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ダブルスルーフコンボ 兵種スキルである『コンボ』の一種。 無作為に『突』属性で敵に二回攻撃を行う。 ターゲットは選べない。
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ダブルスラッシュコンボ 兵種スキルである『コンボ』の一種。 無作為に『斬』属性で敵に二回攻撃を行う。 ターゲットは選べない。
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「ダブルスパーク」 呪力7 レベル:幽香 幽香 魔理沙 魔理沙 攻撃6 迎撃2 命中6 種類 集中 貫通 誘導弾 [起動フェイズ]常時 起動フェイズ終了時、このターンの戦闘フェイズに戦闘を行ったこのスペルを準備状態にする。 [戦闘フェイズ/攻撃時]呪力2 このスペルは「攻撃+2」「命中-3」を得る。 (フェイズにつき1回まで使用可能)
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《夏海のダブルス》 イベントカード 使用コスト0/発生コスト1/赤 [メイン/自分] 手札から「逢沢 夏海」または「水越 紗季」1枚を捨て札にする。その場合、デッキの中を全て見て、その中にある「逢沢 夏海」1枚と「水越 紗季」1枚を抜き出し、表にしてから手札に加える。その後、デッキをシャッフルする。 夏色キセキで登場した赤色のイベントカード。 手札の逢沢 夏海または水越 紗季1枚を捨てることで、自分のデッキから逢沢 夏海1枚と水越 紗季1枚を表にしてから手札に加え、デッキをシャッフルする効果を持つ。 逢沢 夏海・水越 紗季専用のサーチカード。同名カードを捨て札にする必要があるが、1枚のコストで2枚もサーチできる。 コスト0なので2 2交換となる。捨てるカードとこのカードをデッキの逢沢 夏海と水越 紗季に変換できるといえる。 もちろん《水越 紗季&逢沢 夏海(P001)》などのコンビカードもサーチ可能。 ただし、逢沢 夏海と水越 紗季が片方でも存在しないとサーチできないので注意。 逢沢 夏海と水越 紗季をメインとするデッキなら採用する価値は十分あるだろう。 《仲良くなったきっかけ》はこのカードの花木 優香・環 凛子版。 カードイラストはこのカードと同じサブタイトルの第6話「夏海のダブルス」のワンシーン。 関連項目 《仲良くなったきっかけ》 カード名がサブタイトルと同じカード 逢沢 夏海 水越 紗季 収録 夏色キセキ 01-098 夏色キセキスターターデッキ 01-098 編集
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恋心「ダブルスパーク」 恋心「ダブルスパーク」 スペル シンボル:青 必要コスト<青:3 無:2> このカードは、自分の「霧雨 魔理沙」がいる場合、コストが[無:2]減る。 【自分の墓地にある、「恋符「マスタースパーク」」1枚を除外する】 目標のキャラクター2枚に50ダメージを与える。 「私の光は一つとは限らないぜ。」 illust:ギロチン コメント 関連 普通の魔法使い「霧雨 魔理沙」 恋符「マスタースパーク」
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石山流ダブルス必勝法 作詞・作曲 MITAKO−−−!!! 編曲及び若干の捏造 IVICA.OSAMU Produced by YA!!TOOOKO.ISHIYAMAN ビギナーズダブルスで見事、優勝に輝いた31期の石山やとぅーこさん。 彼女が試合で実践している作戦を特別に公開。 ・其の一 ペアとしっかりとした意思疎通を図るため、同じフレーズをしつこく繰り返す。 『 とるとるとるとるとるとる〜あたしとる〜 (←萌え声) 』 ・其のニ できなかったことは、例えラリー中でもちゃんと謝る。 『 あっゴメン、チェンジ出来なかったぁ〜 (←萌え声)』 ・其の三 敵をあざむくには、まず味方から。 『 わたし右いる〜あっウソついた!左だった! (←萌え声)』 ・其の四 ペアの許しを請いつつ動くことによって、信頼関係を築く。 『 わたし左いる〜イィ??? (←萌え声)』 ・其の五 ペアをいたわる心を常に忘れない。 『 ゴメンセカンド、下からぁ〜 ストレートケァ (←萌え声)』 …以上の戦法を甲高い声で、かつかわいらしく行えば、相手はさらに混乱し、試合に勝てること間違いなしであろう。 〜 完 〜
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ダブルストップ ――また、いる。 気配で分かる。分かり易すぎる。 後を、ぴったりとついてきている。 だんだんと慣れてきてはいるけれど、やっぱり気持ちが悪い。 “つけられている”という感覚。 ――いい加減にしてほしい。今日こそ、言おう。 心に固く決めて、電車に乗る。 電車の車内は、中途半端に混んでいた。 シートに掛けている人と人の間に、座れそうで座れない程度の隙間が目立つ。 ――少し詰めれば、もっと座れるのに……。 そう思っても、しょうが無い。そこに尻をねじ込むほどオバサンでもない。 けれど、車内には杖をついたお爺さんや子供を抱えた若いお母さんだっている。 ――どうして、想像力を働かせないんだろう? 詰めてスペースを作れば、彼らが座れる場所ができる。 一方で、別の可能性を考える。 ――赤の他人にぴったりくっつくことは不審がられるから? 個人領域を侵されるようで嫌だから? 分からないでもない。 何もないところで、やたら近づいてくる人はいる。電車に立って乗っていると、なおさらだ。 ――でも、今は違うよね……。 シートに座ってまで痴漢を仕掛けてくるヤツには、いまだ遭ったことが無い。 自分が無いだけで、他の子はあるのかもしれないけれど。 発車間際のベルが鳴っているところへ、若い男が閉まりかけのドアを押さえて割り込んできた。 白いスーツに、黒い柄シャツ。胸元が大きく開いているところへ、金のネックレスが覗いている。 ――まったく、もう・・・品がない。 ため息を吐き、男の方を見ないようにしてつり革を握る。 前に座っている同年代の男の子。足を大きく広げ、その間に大きなバッグ――きっと運動部だ――を置いて、たっぷり二人分を確保してスマートフォンを弄っている。 ――その“長い足”を踏んづけてやろうか。 思っても、そんな度胸はない。黙ってつり革を握っている。 無言の抗議、そんなものは彼らにとって何の意味もない。周りが見えていないから。 下手に注意などしようものなら大変だ、難癖つけられてこちらが危ない目に遭いかねない。 だから、大人たちも誰も何も言わない。 迷惑はお構いなしに、大きな顔で振る舞う人間の天下だ。 「兄ちゃん、そこ詰めてもらっていいかい」 ドスの利いた声が、間近で聞こえた。 さっきの男だ。剃ってしまって殆ど無い眉を逆への字にして、睨みつけている。 車内にさっと緊張が走る。 ――ああ、起こってほしくない事態が起きてしまった。 もう、諦めの気持ちだった。 前に座っていた少年は、気まずそうに、けれどのろのろと足を狭める。 男が――もう、こう言ったほうが早い――チンピラが、足元の大きなバッグを軽く蹴る。 「でかい荷物やなあ」 ――もうダメだ。 この後、どうするか懸命に考える。 出来たスペースに、チンピラが座る。 ちょうど駅に着いた。 降りる駅ではないけれど、降りて別の車両に乗り直す。 少なくとも、最悪の事態は逃れた。 ――でも…… いろいろ面倒な思いを抱え込んで、家路についた。 ♪ ♪ ♪ 「お母さん、今日も居たんだよ。どうにかできないの」 帰宅してすぐにぶちまけた。 母はきょとんとしていたけれど、すぐに、ああ、と笑って台所へ戻った。 台所へついていき、制服のまま、新聞紙の上の唐揚げの小さいのを摘む。 「こら、手を洗いなさい。それから着替えて」 揚げ物をしている母は、菜箸を片手にこっちを睨む。 「唐揚げかぁ。太っちゃうな」 そう言いながら、自分の部屋へ向かった。 母の唐揚げは、からっと揚がっていてジューシーで、生姜の香りが効いていて、つまり、すっごく美味しい。 いつも、つい食べ過ぎてしまう。 ♪ ♪ ♪ 弓を弦に当てて、ゆっくりと引く。 チューニング・メーターの針が中央をさまよう。 チューニングだけはしっかりやれ、と言われた。それからメトロノーム。 コツガイ先輩は、自分のパートはサックスのくせに他の楽器も詳しくて、「こういう感じに吹くんだ」と言ってはトランペットやフルートを 吹いてみせた。管楽器だけでなく、ピアノやチェロ、ドラムまで叩けた。 それが、部の女の子と仲良くなるためだと教えてくれたのは、別の女性の先輩だった。 「コツガイ先輩には注意した方がいいよ」 そう言って教えてくれたのだ。 たしかにノリが軽くてチャラい感じではあった。 けれど、音楽に対してはとても真剣で、うまく言えないけれど、先輩は “自分の表現” を常に追求しているような印象を持っていた。 コツガイ先輩が、実際にそういうちょっかいを出してくることはなかった。 自分が “そういう魅力” に欠けていたのかもしれないけれど。自分にとっては、ただ真摯に音楽のことを教えてくれる先輩だった。 コントラバスの大きさを持て余しているところに、弓とチューニング・メーターを買うこと、いつもメトロノームを鳴らすことを 熱心に教えてくれたのは、コツガイ先輩だった。 「ナギサワさん、頼むから、オレを助けると思って、メトロノームとロングトーン、やってくれ。ベースがしっかりすれば、絶対いい演奏になるんだ」 コツガイ先輩の目は、血走るくらい真剣だった。自分より年下の、音楽もろくに分かっていない女の子に対して、頭を下げている。 当惑して、とりあえず言われた練習はしっかりやることを約束した。それは実際、続けるに苦ではないものだった。 チューニングを合わせ、メトロノームを鳴らしてロングトーン。ゆっくり弓を引いて、左手のかたちを確かめながら。 それからスケール、クロマチック……。 基礎練習は、嫌いじゃない。単純作業のようでいて、突き詰めると工夫の余地がいくらでもある。 「ベースがしっかりしたピッチ(音程)とリズムで弾いてくれりゃ、あとはどうにでもなる。ベースって、文字通り『土台』なんだよな」 コツガイ先輩が言ったセリフを思い出した。それを聞きながらわたしは、 ――先輩、間違ってます。「文字通り」だと綴りが違います。 と思いながら、でも言わなかったのだけれど。 ♪ ♪ ♪ 中学校を卒業した後、それまで住んでいた土地から逃れるように、ここに引っ越してきた。 新しい学校で、わたしの目標はただひとつ。極力、人目につかないこと。 カタギの暮らしをさせてやってくれ――と言ったのが本当かどうか、知らない。 けれど父は生前、ときどきそんなことを言っていたらしい。 父はいわゆるやくざ者で、田舎の小さいながらも一家の親分だったらしい。けれど歳の離れた嫁――つまりわたしの母だ――には、 その筋の世界から遠ざけるようにしていた。 ……というのが本当かどうか知らない。お葬式の席で聞いた話なのだ。 けれど、ちっともそんなことはなかった。 小学校の頃から、運動会には学校の周りに黒塗りのベンツ(じゃないかもしれないけど、わたしには車はすべて同じに見える)が停まって、 授業参観日にはなぜか母に若いスーツの男が数人、付き従っていた。 小学校の4年生くらいから、自分の家は普通じゃないんだと悟った。 他の友だちと同じような家ではない。 クラスの友達に 「まいちゃんのお父さん、おしごと何してるの?」 と聞かれて、答えられなかった。 何をしているのか、わたしも知らなかったから。 ♪ ♪ ♪ 「タツジさん」 駅に向かう途中の、人気のない通りで立ち止まり、声をかける。 返事はない。 振り返ると、電柱の陰に白いスーツのジャケットがはみ出ている。 隠れてもいない。だるまさんがころんだじゃあるまいし。 引き返し、電柱の影のスーツを引っ張る。 「あ、あぁお嬢さん。これはこれは、お早うございます」 たった今気がついた、というふうを、学芸会レベルの白々しい演技で装い、引き攣った笑顔を浮かべて応える。 しどろもどろになりながら目が泳いでいる。 「タツジさん、なんでつけてくるの」 30過ぎたばかりの、粋がっているくせに童顔で憎めないチンピラは、目を逸らして言う。 「つけてたなんて、そんな。オレはたまたま朝の散歩をしてただけで。あ、お嬢さん傘、持ってますか? 今日は午後から」 「この前も、わたしをつけて電車に乗ってきてたよね」 途中で遮って、詰め寄る。 「しかもインネンまでつけちゃって。どうしてそういうことするの」 ようやく彼がわたしを見た。困った顔だが、不満気な表情がありありだ。 「インネンったって、あのガキがフザけた座り方してやがるから。お嬢さんが乗ってきたってのに、どきもしねえし」 ――まったくもう。 つまり行為は認めたわけだ。 「あのね、わたしは大丈夫ですから。放っといて欲しいんです。わたしも、お母さんも」 「はぁ……」 タツジさんは、肩を落としてしょぼんとしている。その姿だけは、叱られてうなだれた犬みたいでかわいい。 ♪ ♪ ♪ 学校の音楽室で、コントラバスを弾く。 この高校に入ったとき、わたしは部活には入らないことを決めた。 音楽は好きだったし、できれば楽器は続けたかったのだけれど、目立たないことが最優先だ。 遠征などあれば、どこから嗅ぎつけたのか、誰かしら「若いもん」がつけていたりする。 黒い車を見るたび、げんなりした気分になる。 だから、部活に所属しないまま、楽器だけ弾いている。 オケ部が使わなくなった古いコントラバスが音楽準備室に放置されているのを知ったからだ。 駒が歪んで調整に出さなくてはならないのだけれど、持って行くのは大変だしお金もかかる。 代替の楽器があるので、こちらは使われていないということらしい。 音の低いコントラバスが主旋律を弾いてサマになる曲というのはあまりないと思っていたけれど、ジャズにはそういう曲がたくさんあるのを、中学の時に知った。 目下のわたしの課題曲は、『You’d Be So Nice To Come Home To(帰ってくれれば嬉しいわ)』という曲だ。 古くからある曲だそうで、それをコントラバスを主役に演奏しているCDを聴かせてもらった(それを持ってきたのもコツガイ先輩だった)。 その曲は中学の時に演奏する機会はなかったけれど、譜面はもらっていた。 譜面をもとにCDを聴きながら弾いていると、コントラバスの難しさ、音の深さを実感できる。 ちょっぴりもの悲しいメロディが気に入って、わたしはそれを練習するのを放課後の日課にしていた。 ♪ ♪ ♪ 父の思い出は、あまりない。 あまり家に居なかったからだ。 ごくたまに帰ってくると、欲しいものないか、買い物行こうか、そんな話ばかりだったように思う。 父は母よりもずっと歳上で、いつもスーツを着た大人が取り巻いていた。 決まった顔ぶれなので、わたしも顔と名前くらいは知っている。 「お嬢さん、ジュース買ってきましょうか」 「お嬢さん、疲れてないですか」 大人がわたしの世話をするのを、どこかで変だと感じていた。 そんなわがまま言っちゃいけない。そんな無駄遣いしちゃいけない。 わたしは、もしかしたら恵まれた環境にあったのかもしれないけれど、それを享受するのに後ろめたい気があって、 拒んでいた。 父が亡くなった時は、もちろん悲しかった。 わたしのことを知っていてくれる人は、母だけになってしまった、そのことが深く心に残った。 一方で、やくざの(そういう)世界から脱出できる、とも思った。 わたしは「ふつうの女の子」になりたかった。 ♪ ♪ ♪ 「ナギちゃん、おはよー」 「おはよー」 ニシトちゃんが笑顔で挨拶してくる。彼女はいつも笑顔を忘れない。 取り立てて楽しいわけじゃなくても、楽しそうに振舞っている彼女の気遣いを、本当に尊敬する。嫌味でなく。 4時限目の授業中、窓の外を見ると空が真っ暗になっていた。 粘土が乗っかっているような、暗く厚い雲が空を覆っていて、風が強く吹いている。 「あちゃー、これは予報より早く降りだすね」 昼休み、ニシトちゃんはお弁当を食べながら窓の外を見て言った。 「部活、休みになんないかなぁ」 気弱そうに言う。普段の彼女らしくない。 彼女はバレー部だ。体育館の部活だけれど、こんな日は早く帰りたいだろうと思う。 台風が予報よりもずいぶん早く上陸してしまい、5時限目には強い風に混じって横殴りの雨が降り始めた。 校内放送が、部活動は中止して早く帰宅するようアナウンスしている。風が校庭の木々を嬲っている。 「台風はいいよな、進路が決まってて」 誰かがぼやいているのが聞こえて、吹き出しそうになった。 進路に悩んでいるのはみんな同じなんだ、と思ったし、なんとも笑えて上手いと思った。 ♪ ♪ ♪ ――まいったなぁ。 傘を持ってきたけれど、この風じゃ役に立ちそうにない。 バス停に立っていても、濡れるばっかりだ。けれど今日は自転車で来ていないので、バスで帰るしかない。 「ナギちゃんはどうするの? あたし、お母さんが迎えに来てくれるんだけど、良かったら一緒に乗って行く?」 ニシトちゃんは、わたしを心配して言ってくれていた。 けれど、それに甘える気にはならなかった。 ホントはすぐにでも甘えたい気分だったけど、送ってもらえば家の近くまで来てもらうことになる。 その途中で“組の人たち”に出くわすのが嫌だった。 これまでの経験上、そういう時に限って遭ってしまうのだ。ほぼ100%。 「大丈夫、バスですぐ帰れるし」 「でも、」 言いかけるニシトちゃんから逃げるように、その場を後にした。 ――仕方ない。帰ったらすぐお風呂に入ろう。 わたしは役に立っていない傘を差しながら、バス停に向かった。 それでも数人はバス停に待っている人がいる。カッパを着込んでいる人も、ずぶ濡れだ。 ――やっぱりポンチョを買っておくんだったな。 あらゆる方向から吹きつける風と雨で、制服は既に濡れて気持ちが悪い。 黒塗りの高級車が、バス停前に停まった。 てっぺんに黄色いランプを載せているので、辛うじてタクシーだと分かる。 前の席のスモークが貼られた窓が開いて、 「ゴメンなさ~い、お待たせしちゃった~」 男の人がサングラスを外して、わたしの方を見ながら言った。 ――な、なんで来たの!? タクシーは後ろのドアを開けて、待っている。 「早くぅ、雨が降り込んじゃうわよォ」 オネエ言葉で男の人が続ける。 ――あちゃー、なんてこった。 周りの人が、わたしとタクシーを見比べる。 その視線から逃げるように、タクシーに乗り込んだ。 「ごめんなさいねぇ。道が混んじゃってて」 左ハンドルの運転席で、サングラスの男が相変わらずオネエ言葉で話す。 「アキトさん……なんで、わたしの学校知ってるの」 「そりゃあ、ずっと前から……あっと、違うのよ、今日は奥様に頼まれたの。ホントよぉ」 ――まさか、そんな。 うちの近くにいるならまだしも、学校にまで来るなんて。 ――アキトさんの車にだけは乗りたくない。 そう思っていた。 ひどく痩せていて、普段は物腰の柔らかいオネエなのだけど、車に乗ると人が変わる。 かなり飛ばすし、荒い運転でも信号無視でも何でもするのだ。 小さいころ、遠足のバスに乗り遅れそうになったとき乗せてもらったことがある。 それはそれは怖い体験をした。映画のカーチェイスさながらで、アキトさんはそれをとっても楽しそうに しているのが余計に怖かった。 まあ、お陰で集合時間には間に合ったのだけど。 「アキトさん。ぜったい、安全運転してね」 前席のシート越しに言う。 「もちろんよぉ。アタシ今はちゃんとタクシー、やってるんだもの」 暴走するタクシーの映画があったような気がしてイヤな予感がしたけれど、 一番安全とされる運転席後ろに腰を落ち着ける。 雨は相変わらず激しく、フロントガラスを叩きつけている。 滝の中を走っているようで、前がまったく見えない。そんな中を、アキトさんは鼻歌を歌いながら アクセルを踏む。速度を確認したくないけれど、きっと100キロくらい出ているに違いない。 ――外を見るのはやめよう。速度をいやでも感じて怖くなる。 車内に視線を巡らせた。 アキトさんの顔写真が、運転席の横にある。まるで犯人写真みたく、神経質そうな顔がこっちを 睨みつけるようにして写っている。 ――こんな顔で、どうやって面接通ったんだろう。 聞いてみようかと思ったけれど、参考になる話は聞けないだろうと思い直して、やめた。 ♪ ♪ ♪ バイトでもなんでも、働くときには試験や面接がある。 クラスの子が、ある日髪を真っ黒にして来た時があった。 「バイトの面接あるからさー」 普段はかなり明るめの茶髪だったので、代わり映えはひと目で分かった。 数日後、その子はもとの色合いに髪を“戻して”いた。 「先に入ってたヤツが最悪でさー、マジ使えねーの!」 バイト先の話をしながら、茶色の髪を弄っている。 なぜだろう? 面接の時は黒髪じゃないとダメで、採用されれば茶髪でもいい。 髪の色なんて、正直言ってどうでもいいと思う。 好きな色にして、それでずっと過ごせばいいんじゃないの? 面接の時は黒髪に、ってなんのため? 黒髪じゃないとダメなら、どうして働き始めたらOKになるの? よく分からない。 「ナギちゃんはいいよねー。地毛なんでしょ?」 ニシトちゃんが言った。 わたしの髪は、茶髪とまでは行かないけれど微かに栗色っぽい。 あまり気にしたことはなくて、これまで髪を染めようとか脱色しようとか思ったことはなかった。 中学の頃から、髪の色を気にする友達が多くなった。それで注意される子も少なからずいた。 ニシトちゃんは少しだけ脱色しているらしく、よく見ると茶色がかっている程度だけれど、 定期的に美容院に行って染めた話を聞く。 「自分でやると、うまくいかないんだよー。でも、その分ケアしてもらってるからいいけどさ!」 光が当たると紅茶色になる彼女の髪は、ショートカットと彼女の性格によく似合っていると思った。 体育祭の練習日。 競技部分は入りと終わりだけ確認して省略し、全体を通してひと通り終わって、終了となった。 後ろにまとめた髪を一旦解いて、頭を左右に強く振る。 ――あーあ、きっと砂だらけだろうな。 砂埃の舞う校庭で体育祭の練習をして、汗もいっぱいかいた。 身体をシートで拭くだけじゃぜんぜん物足りない。早く帰ってシャワーを浴びたい。 手櫛をざっと通して、髪を再び後ろにまとめる。 面倒なのでダッカールで挟むだけにする。 今日はポニーテールにしてきた。 髪をいろいろ弄るのが好きなので伸ばしているけど、長いと正直、面倒に思う時もある。 服だって、この学校は制服指定じゃない。 いちおう制服はあるけれど、それでなくてもいいし、私服でも内申点に影響しない。 お洒落なコたちは“なんちゃって制服”(制服風の私服)で通学しているし、実際それは、とってもかわいい。 でも、ちゃんとした制服ではないし、いつも同じものを着ていると思われるのはやっぱり嫌だ。 「制服」なら、そういう“批判の目”からはいくらか免れる。 そういうズボラな理由で、わたしは“この学校の制服”を着ている。 でも、制服はけっこう気に入っている。 中学の時の野暮ったいブレザーとは違う。中等部からして洒落ていて、普通のコでも生意気に思えるくらいだ。 その、気に入っている制服のブラウスのボタンを留めているときだった。 ニシトちゃんがポツリと 「サキザキくんって、カッコいいよね」 と言ったのだ。 ――それって、誰だっけ。 きょとんとしているわたしを見て、 「あっ、別に深い意味は無いよ! ちょっと言ってみただけだし」 慌てて弁解する。一足先に着替えたのに、まだ髪を弄っている。そんな彼女の姿をなんとなく眺めながら、 ――さきざき、サキザキ…… と顔を思い出そうとした。 聞き覚えはある名前だけれど、わたしは友達が多い方じゃないので、同じクラスでない人の名前は 思い出すのに時間が掛かる。 ――ああ、あの彼か。 1年の時、同じクラスだった。 「将来は公務員!」みたいな男子だ。わたしの勝手な印象だけれど。 2年になった今では別のクラスだし、とくに気にも留めなかった存在だ。 ニシトちゃんは、その頃から“目をつけて”いたのかな? サキザキ君のことは、2回ほど後輩らしい女の子と一緒にいるのを見かけた。 彼氏・彼女というより、“飼い主とまとわりつく子犬”みたいに見えた。 彼が何の部活に所属しているか、知らない。わたしには、彼がどう魅力的なのか分からない。 たぶんニシトちゃんにとっては魅力的なのだろう。 ただ、彼が体育委員でもないのに黙々と用具の片付けをしたり掃除をしたりする姿に 好感が持てたのは事実だ。 ♪ ♪ ♪ 第5ポジションの1弦。小指でFをどうにか押さえ、2弦の開放と一緒に弾く。 ダブルストップ――重音奏法とも言う。2つの音を同時に鳴らす奏法だ。 特別なテクニックじゃない。ただ、わたしはこの奏法を気に入っている。 開放のD、1弦のF。 それぞれ、単音では素知らぬ顔をしていた音が、重なることでまったく気づかなかった表情を見せる。 「コード(和音)とは違うんだよ。でもさ、たった2音でも、すごく深いと思わない?」 ダブルストップを教えてくれたのも、コツガイ先輩だった。 「これが1ヶ所、スパーンと入るだけで、ぜんぜん違うんだよ!」 そう力説して、わたしはワケも分からないまま、譜面にないその音をペンで書き加えた。 コントラバスは、低音担当だ。弓で弾いたり、指で弾いたりするけれど、基本的には裏方だ。 ダブルストップをやると、音が一気に華やかになる。 音が羽と色を持ったような、ふわりと浮かぶ感覚。けれど、派手に自己主張するわけじゃない。 よく聴けば分かる程度の、でもそれがないと面白みに欠けるというような、なんともよく分からない立ち位置。 それは一世一代の見せ場のような気がして、それをカッコ良く決めるためにたくさん練習した。 全体練習の時、なかなか上手く出なかったその音が、綺麗に出てアンサンブルに溶け込んだ。 ――やった! 出来た!! 嬉しくって、わたしは誰かに褒められることを期待したのだけれど、 「ナギサワさん。2ページ目の3段目、Fのとこだけど」 タクトを振っていた顧問の先生が、言った。 「ミュートできてないのかな? いっつもDが鳴ってる」 ――えっ? イタズラがバレた時みたいに、わたしは頭のなかが真っ白になってしまった。 すかさずコツガイ先輩が、 「いや先生、オレがそう弾けって言ったんです」 「何でそういうことするの」 「単音じゃ音が細いと思ったし。これくらいのアレンジは、大目に見てくれて良くね?」 沈黙。 わたしには、先輩と先生の間に火花が散っているように見えた。 「譜面にないことをやらせないでくれる? まして1年生に」 「……」 「勝手なことを演りたかったら、ジャズでもやってれば。でも、ビッグバンドだってちゃんと譜面通りに合わせているんだからね」 「……」 ――ど、どうしよう!? 戸惑っているうちに、パート錬に戻ることになって、座が崩れた。 みんな何事もなかったようにバラけて楽器ごとに固まる。 「悪いね、ヤな思いさせちまった」 全体練のあと、コツガイ先輩がさっと寄ってきて、手で拝む仕草をする。 「あの、わたしはどうすれば……」 戸惑っているわたしにコツガイ先輩は、此方をじっと見て言った。 「オレの言ったことはとりあえず忘れて、譜面通り弾いてくれていい」 ――え? 「練習では、ね。けど、本番だけは誰にも手出しはできねぇ。演ったもん勝ちだ」 ニヤリと笑って、続ける。 「ナギサワさん、バッチリ決まってたぜ。気持ち良かったろ? 絶対、あそこはダブルストップで弾くべきだ」 わたしの前にこぶしを差し出した。 それを見つめていると、 「何してんの、グー出しな」 言われるままに、じゃんけんのグーを出す。 そのこぶしに先輩のこぶしがぶつかる。 「やってやろうぜ。何言われようと、カッコいいこと演った奴が強いんだ」 ――たぶん、“ミュージシャン”というのはこういう人のことなんだろうな。 混乱と得体の知れない高揚感とで、ろくに考えられないアタマで辛うじて思ったのは、その一言だけだった。 ♪ ♪ ♪ 「……ナギちゃんってさぁ」 ニシトちゃんが、呟くように訊いてきた。 「好きな人とかって、いたりする?」 ――なんだ、この唐突な質問は。 多少面食らったけれど、いちおう女子高生。そういうこと訊きたい時もある。 「んー、今はいないかなぁ」 答えてから、しまったと思った。案の定、 「『今は』ってことは、前はいたってこと?」 目を輝かせて訊いてくる。 ――困ったなぁ。 この高校に入ってしばらくして、そう言えばちょうど1年前のこのくらいの時季だったと思う。 クラスの男子に告白されたことがある。 付き合って下さい、ただそれだけだったけど、わたしはどうしていいのか分からずに、 「あなたのこと良く知らないので、ごめんなさい」 と言って断ってしまった。 ――“とりあえず”でも、付き合っておけば良かったのかな? そうすれば、彼の良さを見つけたり、いつの間にか好きになっちゃったりしたのかな? そうでなくとも、“付き合う”ことの意味が分かったり、「練習」になったりしたのかな? 結局、わたしはまだ誰とも付き合ったことはないし、そうなる予定もないままだ。当然、「気になる人」もいない。 きっと、今のニシトちゃんにとっては先崎くんが「気になる人」なんだろう。 「ねえねえ、ナギちゃんの気になる人って誰?」 「あー、いないの、ホントに。ごめん、興味ないわけじゃないんだけど」 ――なんで弁解してるんだろう、わたし。 「ええー。でもナギちゃんは、歳上のカッコいいお兄さんとか似合いそう! 25歳くらいの」 ――その年齢設定で思いつくのは、眉毛が無かったり人相が悪かったりする “組の若いもん” だけなんだけど…… もちろんその人達とは距離を置きたいと思っているので、恋愛対象になりようもない。 ――「恋する乙女」ってのはこんな感じなのかぁ。 ニシトちゃんを見ていると、およそ自分とはかけ離れた世界のようで、なんだか一気に老けこんだような気になる。 「学祭をきっかけに、付き合うカップル多いんだって」 ニシトちゃんは楽しそうだ。 1週間後には体育祭を控えている。その1ヶ月後には文化祭。 この学校は、体育祭より文化祭の方に力を入れている気がする。 1年生のときに観た演劇は、圧巻だった。 それまで演劇なんて興味なかったのだけど、クラスの子が出るからという理由で観に行って、その独特の雰囲気にヤられた。 “お祭り”なのだから、何が起きてもおかしくない。 それをきっかけに付き合うカップルが出るのも当然に思える。 わたしは、自分のこととして考えられない。 ときめく要素が、何もない。 ♪ ♪ ♪ 夕飯は銀鱈の粕漬けだった。焼き目が見た目にも美味しそうに焼けていて、身はほろっと柔らかく、 口に入れると甘く香ばしい香りと、じんわりとした旨味がある。 この粕漬けは小さい頃から食べていた。その頃はあまり好きではなかったけれど、最近こういうのの 美味しさが分かってきた。 実は結構高いものらしい。この前デパ地下で母の買い物に付き合っていたとき、初めて知った。 「お母さんさ、」 テーブルの向かいで箸を動かす母に声をかける。 なに、と目だけを上げてこちらを見る。 ――なんで、お父さんと結婚したの。 言おうとして、言葉が喉の奥でつっかえた。 ――なんか、恥ずかしいな……。 いつも話すように、気軽に聞いてみようとしたけど、なぜか構えてしまう。 「なによ、どうしたの」 母は、もぐもぐしながら怪訝そうに見ている。 「あ、えっとね……」 ――なんて聞こう。ただ聞けばいいだけなのに。 口ごもっているわたしを見て、母はくすっと笑った。 「そっくりねえ」 「? 誰に?」 箸を置いて、柔らかく笑う。 「お父さん」 「……」 目が点になった。 鏡を見てないから分からないけど、きっとそうなってた。 「なにか言おうとしてるんだけど、口ごもっちゃって結局言えないの。 でも、何を言おうとしてるのか分かるのよ、態度でバレバレなの。ホントそっくり。だから可笑しくって」 母はくすくす笑っている。 ――わたしって、お父さんに似ていたんだ……。 よく考えれば当たり前のことなのだけど、わたしは他人事のように思った。 「お父さんって、若いころどんなだったの?」 すっ、と言えた。 言ってから、「あ、言えた」と思った。 そうねえ、と母は楽しそうにわたしを見ながら、父との馴れ初めを話してくれた。途中途中に挟むわたしの 質問にも、面倒がらず丁寧に答えてくれた。 それは、母が父との思い出を大切に思っている何よりの証しに思えた。 わたしはその時初めて、本当の意味で父のことを好きになれたと思う。 ♪ ♪ ♪ 「ゆっくりしていけばよろしいのに」 「いやいや、お嬢さんがお帰りになる前に退散しまっさあ。ホント、ついでに寄っただけっすから」 玄関先でガタイのいい職人風のおじさんが、奥に向かって話している。 喉が痛くて熱っぽいので学校を早退してきたわたしは、その場面に出くわした。 玄関先にいるのは、マサキさんだ。 父の“子分”の中では古株で、歳もわりかし食っている。母と同年代くらいだと思う。 「……こんにちは」 低いトーンで顔も見ずに言う。 「おっ、お嬢さん。お帰りなさいませ。奥方、ではあっしはこれで」 マサキさんは、そそくさと去っていった。 「おかえり。早かったのね」 「……」 無言で通り過ぎる。 「具合悪いの?」 「……」 答えず、自分の部屋に入る。 ――やな奴だ、わたし。 不機嫌オーラを全開にしてマサキさんを追っ払い、お母さんを無視して部屋に逃げ込んだ。 具合が悪いのはたしかだけど、そこまで重症じゃない。 ――なんだろうな、さっきのは。 マサキさんとお母さんが親しく話しているのを見て、なぜだか許せない気持ちになった。 ――お母さんを独り占めしたいのかな? 子供っぽいと思う。けど、マサキさんはお母さんと同年代だ。 お母さんは、お父さんよりマサキさんと並んだほうが夫婦として見られる。 そんなこと、あるはずがないけれど。 想像しただけで吐き気がする。お母さんを嫌いになる。 ――なんだろ、この嫌悪感。 髪をぐしゃぐしゃにかき乱す。 制服を脱ぎ散らかして、ベッドに潜り込む。 布団の中で縮こまり、取り留めの無い考えに溺れる。 ♪ ♪ ♪ 夢を見ていた。 体育祭の夢だ。 昼休みになって、みんな家族の広げるピクニックシートのもとに帰る。 まるで小学校の運動会のような光景に、わたしは高校生のまま、そこにいる。 みんな、家族が大勢シートにいるのに、わたしの帰る先はお母さんひとりぼっちだ。 しかも端の方に居て、そこへ帰るのがなんだか惨めな気分になる。 ――あ、またこの夢だ……。 以前にも見たような気がする。 夢の既視感、というのがあるのか知らないけど、そういう感じだ。 シートのところまで来ると、さっきまでは居なかった、“組の人たち”がお母さんと一緒に居た。 みんな、わたしを受け容れてくれる。褒めてくれたりねぎらってくれたり。 認められている、という感じがわたしをホッとさせる。 ♪ ♪ ♪ ――なんで、今頃あんな夢……。 目が覚めて、溜息をつく。 くだらないし、呆れる。 高校生の体育祭に、家族の広げるピクニックシートはありえない。 小学校の頃ならたしかに、お母さんだけだったけれど、近所の子の家族と一緒になって、みんなと同じく シートを広げてお弁当を食べた。 そこにお父さんは居なかったし、組の人も居なかった。 ――わたし、寂しいのかな? だとしても、アレはありえない。 気分が悪い。 さっさと支度して忘れよう。 時間にはずいぶん早いけれど、家を出た。 びっくりしているお母さんを横目に、お弁当も持たずに出た。 途中のコンビニでサンドイッチでも買おう。 イライラする。 何に? 自分でもわからない。 こんなでも、教室に入ればいつも通りだ。ニシトちゃんの笑顔に、同じく笑顔で挨拶する。 退屈な授業も、他愛ないお喋りも、いつも通り。 “いつも通り、仲の良いクラス” を装うことは簡単だ。本音を剥き出しにしてしまえば、余計なトラブルを抱え込むことになる。 たとえ表面上でも、和やかなふうにして摩擦を防ぐ。 みんなそれを無意識にやっている。 で、そのストレスを気のおけない友達の前で吐き出してすっきりする。 でないと、やってられない。 面倒くさいな、といつも思う。 でも、ある意味 “マナー” や “しきたり” みたいなものだと思っている。 ――これって、“嘘をついている” ことになるかな? 嘘とは違うと思う。 でも、“なんか嫌だな”という思いが拭えない。 それを、見透かすように見ている人がいる。 例えば、タカハシくんだ。 タカハシくんも、1年の時同じクラスだった。すれ違えば挨拶くらいする。わたしも彼も部活に所属していないので、 放課後にふらふらしていると彼に遭遇することがある。 特別親しいわけじゃない。どちらかと言うと、わたしは苦手なタイプだ。 1年の時はバスケ部だったけど、先輩や同学年(タメ)と揉め事になって辞めたと聞いた。 不良、というわけじゃないけど、どこか斜(はす)に構えた態度や人を喰ったような物言いは、なんとなく近寄りがたかった。 タカハシくんは、見抜いている。 わたしたちが、表面上でだけ仲良くしていること。 ホントは嫌っているくせに、友達を装って親しげにしていること。 何を言うでもない。 ただ、わたしを見る彼の目は冷たい。 自分の後ろ暗いところを突かれたようで、長く会話していたいと思わない。 ♪ ♪ ♪ 「ニシトちゃんさぁ、タカハシくんのこと知ってる?」 「バスケ部の? “元・バスケ部”か。あ、ナギちゃんもしかして!」 「とんでもない! やめてよ、もう。ぶっちゃけ、苦手なんだよね。あの人」 「あ、あたしも~。なんか、上から目線っていうか」 「見下されてる感じするよね」 「正直言って、嫌い」 タカハシくんの悪口で盛り上がった後、ニシトちゃんは 「ナギちゃん。悪いコト言わないから、あんなのやめといたほうがいいって」 「いや、そんなつもり1ミリも無いし」 ニシトちゃんはその後、真面目な人が一番だの、グループの中の目立たないキャラにこそイイ男がいるだの、 個人的見解をたっぷり披露したのだった。 ♪ ♪ ♪ 人気のない音楽室でコントラバスを弾いていると、ふと思う。 ――オケ部に入っていたらどうだったかな。 仲間がいなくて寂しい、というのは確かにある。 でも一方で、面倒事がなくて気楽だな、とも思う。 ――気の合う人たちだけで部活ができればいいのに。 部活に関する悩みを聞かない日は無い。 高校生相手に部活に限定した占いをやったら、恋愛と同じくらい相談事が来ると思う。 中学生の頃は部活に入っているのが当たり前だったので、部活に所属していない今でも、放課後になると 何となく後ろめたい気持ちになる。 コントラバスの“自主練”は、そんな自分に対する言い訳かもしれない。 後輩に、「辞めたいんです」と相談されたことがある。 辞めるつもりの友人の、引き留め役になったこともある。 中学生にとって、部活を辞めるだの辞めないだのはけっこう大きな出来事だった。 この学校は、もっと自由だ。 部活に所属しなくても、何も言われない。「原則、全員何らかの部活動に所属すること」と決められていた中学校とは違う。 みんな思い思いに、自分の時間を使っている。 あまりに自由すぎて、何をするか迷ってしまう。 何かバイトをしようかな、と思うけれど、なかなか一歩が踏み出せない。 結局、コントラバスの練習か、図書室で本を読むか、まっすぐ帰るか。 この3パターンしかない。 世間では「女子高生」というとなにかと持ち上げられるような感じがあるけれど、わたしのように冴えない日々を 送っている女子高生だって実際に居るのだ。 みんながみんな奔放な生き方をしてるわけじゃない。 ♪ ♪ ♪ 9月はまだまだ夏の真っ只中だ。緑道の木漏れ日の下を歩いていても、この暑さはどうにもしがたい。 「あーあ。なんかイイ事、ないかなあ」 並んで歩くニシトちゃんがぼやいた。 「先崎くんは?」 何の気なしに振ってみた話題だったけれど、ニシトちゃんがこっちを見て、淋しそうに笑った。 「ナギちゃん、鋭いなぁ。やっぱりダメだね、あの二人の間に入れる気がしないもの」 ――あっ。言わなきゃ良かったかも。 先崎くんは後輩の女の子と仲が良い。傍から見てるとそれはとても親密で、誰も間に入れないというのは分かる。 「好きになっちゃダメな人ばっかり好きになっちゃうんだよねー。ナギちゃんは?」 「わたし? わたしは……そもそもあんまり、好きにならないから。それも寂しいけど」 「でも、辛い思いすることもないからね……こっちから追うより、向こうから来てくれたほうがラクかなぁ」 「そういうものかな……」 1年生のとき以来、わたしは告白されていないし、“いい雰囲気”になったことすら無い。 彼氏がいたら楽しいだろうな、と思うことはあっても、誰がいいとか具体的に考えられない。 「ねえねえ、ナギちゃんはどういうタイプが好みなの?」 「えっと……」 ――タイプ? ちゃんと考えたことあったっけ。 ていうか、もし今、クラスの誰かに告白されたら……どうしよう? よく分からないまま、また断っちゃうのかな。 「サイトウくんとか、どう?」 「へっ?」 「またまたぁ。一緒に歩いてるとこ、見たんだよ~」 ニシトちゃんは楽しそうに言う。 サイトウくんを、そういうふうに意識したことはなかったな。いい人だと思うけれど。 「タカハシはダメだからね、ナギちゃん! でもサイトウくんとタカハシくんってよくつるんでるよね」 そうだったっけ。 「ニシトちゃん、よく見てるね。全然気づかなかった」 「ナギちゃんが関心無さ過ぎなんだと思うんだけど……」 ♪ ♪ ♪ 身の回りにいる男子をみて、「この人と付き合ったらどうなるだろう?」と考えてみることにした。 タツジさん。 「お嬢さん、おはよござっす! 日傘、だいじょぶッスか。いちおう、キャバのスケからぶんど……っ、借りてきたヤツが あるんスけど。なんなら自分、差します。あ、日焼け止めも」 「放っといて下さい」 ――ダメだ。まったく想像できない。 アキトさん。 「あらぁ、お嬢さま。今日も肌がキレイねぇ。夏の日差しはお肌の大敵よぉ。UVカットの防弾ガラスで、 バッチリ防御のア・タ・シのクルマなら安心よぉ。いろんな意味で」 「アキトさんのクルマには乗りません」 「ツレナイわねぇ」 ――ダメダメ! アキトさんの車に乗ってたら、怖くて寿命が縮まる。 クラスの男子。 かっこいいヒトは、なんだか現実味がない。ジャニーズ系アイドルみたい。普通の男子でも、 なぜか “付き合う”イメージが湧かない。 ――わたし、理想が高いのかな? 違うと思う。理想なんて求めてない。 もし仮にクラスの誰かと付き合ったとして、わたしはその子に気持ちが行かなくて、ただ一緒に行動するだけに なるような気がする。それでも、いいのかな? 好きでもない人とキスなんてしたくない。手をつなぎたいとも思わない。 デートしてるうちに、そういう気分になっちゃうのかな。 流されてるみたいで、なんだか嫌だな。そういうの。 もう、わけわかんないよ。 前:合宿わん! 次:月
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秘書カード 調教カード レースカード その他カード 画像 カード名 属性 レア度 進化 レベル スピード スタミナ 根性 スキル 備考 雲母&蒼 連 レア 0 1 10 0 9 30 28 0 25 雲母&梓 複 レア 0 1 10 9 0 30 梓&蒼 単 レア 0 1 0 9 10 30 梓&蒼 単 レア+ 0 1 0 11 10 40 雲母&蒼 連 レア+ 0 1 11 0 10 40 雲母&梓 複 レア+ 0 1 11 10 0 40
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恋心「ダブルスパーク」 スペルカード コスト T2 使用者 霧雨 魔理沙 使用者が宣言する『恋符「マスタースパーク」 』の発動直後に連鎖することでのみ発動可能。 相手LPに4ダメージ与える。
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