約 3,239,243 件
https://w.atwiki.jp/dansen_eroparo/pages/21.html
奴隷ジェシカ ディテクターの傘下で働いていた俺は、ジェシカ・カイオスという女の子を捕獲した。 彼女は金髪に帽子を被り、グリーンのシャツの上には茶色い上着を羽織っている。短いシャツからはヘソが露出され、洋服越しではわかりにくいが意外と胸も大きい。 この捕獲の報酬として、俺はジェシカを調教する権利を貰った。 俺はさっそく彼女に洗脳首輪を取り付け、意志を奪う。ただスレイブ・プレイヤーに変えるだけではなく、せっかく貰った権利を活かしてベッドの上に連れ込むこととした。 「いいか? 大人しくしていろ」 ジェシカをベッドに寝かせ、まずは全身をまさぐってみることとした。ヘソ出しのシャツから手を入れて、豊満な胸を揉んで見る。ブラを通じてマシュマロのごとき柔らかさが伝わってきて、非常に興奮した。 洗脳といっても羞恥心は残してやっているため、ジェシカはいかにも恥らった顔つきをしている。まるで乙女が頬を染めたような、それでいて興奮で息を淫らに荒らした表情は何ともいえない良さがある。 次は彼女の履くズボンのベルトを緩め、膝のあたりまで下ろしてやった。ショーツ越しに秘所を愛撫してやると、太ももをすり合わせるような動作で足を閉じようとして抵抗してくる。本気の抵抗ではなく、これも恥じらいの現れの一つだ。洗脳を効かせているため、ジェシカは知らない男に触れられることより羞恥心からの抵抗をする。 もちろん、結局は主人である俺を受け入れる。やがては素直になって、ひたすら恥ずかしさに耐えるような顔をしながら愛液を漏らしていく。充分に濡れたところでショーツもズボンも脱がし、俺はすっかり固くなったブツを挿入した。 「あぁっ!」 ジェシカの喘ぎ声に、俺はかなり特をした気分になる。 俺に捕まる前までのこいつは勝気なところがあり、LBXバトルでもこの俺を倒す気満々でいた。それが今では言いなりとなり、こうしてピストンする肉棒に喘いでいるのだ。 「いやぁぁ! あぁ! あぁああ!」 帽子を被ったその金髪を振り乱し、シーツを鷲掴みにしながらジェシカは喘ぐ。 胸の大きさを思い出した俺はジェシカのシャツをたくし上げ、ブラのカップもズリ上げる。露出した乳房はペニスを突き上げるごとにプルンと弾み、リズムに乗ってプルプルと柔らかな振動で揺れ動く。 この日はやがて満足して、俺は中出しした。 ジェシカの割れ目からトロリと流れる白濁液、そして行為が終了しても快楽の余韻に浸っているようなその表情、それらはしっかりと拝んでおいた。 二回目以降はあらゆる性技を叩き込んだ。 フェラチオとパイズリに加え、それら二つを同時に行うパイフェラだ。 最初はジェシカを足元で四つん這いにさせ、しゃぶらせた。自分の股で彼女の頭が前後に動くだけでも興奮ものだが、記憶力の良いこいつは上達が早い。どんな舌使いをすればいいか、どんな唇の使い方をすればいいのか、即座に覚えてくれる。 「いいか? 舌で亀頭を磨くようにするんだ。頭を動かすときは茎全体を刺激することも忘れてはいけない」 このように俺は逐一指導していたが、すぐに必要なくなった。わずか一回目のフェラチオの時点で、決して上手とはいえないぎこちなかった咥え方がみちがえてゆき、みるみるうちに技巧を帯びたものへと変化した。 あまりの良さに我慢しきれず、俺は口内射精をした。ジェシカはそれをゴクンと飲むが、量が量だけに口元からこぼれている。白濁液で顎から垂らしたその顔は素晴らしかった。 パイズリも同様で、初めは下手なものが指導一つですぐに上達する。いや、良いやり方をその場で記憶し実践している、と言った方が正確かもしれない。ともかく上手い挟み方を吸収して、ジェシカは俺の肉棒に最高の乳圧をかけてくれた。一物の元でズリ合わさる柔らかな乳房が溜まらずに俺は彼女に顔射する。 顔中に精液をこびりつかせたジェシカも悪くない。 あとはパイフェラをやらせたが、やはり同じく上手くなった。乳房を駆使した心地良い乳圧のかけ方と最高の舌使いを組み合わせ、あまりにも気持ちよすぎる。 俺はこの日に三発目の精液を発射した。 その次の日は、騎乗位でジェシカ自身に腰を弾ませてもらった。俺の上で一心不乱の上下に動き、良い具合に膣圧をかけてくる。肉棒は生温かいぬめっとした感触に包まれて、そこへさらに心地良い締め付けが加わるのだ。 仲間にもジェシカの肉体を使わせた。 他の男たちもジェシカの記憶力を面白がって、しゃぶるときはこう舐めろ、こういう時はこんな体位になれ、等々命令を叩き込む。 やがてジェシカは最高の性処理器へ成長していた。 ジェシカは相手の男によって対応を変え、恥じらいを残しながらも様々なプレイを受け入れる。マゾな男とする時は女王の表情を繕って、騎乗位で性を搾り取ろうとする。サドの相手をする時は服従し、ノーマルの時は洗脳で残されていた羞恥心を強く発揮する。 あらゆる趣味趣向の持ち主への対応を記憶し続けていった。 おそらく、こういう仕事をしたなら彼女はかなり稼げるだろう。実に多くの趣向を記憶し、実践にそれらを活かす。口と胸、膣に至るまで己の肉体を使いこなし、いとも簡単に精液を搾り出す。逆にイカせないやり方さえも覚え、女王のごとき攻めに入ったり、あるいはより長く楽しんだりできる。 ここまで成長したジェシカが正気を取り戻した時、彼女は一体どうなるのだろう。 試してみたい。 俺はある時、面白がってジェシカから洗脳首輪を外してみることにした。念のために拘束室のベッドに乗せて、セキュリティを張って逃げられないようにしておく。いつもの服装に着替えさせてから首輪を取り外した。 最初はぼんやりとした目つきをするも、しだいに瞳に光を取り戻していく。 「ここは? アンタは誰!?」 ジェシカはすぐさま目の前の俺に向かって叫んだ。 「俺はディテクターの一人だ」 「ディテクター!?」 ジェシカは驚愕の表情に染まる。 そういえば、捕獲するときは彼女を気絶させていた。 意識を失っている隙に洗脳したから、ここで初めて本来の意志を取り戻したことになる。 「そうだ。ジェシカ、お前は俺に捕らえられてここに来た」 「そうだったわね。アンタはLBXバトルで……」 どうやら自分の敗北を思い出したようだ。 そう、俺はジェシカを単独で誘き出し、バトルで勝利し、ウェポンとして装備していた対人用麻酔針で意識を奪い誘拐した。 ジェシカともあろうものが捕まる前後の記憶をぼやけさせていたのは、麻酔で気絶させる際に生じたショックと洗脳の影響のためだろう。それでも思い出すところが彼女ののすごいところだ。 「そして、色んなプレイをした」 「最低……!」 洗脳中のセックスの記憶を持つ彼女は、自分のしてきたことの数々に頬を真っ赤に染め上げて、俺から顔を逸らす。ヤった相手の一人とは目が合わせられないのだろう。 俺はそんなジェシカの前に肉棒を取り出し、突きつけた。 「っ! 洗脳を解いたのはそういうことなのね。ちゃんとした意識のある私を……」 「そうだ。ジャンヌDが人質になっていると思え」 俺は彼女から没収したLBXの名を出した。プレイヤーにとっての命である機体がかかっているとあらば、どんな命令も聞かざるを得まい。おまけに男と二人きり、俺がパスワードを入力しなければ出入り不能な拘束室の中だ。女が圧倒的に不利な状況なのは明らかで、ジェシカはここで逆らうほど愚かではなかった。 もっとも、本心では逆らいたい思いで一杯なのだろう。ジェシカはいかにも悔しげな目で俺を睨み上げていた。 状況が頭ではわかっていても、内心かなり葛藤していることだろう。 「まずは手でしてもらおう」 「卑怯者、ジャンヌDは返しなさいよ?」 そう言って、ジェシカは仁王立ちする俺の一物に手を伸ばそうとする。だが、意識を取り戻したせいかその手は伸ばしかけのまま止まり、中々握るまでいかない。それどころか、何度も受け入れたはずの肉棒をまともに見ることさえままならないようだ。 俺はジェシカの手を掴み、無理矢理握らせた。 「……気持ち悪い」 ジェシカは悪態をつきながら、仕方なく俺のをしごき始める。その間も亀頭に目を合わせることはなく、ひたすら顔を逸らし続けていた。やり方を熟知したはずの手つきも、力が抜けていてぎこちないままだ。 「ちゃんとやれ」 「………………」 ジェシカは無言のままやる気を出さない。 「ジャンヌDが破壊されてもいいのか」 「くっ、わかったわよ」 ジェシカはやっとのことで手つきを変え、技巧ある手コキを繰り出した。しかし顔はやはり肉棒から背けたまま、じっと横を向いている。自分にこんな卑猥な技術があるなど信じたくないような表情をしていた。 「挟め」 命令すると、ジェシカは非常に恨みがましい目で俺を見ながらシャツをたくし上げる。乳房をプルンと露出し、経験を活かしたパイズリで肉棒に刺激を与える。そんないやらしい動作をしながらも、始終俺の顔を悔しそうに睨み続けているのが堪らない。 「咥えろ」 ジェシカは涙目になりながら肉棒をしゃぶり、舌使いを駆使して頭を前後させた。自分の肉棒に向かって女の頭が動いているというのは、やはり何度やっても気分がいい。 「パイフェラだ」 挟みながら先端をしゃぶり、ジェシカは亀頭全体を舌で磨き出す。陰茎を挟む乳房の柔らかさに先端を舐める舌の感触が合わさって、俺は最高の心地を味わった。 そろそろ本番の準備をしよう。 「仰向けになれ」 「……さっさと済ませなさいよね」 ジェシカは小さく呟いてから上体をベッドに落とした。その際、出しっぱなしにさせておいた乳房がプルっと揺れる。振動で一瞬ばかり変形したそれは、弾力によってすぐさま元の丸みある形状に戻っていった。 俺はジェシカの股に手を差し込み、陰部を手の平で擦る。ショーツとズボンを履かせていたので目ではわからなかったが、布地にはすでにヌメっとした水分が染み込んでいた。 「もうお股を濡らしていたのか」 「……うるさいわね」 ジェシカは俺と目を合わすまいとする。 しばし指先で恥丘を撫で回し、愛撫し続ける。湿り気が濃くなったろころでベルトの金具を外し、ズボンに手を入れる。ショーツ越しに指を揺れると、より一層愛液のぬめりと温かみのある感触がよくわかった。 さらにショーツに手を入れ、直に大事な部分を愛撫する。 「んっ……!」 ジェシカは喘ぎ声を出しかけたが、俺に声を聞かせまいとしているのだろう。唇を強く結んで、歯を食いしばって喘ぎを堪えていた。だが、その堪える表情さえ俺にとっては楽しいものだから意味はない。 プニっとした恥丘の膨らみを弄くっているうち、愛液はどんどん濃くなっていく。膣に指を入れるとジェシカの息は完全に乱れ出し、淫らな息遣いとなっていった。相変わらず声は我慢しているが、頬の染まり具合と息の乱れが組み合わさるとかなり色っぽい。喘ぎ声がなくとも俺には充分だった。 愛撫しているうち、俺の手は愛液でびしょ濡れになっていた。もしやと思い、俺はジェシカの両足を持ち上げ強引に開脚させる。仰向けのM字開脚だ。恥ずかしい姿勢にジェシカは屈辱の表情を浮かべる。 「まるでお漏らしだな」 俺はわざとそんな言葉を投げかけた。 ズボンは黒に近い色だったためわかりにくかったが、大量の愛液を分泌したおかげで水分による変色がはっきりとしていた。股が綺麗に濡れているおかげで、まさにお漏らしである。 「だ、誰のおかげで……!」 「そんなに気持ちよかったか?」 「違う!」 わめきながらも、ジェシカは恥辱の涙目を浮かべていた。いくら俺に愛撫されたせいだとしても、ズボンがそれだけ濡れている事実は変わらない。こんな歳にもなって「お漏らし」と馬鹿にされるなど、彼女は大層な屈辱を覚えているだろう。 「こんなビショビショじゃあ仕方がない。脱がしてやろう」 俺はズボンに手をかけ、ゆっくりと下ろし始めた。 「や、やめ――もういいでしょ!」 ジェシカは足をバタバタさせて抵抗するが、ジャンヌDという人質のおかげで彼女はいまいち本気で暴れきれていない。男を相手に躊躇いがちな抵抗では通用するはずがなく、俺はばたつく足を押さえながらすぐに膝まで下ろしていく。下半身の恥部は丸出しとなり、ベッドシーツに愛液のシミが広がる。ズボンとショーツを足首まで下げきり引き抜いて、ジェシカはとうとう下半身丸出しとなった。 「絶対タダじゃ済ませない!」 ジェシカは悔しげにわめく。 「タダじゃ済まないのはお前の方だ」 俺はジェシカの秘所に一物を突きたて、腰を沈める。 肉棒を膣の奥へと到達させた。 「イ! いやあぁ……」 腰を揺らし始めると、結局はジェシカは喘ぎ始めた。 「あっ! はぁああん! 駄目ぇええ!」 振動て乳房をプルプル揺らしつつ、快楽に顔を振り乱す。シーツを鷲掴みにして必死に耐えている様子だった。 しかし、そんなジェシカもしだいに耐え切れなくなっていく。 「いやあ! あぁあああ!」 やがて彼女の肉体は、より気持ち良くなろうと俺の腰振りに合わせて動く。ジェシカ自身の無意識のうちに、体の方は快楽の虜になっているようだった。 腰を持ち上げ、対面座位で抱きかかえる。するとジェシカは自ら肉体を上下に弾ませ、膣圧と腰使いを駆使し始める。俺は尻を揉みながらそのテクニックを味わう。 何度か、いやらしくなっている自分自身にジェシカは気づいて、非常に恨めしそうな顔つきになっていた。だがそれもたった数回、結局はセックスに溺れて彼女の理性は瓦解した。 「犬の姿勢になれ」 ジェシカは四つん這いになり、俺に尻を差し出した。 洗脳などなくとも、もはや言いなりか。 俺は尻を打ち鳴らすようにして腰を振る。ペチンペチンと尻肉がら良い音が鳴り、それに合わせてジェシカは喘ぐ。 「あっ! あん! ああん!」 そして、ジェシカは限界を迎えた。 「あ! あ! ああぁあああ!」 彼女はイった。 肉棒を引き抜くと彼女はぐったりと倒れ、四つん這いのまま肩と胸はべったりとシーツについた。だが太ももは垂直に立ったままなものだから、尻だけが高くなった良い格好となっている。秘所を覗くと、果てた余韻でピクピク痙攣したようになっていた。 俺はジェシカを仰向けにひっくり返し、口元に亀頭を添えて射精する。ドピュッと顔面に降りかかり、口内に流れた白濁をジェシカはゴクンと飲み込む。そして無意識にか、舌をペロペロ突き出して、亀頭の先端をなめずるのだった。 「ただじゃ……おかない……」 それでも、ジェシカは弱りきった声でそう漏らす。 俺への敵意は残っているらしい。 だが、実際に抵抗するような意志までは既に残っていないだろう。 俺は基地内無線で仲間に連絡を取った。 『今日はもう充分ヤった。あとはお前らの好きにしろ』 『待ってました。ありがたく使わせていただきます』 そして俺は無線を切り、ジェシカに告げる。 「あと何人かが遊びに来るが、せいぜい頑張ることだな」 俺は拘束室を後にして、すれ違うようにしてやって来た仲間と交代した。 ジェシカはもう、洗脳首輪などなくとも充分な性奴隷となっていた。
https://w.atwiki.jp/dansen_eroparo/pages/30.html
「ユーウヤっ」 ダックシャトルのラウンジに、花咲ランの明るい声が響いた。 「何だい、ラン君」 「今日も特訓、付き合ってよ」 そう言うや否や、ランは自分の愛機、ミネルバを取り出し、ユウヤの目の前にかざした。 かつてアングラテキサスにおいて唐突に結ばれた師弟関係だったが、 あの一件以来ランは自身の力が更に高まっているのを感じていた。 ユウヤの教えは戦闘スキルというより精神面での成長が大きかったのだが、それでもランにとって、ユウヤは信頼できる師匠となっていたのだった。 「分かった。じゃあ、いくよラン君!」 「押忍!いくよ、ミネルバ!」 「うぅ~、今日もダメかぁ~」 通算15線目が終わったところで、ランが深いため息をつく。 結果は9 6で、ランの負け越しであった 「でも、こっちもかなり際どかったからね。少しでも気を抜いてたら負けてたよ」 「アタシだって気を抜いたら負けるもん、そこは同じ条件じゃん…」 ユウヤのフォローも、負けず嫌いなランの前には無意味だった。 「まぁ、確かにそうかもしれないね。でも、気迫というか何というか…少なくとも、前よりはずっと良くなったと思うよ」 「うん…」 とりあえず返事はするものの、心ここにあらず、といった感じだった。 特訓の後はいつもこうであり、少なくとも30分は、ランはこの場から動こうとはしないのだ。 そしてユウヤはいつもの通りリュウビを手に乗せ、部屋に戻ろうとする。 「とにかく、今日はここまでにして、僕はもう休むよ。じゃあ、また明日」 いつもならランは返事もせず、ムスっとしたままで終わるはずだった。 だが、この日は違った。 「…部屋、行っていい?」 突然の言葉に、ユウヤはリュウビを落としそうになる。 「へ、部屋に…?」 「うん。強さの秘訣とか、いろいろ聞きたい」 「秘訣って、僕はそんな…」 ユウヤは戸惑いを隠せないでいた。 真面目な性格のユウヤは、女性を部屋に入れることに素直にOKは出せなかった。 そんなユウヤに、ランは切り札を使う。 「じゃあ、ユウヤはアタシが嫌いなんだ」 ラン自身、こういう言い方をするのは卑怯なことだとは思っていた。 こう言えば、優しい性格のユウヤは、絶対に断れないと思ったからだ。 その上でこう言ったのだから。 「…ここじゃ、ダメかい?」 「ダメ、部屋がいい」 最後の逃げ道とばかりにユウヤが口に出した提案も、あっさり却下された。 観念したユウヤは、大きくため息をつく。 「分かったよ…じゃあ、行こうか」 「…うんっ!」 その言葉を聞くなり、ランは笑顔でユウヤの腕に飛びついた。 ユウヤは知らなかったが、その笑顔はランのこの日一番の笑顔だった。 「ここがユウヤの部屋かぁ~」 そういってランは部屋の中を見回す。 中にはLマガのような雑誌や、LBX工学なる難しい書籍など、色々な本が山のようにあった。 元々ユウヤは本を読むのが好きだったし、逆に、それ以外にやりたい事が見つからなかったのだ。 「あんまり楽しい所じゃないけど…」 「ううん、アタシの部屋とは全然違ってすごく新鮮!」 ランはまるで子供の用に目を輝かせる。 正直「つまらない」と言われるのがオチだと思っていたので、ランの反応は意外だった。 また、ユウヤ自身、自分の部屋に女性がいるというのがとても新鮮に感じ、椅子に腰かけてしばらくランを眺めていた。 本を手に取って開いたかと思うと、すぐに棚に戻したり…おそらく内容が難しすぎたのだろう。 それを何度か繰り返すうちに、流石に飽きたのか、ベッドに大の字に倒れこんでユウヤに話しかけてきた。 「で、ユウヤって好きな人いるの?」 また突然すぎる質問の不意打ちに、ユウヤは椅子から転げ落ちそうになる。 「とっ、突然何を…」 「だって気になるしー」 ランは一切悪びれもせず、足をパタパタと動かしながら、答えを待っていた。 「…だ、大体、君はそんな話をする為にここに来たのかい?もっと、こう…」 「あぁ、そう、そうだった。えーと、じゃあ、強さの秘訣って何かある?」 意外にもあっさり話を変えてくれて、ユウヤは安堵のため息をつく。 「そうだね…僕の場合は、バン君みたいにLBXが好きっていう気持ちがあって、それで…」 「はい、ありがとう、はい終わり! じゃあ続いて好きな人!」 この段階で、ようやくユウヤは気づいた。 最初からこのつもりで、ランは自分の部屋に来たのだと。 一度大きく咳払いをしてから、ユウヤが口を開く。 「いいかい、ラン君。今僕たちは世界のため、そして全てのLBXの為に戦っているんだ」 ランは表情を崩さず、ただじっと、ユウヤの話を聞いていた。 「人を好きになるのが悪いとは言わない。けど、今はそれより大事なことが…」 「…本当に、そんなに大事?」 ランが唐突に、ユウヤの言葉を遮った。 「アタシ達の戦いの重大さは知ってるよ。そして、どれだけ危ない事なのかも。もしかしたら、明日にはどうなってるか分からない…」 「だったら、そういう話は置いといて…」 「だからこそだよ!…そういうのがあるなら、聞いておきたいじゃない…」 ランの言葉を聞いて、ユウヤも意志が揺らぐ。 確かに、やっている事はLBXという、小さな戦士の戦いだ。 だが、その戦士の武器は、人間に牙を剥くことだってある。 本当に、明日はどうなっているのか、分からないのだ。 しかし、それでもユウヤは、ランの質問には答えない。 いや、答えられなかったのだ。 今までユウヤは、そんな事を全く考えていなかったのだから。 「ね、ユウヤ…」 いつの間にか、ランがユウヤの目の前にいた。 自然と落ちてたユウヤの視線に合わせるよう、ランはユウヤの前で膝をついていた。 「ユウヤは、アタシの事嫌い…?」 そのまっすぐな視線から逃げるように、ユウヤは思わず目をそらした。 「…分からないよ…嫌いじゃない、けど…好きっていうのがよく分からないんだ…」 「…アタシは好きだよ、ユウヤの事」 ユウヤの右手に、ランの手が重ねられる。 「初めはウルサイ人だって思って、次は真面目な人だなって思った…で、今は大事な人だって思ってる」 「大事な人…?」 「うん。どこにも行ってほしくない…いなくなってほしくないし、ずっと傍にいてほしい人」 一世一代の告白だといのに、さも当然といったように、ランは話す。 「僕も…まだよく分からないけど、少なくとも居なくなってほしくはない…かな」 「…良かった」 ランの手に僅かに力が入り、ユウヤもその手に、左手を更に重ねる。 不意に、ランがその左手の甲に軽く、何度もキスをした。 ユウヤはまた驚いたが、もう止めたり手を引いたりはしなかった。 「ん…」 やがてランは手の甲から指の一つ一つにキスをし、そして人刺し指を口に咥えた。 ランの口からの小さい喘ぎと僅かな水音が、部屋の中を支配していた。 「ラン、君…」 ユウヤは自身の指から感じる暖かい感触に、くすぐったさを感じ、肩を震わせる。 何度も指を曲げそうになるが、ランの口内を傷つけるかもしれないと考えると、耐えるしかなかった。 その間、ユウヤは空いた中指とくすり指、そして左手で、ランの頬を撫でる。 ランの体が小さく跳ね、思わずユウヤの指を解放してしまう。 しかし、ランはそのままユウヤの手をまじまじと見つめた。 「ユウヤって…手、綺麗だね…」 慈しむように、ユウヤの手を撫でる。 そこだけを見ると、どちらがどちらの手なのか分からない程、二人の手は美しかった。 「なんか、恥ずかしいな…そんな事言われると…」 ユウヤはそっと手を引こうとする。 だが、ランがその手を掴んで離さなかった。 そのままランはユウヤの手を、自身の首元に導く。 「ユウヤ…ユウヤの…好きに、していいんだよ…」 ランが上目づかいで、耳まで真っ赤にしながら、ユウヤを見つめる。 ユウヤはしばらく躊躇っていたが、ランの気持ちを無視するわけにもいかず、ゆっくりと胸に触れた。 柔らかな感触が、ユウヤの手を押し返す。 その感触に、ユウヤは夢中になっていた。 「っ…、…」 ランは声を上げないが、ユウヤが手を動かす度、体は震えていた。 ユウヤの手つきは拙いが、ランにとっては十分な刺激だった。 声を出すのは恥ずかしいと思っていたが、ユウヤの愛撫は終わりそうになかった。 「んっ…ゆ、ユウヤ…」 ついに我慢できなくなりランが声を上げるが、その声でユウヤは我に返った。 「ご、ごめん、ラン君…痛かったかな…?」 「う、ううん…でも、熱い…」 俯いて表情を隠したまま、ランはユウヤに抱きつき、耳元で囁く。 「…脱がせて」 ユウヤは小さく頷いて、ランのサスペンダーを外す。 それだけでランは顔から火が出そうなくらい恥ずかしかったが、ユウヤの手つきをじっと見つめていた。 ピンクのシャツのボタンを外すと、ランの素肌と、飾り気の少ないスポーツブラが露わになった。 そのブラに手を賭けようとした瞬間、ランが声を上げる。 「あ、あのっ!」 突然のことで驚き、思わずユウヤは手を止める。 「…ここじゃ、やだ、から…あっち…」 その言葉で、ようやくユウヤは、自分がまだ椅子に座ったままだったのを思い出し。 ごめんごめん、とユウヤは照れ臭そうに笑い、二人はベッドに向かった。 ランはベッドに寝転がり、ユウヤを見つめる。 横になるより前にシャツは脱ぎ去っており、後はズボンとブラだけだった。 ユウヤの手が、ランの胸に触れる。 「んっ…」 ランは身をよじらせるが、ユウヤは構わず愛撫をつづけた。 やがてユウヤは、ブラと素肌の境目に指を入れ、ゆっくりと上に引き上げる。 ランは大きく深呼吸してから、両手を上にのばし、ユウヤの動きの手伝いをした。 ブラがランの体を離れ、ランの胸がようやく露わになる。 年の割に豊かな胸に、ユウヤは釘付けになった。 ユウヤの手がランの胸を包み、指に力を加える。 「っぁ…ユウ、ヤ…んんっ…」 ランの発する甘い声に、ユウヤの本能も目覚めていく。 ユウヤは胸元にキスをし、その先端を口に含む。 「ふ、ぁっ…!」 ランの体が大きく跳ねる。 ユウヤはランにしがみつき、その感触を味わった。 ただ胸を吸うだけだったが、二人にとってその刺激は十分すぎる程だった。 「ユウヤ…ユウヤぁ…」 ランが何度もユウヤの名前を呼ぶ。 ユウヤの攻めが、止む事はなかった。 しばらくして、ランがユウヤの肩を叩く。 「どうしたんだい、ラン君…?」 ユウヤの声は、お預けをくらった子供のように、どこか残念そうだった。 ランが体を起こし、ユウヤの顔に近づいて、その首に手を回した。 「そろそろ、アタシもユウヤを好きにしたい…」 そう言うと、ランがユウヤに唇を重ねる。 突然の事に驚くユウヤ。 ランの舌が、ユウヤの口内に侵入し、舌同士が触れ合った。 「んむ、っ…!」 初めてのキスの感覚に戸惑うユウヤ。 ランはキスをしたまま器用にユウヤの上着を脱がせた。 ユウヤはランの背中に手を回し、ランも同じように、ユウヤを抱きしめる。 二人の上半身が密着し、ランの胸の感触と、その熱が、ユウヤの体に伝わった。 そして、ズボンの中で固くなったユウヤ自身も、ランに触れた。 (これが…ユウヤの…) ランは唇を離し、ユウヤのズボンに手をかける。 ユウヤの静止が聞こえたが、ランは構わずユウヤのズボンを下着ごと下ろした。 ユウヤのモノが、ランの目の前に晒される。 (凄い、本当にこうなるんだ…) 知識としては知っていても、初めて見る男性の性器に戸惑うラン。 何度も小さく跳ねるそれを、そっと手で握った。 「くっ…!」 たまらずに、ユウヤが声を上げる。 ランがその手を前後に動かす度に、ユウヤは快楽に震えた。 そんなユウヤの表情を見ているだけで、ランも体の奥が熱くなるのを感じだ。 もっと気持ちよくなってほしい、もっと気持ちよくなりたい。 その二つを満たす答えを、ランは知っていた。 「ユウヤ…最後まで、しよう…?」 ランは再びベッドに横たわり、最後に残った自分のズボンを緩めた。 ユウヤがそのズボンを脱がせる。 これで二人とも、生まれたままの姿となった。 ユウヤがランの体に覆い被さり、ランはユウヤ自身を秘所に導く。 「…本当に、いいんだね…ラン君…」 ランが小さく頷く。 ユウヤはランの導かれるままに、ランの秘所を貫いた。 「っぁ…い、たい…!」 予想していた以上の痛みがランを襲い、初めて男を受け入れたランの秘所から、血が流れる。 「ご、ごめん…離れようか…?」 「ダメ…ていうか、動かないで…!」 痛みに耐えようと、ランは必死にユウヤにしがみつく。 それでも、ランは目に涙が溜まっているのを感じた。 腕っぷしなら誰よりも強いと信じていた自分が、痛みで涙を流す事なんて、もう無いと思っていた。 その涙だけは、ユウヤには見せたくないと思っていた。 「ごめん…」 「…いいよ…アタシが、言い出したんだから…」 「…でも、やっぱりごめん…」 ユウヤの手が、ランの頭を撫でる。 その手の動きだけで、自然と痛みが引いた気がした。 ランは涙をこっそりと拭い、改めてユウヤに抱きついた。 「…ありがとう、もう大丈夫だよ」 ランは一言だけそういうと、軽いキスを交わした。 ユウヤがゆっくりと腰を動かし始める。 「んっ、あっ…ユウヤ…いいよ、ユウヤぁ…!」 ランが何度もユウヤの名前を呼ぶ。 それに応えるように、ユウヤは腰の動きを速めた。 「はぁ…っ…ラン、君…」 ユウヤもランの名を呼ぶが、少しでも気を抜いたら、すぐにでも果ててしまいそうだった。 少しでも長く、この快楽を味わっていたかった。 だが、そんなユウヤの思いはかなわず、絶頂の時が近づいてくるのを感じる。 「ダメだ、そろそろ…出そう…!」 「ユウヤ…んっ…好きに、して…!」 その言葉を聞いて、最後のスパートとばかりに、ユウヤはまた腰を激しく打ち付けた。 だが、最後の瞬間、ユウヤはランの秘所から自信を引き抜く。 それとほぼ同時に絶頂を迎えたユウヤが、ランの体を白く汚していった…… 「…ありがとね、ユウヤ」 事が終わって服を着直したランが、唐突に呟いた。 今までの事が嘘のように、いつもの姿に戻っていた。 「頭、撫でてくれたの…嬉しかったよ」 「あぁ…いや、なんていうか…」 ランとは対照的に、ユウヤはまだ夢の中にいるかのように、ぼうっとしていた。 「じゃ、アタシはそろそろ部屋に戻るから」 ランは立ち上がってユウヤの方を見ると、もう一度だけ、深くキスをした。 ほんの十秒ほどだが、ユウヤにとっては永遠に感じる程だった。 ユウヤがランの抱きしめようと、手を伸ばした。 しかし、そこでいきなりランの体が離れる。 そして、今度こそ扉に向かっていった。 「これからもよろしく、師匠!」 最後にそういうと、あっさりと部屋を出ていく。 (これからもラン君に振り回されそうだ…) そう思いながらユウヤは横になり、まだ微かに残るランの香りを感じながら、眠りについた。
https://w.atwiki.jp/dansen_eroparo/pages/11.html
関連ブログ @wikiのwikiモードでは #bf(興味のある単語) と入力することで、あるキーワードに関連するブログ一覧を表示することができます 詳しくはこちらをご覧ください。 =>http //atwiki.jp/guide/17_161_ja.html たとえば、#bf(ゲーム)と入力すると以下のように表示されます。 #bf
https://w.atwiki.jp/dansen_eroparo/pages/27.html
BCエクストラス控室… 地獄の復讐軍団チームの二人が、衣装選びに励んでいた。 (と言っても、衣装を選んでいるのはユウヤだけだが) 「うーん、コスプレは楽しいけど、衣装を着替えるのは難しいな…」 試着室いっぱいに衣装を持ち込んだユウヤは、着替え一つに非常に時間がかかってしまっていた。 この服を着て終わりにしようと思い、1着の服を手に取る。 リュウビと同じカラーリングの全身タイツ。 ユウヤは知らないが、『スパイジャーマン』というキャラクターの服だった。 「これは、こう着るのかな…ちょっときついけど…」 慣れない服に戸惑っていると、明るい声と共にいきなり目の前のカーテンが開けられた。 「ユウヤさん、できましたか?」 「うわっ!?あ、アリスさん!!」 驚きのあまり、大声を上げて後ろの壁にぶつかってしまう。 アリスもその声に驚き、しばしの間二人の間に沈黙が流れた。 「…あ、あの…その服、スパイジャーマンのですよね」 「あ、そうなんだ。これも知らなくて…」 ユウヤは両手を広げ、自分の体を見下ろす。 このヒーローがどんな戦いをするのか、想像するだけで胸が高鳴った。 「…そうだ、アリスさん。ちょっといいかな?背中のチャックが閉められなくて…」 「あ、はい。いいですよ。じゃあ、ちょっと奥に詰めてください」 そう言うや否や、アリスも試着室に入り、カーテンを閉めた。 「あー、これチャック噛んじゃってますねー」 「そうなんだ、じゃあ一度脱いで直したほうがいいかな?」 「いえ、後で私がやりますよ。その前に…」 突然、アリスの手がユウヤの体を撫でる。 「っ…あ、アリスさん?」 「こういうスーツは、少しでも弛みがあると目立ちますからね。隅々までピシッと着こなさないと」 「そうなんだ。でも、その…」 何か分からないが、いけないような事をしている気がする。 そう思いながらも、ユウヤはそれを言葉に出すことができなかった。 「それに、スパイジャーマンでもこうして衣装合わせをするシーンがあったんですよ。だから、気にしないでください」 その一言のおかげで、ユウヤの緊張は幾分か解れた。 しかし、逆にそれが全身の感覚を認識させる事になった。 アリスの手が、腕や脇、太腿を何度も這った。 ユウヤは大きく呼吸をして耐えているが、体の反応を抑えることはできなかった。 「服、きつかったら言ってくださいね」 「えっ?あ、うん…」 いきなり話しかけられて、ユウヤは我に返る。 スーツ特有の窮屈さはあるが、熱を持った体の方がユウヤにとっては深刻だった。 ふと、背中がむき出しなのを思い出した。 いつの間にか背中にアリスの体が密着しているのに気付いたからだ。 「ユウヤさん…」 背中に集中していたユウヤが、また少し遅れて声に反応する。 今度はいつの間にか、ユウヤ自身にアリスの手が添えられていた。 「あ、アリス君、これは…」 「一回脱いでください!早く!」 今までにないアリスのきつい声で、ユウヤは羞恥心を忘れ、慌てて服を脱いだ。 下着が露わになったところで、アリスが安堵の声を上げる。 「よかったぁ~、衣装に変な染みとかついたら大変ですから…」 「そうか、そうだよね…よかった…」 とりあえず何事もなかったようで、ユウヤも大きく息をついた。 「でも、これじゃ衣装は着れないですね…」 「あ、それは…そうだね…」 「次の試合まで時間がないですし…仕方ありません」 アリスが手袋を脱ぎ、ユウヤの下着をおろした。 ユウヤ自身がアリスの目の前に晒される。 「あ、アリス君、何を…!」 「じっとしていてくださいね…」 ユウヤが阻むよりも先に、アリスが手を動かす。 アリスの暖かく小さな手の刺激が、ユウヤの意識を支配した。 「っ、ぁ…!」 「凄いですね、まだ大きくなってる…」 アリスの手の中で、ユウヤ自身が暴れる。 アリスはそれを押さえつけるように握る力を強め、早く果てさせるように手の動きを速めた。 更にアリスは、ユウヤの先端を舌で刺激する。 その激しい攻めに、ユウヤは早くも限界を感じた。 「アリス君、ダメだ…!」 「いいですよ、いつでも…」 アリスがユウヤのモノを口に含む。 「…!?」 ユウヤが言葉にならない声を上げる。 アリスが顔を前後に動かすたびに、ユウヤの体が震えた。 ユウヤは必死に耐えるが、アリスの攻めの前には無力だった。 「アリス君…もう…!」 アリスは口を窄め、ユウヤ自身を口内で締め付ける。 その刺激でついにユウヤは限界を迎え、アリスの口内で果てる。 アリスはユウヤの精を全て受け止め、飲み込んだ。 ユウヤは放心状態だったが、アリスは手際よく後始末をする。 ユウヤの全身をウエットティッシュで拭き、下着や衣服を直し、チャックも直してすべて元通りとなった。 「後はそのマスクをかぶるだけですからね、待ってますよ」 「う、うん…」 アリスは何事もなかったかのようにカーテンの外に出るが、ユウヤは未だにさっきの事が信じられなかった。 最後の仕上げをしながら、女の人って凄い、と思わずにはいられないユウヤであった。
https://w.atwiki.jp/dansen_eroparo/pages/66.html
静かな神威島の昼下がり。 その中を疾走る、紅い影。 彼女の名前は、かつて世界を救った伝説のLBXプレイヤー、花咲ラン。 ある人物がここにいると聞いて、この島を訪れたのだった。 「ユぅ~ウぅ~ヤぁぁぁ~~~っ!!」 声をかけられた青年、灰原ユウヤが返事をするより前に、ランがユウヤに飛びつき、地面に押し倒す。 「痛っ…! ど、どうしたんだい、ランくん…」 「どうした、ですってぇ~…」 ランが体を震わせ、ユウヤを睨みつける。 「どうもしなかったから怒ってるんでしょうが!」 ランの拳が振り下ろされ、ユウヤの顔の横の地面を抉った。 相変わらずのランの力強さに、ユウヤは震えあがった。 感情を吐き出して幾分か怒りが治まったランは、ユウヤと共に神威島をあてもなく歩いていた。 時折、まだ痛みを気にするユウヤが、頭をさする。 「…なんでウチに来なかったの」 ムスッとした声で、ランが口を開く。 「うち、って君の道場の…?」 「他に何があるのよっ!」 またランが大声で怒鳴る。 だが、今度はため息を一つついて、落ち着きを取り戻した。 「…ずっと待ってたんだからね」 何気なく交わした、『道場に行く』という約束。 それはランにとって、とても大事だったようだ。 勿論、ユウヤもランとの約束を忘れたわけではない。 だが、ユウヤはまだ広い世界を見ていたかった。 自分の知らない世界を、知りたかった。 それがランをここまで傷付けていたという事には、気付けなかった。 「ごめん…」 「いーや、許さない。ちょっと付き合ってもらうからね」 そう言うと、ランはユウヤの手を引いて歩き出した。 道を外れた茂みの中で、ランがユウヤを押し倒す。 ユウヤのズボン、そして下着の中から、ユウヤの性器を取り出した。 「ち、ちょっとランくん、こんなとこで何を…」 ユウヤの言葉を遮るように、ランが唇を重ねる。 舌を絡めながら、右手に握ったユウヤ自身を扱く。 先ほどまでの激しい怒りとは真逆の、優しい愛撫が繰り返される。 「っ…!」 重なった唇の端から、ユウヤの吐息が漏れる。 その反応に満足したのか、ランが唇を離した。 「ユウヤ…」 ランが手に握ったユウヤ自身を垂直に立て、口に含む。 先端を、何度も舌で撫でる。 その度に、ユウヤの下腹が震えた。 「っ、く…」 歯を食いしばり、必死に耐えるユウヤ。 だが、それでもランの責めには敵わなかった。 あと少しでイく…という所で、ランの口が離れた。 「ラン…くん…」 ユウヤが息を整えながら、体を起こそうとする。 だが、ランがその肩を抑え込んだ。 先ほどの責めの間に、ランのショートパンツ、そして下着が取り去られている。 ランの秘所が、上からユウヤの性器を飲み込んだ。 「あぁっ…!」 吐息交じりの、ランの喘ぎが響く。 ランの肩にかけた胴着が、二人の結合部を隠す。 それが見えているのは、本人たちだけだった。 「ユウヤ…ユウヤっ…!」 ランが激しく腰を上下に動かす。 今までの孤独を埋めようとするかのようだった。 「ラン、くん…そろそろ、離れて…!」 遠のいた絶頂が、あっという間に呼び戻される。 だが、聞こえていないのか、それともわざとか、ランはより一層動きを速めた。 「うぅっ…も、もう…!」 そのまま耐え切れず、ユウヤはランの中で精を吐き出した。 少し遅れてから、ランも全身を震わせる。 そして、力が抜けたかのように、ゆっくりとユウヤの上に覆い被さった。 二人は服を整え、体に纏わりついた草葉を落として、茂みを後にした。 気まずい沈黙が二人を包む中、やがてユウヤが口を開いた。 「…やっぱり、僕はまだこの世界を見ていたいよ」 ランは何も言わず、ユウヤの言葉に耳を傾けてる。 「でも、いつかきっと、ランくんの道場にも行く。だからそれまで待って…」 「ヤだ。ユウヤの言う事なんか信じらんない」 ランがきっぱりとユウヤの言葉を否定する。 まだ怒っているのか、ランは視線を合わせようとしなかった。 「じゃあ、どうすれば…」 困ったように頭をかくユウヤに、ランが抱きつく。 「アタシもユウヤと一緒にいるっ」 「一緒、って…」 「どこまでだってついていくから。今度こそ逃げられないように…!」 力強く、ランの腕がユウヤを抱きしめる。 観念したかのように、ユウヤも小さく一息ついて、ランの体を抱き返した。 「分かったよ…これから宜しく、ランくん」 その言葉を聞いたランが、自分の胸の中で笑顔になっていたことに、ユウヤは気付かなかった。
https://w.atwiki.jp/dansen_eroparo/pages/20.html
予告編 アルテミス1回戦で、優勝候補の二人組に圧勝した古城アスカ。だがその時の相手を小馬鹿にしたような戦法が、相手の反感を買ってしまう。 一人になった隙に殴って気絶させられ、トイレに連れ込まれて縛られるアスカ。そこで二人に、殴る蹴るの暴行を受ける。 相手を睨みつけながらもなす術もなく暴行を受け続けるが、その時にふたなりだという事を気付かれ――― さらにその現場に途中から、「ある人物」も乱入!? 「ふたなり少女(?)・古城アスカの受難」近日公開!
https://w.atwiki.jp/dansen_eroparo/pages/33.html
ふたなり少女(?)・古城アスカの受難 ばっしゃぁぁん、と頭から盛大に水を被った。いや、被ったというより、かけられた、という方が正しい。 「!?」 水の冷たさに、俺ははっと目を覚ます。どうやら俺は、さっきまで意識を失っていたようだ。しかし、どうして?俺はどこで意識を失った? そう、アルテミスのAブロックで優勝して、観客にぶんぶんアピールがてら手を振ってたら、何となくトイレに行きたくなった。 「どっちの」トイレに行こうか迷ったが、男子トイレの方がサッと行ってサッと帰ってこられるし、まあ俺は普段からそっちを利用しているので、そっちに行くことにした。 試合が始まる前はあんなに人のいた会場通路も、試合が始まってしまえば観客席を途中で立つヤツなんてほとんどいない。 だから、本当にここがさっきあんなに人がいた場所なのか、と思えるくらい、通路は静かだった。明るく煌々とついている照明と人の少なさが妙にアンマッチだったのを、覚えている。 ちょっと他のブロックの試合にも興味はあったから、早めに済ませよう、と思って通路を走っていたら、何か横に人の気配感じて、ちょっと見ようとしたら、いきなり頭がすげぇ痛くなった・・・ (うん、間違いなくあれが原因だ) 絶対、あそこで気絶した。だけど、一体誰が? (・・・そうか、分かったぞ) これは陰謀だ。誰かが、俺をアルテミス決勝に出場できないようにするために、俺をぶん殴って気絶させた!そうだ、絶対そうに決まっている! そうと決まれば、早速俺を気絶させた犯人を探しにいかなければ。そう思った時に、初めて俺はそういえばここどこだ、と思った。 いきなり水かけられたり気絶させられたりしたりして頭がごっちゃごちゃになっていたが、ここはどう見てもさっきいた通路ではない。まず空気からしてなんか違う。 水が滴る前髪を首をぷるぷると振って水気を飛ばし、視界を確保する。まず、目の前に見えるのは、2人の・・・人? (誰だこいつら) 腰のあたりしか見えなかったので、顔を上げてその2人の顔を見る。その2人は、俺を見下ろしてにやにや笑っていた。金髪の奴と、茶髪の奴。 2人は、どっちもガタイのいい、でかい男だった。そしてやっぱりにやにやした、というか見下したような表情で俺を見ている。 「ようやく目が覚めたか?」 「誰だてめぇらっ!俺をこんな所に連れてきて何する気だ!?」 立ち上がって男につかみかかろうとしたが、その瞬間俺はがくん、と体のバランスを崩した。大きく傾いた体は、そのまま硬いタイル地の床に投げ出される。 さっきかけられた水が床に溜まっていて、体が投げ出された瞬間に耳元で、びちゃり、という音がした。 この床、そしてこの空気、それと床に投げ出されて視点が床とほぼ同じ状態になったおかげで見えた、下が5センチ程開いた壁。間違いない、ここはトイレだ。 それも障害者専用スペースの、色々あってちょっと広いところ。 「痛ててて・・・」 それはさておき、そこでまた身を起こそうとして起き上がらなくて、自分の身を見たら縛られている、と気づいた。雑な縛り方だけどがっちりと強い力で縛られている。俺の力では到底抜け出せないな、という事が縛ってる縄が服越しに肌に食い込む痛みで分かった。 「あとさ、お前今俺に掴みかかろうとしたけど、お前の身長じゃどう考えても絶対無理だろ。どこ掴む気だったんだ?」 金髪の方が、こちらを見下して馬鹿にしたようににやにやと笑う。 「うるせぇっ!てめぇら、誰だか知らないけど――」 起き上がれないので頭だけを僅かに起こしでそこまで言ったところで、俺の頭はそいつに踏みつけられ、床にごん、と打ち付けられた。側頭部に鈍い痛みが奔る。 「お前、今の自分の立場分かってんのか?あと、誰だか知らない、は流石にねえだろ」 もう1度頭を踏まれ、もう1人の方に、腹を蹴られた。ごふっ、という声が思わず出る。 (マジで・・・こいつら・・・誰だよ・・・・・・あっ!) その時、俺は漸く思い出した。こいつら、アルテミスで俺が最初に戦った奴だ。 最初は俺の方が防戦一方のように見せかけて、追い詰められたところから俺はその苦戦の演技をやめると、あっさりと勝利した。そうだ、あの時の奴だ。 (そうか、分かったぞ。こいつら、俺に負けたのが悔しいんだ。だから腹いせに・・・) だから俺を殴って気絶させて、身動き取れなくして、それでボッコボコにしている。 卑怯だぞてめーら、LBXプレイヤーなら正々堂々戦え、そう思っても、痛みで声が、出なかった。 (ヴァンパイヤ・・・キャット・・・) こんな奴ら、LBXバトルなら、俺がボッコボコにしてやれるのに・・・ 最初は、なんだこのガキ、程度にしか思っていなかった。 こんな奴がアルテミスに出られるのか、なんて相棒と一緒に出場者のリストを見ながらそいつをケタケタと嘲笑っていた。 そしてバトルが始まっても、そいつは俺達2人相手に苦戦していた。だからこれならいける、とそいつのLBX・ヴァンパイヤキャットをフィールドの壁に追い詰めた矢先。 それは全部演技だった、と思い知らされた。 そこから先の結果は、思い出すだけでも無惨なものだった。相棒のタイタンはあの三股槍に胴を貫かれて即爆発、その直後に反撃しようとした俺のブルドも見事に惨敗した。 (糞っ、何で俺達があんなガキ1人に!) あんな人を小馬鹿にしたようなバトル、やってる方は楽しいかも知れないが、やられた方はたまったもんじゃない。 応援に来てた俺達のファンは俺達が負けたら半分以上が帰ったし、優勝候補、という事で取材に来てた奴も全員他の選手のところに散った。あんな思いをした事は、今までになかった。 だから俺達は、順調に勝ち進んでいくそいつの様子を、取り巻きのいない観客席で見ながら考えていた。どうしてやろうか、と。 そして卑怯だと言われるかもしれないが、そいつが1人になった隙に気絶させて近くのトイレに連れ込んで殴る、という結論が出た。 勿論、何かの拍子に反撃のチャンスができたりしたら困るので、CCMとLBXは取り上げて。 女だったらレイプしても良かったが、あの声で自分の事を「俺」と言っているという事は、恐らくあいつは男だろう。 思い知らせてやりたかった、ガキが大人を馬鹿にするとどうなるか、という事を。 そしてあいつが男子トイレの方へと向かった時、計画は決行された。 「がはっ!」 もう何発目になったか分からない蹴りが、また俺の腹に食い込む。乾いた息と少量の唾と、それとさっき口の中に入った床の水が口から出た。 縛っている縄越しに蹴られているとは言えど、やはり痛い。 痛みで目に涙が滲んだせいなのか、それともマジで意識が薄れて来てるのか、視界が霞む。苦しい。いつになったら、俺は解放されるんだろうか。 俺の予想通りアルテミス決勝に出場させないのが目的なら、決勝に間に合わなくなる時間まで続くだろう。 俺が気絶させられてここに運び込まれて水をかけられるまでに、どれくらいの時間が経ったのか。しかし俺には、現在時刻を確認する手段はない。 流石に障害者用トイレとは言えど、時計まではついていない。 許さねぇ。こいつら、絶対許さねぇ。こいつらの名前は、アルテミスの出場者リストを見れば分かる。絶対、いつか仕返ししてやる! 霞む目で、そいつらを睨み返す。しかし、そんな目で睨んでも逆にそいつらの暴力を加速させるだけだった。 歯をぎりぎりと食いしばって痛みを堪えても、蹴られる度にまた声が出る。自分の声ながら、情けねぇな、と俺は思った。 その時、片方の男の攻撃が止んだ。それにつられて、もう片方の男も攻撃を止める。 (何だ?) そう思った時、体の節々がずきずきと痛み出した。さっきは蹴りの痛みで意識が散漫になっていたが、攻撃が止んだ事によって次第と意識がはっきりしてきて、それと同時に痛覚もはっきりしてきたからだ。 俺の体を蝕むかのようなその痛みに、俺は顔を歪める。 「なあ、こいつどうする?そろそろ蹴るのも飽きてきたんだけどよ」 痛覚を歯を食いしばって堪えていると、そんな声がした。 俺は首を僅かに動かして、そいつらの会話に耳を傾ける。 「放置でいいんじゃねーか?縄解いて置いておけば、そのうち自力でここ出てくだろ」 金髪の方が、そう言った。 放置。 その単語に、俺は思わずふざけるな、と叫びそうになる。だが叫ぼうと息を吸い込んだ瞬間、肺がずきりと痛み、げほっと咳き込むだけで終わった。 (確かに・・・ここまでボロボロじゃぁな・・・) さっきあいつが、「縄を解いて放置」と言った理由も分かった。こんな状態じゃ縄を解いてもすぐには動けない、そう判断したんだ。 そして実際その通りなのが、非常に情けない。 そんな事を考えている間にも男達の会話は進み、どうやら本当にそれで決定したようだった。 「んじゃ、最後に一発」 茶髪の方が縄を解こうとするともう片方がそれを止め、俺の胸に蹴りを入れた。 「うぐうっ・・・!」 まさかここで蹴られるなんて、思ってもいなかった。そしてその衝撃で、頭から帽子がぱさり、と落ちた。 帽子の中にしまっていった俺の腰ほどまである髪の毛が、ばさりと広がる。その髪は顔に少々纏わりつき、それが邪魔に思えた。 しかしこの帽子は、髪の毛が落ちないように、かなり目深にがっちり被っていた。それが衝撃で落ちるという事は、俺は一体どれ程蹴られたんだろう。 「えっ?」 しかしそれを見て、何故か男達は不思議そうな表情をした。そんな顔をされる理由が、俺には分からない。 「お前・・・女、なのか?」 金髪の方から発せられたその質問に、俺は思わず顔をしかめた。 その長い髪を見て、俺は少々唖然とした。これほどまでに髪が長いという事は、もしかしてこのガキは女だったのか?そんな疑問が、俺の頭をよぎった。 確かに、こいつの名前はアスカという中性的な名前だ。だから男とも女とも取れるには取れるが、口調や態度から男だろ、と俺達はどちらも考えていた。 だがこの髪はなんだ。今まで帽子にしまわれていたから分からなかったが、ここまで髪が長いという事は女なのか。 女だと考えれば、こいつの顔つきも何となく女のように見えないこともない。子供の顔つきは中性的、というのもあるだろうが。 男でも髪の長い奴は、多々いる。だがそれでも、ここまで長い奴は中々いない。 「お前・・・女、なのか?」 考えるよりも直接聞いた方が明らかに早いので、俺はそう聞いてみた。しかしそいつは、何故かその質問に顔をしかめる。 「どっちだ」 もう1度聞くと今度は、何も言わずにぷいと首を反らされた。相変わらずのクソガキだ。 「答えないんなら、直接確かめるぞ」 それなら少々脅してやろうと、俺はそう言ってみた。勿論、「服を引っぺがして確かめる」という意味で。 するとそいつは僅かに顔に難色の色を示したが、やはり何も言わなかった。 そいつの態度に完全に頭に来た俺はそいつの胸ぐらを掴んで、そのままそいつのワイシャツを左右に引っ張るようにし、ボタンをブチブチと引きちぎった。 まだ縄で縛ったままだったので、その状態で引きちぎれる限界まで引きちぎった。 「てめぇ・・・!」 そいつが悔しそうにそう言うが、俺は無視し、引きちぎったワイシャツをさらにがばりと広げた。そいつは僅かに身じろぎして抵抗するが、子供の力で俺に敵うわけがない。 広げたおかげで完全に露になった胸元には、子供だからまだ未発達だが、それでもわずかに膨らみかけ、発展途上、という言葉が相応しいほぼ平坦に近い胸があった。 そして2つの乳房の真ん中には、薄桃色の乳首がある。 「はな・・・せっ、離せ・・・っ!」 そいつはもぞもぞと身じろぎするので、俺はそいつの前髪をぐいと引っ張った。ある種の牽制だ。 「どうする?」 俺は、俺の横でそいつの胸を覗き込んでいる相棒にそう尋ねた。俺達は話していた、「女だったらレイプしてもいい」と。 するとそいつは、「ヤっちゃおうぜ」と返した。というか俺も、そのつもりだった。 こいつは口うるさいし性格も悪いが、顔つきは悪くない。寧ろいい方だ。それにスタイルもいい。 こういう口の悪いクソガキを押さえつけながらレイプするというのも、中々いいだろう。反抗的な目で俺達を睨みながら俺達に犯されている姿を想像すると、何となくそそった。 恥ずかしい。もう泣きたい。こんな気持ちになったのは初めてだ。 こんな奴らの前で、自分の胸を晒すハメになるなんて思ってなかった。純粋に恥ずかしいし、それに俺の胸はまたほとんどぺったんこだ。自分でも見てて虚しくなるくらいに。同年代でもっと大きい奴もいるってのに。 それに、こいつらが何を話しているのか分からないのも怖い。「ヤっちゃおうぜ」とは、どういう意味なんだろうか。俺には、理解できない。 それに、俺にはもう1つ気がかりな事があった。 (いつまで、隠し通せるかな・・・) 俺は、自分の性別が他人とちょっと違うって事は、十分理解していた。男でも女でもなく、また両方でもある、通称「ふたなり」だって事を。 ちなみに、普段はこの性別を結構有効活用しているというのは内緒だ。女の方がいい時は帽子を下ろして「女」として振舞ったり、今回のアルテミスとかでは女だとナメられるから「男」として振舞っている。 声も名前も中性的だかたら、どっちにもなりすませるのがふたなりの利点だ。 だが、ふたなりとバレるのは嫌だ。バレたら今までのようにどちらにもなりすますことができなくなるし、十中八九変な目で見られる。 だから、さっき性別を聞かれた時も俺は黙った。どっちと言っても嘘くさくなるから。男のように振舞っていたのに、髪の長いのがバレたから。 そうしたら、まさか、こんなふうに無理矢理服を引きちぎられるなんて。今すぐ俺のワイシャツを押し拡げるその手に噛み付きでもしてやりたい所だが、首が届かない。 その時、金髪の右手が俺の右の胸を掴んだ。 「っ!」 突然そんな所を掴まれる理由がわからず、俺は反射的に抵抗しようとする。 しかし縛られている事を思い出し、俺はがっくりとうなだれた。 何でこうもことごとく、俺は自分の置かれている立場を忘れるんだろうか。 それにこいつのごつごつした指が、肌に食い込んで痛い。骨が軋んでいるような感じがする。 「なに、すん・・・ひぁっ!」 「大人しくしろ」 男の手が、俺の胸を殆ど押しつぶすようにして揉み始めた。押しつぶしているのは、俺の胸に掴めるような場所がない、という事だろう。 俺の胸がだんだんじくじくと熱を帯びてくるのが分かった。痛いような気もするし、それとは微妙に違う感覚もする。 「なんだよ、これぇ・・・っ!」 こんな事は、された事もないしした事もなかった。ここを触られるとこんな気持ちになるなんて、知らなかった。今までに味わった事のない、未知と言うに等しい感覚。 その時、俺の乳首を太い2本の指でつままれた。そのまま、つまんだ乳首を指で引っ張っていく。ぎりぎりとした感覚が、俺の体を襲った。 「ちぎ・・・れるっ・・・」 乳首を引っ張られるのは痛い。だけど、乳首をつままれるのは何故かそんなに痛くなかった。痛いというよりは、むしろくすぐったい。 「んな事言ってるわりには、顔真っ赤にしてるなぁ・・・」 そんな事を言われてんも、自分の顔色なんて分からない。だけど顔を赤くしているって事は、 (興奮、してんのか?) そんなわけがない、と俺は自分の考えを無理矢理否定した。そんなはずがない。きっとあいつの嘘だ。俺を動揺させるためにそんな事を言ったに、決まってる。だけど。 こんな事になるくらいだったら、さっきのように蹴られ続けていた方が、まだマシだったかもしれない。そう思った時だった。 突然茶髪の方が、金髪に向かって「あ、こういう事した方がいいんじゃね?」と言った。 (・・・?) そいつは、いそいそとポケットをまさぐる。そこから何が出てくるのかは知らないが、ろくでもない物だという事だけは確かだった。 予感は的中した。男はCCMを取り出して、そしてそれをこちらに向けてこう言ったのだ。 「今ムービー録画モードにしたからさ、これに向けて自分で脚M字開脚して『レイプして下さい』って言えよ」 それを聞いたもう片方が、どっと爆笑した。 「ちょっ、俺映すなよ?」「大丈夫大丈夫、お前が映らないように工夫するから」何かそんな事言ってるけど、何を意味しているのか、分からない。 そもそも、「レイプ」とか「M字開脚」ってどういう意味なんだろうか。でもよく分からないけど、ろくな言葉じゃない、とは思う。 根拠はない。俺の直感がそう言ってるだけだ。 それで、やるか、やらないか?従うか、従わないか?俺は考えた。答えはすぐに出る。誰がするか、そんな事。 何だか知らないが、これ以上こいつらの好きにさせられるのだけでも嫌なのに、こいつらの命令に従うなんてまっぴらごめんだ。 命令に従ったら、俺は人として大切な何かを失ってしまいそうな気がする。それに、下手したらふたなりがバレる可能性だって――――― 「・・・やだ」 俺は少し拗ねたような口調で、そう言った。しかし、俺の希望が通用するほど、世の中は甘くなかったのだ。 俺がこんな態度を取ったら、あいつらはきっと怒ると思った。俺だって、それは覚悟の上だった。 だけどあいつらはちょっと顔をしかめた後に、ニヤニヤとまたムカつく笑みをこちらに向ける。 「・・・?」 そして2人は顔を見合わせ、ひそひそと小さな声で何かを相談し始めた。 何を話しているのかは聞こえないが、どうせろくでもない事だろうということは分かる。 そしてその俺の勘は、当たってほしくないが当たっていた。しかし、それは予想を超えた。 金髪のほうが取り出したものは、俺のLBX・ヴァンパイアキャットだったからだ。 こいつが気絶してる間に一応取り上げておいたLBXが、こんな事に使えるとは思ってもみなかった。 LBXプレイヤーの大半は、命の次くらいにLBXを大切にしている。 だから、このLBX・ヴァンパイアキャットをダシに、こいつに言う事を聞かせようと思った。 つまり―――――このLBXは、いわば「人質」だ。人じゃないが。 「何でお前が、俺のLBX持ってんだよ!返せ!かえせ!」 こいつは、自分のLBXを取り返そうと必死にその縛られた身でもがくものの、LBXには到底届かない。その前に、起き上がれない。 必死になるこいつのさまが面白くて、わざとLBXを持つ手を上に上げてみたりした。 「あっ!」 こいつは、さっきより増してもがく。その様子は、猫じゃらしに飛び付く猫の動作そのものだった。 しかし、いつまでもこんな事をしていては飽きるし、そもそも本来の目的が違う。 だから俺はこいつのCCMも取りだし、武器が首もとに食い込むように、LBXを操作した。 ボタンを数回押すだけで、LBXは面白いくらい命令に忠実に従い、首もとに武器の先端が食い込む。 「触れれば鬼をも殺す、トリプルヘッドスピアー・・・だっけか?」 武器が首もとに食い込んでいくと、バチバチと火花が散った。 このままいけば、首がもげるのも時間の問題だろう。 「やめろ!そのままだと、ヴァンパイアキャットが!」 「やめて欲しけりゃ・・・分かるよな?」 具体的には言わず、態度で語りかけるようにして言った。言わずとも、俺が何を言いたいのかは分かるだろう。 LBXを破壊されたくなかったら、大人しく言うことを聞け――――、そういうことだ。 するとこいつは、屈辱感からか悔しそうに俺達を睨む。そして、反抗的な口振りでこう言った。 「・・・分かったよ・・・んで『えむじかいきゃく』どーやんだ?」 その目付きは、まだ完全に服従したわけではない、と言っているようだった。 しかし微かに、本当に微かにだが、今にも泣きだしてしまいそうな雰囲気も纏っていた。 「M字開脚ってのはな・・・こうやって足開いて・・・ほら、もう片方は自分でやりな」 相棒がご親切に、こいつの身を起こし、足を片方M字開脚の状態にしてやった。しかしもう片方はしない。 それは相棒のささやかなる嫌がらせだろう。そもそも、何でもかんでもこっちでやっていてはつまらない。 折角撮影しているのだから、やらせた方が面白い。 「・・・っぐ・・・」 こいつがゆっくりと足を開こうとしていると、相棒がいつの間にか俺のCCMを持っていた。 相棒がCCMのカメラをこいつの股間に向けると、こいつは途端に足を開くのを躊躇う。それどころか、折角開いてもらった方の足まで閉じようとする。 俺だって、そんな行動を取る理由が分からないわけではない。しかし―――、そんな風に駄々をこねられるわけにもいかないのだ。 どうやらこいつ、いやこの馬鹿は、まだ自分の立場を理解しきれていないようだ。 というわけで、更にLBXに武器を食い込ませる。電気回路がその時どこかいかれたのか、電気がスパークする音がした。 「・・・・・・」 ぶるぶると、こいつの足が震える。そしてLBXと自分の足を交互に見ている事から、心中でプライドとLBXを天秤にかけて葛藤している事は簡単に察せた。 その細くて白い、しかし先程の暴行のせいで靴の跡がついて赤く腫れた足には、冷や汗が伝っていた。 やがて、震えながらもその足は、蕾が開くようにゆっくりと開いていく。恥ずかしさからか、ぎゅうと目を閉じていた。 そして―――――、ズボンを穿いてはいるが、股間が、CCMの前に露わになった。 「・・・・・っ――――――、・・・」 俺を見て、こいつは魚のように口をぱくぱくとさせる。 そう、後は「レイプして下さい」と言うだけだ。だが、それを言おうとしているのは分かるが、こいつの口からは声が出ていない。 こいつはM字開脚の意味も知らないガキだが、レイプの意味は何となく分かったのだろう。 言えばレイプ、言わなければLBXの首が飛ぶ。どちらにしろ、そうなった後にどうなるかという保障はない。 さあどうする、と俺が思うと。 「・・・・・・い・・・」 こいつの口から、微かに声が出る。 「何て言ってんだ?もっと大きな声で言えよ」 こいつのさっきまでの態度からは想像もつかないような弱々しさを持った声、態度、全てが愉快だった。 あのクソガキが、俺達の言いなりになっているなんて。 だから俺は、言いたい事は分かるが、苛めるためにわざとそう言った。 「・・・・して、・・さい・・・」 「はあ?」 嫌がらせのように、いや実際嫌がらせだが、わざとらしくそう聞いた。CCMを構え直して、こいつの顔と股間が一緒に映るようにする。 するとこいつは俺達を一睨みした後、目を閉じた。そして痛みからの震えか、恥ずかしさからの震えかは分からないが、震えながら息を吸い込む。 吸えるだけ吸い込むと、口を閉じ、そして大きく開いて、 「――――、レイプ、して、下さい!」 そう言ったこいつの目尻には、一滴にも満たないが、涙が浮かんでいた。 「よーし、よく言えたなぁ!んじゃ、お望み通りレイプしてやるか!まずは・・・これ、しゃぶれよ」 そう言って、金髪の方は俺の前に立ち、いそいそとズボンのファスナーを下ろし、下着の下からぼろり、とその直視したくもない、しかし心の中ででけーな、とも思った物体を取り出した。 「ほら、早く」 ぐりぐりと、それの先端を頬に押し付けられる。鼻が曲がるどころか腐りそうな臭いが、俺の鼻を突いた。所々にこびり付いた白いカスが、その臭いをさらにきつくさせている。 (もうちょっとちゃんと洗えよ!しかも包茎とか・・・) いい大人でこれはねぇな、と俺は思った。こいつのそれは、先端が少し出てる程度だ。俺だってもう少し剥けていると思う。 「突っ込めって!」 中々しゃぶらない(というか絶対にしゃぶりたくない)俺を見てイライラしたのか、それを正面から俺の口に無理やりねじ込んだ。 「っ――!」 一瞬のうちに、それが喉の奥まで刺さる。あまりにも奥に突っ込まれたせいで、俺は吐き気を催した。 そしてそのままずるずるとそれを口の中から引っ張りだそうとしたが、その時に男が顔をしかめ、思いっきり頭をばちん、と叩かれた。 「歯、立てんじゃねぇよ」 そんな理由で叩かれたのか、と思うと無性に腹立たしくなったが、これ以上叩かれるのも嫌だし、それに歯を立てていたという事はあの白いカスが俺の歯に付いているのは間違いない。 あんな汚いものがこれ以上付くのは耐え切れなかったので、渋々口を緩めた。しかしかなり無理して口を開けているせいで、顎が痛い。 「よし・・・いくか!」 その瞬間、乱暴にまた喉の奥までそれを突き立てられた。 「んぐうっ!?」 そのまままた抜き、差し、を繰り返す。抜けるギリギリまで引っこ抜いたかと思えば、奥まで突き立てる。喉の奥にそれが当たる度に、それの強烈な臭いもあいまって、俺の吐き気は強まって行った。 (こんな事して・・・何が楽しいんだ・・・!?) 人の前にくっさいもん晒して、それを口の中に突っ込ませて。向こうは至極楽しそうだったが、俺はその理由が分からなかった。 口の中に、臭みと、少しだけ苦い味がした。 「んじゃ、俺はこっちにしますか、っと」 吐きそう、と思っていたその時、茶髪のほうが金髪の股の下に頭を入れた。そしてそのまま手も入れ、片手にCCM,もう片方の手は俺の股間へと伸びていく。 金髪のほうが乱暴に腰を揺さぶるせいで視界ががくがくと揺れてよく見えなかったが、それは分かった。 (そ、そっちは・・・!) 今ここで触られたら、間違いなく感触でばれる。それだけは何としても避けたい。俺に向けられているカメラが、ますますその思いを強める。 しかし、今の俺は手も縛られてるし、口に咥えこんでいるそれのせいで余計に身動きが取れない。簡単に、俺はズボンに手をかけられてしまった。 するり、と少し布のこすれる感触がした時だっただろうか。ズボンを下ろす男の手が、止まった。 「ん?」 男は、そう言う。 (終わった。完っ璧に、終わった・・・) 手が止まったのは、間違いなく俺のズボンの違和感に気づいたからだろう。その感触からして、俺の股間に何かがあるのは確実だ。 「おい・・・なんだこれ?」 「どれだ?」 金髪が、それを俺の口に突き立てる動きをやめて、俺の股間に視線を向けた。 「え、おい、これ、まさか・・・」 男は素早く、俺のズボンを下ろしていく。男物のトランクスが露になった。 「何でこいつ、男物のパンツ穿いてんだ?」 金髪が、そう言った。 (仕方ねぇだろ!女物のパンツだと前に穴ねぇじゃねぇか!) あんなパンツ穿いてたら、どうやってトイレに行けというんだ。どうやって出すんだ。 そう心の中で思っていたとき、とうとう、俺のトランクスもずり下ろされた。 「おいおい、どうなってんだよ・・・」 そして、俺が一番見られたくなかったものが、男たちの前に晒された。 空気に触れたそこに、ひんやりとした感触と、男たちの突き刺すような視線が伝わる。 「えっ・・・こいつ、男?」 茶髪が、俺のそれをまじまじと眺めてそう言う。 「でもこいつ胸あるよな・・・まさか、ふたなりか?」 そうなのか、と、金髪が俺の口から勃起したそれを引き抜いて尋ねた。その時に、唾の糸が俺の口とそれを繋いでいたのを見て、吐き気がした。 それには、俺の唾液が大量に付いていて、トイレの照明に反射しててらてらと光っていた。 「どうなんだ?」 金髪が俺に、再び尋ねる。しかしその声は、さっきより脅迫じみた感じを含んでいた。 答えたくないが、答えなければまた叩かれる。そのくらいは俺でも分かった。俺だって、そこまで学習能力がないバカじゃない。 だから俺には、答えるしか道は残されていなかった。しかし、せめてもの反抗の意として、睨みながら俺は言った。 「そうだよっ・・・俺は、ふたなりだよっ・・・!」 「へぇ・・・ふたなり、か・・・」 絶対にドン引きされるかと思いきや、向こうの反応は俺の予想の斜め上を行っていた。金髪は俺の股間と顔を交互に見て、ニヤリと笑ったのだ。 「おい、こいつちゃんと映ってるよな?」 金髪が茶髪にそう聞くと、茶髪は慌ててCCMを構え直した。どうやら俺の異変に気づいた辺りから、CCMが別の方向を向いていたようだ。 (そのまま一生あっち向いてりゃよかったのに) そう思ったのも、金髪がCCMを奪い取って、俺中心に映し込んだからだ。 ところで、あそこに残った映像はどうなるんだ、と俺はふと思った。ただ単に俺の羞恥心を煽るためだけのもの、というわけじゃないだろう。 (流出?脅迫?) 俺はアルテミスのファイナリストだ。そんな奴がこんな事をされている動画が世界中に流されたら大惨事だ。 いや、そう言って脅すのが目的かもしれない。だとしたら、俺は下手したら一生こいつらに従わざるを得なくなる。 (それだけは、絶対にやめてくれよな・・・?) だからと言って、流出されても困るけど。 しかしこいつらが今まで俺を撮ってたのは、俺を女だと思い込んでいたからかもしれない、と思うと、少しだけ脳内に希望が沸いた気がした。もしかしたら「女じゃない」という理由で愛想尽かされてここに放置、とかもあり得る。 その時に俺のCCMを置いて行ってくれれば通報くらいはできるだろうし、もし届かない場所にあっても、トイレは外からは鍵がかけられない、それに清掃の用務員だって来るだろうから、その時に半開きのドアの向こうに俺がいたら気づくはずだ。 その時に俺を見つけた奴にも俺のふたなりはバレるだろうが、そこは我慢だ。 (・・・ん?) その時に、俺は今金髪が取っている行動を思い出した。金髪は、俺にカメラを向けている。それも、舐めるようにしつこく。 そして、俺は思った。もしかしたらこいつ、ふたなりの俺に何かしらの興味を持っているんじゃないか、と。 何度も言うが、俺はふたなりだってバレたらドン引きされる、とばかり思っていた。それなのに、金髪のこの行動はなんだ。 世の中には色々な性癖の人間がいる、って事は俺も知ってるが、まさかふたなり好きまでいるとは思わなかった。 (つーか、そんなまじまじ見るな、それに撮るなよ・・・!) ここまでしつこく見られたのは初めてだ。 それがどうにも恥ずかしくて、目を瞑った3秒後ほどに、金髪の方らしき声が聞こえた。 「おいこいつ、ちょっと勃ってね!?」 そう言われて、俺は思わず目を開けた。するとそこには、驚く光景があった。 さっきまで全く勃たずに俺の股に横たわっていたそれが、微かに、重力に逆らって上を向こうとしている。 「えっ、なんで・・・!」 初めの一瞬はそう思ってそのまま思わず口に出していたが、少し考えると心当たりらしきものが浮かんだ。 (もしかして俺、見られた事にも興奮して・・・!?) それ以外に、原因は考えられない。胸も揉まれた、というか押しつぶされたが、それはだいぶ前の話だ。勃ってるのとは関係ない。 だけど、そう思っても信じられなかった。こんな奴らに見られて撮影されて、何度も興奮できる自分が。 自分が変態なのかMなのか。そう考えたが、どっちも認めたくない。 「う・・・嘘だッ、こんなの!お前ら、俺が気絶してる間に薬でも飲ませたんだろ!」 もしそうだったら何もされなくてもさっきから勃ちっぱなしだったはずだ、そしたらズボンに手をかけるまでふたなりだって気づかない可能性はありえない。 だからその可能性はよくよく考えればすごく低いんだが、俺はとにかく自が興奮して勃起した、という事を認めたくなかった。 しかし当然、「んな事してない」という返事が返ってくるわけで。そして、金髪に俺の顔を片手でがっしりと掴まれた。頬に指が食い込んで、顔が歪みそうだ。 「そんな反抗的なこと言うクソガキには、お仕置きしねぇとなぁ・・・おい、ちょっとこいつの口にチンコ突っ込んどいて」 「えっ、お前がするんじゃねーの?」 これは、俺も茶髪の返答に頷きたくなった。金髪の股間には、ばっちり勃起したそれがそびえ立っている。あんな状態になっているのに、続行しないというのは少々疑問を感じた。 しかしその理由は、俺もすぐ実感させられる事になる。 「勃つって事はよ、こうされたら気持ちよくなっちゃったりすんのか?」 その直後、俺のそれをがし、っと握られた。 「!?」 いきなりそれを掴まれた衝撃に、俺は現状が理解できなくなる。するとそのまま、その手を上下にゆっくりと動かし始めた。 「あっ・・・!」 俺のそれに、むず痒いのかくすぐったいのか、よく分からない感覚が襲いかかる。俺はこんな事、したこともないしされた事もない。 そしてその感覚は、さっき乳首をつままれたときの感覚に似ていたような気がしたが、その感覚よりも、明らかに、強い。 「ちょっ・・・お前、まさかホモだったのか!?」 金髪のその動作を見て、茶髪がそう驚いたように言って、金髪から一歩距離を置いた。 「は?俺がホモなわけねーだろ!何言ってんだよ」 それに対して、金髪は笑いながらそう返す。 「いや、だってさ・・・さっきからこいつのチンコじーっと撮影してるし、挙句の果てには掴み始めるから、もしや、って・・・」 茶髪がそう言うと、金髪ははっ、と軽く笑って、俺のそれを掴んだまま茶髪に向けて話を始めた。 「よく考えてみろよ。こんなクソガキだけどロリで、おまけにふたなりって奴をハメ撮りできる機会なんて滅多にねーだろ?それに、ふたなりってちゃんとマンコの穴もあるんだぜ?」 「えっ、マジ?」 ハメ撮り、の意味は分からなかったが、茶髪にズボンとトランクスをさらにずり下ろされ、そんな事はどうでも良くなった。俺の股間を大の大人、それもこんな奴に覗き込まれてると思うと、屈辱の極み、という事場が最もよく当てはまる。 「うわっ、ホントだ。お前よく知ってんなー」 「まあな。んでさ、そう考えるとこいつも中々悪くねーだろ?」 そう言って、金髪はまた手を動かし始めた。すると、俺は自分のそれの異変に気づいた。 (えっ・・・!?) そう、さっきはちょっと上を向いていただけのそれが、明らかにさっきよりも上を向いている。 そして先端から、透明なものがちょっとだけ出ていた。 なんだこれ、そう言いかけた瞬間、口の中に荒々しく茶髪のそれを突っ込まれた。金髪のよりは若干小ぶりだが、それでも口の中に入れられたら気持ち悪いことには変わりはない。 そして、金髪よりも荒々しく、喉奥にそれを突き立てる。 そして俺が吐き気と戦っている間にも、俺のそれは金髪の手により刺激を与え続けられる。 その刺激のせいで、何度も吐き気を堪え忘れそうになった。 「―――っっ!?」 その時、一気に俺のそれに意識が集中した。俺のそれの先っぽに、何かが集まるような感覚がした。 そしてその感覚は、1つの点が大きくなるように、段々と膨らんでいく。吐き気のせいで涙で歪む視界で頑張って見てみると、さっきよりも透明なものがたくさん出ていた。 「お前、意外とやらしいんだな。こんなにだらだらだらだら液出して・・・」 金髪がニヤニヤしながら、俺を見てそう言った。 (俺がやらしい!?んなわけあるか!) さっき自分でも少し、興奮してんじゃないかと思った事や、この点が膨らむような感覚も忘れて、俺は即座にその一言を脳内で否定した。 口に出して怒鳴ってやりたい所だが、こんなもんを突っ込まれてると怒鳴る以前に喋れない。 「んーっ!んーっ!」 やがてその感覚は堪え切れない程に大きくなり、俺はその感覚をどうにかしようと、必死で足をばたつかせた。 しかし、あっさりと金髪に押さえ込まれて終わる。 (なんか、なんか来るっ・・・!) もうダメだ、そう思った瞬間、勢いのいいお漏らしをしたような感覚がした。俺のそれがびくびくと震えて、何かが勢いよく出ている。 「げっ、こいつ射精した!精液手についちまったよ・・・」 そう言う金髪の声が聞こえると、同時に茶髪の腰を振る動きも止まる。揺れなくなった視界で何があったのかを確認しようとすると、そこにはとんでもない光景が広がっていた。 「!?」 俺のそれの周りに、白いものが沢山飛び散っている。そして金髪の手にもそれは付いていて、ぱっぱっと手を払っていた。 (これって・・・!) これが何なのかは、俺だって保健体育の授業で習った。「精液」って名前だったのは覚えてるが、他はほとんど授業を聞いてなくて覚えてないのは別として。 俺も何回か、寝てる間に気が付いたら出てたりしてパンツが大変なことになったのは何度もある。 (だけど、なんでそれが今・・・?) そう思っていたとき、金髪がまだ手を払いながら、さっき「やらしい」と言ったときよりも更にニヤニヤしながら、こう言った。 「そんなに気持ちよかったか?」 当然首を必死に振る。つもりが、何故か弱弱しく首を動かすしかできなかった。 なんというか、身体に、力が入らない。さっき精液と一緒に、力までどっかに抜けていったような感じがする。 「あー、イって力入んねぇのか。・・・お、ここもちょっと濡れてきてんな」 そう言って、金髪は視線をずらした。かと思うと、いきなり俺の「真ん中の穴」の部分に、指を突っ込んだ。 「んんっ!?」 突っ込むと同時に、ぐちゅり、という音がする。そして指は、無理矢理中を押し広げながら、奥へ進んでいく。 ちなみに俺は、この穴の名前を知らない。男のほうの保健体育の授業は受けたが、女のほうは受けていない。というかどうやったら両方受けられるのか知りたい。 「そんじゃ、俺も再開しますか」 しかしそんな事を考えるのも束の間、茶髪が俺の口の中に再びそれを突っ込んだ。また喉奥にそれが当たるのを感じる。 「―――っ!」 そしてそれとほぼ同時に、真ん中の穴の奥で金髪の指が曲がった。今までまっすぐだった指が曲がることで、さっきとは違うところに違う刺激を感じて、俺は震える。 その指は、曲がったり、まっすぐになったり、を繰り返しながら奥に進む。中で指をぐるぐる回してきたりもした。 そして指が中で激しく前後に動いて、真ん中の、身体の奥まで突かれてるような気がする。 (あ、あれ・・・?) また、さっきのようなくすぐったいようなむず痒いような感覚。 (そういえば、さっき乳首つねられたときも、あれを触られたときも、こんな感じが何度もしてる・・・) そしてその度に、「気持ちよかったか」とか言われたり、身体が興奮したような感じになる。 (もしかして・・・これが、気持ちいい、って、事なのか?) そう考えると、気持ちいいような気もしてきた。だけど、さっきから口にそれを突っ込んでくる茶髪のせいで、感覚がぼやっとして、そういう事があまり分からない。 「やべっ、もう出る!」 茶髪のそのでかい声で、自分の世界から現実に引き戻される。それと同時に、口の中にすごく苦い、しかも臭いどろりとした液体が流れ込んできた。 「んうっ!?ごふっ、うえっ・・・」 そんなものが喉に当たったもんだから、とうとう胃の中からいろいろと逆流してきた。 「お前、早漏すぎじゃね?」 「うっせーなー、それ結構気にしてんだよ」 そんな会話を笑いながら2人はしつつ、茶髪は俺の口からそれを引き抜く。胃の中のもの付きのそれが出てくると、俺は咳き込むと同時に少しだが色々吐いた。 「ごほっ、ごほっ・・・!」 一応横を向いて吐いたがそれでも服の一部に吐いたものがかかる。幸い食べ物類はあまりなかったが、何本も飲んだトマトジュースの色が混じっているのが分かった。 「きったねーなー。つーかお前、こんなになるまでするなんて、いったいどうやったんだよ」 「知らねーよ。こいつの口がちっちぇーのがいけねーんじゃね?」 (いや、こんな事しなけりゃ、初めっからこうならなかっただろ・・・!) そう心の底から思ったが、言えなかった。咳き込んでるし、言ったら何をされるか分かったもんじゃない。 「でも、吐いてるわりには、こっちの口はもの欲しそうな感じしてるよなぁ」 そう言って、金髪がさらに指を深く食い込ませる。口の中からそれがなくなったせいで、俺の体はその刺激をモロに受けてしまった。 「あっ・・・!」 びくり、と体が震える。気がつくと、指はいつのまにか1本から2本に増えていた。その指がばらばらに動いて、俺の真ん中の穴を犯す。 「あっ、指、やだっ、やめぇ、・・・」 「そんじゃ、やめてやるよ」 意外にもあっさりとした返事に、俺は若干驚いた。こいつの事だから絶対やめないか、やめるにしても何かしらの条件を付けてくると思っていた。 それで「ラッキー」と喜んでいたのが数分前までの俺だが、今は素直に喜ぶということがどうしてもできなかった。絶対、俺が分からないだけで何か企んでいる。本能がそう言っている。 「もっと太いほうがいいよなぁ?」 そう言って、金髪は指を抜いて体勢を変える。そして俺の前に立ち、その、勃ち上がった太いそれを、俺の真ん中の穴に、勢いよく突っ込んだ。 「いっ・・・!?」 激痛が、真ん中の穴に走る。真ん中の穴とそいつのそれの隙間から、血がだらだらと流れていた。 「くっ・・・やっぱきちーなー・・・!」 「いっ、痛い痛い痛い、痛いぃっ・・・!」 あまりの痛みに、俺は暴れるようにして身悶える。そして、便器で背中を打った。 それほどまでに痛くても、金髪はさらに奥の方まで突っ込もうとする。俺がいくら「痛い」と言おうが、「やめろ」と叫ぶように言おうが。 それでもじたばたと暴れると、余計に中で動いて痛みが増すだけだった。 「ぎゃーぎゃーうるせぇなぁ・・・誰か来たらどうすんだよ」 すると茶髪が苛立ったように、ヴァンパイアキャットを俺の前に見せた。 「っ・・・」 これ以上騒ぐとヴァンパイアキャットを壊す、そういう事だろう。 むぐっ、と俺は唇を強く噛みしめた。確かに痛いが、ヴァンパイアキャットを壊されるくらいなら黙る。 幸い痛みも段々収まってきて、これなら耐えられるかも、と思った、その時だった。 「なあ、俺ケツの方ヤっちゃっていい?」 「ほぐしてねぇけど、それでもいいならいいんじゃね?」 茶髪が思いついたようにそう言った。そして金髪の返答を聞くと、茶髪は金髪にちょっと後ろに下がるように言った。 その時に、中でそれがこすれて痛む。 そして茶髪は俺の後ろにしゃがみ込み、俺の腰を持ち上げ、さらにズボンをずり下げる。そして、 「・・・・え?」 一瞬、何が起きたのか分からなかった。何をされたのか、想像もつかなかった。 だけど襲いかかる痛みと、尻の穴が広がっている感覚。間違いない、尻の穴に、それが、入ってる。 「えっ・・・んええぇぇっ!?」 物を出すだけの所に入れる人間がいる、という事がまず理解できなかった。こんなこと、常識のある人間がする事じゃない。 「お前、何考えてんだよ・・・!」 「アナルファック」 即答だった。しかし意味が分からない。何で(多分)英語なんだ。日本語で言えばもっとわかりやすいと思うのは、俺だけだろうか。 そしてそんな呑気な事、言っている場合じゃない。驚きが通りすぎると、今度は尻の穴からじくじくと痛みが伝わってくる。 「痛いか?」 金髪に突かれながらそう聞かれ、俺は反射的に涙目でうんうんと頷く。 「お、随分と素直になったな。態度も、体もっ!」 金髪は一度腰を大きく引いて、そして一番奥までそれを突き立てた。 「んあぁぁっ!」 口の中みたいに吐きそうにはならないが、代わりに無理矢理奥までそれを詰め込んだ反動が痛みになって伝わってきて、正直口の中よりもきつい。 「おいおい、こいつ泣いてるぞ?もう少し手加減してやったら、どうだ?」 と、茶髪は口では言いつつも、体は俺の尻の穴を少しずつ、そしてやはり無理矢理押し広げようとする。 「言ってる事とやってる事真逆じゃねーか」 俺の本音を金髪が代弁してくれた。 そして2人に体の奥まで突かれる旅に、腰が激しく上下に揺れ、振動と痛みでもう目を開けることも困難になっていた。 「い、痛い痛い、無理、絶対無理だって、早く抜けぇ!」 「あ、そういやこっち忘れてたな」 「んっ!」 どっちの手かはわからないが(金髪の声だったから多分金髪の手だと思う)、ごつごつした手がまた俺のそれを力強く握った。 「アスカー?アースカー?」 広いアルテミス開場の中を、俺達はアスカの名を呼びながら歩き回る。 「いませんね・・・もうすぐ決勝も始まるし、そろそろ戻ってきた方がいいんじゃ・・・」 アスカがいない、ということに最初に気づいたのはヒロだった。 確かにアスカは観客席のあちこちをうろうろしていたが、今はどこにも姿が見当たらない。 一応郷田と仙道にも知らないかさっき聞いてみたが、2人とも首を振るだけだった。 「ほっときゃ、そのうち戻って来るんじゃない?」 ランが、探すのに飽きたのか、そう言う。 「そう、でしょうか・・・」 それに対して、一番最初に「探しに行きましょう」と言ったヒロも、小さな声でそう返した。 アスカは1人で来てるぶん、行動範囲に制限がない。どこにどれだけ行こうと誰かに怒られる事もないし、誰かを待たせることもない。 それに誰もアスカのアドレスを知らないから連絡の取りようもないし、何よりあの性格だ、どこに行くかなんて分かったもんじゃない。 「ねぇバン、私達もそろそろあっちに戻らない?」 ジェシカも、探しても見つからないことに疲れを感じたのか、控え室の方を指差して俺にそう言った。 「でも、さすがにもうそろそろ近くに戻って来てないとまずいだろ・・・よし、手分けして探してみよう」 俺は、そう言ってまだ探していない廊下の方角へ向かった。 「は・・・っあ・・・」 ごぼり、と、精液が俺の真ん中の穴から流れ出した。それに合わせてか、まだそれを突っ込みっぱなしの尻の穴からも、精液が間を縫って流れ出す。 何度も激しく突き上げられ、至るところの穴に精液を出された俺は、体も心も自分でも分かるくらいボロボロになっていた。 鼻の穴に出されなかったのが幸い、とすらも思えるようになってくる。 (痛い・・・苦しい・・・) 髪の毛は精液と水で見る影もないくらいにぐちゃぐちゃで、服も同様、それにさっき出た血もついている。 こんな状態だと、仮に決勝に間に合っても、決勝の前に医務室行き、なんて事になるかもしれない。 それにもう、自力で会場に戻る体力も気力もない。動くのもつらい。 「おい、へばってんじゃねぇよ。まだまだ頑張ってもらわねぇとなぁ?」 ぐい、とまた前髪を掴んで引っ張り上げられた。なのに、何か頭がぼんやりとして、痛いのかそうでないのかよく分からない。 そのまま、金髪が真ん中の穴にそれを挿し込もうとする。さっきの痛み、流れ込んだ精液の刺激の記憶が蘇る。 (ふたなりって、子供作れんのかな) ふと、そんな事を考えた。子供ができる仕組みくらいは学校で習ってる。細かい事は忘れたが。 もしできたら、どうすればいいんだろうか。まずは病院?いや、病院にいったらまず間違いなくふたなりでびっくりされる。 (・・・うう) 考えたくない。考えるのが怖い。 (・・・俺らしくねぇなぁ) こんな事を考えたのは、初めてだ。こんな弱気な事を考えたのも、初めてだ。 ずぷり、と精液の溜まった穴の中に、またそれが挿し込まれた。 「いないなぁ・・・」 人気のない廊下を走り回りながら、俺は思う。 今は予選と決勝の間の時間、その間にトイレに行ったり何か買ったりする人はいるが、そんな人でもここまでは来ないのだろう。 (・・・さすがに、アスカもこんな所にまでは来ないかな) そう思って、別のルートを探しに行こうとした時だった。 『・・・っう・・・』 どこからか、そんなくぐもった声が聞こえてきた。 (なんだ?) 耳を澄ませて、その声がどこから聞こえてくるのか確かめようとする。 空耳であるという可能性も、念に入れて。 『んぁ・・・んう・・・』 やはり、これは空耳ではない。明らかに、どこかから聞こえている声だ。 (あそこか?) 俺の視線の先に映ったのは、1つの男子トイレだった。間違いない、あそこから聞こえてきている。 何の声だろう。そうも思ったが、もう一つ気になる事があった。 聞こえてくる声が、アスカの声そっくり、という所だ。いや、これは間違いなく本人の声だ。 (にしても、何であんな所から・・・) トイレに寄ったのならわざわざこんな暗い所のトイレに寄る必要もないし、まずトイレからこんな声がするのは不自然だ。 確かめた方がいい、しかし場所が場所であるせいか若干怖く、俺はそっと男子トイレに入った。 入り口のドアを開けた時の、きい、という音すらも、俺に冷や汗を垂らさせた。 きい。肉を打ち付けあう音と、精液がぐちゅぐちゅと立てる音に混じって、微かにそんな音が聞こえた。 それがトイレの入り口が開いた音だ、と俺は分かった。誰かが来た。 そう確証するのに、そう時間はかからなかった。 ゆっくりと、だが確実にこちらに向かってくる足音。時々聞こえてくる、個室のドアをきい、と開ける音。 それに気づいたのは俺が一番最初だったが、金髪と茶髪もその音に気づいた。そして、一時的に腰を振るのを中断する。 これでもうやめてくれれば、せめてこの足音の人が出ていくまで中断してくれれば、そう思ったが、こいつらはそんな性格じゃなかった。 2人互いに顔を見合わせ、目と目で何かのコミュニケーションを取ったかと思うと、ニヤリと笑う。 そして同時に、俺の体の奥にそれを突き立てた。 「―――――――っーっ!」 ほぼ反射的に、唇を噛んで声を押さえる。もう少しで声が漏れる所だった。 (聞かれる・・・っ!) ドアの向こうの奴が誰かは知らないが、どんな奴でもこんな声を聞かれるのは絶対に嫌だ。 ずんずんと、2人がバラバラに俺の奥を突く。その刺激に、とうとう俺は声を漏らしてしまった。 「んあっ・・・!」 どうか空耳だと勘違いしてくれる事を祈る、そう思ったその時だった。 「アスカ?」 「ふぇ・・・?」 ドアの向こうから、俺の名前を呼ばれる。この声は、間違いない。 「バン・・・」 俺がそう呟いた直後、ドアを激しくノックする音がした。 「アスカ?アスカなのか!?」 そろそろファイナリストの決勝戦が始まるぞ、変な声聞こえたけど大丈夫か、というか何でこんな所にいるんだ、という事を息をつく間もなくまくし立てる。 (バン・・・!) 何でよりによってバンが来てしまったんだ、という気持ちと、心配してくれて嬉しい、という気持ちが混ざり合う。 流石にここまで激しく反応されるとは思っていなかったのか、2人が心配そうにひそひそと話を始めた。 その時に、俺の口を手で押さえる。多分助けを呼ばれないようにするためだろう。 「おい・・・これヤバくね?」 「ああ・・・普通、ヤってるような声したら空気読んで逃げるもんだと思うんだけどよ・・・」 「つーかこいつ、さっき『アスカ』って名前呼んでたよな。何?こいつの知り合い?」 「彼氏とか?そうでもなきゃここまで心配しねーだろ」 「いや、こいつに彼氏・・・?」 「そういえばさっきさ、こいつ『バン』って呟いてなかったか?」 「バンって・・・去年のアルテミス優勝者の、あの山野バンか? なんだ、ただの中学生のガキか。それなら・・・!」 金髪が、俺の真ん中の穴からそれを抜く。抜いた瞬間、どろりと精液が溢れ出た。 そして床に置いて固定カメラ状態だったCCMを取り、そして、 ドアを、開けた。 金髪が鍵を外しておもいっきり蹴ったおかげで全開になったドアの向こうに、びっくりした表情のバンがいた。 きい。肉を打ち付けあう音と、精液がぐちゅぐちゅと立てる音に混じって、微かにそんな音が聞こえた。 それがトイレの入り口が開いた音だ、と俺は分かった。誰かが来た。 そう確証するのに、そう時間はかからなかった。 ゆっくりと、だが確実にこちらに向かってくる足音。時々聞こえてくる、個室のドアをきい、と開ける音。 それに気づいたのは俺が一番最初だったが、金髪と茶髪もその音に気づいた。そして、一時的に腰を振るのを中断する。 これでもうやめてくれれば、せめてこの足音の人が出ていくまで中断してくれれば、そう思ったが、こいつらはそんな性格じゃなかった。 2人互いに顔を見合わせ、目と目で何かのコミュニケーションを取ったかと思うと、ニヤリと笑う。 そして同時に、俺の体の奥にそれを突き立てた。 「―――――――っーっ!」 ほぼ反射的に、唇を噛んで声を押さえる。もう少しで声が漏れる所だった。 (聞かれる・・・っ!) ドアの向こうの奴が誰かは知らないが、どんな奴でもこんな声を聞かれるのは絶対に嫌だ。 ずんずんと、2人がバラバラに俺の奥を突く。その刺激に、とうとう俺は声を漏らしてしまった。 「んあっ・・・!」 どうか空耳だと勘違いしてくれる事を祈る、そう思ったその時だった。 「アスカ?」 「ふぇ・・・?」 ドアの向こうから、俺の名前を呼ばれる。この声は、間違いない。 「バン・・・」 俺がそう呟いた直後、ドアを激しくノックする音がした。 「アスカ?アスカなのか!?」 そろそろファイナリストの決勝戦が始まるぞ、変な声聞こえたけど大丈夫か、というか何でこんな所にいるんだ、という事を息をつく間もなくまくし立てる。 (バン・・・!) 何でよりによってバンが来てしまったんだ、という気持ちと、心配してくれて嬉しい、という気持ちが混ざり合う。 流石にここまで激しく反応されるとは思っていなかったのか、2人が心配そうにひそひそと話を始めた。 その時に、俺の口を手で押さえる。多分助けを呼ばれないようにするためだろう。 「おい・・・これヤバくね?」 「ああ・・・普通、ヤってるような声したら空気読んで逃げるもんだと思うんだけどよ・・・」 「つーかこいつ、さっき『アスカ』って名前呼んでたよな。何?こいつの知り合い?」 「彼氏とか?そうでもなきゃここまで心配しねーだろ」 「いや、こいつに彼氏・・・?」 「そういえばさっきさ、こいつ『バン』って呟いてなかったか?」 「バンって・・・去年のアルテミス優勝者の、あの山野バンか? なんだ、ただの中学生のガキか。それなら・・・!」 金髪が、俺の真ん中の穴からそれを抜く。抜いた瞬間、どろりと精液が溢れ出た。 そして床に置いて固定カメラ状態だったCCMを取り、そして、 ドアを、開けた。 金髪が鍵を外しておもいっきり蹴ったおかげで全開になったドアの向こうに、びっくりした表情のバンがいた。 驚きすぎると言葉も出ない、というのは本当だと言うことが分かった。 いきなりドアが開いた時には、確かに驚いた。 だがしかし、本当に驚いたのは、ドアの向こうにいたアスカが、とんでもない状態になっていたことだ。 まずワイシャツは破かれ、ズボンはずり下ろされ、そして取れた帽子からは想像もしなかったロングヘアが見えている。 床には大きな水溜まり、精液にしか見えない物体があちこちに飛び散り、さらに吐いた跡、そしてアスカの服にも吐いたものがついていた。 「ア・・・スカ・・・?」 呆然、という感じが最もふさわしい声で、俺はアスカの名前を呟く。 「バン・・・」 アスカの目は、虚空を映していた。顔はこちらを向いているが、目が何も見ていない。 そして声にも、感情らしきものがほとんどこもっていない。ただ俺の名前を言っただけ、という感じだ。 この状況を見て、何が何だか分からないほど俺はバカじゃない。 アスカはこの男2人に無理矢理されている、それは明らかだった。 しかもその2人は、アスカのアルテミス初戦の相手。優勝候補として雑誌に載っていた、2人組。 そんな奴らとどうしてこうなった、そう思ったが、それ以上に気になるものが、1つある。 それは、アスカの股間だった。 ロングヘアが目に映った時は、えっ女だったのか、と思った。 しかし、だとしたらアスカの股間に立派に付いているあれはなんだ。そして精液らしきものが溢れ出してるあの穴はなんだ。 尻の穴かとも思ったが、尻の穴はあんな所には無いし、それにもう一つちゃんと穴があった。(尻の穴に変なものが現在進行形で突っ込まれているのは置いといて) 「―――よっ、と!」 ずるり、と布が擦れる音がする。その音は、俺の下半身の方からした。 一瞬状況が呑めなかったが、音に反応して下を向くと、 「え・・・?」 俺のズボンとトランクスはずり下ろされ、丸出しになった下半身に、CCMが向けられていた。 「ええっ・・・!?」 慌てて、股間を取り敢えず両手で隠す。しかし、遅かった。 「おーし・・・これで、バッチリ顔と一緒に映り込んだぞ・・・」 俺を下半身丸出しにし、そのうえそこにCCMを向けるという、変としか言い様のない行動をしたそいつは、俺を見てそう言って笑う。 「なあ、これネットでバラまいたらどうなると思う?」 そして、CCMを少し操作して、俺にCCMの画像を見せた。 「・・・・!」 そこには、下半身丸出しにされた瞬間の俺が映っていた。驚いて固まった瞬間の、俺が。 ここまで正面から映っていては誤魔化しようもない。 そして自分がまだ下半身丸出しだった事に気付き、ズボンをずり上げる。 しかし一瞬で撮った割には、ピンぼけのピの字もない。 そして突然のことで何が何だか分からなかったのは分かるが、なんとも間抜けな表情をしている俺を見ると悲しくなる。 「アルテミス前年度チャンピオンのこんな写真、当然バラまいたら・・・」 その言葉に、俺の顔はさっと青ざめた。そんな事をされたら、俺はこれから一生表を歩けない。 しかも今の技術なら、表情のコラージュくらい簡単にできる。つまり、このびっくりした顔を、まるで自分から悦んでやっているような顔に変えることもできる、というわけだ。 「嫌だよな?」 俺の心情を察したのか、そこにさらに追い討ちをかけるようにそいつは言う。 「・・・・・・」 俺は、何も言えなかった。 「分かったら大人しくさっさと出て「おい」」 色々あって存在を若干忘れかけていたアスカが、口を開いて呟いた。その場にいた全員が、アスカの声に反応する。 「・・・バンは・・・なんも、関係ねぇだろ・・・」 アスカの声は、絶え絶えで弱々しかった。こんなになるまで、アスカはどんな酷い事をされていたんだろうか。 「何で・・・バンにまで脅し・・・かけるんだよ・・・写真とか動画とかで脅すの、俺だけで・・・いいだろ・・・」 そこで初めて、アスカが脅されていたと知った。確かにアスカの性格なら、大人しくされるがままなんて事はないはずだ。 「なぁバン・・・アルテミス決勝まで、あと・・・どれくらいだ?」 アスカは、弱り切った表情で俺に尋ねた。 「え、さっき俺達Eブロックの予選決勝が終わったから、もうすぐ始まるけど・・・」 そう言うと、アスカは少し驚き、そして全てを諦めたような悲しい笑顔を見せた。 「そっか・・・ま、この格好じゃ、どっちみち決勝は無理だな・・・あーあ、不戦敗か・・・」 アスカは軽く言うが、内心は相当悔しいだろう。 「・・・あーあ・・・」 また、アスカはそう呟いた。 精液や傷で顔がぐちゃぐちゃでよく分からなかったが、涙がアスカの頬を伝っていた。 最初は1滴だった涙は、2滴、3滴と増える。 そのまま大泣きしそうな感じもしたが、アスカはそこで唇を噛み締めて堪えた。 「アスカ・・・」 「なーに2人で盛り上がってんだよ」 アスカにそんな顔されるとこっちまで辛くなるよ、と俺は思っていたが、その気持ちは金髪の発言でストップされてしまった。 「いいか?お前が関係あるかないかを決定する権利は、お前とこいつにはないんだよ」 俺とアスカを交互に見て、いかにもうざったい、といった感じの口調でそう言う。 「ま、お前らの茶番劇は見てて面白かったぜ。ちょっと感動しちまったよ」 感動しちまった、の部分を特に強調して言われた。 あれを本心から言っていないのは明らかだ。むしろ、「お前らが何やろうと俺には関係ない、むしろうざいだけだ」という事を遠回しに言っているように感じた。 そういう言い方は、嫌みったらしいことこの上ない。 しかしこっちには、もう逆らう権利なんてありはしない。 怖い。こいつらが、怖い。 次に何を言われるか、何をされるか。考えたくも、ない。 でもバンが来てくれた時は、実は少しだけそんな気持ちも薄らいだ。もしかしたら、もしかしたら助かるかも、って。 だけど、バンもこいつらに弱味を握られてしまった。希望は、もう消え失せた。 「いいか?お前ら2人分の写真も動画も、流出させるかどうかは俺達の勝手なんだよ」 言い方はかなり傲慢だが、言っていることそのものは正論だ。 だからこそ、余計に嫌なんだ。怖いんだ。 絶対に、こいつらからは、逃げられもしないし逆らえない―――そう俺に、強く、精神を抉り取るほどに思わせる。 「嫌だろ?だったら、大人しく俺の要求呑めよ」 ごくり、とバンが唾を飲む。 だけど、何でだろうか。もう、俺はバンみたいな緊張感と恐怖心を持てない。 どうやら俺は、そういう気持ちも一緒に抉り取られてしまったようだ。 (なんかもう、段々、) ―――――何もかも、どうでもよくなってきた。 「そうだなぁ・・・お前ら2人で犯し合えよ」 「あ、それいいな!」 犯しあう。具体的な意味はよく分からないけど、何となくなら分かる。 多分さっき俺があいつらにされたことを、バンと2人でやれってことだ。 (バンとなら、まだいいかな・・・) こんなことを思ってしまう俺は、感覚が間違いなく麻痺している。 一方バンは、俺を見て、あいつらを見て、目を白黒させていた。あの反応が正常だ。 「ほら、早くそこでどぎまぎしてるあいつにおねだりしてやれよ!」 「おねだり・・・?」 「そうだよ、さっき『レイプして下さい』ってM字開脚で言っただろ!あんな感じで!」 「え、アスカ、さっきそんな事言った・・・のか?」 もうこいつらは、遊びのつもりでこういう事をやっている。 俺への逆恨みとか、嫌がらせとか、そういうつもりでやってるわけじゃ、なくなってる。 でも、そんなこともやっぱどうでもいい。 「バン・・・」 俺は何のためらいもなく、バンに向けて、ゆっくりと足を開く。そして真ん中の穴を見せつけるように、股に力を入れた。 「・・・きて・・・」 今のアスカは、間違いなく正気を保っていない。 アスカが、こんなことをするはずがない。 にもかかわらず、アスカのこの姿に興奮を覚えてしまっている自分がいた。 俺は最低だと思う。こんな状況で、一瞬でもアスカを犯してみたい、と思ってしまったのだから。 (いやでも、ここであいつらの命令に従わずに、アスカを犯さなかったら・・・) 俺達はきっと、あの動画を流出させられ、社会的に抹殺される。だから今は、やるしかない。嫌でも犯すしかない。 という言い訳を自分自身にしてみるが、やはり男の本能は抑えられない。 下半身に血が集まるのが分かる。俺は、アスカの正面にしゃがみこんだ。その時に勃ち上がりかけてるのを隠せたのは幸いだ。 まあ、自分がこれからする事を考えたら、隠しても意味がないのは分かっている。 アスカに向けて、絞り出した声で「ごめん」と謝る。そこから自分のズボンをずり下ろし、アスカを抱き上げ自分の股の上に座らせ、俺のそれでアスカを貫くまでにそう時間はかからなかった。 「んああっ!」 アスカが、悲鳴に近い甲高い喘ぎ声を上げる。 アスカの喘ぎ声に対する悦びを覚えると同時に、罪悪感を感じた。 しかしそれを無理矢理押し流すように、俺はアスカに向けてピストンをする。 考えるな、何も考えるな。考えれば考えるほど、罪悪感やら何やらで辛くなるだけだ。 「んあっ、あっ、バン、激しっ・・・!」 アスカの声も、耳には入れない。全てを無視する。 おいこいつら、本当に始めやがったぜ。ああ、しかも結構激しくね?そんな声も聞かない、聞こえない。 まだ男の1人がアスカの尻の穴にそれを突っ込んだままなので、前を見るとにやにやと笑った男の顔が視界に映るのが不快だ。 半分やけになり、アスカのそれを右手で掴み、上下に擦り上げる。 「ひっ!バン、だめ、ああっ!」 また、アスカの甲高い声がする。 小柄なアスカは、俺が下から突き上げる度に全身が上下に揺れる。 そしてそんな激しいピストンをしていれば、当然俺にもアスカにも限界は訪れる。アスカのそれから先走りがどろどろと溢れ、俺の右手を汚していった。 「もう、俺、俺っ・・・また、なんかくる・・・っ!」 聞こえない振りをしていたつもりだがアスカのそんな声が耳に入ったので、それと同時にアスカのそれを強く握りしめた。 「だっ、駄目え・・・ああぁっ!」 アスカは悲鳴に近い矯声を上げ、射精した。俺の手のなかでびくびくとそれが震え、精液が俺やアスカの顔に飛び散る。 「くっ・・・!」 そしてそれと同時に、膣内が収縮し、俺のそれが圧迫される。 「ごめん・・・出るっ!」 俺はそう一言叫び、アスカの中に精を放つ。 「あっ・・・ああっ!!」 びゅくびゅくと、アスカの中に俺の精液が流れこんでいくのが分かる。 奥へ奥へ、子宮めがけて。 とっくにあの2人の男に犯しつくされた子宮を、さらに犯す。 「あ・・・っ、はあっ・・・」 するとアスカは、もうとっくに体力も限界に近かったのだろう、俺の目の前で意識を失った。 がくん、と後ろ向きに倒れそうになった体を、男が支える。 「随分出したみてぇだな、お前。そんなに溜まってたのか?」 「ちが・・・っ!それより、これでいいだろ、早くアスカを・・・」 「誰が1回だけって言った?」 そう言うと、男はアスカの背中に膝で蹴りを入れる。 「がはっ・・・!」 「それじゃあ、まだまだ頑張ってもらうか」 ―――アルテミスファイナリスト、山野バンさん、古城アスカさん、まもなく決勝戦が始まります、今すぐ試合会場までお戻り下さい、繰り返します――― 放送が、微かに聞こえる。恐らく会場全体に、この放送が流れているのだろう。 そしてCCMに、さっきからメールがじゃんじゃん来る。「バンさん、試合始まっちゃいます!早く戻って来てください!」「バン君、早く戻るんだ!このままだと不戦敗になるぞ!」「バン、どこにいるの!?」電話もかかってくる。不在着信がどんどんと増える。 「お仲間が、よっぽどお前の事心配してるみたいだな。・・・出なくていいのか?」 「・・・・・」 俺が出られないことを知って、わざと男は挑発的にそう言うのだろう。 今電話に出たところで、メールに返事をしたところで、何がどうなるというのだ。どうにも、なりはしない。 今俺の目の前で、アスカはぐったりとしている。話しかけても、うつろな声の返事しか返ってこない。 まだ、俺とアスカは1本の肉棒で繋がったままだ。もうアスカにも俺にも、これを抜く体力が残っていない。 「それじゃ、俺たちそろそろ会場まで戻るわ。精々そこでじっとしてるんだな!」 そう言って、男2人は大笑いしながら、トイレを後にした。結局、写真も動画も消されないまま。
https://w.atwiki.jp/infinitynet/pages/178.html
LBX AX-00 アキレス クノイチ(アミ専用) グラディエーター(北島店長専用) ジ・エンペラー ズール デクーエース デクー改 ハンター ブルド改(リュウ専用)
https://w.atwiki.jp/dansen_eroparo/pages/37.html
月影慕情 月明かりが暗い部屋の中に零れ落ちている。 その部屋は机があり、本棚があり、クローゼットがあり、いくつか可愛らしいぬいぐるみや人形やLBXがある、ごく普通の女子中学生の部屋だった。 ただ一つ、普通でないものがあるとすれば、ベッドに寝転ぶ少女の姿。 眠っているわけではない。彼女は背中を丸め、ネグリジェの裾にその手を差し入れている。 「あ……んっ……」 その少女は愛しい人を脳裏に描き、自らを慰めていた。 年齢の割に発育した乳房と未熟な秘所を指で刺激する様は、期待される子どもの在り方とはとても一致しない。 白い肌はしっとりと汗ばみ、頬は熱く上気し、少女の淫らな興奮を表していた。 女陰の入口に触れるだけでは満足できず、中にまで指を挿し入れて、くちゅくちゅとかき回す。 それでも、まだ足りない。あの人には及ばない。 「はあっ、はあっ、はぁ……郷田さん………」 荒い息の合間に彼の名前を一人呟けば、言いようもない切なさが少女の心を満たしていった。 『月影慕情』 明くる日の朝。少女は昨晩の淫靡な面影など露ほども感じさせず、涼しい顔で通学路を歩いていた。 「おっはよー、ミカ!」 後ろから突然かけられた友人の声に、少女は振り向く。つややかな黒髪をまとめたツインテールが小さく揺れた。 彼女は三影ミカ。ミソラ第二中学校に通う普通の女の子だ。 「……おはよう」 いや、やはり普通…とは言えないかもしれない。 普通の女子なら、クラスの友人に元気よく挨拶されれば元気に返すのが当然だ。 だがミカは友人のアミに感化されることなく、マイペースに抑揚のない声で応える。 ミカは口数が少なく、表情も乏しい。初対面の人間であれば不機嫌だと受け取られかねない態度である。 だがアミにとっては慣れっこなことであるから、いつも通りミカの隣を歩き、彼女に話しかける。 「聞いた? 昨日、郷田が仙道と決闘したんだって! 河川敷で鉢合わせてLBXバトルになっちゃって、そのまま場外乱闘の大混乱!」 アミの口から郷田の名が出て、わずかにミカの表情が動いた。 普通でないミカも、同年代の普通の女子と同じように恋をする。 ミカは同じ学校の先輩、郷田ハンゾウに想いを寄せていた。 ミソラ二中の番長で地獄の破壊神とすらあだ名されるほど激しく暑苦しい郷田に、他人に不干渉を決め込むクールなミカが惚れた、というのはクラスでちょっとした事件になるくらいには意外なことであった。 この幼い恋に関してクラスメートたちの間で様々な憶測が飛び交った。一過性の熱病にのぼせているだけだとか、ミカが実はドMだとか、恋の理由は諸説あり定かではない。 ただ一つはっきりしているのは、ミカが郷田に尋常でなくゾッコンであるという事実だった。 「知ってる。応援しに行ったから、郷田さんを」 郷田の戦場であれば、正規大会でも非正規大会でもスラムでも強襲全翼機の中でさえも追って行くのがミカだ。 恋というものは実に恐ろしい。 アミたちは少しばかり呆れながらも、そんなミカの気持ちを知っていた。 だが、その心の奥深くまでは誰にも理解されていなかった。 「ふうん…相変わらずなのね、ミカも」 決して変わっていないわけではない。ミカの郷田に対する想いはわずかずつだが変わり続けている。 最初は背中を見ているだけで満足だった。LBXバトルを応援しているだけで幸せだった。 それが、ともにシーカーとして行動し、いくらか言葉を交わすようになってから、より多くを望むようになってしまった。 もっと一緒にいたい。いろいろ話をしたい。自分を好きになってほしい。抱きしめてほしい。キスがしたい。そして、もっと… そんな思いを馳せ、乙女の妄想に浸っているミカを、アミの言葉が現実に引き戻す。 「でも、郷田も仙道も協力して世界を救うために戦った仲間じゃない。なんで仲良くできないのかしら?」 「…人がそんな急に変われるわけないよ」 心がどんなに変わっていっても、行動を伴わせることは難しい。 それはミカも同じことで、想いがどんなに大きくなろうと、ミカと郷田の距離がそれ以上に縮まることはなかった。 もともとコミュニケーションが苦手なミカには、郷田に想いを伝えるなどといったことは不可能に近い。自分から話しかけることすら容易ではなかったのだ。 だからこそ、有り余る想いを一人抱え込み、毎夜自らを慰めるという馬鹿げた行為に及んでしまう。 こんな汚らしい自分を知れば、郷田はきっと自分を嫌う。 ミカも、そんな自分が何より嫌だった。 「変われたら、いいのに」 「……そうね」 賢いアミは詳しいことまではわからずとも、何となく察するところがあったのだろう。 ぽつりと零れたミカの独り言を肯定し、それきり黙った。 それから学校へ着くまで、二人とも言葉を発することはなかった。 退屈な授業が終わり、放課後になるとクラスは自然と解放感に包まれた。 しかしそんな他の生徒とは違い、ミカは授業中からずっと郷田に思考を絡め捕られている。 郷田への悶々とした想いだけでミカの心は積載過剰なのだ。 つまり授業に全く集中してないわけだが、それが毎日続くのだからミカの成績は芳しいと言えるものではない。 成績が落ちればLBXを取り上げられる。そうなれば郷田の背中を追うことすら叶わない。 (こんなんじゃダメ。私、変わらないと…) そんな時、隣のクラスのカズが慌てた様子で教室に押し入った。 「おい、みんな! 一中が殴り込みに来やがったぜ!」 お騒がせ男の報告に、教室の端々で不揃いなざわめきが起きる。 聞けば仙道が昨日の決着をつけに、わざわざミソラ二中まで乗り込んで来た、ということらしい。 二人のケンカ自体はそう珍しいことではないのだが、このクラスには人一倍正義感の強いバンがいる。 特にLBXを使ったケンカなど見て見ぬふりをできるはずもなく、矢も楯もたまらず首を突っ込みに行くのだ。 「大変だ! 郷田と仙道を止めないと」 「OK。いつも通りね」 「俺たちで止められるか自信ねーけど、行くしかないか。ミカも早く準備しろよ」 「行かない」 ミカはそれだけ言うと机に突っ伏した。 だがミカが郷田を見に行かないということは極めて異常なことであるから、カズとバンが不思議に思って、質問攻めにしたとしてもやむを得ないのだ。 「何だよそれ?! いつも郷田追っかけてるくせに、こんな時だけほっとくのかよ!」 「ミカ、もしかして具合でも悪いのか?」 どうして男というものは、こうも人の気持ちを考えようとしないのか。 行けば彼にもっと憧れる。もっと切なくなる。 少しでも自分を変えたいミカは、郷田との距離を置くところから始めたかった。 「何でもないよ…! 行かないったら、行かない」 「でも…」 まだ釈然としないバンたちに、アミが口をはさむ。 「…バン、カズ、私たちだけで行きましょ。無理しないでね、ミカ」 こういう時、気持ちを汲んでくれるアミはありがたい。 一方で言うべき時にはしっかり物を言ってくれる。ミカはアミのようになりたかった。 アミがバンとカズを連れて出ていくと、ミカは教壇の下に身を隠した。 人目に付くところにいれば、誰かにまた郷田のことで声をかけられるだろう。 こんなことで他人に干渉されるのは、もう嫌なのだ。 一人、また一人と生徒の気配がなくなっていく。 やがてたった一人取り残されたミカは、どうしようもなく惨めな自分に気付いた。 「馬鹿だな、私…」 自分はこうやって一人で閉じこもって、郷田と向き合うことすら避けようとしている。 結局変わりたいなどとは口だけで、本当は今の自分と郷田の関係が壊れるのが恐ろしいのだ。嫌われて、心が傷つくのが怖いのだ。 自己嫌悪で膝を抱え、動き出す気力もなく、ミカはそのままいつまでもうずくまり続けていた。 暗い闇の中、重たい身体を動かしたミカは周囲を見回して驚く。誰もいない学校がこうも寂しいものかと。 間抜けな話だが、あのまま眠ってしまっていたらしい。 遅くなる、と簡素なメールだけをCCMで家に送る。窓の外を見ればもう月が高く昇っていた。 月は太陽の光をその身に受け、それを照り返すことで自身を輝かせる。 それゆえ月明かりはとてもか細く、移ろいやすい。 だが幸いにも今宵の月は、昨日と同じく怪しく輝いていた。 だからミカは照明を灯さずとも、階段を下り、廊下を歩くことに何の不都合も感じなかった。 生徒用玄関までたどり着いたところで、ふと足を止める。そして左手奥へ向かって再び歩き出した。 (いるわけ…ないよね) 目指すのは郷田の教室3年1組。こんな時間まで郷田がいるはずはない。 しかし今日は郷田を見られなかったし、他の誰にも邪魔されない機会などめったにないのだから、少しだけでも郷田を感じたいと思っても無理はない。 見ていたいけど、会いたくない。矛盾した気持ちのまま教室に入ったためであろう。 扉を開いたその一瞬、ミカには郷田が見えたのだ。 「郷田さん…?」 だがすぐにその姿は消えた。 郷田のように見えたソレの正体を確かめるため、ミカはソレの見えた場所に近づく。 暗い机の森を抜け、教科書類の詰め込まれた郷田の座席に到達する。 ソレは郷田の上着だった。いつも郷田の背中にかかっている、シワだらけの長ランだった。 一切の虚飾もない無骨な姿は、まさに郷田そのものを表している。 もうすっかり冷たくなっているはずなのに、触れればあの人の熱が伝わってくる気がした。 ミカの身体には大きすぎるソレをマントのように羽織ると、郷田の温もりがミカを包み込む。まるで彼の腕に抱かれているようだった。 「郷田さんのにおいだ…」 恋に浸る少女というものは、常に夢見心地である。だからミカはこれが夢でも現実でも、もうどうでもよかった。 それとほぼ時を同じくして、同じように3年1組に向かう人影があった。件の郷田ハンゾウである。 しかも上半身に何も身に着けていない半裸状態なのだが、これには理由がある。 仙道の挑戦を受けて校庭に飛び出し、その時気合を入れるため上着を脱いで座席のイスに掛けた。 そこまでは良かった。しかし、バトルをバンたちに中断させられた後そのままスラムへ直行したために、上着の存在をすっかり失念してしまったのだった。 実はこの格好のまま帰ろうとしたのだが、「リーダー、サイテー!!」とか「郷田くんに警察の世話になってほしくないんだよお」とか「人生を棒に振る気でごわすか?!」などと言われて、しぶしぶ上着の回収に向かわされたのだ。 (ちなみにその3人は、薄情にも郷田を置いてさっさと帰ってしまった) もちろん施錠はしてあったが、1階廊下最端の窓の鍵が壊れていると知っていたのでそこから校内へ忍び込み、現状の通りだ。 「あーあ、まったくいい月夜だぜ」 夜の学校に侵入するという泥棒まがいのことをしている郷田は、自嘲気味に呟いた。 誰もいない静寂に、その呟きとカラコロ鳴る下駄の音が容易に溶けていく。 そう、誰もいないはずだった。だから郷田は教室の中の様子など一切気にせず、3年1組の扉を勢いよく開いた。 ミカには信じられなかった。というより信じたくなかった。 誰も来ないはずの教室に突然郷田が入ってきて、自分の方を凝視していることを。 なぜなら、ミカの今の姿はとても他人の目にさらせるようなものではなかったからだ。 あえて述べるならば、郷田の上着を羽織り、トップとインナーをまくり上げて胸を外気にさらけ出し、スパッツを降ろしてショーツ越しに机の角を股間に当てている状態だ。 月は残酷なまでに明るく、そのミカの姿の情報すべてを郷田に届けていた。 どうしよう、早く何とかしないと。 こちらに向かってくる郷田を見て、ミカは焦る。 だが混乱しきった思考では妙案が出るはずもなく、第一身体が硬直して身なりを整えることさえできなかった。 (もうおしまいだ…) 恥ずかしさのあまり、心臓の音が聞こえるほど眼前に迫った郷田を直視することもできず、ミカは耳まで真っ赤になった顔をうつむかせた。 「おい、ミカ。いったい何があった。どうしてこんな時間にこんなとこにいる」 「ごめん…なさい」 「何で謝るんだよ! どうしたって聞いてんだ!!」 腕をつかまれ、無理矢理上を向かされる。 そんなことを言われても、乱暴な語気で問い詰めてくる郷田に、ミカは謝る以外の選択肢をとれない。 泣きたくないのに涙があふれてくる。 「ごめんなさい…! ごめんなさい…!!」 「泣くな!! いいから俺の質問に答えろ!!」 「ごめんなさい…私、私…オナニーしてた…!」 好きな人に責められたことで自棄になったミカは、正気であれば決して口にしないであろうあられもないことを叫んでしまった。 「おなにい? なんだそりゃ」 「だから! 郷田さんのこと考えて…私、いやらしいこと…」 最後の方は羞恥心で声が小さくなり、消え行ってしまいそうだった。 全部言ってしまった。こんなことをして気持ち悪いと思われたに決まっている。 しかし、それに対する郷田の返答は、ミカにとって予想外のものだった。 「……よくわからんが、元気なのか。安心した」 「何言ってるの…気持ち悪くないの…?」 「何がだ? お前こそ気分とか悪くないか?」 「え…どうして」 「顔、赤いだろ。熱でもあるんじゃないかと思ったんだが…大丈夫そうだな。ミカが何ともないなら良かったぜ」 清々しいほどにニカッと郷田が笑った。 郷田は何もミカをとがめたわけではない。純粋にミカのことが心配で、つい言い方が荒くなってしまっただけなのだ。 ほっとして、ミカは発展途上の胸をなでおろす。その拍子、郷田の股間がテントを張っているのが目に入った。 年近い少女の痴態を目撃して何の反応も示さなければ、それこそその人間は男ではない。 「えっと、その…郷田さん、それ…」 「ん? ああ。たまにこうなるんだよ、朝とか。ほっときゃ収まる」 自慰の一つも知らない男だ。当然勃起のメカニズムなど知るはずもないだろう。 憐みすら感じて、ミカはおもむろに郷田のズボンのファスナーに手を掛けた。 すべてを郷田にさらけ出してしまったミカは、もう何も怖くなかった。 「苦しそう…私が治してあげる」 「うおっ、お前、何すんだよ!」 「これで治るの。すぐ楽になるから、任せて」 「そうなのか? なら頼む」 経験のないミカが郷田を満足させられる根拠などないわけだが、希望的観測も含めて、半ば騙したように郷田を納得させた。 ミカは大胆な手つきで、下着の中の郷田自身を露出させる。 初めて目にした男性器は、想像よりもずっとグロテスクで大きかった。 (わ…大きい…) だがこの程度のことで躊躇っている場合ではない。 剛直に快感を促すため、本やネットで得た知識を総動員する。 熱い幹に両手の白く細い指を絡め、リズミカルに擦り上げる。 浮き出た血管に柔らかな舌を這わせたかと思えば、小さな口で精一杯先端を頬張る。 ミカの指遣い、舌遣いは稚拙なものであったが、少女が自身に懸命に奉仕する姿はそれだけで格別なのだろう。時折ビクリと郷田のモノが震える。 「郷田さん、気持ちいい?」 「すっげーいい…だけど汚いだろ、そんなもん。腹壊しても知らねーぞ」 臭いし、苦いし、強烈な雄のにおいにむせ返りそうになる。でも 「郷田さんの…だから平気」 ミカの健気な態度に影響されたのか、口の中の重く熱い塊は、より一層密度を増す。 このまま出してもらってもいいが、どうせならもっと身体の中心に欲しい。 ミカが剛直から口を離すと、唾液と先走りが混ざり合って糸を引いた。 ミカは郷田を上目遣いに見上げる。小首をかしげる。人間を魅了し誘惑する小悪魔か堕天使のように。 「あの…ね、郷田さん。これ、セックスしたらもっと気持ち良くなると思う。私と…しよ?」 「セッッックスだあっ?! いやいやいやいや、今妊娠はマズイだろ!!」 どうやらセックスは知っているらしい。子どもを作る行為としかみなしていないようだが。 「大丈夫、初潮まだだから」 「しょちょー? なんだそりゃ」 「…セックスしても子どもができないってこと」 「へえ、そういう仕組みなのか。じゃあ、やってみるか」 郷田の性に関する知識の薄さと性行為への認識の軽さは異常である。授業を受け持った保健教師はたぶん泣くだろう。 一方でミカにとっては、望みを叶えるためこの上なく好都合であった。 ミカは机に敷いた郷田の上着の上に腰を下ろし、郷田と向き合う。邪魔なスパッツもショーツもすでに取り払った。 胸の高鳴りと舞い上がりそうになる気持ちを抑えながら、あとは郷田のなす行為に合わせればいい。 しかし、待てども郷田は動かない。まだ毛も生えていないミカの恥丘を見据えたまま、凍りついたように固まっている。 「……どこに入れりゃいいんだ」 こういう肝心なところで躓いてしまう郷田に不満がないわけではない。 それでもミカはそんな部分も含めて郷田のことが好きなのだ。 みっともないくらいに脚を広げ、愛液で潤う秘所をさらし、手に手を取って郷田の指をそこに導く。くちゅり、と情欲の音が鳴った。 「狭いな。入るのか?」 「入る…そういう風にできてるから」 無論、やはり根拠はない。だがどうしても郷田を受け入れたかった。 愛しい人とひとつになれるかもしれない。その期待と興奮でミカの心は満たされていた。 「来て…」 「おう。行くぞ、ミカ」 郷田のたくましいモノが近づいてくる。膣口に触れた。そして (え…?!!!) 一瞬の出来事で、何が起きたかミカにはわからなかった。 ただ待ち望んでいたはずのモノが、下腹部に不快な圧迫感を与え、自分を深々と貫いていることだけは理解できた。 そしてその存在を意識すれば、鋭い斬撃が身体中を切り刻み、鈍く重い衝撃がジンジン脳に響く。 まだ身体の出来上がっていないミカには、郷田は大きすぎた。 (痛い…! 何これ…死んじゃう…) セックスというものはもっとロマンチックで、心地の良いものだと思っていた。 愛する者同士、互いを想い合い、相手のすべてを受け入れ、身も心もひとつに溶け合う。 そんな理想とあまりにも程遠い現実を目の当たりにし、ミカの心は打ちひしがれる。 痛い、苦しい、気持ち悪い。好きな人との交わりがこんなものであるはずがない。 こんなの、もう、いやだ。 「うぅ…ごうださん…」 これ以上夢を穢さないため、ミカは中止を訴えようと声を絞り出した。 だが郷田はその訴えを無慈悲にも一蹴し、抽送運動を始める。 ミカと郷田のサイズ差は、ミカには苦痛を与えたが、郷田には快楽を与えた。 「ぁあっ、やあぁぁあっ!」 普段のミカからは想像できないほどの甲高い悲鳴が上がる。 肉がえぐられ、内臓がつぶされるような感覚は、ミカの小さな体では耐えられようもなかった。 もし第三者がこの教室を観測したとして、感じられるのは、女というには幼すぎる喘ぎ声、男の荒い呼吸、粘性の高い水音、肉がぶつかる乾いた音、発情した男女の猥雑なにおいだけであろう。 先ほどまで明るかった月には雲がかかり、その光は闇を晴らすには足りない。 だからミカが郷田の表情をうかがうことはできないし、ミカがいくら苦しもうと郷田が気づくこともない。 ただわずかに浮かび上がった輪郭は、肉食獣が非力な小動物を捕食する光景にも似ていた。 その性衝動に基づく暴力は、ミカがセックスに抱いていた甘ったるい幻想など簡単に吹き飛ばしてしまった。 (痛い痛い痛い! こんなの違う!! もうやめてよ、郷田さん…) 言葉を紡ぐことさえかなわないミカは、心の中で行為の終焉を願うことしかできない。 しかし獣が人間の思い通りになるはずはない。そう、目の前にいるこの男は「獣」だったのだ。 快楽をむさぼるため、野性のまま動く獣。 ミカは後悔していた。この獣に恋をしてしまったことを。 ああ、何を勘違いしていたのだろう。 いくら自分が想おうとも、獣が他人を想い返すことなどない。 この行為だって生存本能によるものにすぎない。そこに愛は存在しない。 自分が求めていたような甘く安らかな関係など、最初から到底無理なことだったのだ。 恋が冷めてしまったミカにとって、郷田とのセックスはもはや拷問でしかなかった。 生殺与奪のすべては郷田の手にゆだねられ、郷田が飽きるまで責め苦が止むことはない。 一方的に押し付けられる凌辱を、ミカは必死に堪えていた。 いっそ気を失えば楽になれるのだが、郷田はそれすらも許してくれない。 両手の並ならぬ握力で骨盤がえぐられ、性器同士の摩擦で粘膜が引き裂かれ、未成熟な子宮が断続的に押しつぶされる苦痛は、ミカの意識をなおさらその身にとどまらせた。 それに痛くて苦しくて仕方ないのに、膣はきつく収縮して郷田に喰らいつき、決して離そうとしない。 最奥を突かれるたび肺から無理矢理空気が押し出され、上げたくもない声を上げてしまう。 「ん…ぁあ…! ひっ…く、あっあぁぅっ!!」 のどがひりついて呼吸すらままならず、ミカは酸素を求めて口を必死にパクパクと開閉させる。 辛くて、悔しくて、涙がこぼれた。わずかに差し込む月の光が悔恨の雫に反射し、きらめく。 しばらくして、その光をとらえた郷田は、ほんの数秒だけ動きを止めた。 そしてその数秒の間に、ミカにとっては信じられない行動をとった。 郷田が何を考えていたのかはわからない。 嗜虐心にかられたが故かもしれないし、単なる気まぐれだったのかもしれない。 だが、確かに郷田はミカの唇に自らの唇を重ねたのだった。 つまりそれはキス、だった。 そしてたったそれだけのことで、ミカの幼い恋心は再び燃え上ってしまう。 (……! 郷田さん! 郷田さん、郷田さん…!) 今この瞬間、自分の手の届く場所にいてくれる郷田を離すまいと、ミカは脚を郷田の背中に、腕を郷田の肩に、舌を郷田の舌に絡める。 郷田の動きに合わせて、自らも腰を振る。 痛みが消えたわけではない。苦しみから解放されたわけでもない。 だが、人としての理性は、もう郷田によって壊されてしまった。 だからミカも、小賢しい余計なことは考えず、彼が欲しいという野性の命じるまま、彼を求めるだけだ。 愛がもらえないなら、自分からもぎ取ればいい。 そんな浅ましい自分自身を感じ、ミカはいやでも思い知らされる。 自分もまた、この人と同じ「獣」なのだと。 (郷田さん、もっと壊して…) 衝動に突き動かされる雄と雌の獣。 配慮など微塵もなく腰を打ちつけ合い、結合部からはじゅぶじゅぶと品のない音が立つ。 たとえ子をなさぬ生物的に無駄な行為だとしても、満たされる肉欲に悦ぶ。 他の誰も間に入らせまいと、互いに相手の身体に自分を刻み付けるよう強く深く抱きしめ合う。 徐々に、呼吸が速くなる。襲いくる奔流の中に、新しいなにかが芽生える。 もう少し、もう少しで未知の世界に手が届きそうなのに。 雄が一瞬身を震わせて、短く、低く吠えた。 途端、雌の中にほとばしる熱が注ぎ込まれる。 爆ぜる。蕩ける。溺れる。いろんな感覚がないまぜになって、頭の中が真っ白になった。 「ごうださん……だいすき…」 虚空に向けた小さな告白は、誰に届くでもなく、霧散した。 雲はすでに払われ、月は再びその輝きを夜空に取り戻していた。 月光の下、ミソラタウンの住宅街を行く影が一つ。いや、よく見れば二つの影がひとつになっていた。 あれだけ甚振られたミカが足腰も立たなくなったのは致し方ないことであるし、動けないミカを郷田が背負うことになったのも致し方ない。 ついでに述べれば、教室の後始末もすべて郷田がする羽目になったのだが、生来のガサツさから作業は尋常でなく困難を極めた。 また、鮮やかな赤い痕だの白濁したゾルだのがこびりついたチリ紙を教室のゴミ箱に捨てるわけにもいかず、今は上着のポケットの中だ。 せっかく回収した上着だが、どうやら明日は着られそうにない。 ともかく郷田におぶわれる形となったミカは、理屈抜きに幸せだった。 「悪いな、遅くなって。金があればタクシーでも呼べたんだが」 「優しいね、郷田さん。いいの、気にしないで」 郷田さんと一緒にいられる方がずっといいから。 どんなにこの身が痛もうと構わない。この心が傷つこうと構わない。 もう言い訳なんてしない。自分はこの人が好きだ。 ミカは何も言わずに、目の前の愛しい背中を抱きしめた。 「…あ、そーだ。そういや、この辺のタクシーってなあ…」 ちょっとした沈黙に耐えられなくなったのか、郷田は突如ミソラタウンのタクシー事情について話し始める。 システムと自動車需給の問題から入ったはずが、いつの間にかハードウェアとしての自動車の話になり、タクシーにとどまらず家庭用車両から特装車の構造にまで至っていた。 その知識量は、ミカの同級生である重機マニアのリュウですら及ばないだろう。 このように知的な話題を饒舌に語る郷田が初めてだったミカは、新たな彼の一面を発見した気がして嬉しかった。 もっとも、ミカにはモーターとバッテリー以外は馴染みのない単語ばかりで、内容に関してはまったく理解できなかったのだが。 「なんだか意外。郷田さんがLBX以外のことにも、そんなに詳しいなんて」 「まあなんっつーか、親父がそっちの仕事やってて、家でもいろいろ言うからな。嫌でも気にしちまうさ。門前の小僧ってやつだ」 口ではそう言っていても、父親のことを話す郷田の目が輝いていることをミカは見逃さなかった。 「お父さん、いい人なんだ?」 「ああ、厳しいけど自慢の親父だ。俺もああいう人間になりたい」 照れながら父親を誇る郷田の顔は、15歳の少年らしい将来への夢と希望にあふれた顔だった。 「でも甘いとこもあんだぜ? 試作機のハカイオーを俺にくれたりな。まさか戦闘データがCPU製品の演算処理モデルに使われるとは思ってなかったけどよ」 郷田は何の気なしに言ったつもりだろう。だが一般家庭とかけ離れた家庭事情を聞かされれば、疑念を抱かないものはいない。 ミカもまた、その一人だった。一つ、至った結論を尋ねる。 「…郷田さんのお父さんって、もしかしてプロメテウスの…?」 「社長やってるぜ、一応」 刹那、ミカの世界が一変する。自分と彼の人生の違いに愕然とする。 郷田がまた何かを話し続けているが、もうミカの耳には入らなかった。 郷田をずっと見てきたはずなのに、何も知らなかった、あまりにも狭い視界でしかいられなかったことをミカは思い知らされる。 彼は太陽のような人。熱く、まぶしく、男女の区別なくたくさんの人を惹きつける。 戦いでは激しく、人付き合いでは優しい。獣の野性と人の理性を兼ね備えた気高き王。 そうなるべくして教育され、現に今もその道への歩みを進めている。 対して自分はどうだ。自分本位で無愛想で、勉強ができるわけでもなければ、特別LBXが強いわけでもない。 いずれ彼は今以上に大勢の人の上に立ち、皆から愛される大人になる。 今の自分では彼に釣り合わない。一緒にいても彼の幸せになるはずがない。 好きなだけでは、ダメなのだ。 ならば、それならば、背中を追うのはもうやめにしよう。 この幼い恋は――捨て去ってしまおう。 「着いたぜ。ここでいいんだよな、お前の家」 ミカが思い悩んでいるうちに、二人の時間は終わってしまった。 もう何度悩んで、悩んで、悩みぬいただろう。だが、これできっと最後だ。 ミカは郷田の背中を離れ、なんとか立てるくらいには回復した足で、地面にすとんと降り立つ。 そしてここまで一緒にいてくれた郷田に、深い漆黒の瞳をもって向き合った。 「郷田さん、ありがとう」 思い出をいっぱいくれて。 誰にも見せたことがないほどの極上の笑顔を、ミカは郷田に向ける。 その笑みはとても愛らしく、心ならずとも郷田を狼狽させるには十分であった。 「お前、笑うと可愛いな…って何言ってんだ、俺。か、体、気いつけろよ! えっと…………じゃあな!」 それだけ言って、郷田は足早に夜の暗がりの中へ消える。 いつも見てきた背中が、大好きだった背中が遠ざかっていく。 それを見送るミカの目から不意に、ぽろぽろと光の粒が零れた。 「おかしいな…決めたはず、なのに」 笑って、お礼を言って、それでこの気持ちを終わりにするって決めたはずなのに。 もう、彼の姿は見えない。一人立ち尽くすミカの呟きが闇に響く。 「私、きっと変わるから。強くなるから。いつか隣に行くから…それまで待ってて…!」 月明かりは町を、ミカの世界を照らし続けていた。
https://w.atwiki.jp/infinitynet/pages/405.html
アキハバラ施設一覧 (アキハバラ大通り) 秋葉原駅 (アキハバラ裏通り) AKIBA BOOKS 裏模型ブルータス(模型店) ネットカフェ電脳珈琲 DREAM LBXパラダイス 3号店 LBXフリークス アキハバラ店 (アキハバラタワー) AKIBAMODEL(模型店) オタクロスの部屋 M⭐︎AKIBAホール