い込むと、 「わたしも一緒に行くんだよ!」 と、言った。 「はあっ!?」 驚いたのは上条だ。 だがインデックスの表情は変わらない。本気の顔である。 「ば、ばか駄目に決まってるだろ!」 「やだ! ぜったい行く!」 「駄目だって! 相手がどんなやつか全然わからないんだぞ!? 水銀燈みたいなやつだったらどうすんだ!」 「危ないってわかってるのにとうまだけ行かせるわけないんだよっ!」 「インデッ「それにとうま!」 再度上条の声を遮るインデックス。その声の強さに上条が言葉を詰まらせた。 「もしまた結界が張られてたら、どうするの? とうまの右手なら壊せるかもしれないけど、ああいうのには核があるんだよ? なにをどういう風に壊したらいいか、わかる?」 「っ」 息を詰める上条。 「それは・・・」 「わたしならわかるよ。とうまみたいに壊したりできないけど、何をどうすればいいかわかるもん」 「で、でもよ、結界と真紅は関係が」 ない、と言い切る前にインデックスが首を振る。 「関係ないなんて言えないんだよ。魔術師の基本は秘密であること。とうまが『ない』って決めつけてることを狙ってるかもしれないんだよ」 魔術師とは、秘匿をもってその基本とする。それは自己の術式や狙いが知られたら対抗措置をとられるということだけではない。 広く一般に知られていることや長く続いていることが『一般常識』『慣習』という強制力を持つこととは真逆に、ごく一部しか知られないことは『貴重』『秘密』という名前で強力な力を持つ。 魔術というものが一般的に普及していないのはそのためだ。魔術師は魔術を『秘密』にすることで魔術を維持しているのである。 要するに秘密は彼等の力であり、一部と言えた。それほど魔術師は物事を隠すことに長けている。 魔術師が残した痕跡や情報を信用しないのは、対魔術での鉄則だった。 「・・・・・・」 沈黙する上条。 インデックスの言い分に、不覚にも説得力を感じてしまったからだ。 三沢塾事件。 御使堕とし。 法の書。 使徒十字。 いままでにも何度も経験した『敵味方の目的の相違』を思い起こせば、インデックスの言葉は無視できるものではない。 水銀燈も真紅も結界の大元は知らないだろう。 だが、その知らないことを敵であろう魔術師が知っていたら? 仮に敵の魔術師がいなくても、ローゼンも魔術師だ。真紅が知らないだけで、ローゼンが結界術の能力を授けていないと、なぜ言い切れる? そして、もしも小萌のいる場所に結界が張られていたら? 上条はそこに入ることができないかもしれない。小萌を助けることができないかもしれない。 「・・・・・・」 上条はインデックスを見る。 魔力を持たない彼女は、目にしていない魔術までは感知できない。だが、 「とうま」 近くにいるならば、話は別だ。 「っ」 上条はインデックスを危険な目に遭わせたくない。 姫神も、小萌も、そして叶うならば渦中であるはずの真紅だって、戦場に連れていきたくない。もしもそんなことに巻き込まれたら、全力で助けに行くだろう。 だがそれは――― 「わたしだって、役に立てるんだよ」 「―――っ!」 インデックスたちも同様なのだ。 「・・・・・・」 「・・・・・・」 「・・・・・・」 「・・・・・・」 沈黙。そして、 「~~~~っ!」 上条は頭をバリバリと掻いた。そして次の瞬間、 「ええいちくしょうっ!」 左腕に抱えていた真紅を、少し乱暴にインデックスに押し付けた。 「きゃあっ!?」「ひゃあ!?」 いきなりの動きに紅と白から同時に悲鳴が起こる。 それでも白は紅を落とすことなく抱え、上条を見た。 「インデックス」と、上条。 彼の言葉が自分の名前だと、インデックスは一瞬わからなかった。 「・・・・・・」 だからインデックスはぽかんとした表情で彼を見つめつづける。 上条は彼女の両肩に手を置いた。そのまま、告げる。 「約束だ。危ないと思ったら絶対に逃げること! 絶対無理しないこと!」 「・・・・・・」 「俺が逃げろつったら、絶対に言うことを聞くこと! ・・・それが約束できるって言うんなら」 一息。 「インデックス。俺と一緒に、小萌先生を助けにいこう」 と、上条は言った。 「・・・・・・」 それは一緒に戦うことを彼が承諾したということ。 なし崩し的に巻き込まれたいままでとは違い、インデックスの力が借りたいという、そういう意味だ。 じわり、とその言葉が耳に染み込み、 「う、うん!」 理解に達した瞬間、インデックスは頷いた。 これから戦場にいこうと言うのに、満面の笑顔を浮かべて。 「・・・・・・。」 力強く頷くシスターを見ながら、姫神は内心でため息をついた。 ついていきたい、と思う。 小萌は行く先のなかった自分を拾ってくれた恩人だ。その彼女が危険に巻き込まれているというのだから、自分も助けにいきたかった。 だが、それは叶わない。 (・・・私は。役に立てないから) きゅっ、と下唇を噛む。 『吸血殺し』 身に宿る能力は吸血鬼に対して絶対無敵で―――ただそれだけのものだ。 上条のようにあらゆる幻想に効果があるわけでも、シスターの知識のように汎用が効くものでもなかった。 身体能力も一般の女性とそう変わらない。むしろ低い方だろう。 共に行ったところで、自分の身すら護れない可能性が高かった。 一緒に行くと言えば、上条は頑強に反対するに違いない。とはいえ、シスターが行く手前、彼には断りきることはできない、と思う。 しかしその場合間違いなく、彼は彼自身以上にこちらを護ろうとするだろう。 三沢塾の事件と、先の大覇星祭。 彼には二回、己の命の瀬戸際を見られていた。 学園都市にいる彼の知り合いの中で、おそらく自分がもっとも、彼に対して『迫りくる死』を見せ付けている。 自分が行くことで自分が倒れるだけならまだしも、彼が身代わりになるなど、あってはならない。 「・・・・・・。」 前を見る。 シスターは胸の中にいる真紅をなんとか収まりがよくなるように四苦八苦して抱え直していた。彼女の表情には戦闘に向かおうとする者としての緊張感ももちろんあったが、それと同等に、彼に頼られたという喜びを内在させていた。 上条とともに行こうとする彼女と、その思いはあっても足手まといにしかならない自分。 胸に渦巻くこの感情がなんという名前を持つのか、考えるまでもなかった。 「・・・・・・。」 彼とシスターに気がつかれないように、後ろ手に、ぎゅっと手を握る。 自分ができることとすべきことは、彼の不安要素を少しでも減らすこと。 それだけで、それが精一杯だった。 「・・・・・・。」 しかし彼女はいま、迷っていた。ついていくついていかないの話ではない。 下手をすればそれ以上に気になってしまっている、ひとつの懸念。 彼女はその懸念の元凶である『それ』に視線を固定したまま、迷っている。 それを彼に告げるべきか、否か。 「・・・・・・。」 だがそれを決断する時間はなかった。 姫神の目の前で、インデックスが真紅を抱えて頷いたのだ。 「とうま、準備ができたんだよ!」 何度かの抱え直しのあと、ようやく収まりよく真紅を抱えることに成功したインデックスが、上条を見上げる。 インデックスはいまにも駆け出しそうな調子だ。彼女も彼女なりに焦っているのだろう。 しかし上条は、 「じゃあしっかり捕まってくれ」 と、言って、インデックスの背中側に回り込んだ。 「へ?」 と顔を巡らすインデックスの肩に左手を回し、 「え?」 少し屈み込んで右手を膝の裏に添え、 「ええっ!?」 そのまま一気に立ち上がる。 「ひゃあっ!?」 インデックスの可愛らしい悲鳴が響いた。 それは漫画等ではよく見るが、実際にはそう滅多にお目にかかれない体勢だった。 世ではそれをお姫様抱っこという。 「とととととととうま!?」 「・・・・・・」 状況を理解したインデックスの顔が一気に紅く染まり、さらにその胸にいる真紅の頬が僅かだけ引き攣った。 「い、インデックス、あんまり暴れないでくれよ。バランスが取りづらい。後、首に手を回してほしい。少しでも体を支えてくれると助かるんだ」 「う、あ、わ、わかった、かも・・・」 ごく直近にある上条の顔。声とともに頬にかかる呼気を感じながら、おずおずと上条の首に手を回すインデックス。 「・・・よし」 上条の方はそんなインデックスに気がついた風もなく、バランスを確認。走ることに問題がないことを確かめる。 それから、姫神に目を向けた。 「・・・・・・。」 姫神は、一見無表情のようにも見える顔。 だが上条にはわかる。 あれは、心配している顔だ。 きっと姫神もついてきたいに違いない。 小萌は彼女にとって恩人で、そして上条もインデックスも―――自惚れでないと思うが―――大事な友人なのだから。 だが連れてはいけない。 インデックスのように、いざというときに魔術から身を護る術がない彼女。 水銀燈との戦いを思い起こせば、上条といえども必ず護りきれる自信がなかった。 「姫神」 「・・・・・・。」 「すまん、スフィンクスとここで待っててくれないか」 言いながら上条は思う。 彼女の性格上、そしてインデックスを連れていく以上、ついてこようとするだろう、と。 だがその予想に反して、 「うん。待ってる」 と、和装の少女は頷いた。 「・・・・・・」 驚いた表情を浮かべる上条。しかしすぐにそれを改めた。 姫神が、よく見なければわからないほど小さく、しかし確実に、辛そうに眉をたわめていたからだ。 姫神は後ろに回していた手を解き、胸の前で組み合わせた。 西洋の祈り方。 和装であっても、そんなことは関係ない。姫神はただ、上条とインデックスの無事祈る。 「私のことは心配しないで。勝手に追い掛けていったりもしない。きちんと待ってるから。だから」 「・・・・・・」 言いながら、姫神は上条とインデックスを見た。 「小萌先生を。助けて」 「わかった。任せてくれ、姫神」 その言葉を残して玄関を飛び出して行った上条の背中を追い掛け、廊下まで出る。 だがそこまでだ。 それ以上進むことは約束を破ることになる。 「・・・・・・。」 もう人目を避けることを諦めたように疾駆を始めた彼らを見る、彼女の瞳。 彼女の視線は変わらず心配を讃えたまま、やはり変わらず『それ』に固定されていた。 「・・・・・・。」 見ているモノ。 それは、真紅だった。 「・・・・・・。」 真紅の服よりも赤い顔のシスター。その胸に抱えられた彼女は、上条と同じ焦りと満ちた顔。こっちを気にしている様子もなかった。 「・・・真紅。」 ぽつり、と舌の上でその名を転がす。 だが彼女の口は、それだけで止まらなかった。 水銀燈。 金糸雀。 翠星石。 蒼星石。 雛苺。 雪華綺晶。 次々と、薔薇乙女の名前を口にする。 だがそれは真紅から聞いたこと―――ではない。 ―――無念。ローゼンの傑作である薔薇は、すでに昇華されていた。別の方法を探さなければならない。 「・・・・・・。」 脳裏に、ある男の言葉が甦る。 少し以前に、協力関係にあった男の言葉である。 その男は魔術師で、錬金術師だった。 その男は、パラケルススの末裔だ、と言っていた。 その男は、『完全なる知性主義』の魔術師だった。 その男が魔術について話をしてくるのは珍しかったが、それゆえに覚えていたのだ。 ローゼンと薔薇乙女について、話していたことを。 「・・・気をつけて。上条君。彼女はもしかしたら」 ぎゅっと手摺りを持つ手に力を篭める。 その後に続いた言葉は、吹き付けたビル風に撒き散らされ、彼女自身の耳にも届かなかった。 屋上は大規模デパートらしく、かなりの広さを有していた。 屋台や花屋、ペットショップ等の店が並び、子供用のアスレチック広場まである。フェンスで囲まれ、眼下に町並みが見えることを除けば、ちょっとした公園のようだった。 「・・・・・・」 買い物客や、そもそもこの『屋上公園』を目当てに来た家族連れで賑わう中。 アスレチック広場付近に設置されたベンチに腰掛けた小萌は、うーん、と空を見上げた。 待ち人が、こない。 (・・・困りましたねー) 内心で呟きながら、視線を真正面に戻す。 その先では、多くの子供たちに混ざって、雛苺がきゃいきゃいとアスレチックで遊んでいた。 彼女の特徴的な風貌も、幼児たちにはあまり関係がないようだ。最初こそ珍しげにされていたが、5分もたたないうちに一緒になってはしゃぎ回っている。 「・・・・・・」 小萌の困ったように結ばれた口元が、ふっと緩んだ。 走り回り、アスレチックを登り降り、そして笑いあう。雛苺は明らかに異国の出だが、なるほどこうして見れば、子供というものは何処だろうと同じなのだと思える。 (うんうん、子供はみんなで遊ぶのが一番なのです) 周囲にいる多くの親たちと同じような表情を浮かべる小萌。 すぐ傍にいた家族連れが、そんな"年齢不相応"にしか見えない微笑に首をかしげたが、幸いにも彼女は気がつかなかった。 「こもえー」 アスレチックの天辺で、ブンブンと手を振ってくる雛苺。 「はーい」 それに返事をしながら、小萌は大きく手を振り返した。 すると雛苺は嬉しそうに笑い、すぐにアスレチックの下りに入った。気分は登山家、というところなのだろう。 フリルの多い洋服に四苦八苦しながら降りようとする危なっかしいその動きを苦笑を浮かべてから、小萌はちらりと腕時計を見た。 デジタル時計の文字盤は、買出しに出かけてから、もう2時間の経過を知らせている。 「・・・なんとか電話できませんかねー」 流石に、これは遅くなりすぎだろう。インデックスと姫神に本気で心配されていてもおかしくはない。 アスレチックの方に目を戻す。 雛苺が遊ぶのに夢中のいまなら、電話するタイミングとしてはいい具合だ。 しかし残念ながらこの屋上には、公衆電話という設備はなかった。先ほどから周囲を見回しているのだが、唯一あったのは非常用の回線だけのようだった。ダイヤルもボタンもない受話器で自宅へ電話をかけようと思うほど小萌はチャレンジャーではない。 「下の階にならあるのかもしれませんけど・・・」 雛苺を連れて階下に降りる手もあるが、迎えに来る人物とすれ違いになってしまっても困る。 小萌の知り合い―――それこそ生徒でもいいのだが―――とでも遭遇できれば話は早いが、こういうときに限って遭わないもの。顔の広さと覚えられやすさは学園都市トップクラスなのだが。 (ヒナちゃんもここで待っていればいいって言ってましたけど) 「こもえー」 「はーい」 (・・・忘れちゃってるみたいですねぇ、ここに来た理由) 確かここに『べりーべる』がいると言っていたように思う。 屋上にまで登るように雛苺に言われここにきたものの、それらしい人が待っているわけでもなかった。雛苺に聞いても「まだー」としか答えてくれなかったのである。 (ヒナちゃんの言う『人形のお姉ちゃん』が『べりーべる』って人、ですよね) 出てきた人名やその流れから言っても、それは間違いないはずだ。だがそれらしい人は、少なくともこの屋上には見えなかった。 「・・・・・・」 念のためにもう一度周囲を見回す。 だが、結果は変わらない。 「・・・・・・」 (仕方ない、ですかねー) はふ、とため息ひとつ。 気が進まない、という顔で、小萌は先ほどから意識的に避けていた方向に視線を向けた。 屋上出入り口付近にある屋外サービスカウンター。 各種サービスの総合受付であるそこは、当然のごとく迷子の受付も館内放送も行っている。 小萌個人としては、あまり使いたい手段ではなかったが、もうそれ以外に方法がなくなっていた。 迷子となれば当然、詳しい事情聴取も避けられない。それを行うには雛苺はまだ幼く、小萌の方は見た目が影響して説明がめんどくさいことこの上ない。 それになにより、雛苺の置かれた状況を一から説明すれば、下手をすると『警備員』を呼ばれてしまう可能性が高かった。 そうなればせっかく回避しようとした"置いていかれる"感覚を、雛苺に与えることになってしまうのである。 「でも、これ以上遅くなったら、そっちの方が大変なのです」 生徒ではないが、彼女のために自分の手間を惜しんでいられない。そして雛苺もそうだが、自分がいなくなったことでインデックスたちにも心配をかけているに違いないのだ。 止む終えない。 そう結論した小萌が、雛苺をこちらに呼ぼうとアスレチックに目を向けて、 「こもえー?」 その瞬間、ひょい、と真横から雛苺が顔を出した。 「うっひゃあっ!」 「キャー!?」 予想外のことに思わず飛び上がる。 タバコは吸うが肺活量は見た目以上の小萌の声が屋上に響き、一気に視線が集まった。 「ひひひひひ、ヒナちゃん!?」 身に刺さるような視線に反応する余裕もなく、雛苺に目を向ける小萌。 雛苺は雛苺で、地面にへたり込んだ姿勢で、大きな目をさらに大きく見開いてこちらを見上げてきていた。 「び、びっくりしたのよー!」 と、雛苺は言った。 「あ、ご、ごめんなさいヒナちゃん・・・小萌先生も、ちょっとびっくりしちゃいまして・・・」 わたわたと手を振りながら、雛苺を引っ張り起こす。幸いどこも怪我はしていない様子である。 「うゆ・・・ごめんなさいなのこもえ。ヒナ、びっくりさせちゃったのね?」 「あ、いいえー。小萌先生の方こそ大声出しちゃってごめんなさいです。・・・それより、大丈夫なのですか? 怪我とかしてませんか?」 「だ、大丈夫なの。ちょっとシリモチをついちゃっただけなのよ」 そう言って自分で、ぱふぱふとドレスのスカートをはたく雛苺。 どういう素材なのか、土足であがる屋上に転んだにも関わらず、そして先ほどから走り回っているのにも関わらず、彼女の服はまったく汚れた様子もなかった。 そうですかよかったー、と安堵のため息をついた小萌の目の前で、 「えへへ」 不意に雛苺が笑った。 「? どうしたんですか?」 雛苺は上目遣いに、小萌を見た。 「あのね、あのね」 「はい」 「えへへへへ」 少女の無邪気な笑み。 「なんですかー?」 それにつられるように、小萌の頬にも笑みが浮かんだ。 「うーとね」と、雛苺は言葉を続ける。「ヒナ、こもえに会えてとっても嬉しいの」 そう言って、雛苺は小萌の手を取った。 小萌のそれよりなお小さい手で、きゅっ、と握ってくる。 「ヒナね、ずっと寂しかったの」 「え?」 「・・・ヒナは鞄の中でずっと眠ってて、それで一人ぼっちだったの」 「・・・・・・」 「今日、起きてから人形のお姉ちゃんに言われて、待ってて、でもやっぱり一人ぼっちで、寂しくて泣いてたのよ」 「・・・・・・」 「でもこもえが来てくれて、ヒナは寂しくなくなったの。・・・こもえは、ヒナにとっても優しくしてくれたの」 ぎゅっ、と雛苺の手に力がこもった。 「だからね、だからー・・・」 にこりと、本当に素直な笑みが小萌に向けられた。 「ヒナ、こもえのことがだーい好きなのよ」 「・・・ありがとうなのですヒナちゃん」しっかりと雛苺の手を握り返す小萌。「小萌先生も、ヒナちゃんのこと好きになりましたよ」 「えへへへ・・・だからね、こもえ」 雛苺は小萌と手を繋いだまま、その掌の中に小さな何かを滑り込ませた。 「これ、あげるのよ」 そう言って、雛苺はするりと手を離した。 「?」 握った手の隙間を通るようにして入ってきたもの。 軽く首をかしげて自分の掌を見る。 「・・・指輪、ですかー?」 そこにあったのは小さな指輪だった。 小萌の手の上でもなお小さく見える、子供用と思える小さな指輪。雛苺か、それこそ自分程度の大きさの指にしか嵌らなさそうなものだ。 (これは、苺、ですかね? ヒナちゃんらしいですけど) 植物の象りは繊細で、極めて細かい。一目見ただけでかなり高価なものだとわかった。 「ウイ」 こくりと頷く雛苺。そして雛苺は後ろ手に手を組むと、真下から小萌を見上げた。 「ヒナはこもえのこと大好きだから。だからそれ、こもえにあげるのよ」 「で、でもこれ、ヒナちゃんの大事な指輪じゃないのですか? そんなの、小萌先生がもらうわけにはいきませんよー」 「ううん」と、雛苺が首を振る。 「こもえに、もらってほしいの。その指輪は、ヒナが一緒にいたいと思った人にあげるように、お姉ちゃんに言われたの。だからヒナはこもえにあげたいのよ」 「でも・・・」 「・・・それに早くしないと、間に合わないのよ」 「え、何に、ですか?」 首をかしげて雛苺を見るが、 「・・・・・・」 彼女は少しだけ困ったように笑ったまま、答えようとしない。 「・・・・・・」 雛苺は尋ねてくる小萌にこたえないまま、僅かに視線を上向けた。 もう秋になろうとする青い空の中で、無音のまま飛び交う二つの存在がある。 あまりにも色が薄く、あまりにも高速のために他の誰にも気がつかれていない。 ぶつかり合う、紅色と桃色の、光球。 「・・・わかりました。小萌先生もヒナちゃんのことが好きですから」 僅かな沈黙の後、小萌はそう言った。 「!」 途端、雛苺の顔が、ぱっと明るくなる。 「じゃあ、こもえ。いますぐそれをつけてほしいのよ」 「え、いま、ですか?」 「うい。いますぐ、この指につけて」 ちょん、と少女の人差し指が、小萌の薬指を突付いた。 「え”」 ちょっと予想外の要求に、思わず小萌は固まった。 だが雛苺は、さらに続ける。 「それでね、それでね・・・つけたら、指輪にちゅってしてほしいの」 「ちゅっ!? ちゅって・・・」 「ちゅはちゅなのー」 言いながら、雛苺は自分の指に唇をつける。流石の幼児。恥ずかしげな様子はまったくない。 「そっ、それは、絶対にしなくちゃいけないのですか!?」 「そうなのー」 すごくいい笑顔で返された。 これでも年齢的には立派な羞恥心の持ち主で、そして見た目以上―――否、実年齢基準から見ればかなり純情な小萌だ。正直遠慮したかったが、あまりの無邪気な返答に、いやだ、とも言えなくなる。 「・・・わ、わかりました」 数秒間の葛藤の後、承諾の返事を返した。残念ながら小萌の中に、キラキラと目を光らせる子供の瞳を裏切るという選択肢は存在しないのである。 (し、仕方ないのですよ。子供のお願いを叶えるのも大人の役割なのです) 小萌はゆっくりと左手薬指に指輪を嵌め―――その際、なぜか赤い神父の姿が浮かんだが―――次いで、口元に手を持っていく。 その間にも、雛苺は近くからその様子を見上げてきている。 (うう・・・そんなにじっと見ないで欲しいのです) 別に誰かにするわけでもなく、対象は自分の手である。正確には指輪のほうであるが、指を切ったときに舐めるのと状況的にはそう変わりがない。 それでも、やはり恥ずかしいものは恥ずかしかった。 「じゃ、じゃあしますよー?」 「うい!」 確認するような小萌の言葉に、元気なフランス語が返ってきた。 そんなに恥ずかしかったらやっぱりいいのよー、とでも言ってもらうことを期待していたのだが、叶わぬ夢らしい。まぁこのくらいの子供にそういう気遣いを求めても無駄なことである。 「・・・・・・」 再び脳裏に浮かぶ赤い神父の姿。それを、きゅっ、と目を閉じて掻き消すと、小萌はゆっくりと指輪に唇を近づけた。 そして、苺を模した指輪に、彼女の唇が触れる。 その瞬間。 ドクン、とまるで生きているかのように、指輪が鳴動した。 「ひゃ!?」 驚いて唇を離す小萌。 だが彼女には指輪も、そして雛苺の顔を見る時間はなかった。 (え・・・?) まるでひどい風邪をひいたときのような倦怠感が全身にのしかかり、目の前がぐらりと揺れる。 「えへへへ・・・」 雛苺が笑いながら、横倒しに倒れかけた小萌の背中に手を回した。 「これでずぅっと一緒なの・・・ずぅっと、いっしょに遊ぶのよ・・・」 歌うような少女の声。ベンチに腰掛けた姿勢でぐったりとし、雛苺に支えられている小萌には、突然の疲労感も、彼女の言葉の意味も問う余裕はなかった。 そこに――― バン! と屋上に大きな音が響いた。 「「「!?」」」 小萌たちの周囲にいる者たちが、いっせいに音がした方を見る。 「小萌先生!」「こもえ!」 「・・・?」 唐突に名を呼ばれ、そちらに目を向ける小萌。 屋上への出入り口、自動ドア。 そのドアが開ききる前に駆け込んできたため、誰かが激突したのだ。 大きく揺れるドアガラス。しかしぶつかった当の本人は痛みにも視線にもまったく気にした風がない。 崩れた体勢をドアにすがりつくようにしてこらえながら、こちらを見るその誰かは、 「か・・・みじょ・・・うちゃん・・・?」 見覚えのあるツンツン頭の少年と、その隣で少年を見る白いシスター。 その二人を小萌は知っていた。 いつか傷だらけのインデックスを担ぎ込んできたときと同じ真剣な顔で、少年―――上条がこちらを見ている。 (ぁ・・・・・・) しかし、そこまでが彼女の限界だった。 急速な闇が彼女の意識を多い、そのまま黒に染めていく。 重くなった意識に負けて目を閉じる寸前の耳に、キン、と金属音にも似た、甲高い音が響いた。 それが結界が張られた音だということを、小萌には知る由もない。 「!」 がくりと小萌が意識を失ったのを見た上条が、ざわめく周囲を無視して駆け寄ろうとする。 しかし。 「だめだよとうま!」 インデックスが彼のシャツを掴んでとめた。 「うわっ!?」「きゃあ!?」 がくっ、と急制動をかけられる上条。シャツの襟元で首がしまり、左腕の真紅が落ちそうになって慌ててしがみつく。 「げほっ! なにすんだよインデックス! 早くしないと先生が・・・!」 「結界が張られたかも!」 上条の非難の声を、インデックスが遮った。 「!」 慌てて周囲を見回す。すると違和感は一目瞭然だ。 小萌の家からここまで。さんざん晒されてきた奇異な視線が、いまはもうない。 ざわめき、人ごみ、すべては日常のまま。だがそれが『コインの表』に変わった瞬間、彼らの認識の中から上条たちは消えうせている。 結界が張られた以上、掻き分けてでも進もうとしたその人ごみはもう蠢く圧搾機と化している。うかつに飛び込めば、ヒトとヒトに押しつぶされてしまう。 触れても『ひっぱられる』ことも『押しつぶされる』こともないのは、デパートに到着した時点で腕から降ろし、いま真横に立つインデックスと、 「あれは・・・雛苺!?」 上条の左腕に腰掛けた真紅のみ。 その真紅が、驚愕を露にして叫んでいる。 視線の向きは上条、そしてインデックスと同一方向。小萌に抱きついている、幼児といっていいほど小さな少女だ。 だが彼女の視線は上条たちとは種類が異なる。それは言うなれば―――あり得ないものが、そこにあるというようなもの。 「そんな・・・これはどういうことなの?」 呆然と、信じられないような口調。 「なぜ雛苺がここにいるの・・・貴女はあのとき白薔薇に・・・!」 そうだ。 雛苺は、もういない。 共にアリスゲームを終わらせようとした彼女は、白薔薇にとって喰われてしまったはずだ。 それがなぜここにいるのか。 いやそもそも、それ以前に、 (なぜ私は、ベリーベルの存在を忘れていたの!?) 胸に手を当てる真紅。 自分は雛苺のローザミスティカを得ていたはず。それは雛苺が望んだこと。身体を失ってもなお、自分とともに戦おうとしてくれた彼女の意思。 それを、なぜ、忘れていた? 「真紅・・・来てくれたのね・・・」 「っ!」 思考に沈んでいた真紅を引き戻したのは雛苺の声。 彼我の距離は十数メートル。人ごみ越しであっても、なぜか彼女の声は真紅にも、そして上条たちにも届いた。 「ひ、雛苺、なの? 本当に、貴女なの?」 震える手を雛苺に伸ばす真紅。凛とした意思を湛えていたはずの彼女の瞳は、信じられないものを見ているかのように震えている。 「真紅!? どうしたってんだよ、おい!」 上条が心配そうに真紅を見た。 真紅の態度は尋常ではない。とても姉妹に出会ったとは思えない態度だ。 だが真紅が上条の疑問に何か言うよりも早く。 「えへへへ・・・」 ひらりとベンチから、いや、小萌の腕の中から飛び降りた雛苺が、上条たちに正対して、笑みを浮かべた。 そこに浮かんだのは、見た目どおりの邪気のない笑み。 だがその無邪気さは、ためらいなく昆虫をばらばらにできる子供ゆえの残酷をあらわすものだ。 「っ」 純粋ゆえの狂気をその瞳から感じ取り、インデックスが息を呑んだ。 「待ってたの、真紅。ヒナはお姉ちゃんに言われて、真紅を待ってたの」 言いながら、雛苺は上条たちに目を向けたまま、小萌に右手をかざした。白い指先が小萌に―――小萌の指輪を指し示す。 「う・・・」 小萌の表情が苦しそうにゆがみ、 「!」 コオッ! と指輪が光を放った。 同時に、小萌の纏う洋服―――パーカーにジーンズというラフな格好―――が、まるで幻想でも見ているように、ドレスに変化する。 それは色合い、形状、どれを見ても雛苺が纏っているものと同一のものだ。 変化は意匠だけに留まらない。 しゅるしゅると雛苺の足元から立ち上がった苺ワダチ。 それはもう力の入っていない小萌の四肢に巻きつき、それだけでは飽き足らず、小萌の身体を網の目状に覆っていった。 結果出来上がったシルエットは、言うなればヒト型の鳥篭だろうか。 十字架に下げられたような格好の小萌を中心に、苺ワダチが成人男性のシルエットを構成している。 「あ・・・うあ・・・」 『鳥篭』の中で小萌が苦しそうな声をあげた。 「な・・・!」 魔術。 それを目の当たりにした上条が目を見開き、 「や―――やめなさい雛苺!」 茫然自失の状況から立ち直った真紅が叫ぶ。 (まさか・・・Nのフィールド!?) 契約者の意匠の変化が意味することは二つ。 通常、鏡の世界にしか存在しないNのフィールドが現世にあるということ。 もうひとつは、媒介として許容量以上の力を薔薇乙女に与えているということだ。 そして変化の度合いが急激であればあるほど、 「その人を離しなさい雛苺! 貴女、自分がなにをやっているかわかっているの!?」 真紅が叫んだ。その顔は焦りに満ちている。 ―――契約は私の力を引き出すために必要な手続きに過ぎない。私が力を振るうと、どうしても、貴方の体力を奪ってしまうのだわ 「!」 上条の脳裏に、先ほど真紅から聞いた言葉がよみがえった。 体力のある上条にして、身体の芯にダメージを残すほどの疲労。それをただでさえ小さな体躯の小萌が受けたとしたら。 「そんなの、わかってるのよ」 雛苺が応ずる。無邪気な顔が上条たちに向いた。 「ヒナ、言われたの。お姉ちゃんに、言われたの。こもえに会って、ここにきて」 カクン、と彼女が首をかしげた。 まるで力の篭っていない、人形同然の不自然な動き。そして幼い彼女の口元が、まったく中身のない笑みを浮かべた。 「真紅を壊せって」 「なっ!?」 真紅の目が見開かれる。だが彼女にも、そして上条にも、その言葉の真意を問いただす暇はなかった。 「そうしたら、ヒナはこもえと一緒にいられるって、お姉ちゃんが言ってたの」 言いながら、雛苺は小萌の身体に巻き付く苺轍ごしに空を見上げる。 「ヒナ、遊ぶの。こもえと一緒に、ずっと、ずっと」 そこには、昼間の光の中でさえはっきり見えるほど光量を増した二つの光球がある。 結界が張られたことで人目に晒されないことを悟ったのか、完全に色を取り戻している二つの光球。 音もなく激突を繰り返していた二つの光。 その片方である紅色の球が、先程小萌の部屋であったように―――危険を知らせたのはときのように―――激しく明滅した。 それがまさに合図であるかのように。 「ベリーベル!」 雛苺が命じる。 小さな指を、真紅の方に向けて。 桃色の光球と、雛苺の身体。そして小萌の指輪が光を放った。 「くっ! ホーリエ!」 歯噛みして、真紅も叫んだ。 疑問も答えもすべてをあやふやなままに。 アリスゲームが、始まる。
https://w.atwiki.jp/ocltslyrkyo/pages/206.html
京太郎「……うーん」 ショーウィンドウの前で考え込む。 ……というのも、誕生日プレゼントの為だ。 ここからは怒濤の誕生日ラッシュ。迫り来る怒濤の婚期……は多分関係ない。 いや、だって……京太郎はついこの間に二十四歳になったばかりである。来年にならなきゃ二十五歳にならない。 まだまだ、多分結婚には早い。 というか相手いない。日々のスケジュールも空いていない。これじゃあデートどころじゃないので仕方ない。 なんもかんも政治が悪い。 あとプロデューサーも悪い。スポンサーも悪い。ディレクターも悪い。 山は死にますか? 川はどうですか? 僕は死にましぇん。 ……考えすぎて頭が悪くなって死んでいたらしい。さながら、鶴田姫子のように。 というか、あの痴女キャラなんなんだ? ジョジョキャラで言うなら、アナスイぐらい変わってる。 性転換はしてないけど、別人のDISCブッ込まれたのかと思うぐらい高校からチェンジしている。 真(チェンジ)・鶴田姫子とでも言うつもりか。 やっぱりアレ、素なのか。真の人格なのか。あのビッチは。 京太郎(……憧に相談した方がいいかもなぁ。アイツ頼りになるし) ちょっとメール送るべきか――と考え、やめる。 そういえばアイツも痴女である。酔ったとき限定だが痴女である。 なまじ相談して、それが憧の潜在意識に刻まれようもんなら、もうヤバいのである。 ……今までの事件を思い返してみよう。 まず、いきなり耳をアマガミされて、「二人で抜けよっか?」と言われた。 また、飲んでる酒を一口くれと言ったらいきなり唇を奪われて、「はい、お・く・ち・で」と言われた。 またあるときには、唐突に膝の上に乗られた。それで、いきなりこちらに頭を預けて寝た。 またまたあるときには、唐突に首筋にキスをされた。「マーキング」だとか。 またまたまたあるときには、「バーニングラブ」とか叫ばれて抱きつかれ――そうになって憧が躓いて酒をかけられた。煙草に引火して京太郎の第一甲板は炎上した。 またまたまたまたあるときには、「ね、顔よく見せてよ。可愛い顔をさ……♪」と唇を奪われて、危うく腰砕け寸前にされた。 この間の大学の同窓会では、ソフトタッチで――。 京太郎(……やめた方がいいよな。悪影響にしかならないって、コレ) 京太郎(穏乃とのこと相談してたから、頼りになるとは思うんだけど……これはな) どうしようもない痴女だ。 長らくの付き合いである京太郎だからいいものの……自分以外にやっていたらどうなることか。絶対勘違いされる。 それを想像すると――――、…………なんだかかなり胸糞悪くなるが、まぁいい。 とにかく、痴女に痴女関連の相談は不味い。 京太郎(……あれ?) 京太郎(というか、俺の回りって……) 鶴田姫子――――それは、紛れもなく、痴女さ。 国広一――――ファッション痴女(文字通り)。 新子憧――――悪女系痴女。 荒川憩――――本人はそんなことないが、無意識の言動が痴女。 小瀬川白望――――悪女系痴女その2。「正直排卵する」ってなんだ一体。 高鴨穏乃――――流石にジャージ生パンは不味いと思うの。ワイシャツ生パンやったけど。 京太郎(やだ、痴女多すぎ……!?) 驚きの痴女率。 穏乃はただ、羞恥心がなかっただけだが……なんだこれは。なんだこれは。 痴女と痴女と痴女が被ってしまったな、うーん。 忘れてたけど、大星淡も痴女と言える。ベッド見たら裸の女が枕抱えて寝てるとか笑えない。 ベジータじゃなくても笑わない。 ……ちなみにお互いベジータ好きということで話は合う。「たった一人の最終決戦」以外の映画は“ない”ということで話は着いた。 ……なんて話はいい。わりとどうでも。 痴女というか、羞恥心ない枠に松実玄も追加。 年頃の女性が、男に対して嬉々としてバストの話振ってくるとかどうなってんだ。世も末か。マッポーか。 一年半以上それってなんなんだ。全く男として意識されてないのか。 京太郎「……別に、痴女を生み出すフェロモンとか出してないよな」 スンスン 照「……京ちゃんの匂いしかしない」 スンスン 京太郎「ですよね、別に変な匂いなんて……」 照「痴女にはならない……ただ、排卵する」 京太郎「なにそれ……………………って、アイエエエエエ!? ナンデ!? テル=サンナンデ!?」 照「京ちゃんの匂いを辿ってきた」 京太郎「アイエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ――――!?」 ちじょ は なかま を よんだ。 ちじょB が あらわれた。 「あはっ、手錠にする? 目隠しにする? それともバ・イ・ブ?」 ちじょC が あらわれた。 「ね、京太郎の顔見てると……変な感じに、なっちゃうのよ。……駄目?」 ちじょ D が あらわれた。 「正直排卵した。生むことになるかと思った…………」 ちじょE が あらわれた。 「キングスライムとおねーちゃんのおもちを比べても、揉み心地はおねーちゃんが上だよ!」 ちじょF が あらわれた。 「ボクもいるよ!」 ウォーズマン が あらわれた。 「コーホー」 照「……嘘。こっちから、おかしの匂いがした」 京太郎「匂いって、……警察犬か何かですか?」 照「特技は利きシャンプー」 京太郎「え……? 珍しい特技ですね、ソレ」 照「……本当」 京太郎「俺は何も……」 照「……本当。本当だから、信じて?」 京太郎「いや、誰も疑っては……」 照「……判った。今、実際にやってみて証明するから」 京太郎「会話成り立ってない!?」 いいから、と抑え込まれる。 抑え込まれ――。 抑え込まれ――。 抑え込まれ――。 照「……しゃがんで」 京太郎「……はい?」 照「しゃがんで、京ちゃん」 京太郎「……」 照「届かないから、早く」 京太郎「アッハイ」 照「よしよし」 そのまま、頭を撫で付けられる。まるで大型犬になったように。 ……でも、なんだかどこか懐かしい。 昔こうして、誰かから――――頭を撫でられるかのように。 京太郎「……」 京太郎「……照さん」 照「なに、京ちゃん」 京太郎「あの、その…………証明は?」 照「……………………………………………………」 照「麻雀って楽しいね」 京太郎「脈絡ないっスよ!?」 凄いテンションの差。話題転換の差。 ホテルに読んだ風俗嬢が早乙女博士だったときの流竜馬並みのチェンジ度。 承太郎さんなら、「ついていけないのはこいつの和了のスピードじゃなくて、こいつの思考だぜ」と言うレベルのチェンジ。 キックホッパー並みのチェンジ速度。マスクドフォームがないから、チェンジ音声同時なんだよな。 ちなみに初代仮面ライダー1号は変身中の〇.〇五秒の隙に絶対零度を叩き込まれると変身出来なくなる弱点。 なお、V3の死の弱点は全部明かされてない――――――と、話が逸れた。 照「……?」 これが一位とか信じられない。 ぬぼーっとして、ぼーっとして、ぼけーっとしてるのに。 でも実際、一位である。M.A.R.S.ランキング一位である。 照「……」 照「……私は美しい愛(おかし)に呼ばれただけ」 京太郎「なんです、いきなり」 照「――もう大丈夫。“一位(わたし)”が来た」 照「人類の最高技術『鉄球』を携えた、人類の最高戦力は、京ちゃんの味方」 京太郎「その味方からメダパニダンス喰らってるんスけど」 どうせダンスならメガザルダンスにしてカピバラを甦らせて欲しい――っと、メガザルって使用者がヤバいのか。 ならハッスルダンスにして欲しい。 ……って、憧が二人で乗ったガラガラの終電でポールダンスしたの思い出した。 「ふふ……映画でこういうのあるわよねー」じゃねえよ。孕ませるぞ、バカ。あれは正直エロイ。 京太郎「……あの、で、何をしに」 照「何か、京ちゃんが困ってそうな気配がしたから」 京太郎「まあ、たった今困ってますけどね」 照「なら良かった」 京太郎「……」 京太郎「いや、ほんとに気配だけで、ここを……?」 照「……あと淡に、『今日遊びに行くならどこがいいか』を訊いたよ」 京太郎「なんでそれで俺の行く場所と的中するんだよ!?」 あのバカと思考パターンが同じとか屈辱過ぎる。 なんだろう。呪いか。呪いなのか。 照「……冗談。たまたまだよ(鉄球だけに)」 京太郎「……」 照「たまたまだよ(鉄球だけに)」 京太郎「小声で言ってる“鉄球だけに”は聞こえてます」 照「……むぅ」 なんなんだろうか、この人。 猫を被って普通の笑顔も出来る(当人曰く「いつもそう思ってることを言っただけ」)のに、これは。 余程の面倒臭がりなのだろうか。 まあ、オンとオフの差を付けるというのは一流のアスリートとして大事だと思うが……。 照「京ちゃんが、冷たい」 京太郎「いや……そりゃ、そんな態度で来られたら普通にそんな扱いになるというか」 照「……?」 京太郎「マスコミとかファンとかには、ぐうたらじゃない態度もできますよね?」 京太郎「俺にも、そうしてくれたら違いますけど……」 言った瞬間、宮永照は僅かに瞳孔を開いた。 それから急に、押し黙る。 照「……」 京太郎「……照さん?」 照「……」 京太郎「もしもし?」 照「……京ちゃんの前でだけは、絶対にやらない」 京太郎「え?」 照「そう……決めてる」 なにそれ。 ヒャッハー! 家畜には家畜の扱いで十分だぜー! とか、そんなつもりなのだろうか。 酷い話だ。……なんて時代だ。せめて、愛玩動物並みの扱いをして欲しいと哀願したい。 ……。 「きょ、きょ、きょきょきょ……京太郎が――――、い、い、い、い…………………犬ぅぅぅう…………!?」とか、 「お、お、お、おにーさんの犬に……!?」とか変な声が聞こえた気がするけど気のせいだろう。 共学化した女子校に通った覚えはない。 ……女子校の文化祭に顔を出したことはあるが。(園城寺怜に連れられて) イケメンと言われたのは素直に嬉しいが、やっぱり誰もプロと思ってくれなかったのは悲しい。 ……別にいじけてないもん。 京太郎「……はあ、まあ、いいですけど」 照「……」 京太郎「照さん?」 照「京ちゃんがそんなにして欲しいなら、してあげる」 京太郎「は? いや、あの、別にそこまでは……」 照「いえ、別に構いませんよ。番組でお世話になっている須賀プロの頼みなら、よろこんで」 京太郎「――」 照「どうしたんですか、須賀プロ? 体調でも悪いんですか? 体には気をつけなきゃいけませんよ?」 京太郎「――」 おおう。 京太郎「……ごめんなさい」 照「どうしたの、須賀プロ? いきなり謝ったりして……」 京太郎「俺が悪かったです」 照「嫌だな。別に、須賀プロは何も悪いことなんてしてませんよ?」 京太郎「あの、なんていうか本当にすみません……あの」 照「謝る必要なんかないのに。だって、私が迷惑かけてるのは本当だよね」 京太郎「いや、その……頼みますから、あの」 照「どうしたんですか、須賀プロ」 ……何かは判らないにしても、とにかく盛大に地雷を踏んだというのは確かだ。 確かにしばしば彼女のだらけきった態度には辟易していたが――これは、その、なんていうか違和感しかない。 落ち着かないのである。 照「私がどうかしたのかな?」 ……確かに、この行動に腹いせや意趣返しという意味は多分に含まれているだろう。 それについて、何も思わない訳ではないが――――それ以上に、ショックが大きい。 やはり何だかんだ、須賀京太郎もあんな宮永照の態度を心地いい――とは思わずとも、それが平常と思っているのだ。 ……多分。 彼女もそんな関係を気に入っていたからこそ、ここまで露骨な変化をしたのだろう。 そう思うと、軽はずみであったと思う。 彼女の妹である宮永咲のように、軽口を叩いても受け入れられるほど打ち解けてはないという訳だ――――或いはその逆かも知れないが。 京太郎「やっぱり、いつもの照さんがいいです」 照「どういう意味か説明してくれないかな、須賀プロ?」 京太郎「その――――、いつもの照さんが好きです!」 照「排卵した」 京太郎「――――切り替えはえーな、オイ!?」 なんなの、これは。 全盛期のクリスティアーノ・ロナウド以上の切り返しなんだけど。 全力でクライフターンどころか、「喰らえ負担」なんだけど。 全力フェイントの所為でアンクルブレイクじゃなくて、アングルがブレイクなんだけど。カメラさん混乱してんだけど。 照「京ちゃんにはいつもの私のありがたさを知って欲しかった」 京太郎「それは判りましたけど……、排卵は関係ないですよね? まさかいつも排卵してるんですか?」 照「……」 照「京ちゃんに押し倒されたらいつでも排卵するよ?」 京太郎「いつもの照さん、痴女キャラじゃないでしょ!?」 なんだろう。 やっぱり、痴女を量産するフェロモンでも出てるのか。そうなのか。 自分では判らないが、変な体質に目覚めたのか。 …………人類の平和の為に死ぬべきなのかも知れない。 照「……シャンプー当てついでに、確かめてあげる」 京太郎「いや、ちょ、照さん!?」 照「匂いだけで妊娠したら責任とってね、京ちゃんが」 京太郎「キリストもビックリですよ!?」 処女懐胎の真実ってそうだったのか……たまげたなぁ。 どうでもいいけど……。 よく考えたらアレ、人間としての夫のヨセフさんからしてみたら完全にNTRでしかないんだけど、四文字マジ邪悪すぎるだろ。 やっぱり宗教って酷いわ。 あと……本当の本当にどうでもいいけど、携帯の予測変換で「処女解体」とか「処女買いたい」とか「処女飼いたい」とかが、「処女懐胎」より前でした。 どうしようもない畜生な携帯だ。 スマートフォン畜生形態って書くと、なんか仮面ライダー555っぽいよね。(スマートブレインや激情態的な意味で) 閑話使徒再生。 京太郎「……っ」 京太郎「照さん」 照「なに、京ちゃん」 京太郎「……手、熱いんですけど。ひょっとして熱あります?」 照「……」 照「……恋の病?」 京太郎「いや、真面目に……」 照「……」 京太郎「そういえば今日は、一人で何をしに?」 照「……あ」 照「寒くて、汗が出て、視界がぼーっとするから……服とタオルと眼鏡を買いに来た」 京太郎「それは風邪です」 ……で。 京太郎「失礼します」 照「……は、恥ずかしいな」 京太郎「……いや、排卵発言の方が恥ずかしいっスよ」 ところ変わって、宮永照のマンション。 それなりに……まぁ、散らかっては居ない。実に意外だけど。 あの場に残ろうとする照を引き摺り、ここまで来た。 淡から訊いたとか偶々偶然だとか何とか言ってたが――――そもそも、あの妹にしてこの姉アリの宮永照だ。 仮に京太郎を目的としても、このある種の方向音痴の女性が簡単に辿り着く自体が異常なのだ。 咲は道を見失うが、照は目的を見失う。 咲は純粋に思い込みと早とちりで訳が判らない方向に進み、照は思い付きと寄り道と目移りで明後日の方向に向かう。 宇宙刑事もビックリ。 光の速さでも一足先に明日にしかいけないのに、まさか明後日とは。 京太郎「……よし」 照「?」 京太郎「弘世先輩と、大星と、誠子さんに連絡しました」 京太郎「マネージャーの渋谷さんも連れてきてくれるみたいなんで……大人しく、寝てて下さい」 正直、弘世菫か又野誠子のどちらかでいい気がしなくもない。 ただ、一人で看病というのは大変だし……菫と誠子と尭深だけ呼んだことを、大星淡が後々知ったら「何故呼ばなかった」と煩いだろう。 あんなのでもきっと、宮永照の癒しにはなる…………と思う。きっと。 意外に、なついている相手には甲斐甲斐しく世話をしそうだし、真面目勢だと却って不便かもしれなかった。 ……結局は。 弘世菫の、「……独りぼっちは寂しいからな。ちゃんと、私は誘ってやるよ」の鶴の一声だったが。 そういう問題なんだろうか。…………まぁ、いいか。 京太郎「じゃ、俺はこれで……」 照「えっ」 京太郎「いや、女性の部屋に俺が居ても…………着替えとか手伝えませんし」 いや、大学時代憧のは手伝った覚えがある。 憧が風邪引いたのに、誰も捕まらない日だった。 京太郎「皆、すぐ来るって言ってますから……大丈夫ですよ」 照「……」 京太郎「あ、飲み物はここにあるんで……」 照「……一緒にいて」 京太郎「大丈夫ですよ、本当にすぐ皆来るって言ってるんで……」 照「……やだ」 京太郎「やだ、って……言われても俺が居たら着替えできないし」 照「……」 照「……だって」 京太郎「え?」 照「だって京ちゃん、『大きくなったら俺が照おねーちゃんを守ってやる』って言ったのに」 京太郎「は?」 照「だから、おねーちゃん……京ちゃんの前だと力抜いてるのに……」 照「京ちゃん、今日意地悪なこと言った」 京太郎「……あの、なにかと勘違いを」 照「……」 照「……京ちゃん」 京太郎「あの……」 照「……」 照「……判った。もういい」 京太郎「まぁ――」 京太郎「――判りました。とりあえず、そこまで熱があるなんて……心配だから、一緒に居ますよ」 照「……」 京太郎「……こんなになるまで、我慢するなんて」 京太郎「……」 京太郎「無茶しないで下さいよ、照さん。いくらチャンピオンだから……って」 照「……」 京太郎「まぁ、頼りないかもしれないっスけど……俺が傍にいますから」 ――――泣かないでくれよ、照ねーちゃん。別にちょっと擦りむいただけだって……。 ――――いや、だってさ……。 ――――……うん。 ――――大丈夫だよ、照ねーちゃん。 ――――俺、麻雀とかそんなのでねーちゃんのこと“さべつ”しない。 ――――俺にとって、照ねーちゃんは照ねーちゃんだからさ。 ――――だから、頼りないかも知れないけど……今日みたいに何もできねーかも知んないけど。 ――――ねーちゃんのこと苛める奴がいたら、俺が助けにくるから。 ――――だから、泣かないで。照ねーちゃん。 照「……ふふ」 京太郎「え……ど、どうしました?」 京太郎「えっと、辛いっスか? どっか、痛かったり……」 照「京ちゃんは、やっぱり京ちゃん……」 京太郎「……は、はぁ」 このあと、立ち上がろうとしてよろけた宮永照に押し倒され、たまたまそこに白糸台ズが来た。 ……全員呼んでおいて良かった。 多分コレ、誰か一人でも欠けたら盛大な勘違いをされただろう――――って、ああ、弘世菫には前科あるんだった。 あのときは、まぁ……ヤバかった。危うく憧と、アリもしない仲を勘繰られるとこだったのである。 ……うん。 憧『もしもし、京太郎? どうしたの?』 京太郎「あのさ、憧」 憧『なーにー?』 京太郎「風邪を伝染されてないのに……超頭痛くて、超腕痛くて、超背中痛いのってなんなんだろうな」 憧『……筋トレのし過ぎじゃないの?』 憧『……』 憧『……お見舞い行ってあげようか? そっちに用事あるし――』 京太郎「え、お見合いの用事?」 憧『だ、誰もあんたとお見合いしてから結婚して一杯子供作りたいなんて言ってないわよっ!』 京太郎「アッハイ」 スゲーなあの風邪。 電話越しでも伝染るらしい。……いや風邪引いてないけど。 ……うん、勘違いは避けられた。 意味もなく胸ぐら掴まれたり発勁喰らったり釣られたり射られたり腐らされたりはしなかった。 ただし―― 京太郎「あのさ、憧」 憧『……オホン。で、なに?』 京太郎「五人ほどが熱出て倒れたときって、どうすればいいんだ?」 憧『…………………………………………………………………………………………は?』 小ネタ【ゴムの日を後ろに外すとこどもの日になるって作為的だよね】 ――了。
https://w.atwiki.jp/plum1122/pages/308.html
レヴィン autolink シレジア王子だが,権力闘争を嫌い,国を飛び出していた放蕩息子。 敵側で暗躍していたのがマンフロイなら,味方側で暗躍していたのは彼だろう。だが,王子としてはどうかと思う。こんな王子でも風は愛してしまうのね。 フォルセティを持ったレヴィンは吹っ切れたかのように強い。追撃はないのに,必ずと言っていいほど連続を出してくれたので,私はセイジにクラスチェンジすると,追撃がつくのか~と思っていたほどである。その勢いでマンフロイをいっちょやっちゃうか,と決心するも見事敗退。ヨツムンガンドに負けるフォルセティ…。後にも先にもこれっきりではなかろうか。 その後現れた後半レヴィンは,すべてを知っているくせにネタを小出しにする,やっかいなおじさんになってしまった。 「俺たち夫婦の問題だ!」「これは汗だ!」など名台詞もなかなか多くて楽しめる。 タグ:【聖戦】 れ シレジア 人名 王子 男性 魔導士 上へ
https://w.atwiki.jp/actors/pages/4999.html
ケン・ダヴィティアンをお気に入りに追加 ケン・ダヴィティアンのリンク #blogsearch2 ケン・ダヴィティアンとは ケン・ダヴィティアンの70%はカテキンで出来ています。ケン・ダヴィティアンの25%は雪の結晶で出来ています。ケン・ダヴィティアンの5%は宇宙の意思で出来ています。 ケン・ダヴィティアン@ウィキペディア ケン・ダヴィティアン ケン・ダヴィティアンの報道 gnewプラグインエラー「ケン・ダヴィティアン」は見つからないか、接続エラーです。 冬のソナタ またでるよ 冬のソナタ 韓国KBSノーカット完全版 DVD BOX(初回限定 豪華フォトブックレット&スペシャル特典ディスク付) 本当に長い間、待たせてごめんなさい。「冬のソナタ」韓国KBSノーカット完全版をいよいよお届けします。 映像は韓国KBSのオリジナルそのままに、音楽に関してもユン・ソクホ監督が想いを込めて監修し、一部楽曲を変更しました。初回限定特典にはぺ・ヨンジュン 独占インタビュー/ユン・ソクホ監督&田中美里の対談スペシャルDVDの他、DVDオリジナルポストカード、シリアルNo付 豪華フォトブックレット(20P)を封入しております。 今までの日本用編集版よりも約166分長いノーカット映像(本編後のエンドロールも収録!)に加えて、映像特典の【スペシャル短編集】には、ペ・ヨンジュンのスノーボードシーンの撮影風景も収録しています。 【ここが違う!8つのポイント】 ◆今までの日本用編集版よりも約166分長いノーカット映像(本編後のエンドロールも収録!) ◆ファン待望の「ダンシング・クィーン」「白い恋人たち」をついに収録。 ◆日本語吹替を再収録。萩原聖人さん、田中美里さんが担当、その他主要人物もなつかしいあの声で。 ◆本編は日本語字幕に加えて韓国語字幕も収録 ◆一部変更した楽曲をユン・ソクホ監督が想いを込めて監修!(一部BGMはオリジナル版より変更されています) ◆<初回限定特典1>スペシャルDVD:★ぺ・ヨンジュン 独占インタビュー/★ユン・ソクホ監督&田中美里の対談 ◆<初回限定特典2>豪華フォトブックレット:シリアルNo付(20p) ◆<初回限定特典3>DVDオリジナルポストカード3枚 ケン・ダヴィティアンのキャッシュ 使い方 サイト名 URL ケン・ダヴィティアンの掲示板 名前(HN) カキコミ すべてのコメントを見る ページ先頭へ ケン・ダヴィティアン このページについて このページはケン・ダヴィティアンのインターネット上の情報を集めたリンク集のようなものです。ブックマークしておけば、日々更新されるケン・ダヴィティアンに関連する最新情報にアクセスすることができます。 情報収集はプログラムで行っているため、名前が同じであるが異なるカテゴリーの情報が掲載される場合があります。ご了承ください。 リンク先の内容を保証するものではありません。ご自身の責任でクリックしてください。
https://w.atwiki.jp/kt108stars/pages/9956.html
関連スレ 思春期の恋に嫉妬したから洗脳死亡させて絶望させてやる 29 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2014/11/03(月) 20 31 04.61 ID roF1SOqf0 前スレ495で報告して「追放した」と言われた某困について。 私の一件でも追放してなかったのに何やらかしたのか気になって聞いてみた。 それ以来、何かが目覚めてしまった様子で、吟遊シナリオで、さらにNTR趣味に目覚めた模様。 「ぼくのかんがえたさいきょうのきゃらくたー」がPCと敵対し、ひたすら「とてもすばらしいりそう」を語り、それに賛同しないPCたちは例えどんな立場であっても悪にされていくみたいなシナリオ。 ダブルクロスだとUGNに所属してようがFH所属だろうがゼノスだろうが関係なく、新たな勢力としてNPCが独自に擁立した勢力こそが真の正義みたいなノリ。 そして、公式NPCやシナリオNPC、さらに言うとPCたちの設定の中にあるPCオリジナルのNPC勢は彼の思想こそが至高であると言わんばかりに早々にPCたちを裏切り、それが女性であった場合は「素敵! 抱いて!」なノリで即堕ち。 そんなシナリオを連発するものだから人も寄り付かなくなり、最終的に「自分の素晴らしいマスタリングを理解できないお前らが困だ!!」とムギャオった所、はいはいワロスなノリで放逐された模様。 彼の捨て台詞は「俺がいなくなったら後悔するぞ!!」は語り草となっている模様。そんな早すぎた「あの困は今」をお送りしました。 30 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2014/11/03(月) 20 52 25.77 ID GFur/gZ70 [2/3] そんな性癖を公開したかったらTRPGでなくて薄い本でも書いてろとおもうが、そんな技能はなかったんだろうな。 31 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2014/11/03(月) 21 02 50.73 ID rq4xbaV+O [4/5] 乙 とりあえずGM禁止令出したり、オマイのシナリオはつまらんのダメ出ししてから追放推奨 ぶっちゃけそいつは追放されるに十分な理由あるとは思うが、最近最後は追放が当たり前化してるなぁ 32 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2014/11/03(月) 21 31 14.14 ID NAd5z/aC0 最終判断として報告者ノータッチの事例だししょうがないかと 結局更生しない奴は叩き出すしかないし スレ401
https://w.atwiki.jp/origin2015/pages/191.html
かつて夫婦仲の良い家庭に生まれた、恵まれた少女がいた。 名前はラモサ。永久の幸福を祈って名付けられた彼女は、その名の通り笑顔が絶えない元気な少女である。 この時代は決して平和とは言い難い。常人の手に負えない者が悪行の少なくない世の中であり、毎日のように凶悪犯罪が起こっている。 されどこの世界には、もう一つの勢力――ヒーローと呼ばれる者たちが存在する。 正義の代行者たる彼らは、どんな悪行も許さない。市民を護る為にも血肉を撒き散らし、悪党に対抗している。 だから、無駄な心配は必要ない。ラモサはヒーローを信じて、この素晴らしき日々が永劫に続くと思って暮らしていた――――。 学校の帰り道。 何の変哲もない幸せな日々を壊すように、ラモサの家から見知らぬ少年が突き飛ばされていた。 喧嘩でもしたのだろうか? 彼は酷い重傷を負っていて、立ち上がるのもやっとだという様子である。 「諦めの悪いガキだ。ヒーローに私情を挟むな」 玄関から歩き出た灰色の男が、見下すように少年を眺めた。 生気を失い濁り果てた瞳は、まるで死人のようで、見ているだけで彼が只者ではないと知らされる。 対する少年が瞳に宿しているものは――希望だ。絶体絶命の窮地であるにも拘らず、彼は一向に諦める気配がない。 「うるせェ! 政府直属のヒーローだかなんだから知らねえが――その人たちは、人間だッ!」 「それがどうした? 元が人間であろうが、今や彼らは怪物同然。殺すべき悪だと政府から連絡も入っている」 「理解も納得も出来ねェな。俺の知ってるヒーローは――――師匠は、罪のない人を殺したりしない! そしてそれは俺も同じだ。まだ人間の心が残ってるなら――俺はこの人達を全力で守ってやる!」 この二人は何を言っているのだろうか? 突如の事態に、頭が追いついていかない。状況を理解することが出来ない。 辛うじて解ることは、少年が対峙している男は政府直属のヒーロー、早乙女灰色だということだけだ。 だから普通に考えればヒーローが悪人を追い詰めているようにも見えるが――少年の言葉の内容から察するに彼が悪人ではないのだろう。 考えれば考えるほど、わけがわからない。そもそも少年は何を守ろうとしているのか。 「それが俺の――ヒーローの王道だぁっ!」 気合いを振り絞り、立ち上がった少年が拳を固く握り締める。 真っ直ぐな瞳が灰色を見据える。/生気の宿らぬ死人がヒーローを見据える。 実際は灰色がヒーローで少年は素性すら知らないのだが、今のラモサにはそんな風に見えた。 互いの視線が交わった刹那に――少年が疾走り、灰色が身を構える。 助走をつけて振り抜かれた正拳突きが、灰色に迫り――――数瞬後のラモサが見たものは、全身全霊で放った一撃を躱され、態勢を崩す少年だった。 「ガキが」 ――――無慈悲な銃声が響き渡る。 結城陽太は政府に悪と認定されていない少年だ。命を奪う必要はないが、彼は仕事の邪魔をした。 ゆえに灰色は容赦をしない。足を撃ち抜き、少年の自由を一時的に奪うとラモサの家へ再び戻ろうとして――。 「お前も止めてみるか?」 陽太に駆け寄るラモサを一瞥した。 意味不明だ。何らかの事件に巻き込まれたことは間違いないが、どうして灰色はラモサに声を掛けたのか。 「……もしかしてラモサちゃん、か?」 「え――どうして私の名前を?」 「あの人たちが呼んでたんだ。家族3人で笑っている写真に、何度も何度も……。 それで俺は確信した。二人はまだ意識がある。姿形は変わっても、ラモサちゃんの両親は怪物なんかじゃねェハズだっ!」 「え? それってどういう――」 「――――何も難しい問題ではない。政府に悪と認定されたから殺す、それだけのことだ」 再びラモサたちの目の前へ立ち塞がる灰色。2つの異形を手にした彼は、それらを悪と断じて殺すと宣言した。 未練がましく家族写真を抱えて涙を流す怪物たち。肉体の至る所からギロチンの突き出した形状はとても人間だとは思えないが、彼らの一挙一動はどこまでも人間臭くて――。 「お母さん? お父さん?」 血に塗れても守り抜いた家族写真が、ラモサに状況を理解させた。 「お前の両親は数時間前、Mr.イヴィルの手で怪人に成り果てた。今や政府が害と認めた、立派な怪人だ」 何一つ表情を変えることもなく、灰色は真実を告げた。 つまりそれは、ラモサの両親が理不尽に怪人にされた挙句、政府直属のヒーロー手で殺されてしまうということで。 未だ人としての意思がある生物の命を強引に奪い去ろうとしているということで。 政府は。ヒーローは、姿形が怪物になってしまえば、罪なき人々を見捨てる悪ばかりの集団なのだろう。 「……ラモサちゃんの両親を殺させるわけにはいかないッ! ここで負けたら――いのりみたいな子がまた増える……! だから――この戦いは絶対に引けるかぁっ!」 負傷した箇所から血を撒き散らし――それでも立ち上がるヒーローが、そこには居た。 彼は政府直属でもなければ、変身すら出来ない未熟者であるが、如何なる巨悪にも立ち向かうその姿は、正しく正義の味方。 その雄姿にラモサは感動を覚えて――――。 「やっと来たか。――――エンマ」 気が付けば一人の幼女が現れて。 「ラモ――サ?」 ラモサが瞬きをしている間に、両親の片方は呆気無く崩れ落ちていた。 母親か、父親か。もはやそれすらも解らぬ歪な風貌であるが――――最期に聞いたその呼び掛けは、よく覚えている。 「ど――してこ――なこと――に」 次いでもう片方の異形も、真紅に染められていた。 人間とは程遠い存在になっても――――やはり彼らの気持ちは不変で。それを証明するかのように告げられた遺言は、深く胸に刻み込まれている。 † そして現在――――。 悪しきヒーローに人生を狂わされた少女は、自らが正義の執行者となることで悪を滅することになる。 突如として自らの内に宿った変幻自在の幻創武具――――常闇照らせし正義の柱(ボア・ドゥ・ジュスティス)が無力な少女に力を与えたのだ。 「チーム戦の殺し合い、か。悪趣味で吐き気を催す最低最悪の行事だね」 それがICプレイヤーで話を聞いた後の率直な感想だった。 ラモサは己が命を切り捨てることに躊躇のない性格である。彼女の想像する早乙女灰色や早乙女エンマと違い、正義の為に力を振るう少女だ。 この危機的ともいえる状況に怯えたりすることはないが、単純に殺し合いという行為自体が気に入らない。 「終了条件が最後の一人になるか、参加者様方が一チームのみになること? 早乙女灰色や早乙女エンマは嬉々として他人を見捨てたり、他のチームを襲ったりだろうけど――私は無駄に被害者を増やすことなんて御免かな。あいつらと同じになるくらいなら、死んだほうがマシだ。 だから私はAKANEや悪を断罪して、皆を救ってみせるよ。 そして――早乙女灰色と早乙女エンマを見つけたら今度こそ裁いてやる。あの二人がいる限り、皆が笑顔で暮らせる時代は絶対に訪れないから」 「このお母さんとお父さんに託された――――常闇照らせし正義の柱(ボア・ドゥ・ジュスティス)で」 ラモサの呼び掛けに応じて右掌に顕現する正義の柱。 深淵の闇をも照らす白銀の刃は、悪の用意したICプレイヤーを斬首した後、再びラモサの体内へ戻り。 「さあ――征こうか、常闇照らせし正義の柱」 己が正義を貫く為に、戦士は征く。 【F-3/平野/1日目/深夜】 【ラモサ@アースH】 [状態]:健康 [服装]: [装備]:なし [道具]:基本支給品一式、ランダムアイテム1~3 [思考] 基本:AKANEや悪を断罪する 1:早乙女灰色、早乙女エンマを見つけたら処刑する 010.鏡面の憎悪 投下順で読む 012.殺人鬼×少女×少女 010.鏡面の憎悪 時系列順で読む 012.殺人鬼×少女×少女 GAME START ラモサ 041弱さ=強さ