約 4,662,228 件
https://w.atwiki.jp/dansen_eroparo/pages/36.html
絶たれる望み フランは焦っていた。 世界の最後の戦士ともいえる少年達は、絶望するということを知らなかった。 何を拠り所にしているのかは分からないが、その心には強い意志が宿っている。 彼らの心を折る事は、容易ではなかった。 何人かを消し去ることには成功したものの、仲違いにより一網打尽にする作戦は、失敗してしまったのだった。 その作戦失敗は自分の詰めの甘さ、そして間の悪さが原因なのだが、フランはそんな事は微塵も思わなかった。 世界を救う為、憎しみという概念を消そうとしている自分に落ち度があるなどとは、全く考えなかった。 (醜くいがみ合っていたはずなのに、どうして…) 自分の想いを理解しようとしない少年達に、いら立ちを見せる。 その自分自身が憎しみに囚われている事など、彼女が分かるはずもなかった。 結果として、フランは少年達に宣戦布告をし、アスタとサンがそれを迎え撃つこととなった。 だが、かけがえのない同志であるアスタとサンの二人を危険な戦いに巻き込む事は、出来れば避けたかった。 (こうなったら…) 何か思いつめたような表情でフランは立ち上がり、再びあの少年たちのいる次元へと跳躍した。 (本当に…戦わないといけないのかな…) 決戦を前にして、大空ヒロは憂鬱だった。 一時は『世界の消滅を賭けた大勝負』というシチュエーションで、テンションMAXになっていた。 だが、その相手は少し前まで楽しく過ごしていた少女だったのだ。 できる事ならば戦いたくはない。 消し去られたアミやカズ、世界中の人たちのためには、戦わないといけないのは分かっていた。 だが、戦おうと思えば思うほど、フランと過ごした楽しい時間が脳裏によぎるのだった。 (フランさん…) 小さくため息をつくと、いつの間にか目の前に人がいた事に気づく。 それは、今まで自分が想っていた少女、フランだった。 「ふ、フランさん!?どうしてここに?」 ヒロの問いかけに、フランは何も言わずにその体に抱きついた。 「な、え、ええっ!?」 「ヒロ…」 ヒロを抱きしめる腕に、力がこもる。 まるで何かに怯えているかのようだった。 「私、戦いたくない…」 「…だったら、戦わなければいいじゃないですか。僕たちだって、フランさんとは戦いたくないんです」 「私も嫌…でも…あぁっ!」 突然、フランが悲鳴を上げ、頭を抱えた。 「フランさん!?どうしたんですか、しっかりしてください!」 ヒロが必死に呼びかけるが、フランの耳には届いていないようだった。 苦しむフランの髪の色が、黒く染まっていく。 だが、少し時間がたつと、フランの髪は薄い水色に戻り、フランの苦しみも治まったようだった。 「フランさん…」 「…ごめんなさい…戦いをやめようとすると、心が支配されそうになるの…」 「そんな…そんな事…」 まるで何かに操られているかのようだった。 いや、彼女は実際、何者かに操られているのではないか。 花を愛でる可憐な少女に、戦いを強いる何者かがいるのではないか。 ヒロは自分の中で、そう確信していた。 (センシマンにもあった…こんなエピソード…) 今の状況を、自分の敬愛する世界に重ね合わせる。 それを疑う気持ちは、少しも無かった。 「ヒロ…私、自分が怖い…自分が自分でなくなってしまう気がして…」 「大丈夫です、フランさん。僕たちが、何とかしてみせますから…」 ヒロが軽く胸を叩いて、微笑んだ。 根拠のない自信だが、それがヒロの持つ強さだった。 「ありがとう、ヒロ…っ…」 倒れこむかのように、フランがヒロに体を預けた。 「ふ、フランさん…?」 「ヒロ…すべて忘れさせて…あなたを、感じさせて…」 ヒロがその言葉の意味を問うより前に、フランがヒロの唇を奪っていた。 「っ…!?」 ヒロが目を見開き、体を硬直させる。 この展開は正直予想していなかった。 もし、こんな所を人に見られたら…そう思うと、気が気ではなかった。 だが、フランはそんなヒロにお構いなしで、衣服を脱ぎ始めた。 フランの白い裸体が、ヒロの前に晒される。 まだまだ幼いが、息を飲むほどの美しい姿だった。 だが、ヒロにはそれを楽しむ余裕はなかった。 ヒロはフランに組み伏せられ、フランの手によって服が脱がされようとしていたからだ。 「や、やめて下さい、フランさん!」 口では抵抗するものの、ゆっくりと、しかし確実なその手を、拒むことはできなかった。 また、フランを突き飛ばすなんてことは、ヒロにはできるはずもなかった。 口だけの抵抗も空しく、ヒロも衣服を全てはぎ取られてしまった。 まだ少年であるヒロの体は、同年代の女性とは変わらない、美しい姿だった。 ただ一点、堅く、熱を持ったヒロ自身を除いては。 (ど、どうしよう…ランさんにも見せたことないのに…) ヒロの心配をよそに、フランがゆっくりとヒロの裸体に、自分の肌を重ねた。 ヒロの胸に耳を当て、その体温と、高鳴る鼓動を感じる。 「暖かい…」 随分触れた事のなかった、人の体。 その感触を愛おしむように、フランはヒロの胸を撫でる。 だが、その行為は図らずも、ヒロの興奮を引き出すだけだった。 「っく、ぁ…」 その声にシンクロするかのように、ヒロ自身が動く。 フランの下腹部を、その先端が掠めた。 思い出したかのようにフランが顔を上げ、ヒロのそれを見つめる。 「ふ、フランさん…そこは…」 至近距離から性器を見つめられる。 その光景が恥ずかしくて、ヒロは眼をそらした。 だが、逃がさないとでも言うかのように、フランの手がヒロ自身を包んだ。 「ぅあっ…!」 自分よりも更に小さく、柔らかな手の感触に包まれ、腰が跳ね上がりそうになった。 フランの手がゆっくりと上下に動く。 「ヒロ…気持ちいいの…?」 そんなフランの問いかけに、ヒロは両手で顔を覆った。 当然、気持ちよくないはずはない。 だが、それを認めたくなかった。 自分の想い人を裏切りたくなかった。 しかし、そんなヒロの心とは裏腹に、フランはヒロ自身を通じて、快楽を送り続けてくる。 やがて、その快楽が限界を迎えた。 「フランさん、やめ…あぁぁっ!」 ヒロはフランの手の中で精を吐き出し、フランを白く汚した。 絶頂を迎えさせられた事より、ヒロの頭は安堵で一杯だった。 (フランさんには悪いけど、これでもう…) そう思っていたヒロだが、フランの手に再び力が入り、上下に動いた。 「はぁうっ…!」 絶頂を迎えた直後の敏感な性器への刺激で、ヒロは思わず声を上げる。 だが、皮肉にもヒロ自身は、まだ固くそそり立っていた。 それはまだ、ヒロの『体』が満足しきっていないという証拠だった。 「ヒロ…もっと…」 そういうとフランは体を起こし、ヒロ自身の上にまたがった。 ヒロは何かを口にしようとしたが、もはや抵抗するほどの気力は、残っていなかった。 フランが腰を下ろし、ヒロを飲み込んでいく。 「あ、あぁぁっ…!」 「っく…あんっ…!」 二人の嬌声が重なった。 フランは何度も腰を動かし、ヒロを攻め立てる。 「あっ…あぁっ!」 ヒロの悲鳴にも似た喘ぎが響く。 だが、フランは声を押し殺しながらも、ヒロの反応を見つめていた。 まるで、その反応を楽しんでいるかのようだった。 「駄目です、フランさん…また、っ…!」 言い終わるよりも前に、ヒロがフランの奥底で絶頂を迎えた。 フランもそれに満足したのか、再びヒロの体に重なり、肌を合わせていた。 2度の絶頂を迎え、ヒロは放心状態だった。 反射的に、自分の体に触れるフランの体を抱きしめていた。 ドアが開くような音がしたが、まるでどこか遠い世界の出来事のようであった。 「ヒロ…あんた、何してんの…」 その震えた声で、ヒロは我に返る。 声の方に視線をやると、花咲ランがいた。 お互いに信じられないものを見ているかのようだった。 「ちっ、違うんですランさん!フランさんは、本当は…」 そこまで言うと、フランはゆっくりと体を起こした。 そして、両手をランにかざす。 「な、何よ…大体、なんであんたがここにいるの!?」 ランが二人に詰め寄って行ったが、フランが両手から紫色の光を放った。 その光と共に、ランの姿も消えてしまっていた。 「ラン…さん?」 名前を呼んでも、辺りを見回しても、ランの姿は確認できなかった。 まるで、この世界から消えてしまったかのようだった。 そして…どう見ても、それをやったのはフランだった。 「フランさん…これは、一体…」 ヒロは、目の前で起きたことが信じられず、呆然としていた。 だが、フランの両手がヒロに向けられた時、ようやく現実に引き戻された。 (フランさんは…操られていたんじゃ…) だが、フランの手が紫色の光を帯び始めたことで、自分の考えが間違っていたことに気付いた。 (まさか、最初から…フランさんはこのつもりで…) ヒロが真相にたどり着こうかという刹那、紫色の光がヒロを包み、そして謎の浮遊感がヒロの全身を襲った。 それが、大空ヒロの最後の意識だった。 「お帰り、姉さん」 人工の光に包まれた狭い世界に、サンの声が響いた。 「やったぜフラン、ってか」 続いて、どこか不機嫌そうなアスタの声がする。 「いくらなんでも、あそこまでする事はなかったんじゃねーか?」 「奴らの絆は強い。特に男女の絆はね。でも、だからこそ、それを逆手に取っただけよ」 チームの中でもムードメーカー的な存在である「大空ヒロ」と「花咲ラン」を消せたことは、フランにとっては図らずも大きな収穫であった。 二人の成長を見守り、彼らの強さを誰よりも信じていた「山野バン」 そのバンと強い絆を持った「海道ジン」 更に、ジンに絶対の信頼を寄せていた「ジェシカ・カイオス」と「灰原ユウヤ」 最後に残った「古城アスカ」も、他の全員が消えてしまったとあっては、どうしようもなかった。 彼らの消滅…彼らが『絶望に負けた』という事実が、他の者にも絶望を与えたのだった。 こうして、連鎖的にLBXチームは全滅した。 ただ、流石にもう一方の少年達は、彼ら同士の強い絆のため、バン達が消えても戦う意思は消えなかった。 「LBXがいない今、もう片方のチームは、僕のデジトニアスが片付ければいいわけだ」 「いいや、サン。お前の力を借りなくても、俺だけで倒してみせるぜ」 二人の様子は、獲物を取り合う猟犬のようだった。 ふと、フランが腹部に手を当てる。 何かが何かに突き刺さるような、言いようのない感覚を感じる。 その正体が何なのか、幼いフランにはわからなかった。 「…姉さん、どうかしたのかい」 サンがその様子を訝しむが、フランは小さく顔を振った。 「なんでもないわ。それより、そろそろ行きましょう。争いの無い世界を作るために…」 三人の姿が、紫色の光に包まれる。 それはまるで、無数の世界の日没のようであり、新たなる世界への夜明けのようでもあった。
https://w.atwiki.jp/lbx_bcg/pages/259.html
属性 衝 色 青 アクション属性 斬貫 アクションAP +300 LBX アキレス(アドバンスドVモード) 迅雷棍 Lv0 1000 Lv1 1400 チーム「ジ・エンペラー」このカードはチャンスゲームにある場合「ジ・エンペラー」としても扱う。(「ジ・エンペラー」のネームコストになる) 第2弾 ブースターパック 決戦アルテミスで登場したアキレス。 カード効果チーム 収録パック第2弾 ブースターパック 決戦アルテミス R
https://w.atwiki.jp/infinitynet/pages/24.html
W サイクロプス B サウラス S さくら☆零号機 S さくら☆零号機(オタクロス専用) B サラマンダー S ジ・エンプレス K ジ・エンペラー K ジ・バニャン B シーサーペント B シーサーペント(赤) B シーサーペント(地上型) B ジェネラル K ジャッジ K シャドールシファー S シャルナック S ジャンヌD S ジャンヌF(フォックス) S 銃士パーシヴァル B ショウグン S ジョーカー S ジョーカー(仙道専用) S ジョーカーMk-2 S ジョーカーMk-2(黒) S ジョーカーX S ジョーカーX(仙道専用) S ジョーカーK(キリト)カスタム K ジライヤ K ジラント K ジル・グレイブ K ジル・ニンジャ K シン・エジプト K 新月光丸 K ズール S スカーレットR B スカルフェイサー K スキュレイム S スザク S スワン B 聖騎士イゼルファー K 聖騎士エンペラー K 聖騎士オーディーン K 聖騎士ゼノン K 聖騎士ペルセウス K セイリュウ S セイレーン S セイレーンH S セイレーンJ B ゼウス K ゼノン K センシマン K 戦闘員 K ソルジャー
https://w.atwiki.jp/asagaolabo/pages/1444.html
デパファンク / DEPA FUNK 【デパファンク】 ハラペコどものファンク魂炸裂でデパート地下はそりゃもう大騒ぎさ!! デパファンク / DEPA FUNK 収録作品 関連リンク ポップンミュージック9で登場した楽曲。担当キャラクターはソウジ、セイジ。 デパ地下のお話 / School BPM 130 5b-8 N-17 H-30 EX-40→【10】41 新難易度 5Buttons NORMAL HYPER EXTRA × 23 36 47 CSポップン7より新名義のSchoolを使うようになったgood-coolとすわひでおのコンビ。BEMANIから生まれたアーティストがアニメの主題歌を担当するのは驚きであったと思う(某爆弾ゲームが原作のアニメ主題歌)。で、ジャンルは違っても、この曲も例によってネタものになっている。最近人気(?)のデパ地下を題材に歌にしており、さりげなくエレベーターガールの「地下1階でございます」はMickin の声。もしかしたら身の回りで面白いデパ地下のお話があったりするかも。 担当キャラは双子。ソーセージと双生児をかけていると考えられるイロモノキャラではるが、GREATアクションを見てギャップを感じた人もいるだろう。あの顔つきの変わり具合を見れば…… リズムの取り方が結構独特で裏の裏で取る箇所も多く、リズム感が重要になる。ハイパーは細かいリズムが多く、この付近の実力だと慣れていないと終盤の24分スライド押しなどで削られ、最後でクリアを阻止してくるので注意が必要。解禁されたEXはハイパーとは比べにならないほどの難度。同時押しがやたらと増え、両手の移動が多い箇所も存在する。これも終盤がかなり難しくなり、24分押しとラストで殺しにかかる構成。特にラストの「ま~い~ど~あ~り…」の部分は無理5個押し(ポップン11で解消)など、左右に振ってきて押しにくい配置の同時押しや細かいフレーズ・同時押し連打になっているため、見切れなかったら一瞬でゲージを奪われてしまう危険な箇所。 Schoolの曲。曲名は「デパ地下のお話」。ヘル9コースの2番目に登場。 収録作品 AC版 ポップンミュージック9~ポップンミュージック10 EX譜面が、曲の終わりにおいて出てくる5個同時が無理押しになっていた。 ポップンミュージック11からの全作品 CSポップン9と同じ譜面となり、無理押しが解消。 CS版 ポップンミュージック9 無理押しが解消された形のEX譜面となって収録。 関連リンク good-cool すわひでお 楽曲一覧/ポップンミュージック9
https://w.atwiki.jp/lbx_bcg/pages/561.html
Lv 2 色 赤 アクション属性 斬貫衝 アクションAP +300 サポート 崩壊の涙 専用 「ジャッジ」 相手のアクションエリアにあるカードをトラッシュする。 第5弾 ブースターパック ふたりのヒーローで登場したサポートカード。 カード効果アクションエリアのカードをトラッシュ 収録パック第5弾 ブースターパック ふたりのヒーロー
https://w.atwiki.jp/lbx777/pages/5.html
まとめサイト作成支援ツールについて @wikiにはまとめサイト作成を支援するツールがあります。 また、 #matome_list と入力することで、注目の掲示板が一覧表示されます。 利用例)#matome_listと入力すると下記のように表示されます #matome_list
https://w.atwiki.jp/dansen_eroparo/pages/37.html
月影慕情 月明かりが暗い部屋の中に零れ落ちている。 その部屋は机があり、本棚があり、クローゼットがあり、いくつか可愛らしいぬいぐるみや人形やLBXがある、ごく普通の女子中学生の部屋だった。 ただ一つ、普通でないものがあるとすれば、ベッドに寝転ぶ少女の姿。 眠っているわけではない。彼女は背中を丸め、ネグリジェの裾にその手を差し入れている。 「あ……んっ……」 その少女は愛しい人を脳裏に描き、自らを慰めていた。 年齢の割に発育した乳房と未熟な秘所を指で刺激する様は、期待される子どもの在り方とはとても一致しない。 白い肌はしっとりと汗ばみ、頬は熱く上気し、少女の淫らな興奮を表していた。 女陰の入口に触れるだけでは満足できず、中にまで指を挿し入れて、くちゅくちゅとかき回す。 それでも、まだ足りない。あの人には及ばない。 「はあっ、はあっ、はぁ……郷田さん………」 荒い息の合間に彼の名前を一人呟けば、言いようもない切なさが少女の心を満たしていった。 『月影慕情』 明くる日の朝。少女は昨晩の淫靡な面影など露ほども感じさせず、涼しい顔で通学路を歩いていた。 「おっはよー、ミカ!」 後ろから突然かけられた友人の声に、少女は振り向く。つややかな黒髪をまとめたツインテールが小さく揺れた。 彼女は三影ミカ。ミソラ第二中学校に通う普通の女の子だ。 「……おはよう」 いや、やはり普通…とは言えないかもしれない。 普通の女子なら、クラスの友人に元気よく挨拶されれば元気に返すのが当然だ。 だがミカは友人のアミに感化されることなく、マイペースに抑揚のない声で応える。 ミカは口数が少なく、表情も乏しい。初対面の人間であれば不機嫌だと受け取られかねない態度である。 だがアミにとっては慣れっこなことであるから、いつも通りミカの隣を歩き、彼女に話しかける。 「聞いた? 昨日、郷田が仙道と決闘したんだって! 河川敷で鉢合わせてLBXバトルになっちゃって、そのまま場外乱闘の大混乱!」 アミの口から郷田の名が出て、わずかにミカの表情が動いた。 普通でないミカも、同年代の普通の女子と同じように恋をする。 ミカは同じ学校の先輩、郷田ハンゾウに想いを寄せていた。 ミソラ二中の番長で地獄の破壊神とすらあだ名されるほど激しく暑苦しい郷田に、他人に不干渉を決め込むクールなミカが惚れた、というのはクラスでちょっとした事件になるくらいには意外なことであった。 この幼い恋に関してクラスメートたちの間で様々な憶測が飛び交った。一過性の熱病にのぼせているだけだとか、ミカが実はドMだとか、恋の理由は諸説あり定かではない。 ただ一つはっきりしているのは、ミカが郷田に尋常でなくゾッコンであるという事実だった。 「知ってる。応援しに行ったから、郷田さんを」 郷田の戦場であれば、正規大会でも非正規大会でもスラムでも強襲全翼機の中でさえも追って行くのがミカだ。 恋というものは実に恐ろしい。 アミたちは少しばかり呆れながらも、そんなミカの気持ちを知っていた。 だが、その心の奥深くまでは誰にも理解されていなかった。 「ふうん…相変わらずなのね、ミカも」 決して変わっていないわけではない。ミカの郷田に対する想いはわずかずつだが変わり続けている。 最初は背中を見ているだけで満足だった。LBXバトルを応援しているだけで幸せだった。 それが、ともにシーカーとして行動し、いくらか言葉を交わすようになってから、より多くを望むようになってしまった。 もっと一緒にいたい。いろいろ話をしたい。自分を好きになってほしい。抱きしめてほしい。キスがしたい。そして、もっと… そんな思いを馳せ、乙女の妄想に浸っているミカを、アミの言葉が現実に引き戻す。 「でも、郷田も仙道も協力して世界を救うために戦った仲間じゃない。なんで仲良くできないのかしら?」 「…人がそんな急に変われるわけないよ」 心がどんなに変わっていっても、行動を伴わせることは難しい。 それはミカも同じことで、想いがどんなに大きくなろうと、ミカと郷田の距離がそれ以上に縮まることはなかった。 もともとコミュニケーションが苦手なミカには、郷田に想いを伝えるなどといったことは不可能に近い。自分から話しかけることすら容易ではなかったのだ。 だからこそ、有り余る想いを一人抱え込み、毎夜自らを慰めるという馬鹿げた行為に及んでしまう。 こんな汚らしい自分を知れば、郷田はきっと自分を嫌う。 ミカも、そんな自分が何より嫌だった。 「変われたら、いいのに」 「……そうね」 賢いアミは詳しいことまではわからずとも、何となく察するところがあったのだろう。 ぽつりと零れたミカの独り言を肯定し、それきり黙った。 それから学校へ着くまで、二人とも言葉を発することはなかった。 退屈な授業が終わり、放課後になるとクラスは自然と解放感に包まれた。 しかしそんな他の生徒とは違い、ミカは授業中からずっと郷田に思考を絡め捕られている。 郷田への悶々とした想いだけでミカの心は積載過剰なのだ。 つまり授業に全く集中してないわけだが、それが毎日続くのだからミカの成績は芳しいと言えるものではない。 成績が落ちればLBXを取り上げられる。そうなれば郷田の背中を追うことすら叶わない。 (こんなんじゃダメ。私、変わらないと…) そんな時、隣のクラスのカズが慌てた様子で教室に押し入った。 「おい、みんな! 一中が殴り込みに来やがったぜ!」 お騒がせ男の報告に、教室の端々で不揃いなざわめきが起きる。 聞けば仙道が昨日の決着をつけに、わざわざミソラ二中まで乗り込んで来た、ということらしい。 二人のケンカ自体はそう珍しいことではないのだが、このクラスには人一倍正義感の強いバンがいる。 特にLBXを使ったケンカなど見て見ぬふりをできるはずもなく、矢も楯もたまらず首を突っ込みに行くのだ。 「大変だ! 郷田と仙道を止めないと」 「OK。いつも通りね」 「俺たちで止められるか自信ねーけど、行くしかないか。ミカも早く準備しろよ」 「行かない」 ミカはそれだけ言うと机に突っ伏した。 だがミカが郷田を見に行かないということは極めて異常なことであるから、カズとバンが不思議に思って、質問攻めにしたとしてもやむを得ないのだ。 「何だよそれ?! いつも郷田追っかけてるくせに、こんな時だけほっとくのかよ!」 「ミカ、もしかして具合でも悪いのか?」 どうして男というものは、こうも人の気持ちを考えようとしないのか。 行けば彼にもっと憧れる。もっと切なくなる。 少しでも自分を変えたいミカは、郷田との距離を置くところから始めたかった。 「何でもないよ…! 行かないったら、行かない」 「でも…」 まだ釈然としないバンたちに、アミが口をはさむ。 「…バン、カズ、私たちだけで行きましょ。無理しないでね、ミカ」 こういう時、気持ちを汲んでくれるアミはありがたい。 一方で言うべき時にはしっかり物を言ってくれる。ミカはアミのようになりたかった。 アミがバンとカズを連れて出ていくと、ミカは教壇の下に身を隠した。 人目に付くところにいれば、誰かにまた郷田のことで声をかけられるだろう。 こんなことで他人に干渉されるのは、もう嫌なのだ。 一人、また一人と生徒の気配がなくなっていく。 やがてたった一人取り残されたミカは、どうしようもなく惨めな自分に気付いた。 「馬鹿だな、私…」 自分はこうやって一人で閉じこもって、郷田と向き合うことすら避けようとしている。 結局変わりたいなどとは口だけで、本当は今の自分と郷田の関係が壊れるのが恐ろしいのだ。嫌われて、心が傷つくのが怖いのだ。 自己嫌悪で膝を抱え、動き出す気力もなく、ミカはそのままいつまでもうずくまり続けていた。 暗い闇の中、重たい身体を動かしたミカは周囲を見回して驚く。誰もいない学校がこうも寂しいものかと。 間抜けな話だが、あのまま眠ってしまっていたらしい。 遅くなる、と簡素なメールだけをCCMで家に送る。窓の外を見ればもう月が高く昇っていた。 月は太陽の光をその身に受け、それを照り返すことで自身を輝かせる。 それゆえ月明かりはとてもか細く、移ろいやすい。 だが幸いにも今宵の月は、昨日と同じく怪しく輝いていた。 だからミカは照明を灯さずとも、階段を下り、廊下を歩くことに何の不都合も感じなかった。 生徒用玄関までたどり着いたところで、ふと足を止める。そして左手奥へ向かって再び歩き出した。 (いるわけ…ないよね) 目指すのは郷田の教室3年1組。こんな時間まで郷田がいるはずはない。 しかし今日は郷田を見られなかったし、他の誰にも邪魔されない機会などめったにないのだから、少しだけでも郷田を感じたいと思っても無理はない。 見ていたいけど、会いたくない。矛盾した気持ちのまま教室に入ったためであろう。 扉を開いたその一瞬、ミカには郷田が見えたのだ。 「郷田さん…?」 だがすぐにその姿は消えた。 郷田のように見えたソレの正体を確かめるため、ミカはソレの見えた場所に近づく。 暗い机の森を抜け、教科書類の詰め込まれた郷田の座席に到達する。 ソレは郷田の上着だった。いつも郷田の背中にかかっている、シワだらけの長ランだった。 一切の虚飾もない無骨な姿は、まさに郷田そのものを表している。 もうすっかり冷たくなっているはずなのに、触れればあの人の熱が伝わってくる気がした。 ミカの身体には大きすぎるソレをマントのように羽織ると、郷田の温もりがミカを包み込む。まるで彼の腕に抱かれているようだった。 「郷田さんのにおいだ…」 恋に浸る少女というものは、常に夢見心地である。だからミカはこれが夢でも現実でも、もうどうでもよかった。 それとほぼ時を同じくして、同じように3年1組に向かう人影があった。件の郷田ハンゾウである。 しかも上半身に何も身に着けていない半裸状態なのだが、これには理由がある。 仙道の挑戦を受けて校庭に飛び出し、その時気合を入れるため上着を脱いで座席のイスに掛けた。 そこまでは良かった。しかし、バトルをバンたちに中断させられた後そのままスラムへ直行したために、上着の存在をすっかり失念してしまったのだった。 実はこの格好のまま帰ろうとしたのだが、「リーダー、サイテー!!」とか「郷田くんに警察の世話になってほしくないんだよお」とか「人生を棒に振る気でごわすか?!」などと言われて、しぶしぶ上着の回収に向かわされたのだ。 (ちなみにその3人は、薄情にも郷田を置いてさっさと帰ってしまった) もちろん施錠はしてあったが、1階廊下最端の窓の鍵が壊れていると知っていたのでそこから校内へ忍び込み、現状の通りだ。 「あーあ、まったくいい月夜だぜ」 夜の学校に侵入するという泥棒まがいのことをしている郷田は、自嘲気味に呟いた。 誰もいない静寂に、その呟きとカラコロ鳴る下駄の音が容易に溶けていく。 そう、誰もいないはずだった。だから郷田は教室の中の様子など一切気にせず、3年1組の扉を勢いよく開いた。 ミカには信じられなかった。というより信じたくなかった。 誰も来ないはずの教室に突然郷田が入ってきて、自分の方を凝視していることを。 なぜなら、ミカの今の姿はとても他人の目にさらせるようなものではなかったからだ。 あえて述べるならば、郷田の上着を羽織り、トップとインナーをまくり上げて胸を外気にさらけ出し、スパッツを降ろしてショーツ越しに机の角を股間に当てている状態だ。 月は残酷なまでに明るく、そのミカの姿の情報すべてを郷田に届けていた。 どうしよう、早く何とかしないと。 こちらに向かってくる郷田を見て、ミカは焦る。 だが混乱しきった思考では妙案が出るはずもなく、第一身体が硬直して身なりを整えることさえできなかった。 (もうおしまいだ…) 恥ずかしさのあまり、心臓の音が聞こえるほど眼前に迫った郷田を直視することもできず、ミカは耳まで真っ赤になった顔をうつむかせた。 「おい、ミカ。いったい何があった。どうしてこんな時間にこんなとこにいる」 「ごめん…なさい」 「何で謝るんだよ! どうしたって聞いてんだ!!」 腕をつかまれ、無理矢理上を向かされる。 そんなことを言われても、乱暴な語気で問い詰めてくる郷田に、ミカは謝る以外の選択肢をとれない。 泣きたくないのに涙があふれてくる。 「ごめんなさい…! ごめんなさい…!!」 「泣くな!! いいから俺の質問に答えろ!!」 「ごめんなさい…私、私…オナニーしてた…!」 好きな人に責められたことで自棄になったミカは、正気であれば決して口にしないであろうあられもないことを叫んでしまった。 「おなにい? なんだそりゃ」 「だから! 郷田さんのこと考えて…私、いやらしいこと…」 最後の方は羞恥心で声が小さくなり、消え行ってしまいそうだった。 全部言ってしまった。こんなことをして気持ち悪いと思われたに決まっている。 しかし、それに対する郷田の返答は、ミカにとって予想外のものだった。 「……よくわからんが、元気なのか。安心した」 「何言ってるの…気持ち悪くないの…?」 「何がだ? お前こそ気分とか悪くないか?」 「え…どうして」 「顔、赤いだろ。熱でもあるんじゃないかと思ったんだが…大丈夫そうだな。ミカが何ともないなら良かったぜ」 清々しいほどにニカッと郷田が笑った。 郷田は何もミカをとがめたわけではない。純粋にミカのことが心配で、つい言い方が荒くなってしまっただけなのだ。 ほっとして、ミカは発展途上の胸をなでおろす。その拍子、郷田の股間がテントを張っているのが目に入った。 年近い少女の痴態を目撃して何の反応も示さなければ、それこそその人間は男ではない。 「えっと、その…郷田さん、それ…」 「ん? ああ。たまにこうなるんだよ、朝とか。ほっときゃ収まる」 自慰の一つも知らない男だ。当然勃起のメカニズムなど知るはずもないだろう。 憐みすら感じて、ミカはおもむろに郷田のズボンのファスナーに手を掛けた。 すべてを郷田にさらけ出してしまったミカは、もう何も怖くなかった。 「苦しそう…私が治してあげる」 「うおっ、お前、何すんだよ!」 「これで治るの。すぐ楽になるから、任せて」 「そうなのか? なら頼む」 経験のないミカが郷田を満足させられる根拠などないわけだが、希望的観測も含めて、半ば騙したように郷田を納得させた。 ミカは大胆な手つきで、下着の中の郷田自身を露出させる。 初めて目にした男性器は、想像よりもずっとグロテスクで大きかった。 (わ…大きい…) だがこの程度のことで躊躇っている場合ではない。 剛直に快感を促すため、本やネットで得た知識を総動員する。 熱い幹に両手の白く細い指を絡め、リズミカルに擦り上げる。 浮き出た血管に柔らかな舌を這わせたかと思えば、小さな口で精一杯先端を頬張る。 ミカの指遣い、舌遣いは稚拙なものであったが、少女が自身に懸命に奉仕する姿はそれだけで格別なのだろう。時折ビクリと郷田のモノが震える。 「郷田さん、気持ちいい?」 「すっげーいい…だけど汚いだろ、そんなもん。腹壊しても知らねーぞ」 臭いし、苦いし、強烈な雄のにおいにむせ返りそうになる。でも 「郷田さんの…だから平気」 ミカの健気な態度に影響されたのか、口の中の重く熱い塊は、より一層密度を増す。 このまま出してもらってもいいが、どうせならもっと身体の中心に欲しい。 ミカが剛直から口を離すと、唾液と先走りが混ざり合って糸を引いた。 ミカは郷田を上目遣いに見上げる。小首をかしげる。人間を魅了し誘惑する小悪魔か堕天使のように。 「あの…ね、郷田さん。これ、セックスしたらもっと気持ち良くなると思う。私と…しよ?」 「セッッックスだあっ?! いやいやいやいや、今妊娠はマズイだろ!!」 どうやらセックスは知っているらしい。子どもを作る行為としかみなしていないようだが。 「大丈夫、初潮まだだから」 「しょちょー? なんだそりゃ」 「…セックスしても子どもができないってこと」 「へえ、そういう仕組みなのか。じゃあ、やってみるか」 郷田の性に関する知識の薄さと性行為への認識の軽さは異常である。授業を受け持った保健教師はたぶん泣くだろう。 一方でミカにとっては、望みを叶えるためこの上なく好都合であった。 ミカは机に敷いた郷田の上着の上に腰を下ろし、郷田と向き合う。邪魔なスパッツもショーツもすでに取り払った。 胸の高鳴りと舞い上がりそうになる気持ちを抑えながら、あとは郷田のなす行為に合わせればいい。 しかし、待てども郷田は動かない。まだ毛も生えていないミカの恥丘を見据えたまま、凍りついたように固まっている。 「……どこに入れりゃいいんだ」 こういう肝心なところで躓いてしまう郷田に不満がないわけではない。 それでもミカはそんな部分も含めて郷田のことが好きなのだ。 みっともないくらいに脚を広げ、愛液で潤う秘所をさらし、手に手を取って郷田の指をそこに導く。くちゅり、と情欲の音が鳴った。 「狭いな。入るのか?」 「入る…そういう風にできてるから」 無論、やはり根拠はない。だがどうしても郷田を受け入れたかった。 愛しい人とひとつになれるかもしれない。その期待と興奮でミカの心は満たされていた。 「来て…」 「おう。行くぞ、ミカ」 郷田のたくましいモノが近づいてくる。膣口に触れた。そして (え…?!!!) 一瞬の出来事で、何が起きたかミカにはわからなかった。 ただ待ち望んでいたはずのモノが、下腹部に不快な圧迫感を与え、自分を深々と貫いていることだけは理解できた。 そしてその存在を意識すれば、鋭い斬撃が身体中を切り刻み、鈍く重い衝撃がジンジン脳に響く。 まだ身体の出来上がっていないミカには、郷田は大きすぎた。 (痛い…! 何これ…死んじゃう…) セックスというものはもっとロマンチックで、心地の良いものだと思っていた。 愛する者同士、互いを想い合い、相手のすべてを受け入れ、身も心もひとつに溶け合う。 そんな理想とあまりにも程遠い現実を目の当たりにし、ミカの心は打ちひしがれる。 痛い、苦しい、気持ち悪い。好きな人との交わりがこんなものであるはずがない。 こんなの、もう、いやだ。 「うぅ…ごうださん…」 これ以上夢を穢さないため、ミカは中止を訴えようと声を絞り出した。 だが郷田はその訴えを無慈悲にも一蹴し、抽送運動を始める。 ミカと郷田のサイズ差は、ミカには苦痛を与えたが、郷田には快楽を与えた。 「ぁあっ、やあぁぁあっ!」 普段のミカからは想像できないほどの甲高い悲鳴が上がる。 肉がえぐられ、内臓がつぶされるような感覚は、ミカの小さな体では耐えられようもなかった。 もし第三者がこの教室を観測したとして、感じられるのは、女というには幼すぎる喘ぎ声、男の荒い呼吸、粘性の高い水音、肉がぶつかる乾いた音、発情した男女の猥雑なにおいだけであろう。 先ほどまで明るかった月には雲がかかり、その光は闇を晴らすには足りない。 だからミカが郷田の表情をうかがうことはできないし、ミカがいくら苦しもうと郷田が気づくこともない。 ただわずかに浮かび上がった輪郭は、肉食獣が非力な小動物を捕食する光景にも似ていた。 その性衝動に基づく暴力は、ミカがセックスに抱いていた甘ったるい幻想など簡単に吹き飛ばしてしまった。 (痛い痛い痛い! こんなの違う!! もうやめてよ、郷田さん…) 言葉を紡ぐことさえかなわないミカは、心の中で行為の終焉を願うことしかできない。 しかし獣が人間の思い通りになるはずはない。そう、目の前にいるこの男は「獣」だったのだ。 快楽をむさぼるため、野性のまま動く獣。 ミカは後悔していた。この獣に恋をしてしまったことを。 ああ、何を勘違いしていたのだろう。 いくら自分が想おうとも、獣が他人を想い返すことなどない。 この行為だって生存本能によるものにすぎない。そこに愛は存在しない。 自分が求めていたような甘く安らかな関係など、最初から到底無理なことだったのだ。 恋が冷めてしまったミカにとって、郷田とのセックスはもはや拷問でしかなかった。 生殺与奪のすべては郷田の手にゆだねられ、郷田が飽きるまで責め苦が止むことはない。 一方的に押し付けられる凌辱を、ミカは必死に堪えていた。 いっそ気を失えば楽になれるのだが、郷田はそれすらも許してくれない。 両手の並ならぬ握力で骨盤がえぐられ、性器同士の摩擦で粘膜が引き裂かれ、未成熟な子宮が断続的に押しつぶされる苦痛は、ミカの意識をなおさらその身にとどまらせた。 それに痛くて苦しくて仕方ないのに、膣はきつく収縮して郷田に喰らいつき、決して離そうとしない。 最奥を突かれるたび肺から無理矢理空気が押し出され、上げたくもない声を上げてしまう。 「ん…ぁあ…! ひっ…く、あっあぁぅっ!!」 のどがひりついて呼吸すらままならず、ミカは酸素を求めて口を必死にパクパクと開閉させる。 辛くて、悔しくて、涙がこぼれた。わずかに差し込む月の光が悔恨の雫に反射し、きらめく。 しばらくして、その光をとらえた郷田は、ほんの数秒だけ動きを止めた。 そしてその数秒の間に、ミカにとっては信じられない行動をとった。 郷田が何を考えていたのかはわからない。 嗜虐心にかられたが故かもしれないし、単なる気まぐれだったのかもしれない。 だが、確かに郷田はミカの唇に自らの唇を重ねたのだった。 つまりそれはキス、だった。 そしてたったそれだけのことで、ミカの幼い恋心は再び燃え上ってしまう。 (……! 郷田さん! 郷田さん、郷田さん…!) 今この瞬間、自分の手の届く場所にいてくれる郷田を離すまいと、ミカは脚を郷田の背中に、腕を郷田の肩に、舌を郷田の舌に絡める。 郷田の動きに合わせて、自らも腰を振る。 痛みが消えたわけではない。苦しみから解放されたわけでもない。 だが、人としての理性は、もう郷田によって壊されてしまった。 だからミカも、小賢しい余計なことは考えず、彼が欲しいという野性の命じるまま、彼を求めるだけだ。 愛がもらえないなら、自分からもぎ取ればいい。 そんな浅ましい自分自身を感じ、ミカはいやでも思い知らされる。 自分もまた、この人と同じ「獣」なのだと。 (郷田さん、もっと壊して…) 衝動に突き動かされる雄と雌の獣。 配慮など微塵もなく腰を打ちつけ合い、結合部からはじゅぶじゅぶと品のない音が立つ。 たとえ子をなさぬ生物的に無駄な行為だとしても、満たされる肉欲に悦ぶ。 他の誰も間に入らせまいと、互いに相手の身体に自分を刻み付けるよう強く深く抱きしめ合う。 徐々に、呼吸が速くなる。襲いくる奔流の中に、新しいなにかが芽生える。 もう少し、もう少しで未知の世界に手が届きそうなのに。 雄が一瞬身を震わせて、短く、低く吠えた。 途端、雌の中にほとばしる熱が注ぎ込まれる。 爆ぜる。蕩ける。溺れる。いろんな感覚がないまぜになって、頭の中が真っ白になった。 「ごうださん……だいすき…」 虚空に向けた小さな告白は、誰に届くでもなく、霧散した。 雲はすでに払われ、月は再びその輝きを夜空に取り戻していた。 月光の下、ミソラタウンの住宅街を行く影が一つ。いや、よく見れば二つの影がひとつになっていた。 あれだけ甚振られたミカが足腰も立たなくなったのは致し方ないことであるし、動けないミカを郷田が背負うことになったのも致し方ない。 ついでに述べれば、教室の後始末もすべて郷田がする羽目になったのだが、生来のガサツさから作業は尋常でなく困難を極めた。 また、鮮やかな赤い痕だの白濁したゾルだのがこびりついたチリ紙を教室のゴミ箱に捨てるわけにもいかず、今は上着のポケットの中だ。 せっかく回収した上着だが、どうやら明日は着られそうにない。 ともかく郷田におぶわれる形となったミカは、理屈抜きに幸せだった。 「悪いな、遅くなって。金があればタクシーでも呼べたんだが」 「優しいね、郷田さん。いいの、気にしないで」 郷田さんと一緒にいられる方がずっといいから。 どんなにこの身が痛もうと構わない。この心が傷つこうと構わない。 もう言い訳なんてしない。自分はこの人が好きだ。 ミカは何も言わずに、目の前の愛しい背中を抱きしめた。 「…あ、そーだ。そういや、この辺のタクシーってなあ…」 ちょっとした沈黙に耐えられなくなったのか、郷田は突如ミソラタウンのタクシー事情について話し始める。 システムと自動車需給の問題から入ったはずが、いつの間にかハードウェアとしての自動車の話になり、タクシーにとどまらず家庭用車両から特装車の構造にまで至っていた。 その知識量は、ミカの同級生である重機マニアのリュウですら及ばないだろう。 このように知的な話題を饒舌に語る郷田が初めてだったミカは、新たな彼の一面を発見した気がして嬉しかった。 もっとも、ミカにはモーターとバッテリー以外は馴染みのない単語ばかりで、内容に関してはまったく理解できなかったのだが。 「なんだか意外。郷田さんがLBX以外のことにも、そんなに詳しいなんて」 「まあなんっつーか、親父がそっちの仕事やってて、家でもいろいろ言うからな。嫌でも気にしちまうさ。門前の小僧ってやつだ」 口ではそう言っていても、父親のことを話す郷田の目が輝いていることをミカは見逃さなかった。 「お父さん、いい人なんだ?」 「ああ、厳しいけど自慢の親父だ。俺もああいう人間になりたい」 照れながら父親を誇る郷田の顔は、15歳の少年らしい将来への夢と希望にあふれた顔だった。 「でも甘いとこもあんだぜ? 試作機のハカイオーを俺にくれたりな。まさか戦闘データがCPU製品の演算処理モデルに使われるとは思ってなかったけどよ」 郷田は何の気なしに言ったつもりだろう。だが一般家庭とかけ離れた家庭事情を聞かされれば、疑念を抱かないものはいない。 ミカもまた、その一人だった。一つ、至った結論を尋ねる。 「…郷田さんのお父さんって、もしかしてプロメテウスの…?」 「社長やってるぜ、一応」 刹那、ミカの世界が一変する。自分と彼の人生の違いに愕然とする。 郷田がまた何かを話し続けているが、もうミカの耳には入らなかった。 郷田をずっと見てきたはずなのに、何も知らなかった、あまりにも狭い視界でしかいられなかったことをミカは思い知らされる。 彼は太陽のような人。熱く、まぶしく、男女の区別なくたくさんの人を惹きつける。 戦いでは激しく、人付き合いでは優しい。獣の野性と人の理性を兼ね備えた気高き王。 そうなるべくして教育され、現に今もその道への歩みを進めている。 対して自分はどうだ。自分本位で無愛想で、勉強ができるわけでもなければ、特別LBXが強いわけでもない。 いずれ彼は今以上に大勢の人の上に立ち、皆から愛される大人になる。 今の自分では彼に釣り合わない。一緒にいても彼の幸せになるはずがない。 好きなだけでは、ダメなのだ。 ならば、それならば、背中を追うのはもうやめにしよう。 この幼い恋は――捨て去ってしまおう。 「着いたぜ。ここでいいんだよな、お前の家」 ミカが思い悩んでいるうちに、二人の時間は終わってしまった。 もう何度悩んで、悩んで、悩みぬいただろう。だが、これできっと最後だ。 ミカは郷田の背中を離れ、なんとか立てるくらいには回復した足で、地面にすとんと降り立つ。 そしてここまで一緒にいてくれた郷田に、深い漆黒の瞳をもって向き合った。 「郷田さん、ありがとう」 思い出をいっぱいくれて。 誰にも見せたことがないほどの極上の笑顔を、ミカは郷田に向ける。 その笑みはとても愛らしく、心ならずとも郷田を狼狽させるには十分であった。 「お前、笑うと可愛いな…って何言ってんだ、俺。か、体、気いつけろよ! えっと…………じゃあな!」 それだけ言って、郷田は足早に夜の暗がりの中へ消える。 いつも見てきた背中が、大好きだった背中が遠ざかっていく。 それを見送るミカの目から不意に、ぽろぽろと光の粒が零れた。 「おかしいな…決めたはず、なのに」 笑って、お礼を言って、それでこの気持ちを終わりにするって決めたはずなのに。 もう、彼の姿は見えない。一人立ち尽くすミカの呟きが闇に響く。 「私、きっと変わるから。強くなるから。いつか隣に行くから…それまで待ってて…!」 月明かりは町を、ミカの世界を照らし続けていた。
https://w.atwiki.jp/nyanmage1967/pages/28.html
アルファベット順 Babylon 2055 Pinball Balls of Steel Basketball Pinball Dragon Pinball Dream Pinball 3D - 「Knight Tournament」「Monstercastle」「Underwater World」「Dino Wars」「Spinning Rotors」「Fantasy」を収録。 Fantastic Pinball Thrills - 「BREAK THE SPEED」「WIESENFEST」「FLY AWAY」「RACING」「IN SPACE」「CASTLE」を収録。 Full Tilt! Pinball - 「Space Cadet」「Skulduggery」「Dragon's Keep」)]]を収録。 「Space Cadet」は、「Microsoft Plus! for Windows 95」にも同梱され、後に「Windows NT 4.0」、「Windows 2000」、「Windows Me」、「Windows XP」に標準添付されていたピンボール作品(日本語版製品名「Windows 3D ピンボール」)。 Halloween Pinball Hot Pinball Thrills - 「CAR WASH」「MOULIN ROUGE」「BEACH」を収録。 Hyperspace Pinball Jurassic Pinball Lawnmower Game Pinball Malzbie s Pinball Collection - 「Time to Fight Back」を収録。 Microsoft Pinball Arcade - 「Baffle Ball」「Humpty Dumpty」「Knock Out」「Slick Chick」「Spirit of'76」「Haunted House」「Cue Ball Wizard」を収録。 Mummy Pinball Muppet Pinball Mayhem Neon Nights Pinball Outergalactic Aliens Pinball Pac-Man Pinball Advance Pinball(eGames版) Pinball(baKno Games版) Pinball(Hubel版) Pinball Arcade Pinball Construction Set Pinball FX シリーズ Pinball Gold Pack - 「Vikings the Tales」「Exterms Sports」「Revenge of the Robot Warriors」「Stall Turn」「Stones 'N' Bones」「Billion Dollar」「Jail Break」を収録。 「Stones 'N' Bones」「Billion Dollar」「Jail Break」は、後述の「ピンボール・ファンタジーズ DX」にも収録。 Pinball Hall of Fame シリーズ Pinball HD Collection - 「Wild West」「The Deep」「Jungle Style」「Pirates」「Red Planet」「Snow」「Da Vinci」「Arcade」「Tanks」「Halloween and others」を収録。 Pinball M - 有償DLCラインナップがホラー物コンテンツに特化されているのが特徴。 Pinball Madness シリーズ Pinball Master Pinball Parlor Pinball Spirits - 「POKER」「MTB」「TOY BOX21」を収録。 Pinball universe Pinball Wicked Pirates Pinball Pro Pinball シリーズ「アルティメット・プロ・ピンボール」 - 「Big Race USA」「Fantastic Journey」「Timeshock!」を収録。 Pure Pinball Quantic Pinbal Retro Pinball - 「Tropical Splash」「David Slade Mysteries」「Gore Ball」「Pool Hall Deluxe」「Call To War」「Zen Garden」「RD's Adventure Mini Golf Pinball Edition」を収録。 Roundguard Roxy Raccoon s Pinball Panic Safari Pinball Soccer Pinball Thrills - 「HATTRICK」「FREE KICK」「PENALTY」を収録。 Shark Pinball Skully Pinball Slamit Pinball Big Score Slamtilt、ピンボール(ダイソー版) Slot Shots Pinball Collection SNAP! Pinball Snowball! Steam Pinball Arcade Titans Pinball Tomb Keeper Mansion Deluxe Pinball Touchdown Pinball Ultimate Games - Arcade Pinball Ultimate Pinball シリーズ World Soccer Pinball Williams pinball classics - 「Jive Time」「Gorgar」「Firepower」「Black Knight」「Space Shuttle」「Sorcerer」「Pin*Bot」「Taxi」「Funhouse」「Whirlwind」「Tales of the Arabian Nights」「Medieval Madness」「No Good Gofers」を収録。 Worms Pinball Zaccaria Pinball Zombie Pinball 五十音順 アキラ サイコボール アドベンチャー・ピンボール ~失われた孤島~ アメリカン・アーケード アルティメット・プロ・ピンボール - 「Big Race USA」「Fantastic Journey」「Timeshock!」を収録。Pro Pinball シリーズ エイリアンクラッシュ シリーズ エレメンタル・ピンボール 大玉 - タワーディフェンスの要素も絡めており、対応プラットフォーム専用音声入力マイクも必須となっている。 カービィのピンボール ザ・ピンボール・オブ・ザ・デッド サンダーボール シナモンボール くるくるスイーツパラダイス スーパーピンボール(ココナッツジャパンエンターテイメント版) - 麻雀の要素も絡められている。 スーパーピンボール シリーズ(メルダック版) スーパーマリオボール スーパーロボットピンボール - 「ノーマルステージ」「エネミーステージ」「ステージボスステージ」を収録。 セガフリッパー ソニック シリーズ(ピンボール) - 「ソニック・スピンボール」「ソニックピンボールパーティー」など。「Dr. Robotnik’s Mean Bean Machine」は「落ち物ゲーム」に収録。「ソニック・ザ・ヘッジホッグ殺人事件」は「ビジュアルノベル型アドベンチャー、サウンドノベル型アドベンチャー」および「クリック型アドベンチャー」に収録。「チームソニックレーシング」「ソニック セガ オールスターズ レーシング」「ソニック オールスターレーシング トランスフォームド」「ソニック フリーライダーズ」「ソニックライダーズ」「ソニックR」「ソニック ドリフト シリーズ」「ラッドモビール」は「ソニック シリーズ(カーレース)」に収録。その他のソニック・シリーズは「ソニック シリーズ(メトロイドヴァニア(探索型リアルタイム))」に収録。 中華風ピンボール デジタルピンボール シリーズ 鉄球 TRUE PINBALL - PC版の製品名は「PINBALL ILLUSION」。 デビルクラッシュ ドラゴンヒート レジェンドオブピンボール ナグザットピンボール 邪鬼破壊 ハイパー3Dピンボール - 「FUNFAIR」「STAR QUEST」「GUNGSTER」「MYST AND MAJIK」「THE MONSTER」「?」を収録。 バトルピンボール パワーレンジャーピンボール ピンボール(ダイソー版)、Slamtilt ピンボール(任天堂版) - アーケード版の名称は「VS.ピンボール」。 ピンボール(ハドソン版) ピンボール・グラフィティ - 「Basket Ball Legend」「Card Master」「Circus Fantasia」を収録。 THE ピンボール シリーズ - 「Super Lite 1500」シリーズ内シリーズもしくは「Standard 1500」シリーズ内シリーズ。開発元はリトルウイング。 THE ピンボール -3D- - 「SIMPLE1500」シリーズ Vol.11。 THE ピンボールX3 - 「Attack the Dragon「Love Songs アイドルとピンボール」「Operation Thunder Storm」を収録。「SIMPLE2000」シリーズ Vol.26。 ピンボール・ファンタジーズ DX - 「パーティー・ランド」「スピード・デビルズ」「ビリオン・ダラー」「ストーンズ・'N'・ボーンズ」「タランチュラ」「ジャイル・ブレイク」「キック・オフ」「ジャック・ポット」を収録。 「ビリオン・ダラー」「ストーンズ・'N'・ボーンズ」「ジャイル・ブレイク」は、前述の「Pinball Gold Pack」にも収録。 ピンボール66匹のワニ大行進 ファイアボール ファミリーピンボール - 「ナムコット ファミリーコンピュータゲーム」シリーズ第54弾 フリップニック ポケモンピンボール ボールパニカー ムーンボール シリーズ メイガス 真・女神転生ピンボール ジャッジメント メトロイドプライム ピンボール ロックンローラー 数字順(ゲームタイトルが数字から始まる製品) 3D Pinball Hentai 3D Ultra NASCAR Pinball 「ゲームソフト攻略サイト まとめwiki」TOP へ戻る
https://w.atwiki.jp/dansen_eroparo/pages/60.html
オンリー・マイ・アミ 二度と踏むことのないと思っていたミソラ商店街の道。 並んでるのはお馴染みキタジマ模型店、修羅と廃人が集うゲームセンター、滅多に開かないたこ焼き屋に、いつも静かなブルーキャッツ… 久しぶりに戻ってきた故郷の変わらない様子に、ちょっとした感動すら覚える。 少し前、ディテクター、という組織の起こした事件が世間を騒がせた。主犯は友だちの親父さん、共犯は俺。 罪状は狂言テロ。あと器物破損、誘拐、軽いけど傷害も多数。 いろいろワケありだったとはいえ犯罪を働いたんだから、当然罰を受けるもんだと思ってた。 でも山野博士が調子よく便乗犯に責任を押し付けてくれたおかげで、俺も晴れて無罪放免になったわけだ。 一生日陰者でいる覚悟を決めた割には、あっけなく逃亡生活が終わってしまって、ちょっと拍子抜けした。 LBXをテロの道具にしたってことでバンにはめちゃくちゃ怒られたけど、「これからLBXを正しく使ってくれるなら、いいよ」って笑って許してくれた。 やっぱバンはスゲーや。俺が心配するまでもなかったな。 そんで今はバンたちと一緒に世界を守るために、例の便乗犯と戦ってる真っ最中だ。 悪魔みたいに思ってたアキレス・ディードも、使ってみれば意外に素直で扱いやすく、今や俺の気持ちをダイレクトに表現してくれる一番の相棒になった。 おかげでバンたちの力になれたこともあるしな。 てなわけで、俺の生活はぜんぶ元通りに戻った。 たったひとつの、いや、ひとりの変化を除いて。 「あのさ、アミ」 「いやっ……!」 後ろから呼び止めようとして肩に置いた手が、振り払われた。 振り返ったアミの顔には恐怖の色が浮かんでいて、でも俺と目が合ったらすぐにハッとした表情をして何もなかったみたいに取り繕った。 「あ、ああ、なあんだカズだったの…ごめんなさい、ちょっとびっくりしただけだから」 「どうしたんだよ、アミ。最近なんか変じゃないか?」 「そんなことないわ、いつも通りよ。なんでもないから……心配しないで」 近頃、っていうかNICSに協力し始めてからのアミは、ずっとこんな感じだ。 口ではなんでもないって言ってるけれど、見ただけでわかるほど様子がおかしい。 ひとりでいるときは決まって、何かに怯えるみたいにいっつもおどおどしてる。 アミはどんなつらいことがあっても自分だけで抱え込もうとするヤツだ。 何があったかわからないけど、できることならアミの力になりたい。大切な友だちだから。 アミの異変の原因がわかったのは、本当に偶然だった。 ダックシャトルのレクリエーションルームに入ろうとしたとき、中から話し声が聞こえてきて、ついドアの前で聞き耳を立てた。 なんで盗み聞きなんかしたかっていうと、その声の片方がアミの声だったから。 もう片方の声の主、ジェシカがコーヒーらしきものを口に運びながら、アミに尋ねていた。 「ずっと聞こうと思ってたんだけど……アミ、アナタって男性恐怖症?」 「え…な、なんでそんな風に思ったの?」 「なんとなく、よ。平静を装ってるみたいだけど、アナタの仕草を観察してたら少し男の子たちと距離を置いてるように感じたの」 ジェシカもアミの異変に気づいてたらしい。 でも『男性』恐怖症? 俺はアミがおどおどしてることばっかり気になって、アミが『何』を怖がってるかなんて考えてもみなかった。 言われてみれば自由時間は俺やバンよりも、ランとかと女同士で固まってることが多かった気がする。 俺が……アミを怖がらせてたのか? 「去年のアルテミスで見たときはもっと活発で男にも負けない!って感じだったのに、今はすっかりおとなしいから」 「そんなこともわかるんだ……ジェシカはすごいのね」 「こんなにデータと違ってくるなんて、普通はありえないわ。何か心当たりがあるんじゃない? もしイヤでなければ話してみて」 そう言ってジェシカはアミの紙コップにひとつ、角砂糖を落とした。 A国人特有のフランクさで聞きづらいことも聞けるジェシカが羨ましいぜ。 俺はこうしてアミを見てることしかできないってのに。 だけどアミの返した答えを聞いて、聞かなけりゃよかった、って思った。 「怖い…夢を見るの。男の人に押さえつけられて、乱暴される夢…」 「それがトラウマになってるのね。でも夢の話よ。気にすることないわ」 「うん…ただの夢ならいいんだけど…」 「心配ないわ。もしそんな男が本当にいたとしたら、NICS長官の娘の名に懸けて、ワタシが絶対に逮捕してあげるから!」 「ふふっ…ありがと、ジェシカ。話したらちょっと楽になったわ」 なんてこったい…… アミがスレイブにされていたとき、俺はアミの冷たい態度に逆上してアミをレイプした。冷静になってから死ぬほど後悔した。 山野博士はそのときのアミの記憶を消してくれたし、俺もできるだけ思い出さないようにしてた。それも、無意識のレベルで。 でもそれでぜんぶチャラになったわけじゃなかった。 俺自身も思い出したくなかった、忘れてしまいたかったあの悪夢は、アミの身体に確実な恐怖として刻まれてしまっていた。 俺にアミの友だちでいる資格なんかない。 公的に追われることがなくなっても、アミが覚えてないとしても、俺の犯してしまった罪が消えることはないんだ…… 知りたくなかった事実を知ってしまって、俺はたぶん、すごく情けない顔をしてると思う。 でも、知ってよかったとも思う。知らなければ一生、罪を償うチャンスさえ得られなかったかもしれないから。 今の俺は、昔の俺とは違う。嫌なことからすぐ逃げ出してた、あの頃とは。 だから逃げちゃいけない。逃げたら二度とアミの顔を見られない。 俺は覚悟を決めて、レクリエーションルームのドアをくぐった。 「アミ」 「あ……カズ。どうしたの? マジメな顔しちゃって」 「アミに…大事な話があってさ」 「じゃあワタシは席を外した方がいいわね。またね、アミ。いつでも相談してちょうだい」 そう言いながら飲んでいたコーヒーの紙コップをゴミ箱に捨てたジェシカは、ちらり、と一瞬俺の方を見てから部屋を出て行った。 その視線がなんとなく痛かったのは、俺の気のせいなんだろうか。 これから告げなければいけない内容を思うといやでも気が重くなる。 「な、何かしら。カズ、なんだか怖いよ…」 「どうしてもアミに言わなきゃいけないこと、あるんだ」 もしかしたらアミにつらいことを思い出させてしまうかもしれない。 それでも俺は、けじめをつけなきゃいけない。 「アミがディテクターにいたとき、俺、無理矢理アミのこと…レイプした」 「……え?」 「俺がヤったんだってば! レイプ、ゴーカン!!」 俺は自分のやらかした罪をアミに話した。 アミのトラウマは夢なんかじゃなくて、実際にあったってことを。 アミが洗脳されてるのをいいことに、暴力でアミを押さえつけて、めちゃくちゃに犯したことを。 ぜんぶ、何もかも、洗いざらい話して、最後にゴメン、と付け足した。 拳の一発くらい飛んでくるだろう、と覚悟してた俺の予想とは裏腹に、返ってきたアミの声は意外にも穏やかだった。 「なんだ、カズだったんだ。よかった…」 よかった…ってなんだよ。もしかして……相手が俺で嬉しかったってことなのか? 「もし知らないオジサンとかにされちゃってたらと思うと、ほんと、ゾッとするもの」 あ、そういうことか… 勘違いして浮かれそうになってた自分を諌める。 そうだよな、俺はアミにヒドいことをしたんだ。好きになってもらえるわけがない。 殴って、レイプして、限界まで追いつめて……どんな仕返しされたって文句は言えないくらいの悪事。 なのに、アミは俺を責めない。じっとこっちを見つめてくるだけだ。 「アミ……怒らないのか?」 「だってカズは私を元に戻そうとしてくれたんでしょ? そんなの怒れないわ」 「違う。最初はそうだったかもしんないけど…途中からわけわかんなくなって、イライラして、ぜんぶ投げ出したくなって、アミに八つ当たりしただけなんだ」 「…仕方ないわよ。周りは変なことばっかりで、カズひとりだけが正気に戻ったもの。 もし私がその立場だったとしても、おかしくなってたと思う。だから…仕方ないの」 「それじゃダメだ!」 アミが提案してくれた逃げ道を、声を荒げて否定した。 アミのためにやったことじゃない。仕方ない、ですませられることでもない。 ぜんぶ俺が悪いんだから、そんな憐れむような目で見るなっての…! 「このままだと俺の気がすまないんだ。殴っても、NICSに突き出してくれてもいい。なんでもいいから、俺の罪を裁いてくれよ!」 罪には罰を。裁かれない罪が許されることはない。 罪を償えなかったら、俺はこの先ずっと後ろめたい気持ちを抱えながら生きてかなきゃならない。 …許されることだとは思ってないけど、許してほしい、って思ってしまうのは調子よすぎるかな。 「私がはっきり覚えてないことで怒れって言われても困るけど……何かしないと、カズは納得できないの?」 黙ってうなずく。 「じゃあ、やり直して」 やり直す……何を? アミが俺の顔を覗き込む。距離が近くて少しドキッとした。 「初めてのときの思い出が怖いままなんてイヤじゃない? だから私の初めてをもう一度やり直してほしいの」 何を言ってるんだ、アミは。 だってそれはつまり、強姦魔にまた抱かれることになるんだぜ? …いや、違うか。アミは俺を『強姦魔』じゃなくて『友だち』に戻そうとしてくれてるんだ。 あの悪夢をなかったことにして、普通の女の子が好奇心で経験するようなどこにでもある初めてにする。 そうすれば俺とアミはまた、元通りの友だちに戻れるかもしれない。 たぶん俺自身は、罪を忘れることなんて一生ないだろうけど…… 「アミが、それでいいなら」 「うん、いいわ。今夜、私の部屋に来て」 わかった、と返事をする。 アミが部屋を出て行って、その場には俺ひとりだけが取り残された。 今夜、ケリをつける。俺の気持ちも、アミのトラウマも、できることなら今日でぜんぶ終わらせよう。 将来アミがどっかの男と付き合とき、セックスに変なトラウマ抱えたままだったら不幸だ。 アミが普通の人生を送っていけるように、初めての経験をごく普通のものにする。 上手くできる自信なんてないけど……それが俺の責任の取り方。 ふとテーブルを見ると、アミが置き忘れた紙コップの中に、飲みかけのコーヒーが残ってるのに気付いた。 苦い。 そのコーヒーには砂糖がたっぷり入ってたはずなのに、むせるくらいに苦かった。 ヤバいヤバいヤバい。 アミと話してたときはなんか妙に落ち着いてたけど、今になってプレッシャーに押しつぶされそうになる。 だってセッ……セックスなんて、あの一度きりしかしたことないんだぜ! それを、今夜またアミと…… 無理、絶対無理。心臓バクバクだし、頭グラグラだし。あーもう、どーすりゃいいんだ! 精神的に切羽詰まったときの行動ってのは、後々考えてみると相当おかしかったり恥ずかしかったりするもので、 「あの、セックスってどうやればいいんすか!」 ほとんど童貞で女の抱き方も知らない俺は、NICSやシーカー関係者に手当たり次第こんな質問をしていた。 てっとり早く実践的な知識を増やすには、他人の経験を聞くのが一番、と思ったんだろう。 (同年代のみんなと郷田には聞くだけ無駄だから聞かなかった) 真野さんに聞いたら思いっきりビンタされて「10年早い!!」って言われた。 拓也さんに聞いたら飲んでたお茶吹き出してそのまま固まった。なんだったんだ、あの反応。 とまあだいたいの大人たちは真剣に取り合ってくれず、結局参考になりそうなこと教えてくれたのは、八神さんと仙道だけだった。 そんなこんなで夜になって。俺はダックシャトルのアミの部屋の前に立っていた。 立っていた、っていうか立ちっぱなしでもう10分。約束の時間を過ぎたってのに、俺の優柔不断はなかなか引っ込んでくれない。 しっかりしろ、俺。なんのためにここに来たんだよ。罪から逃げるな。アミを解放してやるんだろ。 フウッとひとつ大きく深呼吸をして、気持ちを落ち着かせる。 よし、とりあえずノックを―― プシュッ 「……カズ、何してるの?」 ――しようとした瞬間、ドアが開いて中からアミが顔を出した。 「あ、ええと、今アミのとこ行こうとしてた」 「ふうん、あんまり遅いから来ないかと思っちゃった。あんまり、女の子待たせるものじゃないわよ?」 「…わりい」 「もういいわ。入って」 いたたまれなさを感じながら、アミに続いて部屋に入る。 アミの部屋は俺の部屋と違って、キレイに整理整頓されていた。その中で結構なスペースを占めるベッドの存在感が半端無い。 ……なんかめちゃくちゃ気まずい。 「えっと…」 「シャワーはもう浴びたから、早く始めましょう」 背中を向けたまま、アミはそそくさと着ている服を脱ぎだした。 ほのかに上気する白い肌、胸から腰にかけてくびれた色っぽいボディライン。普段なら絶対お目にかかれない光景が目の前に現れる。 あまりにも刺激の強すぎる急展開について行けず、俺は慌ててアミの肩に手をかけた。 「ちょっ、ちょっと待てよ、アミ! もう少し落ち着いてから…」 「いやっ……!」 肩に置いた手が、また振り払われた。 「あ…違うの、イヤじゃないの。ただ…早くしないと決心が鈍りそうで……」 薄い下着だけを身に着けたアミが、キュッと俺の手を握る。アミの手は小刻みに震えていた、ように感じた。 どんなに平気なフリしてても、怖いんだよな、やっぱり。 俺以上にアミの方がよっぽど不安なはずなのに。怖いのを我慢して、必死に勇気を振り絞って、今俺に向かい合ってくれてる。 …ったく、男の俺が煮え切らないでどうすんだっての。 さっさと終わらせて、アミを自由にしてやれよ。それが罪を犯した俺の責任だろ。 いったん手を離して、アミも俺も着ていたものをぜんぶ取り払った。 前に見たことがあるはずなのに無性に恥ずかしくて、お互いろくに直視できない。 ためらいを消し去るように、アミの身体を引き寄せ重心を奪う。 柔らかい中に潜むこわばりを感じながら、そのまま、ゆっくりベッドに倒れこんだ。 …アミって、こんなに小さかったかな。 背丈も頭ひとつ分くらい違うし、腕だって俺の半分の太さもない。 こんなに細い身体で唯一胸だけは大きくて、でも俺のとはやっぱり全然違って。 1年前はほとんど変わらない体格だったのに、今はもう全く別の生き物になってしまったんだと思い知らされる。 それを寂しく感じる一方で、女っぽくなったアミの裸に欲情してしまうのは、どうしようもない男のサガ。 俺の逸物がアミの中に入りたくて勃ってきてるけど、今はまだ早い。 仙道がタロットをいじりながら言った言葉を思い出す。 『経験の浅い女がセックスでよがると思ってんなら大間違いだ。突っ込む前に十分イかせてやるんだねえ』 ちなみにタロットの結果はジャッジの正位置だったらしい。意味は知らない。 余計な肉のついてない脇腹を撫でる。手に余るほど大きな胸を揉む。 「は……ぁっ…」 熱い吐息と一緒に、アミの口から喘ぐような声が漏れ出る。 手を脇腹から腰、そして太ももに移動させ、とうとう脚の間に触れた。 薄い茂みの中の割れ目はわずかに湿っていたけれど、本当にわずかだった。 エロ漫画みたいに少しさすったり撫でたりすれば濡れまくる、ってわけじゃないらしい。 おそるおそる湿った割れ目に手を近づける。 「んんっ……!」 指一本挿れただけなのに、アミが痛々しく呻いた。 アミの中は狭くて、きつい。 無理矢理押し込んだといっても、この中に一度でも俺のが入ったなんて、とても信じられない。 中に指をこすり付けたり、クリをつまんだりして入口をほぐす。愛撫と呼ぶには拙すぎる刺激。 さっきよりは濡れてきた気がするけど、アミを気持ちよくできてるとは思えない。 ほっぺたが真っ赤に染まって、息が荒くなって、むしろ苦しんでるように見える。 無理だ。こんなんでイかせられるわけがない。 上手くできなくて内心焦りまくってる俺の手に、優しくアミの手が添えられる。 「ね、もういいよ。私はもうできるから、カズも無理しないで」 緊張を和らげるようにアミが微笑んだ。 微笑む、っていっても前みたいな明るい笑顔じゃなくて、同情からきたみたいな作った笑顔。 女の子に気い遣われるなんて情けねー… つっても確かにこれ以上は俺の方がもたない。 ぬるま湯に浸かったような指の感覚とか、色っぽい大人びた喘ぎ声とか、女の子特有の匂いとかで、もう俺の逸物はギンギンに暴発寸前だった。 挿れる前に出しちまったらもっと情けねーし、目も当てられない。 アミが言う通り、そろそろ始めても大丈夫だよな? と、その前に。 脱いでその辺に放り出したズボンのポケットに手を伸ばす。 「…ゴムつけるから待って」 「用意、してたんだ。そんなに気が回るなんて…なんだかカズらしくないわ」 「こ、このくらい男として当たり前だろ!」 実は八神さんに忠告されるまで避妊のこと完全に忘れてた。もう子供を作れる体になってる、って自覚が無かったから。 でも、実際裸で向かい合ったらすぐに、俺たちが大人になっていってるんだって理解した。アミは立派に女だし、俺は男だ。 慣れない手つきで男の部分にゴムをつけてから、アミに覆いかぶさる。 先端が入口に触れた瞬間、アミの身体がビクッと跳ねた。レイプの恐怖がぬぐえないのか、目を固く閉じて、全身を硬直させている。 あんま怖がられると、自信がなくなってくる。最後まで続ける自信が。 「怖いかもしんないけどさ…我慢して、力抜けよ」 今度は殴ったり、首を絞めたりしないから。優しくするから。 俺の言葉に応えるように、ふっと、一瞬アミの身体の硬直が解けた。 それを見計らって、アミの奥深くへ押し付ける。 「あうぅっっっ! んっ…おっきい……」 どうにか、ギリギリぜんぶ入った。 …なんだ、これ。この感覚。動悸、息切れ、それに意識が朦朧とする。 ふわふわするような、痺れるような、風邪を引いてひどい熱を出したときみたいだ。なのに、嫌悪感は全くない。 きつい締め付けに抗ってアミの中を往復するうちに、だんだんと滑りがよくなって、新しく生まれた興奮が俺をもっと激しく突き動かす。 アミが俺にもたらす快感は、俺をすぐにでも限界に追い込もうとする。 限界? ……いやだ。まだ終わらせるもんか。あのときみたいに、身も心も壊れるくらい、アミを犯してしまいたい。 キレイな顔も、柔らかい胸も、今俺を咥えこんでるソコも、髪の毛から爪先までアミのぜんぶを俺のものにしたい。 アミ、アミ。俺の大切な―― 「だ、め…カズ…わたし、へん……こわい、やだ…!!」 ……大切な、なんだよ。 嫌がるアミを犯して苦しめて、一方的に快感とか満足感を得ている俺に、その続きを言う資格はない。 八神さんはなんて言ってた? 『無思慮でただ行為に及べばパートナーに負担をかける。身勝手な快楽に溺れるな。相手を思いやるならば……な』 そうだ、俺が気持ちよくなってちゃダメなんだ。心の交わりなんてない、身体を重ねるだけのセックス。こんなことしてアミはつらいに決まってる。 だって、ほら。 「ひくっ、んんぅ…っ……」 嗚咽を殺して、涙を流して。今、アミは泣いている。 アミは怖がってるんだ。俺のことが怖いのか、男が怖いのか、セックスが怖いのか、それはわからないけど。 もう終わらせよう。 これで最後だから。最後にするから。アミの嫌がることなんて、もう二度としないから。 だから、今だけは俺のワガママに付き合ってほしい。 今まで必死に抑えつけていた気持ちが、のどをせり上がってくる。 「アミ…俺、ずっとアミのこと…」 「え……?」 やめろ、それ以上言うな。同情で余計アミが苦しむだけだ。 わずかに残る理性を振り絞って、続く言葉を飲み込んだ。黒くて重い澱が腹にたまる。 そして俺はアミの中で射精した。まるで、たまったその澱を吐き出すように。 薄い膜に遮られたせいで、ほんのわずかでもそれがアミに届くことはなかったけれど。 セックスを終えて、後始末もすんで、俺は裸のままアミと背中合わせでベッドに腰掛けていた。 事後に抱きしめるとか触れ合うとかは、恋人同士のためにある行為で、俺たちがしていいことじゃない。 恋人でもないのに抱いたから、アミを苦しめて、怖がらせて、泣かせてしまった。 結局、俺が罪を償うことはできなかったってわけだ。 心は重いまんまなのに、性欲を晴らした身体だけが妙にすっきりしてて、アミに申し訳なくなってくる。 「アミ、ゴメンな」 「なんで謝るの」 「だって、アミはつらかったんだろ。その…ずっと泣いてたから。 俺みたいな好きでもなんでもないヤツに抱かれるなんて、本当はイヤに決まってる…」 「違うわよ!」 突然張り上げられたアミの声に、俺の言葉が止まる。 驚いて振り向くと、アミは怒ってるというより呆れてるように見えた。 「なんか態度がおかしいと思ったら、カズ、そんなこと気にしてたの。…えっと、あのね。誰にも言ってなかったことなんだけど、」 アミがうつむいて、どこかばつが悪そうにもじもじする。 「私、気持ちいいと涙出ちゃうの」 はあ?! するとあれか、セックスの間中ずっと泣いてたのは気持ちよかったからで、少なくともそのことに関して俺が気に病む必要なんてなかったってわけで… 「だから謝る必要なんてないの。それに…」 ちょっと待って、まだ頭の中混乱しっぱなしなんだけど。 「好きでもない人とこんなことするわけないじゃない」 「えっ…それってつまり…」 アミは俺のことを……? 「何よ、女の子から言わせるつもり?」 顔を赤くしながら拗ねたように口をとがらせたアミは、1年前の小生意気なアミのまんまだった。 いつも勝気で、非常識なくらい頭が回って、臆病な俺をぐいぐい引っ張ってくれる女の子。 俺はそんなアミのことが好きになって、でも気持ちを伝えられなくて、自分勝手にアミを傷つけて、そしてたった今、アミのおかげでようやく答えにたどり着けた。 ハハ、ほんっと、俺はどうしようもないヘタレ野郎だったってわけだ。 三つ子の魂百まで。どんなに体が大人になってっても心の根っこは変わんないんだな。俺も、アミも。 フウッとひとつ大きく深呼吸をして、気持ちを落ち着ける。 俺がアミに言わなきゃいけないことは、ゴメン、じゃなかったんだ。 本当に俺がアミに抱いていた気持ち。それは、 「アミ、大好きだ!」 「うん! 私も、カズのこと大好きよ」 チュッ ――ヤバいって。このタイミングでキスなんかされたら…俺、もうダメだ。 「きゃあっ?!」 爆発した感情を抑えきれずに、つい、またアミを押し倒してしまった。 だってさ、好きな女の子が俺のこと好きって言ってくれて、キスまでしてくれたんだ。こんなの我慢できるわけねーじゃん! それで誘ってる自覚がないなんて、アミは男って生き物を全然わかってない!! アミのせいですっかり回復した逸物に、また新しいゴムを装着する。 「うそ…さっきイったばっかりでしょ?! なんでもうそんなに元気なのよ!」 「アミがいけないんだぞ、そんなにカワイイから。安心しろよ。今度はアミも足腰立たなくなるほどイかせてやるって」 「信じらんない! カズのエッチ、スケベ、強姦魔、犯罪者!」 「へいへい、どーせ俺はエッチでスケベな強姦魔の犯罪者ですよ。そんな俺が相手じゃ…やっぱりイヤか?」 「う…イヤじゃない、けど」 「じゃ、決まりだな。行くぜ」 腰を押し進めると、アミのソコは驚くほどすんなりと俺を受け入れてくれた。 「はああぁん…! ばかぁ…調子に乗りすぎよ……!!」 「アミの中、すげえ気持ちいい」 「んんっ…おかしなこと言わないで、恥ずかしい」 へっへっへ、何度だって言ってやる。だってこんなに気持ちいいんだぜ。 さっきのとかレイプしたときも、正直言うとたまらなくよかった。 でも今回のはまるで違う。 アミと、体だけじゃなくて心も繋がってる。 あったかくて、柔らかくて、癒される。アミがすぐそこにいるのが実感できる。 「すんっっっげえ気持ちいい。アミは気持ちよくないのか?」 「えっ…ん、あぅっ…………き、気持ちいいよぉ…でも、変になりそうで…こわい……」 「変になれよ。ぜんぶ受け止めてやるから」 「ほんと? エッチな女の子になっちゃっても嫌いにならない?」 今ならわかる。アミが一番怖がってたのは、好きな人に嫌われること。 まあ男とかセックスへの恐怖が全然なくなったってわけじゃないだろうけど、少なくともさっき言ってた『怖い』ってのは、そういうことだと思う。 俺も、アミに嫌われたと思ったとき、本当に怖かった。たとえ、そのときアミがスレイブにされてたとしても。 ディテクターに誘拐されたことよりも、テロリストとして追われたことよりも、アミに嫌われることが怖かった。 俺はアミに、情けないとこも、カッコ悪いとこも、ずるいとこも、汚いとこも見せてきた。 それでもアミは俺を好きだって言ってくれた。 だから…ってわけじゃないけど、俺も、何があってもアミを好きでいる。その自信はある。 あと、個人的にはエッチなアミも大歓迎だし。 「絶対俺はアミを嫌いになんかならない。だからさ、もう怖くないだろ?」 「うん……平気、怖くない。カズ…すき…」 アミの目から涙がこぼれ落ちた。 俺も、もう怖くない。この涙が拒絶の意志じゃないってわかったから。 つうかむしろ、俺がアミを気持ちよくさせてると思うと、興奮の度合いがとてつもない。 アミの中はゴム越しでもわかるくらいグチャグチャでぬるぬるだし、俺を欲しがってるみたいにきゅうきゅう締め付けてくる。 ちっくしょう、仙道め。経験のない女の子は挿入で感じないとかウソつきやがって。 俺もアミも気持ちよすぎて止まらないじゃねーか! 「アミ、俺、もうっ……」 「いいよ…カズ、私も…!」 俺たちはふたり一緒に絶頂に到達した。 強く身体を抱きしめて、深く心を重ねて。 今日が俺たちの初めて。初めて気持ちを通じ合わせた日。 これから先アミがいればきっと、俺はどんな困難にも負けず前に進めるだろう。 …なーんて、これじゃまるっきりロマンチストだ。 現実はそんな甘いもんじゃないし、たぶんこれからも泣きごとだって散々言う。 でもそれでいいと思う。 情けなくたって、カッコ悪くたってさ、アミが好きでいてくれるなら、俺自身もそんな俺を好きになれるから。 ただ、まだわかんないことがひとつ。 俺はその疑問を、俺の胸元に顔を寄せているアミに投げかけた。 「あのさ、なんでアミは俺のこと好きになったの?」 「それが自分でもよくわからないのよ。去年かな。イノベーターとの戦いのときくらいから男の子として意識するようになっちゃって、気がついたら、ね。 ほんと不思議よね。カズって不良っぽいのに弱虫だったし、頼りなかったし。好きになるなんて思ってもみなかったわ」 「そこまで言うのかよ」 「いいじゃない。どんなカズでも私は好きだもん。ね、カズも言いなさいよ。なんで私のこと好きになったの?」 「んー、おっぱいが大きくなったから」 「…サイテー」 「冗談だって。俺もアミと同じ。アミのこと見てたら、いつの間にか好きになってた」 「そっか。いっつもそばで戦ってきたもんね。これからまた前みたいに一緒に戦ってたら、お互いもっと好きになっちゃうかしら?」 楽しそうにアミがクスクスと笑った。 お節介なのに強くて、負けず嫌いのくせに明るくて、意地っ張りだけど優しいアミ。 俺の力でこの笑顔を守っていけるのか、心にふっと不安がよぎる。 そのとき、俺はちょっとだけ感傷的になっていた。 「本当に俺、またアミやみんなと一緒にいてもいいのかな…」 「私ね…ううん、私だけじゃないわね。バンも、ジンも、みんなカズが帰ってきてくれて、すごく嬉しかったのよ。 また黙ってどこかに行っちゃったら、それこそ許さないんだから。これからも、よろしくお願いね」 「…サンキューな、アミ。俺、絶対みんなの力になってみせる」 犯してしまった罪が消えることはない。 でもアミが、バンが、大事な仲間たちが受け入れてくれるなら、俺は罪を忘れなくても生きていける。 LBXを悪者にした罪は、LBXを使って世界を救うことで償う。5年後には、アキレス・ディードを世界中で大人気のヒーローにしてやるぜ。 アミを傷つけた罪は、これからアミをとびっきりの笑顔にすることで償う。5年後には、……ちょっと想像つかねーや。 でも、できれば5年後も、10年後も、アミやバンや仲間たちと笑い合っていたい。 そんなビジョンを思い描きつつアミを見つめてたら、顔を上げたアミと目が合った。 俺の心の中を見透かしたみたいに、アミはニッコリ笑う。 可愛げがないくらいの、とびっきりの笑顔。…めちゃくちゃカワイイんだけどさ! なんだか照れくさくなって、顔が見えないように、俺はアミにキスをした。 アミ、アミ。かけがえのない、俺の大切な―― 軽くシャワーを浴びて、服を着て、すやすや寝てるアミが風邪を引かないように布団をかけてから、俺はそっとアミの部屋を出た。 あー、眠い。できればアミに添い寝したかった。 でももし明日の朝早くアミの部屋から出て来るのを誰かに見られたら、なんて言われるかわかったもんじゃない。 ま、今だったらみんな寝てる時間だし、大丈夫だろ。 このときの俺はアミと気持ちが通じ合って浮かれてた上に、疲れてたし眠かったしでとことん気が緩みきってた。 だからさ、廊下で俺を待ち構えてた人影に気付かなくても、それは仕方ないことだよな? 「どうやら、逮捕はしなくていいみたいね」 「わっ、うぇっ、ジェシカあ?! なっ、なんでこんな時間に…あ、お、俺はアレだアレ。夜の散歩というか、眠れなくてぶらぶらするとか、よくあるだろ!」 突然背後からかけられたジェシカの声に驚いて、聞かれてもいないってのに下手すぎるごまかしを連発してしまっていた。 そんなあからさまに怪しい俺をよそに、ジェシカはいつもみたいな人を食った態度で俺の質問に答える。 「Oh、ワタシがどうしてここにいるか? それはね、少し気になることがあったから。 ダックシャトルってNICSの管轄だから、一応全室に監視カメラがあるのよ。解像度と音質はイマイチだけどね」 へえ……って、おい! ちょっと待て!! それってつまり、さっきのアミとのあれやこれやが筒抜けだったってことかよ!!! 動揺が顔に出てたのか、ジェシカは俺をなだめるように笑った。 「安心して。記録は残らないようにしておいたし、それにね……」 ジェシカが俺の肩にポンと手を置いて、耳元で囁く。 それはもう、女の悪魔みたいな黒い猫撫で声で。 「アナタがエッチでスケベなゴーカン魔だってことは、みんなには内緒にしておいてあげるから」 冷や汗が止まらない。 固まってしまった俺を見据えながら、ジェシカは相変わらずニヤニヤと嫌な笑いを浮かべている。 「時々ノロケ話でも聞かせてくれればそれでいいわ。日本人の恋愛様式には個人的に興味があるの」 なんてこったい…… どうやら俺はまだNICSの魔の手から逃れられないらしい。 俺はこの手がアミに及ばないことを祈りつつ、事態を面白がるジェシカに引きつった苦笑いを向けることしかできなかった。 はあ……俺、ダッセェかも……
https://w.atwiki.jp/horserace/pages/1041.html
エルジャンクションをお気に入りに追加 エルジャンクションの情報をまとめています。リンク先には学生・未成年の方には不適切な表現内容が含まれる場合があります。またリンク先の内容を保証するものではありません。ご自身の責任でクリックしてください。 エルジャンクション <保存課> 使い方 サイト名 URL エルジャンクション <情報1課> #bf エルジャンクション <情報2課> #blogsearch2 エルジャンクション <情報3課> #technorati エルジャンクション <報道課> 地球と私を守る「カナダグース」で、運命のダウンに出合う冬 - ELLE 太陽光発電ジャンクションボックス市場:現在の分析と予測(2021-2027年) - www.fnn.jp <スポーツ仲間> エル・アテインスイミングスクール長浜(長浜市) - 中日新聞 首都高5号線でトレーラーが側壁に衝突し横転…運転手は軽傷 - FNNプライムオンライン <ブラボーふくい!> エル・ローズ グラン・ゲート - 中日新聞 <アフター6ジャンクション><新時代のコトバ会議>が、第58回ギャラクシー賞ラジオ部門奨励賞を受賞 - PR TIMES 【12月22日グレートコンジャンクションの日に開催決定】800年ぶりの天体ショー、鏡リュウジ・石井ゆかりら豪華ゲストと共に新しい「風の時代」を語る - PR TIMES エルジャンクション <成分解析課> エルジャンクションの97%は玉露で出来ています。エルジャンクションの3%はツンデレで出来ています。 ページ先頭へ version3.0